(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-22
(54)【発明の名称】応答曲面および減次モデル化を使用した血流の推定のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G16H 50/50 20180101AFI20220714BHJP
【FI】
G16H50/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568016
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(85)【翻訳文提出日】2021-12-10
(86)【国際出願番号】 US2020033239
(87)【国際公開番号】W WO2020236639
(87)【国際公開日】2020-11-26
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513030879
【氏名又は名称】ハートフロー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】サンカラン, セスラマン
(72)【発明者】
【氏名】レセージ, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】テイラー, チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】シャオ, ナン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ヒュン ジン
(72)【発明者】
【氏名】スペイン, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】シャープ, ミハエル
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
血流シミュレーションのためのシステムおよび方法が、開示される。例えば、本方法は、血管血流の第1のモデルを使用して、複数の血流シミュレーションを実施するステップであって、複数の血流シミュレーションはそれぞれ、患者の血管系内の血流または患者の血管系に基づく幾何学形状をシミュレートする、ステップと、複数の血流シミュレーションの結果に基づいて、第1のモデルの1つ以上の第1のパラメータを血管血液の減次モデルの1つ以上の第2のパラメータにマッピングする、応答曲面を発生させるステップと、応答曲面によって、血管系の修正された状態を表すパラメータ値からマッピングされた減次モデルの1つ以上のパラメータに関する値を決定するステップと、決定された値によってパラメータ化される減次モデルを使用して、シミュレーションを実施し、血管系の修正された状態の血流特性を決定するステップとを含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血流シミュレーションのためのコンピュータ実装方法であって、前記方法は、
血管血流の第1のモデルを使用して、複数の血流シミュレーションを実施することであって、前記複数の血流シミュレーションはそれぞれ、患者の血管系内の血流または前記患者の血管系に基づく幾何学形状をシミュレートする、ことと、
前記複数の血流シミュレーションの結果に基づいて、前記第1のモデルの1つ以上の第1のパラメータを前記第1のモデルのものより低い忠実性を有する血管血流の減次モデルの1つ以上の第2のパラメータにマッピングする応答曲面を発生させることと、
前記応答曲面によって、前記血管系の修正された状態を表すパラメータ値からマッピングされた前記減次モデルの1つ以上のパラメータに関する値を決定することと、
前記1つ以上の第2のパラメータに関する前記決定された値によってパラメータ化される減次モデルを使用して、前記血管系の修正された状態における血流のシミュレーションを実施し、前記血管系の修正された状態の血流特性を決定することと
を含む、方法。
【請求項2】
前記複数の血液シミュレーションは、それぞれ、複数の構成に関して実施され、
前記複数の構成はそれぞれ、その中で血流が前記個別の血流シミュレーションにおいてシミュレートされる少なくとも個別の血管幾何学形状を表す前記第1のパラメータに関する値を含み、
前記複数の構成は、
前記患者の血管系を表す第1の構成と、
1つ以上のさらなる構成であって、前記1つ以上のさらなる構成は、それぞれが前記血管系の幾何学形状から導出される血管幾何学形状および/または前記第1の構成によって表される生理学的状態と異なる生理学的状態を表す、1つ以上のさらなる構成と
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者の血管系の患者特有の画像データを受信することと、
前記血管系ベースの前記画像の患者特有の解剖学的モデルを発生させることと、
前記患者特有の解剖学的モデルに基づいて、前記第1の構成が前記血管系の患者特有の幾何学形状を表すための前記1つ以上の第1のパラメータの値を決定することと
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上のさらなる構成は、それぞれが解剖学的限界または生理学的限界における前記血管系の状態を表す1つ以上の極値構成を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記血管系は、前記患者の冠動脈の少なくとも一部であり、
前記1つ以上の極限構成のうちの少なくとも1つは、前記冠動脈の少なくとも一部の完全血管再生を表す、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上のさらなる構成はさらに、前記1つ以上の極値構成に基づいて、サンプリングまたは求積法を使用して決定された1つ以上の構成を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の血流シミュレーションの結果は、それぞれ、前記複数の構成に関して取得される、第1のシミュレーション結果であり、
前記複数の構成はそれぞれ、前記1つ以上の第1のパラメータに関する第1の値を含み、
前記応答曲面を発生させることは、
前記複数の構成の各々に対し、前記減次モデルを使用して実施される低忠実性血流シミュレーションにおいて使用されるとき、前記個別の第1のシミュレーション結果に合致する個別の第2のシミュレーション結果を生成する前記1つ以上の第2のパラメータに関する第2の値を決定することと、
前記1つ以上の第1のパラメータに関する前記第1の値および前記複数の構成の各々に対して前記1つ以上の第2のパラメータに関して決定された第2の値に基づいて、前記応答曲面を発生させることと
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記応答曲面は、点の集合に適合される曲面であり、
前記点の集合内の各点は、前記複数の構成のうちの個別のものに関して決定された前記1つ以上の第2のパラメータに関する決定された値を含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記血管系は、冠動脈血管系、末梢血管系、脳血管系、腎臓血管系、内蔵血管系、または肝臓血管系のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記実験血流シミュレーションは、前記血流特性の値がリアルタイムで決定されるように、リアルタイムで実施され、
前記方法はさらに、前記血流特性の値をユーザにリアルタイムで提示することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記血流特性は、血流予備量比である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
血流シミュレーションのためのコンピュータシステムであって、
命令を記憶するメモリと、
1つ以上のプロセッサであって、前記1つ以上のプロセッサは、
血管血流の第1のモデルを使用して、複数の血流シミュレーションを実施することであって、前記複数の血流シミュレーションはそれぞれ、患者の血管系内の血流または前記患者の血管系に基づく幾何学形状をシミュレートする、ことと、
前記複数の血流シミュレーションの結果に基づいて、前記第1のモデルの1つ以上の第1のパラメータを、前記第1のモデルのものより低い忠実性を有する血管血流の減次モデルの1つ以上の第2のパラメータにマッピングする応答曲面を発生させることと、
前記応答曲面によって、前記血管系の修正された状態を表すパラメータ値からマッピングされた前記減次モデルの1つ以上のパラメータに関する値を決定することと、
前記1つ以上の第2のパラメータに関する前記決定された値によってパラメータ化される減次モデルを使用して、前記血管系の修正された状態における血流のシミュレーションを実施し、前記血管系の修正された状態の血流特性を決定することと
を含む方法を実施するための命令を実行するように構成される、1つ以上のプロセッサと
を備える、コンピュータシステム。
【請求項13】
前記複数の血液シミュレーションは、それぞれ、複数の構成に関して実施され、
前記複数の構成はそれぞれ、その中で血流が前記個別の血流シミュレーションにおいてシミュレートされる少なくとも個別の血管幾何学形状を表す前記第1のパラメータに関する値を含み、
前記複数の構成は、
前記患者の血管系を表す第1の構成と、
1つ以上のさらなる構成であって、前記1つ以上のさらなる構成は、それぞれが前記血管系の幾何学形状から導出される血管幾何学形状および/または前記第1の構成によって表される生理学的状態と異なる生理学的状態を表す、1つ以上のさらなる構成と
を含む、請求項12に記載のコンピュータシステム。
【請求項14】
前記患者の血管系の患者特有の画像データを受信することと、
前記血管系ベースの前記画像の患者特有の解剖学的モデルを発生させることと、
前記患者特有の解剖学的モデルに基づいて、前記第1の構成が前記血管系の患者特有の幾何学形状を表すための前記1つ以上の第1のパラメータの値を決定することと
をさらに含む、請求項13に記載のコンピュータシステム。
【請求項15】
前記1つ以上のさらなる構成は、それぞれが解剖学的限界または生理学的限界における前記血管系の状態を表す1つ以上の極値構成を含む、請求項13に記載のコンピュータシステム。
【請求項16】
前記血管系は、前記患者の冠動脈の少なくとも一部であり、
前記1つ以上の極限構成のうちの少なくとも1つは、前記冠動脈の少なくとも一部の完全血管再生を表す、
請求項15に記載のコンピュータシステム。
【請求項17】
前記1つ以上のさらなる構成はさらに、前記1つ以上の極値構成に基づいて、サンプリングまたは求積法を使用して決定された1つ以上の構成を含む、請求項15に記載のコンピュータシステム。
