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特表2022-533448UBE3A遺伝子および発現カセットならびにそれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-22
(54)【発明の名称】UBE3A遺伝子および発現カセットならびにそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/54 20060101AFI20220714BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20220714BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220714BHJP
   A01K 67/027 20060101ALI20220714BHJP
   C12N 9/10 20060101ALI20220714BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220714BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220714BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20220714BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20220714BHJP
   A61K 35/761 20150101ALI20220714BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20220714BHJP
【FI】
C12N15/54 ZNA
C12N15/864 100Z
C12N5/10
A01K67/027
C12N9/10
A61P25/00
A61K48/00
A61K35/12
A61K31/7088
A61K35/761
C12N15/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569494
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(85)【翻訳文提出日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 US2020034171
(87)【国際公開番号】W WO2020237130
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】62/851,411
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500093834
【氏名又は名称】ザ・ユニヴァーシティ・オヴ・ノース・キャロライナ・アト・チャペル・ヒル
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】フィルポット,ベンジャミン・デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】グレイ,スティーブン・ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】シン,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ジャドソン,マシュー
【テーマコード(参考)】
4B050
4B065
4C084
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4B050CC04
4B050DD11
4B050LL01
4B065AA91X
4B065AA93X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
4C084AA13
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA021
4C084ZA022
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB65
4C087BC83
4C087MA66
4C087NA14
4C087ZA02
(57)【要約】
本発明は、UBE3Aオープンリーディングフレーム(ORF)配列を含むポリヌクレオチド、それを含むベクター、ならびに細胞または対象への上記ORFの送達のために、およびアンジェルマン症候群等、対象におけるUBE3A遺伝子の異常発現またはUBE3A遺伝子産物の異常活性と関連した障害を治療するためにそれを使用する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチドであって、前記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームは、ヒトUBE3Aの短いアイソフォームおよび長いアイソフォームをコードする、ポリヌクレオチド。
【請求項2】
前記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームは、ヒトUBE3Aの短いアイソフォーム(すなわち、アイソフォーム1)および長いアイソフォーム2をコードする、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
前記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームは、ヒトUBE3Aの短いアイソフォーム(すなわち、アイソフォーム1)および長いアイソフォーム3をコードする、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
前記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームは、発現を低下させる1つまたは複数のヌクレオチド改変が欠如した天然ORFの発現と比較して、前記長いアイソフォームの発現を低下させる前記1つまたは複数のヌクレオチド改変を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
前記長いアイソフォームの前記発現は、発現を低下させるヌクレオチド改変を含まない天然ORFと比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%低下する、請求項4に記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
前記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームは、発現を増強するヌクレオチド改変を含まない天然ORFと比較して、前記短いアイソフォームの発現を増強する(例えば、発現を10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上増強する)1つまたは複数のヌクレオチド改変を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
前記短いアイソフォームの前記発現は、発現を増強するヌクレオチド改変を含まない天然ORFと比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%増強される、請求項6に記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
前記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームは、前記長いアイソフォームの発現と比較して、約1:1~約15:1の比での前記短いアイソフォームの発現をコードする1つまたは複数のヌクレオチド改変を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
前記長いアイソフォームに対するコード配列に作動可能に連結された、配列番号6を含む第1のコザック配列を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項10】
前記短いアイソフォームに対するコード配列に作動可能に連結された、配列番号8を含む第2のコザック配列を含む、請求項1から9のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項11】
前記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームは、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化されている、請求項1から10のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項12】
前記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームは、ヒト細胞における細胞内または非分泌発現のためにコドン最適化されている、請求項12に記載のポリヌクレオチド。
【請求項13】
前記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームは、配列番号9、配列番号26、もしくは配列番号27のヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも約70%、75%、76%、77%、80%、85%、もしくは90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項1から12のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含む、発現カセット。
【請求項15】
前記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームはプロモーターに作動可能に連結されている、請求項14に記載の発現カセット。
【請求項16】
前記プロモーターはニューロン特異的プロモーターである、請求項15に記載の発現カセット。
【請求項17】
前記プロモーターはヒトシナプシンプロモーターである、請求項15または16に記載の発現カセット。
【請求項18】
前記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームはポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されている、請求項14から17のいずれか1項に記載の発現カセット。
【請求項19】
前記ポリアデニル化シグナルはウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル(bGHpA)である、請求項18に記載の発現カセット。
【請求項20】
少なくとも1つのアデノ随伴ウイルス(AAV)逆位末端反復(ITR)をさらに含む、請求項14から19のいずれか1項に記載の発現カセット。
【請求項21】
前記発現カセットは2つのAAV ITRを含む、請求項20に記載の発現カセット。
【請求項22】
前記AAV ITRは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、およびAAV13 ITRからなる群から選択される、請求項21に記載の発現カセット。
【請求項23】
前記AAV ITRはAAV2 ITRである、請求項22に記載の発現カセット。
【請求項24】
一本鎖AAVゲノムである、請求項14から23のいずれか1項に記載の発現カセット。
【請求項25】
プロモーター、前記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレーム、およびポリアデニル化部位を含む、請求項14から24のいずれか1項に記載の発現カセット。
【請求項26】
AAV ITR、プロモーター、前記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレーム、ポリアデニル化部位、およびAAV ITRを含む、請求項14から25のいずれか1項に記載の発現カセット。
【請求項27】
AAV2 ITR、ヒトシナプシンプロモーター、ヒトUBE3Aの短いアイソフォームおよび長いアイソフォーム2を含む前記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレーム、bGHpA、ならびにAAV2 ITRを含む、請求項14から26のいずれか1項に記載の発現カセット。
【請求項28】
AAV2 ITR、ヒトシナプシンプロモーター、ヒトUBE3Aの短いアイソフォームおよび長いアイソフォーム3を含む前記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレーム、bGHpA、ならびにAAV2 ITRを含む、請求項14から26のいずれか1項に記載の発現カセット。
【請求項29】
AAV2 ITR;ヒトシナプシンプロモーター;配列番号6および/または配列番号8を含む、それから本質的になる、またはそれからなる1つまたは複数のコザック配列をさらに含む、ヒトUBE3Aの短いアイソフォームおよび長いアイソフォーム2を含む前記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレーム;bGHpA;ならびにAAV2 ITRを含む、請求項14から28のいずれか1項に記載の発現カセット。
【請求項30】
AAV2 ITR;ヒトシナプシンプロモーター;配列番号6および/または配列番号8を含む、それから本質的になる、またはそれからなる1つまたは複数のコザック配列をさらに含む、ヒトUBE3Aの短いアイソフォームおよび長いアイソフォーム3を含む前記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレーム;bGHpA;ならびにAAV2 ITRを含む、請求項14から28のいずれか1項に記載の発現カセット。
【請求項31】
配列番号14のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも約90%同一の配列を含む、請求項30に記載の発現カセット。
【請求項32】
請求項1から13のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、または請求項14から31のいずれか1項に記載の発現カセットを含む、ベクター。
【請求項33】
神経向性ベクターである、請求項32に記載のベクター。
【請求項34】
ウイルスベクターである、請求項32または33に記載のベクター。
【請求項35】
AAVベクターである、請求項34に記載のベクター。
【請求項36】
前記AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、およびその組み合わせからなる群から選択される、請求項35に記載のベクター。
【請求項37】
前記AAVベクターはAAV9またはAAV9由来ベクターである、請求項35に記載のベクター。
【請求項38】
前記AAV9由来ベクターは、PHP.B、PHP.eB、またはAAV9.HR)である、請求項37に記載のベクター。
【請求項39】
請求項1から13のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、請求項14から31のいずれか1項に記載の発現カセット、および/または請求項32から38のいずれか1項に記載のベクターを含む、形質転換細胞。
【請求項40】
前記ポリヌクレオチド、発現カセット、および/またはベクターは、前記細胞ゲノムに安定に組み入れられている、請求項39に記載の形質転換細胞。
【請求項41】
請求項1から13のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、請求項14から31のいずれか1項に記載の発現カセット、請求項32から38のいずれか1項に記載のベクター、および/または請求項39もしくは40に記載の形質転換細胞を含む、トランスジェニック動物。
【請求項42】
薬学的に許容される担体中に、請求項1から13のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、請求項14から31のいずれか1項に記載の発現カセット、請求項32から38のいずれか1項に記載のベクター、および/または請求項39もしくは40に記載の形質転換細胞を含む、医薬組成物。
【請求項43】
細胞を、請求項1から13のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、請求項14から31のいずれか1項に記載の発現カセット、および/または請求項32から38のいずれか1項に記載のベクターに接触させ、それによって前記細胞においてUBE3Aオープンリーディングフレームを発現させるステップを含む、細胞においてUBE3Aオープンリーディングフレームを発現させる方法。
【請求項44】
請求項1から13のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、請求項14から31のいずれか1項に記載の発現カセット、請求項32から38のいずれか1項に記載のベクター、および/または請求項39もしくは40に記載の形質転換細胞を対象に送達し、それによって前記対象においてUBE3Aオープンリーディングフレームを発現させるステップを含む、対象においてUBE3Aオープンリーディングフレームを発現させる方法。
【請求項45】
請求項1から13のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、請求項14から31のいずれか1項に記載の発現カセット、請求項32から38のいずれか1項に記載のベクター、および/または請求項39もしくは40に記載の形質転換細胞の治療有効量を対象に投与し、それによりUBE3Aオープンリーディングフレームが前記対象において発現されるステップを含む、それを必要とする対象におけるUBE3A遺伝子の異常発現またはUBE3A遺伝子産物の異常活性と関連した障害を治療する方法。
【請求項46】
前記UBE3A遺伝子の発現と関連した前記障害はアンジェルマン症候群である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
請求項1から13のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、請求項14から31のいずれか1項に記載の発現カセット、請求項32から38のいずれか1項に記載のベクター、および/または請求項39もしくは40に記載の形質転換細胞の治療有効量を対象に投与し、それによりUBE3Aオープンリーディングフレームが前記対象において発現されるステップを含む、それを必要とする対象におけるアンジェルマン症候群を治療する方法。
【請求項48】
前記ヒトUBE3Aの短いアイソフォームは、前記長いアイソフォームの発現と比較して約1:1~約15:1の比で発現される、請求項43から47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記対象は、前記ポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞の送達前に疾患の症状を呈する、請求項44から48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記ポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞は子宮内に送達される、請求項44から49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記対象はヒトである、請求項44から50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記ポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞は、前記対象の神経系に送達される、請求項44から51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記AAVベクターは、少なくとも約10、10、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015、または1016ウイルスゲノム/キログラム、任意で10~1014ウイルスゲノム/キログラムの用量で前記対象に投与される、請求項44から52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記ポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞は静脈内に送達される、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記ポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞は、髄腔内、脳内、大槽内、実質内、脳室内、鼻腔内、耳内、眼球内、もしくは眼球周囲送達、またはその任意の組み合わせによって送達される、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記ポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞は髄腔内に送達される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記ポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞は脳室内に送達される、請求項55に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2019年5月22日に出願された米国仮出願第62/851,411号の利益を主張するものであり、その全内容は引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0002】
配列表の電子出願に関する声明
2020年5月20日に作成された、サイズが49,256バイトの5470-867WO_ST25.txtと題された、米国特許規則1.821の下で提出され、EFS-Webを介して出願されたASCIIテキスト形式での配列表が、紙複製物の代わりに提供される。この配列表は、その開示のために、本明細書へ引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0003】
本発明は、UBE3Aオープンリーディングフレーム(ORF)配列を含むポリヌクレオチド、それを含むベクター、ならびに細胞または対象への上記ORFの送達のために、およびアンジェルマン症候群等、対象におけるUBE3A遺伝子の異常発現またはUBE3A遺伝子産物の異常活性と関連した障害を治療するためにそれを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
アンジェルマン症候群(AS)は、およそ1:15,000の個体に影響を及ぼす神経発達障害である。ASを有する個体は、生涯にわたって、発作、運動障害、知的障がい、および言語能力欠如を有する。個体は、通常、生後1年の間に運動失調を呈する。ニューロンにおける機能的UBE3A遺伝子の喪失がASを引き起こす。
【0005】
UBE3Aは第15染色体に位置し、母由来アレルからの偏った発現を呈する、15q11~q13領域内の唯一の遺伝子である。父由来アレルは、父由来インプリンティングに起因してニューロンにおいて発現停止されている。したがって、母由来の15q11~13の欠失、および母由来UBE3Aの機能喪失変異の両方がASを引き起こす(図1を参照されたい)。UBE3Aタンパク質のE3ユビキチンリガーゼ機能(E6APユビキチンタンパク質リガーゼ(E6AP)としても知られる)を損なう点変異は、AS表現型の全スペクトルをもたらすのに十分であり、ASの発病に対するUBE3Aの重要性を強調している。コンセンサスは、UBE3Aのニューロン喪失がASを誘発するということである。グリアは、ニューロンとは異なり、役割を担う可能性が低く、それらはUBE3Aを両アレルでかつ非常に低いレベルで発現する。
【0006】
現在、ASに利用可能な特異的治療はない。ASの影響を受けた個体は、支えとなる対症療法によって管理される。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、一部には、アンジェルマン症候群等、UBE3A誤発現と関連した障害を治療するための、最適化されたUBE3A遺伝子、遺伝子カセット、および治療レベルのUBE3A発現を提供し得るベクターの開発に基づく。本発明の態様は、AS等、UBE3A発現と関連した障害を治療するための、治療レベルのUBE3A発現を提供し得るコドン最適化UBE3A遺伝子、遺伝子カセット、およびベクターを提供することによって、当技術分野における欠点を克服する。
【0008】
ゆえに、本発明の1つの態様は、ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチドであって、ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームは、ヒトUBE3Aの短いアイソフォームおよび長いアイソフォームをコードする、ポリヌクレオチドに関する。
【0009】
本発明のさらなる態様は、ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチドを含む発現カセット、ならびに本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、形質転換細胞、およびトランスジェニック動物に関する。
【0010】
本発明の別の態様は、薬学的に許容される担体中に、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞を含む薬学的製剤に関する。
【0011】
