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特表2022-533418抗ROR1/抗CD3二重特異性結合分子
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-22
(54)【発明の名称】抗ROR1/抗CD3二重特異性結合分子
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20220714BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20220714BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220714BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20220714BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20220714BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20220714BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20220714BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20220714BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220714BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20220714BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220714BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220714BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220714BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20220714BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20220714BHJP
   A61K 31/436 20060101ALI20220714BHJP
   A61K 31/52 20060101ALI20220714BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
C12N15/13
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/63 Z
C07K16/46
C07K16/28
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K47/68
A61K39/395 C
A61K39/395 L
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61P35/00
A61P35/02
A61K31/519
A61K31/496
A61K31/436
A61K31/52
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569109
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(85)【翻訳文提出日】2021-12-28
(86)【国際出願番号】 US2020034281
(87)【国際公開番号】W WO2020237173
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】62/852,039
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】521338721
【氏名又は名称】ベロスビオ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ワトキンス,ジェフリー・ディー
(72)【発明者】
【氏名】イェッセン,カティ
(72)【発明者】
【氏名】コ,ミラ
(72)【発明者】
【氏名】ランヌッティ,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォー,タン-トラン
(72)【発明者】
【氏名】ワトキンス,ジェー・モンティ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF32
4C076FF34
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA21
4C085EE01
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086CB06
4C086CB07
4C086CB22
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA07
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、ROR1及びCD3に結合する二重特異性結合分子、並びに、癌などの疾患及び状態を治療するためのそれらの使用方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトROR1の細胞外ドメインに特異的に結合する第1の抗原結合ドメイン及びヒトCD3の細胞外ドメインに特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを含んでいる、二重特異性結合分子。
【請求項2】
前記第1の抗原結合ドメインが、ヒトROR1への結合について配列番号82に記載されている重鎖アミノ酸配列及び配列番号83に記載されている軽鎖アミノ酸配列を含んでいる抗体と競合するか、又は、該抗体と同じヒトROR1のエピトープに結合する、請求項1に記載の二重特異性結合分子。
【請求項3】
前記第1の抗原結合ドメインが、以下のものを含んでいる、請求項1に記載の二重特異性結合分子:
(a) それぞれ配列番号97、61、62、63、64及び65のアミノ酸配列を含んでいる重鎖(H)-CDR1-3及び軽鎖(L)-CDR1-3;
(b) それぞれ配列番号60、61、62、63、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3;
(c) 配列番号72と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでいる重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号73と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでいる軽鎖可変ドメイン(VL);
(d) 配列番号74のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号73のアミノ酸配列を含んでいるVL;
(e) 配列番号72のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号73のアミノ酸配列を含んでいるVL;
(f) 配列番号84のアミノ酸配列を含んでいる重鎖(HC)及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいる軽鎖(LC);
(g) 配列番号82のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLC;
(h) 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLC;又は、
(i) 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLC。
【請求項4】
前記第2の抗原結合ドメインが、ヒトCD3への結合について以下のものを含んでいる抗体と競合するか、又は、該抗体と同じヒトCD3のエピトープに結合する、請求項1~3のいずれか1項に記載の二重特異性結合分子:
(a) 配列番号70のアミノ酸配列を含んでいる重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号71のアミノ酸配列を含んでいる軽鎖可変ドメイン(VL);
(b) 配列番号66のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号67のアミノ酸配列を含んでいるVL;又は、
(c) 配列番号68のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号69のアミノ酸配列を含んでいるVL。
【請求項5】
前記第2の抗原結合ドメインが、以下のものを含んでいる、請求項1~3のいずれか1項に記載の二重特異性結合分子:
(a) それぞれ配列番号54、55、56、57、58及び59のアミノ酸配列を含んでいる重鎖(H)-CDR1-3及び軽鎖(L)-CDR1-3;
(b) それぞれ配列番号47、48、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3;
(c) それぞれ配列番号47、53、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-GDR1-3及びL-CDR1-3;
(d) 配列番号70と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでいる重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号71と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでいる軽鎖可変ドメイン(VL);
(e) 配列番号66と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号67と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでいるVL;
(f) 配列番号68と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号69と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでいるVL;
(g) 配列番号70のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号71のアミノ酸配列を含んでいるVL;
(h) 配列番号66のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号67のアミノ酸配列を含んでいるVL;
(i) 配列番号68のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号69のアミノ酸配列を含んでいるVL;
(j) 配列番号80のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号81のアミノ酸配列を含んでいるVL;
(k) 配列番号76のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号77のアミノ酸配列を含んでいるVL;又は、
(l) 配列番号78のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号79のアミノ酸配列を含んでいるVL。
【請求項6】
以下のものを含んでいる、請求項1に記載の二重特異性結合分子:
(a) それぞれ配列番号97、61、62、63、64及び65のアミノ酸配列を含んでいる重鎖(H)-CDR1-3及び軽鎖(L)-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号54、55、56、57、58及び59のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(b) それぞれ配列番号60、61、62、63、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号54、55、56、57、58及び59のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(c) それぞれ配列番号60、61、62、63、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、53、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(d) それぞれ配列番号97、61、62、63、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、48、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(e) それぞれ配列番号97、61、62、63、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、53、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;又は、
(f) それぞれ配列番号60、61、62、63、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、48、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン。
【請求項7】
以下のものを含んでいる、請求項1に記載の二重特異性結合分子:
(a) それぞれ配列番号74及び73のアミノ酸配列を含んでいる重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(b) それぞれ配列番号72及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(c) それぞれ配列番号72及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(d) それぞれ配列番号74及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(e) それぞれ配列番号74及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;又は、
(f) それぞれ配列番号72及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン。
【請求項8】
以下のものを含んでいる、請求項1に記載の二重特異性結合分子:
(a) それぞれ配列番号74及び73のアミノ酸配列を含んでいる重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(b) それぞれ配列番号72及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(c) それぞれ配列番号72及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(d) それぞれ配列番号74及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(e) それぞれ配列番号74及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;又は、
(f) それぞれ配列番号72及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン。
【請求項9】
以下のものを含んでいる、請求項1に記載の二重特異性結合分子:
(a)それぞれ配列番号84及び83のアミノ酸配列を含んでいる重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(b) それぞれ配列番号82及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(c) それぞれ配列番号82及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(d) それぞれ配列番号84及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(e) それぞれ配列番号84及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(f) それぞれ配列番号82及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(g) 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号107又は109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(h) 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号106又は109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(i) 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号106又は109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(j) 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号107又は109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(k) 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号107又は109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;又は、
(l) 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号106又は109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン。
【請求項10】
以下のものを含んでいる、請求項1に記載の二重特異性結合分子:
(a) それぞれ配列番号84及び83のアミノ酸配列を含んでいる重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(b) それぞれ配列番号82及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(c) それぞれ配列番号82及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(d) それぞれ配列番号84及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(e) それぞれ配列番号84及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(f) それぞれ配列番号82及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(g) 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号107又は109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(h) 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号106又は109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(i) 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号106又は109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(j) 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号107又は109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(k) 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号107又は109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;又は、
(l) 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号106又は109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン。
【請求項11】
配列番号14及び19のアミノ酸配列を含んでいる、ヒトROR1及びヒトCD3に特異的に結合する二重特異性結合分子。
【請求項12】
配列番号7及び19のアミノ酸配列を含んでいる、ヒトROR1及びヒトCD3に特異的に結合する二重特異性結合分子。
【請求項13】
配列番号7及び18のアミノ酸配列を含んでいる、ヒトROR1及びヒトCD3に特異的に結合する二重特異性結合分子。
【請求項14】
配列番号7及び23のアミノ酸配列を含んでいる、ヒトROR1及びヒトCD3に特異的に結合する二重特異性結合分子。
【請求項15】
以下のものを含んでいる、ヒトROR1及びヒトCD3に特異的に結合する二重特異性結合分子:
(a) 配列番号1及び16のアミノ酸配列;
(b) 配列番号2及び16のアミノ酸配列;
(c) 配列番号3及び16のアミノ酸配列;
(d) 配列番号4及び16のアミノ酸配列;
(e) 配列番号5及び16のアミノ酸配列;
(f) 配列番号6及び16のアミノ酸配列;
(g) 配列番号7及び17のアミノ酸配列;
(h) 配列番号7及び20のアミノ酸配列;
(i) 配列番号7及び21のアミノ酸配列;
(j) 配列番号7及び22のアミノ酸配列;
(k) 配列番号8、9及び16のアミノ酸配列;
(l) 配列番号8、10及び16のアミノ酸配列;
(m) 配列番号8、11及び16のアミノ酸配列;
(n) 配列番号12、11及び16のアミノ酸配列;
(o) 配列番号12、13及び16のアミノ酸配列;又は、
(p) 配列番号8、15及び16のアミノ酸配列。
【請求項16】
(a) 第1の抗原結合ドメインの結合価は2であり、及び、第2の抗原結合ドメインの結合価は2である;
(b) 第1の抗原結合ドメインの結合価は1であり、及び、第2の抗原結合ドメインの結合価は1である;又は、
(c) 第1の抗原結合ドメインの結合価は2であり、及び、第2の抗原結合ドメインの結合価は1である;
請求項1~15のいずれか1項に記載の二重特異性結合分子。
【請求項17】
ヒトIgG1定常領域を含んでいる、請求項1~8のいずれか1項に記載の二重特異性結合分子。
【請求項18】
アミノ酸置換L234A、L235A及びG237A(ここで、該残基は、EUシステムに従って番号が付けられている)を含んでいるヒトIgG1定常領域を含んでいる、請求項1~8のいずれか1項に記載の二重特異性結合分子。
【請求項19】
前記第2の抗原結合ドメインが、scFvである、請求項1~18のいずれか1項に記載の二重特異性結合分子。
【請求項20】
前記第2の抗原結合ドメインの重鎖又は軽鎖アミノ酸配列が、前記第1の抗原結合ドメインの重鎖又は軽鎖アミノ酸配列に、ペプチドリンカーを介して融合している、請求項1~19のいずれか1項に記載の二重特異性結合分子。
【請求項21】
前記第2の抗原結合ドメインの重鎖又は軽鎖アミノ酸配列と前記第1の抗原結合ドメインの重鎖又は軽鎖アミノ酸配列の間の前記ペプチドリンカーが、GGGGSGGGGS(配列番号93)のアミノ酸配列を有している、請求項20に記載の二重特異性結合分子。
【請求項22】
前記第2の抗原結合ドメインが:
(a) 前記第1の抗原結合ドメインの軽鎖のカルボキシ末端;又は、
(b) 前記第1の抗原結合ドメインの軽鎖のアミノ末端;
に融合している、請求項20又は21に記載の二重特異性結合分子。
【請求項23】
以下の特性のうちの少なくとも1を有している、請求項1~22のいずれか1項に記載の二重特異性結合分子:
(a) ELISAで測定された固定化ROR1のKが0.5nM以下である;
(b) ELISAで測定された可溶性b-ROR1のKが0.4nM以下である;
(c) それぞれ配列番号82及び83の重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を含んでいる抗体と比較して、ROR1トランスフェクトMEC細胞及び/又はジャーカット細胞において低減されたインターナリゼーションを示す;
(d) PBMCに曝露されたROR1トランスフェクトMEC細胞において、1μg/mL以下でLDH放出を誘発させる;
(e) PBMCに曝露されたJeKo-1細胞において、1μg/mL以下でLDH放出を誘発させる;
(f) PBMCに曝露されたMino細胞において、1μg/mL以下でLDH放出を誘発させる;
(g) PBMCに曝露されたMDA-MB-468細胞において、1μg/mL以下でLDH放出を誘発させる;
(h) フローサイトメトリーで測定した場合、ROR1トランスフェクトMEC細胞と共培養したT細胞の表面のCD69を1μg/mL以下でアップレギュレートする;
(i) フローサイトメトリーで測定した場合、JeKo-1細胞と共培養したT細胞の表面のCD69を1μg/mL以下でアップレギュレートする;
(j) フローサイトメトリーで測定した場合、Mino細胞と共培養したT細胞の表面のCD69を1μg/mL以下でアップレギュレートする;
(k) フローサイトメトリーで測定した場合、MDA-MB-468細胞と共培養したT細胞の表面のCD69を1μg/mL以下でアップレギュレートする;及び、
(l) Jeko-1細胞又はROR1トランスフェクトMEC細胞と共培養したT細胞から、1μg/mL以下で、IFN-γ、TNF-α、IL-10、IL-6、IL-4及びIL-2の放出を誘発させる。
【請求項24】
細胞毒性剤にコンジュゲートした請求項1~23のいずれか1項に記載の二重特異性結合分子を含んでいる、イムノコンジュゲート。
【請求項25】
請求項1~23のいずれか1項に記載の二重特異性結合分子及び薬学的に許容される賦形剤を含んでいる、医薬組成物。
【請求項26】
単離された核酸分子であって、請求項1~23のいずれか1項に記載の二重特異性結合分子の第1の抗原結合ドメインの重鎖及び軽鎖可変ドメイン(VH及びVL)をコードするヌクレオチド配列を含んでおり、並びに、さらに、請求項1~23のいずれか1項に記載の二重特異性結合分子の第2の抗原結合ドメインのVH及びVLをコードするヌクレオチド配列も含んでいる、前記単離された核酸分子。
【請求項27】
(a) 配列番号37及び42のヌクレオチド配列;
(b) 配列番号30及び42のヌクレオチド配列;
(c) 配列番号30及び41のヌクレオチド配列;
(d) 配列番号30及び46のヌクレオチド配列;
(e) 配列番号24及び39のヌクレオチド配列;
(f) 配列番号25及び39のヌクレオチド配列;
(g) 配列番号26及び39のヌクレオチド配列;
(h) 配列番号27及び39のヌクレオチド配列;
(i) 配列番号28及び39のヌクレオチド配列;
(j) 配列番号29及び39のヌクレオチド配列;
(k) 配列番号30及び40のヌクレオチド配列;
(l) 配列番号30及び43のヌクレオチド配列;
(m) 配列番号30及び44のヌクレオチド配列;
(n) 配列番号30及び45のヌクレオチド配列;
(o) 配列番号31、32及び39のヌクレオチド配列;
(p) 配列番号31、33及び39のヌクレオチド配列;
(q) 配列番号31、34及び39のヌクレオチド配列;
(r) 配列番号35、34及び39のヌクレオチド配列;
(s) 配列番号35、36及び39のヌクレオチド配列;又は、
(t) 配列番号31、38及び39のヌクレオチド配列;
を含んでいる、請求項26に記載の単離された核酸分子。
は、以下のものを含んでいる:
【請求項28】
請求項26又は27に記載の単離された核酸分子を含んでいる、ベクター。
【請求項29】
宿主細胞であって、請求項1~23のいずれか1項に記載の二重特異性結合分子の第1の抗原結合ドメインの重鎖及び軽鎖可変ドメイン(VH及びVL)をコードするヌクレオチド配列を含んでおり、並びに、さらに、請求項1~23のいずれか1項に記載の二重特異性結合分子の第2の抗原結合ドメインのVH及びVLをコードするヌクレオチド配列も含んでいる、前記宿主細胞。
【請求項30】
前記宿主細胞が、
(a) 配列番号37及び42;
(b) 配列番号30及び42;
(c) 配列番号30及び41;
(d) 配列番号30及び46;
(e) 配列番号24及び39;
(f) 配列番号25及び39;
(g) 配列番号26及び39;
(h) 配列番号27及び39;
(i) 配列番号28及び39;
(j) 配列番号29及び39;
(k) 配列番号30及び40;
(l) 配列番号30及び43;
(m) 配列番号30及び44;
(n) 配列番号30及び45;
(o) 配列番号31、32及び39;
(p) 配列番号31、33及び39;
(q) 配列番号31、34及び39;
(r) 配列番号35、34及び39;
(s) 配列番号35、36及び39;又は、
(t) 配列番号31、38及び39;
のヌクレオチド配列を含んでいる、請求項29に記載の宿主細胞。
【請求項31】
請求項1~23のいずれか1項に記載の二重特異性結合分子を産生する方法であって、
請求項29又は30に記載の宿主細胞を提供すること;
前記二重特異性結合分子の発現に適した条件下で前記宿主細胞を培養すること;及び、
得られた二重特異性結合分子を単離すること;
を含んでいる、前記方法。
【請求項32】
患者の癌を治療する方法であって、請求項1~23のいずれか1項に記載の二重特異性結合分子を該患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項33】
患者の癌を治療するための薬剤を製造するための、請求項1~23のいずれか1項に記載の二重特異性結合分子の使用。
【請求項34】
患者の癌の治療において使用するための、請求項1~23のいずれか1項に記載の二重特異性結合分子。
