(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-22
(54)【発明の名称】スプリット型オーバーチューブアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20220714BHJP
A61M 25/10 20130101ALI20220714BHJP
【FI】
A61M25/00 600
A61M25/10 510
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568712
(86)(22)【出願日】2020-05-15
(85)【翻訳文提出日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 US2020033258
(87)【国際公開番号】W WO2020236646
(87)【国際公開日】2020-11-26
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】308032460
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ コロラド,ア ボディー コーポレイト
【氏名又は名称原語表記】THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF COLORADO,a body corporate
(71)【出願人】
【識別番号】521501901
【氏名又は名称】アスペロ メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】レンチュラー マーク イー.
(72)【発明者】
【氏名】エドムンドヴィチ スティーブン エー.
(72)【発明者】
【氏名】レイボーン ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】アラード ランドール エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】モートン ジェイソン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA05
4C267AA09
4C267BB05
4C267BB06
4C267BB09
4C267BB20
4C267BB28
4C267BB31
4C267BB52
4C267CC23
4C267FF01
4C267FF10
4C267HH15
(57)【要約】
細長い医療用ツールと一緒に使用するためのオーバーチューブアセンブリは、近位端および遠位端を有する可撓性の管状ボディを含むオーバーチューブを含む。可撓性の管状ボディは、近位端から遠位端まで伸びる割れ目を含む。オーバーチューブアセンブリは、可撓性の管状ボディの遠位部分に結合された膨張可能なバルーンをさらに含む。可撓性の管状ボディは、細長い医療用ツールを割れ目に挿入することにより、細長い医療用ツールの一セクション上に配置可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い医療用ツールと一緒に使用するためのオーバーチューブアセンブリであって、
近位端および遠位端を有する可撓性の管状ボディを含むオーバーチューブであって、該可撓性の管状ボディが該近位端から該遠位端まで伸びる割れ目を含む、該オーバーチューブと;
該可撓性の管状ボディの遠位部分に結合された膨張可能なバルーンと
を含み、
該可撓性の管状ボディが、該細長い医療用ツールを該割れ目に挿入することにより、該細長い医療用ツールの一セクション上に配置可能である、
該オーバーチューブアセンブリ。
【請求項2】
前記可撓性の管状ボディが、遠位端から伸びる給気管腔を画定し、該給気管腔が前記膨張可能なバルーンの内容積と連通している、請求項1記載のオーバーチューブアセンブリ。
【請求項3】
前記膨張可能なバルーンが、可撓性の管状ボディの遠位部分に結合された複数の膨張可能なバルーンのうちの1つであり、
該可撓性の管状ボディが複数の給気管腔を画定し、該複数の給気管腔の各給気管腔が該複数の膨張可能なバルーンのそれぞれの膨張可能なバルーンの内容積と連通している、
請求項1記載のオーバーチューブアセンブリ。
【請求項4】
前記割れ目が、第一の幅を有する近位割れ目部分と、第二の幅を有する遠位割れ目部分とを含み、該第二の幅が該第一の幅よりも大きい、請求項1記載のオーバーチューブアセンブリ。
【請求項5】
前記可撓性の管状ボディが、第一の重なり部分および第二の重なり部分を含み、
該第一の重なり部分および該第二の重なり部分が、該可撓性の管状ボディが細長い医療用ツールの前記セクション上に配されるとき重なるように構成され、
前記割れ目が、該第一の重なり部分と該第二の重なり部分との間に配される、
請求項1記載のオーバーチューブアセンブリ。
【請求項6】
重なるとき、前記第一の重なり部分の内面と前記第二の重なり部分の外面との間に界面が形成され、
該第一の重なり部分の該内面が第一の表面構造を含み、
該第二の重なり部分の該外面が第二の表面構造を含み、
該第一の重なり部分が該第二の重なり部分と重なるとき、該第一の表面構造が該第二の表面構造と係合するように構成されている、
請求項5記載のオーバーチューブアセンブリ。
【請求項7】
前記可撓性の管状ボディが、該可撓性の管状ボディに沿って配された1つまたは複数の低フレキシビリティ領域を含み、該低フレキシビリティ領域のそれぞれが、該可撓性の管状ボディ中の穴または該可撓性の管状ボディの局所薄肉化を含む、請求項1記載のオーバーチューブアセンブリ。
【請求項8】
前記割れ目に沿って伸びるジッパークロージャをさらに含む、請求項1記載のオーバーチューブアセンブリ。
【請求項9】
前記可撓性の管状ボディが、前記割れ目とは反対の側に伸びるストリップと、該ストリップから該割れ目へと周方向に伸びる1つまたは複数のバンドとを含む、請求項1記載のオーバーチューブアセンブリ。
【請求項10】
前記管状ボディが、前記割れ目に隣接しかつ該割れ目に沿って伸びるロッドを含み、前記1つまたは複数のバンドが該ロッドに結合されている、請求項9記載のオーバーチューブアセンブリ。
【請求項11】
細長い医療用ツールと一緒に使用するためのオーバーチューブであって、
近位端および遠位端を有し、該近位端から該遠位端まで伸びる割れ目を含む可撓性の管状ボディ
を含み、
該可撓性の管状ボディが、該細長い医療用ツールを該割れ目に挿入することにより、該細長い医療用ツールの一セクション上に配置可能である、
該オーバーチューブ。
【請求項12】
前記割れ目が、第一の幅を有する近位割れ目部分と、第二の幅を有する遠位割れ目部分とを含み、該第二の幅が該第一の幅よりも大きい、請求項11記載のオーバーチューブ。
【請求項13】
前記可撓性の管状ボディが、第一の重なり部分および第二の重なり部分を含み、
該第一の重なり部分および該第二の重なり部分が、該可撓性の管状ボディが細長い医療用ツールの前記セクション上に配されるとき重なるように構成され、
前記割れ目が、該第一の重なり部分と該第二の重なり部分との間に配される、
請求項11記載のオーバーチューブ。
【請求項14】
重なるとき、前記第一の重なり部分の内面と前記第二の重なり部分の外面との間に界面が形成され、
該第一の重なり部分の該内面が第一の表面構造を含み、
該第二の重なり部分の該外面が第二の表面構造を含み、
該第一の重なり部分が該第二の重なり部分と重なるとき、該第一の表面構造が該第二の表面構造と係合するように構成されている、
請求項13記載のオーバーチューブ。
【請求項15】
前記可撓性の管状ボディが、該可撓性の管状ボディに沿って配された1つまたは複数の低フレキシビリティ領域を含み、該低フレキシビリティ領域のそれぞれが、該可撓性の管状ボディ中の穴または該可撓性の管状ボディの局所薄肉化を含む、請求項11記載のオーバーチューブ。
【請求項16】
前記割れ目に沿って伸びるジッパークロージャをさらに含む、請求項11記載のオーバーチューブ。
【請求項17】
前記管状ボディが、割れ目とは反対の側に伸びる固いストリップと、該ストリップから該割れ目へと周方向に伸びる1つまたは複数のバンドとを含む、請求項11記載のオーバーチューブ。
【請求項18】
細長い医療用ツールと一緒に使用するためのオーバーチューブアセンブリであって、
近位端および遠位端を有する可撓性の管状ボディを含むオーバーチューブであって、該可撓性の管状ボディが、該近位端から該遠位端まで伸びる割れ目を含み、該可撓性の管状ボディが、該近位端から第一のオーバーチューブポートまで伸びる第一の給気管腔と、該近位端から第二のオーバーチューブポートまで伸びる第二の給気管腔とを画定する、該オーバーチューブと;
該可撓性の管状ボディの遠位部分に結合され、第一の内容積を有し、かつ第一のバルーンポートを画定する第一の膨張可能なバルーンであって、該第一のバルーンポートが該第一のオーバーチューブポートと連通している、第一の膨張可能なバルーンと;
該可撓性の管状ボディの該遠位部分に結合され、第二の内容積を有し、かつ第二のバルーンポートを画定する第二の膨張可能なバルーンであって、該第二のバルーンポートが該第二のオーバーチューブポートと連通している、第二の膨張可能なバルーンと
を含み、
該可撓性の管状ボディが、該細長い医療用ツールを該割れ目に挿入することにより、該細長い医療用ツールの一セクション上に配置可能である、
該オーバーチューブアセンブリ。
【請求項19】
それぞれ、第一の膨張可能なバルーンが第一のテクスチャ加工された外面を含み、第二の膨張可能なバルーンが第二のテクスチャ加工された外面を含み、該第一のテクスチャ加工された外面および該第二のテクスチャ加工された外面のそれぞれが、外向きに伸びる複数の突起を含む、請求項18記載のオーバーチューブアセンブリ。
【請求項20】
前記割れ目が、第一の幅を有する近位割れ目部分と、第二の幅を有する遠位割れ目部分とを含み、第二の幅が第一の幅よりも大きい、請求項18記載のオーバーチューブアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本非仮実用出願は、2020年2月28日に出願された「MEDICAL DEVICES INCLUDING TEXTURED INFLATABLE BALLOONS」と題する米国特許出願第16/805,303号の一部継続出願であり、同出願は、2019年1月16日に出願された「MEDICAL DEVICES INCLUDING TEXTURED INFLATABLE BALLOONS」と題する米国特許出願第16/249,550号の一部継続出願であり、同出願は、35 U.S.C. § 119(e) の下、2018年1月16日に出願された米国特許出願第62/617,868号からの優先権を主張する。本出願はまた、2019年5月17日に出願された「MEDICAL DEVICES INCLUDING TEXTURED SURFACES」と題する米国特許仮出願第62/849,592号に関し、35 U.S.C. § 119(e) の下、その優先権を主張する。前記出願のそれぞれの全内容があらゆる意図に関して参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
連邦政府の資金援助による研究開発についての記載
本発明は、米国国立科学財団により付与された助成金番号1636203号および1827787号の下、政府援助により行われた。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
【0003】
技術分野
本開示の局面は、医学的手技において用いるためのオーバーチューブアセンブリ、特に、生理学的管腔内の医療用デバイスの輸送を容易にするために、生理学的管腔と選択的に係合するように構成されたテクスチャ加工されたバルーンを含むオーバーチューブアセンブリに関する。
【背景技術】
【0004】
背景
内視鏡検査は、高度なトレーニングを受けた医師が、長い可撓性の内視鏡を、非限定的に結腸または小腸などである患者の生理学的管腔に押し通すという手技である。従来の内視鏡は、不規則な解剖学的構造がある場合または小腸を検査する場合に、しばしば手技の完了に難渋する。これらの要因は、結腸直腸癌などの初期状態の診断見逃しにつながりうる;結腸直腸癌はアメリカにおいて癌による死因の第3位に致命的な癌であるが、初期段階で検出された時の生存率は93%である。
【0005】
これらの検査の多くを完了するために、しばしばダブルバルーン小腸内視鏡(DBE)が用いられる。ダブルバルーンシステムは、1つがスコープの前に取り付けられ、かつ1つがスコープのオーバーチューブに取り付けられた、2つのバルーンを含む。これらのバルーンは、内視鏡にとっての係留点として役立ち、かつ、長い可撓性のスコープを方向付けるためのさらなる支持を提供する。これらの係留バルーンは、連続して膨張および収縮した時に、スコープの前進を補助する。バルーンは、膨張された時に、結腸、小腸または他の生理学的管腔の壁を押して、その壁をグリップして係留点を形成し、これにより、スコープが係留点を押している間の動きを低減する。DBEは、不規則な解剖学患者および小腸内視鏡検査において、非常に成功した手技であることが示されている。
【0006】
当技術分野においてDBE手技に広く用いられているバルーンは、従来、滑らかなラテックス様材料で作られている。これらの材料は低い摩擦係数を有し、小腸、結腸および胃腸(GI)管の他の部分の、柔らかく粘液で覆われた壁とでは特にそうである。低い摩擦係数は、早すぎる時点でバルーンが滑り、ゆえにスコープが適切に前進できないということを引き起こす可能性がある。バルーンの過膨張は、小腸または結腸の壁との摩擦を増大させうるが、同時に、患者のGI管に損傷を引き起こす可能性もある。
【0007】
特定の小腸内視鏡検査デバイスは、小腸内視鏡の上に配されるオーバーチューブ内にバルーンを含む。特に、その管形状のせいで、従来のオーバーチューブは、小腸内視鏡を患者に挿入する前に、小腸内視鏡がオーバーチューブに挿入されることを要する。結果として、医師がオーバーチューブなしで小腸内視鏡検査処置を開始し、その後、オーバーチューブが必要であると判断するならば、オーバーチューブを取り付けるためには患者から小腸内視鏡を完全に取り出さなければならず、事実上、小腸内視鏡検査処置をやり直すことになる。
【0008】
ゆえに、当技術分野において、胃腸病学および他の医学的手技を行うために用いられうる新規のデバイスに対するニーズが存在する。そうしたデバイスは、そうした手技の成功完了件数を増大させ、かつ、より快適な検査経験を患者に提供すべきである。より多くの結腸内視鏡検査の完遂を可能にすることにより、より多くの結腸直腸癌の症例を、治療の成功につながる充分早期に発見できると考えられる。
【0009】
他にもあるがとりわけこれらの考えを念頭に、本明細書に開示するデバイスおよび方法の局面が構想された。
【発明の概要】
【0010】
概要
本開示の1つの局面において、細長い医療用ツールと一緒に使用するためのオーバーチューブアセンブリが提供される。オーバーチューブアセンブリは、近位端および遠位端ならびに近位端から遠位端まで伸びる割れ目を有する可撓性の管状ボディを含むオーバーチューブを含む。オーバーチューブアセンブリはさらに、可撓性の管状ボディの遠位部分に結合された膨張可能なバルーンを含む。可撓性の管状ボディは、細長い医療用ツールを割れ目に挿入することにより、細長い医療用ツールの一セクション上に配置可能である。
【0011】
特定の実施形態において、可撓性の管状ボディは、遠位端から伸びる給気管腔を画定し、給気管腔は膨張可能なバルーンの内容積と連通している。そのような実施形態において、可撓性の管状ボディは、給気管腔と連通するオーバーチューブポートを画定し得、膨張可能なバルーンは、膨張可能なバルーンの内容積と連通するバルーンポートを画定し得、膨張可能なバルーンは、オーバーチューブポートがバルーンポートと連通するように可撓性の管状ボディに配され得る。また、導管がオーバーチューブポートとバルーンポートとの間に伸びてもよい。
【0012】
他の実施形態において、膨張可能なバルーンは、可撓性の管状ボディの遠位部分に結合された複数の膨張可能なバルーンのうちの1つであり、可撓性の管状ボディは複数の給気管腔を画定し、複数の給気管腔の各給気管腔が複数の膨張可能なバルーンのそれぞれの膨張可能なバルーンの内容積と連通している。そのような実施形態において、複数の膨張可能なバルーンは、可撓性の管状ボディの互いの反対側に配された2つのバルーンからなり得る。また、そのような実施形態において、給気管腔の各々は、約0.8mmの直径および約0.33mmの壁厚さを有し得る。
【0013】
さらに他の実施形態において、膨張可能なバルーンは、テクスチャ加工された外面を含む。そのような実施形態において、テクスチャ加工された外面は、外向きに伸びる複数の突起を含む。
【0014】
他の実施形態において、割れ目は、第一の幅を有する近位割れ目部分と、第二の幅を有する遠位割れ目部分とを含み、第二の幅が第一の幅よりも大きい。
【0015】
さらに他の実施形態において、可撓性の管状ボディは、ナイロン、PFA、PET、PTFE、FEP、HDPE、TPPEおよびHytrel Thermoplastic Polyester Elastomer with Everglideの少なくとも1つから形成されている。
【0016】
他の実施形態において、可撓性の管状ボディは約0.25mm~約1.0mm(両端の値を含む)の太さを有する。
【0017】
さらに他の実施形態において、可撓性の管状ボディは、生理学的管腔の壁と、可撓性の管状ボディの第二の外面部分よりも大きな摩擦を提供するように適合された第一の外面部分を含む。そのような実施形態において、第一の外面部分はテクスチャ加工またはコーティングの少なくとも1つを含み得る。
【0018】
他の実施形態において、可撓性の管状ボディは、細長い医療用ツールの外面と、可撓性の管状ボディの第二の内面部分よりも大きな摩擦を提供するように適合された第一の内面部分を含む。そのような実施形態において、第一の外面部分はテクスチャ加工またはコーティングの少なくとも1つを含み得る。
【0019】
さらに他の実施形態において、可撓性の管状ボディは第一の重なり部分および第二の重なり部分を含む。第一の重なり部分および第二の重なり部分は、可撓性の管状ボディが細長い医療用ツールの前記セクション上に配されるとき重なるように構成され、割れ目は第一の重なり部分と第二の重なり部分との間に配される。そのような実施形態において、重なるとき、第一の重なり部分の内面と第二の重なり部分の外面との間に界面が形成され、第一の重なり部分の内面および第二の重なり部分の外面の少なくとも一方はテクスチャ加工またはコーティングの少なくとも1つを含む。そのような実施形態のもう1つにおいて、重なるとき、第一の重なり部分の内面と第二の重なり部分の外面との間に界面が形成される。第一の重なり部分の内面は第一の表面構造を含み、第二の重なり部分の外面は第二の表面構造を含み、第一の重なり部分が第二の重なり部分と重なるとき、第一の表面構造が第二の表面構造と係合するように構成されている。
【0020】
他の実施形態において、可撓性の管状ボディは、可撓性の管状ボディの周囲に伸びる1つまたは複数の補強構造を含む。
【0021】
さらに他の実施形態において、可撓性の管状ボディは、管状ボディに沿って配された1つまたは複数の低フレキシビリティ領域を含む。そのような実施形態において、1つまたは複数の低フレキシビリティ領域は、管状ボディ中の穴または管状ボディの局所薄肉化を含み得る。
【0022】
他の実施形態において、オーバーチューブアセンブリはさらに、割れ目に沿って伸びるジッパークロージャを含む。
【0023】
さらに他の実施形態において、管状ボディは、割れ目とは反対の側に伸びる固いストリップと、ストリップから割れ目へと周方向に伸びる1つまたは複数のバンドとを含む。そのような実施形態において、管状ボディは、割れ目に隣接しかつ割れ目に沿って伸びるロッドを含み得、1つまたは複数のバンドがロッドに結合されている。
【0024】
本開示のもう1つの局面において、細長い医療用ツールと一緒に使用するためのオーバーチューブが提供される。オーバーチューブは、近位端および遠位端を有する可撓性の管状ボディを含み、可撓性の管状ボディは、近位端から遠位端まで伸びる割れ目を含む。可撓性の管状ボディは、細長い医療用ツールを割れ目に挿入することにより、細長い医療用ツールの一セクション上に配置可能である。
【0025】
特定の実施形態において、割れ目は、第一の幅を有する近位割れ目部分と、第二の幅を有する遠位割れ目部分とを含み、第二の幅が第一の幅よりも大きい。
【0026】
さらに他の実施形態において、可撓性の管状ボディが、ナイロン、PFA、PET、PTFE、FEP、HDPE、TPPEおよびHytrel Thermoplastic Polyester Elastomer with Everglideの少なくとも1つから形成されている、請求項24のオーバーチューブ。
【0027】
他の実施形態において、可撓性の管状ボディは約0.25mm~約1.0mm(両端の値を含む)の太さを有する。
【0028】
さらに他の実施形態において、可撓性の管状ボディは、生理学的管腔の壁と、可撓性の管状ボディの第二の外面部分よりも大きな摩擦を提供するように適合された第一の外面部分を含む。そのような実施形態において、第一の外面部分はテクスチャ加工またはコーティングの少なくとも1つを含み得る。
【0029】
さらに他の実施形態において、可撓性の管状ボディは、細長い医療用ツールの外面と、可撓性の管状ボディの第二の内面部分よりも大きな摩擦を提供するように適合された第一の内面部分を含む。そのような実施形態において、第一の内面部分はテクスチャ加工またはコーティングの少なくとも1つを含み得る。
【0030】
さらに他の実施形態において、可撓性の管状ボディは第一の重なり部分および第二の重なり部分を含む。第一の重なり部分および第二の重なり部分は、可撓性の管状ボディが細長い医療用ツールの前記セクション上に配されるとき重なるように構成され、割れ目は第一の重なり部分と第二の重なり部分との間に配される。そのような実施形態において、重なるとき、第一の重なり部分の内面と第二の重なり部分の外面との間に界面が形成され得、第一の重なり部分の内面および第二の重なり部分の外面の少なくとも一方はテクスチャ加工またはコーティングの少なくとも1つを含む。代替実施形態において、重なるとき、第一の重なり部分の内面と第二の重なり部分の外面との間に界面が形成され得る。第一の重なり部分の内面は第一の表面構造を含み、第二の重なり部分の外面は第二の表面構造を含み、第一の重なり部分が第二の重なり部分と重なるとき、第一の表面構造が第二の表面構造と係合するように構成されている。
【0031】
さらに他の実施形態において、可撓性の管状ボディは、可撓性の管状ボディの周囲に伸びる1つまたは複数の補強構造を含む。
【0032】
他の実施形態において、可撓性の管状ボディは、管状ボディに沿って配された1つまたは複数の空隙を画定する。
【0033】
さらに他の実施形態において、可撓性の管状ボディは、管状ボディに沿って配された1つまたは複数の低フレキシビリティ領域を含む。そのような実施形態において、低フレキシビリティ領域は、管状ボディ中の穴または管状ボディの局所薄肉化を含み得る。
【0034】
他の実施形態において、オーバーチューブはさらに、割れ目に沿って伸びるジッパークロージャを含む。
【0035】
さらに他の実施形態において、管状ボディは、割れ目とは反対の側に伸びる固いストリップと、ストリップから割れ目へと周方向に伸びる1つまたは複数のバンドとを含む。そのような実施形態において、管状ボディは、割れ目に隣接しかつ割れ目に沿って伸びるロッドを含み得、1つまたは複数のバンドがロッドに結合されている。
【0036】
本開示のさらに別の局面において、細長い医療用ツールと一緒に使用するためのオーバーチューブアセンブリが提供される。オーバーチューブアセンブリは、可撓性の管状ボディを含むオーバーチューブを含む。可撓性の管状ボディは、近位端および遠位端を有し、近位端から遠位端まで伸びる割れ目を含む。可撓性の管状ボディはさらに、近位端から第一のオーバーチューブポートまで伸びる第一の給気管腔と、近位端から第二の給気ポートまで伸びる第二の給気管腔とを画定する。オーバーチューブアセンブリはさらに、可撓性の管状ボディの遠位部分に結合された第一の膨張可能なバルーンを含む。第一の膨張可能なバルーンは、第一の内容積を含み、第一のバルーンポートを画定し、第一のバルーンポートは第一のオーバーチューブポートと連通している。オーバーチューブアセンブリはさらに、可撓性の管状ボディの遠位部分に結合された第二の膨張可能なバルーンを含む。第二の膨張可能なバルーンは、第二の内容積を有し、第二のバルーンポートを画定し、第二のバルーンポートは第二のオーバーチューブポートと連通している。可撓性の管状ボディは、細長い医療用ツールを割れ目に挿入することにより、細長い医療用ツールの一セクション上に配置可能である。
【0037】
特定の実施形態において、第一の膨張可能なバルーンは第一のテクスチャ加工された外面を含み、第二の膨張可能なバルーンは第二のテクスチャ加工された外面を含む。第一のテクスチャ加工された外面および第二のテクスチャ加工された外面のそれぞれは、外向きに伸びる複数の突起を含む。
【0038】
他の実施形態において、割れ目は、第一の幅を有する近位割れ目部分と、第二の幅を有する遠位割れ目部分とを含み、第二の幅が第一の幅よりも大きい。
【0039】
本開示のもう1つの局面において、オーバーチューブを含むオーバーチューブアセンブリを製造する方法が提供される。方法は、膨張可能なバルーンをオーバーチューブの細長い管状ボディに結合する工程を含む。細長い管状ボディは、細長い管状ボディの近位端から細長い管状ボディの遠位端まで伸びる割れ目を含み、細長い管状ボディは、給気管腔と、給気管腔と連通したオーバーチューブポートとを画定する。膨張可能なバルーンは、内容積と、内容積と連通したバルーンポートとを有し、膨張可能なバルーンを細長い管状ボディに結合する工程は、オーバーチューブポートがバルーンポートと連通するように細長い管状ボディを膨張可能なバルーンに結合することを含む。
【0040】
特定の実施形態において、方法はさらに、細長い管状ボディを形成する工程を含む。そのような実施形態において、細長い管状ボディは、割れ目なしで形成され得、細長い管状ボディを形成する工程は、細長い管状ボディ中に割れ目を形成することを含む。さらに、そのような実施形態において、細長い管状ボディは、近位端から遠位端まで伸びる継ぎ目とともに押出し成形され、細長い管状ボディ中に割れ目を形成することは、継ぎ目に沿って細長い管状ボディをスプリッティングすることを含む。
【0041】
他の実施形態において、細長い管状ボディを形成する工程は、細長い管状ボディを押出し成形することを含む。
【0042】
さらに他の実施形態において、方法はさらに、細長い管状ボディ中に割れ目を形成したのち、ジッパークロージャを割れ目の各側に結合する工程を含む。
【0043】
他の実施形態において、方法はさらに、細長い管状ボディを形成したのち、管状ボディ沿いの位置で管状ボディのフレキシビリティを変更する工程を含む。そのような実施形態において、管状ボディのフレキシビリティを変更する工程は、管状ボディの一部分を薄肉化すること、またはその位置に穴を形成することの少なくとも1つを含み得る。
【0044】
さらに他の実施形態において、方法はさらに、給気ポートを形成し、バルーンポートを形成する工程を含む。そのような実施形態において、給気ポートおよびバルーンポートを形成する工程は、細長い管状ボディおよび膨張可能なバルーンのそれぞれに、中空の導管を、中空の導管がバルーンの内容積と給気管腔との間に伸びるように打ち抜くことを含み得る。
【0045】
他の実施形態において、細長い管状ボディに結合されたとき、バルーンは開いた近位端を有し、方法はさらに、開いた近位端を封止する工程を含む。
【0046】
さらに他の実施形態において、割れ目は、第一の幅を有する近位割れ目部分と、第二の幅を有する遠位割れ目部分とを含み、第二の幅が第一の幅よりも大きく、方法はさらに、遠位割れ目部分を形成する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本開示の例示的実施形態を、参照される図面に図示する。本明細書に開示する、実施形態および対応する図面は、限定的ではなく例示的なものとみなされることが意図されている。
【0048】
【
図1A】収縮した状態にあるバルーンを含む、本開示に基づく第一の医療用デバイスの側面図である。
【
図1C】バルーンが少なくとも部分的に膨張状態にある、
図1Aの医療用デバイスの側面図である。
【
図1E】バルーン上に配された突起を図示する詳細図をさらに含む、膨張状態にある
図1Aの医療用デバイスの側面図である。
【
図2-1】
図2A~2ADは、本開示に基づく例示的突起の様々な図である。
【
図3】本開示に基づく代替的バルーンの側面図である。
【
図4】
図4Aは、ひずみの第一状態にある、本開示に基づくバルーンのテクスチャ加工部分の略図である。
図4Bは、
図4Aのバルーンの突起の断面図である。
【
図5】
図5Aは、ひずみの第二状態にある、
図4Aのバルーンのテクスチャ加工部分の略図である。
図5Bは、
図4Aのバルーンがひずみの第二状態にある時の、
図4Bの突起の断面図である。
【
図7】分離力と、本開示に基づくバルーンに印加されるひずみとの、例示的関係を図示したグラフである。
【
図8】本開示に基づくバルーンを製造するための第一の鋳型の断面図である。
【
図9】本開示に基づくバルーンを製造するための第二の鋳型の等角図である。
【
図10】本開示に基づくカテーテル送達ツールの形態における医療用デバイスの略図である。
【
