(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(54)【発明の名称】時間相関単一光子計数法向けの光検出器アーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
H04N 5/369 20110101AFI20220715BHJP
G01S 7/483 20060101ALI20220715BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
H04N5/369
G01S7/483
A61B10/00 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021566064
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(85)【翻訳文提出日】2021-12-21
(86)【国際出願番号】 US2020027537
(87)【国際公開番号】W WO2020226840
(87)【国際公開日】2020-11-12
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520449150
【氏名又は名称】エイチアイ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】HI LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100217113
【氏名又は名称】高坂 晶子
(72)【発明者】
【氏名】ライアン フィールド
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ ド ヴァーレ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ ダール
(72)【発明者】
【氏名】ロン ジン
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン ソルゲンフレイ
【テーマコード(参考)】
5C024
5J084
【Fターム(参考)】
5C024AX04
5C024GX02
5C024GY39
5C024GY45
5C024HX23
5C024HX52
5J084BA04
5J084BA36
5J084BA40
5J084BB01
5J084BB15
5J084BB31
5J084CA03
5J084CA32
(57)【要約】
例示的な光検出器システムは、並列に接続された複数の光検出器と、複数の光検出器に通信可能に接続されたプロセッサとを備える。プロセッサは、複数の光検出器からの蓄積出力を受信するように構成されている。蓄積出力は、ボディ内の標的に向けられた光パルスに応じて発生する所定の測定期間中、それぞれが光子を検出する複数の光検出器からの個々の出力の蓄積を表す。プロセッサは、蓄積出力に基づいて、複数の光検出器により検出された光子の時間的分布を判定し、光子の時間的分布に基づいて、ボディ内の標的の光パルス反応を表すヒストグラムを生成するように更に構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に接続された複数の光検出器と、
前記複数の光検出器に通信可能に接続されたプロセッサであって、
ボディ内の標的に向けられた光パルスに応じて発生する所定の測定期間中の蓄積出力であって、それぞれが光子を検出する前記複数の光検出器からの個々の出力の蓄積を表す蓄積出力を、前記複数の光検出器から受信し、
前記蓄積出力に基づいて、前記複数の光検出器により検出された光子の時間的分布を判定し、
前記光子の時間的分布に基づいて、前記ボディ内の前記標的の光パルス反応を表すヒストグラムを生成するように構成されたプロセッサと
を備えるシステム。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記所定の測定期間の後に、前記複数の光検出器をリセットし、
前記複数の光検出器から、前記ボディ内の前記標的に向けられた追加的な光パルスに応じて発生する追加的な所定の測定期間中の追加的蓄積出力であって、それぞれが光子を検出する前記複数の光検出器からの個々の出力の追加的な蓄積を表す、追加的蓄積出力を受信し、
前記追加的蓄積出力に基づいて、前記複数の光検出器により検出された光子の追加的な時間的分布を判定するように更に構成されており、
前記ヒストグラムは、前記光子の追加的な時間的分布に更に基づいて生成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ヒストグラムは、前記ボディ内の前記標的に向けられた前記光パルスおよび前記追加的な光パルスを含む複数の光パルスの個々の光パルスに応じてそれぞれ発生する前記所定の測定期間および前記追加的な所定の測定期間を含む複数の所定の測定期間について検出された光子の累積分布を表し、
前記プロセッサは、前記累積分布に基づいて、前記ボディ内の前記標的の前記光パルス反応を更に表す時間点広がり関数を生成するように更に構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記所定の測定期間中は前記複数の光検出器のリセットを行わないように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の光検出器のそれぞれからの前記個々の出力は、それぞれ、前記複数の光検出器に含まれる個々の光検出器が、前記光パルスの光子を、前記光パルスが前記標的で反射された後に検出するときの所定量の電流出力を含み、
前記蓄積出力は、前記個々の出力の組み合わせに基づく複合電流を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数の光検出器と前記プロセッサとに接続されたアナログ・デジタル変換器(ADC)と、
前記蓄積出力の前記複合電流を出力電圧に変換するように構成された終端コンポーネントと
を更に備え、
前記複数の光検出器により検出された前記光子の時間的分布は、前記ADCに前記出力電圧をサンプリングさせることにより判定される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記終端コンポーネントと並列に接続された複数のサンプリングブランチであって、それぞれがスイッチとコンデンサとを含む複数のサンプリングブランチを更に備え、
前記複数のサンプリングブランチの前記スイッチは、サンプリングレートで連続して開放されるように構成されており、
前記出力電圧は、前記サンプリングブランチのそれぞれの前記コンデンサの電圧測定値を前記ADCに取得させることによりサンプリングされる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記出力電圧は、前記ADCにより、前記所定の測定期間の第1の部分に対する第1のサンプリングレートで、および前記所定の測定期間の第2の部分に対する第2のサンプリングレートで、サンプリングされる、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記光パルスは、前記ボディ内の前記標的に向けられた複数の光パルスであって、特定のレートで印加された複数の光パルスのうちの1つであり、
前記蓄積出力は、前記複数の光パルスの前記特定のレートよりも遅いサンプリングレートでサンプリングされる、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記サンプリングレートは、前記複数の光パルスの前記特定のレートと特定の遅延時間との組み合わせに基づいている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数の光検出器からの前記個々の出力は、それぞれ、前記複数の光検出器に含まれる個々の光検出器が光子を検出したかどうかを示すデジタル信号を提供するように構成されており、
前記個々の出力は、複数のXORゲートを含むXORツリーを使用して組み合わされており、
前記蓄積出力は、前記個々の出力に基づいて、論理状態をトグルで切り換えるように構成された複合信号を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記複数の光検出器と前記プロセッサとに接続された時間デジタル変換器(TDC)を更に備え、
前記複数の光検出器により検出された前記光子の時間的分布は、前記複合信号を前記TDCにサンプリングさせることにより判定される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数の光検出器と前記プロセッサとに接続された衝突検出回路を更に備え、
前記プロセッサは、前記複数の光検出器の第1の光検出器により第1の光子が検出され、かつ前記複数の光検出器の第2の光検出器により、閾値量の時間内に、第2の光子が検出される衝突イベントを、前記衝突検出回路に検出させるように更に構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記衝突検出回路は、前記複数の光検出器のそれぞれからの前記個々の出力を組み合わせる複数のORゲートを含むORツリーを含み、
前記衝突イベントの検出は、前記蓄積出力における変化に対応しない前記ORツリーの出力における変化を、前記衝突検出回路に検出させることにより行われる、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記衝突検出回路は、前記複数の光検出器のうち、前記所定の測定期間中に光子を検出した光検出器の台数を判定するように構成されており、
前記衝突イベントは、前記所定の測定期間中の前記蓄積出力のトグルの数と、前記所定の測定期間中に光子を検出した光検出器の台数とを、前記衝突検出回路に比較させることにより検出される、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記XORツリーは、複数のXORツリーの1つであり、
前記複数の光検出器のそれぞれからの前記個々の出力は、前記複数のXORツリーの少なくとも2つにおいて組み合わされ、
前記衝突イベントは、前記複数のXORツリーからの出力を前記衝突検出回路に比較させることにより検出される、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数の光検出器の各光検出器は、
単一光子アバランシェダイオード(SPAD)と、
前記SPADを作動(arm)させ、および解除(disarm)するように構成された高速ゲート回路と
を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数の光検出器を収容した非侵襲的ウェアラブルデバイスを更に備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記光パルスを生成するように構成された光源を更に備え、前記光源は、前記非侵襲的ウェアラブルデバイスに収容されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記非侵襲的ウェアラブルデバイスは、ユーザの頭部に装着されるように構成されており、
