(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-22
(54)【発明の名称】標的神経刺激を使用して腫瘍を治療するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/20 20060101AFI20220714BHJP
A61B 34/10 20160101ALI20220714BHJP
【FI】
A61N1/20
A61B34/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569080
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(85)【翻訳文提出日】2021-12-03
(86)【国際出願番号】 US2020033842
(87)【国際公開番号】W WO2020236956
(87)【国際公開日】2020-11-26
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521506881
【氏名又は名称】ニューロエレクトリクス ユーエスエー コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】521506892
【氏名又は名称】サンタルネッキ エミリアーノ
(71)【出願人】
【識別番号】521506906
【氏名又は名称】パスクアル-レオン アルバロ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サンタルネッキ エミリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】パスクアル-レオン アルバロ
(72)【発明者】
【氏名】ルッフィーニ ジュリオ
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB02
4C053BB35
4C053FF04
4C053GG10
4C053JJ32
(57)【要約】
対象の診断された、または疑われた腫瘍を治療するための方法であって、対象における腫瘍の実際の、または可能性のある位置を識別する標的マップを取得することと、多焦点非侵襲的電気刺激を、場合によっては、腫瘍内に電流および電界をよりよく誘導するために皮膚または頭蓋に適用される最適化された解剖学的変化と併せて、(1)1つ以上の腫瘍(複数可)のサイズを減少させること、(2)その腫瘍の灌流を変化させること、(3)その腫瘍の代謝活性または電気活性を変化させること、(4)その腫瘍の機能的接続プロファイルを変化させること、(5)その腫瘍の進行/拡散および関連する症状を遅くするか、または停止させること、(6)非侵襲的脳刺激に対するその腫瘍の反応に基づいて1つ以上の腫瘍(複数可)を特徴付けること、のうちの1つ以上を行うのに十分な持続時間、時空間パターン、電流強度、電極モンタージュ、および/またはレジメンを用いて提供することと、を含む、方法。
【選択図】
図6C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の1つ以上の腫瘍(複数可)を治療するための方法であって、
標的マップを取得することであって、前記標的マップが、対象における腫瘍(複数可)の実際の位置(複数可)および/または対象における腫瘍(複数可)の可能性のある位置(複数可)を識別する、取得することと、
多焦点非侵襲的電気刺激を、場合によっては、前記腫瘍内に電流および電界をよりよく誘導するために皮膚または頭蓋に適用される最適化された解剖学的変化と併せて、(1)1つ以上の腫瘍(複数可)のサイズを減少させること、(2)その腫瘍の灌流を変化させること、(3)その腫瘍の代謝活性または電気活性を変化させること、(4)その腫瘍の機能的接続プロファイルを変化させること、(5)その腫瘍の進行/拡散および関連する症状を遅くするか、または停止させること、(6)非侵襲的脳刺激に対するその腫瘍の反応に基づいて1つ以上の腫瘍(複数可)を特徴付けること、のうちの1つ以上を行うのに十分な持続時間、時空間パターン、電流強度、電極モンタージュ、および/またはレジメンを用いて提供することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記腫瘍(複数可)が、前記脳内に位置している、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記腫瘍(複数可)が、世界保健機関(WHO)によって認識された任意の腫瘍であり、髄膜腫、星状細胞腫および乏突起膠腫を含み、びまん性膠腫、髄芽腫および他の胚性腫瘍を含み、膠芽腫、IDH野生型および膠芽腫、IDH突然変異体、びまん性正中線膠腫、H3K27M突然変形、RELA融合陽性上皮腫、髄芽腫、WNT活性化および髄芽腫、SHH活性化、および多層ロゼットを有する胚性腫瘍、C19MC変異を含み、黒色細胞腫、リンパ腫、組織球性腫瘍、生殖細胞腫瘍、間葉系非髄膜上皮腫瘍、セラー領域の腫瘍、松果体領域の腫瘍、絨毛様腫瘍、神経細胞および混合神経細胞のグリア性腫瘍、胚性腫瘍、脳神経および傍脊柱神経の腫瘍、ならびに転移性腫瘍を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記標的マップが、皮質表面上の前記電界の所望の値を定義して、浮腫固形腫瘍界面上での刺激を最大化し、前記脳の残りの部分上での刺激を最小化する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記電極モンタージュが、少なくとも1個の電極および1024個以下の電極を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記電極モンタージュが、2~32個の電極、または任意選択で2~16個の電極、または任意選択で2~8個の電極、または任意選択で4~8個の電極を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
電極が、EEG10-20または10-10システムに従って配置される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
tCSの形態が、tDCS、tACS、tRNS、またはgF-tCSのうちの1つ以上から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記標的マップが、前記対象の脳画像またはスキャンに基づいている、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記画像またはスキャンが、CT、fMRI、fNIRS、MRI、PET、rs-fcMRI、およびSPECT、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記標的が、浮腫および固形腫瘍マスクの交差によって定義される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記標的が、前記固形腫瘍マスクによって定義される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記浮腫と固形腫瘍マスクとの間の界面に垂直な電界が、前記脳の残りの部分への影響を最小限に抑えて最大化され、または任意選択で、最適化される量が、前記電界の大きさであり、または任意選択で、前記固形腫瘍マスク上の前記電界の大きさが、前記脳の前記残りの部分への影響を最小限に抑えて最大化される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
tCSが、患者の前記MRIに依存して最適化される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記画像またはスキャンが、EEG、ERP、MEG、シータバーストrTMS、TMS/EEG、およびTMS/MEP、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
EEGおよび/またはMEGを使用して、刺激波形(複数可)および/または時空間刺激パターンを決定する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記標的マップが、前記対象に対する所望の時空間刺激パターンを定義する、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
