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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(54)【発明の名称】高圧予圧ポンプおよび流体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 9/14 20060101AFI20220715BHJP
   F04B 53/10 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
F04B9/14
F04B53/10 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021567801
(86)(22)【出願日】2020-05-11
(85)【翻訳文提出日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 FR2020050764
(87)【国際公開番号】W WO2020229758
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】1905010
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502343252
【氏名又は名称】アプター フランス エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】APTAR FRANCE SAS
【住所又は居所原語表記】Lieu-dit Le Prieure,27110 Le Neubourg,France
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】プチ リュドビック
【テーマコード(参考)】
3H071
3H075
【Fターム(参考)】
3H071AA01
3H071BB05
3H071CC32
3H071DD12
3H071DD13
3H071DD32
3H075AA01
3H075BB03
3H075BB13
3H075BB22
3H075CC33
3H075DA03
3H075DA04
3H075DA09
3H075DB13
3H075DB43
(57)【要約】
【課題】従来のポンプと比較してより大きな圧力で流体を吐出するポンプを提供する。
【解決手段】出口弁部品(39)は、作動中はポンプチャンバー(5)内で気密に摺動すると、入口弁部品(10)が入口弁(11)の閉鎖後にポンプ本体(3)のスリーブ(9)内を摺動する。スリーブ(9)はポンプチャンバー(5)よりも縮径されており、非圧縮性の流体に加わった圧力の作用によって入口弁部品(10)が押し下げられて、バネ(20)を圧縮する。作動終了時に通路手段(40)と非気密に共働して出口弁(12)を開放して、ポンプチャンバー内の流体の吐出を可能にすると、ばね(20)は、流体を吐出させた後、ピストン(1)を休止位置に復帰させる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動ロッド(2)に固定されたピストン(1)であって、かつ入口弁(11)と出口弁(12)との間に画定されたポンプチャンバー(5)を有するポンプ本体(3)内を滑通するピストン(1)を備え、流体を吐出する高圧予圧ポンプであって、
前記出口弁(12)は、作動中に、前記ポンプチャンバー(5)内で気密に摺動する出口弁部品(39)を備え、
前記ポンプチャンバー(5)は通路手段を備え、前記ポンプの作動の終わりに、前記出口弁部品(39)が前記通路手段(40)と非気密に共働して前記出口弁(12)を開放し、前記ポンプチャンバー内に収容された流体の吐出を可能にし、
前記入口弁(11)は入口弁部品(10)を備え、前記入口弁部品(10)は前記入口弁(11)の閉鎖後に前記ポンプ本体(3)のスリーブ(9)内を摺動し、
前記スリーブ(9)は、第1に前記入口弁部品(10)を支持し、第2に前記スリーブ(9)の底部を支持するスプリング(20)を収容し、
前記スプリング(20)は、流体の吐出に加えて、ピストン(1)を休止位置に復帰させ、
前記スリーブ(9)は、4.2mm未満、有利には4mm未満、好ましくは3.9mmの内径を有し、
前記スプリング(20)は、少なくとも20N、有利には少なくとも25Nの力を有し、その結果、前記ポンプは、少なくとも15バール、有利には少なくとも20バールの圧力(P)で前記流体を吐出することを特徴とする高圧予圧ポンプ。
【請求項2】
前記ポンプチャンバー(5)の側壁を補強するために、前記ポンプ本体(3)にスリーブ(50)が挿入されている