前記ボディ内の前記標的は、前記ユーザの脳内の領域を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記プロセッサは、前記ヒストグラムに基づいて前記ユーザの前記脳内の神経活動を判定するように更に構成されている、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
複数の光検出器であって、前記複数の光検出器の各光検出器が、
単一光子アバランシェダイオード(SPAD)と、
前記SPADを作動させる、および解除するように構成される高速ゲート回路と、
を備え、
前記各光検出器は、光パルスがボディ内の標的から反射された後の所定の測定期間中、前記光検出器が前記光パルスの光子を検出するときの所定量の電流を含む出力を提供するように構成されており、
前記複数の光検出器は、並列に接続されて、前記複数の光検出器の各光検出器からの前記出力の個々の組み合わせである蓄積電流を供給する、複数の光検出器と、
前記複数の光検出器に接続されたアナログ・デジタル変換器(ADC)と、
前記蓄積電流を出力電圧に変換するように構成された終端コンポーネントと、
前記複数の光検出器と前記ADCとに通信可能に接続されたプロセッサであって、
前記ADCに前記出力電圧をサンプリングさせ、
前記サンプリングされた出力電圧に基づいて、前記複数の光検出器により検出された光子の時間的分布を判定し、
前記光子の時間的分布に基づいて、前記ボディ内の前記標的の光パルス反応を表すヒストグラムを生成するように構成されているプロセッサと
を備えるシステム。
【請求項23】
前記プロセッサは、
前記所定の測定期間の後に、前記複数の光検出器をリセットし、
前記複数の光検出器から、前記ボディ内の前記標的に向けられた追加的な光パルスに応じて発生する追加的な所定の測定期間中の追加的蓄積出力であって、それぞれが光子を検出する前記複数の光検出器からの個々の出力の追加的な蓄積を表す、追加的蓄積出力を受信し、
前記追加的蓄積出力に基づいて、前記複数の光検出器により検出された光子の追加的な時間的分布を判定するように更に構成されており、
前記ヒストグラムは、前記光子の追加的な時間的分布に更に基づいて生成される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記ヒストグラムは、前記ボディ内の前記標的に向けられた前記光パルスおよび前記追加的な光パルスを含む複数の光パルスの個々の光パルスに応じてそれぞれ発生する前記所定の測定期間および前記追加的な所定の測定期間を含む複数の所定の測定期間について検出された光子の累積分布を表し、
前記プロセッサは、前記累積分布に基づいて、前記ボディ内の前記標的の前記光パルス反応を更に表す時間点広がり関数を生成するように更に構成されている、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記プロセッサは、前記所定の測定期間中は前記複数の光検出器のリセットを行わないように更に構成されている、請求項22に記載のシステム。
【請求項26】
前記終端コンポーネントと並列に接続された複数のサンプリングブランチであって、それぞれがスイッチとコンデンサとを含む複数のサンプリングブランチを更に備え、
前記複数のサンプリングブランチの前記スイッチは、サンプリングレートで連続して開放されるように構成されており、
前記出力電圧は、前記サンプリングブランチのそれぞれの前記コンデンサの電圧測定値を前記ADCに取得させることによりサンプリングされる、請求項22に記載のシステム。
【請求項27】
前記出力電圧は、前記ADCにより、前記所定の測定期間の第1の部分に対する第1のサンプリングレートで、および前記所定の測定期間の第2の部分に対する第2のサンプリングレートで、サンプリングされる、請求項22に記載のシステム。
【請求項28】
前記光パルスは、前記ボディ内の前記標的に向けられた複数の光パルスであって、特定のレートで印加された複数の光パルスのうちの1つであり、
前記蓄積出力は、前記複数の光パルスの前記特定のレートよりも遅いサンプリングレートでサンプリングされる、請求項22に記載のシステム。
【請求項29】
前記サンプリングレートは、前記複数の光パルスの前記特定のレートと特定の遅延時間との組み合わせに基づいている、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記複数の光検出器を収容した非侵襲的ウェアラブルデバイスを更に備える、請求項22に記載のシステム。
【請求項31】
前記光パルスを生成するように構成された光源を更に備え、前記光源は、前記非侵襲的ウェアラブルデバイスに収容されている、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記非侵襲的ウェアラブルデバイスは、ユーザの頭部に装着されるように構成されており、
前記ボディ内の前記標的は、前記ユーザの脳内の領域を含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
前記プロセッサは、前記ヒストグラムに基づいて前記ユーザの前記脳内の神経活動を判定するように更に構成されている、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
複数の光検出器であって、前記複数の光検出器の各光検出器が、
単一光子アバランシェダイオード(SPAD)と、
前記SPADを作動させる、および解除するように構成される高速ゲート回路と
光パルスがボディ内の標的から反射した後の所定の測定期間中、前記複数の光検出器に含まれる個々の光検出器が前記光パルスの光子を検出したかどうかを示すデジタル信号を含む出力を提供するように構成されている各光検出器とを備える、複数の光検出器と、
前記複数の光検出器の前記各光検出器の前記個々の出力を組み合わせて、前記個々の出力に基づいてトグルするように構成された複合信号を提供する複数のXORゲートを備えるXORツリーと、
前記複数の光検出器に接続された時間デジタル変換器(TDC)と、
前記複数の光検出器と前記TDCとに通信可能に接続されたプロセッサであって、
前記TDCに前記複合信号をサンプリングさせ、
前記サンプリングされた複合信号に基づき、前記複数の光検出器により検出された光子の時間的分布を判定し、
前記光子の時間的分布に基づき、前記ボディ内の前記標的の光パルス反応を表すヒストグラムを生成するように構成されたプロセッサと
を備えるシステム。
【請求項35】
前記プロセッサは、
前記所定の測定期間の後に、前記複数の光検出器をリセットし、
前記複数の光検出器から、前記ボディ内の前記標的に向けられた追加的な光パルスに応じて発生する追加的な所定の測定期間中の追加的蓄積出力であって、それぞれが光子を検出する前記複数の光検出器からの個々の出力の追加的な蓄積を表す、追加的蓄積出力を受信し、
前記追加的蓄積出力に基づいて、前記複数の光検出器により検出された光子の追加的な時間的分布を判定するように更に構成されており、
前記ヒストグラムは、前記光子の追加的な時間的分布に更に基づいて生成される、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記ヒストグラムは、前記ボディ内の前記標的に向けられた前記光パルスおよび前記追加的な光パルスを含む複数の光パルスの個々の光パルスに応じてそれぞれ発生する前記所定の測定期間および前記追加的な所定の測定期間を含む複数の所定の測定期間について検出された光子の累積分布を表し、
前記プロセッサは、前記累積分布に基づいて、前記ボディ内の前記標的の前記光パルス反応を更に表す時間点広がり関数を生成するように更に構成されている、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記プロセッサは、前記所定の測定期間中は前記複数の光検出器のリセットを行わないように更に構成されている、請求項34に記載のシステム。
【請求項38】
前記複数の光検出器と前記プロセッサとに接続された衝突検出回路を更に備え、
前記プロセッサは、第1の光子が前記複数の光検出器の第1の光検出器により検出され、第2の光子が閾値の時間内に前記複数の光検出器の第2の光検出器により検出される衝突イベントを、前記衝突検出回路に検出させるように更に構成されている、請求項34に記載のシステム。
【請求項39】
前記衝突検出回路は、前記複数の光検出器のそれぞれからの前記個々の出力を組み合わせる複数のORゲートを含むORツリーを含み、
前記衝突イベントの検出は、前記蓄積出力における変化に対応しない前記ORツリーの出力における変化を、前記衝突検出回路に検出させることにより行われる、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記衝突検出回路は、前記複数の光検出器のうち、前記所定の測定期間中に光子を検出した光検出器の台数を判定するように構成されており、
前記衝突イベントは、前記所定の測定期間中の前記蓄積出力のトグルの数と、前記所定の測定期間中に光子を検出した光検出器の台数とを前記衝突検出回路により比較することに検出させることにより行われる、請求項38に記載のシステム。
【請求項41】
前記XORツリーは、複数のXORツリーの1つであり、
前記複数の光検出器のそれぞれからの前記個々の出力は、前記複数のXORツリーの少なくとも2つにおいて組み合わされ、
前記衝突イベントは、前記複数のXORツリーからの出力を前記衝突検出回路により比較することにより検出される、請求項38に記載のシステム。
【請求項42】
前記複数の光検出器を収容している非侵襲的ウェアラブルデバイスを更に備える、請求項34に記載のシステム。
【請求項43】
前記光パルスを生成するように構成された光源を更に備え、前記光源は、前記非侵襲的ウェアラブルデバイスに収容される、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
前記非侵襲的ウェアラブルデバイスは、ユーザの頭部に装着されるように構成されており、
前記ボディ内の前記標的は、前記ユーザの脳内の領域を含む、請求項42に記載のシステム。
【請求項45】
前記プロセッサは、前記ヒストグラムに基づいて前記ユーザの前記脳内の神経活動を判定するように更に構成されている、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
並列に接続された複数の光検出器から、ボディ内の標的に向けられた光パルスに応じて発生する所定の測定期間中の蓄積出力であって、それぞれが光子を検出する前記複数の光検出器からの個々の出力の蓄積を表す蓄積出力を、プロセッサにより受信することと、
前記蓄積出力に基づいて、前記複数の光検出器により検出された光子の時間的分布を、前記プロセッサにより判定することと、
前記光子の時間的分布に基づいて、前記ボディ内の前記標的の光パルス反応を表すヒストグラムを、前記プロセッサにより生成することと
を含む方法。
【請求項47】
前記プロセッサにより、前記所定の測定期間の後に、前記複数の光検出器をリセットすることと、
前記プロセッサにより、前記複数の光検出器から、前記ボディ内の前記標的に向けられた追加的な光パルスに応じて発生する追加的な所定の測定期間中の追加的蓄積出力であって、それぞれが光子を検出する前記複数の光検出器からの個々の出力の追加的な蓄積を表す、追加的蓄積出力を受信することと、
前記プロセッサにより、前記追加的蓄積出力に基づいて、前記複数の光検出器により検出された光子の追加的な時間的分布を判定することと
