IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サウジ アラビアン オイル カンパニーの特許一覧

<>
  • 特表-自動掘削助言&制御システム 図1
  • 特表-自動掘削助言&制御システム 図2
  • 特表-自動掘削助言&制御システム 図3A
  • 特表-自動掘削助言&制御システム 図3B
  • 特表-自動掘削助言&制御システム 図3C
  • 特表-自動掘削助言&制御システム 図3D
  • 特表-自動掘削助言&制御システム 図3E
  • 特表-自動掘削助言&制御システム 図4
  • 特表-自動掘削助言&制御システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(54)【発明の名称】自動掘削助言&制御システム
(51)【国際特許分類】
   E21B 21/00 20060101AFI20220713BHJP
【FI】
E21B21/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569509
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(85)【翻訳文提出日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 US2020034218
(87)【国際公開番号】W WO2020237152
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】16/421,107
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506018363
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アル-ルバイ,モハメッド ムリフ
(72)【発明者】
【氏名】アル-ヤミ,アブドッラー サーレハ フセイン
(72)【発明者】
【氏名】アル ガルビ,サレム エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】モラ,アルトゥーロ マガナ
(57)【要約】
掘削システムの1つ又は複数のセンサからリアルタイムで、坑井を掘削する掘削作業のリアルタイム掘削データを取得するステップと;掘削流体の運搬能力指数(CCI)及び坑井のアニュラスのカッティング濃度(CCA)を計算するために、掘削データを使用するステップと;CCI及びCCAのうちの少なくとも1つがそれぞれの範囲外であることを判定するステップと;CCI及びCCAのうちの少なくとも1つをそれぞれの範囲内になるように調整する補正動作を判定するステップと;補正動作を実行するステップと;を含む動作を実行する、方法、システム、及びコンピュータ可読媒体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータで実行する方法であって:
掘削システムの1つ又は複数のセンサからリアルタイムで、坑井を掘削する掘削作業のリアルタイム掘削データを取得するステップと;
掘削流体の運搬能力指数(CCI)と前記坑井のアニュラスのカッティング濃度(CCA)を計算するために、前記掘削データを使用するステップと;
前記CCI及び前記CCAのうちの少なくとも1つが、それぞれの範囲外であると判定するステップと;
前記CCI及び前記CCAのうちの少なくとも1つを前記それぞれの範囲内に調整するために、補正動作を判定するステップと;
前記補正動作を実行するステップと;を備える、
コンピュータで実行する方法。
【請求項2】
前記補正動作を実行する前記ステップは:
前記CCI及び前記CCAのうちの少なくとも1つに影響を及ぼす、1つ又は複数の掘削パラメータを調整するように前記掘削システムを制御するステップを備える、
請求項1に記載のコンピュータで実行する方法。
【請求項3】
前記補正動作を実行する前記ステップは:
グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を介して、前記CCI及び前記CCAのうちの少なくとも1つを調整するための1つ又は複数の動作を実行する掘削命令を表示するステップを備える、
請求項1に記載のコンピュータで実行する方法。
【請求項4】
前記坑井は、垂直であり、
前記CCIは、以下の式を用いて計算される、
請求項1に記載のコンピュータで実行する方法。

ここで、HoleSizeは前記坑井の直径であり、densityは前記掘削流体の密度であり、Kは前記掘削流体のコンシステンシー指数であり、θ300は300回転/分(RPM)での掘削流体粘度読取値であり、θ600は600RPMでの掘削流体粘度読取値であり、PVは前記掘削流体の塑性粘度であり、YPは前記掘削流体の降伏点であり、ODpipeは前記掘削システムのドリルパイプの直径であり、及びVannは前記掘削流体のアニュラス速度である。
【請求項5】
前記坑井は、水平であり、
前記CCIは、以下の式を用いて計算される、
請求項1に記載のコンピュータで実行する方法。

ここで、HoleSizeは前記坑井の直径であり、GPMは前記掘削流体の流量であり、densityは前記掘削流体の密度であり、Kは前記掘削流体のコンシステンシー指数であり、θ300は300回転/分(RPM)での掘削流体粘度読取値であり、θ600は600RPMでの掘削流体粘度読取値であり、PVは前記掘削流体の塑性粘度であり、YPは前記掘削流体の降伏点であり、ODpipeは前記掘削システムのドリルパイプの直径であり、Vannは前記掘削流体のアニュラス速度であり、TIは前記掘削流体の輸送指数であり、RFはレオロジー係数であり、及びAαはアニュラス領域である。
【請求項6】
前記CCAは、以下の式を用いて計算される、
請求項1に記載のコンピュータで実行する方法。

ここで、HoleSizeは前記坑井の直径であり、ROPは前記掘削システムの掘削ツールの掘進率であり、GPMは前記掘削流体の流速であり、及びTRは前記掘削流体の輸送比である。
【請求項7】
前記CCI及び前記CCAのうちの少なくとも1つを前記それぞれの範囲内に調整するために、補正動作を判定する前記ステップは;
前記CCIは、第1の所定値よりも大きいことを判定するステップと;
前記掘削流体の塑性粘度(PV)に対する前記掘削流体の降伏点(YP)の比は、第2の所定値よりも大きい又は等しいかどうかを判定するステップと;
前記比が前記第2の所定値よりも大きい又は等しい場合:
前記補正動作は、前記比を前記第2の所定値よりも大きくなるように増加させることであると判定するステップと;
前記比が前記第2の所定値未満である場合:
前記掘削流体の流量は、所定の最適流量未満であることを判定するステップと;
前記補正動作は、前記掘削流体の前記流量を前記所定の最適流量より大きく又は等しくなるように増加させることであると判定するステップと;を備える、
請求項1に記載のコンピュータで実行する方法。
【請求項8】
前記CCI及び前記CCAのうちの少なくとも1つを前記それぞれの範囲内に調整するために、補正動作を判定する前記ステップは;
前記CCIは、第1の所定値未満であることを判定するステップと;
前記CCAは、第2の所定値未満又は等しいことを判定するステップと;
前記掘削流体の輸送比(TR)は、第3の所定値よりも大きい又は等しいかどうかを判定するステップと;
前記TRが前記第3の所定値未満である場合、
前記補正動作は、前記輸送比を前記第3の所定値よりも大きくなるように増加させることであると判定するステップと;を備える、
請求項1に記載のコンピュータで実行する方法。
【請求項9】
前記TRが前記第3の所定値よりも大きい又は等しい場合、
前記掘削流体の流量は、所定の最適流量よりも大きい又は等しいかどうかを判定するステップと;
前記掘削流体の前記流量が前記所定の最適流量未満である場合、
前記補正動作は、前記掘削流体の前記流量を前記所定の最適流量より大きく又は等しくなるように増加させることであると判定するステップと;を更に備える、
請求項8に記載のコンピュータで実行する方法。
【請求項10】
前記掘削流体の前記流量が前記所定の最適流量より大きい又は等しい場合、
前記CCAは、前記第2の所定値に等しいかどうかを判定するステップと;
前記CCAが前記第2の所定値に等しい場合、
前記補正動作は、前記掘削システムの掘削ツールの掘進率を増加させることであると判定するステップと;を更に備える、
請求項9に記載のコンピュータで実行する方法。
【請求項11】
コンピュータシステムによって実行可能な1つ又は複数の命令を格納する、非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記命令は:
掘削システムの1つ又は複数のセンサからリアルタイムで、坑井を掘削する掘削作業のリアルタイム掘削データを取得するステップと;
掘削流体の運搬能力指数(CCI)と前記坑井のアニュラスのカッティング濃度(CCA)を計算するために、前記掘削データを使用するステップと;
前記CCI及び前記CCAのうちの少なくとも1つが、それぞれの範囲外であると判定するステップと;
前記CCI及び前記CCAのうちの少なくとも1つを前記それぞれの範囲内に調整するために、補正動作を判定するステップと;
前記補正動作を実行するステップと;を備える動作を実行する、
