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  • 特表-強制駆動式手すりベルト装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(54)【発明の名称】強制駆動式手すりベルト装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 23/04 20060101AFI20220713BHJP
【FI】
B66B23/04 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506978
(86)(22)【出願日】2019-09-11
(85)【翻訳文提出日】2021-10-12
(86)【国際出願番号】 CN2019105363
(87)【国際公開番号】W WO2020228200
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】201910389464.9
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521449706
【氏名又は名称】ハンソン リフト(スーチョウ)カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュー、シュエミン
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321AA04
3F321AA10
3F321CA44
3F321CA48
3F321CF06
(57)【要約】
本出願は強制駆動式手すりベルト装置を開示している。
強制駆動式手すりベルト装置であって、手すりベルト(1)と駆動輪(2)とを含み、手すりベルト(1)は駆動輪(2)と接触する接触面を有し、接触面の中心位置には、その長さ方向に沿って複数の強制駆動溝体(3)が均一に開けられ、駆動輪(2)の外縁には、複数の強制駆動歯(4)が均一に分布され、駆動輪(2)の強制駆動歯(4)は、手すりベルト(1)の接触面における強制駆動溝体(3)内に嵌め込まれることで、手すりベルト(1)の強制駆動を実現する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手すりベルトと駆動輪とを含み、前記手すりベルトは、前記駆動輪と接触する接触面を有し、前記接触面の中心位置には、その長さ方向に沿って複数の強制駆動溝体が均一に開けられ、前記駆動輪の外縁には、複数の強制駆動歯が均一に分布され、前記駆動輪の前記強制駆動歯は、前記手すりベルトの接触面における前記強制駆動溝体内に嵌め込まれることで、前記手すりベルトの強制駆動を実現することを特徴とする強制駆動式手すりベルト装置。
【請求項2】
前記手すりベルトの接触面は接触平面であり、前記強制駆動溝体は、前記接触平面の中心位置に、その長さ方向に沿って均一に開けられることを特徴とする請求項1に記載の強制駆動式手すりベルト装置。
【請求項3】
前記手すりベルトの内部には、その長さ方向に沿って鋼帯が設けられ、前記強制駆動溝体の最も底面は、前記手すりベルトの前記鋼帯の最も底面より低く配置され、即ち、前記強制駆動溝体は前記手すりベルトの前記鋼帯を貫通するように配置されることを特徴とする請求項2に記載の強制駆動式手すりベルト装置。
【請求項4】
前記手すりベルトの接触面は接触凸面であり、前記手すりベルトには長尺状ブロックが設けられ、前記長尺状ブロックの表面は前記接触凸面を構成し、前記長尺状ブロックの天井面には、その長さ方向に沿って前記強制駆動溝体が均一に開けられることを特徴とする請求項1に記載の強制駆動式手すりベルト装置。
【請求項5】
前記手すりベルトの内部には、その長さ方向に沿って平行の鋼線が複数本設けられ、前記強制駆動溝体の最も底面は、前記手すりベルトの前記鋼線の最も天井面より高く配置されることを特徴とする請求項4に記載の強制駆動式手すりベルト装置。
【請求項6】
前記長尺状ブロックは台形ブロックであり、前記強制駆動溝体は、前記台形ブロックの形状に対応するように台形溝体に配置されており、前記駆動輪の前記強制駆動歯は、前記台形溝体に対応するように台形歯に配置されることを特徴とする請求項4に記載の強制駆動式手すりベルト装置。
【請求項7】
