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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(54)【発明の名称】係止フックを備えたレバー式バルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 35/10 20060101AFI20220715BHJP
【FI】
F16K35/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021563249
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(85)【翻訳文提出日】2021-12-15
(86)【国際出願番号】 EP2020061454
(87)【国際公開番号】W WO2020216897
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】LU101208
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521562016
【氏名又は名称】ロタレックス エス.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】セレン,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】バーテレミー,ジョージス
(72)【発明者】
【氏名】シュミッツ,フィリップ
【テーマコード(参考)】
3H064
【Fターム(参考)】
3H064AA01
3H064BA05
3H064BA15
3H064CA09
3H064CA13
3H064DA03
(57)【要約】
本発明は、圧縮気体用のバルブ(2)に関する。該バルブは、長手方向に延在する本体(4)であって、本体の下端における気体導入口(15)と、気体排出口(6)と、気体導入口および気体排出口を流体連結する気体流路(12)と、を有する本体(4)と、本体(4)内に収容され、気体流路(12)の開閉を選択に行うよう構成された遮断装置(16)と、本体の上端において、本体(4)に枢着され、遮断装置(16)を作動させるよう構成されたレバー(8)と、レバーに枢着され、本体(4)上の対部材と係合し、それにより、本体とともに、折りたたみ位置でレバーを保持するフック(10)と、を備える。本体(4)の上端は、上部孔を画定する円筒壁(4.3)を有し、対部材は、円筒壁(4.3)の上縁部(4.3.1)である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮気体用のバルブ(2)であって、
長手方向に延在する本体(4)であって、前記本体の下端における気体導入口(15)と、気体排出口(6)と、前記気体導入口および前記気体排出口を流体連結する気体流路(12)と、を有する本体(4)と、
前記本体(4)内に収容され、前記気体流路(12)の開閉を選択に行うよう構成された遮断装置(16)と、
前記本体の上端において、前記本体(4)に枢着され、前記遮断装置(16)を作動させるよう構成されたレバー(8)と、
前記レバーに枢着され、前記本体(4)上の対部材と係合し、それにより、前記本体とともに、折りたたみ位置で前記レバーを保持するフック(10)と、
を備え、
前記本体(4)の上端は、上部孔を画定する円筒壁(4.3)を有し、前記対部材は、前記円筒壁(4.3)の上縁部(4.3.1)である、ことを特徴とする、バルブ(2)。
【請求項2】
前記バルブは、
前記レバー(8)の動作運動を、前記遮断装置(16)に伝えるよう構成された、長手方向に移動可能な部材(30)と、及び、
前記上部孔内に収容された案内要素(34)と、を備え、
長手方向に延在する移動可能な前記部材(30)の上部(30.4,30.5)が、前記案内要素(34)を通って延在し、前記レバー(8)に接触する、ことを特徴とする、請求項1に記載のバルブ(2)。
【請求項3】
前記案内要素(34)は、前記上部孔内の内ねじと係合することで、前記上部孔に係止される、ことを特徴とする、請求項2に記載のバルブ(2)。
【請求項4】
前記案内要素(34)は、前記上部孔内で、前記円筒壁(4.3)の上縁部に対して、少なくとも0.5mmおよび/または3mm以下だけ、沈んだ外部円形領域(34.2)を有する上面の体をなす、ことを特徴とする、請求項2または3に記載のバルブ(2)。
【請求項5】
前記遮断装置(16)は、
前記気体流路(12)を囲む主シート部(22)と、
前記主シート部(22)の上流に設けられた主密栓要素(18)と、
前記本体(4)上に載置され、前記主密栓要素(18)を前記主シート部(22)に向かって付勢する第1弾性要素(20)と、
