(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-22
(54)【発明の名称】静電容量タッチおよび圧力センサ
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20220714BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20220714BHJP
G01B 7/00 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
G06F3/041 422
G06F3/044 126
G06F3/044 140
G06F3/041 512
G01B7/00 101C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021568006
(86)(22)【出願日】2020-05-05
(85)【翻訳文提出日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 FI2020050299
(87)【国際公開番号】W WO2020229726
(87)【国際公開日】2020-11-19
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519012677
【氏名又は名称】フォルシオット オイ
【氏名又は名称原語表記】FORCIOT OY
【住所又は居所原語表記】Hermiankatu 12 E,Tampere Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】リイマッタ,トニ
(72)【発明者】
【氏名】ラーデスマキ,セッポ
(72)【発明者】
【氏名】アルム,マリア
【テーマコード(参考)】
2F063
【Fターム(参考)】
2F063AA49
2F063HA01
(57)【要約】
本発明は、圧力と、タッチおよび近傍での存在の少なくとも一方とを検出する方法である。本方法では、電気透過性導電性層(410)と、第1電極(301)を含む電極層(300)と、電気透過性導電性層(410)と電極層(300)との間に配置された第1絶縁層(210)とを含む容量性層状センサ構造(110)であって、容量性層状センサ構造(110)は、圧縮可能であり、電極層(300)と導電性層(410,400)との間に配置された絶縁層(210,220)を含むか、またはさらに含む、容量性層状センサ構造(110)が使用される。この方法は、容量性層状センサ構造(110)を用いて第1電極(301)の第1容量を示す第1の値(v1)を測定することと、容量性層状センサ構造(110)を用いて第1電極(301)の第2容量を示す第2の値(v2)を測定することと、第1の値(v1)が最大で第1閾値(thf)に等しく、かつ第2閾値(tht)に少なくとも等しいこと、および第2の値(v2)が第1閾値(thf)よりも大きいと判定することとを含む。容量性層状センサ構造(110)と、前記方法を実行するように構成された電子装置(120)とを含む装置(100)。コンピュータ(520)上で実行されると、コンピュータ(520)に前記方法を実行させるように構成されたコンピュータプログラム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力、ならびにタッチおよび付近の存在の少なくとも1つを容量的に検出するための装置(100)であって、
容量性層状センサ構造(110)を含み、
容量性層状センサ構造(110)は、
電気透過性導電性層(410)と、
第1電極(301)を含む電極層(300)と、
電気透過性導電性層(410)と電極層(300)との間に配置された第1絶縁層(210)とを含み、
容量性層状センサ構造は、
圧縮可能であり、電極層(300)と導電性層(410,400)との間に配置された絶縁層(210,220)を含み、またはさらに含み、
装置(100)は、
第1電極(301)に電気的に結合された電子装置(120)を含み、
電子装置(120)は、
第1の時間(t1)において、第1電極(301)の第1静電容量を示す第1の値(v1)を測定し、
第2の時間(t2)において、第1電極(301)の第2静電容量を示す第2の値(v2)を測定し、
第1の値(v1)が、最大で第1閾値(th
f)に等しく、かつ、少なくとも第2閾値(th
t)に等しいことを判断し、
第2の値(v2)が第1閾値(th
f)よりも大きいと判断するように
構成されてなることを特徴とする装置(100)。
【請求項2】
電気透過性導電性層(410)が、
[A]導電性領域(412)と、[B]1または複数の非導電性領域(414)とを含み、
非導電性領域(414)の少なくとも1つは、第1電極(301)と重なり、かつ
非導電性領域(414)のうち、第1電極(301)と重なる1または複数の部分の断面積(A
414,
301)が、0.01mm
2~100mm
2であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
電気透過性導電性層(410)が、
少なくとも一部が第1電極(301)と重なる導電性領域(412)と、
少なくとも一部が第1電極(301)と重なる1または複数の非導電性領域(414)とを含み、
導電性領域(412)の、第1電極(301)と重なる部分の断面積(A
412,301)が、第1電極(301)の断面積(A
301)の少なくとも5%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
導電性領域(412)は、1または複数の非導電性領域(414)を取り囲んでいることを特徴とする、請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
第1絶縁層(210)は、圧縮性を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項6】
容量性層状センサ構造(110)は、第2絶縁層(220)を含み、
電極層(300)は、第1絶縁層(210)と第2絶縁層(220)との間に配置され、
一実施形態において、
第2絶縁層(220)は、圧縮可能であることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項7】
容量性層状センサ構造(110)は、第1導電性層(400)を含み、
第2絶縁層(220)は、電極層(300)と第1導電性層(400)との間に配置され、
好ましくは、
第2絶縁層(220)は、圧縮可能であり、
好ましくは、
電子装置(120)は、第1導電性層(400)に電気的に結合されていることを特徴とする、請求項6に記載の装置(100)。
【請求項8】
電子装置(120)は、出力信号(S
out)を送信するように構成され、出力信号(S
out)は、
第1の値(v1)が、第2閾値(th
t)と第1閾値(th
f)との間にあること、および
第2の値(v2)が第1閾値(th
f)を超えていること、を示し、
好ましくは、出力信号(S
out)は、第2の値(v2)も示す、ことを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項9】
容量性層状センサ構造(110)および電子装置(120)は、組み合わせて、
少なくとも1cm
3の体積と少なくとも10の誘電率とを有する物体(600)が、第1電極(301)の近傍に配置されるか、または、物体(600)と第1電極(301)との間に、第1絶縁層(210)の一部と電気透過性導電性層(410)の一部とが配置され、第1絶縁層(210)を圧縮しないように第1電極(301)と重なる位置(L)で、容量性層状センサ構造(110)の表面に接触するとき、電子装置(120)によって容量性層状センサ構造(110)から測定可能な、第1電極(301)の静電容量を示す値は、最大でも第1閾値(th
f)に等しく、かつ、少なくとも第2閾値(th
t)に等しくなるように、構成され、
第1絶縁層および第2絶縁層(210,220)の少なくとも一方は、電子装置(120)によって容量性層状センサ構造(110)から測定可能な第1電極(301)の静電容量を示す値が、第1閾値(th
f)よりも大きくなるように、前記物体(600)によって圧縮可能であることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項10】
容量性層状センサ構造(110)および電子装置(120)が、組み合わせて、
少なくとも1cm
3の体積と少なくとも10の誘電率とを有する物体(600)が、第1電極(301)の近傍に配置されていないとき、電子装置(120)によって容量性層状センサ構造(110)から測定可能な、第1電極(301)の静電容量を示す値が、第2閾値(th
t)よりも小さいことを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
[A]
電子装置(120)が、電気透過性導電性層(410)に電気的に結合され、および/または
[B]
電極層(300)が、第2電極(302)と、第2電極(302)に取り付けられた第2ワイヤ(352)とを含む、
ことを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
第3絶縁層(230)を含み、
第3絶縁層(230)が、電気透過性導電性層(410)が第3絶縁層(230)と第1絶縁層(210)との間に配置されるように配置されていることを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
圧力と、タッチおよび近傍での存在の少なくとも一方とを検出する方法であって、
容量性層状センサ構造(110)を利用可能に配置することを含み、
容量性層状センサ構造(110)は、
電気透過性導電性層(410)と、
第1電極(301)を含む電極層(300)と、
電気透過性導電性層(410)と電極層(300)との間に配置された第1絶縁層(210)とを備え、
容量性積層センサ構造(110)は、
圧縮可能であり、電極層(300)と導電性層(410,400)との間に配置された絶縁層(210,220)を備え、またはさらに備え、
該方法は、
容量性層状センサ構造(110)を用いて、第1電極(301)の第1静電容量を示す第1の値(v1)を測定することと、
容量性層状センサ構造(110)を用いて、第1電極(301)の第2静電容量を示す第2の値(v2)を測定することと、
第1の値(v1)が、最大で第1閾値(th
f)に等しく、かつ少なくとも第2閾値(th
t)に等しいこと、および
第2の値(v2)が、第1閾値(th
f)より大きいこと、を判定することとを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項14】
少なくとも1cm
3の体積と少なくとも10の誘電率とを有する物体(600)が、第1電極(301)の近傍に配置されるか、または、物体(600)と第1電極(301)との間に、第1絶縁層(210)の一部と電気透過性導電性層(410)の一部とが配置され、第1絶縁層(210)を圧縮しないように第1電極(301)と重なる位置(L)で、容量性層状センサ構造(110)の表面に接触するとき、第1の値(v1)が、容量性層状センサ構造(110)を用いて測定され、
第1絶縁層(210)の一部と電気透過性導電性層(410)の一部とが、物体(600)と第1電極(301)との間に配置されるように、第1絶縁層(210)および第1電極(301)近傍の第2絶縁層(220)を圧縮するとき、第2の値(v2)が、容量性層状センサ構造(110)を用いて測定される、ことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
コンピュータ(520)上で実行されると、コンピュータ(520)に、