【請求項18】
前記複数の血流シミュレーションの結果は、それぞれ、前記複数の構成に関して取得される、第1のシミュレーション結果であり、
前記複数の構成はそれぞれ、前記1つ以上の第1のパラメータに関する第1の値を含み、
前記応答曲面を発生させることは、
前記複数の構成の各々に対し、前記減次モデルを使用して実施される低忠実性血流シミュレーションにおいて使用されるとき、前記個別の第1のシミュレーション結果に合致する個別の第2のシミュレーション結果を生成する前記1つ以上の第2のパラメータに関する第2の値を決定することと、
前記1つ以上の第1のパラメータに関する前記第1の値および前記複数の構成の各々に対して前記1つ以上の第2のパラメータに関して決定された第2の値に基づいて、前記応答曲面を発生させることと
を含む、請求項13に記載のコンピュータシステム。
【請求項19】
前記応答曲面は、点の集合に適合される曲面であり、
前記点の集合内の各点は、前記複数の構成のうちの個別のものに関して決定された前記1つ以上の第2のパラメータに関する決定された値を含む、
請求項18に記載のコンピュータシステム。
【請求項20】
非一過性コンピュータ可読媒体であって、前記非一過性コンピュータ可読媒体は、命令を記憶しており、前記命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
血管血流の第1のモデルを使用して、複数の血流シミュレーションを実施することであって、前記複数の血流シミュレーションはそれぞれ、患者の血管系内の血流または前記患者の血管系に基づく幾何学形状をシミュレートする、ことと、
前記複数の血流シミュレーションの結果に基づいて、前記第1のモデルの1つ以上の第1のパラメータを前記第1のモデルのものより低い忠実性を有する血管血流の減次モデルの1つ以上の第2のパラメータにマッピングする応答曲面を発生させることと、
前記応答曲面によって、前記血管系の修正された状態を表すパラメータ値からマッピングされた前記減次モデルの1つ以上のパラメータに関する値を決定することと、
前記1つ以上の第2のパラメータに関する前記決定された値によってパラメータ化される減次モデルを使用して、前記血管系の修正された状態における血流のシミュレーションを実施し、前記血管系の修正された状態の血流特性を決定することと
を含む方法を実施させる、非一過性コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その開示が、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる、2019年5月17日に出願された、米国仮出願第62/849,489号の優先権を主張する。
【0002】
本開示の種々の実施形態は、概して、応答曲面および減次モデル化を使用した複雑なシステムの挙動の予測に関し、特に、応答曲面法および減次モデル化を使用した血流の効率的リアルタイム推定に関する。
【背景技術】
【0003】
実世界の物理的現象のモデル化およびシミュレーションが、侵襲性測定を伴わずに、転帰を予測するために実施され得る。例えば、動脈内の血液の流動、多孔性媒体内の流体流動、および大規模変形プロセス等の多くの実世界の物理的現象が、偏微分方程式を使用してモデル化され得る。モデル化およびシミュレーションはまた、所望の転帰をもたらすようにシステムを設計および最適化するためにも使用され得る。
【0004】
臨床用途では、血流特性は、患者の健康または疾患の査定に関連し得る。例えば、血行動態指標が、病変の機能的有意性、血液灌流レベル、血餅の輸送、動脈瘤の存在、および他の健康および疾患特性を査定するために使用され得る。血行動態指標は、侵襲的に測定される、または血流シミュレーションを使用して査定され得る。シミュレーション技法は、血行動態の非侵襲性査定を実施するために使用され得る(例えば、利用可能な撮像データに基づいて)が、シミュレーション技法はまた、種々の事象(例えば、病変の進行または退行)に応答した血行動態の予測モデル化および計画された手技(例えば、外科手術用介入)の転帰の予測モデル化の潜在的利点をもたらし得る。予測モデル化が現実的または臨床上有用であるために、モデル化およびシミュレーションシステムが、高忠実性モデルを解決するために必要とされる平均時間より有意に高速で結果を算出することが可能であることが望ましい、またはさらに必要であり得る。
【0005】
リアルタイムシミュレーション等のシミュレーション結果の高速算出は、臨床手技の計画および潜在的将来的事象の影響の予測において、臨床医および他者を補助し得る。ある状況では、シミュレーションを使用したそのような予測は、侵襲性類似物を有し得ない。したがって、シミュレートされた結果の利点がない場合、臨床医は、代わりに、患者のための手技を計画するとき、利用可能なデータおよびその知識、直感、および経験にのみ依拠する必要があり得る。
【0006】
したがって、血流および他の物理的現象のモデルを使用して、リアルタイムシミュレーションを効果的に実施するためのシステムおよび方法の必要性が存在する。正確度および効率性は、望ましい要因であり得るため、特に、正確なモデル化と効率的アルゴリズムを統合し、シミュレーション転帰のリアルタイム推定を可能にすることが可能なシステムおよび方法の必要性が存在する。
【0007】
本開示は、種々の側面では、これらの上記に参照された課題のうちの1つ以上のものに対処することを対象とする。本明細書に提供される背景説明は、概して、本開示の状況を提示する目的のためのものである。本明細書に別様に示されない限り、本節に説明される資料は、本願における請求項の先行技術ではなく、本節における含有によって、先行技術または先行技術の示唆であるように認められるものでもない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のある側面によると、血流シミュレーションのためのシステムおよび方法が、開示される。
【0009】
例えば、コンピュータ実装方法は、血管血流の第1のモデルを使用して、複数の血流シミュレーションを実施するステップであって、複数の血流シミュレーションはそれぞれ、患者の血管系内の血流または患者の血管系に基づく幾何学形状をシミュレートする、ステップと、複数の血流シミュレーションの結果に基づいて、第1のモデルの1つ以上の第1のパラメータを、第1のモデルのものより低い忠実性を有する、血管血流の減次モデルの1つ以上の第2のパラメータにマッピングする、応答曲面を発生させるステップと、応答曲面によって、血管系の修正された状態を表すパラメータ値からマッピングされた減次モデルの1つ以上のパラメータに関する値を決定するステップと、1つ以上の第2のパラメータに関して決定された値によってパラメータ化される減次モデルを使用して、血管系の修正された状態における血流のシミュレーションを実施し、血管系の修正された状態の血流特性を決定するステップとを含んでもよい。
【0010】
さらに、システムは、命令を記憶する、メモリと、方法を実施するための命令を実行するように構成される、1つ以上のプロセッサとを含んでもよい。本方法は、血管血流の第1のモデルを使用して、複数の血流シミュレーションを実施するステップであって、複数の血流シミュレーションはそれぞれ、患者の血管系内の血流または患者の血管系に基づく幾何学形状をシミュレートする、ステップと、複数の血流シミュレーションの結果に基づいて、第1のモデルの1つ以上の第1のパラメータを、第1のモデルのものより低い忠実性を有する、血管血流の減次モデルの1つ以上の第2のパラメータにマッピングする、応答曲面を発生させるステップと、応答曲面によって、血管系の修正された状態を表すパラメータ値からマッピングされた減次モデルの1つ以上のパラメータに関する値を決定するステップと、1つ以上の第2のパラメータに関して決定された値によってパラメータ化される減次モデルを使用して、血管系の修正された状態における血流のシミュレーションを実施し、血管系の修正された状態の血流特性を決定するステップとを含んでもよい。
【0011】
さらに、非一過性コンピュータ可読媒体は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、方法を実施させる、命令を記憶する。本方法は、血管血流の第1のモデルを使用して、複数の血流シミュレーションを実施するステップであって、複数の血流シミュレーションはそれぞれ、患者の血管系内の血流または患者の血管系に基づく幾何学形状をシミュレートする、ステップと、複数の血流シミュレーションの結果に基づいて、第1のモデルの1つ以上の第1のパラメータを、第1のモデルのものより低い忠実性を有する、血管血流の減次モデルの1つ以上の第2のパラメータにマッピングする、応答曲面を発生させるステップと、応答曲面によって、血管系の修正された状態を表すパラメータ値からマッピングされた減次モデルの1つ以上のパラメータに関する値を決定するステップと、1つ以上の第2のパラメータに関して決定された値によってパラメータ化される減次モデルを使用して、血管系の修正された状態における血流のシミュレーションを実施し、血管系の修正された状態の血流特性を決定するステップとを含んでもよい。
【0012】
開示される実施形態の付加的目的および利点は、部分的に、続く説明に記載され、部分的に、説明から明白となるであろう、または開示される実施形態の実践によって習得され得る。開示される実施形態の目的および利点は、特に、添付の請求項において指摘される、要素および組み合わせを用いて、実現および達成されるであろう。
【0013】
前述の一般的説明および以下の発明を実施するための形態は両方とも、例示および説明にすぎず、請求されるような開示される実施形態の制限ではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本明細書内に組み込まれ、その一部を構成する、付随の図面は、種々の例示的実施形態を図示し、説明とともに、開示される実施形態の原理を解説する役割を果たす。
【0015】
【
図1】
図1は、1つ以上の実施形態による、応答曲面を使用してシステムの挙動を推定するための方法のフローチャートを描写する。
【0016】
【
図2A】
図2Aは、1つ以上の実施形態による、高忠実性シミュレーションに基づいて応答曲面を発生させる方法を図示する。
【0017】
【
図2B】
図2Bは、1つ以上の実施形態による、
図2Aによって図示される方法を使用して発生された応答曲面に基づいてシミュレーション結果をリアルタイムで予測するための方法を図示する。
【0018】
【
図3】
図3は、1つ以上の実施形態による、血流シミュレーション上の管腔幾何学形状および境界条件を変化させる効果をモデル化するための方法を図示する、フローチャートである。
【0019】
【
図4】