電極モンタージュが、任意選択で遺伝的アルゴリズムを使用して、時空間刺激パターンを送達するように選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記標的マップが、前記皮質表面上の前記電界の所望の値を定義して、前記浮腫固形腫瘍界面上での刺激を最大化し、前記脳の前記残りの部分上での刺激を最小化する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
遺伝子アルゴリズムが、クロスオーバーおよび変異機能を用いて実行され、バイナリDNAストリングが、少なくとも電極数および位置のモンタージュを指定する、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
子孫が電極の最大数の制約に違反しないように、クロスオーバーおよび変異機能が定義される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
最適電流および電極数および位置の計算を実行することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記計算が、各電極における少なくとも最大電極数および最大電流、ならびに任意の時間に全ての電極によって前記脳に注入される総電流に関する制約下で実行される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記モンタージュが、前記腫瘍に対して均質な半球上に配置された最大8個の電極を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記刺激波形が、約10,000Hz未満の準静的レジーム内にある、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記刺激波形が、DCバンド内にある、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記刺激波形が、ガンマバンド内にある、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記刺激が、2つ以上の異なる刺激波形を含む、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
電流強度が、約0.1mA~約10mA、または約0.1A/m
2~約100A/m
2である、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記持続時間が、少なくとも1秒、少なくとも1分、または少なくとも1時間もしくは2時間であり、任意選択で約5分~約1時間である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記レジメンが、少なくとも1つのセッションを含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記レジメンが、2つ以上のセッションを含み、前記セッションが、毎年、隔月、毎月、半月、隔週、毎週、半毎週、毎日、または毎日以上、およびそれらの間の任意の数の定期的セッションである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記tCSが、経頭蓋直流電流刺激(tDCS)、経頭蓋交流電流刺激(tACS)、ランダムノイズ電流刺激(tRNS)、一般電界刺激(gF-tCS)、または各電極が固有の独立した任意の波形で刺激するように構成された変形から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記tCSが、脳手術の前に実施される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記tCSが、脳手術後に、前記腫瘍および周囲の健康な脳組織における誘導電界の頭蓋骨破裂および潜在的な電流修正を考慮した、電流の一般的または個別化されたモデリングを用いて実施される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記tCSが、腫瘍を有する患者において、脳血流、灌流、血液酸素化レベル、神経伝達物質レベル、白色および灰色物質構造特性に感受性のあるMRI配列と組み合わせて実施され、電気刺激に対する組織応答を見ることによって腫瘍塊を局在化する、請求項33または34に記載の方法。
【請求項37】
前記tCSが、脳腫瘍を有する患者において、脳血流、灌流、血液酸素化レベル、神経伝達物質レベル、白色および灰色の物質構造特性に感受性のあるMRI配列と組み合わせて実施され、電気刺激に対する組織応答を見ることによって、腫瘍の侵攻性およびその周囲および遠隔の健康な脳組織に広がる可能性を推定する、請求項33または34に記載の方法。
【請求項38】
前記tCSが、脳手術の前に薬物療法(例えば、化学療法)と組み合わせて実施される、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記tCSが、脳手術後に薬物療法(例えば、化学療法)と組み合わせて実施される、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
多チャネルtCSの前記最適化が、小さな頭蓋骨の孔または窪みを穿孔するなどの解剖学的変化のための仕様およびモデルと併せて実行される、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記腫瘍が、前記脳内にない身体腫瘍である、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2019年5月20日に出願された米国仮特許出願公開第62/850,310号の優先権および利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、脳腫瘍および他の腫瘍を治療するための方法に関する。本方法は、脳(または身体の他の部分)のマップおよびモデルを使用して、腫瘍を有する、有する疑いがある、または腫瘍を有するリスクがある脳または身体の位置を標的とする非侵襲的な電気刺激を提供し、腫瘍内の電流伝導に関連する組織における日和見的または意図的な電気解剖学的特徴(例えば、皮膚調製物または小さな頭蓋骨の孔)を含み得、腫瘍内に電流をより良く導く。この標的化された電気刺激は、腫瘍の血管灌流を減少させ、腫瘍の成長を遅延、停止、または逆転させるか、または一部の実施形態では、転移の拡散を防止または減少させる。一部の態様では、この方法は、電気刺激に対する組織応答を評価することによって、腫瘍を識別し、位置決めする。本発明の種々の態様および実施形態は、手術(例えば、脳手術)の前および/または後の両方で使用され得る。
【背景技術】
【0003】
膠芽腫および転移は、最も侵攻性で頻度の高い成人脳腫瘍を表すものであり、脳神経外科、化学療法、および放射線療法を含む積極的な治療にもかかわらず、生存期間の中央値はわずか12ヶ月である。膠芽腫(GBM)は、成人脳腫瘍の60%以上を占めている(Rock et al.,2012)。これは、WHO分類では神経膠腫系統のグレードIVとされており(Louis et al.,2016)、世界の約10万人あたり10人に影響を及ぼしている(Hanif,Muzaffar,Perveen,Malhi,&Simjee,2017)。脳転移とともに、GBMは、ヒト成人の脳に影響を及ぼす脳腫瘍の大部分を表しており、脳神経外科学、放射線療法、および薬理学的アプローチを組み合わせた積極的な治療にもかかわらず、患者にはいまだに診断後の生存期間の中央値が約12カ月しかない(Ganbold et al.,2017)。
【0004】
電気灌流療法(EPT)は、腫瘍に挿入された2つ以上の白金電極によって、または周囲の組織に配置された電極によって間接的に、低強度の直流電流を腫瘍に直接適用させることに基づく、身体腫瘍治療のための治療モダリティである(Ciria et al.,2013)。EPTは、化学療法(電気化学療法-ECT)と並行して行うことができ、腫瘍膜透過性へのその効果を利用し、結果として腫瘍細胞に浸透する薬物の数を増加させる(Hills&Stebbing,2014)。EPTの最初の臨床応用は、Nordenstrom(Nordenstrom,Eksborg,&Beving,1990)によって肺癌患者に対して行われ、予備的な陽性結果の後、ETは、肝細胞癌(Fosh et al.,2003)、進行性乳癌および乳房血管腫(Yoon et al.,2007)、および膵臓癌(Wu,Zhou,&Huang,2001)などのいくつかの悪性表面および内臓腫瘍で試験されている(レビューについては、(Ciria et al.,2013)を参照されたい)。in vivoでの結果は、過去にin vitro実験で得られた所見を確認するものであり、腫瘍質量の減少、または腫瘍再発の非存在を示し、副作用は最小限であった(Ciria et al.,2013)。