本発明の付加的な態様は、細胞を、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、および/またはベクターに接触させ、それによって細胞においてUBE3Aオープンリーディングフレームを発現させるステップを含む、細胞においてUBE3Aオープンリーディングフレームを発現させる方法に関する。
【0012】
本発明のさらなる態様は、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞を対象に送達し、それによって対象においてUBE3Aオープンリーディングフレームを発現させるステップを含む、対象においてUBE3Aオープンリーディングフレームを発現させる方法に関する。
【0013】
本発明の付加的な態様は、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞の治療有効量を対象に投与し、それによりUBE3Aオープンリーディングフレームが対象において発現されるステップを含む、それを必要とする対象におけるUBE3A遺伝子の異常発現またはUBE3A遺伝子産物の異常活性と関連した障害を治療する方法に関する。
【0014】
本発明のさらなる態様は、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞の治療有効量を対象に投与し、それによりUBE3Aオープンリーディングフレームが対象において発現されるステップを含む、それを必要とする対象におけるアンジェルマン症候群(AS)を治療する方法に関する。
【0015】
本発明の別の態様は、それを必要とする対象におけるUBE3A遺伝子の異常発現またはUBE3A遺伝子産物の異常活性と関連した障害を治療する方法における使用のための、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞に関する。
【0016】
本発明のこれらのおよび他の態様は、以下の本発明の説明においてより詳細に示される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ニューロンが父由来UBE3Aのサイレンシングを有する、UBE3Aの神経調節の略図である。
図2】フルロチルキンドリングおよび再負荷(rechallenge)の実験設計を示した図(図2A)、ならびに野生型マウス(WT)、長いUBE3Aを欠如するマウス(ISO2-KO)、および短いUBE3Aを欠如するマウス(ISO3-KO)に関する全般発作誘発閾値を示したグラフ(GST、図2B)である。
図3A】WTヒトおよびマウスUBE3AアイソフォームのN末端アミノ酸配列(配列番号15~19)を示す図である。マウスアイソフォーム1(示されず)は切断され、安定なタンパク質を発現しない。
図3B】結果として得られるhUBE3Aタンパク質の対応するアミノ酸残基(配列番号21)(下)と合わせた、コドン最適化hUBE3A1>>3オープンリーディングフレームの5’DNA配列(配列番号20)(上)を示す図である。長いおよび短いhUBE3Aの両方とも、同じリーディングフレームにおいてコードされる。hUBE3Aの短いアイソフォームを始める第2の開始コドン(CAGGATGA)からの翻訳開始に偏るように、種々の強さのコザック配列を操作した。
図3C】hUBE3Aの長い(アイソフォーム3)および短い(アイソフォーム1)アイソフォームの両方(配列番号22~24)を発現させるための全体的なAS遺伝子療法構築物を描写した概略図である。
図4】WTおよびASモデルマウス(Ube3am-/p+)から採取されたUBE3A染色された矢状断面の画像であり、ASマウスは、神経UBE3A発現のほぼ完全な喪失を呈する(Jiang et al,Neuron,1998:21(4):799-811)。
図5】マウス海馬mRNAから逆転写された内因性マウスUbe3a転写産物(mUbe3a、左のパネル)またはコドン最適化ヒトUBE3A転写産物(hUBE3A-opt、右のパネル)のいずれかを検出するドロップレットデジタルPCR実験の結果を示したグラフである。P1におけるビヒクルまたはAS遺伝子療法ウイルス(PHP.B/hUBE3A)のICV注射後に、成体WTおよびASマウスから海馬を採取した。遺伝子療法処理されたAS+AAV群におけるhUBE3A-optの選択的検出に留意されたい。
図6】アイソフォームに関係なく、マウスおよびヒトUBE3Aの両方に等しく結合するUBE3A抗体を使用した、P9マウス全脳溶解物のウェスタンブロッティングを示した画像である。WTサンプル(左端)では、短いUBE3Aアイソフォームを表す主要なバンドは、長いUBE3Aに相当するすぐ上の(upfield)微量のバンドと並置される(短に対する長の比、約5:1)。短いUBE3Aの神経発現が欠如する母由来ISO3-KOマウス由来のサンプル(右端)では、長:短のUBE3A比は劇的に低下し、2つの個別のUBE3Aアイソフォームバンドの非常にはっきりとした分解が可能となる。ホモ接合性ISO3-KOマウス由来のサンプル(左から2番目)は、長いアイソフォームバンドのみを生じさせる。PHP.B/hUBE3A処理されたASマウス由来のサンプル(右から2番目)は、およそ3:1の比で短いおよび長いhUBE3Aアイソフォームの両方を発現し、ゆえに二重アイソフォーム手法の実現可能性を実証する。
図7】WTおよびASモデルマウスの免疫組織化学を示した画像である。図7Aは、P1におけるAS遺伝子療法ウイルス(PHP.B/hUBE3A)のICV注射後に、様々な生後齢(P10、P15、P25)のマウスから採取された、外側から内側への一連のUBE3A染色された矢状断面を示している。図7Bは、高倍率共焦点顕微鏡写真における海馬エリアCA3内へのhUBE3A遺伝子移入の効率を示す図である。矢状は、UBE3Aを再発現しない希少なニューロン(NeuN+)を示す。UBE3Aタンパク質は、短いhUBE3Aアイソフォームの優勢な発現と一致した、顕著な核局在を示している。
図8】hUBE3A遺伝子移入後の、細胞内局在における細胞質から核へのシフトを示した画像である。パネルA~Cは、P1におけるPHP.B/hUBE3AウイルスのICV注射後の、P10(パネルA)、P15(パネルB)、およびP20(パネルC)におけるASモデルマウスからのUBE3A染色された第2/3層新皮質を示している。Judson et al.,J Comparative Neurology,2014:522(8):1874-1896からのパネルD~Fに示されるように、ウイルスにより形質導入されたhUBE3Aの核における漸進的蓄積が発達にわたって見られ、内因性UBE3A発現の時空間パターンを忠実に再現している。
図9】生後0~2日にビヒクルまたはAS遺伝子療法ウイルス(PHP.B/hUBE3A)のいずれかをICV注射された雄WTおよびASモデルマウスの毎月の総重量増大を示したグラフである。体重は、WT+ビヒクル、WT+AAV、AS+ビヒクル、AS+AAVの1ヶ月齢の時点で実験群にわたって統計的に同程度であり、hUBE3A遺伝子移入の良好な忍容性および顕在的毒性がないことを実証した。2ヶ月までにかつ成体期まで続いて、AS+ビヒクルマウスは、重量増大の統計的に有意な増加を呈した。この表現型は、AS+AAVマウスにおいて完全にレスキューされた。
図10】生後0~2日にビヒクル(WT+ビヒクル、AS+ビヒクル)またはPHP.B/hUBE3A AS遺伝子療法ウイルス(WT+AAV、AS+AAV)のいずれかをICV注射された成体WTおよびASモデルマウスにおける行動試験の結果を示したグラフである。パネルAは、実験スケジュールの概略を示している。パネルBは、自発運動を試験するオープンフィールド実験を要約している。データは、5分間ビンで(左のパネル)および1時間の記録セッションにおける活動の合計として(右のパネル)の両方で示される。傾向は明白であったものの、以前に報告されるように、AS+ビヒクルおよびWT+ビヒクルマウスの間に統計的に有意な減少はなく、それはAS+AAVマウスにおいてレスキューされないように見えた。注目すべきは、WT+AAVマウスは、UBE3A過剰発現の潜在的副作用である軽度の活動亢進を呈する。パネルCは、2日の別々の日:3回の習得試行からなる1日目;48時間後にある2回の再試験試行からなる2日目に行われたロータロッド運動パフォーマンスアッセイからの結果を描写している。すべての試行は、5分間の継続時間のものであった。AS+ビヒクルマウスとは異なり、AS+AAVマウスは、習得の間にそれらの運動欠損を有意に克服し、WT+ビヒクル対照群のパフォーマンスのレベルに接近し、それは再試験の間持続した。パネルDは、自発的穴掘りおよび穿孔行動を測定するアッセイであるガラス玉覆い隠しの結果を示している。AS+ビヒクルマウスは、典型的に、30分間のセッションの間にほとんどガラス玉を覆い隠さず、これは、これらのマウスがこの動物行動学的関連行動の重度の欠損を有することを示した。この表現型は、ほとんどのAS+AAVマウスにおいて、十分にではないにせよ部分的にレスキューされた。パネルEは、PHP.B/hUBE3A処理が、AS+AAV群において、ASマウスにおいて重度に欠如している別の先天的行動である巣作りを有意に向上させたことを実証している。PHP.B/hUBE3A処理されたASマウスは、より多くの利用可能な巣作り材料をそれらの巣に組み入れ(左のパネル)、それらのビヒクル処理された対応動物よりも高い品質の巣を作り上げた。
図11】生後0~2日にビヒクル(WT+ビヒクル、AS+ビヒクル)またはPHP.B/hUBE3A AS遺伝子療法ウイルス(WT+AAV、AS+AAV)のいずれかをICV注射された成体WTおよびASモデルマウスにおけるフルロチルキンドリングおよび再負荷試験の結果を示したグラフである。パネルAは、実験スケジュールの概略を示している。パネルBは、8日間のフルロチルキンドリング期間およびその後36日目のフルロチル再負荷にわたる、ミオクローヌス発作(左のパネル)および全般化発作(右のパネル)までの平均群潜時を要約している。AS+ビヒクルマウスは、再負荷があるとミオクローヌス発作閾値(MST)および全般発作誘発閾値(GST)の減少を有する強い傾向を示した。発作誘発閾値はAS+AAV群において正常化され、過剰なてんかん発生から保護するAS遺伝子療法の潜在性を実証した。
図12】フルロチル発作キンドリング後の発作感受性の増強についての解剖学的相関性を示した画像およびグラフである。パネルAは、背側海馬の矢状断面におけるペリニューロナルネットのWFA染色(マゼンタ)を示している。歯状回における平均WFA蛍光の定量により、この構造におけるペリニューロナルネット堆積の増強は、AS+ビヒクルマウスに固有であることが裏付けられた。パネルBは、海馬および皮質に及ぶ矢状断面におけるアストロサイトのGFAP染色を示している。海馬における強く染色されたアストロサイトは、側頭葉てんかんの証である反応性アストログリオーシスを指し示し、平均海馬GFAP蛍光の定量によって実証されるように、AS+ビヒクル群においてのみ観察された。
図13】WTコザック配列を有する、ヒトUBE3Aアイソフォーム3およびアイソフォーム1の両方をコードするUBE3A ORFのWT(天然)コード配列(配列番号26)を示す図である。それぞれの発現されるアイソフォームを調節するコザック配列が太字で示されており、翻訳開始部位に下線が引かれている。
図14】改変されたコザック配列を有する、ヒトUBE3Aアイソフォーム3およびアイソフォーム1の両方をコードするUBE3A ORFのWT(天然)コード配列(配列番号27)である。それぞれの発現されるアイソフォームを調節するコザック配列が太字で示されており、翻訳開始部位に下線が引かれている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、以下でさらに詳細に説明される。本説明は、本発明が実行され得るすべての異なるやり方または本発明に付加され得るすべての特質についての詳細な目録であることを意図されるわけではない。例えば、1つの実施形態に関して例示される特質は、他の実施形態に組み入れられ得、特定の実施形態に関して例示される特質は、その実施形態から欠失され得る。加えて、本発明から逸脱しない、本明細書において示唆される様々な実施形態に対する数々の変形および付加が、本開示を踏まえて当業者に明らかであろう。それゆえ、以下の明細書は、本発明の一部の特定の実施形態を例示することを意図されるものであり、そのすべての順列、組み合わせ、および変形を徹底的に指定することを意図されるわけではない。
【0019】
文脈上別途に示されない限り、本明細書に記載される本発明の様々な特質は、任意の組み合わせで使用され得ることが具体的に意図される。さらに、本発明は、本発明の一部の実施形態において、本明細書に示される任意の特質または特質の組み合わせが除外され得るまたは削除され得ることも企図する。例示するために、複合体が構成要素A、B、およびCを含むと本明細書が記述する場合、A、B、もしくはCまたはその組み合わせのいずれかは、単独でまたは任意の組み合わせで削除され得かつ放棄され得ることが具体的に意図される。
【0020】
別途定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者によって共通に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書における本発明の説明において使用される術語は、単に特定の実施形態を記載する目的のためのものであり、本発明を限定することを意図されるわけではない。
【0021】
ヌクレオチド配列は、別途具体的に示されない限り、左から右へ5’から3’方向に一本鎖のみによって本明細書において提示される。ヌクレオチドおよびアミノ酸は、IUPAC-IUB生化学命名法委員会によって推奨される様式で、または(アミノ酸に関しては)、両方とも米国特許規則1.822および確立された使用法に従った1文字表記もしくは3文字表記のいずれかによって本明細書において表される。
【0022】
別途記載される場合を除いて、当業者に公知の標準的な方法が、組み換えおよび合成ポリペプチド、抗体またはその抗原結合フラグメントの産生、核酸配列の操縦、形質転換細胞の産生、rAAV構築物、改変されたカプシドタンパク質、AAV repおよび/またはcap配列を発現させるパッケージングベクター、ならびに一過性におよび安定にトランスフェクトされたパッケージング細胞の構築に使用され得る。そのような技法は当業者に公知である。例えば、SAMBROOK et al.,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL 2nd Ed.(Cold Spring Harbor,NY,1989);F.M.AUSUBEL et al.CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY(Green Publishing Associates,Inc.およびJohn Wiley&Sons,Inc.,New York)を参照されたい。
【0023】
本明細書において触れられるすべての刊行物、特許出願、特許、ヌクレオチド配列、アミノ酸配列、および他の参考文献は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0024】
定義
本発明の説明においておよび添付の特許請求の範囲において使用するとき、「a」、「an」、および「the」という単数形は、文脈上別途明示されない限り、複数形も含むことを意図される。
【0025】
本明細書において使用するとき、「および/または」は、関連する列挙された品目のうちの1つまたは複数のありとあらゆる考え得る組み合わせ、ならびに選択肢(「または」)で解釈される場合には組み合わせがないことを指しかつ包含する。
【0026】
さらに、本発明は、本発明の一部の実施形態において、本明細書に示される任意の特質または特質の組み合わせが除外され得るまたは削除され得ることも企図する。
【0027】
さらには、本発明の化合物または作用物質の量、用量、時間、温度等の測定可能な値に言及する場合に本明細書において使用される「約」という用語は、指定の量の±10%、±5%、±1%、±0.5%、またはさらに±0.1%の変動を包含することを意図される。
【0028】
本明細書において使用するとき、「から本質的になる」という移行句は、挙げられた材料またはステップ、ならびに特許請求される発明の基本的なおよび新規の特徴に著しく影響を及ぼさないものを包含すると解釈されるべきである。ゆえに、本明細書において使用される「から本質的になる」という用語は、「含む(comprising)」と等価として解釈されるべきではない。
【0029】
本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列に適用される「から本質的になる」という用語(および文法的変形)は、挙げられた配列(例えば、配列番号)と、挙げられた配列の5’および/もしくは3’またはN末端および/もしくはC末端にある、あるいはポリヌクレオチドまたはポリペプチドの機能が著しく変更されないような2つの末端の間(例えば、ドメインの間)にある合計10個以下(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個)の付加的なヌクレオチドまたはアミノ酸との両方からなるポリヌクレオチドまたはポリペプチドを意味する。合計10個以下の付加的なヌクレオチドまたはアミノ酸は、一緒に付加された付加的なヌクレオチドまたはアミノ酸の総数を含む。本発明のポリヌクレオチドに適用される「著しく変更された」という用語は、挙げられた配列からなるポリヌクレオチドの発現レベルと比較して、少なくとも約50%以上の、コードされたポリペプチドを発現する能力の増加または減少を指す。本発明のポリペプチドに適用される「著しく変更された」という用語は、挙げられた配列からなるポリペプチドの活性と比較して、少なくとも約50%以上の生物学的活性の増加または減少を指す。
【0030】
本明細書において使用される「パルボウイルス」という用語は、自律複製するパルボウイルスおよびディペンドウイルスを含めたパルボウイルス(Parvoviridae)科を包含する。自律性パルボウイルスは、パルボウイルス(Parvovirus)、エリスロウイルス(Erythrovirus)、デンソウイルス(Densovirus)、イテラウイルス(Iteravirus)、およびコントラウイルス(Contravirus)属のメンバーを含む。例となる自律性パルボウイルスは、これらに限定されないが、マウスの微小ウイルス、ウシパルボウイルス、イヌパルボウイルス、ニワトリパルボウイルス、ネコ汎白血球減少症ウイルス、ネコパルボウイルス、ガチョウパルボウイルス、H1パルボウイルス、ノバリケンパルボウイルス、ヘビパルボウイルス、およびB19ウイルスを含む。他の自律性パルボウイルスは当業者に公知である。例えば、FIELDS et al.,VIROLOGY,volume 2,chapter 69(4th ed.,Lippincott-Raven Publishers)を参照されたい。
【0031】
ディペンドウイルス(Dependovirus)属は、これらに限定されないが、AAV1型、AAV2型、AAV3型(3A型および3B型を含む)、AAV4型、AAV5型、AAV6型、AAV7型、AAV8型、AAV9型、AAV10型、AAV11型、AAV12型、AAV13型、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ヤギAAV、ヘビAAV、ウマAAV、およびヒツジAAVを含めた、アデノ随伴ウイルス(AAV)を含有する。例えば、FIELDS et al.,VIROLOGY,volume 2,chapter 69(4th ed.,Lippincott-Raven Publishers);および表1を参照されたい。
【0032】
本発明の文脈における「アデノ随伴ウイルス」(AAV)という用語は、限定されることなく、AAV1型、AAV2型、AAV3型(3A型および3B型を含む)、AAV4型、AAV5型、AAV6型、AAV7型、AAV8型、AAV9型、AAV10型、AAV11型、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、およびヒツジAAV、ならびに現在公知のまたは後に発見される他の任意のAAVを含む。例えば、BERNARD N.FIELDS et al.,VIROLOGY,volume 2,chapter 69(4th ed.,Lippincott-Raven Publishers)を参照されたい。多数の付加的なAAV血清型およびクレードが同定されており(例えば、Gao et al.,(2004)J.Virol.78:6381-6388および表1を参照されたい)、それも「AAV」という用語によって包含される。
【0033】
本発明のパルボウイルス粒子およびゲノムは、これに限定されないが、AAV由来のものであり得る。AAVおよび自律性パルボウイルスの様々な血清型のゲノム配列、ならびに天然ITR、Repタンパク質、およびカプシドサブユニットの配列は、当技術分野において公知である。そのような配列は、文献において、またはGenBank等の公的データベースにおいて見出され得る。例えば、GenBankアクセッション番号NC_002077、NC_001401、NC_001729、NC_001863、NC_001829、NC_001862、NC_000883、NC_001701、NC_001510、NC_006152、NC_006261、AF063497、U89790、AF043303、AF028705、AF028704、J02275、J01901、J02275、X01457、AF288061、AH009962、AY028226、AY028223、AY631966、AX753250、EU285562、NC_001358、NC_001540、AF513851、AF513852、およびAY530579を参照されたく;その開示は、パルボウイルスおよびAAV核酸およびアミノ酸配列を教示するために、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。例えば、Bantel-Schaal et al.,(1999)J.Virol.73:939;Chiorini et al.,(1997)J.Virol.71:6823;Chiorini et al.,(1999)J.Virol.73:1309;Gao et al.,(2002)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 99:11854;Moris et al.,(2004)Virol.33-:375-383;Mori et al.,(2004)Virol.330:375;Muramatsu et al.,(1996)Virol.221:208;Ruffing et al.,(1994)J.Gen.Virol.75:3385;Rutledge et al.,(1998)J.Virol.72:309;Schmidt et al.,(2008)J.Virol.82:8911;Shade et al.,(1986)J.Virol.58:921;Srivastava et al.,(1983)J.Virol.45:555;Xiao et al.,(1999)J.Virol.73:3994;国際特許公報WO00/28061、WO99/61601、WO98/11244、および米国特許第6,156,303号も参照されたく;その開示は、パルボウイルスおよびAAV核酸およびアミノ酸配列を教示するために、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。表1も参照されたい。AAV1、AAV2、およびAAV3 ITR配列の初期の説明は、Xiao,X.,(1996),“Characterization of Adeno-associated virus(AAV) DNA replication and integration,”Ph.D.Dissertation,University of Pittsburgh,Pittsburgh,PA(その全体として本明細書に組み入れられる)によって提供される。
【0034】
「キメラ」AAV核酸カプシドコード配列またはAAVカプシドタンパク質とは、2つ以上のカプシド配列の部分を結合させるものである。「キメラ」AAVビリオンまたは粒子は、キメラAAVカプシドタンパク質を含む。
【0035】
本明細書において使用される「向性」という用語は、任意でかつ好ましくは、細胞におけるベクター内容物(例えば、ウイルスゲノム)によって運ばれる配列の発現(例えば、転写および任意で翻訳)、例えば組み換えウイルスに関しては、異種ヌクレオチド配列の発現が後に続く、ある特定の細胞もしくは組織タイプへのベクター(例えば、ウイルスベクター)の優先的な、しかし必ずしも排他的ではない進入、および/またはある特定の細胞もしくは組織タイプへの進入を促す、細胞表面との優先的な、しかし必ずしも排他的ではない相互作用を指す。当業者であれば、ウイルスゲノムからの異種核酸配列の転写は、例えば誘導性プロモーターまたはさもなければ調節される核酸配列に対する、トランス作用因子の非存在下では開始され得ないことを解するであろう。rAAVゲノムの場合、ウイルスゲノムからの遺伝子発現は、安定に組み込まれたプロウイルスからのおよび/または組み込まれないエピソームからの、ならびにウイルス核酸が細胞内で取り得る他の任意の形態からのものであり得る。
【0036】
「向性プロファイル」という用語は、1つまたは複数の標的細胞、組織、および/または臓器の形質導入のパターンを指す。キメラAAVカプシドの代表的な例は、末梢臓器の低い形質導入とともに、中枢神経系(CNS)の細胞の効率的な形質導入によって特徴付けられる向性プロファイルを有する(例えば、米国特許第9,636,370号、McCownら、および米国特許公報2017/0360960、Grayらを参照されたい)。特異的向性プロファイルを発現するベクター(例えばウイルスベクター、例えばAAVカプシド)は、それらの向性プロファイルについて「向性」、例えば神経向性、肝臓向性等と称され得る。
【0037】
【0038】
本明細書において使用される「UBE3A遺伝子の異常発現と関連した障害」という用語は、正常な対象におけるまたは集団における発現レベルと比べて、対象におけるUBE3A遺伝子の減少したまたは変更された発現によって引き起こされるまたはその症状である疾患、障害、症候群、または状態を指す。
