(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-22
(54)【発明の名称】ポリペプチド磁性ナノ粒子、その調製方法及び使用
(51)【国際特許分類】
G01N 33/543 20060101AFI20220714BHJP
G01N 33/574 20060101ALI20220714BHJP
C07K 17/14 20060101ALI20220714BHJP
C07K 14/00 20060101ALI20220714BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220714BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220714BHJP
A61K 49/18 20060101ALI20220714BHJP
A61K 49/14 20060101ALI20220714BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20220714BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20220714BHJP
A61K 47/69 20170101ALI20220714BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20220714BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20220714BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20220714BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20220714BHJP
【FI】
G01N33/543 541A
G01N33/574 A
C07K17/14 ZNA
C07K14/00
A61P35/00
A61K45/00
A61K49/18
A61K49/14
A61K9/10
A61K47/42
A61K47/69
A61K47/64
A61K47/02
A61K47/22
C12N15/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569454
(86)(22)【出願日】2020-05-19
(85)【翻訳文提出日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 CN2020091063
(87)【国際公開番号】W WO2020233572
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】201910424124.5
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521509619
【氏名又は名称】北京中科納泰生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING NANOPEP BIOTECH CORPORATION, LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 81008, 10th Floor, Education Practice Building, NO.11 Xueyuan North Street, Gongchen Sub-district, Fangshan District, Beijing 102488, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】江 涛
(72)【発明者】
【氏名】李 男男
(72)【発明者】
【氏名】薛 建
(72)【発明者】
【氏名】白 雪皎
(72)【発明者】
【氏名】于 騫
(72)【発明者】
【氏名】李 妲
(72)【発明者】
【氏名】蔡 ▲ジェン▼
(72)【発明者】
【氏名】蔡 倩
(72)【発明者】
【氏名】徐 安
(72)【発明者】
【氏名】仇 海燕
(72)【発明者】
【氏名】韓 宇
(72)【発明者】
【氏名】王 冉
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA22
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076DD23
4C076DD23Z
4C076DD26
4C076DD26Z
4C076DD60
4C076DD60Z
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF11
4C076GG41
4C084AA19
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4C085KA28
4C085KB82
4C085LL18
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA17
4H045BA18
4H045BA63
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA80
(57)【要約】
本発明は、特異的な標的ポリペプチドと磁性ナノ粒子とを含み、特異的な標的ポリペプチドのアミノ酸配列がVRRDAPRFSMQGLDA-Xで示され、そのC末端のXが5~20個のアミノ酸で構成される配列であり、C末端のXのアミノ酸配列におけるアミノ酸がC、G、Nから選ばれる1種又は複数種であるポリペプチド磁性ナノ粒子を提供する。ポリペプチド磁性ナノ粒子は、食道がん、肝がん、肺がん、胃がん、膀胱がん、皮膚がん、黒色腫、乳がん、結腸・直腸がん、子宮頸がん等を含む多種類のがんのCTC検出及び分子型別に用いられることができる。CTC分子型別用のバイオマーカーには、PD-L1、HER2、ER、PR、AR、EGFR、VEGFR及びCXCR4などが含まれる。ポリペプチド磁性ナノ粒子は、CTCを検出し且つCTCレベルでバイオマーカー発現レベルの定性と半定量分析を行うことに役立ち、これによって患者に対して標的性のある個別化ターゲット治療又は免疫治療などの的確な治療を行うことができる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特異的な標的ポリペプチドと磁性ナノ粒子とを含み、
前記特異的な標的ポリペプチドのアミノ酸配列がVRRDAPRFSMQGLDA-Xで示され、そのC末端のXが5~20個、好ましくは5~15個、より好ましくは9~12個のアミノ酸で構成される配列であり、かつXがCGGNCC、CGGNCN、CGGNNC、CGGNNN、CGGNCCN、CGGNCCNN、CGGNCNN、CGGNCNNN、CGGNNCN、CGGNNCNN、CGGNNNN、CGGNNNNN以外であり、
好ましくは、前記Xのアミノ酸配列におけるアミノ酸がC、G、Nから選ばれる1種又は複数種であることを特徴とする、ポリペプチドナノ磁性ナノ粒子。
【請求項2】
前記ポリペプチドが上皮細胞接着分子を標的とする特異的な認識ポリペプチドであり、好ましくは、前記特異的な標的ポリペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:1~9で示され、最も好ましくは、前記特異的な標的ポリペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:1で示されることを特徴とする、請求項1に記載のポリペプチド磁性ナノ粒子。
【請求項3】
前記磁性ナノ粒子がストレプトアビジン結合磁性ナノ粒子であり、好ましくは、前記磁性ナノ粒子の粒子径が100~900nmであり、より好ましくは、前記磁性ナノ粒子の粒子径が300nm~800nmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリペプチド磁性ナノ粒子。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のポリペプチド磁性ナノ粒子の調製方法であって、(1)ポリペプチド及び磁性ナノ粒子溶液を調製するステップと、(2)ステップ(1)で調製されたポリペプチドと磁性ナノ粒子溶液を混合して反応させ、前記ポリペプチド磁性ナノ粒子を得るステップとを含むことを特徴とする、ポリペプチド磁性ナノ粒子の調製方法。
【請求項5】
前記ステップ(1)において、前記ポリペプチド溶液を調製するための溶媒が、水、生理食塩水、PBS、HEPESから選ばれる1種又は複数種であり、及び/又は前記磁性ナノ粒子溶液を調製するための溶媒が、水、PBS、HEPESから選ばれる1種又は複数種であることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップ(1)において、前記ポリペプチド溶液の最終濃度が1~1000μg/mLであり、好ましくは100~500μg/mLであり、及び/又は前記磁性ナノ粒子溶液の最終濃度が1~10000μg/mL、好ましくは1000~5000μg/mLであることを特徴とする、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップ(2)において、前記ポリペプチドと前記磁性ナノ粒子との質量比が1:10~5:1であり、好ましくは2:5であることであることを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか一項に記載のポリペプチド磁性ナノ粒子、又は請求項4~7のいずれか一項に記載の調製方法により調製されたポリペプチド磁性ナノ粒子のがんを診断又は治療するための医薬及び/又は医療製品の調製における使用。
