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特表2022-533302車両ブレーキアクチュエータの電気モータ温度推定とモータ制御
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  • 特表-車両ブレーキアクチュエータの電気モータ温度推定とモータ制御 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-22
(54)【発明の名称】車両ブレーキアクチュエータの電気モータ温度推定とモータ制御
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/60 20160101AFI20220714BHJP
   H02P 15/00 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
H02P29/60
H02P15/00 K
H02P15/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555868
(86)(22)【出願日】2020-03-02
(85)【翻訳文提出日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 FR2020050411
(87)【国際公開番号】W WO2020188175
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】1902761
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521375151
【氏名又は名称】ヒタチ アステモ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウイット、レナート
(72)【発明者】
【氏名】パッテロー カルケイジョ、アレックス
【テーマコード(参考)】
5H501
【Fターム(参考)】
5H501AA20
5H501DD06
5H501DD08
5H501HA07
5H501JJ03
5H501JJ25
5H501LL13
5H501LL22
5H501LL23
5H501LL32
5H501LL39
(57)【要約】
図3は、車輪制御装置(4)を示している。制御装置(4)は、モータの供給電圧(u)に応じたモータの角速度(ω)とモータの供給強度(i)の比からモータの温度(T)の第1補正係数(α)を決定するように構成される。制御装置(4)は、モータの温度(T)に応じたモータのオーム抵抗(R)とモータの定数(K)の比からモータの温度(T)の第2補正係数(α)を決定するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記ブレーキ(1)が電気モータ(31)を含む電気機械式アクチュエータ(3)を具備する、車両ブレーキ(1)の制御方法であって、
前記モータの温度(T)から前記アクチュエータ(3)を制御し、前記モータの前記温度(T)が前記モータのモータ定数(K)およびオーム抵抗(R)から推定されるステップ、
を具備し、
前記ブレーキ(1)の制御方法は、前記モータの供給電圧(u)に応じた前記モータの角速度(ω)と前記モータの供給電流(i)の比を表す第1関数(f)に基づいて、前記モータの第1温度(T)補正係数(α)を決定するステップ(121)を有する、および/または、
前記ブレーキ(1)の制御方法は、前記モータの前記温度(T)に応じた前記モータの前記オーム抵抗(R)とモータ定数(K)の比を表す第2関数(f)に基づいて、前記モータの第2温度(T)補正係数(α)を決定するステップ(123)を有する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項2】
前記ブレーキ(1)が制動設定点に従って制動力(F)を印加するように前記モータ(31)を制御することを有し、前記ブレーキ(1)により印加される前記制動力(F)が前記モータの前記温度(T)から推定される、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記ブレーキ(1)により印加される前記制動力(F)が、前記第1補正係数(α)から、および/または、第2補正係数(α)から推定される、請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記第1関数(f)および/または前記第2関数(f)が線形に構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項5】