前記主密栓要素(18)内に収容されるパイロット密栓要素(24)と、
前記主密栓要素(18)上に載置され、前記パイロット密栓要素(24)をパイロットシート(28)に対して付勢する第2弾性要素(26)と、
を備え、
長手方向に移動可能な前記部材(30)は、前記レバー(8)の動作時、前記パイロットシート(28)から遠ざけるよう、前記パイロット密栓要素(24)を押すように構成されている、ことを特徴とする、請求項2乃至4のいずれか一項に記載のバルブ(2)。
【請求項6】
前記レバー(8)の動作時、まず、前記パイロット密栓要素(24)が断面積の小さい前記気体流路を解放し、続いて、前記主シート部(22)の下流において、対向圧力が形成されると、前記主密栓要素(18)が、前記主シート部(22)から遠ざかるよう、前記遮断装置(16)が構成されている、ことを特徴とする、請求項5に記載のバルブ(2)。
【請求項7】
長手方向に移動可能な前記部材(30)は、
主部(30.1)と、
前記遮断装置(16)と協働する下部ピン(30.3)と、
前記レバー(8)と協働する上幹部(30.5)と、
を備える、ことを特徴とする、請求項2乃至6のいずれか一項に記載のバルブ(2)。
【請求項8】
長手方向に移動可能な前記部材(30)の前記主部(30.1)は、残圧弁や減圧器といった補助的な役割を果たす横ピストン(32)と交差する、細長い開口部(30.2)を有する、ことを特徴とする、請求項7に記載のバルブ(2)。
【請求項9】
前記本体(4)はさらに、前記円筒壁(4.3)から正反対に延在する二つのブラケット(4.5)を備え、
前記ブラケットは、前記レバー(8)を枢支する、ことを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のバルブ(2)。
【請求項10】
二つの前記ブラケット(4.5)のそれぞれは、上に行くほど幅が小さくなり、前記円筒壁(4.3)に合わせて円形断面を有する、ことを特徴とする、請求項9に記載のバルブ(2)。
【請求項11】
前記レバーが前記折りたたみ位置にある時、前記フック(10)は、前記レバー(8)の上半分の位置に枢着される、ことを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のバルブ(2)。
【請求項12】
前記レバーが前記折りたたみ位置にある時、前記レバーは、上側水平部(8.1)および下側垂直部(8.2)を有するL字形を形成し、
前記下側垂直部(8.2)は、上側副部(8.2.1)と、下側副部(8.2.2)と、S字形中間副部(8.2.3)とを備え
前記下側副部(8.2.2)は、前記上側副部(8.2.1)よりも、前記本体から離れている、ことを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項に記載のバルブ(2)。
【請求項13】
前記フック(10)は、前記レバー(8)の前記下側垂直部(8.2)の前記上側副部(8.2.1)に枢着され、前記上側副部(8.2.1)側に、押圧領域(10.3)を有する、ことを特徴とする、請求項12に記載のバルブ(2)。
【請求項14】
前記本体(4)の前記対部材と係合する位置に前記フックを付勢する弾発部材が、前記フック(10)および前記レバー(8)間に設けられ、
前記フックおよび前記レバーが、互いに対向する面(8.2.1.1)を有することで、係合位置からの前記フック(10)の回動運動が制限され、これにより、前記レバーが回動して前記折りたたみ位置に戻り、前記フックが解放されると、前記フックは、自動的に、前記本体(4)の前記対部材に係合する、ことを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のバルブ(2)。
【請求項15】
前記フック(10)は、
前記本体(4)の前記対部材と係合する前方リブ(10.1)と、
後方押圧部(10.2)と、
前記後方押圧部(10.2)を前記前方リブ(10.1)に接続させ、前記レバー(8)に枢着された二つの側壁(10.3)と、
を備える、ことを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のバルブ(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮気体用のバルブ関連分野に関し、特に、ガスシリンダに関するガスシリンダ。
【背景技術】
【0002】
圧縮気体用のバルブを作動させるレバー、特にガスシリンダのネックに取り付けられたレバーを使用することは、長年にわたってよく知られていることである。
【0003】