図4は、1つ以上の実施形態による、冠動脈の血管再生の効果をモデル化するための方法を図示する、フローチャートである。
【0020】
【
図5】
図5-6は、1つ以上の実施形態による、
図4の方法の例示的実装を図示する。
【
図6】
図5-6は、1つ以上の実施形態による、
図4の方法の例示的実装を図示する。
【0021】
【
図7】
図7は、1つ以上の実施形態による、その中に本開示の方法を実施するためのコンピュータシステムが実装され得る、環境を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
種々の実施形態では、システムおよび方法が、数値流体力学(CFD)から導出される、減次モデルが、高忠実性モデルの正確度と比較して、恣意的正確度を伴って、複雑なシステムをリアルタイムでシミュレートするために使用されることを可能にする。物理的システムの高忠実性モデルは、コンピュータ的に高価であり得る。したがって、高忠実性モデルは、リアルタイムシミュレーションのために非好適または非実践的であり得る。他方で、減次モデルは、高忠実性モデルのものより低い算出複雑性を有し得る。したがって、減次モデルが、リアルタイムシミュレーションのためにより好適であるように、より迅速に実行され得る。
【0023】
恣意的正確度を達成しながら、リアルタイムシミュレーションのための減次モデルを使用するために、高忠実性モデルを使用した高忠実性シミュレーションが、ある構成の集合に関して実施され得る。高忠実性シミュレーションの結果は、次いで、減次モデルをパラメータ化するために使用され得る。下記にさらに詳細に説明されるであろうように、減次モデルは、本開示による、応答曲面法を使用してパラメータ化されてもよい。本方法論では、前述の構成の集合に関して実施される高忠実性シミュレーションの結果は、応答曲面を発生させるために使用され得、これは、高忠実性モデルと減次モデルのパラメータのマッピングであり得る。応答曲面は、次いで、減次モデルをパラメータ化するために使用され得る。
【0024】
リアルタイムシミュレーションであり得る、パラメータ化された減次モデルを使用したシミュレーションは、高忠実性シミュレーションのものに恣意的に近い正確度を達成しながら、高忠実性モデルを使用して、高忠実性シミュレーションより有意に高速で結果を予測することが可能であり得る。減次モデルの正確度、故に、減次モデルを使用したシミュレーションの正確度は、応答曲面を発生させるために使用された構成の集合に依存し得る。したがって、減次モデルおよび減次モデル化の正確度は、応答曲面を発生させるために使用される構成を増加または別様に調節するさせることによって、調整され得る。例えば、応答曲面を精緻化することによって、減次モデルを使用したシミュレーションがある許容誤差内の正確度を有することを確実にすることを可能にする。加えて、応答曲面を発生させるために使用される高忠実性シミュレーションは、コンピュータ的に高価であり得るため、高忠実性シミュレーションは、減次モデルを使用したリアルタイムシミュレーションを実施することに先立って、オフラインで実施されてもよい。
【0025】
本開示の方法は、患者の状態の変化に応答した血行動態の変化等の複雑なシステムの挙動の高速予測を可能にし得る。患者の状態のそのような変化は、自然なまたは計画された(例えば、手技上の)ものであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、本開示の方法は、脈管管腔幾何学形状の変化に応答して、FFRCTのリアルタイム更新を生成するために使用されてもよい。脈管管腔幾何学形状の本変化は、例えば、自然な変化または候補治療の結果として生じることが予期される変化であり得る。
【0026】
以下の説明では、本開示の実施形態は、付随の図面を参照してさらに詳細に説明されるであろう。下記で使用される専門用語は、本開示のある具体的実施例の詳細な説明と併用されている場合でも、その最も広範な合理的様式において解釈され得る。実際、ある用語はさらに、下記で強調され得る。しかしながら、任意の制限された様式において解釈されるように意図される任意の専門用語は、本発明を実施するための節にそのように明らかにかつ具体的に定義されるであろう。前述の一般的説明および以下の発明を実施するための形態は両方とも、例示および説明にすぎず、請求されるような特徴の制限ではない。
【0027】
本開示では、用語「~に基づいて」は、「少なくとも部分的に、~に基づいて」を意味する。単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によって別様に決定付けられない限り、複数参照を含む。用語「例示的」は、「理想的」ではなく、「実施例」の意味において使用される。用語「comprises(~を備える)」、「comprising(~を備える)」、「includes(~を含む)」、「including(~を含む)」、または他のその変形例は、要素のリストを備える、プロセス、方法、または製品が、必ずしも、それらの要素のみを含むわけではなく、明示的に列挙されない、またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有の他の要素も含み得るように、非排他的含有を網羅するように意図される。「実質的に」および「概して」等の相対的用語は、述べられたまたは理解される値の±10%の可能性として考えられる変動を示すために使用される。
【0028】
本開示では、減次モデルは、低忠実性モデルまたは高速モデルとも称され得る。リアルタイムシミュレーションのために使用可能な減次モデルは、リアルタイムモデルとも称され得る。さらに、文脈によって許容される場合、減次モデルおよび高忠実性モデルは、異なる構成に対応する異なる値等の異なるパラメータ値を使用してパラメータ化され得る、一般的モデルであり得る。一般に、用語「パラメータ」は、境界条件を含む、任意のタイプのパラメータを指し得る。
【0029】
以下の説明では、偏微分方程式の高速シミュレーションのための方法論が、提供される。最初に、複雑なシステムの挙動の高速予測のための減次モデルを構築およびパラメータ化する目的のために、以下、すなわち、(i)検討中のシステムに関して良好に性能を発揮する、高忠実性モデルが存在し、(ii)高忠実性シミュレーションに関連する情報(例えば、患者の幾何学形状の元々の状態および患者の生理学的状態)が、利用可能であって、(iii)(i)および(ii)における情報に基づいて、オフライン算出を実施することが可能であって、オフライン算出は、減次方法を使用した解法ほど高速ではあり得ないことが仮定され得ることに留意されたい。しかしながら、本開示の方法は、前述の仮定から独立して実践されてもよく、仮定は、例証目的のためだけにここに提示されることを理解されたい。
【0030】
一般的偏微分方程式が、以下の形態であるとする。
【化1】
以下の境界条件を伴う。
【化2】
式中、Lは、演算子(例えば、微分、積分、関数、またはそれらの組み合わせ)であって、uは、未知数であって、x
Nは、問題次元を表し、pは、所与のパラメータを表し、
【化3】
は、問題領域であって、
【化4】
は、領域の境界を示す。式(1)および(2)は、システムを表し得、システムの高忠実性モデルとしての役割を果たし得る。
【0031】
偏微分方程式の減次モデルは、より単純な演算子(例えば、常微分方程式)を使用して、演算子Lを近似させ、次元x
Nを、その中でシミュレーション結果の観察が着目される、減次モデルx
nの入力空間に低減させ、および/またはパラメータ集合pを
【化5】
に簡略化し得る。減次モデルは、以下のように表され得る。
【化6】
以下の境界条件を伴う。
【化7】
【0032】
目標は、
【化8】
にu(x
N)の合理的近似を持たせることであって、x
Nは、x
nの上位集合であり得る。一般的アプローチは、応答曲面が、問題に対する正確な近似を発生させるために使用され得るように、種々の境界領域
【化9】
、境界条件b(.)、およびパラメータに関して、式(1)および(2)によって元々公式化されるようなシステムのシミュレーションを実施することである。システムのそのようなシミュレーションは、高忠実性シミュレーションと称され得る。
【0033】
応答曲面を発生させる目的のために、領域
【化10】
は、下記に表されるような境界を有し得る。
【化11】
それに対してシステムが従うであろう、境界条件は、下記に表されるような境界を有し得る。
【化12】
さらに、パラメータ空間は、下記に表されるような境界を有し得る。
【化13】
【0034】
元々の基礎方程式は、一連の領域および境界条件において求められ得る。
【化14】
式中、Mは、実施される高忠実性シミュレーションの数である。上記に表されるM個の項はそれぞれ、それに関して高忠実性シミュレーションが実施されるべき構成に対応し得る。すなわち、M個の項は、M個の構成を表し得る。
【0035】
一般に、「構成」は、任意のモデル化またはシミュレーション構成を指し得、任意のパラメータ(およびその値)を含み得る。構成は、そのようなパラメータの値の集合であり得る。前述の公式では、M個の構成はそれぞれ、b(.)、
【化15】
、および/またはpのパラメータに関する値の集合として表され得る。特定の構成によって表される概念は、モデル化されているシステムに依存し得る。例えば、システムが、患者の動脈を通した血流である場合、構成は、ある管腔幾何学形状、患者のある生理学的状態、またはそれらの組み合わせを表し得る。
【0036】
一般に、サンプリング法または求積法等の任意の好適な方法が、M個の構成の選択において使用されてもよい。M個の構成に関する高忠実性シミュレーションの結果は、以下のように表され得る。
【化16】
【0037】
応答曲面Rは、高忠実性モデルと減次モデルのパラメータのマッピングであり得る。
【化17】
式中、
【化18】
は、元々の方程式の複雑性を捉え、
【化19】
がLほど複雑ではない演算子にすることを可能にし得る。応答曲面Rは、任意の好適な方法によって取得され得る。Rが、Lagrange多項式等の点適合多項式を使用する場合、減次モデルは、それに関して高忠実性シミュレーションが実施されたM個の構成において、
【化20】
であるように構築され得る。すなわち、減次モデルは、M個の構成に関する高忠実性モデルの出力に正確に合致するように構築され得る。本アプローチは、コンピュータが、M個の構成において結果を同じにすることを確実にしながら、以下のより高速の問題を解法することを可能にする。
【化21】
構成間における高忠実性結果に関する近似は、概して、より大きいMに関してより良好であろうが、オフライン算出のために必要とされる時間にとっても同様であろう。
【0038】
