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特表2022-533399EUV用パターン化レジストの形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-22
(54)【発明の名称】EUV用パターン化レジストの形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/039 20060101AFI20220714BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220714BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20220714BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
G03F7/039 601
G03F7/004 503A
C09K3/00 K
G03F7/20 501
G03F7/20 521
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568866
(86)(22)【出願日】2019-05-19
(85)【翻訳文提出日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 IB2019000241
(87)【国際公開番号】W WO2020234615
(87)【国際公開日】2020-11-26
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519298329
【氏名又は名称】ロビンソン,アレックス,ピー.ジー.
【氏名又は名称原語表記】ROBINSON,Alex,P.G.
【住所又は居所原語表記】117 Bunbury Road,Northfield,Birmingham B31 2NB(GB)
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロビンソン,アレックス,ピー.ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ポぺスク,カルメン
(72)【発明者】
【氏名】オカラハン,グレグ
(72)【発明者】
【氏名】マクレランド,アレクサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】フロムホールド,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ロス,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ラダ,トム
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン,エドワード
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
【Fターム(参考)】
2H197CA05
2H197CA06
2H197CA08
2H197CA09
2H197CA10
2H197CE01
2H197HA03
2H225AE06P
2H225AF24P
2H225AF43P
2H225AF78P
2H225AF79P
2H225AL03
2H225AL12
2H225AN57P
2H225CA12
2H225CB14
2H225CC03
2H225CC15
2H225CD05
(57)【要約】
本開示は、新規のネガ型フォトレジスト組成物およびそれらの使用方法に関する。本開示はさらに、感度を犠牲にすることなく、いくつかのシステムにおけるコントラスト、解像度、および/またはラインエッジ粗さを改善することができる複合トリガーフォトレジストプロセスに関する。本開示のフォトレジスト組成物および方法は、例えば、紫外線、極端紫外線、超極端紫外線、X線および荷電粒子線を使用する微細なパターン加工に理想的である。本開示はさらに、開示の組成物および方法において有用な感度増強材料に関する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン化レジストを形成する方法であって、以下の工程:
a.基板を準備する工程、
b.
i.少なくとも一種のポリマー、オリゴマーまたはモノマーであって、各々2つ以上の架橋性官能基を含み、本質的に前記すべての官能基が酸不安定保護基に結合している、少なくとも一種のポリマー、オリゴマーまたはモノマー、
ii.少なくとも一種の酸活性化架橋剤、
iii.少なくとも一種の光酸発生剤、および
iv.少なくとも一種の溶媒、を含む、
追加の酸拡散制御成分を含まない複合トリガーレジスト組成物を塗工する工程、
c.前記塗工後の基板を加熱して実質的に乾燥した塗布体を形成し、所望の厚さにする工程、
d.前記塗工後の基板を化学線により画像様に露光する工程、
e.水性現像剤、溶媒現像剤、または水性-溶媒現像剤の組み合わせ組成物を使用して、前記塗布体の未露光領域を除去する工程であって、残りの光画像化パターンは、任意選択で加熱され、前記露光後のレジストは、現像前に選択的に加熱されてもよい工程、
を含むレジストの形成方法。
【請求項2】
前記架橋性官能基の少なくとも約90%が酸不安定保護基に結合している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの光酸発生剤が、UV、深紫外線、極端紫外線、X線、または電子ビームの化学線のうちの少なくとも1つにより露光された場合に酸を生成することができる、オニウム塩化合物、スルホニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、スルホンイミド、ハロゲン含有化合物、スルホン、スルホンイミド、スルホン酸エステル、キノンジアジド、ジアゾメタン、ヨードニウム塩、オキシムスルホネート、ジカルボキシイミジルサルフェートエステル、イリデンアミノオキシスルホン酸エステル、スルホニルジアゾメタン、またはそれらの混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの酸活性化架橋剤が、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、オキセタン、グリシジルアミン、メトキシメチル基、エトキシメチル基、ブトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチルアミノ基、ジアルキロールメチルアミノ基、ジブトキシメチルアミノ基、ジメチロールメチルアミノ基、ジエチロールメチルアミノ基、ジブチロールメチルアミノ基、モルホリノメチル基、アセトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ホルミル基、アセチル基、ビニル基またはイソプロペニル基のうちの少なくとも1つを含む、脂肪族、芳香族またはアラルキルモノマー、オリゴマー、樹脂またはポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記酸不安定保護基が第三級アルコキシカルボニル基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの酸活性化架橋剤が、アリールモノマー、オリゴマーまたはポリマーに結合した一種以上のグリシジルエーテル基を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマー、オリゴマーまたはモノマーが少なくとも1つのxMTエステルである、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記xMTエステルが、以下の構造のうちの1つの化合物を含む、請求項7に記載の方法:
【化1】
(式中XまたはYの少なくとも1つは-(アルキル)-(アリール)-(O)-(COO)-LG(式中、j、k、p、およびqは次の表の値をとる)
【表1】
(ここで、アルキル基は、鎖中に置換された0~16個の複素原子を有する1~16個の炭素原子を有する、分岐または非分岐、置換または非置換の二価のアルキル鎖であり、アリール基は、置換または非置換の二価のフェニル基、二価の複素芳香族基、または二価の縮合芳香族基または二価の縮合複素芳香族基であり、そしてLGが第三級アルキルまたは第三級シクロアルキル基、脂環式基、ケタールまたは環状脂肪族ケタールであり、またはアセタールは脱離基である)。
【請求項9】
前記xMTエステルが、以下の構造のうちの1つの化合物を含む、請求項8に記載の方法:
【化2】
(式中、XまたはYの少なくとも1つは、
-(アルキル)-(アリール)-(O)-(COO)-LG
を含み、式中、j、k、p、およびqは、次の表の値を取る)
【表2】
(表中、アルキル基は、鎖中に置換された0~16個の複素原子を有する1~16個の炭素原子を有する、分岐または非分岐、置換または非置換の二価のアルキル鎖であり、アリール基は、置換または非置換の二価のフェニル基、二価の複素芳香族基、または二価の縮合芳香族または二価の縮合複素芳香族基であり、LGが第三級アルキルまたは第三級シクロアルキル基、脂環式基、ケタールまたは環状脂肪族ケタールであり、またはアセタールは脱離基である)。
【請求項10】