【請求項35】
前記癌がROR1陽性癌である、請求項32~34のいずれか1項に記載の方法、使用又は使用するための二重特異性結合分子。
【請求項36】
前記癌が、白血病、リンパ腫又は固形腫瘍である、請求項32~34のいずれか1項に記載の方法、使用又は使用するための二重特異性結合分子。
【請求項37】
前記癌が、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、T細胞白血病、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、T細胞非ホジキンリンパ腫、リンパ形質細胞様リンパ腫、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、多発性骨髄腫、辺縁帯リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫又はリヒター形質転換を受けた非ホジキンリンパ腫である、請求項32~34のいずれか1項に記載の方法、使用又は使用するための二重特異性結合分子。
【請求項38】
前記癌が、結腸癌、非小細胞肺癌、膠芽腫、肝細胞癌、膵臓癌、ユーイング肉腫、骨肉腫、頭頸部癌、卵巣癌、乳癌又はトリプルネガティブ乳癌である、請求項32~34のいずれか1項に記載の方法、使用又は使用するための二重特異性結合分子。
【請求項39】
前記患者が、追加の治療薬で治療される、請求項32~38のいずれか1項に記載の方法、使用又は使用するための二重特異性結合分子。
【請求項40】
前記追加の治療薬が、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬、B細胞リンパ腫2(Bcl-2)阻害薬、ラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)阻害薬及びホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害薬からなる群から選択される、請求項39に記載の方法、使用又は使用するための二重特異性結合分子。
【請求項41】
前記追加の治療薬が、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ベネトクラクス、エベロリムス、サパニセルチブ及びイデラリシブからなる群から選択される、請求項39に記載の方法、使用又は使用するための二重特異性結合分子。
【請求項42】
請求項1~23のいずれか1項に記載の二重特異性結合分子を含んでいる、キット。
【請求項43】
請求項32及び35~41のいずれか1項に記載の方法に従う癌の治療において使用するための、請求項42に記載のキット。
【請求項44】
請求項1~23のいずれか1項に記載の二重特異性結合分子を含んでいる製品であって、ここで、該製品は、患者の癌を治療するのに適している、前記製品。
【請求項45】
前記癌治療が、請求項32及び35~41のいずれか1項に記載の方法に従う、請求項44に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年5月23日に出願された米国仮特許出願第62/852,039号の優先権を主張するものである。その優先権出願の開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含んでおり、その配列表は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2020年5月18日に作成された配列表の電子コピーは、024651_WO004_SL.txtという名称であり、そして、サイズは258,844バイトである。
【背景技術】
【0003】
受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)は、そのリガンドである分泌糖タンパク質Wnt5aからのシグナルを媒介する細胞表面タンパク質である。胚発生中の幹細胞の運命に影響を与えることにおけるその役割と一致して、ROR1発現は、胚の転写プログラムに戻る浸潤性悪性腫瘍で観察されるが、正常な成人組織では観察されず、このことは、治療標的として好ましい選択性プロフィールを提供する。ROR1は、一般に、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ芽球性白血病(CLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、辺縁帯リンパ腫(MZL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)及びリヒター形質転換又はリヒター症候群(RS)を患っている患者の悪性細胞において発現される。ROR1は、多様な固形腫瘍の細胞表面にも存在し、ここで、ROR1は、癌幹細胞のマーカーであるように見える。それは、健康な成人組織では感知できるレベルまでは発現されないが、多種多様な血液腫瘍及び固形腫瘍において高レベルの発現を示すので、ROR1は、腫瘍特異的治療に対する魅力的な標的である。
【0004】
分化抗原群3(CD3)は、T細胞受容体複合体(TCR)に関連してT細胞上に発現される多量体タンパク質複合体であり、そして、T細胞活性化に必要である。機能的CD3は、4つの異なる鎖(イプシロン、ガンマ、デルタ、及び、ゼータ)のうちの2つが二量体会合して、以下の3種の二量体対(ガンマ/イプシロン、デルタ/イプシロン、及び、ゼータ/ゼータ)のいずれか1つになることで形成される。CD3に対する抗体は、T細胞上でCD3をクラスター化し、それによって、T細胞の活性化を引き起こすことが示されている。従って、抗CD3抗体は、T細胞の活性化を包含する治療目的のために提案されてきた。例えば、CD3と標的抗原に結合することができる二重特異性抗体は、標的抗原を発現する組織及び細胞に対するT細胞免疫応答を標的とすることを包含する治療用途のために提案されてきた。CD19×CD3二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)であるブリナツモマブが最近承認されたことによって、このアプローチが有効になった。
【0005】
二重特異性結合分子については、多くのフォーマット及び組成物が記載されている。PK、標的抗原エピトープ、抗原結合成分の相対的親和性並びにパラトープの結合価及び空間構成など、さまざまな変数がこれらの分子のインビボ効力に影響を与える。現在、ROR1とCD3の両方に特異的に結合する抗体などの二重特異性結合分子に関するこれら全てのパラメーターを最適化する単一分子を先験的に設計するための信頼できる方法は存在しない。これらのパラメーターのうちの多くのものの影響を体系的に評価し、癌治療などの治療用途にとって最適な二重特異性結合分子を選択するためには、二重特異性構築物を設計すること、製造すること及び試験することが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記に鑑みて、ROR1抗原の腫瘍特異性をリダイレクトされたT細胞の強力な活性と組み合わせる、改善された新規癌治療法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ROR1とCD3を標的とする新規二重特異性結合分子、並びに、これらの抗体のうちの1種以上を含んでいる医薬組成物、並びに、癌を治療するための該抗体及び医薬組成物の使用を対象とする。抗体治療を包含する現在利用可能な癌治療と比較して、本発明の二重特異性結合分子は、優れた臨床応答を提供し得ると予期される。
【0008】
一部の実施形態では、本開示は、ヒトROR1の細胞外ドメインに特異的に結合する第1の抗原結合ドメイン及びヒトCD3の細胞外ドメインに特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを含んでいる二重特異性結合分子を提供する。
【0009】
特定の実施形態では、第1の抗原結合ドメインは、ヒトROR1への結合について配列番号82に記載されている重鎖アミノ酸配列及び配列番号83に記載されている軽鎖アミノ酸配列を含んでいる抗体と競合するか、又は、該抗体と同じヒトROR1のエピトープに結合する。特定の実施形態では、第1の抗原結合ドメインは、以下のものを含んでいる:
(a) それぞれ配列番号97、61、62、63、64及び65のアミノ酸配列を含んでいる重鎖(H)-CDR1-3及び軽鎖(L)-CDR1-3;
(b) それぞれ配列番号60、61、62、63、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3;
(c) 配列番号72と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでいる重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号73と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでいる軽鎖可変ドメイン(VL);
(d) 配列番号74のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号73のアミノ酸配列を含んでいるVL;
(e) 配列番号72のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号73のアミノ酸配列を含んでいるVL;
(f) 配列番号84のアミノ酸配列を含んでいる重鎖(HC)及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいる軽鎖(LC);
(g) 配列番号82のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLC;
(h) 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLC;又は、
(i) 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLC。
【0010】
特定の実施形態では、第2の抗原結合ドメインは、ヒトCD3への結合について以下のものを含んでいる抗体と競合するか、又は、該抗体と同じヒトCD3のエピトープに結合する:
(a) 配列番号70のアミノ酸配列を含んでいる重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号71のアミノ酸配列を含んでいる軽鎖可変ドメイン(VL);
(b) 配列番号66のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号67のアミノ酸配列を含んでいるVL;又は、
(c) 配列番号68のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号69のアミノ酸配列を含んでいるVL。特定の実施形態では、第2の抗原結合ドメインは以下のものを含んでいる:
(a) それぞれ配列番号54、55、56、57、58及び59のアミノ酸配列を含んでいる重鎖(H)-CDR1-3及び軽鎖(L)-CDR1-3;
(b) それぞれ配列番号47、48、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3;
(c) それぞれ配列番号47、53、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-GDR1-3及びL-CDR1-3;
(d) 配列番号70と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでいる重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号71と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでいる軽鎖可変ドメイン(VL);
(e) 配列番号66と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号67と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでいるVL;
(f) 配列番号68と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号69と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含んでいるVL;
(g) 配列番号70のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号71のアミノ酸配列を含んでいるVL;
(h) 配列番号66のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号67のアミノ酸配列を含んでいるVL;
(i) 配列番号68のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号69のアミノ酸配列を含んでいるVL;
(j) 配列番号80のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号81のアミノ酸配列を含んでいるVL;
(k) 配列番号76のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号77のアミノ酸配列を含んでいるVL;又は、
(l) 配列番号78のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号79のアミノ酸配列を含んでいるVL。
【0011】
一部の実施形態では、本開示は、以下のものを含んでいる二重特異性結合分子を提供する:
(a) それぞれ配列番号97、61、62、63、64及び65のアミノ酸配列を含んでいる重鎖(H)-CDR1-3及び軽鎖(L)-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号54、55、56、57、58及び59のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(b) それぞれ配列番号60、61、62、63、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号54、55、56、57、58及び59のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(c) それぞれ配列番号60、61、62、63、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、53、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(d) それぞれ配列番号97、61、62、63、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、48、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(e) それぞれ配列番号97、61、62、63、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、53、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;又は、
(f) それぞれ配列番号60、61、62、63、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、48、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン。
【0012】
一部の実施形態では、本開示は、以下のものを含んでいる二重特異性結合分子を提供する:
(a) それぞれ配列番号74及び73のアミノ酸配列を含んでいる重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(b) それぞれ配列番号72及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(c) それぞれ配列番号72及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(d) それぞれ配列番号74及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(e) それぞれ配列番号74及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;又は、
(f) それぞれ配列番号72及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン。
【0013】
一部の実施形態では、本開示は、以下のものを含んでいる二重特異性結合分子を提供する:
(a) それぞれ配列番号74及び73のアミノ酸配列を含んでいる重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(b) それぞれ配列番号72及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(c) それぞれ配列番号72及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(d) それぞれ配列番号74及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(e) それぞれ配列番号74及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;又は、
(f) それぞれ配列番号72及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン。
【0014】
一部の実施形態では、本開示は、以下のものを含んでいる二重特異性結合分子を提供する:
(a)それぞれ配列番号84及び83のアミノ酸配列を含んでいる重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(b) それぞれ配列番号82及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(c) それぞれ配列番号82及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(d) それぞれ配列番号84及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(e) それぞれ配列番号84及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(f) それぞれ配列番号82及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(g) 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号107又は109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(h) 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号106又は109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(i) 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号106又は109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(j) 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号107又は109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(k) 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号107又は109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;又は、
(l) 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号106又は109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン。
【0015】
一部の実施形態では、本開示は、以下のものを含んでいる二重特異性結合分子を提供する:
(a) それぞれ配列番号84及び83のアミノ酸配列を含んでいる重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(b) それぞれ配列番号82及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(c) それぞれ配列番号82及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(d) それぞれ配列番号84及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(e) それぞれ配列番号84及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(f) それぞれ配列番号82及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(g) 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号107又は109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(h) 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号106又は109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(i) 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号106又は109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(j) 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号107又は109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
(k) 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号107又は109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;又は、
(l) 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号106又は109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン。
【0016】
特定の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、配列番号14及び19、配列番号7及び19、配列番号7及び18又は配列番号7及び23のアミノ酸配列を含んでいる。特定の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、以下のものを含んでいる:
(a) 配列番号1及び16のアミノ酸配列;
(b) 配列番号2及び16のアミノ酸配列;
(c) 配列番号3及び16のアミノ酸配列;
(d) 配列番号4及び16のアミノ酸配列;
(e) 配列番号5及び16のアミノ酸配列;
(f) 配列番号6及び16のアミノ酸配列;
(g) 配列番号7及び17のアミノ酸配列;
(h) 配列番号7及び20のアミノ酸配列;
(i) 配列番号7及び21のアミノ酸配列;
(j) 配列番号7及び22のアミノ酸配列;
(k) 配列番号8、9及び16のアミノ酸配列;
(l) 配列番号8、10及び16のアミノ酸配列;
(m) 配列番号8、11及び16のアミノ酸配列;
(n) 配列番号12、11及び16のアミノ酸配列;
(o) 配列番号12、13及び16のアミノ酸配列;又は、
(p) 配列番号8、15及び16のアミノ酸配列。
【0017】
一部の実施形態では、本明細書中に記載されている二重特異性結合分子は、第1及び第2の抗原結合ドメインについて、以下の結合価のいずれかを有し得る:
(a) 第1の抗原結合ドメインの結合価は2であり、及び、第2の抗原結合ドメインの結合価は2である;
(b) 第1の抗原結合ドメインの結合価は1であり、及び、第2の抗原結合ドメインの結合価は1である;又は、
(c) 第1の抗原結合ドメインの結合価は2であり、及び、第2の抗原結合ドメインの結合価は1である。
【0018】
一部の実施形態では、本明細書中に記載されている二重特異性結合分子は、ヒトIgG1定常領域を含み得る;該定常領域は、アミノ酸置換L234A、L235A及び/又はG237Aを含むことができ、ここで、該残基は、EUシステムに従って番号が付けられている。
【0019】
一部の実施形態では、本明細書中に記載されている二重特異性結合分子の第2の抗原結合ドメインは、scFvである。
【0020】
本明細書中に記載されている二重特異性結合分子の一部の実施形態では、第2の抗原結合ドメインの重鎖又は軽鎖アミノ酸配列は、第1の抗原結合ドメインの重鎖又は軽鎖アミノ酸配列に、ペプチドリンカーを介して融合している。特定の実施形態では、該ペプチドリンカーは、GGGGSGGGGS(配列番号93)のアミノ酸配列を有している。特定の実施形態では、第2の抗原結合ドメインの重鎖又は軽鎖アミノ酸配列は、例えば、以下のものに融合し得る:
(a) 第1の抗原結合ドメインの軽鎖のカルボキシ末端;又は、
(b) 第1の抗原結合ドメインの軽鎖のアミノ末端。
【0021】
特定の実施形態では、本明細書中に記載されている二重特異性結合分子は、以下の特性のうちの少なくとも1(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12)を有している:
(a) ELISAで測定された固定化ROR1のKが0.5nM以下である;
(b) ELISAで測定された可溶性b-ROR1のKが0.4nM以下である;
(c) それぞれ配列番号82及び83の重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を含んでいる抗体と比較して、ROR1トランスフェクトMEC細胞及び/又はジャーカット細胞において低減されたインターナリゼーションを示す;
(d) PBMCに曝露されたROR1トランスフェクトMEC細胞において、1μg/mL以下でLDH放出を誘発させる;
(e) PBMCに曝露されたJeKo-1細胞において、1μg/mL以下でLDH放出を誘発させる;
(f) PBMCに曝露されたMino細胞において、1μg/mL以下でLDH放出を誘発させる;
(g) PBMCに曝露されたMDA-MB-468細胞において、1μg/mL以下でLDH放出を誘発させる;
(h) フローサイトメトリーで測定した場合、ROR1トランスフェクトMEC細胞と共培養したT細胞の表面のCD69を1μg/mL以下でアップレギュレートする;
(i) フローサイトメトリーで測定した場合、JeKo-1細胞と共培養したT細胞の表面のCD69を1μg/mL以下でアップレギュレートする;
(j) フローサイトメトリーで測定した場合、Mino細胞と共培養したT細胞の表面のCD69を1μg/mL以下でアップレギュレートする;
(k) フローサイトメトリーで測定した場合、MDA-MB-468細胞と共培養したT細胞の表面のCD69を1μg/mL以下でアップレギュレートする;及び、
(l) Jeko-1細胞又はROR1トランスフェクトMEC細胞と共培養したT細胞から、1μg/mL以下で、IFN-γ、TNF-α、IL-10、IL-6、IL-4及びIL-2の放出を誘発させる。
【0022】
本開示は、さらに、細胞毒性剤にコンジュゲートした本明細書中に記載されている二重特異性結合分子を含んでいるイムノコンジュゲートも提供する。
【0023】
本開示は、さらに、本明細書中に記載されている二重特異性結合分子及び薬学的に許容される賦形剤を含んでいる医薬組成物も提供する。
【0024】
本開示は、さらに、1以上の単離された核酸分子も提供し、ここで、該核酸分子は、本明細書中に記載されている二重特異性結合分子の第1の抗原結合ドメインの重鎖及び軽鎖可変ドメイン(VH及びVL)をコードするヌクレオチド配列を含んでおり、並びに、さらに、本明細書中に記載されている二重特異性結合分子の第2の抗原結合ドメインのVH及びVLをコードするヌクレオチド配列も含んでいる。一部の実施形態では、該単離された核酸分子は、以下のものを含んでいる:
(a) 配列番号37及び42のヌクレオチド配列;
(b) 配列番号30及び42のヌクレオチド配列;
(c) 配列番号30及び41のヌクレオチド配列;
(d) 配列番号30及び46のヌクレオチド配列;
(e) 配列番号24及び39のヌクレオチド配列;
(f) 配列番号25及び39のヌクレオチド配列;
(g) 配列番号26及び39のヌクレオチド配列;
(h) 配列番号27及び39のヌクレオチド配列;
(i) 配列番号28及び39のヌクレオチド配列;
(j) 配列番号29及び39のヌクレオチド配列;
(k) 配列番号30及び40のヌクレオチド配列;
(l) 配列番号30及び43のヌクレオチド配列;
(m) 配列番号30及び44のヌクレオチド配列;
(n) 配列番号30及び45のヌクレオチド配列;
(o) 配列番号31、32及び39のヌクレオチド配列;
(p) 配列番号31、33及び39のヌクレオチド配列;
(q) 配列番号31、34及び39のヌクレオチド配列;
(r) 配列番号35、34及び39のヌクレオチド配列;
(s) 配列番号35、36及び39のヌクレオチド配列;又は、
(t) 配列番号31、38及び39のヌクレオチド配列。
【0025】
本開示は、さらに、本明細書中に記載されている単離された核酸分子を含んでいるベクターも提供する。
【0026】
本開示は、さらに、宿主細胞も提供し、ここで、該宿主細胞は、本明細書中に記載されている二重特異性結合分子の第1の抗原結合ドメインの重鎖及び軽鎖可変ドメイン(VH及びVL)をコードするヌクレオチド配列を含んでおり、並びに、さらに、本明細書中に記載されている二重特異性結合分子の第2の抗原結合ドメインのVH及びVLをコードするヌクレオチド配列も含んでいる。一部の実施形態では、該宿主細胞は、以下のヌクレオチド配列を含んでいる:
(a) 配列番号37及び42;
(b) 配列番号30及び42;
(c) 配列番号30及び41;
(d) 配列番号30及び46;
(e) 配列番号24及び39;
(f) 配列番号25及び39;
(g) 配列番号26及び39;
(h) 配列番号27及び39;
(i) 配列番号28及び39;
(j) 配列番号29及び39;
(k) 配列番号30及び40;
(l) 配列番号30及び43;
(m) 配列番号30及び44;
(n) 配列番号30及び45;
(o) 配列番号31、32及び39;
(p) 配列番号31、33及び39;
(q) 配列番号31、34及び39;
(r) 配列番号35、34及び39;
(s) 配列番号35、36及び39;又は、
(t) 配列番号31、38及び39。
【0027】
本発明は、さらに、本明細書中に記載されている二重特異性結合分子を産生する方法も提供し、ここで、該方法は、本明細書中に記載されている宿主細胞を提供すること、該二重特異性結合分子の発現に適した条件下で該宿主細胞を培養すること及び得られた二重特異性結合分子を単離することを含んでいる。
【0028】
本開示は、さらに、患者の癌を治療する方法も提供し、ここで、該方法は、本明細書中に記載されている二重特異性結合分子を該患者に投与することを含んでいる。さらに、本開示は、患者の癌を治療するための薬剤を製造するための本明細書中に記載されている二重特異性結合分子の使用及び患者の癌の治療において使用するための本明細書中に記載されている二重特異性結合分子も提供する。一部の実施形態では、該癌は、ROR1陽性癌である。一部の実施形態では、該癌は、白血病、リンパ腫又は固形腫瘍である。一部の実施形態では、該癌は、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、T細胞白血病、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、T細胞非ホジキンリンパ腫、リンパ形質細胞様リンパ腫、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、多発性骨髄腫、辺縁帯リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫又はリヒター形質転換を受けた非ホジキンリンパ腫である。一部の実施形態では、該癌は、結腸癌、非小細胞肺癌、膠芽腫、肝細胞癌、膵臓癌、ユーイング肉腫、骨肉腫、頭頸部癌、卵巣癌、乳癌又はトリプルネガティブ乳癌である。特定の実施形態では、該患者は、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬、B細胞リンパ腫2(Bcl-2)阻害薬、ラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)阻害薬及び/又はホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害薬などの1以上の追加の治療薬で治療され得る。特定の実施形態では、該追加の治療薬は、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ベネトクラクス、エベロリムス、サパニセルチブ又はイデラリシブである。
【0029】
本開示は、さらに、本明細書中に記載されている二重特異性結合分子を含んでいるキットも提供する。さらに、本開示は、本明細書中に記載されている二重特異性結合分子を含んでいる製品も提供し、ここで、該製品は、患者の癌を治療するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本開示の二重特異性結合分子の例示的な構成を示す概略図である。
図2図2は、ELISA(パネルA)及びROR1トランスフェクトMEC生細胞への結合のフローサイトメトリー分析(パネルB)で確認された、親Ab1 Fab(WT)及び3つの重鎖変異体(Ab2(T32A)、Ab3(T32E)及びW110Y)のヒトROR1への結合を示す一対のグラフである。
図3図3は、長時間洗浄条件を使用するELISAによって確認された、親Ab1 Fab(WT)及び3つの変異体(Ab2(T32A)、Ab6(T32A(HC)+A25P(LC))及びAb7(T32A(HC)+T69R(LC)))のヒトROR1への結合を示すグラフである。
図4図4は、ROR1トランスフェクトMEC細胞(パネルA)及び対照MEC細胞(パネルB)への結合のフローサイトメトリー分析によって示される、ROR1に対する二重特異性構築物1-3、7-9及び13-15の選択性を示す一対のグラフである。非特異的ヒトIgGを対照(「対照」)として含ませた。
図5図5は、二重特異性構築物1-3、7-9及び13-15(パネルA)、4-6及び10-12(パネルB)並びに3、9及び15-20(パネルC)の結合に対するROR1発現レベルの影響を示す一連のグラフである。結合は、ROR1トランスフェクトMEC細胞(約56,000コピー/細胞)よりも低いレベルのROR1(約13,000コピー/細胞)を発現するJeKo-1細胞を使用するフローサイトメトリーによって評価した。
図6図6は、ELISAによって特徴付けられた、固定化されたヒトROR1への二重特異性構築物の結合を示す一対のグラフである。
図7図7は、ELISAによって特徴付けられた、可溶性のビオチン化ヒトROR1への二重特異性構築物の結合を示すグラフである。
図8図8は、構築物1(パネルA)、構築物7(パネルB)及び構築物13(パネルC)と一緒にインキュベートしたROR1トランスフェクトMEC細胞に関する、ROR1に結合した二重特異性結合分子の細胞表面レベル(「表面biAb」)、二重特異性結合分子によって結合されていない遊離ROR1の細胞表面レベル(「占有されていないエピトープ」)及び総細胞表面ROR1(「総ROR1」)を示す一連のグラフである。
図9図9は、構築物19(パネルA)及び構築物20(パネルB)と一緒にインキュベートしたROR1トランスフェクトMEC細胞に関する、ROR1に結合した二重特異性結合分子の細胞表面レベル(「表面biAb」)、二重特異性結合分子によって結合されていない遊離ROR1の細胞表面レベル(「占有されていないエピトープ」)及び総細胞表面ROR1(「総ROR1」)を示す一対のグラフである。
図10図10は、24時間のインキュベーション後のROR-1トランスフェクトMEC細胞の表面上の二重特異性構築物1、7及び13の定量化を示すグラフである。
図11図11は、フローサイトメトリー分析によって示された、二重特異性構築物1-6(パネルA)、7-12(パネルB)及び13-15(パネルC)のジャーカット細胞への結合を示す一連のグラフである。非特異的ヒトIgGを対照(「対照」)として含ませた。
図12図12は、フローサイトメトリー分析によって示された、二重特異性構築物1、7及び13(パネルA)並びに二重特異性構築物3、9及び15-10(パネルB)のジャーカット細胞への結合を示す一対のグラフである。非特異的ヒトIgGを1つの実験において対照(パネルA、「対照」)として含ませ、関連のないROR1×CD3二重特異性構築物(米国特許公開第2017/0233472号)を2番目の実験において対照(パネルB、「対照1」)として含ませた。
図13図13は、ROR1の非存在下においてCD3に結合した後のジャーカット細胞の表面上の二重特異性構築物1-3、7-9及び13-15のレベルを経時的に定量化しているグラフである。
図14図14は、ROR1トランスフェクトMEC細胞からのLDH放出(パネルA)及びCD8細胞上のCD69の細胞表面レベル(パネルB)を定量化している一対のグラフであり、ここで、ROR1トランスフェクトMEC細胞は、(1)ヒトPBMC並びに(2)二重特異性構築物1、3、7、9、13及び15並びに対照抗CD19/抗CD3二重特異性結合分子(「CD19×CD3」)と一緒にインキュベートされる。
図15図15は、ROR1トランスフェクトMEC細胞からのLDH放出(パネルA)及びCD8細胞上のCD69の細胞表面レベル(パネルB)を定量化している一対のグラフであり、ここで、ROR1トランスフェクトMEC細胞は、ヒトPBMC並びに二重特異性構築物3、9及び15-20と一緒にインキュベートされる。
図16図16は、(1)PBMC並びに(2)二重特異性構築物1-3、7-9及び13-15並びに抗CD19/抗CD3二重特異性結合分子対照と一緒にインキュベートされたROR1トランスフェクトMEC細胞と非トランスフェクトMEC細胞の間のLDH放出を比較しているグラフである。LDH放出は、標的細胞を含まないサンプル(「PBMC」)及び二重特異性構築物を含まないサンプル(「biAb無し」)でも評価される。
図17図17は、T細胞上のCD69レベルを評価している一連のグラフであり、ここで、ROR1/CD19MEC細胞(パネルA)又はROR1/CD19MEC細胞(パネルB)は、(1)T細胞及び(2)二重特異性構築物7又は対照抗CD19/抗CD3二重特異性結合分子(「CD19×CD3」)と一緒にインキュベートされる。
図18図18は、JeKo-1細胞からのLDH放出(パネルA)及びCD8細胞上のCD69の細胞表面レベル(パネルB)を定量化している一対のグラフであり、ここで、JeKo-1細胞は、ヒトPBMC並びに二重特異性構築物2、3、8、9、14及び15と一緒にインキュベートされる。
図19図19は、JeKo-1細胞からのLDH放出(パネルA)及びCD8細胞上のCD69の細胞表面レベル(パネルB)を定量化している一対のグラフであり、ここで、JeKo-1細胞は、ヒトPBMC並びに二重特異性構築物3、7、9及び15-20と一緒にインキュベートされる。
図20図20は、Mino細胞からのLDH放出(パネルA)及びCD8細胞上のCD69の細胞表面レベル(パネルB)を定量化している一対のグラフであり、ここで、Mino細胞は、ヒトPBMC及び二重特異性構築物7-9と一緒にインキュベートされる。
図21図21は、MDA-MB-468細胞からのLDH放出(パネルA)及びCD8細胞上のCD69の細胞表面レベル(パネルB)を定量化している一対のグラフであり、ここで、MDA-MB-468細胞は、ヒトPBMC並びに二重特異性構築物2、3、8、9、12及び14と一緒にインキュベートされる。
図22図22は、MDA-MB-468細胞からのLDH放出(パネルA)及びCD8細胞上のCD69の細胞表面レベル(パネルB)を定量化している一対のグラフであり、ここで、MDA-MB-468細胞は、ヒトPBMC並びに二重特異性構築物9、18及び20と一緒にインキュベートされる。
図23図23は、示されている標的細胞並びに二重特異性構築物7、9、18及び20(パネルA)又は二重特異性構築物9、18、20(パネルB及びC)でT細胞が活性化された後のJeKo-1細胞(パネルA)、ROR1トランスフェクトMEC細胞(パネルB)及び模擬トランスフェクトされたROR1MEC細胞(パネルC)からのTNF-αの放出を定量化している一連のグラフである。模擬トランスフェクトされたROR1MEC細胞(パネルC)は、単一濃度(1μg/mL)の二重特異性構築物で処理された。「対照1」は、関連のないROR1×CD3二重特異性構築物である。
図24図24は、示されている標的細胞並びに二重特異性構築物7、9、18及び20(パネルA)又は二重特異性構築物9、18及び20(パネルB及びC)でT細胞が活性化された後のJeKo-1細胞(パネルA)、ROR1トランスフェクトMEC細胞(パネルB)及び模擬トランスフェクトされたROR1MEC細胞(パネルC)からのIFN-γの放出を定量化している一連のグラフである。模擬トランスフェクトされたROR1MEC細胞(パネルC)は、単一濃度(1μg/mL)の二重特異性構築物で処理された。「対照1」は、関連のないROR1×CD3二重特異性構築物である。
図25図25は、示されている標的細胞並びに二重特異性構築物7、9、18及び20(パネルA)又は二重特異性構築物9、18及び20(パネルB及びC)でT細胞が活性化された後のJeKo-1細胞(パネルA)、ROR1トランスフェクトMEC細胞(パネルB)及び模擬トランスフェクトされたROR1MEC細胞(パネルC)からのIL-2の放出を定量化している一連のグラフである。模擬トランスフェクトされたROR1MEC細胞(パネルC)は、単一濃度(1μg/mL)の二重特異性構築物で処理された。「対照1」は、関連のないROR1×CD3二重特異性構築物である。
図26図26は、示されている標的細胞並びに二重特異性構築物7、9、18及び20(パネルA)又は二重特異性構築物9、18及び20(パネルB及びC)でT細胞が活性化された後のJeKo-1細胞(パネルA)、ROR1トランスフェクトMEC細胞(パネルB)及び模擬トランスフェクトされたROR1MEC細胞(パネルC)からのIL-4の放出を定量化している一連のグラフである。模擬トランスフェクトされたROR1MEC細胞(パネルC)は、単一濃度(1μg/mL)の二重特異性構築物で処理された。「対照1」は、関連のないROR1×CD3二重特異性構築物である。
図27図27は、示されている標的細胞並びに二重特異性構築物7、9、18及び20(パネルA)又は二重特異性構築物9、18及び20(パネルB及びC)でT細胞が活性化された後のJeKo-1細胞(パネルA)、ROR1トランスフェクトMEC細胞(パネルB)及び模擬トランスフェクトされたROR1MEC細胞(パネルC)からのIL-6の放出を定量化している一連のグラフである。模擬トランスフェクトされたROR1MEC細胞(パネルC)は、単一濃度(1μg/mL)の二重特異性構築物で処理された。「対照1」は、関連のないROR1×CD3二重特異性構築物である。
図28図28は、示されている標的細胞並びに二重特異性構築物7、9、18及び20(パネルA)又は二重特異性構築物9、18及び20(パネルB及びC)でT細胞が活性化された後のJeKo-1細胞(パネルA)、ROR1トランスフェクトMEC細胞(パネルB)及び模擬トランスフェクトされたROR1MEC細胞(パネルC)からのIL-10の放出を定量化している一連のグラフである。模擬トランスフェクトされたROR1MEC細胞(パネルC)は、単一濃度(1μg/mL)の二重特異性構築物で処理された。「対照1」は、関連のないROR1×CD3二重特異性構築物である。
図29図29は、抗ROR1及び抗CD3抗原結合ドメインの示された配列に関する配列番号を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示は、ROR1及びCD3に結合する新規二重特異性結合分子を提供する。一部の実施形態では、ROR1及びCD3への二重特異性結合分子の結合は、T細胞をROR1陽性腫瘍細胞に接近させ、従って、T細胞の細胞傷害性を呼び起こすことによって癌を治療する。別途示されていない限り、本明細書中で使用されている場合、「ROR1」は、ヒトROR1を示している。ヒトROR1ポリペプチド配列は、UniProt Accession No.Q01973-1(SEQ ID NO:89)で入手可能である。別途示されていない限り、本明細書中で使用されている場合、「CD3」は、ヒトCD3を示している。CD3は、ガンマ鎖、デルタ鎖及び2つのイプシロン鎖で構成されている。ヒトCD3ガンマポリペプチド配列は、GenBank Accession Number NP_000064.1(SEQ ID NO:90)で入手可能である。ヒトCD3デルタポリペプチド配列は、GenBank Accession Number NP_000723.1(SEQ ID NO:91)で入手可能である。ヒトCD3イプシロンポリペプチド配列は、GenBank Accession Number NP_000724.1(SEQ ID NO:92)で入手可能である。
【0032】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子の抗原結合ドメインは、抗ROR1抗体及び抗CD3抗体に由来する。用語「抗体」(Ab)又は「免疫グロブリン」(Ig)は、本明細書中で使用されている場合、ジスルフィド結合によって相互連結された2つの重(H)鎖(約50-70kDa)及び2つの軽(L)鎖(約25kDa)を含んでいる四量体を示し得る。各重鎖は、重鎖可変ドメイン(VH)と重鎖定常領域(CH)で構成されている。各軽鎖は、軽鎖可変ドメイン(VL)と軽鎖定常領域(CL)で構成されている。該VHドメイン及びVLドメインは、「相補性決定領域」(CDR)と称される超可変性の領域にさらに細分化することができ、「フレームワーク領域」(FR)と称されるより保存された領域が点在している。各VH及びVLは、3つのCDR(H-CDRは本明細書中では重鎖からのCDRを示し;及び、L-CDRは本明細書中では軽鎖からのCDRを示す)及び4つのFRで構成されており、以下の順序でアミノ末端からカルボキシル末端へと配置されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。
【0033】
所与のCDR又はFRの正確なアミノ酸配列境界は、以下のものによって記載されているスキームを包含するいくつかのよく知られているスキームのいずれかを使用して容易に決定することが可能である: Kabat et al., 5th Ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991) (「Kabat」番号付けスキーム); Al-Lazikani et al., JMB 273,927-948 (1997) (「Chothia」番号付けスキーム); MacCallum et al., J. Mol. Biol. 262:732-745 (1996) (「コンタクト」番号付けスキーム); Lefranc et al., Dev Comp Immunol. 27(1):55-77 (2003) (「IMGT」番号付けスキーム);及び、 Honegger and Pluckthun, J Mol Biol, 309(3):657-70 (2001) (「Aho」番号付けスキーム)。
【0034】
所与のCDR又はFRの境界は、確認するために使用されるスキームに応じて変化し得る。例えば、Kabatスキームは配列アラインメントに基づいているが、Chothiaスキームは構造情報に基づいている。KabatスキームとChothiaスキームの両方に関する番号付けは、最も一般的な抗体領域の配列の長さに基づいており、挿入は「30a」などの挿入文字で対応されている。上記2つのスキームでは、特定の挿入と削除(「indels」)を異なる位置に配置するため、番号付けが異なる。コンタクトスキームは、複雑な結晶構造の分析に基づいており、多くの点でChothiaの番号付けスキームと類似している。別途示されていない限り、本明細書中で言及されている抗体のCDRは、Kabat、Chothia、IMGT、コンタクト及びAhoのいずれかの方法に従って確認され得る。
【0035】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子が由来する抗ROR1抗体及び/又は抗CD3抗体は、モノクローナル抗体である。一部の実施形態では、該抗ROR1及び/又は抗CD3抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体又は完全ヒト抗体である。
【0036】
用語「親和性」は、抗原と、抗体若しくはその抗原結合フラグメント又は関連する分子(例えば、二重特異性結合分子など)との間の誘引力の尺度を示している。抗原に対する抗体の内因性の誘引性は、典型的には、特定の抗体-抗原相互作用の結合親和性平衡定数(K)として表される。抗体は、Kが≦1mM(好ましくは、≦100nM)である場合、抗原に特異的に結合すると言われる。K結合親和性定数は、例えば、表面プラズモン共鳴(BIAcoreTM)又はバイオレイヤー干渉分光法(Bio-Layer Interferometry)(これは、例えば、IBIS Technologies製のIBIS MX96 SPRシステム又はForteBio製のOctetTMシステムを使用する)によって、測定することができる。
【0037】
用語「パラトープ」は、抗体の抗原結合部位(即ち、抗原エピトープを認識してそれに結合する抗体の部分)を示している。
【0038】
用語「エピトープ」は、本明細書中で使用されている場合、抗体又は関連する分子(例えば、二重特異性結合分子など)に特異的に結合する抗原の一部(決定基)を示している。エピトープ決定基は、一般に、アミノ酸又は炭水化物又は糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面基からなり、そして、一般に、特定の三次元構造特性及び特定の電荷特性を有している。エピトープは、「線状」又は「立体配座」であり得る。線状エピトープでは、タンパク質(例えば、抗原)と相互作用する分子(抗体など)との間の相互作用点が、全て、そのタンパク質の一次アミノ酸配列に沿って直線的に存在している。配座エピトープでは、相互作用点は、一次アミノ酸配列において互いに分離されているタンパク質上のアミノ酸残基全体にわたって存在している。抗原上の所望のエピトープが決定されたら、当技術分野でよく知られている技術を使用してそのエピトープに対する抗体を生成することが可能である。例えば、線状エピトープに対する抗体は、例えば、その線状エピトープのアミノ酸残基を有するペプチドで動物を免疫することによって生成することができる。配座エピトープに対する抗体は、例えば、配座エピトープの関連するアミノ酸残基を含んでいるミニドメインで動物を免疫することによって生成することができる。特定のエピトープに対する抗体は、さらにまた、例えば、目的の標的分子(例えば、ROR1又はCD3)又はその関連部分で動物を免疫し、次いで、当該エピトープへの結合についてスクリーニングすることによって生成することができる。
【0039】
当技術分野で既知の方法(これは、限定するものではないが、競合アッセイ、エピトープビニング及びアラニンスキャニングを包含する)を使用することによって、抗体が、本開示の二重特異性結合分子とROR1若しくはCD3の同じエピトープに結合するか、又は、本開示の二重特異性結合分子との結合について競合するかを、確認することができる。一実施形態では、本開示の二重特異性結合分子を飽和条件下でROR1又はCD3に結合させることが可能であり、次いで、試験抗体の前記抗原に結合する能力を測定する。該試験抗体が参照二重特異性結合分子と同時に前記抗原に結合することができる場合、その試験抗体は、該参照二重特異性結合分子とは異なるエピトープに結合する。しかしながら、該試験抗体が同時に抗原に結合することができない場合、その試験抗体は、同じエピトープ、重複するエピトープ又は本開示の二重特異性結合分子によって結合されるエピトープに近接しているエピトープに結合する。この実験は、例えば、ELISA、RIA、BIACORETM、SPR、バイオレイヤー干渉法又はフローサイトメトリーを使用して、実施することができる。本開示の二重特異性結合分子がROR1又はCD3への結合に関して別の抗体と交差競合するかどうかを試験するために、上記で記載した競合方法を2つの方向で使用することができる。即ち、既知の抗体が該試験抗体をブロックするかどうか及びその逆について確認する。このような交差競合実験は、例えば、IBIS MX96 SPR機器又はOctetTMシステムを使用して、実施することができる。
【0040】
抗体の「抗原結合部分」又は「抗原結合フラグメント」という用語は、本明細書中で使用されている場合、抗原(例えば、ヒトROR1若しくはCD3又はそれらの一部)に特異的に結合する能力を保持している抗体の1以上の部分又はフラグメントを示している。全長抗体の特定のフラグメントがその抗体の抗原結合機能を果たすことが可能であることが示されている。用語「抗原結合部分」に包含される結合フラグメントの例としては、以下のものを挙げることができる:(i)Fabフラグメント:Vドメイン、Vドメイン、Cドメイン及びClドメインで構成されている一価フラグメント;(ii)F(ab’)フラグメント:ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含んでいる二価フラグメント;(iii)VドメインとClドメインで構成されているFdフラグメント;(iv)抗体のシングルアームのVドメイン及びVドメインで構成されるFvフラグメント;(v)VドメインからなるdAbフラグメント;及び、(vi)抗原に特異的に結合することが可能な単離された相補性決定領域(CDR)。さらに、Fvフラグメントの2つのドメイン(V及びV)は別々の遺伝子によってコードされているが、それらは、組換え法を使用して、それらをVドメインとVドメインが対になっている単一のタンパク質鎖として作成することができる合成リンカーによって結合させて一価の分子(単鎖可変フラグメント(scFv)として知られている)を形成させることができる。さらにまた、V及び/又はVを含んでいる抗原結合分子も本開示の範囲内にある。Vの場合、該分子は、さらに、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領域又はCH3領域のうちの1以上も含み得る。そのような一本鎖抗体はさらに、抗体の「抗原結合部分」という用語の範囲内に含まれることも意図されている。ダイアボディなどの単鎖抗体の他の形態も包含される。ダイアボディは、二価の二重特異性抗体であり、ここで、Vドメイン及びVドメインは単一のポリペプチド鎖において発現されるが、ただし、同じ鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用しており、それによって、そのドメインを別の鎖の相補的ドメインと対形成させ、2つの抗原結合部位を作る。
【0041】
別途示されていない限り、本開示において言及されている全ての抗体アミノ酸残基番号は、Honegger番号付けスキーム(Honegger and Pluckthun, J Mol Biol, 309(3):657-70(2001))(Honegger及びPlukkthun、J Mol Biol、309(3):657-70(2001))に従うものである。
【0042】
抗ROR1/抗CD3二重特異性結合分子
本開示は、ヒトROR1の細胞外ドメインに特異的に結合する第1の抗原結合ドメイン及びヒトCD3の細胞外ドメインに特異的に結合する第2の抗原結合ドメインを含んでいる二重特異性結合分子に関する。
【0043】
一部の実施形態では、第1の抗原結合ドメインは、ROR1タンパク質の細胞外部分におけるエピトープ(例えば、免疫グロブリン(Ig)様ドメイン、Frizzledドメイン及びKringleドメインのうちの1つ以上におけるエピトープ)に結合する。特定の実施形態では、第1の抗原結合ドメインは、配列番号94又は95に示されているROR1のアミノ酸配列(コンジュゲーションの便宜のために付加される末端システインを含んでいない)に結合する。
【0044】
一部の実施形態では、第1の抗原結合ドメインは、ヒトROR1への結合についてPCT特許出願PCT/US2013/32572に記載されている抗ROR1抗体と競合するか、及び/又は、該抗体と同じヒトROR1のエピトープに結合する。一部の実施形態では、第1の抗原結合ドメインは、ヒトRORIへの結合について配列番号82に記載されている重鎖アミノ酸配列及び配列番号83に記載されている軽鎖アミノ酸配列を含んでいる抗体(「Ab1」)と競合するか、及び/又は、該抗体と同じヒトROR1のエピトープに結合する。
【0045】
一部の実施形態では、第1の抗原結合ドメインは、配列番号82のアミノ酸配列における重鎖(H)-CDR1-3及び配列番号83のアミノ酸配列における軽鎖(L)-CDR1-3を含んでおり、ここで、該CDRは、Kabat法、Chothia法、IMGT法若しくはコンタクト法又はそれらの任意の組み合わせによって確認される。
【0046】
一部の実施形態では、第1の抗原結合ドメインは、以下のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる:
・ それぞれ、配列番号60、61、62、63、64及び65;
・ それぞれ、配列番号97、61、62、63、64及び65;
・ それぞれ、配列番号98、61、62、63、64及び65;
・ それぞれ、配列番号60、61、62、99、64、65;
・ それぞれ、配列番号60、61、62、63、102、65;
・ それぞれ、配列番号97、61、62、99、64、65;
・ それぞれ、配列番号97、61、62、63、102、65;
・ それぞれ、配列番号98、61、62、99、64、65;又は、
・ それぞれ、配列番号98、61、62、63、102、65。
【0047】
一部の実施形態では、第1の抗原結合ドメインは、配列番号72と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を含んでいる重鎖可変ドメイン(VH)及び配列番号73と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を含んでいる軽鎖可変ドメイン(VL)を含んでいる。
【0048】
一部の実施形態では、第1の抗原結合ドメインは、以下のものを含んでいる:
・ 配列番号72のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号73のアミノ酸配列を含んでいるVL;
・ 配列番号74のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号73のアミノ酸配列を含んでいるVL;
・ 配列番号75のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号73のアミノ酸配列を含んでいるVL;
・ 配列番号72のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号100のアミノ酸配列を含んでいるVL;
・ 配列番号72のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号103のアミノ酸配列を含んでいるVL;
・ 配列番号74のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号100のアミノ酸配列を含んでいるVL;
・ 配列番号74のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号103のアミノ酸配列を含んでいるVL;
・ 配列番号75のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号100のアミノ酸配列を含んでいるVL;又は、
・ 配列番号75のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号103のアミノ酸配列を含んでいるVL。
【0049】
