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特表2022-533263改良されたコーティングされた電池セパレータおよび電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(54)【発明の名称】改良されたコーティングされた電池セパレータおよび電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/451 20210101AFI20220713BHJP
   H01M 50/443 20210101ALI20220713BHJP
   H01M 50/411 20210101ALI20220713BHJP
   H01M 50/403 20210101ALI20220713BHJP
   H01M 50/414 20210101ALI20220713BHJP
   H01M 50/426 20210101ALI20220713BHJP
   H01M 50/42 20210101ALI20220713BHJP
   H01M 50/489 20210101ALI20220713BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20220713BHJP
   H01M 50/431 20210101ALI20220713BHJP
【FI】
H01M50/451
H01M50/443 M
H01M50/411
H01M50/403 D
H01M50/414
H01M50/426
H01M50/42
H01M50/489
H01M50/443 C
H01M50/434
H01M50/431
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569511
(86)(22)【出願日】2020-05-21
(85)【翻訳文提出日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 US2020034046
(87)【国際公開番号】W WO2020242894
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】62/956,905
(32)【優先日】2020-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/852,350
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598064680
【氏名又は名称】セルガード エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,インシク
(72)【発明者】
【氏名】ラプリー,ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ユー,シャン
(72)【発明者】
【氏名】アゼィ,フル
(72)【発明者】
【氏名】カルディロ,サルヴァトーレ
【テーマコード(参考)】
5H021
【Fターム(参考)】
5H021BB12
5H021CC04
5H021EE01
5H021EE02
5H021EE03
5H021EE06
5H021EE10
5H021EE21
5H021HH01
5H021HH06
(57)【要約】
セパレータ膜または多孔質膜の1つまたは2つの側にコーティングを含むコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜が開示されている。コーティングは、接着剤、シャットダウン剤、およびバインダのうちの少なくとも1つを含有していてよい。これらの構成要素を含有するコーティングは、セラミック材料を含めたいずれの無機もしくは有機耐熱性材料も含有しておらず、または、セラミック材料を含めた無機もしくは有機耐熱性材料を少量で含有する。セパレータは、自身がシャットダウン能を有さないセパレータであってよい。例えば、セパレータのセパレータ膜は、ポリプロピレンでできている単層セパレータ膜であってよい。また、本明細書に開示されているコーティングされたセパレータのうちの少なくとも1つを含有する電池セル、二次電池、およびコンデンサも開示されている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜であって:
セパレータ;ならびに
接着剤、シャットダウン剤、およびバインダからなる群から選択される少なくとも1つを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる少なくとも1つのコーティング
を含み、前記コーティングが、無機もしくは有機のいずれかの耐熱性粒子のいずれをも含有せず、または、ほんの少量の無機および/もしくは有機耐熱性粒子(ナノもしくは非ナノ粒子)を含有する、前記コーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項2】
前記コーティングが、無機または有機のいずれかの耐熱性粒子のいずれをも含有しない、請求項1に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項3】
前記コーティングが、ほんの少量の無機および/または有機耐熱性粒子を含有する、請求項1に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項4】
前記コーティングが、接着剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項1に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項5】
前記接着剤が、湿潤接着剤および乾燥接着剤の群から選択される少なくとも1つを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項4に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項6】
前記接着が、湿潤接着剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項5に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項7】
前記湿潤接着剤が、PVDF、アクリル系ポリマー、またはこれらの組み合わせを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項6に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項8】
前記接着が、乾燥接着剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項5に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項9】
前記乾燥接着ポリマーが、100℃未満、好ましくは30℃~80℃の間のガラス転移温度を有するPVDF-HFPコポリマーまたはアクリルを含む、これからなる、またはこれから本質的になるを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項8に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項10】
前記接着が、湿潤接着剤および乾燥接着剤を含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる、請求項5に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項11】
前記湿潤接着剤が、PVDF、アクリル系ポリマー、またはこれらの組み合わせを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項10に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項12】
前記乾燥接着ポリマーが、100℃未満、好ましくは30℃~80℃の間のガラス転移温度を有するPVDF-HFPコポリマーまたはアクリルを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項10に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項13】
前記コーティングが、シャットダウン剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項1に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項14】
前記シャットダウン剤が、約100℃~約140℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子を含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項13に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項15】
前記シャットダウン剤が、PEビーズを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項14に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項16】
前記シャットダウンが、約130℃~約140℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子;約80℃~約130℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子;140℃~220℃の融点を有するビーズまたは粒子、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる、請求項13に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項17】
前記コーティングが、接着剤およびバインダを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる、請求項1に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項18】
前記接着剤が、乾燥接着剤および湿潤接着剤の群から選択される少なくとも1つを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項17に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項19】
前記接着剤が、乾燥接着剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項18に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項20】
前記乾燥接着ポリマーが、100℃未満、好ましくは30℃~80℃の間のガラス転移温度を有するPVDF-HFPコポリマーまたはアクリルを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項19に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項21】
前記接着剤が、湿潤接着剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項18に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項22】
前記湿潤接着剤が、PVDF、アクリル系ポリマー、またはこれらの組み合わせを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項21に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項23】
前記接着剤が、乾燥接着剤および湿潤接着剤を含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる、請求項18に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項24】
前記湿潤接着剤が、PVDF、アクリル系ポリマー、またはこれらの組み合わせを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項23に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項25】
前記乾燥接着ポリマーが、100℃未満、好ましくは30℃~80℃の間のガラス転移温度を有するPVDF-HFPコポリマーまたはアクリルを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項23に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項26】
前記コーティングが、シャットダウン剤およびバインダを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる、請求項1に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項27】
前記シャットダウン剤が、約100℃~約140℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子を含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項26に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項28】
前記シャットダウン剤が、PEビーズを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項27に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項29】
前記シャットダウンが、約130℃~約140℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子;約80℃~約130℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子;140℃~220℃の融点を有するビーズまたは粒子、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる、請求項26に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項30】
前記コーティングが、接着剤およびシャットダウン剤を含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる、請求項1に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項31】
前記接着剤が、湿潤接着剤および乾燥接着剤から選択される少なくとも1つを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項30に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項32】
前記接着剤が、湿潤接着剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項31に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項33】
前記湿潤接着剤が、PVDF、アクリル系ポリマー、またはこれらの組み合わせを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項32に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項34】