【0005】
これらの奨励された結果にもかかわらず、EPTは、おそらくは、従来の外科的切除と同様に、刺激電極を腫瘍塊に挿入するために必要な頭蓋骨を介した侵襲的な外科的処置のために、脳腫瘍に使用されていない。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、部分的には、脳内の腫瘍を治療および/または予防するための方法の発見に基づいている。本方法は、標的マップを使用して、腫瘍を有する、有する疑いがある、または腫瘍を有するリスクがある脳の位置に特異的に非侵襲的脳刺激を提供する。
【0007】
本発明の態様および実施形態は、経頭蓋電流刺激(tCS、経頭蓋電気刺激(tES)とも称されることがある)を用いる。tCSは、頭皮に配置された電極を使用して脳に電流を送達する非侵襲的脳刺激(NIBS)の形態である(Ruffini 2013)。tCSは、1つ以上の標的脳領域(複数可)を刺激または阻害するために使用される。tCSは、直接(tDCS)、交互(tACS)、ランダムノイズ電流刺激(tRNS)、または任意の他の形式の多チャネル電流刺激などの関連する非侵襲的技術のファミリーを含む。これには、各電極が、電流保存によってのみ制限された固有の独立した任意の波形で刺激するように構成され得、準静的近似レジームで、周波数スペクトル帯域が<10kHzに制限された時空間パターンを作り出す変形例が含まれる。tCSは、1つの制限された脳領域を刺激するために、および「脳ネットワーク」を構成する複数の領域を係合させるために使用することができる(Ruffini,Wendling,Sanchez-Toda,&Santarnecchi,2018)。このアプローチを使用して、腫瘍に接続された脳領域のネットワークを刺激し、腫瘍の増殖を減少させ、かつ/または腫瘍内活動/灌流を調節することができる。電気灌流療法は、その作用機序が灌流の減少であるという点で、他の形式の電気療法とは異なる。具体的には、腫瘍治療領域(TTFields)のように、細胞再生のメカニズムを妨害するための高周波電界の適用とは異なる。
【0008】
一部の態様では、本発明は、対象の脳内の1つ以上の腫瘍(複数可)を低減するための方法を提供する。本方法は、標的マップを取得して、腫瘍(複数可)の実際の位置(複数可)および/または腫瘍(複数可)の可能性のある位置(複数可)を識別するステップと、非侵襲的脳刺激を、(1)1つ以上の腫瘍(複数可)のサイズを減少させること、(2)その腫瘍の灌流を変化させること、(3)その腫瘍の代謝活性または電気活性を変化させること、(4)その腫瘍の機能的接続プロファイルを変化させること、(5)その腫瘍の進行/拡散および関連する症状を遅くするか、または停止させること、および/または(6)非侵襲的脳刺激に対するその腫瘍の反応に基づいて1つ以上の腫瘍(複数可)を特徴付けること、を行うのに十分な持続時間、周波数スペクトル、電流強度、電極モンタージュ、および/またはレジメンを用いて提供するステップと、を含む。本方法はまた、電流の流れに影響を与えるための周囲組織の電気解剖学的特性を変化させることも含み得る。
【0009】
他の態様では、本発明は、対象の脳内の1つ以上の腫瘍(複数可)の成長を遅延、停止、または逆転させるための方法を提供する。方法は、対象の脳内の腫瘍(複数可)の実際の位置(複数可)およびその密度、ならびに/または対象の脳内の腫瘍(複数可)の可能性のある位置(複数可)を含む標的マップを作成するステップと、腫瘍(複数可)の実際の位置(複数可)および/または可能性のある位置(複数可)を標的化するための適切な経頭蓋電流刺激(tCS)刺激パラメータを決定するステップと、腫瘍(複数可)の実際の位置(複数可)および/または可能性のある位置(複数可)を標的化するための適切なtCS刺激パラメータの下で非侵襲的脳刺激を提供するステップとを含む。その結果、本方法は、(1)1つ以上の腫瘍(複数可)のサイズを減少させ、(2)その腫瘍の灌流を変化させ、(3)その腫瘍の代謝活性または電気活性を変化させ、(4)その腫瘍の機能的接続プロファイルを変化させ、(5)その腫瘍の進行/拡散および関連する症状を遅くするか、または停止させ、(6)非侵襲的脳刺激に対するその腫瘍の反応に基づいて1つ以上の腫瘍(複数可)を特徴付ける。
【0010】
一部の実施形態では、本方法は、対象の脳内の腫瘍(複数可)の実際の位置(複数可)および/または腫瘍(複数可)の可能性のある位置(複数可)を含む標的マップを作成するステップと、腫瘍(複数可)の実際の位置(複数可)および/または可能性のある位置(複数可)を標的とするための適切な非侵襲的脳刺激パラメータを決定するステップとを含む。適切な非侵襲的脳刺激(NIBS)刺激パラメータを用いて腫瘍の実際の位置(複数可)を標的化すると、腫瘍(複数可)のサイズが減少する。
【0011】
非侵襲的脳刺激NIBSには、tCSおよびその特定の変形例(tDCS、tACS、tRNSなど)、経頭蓋磁気刺激(TMS)およびその特定の実施態様(単一パルス、単相もしくは二相性、反復もしくはバーストTMSなどを含む)、ならびにFUS(集束超音波)、またはニューロン集団と相互作用するために非侵襲的に適用可能な任意の他の形式の刺激が含まれる。本明細書で使用される場合、「経頭蓋電流刺激」または「tCS」(「経頭蓋電気刺激」または「tES」とも称されることがある)という用語は、その全ての変形例を含み、各電極が、電流保存によってのみ限定される独自の、独立した任意の波形で刺激するように構成され得る変形例を含む。
【0012】
実施形態では、最適化手順は、対象の脳の皮質上のtCS生成フィールドを標的化するために使用される。脳機能および機能障害の計算モデルは、臨床試験におけるリスクおよび不確実性を低減する上で重要な役割を果たし得、個々の生物物理学的および生理学的特徴を考慮する個別化された治療のための手段を提供し得る。これは、現実的な脳モデル内のtCSの効果の機械的理解を組み込むことによって達成することができ、それにより、相乗的で個別化された治療法の効果的な開発を可能にする。手順の態様は、WO2015/059545および米国特許第9,694,178号に記載されており、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれている。ここでは、標的マップに優先的に係合する最適化された多チャネル経頭蓋電流刺激の使用も説明されており、この標的マップには、刺激時に活性化シグナルを伝播する位置、刺激時に阻害シグナルを伝播する位置、および回避され得る中立位置が含まれる。
【0013】
実施形態では、最適電流、最適電極位置、および/または最適電極数は、電界モデリングを有する現実的な頭部モデルを使用して決定される。実施形態では、電界計算は、Miranda et al.,(2013)に記載されている現実的な頭部モデルを使用して実行される。実施形態では、現実的な頭部モデルは、現実的な頭部の多層有限要素モデルであり、これは、例えば、患者のMRIまたは他の脳撮像技術から、患者に一般的のものであってもよく、または患者に特有のものであってもよい。
【0014】
実施形態では、tCSは、準静的レジーム(10,000Hz未満)内の周波数スペクトルを当該位置に送達する。実施形態では、送達される周波数スペクトルは、0Hz(すなわち、tDCS)であり、他の実施形態では、それは、ガンマバンド、例えば、25Hzおよび約100Hzである。実施形態では、周波数スペクトルは、約40Hz~約50Hzである。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第62/630,685号を参照されたい。
【0015】
実施形態では、刺激は、例えば、ガンマバンド内の少なくとも1つの周波数スペクトル、またはガンマバンド内の少なくとも1つの周波数スペクトル、およびガンマバンド外の少なくとも1つの周波数スペクトルを含む、2つ以上の異なる周波数スペクトルを含む。実施形態では、各周波数スペクトルは、ガンマバンドに存在する。実施形態では、少なくとも1つの周波数スペクトルは、非正弦波形であり、例えば、非正弦波形は、ガンマバンド内にある。実施形態では、刺激は、ランダムおよび/または変化する周波数を含む。
