(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-22
(54)【発明の名称】エネルギー管理システム
(51)【国際特許分類】
B60R 21/015 20060101AFI20220714BHJP
B60R 21/0132 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
B60R21/015
B60R21/0132
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021566460
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(85)【翻訳文提出日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 US2020034186
(87)【国際公開番号】W WO2020237137
(87)【国際公開日】2020-11-26
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519154494
【氏名又は名称】ヴァレダ カンパニー,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジラルディン,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】カミング,ロバート
(57)【要約】
車椅子タイダウンおよび乗員拘束システム用のプレ/ポストテンションコントローラシステム(「WTORS」)は、種々の危険運転シナリオでの車輪付き移動装置の過度の偏位を制御するための包括的なエネルギー管理システムである。システムは、前方、側方、または後方の衝撃クラッシュまたはロールオーバーシナリオ中に複数のプリテンションおよびポストテンション事象を用いており、特定の理想的な瞬間にWTORS機器に張力をかけることによって偏位を効果的に制御する。システムはまた、長時間の旋回または他の攻撃的な操縦中に、タイダウン装置の張力事象を用いる。システムはまた、乗員拘束具に張力事象を用いることができる。エネルギー管理システムは、従来の4点タイダウン、および固定または可動バンパーを組み込んだ新しい3点および2点タイダウンシステム、ならびに圧迫タイプの固定システム、およびドッキングシステムを含む他のシステムでの使用に適合され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
危険運転状態中に車両内の移動装置のための固定システム内のエネルギーを制御するためのシステムであって、前記システムが、
前記危険運転状態が発生したことを確認することと、
前記危険運転状態の少なくとも1つの特性を確認することと、
前記移動装置および前記移動装置に着座した乗員の一方または両方の偏位を制御するための第1の安全装置をトリガーすることであって、前記第1の安全装置が、前記危険運転状態の前記少なくとも1つの特性に基づいて複数の安全装置から選択される、トリガーすることと、を行うように構成されたプロセッサを含むコンピューティングシステムを含む、システム。
【請求項2】
前記プロセッサが、第1の期間の後に前記第1の安全装置をトリガーするようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の期間が、概して、第1のリバウンド時間に対応し、前記第1のリバウンド時間が、概して、前記移動装置がリバウンドを受けるときである、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の期間が、予め定められている、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサが、第2の期間の後に第2の安全装置をトリガーするようにさらに構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の期間が、概して、第1のリバウンド時間に対応し、前記第1のリバウンド時間は、概して、前記移動装置がリバウンドを受けるときであり、前記第2の期間が、二次リバウンド時間に対応し、前記二次リバウンド時間は、概して、前記移動装置が二次リバウンドを受けるときである、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の期間および前記第2の期間が、予め定められている、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセッサが、前記第1のリバウンド時間を確認するようにさらに構成され、前記第1のリバウンド時間は、概して、前記移動装置が第1のリバウンドを受けるときであり、前記第1の安全装置が、ほぼ第1のリバウンド時間でトリガーされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、
概して、前記移動装置が第2のリバウンドを受けるときと同様に、第2のリバウンド時間を確認することと、
ほぼ前記第2のリバウンド時間で第2の安全装置をトリガーすることであって、前記第2の安全装置が、力ベクトルの前記少なくとも1つの特性に基づいて前記複数の安全装置から選択される、トリガーすることと、を行うようにさらに構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記危険運転状態の前記特性が、前記車両の加速度ベクトル、前記車両に対する前記移動装置の加速度ベクトル、前記車両に対する前記乗員の加速度ベクトルを含む群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記危険運転状態の前記特性が、前記危険運転状態の性質である、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記危険運転状態の前記性質が、前側衝撃、後側衝撃、右側衝撃、左側衝撃、ロールオーバー、長時間の旋回、高g旋回、急加速事象、ハードブレーキング事象のうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記固定システムが、前記移動装置の第1の側部を固定するための第1のタイダウンを含み、前記第1の側部が、第2の側部と反対側にあり、
前記プロセッサは、前記危険運転状態が前記第1の側部での衝撃である場合に、前記第1のタイダウン用の第1のテンショナを前記第1の安全装置として選択するようにさらに構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項14】
前記固定システムが、前記移動装置の第1の側部を固定するための第1のタイダウンと、前記移動装置の第2の側部を固定するための第2のタイダウンと、を含み、前記第1の側部が、前記第2の側部と反対側にあり、
前記プロセッサは、前記危険運転状態が前記第1の側部での衝撃である場合に、前記第1のタイダウン用の第1のテンショナを前記第1の安全装置として選択し、前記第2のタイダウン用の第2のテンショナを前記第2の安全装置として選択するようにさらに構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項15】
前記衝撃が前方衝撃である場合、前記第1の側部が前側であり、前記第2の側部が後側であり、
前記衝撃が後方衝撃である場合、前記第1の側部が後側であり、前記第2の側部が前側であり
前記衝撃が右側衝撃である場合、前記第1の側部が右側であり、前記第2の側部が左側であり、
前記衝撃が左側衝撃である場合、前記第1の側部が左側であり、前記第2の側部が右側である、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記衝撃が前方衝撃である場合、前記第1の側部が前側であり、前記第2の側部が後側であり、
前記衝撃が後方衝撃である場合、前記第1の側部が後側であり、前記第2の側部が前側であり
前記衝撃が右側衝撃である場合、前記第1の側部が右側であり、前記第2の側部が左側であり、
前記衝撃が左側衝撃である場合、前記第1の側部が左側であり、前記第2の側部が右側である、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記固定システムが、前記移動装置の第1の側部に隣接する第1のバンパーを含み、前記第1の側部が、第2の側部と反対側にあり、
前記プロセッサは、前記危険運転状態が前記第2の側部での衝撃である場合に、前記第1のバンパー用の第1の付勢装置を前記第1の安全装置として選択するようにさらに構成され、前記第1の付勢装置が、前記第1のバンパーを前記移動装置に向けて付勢するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項18】
前記固定システムが、前記移動装置の第1の側部に隣接する第1のバンパーと、前記移動装置の第2の側部に隣接する第2のバンパーと、を含み、前記第1の側部が、前記第2の側部と反対側にあり、
前記プロセッサは、前記危険運転状態が前記第2の側部での衝撃である場合に、前記第1のバンパー用の第1の付勢装置を第1の安全装置として選択し、前記第2のバンパー用の第2の付勢を第2の安全装置として選択するようにさらに構成され、前記第1の付勢装置が、前記第1のバンパーを前記移動装置に向けて付勢するように構成され、前記第2の付勢装置が、前記第2のバンパーを前記移動装置に向けて付勢するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項19】
前記固定システムが、前記移動装置の第1の側部を固定するための第1のタイダウンを含み、前記第1の側部が、第2の側部と反対側にあり、
前記プロセッサは、前記危険運転状態が前記第2の側部でのロールオーバーである場合に、前記第1のタイダウン用の第1のテンショナを前記第1の安全装置として選択するようにさらに構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項20】
前記固定システムが、前記移動装置の第1の側部を固定するための第1のタイダウンと、前記移動装置の第2の側部を固定するための第2のタイダウンと、を含み、前記第1の側部が、前記第2の側部と反対側にあり、
前記プロセッサは、前記危険運転状態が前記第2の側部でのロールオーバーである場合に、前記第1のタイダウン用の第1のテンショナを前記第1の安全装置として選択し、前記第2のタイダウン用の第2のテンショナを前記第2の安全装置として選択するようにさらに構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項21】
前記固定システムが、前記移動装置の第1の側部に隣接する第1のバンパーを含み、前記第1の側部が、第2の側部と反対側にあり、
前記プロセッサは、前記危険運転状態が前記第1の側部でのロールオーバーである場合に、前記第1のバンパー用の第1の付勢装置を前記第1の安全装置として選択するようにさらに構成され、前記第1の付勢装置が、前記第1のバンパーを前記移動装置に向けて付勢するように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項22】
前記固定システムが、前記移動装置の第1の側部に隣接する第1のバンパーと、前記移動装置の第2の側部に隣接する第2のバンパーと、を含み、前記第1の側部が、前記第2の側部と反対側にあり、
前記プロセッサは、前記危険運転状態が前記第1の側部でのロールオーバーである場合に、前記第1のバンパー用の第1の付勢装置を前記第1の安全装置として選択し、前記第2のバンパー用の第2の付勢を前記第2の安全装置として選択するようにさらに構成され、前記第1の付勢装置が、前記第1のバンパーを前記移動装置に向けて付勢するように構成され、前記第2の付勢装置が、前記第2のバンパーを前記移動装置に向けて付勢するように構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項23】
前記第1の安全装置が、移動装置に隣接して位置決めされたバンパー内のブラダーを膨張させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記第1の安全装置が、磁気レオロジー流体にエネルギーを与える、請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
前記第1の安全装置が、前記移動装置の形状に適合する複数の車椅子係合部材を移動させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項26】
前記第1の安全装置が、把持部材に前記移動装置上の構造を把持させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
前記第1の安全装置が、前記移動装置の内向きに直接的な表面と係合する少なくとも1つの床搭載バンパーを展開する、請求項1に記載のシステム。
【請求項28】
前記第1の安全装置が、前記移動装置に係合して前記移動装置の前記偏位を制御するように位置決めされたエアバッグである、請求項1に記載のシステム。
【請求項29】
前記第1の安全装置が、前記乗員に係合して前記乗員の頭の後方偏位を制御するように位置決めされたエアバッグを展開するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項30】
前記エアバッグが、前記前側衝撃時のリバウンド時またはその前後に展開される、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記エアバッグが、後側衝撃時またはその前後に展開される、請求項29に記載のシステム。
【請求項32】
危険運転状態中に車両内の移動装置のための固定システム内のエネルギーを制御するためのシステムであって、前記システムが、
前記危険運転状態が発生したことを確認することと、
前記移動装置の少なくとも1つの動的状態を確認することと、
前記移動装置に着座した乗員の少なくとも1つの動的状態を確認することと、
第1の安全装置をトリガーして、前記移動装置と乗員拘束具との間の前記乗員の押しつぶしを防止することであって、前記第1の安全装置が、前記移動装置の前記動的状態および前記乗客の前記動的状態の一方または両方に基づいて複数の安全装置から選択される、トリガーすることと、を行うように構成されたプロセッサを含むコンピューティングシステムを含む、システム。
【請求項33】
危険運転状態中に車両内の移動装置のための固定システム内のエネルギーを制御するためのシステムであって、前記システムが、
前記危険運転状態が発生したことを確認することと、
前記危険運転状態の少なくとも1つの特性を確認することと、
前記第1の安全装置をトリガーして、前記移動装置と乗員拘束具との間の乗員の押しつぶしを防止することであって、前記第1の安全装置が、前記危険運転状態の前記少なくとも1つの特性に基づいて複数の安全装置から選択される、トリガーすることと、を行うように構成されたプロセッサを含むコンピューティングシステムを含む、システム。
【請求項34】
前記第1の安全装置が、前記移動装置の後方タイダウン用の張力機構であり、前記第1の安全装置が、最初のリバウンドの前にトリガーされる、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記第1の安全装置が、乗員拘束具のための解放機構であり、前記第1の安全装置が、最初のリバウンドの前にトリガーされる、請求項33に記載のシステム。
【請求項36】
危険運転状態中に車両内の移動装置のための固定システム内のエネルギーを制御するためのシステムであって、前記システムが、
前記危険運転状態が発生したことを確認することと、
前記危険運転状態の少なくとも1つの特性を確認することと、
前記移動装置の移動を防止または最小化するように設計された第1の安全装置をトリガーすることであって、前記第1の安全装置が、前記危険運転状態の前記特性に基づいて複数の安全装置から選択される、トリガーすることと、を行うように構成されたプロセッサを含むコンピューティングシステムを含む、システム。
【請求項37】
前記少なくとも1つの特性が、タイダウンにおける張力を含む、請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
前記第1の安全装置が、前記タイダウン用のテンショナである、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記タイダウンが、前記移動装置の側部を固定するためのものであり、前記プロセッサは、前記危険運転状態が前記移動装置の前記側部への前記タイダウンの加速度ベクトルであることを確認したときとほぼ同時に前記テンショナをトリガーするようにさらに構成されている、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記少なくとも1つの特性が、バンパーと前記移動装置との間の距離を含む、請求項36に記載のシステム。
【請求項41】
前記第1の安全装置が、前記バンパーの移動機構である、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記固定システムが、前記移動装置の側部を固定するための前記バンパーを含み、前記プロセッサは、前記危険運転状態が前記移動装置の前記側部から離れた前記バンパーの加速度ベクトルであることを確認したときとほぼ同時に前記テンショナをトリガーするようにさらに構成されている、請求項38に記載のシステム。
【請求項43】
危険運転状態中に車両内の移動装置のための固定システム内のエネルギーを制御するためのシステムであって、前記システムが、
前記危険運転状態が発生したことを確認することと、
前記移動装置の少なくとも1つの動的状態を確認することと、
前記移動装置の移動を防止または最小化するように設計された第1の安全装置をトリガーすることであって、前記第1の安全装置が、前記移動装置の前記動的状態に基づいて複数の安全装置から選択される、トリガーすることと、を行うように構成されたプロセッサを含むコンピューティングシステムを含む、システム。
【請求項44】
危険運転状態中に車両内の移動装置のための固定システム内のエネルギーを制御するためのシステムであって、前記システムが、
前記危険運転状態が発生したことを確認することと、
前記移動装置および前記移動装置に着座した乗員のうちの少なくとも1つの偏位を制御するための第1の期間の後に第1の安全装置をトリガーすることであって、前記第1の期間が、リバウンド時間にほぼ対応する、トリガーすることと、を行うように構成されたプロセッサを含むコンピューティングシステムを含む、システム。
【請求項45】
前記固定システムが、前記移動装置の側部を固定するための第1のタイダウンを含み、
前記プロセッサは、前記危険運転状態が前記移動装置の前記側部への前記タイダウンの加速度ベクトルである場合に、前記第1のタイダウン用の第1のテンショナを前記第1の安全装置として選択するようにさらに構成されている、請求項42に記載のシステム。
【請求項46】
前記固定システムが、前記移動装置の側部に隣接する第1のバンパーを含み、