非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記補正動作を実行する前記ステップは:
前記CCI及び前記CCAのうちの少なくとも1つに影響を及ぼす、1つ又は複数の掘削パラメータを調整するように前記掘削システムを制御するステップを備える、
請求項11に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記補正動作を実行する前記ステップは:
グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を介して、前記CCI及び前記CCAのうちの少なくとも1つを調整するための1つ又は複数の動作を実行する掘削命令を表示するステップを備える、
請求項11に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記CCI及び前記CCAのうちの少なくとも1つを前記それぞれの範囲内に調整するために、補正動作を判定する前記ステップは;
前記CCIは、第1の所定値よりも大きいことを判定するステップと;
前記掘削流体の塑性粘度(PV)に対する前記掘削流体の降伏点(YP)の比は、第2の所定値よりも大きい又は等しいかどうかを判定するステップと;
前記比が前記第2の所定値よりも大きい又は等しい場合:
前記補正動作は、前記比を前記第2の所定値よりも大きくなるように増加させることであると判定するステップと;
前記比が前記第2の所定値未満である場合:
前記掘削流体の流量は、所定の最適流量未満であることを判定するステップと;
前記補正動作は、前記掘削流体の前記流量を前記所定の最適流量より大きく又は等しくなるように増加させることであると判定するステップと;を備える、
請求項11に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記CCI及び前記CCAのうちの少なくとも1つを前記それぞれの範囲内に調整するために、補正動作を判定する前記ステップは;
前記CCIは、第1の所定値未満であることを判定するステップと;
前記CCAは、第2の所定値未満又は等しいことを判定するステップと;
前記掘削流体の輸送比(TR)は、第3の所定値よりも大きい又は等しいかどうかを判定するステップと;
前記TRが前記第3の所定値未満である場合、
前記補正動作は、前記輸送比を前記第3の所定値よりも大きくなるように増加させることであると判定するステップと;を備える、
請求項11に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記TRが前記第3の所定値よりも大きい又は等しい場合、
前記掘削流体の流量は、所定の最適流量よりも大きい又は等しいかどうかを判定するステップと;
前記掘削流体の前記流量が前記所定の最適流量未満である場合、
前記補正動作は、前記掘削流体の前記流量を前記所定の最適流量より大きく又は等しくなるように増加させることであると判定するステップと;を更に備える、
請求項15に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記掘削流体の前記流量が前記所定の最適流量より大きい又は等しい場合、
前記CCAは、前記第2の所定値に等しいかどうかを判定するステップと;
前記CCAが前記第2の所定値に等しい場合、
前記補正動作は、前記掘削システムの掘削ツールの掘進率を増加させることであると判定するステップと;を更に備える、
請求項16に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
コンピュータで実装するシステムであって:
1つ又は複数のプロセッサと;
前記1つ又は複数のプロセッサに結合され、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行するプログラミング命令を格納する、非一時的コンピュータ可読記憶媒体と;を備え、
前記プログラミング命令は、前記1つ又は複数のプロセッサに動作を実行するように指示し、前記動作は:
掘削システムの1つ又は複数のセンサからリアルタイムで、坑井を掘削する掘削作業のリアルタイム掘削データを取得するステップと;
掘削流体の運搬能力指数(CCI)と前記坑井のアニュラスのカッティング濃度(CCA)を計算するために、前記掘削データを使用するステップと;
前記CCI及び前記CCAのうちの少なくとも1つが、それぞれの範囲外であると判定するステップと;
前記CCI及び前記CCAのうちの少なくとも1つを前記それぞれの範囲内に調整するために、補正動作を判定するステップと;
前記補正動作を実行するステップと;を備える、
コンピュータで実装するシステム。
【請求項19】
前記補正動作を実行する前記ステップは:
前記CCI及び前記CCAのうちの少なくとも1つに影響を及ぼす、1つ又は複数の掘削パラメータを調整するように前記掘削システムを制御するステップを備える、
請求項18に記載のコンピュータで実装するシステム。
【請求項20】
前記補正動作を実行する前記ステップは:
グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を介して、前記CCI及び前記CCAのうちの少なくとも1つを調整するための1つ又は複数の動作を実行する掘削命令を表示するステップを備える、
請求項18に記載のコンピュータで実装するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権の主張]
本出願は、2019年5月23日に出願された米国特許出願第16/421,107号の優先権を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、油田探査に関する。
【背景技術】
【0003】
坑井掘削において、掘削システムは、地層に接触したときにドリルビットを回転させる。ドリルビットの回転は、坑井(ウェルボア)を形成する地層を壊し、破砕する。掘削中に破断される地層の部分は、地層カッティングス(ざく、掘り屑)と呼ばれる。掘削システムは、坑井からカッティングスを除去するために、掘削流体(掘削泥水又は泥水とも呼ばれる)をドリルビットに循環させる。掘削流体は、ドリルビットノズルを通って坑井の底部へ出て行く。掘削流体は、地層カッティングスを坑井から表面へ運搬する。掘削流体が地層カッティングスを坑井の外へ運搬する能力は、掘削流体の運搬能力と呼ばれる。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、自動掘削助言&制御システム(ACS)を記載する。一実施の形態において、掘削システムが坑井を掘削している間、ACSは、掘削流体の運搬能力指数(CCI、carrying capacity index)及び坑井のアニュラス(環状部)のカッティング濃度(CCA、cutting concentration in an annulus)のリアルタイム値を監視する。値のうちの少なくとも1つがそれぞれの範囲から逸脱する場合には、ACSは、逸脱した値をそのそれぞれの範囲内になるように調整するために補正動作を実行する。CCI及びCCAをそれぞれの範囲内に維持することによって、ACSは、掘削システムが掘削作業を効率的に実行することを保証する。
【0005】
本明細書に記載される主題の態様は:掘削システムの1つ又は複数のセンサからリアルタイムで、坑井を掘削する掘削作業のリアルタイム掘削データを取得するステップと;掘削流体の運搬能力指数(CCI)及び坑井のアニュラスのカッティング濃度(CCA)を計算するために、掘削データを使用するステップと;CCI及びCCAのうちの少なくとも1つがそれぞれの範囲外であることを判定するステップと;CCI及びCCAのうちの少なくとも1つをそれぞれの範囲内になるように調整するための補正動作を判定するステップと;補正動作を実行するステップと;の動作を含む方法で実施することができる。
【0006】
前述の実施は、コンピュータで実行する方法と;コンピュータで実行する方法を実行するためのコンピュータ読取可能命令を格納する、非一時的コンピュータ読取可能媒体と;コンピュータで実行する方法/非一時的コンピュータ読取可能媒体に格納された命令を実行するように構成されたハードウェアプロセッサと相互運用可能に結合されたコンピュータメモリとを備えるコンピュータシステムと;を使用して実施可能である。これら及び他の実施の形態は、それぞれ、任意選択で、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0007】
第1の態様では、補正動作を実行するステップは、CCI及びCCAのうちの少なくとも1つに影響を及ぼす1つ又は複数の掘削パラメータを調整するように掘削システムを制御するステップを含む。
【0008】
第2の態様では、補正動作を実行するステップは、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を介して、CCI及びCCAのうちの少なくとも1つを調整するための1つ又は複数の動作を実行する掘削命令を表示するステップを含む。
【0009】
第3の態様では、坑井は垂直であり、CCIは下記式を用いて計算される:

ここで、HoleSizeは坑井の直径であり、densityは掘削流体の密度であり、Kは掘削流体のコンシステンシー指数(consistency index)であり、θ300は300回転/分(RPM)での掘削流体粘度読取値であり、θ600は600RPMでの掘削流体粘度読取値であり、PVは掘削流体の塑性粘度(plastic viscosity)であり、YPは掘削流体の降伏点(yield point)であり、ODpipeは掘削システムのドリルパイプの直径であり、及びVannは掘削流体のアニュラス(環状)速度(annular velocity)である。
【0010】
第4の態様では、坑井は水平であり、CCIは下記式を用いて計算される:

ここで、HoleSizeは坑井の直径であり、GPMは掘削流体の流量であり、densityは掘削流体の密度であり、Kは掘削流体のコンシステンシー指数であり、θ300は300回転/分(RPM)での掘削流体粘度読取値であり、θ600は600RPMでの掘削流体粘度読取値であり、PVは掘削流体の塑性粘度であり、YPは掘削流体の降伏点であり、ODpipeは掘削システムのドリルパイプの直径であり、及び、Vannは掘削流体のアニュラス(環状)速度であり、TIは掘削流体の輸送指数(transport index)であり、RFはレオロジー係数(rheology factor)であり、及びAはアニュラス(環状)領域(annulus area)である。
【0011】
第5の態様では、CCAは下記式を使用して計算される:

ここで、HoleSizeは坑井の直径であり、ROPは掘削システムの掘削ツールの掘進率(rate of penetration)であり、GPMは掘削流体の流量であり、及びTRは掘削流体の輸送比(transport ratio)である。
【0012】
第6の態様では、CCI及びCCAのうちの少なくとも1つをそれぞれの範囲内に調整するための補正動作を判定するステップは:CCIが第1の所定値よりも大きいことを判定するステップと;掘削流体の塑性粘度(PV)に対する掘削流体の降伏点(YP)の割合が第2の所定値を超える又は等しいかどうかを判定するステップと;割合が第2の所定値を超える又は等しい場合:補正動作は割合を第2の所定値よりも大きくなるように増加させることであると判定するステップと;割合が第2の所定値未満である場合:掘削流体の流量が所定の最適流量未満であると判定するステップと;補正動作は掘削流体の流量を所定の最適流量を超える又は等しくなるように増加させることであると判定するステップと;を含む。
【0013】
第7の態様では、CCI及びCCAのうちの少なくとも1つをそれぞれの範囲内に調整するための補正動作を判定するステップは:CCIが第1の所定値未満であることを判定するステップと;CCAが第2の所定値未満又は等しいことを判定するステップと;掘削の輸送比(TR)が第3の所定値を超える又は等しいかどうかを判定するステップと;TRが第3の所定値未満である場合、補正動作は輸送比を第3の所定値よりも大きくなるように増加させることであると判定するステップと;を含む。
【0014】
第8の態様では、TRが第3の所定値を超える又は等しい場合、掘削流体の流量が所定の最適流量を超える又は等しいかどうかを判定するステップと;掘削流体の流量が所定の最適流量未満である場合、補正動作は掘削流体の流量を所定の最適流量を超える又は等しくなるように増加させることであると判定するステップと;を更に含む。
【0015】
第9の態様では、掘削流体の流量が所定の最適流量を超える又は等しい場合、CCAが第2の所定値に等しいかどうかを判定するステップと;CCAが第2の所定値に等しい場合、補正動作は掘削システムの掘削工具の掘進率を増加させることであると判定するステップと;を更に含む。
【0016】
この明細書に記載されている主題は、以下の利点の1つ又は複数を実現するために、特定の実施において実施することができる。第1に、掘削作業を監視し制御するためにCCIとCCAの両方を使用する技術は、商用システムでは使用されていない。第2に、開示されたシステムは、掘削ツールのホールクリーニング(hole cleaning)及び掘進率(ROP:rate of penetration)のような掘削作業の種々の態様を改善する。これらの改善はスタックパイプ(stuck pipes、抑留パイプ)を避け、等価循環泥水比重(ECD:equivalent circulating density)効果を緩和し、トルクと抗力を低減し、アニュラス内のカッティングスの輸送を改善するのに役立つ。更に、これらの改善は費用対効果につながり、良好な配送に寄与する。第3に、開示されたシステムは掘削作業を改善するために、掘削場(フィールド)に関連するパラメータを調整するように、自動的に監視し、計測し、ユーザに指示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本開示のいくつかの実施による、例示的な掘削システムのブロック図である。
【0018】
図2図2は、本開示のいくつかの実施による、掘削作業を自立的に監視するための例示的なプロセスのフローチャートである。
【0019】
図3A図3Aは、本開示のいくつかの実施による、掘削の提言を提供する例示的なグラフィカルユーザインタフェース(GUI)である。
図3B図3Bは、本開示のいくつかの実施による、掘削の提言を提供する例示的なグラフィカルユーザインタフェース(GUI)である。
図3C図3Cは、本開示のいくつかの実施による、掘削の提言を提供する例示的なグラフィカルユーザインタフェース(GUI)である。
図3D図3Dは、本開示のいくつかの実施による、掘削の提言を提供する例示的なグラフィカルユーザインタフェース(GUI)である。
図3E図3Eは、本開示のいくつかの実施による、掘削の提言を提供する例示的なグラフィカルユーザインタフェース(GUI)である。
【0020】
図4図4は、本開示のいくつかの実施による、掘削作業を自立的に監視するための例示的な方法のフローチャートである。
【0021】
図5図5は、本開示のいくつかの実施による、本開示に説明されるような、記載されたアルゴリズム、方法、関数、プロセス、フロー、及びプロシージャ(手続き)に関連するコンピュータによる機能を提供するために使用される例示的なコンピュータシステムを示すブロック図である。
【0022】
様々な図面における同様の参照番号及び名称は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の詳細な説明は、掘削作業を自立的に監視し及び制御するための方法及びシステムを記載する。開示された実施の様々な修正、置換、及び変形を行うことができ、当業者には容易に明らかであろう。更に、定義された一般的な原理は、本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施及び応用に適用され得る。場合によっては、記載された主題を理解するためには不必要な詳細は、そのような詳細が当業者の技術の範囲内であるため、不必要な詳細を伴う1つ又は複数の記載された実施を不明瞭にしないように省略され得る。本開示は、記載された又は図示された実施に限定されることを意図してはいない。更に、本開示は、記載された原理及び特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきものである。
【0024】
この開示の目的のために、用語「リアル‐タイム」、「リアル タイム」「リアルタイム」、又は類似の用語(当業者によって理解されているように)は、個人がアクションとレスポンスを実質的に同時に起こっていると認識するように、アクションとレスポンスが時間的に接近していることを意味する。例えば、個人がデータにアクセスするアクションに続くデータを表示(又は表示の開始)するためのレスポンスの時間差は、1ミリ秒(ms)未満、1秒未満、又は5秒未満であってもよい。要求されたデータは、即座に表示される(又は表示が開始される)必要はないが、記載されたコンピューティングシステムの処理制限、及び、例えば、データを収集し、正確に計測し、分析し、処理し、格納し、及び/又は、伝送するために必要とされる時間を考慮して、意図的な遅延なしに表示される(又は表示のために開始される)。
【0025】
多くの動的要因は、掘削システムによって実行される掘削作業に影響を及ぼす。例えば、坑井角度、カッティングスの種類、及びカッティングスの大きさなどの動的要因は、掘削流体の運搬能力に影響を及ぼす。掘削モデルとシミュレーションは坑井を掘削する際の要因の主な原因となる動的要因の値を予測することを試みる。しかし、実際には、モデルやシミュレーションは動的要因のリアルタイム値から構成されていない。その結果、これらのモデル及びシミュレーションに依存する掘削作業は、しばしば非効率である。
【0026】
掘削パラメータのリアルタイム値に基づいて、掘削作業を監視及び制御する掘削助言&制御システム(ACS)が開示されている。実施において、ACSは穴あけ作業を監視し制御するために、掘削流体の運搬能力指数(CCI)とアニュラスのカッティング濃度(CCA)のリアルタイム値を使用する。CCI及びCCAは、多くの掘削パラメータを導出するために使用することができる。したがって、リアルタイムCCI及びCCA値を監視することによって、ACSは、掘削作業のいくつかの態様の状態を判定することができる。更に、実験はCCI及びCCA値をそれぞれの範囲内に維持することが、効率的な掘削作業を保証することを示した。したがって、リアルタイムCCI及びCCA値を監視しながら、ACSは値のうちの少なくとも1つが、値のそれぞれの範囲から逸脱したことを検出することができる。これに応答して、ACSは、逸脱した値をそれぞれの範囲内に調整するための補正動作を実行する。