第1閾値(th
f)を示す情報を受信し、
容量性層状センサ構造(110)によって測定された第1の静電容量および第2の静電容量を示す入力信号(S
in)を受信し、
入力信号(S
in)から第1の静電容量を示す第1の値(v1)および第2の静電容量を示す第2の値(v2)を決定し、
第1の値(v1)が、最大で第1閾値(th
f)に等しいと判断し、
第2の値(v2)が、第1閾値(th
f)よりも大きいと判断し、
出力信号(S
out)を生成する、
ように構成されるコンピュータプログラムであって、
出力信号(S
out)は、最大で第1閾値(th
f)に等しい第1の値(v1)と、第1閾値(th
f)よりも大きい第2の値(v2)を示している、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチおよび圧力を感知するためのセンサに関する。本発明は、触覚センサに関する。本発明は、圧力センサに関する。本発明は、タッチおよび圧力を感知するための静電容量センサに関する。本発明は、タッチおよび圧力を静電容量的に測定する方法に関する。本発明は、タッチと圧力の測定に関連して使用されるコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くのユーザインターフェースでは、圧力のないタッチと圧力とを別々に感知する必要がある。たとえば、ユーザが表面上で指を動かしてもよく、表面へのタッチによって指の位置が示される。このようなタッチは、実質的には表面を押すことなく行われる。さらに、選択を行うために、ユーザは、たとえば、指で表面を押してよい。これは、表面上に圧力がかかっていることを意味する。さらに、測定された信号からは、タッチだけと押圧の発生とが分離できることが望ましい。より好ましくは、加えられた圧力は、少なくともある程度の精度で測定可能でなければならない。すなわち、圧力を加えるか加えないかの二者択一よりも優れた精度が求められる。圧力を測定するための容量性センサは、たとえば、本件出願人の国際公開第2018/011464号から知られている。
【0003】
タッチと圧力の両方を測定するセンサは複雑で、高価なものが多い。実際には、このようなセンサの複雑さは、それを広範に応用することの妨げとなっている。
【0004】
これらの理由から、本出願の目的は、タッチと圧力との両方を感知するための単純なセンサ装置を提示することである。より具体的には、第1の時間では実質的に圧力を加えずにタッチを感知し、第2の時間では圧力の印加を感知するための単純なセンサ装置を提示することである。センサ配列の動作原理は静電容量方式である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の要旨は、第1電極を含む電極層と、電気を通す導電性層とを含む容量性層状センサ構造を用いることである。タッチおよび圧力は、周囲に対する第1電極の静電容量から判断することができる。電気透過性導電性層の第1の目的は、特に層の透過性に関連して、電気透過性導電性層に電界を通し、電気透過性導電性層の第1の側に位置する第1電極によって、電気透過性導電性層の反対側の第2の側に位置する物体を静電的に感知することである。電気透過性導電性層の第2の目的は、特に当該層の導電性に関連して、電極と電気透過性導電性層自体の間に静電容量を形成することである。容量性層状センサ構造は、そのような測定に使用することができる。たとえば、第1電極の静電容量を測定してタッチ(または近傍における存在)を示し、第1電極の別の静電容量を測定して圧力を示すように、電子機器を構成することが可能である。
【0006】
その目的のためのあまり複雑ではないセンサ装置が、本願の独立請求項1に示されている。そのセンサ装置は、請求項1に詳述されているように、容量性層状センサ構造を含む。さらに、そのような容量性層状センサ構造は、方法の独立請求項13または出願時の本願明細書に詳述されているように、タッチと圧力との両方を測定するために使用することができる。さらに、この方法は、コンピュータ上でコンピュータプログラムを実行することにより、コンピュータ上で実行することができる。このようなコンピュータプログラムは、本願の請求項16に詳述されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1a】タッチおよび圧力を静電容量方式で検出する仕組みを側面図において示している。
【
図1b】タッチおよび圧力を静電容量方式で検出する仕組みを側面図において示している。
【
図1c】タッチおよび圧力を静電容量方式で検出する仕組みを側面図において示している。
【
図1d】タッチおよび圧力を静電容量方式で検出する仕組みを側面図において示している。
【
図2a】タッチおよび圧力を静電容量方式で検出する仕組みを側面図において示している。
【
図2b】タッチおよび圧力を静電容量方式で検出する仕組みを側面図において示している。
【
図2c】タッチおよび圧力を静電容量方式で検出する仕組みを側面図において示している。
【
図3】
図3aおよび
図3bは、2つのセンサの電極構成を平面図において示している。
【
図4a1】静電容量層状センサ構造によってタッチをどのように感知するかを側面図において示している。
【
図4a2】静電容量層状センサ構造によってタッチをどのように感知するかを側面図において示している。
【
図4b1】静電容量式層状センサ構造によって、圧力をどのように検知するかを側面図において示している。
【
図4b2】静電容量式層状センサ構造によって、圧力をどのように検知するかを側面図において示している。
【
図4c1】静電容量層状センサ構造によって、タッチおよび圧力がないことをどのように検知するかを側面図において示している。
【
図4c2】静電容量層状センサ構造によって、タッチおよび圧力がないことをどのように検知するかを側面図において示している。
【
図4d1】適切な第1閾値がどのように選択されるかを側面図において示している。
【
図4d2】適切な第1閾値がどのように選択されるかを側面図において示している。
【
図5a】タッチおよび圧力を静電容量方式で検出する仕組みを側面図において示している。
【
図5b】タッチおよび圧力を静電容量方式で検出する仕組みを側面図において示している。
【
図6】タッチおよび圧力を静電容量方式で検出する仕組みを側面図において示している。
【
図7a】容量性層状センサ構造の電気透過性導電性層を平面図において示している。
【
図7b】容量性層状センサ構造の電気透過性導電性層を平面図において示している。
【
図7c】容量性層状センサ構造の電気透過性導電性層を平面図において示している。
【
図7d】容量性層状センサ構造の電気透過性導電性層を平面図において示している。
【
図7e】容量性層状センサ構造の電気透過性導電性層を平面図において示している。
【
図7f】容量性層状センサ構造の電気透過性導電性層を平面図において示している。
【
図8a】物体がセンサ構造に触れていなくても、静電容量層状センサ構造によって物体が観察可能である状況を示している。
【
図8b】静電容量層状センサ構造によって物体が観測できない状況を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図中、方向Szは、容量性層状センサ構造の厚さの方向を示す。方向Sx,Syは,互いに直交し,Szにも直交する。
【0009】
図1aは、第1の時間にタッチを、第2の時間に圧力を静電容量方式で検出するための装置100を側面図において示している。装置100は、容量性層状センサ構造110(
図1aの左側)と、電子装置120(
図1aの右側)とを含む。電子装置120は、容量性層状センサ構造110を用いて、第1の時間にタッチを、第2の時間に圧力を容量的に検出するように構成されている。
【0010】
容量性層状センサ構造110は、第1電極301と、第1電極301に取り付けられた第1ワイヤ351とを含む電極層300を含む。タッチおよび圧力を測定するために、第1電極301の静電容量が測定される。第1電極301の静電容量は、周囲、たとえば、少なくとも電気透過性導電性層410に対して測定される。第1ワイヤ351は、第1電極を測定用電子機器、たとえば、電子装置120に接続する。電極層300は、第1電極301および第1ワイヤ351が印刷された基板390(
図1a、
図1b、
図2a、および
図2b参照)を含んでよい。これに代えて、第1電極301は、第1絶縁層210(
図1cにおけるように)または第2絶縁層220(
図2c参照)の上に、(たとえば印刷によって)配置されてよい。このように、第1電極301および第1ワイヤ351が電極層300を構成してもよく、あるいは、電極およびワイヤが電極層300を構成してもよく、あるいは、電極層300がさらに基板を構成してもよい。また、
図1aおよび
図2aに示すように、電極層300は、第2電極302を含んでよい。電極層300が第2電極302を含む場合、第2電極は、第1電極301から距離を隔てて配置される。一例として、第2電極302は、第1電極301から少なくとも0.5mm離れて配置されてよい。
【0011】
図3aに示すように、電極層300は、たとえば、25個の電極を含んでよい。
図3bに示すように、電極層は、たとえば、16個の電極を含んでよい。わかりやすくするために、
図3aおよび
図3bでは、電極層300より上の層を示していない。電極層300の目的は、容量性層状センサ構造110の電極を提供することである。
図3aおよび
図3bの電極上に示された円は、ワイヤが導電性接着剤によって電極に接続されている場合、ワイヤの位置の例を示している。別の方法として、配線を電極と同じ基板上に直接配置(たとえば印刷)してもよい。
【0012】
図1a~
図1cを参照すると、容量性層状センサ構造110は、第1絶縁層210を含む。第1絶縁層210は、容量性層状センサ構造110の厚さの方向Szにおいて、電極層300と電気透過性導電性層410との間に配置される。
【0013】
容量性層状センサ構造110の厚さの方向Szについて、Szは、平面的な容量性層状センサ構造110の厚さの方向を指してよい。構造110は、好ましくは、変形可能である。したがって、使用時には、構造110は平面的でなくてもよい。しかし、非平面的なセンサ構造110は、平面的な形状に変形可能であってよい。非平面的な構造では、構造の厚さの方向Szは、観察点に依存する。さらに、平面構造の厚さという用語は、平面構造の直交する3つの寸法のうち最小のものを指す。
【0014】
第1絶縁層210の第1の目的は、第1電極301と電気透過性導電性層410との間に静電容量を形成するために、電極(1または複数)301,302を電気透過性導電性層410から電気的に絶縁することである。また、容量性層状センサ構造110は、容量性層状センサ構造110の厚さ方向において、第1絶縁層210と第2絶縁層220との間に電極層300が配置されるように配置された第2絶縁層220を含んでよい。第1絶縁層210および第2絶縁層220を組み合わせて使用する第2の目的は、圧縮可能な層として(または圧縮可能な複数の層として)、すなわち圧力の印加によって変形する層として作用することである。たとえば上述の先行技術公報から知られているように、第1電極301と別の導体(たとえば層400,410)との間の距離の変化は、その間の静電容量を変化させる。この機能のためには、絶縁層210,220の一方のみが圧縮可能であれば十分であるが、両方が圧縮可能であってよい。したがって、第1絶縁層210および第2絶縁層220の少なくとも一方は圧縮可能である。言い換えれば、第1絶縁層210および第2絶縁層220の少なくとも一方は、容量性層状センサ構造110によって検出されるべきそのような圧力によって圧縮され、変形するように構成されている。
【0015】