前記プロセッサは、前記危険運転状態が前記移動装置の前記側部から離れた前記バンパーの加速度ベクトルである場合に、前記第1のバンパー用の第1の付勢装置を前記第1の安全装置として選択するようにさらに構成され、前記第1の付勢装置が、前記第1のバンパーを前記移動装置に向けて付勢するように構成されている、請求項42に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年5月22日に出願された米国仮特許出願第62/851,466号の優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。さらに、2018年10月26日に出願された米国仮特許出願第62/751,277号および2019年3月28日に出願された米国仮特許出願第62/825,325号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
技術分野
本明細書に記載され、特許請求される実施形態は、概して、移動装置の固定システム、より具体的には、車両の衝撃および攻撃的な操縦などの種々の危険運転シナリオおよびモード中に、車輪付き移動装置およびその乗員の偏位を制御するための包括的なエネルギー管理システムに関する。
【0003】
背景技術
自動車の安全システムの現状では、ベルトプリテンショナ、展開型エアバッグ、およびその他の時限式の安全システムを利用するのが一般的である。これらの安全システムは、車両から発信される衝突信号に依存している。車両システムは、衝突時に一定の規模の衝突が発生したと判定し、車両安全システムに即時信号を送信する。これらの安全システムは、衝突の力が乗員に伝達される前に機能するように、可能な限り迅速に展開される。残念ながら、これらの既存の車両安全システムは、輸送中、車輪付き移動装置に着座している乗客を車両に固定することには転用できない。これは、車両の歩行乗客用シートに乗員を固定することと、車椅子用の乗客用シート(すなわち、車輪付き移動装置/車椅子)に乗員を固定することとの間には大きな相違があるためである。
【0004】
かかる相違の1つは、シートまたは椅子に関連するものであり、これらは、全ての安全システムで重要な構成要素である。歩行乗客用のシートは車両と一体であり、危険運転状態中、車両に堅固に固定されていると見なすことができる。シートの形状は乗員の衝突をサポートするように設計されており、シートは衝突時に移動しないように設計されている。その点で、歩行乗客用のシートは、付加的な乗客の移動に寄与せず、衝撃時の乗員の前方偏位を妨げることもない。さらに、歩行乗客用のシートは、乗員の後方偏位をサポートし(すなわち、歩行乗客の後方への移動を阻止および荷重制限し)、関連する後方偏位を大幅に低減する。従って、歩行乗客のための技術の現状では、シートシステムは、偏位を増幅させることはなく、偏位中に乗客をサポートするのみである。
【0005】
同じことは、乗客のシートシステムが車両に一体化されていない車輪付き移動装置には当てはまらない。むしろ、車輪付き移動装置は一時的に車両に固定されており、当該装置は、固定システムを有している。固定システムは、一部の場合では、本質的に「弾性」であり、付与し、伸張させることができ、危険運転状態によって著しく影響され得る。例えば、一般的なシステムには、ウェビングで形成されたタイダウンが含まれる。これは、輸送中に車輪付き移動装置を伸張させて移動できるようにするだけでなく、スプールを解除することもできる(つまり、スプールがロックされている場合でも、緩く巻かれたウェビングをスプールアウトすることができる)。前方衝撃の例では、車輪付き移動装置(すなわち、シート)および乗客の両方が、異なる時間および異なる速度ではあるが、前方に移動し始める(すなわち、前方偏位)。リバウンド(または後部衝撃)の例では、移動装置および乗客の両方が、異なる時間および異なる速度で、再び後方に移動し始める(すなわち、後方偏位)。移動装置および乗客は、側方衝撃、ロールオーバー、または回転力を伴う前後衝撃の場合に、繰り返しとなるが、異なる時間および異なる速度で、両方とも側方偏位を受ける可能性がある(つまり、移動装置および乗客は、垂直軸および水平軸を含む任意の軸に沿って移動し得る)。
【0006】
本明細書では、文脈が別段の示唆をしない限り、「前方」という用語は、車両の「前方」方向を指し、前向き、後向き、および横向きの配向で設置され得る車輪付き移動装置の方向を指すものではない。車輪付き移動装置の前方、後方、側方、および垂直方向の偏位は、タイダウン、バンパー、および/または他の固定部材によって制限されるが、乗客の偏位は、乗員拘束具および椅子の組み合わせによって個別に制限される(例えば、前向きシステムでは、前方偏位の場合、乗員拘束具により乗客の移動が制限され、後方偏位の場合、背もたれにより乗客の移動が制限され、下方偏位の場合、シートボトムにより乗客の移動が制限され、上方偏位の場合、乗員拘束具により乗客の移動が制限され、側方偏位の場合、乗員拘束具およびアームレストにより乗客の移動が制限される)。
【0007】
かかる動的な環境では、両方の物体(つまり、乗客および椅子)が独立して移動し、互いの偏位を妨害する可能性がある。例えば、車輪付き移動装置は、乗員を乗員拘束具に対して圧迫し(それにより、乗員拘束具を乗員および椅子の合計重量にさらす)、かつ/または乗員の偏位を増幅または低減させることができる(例えば、前向きシステムでは、車輪付き移動装置は、乗員を前方偏位で推進し、乗員を後方偏位で減速させ得る)。乗員も同様に、車輪付き移動装置の偏位に影響を与える可能性がある(例えば、乗員が車輪付き移動装置を押して、椅子および乗員の合計重量にタイダウンをさらし得る)。
【0008】
追加的に、歩行者用シートおよび車椅子のタイダウン方法または拘束方法は大きく異なる。留め具(すなわち、ボルトまたは溶接物)を介して固定される通常の車両シートの場合、固定方法は、シートのさらなる前方偏位に寄与しない。例えば、衝撃の際、シートがボルトで固定されている場合、ボルトによりシートが移動せず、リバウンド事象は増幅されない。ただし、車椅子の乗客が固定されている場合、この固定方法は、通常、偏位を可能にし、増幅させる。可撓性ウェビングを備えたリトラクタを利用する4点タイダウンシステムの場合、スプーリングアウトとともにウェビングの伸張が偏位の増加に寄与し得る(つまり、ストレッチ/ウェビングの移動が大きいほど、椅子が移動できるようになる)。さらに、伸張によってウェビングに蓄積されたエネルギーは、最初の偏位の終わりに放出され、リバウンド事象(つまり、反対方向への二次偏位)を増幅させ、車輪付き移動装置および乗客の両方の振動を引き起こし得る。さらに、偏位中に、特定のリトラクタは、そのウェビングに望ましくない弛緩が生じ、それによってリトラクタはリバウンド事象を防止または最小化することができない場合がある。
【0009】
乗員と車輪付き移動装置とを別々に固定することにより、乗員および椅子の両方の独立した動的な移動(または反応)および相互作用が可能になる。既存の車両安全システムはシートが移動することを考慮に入れていないため、当該歩行乗客用システムは、不十分であり、車輪付き移動装置およびその乗員を車両に固定するために利用することはできない。既存の車両安全システムはまた、リバウンド、振動、ウィップラッシュ(whiplash)など、シートおよび乗員の二次事象および三次事象(つまり、異なる時間に発生するもの)の個別の性質を考慮するものではない。既存の車両安全システムは、乗員が力を感じるか、または大幅に前進したりする前の衝撃の瞬間に作動するようにも設計されており、車椅子固定システムで発生する二次および三次事象のタイプを考慮せず、これには、タイダウンで蓄積されたエネルギーの放出およびタイダウンでの不要な弛緩の生成によって増幅するリバウンドが含まれるが、これらに限定されない。
【0010】
従って、当技術分野では、車輪付き移動装置の固定部の独立した動的な性質を考慮に入れた車両安全システムおよびコントローラが必要とされている。かかるコントローラは、車椅子タイダウン用の速効型テンショナまたはリリーサ(例えば、リトラクタ)および乗員ベルトシステム(例えば、リトラクタを含み得る)、ならびに他の速効型車両安全システム(例えば、可動バンパー、エアバッグ、二次固定部材)などの種々のタイプの安全機器を使用して、乗客の安全のために可能な限り最良の結果を生み出すようにそれらを制御し得る。かかるコントローラは、発生する衝突または危険事象、ならびに車輪付き移動装置および乗客の反応または予想される反応を理解、または決定および分析し、適切な時間に適切な安全システムを展開するようにプログラムできる。
【発明の概要】
【0011】
提案された実施形態により、従来技術の欠点を解決し、任意の数の異なる車輪付き移動装置固定システムのための包括的なエネルギー管理システムを提供することができる。一態様では、システムは、車椅子の偏位と、その結果として生じる二次偏位(ウィップラッシュ/リバウンド)またはその車輪付き移動装置の三次移動(振動)(ウィップラッシュ後)とを考慮に入れる方法で張力および/または荷重制限技術を使用するように構成される。かかるシステムは、車椅子の二次偏位および三次偏位を減らすために、所定のまたは計算された瞬間に1つ以上の張力事象を適用することができる。追加的に、コントローラは、利用する適切な安全システムを選択し、車両内の選択された安全システムに適切なタイミングを提供するために、衝突または非衝突シナリオの複数の状態を確認または決定できる(例えば、長時間の旋回、1gでの急ブレーキングインシデント、5gでの軽度の衝突などを決定できる)。
【0012】
例えば、車輪付き移動装置が前向きの位置に固定された状態で4点タイダウン(乗員は車両の前方を向いており、前方に2つのタイダウン、後方向に2つのタイダウンが存在する)を使用する前方衝突の場合、コントローラの一実施形態は、衝撃の瞬間に衝突信号を受信または登録することができ(加速度計などの統合技術を介して独立して統合されるか、または代替的に車両衝突検出装置によって生成された信号から受信される)、これにより、安全機器の現在の状態と同様の初期張力が可能となる(つまり、車両から衝突信号を受信すると、コントローラは、乗員ベルトプリテンショナおよび車椅子のタイダウンを含むその他のプリテンション装置をトリガーできる)。スプーリングアウトとタイダウンの弾力性とにより、車輪付き移動装置および乗員は前方偏位を開始する。これにより、(通常の自動引き込み式リトラクタは、衝突事象中に弛緩を吸収するのに十分な速さでスプールすることができないため)後方タイダウンが伸張し、前方タイダウンに弛緩が生じる。次に、コントローラは、車椅子または乗客の偏位方向が前方から後方に変化するウィップラッシュ/リバウンドの瞬間を登録(つまり、決定、概算、または感知)する。この時点で、コントローラは速効型張力装置をトリガーし、弛緩したウェビングをリトラクタスプールに素早く引き込み、これにより、後方偏位を減らすことができる。コントローラは、適切なタイミングでさらに張力装置をトリガーして、さらなる振動を最小限に抑えるようにプログラムできる。例えば、コントローラは、車輪付き移動装置が後方から前方に方向を変える瞬間を記録し、速効型張力装置をトリガーして、後方リトラクタのウェビングの弛緩をスプールアップすることができる。各張力装置は、複数回トリガーするように構成できる。これにより、重大な事故の際に発生し得る複数の振動を制御できる。同様に、乗員拘束具および車椅子タイダウンには、複数の張力装置が含まれ得、振動ごとに1つの張力装置がトリガーされる。
【0013】
上および下で論じられる特徴のいくつかの組み合わせを含む他の実施形態、および当技術分野で知られている他の特徴は、そのような実施形態が本明細書で具体的に識別および論じられていない場合でも、特許請求の範囲に含まれると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】前方衝撃時の車輪付き移動装置およびその乗客の移動の独立した関係および動的な性質を示す図の集合である。
【
図2】車輪付き移動装置固定システム内の種々の安全システムが実装され得る例示的なエネルギー管理システムを示す。
【
図3】例示的なエネルギー管理システムが種々の安全システムを実装するために利用し得る例示的な論理を示すフローチャートである。
【
図4】前方衝撃時に前向きの4点タイダウン固定システムにおける振動偏位を制御するためのエネルギー管理システムの例示的な実装形態を示す概略図の集合である。
【
図9】左側衝撃時に前向きの4点タイダウン固定システムにおける振動偏位を制御するためのエネルギー管理システムの例示的な実装形態を示す概略図の集合であり、後方タイダウンは、車両から車輪付き移動装置まで伸長するときに、互いに離れる方向に傾斜される。
【
図14】左側衝撃時に前向きの4点タイダウン固定システムにおける振動偏位を制御するためのエネルギー管理システムの例示的な実装形態を示す概略図の集合であり、後方タイダウンは、車両から車輪付き移動装置まで伸長するときに、互いに向かう方向に傾斜される。
【
図19】前方衝撃時にバンパー固定システムを備えた前向きの3点タイダウンで振動偏位を制御するためのエネルギー管理システムの例示的な実装形態を示す概略図の集合である。
【
図24】左側衝撃時にバンパー固定システムを備えた前向きの3点タイダウンで振動偏位を制御するためのエネルギー管理システムの例示的な実装形態を示す概略図の集合である。
【
図29】前方衝撃時にバンパー固定システムを備えた前向きの2点タイダウンの第1の実施形態における振動偏位を制御するためのエネルギー管理システムの例示的な実装形態を示す概略図の集合である。
【
図34】左側衝撃時にバンパー固定システムを備えた前向きの2点タイダウンの第1の実施形態における振動偏位を制御するためのエネルギー管理システムの例示的な実装形態を示す概略図の集合である。
【
図39】前方衝撃時にバンパー固定システムを備えた前向きの2点タイダウンの第2の実施形態における振動偏位を制御するためのエネルギー管理システムの例示的な実装形態を示す概略図の集合である。
【
図44】左側衝撃時にバンパー固定システムを備えた前向きの2点タイダウンの第2の実施形態における振動偏位を制御するためのエネルギー管理システムの例示的な実装形態を示す概略図の集合である。
【
図49】前方衝撃時にバンパー固定システムを備えた前向きの2点タイダウンの第3の実施形態における振動偏位を制御するためのエネルギー管理システムの例示的な実装形態を示す概略図の集合である。
【
図54】左側衝撃時にバンパー固定システムを備えた前向きの2点タイダウンの第3の実施形態における振動偏位を制御するためのエネルギー管理システムの例示的な実装形態を示す概略図の集合である。
【
図59】前方衝撃時に前向きの圧迫ベースの固定システムにおける振動偏位を制御するためのエネルギー管理システムの例示的な実装形態を示す概略図の集合である。
【
図63】左側衝撃時に圧迫ベースの固定システムで振動偏位を制御するためのエネルギー管理システムの例示的な実装形態を示す概略図の集合である。
【
図67】右方ロールオーバー中に前向き、タイダウン、およびバンパーベースの固定システムで振動する偏位を制御するためのエネルギー管理システムの例示的な実装形態を示す概略図の集合である。
【
図72】右方ロールオーバー中に前向きの圧迫ベースの固定システムにおける振動偏位を制御するためのエネルギー管理システムの例示的な実装形態を示す概略図の集合である。
【
図77】膨張式ブラダーの形をした安全装置を備えたバンパーを示す。
【
図79】磁気レオロジー流体で満たされたブラダーの形の安全装置を備えたバンパーを示す。
【
図81】車輪付き移動装置の輪郭に係合し得る四肢の形の安全装置を備えたバンパーを示す。
【
図82】車輪付き移動装置の構造物を把持し得る把持部材を備えたバンパーを示す。
【
図83】車両の床と同一平面上の格納位置から、バンパーが車輪付き移動装置の内向きの構造物と係合する係合位置まで移動可能なバンパーを示す。
【
図85】車輪付き移動装置および乗客の偏位を制御するためのエアバッグの種々の実施形態を示す。
【0015】
図面は必ずしも縮尺通りではなく、実施形態はグラフィック記号、仮想線、概略図および部分図によって示されることがあることを理解されたい。場合によっては、本明細書に記載および主張している実施形態を理解するのに必要ではない、または他の詳細を理解するのを困難にする詳細は省略されている。当然のことながら、本明細書に記載の発明は必ずしも例示した特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。実際、当業者であれば、本主張の趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書に示し説明した実施形態と類似および同等の多数の代替構成を考案できることが予想される。
【0016】
以下の図面の詳細な説明において、図から図への類似または類似の部分を指すのに類似の参照番号が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、典型的な前方車両衝撃時の車輪付き移動装置およびその乗客の偏位の独立した関係および動的な性質を示す図である。
図1の上部の折れ線グラフにおいて、y軸は初期位置に対する偏位距離を表し、x軸は時間を表し、実線は車輪付き移動装置の偏位を表し、破線は乗客の偏位を表している。グラフの原点にある時間T
0は、衝撃事象の時間を表しており、この例では、これは前方衝撃(すなわち、車両が、車両を後方方向に向かって加速する後方に向けられた力を感じる場合、例えば、車両が前方走行するのを停止させる場合)である。時間T
1cは、椅子(すなわち、車輪付き移動装置)が前方偏位を開始する時間を表す。時間T
1pは、乗客が前方偏位を開始する時間を表す。時間T
2cは、椅子が前方偏位を終了し、リバウンド/ウィップラッシュ、または後方偏位を開始する時間を表す。時間T
2pは、乗客が前方偏位を終了し、リバウンド/ウィップラッシュ、または後方偏位を開始する時間を表す。時間T
3cは、椅子が後方偏位を終了し、別のリバウンドまたは第2の前方偏位を開始する時間を表す。時間T
3pは、乗客が後方偏位を終了し、別のリバウンドまたは第2の前方偏位を開始する時間を表す。前の偏位で示したのと同様の方法で、衝撃の重大度に応じて追加の振動が発生し得る。
【0018】
上述したように、典型的な自動リトラクタの機構は、事故中に反応して、椅子の移動に起因する弛緩したウェビングを引き込むのに十分な速さではない。これにより、事故の種々の段階で、種々のリトラクタのベルトに弛緩が生じる。弛緩の導入は、折れ線グラフの直下にある一連の概略図に示されている。ここで、垂直線10は椅子を表し、椅子10の左側の傾斜線20は椅子10を床に固定する後方タイダウンを表し、椅子10の右側の傾斜線30は椅子10を床に固定する前方タイダウンを表している。T0およびT1cの両方で、椅子10がその偏位を開始する前に、適切に固定されている場合、後方タイダウン20および前方タイダウン30は、図示のように張った状態になる。T2cでは、椅子10が前方に移動した後(前方偏位)、後方タイダウン10は依然として張った状態である。ただし、図に示すように、弛緩したウェビングが前方タイダウン30に導入される。T2cから、椅子は後方偏位を開始する。これは、伸張された後方タイダウン20に蓄積されたエネルギーによって増幅される。T3cにおいて、椅子10が後方に移動した後(後方偏位)、図に示すように、前方タイダウン30の弛緩が取り除かれ、弛緩が後方タイダウン20に導入される。