前記架橋性官能基の少なくとも約90%が酸不安定保護基に結合している、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの光酸発生剤が、UV、深紫外線、極端紫外線、X線、または電子ビームの化学線のうちの少なくとも1つで露光されたときに酸を生成することができる、オニウム塩化合物、スルホニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、スルホンイミド、ハロゲン含有化合物、スルホン、スルホンイミド、スルホン酸エステル、キノンジアジド、ジアゾメタン、ヨードニウム塩、オキシムスルホネート、ジカルボキシイミジルサルフェートエステル、イリデンアミノオキシスルホン酸エステル、スルホニルジアゾメタン、またはそれらの混合物である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの酸活性化架橋剤が、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、オキセタン、グリシジルアミン、メトキシメチル基、エトキシメチル基、ブトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチルアミノ基、ジアルキロールメチルアミノ基、ジブトキシメチルアミノ基、ジメチロールメチルアミノ基、ジエチロールメチルアミノ基、ジブチロールメチルアミノ基、モルホリノメチル基、アセトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ホルミル基、アセチル基、ビニル基またはイソプロペニル基のうちの少なくとも1つを含む、脂肪族、芳香族またはアラルキルモノマー、オリゴマー、樹脂またはポリマーを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が、少なくとも1つの金属成分をさらに含み、前記金属成分が、広いEUV光吸収断面積、中~高程度の非弾性電子散乱係数および低~中程度の弾性散乱係数を示す、請求項3に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの金属が、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、臭素、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、テルル、ヨウ素、ランタニド、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、プラチナ、金、水銀、鉛、ビスマス、ポロニウムを含む、元素周期律表の列3~17および行3~6から選択される、およびアルミニウム、シリコン、リン、硫黄および塩素を含む列13~17行3から選択される、または選択された金属の塩または配位錯体、またはモノマー、オリゴマー、またはポリマー配位子を含む選択された金属である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの酸活性化架橋剤が、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、オキセタン、グリシジルアミン、メトキシメチル基、エトキシメチル基、ブトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチルアミノ基、ジアルキロールメチルアミノ基、ジブトキシメチルアミノ基、ジメチロールメチルアミノ基、ジエチロールメチルアミノ基、ジブチロールメチルアミノ基、モルホリノメチル基、アセトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ホルミル基、アセチル基、ビニル基またはイソプロペニル基のうちの少なくとも1つを含む、脂肪族、芳香族またはアラルキルモノマー、オリゴマー、樹脂またはポリマーを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物が、少なくとも1つの金属成分をさらに含み、前記金属成分が、広いEUV光吸収断面積、中~高程度の非弾性電子散乱係数および低~中程度の弾性散乱係数を示す、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの金属が、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、臭素、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、テルル、ヨウ素、ランタニド、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、プラチナ、金、水銀、鉛、ビスマス、ポロニウムを含む、元素周期律表の列3~17および行3~6から選択される、およびアルミニウム、シリコン、リン、硫黄および塩素を含む列13~17行3から選択される、またはモノマー、オリゴマー、またはポリマー配位子を含む塩、配位錯体、金属である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの酸活性化架橋剤が、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、オキセタン、グリシジルアミン、メトキシメチル基、エトキシメチル基、ブトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチルアミノ基、ジアルキロールメチルアミノ基、ジブトキシメチルアミノ基、ジメチロールメチルアミノ基、ジエチロールメチルアミノ基、ジブチロールメチルアミノ基、モルホリノメチル基、アセトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ホルミル基、アセチル基、ビニル基またはイソプロペニル基のうちの少なくとも1つを含む、脂肪族、芳香族またはアラルキルモノマー、オリゴマー、樹脂またはポリマーを含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、新規のネガ型フォトレジスト組成物およびそれらの使用方法に関する。本開示はさらに、感度を犠牲にすることなく、いくつかのシステムにおけるコントラスト、解像度、および/またはラインエッジ粗さを改善することができる複合トリガーフォトレジストプロセスに関する。本開示のフォトレジスト組成物および方法は、例えば、紫外線、極端紫外線、超極端紫外線、X線および荷電粒子線を使用する微細なパターン加工に理想的である。本開示はさらに、本開示の組成物および方法において有用な感度増強材料に関する。
【0002】
先願の参照
本出願は、「増強されたEUVフォトレジスト材料、配合物およびプロセス」と題する、2018年2月24日に出願の米国仮特許出願第62/634,827号の35USCセクション119(e)に基づく優先権の利益を主張し、その内容のすべてを本出願明細書中に参照により援用する。
【背景技術】
【0003】
EUV(極端UV)リソグラフィー(EUVL)、つまり波長13.5nmにおけるリソグラフィーは、将来の半導体製造のニーズ、すなわちライン&スペースの益々の微細化による益々の半導体の小型化という特徴を創出するために、現在の193nmフォトリソグラフィーツールに代わる最も有望な候補の1つと見なされている。
【0004】
新規EUV用に好適なフォトレジスト材料の要件を満たすために、フォトレジストメーカーは当初EUV用として、配合調整や添加剤、および光酸発生剤(PAG)の使用を介して、現存する193nmレジストシステムを再構成してみた。これは費用効率面で良いアプローチであるが、ライン幅粗さ(LWR)、感度および解像度の点で限界がある。LWRは、リソグラフィフィーチャにより得られるパターンの長さに対するパターン幅のランダムな変動として定義される。フォトレジストはますます微細パターンを印刷するために使用されるため、側壁の欠陥がパターニング上のエラーの大部分を占める。さらに、過去のいくつかの研究によれば、これらの高いLWR値の原因が、フォトレジストの基材としてポリマーを使用したことにあることが分かっている。LWR値に寄与する他の要因は、ショットノイズ(たとえば、EUV領域で光子あたりの線量が大幅に増加するため、ますます重要になるフラックス変動)、バルクフィルム内のPAGの位置(酸感受性保護基と比較して)、化学増幅プロセス中の酸拡散(またはボケ)、および現像液に対する高い選択性が挙げられる。そのため、この新しい技術をサポートするために様々な新しい材料が導入されが、これまでのところ、国際半導体技術ロードマップに記載されている解像度、ライン幅粗さ、感度(RLS)の要件を同時に満たすことができるフォトレジストは見出されていない。
【0005】
次世代デバイス向けに現行レジストの目標を達成することに加えて、新しい材料プラットフォームには、次世代を超えたリソグラフィー向けの仕様の大枠を満たすことができるようなポテンシャルを持つことが求められ、それによって次世代リソグラフィーの延命を確実なものとすることができる。
