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特表2022-533343表示装置、ヘッドアップディスプレイ及び自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-22
(54)【発明の名称】表示装置、ヘッドアップディスプレイ及び自動車
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20220714BHJP
   G02B 5/02 20060101ALI20220714BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20220714BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
G02B27/01
G02B5/02 B
G02B5/00 Z
B60K35/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021567978
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(85)【翻訳文提出日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 CN2020090203
(87)【国際公開番号】W WO2020233492
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】201910414497.4
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010389119.8
(32)【優先日】2020-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519206335
【氏名又は名称】フューチュラス テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】シュ,ジュンフォン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,タオ
(72)【発明者】
【氏名】ウ,ヒュイジュン
【テーマコード(参考)】
2H042
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2H042AA02
2H042AA26
2H042BA11
2H042BA20
2H199DA03
2H199DA12
2H199DA13
2H199DA16
2H199DA25
2H199DA42
2H199DA43
3D344AA21
3D344AA27
3D344AA30
3D344AC25
(57)【要約】
表示装置、ヘッドアップディスプレイ及び自動車を提供する。表示装置は、投影装置(100)と、反射構造(200)と、ビーム拡散構造(300)とを備える。投影装置(100)から出射された光はビーム拡散構造(300)を透過し、反射構造(200)により反射されて第1所定領域(410)に到達し、ビーム拡散構造(300)は、ビームの光軸を変更することなく、ビーム拡散構造(300)を通過するビームを拡散するように構成され、反射構造(200)は、投影装置(100)から第1所定領域(410)までの光路からビーム拡散構造(300)を除去する場合、投影装置(100)から出射された光を反射して第1所定領域(410)内の第2所定領域(420)に到達させるように構成される複数のサブ反射構造(210)を備え、第2所定領域(420)の面積は第1所定領域(410)の面積よりも小さい。表示装置は、反射構造及びビーム拡散構造を設置することにより、投影装置から出射されたビームが運転者の目を覆い、ビームの利用率を向上させて消費電力を低減させ、表示装置の視野角を拡大し、低消費電力で広視野角イメージング効果を実現することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置であって、
投影装置と、反射構造と、ビーム拡散構造とを備え、
前記投影装置から出射された光は、前記ビーム拡散構造を透過し、前記反射構造により反射されて第1所定領域に到達し、
前記ビーム拡散構造は、ビームの光軸を変更することなく、前記ビーム拡散構造を通過するビームを拡散するように構成され、
前記反射構造は、前記投影装置から前記第1所定領域までの光路から前記ビーム拡散構造を除去する場合、前記投影装置から出射された光を反射して前記第1所定領域内の第2所定領域に到達させるように構成される複数のサブ反射構造を備え、前記第2所定領域の面積は前記第1所定領域の面積よりも小さい、表示装置。
【請求項2】
前記反射構造及び前記ビーム拡散構造から出射された光を前記第1所定領域に反射するように構成される半透過構造をさらに備える、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記ビーム拡散構造と前記反射構造は積層して設置され、前記投影装置から出射された光は、前記ビーム拡散構造を透過して前記反射構造に入射され、前記反射構造により反射された光は、前記ビーム拡散構造を再度透過して前記第1所定領域に到達する、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記半透過構造は、前記反射構造及び前記ビーム拡散構造を通過して前記半透過構造に直接入射された光を前記第1所定領域に直接反射するように構成される、請求項2又は3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記投影装置、前記第1所定領域、前記反射構造及び前記ビーム拡散構造は前記半透過構造の第1側に位置し、前記半透過構造はさらに、前記半透過構造の第2側の周囲光を前記第1所定領域まで透過するように構成される、請求項2~4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記反射構造は基板をさらに備え、前記複数のサブ反射構造は前記基板の前記投影装置に対向する側に間隔を置いて設置され、各前記サブ反射構造は少なくとも1つの反射面を備え、前記複数のサブ反射構造が備える複数の反射面は前記投影装置から出射された光を反射して収束するように構成される、請求項2~5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
各前記サブ反射構造は1つの平面反射面を備え、前記反射構造は基準領域を備え、前記基準領域から離れる方向に、前記複数のサブ反射構造の前記平面反射面と前記基板との夾角は徐々に大きくなる、請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
各前記サブ反射構造の前記平面反射面の最大サイズは隣接する2つのサブ反射構造間の間隔よりも大きい、請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
各前記平面反射面の前記最大サイズは100ミクロン~100ミリメートルの範囲である、請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
各前記サブ反射構造の形状は多面体を含み、前記多面体中の1つの表面は前記平面反射面である、請求項7~9のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
各前記サブ反射構造の平面反射面は所定点を含み、前記半透過構造に対して前記第1所定領域内の観察点で形成された鏡像点は観察点の虚像であり、前記半透過構造に対して前記所定点で形成された鏡像点は所定点の虚像であり、前記投影装置の光出射面の中心は光出射点であり、
前記平面反射面の法線は、前記所定点と前記光出射点との第1結ぶ線と、前記所定点と前記観察点の虚像との第2結ぶ線との角二等分線上に位置し、又は、
前記観察点と前記所定点の虚像との結ぶ線は前記半透過構造と交差して交点を有し、前記平面反射面の法線は、前記所定点と前記光出射点との第1結ぶ線と、前記所定点と前記交点との第3結ぶ線との角二等分線上に位置する、請求項7~10のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項12】
各前記サブ反射構造は連続した曲面反射面を備え、隣接する前記サブ反射構造の前記反射面は互いに平行ではない、請求項6に記載の表示装置。
【請求項13】