【請求項9】
請求項1~3のいずれか一項に記載のポリペプチド磁性ナノ粒子、または請求項4~7のいずれか一項に記載の調製方法により調製されたポリペプチド磁性ナノ粒子を必要とされる被験者に投与することを含むことを特徴とする、がんを診断又は治療するための方法。
【請求項10】
前記がんが、食道がん、肝がん、肺がん、胃がん、乳がん、結腸・直腸がん、子宮頸がん、甲状腺がん、前立腺がん、膵がん、腎臓がん、膀胱がん、皮膚がん、黒色腫から選ばれる1種又は複数種であり、好ましくは、乳がん、食道がん、胃がん、肝がん、肺がん、結腸・直腸がん、子宮頸がん及び/又は前立腺がんであることを特徴とする、請求項8に記載の使用又は請求項9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1~3のいずれか一項に記載のポリペプチド磁性ナノ粒子又は請求項4~7のいずれか一項に記載の調製方法により調製されたポリペプチド磁性ナノ粒子の循環腫瘍細胞の検出及び/又は分子型別のための医薬及び/又は医療製品の調製における使用。
【請求項12】
請求項1~3のいずれか一項に記載のポリペプチド磁性ナノ粒子、又は請求項4~7のいずれか一項に記載の調製方法により調製されたポリペプチド磁性ナノ粒子を含むことを特徴とする、がんを診断又は治療するためのポリペプチド磁性ナノ粒子、及び/又は循環腫瘍細胞の検出及び/又は分子型別のためのポリペプチド磁性ナノ粒子。
【請求項13】
請求項1~3のいずれか一項に記載のポリペプチド磁性ナノ粒子、または請求項4~7のいずれか一項に記載の調製方法により調製されたポリペプチド磁性ナノ粒子を必要とされる被験者に投与することを含むことを特徴とする、循環腫瘍細胞の検出及び/又は分子型別のための方法。
【請求項14】
前記循環腫瘍細胞の検出及び/又は分子型別のためのバイオマーカーが、PD-L1、HER2、ER、PR、AR、EGFR、VEGFR及びCXCR4から選ばれる1種又は複数種であることを特徴とする、請求項11に記載の使用、又は請求項12に記載のポリペプチド磁性ナノ粒子、又は請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年05月21日に出願された中国特許出願第201910424124.5号に基づく優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
技術分野
本発明は、医学的検査分野に属し、具体的には、ポリペプチド磁性ナノ粒子、その調製方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
がんは、今日、ヒトの健康や生命を深刻に脅かす疾患の一群となっており、世界中でがんで死亡している人数は、年に800万超えている。臨床上における腫瘍の一般的な検出方法としては、画像学と組織生検を利用する場合が多い。しかし、画像学的検査は、解像度の制限により、5mm以下の腫瘍を発見しにくい。また、組織生検は、複数回のサンプリングを実現しにくく、且つ患者に苦痛やリスクをもたらす。腫瘍原発巣から脱落して血液循環に入る循環腫瘍細胞(CTC)は、インサイチュ腫瘍組織のほぼ全ての遺伝的及びタンパク質情報を持つため、CTC検査は、現在の液体生検の一形態として、腫瘍進行状況を動的に反映することができ、腫瘍の治療効果予測、予後評価及び再発モニタリングなどに根拠を提供する。
【0003】
腫瘍は高度に不均質的なものであり、組織学的と形態的に同一である腫瘍であっても、その分子生物学的変化が全く同じであるというわけではなく、異なる生物学的変化によって、異なる生物学的挙動及び治療感受性を示すため、現在臨床で慣用される腫瘍進行度分類、腫瘍悪性度グレード分類などの従来の病理学的型別法による腫瘍予測には限界がある。近年、科学技術の発展に伴い、腫瘍の標的療法及び免疫療法は益々注目されており、腫瘍タイプについての分子診断及び正確な分類が最大の治療効果及び最小の毒性を達成する治療を実現するための鍵となる。従って、腫瘍個別化治療のためには、腫瘍の分子型別が必然的に要求される。腫瘍標的薬による分子診断及び正確な型別並びに標的薬によるコンパニオン診断については、乳がんを例として述べることができる。乳がんは、女性によく見られる悪性腫瘍の一つであり、その発生率が年々上昇し、女性の心身の健康を深刻に脅かす。現在、乳がんの発症・進行に関連する遺伝子は40あまりも発見されており、最も重要なのはヒト上皮成長因子受容体-2(HER2)、ER(エストロゲン受容体)、PR(プロゲストゲン受容体)及びアンドロゲン受容体(AR)などがあり、様々な標的療法及びホルモン療法が研究及び開発されている。HER2陽性乳がん標的薬であるモノクローナル抗体ハーセプチンは、2002年に乳がんの治療における使用が米国食品医薬品局(FDA)によって承認された。臨床的には、進行性乳がんの術前補助療法及び術後補助療法の両方において患者の治療効率を改善し、患者の生存期間を延長することができる有効性を示している。そのため、乳がん分子型別は、腫瘍治療、特に標的薬投与において非常に重要な意味がある。末梢血中のCTCは、インサイチュ腫瘍組織のほぼ全ての遺伝的及びタンパク質情報を持っているため、検査される患者の末梢血中のCTCに対してHER2、ER、PRなどの分子型別を行うことは、患者への臨床治療を指導するのに非常に重要な意味がある。同様に、標的薬の分子型別及びコンパニオン診断は、他のほぼ全ての悪性腫瘍にとって重要な臨床的な価値がある。
【0004】
腫瘍の標的化治療に加えて、腫瘍の免疫療法も近年進んでおり、多くのがんの治療計画を変化させている。免疫チェックポイントに対するPD-1/PD-L1抗体薬物は、現在注目を集めて最も速く発展する腫瘍免疫療法であり、よって、腫瘍細胞のPD-L1発現量は、該免疫療法の効果の前評価に極めて重要なものである。このため、CTCレベルでのPD-L1発現量によるコンパニオン診断は、PD-1/PD-L1抗体薬物の免疫療法に対して重要な臨床指導の意味がある。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明の目的は、従来技術の欠点を解消し、循環腫瘍細胞検査及び腫瘍マーカーの分子型別に用いられるポリペプチド磁性ナノ粒子、並びにその調製方法及び使用を提供することである。
【0006】
本発明の詳細を説明する前に、本明細書で使用する用語を以下のように定義する。
用語「PBS」とは、リン酸塩緩衝液を指す。
用語「HEPES」とは、4-ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸緩衝液を指す。
用語「PD-L1」とは、プログラム細胞死受容体リガンド-1を指す。
用語「HER2」とは、ヒト上皮成長因子受容体2を指す。
用語「ER」とは、エストロゲン受容体を指す。
用語「PR」とは、プロゲスチン受容体を指す。
用語「AR」とは、アンドロゲン受容体を指す。
用語「EGFR」とは、上皮成長因子受容体を指す。
用語「CXCR4」とは、ケモカイン受容体4を指す。
用語「VEGFR」とは、血管内皮細胞増殖因子受容体を指す。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の実施態様は、以下のとおりである。
本発明の第1態様は、特異的な標的ポリペプチドと磁性ナノ粒子とを含み、前記特異的な標的ポリペプチドのアミノ酸配列がVRRDAPRFSMQGLDA-Xで示され、そのC末端のXが5~20個、好ましくは5~15個、より好ましくは9~12個のアミノ酸で構成される配列であり、かつXがCGGNCC、CGGNCN、CGGNNC、CGGNNN、CGGNCCN、CGGNCCNN、CGGNCNN、CGGNCNNN、CGGNNCN、CGGNNCNN、CGGNNNN、CGGNNNNN以外であり、
好ましくは、前記Xのアミノ酸配列におけるアミノ酸がC、G、Nから選ばれる1種又は複数種である、ポリペプチドナノ磁性ナノ粒子を提供する。
【0008】
本発明の第1態様に記載のポリペプチド磁性ナノ粒子において、前記ポリペプチドが上皮細胞接着分子を標的とする特異的な認識ポリペプチドであり、
好ましくは、前記特異的な標的ポリペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:1~9で示され、最も好ましくは、前記特異的な標的ポリペプチドのアミノ酸配列がSEQ ID NO:1で示される。
【0009】
本発明の第1態様に記載のポリペプチド磁性ナノ粒子において、前記磁性ナノ粒子がストレプトアビジン結合磁性ナノ粒子であり、好ましくは、前記磁性ナノ粒子の粒子径が100~900nmであり、より好ましくは、前記磁性ナノ粒子の粒子径が300nm~800nmである。
【0010】