このように、一実施形態において、第1絶縁層210は圧縮可能である。別のまたは同じ実施形態において、容量性層状センサ構造110は、圧縮可能な第2絶縁層220を含む。一実施形態において、第1絶縁層210は圧縮可能ではなく、容量性層状センサ構造110が、圧縮可能な第2絶縁層220を含む。一実施形態において、第1絶縁層210は圧縮可能であり、容量性層状センサ構造110は、圧縮可能な第2絶縁層220を含む。一実施形態において、第1絶縁層210は圧縮可能であり、容量性層状センサ構造110は、圧縮可能ではない第2絶縁層220を含む。一実施形態において、センサ構造110は、第2絶縁層220を含まない。圧縮可能な(すなわち変形可能な)絶縁層は、電極層300と導電性層との間に配置される。第1絶縁層は、層300と層410との間に配置され、第2絶縁層220が存在する場合は、層300と層400との間に配置される。このようにして、容量性層状センサ構造は、圧縮可能であって且つ電極層300と導電性層(410,400)との間に配置された絶縁層(210,220)を含む。導電性層(410,400)は、電気的に透過性であってよい。
【0016】
また、
図1dに示すように、電気透過性導電性層410の導電部を基板212に印刷してもよい。その場合、厚さ方向Szにおいて、電気透過性導電性層410と電極層300との間に基板212が配置されてもよい。ただし、基板212を用いる場合は、電気透過性導電性層410を覆うようにして、すなわち、
図1bの第3絶縁層230として用いてよい。
【0017】
図1aおよび
図1bにおけるように、電極層300が基板390を含む場合、第1電極301は、基板390と第1絶縁層210との間に、厚さ方向Sz(図示せず)に配置されてよい。
【0018】
容量性層状センサ構造110は、電気透過性導電性層410を含む。電気透過性導電性層410の第1の目的は、電気透過性導電性層410の第1の側に位置する第1電極301によって、電気透過性導電性層410の第2の、反対側に位置する物体(たとえば600、
図3a参照)を容量的に感知するように、電気透過性導電性層410に電界を通すことである。電気透過性導電性層410の第2の目的は、特に層410の導電性に関連して、電極と電気透過性導電性層自体との間に静電容量を形成することである。
【0019】
電気透過性導電性層410は、層410がない状況と比較して、第1電極の静電容量を増加させるが、タッチイベントが発生させることができる静電容量の量を減少させる。このように、電気透過性導電性層410の目的は、タッチイベントが生成する静電容量を減らすことである。電気透過性導電性層410がなければ、タッチは小さな圧力よりも大きな信号を発生させる可能性があることが注目されている。タッチおよび圧力は、指または手全体で行われることがあり、それが観測される信号の大きさに影響を与えることを記載する。したがって、指による圧力は、電気透過性導電性層410がなければ、手全体でのタッチと同様の信号を意味する可能性がある。したがって、タッチおよび圧力を確実に区別する目的で、電気透過性導電性層410が適用される。特に、層410の導電性により、タッチ時に発生する信号レベルを低減することができる。
【0020】
さらに、層410の電気透過性がなければ、導電性のみの層ではタッチの効果が低下し、タッチが全く測定できないほどになることが見いだされている。層410の電気透過性は、タッチが第1電極301の静電容量に影響を与えるという効果がある。このように、電気透過性および導電性を有する層の目的が、タッチを測定する際の第1電極の静電容量を低減することであるとしても、その目的は、静電容量を測定可能なレベルまでしか低減しないこと、すなわち、タッチによる静電容量への影響を完全に除去しないことである。
【0021】
図4a1、
図4b1、および
図4d1を参照すると、物体600と第1電極301との間に、第1絶縁層210の一部と、電気透過性導電性層410の一部とが配置されているような場合には、物体600による圧力およびタッチが感知される。このことは、
図4a2、
図4b2、および
図4d2においても同様である。
【0022】
図1aから
図1c、および
図2a~
図2cを参照すると、タッチおよび圧力を静電容量方式で検出するための装置100は、電子装置120をさらに含む。電子装置120は、第1電極301の静電容量を測定するために、第1電極301に電気的に結合される。電子装置120は、第1ワイヤ351を介して第1電極301に結合される。第1ワイヤ351は、電子装置120の一部と見なしてもよいし、容量性層状センサ構造110の一部と見なしてもよい。このような場合、電子装置120の第1ワイヤ351は、第1電極301に電気的に結合される。
【0023】
図2a~
図2cを参照すると、一実施形態において、容量性層状センサ構造110は、第2絶縁層220を含む。このような実施形態において、電極層300は、容量性層状センサ構造110の厚さの方向Szにおいて、第1絶縁層210と第2絶縁層220との間に配置される。上に示したように、このような実施形態において、絶縁層210,220の少なくとも一方が圧縮可能である。
図2a~
図2cに示されていなくても、第2絶縁層を含む実施形態においても、
図1dに関連して上述したように、電気透過性導電性層410は、基板212上に作られてもよく、基板212を含んでもよい。
【0024】
第2絶縁層220の目的は、電極301,302を環境から電気的に絶縁することである。使用中に電極に電気的に接触すると、センサ装置100の誤動作の原因となる可能性がある。さらに、センサ構造が第1導電性層400を含む場合、第2絶縁層220の目的は、電極301,302を第1導電性層400から絶縁することであり、これにより、第1電極301と第1導電性層400との間に静電容量を形成することである。上述したように、第2絶縁層220の目的は、圧縮可能な層として、または圧縮可能な層の1つとして、すなわち、圧力の印加によって変形する層として作用することである。
【0025】
これらの機能によって示されるように、図に示されていなくても、容量性層状センサ構造110は、第1導電性層400を含んでいなくても、第2絶縁層220を含んでよい。
【0026】
図1bおよび
図2bを参照すると、一実施形態において、容量性層状センサ構造110は、第3絶縁層230を含む。このような場合、電気透過性導電性層410は、第3絶縁層230と第1絶縁層210との間に配置される。第3絶縁層230の目的は、電気透過性導電性層410を、タッチまたは圧力が感知される物体600から絶縁することである。これにより、装置100の感度が向上する。
図1bに示すように、容量性層状センサ構造110は、第2絶縁層220を含んでいなくても、第3絶縁層230を含んでよい。また、
図2aに示すように、容量性層状センサ構造110は、第3絶縁層230を含まなくても、第2絶縁層220を含んでよい。上で示したように、第3絶縁層230は、層410の導電性部分の基板212であってよい。また、基板212を全く使用しない場合は、層410の他方の面に配置してもよい(
図1d参照)。その場合、
図1dに示されていなくても、第3絶縁層230が適用されてもよい。また、層410の導電部は、第1絶縁層210上に直接印刷してもよい。このように、電気透過性導電性層410と第1電極層300との間の層210(または層210、212、390)は、複数の材料、たとえば異なる材料の層を含んでよい。材料の少なくとも1つは誘電性(すなわち電気抵抗性)であり、好ましくは全ての材料が誘電性である。
【0027】
異なる層は、それ自体知られているように接着剤で互いに貼り付けられてもよい。しかし、わかりやすくするために、図においては接着剤を示していない。
【0028】
一実施形態において、電子装置120は、電気透過性導電性層410に対する第1電極301の静電容量を測定するために、電気透過性導電性層410に電気的に結合される。共通電位、たとえば接地電位は、少なくとも層410に対する第1電極301の静電容量を測定する際に、電気透過性導電性層410に伝導されてもよい。ただし、電子装置120は、電気透過性導電性層410に電気的に結合されていなくてもよい。電子装置120が電気透過性導電性層410に電気的に結合されていない場合、第1電極301と圧力を測定するための第1導電性層400(
図2a~
図2c参照)との間に、変形の度合いに依存する静電容量を形成することができる。
【0029】
図4a1および
図4a2を参照すると、電子装置120は、第1の時間t1で、第1電極301の第1静電容量を示す第1の値v1を測定するように構成される。さらに、電子装置120は、第1の値v1が最大で第1閾値th
fに等しいことを決定するように構成される。上述および
図4a1および
図4a2に示されるように、(i)物体600のタッチのみ、または(ii)タッチを示すものとして分類可能なような小さな圧力(圧力は物体600によって生成される)、または(iii)第1電極301の近傍における物体600の存在が、測定される場合、第1電極301から測定可能な信号の値v1はかなり小さく、すなわち最大でも第1閾値th
fに等しい。これは、圧力(またはより高い圧力)を測定すると、信号の値が大きくなることと対照的である。したがって、第1の値v1が最大で第1閾値th
fに等しいことは、物体が層状センサ構造110を押していない(全くない、または強くない)ことを示している(すなわち、触れている)。値は、第1電極の静電容量がアナログ信号として送られる場合には、電圧または電流の値であってよい。代替案として、値は、静電容量のデジタル値であってよい。
【0030】
しかし、物体600のタッチ、またはタッチを示すと分類できるような小さな圧力(物体600が発生する圧力)、または第1電極301の近傍における物体600の存在が、測定されているので、何も測定できない場合に比べて、信号がある程度高くなる。特に、そのような場合には、第1電極301から測定可能な値v1は、少なくとも第2閾値th
tに等しい。第2閾値は、タッチ限界と呼ぶことができる。このようなタッチ限界(すなわち、第2閾値)は、タッチ(
図4a1または4a2のような)と物体600の不存在(
図4c1または4c2)とを区別するために使用することができる。第1の値v1が第2閾値th
tに少なくとも等しいことは、物体が存在する(すなわち、タッチする)ことを示す。上述のように、「タッチ」という用語は、したがって、以下の3つの場合を指し得る。
・物体600の、圧力がかけられることのない、層状センサ構造110への接触、または
・触れたことを示すような小さな圧力(その圧力は物体600によって発生する)、または
・物体600と層状センサ構造110との間の物理的接触のない、第1電極301の近傍における物体600の存在。
【0031】
第1の値v1が最大で第1閾値th
fに等しく、かつ、少なくとも第2閾値th
tに等しいことを判定することは、第1の時間t1に行われてもよいし、判定が後に、たとえば、コンピュータで行われてもよい。しかし、好ましくは、第1の値v1が最大で第1閾値th
fに等しく、かつ、少なくとも第2閾値th
tに等しいことを決定することは、
図4a1および
図4a2に示されるように、物体600が容量性層状センサ構造110に触れている(または、軽度に押している)ときに行われる。
【0032】
図4b1および
図4b2を参照すると、電子装置120は、第2の時間t2で、第1電極301の第1静電容量を示す第2の値v2を測定するように構成される。さらに、電子装置120は、第2の値v2が第1閾値th
fよりも大きいことを決定するように構成される。上に示したように、そのような大きな値は、第1電極301と重なる位置Lにおいて、センサ構造110の表面で圧力(おそらくかなりの高圧)が印加されていることを示す。
【0033】
第2の値v2が第1閾値th
fよりも大きいことを決定することは、第2の時間t2に行われてもよく、または決定は、たとえばコンピュータにおいて後で行われてもよい。しかしながら、好ましくは、第2の値v2が第1閾値th
