(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-22
(54)【発明の名称】加圧水型原子炉用の核燃料集合体およびこのような集合体を格納する原子炉の炉心
(51)【国際特許分類】
G21C 3/326 20060101AFI20220714BHJP
G21C 3/62 20060101ALI20220714BHJP
G21C 1/08 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
G21C3/326
G21C3/62 700
G21C3/326 400
G21C3/62 200
G21C1/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021565861
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(85)【翻訳文提出日】2021-12-15
(86)【国際出願番号】 EP2020062680
(87)【国際公開番号】W WO2020229288
(87)【国際公開日】2020-11-19
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391045831
【氏名又は名称】フラマトム
【氏名又は名称原語表記】FRAMATOME
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ソンヒ
(72)【発明者】
【氏名】デュプレ,バプティストゥ
(57)【要約】
加圧水型原子炉用のこの核燃料集合体(16)は、核燃料棒(24)、制御クラスタから吸収棒を受入れるための案内管(31)、および場合によっては計装管を含み、棒(24)は2つの領域(41、42)、すなわち、- 中央領域(41)であって、その全ての棒(24)が、照射前に専らウランとプルトニウムの混合酸化物をベースとする燃料を有する棒(24)である、中央領域(41)および、- 集合体(16)の外部面に沿って延在する周辺領域(42)であって、その全ての棒(24)が、照射前に酸化ウランを格納するものの酸化プルトニウムは格納していない棒(24)である、周辺領域(42)、に配分されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧水型原子炉(1)用核燃料集合体(16)において、核燃料棒(24)、制御クラスタ(20)から吸収棒(40)を受入れるための案内管(31)、および場合によっては計装管を含む集合体であって、核燃料棒(24)が2つの領域(41、42)、すなわち、
- 中央領域(41)であって、その全ての核燃料棒(24)が、照射前に専らウランとプルトニウムの混合酸化物をベースとする燃料を有する核燃料棒(24)である、中央領域(41)および、
- 集合体(16)の外部面に沿って延在する周辺領域(42)であって、その全ての核燃料棒(24)が、照射前に酸化ウランを格納するものの酸化プルトニウムは格納していない、周辺領域(42)、
に配分されており、
中央領域(41)の核燃料棒(24)のウランが、周辺領域(42)の核燃料棒(24)のウラン235質量含有率よりも厳密には低いウラン235質量含有率を有する、
核燃料集合体(16)。
【請求項2】
中央領域(41)の核燃料棒(24)の少なくともいくつかが、中性子毒を格納する核燃料棒(24)である、請求項1に記載の集合体(16)。
【請求項3】
中央領域(41)が、核燃料棒(24)のプルトニウム含有率に関して領域分けされており、プルトニウム含有率が、中央領域(41)の外部から内部に向かって増大している、請求項1または2に記載の集合体(16)。
【請求項4】
中央領域(41)の核燃料棒(24)が、核燃料棒(24)の3つの群に配分されており、核燃料棒(24)のプルトニウム含有率が同一群内では同一であり、異なる群の核燃料棒(24)のプルトニウム含有率は異なるものである、請求項3に記載の集合体(16)。
【請求項5】
中央領域(41)の全ての核燃料棒(24)が、照射前にプルトニウムとほぼ同じ同位体組成を有する、請求項1から4のいずれか一つに記載の集合体(16)。
【請求項6】
周辺領域(42)の核燃料棒(24)の少なくともいくつかが、中性子毒を格納する核燃料棒(24)である、請求項1から5のいずれか一つに記載の集合体(16)。
【請求項7】
集合体(16)が、外部ケースを含んでいない、請求項1から6のいずれか一つに記載の集合体(16)。
【請求項8】
核燃料棒(24)、案内管(31)、および場合によっては計装管が、規則的格子の全ての節点を占有している、請求項1から7のいずれか一つに記載の集合体(16)。
【請求項9】
核燃料が、核燃料棒(24)の中に格納された中実ペレット(36)の形で包装されている、請求項1から8のいずれか一つに記載の集合体(16)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一つに記載の燃料集合体(16)を少なくとも1つ含む原子炉(1)の炉心(2)。
【請求項11】
全ての燃料集合体(16)が、請求項1から9のいずれか一つに記載の集合体(16)である、請求項10に記載の炉心(2)。
【請求項12】
- 請求項1から9のいずれか一つに記載の集合体である、少なくとも1つの第1の燃料集合体(16)と、
- 第1の燃料集合体(16)とは異なる少なくとも1つの第2の燃料集合体(16)と、
を含む、請求項10に記載の炉心(2)。
【請求項13】
複数の第2の集合体(16)を含み、第2の集合体(16)の全ての核燃料棒(24)が、照射前に酸化ウランを格納するものの酸化プルトニウムは格納しておらず、少なくとも1つの第1の集合体(16)が、その少なくとも1つの側面で第2の集合体(16)に隣接している、請求項12に記載の炉心(2)。
