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特表2022-533513合成および/または天然芝の充填材料として使用される植物材料の処理のための方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(54)【発明の名称】合成および/または天然芝の充填材料として使用される植物材料の処理のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   E01C 13/08 20060101AFI20220715BHJP
【FI】
E01C13/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556362
(86)(22)【出願日】2019-03-20
(85)【翻訳文提出日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 IT2019000024
(87)【国際公開番号】W WO2020188609
(87)【国際公開日】2020-09-24
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521431790
【氏名又は名称】ナスカ,ロベルト
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ナスカ,ロベルト
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051HA00
(57)【要約】
人工、もしくは天然、または混合された人工および天然芝(1)の充填材料(10)として使用される植物由来のばらばらの材料の処理方法であって、その特性を改善するように、所定の量の植物由来のばらばらの材料を、少なくとも乾性油または半乾性油に基づく所定の量の所定の化合物と混合するステップを含む方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工、もしくは天然、または混合された人工および天然芝(1)の充填材料(10)として使用される植物由来のばらばらの材料の処理方法であって、前記方法は、前記植物由来のばらばらの材料の特性を改善するために、少なくとも乾性油または半乾性油に基づく所定の量の所定の化合物と、所定の量の前記植物由来のばらばらの材料とを混合するステップを提供することを特徴とする、方法。
【請求項2】
少なくとも前記またはそれぞれの乾性油または半乾性油に基づく前記化合物は、前記またはそれぞれの乾性油または半乾性油を熱処理に供することによって得られるスタンド油であり、前記熱処理は、所定の温度T*に達するまで前記またはそれぞれの乾性油または半乾性油を加熱することを提供し、これにより、前記またはそれぞれの乾性油または半乾性油を重合させ、その安定性を高める、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱処理が、空気の非存在下で、前記またはそれぞれの乾性油または半乾性油を、200℃より高い所定の温度まで加熱することを提供する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記乾性油が、
- 亜麻仁油、
- 胡桃油、
- けし油、
- ひまわり油、
またはそれらの組み合わせ、からなる群から選択される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも乾性油または半乾性油に基づく化合物を少なくとも1つの供給ノズルに通過させ、前記またはそれぞれの供給ノズルを通って前記植物由来のばらばらの材料に霧化される化合物を噴霧することによって得られる、前記少なくとも乾性油または半乾性油に基づく化合物の霧化ステップが提供される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記混合ステップがスクリューミキサーにおいて実施される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記植物由来のばらばらの材料が、粉砕されたココナッツに基づく原材料から得られる所定の量のばらばらの製品を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記植物由来のばらばらの材料が、コルクに基づく原材料から得られる所定の量のばらばらの製品を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記植物由来のばらばらの材料が、所定の量の穀物の穂の中軸を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記穀物の穂の中軸の材料が、トウモロコシの中軸であるトウモロコシ穂軸である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記植物由来のばらばらの材料が、所定の量の穀物の殻を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記穀物の殻が、