【0027】
図1は、いくつかの実施による例示的な掘削システム100のブロック図である。掘削システム100は、回転機器102、循環システム104、センサ106、及び掘削助言&制御システム(ACS)120を含む。回転掘削を担う回転機器102は、図示されていないツールの他に、ドリルストリング108、ドリルビット110、及びドリルパイプ112を含む。掘削流体の循環を担う循環システム104は、図示されていないツールの他に、泥水ポンプ114及びドリルビットノズル118を含む。センサ106は、リアルタイム表面及び下方坑井計測のために構成されるセンサ、ツール、及びデバイスを含む。表面計測には、掘進率(ROP)、回転トルク、泥水流量、泥水圧、泥水の抵抗率(mud resistivity)、及びガス読取値が含まれる。下方坑井計測には、掘削中の計測(MWD、measurement-while-drilling)と掘削中のロギング(LWD、logging-while-drilling)が含まれる。ACS120は、掘削作業を監視し、オペレータに掘削提言を提供し、掘削システム100を制御するように構成された、コンピュータベースのシステムである。
【0028】
坑井を掘削するために、掘削システム100は、ドリルストリング108に取り付けられたドリルビット110を、ドリルビット110が地層と接触するまで、井戸内に下降させる。一旦接触すると、ドリルビット110が回転し、地層を壊し破砕する、それによって坑井を形成する。回転機器102が坑井を掘削すると、泥水ポンプ114は、泥水ピットから掘削流体を引き出し、ドリルビット110に配置されたドリルビットノズル118を通して、ドリルストリング108の下方へ掘削流体を圧送する。掘削流体は、坑井の底部に流れ、ドリルストリング108と坑井の壁との間に形成されたアニュラスを介して表面へ上向きに流れる。表面へ流れるとき、掘削流体はカッティングスと呼ばれる地層の一部を運び、これらは回転ドリルビット110によって破砕される。表面では、循環システム104が掘削流体からのカッティングスを濾過し、掘削流体を、坑井の底部に戻るようにポンプで送り出す。
【0029】
実施の形態において、ACS120は、掘削作業を監視し、掘削システム100のオペレータに掘削提言を提供し、掘削システム100を制御するように構成される。一の実施では、ACS120がリアルタイムCCA及びCCI値116を計算し、監視する。ACS120は、リアルタイムCCA及びCCI値116を使用して、掘削作業の状態を判定する。特に、ACS120がリアルタイムCCA及びCCI値に基づいて、掘削動作が効率的に実行されているかどうかを判定する。ACS120が掘削作業に改善を加えることができると判定した場合、ACS120は、補正動作を実行する。
【0030】
一の実施では、リアルタイムCCA及びCCI値116の計算が、流量、ROP、及び泥水特性などのリアルタイム掘削データを使用する。一例では、CCAが式(1)を使用して計算される:

式(1)において、HoleSizeは坑井の直径(フィート単位)、ROPはドリルビット110の掘進率(フィート/時単位)、GPMは掘削流体の流量(ガロン/分単位)、TRは掘削流体の輸送比である。一例では、TRには0.55の定数値が割り当てられる。
【0031】
リアルタイムCCI値を計算する式は、水平井戸と垂直井戸では異なる。一例では、垂直井戸のCCIが式(2)~(7)を使用して計算される:

これらの式において、densityは掘削流体の密度(1立方フィートあたりのポンド)であり、Kは掘削流体のコンシステンシー指数(ポアズ単位)であり、θ300は300回転/分(RPM)での掘削流体粘度読取値(ビスコメータを使用)であり、θ600は600RPMでの掘削流体粘度読取値(ビスコメータを使用)であり、PVは掘削流体の塑性粘度(ポアズ単位)であり、YPは掘削流体の降伏点(ポンド/100平方フィート単位)、ODpipeはドリルタイプの直径(フィート単位)であり、及びVannは掘削流体のアニュラス速度(フィート/分単位)である。
【0032】
一例では、水平井戸のCCIが式(8)~(11)を使用して計算される:

これらの式において、TIは掘削流体の輸送指数であり、RFはレオロジー係数であり、Aαはアニュラス領域(平方フィート単位)である。
【0033】
図2は、いくつかの実施による、掘削動作を自立的に監視するための例示的なプロセス200のフローチャートである。一実施の形態によると、ACS120は、プロセス200を実行して、掘削動作を自立的に監視し、制御する。
【0034】
プロセス200はステップ202から始まり、ACS120が掘削作業データ(「フィールドデータ」とも呼ばれる)を受信することを含む。掘削作業データには、坑井の孔の大きさ、ドリルパイプの寸法、及び泥水特性(例えば、PV、YP、及び密度)が含まれる。更に、掘削作業データには、GPM、ROP、トルク(つまり、掘削パイプを回転させるために必要な動き)、スピンドル速度(つまり、掘削システムのスピンドルの回転数(rotation frequency)、RPM単位で計測される)、ビット上の重量(つまり、掘削アセンブリ内の厚肉管状片によって提供される掘削ビットに加えられる下向きの力の量)、及び標準パイプ圧力(つまり、アニュラスにおける圧力損失、ドリルストリング内の圧力損失、ボトムホールアセンブリ(BHA、bottom hole assembly)内の圧力損失、及びビット全体にわたる圧力損失の合計)などの機械的パラメータが含まれる。
【0035】
ステップ204において、ACS120は、坑井のホールサイズ(HS)に基づいて泥水流量(GPM)の最適値(GPM‐opt)を判定する。特に、ACS120は、坑井のHSに対応するGPM‐optを判定するためにルックアップテーブルを使用してもよい。一の実施では、テーブルは、異なるホールサイズに対するそれぞれの最適な泥水流量を実験的に判定することによって投入される。特に、それぞれの最適泥水流量は、異なる掘削場及び異なる条件下で行われた実験に基づいて判定される。例えば、異なるホールセクション(垂直方向、偏位方向、水平方向)におけるホールサイズ16インチでの実験は、泥水流量に対する最適値が1000GPMであることを示している。別の例として、実験は、ホールサイズが22インチの場合、泥水流量に対する最適値は1100GPMであることを示している。他のホールサイズと対応する最適な泥水流量が可能である。
【0036】
ステップ206において、ACS120は、掘削作業の監視を開始する。ステップ206において、ACS120は、定期的にステップ208に移動し、掘削システムが坑井を積極的に掘削しているかどうかを判定する。ステップ208において、掘削システムが積極的に掘削していない場合、ACS120は、プロセス200を終了するステップ234に移動する。あるいは、掘削システムが坑井を積極的に掘削している場合、ACS120は、ステップ212に移動する。
【0037】
ステップ212において、ACS120は、CCIのリアルタイム値がCCIの許容可能な値の範囲の上限として働く定数X未満であるかどうかを判定する。したがって、CCIの許容可能な値の範囲はX未満である。以下に説明するように、Xは実験的に導出された値である。CCIのリアルタイム値をXと比較するために、ACS120は、垂直井戸については式(2)~(7)を使用し、水平井戸については式(8)~(11)を使用して、CCIのリアルタイム値を判定する。次いで、ACS120は、リアルタイムCCI値をXと比較する。リアルタイムCCI値がX未満である(すなわち、CCI値が許容範囲内にある)場合、ACS120は、ステップ210に移動する。
【0038】
ステップ210において、ACS120は、CCAのリアルタイム値がCCAの許容可能な値の範囲の下限として働く定数Y未満である又は等しいかどうかを判定する。したがって、CCAの許容値の範囲はYよりも大きい。以下に説明するように、Yは実験的に導出された値である。CCAのリアルタイム値をYと比較するために、ACS120は、式(1)を使用してCCAのリアルタイム値を判定する。次いで、ACS120は、リアルタイムCCA値をYと比較する。リアルタイム値がY未満でなく又は等しくない(すなわち、CCA値が許容範囲内にある)場合、CCI及びCCAの両方がそれぞれの範囲内にあるので、ACS120は、掘削作業を監視するステップ206に戻る。
【0039】
逆に、ステップ210において、CCAのリアルタイム値がY未満である又は等しい(すなわち、CCA値が許容範囲内にない)場合、ACS120は、1つ又は複数のテスト(ステップ214、216、及び218)を実行して、掘削パラメータを補正動作で調整する必要があるかどうかを判定する。
【0040】
ステップ214での第1のテストにおいて、ACS120は、TRが定数Vより大きい又は等しいかどうかを判定する。以下に説明するように、Vは、実験的に導出された値である。TRの値がVより大きくない又は等しくない場合、ACS120は、ステップ220に進む。ステップ220において、ACS120は、TRをVより大きく又は等しくなるように増加させることを決定し、一実施では、TRが式(12)を使用して計算される:

式(12)において、Vsはカッティングススリップ速度(フィート/分単位)であり、Vannは式(7)を用いて計算されるアニュラス速度(フィート/分単位)である。ステップ220への移動を決定したことに応答して、ACS120は、TRを増加するための補正動作を実行する。一の実施では、ACS120は、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を介しておそらくオペレータに、TRを増加することを示唆する命令を出力する。別の実施では、ACS120は、掘削システム100を制御して、TRを自立的に増加させる。特に、ACS120は、TRを増やすために1つ又は複数の掘削パラメータ(例えば、Vann)を自立的に調整する。一例では、TRを自立的に増加させることはTRをVに等しくなるように増加させることを含む。別の例ではTRを自立的に増加させることはTRをVを超える所定の閾値に等しくなるように増加させることを含む。
【0041】
逆に、ステップ214において、ACS120が、TRの値がVを超えるか等しいと判定した場合、ACS120は、ステップ216に移動する。ステップ216において、ACS120は、流量が(ステップ204で設定された)最適流量より大きいか又は等しいかどうかを判定する。一の実施では、流量はステップ202で受信したフィールドデータ(現場データ)から判定される。流量が最適流量より大きくない又は等しくない場合、ACS120は、ステップ222に進み、ACS120は、流量を最適流量より大きく又は等しくなるように増加させることを決定する。次いで、ACS120は、流量を増加させるための補正動作を実行する。一の実施では、ACS120は、GUIを介してオペレータに、流量を増加することを示唆する命令を出力する。別の実施では、ACS120は、掘削システム100を制御して、流量を自立的に増加させる。特に、ACS120は、掘削機器(例えば、泥水ポンプ114)を自立的に制御して、流量を増加させる。一例では、流量を自立的に増加させることはGPM‐optに等しくなるように流量を増加させることを含む。別の例では、流量を自立的に増加させることはGPM‐optを超える所定の閾値に等しくなるように流量を増加させることを含む。
【0042】
しかし、ステップ216で、ACS120が、流量の値が最適流量より大きいか又は等しいと判定した場合、ACS120は、ステップ218に移動し、式(1)を使用して、ACS120は、CCAがYに等しいかどうかを判定する。CCAの値がYに等しくない場合、ACS120は、ステップ224に移動し、ACS120は、ROPを増加させることを決定する。これに応答して、ACS120は、ROPを増加させるための補正動作を実行する。一の実施では、ACS120がGUIを介して、ROPを増加させる命令を出力する。別の実施では、ACS120は、ROPを増加させるために掘削機器を制御することによってROPを自立的に増加させるように、掘削システム100を制御する。特に、式(1)を使用して、CCAの所望の値に基づいて新しいROPの値を求めることができる。一例では、CCAの所望値はYである。別の例ではCCAの所望値がYよりも大きい所定の閾値である。
【0043】
ステップ218において、CCAの値がYに等しい場合、ACS120は、掘削作業を監視するステップ206に戻る。
【0044】
ステップ212に戻り、CCIの値がXより小さくない(すなわち、許容範囲内にない)場合、ACS120は、1つ又は複数のテスト(ステップ228及び232)を実行して、掘削パラメータを補正動作で調整する必要があるかどうかを判定する。
【0045】
ステップ228において、ACS120は、YP対PVの比率が定数Zより大きい又は等しいかどうかを判定する。前述したように、YP及びPVの値は、粘度計を使用して判定することができる。そして、以下に説明するように、Zは実験的に導出された値である。比率がZより大きくない又は等しくない場合、ACS120は、ステップ230に進み、ACS120は、YP対PVの比率をZより大きく又は等しくなるように増加させることを決定する。次いで、ACS120は、比率を増加させるための補正動作を実行する。一の実施では、ACS120は、GUIを介してオペレータに、比率を増加させるように示唆する命令を出力する。別の実施では、ACS120は、PV、YP、又はその両方を調整することによって自立的に比率を増加させるように掘削システム100を制御する。特に、PVを低下させるために、掘削流体は、おそらく掘削流体の流量を増加させることによって、固形分を減少させるように希釈される。YPは希釈剤(thinning agent)を添加することによって低下し、凝集剤(例えば石灰)を添加することによって増加する。一例では、ACS120は、おそらく試行錯誤によって、比率がZに等しくなるまで比率を調整する。別の例ではACS120は、おそらく試行錯誤によって、比率がZを上回る所定の閾値に等しくなるまで比率を調整する。その後、プロセスはステップ232に進む。
【0046】
逆に、ステップ228において、比率がZより大きい又は等しい場合、ACS120は、流量が(ステップ204で設定された)最適流量より大きい又は等しいかどうかを判定するステップ232に進む。流量が最適流量より大きい又は等しい場合、ACS120は、CCAがYより小さい又は等しいかどうかを判定するステップ210に進む。逆に、流量が最適流量より大きくない又は等しくない場合、ACS120は、ステップ226に進み、ACS120は、流量を最適流量より大きく又は等しくなるように増加させると判定する。次いで、ACS120は、流量を増加させるために補正動作を実行する。一の実施では、ACS120は、GUIを介してオペレータに、流量を増加させることを示唆する命令を出力する。別の実施では、ACS120は、GPMを自立的に増加させるように掘削システム100を制御する。特に、ACS120は、掘削機器(例えば、泥水ポンプ114)を自立的に制御して、流量を増加させる。一例では、流量を自立的に増加させることはGPM‐optに等しくなるように流量を増加させることを含む。別の例では、流量を自立的に増加させることはGPM‐optを超える所定の閾値に等しくなるように流量を増加させることを含む。次いで、ACS120は、掘削作業を監視するステップ206に戻る。
【0047】
ACS120によって実行される補正動作は、CCA及びCCIをそれぞれの範囲内に維持することによって、掘削作業を改善する。一実施の形態では、プロセス200で使用される異なるパラメータ(例えば、CCI、CCA、TR、YP/PVなど)の許容範囲は掘削作業を最適化するように判定される。特に、範囲は、異なる掘削場で行われた実験及び異なる条件下で行われた実験に基づいて判定される。例えば、16インチのホールセクションの研究を終え、異なるホールセクション(垂直方向、偏位方向、水平方向)のフィールドでモデルの実施をした後、CCIの所望の閾値を、16インチのホールセクションでX未満と判定する。このことは、掘削されたホールセクションのアニュラスが16インチのホールセクションのアニュラス未満の場合、X未満のCCI値は、異なるサイズ及びタイプの様々なホールセクションでの最適なホールクリーニングを保証することができるということを意味する。同様に、CCAの閾値が少なくともYに等しいという判定は、経験及び文献に基づいて行われる。また、CCAが少なくともYの値を持つ場合には、システムは掘削中に生成されたカッティングスで滑らかさを持つことも注目される。このように、CCIをX未満に維持すると同時に、CCAの値を少なくともYに維持することにより、生成されたカッティングスの効率的なクリーニングが保証される。同様に、YP/PVの閾値は、コンシステンシー指数及びシアシニング(shear thinning)を制御できる掘削流体のレオロジーの支配的係数である。Zに等しい又はより大きいYP/PVの値を適用することにより、CCIがX未満であることを保証することができる。一例では、実験に基づいて、Xは5であると判定され、Yは0.05であると判定され、Vは0.55であると判定され、Zは2.5であると判定される。他の例も可能である。例えば、泥水システムの固体除去機器が十分に効率的である場合、Yは0.06~0.08であると判定される。
【0048】
図3A図3B図3C図3D、及び図3Eは、いくつかの実施による、掘削の提言を提供する例示的なグラフィカルユーザインタフェース(GUI)300、312、320、330、及び340である。図に示すように、各GUIは、CCI、CCA、TR、YP/PV、GPM、ROP、及びRPMなどの掘削パラメータのリアルタイム値を表示するセクション304を含む。次に、セクション302において、各GUIは、特定の補正動作を実行するための命令を提供するACS120からの提言を表示する。各GUIはまた、システムによって提供された命令が受信されたことを確実にするために、確認ボタン306を有する。更に、各GUIは、ヘッダセクション308及び制御アイコン310を含む。
【0049】
図4は、本開示のいくつかの実施による、自立的に助言し、掘削動作を制御するための例示的な方法のフローチャートである。提示を明確にするために、以下の説明は、本明細書における他の図の文脈で方法400を一般的に説明する。しかしながら、方法400は、適宜、例えば、任意の適切なシステム、環境、ソフトウェア、及びハードウェアによって、又はシステム、環境、ソフトウェア、及びハードウェアの組合せによって実行可能であることが理解されよう。実施によっては、方法400の様々なステップを、並列で、組合せで、ループで、又は任意の順序で実行することができる。