図11】本開示に基づき、かつカテーテルにマウントされたバルーンを含む、例示的な内視鏡式医療用デバイスの略図である。
【
図12】本開示に基づき、かつ内視鏡にマウントされたバルーンを含む、第二の例示的な内視鏡式医療用デバイスの略図である。
【
図13】本開示に基づき、かつカテーテルにマウントされたバルーンおよび内視鏡にマウントされたバルーンの各々を含む、第三の例示的な内視鏡式医療用デバイスの略図である。
【
図14】本開示に基づき、かつオーバーチューブにマウントされたバルーンを含む、第四の例示的な内視鏡式医療用デバイスの略図である。
【
図15】本開示に基づき、かつカテーテルにマウントされたバルーンおよび内視鏡にマウントされたバルーンの各々を含む、第五の例示的な内視鏡式医療用デバイスの略図である。
【
図16】本開示に基づき、かつ、カテーテルにマウントされたバルーン、内視鏡にマウントされたバルーン、およびオーバーチューブにマウントされたバルーンの各々を含む、第六の例示的な内視鏡式医療用デバイスの略図である。
【
図17】
図13の医療用デバイスを用いて行われる例示的な医学的手技のグラフィカルな図示である。
【
図18】本開示に基づく医療用デバイスを用いて手技を行う例示的方法を示したフローチャートである。
【
図19】本開示に基づくバルーンと生理学的管腔との間の係合を変更する方法を示したフローチャートである。
【
図20】
図20A~20Bは、それぞれ、少なくとも部分的に膨張状態およびつぶれた状態の各々にある、本開示に基づく別の例示的バルーンの略図である。
【
図21】
図21A~21Cは、それぞれ、しぼんだ状態、部分的な膨張状態、および膨張状態の各々にある、本開示に基づくさらに別の例示的バルーンの略図である。
【
図22】
図22Aおよび22Bは、それぞれ、しぼんだ状態および少なくとも部分的な膨張状態の各々にある、本開示に基づく別の例示的なバルーンの略図であり、バルーンの制御されたしぼみを図示する。
【
図23】
図23A~23Cは、それぞれ、非ひずみ状態、しぼんだ状態、および膨張/ひずみ状態の各々にある、本開示に基づくさらに別の例示的なバルーンの略図であり、バルーンの制御されたしぼみに対する代替手法を図示する。
【
図24】
図24は、バルーンの制御されたしぼみを容易にするためのさまざまな壁厚さを有する例示的なバルーンの断面図である。
【
図25A】
図25A~25Dは、横軸突起を含むテクスチャ加工部分を有する例示的なバルーンの等角、平面、端面、および部分的な断面図である。
【
図26A】
図26A~26Dは、横軸突起を含むテクスチャ加工部分を有する別の例示的なバルーンの等角、平面、端面、および部分的な断面図である。
【
図27A】
図27A~27Dは、放射状突起を含むテクスチャ加工部分を有する例示的なバルーンの等角、平面、端面、および部分的な断面図である。
【
図28】
図28Aおよび28Bは、それぞれ、しぼんだ状態および少なくとも部分的に膨張状態にある第一の方向のバルーンの略図である。
【
図29】
図29Aおよび29Bは、それぞれ、しぼんだ状態および少なくとも部分的に膨張状態にある第二の方向のバルーンの略図である。
【
図30】
図30Aおよび30Bは、それぞれ、しぼんだ状態および少なくとも部分的に膨張状態にある、不均一な膨張を有するバルーンの略図である。
【
図31】
図31は、複数の独立的に膨張可能な内部チャンバを含むバルーンの断面図である。
【
図32】
図32は、外側シース/バルーンと、外側シース/バルーン内に配された独立的に膨張可能な内部バルーンとを含むバルーンの断面図である。
【
図33】
図33~35は、本開示に基づくバルーンの内面の突起補強のさまざまな実施形態を図示している。
【
図34】
図33~35は、本開示に基づくバルーンの内面の突起補強のさまざまな実施形態を図示している。
【
図35】
図33~35は、本開示に基づくバルーンの内面の突起補強のさまざまな実施形態を図示している。
【
図36】
図36~38は、本開示に基づくバルーンの外面の突起補強のさまざまな実施形態を図示している。
【
図37】
図36~38は、本開示に基づくバルーンの外面の突起補強のさまざまな実施形態を図示している。
【
図38】
図36~38は、本開示に基づくバルーンの外面の突起補強のさまざまな実施形態を図示している。
【
図39】
図39は、一体化された膨張/収縮アセンブリを含む、本開示に基づくオーバーチューブアセンブリの略図である。
【
図40】
図40A~40Bは、それぞれ、乖離されたアレンジメントおよび結合されたアレンジメントの各々における、本開示に基づく内視鏡およびスプリット型オーバーチューブの略図である。
【
図41】
図41は、内側の層/コーティングを含む、
図23A~23Bのスプリット型オーバーチューブの断面図である。
【
図42】
図42は、内側テクスチャ加工を含む、
図23A~23Bのスプリット型オーバーチューブの断面図である。
【
図43】
図43~46は、代替的なスプリット型オーバーチューブの断面図である。
【
図44】
図43~46は、代替的なスプリット型オーバーチューブの断面図である。
【
図45】
図43~46は、代替的なスプリット型オーバーチューブの断面図である。
【
図46】
図43~46は、代替的なスプリット型オーバーチューブの断面図である。
【
図47】
図47は、本開示に基づくスプリット型オーバーチューブアセンブリの遠位部分の等角図である。
【
図48】
図48は、
図47のスプリット型オーバーチューブアセンブリの遠位部分の平面図である。
【
図49】
図49は、
図47のスプリット型オーバーチューブアセンブリの遠位部分の側面図である。
【
図50】
図50は、
図47のスプリット型オーバーチューブアセンブリの遠位部分の遠位端図である。
【
図51】
図51は、
図47のスプリット型オーバーチューブアセンブリの遠位部分の側断面図である。
【
図52】
図52は、
図47のスプリット型オーバーチューブアセンブリの遠位端の詳細図である。
【
図53】
図53および54は、
図47のオーバーチューブアセンブリの膨張可能なバルーンの等角図および端面図である。
【
図54】
図53および54は、
図47のオーバーチューブアセンブリの膨張可能なバルーンの等角図および端面図である。
【
図55】
図55および56は、それぞれ、封止されていないおよび封止された状態で膨張可能なバルーンを図示している、スプリット型オーバーチューブアセンブリの遠位部分の等角図である。
【
図56】
図55および56は、それぞれ、封止されていないおよび封止された状態で膨張可能なバルーンを図示している、スプリット型オーバーチューブアセンブリの遠位部分の等角図である。
【
図57】
図57は、本開示に基づくオーバーチューブアセンブリの遠位部分の等角図である。
【
図59】
図59は、本開示に基づく別のオーバーチューブアセンブリの等角図である。
【
図61】
図61は、クロージャ機構を図示している、
図59のオーバーチューブアセンブリの一部分の詳細図である。
【
図62】
図62は、クロージャツールを含むスプリット型オーバーチューブアセンブリの断面図である。
【
図63】
図63は、
図47のオーバーチューブアセンブリなどの、オーバーチューブアセンブリを製造する例示的な方法を示すフローチャートである。
【
図64】
図64A~64Cは、本開示に基づく拡張可能なオーバーチューブを使用して、生理学的管腔内への内視鏡の挿入を図示している。
【
図65】
図65は、テクスチャ加工された内視鏡ツールを含む、生理学的管腔内に配された内視鏡の略図である。
【
図66】
図66は、テクスチャ加工されたカテーテルを含む、生理学的管腔内に配された内視鏡の略図である。
【
図67】
図67は、本開示に基づくテクスチャ加工された胆管/膵管ステントの略図である。
【
図68】
図68A~68Cは、本開示に基づく管状メッシュステントの配置を示す生理学的管腔の略図である。
【
図69】
図69は、本開示に基づくテーパ型ステントの略図である。
【
図70】
図70は、オペレーションの環境と、特に、本開示に基づくテクスチャ加工された外科手術用ツールを含む患者の腹腔の断面図である。
【
図71】
図71は、テクスチャ加工が外科手術用ツールのシャフトに一体化された
図64の外科手術用ツールの側断面図である。
【
図72】
図72は、外科手術用ツールのシャフトに適用されたシースまたはラップによってテクスチャ加工が提供された
図64の外科手術用ツールの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
詳細な説明
本開示は、一部には、内視鏡などの医療用デバイスに組み込むことができるバルーン設計に関する。本開示はさらに、内視鏡などの医療用デバイスに結合され得る、そのようなバルーン設計を組み込むオーバーチューブに関する。より具体的には、本開示は、少なくとも部分的にテクスチャ加工されている外面を有するバルーンに関する。バルーンのテクスチャ加工は、バルーンの表面から伸びる複数の柱様突起の包含によって達成される。本開示の少なくとも1つの用途において、バルーンを含む医療用デバイスが、バルーンが実質的に収縮した状態で、生理学的管腔内に配される。生理学的管腔は、患者の胃腸管の一部分であり得るが、より一般的には、任意の血管、気道、管、路、狭窄部、括約筋、胆管狭窄部または類似の生理学的構造であってもよい。生理学的管腔内に配置したならば、バルーンを膨らませて突起を管腔壁と接触させ、これにより、バルーンおよび医療用デバイスを管腔壁と係合させ得る。その後、バルーンを収縮させて、管腔の壁からの突起の脱係合を容易にし、これにより、医療用デバイスの移動を可能にし得る。したがって、本明細書に開示されるバルーン(または類似の構造)は、従来の滑らかなバルーンと比べ、生物組織との増大した摩擦および接着を提供するテクスチャ加工/パターン加工された表面を含む。そのような増大した摩擦および接着の結果として、本開示に基づくバルーンは、従来のバルーン設計と比べ、より確実に生物組織と係合する。
【0050】
以下さらに詳細に説明するように、突起の形状および分布は、バルーンと、バルーンによって引かれる生物組織との間で異なる程度のトラクションを提供するために、本開示の用途において異なり得る。特定の実施形態において、突起はまた、バルーンに加えられるひずみに応答して変形するように構成され得る。そのような変形は突起の接着性および摩擦性を変化させる。結果として、医師は、バルーンを選択的に膨張または収縮させることにより、生物組織に対するバルーンの相対的なトラクションを制御し得る。例えば、医師は、第一のひずみをバルーンに加えて(例えば、バルーンを第一の程度まで膨らませることにより)、第一の程度の突起変形および対応する第一のバルーン係合レベル(例えば、第一の形状にあるときの突起の接着性および摩擦性に基づく第一の係合レベル)を生じさせ得る。その後、医師は、第二のひずみを加えて(例えば、バルーンを膨らませる程度を変えることにより)、第二の程度の突起の変形および対応する第二のバルーン係合レベルを生じさせ得る。
【0051】
本開示の特定の実施形態において、前記バルーンは、内視鏡(または類似の細長い医療用デバイス)に結合され得るオーバーチューブアセンブリに組み込まれて、患者の生理学的管腔内での内視鏡の通過を容易にし得る。少なくともいくつかの実施形態において、オーバーチューブアセンブリは、患者から内視鏡を取り出すことなくオーバーチューブアセンブリの結合を容易にするスプリット型オーバーチューブを含む。
【0052】
本明細書では主に、GI管において用いるための内視鏡用バルーンの文脈において論じるが、本開示は、さまざまな医療および非医療の用途に用いられうる。したがって、本開示の特定の用途が本明細書において論じられる程度までにおいて、そうした用途は、本開示の範囲を限定するものとみられるべきでない。そうではあるが、本開示の諸局面に関してさらに詳細を提供するため、本開示の例示的実施形態を以下に論じる。
【0053】
図1A~1Eは、本開示に基づく、膨張可能なバルーン102を含む例示的な医療用デバイス100のさまざまな図面である。より具体的には、
図1Aは、バルーン102が収縮したまたはしぼんだ状態にある医療用デバイス100の側面図であり;
図1Bは、
図1Aのバルーン102の断面A-Aに沿った断面図であり;
図1Cは、少なくとも部分的に膨張状態にある医療用デバイス100の側面図であり;
図1Dは、
図1Cのバルーン102の断面A’-A’に沿った断面図であり;そして
図1Eは、バルーン102のテクスチャ加工部分104を図示したはめ込み図を含む、医療用デバイス100の側面図である。
【0054】
本開示に関して、本明細書に開示されるバルーンは、膨張および収縮の様々な段階に対応する様々な状態にあるものとして記載される。「非ひずみ状態」とは、例えば、対応するバルーンが、部分的に膨らんではいるが、まだひずみを受けておらず、結果として、バルーンの「成形時」形状にほぼ一致する状態を指す。「ひずみ状態」とは一般に、バルーンが、非ひずみ状態を達成するために必要な程度よりも大きく膨らんでいる状態を指す。対照的に、「しぼんだ状態」とは一般に、バルーンの少なくとも一部分が、非ひずみ状態と比べ、縮む、または他のやり方で縮小しているバルーンの状態を指す。特定の実施形態において、本開示に基づくバルーンは、しぼんだ状態へと偏らせられてもよい。代替的に、本開示に基づくバルーンは、バルーンから空気(または他のガス)が抜かれるのに応答して、またはバルーンが他のやり方で非ひずみ状態から収縮されるのに応答して、しぼんだ状態へと移行してもよい。本明細書におけるバルーンはまた、「少なくとも部分的に膨らんでいる」ものとして記載されることもあり、これは一般に、非ひずみ状態と非ひずみ状態を超える任意の程度の膨張とを含むバルーンの状態を指す。同様に、「しぼんだ」状態とは一般に、バルーンが、非ひずみ状態未満の任意の程度にしぼんでいる状態を指し得る。
【0055】
使用中、医療用デバイス100は、患者の生理学的管腔内に挿入および位置決めされてもよい。そうした挿入は、概して、バルーン102が
図1Aに図示する収縮した状態にある間に行われてもよい。適切に位置決めされたら、
図1Bに示すように、バルーンを膨張させるために空気または類似の流体媒質がバルーン102に提供されてもよい。バルーン102が身体の管腔内にある状態で、そうした膨張が行われる場合、テクスチャ加工部分104の少なくとも一部が生理学的管腔の内壁と接触するようにしてもよく、それにより、テクスチャ加工部分104と生理学的管腔および粘膜内層との間に摩擦性および付着性の係合が引き起こされる。
【0056】
医療用デバイス100上のバルーン102について、さまざまなアレンジメントが実現可能である。
図1A~1Eの具体的実施例において、バルーン102は、半球形の端部によってキャップされた円筒状のボディを有する。別の非限定的実施例において、バルーン102は、バルーン102が中央管腔を有するトロイド形または球形を形成するように、医療用デバイス100の内視鏡101または類似の管状ボディの周りに配される。別の非限定的実施例において、バルーン102は、丸みを帯びた半球形の端部を有する円筒形を形成しながら内視鏡101の周りに配され、このとき内視鏡101はその円筒の長軸に沿って走行する。他の実施形態において、バルーン102は、楕円面の形状または「砲弾(pill)」形状であってもよい。以上の記述にかかわらず、本開示に基づくバルーンは、実質的に、望ましい任意の形状であってもよい。
【0057】
バルーン102は、少なくとも1つの非剛性材料で作られてもよい。例えば、1つの例示的実施形態において、バルーン材料は、低密度ポリエチレン(LDPE)、ラテックス、ポリエーテルブロックアミド(例えばPEBAX(登録商標))、シリコーン、ポリエチレンテレフタレート(PET/PETE)、ナイロン、ポリウレタン、および他の任意の熱可塑性エラストマー、シロキサン、または他の類似の非剛性材料のうち、1つまたは複数を含んでもよい。特定の実施形態において、バルーン102は1つの材料から形成されてもよい;しかし、他の実施形態において、バルーン102は複数の材料から形成されてもよい。例えば、バルーン102は、第一の材料から形成されたボディを含んでもよいが、第二の材料から形成された補強部材または構造部材もまた含んでもよい。
【0058】
バルーン102のための材料選択はまた、一部には、材料硬さに基づき得る。材料硬さは用途に基づいて異なり得るが、少なくとも1つの具体的な実施形態において、バルーン102は、ショア30Aの所定の硬さを有する材料、例えば非限定的に、液体シリコーンゴムエラストマーであるDow Corning Class VI Elastomer C6-530から形成され得る。
【0059】
一般に、バルーン102は、しぼんだ状態または非ひずみ状態にあるときの第一の直径または形状と、非ひずみ状態へと膨らんだときの第二の直径とを有し、第二の直径は第一の直径よりも大きい。特定の実施形態において、バルーン102は、非ひずみ状態を超えてひずみ状態へとさらに膨張可能であり得る。例えば、少なくとも1つの実施形態において、バルーン102は、その非膨張状態に対して約1,000%までひずませることができるが、他の最大ひずみレベルが可能である。他の実施形態において、バルーン102は、設定された膨張の下限を有しない。バルーン102はまた、所定の形状を有する第一の膨満状態まで膨らんだのち、所定の形状を保持しながら最大ひずみまでさらに膨らむように構成されてもよい。
【0060】
バルーン102は、収縮するとき、または偏りにより、バルーン102が特定の形状へとしぼむように構造化され得る。例えば、
図1Aおよび1Bに示すように、バルーン102は、星または類似の形状へとしぼむように構成され得る。そのような制御されたバルーン102のしぼみは、非限定的に、バルーン102の部分をさらなる材料で選択的に補強する方法および半硬質構造要素をバルーン102に結合するまたはバルーン102に埋め込む方法を含む様々な方法で達成され得る。他の実施形態において、バルーン102は、収縮するとき、バルーン102の収縮形状に実質的に一致する形状を含め、丸剤、卵形または類似の細長い形状を形成してもよい。
【0061】
図1Cに示すように、バルーン102は、少なくとも1つのテクスチャ加工部分104を含む。概して、かつ
図1Cのはめ込み図に図示するように、テクスチャ加工部分104は、バルーン102の表面103から伸びる複数の突起、例えば突起106を含む。テクスチャ加工部分104の突起106は任意のパターンを有してもよい。例えばかつ非限定的に、テクスチャ加工部分104は、規則的な幾何学パターン、例えばグリッドにアレンジされた、等間隔の突起を含んでもよい。
図1Cに図示するバルーン102は、例えば、三角形のグリッドパターンにアレンジされた突起を含む。他の実施形態において、正方形、長方形、六角形および八角形のグリッドパターン、または、幾何学形状の切りばめに基づく他の任意の好適なグリッドパターンを非限定的に含む、他のグリッドパターンが用いられてもよい。特定の実施形態において、テクスチャ加工部分104は、各エリアが異なる突起密度または突起パターンを有する、複数の突起エリアを含んでもよい。さらに他の実施形態において、突起は、テクスチャ加工部分104にわたるランダムまたはセミランダムなパターンにアレンジされてもよい。より一般的に、本開示の実施形態に基づくテクスチャ加工部分は、任意の好適な突起アレンジを含んでもよい。
【0062】
特定の実施形態において、突起106は、バルーン102の所与の状態(例えば、非ひずみ状態)において隣接突起間の中心間寸法が一定であるよう、等間隔でもよい。例えば、1つの実施形態において、(
図1Eのはめ込み図において寸法「d」によって示されているような)突起間の中心間間隔は、非ひずみ状態で約20μm~約1,000μmであってもよい。他の実施形態において、突起は、互いから約50μm~約750μm(両端の値を含む)の中心間間隔を伴って、等間隔であってもよい。さらに別の実施形態において、突起は、互いから約100μm~約600μm(両端の値を含む)の中心間間隔を伴って、等間隔であってもよい。さらに他の実施形態において、突起間の中心間間隔は1000μmよりも大きくてもよい。
【0063】
図1Eの挿入画は、長手方向に伸びる列にアレンジされた突起106を示す(隣接する列どうしはオフセットされているが、等間隔である)。しかし、本開示の他の実施形態においては、突起106のアレンジメントの局面が異なってもよいことが理解されるべきである。例えば、特定の実施形態において、隣接する長手方向列の突起は互いと整列していてもよい。同様に、すべての列が均等な間隔であってもよい(例えば、すべての列が1000μm離れていてもよい)。代替的に、すべての列の間の間隔は、異なってもよいし、隣接する列のサブセットに関してのみ均一であってもよい。さらに別の例として、突起の列は、テクスチャ加工部分104の異なる長さに沿って伸びてもよい。そのうえ、少なくとも特定の実施形態において、突起106は長手方向列にアレンジされなくてもよい。むしろ、突起は、周方向列、傾斜した列(例えば、長手方向と周方向の両方に伸びる列)をはじめとする任意の適当なパターンにアレンジされてもよいし、ランダムまたは疑似ランダムパターンにアレンジされてもよい。
【0064】
突起106はさまざまな方式で形成されてもよい。例えばかつ非限定的に、突起は、(例えばバルーン102と突起とを同時に成形することによって)バルーン102と一体的に形成されてもよく、(例えば、まずバルーンを押出加工し次に突起をバルーン102に付着させることによって)バルーン102とは別に形成され続いてバルーン102に取り付けられてもよく、または、(例えば、まずバルーン102が成形され次に突起がバルーン102上に成形される、コモールディング(co-molding)またはオーバーモールディング(over-molding)加工によって)直接バルーン102上に形成されてもよい。
【0065】
先に論じたように、本開示に基づくバルーンは、特定の様式で膨張または収縮するよう構成されてもよい。例えば、
図1Aに図示するように、バルーン102は、収縮した時にしぼんで星形またはクローバー形になるよう構成される。より具体的には、バルーン102は、バルーン102から空気が除去された時にバルーン102の特定の縦断面が他の縦断面より大きい度合いまでしぼむよう構成される。そうした選択的なしぼみは、例えば、バルーン102が収縮した時に突出したままとなるべき縦部分においてバルーン102の厚さを増大させることによって、実現されてもよい。
【0066】
類似の設計を
図20A~20Bに図示する。より具体的には、
図20Aは少なくとも部分的に膨張状態におけるバルーン2002を図示し、一方、
図20Bはしぼんだ状態におけるバルーン2002を図示している。
図1A~1Bのバルーン102と同様に、バルーン2002は収縮した時に選択的にしぼむよう構成される。より具体的には、かつ
図20Bに図示するように、バルーン2002は概して、しぼんだ時に異なる直径を有するよう構成された、交互の軸方向バンドに分けられる。例えば、第一バンド2010は、第二バンド2012より小さい度合いまでしぼむよう構成される。先述のように、そうした選択的なしぼみは、第一バンド2010の厚さを増大させるかまたは第一バンド2010をその他補強することによって、実現されてもよい。他の実施形態において、収縮した状態にある時の、バンドの少なくともいくつかの形状は、バルーン2002内に配されかつ収縮した時にバルーン2002がその周りでしぼむ、マンドレルまたは類似のボディによって定められてもよい。
【0067】
図1A~1Bおよび
図20A~20Bの実施例に図示するように、バルーンがしぼむ度合いを変動させることによって、収縮した状態にある時のバルーンの挿入および輸送が容易になる。とりわけ、最大直径で外向き/放射状に向くかまたは別の方法で配される突起の割合を低減することによって、バルーンによって提供される全体的な付着および摩擦が低減される。その結果として、バルーンと生理学的管腔の壁との間の接触の見込み(likelihood)および量が著明に低減される。例えば
図20A~20Bを参照すると、バルーン2002は、本開示に基づく突起を有するテクスチャ加工部分2004を含む。(
図20Aに示すような)少なくとも部分的に膨張状態にある時、突起の各々は実質的に外向き/放射状に方向付けされ、そしてその結果として、生理学的管腔の壁に容易に接触および係合できる。しかし、(
図20Bに示すような)しぼんだ状態にある時、バルーン2002のテクスチャ加工部分2004の諸セクション(面(face)2006および2008など)、およびそれらのそれぞれの突起は、少なくとも部分的に長手方向に方向付けされ、そしてその結果として、生理学的管腔の壁に直接係合する可能性が低くなる。同様に、テクスチャ加工部分2004の諸セクション(第二バンド2012など)は、バルーン2002が収縮した状態にある時、テクスチャ加工部分2004の他の諸セクション(第一バンド2010など)に対し相対的にくぼんでいてもよい。その結果として、くぼんだセクションは、生理学的管腔の壁に接触および係合する可能性が低くなる。
【0068】
図21A~21Cに、不均一な膨張/収縮を呈する、別の例示的なバルーン2102を図示する。
図21Aは、しぼんだまたはひずんでいない状態にありかつ砲弾形状の構成を取っているバルーン2102を図示している。
図21Bに示すように、バルーン2102は、砂時計(または類似の形状)の外観を呈する第一の膨張レベルまで膨張されてもよい;その形状において、バルーン2102の少なくとも一部分は、バルーン2102の他の部分の直径(d2)より小さい直径(d1)まで展開する。バルーン2102は、第二の膨張レベルにおいて、バルーンの直径が実質的に均一(d3)になるよう展開してもよい。
【0069】
特定の実施形態において、バルーン2102と、バルーン2102が中に配されている生理学的管腔の壁との間の、付着力および摩擦力を変動させるために、バルーン2102の制御された膨張が用いられてもよい。例えば、バルーン2102は、本開示に基づく突起を有するテクスチャ加工部分2104を含む。(
図21Bに図示するような)部分的な膨張状態にある時は、限られた割合の突起のみが、それぞれバルーン2102の最大直径に配されかつ外向き/放射状に配向されるよう、テクスチャ加工部分2104の直径は一様ではない。その結果、テクスチャ加工部分2104の実質的に全部が同じ直径となるようバルーン2102が(
図21Cに図示するように)さらに膨張された時と比較して、バルーン2102と生理学的管腔の壁との間の付着および摩擦は低減される。したがって、バルーン2102のユーザーは、第一の度合いの係合を実現するため第一の膨張レベルまで、そして、より大きい第二の度合いの係合を実現するため第二の膨張レベルまで、バルーン2102を膨張させてもよい。
【0070】
図22Aおよび22Bはもう1つの例示的なバルーン2202を示す。
図22Aは、しぼんだ状態にあるバルーン2202を示し、
図22Bは、少なくとも部分的に膨らんだ状態にあるバルーン2202を示す。図示するように、バルーン2202は一般に、2つの非テクスチャ加工端部2206A、2206Bの間に配されたテクスチャ加工部分2204A、2204Bを含む。バルーン2202はまた、テクスチャ加工部分2204A、2204Bの間に配された非テクスチャ加工部分2208を含む。
【0071】
テクスチャ加工部分2204A、2204Bおよび非テクスチャ加工端部2206A、2206Bは、
図22Aに示すしぼんだ状態にあるとき、テクスチャ加工部分2204A、2204Bが非テクスチャ加工端部2206A、2206Bの最大直径(d5)よりも小さい最大直径(d4)を有するように構造化されている。そのような構成において、バルーン2202の最外面は非テクスチャ加工端部2206A、2206Bによって提供され、テクスチャ加工部分2204A、2204Bは最外面の半径方向内寄りに配される。換言するならば、しぼんだ状態にあるとき、テクスチャ加工部分2204A、2204Bは凹面形になり得る。結果として、
図22Aに示すしぼんだ状態にあるとき、バルーン2202と、バルーン2202が中に配され得る生理学的管腔の内面との接触は、主に、生理学的管腔の内面と非テクスチャ加工端部2206A、2206Bとの間の接触である。
【0072】
バルーン2202が膨らむと、
図22Bに示すように、テクスチャ加工部分2204A、2204Bの直径は、非テクスチャ加工端部2206A、2206Bの直径に少なくとも等しくなるまで拡大し得る。結果として、テクスチャ加工部分2204A、2204Bは生理学的管腔の内面と接触して、これにより、バルーン2202と生理学的管腔の内面との間の摩擦を増大させ得る。
【0073】
図22Aおよび22Bに示す構成に照らして、バルーン2202は、
図22Aに示す収縮/低摩擦状態で生理学的管腔に挿入され、それに沿って動かされ得る。バルーン2202が所期の位置に来たならば、次に、バルーン2202を膨らませてテクスチャ加工部分2204A、2204Bを露呈させ、テクスチャ加工部分2204A、2204Bを生理学的管腔の内面と接触させ得る。そうすることにより、バルーン2202と生理学的管腔の内面との間の摩擦を増大させ、それを使用して、生理学的管腔内でバルーン2202の動きを止める、または他のやり方で減らし得る。
【0074】
図22Aおよび22Bに示すように、本開示の少なくともいくつかの実施形態において、非テクスチャ加工部分2208は、バルーン2202のテクスチャ加工部分とテクスチャ加工部分との間に配され得る。例えば、1つまたは複数の非テクスチャ加工部分2208は、バルーン2202のテクスチャ加工部分、例えばテクスチャ加工部分2204A、2204Bの間で長手方向に伸び得る。
