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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-22
(54)【発明の名称】圧縮ガス放出装置
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/12 20060101AFI20220714BHJP
【FI】
F17C13/12 301A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022505613
(86)(22)【出願日】2020-07-28
(85)【翻訳文提出日】2022-01-27
(86)【国際出願番号】 EP2020071275
(87)【国際公開番号】W WO2021018890
(87)【国際公開日】2021-02-04
(31)【優先権主張番号】1908771
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521525527
【氏名又は名称】プラスチック・オムニウム・ニュー・エナジーズ・フランス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エリック・ドゥパリ
(72)【発明者】
【氏名】オーレリアン・ダラゴン
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172AB04
3E172BA01
3E172BB05
3E172BB14
3E172BB17
3E172BD03
3E172EB02
3E172JA01
3E172JA05
(57)【要約】
本発明は、圧縮ガス動力車両用ガス放出装置(1)を提供し、このガス放出装置(1)は、中空体を有するガス集合管(11)であって、圧縮ガスタンクと流体連通するように構成された少なくとも1つのオリフィス(12)と大気へのガス放出開口部(13)とを具備するガス集合管(11)と、オリフィス(12)を圧縮ガスタンクと連絡するように構成された導管(14)と、を備え、導管(14)がオリフィス(12)内で並進自在で、導管(14)の第1の端部(141)が軸(A)に沿ってオリフィス(12)内を並進運動可能となるようにされている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 中空体を有するガス集合管(11)であって、
・ 圧縮ガスタンクと流体連通するように構成された少なくとも1つのオリフィス(12)と、
・ 大気中へのガス放出開口部(13)と、
を具備するガス集合管と、
- 前記オリフィス(12)を圧縮ガスタンクと連絡するように構成された導管(14)と、
を備える、圧縮ガス動力車両用ガス放出装置(1)であって、
前記導管(14)が前記オリフィス(12)内で並進自在で、前記導管(14)の第1の端部(141)が軸(A)に沿って前記オリフィス(12)内を並進運動可能となるようにされた、装置(1)。
【請求項2】
前記ガス集合管(11)の前記中空体が、長手方向軸(Y)に沿って延びる管状中空体である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ガス集合管(11)の前記中空体が、前記集合管(11)のガス出口(7)に至るガス放出路を画定する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
大気への前記ガス放出開口部(13)が、前記集合管(11)の前記ガス出口(7)で大気に開口する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記集合管(11)が、前記オリフィス(12)内に設けられており前記導管(14)の前記第1の端部(141)を少なくとも部分的に受けるための中間要素(15)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記集合管(11)が、前記集合管(11)に対する圧縮ガスタンクの支持手段(16)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
- 請求項1から6のいずれか一項に記載のガス放出装置(1)と、
- 軸(B)沿いに延びる形状を有し、第1のガス出口(21)を備える圧縮ガスタンク(2)と、