従来の化学増幅型レジスト(CAR)材料は、このニーズを満たすための試行錯誤がなされ延命してきたが、解像度の向上により感度が大幅に低下し、たとえば、サイズあたりのCARの線量の典型量は14nmハーフピッチ(hp)で30~40mJ/cmの範囲になってしまう。EUV光子の吸収を高めるために、金属系のレジスト材料が徹底的に検討されてきたが、一方で金属レジスト一本化に対する業界の懸念を和らげ、Fabに優しいプロセスを提供する大事な作業が進められている。16nmハーフピッチで25mJ/cm未満、13nmhpで35mJ/cm未満の線量が報告されている。RLS問題に対処するため、業界では、ますます新しいアプローチと抜本的な化学的手法が求められる。従来の化学増幅レジストに金属添加剤を加えて光学密度を高めようとする研究によれば、22nmのハーフピッチを有するコンタクトホールにおけるコンタクトホールのパターニング感度が、50から43mJ/cmに向上することが示されているが、一方でホールサイズのばらつきの大きさが犠牲となる。PSCARプロセスと言って、初期のEUV露光を介し、フラッドUVを使って酸の生成を増幅するプロセスでは、18nmのhpで30mJ/cmから17mJ/cmという線量要件に対して大幅な減少が見られたが、露光許容範囲の大幅な削減とLWRも併せて報告された。
【0006】
数年前から極端紫外線(EUV)リソグラフィーは、リソグラフィー法によるパターニング技術における次世代の具現化技術として話題になっている。ただし、数多くの技術的な障害(つまり、EUV光学系、フォトマスクインフラ、およびフォトレジスト材料の問題)があるため、この技術の本格的な導入と実装は遅れている。たとえば、パターニングシステムで使用されるスキャナー光学系およびフォトマスクは、透過型光学系から反射型光学系に変更された。この変更はかなり困難な移行であることが証明されつつあるが、現在、驚異的な進歩が見られ、EUVスキャナーが加速度的ペースで出荷されている。EUV用ペリクルの開発も進んでおり(欠陥に対処するための軽減工程)、マスクインフラは加盟店および組織内のマスク販売所の両方において整備されつつある。
【0007】
LWRが約3nm未満の市販の材料はほとんど見つかっていない。
【0008】
これらのLWRパラメータを満たすフォトレジストを開発する上で必要なことは、感度の向上を伴わなければならない点である。たとえば、ほとんどの市販のフォトレジストシステムでは、適切なコンタクトホールを印刷するために35-40mJ/cmが必要となる(使用可能なプロセスウィンドウを使用して)。
【0009】
半導体寸法がナノメートルスケールに微小化するにつれて、材料、配合、およびメカニズムに関する従来の考え方を再検討し、再評価する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示において有用なxMT分子の構造に関連するチャートを示す。
図2図2は、本開示において有用な代替のxMT分子を示す。
図3図3は、t-BOCで保護されたフェノールの赤外スペクトルに重なったフェノールの赤外スペクトルを示す。
図4図4は、本プロセス以前の材料と本プロセス材料とを比較する赤外線スペクトルを示す。
図5図5は、本プロセスにおける各段階での現行組成の赤外スペクトルを示す。
図6図6は、本プロセスにおける各段階での架橋剤の赤外スペクトルを示す。
図7図7は、本プロセスを含む様々なプロセスのメカニズムについての提案図である。
図8図8は、本プロセスBにおけるSEMと標準プロセスAのものとの比較図である。
図9図9は、実施例で使用される成分の化学構造を示す。
図10図10は、本プロセスBにおけるSEMを標準プロセスAのものとさらに比較した図である。
図11図11は、本組成と本プロセスを使用した場合における、コンタクトホールのパターンのSEMを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、現行要件である感度、ラインエッジ粗さ、および解像度を満たし、それらを超える新しい材料、新しい配合、新しい添加剤、および新しいプロセスについてである。
【0012】
本明細書に開示および特許請求される第1の実施形態は、パターン化されたレジストの形成方法であって、以下の工程;基板を準備し、少なくとも一種のポリマー、オリゴマーまたはモノマーであって、各々2つ以上の架橋性官能基を含み、本質的にすべてのこれらの官能基が酸不安定保護基に結合している、少なくとも一種のポリマー、オリゴマーまたはモノマー、少なくとも一種の酸活性化架橋剤、少なくとも一種の光酸発生剤、および少なくとも一種の溶媒を含む、追加の酸拡散制御成分を含まない複合トリガーレジスト組成物を塗工する工程、前記塗工後の基板を加熱して実質的に乾燥した塗布体を形成し所望の厚さにする工程、前記塗工後の基板を化学線により画像様に露光する工程、および水性現像剤、溶媒現像剤、または水性-溶媒現像剤の組み合わせ組成物を使用して、前記塗布体の未露光領域を除去する工程であって、残りの光画像化パターンは、任意選択で加熱され、前記露光後のレジストは、現像前に選択的に加熱されてもよい工程、を含むレジストの形成方法である。
【0013】
本明細書に開示および特許請求される第2の実施形態は、前記架橋性官能基の少なくとも約90%が酸不安定保護基に結合している上記の方法である。
【0014】
本明細書に開示および特許請求される第3の実施形態は、少なくとも1つの光酸発生剤が、UV、深紫外線、極端紫外線、X線、または電子ビームの化学線のうちの少なくとも1つで露光されたときに酸を生成することができる、オニウム塩化合物、スルホニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、スルホンイミド、ハロゲン含有化合物、スルホン、スルホンイミド、スルホン酸エステル、キノンジアジド、ジアゾメタン、ヨードニウム塩、オキシムスルホネート、ジカルボキシイミジルサルフェートエステル、イリデンアミノオキシスルホン酸エステル、スルホニルジアゾメタン、またはそれらの混合物である、上記方法のいずれかの方法である。
【0015】
本明細書に開示および特許請求される第4の実施形態は、前記少なくとも1つの酸活性化架橋剤が、グリシジルエーテル、グリシジルエステル、オキセタン、グリシジルアミン、メトキシメチル基、エトキシメチル基、ブトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチルアミノ基、ジアルキロールメチルアミノ基、ジブトキシメチルアミノ基、ジメチロールメチルアミノ基、ジエチロールメチルアミノ基、ジブチロールメチルアミノ基、モルホリノメチル基、アセトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ホルミル基、アセチル基、ビニル基またはイソプロペニル基のうちの少なくとも一種を含む、脂肪族、芳香族またはアラルキルモノマー、オリゴマー、樹脂またはポリマーを含む、上記方法のいずれかの方法および前記酸不安定保護基が第三級アルコキシカルボニル基を含む上記方法のいずれかの方法である。
【0016】
本明細書に開示および特許請求される第5の実施形態は、前記ポリマー、オリゴマーまたはモノマーが少なくとも1つのxMTエステルである、上記方法のいずれかの方法である。
【0017】
本明細書に開示および特許請求される第6の実施形態は、前記組成物が、少なくとも1つの金属成分をさらに含み、前記金属成分が、広いEUV光吸収断面積、中~高程度の非弾性電子散乱係数および低~中程度の弾性散乱係数を示す、上記方法のいずれかの方法である。
【0018】
本明細書中、接続詞「および」は、包括的であることを意図しており、接続詞「または」は、特に明記しない限り、排他的であることを意図していない。たとえば、「または、あるいは」という句は、排他的であることを意図する。
【0019】
本明細書中、「有する」、「含む」、「挙げる」、「備える」などの用語は、記載された要素または特徴の存在を示すが、追加の要素または特徴を排除するものではない、開放型用語である。冠詞「a」、「an」、および「the」は、文脈で明確に示されていない限り、単数形だけでなく複数形も含むことを意図する。
【0020】
本明細書中、「乾燥」、「乾燥」および「乾燥コーティング」という用語は、8%未満の残留溶媒を有することを意味する。
【0021】
本明細書中、「保護されたポリマー」という用語は、架橋剤と架橋することができる官能基を含むポリマーを意味し、このような官能基は、酸不安定官能基により架橋剤と反応することから保護され、よって酸に曝された時には酸不安定官能基は除去される。
【0022】
本明細書中、金属という用語は、中性の非酸化種、ならびに金属が存在し得る、通常のあらゆる酸化状態を含む。
【0023】
本明細書中、ラインエッジ粗さ(LER)は、ラインの残りの部分と一列に並んでいない、光画定されたライン上の領域を指す。これは、ライン性状およびライン幅粗さも指す。
【0024】
従来の半導体材料は、化学増幅型レジスト(CAR)材料を基材とする。ポジティブ型では、典型的な配合物の場合、光酸発生剤(PAG)、酸不安定基によってブロックされた、現像液感受性基の少なくとも一部を有するポリマー、および塩基消光剤を含む。塗布後の配合物が化学線に曝されると、PAGはその酸不安定基と反応して酸性官能基を放出し、現像液感受性基を脱保護する。そして、脱保護されたポリマーと反応する現像液、たとえば伝統的には水性塩基を使ってそれを溶解・除去することにより、所望のライン、スペース、ビアなどを残す。照射により酸が発生し、従来の酸不安定基と反応して現像剤感受性基を脱保護するわけであるが、その酸発生に必要な活性化エネルギーは露光後ベーク(PEB)により得られる。伝統的に、現像剤感受性基は水性塩基と容易に反応するフェノール性OHである。