本発明の第2態様は、
(1)ポリペプチド及び磁性ナノ粒子溶液を調製するステップと、
(2)ステップ(1)で調製されたポリペプチドと磁性ナノ粒子溶液を混合して反応させ、前記ポリペプチド磁性ナノ粒子を得るステップと
を含む、第1態様に記載のポリペプチド磁性ナノ粒子の調製方法を提供する。
【0011】
本発明の第2態様に記載の方法において、前記ステップ(1)において、前記ポリペプチド溶液を調製するための溶媒が、水、生理食塩水、PBS、HEPESから選ばれる1種又は複数種であり、及び/又は
前記磁性ナノ粒子溶液を調製するための溶媒が、水、PBS、HEPESから選ばれる1種又は複数種である。
【0012】
本発明の第2態様に記載の方法において、前記ステップ(1)において、前記ポリペプチド溶液の最終濃度が1~1000μg/mLであり、好ましくは100~500μg/mLであり、及び/又は前記磁性ナノ粒子溶液の最終濃度が1~10000μg/mL、好ましくは1000~5000μg/mLである。
【0013】
本発明の第2態様に記載の方法において、前記ステップ(2)において、前記ポリペプチドと前記磁性ナノ粒子との質量比が1:10~5:1であり、好ましくは2:5である。
【0014】
本発明の第3態様は、第1態様に記載のポリペプチド磁性ナノ粒子、又は第2態様に記載の調製方法により調製されたポリペプチド磁性ナノ粒子のがんを診断又は治療するための医薬及び/又は医療製品の調製における使用を提供する。
【0015】
本発明の第4態様は、第1態様に記載のポリペプチド磁性ナノ粒子、または第2態様に記載の調製方法により調製されたポリペプチド磁性ナノ粒子を必要とされる被験者に投与することを含む、がんを診断又は治療するための方法を提供する。
【0016】
本発明の第3態様に記載の使用又は第4態様に記載の方法において、前記がんが、食道がん、肝がん、肺がん、胃がん、乳がん、結腸・直腸がん、子宮頸がん、甲状腺がん、前立腺がん、膵がん、腎臓がん、膀胱がん、皮膚がん、黒色腫等から選ばれる1種又は複数種であり、好ましくは、乳がん、食道がん、胃がん、肝がん、肺がん、結腸・直腸がん、子宮頸がん及び/又は前立腺がん等である。
【0017】
本発明の第5態様は、第1態様に記載のポリペプチド磁性ナノ粒子又は第2態様に記載の調製方法により調製されたポリペプチド磁性ナノ粒子の循環腫瘍細胞の検出及び/又は分子型別のための医薬及び/又は医療製品の調製における使用を提供する。
【0018】
本発明の第6態様は、第1態様に記載のポリペプチド磁性ナノ粒子または第2態様に記載の調製方法により調製されたポリペプチド磁性ナノ粒子を含む、がんを診断又は治療するためのポリペプチド磁性ナノ粒子、及び/又は循環腫瘍細胞の検出及び/又は分子型別のためのポリペプチド磁性ナノ粒子を提供する。
【0019】
本発明の第7態様は、第1態様に記載のポリペプチド磁性ナノ粒子、または第2態様に記載の調製方法により調製されたポリペプチド磁性ナノ粒子を必要とされる被験者に投与することを含む、循環腫瘍細胞の検出及び/又は分子型別のための方法を提供する。
【0020】
本発明の第5態様の使用、又は第6態様に記載のポリペプチド磁性ナノ粒子、又は第7態様の方法において、前記循環腫瘍細胞の検出及び/又は分子型別のためのバイオマーカーが、PD-L1、HER2、ER、PR、AR、EGFR、CXCR4、VEGFRなどから選ばれる1種又は複数種である。
【0021】
本発明は、
1)対応する好ましい配列がVRRDAPRFSMQGLDACGGNNCNNNNN及びその可能な変異体である、上皮細胞接着分子(EpCAM)を標的とする特異的な認識ポリペプチドと、
2)粒子径が100~900nmであり、好ましくは粒子径が300nm~800nmであるストレプトアビジン結合磁性ナノ粒子と、を含むCTC検出用のポリペプチド磁性ナノ粒子を提供する。
【0022】
前記1)と2)を結合させる方法は、
a)ポリペプチド粉末を一定量の溶媒に溶解させ、濃度が1~1000μg/mLのポリペプチド溶液を得て、
好ましくは、前記溶媒が水、生理食塩水、PBS、HEPESのようなポリペプチドの良溶媒から選ばれるステップと、
b)磁性ナノ粒子を一定量の溶媒で希釈し、濃度が1~10000μg/mLの磁性ナノ粒子溶液を得て、
好ましくは、前記溶媒が水、PBS、HEPESのような磁気ビーズ分散剤であるステップと、
c)前記ポリペプチド溶液と磁性ナノ粒子溶液を一定の割合で混合し、25~37℃に置き、回転数が100~160rpmのシェーカーで0.5~2時間反応させ、得られたポリペプチド磁性ナノ粒子組立体を好ましくは遠心回転数が5000~10000rpmで遠心洗浄し、得られたポリペプチド磁性ナノ粒子懸濁液を4℃で保存するステップと、を含む。
【0023】
本発明は、また、前記ポリペプチドナノ検出装置によるCTC検出を提供する。
好ましくは、前記CTCがSK-BR-3、MCF-7、MDA-MB-231、H1975、H1650及びA549腫瘍細胞である。
【0024】
本発明は、また、前記ポリペプチドナノ検出装置による腫瘍患者の末梢血中のCTC検出及び検出されたCTCに対する腫瘍マーカーの分子型別を提供する。好ましくは、乳がん、食道がん、胃がん、肝がん、肺がん、結腸・直腸がん、子宮頸がん、前立腺がん等のがん患者の末梢血におけるCTC検出及び分子型別に適用する。前記ポリペプチドナノテクノロジーによるCTC検出は、インキュベーション、洗浄、遠心分離、固定、ブロッキング、免疫蛍光染色、CTC同定などのステップを含む。
【0025】
本発明は、また、検出されたCTCに対する関連分子型別を提供する。CTC関連分子型別の同定は、CTC関連分子の蛍光強度を統計的に分析し、特定の閾値によって発現強度を画定することを含む。分子型別には陽性発現及び陰性発現が含まれ、陽性発現には高発現、中発現、及び低発現が含まれる。
【0026】
CTC分子型別のバイオマーカーには、PD-L1、HER2、ER、PR、AR、EGFR、CXCR4、及びVEGFRなどの様々な固形腫瘍細胞のバイオマーカーが含まれる。
【0027】
ポリペプチドナノ磁気ビーズ技術は、食道がん、肝がん、肺がん、胃がん、乳がん、結腸・直腸がん、子宮頸がん、甲状腺がん、前立腺がん、膵がん、腎臓がん、膀胱がん、皮膚がん、黒色腫などを含む、脳腫瘍、骨肉腫、リンパ腫以外のほとんどすべての固形腫瘍に適用することができる。
【0028】
本発明の目的の一つは、循環腫瘍細胞の検出及び腫瘍マーカーの分子型別のためのポリペプチド磁性ナノ粒子及びその使用を提供することである。該方法によれば、乳がんに対する体外診断及び分子型別を実現することができる。該方法は、取り扱いが簡単で、コストが低く、検出過程が速やかで、非侵襲の特性で従来の病理検査によって患者に与える苦痛を回避できる。それに加えて、該方法によれば、病状をリアルタイムに追跡することが期待でき、病状の進行に応じて治療レジメンをタイムリーに調整し、個別化医療を実現するために指導思想を提供する。
【0029】
本発明は、循環腫瘍細胞のHER2、ER、PR、AR、EGFR、VEGFR、PD-L1等のタンパク質のがん診断及び分子型別マーカーとしての使用を開示している。本発明は、倒立蛍光顕微鏡によってタンパク質マーカーの発現量を検出して腫瘍患者の分子型別とする使用である。本発明の実験によって、臨床血液試料の検査において該方法を診断及び分子型別に用いる可能性を検証した。
【0030】
本発明を実施するための形態によれば、本発明の適用において、前記腫瘍は、乳がん、肝がん、肺がん、胃がん、食道がん、結腸・直腸がん、前立腺がん及び子宮頸がんの1種又は複数種を含む。
【0031】
本発明の循環腫瘍細胞の検出及び分子型別のためのポリペプチド磁性ナノ粒子は、以下の有益な効果を有するが、これらに限定されない。
【0032】
1.本発明に記載のポリペプチドナノテクノロジーは、CTCの検出において比較的に高い感度と特異性を有し、乳がん、肝がん、肺がん、胃がん、食道がん、結腸・直腸がん、前立腺がん及び子宮頸がん等を含む、臨床上の多種の腫瘍の患者の末梢血に対してCTC検出を行うことができる。
【0033】
2.本発明は、検出されたCTCに対して腫瘍関連マーカーの分子型別を行う方法に関する。当該循環腫瘍細胞における目的のタンパク質マーカーの発現量を利用して被験者に対して体外診断及び分子型別を行う方法によれば、疾患の早期スクリーニング及び病状のリアルタイム追跡を実現することが期待でき、腫瘍検出の補助及び治療効果の追跡に新たな方法を提供し、同時に予後評価の重要な手段となり得、個別化医療を実現するために指導思想を提供し、患者の生存品質の向上や生存期間の延長に良好な使用の将来性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【
図1】
図1は、試験例1 NO:1のポリペプチドナノ磁気ビーズによって乳がん細胞を富化し且つHER2分子型別を行った結果を示す。
図1Aは、試験例1 SEQ ID NO:1のポリペプチドナノ磁気ビーズによるSK-BR-3、MCF-7、MDA-MB-231乳がん細胞の捕捉である。
図1Bは、試験例1 SEQ ID NO:1のポリペプチドナノ磁気ビーズによって検出されたHER2の発現量が異なる典型的な乳がん細胞である。
【
図2】