【0016】
実施形態では、刺激は、約0.1mA~約10mA、または約0.01A/m2~約100A/m2の電流強度を有する。
【0017】
実施形態では、刺激は、少なくとも1秒、少なくとも1分、または少なくとも1時間の持続時間を有する。一部の実施形態では、刺激持続時間は、少なくとも2時間である。種々の実施形態では、刺激期間は、約5分~約2時間、または約5分~約1時間である。
【0018】
実施形態では、(tCSの)レジメンは、1つのセッションのみを含む。あるいは、レジメンは、2つ以上のセッションを含み、セッションは、毎年、隔月、毎月、半月、隔週、毎週、半毎週、毎日、または毎日以上、およびそれらの間の任意の数の定期的セッションである。
【0019】
本明細書で使用される場合、「約」は、関連する数値の±10%として定義される。
【0020】
実施形態では、tCSは、少なくとも1つの電極を介して提供され、かつ一部の実施形態では、2つ以上の電極を含む電極モンタージュを介して提供される。実施形態では、電極モンタージュ内の少なくとも2つの電極は、異なる刺激パラメータ(周波数スペクトルおよび/または強度を含む)を有する。実施形態では、電極モンタージュ内の各電極は、同じ刺激パラメータを有する。電極モンタージュは、最大2個、最大4個、最大8個、最大16個、最大32個、最大64個、最大128個、または最大256個の電極を含んでもよい。電極モンタージュは、約1~約300個、約1~約250個、約1~約200個、約1~約150個、約1~約100個、約1~約50個、約1~約40個、約1~約30個、約1~約25個、約1~約20個、約1~約15個、約1~約10個、約2~約8個、または約4~約8個の電極を含んでもよい。
一部の実施形態では、電極モンタージュは、少なくとも2個、少なくとも4個、少なくとも8個、または少なくとも16個の電極を含む。電極は、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、または約35個の電極を含んでもよい。
一部の実施形態では、電極モンタージュは、2~32個の電極、または4~16個の電極、または4~8個の電極を含む。
【0021】
実施形態では、対象は、対象の脳内に検出可能な腫瘍(複数可)を有し、臨床または前臨床疾患を有する。あるいは、対象は、脳内に検出可能な腫瘍を有しておらず、本方法は、再発のリスクがある対象を含む、リスクがある対象のための保護を提供する。
【0022】
実施形態では、対象は、脳内に検出可能な腫瘍を有し、本方法は、腫瘍(複数可)の位置に関する情報、腫瘍の種類(例えば、膠芽腫、転移)に関する情報、およびその侵攻性に関する情報を提供する。
【0023】
実施形態では、多チャネル刺激は、いくつかの電極に特有の皮膚準備などの最小限の解剖学的変化の仕様と共に、または小径の頭蓋骨の孔を穿孔する、より薄い頭蓋骨領域を作成する、または電界を制御するために腫瘍塊の周囲/内側に導電性材料を配置するように最適化される。
【0024】
本明細書に記載される任意の態様または実施形態は、本明細書に開示される任意の他の態様または実施形態と組み合わせることができる。
【0025】
最後に、記載される技術は、tCSに焦点を当てているが、単一または多チャネルTMSにある程度適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態によるワークフローの例を示す。Aは、標準的な術前診断の一部として取得されるT1wおよびT2加重画像を示す。Bは、腫瘍を局在化するために使用されるガドリニウム造影剤(CE)T1w画像を示しており、これは次いで、2つの組織クラス(固形腫瘍および壊死コア)に手動でセグメント化され、一方、浮腫はまた、FLAIR MRIスキャン上で識別される。Cは、個別化されたtCSモデルおよび刺激モンタージュを作成するために使用されるMRI画像および関心領域を示す。Dは、ASLおよびfMRI配列が、
図1Cの個別化されたtCSモデルおよび刺激モンタージュを使用する刺激の前、間、および後に取得される、組み合わせたtCS-MRIセッションを示す。Eは、脳手術が標準的な臨床手順に従って実施され、その後の解剖学的病理学的検査が、組織学的に腫瘍を標識するために実施されることを概略的に示す。Fは、第2のMRIおよびtCS-MRIセッションが術後段階で実施されることを示しており、頭蓋骨破裂を考慮すると、電流拡散が変化する可能性がある。FLAIRは液体減衰反転回復、tCSは経頭蓋電流刺激、ASLは動脈スピン標識、fMRIは機能的磁気共鳴イメージングである。
【
図2】刺激モンタージュのポテンシャルモデリング、セグメンテーション、および個別化の一例である。Aでは、MRI画像を手動でセグメント化し、浮腫(緑色)、固形腫瘍(赤色、本実施例ではGBM)および壊死コア(青色)を表す関心領域(ROI)を識別する。Bでは、導電率値は、各ROI、ならびに健康な脳組織(灰色および白色物質、CSF、皮膚、頭蓋骨)に割り当てられる。Cでは、浮腫-固形腫瘍界面を介した刺激を最大化するために、多電極刺激溶液を実装する。Dでは、得られたtCSモンタージュは、腫瘍の同側半球の上に配置された最大8個の電極を含む。
【
図3】術後刺激のためのモデリングパイプラインの一例である。Aでは、構造MRIおよびCT画像は、術後のtCSの影響をモデル化するために使用される。アドホックROIは、それぞれ電流分流を有利にし、電極の位置決めに影響を与える可能性のある頭蓋骨破裂および金属クリップの両方に対して作成される。Bでは、新しい組織伝導性値が導出され、頭蓋骨破裂による電流シャントの量が注意深く推定されている。Cにおいて、生検の場合、腫瘍(この例では膠芽腫)の形態および浮腫の量は、手術後に有意に変化し、推定される誘導電界および異なる多焦点電極モンタージュへの変更をもたらす可能性がある。
【
図4】非侵襲的脳刺激が腫瘍灌流および腫瘍サイズに及ぼす影響である。Aにおいて、GBMとMTXの両方の患者では、浮腫の傾向的な変化(p<0.12)と比較して、刺激中に白質補正CBFの有意な減少が観察され(p<0.01)、壊死コアの変化(p<0.39)は観察されなかった。Bにおいて、各腫瘍に対するホモおよび同側半球における対照ROIは、CBFに有意な変化を示さなかった。図において、GBMは膠芽腫を示し、MTXは転移を示し、tCSは経頭蓋電流刺激を示す。
【
図5】経頭蓋刺激により発生する電流と電界の計算を改善するためのインプラントまたは孔を備えた頭部のモデリングに使用される要素の形状である。Aは、チタン頭蓋プレートおよび金のEEG電極を有する頭蓋骨の画像を示す。Bは、バーホールカバーCADモデル(左パネル)および孔の上部のプレート(右パネル)を示す。Cは、側面から見た頭蓋骨、犬骨プレートCADモデルの画像、プレートの画像を示す。
【
図6】本臨床試験に参加した患者のうちの1人の有限要素頭部モデルである。膠芽腫における浮腫、固形腫瘍、および壊死コア領域を含む、頭部モデルにおける異なる組織の導電性(
図6A)であり、表面最適化(
図6B)および体積最適化(
図6C)アプローチで得られたモンタージュによって誘導されたGM、WM、および膠芽腫組織における電界の大きさ(V/m)である。
【
図7】本臨床試験に参加した患者のうちの1人の有限要素頭部モデルである。表面最適化アプローチで得られたモンタージュによって誘導されたGM、WMおよび膠芽腫組織における電界の大きさ(V/m)である。4つの頭蓋切開開口部を有する頭蓋骨を画像の上に重ねて示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示は、膠芽腫腫瘍灌流および腫瘍サイズが、標的化された非侵襲的脳刺激によって低減され得ることを実証するものである。一部の実施形態では、本発明は、脳手術のために選択される膠芽腫または脳転移を有する患者を用いて実施され、灌流の調節のためのtCS介入は、脳手術の前および/または後の両方で行われてもよく、術後の頭蓋骨破裂の存在下での電流分布のモデリングに関する2つのシナリオについて、異なる方法論的態様が考慮される。
【0028】
まず、(i)術前MRI取得(