- 籾殻、
- 小麦の殻、
- ライ麦の殻、
- オーツ麦の殻、
- スペルト小麦の殻、
- またはそれらの組み合わせ、からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記混合ステップが、植物由来のばらばらの材料1リットルごとに、50~200gの前記乾性油または半乾性油に基づく化合物を含む量を混合することを提供する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記植物由来のばらばらの材料が乾燥させられ、すなわち前記ばらばらの材料は、≦10%のある程度の湿度を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記植物由来のばらばらの材料は、以下のばらばらの製品、
- 粉砕されたココナッツに基づく原材料から得られるばらばらの製品、
- コルクに基づく原材料から得られるばらばらの製品、
- 穀物の穂の中軸、
- 穀物の殻、のうちの少なくとも2つの混合物を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記粉砕されたココナッツに基づく原材料から得られるばらばらの製品が、ココナッツに基づく出発製品の繊維部分を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記粉砕されたココナッツに基づく原材料から得られるばらばらの製品が、前記ココナッツに基づく出発製品を、排出される500μm未満の粒度分布を有する粉末部分を、利用される500μmより大きな粒度分布を有する繊維部分から分割するように構成された分離ステップに供することによって得られる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記分離ステップが振動ふるいによって実施される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記分離ステップ中に、湿度値が10%以下になるように湿度が調整される、請求項16または17に記載の方法。
【請求項20】
人工芝、または混合された人工および天然芝(1)であって、
- 複数の合成ブレードが固定されているベースマットと、
- 前記複数の合成ブレードの間で前記ベースマット上に分配された充填材料であって、所定の量の植物由来のばらばらの材料に混合された、少なくとも乾性油または半乾性油に基づく所定の量の化合物を含む、充填材料と、を含む、人工芝、または混合された人工および天然芝(1)。
【請求項21】
前記植物由来のばらばらの材料の少なくとも90重量%が、500μmを超える粒度分布を有する、請求項13に記載の芝。
【請求項22】
前記植物由来のばらばらの材料の少なくとも90重量%が、500μm~4mmの粒度分布を有する、請求項13に記載の芝。
【請求項23】
人工芝、または混合された人工および天然芝の充填材料(10)として使用される植物由来のばらばらの材料を処理するためのプラントであって、前記プラントは、
- 前記植物由来のばらばらの材料の特性を改善するように、所定の量の前記植物由来のばらばらの材料を、少なくとも乾性油または半乾性油に基づく所定の量の所定の化合物と混合するように構成された混合でデバイス(50)を提供することを特徴とする、プラント。
【請求項24】
- ばらばらの植物材料を収容するように配置された第1のリザーバ(30)と、
- 前記少なくとも乾性油または半乾性油に基づく化合物を収容するように配置された第2のリザーバ(40)と、
- 前記ばらばらの植物材料を前記第1のリザーバ(30)から前記混合デバイス(50)に移送するように構成された第1の移送デバイス(35)と、
- 前記ばらばらの植物材料を前記第2のリザーバ(40)から前記混合デバイス(50)に移送するように構成された第2の移送デバイス(45)と、を備える、請求項23に記載のプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工芝および/または天然芝および人工芝の充填材料として使用される植物材料の処理方法に関する。
本発明はまた、上記に開示された充填材料を使用して得られた人工および/または天然の芝に関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、人工芝は、本質的に、「剛毛」とも呼ばれる合成材料のブレードが人工芝を形成するように固定されたプラスチック材料で作製されたマットからなる。合成材料で作製されたブレードは、必要に応じて互いに近いブレードの反りを得ることを可能にする既知のプロセスによってマットに編まれる。