【0039】
本明細書において使用される「UBE3A遺伝子産物の異常活性と関連した障害」という用語は、正常な対象におけるまたは集団における活性と比べて、対象におけるUBE3A遺伝子産物の減少したまたは変更された活性によって引き起こされるまたはその症状である疾患、障害、症候群、または状態を指す。一部の実施形態において、UBE3A遺伝子産物の異常活性と関連した障害はアンジェルマン症候群であり得る。
【0040】
アンジェルマン症候群(AS)は、母由来UBE3Aアレルにおける欠失または変異によって引き起こされる単一遺伝子障害である。無傷の父由来アレルは、図1に略図化されるように、アンチセンスDNA転写産物UBE3A-ATSによって、健常およびAS患者のニューロンにおいて発現停止される。3つのヒトUBE3Aタンパク質アイソフォームがある(図3A)。最も短いもの(すなわち、ヒトアイソフォーム1)は、核に局在する固有の能力を有し、2つの長いアイソフォームであるヒトアイソフォーム2および3を上回って発現され、2つの長いアイソフォームは、長いマウスアイソフォーム2のN末端とアラインするアミノ酸伸長によって識別される(Miao et al,J Neuroscience,2013;33(1):327-333)。短いアイソフォームを欠損したマウス(マウスにおけるアイソフォーム3;ISO3-KO)は、ASモデルマウスにおける電気生理学的および行動学的欠損を広く表現型模写することが示されている(Avagliano et al.,Nat Neurosci,2019:22(8):1235-1247)。より最近には、本発明者らは、ASマウス(Gu et al,J Clin Invest,2019;129(1):163-168)と同様のISO3-KOマウスが、フルロチルキンドリング後の発作再負荷に対する感受性の増強を呈することを実証した。対照的に、長いUBE3Aアイソフォームの選択的欠失を持つ補足的マウスモデル(マウスにおけるアイソフォーム2;ISO2-KO)は、これまでのところいかなるASマウス表現型も発現することができていない(図2B;Avagliano et al.,Nat Neurosci,2019:22(8):1235-1247)。最近の臨床データは、短いUBE3Aの決定的な重要性を同様に裏付けているが、長いUBE3Aも、より低いレベルで発現されているにもかかわらず、健常な脳発達および機能に寄与することを示唆している(Sadhwani et al,Am J Med Genet A,2018;176(7):1641-1647)。理論に拘束されることを望まないものの、外因的に付加された発現カセットからの短いおよび長いUBE3Aアイソフォームの内因性の発現比は、それらの翻訳を支配するコザック配列の相対的な強さまたは弱さをモジュレートすることによって近づけられ得る。
【0041】
本明細書において使用するとき、コザック配列とは、スタート/開始コドン(すなわち、翻訳開始部位)の上流にある、その下流にある、およびそれを包含するヌクレオチドを含むヌクレオチド配列を指す。コザック配列は、リボソームによって翻訳開始部位として認識される。公知のコザックコンセンサス配列(例えば、gccRccAUGG(配列番号24)の)からの配列変動(例えば、天然のおよび/または人工の改変による)は、開始の強さを変更し得(図3Cコザックコンセンサス配列を参照されたい)、下線が引かれたヌクレオチドはスタート/開始コドンを示し、大文字は、高度に保存された塩基を示し、Rは、保存されたプリン(最も一般的にはアデニン)を示し、小文字は、共通の、しかし可変の塩基を示す。公知のコンセンサスコザック配列は、数多くのヒトmRNAに基づく各箇所における最も一般的なヌクレオチドを代表するコンセンサスであり;個々の遺伝子および/またはオープンリーディングフレームの天然/野生型コザック配列は変動し得る。当技術分野において公知のように、DNA配列におけるチミジン(T)ヌクレオチドは、対応するmRNAにおけるウリジン(U)ヌクレオチドに対応する(例えば、それとして転写される)(例えば、DNA ATG開始コドンは、mRNA AUGに対応する、等)。本明細書に開示される任意の配列は、DNAおよびRNAに対するそれぞれTおよびUの両方としての開示と見なされる。
【0042】
本明細書において使用するとき、ウイルスベクター(例えば、AAVベクター)による細胞の「形質導入」は、ウイルスベクターへの核酸の組み入れ、およびそれに続くウイルスベクターを介した細胞内への移入による、細胞内へのベクターの進入および細胞内への遺伝物質の移入を意味する。
【0043】
別途示されない限り、「効率的な形質導入」または「効率的な向性」または同様の用語は、適切な陽性または陰性対照を参照することによって判定され得る(例えば、陽性対照の形質導入もしくは向性のそれぞれ少なくとも約50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、もしくはそれを上回る割合、または陰性対照の形質導入もしくは向性のそれぞれ少なくとも約110%、120%、150%、200%、300%、500%、1000%、もしくはそれを上回る割合)。
【0044】
同様に、適切な対照を参照することによって、ウイルスが、標的組織に対して「効率的に形質導入しない」または「効率的な向性を有しない」、または同様の用語かどうかが判定され得る。特定の実施形態において、ウイルスベクターは、CNSの外側の組織、例えば肝臓、腎臓、生殖腺、および/または生殖細胞に効率的に形質導入しない(すなわち、それらに対する効率的な向性を有しない)。特定の実施形態において、組織(例えば、肝臓)の望ましくない形質導入は、所望の標的組織(例えば、CNS細胞)の形質導入のレベルの20%以下、10%以下、5%以下、1%以下、0.1%以下である。
【0045】
「5’部分」および「3’部分」という用語は、2つ以上のエレメント間の空間的関係性を規定する相対的用語である。ゆえに、例えば、ポリヌクレオチドの「3’部分」は、別のセグメントの下流にある、ポリヌクレオチドのセグメントを示す。「3’部分」という用語は、セグメントが必ずポリヌクレオチドの3’末端にあること、またはさらに、それが必ずポリヌクレオチドの3’半分にあることを示すことを意図されるわけではないが、とはいえそれはあり得る。同じように、ポリヌクレオチドの「5’部分」は、別のセグメントの上流にある、ポリヌクレオチドのセグメントを示す。「5’部分」という用語は、セグメントが必ずポリヌクレオチドの5’末端にあること、またはさらに、それが必ずポリヌクレオチドの5’半分にあることを示すことを意図されるわけではないが、とはいえそれはあり得る。
【0046】
本明細書において使用するとき、「ポリペプチド」という用語は、別途示されない限り、ペプチドおよびタンパク質の両方を包含する。
【0047】
「ポリヌクレオチド」、「核酸」、または「ヌクレオチド配列」とは、RNA、DNA、またはDNA-RNAハイブリッド配列(天然に存在するおよび天然に存在しないヌクレオチドの両方を含む)のものであり得るが、好ましくは一本鎖または二本鎖DNA配列のいずれかである。
【0048】
「調節エレメント」という用語は、核酸配列の発現の一部の態様を制御する遺伝子エレメントを指す。例えば、プロモーターとは、作動可能に連結されたコード領域の転写の開始を促す調節エレメントである。他の調節エレメントは、スプライシングシグナル、ポリアデニル化シグナル、終結シグナル等である。1つまたは複数の調節エレメントが見出される、核酸配列またはポリヌクレオチドにおける領域は、「調節領域」と称され得る。
【0049】
核酸に関して本明細書において使用するとき、「作動可能に連結され」という用語は、2つ以上の核酸間での機能的連結を指す。例えば、プロモーター配列は異種核酸配列の転写を開始しかつ/または媒介するため、プロモーター配列は、異種核酸配列に「作動可能に連結され」ていると記載され得る。一部の実施形態において、作動可能に連結された核酸配列は連続しておりかつ/または同じリーディングフレームにある。
【0050】
本明細書において使用される「オープンリーディングフレーム(ORF)」という用語は、ポリペプチドをコードし、ポリペプチドの転写を開始する開始スタート部位(すなわち、コザック配列)を含む、ポリヌクレオチド(例えば、遺伝子)の部分を指す。「コード領域」という用語は、オープンリーディングフレームと互換可能に使用され得る。
【0051】
本明細書において使用される「コドン最適化された」という用語は、コード配列に(例えばUBE3Aに対するコード配列を含めた、例えば野生型配列に)通常存在する1つまたは複数のコドンを、同じアミノ酸に対するコドンと置換することによって、発現を増加させるように最適化されている遺伝子コード配列を指す。これは同義コドンと称される。このようにして、遺伝子によってコードされるタンパク質は同一であるが、遺伝子または対応するmRNAの根本的な核酸塩基配列は異なる。一部の実施形態において、最適化は、1つまたは複数のレアコドン(つまり、特定の種由来の細胞において相対的に低頻度に存在する、tRNAに対するコドン)を、より高頻度に存在する同義コドンと置換して、翻訳の効率を向上させる。例えば、ヒトコドン最適化において、コード配列における1つまたは複数のコドンは、同じアミノ酸に対する、ヒト細胞においてより高頻度に存在するコドンによって置き換えられる。コドン最適化は、転写および/または翻訳の効率を向上させ得る他のメカニズムを通じても遺伝子発現を増加させ得る。ストラテジーは、限定されることなく、総GC含有量(つまり、コード配列全体におけるグアニンおよびシトシンのパーセント)を増加させること、CpG含有量(つまり、コード配列におけるCGまたはGCジヌクレオチドの数)を減少させること、隠れたスプライスドナーもしくはアクセプター部位を除去すること、ならびに/またはコザック配列等のリボソーム進入および/もしくは開始部位を付加することもしくは除去することを含む。望ましくは、コドン最適化された遺伝子は、タンパク質発現の向上を呈し、例えばコードされたタンパク質は、それによって、その他の点では同様の細胞における野生型遺伝子によって提供されるタンパク質の発現のレベルと比較して、細胞における検出可能なほどにより高いレベルで発現される。コドン最適化は、インビトロまたはインビボで、コドン最適化された遺伝子および/または対応するmRNAと、内因性遺伝子および/または対応するmRNAとを識別する能力も提供する。
【0052】
本明細書において使用される「配列同一性」という用語は、当技術分野における標準的な意味を有する。当技術分野において公知であるように、いくつかの異なるプログラムを使用して、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドが、既知の配列との配列同一性または類似性を有するかどうかを同定し得る。配列同一性または類似性は、これらに限定されないが、好ましくは初期設定を使用した、Smith&Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所配列同一性アルゴリズム、Needleman&Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の配列同一性アラインメントアルゴリズムによるもの、Pearson&Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性の検索法によるもの、これらのアルゴリズムのコンピューター化された実行によるもの(Wisconsin GeneticsソフトウェアパッケージにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA、Genetics Computer Group、575 Science Drive、Madison、WI)、Devereux et al.,Nucl.Acid Res.12:387(1984)によって記載されるBest Fit配列プログラム、または点検によるものを含めた、当技術分野において公知の標準的技法を使用して判定され得る。
【0053】
有用なアルゴリズムの例はPILEUPである。PILEUPは、漸進的ペアワイズアラインメントを使用して、関連配列の群から複数の配列アラインメントを創出する。それはまた、アラインメントを創出するために使用されるクラスタリング関係性を示すツリーをプロットする。PILEUPは、Feng&Doolittle,J.Mol.Evol.35:351(1987)の漸進的アラインメント法の簡略化を使用し;該方法は、Higgins&Sharp,CABIOS 5:151(1989)によって記載されるものと同様である。
【0054】
有用なアルゴリズムの別の例は、Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403(1990)およびKarlin et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873(1993)に記載されるBLASTアルゴリズムである。特に有用なBLASTプログラムは、Altschul et al.,Meth.Enzymol.,266:460(1996);blast.wustl/edu/blast/README.htmlから得られたWU-BLAST-2プログラムである。WU-BLAST-2はいくつかの検索パラメーターを使用し、それは好ましくは初期設定値に設定される。パラメーターは動的な値であり、特定の配列の組成、および目的の配列が検索されている特定のデータベースの組成に応じて、プログラム自体によって確立されるが;しかしながら、値を調整して感度を増加させ得る。
【0055】
付加的な有用なアルゴリズムは、Altschul et al.,Nucleic Acids Res.25:3389(1997)によって報告されるギャップ付きBLASTである。
【0056】
アミノ酸配列同一性パーセンテージ値は、アラインされた領域における「より長い」配列の残基の総数によって割られた、マッチしている同一の残基の数によって判定される。「より長い」配列とは、アラインされた領域における最も現実的な残基を有するものである(アラインメントスコアを最大限に高めるためにWU-Blast-2によって導入されたギャップは無視される)。
【0057】
同様の様式で、核酸配列同一性パーセントは、本明細書に具体的に開示されるポリヌクレオチドにおけるヌクレオチドと同一である、候補配列におけるヌクレオチド残基のパーセンテージとして定義される。
【0058】
アラインメントは、アラインされる対象となる配列におけるギャップの導入を含み得る。加えて、本明細書に具体的に開示されるポリヌクレオチドよりも多いまたは少ないヌクレオチドを含有する配列に関しては、1つの実施形態において、配列同一性のパーセンテージは、ヌクレオチドの総数との関連で同一のヌクレオチドの数に基づいて判定されるであろうと理解される。ゆえに、例えば、本明細書に具体的に開示される配列よりも短い配列の配列同一性は、1つの実施形態において、より短い配列におけるヌクレオチドの数を使用して判定されるであろう。同一性パーセント算出において、相対的加重は、挿入、欠失、置換等の配列変動の様々な現れには割り当てられない。
【0059】
1つの実施形態において、同一性のみがプラスに(+1)採点され、ギャップを含めた配列変動のすべての形態は、「0」の値を割り当てられ、これは、配列類似性算出に関して以下に記載される加重尺度またはパラメーターの必要性を取り除く。配列同一性パーセントは、例えば、マッチしている同一の残基の数を、アラインされた領域における「より短い」配列の残基の総数によって割り、100をかけることによって算出され得る。「より長い」配列とは、アラインされた領域における最も現実的な残基を有するものである
【0060】
本明細書において使用するとき、「単離された」核酸またはヌクレオチド配列(例えば、「単離されたDNA」または「単離されたRNA」)とは、天然に存在する生物もしくはウイルスの他の構成要素、例えば細胞もしくはウイルスの構造的構成要素の少なくとも一部から、または該核酸もしくはヌクレオチド配列と結び付いて一般に見出される他のポリペプチドもしくは核酸から分離されたまたはそれを実質的に含んでいない核酸またはヌクレオチド配列を意味する。
【0061】
同じように、「単離された」ポリペプチドとは、天然に存在する生物もしくはウイルスの他の構成要素、例えば細胞もしくはウイルスの構造的構成要素の少なくとも一部から、または該ポリペプチドと結び付いて一般に見出される他のポリペプチドもしくは核酸から分離されているまたはそれを実質的に含んでいないポリペプチドを意味する。
【0062】
本明細書において使用するとき、ポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列に適用される「改変された」という用語は、1つまたは複数の欠失、付加、置換、またはその任意の組み合わせに起因して、野生型配列とは異なる配列を指す。
【0063】
本明細書において使用するとき、ウイルスベクターを「単離する」(または文法的等価物)によって、ウイルスベクターが、スタート材料における他の構成要素の少なくとも一部から少なくとも部分的に分離されることを意味する。
【0064】
「治療する」、「治療すること」、または「の治療」という用語(または文法的に等価の用語)によって、対象の状態の重症度を低下させることまたは少なくとも部分的に寛解させるもしくは改善すること、および/あるいは少なくとも1つの臨床症状を緩和する、軽減する、または減少させること、および/あるいは状態の進行を遅延させることを意味する。
【0065】
本明細書において使用するとき、「予防する(prevent)」、「予防する(prevents)」、または「予防」という用語(およびその文法的等価物)は、疾患の発生を遅延させるまたは阻害することを意味する。該用語は、疾患の完全な廃絶を要することを意図されず、病状の出現を低下させるまたは病状の発生を遅延させる任意のタイプの予防的治療を包含する。
【0066】
本明細書において使用される「治療有効」量とは、対象に何らかの向上または利益を提供するのに十分である量である。代替的に述べると、「治療有効」量とは、対象における少なくとも1つの臨床症状における何らかの緩和、軽減、減少、または安定化を提供するであろう量である。当業者であれば、何らかの利益が対象に提供される限りにおいて、治療効果が完全であるまたは治癒的である必要はないことを解するであろう。
【0067】
本明細書において使用される「予防有効」量とは、本発明の方法の非存在下において生じるであろうものと比べて、対象における疾患、障害、および/もしくは臨床症状の発生を予防止するおよび/もしくは遅延させる、ならびに/または対象における疾患、障害、および/もしくは臨床症状の発生の重症度を低下させるおよび/もしくは遅延させるのに十分である量である。当業者であれば、何らかの利益が対象に提供される限りにおいて、予防のレベルが完全である必要はないことを解するであろう。
【0068】
核酸配列またはタンパク質を記載するために使用される「異種の」という用語は、核酸配列またはタンパク質が、それが発現される宿主細胞または対象とは異なる生物、または同じ生物の異なる種に由来したことを意味する。タンパク質、またはプラスミド、発現カセットまたはベクターにおける核酸に関して使用される場合の「異種の」という用語は、問題のタンパク質または核酸が本来はそれとの関係で見出されない別の配列または部分配列とともに該タンパク質または核酸が存在することを示す。典型的に、異種核酸は、ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含みかつ/または非翻訳RNAを含む、目的の核酸であり、そのそれぞれが本明細書において「導入遺伝子」と称され得る。目的の核酸は、治療的ポリペプチドもしくは治療的RNA、または診断的ポリペプチドもしくは診断的RNAをコードし得る。目的の核酸/異種核酸は、しばしば発現カセットという状況下にある。
【0069】
該用語が本明細書において使用されるように、「発現カセット」は、適当な調節エレメント配列(調節エレメント)、例えば転写/翻訳制御シグナル、複製の起点、ポリアデニル化シグナル、内部リボソーム進入部位(IRES)、プロモーター、および/またはエンハンサー等と作動可能に連結された/結び付いた目的の核酸を含む。本発明の一部の実施形態において、発現カセットは、目的の核酸に作動可能に連結されたプロモーター(例えば、真核の)、および任意で(真核の)転写終結配列を含む。典型的に、発現カセットは、ベクターという状況下にある(例えば、ベクター配列と隣接している)。ウイルスベクターの状況下にある場合、それは、典型的に、ウイルスベクターのためのウイルスパッケージングシグナルと隣接している。例えば、AAVウイルスベクターに関して、パッケージングシグナルは、発現カセットに近接して位置する少なくとも1つの逆位末端反復であり、任意で5’逆位末端反復(ITR)および3’ITRは発現カセットに隣接する。
【0070】
「ベクター」とは、それが複製され得かつ/または発現され得る、別の細胞内に外来遺伝物質を運ぶビヒクルとして使用される化合物を指す。外来核酸を含有するクローニングベクターは、組み換えベクターと称される。核酸ベクターの例は、プラスミド、ウイルスベクター、コスミド、および人工染色体である。組み換えベクターは、典型的に、複製の起点、マルチクローニングサイト、および選択可能なマーカーを含有する。核酸配列は、典型的に、インサート(組み換え核酸または導入遺伝子)、およびベクターの「骨格」として働くより大きな配列からなる。別の細胞に遺伝情報を移入するベクターの目的は、典型的に、標的細胞においてインサートを単離する、増やす、または発現させることである。発現ベクター(発現構築物)は、標的細胞における外因性遺伝子の発現のためのものであり、一般的に、外因性遺伝子/ORFの発現を推進するプロモーター配列を有する。標的細胞内へのベクターの挿入は、細菌細胞および真核細胞に対して形質転換またはトランスフェクションと称されるが、とはいえウイルスベクターの挿入はしばしば形質導入と呼ばれる。「ベクター」という用語は、これらに限定されないが、形質転換された細胞またはナノ粒子等、別の細胞内に外来遺伝物質を運ぶ働きをする物品を記載するためにも一般的に使用され得る。
【0071】
本明細書において使用するとき、具体的な実施形態における「ベクター」、「ウイルスベクター」、「送達ベクター」という用語(および同様の用語)は、概して、核酸送達ビヒクルとして機能する、およびビリオン内にパッケージされたウイルス核酸(すなわち、ベクターゲノム)を含む、ウイルス粒子を指す。本発明に従ったウイルスベクターは、本発明に従ったキメラAAVカプシドを含み、AAVもしくはrAAVゲノム、またはウイルス核酸を含めた他の任意の核酸をパッケージし得る。代替的に、一部の文脈において、「ベクター」、「ウイルスベクター」、「送達ベクター」という用語(および同様の用語)は、ビリオンの非存在下におけるベクターゲノム(例えば、vDNA)、および/またはカプシドにつながれたもしくはカプシド内にパッケージされた分子を送達する輸送体として作用するウイルスカプシドを指すために使用され得る。
【0072】
本発明のウイルスベクターは、さらに、国際公開WO01/92551(その開示は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする)に記載される二重鎖パルボウイルス粒子であり得る。ゆえに、一部の実施形態において、二本鎖(二重鎖)ゲノムがパッケージされ得る。
【0073】
「組み換えAAVベクターゲノム」または「rAAVゲノム」とは、少なくとも1つの逆位末端反復(例えば、1、2、または3つの逆位末端反復)および1つまたは複数の異種ヌクレオチド配列を含む、AAVゲノム(すなわち、vDNA)である。rAAVベクターは、一般的に、145塩基の末端反復(TR)をシスに保持してウイルスを作出するが;しかしながら、部分的にまたは完全に合成の配列を含む改変AAV TRおよび非AAV TRも、この目的を果たし得る。他のすべてのウイルス配列は非必須であり、トランスに供給され得る(Muzyczka,(1992)Curr.Topics Microbiol.Immunol.158:97)。rAAVベクターは、任意で2つのTR(例えば、AAV TR)を含み、それは、一般的に、異種ヌクレオチド配列の5’および3’末端にあるであろうが、それと連続している必要はない。TRは、同じであり得るまたは互いと異なり得る。ベクターゲノムは、その3’または5’末端に単一のITRも含有し得る。
【0074】
「末端反復」または「TR」という用語は、ヘアピン構造を形成しかつ逆位末端反復(ITR)として機能する(すなわち、複製、ウイルスパッケージング、組み込み、および/またはプロウイルスレスキュー等の所望の機能を媒介する)任意のウイルス末端反復または合成配列を含む。TRは、AAV TR(本明細書においてAAV ITRと称される)または非AAV TRであり得る。例えば、他のパルボウイルス(例えば、イヌパルボウイルス(CPV)、マウスパルボウイルス(MVM)、ヒトパルボウイルスB-19)のもの等の非AAV TR(本明細書において非AAV ITRと称される)配列、またはSV40複製の起点として働くSV40ヘアピンは、TRとして使用され得、それは、切断、置換、欠失、挿入、および/または付加によってさらに改変され得る。さらには、TR(ITR)は、Samulskiらへの米国特許第5,478,745号に記載される「ダブル-D配列」等、部分的にまたは完全に合成であり得る。
【0075】
パルボウイルスゲノムは、それらの5’および3’末端の両方に回文配列を有する。配列の回文性質は、相補的塩基対間での水素結合の形成によって安定化されるヘアピン構造の形成につながる。このヘアピン構造は、「Y」または「T」の形状を取ると思われる。例えば、FIELDS et al.,VIROLOGY,volume 2,chapters 69&70(4th ed.,Lippincott-Raven Publishers)を参照されたい。
【0076】
