(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-22
(54)【発明の名称】コールドプレート
(51)【国際特許分類】
G06F 1/20 20060101AFI20220714BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20220714BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220714BHJP
H01L 23/473 20060101ALI20220714BHJP
【FI】
G06F1/20 C
G06F1/20 A
G06F1/16 312B
G06F1/16 313
G06F1/16 313Z
H05K7/20 N
H01L23/46 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569196
(86)(22)【出願日】2020-05-21
(85)【翻訳文提出日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 GB2020051244
(87)【国際公開番号】W WO2020234599
(87)【国際公開日】2020-11-26
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520018266
【氏名又は名称】アイスオトープ・グループ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ICEOTOPE GROUP LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エドマンズ,ニール
(72)【発明者】
【氏名】カッシェン,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】カディム,ムスタファ
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA05
5E322DA01
5E322EA07
5E322FA01
5F136CB07
5F136CB08
(57)【要約】
コールドプレートであって、電子デバイスを冷却するための熱インターフェースを提供する表面を有するハウジングと、熱インターフェースによって受け取られた熱が液体冷却剤に伝達されるように、液体冷却剤がチャネルを通って流れるための、表面に近接したハウジング内のチャネルと、ハウジングの外側に延在し、液体冷却剤をチャネルにおよび/またはチャネルから移送するための冷却剤ポートと、を備える、コールドプレート。冷却剤ポートからチャネルへの出口の断面積は、出口におけるチャネルの断面積以下であってもよい。ピンおよび/またはフィンは、冷却剤ポートに隣接するチャネル内に配置されてもよい。冷却剤ポートは、液体冷却剤を表面に垂直な方向にチャネルに出入りさせることができる。冷却剤ポートは、独立した回転流体コネクタを備えることができ、それによって冷却剤ポートに結合されたパイプの方向の調整が可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コールドプレートであって、
ハウジングであって、前記ハウジングの表面は、前記ハウジングに熱的に結合された電子デバイスを冷却するための熱インターフェースを提供するように配置されている、ハウジングと、
前記ハウジング内の、前記表面に近接する少なくとも1つのチャネルであって、前記熱インターフェースによって受け取られた熱が液体冷却剤に伝達されるように前記液体冷却剤が前記チャネルを通って流れるように構成されている、少なくとも1つのチャネルと、
前記ハウジングの外側に延在し、液体冷却剤を前記少なくとも1つのチャネルにおよび/または前記少なくとも1つのチャネルから移送するための冷却剤ポートと、を備え、
(a)前記冷却剤ポートから前記少なくとも1つのチャネルへの出口の断面積は、前記出口における前記少なくとも1つのチャネルの断面積以下である、(b)ピンおよび/またはフィンは、前記冷却剤ポートに隣接する前記少なくとも1つのチャネル内に配置されて、前記少なくとも1つのチャネルに入る液体冷却剤が前記表面に平行な平面内の全ての方向に流れるようにする、(c)前記冷却剤ポートは、液体冷却剤を前記表面に垂直な方向に前記少なくとも1つのチャネルに出入りさせるように構成されている、の1つまたは複数である、コールドプレート。
【請求項2】
コールドプレートであって、
ハウジングであって、前記ハウジングの表面は、前記ハウジングに熱的に結合された電子デバイスを冷却するための熱インターフェースを提供するように配置されている、ハウジングと、
前記ハウジング内の、前記表面に近接する少なくとも1つのチャネルであって、前記熱インターフェースによって受け取られた熱が液体冷却剤に伝達されるように前記液体冷却剤が前記チャネルを通って流れるように構成されている、少なくとも1つのチャネルと、
前記ハウジングの外側に延在し、液体冷却剤を前記少なくとも1つのチャネルにおよび/または前記少なくとも1つのチャネルから移送するための冷却剤ポートであって、独立した回転流体コネクタを備え、それによって前記冷却剤ポートに結合されたパイプの方向の調整が可能になる、冷却剤ポートと、を備える、コールドプレート。
【請求項3】
前記熱インターフェースを提供するように配置された前記表面が、前記ハウジングの底面であり、前記冷却剤ポートは、前記底面の反対側の前記ハウジングの上面に設けられている、請求項2に記載のコールドプレート。
【請求項4】
前記冷却剤ポートは、前記ハウジングの前記上面に垂直な方向に延在する、請求項3に記載のコールドプレート。
【請求項5】
前記独立した回転流体コネクタは、前記パイプの前記方向を前記ハウジングの前記上面に垂直な軸の周りで最大360度まで調整することを可能にする、請求項3または4に記載のコールドプレート。
【請求項6】
前記ハウジングの前記上面は、前記ハウジングの前記上面の他の部分の高さおよび/または形状と異なる高さおよび/または形状を有し、それによって前記冷却剤ポートに結合されたパイプの前記方向の調整が可能になる、請求項3から5のいずれか1項に記載のコールドプレート。
【請求項7】
ピンおよび/またはフィンは前記少なくとも1つのチャネル内に配置される、請求項2から6のいずれか1項に記載のコールドプレート。
【請求項8】
前記冷却剤ポートは、液体冷却剤の全方向性または半径方向の噴射流を促進するように前記ピンおよび/またはフィンに対して配置される、請求項7に記載のコールドプレート。
【請求項9】
(a)前記冷却剤ポートは、液体冷却剤を前記表面に垂直な方向に前記少なくとも1つのチャネルに出入りさせるように構成される、(b)前記冷却剤ポートから前記少なくとも1つのチャネルへの出口の断面積は、前記出口における前記少なくとも1つのチャネルの断面積以下である、(c)ピンおよび/またはフィンは、前記冷却剤ポートに隣接する少なくとも1つのチャネル内に配置され、前記少なくとも1つのチャネルに入る液体冷却剤が前記表面に平行な平面内の全ての方向に流れるようにする、の1つまたは複数である、請求項2から8のいずれか1項に記載のコールドプレート。
【請求項10】
前記ピンおよび/またはフィンは、前記熱インターフェースを提供するように構成された前記ハウジングの前記表面に近接する前記少なくとも1つのチャネルの底面から、前記熱インターフェースを提供するように構成された前記ハウジングの前記表面の遠位にある前記少なくとも1つのチャネルの上面まで延在するように構成されている、請求項1または7から9のいずれか1項に記載のコールドプレート。
【請求項11】
前記冷却剤ポートは、液体冷却剤を前記少なくとも1つのチャネルに移送するための第1の冷却剤ポートであり、前記コールドプレートは、前記少なくとも1つのチャネルから液体冷却剤を移送するための第2の冷却剤ポートを備え、ピンおよび/またはフィンは、前記第1の冷却剤ポートおよび/または前記第2の冷却剤ポートに少なくとも隣接する前記少なくとも1つのチャネル内に配置される、請求項1または7から10のいずれか1項に記載のコールドプレート。
【請求項12】
前記ピンおよび/またはフィンは、前記第1および/または前記第2の冷却剤ポートに隣接する前記少なくとも1つのチャネル内に、規則的で均一に分布したパターンで、および/または前記冷却剤ポートと前記第2の冷却剤ポートとの間の液体冷却剤の妨げられない流れを防止するように配置される、請求項11に記載のコールドプレート。
【請求項13】
前記ピンおよび/またはフィンは、前記少なくとも1つのチャネル全体にわたって規則的で均一に分布したパターンで配置される、請求項12に記載のコールドプレート。