【0003】
ハイブリッド芝も知られており、これは、前述の合成芝で作られたブレードと、少なくとも植物種から得られた天然の草で作られたブレードとの両方を含み、天然草の芝を形成することを意味する。このようにして、天然草の芝と非常によく似た外観を有するが、特に悪天候に耐えることができるという特別な特性を備えた芝が得られる。このタイプのハイブリッド芝の例は、欧州特許第EP1781859号に記載されている。
【0004】
人工芝と、ハイブリッドの人工および天然芝との両方の場合において、合成材料で作られたブレードと、草の天然ブレードが存在する場合はその周囲全体に、単に「充填物」とも呼ばれる充填材料が分配される。これは通常、粒状であり、目的の種類に応じて、つまり装飾目的であるかまたはスポーツ目的であるかに応じて、および人工芝の目的であるスポーツの種類、例えば、サッカー、ホッケー、クリケット、ラグビーに基づくだけでなく、人工芝が設置される場所でより頻繁に発生する気象条件に応じても選択される。
【0005】
充填材は、雨水や灌漑用水の排水を調整することで排水作用を提供し、マットを保護して人工芝を長時間維持し、何よりも、天然芝と同様の、芝の機械的、物理的、技術的特徴を与える。充填材料の最も重要な特徴は、特に、ユーザーにとっての地面の弾力性、ボールの跳ね返り、落下時の打撃の吸収能力、靴によって引き起こされる力に対する引張りおよびトルク抵抗、圧縮、外部物体の侵入に対する抵抗、ならびに気象および環境イベントの場合の水の吸収および排水の能力である。
【0006】
合成芝の排水作用は、通常、本質的に砂で構成されたベース部分、つまり「安定化充填物」によって実行される。代わりに、合成芝の弾力性は、通常、芝の上側部分に集中しているゴムの顆粒、または「性能充填物」の存在によって保証される。同様の充填材料の例は、US2002/081399に開示されている。
【0007】
ただし、既知のタイプの人工芝は、特にゴムと砂が含まれている場合、多くの欠点を有する。第一に、踏みつけによる圧縮、または排水の浸透の沈降によって、最終的に砂の層が圧縮され、その排水特性が失われる傾向がある。そのため、特に降雨量が多い場合、人工芝は雨水を排出できず、水浸しになる。これにより、充填材料のランダムで乱流の混合物が特にその上層で発生し、つまり、それにより充填物内の正しい位置から除去される。特に、充填材料は、やがて、水によって引き出された材料が集中するゾーンと、代わりに、完全に、またはいかようにも同じ材料が足りない他のゾーンを提供する。したがって、人工芝はその元の構造を失い、それに応じて、敷設時に有していた物理的、機械的、および排水機能を失う。
【0008】
従来技術の人工芝の別の欠点は、特に最も暑い季節に、それらが急速に加熱され、60℃を超える温度に達することであり、その結果、天然芝と比較した場合、アスリートに問題が生じる。この不便さは、実質的に一年中平均気温が非常に高い国々で特に感じられる。このため、従来技術の人工芝は、結果的な時間の大量消費および水の浪費をもたらす上記の人工芝の過熱を可能な限り回避するために、定期的に灌漑されなければならない。さらに、上記で開示された充填物の灌漑および排水サイクルは、時間の経過とともに、下側層を圧縮する傾向があり、したがって、上で説明したように、さらに効果の低い排水作用を示す。
【0009】
従来技術の充填物の別の欠点は、温度が非常に低い年間期間中、または一年の大部分にわたって温度が-10℃~-20℃より低下する国では、充填材料は凍結する可能性があり、その結果、材料の望ましい特性、特に排水効果が失われる可能性がある。
【0010】
従来技術の充填物のさらなる欠点は、主に決定された材料、特にゴムの存在のために、しかしまた合成材料で作られたブレードの存在のために、従来技術の芝が燃える可能性があり、炎は非常に迅速に広がり、火災を引き起こし、火災は、煙による環境への影響の問題を引き起こすだけでなく、芝生を非常に迅速に破壊する。
【発明の概要】
【0011】
したがって、本発明の目的は、従来技術の充填材料の上記の開示された欠点を克服することができる、人工、または混合人工/天然、または天然の芝の充填材料として使用される植物材料の処理方法を提供することである。
【0012】
特に、本発明の目的は、充填材料が使用されている芝への大量の降雨の場合に洪水の可能性を回避するように、撥水性充填材料を得ることができる植物材料の処理方法を提供することができる。
【0013】
本発明の別の特定の目的は、約-30℃の温度でも凍結せず、ばらばらの材料の形態を維持することができる充填材料を得ることができる植物材料の処理方法を提供することである。
【0014】