を備えるガス動力車両用圧縮ガス放出システム(10)であって、
前記導管(14)が、前記第1のガス出口(21)に接続される第2の端部(142)であって、前記第1のガス出口(21)と流体連通するための第2の端部(142)を備える、システム(10)。
【請求項8】
前記軸(A)が、前記タンク(2)の前記軸(B)と平行であり、かつ前記タンク(2)の前記軸(B)とは別個のものである、請求項7に記載のシステム(10)。
【請求項9】
前記軸(A)が、前記タンク(2)の前記軸(B)と平行であり、かつ、好ましくは前記タンク(2)の前記軸(B)と一致する、請求項7に記載のシステム(10)。
【請求項10】
前記第1のガス出口(21)に設けられた圧力除去装置(17)であって、前記タンク(2)内のガスの徐放を可能にする圧力除去装置(17)を備え、前記第2の端部(142)が、前記圧力除去装置(17)に接続された、請求項7から9のいずれか一項に記載のシステム(10)。
【請求項11】
前記タンク(2)が、前記第1のガス出口(21)と反対側に設けられた第2のガス出口(22)を備える、請求項7から10のいずれか一項に記載のシステム(10)。
【請求項12】
前記装置(1)が
- 中空体を有する第2のガス集合管(11’)であって、前記第2のガス出口(22)と流体連通するように構成されたオリフィス(12’)と、大気へのガス放出開口部とを備える第2のガス集合管(11’)と、
- 前記オリフィス(12’)を前記第2のガス出口(22)と連絡するように構成された第2の導管(14’)と、
を備える、請求項11に記載のシステム(10)。
【請求項13】
第1の前記集合管(11)と前記第2の集合管(11’)とが一致する、請求項12に記載のシステム(10)。
【請求項14】
前記タンク(2)が、前記第2の集合管(11’)と並進可能に結合された、請求項12に記載のシステム(10)。
【請求項15】
千鳥列に配置された複数のタンク(2)を備える、請求項7から14のいずれか一項に記載のシステム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、トラック、列車、さらには船舶のようなガス動力車両の分野に関する。より詳細には、本発明は、圧縮ガス放出装置に関する。本発明は、ガスタンクと、そのような圧縮ガス放出装置と、を備えるシステムにも関する。
【背景技術】
【0002】
ガス動力車両では、圧縮ガスを貯蔵し、輸送する必要がある。そのため、天然ガス(英語では「Compressed Natural Gas」、略してCNG)や水素ガスなど、その圧力が大気圧を上回るガスを収容するためのガスタンクが用意される。ガスタンクの多くは円筒形をなし、そのいずれかの端部にガス放出開口部を備えている。放出開口部には圧力調節装置をつなぐことができ、それによって、タンクが過度な温度に達したときなど、必要に応じてガスの徐放が行われるようにする。
【0003】
圧縮ガスタンクシステムは、従来技術において、特に文献特許文献1によってすでに知られている。この文献で説明されているタンクは、各々のタンクが、連結レールと連絡された開口部のある端部を備える。開口部は、連結レールに設けられたガス通路と連通しており、それによってその通路を通して大気中にガスを放出することができる。タンクは連結レールに固定して取り付けられる。
【0004】
従来技術で提案されている解決法には、より大きなサイズのガスタンクを必要とする車両での実施には適さないという欠点がある。実際、コンポジット圧力タンクの外形寸法は、たとえばIV型の場合、タンクの充填率によって変化することが知られている。そのため、満タン時のタンクの体積は、空のタンクの体積とは異なる。たとえば、350バール(350Mpa)の圧力が加えられたコンポジットタンクの寸法は、空のタンクと比べて1%増える。大型のタンクの場合は、この寸法の変化を考慮に入れなければならない。たとえば、トラックのような車両での利用を目的としたタンクで、水素の貯蔵容量が200l、長さ2m、直径415mm程度のタンクの場合、1%の増大は、長手方向軸沿いに2cmのタンクの伸長に相当する。タンク寸法のこうした増大は、ここでは従来技術における連結レールであるタンクの支持手段に追加的な圧力をもたらし、その変形を、さらには損傷までをも生じる可能性がある。このような圧力は、タンクの一部、特にガス放出開口部レベルに対しても加わり、システムの気密性を損なう可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6786229号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、あらゆる種類のガス動力車両のための、より堅牢で、高い気密性を有する圧縮ガス放出システムを提供することを特に目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明は、