ことを特徴とする請求項1に記載の高圧予圧ポンプ。
【請求項3】
前記スリーブ(50)は、前記出口弁(12)の前記通路手段(40)を規定する肩部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の高圧予圧ポンプ。
【請求項4】
前記ポンプ本体(3)と前記スリーブ(50)との間に、有利には、前記ポンプ本体(3)の半径方向フランジと、前記スリーブ(50)の半径方向フランジとの間に、例えば超音波を用いた、封止溶接部(55)が設けられている
ことを特徴とする請求項2または3に記載のポンプ。
【請求項5】
前記出口弁部品(39)は、前記ピストン(1)に固定されている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の高圧予圧ポンプ。
【請求項6】
前記入口弁部品(10)が摺動するポンプ本体(3)の前記スリーブ(9)は、外部補強リッジ(90)を含む
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の高圧予圧ポンプ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のポンプを含む
ことを特徴とする流体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の吐出オリフィスを有するスプレーノズルと、流体の量を測定して吐出するポンプとを含む流体吐出装置に関し、特に、少なくとも15バールの高圧で流体を吐出する予圧ポンプと、その組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の吐出オリフィスまたは吐出口を有する吐出ノズルを備えた流体吐出装置については、特許文献1、2がよく知られている。これらの文献では、吐出口の口径は一般に8~20μmである。特許文献1では、ノズルは、7バール未満の圧力で流体をノズルに供給する予圧ポンプに取着されている。特許文献2では、ノズルは、圧力が2~7バールのポンプ、または圧力が6~13バールの推進ガスで作動する加圧バルブのいずれかに取着されている。ノズルによっては、特に吐出口の口径が5μm未満の場合、これらの圧力は装置の最適な動作を保証するには十分でない恐れがある。さらに、ユーザーおよび/または環境に有害たり得る、弁からの推進剤ガスを回避するために、予圧ポンプを使用することが望ましい場合がある。特許文献3~5は、マイクロホールを備えたノズルの他の例が記載されている。
【0003】
特許文献6~9には、ユーザー操作の速さおよび/または強さとは独立して流体を吐出するポンプが開示されている。ポンプの作動中、スプリングは、ポンプチャンバーの内側に発生した圧力によって圧縮され、該スプリングは、出口弁の開放後の作動終了時に解放される。その結果、ポンプチャンバーに貯蔵されている流体が、ユーザー操作の速さとは独立して、該スプリングによって吐出される。典型的には、これらのポンプは、約6~7バールの圧力を送達する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第EP1878507号明細書
【特許文献2】国際公開第WO2018/100321号
【特許文献3】欧州特許出願公開第EP1698399号明細書
【特許文献4】国際公開第WO2015/194962号
【特許文献5】国際公開第WO2018/219798号
【特許文献6】国際公開第WO2014/125216号
【特許文献7】国際公開第WO0102100号
【特許文献8】国際公開第WO8704373号
【特許文献9】欧州特許出願公開第EP0265270号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上述の欠点を有さない装置及びポンプを提供することである。
【0006】
特に、本発明の目的は、高圧吐出するように手動操作される予圧ポンプを、いくつかの吐出オリフィスが設けられた吐出ノズルに取着することができる流体吐出装置を提供することである。
【0007】