また、本発明の目的は、裸火を発生せず、自己消火特性を有する耐火材料を得ることができる植物材料の処理方法を提供することである。
【0015】
また、本発明の目的は、同じ利点を有する人工または混合人工/天然芝の充填材料として使用される植物材料を処理するためのプラントを提供することである。
【0016】
最後に、本発明の目的は、従来技術の芝に関して前述の利点を有する人工の、または混合人工/天然芝を提供することである。
【0017】
これらおよび他の目的は、人工、もしくは天然、または混合された人工および天然の芝の充填材料として使用される植物由来のばらばらの材料の処理の方法であって、この方法の主な特性は、植物由来のばらばらの材料の特性を改善するために、少なくとも乾性油または半乾性油に基づいて、所定の量の植物由来の前述のばらばらの材料を、所定の量の所定の化合物と混合するステップを提供することである、方法によって達成される。
【0018】
特に、前述の混合により、植物由来のばらばらの材料を撥水性にすることができることが観察された。より具体的には、決定された多孔性を有する植物由来のばらばらの材料は、上記の乾性油または半乾性油を吸収し、これらの油は、したがって、材料の構造に浸透し、それが水または湿度を著しく吸収することを回避する。したがって、この製品を人工または混合された人工-天然芝の充填材として使用すると、雨水または灌漑用水が植物材料によって保持される可能性があり、それによって畑の洪水を引き起こすことを回避し、その排水能力を大幅に改善する。
【0019】
前述の乾性油または半乾性油の混合物で改善される植物材料の別の特性は、凍結温度を下げることができることである。実際、乾性油や半乾性油と混合されていない植物材料とは異なり、材料は約-25℃、-30℃の温度まで著しく凍結せず、実質的にばらばらの製品にとどまり、すなわちコンパクトでないことが指摘されている。
【0020】
上記に加えて、植物由来のばらばらの材料を乾性油または半乾性油と混合することにより、植物由来のばらばらの材料の耐炎性および自己消火性を発展させることができることが実証されており、したがって、裸火は広がることができず、すぐに消える。
【0021】
本発明のさらなる特徴および関連する実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0022】
特に、少なくとも当該またはそれぞれの乾性油または半乾性油に基づく上記に開示された化合物は、当該またはそれぞれの乾性油または半乾性油を熱処理に供することによって得られるスタンド油であることができ、熱処理は、特に空気の非存在下で、所定の温度T*に達するまで当該またはそれぞれの乾性油または半乾性油を加熱することを提供し、これにより、当該またはそれぞれの乾性油または半乾性油を重合させ、その安定性を高める。例えば、上記で開示された温度T*は、200℃より高く、有利には250℃より高いことができる。
【0023】
有利には、乾性油は、亜麻仁油、胡桃油、けし油、もしくはひまわり油、またはそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0024】
本発明の別の態様によれば、人工芝、または混合された人工および天然芝は、以下を含む。
-第1の面および第1の面の反対側の第2の面を備えたマットと、
-当該マットに固定された合成材料で作られた複数のブレードと、
-当該ベースマットの当該第2の面に分布させられた充填材料であって、当該充填材料は、所定の量の植物由来のばらばらの材料と混合された、少なくとも乾性油または半乾性油に基づく所定の量の化合物を含む。
【0025】
本発明のさらなる態様によれば、人工芝または混合された人工および天然芝の充填材料として使用される植物由来のばらばらの材料を処理するためのプラントは、植物由来の当該ばらばらの材料の特性を改善するように、所定の量の植物由来の当該ばらばらの材料を、少なくとも乾性油または半乾性油に基づく所定の量の所定の化合物を混合するように構成された混合デバイスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明について、添付図面を参照しながら、例示するが限定するものではない例示的実施形態に関する以下の説明を使用して示す。
図1】本発明による、人工もしくは天然、または混合された人工/天然の芝の充填材料として使用される植物材料の処理方法の可能な実施形態のブロック図を図式的に示す。
図2】本発明による、人工もしくは天然、または混合された人工/天然の芝の充填材料として使用される植物材料の処理のためのプラントの第1の実施形態の側面図を図式的に示す。
図3】人工または混合された人工/天然の芝の充填材として使用される植物材料の処理のための、図2のプラントの第1の代替実施形態の側面図を図式的に示す。