一般に、高忠実性モデルは、任意の数の数学的関係を含み得る。故に、高忠実性モデルは、上記に説明される式(1)によって与えられる形態の複数の異なる数学的関係を含み得、他の数学的関係も含み得る。同様に、減次モデルも、複数の数学的関係を有し得、上記に説明される式(3)によって与えられる形態の複数の異なる数学的関係を有し得る。一般に、高忠実性シミュレーションは、当該システムについて利用可能な全ての情報(例えば、完全空間および時間的表現)を利用し得、シミュレーションのために使用される高忠実性モデルは、任意の数の全次基礎方程式を含み得る。
【0039】
応答曲面R等の応答曲面は、着目数量または複数の数量またはパラメータと下層変数との間の数学的関係であり得る。応答曲面は、入力変数(例えば、高忠実性モデルのパラメータ)を出力変数(例えば、減次モデルのパラメータ)にマッピングする、関数(例えば、適合関数)であり得る。応答曲面は、応答曲面が減次モデルを使用してパラメータ空間を模索するような様式において構築され得る。用途または実装に応じて、複数の応答曲面が存在し得る。異なる応答曲面は、高忠実性および減次モデルの異なる個別のパラメータ間をマッピングし得る。
【0040】
図1は、1つ以上の実施形態による、応答曲面を使用してシステムの挙動を推定するための方法を図示する、フローチャートである。
【0041】
ステップ101は、システムの第1のモデルを使用して複数のシミュレーションを実施するステップを含んでもよい。第1のモデルは、本開示に説明されるような高忠実性モデルであってもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、第1のモデルは、血管血流の高忠実性モデルであってもよく、シミュレーションは、患者の血管系内の血流または患者の血管系に基づく血管幾何学形状(例えば、患者の血管系に基づいて決定された導出される血管系)をシミュレートする、血液シミュレーションであってもよい。用語「患者の血管系」は、患者の身体の任意の部分内の血管系を指し得る。血管系の実施例は、限定ではないが、冠動脈血管系、末梢血管系、脳血管系、腎臓血管系、内蔵血管系、および門脈等の肝臓血管系を含む。導出される血管系は、例えば、患者の血管系に対する仮定上の修正を受けた、仮定上の血管系であってもよい。
【0043】
血流に関する種々の実施形態が、本開示に説明されるが、本開示は、血流のシミュレーションに限定されない。一般に、血流シミュレーションに関して説明されるものを含む、本開示に説明される公式および技法は、数値流体力学を使用して特性評価され得る、システムを含む、他の複雑なシステムに適用または一般化されてもよい。
【0044】
ステップ102は、ステップ101から取得されるシミュレーション結果に基づいて、第1のモデルのパラメータを第1のモデルのものより低い忠実性を有する、第2のモデルのパラメータにマッピングする、応答曲面を発生させるステップを含んでもよい。第2のモデルは、本開示に説明されるような減次モデル等、第1のモデルのものより低い忠実性を有する、モデルであってもよい。第1のモデルおよび第2のモデルは、それぞれ、上記に説明されるように、高忠実性モデルおよび減次モデルであり得るため、応答曲面は、高忠実性モデルのパラメータと減次モデルのパラメータのマッピングであり得る。本マッピングは、その出力が、減次モデルのパラメータに関する値であって、その入力が、高忠実性モデルのパラメータの値である、関数であってもよい。
【0045】
ステップ103は、応答曲面によって、分析されるべき構成のパラメータ値からマッピングされた第2のモデルのパラメータに関する値を決定するステップを含んでもよい。分析されるべき構成のパラメータ値は、第1のモデルの前述のパラメータに関する値であってもよい。いくつかの実施形態では、第1のモデルは、微分方程式の集合であってもよい。したがって、分析されるべき構成のパラメータ値は、そのような微分方程式において使用されるパラメータの値(境界条件を含む)であってもよい。第2のパラメータに関する値は、分析されるべき構成のパラメータ値の関数として応答曲面によって決定されてもよい。
【0046】
ステップ104は、第2のモデルのパラメータの決定された値によってパラメータ化される第2のモデルを使用して、シミュレーションを実施するステップを含んでもよい。例えば、血流シミュレーションに関する前述の実施形態では、ステップ103における分析されるべき構成に関するパラメータ値は、患者の血管系の修正された状態(例えば、修正された解剖学的および/または生理学的状態)を表し得、その場合、ステップ104は、血管系の修正された状態の血流特性を決定してもよい。シミュレーションは、リアルタイムで実施されてもよい。血流特性は、血流予備量比(FFR)、血流の大きさ、血流の方向であってもよい。
【0047】
図2Aは、高忠実性シミュレーションに基づいて応答曲面を発生させる方法を図示する。
図2Aの方法は、ステップ101および102に対応する
図1の方法の部分の例示的実装を図示する。
【0048】
ステップ201は、構成を示す、情報を受信するステップを含んでもよい。構成を示す、情報は、例えば、1つ以上の幾何学形状(例えば、その中で流体流動がモデル化またはシミュレートされる、幾何学形状)、1つ以上の境界条件、および/または構成の一部であり得る、任意の他のパラメータを含んでもよい。いくつかの実施形態では、構成を示す、情報は、可能性として考えられる構成の範囲を示し得、その場合、ステップ201において受信される情報は、ステップ201において受信される情報の前述のパラメータに関する値の範囲を示し得、ユーザによって手動で入力される、またはコンピュータシステム上で実行されるプロセスによって自動的に決定されてもよい。
【0049】
ステップ202は、高忠実性シミュレーションのための構成220を識別するステップを含んでもよい。構成220は、ステップ201において受信される情報に基づいて識別されもよい。例えば、ステップ201において受信される情報が、構成の範囲を示す場合、ステップ202において識別された構成220は、構成の範囲内の構成のサンプルであってもよい。サンプリングおよび求積法の実施例は、
図3の方法に関連して下記で議論される。構成220は、自動的に識別される、またはユーザ入力に基づいて識別されてもよい。
【0050】
ステップ203は、高忠実性シミュレーションのための識別された構成に関する高忠実性シミュレーションを実施するステップを含んでもよい。ステップ202において識別された構成220は、高忠実性モデルの中に入力されてもよく、高忠実性シミュレーションは、構成220に規定されるパラメータ値に従ってパラメータ化される高忠実性モデルを使用して実施されてもよい。
【0051】
ステップ204は、減次モデルのパラメータを導出するステップを含んでもよい。ステップ204において導出されるパラメータは、ステップ202において識別された構成220および高忠実性モデルを使用して実施される高忠実性シミュレーションの結果に基づいて導出されてもよい。
【0052】
ステップ205は、応答曲面224を発生させるステップを含んでもよい。上記に説明されるように、応答曲面は、高忠実性モデルと減次モデルのパラメータのマッピングであってもよい。高忠実性モデルおよび減次モデルのパラメータを使用したシミュレーションの結果は、高忠実性モデルのパラメータの値と減次モデルのパラメータの値との間の対応を定義し得る。そのような対応は、点222の集合として表され得る。応答曲面224は、次いで、点222の集合に基づいて発生されてもよい。例えば、応答曲面224は、点222に適合される曲面であってもよい。応答曲面は、
図2Aに図示されるように、曲面224が点222の全てを含む(それと交差する)という点で、正確な適合を有し得る。しかしながら、それは、要件ではない。曲面224が点222の全てを含むかどうかは、曲面224の関数形態に依存し得る。上記に述べられたように、Lagrange多項式が、正確な適合のために使用されてもよい。他の適合方法では、曲面224が、点223の一部のみを含む、または点223のいずれも含まないことも可能性として考えられる。
【0053】
例えば、ステップ204において導出される減次モデルのパラメータは、減次モデルを使用したシミュレーションにおいて使用されるとき、高忠実性シミュレーションの同一結果に対して減次モデルが算出するものと同一結果をもたらす、パラメータ値の集合であってもよい。例えば、高忠実性シミュレーションに関するN個の構成が、
【化22】
の個別のパラメータ値を規定し、そのようなパラメータ値が、高忠実性シミュレーションにおいてu
1,u
2,…u
Nの結果をもたらす場合、ステップ204において導出されるパラメータ値は、
【化23】
が減次モデルを使用したシミュレーションにおいて同一結果u
1,u
2,…u
Nをもたらすような
【化24】
であり得る。故に、点222の集合は、
【化25】
として定義され得、応答曲面224は、これらの点に適合された曲面として発生され得る。そのような応答曲面は、したがって、式(10)に関連して上記に説明されるようなマッピング関係を提供し得る。
【0054】
ステップ206は、応答曲面224の正確度を査定するステップを含んでもよい。ステップ207は、ステップ206において査定される正確度に基づいて、応答曲面224がより高い正確度を有するように精緻化されるべきかどうかを決定してもよい。
【0055】
応答曲面の正確度は、任意の好適な基準によって定義されてもよい。いくつかの実施形態では、正確度は、高忠実性シミュレーションの結果を複製する際の正確度の測定値であってもよい。例えば、正確度は、応答曲面224を使用して、それらの1つ以上の試験構成に関する高忠実性シミュレーションの結果に対して1つ以上の試験構成に関する減次モデルをパラメータ化するときの減次モデル化の結果の近似度に基づいてもよい。1つ以上の試験構成は、それに基づいて応答曲面224が発生された点222によって表される構成と異なる、1つ以上の構成を含んでもよい。
【0056】
ステップ207は、ステップ206において査定される応答曲面224の正確度が、不十分である(例えば、事前に定義された閾値条件を充足しない)場合、「はい」に終着し得、応答曲面224の正確度が、十分である(例えば、事前に定義された閾値を充足する)と査定される場合、「いいえ」に終着し得る。本文脈では、正確度は、例えば、恣意的に定義された構成に関する減次モデルの正確度を指し得る。
【0057】
ステップ207が、「はい」(例えば、正確度が、不十分である)に終着する場合、
図2Aに示される方法は、ステップ208に進んでもよく、これは、高忠実性シミュレーションに関する構成を精緻化するステップを含み得る。構成を精緻化するプロセスは、高忠実性シミュレーションに関する新しい構成を追加するステップ、既存の構成を除去するステップ、および/または既存の構成の値を調節するステップを含んでもよい。例えば、