- 中空体を有するガス集合管であって、
・ 圧縮ガスタンクと流体連通するように構成された少なくとも1つのオリフィスと、
・ 大気へのガス放出開口部と、
を具備する集合管と、
- オリフィスを圧縮ガスタンクと連絡するように構成された導管と、
を備える圧縮ガス動力車両用ガス放出装置において、
導管がオリフィス内で並進自在で、導管の第1の端部が軸(A)に沿ってオリフィス内を並進運動可能となるようにされた、装置を対象とする。
【0008】
導管の並進運動は、タンクの膨張、すなわち、タンクの長手方向軸沿いのタンク寸法の増大を軸(A)沿いの導管の第1の端部の自由な移動によって埋め合わせることができ、そのとき、他方の端部はそのままの位置を保持する。この埋合せは、大型のタンクの場合、その膨張が導管またはガス集合管の変形、さらには損傷を引き起こさないようにするためには欠かすことのできないものである。そこで、本発明で提案する解決法は、あらゆる状況のもとで、安全で堅牢な、かつより高い気密性を有するガス放出装置を実現することを可能にするものである。
【0009】
圧縮ガス放出装置にはそのほか、それぞれ単独で、または組み合わせて取り上げられるものとして、以下のような任意選択による特徴がある。
- オリフィス内の導管の並進運動の大きさは、タンクの膨張のみによって制限される。それにより、タンクはその長手方向軸沿いに自由に延びることができる。
- ガス集合管の中空体は、長手方向軸(Y)に沿って延びる管状中空体である。それにより、一連のタンクをガス集合管に流体連絡することができる。
- 集合管の中空体は、集合管のガス出口に至るガスの放出路を画定する。それにより、集合管の唯一のガス出口からガスを放出することができる。
- 大気へのガス放出開口部は、集合管のガス出口で大気に開口する。それにより、最小限の圧力損失でガスを大気中に放出することができる。
- 大気へのガス放出開口部は、集合管のガス出口で何の障害もなしに大気に開口する。典型的には、仕切弁、圧力調節弁、減圧弁など、大気中に出る前に放出ガスが通り抜けなければならない装置が障害となる。
- 集合管のガス出口は、放出ガスをほぼ水平な平面(X)と反対側に向かわせるように管状中空体の軸方向の延長上に位置する。それにより、ガス放出路を大気まで可能な限り最短のものとすることができる。
- 大気へのガス放出開口部には、保護キャップが装備される。それにより、集合管内に水、雨水などの流体が浸入するのを防ぐとともに、昆虫や齧歯類、ほこり、土、泥、枯葉、砂などの異物が集合管内に入り込まないようにすることができる。
- 大気中へのガス放出開口部にはフィルタが装備され、昆虫、齧歯類、ほこり、土、泥、枯葉、砂などの異物が集合管内に入り込まないようにする。
- 集合管の中空体は、放出ガスを平面(X)に向かわせるように、集合管のガス出口にU字形のエルボを有する。それにより、水、雨水などの流体や、昆虫、齧歯類、ほこり、土、泥、枯葉、砂などの異物が集合管内に容易に入り込めないようにすることができる。
- 集合管は、オリフィス内に設けられており導管の第1の端部を少なくとも部分的に受けるための中間要素を備える。好ましくは、集合管および導管は、ステンレス鋼製である。中間要素は、導管の第1の端部をその並進運動において案内し、金属部品の間の摩擦を防ぐことができる。中間要素は、弾性材料で製作することができ、それによって導管と集合管との間の隙間を埋めて高い気密性を得ることができる。好ましくは、中間要素は、EPDM(エチレンプロピレンジエンモノマー)ゴムなどのエラストマーで製作される。
- 集合管は、集合管に対する圧縮ガスタンクの支持手段を備える。そのため、ガス放出機能とタンク支持機能とを1つの要素で実現することができ、それによって製造コストを下げるとともに、シンプルで軽量の装置が得られる。
【0010】
本発明は、
- 上に説明したガス放出装置と、
- 軸(B)沿いに延びる形状を有し、第1のガス出口を備える圧縮ガスタンクと、