【0025】
長年に渡ってより微細なライン&スペースが望まれるようになるにつれて、光発生酸の酸移動が問題になることが分かってきている。ここで、PEB中に、ポリマーの保護を解除するために必要な熱が光発生酸にもエネルギーを与え、システム全体、特にマスクの下などの望ましくない領域に移動し、照射線による露光のない領域のポリマーを脱保護するという望ましくない結果をもたらす。これは「暗反応」とも呼ばれる。これにより、ラインが所望されるよりも細くなる(ポジティブ型のレジストの場合)。こういった望ましくない効果を補償するために、ある成分をレジスト配合物に含有したり、通常はそれと酸拡散制御剤(一般には塩基)などと組み合わせることによって移動する酸の作用を低減することはよく知られていることである。
【0026】
酸不安定基によって保護される反応性官能基を含むポリマーを基材とするネガ型レジストでも同様の問題が発生する。これらのレジストでは、光発生酸によって脱保護されたときに得られる反応性官能基は、配合物の架橋剤成分と架橋するように設計されている。これらのレジストにおいて、架橋剤は、一般に、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン(HMMM)などの酸不安定保護基で保護されるか、または、例えば、エポキシおよびオキセタンなどの光発生化合物によって活性化される。これらのレジストが露光およびPEBを受けると、露光された領域は架橋され、現像液に不溶性になり、未露光領域が除去される。
【0027】
これらのレジストでは、酸がマスクの下で移動し、望ましくない領域で架橋反応を開始するので、酸の移動によってラインが成長し、特にライン幅の成長と粗さ、およびラインエッジ粗さに影響する。
【0028】
本開示において、驚くべきことに、塩基消光剤を除くと、これ単独で、または本明細書に提示される他の革新技術と組み合わせた場合に、解像度、ラインエッジ粗さおよび感度が向上することを発見した。これは予想外の結果であった、というのは現行のすべてのレジストには塩基消光剤が存在し、リソグラフィー上で微細化の特徴を得るためにはこの塩基消光剤が絶対に必要であることが研究によって明らかになっているためである。
【0029】
さらに分かったことは、露光後ベーク(PEB)をしないと、光発生酸の熱移動が少なくなり、ライン幅の成長と粗さ、およびラインエッジ粗さが改善されることである。繰り返すが、すべてのレジストプロセスにはPEB工程があるため、これは予期しない結果である。
【0030】
これらの発見に基づいて、また理論にとらわれることなくして、本開示のプロセスと配合物により、これまで対処されてこなかったナノメートルオーダーでの特徴を物理および化学両面から捉えたと信じている。このことはマクロの世界において、ラインエッジ粗さ、ライン幅の成長と粗さの問題を、現行の材料、配合物およびプロセスで解決してきたのと同様である。しかし、ナノの世界ではこれらの問題が顕著になり、現行技術では、このようなナノレベルでの問題を解決することができでいない。フェノール性OHのt-ブトキシカルボニル(t-BOC)保護に基づく現在入手可能な材料では、脱保護にPEBが必要なことが分かっている。
【0031】
さらに、t-BOCで保護されたフェノール性OHは、光発生酸が高電子密度の分子、たとえば炭酸塩官能基の酸素のいずれかと理論的に配位できて、メタ安定錯体(1つの可能な例をスキーム1に示す)を形成する、という点から、自己消光剤として機能することが分かった。この錯体に熱が加えられていない場合、錯体はこの準安定状態のままであるか、または非反応性の光産物に戻るが、熱が加えられると、tBOCはフェノールを脱ブロックする。
【化1】
【0032】
本開示に有用な基板は、例えば、二酸化ケイ素、他の酸化物、有機および/または無機の塗布膜などの他の材料でコーティングされたシリコン基板を含む、当技術分野で周知の電子部品製造用の基板である。
【0033】
複合トリガーレジスト組成物は、少なくとも1つのポリマー、オリゴマー、またはモノマーを含み、それぞれが2つ以上の架橋可能な官能基を含む。そのようなポリマー、オリゴマーおよびモノマーは当技術分野で周知であり、例えば、ノボラック樹脂、およびポリヒドロキシスチレンが含まれる。開示の方法に有用な2つ以上の架橋可能な官能基は当業界で周知であり、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、オキシム基などが含まれる。酸および酸活性化架橋剤の存在下、これらの官能基は反応して架橋する。これらの官能基は、例えば、置換または非置換の二価の芳香族基であり得るアリール基などを含むポリマー、オリゴマーまたはモノマーに結合するが、そのような芳香族基としては、例えば、フェニレン(-C-)基、およびナフチレン(-C10-)基、アントラセニレン(-C14-)基などの縮合二価芳香族基、ならびに例えば、ピリジン、キノリン、ピロール、インドール、ピラゾール、トリアジンのような窒素複素環などの複素芳香族基、および当技術分野でよく知られている他の窒素含有芳香族複素環、ならびにフラン、オキサゾールのような酸素複素環および他の酸素含有芳香族複素環、ならびに例えば、チオフェンのような硫黄含有芳香族複素環が挙げられる。三価および四価の芳香族化合物も使用することができる。
【0034】
アリール基の形態としては、エッチング抵抗などの、硬化後のネガ型レジストパターンの所望の特性に応じて、約1000ダルトンから100,000ダルトン以上の間の分子量を有するオリゴマーまたはポリマーであってよい。その例としては、フェノール系のノボラック樹脂、クレゾール類、レゾルシノール類、ピロガロール類などがあり、それから生成したコポリマーも含まれる。また、ポリヒドロキシスチレン系のポリマーおよびそれらの誘導体またはコポリマーをこれらのフォトレジスト組成物に使用することができる。
【0035】
上記のように、架橋性官能基は、酸不安定保護基によってブロックまたは保護される。この酸不安定保護基は、例えば、置換メチル基、1-置換エチル基、1-置換アルキル基、シリル基、ゲルミル基、アルコキシカルボニル基、アシル基および環状酸解離性基を含む。置換メチル基としては、例えば、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、エチルチオメチル基、メトキシエトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ベンジルチオメチル基、フェナシル基、ブロモフェナシル基、メトキシフェナシル基、メチルチオフェナシル基、α-メチルフェナシル基、シクロプロピルメチル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、ブロモベンジル基、ニトロベンジル基、メトキシベンジル基、メチルチオベンジル基、エトキシベンジル基、エチルチオベンジル基、ピペロニル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、N-プロポキシカルボニルメチル基、イソプロポキシカルボニルメチル基、N-ブトキシカルボニルメチル基およびt-ブトキシカルボニルメチル基が挙げられる。1-置換エチル基としては、例えば、1-メトキシエチル基、1-メチルチオエチル基、1,1-ジメトキシエチル基、1-エトキシエチル基、1-エチルチオエチル基、1,1-ジエトキシエチル基、1-フェノキシエチル基、1-フェニルチオエチル基、1,1-ジフェノキシエチル基、1-ベンジルオキシエチル基、1-ベンジルチオエチル基、1-シクロプロピルエチル基、1-フェニルエチル基、1,1-ジフェニルエチル基、1-メトキシカルボニルエチル基、1-エトキシカルボニルエチル基、1-N-プロポキシカルボニルエチル基、1-イソプロポキシカルボニルエチル基、1-N-ブトキシカルボニルエチル基および1-t-ブトキシカルボニルエチル基が挙げられる。1-置換アルキル基としては、イソプロピル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1-メチルブチル基および1,1-ジメチルブチル基が挙げられる。
【0036】
酸不安定保護基はシリル官能基を含んでいてもよく、例えば、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、メチルジエチルシリル基、トリエチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、メチルジイソプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、メチルジ-t-ブチルシリル基、トリ-t-ブチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、メチルジフェニルシリル基およびトリフェニルシリル基が挙げられる。ゲルミル基としては、例えば、トリメチルゲルミル基、エチルジメチルゲルミル基、メチルジエチルゲルミル基、トリエチルゲルミル基、イソプロピルジメチルゲルミル基、メチルジイソプロピルゲルミル基、トリイソプロピルゲルミル基、t-ブチルジメチルゲルミル基、メチルジ-t-ブチルゲルミル基、トリ-t-ブチルゲルミル基、フェニルジメチルゲルミル基、メチルジフェニルゲルミル基およびトリフェニルゲルミル基が挙げられる。
【0037】