「AAV逆位末端反復」または「AAV ITR」は、これらに限定されないが、血清型1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または現在公知のもしくは後に発見される他の任意のAAVを含めた、任意のAAV血清型または単離株由来のものであり得る(例えば、表1を参照されたい)。ITRが所望の機能、例えば複製、ウイルスパッケージング、組み込み、および/またはプロウイルスレスキュー等を媒介する限りにおいて、AAV ITRは天然ITRを有する必要はない(例えば、天然AAV ITR配列は、挿入、欠失、切断、および/またはミスセンス変異によって変更され得る)。
【0077】
「rAAV粒子」および「rAAVビリオン」という用語は、本明細書で互換可能に使用される。「rAAV粒子」または「rAAVビリオン」は、AAVカプシド内にパッケージされたrAAVベクターゲノムを含む。
【0078】
本発明のウイルスベクターは、さらに、国際特許公報WO00/28004およびChao et al.,(2000)Mol.Therapy 2:619に記載される、「標的化」ウイルスベクター(例えば、指向性の向性を有する)および/または「ハイブリッド」パルボウイルス(すなわち、ウイルスITRおよびウイルスカプシドが、異なるパルボウイルス由来のものである)であり得る。
【0079】
さらには、ウイルスカプシドまたはゲノムエレメントは、挿入、欠失、および/または置換を含めた他の改変を含有し得る。
【0080】
本明細書において使用するとき、「アミノ酸」という用語は、任意の天然に存在するアミノ酸、その改変された形態、および天然に存在しないアミノ酸の含めた合成アミノ酸を包含する。
【0081】
天然に存在する左旋性(L-)アミノ酸が、表2に示されている。
【0082】
【0083】
代替的に、アミノ酸は、修飾アミノ酸残基であり得る(非限定的な例が、表3に示されている)、または翻訳後修飾(例えば、アセチル化、アミド化、ホルミル化、ヒドロキシル化、メチル化、リン酸化、または硫酸化(sulfatation))によって改変されているアミノ酸であり得る。
【0084】
【0085】
さらには、天然に存在しないアミノ酸は、Wang et al.,(2006)Annu.Rev.Biophys.Biomol.Struct.35:225-49によって記載される「非天然」アミノ酸であり得る。これらの非天然アミノ酸を有利に使用して、目的の分子をAAVカプシドタンパク質に化学的に連結し得る。
【0086】
「鋳型」または「基質」という用語は、本明細書において、パルボウイルスウイルスDNAを産生するために複製され得るポリヌクレオチド配列を指すために使用される。ベクター産生の目的のために、鋳型は、典型的に、プラスミド、裸のDNAベクター、細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)、またはウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、エプスタイン・バールウイルス、AAV、バキュロウイルス、レトロウイルスベクター等)を含むがこれらには限定されない、より大きなヌクレオチド配列または構築物内に埋め込まれるであろう。代替的に、鋳型は、パッケージング細胞の染色体に安定に組み入れられ得る。
【0087】
本明細書において使用するとき、パルボウイルスまたはAAV「Repコード配列」とは、ウイルス複製および新たなウイルス粒子の産生を媒介するパルボウイルスまたはAAV非構造タンパク質をコードする核酸配列を示す。パルボウイルスおよびAAV複製遺伝子およびタンパク質は、例えばFIELDS et al.,VIROLOGY,volume 2,chapters 69&70(4th ed.,Lippincott-Raven Publishers)に記載されている。
【0088】
「Repコード配列」は、パルボウイルスまたはAAV Repタンパク質のすべてをコードする必要はない。例えば、AAVに関して、Repコード配列は、4つすべてのAAV Repタンパク質(Rep78、Rep68、Rep52、およびRep40)をコードする必要はなく、実際、AAV5は、スプライスされたRep68およびRep40タンパク質のみを発現すると思われる。代表的な実施形態において、Repコード配列は、ウイルスゲノム複製および新たなビリオン内へのパッケージングに必要である少なくともそれらの複製タンパク質をコードする。Repコード配列は、一般的に、少なくとも1つの大きなRepタンパク質(すなわち、Rep78/68)および1つの小さなRepタンパク質(すなわち、Rep52/40)をコードするであろう。特定の実施形態において、Repコード配列は、AAV Rep78タンパク質、ならびにAAV Rep52および/またはRep40タンパク質をコードする。他の実施形態において、Repコード配列は、Rep68、ならびにRep52および/またはRep40タンパク質をコードする。なおさらなる実施形態において、Repコード配列は、Rep68およびRep52タンパク質、Rep68およびRep40タンパク質、Rep78およびRep52タンパク質、またはRep78およびRep40タンパク質をコードする。
【0089】
本明細書において使用するとき、「大きなRepタンパク質」という用語は、Rep68および/またはRep78を指す。特許請求される発明の大きなRepタンパク質は、野生型または合成のいずれかであり得る。野生型の大きなRepタンパク質は、これらに限定されないが、血清型1、2、3a、3b、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは13、または現在公知のもしくは後に発見される他の任意のAAVを含めた、任意のパルボウイルスまたはAAV由来のものであり得る(例えば、表1を参照されたい)。合成の大きなRepタンパク質は、挿入、欠失、切断、および/またはミスセンス変異によって変更され得る。
【0090】
当業者であれば、複製タンパク質は、同じポリヌクレオチドによってコードされる必要はないことをさらに解するであろう。例えば、MVMに関して、NS-1およびNS-2タンパク質(スプライスバリアントである)は、互いと無関係に発現され得る。同じように、AAVに関して、p19プロモーターは不活性化され得、大きなRepタンパク質は1つのポリヌクレオチドから発現され、小さなRepタンパク質は異なるポリヌクレオチドから発現される。しかしながら、典型的に、単一の構築物から複製タンパク質を発現させることがより好都合であろう。一部のシステムにおいて、ウイルスプロモーター(例えば、AAV p19プロモーター)は細胞によって認識され得ず、それゆえ、別個の発現カセットから大きなおよび小さなRepタンパク質を発現させる必要がある。他の場合には、大きなRepおよび小さなRepタンパク質を別個に、すなわち別個の転写および/または翻訳制御エレメントの制御下で発現させることが望ましくあり得る。例えば、小さなRepタンパク質に対する大きなRepタンパク質の比を減少させるように、大きなRepタンパク質の発現を制御することが望ましくあり得る。昆虫細胞の場合には、大きなRepタンパク質(例えば、Rep78/68)の発現を下方調節して、細胞への毒性を回避することが有利であり得る(例えば、Urabe et al.,(2002)Human Gene Therapy 13:1935を参照されたい)。
【0091】
本明細書において使用するとき、パルボウイルスまたはAAV「capコード配列」は、機能的パルボウイルスまたはAAVカプシド(すなわち、DNAをパッケージし得かつ標的細胞に感染し得る)を形成する構造タンパク質をコードする。典型的に、capコード配列は、パルボウイルスまたはAAVカプシドサブユニットのすべてをコードするであろうが、機能的カプシドが産生される限りにおいて、すべてに満たないカプシドサブユニットがコードされ得る。典型的に、しかし必ずではなく、capコード配列は、単一の核酸分子上に存在するであろう。
【0092】
自律性パルボウイルスおよびAAVのカプシド構造は、BERNARD N.FIELDS et al.,VIROLOGY,volume 2,chapters 69&70(4th ed.,Lippincott-Raven Publishers)により詳細に記載される。
【0093】
特性を「実質的に保持する」によって、特性(例えば、活性または他の測定可能な特徴)の少なくとも約75%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%が保持されることを意味する。
【0094】
UBE3A発現カセットおよびベクター
本発明は、UBE3Aタンパク質(E6APユビキチンタンパク質リガーゼ(E6AP)としても知られる)の治療レベルの細胞内(例えば、非分泌性)発現を提供するUBE3A発現カセットの設計、UBE3A遺伝子によってコードされる酵素、および対象における治療レベルのUBE3A/E6APを達成するための発現カセットの使用に関する。
【0095】
ゆえに、本発明の1つの態様は、哺乳類UBE3Aオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチドに関する。オープンリーディングフレームは、UBE3A/E6APをコードするUBE3A遺伝子の一部分である。一部の実施形態において、哺乳類UBE3Aオープンリーディングフレームは、ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームであり得る。ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームは、同じリーディングフレームにおけるヒトUBE3Aの1つまたは複数のアイソフォームをコードし得る。例えば、一部の実施形態において、哺乳類UBE3Aオープンリーディングフレームは、ヒトUBE3Aの短いアイソフォーム(すなわち、ヒトUBE3Aアイソフォーム1)および/またはヒトUBE3Aの長いアイソフォーム(例えば、ヒトUBE3Aアイソフォーム2および/または3)オープンリーディングフレームであり得る。一部の実施形態において、哺乳類UBE3Aオープンリーディングフレームは、ヒトUBE3Aアイソフォーム1およびアイソフォーム3オープンリーディングフレームであり得る。他の実施形態において、哺乳類UBE3Aオープンリーディングフレームは、ヒトUBE3Aアイソフォーム1およびアイソフォーム2オープンリーディングフレームであり得る。本明細書において使用するとき、哺乳類UBE3Aオープンリーディングフレームとは、哺乳類UBE3A/E6APをコードするヌクレオチド配列を指し、例えばヒトUBE3Aオープンリーディングフレームとは、ヒトUBE3A/E6APをコードするヌクレオチド配列を指す。機能に対して適当な場合、UBE3Aオープンリーディングフレームという用語が、ヒトUBE3Aの短いアイソフォームおよびヒトUBE3Aの長いアイソフォームの両方をコードするオープンリーディングフレームを指すために本明細書において使用されるので、オープンリーディングフレームは、長いアイソフォームの発現に影響するコザック配列を包含する5’上流核酸配列を含む。そのようなオープンリーディングフレームは、図13および図14に示されている。
配列番号:1.野生型ヒトUBE3Aの短いアイソフォーム(アイソフォーム1;GenBankアクセッション#NM_130838.3)
GCTGCCTGCCGGGATACTCGGCCCGCCCAGCCAGTCCTCCCGTCTTGCGCCGCGGCCGCGAGATCCGTGT
GTCTCCCAAGATGGTGGCGCTGGGCTCGGGGTGACTACAGGAGACGACGGGGCCTTTTCCCTTCGCCAGG
ACCCGACACACCAGGCTTCGCTCGCTCGCGCACCCCTCCGCCGCGTAGCCATCCGCCAGCGCGGGCGCCC
GCCATCCGCCGCCTACTTACGCTTCACCTCTGCCGACCCGGCGCGCTCGGCTGCGGGCGGCGGCGCCTCC
TTCGGCTCCTCCTCGGAATAGCTCGCGGCCTGTAGCCCCTGGCAGGAGGGCCCCTCAGCCCCCCGGTGTG
GACAGGCAGCGGCGGCTGGCGACGAACGCCGGGATTTCGGCGGCCCCGGCGCTCCCTTTCCCGGCCTCGT
TTTCCGGATAAGGAAGCGCGGGTCCCGCATGAGCCCCGGCGGTGGCGGCAGCGAAAGAGAACGAGGCGGT
GGCGGGCGGAGGCGGCGGGCGAGGGCGACTACGACCAGTGAGGCGGCCGCCGCAGCCCAGGCGCGGGGGC
GACGACAGATCAGGAGAACCTCAGTCTGACGACATTGAAGCTAGCCGAATGAAGCGAGCAGCTGCAAAGC
ATCTAATAGAACGCTACTACCACCAGTTAACTGAGGGCTGTGGAAATGAAGCCTGCACGAATGAGTTTTG
TGCTTCCTGTCCAACTTTTCTTCGTATGGATAATAATGCAGCAGCTATTAAAGCCCTCGAGCTTTATAAG
ATTAATGCAAAACTCTGTGATCCTCATCCCTCCAAGAAAGGAGCAAGCTCAGCTTACCTTGAGAACTCGA
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TGTGACTTACTTAACAGAAGAGAAGGTATATGAAATTCTTGAATTATGTAGAGAAAGAGAGGATTATTCC
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GGGTCTACACCAGATTGCTCTCTAATGAAAAAATTGAAACTGCCTTTCTCAATGCACTTGTATATTTGTC
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GATGATTATAGCCAAAAATGGCCCAGACACAGAAAGGTTACCTACATCTCATACTTGCTTTAATGTGCTT
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AAAGAAAGATGGAAGGAAGGGAGAAATTGGAATGTTTTAACTGCAGCCCTCAGAACTTTAGTAACAGCAC
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AGTAGCCAATCCTCTTTCTTAGTATATGAAAGGACAGGGATTTTTGTTCTTGTTGTTCTCGTTGTTGTTT
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CAGCCATTTTATCGAGGCACGTGATCAGTGTTGCAACATAATGAAAAAGATGGCTACTGTGCCTTGTGTT
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TTGTTAATTTCTTTTATTGCATTATAAAATAAAAGGATTATGTATTTTTAACTAAGGTGAGACATTGATA
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ACAGAACTGTTTGTTATGTACCATAATGCTAAATAAAACTGTGGCACTTTTCACCATAATTTAATTTAGT
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TCATCCACTGTGCTTCTTAATGTGTAATTAAAGTGAGGAGAAATTAAATACTCTGAGGGCGTTTTATATA
ATAAATTCGTGAAGAAATGTGTGCTCTTCA
配列番号:2.野生型ヒトUBE3Aの長いアイソフォーム(アイソフォーム2;GenBankアクセッション#NM_000462.5)
GCTGCCTGCCGGGATACTCGGCCCGCCCAGCCAGTCCTCCCGTCTTGCGCCGCGGCCGCGAGATCCGTGT
GTCTCCCAAGATGGTGGCGCTGGGCTCGGGGTGACTACAGGAGACGACGGGGCCTTTTCCCTTCGCCAGG
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GCCATCCGCCGCCTACTTACGCTTCACCTCTGCCGACCCGGCGCGCTCGGCTGCGGGCGGCGGCGCCTCC
TTCGGCTCCTCCTCGGAATAGCTCGCGGCCTGTAGCCCCTGGCAGGAGGGCCCCTCAGCCCCCCGGTGTG
GACAGGCAGCGGCGGCTGGCGACGAACGCCGGGATTTCGGCGGCCCCGGCGCTCCCTTTCCCGGCCTCGT
TTTCCGGATAAGGAAGCGCGGGTCCCGCATGAGCCCCGGCGGTGGCGGCAGCGAAAGAGAACGAGGCGGT
GGCGGGCGGAGGCGGCGGGCGAGGGCGACTACGACCAGTGAGGCGGCCGCCGCAGCCCAGGCGCGGGGGC
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TGAGGGCTGTGGAAATGAAGCCTGCACGAATGAGTTTTGTGCTTCCTGTCCAACTTTTCTTCGTATGGAT
AATAATGCAGCAGCTATTAAAGCCCTCGAGCTTTATAAGATTAATGCAAAACTCTGTGATCCTCATCCCT
CCAAGAAAGGAGCAAGCTCAGCTTACCTTGAGAACTCGAAAGGTGCCCCCAACAACTCCTGCTCTGAGAT
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AATAACTGTATACTGGATGTACATTTTCCCATGGTTGTCTACAGGAAGCTAATGGGGAAAAAAGGAACTT
TTCGTGACTTGGGAGACTCTCACCCAGTTCTATATCAGAGTTTAAAAGATTTATTGGAGTATGAAGGGAA
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CAATGAATCTCCCTTAAAGTACTTATTCAGACCAGAAGAAATTGAATTGCTTATATGTGGAAGCCGGAAT
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GAATGAAACTATTACTCCTAAGAATTACATTGTATAGCCCCACAGATTAAATTTAATTAATTAATTCAAA
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AAGGGACCTTCGTGCAACTGTAGTCATCTTAAAGGCTTCTCATCCACTGTGCTTCTTAATGTGTAATTAA
AGTGAGGAGAAATTAAATACTCTGAGGGCGTTTTATATAATAAATTCGTGAAGAAATGTGTGCTCTTCA
配列番号:3.野生型ヒトUBE3Aの長いアイソフォーム(アイソフォーム3;GenBankアクセッション#NM_130839.4)
GCTGCCTGCCGGGATACTCGGCCCGCCCAGCCAGTCCTCCCGTCTTGCGCCGCGGCCGCGAGATCCGTGT
GTCTCCCAAGATGGTGGCGCTGGGCTCGGGGTGACTACAGGAGACGACGGGGCCTTTTCCCTTCGCCAGG
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GCCATCCGCCGCCTACTTACGCTTCACCTCTGCCGACCCGGCGCGCTCGGCTGCGGGCGGCGGCGCCTCC
TTCGGCTCCTCCTCGGAATAGCTCGCGGCCTGTAGCCCCTGGCAGGAGGGCCCCTCAGCCCCCCGGTGTG
GACAGGCAGCGGCGGCTGGCGACGAACGCCGGGATTTCGGCGGCCCCGGCGCTCCCTTTCCCGGCCTCGT
TTTCCGGATAAGGAAGCGCGGGTCCCGCATGAGCCCCGGCGGTGGCGGCAGCGAAAGAGAACGAGGCGGT
GGCGGGCGGAGGCGGCGGGCGAGGGCGACTACGACCAGTGAGGCGGCCGCCGCAGCCCAGGCGCGGGGGC
GACGACAGGTTAAAAATCTGTAAGAGCCTGATTTTAGAATTCACCAGCTCCTCAGAAGTTTGGCGAAATA
TGAGTTATTAAGCCTACGCTCAGATCAAGGTAGCAGCTAGACTGGTGTGACAACCTGTTTTTAATCAGTG
ACTCAAAGCTGTGATCACCCTGATGTCACCGAATGGCCACAGCTTGTAAAAGATCAGGAGAACCTCAGTC
TGACGACATTGAAGCTAGCCGAATGAAGCGAGCAGCTGCAAAGCATCTAATAGAACGCTACTACCACCAG
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TGGATAATAATGCAGCAGCTATTAAAGCCCTCGAGCTTTATAAGATTAATGCAAAACTCTGTGATCCTCA
TCCCTCCAAGAAAGGAGCAAGCTCAGCTTACCTTGAGAACTCGAAAGGTGCCCCCAACAACTCCTGCTCT
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TATATGAAATTCTTGAATTATGTAGAGAAAGAGAGGATTATTCCCCTTTAATCCGTGTTATTGGAAGAGT
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TCTCTTCAAGCAAAAGATGAAGACAAAGATGAAGATGAAAAGGAAAAAGCTGCATGTTCTGCTGCTGCTA
TGGAAGAAGACTCAGAAGCATCTTCCTCAAGGATAGGTGATAGCTCACAGGGAGACAACAATTTGCAAAA
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GAAAAAATTGAAACTGCCTTTCTCAATGCACTTGTATATTTGTCACCTAACGTGGAATGTGACTTGACGT
ATCACAATGTATACTCTCGAGATCCTAATTATCTGAATTTGTTCATTATCGTAATGGAGAATAGAAATCT
CCACAGTCCTGAATATCTGGAAATGGCTTTGCCATTATTTTGCAAAGCGATGAGCAAGCTACCCCTTGCA
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TGCCATTGTTGCTGCTTCGAAGTGCTTGAAAATGGTTTACTATGCAAATGTAGTGGGAGGGGAAGTGGAC
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TTGTAGACCACGTAACCTTCAAGTATGTGCTACTTTTTTGTCCCTGTATCTAACTCAAATCAGGAACTGT
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TTGGAATGTTTTAACTGCAGCCCTCAGAACTTTAGTAACAGCACAACAAATTAAAAACAAAAACAACTCA
TGCCACAGTATGTCGTCTTCATGTGTCTTGCAATGAACTGTTTCAGTAGCCAATCCTCTTTCTTAGTATA
TGAAAGGACAGGGATTTTTGTTCTTGTTGTTCTCGTTGTTGTTTTAAGTTTACTGGGGAAAGTGCATTTG
GCCAAATGAAATGGTAGTCAAGCCTATTGCAACAAAGTTAGGAAGTTTGTTGTTTGTTTATTATAAACAA
AAAGCATGTGAAAGTGCACTTAAGATAGAGTTTTTATTAATTACTTACTTATTACCTAGATTTTAAATAG
ACAATCCAAAGTCTCCCCTTCGTGTTGCCATCATCTTGTTGAATCAGCCATTTTATCGAGGCACGTGATC
AGTGTTGCAACATAATGAAAAAGATGGCTACTGTGCCTTGTGTTACTTAATCATACAGTAAGCTGACCTG
GAAATGAATGAAACTATTACTCCTAAGAATTACATTGTATAGCCCCACAGATTAAATTTAATTAATTAAT
TCAAAACATGTTAAACGTTACTTTCATGTACTATGGAAAAGTACAAGTAGGTTTACATTACTGATTTCCA
GAAGTAAGTAGTTTCCCCTTTCCTAGTCTTCTGTGTATGTGATGTTGTTAATTTCTTTTATTGCATTATA
AAATAAAAGGATTATGTATTTTTAACTAAGGTGAGACATTGATATATCCTTTTGCTACAAGCTATAGCTA
ATGTGCTGAGCTTGTGCCTTGGTGATTGATTGATTGATTGACTGATTGTTTTAACTGATTACTGTAGATC
AACCTGATGATTTGTTTGTTTGAAATTGGCAGGAAAAATGCAGCTTTCAAATCATTGGGGGGAGAAAAAG
GATGTCTTTCAGGATTATTTTAATTAATTTTTTTCATAATTGAGACAGAACTGTTTGTTATGTACCATAA
TGCTAAATAAAACTGTGGCACTTTTCACCATAATTTAATTTAGTGGAAAAAGAAGACAATGCTTTCCATA
TTGTGATAAGGTAACATGGGGTTTTTCTGGGCCAGCCTTTAGAACACTGTTAGGGTACATACGCTACCTT
GATGAAAGGGACCTTCGTGCAACTGTAGTCATCTTAAAGGCTTCTCATCCACTGTGCTTCTTAATGTGTA
