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特表2022-533581円筒型電池プレスシステム及び円筒型電池セルの圧縮方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(54)【発明の名称】円筒型電池プレスシステム及び円筒型電池セルの圧縮方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20220715BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20220715BHJP
   H01M 50/105 20210101ALI20220715BHJP
   H01M 50/107 20210101ALI20220715BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALN20220715BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALN20220715BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M10/04 W
H01M10/0587
H01M50/105
H01M50/107
H01M10/0562
H01M10/0565
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021567782
(86)(22)【出願日】2020-05-13
(85)【翻訳文提出日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 US2020032687
(87)【国際公開番号】W WO2020232131
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】16/412,338
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521240527
【氏名又は名称】テラワット テクノロジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】緒方 健
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】星 肇
(72)【発明者】
【氏名】中野 雅継
(72)【発明者】
【氏名】井本 浩
【テーマコード(参考)】
5H011
5H028
5H029
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011CC08
5H011DD03
5H011DD26
5H011KK04
5H028BB04
5H028BB05
5H028BB19
5H028CC12
5H028CC22
5H028HH08
5H028HH09
5H029AJ14
5H029AM11
5H029BJ02
5H029BJ22
5H029CJ03
5H029CJ30
5H029HJ14
5H029HJ15
(57)【要約】
本明細書では、円筒型電池セルを圧縮するための各種の配置が提示される。円筒型電池セルは緩衝材で包囲される。緩衝材はすると、圧縮機構を使って圧縮される。緩衝材は緩衝材に加えられる圧力を円筒形電池セルの湾曲した側壁に均一に分散させる。円筒型電池セルは、緩衝材が圧縮機構を使って圧縮されている間に加熱される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒型電池プレスシステムであって、
圧縮機構であって、係合状態にあるときに、前記圧縮機構の第一の縁辺を前記圧縮機構の第二の縁辺に向かって移動させ、それによって前記圧縮機構の中の第一の円筒型空洞の容積が減少する、圧縮機構と、
光輪形状の断面を有する半硬質の緩衝材であって、前記圧縮機構の前記第一の円筒型空洞の中に取り付けられ、第二の円筒型空洞を画定し、その中に電池セルが取り付けられるように構成される、半硬質の緩衝材と、
前記半硬質の緩衝材の外周の少なくとも一部の周囲を包囲し、前記圧縮機構が係合状態にある間に熱を出力するように構成される加熱素子と、