を更に含み、
前記ヒストグラムを生成することは、前記光子の追加的な時間的分布に基づいて生成することを更に含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記ヒストグラムは、前記ボディ内の前記標的に向けられた前記光パルスおよび前記追加的な光パルスを含む複数の光パルスの個々の光パルスに応じてそれぞれ発生する前記所定の測定期間および前記追加的な所定の測定期間を含む複数の所定の測定期間について検出された光子の累積分布を表し、
前記方法は、前記累積分布に基づいて、前記ボディ内の前記標的の前記光パルス反応を更に表す時間点広がり関数を、前記プロセッサにより生成することを更に含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記所定の測定期間中は前記複数の光検出器のリセットを前記プロセッサにより行わないことを更に含む、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記複数の光検出器のそれぞれからの前記個々の出力は、それぞれ、前記複数の光検出器に含まれる個々の光検出器が、前記光パルスの光子を、前記光パルスが前記標的で反射された後に検出するときの所定量の電流出力を含み、
前記蓄積出力は、前記個々の出力の組み合わせに基づく複合電流を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項51】
前記複数の光検出器により検出された前記光子の時間的分布を判定することは、前記複数の光検出器と前記プロセッサとに接続されたアナログ・デジタル変換器(ADC)に前記出力電圧をサンプリングさせることを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記終端コンポーネントと並列に接続された複数のサンプリングブランチであって、それぞれがスイッチとコンデンサとを含む複数のサンプリングブランチを、それぞれ、前記プロセッサにより、サンプリングレートで連続して切り換えさせることを更に含み、
前記ADCにより前記出力電圧をサンプリングすることは、前記サンプリングブランチのそれぞれの前記コンデンサの電圧測定を前記ADCに取得させることを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記ADCにより前記出力電圧をサンプリングすることは、前記ADCに前記所定の測定期間の第1の部分に対する第1のサンプリングレートで、および前記所定の測定期間の第2の部分に対する第2のサンプリングレートで、前記出力電圧をサンプリングさせることを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記光パルスは、前記ボディ内の前記標的に向けられた複数の光パルスであって、特定のレートで印加された複数の光パルスのうちの1つであり、
前記蓄積出力をサンプリングすることは、前記複数の光パルスの前記特定のレートよりも遅いサンプリングレートで前記出力電圧をサンプリングすることを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記サンプリングレートは、前記複数の光パルスの前記特定のレートと、特定の遅延時間との組み合わせに基づいている、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記複数の光検出器からの前記個々の出力は、それぞれ、前記複数の光検出器に含まれる個々の光検出器が光子を検出したかどうかを示すデジタル信号を提供するように構成されており、
前記個々の出力は、複数のXORゲートを含むXORツリーを使用して組み合わされており、
前記蓄積出力は、前記個々の出力に基づいて、論理状態をトグルで切り換えるように構成された複合信号を含む、請求項46に記載の方法。
【請求項57】
前記複数の光検出器により検出された前記光子の時間的分布を判定することは、前記複数の光検出器と前記プロセッサとに接続された時間デジタル変換器(TDC)により前記複合信号をサンプリングすることを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記プロセッサにより、前記複数の光検出器の第1の光検出器により第1の光子が検出され、かつ前記複数の光検出器の第2の光検出器により、閾値の時間内に、第2の光子が検出される衝突イベントを、前記複数の光検出器と前記プロセッサとに接続された衝突検出回路に検出させることを更に含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記衝突検出回路は、前記複数の光検出器のそれぞれからの前記個々の出力を組み合わせる複数のORゲートを含むORツリーを含み、
前記衝突検出回路に前記衝突イベントを検出させることは、前記蓄積出力における変化に対応しない前記ORツリーの出力における変化を検出させることを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記衝突検出回路は、前記複数の光検出器のうち、前記所定の測定期間中に光子を検出した光検出器の台数を判定するように構成されており、
前記衝突検出回路に前記衝突イベントを検出させることは、前記所定の測定期間中の前記蓄積出力のトグルの数と、前記所定の測定期間中に光子を検出した光検出器の台数とを比較することを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記XORツリーは、複数のXORツリーの1つであり、
前記複数の光検出器のそれぞれからの前記個々の出力は、前記複数のXORツリーの少なくとも2つにおいて組み合わされ、
前記衝突検出回路に前記衝突イベントを検出させることは、前記複数のXORツリーからの出力を比較することを含む、請求項58に記載の方法。
【請求項62】
前記プロセッサにより、前記ヒストグラムに基づいて前記ユーザの前記脳内の神経活動を判定することを更に含む、請求項46に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2019年7月29日に出願された米国仮特許出願第62/880,025号および2019年5月6日に出願された米国仮特許出願第62/844,107号の優先権を主張するものである。これらの出願は、参照により、その全体を本明細書に援用る。
【背景技術】
【0002】
脳内の神経活動を検知することは、医療診断、撮像、神経工学、ブレイン・コンピュータ・インターフェース連携、および他の様々な診断およびコンシューマ関連用途において有用である。例えば、血液灌流の減少、出血、または任意の他の種類の損傷により脳の特定の領域が影響を受けたかどうかを判定する際に、患者の脳内の神経活動を検出することが望まれる場合がある。別の例として、ユーザの脳内の神経活動を検出し、検出された神経活動をコンピュータ的にデコードして、(例えば、コンピュータ画面上のカーソルを制御し、テレビのチャンネルを変更し、またはライトを点灯する等による)様々な種類の家電製品の制御に使用可能なコマンドとすることが望まれる場合がある。
【0003】
脳の神経活動その他の特性は、脳内の組織の光パルスに対する反応を測定することにより判定または推測することができる。そのような反応を測定する1つの手法に、時間相関単一光子計数法(TCSPC)がある。時間相関単一光子計数法は、単一光子を検出し、基準信号(例えば、光源)に対する光子の到達時刻を測定する。TCSPCは、光パルスを繰り返すことにより、十分な数の光子イベントを蓄積して、検出された光子の分布を表すヒストグラムを統計的に判定することができる。光子分布のヒストグラムに基づいて光パルスへの組織の反応を判定し、脳の神経活動その他の特性を判定することもできる。
【0004】
単一光子を検出可能な光検出器は、脳内の神経活動を検出するために使用可能な非侵襲的な検出器の一例である。光検出器を使用して単一光子を検出し、TCSPCを実行することができる。しかしながら、単一光子を繰り返し検出することは難しい場合がある。なぜなら、従来の光検出器は、多くの場合、検出速度を低下させうるデッドタイムを有するからである。さらに、複数の光検出器を使用すると、当該システムの動作により多くの資源が必要となる場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本明細書に記載の原理によるTCSPC向けの光検出器システムの例示的な構成を示す図である。
【
図2】本明細書に記載の原理による光検出器アーキテクチャを使用するTCSPCにおける例示的なタイミング図である。
【
図3】本明細書に記載の原理による光検出器アーキテクチャを使用するTCSPCにおける例示的なヒストグラムを示す図である。
【
図4】本明細書に記載の原理による光検出器アーキテクチャを使用するTCSPCにおける例示的なヒストグラムを示す図である。
【
図5】本明細書に記載の原理によるTCSPC向けの光検出器システムの例示的な光検出器配列を示す図である。
【
図6】本明細書に記載の原理による光検出器アーキテクチャを使用するTCSPCにおける例示的な出力図である。
【
図7】本明細書に記載の原理によるTCSPC向けの光検出器システムの例示的なサンプリング回路を示す図である。
【
図8】本明細書に記載の原理による光検出器アーキテクチャを使用するTCSPCにおける例示的なサンプリングタイミング図である。
【
図9】本明細書に記載の原理による光検出器アーキテクチャを使用するTCSPCにおける例示的なサンプリング図である。
【
図10】本明細書に記載の原理によるTCSPC向けの光検出器システムの例示的な光検出器配列を示す図である。
【
図11】本明細書に記載の原理によるTCSPC向けの光検出器システムの例示的な出力図である。
【
図12】本明細書に記載の原理によるTCSPC向けの光検出器システムの例示的な衝突検出回路を示す図である。
【
図13】本明細書に記載の原理によるTCSPC向けの光検出器システムの例示的な光検出器を示す図である。
【
図14A】明細書に記載の原理によるTCSPC向けの例示的な光検出器システムを示す図である。
【
図14B】明細書に記載の原理によるTCSPC向けの光検出器システムを含む例示的なウェアラブルデバイスを示す図である。
【
図15】本明細書に記載の原理による例示的な方法を示す図である。
【
図16】本明細書に記載の原理による例示的なコンピュータデバイスを示す図である。
【0006】
添付の図面は、様々な実施形態を示しており、本明細書の一部である。図示された実施形態は単なる例示であり、本開示の範囲を限定するものではない。図面全体を通して、同一または類似の参照番号は、同一または類似の要素を指定している。
【詳細な説明】
【0007】
本明細書には、時間相関単一光子計数法(TCSPC)向けの光検出器システムが記載される。本明細書に記載の光検出器システムは、それぞれ、並列に接続された複数の光検出器と、複数の光検出器に通信可能に接続されたプロセッサとを備える。プロセッサは、複数の光検出器からの蓄積出力を受信するように構成されている。蓄積出力は、ボディ内の標的に向けられた光パルスに応じて発生する所定の測定期間中、それぞれが光子を検出する複数の光検出器からの個々の出力の蓄積を表す。プロセッサは、蓄積出力に基づいて、複数の光検出器により検出された光子の時間的分布を判定し、光子の時間的分布に基づいて、ボディ内の標的の光パルス反応を表すヒストグラムを生成するように更に構成されている。