図1A~1F)のために、患者は、脳腫瘍(Langen,Galldiks,Hattingen,&Shahah,2017)を定義および特徴付けるために、臨床MRI評価を受けた。これには、T1加重ありまたはなしの造影剤(それぞれT1、CE-T1)、T2加重(T2W)、流体減衰反転回復(FLAIR)、動脈スピン標識(ASL)、および静止状態T2-BOLD機能MRI(rs-fMRI)が含まれていた。MRI画像を可視化した後、チームは患者が治験に適しているかどうかを判断する。陽性評価の場合、(ii)個々の関心領域(ROI)は、CE-T1配列を使用して、存在する場合の腫瘍の固形成分(すなわち、活性増殖性悪性細胞(Urbanska,Sokolowska,Szmidt,&Sysa,2014,Rees,Smirniotopoulos,Jones,&Wong,1996)、その壊死コア(すなわち、その血液供給を上回るその制御されていない増殖によって引き起こされる腫瘍の「死」部分(Rees,Smirniotopoulos,Jones,&Wong,1996)、(Urbanska,Sokolowska,Szmidt,&Sysa,2014))、およびFLAIR画像を使用した腫瘍周囲の浮腫(すなわち、GBMの場合は浸潤性浮腫および転移のための腫瘍のない血管原性浮腫(Z.-X.Lin,2013)(Stummer,2007))を分割することによってセグメント化される。ROIは、腫瘍および健康な脳組織空間を通る経頭蓋電流の個別化された計算モデルに基づいて、(iii)個々のtCSテンプレートを作成するために使用される。(iv)専用のMRIセッションは、外科的介入の前の3~5日間にわたって計画され、tCSは、MRIに適合するデバイスを介してMRIスキャナ内で実施され、(v)患者は、術前MRIの約1週間後に、腫瘍の脳神経外科/生検を受け、その後の解剖学的病理学的応答を伴って、(vi)疑わしい診断が確認される。
【0029】
各患者の構造MRI(T1加重)は、個々の刺激溶液を得るためにアドホックパイプラインを使用して前処理した。皮質灰白質表面を得て、次いで、浮腫、固形および壊死性腫瘍マスクと交差させ、浮腫および固形腫瘍マスクの交差部にわたって電界を最大化することを目的とした標的領域を画定した。次いで、この標的領域を、10-10EEGシステムの32の位置のいずれかに位置する最大8個の刺激電極によって構成される全ての多電極モンタージュを比較する遺伝的アルゴリズムに基づいて、最適化アルゴリズム(Stimweaverアルゴリズム、(Ruffini,Fox,Ripolles,Miranda,&Pascual-Leone,2014))への入力として使用した。最適化の目的は、皮質表面に垂直な電界(E_n)が標的領域の一員となり、基礎となる皮質錐体細胞の刺激につながるという合理的な理論を使用することによって、標的領域における刺激を最大化することであった(Ruffini,Fox,Ripolles,Miranda,&Pascual-Leone,2014)。重み付けされた標的とE_nフィールド皮質マップとを比較する制約された最小二乗を使用して、電流強度を最適化することにより、解を見出した。この特定のケースでは、標的E_nフィールドを、PITRODE電極(円筒形1cm半径、TT cm2面積Ag/AgCl/ゲル電極)、2.0mAの任意の電極における最大電流、4.0mAの最大総注入電流、および8個以下の電極を使用して、標的領域内で0.25V/mに設定した。
【0030】
MRl-TCSセッションを開始する前に、患者はMRIアナムネシスルームに座った椅子に快適に着座していた。頭皮をアルコール溶液で穏やかに洗浄し、対応する電極下での皮膚伝導性を改善した。MRI対応の脳刺激装置をtCSセッション(Starstimシステム、多チャネルMRIキット、Neuroelectrics社、バルセロナ)に使用し、患者はMRIセッション全体を通してこの装置を着用した。
【0031】
最初のMRI評価から約1週間後、患者はシエナのLe Scotte Hospital(LL,GO)の脳神経外科で脳手術を受けた。X患者に対して、完全切除(CR、腫瘍の98%を超える切除として定義される(Ahmadloo et al.,2013))が行われ、X患者に対して、総切除(STR、腫瘍の50%と98%との間の切除として定義される)が行われ、X患者に対して、部分切除(PR、腫瘍の50%未満の切除)が行われ、残りのX患者に対しては、生検が行われた。患者は、術後の出血、緊張性肺脳、虚血、または脳の腫れを制御する術後のCTスキャンと同様に、術中の合併症を報告しなかった(Lin,Pay,Naidich,Kricheff,&Wiggli,1977)。術中に除去された病変を含む実質組織の断片を解剖病理学部門に送付して診断を受けた。EGFR発現としてのIDH1、p53、MIB-1の免疫組織化学的検出およびMGMTプロモーターメチル化状態を定期評価の一部として実施した。
【0032】
脳腫瘍の10人の患者に関する最初の探索的研究では、上記の手順および
図1A~1F、2A~2D、および3A~3Cに示されている手順により、非刺激腫瘍/健康組織で観察された変化と比較して、tCS中の腫瘍灌流に有意な変化が生じた。より具体的には(
図4Aおよび4B)、壊死コアの脳血流(CBF)値は、約19%の平均減少を示した。特に、GBM患者は約20%の減少を示し、MTX患者は9%の減少を報告した。固形腫瘍については、19%の平均減少が報告され、GBMおよびMTX患者でそれぞれ13%および45%の減少が報告された。浮腫については、平均16%の減少が認められ、GBMおよびMTXについては17%および8%の減少が認められた。健常な対照脳領域における灌流の変化の分析は、+19%(対側ROI)および+5%(同側ROI)の灌流の全体的な増加を伴う、逆のパターンが見られた。
【0033】
実施形態では、患者のための最適化されたモンタージュを生成するプロセスは、3つの異なるステップを含む。第1のステップは、術後の患者の頭蓋骨および脳病変を考慮することを含む、患者の現実的な頭部モデルの構築を含む。頭蓋骨の欠陥は「ホットスポット」を作成することによって電流を導き、電界を増幅するだけでなく、シミュレーションの忠実度を維持するため、これは安全性にとって重要である。有限要素モデルは、個々の構造MRIデータ、および浮腫、固形腫瘍、および壊死コアを表す手動でトレースされた関心領域に基づいて作成することができる。
【0034】
第2のステップは、標的の定義である。広義には、標的領域またはマスクの加重選択を指し、それらに必要な電界特性を指定する。例えば、強い電界は、固形腫瘍上またはその周辺に生成されることが望まれるが、皮質の残りの部分には生成されないことが望まれる。このステップの出力は、以下で詳細に説明するように、最適化のためのコスト関数の定義である。
【0035】
プロセスの第3のステップは、最適化である。ヘッドモデルと標的が定義されると、コスト関数によって数学的に定義された「最良」を用いて、最良の電極と電流モンタージュを見つけることができる。高い空間分解能を達成するために、複数の刺激頭皮電極に基づくtCSソリューションは、Ruffini et al.,2014(Stimweaverアルゴリズム)に記載されているように、コスト関数を最小限に抑えようとする遺伝的アルゴリズムを使用して見つけることができる。最適化のプロセスには、手術に起因する頭蓋骨の小さな孔などの電気解剖学的変化を使用または誘発することも含まれ得る。そのためには、以下で説明するように、かかる変更を適切にモデル化する必要がある。
【0036】
一部の実施形態では、本発明は、頭蓋切開、すなわちtDCSの電流の流れに深刻な影響を与える可能性のある頭蓋骨病変(孔)およびインプラント(薄い頭蓋外プレート)を用いて対象をモデリングすることを伴う。これらは、安全性および有効性のためにモデル化する必要があるが、電流および電界を腫瘍内により良く導くためにも使用され得る。
【0037】
過去の研究では、頭蓋骨の開口部の存在により、脳内に誘発された電界が220%増加する可能性があり(ただし、電界は安全限界内に維持される)、全体的な電界分布にも重要な違いが生じることが示されている。したがって、これらの頭蓋切開(および存在する可能性のある金属インプラント)の正確なモデリングは、刺激アプローチを正確かつ安全に計画するために重要である。
【0038】