図4】本発明による乾性油または半乾性油に基づく化合物を貯蔵するために、図2または図3のプラントで使用することができるリザーバのセクションの拡大を図式的に示す。
図5図4のプラントで使用できる可能な混合装置の縦断面の拡大図を示す。
図6】人工または混合された人工/天然の芝の充填材として使用される植物材料の処理のための、図2のプラントの別の代替実施形態の側面図を図式的に示す。
図7】人工芝または混合された人工/天然芝の充填材料を製造するために使用できる、本発明による混合物を含む袋の可能な実施形態の、一部を取り除いた斜視正面図を図式的に示す。
図8】すでに設置されている芝生上での乾性油または半乾性油に基づく化合物の分配のステップの可能な実施形態を図式的に示す。
図9図8の芝の拡大図を示す。
図10】それぞれ10から12までの図は、本発明による方法によって得られた充填材料で作製することができる人工または混合された人工/天然芝の2つの可能な実施形態の断面図を図式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1のブロック図400を参照すると、本発明による、人工もしくは天然、または混合された人工および天然芝の充填材料として使用される植物由来のばらばらの材料を処理するための方法は、所定の量の植物由来のばらばらの材料(ブロック401)を、少なくとも乾性油または半乾性油(ブロック402)に基づく所定の量の所定の化合物と混合する(ブロック403)を提供する。このようにして、人工芝、または混合された人工および天然芝の充填材料として使用することができる混合物が得られる(ブロック404)。有利なことに、混合ステップは、植物由来の前述のばらばらの材料の毎リットル、またはdmについて、乾性油または半乾性油に基づいて、50~200gの前述の化合物を含む量を混合することを提供することができる。
【0028】
特に、少なくとも乾性油または半乾性油に基づく上記に開示された化合物は、スタンド油であることができる。より具体的には、スタンド油は、少なくとも乾性油または半乾性油を、開始乾性油または半乾性油を、有利には200℃より高い、好ましくは250℃をより高い、例えば、280℃~320℃の間に含まれる所定の温度T*まで加熱することを提供する熱処理に供することによって得ることができ、それにより、乾性油または半乾性油に基づく当該またはそれぞれの化合物またはそれぞれを重合させ、その安定性を高める。本発明の可能な有利な実施形態では、上記に開示された加熱は、空気の非存在下で実施される。特に、乾性油は、亜麻仁油、胡桃油、けし油、ひまわり油、またはそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0029】
本発明の第1の実施形態では、人工芝または混合された人工および天然芝の充填材料として使用される植物由来のばらばらの材料を処理するためのプラント100は、上記に開示されたばらばらの植物材料を含む少なくとも1つの第1のリザーバ30、および乾性油または半乾性油に基づく上記に開示された化合物を含む少なくとも1つの第2のリザーバ40を提供する。より具体的には、第1および第2の移送装置35および45は、第1のリザーバ30および第2のリザーバ40それぞれから混合装置50に、ばらばらの植物材料および乾性油または半乾性油に基づく化合物をそれぞれ移送するように構成されて提供することができる。本発明の第1の実施形態では、移送装置35は、コンベヤベルト、またはシュート、または粉末用のポンプ、例えば、空気圧ポンプ、または例えばホッパー51によって混合デバイス50内でばらばらの材料を移送するように配置されたアルキメディアンスクリューであることができる。代わりに、移送装置45は、容積式ポンプであることができる。より具体的には、移送装置35および移送装置45は、既知量のばらばらの植物材料および乾性油または半乾性油に基づく前述の化合物を第1のリザーバ30および第2のリザーバ40から混合デバイス50内へ移送できるように、単純化のために図には示されていないそれぞれの流量測定デバイスを提供することができる。これは、ばらばらの植物材料を乾性油または半乾性油に基づく化合物と混合して、充填材料として使用できる製品を得るように配置されている。
【0030】
図2に示すように、混合デバイスは回転式ドラムミキサーであることができ、場合によっては振動式ドラムミキサーであることもできる。ただし、混合デバイスは異なるタイプであることもできる。例えば、図3の代替の実施形態に図式的に示されているように、混合デバイス50は、スクリューミキサーであることができる。
【0031】