前記複数のサブ反射構造の配列方向に沿った各前記サブ反射構造の断面は多角形を含み、各前記サブ反射構造の断面において、前記反射面が位置する辺は直辺である、請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
各前記サブ反射構造は環状構造であり、前記複数のサブ反射構造は多重環状構造として配列され、各前記環状構造の前記反射構造の中心に対向する表面は前記曲面反射面である、請求項12又は13に記載の表示装置。
【請求項15】
前記多重環状構造の内輪から外輪に向かう方向に、前記複数のサブ反射構造の複数の曲面反射面と前記基板との夾角は徐々に大きくなる、請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記基板に垂直な方向に沿って、各前記サブ反射構造の最大サイズは等しく、又は、
前記複数のサブ反射構造の前記基板での正投影の輪幅はいずれも等しい、請求項12~15のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項17】
前記ビーム拡散構造は、回折光学素子及び散乱光学素子のうちの少なくとも1つを備える、請求項1~16のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項18】
前記投影装置は、投影光源と、画像生成部と、レンズ部とを備え、前記画像生成部は前記投影光源から出射された光を画像光に変換するように構成され、前記画像光は前記レンズ部を通過して前記投影装置から出射され、
前記画像生成部は複数の画素を備え、各前記サブ反射構造の反射面の最大サイズは各前記画素の最大サイズ以下である、請求項7~11のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項19】
各前記サブ反射構造は少なくとも2つの反射面を備え、前記投影装置は2つのサブ投影装置を備え、各前記サブ反射構造は前記2つのサブ投影装置から出射された光を第3所定領域に反射するように構成され、前記第3所定領域は2つの前記第1所定領域を備える、請求項6に記載の表示装置。
【請求項20】
ヘッドアップディスプレイであって、請求項1~19のいずれか1項に記載の表示装置を備える、ヘッドアップディスプレイ。
【請求項21】
自動車であって、請求項20に記載のヘッドアップディスプレイを備える、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年5月17日に提出された中国特許出願第201910414497.4号の優先権、及び2020年5月9日に提出された中国特許出願第202010389119.8号の優先権を主張し、全ての目的のために、ここで上記中国特許出願に開示されている全内容が本願の一部として引用されている。
【0002】
本開示の少なくとも1つの実施例は、表示装置、ヘッドアップディスプレイ及び自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
ヘッドアップディスプレイ(head up display、HUD)技術は、画像ソースから放出された画像光(車速などの車両情報を含む)を自動車のフロントガラスなどのイメージングウィンドウに投射することにより、運転者が運転中にダッシュボードを見下ろすことなく情報を直接見ることができ、運転の安全性を向上させることができるだけでなく、より良好な運転体験をもたらすことができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の少なくとも1つの実施例は表示装置、ヘッドアップディスプレイ及び自動車を提供する。
【0005】
本開示の少なくとも1つの実施例は表示装置を提供し、投影装置と、反射構造と、ビーム拡散構造とを備える。前記投影装置から出射された光は、前記ビーム拡散構造を透過し、前記反射構造により反射されて第1所定領域に到達し、前記ビーム拡散構造は、ビームの光軸を変更することなく、前記ビーム拡散構造を通過するビームを拡散するように構成され、前記反射構造は、前記投影装置から前記第1所定領域までの光路から前記ビーム拡散構造を除去する場合、前記投影装置から出射された光を反射して前記第1所定領域内の第2所定領域に到達させるように構成される複数のサブ反射構造を備え、前記第2所定領域の面積は前記第1所定領域の面積よりも小さい。
【0006】
例えば、本開示の実施例では、表示装置は、前記反射構造及び前記ビーム拡散構造から出射された光を前記第1所定領域に反射するように構成される半透過構造をさらに備える。
【0007】
例えば、本開示の実施例では、前記ビーム拡散構造と前記反射構造は積層して設置され、前記投影装置から出射された光は、前記ビーム拡散構造を透過して前記反射構造に入射され、前記反射構造により反射された光は、前記ビーム拡散構造を再度透過して前記第1所定領域に到達する。
【0008】
例えば、本開示の実施例では、前記半透過構造は、前記反射構造及び前記ビーム拡散構造を通過して前記半透過構造に直接入射された光を前記第1所定領域に直接反射するように構成される。
【0009】
例えば、本開示の実施例では、前記投影装置、前記第1所定領域、前記反射構造及び前記ビーム拡散構造は前記半透過構造の第1側に位置し、前記半透過構造はさらに、前記半透過構造の第2側の周囲光を前記第1所定領域まで透過するように構成される。
【0010】
例えば、本開示の実施例では、前記反射構造は基板をさらに備え、前記複数のサブ反射構造は前記基板の前記投影装置に対向する側に間隔を置いて設置され、各前記サブ反射構造は少なくとも1つの反射面を備え、前記複数のサブ反射構造が備える複数の反射面は前記投影装置から出射された光を反射して収束するように構成される。
【0011】
例えば、本開示の実施例では、各前記サブ反射構造は1つの平面反射面を備え、前記反射構造は基準領域を備え、前記基準領域から離れる方向に、前記複数のサブ反射構造の前記平面反射面と前記基板との夾角は徐々に大きくなる。
【0012】
例えば、本開示の実施例では、各前記サブ反射構造の前記平面反射面の最大サイズは隣接する2つのサブ反射構造間の間隔よりも大きい。
【0013】
例えば、本開示の実施例では、各前記平面反射面の前記最大サイズは100ミクロン~100ミリメートルの範囲である。
【0014】
例えば、本開示の実施例では、各前記サブ反射構造の形状は多面体を含み、前記多面体の1つの表面は前記平面反射面である。
【0015】
例えば、本開示の実施例では、各前記サブ反射構造の平面反射面は所定点を含み、前記半透過構造に対して前記第1所定領域内の観察点で形成された鏡像点は観察点の虚像であり、前記半透過構造に対して前記所定点で形成された鏡像点は所定点の虚像であり、前記投影装置の光出射面の中心は光出射点である。前記平面反射面の法線は、前記所定点と前記光出射点との第1結ぶ線と、前記所定点と前記観察点の虚像との第2結ぶ線との角二等分線上に位置し、又は、前記観察点と前記所定点の虚像との結ぶ線は、前記半透過構造と交差して交点を有し、前記平面反射面の法線は、前記所定点と前記光出射点との第1結ぶ線と、前記所定点と前記交点との第3結ぶ線との角二等分線上に位置する。
【0016】
例えば、本開示の実施例では、各前記サブ反射構造は連続した曲面反射面を備え、隣接する前記サブ反射構造の前記反射面は互いに平行ではない。
【0017】
例えば、本開示の実施例では、前記複数のサブ反射構造の配列方向に沿った各前記サブ反射構造の断面は多角形を含み、各前記サブ反射構造の断面において、前記反射面が位置する辺は直辺である。
【0018】
例えば、本開示の実施例では、各前記サブ反射構造は環状構造であり、前記複数のサブ反射構造は多重環状構造として配列され、各前記環状構造の前記反射構造の中心に対向する表面は前記曲面反射面である。
【0019】
例えば、本開示の実施例では、前記多重環状構造の内輪から外輪に向かう方向に、前記複数のサブ反射構造の複数の曲面反射面と前記基板との夾角は徐々に大きくなる。
【0020】
例えば、本開示の実施例では、前記基板に垂直な方向に沿って、各前記サブ反射構造の最大サイズは等しく、又は、前記複数のサブ反射構造の前記基板での正投影の輪幅はいずれも等しい。
【0021】
例えば、本開示の実施例では、前記ビーム拡散構造は、回折光学素子及び散乱光学素子のうちの少なくとも1つを備える。
【0022】
例えば、本開示の実施例では、前記投影装置は、投影光源と、画像生成部と、レンズ部とを備え、前記画像生成部は、前記投影光源から出射された光を画像光に変換するように構成され、前記画像光は前記レンズ部を通過して前記投影装置から出射され、前記画像生成部は複数の画素を備え、各前記サブ反射構造の反射面の最大サイズは各前記画素の最大サイズ以下である。