【請求項14】
前記ピンおよび/またはフィンは、前記第1および/または第2の冷却剤ポートに隣接する前記少なくとも1つのチャネルの第1の部分に第1のパターンで、および前記第1および/または第2の冷却剤ポートから離間して、前記少なくとも1つのチャネルの第2の部分に第2の異なるパターンで配置される、請求項12に記載のコールドプレート。
【請求項15】
前記第1の部分の前記少なくとも1つのチャネルの幅は、前記第2の部分の前記少なくとも1つのチャネルの幅よりも大きい、請求項14に記載のコールドプレート。
【請求項16】
前記第1のパターンは、前記第1の冷却剤ポートと前記第2の冷却剤ポートとの間の液体冷却剤の妨げられない流れを防止するように構成され、前記第2のパターンは、前記第1の冷却剤ポートと前記第2の冷却剤ポートとの間の液体冷却剤の妨げられない流れを可能にするように構成される、請求項14または15に記載のコールドプレート。
【請求項17】
前記少なくとも1つのチャネルの前記第1の部分は前記第1の冷却剤ポートに隣接し、前記ピンおよび/またはフィンは、前記第2の冷却剤ポートに隣接する前記少なくとも1つのチャネルの第3の部分に前記第1のパターンで配置され、前記少なくとも1つのチャネルの前記第2の部分は、前記第1の部分と前記第3の部分との間にある、請求項14から16のいずれか1項に記載のコールドプレート。
【請求項18】
前記ピンおよび/またはフィンは、ピンの直径またはフィンの幅の少なくとも2倍だけ離間している、請求項1または7から17のいずれか1項に記載のコールドプレート。
【請求項19】
前記冷却剤ポートは、液体冷却剤を前記少なくとも1つのチャネルに移送するための第1の冷却剤ポートであり、前記コールドプレートは、前記少なくとも1つのチャネルから液体冷却剤を移送するための第2の冷却剤ポートを備え、前記第2の冷却剤ポートは、独立した回転流体コネクタを備え、それによって、前記第2の冷却剤ポートに結合されたパイプの方向の調整が可能になる、先行する請求項のいずれか1項に記載のコールドプレート。
【請求項20】
前記冷却剤ポートは、液体冷却剤を前記少なくとも1つのチャネルに移送するための第1の冷却剤ポートであり、前記コールドプレートは、前記少なくとも1つのチャネルから液体冷却剤を移送するための第2の冷却剤ポートを備え、前記ハウジングは細長く、前記第1および第2の冷却剤ポートは、細長い方向に沿って前記ハウジングの両端に配置される、先行する請求項のいずれか1項に記載のコールドプレート。
【請求項21】
熱インターフェースを提供するように配置された前記表面と前記少なくとも1つのチャネルとの間の前記ハウジング内にヒートパイプまたは蒸気チャンバをさらに備える、先行する請求項のいずれか1項に記載のコールドプレート。
【請求項22】
前記少なくとも1つのチャネルは、複数の平行なチャネルを備え、前記平行なチャネルの各々は、前記冷却剤ポートから延在する、先行する請求項のいずれか1項に記載のコールドプレート。
【請求項23】
前記コールドプレートは、前記液体冷却剤が実質的に液体状態のままであるように構成される、先行する請求項のいずれか1項に記載のコールドプレート。
【請求項24】
液体冷却剤を前記冷却剤ポートにおよび/または前記冷却剤ポートから移送するために、前記冷却剤ポートに結合された可撓性パイプをさらに備える、先行する請求項のいずれか1項に記載のコールドプレート。
【請求項25】
電子機器モジュールであって、
モジュールハウジングと、
前記モジュールハウジング内に取り付けられた電子デバイスと、
前記電子デバイスによって生成された熱が前記コールドプレートの前記熱インターフェースを通って伝達されるように、前記電子デバイスに取り付けられた先行する請求項のいずれか1項に記載のコールドプレートと、を備える、電子機器モジュール。
【請求項26】
前記冷却剤ポートにおよび/または前記冷却剤ポートから液体冷却剤を移送するために、前記冷却剤ポートに結合されたパイプをさらに備え、
前記モジュールハウジングは開口部を備え、前記パイプは、液体冷却剤が前記モジュールハウジングの外部を流れるように前記開口部を通過する、請求項25に記載の電子機器モジュール。
【請求項27】
前記モジュールハウジングは、実質的に平面であり、前記ハウジングの前記平面に垂直な高さ寸法を画定し、前記高さ寸法における前記電子デバイスとコールドプレートとを組み合わせたサイズは、前記高さ寸法における前記モジュールハウジングのサイズの少なくとも80%である、請求項25または26に記載の電子機器モジュール。
【請求項28】
前記高さ寸法における前記モジュールハウジングの前記サイズは1ラックユニットである、請求項27に記載の電子機器モジュール。
【請求項29】
前記電子機器は第1の電子デバイスであり、前記コールドプレートは第1のコールドプレートであり、前記電子機器モジュールは、
前記モジュールハウジング内に取り付けられた第2の電子デバイスと、
前記第2の電子デバイスによって生成された熱が前記第2のコールドプレートの前記熱インターフェースを通って伝達されるように、前記第2の電子デバイスに取り付けられた、請求項1から24のいずれか1項に記載の第2のコールドプレートと、をさらに備える、請求項25から28のいずれか1項に記載の電子機器モジュール。
【請求項30】
前記第1のコールドプレートの前記冷却剤ポートおよび前記第2のコールドプレートの前記冷却剤ポートに結合された、前記第1のコールドプレートとの間および前記第2のコールドプレートとの間で液体冷却剤を移送するための配管装置をさらに備え、
前記配管装置は、前記第1のコールドプレートとの間および前記第2のコールドプレートとの間で液体冷却剤を直列または並列に移送するように構成される、請求項29に記載の電子機器モジュール。
【請求項31】
前記電子デバイスは、前記電子機器モジュールがコンピュータサーバモジュールであるように、コンピュータサーバの少なくとも一部である、請求項25から30のいずれか1項に記載の電子機器モジュール。
【請求項32】
電子機器システムであって、
各々が請求項25から31のいずれか1項に記載の複数の電子機器モジュールと、
前記電子機器モジュールの各々との間で液体冷却剤を移送するように構成された配管ネットワークと、
前記配管ネットワークを介して前記電子機器モジュールの各々から液体冷却剤を受け取り、前記受け取った液体冷却剤からの熱を少なくとも1つのヒートシンクに伝達し、それによって前記液体冷却剤を冷却し、前記冷却された液体冷却剤を前記複数の電子機器モジュールに導くように構成された熱交換器装置と、を備える、電子機器システム。
【請求項33】
前記配管ネットワークは、前記複数の電子機器モジュールとの間で直列または並列で液体冷却剤を移送するように構成される、請求項32に記載の電子機器システム。
【請求項34】
前記複数の電子機器モジュールは複数のラックに配置され、前記電子機器システムは、
前記配管ネットワーク内の全ての液体冷却剤を圧送するように構成された単一のポンプをさらに備える、請求項32または33に記載の電子機器システム。
【請求項35】
前記電子機器モジュールの数は少なくとも43である、請求項34に記載の電子機器システム。
【請求項36】
前記液体冷却剤は、本質的に水を含む、請求項32から35のいずれか1項に記載の電子機器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コールドプレート、少なくとも1つのコールドプレートを備える電子機器モジュール、および複数のそのような電子機器モジュールを備える電子機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ、サーバ、およびデータ処理(情報技術またはITと呼ばれる)に使用される他の装置内には、プリント回路基板(PCB)がある。これらのPCB上には、中央処理装置(CPU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、グラフィカル処理装置(GPU)などを含むことができる集積回路(IC)と呼ばれる小型デバイスがある。これらは全て、一般にチップと呼ぶことができる。
【0003】
ITは、通常、ケース、エンクロージャ、またはハウジング内に収容される。例えば、サーバでは、このエンクロージャは、サーバシャーシと呼ばれることがある。サーバシャーシは、通常、1RU(1ラックユニット)または1OU(1オープンユニット)と呼ばれ、1Uまたは1OUとも略される、各シャーシの高さを指定するいくつかの業界規格に準拠している。2つの主な規格のうち小さい方が1RU/1Uであり、これは高さが44.45mmまたは1.75インチである。このようなユニットは、ブレードサーバと呼ばれることがある。
【0004】
異なるサーバ製品は、シャーシに対して一度に2つ以上のRU/OUを利用することができ、例えば、2Uシャーシは2つのラックユニットを使用する。各サーバシャーシのサイズは、通常、サーバラック当たりの計算能力の量を最大にするために最小に保たれる(サーバラックは、サーバシャーシが追加される主ハウジングである)。
【0005】
通常、IT上またはIT内で使用されるチップは、空気を使用して冷却される。これは、通常、フィンまたは同様のものがチップ表面と直接、または2つの構成要素間のTIM(熱インターフェース材料)と接触して配置された、ある種のヒートシンクを含む。ヒートシンクに加えて、各エンクロージャは、一連のファンを使用してエンクロージャを通して空気を引き込み、ヒートシンクから熱を除去し、ヒートシンクをシャーシから放出する。
【0006】
近年、空気による機器の冷却の限界から、発熱チップのピーク性能は抑制されている。技術が数年ごとに同じ性能に対するサイズを半分にするので(ムーアの法則)、チップによって生成される熱は、部品の設置面積が減少するにつれて増加している。このことはまた、ヒートシンクのサイズおよび複雑さの増大を招いている。これは通常、サーバシャーシサイズの増加を意味し、したがって単一ラック内の計算能力を低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、大きな空冷ヒートシンクと比較して、これらの発熱部品を冷却するより効果的な方法が求められることになった。検討された様々な方法は、冷却剤として液体を使用することを含む。これらの液体には、数例を挙げると、誘電流体、鉱油および水が含まれる。液体冷却を使用するいくつかの既存の手法が知られている。例えば、本開示の同一出願人による国際公開第2018/096362号明細書は、浸漬液体冷却手法を記載している。このような手法の性能および効率は高いが、液体冷却剤を保持するために特別なサーバシャーシが必要である。高い性能および効率を有する非浸漬液体冷却剤ベースのシステムを提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
この背景に対して、請求項1または請求項2に記載のコールドプレート、請求項25に記載の電子機器モジュール、および請求項32に記載の電子機器システムが提供される。
【0009】
実施形態では、ハウジング(外側ハウジング)を有するコールドプレートが提供され、その表面は、電子デバイス(チップまたはICなど)を冷却するための熱インターフェースを提供する。この表面は、典型的には、ハウジングの底面である。ハウジング内に表面に近接して少なくとも1つのチャネルが設けられ、液体冷却剤はチャネル(複数可、直列であっても並列であってもよい)を通って流れ、熱インターフェースを通して熱を受け取ることができる。液体冷却剤(水または水ベースであってもよい)は、1つまたは複数の冷却剤ポートを通ってチャネル(複数可)に出入りする。冷却剤ポート(複数可)は、ハウジングの外側に、例えば上面に垂直に延在する。有益なことに、コールドプレートは、動作中に冷却剤が本質的に液体のままであるように、単相用に設計されている。
【0010】
一主要態様では、冷却剤ポートは、スイベルジョイント(スイベルエルボコネクタであってもよく、これらの用語は全て本明細書で同義的に使用される)などの独立した回転流体コネクタを備え、それによって冷却剤ポートに結合されたパイプの方向の調整が可能になる。1つまたは複数の冷却剤ポートは、有益には、ハウジングの上面にある。ハウジングの上面は、例えば、冷却剤ポートから離れるよりも冷却剤ポートの周りで小さい高さを有することによって、冷却剤ポートに結合されたパイプの方向の調整を可能にするように(特にその高さおよび/または形状に関して)構成することができる。冷却剤ポートが(第1の部分が上面にほぼ垂直な方向に延在し、第2の部分が上面にほぼ平行な方向に延在するように)エルボ形状を有する場合、高さの差はエルボ形状の底部(すなわち、第1の部分から第2の部分への移行が開始される場所)にほぼ等しくてもよい。好ましくは、2つの冷却剤ポートが設けられ、1つ(入口冷却剤ポート)は、コールドプレートの外側から(外部パイプなどから)冷却剤を受け取り、それをチャネルに提供するためのものであり、1つ(出口または排出冷却剤ポート)は、チャネル(複数可)から冷却剤を受け取り、外部パイプに移送するためのものである。本明細書の冷却剤ポートを参照して説明される任意の特徴は、両方の冷却剤ポートに適用されてもよい。2つの冷却剤ポートは、好ましくは、細長くてもよいハウジングの両端に設けられる。パイプ、チューブまたはホース(好ましくは可撓性)は、動作中に1つまたは複数の冷却剤ポートに有利に結合される。
【0011】
有利には、スイベルジョイントは、配置における著しい柔軟性、したがってコールドプレートの効率性を可能にする。スイベルジョイントを使用することにより、コールドプレートをエンクロージャ(サーバシャーシなど)内の様々な位置に様々な向きで配置することができる。このようにして、固定冷却剤ポート(複数可)で可能であるよりも、より最適なコールドプレートの配置を提供することができる。好ましくは、スイベルジョイントは、パイプの方向をハウジングの上面に垂直な軸の周りで調整することを可能にし、および/または360度の回転自由度を可能にする。特に、コールドプレートは、柔軟な方法で既存のハードウェアの部品上に/その中に設置することができる。接続部を回転させることにより、設置業者は、パイプ、チューブまたはホースがサーバシャーシに出入りするための最も効率的な経路を選択することができる。ノズルまたはコネクタの回転は、既存の構成要素の周りにチューブまたはホースを方向付けるのに役立ち得る。コールドプレートに接続するチューブまたはホースは、既存の構成要素間に方向付けることができるが、コネクタ上の回転は、チューブ上の曲げ半径が過度にきつくなるのを防ぐのにも役立つ。したがって、これらの利点は、性能および効率を向上させる。様々なサイズのコールドプレートは、これを使用して様々な異なるチップまたは発熱部品を冷却することができ、また様々な固定点に機械的に取り付けることができる。
【0012】
別の主要な態様(他の主要な態様または任意の他の態様と組み合わせることができる)では、圧力降下を小さくし、および/またはコールドプレートの外部の配管とコールドプレート内の配管との間に小さい(好ましくは最小の)圧力降下を提供することができる1つまたは複数の特徴が提供される。
【0013】
特に、1つまたは複数の特徴は、以下のうちの1つまたは複数を含む。(a)液体冷却剤は、熱インターフェース表面(および/またはチャネルの底面、典型的にはハウジングの熱インターフェース面に近接する底面)に垂直な方向にチャネルに出入りする。(b)冷却剤ポートからチャネルへの出口の断面積は、出口におけるチャネルの断面積以下である(言い換えれば、チャネルの流れ容量は、少なくとも、チャネルへの冷却剤ポート出口の流れ容量と同じ大きさである)。(c)ピンおよび/またはフィンが冷却剤ポート(具体的にはその出口)に隣接するチャネル内に配置されて、少なくとも1つのチャネルに入る液体冷却剤が表面(および/またはチャネルの底面)に平行な平面内の全ての方向に流れるようにする。(c)に関し、冷却剤ポートは、例えば、液体冷却剤の全方向性または半径方向の噴射流を促進するようにピンおよび/またはフィンに対して配置される。これらの各々は、チャネル(複数可)内の、特に第2の冷却剤ポート(コールドプレートの外部出口として機能する)に向かう冷却剤の流れを促進することができる。このようにして、圧力降下を小さくまたは最小化することができる。
【0014】
全ての態様は、現在の空冷ヒートシンクと同じまたは同様の方法で、発熱チップまたは構成要素(電子デバイス)にコールドプレートを取り付けることができる。コールドプレートを同じ取り付け点に後付けすることによって、既存のハードウェアへの製品の採用を容易にすることができる。
【0015】
任意の態様では、ピンおよび/またはフィンは、1つまたは複数のチャネル内に有利に配置される(実際、いくつかの実施形態では、複数のチャネルを画定することができる)。ピンおよび/またはフィンは、チャネルの底面から延在してもよく、より好ましくはチャネルの上面(底面の反対側)まで延在してもよい。ピンおよび/またはフィンは、チャネルの一部または全部内、特に冷却剤ポート(複数可)の周りに配置されてもよい。
【0016】