図22Aに示すしぼんだ状態にあるとき、非テクスチャ加工部分2208は、非テクスチャ加工端部2206A、2206Bの直径に類似する直径を有して、これにより、挿入および輸送中に生理学的管腔の内面に接触するもう1つの低摩擦面を提供し得る。そのような場合、収縮形態にあるとき、テクスチャ加工部分2204A、2204Bは一般に、バルーン2202の長手方向軸に対して垂直に伸びる軸を中心に凹面形であり得る。代替的に、非テクスチャ加工部分2208は、テクスチャ加工部分2204A、2204Bと同様に収縮し得る。そのような実施形態において、非テクスチャ加工部分2208は収縮時に同様に凹面形になり、収縮状態にあるときに、非テクスチャ加工端部2206A、2206Bから半径方向内向きに細くなる「砂時計」または類似の形状を、バルーン2202に与え得る。
【0075】
図23A~23Cは、収縮状態にあるときバルーン2302の部分を選択的にしぼませるための特徴を含む第三のバルーン2302の断面図である。より具体的には、
図23Aは、非ひずみ状態にあるバルーン2302を示し、
図23Bは、しぼんだ状態にあるバルーン2302を示し、
図23Cは、
図23Aに示すバルーンよりも大きく膨らんでいる、ひずんだ膨張状態にあるバルーン2302を示す。図示するように、バルーン2302は一般に、テクスチャ加工部分2304A、2304Bと、テクスチャ加工部分2304A、2304Bの間で円周方向に伸びる非テクスチャ加工部分2306A、2306Bとを含む。少なくとも特定の実施形態において、バルーン2302はまた、本開示の他の実施形態に含まれるように、近位および遠位の非テクスチャ加工端部を含んでもよい。
図23A~23Cの各々に示すように、テクスチャ加工部分2304A、2304Bの各々は一般に、複数の突起、例えば突起2320を含む。
【0076】
テクスチャ加工部分2204A、2204Bがバルーン2202の長手方向軸に対して垂直な軸を中心に凹面形になる、
図22Aおよび22Bのバルーン2202のテクスチャ加工部分2204A、2204Bとは対照的に、バルーン2302は、テクスチャ加工部分2304A、2304Bが、バルーン2302の長手方向軸に対して平行な軸を中心に凹面形になるように構成されている。
図23Bに示すように、しぼんだ状態にあるとき、テクスチャ加工部分の凹面形は、突起2320が、非テクスチャ加工部分2306A、2306Bによって画定される最大半径内に配されるような凹面形である。結果として、収縮状態にあるとき、バルーン2302は、テクスチャ加工部分2304A、2304Bと生理学的管腔の内面との間の相互作用が減少した状態で、生理学的管腔に挿入され、および/またはそれを通して輸送され得る。次いで、所期の位置に来ると、バルーン2302は、テクスチャ加工部分2304A、2304Bが凹面形態から拡張するように膨らまされ、これにより、突起2320と生理学的管腔の内面との間の接触を生じさせ得る。そうすることにより、バルーン2302と内面との間の摩擦係合は、バルーン2302を生理学的管腔内の所定の位置に固定するのに十分な摩擦係合まで増大する。
【0077】
本開示に基づくバルーンの制御されたしぼみ/凹面形は様々な方法で達成され得る。例えば、非限定的に、しぼむ、または凹面形になることを意図したバルーンの部分(例えばテクスチャ加工部分2204A、2204B)は、その形状を実質的に保持することを意図した他の部分(例えば非テクスチャ加工部分2206A、2206B)よりも小さい壁厚さを有し得る。他の実施形態において、形状を保持することを意図したバルーンの部分が選択的に補強されてもよい。例えば、
図22Aおよび22Bの各々に示すバルーン2202は、非テクスチャ加工端部2206A、2206B内に配された内部リッジ2210A、2210Bを含む。膨張および収縮中、内部リッジは、非テクスチャ加工端部2206A、2206Bが、バルーン2202の非補強部分、例えばテクスチャ加工部分2204A、2204Bと比べ、より一貫した形状を維持するよう、非テクスチャ加工端部2206A、2206Bを補強する。
【0078】
図24は、収縮中の例示的なバルーン2402のしぼみを制御するための代替構造を示す。バルーン2402は一対のテクスチャ加工部分2404A、2404Bを含み、それらの間に非テクスチャ加工部分2406A、2406Bが配されている。図示するように、テクスチャ加工部分2404A、2404Bのそれぞれは第一の壁厚さ(t1)を有し、非テクスチャ加工部分2406A、2406Bのそれぞれは、テクスチャ加工部分2404A、2404Bの壁厚さよりも大きい第二の壁厚さ(t2)を有する。1つの例示的実施形態において、第一の壁厚さは約100μm~約2000μm(両端の値を含む)であり得、第二の壁厚さは約150μm~約3000μm(両端の値を含む)であり得る。
【0079】
結果として、バルーン2402がしぼむとき、テクスチャ加工部分2404A、2404Bがしぼみ、非テクスチャ加工部分2406A、2406Bよりも前に、かつそれよりも大きな程度に凹面形になる。特定の実施形態において、非テクスチャ加工部分2406A、2406Bの壁厚さもまた、収縮中の非テクスチャ加工部分2406A、2406Bのしぼみを防ぐ、または実質的に減らすのに十分であり得る。
図24にさらに示すように、バルーンの制御されたしぼみはまた、バルーン2402の壁厚さの局所的減少を提供する切欠き2410A~2410Dまたは類似の特徴の使用によって容易にされ得る。例えば、バルーン2402の切欠き2410A~2410Dは、テクスチャ加工部分2404A、2404Bと非テクスチャ加工部分2406A、2406Bとの間の移行部に形成されて、非テクスチャ加工部分2406A、2406Bのしぼみを容易にする。
【0080】
上記のようにバルーンを膨らませ/しぼませ得る具体的な方法は単に例として提供されている。より一般的に、本開示に基づくバルーンは、不均一な方法でしぼむ、および/または膨らむように構成され得る。そうすることにより、異なる収縮/膨張状態を使用して、バルーン突起の様々な割合をバルーンの最大直径に配したり、かつ/または突起の様々な割合を実質的に外向き/半径方向に伸びる方向に配したりし得る。
【0081】
図2A~2ADは、本開示に基づく例示的な突起の様々な図である。これら例示的な突起は、対応するバルーンが非ひずみ状態である状態で示されている。したがって、対応するバルーンのひずみ状態への膨張は一般に、例示的な突起の形状を変化させる。
【0082】
図2Aは、バルーン102から伸びる、円柱形または長方形を有する第一の突起200Aを示し、
図2Bは、三角形または角錐形を有する第二の突起200Bを示し、
図2Cは、丸みを帯びた形または半球形を有する第三の突起200Cを示す。
図2Dは、複数の材料で構成された第四の突起200Dの断面図である。
【0083】
図2A~2Dに示す突起形状は単なる例として意図されたものであり、他の突起形状が可能である。例えば、非限定的に、本開示の他の実施形態は、長方形、正方形、三角形、五角形、七角形、六角形、角錐形、きのこ形または球形をはじめとする任意の形状を有する突起を含み得る。これらの突起は、一例においては中実であるが、他の態様においては中空であってもよい。バルーン102の表面に対して遠位にある突起の端部もまた、様々な形状に形成され得る。例えば、非限定的に、突起の遠位端は、平坦である、丸みを帯びている(凸面形または凹面形を含む)、尖っている、またはきのこ形であり得る。突起の幅/直径もまた異なり得る。例えば、突起の遠位端は近位端よりも直径が大きく、きのこ形に似ていてもよい。他の実施形態において、突起の近位端は遠位端よりも直径が大きく、突起が遠位方向に先細りしてもよい。
【0084】
上記のように、
図2Dは、複数の材料から形成された突起200Dを示す。より具体的には、突起200Dは、バルーン102に近い第一の部分202Dと、バルーン102から遠い第二の部分204Dとを含む。図示するように、第一の部分202Dはバルーン102と一体に形成されている。他方、第二の部分204Dは、第一の部分202Dの形成後、第一の部分202Dに結合され得るか、または第一の部分202Dの上に形成され得る突起200Dのキャップまたは先端を形成する。他の実施形態において、第一および第二の部分202D、204Dの各々は、バルーン102とは異なる材料から形成され得る。
【0085】
図2Dに示す具体的な構成は単に多材料突起の例として意図されたものであり、他の構成が可能である。例えば、非限定的に、多材料突起は、第一の材料の構造要素を第二の材料で形成された突起内に埋め込むか、または植え込むことによって形成されてもよいし、第一の材料から形成された突起を第二の材料から形成されたキャップ、シースまたは類似の要素で少なくとも部分的に取り囲むことによって形成されてもよい。また、
図2Dは二材料突起200Dを示すが、本開示に基づく突起を形成するために任意の適当な数の材料を使用し得ることが理解されるべきである。
【0086】
図2E~2ADは、本開示の態様において実現され得るさらなる例示的な突起を示す。例えば、
図2Eおよび2Fは、バルーン102から伸びる、円錐台状の形状を有する突起200Eのそれぞれ断面図および平面図である。
図2Eに示すように、突起200Eの形状は、突起200Eの基礎直径b、高さhおよび頂部直径tによって画定され得る。bおよびhには任意の適当な寸法を使用し得るが、少なくとも特定の実施形態において、bは約50μm~約3000μm(両端の値を含む)であり得、hは約25μm~約3000μm(両端の値を含む)であり得、tは約25μm~約2500μm(両端の値を含む)であり得る。そのうえ、
図2Eおよび2Fの突起200Eは、突起200Eの軸204Eに対して実質的に垂直に伸びる頂部202Eを有するものとして示されているが、他の実施形態において、頂部202Eは軸204Eに対して傾斜していてもよい。突起200Eの性能特性は、突起200Eの様々な局面を変えることによって変更され得る。例えば、非限定的に、突起200Eの基礎直径、頂部直径または高さのいずれかを変えて、突起200Eの剛性を変更し得る。
【0087】
図2G~2Nは、角錐形突起の様々な実施形態を示す。具体的には、
図2Gおよび2Hは、バルーン102から伸びる、正方形ベースの尖った角錐形を有する突起200Gのそれぞれ断面図および平面図である。
図2Iおよび2Jは、バルーン102から伸びる、正方形ベースの角錐台形を有する突起200Jのそれぞれ断面図および平面図である。
図2Kおよび2Lは、バルーン102から伸びる、正方形ベースの角錐台形を有する突起200K(突起200Kの上面204Kから突起200Kの中へ伸びる正方形のくぼみ202Kを含む)のそれぞれ断面図および平面図である。同様に、
図2Mおよび2Nは、バルーン102から伸びる、正方形ベースの角錐台形を有する突起200M(凹面形の上面202Mを含む)のそれぞれ断面図および平面図である。
【0088】
図2O~2Rは、非対称または「スイープ」された形態の例示的な突起の例を示す。より具体的には、
図2Oおよび2Pは、もう1つの例示的な突起200Oの断面図および平面図であり、突起Qは、スイープされた正方形ベースの角錐形を有する。同様に、
図2Qおよび2Rは、さらに別の例示的な突起200Qの断面図および平面図であり、突起200Qは、スイープされた円錐台形を有する。特定の実施形態において、そのようなスイープされた形状は、成形プロセスの限界の結果であり得る。例えば、本開示に基づくバルーンを製造するための型は、放電加工(EDM)を使用して形成され得る。そのような場合、加工電極を型半部に突き刺して突起を形成する。突き刺し経路が直線であり、型半部がカーブしている用途において、得られる形体は本質的にシャドウイングまたはスイープされた形状を有する。それにもかかわらず、他の実施形態において、スイープされた形状は、改善されたトラクションを提供する、他のやり方で突起を特定方向に偏らせる、特定の方向に補強を提供する、などのために、特異的に制御され得る。
【0089】
図2Sは、さらに別の例示的な突起200Sの断面図である。突起200Sは、本開示に基づく突起が中空であってもよいことを示すために提供されている。
図2Sには、実質的に長方形または円柱形であるものとして示されているが、本明細書に記載される任意の突起設計は少なくとも部分的に中空であってもよく、そのような中空の突起は任意の具体的な形状または寸法に限定されないことが理解されるべきである。
【0090】
図2Tおよび2Uは、もう1つの例示的な突起200Tの断面図および平面図である。より具体的には、突起200Tは、管状の円筒形を有し、管状または薄肉構造を有する突起の実施形態を例示することを意図したものである。円筒形を有するものとして示されているが、
図2Tおよび2Uに示すものに類似する薄肉/管状の突起は円筒形に限定されないことが理解されるべきである。むしろ、薄肉または管状の突起は任意の適当な形状を有し得る。
【0091】
図2Vおよび2Wは、さらに別の例示的な突起200Vの断面図および平面図である。より具体的には、突起200Vは、バーベル形状を有し、バルーン102の表面から伸びる一連の相互接続されたリブ、壁または類似構造から形成された突起の実施形態を例示することを意図したものである。
【0092】
図2Xは、ぎざぎざ形状を有する突起200Xの断面図である。突起200Xは、本開示に基づく突起が従来の形状または面に限定されないことを例示することを意図したものである。むしろ、突起は、ランダムまたは疑似ランダムに生成された形状または面を含む、任意の適当な形状または面を有するように実現され得る。
【0093】
図2Y~2ADは、指向性の設計を有する様々な突起を示す。本開示に関して、指向性突起とは、第一の方向では摩擦/接着の低減または空気もしくは流体力学的挙動の改善を提供し、第一の方向とは概して反対である第二の方向では摩擦/接着の増大または空気もしくは流体力学的挙動の低減を提供するように特異的に成形されている突起を指す。とりわけ、そのような突起設計は、第一の方向では管腔内のバルーンの並進または移動を容易にしながらも、第二の反対方向ではバルーンの並進または移動に対する抵抗を増大させるのに有益であり得る。
【0094】
まず
図2Yおよび2Zを参照すると、第一の指向性突起200Yの断面図および平面図が提供されている。突起200Yは、互いに反対の方向で異なる抵抗を提供するスイープされた形状または鋸歯形状を有する。より具体的には、突起の前面202Yのより浅い傾斜が、第一の方向(矢印Aによって示す)への摩擦を、第二の反対方向(矢印Bによって示す)と比べ、低減する。
図2Yに示す具体的な実施形態において、突起の後面204Yは、突起200Yがとげまたはかぎのような形を形成するようにアレンジされている。しかし、
図2O~2Rに示す「スイープ」された突起など、比較的控えめな設計ででも可変的な指向性の作用を達成し得ることが理解されるべきである。
【0095】
図2AAおよび2ABは、半円形を有する第二の指向性突起200AAの断面図および平面図である。より具体的には、突起200AAは、第二の方向(矢印Bによって示す)と比べ、第一の方向(矢印Aによって示す)で突起200AAが摩擦を低減するような、カーブした前面202AAおよび実質的に平坦な後面204AAを含む。丸みを帯びた、または平滑化された前縁206AAおよび実質的により鋭利な後縁208AAを含めることにより、突起200AAのさらなる指向性が提供される。例えば、少なくとも特定の実施形態において、後縁208AAは、約5μm~約500μm(両端の値を含む)、例えば75μmの半径を有し得、前縁206AAは、後縁208AAの半径の1.1~2.0倍以上である半径を有し得る。
【0096】
図2ACおよび2ADは、扇形三日月形を有する第三の指向性突起200AAの断面図および平面図である。より具体的には、突起200ACは、第二の方向(矢印Bによって示す)と比べ、第一の方向(矢印Aによって示す)で突起200ACが摩擦を低減するような、凸面形の前面202ACおよび凹面形の後面204ACを含む。
図2Yおよび2Zに示す突起200Yと同様に、三日月形の突起200ACもまた、図示された方向の間で抵抗をさらに変化させるために「スイープ」されている。
【0097】
図2A~2ADおよび本開示を通して他の箇所に示す突起は、単に例として意図されたものであり、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきではないことが理解されるべきである。本開示の実施形態は、本明細書に記載される突起設計のいずれかの特徴または特性を組み合わせた突起を含んでもよい。例えば、非限定的に、
図2Mおよび2Nに示す凹面形の先端が、任意の適当なベース形状を有する突起に組み込まれてもよい。同様に、
図2O~2Rに示すような「スイープ」された突起設計が同様に任意の適当なベース形状を含んでもよい。
【0098】
図2A~2ADには実質的に滑らかな外面を有するものとして示されているが、少なくとも特定の実施形態において、本開示に基づく突起の外面は、さらなる摩擦/接着を提供するために選択的に粗面化またはテクスチャ加工されてもよい。例えば、非限定的に、このようなテクスチャ加工は、突起を製造するために使用される型の表面をグリットブラストまたは他のやり方で粗面化することによって突起に適用され得る。そのような実施形態において、突起表面のそのようなさらなるテクスチャ加工または粗面化は約25μm以下であり得る。
【0099】
図1A~1Eに示す例示的なバルーン102は、そこから伸びる突起の実質的に均一な分布を有するテクスチャ加工部分104を含むものであった。対照的に、
図3は、より複雑なテクスチャ加工部分304を含む最小膨張状態にある本開示に基づくもう1つの例示的なバルーン300の側面図である。より具体的には、実質的に均一なパターンおよび実質的に均一な突起分布を含む、
図1Eに示すバルーン102のテクスチャ加工部分104とは対照的に、テクスチャ加工部分304は複数の突起区域306A~312を含む。より具体的には、テクスチャ加工部分304は、比較的低い突起密度を有する区域306A~306Fの第一のセット;比較的高い突起密度を有する区域308A、308Bの第二のセット;中間の突起密度を有する区域310A、310Bの第三のセット;および実質的に滑らかである第四の区域312を含む。これらの区域は、異なる突起密度を有するものとして記載されるが、各区域は、突起密度、突起形状、突起剛性、突起分布パターン、突起材料などの1つまたは複数をはじめとする他の局面において異なってもよいことが理解されるべきである。同様に、
図3に示すように、テクスチャ加工部分304の各区域はサイズおよび形状が異なってもよい。
【0100】
再び
図1A~1Eの例示的な医療用デバイス100を参照すると、突起106の高さは、本開示の様々な用途において異なり得る。例えば、非限定的に、少なくとも1つの実施形態において、突起106は、バルーン102が非膨張状態または膨張状態にあるとき、高さが約5μm~約700μm(両端の値を含む)であり得る。もう1つの実施形態において、突起は、高さが約15μm~約200μm(両端の値を含む)であり得る。さらに他の実施形態において、突起は、高さが約30μm~約110μm(両端の値を含む)であり得る。少なくとも1つの具体的な実施形態において、突起は、突起が生理学的管腔の粘液層を貫通することを可能にするために、約300μm~約500μm(両端の値を含む)である。対照的に、粘液層が存在し得ない用途(例えば心臓用途)において、突起は、高さが約50μm~約100μm(両端の値を含む)であり得る。本開示の実施形態は任意の具体的な突起の高さに限定されないが、少なくとも特定の実施形態において、突起は、約5000μmまで(約5000μmを含む)、またはより大きい全高を有し得る。本開示の具体的な実現形態はまた、異なる高さを有する突起を含み得る。また、個々の突起が、異なる高さまで伸びる異なる部分を有してもよい(例えば、異なる高さを有する段付きまたは他の頂部を有する)。
【0101】
上記のように、所与の用途の場合の突起高さは、バルーンが中で展開される生理学的管腔のタイプ、より具体的には、存在し得る任意の流体層の厚さに依存して異なり得る。例えば、非限定的に、結腸の粘液層は一般に厚さ約800~900μmであり、回腸の粘液層は一般に厚さ約400~500μmである。したがって、それぞれの粘液層を十分に貫通するために、結腸中での展開を意図したバルーンは一般に、回腸中での展開を意図したバルーンと比べ、より大きな長さの突起を提供され得る。本開示に基づくバルーンが中で展開され得る他の生理学的管腔中に存在し得る流体層(例えば、他の形態の粘液、副鼻腔液、発汗など)の場合にも同様の考慮がなされ得る。
【0102】
高さと同様に、各突起の断面幅(例えば、円形または卵形の断面を有する突起の場合は直径)もまた異なり得る。例えば、非限定的に、1つの実施形態において、バルーン102が非膨張状態または膨張状態のいずれかにあるとき、突起は約5μm~約1000μm(両端の値を含む)の断面幅を有する。もう1つの実施形態において、突起は約25μm~約300μm(両端の値を含む)の断面幅を有する。さらに他の実施形態において、突起は約70μm~約210μm(両端の値を含む)の断面幅を有する。さらに別の実施形態において、突起は約600μm~約1000μm(両端の値を含む)の断面幅を有する。さらに別の実施形態において、突起は約300μm~約500μm(両端の値を含む)の断面幅を有する。もう1つの実施形態において、突起は約150μm~約250μm(両端の値を含む)の断面幅を有する。少なくとも1つの具体的な実施形態において、突起は約400μmの断面幅を有する。本開示の実施形態はまた、異なる直径を有する突起を含み得る。また、個々の突起が、異なる直径を有する(例えば先細り形状の)異なる部分を有してもよい。本開示の実施形態のための突起断面幅は任意の特定の範囲または値に限定されないが、少なくとも特定の実施形態において、突起は、約5000μmまで(約5000μmを含む)、またはより大きい全断面幅を有し得る。
【0103】
特定の実施形態において、突起の全体的な割合は、代わりに、突起の高さと突起の断面幅/直径とを関連付けるアスペクト比に基づいて規定されてもよい。任意の好適なアスペクト比が用いられてよいが、1つの例示的実施形態において、アスペクト比は約5未満である。別の例示的実施形態において、アスペクト比は約0.05以上約10以下であってもよい。さらに別の例示的実施形態において、アスペクト比は約0.1以上約5.0以下であってもよい。別の例示的実施形態において、アスペクト比は約0.5以上約1.0以下であってもよい。なお別の例示的実施形態において、アスペクト比は約1.0以上約10.0以下であってもよい。別の実施形態において、アスペクト比は約0.1以上約1以下であってもよい。なお別の実施形態において、アスペクト比は約1以上約2以下であってもよい。さらに別の例示的実施形態において、アスペクト比は約0.5、約1.0、または約2.0であってもよい。これもまた認識されるべき点として、本開示の所与の実施形態における突起のアスペクト比は、バルーンの第一の突起セットが第一のアスペクト比に合致し、一方で、同じバルーンの第二の突起セットが第二のアスペクト比に合致するよう、さまざまであってもよい。さらに、アスペクト比を決定する目的のための、突起の断面幅/直径は、断面幅/直径の任意の尺度であってもよい。例えば、断面幅/直径は、突起の最大の断面幅/直径;突起の最小の断面幅/直径;突起の平均の断面幅/直径;または、突起の長さに沿った特定の位置における、突起の断面幅/直径であってもよい。
【0104】
突起はまた、偶発的な屈曲または変形を回避しながら、一方で突起と生体組織との係合を可能にするため、特定のスチフネスを有するよう構成されてもよい。少なくとも特定の実施形態において、突起は、突起が対する組織に少なくとも等しいスチフネスを有するように形成されてもよい。例えば、特定の実施形態において、突起のスチフネスは、それが係合する組織のスチフネスの約1.0倍以上2.0倍以下である。スチフネスはまた、突起を形成する材料の弾性率として表現されてもよい。例えば、少なくともいくつかの実施形態において、突起は約50 kPa以上約105 kPa以下の弾性率を有する材料から形成される。よりスチフネスが高い突起を含む他の実施形態において、突起は、約0.8 MPa以上約2.0 MPa以下の弾性率を有する材料で形成されてもよい。
【0105】
特定の実施形態において、本開示に基づくバルーンの突起は、バルーンに印加されたひずみに応じて変形するよう構成されてもよい。そうした変形は、次に、バルーンと生体組織との間の牽引を動的に制御および調整するために用いられてもよい。
【0106】
図4Aに、ひずみの第一状態における、バルーン402または類似の構造の一部分を図示する。特定の用途において、ひずみの第一状態は非ひずみ状態に対応してもよく、または代替的に、バルーン402に第一のひずみが印加された状態に対応してもよい。図に示すように、バルーン402は、バルーン402の表面403にわたって分布しかつそれから伸びる突起406など、複数の突起を含んでもよい。
図4Bに図示するように、突起406は、特定の実施形態において円錐台状の形状を有してもよい。
図5Aに、ひずみの第一状態より大きいひずみがバルーン402に印加されるひずみの第二状態における、バルーン402の前記一部分を示す。
図5Aに示すように、少なくともいくつかの用途において、ひずみの第二状態の時に印加されるひずみは二軸性であってもよい。そうしたひずみは、例えば、バルーン402の膨張からもたらされてもよい。
図5Aに図示するように、ひずみの印加は、概して、隣接する突起間の距離の増大と、突起の延伸/変形との、両方をもたらす。
図5Bは、バルーン402に二軸ひずみが印加された時の突起406の断面図である。図示するように、突起406の円錐台状の形状は二軸ひずみ下で変形する。とりわけ、突起406の上面408および側壁410の各々が、二軸ひずみの印加に応じて漸増的に凹状になる。
【0107】
本明細書において、「二軸ひずみ(biaxial strain)」という用語は概して、2つの軸に沿って印加されるひずみを指し、その2つの軸は特定の実施形態において互いに垂直であってもよい。特定の事例において、二軸ひずみは、各軸に沿ってほぼ等しくてもよい。例えば、バルーンに印加されるひずみは、縦方向および横方向の各々において等しくてもよい。しかし、他の実施形態において、ひずみは各軸に沿って不均等に印加されてもよく、それには、突起の不均一な変形(例えば、主として単一の軸に沿った圧縮の伸長)をもたらすひずみも含まれる。さらに、突起の充分な変形はまた、単軸ひずみ、または、二軸ひずみ以外の多軸ひずみの印加によって実現されてもよい。したがって、本明細書に説明する実施例は主として、突起の変形に由来する摩擦性および付着性の係合の変動をもたらす、二軸ひずみを参照しながら論じるが、本開示の実施形態は、より一般的に、印加される任意のひずみに応じた突起の変形に由来する、摩擦性および付着性の係合の変動に関する。
【0108】
図6Aおよび6Bは、それぞれひずんだおよびひずんでいない状態における突起のさらなる詳細を図示した、突起406の断面図である。
図6Aに図示するように、ひずんでいない状態にある時、突起406は、突起の上面408に対応する最上部直径(D1)と、突起406の基部412に対応する基部直径(D2)とを有する。突起406の上面408は、最大の高さ(H)に配されたものとして示されている。上面408はまた、凹状であり、かつ、曲率半径(R)によって規定される凹所を有するものとして、示されている。突起の上面408は、バルーン402の表面403に対する相対的な高さ(H)に達する。認識されるべき点として、
図6Aにおいて突起の上面408は凹状であるものとして示されているが、他の実施形態において上面408が実質的に平らであってもよい。そしてまた、
図6Aにおいて最上部直径D1と基部直径D2とは異なるものとして図示されているが、他の実施形態において、突起406が実質的に円柱状の形状であるよう、D1とD2とが等しくてもよい。
【0109】
図6Bに示すように、突起406は、バルーン402に印加されたひずみに応じて変形してもよい。とりわけ、最上部直径(D1)および基部直径(D2)の各々が、それぞれ第二の基部直径(D1')および第二の基部直径(D2')まで拡大してもよい。上面408の曲率半径(R)もまた、第二の曲率半径(R')まで低減してもよく、それによって上面408が漸増的に凹状になる。前述の寸法変化に加えて、突起406の全体的な高さも、最初の高さ(H)から第二の高さ(H')まで変化してもよい。
【0110】
図6Aおよび6Bに図示するように、本開示の少なくともいくつかの実施形態において、各突起が、側壁410と上面408との間の移行部にリップまたはエッジ414を含んでいてもよい。概して、比較的鋭利なリップまたはエッジ414が、突起が生理学的管腔の壁により容易に係合することを可能にしてもよく、かつまた、壁上に存在しうる粘膜層または他の層を貫通することを容易にしてもよい。したがって、少なくともいくつかの実施形態において、エッジ414は約3μmを超えない半径を有してもよい。
【0111】
突起406の最初の寸法はさまざまであってもよい。例えば、特定の実施形態において、突起の非ひずみ下の上部直径(D1)は約100μm以上約700μm以下であってもよく;突起の非ひずみ下の下部直径(D2)は約100μm以上約750μm以下であってもよく;突起の非ひずみ下の高さ(H)は約100μm以上約700μm以下であってもよく;そして、突起の上面408の非ひずみ下の曲率半径(R)は約1 mm以上約2 mm以下であってもよい。同様に、特定の実施形態において、突起のひずみ下の上部直径(D1')は約375μm以上約750μm以下であってもよく;突起のひずみ下の下部直径(D2')は約405μm以上約825μm以下であってもよく;突起のひずみ下の高さ(H')は約200μm以上約400μm以下であってもよく;そして、突起の上面408のひずみ下の曲率半径(R')は約500μm以上約750μm以下であってもよい。1つの具体的実施例において、D1は約250μmであってもよく、D2は約270μmであってもよく、Hは約500μmであってもよく、そしてRは約1.5 mmであってもよい。同じ実施例において、バルーン402は、D1'が最大で約375μmになることができ、D2'が最大で約400μmになることができ、H'が約450μmまで低減でき、そしてR'が約500μmまで低減できるように、ひずむよう構成されてもよい。他の実施形態において、代わりに、バルーン402に印加されたひずみに応じた突起406の変形は、突起406の表面積の変化に基づいてもよい。例えばかつ非限定的に、バルーン402は、突起406の表面積が最大で約25%増大しうるように構成されてもよい。