【0023】
例えば、本開示の実施例では、各前記サブ反射構造は少なくとも2つの反射面を備え、前記投影装置は2つのサブ投影装置を備え、各前記サブ反射構造は前記2つのサブ投影装置から出射された光を第3所定領域に反射するように構成され、前記第3所定領域は2つの前記第1所定領域を備える。
【0024】
本開示の別の実施例はヘッドアップディスプレイを提供し、上記いずれかの実施例の表示装置を備える。
【0025】
本開示の別の実施例は自動車を提供し、上記ヘッドアップディスプレイを備える。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本開示の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例の図面を簡単に説明し、明らかなように、以下説明される図面は、本開示を限定するものではなく、本開示のいくつかの実施例に関するものに過ぎない。
【0027】
図1図1は本開示の実施例の一例に係る表示装置の構造模式図である。
図2図2図1に示す表示装置のビーム拡散構造を除去した後の光路図である。
図3図3図1及び図2に示す表示装置の反射構造の部分平面構造模式図である。
図4図4図3に示す反射構造のAA線部分断面構造模式図である。
図5図5は本開示の実施例の別の例に係る表示装置の構造模式図である。
図6図6は各サブ反射構造の法線方向を決定する光路図である。
図7図7は各サブ反射構造の法線方向を決定する別の光路図である。
図8図8図1及び図2に示す表示装置の別の反射構造の部分平面構造模式図である。
図9図9図8に示す反射構造のBB線部分断面構造模式図である。
図10図10図1及び図2に示す表示装置の別の反射構造の部分平面構造模式図である。
図11図11図10に示す反射構造のCC線部分断面構造模式図である。
図12図12は各サブ反射構造の法線方向を決定する光路図である。
図13図13図12に示す曲面反射面と基板の弧状交線である。
図14図14図1及び図2に示す表示装置の別の反射構造の部分平面構造模式図である。
図15図15図1に示す表示装置のビーム拡散構造の拡散光路模式図である。
図16図16は本開示の実施例に係る投影装置の部分内部構造模式図である。
図17図17図16に示す画像生成部が備える画素の部分平面構造模式図である。
図18図18は本開示の実施例の別の例に係る表示装置の部分構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本開示の実施例の図面を参照しながら、本開示の実施例の技術案を明確、かつ完全に説明する。明らかなように、説明される実施例は本開示の実施例の一部であり、実施例の全部ではない。説明される本開示の実施例に基づき、当業者が創造的な労働を必要とせずに得る全ての他の実施例は、いずれも本開示の保護範囲に属する。
【0029】
特に定義されない限り、本開示で使用される技術用語又は科学用語は、当業者が理解できる一般的な意味を有する。本開示で使用される「第1」、「第2」及び類似する用語は、何らかの順序、数又は重要性を示すものではなく、異なる構成要素を区別するためのものに過ぎない。「備える」又は「含む」などの類似する用語は、該用語の前に記載された素子又は部材が、該用語の後に列挙される素子又は部材、及びそれらの同等物を含むが、他の素子又は部材を排除しないことを意味する。
【0030】
研究を行ったところ、本願の発明者は、自由曲面反射鏡を介して反射イメージングを実現するヘッドアップディスプレイの視野角(Field of View)が非常に小さく、一般的に10°以下であるため、ヘッドアップディスプレイに表示される画像のサイズが非常に小さいことを見出した。上記ヘッドアップディスプレイは、一般的に車速又は方向情報のみを表示でき、ナビゲーションマップ、複雑な安全情報などのより豊富な情報を表示できないため、運転者が車両の走行中の様々な情報を把握する必要性を満たすことは困難である。
【0031】
一般的に、大型ヘッドアップディスプレイの高精細で明るいイメージングを実現するには、画像ソースにおける表示領域の面積を増加させ、画像ソースの消費電力を増加させる必要がある。光学設計方法により、自由曲面反射鏡に基づいて反射イメージングを実現するヘッドアップディスプレイの視野角及び表示領域を拡大する場合、明るさが不十分になり、画像が安定せず、画面が歪むなどの現象が発生しやすくなり、画面の明るさを確保するには、非常に高い消費電力が発生する。
【0032】
本開示の実施例は表示装置、ヘッドアップディスプレイ及び自動車を提供する。表示装置は、投影装置と、反射構造と、ビーム拡散構造とを備える。投影装置から出射された光は、ビーム拡散構造を透過し、反射構造により反射されて第1所定領域に到達し、ビーム拡散構造は、ビームの光軸を変更することなく、ビーム拡散構造を通過するビームを拡散するように構成され、反射構造は、投影装置から第1所定領域までの光路からビーム拡散構造を除去する場合、投影装置から出射された光を反射して第1所定領域内の第2所定領域に到達させるように構成される複数のサブ反射構造を備え、第2所定領域の面積は第1所定領域の面積よりも小さい。本開示の実施例に係る表示装置は、反射構造及びビーム拡散構造を設置することにより、投影装置から出射されたビームが運転者の第1所定領域(すなわち、平面観察領域)にある目を覆い、ビームの利用率を向上させて消費電力を低減させることができ、さらに表示装置の視野角を拡大し、それにより低消費電力で広視野角イメージング効果を実現することができる。すなわち、本開示の実施例の表示装置は、投影装置から出射された光を第1所定領域にできるだけ集中し、表示装置の視野角を拡大するとともにビームの利用率を向上させることができる。
【0033】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施例に係る表示装置、ヘッドアップディスプレイ及び自動車について説明する。
【0034】
図1は本開示の実施例の一例に係る表示装置の構造模式図である。図1に示すように、表示装置は、投影装置100と、反射構造200と、ビーム拡散構造300とを備える。反射構造200は、投影装置100から出射された光を反射するように構成され、ビーム拡散構造300は、ビームの光軸を変更することなく、ビーム拡散構造300を通過するビームを拡散するように構成される。投影装置100から出射された光は、ビーム拡散構造300を透過し、反射構造200により反射されて第1所定領域410に到達する。上記「光軸」は、ビームの中心線を指す。上記「投影装置100から出射された光はビーム拡散構造300を透過し、反射構造200により反射されて第1所定領域410に到達すること」は、ビーム拡散構造300及び反射構造200を通過する光が第1所定領域410に直接到達できること(図1に示す)、他の光学素子の作用を受けた後、第1所定領域410に到達できること(図5に示す)を意味し得る。
【0035】
上記「第1所定領域」は平面観察領域を指す。投影装置から出射された光はビーム拡散構造を透過し、反射構造により反射されて上記第1所定領域が位置する平面に到達し、該平面の第1所定領域内に光の大部分が集中し(例えば、第1所定領域が位置する平面に入射されたビーム中の90%以上の光強度の光が第1所定領域に集中し、第1所定領域が位置する平面に入射されたビーム中の80%以上の光強度の光が第1所定領域に集中し、又は第1所定領域が位置する平面に入射されたビーム中の60%以上の光強度の光が第1所定領域に集中する)、第1所定領域に入射された光は第1所定領域にわたって分布する。
【0036】
図1に示すように、ビーム拡散構造300と反射構造200は積層して設置され、投影装置100から出射された光はビーム拡散構造300を透過して反射構造200に入射され、反射構造200により反射された光はビーム拡散構造300を再度透過して第1所定領域410に到達する。すなわち、投影装置100から出射された光は、第1所定領域410に到達する前に、ビーム拡散構造300を2回通過し、ビーム拡散構造300を2回通過するプロセスに拡散され、2回の拡散の複合効果は第1所定領域410の範囲を決定する。投影装置から出射された光はビーム拡散構造を通過した後、その出射光をより広い範囲に拡散でき、それにより消費電力をできるだけ増加させることなく、表示装置の視野角を拡大することができる。
【0037】