を含む、円筒型電池プレスシステム。
【請求項2】
前記圧縮機構は、使用者により作動させられる延長部を含み、前記延長部により力が前記圧縮機構に加えられて、前記圧縮機構の前記第一の縁辺を前記圧縮機構の前記第二の縁辺に向かって移動させる、請求項1に記載の円筒型電池プレスシステム。
【請求項3】
前記円筒型電池プレスシステムは支持構造をさらに含み、前記圧縮機構の前記第二の縁辺は前記支持構造に固定されて、それによって前記第二の縁辺は前記圧縮機構が係合状態にあるときに前記支持構造に関して移動しない、
請求項1に記載の円筒型電池プレスシステム。
【請求項4】
前記電池セルと前記半硬質の緩衝材との間の前記第二の円筒型空洞の中に挿入されるように構成される温度センサをさらに含む、
請求項1に記載の円筒型電池プレスシステム。
【請求項5】
前記半硬質の緩衝材は耐熱性ゴムである、請求項1に記載の円筒型電池プレスシステム。
【請求項6】
前記半硬質の緩衝材は、前記電池セルが前記第二の円筒型空洞の中に取り付けられると、前記圧縮機構により前記電池セルに加えられる圧力を均一に再度分散させる、
請求項1に記載の円筒型電池プレスシステム。
【請求項7】
前記円筒型電池プレスシステムはジェリーロール型パウチ電池をさらに含み、前記ジェリーロール型パウチ電池は前記第二の円筒型空洞の中に取り付けられる、請求項1に記載の円筒型電池プレスシステム。
【請求項8】
前記圧縮機構は0.1~10メガパスカル(MPa)の圧力を前記半硬質の緩衝材に加える、請求項1に記載の円筒型電池プレスシステム。
【請求項9】
前記加熱素子は60℃~250℃まで発熱する、請求項1に記載の円筒型電池プレスシステム。
【請求項10】
前記圧縮機構は、力を前記圧縮機構に加えて、前記圧縮機構の前記第一の縁辺を前記圧縮機構の前記第二の縁辺に向かって移動させるモータを含む、請求項1に記載の円筒型電池プレスシステム。
【請求項11】
円筒型電池セルを圧縮する方法であって、
前記円筒型電池セルを緩衝材で包囲することであって、前記緩衝材は光輪形状の断面を有する、包囲することと、
圧縮機構を使って前記緩衝材を圧縮することであって、
前記圧縮機構の第一の縁辺は前記圧縮機構の第二の縁辺に向かって移動され、それによって前記圧縮機構の中の第一の円筒型空洞の容積が減少し、
前記緩衝材は前記緩衝材に加えられる圧力を前記円筒型電池セルの湾曲した側壁に均一に分散させる、
圧縮することと、
前記圧縮機構を使って前記緩衝材が圧縮されている間に、加熱素子を使って前記円筒型電池セルを加熱することと、
前記圧縮機構の係合を解除することと、
前記圧縮機構の係合を解除した後に、前記円筒型電池セルを前記緩衝材から取り出し、それによって前記円筒型電池セルが半活性化状態の円筒型電池セルとなるようにすることと、
を含む方法。
【請求項12】
前記圧縮機構を使って前記緩衝材を圧縮することは、前記圧縮機構の延長部を使用者が作動させて力を加えることを含む、請求項11に記載の円筒型電池セルを圧縮する方法。
【請求項13】
温度センサを前記緩衝材と前記円筒型電池セルとの間に取り付けることをさらに含む、
請求項11に記載の円筒型電池セルを圧縮する方法。
【請求項14】
前記円筒型電池セルの加熱を、前記温度センサを使って行われる温度測定に基づいて制御することをさらに含む、
請求項13に記載の円筒型電池セルを圧縮する方法。
【請求項15】
前記加熱素子は前記圧縮機構と前記緩衝材との間に位置付けられる、請求項14に記載の円筒型電池セルを圧縮する方法。
【請求項16】
前記円筒型電池セルはジェリーロール型固体電池セルである、請求項11に記載の円筒型電池セルを圧縮する方法。
【請求項17】
前記緩衝材を圧縮することは、0.1~10MPaの圧力が前記緩衝材に加えられることを含む、請求項11に記載の円筒型電池セルを圧縮する方法。
【請求項18】
前記円筒型電池セルを加熱することは、前記加熱素子が60℃~250℃まで発熱することを含む、請求項11に記載の円筒型電池セルを圧縮する方法。
【請求項19】
円筒型電池プレスシステムであって、
ジェリーロール型固体円筒型電池セルと、
圧縮機構であって、係合状態にあるときに、前記圧縮機構の第一の縁辺を前記圧縮機構の第二の縁辺に向かって移動させ、それによって前記圧縮機構内の第一の円筒型空洞の容積を減少させる、圧縮機構と、