【0112】
実験的試験中に、
図6Aおよび6Bの突起406と同様の突起を含む材料片と、生体組織を模した可撓性プローブとの間の分離力が、材料に印加された二軸ひずみの度合いに伴って変動することが観察された。より具体的には、まずプローブを材料サンプルに接触させ、それによりプローブを材料サンプルに付着させた。次にプローブを材料サンプルとの接触から引き外した。そうした分離をもたらすのに要した力を測定したところ、材料サンプルに印加された二軸ひずみの度合いに伴って非線形に変動することが観察された。
【0113】
図6Aに示すように、突起406はさらに、突起406の側壁410と上面408との間の移行部における縁414の鋭利さを特徴とし得る。縁414は具体的な程度の鋭利さに限定されないが、試験が、本開示に基づくバルーンを生理学的管腔内に、特に生理学的管腔の内面に沿って分泌または配され得る粘液および他の類似の流体の存在下で固定する場合には、特定の鋭利さの範囲が有利であることができることを示した。より具体的には、縁414の十分な鋭利さが、粘液(または類似の流体)の層の貫通を容易にして、バルーンと管腔の内面との係合を促進すると思われる。したがって、少なくとも特定の実施形態において、側壁410と上面408との間の縁414は、約25μm~約500μm(両端の値を含む)、例えば75μmの半径を有し得る。他の実施形態において、半径は約25μm以下である。
【0114】
図7は、分離力と二軸ひずみとの関係に関する実験的知見をまとめたグラフ700である。より具体的には、グラフ700は、二軸ひずみに対応する第一の軸702、および、プローブと材料サンプルとの分離時に測定された分離力に対応する第二の軸704を含む。線706が示すように、分離力は、二軸ひずみの変化に応じて非線形の様式で変動した。
【0115】
グラフ700は、材料サンプルが非ひずみ下にある時の分離力に対応する、ベース分離力の線708をさらに示している。同グラフは、試験した材料サンプルと実質的に同様であるが突起がない第二の材料サンプルに対応する、「フラットな」分離力の線710をさらに含む。
【0116】
グラフ700に図示するように、突起を有する材料に関する分離力は、材料に印加される二軸ひずみを変化させることによって、ある範囲の値を有するように、変動しうる。例えば、二軸ひずみを印加しないかまたは比較的低い二軸ひずみを印加することによって、突起を伴う材料に、同じ材料の平らなシートより小さい分離力を持たせる(すなわち、摩擦性および/または付着性を小さくする)ことも可能である。しかし、二軸ひずみが増大されると摩擦および付着もまた増大する;ゆえに、特定のレベルの二軸ひずみにおいて、突起を含む材料の分離力が、同じ材料の平らなシートの分離力を上回ることが可能である。
【0117】
グラフ700に示すように、このことにより、特定の実施形態において、非ひずみ時の分離力は平らな材料シートの分離力と比べて小さくなりうる。しかしその分離力は、ひずみが増大されるにつれて、平らなシートの分離力を上回って増大しうる。換言すると、材料サンプルに二軸ひずみを選択的に印加することによって、分離力が変更され得、このことは、本開示に基づくバルーンを組み込んだ医療用デバイスについて、より増大した制御と、より信頼性の高い係合とを、医師に提供する。
【0118】
図4A~7において論じた具体的実施例は、概して、平らかまたは部分的に凹状である上面を有する突起を含む;そのような上面は、ひずみが印加された時に、突起を漸増的に凹状にさせ、それにより突起の表面積を増大させる。本開示の他の実施形態において、代わりに、ひずみが印加された時に突起の上面が少なくとも部分的に平坦になるよう、丸みを帯びた/凸状の上面または類似の上面を突起が含んでもよい。そうした平坦化は、表面積の低減をもたらし得、そしてその結果として、突起と生理学的管腔との間の分離力の変化(概して低減)をもたらし得る。したがって、先述の実施例においてひずみは突起表面積を増大させて分離力を増大させるために印加されるが、ひずみはまた、突起表面積を低減させそしてその結果として分離力を低減させるために用いられてもよい。しかし、いずれの事例においても、ひずみは、突起の形状とひいては突起の分離力とを変えるための主たる機構として用いられる。
【0119】
バルーンと生理学的管腔との間の分離力は、本開示の異なる実施形態にわたって、かつ、所与の実施形態についての異なる膨張状態にわたって、さまざまであってもよい。しかし、少なくともいくつかの実施形態において、最小の付着および摩擦でバルーンを生理学的管腔に沿って移動させることを容易にするため、バルーンは、(例えば
図1A~1Bに図示するような)収縮した状態にある時に約5 N未満の分離力を有するよう構成されてもよい。他の実施形態において、収縮した状態にある時の分離力は約3 N未満であってもよい。1つの具体的実施例において、収縮した状態における分離力は約1 Nであってもよい。バルーンはまた、バルーンが生理学的管腔に実質的に係合する最小限に膨張した状態において特定の分離力を有するよう構成されてもよい。例えば、少なくともいくつかの実施形態において、最小限に膨張した状態における分離力は約10 N以上約30 N以下であってもよい。他の実施形態において、最小限に膨張した状態における分離力は約15 N以上約25 N以下であってもよい。1つの具体的実施形態において、最小限に膨張した状態における分離力は約20 Nであってもよい。
【0120】
先に論じたように、少なくともいくつかの実施形態において、バルーンの付着および摩擦の特質を変更し、そしてその結果としてバルーンと生理学的管腔との間の分離力を変更するため、バルーンに対するひずみが(例えばバルーンを膨張または収縮させることによって)印加または変更されてもよい。1つの実施形態において、最小限に膨張した状態に対する相対的な分離力は、バルーンを収縮させることによって1%またはそれ以下まで低減され得、および、バルーンを過膨張させかつひずませることによって最大で200%であり得る。別の実施形態において、収縮したバルーンは、最小限に膨張した状態の約5%未満の分離力と、バルーンをひずませることによる約150%の最大値とを有してもよい。なお別の例示的実施形態において、バルーンは、最小限に膨張した状態の約5%未満の下限分離力と、バルーンをひずませることによる約125%の最大値とを有してもよい。したがって、少なくとも1つの具体的実施例において、バルーンは、膨張状態における約20 N、収縮した状態における約1 N、および最大ひずみ状態における約25 Nの分離力を有してもよい。
【0121】
先述のように、本開示に基づくバルーンはさまざまな方式で製造されてもよい。例えば、少なくとも1つの実施形態において、上述のような突起を含むバルーンは、キャスティング加工を通じて製造されてもよい。
図8に、そうしたキャスティング加工に用いるための例示的な鋳型800を図示する。図示のように、鋳型800は、内側鋳型ピースまたはコア804がその中に配される外側鋳型ピース802を含む。外側鋳型ピース802とコア804との組み合わせは、成形されるバルーンの概形を提供するキャビティ806を規定する。
【0122】
鋳型800は、外側鋳型ピース802およびコア804に加えて、キャスティング中にバルーン上に突起を形成するためのインサート808も含む。インサート808は、最終的なバルーン上に含まれるべき突起のパターンと分布とを有するよう、別に形成される。インサート808は、機械加工、3Dプリンティング、マイクロリソグラフィ、または他の任意の同様の製造プロセスを非限定的に含む、さまざまな方式で製造されてもよい。インサート808は、形成されたら、外側鋳型ピース802内に配されそしてこれに結合されてもよい。特定の実施形態において、インサート808は、非限定的にKapton(登録商標)もしくは他のポリイミド材料、シリコーン、ラテックス、またはゴムなどである、半剛性材料から形成されてもよい。
【0123】
キャスティング加工中、(非限定的にECOFLEX(登録商標)50などである)バルーン材料が、キャビティ内に注入され、そして静置固化される。特定の実施形態において、鋳型キャビティ806から空気を除去するため、かつ、キャビティ806内に注入された材料が、鋳型インサート808によって規定される突起も含めて鋳型キャビティ806の形状を取ることを促すため、鋳型800に真空もまた印加される。
【0124】
特定の実施形態において、キャビティ806の厚さを変化させることによって、バルーンの全体的な厚さが変更されてもよい。例えば、外側鋳型ピース802とコア804との間で規定されるキャビティ806の厚さが、鋳型800内に入るコアを交換することによって変更されうるよう、外側鋳型ピース802がさまざまなサイズのコアを受けるように構成されてもよい。
【0125】
外側鋳型ピース802とコア804との間で規定されるキャビティ806は、
図8において実質的に均一な幅を有するものとして図示されているが、鋳型800内の特定の位置においてキャビティ806がより幅広になるように、不均一であってもよい。したがって、鋳型800を用いて形成されるバルーンはいずれも、その厚さにおいて、対応する変動を有する。バルーンの厚さをさまざまにすることによって、さまざまな特質がバルーンに付与されてもよい。例えば、バルーンの特定の位置の全体的な耐久性および強度を向上させるため、その位置の厚さが増大されてもよい。他の事例において、バルーンを特定の方式でしぼませるおよび/または展開させる、バルーンの補強領域が形成されるように、バルーンの厚さがさまざまであってもよい。そうした補強領域はまた、収縮した状態、部分的な膨張状態、または完全な膨張状態のいずれかにおいて、バルーンに特定の形状を取らせてもよい。
【0126】
図9は、本開示に基づくバルーンの製造に用いるための代替的な鋳型900の等角図である。鋳型900は、内側鋳型ピースまたはコア(図には示していない)がその中に配されてもよい外側鋳型ピース902を含む。バルーン突起を形成するため取り外し可能インサート808が用いられる
図8の鋳型800とは対照的に、外側鋳型ピース902は、キャスティング加工中に突起を形成するために用いられる、外側鋳型ピース902の内面908内に直接形成された空隙906を含む。
【0127】
上述のように、少なくともいくつかの実施形態において、本開示にもとづくバルーンがキャスティング加工を用いて形成されてもよい。そうしたキャスティング加工には、ピースキャスティング、スラッシュキャスティング、ドリップキャスティング、または、中空物の製造に好適な他の任意の同様のキャスティング方法が含まれうる。例えばスラッシュキャスティング加工では、材料が固化する前に鋳型の内面をコーティングするため、ある量の材料が鋳型に加えられそしてスラッシュされてもよい。さまざまなタイプの成形加工(例えば射出成形)および押出加工を非限定的に含む、他の作製方法もまた実施されてもよい。
【0128】
先述の作製方法は突起をバルーンと一体的に形成する段階を含んでいたが、他の実施形態において、代わりに、先に形成されたバルーン上に突起が形成されてもよい。例えば、少なくとも1つの他の作製方法において、まずベースバルーンが形成されてもよい。次に、それに続く加工を用いて、バルーンに突起が形成または結合されてもよい。1つの例示的作製方法において、ベースバルーンが押出加工され、そして次にスプレー法を用いて突起がベースバルーンに追加される。別の例示的作製方法において、第一のキャスティング加工または成形加工を用いてベースバルーンが形成され、そしてベースバルーンが固化したら、ベースバルーンの外面上に突起を形成するため第二のキャスティング加工または成形加工(例えばオーバーモールディング加工)が適用される。
【0129】
先に論じたように、
図1A~1Eの文脈において、さまざまな医療用デバイスにおける使用のために本開示に基づくバルーンが実施されてもよい。
図10~16は、さまざまな例示的医療用デバイス、および、本開示のバルーンを含むそうした医療用デバイスの構成の、略図である。認識されるべき点として、本明細書に提供する医療用デバイスは例示的なデバイスにすぎず、したがって限定的ではない。より一般的には、本開示に基づくバルーンは、生理学的管腔内に挿入されるよう適合した任意の医療用デバイスとの関連において用いられてもよい。特定の実施形態において、医療用デバイスは、その長さにわたる管腔を含んでもよい。デバイスの管腔は、ツールおよび/またはカテーテルが医療用デバイスの長さに沿って通されそしてデバイスの遠位端から出ることができるよう、ツールまたはカテーテルのポートとして役立ってもよい。代替的に、生理学的管腔内にすでに配されたツールまたはカテーテル上にデバイスが通されてもよい。
【0130】
図10は、カテーテル送達ツールの形態における第一の医療用デバイス1000の略図である。図示するように、医療用デバイス1000は、カテーテルツールチャネル1006およびバルーン送気チャネル1008の各々がそこから出る近位側のハブ1004を含む。カテーテルツールチャネル1006の遠位部分1010が、ハブ1004から延在し、かつバルーン1002を含む;バルーン1002は、バルーン送気チャネル1008を介して、空気を提供することまたはバルーン1002からの空気の抜けを許容することの、それぞれによって、選択的に膨張および収縮されうる。したがって、バルーンが収縮した状態で、遠位部分1010が患者の生理学的管腔内に挿入されてもよい。生理学的管腔内の関心対象ポイントに位置決めされたら、バルーン1002を展開させそして生理学的管腔の壁に係合させるため、バルーン送気チャネル1008を介してバルーン1002に空気が提供されてもよい。そのように係合された時、関心対象の位置までの妨げられずかつ直接的な経路を提供するため、カテーテルツールチャネル1006が用いられてもよい。
【0131】
医療用デバイス1000は、生理学的管腔内でカテーテルもしくはガイドワイヤと関連して用いられるか、またはこれをガイドするために用いられるものとして上述したが、本開示の他の実施形態において、本開示に基づくバルーンがカテーテルまたはガイドワイヤに組み込まれてもよい。例えばかつ非限定的に、本開示の少なくとも1つの実施形態において、本明細書に説明する膨張可能なバルーンが、ガイドワイヤまたはカテーテルに沿って(例えばガイドワイヤもしくはカテーテルの遠位端またはその近くに)配されてもよい。そうした実施形態において、ガイドワイヤまたはカテーテルは、バルーンが収縮した状態で生理学的管腔内に挿入されてもよい。続いて、生理学的管腔に係合するため、かつガイドワイヤまたはカテーテルを生理学的管腔内に少なくとも部分的に係留するため、バルーンが膨張されてもよい。
【0132】
図11は、内視鏡ツールであってもよい第二の医療用デバイス1100の略図である。第二の医療用デバイス1100は、例えばかつ非限定的に発光ダイオード(LED)1106とカメラ1108とを含んでもよい、内視鏡ボディ1104を含む。内視鏡ボディ1104はまた、カテーテル1110がそれを通って挿入されてもよいカテーテルチャネル1109も規定してもよい。
図11に図示するように、カテーテル1110は、カテーテル1110を生理学的管腔内で少なくとも部分的に確実固定する(secure)ために用いられてもよい、遠位側のバルーン1102を含んでもよい。
【0133】
医療用デバイス1100の1つの例示的用途において、カテーテル1110は内視鏡ボディ1104用のガイドとして用いられてもよい。より具体的には、第一のプロセス中に、カテーテル1110は、バルーン1102が非膨張状態にある状態で、生理学的管腔に沿った関心対象ポイントまで送達されてもよい。位置決めされたら、バルーン1102を管腔に係合しかつカテーテルを管腔内で少なくとも部分的に確実固定するため、バルーン1102が膨張されてもよい。次に、カテーテルをガイドとして用いて内視鏡ボディ1104をカテーテル1110に沿って動かせるよう、内視鏡ボディ1104がカテーテル1110上に置かれてもよい。
【0134】
図12は第三の医療用デバイス1200の略図である。
図11の医療用デバイス1100と同様に、医療用デバイス1200は、カテーテル1210を受けるよう構成されてもよい内視鏡ボディ1204(または同様のツールのボディ)を含む。しかし、バルーン1102がカテーテル1110に結合された
図11の医療用デバイス1100とは対照的に、医療用デバイス1200は、内視鏡ボディ1204に結合されかつ患者の生理学的管腔内で内視鏡ボディ1204を少なくとも部分的に確実固定するために用いられてもよいバルーン1202を含む。
【0135】
図13は、
図11の医療用デバイス1100および
図12の医療用デバイス1200の両方の諸局面を組み合わせた、第四の医療用デバイス1300の略図である。より具体的には、医療用デバイス1300は、カテーテル1310がそれを通って挿入されてもよいカテーテルチャネル1309を規定する、内視鏡ボディ1304を含む。
図11の医療用デバイス1100のように、カテーテル1310は、カテーテル1310を生理学的管腔内で少なくとも部分的に確実固定するために用いられてもよい、遠位側のバルーン1302を含む。そしてまた、
図12の医療用デバイス1200のように、内視鏡ボディ1304はバルーン1312も含む。
【0136】
医療用デバイス1300の、バルーンが2つある構成は、医療用デバイス1300を生理学的管腔に沿って進めるために用いられてもよい。例えば、
図17に、(フレーム1に示す)生理学的管腔1702に沿った医療用デバイス1300の進行を描写した、一連の図示を提供する。図示するように、医療用デバイス1300はまず、非膨張/係脱構成において生理学的管腔内に挿入されてもよい(フレーム1)。次に、内視鏡バルーン1312を管腔1702に係合するため、かつ内視鏡ボディ1304を管腔1702内で少なくとも部分的に確実固定するため、バルーン1312が膨張されてもよい(フレーム2)。次に、内視鏡ボディ1304が確実固定された状態で、カテーテル1310が内視鏡ボディ1304から管腔に沿って延ばされてもよく(フレーム3)、そして、カテーテルバルーン1302を第二の位置で膨張させることによって、カテーテルバルーン1302が第二の位置で管腔1702に係合されてもよい(フレーム4)。次にバルーン1312が収縮されてもよく(フレーム5)、そして、係留されたカテーテル1310をガイドとして用いながら内視鏡ボディ1304が管腔1702に沿って進められてもよい(フレーム6)。内視鏡ボディ1304がカテーテルバルーン1302に到達した時に、バルーン1312を膨張させることによって内視鏡ボディ1304が再び管腔1702内で確実固定されてもよい(フレーム7)。フレーム8~12に図示するように、医療用デバイス1300を生理学的管腔1702に沿って進めるためにこのプロセスが反復されてもよい。
【0137】
特定の実施形態において、医療用デバイスは、PCT出願公報WO 2017/096350に説明されているように、第一および第二の膨張可能なバルーンのうちの1つまたは両方の外面の少なくとも一部分が本明細書に説明するようなマイクロパターン加工された表面を含む、可撓性のオーバーチューブを含むダブルバルーン内視鏡であってもよい。他の態様において、内視鏡はオーバーチューブを含まない。
【0138】
図14~16に、前述の例示的医療用デバイスのさらなるバリエーションを図示する。
図14は、それを通って内視鏡デバイス1404が挿入されてもよいオーバーチューブ1414にバルーン1402が結合されている、医療用デバイス1400の略図である。
図15は、それを通って内視鏡ボディ1504が延在するオーバーチューブ1514に結合されたバルーン1502を含むという点において
図14と同様である、医療用デバイス1500の略図である。医療用デバイス1500は、バルーン1502に加えて、内視鏡ボディ1504を通って延在するカテーテル1510の遠位端に結合されたカテーテルバルーン1512を含む。
図15のものに類似しかつ可撓性オーバーチューブを含む、例示的なダブルバルーン内視鏡デバイスは、参照によりその全体が本明細書に組み入れられるPCT出願公報WO 2017/096350に詳しく説明されている。そして、
図16は、3つの別個のバルーンを含む医療用デバイス1600の別の略図である。具体的には、医療用デバイス1600は、オーバーチューブ1614に結合された第一のバルーン1602と、オーバーチューブ1614を通って延在する内視鏡ボディ1604に結合された第二のバルーン1616と、内視鏡ボディ1604から延在するカテーテル1610に結合された第三のバルーン1618とを含む。
【0139】
医療用ツールの各々において、本開示のバルーンを膨張させるためバルーンに空気または他の流体を送達すること、および、バルーンを収縮させるためバルーンから空気/流体を除去することに好適なチャネルを、本明細書に説明するデバイスが含むことが想定されている。例えば、ポンプまたは他の流体供給源に接続されてもよく、かつ、それを通って流体がバルーンから除去されうるベントまたは戻りチャネルをさらに含む、近位側のマニホールドまたはカップリングを、各デバイスが含んでもよい。特定の実施形態において、医療用デバイスは、デバイスの1つまたは複数のバルーンと流体連絡したチュービングであって、そのバルーンのうちの1つまたは複数の制御された膨張および/または収縮を可能にするチュービングを含む。医療用デバイスが複数のバルーンを含む実施形態において、チュービングは、その複数のバルーンのうちの1つまたは複数を膨張させるために用いられる。代替的に、医療用デバイスのバルーンのそれぞれのサブセットの膨張および収縮を独立的に制御するため、チュービングの異なるセットが用いられてもよい。
【0140】
これもまた認識されるべき点として、複数のバルーンを有する本開示の実施形態において、本開示に基づく突起を有する必要があるのは1つのバルーンのみである。換言すると、本開示に基づく医療用デバイスは、本明細書に説明するような1つのテクスチャ加工バルーンを含んでもよいが、任意の数の、テクスチャ加工されていないバルーンまたは本明細書に説明する以外のデザインを有するバルーンも、また含んでもよい。さらに、
図10~17の例示的医療用デバイスには、医療用デバイスのコンポーネント(例えば、カテーテル、内視鏡ボディ、オーバーチューブ)の遠位端近くに位置決めされたバルーンが図示されているが、他の実施形態において、バルーンは、所与のコンポーネントに沿った複数の位置も含めて、そうしたコンポーネントに沿った任意の位置に配されてもよい。
【0141】
本開示はさらに、内視鏡検査または体腔内における類似の医学的手技を行う方法も提供する。
図18は、
図1A~1Eおよび
図10~17の文脈において論じた医療用デバイスを非限定的に含む、本開示に基づく医療用デバイスを用いて一般的に行われてもよい、そうした手技の例示的方法1800を図示したフローチャートである。
【0142】
オペレーション1802において、少なくとも医療用デバイスのバルーンが収縮した状態で、医療用デバイスが生理学的管腔または体腔内に導入される。先に論じたように、本開示の少なくとも1つの用途において、生理学的管腔は患者のGI管の一部分を含んでもよい(が、それに限定されるわけではない)。例えば、小腸内視鏡検査の文脈において、生理学的管腔は患者の下部消化器系の一部分に対応してもよく、そして医療用デバイスは、生理学的管腔の検査を容易にするよう適合した、照明および/またはカメラなどの、遠位コンポーネントを含んでもよい。
【0143】
生理学的管腔内に挿入されたら、バルーンが収縮した状態にある間に、医療用デバイスの少なくとも一部分が生理学的管腔に沿って係合位置まで移動される(オペレーション1804)。例えば特定の実施形態において、医療用デバイスの前記一部分は、バルーンを含むカテーテルであってもよく、そして、医療用デバイスの前記一部分を移動させる段階は、医療用デバイスの第二部分(例えば内視鏡ボディ)が最初の挿入位置のままである間に、カテーテルおよびバルーンを生理学的管腔に沿って延ばす段階を含んでもよい。別の例示的実施形態において、医療用デバイスの前記一部分を移動させる段階は、医療用デバイスの内視鏡または類似部分を、生理学的管腔に沿って延びたガイドワイヤまたはカテーテルに沿って動かす段階を含んでもよい。
【0144】
医療用デバイスの前記一部分の移動に続いて、本明細書に説明するようなバルーンの突起が生理学的管腔の壁に係合するよう、医療用デバイスのバルーンが膨張される(オペレーション1806)。
【0145】
管腔内で少なくとも部分的に確実固定されたら、さまざまな機能を行うために医療用デバイスが操作されてもよい(オペレーション1808)。1つの実施例において、医療用デバイスの確実固定された部分がカテーテルを含んでもよく、そして、確実固定されたカテーテルをガイドとして用いて、医療用デバイスの確実固定されていない部分を生理学的管腔に沿って移動させることによって、医療用デバイスが操作されてもよい。別の実施形態において、異物または組織を生理学的管腔から除去するために医療用デバイスが操作されてもよい。例えば、医療用デバイスの操作は、生理学的管腔内の組織もしくは物体を捕捉、切除、切断、生検するよう、またはそうした組織もしくは物体とその他相互作用するよう構成された、医療用デバイスの1つまたは複数のツールの、挿入およびオペレーションを含んでもよい。1つの具体的実施例において、オペレーション1804の間に、バルーンが、管腔内の関心対象の異物または組織の遠位側に配されてもよい。次に、オペレーション1806において、管腔を閉塞するためバルーンが膨張されてもよい。1つの実施形態において、次に、異物を除去するためバルーンが管腔を通って近位方向に動かされてもよい。別の実施形態において、代わりに、バルーンより遠位側の異物を除去するため、バルーンが管腔内に配されそして遠位方向に動かされてもよい。別の実施形態において、膨張されたバルーンより近位側の管腔の一部分内でツールが用いられうるよう、医療用デバイスを通ってツールが挿入されてもよい。以上の実施例は、尿管から腎結石を除去するため、胆管から胆石を除去するため、または、生理学的管腔内に存在する他の異物または望ましくない物を取り除くために、有用である可能性がある。
【0146】
別の例示的な医学的手技において、第二のバルーンの突起が、生理学的管腔の壁に部分的に係合するがそれ以外は生理学的管腔内で少なくとも部分的に可動のままであるように、本開示に基づく第二のバルーンが生理学的管腔内に配されそして膨張されてもよい。例えば、先に生理学的管腔内に配された医療用デバイスを通って次に(例えばオペレーション1804および1806の間に)挿入されるガイドワイヤまたはカテーテル上に、第二のバルーンが配されてもよい。生理学的管腔の壁を擦るかまたはこするため、第二のバルーンの突起が部分的に係合した状態で、第二のバルーンが生理学的管腔に沿って移動されてもよい。
【0147】
医療用デバイスの操作に続いて、バルーンを生理学的管腔から係脱するためバルーンが収縮され(オペレーション1810)、そして、医学的手技の完了時を決定するため評価が行われる(オペレーション1812)。そうであれば、医療用デバイスが生理学的管腔から除去される(オペレーション1814)。そうでなければ、(例えばオペレーション1804~1812を反復することによって)手技の追加的段階を行う目的のため医療用デバイスが生理学的管腔内で再ポジショニングされてもよい。
【0148】
図19は、本開示に基づくバルーンと生理学的管腔との間の係合を変更する方法1900を図示した、第二のフローチャートである。
図4A~7の文脈において先に論じたように、本開示に基づくバルーンの突起は、それらに印加される二軸ひずみに基づいて変動する付着特性および摩擦特性を有するよう構成されてもよい。より具体的には、(例えばバルーンを選択的に膨張または収縮させることによって)バルーンにひずみを印加すると、バルーンの表面上で突起の変形が引き起こされ、そしてそれによりバルーンと隣接組織との間の付着および摩擦が変更される。先に論じたように、医学的手技中の制御性およびフレキシビリティの向上を可能にするため、バルーンに印加されるひずみを変更することによって、付着特性および摩擦特性が医師によって動的に操作されてもよい。
【0149】
以上を踏まえたうえで、方法1900は、本開示に基づく突起を有するバルーンを生理学的管腔内に配する段階で始まる(オペレーション1902)。オペレーション1904において、バルーンの突起が生理学的管腔の壁と相互作用しかつ壁との第一分離力を有するよう、バルーンを膨張させるなどによってバルーンに二軸ひずみが印加される。オペレーション1906において、第一分離力と異なる第二分離力がバルーンと生理学的管腔の壁との間で実現されるよう、二軸ひずみが変更される。
【0150】
前述のことに関して、オペレーション1906において二軸ひずみを変更する段階は、バルーンに対する二軸ひずみを増大させる段階または低減させる段階のいずれかを含んでもよい。二軸ひずみを増大させる段階は、例えば、オペレーション1904の間にバルーンが膨張された程度を超えて、バルーンを膨張させる段階を含んでもよい。