本発明の目的は、従来のポンプと比較してより大きな圧力で流体を吐出するポンプを提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、製造および組み立てが簡単かつ容易であり、その使用において信頼性のあるポンプを提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、ユーザー操作の速さにかかわらず、作動ごとにポンプチャンバーの内容物の完全かつ再現可能な投与を保証するポンプを提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、貯蔵中および使用中のポンプの信頼性を改善し、一方、特に、作動中に高圧にさらされる部品の完全性を改善することができるポンプの組み立て方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このため、本発明は、流体を吐出するためのポンプであって、作動ロッドに固定され、入口弁と出口弁との間に画定されたポンプチャンバーを有するポンプ本体内で摺動するピストンを備え、前記出口弁は出口弁部品を有し、前記出口弁部品は作動中にポンプチャンバー内で気密に摺動し、前記ポンプチャンバーは通路手段を有し、ポンプの作動終了時に、出口弁部品は通路手段と非気密に協働して、出口弁を開放し、ポンプチャンバーに貯蔵された流体を吐出させ、前記入口弁は入口弁部品を有し、前記入口弁部品は入口弁の閉鎖後にポンプ本体のスリーブ内を摺動し、前記スリーブは縮径されており、ばね受けを第1に入口部品上に、第2にスリーブの底部上に有しており、前記ばねは更に流体を吐出するとともに、ピストンをその休止位置に戻し、前記ばねの直径は4.2mm未満であり、有利には4mm未満であり、好ましくは3.9mm未満であり、前記ばねの力Fは少なくとも20Nであり、有利には少なくとも25Nであることによって、前記ポンプは少なくとも15バール、有利には少なくとも20バールの圧力Pで流体を吐出する。
【0012】
有利には、スリーブをポンプ本体に挿入して、ポンプチャンバーの側壁を補強する。
【0013】
有利には、前記スリーブは、前記出口弁の通路手段を区画する肩部を有する。
【0014】
有利には、前記ポンプ本体と前記スリーブとは、有利には、その遠心方向フランジどうしが、例えば超音波を用いて、封止溶接される。
【0015】
有利には、前記出口弁部品が前記ピストン内に固定される。
【0016】
有利には、ポンプ本体の前記スリーブは、内部で前記入口弁部品が摺動し、外部に補強用の隆起部を有する。
【0017】
本発明はまた上述のようなポンプを備えた流体吐出装置に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明のこれらの特徴および利点ならびに他の特徴および利点は、非限定的な例として与えられる以下の詳細な説明から、および添付の図面を参照して、より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、従来技術に係るポンプの休止位置における概略断面図である。
図2図2は、上部ピストンの組み立て中の図1のポンプの要部断面図であ
図3図3は、1つの有利な実施の形態に係る流体吐出装置の概略断面図であ
図4図4は、図3に示すポンプの一部を拡大した詳細断面図であ
図5図5は、図3に示すポンプの別の一部を拡大した詳細斜視図である。
図6図6は、第1の有利な実施の形態に係るポンプの休止位置における概略断面図である。
図7図7は、第1の有利な実施の形態に係るポンプの概略断面図であって、作動ストロークの開始時を示す。
図8図8は、第1の有利な実施の形態に係るポンプの概略断面図であって、作動ストローク中を示す。
図9図7は、第1の有利な実施の形態に係るポンプの概略断面図であって、作動ストロークの終了時を示す。
図10図10は、本発明の有利な変形例に係るポンプの休止位置における断面図である。
図11図11は、本発明の有利な変形例に係るポンプの断面図であって、作動ストローク終了時を示す。
図12図12は、図6のポンプの一部を示す概略断面図であって、上部ピストンの組み立て中のものである。
図13図13は、図6のポンプの一部を示す概略断面図であって、上部ピストンの組み立て終了時のものである。
図14図14は、図6のポンプの一部を示す概略断面図であって、底部ピストンの組み立て中のものである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の異なる態様について、いくつかの実施の形態および変形例を参照して説明する。なお、本発明が、図面に示す実施の形態に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0021】
図1および図2は、特許文献7に記載された従来技術に係るポンプを示す。
【0022】
図1および図2を参照すると、この従来技術に係るポンプはポンプ本体3を備えている。ピストン1に固定されている作動ロッド2をユーザーが押圧すると、ポンプが作動して、ポンプ本体3内でピストン1が摺動する。ピストン1は、ポンプ本体3内の入口弁11と出口弁12とで区画されたポンプチャンバー5内を摺動する。固定リング4は、例えば、圧着やねじ止め、スナップ嵌めによって、ポンプをタンクに固定することができる。