【0008】
本明細書に記載の光検出器システムを使用して、所定の測定期間中、光検出器のリセットを行わずに複数の光検出器からの個々の出力を蓄積することにより、TCSPCを実行してもよい。例えば、光検出器により光子が検出されると、所定の測定期間中、光検出器の出力が(例えば、リセットされずに)維持されてもよい。光検出器の出力を維持することにより、個々の出力を蓄積し、光検出器ごとに最小数のアナログ・デジタル変換器(ADC)または時間デジタル変換器(TDC)を使用して検出された光子をカウントすることができる。加えて、いくつかの実装例においては、サンプリングレートが比較的遅いADCを使用して、蓄積された信号をサンプリングし、光子をカウントしてもよい。そのようなアーキテクチャによれば、光検出器システムは、電力消費およびシステムエリア等の資源を節約しながら、および/または従来の光検出器システムと比較して光子検出の効率を高めて、TCSPCを実行することが可能となる。本明細書に記載のシステムおよび方法により提供されうるこれらのおよび他の利点および/または優位点は、以下の詳細な説明により明らかになるであろう。
【0009】
図1は、TCSPCを実行するように構成した光検出器システム102の例示的な構成100を示す。図示されるように、光検出器システム102は、複数の個別的な光検出器(例えば、光検出器106)を備える光検出器配列104と、光検出器配列104に接続されたプロセッサ108とを備える。構成100に含まれる他のコンポーネント(例えば、光源110、制御ユニット112、および光ファイバ114および116)は、
図1の光検出器システム102に含まれるものとしては図示されていない。しかしながら、実施形態によっては、これらのコンポーネントの1つまたは複数のコンポーネントを光検出器システム102の一部と考えてもよい。
【0010】
光検出器106は、それぞれ、光検出器106に入射する光の各光子を個別に検出するように構成された任意の好適な回路により実装することができる。例えば、各光検出器106は、単一光子アバランシェダイオード(SPAD)回路により実装することができる。各光検出器106は、クエンチ回路、リセット回路、および/または高速ゲート回路を含みうる制御回路を備えてもよい。
【0011】
プロセッサ108は、1つまたは複数の物理処理(例えば、コンピューティング)デバイスにより実装されてもよい。いくつかの例において、プロセッサ108は、本明細書に記載の各動作の1つまたは複数の動作を実行するように構成されたソフトウェアを実行してもよい。
【0012】
光源110は、所定の中心波長において高コヒーレンス光(例えば、少なくとも5センチメートルのコヒーレンス長を有する光)を生成および出射するように構成された任意の好適なコンポーネントより実装されてもよい。例えば、光源110は、高コヒーレンス半導体レーザにより実装されてもよい。
【0013】
光源110は、制御ユニット112により制御される。制御ユニット112は、任意の好適なコンピュータデバイス(例えば、プロセッサ108)、集積回路、および/または、特定の実装に対応しうるハードウェアおよび/またはソフトウェアの組み合わせにより実装されうる。いくつかの例において、制御ユニット112は、光源110をオンまたはオフすることにより、および/または光源110により生成される光の強度を設定することにより、光源110を制御するように構成される。制御ユニット112は、ユーザにより手動で操作されてもよく、または光源110を自動的に制御するようにプログラムされていてもよい。
【0014】
光源110が出射する光は、光ファイバ114(例えば、単一モードファイバまたは多モードファイバ)を経由して被検体のボディ118まで進行する。いくつかの実装例において、ボディ118は、人間または他の動物の頭部または任意の他の身体部分である。あるいは、ボディ118は、無生物であってもよい。一例として、本明細書に記載の各例において、ボディ118は人間の頭部であると仮定する。
【0015】
矢印120で示すように、光源110により出射された光は、ボディ118上の第1の位置122においてボディ118に入射する。この目的のため、ファイバ114の先端は、第1の位置122に(例えば、第1の位置122のすぐ上または第1の位置122に物理的に付着して)(例えば、被検体の頭皮に)位置してもよい。いくつかの例において、光をファイバ114から出射させ、ボディ118上で一定のスポットサイズに拡散し、所定の安全性限界内に収まるようにしてもよい。
【0016】
図示されるように、光ファイバ116(例えば、多モード光ファイバ)の近位端は、出力位置126に(例えば、出力位置126のすぐ上または出力位置126に物理的に取り付けられして)位置する。このようにして、光ファイバ116は、出力位置126において、ボディ124から出射する光を収集し、収集された光を光検出器配列104まで伝搬してもよい。光は、光検出器配列104が備える各光検出器106に光を向ける1つまたは複数のレンズおよび/または他の光学素子(図示せず)を透過してもよい。
【0017】
光検出器106は、光検出器配列104内で並列に接続されてよい。各光検出器106の出力は蓄積され、光検出器配列104の蓄積出力を生成してよい。プロセッサ108は、蓄積出力を受信し、蓄積出力に基づいて、光検出器106により検出された光子の時間的分布を判定してよい。そして、プロセッサ108は、時間的分布に基づき、ボディ118内の標的の光パルス反応を表すヒストグラムを生成してもよい。本明細書において、蓄積された出力の例示的な実施形態を記載する。
【0018】
図2は、光検出器システム102などの光検出器システムを使用してTCSPCを実行するための例示的なタイミング
図200を示す。光検出器システム102は、光パルス(例えば、レーザパルス)をボディ(例えば、ボディ118)内の標的に向けることによりTCSPCを実行するように構成されてもよい。光パルスを短く(例えば、10~2000ピコ秒(ps))して、高周波(例えば、100,000ヘルツ(Hz)から100メガヘルツ(MHz)の間)で繰り返してもよい。光パルスは、標的で反射され、光検出器システム102により検出されてもよい。光検出器システム102は、検出された光子のそれぞれについて、光パルスに対する時間を測定してもよい。複数の光パルスを通して繰り返された各光パルスに対して検出された光子の数を都度カウントすることにより、光検出器システム102は、標的の光パルス反応を表すヒストグラムを生成することができる。
【0019】
例えば、タイミング
図200に、(例えば、ユーザの脳内の組織、ユーザのボディ内でプローブとして使用される蛍光体等の)標的に印加されうる一連の光パルス202(例えば、光パルス202-1および202-2)を示す。タイミング
図200は、また、所定の測定期間を表すパルス波204を示す。光検出器は、当該所定の測定期間中に光子を検出するように構成されている。光パルス202-1を参照すると、光パルス202-1は、時刻t
0に印加される。時刻t
1において、所定の測定期間の第1のインスタンスが開始する。光検出器を時刻t
1において作動(arm)して、所定の測定期間中、標的で反射される光子を光検出器により検出可能としてもよい。本例において、時刻t
1を、時刻t
0の後のある時刻に設定することにより、レーザパルスが標的に到達する前に、レーザパルスから直接検出された光子を最小化することができる。しかしながら、いくつかの代替例において、時刻t
1は、時刻t
0と同時刻に設定される。
【0020】
時刻t2において、所定の測定期間が終了する。いくつかの例において、光検出器は、時刻t2において解除(disarm)されてもよい。他の例において、光検出器は、時刻t2において、または時刻t2の後の時間においてリセットされ(例えば、解除(disarm)および再作動(re-arm)され)てもよい。所定の測定期間中、光検出器は、標的で反射される光子を検出してもよい。光検出器は、所定の測定期間中ずっと作動されて、光検出器が所定の測定期間中、光子を検出する際の出力を維持するように構成されてもよい。例えば、光検出器は、時刻t1と時刻t2との間の所定の測定期間中の時刻である時刻t3において光子を検出してもよい。光検出器は、光検出器が光子を検出したことを示す出力を提供するように構成されてもよい。光検出器は、光検出器が解除および/またはリセットされうる時刻である時刻t2まで、継続して出力を提供するように構成されてもよい。各光検出器の出力を維持することにより、光検出器システム102は、複数の光検出器からの蓄積出力を生成してもよい。光検出器システム102は、生成された蓄積出力をサンプリングして、光子が複数の光検出器により検出されてヒストグラムが生成される時刻を判定してもよい。
【0021】
図3に、TCSPCを実行している光検出器システム(例えば、光検出器システム102)により生成されうる例示的なヒストグラム300を示す。具体的には、ヒストグラム300は、複数のレーザパルス(例えば、50,000から2,000,000)を通して検出された光子の累積分布を示す累積分布関数(CDF)である。ヒストグラム300は、y軸302に光子数を、x軸304にタイムビンを示す。分布曲線306には、複数のレーザパルスを通して、対応するタイムビンにより検出された光子の累積数がプロットされている。タイムビンは、ナノ秒、ピコ秒、または任意の好適な所望のステップ数の採番に正規化された任意の所定の測定期間に対応させることができる。このヒストグラム300の例において、分布曲線306は、時刻0から時刻2.5頃までは、わずかな数の光子しか検出されないことを示す。分布曲線306は、更に、およそ時刻2.5頃と時刻4との間に、標的から検出される実質的に全ての光子が検出されたことを示している。ここで、分布曲線306の各ポイントは、複数の光パルスを通して、そのポイントに対応する時点までにカウントされた光子の数を示している。
【0022】
図4に、TCSPCを実行している光検出器システム(例えば、光検出器システム102)により生成されうる別の例示的なヒストグラム400を示す。具体的には、ヒストグラム400は、ボディ(例えば、ボディ118)内の標的の光パルス反応を表す時間点広がり関数(TPSF)である。ヒストグラム400は、y軸402に光子の正規化されたカウントを、x軸404にタイムビンを示す。ヒストグラム400は、第1のTPSF曲線406(ヒストグラム400に実線で図示)、第2のTPSF曲線408(ヒストグラム400に破線で図示)、および第3のTPSF曲線410(ヒストグラム400に点線で図示)を含む。本例において、第1のTPSF曲線406は、複数のレーザパルスを通して光検出器システム102により検出された光子カウントから判定される時間点広がり関数を示す。第1のTPSF曲線406は、タイムビンごとに、そのタイムビン内で検出された光子の正規化された数を示す。第2のTPSF曲線408は、分布曲線306により表される累積分布関数の導関数をとって、ヒストグラム300に基づいて判定された時間点広がり関数を示す。各タイムビン内で検出される光子の数が累積され(すなわち、統合され)、累積分布関数が生成されるのとは対照的に、時間点広がり関数は、CDFを導出することにより判定してもよい。第3のTPSF曲線410は、理想時間点広がり関数を示す。図示されるように、第1のTPSF曲線406および第2のTPSF曲線408は、いずれも、第3のTSPF曲線410により示される理想TPSF曲線の実質的に近似する。各TPSF曲線の近似度により、光検出器システム102によりTCSPCを使用してTPSF曲線を判定する両方法の有効性を示すことができる。