図2Aに示されるように、付加的構成が、構成220Aの精緻化された集合を取得するように、元々識別された構成220に追加され、応答曲面224の正確度を改良してもよい。高忠実性モデルを使用したシミュレーション(ステップ203)は、結果として生じる応答曲面224が更新されるように、任意の新しく追加される構成のために実施されてもよい。
【0058】
ステップ207の決定は、その中で高忠実性シミュレーションに関する構成が、応答曲面224が十分な正確度に到達するまで、各後続反復において精緻化される(例えば、増加される)、反復プロセスを実装してもよい。それに関して高忠実性シミュレーションがステップ203において実施される、各構成は、対応する点222をもたらし得る。したがって、付加的構成を追加することによって、点222の数は、増加され得る。応答曲面224は、次いで、潜在的に、より良好な正確度をもたらすように、増加された点222の数に適合されてもよい。
【0059】
応答曲面224が、十分な正確度に到達すると、ステップ207は、「いいえ」に終着し得、応答曲面224は、次いで、最終応答曲面224Aとして承認され得る。
図2に示されるように、制御点とも称され得る、最終応答曲面224Aの点222Aは、初期応答曲面224の点222より多数であり得る。最終応答曲面224Aはまた、前述の応答曲面Rの実施例としての役割を果たし、その場合、最終応答曲面224Aを発生させるために使用される構成の集合は、M個の構成の前述の集合の実施例としての役割を果たすであろう。
【0060】
図2Aに図示される方法は、それに関して高忠実性シミュレーションが実施される、全ての構成のために高忠実性シミュレーションを実施するためにかかる時間に応じて、コンピュータ的に高価であり得る。故に、本方法は、オフラインで実施されてもよい。例えば、最終応答曲面224Aは、減次モデルを使用したリアルタイムシミュレーションに先立って発生されてもよい。
【0061】
図2Bは、
図2Aの方法を使用して発生された応答曲面224Aに基づいてシミュレーション結果をリアルタイムで予測するための方法を図示する。
図2Bの方法は、ステップ103および104に対応する
図1の方法の部分の例示的実装を図示する。
【0062】
ステップ241は、分析されるべき構成を受信するステップを含んでもよい。構成は、任意の好適な方法によって定義されてもよい。例えば、構成は、減次シミュレーションを介して実施されるべきある実験の設定を表し得る。本開示では、用語「分析されるべき構成」および「探索されるべき構成」は、同義的に使用される。
【0063】
ステップ242は、応答曲面を探査するステップを含んでもよい。探査するプロセスは、分析されるべき構成に関する減次モデルのパラメータの値(例えば、パラメータ集合
【化26】
内のパラメータ)を決定してもよい。探査するプロセスは、点250を使用して図示され、これは、分析されるべき構成のための減次モデルに関するパラメータの値を表す。示されるように、点250は、分析されるべき構成からマッピングされる、点であってもよい。例えば、分析されるべき構成は、上記に議論されるパラメータp、b、および
【化27】
の値を有してもよく、応答曲面は、p、b、および
【化28】
のそれらの値の関数として
【化29】
の値を決定してもよい。すなわち、点250は、
【化30】
の前述の値に対応する、応答曲面224A上の位置を有し得、p、b、
【化31】
は、
【化32】
の決定された値を有する、位置を表し得る。応答曲面224A上の位置は、点224Aの位置から補間され得るため、点250の位置は、したがって、補間された位置にあり得る。
【0064】
ステップ243は、応答曲面225によって与えられるマッピングを使用して、減次モデルを解法するステップを含んでもよい。ステップ204は、上記に説明されるように、式(11)を解法するステップを含んでもよい。ステップ242および243は、リアルタイムシミュレーションの一部として、リアルタイムで実施されてもよい。
【0065】
ステップ244は、シミュレーションの結果を発生および報告するステップを含んでもよい。例えば、結果は、電子記憶デバイス内に記憶される、またはユーザに提示されてもよい(例えば、ディスプレイ上に表示される)。減次モデルの解法は、リアルタイムプロセスであり得るため、減次モデルの結果もまた、リアルタイムで提示されてもよい。
【0066】
したがって、複雑なシステムの挙動の予測は、
図2Aに関連して説明されるように、応答曲面を発生させる第1のプロセスと、
図2Bに関して上記に説明されるように、特定の構成に関する結果(例えば、血行動態指標)を推定するための応答曲面の高速探査の第2のプロセスとを含んでもよい。上記に述べられたように、応答曲面を構築する第1のプロセスは、オフラインで実施され、高忠実性モデルを使用して高忠実性シミュレーションを実施するためにかかる時間に応じて、コンピュータ的に高価であり得る。算出費用は、第2のプロセスに関する容認可能誤差に依存し得る。
【0067】
図3および4は、上記に説明される技法が適用される、さらなる実施例を図示する。
図3は、血流(例えば、冠動脈流動)シミュレーション上の管腔幾何学形状および境界条件を変化させる効果をモデル化するための方法を図示する、フローチャートである。本方法は、上記に説明される種々の技法に適用され、所与の新しい構成下で動脈(例えば、冠動脈)内の血流のリアルタイム推定を実施してもよい。本文脈では、所与の新しい構成は、例えば、患者の管腔幾何学形状および/または生理学的状態であってもよい。
図3の方法は、任意の好適なコンピュータシステムによって実施されてもよい。
【0068】
ステップ301は、患者の血管系を説明する、解剖学的情報を受信するステップを含んでもよい。説明される血管系は、着目される患者の全ての動脈を含んでもよい。いくつかの実施形態では、血管系は、冠動脈血管系であってもよく、その場合、解剖学的情報は、患者の冠動脈を説明し得る。
図1に関連して上記に説明されるように、他のタイプの血管系の実施例は、限定ではないが、末梢血管系、脳血管系、腎臓血管系、内蔵血管系、および門脈等の肝臓血管系を含む。
【0069】
解剖学的情報は、ステップ301を実施するコンピュータシステムのメモリ(例えば、ハードドライブまたは他の電子記憶デバイス)から、またはコンピュータネットワークを経由して、別のコンピュータシステム(例えば、内科医または第三者プロバイダのコンピュータシステム)から受信されてもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、解剖学的情報は、撮像または走査モダリティを使用して入手された患者の1つ以上の画像および/または患者のそのような画像から抽出される(または別様にその分析に基づいて取得される)情報を含んでもよい。撮像または走査モダリティの実施例は、コンピュータ断層撮影(CT)走査、磁気共鳴(MR)撮像、マイクロコンピュータ断層撮影(μCT)走査、マイクロ磁気共鳴(μMR)撮像、二重エネルギーコンピュータ断層撮影走査、超音波撮像、単一光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)走査、および陽電子放出断層撮影(PET)走査を含む。患者のそのような画像は、コンピュータネットワークを経由して、内科医または第三者プロバイダから受信され、および/またはステップ301を実施するコンピュータシステムのメモリ内に記憶されてもよい。画像は、患者の具体的解剖学的および生理学的特性を説明するため、そのような画像または他の患者特有の情報から導出される、またはそれに基づいて構築される、任意のモデルは、患者特有のモデルと見なされ得る。用語「患者」の使用は、限定することを意図するものではないことに留意されたい。「患者」は、総称的に、「人物」と称され得る。
【0071】
ステップ302は、ステップ301において受信される解剖学的情報に基づいて、血管系の解剖学的モデルを発生させるステップを含んでもよい。解剖学的モデルは、任意の好適な形態であってもよく、血管系の任意の好適な側面をモデル化してもよい。例えば、解剖学的モデルは、解剖学的情報から判別されるような血管系の血管の患者特有の3次元幾何学形状を説明し得る。いくつかの実施形態では、解剖学的モデルは、疾患進行度または退行度、プラーク破裂、血栓症、および表される血管系の他の特性を示してもよい。血管系の解剖学的モデルは、患者特有の解剖学的モデルまたは患者特有の血管モデルとも称され得る。いくつかの実施形態では、解剖学的モデルは、患者の1つ以上の生理学的状態下の血管系の特性をモデル化してもよい。そのような実施形態では、解剖学的モデルの特性は、患者がある生理学的状態(例えば、安静状態または運動状態)にあるときの血管系の特性を反映させ得る。
【0072】
解剖学的モデルを発生させるための方法の実施例は、例えば、Taylorの第US2012/0041739A1号(「第US‘739号」)(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明される。第US‘739号はまた、減次モデルおよび血流予備量比(FFR)の計算等の本開示に議論される他の側面の実施例も提供することに留意されたい。
【0073】
ステップ301および302は、下記に説明される残りのステップ304-307を実施する、同一コンピュータシステムによって実施されてもよい。しかしながら、また、ステップ301および302は、別のコンピュータシステムによって実施されることも可能であって、その場合、解剖学的モデルは、通信ネットワークを経由して、残りのステップを実施する、コンピュータシステムに提供される。通信ネットワークを経由して受信される任意の解剖学的モデルは、コンピュータシステムのメモリ内に記憶されてもよい。
【0074】
ステップ303は、ステップ302において発生された解剖学的モデルに基づいて、高忠実性シミュレーションを実施するステップを含んでもよい。シミュレーションは、解剖学的モデルによってモデル化されるような動脈内の血液の流動をシミュレートする、血流シミュレーションであってもよい。高忠実性シミュレーションは、システムを説明する、詳細な数学的関係を伴ってもよい。そのような数学的関係は、任意の好適な公式におけるNavier-Stokes方程式等の偏微分方程式を含んでもよい。高忠実性シミュレーションは、有限要素分析、有限差分方法、格子Boltzmann方法等の任意の好適な技法を使用して実施されてもよい。高忠実性シミュレーションにおいて使用される詳細な数学的関係は、高忠実性シミュレーションを実施するために実行される、高忠実性モデルを構成し得る。
【0075】
例えば、詳細な数学的関係は、境界条件および/または解剖学的モデルから導出される他のパラメータを伴う、Navier-Stokes方程式を含んでもよい。境界条件および/または他のパラメータは、例えば、解剖学的モデルによってモデル化されるような動脈の幾何学形状または他の特性を表し得る。