図2は、試験例2 SEQ ID NO:1のポリペプチドナノ磁気ビーズによって肺がん細胞を富化し且つPD-L1分子型別を行った結果を示す。
図2Aは、試験例2 SEQ ID NO:1のポリペプチドナノ磁気ビーズによるH1975、H1650及びA549肺がん細胞の捕捉である。
図2Bは、試験例2 SEQ ID NO:1のポリペプチドナノ磁気ビーズによって検出されたPD-L1の発現量が異なる典型的な肺がん細胞である。
【
図3】
図3は、試験例3で検出されたHER2の発現量が異なる乳がん患者の末梢血中の典型的なCTCである。
【
図4】
図4は、試験例4で検出されたERの発現量が異なる乳がん患者の末梢血中の典型的なCTCである。
【
図5】
図5は、試験例5で検出された典型的なPR分子の発現量が異なる乳がん患者の末梢血中のCTCである。
【
図6】
図6は、試験例6で検出された典型的なAR分子の発現量が異なる乳がん患者の末梢血中のCTCである。
【
図7】
図7は、試験例7で検出された典型的なPD-L1分子の発現量が異なる食道がん患者の末梢血中のCTCである。
【
図8】
図8は、試験例8で検出された典型的なPD-L1分子の発現量が異なる肺がん患者の末梢血中のCTCである。
【
図9】
図9は、試験例9で検出された典型的なEGFR分子の発現量が異なる肺がん患者の末梢血中のCTCである。
【
図10】
図10は、試験例10で検出された典型的なPD-L1分子の発現量が異なる肝がん患者の末梢血中のCTCである。
【
図11】
図11は、試験例11で検出された典型的なPD-L1分子の発現量が異なる子宮頸がん患者の末梢血中のCTCである。
【
図12】
図12は、試験例12で検出された典型的なPD-L1分子の発現量が異なる胃がん患者の末梢血中のCTCである。
【
図13】
図13は、試験例13で検出された典型的なCXCR4分子の発現量が異なる乳がん患者の末梢血中のCTCである。
【
図14】
図14は、試験例14で検出された典型的なHER2分子の発現量が異なる胃がん患者の末梢血中のCTCである。
【
図15】
図15は、試験例15で検出された典型的なHER2分子の発現量が異なる腸がん患者の末梢血中のCTCである。
【
図16】
図16は、試験例16で検出された典型的なPD-L1分子の発現量が異なる腸がん患者の末梢血中のCTCである。
【
図17】
図17は、試験例17で検出された典型的なVEGFR分子の発現量が異なる腸がん患者の末梢血中のCTCである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、具体的な実施例により本発明をさらに説明するが、これらの実施例は、単により詳細に説明するためのものであり、本発明を何ら限定するものではないと理解される。実施例において具体的な技術又は条件が明記されないものは、当分野の文献に記載された技術又は条件に従って、又は製品の説明書に従って行う。使用される試薬又は機器について、製造メーカーが明記されないものは、いずれも通常の市販によって入手できる汎用品である。
【0036】
ここでは、本発明の試験に使用される材料及び試験方法の一般的な説明を行う。本発明の目的を達成するために使用される材料及び操作方法の多くは、当分野で周知のものであるが、本発明においてここで可能な限り詳細に記載される。本発明で使用される材料及び操作方法は、文脈において特に断らない限り、当分野で周知されるものであることが当業者に明らかである。
【0037】
以下の実施例で使用されたヒト腫瘍細胞株SK-BR-3、MCF-7、MDA-MB-231、H1975、H1650、及びA549は、特に断らない限り、中国医学科学院基礎研究所の細胞バンクから購入された。
以下の実施例で用いられたポリペプチドは、特に断らない限り、純度が98%以上である。
以下の実施例で用いられた水溶液の溶媒は、特に断らない限り、抵抗率が18.2MΩ・cmの滅菌超純水溶液である。
以下の実施例で用いられた試薬は、特に断らない限り、分析用試薬である。
以下の実施例で用いられた走査顕微鏡は、特に断らない限り、オリンパス顕微鏡IX73である。
以下の実施例に用いられた試薬及び機器は、以下のとおりである。
【0038】
試薬:
磁気ビーズは、Thermo Fisherから購入されたものである。
ポリペプチドは、BEIJING NANOPEP BIOTECH社により自社合成し、純度98%のものである。
PBS、パラホルムアルデヒド、完全培地、DAPI作動液、及び免疫蛍光染色ブロッキング液は、いずれもHycloneから購入されたものである。
【0039】
機器:
磁気ビーズ分離ラックは、BEIJING NANOPEP BIOTECH社自社製、15mLの遠心チューブをセットすることができるものを使用した。
蛍光顕微鏡:
Olympus IX73は、BEIJING ColdSpring Science Corporationから購入されたものである。
ZEISS Axio Vert A1及びZEISS Z2は、Zeiss Far East株式会社から購入されたものである。
Thermo Fisher CX5は、Thermo Fisherから購入されたものである。
NikonTi-Sは、Beijing Sun Joy Instrument Trading Co., Ltd.から購入されたものである。
ZEISS Z2が優先的に推奨され、次にOlympus IX73及びThermo Fisher CX5が推奨される。
【実施例】
【0040】
実施例1:ポリペプチド磁性ナノ粒子組立体の調製
1)500nmの磁気ビーズ400μLを2mLのエッペンチューブに取り、1mLのPBSを加えて洗浄し、続いてチューブを磁気ビーズ分離ラックに置いて10分間磁気ビーズを富化させ、上澄みを廃棄した。
2)2mlのPBSを加えて洗浄し、続いてチューブを磁気ビーズ分離ラックに置いて10分間磁気ビーズを富化させ、上澄みを廃棄した。
3)1mLのPBSを加えてポリペプチド粉末を溶解させ、ボルテックス振とうしてから、ポリペプチド溶液を磁気ビーズが入れられたエッペンチューブに加えて、ボルテクサで1分間ボルテックスし、ポリペプチド磁気ビーズ混合液を脱色シェーカーに置き、回転数を60rpmに調整し、室温で1時間インキュベートした。
4)エッペンチューブを磁気ビーズ分離ラックに置いてポリペプチド磁気ビーズを10分間富化させ、上澄みを廃棄した。1.5mlのPBSを加えて3回洗浄した。
5)400μLのPBSを加えて、1分間ボルテックスし、調製されたポリペプチドビーズを4℃の冷蔵庫に保存した。
以下の試験例において、試験例1~2は、SEQ ID NO:1~9のポリペプチド磁性ナノ粒子組立体を採用し、試験例3~17は、SEQ ID NO:1のポリペプチド磁性ナノ粒子組立体を採用した。
【0041】
試験例1:ポリペプチド磁性ナノ粒子による乳がん細胞の富化及びHER2分子型別
対数増殖期にあるSK-BR-3、MCF-7及びMDA-MB-231細胞を収集し、細胞をそれぞれの完全培地(ウシ胎児血清10%、ペニシリン100U/mL、ストレプトマイシン100μg/mLを含む)に再懸濁し、細胞濃度をカウントし、各細胞はそれぞれ約1000個を取って2mLの健常人の血液に添加し、10μLのポリペプチドナノ磁気ビーズを加えて均一に混合し、室温のシェーカーで1時間インキュベートし、遠心チューブを取り外し、5mLのPBSを加えて穏やかに均一に混合し、磁気ビーズ分離ラックに置き、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、5mLのPBSを加え、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、遠心チューブを磁気ビーズ分離ラックから取り外し、パラホルムアルデヒドで管壁における磁気ビーズを吹き下ろし、室温で30分間固定し、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;DAPI作動液を滴下して細胞核を染色し、細胞核染色終了後に5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;200μLの免疫蛍光染色ブロッキング液を加え、室温で30分間ブロッキングし、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;富化された細胞をそれぞれFITC-CK、PE-CD45及びAlexa Fluor 647-HER2(Abcam)抗体で1時間染色し、5mLのPBSを加えて遠心洗浄し、マウンティングして対物レンズ20倍で観察することにより細胞界面を見つけ、DAPI、FITC、PE及びAlexa Fluor 647の各蛍光チャネルに対応する露光時間を設定してサンプル領域に蛍光スキャンを行い、検出された細胞に対してCTC同定及びHER2蛍光強度分析を行った。DAPI+/CK+/CD45-であって且つ細胞形態に合った細胞がCTCと考えられ、DAPI+/CK+/HER2+/CD45-の細胞がHER2を発現したCTCと考えられ、HER2チャネルの蛍光強度に基づいてCTCのHER2発現量を調べた。
図1Aに示すように、SEQ ID NO:1のポリペプチドナノ磁気ビーズは、SK-BR-3、MCF-7及びMDA-MB-231に対する捕捉率の安定性に優れ、いずれも90%以上に達していることから、該ポリペプチドナノ磁気ビーズが乳がん細胞に対して非常に高い富化及び検出効率を有することを表している。