光輪形状の断面を有する半硬質の緩衝材であって、前記圧縮機構の前記第一の円筒型空洞の中に取り付けられ、第二の円筒型空洞を画定し、その中に前記ジェリーロール型固体円筒型電池セルが取り付けられる、半硬質の緩衝材と、
前記半硬質の緩衝材の外周の少なくとも一部の周囲を包囲し、前記圧縮機構が係合状態にある間に熱を出力するように構成される加熱素子と、
支持構造であって、前記圧縮機構の前記第二の縁辺は前記支持構造に固定され、それによって前記第二の縁辺は前記圧縮機構が係合する際に前記支持構造に関して移動しない、支持構造と、
を含む、円筒型電池プレスシステム。
【請求項20】
前記圧縮機構は使用者が作動させる延長部を含み、前記延長部により力が前記圧縮機構に加えられて、前記圧縮機構の前記第一の縁辺を前記圧縮機構の前記第二の縁辺に向かって移動させる、請求項1に記載の円筒型電池プレスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2019年5月14日に出願された“Isostatic Press Devices and Processes for Cylindrical Solid-State Batteries”と題する米国特許出願第16/412,338号の優先権を主張する。本願は、2018年12月11日に出願された“Hydraulic Isotropically-Pressurized Battery Modules”と題する米国特許出願第16/217,002号、及び2018年12月11日に出願された“Hydraulic Isostatic Press Processes for Solid-State Batteries”と題する米国特許出願第16/217,010号に関する。上述の出願の開示全体をあらゆる目的のために参照によって本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
背景
[0002] 電池セルのタイプによっては、各電池セルに、その電池セルを電源とする装置に取り付ける前にかなり高い圧力をかけると、より有効に機能するものがある。圧力によってアノード、セパレータ層、及び/又はカソード間の接触表面積の量が増大し得、又は、圧力によってアノード、電解質、及び/又はカソード間の接触表面積の量が増大し得る。このような圧力は、製造プロセスの一環として加えられてよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
[0003] 本明細書では、円筒型電池セルを圧縮するための様々な配置が提示される。円筒型電池セルは緩衝材により包囲されてよい。緩衝材は、光輪の形状の断面を有していてよい。緩衝材は圧縮機構を使って圧縮されてよい。圧縮機構の第一の縁辺は圧縮機構の第二の縁辺に向かって移動してよく、それによって圧縮機構の中の第一の円筒型空洞の容積が減少する。緩衝材は、緩衝材に加えられた圧力を円筒形の電池セルの湾曲した側壁に均一に分散させ得る。円筒型電池セルは、緩衝材が圧縮機構を使って圧縮されている間に加熱素子を使って加熱されてよい。圧縮機構はその後、係合が解除されてよい。圧縮機構の係合が解除された後、円筒型電池セルは緩衝材から取り出されてよく、それによって円筒型電池セルは半活性化状態の円筒型電池セルとなる。
【0004】
[0004] このような円筒型電池セルの実施形態は、以下の特徴の1つ又は複数を含んでいてよい:圧縮機構を使って緩衝材を圧縮することは、圧縮機構の延長部が使用者によって作動されて力を加えることを含んでいてよい。温度センサは、緩衝材と円筒型電池セルとの間に取り付けられてよい。円筒型電池セルを加熱することは、温度センサを使って行われる温度測定に基づいて制御されてよい。加熱素子は、圧縮機構と緩衝材との間に位置付けられてよい。円筒型電池セルは、ジェリーロール型固体電池セルであってよい。緩衝材は、緩衝材の外周に加えられる0.1~10MPaの圧力を使って圧縮されてよい。円筒型電池セルを加熱することは、加熱素子が60℃~250℃まで発熱することを含んでいてよい。
【0005】