過去の研究を洗練し、特定の介入要素に焦点を当てるために、本開示の実施形態は、術後患者におけるモンタージュの最適化のための頭蓋切開の現実的な有限要素モデルを提供する。現実的な有限要素モデルは、安全上の考慮を用いて作成される。安全性に関しては、種々のシナリオ(例えば、「最悪の場合」シナリオ)を考慮するために、種々の頭蓋骨欠損サイズ(半径1.0、2.5および5.0mm、骨フラップのギャップが約2mm)、Ti帽状腱膜の導電率の種々の値(非常に低い値から非常に高い値)、およびモンタージュ(欠陥と近くの位置の上に最大電流電極を配置した場合)を有する状況が考慮される。モデリング作業は、頭蓋切開で見られるプレートと頭蓋骨の欠陥の現実的なレンダリングに焦点を当てている(Rotenberg et al.,2007)。計算は、Miranda et al.(2003)およびRuffini et al.(2014)に記載されるように実施する。このモデルには、頭皮、頭蓋骨、脳脊髄液(CSF)(脳室を含む)、灰白質(GM)、および白質(WM)の表現が含まれている。これらの組織の各々の導電率は、DC-低周波数範囲に関する文献に見られる基準値、すなわち、それぞれ0.33S/m、0.008S/m、1.79S/m、0.4S/m、0.15S/mに基づいていた。頭蓋骨孔を有するモデルでは、後者はCSF(伝導率1.79S/m)で表され、これは、急性型頭蓋骨病変の正確な説明である。発明者らによって行われたモデリング作業では、類似のシナリオとの事前作業と一致して、種々の状況(電極位置、ホール半径、最悪の場合の導電率シナリオ)で生成された皮質電界が、7V/m未満にとどまり、動物試験からの安全限界をはるかに下回ることが示された。これは、最小限の加熱を示す過去の研究および試験とも一致している。これらの値を概観すると、これらの結果は、皮質組織におけるピーク散逸電力密度が0.02mW/gを超えることはないことを示している。Bikson et al.(2016)に詳述されているように、電界モデリングは、一連の頭蓋骨欠損にわたって投与された典型的なtDCSプロトコル(≦2mA)が、脳電流密度(等価的に、電界)の6倍の増加に対応する最悪の場合の理論的条件下で、無傷の頭蓋骨ケースと比較して局所的な電流密度の増加をもたらし得ることを示す(Datta 2010)。頭蓋骨欠損またはインプラントに起因する電流/電界増幅因子を許容しても、本研究におけるtDCS誘導電界は、動物モデルにおいて傷害を引き起こすことが示されているものを著しく下回る(Liebetanz 2009)。皮質電界の増幅を最大化するように頭蓋孔-電極配置が設計されたモデリング研究は、安全限界を下回ったままの増幅係数(~10)を達成した(Seo 2017)。全ての場合において(過度に悲観的な最悪の場合のシナリオであっても)、動物モデルから推定されるように、皮質電界強度には良好な安全範囲(3倍~10倍)が存在する。グレー物質およびTiプレートでは、電力散逸と加熱は無視できる。
【0039】
それにもかかわらず、この電界および電流における増幅は、腫瘍の治療に有利であり得る。
【0040】
シエナ医科大学および大学病院での最近完了した研究(シエナ研究)では、患者は多チャネルtCSモンタージュを使用して治療された。これらの患者のうちの3人は、脳手術の1ヶ月後に、副作用なしで20分間(tDCS、8チャネル、電極あたりの最大強度は2mA)刺激された。頭蓋骨破裂を考慮し、頭蓋骨の欠損に起因する電界ホットスポットを回避してtCSソリューションを最適化するために慎重なモデリング作業を使用した。術後の刺激に供された3名の患者では、有害な影響は報告されなかった。
【0041】
図5A、5B、および5Cは、経頭蓋刺激により発生する電流と電界の計算を改善するためのインプラントまたは孔を備えた頭部のモデリングに使用される要素の形状を示している。
図5Aは、チタン頭蓋プレートおよび金のEEG電極を有する頭蓋骨の画像を示している。
図5Bは、バーホールカバーCADモデル(左パネル)および孔の上部のプレート(右パネル)を示している。
図5Cは、側面から見た頭蓋骨、犬骨プレートCADモデルの画像、プレートの画像を示す。
【0042】
同時に、上記のように、頭蓋骨の小さな孔または窪みなどの解剖学的変化を人工的に作成して、腫瘍内への電流をより良く導くことができる。電流の流れは、基本的に、頭蓋骨が抵抗組織であるため、頭蓋骨の孔(例えば、その上に電極が電流を伝達する)を通るか、または頭蓋骨の一部(数mm)が切り出された頭蓋骨の領域を介して促進される。
【0043】
モデルおよびマスクが定義されると、(上述のように)浮腫表面の両方、または例えば固形腫瘍体積に関連するコスト関数を定義して、各アプローチの有効性を評価することができる。過去の研究のように、頭蓋骨病変の上部または近くにある電極を避けて電流増幅効果を最小限に抑えることに留意されたい。これは安全性のためにモデルで監視される。
【0044】
体積および表面の最適化コスト関数の定義
最適化の目標は、脳の残りの部分への影響を最小限に抑えた浮腫界面ノード上の垂直な電界を最大化することであり得、浮腫内の灌流を増加させるという生理学的目標を有する。表面ノードと表面法線ベクトルの定義に依存するこのアプローチの方法論は、Ruffini et al.,2014に詳細に記載されている。
【0045】
本開示において、刺激の結果として、固形腫瘍体積に最大電界が生成され(これは、この組織の導電率が低く、導電率の高い壊死性コアとの界面のため、生物物理学の理由で予想されていた)、重要なことに、固形腫瘍における灌流の減少につながることが観察された。この発見は、利用可能な動物研究データとともに、電界の大きさ、または等価的に、固形腫瘍に送達される電力を最大化することを含む修正された標的化戦略が有利であり得ることを示している。以下の式を用いることができる。
【数1】
【0046】
電界電力散逸密度(W/m
3)については、媒体導電率を示すσを用いて、最適化の焦点を示している。重み付けされた最小二乗最適化の基本的な要素は、基本的にRuffini et al.,2014と同様であるが、表面ではなく体積上にある。これは、以下のコスト関数によって与えられる。
【数2】
【0047】
体積ノードの合計で、ξi(I)は電極電流の関数としての電界エネルギー密度、Wは重み関数、ξ0は所与のノードでの標的電界エネルギー密度である。最後の項は、ノードに関連付けられた体積要素である。注目すべきことに、本最適化手順では、目標電力散逸率が領域ごとに定義され、次いで、期待値が重み付けされる。これはStimweaverアルゴリズム(Ruffini 2014)に類似しているが、最適化スキームは表面要素ではなく体積にシフトされる。
【0048】
図6A~6Cは、研究した患者のうちの1つにおける固形腫瘍体積アプローチから生じるものと比較して、浮腫表面標的化スキームに基づいた標的および最適化された多極電極溶液を示している。観察され得るように、結果として生じる解決策は異なるものであり、これは異なる関連するコスト関数を考慮すると予想される。
図6A~6Cは、本臨床試験に参加した患者のうちの1人の有限要素頭部モデルを示している。膠芽腫における浮腫、固形腫瘍、および壊死コア領域を含む、頭部モデルにおける異なる組織の導電性(
図6A)であり、表面最適化(
図6B)および体積最適化(
図6C)アプローチで得られたモンタージュによって誘導されたGM、WM、および膠芽腫組織における電界の大きさ(V/m)である。
【0049】
図7は、本臨床試験に参加した患者のうちの1人の有限要素頭部モデルを示している。表面最適化アプローチで得られたモンタージュによって誘導されたGM、WMおよび膠芽腫組織における電界の大きさ(V/m)である。4つの頭蓋切開開口部を有する頭蓋骨を画像の上に重ねて示している。
【0050】
電極位置、電流、および解剖学的変化の組み合わせの最適化
現在のStimweaverアルゴリズムは、電極位置と電流の空間で検索して、所望の加重標的マップに一致する最適な構成を識別することができる。この方法は、この検索を実行するために遺伝的アルゴリズムを採用している。この方法は、例えば、過去の手術による電気解剖学的変化を伴う頭部モデルに直接適用することができる。
【0051】
さらに、この方法は、追加の次元で検索を拡張するために単純に拡張することができる。頭蓋骨の厚さの人工的な変化、または異なる直径の孔でさえも、例えば、電流および電極の位置などと同時に、種々の場所に置かれ、解決策を探索することができる。異なる導電特性を有するインプラントの挿入も探索することができる。
【0052】
最後に、この方法は、日和見的または意図的に、他のtCS標的化の問題に適用可能である。これは、例えば、患者が手術も受けた可能性があるてんかんなどに適用することができる。
【0053】
等価物