図1Bは、SEQ ID NO:1のポリペプチドナノ磁気ビーズによって富化されたHER2の発現量が異なる乳がん細胞であり、表1は、SEQ ID NO:1~9によるSK-BR-3、MCF-7、及びMDA-MB-231の3種の乳がん細胞に対する検出率である。
【0042】
【0043】
試験例2:ポリペプチド磁性ナノ粒子による肺がん細胞の富化及びPD-L1分子型別
対数増殖期にあるH1975、H1650、及びA549肺がん細胞を収集し、細胞をそれぞれの完全培地(ウシ胎児血清10%、ペニシリン100U/mL、ストレプトマイシン100μg/mLを含む)に再懸濁し、細胞濃度をカウントし、各細胞はそれぞれ約1000個を取って2mLの健常人の血液に添加し、10μLのポリペプチドナノ磁気ビーズを加えて均一に混合し、室温のシェーカーで1時間インキュベートし、遠心チューブを取り外し、5mLのPBSを加えて穏やかに均一に混合し、磁気ビーズ分離ラックに置き、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、5mLのPBSを加え、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、遠心チューブを磁気ビーズ分離ラックから取り外し、パラホルムアルデヒドで管壁における磁気ビーズを吹き下ろし、室温で30分間固定し、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;DAPI作動液を滴下して細胞核を染色し、細胞核染色終了後に5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;200μLの免疫蛍光染色ブロッキング液を加え、室温で30分間ブロッキングし、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;富化されたCTCをそれぞれFITC-CK、PE-CD45及びAlexa Fluor 647-PD-L1抗体で1時間染色し、5mLのPBSを加えて遠心洗浄し、マウンティングして対物レンズ20倍で観察し、DAPI、FITC、PE及びAlexa Fluor 647の各蛍光チャネルに対応する露光時間を設定してサンプル領域に対して蛍光スキャン及び蛍光強度分析を行った。DAPI+/CK+/CD45-であって且つ細胞形態に合った細胞がCTCと考えられ、DAPI+/CK+/PD-L1+/CD45-の細胞がPD-L1を発現したCTCと考えられ、PD-L1チャネルの蛍光強度に基づいてCTCのPD-L1発現量を調べた。
図2Aに示すように、該ポリペプチドナノ磁気ビーズは、H1975、H1650及びA549に対する捕捉率がいずれも60%以上に達していることから、該ポリペプチドナノ磁気ビーズが乳がん細胞に対して非常に高い富化及び検出効率を有することを表している。
図2Bは、SEQ ID NO:1のポリペプチドナノ磁気ビーズによって富化されたPD-L1分子の発現量が異なる肺がん細胞である。表2は、SEQ ID NO:1~9によるH1975細胞、H1650細胞及びA549肺がん細胞に対する検出率である。
【0044】
【0045】
試験例3:ポリペプチド磁性ナノ粒子による乳がん患者の末梢血中のCTCの検出及びHER2分子型別
2mLの乳がん患者の末梢血を15mLの遠心チューブに取り、10μLのポリペプチドナノ磁気ビーズを加えて均一に混合し、室温のシェーカーで1時間インキュベートし、遠心チューブを取り外し、5mLのPBSを加えて穏やかに均一に混合し、磁気ビーズ分離ラックに置き、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、5mLのPBSを加え、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、遠心チューブを磁気ビーズ分離ラックから取り外し、パラホルムアルデヒドで管壁における磁気ビーズを吹き下ろし、室温で30分間固定し、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;DAPI作動液を滴下して細胞核を染色し、細胞核染色終了後に5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;200μLの免疫蛍光染色ブロッキング液を加え、室温で30分間ブロッキングし、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;富化された細胞をそれぞれFITC-CK、PE-CD45及びAlexa Fluor 647-HER2(Abcam)抗体で1時間染色する;5mLのPBSを加えて遠心洗浄し、マウンティングして対物レンズ20倍で観察することにより細胞界面を見つけ、DAPI、FITC、PE及びAlexa Fluor 647の各蛍光チャネルに対応する露光時間を設定してサンプル領域に蛍光スキャンを行い、検出された細胞に対してCTC同定及びHER2蛍光強度分析を行った。DAPI+/CK+/CD45-であって且つ細胞形態に合った細胞がCTCと考えられ、DAPI+/CK+/HER2+/CD45-の細胞がHER2を発現したCTCと考えられ、HER2チャネルの蛍光強度に基づいてCTCのHER2発現量を調べた。
図3は、検出された典型的なHRE2の発現量が異なる乳がん患者の末梢血中のCTCである。
【0046】
試験例4:ポリペプチド磁性ナノ粒子による乳がん患者の末梢血中のCTCの検出及びER分子型別
2mLの乳がん患者の末梢血を15mLの遠心チューブに取り、10μLのポリペプチドナノ磁気ビーズを加えて均一に混合し、室温のシェーカーで1時間インキュベートし、遠心チューブを取り外し、5mLのPBSを加えて穏やかに均一に混合し、磁気ビーズ分離ラックに置き、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、5mLのPBSを加え、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、遠心チューブを磁気ビーズ分離ラックから取り外し、パラホルムアルデヒドで管壁における磁気ビーズを吹き下ろし、室温で30分間固定し、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;DAPI作動液を滴下して細胞核を染色し、細胞核染色終了後に5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;200μLの免疫蛍光染色ブロッキング液を加え、室温で30分間ブロッキングし、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;富化された細胞をそれぞれFITC-CK、PE-CD45及びAlexa Fluor 647-ER(Abcam)抗体で1時間染色する;5mLのPBSを加えて遠心洗浄し、マウンティングして対物レンズ20倍で観察することにより細胞界面を見つけ、DAPI、FITC、PE及びAlexa Fluor 647の各蛍光チャネルに対応する露光時間を設定してサンプル領域に蛍光スキャンを行い、検出された細胞に対してCTC同定及びER蛍光強度分析を行った。DAPI+/CK+/CD45-であって且つ細胞形態に合った細胞がCTCと考えられ、DAPI+/CK+/ER+/CD45-の細胞がERを発現したCTCと考えられ、ERチャネルの蛍光強度に基づいてCTCのER発現量を調べた。
図4は、検出された典型的なER分子の発現量が異なる乳がん患者の末梢血中のCTCである。
【0047】
試験例5:ポリペプチド磁性ナノ粒子による乳がん患者の末梢血中のCTCの検出及びPR分子型別
2mLの乳がん患者の末梢血を15mLの遠心チューブに取り、10μLのポリペプチドナノ磁気ビーズを加えて均一に混合し、室温のシェーカーで1時間インキュベートし、遠心チューブを取り外し、5mLのPBSを加えて穏やかに均一に混合し、磁気ビーズ分離ラックに置き、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、5mLのPBSを加え、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、遠心チューブを磁気ビーズ分離ラックから取り外し、パラホルムアルデヒドで管壁における磁気ビーズを吹き下ろし、室温で30分間固定し、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;DAPI作動液を滴下して細胞核を染色し、細胞核染色終了後に5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;200μLの免疫蛍光染色ブロッキング液を加え、室温で30分間ブロッキングし、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;富化された細胞をそれぞれFITC-CK、PE-CD45及びAlexa Fluor 647-PR(Abcam)抗体で1時間染色する;5mLのPBSを加えて遠心洗浄し、マウンティングして対物レンズ20倍で観察することにより細胞界面を見つけ、DAPI、FITC、PE及びAlexa Fluor 647の各蛍光チャネルに対応する露光時間を設定してサンプル領域に蛍光スキャンを行い、検出された細胞に対してCTC同定及びPR蛍光強度分析を行った。DAPI+/CK+/CD45-であって且つ細胞形態に合った細胞がCTCと考えられ、DAPI+/CK+/PR+/CD45-の細胞がPRを発現したCTCと考えられ、PRチャネルの蛍光強度に基づいてCTCのPR発現量を調べた。
