(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(54)【発明の名称】メタノールの合成のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
C07C 29/151 20060101AFI20220715BHJP
C07C 31/04 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
C07C29/151
C07C31/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568114
(86)(22)【出願日】2020-05-06
(85)【翻訳文提出日】2021-12-10
(86)【国際出願番号】 EP2020062572
(87)【国際公開番号】W WO2020229261
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】102019113003.4
(32)【優先日】2019-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514088943
【氏名又は名称】ティッセンクルップ インダストリアル ソリューションズ アクツィエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ThyssenKrupp Industrial Solutions AG
(71)【出願人】
【識別番号】501186597
【氏名又は名称】ティッセンクルップ アクチェンゲゼルシャフト
【住所又は居所原語表記】ThyssenKrupp Allee 1 45143 Essen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】フォン・ウィニング,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】クンツ,シーナ
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC41
4H006BD30
4H006BD33
4H006BD52
4H006BE20
4H006BE41
4H006FE11
(57)【要約】
本発明は、メタノール(1)の合成方法に関する。ここで、主に二酸化炭素からなるCO2流(2)、および主に水素からなるH流(3)は、メタノールへの変換のためにメタノール反応器アセンブリ(7)に供給され、未反応水素を含む残留ガス流(9)は、メタノール反応器アセンブリ(7)から回収され、未反応水素は、少なくとも部分的にメタノール反応器アセンブリ(7)にフィードバックされる。方法は、残留ガス流(9)が、未反応水素を含む戻り流(4)を回収するために水素回収アセンブリ(8)に供給されること、および戻り流(4)中の水素のモル比が、残留ガス流(9)中よりも高いことを特徴とする。本発明はまた、メタノール(1)の合成のための対応するシステムに関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタノール(1)を合成するプロセスであって、主に二酸化炭素からなるCO2流(2)、および主に水素からなるH流(3)が、メタノールへの変換のためのメタノール反応器装置(7)に供給され、未反応水素を含むテールガス流(9)が、前記メタノール反応器装置(7)から得られ、前記未反応水素が、少なくとも部分的に前記メタノール反応器装置(7)に戻され、前記テールガス流(9)を水素回収装置(8)に供給して、前記未反応水素を含む戻り流(4)を得ること、および前記戻り流(4)が主に水素からなることを特徴とする、プロセス。
【請求項2】
前記戻り流(4)をH流(3)として前記メタノール反応器装置(7)に供給すること、特に水素含有新鮮ガス流(26)を前記水素回収装置(8)に供給して、前記戻り流(4)を得ることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記H流(3)が、水素取得装置(27)からの新鮮ガス流(26)であること、および前記戻り流(4)が、メタノールへの変換のために前記メタノール反応器装置(7)への前記H流(3)にさらに戻されることを特徴とする、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記水素回収装置(8)が、圧力スイング吸着装置(18)(PSA)を含むこと、特に前記水素回収装置(8)が、前記テールガス流(9)から前記戻り流(4)を得るために圧力スイング吸着装置(18)(PSA)を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項5】
前記水素回収装置(8)が膜装置(22)を含むこと、特に前記水素回収装置(8)が、前記テールガス流(9)から前記戻り流(4)を得るために膜装置(22)を含むこと、好ましくは、前記テールガス流(9)を前記膜装置(22)に供給して、膜水素流(23)および膜テール流(24)を得ること、ならびに前記膜テール流(24)を前記圧力スイング吸着装置(18)に供給して、PSA水素流(25)を得ることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載のプロセス。
【請求項6】
前記メタノール反応器装置(7)からのさらなる未反応テールガスを含む再循環流(13)が、メタノールへの部分的変換のために前記メタノール反応器装置(7)に戻されること、好ましくは、前記再循環流(13)が、前記メタノール反応器装置(7)に戻される前に、再循環コンプレッサー装置(17)によって加圧されることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項7】
前記戻り流(4)が、特に前記再循環コンプレッサー装置(17)によって加圧される前に前記再循環流(13)に供給されることを特徴とする、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記メタノール反応器装置(7)が、前記テールガス流(9)および粗メタノール流(12)を得るためのメタノール分離装置(10)を備えること、特に前記再循環流(13)が、前記メタノール分離装置(10)から得られることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載のプロセス。