【請求項14】
第2の集合体(16)の核燃料棒(24)が、単数または複数の第1の集合体(16)の周辺領域(42)の核燃料棒(24)のウラン235含有率よりも厳密には低いウラン235含有率を有している、請求項13に記載の炉心(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核燃料の多重リサイクルを可能にする、加圧水型原子炉用の核燃料集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
照射前には酸化プルトニウムを格納せず酸化ウランのみを格納する燃料を有する照射済み加圧水型原子炉用核燃料集合体のリサイクルは、ずいぶん以前から実施されている。このような集合体は概して、UOX集合体と呼ばれ、それらが格納する核分裂性物質は、UOX燃料と呼ばれる。照射済みUOX集合体からリサイクルされたプルトニウムは、酸化物の形で、担体物質または担体ウランと呼ばれる酸化ウランと混合されることができ、MOX(Mixed OXideの略)集合体と呼ばれる核燃料集合体を構成し、それが格納する核分裂性物質はMOX燃料と呼ばれる。これらのMOX集合体は、照射の前には、MOX燃料のみ格納する。これらのMOX集合体は、原子炉の炉心内でそれらが共存しているUOX集合体との関係においてエネルギー等価性を得るように構想されている。このようなMOX集合体の一例は、特に仏国特許出願公開第2693023号明細書に記載されている。しかしながらこの集合体は、十分に満足なものではない。実際、この集合体は、MOX棒のプルトニウムが照射済みUOX集合体に由来する場合にエネルギー等価性を得るように構想されているが、いわゆる「多重リサイクルされた」プルトニウム、すなわち照射済みMOX燃料のリサイクルに由来するプルトニウムについては、満足のいく形でエネルギー等価性を得ることを可能にするものではない。
【0003】
多重リサイクルすなわち照射済みMOX集合体由来の燃料の連続的リサイクルの概念は、何年も前から研究されており、以下で100%MOX炉心と呼ばれるMOX集合体のみが装荷された炉心の構成を目的として、集合体のさまざまな設計変形形態が研究されてきた。このような研究の結果は、特に、G.Youinouら、:Plutonium Multirecycling in Standard PWRs loaded with Evolutionary Fuels、Nuclear Science and Engineering 151(2005)pp.25~45、およびA.Vasile:Advanced fuels for plutonium management in pressurized water reactors、Journal of Nuclear Materials 319(2003)pp.173~179の論文中に記載されている。
【0004】
以上で言及した論文中に記載されているもののような100%MOX炉心の場合には、UOX集合体とのエネルギー等価性の問題は取り上げられない。
【0005】
しかしながら、多重リサイクルされた燃料の利用を可能にし、100%MOX炉心内ではなくむしろMOX燃料およびUOX集合体を同時に含む混合炉心内で利用することのできる集合体を構想することが望ましい。
【0006】
実際、MOX100%炉心構成での加圧水型原子炉の運用は、100%UOX炉心構成、さらには混合炉心構成、つまりUOX集合体と、これらのUOX集合体とエネルギー的に等価であるMOX集合体とを、同時に格納する炉心の構成での運用よりもむずかしい。詳細には、通常使用される吸収剤(制御クラスタおよび一次回路の水中に溶解したホウ素)の効率は、100%MOX炉心の場合低下する。実際、UOX燃料の中性子スペクトルは、MOX燃料のものよりもさらに熱的である、すなわちより大きい割合の熱中性子(エネルギー<0.1eV)を含有しており、これにより吸収剤による中性子のより優れた吸収が可能となっている。その結果、100%MOX炉心の制御には、これらの吸収剤を適応させる必要がある。その上、照射の停止から数日後に、照射済みMOX集合体の残留出力は照射済みUOX集合体のものよりもさらに高くなり、このため、原子炉の停止中または除染プール内の集合体の残留熱の除去は複雑なものとなり得る。
【0007】
しかしながら、MOX燃料のリサイクルは、以下リサイクルプルトニウムと呼ばれる、得られたプルトニウムの同位体ベクトルの劣化をひき起こす。第1世代のリサイクルプルトニウムすなわち、UOX集合体の照射に由来していたプルトニウムを有する照射済みMOX集合体由来のリサイクルプルトニウム上にすでに存在するこの劣化は、リサイクルを重ねるにつれて、すなわちリサイクルプルトニウムが、それ自体リサイクルプルトニウムであったプルトニウムを有する照射済みMOX集合体に由来するものである場合に、増幅される。リサイクルプルトニウムは、実際、より少ない核分裂性同位体と、より多くの吸収性同位体を含有し、エネルギー等価性の獲得を困難にしている。
【0008】
エネルギー等価性は例えば、リサイクルされたMOX燃料、すなわち、照射済みMOX集合体由来であるプルトニウムを有するMOX燃料を製造するために使用される担体ウランを濃縮することによって復元可能である。ただし、担体ウランのこの濃縮度増大により、MOX集合体製造工場において、異なる濃縮度の複数のウラン物質を管理しなければならなくなり、こうして製造手順が複雑化され、エラーリスクが増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】仏国特許出願公開第2693023号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】G.Youinou ら、:Plutonium Multirecycling in Standard PWRs loaded with Evolutionary Fuels、Nuclear Science and Engineering 151(2005)pp.25~45