【0019】
特に、椅子が特定の偏位を開始および終了するとき(つまり、T
1c、T
2c、T
3c)と、乗客が特定の偏位を開始および終了するとき(つまり、T
1p、T
2p、T
3p)との間に大幅な遅延が生じ得ることが分かる。これにより、
図1の下部にある一連の概略図に示すように、椅子と乗客との間に相互作用が生じ得る。T
0およびT
1cでは、乗客が正常な位置に座っていると仮定することができる。T
1cで始まり、T
1pまで続くと、椅子10は、前方偏位を開始するが、乗客5は、車両に対してほぼ静止している。これにより、T
1pで概略的に示されているように、椅子10の背もたれが乗客5の背中に当たる可能性が生じる。次に、椅子10は、乗客5を乗員拘束具に対して圧迫するように進み得、それにより、負傷の可能性が高まる。さらに、乗客5に力を加えることで、椅子10の移動による力の一部が、タイダウンから乗員拘束具に伝達され、理想的とは言えない状況となる。互いに接触した後、椅子10および乗客5は、椅子10がリバウンドして乗客5がその前方偏位を継続するT
2cまで、協調して前方偏位を進めることができる。概略的に示されるように、時間T
2pまでに、椅子10と乗客5との間に空間が再び導入され得る。椅子10がその最初のリバウンドを終了し、前方方向への二次リバウンドを開始した後、特にT
3cの後に、椅子と乗客との間の空間は、その後、塞がれてもよい。椅子10の背もたれは、T
3pで概略的に示されているように、再び乗客5の背中に接触し得る。
【0020】
理解され得るように、車輪付き移動装置および乗客は、独立した偏位を示し、車両の他の側部への衝撃、傾斜衝撃、オフセット衝撃、ロールオーバー、急ブレーキ、急旋回、長時間の旋回などの危険運転状態において動的に相互作用し得る。従って、種々の安全システムと相互作用して、かかる危険運転状態中の車輪付き移動装置および乗客の種々の偏位に関連するエネルギーを制御し得るエネルギー管理システムが必要である。
【0021】
図2は、かかるエネルギー管理システム100によって種々の安全システムを自動化し得ることを示している。システム100は、上記および下記で説明されるプロセスの一部または全てを実行し得るコンピューティング装置110を含み得る。コンピューティング装置110は、プロセッサ120、ストレージ140、入力/出力(I/O)インターフェース130、および通信バス170を含み得る。バス170は、既知の技術に従って、プロセッサ120とコンピューティング装置110の構成要素とに接続し、それらの間の通信を可能にする。一部のシステムでは、複数のコンピューティング装置が存在する場合があり、一部のコンピューティング装置では、複数のプロセッサが組み込まれている場合があることに留意されたい。
【0022】
プロセッサ120は、バス170を介してストレージ140と通信する。ストレージ140は、直接アクセス可能なランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリなどのメモリを含み得る。記憶装置はまた、ハードディスク(内部または外部であり得る)などの二次記憶装置を含み得、これは、当技術分野で知られ、慣習的であるように、追加のインターフェースハードウェアおよびソフトウェアでアクセス可能である。コンピューティング装置110は、複数のメモリ(例えば、RAMおよびROM)、複数の二次記憶装置、および複数のリムーバブル記憶装置(例えば、USBドライブおよび光学ドライブ)を有し得ることに留意されたい。
【0023】
コンピューティング装置110はまた、電話、ケーブル、または無線モデム、ISDNアダプタ、DSLアダプタ、ローカルエリアネットワーク(LAN)アダプタ、またはその他の通信チャネルなどの通信アダプタ150を介して、他のコンピューティング装置、コンピュータ、ワークステーションなどまたはそれらのネットワークと通信することができる。コンピューティング装置110は、必要な通信接続を行うために複数の通信アダプタ(例えば、電話モデムカードおよびLANアダプタ)を使用し得ることに留意されたい。コンピューティング装置110は、LANまたはWAN内の他のコンピューティング装置に関連付けられ得る。これらすべての構成、ならびに適切な通信ハードウェアおよびソフトウェアは、当技術分野で知られている。
【0024】
コンピューティング装置110は、オペレーティングシステムソフトウェアおよびアプリケーションソフトウェアなどのソフトウェアを実行するための機能を提供する。このようなソフトウェアはタスクを実行し、このコンピューティング装置および他のコンピューティング装置上の様々なソフトウェア構成要素と通信する場合があることに留意されたい。当業者によって理解されるように、本明細書に記載されるようなコンピュータプログラムは、通常、コンピュータ使用可能な媒体またはプログラムコードを含むまたは格納する媒体を有するコンピュータプログラム製品の一部として配布される。このような媒体には、コンピュータメモリ(RAMおよび/またはROM)、ディスケット、テープ、コンパクトディスク、DVD、集積回路、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、通信回路を介したリモート送信、セルラーネットワークなどの無線ネットワークを介した、または適切なアダプタインターフェースの有無にかかわらずコンピュータで使用可能なその他のメディアを介したリモート送信が含まれ得る。
【0025】
コンピューティング装置110は、車輪付き移動装置固定システムに搭載されていてもよく、または車両内または他の場所に離れて配置されていてもよい。概して、コンピューティング装置110は、車両、車輪付き移動装置固定システム(本明細書に記載の固定システムのタイプを含むがこれらに限定されない)、車輪付き移動装置、および乗客のうちの1つ以上の様々な特性を監視または確認することと、危険運転状態の種々の段階のタイミングを決定または概算または確認し、特定の段階でトリガーする適切な複数の安全システムを選択することと、理想的なタイミングで適切な安全システムをトリガーすることと、を行うように構成され得るコンピュータプログラム製品にプログラムされ得るか、またはそれを含み得る。コンピューティング装置110は、機械語で動作し、1つ以上のセンサ、装置、または他の外部ソース(総称して160)から関連情報、信号、データ、または入力を受信して、エネルギー管理プロセスに通知することができる。コンピューティング装置はまた、ストレージ140および/または1つ以上の通信アダプタ150、車両195、およびユーザパネル190を含む、追加の情報、信号、データ、または入力を受信することができる。次に、コンピューティング装置110は、適切なアクションを決定し、指定された出力を介してそれらを開始し得る。例えば、コンピューティング装置110は、速効型テンショナ、可動バンパー、エアバッグ、および補助固定部材を含むがこれらに限定されない固定システムの種々の安全システム構成要素180に、コンピュータプログラム製品に含まれている論理アルゴリズムに従って、信号の形態で命令を発行することができる。
【0026】
プロセッサ120は、1つ以上の任意のインターフェースパネル190を介して車両オペレータおよび/または車椅子の乗客と通信するように構成され得る。パネル190は、信号を生成するコマンドスイッチまたはボタン、ならびにインジケータライト、可聴アラーム、音声、および任意のテキストまたはタッチ感知機能を備えた完全なグラフィックディスプレイを含み得る。パネル190は、壁搭載型ユニット、有線または無線のリモコン、あるいはタブレットまたはiPhoneなどのモバイル装置上で実行されるアプリケーションであり得る。
【0027】
コンピューティング装置110は、車両195(例えば、コントローラ、衝突検出システムなど)と通信して、固定および安全システムのステータスに関する情報を送信し、車両のステータスに関する情報を受信するように構成され得る。例えば、コンピューティング装置110は、車輪付き移動装置が固定システムによって適切に固定されていることを示す信号を車両195に送信し、それにより、適切な固定信号が受信されるまで車両がインターロックされ得るように構成され得る。コンピューティング装置110は、車両のステータスおよび/または種々の動的状態を表す車両195からの信号を受信するように構成され得、これには、1つ以上のx軸、y軸、およびz軸に沿った車両の位置、進行方向、速度、および加速/減速と、衝撃が発生した時間と、衝撃の大きさ、方向、および/またはタイプと、他の車両または障害物の位置、距離、方向、速度、および/または接近速度と、衝突が発生する確率と、衝突の推定時間と、車両が停止したことと、車両のニュートラル化、ギア内、ギア外、駐車中、電源切れなどと、車両ブレーキが適用されたことと、車両加速器が適用されたことと、ハンドル位置と、車両ドアのステータスと、車両システムからアクセスできるその他の情報と、が含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
かかる車両から取得できる情報は、コンピューティング装置110および関連するセンサ、ならびに加速度計、GPS受信機、ソナーなどを含む他の技術によって独立して確認または計算することもできる。例えば、コンピューティング装置110は、車両に関する情報を受信するために外部ソース160と通信するように構成され得る。より具体的には、コンピューティング装置110は、近接センサ、加速度計、ソナーベースのシステム(またはライダー(LIDAR)などの異なる技術を使用する同様のシステム)、車両のステータスおよび/または種々の動的状態を表すGPS受信機、ビデオ分析システム、および衝突検出システムなどの様々な外部ソース160から入力を受信するように構成され得、これには、1つ以上のx軸、y軸、およびz軸に沿った車両の位置、方向、速度、および加速/減速と、衝撃が発生した時間と、衝撃の大きさ、方向、および/またはタイプと、他の車両または障害物の位置、距離、方向、速度、および/または接近速度と、衝突が発生する確率と、衝突の推定時間と、車両が停止したことと、車両のニュートラル化、ギア内、ギア外、駐車中、電源切れなどと、車両ブレーキが適用されたことと、車両加速器が適用されたことと、ハンドル位置と、車両ドアのステータスと、が含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
コンピューティング装置110は、車輪付き移動装置固定システムに関する情報を受信するために外部ソース160と通信するように構成され得る。最も単純なシステムでは、センサは、車輪付き移動装置が固定されていることを示す信号をコンピューティング装置110に提供することができる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、2018年10月26日に出願された米国仮特許出願第62/751,277号を参照されたい。より複雑なシステムでは、1つ以上のセンサを使用して、固定システムの種々の特性を提供できる。例えば、タイダウンベースの固定システムでは、センサを使用して、車輪付き移動装置を固定するために使用されているタイダウンの数およびタイプ、乗客を固定するために使用されている乗員拘束具のタイプ、タイダウンおよび乗員拘束具のストラップの張力、ならびに種々のタイダウンおよび乗員拘束具の垂直角度および水平角度を検出することができる。一実施形態では、センサ(例えば、近接センサ)を各リトラクタのウェビングに縫い付けることができ、それにより、ウェビングが完全に格納されるか、部分的に引き抜かれるか、または所定の距離だけ引き抜かれるときに、信号をコンピューティング装置110に送ることができる。他の実施形態では、センサ(例えば、タイダウンスプールに取り付けられ、または関連付けられたエンコーダ)を使用して、どれだけのウェビングまたはストラップが引き抜かれたかをより正確に検出することができる。さらに、センサ(例えば、ロードセル、歪みゲージ、角度センサなど)は、車椅子タイダウンおよび乗員拘束具(例えば、車両および/または車輪付き移動装置への接続点でのウェビング/ストラップ、スプールまたはギアなど)を使用して、ウェビング/ストラップの張力と角度の量を検出する。別の実施形態では、ビデオベースの分析システムを使用して、どのタイダウンおよび乗員拘束具が使用されているかを確認し、リトラクタから引き出されたウェビング/ストラップの長さとウェビング/ストラップの垂直および水平角度とを検出できる。タイダウンシステムが可動バンパーを含む場合、センサ(例えば、近接センサ、モータ電流センサなど)を使用して、バンパーの位置およびバンパーによって車輪付き移動装置に加えられる力の量を検出することができる。別の例として、Q’Straint社製Quantumなどの圧迫ベースの固定システムでは、センサ(近接センサなど)を使用して、係合部材(バンパー)が車輪付き移動装置の側面に適切に係合していることを確認し、係合部材の位置に関する情報を提供することができる。センサ(例えば、モータ電流センサ)を使用して、係合部材によって車輪付き移動装置に加えられている力を表す情報を提供することもできる。ビデオベースの分析システムを使用して、係合部材の位置に関する情報を提供できる。別の例として、Q’Straint社製QLKなどのドッキングステーションベースのシステムでは、センサ(近接センサなど)を使用して、車椅子ブラケットがドッキングシステムに適切に係合されているかどうかを確認できる。
【0030】
コンピューティング装置110は、車輪付き移動装置に関する情報を受信するために外部ソース160と通信するように構成され得る。コンピューティング装置110は、車両に搭載されている車輪付き移動装置;車両内またはWMD固定システム内のWMDの位置;WMDの向き(前向き、後向き、横向き);固定されている車輪付き移動装置のタイプ、サイズ、重量、および/または重心(または車輪付き移動装置と乗客の合計重量または重心);ならびに/または車両の移動中および危険運転状態中のWMDの移動の特性(移動方向、速度、および加速/減速を含むがこれらに限定されない)のうちの1つ以上を示す1つ以上のセンサまたは他の装置160から、1つ以上の入力を受信するように構成され得る。それらのセンサまたは装置160は、ホイール位置を感知する床圧センサ、近接センサ、WMDまたはタイダウンのフックに搭載された加速度計、IRビームのアレイ、WMDに搭載され、または乗員保持型RFIDタグ、WMDに搭載され、または乗員保持型QRコード、および/またはカメラおよび画像認識ソフトウェア(つまり、ビデオベースの分析システム)のうちの1つ以上を含み得る。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、2019年3月28日に出願された米国仮特許出願第62/825,325号に開示されている種々のセンサを参照されたい。
【0031】
コンピューティング装置110は、車輪付き移動装置に着座している乗客に関する情報を受信するために外部ソース160と通信するように構成され得る。コンピューティング装置110は、車両に乗車している乗客の身元;車両またはWMD固定システム内の乗客または乗客の任意の部分(頭、胴体、腕、脚など)の位置;乗客の向き(前向き、後向き、横向き);固定されている乗客の身長、サイズ、体重、または重心(または車輪付き移動装置と乗客の合計重量または重心);ならびに/または車両の移動中および危険運転状態中の乗客の移動の特性(乗客の移動方向、速度、および加速/減速を含むがこれらに限定されない)のうちの1つ以上を示す1つ以上のセンサまたは他の装置160から、1つ以上の入力を受信するように構成され得る。それらのセンサまたは装置160は、床圧センサ、近接センサ、乗客または乗員拘束具に搭載された加速度計、IRビームのアレイ、WMDに搭載され、または乗員保持型RFIDタグ、WMDに搭載され、または乗員保持型QRコード、および/またはカメラおよび画像認識ソフトウェア(つまり、ビデオベースの分析システム)のうちの1つ以上を含み得る。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、2019年3月28日に出願された米国仮特許出願第62/825,325号に開示されている種々のセンサを参照されたい。
【0032】
コンピューティング装置110はまた、例えば、診断上の理由および/もしくはデータベースおよびソフトウェアの更新などのために、または固定システムのステータス(例えば、占有されているか、占有されていないか、適切に固定されているか、かつ/または不適切に固定されているか)に関する更新を提供するために、通信アダプタ150を介して中央監視設備と通信することができる。中央監視設備はまた、コンピューティング装置110に、高度なスケジューリング情報を提供することができ、これには、乗客の身長、サイズ、重量、および重心とともに、ピックアップされる車輪付き移動装置のタイプ、サイズ、重量、および重心(または、車輪付き移動装置と乗客の重量と重心の合計)が含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
上述したように、コンピューティング装置110は、ビデオベースの分析システムから入力を受信することができる。コンピューティング装置110または別個のコンピューティング装置に格納されたインテリジェントな特徴認識ソフトウェアは、ビデオ分析または測定を使用して、上記の特性を含むがこれらに限定されない、車両、固定システム、車輪付き移動装置、および乗客に関する種々の特性を決定し得ることが企図される。車両の車輪付き移動装置ステーションは、インテリジェントな機能認識ソフトウェアにリンクされたカメラまたはその他のセンサを介して監視される。コンピューティングシステムは、状況を自律的に処理し、最高の乗車体験と旅行の安全性を提供する適切な機能に反応することができる。かかる機能には、WMDおよび乗員の存在、位置、速度、加速度の認識、およびWMDの種類の認識が含まれる。WMDタイプが(例えば、RFID信号、QRコード、画像認識、またはその他の特定方法を使用して)認識された場合、この情報は、固定保護プロセスの入力として使用でき、システムは、WMDタイプに固有の固定設定でWMDを固定する。これらの設定には、力、位置、監視および調整戦略などの様々なパラメータを設定できる(乗車中に椅子を再度固定する必要がある場合)。データベースまたはルックアップテーブルを確立して、RFIDまたはQRコードまたはバーコード内のエンコードされた情報に基づいて、またはカメラによって主要な特定機能を認識することにより、WMDの種々のメーカおよびモデルを特定できる。WMDタイプが特定されると、バンパーの圧搾力および/またはタイダウン張力基準のセットを開発して、各アプリケーションの固定を最適化できる。データベースで特定のメーカまたはモデルが特定および/または参照されていない場合は、信頼できるデフォルトの圧搾力値および/またはタイダウン値を使用できる。データベースは中央の場所に構築および保守でき、定期保守中に各WMD固定装置のパラメータを最新バージョンでダウンロードできる。
【0034】