【0023】
入口弁11は、ポンプの休止位置では開放されており、図1に見られるように、入口弁部品10からなっている。入口弁部品10は、ポンプの作動中に、ポンプ本体3内を移動したり、ポンプの開始位置においてはポンプ本体3の一部と協働して、入口弁を閉鎖したりする。前記入口弁部品10は、一端が有底の中空筒状になっており、中空筒状の開放端における縁部は、ポンプの作動開始から、ポンプ本体3のシリンダー9と気密に協働して、入口弁11を閉鎖する。ばね20は、一方では入口弁部品10の底壁を押圧し、他方ではポンプ本体3の一部を押圧する。
【0024】
出口弁12は出口弁部品39を有し、有利にはピストン1の下部リップによって形成されている。出口弁12は、ポンプが作動する間、ポンプの作動終了時にのみ開放され、ポンプチャンバー内から流体を吐出できるようなる。出口弁12の開放は、ポンプ本体の半径方向内側の肩部40に形成された通路手段によってなされる。通路手段40は、出口弁部品39が、ポンプの作動ストローク全体に亘ってポンプ本体3と気密に協働した後、作動ストロークの最後に通路手段40に到達したら、少なくともひとつの流路を閉鎖するために設けられている。
【0025】
ポンプチャンバー5内の流体は、ユーザー操作の速さとは関係なく、吐出される。このため、入口弁10は、ポンプの作動中に、ポンプチャンバー内の圧力を受けた入口弁部品10の移動によって圧縮されるばね20と協働する。ポンプの作動ストロークの最後に、出口弁12が開放された瞬間に、ばね20が圧縮から解放されると、このばね20によってポンプチャンバー内の流体が吐出される。有利には、入口弁11のばね20は、ポンプの戻しばねとしても作用し、流体が吐出された後、ピストン1を休止位置に復帰させる。
【0026】
図1および図2のポンプは、したがって、2つのピストンを備える。一方では、ピストン1の一部が出口弁を規定し、他方では、入口弁部品10が入口弁を規定するともに、作動中には、ポンプ本体3のシリンダー9の外表面に対してピストンとして作用する。
【0027】
図2では、組み立て中に、2つのピストンが上方から本体に組み立てられることが分かる。したがって、ピストン1の下部リップ39は、出口弁部品を構成しており、ポンプ本体3の入口に当接するので、このリップが弱体化するおそれがある。リップ39を図2における軸方向下方へ向けると、必然的に、半径方向外側端部が、組み立て中にポンプ本体と接触するので、気密になる。この部分がポンプ本体内に組み付けられる力に応じて、その一体性が変化し得るので、特に、高圧下では、機密性が低下する恐れがある。
【0028】
同様に、入口弁部品10もまたスリーブ9の周囲に組み立てられ、その封止リップは前記スリーブの上縁に当接する。繰り返しになるが、このリップの封止面が損傷すると、入口弁部品の気密性が変化する恐れがある。
【0029】
図1および図2に示した従来技術に係るポンプは、典型的には、約7バールの圧力を加える。この圧力Pは、式P=F/Sによると、ばねの力Fを、ばねの力Fが作用する面積Sで除算したものに等しい。図1および図2の例では、ばね20は、典型的には、力Fが13Nであり、面積Sは、スリーブ9の外径(典型的には4.9mm)に対応し、スリーブ9の周囲では作動中に入口弁部品10が移動するのだが、典型的には18.8mm2である。したがって、圧力Pは約7バールである。ばね20を交換して、例えば、力Fが25Nのばねを用いれば、圧力Pは約13バールに達し得る。しかしながら、幾つかの理由から、これを考慮することは現実的でない。一方では、その寸法上、図1に示すポンプにおいて、ばねの力Fを25Nにすると、とりわけ高齢者や虚弱なユーザーにとって、作動させるのが難しくなる。他方では、このように圧力を高くすると、2つのピストンで支持しきれなくなって、ポンプの組み立て中に封止リップが破損する恐れがあ(上記参照)。漏れや誤動作の危険性が高くなり過ぎると、作動ごとに流体を過不足なく吐出する信頼性が低下する。
【0030】
特に、本発明は、少なくとも15バール、有利には少なくとも20バールの圧力が加わるようにした予備圧縮ポンプを提供する。
【0031】
このため、図1および図2の従来技術に係るポンプの構造および動作を以下に説明するように変更する。図3から図14までにおいて、同一または類似の部分については同一の参照番号で示される。
【0032】
図1および図2のポンプのように、本発明に係るポンプは、ポンプ本体3を備える。ポンプ本体3においては、ユーザーが作動ロッド2を押圧し、作動ロッド2に固定されたピストン1を摺動させることによって、ポンプを作動させる。ピストン1はポンプチャンバー5内を摺動する。ポンプチャンバー5は、ポンプ本体3内で入口弁11と出口弁12との間に区画されている。固定リング4は、例えば、圧着、ねじ止めまたはスナップ嵌めによって、ポンプにタンクを固定してもよい。