前記接着剤が、乾燥接着剤および湿潤接着剤を含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる、請求項31に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項35】
前記湿潤接着剤が、PVDF、アクリル系ポリマー、またはこれらの組み合わせを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項34に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項36】
前記乾燥接着ポリマーが、100℃未満、好ましくは30℃~80℃の間のガラス転移温度を有するPVDF-HFPコポリマーまたはアクリルを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項34に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項37】
前記接着剤が、乾燥接着剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項31に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項38】
前記乾燥接着ポリマーが、100℃未満、好ましくは30℃~80℃の間のガラス転移温度を有するPVDF-HFPコポリマーまたはアクリルを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項37に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項39】
前記シャットダウン剤が、約100℃~約140℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子を含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項30に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項40】
前記シャットダウン剤が、PEビーズを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項39に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項41】
前記シャットダウンが、約130℃~約140℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子;約80℃~約130℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子;140℃~220℃の融点を有するビーズまたは粒子、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる、請求項30に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項42】
前記コーティングが、接着剤、シャットダウン剤、およびバインダを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる、請求項1に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項43】
前記接着剤が、湿潤接着剤および乾燥接着剤から選択される少なくとも1つを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項42に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項44】
前記接着剤が、湿潤接着剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項43に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項45】
前記湿潤接着剤が、PVDF、アクリル系ポリマー、またはこれらの組み合わせを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項44に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項46】
前記接着剤が、乾燥接着剤および湿潤接着剤を含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる、請求項43に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項47】
前記湿潤接着剤が、PVDF、アクリル系ポリマー、またはこれらの組み合わせを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項46に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項48】
前記乾燥接着ポリマーが、100℃未満、好ましくは30℃~80℃の間のガラス転移温度を有するPVDF-HFPコポリマーまたはアクリルを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項46に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項49】
前記接着剤が、乾燥接着剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項43に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項50】
前記乾燥接着ポリマーが、100℃未満、好ましくは30℃~80℃の間のガラス転移温度を有するPVDF-HFPコポリマーまたはアクリルを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項49に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項51】
前記シャットダウン剤が、約100℃~約140℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子を含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項42に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項52】
前記シャットダウン剤が、PEビーズを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項51に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項53】
前記シャットダウンが、約130℃~約140℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子;約80℃~約130℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子;140℃~220℃の融点を有するビーズまたは粒子、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる、請求項42に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項54】
前記コーティングされたセパレータが、1つの側がコーティングされたセパレータである、請求項1、2、3、4、13、17、26、30、または42のいずれか一項に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項55】
前記セパレータが、2つの側がコーティングされたセパレータである、請求項1、2、3、4、13、17、26、30、または42のいずれか一項に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項56】
前記の2つの側がコーティングされたセパレータのコーティングが同じである、請求項55に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項57】
前記の2つの側がコーティングされたセパレータのコーティングが異なる、請求項55に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項58】
前記コーティングのうちの1つが、セラミックコーティングである、請求項57に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項59】
前記セパレータが、前記コーティング無しに150℃または140℃未満の温度でシャットダウン能を有さない、請求項1、2、3、4、13、17、26、30、または42のいずれか一項に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項60】
前記コーティング無しに150℃または140℃未満の温度でシャットダウン能を有さない前記セパレータが、乾式プロセスセパレータである、請求項59に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項61】
前記セパレータが、ポリプロピレンからなるまたはこれから本質的になるセパレータである、請求項1に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項62】
ポリプロピレンからなるまたはこれから本質的になる前記セパレータが、単層セパレータである、請求項61に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項63】
前記セパレータが、乾式プロセスセパレータである、請求項62に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項64】
前記コーティングが、水ベースまたは水系コーティングである、請求項1~63のいずれか一項に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項65】
無機または有機耐熱性粒子が存在し、前記無機または有機耐熱性粒子が、1~1,000nmの粒子サイズを有する、請求項1~64のいずれか一項に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項66】
前記無機または有機耐熱性粒子が、1~500nmまたは1~250nmの粒子サイズD50を有する、請求項65に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項67】
前記無機または有機耐熱性粒子が、250nm~1,000nmの粒子サイズD50を有する、請求項65に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項68】
請求項1、2、3、4、13、17、26、30、または42のいずれか一項に記載の少なくとも1つのコーティングされたセパレータを含む電池セル。
【請求項69】
前記セルが、円筒型セル、パウチセル、角柱セル、巻きセル、折り畳みセル、ラッピングセル、ポケットセルまたはスタックセルから選択される少なくとも1つである、請求項68に記載の電池セル。
【請求項70】
請求項1、2、3、4、13、17、26、30、または42のいずれか一項に記載のコーティングされたセパレータのうちの少なくとも1つを含む二次電池。
【請求項71】
請求項1、2、3、4、13、17、26、30、または42のいずれか一項に記載のコーティングされたセパレータのうちの少なくとも1つを含むコンデンサ。
【請求項72】
前記コーティングを介して別のコーティングされたもしくはコーティングされていないセパレータまたはコーティングされた多孔質膜に積層または接着されている請求項1~64のいずれか一項に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜を含む複合体。
【請求項73】
ポリマー膜の1つまたは2つの側にコーティングを含むコーティングされた膜であって、前記コーティングは、接着剤、シャットダウン剤、およびバインダのうちの少なくとも1つを含有していてよく、これらの構成要素を含有する前記コーティングが、セラミック材料を含めたいずれの無機もしくは有機耐熱性材料も含有していなくてよく、または、セラミック材料を含めた無機もしくは有機耐熱性材料を少量で含有しており、前記膜、またはベースフィルムは、自身がシャットダウン能を有さない膜であってよく、例えば、前記コーティングされた膜の膜が、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ブレンドなどでできている単層または多層膜であってよく、また、電池、セル、二次電池、コンデンサ、テキスタイル、フィルタ、ガーメントなどが、前記コーティングされた膜のうちの少なくとも1つを含有していてよい、前記コーティングされた膜。
【請求項74】
ポリマー膜の1つまたは2つの側にコーティング、層、または処理を含む多層または複合体膜であって、前記コーティング、層、または処理は、接着剤、シャットダウン剤、およびバインダのうちの少なくとも1つを含有していてよく、これらの構成要素を含有する前記コーティング、層、または処理が、セラミック材料を含めたいずれの無機もしくは有機耐熱性材料も含有していなくてよく、または、セラミック材料を含めた無機もしくは有機耐熱性材料を少量で含有しており、前記膜、またはベースフィルムは、自身がシャットダウン能を有さない膜であってよく、例えば、前記多層膜のベース膜は、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ブレンドなどでできている単層または多層膜であってよく、また、電池、セル、二次電池、コンデンサ、テキスタイル、フィルタ、ガーメントなども、前記多層または複合体膜のうちの少なくとも1つを含有していてよい、前記多層または複合体膜。
【請求項75】
請求項1~64のいずれか一項に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜を含む複合体であって、さらなるコーティングが、接着剤、シャットダウン剤、およびバインダからなる群から選択される少なくとも1つを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる少なくとも1つのコーティングの上部に直接設けられており、前記コーティングが、無機もしくは有機のいずれかの耐熱性粒子のいずれをも含有せず、または、ほんの少量の無機および/もしくは有機耐熱性粒子(ナノもしくは非ナノ粒子)を含有する、前記複合体。
【請求項76】
前記コーティングが、接着剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項75に記載の複合体。
【請求項77】
前記コーティングが、接着剤およびバインダを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる、請求項75に記載の複合体。
【請求項78】
前記コーティングが、接着剤、バインダ、ならびに少量の無機および/または有機耐熱性粒子(ナノもしくは非ナノ粒子)をさらに含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項75に記載の複合体。
【請求項79】
前記コーティングが、水ベースまたは水系コーティングである、請求項75~78のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項80】