[0005] 幾つかの実施形態において、円筒型電池プレスシステムが提示される。ジェリーロール型固体円筒型電池セルが提示されてよい。システムは圧縮機構を含むことができ、これは、係合すると、圧縮機構の第一の縁辺を圧縮機構の第二の縁辺に向かって移動させ、それによって圧縮機構の中の第一の円筒型空洞の容積を減少させる。システムは、光輪形状の断面を有する半硬質の緩衝材を含むことができ、半硬質の緩衝材は圧縮機構の第一の円筒型空洞の中に取り付けられる。半硬質の緩衝材は第二の円筒型空洞を画定し得、その中にジェリーロール型固体円筒型電池セルが取り付けられる。システムは加熱素子を含むことができ、これは半硬質緩衝材の外周の少なくとも一部を包囲し、圧縮機構が係合状態にあるときに熱を出力するように構成される。システムは支持構造を含むことができ、圧縮機構の第二の縁辺は支持構造に固定され、それによって、圧縮機構が係合する際に第二の縁辺は支持構造に関して移動しない。幾つかの実施形態において、圧縮機構は使用者が作動する延長部を含み、延長部によって圧縮機構に力が加えられて、圧縮機構の第一の縁辺が圧縮機構の第二の縁辺に向かって移動する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図面の簡単な説明
図1】[0006]円筒型電池プレスシステムのある実施形態を示す。
図2】[0007]係合が解除された円筒型電池プレスシステムの断面のある実施形態を示す。
図3】[0008]係合状態の円筒型電池プレスシステムの断面のある実施形態を示す。
図4】[0009]円筒型電池プレスシステムを使って円筒型電池セルを圧縮する方法のある実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
[0010] 電池セルのタイプによっては、製造プロセス中又はその後に、その電池セルが電源として使用されるシステムの中に取り付ける前に圧力及び熱を加えることから利益を得るものがあり得る。圧力と熱の付与は、固体電池セルのアノード、固体電解質、及びカソード又は電池セルのアノード、セパレータ、及びカソード間の接触面の量を増大させるのに役立ち得る。
【0008】
[0011] 電池セルはジェリーロール型電池セルであってよい。ジェリーロール電池セルは複数の柔軟な層で製作され、これらは積層されてから円筒状に巻かれる。ジェリーロール型電池セルの巻かれた層は次に、円筒型ハウジングの中に挿入され、アノード及びカソードとのコンタクトが追加されてよい。円筒型ハウジングは柔軟なパウチであってよい。パウチは硬質ではなくてよいため、パウチの外表面に加えられる圧力は内側層に伝えられ得る。非固体電池の場合、液体又はゲル電解質が円筒型ハウジングに追加されて、アノード、カソード、及び分離層に吸収されてよい。
【0009】
[0012] 電池セルが巻かれてパウチに挿入されると、圧力と熱が電池セルに加えられて、電池セルの巻かれた層と層の間の接触表面積の量が増大し得る。圧力と熱は円筒型パウチの湾曲した表面に加えられてよい。圧力と熱は、円筒型パウチの底面(すなわち、端)には加えられなくてよい。
【0010】
[0013] 円筒型電池プレスシステムが使用されてよく、これは圧力を円筒型パウチ電池セルの湾曲した側壁に沿って均一に、又はほぼ均一に分散させる。圧力が加えられている間に、システムは熱も加え得る。例えば、0.1~10MPaの圧力がシステムによって円筒型電池パウチの湾曲した側壁に加えられている間に、パウチは100℃又はそれ以上まで加熱されてよい。システムは、圧力と熱を電池セルの円筒形の側壁に均一に、又はほぼ均一に分散させてよく、液体を使って熱と圧力を分散させなくてよい。むしろ、耐熱性ゴムであってよい緩衝材が圧縮機構と電池セルとの間の界面としての役割を果たしてよい。この緩衝材は、圧力と熱を電池セルに均等に分散させるのを助け得る。液体を使って熱と圧力を分散させないことによって、電池セルを挿入し、取り外し、洗浄することが(その必要があったとしても)より簡単になり得る。液体が使用される場合、電池セルの外表面を完全に乾燥させる必要があり得る。さらに、液体を使用するシステムにおいては、時々液体を浄化し、交換し、又は補充する必要があり得る。
【0011】
[0014] 円筒型電池プレスシステムに関するその他の詳細を図面に関して提供する。図1は、円筒型電池プレスシステム100のある実施形態を示す。円筒型電池プレスシステム100は、圧縮機構110と、加熱素子120と、緩衝材130と、円筒型パウチ電池セル(「電池セル」とも呼ばれる)140と、温度センサ150と、支持構造160と、プラットフォーム170と、を含むことができる。