他の酸不安定保護基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基およびt-ブトキシカルボニル基を含むアルコキシカルボニル酸に不安定な保護基が含まれる。アシル酸不安定保護基を使用することができ、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピペロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリリル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、オレオイル基、マレオイル基、フマロイル基、メサコノイル基、樟脳基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、p-トルエンスルホニル基メシル基が挙げられる。
【0038】
追加の酸不安定保護基には環状酸不安定保護基が含まれ、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキサニル基、4-メトキシシクロヘキシル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、3-ブロモテトラヒドロピラニル基、4-メトキシテトラヒドロピラニル基、4-メトキシテトラヒドロチオピラニル基および3-テトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシ基が挙げられる。
【0039】
本開示に適した酸活性化架橋剤は、例えばフェノールまたは同様の基を提供するために脱保護された場合に、架橋剤が、そのフェノール基または同様のグループ上にある、たった今脱保護されたOH基と反応する、といった反応過程中に、上記の架橋性官能基と架橋することができる化合物から構成される。この架橋剤は、ポリマー、オリゴマー、またはモノマーであってよい。理論にとらわれないが、化学線照射により発生する酸は、このポリマー、オリゴマー、またはモノマーの酸不安定保護基と反応するだけでなく、2番目のトリガーとして架橋剤とも反応し、2つの材料が十分に近接している場合、硬化反応を引き起こすと考えられる。このような硬化反応は、照射領域と現反応領域にある現像液の溶解度を低下させ、硬化材料からなるパターンをもたらす。架橋剤の例としては、そのポリマー、オリゴマー、またはモノマーのフェノール、アミン、または類似の基由来のヒドロキシ基との架橋反応性を有する少なくとも1種の置換基を含む化合物が挙げられる。酸活性化架橋剤の具体例としては、グリシジルエーテル基、グリシジルエステル基、グリシジルアミノ基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジメチロールアミノメチル基、ジエチルオールアミノメチル基、モルホリノメチル基、アセトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ホルミル基、アセチル基、ビニル基およびイソプロペニル基が挙げられる。
【0040】
前述の酸活性化架橋剤を有する化合物の例としては、例えば、ビスフェノールA系のエポキシ化合物、ビスフェノールF系のエポキシ化合物、ビスフェノールS系のエポキシ化合物、ノボラック樹脂系のエポキシ化合物、レゾール樹脂系のエポキシ化合物、およびポリ(ヒドロキシスチレン)系のエポキシ化合物が挙げられる。
【0041】
メラミン類系の酸活性化架橋剤は本開示に有用であり、例えば、メチロール基含有メラミン化合物、メチロール基含有ベンゾグアナミン化合物、メチロール基含有尿素化合物、メチロール基含有フェノール化合物、アルコキシアルキル基含有メラミン化合物、アルコキシアルキル基含有ベンゾグアナミン化合物、アルコキシアルキル基含有尿素化合物、アルコキシアルキル基含有フェノール化合物、カルボキシメチル基含有メラミン樹脂、カルボキシメチル基含有ベンゾグアナミン樹脂、カルボキシメチル基含有尿素樹脂、カルボキシメチル基含有フェノール樹脂、カルボキシメチル基含有メラミン化合物、カルボキシメチル基含有ベンゾグアナミン化合物、カルボキシメチル基含有尿素化合物、およびカルボキシメチル基含有フェノール化合物、メチロール基含有フェノール化合物、メトキシメチル基含有メラミン化合物、メトキシメチル基含有フェノール化合物、メトキシメチル基含有グリコールウリル化合物、メトキシメチル基含有尿素化合物およびアセトキシメチル基含有フェノール化合物が挙げられる。メトキシメチル基含有メラミン化合物は、例えば、CYMEL300、CYMEL301、CYMEL303、CYMEL305(三井シアナミド製)として市販されており、メトキシメチル基含有グリコールウリル化合物は、例えば、CYMEL1174(三井シアナミド製)として市販されており、メトキシメチル基含有尿素化合物は、例えば、MX290(三和ケミカルズ製)として市販されている。
【0042】
他の酸活性化架橋剤にはエポキシ架橋剤が含まれる。本発明の範囲内で使用されるエポキシの例示としては、例えば、ポリマー状の、オリゴマー状の、およびモノマー状の脂肪族および芳香族エポキシが含まれ、例えば、脂環式エポキシ、ビスフェノールAエポキシ、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキシルカルボキシレートなどが挙げられる。米国特許第5,514,729号に記載されているパラアミノフェノールのグリシジルエーテル系のエポキシ配合物も含まれる。本発明を実施するために使用することができる他の適切なエポキシには、ビスフェノールS、ビスフェノールF、ノボラック樹脂に由来するもの、およびビスフェノールAとエピハロヒドリンとの反応から得られるエポキシ類が含まれるが、これらに限定されない。そのようなエポキシは、米国特許第第5,623,031号に記載されている。本発明を実施するために使用することができる他の適切なエポキシは、米国特許第5,602,193号;5,741,835;および5,910,548に開示されている。本開示に有用なエポキシのさらなる例は、ノボラック系のポリマー、オリゴマー、およびモノマーのグリシジルエーテルおよびグリシジルエステル、ならびにオキセタンである。
【0043】
本開示の複合トリガーネガティブ型フォトレジスト用の光酸発生剤(PAG)としては、オニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、スルホン化合物、エステルスルホン化合物、キノンジアジド化合物、およびジアゾメタン化合物が挙げられる。これらの酸発生剤の具体例を以下に示す。
【0044】
オニウム塩化合物の例としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩およびピリジニウム塩が含まれる。オニウム塩化合物の具体例としては、ジフェニル(4-フェニルチオフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4,4’-ビス[ジフェニルスルフォニルフェニルサルファイドビスヘキサフルオロアンチモネートおよびそれらの組み合わせ、トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムピレンスルホネート、トリフェニルスルホニウムドデシルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムベンゼンスルフォネート、トリフェニルスルホニウム10-カンファースルホネート、トリフェニルスルホニウムオクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリアリールスルホニウムテトラフルオロボレートおよび他のテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムナフタレンスルホネート、トリ(4-ヒドロキシフェニル)スルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4-ヒドロキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリ(4-ヒドロキシフェニル)スルホニウムピレンスルホネート、トリ(4-ヒドロキシフェニル)スルホニウムドデシルベンゼンスルホネート、トリ(4-ヒドロキシフェニル)スルホニウムp-トルエンスルホネート、トリ(4-ヒドロキシフェニル)スルホニウムベンゼンスルホネート、トリ(4-ヒドロキシフェニル)スルホニウム10-カンファースルホネート、トリ(4-ヒドロキシフェニル)スルホニウムオクタンスルホネート、トリ(4-ヒドロキシフェニル)スルホニウム2-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トリ(4-ヒドロキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリ(4-ヒドロキシフェニル)スルホニウムナフタレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムピレンスルホネート、ジフェニルヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ジフェニルヨードニウムp-トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムベンゼンスルホニウム、ジフェニルヨードニウム10-カンファースルホネート、ジフェニルヨードニウムオクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムピレンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムドデシルベンゼンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムp-トルエンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムベンゼンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウム10-カンファースルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムオクタンスルホネート、ビス(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウム2-トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4-ヒドロキシ-1-ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネートおよび4,7-ジヒドロキシ-1-ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネートが挙げられる。
【0045】
スルホンイミド化合物の具体例としては、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5,6-オキシ-2,3-ジカルボキシイミド、N-(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N-(10-カンファー-スルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(10-カンファー-スルホニルオキシ)フタルイミド、N-(10-カンファー-スルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N-(10-カンファー-スルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(10-カンファー-スルホニルオキシ)-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(10-カンファー-スルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5,6-オキシ-2,3-ジカルボキシイミド、N-(10-カンファー-スルホニルオキシ)ナフチルイミド、N-(p-トルエンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(p-トルエンスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(p-トルエンスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N-(p-トルエンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(p-トルエンスルホニルオキシ)-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(p-トルエンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5,6-オキシ-2,3-ジカルボキシイミド、N-(p-トルエンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N-(2-トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(2-トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(2-トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N-(2-トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(2-トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(2-トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5,6-オキシ-2,3-ジカルボキシイミド、N-(2-トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N-(4-フルオロベンゼンスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(4-フルオロベンゼンスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(4-フルオロベンゼンスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N-(4-フルオロベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(4-フルオロベンゼンスルホニルオキシ)-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(4-フルオロベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5,6-オキシ-2,3-ジカルボキシイミド、N-(4-フルオロベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N-(ノナフルオロブチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N-(ノナフルオロブチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N-(ノナフルオロブチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N-(ノナフルオロブチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(ノナフルオロブチルスルホニルオキシ)-7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボキシイミド、N-(ノナフルオロブチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5,6-オキシ-2,3-ジカルボキシイミドおよびN-(ノナフルオロブチルスルホニルオキシ)ナフチルイミドが挙げられる。
【0046】
ハロゲン含有化合物の例としては、例えば、ハロアルキル基含有炭化水素化合物およびハロアルキル基含有複素環式化合物が含まれる。ハロゲン含有化合物の具体的な例としては、フェニル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-メトキシフェニル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジンおよび1-ナフチル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジンおよび1,1-ビス(4-クロロフェニル)-2,2,2-トリクロロエタンなどの(ポリ)トリクロロメチル-s-トリアジンが挙げられる。
【0047】
スルホン化合物の例としては、例えば、β-ケトスルホンおよびβ-スルホニルスルホン、ならびにそれらのα-ジアゾ化合物が挙げられる。スルホン化合物の具体例としては、フェナシルフェニルスルホン、メシチルフェナシルスルホン、ビス(フェニルスルホニル)メタン、1,1-ビス(フェニルスルホニル)シクロブタン、1,1-ビス(フェニルスルホニル)シクロペンタン、1,1-ビス(フェニルスルホニル)シクロヘキサン、および4-トリスフェナシルスルホンが挙げられる。
【0048】
スルホン酸エステル化合物の例としては、アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステルおよびイミノスルホン酸塩が含まれる。スルホン酸エステル化合物の具体的な例としては、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリストリフルオロメタンスルホネート、ピロガロールトリスノナフルオロブタンスルホネート、ピロガロールメタンスルホネートトリエステル、ニトロベンジル-9、10-ジエトキシアントラセン-2-スルホネート、α-メチロールベンゾイントシレート、α-メチロールベンゾインオクタンスルホネート、α-メチロールベンゾイントリフルオロメタンスルホネートおよびα-メチロールベンゾインドデシルスルホネートが挙げられる。
【0049】