前記モータのモータ定数(K)および/または前記オーム抵抗(R)が前記モータの供給電圧(u)と前記モータの供給電流(i)から推定される、請求項1から4のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項6】
車両ブレーキ(1)の制御装置(4)であって、
前記ブレーキ(1)は、電気モータ(31)を含む電気機械式アクチュエータ(3)を有し、
前記制御装置(4)は、前記電気機械式アクチュエータ(3)を、前記アクチュエータの前記電気モータの前記温度(T)から制御するように構成されて、前記モータのモータ定数(K)と前記オーム抵抗(R)とから前記モータの前記温度(T)が推定され、
前記制御装置(4)は、前記モータの前記供給電圧(u)に応じた前記モータの角速度(ω)と前記モータの前記供給電流(i)の比を表す第1関数(f)に基づいて、前記モータの第1温度(T)補正係数(α)を決定するように構成される、および/または、
前記制御装置(4)は、前記モータの前記温度(T)に応じた前記モータの前記オーム抵抗(R)と前記モータ定数(K)の比を表す第2関数(f)に基づいて、前記モータの第2温度(T)補正係数(α)を決定するように構成される、
ことを特徴とする、制御装置(4)。
【請求項7】
前記第1関数(f)および/または前記第2関数(f)が線形に構成される、請求項6に記載の制御装置(4)。
【請求項8】
前記モータのモータ定数(K)および/または前記オーム抵抗(R)が前記モータの前記供給電圧(u)と前記モータの前記供給電流(i)から推定される、請求項6から7のいずれか一項に記載の制御装置(4)。
【請求項9】
自動車両のブレーキ(1)であって、
請求項6から8のいずれか一項に記載の電気機械式アクチュエータ(3)および制御装置(4)を具備し、
前記制御装置(4)が前記ブレーキ(1)の前記アクチュエータ(3)を制御するように構成される、自動車両のブレーキ(1)。
【請求項10】
前記制御装置(4)は前記モータ(31)を制御して前記ブレーキ(1)が制動設定点に従って制動力(F)を印加するように構成され、前記ブレーキ(1)により印加される前記制動力(F)が前記モータの前記温度(T)から推定される、請求項9に記載のブレーキ(1)。
【請求項11】
前記ブレーキ(1)により印加される前記制動力(F)が前記第1補正係数(α)から、および/または、前記第2補正係数(α)から推定される、請求項9および10のいずれか一項に記載のブレーキ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両ブレーキに関する。具体的には、アクチュエータのモータ温度からの電気機械式ブレーキアクチュエータの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
浮動キャリパーブレーキは、キャリパーに接続される電気機械式アクチュエータを具備する。電気機械式アクチュエータは電気モータを具備する。
【0003】
これらのブレーキには、温度センサを備えるものがある。その場合、モータの温度を考慮してアクチュエータモータが制御される。そのため、ブレーキによって印加される制動力がより正確になる傾向がある。
【0004】
ブレーキ温度センサを備えていない場合は、制動性能に対するモータ温度の影響を制限する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
この点について、本発明は車両ブレーキの制御方法にであって、ブレーキは、電気モータを含む電気機械式アクチュエータを具備する。制御方法は、前記モータの推定温度から前記アクチュエータを制御することを有し、前記モータの温度は前記モータのモータ定数とオーム抵抗とから推定される。
【0006】
本発明によれば、ブレーキの制御方法は、前記モータの供給電圧に応じた前記モータの角速度と前記モータの供給電流の比を表す第1関数に基づいて、前記モータの第1温度補正係数を決定するステップを有する。
【0007】
付加的または代替的に、ブレーキの制御方法は、前記モータの温度に応じた前記モータのオーム抵抗とモータ定数の比を表す第2関数に基づいて、前記モータの第2温度補正係数を決定するステップを有する。
【0008】
電気モータの温度を推定することにより、第1温度補正係数および/または第2温度補正係数において、ブレーキ温度センサを備えていなくても、制動性能に対する電気モータの温度の影響は制限される。電気モータ、より広くはアクチュエータが、電気モータの推定温度を考慮して制御される。ブレーキにより印加される制動力も、電気モータの温度を考慮し、特に第1温度補正係数および/または第2温度補正係数によって、より正確に推定される。
【0009】
結果的に、電気機械式ブレーキアクチュエータの質量、出力、そしてコストが制限されうる。ブレーキにより印加される制動力をより正確に制御することにより、制動がより効率的になる傾向がある。