【0076】
ステップ304は、探索されるべき構成の極値上で高忠実性シミュレーションを実施するステップを含んでもよい。そのようなシミュレーションは、探索されるべき構成の極値によって表される構造内の血液の流動をシミュレートする、血流シミュレーションであってもよい。
【0077】
本文脈では、探索されるべき構成は、下記に説明される減次シミュレーションを使用して探索(例えば、シミュレートまたは別様に研究)されるように意図される、任意の構成であってもよい。探索されるべき構成の極値は、減次モデルを使用して探索されることが可能である、パラメータ空間および領域の極値に依存し得る。境界は、探索の限界に基づいて課され得る。そのような境界は、用途特有であり得る。上記に説明されるような探索されるべき構成の極値は、応答曲面を発生させる目的のための構成であり得、極値構成とも称され得ることに留意されたい。
【0078】
いくつかの実施形態では、1つ以上の境界が、解剖学的限界に基づいて課されてもよい。例えば、解剖学的モデル上の上界は、患者特有のモデルに関する、最大許容可能拡張に基づいて課されてもよい。この場合、患者特有のモデルは、種々の場所における管腔狭窄の緩和、より高いレベルの硝酸塩を適用する効果、またはそれらの組み合わせをモデル化してもよい。そのような治療状況における最大許容可能拡張は、解剖学的モデル上の上界として表され得る。いくつかの実施形態では、解剖学的限界に基づいて課される1つ以上の境界は、脈管の追加または除去を表し得る。例えば、バイパス移植片の場合、上界は、利用可能な移植片に基づく吻合の最大数であってもよい。
【0079】
加えて、または代替として、1つ以上の境界は、生理学的限界に基づいて課されてもよい。例えば、患者の異なる生理学的状態を査定するために、上界および/または下界は、安静状態および運動条件に基づいて、または境界条件の他の極値に基づいて、査定されてもよい。例えば、上(または下)界は、患者の安静状態を表し得、下(または上)界は、患者の運動状態を表し得る。
【0080】
ステップ305は、それに関して高忠実性シミュレーションが実施されるべき、1つ以上の構成を識別するステップと、1つ以上の識別された構成上で高忠実性シミュレーションを実施するステップとを含んでもよい。ステップ305は、
図2Aの方法に関連して上記に議論されるステップ202および203の実施例としての役割を果たすことに留意されたい。
【0081】
パラメータおよび領域の集合が大きいほど、応答曲面の正確度およびリアルタイム予測の正確度は、より良好となる。任意のサンプリングまたは求積法が、Monte-Carloサンプリング法、Latin超立方体サンプリング法、Gaussian求積法、疎グリッド求積法、適応疎グリッド求積法、およびそれらの組み合わせを含む(但し、限定されない)、1つ以上の構成を識別するために使用されてもよい。Monte-Carloサンプリングは、大次元パラメータ空間をサンプリングする際に適切であり得るが、中程度の次元パラメータ空間を伴う問題に関しては非常にゆっくりと収束し得る。Latin超立方体サンプリングは、パラメータ空間の分離を達成し得、中程度の次元パラメータ空間に関して、Monte-Carloより良好に収束し得る。Gaussian求積法では、ガウス点が、構成を発生させるために使用され得、テンソル積補間が、点をより高い次元にスケーリングするために使用され得る。疎グリッド求積法は、1次元に関しては、Gaussian求積法と同一であり得るが、シミュレーションの数を低減させるために、疎のグリッドを有し得る。適応疎グリッド求積法は、疎グリッド求積法と同一であり得るが、浅層変動の領域が有意な変動の領域未満で探索されるような関数に適合し得る。
【0082】
その上で高忠実性シミュレーションが実施されるべき、1つ以上の構成の識別後、ステップ305はさらに、1つ以上の識別された構成上で高忠実性シミュレーションを実施するステップを含んでもよい。
【0083】
ステップ306は、高忠実性シミュレーションの解に基づいて、応答曲面を発生させるステップを含んでもよい。上記に説明されるように、応答曲面は、任意の関数形態を使用して、複数の構成(例えば、M個の構成)における高忠実性解に基づいて作成され得る。
図3の文脈では、前述の議論において参照されるM個の構成は、ステップ305において識別された構成のいずれかを含んでもよく、また、ステップ303および/またはステップ304においてシミュレートされた任意の構成を含んでもよい。局所線形補間またはLagrange多項式補間が、制御点におけるリアルタイムシミュレーションの解が完全シミュレーションの解に合致することを確実にするために実施されてもよい。一般に、ステップ306は、
図2Aのステップ204、205、206、および208に関連して上記に説明される技法のいずれかを利用してもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、複数の応答曲面が、発生されてもよい。例えば、高忠実性シミュレーションが、複数の数学的関係(例えば、式(1)の形態における数学的関係)を伴い、および/または減次モデルが、複数の数学的関係(例えば、式(3)の形態における数学的関係)を含む場合、複数の応答曲面が、高忠実性および減次数学的関係の異なる組み合わせ間でマッピングするために発生され得る。さらに、ステップ306の応答曲面は、
図1に関連して上記に説明されるように、応答曲面を発生させるために使用される構成を精緻化することによって改訂され得る。
【0085】
ステップ307は、応答曲面に基づいて、減次シミュレーションを実施するステップを含んでもよい。減次シミュレーションは、応答曲面によって推定された補間値によって情報を与えられてもよい。例えば、
図2Bに関連して上記に説明されるように、応答曲面は、1つ以上の探索されるべき構成に基づいて探査され、補間値を取得してもよい。1つ以上の探索されるべき構成は、本方法の用途に依存し得る。
【0086】
減次シミュレーションは、高忠実性シミュレーションが実施された、M個の構成に関する高忠実性モデルの出力に正確に合致するように構築され得る、減次モデルを使用して実施されてもよい。減次シミュレーションは、リアルタイムで実施されてもよい。
【0087】
図3の方法は、下記に説明される付加的例示的側面のうちの任意の1つ以上のものを含んでもよく、その全ては、随意である。これらの側面は、上記に説明される方法の1つ以上のステップの中に実装される、または本方法の付加的ステップとして実装されてもよい。
【0088】
いくつかの実施例では、
図3の方法は、信頼区間を定量化するステップを含んでもよい。例えば、ステップ306において作成された応答曲面は、多くのシミュレーションを起動するために探査されてもよく、そこから未知の分野に関する信頼区間推定値が、計算されてもよい。信頼区間を定量化する目的のために、探索されるべき構成は、信頼区間を定量化するために好適な任意の構成を含んでもよい。例えば、構成は、その上で減次モデル化が実施されるように意図される、構成を表し得る。信頼区間推定値は、例えば、臨床医が、類似タイプのシミュレーションを実施する際の減次モデルの正確度を理解する際、減次シミュレーションを実施することを補助するために使用されてもよい。代替として、信頼区間推定値は、ステップ306において発生された応答曲面を改訂するために使用されてもよい。
【0089】
いくつかの実施例では、
図3の方法は、疾患進行度および/または退行度をモデル化するステップを含んでもよい。例えば、ステップ306において発生された応答曲面はまた、進行または退行し得る、病変の影響を予測するために探査されてもよい。ひいては、これらは、患者管理および監視のために使用されてもよい。探索されるべき構成は、疾患進行度および/または退行度をモデル化またはシミュレートするために好適な任意の構成を含んでもよい。
【0090】
いくつかの実施例では、
図3の方法は、異なる生理学的条件のモデル化を含んでもよい。例えば、ステップ306において発生された応答曲面はまた、異なる生理学的条件(例えば、安静および運動条件)または薬理学的作用物質の効果をモデル化するために探査されてもよい。探索されるべき構成は、物理的条件をモデル化またはシミュレートするために好適な任意の構成を含んでもよい。
【0091】
図3の方法は、血流に関するある用途のために説明されているが、
図3の方法に関して説明される技法は、他の流体動態システムを含む、他の複雑なシステムに適用されてもよい。
【0092】
図4は、冠動脈の血管再生の効果をモデル化するための方法を図示する、フローチャートである。本方法は、上記に説明される種々の技法を適用し、血流上の冠動脈の血管再生の効果のリアルタイム算出を実施してもよい。
図4の方法の例示的実装は、同様に下記に議論される、
図5-6によって図示される。
図4-6の方法は、任意の好適なコンピュータシステムによって実施されてもよい。
【0093】
ステップ401は、患者の冠動脈を説明する、解剖学的情報を受信するステップを含んでもよい。ステップ401は、上記に説明されるステップ301の側面のいずれかを含んでもよい。いくつかの実施形態では、ステップ401は、冠動脈CT走査の分析から取得される、解剖学的情報を受信するステップを含んでもよい。例えば、
図5に示されるように、脈管中心線および管腔等の患者の解剖学的特性を説明する、解剖学的情報は、患者から得られたCCTA画像502から抽出されてもよい。
【0094】
ステップ402は、患者モデルを発生させるステップを含んでもよく、これは、基礎患者モデルと、修正された患者モデルとを含み得る。基礎患者モデルは、ステップ401において受信される解剖学的情報に基づいて発生されてもよい。修正された患者モデルは、基礎患者モデルの修正であってもよい。いくつかの実施形態では、患者の冠動脈は、狭窄された管腔を有し得、修正された患者モデルは、冠動脈の完全血管再生を表し得る。
【0095】
基礎患者モデルは、解剖学的情報によって説明されるように、患者の冠動脈の実際の解剖学的特性(例えば、脈管中心線および管腔)をモデル化する、解剖学的モデルであってもよい。例えば、
図5に示されるように、基礎患者モデル503は、CCTA画像502から抽出される脈管中心線および管腔に基づいて発生されてもよい。
図5では、基礎患者モデル503は、狭窄された幾何学形状をモデルの種々の場所503A、503B、および503Cに有するように図示される。狭窄された幾何学形状は、例えば、患者の冠動脈の対応する場所における狭窄症をモデル化し得る。
【0096】
修正された患者モデルは、患者の冠動脈の特性の変化をモデル化するように修正されている、基礎患者モデルであってもよい。例えば、修正された患者モデルは、患者の冠動脈の仮定上の条件をモデル化してもよい。そのような条件は、例えば、探索されるべき構成の極値に対応する、理想化された条件であってもよく、その場合、修正された患者モデルは、理想化されたモデルと称され得る。