図7の文脈において論じたように、バルーンに対するひずみをそのような様式で増大させる段階は、概して、バルーンを生理学的管腔の壁から分離するのに必要な力の増大をもたらしうる(すなわち、摩擦および/または付着を増大させうる)。二軸ひずみを低減させる段階は、例えば、バルーンを生理学的管腔の壁から分離するのに必要な力を低減させる(すなわち、摩擦および/または付着を低減させる)ためバルーンを少なくとも部分的に収縮させる段階を含んでもよい。
【0151】
図25A~25Dは、非ひずみ状態にある本開示に基づくバルーン2500の1つの例示的実施形態を示す。より具体的には、
図25Aはバルーン2500の等角図であり、
図25Bはバルーン2500の平面図であり、
図25Cはバルーン2500の端面図であり、
図25Dはバルーン2500のテクスチャ加工面の断面図である。
【0152】
まず
図25A~25Cを参照すると、バルーン2500は、長手方向軸2555に沿って伸びる細長いボディ2502を含む。細長いボディ2502は一般に、中間部分2504およびテーパ状の端部分2506A、2506Bを含み、各端部はそれぞれの環2507A、2507Bの中で終端する。バルーン2500の中間部分2504は、互いの反対側に配されたテクスチャ加工部分2508A、2508Bを含む。テクスチャ加工部分2508Aと2508Bとの間に、非テクスチャ加工部分2510A、2510Bが伸びている。他の実施形態において、バルーン2500の中間部分2504の表面は、2つよりも多いテクスチャ加工部分および/または2つよりも多い非テクスチャ加工部分へと分割されてもよい。同様に、本開示に基づくバルーンは、1つのテクスチャ加工部分しか含まなくてもよい。
【0153】
図25Bによく見てとれるように、バルーン2500のテクスチャ加工部分2508A、2508Bは、均一に分布した長手方向の突起列(例えば突起列2512)を含む。以下さらに詳細に説明するように、バルーン2500の突起は円錐台形を有するが、他の実施形態において、他の突起形状が使用されてもよい。同じく
図25Bに見てとれるように、バルーン2500の隣接する突起列は、1つおきの列どうしが整列するように互いに対してオフセットされている。他の実施形態において、他の列構造が実現されてもよい。例えば、すべての列が整列してもよいし、列の異なる対の間で複数のオフセットが使用されてもよい。
【0154】
少なくとも特定の実施形態において、所与の列内の突起の摩擦性および接着性は、突起間の長手方向間隔に基づいて異なり得る。例えば、突起間の間隔が比較的狭いならば(例えば約25μm~約400μmまたは突起の幅の約5%~50%)、しぼんだ状態または非ひずみ状態におけるトラクションは一般に、より広い間隔を含む実施形態と比べ、減少する。試験は、そのような可変性のトラクションが、所与の列中の狭い間隔の突起が、一連の独立した突起ではなく連続構造(例えばリブ)によって提供される抗力およびトラクションをより近く近似する結果であることを示唆する。例えば、特定の試験中、部分的収縮状態にあるとき、それぞれ約40の突起を含む20の列を有する所与のバルーンのトラクションが、バルーンの長さに沿って伸びる20の連続するリブによって提供されるトラクションを近似することが認められた。しかし、突起間の間隔が増すと(例えば、バルーンを膨張させ、拡張させることにより)、トラクションが有意に増すことが認められた。とりわけ、トラクションの増加は、拡張状態にあるとき、突起がより密接しているときと比べ、400の突起の前縁の実質すべてが露呈し、生理学的管腔の内壁と完全に係合し、相互作用することができることに起因するものであった。
【0155】
突起は、部分的膨張状態にあるとき、それぞれのテクスチャ加工部分2508A、2508Bの各突起が長手方向軸に対して共通の横軸方向に伸びるように構成されている。換言するならば、テクスチャ加工部分2508Aの突起は、互いに対して平行に第一の横軸方向に伸び、テクスチャ加工部分2508Bの突起は、互いに対して平行に、第一の横向き方向とは反対である第二の横軸方向に伸びる。他の実施形態において、テクスチャ加工部分2508A、2508Bは、互いの反対側に配されていなくてもよいが、それでもなお、それぞれの横軸方向に伸びる突起を含む。
【0156】
図25Cに示すように、テクスチャ加工部分2508A、2508Bおよび非テクスチャ加工部分2510A、2510Bは、集合的に、バルーン2500の中間部分2504の周囲に伸びる。
図25Cに示す特定の例において、各テクスチャ加工部分2508A、2508Bは、中間部分2504の表面の約1/3に伸び、表面の残る1/3は、非テクスチャ加工部分2510A、2510Bの間で分割されている。しかし、バルーン2500のテクスチャ加工部分および非テクスチャ加工部分の分布が
図25A~Dに示すものとは異なってもよいことが理解されるべきである。
【0157】
前記のように、テーパ状の端部分2506A、2506Bの各々はそれぞれの環2507A、2507Bの中で終端する。一般に、各環2507A、2507Bは、オーバーチューブ、カテーテル、内視鏡または類似のツールに嵌まるようにサイズ設定され、成形されている。したがって、各環2507A、2507Bの形状および寸法は、バルーン2500が上に配される具体的な器具に依存して異なり得る。しかし、少なくとも特定の実施形態において、各環2507A、2507Bは、拡張することを意図したバルーン2500の他の部分に対して補強されてもよい。例えば、特定の実施形態において、各環2507A、2507Bの壁厚さはバルーン2500の残りの壁厚さの約1.25倍~約5倍(両端の値を含む)であってもよい。とりわけ、各環2507A、2507Bの厚肉化は、特にバルーン2500が膨張および収縮に付されるとき、オーバーチューブまたは他のツール上のバルーン2500の保持の改善を容易にする。
【0158】
図25Cに示すように、少なくとも特定の実施形態において、各突起の高さは、各突起が共通の半径まで伸びるように決定され得る。例えば、突起2514は、突起2514の先端の中心が半径r1まで伸びるような高さを有し、突起2516は、突起2516の先端の中心が、突起2514の半径r1と実質的に同じである半径r2まで伸びるような高さを有する。突起高さを決定するためのこの手法の代替解釈は、各突起が、各突起の上面の中点が共通の円上に位置するようにバルーン2500の表面から伸びるということである。
【0159】
次に
図25Dを参照すると、テクスチャ加工部分2508A、2508Bの突起のさらなる詳細を示すための、バルーン2500の中間部分2504の部分断面図が提供されている。特定の図示される設計において、バルーン2500の各突起(例えば突起2550A~2550E)は円錐台形を有する。平坦な頂部を有するものとして示されているが、少なくとも特定の実施形態において、各突起の上面は、本明細書中で先に説明したように、凹面形であってもよい。
【0160】
図25Dは、各突起の高さを選択する代替手法を示す。より具体的には、少なくとも特定の実施形態において、各列中の突起の高さは、隣接する列と列との間に所定の高さ差が出るように選択され得る。例えば、
図25Dは、隣接する列と列との間の高さの差に相当する寸法δ1を含む。図示するように、δ1は、隣接する列中の突起の上面が階段様に下るように隣接する列の連続する対の間で維持され得る。代替的に、δ1は、隣接する列と列との間で異なってもよい。本開示の実施形態においては様々なδ1値を使用し得るが、少なくとも特定の実施形態において、δ1は約5μm~約3mm(両端の値を含む)であり得る。前記手法は、各突起が、その先端の中点が共通の半径にあるか、または共通の円上に位置するように伸びる前記手法の代替として使用され得る。
【0161】
バルーン2500の具体的な寸法はバルーン2500の特定の用途に基づいて異なり得るが、少なくとも特定の実施形態において、バルーン2500は約10mm~約100mm(両端の値を含む)の全長を有し得る。そのような実施形態において、バルーンの中間部分2504は約5mm~約90mm(両端の値を含む)であり得、端部2506A、2506Bはそれぞれ約2mm~約10mm(両端の値を含む)であり得る。中間部分2504はまた、静止時/部分的膨張時の直径が約2mm~約50mm(両端の値を含む)であり、直径は、突起が伸びるところの中間部分2504の表面に相当する。中間部分2504はまた、約100μm~約3000μm(両端の値を含む)の壁厚さを有し得る。さらに、そのような実施形態において、各環2507A、2507Bは、約1mm~20mm(両端の値を含む)の外径および100μm~5000μm(両端の値を含む)の壁厚さを有し得る。前記寸法は単に例であると理解されるべきであり、前記寸法が指定の範囲を下回る、または上回る設計もまた、本開示の範囲内であるとみなされるべきである。
【0162】
次に
図26A~26Dを参照すると、非ひずみ状態にある第二のバルーン2600が提供されている。先に開示されたバルーン2500と同様に、バルーン2600は、長手方向軸2655に沿って伸びる細長いボディ2602を含み、細長いボディは中間部分2604およびテーパ状の端部分2606A、2606Bを含む。各端部2606A、2606Bは同様に、バルーン2600をオーバーチューブまたは類似のツールに結合するためのそれぞれの環2607A、2607Bの中で終端する。バルーン2600の中間部分2604はまた、互いの反対側に配されたテクスチャ加工部分2608A、2608Bおよびそれらの間に伸びる非テクスチャ加工部分2610A、2610Bを含む。
【0163】
図26Bによく見てとれるように、バルーン2600のテクスチャ加工部分2608A、2608Bは、均一に分布した突起の列2612を含む。上記バルーン2500の円錐台形突起とは対称的に、バルーン2600の突起は角錐台形を有する。同じく
図26Bに示すように、バルーン2600の突起の隣接する列は、バルーン2500のオフセットした構造と比べ、互いに対して整列し、バルーン2600の所与の列内の隣接する突起は、互いに接触するようにサイズ設定され、成形されている。これは、列中の隣接する突起どうしが離間しているバルーン2500の列とは対照的である。
【0164】
バルーン2500の突起と同様に、部分的膨張状態にあるとき、バルーン2600の突起2612は、それぞれのテクスチャ加工部分2608A、2508Bの各突起が長手方向軸に対して横向き方向に伸びるように構成されている。換言するならば、テクスチャ加工部分2608Aの突起は第一の横向き方向に伸び、テクスチャ加工部分2608Bの突起は、第一の横向き方向とは反対である第二の横向き方向に伸びる。
【0165】
次に
図26Dを参照すると、テクスチャ加工部分2608A、2608Bの突起(例えば突起2650A~2650E)のさらなる詳細を示すための、バルーン2600の中間部分2604の部分断面図が提供されている。前記のように、突起2650A~2650Eは、平坦な頂部を有する正方形ベースの角錐台形を有する。それにもかかわらず、各突起の上面は、本明細書中で先に説明したように、凹面形であってもよい。バルーン2500の突起のように、バルーン2600の突起の隣接する列は、突起の隣接する列と列との間の高さの変化(δ2として示す)が約5μm~約3mm(両端の値を含む)になるように構成され得る。あるいはまた、
図25Cに関連して上述したように、各突起は、各突起の先端の中点が共通の半径まで伸びる/共通の円上に位置するような高さを有し得る。
【0166】
バルーン2600の具体的な寸法はバルーン2600の特定の用途に基づいて異なり得るが、少なくとも特定の実施形態において、バルーン2600は約10mm~約100mm(両端の値を含む)の全長を有し得る。そのような実施形態において、バルーンの中間部分2604は約5mm~約90mm(両端の値を含む)であり得、端部2606A、2606Bはそれぞれ約2mm~約10mm(両端の値を含む)であり得る。中間部分2604はまた、静止時/部分的膨張時の直径が約2mm~約50mm(両端の値を含む)であり、直径は、突起が伸びるところの中間部分2604の表面に相当する。中間部分2604はまた、約100μm~約3000μm(両端の値を含む)の壁厚さを有し得る。さらに、そのような実施形態において、各環2607A、2607Bは、1mm~20mm(両端の値を含む)の外径および100μm~5000μm(両端の値を含む)の壁厚さを有し得る。前記寸法は単に例であると理解されるべきであり、前記寸法が指定の範囲を下回る、または上回る設計もまた、本開示の範囲内であるとみなされるべきである。
【0167】
次に
図27A~27Dを参照すると、非ひずみ状態にある第三のバルーン2700が提供されている。先に開示されたバルーンと同様に、バルーン2700は、長手方向軸2755に沿って伸びる細長いボディ2702を含み、細長いボディは中間部分2704およびテーパ状の端部分2706A、2706Bを含む。各端部2706A、2706Bは、バルーン2700をオーバーチューブまたは類似のツールに結合するためのそれぞれの環2707A、2707Bの中で終端する。バルーン2700の中間部分2704は、互いの反対側に配されたテクスチャ加工部分2708A、2708Bおよびそれらの間に伸びる非テクスチャ加工部分2710A、2710Bを含む。
【0168】
バルーン2700のテクスチャ加工部分2708A、2708Bは、均一に分布した突起、より具体的には角錐形の突起の列2712を含む。バルーン2600の突起の列と同様に、バルーン2700の突起の列2712は、互いに対して整列し、バルーン2700の所与の列内の隣接する突起は、互いに接触するようにサイズ設定され、成形されている。しかし、前記2つの例示的なバルーン2500、2600とは対照的に、バルーン2700の突起2712は、部分的膨張状態にあるとき、それぞれの各テクスチャ加工部分2708A、2708Bの各突起が半径方向に伸びるように構成されている。
【0169】
ここで
図27Dを参照すると、テクスチャ加工部分2708A、2708Bの突起のさらなる詳細を示すための、バルーン2700の中間部分2704の部分断面図が提供されている。前記のように、突起(例えば突起2750A~2750D)は角錐形を有する。しかし、角錐形の突起は、凹面形の上面を有する形状を含め、本明細書に記載される任意の他の適当な形状を有してもよい。
【0170】
バルーン2700の具体的な寸法はバルーン2700の特定の用途に基づいて異なり得るが、少なくとも特定の実施形態において、バルーン2700は約10mm~約100mm(両端の値を含む)の全長を有し得る。そのような実施形態において、バルーンの中間部分2704は約5mm~約90mm(両端の値を含む)であり得、端部2706A、2706Bはそれぞれ約2mm~約10mm(両端の値を含む)であり得る。中間部分2704はまた、静止時/部分的膨張時の直径が約2mm~約50mm(両端の値を含む)であり得、直径は、突起が伸びるところの中間部分2704の表面に相当する。中間部分2704はまた、約100μm~約3000μm(両端の値を含む)の壁厚さを有し得る。さらに、そのような実施形態において、各環2707A、2707Bは、1mm~20mm(両端の値を含む)の外径および100μm~5000μm(両端の値を含む)の壁厚さを有し得る。前記寸法は単に例であると理解されるべきであり、前記寸法が指定の範囲を下回る、または上回る設計もまた、本開示の範囲内であるとみなされるべきである。
【0171】
本明細書に記載された前記実施形態は一般に、オーバーチューブまたは類似の医療用ツールと同軸に取り付けられ、チューブを中心に実質的に均一な半径方向に拡張するバルーンを含む。それにもかかわらず、少なくとも特定の実施形態において、そのようなバルーンは、指向的に拡張するように構成されてもよいことが理解されるべきである。例えば、28Aおよび28Bは、オーバーチューブ2802に偏心的に取り付けられた第一の例示的なバルーン2800を示す。したがって、バルーン2800が膨張し、拡張するとき(
図28Aから28Bへの移行において示すように)、バルーン2800は、オーバーチューブ2802の一方の側に偏る。
【0172】
図29Aおよび29Bは、バルーン2900が、バルーン2900が取り付けられたオーバーチューブ2902または類似のツールから指向的に拡張するように構成されている代替実施形態を示す。そのような指向的拡張は、例えば、バルーン2900の他の部分と比べて増大した剛性を有する局所領域または側面(ハッシュ区域2904によって示す)を有するようにバルーンを形成することによって達成され得る。そのような補強は、例えば、拡張が少ない領域におけるバルーン2900の壁厚さを増すことによって;拡張が少ない領域により高剛性の材料を使用することによって;拡張が少ない領域に内部または外部のリブ、バンドまたは類似の補強構造を含めることによって;または、局所的に剛性を高めるための任意の他の適当な技術を使用することによって、達成され得る。
【0173】
指向的拡張に加えて、本開示に基づくバルーンは、その長さに沿って可変性の拡張を有してもよい。例えば、
図30Aおよび30Bは、オーバーチューブ3002または類似のツールに配されたバルーン3000の模式図である。
図30Aと30Bとの間の移行において示すように、膨らむとき、バルーン3004の近位部分は、バルーン3006の遠位部分よりも少ない程度に拡張する。
図29Aおよび29Bのバルーン2900と同様に、そのような可変性の拡張は、バルーン3000の長さに沿って材料、壁厚さおよび補強を変えることによって達成され得る。
【0174】
可変性の拡張を提供するためにバルーンの複数のセクションを選択的に補強することに加えて、またはそれに代えて、本開示に基づくバルーンは、選択的に拡張可能な別々の区画を含んでもよい。例えば、
図31は、オーバーチューブ3102または類似のツール上に配され、3つの隔離された別々の内部区画3104A~3104Cを画定する例示的なバルーン3100を示す。各区画3104A~3104Cは、区画3104A~3104Cの各々に空気が選択的に供給および除去されて、これらの区画の拡張および収縮を選択的に制御し得るように、独立して制御されるエアライン3106A~3106Cに接続される。
【0175】
図32は、可変的に拡張可能な領域を有するバルーンを提供するための代替手法を示す。より具体的には、
図32は、複数の独立して膨張可能な内部バルーン3204A、3204Bが中に配され得るシースまたは外側バルーン3200を示す。他方で、バルーン3200、3204Aおよび3204Bのそれぞれはオーバーチューブ3202または類似のツールに結合され得る。そのような実施形態において、外側バルーン3200は、本明細書に記載されるように、テクスチャ加工または突起を含み得るが、内部バルーンは実質的に滑らかであり得る。
図31の区画化されたバルーン3100と同様に、各内部バルーン3204A、3204Bは、それぞれの独立して制御されるエアライン3106A、3106Bと連通して、内部バルーンの膨張および収縮ならびに、結果として、外側バルーン3200の全体形状を選択的に制御し得る。
【0176】
本開示の特定の実施形態において、バルーンから伸びる突起は、突起の全体的剛性を高めるために補強され、これにより、生理学的管腔内のバルーンの輸送中または管腔内でのバルーンの固定後の屈曲または他の変形を防止または低減し得る。特定の実施形態において、突起のそのような補強はバルーンの内面に提供され得る。例えば、
図33~35はそれぞれ、突起に適用され得る内部補強の非限定的な例を示す。
図33は、例えば、各突起(例えば突起3302)が対応するバンプ(例えば、突起3302に対応するバンプ3304)または突起とは反対側のバルーン壁の類似の局所厚肉化によって個々に補強されている例示的なバルーン内面の一部分3300を示す。もう1つの例として、
図34は、複数の突起(例えば突起3402A~3402D)が、バルーンの内面に沿って伸びる対応するリッジ、リブまたは類似の補強構造(例えばリブ3404)によって連結されているもう1つの例示的なバルーン内面の一部分3400を示す。
図35は、そのような補強が不均一であってもよいことを示す、例示的なバルーン内面のもう1つの部分3500を示す。例えば、突起3502A~3502Cは、共通のまっすぐなリブ3504を使用して補強されているが、突起3506A~3406Dはバルーン材料のパッチ3508によって補強されている。
【0177】
突起の補強はまた、バルーンの外面上の突起を連結または接続することによって達成されてもよい。例えば、
図36は、隣接する突起(例えば突起3602A、3602B)が、それらの間に伸びるリブ3604によって連結または他のやり方で相互に補強されている第一の例示的なバルーンの外面の一部分3600を示す。
図37は、突起(例えば突起3702A~3702D)が連続的なリブ(例えばリブ3704)によって連結されている第二の例示的なバルーンの外面の一部分3700を示す。最後に、
図38は、不均一な突起補強を有する第三の例示的なバルーンの一部分3800を示す。例えば、突起3802Aは、そのもっとも近い隣接する突起のそれぞれに結合され、それらによって補強され、突起3802~3802Dは「L」字形パターンを形成するように補強され、突起3802E~3802Hは、それらの間に伸びるパッチ3804またはパッドによって補強されている。
【0178】
内部および外部突起補強の前記例は単に非限定的な例として意図されたものである。より一般的に、本開示に基づく突起の補強は、突起とは反対側のバルーンの内面にさらなる材料を提供すること、突起に隣接するバルーンの外面にさらなる材料を提供すること、または突起と突起との間に伸びるリブもしくは類似の構造を形成するなどによって突起間に機械的連結を形成することのいずれかまたは両方によって達成され得る。
【0179】
前記バルーン設計は、単に例として意図されたものであり、本開示の範囲を限定することを意図したものではない。むしろ、本明細書に開示される任意のバルーンの特徴が任意の適当なやり方で組み合わされてもよい。例えば、任意のサイズ、形状およびアレンジメントの突起が任意の対応するバルーン形状またはサイズとともに実現されてもよい。同様に、他の特徴、例えば制御されたしぼみに関連する特徴が本明細書における任意のバルーン設計開示に組み込まれてもよい。同様に、具体的なバルーン設計に関連して提供される任意の具体的な寸法または割合は単に例として意図されたものであり、限定的として解釈されるべきではない。より一般的に、本明細書に記載または例示されるバルーンの任意の特定の実施形態は、本開示に基づくバルーンの特徴の1つの可能な組み合わせとみなされるべきである。
【0180】
バルーン膨張/収縮システムを含むオーバーチューブアセンブリ
内視鏡オーバーチューブは、内視鏡処置を容易にするために設計されたスリーブ様のデバイスである。例えば上部内視鏡処置中、オーバーチューブは、とりわけ、挿管中の外傷から下咽頭を保護し、誤嚥から気道を保護し、鋭利な異物の抽出中に食道を保護するために使用され得る。同様に、小腸内視鏡検査および結腸内視鏡検査などの下部内視鏡処置中、オーバーチューブは、ループ形成を防ぎながら胃腸管の様々な構造を保護するために使用され得る。
【0181】
内視鏡バルーンを含む内視鏡プロセスにおいて、バルーンは、オーバーチューブに結合され得、オーバーチューブは、その長さに沿ってバルーンから1つまたは複数の近位ポートまで伸びる通路または管路を含み得る。例えば、特定の従来のバルーンオーバーチューブは、バルーンおよびオーバーチューブを膨張/収縮ポートおよび流体アクセスポートとともに含む。そのような従来のバルーンオーバーチューブは、多くの場合、1つまたは複数の小さなプラスチックチューブによってオーバーチューブに結合された別個の煩雑な膨張システムを使用して操作される。膨張システムは一般に、プラスチックチューブを介してオーバーチューブの膨張/収縮ポートに空気を供給し、そこから空気を抽出するためのポンプおよび弁を含む。そのようなシステムは、胃腸科医ユーザまたは技術者のいずれかが、フットペダルまたはハンドヘルドボタンによって作動させ得る。
【0182】
他の問題点の中でも、このような従来の膨張システムは、購入して操作するには高価であり、組み立てるのに時間がかかり、そして可搬性に欠けている。したがって、このような従来のシステムは、一般的に、従来のシステムのための資源を欠く場合がある設備において、または内視鏡検査センターの外での適用において、バルーン内視鏡検査が用いられるのを妨げている。
【0183】
前述の問題点に対処するために、とりわけ、改善されたオーバーチューブアセンブリが提供される。改善されたオーバーチューブアセンブリは、独立型または実質的に独立型のシステムを提供するために、オーバーチューブと一体化された膨張/収縮システムを含む。
【0184】
図39は、本開示に基づく例示的なオーバーチューブアセンブリ3900の略図である。図示するように、オーバーチューブアセンブリ3900は、内視鏡10上に配される。オーバーチューブアセンブリ3900は、バルーン3904に結合されたオーバーチューブ3902を含む。バルーンライン3906は、オーバーチューブ3902に沿ってまたはそこを通して、バルーン3904から膨張/収縮アセンブリ3908に延在する。特定の実施形態において、バルーンライン3906は、オーバーチューブ3902によって画定される管腔であってもよい、しかしながら、他の実施形態において、バルーンライン3906は、オーバーチューブ3902に結合されたか、またはその中に埋め込まれた別の管腔であってもよい。
【0185】
バルーン3904は、本明細書において論じる任意の実施形態に基づく1つまたは複数のテクスチャ加工部分を含む内視鏡バルーンであってもよいが、必ずしもこれに限定されない。
【0186】
膨張/収縮アセンブリ3908は、バルーン3904の膨張および収縮を容易にするためのさまざまなポートおよび制御を含む。例えば、膨張/収縮アセンブリ3908は、膨張ポート3910および収縮ポート3912の各々を含む。膨張ポート3910は、非限定的に、内視鏡検査または手術室、手動ポンプ、手動シリンジ、足踏み式フロアポンプ、または圧縮された空気の貯蔵器内で供給可能な「ハウスエア」を含み得る、圧搾空気の好適な源(図には示していない)に連結されるように適合されている。同様に、収縮ポート3912は、バルーン3904の急速な収縮を容易にするために真空に連結されるように構成されてもよい。代替的に、収縮ポート3912は、環境空気に開口していてもよい。オーバーチューブアセンブリ3900はさらに、オーバーチューブアセンブリ3900が中に配された生理学的管腔からの流体の注入または除去を容易にするために、流体入/出ポート3913などの、しかしこれらに限定されない他のポートを含んでもよい。
【0187】
膨張/収縮アセンブリ3908はさらに、バルーン3904を選択的に膨張および収縮させるための制御を含む。
図39に示した具体的な実施形態において、例えば、膨張/収縮アセンブリ3908は、膨張弁3916を選択的に開くための膨張ボタン3914と、収縮弁3920を選択的に開くための収縮ボタン3918の各々を含む。開かれた時(例えば、膨張ボタン3914を押すことによって)、膨張弁3916は、空気源から膨張/収縮アセンブリ3908のレギュレータ3922を通して、バルーンライン3906を介してバルーン3904に空気が流れるのを可能にする。同様に、開かれた時、収縮弁3920は、バルーン3904からバルーンライン3906を通して、そして収縮ポート3912の外に空気が流れるのを可能にする。
【0188】
述べたように、膨張/収縮アセンブリ3908は、膨張ポート3910とバルーンライン3906との間に配されたレギュレータ3922を含んでもよい。特定の実施形態において、レギュレータ3922は、予め決定された圧力で、予め決定された流量を提供するように固定されていてもよいが、しかしながら、少なくともいくつかの実施形態において、レギュレータ3922は、(例えば、調整ノブ3924またはレギュレータ3922に連結された類似の制御要素によって)調整可能であってもよい。
【0189】
膨張/収縮アセンブリ3908に含まれるさまざまな制御要素は、機械的、電子的、または両方の組み合わせであってもよい。電子コンポーネントが含まれる実施形態において、膨張/収縮アセンブリ3908は、一般的に、ボタン3914、3918からの入力を受けること、弁3916、3920を作動させること、およびレギュレータ3922を調整することなどの、しかしこれらに限定されないさまざまな機能を実行するために好適な回路、メモリ、および処理コンポーネントを含んでもよい。特定の実施形態において、膨張/収縮アセンブリ3908はまた、オペレータに、および/または、膨張/収縮アセンブリ3908からのデータを収集するために使用され得る1つまたは複数の遠隔コンピューティングデバイスに通信可能に結合されてもよい。任意の電子コンポーネントが膨張/収縮アセンブリ3908に含まれる範囲内で、膨張/収縮アセンブリ3908は、(バッテリなどの)オンボード電源をさらに含んでいてもよく、および/または、壁ソケットもしくは外部バッテリなどの外部電源に電気的に結合可能であってもよい。
【0190】
特定の実施形態において、膨張/収縮アセンブリ3908は、膨張ポート3910とレギュレータ3922との間にオンボードのポンプを含んでいてもよく、膨張ポート3910は、単純に周囲空気に開口されていてもよい。このような実施形態において、膨張/収縮アセンブリ3908はさらに、バルーン3904に提供される空気の質を改善するために、膨張ポート3910とレギュレータ3922との間に配された1つまたは複数の永続的または交換可能なフィルタ要素を含んでもよい。
【0191】
図39に示されるように、膨張/収縮アセンブリ3908は、オーバーチューブ3902の近位部分に直接連結されてもよい。特定の実施形態において、膨張/収縮アセンブリ3908は、片手で操作されるように特別なサイズおよび形状にされてもよく、これにより、使いやすさを改善し、他の作業を実行するためにユーザのもう一方の手を解放する。したがって、膨張/収縮アセンブリ3908のサイズおよび形状は、右、左、または両手利きのオペレーションのいずれかのために選ばれてもよい。