好ましい実施形態では、ピンおよび/またはフィンは、規則的で均一に分布したパターンで、および/または冷却剤入口として作用する冷却剤ポートと冷却剤出口として作用する冷却剤ポートとの間の液体冷却剤の妨げられない流れを防止するように配置される。そのような構成(複数可)は、チャネル全体にわたって設けられてもよく、またはそのような構成は変化してもよく、そのような構成は、冷却剤ポート(複数可)の周りに設けられ、ピンおよび/またはフィンの異なる構成は、チャネルの中間部分に設けられる(例えば、チャネルの中間部分は、例えばフィンのみを使用して、入口ポートと出口ポートとの間の妨げられない流れを可能にするフィンを有する)。チャネルのこの中間部分のチャネル幅は、ポートの周囲よりも小さくてもよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、ピンおよび/またはフィンは、(ピン中心からピン中心まで測定して)少なくとも1mm~8mm、より好ましくは3mm~5mm、最も好ましくは3.5mm~4.5mmだけ離間している。実施形態では、ピンおよび/またはフィンは、(ここでもピン中心からピン中心まで測定して)ピン直径(またはフィンの幅)の1.5倍(または2倍)から3倍、より好ましくはピン直径の2倍から2.5倍だけ離間している。ピンの直径またはフィンの幅は、1mm~3mm、より好ましくは約2mmであってもよい。そのような構成は、コールドプレート全体で低い(または小さくされた)圧力降下を提供し、および/または液体ベースの汚染物質および成長による汚染のリスクを軽減することができる。
【0018】
実施形態では、熱インターフェース面とチャネルとの間のコールドプレートのハウジング内にヒートパイプまたは蒸気チャンバが設けられてもよい。これは、所与のチップまたはICの中央熱流束領域から入口および出口(排出)領域への有効な伝導または拡散を増加(または最大化)させることができる。
【0019】
コールドプレートは、モジュールハウジング(サーバシャーシなど)を備えることができるコンピュータシステムまたはサーバなどの電子機器モジュールの一部を形成することができ、モジュールハウジング内には電子デバイスが取り付けられている。電子デバイスは、例えばPCB上に実装された1つまたは複数のチップまたはICを備えることができる(実際、電子デバイスは、PCBの一部または全体を含んでもよい)。コールドプレートは、電子デバイスによって生成された熱がコールドプレートの熱インターフェースを通って伝達されるように、電子デバイスに取り付けられる。モジュールハウジングは開口部を有することができ、それによりコールドプレートの冷却剤ポートに結合された1つまたは複数のパイプが開口部を通過することができ、液体冷却剤がモジュールハウジングの内部と外部との間を流れることを可能にする。
【0020】
モジュールハウジングは、典型的には実質的に平面であり(例えば、細長い直方体形状を有する)、ハウジングの平面に垂直な高さ寸法(Z)を画定することができる(一般に1ラックユニットまたは約44mm~45mm)。高さ寸法における電子デバイスとコールドプレートとを合わせたサイズは、通常、ハウジングを満たし、一般に、高さ寸法におけるモジュールハウジングのサイズの少なくとも80%、85%、90%または95%である。言い換えれば、コールドプレートのアセンブリのZ高さは、発熱構成要素に取り付けられたときに1Uのサーバシャーシ内に収まる(ただし、場合によっては1Uより大きいサーバシャーシを使用してもよい)。記載されたコールドプレートは、その全体的なサイズが変化し得る。これは、取り付けられるソケットタイプ(固定点)、およびコールドプレートに必要な熱冷却能力に依存し得る。コールドプレートは、空冷ヒートシンクと同じように機能することができるが、通常は、コールドプレートが取って代わる空冷ヒートシンクの減少したZ高さを超えない。
【0021】
モジュールハウジングの内部には、複数の電子デバイスが設けられてもよい(例えば、同じPCB上または異なるPCB上の複数のチップまたはIC)。次いで、複数のデバイスを冷却するために2つ以上のコールドプレートを使用することができ、各コールドプレートは少なくとも1つの電子デバイスに熱的に結合される。
【0022】
配管装置は、好適には、それぞれのコールドプレートとの間で液体冷却剤を移送するために、各コールドプレートの冷却剤ポートに結合される。配管装置は、冷却プレートとの間で液体冷却剤を直列または並列に移送するように構成されることが好ましい。いくつかのコールドプレートを直列に接続し、他のコールドプレートを異なる配置(例えば、直列結合と並列結合との組み合わせ)で並列に接続することが可能である。これは、(スイベルジョイントを使用して)冷却剤ポートを回転させることによってより容易にすることができる。
【0023】
各々が本明細書に記載の一実施形態による複数の電子機器モジュール(例えば、サーバ)を備える電子機器またはサーバシステムも提供することができる。配管ネットワークは、電子機器モジュールの各々との間で液体冷却剤を移送するように構成されてもよい。次いで、熱交換器装置を使用して、配管ネットワークを介して各電子機器モジュールから液体冷却剤を受け取り、受け取った液体冷却剤から少なくとも1つのヒートシンク(例えば、空気または液体であってもよい)に熱を伝達することができる。これにより、熱交換器は、液体冷却剤を冷却することができる。次いで、冷却された液体冷却剤は、複数の電子機器モジュールに(例えば、閉ループ方式で)導かれてもよい。配管ネットワークは、複数の電子機器モジュールとの間で直列または並列で(または直列および並列結合の組み合わせで)液体冷却剤を移送することができる。
【0024】
電子機器モジュール(特に、各々がサーバである場合、例えばブレードサーバ)は、1つまたは複数のラック、好ましくは複数のラックに配置することができる。各ラックは、42個のそのようなモジュールを保持することができる。次いで、単一のポンプは、配管ネットワーク内の全ての液体冷却剤を全てのモジュールに圧送することができる(これにより、少なくとも43個のモジュールが提供されるように、複数のラックがいっぱいになることがある)。各モジュールは、液体冷却剤を受け取る少なくとも1つのコールドプレート(および好ましくは複数のコールドプレート)を有することができる。
【0025】
図面の簡単な説明
本開示は、いくつかの方法で実施することができ、ここで、添付の図面を参照して、単なる例として好ましい実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本開示によるコールドプレートの一実施形態を概略的に示す図である。
【
図2A】第1の構成の
図1の実施形態の上面図である。
【
図2B】第2の構成の
図1の実施形態の上面図である。
【
図3A】第1の直列構成の
図1の実施形態による2つの結合されたコールドプレートの上面図である。
【
図3B】第2の直列構成の
図1の実施形態による2つの結合されたコールドプレートの上面図である。
【
図3C】第3の直列構成の
図1の実施形態による2つの結合されたコールドプレートの上面図である。
【
図4A】並列構成の
図1の実施形態による2つの結合されたコールドプレートの上面図である。
【
図4B】
図1の実施形態の第1の変形例によるコールドプレートの上面図である。
【
図4C】
図1の実施形態の第2の変形例によるコールドプレートの上面図である。
【
図5】コールドプレートが内部に取り付けられた例示的なブレードサーバの斜視図である。
【
図7】コールドプレートの内部詳細が概略的に示されている、
図6の拡大部分を示す図である。
【
図8A】本開示の一実施形態によるコールドプレートの上面内部図である。
【
図9】さらなる詳細と共に、
図8Aの拡大部分を示す図である。
【
図10A】冷却剤の流れに関するさらなる詳細を有する
図8Aの上面内部図である。
【
図10B】冷却剤の流れに関するさらなる詳細を有する
図8Aの実施形態の変形例の上面内部図である。
【
図11A】第1のさらなる実施形態によるコールドプレートの内部断面図である。
【
図12A】第2のさらなる実施形態によるコールドプレートの内部断面図である。
【
図13A】既存の単一ラックサーバ冷却システムの概略図である。
【
図13B】本開示による単一ラックサーバ冷却システムの概略図である。
【
図14】本開示によるマルチサーバ冷却システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
最初に
図1を参照すると、本開示によるコールドプレート(またはコールドプレートアセンブリ)の一実施形態が概略的に示されている。これは、後述するように、サーバブレード(または同様のモジュール)での使用に有利である。コールドプレートアセンブリは、コールドプレート210(好ましくは一体的に作製される)、スイベルエルボ接続部200、および入口/出口チューブ205を備える。コールドプレート210上の固定点215も示されている。これらの固定点は、有利には、コールドプレートが取って代わることができる空冷ヒートシンクに見られるものを複製する。スイベルエルボ接続部(またはスイベルジョイント)200は、以下に説明するように、動作のためにコールドプレートアセンブリを構成する際に特に有用である。