1958年の先行特許文献である特許文献1には、すでに、ガスシリンダバルブの操作にレバーを使用することが開示されている。レバーは、ガスシリンダにしっかりと取り付けられ、バルブを覆うキャップに枢着される。レバーが折りたたみ位置にある時、つまり、バルブおよびカバーに近い位置にある時、レバーは、通常、一般的には水平である第1部分と、一般的には垂直である第2部分とを有する、L字形をなす。第1部分は、その先端に、カバーに枢着されたカムを有する。カムは、バルブ上面の凸子と接触する。凸子は、バルブの垂直な縦軸に沿って移動し、バルブシートに延在する柄を動かして、通常、シートに載置される閉塞要素に接触して動かすよう、構成される。レバーの第2部分は、二つに分かれた下端を有している。つまり、アウトレットニップルに沿って摺動するよう構成された二つの先端が形成され、これにより、アウトレットニップルに閉めねじが螺合した際、位置決めされる。これが、閉め状態時の折りたたみ位置での、レバーの基本的な係止手段となっている。
【0004】
先行特許文献である特許文献2には、レバーがバルブ本体の上面に枢着される、ガスシリンダのレバー式バルブが開示されている。レバーのカム部は、合致する突起部である板ばねと係合する凹部を有する。これにより、レバーは、二つの載置位置が与えられる。一つは、レバーが折りたたまれ、バルブが閉められた位置、そして、もう一方は、レバーが上がって、バルブが開けられている位置である。後者は、輸送中に発生するような振動に耐えられるよう、意図されたものである。しかし、板ばねは損傷しやすく、また、凹部と板ばねに汚れが蓄積しやすく、正常機能が損なわれかねない。
【0005】
先行特許文献である特許文献3には、ガスシリンダ用のレバー式バルブが開示されている。ここでは、レバーが、バルブ本体の対部材と係合するフックを有している。これにより、バルブの閉位置に相当する折りたたみ位置に、レバーを係止させる。しかしながら、本体の対部材は、本体に固定する必要がある、突出した棒状要素である。また、フックを作動させ、レバーを持ち上げる際に使用者が掴むレバー部分が短く、水平に近いという人間工学上の限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第3035605号明細書
【特許文献2】カナダ国特許出願公開第2178573号明細書
【特許文献3】仏国特許出願公開第2793297号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、引用した先行技術の欠点のうち、少なくとも一つを解決するよう、技術的課題に取り組んだものである。より詳しくは、本発明は、技術的課題に取り組み、レバー係止手段を備えるレバー式バルブであって、操作しやすく、しっかりと係止され、製造コストの低いレバー式バルブを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、圧縮気体用バルブに関する。該バルブは、長手方向に延在する本体であって、本体の下端における気体導入口と、気体排出口と、気体導入口および気体排出口を流体連結する気体流路と、を有する本体と、本体内に収容され、気体流路の開閉を選択に行うよう構成された遮断装置と、本体の上端において、本体に枢着され、遮断装置を作動させるよう構成されたレバーと、レバーに枢着され、本体上の対部材と係合し、それにより、本体とともに、折りたたみ位置でレバーを保持するフックと、を備える。本体の上端は、上部孔を画定する円筒壁を有し、対部材は、円筒壁の上縁部である。
【0009】
好ましい実施形態によれば、バルブは、レバーの動作運動を、遮断装置に伝えるよう構成された、長手方向に移動可能な部材と、上部孔内に収容された案内要素と、を備え、長手方向に延在する移動可能な部材の上部が、該案内要素を通って延在し、レバーに接触する。
【0010】
好ましい実施形態によれば、案内要素は、上部孔内の内ねじと係合することで、上部孔に係止される。
【0011】
好ましい実施形態によれば、案内要素は、上部孔内で、円筒壁の上縁部に対して、少なくとも0.5mmおよび/または3mm以下だけ、沈んだ外部円形領域を有する上面の体をなす。
【0012】
好ましい実施形態によれば、遮断装置は、気体流路を囲む主シート部と、主シート部の上流に設けられた主密栓要素と、本体上に載置され、主密栓要素を主シート部に向かって付勢する第1弾性要素と、主密栓要素内に収容されるパイロット密栓要素と、主密栓要素上に載置され、パイロット密栓要素をパイロットシートに対して付勢する第2弾性要素と、を備え、長手方向に移動可能な部材は、レバーの動作時、パイロットシートから遠ざけるよう、パイロット密栓要素を押すように構成されている。
【0013】
好ましい実施形態によれば、レバーの動作時、まず、パイロット密栓要素が断面積の小さい気体流路を解放し、続いて、主シート部の下流において、対向圧力が形成されると、主密栓要素が、主シート部から遠ざかるよう、遮断装置が構成されている。