前記強制駆動溝体の間の間隔及び形状は、前記強制駆動歯の間の間隔及び形状に一々対応することを特徴とする請求項1に記載の強制駆動式手すりベルト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2019年05月10日にて中国特許庁に提出され、出願番号が201910389464.9であり、発明名称が「強制駆動式手すりベルト装置」である中国特許出願の優先権を主張して、その全ての内容は本出願に援用される。
【0002】
本発明はエスカレーターまたは動く歩道の技術分野に関わり、具体的に強制駆動式手すりベルト装置に関わる。
【背景技術】
【0003】
社会の急速な発展に連れて、エスカレーター及び動く歩道機器は、市内の各ビジネスセンター、交通結節点の不可欠な運送工具になり、特に、この数年、関連する事故が頻繁に発生するため、しょっちゅう社会の焦点になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、エスカレーター手すりベルトは一般的に摩擦車によって駆動され、手すりベルトにおける駆動装置との接触面は平面(手すりベルトはC字状手すりベルトである)、またはV字状平面(手すりベルトはV字状手すりベルトである)であり、図1図2を参照して、駆動の同期性及び安定性を保証できないことは、その致命的な欠陥である。摩擦駆動は、摩擦係数、正圧及び手すりベルトのテンションなどの要因に影響されるから、伝動の安定性が劣って、特に、外部温度、湿度、手すりベルトのテンション、摩耗状況の変化に連れて、伝動の安定性に大きく影響し、運転のブロッキング、スリップなどの状況はよくあり、手すりベルトの運転速度と踏段の運転速度、または左右にある2本の手すりベルトの運転速度の瞬間的な偏差を招致し、即ち、手すりベルトの運転は踏段の踏板の運転に同期していない。
【0005】
エスカレーター、動く歩道の乗用原理に基づき、手すりベルトの運転は踏段の踏板の運転に同期していないと、乗客はしっかりと立つことができず、転んで、さらに致命的な危険を招致する恐れがあり、これに鑑みると、各国家、地区または連合は、エスカレーター及び動く歩道の装着、製造の安全規制において、手すりベルトの運転速度の、踏段の踏板の運転速度に対する偏差範囲(0~+2%)を明らかに規定するとともに、エスカレーター、動く歩道に対して手すりベルト速度検出制御装置を配置しなければならないように規定する。手すりベルトの運転速度と踏段の踏板の運転速度との偏差が、所定範囲を超えたと検出した場合、エスカレーター、動く歩道の運転を停止させる。手すりベルト、手すりベルト駆動装置、及び手すりベルトのテンションに対する検査、調整は、エスカレーター、動く歩道のメンテナンスの重要な内容であり、手すりベルトまたは駆動装置の摩耗がひどく、或いは調整が不適切であれば、エスカレーター、動く歩道には、故障または安全事故が生じやすい。
【0006】
前記問題に対して、手すりベルトと踏段の踏板との同期運転を保証するために、従来の手すりベルトに対して構成最適化をさらに行う必要がある。
【0007】
これに鑑みると、本発明は、手すりベルトに、対応する手すりベルト駆動輪と係合する強制駆動溝体を配置することで、エスカレーター、動く歩道の手すりベルトと踏段の踏板との同期運転を実現する強制駆動式手すりベルト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は以下の技術案を採用し、
強制駆動式手すりベルト装置であって、手すりベルトと駆動輪とを含み、前記手すりベルトは、前記駆動輪と接触する接触面を有し、前記接触面の中心位置には、その長さ方向に沿って複数の強制駆動溝体が均一に開けられ、前記駆動輪の外縁には、複数の強制駆動歯が均一に分布され、前記駆動輪の強制駆動歯は、前記手すりベルトの接触面における強制駆動溝体内に嵌め込まれることで、手すりベルトに対する強制駆動を実現する。
【0009】
好ましくは、前記手すりベルトの接触面は接触平面であり、前記強制駆動溝体は、前記接触平面の中心位置に、その長さ方向に沿って均一に開けられる。
【0010】
好ましくは、前記手すりベルトの内部には、その長さ方向に沿って鋼帯が設けられ、前記強制駆動溝体の最も底面は、前記手すりベルトの鋼帯の最も底面より低く配置され、即ち、前記強制駆動溝体は前記手すりベルトの鋼帯を貫通するように配置される。
【0011】