コンピューティング装置110は、利用可能な全てのデータ(時間と、車両、車輪付き移動装置固定システム、車輪付き移動装置、および乗員に関する動的情報と、危険運転状態中、およびそれらのアクションが実行されたときのコンピューティング装置によって実行されたアクションと、を含むが、これらに限定されない)を、メモリに記憶するためにブラックボックス185に送信するように構成することができる。ブラックボックス185は、衝撃ならびに火および水などの過酷な環境の力に耐えるように設計されており、危険運転事象の後に、事象を理解および再現するための分析目的で使用することができる。
【0035】
図3は、種々の安全システムをトリガーするためにエネルギー管理システムにプログラムし得る例示的な論理を示すフローチャートである。7つのステップが示されているが、実施形態は、わずか2つのステップ(例えば、第1のステップおよび第8のステップ280)または7つを超える多くのステップを含み得ることが企図される。さらに、開示されたステップは、任意の数の異なる順列で組み合わせることができ、図示されたものとは異なる順序で実行し得ることが企図される。
【0036】
第1のステップ210において、コンピューティング装置110は、危険運転状態が発生したかどうかを監視し、それを確認するようにプログラムされ得る。第1のステップ210は、多くの異なる方法のうちの1つ以上で実行することができ、これには、車両195(例えば、車両コントローラまたは車両衝突検出システム)および/または種々の外部ソース160からの入力を受信および/または分析することが含まれるが、これらに限定されない、例えば、コンピューティング装置110は、車両が衝突または他の危険運転状態を感知した瞬間に、車両195または別個の衝突検出システムから信号を受信することができる。
【0037】
第1のステップ210において、コンピューティング装置110は、追加的または代替的に、車両、固定システム、車輪付き移動装置、ならびに/または乗客のステータスおよび/もしくは動的特性に関する1つ以上の信号を監視することによって、危険運転状態が発生したことを確認することができる。例えば、コンピューティング装置110は、車両の加速度を示す信号を受信し、続いて、その加速度(例えば、加速度および/または方向および/または大きさのスパイク)が危険運転状態を示すかどうかを判定することができる。追加的または代替的に、コンピューティング装置110は、車椅子タイダウンおよび/または乗員拘束具の張力を示す入力を受信し、その後、それぞれの装置から見た張力(例えば、張力および/または大きさのスパイク)が危険運転状態を示しているかどうかを判定し得る。追加的または代替的に、コンピューティング装置110は、バンパーによって車輪付き移動装置に加えられている圧力を示す入力を受信し、その後、それぞれの装置から見た圧力(例えば、張力および/または大きさのスパイク)が危険運転状態を示しているかどうかを判定し得る。追加的または代替的に、コンピューティング装置110は、車輪付き移動装置および/または乗客に関連する1つ以上の加速度計から入力を受信し、その後、車輪付き移動装置および/または乗客から見た加速度(例えば、加速度および/または大きさのスパイク)が危険運転状態を示しているかどうかを判定し得る。追加的または代替的に、コンピューティング装置110は、車両、固定システム、車輪付き移動装置、および/または乗客の動的特性(例えば、位置、動き、速度、および/または加速度)などのビデオベースの分析システムからの入力を受信することができる。コンピューティング装置110は、これらの特性の1つ以上が危険運転状態を示しているかどうかを判定することができる。事象が危険運転状態を構成するかどうかを判定するためにコンピューティング装置110によって適用される閾値は、関連技術の当業者による日常的な実験を通じて決定することができる。
【0038】
コンピューティング装置110は、危険運転状態が発生したことを確認しない場合、それを監視し続ける。しかしながら、危険運転状態が発生した場合、第2のステップ220において、コンピューティング装置110は、危険運転状態の1つ以上の特性を確認するようにプログラムされ得る。コンピューティング装置は、多くの異なる方法のうちの1つ以上の方法で、危険運転状態の特性を確認することができ、これには、車両195(例えば、車両コントローラまたは車両衝突検出システム)および/または種々の外部ソース160からの入力を受信および/または分析することが含まれるが、これらに限定されない。例えば、コンピューティング装置は、危険運転状態(すなわち、車両が危険運転事象にどのように応答しているか)中の車両の動的特性、例えば、x軸、y軸、z軸の1つ以上に沿った車両の位置、進行方向、速度、加速/減速、衝撃が発生する時間、および/もしくは大きさ、方向、ならびに/または衝撃の性質/タイプを示す1つ以上の入力を受信することができる。
【0039】
第2のステップ220において、コンピューティング装置110は、車両、固定システム、車輪付き移動装置、ならびに/または乗客のステータスおよび/もしくは動的特性(すなわち、車両、固定システム、車輪付き移動装置、および乗客のいずれか1つ以上が危険運転事象にどのように応答しているか)に関する1つ以上の信号を監視することによって、危険運転状態の1つ以上の特性を追加的または代替的に確認することができる。この情報は、危険運転状態の特性を示すものとして直接使用できる。代替的に、コンピューティング装置は、以下のステップの1つ以上で使用するために、危険運転事象の性質および大きさを特徴づけるための基礎としてかかる情報を使用することができる。例えば、コンピューティング装置110は、前述の動的特性の方向、大きさ、および傾斜に基づいて、危険運転状態が衝突であるか攻撃的な操縦であるかを確認するようにプログラムすることができる。例えば、2つの後方タイダウンの張力は、例えば大きさおよび/または傾斜に応じて、急ブレーキング事象または前方衝撃を示し得る。2つの前方タイダウンの張力は、大きさおよび/または傾斜などに応じて、急加速事象または後方衝撃を示し得る。1つの前方タイダウンと1つの後方タイダウンの張力は、例えば大きさおよび/または傾斜に応じて、急旋回または長時間の旋回、側方衝撃、ロールオーバー、またはスピンを示し得る。危険運転状態のタイプは、より詳細なレベル(例えば、前方衝突、後方衝突、右方衝突、左方衝突、ロールオーバー、傾斜衝撃、オフセット衝撃、またはそれらの組み合わせ)で特徴付けることもできる。事象が衝突または攻撃的な操縦を構成するかどうかを判定するためにコンピューティング装置110によって適用される閾値、および衝突/攻撃的な操縦のタイプおよび大きさは、当業者による日常的な実験を通じて決定することができる。誤解を避けるために、ステップ1および2は、車両195または外部ソース160からの単一の信号、例えば、事故の加速度ベクトルを示す信号を受信することによって満たし得ることが企図される。
【0040】
第2のステップ220で危険運転状態の特性を確認した後、コンピューティング装置110は、第4のステップ240から第6のステップ260までスキップするか、または第3のステップ230に直接進むことができる。第3のステップ230において、コンピューティング装置110は、危険運転状態に対する車輪付き移動装置の動的応答の1つ以上の特性を確認するようにプログラムされ得る。コンピューティング装置110は、車輪付き移動装置の実際の動的応答を示す入力を受信することができる。追加的または代替的に、コンピューティング装置110は、第2のステップ220からの危険運転状態の特性(例えば、車両の動的特性)を入力として使用して、車輪付き移動装置の予想される動的応答を計算上またはテーブルルックアップを通じて確認することができる。
【0041】
第3のステップ230で車輪付き移動装置の動的応答の特性を確認した後、コンピューティング装置110は、第5のステップ250または第6のステップ260にスキップするか、または第4のステップ240に直接進むことができる。第4のステップ240において、コンピューティング装置110は、危険運転状態に対する乗客の動的応答の1つ以上の特性を確認するようにプログラムされ得る。コンピューティング装置110は、乗客の実際の動的応答を示す入力を受信することができる。追加的または代替的に、コンピューティング装置110は、第2のステップ220からの危険運転状態の特性(例えば、車両の動的特性)を入力として使用して、乗客の予想される動的応答を計算上またはテーブルルックアップを通じて確認することができる。
【0042】
第5のステップ240において、コンピューティング装置110は、危険運転状態に対する固定システムの応答の1つ以上の特性を確認するようにプログラムされ得る。コンピューティング装置110は、固定システムの実際の動的応答を示す入力を受信することができる。追加的または代替的に、コンピューティング装置110は、第2のステップ220からの危険運転状態の特性(例えば、車両の動的特性)を入力として使用して、固定部の予想される動的応答を計算上またはテーブルルックアップを通じて確認することができる。
【0043】
第6のステップ260において、コンピューティング装置は、第1~第5のステップ210、220、230、240、250のうちの1つ以上から確認された情報を入力として使用して、その状況下で使用するのに適切な安全装置を確認する。例えば、前方衝突または急ブレーキング事象中に、前方拘束具に弛緩を生じさせる安全装置をトリガーすることが望ましい場合がある。
【0044】
第7のステップ270において、コンピューティング装置110は、第1~第6のステップ210、220、230、240、250、260のうちの1つ以上から確認された情報を入力として使用して、安全装置をトリガーするための適切なタイミングを確認する。第6のステップ260の例を用いると、前方衝突または急ブレーキング事象において、ウィップラッシュ/リバウンドの瞬間に前方拘束具に弛緩を生じさせる安全装置をトリガーすることが望ましい場合がある。一実施形態では、ウィップラッシュ/リバウンドの瞬間は、所定の期間の経過に基づいて、または、テーブルを検索するか、または事象の1つ以上の特性(例えば、加速度もしくは衝撃力ベクトルの大きさおよび/または方向)、車輪付き移動装置の1つ以上の特性(例えば、タイプおよび重量)、乗員の1つ以上の特性(例えば、重量、車輪付き移動装置に対する位置)、ならびに/または固定システムの1つ以上の特性(例えば、車輪付き移動装置が固定される方法)と、時間差(衝撃からリバウンドまでの時間遅延)とを相互参照する方程式を使用して計算することで決定できる。コンピューティング装置110は、車両の進行方向、乗客の向き(すなわち、後向きまたは前向きまたは横向き)、衝突の方向(すなわち、前方衝撃、側方衝撃、後方衝撃、傾斜衝撃、オフセット衝撃、ロールオーバーなど)、衝突の重大度のうちの1つ以上に基づいてリバウンド時間を確認または計算するようにプログラムすることができる。コンピューティング装置110はまた、車両内で、または法規(すなわち、車両環境を知るようにプログラムされているか、もしくは車椅子コンパートメントの寸法などで事前にプログラムされているか)によって許可される最大の偏位、車輪付き移動装置および乗員の位置および/または速度の変化を視覚的に確認する手段(つまり、カメラが複数のゾーンへの前方移動を検出し、次の「ゾーン」が交差しない場合、これが最大前方偏位となる)、または、車両に埋め込まれたセンサ(加速度計など)、リトラクタ、リトラクタフック、車輪付き移動装置、ラップベルトバックル、ならびに/あるいは車両の相対位置を検出する乗員(例えば、車両またはリトラクタセンサによる)、車輪付き移動装置(例えば、フックセンサまたは車輪付き移動装置センサによる)、および乗員(例えば、ラップベルトセンサまたは乗員センサによる)に依存し得る。
【0045】
第8のステップ280において、コンピューティング装置110は、適切な時間に適切な安全装置をトリガーする。コンピューティング装置110は、後続または二次的な危険運転状態またはリバウンドおよび振動に対処するために、第1のから第8のステップ210、220、230、240、250、260、270、280のいずれか1つ以上を繰り返すようにプログラムされ得る。場合によっては、同じ安全装置を複数回作動させることが望ましい場合がある。これは、複数回使用の安全装置、または複数の単回使用の安全装置を使用することで実現できる。
【0046】
ここで
図4~8に着目すると、エネルギー管理システムの例示的な実装形態が示されており、前側衝撃時に前向きの4点タイダウン固定システムにおける振動偏位が制御される。これらの図は、左前側タイダウン320、右前側タイダウン325、左後側タイダウン330、および右後側タイダウン335によって固定されている車輪付き移動装置310を示している。特に、2つの前側タイダウン320、325は、理想的には、車輪付き移動装置310の幅以上の距離だけ離れて配置されている。これにより、ストラップは、示されているように、車両の取り付け点から車輪付き移動装置の取り付け点まで伸長するときに、互いに向かって傾斜される。この構成により、乗客の脚または足に大きな干渉を与えることなく、前側ストラップが、車両の取り付け点から車輪付き移動装置の取り付け点に直接経路を有する可能性が高まる。特に、2つの後側タイダウン330、335は、理想的には、車輪付き移動装置310の幅以下の距離だけ離れて配置されている。これにより、ストラップは、示されているように、車両の取り付け点から車輪付き移動装置の取り付け点まで伸長するときに、互いに離れる方向に傾斜される。この構成により、車輪付き移動装置の後輪を通過することなく、後側ストラップが、車両の取り付け点から車輪付き移動装置の取り付け点に直接経路を有する可能性が高まる。タイダウンのそれぞれの角度は、
図4~8の前方衝撃の例にとって必ずしも重要ではないが、角度は、
図14~18を参照して以下でより詳細に説明するように、右側または左側衝突、または長時間の旋回など、他の攻撃的な運転操縦でエネルギー管理システムを実装する方法に影響を与える可能性がある。
【0047】
図4は、前側事故時のT
0での4点タイダウン固定システムを示している。この時点で、コンピューティング装置110は、危険運転状態が発生したことを確認し、1つ以上の安全装置を展開する準備をする。一実施形態では、コンピューティング装置110は、車両が後方方向に大きな加速を受けたことを示すデータを受信することができ、危険運転状態は前側衝撃であると結論付ける。次に、コンピューティング装置110は、第1の所定の時間遅延が経過した後、前側タイダウンに対して速効型テンショナをトリガーしたことを知ることになる。ここで、第1の所定の時間遅延は、車輪付き移動装置のリバウンド時間に対応する。次に、コンピューティング装置110は、第2の所定の時間遅延が経過した後、後側タイダウンに対して速効型テンショナをトリガーしたことを知ることになる。ここで、第2の所定の時間遅延は、車輪付き移動装置の二次リバウンド時間に対応する。
【0048】
より具体的には、
図5は、車輪付き移動装置が最初の前方偏位を完了したとき(つまり、ほぼ第1の所定の時間遅延が経過したとき)の約T
2cでの前側衝突後の4点タイダウン固定システムを示している。図に示すように、T
2cで、車輪付き移動装置310は、ある距離だけ前方に移動し、後側タイダウン330、335は伸張し、前側タイダウン320、325は、ウェビングに弛緩が生じている。
図6は、コンピューティング装置110が第1の安全装置をトリガーした直後(すなわち、第1の所定の時間遅延が経過した後)の4点タイダウン固定システムを示している。
図6では、速効型テンショナが、理想的には、車輪付き移動装置がその後方偏位を開始する前、またはその前後に、前側タイダウン320、325のウェビングから弛緩を取り除いたことが分かる。
図7は、車輪付き移動装置が二次的な後方偏位を完了したとき(すなわち、ほぼ第2の所定の時間遅延が経過したとき)の約T
3cでの4点タイダウン固定システムを示している。図に示すように、T
3cで、車輪付き移動装置310は、ある距離だけ後方に移動している。ただし、コンピューティング装置110が前側タイダウン320、325の安全装置をトリガーしなかった場合のように移動することはない。(
図6と比較して)
図7では、前側タイダウン320、325は伸張し、後側タイダウン330、335は、ウェビングに弛緩を有し得る。
図8は、コンピューティング装置110が第2の安全装置をトリガーした直後(すなわち、第2の所定の時間遅延が経過した後)の4点タイダウン固定システムを示している。
図8では、速効型テンショナが、理想的には、車輪付き移動装置がその三次的な前方偏位を開始する前、またはその前後に、後側タイダウン330、335のウェビングから弛緩を取り除いたことが分かる。追加の振動に対処するために、より深刻な事象では、追加の張力事象が必要または望ましい場合がある。
【0049】
図4~8は、前側衝突を受けながら、4点タイダウンシステムで前向きに固定された車輪付き移動装置にエネルギー管理システムを実装する方法を示しており、上記の概念は、急ブレーキング事象中に適用され得る。さらに、上記の概念は、後側衝突または急加速事象に適用され得る(ただし、後側タイダウンの安全装置が最初にトリガーされる)。さらに、上記の概念は、前側または後側衝突、急ブレーキング事象、または急加速事象が発生している後向きの車輪付き移動装置に適用され得る。さらに加えて、上記の概念は、右側または左側衝突、長時間の旋回、または急旋回を受ける横向きの車輪付き移動装置に適用され得る。さらに加えて、上記の概念は、車輪付き移動装置の前側に単一のタイダウンが存在する3点タイダウンシステムに適用され得る。
【0050】
ここで
図9~13に着目すると、エネルギー管理システムの例示的な実装形態が示されており、左側衝撃時に前向きの4点タイダウン固定システムにおける振動偏位が制御される。特に、理想的かつ典型的なものとして、前側タイダウン320、325は、それらが車両取り付け点から車輪付き移動装置取り付け点まで伸長するときに、互いに向かって傾斜され、後側タイダウン330、335は、それらが車両取り付け点から車輪付き移動装置取り付け点まで伸長するときに、互いに離れるように傾斜される。
【0051】
図9は、左側事故時のT
0での4点タイダウン固定システムを示している。この時点で、コンピューティング装置110は、危険運転状態が発生したことを確認し、1つ以上の安全装置を展開する準備をする。一実施形態では、コンピューティング装置110は、車両が右方向に大きな加速を受けたことを示すデータを受信することができ、危険運転状態は左側衝撃であると結論付ける。次に、コンピューティング装置110は、第1の所定の時間遅延が経過した後、前側タイダウンの1つおよび後側タイダウンの1つに対して速効型テンショナをトリガーしたことを知ることになる。ここで、第1の所定の時間遅延は、車輪付き移動装置のリバウンド時間に対応する。次に、コンピューティング装置110は、第2の所定の時間遅延が経過した後、前側および後側タイダウンの他方に対して速効型テンショナをトリガーしたことを知ることになる。ここで、第2の所定の時間遅延は、車輪付き移動装置の二次リバウンド時間に対応する。
【0052】
より具体的には、
図10は、車輪付き移動装置が最初の左方偏位を完了したとき(つまり、ほぼ第1の所定の時間遅延が経過したとき)の約T
2cでの左側衝突後の4点タイダウン固定システムを示している。図に示すように、T