【0012】
[0015] 圧縮機構110は、ほぼ円筒形の形状であってよく、光輪に似た断面を有していてよい。圧縮機構110の湾曲した側壁に沿ったギャップが存在してよい。このギャップの各々の側に縁辺111と縁辺112がある。縁辺111が縁辺112に向かって移動されることによって、圧縮機構110内の容積は減少され得る。したがって、縁辺111が縁辺112から離れているとき、圧縮機構内の容積はより大きく、それによって緩衝材及び/又は電池セル140を取り付けることができる。縁辺111が縁辺112に近付くと、圧縮機構110内の容積はより小さくなり、それゆえ、緩衝材130に、そして緩衝材130を通して電池セル140に圧力が加えられる。
【0013】
[0016] 圧縮機構110は半硬質材料、例えば硬質ゴム、プラスチック、又は金属層等から形成されてよい。圧縮機構110は、縁辺111が縁辺112に向かって押される、又は引っ張られることによって部分的に変形し得る。幾つかの実施形態において、縁辺112は支持構造160に固定されてもよい。縁辺111は金属バー等の延長部に接続されていてよく、それによって使用者は手で金属バーを押すか、又は引いて、縁辺111を縁辺112に向かって移動させることができる。他の実施形態において、油圧ポンプ又は電気モータを使って縁辺111を縁辺112に向かって移動させてもよい。
【0014】
[0017] 緩衝材130は、電池セル140の周囲を包囲してよい。緩衝材130は、半硬質材料、例えば耐熱性ゴムであってよい。幾つかの実施形態において、緩衝材130は、内部に液体が満たされたゴム又はその他の形態の柔軟な外皮であってよい。緩衝材130は、断面で見たときに概して光輪の形状であってよい。この光輪の形状は、その中央に空洞を画定し、その中に電池セルをセットできる。緩衝材130は、圧縮機構110により加えられた圧力を電池セル140に伝える役割を果たしてよい。緩衝材130は、圧縮機構110により加えられた圧力を、電池セル140の湾曲した側壁に加えられる圧力が均一又はほぼ均一になるように分散させるのを助け得る。幾つかの実施形態において、緩衝材130はまず電池セル140の周囲を包囲する。幾つかの実施形態において、緩衝材130はシート状の緩衝材であってよく、その中に電池セルが巻かれる。したがって、ジェリーロール型電池セル自体がジェリーロール状の緩衝材の中にあってよい。緩衝材130は、圧縮機構110と共に取り付けられてよい。
【0015】
[0018] 緩衝材130と圧縮機構110との間に加熱素子120があってよい。加熱素子120は概して円筒形の形状であってよく、湾曲した側壁に沿ったギャップを有していてよく、これは圧縮機構110のギャップと一致する。加熱素子120は抵抗ヒータであってよく、それによって、電流が加熱素子120に印加されると発熱する。幾つかの実施形態において、加熱素子120は250℃まで発熱できる。加熱素子120が出力する熱の量は、温度センサ150の出力に基づいて制御されてよい。温度センサ150は、電池セル140と緩衝材130との間に位置付けられてよい。したがって、温度センサ150は電池セル140の外表面の温度を示してよい。幾つかの実施形態において、電池セル140は100℃まで加熱されることが望ましいかもしれない。加熱素子120を使ってより高い温度を付与することにより、電池セル140をその表面において100℃までより素早く加熱することが可能となり得る。外部加熱コントローラ(図示せず)は、温度センサ150からの温度測定値を受け取り、加熱素子120により生成される熱の量を制御してよい。
【0016】