【0050】
方法400は、ステップ402から開始し、このステップは掘削システムの1つ又は複数のセンサから、坑井を掘削する掘削作業のリアルタイムの掘削データをリアルタイムで取得するステップを含む。
【0051】
ステップ404において、方法400は、掘削流体の運搬能力指数(CCI)及び坑井のアニュラスのカッティング濃度(CCA)を計算するために掘削データを使用するステップを含む。
【0052】
ステップ406において、方法400は、CCI及びCCAのうちの少なくとも1つがそれぞれの範囲外であることを判定するステップを含む。
【0053】
ステップ408において、方法400は、CCI及びCCAのうちの少なくとも1つをそれぞれの範囲内になるように調整するための補正動作を判定するステップを含む。
【0054】
ステップ410において、方法400は、補正動作を実行するステップを含む。
【0055】
図5は、本開示のいくつかの実施による、本開示で説明される、記載されたアルゴリズム、方法、関数、プロセス、フロー、及びプロシージャに関連するコンピュータによる機能を提供するために使用される例示的なコンピュータシステム500のブロック図である。図示されたコンピュータ502は、サーバ、デスクトップコンピュータ、ラップトップ/ノートブックコンピュータ、ワイヤレスデータポート、スマートフォン、パーソナルデータアシスタント(PDA)、タブレットコンピューティングデバイス、又はこれらのデバイス内の1つ又は複数のプロセッサ(物理インスタンス、仮想インスタンス、又はその両方を含む)などの任意のコンピューティングデバイスを包含することを意図している。コンピュータ502は、ユーザ情報を受け入れることができるキーパッド、キーボード、及びタッチスクリーンなどの入力デバイスを含むことができる。また、コンピュータ502は、コンピュータ502の動作に関連する情報を伝達することができる出力デバイスを含むことができる。情報は、デジタルデータ、視覚データ、音声情報、又は情報の組合せを含むことができる。情報は、グラフィカルユーザインタフェース(UI)(又はGUI)で提示できる。
【0056】
コンピュータ502は、本開示に記載されている主題を実行するための、クライアント、ネットワークコンポーネント、サーバ、データベース、パーシステンシー(persistency)、又はコンピュータシステムのコンポーネントとしての役割を果たすことができる。図示のコンピュータ502は、ネットワーク530と通信可能に結合されている。実施によっては、コンピュータ502の1つ又は複数のコンポーネントは、クラウドコンピューティングベース環境、ローカル環境、グローバル環境、及び環境の組合せを含む異なる環境で動作するように構成することができる。
【0057】
一般に、コンピュータ502は、記載された主題に関連するデータ及び情報を受信、伝送、処理、格納、及び管理するように動作可能な電子コンピューティングデバイスである。実施によっては、コンピュータ502はまた、アプリケーションサーバ、電子メールサーバ、ウェブサーバ、キャッシングサーバ、ストリーミングデータサーバ、又はサーバの組合せを含むか、又はそれらと通信可能に結合することができる。
【0058】
コンピュータ502は、(例えば、別のコンピュータ502上で実行している)クライアントアプリケーションからネットワーク530を介してリクエストを受信することができる。コンピュータ502は、ソフトウェアアプリケーションを用いて受信したリクエストを処理することにより、受信したリクエストに応答することができる。リクエストは、内部ユーザ(例えば、コマンドコンソール)、外部(又は第三者)、自動化されたアプリケーション、エンティティ、個人、システム、及びコンピュータから、コンピュータ502に送ることもできる。
【0059】
コンピュータ502の各コンポーネントは、システムバス503を使用して通信することができる。実施によっては、ハードウェア又はソフトウェアコンポーネントを含むコンピュータ502のコンポーネントのいずれか又はすべては、システムバス503を介して、互いに又はインタフェース504(又は両方の組合せ)とインタフェースすることができる。インタフェースは、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)512、サービスレイヤ513、又はAPI512とサービスレイヤ513の組合せを使用することができる。API512は、ルーチン、データ構造、及びオブジェクトクラスのための仕様を含むことができる。API512は、コンピュータ言語に依存しないものでも依存するものでもよい。API512は、完全なインタフェース、単一の機能、又は一連のAPIを参照することができる。
【0060】
サービスレイヤ513は、コンピュータ502と、コンピュータ502に通信可能に結合されている他のコンポーネント(図示の有無にかかわらず)にソフトウェアサービスを提供することができる。コンピュータ502の機能は、このサービスレイヤを使用するすべてのサービス消費者にとってアクセス可能である。サービスレイヤ513によって提供されるようなソフトウェアサービスは、定義されたインタフェースを介して、再利用可能で定義された機能を提供することができる。例えば、インタフェースは、JAVA(登録商標)、C++、又は拡張可能マークアップ言語(XML)フォーマットでデータを提供する言語で書かれたソフトウェアであってもよい。コンピュータ502の統合されたコンポーネントとして図示されているが、代替の実施ではAPI512又はサービスレイヤ513がコンピュータ502の他のコンポーネント及びコンピュータ502に通信可能に結合された他のコンポーネントに関連して、スタンドアローンコンポーネントとすることができる。更に、API512又はサービスレイヤ513の任意の又はすべての部分は、本開示の範囲から逸脱することなく、別のソフトウェアモジュール、エンタープライズアプリケーション、又はハードウェアモジュールの、子モジュール又はサブモジュールとして実施することができる。
【0061】
コンピュータ502は、インタフェース504を含む。図5に単一のインタフェース504として図示されているが、コンピュータ502の特定のニーズ、要望、又は特定の実施、及び、記載された機能に従って、2つ又はそれを超えるインタフェース504を使用することができる。インタフェース504は、分散環境においてネットワーク530に接続されている他のシステム(図示の有無にかかわらず)と通信するために、コンピュータ502によって使用することができる。一般に、インタフェース504は、ネットワーク530と通信するように動作可能なソフトウェア又はハードウェア(又はソフトウェアとハードウェアの組合せ)でエンコードされたロジックを含むか又は使用して実施することができる。より具体的には、インタフェース504は、通信に関連する1つ又は複数の通信プロトコルをサポートするソフトウェアを含むことができる。したがって、ネットワーク530又はインタフェースのハードウェアは、図示のコンピュータ502の内部及び外部で物理信号を通信するように動作可能であり得る。
【0062】
コンピュータ502は、プロセッサ505を含む。図5には単一のプロセッサ505として図示されているが、コンピュータ502の特定のニーズ、要望、又は特定の実施、及び、記載された機能に従って、2つ又はそれを超えるプロセッサ505を使用することができる。一般に、プロセッサ505は、本開示で説明されるようなアルゴリズム、方法、関数、プロセス、フロー、及びプロシージャを使用する動作を含む、コンピュータ502の動作を実行するために、命令を実行することができ、データを操作することができる。
【0063】
コンピュータ502はまた、コンピュータ502、及びネットワーク530に接続された他のコンポーネント(図示の有無にかかわらず)のためにデータを保持することができるデータベース506を含む。例えば、データベース506は、インメモリ、従来型、又は本開示と一致するデータを格納するデータベースであり得る。実施によっては、データベース506は、コンピュータ502の特定のニーズ、要望、又は特定の実施、及び、記載された機能に従って、2つ又はそれを超える異なるデータベースタイプ(例えば、ハイブリッドインメモリ及び従来型データベース)の組合せとすることができる。図5には単一のデータベース506として図示されているが、コンピュータ502の特定のニーズ、要望、又は特定の実施、及び、記載された機能に従って、(タイプの同じ、異なる、又は組合せの)2つ又はそれを超えるデータベースを使用することができる。データベース506は、コンピュータ502の内部コンポーネントとして図示されているが、代替的な実施ではデータベース506がコンピュータ502の外部にあってもよい。
【0064】
コンピュータ502はまた、コンピュータ502、又はネットワーク530に接続されたコンポーネントの組合せ(図示の有無にかかわらず)のためのデータを保持することができるメモリ507を含む。メモリ507は、本開示と一致する任意のデータを格納することができる。実施によっては、メモリ507は、コンピュータ502の特定のニーズ、要望、又は特定の実施、及び、記載された機能に従って、2つ又はそれを超える異なるタイプのメモリの組合せ(たとえば、半導体と磁気記憶の組合せ)とすることができる。図5には単一のメモリ507として図示されているが、コンピュータ502の特定のニーズ、要望、又は特定の実施、及び、記載された機能に従って、(タイプの同じ、異なる、又は組合せの)2つ又はそれを超えるメモリ507を使用することができる。メモリ507は、コンピュータ502の内部コンポーネントとして図示されているが、代替的な実施ではメモリ507がコンピュータ502の外部にあってもよい。
