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特表2022-533563難燃半芳香ポリアミド及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(54)【発明の名称】難燃半芳香ポリアミド及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 69/26 20060101AFI20220715BHJP
【FI】
C08G69/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021566303
(86)(22)【出願日】2020-04-10
(85)【翻訳文提出日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 CN2020084265
(87)【国際公開番号】W WO2020224378
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】201910383949.7
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520070792
【氏名又は名称】金発科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】KINGFA SCI. & TECH. CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.33 Kefeng Road, Science City, Hi-Tech Industrial Development Zone, Guangzhou, Guangdong 510663, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】黄 険波
(72)【発明者】
【氏名】常 歓
(72)【発明者】
【氏名】葉 南▲ビャオ▼
(72)【発明者】
【氏名】曹 民
(72)【発明者】
【氏名】張 伝輝
(72)【発明者】
【氏名】閻 昆
(72)【発明者】
【氏名】彭 忠泉
【テーマコード(参考)】
4J001
【Fターム(参考)】
4J001DA01
4J001DB03
4J001EB05
4J001EB06
4J001EB07
4J001EB08
4J001EB09
4J001EB10
4J001EB23
4J001EB29
4J001EB36
4J001EB37
4J001EB46
4J001EC07
4J001EC08
4J001EC09
4J001EE77D
4J001EE78D
4J001GA12
4J001GB02
4J001GB05
4J001GB06
4J001GB16
4J001JB19
(57)【要約】
本発明は、以下のモノマーから誘導された難燃半芳香ポリアミドを開示する:ジ酸モノマーA:ここで、A1はテレフタル酸又はテレフタル酸と他のジ酸であり、テレフタル酸はA1の50-100mol%を占め、A2は[(6-オキシド-6H-ジベンゾ-(c,e)(1,2)-オキサホスホリン-6-ケトン)-メチル]-コハク酸であり、A1+A2=100mol%であり、A1=90-99mol%であり、A2=1-10mol%である;および、ジアミンモノマーB:4-36個の炭素原子を含む1又はそれ以上のジアミンモノマー。本発明は、インサイチュ重合方式によって半芳香ポリアミドセグメントの中で特定の難燃モノマー[(6-オキシド-6H-ジベンゾ-(c,e)(1,2)-オキサホスホリン-6-ケトン)-メチル]-コハク酸(DDP)を共重合し、優れた力学的特性を有することができ、且つ吸水率が低い。また、本発明の製造方法は、勾配昇温法を使用し、インサイチュ共重合の方式は、固有難燃特性を有する半芳香ポリアミドを合成し、難燃前駆体を単独で合成する必要がなく、操作ステップが簡潔で、生産コストを低減させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
難燃半芳香ポリアミドであって、以下のモノマー:
ジ酸モノマーA:ここで、A1は、テレフタル酸又はテレフタル酸と他のジ酸であり、テレフタル酸はA1の50-100mol%を占め、A2は[(6-オキシド-6H-ジベンゾ-(c,e)(1,2)-オキサホスホリン-6-ケトン)-メチル]-コハク酸であり、A1+A2=100mol%であり、A1=90-99mol%であり、A2=1-10mol%である;および
ジアミンモノマーB:4-36個の炭素原子を含む1又はそれ以上のジアミンモノマー、
から誘導されたものであることを特徴とする難燃半芳香ポリアミド。
【請求項2】
ジ酸モノマーAにおいて、A2の含有量は2.5-7.7mol%である、ことを特徴とする請求項1に記載の難燃半芳香ポリアミド。
【請求項3】
前記他のジ酸は、脂肪族ジ酸又は芳香族ジ酸のうちの少なくとも一つから選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の難燃半芳香ポリアミド。
【請求項4】