[0019] 縁辺112が支持構造160に固定され、それが今度はプラットフォーム170に固定されているとき、縁辺111は自由な状態のままであってよい。縁辺111が支持構造160及びプラットフォーム170から自由な状態のままであることにより、縁辺111は縁辺112に向かって移動されてよく、それゆえ圧縮機構110をわずかに変形させる。縁辺111に力が加えられなくなると、圧縮機構110は再び自然な形状へと膨張し、圧力は電池セル140に加えられなくなり得る。理解すべき点として、縁辺111に加えられる力は縁辺111の付近に加えられ、必ずしも正確に縁辺111に加えられるとはかぎらない。しかしながら、このような力が加えられるのが縁辺111に近いほど、緩衝材130に加えられた圧力はより均一に分散され得る。同様に、理解すべき点として、縁辺112を支持構造160に直節固定することができるが、むしろ、圧縮機構110の縁辺112に近接する部分を支持構造160に固定してもよい。ここでも再び、圧縮機構110の、支持構造160に固定される部分が縁辺112に、緩衝材130に加えられた圧力はより均一に分散され得る。
【0017】
[0020] 電池セル140は固体バッテリであってよい。使用される電解質層は、Liイオン導電性ポリマ又は、硫黄/酸化物系固体電解質であってよい。このような電解質を使用する電池セルの出力密度は、電解質、アノード、及びカソード間の接触量が多いことによって増大されてよい。その他の実施形態では、異なる種類の電池セル140が使用されてもよい。
【0018】
[0021] 図2は、係合が解除された状態の円筒型電池プレスシステムの断面200の実施形態を示している。断面200は、図1の円筒型電池プレスシステム100の断面を表すことができる。断面200は、圧縮機構110が係合を解除された状態である実施形態を表す。すなわち、圧縮機構110は緩衝材130にほとんど、又は全く圧力を加えていない。加熱素子120は係合していないかもしれない。ギャップ201は、延長部210に力が加えられないため、(図3と比較して)より大きい。
【0019】
[0022] 図2からわかるように、電池セル140と緩衝材130の内面131との間にわずかなエアギャップがあってよい。力220は使用者が延長部210を縁辺112に向かって押す、又は引くことによって加えられてよい。他の実施形態では、油圧システム又は電気モータが力を延長部210又は圧縮機構110との何れかのその他の接続部に加えてよい。
【0020】
[0023] 図3は、係合した円筒型電池プレスシステムの断面300のある実施形態を示す。断面300は、図1の円筒型電池プレスシステム100の断面を表すことができる。断面300は、力が延長部210に加えられたときの図2の実施形態を表すことができる。断面300は、圧縮機構110が係合している実施形態を表す。すなわち、例えば0.1~10MPaの圧力が圧縮機構110から緩衝材130に加えられている。加熱素子120は、例えば60℃~250℃の熱を出力していてよい。ギャップ301は、力が延長部210に加えられているため、(図2のギャップ201と比較して)より小さい。
【0021】
[0024] 断面300において、延長部210は力320によって、縁辺111を縁辺112に近付けるように移動される。この移動により、圧縮機構110の内部容積が減少する。圧縮機構110は、加熱素子120を通じて、緩衝材130の外周に沿って圧力を加える。緩衝材130はこの圧力を、圧力矢印310で示されるほぼ均一な分布で、電池セル140に伝える。したがって、電池セル140は緩衝材130によりその湾曲した円筒形の側壁の全体が締め付けられている。縁辺111が縁辺112に向かって近付くにつれて、緩衝材130上に生じ得る圧力の量が大きくなり、それゆえ、電池セル140の湾曲した側壁に加えられる圧力の量も大きくなる。
【0022】
[0025] 圧力が電池セル140に加えられている間に、熱が加熱素子120によって出力されて、緩衝材130を介して電池セル140に伝えられてよい。緩衝材130の外周は、電池セル140が加熱される予定の温度よりかなり高い温度まで発熱して、電池セル140をより素早く加熱してもよい。
【0023】
[0026] 図1~3に関して詳細に説明したシステムを使って様々な方法が実行されてよい。図4は、円筒型電池プレスシステムを使って円筒型電池セルを圧縮するための方法400のある実施形態を示す。方法400は、図1~3のシステムを使って実行されてよい。ブロック405で、概して円筒形状であるパウチ電池セルは緩衝材で包囲されてよい。電池セルは、複数のシート状の電池セルを一緒に巻くことによってジェリーロール形状にされている固体電池であってよい。電池セルを活性化するために、電池セルを圧迫し、加熱して、アノード、カソード、及び固体電解質間の接触量を増やす必要があり得る。幾つかの実施形態において、緩衝材は耐熱性ゴムである。緩衝材は、柔軟なシートの形態であってよく、その中に緩衝材を巻くことができる。他の実施形態において、電池セルはすでに電池セルを収容するための中央の空洞を有する円筒の形態である緩衝材の中にスライドさせて入れられてもよい。