説明を容易にするために、図1は反射構造200が光の一部をビーム拡散構造300に反射することのみを示す。例えば、反射構造200に入射された他の拡散光も反射構造200によりビーム拡散構造300に反射され、ビーム拡散構造300により2回拡散されて第1所定領域410に到達する。例えば、ビーム拡散構造300と反射構造200との距離が短い場合、ビーム拡散構造300の1回目の拡散効果が低く、第1所定領域410の範囲は主に、ビーム拡散構造300の2回目の拡散効果により決定され得る。
【0038】
図2図1に示す表示装置のビーム拡散構造を除去した後の光路図であり、図3図1及び図2に示す表示装置の反射構造の部分平面構造模式図であり、図4図3に示す反射構造のAA線部分断面構造模式図である。図1図4に示すように、反射構造200は、投影装置100から第1所定領域410までの光路からビーム拡散構造300を除去する場合、投影装置100から出射された光を反射して第1所定領域410内の第2所定領域420に到達させるように構成される複数のサブ反射構造210を備え、第2所定領域420の面積は第1所定領域410の面積よりも小さい。すなわち、投影装置100から出射された光がビーム拡散構造300を透過せずに反射構造200により直接反射され、反射構造200により反射された光もビーム拡散構造300を透過せずに第1所定領域410に到達する場合、第1所定領域に入射された光は、第1所定領域410内に位置する第2所定領域420にほぼ集中する。投影装置から出射された光がビーム拡散構造を透過せずに反射構造により直接反射されて上記第2所定領域が位置する平面に到達し、該平面の第2所定領域内に迷光以外の光の大部分が集中し、第2所定領域に集中する光は第2所定領域にわたって分布している。反射構造により反射されたビームの光軸はいずれも上記第2所定領域に集中し、他の角度からの光(例えば、迷光)は第2所定領域に集中しない可能性がある。
【0039】
例えば、第2所定領域420は面積が非常に小さい領域であってもよい。例えば、第2所定領域420は1つの点であってもよい。例えば、第1所定領域410の面積と第2所定領域420の面積との比は4よりも大きくてもよい。例えば、第1所定領域410の面積と第2所定領域420の面積との比は5~100であってもよい。例えば、第1所定領域410の面積と第2所定領域420の面積との比は20~200であってもよい。第1所定領域410の面積と第2所定領域420の面積との比が大きいほど、画面の明るさを確保するとともに消費電力を低減させることができる。それにより、表示装置には投影装置及び反射構造のみが設置される場合、投影装置から出射された光は第2所定領域に正確に反射することができる。投影装置から出射された光が第2所定領域に到達する光路にビーム拡散構造が設置されることにより、上記第2所定領域を第1所定領域に拡大することができ、例えば、上記ビーム拡散構造が正確かつ制御可能なビーム拡大機能を有する場合、上記第1所定領域は第2所定領域を正確かつ制御可能に拡散することにより得られる領域でもあり、それによりビームを不要な投射位置に投射することを回避でき、消費電力を節約するとともに視野角を拡大することができる。
【0040】
例えば、本開示の実施例に係る表示装置はヘッドアップディスプレイであってもよく、反射構造及びビーム拡散構造が設置されることにより、投影装置から出射されたビームが運転者の第1所定領域にある目を覆い、ビームの利用率を向上させて消費電力を低減させることができ、さらにヘッドアップディスプレイの視野角を拡大し、それにより低消費電力で広視野角イメージング効果を実現することができる。すなわち、本開示の実施例のヘッドアップディスプレイは、投影装置から出射された光を第1所定領域にできるだけ集中し、ヘッドアップディスプレイの視野角を拡大するとともにビームの利用率を向上させることができる。
【0041】
例えば、図1及び図2はビーム拡散構造300及び反射構造200を通過する光が第1所定領域410に直接到達できることのみを例示的に示すが、これに限定されず、ビーム拡散構造300及び反射構造200を通過する光は他の光学素子の作用を受けた後、第1所定領域410に到達してもよい。例えば、図5は本開示の実施例の別の例に係る表示装置の構造模式図である。図5に示すように、表示装置は半透過構造500をさらに備え、半透過構造500は、反射構造200及びビーム拡散構造300から出射された光を第1所定領域410に反射するように構成される。すなわち、反射構造200及びビーム拡散構造300から出射された光が第1所定領域410に到達する光路に半透過構造500がさらに設置される。例えば、上記半透過構造500は半透過半反射構造であり、反射構造200及びビーム拡散構造300から出射された光を反射する効果を有するが、ビームを収束又は拡散する効果がほとんどない。
【0042】
例えば、図5に示すように、半透過構造500は、反射構造200及びビーム拡散構造300を通過して半透過構造500に直接入射された光を第1所定領域410に直接反射するように構成される。すなわち、反射構造200及びビーム拡散構造300から出射された光は半透過構造500のみにより反射された後に、第1所定領域410に直接入射される。なお、光路を容易に表示するために、図5は、反射構造及びビーム拡散構造を通過する光をビーム拡散構造の投影装置に対向する表面のみに例示的に示し、ビーム拡散構造から反射構造に拡大されたビーム及び反射構造によりビーム拡散構造に反射されたビームが示されず、図5は、例示的に反射構造及びビーム拡散構造が全体として投影装置の光を反射し、投影装置から出射された光がビーム拡散構造に入射される入射点と、ビーム拡散構造から半透過構造に出射される光の出射点との間には一定の距離があり、該距離は小さく設計されてもよい。
【0043】
もちろん、本開示の実施例はこれに限定されず、ビーム拡散構造300と半透過構造500との間又は半透過構造500と第1所定領域410との間に、イメージングに役立つ他の光学素子を増設することもできる。
【0044】
例えば、観察者(例えば、運転者又は乗客)の目は、第1所定領域410にあってもよく、それにより半透過構造500の第1所定領域410から離れる側に位置する虚像411を見ることができる。例えば、実際の必要に応じて観察者が画像を見る必要がある領域、すなわちアイボックス領域(eyebox)430を予め設定することができ、該アイボックス領域430は、観察者の両目がある、表示装置に表示される画像を見ることができる平面領域を指す。例えば、上記第1所定領域410は、アイボックス領域430を含んでもよい。例えば、観察者の両目はアイボックス領域430の中心に対して一定の距離だけずれており、上下、左右に一定の距離だけ移動する場合、観察者の両目が依然としてアイボックス領域430内にある限り、観察者は表示装置に表示される画像を見ることができる。
【0045】
例えば、図5に示すように、第1所定領域410は投影装置100の反射構造200に近接する側に位置してもよく、すなわち、投影装置100及び反射構造200はほぼ第1所定領域410の両側に位置する。例えば、投影装置100、第1所定領域410、反射構造200及びビーム拡散構造300は半透過構造500の第1側に位置し、半透過構造500はさらに、半透過構造500の第2側の周囲光を第1所定領域410まで透過するように構成される。それにより、第1所定領域410は、外部環境(例えば、走行時の外部環境)及び表示装置に表示される画像(例えば、ナビゲーションマップ、複雑な安全情報などの画像)を同時に見ることができ、観察者(例えば、運転者)の安全を確保するとともに、観察者の体験を向上させることができる。
【0046】
例えば、半透過構造500は、フロントガラス又はイメージングウィンドウであってもよく、それぞれフロントガラスヘッドアップディスプレイ(W-HUD)及び複合ヘッドアップディスプレイ(C-HUD)に対応する。例えば、半透過構造500には反射フィルムをさらに設置することができ、反射フィルムは、投影された光を効率的に反射し、外部の周囲光を効率的に透過することができる。
【0047】
例えば、図1図2及び図5に示すように、投影装置100から第1所定領域410までの光路からビーム拡散構造300を除去する場合、複数のサブ反射構造は投影装置100の光を半透過構造500に反射し、半透過構造500はさらに光を第1所定領域410内の面積の小さい観察点(すなわち、第2所定領域)に反射する。投影装置100から出射された光が観察点に投射される光路にビーム拡散構造300が設置された後、ビーム拡散構造300から半透過構造500に放出されたビームは一定の発散角を有するビームとして拡散される。それにより、半透過構造500により反射された光は観察点から第1所定領域410全体に拡散され、それにより観察者は画像を観察することができる。なお、アイボックスの中心又はアイボックスのエッジなどアイボックス領域内の異なる位置を観察点とする場合、観察される虚像の位置も異なるが、差異が小さく、無視することができ、アイボックス領域内で画像を観察することがみなされ、虚像の位置がほぼ一定であり、ビームが半透過構造で反射される位置もほぼ一定である。