【0023】
図5に、(例えば、光検出器配列104の実装例である)光検出器配列502の例示的な構成500を示す。光検出器配列502は、TCSPC向けの光検出器システムの例示的なアナログ実装の一部とすることができる。光検出器配列502は、並列に接続された複数の光検出器504(光検出器504-1から504-N)を備える。構成500において、光検出器504は、それぞれ、SPAD506およびSPAD回路508を備える。例えば、光検出器504-1は、SPAD506-1およびSPAD回路508-1を備える。
【0024】
SPAD506-1は、単一光子を検出するように構成された任意の好適な単一光子アバランシェダイオードにより実装されてもよい。SPAD回路508-1は、任意の好適に実装されたクエンチ回路、リセット回路、および高速ゲート回路を含んでもよい。SPADおよびSPAD回路の例は、参照により、その全体が本明細書に援用される米国特許第10,158,038号に記載のものを含む。
【0025】
上述のように、SPAD506-1は、ボディ内の標的で反射される光子を検出するように構成されている。SPAD回路508-1は、SPAD506-1が光子を検出するときに所定の量の電流を出力するように構成されている。所定量の電流が所定の測定期間中継続的に出力される。SPAD回路508-1、508-2から508-Nまでの出力はそれぞれ蓄積され、蓄積された出力は光検出器配列502の出力510において、蓄積出力となる。各SPADが光子を検出し、各SPADに対応するSPAD回路は、所定量の電流を出力し、出力された電流は蓄積出力に寄与する。このようにして、蓄積出力をサンプリングすることにより、光検出器システム(例えば、光検出器システムのプロセッサ)は、検出された光子の時間的分布を判定することができる。構成500において、蓄積出力は、ADC512によりサンプリングされる。ADC512は、任意の好適な方法で実装することができ、各実装例が本明細書に記載される。
【0026】
例えば、
図6に、(例えば、光検出器配列502を使用し)アナログ実装した光検出器システムを使用するTCPSCについての例示的な出力
図600を示す。出力
図600は、単一レーザパルスに対する、光検出器配列502の蓄積出力602の例を示す。蓄積出力602は、第1の光子がイベント1において、例えば光検出器504-1により検出されるまで、0で開始される。対応するSPAD回路508-1は、所定量の電流を出力し、蓄積出力602を0から、所定量の電流に等しい第1の電流レベル604まで上昇させる。イベント2において、第2の光子は、例えば光検出器504-2により検出される。SPAD回路508-2は、したがって、イベント2において所定量の電流の出力を開始し、これにより、蓄積出力602を第1の電流レベル604から、所定量の電流の2倍と同等の第2の電流レベル606まで上昇させる。これは、SPAD回路508-1およびSPAD回路508-2の両方が出力510に所定量の電流を出力しているためである。追加で検出された各光子は、蓄積出力602を所定量の電流により上昇させるが、この上昇は、イベント3における最終時刻で示される。蓄積出力602をサンプリングすることにより、蓄積出力602の各電流レベルおよび当該各電流レベルにおける変化に対応する各時刻(および、その結果として、イベント1、2、3等のそれぞれに対する時刻)を特定して、検出された光子の時間的分布を判定してもよい。
【0027】
蓄積出力602は、任意の好適な方法でサンプリングすることができる。例えば、サンプリング回路は、時間的分布の把握に使用可能な、好適な速度のアナログ・デジタル変換器(ADC)(例えば、10~30ギガビット/秒(Gbps)のサンプリングレートを持つADC)を備えることができる。そのようなADCを使用することにより、ADCは、光検出器の電流当たりの平均のごく一部である最下位ビット(LSB)を有することができる。ADCは、また、活性化された全ての光検出器配列(例えば、所定量の電流により乗算される光検出器配列における多数の光検出器)が寄与する全電流よりも大きいダイナミックレンジを有してもよい。サンプリング回路は、また、蓄積出力を出力電圧に変換するように構成される終端コンポーネントを備えてもよい。例えば、終端コンポーネントは、蓄積出力をバッファリングするように構成されたトランスインピーダンス増幅器(TIA)により実装されてもよい。加えて、または代案として、終端コンポーネントは、終端抵抗により実装されてもよい。終端コンポーネントにより生成される出力電圧は、所定の測定期間において光子を検出した光検出器の総数に比例してもよい。
【0028】
図7に、TCSPC向けの光検出器配列の蓄積出力(例えば、蓄積出力602)をサンプリングするための光検出器システムの別の例示的なサンプリング回路700を示す。サンプリング回路700は、蓄積出力を出力電圧に変換するための終端コンポーネントとして終端抵抗702を備える。サンプリング回路700は、また、終端抵抗702に並列に接続された複数のサンプリングブランチ704(サンプリングブランチ704-1から704-N)を備える。サンプリングブランチ704は、それぞれ、サンプリングスイッチ706(サンプリングスイッチ706-1から706-N)と、サンプリングコンデンサ708と備える。例えば、サンプリングブランチ704-1は、サンプリングスイッチ706-1と、サンプリングコンデンサ708-1とを備える。
【0029】
サンプリングスイッチ706は、所望のタイミング分解能(例えば、50ps、20ps、100psごとのスイッチ、または任意の好適なタイミング分解能)で連続して開放されるように構成される。各サンプリングスイッチ706が開放されると、対応するサンプリングコンデンサ708は、タイミング分解能の個々のサンプリング時間において出力電圧を維持することになる。例えば、仮に、サンプリングスイッチ706が50psごとに開放される場合、N回のサンプリング時間を通じて、サンプリングコンデンサ708-1が第1のサンプリングされた出力電圧を50psで維持するとともに、サンプリングスイッチ706-1が50psごとに開放されてもよく、サンプリングコンデンサ708-2が第2のサンプリングされた出力電圧を100psで維持するとともに、サンプリングスイッチ706-2が100psで開放されるなどしてもよい。サンプリングコンデンサ708でサンプリングされた出力電圧を維持することにより、サンプリング回路700には比較的遅いADCを設けて、サンプリングされた電圧のそれぞれを読み出すことが可能となる。
【0030】
サンプリングスイッチ706のタイミングは、任意の好適な方法で制御することができる。一例として、タイミングを、遅延ロックループ(DLL)により制御して、タイミング分解能により分離される正確に配列された位相を生成してもよい。加えて、または代案として、1より多くのタイミング分解能が使用されてもよい。例えば、再度ヒストグラム300を参照すると、大多数の光子を、所定の測定期間の一部において検出することができる。ヒストグラム300では、タイムビン2.5とタイムビン4との間が、所定の測定期間の一部に該当する。サンプリング回路700は、対象の部分(例えば、時刻2.5と時刻4との間)のサンプリングを、所定の測定期間以外の期間よりも高いサンプリングレートで行うように構成されてもよい。複数のタイミング分解能を使用することにより、所定の測定期間以外の期間に使用するサンプリングブランチの数を減少させ、対象の部分または複数の部分に対して使用するサンプリングブランチの数を増加することで、より効率的な資源配分が可能となる。
【0031】
図8に、本明細書に記載のシステムおよび方法に従って使用可能な、TCSPC向けの光検出器配列の蓄積出力をサンプリングするための例示的なサンプリングタイミング
図800を示す。サンプリングタイミング
図800に、複数のレーザパルス802(レーザパルス802-1から802-7)を示す。各レーザパルス802に続いて、サンプリング用の蓄積出力804(蓄積出力804-1から804-7)が生成される。ADCは、特定の遅延時間を加えたレーザパルスのレートと同等のサンプリングレートでの蓄積出力804をサンプリングするために使用されてもよい。図示されるように、サンプル1は、レーザパルス802-1の後の特定の時間(例えば、1ns)における蓄積出力804-1から取得される。サンプル2は、レーザパルス802-2の後の2nsにおける蓄積出力804-2から取得される。サンプル3は、レーザパルス802-3の後の3nsにおける蓄積出力804-3から取得される。このようにすれば、各反応出力の全てのタイムビンをサンプリングしようとするのではなく、速度の遅いADCを使用して異なる反応出力の異なるタイムビンのサンプルを取得することができる。しかしながら、レーザパルス802が繰り返され、蓄積出力804も、統計的にヒストグラムを生成するために使用された反応を繰り返すと、異なる反応出力をサンプリングしても、各反応出力をサンプリングすることと実質的に同様なヒストグラムが得られる場合がある。
【0032】
図9に、本明細書に記載のシステムおよび方法に従って使用可能なTCSPC向けの光検出器配列の蓄積出力をサンプリングするための別の例示的なサンプリング
図900を示す。サンプリング
図900は、y軸902に光子の数を、x軸904に時間を示す。サンプリング
図900は、閾値1、閾値2、および閾値3において、光子の数に対する対象の閾値を示す。サンプリング
図900は、また、蓄積出力906を示す。ADCを使用して、対象の閾値に焦点を当てて蓄積出力906をサンプリングしてもよい。蓄積出力906が対象の閾値を満たす各ポイントにおいて、閾値を満たした時刻が判定される。本例において、閾値1は時刻t
0において満たされ、閾値2は時刻t
1において満たされ、閾値3は時刻t
2において満たされている。そのような閾値に焦点を当てることにより、より効率的な資源配分が可能となる。
【0033】
図10に、(例えば、光検出器配列104の実装例である)光検出器配列1002の例示的な構成1000を示す。光検出器配列1002は、TCSPC向けの光検出器システムの例示的なデジタル実装の一部とすることができる。光検出器配列1002は、並列に接続された複数の光検出器1004(光検出器1004-1から1004-N)を備える。構成1000において、光検出器1004は、それぞれ、SPAD1006(SPAD1006-1から1006-N)およびSPAD回路1008(SPAD回路1008-1から1008-N)を備える。例えば、光検出器1004-1は、SPAD1006-1およびSPAD回路1008-1を備える。
【0034】
本デジタル実装において、SPAD回路1008は、それぞれ、対応するSPAD1006が光子を検出するときにデジタル信号の高状態を出力するように構成される。例えば、仮に、SPAD1006-1が光子を検出すると、SPAD回路1008-1は、高信号(例えば、デジタル信号の高状態)を出力する。アナログ実装の場合と同様に、光検出器システムは、所定の測定期間中、SPAD1006のリセットを行わないようにしてもよい。このようにすれば、SPAD回路1008の出力を、対応するSPAD1006による光子の検出に応じて、高く維持することができる。このようにして、SPAD回路1008の出力は、光検出器配列1002の出力1012において蓄積出力を提供するために蓄積される。