【非特許文献2】A.Vasile:Advanced fuels for plutonium management in pressurized water reactors、Journal of Nuclear Materials 319(2003)pp.173~179
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、製造プロセスの複雑化をひき起こすことなく、既存のMOX集合体の製造設備内で製造可能でありながら、UOX燃料、および/またはUOX燃料由来のMOX燃料を同様に含む炉心内で多重リサイクルされたMOX燃料を使用できるようにする加圧水型原子炉用の核燃料集合体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このため、本発明は、加圧水型原子炉用の核燃料集合体において、核燃料棒、制御クラスタから吸収棒を受入れるための案内管、および場合によっては計装管を含む集合体であって、棒が2つの領域、すなわち、
- 中央領域であって、その全ての棒が、照射前に専らウランとプルトニウムの混合酸化物をベースとする燃料を有する棒である、中央領域および、
- 集合体の外部面に沿って延在する周辺領域であって、その全ての棒が、照射前に酸化ウランを格納するものの酸化プルトニウムは格納していない、周辺領域、
に配分されている核燃料集合体を目的としている。
【0013】
特定の実施形態によると、核燃料集合体は、単独で取上げられる、または技術的に可能な全ての組合せにしたがった、以下の特徴のうちの単数または複数を含むことができる。
- 中央領域の棒の少なくともいくつかは、中性子毒を格納する棒である。
- 中央領域は、棒のプルトニウム含有率に関して領域分けされており、プルトニウム含有率は、中央領域の外部から内部に向かって増大している。
- 中央領域の棒は、棒の3つの群に配分されており、棒のプルトニウム含有率は同一群内では同一であり、異なる群の棒のプルトニウム含有率は異なるものである。
- 中央領域の全ての棒は、照射前にプルトニウムとほぼ同じ同位体組成を有する。
- 中央領域の棒のウランは、周辺領域の棒のウラン235質量含有率よりも厳密には低いウラン235質量含有率を有する。
- 周辺領域の棒の少なくともいくつかは、中性子毒を格納する棒である。
- 集合体は、外部ケースを含んでいない。
- 棒、案内管、および場合によっては計装管は、規則的格子の全ての節点を占有している。
- 核燃料は、棒の中に格納された中実ペレットの形で包装されている。
【0014】
本発明は、先に記述された少なくとも1つの集合体を含む加圧水型原子炉の炉心にも関する。
【0015】
特定の実施形態によると、原子炉の炉心は、単独で取上げられる、または技術的に可能な全ての組合せにしたがった、以下の特徴のうちの単数または複数を含むことができる。
- 全ての集合体は、先に記述された集合体である。
- 炉心は、先に記述された集合体である、少なくとも1つの第1の集合体と、第1の集合体とは異なる少なくとも1つの第2の集合体と、を含む。
- 第2の集合体は例えば、
〇 全ての燃料棒が、照射前に酸化ウランを格納するものの酸化プルトニウムは格納していない、集合体および、
〇 全ての燃料棒が、照射前に専らウランとプルトニウムの混合酸化物をベースとする燃料を有する棒である集合体、
の中から選択される。
- 炉心は、複数の第2の集合体を含み、第2の集合体の全ての燃料棒は、照射前に酸化ウランを格納するものの酸化プルトニウムは格納しておらず、少なくとも1つの第1の集合体は、その少なくとも1つの側面で第2の集合体に隣接している。
- 第2の集合体の棒は、単数または複数の第1の集合体の周辺領域の棒のウラン235含有率よりも厳密には低いウラン235含有率を有している。
【0016】
本発明は、一例として示されているにすぎない以下の説明を、添付図面を参照しながら読むことによって、より良く理解されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】
図1の原子炉の炉心内での核燃料集合体および制御クラスタの考えられる配分を示す上面概略図である。
【
図3】
図1の原子炉の炉心の核燃料集合体の側面概略図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る
図3の集合体内の核燃料棒の配分を例示する上面概略図である。
【
図5】
図3の集合体の燃料棒の縦断面概略図である。
【
図6】
図1の原子炉の制御クラスタの縦断面部分概略図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係る
図3の集合体内の核燃料棒の配分を例示する上面概略図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態に係る
図3の集合体内の核燃料棒の配分を例示する上面概略図である。
【
図9】照射開始時の、
図4の集合体の燃料棒内の半径方向出力分布の概略図である。
【
図10】照射開始時の、
図7の集合体の燃料棒内の半径方向出力分布の概略図である。
【
図11】照射開始時の、
図8の集合体の燃料棒内の半径方向出力分布の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、従来通り1つの炉心2そして以下の要素の各々を単数または複数含む加圧水型原子炉1を概略的に例示しており、ここで