図5は、検出された典型的なPR分子の発現量が異なる乳がん患者の末梢血中のCTCである。
【0048】
試験例6:ポリペプチド磁性ナノ粒子による乳がん患者の末梢血中のCTCの検出及びAR分子型別
2mLの乳がん患者の末梢血を15mLの遠心チューブに取り、10μLのポリペプチドナノ磁気ビーズを加えて均一に混合し、室温のシェーカーで1時間インキュベートし、遠心チューブを取り外し、5mLのPBSを加えて穏やかに均一に混合し、磁気ビーズ分離ラックに置き、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、5mLのPBSを加え、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、遠心チューブを磁気ビーズ分離ラックから取り外し、パラホルムアルデヒドで管壁における磁気ビーズを吹き下ろし、室温で30分間固定し、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;DAPI作動液を滴下して細胞核を染色し、細胞核染色終了後に5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;200μLの免疫蛍光染色ブロッキング液を加え、室温で30分間ブロッキングし、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;富化された細胞をそれぞれFITC-CK、PE-CD45及びAlexa Fluor 647-AR(Abcam)抗体で1時間染色する;5mLのPBSを加えて遠心洗浄し、マウンティングして対物レンズ20倍で観察することにより細胞界面を見つけ、DAPI、FITC、PE及びAlexa Fluor 647の各蛍光チャネルに対応する露光時間を設定してサンプル領域に蛍光スキャンを行い、検出された細胞に対してCTC同定及びAR蛍光強度分析を行った。DAPI+/CK+/CD45-であって且つ細胞形態に合った細胞がCTCと考えられ、DAPI+/CK+/AR+/CD45-の細胞がARを発現したCTCと考えられ、ARチャネルの蛍光強度に基づいてCTCのAR発現量を調べた。
図6は、検出された典型的なAR分子の発現量が異なる乳がん患者の末梢血中のCTCである。
【0049】
試験例7:ポリペプチド磁性ナノ粒子による食道がん患者の末梢血中のCTCの検出及びPD-L1分子型別
2mLの食道がん患者の末梢血を15mLの遠心チューブに取り、10μLのポリペプチドナノ磁気ビーズを加えて均一に混合し、室温のシェーカーで1時間インキュベートし、遠心チューブを取り外し、5mLのPBSを加えて穏やかに均一に混合し、磁気ビーズ分離ラックに置き、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、5mLのPBSを加え、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、遠心チューブを磁気ビーズ分離ラックから取り外し、パラホルムアルデヒドで管壁における磁気ビーズを吹き下ろし、室温で30分間固定し、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;DAPI作動液を滴下して細胞核を染色し、細胞核染色終了後に5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;200μLの免疫蛍光染色ブロッキング液を加え、室温で30分間ブロッキングし、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;富化された細胞をそれぞれFITC-CK、PE-CD45及びAlexa Fluor 647-PD-L1(Abcam)抗体で1時間染色する;5mLのPBSを加えて遠心洗浄し、マウンティングして対物レンズ20倍で観察することにより細胞界面を見つけ、DAPI、FITC、PE及びAlexa Fluor 647の各蛍光チャネルに対応する露光時間を設定してサンプル領域に蛍光スキャンを行い、検出された細胞に対してCTC同定及びPD-L1蛍光強度分析を行った。DAPI+/CK+/CD45-であって且つ細胞形態に合った細胞がCTCと考えられ、DAPI+/CK+/PD-L1+/CD45-の細胞がPD-L1を発現したCTCと考えられ、PD-L1チャネルの蛍光強度に基づいてCTCのPD-L1発現量を調べた。
図7は、検出された典型的なPD-L1分子の発現量が異なる食道がん患者の末梢血中のCTCである。
【0050】
試験例8:ポリペプチド磁性ナノ粒子による肺がん患者の末梢血中のCTCの検出及びPD-L1分子型別
2mLの肺がん患者の末梢血を15mLの遠心チューブに取り、10μLのポリペプチドナノ磁気ビーズを加えて均一に混合し、室温のシェーカーで1時間インキュベートし、遠心チューブを取り外し、5mLのPBSを加えて穏やかに均一に混合し、磁気ビーズ分離ラックに置き、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、5mLのPBSを加え、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、遠心チューブを磁気ビーズ分離ラックから取り外し、パラホルムアルデヒドで管壁における磁気ビーズを吹き下ろし、室温で30分間固定し、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;DAPI作動液を滴下して細胞核を染色し、細胞核染色終了後に5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;200μLの免疫蛍光染色ブロッキング液を加え、室温で30分間ブロッキングし、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;富化された細胞をそれぞれFITC-CK、PE-CD45及びAlexa Fluor 647-PD-L1(Abcam)抗体で1時間染色する;5mLのPBSを加えて遠心洗浄し、マウンティングして対物レンズ20倍で観察することにより細胞界面を見つけ、DAPI、FITC、PE及びAlexa Fluor 647の各蛍光チャネルに対応する露光時間を設定してサンプル領域に蛍光スキャンを行い、検出された細胞に対してCTC同定及びPD-L1蛍光強度分析を行った。DAPI+/CK+/CD45-であって且つ細胞形態に合った細胞がCTCと考えられ、DAPI+/CK+/PD-L1+/CD45-の細胞がPD-L1を発現したCTCと考えられ、PD-L1チャネルの蛍光強度に基づいてCTCのPD-L1発現量を調べた。
図8は、検出された典型的なPD-L1分子の発現量が異なる肺がん患者の末梢血中のCTCである。
【0051】
試験例9:ポリペプチド磁性ナノ粒子による肺がん患者の末梢血中のCTCの検出及びEGFR分子型別
2mLの肺がん患者の末梢血を15mLの遠心チューブに取り、10μLのポリペプチドナノ磁気ビーズを加えて均一に混合し、室温のシェーカーで1時間インキュベートし、遠心チューブを取り外し、5mLのPBSを加えて穏やかに均一に混合し、磁気ビーズ分離ラックに置き、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、5mLのPBSを加え、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、遠心チューブを磁気ビーズ分離ラックから取り外し、パラホルムアルデヒドで管壁における磁気ビーズを吹き下ろし、室温で30分間固定し、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;DAPI作動液を滴下して細胞核を染色し、細胞核染色終了後に5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;200μLの免疫蛍光染色ブロッキング液を加え、室温で30分間ブロッキングし、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;富化された細胞をそれぞれFITC-CK、PE-CD45及びAlexa Fluor 647-EGFR(Abcam)抗体で1時間染色する;5mLのPBSを加えて遠心洗浄し、マウンティングして対物レンズ20倍で観察することにより細胞界面を見つけ、DAPI、FITC、PE及びAlexa Fluor 647の各蛍光チャネルに対応する露光時間を設定してサンプル領域に蛍光スキャンを行い、検出された細胞に対してCTC同定及びEGFR蛍光強度分析を行った。DAPI+/CK+/CD45-であって且つ細胞形態に合った細胞がCTCと考えられ、DAPI+/CK+/EGFR+/CD45-の細胞がEGFRを発現したCTCと考えられ、EGFRチャネルの蛍光強度に基づいてCTCのEGFR発現量を調べた。