一部の実施形態では、第1の抗原結合ドメインは、配列番号82と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を含んでいる重鎖(HC)及び配列番号83と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を含んでいる軽鎖(LC)を含んでいる。
【0050】
一部の実施形態では、第1の抗原結合ドメインは、以下のものを含んでいる:
・ 配列番号82のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号84のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号85のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号82のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号82のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号84のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号84のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号85のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLC;又は、
・ 配列番号85のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLC。
【0051】
特定の実施形態では、HC配列は、エフェクター機能を低減又は排除するように修飾される。例えば、HC配列のIgG1部分は、「LALA」(L234A/L235A)又は「LALAGA」(L234A/L235A/G237A)突然変異を含むことができる(ここで、全ての残基は、EU番号付けスキームに従って番号付けされる)。
【0052】
一部の実施形態では、第1の抗原結合ドメインは、以下のものを含んでいる:
・ 配列番号7のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号14のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号105のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号7のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号7のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号14のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号14のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号105のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLC;又は、
・ 配列番号105のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLC。
【0053】
一部の実施形態では、第1の抗原結合ドメインは、以下のものを含んでいる:
・ 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号106のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号107のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号88のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号108のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号106のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号106のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号107のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号107のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号88のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号108のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLC;又は、
・ 配列番号88のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号108のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLC。
【0054】
一部の実施形態では、第1の抗原結合ドメインは、以下のものを含んでいる:
・ 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号88のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLC;
・ 配列番号88のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLC;又は、
・ 配列番号88のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLC。
【0055】
一部の実施形態では、第1の抗原結合ドメインは、該6つのCDR、該重鎖及び軽鎖可変ドメイン及び/又はPCT/US2013/32572に記載されている抗ROR1抗体の重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を含んでいる。
【0056】
一部の実施形態では、第2の抗原結合ドメインは、「Tunnacliffe et al., International Immunology 1:546-550 (1989))」において定義されているCD3のグループI又はグループIIエピトープに結合する。
【0057】
一部の実施形態では、第2の抗原結合ドメインは、ヒトCD3への結合について抗CD3抗体OKT3又はSP34と競合するか、及び/又は、該抗体と同じヒトCD3のエピトープに結合する。一部の実施形態では、第2の抗原結合ドメインは、ヒトCD3への結合について以下のものを含んでいる抗体と競合するか、及び/又は、該抗体と同じヒトCD3のエピトープに結合する:
・ 配列番号66のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号67のアミノ酸配列を含んでいるVL;
・ 配列番号68のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号69のアミノ酸配列を含んでいるVL;又は、
・ 配列番号70のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号71のアミノ酸配列を含んでいるVL。
【0058】
一部の実施形態では、第2の抗原結合ドメインは、以下のアミノ酸配列内にH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる:
・ それぞれ、配列番号66及び67;
・ それぞれ、配列番号68及び69;又は、
・ それぞれ、配列番号70及び71;
ここで、該CDRは、Kabat法、Chothia法、IMGT法若しくはコンタクト法又はそれらの任意の組み合わせによって確認される。
【0059】
一部の実施形態では、第2の抗原結合ドメインは、以下のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる:
・ それぞれ、配列番号47、48、49、50、51及び52、
・ それぞれ、配列番号47、53、49、50、51及び52;又は、
・ それぞれ、配列番号54、55、56、57、58及び59。
【0060】
一部の実施形態では、第2の抗原結合ドメインは、以下のものを含んでいる:
・ 配列番号66と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号67と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を含んでいるVL;
・ 配列番号68と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号69と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を含んでいるVL;又は、
・ 配列番号70と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号71と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるアミノ酸配列を含んでいるVL。
【0061】
一部の実施形態では、第2の抗原結合ドメインは、以下のものを含んでいる:
・ 配列番号66のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号67のアミノ酸配列を含んでいるVL;
・ 配列番号68のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号69のアミノ酸配列を含んでいるVL;
・ 配列番号70のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号71のアミノ酸配列を含んでいるVL;
・ 配列番号76のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号77のアミノ酸配列を含んでいるVL;
・ 配列番号78のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号79のアミノ酸配列を含んでいるVL;又は、
・ 配列番号80のアミノ酸配列を含んでいるVH及び配列番号81のアミノ酸配列を含んでいるVL。
【0062】
一部の実施形態では、第2の抗原結合ドメインは、該6つのCDR及び/又は米国特許公開第2018/0112011号に記載されている抗CD3抗体の重鎖及び軽鎖可変ドメインを含んでいる。
【0063】
本開示は、さらに、上記で記載した第1及び第2の抗原結合ドメインの任意の組み合わせも企図する。
【0064】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、以下のものを含んでいる:
・ それぞれ配列番号97、61、62、63、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号54、55、56、57、58及び59のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号60、61、62、63、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号54、55、56、57、58及び59のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号60、61、62、63、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、53、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号97、61、62、63、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、48、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号97、61、62、63、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、53、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号60、61、62、63、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、48、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号98、61、62、63、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号54、55、56、57、58及び59のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号98、61、62、63、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、48、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号98、61、62、63、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、53、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号60、61、62、99、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号54、55、56、57、58及び59のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号60、61、62、99、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、48、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号60、61、62、99、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、53、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号60、61、62、63、102及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号54、55、56、57、58及び59のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号60、61、62、63、102及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、48、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号60、61、62、63、102及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、53、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号97、61、62、99、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号54、55、56、57、58及び59のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号97、61、62、99、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、48、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号97、61、62、99、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、53、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号97、61、62、63、102及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号54、55、56、57、58及び59のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号97、61、62、63、102及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、48、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号97、61、62、63、102及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、53、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号98、61、62、99、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号54、55、56、57、58及び59のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号98、61、62、99、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、48、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号98、61、62、99、64及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、53、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号98、61、62、63、102及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号54、55、56、57、58及び59のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号98、61、62、63、102及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、48、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン;又は、
・ それぞれ配列番号98、61、62、63、102及び65のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号47、53、49、50、51及び52のアミノ酸配列を含んでいるH-CDR1-3及びL-CDR1-3を含んでいる第2の抗原結合ドメイン。
【0065】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、以下のものを含んでいる:
・ それぞれ配列番号74及び73のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号72及び73のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号72及び73のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号74及び73のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号74及び73のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号72及び73のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号75及び73のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号75及び73のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号75及び73のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号72及び100のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号72及び100のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号72及び100のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号72及び103のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号72及び103のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号72及び103のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号74及び100のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号74及び100のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号74及び100のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号74及び103のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号74及び103のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号74及び103のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号75及び100のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号75及び100のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号75及び100のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号75及び103のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号75及び103のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;又は、
・ それぞれ配列番号75及び103のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69のアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン。
【0066】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、以下のものを含んでいる:
・ それぞれ配列番号74及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号72及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号72及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号74及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号74及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号72及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号75及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号75及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号75及び73のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号72及び100のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号72及び100のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号72及び100のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号72及び103のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号72及び103のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号72及び103のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号74及び100のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号74及び100のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号74及び100のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号74及び103のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号74及び103のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号74及び103のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号75及び100のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号75及び100のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号75及び100のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号75及び103のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号75及び103のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;又は、
・ それぞれ配列番号75及び103のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン。
【0067】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、以下のものを含んでいる:
・ それぞれ配列番号84及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号82及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号82及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号84及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号84及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号82及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号85及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号85及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号85及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号82及び101のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号82及び101のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号82及び101のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号82及び104のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号82及び104のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号82及び104のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号84及び101のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号84及び101のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号84及び101のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号84及び104のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号84及び104のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号84及び104のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号85及び101のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号85及び101のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号85及び101のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号85及び104のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号85及び104のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;又は、
・ それぞれ配列番号85及び104のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン。
【0068】