本発明は、その一部の実施形態に関連して説明されてきたが、それは、さらなる修正が可能であり、本出願は、概して、本発明の原理に従った本発明の任意の変形、使用、または適合を網羅することが意図され、本発明が属する技術分野内の既知のまたは慣習的な慣行の範囲内にあり、かつ上に記載され、添付の特許請求の範囲において以下に記載される本発明の本質的特徴に適用され得る、本開示からのかかる逸脱を含むことが理解されるであろう。
【0054】
当業者は、通常の実験のみを使用して、本明細書に具体的に記載される特定の実施形態に対する多数の等価物を認識するか、または確認することができるであろう。かかる等価物は、以下の特許請求の範囲内に包含されることが意図される。
【0055】
参照による組み込み
本明細書で参照される全ての特許および刊行物は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。例示的な刊行物は、以下の参考文献のセクションに列挙され、本開示全体を通して記載される。
【0056】
本明細書で論じられる刊行物は、本出願の出願日の前にそれらの開示のためだけに提供される。本明細書のいかなる内容も、本発明が、先行発明によってかかる刊行物に先行する権利を有さないことを認めるものとして解釈されるべきではない。
【0057】
本明細書で使用される場合、全ての見出しは単に構成のためのものであり、いかなる方法でも開示を限定することを意図しない。個々のセクションの内容は、全てのセクションに同等に適用することができる。
【0058】
参考文献
Alexiou et al.(2014).Correlation of diffusion tensor,dynamic susceptibility contrast MRI and(99m)Tc-Tetrofosmin brain SPECT with tumour grade and Ki-67 immunohistochemistry in glioma.Clinical Neurology and Neurosurgery,116,41-45.
【0059】
Antal et al.(2017).Low intensity transcranial electric stimulation:Safety,ethical,legal regulatory and application guidelines.Clinical Neurophysiology:Official Journal of the International Federation of Clinical Neurophysiology,128(9),1774-1809.
【0060】
Antal et al.(2014).Transcranial electrical stimulation modifies the neuronal response to psychosocial stress exposure.Human Brain Mapping,35(8),3750-3759.
【0061】
Assis et al.Corrosion characterization of titanium alloys by electrochemical techniques.Electrochimica Acta.2005;51:1815-9.
【0062】
Baeken et al.(2017).Increased left prefrontal brain perfusion after MRI compatible tDCS attenuates momentary ruminative self-referential thoughts.Brain Stimulation,10(6),1088-1095.
【0063】
Bikson et al.(2016).Safety of transcranial Direct Current Stimulation:Evidence Based Update 2016.Brain Stimul.Sep-Oct;9(5):641-661.
【0064】
Ciria et al.(2013).Antitumor effects of electrochemical treatment.Chinese Journal of Cancer Research=Chung-Kuo Yen Cheng Yen Chiu,25(2),223-234.
【0065】
Datta et al.(2010).Transcranial direct current stimulation in patients with skull defects and skull plates:High-resolution computational FEM study of factors altering cortical current flow.Neuroimage 52(4):1268-78.
【0066】
Fosh et al.(2003).Use of electrolysis for the treatment of non-resectable hepatocellular carcinoma.ANZ Journal of Surgery,73(12),1068-1070.
【0067】
Ganbold et al.(2017).Differences In High-Intensity Signal Volume Between Arterial Spin Labeling And Contrast-Enhanced T1-Weighted Imaging May Be Useful For Differentiating Glioblastoma From Brain Metastasis.The Journal of Medical Investigation:JMI,64(1.2),58-63.
【0068】
Giordano et al.(2017).Mechanisms and Effects of Transcranial Direct Current Stimulation.Dose-Response:A Publication of International Hormesis Society,15(1),1559325816685467.
【0069】
Griffin et al.(1995).Low-level direct electrical current therapy for hepatic metastases.I.Preclinical studies on normal liver.British Journal of Cancer,72(1),31-34.
【0070】
Hanif et al.(2017).Glioblastoma Multiforme:A Review of its Epidemiology and Pathogenesis through Clinical Presentation and Treatment.Asian Pacific Journal of Cancer Prevention:APJCP,18(1),3-9.
【0071】
Hills et al.(2014).Electrotherapy:enlightening modern medicine.The Lancet.Oncology,15(10),1060-1061.
【0072】
Hong et al.(2017).Brain plasticity following MI-BCI training combined with tDCS in a randomized trial in chronic subcortical stroke subjects:a preliminary study.Scientific Reports,7(1),9222.
【0073】
Hu et al.(2012).Correlations between perfusion MR imaging cerebral blood volume,microvessel quantification,and clinical outcome using stereotactic analysis in recurrent high-grade glioma.AJNR.American Journal of Neuroradiology,33(1),69-76.
【0074】
Huang et al.(2016).Response Assessment in Neuro-Oncology Criteria and Clinical Endpoints.Magnetic Resonance Imaging Clinics of North America,24(4),705-718.