【0192】
少なくとも特定の実施形態において、膨張/収縮アセンブリ3908を含むオーバーチューブアセンブリ3900は、全体または一部において配置可能となるように構成されてもよい。例えば、特定の実施形態において、オーバーチューブアセンブリ3900は、再利用可能なまたはそうでなければ簡単に配置可能なオーバーチューブアセンブリ3900の特定のコンポーネントから、全体または一部取りはずされてもよい。
【0193】
前述のオーバーチューブアセンブリ3900は単なる例であり、本開示の実施形態は、上記で論じた具体的な実施形態に限定されるものではないことを理解すべきである。むしろ、本開示に基づくオーバーチューブアセンブリは、さらに一般的に、流れおよび圧力を調節するコンポーネントが連結され、このような流れおよび圧力を調節するコンポーネントが単体のアセンブリに一体化されたオーバーチューブを含んでいる。
【0194】
スプリット型オーバーチューブ
バルーンオーバーチューブを含む従来のオーバーチューブは、連続的な管状構造である。結果として、このようなオーバーチューブは、内視鏡の遠位端をオーバーチューブの近位端中に挿入して、オーバーチューブを通して内視鏡を延在させることによってのみ、内視鏡(または同様のツール)に据付けられ得る。このプロセスは必然的に、内視鏡が患者の外側にある必要があるので、結果として、任意の内視鏡検査手技の始めに実行されなければならない。しかしながら、特定の例では、医師は、手技の半ばまでオーバーチューブが必要か否かわからない場合がある。そのような手技の時、通常と異なる解剖または他の複雑な事態によって、患者に完全に挿管することが非常に難しい場合がある。また、医師は時々、首尾よく生検組織に対して内視鏡を容易にポジショニングすることができないことに気付く。これらの例示的な場合には、医師は、一般的に、内視鏡を患者から除去し、オーバーチューブを取り付け、患者に再挿管して、その以前の位置に内視鏡を送達する必要があるであろう。これは、増大された手技時間と、以前の最遠点までスコープを前進させる難題につながる。したがって、手技半ばにオーバーチューブを取り付けること、より具体的には、オーバーチューブを内視鏡に取り付けて、内視鏡との引っ掛かりを何ら失うことなく内視鏡の先端部までオーバーチューブを前進させ、患者から内視鏡を除去するか、またはそうでなければ手技において引き返すことができる必要性がある。
【0195】
前述の問題点に対処するために、とりわけ、スプリット型またはラップ型オーバーチューブがここで提供される。概して、スプリット型オーバーチューブは、長手方向に延在する割れ目を含み、これはオーバーチューブを開いて内視鏡上に配置するのを可能にする。スプリット型オーバーチューブの分離および/または内視鏡からの係脱を防ぐために、スプリット型オーバーチューブは、オーバーチューブを下にある内視鏡にしっかりと固定するための特徴を含んでもよい。例えば、特定の実施形態において、オーバーチューブは、内視鏡に摩擦的に係合するように適合された高摩擦内面を有してもよい。このような高摩擦特性は、スプリット型オーバーチューブの材料、内面に適用されたコーティングまたは接着剤、内面のテクスチャ加工などの結果であってもよい。特定の実施形態において、流体が2つのコンポーネント間の潤滑剤として作用するように、流体をオーバーチューブと内視鏡との間の環形の空間に導入することによって、オーバーチューブと内視鏡との間の摩擦を選択的に変更させてもよい。
【0196】
また、オーバーチューブは、いったん内視鏡に結合されるとオーバーチューブが割れるのを防ぐための特徴を含んでもよい。例えば、特定の実施形態において、内視鏡の周りで閉ざされた時に接触するオーバーチューブの表面は、互いに摩擦的に係合するようにテクスチャ加工されるかまたは処置されていてもよい。特定の実施形態において、オーバーチューブの部分が重なるように、オーバーチューブは、内視鏡の周りに巻き付くように構成されてもよい。前述の接触面のように、オーバーチューブの重なり部分はまた、互いに係合し、内視鏡の周りで閉ざされた構成にオーバーチューブを維持するように構成されたコーティング、テクスチャ加工、または構造上の特徴を含んでもよい。
【0197】
まず
図40Aおよび
図40Bを参照すると、内視鏡およびオーバーチューブアセンブリ4000が、分離および結合された構成の各々において図示されている。より具体的には、
図40Aは、オーバーチューブ4004に隣接する内視鏡20を図示している。オーバーチューブ4004は、オーバーチューブ4004が(例えば、「C」形状に)開かれ、内視鏡20の露出/エクスビボ部分がオーバーチューブ4004に側方から挿入され得るように、その長さに沿って延在する割れ目4006を含む。
図40Aおよび
図40Bでは直線として図示しているが、割れ目4006は、より多くは、オーバーチューブ4004の全長に沿って延在するが、そうすることにおいて、オーバーチューブ4004の周りにおよびそこに沿っての両方で延在してもよい。例えば、(図示のような)直線的な割れ目の代わりに、割れ目4006は、螺旋状であるか、または螺旋状に延在するセグメントを含んでもよい。
図40Bは、内視鏡20がオーバーチューブ4004内に配されたアセンブリ構成における内視鏡およびオーバーチューブアセンブリ4000を図示している。いったん内視鏡20上に配されると、オーバーチューブ4004は、内視鏡20に沿って、内視鏡20の先端まで(例えば、インビボで)前進されてもよい。
【0198】
オーバーチューブは、内視鏡20に沿って前進されてもよいが、特定の実施形態において、内視鏡20とオーバーチューブ4004との間の摩擦的係合は、いったんオーバーチューブ4004が据え付けられると、オーバーチューブ4004に対する内視鏡20の望ましくない動きに少なくともいくらかの抵抗をもたらすように設計されてもよい。
図41および
図42は、内視鏡20とオーバーチューブ4004との間の係合を変更する2つの例示的な手法を提供する。
【0199】
まず
図41を参照すると、第一の例示的なオーバーチューブ4100の断面図が提供される。図示するように、オーバーチューブ4100は、オーバーチューブ4100が内視鏡の挿入のために開かれるのを可能にする割れ目4106を含む。詳細Aに図示するように、オーバーチューブ4100の内面4108の少なくとも一部分は、予め決定された摩擦特性を有するコーティングまたは層4110を含んでもよい。同様に、
図42は、第二の例示的オーバーチューブ4200が提供された断面図である。図示するように、オーバーチューブ4200はまた、オーバーチューブ4200が内視鏡の挿入のために開かれるのを可能にする割れ目4206を含む。詳細Bに図示するように、オーバーチューブ4200の内面4208の少なくとも一部分は、内面4208の摩擦特性を変更するためのテクスチャ加工4210を含んでもよい。さまざまなテクスチャ加工が使用されてもよいが、少なくとも特定の実施形態において、このようなテクスチャ加工4210は、内視鏡バルーンの文脈において上述したテクスチャ加工に類似していてもよい。また、オーバーチューブ4100、4200と、それらが中で使用され得る任意の生理学的管腔との間の摩擦的係合を変更するために、オーバーチューブ4100、4200の外面の部分に類似のコーティングまたはテクスチャ加工が適用されてもよいことを正しく認識すべきである。
【0200】
まず
図43~46は、本開示に基づくスプリット型オーバーチューブの代替構成と、特に、そのようなオーバーチューブが内視鏡上で保持され得る異なる方法を図示している。
【0201】
図43を参照すると、内視鏡20上に配されたオーバーチューブ4300の断面図が提供される。図示するように、オーバーチューブ4300は、第一の表面4306Aおよび第二の表面4306Bを含む側方割れ目4304を含む。図示するように、内視鏡20上に配された時、第一の表面4306Aおよび第二の表面4306Bは接している。特定の実施形態において、オーバーチューブ4300は、第一の表面4306Aおよび第二の表面4306Bが積極的接触にある十分な剛性を有する材料から形成されてもよい。代替的にまたはさらに、第一の表面4306Aと第二の表面4306Bのうち一方または両方は、第一の表面4306Aと第二の表面4306Bとの間の摩擦的係合を増大させるためのコーティング、層、テクスチャ加工、接着剤、または類似の処置を有してもよい。
【0202】
図44は、内視鏡20上に配された別のオーバーチューブ4400の断面図である。図示するように、オーバーチューブ4400は、オーバーチューブ4400の重なり部分間に形成された割れ目4404を含む。より具体的には、内視鏡20を中心に配された時、オーバーチューブ4400の第一の部分4406Aは、オーバーチューブ4400の第二の部分4406Bに内向きに配され、第一の部分4406Aの内向き表面と、第二の部分4406Bの外向き表面との間に界面を形成する。特定の実施形態において、オーバーチューブ4400は、オーバーチューブ4400の第一の部分4406Aが、オーバーチューブ4400の第二の部分4406Bとの積極的接触に維持される十分な剛性を有する材料から形成されてもよい。代替的にまたはさらに、第一の部分4406Aの内向き表面と第二の部分4406Bの外面のうち一方または両方は、2つの部分4406A、4406B間の界面における摩擦的係合を増大させるためのコーティング、層、テクスチャ加工、または類似の処置を有してもよい。
【0203】
図45は、内視鏡20上に配された別のオーバーチューブ4500の断面図である。図示するように、そして
図44のオーバーチューブ4400と同様に、オーバーチューブ4500は、オーバーチューブ4500の重なり部分間に形成された割れ目4504を含む。より具体的に、内視鏡20を中心に配された時、オーバーチューブ4500の第一の部分4506Aは、オーバーチューブ4500の第二の部分4506Bに内向きに配され、第一の部分4506Aの内向き表面と、第二の部分4506Bの外向き表面との間に界面を形成している。界面における重なりに加え、第一の部分4506Aおよび第二の部分4506Bは、接合または係合構造を含んでもよい。例えば、
図45に図示するように、第一の部分4506Aは、第二の部分4506Bにおいて画定された対応する長手方向のグルーブ4512によって受けられるような形状にされた、一連の長手方向リッジ4510を含む。
【0204】
さらに別の例として、
図46は、内視鏡20上に配されたオーバーチューブアセンブリ4600の断面図である。図示するように、オーバーチューブアセンブリ4600は、複数のオーバーチューブを、より具体的には、内側オーバーチューブ4601および外側オーバーチューブ4650を含む。内側オーバーチューブ4601と外側オーバーチューブ4650の各々は、本明細書において論じる他のスプリット型オーバーチューブ設計のいずれかに類似していてもよく、しかしながら、本例の目的で、内側オーバーチューブ4601と外側オーバーチューブ4650の各々は、
図43のオーバーチューブ4300と類似している。より具体的には、内側オーバーチューブ4601は、側方割れ目4604を含み、第二の表面4606Bと接する第一の表面4606Aを含んでいる。同様に、外側オーバーチューブ4650は、側方割れ目4654を含み、第二の表面4656Bと接する第一の表面4656Aを含んでおり、側方割れ目4654は、外側オーバーチューブ4650内で受け入れることになる、内視鏡20を伴う内側オーバーチューブ4601の挿入を可能にしている。特定の実施形態において、内側オーバーチューブ4601は、回転可能であるか、またはそうでなければ外側オーバーチューブ4650内で可動であってもよい。
【0205】
少なくともいくつかの実施形態において、外側オーバーチューブ4650は、内側オーバーチューブ4601の一部分だけに沿って延在することを正しく認識すべきである。このような実施形態において、複数の外側オーバーチューブがまた、内側オーバーチューブ4650の長さに沿って分布されてもよい。さらに他の実施形態において、外側オーバーチューブ4650は、代わりに、スプリット型リング、ストラップ、クリップ、または閉じた構成における内側オーバーチューブ4601の周囲に延在してこれを維持するように適合された類似のコンポーネントに置き換えられてもよい。
【0206】
ここで、本開示に基づくオーバーチューブおよびオーバーチューブアセンブリのさらなる局面が、別の例示的なオーバーチューブアセンブリおよび関連する製造方法を図示する
図47~
図63を参照して今や提供される。
【0207】
図47~
図50は、オーバーチューブアセンブリ4700の等角図、平面図、正面図、および遠位端図である。先に論じたように、オーバーチューブアセンブリ4700は、細長/管状の医療用ツール上に配されてもよい。以下で論じる目的で、管状の医療用デバイスは、一般的に内視鏡を指すが、しかしながら、オーバーチューブアセンブリ4700は、内視鏡以外の医療用デバイスを含む一般的に管状の形状を有する他の医療用デバイスとともに働くように構成されてもよいことを理解すべきである。
【0208】
図47に図示するように、オーバーチューブアセンブリ4700は、可撓性の管状ボディ4704を有するオーバーチューブ4702を含む。管状ボディ4704は、一般的に(
図48および
図49に示す)近位端4706および遠位端4708を含む。管状ボディ4704は、近位端4706から遠位端4708に延在する割れ目4710を画定する。前述の例示的なオーバーチューブの文脈において述べたように、割れ目4710は、管状ボディ4704によって画定される管腔にツールを通すのとは対照的に、割れ目4710を通してツールを挿入することによって、オーバーチューブアセンブリ4700が内視鏡などの細長い医療用ツールを受け入れるのを可能にする。特に、少なくともいくつかの実施形態において、割れ目4710は、
図43~
図46の文脈において先に論じたように、管状ボディ4704の重なり部分を含んでもよい。
【0209】
オーバーチューブアセンブリ4700はさらに、膨張可能なバルーン4712および4714などの1つまたは複数の膨張可能なバルーンを含んでもよく、これらは管状ボディ4704の遠位部分4724上の管状ボディ4704の互いの反対側に配されるものとして図示している。管状ボディ4704によって画定され、そこを通して延在するそれぞれの給気管腔4716、4718を介して、空気は、膨張可能なバルーン4712、4714の各々に提供されるかまたはそこから除去されてもよい。図示していないが、少なくとも特定の実施形態において、給気管腔4716、4718の各々は、完全に管状ボディ4704を通して延在してもよく、インサートによってキャップされるか、またはそうでなければ管状ボディ4704の遠位端4708において封止されてもよい。また、図示していないが、各給気管腔4716、4718の近位端は、膨張可能なバルーン4712、4714に空気を提供するおよびそれらから空気を除去して通気等をする、1つまたは複数のポンプまたは類似の給気デバイスに連結されてもよい。本明細書では「給気管腔」として記載されるが、膨張可能なバルーン4712、4714に任意の適切な流体を送達するかまたはそれらから流体を除去する類似の管腔が実施されてもよい。
【0210】
オーバーチューブアセンブリ4700は、膨張可能なバルーン4712、4714を含むが、他の実施形態において、膨張可能なバルーン4712、4714は、省略されるかまたは他の流体制御特徴に置き換えられてもよい。バルーンが除去されて別のデバイスと置き換えられない実施形態において、給気管腔4716、4718が省略されてもよい。本明細書において論じた他の実施形態の膨張可能なバルーンは、同様に省略されてもよい。
【0211】
図50に最も明確に示すように、少なくともいくつかの実施形態において、給気管腔4716、4718は、割れ目4710の反対側に配されてもよく、一般的に、割れ目4710に並行して伸びていてもよい。他の実施形態において、給気管腔4716、4718は、割れ目4710に隣接する位置以外において、管状ボディ4704内に画定されてもよい。さらに、給気管腔4716、4718が長手方向に延在するものとして示される一方で、他の実施形態において、給気管腔4716、4718はまた、周方向にも同様に延在してもよい。また、割れ目4710は、管状ボディ4704の全長に沿って延在するが、給気管腔4716、4718は、オーバーチューブ4702の近位端4706から膨張可能なバルーン4712、4714まで延在するのに十分な管状ボディ4704の一部分に沿ってのみ延在してもよい。
【0212】
図47~
図49では単一の管状構造として図示しているが、少なくとも特定の実施形態において、管状ボディ4704は、付加的な構造要素および特徴に埋め込まれるかまたはそうでなければそれらを含んでもよい。例えば、管状ボディ4704は、リブ、リッジ、または管状ボディ4704の長さに沿って配された他の類似の構造要素の形態における補強を含んでもよい。特定の実施形態において、このような構造要素は、管状ボディ4704と一体的に形成されてもよい。他の実施形態において、このような構造要素は、代わりに、管状ボディ4704に埋め込まれるか、取り付けられるか、またはそうでなければ結合された別のコンポーネントであってもよい。別の例として、管状ボディ4704は、X線透視法を使用するオーバーチューブアセンブリ4700の目視を容易にするために、1つまたは複数のX線不透過性マーカを含んでもよい。補強構造と同様に、少なくとも特定の実施形態において、このようなマーカは、管状ボディ4704内に埋め込まれるかまたはそこに取り付けられてもよい。
【0213】
上述のように、
図47~
図49に図示する具体的な実施形態において、オーバーチューブアセンブリ4700は、オーバーチューブ4702の遠位端の近くおよびオーバーチューブ4702の互いの反対側に配された2つの膨張可能なバルーン4712、4714を含む。示されるように、膨張可能なバルーン4712、4714は、
図25A~
図25Dに図示し、上記で論じたバルーン2500のものと類似した円錐台状突出部の形態のテクスチャ加工を含む。円錐台状突出部により図示されているが、膨張可能なバルーン4712、4714は、それらの外面に本明細書において開示される任意のテクスチャ加工を含んでもよいことを理解すべきである。また、少なくともいくつかの実施形態において、膨張可能なバルーン4712、4714の少なくとも一方がテクスチャ加工されなくてもよいことを正しく認識すべきである。
【0214】
本具体的な実施形態は、単に例として提供されるのみであり、他の構成が企図される。例えば、特定の実施形態において、オーバーチューブアセンブリ4700は、1を含む任意の適切な数の膨張可能なバルーンを含んでもよい。また、1つまたは複数の膨張可能なバルーンは、オーバーチューブ4702に沿った任意の位置に配されてもよい。オーバーチューブアセンブリ4700が複数の膨張可能なバルーンを含む範囲内で、このようなバルーンは、オーバーチューブ4702に沿った異なる長手方向の位置に配されてもよい。同様に、膨張可能なバルーン4712、4714は、オーバーチューブアセンブリ4700の実質的に全周に集合的に延在してもよい一方、他の実施形態において、膨張可能なバルーンは、代わりに、オーバーチューブ4702の片側のみに配されるか、またはそうでなければオーバーチューブ4702の周りの一部分にのみ延在してもよい。
【0215】
図51は、オーバーチューブアセンブリ4700の部分的な長手方向断面図である。図示のように、オーバーチューブ4702の管状ボディ4704は、内視鏡20または他の医療用ツールを(
図49に示す)割れ目4710を介して受け入れる管状キャビティ4726を画定する。
図51はさらに、管状ボディ4704によって画定され、これに沿って延在する給気管腔4716を図示している。管状ボディ4704によって画定された各給気管腔は、1つまたは複数の膨張可能なバルーン4712、4714の内容積と連通している(バルーンのテクスチャ加工は、明確さのために
図51では省略する)。オーバーチューブアセンブリ4700の具体的な例では、例えば、給気管腔4716は、膨張可能なバルーン4712の内容積4713と連通している。より具体的には、管状ボディ4704は、給気管腔4716と連通するオーバーチューブポート4717を画定する。膨張可能なバルーン4712は、内容積4713と連通するバルーンポート4728を同様に画定する。組み立て中、そして
図51の詳細Cに図示するように、膨張可能なバルーン4712は、オーバーチューブポート4717およびバルーンポート4728も連通するように管状ボディ4704に結合され、これにより、オーバーチューブアセンブリ4700の使用中、バルーン4712の内容積4713と給気管腔4716との間を空気が流れるのを可能にする。
【0216】
特定の実施形態において、オーバーチューブポート4717とバルーンポート4728の各々は、管状ボディ4704およびバルーン4712の最初の押出加工、成形等の後に形成されてもよい。例えば、管状ボディ4704の押出加工に続いて、オーバーチューブポート4717は、管状ボディ4704の壁4730をカッティングし、打ち抜くこと等によって形成されてもよい。同様に、バルーン4712の形成に続いて、バルーン4712の壁4732を、バルーンポート4728を形成するために、カッティングし、打ち抜く等してもよい。代替的に、いずれの場合も、オーバーチューブポート4717またはバルーンポート4728のいずれも、押出加工、成形等のプロセスの間、直ぐに形成されてもよい。
【0217】
特定の実施形態において、中空の導管4734または類似の補強構造もまた、オーバーチューブポート4717とバルーンポート4728との間に延在し、膨張可能なバルーン4712の内容積4713と給気管腔4716との間に空気チャネルを提供してもよい。中空の導管4734は、オーバーチューブポート4717およびバルーンポート4728の形成後に挿入されてもよい。他の実施形態において、詳細C'に図示したように、導管4734は、代替的に、オーバーチューブポート4717とバルーンポート4728の各々を形成するために、管状ボディ4704の壁4730とバルーン4712の壁4732の各々を打ち抜くのに使用されてもよい。
【0218】
図52は、オーバーチューブアセンブリ4700の遠位端4708の詳細図である。とりわけ、
図52は、本開示の実施形態に含まれてもよい、管状ボディ4704の遠位端に形成された切欠き4750の包含を図示している。図示するように、切欠き4750は、一般的に、管状ボディ4704の遠位端4752から近位方向に延在し、割れ目4710に向かって次第に細くなり、そして最終的に割れ目4710と連通している。
【0219】
切欠き4750は、内視鏡などの細長い医療用ツールへのオーバーチューブアセンブリ4700の配置を容易にするために提供される。より具体的には、オーバーチューブアセンブリ4700を細長い医療用ツール上に配した時、細長い医療用ツールはまず切欠き4750に置かれる。オーバーチューブ4702がツール上に押されると、切欠き4750は、オーバーチューブ4702を割れ目4710に沿って開く楔のような作用をもたらし、これにより、オーバーチューブアセンブリ4700のツール上への配置を容易にしている。オーバーチューブ4702が特に厚いかまたは固い結果、切欠き4750によって与えられる付加的な梃子作用なしでの割れ目4710に沿った分離が難しい実施形態において、切欠き4750の包含は、特に有用である。切欠き4750は、
図52では三角形として示されているが、他の実施形態において、切欠き4750は、他の形状を有してもよい。しかしながら一般的に、切欠き4750は、オーバーチューブ4702の遠位端4752で始まり、近位方向に次第に細くなっている。
【0220】
図53および
図54は、それぞれ、オーバーチューブアセンブリ4700の膨張可能なバルーン4712の等角図および端面図である。より具体的には、
図53および
図54は、非ひずみ状態における膨張可能なバルーン4712を図示した。前に開示されたバルーンと同様に、バルーン4712は、中間部分5304およびテーパ状の端部分5306A、5306Bを含む細長いボディ5302を含んでいる。本明細書において前に示したバルーンとは対照的に、これはオーバーチューブまたは医療用ツールがそこを通して延在し得る実質的に円筒形の形状を有し、膨張可能なバルーン4712は、オーバーチューブアセンブリ4700のオーバーチューブ4702の外部上に配されるように意図された半環形の形状を有している。したがって、膨張可能なバルーン4712は、オーバーチューブ4702を受けるような形状にされた凹状内面5308を含む。特定の実施形態において、バルーン4712は、他の例では凹状内面5308を有するように形成されているが、しかしながら、バルーン4712は、長楕円形または「D」形状の断面を有してもよく、凹状面5308は、オーバーチューブ4702への適用に先行してバルーンの内面をくぼませることによって形成されてもよい。
【0221】
膨張可能なバルーン4712はさらに、テクスチャ加工された凸状外面5310を含んでもよい。図示するように、凸状外面5310上のテクスチャ加工5312は、長手方向に延在する円錐台状突起列を含むが、しかしながら、凸状外面5310のテクスチャ加工は、一般的に、本明細書において論じる任意のテクスチャ加工に合致してもよい。
【0222】
アセンブリを容易にするために、膨張可能なバルーン4712は、開口端5314などの1つまたは複数の開口端とともに形成されてもよい。組み立て中、開口端5314は、バルーン4712のオーバーチューブ4702への結合を容易にするために、バルーン4712の内容積へのアクセスを可能にする。例えば、バルーン4712は、オーバーチューブ4702上にポジショニングされてもよく、その後、バルーン4712とオーバーチューブ4702の各々は、バルーン4712内から同時に穴開けされて、
図51の文脈において先に論じたオーバーチューブポート4717およびバルーンポート4728を形成してもよい。同様に、バルーン4712の開口端5314は、
図51の詳細C'に図示するように、導管4734の挿入を可能にするために使用されてもよい。
図55から
図56(これらの各々は、オーバーチューブアセンブリ4700の等角図である)間の遷移において図示するように、開口端5314は最終的に(例えば、接着剤、プラスチック溶接、または類似のプロセスを使用して)閉じられ、これにより、膨張可能なバルーン4712を封止する。
【0223】
本開示の特定の実施形態において、オーバーチューブの管状ボディは、オーバーチューブのフレキシビリティを高めるために、カットアウトまたは類似の空隙を含んでもよい。特定の実施形態において、このような空隙は、管状ボディの長さに沿って比較的均一な、高められたフレキシビリティをもたらすために、オーバーチューブの長さに沿っておよびそのあちこちに均等に分布されてもよい。代替的に、このような空隙は、管状ボディのフレキシビリティを局所的に変えるために、特有の位置に(例えば、管状ボディの特定の長手方向位置および/または特定の側に)配されてもよい。特定の実施形態において、局所的な薄肉化、スコーリング、グルーブ等が同様に、その長さに沿って管状ボディのフレキシビリティを変えるために使用されてもよい。
【0224】
空隙または類似のフレキシビリティ変更特徴が管状ボディの長さに沿って配される実施形態において、管状ボディは、少なくとも部分的に低摩擦シース中に包まれていてもよい。例えば、内視鏡または類似の細長いツールへの管状アセンブリの結合に続いて、テープ、ラップ、または類似の低摩擦材料(例えば、シリコン)から形成された層が、オーバーチューブアセンブリのオーバーチューブに適用され、管状ボディ(および、特に、空隙の任意のエッジまたはフレキシビリティ変更特徴)と、中でツールが使用されている生理学的管腔との間の相互作用を低減させてもよい。
【0225】
例えば、
図57および
図58は、それぞれ、本開示に基づく上記で論じたフレキシビリティ変更特徴を含む、代替的なオーバーチューブアセンブリ5700の等角図および遠位端図である。より具体的には、
図57は、オーバーチューブアセンブリ5700の遠位部分を図示している。オーバーチューブアセンブリ5700は、オーバーチューブ5702の近位端(図には示していない)からオーバーチューブ5702の遠位端5708に延在する可撓性の管状ボディ5704を有するオーバーチューブ5702を含む。オーバーチューブアセンブリ4700の管状ボディ4704と同様に、管状ボディ5704は、その近位端から遠位端4708に延在して内視鏡または類似の細長いツールへのオーバーチューブアセンブリ5700の結合を容易にする割れ目4710を画定する。オーバーチューブアセンブリ5700はさらに、膨張可能なバルーン5712および5714などの1つまたは複数の膨張可能なバルーンを含み、これらは管状ボディ5704の遠位部分5724上の管状ボディ5704の互いの反対側に配されるものとして図示している。
【0226】
図57に図示するように、オーバーチューブアセンブリ5700の管状ボディ5704は、本明細書においてストリップまたはバックボーン5740と呼ばれる固い/連続的な部分を含み、そこから複数のリブまたはバンド(例えば、バンド5742A、5742B、およびバンド5744A、5744B)が延在している。結果として、空隙または間隙(例えば、バンド5742Aと5744Aの間の間隙5746)が、隣接するバンド間に形成される。間隙の結果として、
図47のオーバーチューブアセンブリ4700の管状ボディ4704などの実質的に連続的な管状ボディのフレキシビリティと比較して、管状ボディ5704の全体的なフレキシビリティは著しく高められる。
【0227】