図1中にはこれらの要素が各々1つずつだけ表わされている。
- 蒸気発生器3、
- 発電機5に結合されたタービン4、および
- 凝縮器6。
【0019】
原子炉1は、反射材(図示せず)を含む。
【0020】
原子炉1はさらに、
図1に矢印で具現されている行程に沿って圧力下の水が内部を循環する、ポンプ8の備わった一次回路7を含む。この水は、特に、炉心2を横断して再び上昇してそこで再加熱され、同時に炉心2内の冷却および減速を保証する。
【0021】
一次回路7は、さらに、一次回路7内を循環する水の圧力を調節できるようにする加圧器9を含む。
【0022】
水補給網さらにはREAと呼ばれる回路10が、例えばポンプ8を介して一次回路7に連結されて、一次回路7に水を供給する。REA回路10は、例えばホウ酸H3BO3の形で可溶性ホウ素を格納するタンク11を含む。REA回路10はこうして、一次回路7の水中にホウ素を導入し、ひいては炉心2内の反応度を低下させることを可能にする。好ましくは、タンク11内に格納されたホウ素は、ホウ素10に濃縮されており、この同位体の原子含有率が40%超または例えば約50%となるようになっている。天然ホウ素の原子質量同位体10の原子含有率は約20%であることを確認しておく。
【0023】
一次回路7の水は、蒸気発生器3にも供給され、そこでこの水は、二次回路12内を循環する水の蒸発を保証することによって冷却される。
【0024】
蒸気発生器3により生成された蒸気は、二次回路12によってタービン4に向かって、次に凝縮器6に向かって導かれ、そこでこの蒸気は、凝縮器6内を循環する冷却水との間接的熱交換によって凝縮される。
【0025】
二次回路12は、凝縮器6の下流側に、ポンプ13および再熱器14を含む。
【0026】
同様に従来通り、炉心2は、容器18内に装荷される核燃料集合体16を含む。
図1には唯一つの集合体16しか表されていないが、炉心2は例えば241個の集合体16を含む。
【0027】
図2は、炉心2内部のこれらの異なる集合体16の配分例を上面図で示す。ここで各々の正方形は1つの集合体16を具現している。
【0028】
従来、原子炉1の運用に際して、原子炉は、使用済みの集合体16が未使用の集合体16により置換され、炉心2内に残った集合体16が位置を変えることのできる置換段階によって、分離される連続する複数のサイクルの間、機能する。
【0029】
原子炉1は、容器18内でいくつかの集合体16の上方に配置された制御クラスタ20(
図1)を含む。
図1には唯一のクラスタ20しか表わされていないが、炉心2は例えば89個のクラスタ20を含むことができる。
【0030】
クラスタ20は、メカニズム22によって変位させられて、クラスタが見下ろす集合体16の中に挿入される、またはそこから引抜かれ得る。
【0031】
従来、各クラスタ20は、中性子を吸収する単数または複数の材料を含む吸収棒、そして場合によっては、不活性棒、すなわち中性子吸収比容量を有していない棒を含む。
【0032】
したがって、クラスタ20の垂直方向変位により、炉心2内の反応度を調節することが可能となり、集合体16内への制御クラスタ20の下降に応じてゼロ出力から公称出力NPまで炉心2により供給される包括的出力Pの変動が許容されることになる。
【0033】
これらのクラスタ20のいくつかは、例えば出力または温度についての炉心2の機能の調節を保証するためのものであり、コントロールクラスタと呼ばれる。他のクラスタは、原子炉1の停止のみを目的とするものであり、停止クラスタと呼ばれる。
【0034】
図示された例において、原子炉1は、40のコントロールクラスタと49の停止クラスタを含む。
図2では、コントロールクラスタが上に載っている集合体16は、斜線により印付けされており、停止クラスタが上に載っている集合体16は、点で印付けされている。
【0035】
図3によって表わされているように、各々の集合体16は、核燃料棒24の束と棒24の支持用骨格構造26を含む。
【0036】
骨格構造26は、従来より、下部先端部28、上部先端部30、2つの先端部30および28を連結しクラスタ20の棒を受入れるための案内管31、およびスペーサグリッド32を含む。
【0037】
任意には、集合体16はさらに計装管を含む。
【0038】
図5に例示されているように、各々の棒24は、従来通り、下部栓34および上部栓35によって閉鎖される円形管の形をした被覆33を含む。棒24は、例えば被覆33の中に積み重ねられ下部栓34に支持される一連のペレット36の形で包装された核燃料を閉じ込めている。維持用ばね39が、被覆33の上部区分の中に配置されて、上部栓35および上部ペレット36に支持されている。
【0039】
ペレット36は、球冠の形をしたくり抜き部37を含み得る。しかしながら、好ましくは、これらのペレット36は中実であり、したがって例えば、それらに環状形状を付与する横断通路を含んでいない。
【0040】
核燃料の照射の際に生成されるガスの膨張用空間38が、核燃料、下部栓34、上部栓35およびばね39によって、被覆33の内部に画定されている。
【0041】
一例として、被覆33は、ジルコニウム合金製である。
【0042】
図4は、本発明の特定の一実施形態に係る集合体16を例示している。
【0043】
この集合体16内で、棒24、案内管31および場合によって計装管(示された例中には存在せず)は、正方形ベースの規則的な格子の節点を占有している。計装管が存在する場合、それは、集合体16の中央節点を占有する。そうでなければ、
図4に表わされているように、集合体16の中央節点は、棒24によって占有される。
【0044】