fよりも大きいことを決定することは、
図4b1および
図4b2に示されるように、物体600が容量性層状センサ構造110を押しているときに行われる。
【0034】
このようにして、第1の値v1はタッチ(または近傍にいること、または軽い圧力)を示し、第2の値v2は圧力(たとえば、より高い圧力)の印加を示す。
【0035】
図2a~
図2cならびに
図4a2、
図4b2、
図4c2、および
図4d2を参照すると、好ましくは、容量性層状センサ構造110は、第1導電性層400を含む。このような場合、第2絶縁層220は、第1導電性層400と電極層300との間に配置され、電極層300を第1導電性層400から絶縁する。第1導電性層400の目的は、第1電極301で測定可能な外乱を低減することである。タッチおよび圧力の両方の判定には、合理的に正確な結果が必要であるので、外乱の低減、つまり第1導電性層400の存在が好ましい。
【0036】
一般に、タッチは容量性層状センサ構造110の反対側から感知されないので、第1導電性層400は電気的透過性である必要はない。しかし、少なくとも両側からタッチが感知されるべき場合には、第1導電性層400も電気的透過性にすることができる。タッチが他方の側から感知されなくても、第1導電性層400は、製造上の理由のために、電気的透過性であってよい。
【0037】
容量性層状センサ構造110が第1導電性層400を含む場合、電子装置120は、第1導電性層400に対する第1電極301の静電容量を測定するために、第1導電性層400にも電気的に結合されてよい。上に示したように、第1導電性層400に対する第1電極301の静電容量を特に測定すると、精度が向上する。また、少なくとも層400,410に対する第1電極301の静電容量を測定する際には、第1導電性層400と電気透過性導電性層410との両方に共通電位、たとえば接地電位を導通させてもよい。
【0038】
容量性層状センサ構造110が第1導電性層400を含む場合、電子装置120は、第1導電性層400に結合されてもよいが、結合されなくてもよい。結合された場合、第1電極301と第1導電性層400との間の静電容量が形成されてもよい。結合されていない場合、第1導電性層400は、主に外乱を低減するためのシールドとして機能する。
【0039】
電子装置120は、出力信号Soutを送信するように構成されてもよい。一実施形態において、出力信号Soutは、以下を示す。
・第1の値v1は第1閾値thfに最大で等しいことと、
・第1の値v1は、第2閾値thtと少なくとも等しいこと、および
・第2の値v2は第1閾値thfよりも大きいこと。
【0040】
多くのアプリケーションでは、圧力が印加されているという情報だけでなく、第1電極301に印加された圧力の値についても情報を持つことが実現可能な場合がある。したがって、一実施形態において、出力信号Soutは、第2の値v2を示している。
【0041】
上述のように、容量性層状センサ構造110を使用して、タッチおよび圧力の両方を測定することができる。上記のように容量性層状センサ構造110を使用する場合、タッチおよび圧力を検出するための方法が実行される。このようなタッチおよび圧力を検出する方法は、上で詳細を説明した容量性層状センサ構造110を利用可能に配置することを含む。
【0042】
図4a1および
図4a2を参照すると、一実施形態において、本方法は、少なくとも第1の時間t1において、少なくとも1cm
3の体積および少なくとも10の誘電率を有する物体600が、第1電極301の近傍に配置されているか、または、第1絶縁層210の一部および電気透過性導電性層410の一部が物体600と第1電極301との間に配置されるように、第1電極301と重なるような位置Lで容量性層状センサ構造110の表面に触れているときに、第1絶縁層210に圧力が加えられていないか、または、せいぜい第1絶縁層に軽い圧力が加えられているときに、容量性層状センサ構造110を用いて、第1絶縁層210の第1静電容量を示す第1の値v1を測定することを含む。これは、上述し、
図4a2に示すように、第1の時間t1で行われてもよい。本実施形態は、第1の値v1が最大で第1閾値th
fに等しく、少なくとも第2閾値th
tに等しいことを決定することをさらに含む。
【0043】
物体600のサイズは、上で詳述したように、典型的なユーザの小指程度に対応するものである。物体600の誘電率は、指の一部の誘電率に相当する。
【0044】
本方法の一実施形態は、少なくとも第2の時間t2において、物体600が、第1絶縁層210の一部および電気透過性導電性層410の一部が物体600と第1電極301との間に配置されるように、第1電極301と重なるような位置で、第1絶縁層210および第2絶縁層220の少なくとも一方を圧縮しているときに、容量性層状センサ構造110を用いて、第1電極301の第1静電容量を示す第2の値v2を測定することを含む。これは、上述し、
図4b1および
図4b2に示すように、第2の時間t2で行われてもよい。本実施形態は、第2の値v2が第1閾値th
fよりも大きいことを決定することをさらに含む。以下に詳述するように、いくつかの小さな圧力がタッチとして分類されることがある。したがって、ある他の時点(図示せず)で、物体600が第1絶縁層210および第2絶縁層220の少なくとも一方を軽度に圧迫していてもよく、その結果、静電容量は第1閾値th
fよりも小さいままであってよい。
【0045】
この方法は、装置100に反映されてもよい。特に、装置100の一実施形態において、容量性層状センサ構造110および電子装置120は、組み合わせて、以下のように構成されている。
[A]少なくとも1cm3の体積を有し、少なくとも10の誘電率を有する物体600が、第1電極301の近傍に配置されているか、または、物体600と第1電極301との間に第1絶縁層210の一部および電気透過性導電性層410の一部が配置されるように、第1電極301と重なるような位置Lで容量性層状構造の表面に接している場合、そして、第1絶縁層210と第2絶縁層220のいずれも圧縮されていないときに、電子装置120によって容量性層状センサ構造110から測定可能な第1電極301の静電容量を示す値v1は、最大で第1閾値thfと等しく、かつ、最小で第2閾値thtと等しい。さらに、
[B]電子装置120によって容量性層状センサ構造110から測定可能な第1電極301の静電容量を示す値が第1閾値thfよりも大きくなるように、第1絶縁層210の一部および電気透過性導電性層410の一部が物体600と第1電極301との間に配置されるように、第1電極と重なるような位置Lにおいて、第1絶縁層210および第2絶縁層220の少なくとも一方は、物体600によって圧縮される。また、すべての圧縮が第1閾値thfを超える静電容量を意味する必要はないが、少なくとも十分に高い圧縮は第1閾値を超える結果となることを記載する。
【0046】
上述の特徴[A]および[B]に関して、当然ながら、装置100は必ずしもこれらの値を常に測定するわけではない。しかし、
図4a2および
図4b2に示された状況において、静電容量を示す値が電子装置120によって測定されるとすれば、その大きさは上述のようになる。
【0047】
物体600の特性の例については、本方法に関連して後述する。
【0048】
上述したように、
図4a2および
図4b2に示すように、タッチ(押圧ではなく)は、信号の適度に小さい値から判断することができる。さらに、
図4a2および
図4c2を参照すると、タッチ(タッチと押圧との両方がないこととは異なる)は、信号の適度に大きな値から判断することができる。適度に大きい値とは、たとえば、典型的なノイズよりも大きい値である。通常、測定結果にはノイズが含まれる。静電容量方式の測定では、測定環境の乱れに敏感であるので、これは特に顕著である。
【0049】
図4c1および
図4c2を参照すると、典型的には、そのような物体600があるかどうかを判断するために、物体600が容量性層状センサ構造110に触れていない、または圧縮されていない場合にも測定が行われる。したがって、本方法の一実施形態は、少なくとも1cm
3の体積を有し、少なくとも10の誘電率を有する物体600が第1電極301の近傍に配置されていないときに、第1電極301の第3の静電容量の第3の値v3を測定することを含む。本方法は、第3の値v3が第2閾値th
tよりも小さいことを判定することをさらに含む。
【0050】
用語「近傍」の意味は、ユーザのニーズに依存し得る。いくつかの測定では、たとえば、物体600が電極に対して15cmよりも近づかない場合に、接触の欠如が決定されてもよい。しかし、他のいくつかの測定では、たとえば、物体600が電極に対して1cmよりも近づかない場合に、接触していないと判断してもよい。第2閾値thtの値は、近傍の意味を定義するために使用することができる。物体600と第1電極301との間の距離が、第1電極301の1次元のサイズ(たとえば、長さまたは幅)よりも小さい場合に、結果として得られる信号が少なくとも第2閾値thtと等しくなるように、第2閾値thtを定義することが有用である場合がある。一例として、少なくとも1cm3の体積を有し、少なくとも10の誘電率を有する物体600が第1電極301の近傍に配置されていない場合、容量性層状センサ構造110の表面のうち第1電極301と重なるような部分に、少なくとも1cm3の体積を有し、少なくとも10の誘電率を有する物体600が3cm(またはニーズに応じて上述した別の距離)よりも近くに配置されていない場合である。ここで、重なるという用語は、容量性層状センサ構造110の厚さの方向Szにおいて、重なる部分が互いに重なっていることを意味する。これに対応して、定義上、少なくとも1cm3の体積を有し、少なくとも10の誘電率を有する物体600が第1電極301の近傍に配置されるのは、少なくとも1cm3の体積を有し、少なくとも10の誘電率を有する物体600が、容量性層状センサ構造110の表面のうち第1電極301と重なるような部分(すなわち位置L)から最大で3cm(または必要に応じて上述の別の距離)離れて配置される場合である。
【0051】
装置100の実施形態において、容量性層状センサ構造110および電子装置120は、組み合わせて、対応する態様で機能するように構成されている。この態様は、物体600について上述したものであり、物体600の前述の特性は、上述の容量性センサ構造にも適用可能である。
【0052】
これに対応して、装置100の実施形態において、電子装置120は、第3の時間t3で、第1電極301の第3の静電容量を示す第3の値v3を測定し、第3の値t3が第2閾値th
tを下回ることを決定するように構成される。このようにして、第3の値v3は、タッチおよび圧力の印加の両方がないことを示している。このことは、
図4c1および
図4c2、ならびに
図8aおよび
図8bにも示されている。
【0053】
図4a1~
図4d2ならびに
図8aおよび
図8bに示す状況をまとめると、以下のようになる。
・(i)物体600によって位置Lに圧力が加えられているとき(上記および
図4a1、
図4b1、
図4a2、
図4b2参照)、信号の値は、第2閾値th
tよりも大きく、第1閾値th
fよりも大きくてもよい。
・(ii)物体600によって圧力が加えられていない場合(
図4c1、
図4c2、
図8a、
図8b参照)、信号の値は、最大でも第1閾値th
fと等しく、第2閾値th
tより大きくてよい。
【0054】
状況(i)をさらに明確にするために、以下のことが記載される。
・(i,a)位置Lで物体600によって大きな圧力が加えられた場合(上記および
図4a1、
図4b1、
図4a2、
図4b2を参照)、信号の値は第1閾値th
fよりも大きく、また
・(i,b)場所Lで物体600によって小さな、しかし正の、ゼロではない圧力が加えられたとしても(上記および
図4a1、
図4b1、
図4a2、
図4b2を参照)、信号の値は第1閾値th