【0065】
アプリケーション508は、コンピュータ502の特定のニーズ、要望、又は特定の実施、及び、記載された機能に従って、機能を提供するアルゴリズムのソフトウェアエンジンとすることができる。例えば、アプリケーション508は、1つ又は複数のコンポーネント、モジュール、又はアプリケーションとして機能することができる。更に、単一のアプリケーション508として図示されているが、アプリケーション508は、コンピュータ502上の複数のアプリケーション508として実施することができる。更に、コンピュータ502の内部として図示されているが、代替的な実施ではアプリケーション508がコンピュータ502の外部にあってもよい。
【0066】
コンピュータ502はまた、パワーサプライ(電源)514を含むことができる。パワーサプライ514は、ユーザ交換可能又はユーザ交換不可能のいずれかであるように構成することができる再充電可能又は非再充電可能バッテリを含むことができる。実施によっては、パワーサプライ514は、再充電、スタンバイ、及び電力管理機能を含む電力変換及び管理回路を含むことができる。実施によっては、パワーサプライ514は、コンピュータ502を壁コンセント又はパワーサプライに差し込み、例えば、コンピュータ502に電力を供給する又は再充電可能なバッテリを再充電することを可能にする電源プラグを含むことができる。
【0067】
各コンピュータ502がネットワーク530を介して通信する、コンピュータ502を含むコンピュータシステムに関連した又は外部の任意の数の、コンピュータ502が存在することができる。更に、用語「クライアント」、「ユーザ」、及び他の適切な用語は、本開示の範囲から逸脱することなく、必要に応じて互換的に使用され得る。更に、本開示は、多くのユーザが1つのコンピュータ502を使用することができ、1人のユーザが複数のコンピュータ502を使用することができることを企図する。
【0068】
本明細書に記載された主題及び機能動作の実施は、デジタル電子回路で、有形に具現化されたコンピュータソフトウェア又はファームウェアで、本明細書に開示された構造及びそれらの構造的均等物を含むコンピュータハードウェアで、又はそれらの1つ又は複数の組合せで実施することができる。記載された主題のソフトウェアの実施は、1つ又は複数のコンピュータプログラムとして実施することができる。各コンピュータプログラムは、データ処理装置によって実行される、又はデータ処理装置の動作を制御するために、有形の非一時的なコンピュータ読取可能なコンピュータ記憶媒体にエンコードされたコンピュータプログラム命令の1つ又は複数のモジュールを含むことができる。代替的に、又は追加的に、プログラム命令は、人工的に生成された伝搬信号内/上にエンコードされ得る。例えば、信号は、データ処理装置による実行に適した受信装置への伝送のために、情報をエンコードするために生成される機械生成電気信号、光信号、又は電磁信号とすることができる。コンピュータ記憶媒体は、機械可読記憶デバイス、機械可読記憶基板、ランダム又はシリアルアクセスメモリデバイス、又はコンピュータ記憶媒体の組合せとすることができる。
【0069】
用語「データ処理装置」、「コンピュータ」、及び「電子コンピュータデバイス」(又は当業者によって理解されるような均等物)は、データ処理ハードウェアを指す。例えば、データ処理装置は、一例として、プログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、又は複数のプロセッサ又はコンピュータを含む、データを処理するためのあらゆる種類の装置、デバイス、及びマシンを包含することができる。装置はまた、例えば、中央処理装置(CPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は特定用途向け集積回路(ASIC)を含む特殊目的論理回路(special purpose logic circuitry)を含むことができる。実施によっては、データ処理装置又は特殊目的論理回路(又はデータ処理装置又は特殊目的論理回路の組合せ)はハードウェアベース又はソフトウェアベース(又はハードウェアベース及びソフトウェアベースの両方の組合せ)とすることができる。この装置はオプションとして、コンピュータプログラムの実行環境を作成するコード、例えば、プロセッサファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、又は実行環境の組合せを構成するコードを含むことができる。本開示は従来のオペレーティングシステム、例えば、LINUX(登録商標)、UNIX(登録商標)、WINDOWS(登録商標)、MAC OS、ANDROID(登録商標)、又はIOSを伴う又は伴わないデータ処理装置の使用を企図する。
【0070】
プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプト、又はコードとしても参照され得る又は記述され得るコンピュータプログラムは、任意の形式のプログラミング言語で記述することができる。プログラミング言語は例えば、コンパイラ型言語、インタープリタ型言語、宣言型言語、又は手続き型言語を含むことができる。プログラムは、スタンドアローンプログラム、モジュール、コンポーネント、サブルーチン、又はコンピューティング環境で使用するユニットとして含める、任意の形成で配置できる。コンピュータプログラムは、ファイルシステム内のファイルに対応することができるが、必須ではない。プログラムは、他のプログラム又はデータを保持する、ファイルの一部に格納することができる、例えば、マークアップ言語文書に、当該プログラム専用の単一ファイルに、又は1つ又は複数のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部を格納する複数の協調ファイルに、格納される1つ又は複数のスクリプトである。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で実行するために、又は、例えば、1つのサイトに配置されている、又は通信ネットワークによって相互接続されている複数のサイトに分散して配置されている、複数のコンピュータ上で実行するために、展開することができる。様々な図に示されるプログラムの部分は、様々なオブジェクト、方法、又はプロセスを介して様々な特徴及び機能を実施する個々のモジュールとして示され得るが、プログラムは代わりに、いくつかのサブモジュール、サードパーティサービス、コンポーネント、及びライブラリを含むことができる。逆に、様々なコンポーネントの特徴及び機能は、必要に応じて単一のコンポーネントに組合せることができる。コンピュータによる判定を行うために使用される閾値は、静的に、動的に、又は静的及び動的の両方で判定することができる。
【0071】
本明細書に記載される方法、プロセス、又は論理フローは、入力データに関して動作し、出力を生成することによって機能を実行するために、1つ又は複数のコンピュータプログラムを実行する1つ又は複数のプログラマブルコンピュータによって実行することができる。方法、プロセス、又は論理フローはまた、CPU、FPGA、又はASICなどの特殊目的論理回路によって実行することもでき、装置は、特殊目的論理回路として実施することもできる。
【0072】
コンピュータプログラムの実行に適したコンピュータは、1つ又は複数の汎用及び特殊目的マイクロプロセッサ及び他の種類のCPUに基づくことができる。コンピュータの要素は、命令を実行又は達成するためのCPUと、命令及びデータを格納するための1つ又は複数のメモリデバイスである。一般に、CPUは命令とデータをメモリから受信(及びデータを書き込むことが)できる。コンピュータはまた、データを格納するための1つ又は複数の大容量記憶デバイスを含むことができ、又はそれに動作可能に結合することができる。実施によっては、コンピュータは、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は光ディスクを含む大容量記憶デバイスからデータを受信し、大容量記憶デバイスにデータを転送することができる。更に、コンピュータは、別のデバイスに、例えば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、モバイルオーディオ又はビデオプレーヤ、ゲームコンソール、全地球測位システム(GPS)受信機、又は、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブなどの、ポータブル記憶デバイスに組み込むことができる。
【0073】