好ましくは、格子の節点は各々、棒24、案内管31または計装管によって占有される。こうして、格子の全ての節点は、棒24、計装管または案内管31によって占有される。したがって、集合体16は、好ましくは、それらの格子内に水孔を含んでいない。
【0045】
一例として、棒24、案内管31および場合によって計装管はここで、一辺17本の棒の正方形ベースの規則的な格子を形成する。このとき、集合体16は、例えば、1本の計装管、24本の案内管31および264本の棒24、あるいは、計装管を含まない場合には24本の案内管31、そして265本の棒24を含む。
【0046】
集合体16は、西欧タイプの加圧水型原子炉向けであることから、外部ケースが減速用水を導くロシア設計の一定のタイプの加圧水型原子炉向けの集合体、あるいは、外部ケースが減速用の水および蒸気を導く沸とう水型原子炉向けの集合体とは異なり、棒24を取り囲む外部ケースを含まない。
【0047】
図6は、より詳細に、制御クラスタ20の構造を例示する。このクラスタ20は、吸収棒40および、吸収棒40が互いに平行で、かつ対応する集合体16の案内管31のものと同じ格子に沿って側方に位置付けされている束の形で吸収棒40を支持し維持することを保証するスパイダー43を含む。
【0048】
スパイダー43は、例えば、対応する変位メカニズム22にクラスタ20を連結するポメル44、および単数または複数の吸収棒40が各々の上に固定されているポメル44と一体化したフィン45を含む。
【0049】
図4に表わされているように、本発明に係る集合体16は、以下の領域を含む。
- 中央領域41であって、その全ての棒24が、照射前に専らウランとプルトニウムの混合酸化物をベースとする燃料、すなわちMOX燃料を有する棒24である、中央領域41および、
- 集合体16の外部面に沿って延在する周辺領域42であって、その全ての棒24が、照射前に酸化ウランを格納するものの酸化プルトニウムは格納していない、すなわちUOX燃料の周辺領域42。
【0050】
集合体16の棒24は、したがって、2つの領域すなわち、集合体16のMOX燃料棒24を格納する中央領域41、および集合体16のUOX燃料棒24を格納する周辺領域42に配分される。集合体16の全ての棒24は、中央領域41または周辺領域42に属している。
【0051】
一例として、集合体16が265本の棒24を含む場合、この集合体は例えば124本のUOX燃料棒24と141本のMOX燃料棒24を含む。
【0052】
中央領域41および周辺領域42の棒24は、案内管31または場合によって計装管によって占有されていない集合体16の正方形ベースの規則的格子の節点に配置される。
【0053】
周辺領域42は、少なくとも棒24の外部層を含む。
【0054】
棒24の各層は、1本の棒24の厚みを有し、集合体16の周囲全体に延在する。
【0055】
より詳細には、
図4に表わされている例において、周辺領域42は少なくとも2つの隣接する棒24の層を含み、第1の層は集合体16の棒24の外部層に対応し、第2の層は、第1の層に隣接する棒24の層に対応する。一例として、
図4に表わされているように、周辺領域42はさらに、集合体16の内部の方向で第2の層に隣接する棒24の第3の層のいくつかの棒24を含む。詳細には、図示されている例において、周辺領域42は、棒24の第3の層の隅の棒を含む。
【0056】
周辺領域42の棒24の層数は、
図4に表わされているものと異なっていてよく、詳細には、得ることが求められているエネルギー等価性により左右される。
【0057】
周辺領域42の棒24のウランは、好ましくは、7.5%以下のウラン235質量含有率を有する。
【0058】
混合炉心2、すなわちUOX集合体と本発明に係る集合体16を同時に含む炉心2の場合、周辺領域42の棒24のウランは、好ましくは、原子炉1の炉心2内に同時に存在するUOX燃料の集合体16の棒24のウランのもの以上のウラン235質量含有率を有する。
【0059】
任意には、周辺領域42のUOX燃料棒24のいくつかは、有毒棒すなわち、中性子毒を含む棒である。好ましくは、周辺領域42の有毒UOX燃料棒24は、中央領域41のMOX燃料棒24に隣接する。中性子毒は、例えば、希土類酸化物、例えば酸化ガドリニウムを含む。
【0060】
表わされた例において、集合体16の中央領域41は、棒24に加えて、複数の案内管31を含む。
【0061】
中央領域41は、集合体16の中心から周辺領域42までの棒24の全ての層、ならびに場合によって、隅の棒が周辺領域42に属している層の棒24を含む。
【0062】
好ましくは、中央領域41のMOX燃料棒24のウランは、周辺領域42のUOX燃料棒24のウランのものよりも厳密には低いウラン235質量含有率を有する。
【0063】
一例として、中央領域41のMOX燃料棒24のウランは、およそ0.7%に等しいウラン235質量含有率を有する天然ウラン、または、例えば0.2~0.4%、特におよそ0.25%に等しいウラン235質量含有率を有する劣化ウランである。
【0064】
中央領域41のMOX燃料棒24は全て、好ましくは、プルトニウムの同じ同位体組成(つまりベクトル)、すなわちプルトニウム、およびプルトニウム241の減衰によって産生されるアメリシウム241を構成する各同位体のそれぞれの質量分率の観点から見て、製造の結果として必然的にもたらされる差異を除いて同じ組成を有する。
【0065】
一例として、中央領域41のMOX燃料棒24は、UOX燃料の照射に由来するプルトニウムを格納する。
【0066】
より詳細には、一実施形態によると、中央領域41のMOX燃料棒24は、UOX燃料の照射に由来するプルトニウムだけを格納する。この場合、一例として、MOX燃料棒24のプルトニウムは、質量百分率で以下の組成を有する。
【0067】
【0068】