【0048】
自由曲面反射鏡に基づいて反射イメージングを実現する表示装置と比較して、本開示の実施例に係るヘッドアップディスプレイは投影装置、反射構造及びビーム拡散構造の組み合わせを使用し、それにより投影装置から出射されたビームが反射されて運転者の目の位置を覆い、ビームを効率的に利用することができ、また、運転者の目の位置で画像を観察する水平視野角の範囲は20°~50°であり、垂直視野角αの範囲は5°~20°であり、ヘッドアップディスプレイの限られた視野角の問題を解決し、低消費電力で超広視野角イメージングを実現することができる。上記「水平」及び「垂直」は互いに垂直な2つの方向であり、車体座標系を例とすると、上記「水平」は、車体座標系における車の幅方向、上記「垂直」は車体座標系における車の高さ方向をそれぞれ指すことができる。
【0049】
例えば、図1図4に示すように、反射構造200は基板220をさらに備え、複数のサブ反射構造210は基板220の投影装置100に対向する側に間隔を置いて設置され、各サブ反射構造210は投影装置100に対向する少なくとも1つの反射面211を備え、複数のサブ反射構造210が備える複数の反射面211は、投影装置100から出射された光を反射して収束するように構成される。上記「複数の反射面211は、投影装置100から出射された光を反射して収束するように構成されること」は、投影装置と反射面との間に他の光学素子がなく、複数の反射面が投影装置から反射面に直接投射された光を収束でき、又は反射面と投影装置との間にビーム拡散構造が設置され、複数の反射面が投影装置から出射されてビーム拡散構造を透過する光を収束できることを意味する。
【0050】
例えば、基板220は平面基板であってもよく、平面基板に設置される複数のサブ反射構造210は、各サブ反射構造210の反射面211と基板220との夾角を設計することにより、投影装置100から出射された光が反射構造により反射されて第1所定領域410に到達することを確保できる。
【0051】
例えば、基板220と複数のサブ反射構造210は一体構造であってもよく、基板220の表面上に各サブ反射構造210を加工して形成することができる。
【0052】
例えば、図1図4に示すように、反射構造200は基準点Oを備え、各サブ反射構造210は1つの平面反射面211を備え、反射構造200の基準点Oから離れる方向に、複数のサブ反射構造210の平面反射面211と基板220との夾角は徐々に大きくなり、複数のサブ反射構造210は投影装置100から出射された光を反射して第1所定領域410に到達させることができる。上記「基準点O」は反射構造上の任意の位置にあってもよく、例えば、基準点が反射構造の幾何学的中心から外れると、該基準点を基準として設置される複数の反射面は偏心収束効果を実現し、例えば、基準点は反射構造の幾何学的中心に位置してもよい。
【0053】
例えば、基準点を囲む小面積領域は基準領域を形成でき、又は基準領域の面積が非常に小さいため、基準領域が1つの点、すなわち基準点として近似される。例えば、基準領域内に位置するサブ反射構造の平面反射面と基板との夾角は等しくてもよく、基準領域外に位置するサブ反射構造の反射面と基板との夾角は、基準領域から離れる方向に徐々に大きくなる。
【0054】
例えば、図3及び図4に示すように、各サブ反射構造210の形状は多面体を含み、多面体中の1つの表面は平面反射面211である。例えば、多面体はプリズムであってもよい。
【0055】
例えば、各サブ反射構造210の反射面211はいずれも反射構造200の基準点に対向する。
【0056】
例えば、図6は各サブ反射構造の法線方向を決定する光路図である。図6に示すように、本開示の実施例に係るヘッドアップディスプレイが自動車に適用されることが例示される。車体空間座標系において、投影装置100がビームを放出する開始位置は点P(例えば、投影装置の光出射面上の点)であり、点Pの車体空間座標系における位置が既知である。第1所定領域410はアイボックス領域の中心位置の点B(例えば、アイボックス領域の中点、例えば、第1所定領域の中点)を含み、点Bの車体空間座標系における位置も既知である。点Bを観察点として、反射法則に基づき、投影装置100から放出されたビームが反射構造200で反射された後、反射ビームが第1所定領域の観察点Bの虚像位置(点B1)に到達することがみなされ、このとき、点B1は、半透過構造に対して第1所定領域410内の観察点で形成された鏡像点の観察点の虚像であることがみなされ、点B1が位置する領域は第1所定領域の虚像領域412である。点Bの半透過構造500の虚像位置B1に対する位置も固定され、既知である。例えば、反射構造200は、車体ダッシュボード(IP)の表面に設置されてもよく、それにより反射構造200の位置も既知であり、反射構造200上の所定点A(例えば、中点)の位置も既知である。
【0057】
例えば、上記点P、点A、点B及び点B1の4つの既知の位置を決定した後、点B1から点Aまでの結ぶ線と半透過構造500の交点Cの位置を確認することができる。点A及び点Cの空間座標に基づいてベクトルACを決定し、次に点A及び点Pの空間座標に基づいてベクトルAPを決定し、ベクトルAC及びベクトルAPに基づいて各サブ反射構造の平面反射面の法線ベクトルを決定することができる。すなわち、各サブ反射構造の反射面は第1所定領域の位置(点B)、投影装置の位置(点P)及びサブ反射構造自体の位置(点A)により共に決定される。例えば、各サブ反射構造について、いずれも各サブ反射構造上の1つの既知の点(点A)を決定し、さらに第1所定領域の位置(点B)及び投影装置の位置(点P)を組み合わせて各サブ反射構造の法線ベクトルを決定して各サブ反射構造の反射面を決定し、それにより複数のサブ反射構造の分布を決定することができる。
【0058】
例えば、図3図4及び図6に示すように、各サブ反射構造210の反射面211の最大サイズは100ミクロン~100ミリメートルの範囲である。例えば、各サブ反射構造210の基板220での正投影の最大サイズは100ミクロン~100ミリメートルの範囲である。例えば、各サブ反射構造210の反射面211の最大サイズは100ミクロン~500ミクロンの範囲である。例えば、各サブ反射構造210の反射面211の最大サイズは100ミクロン~300ミクロンの範囲である。各サブ反射構造のサイズが小さすぎると、ビームがサブ反射構造で回折され、反射効果に悪影響を与え、サブ反射構造に入射されたビームが回折されない場合、サブ反射構造の反射面のサイズが小さいほど、反射効果が良好である。
【0059】
例えば、図6に示すように、投影装置100の反射構造200のサブ反射構造に入射された点Aを例とすると、Aの座標は(x,y,z)であり、サブ反射構造の反射面の法線Nは反射面に垂直な垂直ベクトルである。空間座標系において、該垂直ベクトルは、
(外1)
を満たす。上記P⊥x、P⊥y及びP⊥zは法線ベクトル
(外4)
のx軸、y軸及びz軸での成分である。反射法則に基づき、入射ビームPAとサブ反射構造の反射面の法線Nとの間の入射角が反射ビームACと法線Nとの出射角に等しい場合、反射面の法線ベクトルはベクトル
(外5)

(外6)
の角二等分線上に位置し、それにより、法線ベクトル
(外7)
は以下の関係式(1)を満たす。
【数1】
【0060】
反射面上の任意の点M(x,y,z)について、ベクトル
(外8)
がベクトル
(外9)
に垂直である場合、
(外10)

(外11)

(外12)
を満たし、すなわち、
(外13)

(外14)
は以下の関係式(2)を満たす。
【数2】
【0061】
各サブ反射構造について、いずれも各サブ反射構造上の1つの既知の点Aを決定し、既知の点Aを投影装置100の位置P及び第1所定領域の虚像412の位置B1に組み合わせて、各サブ反射構造の法線ベクトルを決定し、さらに各サブ反射構造の反射面を決定することができる。例えば、上記既知の点Aはサブ反射構造上の任意の点であってもよく、例えば、サブ反射構造と基板の交線上の点、又はサブ反射構造の中心点などであってもよい。
【0062】