【0024】
[0027] ブロック410で、温度モニタが電池セルの表面付近に取り付けられてよい。温度モニタは、電池セルが包囲されつつあるときに緩衝材で包囲されてよい。代替的に、温度モニタは、電池セルが緩衝材により包囲されたか、又はその中に挿入された後に、電池セルと緩衝材との間にスライドさせてもよい。また別の実施形態において、温度モニタは円筒型電池セルの露出した底面に沿って設置されてよく、それによって温度モニタは緩衝材と円筒型電池セルの湾曲した側壁との間にない。
【0025】
[0028] ブロック415で、熱を加えるために加熱素子が活性化されてよい。幾つかの実施形態において、ブロック420がブロック415と同時に、又はその前に実行される。加えられる熱の量は、温度モニタを使って行われる測定によって制御されてよい。幾つかの実施形態において、電池セルの表面は60℃~150℃まで加熱することが望ましいかもしれない。これを行うために、加熱素子は60℃~250℃まで発熱してよい。加熱素子は、緩衝材を均等に加熱してよく、それによって熱は円筒型電池セルの湾曲した側壁に均一に、又はほぼ均一に伝えられる。
【0026】
[0029] ブロック420で、圧縮機構が係合されてよい。圧縮機構の係合は、幾つかの実施形態において、加熱するように加熱素子をトリガする。幾つかの実施形態において、ブロック415はブロック420と同時に、又はその後で実行される。圧縮機構の係合は、使用者が圧縮機構に取り付けられたバー又はその他の形態の延長部を手で押すか、又は引くことによって行われてよい。例えば、図2を参照すると、延長部210は縁辺112に向かって時計回り方向に回転されてよい。この移動により、圧縮機構の内容積は減少し得る。この容積の減少により、緩衝材の湾曲した外表面に圧力がほぼ均一に加えられ始める。幾つかの実施形態では、使用者が手で力を加えるのではなく、モータ、エンジン、又は油圧システムが圧縮機構を係合させてよい。加熱素子が圧縮機構と緩衝材との間に位置付けられているため、圧縮機構の係合によって緩衝材と加熱素子との間の接触量が増大し得る。幾つかの実施形態において、ラッチがあってよく、それによって圧縮機構が係合したら、ラッチをかけて、圧縮機構を係合位置に保持することができる。
【0027】
[0030] ブロック425で、圧縮機構が係合し、緩衝材を締め付けている状態であるため、緩衝材が円筒型パウチ電池セルに圧縮圧力をさらに均一に分散させてよい。電池セルは、例えば0.1~10MPaの圧力で湾曲側面全体の周囲で締め付けられてよい(その底部の各々では締め付けられない)。圧力が加えられている間に、熱は緩衝材を通じて電池セルに均一に、又はほぼ均一に伝えられてよい。熱は、温度モニタによって行われる温度測定に基づいて温度コントローラにより制御されてよい。ブロック425の圧力は、ある時間、例えば30秒~5分間にわたり継続して加えられてよい。
【0028】
[0031] ブロック430で、圧力と熱の付加が停止されてよい。圧縮機構は係合が解除されてよく、それによって圧力は圧縮機構によって緩衝材に加えられなくなり、それゆえ、圧力は電池セルに伝えられなくなる。幾つかの実施形態において、延長部は反時計回り方向に回転させるか、又は時計回り方向の力の付加を停止してもよい。幾つかの実施形態において、圧縮機構を係合位置に保持するラッチが解除されてもよい。加熱素子は、ブロック430の中で熱出力を停止してよい。
【0029】
[0032] ブロック435で、圧縮された電池セルが圧縮機構から取り出されてよい。圧縮された電池セルが緩衝材に包囲されている場合、緩衝材が巻かれた状態又は包囲している状態から開かれてよく、それによって電池を回収できる。他の実施形態では、電池セルは緩衝材の中央で円筒型空洞からスライドさせて取り出されてよい。方法400のプロセスはすると、圧縮されていない他の電池セルについて行われてよい。この圧縮された電池セルは「半活性化」状態と考えられてよい。完全に活性化させるためには、電池セルは少なくともある量の圧力(大気圧より高い)及び/又はある量の熱(周囲温度より高い)を提供する電池モジュールの中に取り付ける必要があり得る。