図5では、理想化されたモデル504は、基礎患者モデルによって表される解剖学的構造全体が血管再生される、条件下、冠動脈をモデル化する、修正された患者モデルの実施例である。例えば、
図5に示されるように、基礎患者モデル503の場所503A、503B、および503Cにおける狭窄症は、理想化されたモデル504によって示されない。そのような実施形態では、修正された患者モデルは、血管再生された解剖学的モデルであってもよい。
【0097】
ステップ403は、患者モデルに基づいて取得される境界条件を使用して、血流の高忠実性シミュレーションを実施し、充血に関するアデノシンの効果をシミュレートし、第1の高忠実性解を取得するステップを含んでもよい。一般に、ステップ403における境界条件は、患者の解剖学的構造、心筋、安静時血流に関するスケーリング則等の患者の特性から導出される境界条件であり得る。そのような境界条件は、患者モデルに基づいて取得される(例えば、それから導出される)、境界条件を含んでもよい。しかしながら、本開示は、それに限定されず、また、境界条件の一部または全てが他のモデルまたは情報から導出されることも可能性として考えられる。
【0098】
ステップ403の高忠実性シミュレーションは、高忠実性モデルの形態における算出モデルを構築することによって実施されてもよい。算出モデルは、Navier-Stokes方程式等の数学的関係と、患者の解剖学的構造、心筋、安静時血流に関するスケーリング則から導出される境界条件とを含んでもよい。そのような境界条件は、充血に関するアデノシンの効果をシミュレートしてもよい。したがって、高忠実性シミュレーションを実施するために、ステップ403を実施するコンピュータシステムは、前述の境界条件を使用して、冠動脈に関するNavier-Stokes方程式を解法してもよい。
【0099】
ステップ404は、修正された患者モデルに基づいて取得される境界条件を使用して、血流の高忠実性シミュレーションを実施し、第2の高忠実性解を取得するステップを含んでもよい。一般に、ステップ404の高忠実性シミュレーションは、その中で冠動脈が完全に血管再生される、構成に対応する極値上で実施されてもよい。そのような極値は、
図3のステップ304に関連して上記に説明される探索されるべき構成の極値の実施例としての役割を果たす。血管再生は、その中で患者特有の幾何学形状の解剖学的構造全体が血管再生されるものであってもよい。ステップ404の高忠実性シミュレーションは、高忠実性モデルとして構築された算出モデルを使用して実施されてもよく、これは、上記に説明される修正された患者モデルから導出される境界条件を含み得る。ステップ403の算出モデルおよびステップ404の算出モデルは、同一数学的関係に基づいてもよいが、異なる境界条件および/または他のパラメータが適用される。
【0100】
ステップ405は、基礎患者モデルおよび修正された患者モデル毎に、異なる流率における血流の付加的高忠実性シミュレーションを実施し、第3および第4の高忠実性解を取得するステップを含んでもよい。例えば、ステップ402において実施される高忠実性シミュレーションは、第1の流率に関して実施されてもよく、ステップ405は、同一または実質的に同一様式(例えば、基礎患者モデルに基づく境界条件を使用して)においてであるが、前述の第1の流率より高い(例えば、10%、15%、25%、50%、または75%より高い)流率を伴って実施される、高忠実性シミュレーションを含んでもよい。同様に、ステップ403において実施される高忠実性シミュレーションは、第2の流率(第1の流率と同一であってもよい)に関して実施されてもよく、ステップ405は、同一または実質的に同一様式(例えば、修正された患者モデルに基づく境界条件を使用して)においてであるが、前述の第2の流率より高い(例えば、10%、15%、25%、50%、または75%より高い)流率を伴って実施される、高忠実性シミュレーションを含んでもよい。付加的シミュレーションを異なる流率において実施することによって、ステップ403-405を横断して取得される高忠実性解は、その中で流体抵抗パラメータが流率に依存する、減次モデルに情報を与えるために使用されてもよい。それぞれ、基礎患者モデルおよび修正された患者モデルと関連付けられる構成のそれぞれにおいて、1つの付加的シミュレーションを用いることで、減次モデルにおける流体抵抗は、流率に線形に依存し得る。
【0101】
ステップ406は、それぞれ、流体抵抗関数の切片および傾きに関して、応答曲面を発生させるステップを含んでもよい。応答曲面は、ステップ403-405を横断して取得される4つの高忠実性解に基づいて発生されてもよく、2つの応答曲面、すなわち、流体抵抗関数の切片に関する第1の応答曲面と、流体抵抗関数の傾きに関する第2の応答曲面とを含んでもよい。第1および第2の応答曲面は両方とも、1次元Navier-Stokes方程式に基づいてもよい。第1の応答曲面は、切片に関する関数形態1/r4を有してもよい。第2の応答曲面は、傾きに関する関数形態(dA/dz*1/r6)を有してもよい。これらの式では、rは、局所半径であって、Aは、面積であって、dA/dzは、脈管に沿った面積の勾配である。ステップ406は、上記に説明されるステップ306の実施例であることに留意されたい。したがって、ステップ306に関連して説明される任意の技法は、ステップ406に適用可能である。
【0102】
ステップ407は、修正された幾何学形状を受信するステップを含んでもよい。修正された幾何学形状は、減次シミュレーションを受けるべき幾何学形状であってもよく、例えば、冠動脈が血管再生されるべき場所および脈管管腔の最終サイズを含む、血管再生される幾何学形状であってもよい。血管再生される幾何学形状は、ユーザ入力によって、またはシミュレーションプロセスによって定義される、シミュレーション入力であってもよい。減次モデル化およびシミュレーションのための1つ以上の構成は、血管再生される幾何学形状に基づいて定義されてもよい。例えば、血管再生の場所の値および/または脈管管腔の最終サイズの値等の血管再生される幾何学形状の属性の値は、構成または構成の一部としての役割を果たし得る。そのような構成は、下記に説明されるステップ408において使用される、減次モデルのパラメータを取得するために、応答曲面上で使用されてもよい。
【0103】
ステップ408は、血管再生される幾何学形状および2つの応答曲面に基づいて、減次シミュレーションを実施するステップを含んでもよい。減次シミュレーションは、血管再生される幾何学形状上の応答曲面を使用して推定された補間値によって情報を与えられてもよい。減次シミュレーションは、リアルタイムで実施されてもよく、上記に説明されるように構築された1つ以上の減次モデルを使用してもよい。そのような減次モデルは、式(3)および(4)の形態における数学的関係を有してもよく、4つの高忠実性に関してプロセス510の高忠実性モデルと同一結果をもたらすように構築されてもよい。ステップ408は、上記に説明されるステップ307の実施例であることに留意されたい。したがって、ステップ307に関連して説明される技法は、概して、ステップ408に適用可能である。
【0104】
低忠実性シミュレーションの出力は、ステップ403における構成に関する更新された流率、血圧、FFR、または壁剪断応力等の任意の他の着目数量を出力するために使用されてもよい。
【0105】
図5の例証では、プロセス510は、ステップ403-405の高忠実性シミュレーションの実施例としての役割を果たす。
図5に示されるように、4つのNavier-Stokesシミュレーションが、実施されてもよい。これらのシミュレーションは、理想化されたモデル504に基づいて適用される充血性境界条件を使用する、第1のNavier-Stokesシミュレーションと、理想化されたモデル504に基づいて適用される鬱血性境界条件を使用する、第2のNavier-Stokesシミュレーションと、基礎患者モデル503に基づいて適用される鬱血性境界条件を使用する、第3のNavier-Stokesシミュレーションと、基礎患者モデル503に基づいて適用される充血性境界条件を使用する、第4のNavier-Stokesシミュレーションとを含んでもよい。前述の境界条件は、シミュレーションパラメータの実施例としての役割を果たし、4つのシミュレーションの個別のシミュレーションパラメータは、前述の境界条件以外の側面では相互に異なり得ることに留意されたい。
【0106】
Navier-Stokesシミュレーションに適用される4つの集合のシミュレーションパラメータは、それぞれ、
図4のステップ406に関連して上記に説明されるように、4つの高忠実性解をもたらし得る。4つの高忠実性解は、次いで、応答曲面を構築するために使用され得(ステップ520)、そのプロセスは、減次モデルのパラメータを導出するステップを含み得る。
図4におけるアイテム504は、減次モデルのパラメータの視覚的描写である。減次モデルは、式(3)および(4)の形態における数学的関係を有する、減次モデルであってもよく、減次モデルが4つの高忠実性シミュレーションに関してプロセス510の高忠実性モデルと同一結果をもたらすように、構築されてもよい。
【0107】
図6は、減次モデル化のための応答曲面を探査するステップを図示する。示されるように、応答曲面は、修正された幾何学形状601によって示される構成に基づいて探査されてもよい。修正された幾何学形状601は、ステップ407に関して上記に説明されるように、血管再生された幾何学形状であってもよく、
図6に示されるように、3次元グラフィカルモデル(例えば、曲面メッシュ)等のグラフィカル形態で表現可能であってもよい。修正された幾何学形状601は、解剖学的モデルであってもよく、シミュレーションによって探索または分析されるべき特定の解剖学的幾何学形状を表し得、本幾何学形状は、例えば、自然のまたは計画されたもののいずれかである、患者の状態であってもよい。修正された幾何学形状601は、理想化505と異なり得る。
【0108】
応答曲面の探査は、減次モデルのパラメータに関する値を取得し得る。減次モデルは、血行動態解を取得するために実行されてもよい。プロセス610では、血行動態解は、修正された幾何学形状601の3次元グラフィカルモデルとともに図式的に表示されてもよい。例えば、血行動態解は、グラフィカル形態で表され得、血行動態解のグラフィックは、修正された幾何学形状610の3次元グラフィカルモデルにオーバーレイされ、または別様にそれと組み合わせられ、マッピングされたモデル602を取得してもよい。マッピングされたモデル602は、例えば、電子ディスプレイ上に表示されてもよい。そのようなディスプレイは、リアルタイムで実施されてもよい。
【0109】