前記の少量の無機および/または有機耐熱性粒子(ナノもしくは非ナノ粒子)が、前記コーティングの合計固形分の10%未満、前記コーティングの合計固形分の9%未満、前記コーティングの合計固形分の8%未満、前記コーティングの合計固形分の7%未満、前記コーティングの合計固形分の6%未満、前記コーティングの合計固形分の5%未満、前記コーティングの合計固形分の4%未満、前記コーティングの合計固形分の3%未満、前記コーティングの合計固形分の2%未満、または前記コーティングの合計固形分の1%未満の量で存在していてよい、請求項75~78のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項81】
さらなるコーティングが、セラミックコーティング、ポリマーコーティング、電極材料のコーティング、固体電解質材料のコーティング、金属含有コーティング、金属コーティングなどである、請求項75~80のいずれか一項に記載の複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、とりわけ、改良された安全性、改良された取り扱い容易性、および電池製造における改良された使用容易性を有する改良された電池セパレータを対象とする。
【背景技術】
【0002】
性能規格、安全性規格、製造要求、および/または環境上の関心の増加により、新しいおよび/または改良された電池セパレータ用コーティング組成物の開発が望ましくなっている。
【0003】
リチウムイオン電池に関する1つの主な安全性の問題は、熱暴走である。酷使状態、例えば、過充電、過放電、および内部短絡は、例えば、電池製造者らが意図している使用される電池の温度をはるかに超える電池温度を引き起こし得る。酷使状態を模倣するための試験として、限定されないが、釘刺試験およびホットボックス試験を挙げることができる。例えば、熱暴走の事象におけるアノードとカソードとの間の電池のシャットダウン、例えば、セパレータを横断するイオン流の停止は、熱暴走を防止するのに使用される安全機構である。少なくともある特定のリチウムイオン電池におけるセパレータは、それらの機械的特性を依然として保持しながらも、熱暴走が起こる温度よりも少なくとも僅かに低い温度でシャットダウンする能力を付与しなければならない。例えば、ユーザーまたはデバイスがシステムを止めるためにより長い時間を有するように、より低い温度およびより長い持続時間でのより速いシャットダウンが非常に望ましい。
【0004】
全体が参照により本明細書に組み込まれるCelgardの米国特許第5,952,120号は、シャットダウン3層セパレータを開示している。このセパレータは、その内側ポリエチレン層に少なくとも起因してシャットダウンを示す。ポリエチレンは、ポリエチレンの融点付近の温度で溶融してセパレータの細孔を閉鎖する。しかし、いくつかのセパレータは、低温で(例えば、約135℃以下で)自身においてシャットダウンする能力を有していない。例えば、ポリプロピレンでできている単層セパレータは有していない場合がある。そのため、低温シャットダウン能を、かかるシャットダウン能を自身で有していない場合があるセパレータに与えることができることも望ましい。
【0005】
市場がますます薄いセパレータを要求するにつれて、これらの非常に薄いセパレータを取り扱う能力がますます重要になってくる。そのため、セパレータのより容易な取り扱いの構築が非常に望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
より薄いセパレータへの要求が増加するにつれて、電池セパレータが電池セルを製造するのに使用され得る容易性も重要である。そのため、広範な異なる電池セルタイプを製造するのに容易に使用され得るセパレータの構築が非常に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、コーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜が、本明細書に記載されている。コーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜は、セパレータまたは多孔質膜、ならびに接着剤、シャットダウン剤、およびバインダからなる群から選択される少なくとも1つを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる少なくとも1つのコーティングを含む。コーティングは、いくつかの実施形態において、無機または有機のいずれかの耐熱性粒子のいずれをも含有しないが、他の実施形態において、コーティングは、少量の無機および/または有機耐熱性粒子(合計固体の10%未満または5%未満)を含んでいてよい。いくつかの実施形態において、コーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜は、少量を超えるセラミックまたは無機もしくは有機耐熱性粒子を含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる別のコーティングを有していてよい。このコーティングは、少量を超えるセラミックまたは有機もしくは無機耐熱性粒子を含有しない層の上部に直接設けられていてよい。しかし、接着剤、シャットダウン剤、およびバインダのうちの少なくとも1つを含む、これからなる、またはこれから本質的になる層は、少量を超えるセラミックまたは有機もしくは無機耐熱性粒子を含有しない。
【0008】
いくつかの実施形態において、コーティングは、接着剤を含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。いくつかの実施形態において、コーティングは、接着剤およびバインダを含んでいてよい。接着剤は、湿潤接着剤および乾燥接着剤の群から選択される少なくとも1つを含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。湿潤接着剤は、PVDF、アクリル系ポリマーまたはこれらの組み合わせを含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。乾燥接着剤は、100℃未満、好ましくは30℃~80℃の間のガラス転移温度を有するPVDF-HFPコポリマーまたはアクリルを含む、これからなる、またはこれから本質的になる乾燥接着ポリマーを含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。接着剤は、乾燥接着剤単独、湿潤接着剤単独、または乾燥接着剤および湿潤接着剤を含んでいても、これらからなっていても、これらから本質的になっていてもよい。
【0009】
いくつかの実施形態において、コーティングは、シャットダウン剤を含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。いくつかの実施形態において、コーティングは、シャットダウン剤およびバインダを含んでいてよい。シャットダウン剤は、約100℃~約140℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子を含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。ある実施形態において、100℃~140℃の融点を有するPEビーズが使用されてよい。いくつかの実施形態において、シャットダウン剤は、約130℃~約140℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子;約80℃~約130℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子;140℃~220℃の融点を有するビーズまたは粒子、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つを含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態において、コーティングは、接着剤およびシャットダウン剤を含んでいても、これらからなっていても、これらから本質的になっていてもよい。いくつかの実施形態において、コーティングは、接着剤、シャットダウン剤、およびバインダを含んでいても、これらからなっていても、これらから本質的になっていてもよい。接着剤は、乾燥接着剤単独、湿潤接着剤単独、または湿潤および乾燥の両方の接着剤を含んでいてよい。
【0011】
コーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜は、1つの側がコーティングされたセパレータもしくは1つの側がコーティングされた多孔質膜または2つの側がコーティングされたセパレータもしくは2つの側がコーティングされた多孔質膜であってよい。2つの側がコーティングされたセパレータまたは2つの側がコーティングされた多孔質膜では、一方または両方の側が、本明細書に記載されているコーティングを含んでいてよく、または、一方の側が、本明細書に記載されているコーティングを含んでいてよく、他方が、異なるコーティングを含んでいてよい。異なるコーティングは、例えば、セラミックコーティング、ポリマーコーティングなどであってよい。例示的な1つの側および2つの側がコーティングされたセパレータまたは多孔質膜を図1に示す。
【0012】
いくつかの実施形態において、コーティングされたセパレータのセパレータは、コーティング無しに150℃または140℃未満の温度でシャットダウン能を有さないものであってよい。いくつかの実施形態において、シャットダウン能を有さないセパレータは、乾式プロセスセパレータである。いくつかの実施形態において、セパレータは、ポリプロピレンからなるまたはこれから本質的になるセパレータである。いくつかの実施形態において、セパレータは、単層ポリプロピレンセパレータである。
【0013】
いくつかの実施形態において、コーティングされた多孔質膜の多孔質膜は、ミクロ多孔質、マクロ多孔質、またはメソ多孔質の多孔質膜であってよい。多孔質膜は、乾式プロセスによって形成される多孔質膜であってよい。
【0014】
別の態様において、本明細書に記載されている少なくとも1つのコーティングされたセパレータを含む電池セルが記載されている。セルは、円筒型セル、パウチセル、角柱セル、巻きセル、折り畳みセル、ラッピングセル、ポケットセルまたはスタックセルから選択される少なくとも1つであってよい。
【0015】
別の態様において、本明細書に記載されている少なくとも1つのコーティングされたセパレータを含む二次電池が記載されている。
【0016】
別の態様において、本明細書に記載されているコーティングされたセパレータの少なくとも1つを含むコンデンサが記載されている。
【0017】
一態様において、コーティングされた電池セパレータが、本明細書に記載されている。コーティングされたセパレータは、いずれのセラミックまたは耐熱性粒子も含有しない少なくとも1つのコーティングを有し、接着剤およびシャットダウン剤を含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる。いくつかの実施形態において、コーティングは、接着剤およびシャットダウン剤からなっていてよい。いくつかの実施形態において、コーティングは、接着剤、シャットダウン剤、および任意選択的なバインダから本質的になっていてよい。いくつかの実施形態において、コーティングは、接着剤、シャットダウン剤、および任意選択的なバインダを含んでいてよい。かかる実施形態において、コーティングは、他のものを含んでいてもよいが、少量以下(合計固体の10%未満)のセラミックまたは無機もしくは有機耐熱性粒子が添加されていてよい。いくつかの実施形態において、コーティングは、セラミック、または有機、または有機耐熱性粒子を含んでいなくてよい。
【0018】
いくつかの実施形態において、コーティングされたセパレータは、少量を超えるセラミックまたは無機もしくは有機耐熱性粒子を含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる別のコーティングを有していてよいが、接着剤、シャットダウン剤、および任意選択的なバインダを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる層は、少量を超えるセラミックまたは有機もしくは無機耐熱性粒子、好ましくはナノ粒子を含有しない。例えば、セラミックコーティングは、セパレータもしくは膜の、本発明コーティングと反対側に設けられていてよく、または、本発明コーティングの上部に直接設けられていてよい。用語セラミックコーティングは、電池セパレータ分野において、特に二次リチウム電池セパレータ分野においてよく理解されており、体積または重量%で50%以上、75%以上、90%以上、または95%以上のセラミック粒子、および、それぞれ、体積または重量%で50%以下、25%以下、10%以下、または5%以下のバインダまたはポリマーマトリックスを有する、バインダまたはポリマーマトリックス(例えば、有機溶媒PVDFバインダまたは水性アクリル系バインダおよびアルミナまたはベーマイト粒子を使用して作製される)中のセラミック粒子を典型的には含んでいてよい。今日、多くの典型的なセラミックコーティングは、低いバインダ添加量を有し、重量で80%超、90%超、もしくは95%超またはこれを超えるセラミック、および、それぞれ、重量で20%未満、10%未満、または5%未満のバインダまたはマトリックス(高セラミック含量および低バインダまたはポリマーマトリックス含量)を含む。いくつかの実施形態において、コーティングは、接着剤、シャットダウン剤、任意選択的なバインダ、および少量のさらなる構成要素を含んでいても、これらからなっていても、これらから本質的になっていてもよい。例えば、さらなる構成要素は、帯電防止剤の群から選択される少なくとも1つであってよく、帯電防止剤は、無機またはセラミック粒子、例えば、カーボンブラック、アルミナなどを含んでいてよい。
【0019】
いくつかの実施形態において、接着剤は、乾燥接着剤、湿潤接着剤、およびこの2つの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つを含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。いくつかの実施形態において、接着剤は、湿潤接着剤を含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。いくつかの実施形態において、接着剤は、乾燥接着剤を含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。いくつかの実施形態において、接着剤は、湿潤接着剤および乾燥接着剤を含んでいても、これらからなっていても、これらから本質的になっていてもよい。いくつかの実施形態において、接着剤は、PVDFを含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。
【0020】
いくつかの実施形態において、シャットダウン剤は、約100℃~約140℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子を含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。いくつかの実施形態において、シャットダウン剤は、PEビーズを含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。いくつかの実施形態において、シャットダウン剤は、約130℃~約140℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子;約80℃~約130℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子;140℃~220℃の融点を有するビーズまたは粒子、およびこれらの組み合わせを含んでいても、これらからなっていても、これらから本質的になっていてもよい。ビーズまたは粒子は、0.5~3ミクロンの粒子径の平均粒子サイズを有していてよい。
【0021】