特定の実施形態において、管状ボディ5704はさらに、バンドが結合される一対の可撓性のロッド5746A、5746Bを含んでもよく、これらは割れ目5710の反対側に沿って延在している。例えば、バンド5742Aと5744Aの各々がロッド5746Aに結合される一方、バンド5742Bと5744Bの各々がロッド5746Bに結合される。とりわけ、ロッド5746A、5746Bは、管状ボディ5704に対してさらなる構造上の安定性をもたらす。
【0228】
図57では管状ボディ5704の長さに沿って対となるように図示しているが、本開示の実施形態は、互いに対してオフセットされるバンドを含んでもよい。
【0229】
空気は、管状ボディ5704に沿って延在するそれぞれの給気管腔5716、5718を介して、膨張可能なバルーン5712、5714の各々に提供されるかまたはそれらから除去されてもよい。
図57に示すように、例示的なオーバーチューブアセンブリ5700の給気管腔5716、5718は、割れ目5710の反対に、バックボーン5740から内向きに延在している。特定の実施形態において、給気管腔5716、5718は、バックボーン5740と一体的に形成されてもよい。代替的に、給気管腔5716、5718は、任意の適切な方法を使用してバックボーン5740に結合された別個に形成された小管であってもよい。また別の代替として、給気管腔5716、5718は、ロッド5746A、5746Bによって画定され、それらを通して延在してもよい。
【0230】
給気管腔5716、5718は、割れ目5710と反対側のそれらの配置以外、上記で論じたオーバーチューブアセンブリ4700に含まれるものと構造的および機能的に類似している。より具体的には、組み立て中、給気管腔5716、5718は、(例えば、管状ボディおよびバルーンにおいて画定されたポートおよび/またはバルーンの内容積と給気管腔との間に延在する適切な導管を使用することによって)膨張可能なバルーン5712、5714の内容積と連通するように作られている。また、給気管腔5716、5718の近位端(図には示していない)は、ポンプまたは他の給気デバイス(図には示していない)に連結されて、給気管腔5716、5718を介して膨張可能なバルーン5712、5714の内容積に空気を供給するおよび/またはそこから空気を除去するように構成されている。特定の実施形態において、給気管腔5716、5718は、管状ボディ5704の全長に沿って延在してもよい。このような実施形態において、給気管腔5716、5718の遠位端はまた、(例えば、
図58に示すプラグ5748A、5748Bを使用して)キャップされ、プラグ接続され、またはそうでなければ封止されてもよい。
【0231】
バックボーン形式オーバーチューブの代替的な実施形態において、ロッド5746A、5746Bは省略されてもよく、管状ボディ5704は、コーム形式の結合スパインと類似して構成されてもよい。例えば、バンドは、バックボーン5740から延在し、管状ボディ5704の周りに周方向に延在し、そしてバックボーン5740の内面または外面のいずれかと接触するようになっていてもよい。このような実施形態において、バンドは、バックボーン5740の片側のみから延在するかまたは交互嵌合様式でバックボーン5740の両側から延在してもよい。少なくともいくつかの実施形態において、バンドは、バックボーンを越えて周方向に延在するように構成されてもよい。
【0232】
図59は、本開示に基づく、さらに別のオーバーチューブアセンブリ5900の部分的な等角図である。
図60は、オーバーチューブアセンブリ5900の遠位端のより詳細な等角図である。オーバーチューブアセンブリ5900は、オーバーチューブ5902の近位端(図には示していない)からオーバーチューブ5902の遠位端5908に延在する可撓性の管状ボディ5904を有するオーバーチューブ5902を含む。先に論じた実施形態の管状ボディと同様に、管状ボディ5904は、その近位端から遠位端5908に延在して内視鏡または類似の細長いツールとのオーバーチューブアセンブリ5900の結合を容易にする割れ目5910を画定する。割れ目5910は、ジッパー形式クロージャ5950を使用して閉じられた構成において示され、さらなる詳細を以下で論じる。オーバーチューブアセンブリ5900は、管状ボディ5904の遠位部分5924上の管状ボディ5904の互いの反対側に配されるものとして図示されている膨張可能なバルーン5912および5914などの、1つまたは複数の膨張可能なバルーンをさらに含む。
【0233】
オーバーチューブアセンブリ5700の管状ボディ5704と同様に、管状ボディ5904は、実質的に固体の管状ボディと比較すると、管状ボディ5904のフレキシビリティを変更するように構成された特徴を含む。特に、管状ボディ5904は、その長さに沿っておよびその周囲に分布された複数の空隙または穴(例えば、空隙5942)を画定する。
図57に図示した管状ボディ5704のバンド間の間隙と同様に、管状ボディ5904の空隙または穴は、管状ボディ5904の剛性を同様に低減させる。
【0234】
図59および
図60において、このような穴は、管状ボディ5904に沿って均一に分布されるものとして図示しているが、代わりに、管状ボディ5704のフレキシビリティを局所的に変更するために特定の位置に集中させてもよい。さらに、本開示の実施形態は、穴または空隙あるいは任意の特定の形状またはサイズに限定されない。
【0235】
空気は、それぞれの給気管腔5916、5918を介して膨張可能なバルーン5912、5914の各々に提供されるか、またはそれらから除去されてもよい。オーバーチューブアセンブリ5700の給気管腔5716、5718と同様に、オーバーチューブアセンブリ5900の給気管腔5916、5918は、割れ目5910と反対側に管状ボディ5904の一側面から内向きに延在するが、しかしながら、それらは提供された管状ボディ5904に沿って任意の適切な様式で配されるかまたはそうでなければ経路設定されてもよく、それらは膨張可能なバルーン5912、5914に空気が供給される/そこから除去されるのを可能にする。
【0236】
上述のように、オーバーチューブアセンブリ5900は、クロージャ機構を、特に、割れ目5910を閉じるのを容易にするためのジッパー形式クロージャ5950を含む。本開示のすべての実施形態において必須ではないが、ジッパー形式クロージャ5950などのクロージャ機構は、その形状および材料の結果として、管状ボディの閉じられた形状への任意の偏りに加え、内視鏡または他の細長いツール上のオーバーチューブアセンブリのさらなる補強および保持を提供することができる。
【0237】
本開示に基づく機械的クロージャは、管状ボディに一体化され、割れ目の少なくとも一部分に沿って延在するクロージャを含んでもよい。ジッパー様式クロージャ5950は、例えば、管状ボディ5904に結合されるかまたはそうでなければ一体化され、割れ目5910の実質的に一部分に沿って延在する。一体化されたクロージャの別の例が
図45に提供される。上記で論じたように、
図45に例示されるオーバーチューブ4500は、重なり部分4506A、4506Bが界面を形成する。オーバーチューブの重なり部分はさらに、オーバーチューブ4500が内視鏡または類似のツール上に配された時、互いに積極的に係合するような形状にされた対応するリッジ4510およびグルーブ4512を含む。
【0238】
他の実施形態において、オーバーチューブアセンブリの管状ボディは、インターロックのタブ、スナップ、クラスプ、または割れ目の長さに沿って配された他の類似のクロージャ機構を含んでもよい。
【0239】
代替的に、クロージャは、管状ボディに沿って配され、管状ボディに保持力を提供する別のコンポーネントであってもよい。例えば、1つまたは複数のクリップ、バンド、スプリット型リング、または類似の要素が、ツール上での管状ボディのさらなる保持をもたらすために、管状ボディへの細長いツールの挿入の後に管状ボディの長さに沿って配されてもよい。
【0240】
特定の実施形態において、クロージャ機構は、それらの使用を容易にするためのさらなるツールまたはコンポーネントを必要とする場合がある。例えば、
図61は、オーバーチューブアセンブリ5900のジッパー形式クロージャ5950を開閉するのに使用され得るプルタブツール5960を図示している。従来のジッパーと同様に、ジッパー形式クロージャ5950が開かれ/係脱された時、ジッパー形式クロージャ5950の各片方の遠位端5952A、5952Bは、プルタブツール5960の近位端の中に挿入されてもよい。その後、プルタブツール5960は、クロージャ両半分の相互嵌合歯5952A、5952Bに係合して、ジッパー形式クロージャ5950に沿って近位方向に移動されてもよい。少なくともいくつかの実施形態において、ジッパー形式クロージャ5950は、プルタブツール5960がジッパー形式クロージャ5950を閉じた後に係脱され得るように構成されてもよい。例えば、プルタブツール5960は、ジッパー形式クロージャ5950の近位範囲を超えてプルタブツール5960を摺動させ続けることによって係脱されてもよい。代替的な実施形態において、ジッパー形式クロージャ5950は、ジッパー形式クロージャ5950を閉じるために、両半分5952A、5952Bの近位端がプルタブツール5960の遠位端の中に挿入され、プルタブツール5960が遠位方向に移動され得るように構成されてもよい。
【0241】
図62は、別のオーバーチューブ6200および対応するクロージャツール6250の断面図である。図示するように、オーバーチューブ6200は、内視鏡20上に配される。図示のように、
図44のオーバーチューブ4400と
図45のオーバーチューブ4500と同様、オーバーチューブ6200は、オーバーチューブ6200の重なり部分間に形成された割れ目6204を含む。より具体的には、内視鏡20を中心に配された時、オーバーチューブ6200の第一の部分6206Aは、オーバーチューブ6200の第二の部分6206Bの内側に配され、第一の部分6206Aの内向き面と第二の部分6206Bの外向き面との間に界面を形成する。界面における重なりに加えて、第一の部分6206Aおよび第二の部分6206Bは、接合または係合構造を含んでもよい。特に、第一の部分6206Aは、第二の部分6206Bにおいて画定された対応するT形状グルーブ6212によって受けられるような形状にされたT形状リッジ6210を含む。
【0242】
特定の実施形態において、
図45および
図62に図示したもののような接合構造の係合は、オーバーチューブ上に配され、そこに適用され、またはそこに沿って動かされ得るツールによって容易にされてもよい。このようなツールは、接合構造を堅く係合することによって割れ目を閉じる実施形態において、特に有益であり得る。例えば、
図62に図示されたツール6250は、実質的に剛性であり、オーバーチューブの長さに沿って長手方向に嵌合して摺動するような形状にされている。ツールがオーバーチューブに沿って摺動されるにつれて、これがリッジ6210をグルーブ6212の中に押し込むので、これにより、オーバーチューブの割れ目6204を閉じる。より一般的には、しかしながら、ツール6250は、オーバーチューブの接合構造に係合するためにオーバーチューブ6200上に圧力を適用するのに適した任意のデバイスであってもよい。
【0243】
図63は、
図50~53のオーバーチューブアセンブリ4700などのオーバーチューブアセンブリを製造するための方法6300である。説明の目的のみで、オーバーチューブアセンブリ4700とそのコンポーネントを参照する。しかしながら、方法6300の実施形態は、
図50~
図53に図示されたオーバーチューブアセンブリ4700に限定されない。
【0244】
一般的に、製造方法は、オーバーチューブ4702の管状ボディ4704の各々と、膨張可能なバルーン4712、4714の各々を形成することを含む。管状ボディ4704を形成することは、一般的に、管状ボディ4704に沿って延在する割れ目4710を形成することを含む。その後、膨張可能なバルーン4712、4714の内容積がオーバーチューブ4702の給気管腔4716、4718と連通するように、膨張可能なバルーン4712、4714は管状ボディ4704に結合される。したがって、特定の実施形態において、管状ボディ4704のポートの各々が膨張可能なバルーン4712、4714のそれぞれのポートと連通するように、オーバーチューブアセンブリ4700を製造することは、バルーン4712、4714および/または管状ボディ4704におけるポートを形成することと、膨張可能なバルーン4712、4714を管状ボディ4704上に配することをさらに含んでもよい。
【0245】
前述を考慮すると、オペレーション6302は、管状ボディ4704を形成することを含む。任意の適切なプロセスが管状ボディ4704を形成するために使用されてもよいが、本開示の少なくとも一実施形態において、管状ボディ4704は、押出加工プロセスを使用して形成される。このような実施形態において、管状キャビティ4726および管状ボディ4704の給気管腔4716、4718の各々を形成するための形状にされたダイを有する押出加工機械を使用して、管状ボディ4704が形成されてもよい。
【0246】
少なくとも特定の実施形態において、管状ボディ4704は、ナイロン、PFA、PET、PTFE、FEP、HDPE、およびTPPEのうち少なくとも1つから形成される。また、管状ボディ4704の材料は、管状ボディ4704の表面摩擦を低減させるための接着剤を含んでもよい。例えば、具体的な一実施形態において、管状ボディは、Everglideによるハイトレル熱可塑性ポリエステル・エラストマーから形成されてもよい。特定の実施形態において、管状ボディ4704は、約0.25mm~約1.0mm(両端の値を含む)を含む壁厚さを有してもよい。このような実施形態に限定されないが、本開示に基づく、より薄い壁の管状ボディは、一般的に、薄壁の管状ボディが患者の生理学的管腔(例えば、GI管)内を前進するのに十分な剛性を有するように、より厚い壁の管状ボディよりもさらに剛性のポリマーから形成されてもよい。具体的な一実施形態において、管状ボディ4704の壁厚さは、約0.75mmであってもよい。具体的な寸法に限定されるものではないが、少なくとも特定の実施形態において、給気管腔4716、4718は、おおよそ0.8mmの直径およびおおよそ0.33mmの壁厚さを有してもよい。しかしながら、一般的に、管状ボディのサイズを最小化して、結果として生理学的管腔内の侵入される容積を最小化するために、本給気管腔直径および壁は、可能な限り小さく薄く作られてもよい。同様に、管状ボディの他の特徴は、可能な限り小さく薄くなるように形成されてもよく、より薄くより小さな特徴は、一般的に、結果として中に配置された生理学的管腔の任意の変化を通して動くことができる、よりフレキシブルでより良い管状ボディとなる。それにも関わらず、特定の材料(例えば、シラスティックポリマー)について、最小限の壁厚さおよび他の寸法は、製造によって制限される場合がある。また、もしも管腔が空気以外の流体を送達/除去するように意図された場合、管腔直径は、流体の増大した速度を考慮すると、空気と比較してより広くなる必要があり得る。
【0247】
管状ボディの形成は、管状ボディ4704の内面または外面のいずれかの一部分を処置して増大した摩擦をもたらす表面を含んでもよい。例えば、
図41および
図42の文脈において論じたように、本開示に基づくオーバーチューブの内面は、オーバーチューブ内に配される医療用ツールとの摩擦を増大させるために、選択的な位置にコーティングされるかまたは一体的に形成されたテクスチャ加工を有してもよい。同様に、
図59~
図66の文脈において以下で論じるように、オーバーチューブアセンブリ4700のオーバーチューブ4702を含む本開示に基づくデバイスの外面は、同様に、生理学的管腔の内壁との摩擦を増大させるために適合された外面を有してもよい。例えば、このような外面は、コーティングされるか、または前述の内面に類似した一体的に形成されたテクスチャ加工を含んでもよい。
【0248】
オペレーション6304において、管状ボディ4704の割れ目4710が形成される。少なくとも特定の実施形態において、割れ目4710の形成は、例えば、押出加工ダイを使用することによって押出加工プロセスの間に生じ、ここにおいて、管状ボディ4704の壁は連続的でない。したがって、管状ボディ4704を形成し(例えば、オペレーション6302)、管状ボディ4704に沿って割れ目4710を形成するプロセス(例えば、オペレーション6304)は、同時に生じてもよい。
【0249】
代替的に、管状ボディ4704の壁4730は、連続的な外周を有するように押出加工されるかまたはそうでなければ形成されてもよい。このような場合において、さらなるカッティング/スプリッティングプロセスが必要とされ得る。特定の場合には、管状ボディ4704が押出加工された時に開裂されるように、管状ボディ4704のスプリッティングは、押出加工機械に隣接して配されたナイフまたは類似のカッティングツールを使用して達成されてもよい。代替的に、管状ボディ4704が完全に押出加工された後に、ナイフまたは類似のカッティング器具が、管状ボディ4704を開裂するために使用されてもよい。少なくとも特定の実施形態において、管状ボディ4704は、スプリッティングを誘導するための継ぎ目または類似の薄壁部分とともにオペレーション6302において形成されてもよい。このような実施形態において、管状ボディ4704のスプリッティングが手によって、例えば、継ぎ目において管状ボディ4704を引き離すことによって達成され得るように継ぎ目が設計されてもよい。
【0250】
オペレーション6306において、切欠き4750は、管状ボディ4704の遠位端4708に形成される。前に
図52の文脈において論じたように、切欠き4750は、管状ボディ4704の遠位端4708に形成されて、内視鏡20または類似の細長い医療用チューブのオーバーチューブ4702への挿入を容易にしてもよい。より具体的には、オーバーチューブアセンブリ4700を内視鏡20上に配した時、内視鏡20はまず、切欠き4750の遠位範囲内に挿入される。切欠き4750の形成は、とりわけ、手によってまたは自動化された機械を使用することによってのいずれかで、管状ボディ4704をトリミングするかまたはそうでなければカッティングすることを含んでもよい。
【0251】
オペレーション6302~6306は、一般的に、管状ボディ4704の製造および形成に対応する。上記で論じたように、本開示の他の実施形態は、オーバーチューブアセンブリ4700に含まれないさらなる特徴および構造を含んでもよい。このような特徴が方法6300に明確に含まれない範囲で、このような特徴の形成は、それにも関わらず本開示に基づく製造方法に含まれるように企図される。例えば、そしてとりわけ、本開示に基づく製造方法は、管状ボディのフレキシビリティを変更することに向けられたオペレーションを含んでもよい。例えば、
図57のオーバーチューブアセンブリ5700を参照すると、本開示に基づく製造方法は、バンド(例えば、バンド5742A、5742Bおよびバンド5744A、5744B)(および、結果としてバンド間の間隙/空隙)を形成することと、ロッド5746A、5746Bにバンドを結合することを含んでもよい。別の例として、
図59のオーバーチューブアセンブリ5900を参照すると、管状ボディを形成することは、空隙(例えば、空隙5942)を形成することを含んでもよい。また、本開示に基づく製造方法は、管状ボディに対するさらなる特徴の形成または包含を含んでもよい。例えば、そして再び、
図59のオーバーチューブアセンブリ5900を参照すると、本開示の製造方法は、管状ボディに対してジッパー形式クロージャ5950などのクロージャ機構を付加することを含んでもよい。
【0252】
オペレーション6308において、バルーン4712、4714が形成される。バルーン製造方法の非限定的な例を、
図8および
図9の文脈において上記で論じた。しかしながら、概して、バルーン4712、4714を形成することは、一般的に、バルーン4712、4714の最初の形状を成形することまたはそうでなければ生成することを含む。特定の実施形態において、バルーン4712、4714は、一体的に形成されたテクスチャ加工を有してもよいが、しかしながら、他の場合では、テクスチャ加工は、最初の成形プロセスの後にバルーン4712、4714に適用されてもよい。バルーン4712、4714がオーバーチューブ4702に一致する形状を有して生成されない範囲で、バルーン4712、4714を形成することはさらに、オーバーチューブ4702に一致するようにバルーン4712、4714を操作するかまたは形成することを含んでもよい。
【0253】
オペレーション6310において、管状ボディ4704にポートが形成される。上記で説明したように、オーバーチューブポート(例えば、
図51に図示したオーバーチューブポート4717)は、給気管腔4716、4718のそれぞれと連通している。各空気オーバーチューブポートを形成することは、一般的に、通路が管状ボディ4704の外面から延在して給気管腔4716、4718のうちの1つで終端するように、管状ボディ4704の壁4730を通して通路を形成することを含む。したがって、オーバーチューブポートを形成することは、とりわけ、管状ボディ4704をカッティングし、打ち抜いて、または同様に変化させることを含んでもよい。
【0254】
オペレーション6312において、バルーンポートは、膨張可能なバルーン4712、4714内に形成される。前に論じたように、各膨張可能なバルーンは、一般的に、膨張可能なバルーンの内容積の中に空気を通すかまたはそこから除去して、これによりバルーンを膨張または収縮を可能にするバルーンポートを含む。オーバーチューブポートと同様に、各膨張可能なバルーンのためのバルーンポートは、膨張可能なバルーンの壁をカッティングし、打ち抜いて、または同様に変化させることによって形成されてもよい。
【0255】
オペレーション6314において、膨張可能なバルーン4712、4714は、管状ボディ4704に結合される。膨張可能なバルーン4712、4714の管状ボディ4704への結合は、一般的に、膨張可能なバルーン4712、4714を管状ボディ4704上に配することを含み、このような膨張可能なバルーン4712、4714のバルーンポートの各々は、管状ボディ4704のオーバーチューブポートのうちの1つと連通している。その後、膨張可能なバルーン4712、4714は、接着剤を使用すること、膨張可能なバルーン4712、4714を管状ボディ4704に融着させること、または他の任意の適切なプロセスなどによって、管状ボディ4704に取り付けられてもよい。
【0256】
オペレーション6316において、管状導管4734は、バルーンポートおよびオーバーチューブポートの各対を通して挿入されて、ポート間の経路を補強する。他の実施形態において、管状導管4734は省略されてもよい。
【0257】
特定の実施形態において、膨張可能なバルーン4712、4714は、バルーンポートまたはオーバーチューブポートのいずれかの形成に先行して管状ボディ4704に結合されてもよい。例えば、特定の実施形態において、バルーン4712、4714は、管状ボディ4704に結合されてもよく、その後、バルーンおよびオーバーチューブポートは、結合の後に管状ボディ4704およびバルーン4712、4714をカッティングすること、打ち抜くこと等によって実質的に同時式で形成されてもよい。他の実施形態において、管状導管4734を挿入する工程もまた生じてもよい。
【0258】
オペレーション6318において、もしも給気管腔がオーバーチューブ4702の全長に沿って延在した場合、給気管腔4716、4718の遠位端は封止されてもよい。例えば、キャップまたは類似のインサートが、給気管腔の遠位端に配されてもよい。他の実施形態において、フィルタまたは接着剤が、給気管腔の遠位端に注入されてもよい。同様に、そして
図55~
図56に図示するように、バルーン4712、4714は封止されてもよい(オペレーション6320)。
【0259】
前述の例示的実施形態は、単に本開示に基づくスプリット型オーバーチューブのさまざまな概念を示すように意図されているのみであり、非限定的であるとして考えるべきである。
【0260】
拡張可能なオーバーチューブ
特定の使用の場合において、そして特定の患者について、比較的小さな内視鏡しか所定の生理学的管腔を通して前進されないことがある。言い換えれば、胃腸病専門医または同様の医師または技術者は、手技を行う必要がある限り、より大きな直径のスコープを挿入してそのようなスコープを前進させるのを妨げられる場合がある。具体的な一例は、肥満症または他の類似の手技の結果生じる変化した解剖学的構造を有する患者についてである。
【0261】
他の場合には、手技のために側向内視鏡が最終的に必要とされ得るが、より大きな側向スコープを前進させることは、とりわけ、患者の解剖学的構造によって難題となり得る。このような場合には、前向内視鏡を使用して所望の位置に到達させる能力は、その後オーバーチューブを置くことができ、オーバーチューブがより大きなスコープ(例えば、側向スコープ)を所望の位置に誘導するのに使用され得る場合にのみ役立つ。
【0262】
前述の課題に対処するために、とりわけ、本開示は、拡張可能なオーバーチューブを含む。第一の構成において、第一の、より小さな内視鏡(または類似のツール)の挿入中に使用され得るように、拡張可能なオーバーチューブは、第一の、より小さな直径に圧縮される。第一の内視鏡の除去の際、第二の、より大きな内視鏡(または類似のツール)は、より大きなツールに適応するように拡大するオーバーチューブに挿入されてもよい。特定の実施形態において、例えば、第一の構成では、オーバーチューブはおおよそ10mmの内径を有してもよいが、より大きなツールの挿入に応答して15mm以上に拡大するように構成されてもよい。前述の拡大および縮小を容易にするために、オーバーチューブは、圧縮および拡張される構成の各々において、オーバーチューブに構造上の剛性を提供する埋め込まれたメッシュを含んでもよい。
【0263】
図64A~
図64Cは、本開示に基づく拡張可能なオーバーチューブを使用する例示的な手技を図示している。まず
図64Aを参照すると、生理学的管腔30が、中に内視鏡アセンブリ6400を配されて示され、内視鏡アセンブリ6400は、拡張可能なオーバーチューブ6404内に配された第一の内視鏡6402を含んでいる。
【0264】
第一の内視鏡6402は、拡張可能なオーバーチューブ6404を用いて患者に挿管する際に使用するための第一の直径を有してもよい。
図64Bに図示するように、いったん挿管されると、第一の内視鏡6402は除去されて、第二の内視鏡またはツール6406がオーバーチューブ6404中に挿入されてもよい。第二の内視鏡またはツール6406がオーバーチューブ6404を通して前進されるにつれ、外向きの力がオーバーチューブ6404に適用されて、これを拡張させる。特定の実施形態において、このような拡張は、外向きに拡張された時にその形状を保持するように構成されたオーバーチューブ6404内に埋め込まれたメッシュによって、部分的に容易にされてもよい。
【0265】
図64Cに示すように、第二の内視鏡またはツール6406は、その時拡張されているオーバーチューブ6404を超えて、
図64Aに図示した第一の内視鏡6402の元のポジションまで及ぶように前進されてもよい。
【0266】
オーバーチューブ6404の任意の表面は、本開示に基づくテクスチャ加工を含んでもよい。例えば、そして限定なく、オーバーチューブ6404の外面は、中にオーバーチューブ6404が配された生理学的管腔の内面とのオーバーチューブ6404の摩擦的係合を容易にするように構成されたテクスチャ加工を含んでもよい。このような摩擦的係合は、第二の、より大きなツール6406のオーバーチューブ6404への挿入に応答して、オーバーチューブ6404の拡張の間、オーバーチューブ6404の滑りまたはずれを防いでもよい。オーバーチューブ6404がテクスチャ加工された実施形態において、このようなテクスチャ加工は、オーバーチューブ6404の実質的に全長に適用されるかまたはオーバーチューブ6404の1つまたは複数のセグメントに適用されてもよい。特定の実施形態において、テクスチャ加工は、オーバーチューブ6404が第一の(例えば、圧縮された)構成にある時、第一の係合レベルを有するが、オーバーチューブが第二の(例えば、拡張された)構成にある時、第二の係合レベルを有するように構成されてもよく、第二の係合レベルは、オーバーチューブ6404のテクスチャ加工部分に適用されたひずみの差から結果として生じている。
【0267】
前述の例示的な実施形態は、本開示に基づく拡張可能なオーバーチューブのさまざまな概念および適用を単に実証するように意図されており、非限定的であるとして考えられるべきである。
【0268】
テクスチャ加工された内視鏡ツール
内視鏡手技は、組織の一部分の生検または類似の除去を含んでもよい。スネアまたは生検カテーテルを使用する時、スコープおよび関心対象の組織の位置が位置決めされ得るが、スネアを組織およびスコープに対して安定して保つように位置決めすることは、特に、スネア/生検カテーテルが一般的に、中で生検が行われる生理学的管腔内で支持されていないことから極めて難題である場合がある。
【0269】
前述の課題に対処するために、とりわけ、テクスチャ加工された内視鏡ツールが本明細書において提供される。一実施態様において、テクスチャ加工は、スネア、生検鉗子、または他の内視鏡胃腸病学ツールに適用される。このようなテクスチャ加工は、生理学的管腔の内壁にツールを摩擦的に係合させるかまたは接着して、除去される組織に対してツールを安定させるのを助けるために使用されてもよい。特定の実施形態において、テクスチャ加工は、スネア、生検ツール等それ自体に配される。代替的にまたはツール自体のテクスチャ加工に加えて、テクスチャ加工はまた、ツールが送達されるカテーテルに適用されてもよい。後者の場合には、カテーテルは、生理学的管腔の壁に接着し、このような接着によって安定される。