fより小さくてもよい。
【0055】
このようにして、第1閾値thfの実際の値を使用して、圧力を決定するために必要な圧力を微調整してもよい。点(i,b)を参照すると、アプリケーションによっては、非常に小さい(しかし、ゼロよりも大きい)圧力が、圧力ではなくタッチを示すことが実現可能である場合がある。しかしながら、上記の点(i,a)を参照すると、第1絶縁層210および第2絶縁層220の少なくとも一方は、点(i,a)に示されるように構造110が圧縮されると、電子装置120によって容量性層状センサ構造110から測定可能な第1電極301の静電容量を示す値が第1閾値thfよりも大きくなるように、物体600によって圧縮可能である。第1電極301の静電容量を示す値が第1閾値thfを超えるためには、第1閾値thfの値に応じて、相応の大きな力が必要となる場合がある。
【0056】
状況(ii)をさらに明確にするために、以下のことが記載される。
・(ii,a)物体600によって圧力が加えられていないが(
図4c1、
図4c2、
図8a、
図8b参照)、物体600が位置Lで容量性層状構造に触れているか、またはその近傍にいる場合、信号の値は、最大で第1閾値thfに等しく、少なくとも第2閾値th
tに等しい、そして
・(ii,b)物体600が第1電極から離れている(すなわち、触れてもいないし、近傍にもいない;
図4c1、
図4c2、
図8a、
図8b参照)場合、信号の値は、第2閾値th
tよりも小さい。
【0057】
このようにして、第2閾値thtの実際の値を用いて、タッチの判定に必要な距離を微調整することが可能である。アプリケーションによっては、非常に小さな距離のみがタッチを示すと考えられる場合もあるが、アプリケーションによっては、近傍に存在することがタッチを示す場合もある。
【0058】
図8aおよび
図8bを参照すると、信号が第2閾値th
tを下回る場合、少なくとも2つの選択肢がある。まず、
図8aに示すように、第1電極の静電容量を示す第4の値v4は、これは第2閾値th
tよりも小さいが、検出限界th
detよりも大きくてもよい。この場合、信号は、物体600が第1電極301から検出可能な距離内にあることを示しているが、しかし、第1電極301の近傍にあるわけではない。第二に、
図8bに示すように、第1電極301の静電容量を示す第5の値v5は、これは第2閾値th
tよりも小さいが、検出限界th
detよりも小さくてもよい。この場合、信号は、第1電極301から検出可能な距離内に何もないことを示している。検出限界th
detは、以下に詳述するように、測定内のノイズレベルに関連する。
【0059】
このように、上で示した状況(ii,b)をさらに明確にするために、以下が記載される。
・(ii,b,1)物体600が第1電極301から適度に離れているだけで、しかし、触れてもいないし、近傍にもいない場合、
図8aを参照すると、信号の値v4は決定可能、すなわち、ノイズと区別可能であり、したがって、検出限界th
detよりも大きくてもよい。
・(ii,b,2)物体600が第1電極301から非常に離れている場合、
図8bを参照すると、信号の値v5はノイズと区別できず、したがって検出限界th
detよりも小さい。
【0060】
したがって、一実施形態において、電子装置120は、
・第4の時間t4において、第1電極301の第4静電容量を示す第4の値v4を測定し、
・第4の値v4が、検出限界tdetよりも大きく、かつ、第2閾値thtよりも小さいと判定する、
ように構成される。
【0061】
本方法の対応する実施形態は
・第4の時間t4において、第1電極301の第4静電容量を示す第4の値v4を測定することと、
・前記第4の値v4が、検出限界tdetよりも大きく、かつ、第2閾値thtよりも小さいと判定することと、
を含む。
【0062】
さらに、一実施形態において、電子装置120は、
・第5の時間t5において、第1電極301の第5静電容量を示す第5の値v5を測定し、
第5の値v5が検出限界thdetよりも小さいことを決定する、
ように構成される。
【0063】
本方法の対応する実施形態は、
・第5の時間t5において、第1電極301の第5静電容量を示す第5の値v5を測定することと、
・第5の値v5が検出限界thdetよりも小さいことを決定することと、
を含む。
【0064】
上で示したように、適切な電気透過性導電性層410と適切な第1閾値th
fとを組み合わせて使用することで、タッチを押圧と区別することができる。第1閾値th
fが大きすぎると、圧力の値に関する情報が失われる。また、第1閾値th
fが小さすぎると、押していなくても一部のタッチが、圧力の印加を示すものとして誤って判断される可能性がある。しかし、これらの状況は、センサ装置100の用途に依存する。典型的な使用方法は、ユーザが指でセンサ装置100を操作するユーザインタフェースである。このような用途における圧力は、典型的には、数百グラム/平方センチメートル(すなわち、数十kPa)である。したがって、実施形態において、センサ装置100は、第1絶縁層210および第2絶縁層220の少なくとも一方が、第1絶縁層210の一部および電気透過性導電性層410の一部が物体600と第1電極301との間に配置されるような10kPaの圧力で、少なくとも1cm
3の体積および少なくとも10の誘電率を有する物体600によって圧縮されたとき、電子装置120によって容量性層状センサ構造110から測定可能な、第1電極301の静電容量を示す値は、使用値v
useに等しいように構成される。このような使用値v
useは、
図4d1および
図4d2に示されている。この値は、圧力が容量性層状センサ構造110に印加され、その値が電子装置120によって測定可能である場合の、静電容量を示す典型的な値に対応する。意味のある圧力データが測定可能であるためには、一実施形態において、第1閾値th
fは、使用値v
useの最大95%である。より好ましくは、第1閾値th
fは、使用値v
useの最大75%、たとえば使用値v
useの最大50%である。
【0065】
上で示したように、適切な電気透過性導電性層410と適切な第2閾値thtとを組み合わせて使用することで、タッチを、タッチおよび押圧のない状態と区別することができる。第2閾値thtが大きすぎると、タッチのいくつかの形態が必ずしも識別されない。また、第1閾値thfが小さすぎると、タッチの誤った表示が測定される可能性がある。
【0066】
さらに、通常、測定値にはノイズが含まれる。そのため、第1センサ301の近傍に物体600が存在しない場合でも、そこから測定される信号は一定ではない。したがって、このような場合に測定される信号は、平均値(<v>)と偏差(stdv)とを有する。意味のない測定を行わないために、検出限界値tdetは、平均値に偏差を加えた値(すなわち、tdet=<v>+stdv)、または平均値に2つの偏差を加えた値(すなわち、tdet=<v>+2×stdv)に設定してもよい。このように、検出限界値tdetよりも小さい信号値はすべて無意味と考えてよい。
【0067】
完全を期するために述べるが、検出限界thdetは最大でも第2閾値thtと等しいことが知られている。典型的には、検出限界thdetは、第2閾値thtよりも小さい。さらに、第2閾値thtは、第1閾値thfよりも小さい。好ましくは、第2閾値thtは、少なくともノイズレベルstdv(詳細は上述)だけ第1閾値thfよりも小さく、すなわち、好ましくは、tht<thf-stdvである。第1閾値thfは、圧縮可能な層(210および/または220)がある程度圧縮されている状況に対応してよい。第1閾値thfは、圧縮可能な層(210および/または220)が完全に圧縮されている状況に対応してよい。そのような極端なケースでは、圧力の存在は、圧縮可能な層(210および/または220)が完全に圧縮されたときにのみ判断され、他の圧縮はタッチとして分類されることになる。
【0068】
第2閾値(すなわちタッチリミット)thtについては、物体600とその近傍について上述したことが適用される。
【0069】
図1a、
図1b、
図1c、
図1d、
図2a、
図2b、
図2c、
図5aおよび
図5bを参照すると、装置100の一実施形態において、電子装置120は、出力信号S
outを送信するように構成されており、出力信号S
outは、[i]第1の値v1が第2閾値th
tと第1閾値th
fとの間にあること、および[ii]第2の値v2が第1閾値th
fを超えていること、を示している。好ましくは、出力信号S
outは、第2の値v2自体を示すものでもある。これらの図に示すように、センサ装置100の複数の実装が可能である。
【0070】
図1a、
図2a、および
図5aに示すように、電子装置120は、タッチおよび圧力を静電容量方式で検出するための装置100の不可欠な部分であってよい。電子装置120は、上に示したように測定を実行し、第1の値v1が第2閾値th
tと第1閾値th
fとの間にあること、および第2の値v2が第1閾値th
fを超えていることを示す出力信号S
outを送信してもよい。また、出力信号S
outは、必要に応じて使用してよい。
図1aおよび
図2aに示されるように、回路基板500、たとえばフレキシブル回路基板500が、第1電極301に電気的に結合されてもよい。さらに、回路基板500に取り付けられたマイクロチップ510は、上で示したように、第1電極の静電容量を測定するように構成されてもよい。
図1aおよび
図2aを参照すると、マイクロチップ510は、上で示したように、出力信号S
outを送信するように構成されてもよい。
図5aを参照すると、マイクロチップ510および別のチップ520(以下、コンピュータ520と呼ぶ)は、回路基板に取り付けられてもよく、コンピュータ520は、上で示されたように、出力信号S
outを送信するように構成されてもよい。さらに、マイクロチップ510は、たとえばワイヤを介してコンピュータ520に信号S
inを送信してもよい。信号S
inは、第1の値v1および第2の値v2を示してよい。
【0071】
ただし、これらの値と第1閾値th
fとの比較は、マイクロチップ510で行う必要はなく、コンピュータ520で行ってもよい。また、これらの信号値と第2閾値th
tとの比較は、マイクロチップ510で行う必要はなく、コンピュータ520で行ってもよい。しかし、好ましくは、信号値と第2閾値th
tとの比較は、マイクロチップ510で行われる。したがって、信号S
inは、物体600の不存在を示すものである必要はない。マイクロチップ510が、第2閾値v2を下回る第3の値v3も決定するように構成されていても(
図4c2参照)、マイクロチップ510は、そのようなデータを電子装置120の第2部分(たとえば、コンピュータ520)に送信する必要はない。たとえば、マイクロチップ510は、第1電極301から測定される信号が少なくとも第2閾値th
tに等しい場合にのみ、信号S
inを送信してもよい。
【0072】
図5bに示すように、電子装置120は、別々の部分を含んでよい。たとえば、電子装置120の第1部分は、第1電極301に電気的に結合された回路基板500、たとえばフレキシブル回路基板500と、回路基板500に取り付けられたマイクロチップ510とを含んでよい。ただし、マイクロチップ510は、第1電極301の静電容量の値v1,v2(および任意にv3,v4,v5)を決定するだけで、電子装置120の第2部分に信号S
inを送信するように構成されてよい。信号S
inは、値v1およびv2を示している。次に、コンピュータ520などの電子装置120の第2部分は、信号S
inを受信し、信号S
inが、上に示した原理に従って、タッチおよび圧力をどのように示しているかを決定してもよい。第2部分(たとえばコンピュータ520)は、たとえば、信号S
inから値v1およびv2を決定し、(a)値v1が最大で第1閾値に等しく、少なくとも第2閾値th
tに等しいことを決定し、(b)第2の値v2が第1閾値th