有利には、少なくとも乾性油または半乾性油に基づく上記の開示された化合物の分配ステップは、化合物の霧化ステップを提供することができる。特に、乾性油または半乾性油に基づく化合物の霧化は、混合デバイス50内で実施することができる。より具体的には、図5の例では、霧化は、乾性油または半乾性油に基づく化合物を、少なくとも供給ノズル、有利には複数の供給ノズル55を通過させることによって得られる。これらは、混合デバイス50を長手方向に通過するダクト56で作製することができ、そこでは、化合物は、移送デバイス45と連絡するダクト46を通して導入される。次に、霧化された化合物は、当該またはそれぞれの供給ノズル55を介して植物由来のばらばらの材料上に噴霧され、上記に開示されたスクリューミキサーによって混合される(図3および5を参照)。
【0032】
特に、当該またはそれぞれの前述のリザーバ40は、粉砕されたココナッツに基づく原材料から得られる所定の量のばらばらの製品を含むことができる。あるいは、当該またはそれぞれの前述のリザーバ40は、コルクに基づく原材料から得られたばらばらの製品を含むことができる。提供される別の実施形態では、当該またはそれぞれの前述のリザーバ40は、穀物の穂の中軸、有利にはトウモロコシの中軸であるトウモロコシの穂軸を含むことができる。さらに別の実施形態では、当該またはそれぞれの前述の貯蔵所40は、特に籾殻、小麦殻、ライ麦殻、オート麦殻、スペルト小麦殻、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される穀物殻を含むことができる。本発明のさらなる実施形態では、当該またはそれぞれの前述のリザーバ40は、前述の材料の混合物、またはそれらのいくつかの混合物を含むことができる。例えば、当該またはそれぞれの前述のリザーバ40は、コルクに基づく原材料から得られるばらばらの製品、穀物の穂の中軸、トウモロコシの穂軸、穀物殻とともに、粉砕されたココナッツに基づく原材料から得られるばらばらの製品の混合物を含むことができる。乾性油に基づく化合物の重量と植物由来のばらばらの材料の体積との間の前述の比率での混合は、前述の移送装置35および45によって成分の量を測定することによって得ることができる。より具体的には、移送装置35および45は、それぞれ、リザーバ30からの植物由来のばらばらの材料、およびリザーバ40からの乾性油または半乾性油に基づく化合物の所定の流れを前述の混合デバイス50に供給するように構成されている。
【0033】
特に、少なくとも乾性油または半乾性油に基づく化合物を含む上記の開示されたリザーバ40は、リザーバ40に含まれた製品が、著しい温度変化、特に温度低下を受け得ることを回避するような形式で断熱することができる。より具体的には、リザーバ40は、少なくとも乾性油または半乾性油に基づく上記の開示された化合物が、有利には70℃よりも高い所定の温度、有利には80℃~95℃を含む例えば70~100℃の温度にとどまるように断熱することができる。
【0034】
本発明による、図5に図式的に示される可能な実施形態では、複数のリザーバ30、例えば4つのリザーバ30a~30dが提供され、これらのそれぞれは、所定のタイプの植物由来のばらばらの材料を含むように配置されている。特に、各リザーバ30a~30dは、混合デバイス50内で決定された緩い植物材料を移送するように配置された移送デバイス35a~35dに関連付けることができる。より具体的には、選択デバイス80は、リザーバ30a~30cおよび選択デバイス80にそれぞれ接続された1つまたは複数の分岐81a~81cを選択的に開閉するように配置されて提供することができ、これにより、これらを、下流に配置された分岐82と連通させるかまたは切り離し、この分岐82を通ってばらばらの材料は混合デバイス50へ導入される。
【0035】
例えば、第1のリザーバ30aは、ココナッツに基づくばらばらの材料を含むことができ、第2のリザーバ30bは、コルクに基づく原材料を含むことができ、第3のリザーバ30cは、例えばトウモロコシ穂軸などの穀物の穂の中軸を含むことができ、第4のリザーバ30dは、籾殻などの穀物の殻を含むことができる。特に、有利には粉砕されたココナッツに基づく原材料は、ココナッツに基づく出発製品の唯一の繊維部分を含むことができる。より具体的には、ココナッツに基づく原材料から得られる上記のばらばらの製品は、ココナッツに基づく上記に開示されたばらばらの製品として使用される500μmより大きい粒度分布を有する繊維部分から、排出される500μmより小さい粒度分布を有する粉末部分を分割するように構成された分離ステップに、ココナッツに基づく当該開始製品を供することによって得ることができる。例えば、前述の分離ステップは、振動するふるいによって実施することができる。特に、前述の分離ステップ中に、ココナッツに基づく製品の湿度は、ココナッツの湿度値μが10%以下、すなわち0<μ<10%となるように調整することができる。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、所望の混合物の種類に応じて、決定された量の2つ以上の前述の植物由来のばらばらの材料が一緒に混合される。