【0028】
コールドプレート210の上面は、スイベルエルボ接続部200の周りで陥凹しており、それにより、陥凹領域におけるコールドプレート210の高さは、上面の中央部分よりも低い。これにより、スイベルジョイント200の回転の自由度がさらに可能になる。
【0029】
図2Aを参照すると、第1の構成の
図1の実施形態の上面図が示されている。スイベルエルボ接続部200の回転は、特に上面の陥凹部分に関して見ることができ、平面図ではほぼ六角形の形状を有する。この例では、入口および出口ホース/チューブ205は、干渉することなくコールドプレートの本体を横切ることができることに留意されたい。
【0030】
図2Bを参照すると、第2の構成の
図1の実施形態の上面図が示されている。この図では、入口および出口ホース/チューブ205は、任意の方向でコールドプレート本体210から外方を向いている。やはり、これは、上面の陥凹部分ならびにスイベルエルボコネクタ200によって可能にされる。
【0031】
したがって、一般的に言えば、ハウジング(一体的に形成されてもよい)を備えるコールドプレートと考えることができ、ハウジングの表面(典型的には平面状)は、熱的に結合された電子デバイスを冷却するための熱インターフェース(伝導面と呼ばれてもよい)を提供するように配置されている。コールドプレートは、ハウジング内で表面に近接する少なくとも1つのチャネルをさらに備える。1つまたは複数のチャネルは、内部チャンバ(複数可)、液体冷却剤(例えば、水、水ベースの冷却剤、水を本質的に含む冷却剤、または高比熱容量液体代替物)を収容するための容積または他の空間で形成されてもよい。1つまたは複数のチャネルは、熱インターフェースによって受け取られた熱が液体冷却剤に伝達されるように、液体冷却剤がチャネルを通って流れるように配置される。任意選択的に、各々が冷却剤ポートから延在する複数の並列チャネルを設けることができる。以下でさらに説明するように、ピンおよび/またはフィンは、好ましくは、少なくとも1つのチャネル内に配置される。
【0032】
コールドプレートはまた、液体冷却剤を少なくとも1つのチャネルにおよび/または少なくとも1つのチャネルから移送するために、ハウジングの外側に延在する冷却剤ポートを備える。冷却剤ポートは、コネクタ、カップリング、ジョイント、または他の同様の構造であってもよい。液体冷却剤を冷却剤ポートにおよび/または冷却剤ポートから移送するために、少なくとも1つのパイプ、ホース、またはチューブ(好ましくは可撓性)を冷却剤ポートに結合することができる。有利には、コールドプレートは、液体冷却剤が実質的に液体状態(すなわち、単相液冷)のままであるように構成される。
【0033】
本開示の一態様では、冷却剤ポートは、スイベルジョイント(またはスイベルエルボコネクタ、これらの用語は全て、本明細書では同義的に使用される)の形態の独立した回転流体コネクタを備え、それによって冷却剤ポートに結合されたパイプの方向の調整が可能になる。独立した回転流体コネクタまたはスイベルジョイントは、コールドプレートの配置の柔軟性を高めることができる。これにより、ユニットまたはシステムに他の変更を加える必要なく、サーバまたは他のコンピュータシステムなどの既存の電子ユニットにコールドプレートを後付けすることができる。コールドプレートは、例えば、空冷ヒートシンクの代わりに収まるように構成されてもよい。
【0034】
好ましくは、熱インターフェースを提供するように配置された表面は、ハウジングの底面である。次いで、冷却剤ポートは、有利には、底面の反対側のハウジングの上面に設けられる。好ましい実施形態では、冷却剤ポートは、ハウジングの上面に垂直な方向(例えば、第1の部分)に延在する。次いで、スイベルジョイントは、冷却剤ポートを異なる方向(例えば、第2の部分)に、典型的にはハウジングの上面に対してより平行またはほぼ平行に延ばすことができる。これは、例えば、第1の部分と第2の部分との間に湾曲した部分を有するエルボ形状と呼ぶことができる。好ましくは、スイベルジョイントは、パイプの方向をハウジングの上面に垂直な軸の周りで調整することを可能にする。特に、スイベルジョイントは、パイプの方向を、特にハウジングの上面に垂直な軸の周りで、少なくとも90度、180度、270度、好ましくは360度まで(およびそれを含む)調整することを可能にすることができる。したがって、スイベルコネクタは、冷却剤ポートの完全な回転自由度を可能にすることができる。
【0035】
ハウジングの上面は、冷却剤ポートに結合されたパイプの方向の調整を可能にするように(例えば、その高さおよび/または形状に関して)構成されてもよい。特に、上面の高さおよび/または形状は、ハウジングの上面の他の部分(特に2つの冷却剤ポートの場合、上部冷却剤ポート間の上面の中央部分)の高さおよび/または形状と異なっていてもよく、それによって冷却剤ポートに結合されたパイプの方向の調整が可能になる。これに関連して、高さという用語は、(典型的には平面である底面に垂直な方向における)底面と上面との間の距離を指すことができる。高さの差は、例えば以下に説明するように、冷却剤ポートの形状および寸法を反映することができる。
【0036】
好ましい実施形態は、冷却剤ポートから離れた部分よりも冷却剤ポートの周りの部分の高さが低い上面を有する。上述したように、冷却剤ポートが(第1の部分が上面にほぼ垂直な方向に延在し、第2の部分が上面にほぼ平行な方向に延在するように)エルボ形状を有する場合、高さの差は、冷却剤ポートの、コールドプレートハウジングの上面からエルボ形状の基部または底部まで延在する部分のほぼ長さであり得る。
【0037】
原則として、単一の冷却剤ポートは、チャネルへの液体冷却剤の入口とチャネルからの液体冷却剤の出口の両方を提供することができる。好ましい実施形態では、複数の冷却剤ポートが使用される。次いで、冷却剤ポートは、液体冷却剤を少なくとも1つのチャネルに移送するための第1の冷却剤ポートである。コールドプレートは、少なくとも1つのチャネルから液体冷却剤を移送するための第2の冷却剤ポートを備えてもよい。本明細書の単一の冷却剤ポートに関して説明される任意の特徴は、複数の冷却剤ポートのいずれにも適用し得る。実施形態では、ハウジングは細長く、第1および第2の冷却剤ポートは、細長い方向に沿ってハウジングの両端に配置され、これにより、熱インターフェース面を横切る液体冷却剤の流れを促進し、および/またはコールドプレートの柔軟な配置を助けることができる。追加的または代替的に、第2の冷却剤ポートは、(第1の冷却剤ポートと同様に)スイベルジョイントを備えることができ、これにより、第2の冷却剤ポートに結合されたパイプの方向の調整が可能になる。各々がスイベルジョイントを有する2つの冷却剤ポートを設けることにより、コールドプレートを互いに結合する可能性を含む、コールドプレートを結合する改善された方法を可能にすることができる。
【0038】
この構造の別の重要な利点は、複数のそのようなコールドプレートを一緒に使用する能力である。
図3Aを参照すると、第1の直列構成の
図1の実施形態による2つの結合されたコールドプレートの上面図が示されている。ここで、コールドプレートは互いに水平に配置され、スイベルエルボ接続部200はそれに応じて調整され、チューブ/ホース205が両者を接続する。
図3Bを参照すると、第2の直列構成の
図1の実施形態による2つの結合されたコールドプレートの上面図が示されている。コールドプレートは、互いに垂直に配置される。スイベルエルボ接続部200は、チューブ/ホース205が別のスイベルコネクタの周りを途中で湾曲することを可能にする。
図3Cを参照すると、第3の直列構成の
図1の実施形態による2つの結合されたコールドプレートの上面図が示されている。ここでは、コールドプレートは、互いに斜めに配置される。スイベルエルボコネクタ200は、チューブ/ホース205が両者を接続した状態で互いに45度の角度を成している。
【0039】
次に、
図4Aを参照すると、
図4Aは、並列構成または並列供給の
図1の実施形態による2つの結合されたコールドプレートの上面図を示す。コールドプレートの入口220aは、コールドプレートに並列に供給するように分割されている。出口220bは、分割された後に合流して、コールドプレートに並列に供給する。
【0040】