を備えるガス動力車両用圧縮ガス放出システムにおいて、
導管が、第1のガス出口に接続される第2の端部であって、第1のガス出口と流体連通するための第2の端部を備える、システムも対象とする。
【0011】
それにより、圧縮ガスタンクとガス放出装置との間に摺動結合を作り出すことができる。
【0012】
圧縮ガス放出システムにはそのほか、それぞれ単独で、または組み合わせて取り上げられるものとして、以下のような任意選択による特徴がある。
- タンクは、軸方向位置に保持された第1の端部と軸方向に並進自在な第2の端部との間に軸(B)沿いに延び、第1のガス出口は、タンクの第2の端部に設けられる。
- 軸(A)は、タンクの軸(B)と平行であり、かつ、好ましくはタンクの軸(B)と一致する。そのため、導管の第1の端部の動きは、タンクの動きと同期される。導管がエルボ部を含む場合には、軸(A)は、軸(B)とは別個のものであることができる。導管が直線的な形状である場合は、軸(A)は、タンクの軸(B)と一致することもできる。
- システムは、第1のガス出口に設けられた圧力除去装置であって、タンク内のガスの徐放を可能にする圧力除去装置を備え、第2の端部は、圧力除去装置に接続される。一例として、タンクの内容物すべてを素早く放出するように設計された熱作動式圧力除去装置(英語で《Thermal and Pressure Relief Device》、略してTPRD)の使用が考えられる。このような装置は、火災などで高温となった場合に機能することで、タンクの脆弱化を防ぎ、物質的にも人員的にも破局的な結果をもたらしかねない破断を回避する。TPRD装置の開放に伴う気体水素の放出流量は70g/sであり、それによって、350バール(35Mpa)に圧縮された水素200lのタンクを10分程度で空にすることができる。火災時には、一定の閾値を超える温度となったタンクだけが、それに付属するTPRD装置の開放によって空にされる。隣接するタンクは、そのTPRD装置が開くのでない限り、圧力がかかったままになる。
- 火災がタンクの一方の端部のみにかかわる場合のタンクの抜取りを保証するため、タンクは、第1のガス出口と反対側に設けられた第2のガス出口を備える。
- システムは、タンク内のガスの徐放を可能にする第2の圧力除去装置を、第2のガス出口に備える。
- 装置は、
・ 中空体を有する第2のガス集合管であって、第2のガス出口と流体連通するように構成されたオリフィスと、大気へのガス放出開口部と、を備える第2のガス集合管と、
・ オリフィスを第2のガス出口と連絡するように構成された第2の導管と、
を備える。
- 第1の集合管と第2の集合管とは一致し、その場合には、ガスは、火災発生時に装置の一方の側からのみ放出される。そのとき、タンクは、一方の側のガス集合管と、他方の側の固定フレームと、によって支持される。
- タンクは、第2の集合管と並進可能に結合され、その場合には、第1の集合管と第2の集合管とは、タンクの一方の側と他方の側とにタンクの両端レベルに設けられてタンクを支える。タンクは、より安定を得るため、第2の集合管に固定して取り付けられる。
- システムは、千鳥列に配置された複数のタンクを備える。そうすることで、システムが所与の方向に占めるスペースを小さくすることができる。
【0013】
本発明については、もっぱら例として添付の図面を参照しながら以下に示す説明を読むことによって、よりよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態による圧縮ガス放出システムの透視図である。
図2a図1のシステムの平面(X)による断面図であって、第1の変形によるレイアウトを示した図である。
図2b図1のシステムの平面(X)による断面図であって、第1の変形によるレイアウトを示した図である。
図3a】第2の変形によるレイアウトを示した断面図である。
図3b】第2の変形によるレイアウトを示した断面図である。
図4】本発明の第2の実施形態による圧縮ガス放出システムの透視図である。
図5a】本発明の別の実施形態を示した正面図である。