【0270】
ツールおよび/またはカテーテルへのテクスチャ加工はまた、組織(例えば、ポリープまたは生理学的管腔の壁)を引張して、組織除去を容易にするかまたは生理学的管腔の医師の視界を改善するために使用されてもよい。とりわけ、このような組織操作は、特にスネアまたは類似のツールが組織を把持するのに使用される従来の手法と比較した時、組織との比較的最小の係合に依拠する。
【0271】
図65は、内視鏡ツール6502が配された生理学的管腔6501を含むオペレーション環境6500の略図である。本例の目的で、生理学的管腔6501は、除去されることになるポリプ6503を含むように仮定されるが、しかしながら、本開示の実施形態は、このような適用に限定されないことを正しく認識すべきである。
【0272】
図示するように、内視鏡ツール6502は、カテーテル6506が延在され得る内視鏡ボディ6504を含む。内視鏡ツール6502はさらに、カテーテル6506内に配されてそこから延在するスネア6508を含む。図示するように、スネア6508は、後続の除去のためにポリープ6503を囲んで捕捉するのに使用され得るループ6510を含む。
図65のスネア6508は、単に、内視鏡ツールの非限定的な例として提供される。本開示は、限定なく、生検鉗子、ブラシ、ロッド、ガイドワイヤ、または任意の目的のために内視鏡ツール6502を介して送達され得る任意の他のツールを含む他のツールに等しく適用可能であることを理解すべきである。
【0273】
詳細Dに図示するように、スネア6508の少なくとも一部分は、スネア6508と生理学的管腔6501の内壁6505との間の摩擦的係合を増大させるように構成されたテクスチャ加工6512を含む。図示した具体的な例において、テクスチャ加工6512は、スネア6508から延在する一連の突起の形態にあって、ループ6510の近位に配されるが、しかしながら、内視鏡ツールに沿った任意の位置に適用される任意の適切なテクスチャ加工を代わりに使用してもよいことを理解すべきである。
【0274】
使用中、医師または技術者は、カテーテル6506からスネア6508を延在させて、テクスチャ加工6512が生理学的管腔6501の内壁6505に接触するようにスネア6508をポジショニングしてもよい。テクスチャ加工6512と内壁6505との間のこのような接触は、スネア6508を内壁6505に接着させて、これにより、スネア6508を安定化する。特定の実施形態において、医師または技術者は、生理学的管腔を操作するために(例えば、関心対象領域の可視度を改善するために、または、組織を動かして生検または組織除去をより容易にするために)いったん内壁6505に接着されると、スネア6508を前進させ、後退させ、またはそうでなければ操作してもよい。
【0275】
図66は、内視鏡ツール6602が配された生理学的管腔6601を含むオペレーション環境6600の略図である。本例の目的で、生理学的管腔6601は、除去されることになるポリープ6603を含むように仮定されるが、しかしながら、本開示の実施形態は、このような適用に限定されないことを正しく認識すべきである。
【0276】
図示するように、内視鏡ツール6602は、カテーテル6606が延在され得る内視鏡ボディ6604を含む。内視鏡ツール6602はさらに、カテーテル6606内に配されてそこから延在するスネア6608を含む。図示するように、スネア6608は、後続の除去のためにポリープ6603を囲んで捕捉するのに使用され得るループ6610を含む。前に論じたことと同様に、スネア6608は、単に内視鏡ツールの非限定的な例として提供される。
【0277】
詳細Eに図示するように、カテーテル6606の少なくとも一部分は、カテーテル6606と生理学的管腔6601の内壁6605との間の摩擦的係合を増大させるように構成されたテクスチャ加工6612を含む。図示した具体的な例において、テクスチャ加工6612は、カテーテル6606の遠位部分から延在する一連の突起の形態にあるが、しかしながら、カテーテル6606に沿った任意の位置に適用される任意の適切なテクスチャ加工が代わりに使用され得ることを理解すべきである。
【0278】
使用中、医師または技術者は、内視鏡ツール6602からカテーテル6606を延在させて、テクスチャ加工6612が生理学的管腔6601の内壁6605に接触するようにカテーテル6606をポジショニングしてもよい。このようなテクスチャ加工6612と内壁6605との間の接触は、カテーテル6606を内壁6605に接着させ、これによりカテーテル6606を安定化する。スネア6608は、所定の手技を行うためにカテーテル6606に対して、前進され、後退され、またはそうでなければ操作されてもよい。
【0279】
前述の実施形態は、単に例として意図されており、結果として非限定であるとして見るべきである。より一般的に、本開示は、カテーテルならびにカテーテルおよび/またはツールを組織に接着するように適合されたテクスチャ加工を含む内視鏡ツールに向けられている。特定の実施形態において、テクスチャ加工は、本明細書において論じたテクスチャ加工の具体的な例に基づいてもよいが、しかしながら、本開示の実施形態は、このような具体的な例に必ずしも限定されない。さらに、テクスチャ加工は、任意の適切な技術を使用してツール/カテーテルに適用されてもよい。例えば、そして限定なく、テクスチャ加工は、ツール/カテーテル上に一体的に形成されてもよく、外層もしくはコーティングとして適用されてもよく、または(例えば、オーバーモールディングまたはスプレー蒸着によって)ツール/カテーテル上に形成されてもよい。
【0280】
テクスチャ加工されたステント
本開示のさらに別の局面において、テクスチャ加工されたステントが提供され、これは、このようなステントの固着を改善し、ステントの再ポジショニングまたはそうでなければ調整することに関連する移動およびさらなる干渉の可能性を低減する。
【0281】
具体的な一実施形態において、ステントは、胆管および胃腸管などの管において使用するために提供される。胆管および胃腸管適用において、ステントは、一時的または永続的に係留されて、管を開いて胃腸管への適当なドレナージを容易にする。さまざまな理由から、胆管および膵管は炎症を起こすことがあり、このような炎症によって閉鎖を強いられる。したがって、ステントは普通、炎症を起こした組織が治癒される間、管が排液するのを可能にするために置かれる。しかしながら、前述のように、ステント移動は、かなりの難題を提示することがある。
【0282】
図67は、管に対する係留を改善するためのさまざまな特徴を有する、管に関連する適用における使用のための例示的なステント6700である。
図67に示すように、ステント6700は、管状ボディ6702を含み、これは付加的に、広がった端部、かぎ、とげ、または類似の保持構造6704A、6704Bにおいて終端してもよい。しかしながら、特定の実施形態において、保持構造6704A、6704Bは、以下で論じる他の保持特徴のために省略されてもよい。
【0283】
図示するように、ステントボディ6702は、その長さに沿ったテクスチャ加工を含んでもよい。このようなテクスチャ加工は、実質的にボディ6702の全長に沿ってまたはボディ6702の特定のセグメントに沿って適用されてもよい。例えば、
図67に図示されるステント6700は、3つの別のテクスチャ加工されたセグメント6706A~Cを含む。テクスチャ加工はまた、端部保持構造6704A、6704Bの各々に適用される。使用において、ステント6700上のテクスチャ加工は、ステント6700と生理学的管腔またはステント6700が中に挿入される構造との間の摩擦/接着を増大させることによって係留を改善する。
【0284】
特定の実施形態において、テクスチャ加工は、ステントボディ6702と一体型であってもよい。例えば、ステント6700は、成形するプロセスの一部として表面に含まれるテクスチャ加工とともに、シリコンまたは他のポリマー材料を使用して成形されてもよい。他の実施形態において、ボディ6702は最初にテクスチャ加工なしで形成されてもよく、テクスチャ加工が後で適用されてもよい。例えば、テクスチャ加工は、他の製造手法の中でも、テクスチャ加工、テクスチャ加工のボディ6702へのオーバーモールディング、またはテクスチャ加工をボディ6702にスプレーすることを含む、ボディ6702に層またはコーティングを適用することによって適用されてもよい。
【0285】
ステント6700は、さまざまな材料から製造されてもよく、それらの各々は、1つまたは複数の具体的な適用に適したデュロメーターを有してもよい。ステント6700はまた、複数の材料から形成されてもよい。例えば、ステント6700の特定のセクションは、ステント6700の曲げ加工を容易にするために比較的低いデュロメーターの材料から形成されてもよいが、他のセクションは、比較的高いデュロメーターの材料から形成されて、局所化された構造上の整合性をもたらしてもよい。別の例示的実施形態において、ステント6700は、外層よりも高いデュロメーターを有するステント6700の内層を有する複数の層を含んでもよい。さらに別の例示的実施形態において、ステントボディ6702は、第一のデュロメーターを有する第一の材料から形成されてもよいが、ボディ6702に適用されたテクスチャ加工部分またはテクスチャ加工は、第二のデュロメーターを有してもよい。
【0286】
ステント6700のテクスチャ加工は、本明細書において論じたさまざまな例示的テクスチャ加工パターンを含むが、これらに限定されないさまざまな形態をとってもよい。
【0287】
本開示の別の実施形態において、生理学的管腔内への植え込みのためにテクスチャ加工されたステントが提供される。このようなステントは、例えば、患者の胃腸管または脈管構造内で使用されてもよい。
【0288】
前に論じたステントと同様に、従来の胃腸管および脈管ステントは、配置された後に移動する場合がある。したがって、このようなステントの配置および係留は、典型的に、ステントをあるべき場所に保つための縫合、および/または、ステントが脈管またはGI壁に対して維持されるように外向き放射方向荷重をステントに適用する機構の使用を含む。いずれの場合も、ステントの配置および移動の防止は、結果としてさらなる工程および手技を生じさせ、これらは手術時間を増大させ、および/または、ステントの植え込み中のさらなる複雑化の可能性を引き上げる場合がある。
【0289】
前述の課題に対処するために、とりわけ、本開示は、生理学的管腔内への植え込みのためのテクスチャ加工されたステントを含む。ステントは、ステントと生理学的管腔の内壁との間の摩擦的係合/接着を増大させるためのテクスチャ加工された表面により(全体的にまたは部分的に)覆われ得る拡張可能なボディ(例えば、拡張可能なメッシュ)を含む。
【0290】
図68A~
図68Cは、テクスチャ加工されたステント6800を植え込む例示的なプロセスを図示している。まず
図68Aを参照すると、第一の、圧縮された構成において、テクスチャ加工されたステント6800が、配置ツール6802上に配されてもよい。その後、配置ツール6802を、生理学的管腔6801内で前進させ、ステント6800を植え込み位置にポジショニングしてもよい。
【0291】
位置決めされた時、ステント6800は、その表面が生理学的管腔6801の内面6803に接触するように、ステント6800を拡張することによって配置されてもよい。他の配置方法が植え込まれてもよいが、図示した例では、配置ツール6802は、膨張されて、ステント6800を拡張させて内面6803に接触させるための拡張可能なバルーン6806を含む(
図68Bに示す)。拡張された時、ステント6800のテクスチャ加工された表面は、従来の滑らかなステントと比較すると増大された摩擦および接着を提供するテクスチャ加工により、内面6803に接する。
【0292】
ステント6800の配置に続いて、バルーン6806は、ステント6800をあるべき場所に残し、収縮し、生理学的管腔6801内から除去されてもよい(
図68Cに示す)。
【0293】
前述のように、テクスチャ加工は、ステント6800の一部または全体的な外面に適用されてもよい。例えば、特定の実施形態において、テクスチャ加工は、ステント6800を中心に延在する1つまたは複数の周方向バンドにおいて適用されてもよい。別の実施形態において、テクスチャ加工は、ステント6800の外面を中心に分布された別々のセクションまたはブロックに適用されてもよい。
【0294】
前のステントと同様に、テクスチャ加工は、ステント6800のボディと一体的に形成されてもよく、または(例えば、層またはコーティング、オーバーモールディング等を適用することによって)後続のプロセスに付加されてもよい。
【0295】
上記のバルーンの文脈で論じたように、ステント6800のテクスチャ加工は、異なる構成において異なる摩擦/接着特性を有するように構成されてもよい。例えば、
図68Aに図示した圧縮された構成にある時、テクスチャ加工は、ステント6800の送達中に生理学的管腔への接着を防ぐかまたは最小化するために、比較的低い摩擦係数を有してもよい。しかしながら、ステント6800の配置の間に適用されるひずみに応答して、テクスチャ加工の摩擦係数は、ステント6800の生理学的管腔内での係留を容易にするために増大してもよい。
【0296】
図69は、本開示に基づく別のステント6900の略図である。図示するように、ステント6900は、テーパ型の先端6904を有するボディ6902を含む。このようなステントは、胆管における流動性を促進するのに使用されてもよい。前に論じたステントと同様に、ステントボディ6902は、少なくとも部分的にテクスチャ加工されてもよいので、植え込まれた時、ステントボディ6902のテクスチャ加工は、生理学的管腔または他の組織の壁に摩擦的に係合/接着し、これにより、植え込みに続くステント6900の移動に抵抗する。ステントボディ6902の直径は変わってもよいが、少なくとも一実施形態において、ステントボディ6902は、おおよそ10Frの第一の直径からおおよそ8.5Frの第二の直径まで次第に細くなっている。特定の実施形態において、テーパ型の先端6904は、(以下に記載する)プッシャーカテーテル6908の使用を可能にするように低減されてもよいが、ガイドワイヤが通され得る穴または管腔を含んでもよい。
【0297】
特定の実施形態において、ボディ6902は、流動性を可能にするために、その長さに沿って1つまたは複数のポートまたは開口部を画定してもよい。例えば、実施形態、少なくとも一実施形態において、複数のポート6906A~6906Eは、渦巻状/螺旋状アレンジメントにおいて、ボディ6902の長さに沿って分布されてもよい。具体的な一実施形態において、ポート6906A~6906Eの間隔は、おおよそ1cmであってもよい。
【0298】
ステント6900は、さまざまな技術を使用して前進され/植え込まれてもよいが、少なくとも1つの手法において、プッシャーカテーテル6908は、ステントボディ6902に挿入されて、テーパ型の先端6904の内側に接するように作られる。その後、ステント6900は、プッシャ―カテーテル6908を使用して、近位端から押されてもよい。
【0299】
腹腔鏡および類似の手術ツール
別の例示的な適用のように、本開示に基づくテクスチャ加工は、腹腔鏡ツールの文脈において適用されてもよい。例えば、
図70は、オペレーション環境7000と、特に、腹壁7004および腹部臓器7006を含む患者腹部7002の断面図を図示している。
【0300】
オペレーション環境7000はさらに、一対の手術ツールアセンブリ7008A、7008Bを含み、これらは
図70の特定の例において、手動の腹腔鏡ツールアセンブリである。手術ツールアセンブリ7008Aは、腹壁7004を通して延在して内部の腹腔キャビティ7005へのアクセスを提供し得るトロカール/ポートアセンブリ7010Aを含み、これは、腹腔鏡手技の場合、手術の間吹送されてもよい。手術ツールアセンブリ7008Aはさらに、ツールエンドエフェクタ7016Aで終端するツールシャフト7014Aを含む手術ツール7012Aを含む。手術ツールアセンブリ7008Bは、同様に、ツールエンドエフェクタ7016Bで終端するツールシャフト7014Bを含む手術ツール7012Bを含む。明確性および簡潔性のために、以下で論じることは、手術ツールアセンブリ7008Aにのみ言及するが、しかしながら、手術ツールアセンブリ7008Aの記載は、一般的に、手術ツールアセンブリ7008Bに適用可能である。
【0301】
以下でさらに詳細に論じるように、手術ツール7012Aの少なくとも一部分は、本開示に基づくテクスチャ加工された表面を含んでもよい。例えば、ツールシャフト7014Aおよびツールエンドエフェクタ7016Aのうち一方または両方は、本明細書において説明したように、少なくとも部分的にテクスチャ加工されてもよい。とりわけ、このようなテクスチャ加工は、腹部の組織および臓器の操作および/または保持を容易にしてもよい。例えば、そして
図70に図示するように、手術の間、ツールシャフト7014Aは、内部の臓器を脇へ動かすかまたは保つように作られてもよい。ツールシャフト7014Aに適用されるテクスチャ加工は、一般的に、ツールシャフト7014Aと組織/臓器との間のグリップ/接着を増大させてもよく、これにより、組織/臓器にわたる制御度合を改善し、組織/臓器がツールシャフト7014Aから滑るであろう可能性を低減させる。前述のように、テクスチャ加工はまた、もしくは代替的に、ツールエンドエフェクタ7016Aに適用されて、同様にツールエンドエフェクタ7016Aの接着および保持を増大させてもよい。
【0302】
図71および
図72は、手術ツール7012Aの異なる実施形態を、特に、手術ツール7012Aをテクスチャ加工することに対する異なる手法を図示している。まず
図65を参照すると、手術ツール7012Aは、ツールシャフト7014Aに沿って配された第一のテクスチャ加工部分7020と、ツールエンドエフェクタ7016Aに対応する第二のテクスチャ加工部分7022とを有して示されている。
【0303】
第一のテクスチャ加工部分7020は、さまざまな方法で形成されてもよい。例えば、そして限定なく、少なくとも特定の実施形態において、テクスチャ加工部分7020は、ツールシャフト7014Aと一体的に形成されてもよい。他の例では、テクスチャ加工部分7020は、ツールシャフト7014A上にオーバーモールディングされてもよい。さらに他の実施形態において、テクスチャ加工部分7020は、ツールシャフト7014Aの近位および/または遠位のセグメントに挿入されて結合された、ツールシャフト7014Aの別のセグメントであってもよい。またさらに他の実施形態において、テクスチャ加工部分7020は、ツールシャフト7014A上にコーティングまたは類似の処置を適用することによって形成されてもよい。
【0304】
ツールエンドエフェクタ7016Aに対応する第二のテクスチャ加工部分7022は、同様に、ツールエンドエフェクタ7016Aのオーバーモールディングまたはコーティングなどによって、ツールエンドエフェクタ7016Aと一体的に形成されるかまたはツールエンドエフェクタ7016A上に形成されてもよい。
図70ではツールエンドエフェクタ7016A全体に適用されるものとして図示するが、テクスチャ加工は、代替的に、ツールエンドエフェクタ7016Aの一部分のみに適用されてもよい。例えば、そして限定なく、ある適用において、テクスチャ加工は、ツールエンドエフェクタ7016Aの近位面のみに適用されてもよい。ツールエンドエフェクタ7016Aが、ジョーを含む把持器タイプのツールである別の例示的実施形態において、テクスチャ加工は、ジョーの内面のみに適用されてもよい。
【0305】
図72は、テクスチャ加工されたカバー7024がツールシャフト7014A上に配された手術ツール7012Aの代替的な実施形態である。特定の実施形態において、テクスチャ加工されたカバー7024は、ツールシャフト7014Aが挿入されるシースであってもよく、シースの外面は、本明細書において説明したテクスチャ加工を有している。その後、シースは、ツールシャフト7014Aに接着されて、縮着されて、またはそうでなければ保持されてもよい。代替的な実施形態において、テクスチャ加工されたカバー7024は、ラップ、テープ等の形態であってもよく、これは、ツールシャフト7014Aの周囲に巻き付いている。ラップ/テープを保持するために、巻き付けに先行して、接着剤が、ツールシャフト7014Aまたはラップ/テープに適用されてもよい。代替的に、ラップ/テープは、接着性の裏地を有してもよい。
【0306】
図70~
図72では手動の腹腔鏡ツールとして図示されるが、本開示の実施形態は、ロボット制御されるツールを含む作動ツールを含んでもよい。
図70~
図72のさまざまな局面はまた、図示された把持器タイプのツールに限定されるものではなく、他の腹腔鏡ツールおよび他の非腹腔鏡ツールを含む、他のツールへの記載されたテクスチャ加工の適用が企図される。
【0307】
特定のステント適用において、本開示に基づくステントのテクスチャ加工は、ステントの外面から外向きに延在する突起、リッジ、または類似の構造を含んでもよい。特定の実施形態において、このような突起は、実質的に放射方向に延在する。しかしながら、他の実施形態において、テクスチャ加工の少なくとも一部分は、ステントの端部に向かってスイープされるかまたは偏っていてもよい。そうすることによって、テクスチャ加工は、偏り方向の動きに対するさらなる抵抗を提供する一方で、反対方向への低減された抵抗を提供してもよい。そして例えば、テクスチャ加工によって提供された摩擦は、挿入および前進の間低減されるが、(例えば、血流、蠕動等によって生じた潜在的な動きに逆らうために)配置に従った前進の反対方向では増大されるように、ステントは、前進の方向とは反対方向にバックスイープされるテクスチャ加工を含んでもよい。また、(例えば、テクスチャ加工の角度を変えるためにステントを選択的に拡張させるかまたは圧縮することによる)偏ったテクスチャ加工およびこのような偏りの制御は、これが医師および技術者がテクスチャ加工によって提供された抵抗/接着を動的に変更できるようにするので、ステントの除去を容易にし得る。
【0308】
本開示に基づくステントの少なくともいくつかの実施形態において、ステントのテクスチャ加工は、金属性または類似の支持層にテクスチャ加工を適用することを含んでもよい。例えば、管状または拡張可能な金属性ステントのテクスチャ加工は、支持層をコーティングすること、テクスチャ加工を含む接着層を支持層に適用すること、テクスチャ加工を支持層にスプレーすること、テクスチャ加工を支持層にオーバーモールディングすること、またはテクスチャ加工を支持層に適用する他の任意の適切な方法によって適用されてもよい。
【0309】
前述の開示で論じた原理は、上記で明示的に特定されない方法で組み合わせてもよいことを理解すべきである。例えば、内視鏡バルーンの文脈で論じたテクスチャ加工のさまざまな局面(例えば、寸法、材料、感覚、ひずみ応答等)は、本明細書において論じた他のコンポーネント(例えば、内視鏡、オーバーチューブ、内視鏡ツール、ステント等)のいずれかに適用されてもよい。結果として、テクスチャ加工などの所定の特徴が特定の適用またはコンポーネントに関して記載される範囲で、任意のこのような記載は、本明細書において論じた他の任意の類似の特徴に等しく適用可能となるように考慮すべきである。
【0310】
本開示はさらに、本開示に基づく医療用デバイスを含むキットにも関する。特定の実施形態において、キットは、本明細書に説明するような突起を有する少なくとも1つの膨張可能なバルーンを含む、内視鏡または類似の医療用デバイスを含む。他の実施形態において、キットは、本明細書に説明するような突起を有するバルーンを含むカテーテルをさらに含む。さらに他の実施形態において、キットは、本開示に基づく医療用デバイスを用いる方法を詳述した指示資料を含む。なお別の実施形態において、キットは、本明細書に説明するようなバルーンをその各々が含む、内視鏡およびカテーテルの各々を含む。なお他の実施形態において、キットは、内視鏡およびカテーテルを用いる方法を詳述した指示資料を含む。
【0311】
本明細書において用いる、以下の用語の各々は、本セクションにおいてそれに関連付けられる意味を有する。
【0312】
本明細書において用いるすべての技術用語および科学用語は、別段の定義がない限り、概して、本開示が属する分野の当業者によって広く理解されるものと同じ意味を有する。概して、本明細書において用いる学名は、当技術分野において周知されかつ広く使用されているものである。
【0313】
本明細書において用いる、「1つの(a)」および「1つの(an)」という冠詞は、1つまたは1つより多い(すなわち、少なくとも1つの)、その冠詞の文法上の対象を指す。例として、「1つの要素(an element)」は、1つの要素、または、1つより多い要素を意味する。
【0314】
本明細書において用いる「約(about)」という用語は、当業者によって理解され、かつ、用いられる文脈に応じてある程度変動する。本明細書において用いる「約」は、量および時間など測定可能な値を参照する時、指定された値から±20%または±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%、そしてなおより好ましくは±0.1%の変動を包含する意味をもつ;そうした変動は本開示の方法を行うのに適切なものである。
【0315】
本明細書において用いる「指示資料(instructional material)」という用語は、本開示の組成物(compositions)および/または方法の有用性を伝えるために用いられてもよい、刊行物、記録物、線図、または他の任意の表現媒体を含む。本発明のキットの指示資料は、例えば、本開示の組成物を含有する容器に添付されてもよく、または、本開示の組成物を含有する容器とともに出荷されてもよい。代替的に、指示資料は、受取人が指示資料と組成物とを協同的に用いるという意図を伴って、容器とは別に出荷されてもよい。例えば、指示資料はキットの使用に関するものである;かつ/または、指示は組成物の使用に関するものである。
【0316】
本開示全体を通して、本開示のさまざまな局面が範囲形式で提示される場合がある。理解されるべき点として、範囲形式による説明は、簡便さおよび簡潔さを目的としたものにすぎず、本開示の範囲に対する硬直的な限定とみなされるべきではない。したがって、範囲の説明は、その範囲内の可能なすべての部分範囲および個々の数値、ならびに、適切な時には、範囲内の数値の部分的な整数を、具体的に開示したものとみなされるべきである。例えば、1~6などの範囲の説明は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの部分範囲、ならびに、その範囲内の個々の数値、例えば1、2、2.7、3、4、5、5.3、および6などを、具体的に開示したものとみなされるべきである。このことは、範囲の広さに関わりなく適用される。
【0317】
本明細書に説明または例示するあらゆる調合物、またはコンポーネントの組み合わせは、別段の言明がない限り、本開示の実施形態を実践するために用いられうる。当業者が同じ化合物を異なる名前で呼びうることが公知であるので、化合物の固有名は例示的なものであることが意図されている。化合物の特定の異性体または鏡像異性体が指定されずに、例えば化学式または化学名などによって、化合物が本明細書に説明される場合、その説明は、説明される化合物の各異性体および鏡像異性体を、個々にまたは任意の組み合わせで含むことが意図されている。
【0318】
本明細書における説明は多くの例示的実施形態を含有するが、これらは、本開示の範囲を限定するものとしてではなく、例証的な実施例を提供するものにすぎないとみなされるべきである。
【0319】
本開示全体にわたるすべての参照物(例えば、発行もしくは付与された特許または同等物を含む特許文書;特許出願公報;および、特許でない文献または他の原資料)は、各参照物が本出願における本開示と少なくとも部分的に矛盾しない程度まで、個々に参照により組み入れられた場合と同様に、その全体が参照により本明細書に組み入れられる(例えば、部分的に矛盾する参照物は、その参照物の、その部分的に矛盾する部分を除いて、参照により組み入れられる)。
【0320】
当業者は、せいぜいルーチンの実験法のみを用いることによって、本明細書に説明する具体的な手技、態様、特許請求の範囲、および実施例に対する多数の同等物を、認識するかまたは確認しうるであろう。そうした同等物は、本開示の範囲内でありかつ添付の特許請求の範囲の対象内であるものとみなされる。概して、本明細書において用いる用語および句は、当業者に公知である標準的なテキスト、雑誌参照物、および文脈を参照することにより見いだされうる、当技術分野において認識されている意味を有する。前述の定義がある場合、その定義は、本開示の文脈における固有の用い方を明らかにするために提供されている。
【0321】
理解されるべき点として、本明細書において値および範囲が提供される場合は、これらの値および範囲によって包含されるすべての値および範囲が本開示の範囲内に包含されるものと意図されている。さらに、これらの範囲内に入るすべての値、ならびに値範囲の上限または下限もまた、本開示によって企図されている。
【0322】
本明細書に引用したすべての特許、特許出願、および刊行物の開示内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0323】
本開示は具体的諸態様への参照を含んでいるが、本開示の真の精神および範囲から逸脱することなく、本開示の他の態様およびバリエーションが当業者によって考案されうることが明らかである。添付の特許請求の範囲は、すべてのそうした態様および等価的バリエーションを含むものと解釈されることが意図されている。
【国際調査報告】