本明細書で使用される一般的な用語を参照すると、電子デバイスは第1の電子デバイスであってもよく、コールドプレートは第1のコールドプレートであってもよい。ここで、第2の電子デバイスが設けられてもよい。その場合、第2の電子デバイスによって生成された熱が第2のコールドプレートの熱インターフェースを通って伝達されるように、本明細書で開示される(任意のタイプの)第2のコールドプレートを第2の電子デバイスに取り付けることができる。次いで、第1のコールドプレートの冷却剤ポートおよび第2のコールドプレートの冷却剤ポートに、第1のコールドプレートとの間および第2のコールドプレートとの間で液体冷却剤を移送するための配管装置が有利に結合される。好ましい実施形態では、配管装置は、第1のコールドプレートとの間および第2のコールドプレートとの間で液体冷却剤を直列または並列に移送するように構成される。
【0041】
コールドプレートのサイズは、冷却される構成要素または装置のサイズに一致することができる。次に
図4Bを参照すると、
図1の実施形態の第1の変形例によるコールドプレートの上面図が示されている。これは、より小さな構成要素を冷却するためのより小さなコールドプレートである。
図4Cを参照すると、
図1の実施形態の第2の変形例によるコールドプレートの上面図が示されている。これは、より大きなサイズの構成要素を冷却するためのより大きなサイズのコールドプレートである。
【0042】
ここで、コールドプレートが取り付けられた例示的なブレードサーバの斜視図を示す
図5を参照する。他の図面に示されているものと同じ特徴を示す場合、同じ参照番号が使用されている。この例では、1RUサーバシャーシ245が示されており、1RUサーバシャーシ245内のPCB240(マザーボード)上に2つのコールドプレート210のセットがある。PCB240上には、RAMスティック225(ここでは一列に示されている)、コンデンサ235(同じく一列に示されている)、およびI/Oコネクタ(図示せず)などの他の構成要素がある。既存のそのようなユニットでは通常のように、シャーシ245から熱を除去するファン230がサーバシャーシ245の背面に設けられている。I/O 250は、基板の前面に設けられている。これらの構成要素は、USB、QSFP、イーサネットポートなどであり得る。
【0043】
図から分かるように、コールドプレート210上のスイベルノズル200を回転させて、チューブ/ホースをRAM225およびコンデンサ235などの既存の構成要素の周りに最適に向けることができる。220aおよび220bに示されているような入口チューブおよび出口チューブは、サーバシャーシ245の既存の開口部、例えば、示されているようなPCIEカードスロットを通過する。
【0044】
ここで
図6を参照すると、
図5の実施形態の側面図が示されている。コールドプレートは、発熱チップの上部のPCB(例えば、マザーボード)240に取り付けられている。また、コールドプレートが1RUサーバの高さ内に収まることも示されている。シャーシ245の基部265は、その上にPCB240が取り付けられた状態で示されている。コールドプレート210が冷却している発熱チップ255はPCB240上にあり、発熱チップ255とコールドプレート210との間には、ギャップパッドまたは熱ペーストなどの熱インターフェース材料(TIM)270がある。シャーシ蓋260とシャーシ基部265との間の距離は、1RUとして示されている。
【0045】
ここで
図7を参照すると、
図6の拡大部分(具体的にはその左側)が示されており、コールドプレートの内部詳細が断面で概略的に示されている。この例では、スイベルノズル200は、アセンブリが1RUサーバシャーシ内に収まるように、下部セクションでコールドプレートに取り付けられている。ノズル200は、説明を容易にするために、コールドプレートの上を向いている。ピン275はコールドプレートの内側に設けられ、ピン275は2つの異なる高さ部分を有する。ピン275は、熱伝達を促進する。コールドプレートモジュールの端部に入口ポートおよび排出ポートを配置すると、ピン275の高さが減少する可能性がある。
【0046】
したがって、本開示の別の一般化された態様は、電子機器モジュール(例えば、コンピュータおよび/またはサーバモジュールあるいはユニット、例えば、サーバブレード)を考慮することができる。電子機器モジュールは、モジュールハウジング(サーバシャーシなど)、モジュールハウジング内に取り付けられた電子デバイス(例えばコンピュータサーバの一部などのPCB上に実装された1つまたは複数のチップまたはICを備えることができる)、および電子デバイスに取り付けられた本明細書に開示されているようなコールドプレートを備える。このようにして、電子デバイスによって生成された熱は、コールドプレートの熱インターフェースを通って伝達され得る。電子デバイスがPCB上に取り付けられる場合、コールドプレートはまた、コールドプレートの熱インターフェース面と電子デバイスの放熱面との間の構造的および/または熱的接続のために、(例えば、ねじ、ボルトまたは同様の固定具を使用して)PCBに取り付けられてもよい。
【0047】
好ましくは、冷却剤ポートにおよび/または冷却剤ポートから液体冷却剤を移送するために、パイプ(またはチューブまたはホース)がコールドプレートの冷却剤ポートに結合される。好ましい実施形態では、モジュールハウジングは(例えば、ドーターカードスロットまたは周辺接続開口部などの電子デバイスまたは補助構成要素とのインターフェースまたはワイヤベースの通信を可能にするための)開口部を備える。次いで、パイプは、液体冷却剤がモジュールハウジングの外部ならびにモジュールハウジングの内部(ただし、典型的にはパイプおよびコールドプレート内のみ)を流れるように、開口部を通過することができる。
【0048】
コールドプレートは、典型的には、標準的なモジュールハウジング、特にそのようなサーバシャーシ内に収まる。モジュールハウジングは、実質的に平面であってもよい(例えば、サーバブレードの場合)。その場合、モジュールハウジングは、ハウジングの平面に垂直な高さ寸法、例えば1ラックユニット(44mm~45mm、より具体的には約44.45mmまたは1.75インチ)を画定することができる。高さ寸法における電子デバイスとコールドプレートとを合わせたサイズは、有利には、高さ寸法におけるモジュールハウジングのサイズの少なくとも80%(または85%、90%または95)である。
【0049】
好ましい実施形態では、第2の電子デバイスによって生成された熱が第2のコールドプレートの熱インターフェースを通って伝達されるように、第2の電子デバイスがモジュールハウジング内に取り付けられ、(本明細書に開示される任意のタイプの)第2のコールドプレートが第2の電子デバイスに取り付けられる。
【0050】
次に、本開示によるコールドプレートの他の態様について説明する。特に、コールドプレートが低い背圧をもたらす態様が考慮される。
図8Aを参照すると、本開示の一実施形態による例示的なコールドプレートの上面内部(平面)図が示されている。この図では、明確にするために蓋およびノズルが取り外されている。背圧を低減するために特定された第1の特徴は、その底面および/または上面に垂直な入口および排出ポートをコールドプレートに設けることである。これは、コールドプレートの内部容積(チャネル)の入口領域および排出領域における全方向性の流れを増加させる(そして潜在的に最大化する)ことが分かっている。
【0051】
図8Aには、冷却剤入口ポート104、液体冷却剤出口または排出ポート105、冷却剤流れチャネル106、およびピン109が示されている。この構成は、冷却剤流れ106を全方向に分配し、冷却剤がコールドプレートにわたって均一に広がることを可能にする。既存のコールドプレートでは、冷却剤がチャネルおよびバッフルを通って分配され、圧力降下が増大する。
【0052】
背圧を低減する第2の特徴は、内部ピン/フィン装置109上の入口ポート104および排出ポート105を位置合わせすることである。これはまた、コールドプレートモジュール内の流体入口および出口排出点で全方向性または半径方向の噴出流106を促進することができる。
【0053】
図8Bを参照すると、ノズル108、コールドプレート基部111、およびコールドプレート蓋112を含む、
図8Aの実施形態の側面(断面)図が示されている。これは、ノズル108の出口とコールドプレート基部111との間の断面積107がノズル108およびホースの断面積以上である実施形態の第3の有利な特徴を示している。この効果は、圧力降下を小さく(または最小化)するために有効断面積を最大化することである。
【0054】
ピン109が基部111および蓋112に接続されている第4の有利な特徴も示されている。これにより、流れ106がピン109をショートカットまたは迂回することがないようにすることができる。このようにして、ピン109は、以下に説明するように、コールドプレート内の冷却剤流れ106を導くことができる。