例えば、基板220をm*n個の領域に分割することができ、各領域に1つのサブ反射構造が設置される。例えば、サブ反射構造の反射面上の点Mの値範囲を容易に決定するために、点Mを基板上の領域内に投影し、基板上の領域の境界を点Mの値範囲とすることができる。例えば、各小領域上の1つの点、例えば中心点の空間座標を決定でき、この点を既知の点Aとする。各小領域の面積は等しくてもよく、等しなくてもよい。上記関係式(2)の任意の点M(x,y,z)の座標x、y、zは一定の値範囲を有し、該値範囲は以下の関係式(3)を満たす。
【数3】
【0063】
上記Δx、Δx、Δy、Δy、Δz、Δzは、サブ反射構造のサイズ(例えば、反射面のサイズ、又はサブ反射構造が位置する基板上の領域のサイズ)に応じて決定される予め設定された数値であり、異なるサブ反射構造は同じΔx、Δx、Δy、Δy、Δz、Δzを使用してもよく、実際の状況に応じて異なる数値を選択してもよい。例えば、Δx=Δx=0.5と仮定すると、A(x,y,z)の位置を決定した後、x=3の場合、サブ反射構造の反射面上の点Mのx成分の値範囲は[2.5,3.5]である。Aが中点ではなく、Δx=0.4、Δx=0.6、x=3と仮定すると、サブ反射構造の反射面上の点Mのx成分の値範囲は[2.4,3.6]である。サブ反射構造のサイズが小さいほど、対応するΔx、Δx、Δy、Δy、Δz、Δzの値も小さくなる。
【0064】
例えば、図7は各サブ反射構造の法線方向を決定する別の光路図である。図7に示すように、本開示の実施例に係るヘッドアップディスプレイが自動車に適用されることが例示される。車体空間座標系において、投影装置100がビームを放出する開始位置は点P(例えば、投影装置の光出射面上の点)であり、点Pの車体空間座標系における位置が既知である。第1所定領域410はアイボックス領域の中心位置の点B(例えば、アイボックス領域の中点、例えば、第1所定領域の中点)を含み、点Bの車体空間座標系における位置も既知である。点Bを第1所定領域内の観察点とすると、反射構造200の半透過構造500の虚像2000に対する位置が固定される。例えば、反射構造200は車体ダッシュボード(IP)の表面に設置されてもよく、それにより反射構造200の位置も既知であり、反射構造200上の1つの点A(例えば、中点)の位置も既知であり、半透過構造に対して反射構造200上の所定点Aで形成された鏡像点(すなわち、所定点の虚像A1)の位置も既知である。
【0065】
例えば、上記点P、点A、点A1及び点Bの4つの既知の位置を決定した後、点Bから点A1までの結ぶ線と半透過構造500の交点Cの位置を決定することができる。点A及び点Cの空間座標に基づいてベクトルACを決定し、次に点A及び点Pの空間座標に基づいてベクトルAPを決定し、ベクトルAC及びベクトルAPに基づいて各サブ反射構造の平面反射面の法線ベクトルを決定することができる。すなわち、各サブ反射構造の反射面は第1所定領域の位置(点B)、投影装置の位置(点P)及びサブ反射構造自体の位置(点A)により共に決定される。後続の各サブ反射構造の法線ベクトルを決定する方法は図6に示す例と同じであり、ここで繰り返し説明しない。
【0066】
例えば、図3及び図4に示すように、各サブ反射構造210の反射面211の最大サイズは隣接する2つのサブ反射構造210間の間隔よりも大きい。例えば、複数のサブ反射構造210は密接に配列されて良好な反射効果を実現することができる。図3は、複数のサブ反射構造210の配列方式のみを例示的に示し、実際には、隣接するサブ反射構造間の間隔は非常に小さく、例えば反射面の最大サイズの1/100~1/1000である。
【0067】
例えば、各サブ反射構造210の反射面の形状は同じであってもよく、異なってもよい。例えば、複数のサブ反射構造210は均一に分布し、それによりサブ反射構造の配置設計を容易にすることができる。
【0068】
図8図1及び図2に示す表示装置の別の反射構造の部分平面構造模式図であり、図9図8に示す反射構造のBB線部分断面構造模式図である。図1図2、及び図8図9に示すように、各サブ反射構造210は連続した曲面反射面211を備え、隣接するサブ反射構造210の反射面211は互いに平行ではない。例えば、複数のサブ反射構造210の配列方向Pに沿って、各サブ反射構造210の断面は多角形を含み、多角形には、サブ反射構造210の反射面211が位置する辺は直辺である。
【0069】
例えば、図8及び図9に示すように、各サブ反射構造210の反射面211の、基板220に垂直な平面で切断された断面形状は直線部であり、該直線部と基板220との夾角はθであり、すなわち、該反射面211の法線と基板220の法線との夾角はθである。
【0070】
例えば、基板220は平面基板であり、該基板220は、例えば車体ダッシュボード(IP)の表面に平行である。例えば、基板220とサブ反射構造210は一体構造であってもよい。図8及び図9は、隣接する2つのサブ反射構造を例示的に示し、一方のサブ反射構造210の反射面211と基板220との夾角がθであり、他方のサブ反射構造210の反射面211と基板220との夾角がθであり、θがθに等しくない。図8はサブ反射構造の配列方向PがBB線と重なることを例示的に示し、もちろん、本開示の実施例に示すサブ反射構造の配列方向は、図8に示すP方向に限定されず、図8に示すY方向などに沿って配列されてもよい。
【0071】
例えば、図8及び図9に示すように、各サブ反射構造210は環状構造であり、複数のサブ反射構造210は多重環状構造として配列され、各環状構造の反射構造200の中心に対向する表面は曲面反射面211であり、複数の曲面反射面は投影装置から出射された光を収束して第1所定領域に反射することに用いられる。上記環状構造は円環状構造又は四角い環状構造、楕円環状構造などの非標準的な円環状構造を含んでもよい。
【0072】
例えば、図8及び図9に示すように、各サブ反射構造210の基板220での正投影は環状を含み、該環状は密閉環状であってもよく、非密閉環状であってもよい。例えば、複数のサブ反射構造210の配列方向は内輪の中心に沿ってエッジに向かう方向、例えばP方向であってもよい。複数のサブ反射構造210はN個のサブ反射構造210を備え、M番目のサブ反射構造210はM-1番目のサブ反射構造210を取り囲み、1<M≦Nである。上記「M番目のサブ反射構造210はM-1番目のサブ反射構造210を取り囲むこと」は、M番目のサブ反射構造210がM-1番目のサブ反射構造210を完全に取り囲むことを意味でき、M番目のサブ反射構造210がM-1番目のサブ反射構造210の一部を取り囲むことも意味できる。
【0073】
例えば、基板220は平面基板であってもよく、平面基板に設置される複数のサブ反射構造210は、各サブ反射構造210の反射面211と基板220との夾角を設計することにより、投影装置100から出射された光を第1所定領域410に反射することを確保できる。例えば、図8に示すように、本開示の実施例の複数のサブ反射構造210は多重環状構造として配列されてもよく、多重環状構造の内輪から外輪に向かう方向に、サブ反射構造210と基板220との夾角θは徐々に大きくなり、それにより投影装置から出射された光を第1所定領域に反射することができる。図8に示すように、反射構造は基準点Oを含み、基準点から離れる方向に、サブ反射構造210と基板220との夾角θは徐々に大きくなる。上記基準点が位置する面積の小さい領域は基準領域であってもよく、上記基準領域は内輪の中心が位置する領域であってもよく、内輪から外輪に向かう方向も、基準領域から離れる方向である。
【0074】
例えば、図8及び図9に示すように、各サブ反射構造210の連続した曲面反射面211の各位置と基板220との夾角はいずれも等しく、それにより反射構造の対称性を実現する。
【0075】
例えば、図8及び図9に示すように、各サブ反射構造210の基板220での正投影の環状の各位置の輪幅は等しく、それにより設計が容易になり、より良好な反射効果を有する。
【0076】
例えば、図8に示すように、各サブ反射構造210の基板220での正投影は半円環状を含み、複数のサブ反射構造210の基板220での正投影は多重の半円環状として配列される。各サブ反射構造の形状は半円環状構造とし、複数のサブ反射構造の形状は多重の半円環状構造とすることにより、加工プロセスを簡素化することができる。
【0077】
例えば、図8及び図9に示すように、基板220に垂直な方向(Z方向)に沿って、各サブ反射構造210の最大サイズは等しく、すなわち、各サブ反射構造210の厚さは等しく、それにより製造が容易になる。各サブ反射構造210の厚さが等しい場合、多重環状構造の内輪から外輪に向かう方向に、サブ反射構造210の反射面211と基板220との夾角が徐々に大きくなるため、上記内輪から外輪に向かう方向に沿って、サブ反射構造210の輪幅が徐々に小さくなる。