【0010】
本発明は、互いの組み合わせの如何に関わらず、以下の特徴のうち1または2以上を有してもよい。
【0011】
特定の実施形態によれば、制御方法は、前記ブレーキが制動設定点に従って制動力を印加するように前記モータを制御することを有し、前記ブレーキにより印加される制動力は前記モータの温度から推定される。
【0012】
特定の実施形態によれば、前記ブレーキにより印加される制動力は、第1補正係数および/または第2補正係数から推定される。
【0013】
特定の実施形態によれば、前記第1関数および/または前記第2関数は、線形に構成される。
【0014】
特定の実施形態によれば、前記モータのモータ定数および/またはオーム抵抗は、前記モータの供給電圧と前記モータの供給電流から推定される。
【0015】
本発明は、車両ブレーキの制御装置であって、前記ブレーキは、電気モータを含む電気機械式アクチュエータを有する。制御装置は、前記アクチュエータの前記電気モータの温度から前記電気機械式アクチュエータを制御するように構成され、前記モータの温度は前記モータのモータ定数とオーム抵抗とから推定される。
【0016】
本発明によれば、前記モータの供給電圧に応じた前記モータの角速度と前記モータの供給電流の比を表す第1関数に基づいて、前記モータの第1温度補正係数を決定するように制御装置が構成される。
【0017】
付加的または代替的に、前記モータの温度に応じた前記モータのオーム抵抗とモータ定数の比を表す第2関数に基づいて、前記モータの第2温度補正係数を決定するように制御装置が構成される。
【0018】
本発明はモータ車両ブレーキであって、ブレーキは上記で定義された電気機械式アクチュエータと制御装置とを具備する。前記制御装置は前記ブレーキの前記アクチュエータを制御するように構成される。
【0019】
特定の実施形態によれば、モータを制御して前記ブレーキが制動設定点に従って制動力を印加するように前記制御装置が構成され、前記ブレーキにより印加される制動力は前記モータの温度から推定される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
添付図面を参照して例示的な実施形態の説明を通読することで、本発明がより理解されることとなる。
図1】本発明の第一実施形態による車両ブレーキの部分的概略図である。
図2】本発明の第一実施形態によるアクチュエータおよびアクチュエータ制御装置の部分的概略図である。
図3】第一実施形態によるアクチュエータ制御装置の部分的概略図である。
図4】モータの供給電圧に応じたモータの角速度とモータへ供給される電流の比の部分的概略図である。
図5】モータの温度に応じたモータのオーム抵抗とモータの定数の比の部分的概略グラフである。
図6】第一実施形態によるブレーキの制御方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
一つの図から別の図への移動を容易にするように、異なる図の同一、類似、または同等の部品に同じ参照番号が付されている。
【0022】
図1は、自動車両のディスクブレーキ1を示す。ディスクブレーキ1は、浮動タイプが有利であるキャリパー2、ヨーク(不図示)、電気機械式アクチュエータ3、2枚のパッド(不図示)、ディスク12を含む。ブレーキ1は、ピストン11と、アクチュエータの制御装置4とを含む。なお、ブレーキ1は駐車ブレーキである。
【0023】
第一変形実施形態において、本発明によるブレーキは、常用ブレーキのための油圧式アクチュエータ(一般的にはシリンダ/ピストン)と、駐車および/または緊急ブレーキのための電気機械式アクチュエータとを含む。第二変形実施形態では、すべてのブレーキアクチュエータは電気式または電気機械式である。単一の電気機械式アクチュエータが常用、駐車、および/または、緊急制動を行うと有利である。
【0024】
ピストン11はキャリパー2に収容される。これはキャリパー2に対する並進移動が可能であって、ディスク12を挟持するパッド(不図示)を制動中に接近させる。
【0025】
電気機械式アクチュエータ3はヨーク2に接続される。電気機械式アクチュエータ3は、電気モータ31、伝達装置32、そしてモータ31と伝達装置32とを収容するケース34を具備する。
【0026】
モータ31の動作は、以下の5つの方程式により説明される。
【数1】
これらの方程式において、uはモータの供給電圧を表し、iはモータの供給電流を表し、Lはモータインダクタンスを表し、Rはモータのオーム抵抗を表し、Kはモータ定数を表し、Jはモータの慣性モーメントを表し、ωはモータの角速度を表し、Mはモータ出力トルクを表し、Mはモータ負荷トルクを表し、Mはモータ摩擦トルクを表し、Sはピストンの変位を表す。
【0027】