いくつかの実施形態において、セパレータは、ポリプロピレンからなるまたはこれから本質的になるセパレータである。いくつかの実施形態において、ポリプロピレンからなるまたはこれから本質的になるセパレータは、単層および/または乾式プロセスセパレータである。いくつかの実施形態において、セパレータは、接着剤およびシャットダウン剤を含む、これらからなる、またはこれらから本質的になるコーティング無しにシャットダウン能を有さないセパレータである。いくつかの実施形態において、コーティング無しにシャットダウン能を有さないセパレータは、乾式プロセスセパレータである。
【0022】
いくつかの実施形態において、コーティングは、セパレータまたは多孔質フィルムの1つの側にあってよく、他の実施形態において、セパレータまたは多孔質フィルムの2つの側にあってよい。時折、セパレータまたは多孔質フィルムは、セラミックまたは耐熱性粒子を含有しない別のコーティングを含んでいてよい。
【0023】
別の態様において、ミクロ多孔質フィルムおよびコーティングを含むコーティングされたセパレータが、本明細書に記載されている。コーティングされたセパレータは、いくつかの実施形態において、少なくとも縦または横寸法(長さおよび/または幅)において15%超、12%超、または10%超収縮する前にシャットダウンする。コーティングされたセパレータが15%超、12%超、または10%超収縮する前にシャットダウンするいくつかの実施形態において、かかる温度は130℃未満、125℃未満、120℃未満、115℃未満、または110℃未満である。
【0024】
いくつかの実施形態において、コーティングされたセパレータのコーティングは、ポリエチレンおよびバインダを含んでいても、これらからなっていても、これらから本質的になっていてもよい。いくつかの実施形態において、コーティングは、コーティング中の合計固体の10%以下、または5%以下の量で無機微粒子をさらに含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。無機微粒子は、500nm未満、250nm未満もしくはこれより小さいまたは200nm未満もしくはこれより小さい粒子サイズD50を有する金属酸化物を含んでいても、これらからなっていても、これらから本質的になっていてもよい。いくつかの実施形態において、金属酸化物は、アルミナを含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。コーティングは、多孔質またはミクロ多孔質フィルムの一方または両方の側にあってよく、多孔質のミクロ多孔質フィルムに直接または間接的に(すなわち、介在層を介して)適用されてよい。例えば、介在層は、いくつかの実施形態において、セラミック層であってよい。
【0025】
いくつかの実施形態において、多孔質のミクロ多孔質フィルムは、単層フィルムであってよい。単層フィルムは、ポリプロピレンを含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。ミクロ多孔質フィルムは、30%超の平均気孔率を有していてよい。ミクロ多孔質フィルムは、0.03ミクロン超、0.04ミクロン超、0.045ミクロン超、またはこれを超える平均細孔サイズを有していてよい。いくつかの実施形態において、ミクロ多孔質フィルムは、2層、3層、または多層ミクロ多孔質フィルムであってよい。
【0026】
別の態様において、本明細書に記載されている少なくとも1つのコーティングされた電池セパレータを含む二次電池が記載されている。
【0027】
別の態様において、本明細書に記載されているコーティングされた多孔質膜のコーティングされた電池セパレータを含むコンデンサが記載されている。
【0028】
別の態様において、コーティングの上部に直接さらなる層を有する、本明細書に記載されているコーティングされた多孔質膜のコーティングされた電池セパレータを含む複合体が記載されている。かかる実施形態において、コーティングは、接着剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になるものであってよい。コーティングは、接着剤およびバインダを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になるものであってよい。コーティングは、接着剤、バインダ、および無機または有機粒子を少量で含む、これらからなる、またはこれらから本質的になるものであってよい。コーティングは、水系または水ベースのコーティングであってよい。コーティングの上部に直接設けられているさらなるコーティングは、セラミックコーティング、ポリマーコーティング、電極材料を含む、これからなる、またはこれから本質的になるコーティング、固体電解質材料を含む、これからなる、またはこれから本質的になるコーティング、金属コーティング、金属層、金属含有コーティングなどであってよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、コーティングされた膜の1つの側および2つの側がコーティングされた電池セパレータの概略図である。
図2図2は、本明細書に記載されているいくつかの実施形態によるシャットダウンプロファイルである。
図3図3は、乾式プロセス多孔質膜の典型的な構造の概略図である。
図4図4Aおよび図4Bは、本明細書に記載されている典型的な乾式プロセス膜のFSEMである。
図5図5は、ねじれの概念を説明する概略図である。
図6図6は、典型的なリチウムイオン電池の概略図である。
図7図7は、本明細書に記載されているいくつかの実施形態によるコーティングされたセパレータまたはコーティングされた膜の概略図である。
図8図8は、本明細書に記載されているいくつかの実施形態によるコーティングされた膜のコーティングされたセパレータの概略図である。
図9図9は、本明細書に記載されているいくつかの実施形態によるいくつかのコーティングされたセパレータまたはコーティングされた膜の概略図を含む。
図10図10は、本明細書に記載されているいくつかの実施形態によるいくつかのコーティングされたセパレータまたはコーティングされた膜の概略図を含む。
図11図11は、本明細書に記載されているいくつかの実施形態による溶媒ベースおよび水ベースまたは水系コーティングのSEMを含む。SEMは、水系または水ベースのコーティングの均一性をハイライトしている。
図12図12は、本明細書に記載されているいくつかの実施形態の自己接着を示すグラフである。
図13図13は、本明細書に記載されているいくつかの実施形態においてなぜ自己接着が低減されるかを説明するための提案された機構の概略である。
図14図14は、本明細書に記載されているいくつかの実施形態に関するシャットダウンプロファイルを示すグラフである。
図15図15は、本明細書に記載されているいくつかの実施形態のSEM画像を含む。
図16図16は、本明細書に記載されているいくつかの実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
コーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜が、本明細書に記載されている。好ましい実施形態において、コーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜は、接着剤、シャットダウン剤、およびバインダからなる群から選択される少なくとも1つを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になるコーティングを有する。コーティングは、セラミックもしくは耐熱性材料を含まず、または、ほんの少量のかかる材料を含む。いくつかの好ましい実施形態において、コーティングは、接着剤、シャットダウン剤、および1つ以上のさらなる構成要素を含んでいてよい。他の好ましい実施形態において、コーティングは、接着剤およびシャットダウン剤からなっていても、本質的になっていてもよい。いくつかの実施形態において、コーティングは、以下の組み合わせ:接着剤;ならびに接着剤およびバインダ;シャットダウン剤;シャットダウン剤およびバインダ;シャットダウン剤および接着剤ならびにシャットダウン剤、接着剤、およびバインダ;のうちの1つを含んでいてよい。以上の組み合わせのいずれにおいても、接着剤は、以下:湿潤接着剤もしくは湿潤接着剤のみ;乾燥接着剤もしくは乾燥接着剤のみ;または少なくとも1つの湿潤接着剤および少なくとも1つの乾燥接着剤の組み合わせ;を含んでいてよい。
【0031】
コーティングは、セパレータまたは多孔質膜の1つの側または2つの側に設けられていてよい。コーティングが2つの側に設けられているいくつかの好ましい実施形態において、コーティングは、セパレータまたは多孔質膜の2つの対向する側に設けられている。これを図1に示す。
【0032】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜は、接着剤、シャットダウン剤、およびバインダから選択される少なくとも1つを含む、これからなる、またはこれから本質的になるコーティング以外のコーティングを含んでいてよい。例えば、2つの側がコーティングされたセパレータは、1つの側に、接着剤、シャットダウン剤、およびバインダから選択される少なくとも1つを含む、これからなる、またはこれから本質的になるコーティング、ならびに、他方の側に異なるコーティングを有していてよい。例えば、異なるコーティングは、セラミックコーティングであってよい。
【0033】
コーティング
本明細書に記載されているコーティングは、(1)シャットダウン剤および(2)接着剤の少なくとも1つ、ならびに(3)バインダを含んでいても、これらからなっていても、これらから本質的になっていてもよい。いくつかの好ましい実施形態において、コーティングは、セラミックまたは他の耐熱性無機もしくは有機材料を含まない。いくつかの実施形態において、コーティングは、例えば、帯電防止効果を付与する目的で、少量で(合計固体の約10%未満または5%未満)、セラミックまたは他の耐熱性有機もしくは無機材料をさらに含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。本明細書に記載されているコーティングは、いくらかの量のセラミックまたは他の有機もしくは無機耐熱性材料を含んでいてよいが、コーティングは、典型的なセラミックコーティングではなく、重量で90%または95%以上のセラミックまたは他の無機もしくは有機耐熱性材料を含有していてよい。いくつかの実施形態において、コーティングは、以下:シャットダウン剤;シャットダウン剤およびバインダ;接着剤;接着剤およびバインダ;シャットダウン剤および接着剤;またはシャットダウン剤、接着剤、およびバインダを含んでいてよい。以上の実施形態のいずれにおいても、接着剤は:湿潤接着剤もしくは湿潤接着剤のみ;乾燥接着剤もしくは乾燥接着剤のみ;または少なくとも1つの乾燥接着剤および少なくとも1つの湿潤接着剤を含んでいても、これらからなっていても、これらから本質的になっていてもよい。
【0034】
いくつかの他の実施形態において、コーティングは、ポリエチレンシャットダウン剤を、またはポリエチレンシャットダウン剤をバインダ、および任意選択的に無機微粒子と共に含んでいても、これらからなっていても、これらから本質的になっていてもよい。ポリエチレンは、さほど限定されず、本明細書に記載されているものを含めた任意のポリエチレン、特に、本明細書に記載されている、溶融温度がより低いポリエチレンを含んでいてよい。バインダは、さほど限定されず、本明細書に記載されている任意のバインダであってよい。無機微粒子は、さほど限定されず、本明細書に記載されている無機材料などのいずれかであってよく、またはこれを含んでいてよい。無機微粒子は、ナノ粒子であってよく、約500nm未満、450nm未満、400nm未満、350nm未満、300nm未満、250nm未満、225nm未満、200nm未満、175nm未満、150nm未満、125nm未満、またはこれより小さい平均粒子サイズを有していてよい。いくつかの実施形態において、粒子サイズは、250nmを超えて最大1,000nmであってよい。より小さい粒子サイズは、本明細書に記載されているいくつかの実施形態において、特に、本明細書に記載されているシャットダウンコーティングに、また、本明細書に記載されているいくつかの接着コーティングに関して有利である。例えば、いずれの特定の理論によっても拘束されることを望まないが、無機微粒子は、シャットダウン剤を含むコーティングに好ましくあり得るとされている、なぜなら、シャットダウン剤が、より容易に流動して、セパレータまたは多孔質膜の細孔を遮断し、結果としてシャットダウンを生じさせ得るからである。いくつかの実施形態において、無機微粒子は、金属酸化物を含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。いくつかの実施形態において、金属酸化物は、アルミナまたは酸化アルミニウムであってよい。いくつかの実施形態において、金属酸化物は、本明細書に開示されている金属酸化物を含めた、アルミナ以外の別の金属酸化物であってよい。無機微粒子は、コーティングの合計固形分の10%未満、コーティングの合計固形分の9%未満、コーティングの合計固形分の8%未満、コーティングの合計固形分の7%未満、コーティングの合計固形分の6%未満、コーティングの合計固形分の5%未満、コーティングの合計固形分の4%未満、コーティングの合計固形分の3%未満、コーティングの合計固形分の2%未満、またはコーティングの合計固形分の1%未満の量で存在していてよい。
【0035】
コーティングは、0.5~10ミクロン、0.5~9ミクロン、0.5~8ミクロン、0.5~7ミクロン、0.5~6ミクロン、0.5~5ミクロン、0.5~4ミクロン、0.5~3ミクロン、または0.5~2ミクロンの厚さを有していてよい。いくつかの好ましい実施形態において、コーティングは、約1~約2ミクロン厚であってよい。いくつかの実施形態において、コーティングは、単層であってよい。
【0036】
コーティングは、いずれの公知の方法を使用して提供されてもよい。これは、セパレータおよびコーティングが一緒に共押出される共押出プロセスによって形成されてもよい。
【0037】
いくつかの好ましい実施形態において、コーティングは、セパレータの表面に直接設けられているが、いくつかの実施形態において、介在層が、セパレータとコーティングとの間に設けられていてよい。例えば、図9は、介在するセラミック層を有する例を示す。別の層または他の層が、コーティングの上部に設けられていてよい。例えば、無機または有機耐熱性粒子を含む層が、層の上部に設けられていてよい。さらに、セラミック層、電極材料を含む層、固体電解質材料を含む層、金属層、金属含有層などが、コーティングの上部に直接設けられていてよい。これを図16に示す。図16において、コーティングは、好ましくは接着性または粘着性コーティングであるが、コーティングは、シャットダウン剤、および/または、ナノ粒子を含めた有機もしくは無機粒子を含んでいてもよい。
【0038】
これらの耐熱性粒子のサイズ、形状、化学組成などは、さほど限定されない。耐熱性粒子は、有機材料、無機材料、例えば、セラミック材料、もしくは、無機および有機の両方の材料、2つ以上の有機材料、ならびに/または2つ以上の無機材料を含む複合体材料を含んでいてよい。
【0039】
いくつかの実施形態において、耐熱性は、2つ以上の異なる材料から構成されている複合体材料を含んでいてよい、粒子が構成されている材料が、200℃の温度で実質的な物理変化、例えば、変形を経ないことを意味する。例示的な材料には、酸化アルミニウム(Al)、二酸化ケイ素(SiO)、グラファイトなどが含まれる。
【0040】
本明細書に開示されている耐熱性粒子を形成するのに使用され得る無機材料の非限定例は以下の通りである:酸化鉄、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、ベーマイト(Al(O)OH)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、二酸化チタン(TiO)、硫酸バリウム(BaSO)、酸化チタンバリウム(BaTiO)、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、マイカ、二酸化スズ(SnO)、酸化インジウムスズ、遷移金属の酸化物、グラファイト、カーボン、金属、およびこれらの任意の組み合わせ。