好ましくは、前記手すりベルトの接触面は接触凸面であり、前記手すりベルトには長尺状ブロックが設けられ、前記長尺状ブロックの表面は前記接触凸面を構成し、前記長尺状ブロックの天井面には、その長さ方向に沿って前記強制駆動溝体が均一に開けられる。
【0012】
好ましくは、前記手すりベルトの内部には、その長さ方向に沿って平行の鋼線が複数本設けられ、前記強制駆動溝体の最も底面は、前記手すりベルトの鋼線の最も天井面より高く配置される。
【0013】
好ましくは、前記長尺状ブロックは台形ブロックであり、前記強制駆動溝体は、前記台形ブロックの形状に対応するように台形溝体に配置され、記駆動輪の強制駆動歯は、前記台形溝体に対応するように台形歯に配置される。
【0014】
好ましくは、前記強制駆動溝体の間の間隔及び形状は、前記強制駆動歯の間の間隔及び形状に一々対応する。
【発明の効果】
【0015】
従来技術に比べると、本発明が提供した強制駆動式手すりベルト装置は以下の優越性を備え、
1、伝動比が固定であり、環境及び摩耗程度に影響されることがなく、結果として、手すりベルトの運転と踏段の踏板の運転との同期性を保証する。
2、駆動力が大きいため、手すりベルトに十分な駆動力を提供し、運転による摩擦抵抗力、及び乗客による手すりの引張力を克服し、大型エスカレーター及び超長い動く歩道の手すりベルトの駆動の技術案に適用されることができる。
3、伝動効率が高くて、駆動摩擦発熱のエネルギー損失を減少させる。
4、手すりベルト駆動輪の、手すりベルトに対する正圧を減らして、駆動輪軸と軸受との径方向圧力を低減させ、駆動輪と支持軸受との耐用年数を長くする。
5、当該装置の駆動方式は強制駆動であるため、手すりベルトの張力を低減させ、手すりベルトの運転の際の摩擦抵抗力を減らして、手すりベルトとガイドレールとの間の摩擦発熱及び摩耗を減少させ、手すりベルトと手すりベルトガイドレールとの耐用年数を極めて長くして、また、手すりベルトの運転の際の、支持ローラの径方向圧力の大部分を減らすため、支持ローラの摩耗を低減させ、支持ローラ軸受の耐用年数を長くする。
6、駆動輪と接触する接触面を有すれば、当該構成は任意の仕様モデルの手すりベルトに設けられてもよく、幅広い適用性を具備する。
【0016】
本発明の実施例または従来技術の技術案を明らかに説明するために、以下は実施例または従来技術の記載の必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の記載の図面は本発明のいくつかの実施例のみであり、当業者にとって、進歩性に値する労働をしない前提で、これらの図面に応じて、他の図面を取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】C字状手すりベルトの構成模式図である。
図2】V字状手すりベルトの構成模式図である。
図3】本発明が提供した強制駆動式手すりベルト装置において、手すりベルトの接触面は接触平面である場合の手すりベルトの構成模式図である。
図4】本発明が提供した強制駆動式手すりベルト装置において、手すりベルトの接触面は接触凸面である場合の手すりベルトの構成模式図である。
図5】本発明が提供した強制駆動式手すりベルト装置の構成模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
従来の手すりベルトには、駆動の同期性及び安定性を保証できないという欠陥が存在する。摩擦駆動は、摩擦係数、正圧及び手すりベルトのテンションなどの要因に影響されるから、伝動の安定性が劣って、特に、外部温度、湿度、手すりベルトのテンション、摩耗状況の変化に連れて、伝動の安定性に大きく影響し、運転のブロッキング、スリップなどの状況はよくあり、手すりベルトの運転速度と踏段の運転速度、または左右にある2本の手すりベルトの運転速度の瞬間的な偏差を招致し、即ち、手すりベルトの運転は踏段の踏板の運転に同期していない。
【0019】
前記問題に対して、手すりベルトと踏段の踏板との同期運転を保証するために、本発明は従来の手すりベルトに対して構成最適化をさらに行う。
【0020】
以下は具体的な実施形態を利用して本発明の技術案を明らか且つ完全に記載する。明らかに、記載した実施例は、全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例のみである。本発明の実施例に基づき、当業者は進歩性に値する労働をしない前提で、取得した他の全ての実施例はいずれも本発明の保護範囲に該当している。