【0035】
各SPAD回路1008の出力は、任意の好適な方法で蓄積することができる。一例として、XORゲート1010のツリー(XORツリー)を使用して、出力を蓄積してよい。本例において、各SPAD回路1008は、XORゲートに入力してもよい。図示されるように、SPAD回路1008-1および1008-2は、XORゲート1010-1に入力する。次の2つのSPAD回路は、次のXORゲート1010-2に入力する。さらに、XORゲート1010-1および1010-2は、別のXORゲート1010-3に入力し、出力が出力1012における蓄積出力に蓄積されるまで、各SPAD回路1008が隣接するSPAD回路とともにXORゲート1010に入力し、各XORゲート1010が隣接するXORゲートとともに下流の別のXORゲートに入力する。
【0036】
任意のSPAD1006が光子を検出し、対応するSPAD回路1008が高信号を出力すると、高信号を受信するXORゲート1010も同様に高信号を出力することになる。高信号は、下流の、XORツリーの対応するブランチに伝搬することになり、蓄積出力を低から高に変更させる。仮に、別のSPAD1006により別の光子が検出された場合、高信号を受信するXORゲートは、高から低または低から高に反転することになる。この信号は、また、蓄積出力が高から低に反転されるまで、下流の、XORツリーの対応するブランチに伝搬することになる。このようにして、光検出器配列1002により検出される各光子を用いて、蓄積出力は、論理状態(例えば、低から高および高から低)をトグルで切り換えることになる。蓄積出力をサンプリングして、トグルをカウントし、カウントされた各トグルの時刻を判定することにより、光検出器システムは、検出された光子の時間的分布を判定してもよい。光子の時間的分布に基づき、光検出器システムは、標的の光パルス反応を表すヒストグラムを生成することができる。
【0037】
例えば、
図11に、(例えば、光検出器配列1002を使用し)デジタル実装した光検出器システムを使用するTCPSCについての例示的な出力
図1100を示す。出力
図1100は、単一レーザパルスに対する、光検出器配列1002の蓄積出力1102の例を示す。蓄積出力1102は、第1の光子がイベント1において検出されるまで、低で開始される。第1の光子は、例えば、光検出器1004-1により検出されてよい。それに応じて、対応するSPAD回路1008-1は高信号を出力し、XORゲート1010-1の出力を低から高に変更し、それにより、XORゲート1010-3および1010-Mが同様に更に変更され、蓄積出力1102は低から高にトグルで切り換えられる。イベント2において、第2の光子は、例えば光検出器1004-2により検出される。それに応じて、SPAD回路1008-2も高信号を出力し、XORゲート1010-1の出力を高から低にトグルで戻し、それによりXORゲート1010-3および1010-Mが同様に更に変更され、蓄積出力1102が高から低にトグルで切り換えられる。追加で検出された各光子により、蓄積出力1102が一方の論理状態から他方の論理状態にトグルで切り換えられるが、この論理状態の切り換えは、イベント3における最終時刻に示されている。蓄積出力1102をサンプリングすることにより、蓄積出力1102の各論理状態および当該各論理状態における各変化に対応する各時刻(およびその結果として、イベント1、2、3等のそれぞれについての時刻)を特定して、検出された光子の時間的分布を判定してもよい。
【0038】
蓄積出力1102は、任意の好適な方法でサンプリングすることができる。例えば、サンプリング回路は、蓄積出力1102の論理状態の変化を検出し、変化の時間を特定するように構成される時間デジタル変換器(TDC)を含んでもよい。
【0039】
デジタル実装のいくつかの例において、時間的に非常に近い(例えば、閾値の時間内の)SPADにより2つの光子が検出されると、衝突イベントが発生する場合がある。いくつかの衝突イベントを用いて、蓄積出力1102を、トグルで2回非常に高速で切り換えてもよく、論理状態の両変化は、いずれも、TDCにより見逃されてもよい。他の衝突イベントでは、蓄積出力1102は、トグルで全く切り換えられなくてもよく、また、SPADにより検出される光子よりも少ない回数トグルで切り換えられてもよい。よって、いくつかの例において、光検出器システムは、そのような衝突イベントを検出するように構成された衝突検出回路を備えて、光子をカウントする際の潜在的エラーを最小化してもよい。
【0040】
衝突検出回路は、任意の好適な方法で実装することができる。例えば、衝突検出回路は、
図10に示すXORツリーに並んで配置されるORツリーを含んでもよい。ORツリーは、ORツリーの入力において追加の回路を備えてパルスを生成してもよい。仮に、XORツリーの出力が変化しないにもかかわらずORツリーの出力がパルスに対して(例えば、50~200psと)高くなると、それは衝突イベントを意味しうる。
【0041】
加えてまたは代案として、衝突検出回路は、光検出器配列内の光検出器のうち、所定の測定期間中に光子を検出した光検出器の台数を判定するように構成される1以上のコンポーネントを含んでもよい。所定の測定期間中に始動したSPADの合計数を判定し、その合計数と検出されたトグルの総数とを比較し、始動したSPADの合計数とトグルの総数との差分を算出することにより、衝突イベントの数を判定してもよい。
【0042】
加えてまたは代案として、
図12に、本明細書に記載のシステムおよび方法に従って使用可能なTCPSC向けの光検出器システムの別の例示的な衝突検出回路1200を示す。衝突検出回路1200は、複数のSPAD回路1202(SPAD回路1202-1から1202-8)を示す。各SPAD回路1202は、1以上のXORツリー1204(XORツリー1204-1から1204-4)に入力する。本例において、SPAD回路1202-1および1202-2は、XORツリー1204-1および1204-4に入力し、SPAD回路1202-3および1202-4は、XORツリー1204-1および1204-2に入力する。各XORツリー1204は、別個のサンプリング回路1206(サンプリング回路1206-1から1206-4)によりサンプリングされる。各SPAD回路1202を、1より多いXORツリー1204に出力させることにより、衝突イベントの確率が低減され、1組のSPADが閾値の時間内に光子を検出しても、当該組の各SPADは、別のサンプリング回路1206において正確に検出することができる。
【0043】
図13に、本明細書に記載のシステムおよび方法に従って使用可能な例示的な光検出器1302が備える様々なコンポーネントを示す。光検出器1302は、例えば、
図1に示される光検出器106のいずれを実装してもよく、および/または本明細書に記載の他の光検出器のいずれを実装してもよい。図示されるように、光検出器1302は、SPAD回路1304と、制御回路1306と、TDC1308と、および信号処理回路1310とを備える。
【0044】
SPAD回路1304は、SPADと、SPADに入射する光子を検出するためにともに動作するように構成される高速ゲート回路とを備えてもよい。上述のように、SPAD回路1304は、SPAD回路1304が光子を検出したときに出力を生成してもよい。
【0045】
制御回路1306は、特定用途向け集積回路(ASIC)またはSPAD回路1304内の様々なコンポーネントの動作を制御するように構成される任意の他の好適な回路により実装されてもよい。例えば、制御回路1306は、SPAD回路1304内の1つ又は複数のスイッチの動作を制御する制御論理を出力し、SPAD回路1304内のコンデンサを選択的に充電し、SPAD回路1304が備えるSPADを作動状態(armed state)または解除状態(disarmed state)のいずれかに設定してもよい。いくつかの例において、制御回路1306は、SPADを作動状態にするために、光パルス(例えば、レーザパルス)の発生後に制御回路1306が待機する所定の時間量を指定するゲート遅延を制御してもよい。この目的のため、制御回路1306は、光パルスが発生する時刻(例えば、光パルスが脳内の組織に印加される時刻)を示す光パルスタイミング情報を受信してもよい。制御回路1306は、また、プログラム可能なゲート幅を制御して、SPADが解除される前に維持されるべき作動状態の期間を指定してもよい。
【0046】
制御回路1306は、信号処理回路1310を制御するように更に構成される。例えば、制御回路1306は、信号処理回路1310にヒストグラムパラメータ(例えば、タイムビン、光パルスの数、ヒストグラムの種類等)を提供してもよい。信号処理回路1310は、ヒストグラムパラメータに従ってヒストグラムデータを生成してもよい。
【0047】
TDC1308は、SPAD回路1304により生成される出力パルスの発生と光パルスの発生との間の時差を測定するように構成される。この目的のため、TDC1308も、制御回路1306が受信するものと同様の光パルスタイミング情報を受信してもよい。TDC1308は、特定の実装に対応しうる任意の好適な電気回路により実装されてもよい。
【0048】
信号処理回路1310は、TDC1308により出力されるデータにおける1つ又は複数の信号処理動作を実行するように構成される。例えば、信号処理回路1310は、TDC1308により出力されるデータに基づいて、および制御回路1306により提供されるヒストグラムパラメータに従って、ヒストグラムデータを生成してもよい。具体的には、信号処理回路1310は、TDC1308により出力されるデータに基づきヒストグラムを生成し、記憶し、送信し、圧縮し、分析し、デコードし、および/またはそれ以外の処理を行ってもよい。いくつかの例において、信号処理回路1310は、処理されたデータを制御回路1306に提供してもよく、その場合、任意の好適な方法で処理されたデータを使用してもよい。
【0049】
図14Aに、本明細書に記載のシステムおよび方法に従って使用可能な例示的な光検出器システム1400を示す。光検出器システム1400は、本明細書に記載の光検出器システムのいずれを実装してもよい。図示されるように、光検出器システム1400は、プリント配線板(PCB)1406上に配置された、光源1402と、複数のSPAD回路1404(すなわち、SPAD回路1404-1から1404-16)とを備える。あるいは、SPAD回路1404(および光検出器システム1400の他のコンポーネント)は、ASIC上に配置されてもよい。光検出器システム1400は、更に、SPAD1404に共通する制御回路1408と、SPAD1404に共通する信号処理回路1410と、SPAD回路1404の1つにそれぞれ対応する複数のTDCを含むTDC配列1412とを備える。制御回路1408、信号処理回路1410、およびTDC配列1412は、それぞれ、
図14Aに示されるように、PCB1406上に配置されてもよいし、光検出器システム1400内の他の場所に設置されてもよい。TDC配列1412に含まれるTDCと組み合わせた各SPAD回路1404、制御回路1408、および信号処理回路1404は、特定の光検出器を実装してもよい。したがって、光検出器システム1400は、光検出器の配列を備えるということができる。