【0041】
本明細書に開示されている耐熱性粒子を形成するのに使用され得る有機材料の非限定例は以下の通りである:ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリジビニルベンゼン(PDVB)樹脂、カーボンブラック、グラファイト、およびこれらの任意の組み合わせ。
【0042】
耐熱性粒子は、円形、不規則な形状、フレークなどであってよい。耐熱性材料の平均粒子サイズは、0.01~5ミクロン、0.03~3ミクロン、0.01~2ミクロン、0.5~3ミクロンの範囲などである。
【0043】
いくつかの好ましい実施形態において、コーティングは、水系または水ベースのコーティングであってよい。「水系」とは、コーティングが、溶媒が水のみまたは水およびアルコールまたは他の非有機水溶性溶媒であるコーティングスラリーから形成されていることを意味する。例えば、水系または水ベースのコーティングは、水である溶媒および最大50%のアルコールまたは非有機水溶性溶媒、例えば、PVAを含んでいてよい。いくつかの実施形態において、コーティングは、溶媒系コーティングであってよい。溶媒系コーティングは、溶媒が有機溶媒であるスラリーから形成されている。時折、溶媒は、使用されるバインダと共に存在する。コーティングスラリーから形成された後、大部分の溶媒がコーティングから除去される。
【0044】
(1)シャットダウン剤
シャットダウン剤は、さほど限定されない。いくつかの実施形態において、シャットダウン剤は、以下の機能のうち少なくとも1つを付与することが可能である:(1)低温(例えば、135℃未満)シャットダウン能を、コーティング無しに低温シャットダウン能を有さないセパレータに与えること、(2)低温シャットダウン能を有するセパレータのシャットダウン開始温度を低下させること、および(3)低温シャットダウン能を有するセパレータのシャットダウンウィンドウを拡大すること。本明細書に記載されているシャットダウン剤は、全てが、ある特定の用途が他のものよりも好ましい場合があっても、低温シャットダウン能を有するまたは有さないセパレータにおいて使用され得る。
【0045】
本明細書に開示されているシャットダウン剤の使用に関して、自身が低温シャットダウン機能を示さないセパレータにおいて低温シャットダウンを与えるシャットダウン剤を使用することが好ましくあり得る。しかし、シャットダウン開始温度を低下させるまたはシャットダウンウィンドウを拡大するシャットダウン剤が、拡大されたシャットダウンウィンドウを付与するのに使用されてもよい。低温シャットダウン機能を示すセパレータの例は、全体が参照により本明細書に組み込まれるCelgardの米国特許第5,952,120号に見出され得る。この文献において、シャットダウンは、3層のうちのポリエチレン含有中間層の溶融によって少なくとも部分的に付与される。かかるシャットダウン3層においては、PEシャットダウンがフィルムの強度にも寄与するため、使用されるポリエチレンの融点および分子量には典型的には下限がある。より低い分子量(およびしたがってより低い融点)は、典型的には使用されない、なぜなら、これらは、より高い分子量(およびより高い融点)のポリエチレンと同じ機械的強度を付与しないからである。しかし、シャットダウンが、ここでなされるときにコーティングにおいて付与されるときには、より低い分子量(およびしたがってより低い融点)のポリエチレンは、必ずしもセパレータに機械的強度を付与しないコーティングのシャットダウン剤として使用され得る。本明細書におけるコーティングはまた、シャットダウン3層のシャットダウン層において使用されるポリマーのものよりも典型的には低いシャットダウン剤の融点においてシャットダウンが起こり始め得る「ダブルシャットダウン」効果を付与する、Celgard(登録商標)の米国特許第5,952,120号に開示されているシャットダウン3層に付与されてもよい。より低いシャットダウン能をセパレータに付与することによって、セパレータが使用される電池の安全性が改良される。例えば、熱暴走が、より良好に防止され得る。
【0046】
いくつかの実施形態において、シャットダウン剤は、粒子状物またはビーズの形態であってよい。粒子状物またはビーズは、0.1~3ミクロン、0.1~2ミクロン、0.1~1.5ミクロン、0.1~1.0ミクロン、0.5~3.0ミクロン、または0.1~0.5ミクロンの平均粒子サイズを有していてよい。粒子またはビーズは、対称に、非対称に、球状に、または非球状に成型されていてよい。
【0047】
シャットダウン剤が、コーティング無しに低温シャットダウン能を有さないセパレータに低温シャットダウン能を付与することが可能である実施形態において、シャットダウン剤は、約135℃以下の融点を有するポリマーを含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。いくつかの実施形態において、ポリマーは、約130℃未満、約125℃未満、約120℃未満、約115℃未満、約110℃未満、約105℃未満、約100℃未満、約95℃未満、または約90℃未満の融点を有していてよい。いくつかの実施形態において、ポリマーは、80℃~135℃の範囲の融点を有していてよい。いくつかの実施形態において、シャットダウン剤は、ポリマーのビーズを含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。いくつかの好ましい実施形態において、シャットダウン剤は、ポリエチレンビーズを含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。
【0048】
シャットダウン剤がセパレータのシャットダウン開始温度を低下させる実施形態において、セパレータは、図2に示されているものと同様のシャットダウンプロファイルを示す。
【0049】
かかる実施形態において、シャットダウン剤は、シャットダウンの開始温度、または、セパレータ自体のシャットダウンの開始温度の1もしくは2もしくは3度以内である値よりも低い融点を有する。例えば、シャットダウン剤は、80℃から、セパレータ自体、すなわち、コーティング無しのものについて測定されるシャットダウンの開始温度よりも低い値の融点を有するポリマーを含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。代替的には、シャットダウン剤は、80℃からセパレータ自体のシャットダウン開始温度の1、または2、または3度以内の温度までの融点を有するポリマーを含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。例示的な材料には、ワックス、オリゴマー、ポリエチレン(PE)、例えば、低密度PEなどを含む粒子またはビーズが含まれ得る。これらの粒子は、コーティングされていても、コーティングされていなくても、部分的にコーティングされていてもよい。
【0050】
シャットダウン剤がシャットダウン能を有するセパレータのシャットダウンウィンドウを拡大する実施形態において、セパレータは、図2に示されているシャットダウンウィンドウを示す。かかる実施形態において、シャットダウン剤は、シャットダウン温度よりも高い融点を有するポリマーを含んでいてよい。例えば、これらの実施形態において、シャットダウン剤は、135℃超の溶融温度を有していてよい。例えば、シャットダウン剤は、140℃~220℃の範囲、時折、150℃~200℃の範囲、時折、160℃~190℃の範囲、時折、170℃~180℃の範囲などの融点を有していてよい。
【0051】
(2)接着剤
本明細書に記載されている接着剤は、さほど限定されない。いくつかの実施形態において、接着剤は、湿潤接着剤、乾燥接着剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0052】
いくつかの実施形態において、接着剤は、0.1~3ミクロン、0.1~2ミクロン、0.1~1.5ミクロン、0.1~1.0ミクロン、0.5~3ミクロン、または0.1~0.5ミクロンの平均粒子サイズを有するビーズまたは粒子の形態である。ビーズまたは粒子は、球状に、対称に、または非対称に成型されていてよい。
【0053】
いくつかの好ましい実施形態において、湿潤接着剤は、湿潤接着ポリマーを含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。本明細書に記載されている湿潤接着ポリマーは、さほど限定されず、電解質を吸収する、電解質を吸収するときにはサイズが膨張もしくは増大する、および/または電解質を吸収するときにはゲル様になるいずれのポリマーであってもよい。電解質は、限定されないが溶媒がDEC、PC、DMC、EC、またはこれらの組み合わせである電解質を含んでいてよい、二次電池における使用に好適ないずれの電解質であってもよい。湿潤接着ポリマーは、電解質によって湿潤するときに、二次電池のアノードまたはカソードへのコーティングの接着も増加させる。
【0054】
いくつかの実施形態において、湿潤接着ポリマーは、フルオロポリマーを含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。いくつかの実施形態において、フルオロポリマーは、PVDF、例えば、PVDF-HFPである。PVDF-HFPのHFP含量は、ポリマーの合計重量を基準にして1~50重量%であってよい。いくつかの実施形態において、それは、1~40重量%、1~30重量%、1~20重量%、1~15重量%、1~10重量%、または1~5重量%であってよい。
【0055】
いくつかの実施形態において、湿潤接着ポリマーは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ポリ二フッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ(フッ化ビニリデン-コ-ヘキサフルオロプロピレン)(PVDF:HFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリテトラエチレングリコールジアクリレート、イソタクチックPP、高密度PP、超高分子量PP、低密度PPを含めたポリプロピレン(PP)、高密度PE、超高分子量PE、低密度PEを含めたポリエチレン(PE)、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ビスフェノール-Aポリカーボネート(BPA-PC)、シクロ-オレフィン性コポリマー(COC)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリウレタン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、上記のいずれかのコポリマー、またはこれらの任意の組み合わせを含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。
【0056】
湿潤接着ポリマーの使用は、電極への接着が重要である電池において有用であり得る。
【0057】
いくつかの好ましい実施形態において、接着剤は、本明細書に記載されている湿潤接着ポリマーであり、これからなり、またはこれから本質的になる。いくつかの好ましい実施形態において、PVDFは、湿潤接着ポリマーである。いくつかの実施形態において、湿潤接着ポリマーは、アクリル系ポリマーである。
【0058】
いくつかの好ましい実施形態において、乾燥接着剤は、乾燥接着ポリマーを含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。本明細書に記載されている乾燥接着ポリマーは、さほど限定されず、コーティングに高いまたは低い粘着性を与える任意のポリマーである。高い粘着性のコーティングは、結合が形成されている別の表面と接触した後に分離することはより困難である。より低い粘着性のコーティングは、結合が形成されている別の表面と接触した後に分離および堆積することがより容易である。粘着性を有するコーティングは、例えば、スタック型または角柱型電池セルに使用される電池セパレータに有益であり得る。これは、セルにおいて一旦適した位置にあるセパレータの移動を防止することを助ける。
【0059】
本明細書に記載されている乾燥接着ポリマーは、そのガラス転移温度によって特徴付けられ得る。いくつかの実施形態において、乾燥接着ポリマーは、100℃未満、90℃未満、80℃未満、70℃未満、60℃未満、50℃未満、40℃未満、30℃未満または20℃未満のガラス転移温度を有する。最小のガラス転移温度は、20℃、10℃、5℃、または0℃であってよい。好ましくは、いくつかの実施形態において、ガラス転移温度は、20℃~100℃、または20℃~70℃、または25℃~100℃であってよい。いくつかの実施形態において、乾燥接着ポリマーは、100℃未満、90℃未満、80℃未満、または70℃未満のガラス転移温度を有する。いくつかの好ましい実施形態において、乾燥接着ポリマーのガラス転移温度は、30℃~80℃の間、40℃~70℃の間、40℃~65℃の間、45℃~60℃の間、45℃~55℃の間、または45℃~50℃の間である。
【0060】
乾燥接着ポリマーのいくつかの非限定例は、上記に記載されているガラス転移温度を有するPVDF-HFPコポリマーまたはアクリル系であってよい。いくつかの実施形態において、PVDF-HFPにおけるHFP含量は、ポリマーの合計重量を基準にして1~50%、1~40%、1~30%、1~20%、1~10%、または1~5重量%であってよい。いくつかの実施形態において、乾燥接着ポリマーは、アクリル系ポリマーであってよい。
【0061】
接着剤が乾燥接着ポリマーおよび湿潤接着ポリマーを含む実施形態において、これらのタイプのポリマーを使用することの利益(例えば、電極(複数可)への接着、およびスタック型または角柱型セルの製造の容易性)が実現され得る。いくつかの実施形態において、セラミックコーティング、電極材料、金属、金属製の材料、または固体電解質材料は、接着剤を含むコーティングに直接適用されていてよい。
【0062】
(3)バインダ
バインダは、さほど限定されない。
【0063】
いくつかの実施形態において、バインダは、アクリル系であってよい。いくつかの実施形態において、バインダは、ポリマー性、オリゴマー性、またはエラストマー性材料を含む、これからなる、またはこれから本質的になるポリマー性バインダであってよく、限定されない。本開示と矛盾しないいずれのポリマー性、オリゴマー性、またはエラストマー性材料が使用されてもよい。バインダは、イオン伝導性、半伝導性、または非伝導性であってよい。リチウムポリマー電池または固体電解質電池における使用に関して推奨されているいずれのゲル形成性ポリマーが使用されてもよい。例えば、ポリマー性バインダは、ポリラクタムポリマー、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、イソブチレンポリマー、アクリル系樹脂、ラテックス、アラミド、またはこれらの材料の任意の組み合わせから選択される少なくとも1つ、または2つ、または3つなどを含んでいてよい。
【0064】
いくつかの好ましい実施形態において、ポリマー性バインダは、ラクタムから誘導されるホモポリマー、コポリマー、ブロックポリマー、またはブロックコポリマーであるポリラクタムポリマーを含む、これからなる、またはこれから本質的になる。いくつかの実施形態において、ポリマー性材料は、式(1)によるホモポリマー、コポリマー、ブロックポリマー、またはブロックコポリマーを含む。
【0065】
【化1】
【0066】