2cで、車輪付き移動装置310は、ある距離だけ左方に移動し、右前側タイダウン325および左後側タイダウン330が伸張し、左前側タイダウン320および右後側タイダウン335はウェビングに弛緩が生じている。
図11は、コンピューティング装置110が第1の安全装置をトリガーした直後(すなわち、第1の所定の時間遅延が経過した後)の4点タイダウン固定システムを示している。
図11では、速効型テンショナが、理想的には、車輪付き移動装置が右方偏位を開始する前、またはその前後に、左前側および右後側タイダウン320、335のウェビングから弛緩を取り除いたことが分かる。
図12は、車輪付き移動装置が二次的な右方偏位を完了したとき(すなわち、ほぼ第2の所定の時間遅延が経過したとき)の約T
3cでの4点タイダウン固定システムを示している。図に示すように、T
3cで、車輪付き移動装置310は、ある距離だけ右方に移動している。ただし、コンピューティング装置110が前側タイダウン320、325および後側タイダウン330、335の各々の安全装置をトリガーしなかった場合のように移動することはない。(
図11と比較して)
図12では、左前方および右後側タイダウン320、335は伸張し、右前側および左後側タイダウン325、330は、ウェビングに弛緩を有し得る。
図13は、コンピューティング装置110が第2の安全装置をトリガーした直後(すなわち、第2の所定の時間遅延が経過した後)の4点タイダウン固定システムを示している。
図13では、速効型テンショナが、理想的には、車輪付き移動装置が三次的な左方偏位を開始する前、またはその前後に、右前側および左後側タイダウン325、330のウェビングから弛緩を取り除いたことが分かる。追加の振動に対処するために、より深刻な事象では、追加の張力事象が必要または望ましい場合がある。
【0053】
図9~13は、左側衝突を受けながら、4点タイダウンシステムで前向きに固定された車輪付き移動装置にエネルギー管理システムを実装する方法を示しており、上記の概念は、右側衝突、長時間の旋回、または急旋回の事象中に適用され得る。さらに、上記の概念は、前側または後側衝突が発生している横向きの車輪付き移動装置に適用され得る。さらに加えて、上記の概念は、車輪付き移動装置の前側に単一のタイダウンが存在する3点タイダウンシステムに適用され得る。
【0054】
ここで
図14~18に着目すると、エネルギー管理システムの例示的な実装形態が示されており、後側タイダウンが非理想的な角度で設置されている場合に、左側衝撃時に前向きの4点タイダウン固定システムにおける振動偏位が制御される。特に、後側タイダウン330、335は、それらが車両取り付け点から車輪付き移動装置取り付け点まで伸長するときに、互いに向かって傾斜されている。コンピューティング装置110は、非理想的な角度、他の非理想的な固定条件を示す外部装置160からの入力を受信し、その入力に基づいて危険運転状態にコンピューティング装置110の応答を適合させるようにプログラムすることができる。例えば、後側タイダウンが非理想的な角度(互いに向かって傾斜されている)で車輪付き移動装置に取り付けられている場合、コンピューティング装置110は、左前側および左後側タイダウン320、330が、最初の左方偏位中にウェビングの弛緩を受け(理想的な角度の
図10と比較して、
図15を参照)、約T
2cで2つの左側タイダウンの安全装置をトリガーする(
図16を参照)ことを理解するであろう。さらに、コンピューティング装置110は、右前側および右後側タイダウン325、335が、二次的な右方偏位中にウェビングの弛緩を受け(理想的な角度の
図12と比較して
図17を参照)、約T
3cで2つの右側タイダウンの安全装置をトリガーする(
図18を参照)ことを理解するであろう。
【0055】
より複雑な事故、例えばスピンおよびロールオーバーを伴う可能性のあるものを含む他の実施形態では、コンピューティング装置110は、各タイダウンの張力の量、および/またはタイダウンが弛緩を受けているかどうかを検出するセンサまたは他のシステムに依存し得、弛緩が発生しているタイダウンに対して、振動に対処するために、場合によっては複数回、速効型テンショナをトリガーする。
【0056】
ここで
図19~23に着目すると、エネルギー管理システムの例示的な実装形態が示されており、前側衝撃時に前向きの3点タイダウンおよびバンパー固定システムにおける振動偏位が制御される。これらの図は、車輪付き移動装置の左側に位置する左前側タイダウン320、左後側タイダウン330、右後側タイダウン335、およびバンパー340によって固定されている車輪付き移動装置310を示している。バンパー340は、静止していてもよく、格納位置と伸長位置の間で移動可能であり得(ここでは、バンパーが車輪付き移動装置に接近、接触、または押すことになる)、またはバネなどを使用して外側に付勢されてもよい。
【0057】
図19は、前側事故時のT
0での固定システムを示している。この時点で、コンピューティング装置110は、危険運転状態が発生したことを確認し、1つ以上の安全装置を展開する準備をする。一実施形態では、コンピューティング装置110は、車両が後方方向に大きな加速を受けたことを示すデータを受信することができ、危険運転状態は前側衝撃であると結論付ける。次に、コンピューティング装置110は、第1の所定の時間遅延が経過した後、前側タイダウンに対して速効型テンショナをトリガーしたことを知ることになる。ここで、第1の所定の時間遅延は、車輪付き移動装置のリバウンド時間に対応する。次に、コンピューティング装置110は、第2の所定の時間遅延が経過した後、後側タイダウンに対して速効型テンショナをトリガーしたことを知ることになる。ここで、第2の所定の時間遅延は、車輪付き移動装置の二次リバウンド時間に対応する。
【0058】
より具体的には、
図20は、車輪付き移動装置が最初の前方偏位を完了したとき(つまり、ほぼ第1の所定の時間遅延が経過したとき)の約T
2cでの前側衝突後の3点タイダウン固定システムを示している。図に示すように、T
2cで、車輪付き移動装置310は、ある距離だけ前方に移動し、後側タイダウン330、335は伸張し、前側タイダウン320は、ウェビングに弛緩が生じている。
図21は、コンピューティング装置110が第1の安全装置をトリガーした直後(すなわち、第1の所定の時間遅延が経過した後)の3点タイダウン固定システムを示している。
図21では、速効型テンショナが、理想的には、車輪付き移動装置がその後方偏位を開始する前、またはその前後に、前側タイダウン320のウェビングから弛緩を取り除いたことが分かる。
図22は、車輪付き移動装置が二次的な後方偏位を完了したとき(すなわち、ほぼ第2の所定の時間遅延が経過したとき)の約T
3cでの3点タイダウン固定システムを示している。図に示すように、T
3cで、車輪付き移動装置310は、ある距離だけ後方に移動している。ただし、コンピューティング装置110が前側タイダウン320の安全装置をトリガーしなかった場合のように移動することはない。(
図21と比較して)
図22では、前側タイダウン320は伸張し、後側タイダウン330、335は、ウェビングに弛緩を有し得る。
図23は、コンピューティング装置110が第2の安全装置をトリガーした直後(すなわち、第2の所定の時間遅延が経過した後)の3点タイダウン固定システムを示している。
図23では、速効型テンショナが、理想的には、車輪付き移動装置がその三次的な前方偏位を開始する前、またはその前後に、後側タイダウン330、335のウェビングから弛緩を取り除いたことが分かる。
【0059】
図19~23は、前側衝突を受けながら、3点タイダウンシステムで前向きに固定された車輪付き移動装置にエネルギー管理システムを実装する方法を示しており、上記の概念は、急ブレーキング事象中に適用され得る。さらに、上記の概念は、後側衝突または急加速事象に適用され得る(ただし、後側タイダウンの安全装置が最初にトリガーされる)。さらに、上記の概念は、前側または後側衝突、急ブレーキング事象、または急加速事象が発生している後向きの車輪付き移動装置に適用され得る(2つのタイダウンは常に車両の後方に配置されるため、前側衝突での強度が向上する)。さらに加えて、上記の概念は、右側または左側衝突、長時間の旋回、または急旋回を受ける横向きの車輪付き移動装置に適用され得る。追加の振動に対処するために、より深刻な事象では、追加の張力事象が必要または望ましい場合がある。
【0060】
ここで
図24~28に着目すると、エネルギー管理システムの例示的な実装形態が示されており、左側衝撃時に前向きの3点タイダウンおよびバンパー固定システムにおける振動偏位が制御される。示されているバンパー340は、危険運転状態の場合に左右の両方で移動可能であるが、静止しているか、またはバネなどを使用して付勢されていてもよい。
【0061】
図24は、左側事故時のT
0での3点タイダウン固定システムを示している。図示のように、車輪付き移動装置は、バンパー340から離間されているが、バンパー340に接触するか、圧力を加えるか、または圧迫することができる。この時点で、コンピューティング装置110は、危険運転状態が発生したことを確認し、1つ以上の安全装置を展開する準備をする。一実施形態では、コンピューティング装置110は、車両が右方向に大きな加速を受けたことを示すデータを受信することができ、危険運転状態は左側衝撃であると結論付ける。次に、コンピューティング装置110は、第1の所定の時間遅延が経過した後、左前側タイダウンおよび後側タイダウンの1つに対して速効型テンショナをトリガーしたことを知ることになる。ここで、第1の所定の時間遅延は、車輪付き移動装置のリバウンド時間に対応する。次に、コンピューティング装置110は、第2の所定の時間遅延が経過した後、他の後側タイダウン用の速効型テンショナと、バンパー340を車輪付き移動装置に向かって移動させるための速効型安全装置とをトリガーしたことを知ることになる。ここで、第2の所定の時間遅延は、車輪付き移動装置の二次リバウンド時間に対応する。
【0062】
より具体的には、
図25は、車輪付き移動装置が最初の左方偏位を完了したとき(つまり、ほぼ第1の所定の時間遅延が経過したとき)の約T
2cでの左側衝突後の3点タイダウン固定システムを示している。この時点で、車輪付き移動装置は、バンパー340から離間しているか、または(図示のように)接触するか、圧力を加えるか、または圧迫することができる。図に示すように、T
2cで、車輪付き移動装置310は、ある距離だけ左方に移動し、左後側タイダウン330は伸張し、左前側タイダウン320および右後側タイダウン335は、ウェビングに弛緩が生じている。
図26は、コンピューティング装置110が第1の安全装置をトリガーした直後(すなわち、第1の所定の時間遅延が経過した後)の3点タイダウン固定システムを示している。
図26では、速効型テンショナが、理想的には、車輪付き移動装置が右方偏位を開始する前、またはその前後に、左前側および右後側タイダウン320、335のウェビングから弛緩を取り除いたことが分かる。
図27は、車輪付き移動装置が二次的な右方偏位を完了したとき(すなわち、ほぼ第2の所定の時間遅延が経過したとき)の約T
3cでの3点タイダウン固定システムを示している。図に示すように、T
3cで、車輪付き移動装置310は、ある距離だけ右方向に移動している。ただし、コンピューティング装置110が左前側および右後側タイダウン320、335の安全装置をトリガーしなかった場合のように移動することはない。(
図26と比較して)
図27では、左前側および右後側タイダウン320、335は伸張し、左後側タイダウン330のストラップに弛緩が生じており、車輪付き移動装置310は、両者の間に空間があるバンパー340から離れて移動し、速効型作動テンショナは、左後側タイダウン330のストラップから弛緩を取り除いている。
図28は、コンピューティング装置110が第2の安全装置をトリガーした直後(すなわち、第2の所定の時間遅延が経過した後)の3点タイダウン固定システムを示している。
図27では、安全装置(エアバッグ、もしくは速効型移動機構、または他の移動装置など)が、バンパー340を車輪付き移動装置に向かって右方向に移動させ、(図示のように)両者の間の空間を排除または減少させていることが分かる。コンピューティング装置110は、バンパー340を車輪付き移動装置に向かって移動させ、理想的には、車輪付き移動装置がその三次的な左方偏位を開始する前、またはその前後に、左後側タイダウン330のストラップから弛緩を取り除いている。追加の振動に対処するために、より深刻な事象では、追加のバンパーの移動および張力の事象が必要または望ましい場合がある。
【0063】
図24~28は、左側衝突を受けながら、3点タイダウンシステムで前向きに固定された車輪付き移動装置にエネルギー管理システムを実装する方法を示しており、上記の概念は、右側衝突、長時間の旋回、または急旋回の事象中に適用され得る。さらに、上記の概念は、前側または後側衝突が発生している横向きの車輪付き移動装置に適用され得る。さらに加えて、可動バンパー340について上で説明した概念は、4点システムでのバンパーの使用、またはQ’Straint社製Quantumのような圧迫ベースのバンパーシステムに適用され得る。
【0064】
ここで
図29~33に着目すると、エネルギー管理システムの例示的な実装形態が示されており、車輪付き移動装置の後方に位置するタイダウンおよびバンパーを用いて、前側衝撃時に前向きの2点タイダウンおよびバンパー固定システムにおける振動偏位が制御される。これらの図は、車輪付き移動装置の後方に位置する左後側タイダウン330、右後側タイダウン335、およびバンパー340によって固定されている車輪付き移動装置310を示している。バンパー340は、静止していてもよく、格納位置と伸長位置との間で移動可能であり得(ここでは、バンパーが車輪付き移動装置に接近、接触、または押すことになる)、またはバネなどを使用して外側に付勢されてもよい。
【0065】
図29は、前側事故時のT
0での固定システムを示している。この時点で、コンピューティング装置110は、危険運転状態が発生したことを確認し、1つ以上の安全装置を展開する準備をする。一実施形態では、コンピューティング装置110は、車両が後方方向に大きな加速を受けたことを示すデータを受信することができ、危険運転状態は前側衝撃であると結論付ける。次に、コンピューティング装置110は、第1の所定の時間遅延が経過した後、バンパー340を移動させるための速効型装置をトリガーしたことを知ることになる。ここで、第1の所定の時間遅延は、車輪付き移動装置のリバウンド時間に対応する。次に、コンピューティング装置110は、第2の所定の時間遅延が経過した後、後側タイダウンに対して速効型テンショナをトリガーしたことを知ることになる。ここで、第2の所定の時間遅延は、車輪付き移動装置の二次リバウンド時間に対応する。
【0066】
より具体的には、
図30は、車輪付き移動装置が最初の前方偏位を完了したとき(つまり、ほぼ第1の所定の時間遅延が経過したとき)の約T
2cでの前側衝突後の2点タイダウン固定システムを示している。図に示すように、T
2cで、車輪付き移動装置310は、ある距離だけ前方に移動し、後側タイダウン330、335は伸張し、バンパー340と車輪付き移動装置310との間に空間または間隙が形成されている。
図31は、コンピューティング装置110が第1の安全装置をトリガーした直後(すなわち、第1の所定の時間遅延が経過した後)の2点タイダウン固定システムを示している。
図31では、速効型移動装置(エアバッグまたは速効型機構など)が、理想的には、車輪付き移動装置がその後方偏位を開始する前、またはその前後に、バンパー340を車輪付き移動装置310の背面と接触するように前方に移動させたことが分かる。
図32は、車輪付き移動装置が二次的な後方偏位を完了したとき(すなわち、ほぼ第2の所定の時間遅延が経過したとき)の約T
3cでの2点タイダウン固定システムを示している。図に示すように、T
3cで、車輪付き移動装置310は、ある距離だけ後方に移動している(バンパー340を後方に圧迫または押している)。ただし、コンピューティング装置110がバンパー340の安全装置をトリガーしなかった場合のように移動することはない。(
図31と比較して)
図32では、後側タイダウン330、335は、ウェビングに弛緩を有し得る。
図33は、コンピューティング装置110が第2の安全装置をトリガーした直後(すなわち、第2の所定の時間遅延が経過した後)の2点タイダウン固定システムを示している。
図33では、速効型テンショナが、理想的には、車輪付き移動装置がその三次的な前方偏位を開始する前、またはその前後に、後側タイダウン330、335のウェビングから弛緩を取り除いたことが分かる。追加の振動に対処するために、より深刻な事象では、追加のバンパーの移動および張力の事象が必要または望ましい場合がある。
【0067】
図29~33は、前側衝突を受けながら、2点タイダウンシステムで前向きに固定された車輪付き移動装置にエネルギー管理システムを実装する方法を示しており、上記の概念は、急ブレーキング事象中に適用され得る。さらに、上記の概念は、後側衝突または急加速事象に適用され得る(ただし、後側タイダウンの安全装置が最初にトリガーされる)。さらに、上記の概念は、前側または後側衝突、急ブレーキング事象、または急加速事象が発生している後向きの車輪付き移動装置に適用され得る。さらに加えて、上記の概念は、右側または左側衝突、長時間の旋回、または急旋回を受ける横向きの車輪付き移動装置に適用され得る。さらに加えて、可動バンパー340について上で説明した概念は、4点システムでのバンパーの使用、またはQ’Straint社製Quantumのような圧迫ベースのバンパーシステムに適用され得る。
【0068】
ここで
図34~38に着目すると、エネルギー管理システムの例示的な実装形態が示されており、車輪付き移動装置の後方に位置するタイダウンおよびバンパーを用いて、左側衝撃時に前向きの2点タイダウンおよびバンパー固定システムにおける振動偏位が制御される。
【0069】
図34は、左側事故時のT
0での2点タイダウン固定システムを示している。この時点で、コンピューティング装置110は、危険運転状態が発生したことを確認し、1つ以上の安全装置を展開する準備をする。一実施形態では、コンピューティング装置110は、車両が右方向に大きな加速を受けたことを示すデータを受信することができ、危険運転状態は左側衝撃であると結論付ける。次に、コンピューティング装置110は、第1の所定の時間遅延が経過した後、後側タイダウンの1つに対して速効型テンショナをトリガーしたことを知ることになる。ここで、第1の所定の時間遅延は、車輪付き移動装置のリバウンド時間に対応する。次に、コンピューティング装置110は、第2の所定の時間遅延が経過した後、他の後側タイダウンに対して速効型テンショナをトリガーしたことを知ることになる。ここで、第2の所定の時間遅延は、車輪付き移動装置の二次リバウンド時間に対応する。
【0070】
より具体的には、
図35は、車輪付き移動装置が最初の左方偏位を完了したとき(つまり、ほぼ第1の所定の時間遅延が経過したとき)の約T
2cでの左側衝突後の2点タイダウン固定システムを示している。図に示すように、T
2cで、車輪付き移動装置310は、ある距離だけ左に移動し、左後側タイダウン330は伸張し、右後側タイダウン335は、ウェビングに弛緩が生じている。