【0014】
好ましい実施形態によれば、長手方向に移動可能な部材は、主部と、遮断装置と協働する下部ピンと、レバーと協働する上幹部と、を備える。
【0015】
好ましい実施形態によれば、長手方向に移動可能な部材の主部は、残圧弁や減圧器といった補助的な役割を果たす横ピストンと交差する、細長い開口部を有する。
【0016】
好ましい実施形態によれば、本体はさらに、円筒壁から正反対に延在する二つのブラケットを備え、ブラケットは、レバーを枢支する。
【0017】
好ましい実施形態によれば、二つのブラケットのそれぞれは、上に行くほど幅が小さくなり、円筒壁に合わせて円形断面を有する。
【0018】
好ましい実施形態によれば、レバーが折りたたみ位置にある時、フックは、レバーの上半分の位置に枢着される。
【0019】
好ましい実施形態によれば、レバーが折りたたみ位置にある時、レバーは、上側水平部および下側垂直部を有するL字形を形成し、下側垂直部は、上側副部と、下側副部と、S字形中間副部とを備え、下側副部は、上側副部よりも、本体から離れている。
【0020】
好ましい実施形態によれば、フックは、レバーの下側垂直部の上側副部に枢着され、上側副部側に、押圧領域を有する。
【0021】
好ましい実施形態によれば、本体の対部材と係合する位置にフックを付勢する弾発部材が、フックおよびレバー間に設けられ、フックおよびレバーが、互いに対向する面を有することで、係合位置からのフックの回動運動が制限され、これにより、レバーが回動して折りたたみ位置に戻り、フックが解放されると、フックは、自動的に、本体の対部材に係合する。
【0022】
好ましい実施形態によれば、フックは、本体の対部材と係合する前方リブと、後方押圧部と、後方押圧部を前方リブに接続させ、レバーに枢着された二つの側壁と、を備える。前方リブが湾曲し、円筒壁の形状に合致していると有利である。
【発明の効果】
【0023】
操作のしやすさとコスト削減とを実現しながらも、確実な係止をも両立させるレバー式バルブ用の係止手段を提供できる点において、本発明は特に興味深いものとなっている。言うまでもなく、フックの係合対部材を形成する際、本体に追加要素を取り付ける必要はない。バルブの本体は、鍛造、ひいては、切削加工によって作製することができる。円筒壁の上縁部に設けられた対部材は、鍛造作業によって直接得ることができる。つまり、追加の製造工程は不要である。レバーを支持するブラケットも、鍛造作業時に一緒に得ることができるため、限られた加工作業のみでよく、製造コストの適正化が進む。また、取り扱いの観点において興味深い点としては、高い位置にフックを設けた構成としたことである。これにより、基本的に、レバーのその他の部位(下部)を、操作者が手で掴んだり、引っ張ったりすることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明による圧縮気体用バルブの斜視図である。
図2図2は、レバーに沿った長手方向面、つまり、レバーの回動軸に直交する面における、図1のバルブの模式断面図である。
図3図3は、レバーに直交する長手方向面、つまり、レバーの回動軸を通る面における、図1のバルブの模式断面図である。
図4図4は、図1のバルブが図2に相当する状態で、かつ、レバーが上がって、バルブが開けられた状態を示す、模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1乃至図3は、本発明に係る、閉じられた状態の、レバー式圧縮気体用バルブを示し、図4は、開けられた状態の、同バルブを示す。
【0026】
図1は、本発明によるバルブの斜視図である。バルブ2は、例えば、ガスシリンダバルブであるが、それには限定されない。つまり、バルブは、それ以外の構成に取り付けられていてもよい。バルブ2は、長手方向、例えば、垂直方向に延在する本体4を備える。本体4は、中央部4.1と、下端部4.2と、円筒壁を形成する上部4.3と、を備える。下端部4.2は、気体導入口およびガスシリンダのネックに設けられた対になる雌ねじと係合する外側テーパーねじを有する。
【0027】
バルブ2は、本体4内に、下端部4.2の気体導入口を気体排出口6に接続する気体流路と、気体流路の遮断装置とを備える。図2乃至図4の断面図の一部として、これらを示す。遮断装置は、レバー8によって作動する。レバー8は、本体4に、例えば、本体4の上部4.3から上方向に延在する二つのブラケットに枢着される。フック10がレバー8に設けられることで、本体4に、より詳しくは、本体4の上部4.3の円筒壁の上縁部に係合する。
【0028】
図1の構成において、レバー8は、本体4上に折りたたまれ、気体流路を塞いでいる。気体流路を解放するには、レバー8を持ち上げて作動させる必要がある。その端部で、本体4の円筒壁4.3の上縁部4.3.1と係合するフック10が、本体4から取り外されるよう操作される必要がある。その後、レバー8が持ち上げられ、気体流路が解放される。