【0050】
光源1402は、所望の標的(例えば、脳内の標的)に適用可能な1つ又は複数の波長において1つまたは複数の光パルスを生成するように構成されてもよい。光源は、コンポーネントの任意の好適な組み合わせにより実装されてもよい。例えば、光源1402は、レーザパルスを生成するレーザ源により実装されてもよい。光源は、PCB1406上に実装されてもよく、またはPCB1406の外部に実装されてもよい。
【0051】
SPAD回路1404は、それぞれ、SPAD回路1304と同様に動作し、光源1402により生成された光パルスの光子を、当該光子が標的(例えば、脳組織のような、ユーザの内部の標的)で反射または散乱された後に検出するように構成されてもよい。SPAD回路1404は、また、撮像アプリケーションに対する環境光に起因して任意の物体から反射される光子を検出するために使用されてもよい。この場合、光子が環境光または別の光源のいずれかにより生成されるため、光源1402は不要である。
【0052】
図示されるように、SPAD回路1404は、PCB1406上に4×4配列で配置される。各SPAD回路1404の位置決めは、例えば、ピクセル配列内のピクセルに対応して行われてよい。SPAD回路1404は、あるいは、任意の好適な方法で配置されてもよい。
図14Aには16個のSPAD回路1404が示されているが、光検出器システム1400に含まれるSPAD回路1404の数は任意でよいことを理解されたい。
【0053】
制御回路1408は、制御回路1306と同様に機能してもよく、SPAD1404のそれぞれを制御するように構成されてもよい。信号処理回路1410は、信号処理回路1310と同様に機能してもよく、SPAD回路1404のそれぞれにより出力される信号を処理するように構成されてもよい。TDC配列1412は、それぞれがTDC1308と同様の複数のTDCを含み、光パルス1402の発生と、SPAD回路1404のそれぞれにより生成された出力パルスとの間の時差を測定するように構成されてもよい。
【0054】
光検出器システム1400は、任意の好適なデバイスにより実装されてもよく、任意の好適なデバイスに含まれてもよい。例えば、光検出器システム1400を、ユーザの身体に装着可能な非侵襲的ウェアラブルデバイスに設けて、診断関連動作、撮像関連動作、および/またはコンシューマ関連動作のうちの1つまたは複数の動作を実行させてもよい。
【0055】
具体的には、
図14Bに、光検出器システム1400に類似の光検出器システムを実装する例示的な非侵襲的ウェアラブル・ブレイン・インタフェース・システム1420(「ブレイン・インタフェース・システム1420」)を示す。図示されるように、ブレイン・インタフェース・システム1420は、ユーザの頭部に装着可能に構成されたヘッド・マウンタブル・コンポーネント1422を備える。ヘッド・マウンタブル・コンポーネント1422は、ユーザの頭部に装着されるキャップ形状により実装することができる。ヘッド・マウンタブル・コンポーネント1422の代替的な実装例には、ヘルメット、ビーニー帽、ヘッドバンド、他の帽子形状、またはユーザの頭部等に装着するのに適した他の形状が含まれる。ヘッド・マウンタブル・コンポーネント1422は、任意の好適な布、軟質ポリマー、プラスチック、ハードシェル、および/または特定の実装に対応可能な任意の他の好適な材料から作成されてもよい。ウェアラブル・ブレイン・インタフェース・システムに使用されるヘッドギアの例は、参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許第10,340,408号において更に詳細に記載されている。
【0056】
ヘッド・マウンタブル・コンポーネント1422は、複数の光検出器1424と、光パルスを生成するように構成される複数の光源1426とを備える。いくつかの代替的な実施形態においては、ヘッド・マウンタブル・コンポーネント1422に含まれる光検出器1424および/または光源1426の数は、それぞれ、1つであってもよいことを理解されたい。例えば、ブレイン・インタフェース・システム1420を使用して、光路を制御し、および光検出器ピクセル測定値を脳組織領域の光学的特性を表す強度値に変換してもよい。ブレイン・インタフェース・システム1420は、表面組織構造または完全に光学的に透明な構造を単に撮像するにすぎない従来の撮像システムおよび方法(例えば、光干渉断層撮影(OCT))とは対照的に、光源1426からユーザの脳内の標的の位置までに生じる光子からのデータを抽出することにより、皮膚および骨を透過した深部の解剖学的部位の光学検出を可能にする。
【0057】
ブレイン・インタフェース・システム1420は、通信リンク1430を経由して光検出器1424および光源1426と通信(例えば、光検出器1424および光源1426からの信号を制御および/または受信)するように構成されたプロセッサ1428を更に備えてもよい。通信リンク1430は、任意の好適な有線および/または無線の通信リンクを含んでもよい。プロセッサ1428は、任意の好適な筐体を備えてもよく、所望により、ユーザの頭皮、首、肩、胸、または腕に設置されてもよい。いくつかの変形例において、プロセッサ1428は、光検出器1424および光源1426と同じのアセンブリハウジングに統合されてもよい。
【0058】
図示されるように、ブレイン・インタフェース・システム1420は、プロセッサ1428と通信するリモートプロセッサ1432を任意で備えてもよい。例えば、リモートプロセッサ1432は、前回の検出セッションからの、および/または(図示されていない)多数のブレイン・インタフェース・システムからの、光検出器1424および/またはプロセッサ1428から測定されたデータを記憶してもよい。光検出器1424、光源1426、および/またはプロセッサ1428用の電力は、ウェアラブルバッテリ(図示せず)経由で供給されてもよい。いくつかの例において、プロセッサ1428およびバッテリは、単一の筐体に収納されてもよく、プロセッサ1428およびバッテリからの電力信号を伝えるワイヤは、光検出器1424および光源1426まで延在していてもよい。あるいは、電力は、(例えば、誘導により)無線で供給されてもよい。
【0059】
いくつかの代替的な実施形態において、ヘッド・マウンタブル・コンポーネント1422は、個別の光源を備えない。代わりに、光検出器1424により検知される光を生成するように構成された光源が、ブレイン・インタフェース・システム1420内の別の場所に設けられていてもよい。例えば、光源は、プロセッサ1428内に設けてもよく、電気的接続を通して光検出器ユニット1424に接続されてもよい。
【0060】
本明細書に記載の光源は、それぞれ、任意の好適なデバイスにより実装されてもよい。例えば、本明細書で使用される光源は、例えば、分布帰還型(DFB)レーザ、スーパールミネッセントダイオード(SLD)、発光ダイオード(LED)、ダイオード励起固体(DPSS)レーザ、半導体レーザ(LD)、スーパールミネッセント発光ダイオード(sLED)、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)、チタンサファイアレーザ、マイクロ発光ダイオード(mLED)、および/または任意の他の好適なレーザまたは光源であってもよい。
【0061】
図14Aに示す光検出器システム1400は、あるいは、ノンウェアラブルデバイス(例えば、ユーザの頭部または他の身体部位の近傍に設置され、診断関連動作、撮像関連動作、および/またはコンシューマ関連動作のうちの1つまたは複数の動作を行う医療機器および/またはコンシューマデバイス)に備えられてもよい。光検出器システム1400は、あるいは、ウェアラブル侵襲デバイス(例えば、脳の記録および撮像用の埋め込み型医療機器)のサブアセンブリ筐体に設けられてもよい。
【0062】
任意の好適なSPAD回路が、本明細書に記載の光検出器アーキテクチャ内で使用されてもよい。本明細書に記載のSPAD回路のいくつかは、SPADを作動させるコマンドが提供される前にバイアス電圧で事前に充電されるコンデンサで(または、場合により、SPAD自体の寄生容量で)ゲートされる。これは、先に、参照によりその全体が援用された米国特許第10,158,038号において更に詳細に記載されている。
【0063】
図15に、光検出器システム(例えば、本明細書に記載の光検出器システムのいずれか)を使用してTCSPCを実行するための例示的な方法1500を示す。
図15は一実施形態にかかる例示的な動作を示すが、他の実施形態では、
図15に示される動作のいずれを省略、追加、並び替え、および/または改変してもよい。
【0064】
動作1502において、プロセッサは、複数の光検出器からの蓄積出力を受信する。蓄積出力は、ボディ内の標的に向けられた光パルスに応じて発生する所定の測定期間中、それぞれが光子を検出する複数の光検出器からの個々の出力の蓄積を表す。動作1502は、本明細書に記載のいずれの手順で実行されてもよい。
【0065】
動作1504において、プロセッサは、蓄積出力に基づいて、複数の光検出器により検出された光子の時間的分布を判定する。動作1504は、本明細書に記載のいずれの手順で実行されてもよい。
【0066】
動作1506において、プロセッサは、光子の時間的分布に基づき、ボディ内の標的の光パルス反応を表すヒストグラムを生成する。動作1506は、本明細書に記載のいずれの手順で実行されてもよい。
【0067】
図16に、本明細書に記載の処理の1つまたは複数の処理を実行するように具体的に構成可能な例示的なコンピュータデバイス1600を示す。
図16に示すように、コンピュータデバイス1600は、通信インフラ1610を介して相互に通信可能に接続された、通信インタフェース1602、プロセッサ1604、記憶装置1606、および入出力(「I/O」)モジュール1608を備えてよい。
図16には例示的なコンピュータデバイス1600が示されているが、
図16に示されるコンポーネントは、限定を意図したものではない。他の実施形態においては、追加のコンポーネントまたは代替的なコンポーネントが使用されてもよい。以下、
図16に示すコンピュータデバイス1600のコンポーネントについて、更に詳述する。
【0068】
通信インタフェース1602は、1つまたは複数のコンピュータデバイスと通信するように構成されてもよい。通信インタフェース1602の例としては、限定はしないが、(ネットワーク・インタフェース・カード等の)有線ネットワークインタフェース、(無線ネットワーク・インタフェース・カード等の)無線ネットワークインタフェース、モデム、オーディオ/ビデオ接続、および任意の他の好適なインタフェースを挙げることができる。
【0069】
プロセッサ1604は、一般に、データ処理、および/または本明細書に記載の指示、処理、および/または動作の1つまたは複数についての実施の解釈、実行、および/または指示が可能な任意の種類または形式の処理装置を表す。プロセッサ1604は、記憶装置1606に記憶された、コンピュータにより実行可能な指示1612(例えば、アプリケーション、ソフトウェア、コード、および/または他の実行可能なデータインスタンス)を実行することにより、動作を実行してもよい。
【0070】