図9は、検出された典型的なEGFR分子の発現量が異なる肺がん患者の末梢血中のCTCである。
【0052】
試験例10:ポリペプチド磁性ナノ粒子による肝がん患者の末梢血中のCTCの検出及びPD-L1分子型別
2mLの肝がん患者の末梢血を15mLの遠心チューブに取り、10μLのポリペプチドナノ磁気ビーズを加えて均一に混合し、室温のシェーカーで0.5~1時間インキュベートし、遠心チューブを取り外し、5mLのPBSを加えて穏やかに均一に混合し、磁気ビーズ分離ラックに置き、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、5mLのPBSを加え、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、遠心チューブを磁気ビーズ分離ラックから取り外し、パラホルムアルデヒドで管壁における磁気ビーズを吹き下ろし、室温で30分間固定し、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;DAPI作動液を滴下して細胞核を染色し、細胞核染色終了後に5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;200μLの免疫蛍光染色ブロッキング液を加え、室温で30分間ブロッキングし、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;富化された細胞をそれぞれFITC-CK、PE-CD45及びAlexa Fluor 647-PD-L1(Abcam)抗体で1時間染色する;5mLのPBSを加えて遠心洗浄し、マウンティングして対物レンズ20倍で観察することにより細胞界面を見つけ、DAPI、FITC、PE及びAlexa Fluor 647の各蛍光チャネルに対応する露光時間を設定してサンプル領域に蛍光スキャンを行い、検出された細胞に対してCTC同定及びPD-L1蛍光強度分析を行った。DAPI+/CK+/CD45-であって且つ細胞形態に合った細胞がCTCと考えられ、DAPI+/CK+/PD-L1+/CD45-の細胞がPD-L1を発現したCTCと考えられ、PD-L1チャネルの蛍光強度に基づいてCTCのPD-L1発現量を調べた。
図10は、検出された典型的なPD-L1分子の発現量が異なる肝がん患者の末梢血中のCTCである。
【0053】
試験例11:ポリペプチド磁性ナノ粒子による子宮頸がん患者の末梢血中のCTCの検出及びPD-L1分子型別
2mLの子宮頸がん患者の末梢血をの遠心チューブに取り、10μLのポリペプチドナノ磁気ビーズを加えて均一に混合し、室温のシェーカーで1時間インキュベートし、遠心チューブを取り外し、5mLのPBSを加えて穏やかに均一に混合し、磁気ビーズ分離ラックに置き、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、5mLのPBSを加え、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、遠心チューブを磁気ビーズ分離ラックから取り外し、パラホルムアルデヒドで管壁における磁気ビーズを吹き下ろし、室温で30分間固定し、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;DAPI作動液を滴下して細胞核を染色し、細胞核染色終了後に5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;200μLの免疫蛍光染色ブロッキング液を加え、室温で30分間ブロッキングし、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;富化された細胞をそれぞれFITC-CK、PE-CD45及びAlexa Fluor 647-PD-L1(Abcam)抗体で1時間染色する;5mLのPBSを加えて遠心洗浄し、マウンティングして対物レンズ20倍で観察することにより細胞界面を見つけ、DAPI、FITC、PE及びAlexa Fluor 647の各蛍光チャネルに対応する露光時間を設定してサンプル領域に蛍光スキャンを行い、検出された細胞に対してCTC同定及びPD-L1蛍光強度分析を行った。DAPI+/CK+/CD45-であって且つ細胞形態に合った細胞がCTCと考えられ、DAPI+/CK+/PD-L1+/CD45-の細胞がPD-L1を発現したCTCと考えられ、PD-L1チャネルの蛍光強度に基づいてCTCのPD-L1発現量を調べた。
図11は、検出された典型的なPD-L1分子の発現量が異なる子宮頸がん患者の末梢血中のCTCである。
【0054】
試験例12:ポリペプチド磁性ナノ粒子による胃がん患者の末梢血中のCTCの検出及びPD-L1分子型別
2mLの胃がん患者の末梢血を15mLの遠心チューブに取り、10μLのポリペプチドナノ磁気ビーズを加えて均一に混合し、室温のシェーカーで1時間インキュベートし、遠心チューブを取り外し、5mLのPBSを加えて穏やかに均一に混合し、磁気ビーズ分離ラックに置き、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、5mLのPBSを加え、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、遠心チューブを磁気ビーズ分離ラックから取り外し、パラホルムアルデヒドで管壁における磁気ビーズを吹き下ろし、室温で30分間固定し、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;DAPI作動液を滴下して細胞核を染色し、細胞核染色終了後に5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;200μLの免疫蛍光染色ブロッキング液を加え、室温で30分間ブロッキングし、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;富化された細胞をそれぞれFITC-CK、PE-CD45及びAlexa Fluor 647-PD-L1(Abcam)抗体で1時間染色する;5mLのPBSを加えて遠心洗浄し、マウンティングして対物レンズ20倍で観察することにより細胞界面を見つけ、DAPI、FITC、PE及びAlexa Fluor 647の各蛍光チャネルに対応する露光時間を設定してサンプル領域に蛍光スキャンを行い、検出された細胞に対してCTC同定及びPD-L1蛍光強度分析を行った。DAPI+/CK+/CD45-であって且つ細胞形態に合った細胞がCTCと考えられ、DAPI+/CK+/PD-L1+/CD45-の細胞がPD-L1を発現したCTCと考えられ、PD-L1チャネルの蛍光強度に基づいてCTCのPD-L1発現量を調べた。
図12は、検出された典型的なPD-L1分子の発現量が異なる胃がん患者の末梢血中のCTCである。
【0055】
試験例13:ポリペプチド磁性ナノ粒子による乳がん患者の末梢血中のCTCの検出及びCXCR4分子型別
2mLの乳がん患者の末梢血を15mLの遠心チューブに取り、10μLのポリペプチドナノ磁気ビーズを加えて均一に混合し、室温のシェーカーで1時間インキュベートし、遠心チューブを取り外し、5mLのPBSを加えて穏やかに均一に混合し、磁気ビーズ分離ラックに置き、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、5mLのPBSを加え、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、遠心チューブを磁気ビーズ分離ラックから取り外し、パラホルムアルデヒドで管壁における磁気ビーズを吹き下ろし、室温で30分間固定し、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;DAPI作動液を滴下して細胞核を染色し、細胞核染色終了後に5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;200μLの免疫蛍光染色ブロッキング液を加え、室温で30分間ブロッキングし、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;富化された細胞をそれぞれFITC-CK、PE-CD45及びAlexa Fluor 647-CXCR4(Abcam)抗体で1時間染色する;5mLのPBSを加えて遠心洗浄し、マウンティングして対物レンズ20倍で観察することにより細胞界面を見つけ、DAPI、FITC、PE及びAlexa Fluor 647の各蛍光チャネルに対応する露光時間を設定してサンプル領域に蛍光スキャンを行い、検出された細胞に対してCTC同定及びCXCR4蛍光強度分析を行った。DAPI+/CK+/CD45-であって且つ細胞形態に合った細胞がCTCと考えられ、DAPI+/CK+/CXCR4+/CD45-の細胞がCXCR4を発現したCTCと考えられ、CXCR4チャネルの蛍光強度に基づいてCTCのCXCR4発現量を調べた。
図13は、検出された典型的なCXCR4分子の発現量が異なる乳がん患者の末梢血中のCTCである。
【0056】