特定の実施形態では、HC配列は、エフェクター機能を低減又は排除するように修飾される。例えば、HC配列のIgG1部分は、L235E、「LALA」(L234A/L235A)又は「LALAGA」(L234A/L235A/G237A)突然変異を含むことができる(ここで、全ての残基は、EU番号付けスキームに従って番号付けされる)。
【0069】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、以下のものを含んでいる:
・ それぞれ配列番号14及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号7及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号7及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号14及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号14及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号7及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号105及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号105及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号105及び83のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号7及び101のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号7及び101のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号7及び101のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号7及び104のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号7及び104のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号7及び104のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号14及び101のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号14及び101のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号14及び101のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号14及び104のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号14及び104のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号14及び104のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号105及び101のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号105及び101のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号105及び101のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号105及び104のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ それぞれ配列番号105及び104のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;又は、
・ それぞれ配列番号105及び104のアミノ酸配列を含んでいるHC及びLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン。
【0070】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、以下のものを含んでいる:
・ 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号107のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号106のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号106のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号107のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号107のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号106のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号88のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号108のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号88のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号108のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号88のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号108のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号106のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号106のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号106のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号106のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号106のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号106のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号107のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号107のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号107のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号107のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号107のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号107のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号88のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号108のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号88のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号108のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号88のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号108のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号88のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号108のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号88のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号108のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;又は、
・ 配列番号88のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号108のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン。
【0071】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、以下のものを含んでいる:
・ 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号88のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号88のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号88のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号83のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号86のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号87のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号88のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号88のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号88のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号101のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号88のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号70及び71又は80及び81のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;
・ 配列番号88のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号66及び67又は76及び77のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン;又は、
・ 配列番号88のアミノ酸配列を含んでいるHC、配列番号109のアミノ酸配列を含んでいるHC及び配列番号104のアミノ酸配列を含んでいるLCを含んでいる第1の抗原結合ドメイン、並びに、それぞれ配列番号68及び69又は78及び79のアミノ酸配列を含んでいるVH及びVLを含んでいる第2の抗原結合ドメイン。
【0072】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、以下のものを含んでいる:
・ 配列番号1及び16のアミノ酸配列;
・ 配列番号2及び16のアミノ酸配列;
・ 配列番号3及び16のアミノ酸配列;
・ 配列番号4及び16のアミノ酸配列;
・ 配列番号5及び16のアミノ酸配列;
・ 配列番号6及び16のアミノ酸配列;
・ 配列番号7及び17のアミノ酸配列;
・ 配列番号7及び18のアミノ酸配列;
・ 配列番号7及び19のアミノ酸配列;
・ 配列番号7及び20のアミノ酸配列;
・ 配列番号7及び21のアミノ酸配列;
・ 配列番号7及び22のアミノ酸配列;
・ 配列番号8、9及び16のアミノ酸配列;
・ 配列番号8、10及び16のアミノ酸配列;
・ 配列番号8、11及び16のアミノ酸配列;
・ 配列番号12、11及び16のアミノ酸配列;
・ 配列番号12、13及び16のアミノ酸配列;
・ 配列番号14及び19のアミノ酸配列;
・ 配列番号8、15及び16のアミノ酸配列;又は、
・ 配列番号7及び23のアミノ酸配列。
【0073】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、上記で記載した1又は2の第1の抗原結合ドメインを含んでいる。一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、上記で記載した1又は2の第2の抗原結合ドメインを含んでいる。
【0074】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子における第1の抗原結合ドメインは、1又は2の結合価を有している。一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子における第2の抗原結合ドメインは、1又は2の結合価を有している。第1及び第2の抗原結合ドメインの結合価の任意の組み合わせが意図される;例えば、第1及び第2の抗原結合ドメインは、それぞれ、2及び2の結合価を有し得る;それぞれ、1及び1の結合価を有し得る;それぞれ、2及び1の結合価を有し得る;又は、それぞれ、1及び2の結合価を有し得る。
【0075】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、ヒトIgG、IgM、IgE、IgA又はIgD定常領域を含むことができる。特定の実施形態では、該ヒト定常領域は、IgGイソタイプの定常領域、例えば、IgGサブクラスIgG1、IgG2a若しくはIgG2b、IgG3又はIgG4の定常領域である。一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、ヒトκ定常領域を含むことができる。本明細書中に記載されている二重特異性結合分子のクラスは、別のクラス又はサブクラスと変更又は交換することができる。例えば、元々IgMであった定常領域は、IgGにクラス変更することができる。さらに、クラス変更を使用して、1つのIgGサブクラスを別のサブクラスに変換することができ、例えば、IgG1からIgG2に変換することができる。κ軽鎖定常領域は、例えば、λ軽鎖定常領域に変更することができる。
【0076】
特定の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、ヒトIgG定常領域を含むことができる。特定の実施形態では、該IgG定常領域は、エフェクター機能を低減又は排除する突然変異を含み得る(例えば、「Wang et al., Protein Cell 9(1):63-73 (2018)」を参照されたい)。例えば、本開示の二重特異性結合分子は、突然変異L235E、「LALA」突然変異(L234A/L235A)又は「LALAGA」突然変異(L234A/L235A/G237A)を有するヒトIgG1定常領域を含むことができる(ここで、全て、EU番号付けスキームに従って番号が付けられている)。
【0077】
本開示の二重特異性結合分子のクラス(イソタイプ)及びサブクラスは、当技術分野で知られている任意の方法によって確認することができる。一般に、抗体のクラス及びサブクラスは、抗体の特定のクラス及びサブクラスに特異的な抗体を使用して確認することができる。そのような抗体は市販されている。クラス及びサブクラスは、ELISA、ウエスタンブロット及び他の手法で確認することができる。あるいは、クラス及びサブクラスは、当該抗体の重鎖及び/又は軽鎖の定常領域の全部又は一部を配列決定し、それらのアミノ酸配列を免疫グロブリンのさまざまなクラス及びサブクラスの既知アミノ酸配列と比較し、当該抗体のクラス及びサブクラスを確認することによって、決定することができる。
【0078】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、ホモ二量体である。一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、ヘテロ三量体(重鎖ヘテロ二量体と組み合わされた軽鎖)であり、ここで、その重鎖ヘテロ二量体は、例えば、「Brinkmann and Kontermann, MABS 9: 182-212(2017)」に記載されているフォーマットにある。例えば、「knobs-into-holes」、HA-TF、ZW1、CH3電荷ペア、EW-RVT、LUZ-Y、「Strand Exchange Engineered Domain body」(SEEDbody)、「Biclonic、DuoBody」、BEAT、7.8.60、20.8.34、Triomab/Quadroma又はCrossMAb戦略を使用して、本開示の二重特異性結合分子の構造内の免疫グロブリンのFc領域を含んでいるポリペプチドのヘテロ二量体化(例えば、ホモ二量体化を超えて)を促進することができる。特定の実施形態では、「knobs-into-holes」アプローチを使用することができ、ここで、ドメインの「knob」変異体は、小さな側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グリシン、セリン、トレオニン又はバリン)をより大きな側鎖を有する別のアミノ酸(例えば、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン又はトリプトファン)で置き換えることによって得られる。ドメインの「hole」変異体は、大きな側鎖を有するアミノ酸(例えば、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン又はトリプトファン)をより小さな側鎖を持つ別のアミノ酸(例えば、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グリシン、セリン、トレオニン又はバリン)で置き換えることによって得られる。特定の実施形態では、knob及び/又はholeの突然変異は、CH3ドメイン内にある。
【0079】
一部の実施形態では、抗ROR1抗体の抗原結合フラグメント及び/又は抗CD3抗体の抗原結合フラグメントは、本開示の二重特異性結合分子を作製する際に使用することができる。抗体フラグメントの例としては、限定するものではないが、以下のものを挙げることができる:Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’);組換えIgG(rlgG)フラグメント;ダイアボディ;線形抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv又はsFv);及び、単一ドメイン抗体(例えば、sdAb、sdFv、ナノボディ)。特定の実施形態では、該フラグメントは、可変重鎖領域及び/又は可変軽鎖領域を含んでいる単鎖抗体フラグメント(例えば、scFvs)である。
【0080】
特定の実施形態では、第1の抗原結合ドメイン、第2の抗原結合ドメイン又はその両方は、抗体全体の軽鎖可変ドメイン(VL)に連結した抗体の重鎖可変ドメイン(VH)を含んでいる単鎖抗体(scFv)であり、ここで、該融合タンパク質は、抗体と同じ抗原特異性を保持している。VH及びVLは、ペプチドリンカーを介して連結され得る。特定の実施形態では、第2の抗原結合ドメインは、CD3に特異的に結合するscFvである。
【0081】
単鎖抗体(scFv)を作製するために、VH及びVLをコードするDNAフラグメントを可変リンカーをコードする別のフラグメント(例えば、アミノ酸配列(Gly4-Ser)4(配列番号:96)をコードするフラグメント)に動作可能に連結させ、それによって、VH及びVL配列は、VL及びVHドメインが可変リンカーによって結合された連続的な単鎖タンパク質として発現され得る。単一のVH及びVLのみが使用されている場合、該単鎖抗体は一価であり得る;2つのVHとVLが使用されている場合、2価であり得る;又は、3つ以上のVHとVLが使用されている場合、多価であり得る。
【0082】
一部の実施形態では、第1の抗原結合ドメインのアミノ酸配列は、例えばペプチドリンカーを介して、第2の抗原結合ドメインのアミノ酸配列に融合して、融合ポリペプチドを形成する。特定の実施形態では、第2の抗原結合ドメインは、scFvであり、そして、第1の抗原結合ドメインの重鎖又は軽鎖アミノ酸配列に融合している。例えば、第2の抗原結合ドメインは、以下のものに融合し得る:
・ 第1の抗原結合ドメインの重鎖のアミノ末端;
・ 第1の抗原結合ドメインの軽鎖のアミノ末端;
・ 第1の抗原結合ドメインの重鎖のカルボキシ末端;及び/又は
・ 第1の抗原結合ドメインの軽鎖のカルボキシ末端。
【0083】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、図1の概略図A-Eのいずれかに示されるように構成される。
【0084】
特定の実施形態では、第1及び第2の抗原結合ドメインをコンジュゲートするペプチドリンカーは、長さが5~30、5~25、5~15、10~30、10~20又は10~15アミノ酸である。特定の実施形態では、該ペプチドリンカーは、ペプチドリンカーの溶解性を可能にするアミノ酸(例えば、セリン及びトレオニン)を含んでいる。特定の実施形態では、該リンカーは帯電していてもよい(例えば、米国特許第9,856,327号を参照されたい)。特定の実施形態では、該ペプチドリンカーは、ペプチドリンカーの柔軟性を可能にするアミノ酸(例えば、グリシン)又はペプチドリンカーの剛性を可能にするアミノ酸を含んでいる。特定の実施形態では、第1及び第2の抗原結合ドメインをコンジュゲートするペプチドリンカーの配列は、(Gly4-Ser)Xであり、ここで、Xは、1、2、3又は4であり得る(配列番号114)。特定の実施形態では、該ペプチドリンカーの配列は、GGGGSGGGGS(配列番号93)である。
【0085】
一部の実施形態では、本明細書中に記載されている第2の抗原結合ドメインは、例えば、二重特異性結合分子の凝集を防止又は低減するために、ジスルフィド結合を安定化させるための1以上の突然変異(例えば、アミノ酸残基がシステインで置き換えられている)を含んでいる。
【0086】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、ELISAによって測定される場合、100nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、5nM、2nM、1nM、0.9nM、0.8nM、0.7nM、0.6nM、0.5nM、0.4nM、0.3nM、0.2nM、0.1nM、0.09nM、0.08nM、0.07nM、0.06nM、0.05nM、0.04nM、0.03nM、0.02nM、0.01nM、0.005nM又は0.001nM以下(例えば、0.5nM以下)の固定化ROR1に対するKを有する。
【0087】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、ELISAによって測定される場合、100nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、5nM、2nM、1nM、0.9nM、0.8nM、0.7nM、0.6nM、0.5nM、0.4nM、0.3nM、0.2nM、0.1nM、0.09nM、0.08nM、0.07nM、0.06nM、0.05nM、0.04nM、0.03nM、0.02nM、0.01nM、0.005nM又は0.001nM以下(例えば、0.4nM以下)の可溶性b-ROR1に対するKを有する。
【0088】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、ELISAによって測定される場合、100nM、50nM、40nM、30nM、20nM、10nM、5nM、2nM、1nM、0.9nM、0.8nM、0.7nM、0.6nM、0.5nM、0.4nM、0.3nM、0.2nM、0.1nM、0.09nM、0.08nM、0.07nM、0.06nM、0.05nM、0.04nM、0.03nM、0.02nM、0.01nM、0.005nM又は0.001nM以下(例えば、5nM以下)のCD3に対するKを有する。
【0089】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、10μg/mL、5μg/mL、1μg/mL、100ng/mL、50ng/mL、20ng/mL、10ng/mL、9ng/mL、8ng/mL、7ng/mL、6ng/mL、5ng/mL、4ng/mL、3ng/mL、2ng/mL、1ng/mL、0.9ng/mL、0.8ng/mL、0.7ng/mL、0.6ng/mL、0.5ng/mL、0.4ng/mL、0.3ng/mL、0.2ng/mL、0.1ng/mL、0.05ng/mL又は0.01ng/mL以下で、PBMCに曝露されたROR1トランスフェクトMEC細胞においてLDH放出を誘発させる。
【0090】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、10μg/mL、5μg/mL、1μg/mL、100ng/mL、50ng/mL、20ng/mL、10ng/mL、9ng/mL、8ng/mL、7ng/mL、6ng/mL、5ng/mL、4ng/mL、3ng/mL、2ng/mL、1ng/mL、0.9ng/mL、0.8ng/mL、0.7ng/mL、0.6ng/mL、0.5ng/mL、0.4ng/mL、0.3ng/mL、0.2ng/mL、0.1ng/mL、0.05ng/mL又は0.01ng/mL以下で、PBMCに曝露されたJeKo-1細胞においてLDH放出を誘発させる。
【0091】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、10μg/mL、5μg/mL、1μg/mL、100ng/mL、50ng/mL、20ng/mL、10ng/mL、9ng/mL、8ng/mL、7ng/mL、6ng/mL、5ng/mL、4ng/mL、3ng/mL、2ng/mL、1ng/mL、0.9ng/mL、0.8ng/mL、0.7ng/mL、0.6ng/mL、0.5ng/mL、0.4ng/mL、0.3ng/mL、0.2ng/mL、0.1ng/mL、0.05ng/mL又は0.01ng/mL以下で、PBMCに曝露されたMino細胞においてLDH放出を誘発させる。
【0092】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、10μg/mL、5μg/mL、1μg/mL、100ng/mL、50ng/mL、20ng/mL、10ng/mL、9ng/mL、8ng/mL、7ng/mL、6ng/mL、5ng/mL、4ng/mL、3ng/mL、2ng/mL、1ng/mL、0.9ng/mL、0.8ng/mL、0.7ng/mL、0.6ng/mL、0.5ng/mL、0.4ng/mL、0.3ng/mL、0.2ng/mL、0.1ng/mL、0.05ng/mL又は0.01ng/mL以下で、PBMCに曝露されたMDA-MB-468細胞においてLDH放出を誘発させる。
【0093】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、インビトロでPBMCによる、ROR1トランスフェクトMEC細胞、JeKo-1細胞、Mino細胞、MDA-MB-468細胞又はそれらの任意の組み合わせのROR1依存性死滅を誘発させる。
【0094】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、フローサイトメトリーで測定される場合、50μg/mL、10μg/mL、5μg/mL、1μg/mL、100ng/mL、50ng/mL、20ng/mL、10ng/mL、9ng/mL、8ng/mL、7ng/mL、6ng/mL、5ng/mL、4ng/mL、3ng/mL、2ng/mL、1ng/mL、0.9ng/mL、0.8ng/mL、0.7ng/mL、0.6ng/mL、0.5ng/mL、0.4ng/mL、0.3ng/mL、0.2ng/mL、0.1ng/mL、0.05ng/mL又は0.01ng/mL以下で、ROR1トランスフェクトMEC細胞と一緒にインキュベートされたT細胞の表面上のCD69をアップレギュレートする。
【0095】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、フローサイトメトリーで測定される場合、50μg/mL、10μg/mL、5μg/mL、1μg/mL、100ng/mL、50ng/mL、20ng/mL、10ng/mL、9ng/mL、8ng/mL、7ng/mL、6ng/mL、5ng/mL、4ng/mL、3ng/mL、2ng/mL、1ng/mL、0.9ng/mL、0.8ng/mL、0.7ng/mL、0.6ng/mL、0.5ng/mL、0.4ng/mL、0.3ng/mL、0.2ng/mL、0.1ng/mL、0.05ng/mL又は0.01ng/mL以下で、JeKo-1細胞と一緒にインキュベートされたT細胞の表面上のCD69をアップレギュレートする。
【0096】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、フローサイトメトリーで測定される場合、50μg/mL、10μg/mL、5μg/mL、1μg/mL、100ng/mL、50ng/mL、20ng/mL、10ng/mL、9ng/mL、8ng/mL、7ng/mL、6ng/mL、5ng/mL、4ng/mL、3ng/mL、2ng/mL、1ng/mL、0.9ng/mL、0.8ng/mL、0.7ng/mL、0.6ng/mL、0.5ng/mL、0.4ng/mL、0.3ng/mL、0.2ng/mL、0.1ng/mL、0.05ng/mL又は0.01ng/mL以下で、Mino細胞と一緒にインキュベートされたT細胞の表面上のCD69をアップレギュレートする。