上記の表1に記載の燃料V1は、例えば、当初3.7%のウラン235に濃縮され、およそ50GWJ/tMLの燃焼率まで照射されたUOX燃料の照射によって得られる。
【0069】
一代替実施形態によると、中央領域41のMOX燃料棒24のプルトニウムは、UOX燃料の照射に由来するプルトニウムとMOX燃料の照射に由来するプルトニウムとの混合の結果として得られるものである。以上で説明した通り、核分裂性同位体含有率はリサイクルにつれて低下することから、UOX燃料の照射に由来するプルトニウムは、MOX燃料の照射に由来するプルトニウムよりも高い核分裂性同位体(プルトニウム239およびプルトニウム241)含有率を有する。したがって、UOX燃料の照射に由来するプルトニウムとMOX燃料の照射に由来するプルトニウムとを混合することによって、MOX燃料の棒24内のプルトニウムの同位体組成を調整することができ、こうして多重リサイクルされたプルトニウムを利用しながら、所望される核分裂性同位体含有率を得ることが可能になる。
【0070】
一例として、集合体16のMOX燃料棒24のMOX燃料内で使用され得る、上述の通りの混合によって得られたプルトニウムの質量百分率で表わした典型的な同位体組成を以下に記す。
【0071】
【0072】
上記の表2において、
- 燃料V2は、表1に記載の通りの燃料V1と、およそ46GWJ/tMLの燃焼率に至るまで同位体組成V1を有するプルトニウムを有するMOX燃料の照射の結果として得られる燃料V1’との混合、そして9年間の減衰後の、核物質の分離によるプルトニウムの回収、さらにその後の、原子炉1内への再導入に先立つ貯蔵による3年間の減衰、によって得られる。
- 燃料V3は、表1に記載の通りの燃料V1と、およそ46GWJ/tMLの燃焼率に至るまで同位体組成V2を有するプルトニウムを有するMOX燃料の照射の結果として得られる燃料V2’との混合、そして9年間の減衰後の、核物質の分離によるプルトニウムの回収、さらにその後の、原子炉1内への再導入に先立つ貯蔵による3年間の減衰、によって得られる。
- 燃料V4は、表1に記載の通りの燃料V1と、およそ46GWJ/tMLの燃焼率に至るまで同位体組成V3を有するプルトニウムを有するMOX燃料の照射の結果として得られる燃料V3’との混合、そして9年間の減衰後の、核物質の分離によるプルトニウムの回収、さらにその後の、原子炉1内への再導入に先立つ貯蔵による3年間の減衰、によって得られる。
- 燃料V5は、表1に記載の通りの燃料V1と、およそ46GWJ/tMLの燃焼率に至るまで同位体組成V4を有するプルトニウムを有するMOX燃料の照射の結果として得られる燃料V4’との混合、そして9年間の減衰後の、核物質の分離によるプルトニウムの回収、さらにその後の、原子炉1内への再導入に先立つ貯蔵による3年間の減衰、によって得られる。
【0073】
下記の表3は、質量百分率で同位体組成V1’、V2’、V3’およびV4’を提示している。
【0074】
【0075】
表1~3中に記された同位体組成は、単なる一例として示されているにすぎず、集合体16のMOX燃料棒24中では、適応された他の全てのプルトニウム同位体組成を使用できると考えられる。
【0076】
任意には、中央領域41のMOX燃料棒24のいくつかは、有毒棒すなわち、中性子毒を含む棒である。中央領域41の有毒MOX燃料棒24の各々は、好ましくは、周辺領域42のUOX燃料棒24に隣接する。中性子毒は、例えば、希土類酸化物、例えば酸化ガドリニウムを含む。各々の有毒MOX燃料棒24は好ましくは、中央領域41の周辺層内に配置されている。
【0077】
好ましくは、中央領域41の棒24のプルトニウム最大質量含有率は、11.5%に等しい。
【0078】
好ましくは、中央領域41内のプルトニウム平均質量含有率は、3%~13%である。
【0079】
図4に表わされている実施形態において、製造の結果としても必然的にもたらされる差異を除いて、中央領域41の全ての棒24が、同じプルトニウム質量含有率を有する。
【0080】
慣用的に、プルトニウム質量含有率とは、核燃料中の総質量(Pu+Am)と核燃料中の重同位体(Pu+Am+U)総質量との間の比率を意味する。
【0081】
図7および8は、変形形態に係る集合体16を表わしている。これらの集合体16は、
図4に表わされた集合体16とは、中央領域41が棒24のプルトニウム質量含有率に関して領域分けされているという点で異なっている。したがって、これらの集合体16において、中央領域41の棒24は、少なくとも2群の棒24に配分され、同じ群内では棒24のプルトニウム含有率は同一であり、異なる群間の棒24のプルトニウム含有率は異なっている。より詳細には、プルトニウム含有率は中央領域41の外部から内部へと向かって増大する。
【0082】
棒24の各群は、中央領域41の下位領域を形成する。より詳細には、棒24の群は、中央領域41内部で隣接する下位領域を形成する。
【0083】
より詳細には、
図7に表わされている集合体16において、中央領域41の棒24は、2群の棒24、すなわちプルトニウムの質量含有率t1を有する棒24の内部群とプルトニウムの質量含有率t2を有する棒24の外部群とに配分されている。外部群は、内部群との関係において外部に配置されている。
【0084】
好ましくは、含有率t1は含有率t2よりも厳密には高い。
【0085】
一例として、内部群の棒24のプルトニウム質量含有率t1は8%~13%であり、特に11.5%に等しく、一方、中央領域41の外部群の棒24のプルトニウム質量含有率t2は5%~10%であり、特に8.0%に等しい。
【0086】
図7に表わされた実施例において、中央領域41の全ての棒24は内部群または外部群に属している。
【0087】
図7中では、外部群の棒24を黒い円板で図式化し(MOX棒、t2)、一方、内部群の棒24を白丸で図式化した(MOX棒、t1)。