伝達装置32はピストン11に接続される。これは、歯車など複数の運動伝達要素を具備する。伝達装置32は、モータ31により駆動される時にピストン11を変位させるように構成される。
【0028】
制御装置4は少なくとも一つの制御ユニットを具備する。制御装置4は、例えばデータ送信網、無線接続、または電源ケーブルによって、モータ31の動作を制御する。制御装置4は、使用されるモータ31のタイプ(ブラシ付きモータおよび/またはブラシ無しモータ、または同様のもの)に適応している。これは、デジタルコンピュータにより制御されると有利な、例えばパワートランジスタまたは同様のものを含む切替手段を含むと有利である。
【0029】
図の実施形態において、各制御ユニットはアクチュエータのケース34の外側に設置される。各制御ユニットは、例えばコンピューティングユニットを具備する。コンピューティングユニットは、例えば、商標「ESP」で知られる車両安定性装置のコンピュータ、制動専用の中央コンピュータ、車両の他の機能を共有するデジタルコンピュータ、および/または、ブレーキ1に一体化されるコンピュータにより形成される。
【0030】
図2および図3を参照すると、制御装置4は、モータの抵抗を推定するための装置5、モータ定数を推定するための装置6、モータの温度を推定するための装置7、モータの角速度を推定するための装置8、モータ出力トルクを推定するための装置9、ピストンの変位を推定するための装置20、制動力を推定するための装置22を具備する。
【0031】
図2および図3を参照すると、温度を推定するための装置7により推定されるアクチュエータの電気モータの温度Tから電気機械式アクチュエータ3を制御するように制御装置4が構成される。
【0032】
温度推定装置7は、モータ31の温度Tを、モータの定数Kとモータのオーム抵抗Rとから推定するように構成される。特に、モータの温度Tが上昇するとモータの定数Kが減少する傾向がある。また、モータの温度Tが上昇するとモータのオーム抵抗Rが増加する傾向がある。
【0033】
モータの定数Kとオーム抵抗Rは、電気モータ31の経年劣化とともに変化し易い。抵抗推定装置5は、電気モータのオーム抵抗Rを、モータの供給電圧uとモータの供給電流iとから推定するように構成される。モータ定数を推定するための装置6は、電気モータの定数Kを、モータの供給電圧uとモータの供給電流iとから推定するように構成される。モータの定数Kとオーム抵抗を決定する際、モータの慣性モーメントJの値は既知である。
【0034】
モータの定数Kとモータのオーム抵抗Rは、例えば、電気モータ31の挙動を表す上記の5つの方程式により、米国特許出願公開第2016/0103430号に開示されている推定方法を使用して2つのステップで推定される。
【0035】
並行して、あるいはモータの温度Tが推定された後で、角速度推定装置8はモータの角速度ωを推定する。モータ出力トルクを推定するための装置9は、モータ出力トルクMを推定する。上記の方程式(2)および(5)は、例えば、オーム抵抗R、モータの定数K、モータの供給電圧u、モータの供給電流iが既知であることが分かった上で、モータの角速度ωとモータの出力トルクMとを推定するのに使用される。
【0036】
モータの角速度ωとモータの出力トルクMが推定されると、制御装置4はモータの第1温度補正係数αとモータの第2温度補正係数αを確定する。
【0037】
より具体的には、図4を参照すると、第1補正係数αは第1関数fから確定される。第1関数fは実質的に線形に構成される。これは、モータの供給電圧uに応じたモータの角速度ωとモータ31に供給される電流iの比が関わる。第1補正係数αは、制動力Fに対するモータ31の温度の影響を考慮して、ブレーキ1により印加される制動力Fをその後で推定するのに使用される。
【0038】
より具体的には、図5を参照すると、第2補正係数αは第2関数fから推定される。第2関数fは実質的に線形に構成される。これは、モータの温度Tに応じたモータのオーム抵抗Rとモータの定数Kの比が関わる。第2補正係数αは、制動力Fに対するモータ31の温度Tの影響を考慮して、ブレーキ1により印加される制動力Fをその後で推定するのに使用される。
【0039】
再び図3を参照すると、ピストンの変位を推定するための装置20は、ピストンの変位Sをモータの角速度ωから推定するように構成される。ピストンの変位Sは、伝達装置32の減速率と、キャリパー2に収容される伝達要素の減速率とに依存する。図の実施形態において、ピストンの変位Sはモータの温度Tにほとんど依存しないので、第1補正係数αまたは第2補正係数αなどモータの温度に関係する補正係数を用いずにピストンの変位Sが推定される。このようなピストンの変位を推定するための装置20は周知である。
【0040】