これは、例えば、制御ユニット300によって、複数の可能な混合物間の決定された混合物を設定し、同じ制御ユニット300によって、決定された数の移送デバイスを動作させることによって得られ、対応する量の植物由来の各ばらばらの材料を混合デバイスに供給することができる。さらに、混合デバイス内で、前述の混合物を、乾性油または半乾性油に基づく所定の量の前述の化合物と混合して、前述の撥水性、難燃性、および凍結温度特性の低下を混合物に与えることができる。例えば、ココナッツに基づく製品の穀物殻およびコルクの量を、前述の混合デバイスの内部に以下の組成を有する混合物を有するように混合デバイス50に供給することができる:第1のリザーバ30aに由来するココナッツに基づく65%~75%の前述のばらばらの製品、第2のリザーバ30bに由来するコルクに基づくばらばらの材料の20~25%、および第4のリザーバ30dに由来する穀物の殻、特に籾殻の1~15重量%である。図8に図式的に示される本発明の可能な代替実施形態では、少なくとも乾性油または半乾性油に基づく上記の開示された化合物は、人工または混合された人工-天然芝に分配することができ、その後、芝は敷設される。特に、前述の分配ステップは、芝1上を移動することができる分配デバイス60によって、例えば、ホイール62によって実行することができる。分配デバイス60は、少なくとも供給ノズル65、有利には、掃引面のmあたり所定の量の化合物を供給するように配置された複数の供給ノズル65を備えることができる。分配デバイス60はさらに、単純化の理由で図に示されていない、分配された化合物とそれを混合するために充填材料を移動させることができる変位要素を備えることができる。例えば、図8に図式的に示されるように、上記に開示された化合物は、リザーバ61、有利には、分配デバイス60が提供される絶縁されたリザーバ内に含むことができる。簡単にするために図に示されていない代替の実施形態では、リザーバ61は、前述のリザーバが芝の表面全体1を覆うことができるように構成された少なくとも1つのガイド上で、係合し、自由にスライドするキャリッジに取り付けることができる。
【0037】
特に、図9図12に図式的に示されるように、充填材料10が使用される上記の芝1は、マット2を提供することができ、マット2は、使用時に覆われる表面に隣接して配置される面2aと、面2aとは反対側の面2bとを有する。芝1は、さらに、例えば接着または縫い付けによってマット2に固定された、合成材料で作製された複数のブレードまたは剛毛3を備える。混合された人工-天然芝の場合、合成材料で作られたブレードに加えて、マット2には、天然草4の芝も存在し、この芝は、少なくとも植物種が少なくとも部分的にマット2の上に根を張ることによって得られる(図11参照)。さらに、マット2の面2bの上には、植物種および/または合成材料から作製されたブレード3の間に配置された充填材料10が存在する。特に、充填材料10は、粉砕されたココナッツに基づく原材料のみで構成することができる。より具体的には、粉砕されたココナッツに基づく原材料の少なくとも90体積%は、出発ココナッツに基づく製品の繊維状部分から構成される。有利には、ココナッツに基づく上記に開示された原材料の少なくとも90重量%は、500μmより高い粒度分布を有する。
【0038】
あるいは、充填材料10は、体積で以下の組成を有することができる:1%~15%の穀物殻、20%~35%のコルクに基づく原材料、および55%~80%の粉砕ココナッツに基づく原材料。代替の実施形態では、充填材料10は、5重量%~90重量%の穀物の穂の中軸と、残りの部分の粉砕されたココナッツに基づく原材料とを含む。
【0039】
本発明によって提供される実施形態では、充填材料10は、下側部分または安定化充填物11と、安定化充填物11の上に配置された上側部分または性能充填物12とを提供することができる。特に、安定化充填物11は、砂を構成するか、または砂を含むことができ、性能充填物12は、前述の組成物のうちの1つを有することができる。
【0040】
本発明の前述の説明の例示的な実施形態は、概念的な観点に従って本発明を完全に明らかにするであろうし、その結果、他の人が、現在の知識を適用することによって、さらなる研究なしに、かつ本発明から離れることなく、そのような実施形態を様々な用途のために修正および/または適合させることができ、したがって、そのような適合および修正は、特定の実施形態と同等であると見なされなければならないことを理解されたい。本明細書に記載の異なる機能を実現するための手段および材料は、この理由のために、本発明の分野から逸脱することなく、異なる性質を有することができる。本明細書で採用される表現または用語は、説明を目的とするものであり、限定するものではないことを理解されたい。

図1
図2
図3-5】
図6
図7
図8-9】
図10
図11
図12
【国際調査報告】