図36は、コンピューティング装置110が第1の安全装置をトリガーした直後(すなわち、第1の所定の時間遅延が経過した後)の2点タイダウン固定システムを示している。
図36では、速効型テンショナが、理想的には、車輪付き移動装置がその右方偏位を開始する前、またはその前後に、右後側タイダウン335のウェビングから弛緩を取り除いたことが分かる。
図37は、車輪付き移動装置が二次的な右方偏位を完了したとき(すなわち、ほぼ第2の所定の時間遅延が経過したとき)の約T
3cでの2点タイダウン固定システムを示している。図に示すように、T
3cで、車輪付き移動装置310は、ある距離だけ右方向に移動している。ただし、コンピューティング装置110が右後側タイダウン335の安全装置をトリガーしなかった場合のように移動することはない。(
図36と比較して)
図37では、右後側タイダウン335は伸張し、左後側タイダウン330に弛緩が導入されている。
図38は、コンピューティング装置110が第2の安全装置をトリガーした直後(すなわち、第2の所定の時間遅延が経過した後)の3点タイダウン固定システムを示している。
図37では、速効型テンショナが、理想的には、車輪付き移動装置がその三次的な左方偏位を開始する前、またはその前後に、左後側タイダウン330のウェビングから弛緩を取り除いたことが分かる。追加の振動に対処するために、より深刻な事象では、追加の張力事象が必要または望ましい場合がある。
【0071】
図34~38は、左側衝突を受けながら、2点タイダウンシステムで前向きに固定された車輪付き移動装置にエネルギー管理システムを実装する方法を示しており、上記の概念は、右側衝突、長時間の旋回、または急旋回の事象中に適用され得る。さらに、上記の概念は、前側または後側衝突が発生している横向きの車輪付き移動装置に適用され得る。
【0072】
ここで
図39~43に着目すると、エネルギー管理システムの例示的な実装形態が示されており、車輪付き移動装置の左側に位置するタイダウンおよびバンパーを用いて、前側衝撃時に前向きの2点タイダウンおよびバンパー固定システムにおける振動偏位が制御される。これらの図は、車輪付き移動装置の左側に位置する左前側タイダウン320、左後側タイダウン330、およびバンパー340によって固定されている車輪付き移動装置310を示している。バンパー340は、静止していてもよく、格納位置と伸長位置との間で移動可能であり得(ここでは、バンパーが車輪付き移動装置に接近、接触、または押すことになる)、またはバネなどを使用して外側に付勢されてもよい。
【0073】
図39は、前側事故時のT
0での固定システムを示している。この時点で、コンピューティング装置110は、危険運転状態が発生したことを確認し、1つ以上の安全装置を展開する準備をする。一実施形態では、コンピューティング装置110は、車両が後方方向に大きな加速を受けたことを示すデータを受信することができ、危険運転状態は前側衝撃であると結論付ける。次に、コンピューティング装置110は、第1の所定の時間遅延が経過した後、前左側タイダウン320に対して速効型テンショナをトリガーしたことを知ることになる。ここで、第1の所定の時間遅延は、車輪付き移動装置のリバウンド時間に対応する。次に、コンピューティング装置110は、第2の所定の時間遅延が経過した後、左後側タイダウン330に対して速効型テンショナをトリガーしたことを知ることになる。ここで、第2の所定の時間遅延は、車輪付き移動装置の二次リバウンド時間に対応する。
【0074】
より具体的には、
図40は、車輪付き移動装置が最初の前方偏位を完了したとき(つまり、ほぼ第1の所定の時間遅延が経過したとき)の約T
2cでの前側衝突後の2点タイダウン固定システムを示している。図に示すように、T
2cで、車輪付き移動装置310は、ある距離だけ前方に移動し、左後側タイダウン330は伸張し、前左側タイダウン320のウェビングに弛緩が形成されている。
図41は、コンピューティング装置110が第1の安全装置をトリガーした直後(すなわち、第1の所定の時間遅延が経過した後)の2点タイダウン固定システムを示している。
図41では、速効型テンショナが、理想的には、車輪付き移動装置がその後方偏位を開始する前、またはその前後に、前左側タイダウン320のウェビングから弛緩を取り除いたことが分かる。
図42は、車輪付き移動装置が二次的な後方偏位を完了したとき(すなわち、ほぼ第2の所定の時間遅延が経過したとき)の約T
3cでの2点タイダウン固定システムを示している。図に示すように、T
3cで、車輪付き移動装置310は、ある距離だけ後方に移動している。ただし、コンピューティング装置110が前左側タイダウン320の安全装置をトリガーしなかった場合のように移動することはない。(
図41と比較して)
図42では、左後側タイダウン330は、ウェビングに弛緩を有し得る。
図43は、コンピューティング装置110が第2の安全装置をトリガーした直後(すなわち、第2の所定の時間遅延が経過した後)の2点タイダウン固定システムを示している。
図43では、速効型テンショナが、理想的には、車輪付き移動装置がその三次的な前方偏位を開始する前、またはその前後に、左後側タイダウン330のウェビングから弛緩を取り除いたことが分かる。追加の振動に対処するために、より深刻な事象では、追加の張力事象が必要または望ましい場合がある。
【0075】
図39~43は、前側衝突を受けながら、2点タイダウンシステムで前向きに固定された車輪付き移動装置にエネルギー管理システムを実装する方法を示しており、上記の概念は、急ブレーキング事象中に適用され得る。さらに、上記の概念は、後側衝突または急加速事象に適用され得る(ただし、後側タイダウンの安全装置が最初にトリガーされる)。さらに、上記の概念は、前側または後側衝突、急ブレーキング事象、または急加速事象が発生している後向きの車輪付き移動装置に適用され得る。さらに加えて、上記の概念は、右側または左側衝突、長時間の旋回、または急旋回を受ける横向きの車輪付き移動装置に適用され得る。
【0076】
ここで
図44~48に着目すると、エネルギー管理システムの例示的な実装形態が示されており、車輪付き移動装置の左側に位置するタイダウンおよびバンパーを用いて、左側衝撃時に前向きの2点タイダウンおよびバンパー固定システムにおける振動偏位が制御される。示されているバンパー340は、危険運転状態の場合に左右の両方で移動可能であるが、静止しているか、またはバネなどを使用して付勢されていてもよい。
【0077】
図44は、左側事故時のT
0での2点タイダウン固定システムを示している。図示のように、車輪付き移動装置はバンパー340に接触しているが、バンパー340と離間することができる。この時点で、コンピューティング装置110は、危険運転状態が発生したことを確認し、1つ以上の安全装置を展開する準備をする。一実施形態では、コンピューティング装置110は、車両が右方向に大きな加速を受けたことを示すデータを受信することができ、危険運転状態は左側衝撃であると結論付ける。次に、コンピューティング装置110は、第1の所定の時間遅延が経過した後、前左側タイダウンに対して速効型テンショナをトリガーしたことを知ることになる。ここで、第1の所定の時間遅延は、車輪付き移動装置のリバウンド時間に対応する。次に、コンピューティング装置110は、第2の所定の時間遅延が経過した後、右後側タイダウン用の速効型テンショナと、バンパー340を車輪付き移動装置に向かって移動させるための速効型安全装置とをトリガーしたことを知ることになる。ここで、第2の所定の時間遅延は、車輪付き移動装置の二次リバウンド時間に対応する。
【0078】
より具体的には、
図45は、車輪付き移動装置が最初の左方偏位を完了したとき(つまり、ほぼ第1の所定の時間遅延が経過したとき)の約T
2cでの左側衝突後の2点タイダウン固定システムを示している。この時点で、車輪付き移動装置はバンパー340を圧迫しているが、事故の重大度に応じて、バンパー340から離間するか、またはバンパー340に接触するのみであり得る。図に示すように、T
2cで、車輪付き移動装置310は、ある距離だけ左に移動し、左後側タイダウン330は伸張し、左前側タイダウン320はウェビングに弛緩が生じている。
図46は、コンピューティング装置110が第1の安全装置をトリガーした直後(すなわち、第1の所定の時間遅延が経過した後)の2点タイダウン固定システムを示している。
図46では、速効型テンショナが、理想的には、車輪付き移動装置がその右方偏位を開始する前、またはその前後に、左前側タイダウン320のウェビングから弛緩を取り除いたことが分かる。
図47は、車輪付き移動装置が二次的な右方偏位を完了したとき(すなわち、ほぼ第2の所定の時間遅延が経過したとき)の約T
3cでの2点タイダウン固定システムを示している。図に示すように、T
3cで、車輪付き移動装置310は、ある距離だけ右方向に移動している。ただし、コンピューティング装置110が左前側タイダウン320の安全装置をトリガーしなかった場合のように移動することはない。(
図46と比較して)
図47では、左前側タイダウン320が伸張し、左後側タイダウン330はストラップに弛緩が生じており、車輪付き移動装置310は、両者の間に空間があるバンパー340から離れて移動した。
図48は、コンピューティング装置110が第2の安全装置をトリガーした直後(すなわち、第2の所定の時間遅延が経過した後)の2点タイダウン固定システムを示している。
図47では、安全装置(エアバッグ、もしくは速効型移動機構、または他の移動装置など)が、バンパー340を車輪付き移動装置に向かって右方向に移動させ、(図示のように)両者の間の空間を排除または減少させ、速効型テンショナが、左後側タイダウン330のストラップの弛緩を取り除いたことが分かる。コンピューティング装置110は、バンパー340を車輪付き移動装置に向かって移動させ、速効型テンショナは、理想的には車輪付き移動装置がその三次的な左方偏位を開始する前、またはその前後に、弛緩を取り除いている。追加の振動に対処するために、より深刻な事象では、追加のバンパーの移動および張力の事象が必要または望ましい場合がある。
【0079】
図44~48は、左側衝突を受けながら、2点タイダウンシステムで前向きに固定された車輪付き移動装置にエネルギー管理システムを実装する方法を示しており、上記の概念は、右側衝突、長時間の旋回、または急旋回の事象中に適用され得る。さらに、上記の概念は、前側または後側衝突が発生している横向きの車輪付き移動装置に適用され得る。さらに加えて、可動バンパー340について上で説明した概念は、4点システムでのバンパーの使用、またはQ’Straint社製Quantumのような圧迫ベースのバンパーシステムに適用され得る。
【0080】
ここで
図49~53に着目すると、エネルギー管理システムの例示的な実装形態が示されており、車輪付き移動装置の反対側の角部に位置するタイダウンおよび左側に位置するおよびバンパーを用いて、前側衝撃時に前向きの2点タイダウンおよびバンパー固定システムにおける振動偏位が制御される。これらの図は、車輪付き移動装置の左側に位置する右前側タイダウン325、左後側タイダウン330、およびバンパー340によって固定されている車輪付き移動装置310を示している。バンパー340は、静止していてもよく、格納位置と伸長位置との間で移動可能であり得(ここでは、バンパーが車輪付き移動装置に接近、接触、または押すことになる)、またはバネなどを使用して外側に付勢されてもよい。
【0081】
図49は、前側事故時のT
0での固定システムを示している。この時点で、コンピューティング装置110は、危険運転状態が発生したことを確認し、1つ以上の安全装置を展開する準備をする。一実施形態では、コンピューティング装置110は、車両が後方方向に大きな加速を受けたことを示すデータを受信することができ、危険運転状態は前側衝撃であると結論付ける。次に、コンピューティング装置110は、第1の所定の時間遅延が経過した後、右前側タイダウン325に対して速効型テンショナをトリガーしたことを知ることになる。ここで、第1の所定の時間遅延は、車輪付き移動装置のリバウンド時間に対応する。次に、コンピューティング装置110は、第2の所定の時間遅延が経過した後、左後側タイダウン330に対して速効型テンショナをトリガーしたことを知ることになる。ここで、第2の所定の時間遅延は、車輪付き移動装置の二次リバウンド時間に対応する。
【0082】
より具体的には、
図50は、車輪付き移動装置が最初の前方偏位を完了したとき(つまり、ほぼ第1の所定の時間遅延が経過したとき)の約T
2cでの前側衝突後の2点タイダウン固定システムを示している。図に示すように、T
2cにおいて、車輪付き移動装置310は、ある距離だけ前方に移動し、左後側タイダウン330は伸張し、右前側タイダウン325のウェビングに弛緩が形成されている。
図51は、コンピューティング装置110が第1の安全装置をトリガーした直後(すなわち、第1の所定の時間遅延が経過した後)の2点タイダウン固定システムを示している。
図51では、速効型テンショナが、理想的には、車輪付き移動装置がその後方偏位を開始する前、またはその前後に、右前側タイダウン325のウェビングから弛緩を取り除いたことが分かる。
図52は、車輪付き移動装置が二次的な後方偏位を完了したとき(すなわち、ほぼ第2の所定の時間遅延が経過したとき)の約T
3cでの2点タイダウン固定システムを示している。図に示すように、T
3cで、車輪付き移動装置310は、ある距離だけ後方に移動している。ただし、コンピューティング装置110が右前側タイダウン325の安全装置をトリガーしなかった場合のように移動することはない。(
図51と比較して)
図52では、左後側タイダウン330は、ウェビングに弛緩を有し得る。
図53は、コンピューティング装置110が第2の安全装置をトリガーした直後(すなわち、第2の所定の時間遅延が経過した後)の2点タイダウン固定システムを示している。
図53では、速効型テンショナが、理想的には、車輪付き移動装置がその三次的な前方偏位を開始する前、またはその前後に、左後側タイダウン330のウェビングから弛緩を取り除いたことが分かる。追加の振動に対処するために、より深刻な事象では、追加の張力事象が必要または望ましい場合がある。
【0083】
図49~53は、前側衝突を受けながら、2点タイダウンシステムで前向きに固定された車輪付き移動装置にエネルギー管理システムを実装する方法を示しており、上記の概念は、急ブレーキング事象中に適用され得る。さらに、上記の概念は、後側衝突または急加速事象に適用され得る(ただし、後側タイダウンの安全装置が最初にトリガーされる)。さらに、上記の概念は、前側または後側衝突、急ブレーキング事象、または急加速事象が発生している後向きの車輪付き移動装置に適用され得る。さらに加えて、上記の概念は、右側または左側衝突、長時間の旋回、または急旋回を受ける横向きの車輪付き移動装置に適用され得る。
【0084】
ここで
図54~58に着目すると、エネルギー管理システムの例示的な実装形態が示されており、車輪付き移動装置の反対側の角部に位置するタイダウンおよび左側に位置するおよびバンパーを用いて、左側衝撃時に前向きの2点タイダウンおよびバンパー固定システムにおける振動偏位が制御される。示されているバンパー340は、危険運転状態の場合に左右の両方で移動可能であるが、静止しているか、またはバネなどを使用して付勢されていてもよい。
【0085】
図54は、左側事故時のT
0での2点タイダウン固定システムを示している。図示のように、車輪付き移動装置はバンパー340に接触しているが、バンパー340と離間することができる。この時点で、コンピューティング装置110は、危険運転状態が発生したことを確認し、1つ以上の安全装置を展開する準備をする。一実施形態では、コンピューティング装置110は、車両が右方向に大きな加速を受けたことを示すデータを受信することができ、危険運転状態は左側衝撃であると結論付ける。次に、コンピューティング装置110は、第1の所定の時間遅延が経過した後、左後側タイダウンに対して速効型テンショナをトリガーしたことを知ることになる。ここで、第1の所定の時間遅延は、車輪付き移動装置のリバウンド時間に対応する。次に、コンピューティング装置110は、第2の所定の時間遅延が経過した後、右前側タイダウン用の速効型テンショナと、バンパー340を車輪付き移動装置に向かって移動させるための速効型安全装置とをトリガーしたことを知ることになる。ここで、第2の所定の時間遅延は、車輪付き移動装置の二次リバウンド時間に対応する。
【0086】
より具体的には、
図55は、車輪付き移動装置が最初の左方偏位を完了したとき(つまり、ほぼ第1の所定の時間遅延が経過したとき)の約T
2cでの左側衝突後の2点タイダウン固定システムを示している。この時点で、車輪付き移動装置はバンパー340を圧迫しているが、事故の重大度に応じて、バンパー340から離間するか、またはバンパー340に接触するのみであり得る。図に示すように、T
2cで、車輪付き移動装置310は、ある距離だけ左に移動し、左後側タイダウン330は、ウェビングに弛緩が生じている。
図56は、コンピューティング装置110が第1の安全装置をトリガーした直後(すなわち、第1の所定の時間遅延が経過した後)の2点タイダウン固定システムを示している。
図46では、速効型テンショナが、理想的には、車輪付き移動装置がその右方偏位を開始する前、またはその前後に、左後側タイダウン330のウェビングから弛緩を取り除いたことが分かる。
図57は、車輪付き移動装置が二次的な右方偏位を完了したとき(すなわち、ほぼ第2の所定の時間遅延が経過したとき)の約T
3cでの2点タイダウン固定システムを示している。図に示すように、T
3cで、車輪付き移動装置310は、ある距離だけ右方向に移動している。ただし、コンピューティング装置110が左後側タイダウン330の安全装置をトリガーしなかった場合のように移動することはない。(
図56と比較して)
図57では、左後側タイダウン330が伸張し、右前側タイダウン325がウェビングに弛緩が生じており、車輪付き移動装置310は、両者の間に空間があるバンパー340から離れて移動した。
図58は、コンピューティング装置110が第2の安全装置をトリガーした直後(すなわち、第2の所定の時間遅延が経過した後)の2点タイダウン固定システムを示している。
図57では、速効型テンショナが、右前側タイダウン325のウェビングの弛緩を取り除き、安全装置(エアバッグ、もしくは速効型移動機構、または他の移動装置など)が、バンパー340を車輪付き移動装置に向かって右方向に移動させ、(図示のように)両者の間の空間を排除または減少させていることが分かる。コンピューティング装置110は、ウェビングの弛緩を取り除き、理想的には、車輪付き移動装置がその三次的な左方偏位を開始する前、またはその前後に、車輪付き移動装置に向かってバンパー340を移動させる。追加の振動に対処するために、より深刻な事象では、追加のバンパーの移動および張力の事象が必要または望ましい場合がある。
【0087】
図54~58は、左側衝突を受けながら、2点タイダウンシステムで前向きに固定された車輪付き移動装置にエネルギー管理システムを実装する方法を示しており、上記の概念は、右側衝突、長時間の旋回、または急旋回の事象中に適用され得る。さらに、上記の概念は、前側または後側衝突が発生している横向きの車輪付き移動装置に適用され得る。さらに加えて、可動バンパー340について上で説明した概念は、4点システムでのバンパーの使用、またはQ’Straint社製Quantumのような圧迫ベースのバンパーシステムに適用され得る。