図5b】本発明の別の実施形態を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1の実施形態による圧縮ガス放出システムを、全体を符号10として図1に示した。システム10は、ガス集合管11を備えるガス放出装置1を含む。この実施形態による集合管11は、流体通路のための内部容積を形成する長手方向軸(Y)の管状中空体であって、集合管11のガス出口7に至るガス放出路を画定する中空体を有する。集合管11は、トラックなどのような車両で装置1を貯蔵区画内に固定するための固定手段3を備える。装置1は、ほぼ水平な平面である図1の平面(X)に対して垂直に設置され、集合管11のガス出口7は、長手方向軸(Y)の管状中空体の軸方向の延長上に位置することにより、放出ガスを平面(X)と反対側に向かわせる。あるいは、集合管11の中空体は、集合管11のガス出口7にU字形のエルボ(図示せず)を有することにより、放出ガスを平面(X)に向かわせる。
【0016】
ここで説明する例では、システム10は、一連の圧縮水素タンク2を5基備えている。タンク2は、垂直に、かつほぼ千鳥列で配置されることで、占有空間が抑えられている。各々のタンク2は、軸(B)沿いに延びる形をなし、タンク2の先に第1のガス出口21を備える。集合管11は、水平の棒状の支持手段16を備える。各々の水平の棒16は、タンク2の端部を、摺動結合を用いるなどして、その端部を固定することなく受けることができる。
【0017】
図1から図3に示すように、集合管11は、導管14によってタンク2と流体連通するように構成されたオリフィス12を備える。集合管11は、集合管11上部に設けられた大気へのガス放出開口部13であって、集合管11のガス出口7で大気に開放された開口部をさらに備える。開口部13には、集合管11内への雨水のような流体やほこりが入り込まないようにできる保護キャップ131が装備される。保護キャップ131は、集合管11内にガスが入っているときに開く弁として働く。有利には、弁は、放出ガスの圧力の作用で開く。開口部13には、保護キャップ131と入れ替わりに、フィルタ(図示せず)が装着されることで、異物が集合管11の中に入り込むのを防ぐ。
【0018】
各々のタンク2は、タンクの充填導管、水素供給導管および水素放出導管と流体連通させるためのOTV(英語で「On-Tank Valve」)弁を第1のガス出口21に備える。OTV弁は、水素がタンク2の充填導管を逆流するのを防ぐための逆止弁と、減圧弁を通して水素消費機器(燃料電池など)に供給を行うための止め弁と、を備える。止め弁は通常は閉じている。OTV弁は、タンクの内容物すべてを素早く放出するように設計された熱作動式圧力除去装置(英語で「Thermal and Pressure Relief Device」、略してTPRD)17(図1に示すもの)をさらに備える。これらは、「水素動作車両の安全規定に関する自動車両およびその構成品の認定に関する統一規定」に関するUNECE規則第134号を遵守するために欠かすことのできない3つの機能である。
【0019】
タンク2と流体連通するために、集合管11は、オリフィス12と可動に連絡された第1の端部141を各々が有する導管14を備える。オリフィス12に対する第1の端部141のレイアウトについてはこの先で説明する。導管14は、第1のガス出口21と流体連通した第2の端部142を備える。好ましくは、第2の端部142は、圧力除去装置17に対して気密に固定される。そして、高温になった場合には、圧力除去装置は、タンク2内の水素を制御されたやり方で放出する。水素は、集合管11の中空体によって画定される放出路に導管14経由で到達し、集合管11の出口7で放出開口部13から大気に放出される。
【0020】
図2aおよび図2bは、第1の変形による集合管11のオリフィス12に対する導管14の第1の端部141のレイアウトを示している。この変形は、図1に示したガス放出システムの実施形態に当たる。この変形では、集合管11は、オリフィス12内に設けられた軸(A)の回転継手15などの中間要素15を備える。タンク2は、その軸(B)が軸(A)と平行であり、かつ軸(A)とは別個であるように設置される。オリフィス12とタンク2の第1のガス出口21とを連絡するため、導管14は、第1の端部141が回転継手15内を軸(A)沿いに摺動できるように複数のエルボ部を含む。そのため、タンク2内が抜けていく過程でタンク2の寸法が減少すると、導管14は図2aおよび図2bに示すようにD方向に移動し、それによって、第1の端部141が、オリフィス12内の軸(A)沿いの並進運動によって集合管11の内部容積に入り込む。
【0021】