キニーネジアジド化合物の例としては、1,2-ベンゾキノンジアジド-4-スルホニル基、1,2-ナフトキノンジアジド-4-スルホニル基、1,2-ナフトキニンジアジド-5-スルホニル基および1,2-ナフトキニンジアジド-6-スルホニル基などの1,2-キノンジアジドスルホニル基を含む化合物が挙げられる。キノンジアジド化合物の具体例としては、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4-テトラヒドロキシベンゾフェノン、3’-メトキシ-2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,4’-ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3、4、6’-ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,3,3’4,4’,5’-ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,5’,6-ヘキサヒドロキシベンゾフェノンなどの(ポリ)ヒドロキシフェニルアリールケトンの1,2-キノンジアジドスルホネートエステル;ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)メタン、2、2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)プロパンおよび2,2-ビス(2,3,4-トリヒドロキシフェニル)プロパンなどのビス[(ポリ)ヒドロキシフェニル]アルカンの1,2-キノンジアジドスルホン酸エステル、4,4’-ジヒドロキシトリフェニルメタン、4,4’、4’’-トリヒドロキシトリフェニルメタン、2,2’,5,5’-テトラメチル-2’’,4,4’-トリヒドロキシトリフェニルメタン、3,3’,5,5’-テトラメチル-2’’,4,4’-トリヒドロキシトリフェニルメタン、4,4’,5,5’-テトラメチル-2,2’,2’’-トリヒドロキシトリフェニルメタン、2,2’,5,5’-テトラメチル-4,4’,4’’-トリヒドロキシトリフェニルメタン、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-「4-{1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル}フェニル)エタン、1,1,3-トリス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3-トリス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタンおよび1,3,3-トリス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタンなどの(ポリ)ヒドロキシトリフェニルアルカンの1,2-キノンジアジドスルホネートエステル、および2,4,4-トリメチル-2’,4’,7-トリヒドロキシ-2-フェニルフラバンおよび2,4,4-トリメチル-2’,4’,5’,6’,7-ペンタヒドロキシ-2-フェニルフラバンなどの(ポリ)ヒドロキシフェニルフラバンの1,2-キノンジアジドスルホネートエステルが挙げられる。
【0050】
ジアゾメタン化合物の具体例としては、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p-トルエンスルホニル)ジアゾメタン、メチルスルホニル-p-トルエンスルホニルジアゾメタン、1-シクロヘキシルスルホニル-1-(1,1-ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタンおよびビス(1,1-ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタンが挙げられる。
【0051】
本開示の組成物は、上記の光酸発生剤のうちの1つ以上を含んでよい。
【0052】
本開示に適した溶媒の例としては、エーテル類、エステル類、エーテルエステル類、ケトン類およびケトンエステル類が挙げられ、より具体的には、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、酢酸エステル類、ヒドロキシ酢酸エステル類、乳酸エステル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、アルコキシアセテートエステル類、(非)環状ケトン類、アセトアセテートエステル類、ピルビン酸エステル類およびプロピオン酸エステル類が挙げられる。これらの溶媒の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、酢酸メチルセロソルブ、酢酸エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、イソプロペニルアセテート、イソプロペニルプロピオネート、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、エトキシアセテートエチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルメチルブチレート、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、3-メチル-3-メトキシブチルブチレート、エチルアセテート、酢酸プロピル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチルおよび3-エトキシプロピオン酸エチルが挙げられる。前述の溶媒は、独立して、または2種類以上の混合物として使用することができる。さらに、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリン酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ-ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレンおよび酢酸フェニルセロソルブなどの少なくとも1種類の高沸点溶媒を前述の溶媒に添加することができる。
【0053】
典型的なレジスト配合物においては、酸が塗布材の未露光領域に移動するのを遅らせる酸拡散制御剤として様々な添加剤が添加される。酸不安定保護基を適切に選択し、酸活性化架橋剤を適切に選択すれば、そのような酸拡散剤は必要ないことがわかった。つまり、酸不安定保護基と酸活性化架橋剤は、移動せずに光発生酸と錯体を形成する。すべての酸不安定保護基または酸活性化架橋剤が光発生酸と錯体を形成するわけではないため、酸拡散制御剤として必要になる。
【0054】
架橋性官能基はすべて、酸不安定保護基によって約90%から約100%ブロックされる。酸不安定基としては、光発生酸と錯体を形成する能力を有するという特性を持つものが選択される。
【0055】
フォトレジスト組成物は以下の基板の上に塗布することができる:このような基板としては、シリコンウェーハ、または二酸化ケイ素、アルミニウム、酸化アルミニウム、銅、ニッケル、数多くの半導体材料または窒化物のいずれか、が塗布されたウエハー、または半導体産業でよく知られている他の基板、または基板の上に、例えば、最下層の反射防止フィルムなどの有機フィルムを有する基板などが挙げられる。フォトレジスト組成物は、スピンコーティング、カーテンコーティング、スロットコーティング、ディップコーティング、ローラーコーティング、ブレードコーティングなどの方法によって塗布される。コーティング後、溶剤はコーティングが適切に露光できるレベルまで除去される。場合によっては、5%の溶剤が塗布材に残っていることがあるが、1%未満であることが必要な場合もある。乾燥はホットプレート加熱、対流加熱、赤外線加熱などによって達成することができる。塗布材は所望のパターンを含むマーカーを通して画像様に露光される。
【0056】
前述のフォトレジスト組成物に適した照射線としては、例えば、水銀ランプ(254nm)、KrFエキシマレーザー(248nm)、およびArFエキシマレーザー(193nm)の輝線スペクトルなどの紫外線(UV)、プラズマ放電およびシンクロトロン光源から得られる13.5nmの極端紫外線(EUV)、6.7nm露光などのビヨンド極端紫外線(BEUV)、シンクロトロン放射などのX線が挙げられる。イオンビームリソグラフィーおよび電子ビームなどの荷電粒子光線も使用できる。
【0057】
本法による実施形態では、露光後、露光後の塗布基板は露光後ベーク処理を受けないので、したがって光発生酸が移動するのを防止でき、それによりラインエッジ粗さおよび他の望ましくないパターン欠陥、いわゆる暗反応が引き起こされるのが防止される。
【0058】
次に、未露光領域は現像液により除去される。このような現像液には通常、有機溶剤が含まれる。現像溶媒は、フォトレジスト組成物の調製に使用された溶媒よりも化学的にマイルドである。
【0059】
現像後、今露光され現像されたパターンの硬化をさらに進めるために、最終ベーキング工程を備えることができる。加熱プロセスは、例えば、約30から約300℃で約10から約120秒であってよく、ホットプレート加熱、対流加熱、赤外線加熱などによって達成される。
【0060】
本開示において、我々は、開示された方法の組成物に有用な新しい材料、xMTをさらに開発した。これらの材料は、米国特許第9,122.156号、米国特許第9,229,322号、および米国特許第9,519,215号に記載されており、これらは、一般式のものを含めて参照により本明細書に援用される。
【化2】