前記脂肪族ジ酸は、シュウ酸、マロン酸、1,4-コハク酸、1,5-グルタル酸、1,6-アジピン酸、1,7-ピメリン酸、1,8-スベリン酸、2-メチルスベリン酸、1,9-アゼライン酸、1,10-セバシン酸、1,11-ウンデカン二酸、1,12-ドデカン二酸、1,13-トリデカン二酸、1,14-テトラデカン二酸、シクロヘキサンジカルボン酸のうちの一つ又は複数から選択される、ことを特徴とする請求項3に記載の難燃半芳香ポリアミド。
【請求項5】
前記芳香族ジ酸は、イソフタル酸、ナフタレンジ酸のうちの少なくとも一つから選択される、ことを特徴とする請求項3に記載の難燃半芳香ポリアミド。
【請求項6】
前記ジアミンモノマーBは、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,16-ヘキサデカンジアミン、1,18-オクタデカンジアミン、1-ブチル-1,2-エチレンジアミン、1,1-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、1-エチル-1,4-ブタンジアミン、1,2-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、1,3-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、1,4-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、2,3-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、3-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、3,3-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4-ジエチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2-ジメチル-1,7-ヘプタンジアミン、2,3-ジメチル-1,7-ヘプタンジアミン、2,4-ジメチル-1,7-ヘプタンジアミン、2,5-ジメチル-1,7-ヘプタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、3-メチル-1,8-オクタンジアミン、4-メチル-1,8-オクタンジアミン、1,3-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、1,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、2,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、3,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、4、5-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、2,2-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、3,3-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、4、4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミンのうちの一つ又は複数から選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の難燃半芳香ポリアミド。
【請求項7】
前記ジアミンモノマーBは、1,10-デカンジアミン、1,6-ヘキサンジアミンのうちの少なくとも一つから選択される、ことを特徴とする請求項6に記載の難燃半芳香ポリアミド。
【請求項8】
前記他のジ酸は、イソフタル酸、1,6-アジピン酸のうちの少なくとも一つから選択される、ことを特徴とする請求項3に記載の難燃半芳香ポリアミド。
【請求項9】
ジ酸モノマーA、ジアミンモノマーB、触媒、脱イオン水を秤量して高温高圧反応釜に加え、充填換気して釜内の雰囲気を窒素にした後、160-180℃に昇温し、0.5時間恒温反応し、200-210℃に昇温し続け、且つ0.5時間恒温反応し、240-250℃に昇温し続け、1時間恒温反応し、約0.5時間排水し、排出し、造粒するステップと、造粒材料を回転ドラムに投入し、真空を引き、圧力を3000Paよりも低くし、230-260℃に昇温し、3時間反応し、加熱を停止し、温度が室温に戻った後、排出し、難燃半芳香ポリアミドを得るステップとを含む、ことを特徴とする請求項1-8のいずれか1項に記載の難燃半芳香ポリアミドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新型高分子材料の技術分野に関し、特に難燃半芳香ポリアミド及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミドは、最も広く応用されているエンジニアプラスチックであり、電子電気製品、家電などの分野で重要な応用があるが、ポリアミド自体の可燃性、吸水率の変動が比較的に大きく、ポリアミドの応用普及を大きく制限しているため、ポリアミドを難燃変性するとともに吸水率を低減させるのは、非常に重要な意味がある。