【0078】
例えば、複数のサブ反射構造は等間隔に配置されてもよい。
【0079】
例えば、図8及び図9に示すように、各サブ反射構造210は基板220と交差し、交差線は円弧線Lであり、図8及び図9は、2つの隣接するサブ反射構造210の2つの反射面211と基板220が交差する2つの円弧線L1及びL2を例示的に示す。
【0080】
図10図1及び図2に示す表示装置の別の反射構造の部分平面構造模式図であり、図11図10に示す反射構造のCC線部分断面構造模式図である。図10及び図11に示す反射構造と図8及び図9に示す反射構造との相違点は、図10及び図11に示す反射構造200において、多重環状構造の中心からエッジに向かう方向に沿って、各サブ反射構造210の最大サイズが等しいことである。例えば、複数のサブ反射構造210の基板220での正投影の輪幅はいずれも等しい。多重環状構造の内輪から外輪に向かう方向に、サブ反射構造210と基板220との夾角θが徐々に大きくなる場合、各サブ反射構造210の輪幅が等しいため、多重環状構造の内輪から外輪に向かう方向に、サブ反射構造210の高さは徐々に増加する。
【0081】
例えば、図12は各サブ反射構造の法線方向を決定する光路図であり、図13図12に示す曲面反射面と基板の弧状交線である。図6に示すサブ反射構造の法線方向を決定する方法に示すように、図12に示す点Pは投影装置の点であり、図12の点B1は第1所定領域の観察点の虚像位置であり、点P及び点B1はいずれも既知の点であり、図12の点Aはサブ反射構造上の既知の点である。図12及び図13に示すように、曲面の方程式が通常非常に複雑であるため、各サブ反射構造210の曲面反射面211の計算を容易にするために、サブ反射構造210の反射面211と基板220との夾角θ及び反射面211と基板220の交線Lに基づいて決定することができる。該サブ反射構造の曲面反射面と基板の夾角及び交線を決定した後、具体的にはサブ反射構造を加工して形成する場合、加工工具ヘッドは上記夾角を固定し、上記交線の軌跡に沿って加工することができ、必要なサブ反射構造を基板上に形成することができ、加工プロセスが簡単になる。
【0082】
例えば、サブ反射構造210の反射面と基板220の交線L上の1つの既知の点Aの座標が(x,y,z)であると仮定する。各サブ反射構造の曲面反射面は固有の法線がないが、既知の点Aでの反射面の法線(すなわち、垂直ベクトル)は、
(外15)
を満たし、上記P⊥x、P⊥y及びP⊥zは法線ベクトル
(外16)
のx軸、y軸及びz軸での成分である。反射法則に基づき、入射ビームPAと反射面上の点Aの法線との間の入射角が反射ビームAB1と法線との出射角に等しい場合、サブ反射構造の反射面上の点Aでの法線ベクトル
(外17)
はベクトル
(外18)

(外19)
の角二等分線上に位置し、それにより、法線ベクトル
(外20)
は以下の関係式(4)を満たす。
【数4】
【0083】
例えば、基板220の法線ベクトル
(外21)

(外22)
を満たす場合、上記A、B、Cはそれぞれ法線ベクトル
(外23)
のx軸、y軸及びz軸での成分を表す。基板220の車体空間座標系における位置が決定されたため、基板220の法線ベクトル
(外24)
も既知である。幾何学的関係から分かるように、基板220の法線ベクトル
(外25)
と反射面の点Aでの法線
(外26)
との夾角はサブ反射構造の反射面211と基板220との夾角θである。それにより、基板220の法線ベクトル
(外27)
とサブ反射構造の反射面の点Aでの法線
(外28)
との夾角θは以下の関係式(5)を満たす。
【数5】
【0084】
ベクトル内積関係式に従って以下の関係式(6)を得ることができる。
【数6】
【0085】
上記関係式(5)-(6)に従ってサブ反射構造の反射面211と基板220との夾角θを得ることができる。
【0086】
例えば、図12及び図13に示すように、反射面211と基板220の交線L上の任意の点M(x,y,z)を取り、該点Mは基板220上に位置し、それにより点M、点A及び基板220の法線ベクトル
(外29)
は以下の関係式(7)を満たす。
【数7】
【0087】
例えば、サブ反射構造の反射面211上の点Mでの法線ベクトルは以下の関係式(8)を満たす。
【数8】
【0088】
上記点Mでの法線ベクトルと基板220の法線ベクトル
(外30)
との夾角もθであり、それにより、基板220の法線ベクトル
(外31)
とサブ反射構造の反射面の点Mでの法線との夾角θは以下の関係式(9)を満たす。
【数9】
【0089】
例えば、サブ反射構造の反射面211と基板220の交点L上の任意のM(x,y,z)の座標x、y、zは一定の値範囲を有し、すなわち、M(x,y,z)の座標は基板220の境界範囲を超えることができず、M(x,y,z)の値範囲は以下の関係式(10)を満たすことができる。
【数10】
【0090】
上記x、x、y、y、z、zはそれぞれ基板220のサイズの境界値である。
【0091】
本開示の実施例では、サブ反射構造の反射面は連続した曲面であってもよく、サブ反射構造の反射面と基板との夾角θ及びそれらの交線を利用し、それにより該サブ反射構造の曲面反射面を正確に決定することができる。また、他のサブ反射構造について、別の既知の点Aを再決定し、さらに対応する夾角θ及び交線を決定することができる。異なるサブ反射構造は異なる夾角θを有し、それにより、異なるサブ反射構造と基板の交線も異なる。
【0092】
例えば、図14図1及び図2に示す表示装置の別の反射構造の部分平面構造模式図であり、図14に示す反射構造と図8に示す反射構造との相違点は、図14に示す各サブ反射構造の反射面が閉じた環状構造であり、例えば円環状であってもよいことのみである。このとき、反射構造の基準点は内輪の円心であってもよい。図14に示す反射面の他の特徴は、図8に示す曲面反射面と同じであり、ここで繰り返し説明しない。
【0093】
図15図1に示す表示装置のビーム拡散構造の拡散光路模式図である。図15に示すように、ビーム拡散構造300は入射ビーム301を拡散し、入射ビーム301の拡散程度を正確に制御することができる。拡散されたビーム302の光軸と入射ビーム301の光軸は同一直線上にあり、すなわちビーム拡散構造300を通過するビームの光軸を変更せず、拡散されたビーム302のエッジの光はその光軸に沿って一定の角度で拡散される。例えば、拡散されたビーム302の第1方向における拡散角β1の範囲は5°~20°であってもよく、第2方向における拡散角β2の範囲は5°~10°であってもよく、拡散角は2つの最大視線軸の間の夾角を指す。例えば、入射ビーム301のビーム拡散構造300を通過した後のスポットは矩形であってもよく、上記第1方向は矩形の長辺の延長方向であり、第2方向は矩形の短辺の延長方向であり、この場合、上記第1方向における拡散角は矩形のスポットの長辺の両端に接続される光線間の夾角β1を指し、上記第2方向における拡散角は矩形のスポットの短辺の両端に接続される光線間の夾角β2を指す。例えば、ビームがビーム拡散構造を通過した後に形成されるスポットが円形のスポットである場合、拡散角はスポットのエッジの光と光軸との夾角であり、各方向の拡散角がいずれも同じである。
【0094】
例えば、入射ビーム301はビーム拡散構造300を通過した後、伝搬方向に沿って特定のサイズ及び形状を有し、エネルギーの分布が均一になるスポットに拡散され、スポットのサイズ及び形状はビーム拡散構造300の表面上に設計された特定の微細構造により正確に制御することができる。上記特定の形状は、線形、円形、楕円形、正方形、及び長方形を含むがこれらに限定されない。
【0095】
例えば、ビーム拡散構造300は、正面と裏面を区別しなくてもよく、ビーム拡散構造300は投影装置100からビーム拡散構造300に入射された光、及び反射構造200により反射されてビーム拡散構造300を通過する光に対して同様の拡散効果を有する。拡散されたビームの伝搬角度及びスポットのサイズは最終的な画像の明るさ及び可視領域を決定し、拡散角が小さいほど、画像の明るさが高くなり、可視領域も小さくなり、逆も同様である。
【0096】
例えば、図1及び図2に示すように、投影装置100から第1所定領域410までの光路からビーム拡散構造300を除去する場合、反射構造200は投影装置100から出射された光を第2所定領域420に反射し、第2所定領域420内の光強度が強いが、第1所定領域410中の第2所定領域420以外の位置の光強度が弱い。本開示の実施例は、ビーム拡散構造300を設置することにより、第2所定領域420へのビームをその光軸方向から外れた予め設定された拡散角で拡散し、拡散されたビームを第1所定領域410に収束することができ、それにより、第2所定領域420内の光を第1所定領域410に拡散して光強度の均一な分布を実現する。