コンピュータプログラム命令及びデータを格納するのに適したコンピュータ可読媒体(必要に応じて、一時的又は非一時的)は、永久/非永久及び揮発性/不揮発性メモリ、媒体、及びメモリデバイスのすべての形態を含むことができる。コンピュータ可読媒体は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、相変化メモリ(PRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM)、フラッシュメモリデバイス等の半導体メモリデバイスを含むことができる。コンピュータ可読媒体はまた、例えば、テープ、カートリッジ、カセット、及び内部/取外し可能ディスクなどの磁気デバイスを含むことができる。コンピュータ可読媒体はまた、光磁気ディスク、及び光メモリデバイス、及び例えばデジタルビデオディスク(DVD)、CD ROM、DVD+/-R、DVD-RAM、DVD-ROM、HD-DVD、及びBLURAYを含む技術を含むことができる。メモリは、キャッシュ、クラス、フレームワーク、アプリケーション、モジュール、バックアップデータ、ジョブ、webページ、webページテンプレート、データ構造、データベーステーブル、リポジトリ、及び動的情報を含む、様々なオブジェクト又はデータを格納できる。メモリに格納されるオブジェクトとデータのタイプは、パラメータ、変数、アルゴリズム、命令、ルール、制約(constraint)、及びリファレンスを含むことができる。更に、メモリは、ログ、ポリシー、セキュリティ又はアクセスデータ、及びレポートファイルを含むことができる。プロセッサ及びメモリは、特殊目的論理回路によって補足され得るか、又は特殊目的論理回路に組み込まれ得る。
【0074】
本開示で説明される主題の実施は、ユーザへの情報の表示(及びユーザからの入力の受信)を含む、ユーザとの対話を提供するためのディスプレイデバイスを有するコンピュータ上で実施され得る。ディスプレイデバイスのタイプは、例えば、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)、及びプラズマモニタを含むことができる。ディスプレイデバイスは、キーボード、及び、例えば、マウス、トラックボール、又はトラックパッドを含むポインティングデバイスを含むことができる。また、ユーザ入力は、圧力感度を有するタブレットコンピュータ表面又は静電容量又は電気センシングを使用するマルチタッチスクリーンなどの、タッチスクリーンを使用してコンピュータに提供することもできる。他の種類のデバイスを使用して、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバックを含む感覚フィードバックを含む、ユーザフィードバックを受信することを含むユーザとの対話を提供することができる。ユーザからの入力は、音響入力、音声入力、又は触覚入力の形態で受信することができる。更に、コンピュータは、ユーザによって使用されるデバイスに文書を送信し、そこから文書を受信することによって、ユーザと対話することができる。例えば、コンピュータは、webブラウザから受信したリクエストに応答して、ユーザのクライアントデバイス上のwebブラウザにウェブページを送信することができる。
【0075】
用語「グラフィカルユーザインタフェース」すなわち「GUI」は、単数形又は複数形において、1つ又は複数のグラフィカルユーザインタフェース及び特定のグラフィカルユーザインタフェースの各表示を記述するために使用することができる。したがって、GUIは、情報を処理し、その情報結果をユーザに効率的に提示する、webブラウザ、タッチスクリーン、又はコマンドラインインタフェース(CLI)を含むが、これらに限定されない、任意のグラフィカルユーザインタフェースを表すことができる。一般に、GUIは、複数のユーザインタフェース(UI)要素、インタラクティブフィールド、プルダウンリスト、ボタンなどのwebブラウザに関連するいくつか又はすべてを含むことができる。これら及び他のUI要素は、webブラウザの機能に関連するか、それを表すことができる。
【0076】
この明細書に記載されている主題の実施は、コンピューティングシステムで実施することができ、コンピューティングシステムは、例えばデータサーバとしての、バックエンドコンポーネントを含む、又は、ミドルウェアコンポーネント、例えばアプリケーションサーバを含む。更に、コンピューティングシステムは、フロントエンドコンポーネント、例えばクライアントコンピュータを含むことができ、クライアントコンピュータは、ユーザがコンピュータと対話することができる、グラフィカルユーザインタフェース又はwebブラウザの一方又は両方を有する。システムのコンポーネントは、通信ネットワークでの有線又は無線デジタルデータ通信(又はデータ通信の組合せ)の任意の形態又は媒体によって相互接続することができる。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(LAN)、無線アクセスネットワーク(RAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、ワイマックス(Worldwide Interoperability for Microwave Access、WIMAX)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)(例えば、802.11a/b/g/n又は802.20又はプロトコルの組合せを使用)、インターネットの全部又は一部、あるいは1つ又は複数の場所にある任意の他の通信システム(単数)又はシステム(複数)(又は通信ネットワークの組合せ)を含む。ネットワークは、例えば、インターネットプロトコル(IP)パケット、フレームリレーフレーム、非同期転送モード(ATM)セル、音声、ビデオ、データ、又はネットワークアドレス間の通信タイプの組合せ、と通信することができる。
【0077】
コンピューティングシステムは、クライアントとサーバを含むことができる。クライアントとサーバは一般に、互いに離れた場所にあることができ、典型的には、通信ネットワークを介して相互作用することができる。クライアントとサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行される、クライアント-サーバ関係を有するコンピュータプログラムのおかげで生じることができる。
【0078】
クラスタファイルシステムは、読取り及び更新のために複数のサーバからアクセス可能な任意のファイルシステムタイプであり得る。交換ファイルシステムのロッキングは、アプリケーション層で行うことができるので、ロッキング又は一貫性トラッキングは必要でないことがある。更に、Unicodeデータファイルは、Unicode以外のデータファイルとは異なり得る。
【0079】
本明細書は、多くの特定の実施の詳細を含むが、これらはクレームされ得るものの範囲に対する限定として解釈されるべきではなく、むしろ、特定の実施に固有であり得る特徴の説明として解釈されるべきである。個別の実施のコンテキストでこの明細書で説明されている特定の特徴はまた、組合せで、単一の実施で、実施できる。逆に、単一の実施のコンテキストで説明される様々な特徴はまた、複数の実施で、別々に、又は任意の適切なサブコンビネーションで実施できる。更に、前述の特徴は、特定の組合せで動作するものとして説明されてもよく、そのようなものとして最初にクレームされてもよいが、クレームされた組合せからの1つ又は複数の特徴は、場合によってはその組合せから削除することもでき、クレームされた組合せは、サブコンビネーション又はサブコンビネーションの変形を対象としてもよい。
【0080】
主題の特定の実施が説明された。説明された実施の他の実施、変更、及び置換は、当業者に明らかであるように、以下の特許請求の範囲の範囲内である。動作は、特定の順序で図面又は特許請求の範囲に示されているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が示された特定の順序で、又は順次的な順序で実行されること、又は示されたすべての動作が実行されること(動作によってはオプションと見なされてもよい)を、リクエストするものとして理解されるべきではない。特定の状況では、マルチタスキング又は並列処理(又はマルチタスキングと並列処理の組合せ)が有利であり、適切と見なされるように実行されてもよい。
【0081】
更に、前述の実施における様々なシステムモジュール及びコンポーネントの分離又は統合は、すべての実施においてそのような分離又は統合を必要とするものとして理解されるべきではなく、説明されたプログラムコンポーネント及びシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品に一緒に統合されるか、又は複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ることを理解されたい。
【0082】
したがって、前述の例示的な実施は、本開示を定義又は制約しない。本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、他の変更、置換、及び交代も可能である。
【0083】
更に、クレームされた任意の実施は、少なくとも、コンピュータ実施方法:コンピュータ実施方法を実行するためのコンピュータ読取可能命令を格納する非一時的、コンピュータ読取可能媒体:及び、コンピュータ実施方法、又は、非一時的コンピュータ読取可能媒体に格納された命令を実行するように構成されたハードウェアプロセッサと相互運用可能に結合されたコンピュータメモリを備えるコンピュータシステム;に適用可能であると見なされる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5
【国際調査報告】