fよりも大きいことを決定してもよい。なお、信号S
inは、
図5aのように有線でコンピュータ520に送信してもよいし、
図5bのように無線で送信してもよい。
【0073】
電子装置120の第2部分(たとえば、コンピュータ520)が使用される場合、コンピュータプログラムがコンピュータ520上で実行されてもよい。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータ520上で実行されると、コンピュータ520に、(a)第1閾値thfを示す情報を受信させ、(b)第2閾値thtを示す情報を受信させ、(c)容量性層状センサ構造110によって測定された第1静電容量および第2静電容量を示す信号Sinを受信させる、ように構成される。コンピュータプログラムは、コンピュータ520上で実行されると、コンピュータ520に、信号Sinから、第1静電容量を示す第1の値v1および第2静電容量を示す第2の値v2を決定させることと、第1の値v1が最大で第1閾値thfに等しいことを決定することと、第2の値v2が第1閾値thfよりも大きいことを決定することと、出力信号Soutを生成することと、をさらに含む。出力信号Soutは、第1の値v1が最大で第1閾値thfに等しく、第2の値v2が第1閾値thfよりも大きいことを示している。装置100とは異なり、コンピュータ520は、そのような情報が、上で詳述したように信号Sinに考慮されている可能性があるので、第1の値v1が第2閾値thtに少なくとも等しいことを決定する必要はない。当然ながら、コンピュータプログラムは、コンピュータ520上で実行されると、コンピュータ520に、第1の値v1が第2閾値thtと少なくとも等しいことを決定させるように構成されてもよい。さらに、出力信号Soutは、第1の値v1が第2閾値thtと少なくとも等しいことを示してよい。
【0074】
上で示したように、電子装置120は、出力信号Soutを送信するように構成されてもよく、その際、出力信号Soutも第2の値v2を示すものである。これに対応して、コンピュータプログラムは、コンピュータ520上で実行されると、コンピュータ520に、出力信号Soutが第2の値v2も示すような出力信号Soutを生成させるように構成されてもよい。
【0075】
上に示したように、電子装置120、たとえばマイクロチップ510とコンピュータ520とを組み合わせて、第2閾値th
t(
図4c2参照)を下回る第3の値v3も決定するように構成されてもよい。さらに、マイクロチップ510は、そのようなデータを、電子装置120の第2部分(たとえばコンピュータ520)に送信してもよい。電子装置120、たとえばマイクロチップ510とコンピュータ520とを組み合わせて、第2閾値th
tを下回り、検出限界th
detを超える第4の値v4も決定するように構成されてもよい。(
図8A参照)。)電子装置120、たとえばマイクロチップ510とコンピュータ520を組み合わせて、検出限界th
detを下回る第5の値v5も決定するように構成してもよい。(
図8b参照)。
【0076】
したがって、コンピュータプログラムの実施形態は、コンピュータ520上で実行されると、コンピュータ520に、容量性層状センサ構造110によって測定された第3の静電容量も示す、そのような信号Sinを受信させるように構成される。さらに、コンピュータプログラムの実施形態は、コンピュータ520上で実行されると、コンピュータ520に、信号Sinから、第3の静電容量を示す第3の値v3を決定させ、第1の値v1が少なくとも第2閾値thtに等しいことを決定させ、第3の値v3が第2閾値thtよりも小さいことを決定させるように構成される。
【0077】
コンピュータプログラムの実施形態は、コンピュータ520上で実行されると、コンピュータ520に、検出限界thdetを示す情報を受信させ、容量性層状センサ構造110によって測定された第4の静電容量も示すような信号Sinを受信させるように構成される。さらに、コンピュータプログラムの実施形態は、コンピュータ520上で実行されると、コンピュータ520に、信号Sinから、第4の静電容量を示す第4の値v4を決定させ、第4の値v4が第2閾値thtよりも小さく、検出限界thdetよりも大きいことを決定させるように構成される。
【0078】
コンピュータプログラムの実施形態は、コンピュータ520上で実行されると、コンピュータ520に、検出限界thdetを示す情報を受信させ、容量性層状センサ構造110によって測定された第5の静電容量も示すような信号Sinを受信させるように構成される。さらに、コンピュータプログラムの実施形態は、コンピュータ520上で実行されると、コンピュータ520に、信号Sinから、第5の静電容量を示す第5の値v5を決定させ;第5の値v5が検出限界thdetよりも小さいことを決定させるように構成される。
【0079】
図7a~
図7eを参照すると、一実施形態において、電気透過性導電性層410は、導電性領域412と非導電性領域414とを含む。
図7bに示すように、電気透過性導電性層410は、導電性領域412の一部によって互いに分離された複数の非導電性領域414(たとえば、開口部または穴)を含んでよい。同様に、電気透過性導電性層410は、非導電性領域414の一部(図示せず)によって互いに分離された複数の導電性領域412を含んでよい。
図7eを参照すると、電気透過性導電性層410の導電性領域412は、蛇行した線であってもよく、これにより、電気透過性導電性層410は、1つだけの導電性領域412と、1つだけの非導電性領域414とを含んでよい。
【0080】
図7a~
図7dを参照すると、好ましい実施形態において、導電性エリア412は、非導電性エリア414または非導電性エリア414を限定する。言い換えれば、その実施形態において、導電性エリア412は、非導電性エリア414または非導電性エリア414を横方向に取り囲んでいる。したがって、非導電性エリア414または非導電性エリア414は、導電性エリア412に対する1または複数の開口部を形成する。好ましい実施形態において、非導電性領域414の断面積A
414は、0.01mm
2~100mm
2である。ここで、単位のmm
2は、平方ミリメートルを意味する。複数の非導電性領域がある場合、好ましくは、少なくとも1つの非導電性領域414の断面積A
414は、0.01mm
2~100mm
2である。ここで、断面積A
414は、非導電性領域414の断面の面積であり、断面は、容量性層状構造110の厚さの方向Szに対する法線を有する平面上に定義される。前述の面積は、電気透過性導電性層410を介した第1電極301によるユーザの指によるタッチを判定するのに十分な大きさであることが分かっている。また、前記面積は、第1電極301の静電容量の乱れを十分に低減するために、十分に小さいことが判明している。特に、第1電極301と非導電性領域414との重なり部分の総面積については、前述の面積が適切であることが分かった。
図7eおよび
図7fを参照すると、導電性領域412は、開口部を限定する必要はない。
【0081】
好ましくは、非導電性領域414(またはそのような領域414の少なくとも1つ)は、第1電極301の位置に配置される。より具体的には、好ましくは、非導電性領域414または非導電性領域414の少なくとも1つは、第1電極301と重なっている。上記のように、本明細書において、重なるという用語は、容量性層状センサ構造110の厚さの方向Szにおいて、重なる部分が互いに重なっていることを意味する。
【0082】
図7aおよび
図7bを参照すると、導電性領域412および1または複数の非導電性領域414は、たとえば、最初に均一な導電性層412を形成し、次に導電性材料を除去して1または複数の非導電性領域414を形成することによって製造されてもよい。より好ましくは、導電性領域412は、1または複数の非導電性領域414にはインクまたはペーストが印刷されないような方法で、導電性インクまたはペーストを使用して、非導電性基板212(
図1d)上に印刷されてもよい。たとえば、導電性ポリマーベースの材料が、1または複数の導電性領域412の材料として機能してもよい。そのような導電性ポリマーベースの材料は、典型的には、導電性粒子を含む。そのような導電性粒子は、何らかの金属(たとえば、銅、アルミニウム、銀、金)または炭素(グラフェンおよびカーボンナノチューブを含むが、これらに限定されない)の粒子であってよい。さらに、導電性ポリマーベースの材料には、ポリアニリン、ポリビニル(たとえば、ポリビニルアルコールまたはポリ塩化ビニル)、PEDOT:PSS(すなわち、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸)などがあり、これらを1または複数の導電性領域412の材料として使用してもよい。
【0083】
図7cを参照すると、導電性領域412は、互いに交差する導電性ライン、フィラメント、またはヤーンで形成されてもよく、それによって非導電性領域414は、導電性ライン、フィラメント、またはヤーンの間に配置される。
図7dを参照すると、電気透過性導電性層410は、導電性のヤーンで作られた織布層(すなわち、ファブリック)であってよい。このような導電性ファブリックは、導電性領域としてのヤーンと、ヤーンの間にある非導電性領域とを含む。
【0084】
非導電性領域414は、小さなスケールで観察可能である。たとえば、導電性の低いポリマーベースの層が、電気透過性導電性層410として機能してもよい。そのような貧導性ポリマーベース材料は、典型的には、合理的に少量の導電性粒子を含む。そのような導電性粒子は、何らかの金属(たとえば、銅、アルミニウム、銀、金)または炭素(グラフェンおよびカーボンナノチューブを含むが、これらに限定されない)の粒子であってよい。また、ポリアニリン、ポリビニル、PEDOT:PSSなどの(合理的な)導電性ポリマーは、その導電性に応じて、マイクロスケールで非導電性領域を含むことがある。粒子の量は導電性と相関しており、粒子の量が粒子の透過閾値を超えた程度では、導電性は低くても、材料は導電性を持つ。このように、大きなスケールでは、粒子が透過するので、材料は導電性のように見えるが、小さなスケールでは、材料は互いに電気的に接続されていない領域、すなわち非導電性の領域を含んでいる。この非導電性領域では、粒子は浸透しない。しかし、他の導電性粒子と接続されていない導電性粒子は、電気透過性導電性層410の電気透過性を妨げる可能性がある。したがって、好ましい実施形態において、非導電性領域414は、導電性材料の粒子を含んでいない。
【0085】
好ましくは、非導電性領域414の面積と導電性領域412の面積との比が適切な範囲にあることである。このように、一実施形態において、電気透過性導電性層410は、導電性領域412と、少なくとも1つの非導電性領域414とを含む。導電性エリア412は、上に示したように、1または複数の非導電性エリア414を限定してもよい。この適切な範囲は、好ましくは、少なくとも第1電極301の近傍に適用される。
【0086】
この目的のために、一実施形態において、導電性領域412の少なくとも一部は、第1電極301と重なっている。導電性領域412のうち、第1電極301と重なる部分の断面積は、
図7aおよび
図7bにおいて、A
412,301で示されている。さらに、少なくとも1つの非導電性領域414の少なくとも一部は、第1電極301と重なっている。1または複数の非導電性領域414のうち、第1電極301と重なる部分の断面積は、
図7aおよび
図7bにおいてA
414,301で示されている。ここで、断面積A
412,301およびA
414,301は、第1電極301と重なる導電性領域412および非導電性領域414のそれぞれの断面の面積であり、断面は、容量性層状構造110の厚さの方向Szに対して法線を有する平面上で定義されるものとする。
【0087】