式中、R、R、R、およびRは、アルキルまたは芳香族置換基であってよく、Rは、アルキル置換基、アリール置換基、または縮合環を含む置換基であってよく;好ましいポリラクタムは、ホモポリマー、あるいは、コポリマー性基Xがビニル、置換もしくは非置換アルキルビニル、ビニルアルコール、酢酸ビニル、アクリル酸、アルキルアクリレート、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド、スチレン、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルバレロラクタム、ポリビニルカプロラクタム(PVCap)、ポリアミド、またはポリイミドから誘導され得るコポリマーであってよく;mは、1~10の間、好ましくは2~4の間の整数であってよく、l対nの比は、0≦l:n≦10または0≦l:n≦1であるようになっている。いくつかの好ましい実施形態において、ラクタムから誘導されるホモポリマー、コポリマー、ブロックポリマー、またはブロックコポリマーは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルカプロラクタム(PVCap)、およびポリビニル-バレロラクタムからなる群から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、または少なくとも3つである。
【0067】
別の好ましい実施形態において、ポリマー性バインダは、ポリビニルアルコール(PVA)を含む、これからなる、またはこれから本質的になる。PVAの使用は、低カールコーティング層を結果として生じさせ得、これは、コーティングが適用される基材が安定かつ平坦なままであることを助け、例えば、基材のカールを防止することを助ける。PVAは、特に、低カールが望まれるとき、本明細書に記載されているいずれの他のポリマー性、オリゴマー性、またはエラストマー性材料と組み合わせて添加されてもよい。
【0068】
別の好ましい実施形態において、ポリマー性バインダは、アクリル系樹脂を含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。アクリル系樹脂のタイプは特に限定されず、例えば、改良された安全性を有する電池セパレータを作製するのに使用され得る新しい改良されたコーティング組成物を付与する、本明細書に記述されている目標に反し得ないいずれのアクリル系樹脂であってもよい。例えば、アクリル系樹脂は、ポリアクリル酸(PAA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)の群から選択される少なくとも1つ、または2つ、または3つ、または4つであってよい。
【0069】
他の好ましい実施形態において、ポリマー性バインダは、カルボキシメチルセルロース(CMC)、イソブチレンポリマー、ラテックス、またはこれらの任意の組み合わせを含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。これらは、単独で、または、任意の他の好適なオリゴマー性、ポリマー性、もしくはエラストマー性材料と一緒に添加されてよい。
【0070】
いくつかの実施形態において、ポリマー性バインダは、水のみ、水性もしくは水ベースの溶媒、および/または非水性溶媒である溶媒を含んでいてよい。溶媒が水であるとき、いくつかの実施形態において、他の溶媒は存在しない。水性または水ベースの溶媒は、過半数(50%超)の水、60%超の水、70%超の水、80%超の水、90%超の水、95%超の水、または99%超、しかし100%未満の水を含んでいてよい。水性または水ベースの溶媒は、水に加えて、極性または非極性有機溶媒を含んでいてよい。非水性溶媒は、限定されず、本願において表記されている目標と適合するいずれの極性または非極性有機溶媒であってもよい。いくつかの実施形態において、ポリマー性バインダは、ほんの微量の溶媒を含んでおり、他の実施形態において、50%以上の溶媒、時折、60%以上、時折、70%以上、時折、80%以上などを含む。
【0071】
バインダの量は、いくつかの好ましい実施形態において、コーティング中の合計固体の20%未満、15%未満、10%未満、または5%未満であってよい。いくつかの特に好ましい実施形態において、バインダの量は、コーティング中の合計固体の10%以下、または5%以下であってよい。
【0072】
セパレータまたは多孔質膜
本明細書に記載されている電池セパレータ(コーティングされていない)または多孔質膜は、さほど限定されず、任意の電池セパレータまたは多孔質膜が使用され得る。例えば、セパレータまたは多孔質膜は、当該分野において公知の乾式プロセスおよび湿式プロセスを含めた任意のタイプのプロセスによって作製される単層、2層、3層、または多層セパレータまたは多孔質膜であってよい。
【0073】
好ましい実施形態において、セパレータは、多孔質、ナノ多孔質、ミクロ多孔質、またはマクロ多孔質である。いくつかの特に好ましい実施形態において、セパレータは、ミクロ多孔質である。例えば、セパレータは、0.1~1.0ミクロンの間の平均細孔サイズを有していてよい。
【0074】
いくつかの好ましい実施形態において、セパレータまたは膜は、自身がシャットダウン能を有さないものである。例えば、セパレータは、160℃未満、150℃未満、または140℃未満の温度でシャットダウン能を有さない。例えば、いくつかの実施形態において、セパレータは、Celgardの米国特許第5,952,120号に開示されている3層シャットダウンセパレータではない。しかし、いくつかの実施形態において、セパレータ自体は、(例えば、160℃未満、150℃未満、または140℃未満の温度において)シャットダウン能を有していよく、コーティングは、シャットダウン開始温度を低下させるまたはシャットダウンウィンドウを拡大するのに使用され得る。
【0075】
いくつかの好ましい実施形態において、セパレータは、単層セパレータである。
【0076】
いくつかの好ましい実施形態において、本明細書に記載されている電池セパレータは、乾式プロセスの電池セパレータまたは膜である。
【0077】
乾式プロセスは、いくつかの実施形態において、いずれの細孔形成因子/細孔形成剤、またはベータ-核形成因子/ベータ-核形成剤も使用しないプロセスである。いくつかの実施形態において、乾式プロセスは、いずれの溶媒、ワックス、または油も使用しないものである。いくつかの実施形態において、乾式プロセスは、いずれの細孔形成因子/細孔形成剤、またはベータ-核形成因子/ベータ-核形成剤も使用せず、また、いずれの溶媒、ワックス、または油も使用しないものである。かかる実施形態において、乾式プロセスは、乾式延伸プロセスであってよい。Celgard乾式延伸プロセスとして公知の例示的な乾式延伸プロセスは、全体が参照により本明細書に組み込まれるChen et al.,Structural Characterization of Celgard(登録商標) Microporous Membrane Precursors:Melt-Extruded Polyethylene Films,J. of Applied Polymer Sci.,vol. 53,471-483(1994)に記載されている。Celgard乾式延伸プロセスは、細孔形成が、少なくとも機械方向に非多孔質の配向された前駆体を延伸することから得られるプロセスを指す。Kesting,Robert E.,Synthetic Polymeric Membranes,A Structural Perspective,Second Edition,John Wiley & Sons,New York,N.Y.,(1985),pages 290-297はまた、乾式延伸プロセスも開示しており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの好ましい実施形態による乾式延伸プロセスにおいて、プロセスは、延伸工程を含んでいてよい。延伸工程は、単軸延伸(例えば、MD方向のみもしくはTD方向のみの延伸)、二軸延伸(例えば、MDおよびTD方向の延伸)、または多軸延伸(例えば、3つ以上の異なる軸、例えば、MD、TD、および別の軸に沿った延伸)を含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。いくつかの実施形態において、乾式延伸プロセスは、押出工程および延伸工程を、この順序でまたはこの順序でなく含んでいても、これらからなっていても、これらから本質的になっていてもよい。いくつかの実施形態において、乾式延伸プロセスは、押出工程、アニーリング工程、および延伸工程を、この順序でまたはこの順序でなく含んでいても、これらからなっていても、これらから本質的になっていてもよい。押出工程は、いくつかの実施形態において、インフレーションフィルム押出工程またはキャストフィルム押出プロセスであってよい。いくつかの実施形態において、非多孔質前駆体は、押出され、延伸されて、細孔を形成する。いくつかの実施形態において、非多孔質前駆体は、押出され、アニーリングされ、次いで延伸されて、細孔を形成する。他の実施形態において、多孔質または非多孔質前駆体は、押出以外の方法によって、例えば、焼結または印刷によって形成され得、延伸は、前駆体において実施されて、細孔を形成し得、または既存の細孔を大きくし得る。
【0078】
いくつかの実施形態において、細孔形成因子/細孔形成剤、またはベータ-核形成因子/ベータ-核形成剤が使用されてよく、プロセスは、依然として乾式プロセスとされる。例えば、粒子延伸プロセスは、乾式プロセスであるとされ得る、なぜなら、油または溶媒がポリマーと共に押出されず、押出されたポリマーから抽出されず、細孔を形成するからである。粒子延伸プロセスにおいて、粒子、例えば、シリカまたは炭酸カルシウムがポリマー混合物に添加され、これらの粒子が、細孔を形成することを助ける。かかる方法において、例えば、粒子およびポリマーを含むポリマー混合物が押出されて、延伸された前駆体を形成し、粒子の周りに空隙が作り出される。いくつかの実施形態において、粒子は、空隙が作り出された後に除去され得る。粒子延伸プロセスは、粒子の除去の前後に延伸工程を含んでいてよいが、粒子延伸プロセスは、乾式延伸プロセスとされない、なぜなら、原理の細孔形成メカニズムが、延伸しない粒子の使用であるからである。
【0079】
いくつかの好ましい実施形態において、乾式プロセス多孔質膜の構造は、1つ以上の顕著な特徴を有し得る。例えば、乾式プロセス膜は、10%超の量のポリプロピレンを含んでいてよい。湿式プロセス、または溶媒を使用する他のプロセスは、ポリプロピレンに概して適合性でない、なぜなら、溶媒がポリプロピレンを劣化させるからである。そのため、湿式プロセス多孔質膜は、典型的には、10%を超えない、最も典型的には5%以下のポリプロピレンを含有する。いくつかの乾式プロセス多孔質膜、特に電池セパレータとして使用されるもののうちの1つの他の顕著な特徴は、シャットダウン機能を有することができるとういうことである。シャットダウン機能は、いくつかの場合において、PP/PE/PP構造によって付与され得る。これは、乾式プロセス膜に特有である、なぜなら、主にポリプロピレン(PP)を含む層は、概して、湿式プロセスにおいて形成され得ないからである。乾式プロセスは、PP/PE/PPシャットダウン膜構造を形成するのに比類なく適している。
【0080】
いくつかの実施形態において、乾式プロセス多孔質膜の識別は、図3に示されているラメラおよびフィブリルの存在を有し得る。例えば、多孔質膜は、図3または図4Aおよび図4Bに示されているもののような構造を有し得る。図4Aおよび図4Bは、PE(A)およびPP(B)を含むCelgard(登録商標)ミクロ多孔質膜におけるスリット様のミクロ細孔を示すFESM画像である。いくつかの実施形態において、乾式プロセス多孔質膜の細孔またはミクロ細孔は、円形、楕円形、半円形、台形などであってよい。
【0081】
いくつかの実施形態において、乾式プロセス多孔質膜の顕著な特徴は、ピンホールを含有しないまたは実質的に含有しないということである。ピンホールは、欠陥であるとされ、概して、乾式プロセス多孔質膜の意図的に形成された特徴ではない。いくつかの実施形態において、乾式プロセスのミクロ多孔質膜は、10nmを超えるピンホールを含有しなくてよく、または実質的に含有しなくてよい。いくつかの好ましい実施形態において、乾式プロセス多孔質膜の細孔は、曲がりくねっている。いくつかの実施形態において、乾式プロセス多孔質膜の顕著な特徴は、ねじれである。いくつかの実施形態において、乾式プロセス多孔質膜のねじれは、1超、1.2超、1.3超、1.4超、1.5超、1.6超、1.7超、1.8超、1.9超、または2.0超である。いくつかの実施形態において、ねじれを大まかに計算するための式は、式(2)であり、
ねじれ=x/t (2)
式中、「x」は、多孔質膜における開口または細孔の長さであり、「t」は、膜の厚さである。ピンホールは、1のねじれを有する、なぜなら、ピンホールの長さが膜の厚さと同じであるからである。曲がりくねった細孔は、図5に示されているように1を超えるねじれを有する、なぜなら、細孔の長さが、膜の厚さよりも長いからである。
【0082】
いくつかの実施形態において、乾式延伸多孔質膜は、半結晶性である。いくつかの実施形態において、乾式延伸多孔質膜は、半結晶性であり、単一の方向に配向されている。例えば、膜は、MD配向されていてよい。湿式プロセスによって形成される多孔質フィルム、例えば、ベータ-核形成プロセスによって形成されるフィルムは、ランダムに配向されていてよい。
【0083】
複合体またはデバイス
複合体またはデバイスは、本明細書において上記に記載されているいずれかのコーティングされた電池セパレータまたはコーティングされた多孔質膜、ならびに、これに間接または直接接触して設けられている1つ以上の電極、例えば、アノード、カソード、またはアノードおよびカソードを含む。電極のタイプは、さほど限定されない。例えば、電極は、リチウムイオン二次電池における使用に好適なものであり得る。
【0084】
いくつかの実施形態において、複合体またはデバイスは、以下:円筒型セル、パウチセル、角柱セル、巻きセル、折り畳みセル、ラッピングセル、ポケットセルまたはスタックセル;のうちの少なくとも1つから選択されるセルである。
いくつかの実施形態において、複合体またはデバイスは、二次電池、例えば、リチウムイオン電池である。
本明細書におけるいくつかの実施形態によるリチウムイオン電池を図6に示す。
【0085】
好適なアノードは、372mAh/g以上、好ましくは≧700mAh/g、最も好ましくは≧1000mAH/gのエネルギー容量を有し得る。アノードは、リチウム金属箔もしくはリチウム合金箔(例えば、リチウムアルミニウム合金)、またはリチウム金属ならびに/もしくはリチウム合金および材料の混合物、例えば、カーボン(例えば、コークス、グラファイト)、ニッケル、銅から構成されている。アノードは、リチウムを含有するインターカレーション化合物またはリチウムを含有する挿入化合物のみから作製されているのではない。
【0086】
好適なカソードは、アノードと適合性の任意のカソードであってよく、インターカレーション化合物、挿入化合物、または電気化学的に活性なポリマーを含んでいてよい。好適なインターカレーション材料には、例えば、MoS、FeS、MnO、TiS、NbSe、LiCoO、LiNiO、LiMn、V13、V、およびCuClが含まれる。好適なポリマーには、例えば、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、およびポリチオフェンが含まれる。
【0087】
本明細書に上記に記載されている任意の電池セパレータが、完全にまたは部分的に電池式である任意の自動車、例えば、電気自動車、またはデバイス、例えば、携帯電話もしくはノート型パソコンに組み込まれ得る。
【0088】
本発明の種々の実施形態が、本発明の種々の目的の実現において記載されている。これらの実施形態は、単に本発明の原理を示していると認識されるべきである。多くの変形および適応が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者に容易に明らかであろう。
【0089】