【0033】
ポンプチャンバー5の側壁を補強するために、スリーブ50がポンプ本体3に挿入される。スリーブ50は、例えば一部を、固定リング4に固定してもよい。スリーブ50は、したがって、ポンプチャンバー5内に二重壁を形成し、作動中にポンプが高圧を加えることによって、ポンプチャンバー5の内側壁が変形しないようにしてもよい。スリーブ50は、半径方向の肩部を有し、肩部は出口弁40を規定する。有利には、図4に示すように、スリーブ50とポンプ本体3との間からの漏れを防ぐために、例えば、超音波を用いて、封止溶接部55が設けてもよい。封止溶接部55は、好ましくは、ポンプ本体3とスリーブ50を組み込んだ固定リング4とのそれぞれの半径方向フランジの間に設けられる。
【0034】
同様に、スリーブ9は、入口弁部品10と協働して、ポンプ本体3を軸方向下方に延伸し、入口弁部品10およびばね20を収容する。入口弁部品10は中実であり、周辺封止リップを有する。周辺封止リップは半径方向に延出する。休止位置においては、特に図6に示すように、これらの封止リップはスリーブ9と気密に協働せず、入口弁11が開放される。作動中は、ばね20を圧縮することによって、入口弁部品10がスリーブ9内で軸方向に摺動する。この摺動は気密に行われ、入口弁部品10の封止リップはスリーブ9と気密に協働する。
【0035】
スリーブ9はポンプ本体3に対して縮径している。有利には、特に図5および図7から図9に示すように、スリーブ9に外側補強隆起部90が設けられる。このようにすれば、スリーブ9の半径方向に小さくすることができ、典型的には、図1のポンプのスリーブ9の外径よりも内径を小さくすることができる。したがって、例えば、図6のポンプのスリーブ9の直径は、4.2mm未満であり、有利には4mm未満であり、好ましくは3.9mm未満である。
【0036】
ピストン1および出口弁部品39は一体形成してもよいが、好ましくは、図3および図6から図14に示すように、出口弁部品39は、ピストン1に固定される別個の部品によって形成される。この固定は無理嵌め、スナップ嵌め、ねじ止めまたは他の適当な固定方法を用いて行うことができる。ピストン1および出口弁部品39の封止リップは同じ方向に向いており、図6の位置では下方を向いている。
【0037】
本発明に係るポンプの特徴のひとつは、ピストン1および出口弁部品39がスリーブ50内で組み立てられることである。図1および図2のポンプとは対照的に、図12および図13に示すように、この組み立ては底部から行われる。したがって、このような組み立てによって、封止リップが弱体化することは無く、前記リップは組み立て方向とは反対の方向に向く。このようにして、封止リップの半径方向外側の表面がポンプチャンバー5のスリーブ50に前面接触することによって、封止リップが塑性変形することはないが、対照的に、封止リップが次第に半径方向内側に変形した結果、封止表面が急激な力を受けたり、そのために封止性能が変化したりする恐れがない。
【0038】
入口弁部品10の封止リップは、ピストン1の封止リップおよび出口弁部品39の封止リップとは逆方向に向いている。図14に示すように、入口弁部品10はポンプ本体のスリーブ9に情報から組み立てられる。このようにすれば、どの封止リップも組み立て中に損傷することはない。
【0039】
したがって、本発明に係るポンプは、ピストン1、出口弁部品39および入口弁部品10という、異なる封止部品の封止性能を実質的に改善する。
【0040】
したがって、より大きな力、典型的には少なくとも20N、有利には25Nを有するばねを使用することが可能になる。
【0041】
スリーブ9の内径が3.9mm、すなわち表面積が12mm2で、ばねが20Nの場合、圧力Pは約16.5バールに達する。25Nのばねでは、圧力は約21バールまで上昇する。
【0042】
したがって、本発明によれば、標準型の予備圧縮ポンプを提供することができるが、少なくとも15バールで、有利には約20バールの圧力で流体を吐出することができ、この圧力は、従来の標準ポンプよりも高く、推進ガスで作動する弁よりも高い。
【0043】
ばねが25Nで、表面積Sが12mm2のこのようなポンプの作動力は、60N未満であり、有利には約50Nまで許容することができる。
【0044】
本発明はまた、有利な組み立て方法を提供する。この組み立て方法は以下のステップを含む:
(a)作動ロッド2にピストン1を固定し、
(b)ポンプ本体3にポンプチャンバー5を設け、
(c)スリーブ50を設けて、有利には固定リング4に固定し、
(d)作動中にポンプチャンバー5内で気密に滑動する出口弁部品39を設け、