【0097】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、フローサイトメトリーで測定される場合、50μg/mL、10μg/mL、5μg/mL、1μg/mL、100ng/mL、50ng/mL、20ng/mL、10ng/mL、9ng/mL、8ng/mL、7ng/mL、6ng/mL、5ng/mL、4ng/mL、3ng/mL、2ng/mL、1ng/mL、0.9ng/mL、0.8ng/mL、0.7ng/mL、0.6ng/mL、0.5ng/mL、0.4ng/mL、0.3ng/mL、0.2ng/mL、0.1ng/mL、0.05ng/mL又は0.01ng/mL以下で、MDA-MB-468細胞と一緒にインキュベートされたT細胞の表面上のCD69をアップレギュレートする。
【0098】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、10μg/mL、5μg/mL、μg/mL、100ng/mL、50ng/mL、20ng/mL、10ng/mL、9ng/mL、8ng/mL、7ng/mL、6ng/mL、5ng/mL、4ng/mL、3ng/mL、2ng/mL、1ng/mL、0.9ng/mL、0.8ng/mL、0.7ng/mL、0.6ng/mL、0.5ng/mL、0.4ng/mL、0.3ng/mL、0.2ng/mL、0.1ng/mL、0.05ng/mL又は0.01ng/mL以下で、JeKo-1細胞又はROR1トランスフェクトMEC細胞と共培養されたT細胞からのIFN-γ、TNF-α、IL-10、IL-6、IL-4及びIL-2の放出を誘発させる。
【0099】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、以下の特性のうちの少なくとも1つを有する:
(a) ELISAで測定した固定化ROR1に対するKは、0.5nM以下である;
(b) ELISAで測定した可溶性b-ROR1に対するKは、0.4nM以下である;
(c) それぞれ配列番号82及び83の重鎖及び軽鎖アミノ酸配列を含んでいる抗体と比較して、ROR1トランスフェクトMEC細胞及び/又はジャーカット細胞におけるインターナリゼーションの低減を示す;
(d) PBMCに曝露されたROR1トランスフェクトMEC細胞において、1μg/mL以下でLDH放出を誘発させる;
(e) PBMCに曝露されたJeKo-1細胞において、1μg/mL以下でLDH放出を誘発させる;
(f) PBMCに曝露されたMino細胞において、1μg/mL以下でLDH放出を誘発させる;
(g) PBMCに曝露されたMDA-MB-468細胞において、1μg/mL以下でLDH放出を誘発させる;
(h) フローサイトメトリーで測定される場合、1μg/mL以下で、ROR1トランスフェクトMEC細胞と共培養されたT細胞の表面上のCD69をアップレギュレートする;
(i) フローサイトメトリーで測定される場合、1μg/mL以下で、JeKo-1細胞と共培養されたT細胞の表面上のCD69をアップレギュレートする;
(j) フローサイトメトリーで測定される場合、1μg/mL以下で、Mino細胞と共培養されたT細胞の表面上のCD69をアップレギュレートする;
(k) フローサイトメトリーで測定される場合、1μg/mL以下で、MDA-MB-468細胞と共培養されたT細胞の表面上のCD69をアップレギュレートする;及び、
(l) 1μg/mLで、JeKo-1細胞又はROR1トランスフェクトMEC細胞と共培養されたT細胞からのIFN-γ、TNF-α、IL-10、IL-6、IL-4及びIL-2の放出を誘発させる。
【0100】
特定の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、上記特性のうちの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11又は12を有する。特定の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、前記特性の全てを有する。
【0101】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、ROR1陽性細胞に対するT細胞の細胞傷害性を誘発させる。
【0102】
核酸分子及びベクター
本開示は、さらに、本明細書中に記載されている二重特異性結合分子をコードする核酸分子及び配列も提供する。一部の実施形態では、異なる核酸分子は、該二重特異性結合分子を形成する異なるポリペプチドをコードする。別の実施形態では、同じ核酸分子は、該二重特異性結合分子を形成するポリペプチドの2つ以上又は全てをコードする。
【0103】
ヌクレオチド配列への言及は、別途示されていない限り、その相補体を包含する。従って、特定の配列を有する核酸への言及は、その相補配列を有するその相補鎖を包含するものと理解されるべきである。本明細書中で言及されている用語「ポリヌクレオチド」は、リボヌクレオチド若しくはデオキシヌクレオチドのいずれかであっても、又は、いずれかのタイプのヌクレオチドの修飾形態であっても、長さが少なくとも10塩基のヌクレオチドのポリマー形態を意味する。この用語は、一本鎖形態及び二本鎖形態を包含する。
【0104】
上記実施形態のいずれにおいても、該核酸分子は単離することができる。本明細書中において「単離された」又は「精製された」と称されている核酸分子は、(1)それらの起源のゲノムDNA又は細胞RNAの核酸から分離された核酸、及び/又は、(2)自然界には存在しない核酸、である。
【0105】
一部の実施形態では、本開示の核酸分子は、以下のものをコードするヌクレオチド配列を含んでいる:
・ 本開示の二重特異性結合分子の第1の抗原結合ドメインのH-CDR1-3及び/又はL-CDR1-3;
・ 本開示の二重特異性結合分子の第2の抗原結合ドメインのH-CDR1-3及び/又はL-CDR1-3;
・ 本開示の二重特異性結合分子の第1の抗原結合ドメインのVH及び/又はVL;
・ 本開示の二重特異性結合分子の第2の抗原結合ドメインのVH及び/又はVL;及び/又は
・ 本開示の二重特異性結合分子の第1の抗原結合ドメインのHC及び/又はLC。
【0106】
一部の実施形態では、本開示の核酸分子は、本開示の二重特異性結合分子の第1の抗原結合ドメインのH-CDR1-3及びL-CDR1-3をコードするヌクレオチド配列を含んでおり、さらに、本開示の二重特異性結合分子の第2の抗原結合ドメインのH-CDR1-3及びL-CDR1-3をコードするヌクレオチド配列を含んでいる。一部の実施形態では、本開示の核酸分子は、本開示の二重特異性結合分子の第1の抗原結合ドメインのVH及びVLをコードするヌクレオチド配列を含んでおり、さらに、本開示の二重特異性結合分子の第2の抗原結合ドメインのVH及びVLをコードするヌクレオチド配列を含んでいる。一部の実施形態では、本開示の核酸分子は、本開示の二重特異性結合分子の第1の抗原結合ドメインのHC及びLCをコードするヌクレオチド配列を含んでおり、さらに、本開示の二重特異性結合分子の第2の抗原結合ドメインのVH及びVLをコードするヌクレオチド配列を含んでいる。
【0107】
一部の実施形態では、本開示の核酸分子は、配列番号24-46からなる群から選択される1以上のヌクレオチド配列を含んでいる。
【0108】
特定の実施形態では、本開示の核酸分子は、以下のものを含んでいる:
・ 配列番号24及び39のヌクレオチド配列;
・ 配列番号25及び39のヌクレオチド配列;
・ 配列番号26及び39のヌクレオチド配列;
・ 配列番号27及び39のヌクレオチド配列;
・ 配列番号28及び39のヌクレオチド配列;
・ 配列番号29及び39のヌクレオチド配列;
・ 配列番号30及び40のヌクレオチド配列;
・ 配列番号30及び41のヌクレオチド配列;
・ 配列番号30及び42のヌクレオチド配列;
・ 配列番号30及び43のヌクレオチド配列;
・ 配列番号30及び44のヌクレオチド配列;
・ 配列番号30及び45のヌクレオチド配列;
・ 配列番号31、32及び39のヌクレオチド配列;
・ 配列番号31、33及び39のヌクレオチド配列;
・ 配列番号31、34及び39のヌクレオチド配列;
・ 配列番号35、34及び39のヌクレオチド配列;
・ 配列番号35、36及び39のヌクレオチド配列;
・ 配列番号37及び42のヌクレオチド配列;
・ 配列番号31、38及び39のヌクレオチド配列;又は、
・ 配列番号30及び46のヌクレオチド配列。
【0109】
さらなる態様において、本開示は、本明細書中に記載されている二重特異性結合分子を形成する1以上のポリペプチドを発現するのに適したベクターを提供する。用語「ベクター」は、本明細書中で使用されている場合、それが連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を意味する。一部の実施形態では、該ベクターは、プラスミド、即ち、追加のDNAセグメントが連結され得るDNAの環状二本鎖断片である。一部の実施形態では、該ベクターはウイルスベクターであり、ここで、追加のDNAセグメントはそのウイルスゲノムに連結され得る。一部の実施形態では、該ベクターは、それらが導入される宿主細胞内において自律的に複製することができる(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)。別の実施形態では、該ベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞に導入されるとその宿主細胞のゲノムに組み込まれることができ、それにより、宿主ゲノムと一緒に複製される。さらに、特定のベクターは、それらが動作可能に連結されている遺伝子の発現を誘導することができる。そのようなベクターは、本明細書中においては、「組換え発現ベクター」(又は、単に「発現ベクター」)と称されている。
【0110】
一部の実施形態では、本開示の核酸分子は、第2の抗原結合ドメインからのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列にインフレームで連結された第1の抗原結合ドメインからのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含んでいることができる。
【0111】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、DNAが転写制御配列及び翻訳制御配列などの必要な発現制御配列に動作可能に連結されるように、該二重特異性結合分子のポリペプチド成分をコードするDNAを発現ベクターに挿入することによって、発現される。発現ベクターには、プラスミド、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、植物ウイルス、例えば、カリフラワーモザイクウイルス、タバコモザイクウイルス、コスミド、YAC、EBV由来エピソームなどが包含される。該コード配列は、ベクター内の転写制御配列及び翻訳制御配列が、コード配列の転写及び翻訳を調節するそれらの意図された機能を果たすように、ベクターに連結され得る。該発現ベクター及び発現制御配列は、使用される発現宿主細胞と適合性があるように選択され得る。本開示の二重特異性結合分子の異なるポリペプチド成分をコードするヌクレオチド配列は、同じ又は別個のベクターに挿入することができ、そして、同じ又は異なる発現制御配列(例えば、プロモーター)に動作可能に連結され得る。一実施形態では、2以上のコード配列は、同じ発現ベクターに挿入され、そして、同一の発現制御配列(例えば、共通のプロモーター)に動作可能に連結されることができるか、又は、別個の同じ発現制御配列(例えば、プロモーター)に動作可能に連結されることができるか、又は、異なる発現制御配列(例えば、プロモーター)に動作可能に連結されることができる。該コード配列は、標準的な方法(例えば、抗体遺伝子フラグメント及びベクター上の相補的制限部位のライゲーション、又は、制限部位が存在しない場合は、平滑末端ライゲーション)によって発現ベクターに挿入することができる。
【0112】
宿主細胞及び二重特異性結合分子生成方法
本開示のさらなる態様は、本開示の二重特異性結合分子を生成させる方法に関する。一部の実施形態では、本明細書中で定義されている二重特異性結合分子を生成させる方法は、該二重特異性結合分子を発現することができる組換え宿主細胞(例えば、本明細書中に記載されている宿主細胞)を提供すること、該二重特異性結合分子の発現に適した条件下で該宿主細胞を培養すること、及び、得られた二重特異性結合分子を単離すること、を含んでいる。
【0113】
発現のための宿主として利用可能な哺乳動物細胞株は、当技術分野でよく知られており、そして、そのような哺乳動物細胞株には、「American Type Culture Collection」(ATCC)から入手可能な多くの不死化細胞株が包含される。これらのものとしては、とりわけ、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0細胞、SP2細胞、HEK-293T細胞、293フリースタイル細胞(Invitrogen)、NIH-3T3細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、アフリカングリーンモンキー腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)、A549細胞及び他の多くの細胞株などがある。使用することができる他の細胞株は、昆虫細胞株(例えば、Sf9又はSf21細胞)及び酵母細胞株である。細胞株は、それらの発現レベルに基づいて選択することができる。
【0114】
一部の実施形態では、本開示の宿主細胞は、以下のものをコードするヌクレオチド配列を含んでいる:
・ 本開示の二重特異性結合分子の第1の抗原結合ドメインのH-CDR1-3及び/又はL-CDR1-3;
・ 本開示の二重特異性結合分子の第2の抗原結合ドメインのH-CDR1-3及び/又はL-CDR1-3;
・ 本開示の二重特異性結合分子の第1の抗原結合ドメインのVH及び/又はVL;
・ 本開示の二重特異性結合分子の第2の抗原結合ドメインのVH及び/又はVL;及び/又は、
・ 本開示の二重特異性結合分子の第1の抗原結合ドメインのHC及び/又はLC。
【0115】
一部の実施形態では、本開示の宿主細胞は、本開示の二重特異性結合分子の第1の抗原結合ドメインのH-CDR1-3及びL-CDR1-3をコードするヌクレオチド配列を含んでおり、さらに、本開示の二重特異性結合分子の第2の抗原結合ドメインのH-CDR1-3及びL-CDR1-3をコードするヌクレオチド配列を含んでいる。一部の実施形態では、本開示の宿主細胞は、本開示の二重特異性結合分子の第1の抗原結合ドメインのVH及びVLをコードするヌクレオチド配列を含んでおり、さらに、本開示の二重特異性結合分子の第2の抗原結合ドメインのVH及びVLをコードするヌクレオチド配列を含んでいる。一部の実施形態では、本開示の宿主細胞は、本開示の二重特異性結合分子の第1の抗原結合ドメインのHC及びLCをコードするヌクレオチド配列を含んでおり、さらに、本開示の二重特異性結合分子の第2の抗原結合ドメインのVH及びVLをコードするヌクレオチド配列を含んでいる。
【0116】
一部の実施形態では、本開示の宿主細胞は、配列番号24-46からなる群から選択される1以上のヌクレオチド配列を含んでいる。
【0117】
特定の実施形態では、本開示の宿主細胞は、以下のものを含んでいる:
・ 配列番号24及び39のヌクレオチド配列;
・ 配列番号25及び39のヌクレオチド配列;
・ 配列番号26及び39のヌクレオチド配列;
・ 配列番号27及び39のヌクレオチド配列;
・ 配列番号28及び39のヌクレオチド配列;
・ 配列番号29及び39のヌクレオチド配列;
・ 配列番号30及び40のヌクレオチド配列;
・ 配列番号30及び41のヌクレオチド配列;
・ 配列番号30及び42のヌクレオチド配列;
・ 配列番号30及び43のヌクレオチド配列;
・ 配列番号30及び44のヌクレオチド配列;
・ 配列番号30及び45のヌクレオチド配列;
・ 配列番号31、32及び39のヌクレオチド配列;
・ 配列番号31、33及び39のヌクレオチド配列;
・ 配列番号31、34及び39のヌクレオチド配列;
・ 配列番号35、34及び39のヌクレオチド配列;
・ 配列番号35、36及び39のヌクレオチド配列;
・ 配列番号37及び42のヌクレオチド配列;
・ 配列番号31、38及び39のヌクレオチド配列;又は、
・ 配列番号30及び46のヌクレオチド配列。
【0118】
医薬組成物
本開示の別の態様は、活性成分として(又は、唯一の活性成分として)本開示の二重特異性結合分子を含んでいる医薬組成物である。該医薬組成物は、本明細書中に記載されているような任意の二重特異性結合分子を含むことができる。一部の実施形態では、該組成物は、本明細書中に記載されている癌(例えば、ROR1陽性癌)の改善、予防及び/又は治療を目的としている。
【0119】
一般に、本開示の二重特異性結合分子は、例えば、以下に記載されるように、1種類以上の薬学的に許容される賦形剤と関連する製剤として投与されるのに適している。
【0120】
用語「賦形剤」は、本明細書において、本開示の化合物以外の任意の成分について記載するために使用される。賦形剤の選択は、特定の投与方法、溶解性及び安定性に対する当該賦形剤の効果並びに投与形態の性質などの要因に大きく依存する。本明細書中で使用されている場合、「薬学的に許容される賦形剤」には、生理学的に適合性のある任意の全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などが包含される。薬学的に許容される賦形剤のいくつかの例は、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、並びに、それらの組み合わせである。多くの場合、等張剤、例えば、糖、多価アルコール(例えば、マンニトール、ソルビトール)又は塩化ナトリウムなどを当該組成物に含ませることが好ましい。薬学的に許容される物質のさらなる例は、湿潤剤又は少量の補助物質(例えば、湿潤剤若しくは乳化剤、防腐剤又は緩衝剤)であり、これらは、当該二重特異性結合分子の貯蔵寿命又は有効性を高める。
【0121】
本開示の医薬組成物及びそれらを調製する方法は、当業者には容易に明らかであろう。それらの調製のためのそのような組成物及び方法は、例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences, 19th Edition (Mack Publishing Company, 1995)」の中に見出すことができる。医薬組成物は、好ましくは、GMP(適正製造規範)条件下で製造される。
【0122】
本開示の医薬組成物は、単一の単位用量として又は複数の単一の単位用量として、バルクで、調製、包装又は販売することができる。本明細書中で使用されている場合、「単位用量」は、所定量の活性成分を含んでいる医薬組成物の個別量である。該活性成分の量は、一般に、対象者に投与されるであろう活性成分の投与量又はそのような投与量の便利な画分(例えば、そのような投与量の2分の1又は3分の1)に等しい。
【0123】
当技術分野において受け入れられているペプチド、タンパク質又は抗体を投与するための任意の方法を、本開示の二重特異性結合分子に対して適切に利用することができる。
【0124】
本開示の医薬組成物は、典型的には、非経口投与に適している。本明細書中で使用されている場合、医薬組成物の「非経口投与」は、対象者の組織の物理的破れ及び当該組織におけるその破れを介した医薬組成物の投与を特徴とする任意の投与経路を包含し、かくして、一般に、血流内、筋肉内又は臓器内への直接的な投与をもたらす。従って、非経口投与には、限定するものではないが、医薬組成物を注射することによる該医薬組成物の投与、外科的切開を介して医薬組成物を適用することによる該医薬組成物の投与、及び、組織貫通性の非外科的創傷を介して医薬組成物を適用することによる該医薬組成物の投与などが包含される。特に、非経口投与は、限定するものではないが、以下のものを包含することが意図されている:皮下、腹腔内、筋肉内、胸骨内、静脈内、動脈内、髄腔内、脳室内、尿道内、頭蓋内、腫瘍内及び滑液嚢内への注射又は注入;及び、腎臓透析注入技術。局所潅流も意図されている。特定の実施形態は、静脈内経路及び皮下経路を包含する。
【0125】
非経口投与(例えば、静脈内投与)に適した医薬組成物の製剤は、典型的には、滅菌水又は滅菌等張食塩水などの薬学的に許容される担体と組み合わされた活性成分を含んでいる。そのような製剤は、ボーラス投与又は連続投与に適した形態で調製、包装又は販売することができる。注射可能な製剤は、単位投与形態で、例えば、アンプル内にある単位投与形態で、又は、防腐剤を含んでいる複数回投与容器内にある単位投与形態で、調製、包装又は販売することができる。非経口投与用の製剤としては、限定するものではないが、懸濁液剤、溶液剤、油性ビヒクル又は水性ビヒクルの中のエマルション剤及びペースト剤などがある。そのような製剤は、さらに、1種類以上のさらなる成分(例えば、限定するものではないが、懸濁化剤、安定剤又は分散剤)を含むことができる。非経口投与用製剤の一実施形態では、活性成分は、再構成された組成物の非経口投与に先だって適切なビヒクル(例えば、無菌のパイロジェンフリー水)で再構成させるための乾燥形態(即ち、粉末形態又は顆粒形態)で提供される。非経口製剤は、塩類、炭水化物及び緩衝剤(好ましくは、pH3~9にするため)などの賦形剤を含むことができる水溶液剤も包含するが、一部の用途では、それらは、さらに適切には、無菌の非水性溶液として、又は、適切なビヒクル(例えば、無菌のパイロジェンフリー水)と組み合わせて使用される乾燥形態として、製剤することができる。代表的な非経口投与形態としては、無菌水溶液(例えば、プロピレングリコール水溶液又はデキストロース水溶液)の中の溶液又は懸濁液などがある。そのような投与形態は、必要に応じて、適切に緩衝することができる。有用な他の非経口投与可能な(parentally-administrable)製剤としては、微結晶形態の活性成分又はリポソーム調製物中の活性成分を含んでいる製剤などがある。非経口投与用の製剤は、即時放出性及び/又は放出調節性であるように製剤することができる。放出調節性製剤には、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的化放出及びプログラム放出が包含される。
【0126】
二重特異性結合分子の治療的使用
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、患者における癌(例えば、ROR1陽性癌)を治療するために使用される。該患者は、哺乳動物、例えば、ヒトであり得る。ROR1は、リンパ腫及び固形腫瘍を包含する多くのタイプの腫瘍で発現することが示されている。ヒトの癌の高い割合がROR1を発現する。例えば、Zhangらは、彼らが調べた卵巣癌の54%、結腸癌の57%、肺癌の77%、リンパ腫の90%、皮膚癌の89%、膵臓癌の83%、精巣癌の73%、膀胱癌の43%、子宮癌の96%、前立腺癌の90%及び副腎癌の83%が抗ROR1抗体4A5で中程度から強程度に染色されたことを示した(Zhang et al., Am J Pathol. 181(6): 1903-10 (2012))。Daneshmaneshらは、同様に、慢性リンパ性白血病(CLL)及びヘアリー細胞白血病(HCL)におけるROR1のほぼ普遍的な発現、並びに、マントル細胞リンパ腫(MCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)/辺縁帯リンパ腫(MZL)、濾胞性リンパ腫(FL)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性骨髄性白血病(AML)及び骨髄腫などの他のリンパ系癌におけるROR1のさまざまな程度の発現を見いだした(Daneshmanesh et al., Leuk Lymphoma 54(4):843-50 (2013))。複数のグループが、B細胞急性リンパ芽球性白血病(ALL)のサブセットにおけるROR1の発現を実証した(例えば、「Dave et al., PLoS One 7:e52655 (2012)」を参照されたい)。ROR1は、肝細胞癌(HCC)又は非小細胞肺癌(NSCLC)の症例のかなりの割合においても発現する(米国特許公開2018/0369406)。さらに、ROR1の発現は、侵攻性癌で増加し、予後不良と相関することが示されている;従って、本開示の二重特異性結合分子は、侵攻性又は進行性の癌を治療するのに特によく適している。
【0127】
「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」及び「治療(treatment)」は、生物学的障害及び/又はそれに付随する症状の少なくとも1つを緩和する方法又は無にする方法を示している。本明細書中で使用されている場合、疾患、障害又は状態を「緩和する(alleviate)」は、疾患、障害又は状態の症状の重症度及び/又は発生頻度を低減させることを意味する。さらに、本明細書中における「治療(treatment)」への言及は、治癒的、対症的及び予防的治療への言及を含んでいる。癌の治療には、癌の増殖を阻害すること(これは、癌の部分的又は完全な退縮を引き起こすことを包含する)、癌の進行若しくは転移を阻害すること、癌の再発若しくは残存病変を予防すること及び/又は患者の生存期間を延長させることが包含される。
【0128】
二重特異性結合分子は、本明細書中に記載されている癌に罹患している患者に治療有効量で投与することができる。「治療有効量」は、治療されている疾患の症状のうちの1つ以上をある程度軽減させる、投与されている治療薬の量を示している。治療有効量の抗癌治療薬は、例えば、腫瘍の縮小、生存の増加、癌細胞の排除、疾患の進行の低減、転移の逆転又は医療専門家が望む他の臨床的エンドポイントをもたらし得る。
【0129】
一部の実施形態では、本明細書中に記載されている二重特異性結合分子によって治療可能な癌は、ROR1発現癌(即ち、ROR1陽性癌)である。該癌は、遺伝子又はタンパク質の発現を確認する任意の適切な方法(例えば、組織学、フローサイトメトリー、RT-PCR、又は、RNA-Seq)によってROR1を発現しているものとして確認することができる。当該確認に使用される癌細胞は、腫瘍生検又は循環腫瘍細胞の収集によって得ることができる。特定の実施形態では、フローサイトメトリー又は免疫組織化学などの抗体ベースのアッセイが使用される場合、ROR1発現癌は、イソタイプ対照抗体よりも高い抗ROR1抗体反応性を示す細胞を有する任意の癌である。特定の実施形態では、RNAベースのアッセイが使用される場合、ROR1発現癌は、陰性対照細胞又はROR1を発現しない癌と比較して、より高いレベルのROR1 RNAを示す癌である。
【0130】
特定の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、血液学的悪性腫瘍(例えば、白血病及び/又はリンパ腫)を治療するために使用される。特定の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、固形腫瘍を治療するために使用される。治療対象の癌は、例えば、リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、辺縁細胞B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞性B細胞リンパ腫、リヒター形質転換を受けた非ホジキンリンパ腫、T細胞非ホジキンリンパ腫、リンパ形質細胞様リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、T細胞白血病、肉腫、骨肉腫、ユーイング肉腫、腎細胞癌、肝細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌、乳癌、上皮扁平上皮癌、神経膠芽細胞腫、メラノーマ、骨髄腫、多発性骨髄腫、胃癌、脳癌、肺癌、非小細胞肺癌、膵臓癌、子宮頚癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣癌、甲状腺癌及び頭頸部癌から選択され得る。特定の実施形態では、該癌は、マントル細胞リンパ腫、乳癌、肺癌、骨肉腫及びユーイング肉腫から選択される。
【0131】
一部の実施形態では、治療対象の癌は、他の治療法に対して難治性である癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌)であり得る。該癌は、例えば、初期段階、中期段階、後期段階又は転移段階であり得る。
【0132】
一部の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子で治療される患者は、事前の癌治療を受けている。別の態様では、該患者は事前の癌治療を受けていない。
【0133】
本開示の二重特異性結合分子は、追加の治療的処置なしで、即ち、単独の療法(単独療法)として投与することができる。あるいは、本開示の二重特異性結合分子による治療は、少なくとも1種類の付加的な治療的処置を含み得る(併用療法)。一部の実施形態では、二重特異性結合分子は、癌を治療するために、別の薬剤/薬物と同時投与し得るか又は製剤し得る。該追加の治療は、例えば、化学療法、抗腫瘍剤若しくは抗血管新生剤、異なる抗癌抗体及び/又は放射線療法を含み得る。
【0134】