(式中XまたはYの少なくとも1つは
-(アルキル)-(アリール)-(O)-(COO)-LG
を含む(式中、j、k、p、およびqは図1の表に記載される値をとり、ここで、アルキル基は、鎖中に置換された0~16個の複素原子を有する1~16個の炭素原子を有する、分岐または非分岐、置換または非置換の二価のアルキル鎖であり、アリール基は、置換または非置換の二価のフェニル基、二価の複素芳香族基、または二価の縮合芳香族または縮合複素芳香族基であり、そしてLGが第三級アルキルまたは第三級シクロアルキル基、脂環式基、ケタールまたは環状脂肪族ケタールであり、またはアセタールは脱離基である。
【0061】
驚くべきことに、これらの材料により解像度、感度、およびラインエッジ粗さや感度などのライン性状を改善することが示される。本開示で有用で新しく開発されたxMT材料は、驚くべきことに、図2のものを含め、LERと感度においてはさらに優れた改善をもたらす。両方の変性種は、追加の架橋剤で架橋する光反応の前後に分子を硬化させることにより、LERを低減するように設計されている。一方の変性種には感光性を高めるように設計された追加の官能基が含まれている(図8B)。本開示において有用なxMT材料は、前述の参考文献に記載されているように、保護されたマロン酸エステルおよびアミジンの反応生成物をベースとしている。
【0062】
本開示において有用な金属成分には、広いEUV光吸収断面積、中~高程度の非弾性電子散乱係数および低~中程度の弾性散乱係数を示す金属成分が含まれ、例えば、周期表の行3~17および列3~6にある金属元素、例えばスカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、ヒ素、セレン、臭素、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、テルル、ヨウ素、ランタノイド類、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、プラチナ、金、水銀、鉛、ビスマス、ポロニウム、から選択される金属、および行13~17列3にある金属元素、たとえばアルミニウム、シリコン、リン、硫黄、塩素、またはその塩、配位錯体、またはこれらの金属から選択された金属で、モノマー、オリゴマー、またはポリマーの配位子として含まれるものが挙げられる。これらの材料は、参照により本明細書に援用される米国特許第9,632,409号に記載されている。
【0063】
いくつかの実施形態では、露光後のレジストは、露光後ベーク工程を経てもよい。このオプション工程では、選択した時間の長さに応じて温度が選択される。この時間と温度は、この現像前露光により硬化の程度が最適化されるように現像液の強さに応じて選択する。また時間と温度は、光発生酸と、ポリマー、オリゴマーまたはモノマーであり、それぞれが2つ以上の架橋可能な官能基を含み、その官能基の少なくとも90%が酸不安定保護基、および/または少なくとも1つの酸活性化架橋剤に結合しているもの、の少なくとも1つの成分とから形成される錯体の錯体形成能の強さに応じて選択する。
【実施例
【0064】
tBOCで保護されたフェノールをPAG(光酸発生剤)と配合し、EUV露光した。15分間保持した後、tBOCは光発生酸とほとんどまたはまったく反応せず、フェノール性OHは生成されなかった。図3は、フェノールとtBOCで保護されたフェノールのIRスペクトルを示しており、tBOC官能基のカルボニル部分の1774cm-1での顕著な伸縮振動が示される。図4では、UV露光の後の15分の保持時間の後でもtBOC官能基のカルボニルの減少が見られないことが示されている。t-BOC官能基の1774cm-1の顕著な伸縮振動は基本的に変わらない。さらなる証拠が図5に示されている。ここでは、tBOCが光発生酸と反応してフェノール性酸素のブロックを解除した場合に予想されるように、保護されたフェノールとPAGの露光後および15分間の保持後にIRにOHが現れない。これは-OHが強く吸収する約3000cm-1の伸縮においてほとんどまたはまったく変化がないことからも分かる。
【0065】
さらに、驚くべきことに、エポキシなどのネガ型フォトレジストに見られる典型的な架橋剤も、硬化工程を完了するのに熱を必要とすることが分かった。図6は、典型的なPAGと配合された典型的なエポキシ架橋剤の赤外線スペクトルを示す(ラインA)。UV露光後、一部のエポキシが反応したことが分かる(ラインB)が、PEBが反応を完了するまで(ラインC)ではない。
【0066】
理論に拘束されないが、前述のことに基づくと、我々は光発生酸がtBOC保護材料と架橋剤の両方の酸素、または電子密度が高いこれらの分子の他の位置に配位する点から、tBOC官能基とエポキシは自己消光材料として機能すると信ずる。
【0067】
その提案メカニズムを図7のA~Eに示す。この概略図では、新たに開示された反応過程プロセスが示される。図7Aでは、光発生酸はtBOCと準安定錯体を形成し、熱によってのみフェノールが生成される。図7Bに示すように、光発生酸は、架橋剤と準安定錯体を形成する。ただし、図7Bに示すように、エポキシの一部が開いて部分的に架橋する。図7Cに示すように、周囲温度下では、短鎖のみが生じるのみで、PAG由来の光生成物との連鎖移動メカニズムにより連鎖停止が起こると考えられる。PEBが適用された典型的なフォトレジストのメカニズム(図7D)は、tBOCがフェノールを脱保護し、そしてフェノールは熱活性化鎖生長架橋剤の生長鎖と反応する。PEBが適用されると反応制御がほとんどできないため、鎖および架橋、さらには酸移動によりラインエッジが粗くなり、またライン幅も大きくなる。新しいプロセス(図7E)では、予期せぬことに、準安定材料はtBOC錯体と架橋剤錯体の両方が反応できるように十分に接近するまで未反応のままであり、エポキシの場合、鎖は生長し始める。2つの事象が同時に発生する必要があるため、複合トリガープロセス、ライン&スペースのジオメトリが制御される。図8Aでは、通常の方法による、追加の酸拡散制御成分を含む標準フォトレジストのSEM(図8B)を、本開示の非PEB組成物およびプロセスを使用するレジストと比較して示す。ライン&スペースのジオメトリが改善されていることはすぐに分かる。光酸はマトリックス分子を活性化するが、反応は塩基分子と架橋剤が互いに近接し、同時に活性化される場合にのみ進行する。したがって、驚くべきことに、このフォトレジスト配合物はPEBを省略した新プロセスにおいても驚くほど優れた結果を示すことが見出された。
【0068】
本開示の特定の実施形態では、高Z金属および/または非金属およびxMT材料は、それぞれ、本開示のレジスト組成物において単独で使用することができ、またはそれらを組み合わせることができる。
【0069】
実施例1
実施例で使用した材料を図9に示す。
【0070】
組成物1
図9のxMT分子樹脂化合物を、分子架橋剤および乳酸エチル中の光酸発生剤と0.2:2:1の重量比で混合した。この組成物をカーボンコートされた自前のシリコンウェーハ上にスピンコーティングし、ホットプレート上で75℃、5分間加熱して、約25nmのフィルムを得た。次に、コーティング後のウエハーを、13~14nm波長のシンクロトロン系EUV光により画像様に露光し、露光後、90℃で3分間ベークした。未露光領域をモノクロロベンゼンとイソプロピルアルコールの50:50ブレンドで20秒間パドル現像した後に、イソプロピルアルコールでリンスすることによって除去した。未露光領域をモノクロロベンゼンとイソプロピルアルコールの50:50ブレンドで20秒間パドル現像した後に、イソプロピルアルコールでリンスすることによって除去した。
【0071】
組成物2
組成物1に2.5%消光剤を加えて使用した。
【0072】
組成物1(図10A)と組成物2(図10B)を比較した結果を図10に示す。図10Aに見られるように、消光剤なしのレジストの感度は18.9mJ/cmと40.4mJ/cmに対して高かったが、ラインエッジ粗さは本質的に同じであった。同等の露光下では、組成物1は組成物2よりもラインエッジ粗さが約50%高い。
【0073】
実施例2
LWRが約3nm未満の市販の材料はほとんどないので、より高感度のフォトレジストを開発する必要がある。たとえば、ほとんどの市販のフォトレジストシステムでは、適切なコンタクトホールを印刷するために35~40mJ/cmが必要となる(使用可能なプロセスウィンドウを採用)。
【0074】
世界最高解像度のEUVリソグラフィーツール(開口数0.3)であるローレンスバークレー国立研究所のマイクロフィールド露光装置を使用して、組成物1をコンタクトホール状のパターンサンプルの印刷のために使用した(図11を参照)。特に、この露光におけるパターニング線量は17mJ/cm未満であり、限界寸法のターゲットは25nmコンタクトホールの高密度構造とした。
【0075】
得られた結果からは、本開示の組成物を用いた本プロセスにより完全なホール解像度が示された。露光後ベークを使用した場合、ホールは解像されなかったか、または解像度がはるかに低くなった。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【誤訳訂正書】
【提出日】2022-02-24
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】図面
【訂正対象項目名】図7
【訂正方法】追加
【訂正の内容】
図7
【国際調査報告】