ATTAAAGTGAGGAGAAATTAAATACTCTGAGGGCGTTTTATATAATAAATTCGTGAAGAAATGTGTGCTC
TTCA
【0096】
理論に拘束されることを望まないものの、ヒト脳組織におけるUBE3Aアイソフォーム発現の解析は、短いUBE3Aアイソフォーム1が、アッセイされる特異的脳領域に応じて、長いUBE3Aアイソフォームと比較して少なくとも4:1および最高8:1の比で発現されることを示した(Mele et al,Science,2015;348(6235):660-665)。ゆえに、一部の実施形態において、哺乳類UBE3Aオープンリーディングフレームは、WTまたは対照から改変されている1つまたは複数のコザック配列を含み得、例えば、WTまたは対照、例えばコンセンサスコザック配列および/または野生型UBE3Aコザック配列と比較して、1、2、3、4、5個、またはそれ以上のヌクレオチドが置換されている、付加されている、かつ/または欠失しているポリヌクレオチド配列を含む、それから本質的になる、またはそれからなる。一部の実施形態において、哺乳類UBE3Aオープンリーディングフレームは、オープンリーディングフレームにおける1つまたは複数の開始コドン(すなわち、翻訳開始部位としても知られる1つまたは複数の開始コドン)のイニシエーション活性を低下させるおよび/または増強するヌクレオチド改変(例えば、置換)を含む1つまたは複数のコザック配列を含み得る。一部の実施形態において、哺乳類UBE3Aオープンリーディングフレームは、対照、例えばコンセンサスコザック配列、または例えば野生型(例えば、非改変)UBE3Aコザック配列と比較して、1つまたは複数の開始コドンのイニシエーション活性を5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上低下させる(例えば、アイソフォームの発現を低下させる)ヌクレオチド改変(例えば、置換)を含む1つまたは複数のコザック配列を含み得る。一部の実施形態において、哺乳類UBE3Aオープンリーディングフレームは、対照、例えばコンセンサスコザック配列、または例えば野生型(例えば、非改変)UBE3Aコザック配列と比較して、1つまたは複数の開始コドンのイニシエーション活性を5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、100%、150%、200%、またはそれ以上増強する(例えば、アイソフォームの発現を増強する)ヌクレオチド改変(例えば、置換)を含む1つまたは複数のコザック配列を含み得る。一部の実施形態において、哺乳類UBE3Aオープンリーディングフレームは、長いアイソフォームの発現と比較して約1:1~約15:1の比、例えば約1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその中の任意の値もしくは値域の比での短いアイソフォームの発現を提供する1つまたは複数のヌクレオチド改変を含み得る。例えば、一部の実施形態において、哺乳類(例えば、ヒト)UBE3Aオープンリーディングフレームは、長いアイソフォームの発現と比較して約2:1~約4.5:1、約1:1~約10:1、約3:1~約8.5:1、または約3:1~約4:1の比での短いアイソフォームの発現を提供する1つまたは複数のヌクレオチド改変を含み得る。例えば、一部の実施形態において、哺乳類(例えば、ヒト)UBE3Aオープンリーディングフレームは、長いアイソフォームの発現と比較して約2.5:1、約3:1、約4:1、約6.5:1、約8:1、または約10:1の比での短いアイソフォームの発現を提供する1つまたは複数のヌクレオチド改変を含み得る。
【0097】
一部の実施形態において、哺乳類UBE3Aオープンリーディングフレームは、配列番号6のヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも約50%同一の、例えばそれと少なくとも約50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一の配列を含む、それから本質的になる、またはそれからなる第1のコザック配列を含む。一部の実施形態において、第1のコザック配列(例えば、配列番号6)は、WTアイソフォーム3またはWTアイソフォーム2コザック配列(それぞれ配列番号5または4)を置き換えるまたは改変する等によって、アイソフォーム3またはアイソフォーム2に作動可能に連結される。
配列番号4.野生型ヒトUBE3Aの長いアイソフォーム2コザック配列(下線部は開始コドン)
UGCAGGAUGG
配列番号5.野生型ヒトUBE3Aの長いアイソフォーム3コザック配列(下線部は開始コドン)
CACCGAAUGG
配列番号6.低下したイニシエーション活性を有する、改変されたヒトUBE3Aの第1のコザック配列(下線部は開始コドン)
UUUUUUAUGG
【0098】
一部の実施形態において、哺乳類UBE3Aオープンリーディングフレームは、配列番号8のヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも約50%同一の、例えばそれと少なくとも約50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一の配列を含む、それから本質的になる、またはそれからなる第2のコザック配列を含む。一部の実施形態において、第2のコザック配列(例えば、配列番号8)は、WTヒトUBE3Aアイソフォーム1コザック配列(配列番号7)を置き換えるまたは改変する等によって、短いアイソフォーム1に作動可能に連結される。
配列番号7.野生型ヒトUBE3Aの短いアイソフォーム(アイソフォーム1)コザック配列(下線部は開始コドン)
AGCCGAAUGA
配列番号8.増強したイニシエーション活性を有する、改変されたヒトUBE3Aの第2のコザック配列(下線部は開始コドン)
AGCAGGAUGA
【0099】
一部の実施形態において、哺乳類UBE3Aオープンリーディングフレームの唯一のコドン最適化ヌクレオチド配列は、ヒトUBE3Aに対する図14に示されているもの等、一方または両方のコザック配列に対するものである。一部の実施形態において、付加的な(コザック配列に加えて)コドン最適化ヌクレオチド配列は、哺乳類UBE3Aオープンリーディングフレーム内にあり、哺乳類細胞における発現に影響する。本明細書において使用される「哺乳類」という用語は、これらに限定されないが、ヒト、霊長類、非ヒト霊長類(例えば、サルおよびヒヒ)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ウサギ、齧歯類(例えば、ラット、マウス、ハムスター等)等を含む。コドン最適化は当技術分野において周知の技法であり、種々の種における発現のための最適なコドンが公知である。コドン最適化UBE3A配列の使用により、対象において、形質導入された配列の発現を内因性UBE3A配列の発現から識別することが可能となる。一部の実施形態において、本発明のヒトUBE3Aオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチドは、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化され得る。
【0100】
一部の実施形態において、コドン最適化UBE3Aオープンリーディングフレームは、配列番号9、配列番号26、もしくは配列番号27のヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも約70%同一の、例えばそれと少なくとも約70、75、76、77、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%同一の配列を含む、それから本質的になる、またはそれからなる。一部の実施形態において、配列番号27(図14)におけるコザック配列の一方または両方はさらに改変されず、一方で他のヌクレオチド配列は、比較からコザック配列を削除した場合に、配列番号27(図14)におけるそれぞれの配列と少なくとも約70%同一の、例えば少なくとも約70、75、76、77、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%同一であるUBE3Aオープンリーディングフレームを作出するようにさらにコドン最適化され、それによって、短いアイソフォーム1に作動可能に連結されたコザック配列(配列番号8)を保ち、かつ/またはコザック配列(配列番号6)は、アイソフォーム3もしくはアイソフォーム2に作動可能に連結される。
配列番号9.ヒトコドン最適化UBE3Aアイソフォーム1およびアイソフォーム3オープンリーディングフレーム(hUBE3A1>>3)
ATGGCCACAGCTTGTAAAAGATCAGGAGAACCTCAGTCTGACGACATTGAAGCTAGCAGGATGAAGAGAGCCGCCGCAAAGCACCTGATCGAACGCTACTACCATCAGCTCACCGAGGGTTGCGGCAACGAAGCGTGTACCAACGAGTTCTGTGCCTCCTGCCCCACGTTCCTGCGGATGGATAACAATGCCGCCGCAATCAAGGCGCTTGAACTGTATAAGATCAACGCCAAGCTGTGCGATCCCCACCCTTCCAAGAAGGGAGCCAGCTCAGCCTACCTGGAAAACTCCAAGGGCGCCCCTAACAACTCATGCTCCGAGATCAAGATGAATAAGAAGGGCGCCCGGATTGACTTCAAGGATGTGACCTACCTGACCGAGGAGAAGGTGTACGAGATCCTGGAACTCTGCCGAGAACGGGAGGACTACTCCCCTCTGATCCGCGTGATCGGAAGAGTGTTCAGCTCCGCTGAAGCGCTCGTGCAGTCGTTCAGAAAGGTCAAGCAGCACACTAAGGAAGAACTCAAGTCCCTGCAGGCCAAAGATGAGGATAAGGACGAAGATGAAAAAGAAAAGGCCGCCTGCTCAGCTGCCGCGATGGAAGAAGATTCAGAGGCCTCCAGCAGCAGGATTGGCGACAGCTCCCAGGGGGACAACAACCTCCAGAAGCTGGGTCCAGACGATGTGTCGGTGGACATCGACGCCATTCGGAGAGTGTACACCCGACTGCTCTCGAACGAAAAGATCGAGACTGCATTCCTGAACGCCCTTGTCTACCTGAGCCCGAACGTGGAATGCGACCTTACTTACCATAACGTCTACTCCCGGGACCCAAACTACCTGAACCTGTTCATCATCGTGATGGAAAACCGGAACCTCCATTCCCCCGAGTACCTGGAAATGGCCCTGCCCCTGTTCTGCAAGGCCATGTCAAAGCTTCCGCTGGCCGCACAAGGAAAGCTGATCCGCTTGTGGTCCAAGTACAACGCGGACCAGATCAGACGCATGATGGAAACGTTCCAGCAACTGATTACTTACAAGGTCATCTCCAATGAGTTCAACTCCCGGAATCTTGTGAACGACGATGATGCCATTGTGGCCGCCTCCAAATGCCTGAAGATGGTCTACTATGCGAACGTCGTGGGCGGGGAAGTCGATACCAACCACAACGAGGAGGACGACGAGGAACCTATCCCTGAGTCATCAGAACTGACTCTGCAAGAACTGCTGGGCGAAGAACGCCGGAACAAGAAGGGCCCAAGAGTCGACCCGTTGGAAACCGAACTGGGAGTCAAAACCCTGGACTGCAGAAAGCCTCTGATCCCGTTCGAAGAGTTCATCAACGAACCCCTGAACGAGGTGCTGGAAATGGACAAGGACTACACCTTCTTCAAGGTCGAAACCGAGAACAAGTTCTCTTTCATGACTTGCCCGTTCATTCTGAACGCAGTGACCAAGAACCTGGGCCTCTACTACGACAACCGCATCCGCATGTACAGCGAACGCCGCATCACCGTGCTGTACTCCCTGGTGCAAGGCCAACAGCTGAACCCCTACCTTCGCCTGAAAGTCCGCCGCGACCATATCATTGATGACGCTCTCGTGCGCCTTGAGATGATCGCGATGGAGAACCCCGCAGATCTGAAGAAGCAGCTCTACGTCGAGTTCGAAGGAGAACAGGGGGTGGACGAAGGAGGAGTGTCCAAGGAGTTCTTTCAGCTCGTGGTGGAGGAAATCTTTAACCCTGACATCGGAATGTTCACCTATGACGAATCCACAAAGCTGTTTTGGTTTAACCCGTCCTCGTTCGAAACTGAGGGTCAATTCACCCTCATCGGCATTGTGCTGGGACTCGCCATCTACAACAATTGCATCCTCGACGTGCACTTCCCGATGGTGGTGTACCGCAAACTGATGGGCAAAAAGGGAACCTTCAGAGATCTGGGAGACTCACACCCGGTGCTGTACCAGTCGCTCAAGGACTTGTTGGAATACGAAGGGAACGTGGAAGATGATATGATGATTACCTTCCAAATCTCGCAGACTGACTTGTTTGGAAACCCTATGATGTACGACCTGAAGGAGAATGGAGACAAGATCCCGATCACGAACGAAAACCGCAAGGAGTTCGTCAACCTGTACTCCGACTATATTCTGAACAAGAGCGTGGAGAAGCAGTTTAAGGCTTTCCGCCGGGGATTCCACATGGTCACCAACGAAAGCCCGCTCAAGTACCTCTTTCGGCCCGAAGAGATTGAACTGCTGATCTGCGGGTCGAGGAATCTGGACTTCCAGGCCCTTGAAGAGACTACTGAGTACGACGGAGGCTATACCCGGGACTCCGTGCTGATAAGAGAGTTCTGGGAGATCGTGCACTCCTTCACCGATGAGCAGAAGCGGCTGTTCCTCCAATTCACCACCGGCACTGACAGAGCGCCAGTCGGAGGACTGGGGAAGCTGAAGATGATCATTGCGAAGAACGGTCCCGACACTGAGAGGTTGCCCACTTCCCACACTTGTTTCAACGTGCTGCTGCTCCCGGAGTACTCCTCCAAGGAGAAGCTGAAGGAACGGCTCCTGAAGGCCATTACATACGCCAAAGGTTTCGGCATGCTTTAATGA
【0101】
本発明の別の態様は、本発明の哺乳類(例えば、ヒト)UBE3Aオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチドを含む発現カセットに関する。ある特定の実施形態において、ポリヌクレオチドは、ヒトコドン最適化配列、例えば配列番号9のヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも約70%同一の、例えばそれと少なくとも約70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%同一の配列を含むポリヌクレオチドである。本明細書に記載される本発明の様々な実施形態において、配列番号9のUBE3Aヌクレオチド配列は、第1のコザック配列を含むために、付加的な5’塩基対配列(例えば、配列番号6の改変されたコザック配列をもたらす6個のチミン)をさらに含む。
【0102】
発現カセットにおけるUBE3Aオープンリーディングフレームは、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、局在化シグナル、および/または当技術分野において公知の他の発現エレメント等、UBE3Aおよび/またはE6APの発現を改変し得る(すなわち、増強するまたは低下させるまたは限定する)1つまたは複数の発現エレメントに作動可能に連結され得る。
【0103】
一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、プロモーター、例えばニューロン特異的プロモーター、例えばヒトシナプシン(hSYN)、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、チューブリンアルファ1(Ta1)、MeCP2(MeP)に作動可能に連結される。
【0104】
一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、ヒトシナプシンプロモーター、例えば配列番号10のヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも約70%同一の、例えばそれと少なくとも約70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%同一の配列を含む、それから本質的になる、またはそれからなるプロモーターに作動可能に連結される。
配列番号10.ヒトシナプシン(hSYN)プロモーター
GGTACCAGGGCCCTGCGTATGAGTGCAAGTGGGTTTTAGGACCAGGATGAGGCGGGGTGGGGGTGCCTACCTGACGACCGACCCCGACCCACTGGACAAGCACCCAACCCCCATTCCCCAAATTGCGCATCCCCTATCAGAGAGGGGGAGGGGAAACAGGATGCGGCGAGGCGCGTGCGCACTGCCAGCTTCAGCACCGCGGACAGTGCCTTCGCCCCCGCCTGGCGGCGCGCGCCACCGCCGCCTCAGCACTGAAGGCGCGCTGACGTCACTCGCCGGTCCCCCGCAAACTCCCCTTCCCGGCCACCTTGGTCGCGTCCGCGCCGCCGCCGGCCCAGCCGGACCGCACCACGCGAGGCGCGAGATAGGGGGGCACGGGCGCGACCATCTGCGCTGCGGCGCCGGCGACTCAGCGCTGCCTCAGTCTGCGGTGGGCAGCGGAGGAGTCGTGTCGTGCCTGAGAGCGCAGTC
【0105】
一部の実施形態において、UBE3Aオープンリーディングフレームは、ポリアデニル化シグナル、例えばウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル(bGHpA)、例えば配列番号11のヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも約70%同一の、例えばそれと少なくとも約70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%同一の配列を含む、それから本質的になる、またはそれからなるポリアデニル化シグナルに作動可能に連結される。
配列番号11.ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル(bGHpA)
CTCGACTGTGCCTTCTAGTTGCCAGCCATCTGTTGTTTGCCCCTCCCCCGTGCCTTCCTTGACCCTGGAAGGTGCCACTCCCACTGTCCTTTCCTAATAAAATGAGGAAATTGCATCGCATTGTCTGAGTAGGTGTCATTCTATTCTGGGGGGTGGGGTGGGGCAGGACAGCAAGGGGGAGGATTGGGAAGACAACAGCAGGCATGCTGGGGATGCGGTGGGCTCTATGGCTTCTGAGGCGGAAAGAACCAGCT
【0106】
一部の実施形態において、UBE3Aオープンリーディングフレームは、ポリアデニル化シグナル、例えば合成ポリA(SpA)、例えば配列番号12のヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも約70%同一の、例えばそれと少なくとも約70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%同一の配列を含む、それから本質的になる、またはそれからなるポリアデニル化シグナルに作動可能に連結される。
配列番号12.合成ポリアデニル化シグナル(SpA)
AATAAAGAGCTCAGATGCATCGATCAGAGTGTGTTGGTTTTTTGTGTG
【0107】
一部の実施形態において、UBE3Aオープンリーディングフレームは、ポリアデニル化シグナル、例えばシミアンウイルス40(SV40)ポリアデニル化シグナル(SV40pA)、例えば配列番号13のヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも約70%同一の、例えばそれと少なくとも約70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%同一の配列を含む、それから本質的になる、またはそれからなるポリアデニル化シグナルに作動可能に連結される。
配列番号13.SV40ポリアデニル化シグナル(SV40pA)
AGACATGATAAGATACATTGATGAGTTTGGACAAACCACAACTAGAATGCAGTGAAAAAAATGCTTTATTTGTGAAATTTGTGATGCTATTGCTTTATTTGTAACCATTATAAGCTGCAATAAACAAGTTAACAACAACAATT
【0108】
当業者であれば、多様なプロモーター/エンハンサーエレメントが、所望されるレベルおよび組織特異的発現に応じて使用され得ることをさらに解するであろう。プロモーター/エンハンサーは、所望される発現のパターンに応じて、構成的または誘導性であり得る。プロモーター/エンハンサーは、生得(native)または外来であり得、天然または合成配列であり得る。外来によって、転写開始領域は、転写開始領域が導入される野生型宿主において見出されないことが意図される。
【0109】
プロモーター/エンハンサーエレメントは、標的細胞もしくは治療されるべき対象に生得のものであり得、かつ/または異種核酸配列に対して生得であり得る。プロモーター/エンハンサーエレメントは、一般的に、それが目的の標的細胞において機能するように選定される。代表的な実施形態において、プロモーター/エンハンサーエレメントは哺乳類プロモーター/エンハンサーエレメントである。プロモーター/エンハンサーエレメントは構成的または誘導性であり得る。
【0110】
誘導性発現制御エレメントは、一般的に、異種核酸配列の発現を上回る調節を提供することが望ましい、そうした適用において使用される。遺伝子送達のための誘導性プロモーター/エンハンサーエレメントは、組織特異的または組織優先的プロモーター/エンハンサーエレメントであり得、筋肉特異的または優先的(心筋、骨格筋、および/または平滑筋を含む)、神経組織特異的または優先的(脳特異的を含む)、目(網膜特異的および角膜特異的を含む)、肝臓特異的または優先的、骨髄特異的または優先的、膵臓特異的または優先的、脾臓特異的または優先的、および肺特異的または優先的プロモーター/エンハンサーエレメントを含む。他の誘導性プロモーター/エンハンサーエレメントは、ホルモン誘導性および金属誘導性エレメントを含む。例となる誘導性プロモーター/エンハンサーエレメントは、これらに限定されないが、Tetオン/オフエレメント、RU486誘導性プロモーター、エクジソン誘導性プロモーター、ラパマイシン誘導性プロモーター、およびメタロチオネインプロモーターを含む。
【0111】
UBE3Aオープンリーディングフレームが標的細胞において転写され、次いで翻訳される実施形態において、挿入されたタンパク質コード配列の効率的な翻訳のために、特異的開始シグナルが一般的に採用される。ATG開始コドン(すなわち、翻訳開始部位)および近接配列を含み得るこれらの外因性翻訳制御配列は、天然でも合成でも、多様な起源のものであり得る。これらの付加的な外因性翻訳制御配列の非限定的な例は、コザック配列(例えば、付加的なコザックコンセンサス配列)を含む。
【0112】
ある特定の実施形態において、発現カセットは、少なくとも1つのアデノ随伴ウイルス(AAV)逆位末端反復(ITR)、例えば2つのAAV ITRをさらに含む。2つのITRは、同じヌクレオチド配列または異なるヌクレオチド配列を有し得る。AAV ITRは、任意のAAV血清型または単離株(例えば、AAV1型、AAV2型、AAV3型(3A型および3B型を含む)、AAV4型、AAV5型、AAV6型、AAV7型、AAV8型、AAV9型、AAV10型、AAV11型、AAV12型、AAV13型、または表1に示されるいずれか)由来のものであり得る。一部の実施形態において、ITRはAAV2由来のものである。各ITRは、独立して、野生型配列または改変された配列であり得る。一部の実施形態において、改変されたITRは、D-エレメント欠失を有し得る(WO01/92551)。D-エレメント欠失とは、D-エレメントとして知られる、ITRのその部分の除去として定義される。D-エレメントは、代替的に、D領域もしくはD配列、および/または回文ヘアピン構造を形成しないITRのヌクレオチドと称され得るまたはそれとして知られ得る。一部の実施形態において、発現カセットはAAV一本鎖ベクターである。一部の実施形態において、発現カセットは、AAVゲノム、例えば自己相補的AAVゲノムである。
【0113】