特定の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、(例えば、本明細書中に記載されている癌を治療するために)追加の治療薬又は生物学的に活性な分子と組み合わせて使用される。生物学的に活性な分子の例としては、限定するものではないが、ペプチド、タンパク質、酵素、小分子薬、プロドラッグ、炭水化物、造影剤、脂質、ヌクレオシド、放射性核種、オリゴヌクレオチド、毒素、細胞、抗生物質、殺菌剤、抗ウイルス薬、抗炎症薬、抗腫瘍薬、心血管作動薬、抗不安剤、ホルモン、成長因子、ステロイド剤及び微生物由来の毒素などを挙げることができる。一部の実施形態では、該追加の治療薬は、血管内皮成長因子(VEGF)阻害剤、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤、ラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)の阻害剤、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害剤、ヤヌスキナーゼ/シグナルトランスデューサー及び転写活性化因子(Jak/STAT)シグナル伝達阻害剤、B細胞リンパ腫2(Bcl-2)阻害剤、脾臓チロシンキナーゼ(SYK)阻害剤、微小管阻害剤、上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤、ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤、DNA修復阻害剤、DNA架橋剤、ヌクレオシド類似体又は免疫調節剤である。一部の実施形態では、該追加の治療薬は、以下のものである:抗体、例えば、リツキシマブ(抗CD20)又はベバシズマブ(抗VEGF);ブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤例えば、アカラブルチニブ又はイブルチニブ;mTOR阻害剤、例えば、サパニセルチブ、エベロリムス又はBEZ235;PI3K阻害剤、例えば、イデラリシブ又はブパルリシブ;Jak/STATシグナル伝達阻害剤、例えば、ルキソリチニブ;Bcl-2阻害剤、例えば、ABT-199/ベネトクラクス、Bcl-2i-1又はBcl-2i-2;SYK阻害剤、例えば、フォスタマチニブ;微小管阻害剤、例えば、パクリタキセル又はビンクリスチン;EGFR阻害剤、例えば、エルロチニブ;PARP阻害剤、例えば、オラパリブ;ALK阻害剤、例えば、クリゾチニブ;DNA修復阻害剤、例えば、カルボプラチン;DNA架橋剤、例えば、オキサリプラチン/シスプラチン;ヌクレオシド類似体、例えば、ゲムシタビン;又は、免疫調節薬(IMiD)、例えば、レナリドミド又はポマリドミド。特定の実施形態では、該追加の治療薬は、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ベネトクラクス、Bcl-2i-1、Bcl-2i-2、エベロリムス、サパニセルチブ、イデラリシブ、パクリチニブ、ブパルリシブ、BEZ235、ルキソリチニブ、フォスタマチニブ、リツキシマブ、リツキシマブ-CHOP、レナリドミド、ポマリドミド、パクリタキセル、ビンクリスチン、エルロチニブ、クリゾチニブ、カルボプラチン、オキサリプラチン/シスプラチン、ベバシズマブ又はゲムシタビンである。
【0135】
特定の実施形態では、本発明の二重特異性結合分子は、(例えば、本明細書中に記載されている癌を治療するために)患者の免疫系を増強する免疫チェックポイントモジュレーターと組み合わせて使用される。例えば、該コンジュゲートは、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1、これは、B7-H1、CD274としても知られている)、プログラム細胞死1(PD-1)、CTLA-4、PD-L2(B7-DC、CD273)、LAG3、TIM3、2B4、A2aR、B7H1、B7H3、B7H4、BTLA、CD2、CD27、CD28、CD30、CD40、CD70、CD80、CD86、CD137、CD160、CD226、CD276、DR3、GAL9、GITR、HAVCR2、HVEM、IDO1、IDO2、ICOS(誘導性T細胞共刺激因子)、KIR、LAIR1、LIGHT、MARCO(コラーゲン構造を有するマクロファージ受容体)、PS(ホスファチジルセリン)、OX-40、SLAM、TIGHT、VISTA、VTCN1又はそれらの任意の組み合わせを標的とする抗体若しくは抗体誘導体、アンチセンスオリゴヌクレオチド、低分子干渉RNA、アプタマー又はペプチドなどの免疫チェックポイント阻害剤と一緒に使用される。
【0136】
特定の実施形態では、本開示の二重特異性結合分子は、T細胞(例えば、患者に対して自系又は同種異系のT細胞)と組み合わせて患者に投与される。患者がヒトである特定の実施形態では、T細胞もヒトである。一部の実施形態では、該二重特異性結合分子は、患者に投与する前にT細胞に結合させる。
【0137】
本開示の二重特異性結合分子を、本明細書中に記載されている治療方法において使用することができること、本明細書中に記載されている治療において使用するためのものであることができること及び/又は本明細書中に記載されている治療のための医薬品の製造において使用することができること、は理解される。本開示は、さらに、本明細書中に記載されている本開示の二重特異性結合分子を含んでいるキット及び製品も提供する。
【0138】
製品及びキット
本開示は、さらに、本開示の二重特異性結合分子の医薬組成物を含んでいる1つ以上の容器(例えば、シングルユース容器又はマルチユース容器)、場合により付加的な生物学的に活性な分子(例えば、別の治療薬)及び使用説明書を含んでいる製品(例えば、キット)も提供する。該二重特異性結合分子及び場合による追加の生物学的に活性な分子は、非反応性のガラス又はプラスチックから作られたバイアル又はアンプルなどの適切なパッキングに別々に包装することができる。特定の実施形態では、該バイアル又はアンプルには、該二重特異性結合分子及び/又は追加の生物学的に活性な分子を含んでいる凍結乾燥粉末が入れられている。特定の実施形態では、該バイアル又はアンプルには、該二重特異性結合分子又は生物学的に活性な分子の濃縮されたストック(例えば、2倍、5倍、10倍以上)が入れられている。特定の実施形態では、該製品(例えば、キット)は、該二重特異性結合分子及び/又は生物学的に活性な分子を投与するための医療機器(例えば、注射器及び針);及び/又は、適切な希釈剤(例えば、滅菌水及び通常の生理食塩水)を含んでいる。本開示は、さらに、前記製品を製造する方法も包含する。
【0139】
本明細書中において別途定義されていない限り、本開示に関連して使用される科学的用語及び技術的用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものである。代表的な方法及び材料について以下で説明するが、本明細書中に記載されているものと類似又は同等の方法及び材料も、本開示の実施又は試験において使用することができる。矛盾する場合は、定義を含んでいる本明細書が優先される。
【0140】
一般に、本明細書中に記載されている細胞及び組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、分析化学、合成有機化学、医薬品化学並びにタンパク質及び核酸化学並びにハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法及びそれらの技術は、当技術分野においてよく知られており、そして、一般的に使用されている。酵素反応及び精製技術は、当技術分野において一般的に達成されるように、又は、本明細書中に記載されているように、製造業者の仕様に従って実施する。
【0141】
さらに、文脈によって別段の必要がない限り、単数形は複数形を包含し、及び、複数形は単数形を包含するものである。本明細書及び実施形態を通して、「有している(have)」及び「含んでいる(comprise)」という単語、又は、「有している(has)」、「有している(having)」、「含んでいる(comprises)」若しくは「含んでいる(comprising)」などの変形は、記載された整数又は整数のグループを含んでいるが、他の任意の整数又は整数のグループを除外はしないということを意味するものと理解される。
【0142】
本明細書中において言及されている全ての刊行物及び他の参考文献は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。本明細書中では多くの文書が引用されているが、この引用は、これらの文書のいずれかが当技術分野における一般的な知識の一部を形成することを認めるものではない。
【0143】
本発明がよりよく理解され得るようにするために、以下に実施例を記載する。これらの実施例は、例示することのみを目的としており、決して本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例
【0144】
実施例
以下の実施例は、本発明の代表的な実施形態を例証しており、決して限定することを意味するものではない。
【0145】
実施例1: 抗ROR1/抗CD3二重特異性結合分子の設計及び発現
複数の変数は、PK、エピトープ、結合成分の相対的親和性並びにパラトープの結合価及び空間的構成を包含する、二重特異性結合分子のインビボ効力に影響を与える。現在、これら全てのパラメーターを最適化する単一分子を推測的に設計するための信頼できる方法は存在しない。従って、これらのパラメーターの多くが有する影響を体系的に評価するために、複数の抗ROR1/抗CD3二重特異性構築物を設計し、製造し、及び、試験した。
【0146】
最適な構成(特に、ROR1及びCD3結合成分の最も活性な相対的空間配置)を提供する構造を確認するために、図1に要約されているように、さまざまな構築物を設計した。さまざまな二重特異性フォーマットがすでに記載されているが(例えば、「Brinkmann and Kontermann, MABS 9: 182-212 (2017)」を参照されたい)、現在の取り組みは、好ましいPKを可能にするために、及び、充分に確立されたプロテインAに基づく抗体精製アプローチを使用するために、抗体Fc成分を含んでいるフォーマットに焦点を当てている。
【0147】
二重特異性結合分子で使用されるROR1結合成分は、ヒトROR1に対して高度に選択的であることが実証されており、及び、ヒト臨床試験において安全であることが証明されている(例えば、「Choi et al., Cell Stem Cell 22:951-959 (2018)」を参照されたい)。さらに、二重特異性結合分子について、SP34及びOKT3抗体に基づく抗CD3scFv配列を使用して、2つの異なるCD3エピトープに特異的なCD3結合成分を用いて試験した。CD3抗体は、それらのエピトープの異なる特性に基づいて分類されている(Tunnacliffe et al., International Immunology 1:546-550 (1989))。このシステムを使用して、SP34はグループIとして分類され、OKT3はグループIIとして分類される。
【0148】
特定の構築物について、野生型抗体Fc配列を使用することで、ROR1及びCD3の両方に対して二価である二重特異性構築物の評価が可能になった(図1、A、B及びE)。他の構築物では、Fc領域内のknobs-into-holes変異を使用することで、ROR1とCD3に対して結合価が異なる二重特異性結合分子の発現が可能になった。例えば、1つの構築物は、ROR1に対して二価であり、CD3に対して一価であり(図1、D)、一方、別の構築物は、ROR1及びCD3の両方に対して一価である(図1、C)。
【0149】
最後に、親和性及び結合価が変化したROR1パラトープを異なるCD3パラトープと組み合わせて試験して、異なる相対的親和性/アビディティーを有するCD3及びROR1パラトープの効果について評価した。
【0150】
これらの設計パラメーターに基づいて、複数の二重特異性構築物を発現させ、精製し、及び、特性決定を行った。
【0151】
材料及び方法
配列番号110のリーダー配列を有する二重特異性構築物をコードするコドン最適化DNAを、pcDNA3.4ベクターにクローン化し、次いで、一過性トランスフェクションによってExpi293細胞に導入した。該細胞を、Expi293F発現培地(ThermoFisher カタログ番号A1435103)を含んでいる40mLの培養液中で増殖させた。次いで、HiTrap MabSelect SuRe(GE Healthcare カタログ番号11-0034-93)を使用して、抗体をその培養液上清から1段階で精製した。精製された抗体をPBS(pH7.2)の中に保存し、SDS-PAGEで純度を特徴付けした。3つの異なるポリペプチド鎖からなる構築物の純度は、TSKgel G3000SWxl 7.8mm×380mmカラムを使用したSECでさらに特徴付けした。移動相は、0.1Mリン酸緩衝液、0.1M Na(pH6.7)であり、カラムは、0.7mL/分の流量で実施した。
【0152】
結果
抗ROR1/抗CD3二重特異性結合分子の配列は、表1(タンパク質)及び表2(DNA)に要約されている。
【表1】
【表2】
【0153】
構築物の大部分は、よく発現し(17/20は>1mgを発現した; 14/20は>2mgを発現した)、そして、SDS-PAGEで測定して、殆どの場合、プロテインAクロマトグラフィーを使用して単一の段階で実質的に精製された(表3)。
【表3】
【0154】
ジスルフィド安定化抗CD3scFvを含んでいない構築物は、プロテインAクロマトグラフィーの後で、概してより高純度(>90%)であった(表3、構築物2と5を比較する)。
【0155】
SEC分析は、3つの異なるポリペプチド鎖からなる構築物に対して実施した。一般に、単一のプロテインA精製段階の後、2つの異なる鎖からなる構築物(野生型Fc)が、3つの異なる鎖からなる構築物(ヘテロマーFc)よりも高い純度で得られた(表3、サンプル1-3及び7-9の純度をサンプル13-17と比較する)。
【0156】
まとめると、これらのデータは、当該構築物の大部分が良好に発現し、そして、単一のプロテインA精製段階の後で>90%純粋であることを示している。
【0157】
実施例2: 抗ROR1/抗CD3二重特異性結合分子のROR1への結合
構成、ROR1親和性及びROR1結合価が異なっている二重特異性結合分子を、細胞毒性に対するこれらのパラメーターの影響を確認するために、ヒトROR1への結合について評価した。二重特異性構築物1-20のヒトROR1への結合は、ROR1トランスフェクトMEC細胞、JeKo-1細胞及び組換えROR1細胞外ドメイン(ECD)を使用して特徴付けた。
【0158】
材料及び方法
細胞とフローサイトメトリーを使用するROR1結合アッセイ
ROR1結合は、ROR1トランスフェクトMEC細胞及びJeKo-1細胞の両方を使用して定量化した。各条件に関して、2.5E5細胞を使用した。該細胞を、2%FBSを含んでいる50μLのPBSの中に入れた。次に、該細胞を被験二重特異性結合分子の等体積の2Xストックで希釈した。該細胞と抗体を氷上で20分間共インキュベートした。次いで、該細胞を300μLのFACS緩衝液で3回洗浄し、100μLの抗ヒトFc-PEコンジュゲート抗体(Invitrogen カタログ番号12499882)の中に再懸濁させ、氷上で減光しながら20分間インキュベートした。次いで、該細胞を300μLのFACS緩衝液で3回洗浄し、2%パラホルムアルデヒドで25℃で10分間固定化した。次いで、該細胞を300μLのFACS緩衝液で2回洗浄し、Miltenyi MACSQuantアナライザーで分析した。
【0159】
組換えROR1-ECD及びELISAを使用するROR1結合アッセイ
組換えROR1への二重特異性結合分子の結合について、2つの異なる構成を使用するELISAによって評価した。第1の構成では、ROR1タンパク質を96ウェルプレート上に固定化し、そして、該二重特異性構築物を滴定した(詳細は下記)。該二重特異性結合分子は、二重特異性結合分子を96ウェルプレート上に固定化して可溶性ビオチン化ROR1(b-ROR1)を滴定する第2の構成を使用して、ROR1結合についても特徴付けを行った(詳細は下記)。
【0160】
固定化ROR1ELISA
96ウェルCostar-3366プレートを、PBS中の2μg/mLのヒトTL1A(Aero Biosystems カタログ番号R01-H522Y)を50μL/ウェルで用いて、4℃で一晩コーティングした。そのプレートを0.05%Tween 20を含んでいるPBS(PBS-T)で1回リンスし、そして、PBS中の5%無脂肪乳(5%M-P)を100μL/ウェルで用いて25℃で1時間ブロックした。抗体サンプルを5%M-Pを使用して連続2倍希釈し、25℃で1時間インキュベートした(50μL/ウェル)。そのプレートをPBS-Tで3回洗浄し、5%M-Pで10,000倍に希釈した50μL/ウェルの抗ヒトカッパ、HRPコンジュゲート(Southern Biotech カタログ番号2060-05)を25℃で1時間加えた。そのプレートをPBS-Tで3回洗浄し、50μL/ウェルの1-Step Ultra TMB-ELISA(Thermo Scientific カタログ番号34028)で発色させた。2N HSOを添加して反応を停止させ、Spectramaxプレートリーダーを使用してA450を測定した。
【0161】
可溶性ROR1 ELISA
ROR1をビオチン化するために、200μgのヒトROR1(Aero Biosystems カタログ番号R01-H522Y)を2mLの水に再懸濁させて100μg/mLとし、次いで、EZ-Link Sulfo-NHS-LC-ビオチン(Thermo Scientific カタログ番号21327)と1:5のモル比で合し、25℃で2時間インキュベートした。31μLの750mMアルギニン塩酸塩を添加することにより反応を停止させ、4℃で保存した。
【0162】
可溶性ROR1への二重特異性構築物の結合を測定するために、96ウェルCostar-3366プレートを、PBS中の2μg/mLのヤギ抗ヒトカッパ(Suterna Biotech カタログ番号2060-01)を50μL/ウェルで用いて、4℃で一晩コーティングした。そのプレートをPBS-Tで1回リンスし、100μL/ウェルの5%M-Pで25℃で1時間ブロックし、PBS-Tで1回リンスし、そして、2μg/mLの該二重特異性結合分子を加えて25℃で1時間インキュベートした。そのプレートをPBS-Tで3回洗浄した。ビオチン化ROR1を5%M-Pで連続3倍希釈し、25℃で1時間インキュベートした(50μL/ウェル)。そのプレートをPBS-Tで3回洗浄した。b-ROR1の結合を検出するために、1%BSA-PBSで1:5000に希釈した50μL/ウェルのニュートラアビジン-HRP(Pierce カタログ番号31030)を25℃で1時間添加した。そのプレートをPBS-Tで3回洗浄し、次いで、50μL/ウェルの1-Step Ultra TMB-ELISA(Thermo Scientific カタログ番号34028)で発色させた。2N HSOを添加して反応を停止させ、Spectramaxプレートリーダーを使用してA450を測定した。
【0163】
結果
それぞれがH-CDR2中の単一のアミノ酸によって親抗体とは異なっている3つの抗ROR1 Fab変異体について、ELISAベースのスクリーニング及び生細胞結合を使用して、ヒトROR1への結合について特徴付けを行った。該変異体のうちの2つ、T32A及びT32Eは、親Fabよりも高い親和性を示し(図2、パネルA、白丸及び白四角対黒丸)、残りの変異体、W110Yは、より低い親和性を示した(図2、パネルA、三角)。これらの変異体の相対的な親和性について、生きたROR1トランスフェクトMEC細胞を使用してさらに特徴付けを行った。ELISAベースのスクリーニングと同様に、変異体T32A及びT32Eはより高い親和性を示したが(図2、パネルB、白丸及び白四角対黒丸)、W110Yは結合が低減した(図2、パネルB、三角)。対照の空のベクターをトランスフェクトしたMEC細胞を使用した場合は変異体のいずれの結合も検出されなかった(図示せず)。このことは、ROR1に対する変異体の特異性を示している。該変異体の相対的な結合強度は、アッセイフォーマットに関係なく、極めて類似していた。例えば、T32A変異体は親抗体よりも4~4.7倍高い親和性であったが、W110Y変異体は親抗体よりも5.9~6.8倍低い親和性であった。これらの非常に密接に関連する変異体は、1~2のアミノ酸によって互いに異なっており、ROR1に対して27倍の範囲の結合活性を示し、並びに、ROR1及びCD3に対してさまざまな親和性を持つ抗ROR1/抗CD3二重特異性結合分子の設計を可能にする。
【0164】
次に、それぞれが重鎖T32A突然変異と組み合わせて別個の軽鎖CDR突然変異を含んでいる2つの追加の抗ROR1 Fab変異体について、前述のELISAベースのスクリーニングの改変版を使用してヒトROR1への結合について特徴付けを行った。具体的には、固定化されたROR1へのFabの結合に続く1回目の洗浄段階を、該プレートを大量のPBS-Tの中に入れて1時間の解離段階を延長することによって変更した。これにより、解離速度の遅い変異体を互いに区別できるようになった。該改変されたELISAを使用して、2つの変異体、T32A(HC)+A25P(LC)及びT32A(HC)+T69R(LC)は、T32Aよりも強い結合を示した(図3)。先に記載したように、T32A変異体は親(WT)と比較して結合において5倍を超える改善を示したが、T32A(HC)+A25P(LC)及びT32A(HC)+T69R(LC)は親Fabと比較してさらなる改善を示した(それぞれ、>8倍及び>13倍)。これらの極めて密接に関連している変異体は、1~3アミノ酸のアミノ酸によって互いに異なっており、ROR1に対して80~90倍の範囲の結合活性を示し、並びに、ROR1及びCD3に対してさまざまな親和性を持つ抗ROR1/抗CD3二重特異性結合分子の設計を可能にする。
【0165】
該二重特異性結合分子を、ROR1結合に関して、以下の3種のアッセイを使用して試験した:(1)生細胞への結合及びフローサイトメトリーによる検出、(2)ELISAによって測定される固定化ROR1への結合、及び、(3)ELISAによって測定される可溶性のビオチン化ROR1への結合。採用したスクリーニングフォーマットに関係なく、全ての構築物は、ROR1に選択的に結合した(図4-7)。
【0166】
ROR1に対する選択性は、ROR1トランスフェクトMEC細胞及び対照MEC細胞への結合を測定することによって実証された。ROR1トランスフェクト細胞への該二重特異性結合分子の結合は濃度依存性であり(図4、パネルA)、いずれの濃度でも対照細胞への結合は観察されなかった(図4、パネルB)。両方の細胞株に対する対照(「対照」)として、非特異的ヒトIgGを含ませた。
【0167】
ROR1トランスフェクトMEC細胞への該二重特異性構築物の結合強度における変動が観察された(図4、パネルA)。例えば、ROR1二価構築物は、ROR1一価構築物よりも強く結合した(図4、パネルA、構築物1-3及び7-9を構築物13-15と比較する)。結合強度におけるこの相違は、低い濃度(<100ng/mL)で最も明白であった。
【0168】
該二重特異性構築物の結合に対するROR1発現レベルの影響について、JeKo-1細胞を使用するフローサイトメトリーによって評価した。JeKo-1細胞は、ROR1トランスフェクトMEC細胞(約56,000コピー/細胞)よりも低いレベルのROR1(約13,000コピー/細胞)を発現する。全ての構築物は、JeKo-1細胞に結合した(図5)。ROR1トランスフェクトMEC細胞を使用して観察された相対的な結合の傾向は、JeKo-1細胞を用いて観察された。具体的には、一価のROR1構築物は、一般に、二価の構築物よりも弱く結合した(図5、パネルA、構築物14及び15を他の構築物と比較する;図5、パネルC、構築物15-17を他の構築物と比較する)。 次に、ROR1への二重特異性結合分子の結合について、ROR1の組換え発現された細胞外ドメインを使用するELISAによって特徴付けを行った。ROR1をマイクロタイタープレート上に固定化し、該二重特異性結合分子を滴定し、抗ヒトカッパ-HRP試薬を使用して結合を定量した。細胞結合データと一致して、全ての構築物は、濃度依存的にROR1に結合した(図6)。さらに、一価のROR1構築物13-15は、2価の構築物のうちの2つを除く全てと比較して、より低い緊密で結合した。該二価の二重特異性結合分子の結合活性は、親の抗ROR1 IgG(対照)と同程度であり、このことは、Ig分子にscFvドメインを付加してもROR1結合が阻害されなかったことを示している。このフォーマットで試験された該二重特異性構築物の相対的な親和性は、表4において要約されている。
【0169】
抗原が固定化されている細胞アッセイ及びELISAにおいて一価構築物と対比して二価構築物で観察されたより強い結合は、結合活性効果と一致している。これが事実であるかどうかを確認するために、ヤギ抗ヒトカッパ抗体でコーティングされたマイクロタイタープレート上に該二重特異性結合分子を固定化し、ビオチン化ROR1を滴定することによって、可溶性単量体ROR1への結合を評価した。全ての二重特異性結合分子は、このフォーマットで活性であり(図7)、殆どの場合、一価と二価の構築物の間に顕著な相違はなかった。これらの結果は、使用するアッセイフォーマットに応じて、結合活性効果と一致している。抗CD3scFvが重鎖又は軽鎖のアミノ末端に修正された両方の変異体(それぞれ、構築物19及び20)で弱い結合が観察され、このことは、ROR1パラトープに近接したCD3パラトープの配置がROR1結合をある程度阻害し得ることを示唆している。
【0170】
より高い親和性のROR1結合ドメインを含んでいる二重特異性結合分子構築物(構築物16-18)は、野生型(より低い親和性)ROR1結合ドメイン(構築物9、19、20)を利用した対応する構築物よりも高い親和性でビオチン化ROR1に結合した。二重特異性構築物18(二価、より高い親和性ROR1)は、対応する構築物9(二価、より低い親和性ROR1)よりも強く結合した。同様に、二重特異性構築物16及び17(一価、より高い親和性ROR1)は、構築物15(一価、より低い親和性ROR1)よりも強く結合した。これらのデータは、表4において要約されている。さらに、親和性のより高いROR1結合ドメインを有する二重特異性結合分子は、親IgG(対照)よりも高い親和性で可溶性ROR1に結合した。
【表4】
【0171】
実施例3: 抗ROR1/抗CD3二重特異性結合分子によるROR1インターナリゼーション
ROR1及びROR1を認識する二重特異性結合分子のインターナリゼーション及びリサイクルは、インビボでの治療効果に影響を及ぼし得る。例えば、T細胞が関与する前のROR1の結合、インターナリゼーション及び分解は、細胞毒性を低下させると予期され得る。5つの異なる構成を有する抗ROR1/抗CD3二重特異性結合分子について、結合及びインターナリゼーションに関して特徴付けを行った。
【0172】
さまざまな二重特異性構築物のインターナリゼーションの特徴付けを行うのと同時に、ROR1の細胞表面発現を、2つの異なるROR1抗体を使用して調べた。一方の抗体(UC961)は、該二重特異性結合分子と同じROR1エピトープを認識し、もう一方の抗体(4A5)は、重複しないROR1エピトープを認識する。
【0173】
さらに、二重特異性結合分子の細胞表面結合を、37℃で24時間インキュベートした後で評価して、長時間の曝露がさまざまな結合分子の細胞表面レベルに影響を及ぼしたかどうかを確認した。
【0174】
ROR1二重特異性結合分子のインターナリゼーション及びROR1のリサイクル/再発現について、ROR1トランスフェクトMEC細胞及びフローサイトメトリーを使用して特徴付けを行った。
【0175】
材料及び方法
二重特異性結合分子のインターナリゼーションの測定
フローサイトメトリーを使用して、0、30、60、120、180及び240分でインターナリゼーションされていない細胞表面抗体を定量化するパルス・チェイス法を使用して、二重特異性結合分子のインターナリゼーションを測定した。ROR1トランスフェクトMEC細胞を冷PBSで洗浄し、冷インキュベーション緩衝液(2%FBSを含んでいるRPMI - Fisher/Gibco カタログ番号16140071)の中に1mLあたり1×10で再懸濁させた。次いで、3.5×10個の細胞を、試験した各二重特異性構築物に対して、マイクロ遠心チューブに分注した。等量(350μL)の二重特異性結合分子を該細胞と合して、最終濃度を30μg/mLとした。先の結合研究に基づいて、30μg/mLは、二価ROR1構築物(構築物1-12)のより高い親和性/結合活性に対して飽和していると予期された。細胞と抗体を氷上で20分間インキュベートし、1mLの冷FACS緩衝液(2%FBSを含んでいるPBS)で5回洗浄し、そして、1.4μLのインキュベーション緩衝液に再懸濁させた。続いて、該サンプルを37℃で0、30、60、120、180及び240分間インキュベートし、その後、200μLの各サンプルを氷に移してインターナリゼーションを停止させた。
【0176】
各構築物及び各時点のサンプルを半分に分割し(各100μL)、スピンダウンさせた。該サンプルの半分を100μLの二次抗体(ヤギ抗ヒトIgG-PE、Fc-γ特異的 - eBiosciences カタログ番号12-4998)に再懸濁させて、結合した二重特異性構築物を検出した。残りの半分は、UC961-PEと4A5-AlexaFluor647の100μLカクテルで染色した。UC961は、該二重特異性構築物と同じエピトープに結合し、それによって、該二重特異性結合分子によって結合されていない遊離ROR1を検出する。4A5は、異なるエピトープでROR1に結合し、従って、結合に関して該二重特異性結合分子と競合しない。従って、4A5は、全細胞表面ROR1(結合及び遊離)を検出する。両方の染色セットは、暗所の氷上で20分間インキュベーション緩衝液に留めた。細胞をFACS緩衝液で3回洗浄し、100μLの固定緩衝液(PBS中の2%パラホルムアルデヒド)に25℃で10分間再懸濁させた。次いで、固定された細胞をFACS緩衝液で1回洗浄し、分析した。
【0177】
蛍光強度の中央値(MFI)を各染色について定量化した。いくつかの対照条件を使用した。バックグラウンド蛍光の除去に使用するために、染色されていない対照細胞について、PE及びA1647MFIを測定した。該二重特異性構築物に曝露されていない細胞は、二次抗体の非特異的染色を明らかにするために二次抗体PEで染色し(二次陰性対照)、及び、最大UC961結合対照を得るためにUC961-PEで染色した。表面二重特異性結合分子、占有されていない細胞表面ROR1エピトープ及び総ROR1の定量化は、以下のようにして実施した:
【数1】
【0178】
結果
本明細書中に記載されている二重特異性結合分子を構築するために使用した抗ROR1抗体を用いた先の実験によって、以下のことが実証された:(1)該抗体が急速にインターナリゼーションされた;及び、(2)ROR1が結合された抗体なしで細胞表面に再出現した。この細胞表面の発現は、エンドソームコンパートメントからのROR1のリサイクルの結果であるか、又は、デノボ合成若しくは細胞内ストアの輸送によるROR1の急速なアップレギュレーションを反映している(例えば、米国特許公開2018/0369406を参照されたい)。異なる二重特異性構築物は、可変のインターナリゼーション及びROR1リサイクル/再発現パターンを示した(図8及び図9)。
【0179】
該重鎖のカルボキシ末端への抗CD3scFvの配置(構成A、構築物1)は、急速なインターナリゼーションをもたらした(図8、パネルA、円)。時間ゼロでは、遊離エピトープが検出されなかったため、利用可能なROR1二重特異性エピトープは飽和していた。総ROR1表面レベルが減少し(図8、パネルA、四角)及び該二重特異性結合分子によって認識される遊離ROR1エピトープが検出されなかった(図8、パネルA、三角)ので、ROR1は、当該実験時間経過中に有意なレベルで細胞表面にリサイクルされず又は再発現されなかった。これらのデータは、該二重特異性結合分子-ROR1複合体のインターナリゼーション及びリソソームへの輸送と一致している。極めて類似したインターナリゼーション及び輸送が、二重特異性結合分子構築物2及び3を用いて観察された(示されていない)。