制動力を推定するための推定装置22は、ブレーキ1により対応の車輪に印加される制動力Fを推定するように構成される。図の実施形態において、制動力Fは、パッド(不図示)によりディスク12に印加される挟持力に対応する。制動力Fは、モータの角速度ω、モータの出力トルクM、そしてモータの温度Tから推定される。第1補正係数αと第2補正係数αとによって制動力Fを推定するのに特にモータの温度Tが考慮される。
【0041】
図3および図6を参照すると、ブレーキ1の制御方法が示されている。制御方法100は、上に記載された制御装置4によって行われる。制御方法100は、ステップ135で、アクチュエータの電気モータ31の動作をモータの推定温度Tから制御することを目的とする。
【0042】
制御方法100は、モータ31の供給電圧u、モータの供給電流i、そしてモータの慣性モーメントJを決定する初期ステップ101を有する。モータの慣性モーメントJは、例えば電気モータ31の仕様から既知である。供給電圧uと供給電流iとは多様な時点で、例えば一定間隔で測定される。
【0043】
制御方法100は、測定されたモータの供給電圧uとモータの供給電流iからモータの定数Kを推定するステップ103に移行する。並行して、制御方法100は、モータの供給電圧uとモータの供給電流iから、モータのオーム抵抗Rを推定するステップ105を有する。
【0044】
そして制御方法100は、温度推定装置7によって、電気モータの温度Tをモータのオーム抵抗Rと定数Kとから推定するステップ107を有する。温度Tを推定するステップ107は、本明細書ではモータ温度Tを推定するための方法とも呼ばれる。
【0045】
制御方法100は、モータの供給電圧u、モータの供給電流i、モータの慣性モーメントJ、モータのオーム抵抗R、モータの定数Kから、モータの角速度ωを推定するステップ109を有する。並行して、制御方法100は、モータの供給電圧u、モータの供給電流i、モータの慣性モーメントJ、モータのオーム抵抗R、モータの定数Kから、モータの出力トルクMを推定するステップ111を有する。
【0046】
制御方法100は、ピストンの変位を推定するための装置20によって、モータの角速度ωからピストンの変位Sを推定するステップ131を有する。並行して、制御方法100は、制動力推定装置22によって、モータの角速度ω、モータの出力トルクM、そしてモータの温度Tから、制動力Fを推定するステップ133を有する。
【0047】
制御方法100は、モータ31の動作の制御ステップ135で終了する。制御装置4は、特にモータの供給電圧uとモータの供給電流iを制御する。そして、モータ31が角速度ωで回転して出力トルクMを発生させるので、ピストン11が設定値Sだけ変位するとともに、ブレーキ1が制動設定点に従って制動力Fを印加する。
【0048】
言うまでもなく、本発明の明細書の範囲を逸脱することなく、これまで説明した発明に様々な変更が当業者により加えられうる。
【0049】
不図示の実施形態において、ブレーキ1は、電気機械式アクチュエータ3とアクチュエータの制御装置4とを具備するドラムブレーキである。
【0050】
不図示の別の実施形態において、ブレーキ1は、浮動キャリパーブレーキではなく固定キャリパーブレーキである。
【0051】
ピストン11の変位Sは、制御装置4によりモータ31の温度Tから推定されうる。
【0052】
代替的または付加的に、モータの供給電圧uおよび供給電流iから推定されるのではなく、モータの定数K、モータのオーム抵抗R、および/または、モータの角速度ωが測定される。
【0053】
制御装置4は、他のパラメータによって、例えば、モータ31または伝達装置32の摩耗および/または摩擦を考慮することにより、モータ31の動作を制御できる。
【0054】
第1補正係数αおよび第2補正係数αとは別の補正係数が使用されうる。
【0055】
第1関数fと第2関数fは、各々、例えば多項式のような非線形で構成されることで、より正確になりうる。
【符号の説明】
【0056】
1 ディスクブレーキ
2 キャリパー
3 電気機械式アクチュエータ
4 制御装置
5 モータ抵抗推定装置
6 モータ定数推定装置
8 モータ角速度推定装置
9 モータトルク推定装置
11 ピストン
12 ディスク
20 ピストン変位推定装置
22 制動力推定装置
31 電気モータ
32 伝達装置
34 アクチュエータケース
T 電気モータの温度
K モータ定数
R モータ抵抗
L モータインダクタンス
u モータの供給電圧
i モータの供給電流
J モータの慣性モーメント
ω モータの角速度
モータ出力トルク
モータ負荷トルク
モータ摩擦トルク
S ピストンの変位
ブレーキにより印加される制動力
第1関数
α モータの第1温度補正係数
第2関数
α モータの第2温度補正係数
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】