記憶装置1606は、1つまたは複数のデータ記憶媒体、デバイス、または構成を備えてよく、任意のタイプ、形式、および組み合わせのデータ記憶媒体および/またはデバイスを採用してもよい。例えば、記憶装置1606は、限定はしないが、本明細書に記載の任意の組み合わせの不揮発性媒体および/または揮発性媒体を含んでもよい。本明細書に記載のデータを含む電子データは、一時的に、および/または恒久的に記憶装置1606に記憶されてもよい。例えば、本明細書に記載のいずれかの動作を実行するようにプロセッサ1604に指示するように構成されたコンピュータにより実行可能な指示1612を表すデータが、記憶装置1606内に記憶されてもよい。いくつかの例において、データは、記憶装置1606内に存在する1つまたは複数のデータベースに配置されてもよい。
【0071】
I/Oモジュール1608は、ユーザ入力を受信し、ユーザ出力を提供するように構成された1つまたは複数のI/Oモジュールを含んでもよい。I/Oモジュール1608は、入出力機能を支援する、任意のハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。例えば、I/Oモジュール1608は、限定はしないが、キーボード、キーパッド、タッチスクリーンコンポーネント(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)、受信機(例えば、RFまたは赤外線受信機)、モーションセンサ、および/または1つまたは複数の入力ボタンを含む、ユーザ入力を受け付けるためのハードウェアおよび/またはソフトウェアを含んでもよい。
【0072】
I/Oモジュール1608は、限定はしないが、グラフィックスエンジン、ディスプレイ(例えば、ディスプレイ画面)、1つまたは複数の出力ドライバ(例えば、ディスプレイドライバ)、1つまたは複数の音声スピーカ、および1つまたは複数の音声ドライバを含む、ユーザへの出力を提示するための1つまたは複数のデバイスを含んでもよい。実施形態によっては、I/Oモジュール1608は、ユーザに提示するための画面にグラフィカルデータを提供するように構成される。グラフィカルデータは、1つまたは複数のグラフィカル・ユーザ・インタフェースおよび/または特定の実装に対応可能な任意の他のグラフィカルコンテンツを表してもよい。
【0073】
いくつかの例において、本明細書に記載のシステム、コンピュータデバイス、プロセッサ、制御ユニット、および/または他のコンポーネントは、いずれも、コンピュータデバイス1600により実装されてよい。例えば、プロセッサ108および/または制御ユニット112は、プロセッサ1604により実装されてよい。
【0074】
これまでの説明では、様々な例示的な実施形態を、添付の図面を参照しながら説明してきた。しかしながら、以下の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲から逸脱することなく、これに種々の修正または変更を加えること、および追加の実施形態を実装することができることは明らかであろう。例えば、本明細書に記載の一実施形態の特定の特徴は、本明細書に記載の別の実施形態の特徴と組み合わせるか、または代用してもよい。したがって、本記載と図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で解釈されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に接続された複数の光検出器と、
前記複数の光検出器に通信可能に接続されたプロセッサであって、
ボディ内の標的に向けられた光パルスに応じて発生する所定の測定期間中の蓄積出力であって、それぞれが光子を検出する前記複数の光検出器からの個々の出力の蓄積を表す蓄積出力を、前記複数の光検出器から受信し、
前記蓄積出力に基づいて、前記複数の光検出器により検出された光子の時間的分布を判定し、
前記所定の測定期間の後に、前記複数の光検出器をリセットし、
前記複数の光検出器から、前記ボディ内の前記標的に向けられた追加的な光パルスに応じて発生する追加的な所定の測定期間中の追加的蓄積出力であって、それぞれが光子を検出する前記複数の光検出器からの個々の出力の追加的な蓄積を表す、追加的蓄積出力を受信し、
前記追加的蓄積出力に基づいて、前記複数の光検出器により検出された光子の追加的な時間的分布を判定し、
前記光子の時間的分布
および前記光子の追加的な時間的分布に基づいて、前記ボディ内の前記標的
に向けられた前記光パルス
および前記追加的な光パルスを含む複数の光パルスの個々の光パルスに応じてそれぞれ発生する前記所定の測定期間および前記追加的な所定の測定期間を含む複数の所定の測定期間について検出された光子の累積分布を表すヒストグラムを生成
し、
前記累積分布に基づいて、前記ボディ内の前記標的の光パルス反応を表す時間点広がり関数を生成するように構成されたプロセッサと
を備えるシステム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記所定の測定期間中は前記複数の光検出器のリセットを行わないように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の光検出器のそれぞれからの前記個々の出力は、それぞれ、前記複数の光検出器に含まれる個々の光検出器が、前記光パルスの光子を、前記光パルスが前記標的で反射された後に検出するときの所定量の電流出力を含み、
前記蓄積出力は、前記個々の出力の組み合わせに基づく複合電流を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の光検出器と前記プロセッサとに接続されたアナログ・デジタル変換器(ADC)と、
前記蓄積出力の前記複合電流を出力電圧に変換するように構成された終端コンポーネントと
を更に備え、
前記複数の光検出器により検出された前記光子の時間的分布は、前記ADCに前記出力電圧をサンプリングさせることにより判定される、請求項
3に記載のシステム。
【請求項5】
前記終端コンポーネントと並列に接続された複数のサンプリングブランチであって、それぞれがスイッチとコンデンサとを含む複数のサンプリングブランチを更に備え、
前記複数のサンプリングブランチの前記スイッチは、サンプリングレートで連続して開放されるように構成されており、
前記出力電圧は、前記サンプリングブランチのそれぞれの前記コンデンサの電圧測定値を前記ADCに取得させることによりサンプリングされる、請求項
4に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数の光検出器からの前記個々の出力は、それぞれ、前記複数の光検出器に含まれる個々の光検出器が光子を検出したかどうかを示すデジタル信号を提供するように構成されており、
前記個々の出力は、複数のXORゲートを含むXORツリーを使用して組み合わされており、
前記蓄積出力は、前記個々の出力に基づいて、論理状態をトグルで切り換えるように構成された複合信号を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数の光検出器と前記プロセッサとに接続された時間デジタル変換器(TDC)を更に備え、
前記複数の光検出器により検出された前記光子の時間的分布は、前記複合信号を前記TDCにサンプリングさせることにより判定される、請求項
6に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数の光検出器と前記プロセッサとに接続された衝突検出回路を更に備え、
前記プロセッサは、前記複数の光検出器の第1の光検出器により第1の光子が検出され、かつ前記複数の光検出器の第2の光検出器により、閾値量の時間内に、第2の光子が検出される衝突イベントを、前記衝突検出回路に検出させるように更に構成されている、請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記衝突検出回路は、前記複数の光検出器のそれぞれからの前記個々の出力を組み合わせる複数のORゲートを含むORツリーを含み、
前記衝突イベントの検出は、前記蓄積出力における変化に対応しない前記ORツリーの出力における変化を、前記衝突検出回路に検出させることにより行われる、請求項
8に記載のシステム。
【請求項10】
前記衝突検出回路は、前記複数の光検出器のうち、前記所定の測定期間中に光子を検出した光検出器の台数を判定するように構成されており、
前記衝突イベントは、前記所定の測定期間中の前記蓄積出力のトグルの数と、前記所定の測定期間中に光子を検出した光検出器の台数とを前記衝突検出回路に比較させることに検出される、請求項
8に記載のシステム。
【請求項11】
前記XORツリーは、複数のXORツリーの1つであり、
前記複数の光検出器のそれぞれからの前記個々の出力は、前記複数のXORツリーの少なくとも2つにおいて組み合わされ、
前記衝突イベントは、前記複数のXORツリーからの出力を前記衝突検出回路により比較することにより検出される、請求項
8に記載のシステム。
【請求項12】
並列に接続された複数の光検出器から、ボディ内の標的に向けられた光パルスに応じて発生する所定の測定期間中の蓄積出力であって、それぞれが光子を検出する前記複数の光検出器からの個々の出力の蓄積を表す蓄積出力を、プロセッサにより受信することと、
前記蓄積出力に基づいて、前記複数の光検出器により検出された光子の時間的分布を、前記プロセッサにより判定することと、
前記プロセッサにより、前記所定の測定期間の後に、前記複数の光検出器をリセットすることと、
前記プロセッサにより、前記複数の光検出器から、前記ボディ内の前記標的に向けられた追加的な光パルスに応じて発生する追加的な所定の測定期間中の追加的蓄積出力であって、それぞれが光子を検出する前記複数の光検出器からの個々の出力の追加的な蓄積を表す、追加的蓄積出力を受信することと、
前記プロセッサにより、前記追加的蓄積出力に基づいて、前記複数の光検出器により検出された光子の追加的な時間的分布を判定することと、
前記光子の時間的分布
および前記光子の追加的な時間的分布に基づいて、前記ボディ内の前記標的
に向けられた前記光パルス
および前記追加的な光パルスを含む複数の光パルスの個々の光パルスに応じてそれぞれ発生する前記所定の測定期間および前記追加的な所定の測定期間を含む複数の所定の測定期間について検出された光子の累積分布を表すヒストグラムを、前記プロセッサにより生成することと
、
前記累積分布に基づいて、前記ボディ内の前記標的の光パルス反応を表す時間点広がり関数を、前記プロセッサにより生成することと
を含む方法。
【請求項13】
前記所定の測定期間中は前記複数の光検出器のリセットを前記プロセッサにより行わないことを更に含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の光検出器のそれぞれからの前記個々の出力は、それぞれ、前記複数の光検出器に含まれる個々の光検出器が、前記光パルスの光子を、前記光パルスが前記標的で反射された後に検出するときの所定量の電流出力を含み、
前記蓄積出力は、前記個々の出力の組み合わせに基づく複合電流を含む、請求項
12に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の光検出器により検出された前記光子の時間的分布を判定することは、前記複数の光検出器と前記プロセッサとに接続されたアナログ・デジタル変換器(ADC)に出力電圧をサンプリングさせることを含む、請求項
14に記載の方法。
【国際調査報告】