ある特定の実施形態において、発現カセットは、任意で挙げられた順序で、プロモーター、哺乳類UBE3Aオープンリーディングフレーム、およびポリアデニル化部位を含む。ある特定の実施形態において、発現カセットは、任意で挙げられた順序で、プロモーター、ヒトUBE3Aオープンリーディングフレーム、およびポリアデニル化部位を含む。ある特定の実施形態において、発現カセットは、任意で挙げられた順序で、AAV ITR、プロモーター、ヒトUBE3Aオープンリーディングフレーム、ポリアデニル化部位、およびAAV ITRを含む。ある特定の実施形態において、発現カセットは、任意で挙げられた順序で、ヒトシナプシンプロモーター、ヒトUBE3Aオープンリーディングフレーム、およびbGHポリアデニル化部位を含む。ある特定の実施形態において、発現カセットは、任意で挙げられた順序で、AAV ITR、ヒトシナプシンプロモーター、ヒトUBE3Aオープンリーディングフレーム、bGHポリアデニル化部位、およびAAV ITRを含む。ある特定の実施形態において、発現カセットは、任意で挙げられた順序で、AAV2 ITR、プロモーター、ヒトUBE3Aオープンリーディングフレーム、bGHポリアデニル化部位、およびAA2V ITRを含む。ある特定の実施形態において、発現カセットは、任意で挙げられた順序で、AAV2 ITR、ヒトシナプシンプロモーター、ヒトUBE3Aの短いアイソフォームおよび長いアイソフォームを含むヒトUBE3Aオープンリーディングフレーム、bGHポリアデニル化部位、ならびにAA2V ITRを含む。ある特定の実施形態において、発現カセットは、任意で挙げられた順序で、AAV2 ITR、ヒトシナプシンプロモーター、ヒトUBE3Aの短いアイソフォーム(すなわち、アイソフォーム1)および長いアイソフォーム3を含むヒトUBE3Aオープンリーディングフレーム、bGHポリアデニル化部位、ならびにAA2V ITRを含む。ある特定の実施形態において、発現カセットは、任意で挙げられた順序で、AAV2 ITR、ヒトシナプシンプロモーター、ヒトUBE3Aの短いアイソフォームおよび長いアイソフォーム2を含むヒトUBE3Aオープンリーディングフレーム、bGHポリアデニル化部位、ならびにAAV2 ITRを含む。前述の構成要素は作動可能な連結の状態にある。ある特定の実施形態において、発現カセットは、任意で挙げられた順序で、AAV2 ITR、ヒトシナプシンプロモーター、ヒトUBE3Aの短いアイソフォームおよびヒトの長いアイソフォーム(すなわち、アイソフォーム2または3のいずれか)を含み、かつ配列番号6および/もしくは配列番号8、またはそれと少なくとも約50%同一の、例えばそれと少なくとも約50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%同一の配列を含む、それから本質的になる、またはそれからなる1つまたは複数のコザック配列をさらに含むヒトUBE3Aオープンリーディングフレーム、bGHポリアデニル化部位、ならびにAA2V ITRを含む。前述の構成要素は作動可能な連結の状態にある。
【0114】
一部の実施形態において、発現カセットは、配列番号14のヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも約70%同一の、例えばそれと少なくとも約70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%同一の配列を含む、それから本質的になる、またはそれからなる。
配列番号14.ITRを除外したヒトUBE3A発現カセット
GAATTCGGTACCAGGGCCCTGCGTATGAGTGCAAGTGGGTTTTAGGACCAGGATGAGGCGGGGTGGGGGTGCCTACCTGACGACCGACCCCGACCCACTGGACAAGCACCCAACCCCCATTCCCCAAATTGCGCATCCCCTATCAGAGAGGGGGAGGGGAAACAGGATGCGGCGAGGCGCGTGCGCACTGCCAGCTTCAGCACCGCGGACAGTGCCTTCGCCCCCGCCTGGCGGCGCGCGCCACCGCCGCCTCAGCACTGAAGGCGCGCTGACGTCACTCGCCGGTCCCCCGCAAACTCCCCTTCCCGGCCACCTTGGTCGCGTCCGCGCCGCCGCCGGCCCAGCCGGACCGCACCACGCGAGGCGCGAGATAGGGGGGCACGGGCGCGACCATCTGCGCTGCGGCGCCGGCGACTCAGCGCTGCCTCAGTCTGCGGTGGGCAGCGGAGGAGTCGTGTCGTGCCTGAGAGCGCAGTCTCTCCGATTTTTTATGGCCACAGCTTGTAAAAGATCAGGAGAACCTCAGTCTGACGACATTGAAGCTAGCAGGATGAAGAGAGCCGCCGCAAAGCACCTGATCGAACGCTACTACCATCAGCTCACCGAGGGTTGCGGCAACGAAGCGTGTACCAACGAGTTCTGTGCCTCCTGCCCCACGTTCCTGCGGATGGATAACAATGCCGCCGCAATCAAGGCGCTTGAACTGTATAAGATCAACGCCAAGCTGTGCGATCCCCACCCTTCCAAGAAGGGAGCCAGCTCAGCCTACCTGGAAAACTCCAAGGGCGCCCCTAACAACTCATGCTCCGAGATCAAGATGAATAAGAAGGGCGCCCGGATTGACTTCAAGGATGTGACCTACCTGACCGAGGAGAAGGTGTACGAGATCCTGGAACTCTGCCGAGAACGGGAGGACTACTCCCCTCTGATCCGCGTGATCGGAAGAGTGTTCAGCTCCGCTGAAGCGCTCGTGCAGTCGTTCAGAAAGGTCAAGCAGCACACTAAGGAAGAACTCAAGTCCCTGCAGGCCAAAGATGAGGATAAGGACGAAGATGAAAAAGAAAAGGCCGCCTGCTCAGCTGCCGCGATGGAAGAAGATTCAGAGGCCTCCAGCAGCAGGATTGGCGACAGCTCCCAGGGGGACAACAACCTCCAGAAGCTGGGTCCAGACGATGTGTCGGTGGACATCGACGCCATTCGGAGAGTGTACACCCGACTGCTCTCGAACGAAAAGATCGAGACTGCATTCCTGAACGCCCTTGTCTACCTGAGCCCGAACGTGGAATGCGACCTTACTTACCATAACGTCTACTCCCGGGACCCAAACTACCTGAACCTGTTCATCATCGTGATGGAAAACCGGAACCTCCATTCCCCCGAGTACCTGGAAATGGCCCTGCCCCTGTTCTGCAAGGCCATGTCAAAGCTTCCGCTGGCCGCACAAGGAAAGCTGATCCGCTTGTGGTCCAAGTACAACGCGGACCAGATCAGACGCATGATGGAAACGTTCCAGCAACTGATTACTTACAAGGTCATCTCCAATGAGTTCAACTCCCGGAATCTTGTGAACGACGATGATGCCATTGTGGCCGCCTCCAAATGCCTGAAGATGGTCTACTATGCGAACGTCGTGGGCGGGGAAGTCGATACCAACCACAACGAGGAGGACGACGAGGAACCTATCCCTGAGTCATCAGAACTGACTCTGCAAGAACTGCTGGGCGAAGAACGCCGGAACAAGAAGGGCCCAAGAGTCGACCCGTTGGAAACCGAACTGGGAGTCAAAACCCTGGACTGCAGAAAGCCTCTGATCCCGTTCGAAGAGTTCATCAACGAACCCCTGAACGAGGTGCTGGAAATGGACAAGGACTACACCTTCTTCAAGGTCGAAACCGAGAACAAGTTCTCTTTCATGACTTGCCCGTTCATTCTGAACGCAGTGACCAAGAACCTGGGCCTCTACTACGACAACCGCATCCGCATGTACAGCGAACGCCGCATCACCGTGCTGTACTCCCTGGTGCAAGGCCAACAGCTGAACCCCTACCTTCGCCTGAAAGTCCGCCGCGACCATATCATTGATGACGCTCTCGTGCGCCTTGAGATGATCGCGATGGAGAACCCCGCAGATCTGAAGAAGCAGCTCTACGTCGAGTTCGAAGGAGAACAGGGGGTGGACGAAGGAGGAGTGTCCAAGGAGTTCTTTCAGCTCGTGGTGGAGGAAATCTTTAACCCTGACATCGGAATGTTCACCTATGACGAATCCACAAAGCTGTTTTGGTTTAACCCGTCCTCGTTCGAAACTGAGGGTCAATTCACCCTCATCGGCATTGTGCTGGGACTCGCCATCTACAACAATTGCATCCTCGACGTGCACTTCCCGATGGTGGTGTACCGCAAACTGATGGGCAAAAAGGGAACCTTCAGAGATCTGGGAGACTCACACCCGGTGCTGTACCAGTCGCTCAAGGACTTGTTGGAATACGAAGGGAACGTGGAAGATGATATGATGATTACCTTCCAAATCTCGCAGACTGACTTGTTTGGAAACCCTATGATGTACGACCTGAAGGAGAATGGAGACAAGATCCCGATCACGAACGAAAACCGCAAGGAGTTCGTCAACCTGTACTCCGACTATATTCTGAACAAGAGCGTGGAGAAGCAGTTTAAGGCTTTCCGCCGGGGATTCCACATGGTCACCAACGAAAGCCCGCTCAAGTACCTCTTTCGGCCCGAAGAGATTGAACTGCTGATCTGCGGGTCGAGGAATCTGGACTTCCAGGCCCTTGAAGAGACTACTGAGTACGACGGAGGCTATACCCGGGACTCCGTGCTGATAAGAGAGTTCTGGGAGATCGTGCACTCCTTCACCGATGAGCAGAAGCGGCTGTTCCTCCAATTCACCACCGGCACTGACAGAGCGCCAGTCGGAGGACTGGGGAAGCTGAAGATGATCATTGCGAAGAACGGTCCCGACACTGAGAGGTTGCCCACTTCCCACACTTGTTTCAACGTGCTGCTGCTCCCGGAGTACTCCTCCAAGGAGAAGCTGAAGGAACGGCTCCTGAAGGCCATTACATACGCCAAAGGTTTCGGCATGCTTTAATGACTCGAGCGGCCGCGGGATCCCTCGAGACTGTGCCTTCTAGTTGCCAGCCATCTGTTGTTTGCCCCTCCCCCGTGCCTTCCTTGACCCTGGAAGGTGCCACTCCCACTGTCCTTTCCTAATAAAATGAGGAAATTGCATCGCATTGTCTGAGTAGGTGTCATTCTATTCTGGGGGGTGGGGTGGGGCAGGACAGCAAGGGGGAGGATTGGGAAGACAACAGCAGGCATGCTGGGGATGCGGTGGGCTCTATGGCTTCTGAGGCGGAAAGAACCAGCTGACCGCGT
【0115】
本発明のさらなる態様は、本明細書に記載されるポリヌクレオチドまたは発現カセットを含むベクターに関する。適切なベクターは、これらに限定されないが、プラスミド、ファージ、ウイルスベクター(例えば、AAVベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、アルファウイルスベクター、またはバキュロウイルスベクター)、細菌人工染色体(BAC)、または酵母人工染色体(YAC)を含む。例えば、核酸は、5’および/または3’末端反復(例えば、5’および/または3’AAV末端反復)を含むAAVベクターを含み得る、それからなり得る、またはそれから本質的になり得る。一部の実施形態において、ベクターは、発現カセットが付着されるまたは発現カセットが埋め込まれる粒子(例えば、微粒子またはナノ粒子)またはリポソーム等の送達ビヒクルである。ベクターは、細胞内に発現カセットを運ぶのに適した任意の送達ビヒクルであり得る。一部の実施形態において、ベクターは神経向性ベクターであり得る。
【0116】
一部の実施形態において、ベクターは、ウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクターおよび/またはAAVベクターである。一部の実施形態において、ベクターはAAVベクターである。AAVベクターは、任意のAAV血清型または単離株(例えば、AAV1型、AAV2型、AAV3型(3A型および3B型を含む)、AAV4型、AAV5型、AAV6型、AAV7型、AAV8型、AAV9型、AAV10型、AAV11型、AAV12型、AAV13型、または表1に示されるいずれか)であり得る。一部の実施形態において、AAVベクターはAAV9ベクターである。一部の実施形態において、AAVベクターは、これらに限定されないが、PHP.B、PHP.eB、またはAAV9.HR等、AAV9および/またはAAV9由来バリアントであり得る。一部の実施形態において、AAVベクターは、合成AAVベクター、例えばAnc80であり得る。一部の実施形態において、AAVベクターは、野生型カプシドタンパク質を含み得る。他の実施形態において、AAVベクターは、野生型カプシドタンパク質と比較して変更された向性を有する改変されたカプシドタンパク質を含み得、例えば改変されたカプシドタンパク質は、肝臓脱標的化されている、または特定の細胞に対する増強した向性を有する。
【0117】
一部の実施形態において、ベクターは一本鎖AAV(ssAAV)ベクターである。一部の実施形態において、ベクターは、自己相補的または二重鎖AAV(scAAV)ベクターである。scAAVベクターは、国際公開WO01/92551(その開示は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする)に記載される。UBE3A ORFを発現させるためのscAAVの使用は、形質導入された細胞の数、形質導入細胞あたりのコピー数、またはその両方の増加を提供し得る。
【0118】
本発明の付加的な態様は、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、および/またはベクターを含む形質転換細胞に関する。一部の実施形態において、ポリヌクレオチド、発現カセット、および/またはベクターは、細胞ゲノムに安定に組み入れられる。細胞は、インビトロ、エクスビボ、またはインビボ細胞であり得る。
【0119】
本発明の別の態様は、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞を含むトランスジェニック動物に関する。一部の実施形態において、動物は、実験室動物、例えばマウス、ラット、ウサギ、イヌ、サル、または非ヒト霊長類である。
【0120】
本発明のさらなる態様は、薬学的に許容される担体中に、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞を含む薬学的製剤に関する。
【0121】
具体的な実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞は単離されている。
【0122】
別の具体的な実施形態において、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞は精製されている。
【0123】
ウイルスベクターを産生する方法
本発明は、ウイルスベクターを産生する方法をさらに提供する。1つの特定の実施形態において、本発明は、AAV複製に対して寛容な細胞に、組み換えAAV鋳型の複製およびパッケージングに十分な条件下で、(a)(i)本発明のポリヌクレオチドまたは発現カセット、および(ii)ITR、を含む組み換えAAV鋳型;(b)Repコード配列およびCapコード配列を含むポリヌクレオチドを提供し、それによって組み換えAAV粒子が細胞内で産生されるステップを含む、組み換えAAV粒子を産生する方法を提供する。組み換えAAV鋳型の複製およびパッケージングに十分な条件は、例えば、AAV鋳型の複製およびAAVカプシド内へのカプシド化に十分なAAV配列(例えば、AAV rep配列およびAAV cap配列)、ならびにアデノウイルスおよび/またはヘルペスウイルス由来のヘルパー配列の存在であり得る。特定の実施形態において、AAV鋳型は、2つのAAV ITR配列を含み、これらは本発明のポリヌクレオチドに対して5’および3’に位置するが、それと直接連続している必要はない。
【0124】
一部の実施形態において、組み換えAAV鋳型は、国際公開WO01/92551に記載されているように、二重鎖AAVベクターを作製するためにRepによって分離されないITRを含む。
【0125】
AAV鋳型、ならびにAAV repおよびcap配列は、AAVカプシド内にパッケージされたAAV鋳型を含むウイルスベクターが細胞内で産生されるような条件下で提供される。この方法は、細胞からウイルスベクターを回収するステップをさらに含み得る。ウイルスベクターは、培地からおよび/または細胞を溶解することによって回収され得る。
【0126】
細胞は、AAVウイルス複製に対して寛容である細胞であり得る。当技術分野において公知の任意の適切な細胞が採用され得る。特定の実施形態において、細胞は哺乳類細胞(例えば、霊長類またはヒト細胞)である。別の選択肢として、細胞は、複製欠陥ヘルパーウイルスから欠失された機能を提供するトランス補完パッケージング細胞株、例えば293細胞または他のE1aトランス補完細胞であり得る。
【0127】
AAV複製およびカプシド配列は、当技術分野において公知の任意の方法によって提供され得る。現在のプロトコールは、典型的に、単一のプラスミド上にAAV rep/cap遺伝子を発現させる。AAV複製およびパッケージング配列は一緒に提供される必要はないが、そうすることが好都合であり得る。AAV repおよび/またはcap配列は、任意のウイルスまたは非ウイルスベクターによって提供され得る。例えば、rep/cap配列は、ハイブリッドアデノウイルスまたはヘルペスウイルスベクターによって提供され得る(例えば、欠失したアデノウイルスベクターのE1aまたはE3領域に挿入される)。AAV capおよびrep遺伝子を発現させるためにEBVベクターも採用され得る。この方法の1つの利点は、EBVベクターはエピソーム性であるが、それにもかかわらず、継続的な細胞分裂を通じて高いコピー数を維持するであろうことである(すなわち、「EBVに基づく核エピソーム」と表される染色体外エレメントとして細胞内に安定に組み込まれる。Margolski,(1992)Curr.Top.Microbiol.Immun.158:67を参照されたい)。
【0128】
さらなる選択肢として、rep/cap配列は、細胞内に安定に組み入れられ得る。
【0129】
典型的に、AAV rep/cap配列は、これらの配列のレスキューおよび/またはパッケージングを阻止するためにTRに隣接しないであろう。
【0130】
AAV鋳型は、当技術分野において公知の任意の方法を使用して細胞に提供され得る。例えば、鋳型は、非ウイルス(例えば、プラスミド)またはウイルスベクターによって供給され得る。特定の実施形態において、AAV鋳型は、ヘルペスウイルスまたはアデノウイルスベクターによって供給される(例えば、欠失されたアデノウイルスのE1aまたはE3領域に挿入される)。別の例示として、Palombo et al.,(1998)J.Virology 72:5025は、AAV TRによって隣接されたレポーター遺伝子を運ぶバキュロウイルスベクターを記載する。rep/cap遺伝子に関して上で記載されるように、鋳型を送達するためにEBVベクターも採用され得る。
【0131】
別の代表的な実施形態において、AAV鋳型は、複製性rAAVウイルスによって提供される。さらに他の実施形態において、AAV鋳型を含むAAVプロウイルスは、細胞の染色体に安定に組み込まれる。
【0132】
ウイルス力価を増強するために、生産性の高いAAV感染を促進するヘルパーウイルス機能(例えば、アデノウイルスまたはヘルペスウイルス)が細胞に提供され得る。AAV複製に必要なヘルパーウイルス配列は、当技術分野において公知である。典型的に、これらの配列は、ヘルパーアデノウイルスまたはヘルペスウイルスベクターによって提供されるであろう。代替的に、アデノウイルスまたはヘルペスウイルス配列は、別の非ウイルスまたはウイルスベクターによって、例えば、Ferrari et al.,(1997)Nature Med.3:1295、ならびに米国特許第6,040,183号および第6,093,570号によって記載されるように、効率的なAAV産生を促進するヘルパー遺伝子のすべてを運ぶ非感染性アデノウイルスミニプラスミドとして提供され得る。
【0133】
さらには、ヘルパーウイルス機能は、染色体に埋め込まれたまたは安定な染色体外エレメントとして維持されたヘルパー配列を有するパッケージング細胞によって提供され得る。一般的に、ヘルパーウイルス配列は、AAVビリオン内にパッケージされ得ず、例えばITRによって隣接されない。
【0134】
当業者であれば、単一のヘルパー構築物上にAAV複製およびカプシド配列ならびにヘルパーウイルス配列(例えば、アデノウイルス配列)を提供することが有利であり得ることを解するであろう。このヘルパー構築物は非ウイルスまたはウイルス構築物であり得る。1つの非限定的な例示として、ヘルパー構築物は、AAV rep/cap遺伝子を含むハイブリッドアデノウイルスまたはハイブリッドヘルペスウイルスであり得る。
【0135】
1つの特定の実施形態において、AAV rep/cap配列およびアデノウイルスヘルパー配列は、単一のアデノウイルスヘルパーベクターによって供給される。このベクターはAAV鋳型をさらに含み得る。AAV rep/cap配列および/またはAAV鋳型は、アデノウイルスの欠失した領域(例えば、E1aまたはE3領域)に挿入され得る。
【0136】
さらなる実施形態において、AAV rep/cap配列およびアデノウイルスヘルパー配列は、単一のアデノウイルスヘルパーベクターによって供給される。この実施形態によれば、AAV鋳型はプラスミド鋳型として提供され得る。
【0137】
別の例示的な実施形態において、AAV rep/cap配列およびアデノウイルスヘルパー配列は、単一のアデノウイルスヘルパーベクターによって提供され、AAV鋳型は、プロウイルスとして細胞内に組み込まれる。代替的に、AAV鋳型は、染色体外エレメントとして(例えば、EBVに基づく核エピソームとして)細胞内に維持されるEBVベクターによって提供される。
【0138】
さらなる例となる実施形態において、AAV rep/cap配列およびアデノウイルスヘルパー配列は、単一のアデノウイルスヘルパーによって提供される。AAV鋳型は、別個の複製ウイルスベクターとして提供され得る。例えば、AAV鋳型は、AAV粒子または第2の組み換えアデノウイルス粒子によって提供され得る。
【0139】
前述の方法によれば、ハイブリッドアデノウイルスベクターは、典型的に、アデノウイルス複製およびパッケージングに十分なアデノウイルス5’および3’シス配列(すなわち、アデノウイルス末端反復およびPAC配列)を含む。AAV rep/cap配列、および存在する場合にはAAV鋳型は、アデノウイルス骨格に埋め込まれ、5’および3’シス配列によって隣接され、それによりこれらの配列はアデノウイルスカプシド内にパッケージされ得る。上で記載されるように、アデノウイルスヘルパー配列およびAAV rep/cap配列は、一般的にITRによって隣接されず、それによりこれらの配列はAAVビリオン内にパッケージされない。
【0140】
Zhang et al.,((2001)Gene Ther.18:704-12)は、アデノウイルスならびにAAV repおよびcap遺伝子の両方を含むキメラヘルパーを記載する。
【0141】
ヘルペスウイルスも、AAVパッケージング法におけるヘルパーウイルスとして使用され得る。AAV Repタンパク質をコードするハイブリッドヘルペスウイルスは、拡張可能なAAVベクター産生スキームを有利に促し得る。AAV-2 repおよびcap遺伝子の発現するハイブリッド単純ヘルペスウイルスI型(HSV-1)ベクターが記載されている(Conway et al.,(1999)Gene Ther.6:986およびWO00/17377)。
【0142】
さらなる代替策として、本発明のウイルスベクターは、例えばUrabe et al.,(2002)Human Gene Ther.13:1935-43によって記載されるように、rep/cap遺伝子およびAAV鋳型を送達するバキュロウイルスベクターを使用して昆虫細胞内で産生され得る。
【0143】
夾雑ヘルパーウイルスを含まないAAVベクターストックは、当技術分野において公知の任意の方法によって獲得され得る。例えば、AAVおよびヘルパーウイルスは、サイズに基づいて容易に区別され得る。AAVは、ヘパリン基質に対するアフィニティーに基づいてもヘルパーウイルスから分離され得る(Zolotukhin et al.(1999)Gene Therapy 6:973)。いかなる夾雑ヘルパーウイルスも複製能がないように、欠失した複製欠陥ヘルパーウイルスを使用してもよい。さらなる代替策として、AAVのパッケージングを媒介するためには、アデノウイルス初期遺伝子発現のみが要されることから、後期遺伝子発現を欠くアデノウイルスヘルパーが採用され得る。後期遺伝子発現に欠陥のあるアデノウイルス変異体は、当技術分野において公知である(例えば、ts100Kおよびts149アデノウイルス変異体)。
【0144】
UBE3Aベクターを使用する方法
本発明は、例えばインビトロ、エクスビボ、および/またはインビボでの治療目的または研究目的のための、細胞または対象にUBE3Aオープンリーディングフレームを送達して、UBE3Aおよび/またはE6APの産生を増加させるための方法にも関する。ゆえに、本発明の1つの態様は、細胞を、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、および/またはベクターに接触させ、それによって細胞においてUBE3Aオープンリーディングフレームを発現させるステップを含む、細胞においてUBE3Aオープンリーディングフレームを発現させる方法に関する。一部の実施形態において、細胞は、インビトロ細胞、エクスビボ細胞、および/またはインビボ細胞である。インビトロでの本発明の発現は、研究目的のために、例えば組み換えタンパク質を発現させるために、細胞に対する該タンパク質の効果を調査するために、インビボでの発現に先立って効力および/もしくは安全性を評価するために、ならびに/または研究および医療の診断法および/もしくはスクリーニング法の開発に有益であり得る。
【0145】
本発明の別の態様は、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞を対象に送達し、それによって対象においてUBE3Aオープンリーディングフレームを発現させるステップを含む、対象においてUBE3Aオープンリーディングフレームを発現させる方法に関する。一部の実施形態において、対象は、異常なUBE3A遺伝子発現と関連した障害の動物モデルである。