いくつかの態様において、本明細書に記載されている少なくとも1つのコーティングされたセパレータを含むコンデンサが開示されている。いくつかの実施形態において、コンデンサは、スーパーコンデンサであってよい。
【0090】
いくつかの実施形態において、コーティングの上部に直接さらなる層を有する、本明細書に記載されているコーティングされた多孔質膜のコーティングされた電池セパレータが記載されている。かかる実施形態において、コーティングは、少なくとも接着剤を含んでいても、これからなっていても、これから本質的になっていてもよい。いくつかの好ましい実施形態において、コーティングは、水系または水ベースのコーティングであってよい。かかるコーティングは、優れた均一性を有するため、その上部に別のコーティングを直接適用するのに理想的である。例えば、コーティングの接着性は、均一であり得る。上部に直接設けられている層は、セラミックコーティング、電極材料のコーティングまたは層、固体電解質材料のコーティングまたは層、金属製の層またはコーティング、金属含有コーティングまたは層、金属層またはコーティングなどのうちの少なくとも1つであってよい。
【実施例
【0091】
実施例1:
実施例1において、ポリプロピレンでできている単層セパレータ(多孔質膜)を、接着剤としてのPVDFおよびシャットダウン剤としてのPEビーズを含むコーティングスラリーまたは混合物でコーティングした。この実施形態において、バインダを実施例1aにおいて使用し、バインダを実施例1bにおいて使用しなかった。実施例1bにおいて、PVDFおよびPEを、水または最大で50%のアルコールもしくは他の水溶性溶媒を含有していてよい水ベースの溶媒に分散させた。1aにおけるコーティングもまた、水系、水性、または水ベースのコーティングであった。コーティングをセパレータ(多孔質膜)の一方または両方の側(1つの側であってもよい)に適用した。実施例1による2つの側がコーティングされたセパレータの概略像を図7に示す。セパレータ(実施例1における多孔質膜は、シャットダウン能自体を有さなかった。
【0092】
実施例2
実施例2において、ポリプロピレンでできている単層セパレータを、湿潤接着剤としてのPVDF、乾燥接着剤、およびシャットダウン剤としてのPEビーズを含むコーティングを含むスラリーまたは混合物でコーティングした。バインダを実施例2aにおいて使用したが、バインダを実施例2bにおいて使用しなかった。実施例2bにおいて、湿潤接着剤としてのPVDF、乾燥接着剤、およびシャットダウン剤としてのPEビーズを、最大で50%のアルコールまたは別の水溶性溶媒を有する水ベースの溶媒に分散させた。2aにおけるコーティングもまた、水ベースまたは水系コーティングであった。コーティングを、セパレータの一方または両方の側に適用した。実施例2による2つの側がコーティングされたセパレータの概略像を図8に示す。実施例1におけるセパレータは、シャットダウン能自体を有さなかった。
【0093】
実施例3~202は、以下の表に示す量の接着剤およびシャットダウン剤を含有する。「X」が「バインダ」欄にある各実施例において、バインダを、水または水ベースのもしくは有機溶媒であってよい溶媒と共に添加する。バインダを、コーティング中の合計固体の10%を超えない量で添加する。いくつかの実施形態において、バインダを添加せず、例えば、接着剤、シャットダウン剤、および/または無機もしくは耐熱性粒子を、有機溶媒または水もしくは水ベースの溶媒にバインダを用いずに分散させることができる。水ベースの溶媒は、最大で50%のアルコールまたは水に可溶性である別の溶媒を含んでいてよい。無機または耐熱性粒子を、「X」が「無機または耐熱性粒子」欄にある各実施例において添加した。ダッシュ(「-」)は、構成要素がその実施例のコーティングに存在しないことを意味する。実施例3~202は、多孔質膜(セパレータ)、例えば、ポリプロピレン単層膜(セパレータ)の各側に同じコーティングを有する全2つの側がコーティングされたセパレータである。コーティングの1つがセラミックコーティングであり、他方のコーティングが実施例3~238におけるもののような組成を有する、2つの側がコーティングされたセパレータも調製した。1つのコーティングを適用しており、コーティングの組成物が実施例3~238において使用したコーティング組成物に相当する、例示的な1つの側がコーティングされたセパレータも調製した。加えて、無機または有機耐熱性粒子がナノ粒子(約500nm未満、450nm未満、400nm未満、約350nm未満、約300nm未満、250nmまたは200nm未満の粒子サイズ)および非ナノ粒子(粒子サイズ250nm超、300nm超、350nm超、400nm超、450nm超、または500nm超および最大で1,000nm)である、実施例3~238におけるもののような実施形態を調製した。最終的に、実施例3~238のような例を形成し、ここでは、コーティングをセラミックまたはナノセラミック層の上部に形成した。コーティングは、セラミックまたはナノセラミック層に連続または非連続的に形成され得る。本明細書に記載されているセラミックまたはナノセラミック層は、重量で80%、85%以上、90%以上、95%以上、または98%以上のセラミックまたはナノセラミック、および任意選択的にバインダまたは他の添加剤を含む層である。本明細書に記載されている実施形態の全てを溶媒として水を使用して行い、次いでコーティングする水ベースまたは水系コーティング溶液を形成した。実施形態はまた、溶媒ベースのコーティング溶液を使用しても行った。水系とは、溶媒が水のみまたは水およびアルコールまたは他の非有機水溶性溶媒であることを意味する。例えば、水系または水ベースのコーティングは、水である溶媒および最大50%のアルコールまたは非有機水溶性溶媒、例えば、PVAを含んでいてよい。
【0094】
【表1-1】
【0095】
【表1-2】
【0096】
【表1-3】
【0097】
【表1-4】
【0098】
【表1-5】
【0099】
【表1-6】
【0100】
【表1-7】
【0101】
【表1-8】
【0102】
【表1-9】
【0103】
【表1-10】
【0104】
【表1-11】
【0105】
ナノセラミックまたはナノ無機物(実施例におけるナノアルミナ)の使用により、優れた結果を生じさせることが見出された。例えば、粘着または接着剤コーティングにおけるナノアルミナの使用は、図12に示すように、自己接着の約50%の低減を結果として生じさせた。図12において、使用したナノアルミナは、250nmの粒子サイズを有した。いずれの特定の理論によっても拘束されることを望まないが、なぜ自己接着が低減されるかを説明する提案された機構を図13に示す。ナノセラミックまたはナノ無機物(実施例におけるナノアルミナ)はまた、シャットダウンコーティングの機能を改良することも見出された。例えば、抵抗は、シャットダウンの際、100オーム超、500オーム超、1,000オーム超、2,000オーム超、3,000オーム超、4,000オーム超、5,000オーム超、6,000オーム超、7,000オーム超、8,000オーム超、9,000オーム超、または10,000オーム超増加した。これらの抵抗の増加は、135℃未満、130℃未満、125℃未満、120℃未満、115℃未満、110℃未満、105℃未満、100℃未満、または95℃未満の温度で生じた。これは、700nmのサイズを有する従来のセラミックを含む実施形態および250nmのサイズを有するナノセラミックを含む実施形態を比較する図14において明らかであり得る。いずれの特定の理論によっても拘束されることを望まないが、この改良された機能のシャットダウンコーティングは、ポリマーが流動してセパレータの細孔を遮断し得るという事実に部分的に起因するとされる。より大きいサイズの無機またはセラミックまたは耐熱性粒子により、ポリマーの流動および/またはセパレータの細孔の遮断をより困難にし得る。
【0106】
図15は、それぞれ、PVDFおよびナノセラミック、ならびにPVDFおよびセラミックを含有するコーティングの画像を示す。コーティングを含有するナノセラミックは、ナノセラミックの存在に少なくとも部分的に起因してより薄型にすることが可能である。
【0107】
いくつかの実施形態、態様または目的において、セパレータ膜の1つまたは2つの側にコーティングを含むコーティングされたセパレータが開示されている。コーティングは、接着剤、シャットダウン剤、およびバインダのうちの少なくとも1つを含有していてよい。これらの構成要素を含有するコーティングは、セラミック材料を含めたいずれの無機もしくは有機耐熱性材料も含有しておらず、または、セラミック材料を含めた無機もしくは有機耐熱性材料を少量で含有する。セパレータは、自身がシャットダウン能を有さないセパレータであってよい。例えば、セパレータのセパレータ膜は、ポリプロピレンでできている単層セパレータ膜であってよい。本明細書に開示されているコーティングされたセパレータのうちの少なくとも1つを含有する電池セル、二次電池、およびコンデンサも開示されている。
【0108】
いくつかの実施形態、態様または目的において、セパレータ膜の1つまたは2つの側にコーティングを含むコーティングされたセパレータ膜が開示されている。コーティングは、接着剤、シャットダウン剤、およびバインダのうちの少なくとも1つを含有していてよい。これらの構成要素を含有するコーティングは、セラミック材料を含めたいずれの無機もしくは有機耐熱性材料も含有しておらず、または、セラミック材料を含めた無機もしくは有機耐熱性材料を少量で含有する。セパレータは、自身がシャットダウン能を有さないセパレータであってよい。例えば、セパレータのセパレータ膜は、ポリプロピレンでできている単層セパレータ膜であってよい。また、本明細書に開示されているコーティングされたセパレータのうちの少なくとも1つを含有する電池セル、二次電池、およびコンデンサも開示されている。
【0109】
いくつかの実施形態、態様または目的において、ポリマー膜の1つまたは2つの側にコーティングを含むコーティングされた膜が開示されている。コーティングは、接着剤、シャットダウン剤、およびバインダのうちの少なくとも1つを含有していてよい。これらの構成要素を含有するコーティングは、セラミック材料を含めたいずれの無機もしくは有機耐熱性材料も含有していなくてよく、または、セラミック材料を含めた無機もしくは有機耐熱性材料を少量で含有する。膜、またはベースフィルムは、自身がシャットダウン能を有さない膜であってよい。例えば、コーティングされた膜の膜が、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ブレンドなどでできている単層または多層膜であってよい。また、本明細書に開示されているコーティングされた膜の少なくとも1つを含有する電池、セル、二次電池、コンデンサ、テキスタイル、フィルタ、ガーメントなども開示されている。
【0110】
いくつかの実施形態、態様または目的において、ポリマー膜の1つまたは2つの側にコーティング、層、または処理を含む多層または複合体膜が開示されている。コーティング、層、または処理は、接着剤、シャットダウン剤、およびバインダのうちの少なくとも1つを含有していてよい。これらの構成要素を含有するコーティング、層、または処理は、セラミック材料を含めたいずれの無機もしくは有機耐熱性材料も含有していなくてよく、または、セラミック材料を含めた無機もしくは有機耐熱性材料を少量で含有する。膜またはベースフィルムは、自身がシャットダウン能を有さない膜であってよい。例えば、多層膜のベース膜は、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ブレンドなどでできている単層または多層膜であってよい。また、本明細書に開示されている多層または複合体膜のうちの少なくとも1つを含有する電池、セル、二次電池、コンデンサ、テキスタイル、フィルタ、ガーメントなども開示されている。
【0111】
本発明の種々の実施形態が、本発明の種々の目的の実現において記載されている。これらの実施形態は、単に本発明の原理を示していると認識されるべきである。本発明の多くの変形および適応が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者に容易に明らかであろう。例えば、不織布、例えば、繊維、メッシュ、ネットなどが、コーティングされたセパレータ、コーティングされた膜、多層または複合体膜などの一方または両方の側に付加されてよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2022-01-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜であって:
セパレータ;ならびに
接着剤、シャットダウン剤、およびバインダからなる群から選択される少なくとも1つを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる少なくとも1つのコーティング
を含み、前記コーティングが、無機もしくは有機のいずれかの耐熱性粒子のいずれをも含有せず、または、ほんの少量の無機および/もしくは有機耐熱性粒子(ナノもしくは非ナノ粒子)を含有する、前記コーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項2】
前記コーティングが、無機または有機のいずれかの耐熱性粒子のいずれをも含有しない、請求項1に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項3】
前記コーティングが、ほんの少量の無機および/または有機耐熱性粒子を含有する、請求項1に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項4】
前記コーティングが、接着剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になる、コーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜であって、
前記接着剤が、湿潤接着剤および乾燥接着剤の群から選択される少なくとも1つを含む、これからなる、またはこれから本質的になるか、
前記接着剤が、湿潤接着剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になるか、
前記接着剤が、湿潤接着剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になり、かつ、前記湿潤接着剤がVDF、アクリル系ポリマー、またはこれらの組み合わせを含む、これからなる、またはこれから本質的になるか、
前記接着剤が、乾燥接着剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になるか、
前記接着剤が、乾燥接着剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になり、かつ、前記乾燥接着剤が100℃未満、好ましくは30℃~80℃の間のガラス転移温度を有するPVDF-HFPコポリマーまたはアクリルを含む、これからなる、またはこれから本質的になるか
前記接着剤が、湿潤接着剤および乾燥接着剤を含む、これらからなる、またはこれらから本質的になるか、
前記接着剤が、湿潤接着剤および乾燥接着剤を含む、これらからなる、またはこれらから本質的になり、かつ、前記湿潤接着剤がPVDF、アクリル系ポリマー、またはこれらの組み合わせを含む、これからなる、またはこれから本質的になるか、
前記接着剤が、湿潤接着剤および乾燥接着剤を含む、これらからなる、またはこれらから本質的になり、かつ、前記乾燥接着ポリマーが、100℃未満、好ましくは30℃~80℃の間のガラス転移温度を有するPVDF-HFPコポリマーまたはアクリルを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項5】
前記コーティングが、シャットダウン剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項1に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項6】