【0029】
さらに図1を参照すると、バルブ2は、本体4の中央部4.1における下側位置に螺合する圧力ゲージ13を追加で備える。これにより、入口での圧力が測定される。バルブはまた、本体4の中央部4.1における、横穿孔部4.4内に係合するプラグ14を備える。穿孔部4.4およびプラグ14は、図3との関連において詳述される残圧弁(RPV)を収容する。圧力ゲージおよびRPVの接地は任意である。また、RPVを、減圧器等の他の機能を持つ部材に置き換えてもよい。
【0030】
図2および図3は、図1のバルブの模式断面図である。図2は、レバーに沿った長手方向面、つまり、レバーの回動軸に直交する面における、模式断面図である。一方、図3は、図2の断面に直交する面、例えば、レバーの回動軸を通る面における断面図である。
【0031】
明らかであるように、本体4は、気体導入口15を気体排出口6に流体連結する気体流路12を備える。遮断装置16は、本体4に、より具体的には、気体流路12に設けられている。遮断装置16は、基本的に、主密栓要素18を備える。主密栓要素18は、移動可能であり、第1ばね20により、気体流路12を囲む主シート部22に対して、付勢される。遮断装置16はまた、パイロット密栓要素24を備える。パイロット密栓要素24は、主密栓要素内に収容され、該主密栓要素に載置された第2ばね26によって、例えば、主密栓要素18上に形成されたパイロットシート28に向かって、付勢される。主密栓要素18およびパイロット密栓要素24の両方は、主シート部22の上流側、つまり、気体導入口側に設けられる。第1ばね20および第2ばね26は、両方とも、閉塞要素を、それぞれのシートに向かって付勢し、流路を閉じる。入口側の圧力が閉塞要素18および24に掛かり、さらなる力が、それぞれのシート22および28に掛かる。
【0032】
本体4を模式的に示す。遮断装置の上述した要素およびばねを取り付けるため、本体は、後で一体化される二つの別個の部位からなる必要がある。あるいは、主シート部22が、本体4から離間していることで、該本体に取り付けられてもよい。この場合、遮断装置の全ての要素およびばねは、上から本体4に取り付けられることになる。
【0033】
バルブ2はまた、レバー8の動作運動を遮断装置16に伝えるよう構成された、長手方向に移動可能な部材30を備える。より具体的には、長手方向に移動可能な部材30は、その上端でレバーのカム輪郭と接触し、その下端で、遮断装置16のパイロット密栓要素24と接触するよう構成されている。例えば、長手方向に移動可能な部材30は、主部30.1と、下部ピン30.3と、上幹部30.5とを備える。主部30.1は、本体4に摺動収容され、下部ピン30.3は、主シート部22を通って延在し、パイロット密栓要素24に接触可能であり、上幹部30.5は、その上端でレバー8と協働する。例えば、主部30.1は、上述のRPV(残圧弁)ピストン32が交差する、長手方向に細長い開口部30.2を備える。ピストン32の後方部は、プラグ14に形成された孔に気密状態で摺動収容され、本体4の穿孔部4.4に係合する。ピストン32の前方部は、本体4のスリーブ部4.6に形成された気体排出口6と並んで、気体流路12の対となるシートと気密状態で協働する。また、長手方向に移動可能な部材30は、上幹部30.5および主部30.1の間に中間部30.4を備えていてもよい。中間部30.4は、案内要素34に形成された、対になる孔によって案内される。後者は、本体4の上部4.3に形成され、該上部4.3の円筒壁によって画定される上部孔に収容される。案内要素34は、内部延在し、長手方向に移動可能な部材30の上幹部30.5を気密状態で収容する内側孔を備える。案内要素34は、円筒壁4.3の上縁部よりも低い位置、あるいは、沈んだ位置にある外側環状部34.2を有する外側上部面を備えるこれにより、フックが該縁部と係合する際に、空間が形成される。少なくとも0.5mm、好ましくは、3mm以下だけ、低い位置にあるとよい。案内要素34は、本体内の空洞を気密状態にして閉じるプラグまたは蓋を形成する。該空洞は、長手方向に移動可能な部材30を収容し、気体流路12を形成する。案内要素34は、上部孔の雌ねじとの螺合係合により、係止される。例えば、案内要素34は、係合用の外ねじであるが、該要素を係止できる手段であれば、任意のものであってもよい。例えば、ねじ付き係止リングを、上部孔の雌ねじに係合して、案内要素を下方向に押してもよい。明らかであるように、上部孔は、案内要素34の下面が当接する肩を形成する。気密接続を実現するにあたり、該下面は、該肩と接触した際に塑性変形する円形状リブ34.3であってもよい。
【0034】