【0146】
本発明のさらなる態様は、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞の治療有効量を対象に送達し、それによって、対象におけるUBE3A遺伝子の異常発現またはUBE3A遺伝子産物の異常活性と関連した障害を治療するステップを含む、それを必要とする対象におけるUBE3A遺伝子の異常発現またはUBE3A遺伝子産物(例えば、E6AP)の異常活性と関連した障害を治療する方法に関する。本発明は、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞の治療有効量を対象に投与し、それによりUBE3Aオープンリーディングフレームが対象において発現されるステップを含む、それを必要とする対象におけるUBE3A遺伝子の異常発現またはUBE3A遺伝子産物(例えば、E6AP)の異常活性と関連した障害を治療する方法を提供する。一部の実施形態において、UBE3A遺伝子または遺伝子産物の異常発現と関連した障害はアンジェルマン症候群であり得る。
【0147】
本発明は、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞の治療有効量を対象に投与し、それによりUBE3Aオープンリーディングフレームが対象において発現されるステップを含む、それを必要とする対象におけるアンジェルマン症候群を治療する方法をさらに提供する。
【0148】
ある特定の実施形態において、ポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞は、対象に、例えば対象の中枢神経系に全身的に(例えば、静脈内に)または直接的に(例えば、髄腔内または脳室内または大槽内注射によって脳脊髄液に)送達される。一部の実施形態において、ポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞は静脈内に送達される。一部の実施形態において、ポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞は脳室内に送達される。
【0149】
本発明に従う組み換えウイルスベクターは、獣医学的および医学的適用の両方において用途を見出す。適切な対象は、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、および哺乳類を含む。本明細書において使用される「哺乳類」という用語は、これらに限定されないが、ヒト、霊長類、非ヒト霊長類(例えば、サルおよびヒヒ)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ウサギ、齧歯類(例えば、ラット、マウス、ハムスター等)等を含む。ヒト対象は、胚、胎児、新生児、幼児、若者、および成人を含む。任意で、例えば、対象は、本明細書に記載されるものを含めた障害または本明細書に記載されるものを含めたポリヌクレオチドの送達により利益を得るであろう障害を有するまたはその危険性があると思われるため、対象は本発明の方法「を必要とする」。さらなる選択肢として、対象は、実験室動物および/または疾患の動物モデルであり得る。好ましくは、対象はヒトである。
【0150】
ある特定の実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、対象の生涯においてできる限り早く、例えば対象が、異常なUBE3Aおよび/もしくはE6AP発現もしくは活性、または前述の疾患もしくは障害のいずれかを有すると診断され次第、それを必要とする対象に投与される。一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、例えば新生児スクリーニングが異常なUBE3Aおよび/またはE6APの発現または活性を同定した後、新生児対象に投与される。一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、10歳より前に、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10歳より前に、対象に投与される。一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、10歳以降の若者または成人対象に投与される。一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、例えば出生前スクリーニングが異常なUBE3Aおよび/もしくはE6APの発現もしくは活性、または前述の疾患もしくは障害の1つの存在を同定した後、子宮内の胎児に投与される。一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、対象が、異常なUBE3Aおよび/もしくはE6AP発現もしくは活性と関連した症状を発症し次第、あるいは異常なUBE3Aおよび/もしくはE6AP発現もしくは活性または前述の疾患もしくは障害の1つを有すると疑われ次第または診断され次第、対象に投与される。一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、対象が、異常なUBE3Aおよび/もしくはE6AP発現もしくは活性と関連した症状または疾患/障害を発症する前に、対象に、例えば異常なUBE3Aおよび/もしくはE6AP発現もしくは活性または前述の疾患もしくは障害の1つを有すると疑われるまたは診断されるが症状を呈し始めていない対象に投与される。
【0151】
特定の実施形態において、本発明は、薬学的に許容される担体中に、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞、ならびに任意で、他の薬効のある作用物質、薬学的作用物質、安定剤、緩衝剤、担体、アジュバント、希釈剤等を含む医薬組成物を提供する。注射に関して、担体は、典型的に液体であろう。投与の他の方法に関して、担体は、固体または液体のいずれかであり得る。吸入投与に関して、担体は呼吸に適しているであろう、かつ好ましくは固体または液体微粒子形態にあるであろう。一部の実施形態において、薬学的担体は、D-ソルビトールを含み得る(例えば、PBS 5% w/v D-ソルビトール)。
【0152】
「薬学的に許容される」によって、それは、有毒でないか、そうでなければ望ましくなくない材料が意図され、すなわち材料は、いかなる望ましくない生物学的影響も引き起こすことなく、対象に投与され得る。
【0153】
本発明の1つの態様は、UBE3Aオープンリーディングフレームをインビトロで細胞に移入する方法である。本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、および/またはベクターは、適当な量で細胞に導入され得る。ウイルスベクターは、特定の標的細胞に適当な標準的形質導入法に従って、適当な感染多重度で細胞に導入され得る。投与するウイルスベクターまたはカプシドの力価は、標的細胞タイプおよび数、ならびに特定のウイルスベクターまたはカプシドに応じて変動し得、過度の実験なしに当業者によって判定され得る。特定の実施形態において、少なくとも約10感染単位、より好ましくは少なくとも約10感染単位が細胞に導入される。
【0154】
本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、および/またはベクター、例えばウイルスベクターが導入され得る細胞は、これらに限定されないが、神経細胞(末梢および中枢神経系の細胞、特にニューロン、オリゴデンドロサイト、グリア細胞、アストロサイト等の脳細胞を含む)、肺細胞、目の細胞(網膜細胞、網膜色素上皮、および角膜細胞を含む)、上皮細胞(例えば、腸および呼吸器上皮細胞)、骨格筋細胞(筋芽細胞、筋管、および筋線維を含む)、横隔膜筋細胞、樹状細胞、膵臓細胞(膵島細胞を含む)、肝細胞、消化管の細胞(平滑筋細胞、上皮細胞を含む)、心臓細胞(心筋細胞を含む)、骨細胞(例えば、骨髄幹細胞)、造血幹細胞、脾臓細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、内皮細胞、前立腺細胞、関節細胞(例えば、軟骨、半月板、滑膜、および骨髄を含む)、生殖細胞等を含めた、任意のタイプのものであり得る。代替的に、細胞は任意の前駆細胞であり得る。さらなる代替策として、細胞は幹細胞(例えば、神経幹細胞、肝臓幹細胞)であり得る。なおさらなる代替策として、細胞はがんまたは腫瘍細胞であり得る。さらに、細胞は、上で示されるように、任意の起源の種に由来するものであり得る。
【0155】
本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、および/またはベクター、例えばウイルスベクターは、改変された細胞を対象に投与する目的のために、インビトロで細胞に導入され得る。特定の実施形態において、細胞は対象から取り出されており、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、および/またはベクター、例えばウイルスベクターはその中に導入され、次いで細胞は対象に戻し置き換えられる。対象への戻し導入が後に続く、エクスビボでの処理のために対象から細胞を取り出す方法は、当技術分野において公知である(例えば、米国特許第5,399,346号を参照されたい)。代替的に、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、および/またはベクター、例えばウイルスベクターは、別の対象由来の細胞に、培養細胞に、または他の任意の適切な供給源由来の細胞に導入され、細胞は、それを必要とする対象に投与される。
【0156】
エクスビボ遺伝子療法のための適切な細胞は、上述のとおりである。対象に投与する細胞の投薬量は、対象の年齢、状態、および種、細胞のタイプ、細胞によって発現されている核酸、投与の様態等によって変動するであろう。典型的に、少なくとも約10~約10または約10~約10個細胞が、薬学的に許容される担体中にて投薬あたり投与されるであろう。特定の実施形態において、エクスビボでウイルスベクターを形質導入された細胞は、薬学的担体と組み合わせて、有効量で対象に投与される。
【0157】
本発明のさらなる態様は、本発明のポリヌクレオチド、発現カセット、および/またはベクター、例えばウイルスベクターを対象に投与する方法である。特定の実施形態において、方法は、UBE3Aオープンリーディングフレームを動物対象に送達する方法を含み、方法は、本発明に従ったウイルスベクターの有効量を動物対象に投与するステップを含む。それを必要とするヒト対象または動物への本発明のウイルスベクターの投与は、当技術分野において公知の任意の手段によるものであり得る。任意で、ウイルスベクターは、薬学的に許容される担体中にて有効用量で送達される。
【0158】
対象に投与されるべきウイルスベクターの投薬量は、投与の様態、治療される対象となる疾患または状態、個々の対象の状態、特定のウイルスベクター、および送達される対象となる核酸に依存すると考えられ、ルーチン的な様式で決定され得る。治療効果を達成するための例となる用量は、少なくとも約10、10、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015、1016形質導入単位(TU)またはそれ以上、例えば約10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、または1015TUのウイルス力価であり、さらにより好ましくは約10~1014TU、または約1010、1011、1012、1013、1014、もしくは1015TUが投薬に使用される。用量およびウイルス力価形質導入単位は、ベクターもしくはウイルスゲノム(vg)、および/またはvg/kg対象として算出され得る。一部の実施形態において、用量は、少なくとも約10、10、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015、1016vg/kg対象、例えば約10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、もしくは1015vg/kg対象、または約10~1014vg/kg対象、一部の実施形態では約1010、1011、1012、1013、1014、もしくは1015vg/kg対象である。
【0159】
一部の実施形態において、本発明の方法は、UBE3Aの短いアイソフォームが、長いアイソフォームの発現と比較して約1:1~約15:1の比、例えば約1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、もしくは15:1、またはその中の任意の値もしくは値域の比で発現されるようにUBE3Aオープンリーディングフレームを発現させるステップおよび/またはそのような用量(例えば、ウイルス力価)で投与するステップを含み得る。例えば、一部の実施形態において、哺乳類(例えば、ヒト)UBE3Aオープンリーディングフレームは、短いアイソフォームが、長いアイソフォームの発現と比較して約2:1~約4.5:1、約1:1~約10:1、約3:1~約8.5:1、または約3:1~約4:1の比で発現されるように投与され得る。一部の実施形態において、哺乳類(例えば、ヒト)UBE3Aオープンリーディングフレームは、短いアイソフォームが、長いアイソフォームの発現と比較して約2.5:1、約3:1、約4:1、約6.5:1、約8:1、または約10:1の比で発現されるように投与され得る。
【0160】
特定の実施形態において、1回を上回る回数の投与(例えば、2、3、4回、またはそれ以上の回数の投与)を採用して、様々な間隔、例えば毎日、週1回、月1回、年1回等の期間にわたって所望のレベルの遺伝子発現を達成し得る。
【0161】
例となる投与の様態は、経口、直腸、経粘膜、局部、鼻腔内、吸入(例えば、エアロゾルを介して)、口腔(例えば、舌下)、膣内、髄腔内、眼球内、経皮、子宮内(または卵内)、非経口(例えば、静脈内、皮下、皮内、筋肉内[骨格筋、横隔膜筋、および/または心筋への投与を含む]、皮内、胸膜内、脳内、および関節内)、局部(例えば、気道表面を含めた皮膚表面および粘膜表面の両方への、ならびに経皮投与)、リンパ内(intro-lymphatic)等、ならびに直接的な組織または臓器注射(例えば、肝臓、骨格筋、心筋、横隔膜筋、または脳への)を含む。投与は、腫瘍への(例えば、腫瘍またはリンパ節におけるまたはその付近における)ものでもあり得る。任意の所与の場合における最も適切な経路は、治療されている病状の性質および重症度、ならびに使用されている特定のベクターの性質に依存するであろう。一部の実施形態において、投与の1つを上回る種類の様態および/または経路、例えば実質内投与および脳室内投与が利用され得る。
【0162】
一部の実施形態において、発現カセット(例えば、ウイルスベクター、AAVベクター)を含むベクターは、CNS、末梢神経系、またはその両方に投与される。一部の実施形態において、ウイルスベクターは、CNS、例えば脳または脊髄に直接投与される。直接投与は、CNS細胞の形質導入の高い特異性をもたらし得、例えば形質導入された細胞の少なくとも80%、85%、90%、95%、またはそれ以上はCNS細胞である。CNSにベクターを直接投与するための当技術分野において公知の任意の方法が使用され得る。ベクターは、脊髄、脳幹(延髄、橋)、中脳(視床下部、視床、視床上部、下垂体、黒質、松果体)、小脳、終脳(線条体、後頭部、側頭部、頭頂葉および前頭葉を含めた大脳、大脳皮質、大脳基底核、海馬、ならびに扁桃体)、辺縁系、新皮質、線条体、大脳、および下丘に導入され得る。ベクターは、網膜、角膜、または視神経等、目の種々の領域にも投与され得る。ベクターは、ベクターのより分散した(disperse)投与のために脳脊髄液(例えば、腰椎穿刺によって)に送達され得る。
【0163】
発現カセットを含むベクター(例えば、ウイルスベクター、AAVベクター)は、これらに限定されないが、髄腔内、脳内、脳室内、大槽内、実質内、鼻腔内、耳内、眼球内(例えば、硝子体内、網膜下、前眼房)、および眼球周囲(例えば、テノン嚢下領域)送達、またはその任意の組み合わせを含めた、当技術分野において公知の任意の経路によって、CNSの所望の領域に投与され得る。
【0164】
ベクターは、CNS、末梢神経系、および/または他の組織を含めた、組織のより幅広い拡散した形質導入をもたらす様式で投与され得る。
【0165】
典型的に、発現カセットを含むベクター(例えば、ウイルスベクター、AAVベクター)は、CNSおよび/または他の組織における所望の領域または区画への直接注射(例えば、定位注射)によって液体製剤で投与されるであろう。一部の実施形態において、ベクターは、貯留槽および/またはポンプを介して送達され得る。他の実施形態において、ベクターは、所望の領域に局所適用によって、またはエアロゾル製剤の鼻腔内投与によって提供され得る。目へのまたは耳の中への投与は、液滴の局所適用によるものであり得る。さらなる代替策として、ベクターは、固形の徐放性製剤として投与され得る。パルボウイルスおよびAAVベクターの制御放出は、国際公開WO01/91803によって記載される。
【0166】
注射物質は、液体溶液もしくは懸濁液、注射前に溶解する溶液もしくは懸濁液に適した固体形態として、または乳濁液として、従来の形態で調製され得る。代替的に、全身よりもむしろ局所様式で、例えばデポー剤または持続放出製剤でウイルスベクターを投与し得る。さらには、ウイルスベクターは、骨移植代用品、縫合糸、ステント等の外科的に植え込み可能なマトリックスに乾燥させて送達され得る(例えば、米国特許第7,201,898号に記載される)。
【0167】
経口投与に適した医薬組成物は、それぞれが本発明の組成物の所定の量を含有するカプセル、カシェー、ドロップ、または錠剤等の個別の単位で;粉末もしくは顆粒として;水性もしくは非水性液体の溶液もしくは懸濁液として;または水中油型もしくは油中水型乳濁液として提示され得る。経口送達は、本発明のウイルスベクターを、動物の腸内の消化酵素による分解に耐え得る担体と複合体を形成することによって実施され得る。そのような担体の例は、当技術分野において公知のように、プラスチックカプセルまたは錠剤を含む。そのような製剤は、薬学の任意の適切な方法によって調製され、それは、組成物と適切な担体(上で記される1種または複数の補助的成分を含有し得る)との会合をもたらすステップを含む。一般的に、本発明の実施形態に従った医薬組成物は、組成物と液体もしくは微細化された固体担体、またはその両方とを均一にかつ密接に混和し、次いで必要な場合には、得られた混合物を形作ることによって調製される。例えば、錠剤は、組成物を含有する粉末または顆粒を、任意で1種または複数の補助的成分とともに圧縮するまたは成形することによって調製され得る。圧縮錠剤は、結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、および/または表面活性剤/分散剤と任意に混合された、粉末または顆粒等の自由流動形態の組成物を適切な機械で圧縮することによって調製される。成形錠剤は、不活性液体結合剤で湿らせた粉末化合物を適切な機械で成形することによって作製される。
【0168】
口腔(舌下)投与に適した医薬組成物には、風味付けされた基剤、通常ではスクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカント中に本発明の組成物を含むドロップ剤;ならびに、ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアラビアゴム等の不活性基剤中に組成物を含むトローチ剤が含まれる。
【0169】
非経口投与に適した医薬組成物は、本発明の組成物の無菌の水性および非水性注射溶液を含み得、調製物は、意図されるレシピエントの血液と任意で等張である。これらの調製物は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌薬、および組成物を意図されるレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る。水性および非水性の無菌懸濁液、溶液、および乳濁液は、懸濁化剤および増粘剤を含み得る。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油、およびオレイン酸エチル等の注射可能な有機エステルである。水性担体は、生理食塩水および緩衝媒体を含めた、水、アルコール性/水性の溶液、乳濁液、または懸濁液を含む。非経口ビヒクルは、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース、および塩化ナトリウム、乳酸リンゲル、または固定油を含む。静脈内ビヒクルは、流体および栄養補充液、電解質補充液(リンゲルデキストロースに基づくもの等)等を含む。例えば抗微生物剤、抗酸化剤、キレート剤、および不活性ガス等、防腐剤および他の添加物も存在し得る。
【0170】
組成物は、単位/用量または複数回用量容器中に、例えば密封アンプルおよびバイアル中に提示され得、使用の直前に無菌の液体担体、例えば生理食塩水または注射用水の添加のみを要するフリーズドライ(凍結乾燥)条件で保管され得る。
【0171】
即時の注射溶液および懸濁液は、以前に記載された種類の無菌の粉末、顆粒、および錠剤から調製され得る。例えば、密封容器中に単位剤形での注射可能で安定な無菌の本発明の組成物が提供され得る。組成物は、凍結乾燥物の形態で提供され得、それは適切な薬学的に許容される担体で再構成されて、対象への注射に適した液体組成物を形成し得る。単位剤形は、約1μg~約10グラムの本発明の組成物であり得る。組成物が実質的に非水溶性である場合、生理学的に許容される十分な量の乳化剤を十分な分量で含んで、水性担体中に組成物を乳化し得る。1つのそのような有用な乳化剤はホスファチジルコリンである。
【0172】
直腸投与に適した医薬組成物は、単位用量坐薬として提示され得る。これらは、組成物と、例えばココアバター等の1種または複数の従来の固体担体とを混和し、次いで得られた混合物を形作ることによって調製され得る。
【0173】
皮膚への局所適用に適した本発明の医薬組成物は、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ゲル、スプレー、エアロゾル、または油の形態を取り得る。使用され得る担体は、これらに限定されないが、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、経皮増強剤、およびそれらの2種以上の組み合わせを含む。一部の実施形態において、例えば、局所送達は、本発明の医薬組成物と、皮膚に入り得る親油性試薬(例えば、DMSO)とを混合することによって実施され得る。
【0174】
経皮投与に適した医薬組成物は、長期間にわたって対象の表皮と密接に接触したままであり続けるように適応した個別のパッチの形態にあり得る。経皮投与に適した組成物は、イオン導入(例えば、Pharm.Res.3:318(1986)を参照されたい)によっても送達され得、典型的に、本発明の組成物の任意で緩衝された水溶液の形態を取る。適切な製剤は、クエン酸もしくはビス/トリス緩衝液(pH6)またはエタノール/水を含み得、0.1~0.2Mの活性成分を含有し得る。
【0175】
本明細書に開示されるウイルスベクターは、任意の適切な手段によって、例えば対象が吸入する、ウイルスベクターから構成される呼吸用粒子のエアロゾル懸濁液を投与することによって、対象の肺に投与され得る。呼吸用粒子は、液体または固体であり得る。ウイルスベクターを含む液体粒子のエアロゾルは、当業者に公知であるように、圧力駆動型エアロゾル噴霧器または超音波噴霧器等を用いた任意の適切な手段によって生成され得る。例えば、米国特許第4,501,729号を参照されたい。ウイルスベクターを含む固体粒子のエアロゾルは、医薬の技術分野において公知の技法によって、任意の固体微粒子薬用エアロゾル発生器を用いて同じように生成され得る。
【0176】
本発明は、以下の番号付けされた項のいずれか1つに規定されるとおりであり得る。
1.ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチドであって、上記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームは、ヒトUBE3Aの短いアイソフォームおよび長いアイソフォームをコードする、ポリヌクレオチド。
2.上記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームは、ヒトUBE3Aの短いアイソフォーム(すなわち、アイソフォーム1)および長いアイソフォーム2をコードする、第1項のポリヌクレオチド。
3.上記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームは、ヒトUBE3Aの短いアイソフォーム(すなわち、アイソフォーム1)および長いアイソフォーム3をコードする、第1項のポリヌクレオチド。
4.上記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームは、発現を低下させる1つまたは複数のヌクレオチド改変が欠如した天然ORFの発現と比較して、上記長いアイソフォームの発現を低下させる上記1つまたは複数のヌクレオチド改変を含む、第1項から第3項のいずれか1項のポリヌクレオチド。
5.上記長いアイソフォームの上記発現は、発現を低下させるヌクレオチド改変を含まない天然ORFと比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%低下する、第4項のポリヌクレオチド。
6.上記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームは、発現を増強するヌクレオチド改変を含まない天然ORFと比較して、上記短いアイソフォームの発現を増強する(例えば、発現を10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、またはそれ以上増強する)1つまたは複数のヌクレオチド改変を含む、第1項から第5項のいずれか1項のポリヌクレオチド。