【0030】
[0033] 半活性化状態の電池は、密封可能なハウジングの中に取り付けられてよく、その中で電池セルは充電及び放電されることになる。このハウジングは、方法400に使用される圧縮システムとは別個のものである。ハウジングは、電池モジュールの一部として機能してよい。このような密封可能なハウジングは、車両に搭載されて位置付けられてよい。電池セルが密封可能なハウジング内に取り付けられると、密封可能なハウジングは電池セルと共に密封されてよい。オイル等の液体が密封可能なハウジングの中にあってよく、それによって電池セルの周囲の空間の全部又は一部が液体により占有される。電池セルがハウジングに挿入された後、密封可能なハウジング内の液体の量は満杯になるまで補充されても、又は液体の全量が加えられてもよい。
【0031】
[0034] ハウジング内の液体は、例えばポンプを使って加圧されてもよい。液体が所望の圧力まで加圧されたら、密封可能なハウジングは、おそらく永久的に密封されてよい。これで電池セルは活性化されたと考えられてよい。そのため、圧力は密封可能なハウジングが圧力の漏出を阻止することによって保持されてよい。生じた圧力は、方法400のブロック420で加えられた圧力より低圧であってよい。同様に、ハウジング内の液体は、例えば1つ又は複数の加熱素子を使って加熱されてもよい。生じた熱はブロック415で加えられた熱より少なくてよく、それによって動作温度は、電池がブロック415で活性化されたときの温度より低い。熱は、電池を所望の温度動作範囲内に保つために加えられてよい。
【0032】
[0035] すると、活性化された電池セルには充放電サイクルが行われ、それによって、等方圧加圧環境内にある活性化された電池セルは発電し、これを電気自動車等のシステム又は機器の動力として使用できる。
【0033】
[0036] 上述の方法、システム、及び機器は例である。各種の構成では、様々な手順若しくは構成要素を適切に省き、置換し、又は追加してもよい。例えば、代替的な構成において、方法は、記載されているものとは異なる順番で行われてよく、及び/又は各種のステージを追加し、省き、及び/又は組み合わせてもよい。また、特定の構成に関して記載された特徴を、他の様々な構成で組み合わせてよい。構成の異なる態様と要素を同様の方法で組み合わせてもよい。また、技術は進歩し、それゆえ、要素の多くは例であり、本開示又は特許請求項の範囲を限定しない。
【0034】
[0037] 説明の中では具体的な詳細事項を提示して、例示的な構成(実装を含む)をよく理解できるようにしている。しかしながら、構成はこれらの具体的な詳細事項がなくても実施されてよい。例えば、よく知られている回路、プロセス、アルゴリズム、構造、及び技術は、構成を曖昧にしないようにするために、不必要な詳細事項を含めずに示されている。この説明は、例示的な構成を提供しているにすぎず、特許請求項の範囲、適用可能性、又は構成を制限しない。むしろ、構成に関する上述の説明は、当業者に対し、記載の技術を実装することを可能にする説明を提供する。本開示の主旨又は範囲から逸脱することなく、要素の機能や配置において様々な変更を加えてよい。
【0035】
[0038] また、構成は、フロー図又はブロック図として描かれるプロセスとして説明され得る。各々は動作を連続プロセスとして説明し得るが、動作の多くは並行して、又は同時に行うことができる。それに加えて、動作の順序は配置し直してもよい。プロセスは、図に含まれない追加のステップを有していてもよい。
【0036】
[0039] 幾つかの例示的な構成を説明したが、本開示の主旨から逸脱することなく、様々な改良、代替的な構成、及び等価物を使用してもよい。例えば、上述の要素はより大きなシステムの構成要素であってもよく、本発明の適用には他のルールを優先しても、又はそれ以外に変更してもよい。また、上述の要素を考慮する前、考慮しているとき、又は考慮した後に多くのステップがとられてもよい。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】