【0055】
ここで
図9を参照すると、さらなる詳細と共に、
図8Aの拡大部分が示されている。これは、ピン(および/またはフィン)109が無方向性であり、垂直な入口および排出ポートからの自然な半径方向の流れを可能にする第5の有利な特徴を示す。また、流れ線110によって示されるように、ピンを通る視線がない第6の有利な特徴も示している。これは、非線形の流れを促進し、および/または半径方向の流れを促進することができる。これにより、圧力降下も小さくし得る。例えば、ピンは、オフセットされた列またはモザイク状の三角形の間隔で形成されてもよい。このような構成では、隣接する3つのピン(介在する列において、1つの行の2つおよび隣接する平行な行の3番目)の中心間に形成される三角形の角度はそれぞれ60度であってもよい。
【0056】
第7の有利な特徴もまたこの図面から推測され、具体的には、ピンおよび/またはフィン109の間の間隔は、冷却剤の流れを促進し、液体側の汚染物質による汚染および成長のリスクを軽減するように設定され得る。そのような隙間または間隔は、それにより、コールドプレートにわたる圧力降下を小さく(または最小化)しながら、依然として半径方向の流れを促進し、低い熱抵抗を提供する(それによる熱伝達を促進する)。ピンまたはフィンの直径の1.5倍(または1.75倍)から3倍、より好ましくはピン直径の2倍から2.5倍の間隔(ピンまたはフィンの中心間で測定)が有利であることが分かっている。実施形態では、1.5mm~3mm(より典型的には約2mm)のピンまたはフィン直径が使用されている。実際には、ピン間の隙間(ピン縁部または平坦部から隣接するピン縁部または平坦部まで測定して)は、特に2mm~2.3mmの直径を有するピンの場合、1mm~4mm、またはより好ましくは1.75mmまたは2mm~3mmであってもよい。ピンは断面が円形でなくてもよいことに留意されたい。例えば、それらは六角形の断面を有することができる。
【0057】
7つの有利な特徴および相乗的な利点は、これらの有利な特徴のうちの複数のものの組み合わせを通して見ることができるが、それらは個別にまたは任意の組み合わせで使用することができる。
【0058】
したがって、本開示のさらなる一般化された態様は、小さい圧力降下を提供する構成を有する、本明細書に開示された任意のタイプのコールドプレートを考慮することができる。実施形態では、冷却剤ポートは、液体冷却剤を表面に垂直な方向に少なくとも1つのチャネルに出入りさせるように構成されるか、または冷却剤ポートは、液体冷却剤の全方向性または半径方向の噴射流を促進するようにピンおよび/またはフィンに対して配置される。
【0059】
実施形態は、冷却剤ポートから少なくとも1つのチャネルへの出口の断面積が、出口における少なくとも1つのチャネルの断面積以下であることを定義することができる。
【0060】
いくつかの実施形態は、ピンおよび/またはフィンが冷却剤ポートに隣接する少なくとも1つのチャネル内に配置され、少なくとも1つのチャネルに入る液体冷却剤が表面に平行な平面内の全ての方向に流れるようにすることを含むことができる。
【0061】
実施形態では、ピンおよび/またはフィンは、熱インターフェースを提供するように構成されたハウジングの表面に近接する少なくとも1つのチャネルの底面から延在するように構成される。好ましくは、ピンおよび/またはフィンは、熱インターフェースを提供するように構成されたハウジングの表面の遠位にある少なくとも1つのチャネルの上面まで延在するように構成される。
【0062】
複数の冷却剤ポートが設けられる場合、ピンおよび/またはフィンは、第1の冷却剤ポートおよび/または第2の冷却剤ポートに少なくとも隣接する、少なくとも1つのチャネル内に有利に配置される。そのような領域では、ピンおよび/またはフィンは、規則的で均一に分布したパターンで、および/または冷却剤ポートと第2の冷却剤ポートとの間の液体冷却剤の妨げられない流れを防止するように配置されてもよい。例えば、オフセットされ、均一に離隔されたピンの列が設けられてもよい。
【0063】
特定の実施形態では、ピンおよび/またはフィンは、少なくとも1つのチャネル全体にわたって規則的で均一に分布したパターンで配置される。あるいは、ピンおよび/またはフィンは、第1および/または第2の冷却剤ポートに隣接する、少なくとも1つのチャネルの第1の部分に第1のパターンで配置されてもよい。次いで、ピンおよび/またはフィンは、第1および/または第2の冷却剤ポートから離間して、少なくとも1つのチャネルの第2の部分に第2の異なるパターンで配置されてもよい。例えば、第1のパターンはピンから構成されてもよく、第2のパターンはフィンから構成されてもよい。チャネル(ピンまたはフィンを考慮せずに、内部容積によって画定されてもよい)は、第2の部分におけるよりも第1の部分における方が広くてもよい。任意選択的に、第1のパターンは、第1の冷却剤ポートと第2の冷却剤ポートとの間の液体冷却剤の妨げられない流れを防止するように構成され、第2のパターンは、第1の冷却剤ポートと第2の冷却剤ポートとの間の液体冷却剤の妨げられない流れを可能にするように構成される(例えば、直線的に構成されたまたは直線状のフィンを使用することによって)。少なくとも1つのチャネルの第1の部分は、第1の冷却剤ポートに隣接してもよく、ピンおよび/またはフィンはまた、第2の冷却剤ポートに隣接する少なくとも1つのチャネルの第3の部分に第1のパターン(または同様の効果を有するパターン)で配置されてもよい。少なくとも1つのチャネルの第2の部分は、第1の部分と第3の部分との間にあってもよい。
【0064】
特定の実施形態は、(ピンまたはフィンの中心から隣接するピンまたはフィンの中心まで測定して)ピンの直径またはフィンの幅の少なくとも1.75または2倍、およびピンの直径またはフィンの幅の最大2.5または3倍だけ離間したピンおよび/またはフィンを提供することができる。例えば、ピン間の隙間(ピン縁部から隣接するピン縁部まで測定して)は、2mmの直径を有するピンの場合、1.5mm~4mm、またはより好ましくは2mm~3mmであってもよい。このような間隔は、冷却剤の流れを促進し、液体側の汚染物質からの汚染および成長のリスクを軽減することができる。
【0065】
図10Aを参照すると、冷却剤の流れに関するさらなる詳細を有する
図8Aの(平面)上面内部図が示されている。図から分かるように、入口ポートおよび排出ポートの領域のコールドプレートモジュール内のピン/フィン配置は、流れが半径方向に排出することを可能にする(すなわち、全方向性の流れを提供する)106。これは、上述したように、規則的なオフセットピン配置に起因し得る。しかしながら、より直線的で平行な流れ領域113が、コールドプレートモジュール内のより中央の領域に見られる。
【0066】
中央領域内の流れはより直線的であるため、性能を損なうことなくこの領域内の配置の変形を提供することができる。
図10Bを参照すると、冷却剤の流れに関するさらなる詳細を有する
図8Aの実施形態の変形例の上面内部図が示されている。ここで、フィン114は、より中央の、線形および/または平行な流れ領域に設けられる。
【0067】
コールドプレートの基部は、熱伝達を促進し、かつ性能を向上させるために強化されてもよい。
図11Aを参照すると、第1のさらなる実施形態によるコールドプレートの内部断面図が示されており、
図11Bを参照すると
図11Aの実施形態の底部の斜視(等角)図が示されており、
図11Cを参照すると、
図11Aの実施形態の底面(基部)図が示されている。この設計では、埋め込み蒸気チャンバ115が示されており、所与のチップの中央熱流束領域から入口領域および排出領域への有効な伝導または拡散を増加させる。
【0068】
図12Aを参照すると、第2のさらなる実施形態によるコールドプレートの内部断面図が示されており、
図12Bを参照すると
図12Aの実施形態の底部の斜視(等角)図が示されており、
図12Cを参照すると、
図12Aの実施形態の底面(基部)図が示されている。ここでは、所与のチップの中央熱流束領域から入口領域および排出領域への有効な伝導または拡散を増加させる代替方法として、埋め込みヒートパイプ116が示されている。
【0069】
一般的に言えば、コールドプレートは、熱インターフェースを提供するように配置された表面と少なくとも1つのチャネルとの間にヒートパイプまたは蒸気チャンバ(有利にはハウジング内にある)を任意選択的にさらに備えると考えることができる。これにより、熱インターフェースを横切る熱伝達が促進され得る。
【0070】
ここで、既存の単1のラックサーバ冷却システムの概略図が示されている