【0088】
ここで
図59~62に着目すると、エネルギー管理システムの例示的な実装形態が示されており、前側衝突時に前向きの圧迫ベース固定システムにおける振動偏位が制御される。これらの図は、車輪付き移動装置310の左側、右側、および後側をそれぞれ固定する、左側バンパー350、右側バンパー360、および後側バンパー370によって固定されている車輪付き移動装置310を示している。バンパーのいずれか1つ以上は、静止していてもよく、またはバネなどを使用して外側に(車輪付き移動装置310に向かって)付勢されていてもよい。ただし、この例では、バンパー350、360、370はそれぞれ、格納位置と伸長位置との間で移動可能である(これにより、それぞれのバンパーは、車輪付き移動装置に接近するか、接触するか、または圧力をかける/押す)。左側および右側バンパー350、360は、車輪付き移動装置310を圧迫して、輸送中の望ましくない移動を防止するように設計されている。車輪付き移動装置の損傷を避けるために、通常の輸送状態の間、圧搾圧力を比較的低く保つことが明らかに望ましい。しかしながら、乗客の安全が最も重要であるため、バンパー350、360、370はそれぞれ、危険運転状態の場合に、バンパーが車輪付き移動装置310に大きな圧搾力および/または下向きの力を迅速に及ぼすようにする安全装置を備えることができる。
【0089】
さらに、左側および右側バンパー350、360は、任意選択で、格納位置(
図59)から伸長位置(
図60)にピボット点352、362を中心に旋回するように構成された二次把持部材355、365を含み得る。これにより、二次把持部材355、365は、車輪の前側など、車輪付き移動装置310の前向きの表面または構造と係合するように位置決めされる。以下でより詳細に論じられるように、二次把持部材355、365は、危険運転状態の場合に展開され得る二次安全装置として機能する。
【0090】
他の二次安全装置を、代替として、または二次把持部材355、365と組み合わせて任意選択で使用することができ、これには、2019年3月28日に出願された米国仮特許出願第62/825,325号に開示されているもの、例えば、空気圧、油圧、火工品、圧縮ガス容器、または他の原動力を介して迅速に膨張して、バンパーの係合面の輪郭間の係合を強化し、車輪付き移動装置310の種々の詳細を示し得る、バンパー350、360、370の1つ以上に組み込まれた圧力ブラダー510(
図77~78を参照)と、エネルギーを付与されて、車輪付き移動装置310表面の詳細と連動する剛性トポグラフィを作成し得る、バンパー350、360、370のうちの1つ以上に組み込まれた磁気レオロジー流体で満たされたブラダー520(
図79~80を参照)と、様々な輪郭、ノブ、パドル、指、グリッパー、輪郭適合部材、または車輪付き移動装置310表面の詳細と連動するように迅速に展開され得る他の端部530(
図81を参照)とホイールハブなどの車輪付き移動装置の一部を迅速につかむように構成された係合部材540(
図82を参照)と、例えば、床に隠され、展開し、車輪の内面などの車輪付き移動装置の内向きの表面としっかりと接触するように構成された把持部材またはバンパー550、560の第2のセット(
図83~84を参照)と、バンパー、車輪付き移動装置、または車輪付き移動装置固定システムまたは車両の他の構造に設置された1つ以上のエアバッグ570(
図85~97を参照)と、が含まれるが、これらに限定されない。特に、上記のタイダウンシステムを含む任意の実施形態は、危険運転状態の適切な段階でこれらの二次安全装置のいずれか1つ以上を具体化し、トリガーすることができる。
【0091】
図59は、前側事故時のT
0での固定システムを示している。この時点で、コンピューティング装置110は、危険運転状態が発生したことを確認し、1つ以上の安全装置を展開する準備をする。一実施形態では、コンピューティング装置110は、車両が後方方向に大きな加速を受けたことを示すデータを受信することができ、危険運転状態は前側衝撃であると結論付ける。コンピューティング装置110は、車輪付き移動装置が前方偏位を開始するときに、好ましくはT
1cの前に、以下の安全装置の1つ以上、すなわち、(1)バンパー350、360を互いに向かって付勢して、車輪付き移動装置の圧搾力を増加させる安全装置、(2)バンパー350、360を付勢または旋回させて、車輪付き移動装置310を床に対して下向きに押す安全装置、および/または(3)二次把持部材355、365をその伸長位置に迅速に移動させる上記の安全装置などの1つ以上の二次安全装置をトリガーしたことを知ることになる。次に、コンピューティング装置は、所定の時間遅延が経過した後、後側バンパー370を移動させるための速効型安全装置をトリガーしたことを知ることになる。ここで、所定の時間遅延は、車輪付き移動装置のリバウンド時間に対応する。この実施形態については説明されていないが、コンピューティング装置110は、さらなる振動を制御するために追加の安全装置を展開するようにプログラムすることができる。
【0092】
図60は、前側衝突後、約T
1cで、車輪付き移動装置が最初の前方偏位を開始する前、またはほぼそのときの固定システムを示している。二次把持部材355、365が展開されており、下向きの力および追加の圧搾力がバンパー350、360を介して加えられている。
【0093】
図61は、車輪付き移動装置がその最初の前方偏位を完了したとき(すなわち、ほぼ所定の時間遅延が経過したとき)の
約T2cでの固定システムを示している。図に示すように、T
2cで、車輪付き移動装置310がある距離だけ前方に移動し、車輪の前面が二次把持部材355、365に押し付けられ、後側バンパー370と車輪付き移動装置との間に間隙または空間が形成されている。
【0094】
図62は、コンピューティング装置110が後側バンパー370の安全装置をトリガーした直後(すなわち、所定の時間遅延が経過した後)の固定システムを示している。速効型装置が、理想的には、車輪付き移動装置が二次的な後方偏位を開始する前、またはその前後に、後側バンパー370を前方に移動させて間隙を塞ぐことが分かる。
【0095】
図59~62は、前側衝突を受けながら、圧迫ベースのシステムで前向きに固定された車輪付き移動装置にエネルギー管理システムを実装する方法を示しており、上記の概念は、急ブレーキング事象中に適用され得る。さらに、上記の概念は、後側衝突または急加速事象に適用され得る。さらに、上記の概念は、前側または後側衝突、急ブレーキング事象、または急加速事象が発生している後向きの車輪付き移動装置に適用され得る。さらに加えて、上記の概念は、右側または左側衝突、長時間の旋回、または急旋回を受ける横向きの車輪付き移動装置に適用され得る。さらに、可動バンパーおよび二次安全装置に関する上記の概念は、タイダウンシステムまたは他のタイプの固定システムにおけるバンパーの使用に適用され得る。
【0096】
ここで
図63~66に着目すると、エネルギー管理システムの例示的な実装形態が示されており、左側衝突時に前向きの圧迫ベース固定システムにおける振動偏位が制御される。
図59~72の実施形態について説明したバンパー350、360、370に加えて、固定システムは、任意選択で、床に埋め込まれ、車輪の内面など、車輪付き移動装置の内向きの表面と接触するように上向きおよび外向きに展開するように構成されたバンパー380、390の形態のものなどの二次安全装置を含み得る。
【0097】
図63は、左側事故時のT
0での固定システムを示している。この時点で、コンピューティング装置110は、危険運転状態が発生したことを確認し、1つ以上の安全装置を展開する準備をする。一実施形態では、コンピューティング装置110は、車両が右方向に大きな加速を受けたことを示すデータを受信することができ、危険運転状態は左側衝撃であると結論付ける。コンピューティング装置110は、車輪付き移動装置が前方偏位を開始するときに、好ましくはT
1cの前に、以下の安全装置の1つ以上、すなわち、(1)バンパー350、360を互いに向かって付勢して、車輪付き移動装置の圧搾力を増加させる安全装置、(2)バンパー350、360を付勢または旋回させて、車輪付き移動装置310を床に対して下向きに押す安全装置、および/または(3)床内バンパー380、390を上方および外側に迅速に移動させて車輪付き移動装置310の内向きの表面と係合する上記の安全装置などの1つ以上の二次安全装置をトリガーしたことを知ることになる。次に、コンピューティング装置は、所定の時間遅延が経過した後、右側バンパー360を車輪付き移動装置310と接触させるように移動させる速効型安全装置をトリガーしたことを知ることになる。ここで、所定の時間遅延は、車輪付き移動装置のリバウンド時間に対応する。この実施形態については説明されていないが、コンピューティング装置110は、さらなる振動を制御するために、例えば、二次リバウンド後に左側バンパー360を車輪付き移動装置310と接触するように素早く移動させる追加の安全装置を展開するようにプログラムすることができる。
【0098】
図65は、車輪付き移動装置がその最初の左方偏位を完了したとき(すなわち、ほぼ所定の時間遅延が経過したとき)の
約T
2cでの固定システムを示している。この時点で、車輪付き移動装置は左に移動し、バンパー350、390を圧迫し、車輪付き移動装置とバンパー360、380との間に間隙または空間が形成されている。
【0099】
図66は、コンピューティング装置110がバンパー360、380の安全装置をトリガーした直後(すなわち、第1の所定の時間遅延が経過した後)の固定システムを示している。速効型装置が、理想的には、車輪付き移動装置が二次的な後方偏位を開始する前、またはその前後に、バンパー360、380を左に移動させて間隙を塞ぐことが分かる。
【0100】
図63~66は、左側衝突を受けながら、圧迫ベースのシステムで前向きに固定された車輪付き移動装置にエネルギー管理システムを実装する方法を示しており、上記の概念は、右側衝突、長時間の旋回、または急旋回の事象中に適用され得る。さらに、上記の概念は、前側または後側衝突が発生している横向きの車輪付き移動装置に適用され得る。さらに、可動バンパーおよび二次安全装置に関する上記の概念は、タイダウンシステムまたは他のタイプの固定システムにおけるバンパーの使用に適用され得る。
【0101】
ここで
図67~71に着目すると、エネルギー管理システムの例示的な実装形態が示されており、車両が右側にロールオーバーしている間、前向きのタイダウン固定システムの偏位が制御される。簡単にするために、車輪付き移動装置310は、左側タイダウン322および右側タイダウン332を備えた後側平面図で示されており、これらの各々は、前方拘束具および後方拘束具のいずれかまたは両方、およびバンパー340を表し得、これは、存在してもよく、または存在しなくてもよい。従って、以下の付随する説明は、4点、3点、または2点のシステムであるかどうか、およびバンパーが存在するかどうかに関係なく、タイダウンベースのシステムに適用できる。
【0102】
図67は、右側へのロールオーバー時のT
0でのタイダウン固定システムを示している。この時点で、コンピューティング装置110は、危険運転状態が発生したことを確認し、1つ以上の安全装置を展開する準備をする。一実施形態では、コンピューティング装置110は、車両が時計回り方向に回転したことを示すデータを受信することができ、危険運転状態は右側へのロールオーバーであると結論付ける。次に、コンピューティング装置110は、第1の所定の時間遅延が経過した後、左側タイダウンテンショナ322に対して速効型をトリガーしたことを知ることになる。ここで、第1の所定の時間遅延は、車輪付き移動装置のリバウンド時間に対応する。次に、コンピューティング装置110は、第2の所定の時間遅延が経過した後、右側タイダウン332用の速効型テンショナと、バンパー340を車輪付き移動装置310と接触するように移動させるための安全装置をトリガーしたことを知ることになる。ここで、第2の所定の時間遅延は、車輪付き移動装置の二次リバウンド時間に対応する。
【0103】
より具体的には、
図68は、車輪付き移動装置310が車両に対して反時計回り方向への最初の偏位を完了したとき(つまり、ほぼ第1の所定の時間遅延が経過したとき)の約T
2cでの車両の右側へのロールオーバー後のタイダウン固定システムを示している。図に示すように、T
2cで、車輪付き移動装置310は反時計回りに回転してバンパー340に押し込まれ、右側タイダウン332は伸張し、左側タイダウン322はウェビングに弛緩が生じている。
図69は、コンピューティング装置110が第1の安全装置をトリガーした直後(すなわち、第1の所定の時間遅延が経過した後)のタイダウン固定システムを示している。速効型が、理想的には、車輪付き移動装置が時計回りの偏位を開始する前、またはその前後に、左側タイダウンテンショナ322のウェビングから弛緩を取り除いたことが分かる。
図70は、車輪付き移動装置が二次的な時計回りの偏位を完了したとき(すなわち、ほぼ第2の所定の時間遅延が経過したとき)の約T
3cでのタイダウン固定システムを示している。図に示すように、T
3cで、車輪付き移動装置310は、車両に対して時計回りに回転している。ただし、コンピューティング装置110が左側タイダウン322の安全装置をトリガーしなかった場合のように回転することはない。(
図69と比較して)
図70では、左側タイダウン322は伸張し、右側タイダウン332がウェビングに弛緩を有し得、車輪付き移動装置とバンパー340との間に空間または間隙が形成され得る。
図71は、コンピューティング装置110が第2の安全装置をトリガーした直後(すなわち、第2の所定の時間遅延が経過した後)のタイダウン固定システムを示している。
図71では、理想的には、車輪付き移動装置がその三次的な反時計回りの偏位を開始する前、またはその前後に、速効型テンショナが右側タイダウン322のウェビングから弛緩を取り除き、バンパー340が移動して間隙を塞いだことが分かる。追加の振動に対処するために、より深刻な事象では、追加のバンパーの移動および張力の事象が必要または望ましい場合がある。
【0104】
図67~71は、右側のロールオーバーを受けながら、前向きのタイダウン固定システムに固定された車輪付き移動装置にエネルギー管理システムを実装する方法を示しており、上記の概念は、左側のロールオーバー、長時間の旋回、または急旋回事象中に適用され得る。さらに、上記の概念は、ロールオーバーが発生している後向きの車輪付き移動装置、または前側または後側衝突が発生している横向きの車輪付き移動装置に適用され得る。さらに、上記の概念は、車輪付き移動装置および高重心を有する乗員の右側または左側の衝撃時の偏位を制御するために適用可能であり得る。
【0105】
ここで
図72~76に着目すると、エネルギー管理システムの例示的な実装形態が示されており、右側のロールオーバー中に前向きの圧迫ベース固定システムにおける振動偏位が制御される。
図59~72の実施形態について説明したバンパー350、360に加えて、固定システムは、任意選択で、床に埋め込まれ、車輪の内面など、車輪付き移動装置の内向きの表面と接触するように上向きおよび外向きに展開するように構成されたバンパー380、390の形態のものなどの二次安全装置を含み得る。
【0106】
図72は、右側へのロールオーバー時のT
0での固定システムを示している。この時点で、コンピューティング装置110は、危険運転状態が発生したことを確認し、1つ以上の安全装置を展開する準備をする。一実施形態では、コンピューティング装置110は、車両が時計回り方向に回転したことを示すデータを受信することができ、危険運転状態は右側へのロールオーバーであると結論付ける。コンピューティング装置110は、車輪付き移動装置が前方偏位を開始するときに、T
1cの前に、以下の安全装置の1つ以上、すなわち、(1)バンパー350、360を互いに向かって付勢して、車輪付き移動装置の圧搾力を増加させる安全装置、(2)バンパー350、360を付勢または旋回させて、車輪付き移動装置310を床に対して下向きに押す安全装置、および/または(3)床内バンパー380、390を上方および外側に迅速に移動させて車輪付き移動装置310の内向きの表面と係合する上記の安全装置などの1つ以上の二次安全装置をトリガーするようにプログラムすることができる。追加的または代替的に(
図72~76に示されている代替シナリオ)、コンピューティング装置は、第1の所定の時間遅延が経過した後、右側バンパー360、390を車輪付き移動装置310と接触させるように移動させる速効型安全装置をトリガーするようにプログラムされ得る。ここで、第1の所定の時間遅延は、車輪付き移動装置のリバウンド時間に対応する。コンピューティング装置はまた、第2の所定の時間遅延が経過した後、左側バンパー350、380を車輪付き移動装置310と接触させるように移動させる速効型安全装置をトリガーするようにプログラムされ得る。ここで、第2の所定の時間遅延は、車輪付き移動装置の二次リバウンド時間に対応する。
【0107】
図73は、車輪付き移動装置が車両に対して反時計回り方向への最初の偏位を完了したとき(つまり、ほぼ第1の所定の時間遅延が経過したとき)の約T
2cでの車両の右側へのロールオーバー後の固定システムを示している。この時点で、車輪付き移動装置は(車両に対して)反時計回りに回転し、バンパー350に押し込まれ、車輪付き移動装置とバンパー360との間に間隙または空間が形成されている。
【0108】
図74は、コンピューティング装置110がバンパー360、390の安全装置をトリガーした直後(すなわち、第1の所定の時間遅延が経過した後)の固定システムを示している。速効型装置が、理想的には、車輪付き移動装置が時計回り方向に二次偏位を開始する前、またはその前後に、バンパー360、390を車輪付き移動装置に向かって移動させて、間隙を塞ぐことが分かる。
図75は、車輪付き移動装置が二次的な時計回りの偏位を完了したとき(すなわち、ほぼ第2の所定の時間遅延が経過したとき)の約T
3cでの固定システムを示している。図に示すように、T
3cで、車輪付き移動装置310は、車両に対して時計回りに回転している。ただし、コンピューティング装置110がバンパー360、290の安全装置をトリガーしなかった場合のように回転することはない。(
図74と比較して)
図75では、車輪付き移動装置がバンパー360、390の両方に押し込まれており、バンパー350と車輪付き移動装置310との間に間隙または空間が形成され得る。
図76は、コンピューティング装置110が第2の安全装置をトリガーした直後(すなわち、第2の所定の時間遅延が経過した後)の固定システムを示している。
図76では、速効型安全装置が、理想的には、車輪付き移動装置がその三次的な反時計回りの偏位を開始する前、またはその前後に、バンパー350、380を車輪付き移動装置に向かって移動させて、間隙を塞ぐことが分かる。追加の振動に対処するために、より深刻な事象では、追加のバンパーの移動事象が必要または望ましい場合がある。
【0109】