【0021】
強制駆動式手すりベルト装置は手すりベルト1と駆動輪2とを含む。手すりベルト1は駆動輪2と接触する接触面を有し、接触面の中心には、その長さ方向に沿って、複数の強制駆動溝体3が均一に開けられ、駆動輪2の外縁には複数の強制駆動歯4が均一に分布される。強制駆動溝体3の間の間隔及び形状は、強制駆動歯4の間の間隔及び形状に一々対応し、これによって、両者はぴったりと接触し噛合し得る。図5を参照して、駆動輪2の強制駆動歯4は、手すりベルト1の接触面での強制駆動溝体3内に嵌め込まれ、駆動輪2は回動し、強制駆動歯4と強制駆動溝体3との係合を実現することで、強制駆動手すりベルト1は運転する。
【0022】
図3を参照し、手すりベルト1の接触面は接触平面5であり、手すりベルト1の強度を向上させるために、当業者は意識的に、手すりベルト1の内部で、その長さ方向に沿って鋼帯6を配置する。
【0023】
接触平面5の中心位置には、その長さ方向に沿って、強制駆動溝体3が均一に開けられ、強制駆動溝体3の幅は接触平面5の幅の1/2の以上、且つ接触平面5の幅より小さい。強制駆動溝体3の最も底面は、手すりベルト1の鋼帯6の最も底面より低く配置され、即ち、強制駆動溝体3は手すりベルト1の鋼帯6を貫通するように配置され、これによって、鋼帯6は手すりベルト1に強度支持を提供するとともに、強制駆動溝体3にも強度支持を提供することで、強制駆動歯4の駆動力は手すりベルト1を完全に運転させることができることを保証する。
【0024】
他の仕様の手すりベルト1に適するために、相応的な構成変形を行ってもよい。図4を参照し、手すりベルト1の接触面は接触凸面である。即ち、手すりベルト1には、表面が接触凸面を形成する長尺状ブロック7が設けられる。同じように、手すりベルト1の強度を向上させるために、当業者は、手すりベルト1の内部で、その長さ方向に沿って、平行の鋼線8を複数本配置する。長尺状ブロック7の天井面には、その長さ方向に沿って、強制駆動溝体3が均一に開けられ、強制駆動溝体3の最も底面は、手すりベルト1の鋼線8の最も天井面より高く配置される。加工を便利にするために、強制駆動溝体3の幅は、長尺状ブロック7の幅の1/2の以上、且つ長尺状ブロック7の幅より小さいように配置される。
【0025】
図4において、好ましくは、長尺状ブロック7に対して台形ブロックを採用し、台形ブロックの形状に対応するように、強制駆動溝体3は台形溝体に配置され、台形溝体に対応するように、駆動輪2の強制駆動歯4は台形歯に配置される。
【0026】
作業の場合、エスカレーターの起動ボタンを押して、強制駆動式手すりベルト装置を起動させ、駆動輪2は前記複数の駆動輪の駆動で回動し、駆動輪2における強制駆動歯4は、手すりベルト1の対応する強制駆動溝体3に嵌め込まれることで、駆動輪2は回動し、手すりベルト1と踏段の踏板とを同期運動させる。
【0027】
本発明は、斬新な構成の手すりベルト、及び手すりベルトに対応する駆動輪を提供し、両者が協同するように使用されると、従来の手すりベルトの構成と駆動方式との欠陥を徹底的に克服でき、手すりベルトの運転と踏段の踏板との同期性、及び乗客の安全を根本から保証し、手すりベルトと手すりベルト駆動輪との摩耗を減少させ、駆動効率を向上させ、省エネ、及び手すりベルト、手すりベルト駆動装置、手すりベルトガイドレール、手すりベルト支持ローラなどの関連する部材の耐用年数を長くするという目的を実現する。
【0028】
開示した実施例に対する前記説明によって、当業者は、本発明を実現または使用できる。これらの実施例に対する多種の補正は、当業者にとって自明であり、本明細書に定義された一般的な原理は、本発明の精神または範囲から逸脱しない場合、他の実施例で実現されることができる。従って、本発明は本明細書に記載のこれらの実施例に限定されず、本明細書に開示された原理及び新規特点と一致する、最も幅広い範囲に合う。
【符号の説明】
【0029】
1 ・・・手すりベルト
2 ・・・駆動輪
3 ・・・強制駆動溝体
4 ・・・強制駆動歯
5 ・・・接触平面
6 ・・・鋼帯
7 ・・・長尺状ブロック
8 ・・・鋼線
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】