図13Aを参照して、小さい圧力降下の利点をより詳細に検討する。このシステムは、サーバシャーシ300、コールドプレート320、水ベースの冷却ループ330、マニホールド340、冷却分配ユニット(CDU)350、ヒートシンク380を備える。サーバシャーシはラック310内に取り付けられてもよく、マニホールド340は、他のサーバ(図示せず)との間で冷却剤を導くために使用される。そのような既存の設計では、複数のポンプが設けられる。冷却剤の分配を助けることができる個別のポンプ(すなわち、コールドプレート320の高さにあるポンプ)がコールドプレート320内に設けられる。マニホールドレベルポンプ335もまた、多くのそのような設計で提供される。さらに、設備レベルポンプ370が使用される。必要な局所ポンプの使用は、各コールドプレート内の大きい圧力降下に起因して冷却剤を分配するために必要とされる。設備レベルポンプ370がCDU350内にあるそのような設計は、ラックレベルCDUとして説明することもできる。CDU350は、ヒートシンク380に熱を伝達するための熱交換器360を備える。ヒートシンク380は、熱除去ユニットを備えるさらなる冷却剤ループなど、設備に応じて液体ベースまたは空気ベースであってもよい。
【0071】
このように複数のポンプを使用することには様々な欠点がある。これらには以下が含まれる。複数のポンプはコストを増加させる(いくつかの例では、サーバシャーシごとに4つの統合されたコールドプレートポンプが存在する可能性がある)。各ポンプは潜在的な故障点である。各ポンプは電力消費を有し、総電力消費を増加させる。各ポンプは、システム全体で流量のバランスをとるために通信する必要があり、これにより複雑さが増す。設備レベルポンプ370は、設備冷却剤を循環させるために依然として必要とされる。ポンプ冗長性は、マニホールドレベルのポンプ335またはコールドプレート320のレベルでのみ追加することができる。
【0072】
各コールドプレートでの圧力降下を低減することにより、関連する利点を伴ってポンプの数を大幅に減らすことができる。
図13Bを参照すると、本開示による単一ラックサーバ冷却システムの概略図が示されている。
図13Aと同じ特徴が示されている場合、同じ参照番号が使用される。本開示によれば、より小さい圧力降下を有するコールドプレート390が提供される。この場合、ラック310内の全てのコールドプレート390に冷却剤を分配するために、設備レベルポンプ370のみが使用される。利点には以下が含まれる。通常の動作に追加のポンプを必要とせずに、冷却剤の全てが、典型的にはCDU350内の単一の設備レベルのポンプによって循環される(ただし、これは必須ではない)。冷却剤の流量は、マニホールド340の設計を通じてバランスをとることができる。設備冷却ループにポンプの冗長性を追加するには、1つの追加のポンプのみが必要であり、通常の使用中に動作する必要はない。さらなる利点は、上記の考慮事項を考慮して理解されるであろう。
【0073】
図14は、本開示によるマルチサーバ冷却システムの概略図である。これは、各ラック410について示されているサーバシャーシ400を示しており、複数のそのようなラック410が設けられており、その各々は最大42個のサーバシャーシ400を収容することができる。水ベースの冷却ループ430は、単一のCDU450を使用して、全てのラックにわたって設けられる。CDU450は、熱交換器460および設備レベルポンプ470を含み、ヒートシンク480に熱が伝達される。したがって、単一のポンプ470を、数百のサーバシャーシ400を有するシステムで使用することができる。
【0074】
要約すると、一連の利益が、本開示による実施形態によって提供される。これらは、高密度用途(例えば、複数のラック内の1Uサイズのサーバ)および超高密度用途における電子機器冷却のためのコールドプレートにおいて特に有利である。コールドプレートモジュールに対して垂直な入口ポートおよび排出ポートを有することにより、入口領域および排出領域における全方向性の流れを最大化することができる。コールドプレートモジュールの端部に入口ポートおよび排出ポートを配置することにより、必要なピンまたはフィンの高さを減らすことができる。ピン/フィン配置の上に入口ポートおよび排出ポートを位置合わせすることにより、コールドプレートモジュール内の流体入口および出口排出点での全方向性または半径方向の噴射流を促進することができる(有効断面積を増大または最大化し、および/または入口および排出の排出圧力降下を低減する)。コールドプレート内の入口領域および排出領域にピン/フィン構成を設けることにより、冷却剤の流れをコールドプレートの中心に向かって直線的かつ平行な流れ領域に半径方向に排出することができる。大きなピン/フィン有効間隙または間隔を設けることにより、液体側の汚染物質からの汚染および成長のリスクを軽減することができる。ヒートパイプまたは蒸気チャンバが埋め込まれたコールドプレート用の強化された基部を使用すると、所与のチップの中央熱流束領域から入口領域および排出領域への有効な伝導または拡散を増加(または最大化)させる。
【0075】
本開示のまたさらなる態様では、1つまたは複数の電子機器モジュール(ブレードサーバまたは他のコンピューティングユニットなど)、好ましくはその各々は本開示によるものである複数の電子機器モジュールを備える電子機器システムが考慮されてもよい。好ましい実施形態では、複数の電子機器モジュールは複数のラックに配置され、各ラックは任意選択的に最大42個の電子機器モジュールを保持することができる。配管ネットワークは、電子機器モジュールの各々との間で液体冷却剤を移送するように構成されてもよい。次に、熱交換器装置は、配管ネットワークを介して各電子機器モジュールから液体冷却剤を受け取り、受け取った液体冷却剤から少なくとも1つのヒートシンクに熱を伝達するように有利に構成される。これにより、液体冷却剤を冷却することができる。次いで、冷却された液体冷却剤は、複数の電子機器モジュールに導かれ(戻され)てもよい。言い換えれば、複数のコールドプレートにわたる液体冷却剤のために閉ループを設けることができる。配管ネットワークは、複数の電子機器モジュールとの間で直列または(より好ましくは)並列で液体冷却剤を移送するように構成されてもよい。有利には、単一のポンプは、配管ネットワーク内の全ての液体冷却剤を圧送するように構成されてもよい(通常の動作に必要ではないが、冗長性が提供されてもよい)。このポンプは、多数の電子機器モジュール、例えば、少なくとも20、40、43(すなわち、そのうちの少なくとも1つが満杯である2つのラック)、50、100、150、200またはそれ以上に、(システム内の他のポンプなしで)液体冷却剤を供給することができる。そのような利点は、本開示によるコールドプレートの使用によって可能であり得る。
【0076】
本開示の追加の態様は、(すでに機能している)電子機器モジュール(サーバなど)に本開示によるコールドプレートを設置する方法を含むことができる。例えば、方法は、電子機器モジュール内の1つまたは複数の電子機器にコールドプレートを固定するステップを含むことができる。一実施形態では、これは、空冷ヒートシンクの代わりにコールドプレートを固定するステップ、または空冷ヒートシンクをコールドプレートで置き換えるステップを含むことができる。さらなる追加の態様では、各々が少なくとも1つのコールドプレートを有する複数の電子機器モジュールを備える電子機器システムを動作させる方法を提供することができる。方法は、各電子機器モジュール内の1つまたは複数の電子機器を冷却するために、(同じおよび/または異なる電子機器モジュール内の)複数のコールドプレートを通して液体冷却剤を圧送するステップを含むことができる。本明細書に開示される任意の装置または構造的特徴に対応する(提供ステップ、設置ステップ、構成ステップ、配置ステップ、使用ステップ、操作ステップ、または同様のステップに関する)方法ステップも考慮され得る。
【0077】
ここでは特定の実施形態を説明してきたが、当業者であれば、様々な修正および変更が可能であることを理解するであろう。例えば、コールドプレートの構造および/または設計は、図示のものとは異なっていてもよい。他の形状および用途も可能である。例えば、(複数の平行な平面を有する)段付き底部(熱インターフェース)表面を使用することができるが、平面が好ましい。
【0078】
本明細書に開示される特徴の全ては、そのような特徴および/またはステップの少なくともいくつかが相互に排他的である組み合わせを除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。特に、本発明の好ましい特徴は、本発明の全ての態様に適用可能であり、任意の組み合わせで使用することができる。同様に、必須ではない組み合わせで記載された特徴は、別々に(組み合わせではなく)使用されてもよい。
【国際調査報告】