前記シャットダウン剤が、約100℃~約140℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子を含む、これからなる、またはこれから本質的になるか、
前記シャットダウン剤が、約100℃~約140℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子を含む、これからなる、またはこれから本質的になり、かつ、前記シャットダウン剤が、PEビーズを含む、これからなる、またはこれから本質的になるか、または
前記シャットダウンが、約130℃~約140℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子;約80℃~約130℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子;140℃~220℃の融点を有するビーズまたは粒子、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる、請求項に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項7】
前記コーティングが、接着剤およびバインダを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる、請求項1に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項8】
前記接着剤が、乾燥接着剤および湿潤接着剤の群から選択される少なくとも1つを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項9】
前記接着剤が、乾燥接着剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になり、かつ、前記乾燥接着ポリマーが、100℃未満、好ましくは30℃~80℃の間のガラス転移温度を有するPVDF-HFPコポリマーまたはアクリルを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項10】
前記接着剤が、湿潤接着剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になり、かつ、前記湿潤接着剤が、PVDF、アクリル系ポリマー、またはこれらの組み合わせを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項11】
前記接着剤が、乾燥接着剤および湿潤接着剤を含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる、コーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜であって、
前記湿潤接着剤が、PVDF、アクリル系ポリマー、またはこれらの組み合わせを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、および/または
前記乾燥接着ポリマーが、100℃未満、好ましくは30℃~80℃の間のガラス転移温度を有するPVDF-HFPコポリマーまたはアクリルを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項12】
前記コーティングが、シャットダウン剤およびバインダを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる、請求項1に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項13】
前記シャットダウン剤が、約100℃~約140℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子を含む、これからなる、またはこれから本質的になるか、
前記シャットダウン剤が、約100℃~約140℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子を含み、前記シャットダウン剤が、PEビーズを含む、これからなる、またはこれから本質的になるか、または
前記シャットダウンが、約130℃~約140℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子;約80℃~約130℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子;140℃~220℃の融点を有するビーズまたは粒子、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる、請求項12に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項14】
前記コーティングが、接着剤およびシャットダウン剤を含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる、請求項1に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項15】
前記接着剤が、湿潤接着剤および乾燥接着剤から選択される少なくとも1つを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項14に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項16】
前記接着剤が、湿潤接着剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項15に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項17】
前記湿潤接着剤が、PVDF、アクリル系ポリマー、またはこれらの組み合わせを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項16に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項18】
前記接着剤が、乾燥接着剤および湿潤接着剤を含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる、請求項15に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項19】
前記湿潤接着剤が、PVDF、アクリル系ポリマー、またはこれらの組み合わせを含む、これからなる、またはこれから本質的になり、および/または
前記乾燥接着ポリマーが、100℃未満、好ましくは30℃~80℃の間のガラス転移温度を有するPVDF-HFPコポリマーまたはアクリルを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項18に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項20】
前記接着剤が、乾燥接着剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項15に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項21】
前記乾燥接着ポリマーが、100℃未満、好ましくは30℃~80℃の間のガラス転移温度を有するPVDF-HFPコポリマーまたはアクリルを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項20に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項22】
前記シャットダウン剤が、約100℃~約140℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子を含む、これからなる、またはこれから本質的になるか、
前記シャットダウン剤が、約100℃~約140℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子を含む、これからなる、またはこれから本質的になり、かつ、前記シャットダウン剤が、PEビーズを含む、これからなる、またはこれから本質的になるか、または
前記シャットダウンが、約130℃~約140℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子;約80℃~約130℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子;140℃~220℃の融点を有するビーズまたは粒子、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる、請求項14に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項23】
前記コーティングが、接着剤、シャットダウン剤、およびバインダを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる、請求項1に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項24】
前記接着剤が、湿潤接着剤および乾燥接着剤から選択される少なくとも1つを含む、これからなる、またはこれから本質的になるか、
前記接着剤が、湿潤接着剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になるか、
前記接着剤が、湿潤接着剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になり、かつ、前記湿潤接着剤が、PVDF、アクリル系ポリマー、またはこれらの組み合わせを含む、これからなる、またはこれから本質的になるか、
前記接着剤が、乾燥接着剤および湿潤接着剤を含む、これらからなる、またはこれらから本質的になるか、
前記接着剤が、乾燥接着剤および湿潤接着剤を含む、これらからなる、またはこれらから本質的になり、前記湿潤接着剤が、PVDF、アクリル系ポリマー、またはこれらの組み合わせを含む、これからなる、またはこれから本質的になるか、
前記接着剤が、乾燥接着剤および湿潤接着剤を含む、これらからなる、またはこれらから本質的になり、前記乾燥接着ポリマーが、100℃未満、好ましくは30℃~80℃の間のガラス転移温度を有するPVDF-HFPコポリマーまたはアクリルを含む、これからなる、またはこれから本質的になるか、
前記接着剤が、乾燥接着剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になるか、または
前記接着剤が、乾燥接着剤を含む、これからなる、またはこれから本質的になり、前記乾燥接着ポリマーが、100℃未満、好ましくは30℃~80℃の間のガラス転移温度を有するPVDF-HFPコポリマーまたはアクリルを含む、これからなる、またはこれから本質的になる、請求項23に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項25】
前記シャットダウン剤が、約100℃~約140℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子を含む、これからなる、またはこれから本質的になるか、
前記シャットダウン剤が、約100℃~約140℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子を含む、これからなる、またはこれから本質的になり、かつ、前記シャットダウン剤が、PEビーズを含む、これからなる、またはこれから本質的になるか、または
前記シャットダウンが、約130℃~約140℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子;約80℃~約130℃の融点を有するポリマーでできているビーズまたは粒子;140℃~220℃の融点を有するビーズまたは粒子、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる、請求項23に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項26】
前記セパレータが、1つの側または2つの側がコーティングされたセパレータである、請求項1、2、3、4、5、7、12、14、または23のいずれか一項に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項27】
前記セパレータが2つの側がコーティングされ、前記2つの側のコーティングが同じであるか、異なるか、または異なり、かつ前記2つの側のコーティングの1つがセラミックコーティングである、請求項26に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項28】
前記セパレータが、前記コーティング無しに150℃または140℃未満の温度でシャットダウン能を有さず、かつ、前記コーティング無しに150℃または140℃未満の温度でシャットダウン能を有さない前記セパレータが、乾式プロセスセパレータである、請求項1、2、3、4、5、7、12、14、または23のいずれか一項に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項29】
前記セパレータが、ポリプロピレンからなるまたはこれから本質的になるセパレータであるか、
前記セパレータが、ポリプロピレンからなるまたはこれから本質的になる単層セパレータであるか、
前記セパレータが、ポリプロピレンからなるまたはこれから本質的になる乾式プロセス単層セパレータである、請求項に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項30】
前記コーティングが、水ベースまたは水系コーティングである、請求項1~20、22~25または29のいずれか一項に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項31】
無機または有機耐熱性粒子が存在し、前記無機または有機耐熱性粒子が、1~1,000nm、1~500nmまたは1~250nmの粒子サイズを有する、請求項1~20、22~25または29のいずれか一項に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜。
【請求項32】
請求項1~20、22~25、29または31のいずれか一項に記載のコーティングされたセパレータまたはコーティングされた多孔質膜を含む複合体であって、さらなるコーティングが、接着剤、シャットダウン剤、およびバインダからなる群から選択される少なくとも1つを含む、これらからなる、またはこれらから本質的になる少なくとも1つのコーティングの上部に直接設けられており、前記コーティングが、無機もしくは有機のいずれかの耐熱性粒子のいずれをも含有せず、または、ほんの少量の無機および/もしくは有機耐熱性粒子(ナノもしくは非ナノ粒子)を含有する、前記複合体。
【請求項33】
前記コーティングが、水ベースまたは水系コーティングである、請求項32に記載の複合体。
【請求項34】
前記コーティングが、前記の少量の無機および/または有機耐熱性粒子(ナノもしくは非ナノ粒子)を、前記コーティングの合計固形分の10%未満、前記コーティングの合計固形分の9%未満、前記コーティングの合計固形分の8%未満、前記コーティングの合計固形分の7%未満、前記コーティングの合計固形分の6%未満、前記コーティングの合計固形分の5%未満、前記コーティングの合計固形分の4%未満、前記コーティングの合計固形分の3%未満、前記コーティングの合計固形分の2%未満、または前記コーティングの合計固形分の1%未満の量で含む、請求項32に記載の複合体。
【請求項35】
さらなるコーティングが、セラミックコーティング、ポリマーコーティング、電極材料のコーティング、固体電解質材料のコーティング、金属含有コーティング、金属コーティングなどである、請求項32に記載の複合体。
【国際調査報告】