図3aおよび3bは、第2の変形による集合管11のオリフィス12に対する導管14の第1の端部141のレイアウトを示している。この変形では、タンク2は、その軸(B)が軸(A)と平行であり、かつ軸(A)と一致するように設置され、第1のガス出口21はオリフィス12と向かい合う。オリフィス12とタンク2の第1のガス出口21とを連絡するため、導管14は、第1の端部141が回転継手15内を軸(A)沿いに摺動できるように複数のエルボ部を含むことができる。好ましくは、またシステムをシンプルにするため、導管14は、直線的な形状であることができる。そのため、タンク2に充填する過程でタンク2の寸法が増大すると、導管14は、図3aおよび図3bに示すようにD’方向に移動し、それによって、第1の端部141が、オリフィス12内の軸(A)沿いの並進運動によって集合管11の内部容積に入り込む。
【0022】
図4は本発明の第2の実施形態を示したもので、ここでは、ガス放出装置1が、列車またはバスなどのような車両で、貯蔵区画内に取り付けるように構成されている。装置1は、複数のタンク2、たとえば図4に示すように3基を受けるように構成された水平部位41を備え、その水平部位は、タンク2の支持手段16を備える。装置1は、アーチ形をした中間部位42であって、別の複数のタンク2、たとえば図4に示すように5基を受けるように構成された中間部位をさらに備え、その中間部位は、タンク2の支持手段16を備える。最後に、装置1は、タンク2を定位置に保持することができる上部位43を備える。
【0023】
装置1は、流体通路を形成する中空体を有する集合管11を備える。集合管11は、図4に示す装置1の垂直部位を形成する。この実施形態では、導管14(図示せず)は、オリフィス12(図示せず)をタンク2と流体連通させるために集合管11に設けられたオリフィス12に接続することができる。オリフィスは、水平部位41および/または中間部位42および/または上部位43に設けることも可能であり、その場合は、各部位41、42、43それぞれが集合管11と流体連通する。本発明のこの第2の実施形態では、図2および3に図示し、上に説明したオリフィス12に対する導管14のレイアウトは、当業者であれば特段の問題なしに実施できるものである。
【0024】
本発明は、説明した実施形態に限定されるものではなく、当業者にはそれ以外の実施形態も自明であろう。とりわけ、タンク2は、第1のガス出口21と反対側に設けた第2のガス出口22を備えること、そして、タンクを支えるための支持手段(図示せず)を設けつつ、装置1は、第2のガス出口22と流体連通するように構成された簡易なオリフィス12’を備えることが可能である。その場合、装置1は、簡易なオリフィス12’内での摺動の必要なしに簡易なオリフィス12’を第2のガス出口22に連絡するように構成された第2の導管14’を備える。そのような簡易なオリフィス12’は、図5bに示すような単一の集合管11内に設けるか、またはタンク2の反対端に設けられた別の集合管11’であって、図5aに示すようにタンク2を固定した形で受けるように構成された集合管11’内に設けることができる。
【0025】
図2および図3に図示し、上に説明したオリフィス12に対する導管14の第1の端部141のレイアウトは、導管14の第2の端部142とタンク2の第1のガス出口21との間の連結にも実施できることに留意すべきである。とりわけ、第1のガス出口21に接続される流体通路を、導管14の第2の端部142がその中を摺動する中間要素15を受けるように構成された圧力除去装置17のレベルなどに用意することが可能であり、その場合、第1の端部141は、気密に、または気密でなく、集合管11のオリフィス12に接続される。
【0026】
以上に図示した例ではいずれも水素が取り上げられているが、本発明は水素だけに限定されるものではない。実際、本発明は、天然ガスなど、高圧で貯蔵される他のガスにも適用される。
【符号の説明】
【0027】
1 圧縮ガス動力車両用ガス放出装置
2 圧縮ガスタンク
7 ガス出口
10 圧縮ガス放出システム
11 ガス集合管
12 オリフィス
13 ガス放出開口部
14 導管
141 第1の端部
142 第2の端部
15 中間要素
16 支持手段
17 圧力除去装置
21 第1のガス出口
22 第2のガス出口
11’ 第2の集合管
12’ 簡易なオリフィス
14’ 第2の導管
A 軸
B 軸
X 平面
Y 長手方向軸
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5a
図5b
【国際調査報告】