上述した通り、二つのブラケット4.5は、円筒壁4.3から上方向にかつ正反対に延在する。これら二つのブラケット4.5はレバー8の回動軸を支持する。ブラケットの幅は、上に行くにしたがって、徐々に狭くなっている。
【0035】
レバー8は、一般的に、L字形を有し、第1部分1および第2部分8.2を有する。レバーが例示の折りたたみ位置にある場合、第1部分1は、一般的には水平方向に延び、第2部分8.2は、一般的には垂直方向に延びる。第1部分は、端部に、長手方向に移動可能な部材30と協働する回動軸8.1.1およびカム輪郭8.1.2を備える。これにより、遮断装置16を選択的に開閉する。レバーの第2部分8.2は、上側副部8.2.1と、下側副部8.2.2と、上側副部および下側副部を接続するS字形中間副部8.2.3とを備える。これにより、下側副部は、上側副部よりも本体から離間する。フック10は、レバー8の第2部分8.2の上側副部8.2.1に枢着される。
【0036】
フック10は、本体4の円筒壁4.3の上縁部4.3.1と係合する前方リブ10.1と、後方押圧部10.2と、該後方押圧部10.2を前方リブ10.1に接続する二つの側壁10.3とを備える。側壁10.3は、レバー、特に、レバー8の第2部分8.2の上側副部8.2.1に延在する回動軸10.4を支持する。フック10およびレバー8の間に、ばね10.5を設けてもよい。ばね10.5は、本体4の対部材との係合位置に向かって、該フックを弾発的に付勢する。例えば、ばね10.5は、レバー8の外側面および後方押圧部10.2の内側面の間に位置するレバー8であってもよい。ばねの端部は、レバーおよびフックのそれぞれに形成された深部に収容されていてもよい。
【0037】
図2および図3の構成において、遮断装置16は、遮断位置、つまり、気体流路12が主密栓要素18およびパイロット密栓要素24の両方によって遮断され、第1ばね20および第2ばね26、さらに、気体導入口側の気体圧によって付勢された状態にある。長手方向に移動可能な部材30の下部ピン30.3および上幹部30.5のうち、少なくとも一つが、パイロット密栓要素24およびレバーのカム輪郭8.1.2のそれぞれから外れ、それにより、気体流路12が適切に遮断された状態にある。
【0038】
図4は、図1のバルブが図2に相当する状態で、かつ、レバーが上がって、気体流路が開けられた状態を示す、模式断面図である。このレバーが上がった位置は、遮断装置に全く、あるいはほとんど影響を及ぼさない程度に持ち上げられた、中間位置であってもよい。
【0039】
レバー8を持ち上げるにあたり、操作者は、後方押圧部10.3の押圧領域に圧力を掛けることで、フックを回動軸10.4回り、例えば、時計回りに回動させて、フック10を操作する必要がある。これにより、前方リブ10.1が、本体4の円筒壁4.3の上縁部から外れる。操作者は、さらに、レバー8、例えば、第2部分8.2、さらに具体的には、下側副部8.2.2を持ち上げることができる。レバー8が回転すると、カム輪郭8.1.2を、レバーの回動軸8.1.1回りに、長手方向に移動可能な部材30の上幹部30.5に沿って移動させる。これにより、該輪郭の直径を広げ、該上幹部30.5、より一般的には、長手方向に移動可能な部材30全体を下方向に押圧する。そして、下部ピン30.3がパイロット密栓要素24をパイロットシート28から外して、最初に縮小された気体流路を解放する。気体導入口側の高圧の気体が、パイロットシート28を流れることにより、閉位置にある気体消費装置(つまり、気体を消費しないか、少なくとも名目消費量以下の気体を消費する)が気体排出口に流体連結すると仮定した場合、対向圧力が、パイロットシート28の下流側に直接形成される。第1ばね20によって発揮される力と、主密栓要素18側の気体の圧力とが、第2ばね26によって、該主密栓要素18に掛かる反力よりも小さくなるまで、対向圧力により、徐々に弱くなる。後者は、主シート部22から徐々に離間することになる。これにより、第1ばね20の力に反して、気体の第2主流路が解放される。このため、レバー8が例示のように急に持ち上げられたとしても、気体流路12が徐々に解放される。
【0040】
レバー8、例えば、第2部分8.2、好ましくは、上側副部8.2.1は、当接面8.2.1.1である。操作者の操作によってフックが解放され、レバー8およびフック10の間で動作するばね要素による係合位置に戻ると、該当接面は、フック10において対になる面に接触する。これらの面および前方リブ10.1の前方面は、好ましくは、レバー8を、折りたたみ位置に戻すように動かす際、該前方面が、円筒壁4.3の上縁部上を摺動し、軸10.4回りに回動し、そして再び、該上縁部に係合するよう、構成される。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】