図72~76は、右側のロールオーバーを受けながら、前向きの圧迫ベースの固定システムに固定された車輪付き移動装置にエネルギー管理システムを実装する方法を示しており、上記の概念は、左側のロールオーバー、長時間の旋回、または急旋回事象中に適用され得る。さらに、上記の概念は、ロールオーバーが発生している後向きの車輪付き移動装置、または前側または後側衝突が発生している横向きの車輪付き移動装置に適用され得る。さらに、上記の概念は、車輪付き移動装置および高重心を有する乗員の右側または左側の衝撃時の偏位を制御するために適用可能であり得る。
【0110】
さらに、簡単にするために、
図4~76は、種々のベルトおよび/またはバンパーが事故でどのように反応するかを仮定し、その仮定に基づいて安全装置をトリガーするようにプログラムされたコンピューティング装置を有するものとして説明した。より高度なシステムでは、コンピューティング装置は、車両および/または車輪付き移動装置および/または固定システムの動的特性を監視し、システムの実際の応答に基づいて安全装置をトリガーすることができる。他のシステムでは、コンピューティング装置は、タイダウン用の張力センサおよびバンパー用の圧力センサまたは近接センサなど、種々のセンサを介して固定システムのステータスを監視できる。これらのセンサからの入力に基づいて、コンピューティング装置は、(例えば、張力または圧力の急速な低下の検出、近接センサまたはスイッチなどに基づいて)弛緩または間隙が形成されている場所を検出し、1つ以上の安全装置をトリガーして、適切なタイミングでかかる弛緩または間隙を取り除くことができる。
【0111】
一部の危険運転状態中、車輪付き移動装置を静止状態に保つように、または少なくとも移動を最小限に抑えるように設計された方法で安全装置を(追加的または代替的に)トリガーすることが望ましい場合がある。例えば、
図4に示される前向きの4点タイダウンシステムにおいて、急ブレーキング事象または車両が後方加速を受けるかどうかの他のシナリオにおいて、車輪付き移動装置の前方への移動を防止または最小化するために、好ましくは、コンピューティングシステムが後方加速度を検出するのと同時に、またはその直後に、後側タイダウン330、335の張力装置をトリガーすることが好ましい場合がある。加えられる張力の量は、車両が受ける加速度の大きさに基づいて、時間の経過とともに選択または調整することができる。後側タイダウン330、335を締め付けることで、前側タイダウン320、325で生じる弛緩を防止または最小化することができる。予想されるまたは実際のリバウンドの時またはその前後に、後側タイダウン330、335の張力を解放することができ、かつ/または前側タイダウン320、325の張力装置をトリガーすることができる。後続の振動、および車両が前方加速を受けるシナリオについても、同様の手順に従い得る。
【0112】
同様に、
図9に示される前向きの4点タイダウンシステムにおいて、急な右旋回事象または車両が右方向の加速を受けるかどうかの他のシナリオにおいて、車輪付き移動装置の左方向への移動を防止または最小化するために、好ましくは、コンピューティングシステムが右方向の加速度を検出するのと同時に、またはその直後に、右前側タイダウン325および左後側タイダウン330用の張力装置をトリガーすることが好ましい場合がある。加えられる張力の量は、車両が受ける加速度の大きさに基づいて、時間の経過とともに選択または調整することができる。右前側タイダウン325および左後側タイダウン330を締め付けることで、左前側タイダウン320および右後側タイダウン335で生じる弛緩を防止または最小化することができる。予想されるまたは実際のリバウンドの時またはその前後に、右前側タイダウン325および左後側タイダウン330の張力を解放することができ、かつ/または左前側タイダウン320および右後側タイダウン335用の張力装置をトリガーすることができる。後続の振動、および車両が左方加速を受けるシナリオについても、同様の手順に従い得る。
【0113】
同様に、
図24に示される前向きの3点タイダウンシステムにおいて、急な右旋回事象または車両が右方向の加速を受けるかどうかの他のシナリオにおいて、車輪付き移動装置の左方向への移動を防止または最小化するために、好ましくは、コンピューティングシステムが右方向の加速度を検出するのと同時に、またはその直後に、左後側タイダウン330用の張力装置と、バンパー340を車輪付き移動装置と接触するように移動させる安全装置をトリガーすることが好ましい場合がある。タイダウンによって加えられる張力および/またはバンパーによって加えられる圧力の量は、車両が受ける加速度の大きさに基づいて、時間の経過とともに選択または調整することができる。左後側タイダウン330を締め付け、バンパー340を車輪付き移動装置と接触させるように移動させることにより、左前側タイダウン320および右後側タイダウン335で生じる弛緩を防止または最小化することができる。予想されるまたは実際のリバウンドの時またはその前後に、左後側タイダウン330の張力およびバンパー340によって加えられる圧力を解放することができ、かつ/または左前側タイダウン320および右後側タイダウン335用の張力装置をトリガーすることができる。後続の振動、および車両が左方加速を受けるシナリオについても、同様の手順に従い得る。
【0114】
同様に、
図59に示される前向きの圧縮ベースの固定システムでは、急加速事象または車両が前方加速を受けるかどうかの他のシナリオにおいて、車輪付き移動装置の後方への移動を防止または最小化するために、好ましくは、コンピューティングシステムが車両の前方加速度を検出するのと同時に、またはその直後に、安全装置をトリガーして、バンパー350、360を備えた車輪付き移動装置310に追加の圧搾力を加え、バンパー370を備えた車輪付き移動装置310に前方力を加えることが好ましい場合がある。バンパーによって加えられる圧力の量は、車両が受ける加速度の大きさに基づいて、時間の経過とともに選択または調整することができる。これらの動作により、車輪付き移動装置310とバンパー370との間に生じる間隙または空間を防止または最小化することができる。予想されるまたは実際のリバウンドの時またはその前後に、バンパー370によって加えられた圧力を解放することができる。後続の振動、および車両が後方加速を受けるシナリオについても、同様の手順に従い得る。
【0115】
同様に、
図63に示される前向きの圧迫ベースの固定システムでは、急な右旋回事象または車両が右方向の加速を受けるかどうかの他のシナリオにおいて、車輪付き移動装置の左方向への移動を防止または最小化するために、好ましくは、コンピューティングシステムが右方向の加速度を検出するのと同時に、またはその直後に、安全装置をトリガーしてバンパー350および/または390を車輪付き移動装置と接触させることが好ましい場合がある。バンパーによって加えられる圧力の量は、車両が受ける加速度の大きさに基づいて、時間の経過とともに選択または調整することができる。バンパー350および/または390を車輪付き移動装置と接触させるように移動させることにより、車輪付き移動装置310とバンパー360との間に生じる間隙または空間を防止または最小化することができる。予想されるまたは実際のリバウンドの時またはその前後に、バンパー350および/または390によって加えられた圧力を解放することができ、かつ/またはバンパー360および/または380の安全装置をトリガーして、それらを車輪付き移動装置310と接触させることができる。後続の振動、および車両が左方加速を受けるシナリオについても、同様の手順に従い得る。
【0116】
同様に、
図67に示される前向きの4点タイダウンシステムにおいて、急な右旋回事象または車両が右方向の加速または時計回りの回転を受けるかどうかの他のシナリオにおいて、車輪付き移動装置の転倒(反時計回りの回転)を防止または最小限に抑えるために、好ましくは、コンピューティングシステムが車両の右方向の加速または時計回りの回転を検出するのと同時に、またはその直後に、(a)右側タイダウン332用の張力装置および/または(b)バンパー340が車輪付き移動装置310と接触するように移動させるための安全装置をトリガーすることが好ましい場合がある。タイダウンによって加えられる張力および/またはバンパーによって加えられる圧力の量は、車両が受ける加速度の大きさに基づいて、時間の経過とともに選択または調整することができる。右側タイダウン332を締め付け、かつ/またはバンパー340を移動させることで、左側タイダウン322で生じる弛緩を防止または最小化することができる。予想されるまたは実際のリバウンドの時またはその前後に、右側タイダウン332の張力およびバンパー340によって加えられた圧力を解放することができ、かつ/または左側タイダウン322の張力装置をトリガーすることができる。後続の振動、および車両が左方加速または反時計回りの回転を受けるシナリオについても、同様の手順に従い得る。
【0117】
同様に、
図72に示される前向き圧迫ベースのシステムでは、急な右旋回事象または車両が右方加速または時計回りの回転を受けるかどうかの他のシナリオにおいて、好ましくは、コンピューティングシステムが車両の右方加速または時計回りの回転を検出するのと同時に、またはその直後に、(a)車輪付き移動装置310に内向きの圧力を加えるためのバンパー350の安全装置、および/または(b)車輪付き移動装置310に下向きの圧力を加えるためのバンパー360の安全装置、および/または(c)バンパー390を移動させて車輪付き移動装置310と接触させるためのバンパー390の安全装置をトリガーすることが好ましい場合がある。バンパーによって加えられる圧力の量は、車両が受ける加速度の大きさに基づいて、時間の経過とともに選択または調整することができる。かかる動作を行うことで、車輪付き移動装置とバンパー360との間に生じる間隙または空間を防止または最小化することができる。予想されるまたは実際のリバウンドの時またはその前後に、バンパー350および/または360および/または390によって加えられた圧力を解放することができ、かつ/あるいは、コンピューティング装置は、(a)車輪付き移動装置310に内向きの圧力を加えるためのバンパー360の安全装置、および/または(b)車輪付き移動装置310に下向きの圧力を加えるためのバンパー350の安全装置、および/または(c)バンパー380を移動させて車輪付き移動装置310と接触させるためのバンパー380の安全装置をトリガーすることができる。後続の振動、および車両が左方加速または反時計回りの回転を受けるシナリオについても、同様の手順に従い得る。
【0118】
一部の危険運転状態中、車輪付き移動装置と乗員の安全ベルトとの間の乗客の押しつぶしを防ぐように設計された方法で(追加的または代替的に)安全装置をトリガーするか、少なくとも押しつぶしを最小限に抑えることが望ましい場合がある。上記の方法の1つ以上を使用して、車輪付き移動装置と乗客の動的状態を監視することにより、コンピューティング装置は、(a)車輪付き移動装置間に間隙を生成するか、または塞ぐこと、(b)車輪付き移動装置によって乗客にかかる圧力を増減すること、および/または(c)乗員ベルトが乗客に及ぼす圧力を増減すること、を行う安全装置をトリガーすることができる。
【0119】
一実施形態では、コンピューティング装置は、車輪付き移動装置10と乗客5との間の距離の変化を最小化するように設計された安全装置をトリガーすることができる。例えば、
図1を参照すると、コンピューティング装置は、T
1cの前、その時点、またはその前後で後方タイダウン20の張力装置をトリガーして、前方偏位を遅延または減速して、車輪付き移動装置10と乗客5との間の間隙が塞がれることを防止することができる。適用される張力の量は、車輪付き移動装置間の間隙または当該間隙の変化率に基づいて、時間の経過とともに選択または調整することができる。追加的または代替的に、T
1pの前、その時点、またはその前後で、コンピューティング装置は、乗員拘束リトラクタの安全装置をトリガーして、ウェビングを時間の経過とともにゆっくりと解放し、それによって乗客は車輪付き移動装置とほぼ同じペースで移動できる。解放の速度は、車輪付き移動装置間の間隙または当該間隙の変化率に基づいて、時間の経過とともに選択または調整することができる。追加的または代替的に、T
2cの前、その時点、またはその前後で、コンピューティング装置は、前方タイダウン30のための張力装置をトリガーして、車輪付き移動装置10に、(a)前方偏位を継続し、それにより、車輪付き移動装置が乗客とほぼ同じペースで前方偏位を継続できるようにし、かつ/または(b)車輪付き移動装置10と乗客5との間の間隙が増大することを防止するために、車輪付き移動装置の後方偏位を遅延または減速させることができる。適用される張力の量は、車輪付き移動装置間の間隙または当該間隙の変化率に基づいて、時間の経過とともに選択または調整することができる。追加的または代替的に、T
3cの前、その時点、またはその前後で、コンピューティング装置は、後方タイダウン20のための張力装置をトリガーして、車輪付き移動装置10に、(a)後方偏位を継続し、それにより、車輪付き移動装置が乗客とほぼ同じペースで前方偏位を継続できるようにし、かつ/または(b)車輪付き移動装置10と乗客5との間の間隙が塞がれることを防止するために、車輪付き移動装置の前方偏位を遅延または減速させることができる。適用される張力の量は、車輪付き移動装置間の間隙または当該間隙の変化率に基づいて、時間の経過とともに選択または調整することができる。
【0120】
他の実施形態では、コンピューティング装置は、車輪付き移動装置および乗客の予想または実際の位置を追跡し、危険運転シナリオ全体にわたって継続的な調整を行って、(a)両者の間の空間を比較的一定に保ち、(b)両者の間の空間を下限閾値より上、または上限閾値と下限閾値の間に維持し、(c)車輪付き移動装置および乗員拘束具の一方または両方によって乗客にかかる力を、閾値未満、または上限閾値と下限閾値の間に維持し、かつ/または(d)圧搾力を閾値未満、または上限閾値と下限閾値の間に維持する。一実施形態では、コンピューティング装置は、乗員拘束具によって乗客5に加えられる力を監視し、力が特定の閾値を超えると、乗員拘束具からウェビングをゆっくりと解放する。力の増加率に比例して、または力の増加率に基づいて、力が第2の閾値を超えて増加し続ける場合、解放率を増加させることができる。別の実施形態では、コンピューティング装置は、車輪付き移動装置10および乗員拘束具によって乗客5に加えられている圧搾力を監視する。圧搾力が特定の閾値を超える場合、ウェビングが乗員拘束リトラクタから解放されることを可能にすること、および/または車輪付き移動装置の前方偏位を遅くすること、および/または車輪付き移動装置を後方に加速させることを可能にするか、もしくは引き起こすことを行う安全装置をトリガーする。
【0121】
一部の危険運転状態中、(追加的または代替的に)エアバッグ装置をトリガーして、乗客および/または車輪付き移動装置の偏位を制御することが望ましい場合がある。例えば、
図94に示される一実施形態では、1つ以上のエアバッグ401、402、403、404は、車輪付き移動装置410の前側、後側、左側、および右側の1つ以上、または各々に配置することができ、車輪付き移動装置410の偏位を制御するために使用することができる。前側衝撃では、前側エアバッグ401をトリガーして、車輪付き移動装置410の前方偏位を制御することができる。最初の後方リバウンド時またはその直後に、後側エアバッグ402をトリガーして、後方偏位を制御することができる。追加のエアバッグをトリガーして、その後のリバウンドと振動を制御することができる。その逆のことが、後側衝撃で発生する。左側衝撃では、左側エアバッグ403をトリガーして、車輪付き移動装置410の左方偏位を制御することができる。最初の左方リバウンド時またはその直後に、右側エアバッグ404をトリガーして、右方偏位を制御することができる。追加のエアバッグをトリガーして、その後のリバウンドと振動を制御することができる。その逆のことが、右側衝撃で発生する。
【0122】
車輪付き移動装置610の通過中に乗客の630ヘッドの後ろに格納される後側入口ランプ620を有する、
図95~97に示される車椅子でアクセス可能な後側入口ミニバン600を含む特定の車両では、乗客の頭の後方偏位を制御するために、エアバッグ640、650、660を戦略的に配置することが望ましい。一実施形態では、エアバッグ640は、ランプ620から展開する。別の実施形態では、エアバッグ650は、天井、壁、または柱などの車両600の表面または構造から展開する。他の実施形態では、エアバッグ660は、車輪付き移動装置610に一体化され、そこから展開され得る。前側衝撃では、エアバッグ640、650、660は、乗客が後方向へのリバウンドを開始したとき、その前後、またはその後にトリガーすることができる。後側衝撃では、事故が検出されたとき、または乗客が後方偏位を開始したとき、その前後、またはその後に、エアバッグ640、650、660をトリガーすることができる。一部の実施形態では、コンピューティングシステムは、乗客の動的ステータスを監視し、乗客または乗客の頭の後方移動が検出されたときにエアバッグ640、650、660を展開することができる。エアバッグは大きくすることができ、かつ/または乗客の頭、乗客の背中、車輪付き移動装置の背もたれ、および車輪付き移動装置のうちの1つ以上の後方偏位を制御することができる。
【0123】
本明細書に記載し、主張した発明は、特定の実施形態を参照してかなり詳細に記載されているが、当業者は本明細書に記載し、主張した発明を、限定目的ではなく、例示目的で提示したこれらの実施形態以外によっても実施できることを理解するであろう。従って、添付の特許請求の範囲の精神および範囲は、本明細書に含まれる実施形態の説明に限定されるべきではない。
【0124】
例えば、一部のタイプの車輪付き移動装置固定システムのみが図に示され、上記で説明されているが、上記の原理は、任意の車輪付き移動装置固定システム、および任意の構成(前向き、後向きなど)で使用するために変更できることが企図される。さらに、一部の危険運転シナリオのみが上記で示され、説明されているが、上記の原則は、他の危険運転シナリオに適切であるように修正され得ることが企図される。さらに、上記の原理は、歩行器、ベビーカー、バギー、幼児およびチャイルドシートおよびブースターなどを含む他のタイプの移動装置の固定に使用できることが企図される。
【0125】
誤解を避けるために、車輪付き移動装置および車椅子という用語は、本明細書では交換可能に使用され、手動および電動車椅子およびスクーターを含む全てのタイプの車輪付き移動装置を広く包含することを意図している。さらに、本出願はしばしばウェビングを含むタイダウンに言及するが、タイダウンは、例えばコードおよびケーブルを含む多くの形態をとることができ、本明細書に記載の原理は、任意の形態のタイダウンを使用する固定システムに適用可能であることが認識される。
【0126】
さらに、上記の概念は、鏡像固定システムに適用され得る。例えば、
図19~28に示される3点システムは、左前側タイダウン320ではなく、右前側タイダウンを有することができ、また、また、バンパー340を左側ではなく右側に配置することができる。さらに、任意の固定システムは、車輪付き移動装置の4つの側部のいずれか1つ以上に配置された1つ以上のバンパーを組み込むことができ、これを制御して、本明細書に記載の方法で偏位を減少させることができる。
【国際調査報告】