【0075】
Huang et al.(2017).Measurements and models of electric fields in the in vivo human brain during transcranial electric stimulation.Elife.2017 Feb 7;6.pii:e18834.doi:10.7554/elife.18834.
【0076】
Jarm et al.(1999).Blood perfusion of subcutaneous tumours in mice following the application of low-level direct electric current.Advances in Experimental Medicine and Biology,471,497-506.
【0077】
Jarm et al.(2003).Perturbation of blood flow as a mechanism of anti-tumour action of direct current electrotherapy.Physiological Measurement,24(1),75-90.
【0078】
Jeck et al.(2018).Bevacizumab in temozolomide refractory high-grade gliomas:single-centre experience and review of the literature.Therapeutic Advances in Neurological Disorders,11,1756285617753597.
【0079】
Jovanovic et al.(2017).Differentiation between progression and pseudoprogresion by arterial spin labeling MRI in patients with glioblastoma multiforme.Journal of B.U.ON.:Official Journal of the Balkan Union of Oncology,22(4),1061-1067.
【0080】
Khadka et al.(2017).Minimal Heating at the Skin Surface During Transcranial Direct Current Stimulation.Neuromodulation.Jan 22.doi:10.1111/ner.12554.
【0081】
Langen et al.(2017).Advances in neuro-oncology imaging.Nature Reviews.Neurology,13(5),279-289.https://doi.org/10.1038/nrneurol.2017.44
【0082】
Liebetanz et al.(2009).Safety limits of cathodal transcranial direct current stimulation in rats.Clin.Neurophysiol.120,1161-1167.
【0083】
Li et al.(2006).Effect of electro-acupuncture in treating patients with lingual hemangioma.Chinese Journal of Integrative Medicine,12(2),146-149.
【0084】
Lin et al.(2017).Structural Connectivity Variances Underlie Functional and Behavioral Changes During Pain Relief Induced by Neuromodulation.Scientific Reports,7,41603.
【0085】
Lin (2013).Glioma-related edema:new insight into molecular mechanisms and their clinical
implications.Chinese Journal of Cancer,32(1),49-52.
【0086】
Lindner et al.(2017). lntraoperative resection control using arterial spin labeling - Proof of concept,reproducibility of data and initial results.Neurolmage.Clinical,15,136-142.
【0087】
Louis et al.(2016).The 2016 World Health Organization Classification ofTumors of the Central Nervous System:a summary.Acta Neuropathologica,131(6),803-820.
【0088】
Miranda et al.(2003).The electric field induced in the brain by magnetic stimulation:a 3-D finite-element analysis of the effect of tissue heterogeneity and anisotropy.IEEE Trans.Biomed.Eng. 50,1074-1085.
【0089】
Miranda et al.(2013).The electric field in the cortex during transcranial current stimulation.Neuroimage.2013 Apr 15;70:48-58.
【0090】
Mrugala et al.(2017).Tumor Treating Fields in Neuro-Oncological Practice.Curr Oncol Rep.Aug;19(8):53.
【0091】
Nitsche et al.(2000).Excitability changes induced in the human motor cortex by weak transcranial direct current stimulation.The Journal of Physiology,527 Pt 3,633-639.
【0092】
Nitsche et al.(2011).Transcranial direct current stimulation--update 2011.Restorative Neurology and Neuroscience,29(6),463-492.
【0093】
Nordenstrom et al.(1990).Electrochemical treatment of cancer.II:Effect of electrophoretic influence on adriamycin.American Journal of Clinical Oncology,13(1),75-88.
【0094】
Opitz et al.(2016).Spatiotemporal structure of intracranial electric fields induced by transcranial electric stimulation in humans and nonhuman primates.Scientific Reports 6:31236.
【0095】
Petr et al.(2016).Early and late effects of radiochemotherapy on cerebral blood flow in glioblastoma patients measured with non-invasive perfusion MRI.Radiotherapy and Oncology:Journal of the European Society for Therapeutic Radiology and Oncology,118(1),24-28.
【0096】
Plesnicar et al.(1994).Electric treatment of human melanoma skin lesions with low level direct electric current:an assessment of clinical experience following a preliminary study in five patients.The European Journal of Surgery.Supplement.:=Acta Chirurgica.Supplement,(574),45-49.
【0097】
Qiao et al.(2015).Arterial spin-labeling perfusion MRI stratifies progression-free survival and correlates with epidermal growth factor receptor status in glioblastoma.AJNR.American Journal of Neuroradiology,36(4),672-677.
【0098】
Rees et al.(1996).Glioblastoma multiforme:radiologic-pathologic correlation.Radiographies:A Review Publication of the Radiological Society of North America,Inc,16(6),1413-1438;quiz 1462-1463.
【0099】
Rock et al(2012).A clinical review of treatment outcomes in glioblastoma multiforme--the validation in a non-trial population of the results of a randomised Phase 111 clinical trial:has a more radical approach improved survival? The British Journal of Radiology,85(1017),e729-733.
【0100】
Rotenberg et al.(2007).Minimal heating of titanium skull plates during 1 Hz repetitive transcranial magnetic stimulation.Clinical Neurophysiology 118.11:2536-2538.
【0101】
Rotenberg et al.(2009).Safety of 1 Hz repetitive transcranial magnetic stimulation (rTMS)in patients with titanium skull plates.Clinical Neurophysiology 120.7:1417.
【0102】
Ruffini et al.(2014).Optimization of multifocal transcranial current stimulation for weighted cortical pattern targeting from realistic modeling of electric fields.Neurolmage.89:216-25.
【0103】
Seo et al.(2017).The Effect of a Transcranial Channel as a Skull/Brain Interface in High-Definition Transcranial Direct Current Stimulation-A Computational Study.Scientific Reports 7:40612.
【0104】
Stagg et al.(2013).Widespread modulation of cerebral perfusion induced during and after transcranial direct current stimulation applied to the left dorsolateral prefrontal cortex.The Journal of Neuroscience:The Official Journal of the Society for Neuroscience,33(28),11425-11431.
【0105】
Stummer(2007).Mechanisms of tumor-related brain edema.Neurosurgical Focus,22(5),E8.
【0106】
Urbanska et al.(2014).Glioblastoma multiforme-an overview.Contemporary Oncology,18(5),307-312.
【0107】
Wu et al.(2001).[Electrochemical therapy and implanted ports treatment for unresectable carcinoma of body and tail of pancreas].Zhonghua Wai Ke Za Zhi[Chinese Journal of Surgery],39(8),596-598.
【0108】
Yoon et al.(2007).Introduction of Electrochemical Therapy(EChT)and Application of EChT to The Breast Tumor.Journal of Breast Cancer,10(2),162.
【0109】
Zhang et al.(2003).Transurethral electrochemical treatment of benign prostatic hyperplasia.Chinese Medical Journal,116(1),104-107.
【0110】
Zheng et al.(2011).Effects of transcranial direct current stimulation(tDCS)on human regional cerebral blood flow.Neurolmage,58(1),26-33.
【0111】
Zheng et al.(2016).Modulating transcallosal and intra-hemispheric brain connectivity with tDCS:Implications for interventions in Aphasia.Restorative Neurology and Neuroscience,34(4),519-530.
【国際調査報告】