(e)ポンプ本体3のスリーブ9であって、かつ縮径されたスリーブ9内で滑動する入口弁部品10を設け、
(f)ばね20を設ける。
【0045】
この方法は更に以下のステップを含む:
(g)ピストン1内に出口弁部品39を固定し、
(h)ピストン1および出口弁部品39をスリーブ50内に挿入し、この挿入は底部から吐出時に流体が流通する方向に向かって行い、
(i)ばね20および入口弁部品10を縮径されたスリーブ9に挿入し、この挿入は上部から、吐出時に流体が流通する方向とは反対方向に行うことによって、ばね20をスリーブ9の底部と入口弁部品10との間に押し込み、
(j)ポンプ本体3にスリーブ50を挿入し、この挿入は上部から、吐出時の流体が流通する方向とは反対方向に行う。
【0046】
なお、ばね20および入口弁部品10を縮径されたスリーブ9に挿入するステップは、ピストン1および出口弁部品39をスリーブ50に挿入するステップよりも前に行ってもよい。
【0047】
ポンプの動作を図6から図9に示す。
【0048】
給紙位置においては、図6に示すように、入口弁11は解放されており、出口弁12は閉鎖されている。
【0049】
作動の開始時においては、図7に示すように、入口弁部品10およびスリーブ9の内側円筒面のリップが気密に協働することによって、入口弁11が閉鎖される一方、出口弁12は閉鎖され続ける。入口弁部品10がスリーブ9内を摺動すると、その影響でばね20が圧縮される。ポンプ本体3内に配設されたスリーブ50よりもスリーブ9が縮径されており、ポンプ室5内に収容された流体が非圧縮性であるため、ばね20の力が増大しているにもかかわらず、比較的容易にばね20を圧縮することができる。
【0050】
作動が終わりに近づくと、図8に示すように、出口弁部品39が出口弁の肩部40に近付いて、出口弁を開放する。
【0051】
図9は作動位置を示しており、出口弁が開放されると、ばね20が圧縮されなくなった影響で、ポンプチャンバー5の内容物が吐出される。このため、流体が少なくとも15バール、有利には少なくとも20バールの圧力で吐出される。
【0052】
図10および図11は、変形例を示し、第2のばね80を設けることによって、ユーザーの作動力が補助され、低減される。この変形例では、第2のばね80は、ピストン1の周りに有利に配置され、ピストンをその作動位置に向かって付勢する。したがって、第2のばね80はばね20に抗して作用するので、その力はばね20の力よりも小さくなければならない。
【0053】
このような第2のばね80を用いる場合には、例えば30Nより大きい力F、有利には35Nより大きい力F、例えば38Nのばね20を使用することが考えられる。このばね20は、表面積Sが12mm2の場合、25バールより大きい、有利には30バールより大きい、例えば32バールの圧力Pに到達することができる。
【0054】
有利には、ピストン1は、作動ロッド2の周囲に組み立てられた外側スリーブ2'に固定することができる。作動ロッド2自体は出口弁部品39に固定される。この実装は、図6から図9までの変形例にも適用することができる。
【0055】
本発明はまた、複数の吐出オリフィスを備えるスプレーノズルを取り付けられた、上述のようなポンプを備える流体製品分配装置に関する。
【0056】
例えば、特許文献2に記載されたマイクロホールノズルを使用する際には、ノズルの設計に応じて、特に、マイクロホールの直径が5μm未満、さらには2μm未満である場合に、典型的には15バールを超える高圧の流体が必要になる。本発明によれば、推進ガスを使用することなく、少なくとも15バール、有利には少なくとも20バールの圧力を保証することができる。
【0057】
図3に示すように、装置は、タンク100を収容する本体101を備え、タンク100上には、固定リング4を用いて、上記のようなポンプが取り付けられる。
【0058】
タンク100は、好ましくは、吸気口を有しない。有利には、変形可能なパウチ105が、前記タンク100の内側に固定され、前記パウチは、流体を収容し、流体が吐出されるにつれて変形する。好ましくは、パウチの充填は、真空下で行うことができる。この実装によれば、パウチ内に収容された流体のほとんど全てを吐出することができ、装置を任意の方向に向けて作動させることができ、パウチ内に収容された流体のいかなる汚染の恐れも回避することができる。パウチの変形例では、従動ピストンをタンク100に使用してもよい。
【0059】
場合によっては、吸気によって動作する装置を使用することもできる。その場合には、空気を濾過するためのフィルタが有利に設けられる。
【0060】