【0003】
ポリアミドの難燃変性方法は、主に共重合難燃変性、混合難燃変性と後処理難燃変性がある。現在では広く応用されているのは、混合難燃変性の方法であるが、難燃剤は、一般的には小分子であるため、ポリアミドとの混合体系でミクロ相分離が発生しやすく、材料の力学的特性と難燃特性を破壊し、難燃ポリアミドが特に電子電気製品などの精密部品の分野における応用を制限している。後処理難燃変性の方法は、ポリアミド繊維の面に限られており、応用分野が非常に限られている。インサイチュ共重合難燃変性の方法とは、反応型難燃剤を化学結合によってポリアミド鎖の中に接続し、分子レベルの変性を実現し、難燃剤の移動、凝集と析出が存在せず、固有難燃特性を有する方法である。
【0004】
以下の4件の中国特許は、反応型難燃剤をインサイチュ共重合することによってポリアミドを難燃変性する方法を開示する。
【0005】
中国特許2013102079850は、ノンハロゲン難燃ナイロン66重合体を開示し、そのうち、この方法は、まず反応型難燃剤DOPO誘導体と二元酸又はジアミンを共重合反応させて塩を生成し、その後に生成された塩とナイロン66塩とを共重合反応させ、ノンハロゲン難燃ナイロン66重合体を得る。中国特許2015106245312は、ビスリン難燃共重合ナイロンを開示し、ホスフィンオキシド類ジアミンとホスフィンオキシド類ジオールで合成される中間体ビスリン有機アンモニウム塩を採用し、ナイロン66塩と共重合してビスリン難燃共重合ナイロンを製造する。しかし、上記特許技術は、ナイロン66のインサイチュ共重合難燃材料の合成に限られており、且つ半芳香ポリアミド体系に適用されるインサイチュ共重合難燃材料と相応な耐高温重合方法が開発されていない。且つ、上記インサイチュ共重合難燃ナイロン66の力学的特性は、一般的なナイロン66の力学的特性と比べてかなり低下し、高強度難燃製品のニーズを満たすことができない。
【0006】
中国特許2015106604531は、難燃耐高温ナイロン共重合体を開示し、それは、反応型難燃剤ビス(p-カルボキシフェニル)フェニルホスフィンオキシドを使用して反応して得られるナイロン塩と一般的なナイロン塩とを共重合反応させ、難燃ポリアミド製品を得る。中国特許2017112299959は、永久性ノンハロゲン難燃PA10Tポリアミド樹脂を開示し、塩形成、予備重合、固相重合の方式を採用して1,1,3,5-テトラフェニルアミンシクロトリホスファゼンをポリアミドの中に共重合する。この2件の特許は、難燃半芳香ポリアミド材料を開発したが、開発された難燃材料の力学的特性と耐吸水性は、共重合前と比べて明らかに低下し、このような材料が電子電気製品業界における応用の将来性を制限している。
【0007】
製造方法の角度から見れば、上記プロセスは、反応型難燃モノマーをまず難燃前駆体に合成し、反応型難燃モノマーが重合プロセスにおける安定性を向上させる必要がある。しかし、増加した前処理ステップは、プロセスコストの上昇を引き起こし、製品の市場競争力を低減させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、難燃特性に優れ、力学特性が高く、吸水率が低いという利点を有する難燃半芳香ポリアミドを提供することにある。
【0009】
本発明の別の目的は、プロセスが簡潔で、生産コストが低い上記難燃半芳香ポリアミドの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の技術案によって実現される。
難燃半芳香ポリアミドであって、以下のモノマーから誘導される。
ジ酸モノマーA:A1は、テレフタル酸又はテレフタル酸と他のジ酸であり、テレフタル酸は、A1の50-100mol%を占め、A2は、[(6-オキシド-6H-ジベンゾ-(c,e)(1,2)-オキサホスホリン-6-ケトン)-メチル]-コハク酸であり、A1+A2=100mol%であり、A1=90-99mol%であり、A2=1-10mol%であり、
ジアミンモノマーB:4-36個の炭素原子を含むジアミンモノマーのうちの一つ又は複数である。
【0011】
[(6-オキシド-6H-ジベンゾ-(c,e)(1,2)-オキサホスホリン-6-ケトン)-メチル]-コハク酸(DDP)の構造式は、以下の通りである。
【0012】
DDPは、難燃モノマーの一種であり、リン酸エステル構造を有するジカルボン酸は、ジアミンモノマーと重合反応することができ、インサイチュ共重合難燃半芳香ポリアミドは、良好な難燃効果を有し、且つ力学特性が高い。且つ、本発明は、予想効果と逆に、他の難燃モノマーと比べて(DDPと類似したリン酸エステル構造を有する難燃モノマーであっても、加えた後に吸水性能もあまり理想的でない)、リン酸エステル構造DDPを含むインサイチュ共重合難燃半芳香ポリアミドの吸水率が低下することを発見した。
【0013】
好ましくは、ジ酸モノマーAにおいて、A2の含有量は、全てのジ酸モノマーの2.5-7.7mol%である。
【0014】
好ましいA2含有量で、力学的特性をさらに向上させ且つ吸水率を低減させることができる。
【0015】
前記他のジ酸モノマーは、脂肪族ジ酸又は芳香族ジ酸のうちの少なくとも一つから選択される。
【0016】
前記脂肪族ジ酸は、シュウ酸、マロン酸、1,4-コハク酸、1,5-グルタル酸、1,6-アジピン酸、1,7-ピメリン酸、1,8-スベリン酸、2-メチルスベリン酸、1,9-アゼライン酸、1,10-セバシン酸、1,11-ウンデカン二酸、1,12-ドデカン二酸、1,13-トリデカン二酸、1,14-テトラデカン二酸、シクロヘキサンジカルボン酸のうちの一つ又は複数から選択され、前記芳香族ジ酸は、イソフタル酸、ナフタレンジ酸のうちの少なくとも一つから選択される。
【0017】
前記ジアミンモノマーBは、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,16-ヘキサデカンジアミン、1,18-オクタデカンジアミン、1-ブチル-1,2-エチレンジアミン、1,1-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、1-エチル-1,4-ブタンジアミン、1,2-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、1,3-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、1,4-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、2,3-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、3-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、3,3-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4-ジエチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2-ジメチル-1,7-ヘプタンジアミン、2,3-ジメチル-1,7-ヘプタンジアミン、2,4-ジメチル-1,7-ヘプタンジアミン、2,5-ジメチル-1,7-ヘプタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、3-メチル-1,8-オクタンジアミン、4-メチル-1,8-オクタンジアミン、1,3-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、1,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、2,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、3,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、4、5-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、2,2-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、3,3-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、4、4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミンのうちの一つ又は複数から選択され、好ましくは、1,10-デカンジアミン、1,6-ヘキサンジアミンのうちの少なくとも一つから選択される。
【0018】
好ましくは、前記他のジ酸は、イソフタル酸、1,6-アジピン酸のうちの少なくとも一つから選択される。
【0019】
上記難燃半芳香ポリアミドの製造方法は、ジ酸モノマーA、ジアミンモノマーB、触媒(次亜リン酸ナトリウムであってもよい)、脱イオン水を秤量して高温高圧反応釜に加え、充填換気して釜内の雰囲気を窒素にした後、160-180℃に昇温し、0.5時間恒温反応し、200-210℃に昇温し続け、且つ0.5時間恒温反応し、240-250℃に昇温し続け、1時間恒温反応し、約0.5時間排水し、排出し、造粒するステップと、造粒材料を回転ドラムに投入し、真空を引き、圧力を3000Paよりも低くし、230-260℃に昇温し、3時間反応し、加熱を停止し、温度が室温に戻った後、排出し、難燃半芳香ポリアミドを得るステップとを含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、従来の技術と比べて、以下のような有益な効果を有する。
【0021】
本発明の難燃半芳香ポリアミドは、セグメントの中で特定の難燃モノマーDDPをインサイチュ共重合することによって、半芳香ポリアミドに良好な難燃特性を備えさせるとともに良好な力学的特性と低い吸水率を備えさせる。DDPとジ酸モノマーAを占めるモル比とを調整し、半芳香ポリアミド主鎖構造における芳香環比率を最適化することによって、吸水率をさらに低減させる。
【0022】