【0180】
該軽鎖のカルボキシ末端への抗CD3scFvの配置(構成B、構築物7)は、インターナリゼーションを有意に阻害した(図8、パネルB; 図8、パネルAにおける構築物3に対してインターナリゼーションの程度を比較する)。時間0で、該構築物はそのエピトープを完全に飽和させた。総細胞表面ROR1レベルは、比較的一定に見えた(図8、パネルB、四角)。さらに、該二重特異性によって認識される遊離ROR1エピトープは、時間依存的に増加し(図8、パネルB、三角)、細胞表面からの該二重特異性結合分子の解離又はROR1のリサイクル/再発現のいずれかと一致する。極めて類似したインターナリゼーション及び輸送が、二重特異性結合分子構築物8及び9を用いて観察された(示されていない)。
【0181】
一価の抗ROR1(構成C、構築物13)も、効率的にインターナリゼーションされなかった(図8、パネルC)。先の研究は、二価構築物の結合が30μg/mLで飽和していることを示した(図4、パネルA、及び、図5)。しかしながら、30μg/mLでの一価抗ROR1二重特異性結合分子の結合は、この実験では、細胞表面ROR1を飽和させるようには見えなかった。時間0では、構築物13の結合程度は、時間0での構築物1及び7の対応する飽和MFIの結合程度の約80%にすぎなかった(図8、パネルC、時間0での円を四角と比較する)。さらに、構築物13によって認識される遊離ROR1エピトープも、時間0で検出された(図8、パネルC、三角)。要約すると、一価の二重特異性結合分子構築物13、全細胞表面ROR1及び占有されていない二重特異性エピトープのレベルは、全て、実験期間中にわたって比較的一定のままであった。まとめると、これらのデータは、二重特異性結合分子13が殆どインターナリゼーションしないことと一致している。極めて類似したインターナリゼーション及び輸送が、構築物15を用いて観察された(示されていない)。
【0182】
1つの重鎖のアミノ末端への抗CD3scFvの配置(構成D、構築物19)は、部分的なインターナリゼーションをもたらした(図9、パネルA、円)。総ROR1表面レベルが増加し(図9、パネルA、四角)及び該二重特異性結合分子によって認識されるROR1エピトープの時間依存性検出が増加した(図9、パネルA、三角形)ので、ROR1は、当該実験時間経過中に有意なレベルで細胞表面にリサイクルされたか又は再発現された。1つの重鎖のアミノ末端への抗CD3scFv部分の配置は、構成B(該軽鎖のカルボキシ末端に融合した抗CD3scFv)を有する二重特異性結合分子と極めて類似したインターナリゼーション及び輸送をもたらした。
【0183】
該軽鎖のアミノ末端への抗CD3scFvの配置(構成E、構築物20)は、部分的なインターナリゼーションをもたらした(図9、パネルB、円)。総ROR1表面レベルが増加し(図9、パネルB、四角)及び該二重特異性結合分子によって認識されるROR1エピトープの時間依存性検出が増加した(図9、パネルB、三角)ので、ROR1は、当該実験時間経過中に有意なレベルで細胞表面にリサイクルされたか又は再発現された。該軽鎖のアミノ末端への抗CD3scFv部分の配置は、構成B(該軽鎖のカルボキシ末端に融合した抗CD3scFv)を有する二重特異性結合分子と極めて類似したインターナリゼーション及び輸送をもたらした。
【0184】
細胞表面に結合した二重特異性結合分子のレベルに対するROR1の輸送及び発現の長期的影響を確認するために、細胞を該二重特異性結合分子と一緒に24時間インキュベートし、洗浄し、そして、細胞表面二重特異性結合分子を測定した。24時間のインキュベーション後の表面二重特異性結合分子の定量によって、重鎖のカルボキシ末端に融合した抗CD3scFvを有する二重特異性結合分子(図10、構築物1、円)が、軽鎖のカルボキシ末端に融合した抗CD3scFvを有する二重特異性結合分子(図10、構築物7、四角)又はFcのアミノ末端に融合した抗CD3scFvを有する二重特異性結合分子(図10、構築物13、三角形)よりも低いレベルで存在していることが明らかになった。重鎖のカルボキシ末端に抗CD3scFvが融合している構築物の細胞表面レベルの低下(他の二重特異性構成では低下していない)は、表面ROR1のダウンレギュレーションを示唆しており、そして、該インターナリゼーション実験(図8)で行われた観察と一致している。
【0185】
実施例4: CD3結合及び抗ROR1/抗CD3二重特異性結合分子のインターナリゼーション
T細胞の表面上のTCR-CD3複合体の数は、新しいタンパク質の合成及び分泌、インターナリゼーション、リサイクル及び分解の組み合わせを反映している。抗CD3抗体OKT3による治療は、インターナリゼーションによって表面からCD3を選択的に除去することが示されている。
【0186】
3つの抗CD3配列を、抗ROR1/抗CD3二重特異性結合分子におけるscFv構築物として使用した。該配列のうちの2つは、OKT3の異なるヒト化バージョン(Ab8及びAb9)であり、3番目の配列は、異なる抗CD3抗体SP34(Ab10)のサードパーティヒト化バージョンである。上記で記載したように、OKT3とSP34は異なるエピトープに結合し、抗CD3抗体は、それらのエピトープの異なる特性に基づいて分類されている(Tunnacliffe et al., International Immunology 1:546-550 (1989))。このシステムを使用した場合、SP34はグループIとして分類され、OKT3はグループIIとして分類される。SP34に基づく配列(しかしながら、OKT3に基づく配列ではない)は、カニクイザルCD3と交差反応性があると予期される。
【0187】
さまざまなCD3パラトープについて、5つの異なる構成(図1、A-E)で評価し、そして、一価の抗CD3二重特異性構築物(図1、C及びD)の結合を特定の二価の抗CD3構築物(図1、A、B及びE)と比較した。3つ全てのscFv配列のジスルフィド安定化バージョンについても、さまざまな二重特異性構成で評価した。
【0188】
ROR1関与がない場合のさまざまな二重特異性構築物のインターナリゼーションについて評価した。二重特異性結合分子の結合とインターナリゼーションは、ジャーカット細胞とフローサイトメトリーを使用して特徴付けを行った。
【0189】
材料及び方法
CD3結合アッセイ
CD3結合を定量化するために、各条件に対して2.5E5ジャーカット細胞を使用した。2%FBSを含んでいる50μLのPBSに該細胞を入れることによってその細胞を懸濁させて5E6/mLとすることによって、該細胞の2×ストックを作製した。次に、その細胞を被験二重特異性結合分子の等体積の2×ストックで希釈した。該細胞と抗体を氷上で20分間共インキュベートした。次いで、その細胞を300μLのFACS緩衝液で3回洗浄し、100μLのヤギ抗ヒトFc-PEコンジュゲート抗体(Invitrogen カタログ番号12499882)に1:500希釈で再懸濁させ、氷上で減光しながら20分間インキュベートした。次いで、該細胞を300μLのFACS緩衝液で3回洗浄し、2%パラホルムアルデヒドで25℃で10分間固定した。その細胞を300μLのFACS緩衝液で2回洗浄し、Miltenyi MACSQuantアナライザーで分析した。
【0190】
CD3インターナリゼーションアッセイ
二重特異性結合分子のインターナリゼーションを定量化するために、2.5E5ジャーカット細胞を1μg/mLの該二重特異性結合分子と氷上で20分間共インキュベートした。次いで、該細胞を300μLの氷冷FACS緩衝液で3回洗浄し、培地に再懸濁させ、37℃でインキュベートした。さまざまな時点で、細胞を取り出し、300μLの氷冷FACS緩衝液で洗浄し、上記で記載したように処理した。
【0191】
結果
5つの異なる二重特異性構成(図1)について評価した。CD3結合は、ジャーカット細胞への結合によって示されるように、試験した全ての二重特異性構成でOKT3に基づく配列とSP34に基づく配列の両方で保持された。該構築物は、さまざまな程度に結合した(図11及び図12)。
【0192】
OKT3配列及びSP34配列のいずれかを用いて試験された全ての二重特異性構成(構築物1-15)に関して、OKT3に基づく配列はSP34に基づく配列よりも高い親和性で結合した。例えば、構築物1及び2は構築物3よりも強く結合し(図11、パネルA)、構築物7及び8は構築物9よりも強く結合し(図11、パネルB)、構築物13及び14は構築物15よりも強く結合した(図11、パネルC)。非特異的ヒトIgGを対照(「対照」)として含めた。
【0193】
抗CD3scFvのジスルフィド安定化変異体を作製するためのシステイン残基の導入は、結合に悪影響を及ぼさなかった。ジスルフィド安定化変異体の結合は、対応する非ジスルフィド安定化配列と区別がつかなかった(図11、パネルA、それぞれ構築物1-3を構築物4-6と比較する;及び、図11、パネルB、構築物7-9をそれぞれ構築物10-12と比較する)。
【0194】
該二重特異性結合分子の配置は、抗CD3scFvの結合に大きな影響を及ぼした(図12)。ジャーカット細胞への最も強い結合は、抗CD3scFv部分が軽鎖(図12、パネルB、構築物20)又は重鎖(図12、パネルB、構築物19)のアミノ末端に配置されたときに観察された。逆に、抗CD3scFvが軽鎖のカルボキシ末端に配置された場合(図12、パネルB、構築物9及び18)、より弱い結合が観察された。1つの重鎖のアミノ末端に配置された単一の抗CD3scFv部分(一価CD3結合;図12、パネルB、構築物19)は、重鎖(二価CD3結合;図12、パネルB、構築物3)又は軽鎖(二価CD3結合;図12、パネルB、構築物9及び18)のカルボキシ末端における2つの抗CD3scFv部分の配置と同様に又はそれよりも良好に結合した。非特異的ヒトIgGを1つの実験(図12、パネルA、「対照」)に対照として含ませ、一方、無関係のROR1×CD3二重特異性構築物(米国特許公開2017/0233472;配列番号111-113)を2番目の実験(図12、パネルB、「対照1」)に対照として含ませた。
【0195】
同様の傾向が、OKT3配列を使用するこれらの二重特異性構成のサブセットを用いて観察された。具体的には、Fcのアミノ末端に融合した一価の抗CD3scFvが最も強く結合し(図12、パネルA、構築物13)、次が、scFvが重鎖のカルボキシ末端に融合した構築物(図12、パネルA、構築物1)であり、次が、scFvが軽鎖のカルボキシ末端に融合した構築物(図12、パネルA、構築物7)であった。
【0196】
該二重特異性結合分子の構成が、CD3パラトープの結合価よりも、CD3結合強度のより重要な決定因子であるように見えることは注目すべきである。この驚くべき効果は、重鎖(図12、パネルB、構築物19)又はFc(図12、パネルA、構築物13、並びに、図12、パネルB、構築物15及び16)のアミノ末端に融合した一価の抗CD3構築物が、重鎖及び軽鎖のカルボキシ末端に融合した二価の抗CD3構築物(図12、パネルB、構築物3、9及び18)と同等又はそれよりも良好に結合したことが観察されたことによって強調される。
【0197】
まとめると、これらのデータは、CD3結合の強度を調節するための3つの異なるアプローチが存在していることを示している。第1に、SP34に基づく配列とOKT3に基づく配列は、同じ二重特異性フォーマットで互いに比較した場合、異なる結合強度を示す。第2に、SP34に基づく配列とOKT3に基づく配列の両方の結合強度は、該二重特異性結合分子の構成によって影響を受ける。最後に、ヘテロマーFc構築物を使用するとによって、一価又は二価の抗CD3二重特異性結合分子が可能になる。
【0198】
抗CD3抗体によるT細胞活性化は、CD3のインターナリゼーションの増加をもたらす可能性がある。該CD3は、インターナリゼーションされると、リサイクル経路に入り、そして、細胞表面で再発現され得るか、又は、リソソームに分類されて分解され得る。腫瘍抗原(ROR1)の関与がない場合に二重特異性結合分子によって誘導されるCD3のインターナリゼーション及び分解は、インビボでの該二重特異性結合分子の細胞毒性活性を阻害し得る。結果として、該二重特異性結合分子は、ROR1の非存在下でのCD3への結合後のインターナリゼーションについて特徴付けられた(図13)。
【0199】
二重特異性結合分子の結合及び4℃での洗浄に続いて、ジャーカット細胞を37℃でインキュベートした。次いで、細胞表面上の二重特異性結合分子の量をさまざまな時点で定量化した。該二重特異性結合分子は最初は異なる強度で結合したため(図11及び図12)、インターナリゼーションは、時間0で観察された結合の割合(%)として報告された。この方法で定量化された表面二重特異性結合分子のレベルは、インターナリゼーションと解離の組み合わせを反映している。それにもかかわらず、以下に概説されている理由により、表面レベルに影響を与える主な要因は、該二重特異性結合分子の解離ではなく、インターナリゼーションであるように思われた。
【0200】
表面二重特異性結合分子のレベルは、試験した全ての二重特異性構築物について時間依存的に減少したが、損失の程度は変化した。試験した9の構築物のうち8について、最初の30分以内に急速なインターナリゼーション(>50%)が観察され、その後、次の3.5時間にわたって、より遅いが継続的なインターナリゼーションが観察された。軽鎖のカルボキシ末端に融合したSP34に基づく配列からなる構築物9は、実験期間中、インターナリゼーションが最も少なく、二重特異性結合分子の約50%が4時間後でも細胞表面で検出可能であった。さらに、重鎖のカルボキシ末端に融合した抗CD3scFv部分からなる構築物1及び3は、中間のインターナリゼーションを示し、4時間のインキュベーション後も細胞表面で約20%が検出可能であった。
【0201】
先に論じたように、経時的に観察される細胞表面二重特異性結合分子の染色の低減は、インターナリゼーションとは対照的に、当該表面からの二重特異性結合分子の解離を反映している可能性がある。しかしながら、経時的にシグナルの最小の損失を示した二重特異性構築物のうちの2つ、構築物3及び9は、特徴付けられた最も弱い結合構築物の中にあり(それぞれ、図11、パネルA及びパネルB)、一方、時間0で極めて強い結合を示し構築物13(図11、パネルC)の結合は、4時間での染色は弱かった(初期シグナルの8%)。まとめると、これらのデータは、SP34に基づく抗CD3scFv部分からなる特定の構成が、OKT3に基づくscFv部分からなる構成よりもインターナリゼーションする可能性が低いことを示唆している。
【0202】
実施例5: インビトロでの抗ROR1/抗CD3二重特異性結合分子のリダイレクトされたT細胞の毒性
20の抗ROR1/抗CD3二重特異性結合分子を試験して、T細胞介在細胞毒性アッセイにおける抗体効力に対する複数のパラメーターの影響について評価した。調べた変数には、抗CD3のエピトープ及び結合価、抗ROR1の親和性及び結合価並びにCD3とROR1の結合成分のさまざまな構成が含まれていた。
【0203】
当該構築物の死滅活性を、さまざまなレベルのROR1発現を有する血液学的腫瘍癌細胞及び固形腫瘍癌細胞のパネルに対して試験した。該二重特異性結合分子の死滅活性を特徴付けることに加えて、CD69をマーカーとして使用してT細胞の活性化を評価した。活性化T細胞によるサイトカイン放出についても、特徴付けを行った。
【0204】
材料及び方法
ヒトPBMCを用いた細胞毒性アッセイ
細胞毒性アッセイのために、標的細胞を、RPMI(フェノールレッドなし)、ペニシリン-ストレプトマイシンを含有する10%FBS中の4E5細胞/mLに再懸濁させた。続いて、2E4細胞/ウェル(50μL/ウェル)を96ウェルプレートに移し、37℃のインキュベーターの中に1時間入れた。懸濁細胞には丸底プレートを使用し、接着細胞株には平底プレートを使用した。ヒトPBMCは、以下に記載されているようにして単離した。PBMCを2E6細胞/mLに再懸濁させ、次いで、2E5細胞/ウェル(100μL/ウェル)を標的細胞を含んでいるウェルに加えた。別途示されていない限り、使用した腫瘍細胞(標的)に対するPBMC(エフェクター細胞)の比率は、10:1(E:T比)であった。標的細胞とPBMCを混合させ、37℃のインキュベーターの中に1時間入れた。該二重特異性結合分子を培地で適切な濃度に希釈し、50μLを標的細胞とPBMCの混合物に加え、37℃のインキュベーターの中に24時間入れた。各実験に以下の対照を含ませた:(1)培地のみ(Media)、(2)溶解緩衝液用に調整された培地(Adj)、(3)PBMCのみ(PBMC)、(4)LDHの自然放出のみを目的とする標的細胞(SR)、(5)LDHの最大放出のみを目的とする標的細胞(MR)、及び、(6)二重特異性結合分子を含まない標的細胞及びPBMC(AICC)。
【0205】
PBMCの分離
SepMate-50(StemCell Technologies)円錐管の下部チャンバーに、15mLのFicollを入れた。血液は、匿名化された正常なドナーから得てヘパリン採血管の中に入れ、25℃で滅菌PBSと1:1の比率で混合させた。その希釈された血液をSepMate-50管の上部チャンバーに層状に入れ、ブレーキを使用して25℃で15分間1200×gで遠心分離した。PBMC(上部チャンバーの内容物)を取得するために、該SepMate-50管をすばやく逆さにして新たな50mL円錐管に入れた。次いで、該細胞を、500×gで3分間遠心分離することにより、PBS中の冷5%FBSで3回洗浄した。最後に、該細胞を10mLの培地(フェノールレッドを含まないRPMI、ペニシリン-ストレプトマイシンを含んでいる10%FBS)に再懸濁させ、細胞数を数えるためにアリコートを取り出した。次いで、細胞を細胞毒性アッセイのプレーティングに使用した。
【0206】
LDH放出の定量化
24時間のインキュベーション後のLDH放出を定量化するために、20μLの10×溶解緩衝液をAdjウェル及びMRウェルに加え、各ウェルの内容物をV底96ウェルプレートに移し、500×gで5分間スピンダウンした。次いで、後続のアッセイに使用するために、170μLの上清を別の96ウェルプレートに移した。新たな透明底96ウェルプレート内で、50μLの上清を50μLのCytoTox96 Non-Radioactive Cytotoxicity Assay(Promega カタログ番号G1780)と合し、そのプレートを暗所で25℃で30分間インキュベートした。最後に、50μLの停止溶液を添加した後、490nmで吸光度を読み取った。%LDH放出は、製造元の指示に従って計算した。
【0207】
T細胞活性化の評価
CD69のアップレギュレーションを使用して、T細胞の初期の活性化を特徴付けた。CD69の定量は、フローサイトメトリーを使用して実行した。簡単に説明すれば、ペレット化細胞を、100μLのPBS中2%PFAに再懸濁させ、25℃で10分間インキュベートすることによって固定した。その細胞を300μLのPBSで2回洗浄し、150μLのPBSに再懸濁させ、使用するまで暗所で4℃で保存した。次いで、当該細胞を遠心分離によって収集し、100μLの染色カクテルの中に再懸濁させ、暗所で4℃で20分間インキュベートした。その染色カクテルは、PBS中で1:75に希釈されたPacific Blue抗ヒトCD8クローンSK1(BioLegend カタログ番号344717)、PBS中で1:500に希釈されたPE/Cy7抗ヒトCD69クローンFN50(BioLegend カタログ番号310911)及びPBS中で1:500に希釈されたAlexaFluor647マウス抗ヒトROR1クローン4A5で構成されていた。次いで、その細胞を300μLの冷PBSで3回洗浄し、150μLのPBS中2%FBSの中に再懸濁させた。サンプルは、Mitenyi MACSQuantアナライザーで分析した。
【0208】
リダイレクトT細胞アッセイにおけるPBMCからのサイトカイン放出の定量化
サイトカイン放出を測定するために、MSD(登録商標)V-PLEX Cytokine Panel 1 Human Kitを使用して、IFN-γ、IL-2、IL-4、IL-6、IL-10及びTNF-αを同時に測定した。該アッセイは、製造業者の指示に従って実施した。簡単に説明すれば、V-plex Cytokine Panel 1 プレートを150μL/ウェルの洗浄緩衝液(0.05%Tween-20を含んでいるPBS)で3回洗浄した。次に、ウェルごとに、50μLの希釈されたサンプル及び標準物質を添加した。そのプレートを粘着プレートシールで密封し、振盪機上で、4℃、500rpmで一晩インキュベートした。その翌日、該プレートを150μL/ウェルの洗浄緩衝液で3回洗浄し、25μLの検出抗体溶液と一緒に、振盪基上で、室温で2時間インキュベートした。そのプレートを洗浄緩衝液でさらに3回洗浄した。最後に、150uLのRead Buffer Tを添加した後、MSD機器を使用して分析した。
【0209】
結果
ROR1トランスフェクトMEC細胞の抗原依存性の死滅が、試験された二重特異性構築物の大部分で観察されたが、相対的な効力はさまざまであった。代表的な滴定プロフィールが、図14、パネルA(構成A、B及びCを有する構築物)及び図15、パネルA(構成A、B、C、D及びEを有する構築物)に示されている。構築物2、8及び14の滴定プロフィール(示されていない)は、それぞれ、構築物1、7及び13の滴定プロフィールと類似していた。
【0210】
予想通り、異なるPBMCドナーが使用された場合、該二重特異性結合分子の絶対効力はある程度変動した。それにもかかわらず、異なる構築物の相対的な効力は、有意に変動しなかった。例えば、二重特異性結合分子構築物9は、一貫して最も活性の高いものの1つであり、ROR1をトランスフェクトされたMEC標的細胞を用いて、1人のドナーで、<0.1ng/mLのEC50を示し(図14、パネルA)、及び、2番目のドナーで、1.1ng/mLのEC50を示した(図15、パネルA)。
【0211】
構築物1-3、7-9及び13-15は、全て、1μg/mLで選択的死滅を示した(構築物1-3及び7-9については、5nM、構築物13-15については、8nM)(図16、黒い棒グラフ)。死滅の抗原依存性は、標的細胞を含まないサンプル(図16、「PBMC」)若しくは抗体を含まないサンプル(図16、「biAbなし」)におけるLDH放出の欠如によって、又は、トランスフェクトされていないMEC細胞を標的細胞として使用した場合(図16、灰色の棒グラフ)に、実証された。それにひきかえ、対照の抗CD19/抗CD3二重特異性結合分子(Creative Biolabs カタログ番号BSAB-L002)は、ROR1でトランスフェクトされたMEC細胞及びトランスフェクトされていないMEC細胞の両方の細胞毒性を誘導した(図16、「CD19×CD3」)。二重特異性構築物16-20は、この実験では試験しなかった。
【0212】
培養物中のT細胞の活性化について、T細胞活性化の初期マーカーであるCD69のアップレギュレーションを調べることによって評価した。細胞毒性データと一致して、活性化は、1μg/mLで、番号17及び番号19を除く全ての構築物で観察された(図14、パネルB;図15、パネルB)。より強力な二重特異性結合分子については、より低い濃度で活性化が観察された(図14、パネルB、7対3を比較する;図15、パネルB、18対3を比較する)。
【0213】
CD69発現の増加によって評価されるT細胞活性化は、一般に、該二重特異性結合分子の細胞毒性活性を反映していた。しかしながら、CD69活性化が細胞毒性と直接相関しない例が存在した(図19、7と9を比較する;図20、7対8及び9を比較する)。
【0214】
T細胞の活性化は、抗原依存性であった(図17)。R0R1/CD19MEC細胞と共培養されたT細胞は、対照CD19×CD3二重特異性結合分子の存在下では活性化されたが(図17、パネルA、左)、ROR1二重特異性結合分子の存在下では活性化されなかった(図17、パネルA、右)。しかしながら、T細胞をROR1トランスフェクトMEC細胞(ROR1/CD19)と共培養した場合、そのT細胞は、ROR1二重特異性結合分子の存在下で活性化された(図17、パネルB、右)。これらのデータは、この研究で特徴付けられた二重特異性構築物によるT細胞の活性化にROR1が必要であることを示している。
【0215】
次に、該二重特異性結合分子による異なるヒト標的細胞のROR1依存性死滅について調べた。マントル細胞リンパ腫細胞株であるJeKo-1細胞のROR1依存性死滅は、効力は異なるものの、構成A、B、C及びEの全ての二重特異性結合分子で観察された。代表的な滴定プロフィールが、図18、パネルA(構成物1-15)及び図19、パネルA(構築物16-20)に示されている。ROR1トランスフェクトMEC細胞を用いてなされた観察と一致して、T細胞の活性化は、一般に、該二重特異性結合分子の相対的な細胞毒性を反映していた(図18、パネルB;図19、パネルB)。
【0216】
第2のマントル細胞リンパ腫細胞株であるMino細胞についても、同様に、標的細胞株として試験した。構成Bを有する3つの非ジスルフィド安定化構築物は、全て、Mino細胞に対して強力な活性を示し(図20、パネルA)、SP34に基づくCD3配列(構築物9)が最も強力であった。興味深いことに、構築物9は、OKT3に基づく構築物よりも弱くT細胞を活性化した(CD69のアップレギュレーションによる確認)(図20、パネルB)。
【0217】
同様に、乳房腫瘍細胞株MDA-MB-468のROR1依存性死滅が、二重特異性構成A、B、C及びEを用いてさまざまな効力で観察された。代表的な滴定プロフィールが、図21、パネルA(構成物1-15)及び図22、パネルA(構築物16-20)に示されている。ROR1トランスフェクトMEC細胞及びJeKo-1細胞を用いてなされた観察と一致して、T細胞の活性化は、一般に、該二重特異性結合分子の相対的な細胞毒性を反映していた(図21、パネルB;図22、パネルB)。
【0218】
JeKo-1細胞、ROR1トランスフェクトMEC細胞及びモックトランスフェクト(ROR1)MEC細胞のリダイレクトされた死滅におけるT細胞の活性化に続くサイトカイン放出の誘導について、特徴付けを行った。代表的な用量反応グラフが、構築物7、9、18、20及び対照ROR1×CD3二重特異性結合分子(米国特許公開2017/0233472)に関して示されている(図23(TNF-α)、図24(IFN-γ)、図25(IL-2)、図26(IL-4)、図27(IL-6)、図28(IL-10))。用量依存的なサイトカイン産生(TNF-α、IFN-γ、IL-2、IL-4、IL-6及びIL-10)は、試験した全ての構築物について、JeKo-1細胞(パネルA)及びROR1トランスフェクトMEC細胞(パネルB)で観察されたが、モックトランスフェクト(ROR1)MEC細胞(パネルC)では観察されなかった。ROR1トランスフェクトMEC細胞は、JeKo-1細胞よりも高いレベルのROR1を発現し(表5)、試験した二重特異性結合分子に対してJeKo-1細胞よりも感受性が高かったが、このことは、標的発現レベルの重要性を示している。サイトカインの分泌は、RORLの発現に依存していた。1μg/mLの該構築物をモックトランスフェクト(ROR1)MEC細胞と一緒にインキュベートしても(パネルC)、いずれのサイトカインの分泌もバックグラウンドを有意に超えるレベルでは誘導されなかった(二重特異性抗体対照なし)。それに反して、ROR1×CD3二重特異性結合分子(「対照1」)をモックトランスフェクト(ROR1)MEC細胞と一緒にインキュベーションした場合、炎症性サイトカインIFN-γが多少分泌された(図24、パネルC)。IL-6を除いて、対照1は、JeKo-1細胞を用いて試験した場合、より高い全体的なレベルのサイトカイン分泌を誘導した。それに反して、対照1を包含する全ての構築物は、より高いROR1を発現するトランスフェクトされたMEC細胞を用いて試験した場合、同様のレベルのサイトカイン分泌を誘導した。
【0219】
該二重特異性結合分子のうちのいくつかのさまざまな標的細胞に対する活性の要約が表5に示されている。
【表5】
【0220】
まとめると、さまざまな特性及び構成を有する抗ROR1/抗CD3二重特異性結合分子によるさまざまな標的細胞株のリダイレクトされたT細胞死滅は、特定の傾向を特定した。
【0221】
エフェクター細胞としてのヒトPBMC及びさまざまな標的細胞株を使用するインビトロ細胞毒性アッセイに基づいて、構成B、E及びCは、構成A及びDよりも強力である傾向を示した。構成に基づく相対的効力は、CD3結合アーム及びROR1結合アームの相対的空間的位置付けを反映し得る。該効力は、さらに、さまざまな構成が二重特異性結合分子の輸送に及ぼす影響も反映し得る。例えば、構成B及びCの二重特異性結合分子は、構成Aの二重特異性結合分子ほど迅速には又は同程度には、インターナリゼーションしない。
【0222】
OKT3に基づく配列は、CD3に対して、SP34に基づく配列よりもより高い親和性を有しているように見えたが、二価のSP34に基づく配列を有する二重特異性結合分子は、多くの場合より強力であった。増強されたその活性は、親和性、又は、追加的若しくは代替的に、SP34によって認識される別個のエピトープを反映している可能性がある。興味深いことに、一価のCD3結合を有する二重特異性結合分子を評価した場合、その傾向は異なっていた。場合によっては、OKT3に基づく配列はSP34に基づく配列よりも強力であった(図14、構築物13と15を比較する)。
【0223】
標的細胞のROR1発現レベルと細胞毒性の間に直接的な相関は観察されなかった(表5)。それにもかかわらず、抗ROR1抗体のより高い親和性の変異体は、親のWT配列よりも強力であった。これは、ROR1の発現レベルが低い状況では、ますます重要になる可能性を有する。
【0224】
これらの実験の結果は、CD3結合成分及びROR1結合成分は、別々に最適化及び特徴付けを行うことができるが、最も活性な二重特異性結合分子は、異なる二重特異性構成を使用して結合成分の異なる対の経験的な試験を実施することを通してのみ確認することが可能であることを示している。該実験は、構築物9及び18(構成B)が一貫して最も強力な抗ROR1/抗CD3二重特異性結合分子の中にあることを示している。このことは、CD3結合実験によってこれらの構築物がROR1の非存在下でジャーカット細胞への最も弱い結合剤の1つであることが示されたので、特に注目すべきである。ROR1が腫瘍の微小環境に関与するまで、T細胞上のCD3の活性化及びインターナリゼーションが最小限になるので、これは有用な特徴であると期待される。
【表6】
図1
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【図
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【配列表】
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【国際調査報告】