マイクロホールノズル200は、その動作については以下でより詳細に説明しないが、例えば、特許文献1~5に記載されているような任意の既知のタイプとしてもよく、本体101に固定された吐出チップ110内に配置される。この吐出チップ110は、例えば、マウスピースであってもよい。典型的には、ポンプによって吐出される流体は、複数の微小孔を設けたプレートに当たって、流体の噴霧を発生させる。
【0061】
ノズル200の微小孔の直径は、5μm未満、好ましくは2μm未満である。
【0062】
有利には、フィルタ150が、ポンプの出口とノズル200との間に介在する。このフィルタは、流体が異なるプラスチック部品を通過するときに流体によって輸送され得る不純物を濾過するために使用される。実際に、製造および組み立て工程において粒子が発生するリスクが依然として存在し、ノズルのマイクロホールを塞ぐリスクがある。
【0063】
有利には、本体101は、側部作動アーム160を備え、側部作動によってポンプを作動させることができる。
【0064】
言うまでもなく、本発明は、図面に示される実施形態に限定されず、本発明の範囲は、反対に、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本開示に係る高圧予圧ポンプは、少なくとも15バールの高圧で流体を吐出する予圧ポンプとして有用である。
【符号の説明】
【0066】
1…ピストン
2…作動ロッド
3…ポンプ本体
4…固定リング
5…ポンプチャンバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【図
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2021-03-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動ロッド(2)に固定されたピストン(1)であって、かつ入口弁(11)と出口弁(12)との間に画定されたポンプチャンバー(5)を有するポンプ本体(3)内を滑通するピストン(1)を備え、流体を吐出する高圧予圧ポンプであって、
前記出口弁(12)は、作動中に、前記ポンプチャンバー(5)内で気密に摺動する出口弁部品(39)を備え、
前記ポンプチャンバー(5)は通路手段を備え、前記ポンプの作動の終わりに、前記出口弁部品(39)が前記通路手段(40)と非気密に共働して前記出口弁(12)を開放し、前記ポンプチャンバー内に収容された流体の吐出を可能にし、
前記入口弁(11)は入口弁部品(10)を備え、前記入口弁部品(10)は前記入口弁(11)の閉鎖後に前記ポンプ本体(3)のスリーブ(9)内を摺動し、
前記スリーブ(9)は、前記ポンプチャンバー(5)よりも縮径されており、第1に前記入口弁部品(10)を支持し、第2に前記スリーブ(9)の底部を支持するスプリング(20)を収容し、
前記スプリング(20)は、流体の吐出に加えて、ピストン(1)を休止位置に復帰させ、
前記スリーブ(9)は、4.2mm未満、有利には4mm未満、好ましくは3.9mmの内径を有し、
前記スプリング(20)は、少なくとも20N、有利には少なくとも25Nの力を有し、その結果、前記ポンプは、少なくとも15バール、有利には少なくとも20バールの圧力(P)で前記流体を吐出することを特徴とする高圧予圧ポンプ。
【請求項2】
前記ポンプチャンバー(5)の側壁を補強するために、前記ポンプ本体(3)に第2のスリーブ(50)が挿入されている
ことを特徴とする請求項1に記載の高圧予圧ポンプ。
【請求項3】
前記第2のスリーブ(50)は、前記出口弁(12)の前記通路手段(40)を規定する肩部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の高圧予圧ポンプ。
【請求項4】
前記ポンプ本体(3)と前記第2のスリーブ(50)との間に、有利には、前記ポンプ本体(3)の半径方向フランジと、前記第2のスリーブ(50)の半径方向フランジとの間に、例えば超音波を用いた、封止溶接部(55)が設けられている
ことを特徴とする請求項2または3に記載のポンプ。
【請求項5】
前記出口弁部品(39)は、前記ピストン(1)に固定されている
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の高圧予圧ポンプ。
【請求項6】
前記入口弁部品(10)が摺動するポンプ本体(3)の前記スリーブ(9)は、外部補強リッジ(90)を含む
ことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の高圧予圧ポンプ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のポンプを含む
ことを特徴とする流体吐出装置。
【国際調査報告】