【0088】
図7に表わされた実施例では、外部群は中央領域41の周辺層、すなわちこの実施例では、隅の棒24が周辺領域42に属している層の全てのMOX燃料棒24を含む。
【0089】
より詳細には、この実施例において、外部群はさらに、この周辺層の内部に隣接する棒24の単数または複数の内部層のいくつかの棒24、詳細にはこれらの内部層の隅のところに配置された棒24を含む。より詳細には、外部群に属する棒24の数は、集合体16の内部方向へ層毎に減少する。図示された実施例において、外部群は、中央領域41の周辺層の内部に隣接する2つの層の隅に配置された棒24を含む。
【0090】
一例として、
図7に示されているように、外部群は、周辺層に隣接する層の各隅に、考慮対象の隅を形成する案内管31の両側に配置された2つの棒24を、そして、集合体16の内部への方向で後続する層の各隅に、隅の棒24、ならびにこの隅の棒24の両側でそれに隣接する1つの棒24を含む。
【0091】
図7に表わされている実施例において、棒の内部群は、外部群に属さない中央領域41の全ての棒24、すなわち、集合体16の中心から棒24の外部群までの集合体16の全ての棒24を含む。この実施例において、棒24の内部群は、上から見て十字形に配置されている。
【0092】
図8に表わされている集合体16において、中央領域41の棒24は、3群の棒24、すなわちプルトニウムの質量含有率t1を有する棒24の内部群と、プルトニウムの質量含有率t3を有する棒24の外部群と、内部群と外部群の間に配置された、プルトニウムの質量含有率t2を有する棒24の中間群とに配分されている。
【0093】
好ましくは、含有率t1は含有率t2よりも厳密には高く、含有率t2はそれ自体含有率t3よりも高い。
【0094】
一例として、棒24の内部群の棒24のプルトニウム質量含有率t1は8%~13%であり、特に11.5%に等しく、一方、棒24の中間群の棒24のプルトニウム質量含有率t2は5%~10%であり、特に8.0%に等しく、棒24の外部群の棒24のプルトニウム質量含有率t3は3%~7%であり、特に6.0%に等しい。
【0095】
図8に表わされた実施例において、中央領域41の全ての棒24は内部群か、中間群または外部群のうちの1つに属している。
【0096】
図8には、以下のものが図式化されている。
- 水平方向に線影の入った円で示された外部群の棒24(MOX棒、t3)、
- 黒色円板で示された中間群の棒24(MOX棒、t2)、
- 白色の円で示された内部群の棒24(MOX棒、t1)。
【0097】
図8に表わされた実施例において、棒24の外部群は、中央領域41の周辺層のMOX燃料の少なくともいくつかの棒24を含み、これらの棒24はこの周辺層の隅のところに配置され、この周辺層の隅の棒24はこの実施例において、周辺領域42のUOX燃料棒24により形成されている。より詳細には、図示された実施例において、棒24の外部群は、中央領域41の棒の周辺層の各隅に、隅の棒24の両側でそれに隣接する2つの棒24を含む。
【0098】
図8に表わされた実施例において、棒24の内部群は、中央領域41の棒の周辺層の残留MOXの燃料棒24、ならびに中央領域41の周辺層の内部に隣接する2つの層の隅に配置された棒24を含む。一例として、
図8に表わされているように、棒24の外部群は、周辺層に隣接する層の各隅に、考慮対象の隅を形成する案内管31の両側に配置された2つの棒24を、そして集合体16の内部の方向の後続する層の各隅に、隅の棒24、ならびにこの隅の棒24の両側でそれに隣接する棒24を含む。
【0099】
最後に、
図8に表わされている実施例において、棒24の内部群は、
図7に関連して説明した形状と同一の形状を有する。したがって、この内部群は、外部群または中間群の中に含まれていない中央領域41の全ての棒24、すなわち集合体16の中心から棒24の中間群までの集合体16の棒24を含む。この実施例において、棒24の内部群の棒24は、上から見て十字形に配置されている。
【0100】
当業者は、群の数ならびに各群の棒24の数および位置が、考慮対象の原子炉1の管理モードに応じて適応させるべきであることを理解するものである。概して、プルトニウム含有率が比較的低いMOX燃料棒24は、好ましくはUOX燃料棒24の近くに配置される。
【0101】
本発明は、特に
図4、7および8に関して以上で説明した通りの、本発明に係る燃料集合体16を少なくとも1つ含む原子炉1の炉心2にも関する。以下では、本発明に係る集合体16を「第1の集合体16」と呼ぶ。
【0102】
第1の実施例において、原子炉1の炉心2は、第1の集合体16のみを含む。
【0103】
一変形形態によると、原子炉1の炉心2は、以下のものを含む。
- 少なくとも1つの第1の集合体16、および
- 以下「第2の集合体16」と呼ぶ、第1の集合体16とは異なる少なくとも1つの燃料集合体16。
【0104】
第2の集合体16は、例えば以下のものから選択される。
- 全ての棒24が照射前に酸化ウランを格納しているものの酸化プルトニウムは格納していない集合体、すなわちUOX集合体、および
- 全ての棒24が照射前に専らウランとプルトニウムの混合酸化物をベースとする燃料を有する棒24である集合体、すなわちMOX集合体。
【0105】
詳細には、炉心2は単数または複数の第1の集合体16を含み、炉心2の他の集合体は、UOX集合体および/またはMOX集合体である。
【0106】
例えば、混合管理の炉心2、すなわちMOX集合体およびUOX集合体を同時に含む炉心から、部分的または全体的に第1の集合体16が装荷された炉心2への通過段階において、炉心2内に装荷された第1の集合体16は、第2のUOX燃料集合体16と同時に第2のMOX燃料集合体16とも併存する。