7.上記短いアイソフォームの上記発現は、発現を増強するヌクレオチド改変を含まない天然ORFと比較して、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%増強される、第6項のポリヌクレオチド。
8.上記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームは、上記長いアイソフォームの発現と比較して、約1:1~約15:1の比での上記短いアイソフォームの発現をコードする1つまたは複数のヌクレオチド改変を含む、第1項から第7項のいずれか1項のポリヌクレオチド。
9.上記長いアイソフォームに対するコード配列に作動可能に連結された、配列番号6を含む第1のコザック配列を含む、第1項から第8項のいずれか1項のポリヌクレオチド。
10.上記短いアイソフォームに対するコード配列に作動可能に連結された、配列番号8を含む第2のコザック配列を含む、第1項から第9項のいずれか1項のポリヌクレオチド。
11.上記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームは、ヒト細胞における発現のためにコドン最適化されている、第1項から第10項のいずれか1項のポリヌクレオチド。
12.上記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームは、ヒト細胞における細胞内または非分泌発現のためにコドン最適化されている、第12項のポリヌクレオチド。
13.上記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームは、配列番号9、配列番号25、もしくは配列番号26のヌクレオチド配列、またはそれと少なくとも約70%、75%、76%、77%、80%、85%、もしくは90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、第1項から第12項のいずれか1項のポリヌクレオチド。
14.第1項から第13項のいずれか1項のポリヌクレオチドを含む、発現カセット。
15.上記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームはプロモーターに作動可能に連結されている、第14項の発現カセット。
16.上記プロモーターはニューロン特異的プロモーターである、第15項の発現カセット。
17.上記プロモーターはヒトシナプシンプロモーターである、第15項または第16項の発現カセット。
18.上記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレームはポリアデニル化シグナルに作動可能に連結されている、第14項から第17項のいずれか1項の発現カセット。
19.上記ポリアデニル化シグナルはウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル(bGHpA)である、第18項の発現カセット。
20.少なくとも1つのアデノ随伴ウイルス(AAV)逆位末端反復(ITR)をさらに含む、第14項から第19項のいずれか1項の発現カセット。
21.上記発現カセットは2つのAAV ITRを含む、第20項の発現カセット。
22.上記AAV ITRは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、およびAAV13 ITRからなる群から選択される、第21項の発現カセット。
23.上記AAV ITRはAAV2 ITRである、第22項の発現カセット。
24.一本鎖AAVゲノムである、第14項から第23項のいずれか1項の発現カセット。
25.プロモーター、上記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレーム、およびポリアデニル化部位を含む、第14項から第24項のいずれか1項の発現カセット。
26.AAV ITR、プロモーター、上記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレーム、ポリアデニル化部位、およびAAV ITRを含む、第14項から第25項のいずれか1項の発現カセット。
27.AAV2 ITR、ヒトシナプシンプロモーター、ヒトUBE3Aの短いアイソフォームおよび長いアイソフォーム2を含む上記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレーム、bGHpA、ならびにAAV2 ITRを含む、第14項から第26項のいずれか1項の発現カセット。
28.AAV2 ITR、ヒトシナプシンプロモーター、ヒトUBE3Aの短いアイソフォームおよび長いアイソフォーム3を含む上記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレーム、bGHpA、ならびにAAV2 ITRを含む、第14項から第26項のいずれか1項の発現カセット。
29.AAV2 ITR;ヒトシナプシンプロモーター;配列番号6および/または配列番号8を含む、それから本質的になる、またはそれからなる1つまたは複数のコザック配列をさらに含む、ヒトUBE3Aの短いアイソフォームおよび長いアイソフォーム2を含む上記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレーム;bGHpA;ならびにAAV2 ITRを含む、第14項から第28項のいずれか1項の発現カセット。
30.AAV2 ITR;ヒトシナプシンプロモーター;配列番号6および/または配列番号8を含む、それから本質的になる、またはそれからなる1つまたは複数のコザック配列をさらに含む、ヒトUBE3Aの短いアイソフォームおよび長いアイソフォーム3を含む上記ヒトUBE3Aオープンリーディングフレーム;bGHpA;ならびにAAV2 ITRを含む、第14項から第28項のいずれか1項の発現カセット。
31.配列番号14のヌクレオチド配列またはそれと少なくとも約90%同一の配列を含む、第30項の発現カセット。
32.第1項から第13項のいずれか1項のポリヌクレオチド、または第14項から第31項のいずれか1項の発現カセットを含む、ベクター。
33.神経向性ベクターである、第32項のベクター。
34.ウイルスベクターである、第32項または第33項のベクター。
35.AAVベクターである、第34項のベクター。
36.上記AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、およびその組み合わせからなる群から選択される、第34項のベクター。
37.上記AAVベクターはAAV9またはAAV9由来ベクターである、第35項のベクター。
38.上記AAV9由来ベクターは、PHP.B、PHP.eB、またはAAV9.HR)である、第37項のベクター。
39.第1項から第13項のいずれか1項のポリヌクレオチド、第14項から第31項のいずれか1項の発現カセット、および/または第32項から第38項のいずれか1項のベクターを含む、形質転換細胞。
40.上記ポリヌクレオチド、発現カセット、および/またはベクターは、上記細胞ゲノムに安定に組み入れられている、第39項の形質転換細胞。
41.第1項から第13項のいずれか1項のポリヌクレオチド、第14項から第31項のいずれか1項の発現カセット、第32項から第38項のいずれか1項のベクター、および/または第39項もしくは第40項の形質転換細胞を含む、トランスジェニック動物。
42.薬学的に許容される担体中に、第1項から第13項のいずれか1項のポリヌクレオチド、第14項から第31項のいずれか1項の発現カセット、第32項から第38項のいずれか1項のベクター、および/または第39項もしくは第40項の形質転換細胞を含む、医薬組成物。
43.細胞を、第1項から第13項のいずれか1項のポリヌクレオチド、第14項から第31項のいずれか1項の発現カセット、および/または第32項から第38項のいずれか1項のベクターに接触させ、それによって上記細胞においてUBE3Aオープンリーディングフレームを発現させるステップを含む、細胞においてUBE3Aオープンリーディングフレームを発現させる方法。
44.第1項から第13項のいずれか1項のポリヌクレオチド、第14項から第31項のいずれか1項の発現カセット、第32項から第38項のいずれか1項のベクター、および/または第39項もしくは第40項の形質転換細胞を対象に送達し、それによって上記対象においてUBE3Aオープンリーディングフレームを発現させるステップを含む、対象においてUBE3Aオープンリーディングフレームを発現させる方法。
45.第1項から第13項のいずれか1項のポリヌクレオチド、第14項から第31項のいずれか1項の発現カセット、第32項から第38項のいずれか1項のベクター、および/または第39項もしくは第40項の形質転換細胞の治療有効量を対象に投与し、それによりUBE3Aオープンリーディングフレームが上記対象において発現されるステップを含む、それを必要とする対象におけるUBE3A遺伝子の異常発現またはUBE3A遺伝子産物の異常活性と関連した障害を治療する方法。
46.上記UBE3A遺伝子の発現と関連した上記障害はアンジェルマン症候群である、第45項の方法。
47.第1項から第13項のいずれか1項のポリヌクレオチド、第14項から第31項のいずれか1項の発現カセット、第32項から第38項のいずれか1項のベクター、および/または第39項もしくは第40項の形質転換細胞の治療有効量を対象に投与し、それによりUBE3Aオープンリーディングフレームが上記対象において発現されるステップを含む、それを必要とする対象におけるアンジェルマン症候群を治療する方法。
48.上記ヒトUBE3Aの短いアイソフォームは、上記長いアイソフォームの発現と比較して約1:1~約15:1の比で発現される、第43項から第47項のいずれか1項の方法。
49.上記対象は、上記ポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞の送達前に疾患の症状を呈する、第44項から第48項のいずれか1項の方法。
50.上記ポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞は子宮内に送達される、第44項から第49項のいずれか1項の方法。
51.上記対象はヒトである、第44項から第50項のいずれか1項の方法。
52.上記ポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞は、上記対象の神経系に送達される、第44項から第51項のいずれか1項の方法。
53.上記AAVベクターは、少なくとも約10、10、10、10、10、10、10、10、1010、1011、1012、1013、1014、1015、または1016ウイルスゲノム/キログラム、任意で10~1014ウイルスゲノム/キログラムの用量で上記対象に投与される、第44項から第52項のいずれか1項の方法。
54.上記ポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞は静脈内に送達される、第52項の方法。
55.上記ポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞は、髄腔内、脳内、大槽内、実質内、脳室内、鼻腔内、耳内、眼球内、もしくは眼球周囲送達、またはその任意の組み合わせによって送達される、第52項の方法。
56.上記ポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞は髄腔内に送達される、第55項の方法。
57.上記ポリヌクレオチド、発現カセット、ベクター、および/または形質転換細胞は脳室内に送達される、第55項の方法。
【0177】
本発明を記載しているが、それは、単に例示目的のために本明細書に含まれ、本発明を限定することを意図されない以下の実施例でさらに詳細に説明されるであろう。
【実施例
【0178】
[実施例1]
細胞内発現のためのヒトUBE3Aコドン最適化構築物の作出
オープンリーディングフレーム(ORF)hUBE3A_アイソフォーム1>>3を組み入れたPHP.B/SYN-UBE3Aと本明細書において称される、適当な発現比での短いおよび長いUBE3Aアイソフォームの両方(例えば、ヒトアイソフォーム1(「短い」としても知られる)および3(「長い」としても知られる))の共送達を可能にする新規のアンジェルマン症候群療法を設計した。ウイルスベクターパッケージング制限により、通常では1つのアイソフォームのみの発現が可能となることから、これは著しい技術的利点である。この構築物は、2つの主な課題:(1)広く脳全体にわたるUBE3Aの送達;および(2)自閉症の症候群型(Dup15q症候群)に関連付けられ得るUBE3A過剰発現の回避、を克服する。AAV9由来カプシドは、幼少期の間に送達された場合、脳全体にわたるニューロンに広く形質導入し得る。非ヒト霊長類およびヒトの脳におけるさらにより幅広い遺伝子移入を可能にし得る他のAAVカプシドはあるものの、AAV9由来カプシドを選択して、UBE3A過剰発現を限定することに留意した。
【0179】
加えて、この構築物は、細胞内(例えば、細胞質および/または核)UBE3Aを発現するために作出されたものであり、外因的に付加された分泌シグナルを含まず、それによってUBE3Aの細胞外発現およびその分泌型の作出を阻止するという点で他の研究室において実施された仕事とは異なる。理論に拘束されることを望まないものの、分泌UBE3AをもたらすUBE3Aのそのような操作は、適当なレベルのUBE3Aの発現を調節する能力を除去すると考えられ、それは危険な過剰発現につながり得ると思われる。UBE3Aの過剰発現は、自閉症の症候群型であるDup15q症候群に関連付けられ得る。分泌UBE3Aは、UBE3A発現の細胞タイプ特異性または生体内分布の調節も喪失し得、ならびに翻訳後修飾の変更および/またはそのリガーゼ活性に対する基質相互作用の変更および/もしくは拡大を有し得る。この点において、本明細書に記載される構築物から作出されるUBE3A産物は、以前に報告されているよりも優れた結果を生むと考えられる。
【0180】
図3Bは、短いヒトUBE3A(hUBE3A)アイソフォームの偏った発現を達成するベクター設計のための、コドン最適化hUBE3A1>>3オープンリーディングフレームのコザック最適化の5’ベクターDNA配列(配列番号20)(上)およびタンパク質(配列番号21)(下)の概略を示している。長いおよび短いhUBE3Aの両方とも、同じリーディングフレームにおいてコードされる。hUBE3Aの短いアイソフォームを始める第2の開始コドン(AGCAGGATGA;配列番号25)からの翻訳開始に偏るように、種々の強さのコザック配列を操作した(図3Bおよび図3C)。
【0181】
マウスがニューロンにおけるすべてのUBE3Aアイソフォームの完全な喪失を示すASマウスモデル(Ube3am-/p+)において、構築物の発現特性を検討した(図4;Jiang et al,Neuron,1998:21(4):799-811)。新生仔マウスに、生後P1日目に約1×1011ウイルスゲノム(vg)のAAV9由来バリアントウイルスベクターPHP.B/SYN-hUBE3Aを脳室内(ICV)注射し、mRNAおよびタンパク質発現の補完的解析のために様々な時点で回収した。図5は、構築物から発現されたhUBE3A転写産物が、コドン最適化により導入された固有のヌクレオチド配列の存在に起因して、処理された対象において内因性mRNAの中で選択的に検出され得ることを示している。構築物設計のこの態様を活用して、PHP.B/SYN-hUBE3A生体内分布を忠実にたどり得、それによって、マウス、非ヒト霊長類、および最終的にはヒトにおける生体内送達(biodelivery)ストラテジーの最適化を促し得る。該設計によってコードされるhUBE3A転写産物は、図6におけるウェスタンブロッティング実験によって示されるように、短いおよび長いhUBE3Aタンパク質アイソフォームの両方を発現し得ることが判明した。重要なことに、長いhUBE3Aに対する短いものの比は3:1であり、内因性マウスUBE3Aアイソフォームに関して以前に観察された4:1比(Avagliano et al.,Nat Neurosci,2019:22(8):1235-1247)に近づき、コザック配列強度の操作により所望のhUBE3Aアイソフォーム比を達成する構築物設計の実現可能性を実証するものであった。
【0182】
図7Aは、生後P10、P15、およびP25日目に実施されたUBE3A免疫組織化学(IHC)によって証明されるように、新生仔ASモデルマウスへのhUBE3A_アイソフォーム1>>3産物の送達の成功を実証している。脳構造をより厳密に検討し、UBE3AとニューロンマーカーNeuNとを共染色することにより、ほぼ完全な共局在が示され、これは、PHP.B/SYN-UBE3Aを用いたニューロンの非常に効率的な形質導入を示す(図7B)。UBE3Aタンパク質は、短いhUBE3Aアイソフォームの優勢な発現と一致した顕著な核局在を示した。矢印は、UBE3Aが再発現されなかった希少な海馬ニューロンを示し、これは、皮質および海馬におけるほとんどのニューロンがhUBE3A_アイソフォーム1>>3産物を発現することを示す。
【0183】
定性的評価は、hUBE3Aが遺伝子移入の後に細胞内局在の細胞質から核へのシフトを呈する、適当なレベルでのかつ細胞内局在の内因性パターンに従った、発達中の脳へのUBE3Aアイソフォームの有効な再導入を示した(図8パネルA~F)。図8パネルA~Cは、P1におけるPHP.B/hUBE3AウイルスのICV注射後の、P10(パネルA)、P15(パネルB)、およびP25(パネルC)におけるASモデルマウスからのUBE3A染色された第2/3層新皮質を示している。Judson et al.,J Comparative Neurology,2014:522(8):1874-1896からのパネルD~Fに示されるように、ウイルスにより形質導入されたhUBE3Aの核における段階的蓄積が発達にわたって見られ、内因性UBE3A発現の時空間パターンの忠実な再現であった。
【0184】
[実施例2]
ASモデルマウスにおける解剖学的および行動的表現型の回復のためのヒトUBE3Aコドン最適化構築物処理
図9は、1ヶ月齢の時点での遺伝子療法処理群(WT+AAVおよびAS+AAV)およびビヒクル処理WT対照(WT+ビヒクル)において等価であった体重によって実証されるように、PHP.B/hUBE3Aが、WTおよびASモデルマウスの両方において概ね忍容性良好であったことを示している。ビヒクル処理ASマウスは、成体期へと過大に重量を増やし、以前の報告(Judson et al.,J Neurosci,2017:37(31):7347-7361)、およびAS個体における成体発症肥満の臨床観察(Bindels-de Heus et al.,Am J Med Genet A,2020:182(1):53-63)の両方と一致した。この表現型は、AS+AAV群においてPHP.B/hUBE3A処理によって完全にレスキューされた。
【0185】
新生仔ICV PHP.B/hUBE3A処理が、浸透率が高くかつ再現性のあるASマウスモデル欠損をレスキューする能力についてのさらなる試験を遂行した(図10、パネルA;Rotaru et al.,Neuroscience,2020:Epub ahead of print)。図10、パネルBは、遺伝子療法処理によって影響を受けなかったAS+ビヒクルマウスにおける自発運動抑制(hypolocomotion)の傾向を示している。AS+ビヒクルおよびAS+AAVは、ロータロッド課題の最初の試行において同程度に低いパフォーマンスを呈し、ASにおけるある特定のレベルの運動機能障害は、新生仔ICV PHP.B/hUBE3A処理に鈍感であり得ることを示唆した。しかしながら、繰り返しのロータロッド試験により、AS+AAVマウスにおける運動学習および可塑性の能力の回復が明らかとなり、それは継続的な習得試行にわたって運動パフォーマンスを高め、それを経時的に対照レベル近くに持続させた(図10、パネルC)。
【0186】
穴掘りおよび巣作りを含めた先天的行動も、ASマウスにおいて重度に欠損していることが知られる(Rotaru et al.,Neuroscience,2020:Epub ahead of print)。図10、パネルDおよびEは、十分に確立されたガラス玉覆い隠しおよび巣作りアッセイで、WT+ビヒクル対照と比べてAS+ビヒクルマウスの低いパフォーマンスによって証明されるように、これらの表現型はAS+ビヒクルマウスにおいて再現されることを示している。これらの表現型の浸透率は、AS+AAV群において大きく低下し、多くの個々の対象は対照レベルで課題を実施した。それにもかかわらず、不良なAS+AAV応答者の小サブセットがあり、それはガラス玉覆い隠しデータの広がりにおいてとりわけ目立った。これらの結果は、行動的レスキューの測定を狂わせる技術的誤差である低い注射標的化または広がりに起因して、処理の真の効力が過小評価されないことを確保するためのhUBE3A生体内分布についての慎重な事後解析を保証する。
【0187】
図11は、フルロチル発作キンドリングおよび再負荷により明らかとなった、AS+ビヒクルマウスにおける重度のてんかん発生の証拠を示している。この結果は、以前の調査(Gu et al.,J Clin Invest,2018:129(1):163-168)の知見と一致しており、ASマウスは、キンドリングの1ヶ月後のフルロチル再曝露に対して同程度に亢進した感度を呈した。さらに、ASマウスにおける過剰なてんかん発生は、生後発達の間のUBE3Aのタモキシフェン誘導性復活によるレスキューを受けやすく、したがって、新生仔ICV PHP.B/hUBE3A処理は、AS+AAVマウスをフルロチル再負荷に対して回復力のある状態にした(図11、パネルB)。
【0188】
脳回路への解剖学的および生理学的変化は、てんかん発生を規定する。フルロチルによりキンドリングされたASマウスは、海馬において、具体的には歯状回の分子層においてペリニューロナルネット(PNN)の堆積の増強を示す(Gu et al.,J Clin Invest,2018:129(1):163-168)。図12、パネルAは、この異常なPNN表現型もAS+ビヒクルマウスにおいて浸透性であるが、AS+AAVマウスにおいて十分にレスキューされたことを示している。反応性アストログリオーシスは、てんかん原性病巣の別の証である。図12、パネルBは、AS+ビヒクルマウスの海馬において強くGFAP染色されたアストロサイトの劇的な増加があり、それは、AS+AAV群において完全に正常化されることが判明したことを示している。集合的に、これらの調査は、新生仔ICV PHP.B/hUBE3A処理が、ASにおける発作転帰を向上させることにおいて非常に有効であり得るという裏付けとなる証拠を提供する。
【0189】
WT+AAVマウスは、これらの調査においてUBE3A過剰発現の忍容性についての事実上の試験として働いた。ほとんどの場合、WT+AAVおよびWT+ビヒクル群パフォーマンスは同程度であり、PHP.B/hUBE3A処理により生じるUBE3A過剰発現が比較的忍容性良好であることを示唆した。しかしながら、WT+AAVマウスは、適度に自発運動亢進性(hyperlocomotive)であることが判明し(図10、パネルB)、それらはガラス玉覆い隠し課題でややパフォーマンスが及ばない(図10、パネルD)。ゆえに、ある特定の行動および根本的な神経回路は、UBE3A過剰発現に対して、他のものよりも潜在的に脆弱であり得る。
【0190】
[実施例3]
インビトロおよびインビボでのヒト由来細胞における構築物処理
実施例1に記載される構築物は、ニューロンに分化しておりかつAS細胞表現型を呈する、患者由来iPSCにインビトロで送達されるであろう。次いで、レシピエント細胞は、構築物を受けていない適当な対照細胞と比較して、特徴的なAS細胞表現型の回復について観察されるであろう。
【0191】
AS iPSC株は、主要な転写因子であるOCT4、SOX2、KLF4、MYC、およびLIN28を発現するレトロウイルスまたはレンチウイルスベクターによって多能性を付与される患者末梢皮膚または血液細胞から作出され得る(Takahashi et al.,Cell,2007:131:861-872;Sommer et al.,Stem Cells,2008:27:543-549)。一部の調製において、CRISPR/Cas9編集を使用して、定型発達(neurotypical)患者に由来するiPSCに、ASを引き起こすUBE3A欠失を導入し得、ゆえに、付随する同質遺伝子対照を有する新規のAS iPSC株が産出される。AS iPSCは、確立されたプロトコールに従って補給剤および神経成長因子を含有する神経誘導培地を用いてニューロンに分化し得る(Chamberlain et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,2010:107:17668-17673)。
【0192】
患者由来ASニューロンは、静止膜電位の過分極および活動電位発火を含めた電気生理学的特性の特徴的に遅延した成熟を呈することが示されており、それは、薬理学的作用物質による父由来UBE3A非サイレンシング(unsilencing)によるレスキューを受けやすい(Fink et al.,Nat.Comm.,2017:Apr 24;8:15038)。同様に、構築物を患者由来ASニューロンに送達して(インビトロおよびインビボで)、hUBE3Aの発現および電気生理学的成熟の正しい遅延を回復させるであろう。非ヒト霊長類およびヒトにおける概念実証治療に関して、構築物は、安全性および効力調査に基づき必要に応じて用量漸増を有して、1~3人の患者において早期介入段階(例えば、2歳未満)で送達されるであろう。臨床的有益性および安全性が評価されるであろう(例えば、適当な対照と比較して)。
【0193】
前述の実施例は本発明の例示であり、それを限定するものとして解釈されるべきではない。本発明は、好ましい実施形態を参照して詳細に記載されているものの、変形および改変は、以下の特許請求の範囲において記載されかつ規定される本発明の範囲および精神の範囲内にある。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【配列表】
2022533448000001.app
【国際調査報告】