従来の技術と異なり、本発明の製造方法は、反応型難燃モノマーDDPに対して前処理を行わずに、重合反応の順調な進行を確保することができ、勾配昇温プロセスは、反応型難燃モノマーが重合プロセスにおける安定性を向上させることができ、固有難燃特性と優れた力学的特性及び低い吸水率を有するインサイチュ共重合難燃半芳香ポリアミドを取得することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、以下の実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の保護範囲を制限するものとして理解されるべきではない。
【0024】
本発明に使用される原料は、市販製品に由来する。
BCPPO:ビス(4-カルボキシルフェニル)フェニルホスフィンオキシド、
CEPPA:3-ヒドロキシフェニルホスホニルプロピオン酸、
CEMPO:ビス(2-カルボキシエチル)メチルホスフィンオキシド、
MCA:シアヌル酸。
【0025】
実施例と比較例のポリアミドの製造方法は、表1-4の各成分の配分比率に従って、ジ酸モノマーA、ジアミンモノマーB、次亜リン酸ナトリウム、脱イオン水を秤量して高温高圧反応釜に加え、充填換気して釜内の雰囲気を窒素にした後、160-180℃に昇温し、0.5時間恒温反応し、200-210℃に昇温し続け、且つ0.5時間恒温反応し、240-250℃に昇温し続け、1時間恒温反応し、約0.5時間排水し、排出し、造粒するステップと、造粒材料を回転ドラムに投入し、真空を引き、圧力を3000Paよりも低くし、230-260℃に昇温し、3時間反応し、加熱を停止し、温度が室温に戻った後、排出し、半芳香ポリアミドを得るステップとを含む。
【0026】
各性能のテスト方法は、以下の通りである。
(1)末端基:電位差滴定装置を採用して重合体末端アミノと末端カルボキシルの含有量を測定する。ポリアミド0.45gを計量し、既に予熱溶化したo‐クレゾール50mLを加え且つサンプルが溶解するまで加熱還流し、50℃の水溝に放置して50℃に冷却した後、ホルムアルデヒド溶液0.5mLを加え、磁子撹拌溶液を入れ、全自動電位差滴定装置の電極テスト部分を溶液に浸入し、既に標定されたKOH-エタノール溶液でテスト末端カルボキシルデータを滴定する。0.45g材料を計量し、フェノール45mL及び無水メタノール3mLを加え、サンプルが溶解するまで加熱還流し、50℃の水溝に放置して50℃に冷却した後、磁子撹拌溶液を入れ、全自動電位差滴定装置の電極テスト部分を溶液に浸入し、既に標定された塩酸標準溶液でテスト末端アミノデータを滴定する。
(2)相対粘度:標準GB/T 12006.1-1989を参照し、ウベローデ粘度計を採用して(25±0.01)℃の98%濃硫酸で濃度が0.25g/dL生成物の相対粘度を測定する。
本発明は、ポリアミドの末端基含有量、相対粘度に基づいてポリアミドの分子量を判断し、同じモノマーの前提で、相対粘度、端基含有量が近い場合、ポリアミドの分子量が近い。
(3)引張強度:標準ISO 527を参照し、樹脂材料の引張強度を検出する。
(4)屈曲強度:標準ISO 178を参照し、樹脂材料の屈曲強度を検出する。
(5)ノッチ衝撃強度/ノッチなし衝撃強度:標準ISO 180を参照し、樹脂材料の衝撃強度を検出する。
(6)UL94難燃等級:GB/T2408-1996を参照して測定を行い、試料寸法が13cm×1.3cm×0.3cmである。
(7)限界酸素指数(LOI):標準GB/T5454-1997を参照して測定を行い、試料寸法が12cm×1cm×0.4cmである。
(8)吸水率:標準ISO 62:2008を参照し、樹脂材料の吸水率をテストする。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
【表5】
【0032】
【表6】
【0033】
実施例1-5から分かるように、好ましいDDP含有量の範囲で、難燃効果、力学特性が高く、吸水率が低い。
【0034】
比較例1と表1から分かるように、10TにDDPをインサイチュ重合すると、優れた難燃特性を有するだけでなく、力学的特性を保持し、さらに向上させ、吸水率を低減させる。
【0035】
比較例1/6から分かるように、インサイチュ共重合難燃モノマーがCEPPAである時、良好な力学的特性及び難燃等級を有するが、吸水率が比較的に高い。
【0036】
比較例1/5から分かるように、インサイチュ共重合難燃モノマーがBCPPOである時、力学的特性が低下し、吸水率が高い。
【0037】
比較例3/4と表1から分かるように、脂肪族ポリアミドPA66体系の中でDDPをインサイチュ共重合した後、力学的特性が明らかに低下し、半芳香族ポリアミドの中でDDPをインサイチュ共重合した後、比較的に高い力学的特性が保持され、難燃特性と吸水性が明らかに向上する。
【0038】
実施例11と比較例7から分かるように、テレフタル酸がジ酸モノマーAを占める含有量が低すぎる場合、一定の程度に難燃特性を低減させて吸水率の上昇を引き起こすだけでなく、力学的特性が非常に低く、応用価値がありにくい。
【0039】
比較例8から分かるように、DDPがジ酸モノマーAを占める含有量が高すぎる場合、力学的特性の低下及び吸水率の上昇を引き起こす。
【0040】
比較例9/10から分かるように、インサイチュ共重合難燃モノマーがMCA又はCEMPOである時、難燃効果、力学的特性がいずれも比較的に低く、吸水率が比較的に高い。
【国際調査報告】