【0107】
特定の管理の際に、または実験フィードバックデータ収集およびライセンス供与の段階において、100%UOX管理の炉心2、100%MOX管理の炉心2または混合管理の炉心2は、第1の集合体16を1つだけ受入れることができる。また逆に、100%第1の集合体16管理の炉心2は、UOX集合体を1つだけ、またはMOX集合体を1つだけ受入れることができる。
【0108】
好ましい一実施形態において、本発明は、
- 少なくとも1つの第1の集合体16と、
- その全ての棒24が照射前に酸化ウランを格納するものの酸化プルトニウムは格納していない複数の第2の集合体16、すなわちUOX集合体と、
を含む原子炉1の炉心2に関する。
【0109】
この構成において、第1の集合体16は、詳細には、その側面のうちの少なくとも1つで、例えばその各々の側面で、第2の集合体16に隣接している。
【0110】
好ましくは、炉心2は、少なくとも20%の第1の集合体16、例えば30%または50%の第1の集合体16を含み、残りは、第2の集合体16、詳細にはUOX集合体である。
【0111】
好ましくは、第2の集合体16の棒24は、照射前に単数または複数の第1の集合体16の周辺領域42の棒24のウラン235含有率よりも厳密には低いウラン235含有率を有する。
【0112】
中央領域41内にMOX燃料棒24のみを含み、周辺領域42内にUOX燃料棒24のみを含む本発明に係る集合体16は、UOXおよび/またはMOX燃料のリサイクルに由来する大量のプルトニウムの装荷を可能にする。
【0113】
発明者らが実施した調査から、原子炉1のUOX集合体を含む炉心2内に装荷された本発明に係る集合体16が、さらに、前記炉心2内に存在するUOX集合体とのエネルギー等価性に至ることを可能にすることが示された。詳細には、このエネルギー等価性は、リサイクルにつれてプルトニウムの数量が減少するにも関わらず得られ、本発明に係る集合体16はこうしてMOX燃料の多重リサイクルを可能にする。さらに、この集合体16は、MOX燃料棒の担体ウランの濃縮を必要とせずに、エネルギー等価性を得ることを可能にする。こうして、この集合体は、製造プロセスの複雑化をひき起こすことなく、既存のMOX燃料の製造設備内で製造可能である。
【0114】
その上、本発明に係る集合体16は、特にこれらの集合体16が原子炉内での滞留の作用下で変形する場合に、詳細にはこの第1の集合体16とこの第1の集合体16に一辺でまたは一つの隅で隣接している第2のUOX燃料集合体16との間の界面において許容可能な棒24内の半径方向出力分布を達成しながら、UOX集合体とのエネルギー等価性を得ることを可能にする。
【0115】
詳細には、UOX燃料集合体16および本発明に係る集合体16を含む混合炉心2において、本発明に係る集合体16は、本発明に係る集合体16の周辺におけるUOX棒の存在によって、プルトニウムの多重リサイクルの結果としての反応度損失を補償しながら、隣接するUOX燃料集合体16とのMOX/UOX界面を回避することを可能にする。
【0116】
最後に、
図7および8の実施形態に係る中央領域41の領域分けは、MOX燃料棒24の出力ピークの管理をさらに一層改善することを可能にする。詳細には、この領域分けは、本発明に係る集合体16の中央領域41の異なる下位領域内のプルトニウム含有率を調整して、原子炉1の正常な運転中水が満たされしたがって増大した減速領域を構成している案内管31および場合によっては計装管の存在に起因する本発明に係る集合体16内の減速の半径方向不均質性に関連する影響を制限することを可能にする。
【0117】
図9~11は、照射の開始時における
図7の集合体16内の半径方向出力分布の概略図である。
図9~11は各々、集合体16の8分の1を表わし、集合体16の残りは、この8分の1との関係における軸対称により再構成可能である。
図9~11中、「D」と記された軸は集合体16の対角線に対応し、一方「Y」と記された軸は、集合体16の一辺の垂直二等分線に対応し、D軸とY軸の交差点に配置された棒24は、集合体16の中心に配置された棒24に対応する。その上、案内管31はここで斜めの線影によって図式化されている。
【0118】
図9~11を見れば分かるように、本発明に係る集合体16は、棒24内、詳細には周辺棒24内においても周辺領域42に隣接する中央領域41の棒24においても、許容可能である半径方向出力分布を達成しながら、UOX集合体とのエネルギー等価性を得ることを可能にする。これに関連して、単位長さ当たりの限界出力は、燃料の核融合を導くと考えられる出力である。
【0119】
図9、10および11を比較した場合、
図4および7の実施形態は、半径方向出力分布の観点から見て満足のいく結果を得ることを可能にするものの、最良の結果は、棒24が異なるプルトニウム含有率を有する棒の3つの群に配分されている場合に得られる、ということも確認される。したがって、
図8に関して説明された通りの中央領域41に隣接する下位領域内に配設された3群の棒24を含む、プルトニウム含有率に関して領域分けされた集合体16によって、出力ピークを最小化することが可能である。
【0120】
本発明の好ましい実施形態において、領域分けは、異なる同位体組成を有するプルトニウムを使用することによってではなくむしろ異なるプルトニウム含有率を有するMOX棒を使用することによって得られる。中央領域41全体において好ましいものとして定義された唯一のプルトニウム同位体含有率を使用することによって、製造手順を単純化しひいては製造コストを最低限に抑えることが可能である。
【符号の説明】
【0121】
1 原子炉
2 炉心
16 集合体
20 制御クラスタ
24 棒
31 案内管
40 吸収棒
41 中央領域
42 周辺領域
【国際調査報告】