試験例14:ポリペプチド磁性ナノ粒子による胃がん患者の末梢血中のCTCの検出及びHER2分子型別
2mLの胃がん患者の末梢血を15mLの遠心チューブに取り、10μLのポリペプチドナノ磁気ビーズを加えて均一に混合し、室温のシェーカーで1時間インキュベートし、遠心チューブを取り外し、5mLのPBSを加えて穏やかに均一に混合し、磁気ビーズ分離ラックに置き、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、5mLのPBSを加え、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、遠心チューブを磁気ビーズ分離ラックから取り外し、パラホルムアルデヒドで管壁における磁気ビーズを吹き下ろし、室温で30分間固定し、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;DAPI作動液を滴下して細胞核を染色し、細胞核染色終了後に5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;200μLの免疫蛍光染色ブロッキング液を加え、室温で30分間ブロッキングし、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;富化された細胞をそれぞれFITC-CK、PE-CD45及びAlexa Fluor 647-HER2(Abcam)抗体で1時間染色する;5mLのPBSを加えて遠心洗浄し、マウンティングして対物レンズ20倍で観察することにより細胞界面を見つけ、DAPI、FITC、PE及びAlexa Fluor 647の各蛍光チャネルに対応する露光時間を設定してサンプル領域に蛍光スキャンを行い、検出された細胞に対してCTC同定及びHER2蛍光強度分析を行った。DAPI+/CK+/CD45-であって且つ細胞形態に合った細胞がCTCと考えられ、DAPI+/CK+/HER2+/CD45-の細胞がHER2を発現したCTCと考えられ、HER2チャネルの蛍光強度に基づいてCTCのHER2発現量を調べた。
図14は、検出された典型的なHER2分子の発現量が異なる胃がん患者の末梢血中のCTCである。
【0057】
試験例15:ポリペプチド磁性ナノ粒子による腸がん患者の末梢血中のCTCの検出及びHER2分子型別
2mLの腸がん患者の末梢血を15mLの遠心チューブに取り、10μLのポリペプチドナノ磁気ビーズを加えて均一に混合し、室温のシェーカーで1時間インキュベートし、遠心チューブを取り外し、5mLのPBSを加えて穏やかに均一に混合し、磁気ビーズ分離ラックに置き、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、5mLのPBSを加え、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、遠心チューブを磁気ビーズ分離ラックから取り外し、パラホルムアルデヒドで管壁における磁気ビーズを吹き下ろし、室温で30分間固定し、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;DAPI作動液を滴下して細胞核を染色し、細胞核染色終了後に5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;200μLの免疫蛍光染色ブロッキング液を加え、室温で30分間ブロッキングし、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;富化された細胞をそれぞれFITC-CK、PE-CD45及びAlexa Fluor 647-HER2(Abcam)抗体で1時間染色する;5mLのPBSを加えて遠心洗浄し、マウンティングして対物レンズ20倍で観察することにより細胞界面を見つけ、DAPI、FITC、PE及びAlexa Fluor 647の各蛍光チャネルに対応する露光時間を設定してサンプル領域に蛍光スキャンを行い、検出された細胞に対してCTC同定及びHER2蛍光強度分析を行った。DAPI+/CK+/CD45-であって且つ細胞形態に合った細胞がCTCと考えられ、DAPI+/CK+/HER2+/CD45-の細胞がHER2を発現したCTCと考えられ、HER2チャネルの蛍光強度に基づいてCTCのHER2発現量を調べた。
図15は、検出された典型的なHER2分子の発現量が異なる腸がん患者の末梢血中のCTCである。
【0058】
試験例16:ポリペプチド磁性ナノ粒子による腸がん患者の末梢血中のCTCの検出及びPD-L1分子型別
2mLの腸がん患者の末梢血を15mLの遠心チューブに取り、10μLのポリペプチドナノ磁気ビーズを加えて均一に混合し、室温のシェーカーで1時間インキュベートし、遠心チューブを取り外し、5mLのPBSを加えて穏やかに均一に混合し、磁気ビーズ分離ラックに置き、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、5mLのPBSを加え、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、遠心チューブを磁気ビーズ分離ラックから取り外し、パラホルムアルデヒドで管壁における磁気ビーズを吹き下ろし、室温で30分間固定し、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;DAPI作動液を滴下して細胞核を染色し、細胞核染色終了後に5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;200μLの免疫蛍光染色ブロッキング液を加え、室温で30分間ブロッキングし、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;富化された細胞をそれぞれFITC-CK、PE-CD45及びAlexa Fluor 647-PD-L1(Abcam)抗体で1時間染色する;5mLのPBSを加えて遠心洗浄し、マウンティングして対物レンズ20倍で観察することにより細胞界面を見つけ、DAPI、FITC、PE及びAlexa Fluor 647の各蛍光チャネルに対応する露光時間を設定してサンプル領域に蛍光スキャンを行い、検出された細胞に対してCTC同定及びPD-L1蛍光強度分析を行った。DAPI+/CK+/CD45-であって且つ細胞形態に合った細胞がCTCと考えられ、DAPI+/CK+/PD-L1+/CD45-の細胞がPD-L1を発現したCTCと考えられ、PD-L1チャネルの蛍光強度に基づいてCTCのPD-L1発現量を調べた。
図16は、検出された典型的なPD-L1分子の発現量が異なる腸がん患者の末梢血中のCTCである。
【0059】
試験例17:ポリペプチド磁性ナノ粒子による腸がん患者の末梢血中のCTCの検出及びVEGFR分子型別
2mLの腸がん患者の末梢血を15mLの遠心チューブに取り、10μLのポリペプチドナノ磁気ビーズを加えて均一に混合し、室温のシェーカーで1時間インキュベートし、遠心チューブを取り外し、5mLのPBSを加えて穏やかに均一に混合し、磁気ビーズ分離ラックに置き、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、5mLのPBSを加え、さらに磁気ビーズ分離ラックをオービタルシェーカーに置き、30min富化させた。磁気ビーズ分離ラックを取り外し、上澄みを捨て、遠心チューブを磁気ビーズ分離ラックから取り外し、パラホルムアルデヒドで管壁における磁気ビーズを吹き下ろし、室温で30分間固定し、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;DAPI作動液を滴下して細胞核を染色し、細胞核染色終了後に5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;200μLの免疫蛍光染色ブロッキング液を加え、室温で30分間ブロッキングし、5mLのPBSを加えて遠心洗浄する;富化された細胞をそれぞれFITC-CK、PE-CD45及びAlexa Fluor 647-VEGFR(Abcam)抗体で1時間染色する;5mLのPBSを加えて遠心洗浄し、マウンティングして対物レンズ20倍で観察することにより細胞界面を見つけ、DAPI、FITC、PE及びAlexa Fluor 647の各蛍光チャネルに対応する露光時間を設定してサンプル領域に蛍光スキャンを行い、検出された細胞に対してCTC同定及びVEGFR蛍光強度分析を行った。DAPI+/CK+/CD45-であって且つ細胞形態に合った細胞がCTCと考えられ、DAPI+/CK+/VEGFR+/CD45-の細胞がVEGFRを発現したCTCと考えられ、VEGFRチャネルの蛍光強度に基づいてCTCのVEGFR発現量を調べた。
図17は、検出された典型的なVEGFR分子の発現量が異なる腸がん患者の末梢血中のCTCである。
本発明をある程度説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱しない限り、各条件を適宜変更できることは明らかである。本発明は、記載された実施形態に限定されず、記載された各要素の均等物を含む特許請求の範囲によって規定されることが理解される。
【配列表】
【国際調査報告】