好ましくは、導電領域412のうち第1電極301と重なる部分の断面積A412,301は、第1電極の断面積A301の少なくとも5%であることが望ましい。導電性領域412のうち第1電極301と重なる部分の断面積A412,301の上限については、導電性領域412が前記限定内の大きさを有する1つの開口部のみを含んでよく、一方で第1電極301はそれなりに大きくてもよい。したがって、上限は、少なくとも約100%であってよい。これに対応して、好ましくは、1または複数の非導電性領域414のうち、第1電極301と重なる部分の断面積A414,301は、第1電極301の断面積A301の最大95%であってよい。
【0088】
さらに、好ましくは、非導電性領域414のうち第1電極301と重なる部分の断面積A414,301は、0.01mm2~100mm2の範囲である。このサイズ範囲は、特に、ユーザの指のタッチおよび圧力を判定するアプリケーションに適していることが分かっている。
【0089】
第2電極302が存在する場合、好ましくは、1または複数の導電性領域412および1または複数の非導電性領域は、第2電極302と、変更すべきところは変更して同様の方法で重なる。
【0090】
一実施形態において、電気透過性導電性層410は、非導電性領域414または非導電性領域414を限定する(たとえば取り囲む)導電性領域412を備え、導電性領域の断面積A412が、導電性領域412および導電性領域412によって限定された(たとえば取り囲まれた)非導電性領域414または非導電性領域414の合計断面積A412+A414の5%~95%であるようにする。
【0091】
好ましくは、電極層300は、第2電極302と、第2電極302に取り付けられた第2ワイヤ352とを含む。これにより、静電容量測定の空間精度が向上するという効果がある。好ましくは、第1ワイヤ351は、第1電極301のみを電子装置120に接続し、第2ワイヤ352は、第2電極302のみを電子装置120に接続する。これにより、第1電極301および第2電極302の静電容量を多重化せずに測定することができ、測定の時間的精度が向上するという効果がある。このように、一実施形態において、電子装置120は、1つの時間に第1電極301の全領域の静電容量を測定するように構成されている。これに対応して、一実施形態において、電子装置120は、後続の時間で第1電極301の部分の静電容量を測定するように構成されていない。しかし、測定原理は、第1ワイヤ351が第1電極301および第2電極302の両方を電子装置120に接続し、静電容量が測定される電極(301,302)が多重化によって決定されるような層状センサ構造110にも適用することができる。多重化を利用するために、電気透過性導電性層410および第1導電性層400の少なくとも一方を、第1電極301および第2電極302の少なくとも一方と少なくとも部分的に重なる領域に分割し、層(410,400)の領域を互いに電気的に接続しないようにしてもよい。
【0092】
上記および
図1bおよび
図2bで示したように、一実施形態において、容量性層状センサ構造110は、第3絶縁層230を含む。第3絶縁層230は、容量性層状センサ構造110の厚さ方向Szにおいて、第3絶縁層230と第1絶縁層210との間に、電気透過性導電性層410が配置されるように配置される。第3絶縁層230の主な目的は、電気透過性導電性層410を物体600から絶縁することである。これにより、測定の感度が向上する。第3絶縁層230の第2の目的は、装飾層として機能することである。なお、容量性層状センサ構造110は、第2絶縁層220を含んでいなくても、第3絶縁層230を含んでよい。
【0093】
図6を参照すると、容量性層状センサ構造110は、第4絶縁層240および第2電極層300bをさらに含んでよい。容量性層状センサ構造110は、たとえば
図1bの第3絶縁層を含んでいなくても、第4絶縁層240を含んでよい。このような実施形態において、第4絶縁層240は、第1導電性層400と第2電極層300bとの間に配置されている。第4絶縁層240が圧縮可能であり、第2電極層300bの電極が第1電極層300の電極と重なっている場合には、第2電極層300bの電極の静電容量は、タッチのみの影響を受けにくい。したがって、このような構造を用いれば、たとえば
図1bまたは
図2bの構造よりも正確に圧力を測定することができる。しかし、
図6の容量性層状センサ構造110は、
図1bまたは
図2bの構造よりも複雑であり、それによって、製造コストが高くなる。
【0094】
層状容量性センサ構造110の層の材料および厚さについては、好ましくは、層状容量性センサ構造110が可撓性を有するように材料および厚さが選択される。より好ましくは、材料および厚さは、層状容量性センサ構造110が可撓性を有し伸縮可能、すなわち適合可能であるように選択されることが好ましい。
【0095】
可撓性という用語については、平面状の可撓性材料は、20℃の温度で材料を壊すことなく曲率半径10mm(またはそれ以下)に曲げることができる。さらに、その後、20℃の温度で、材料を壊すことなく、平面状に戻すことができる。伸縮性という用語については、伸縮性のある材料は、可逆的に少なくとも10%伸びることができる。特に、伸縮性材料の層は、層の厚さ方向に垂直な方向に、可逆的に少なくとも10%伸張させることができる。伸長の可逆性は自発的なものであり、すなわち弾性的である。このように、平面状の適合性のある材料は、上記のように可撓性を有し、平面状の適合性のある材料の平面の方向に伸張可能である。平面適合可能材料は、材料に大きな塑性(すなわち不可逆)変形を導入することなく、20℃の温度で10cm(またはそれ以下)の半径を有する半球の表面を適合させるように配置することができる。
【0096】
圧縮可能という用語については、圧縮可能な材料は、可逆的に少なくとも10%圧縮することができる。特に、圧縮可能な材料の層は、その層の厚さ方向に可逆的に少なくとも10%圧縮することができる。圧縮の可逆性は自発的なものであり、すなわち弾性である。さらに、圧縮可能な層のヤング率は、1GPa未満であってよい。
【0097】
絶縁層210、220、230に適した材料については、絶縁層の目的は電気的に絶縁することである。したがって、第1絶縁層210の材料および第2絶縁層220の材料(存在する場合)の抵抗率は、23℃の温度で少なくとも10Ωmであってよい。これは、存在する場合には、第3絶縁層230にも適用される。典型的には、第1絶縁層210の材料および第2絶縁層220の材料(存在する場合)の抵抗率は、23℃の温度で少なくとも100Ωmである。
【0098】
上に示したように、第1絶縁層210および第2絶縁層220の少なくとも一方は圧縮可能であるが、第2絶縁層220は溶液中に存在しなくてもよい。圧縮可能という用語の意味については、上述したとおりである。圧縮可能な層に適した材料は、材料群Aの材料を含み、材料群Aは、ポリウレタン(熱可塑性ポリウレタンなど)、ポリエチレン、ポリ(エチレン-酢酸ビニル)、ポリ塩化ビニル、ポリボロジメチルシロキサン、ポリスチレン、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン、エチレンプロピレンゴム、ネオプレン、コルク、ラテックス、天然ゴム、シロキサンポリマー(シリコーンなど)、熱可塑性エラストマーゲルから成る。さらに、適度な変形を持たせるために、一実施形態において、圧縮可能な層(210および/または220)の厚さは、少なくとも0.05mm、好ましくはたとえば、少なくとも0.5mmなどの、少なくとも0.3mmである。圧縮可能な層(210および/または220)の厚さは、0.05mm~5mm、たとえば0.3mm~4mm、たとえば0.5mm~2mmであることが好ましい。圧縮層の圧縮時のヤング率は、0.01MPa~15MPa、たとえば0.1MPa~5MPaであることが好ましい。なお、引張時のヤング率は、圧縮時のヤング率と異なってよい。さらに、圧縮可能な層の材料は、好ましくは少なくとも10%の降伏ひずみを有する。これにより、使用時に材料を十分に圧縮することができる。
【0099】
好ましくは、第1絶縁層210および第2絶縁層220は、前述の意味で可撓性を有する。さらに、好ましくは、第1絶縁層210のヤング率は最大で10GPa、たとえば最大で5.0GPaである。さらに好ましくは、第2絶縁層220のヤング率は、最大で10GPa、たとえば最大で5.0GPaである。
【0100】
第1絶縁層210または第2絶縁層220は、可撓性絶縁体としてのみ作用してもよい。可撓性層に適した材料には、材料群Bからの材料が含まれ、材料群Bは、織物、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、およびポリエーテルエーテルケトンから成る。また、可撓性層に適した材料には、上記で定義した材料群Aの材料も含まれる。ただし、第1絶縁層210または第2絶縁層220は、可撓性を有していなくてもよい。そのような場合、好適な材料は、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂をさらに含む。たとえば、FR-4ガラスのエポキシ、およびフェノール樹脂を含浸させた綿紙などが挙げられる。特に、センサ構造110が可撓性を有する必要がなく、第1絶縁層210が圧縮可能である場合、第2絶縁層220は、硬質および/または剛性であってよい。
【0101】
圧縮可能な層として機能しない絶縁層の厚さは、上述のように、たとえば最大5mmであってよい。しかし、圧縮可能な層として作用しない絶縁層の厚さは、たとえば、1mm未満、たとえば、0.5mm未満、たとえば、50μm~1mm、または50μm~0.5mmであってよい。
【0102】
第1絶縁層210および第2絶縁層220の厚さおよび材料について述べてきたことは、第3絶縁層230にも適用される。第3絶縁層230は、圧縮可能でなくてもよい。
【0103】
電極層300としては、好ましくはまた、電極層は可撓性を有する。より好ましくは、可撓性を有し、伸縮自在である。
【0104】
一実施形態において、第1電極301は、破断することなく少なくとも5%伸張可能であるような材料で作られている。好ましくは、第2電極302は、破断することなく少なくとも5%伸張可能であるような材料で作られている。このような材料は、たとえば、インクまたはペーストであってよい。一実施形態において、第1電極301は、フレークまたはナノ粒子などの導電性粒子を含み、これらは、導電性を有するように互いに付着されている。一実施形態において、第1電極301は、炭素(グラフェンおよびカーボンナノチューブを含むが、これらに限定されない)、銅、銀、および金のうちの少なくとも1種などの、導電性粒子を含む。一実施形態において、第1電極301は、炭素を含む導電性粒子を含む。一実施形態において、第1電極301は、ポリアニリン、ポリビニル(たとえばポリビニルアルコールまたはポリ塩化ビニル)、およびPEDOT:PSS(すなわちポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸)のうちの少なくとも1種のような、導電性ポリマー系材料を含む。第1電極301の材料について述べてきたことは、一実施形態において、第2電極302を含むすべての電極に適用される。第1電極301の材料について述べてきたことは、一実施形態において、第1ワイヤ351に適用される。第1電極301の材料について述べたことは、一実施形態において、第2ワイヤ352に適用される。
【0105】
第1電極301は、第1絶縁層210または第2絶縁層220上に(たとえば、印刷によって)配置されてもよい(
図1cおよび2c参照)。代替案として、第1電極301は、基板390上に(たとえば印刷によって)配置されてもよい(
図1aおよび2a参照)。絶縁層210,220の材料について述べてきたことは、基板390にも当てはまる。
【0106】