【0097】
例えば、ビーム拡散構造300は、光均一化板、拡散板などの低コストの散乱光学素子であってもよく、ビームは、光均一化板などの散乱光学素子を透過するときに散乱が発生し、少量の回折が発生するが、散乱は主な役割を果たし、ビームが散乱光学素子を透過した後に大きなスポットを形成する。
【0098】
例えば、ビーム拡散構造300は、ビームシェイパ(Beam Shaper)などの、拡散効果をより正確に制御する回折光学素子(Diffractive Optical Elements、DOE)であってもよい。例えば、回折光学素子は、特定の微細構造を表面に設計することにより、回折によりビームを拡大し、スポットが小さく、スポットのサイズ及び形状が制御可能である。例えば、ビーム拡散構造300を通過して第1所定領域410に放出された拡散ビームの予め設定された断面形状は第1所定領域410の形状に対応し、それにより光効率を向上させることができる。
【0099】
例えば、図15は、入射ビーム301が回折光学素子などのビーム拡散構造300を通過した後、ビームを拡散して予め設定された断面形状を有する出射ビーム302を形成することを例示的に示し、図15には、予め設定された断面形状が矩形であることを例示して説明する。例えば、アイボックス領域の形状は一般的に矩形であるため、ビーム拡散構造で形成される矩形のスポットは矩形のアイボックス領域に対応し、光効率を向上させることができ、上記矩形のスポットのサイズがアイボックス領域のサイズと等しく、完全に覆う場合、さらに光効率を向上させることができる。
【0100】
例えば、サブ反射構造の反射面が図3に示す平面反射面である場合、基板に垂直な方向に沿って、各サブ反射構造の高さは同じであってもよく、異なってもよく、ビーム拡散構造の反射構造に対向する表面は、少なくとも一部のサブ反射構造の基板から離れる側に接触してもよい。例えば、サブ反射構造の反射面が図8図9に示す連続した曲面反射面である場合、ビーム拡散構造の反射構造に対向する表面は、少なくとも一部のサブ反射構造の基板から離れる側に接触してもよい。例えば、サブ反射構造の反射面が図10図11に示す連続した曲面反射面である場合、ビーム拡散構造の反射構造に対向する表面は、高さの高い部分のサブ反射構造の基板から離れる側に接触してもよい。もちろん、本開示の実施例はこれらに限定されず、ビーム拡散構造と反射構造との間にフレームをさらに設置してビーム拡散構造を支持することができ、このとき、ビーム拡散構造は、いずれのサブ反射構造にも接触しなくてもよいが、各サブ反射構造からの距離が小さくなる。
【0101】
本開示の実施例では、表示装置に設置されるビーム拡散構造はビームを拡散する効果を有し、光の明るさを均一にすることができ、それにより表示装置の画像の明るさが均一になり、使用体験を向上させる。
【0102】
例えば、図16は本開示の実施例に係る投影装置の部分内部構造模式図である。図16に示すように、投影装置は、投影光源110と、画像生成部120と、レンズ部130とを備える。画像生成部120は、投影光源110から出射された光を画像光に変換するように構成され、画像光はレンズ部130を通過して投影装置から出射される。
【0103】
例えば、投影装置は、液晶ディスプレイ(LCD)投影装置又はデジタル光処理(DLP)装置であってもよい。例えば、投影光源110は、超高圧水銀ランプ、短アークキセノンランプ及びメタルハライドランプを含むガス放電光源であってもよい。例えば、投影光源110はさらに、発光ダイオード光源(Light Emitting Diode、LED)などの電界発光光源であってもよい。例えば、投影光源110はさらに、レーザ光源であってもよい。
【0104】
例えば、画像生成部120は、液晶層(Liquid Crystal Display、LCD)又はデジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device、DMD)を備えてもよい。
【0105】
例えば、画像生成部120から出射された画像光はレンズ部130を通過した後、投影光を形成する。例えば、レンズ部130は、凸レンズ、又は、凸レンズ、凹レンズ及びフレネルレンズの組み合わせなどの、凸レンズと同様の効果を有する同等のレンズ群を備えてもよい。例えば、レンズ部130から出射された投影光を利用して大型の画面を形成することができる。
【0106】
例えば、図17図16に示す画像生成部が備える画素の部分平面構造模式図である。図17に示すように、画像生成部120は、基板122、及び基板122に位置する複数の画素121を備え、例えば、複数の画素121はアレイ状に配置される。例えば、図3図4及び図17に示すように、各サブ反射構造210の反射面211の最大サイズは、各画素121の最大サイズ以下である。例えば、各サブ反射構造210の反射面211の基板220での正投影の最大サイズは、各画素121の最大サイズ以下である。
【0107】
例えば、図18は本開示の実施例の別の例に係る表示装置の部分構造模式図である。図18に示すように、各サブ反射構造210は少なくとも2つの反射面211を備え、投影装置100は2つのサブ投影装置1001及び1002を備え、各サブ反射構造210は、2つのサブ投影装置1001及び1002から出射された光を第3所定領域440に反射するように構成され、第3所定領域440は2つの第1所定領域410を備える。図18は、投影装置100及び反射構造の2つのサブ反射構造210のみを例示的に示す。本例における反射構造が備える複数のサブ反射構造は、図3に示すサブ反射構造と同じ配列方式を有してもよく、相違点は、本例における各サブ反射構造が少なくとも2つの平面反射面を備えることのみである。図18には、ビーム拡散構造が示されず、本例におけるビーム拡散構造は、図15に示すビーム拡散構造と同じであってもよく、ここで繰り返し説明しない。投影装置100から上記少なくとも2つの第1所定領域410までの光路からビーム拡散構造300を除去する場合、複数のサブ反射構造210は、投影装置100から出射された光を反射して各第1所定領域410内の第2所定領域(未図示、図1参照)に到達させるように構成され、第2所定領域420の面積は第1所定領域410の面積よりも小さい。図18は、反射構造から出射された光を第1所定領域410に直接収束してイメージングすることを例示的に示すが、これに限定されず、ビーム拡散構造と第1所定領域410との間には、図5に示す半透過構造500又は他の光学素子がさらに増設されてもよく、本開示の実施例はこれを限定しない。
【0108】
例えば、各サブ反射構造210に2つの反射面2111及び2112が設けられて、2つの投影装置1001及び1002から放出された光を異なる位置、すなわち2つの異なる第1所定領域410に反射し、この2つの異なる第1所定領域410は、観察者の左目及び右目であってもよく、このように観察者は、3D画像を観察することができる。例えば、2つの異なる第1所定領域410は、運転者のアイボックス領域及び乗客のアイボックス領域などの異なるアイボックス領域であってもよく、このように運転者及び乗客はそれぞれ異なる画像を見ることができる。
【0109】
本開示の別の実施例は自動車を提供し、上記いずれかの実施例に記載の表示装置を備える。本開示の実施例に係る自動車は、上記表示装置を利用し、運転者が運転中にダッシュボードを見下ろすことなくナビゲーションマップ、複雑な安全情報などの、大型の画面に表示されるより豊富な情報を直接見ることができ、従って、運転者が車両の走行中の様々な情報を把握する必要性を良好に満たすことができる。
【0110】
例えば、上記表示装置の半透過構造は自動車のフロントガラス又はイメージングウィンドウであってもよい。
【0111】
以下の点を説明する必要がある。
【0112】
(1)本開示の実施例の図面は、本開示の実施例に係る構造のみに関し、他の構造は通常の設計を参照すればよい。
【0113】
(2)矛盾がない限り、本開示の同一実施例及び異なる実施例の特徴を互いに組み合わせることができる。
【0114】
以上は、本開示の例示的な実施形態に過ぎないが、本開示の保護範囲を限定するものではなく、本開示の保護範囲は添付された特許請求の範囲により定められる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】