本開示に説明される方法は、経皮的冠動脈介入(PCI)手技の計画、バイパス移植片外科手術の計画、病変の疾患進行度および退行度のモデル化、病変の正および負のリモデリングのモデル化、感度分析、流動シミュレーションに関する不確実性定量化および/または信頼区間の推定、運動等の異なる生理学的条件のモデル化、薬物、高度、または自己調節機構の効果のモデル化を含む、種々の臨床用途を有し得る。
【0110】
いくつかの実施形態では、本開示に説明される方法は、患者の脈管管腔幾何学形状の変化に応答して、血流予備量比(FFR)(例えば、コンピュータ断層撮影(FFRCT)から導出される血流予備量比)のリアルタイム更新を生成するために使用されてもよい。脈管管腔幾何学形状の本変化は、自然の変化または患者のための候補治療の結果として生じることが予期される変化であってもよい。例えば、管腔幾何学形状は、1つ以上のパラメータとして表され得、ユーザまたはシミュレーションプロセスは、そのようなパラメータの値を調節し、脈管管腔幾何学形状の変化を反映させてもよい。モデル化パラメータの調節に応答して、シミュレーションを実施するコンピュータシステムは、減次モデル化のための構成を識別し、構成に基づいて、応答曲面を探査し、減次モデルをパラメータ化し、減次モデルを解法し、FFRCTの値を算出してもよい。応答曲面は、本開示に説明される方法(例えば、
図3および4)によると、シミュレーションに先立って発生されていてもよい。FFRCTの算出された値は、任意の好適な様式において出力されてもよい(例えば、ディスプレイデバイス上に表示される、またはディスプレイデバイス上での表示のために、別のコンピュータシステムに伝送される)。脈管管腔幾何学形状は、患者の冠動脈の一部または別の血管系部分の一部であってもよい。
【0111】
図2-6に示される方法および式(1)-(11)に関連して説明される任意の算出を含む、コンピュータを実装可能であると理解される、本開示に議論される任意の方法は、コンピュータシステムの1つ以上のプロセッサによって実施されてもよい。1つ以上のプロセッサによって実施される方法のステップは、動作とも称され得る。
【0112】
図7は、その中でそのようなコンピュータシステムがサーバシステム740として実装され得る、環境の実施例を描写する。サーバシステム740に加え、
図7の環境はさらに、複数の内科医720と、第三者プロバイダ730とを含み、これらのいずれかは、1つ以上のコンピュータ、サーバ、および/またはハンドヘルドモバイルデバイスを通して、インターネット等の電子ネットワーク710に接続されてもよい。
図1では、内科医720および第三者プロバイダ730はそれぞれ、コンピュータシステムおよびそのようなシステムを使用する機関を表し得る。例えば、内科医720は、病院または病院のコンピュータシステムであってもよい。
【0113】
内科医720および/または第三者プロバイダ730は、1人以上の患者の心臓、血管、および/または器官系の画像等の医療画像を作成または別様に取得してもよい。内科医720および/または第三者プロバイダ730はまた、
図3の方法のステップ301に関連して上記に説明される年齢、医療既往歴、血圧、血液粘度、解剖学的情報等の患者特有の情報と、他のタイプの患者特有の情報の任意の組み合わせを取得してもよい。内科医720および/または第三者プロバイダ730は、電子ネットワーク710を経由して、患者特有の情報をサーバシステム740に伝送してもよい。
【0114】
サーバシステム740は、内科医720および/または第三者プロバイダ730から受信される画像およびデータを記憶するための1つ以上の記憶デバイス760を含んでもよい。記憶デバイス760は、サーバシステム740のメモリの構成要素と見なされ得る。サーバシステム740はまた、記憶デバイス内に記憶される画像およびデータを処理するため、かつ本開示に説明される任意のコンピュータ実装可能プロセスを実施するための1つ以上の処理デバイス750を含んでもよい。処理デバイス750はそれぞれ、少なくとも1つのプロセッサを含む、プロセッサまたはデバイスであってもよい。
【0115】
いくつかの実施形態では、サーバシステム740は、算出および/またはデータ記憶装置のためのスケーラブルリソースを伴う、クラウドコンピューティングプラットフォームを有してもよく、本開示に説明される方法を実施するためのアプリケーションをクラウドコンピューティングプラットフォーム上で起動してもよい。そのような実施形態では、任意の出力は、表示および/または記憶のために、パーソナルコンピュータ等の別のコンピュータシステムに伝送されてもよい。
【0116】
本開示の方法を実施するためのコンピュータシステムの他の実施例は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、およびタブレットおよびスマートフォン等のモバイルコンピューティングデバイスを含む。
【0117】
1つ以上のプロセッサは、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに、プロセスを実施させる、命令(例えば、ソフトウェアまたはコンピュータ可読コード)へのアクセスを有することによって、そのようなプロセスを実施するように構成されてもよい。命令は、コンピュータシステムのメモリ内に記憶されてもよい。プロセッサは、中央処理ユニット(CPU)、グラフィック処理ユニット(GPU)、または別のタイプの処理ユニットであってもよい。
【0118】
サーバシステム740等のコンピュータシステムは、1つ以上のコンピューティングデバイスを含んでもよい。コンピュータシステムの1つ以上のプロセッサが、複数のプロセッサとして実装される場合、複数のプロセッサは、単一コンピューティングデバイス内に含まれる、または複数のコンピューティングデバイス間に分散されてもよい。コンピュータシステムが、複数のコンピューティングデバイスを備える場合、コンピュータシステムのメモリは、複数のコンピューティングデバイスの各コンピューティングデバイスの個別のメモリを含んでもよい。
【0119】
一般に、コンピューティングデバイスは、プロセッサ(例えば、CPU、GPU、または他の処理ユニット)と、メモリと、他のデバイスと通信するための通信インターフェース(例えば、ネットワークインターフェース)とを含んでもよい。メモリは、RAM等の揮発性メモリ、および/またはROMおよび記憶媒体等の不揮発性メモリを含んでもよい。記憶媒体の実施例は、ソリッドステート記憶媒体(例えば、ソリッドステートドライブおよび/または除去可能フラッシュメモリ)、光学記憶媒体(例えば、光学ディスク)、および/または磁気記憶媒体(例えば、ハードディスクドライブ)を含む。前述の命令(例えば、ソフトウェアまたはコンピュータ可読コード)は、メモリの任意の揮発性および/または不揮発性メモリ構成要素内に記憶されてもよい。コンピューティングデバイスは、いくつかの実施形態ではさらに、入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、またはタッチスクリーン)と、出力デバイス(例えば、ディスプレイ、プリンタ)とを含んでもよい。コンピューティングデバイスの前述の要素は、1つ以上のバスを表す、バスを通して、相互に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイスのプロセッサは、CPUおよびGPUの両方を含む。
【0120】
1つ以上のプロセッサによって実行可能な命令は、非一過性コンピュータ可読媒体上に記憶されてもよい。したがって、コンピュータ実装方法が、本開示に説明されるときは常に、本開示はまた、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサがコンピュータ実装方法を実施するように構成する、またはそれに実施させる、命令を記憶する、非一過性コンピュータ可読媒体を説明すると理解されるものとする。非一過性コンピュータ可読媒体の実施例は、RAM、ROM、ソリッドステート記憶媒体(例えば、ソリッドステートドライブ)、光学記憶媒体(例えば、光学ディスク)、および磁気記憶媒体(例えば、ハードディスクドライブ)を含む。非一過性コンピュータ可読媒体は、コンピュータシステムまたは任意のコンピュータシステムと別個のメモリの一部であってもよい。「電子記憶デバイス」は、上記に説明される非一過性コンピュータ可読媒体のいずれかを含んでもよい。
【0121】
例示的実施形態の上記の説明では、種々の特徴は、時として、本開示を簡略化し、種々の本発明の側面のうちの1つ以上のものの理解を補助する目的のために、単一実施形態、図、またはその説明において、ともに群化されることを理解されたい。しかしながら、本開示の方法は、請求される発明が各請求項において明示的に列挙されるものより多くの特徴を要求することの意図を反映させるものとして解釈されるものではない。むしろ、以下の請求項が反映するように、本発明の側面は、単一の前述の開示される実施形態の全て未満の特徴にある。したがって、発明を実施するための形態に続く請求項は、本発明を実施するための形態の中に明示的に組み込まれ、各請求項は、本開示の別個の実施形態として独立する。
【0122】
さらに、本明細書に説明されるいくつかの実施形態は、他の実施形態内に含まれる、いくつかの特徴を含むが、他の特徴を含まないが、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、当業者によって理解されるであろうように、本開示の範囲内であることが意図され、異なる実施形態を形成する。例えば、以下の請求項では、請求される実施形態のいずれかは、任意の組み合わせにおいて使用されることができる。
【0123】
したがって、ある実施形態が、説明されているが、当業者は、他のおよびさらに修正が、本開示の精神から逸脱することなく、そこに行われてもよく、全てのそのような変更および修正を本開示の範囲内にあるものとして請求するように意図されることを認識するであろう。例えば、ある機能性が、ブロック図に追加され、またはそこから削除されてもよく、動作は、機能的ブロック間で入れ替えられてもよい。ステップが、本開示の範囲内で説明される方法に追加される、またはそこから削除されてもよい。
【0124】
上記の開示される主題は、例証であって、制限と見なされず、添付の請求項は、本開示の真の精神および範囲内に該当する、全てのそのような修正、強化、および他の実装を網羅するように意図される。したがって、法律によって許容される最大範囲において、本開示の範囲は、以下の請求項およびその均等物の最も広範な許容可能解釈によって決定されるものであって、前述の発明の実施形態によって制限または限定されないものとする。本開示の種々の実装が、説明されているが、多くのさらなる実装および実装が、本開示の範囲内で可能性として考えられることが、当業者に明白となるであろう。故に、本開示は、制限されないものとする。
【国際調査報告】