第1導電性層400については、第1導電性層400は、均一な導電性であってもよく、たとえば、導電性インクまたはペーストを用いて均一な表面に均一な量を使用して作られている。代替として、第1導電性層400は、導電性ヤーンのメッシュであってもよく、たとえば、導電性のインクまたはペーストまたはフィラメントを用いて作られる。また、第1導電性層400が蛇行した導電性線を含んでいれば足りる場合もある。また、第1導電性層400が複数の別個の導電ラインを含んでもよい。一実施形態において、第1導電性層400の少なくとも一部は、導電性インクから作られている。一実施形態において、第1導電性層400は、導電性ファブリックを含む。一実施形態において、第1導電性層400は、導電性ポリマーを含む。好ましくは、第1導電性層400は、均一に導電性である。導電性という用語に関して、導電性材料は、23℃の温度および0%の内部弾性ひずみで測定された最大10Ωmの抵抗率を有し、すなわち、圧縮または張力がない状態、すなわち静止状態である。
【0107】
第1導電性層400の材料について述べてきたことは、電気透過性導電性層410の材料、特に電気透過性導電性層410の1または複数の導電性領域412にも当てはまる。しかしながら、少なくとも1つの非導電性領域414は、その導電性がそうでなければ均一で高いものとなる場合には、少なくとも電気透過性導電性層410に配置されてもよい。
【0108】
さらに、好ましくは、[A]23℃の温度(静止状態)における第1導電性層400の導電率は、23℃の温度(静止状態)における電気透過性導電性層410の導電率よりも高く、および/または、[B]第1導電性層400のうち、電気透過性導電性層410の部分よりも大きな部分が導電性材料で覆われている。
【手続補正書】
【提出日】2021-02-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力、ならびにタッチおよび付近の存在の少なくとも1つを容量的に検出するための装置(100)であって、
容量性層状センサ構造(110)を含み、
容量性層状センサ構造(110)は、
第1電極(301)を含む電極層(300)と、
電気透過性導電性層(410)
であって、
少なくとも一部が第1電極(301)と重なる導電性領域(412)と、
少なくとも一部が第1電極(301)と重なる1または複数の非導電性領域(414)とを含む、電気透過性導電性層(410)と、
電気透過性導電性層(410)と電極層(300)との間に配置された第1絶縁層(210)とを含み、
導電性領域(412)の、第1電極(301)と重なる部分の断面積(A
412,301
)が、第1電極(301)の断面積(A
301
)の少なくとも5%であり、
容量性層状センサ構造は、
圧縮可能であり、電極層(300)と導電性層(410,400)との間に配置された絶縁層(210,220)を含み、またはさらに含み、
装置(100)は、
第1電極(301)に電気的に結合された電子装置(120)を含み、
電子装置(120)は、
第1の時間(t1)において、
少なくとも電気透過性導電性層(410)に対する第1電極(301)の第1静電容量を示す第1の値(v1)を測定し、
第2の時間(t2)において、
少なくとも電気透過性導電性層(410)に対する第1電極(301)の第2静電容量を示す第2の値(v2)を測定し、
第1の値(v1)が、最大で第1閾値(th
f)に等しく、かつ、少なくとも第2閾値(th
t)に等しいことを判断し、
第2の値(v2)が第1閾値(th
f)よりも大きいと判断するように
構成されてなることを特徴とする装置(100)。
【請求項2】
非導電性領域(414)のうち、第1電極(301)と重なる1または複数の部分の断面積(A
414,
301)が、0.01mm
2~100mm
2であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
導電性領域(412)は、1または複数の非導電性領域(414)を取り囲んでいることを特徴とする、請求項
2に記載の装置。
【請求項4】
第1絶縁層(210)は、圧縮性を有することを特徴とする、請求項1~
3のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項5】
容量性層状センサ構造(110)は、第2絶縁層(220)を含み、
電極層(300)は、第1絶縁層(210)と第2絶縁層(220)との間に配置され、
一実施形態において、
第2絶縁層(220)は、圧縮可能であることを特徴とする、請求項1~
4のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項6】
容量性層状センサ構造(110)は、第1導電性層(400)を含み、
第2絶縁層(220)は、電極層(300)と第1導電性層(400)との間に配置され、
好ましくは、
第2絶縁層(220)は、圧縮可能であり、
好ましくは、
電子装置(120)は、第1導電性層(400)に電気的に結合されていることを特徴とする、請求項
5に記載の装置(100)。
【請求項7】
電子装置(120)は、出力信号(S
out)を送信するように構成され、出力信号(S
out)は、
第1の値(v1)が、第2閾値(th
t)と第1閾値(th
f)との間にあること、および
第2の値(v2)が第1閾値(th
f)を超えていること、を示し、
好ましくは、出力信号(S
out)は、第2の値(v2)も示す、ことを特徴とする、請求項1~
6のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項8】
容量性層状センサ構造(110)および電子装置(120)は、組み合わせて、
少なくとも1cm
3の体積と少なくとも10の誘電率とを有する物体(600)が、第1電極(301)の近傍に配置されるか、または、物体(600)と第1電極(301)との間に、第1絶縁層(210)の一部と電気透過性導電性層(410)の一部とが配置され、第1絶縁層(210)を圧縮しないように第1電極(301)と重なる位置(L)で、容量性層状センサ構造(110)の表面に接触するとき、電子装置(120)によって容量性層状センサ構造(110)から測定可能な、第1電極(301)の静電容量を示す値は、最大でも第1閾値(th
f)に等しく、かつ、少なくとも第2閾値(th
t)に等しくなるように、構成され、
第1絶縁層および第2絶縁層(210,220)の少なくとも一方は、電子装置(120)によって容量性層状センサ構造(110)から測定可能な第1電極(301)の静電容量を示す値が、第1閾値(th
f)よりも大きくなるように、前記物体(600)によって圧縮可能であることを特徴とする、請求項
5~
7のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項9】
容量性層状センサ構造(110)および電子装置(120)は、組み合わせて、
少なくとも1cm
3
の体積と少なくとも10の誘電率とを有する物体(600)が、第1電極(301)の近傍に配置されるか、または、物体(600)と第1電極(301)との間に、第1絶縁層(210)の一部と電気透過性導電性層(410)の一部とが配置され、第1絶縁層(210)を圧縮しないように第1電極(301)と重なる位置(L)で、容量性層状センサ構造(110)の表面に接触するとき、電子装置(120)によって容量性層状センサ構造(110)から測定可能な、第1電極(301)の静電容量を示す値は、最大でも第1閾値(th
f
)に等しく、かつ、少なくとも第2閾値(th
t
)に等しくなるように、構成され、
第1絶縁層(210)は、電子装置(120)によって容量性層状センサ構造(110)から測定可能な第1電極(301)の静電容量を示す値が、第1閾値(th
f
)よりも大きくなるように、前記物体(600)によって圧縮可能であることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の装置(100)。
【請求項10】
容量性層状センサ構造(110)および電子装置(120)が、組み合わせて、
少なくとも1cm
3の体積と少なくとも10の誘電率とを有する物体(600)が、第1電極(301)の近傍に配置されていないとき、電子装置(120)によって容量性層状センサ構造(110)から測定可能な、第1電極(301)の静電容量を示す値が、第2閾値(th
t)よりも小さいことを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
[A]
電子装置(120)が、電気透過性導電性層(410)に電気的に結合され、および/または
[B]
電極層(300)が、第2電極(302)と、第2電極(302)に取り付けられた第2ワイヤ(352)とを含む、
ことを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
第3絶縁層(230)を含み、
第3絶縁層(230)が、電気透過性導電性層(410)が第3絶縁層(230)と第1絶縁層(210)との間に配置されるように配置されていることを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
圧力と、タッチおよび近傍での存在の少なくとも一方とを検出する方法であって、
容量性層状センサ構造(110)を利用可能に配置することを含み、
容量性層状センサ構造(110)は、
電気透過性導電性層(410)
であって、
少なくとも一部が第1電極(301)と重なる導電性領域(412)と、
少なくとも一部が第1電極(301)と重なる1または複数の非導電性領域(414)とを含む、電気透過性導電性層(410)と、
第1電極(301)を含む電極層(300)と、
電気透過性導電性層(410)と電極層(300)との間に配置された第1絶縁層(210)とを備え、
導電性領域(412)の、第1電極(301)と重なる部分の断面積(A
412,301
)が、第1電極(301)の断面積(A
301
)の少なくとも5%であり、
容量性積層センサ構造(110)は、
圧縮可能であり、電極層(300)と導電性層(410,400)との間に配置された絶縁層(210,220)を備え、またはさらに備え、
該方法は、
容量性層状センサ構造(110)を用いて、
少なくとも電気透過性導電性層(410)に対する第1電極(301)の第1静電容量を示す第1の値(v1)を測定することと、
容量性層状センサ構造(110)を用いて、
少なくとも電気透過性導電性層(410)に対する第1電極(301)の第2静電容量を示す第2の値(v2)を測定することと、
第1の値(v1)が、最大で第1閾値(th
f)に等しく、かつ少なくとも第2閾値(th
t)に等しいこと、および
第2の値(v2)が、第1閾値(th
f)より大きいこと、を判定することとを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項14】
少なくとも1cm
3の体積と少なくとも10の誘電率とを有する物体(600)が、第1電極(301)の近傍に配置されるか、または、物体(600)と第1電極(301)との間に、第1絶縁層(210)の一部と電気透過性導電性層(410)の一部とが配置され、第1絶縁層(210)を圧縮しないように第1電極(301)と重なる位置(L)で、容量性層状センサ構造(110)の表面に接触するとき、第1の値(v1)が、容量性層状センサ構造(110)を用いて測定され、
第1絶縁層(210)の一部と電気透過性導電性層(410)の一部とが、物体(600)と第1電極(301)との間に配置されるように、第1絶縁層(210)および第1電極(301)近傍の第2絶縁層(220)を圧縮するとき、第2の値(v2)が、容量性層状センサ構造(110)を用いて測定される、ことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【国際調査報告】