【請求項9】
前記メタノール反応器装置(7)が、プロセシングの実施において直列に接続されたメタノール合成のための多数の反応器ステージ(6a、b)を有すること、好ましくは前記メタノール分離装置(10)が、多数のメタノール分離器具(11a、b)を有し、前記多数のメタノール分離器具(11a、b)の各メタノール分離器具(11a、b)が、プロセシングの実施において前記多数の反応器ステージ(6a、b)の反応器ステージ(6a、b)の下流に接続されることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載のプロセス。
【請求項10】
粗メタノールサブストリーム(14a、b)、および未反応水素を含むステージテールガス流(15a、b)が、前記多数のメタノール分離器具の前記メタノール分離器具(11a、b)の各々から得られること、特に、前記多数の反応器ステージ(6a、b)の列の最後の反応器ステージ(6b)まで、前記メタノール分離器具(11a、b)の1つからの各ステージテールガス流(15a、b)が、プロセシングの実施において下流の反応器ステージ(6a、b)に供給されること、好ましくは前記粗メタノールサブストリーム(14a、b)が組み合わされて、前記粗メタノール流(12)を得ることを特徴とする、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記CO2流(2)および前記H流(3)が、好ましくは前記戻り流(4)もまた、前記多数の反応器ステージ(6a、b)の第1の反応器ステージ(6a)に供給されること、好ましくは加圧された再循環流(13)が前記第1の反応器ステージ(6a)に供給されることを特徴とする、請求項9または10に記載のプロセス。
【請求項12】
前記テールガス流(9)が、プロセシングの実施においてテールガス回収反応器ステージ(20)の下流に接続されたメタノール分離器具(11a、b)から得られ、前記テールガス回収反応器ステージ(20)が、プロセシングの実施において前記第1の反応器ステージ(6a)の下流に接続されていること、好ましくは前記テールガス回収反応器ステージ(20)が、プロセシングの実施において前記多数の反応器ステージ(6a、b)中の列の最後であることを特徴とする、請求項9~11のいずれか記載のプロセス。
【請求項13】
前記CO2流(2)および前記H流(3)が、好ましくは前記戻り流(4)もまた、前記メタノール反応器装置(7)に供給される前に、供給ガスコンプレッサー装置(5)によって加圧されること、好ましくは前記供給ガスコンプレッサー装置(5)が、プロセシングの実施において直列に接続された加圧用の多数のコンプレッサーステージ(21a~c)を有すること、特に前記H流(3)が、前記多数のコンプレッサーステージ(21a~c)の、前記CO2流(2)とは異なるコンプレッサーステージ(21a~c)間での加圧のために前記供給ガスコンプレッサー装置(5)に供給されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか記載のプロセス。
【請求項14】
前記CO2流(2)が本質的に二酸化炭素からなること、および/または前記H流(3)が本質的に水素からなることを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載のプロセス。
【請求項15】
メタノールを合成するためのプラントであって、主に二酸化炭素からなるCO2流(2)、および主に水素からなるH流(3)がメタノールへの変換のために供給されるメタノール反応器装置(7)を備え、未反応水素を含むテールガス流(9)が、前記メタノール反応器装置(7)から得られ、前記テールガス流(9)中の前記未反応水素が、少なくとも部分的に前記メタノール反応器装置(7)に戻され、前記プラントが、前記未反応水素を含む戻り流(4)を得るために前記テールガス流(9)が供給される水素回収装置(8)を有すること、および前記戻り流(4)が主に水素からなることを特徴とする、プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載のメタノールの合成のためのプロセス、および請求項15の前文に記載のメタノールの合成のためのプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
メタノールは、メタノール合成用の適切な反応器にガス流として供給される水素および炭素酸化物を反応物として使用する、発熱反応によって調製される。これらの物質は、様々な供給源から入手できる。
【0003】
第1の選択肢は、本質的に水素および炭素酸化物を含む合成ガスを得るために、炭素質エネルギー担体流を水蒸気改質、または例えば、接触部分酸化に供することである。エネルギー担体のタイプおよび合成ガスの生成様式に応じて、水素と炭素酸化物との種々の比率、つまり種々の化学量論が合成ガスにおいて達成される。結果として得られる化学量論は、次いで様々な手段によって、例えば水性ガスシフト反応に供することによって調整することができる。このアプローチの利点の1つは、エネルギー担体、例えば天然ガス自体を規則的に高圧で供給することができるため、メタノール合成に必要な圧力を達成するために合成ガスが得られた後、必要な圧力の増加が比較的小さいことである。
【0004】
メタノールの合成用の反応物を提供するためのさらなる選択肢は、高い二酸化炭素含有量を有し、水素を含まないガス流を使用することである。そのようなガス流は、例えば、煙道ガスから、すなわち、燃焼からのオフガスから得ることができる。そのようなガス流は、バイオエタノールを調製するためのプラントから得ることが同様に可能であろう。そのような煙道ガスはしたがって、水素を含まないので、この変形では、別の供給源、例えば電気分解から水素を供給する必要がある。
【0005】
通常、メタノールの合成では、反応物を含むガスは回路内を循環する。このガスが反応器を1度通過しても、典型的には、十分に実質的なメタノールへの変換には至らないからである。変換されたメタノールは、凝縮によって循環ガスから定期的に除去される。しかしながら、同時に、循環はまた、この凝縮によって十分に除去することができない不活性物質の蓄積をもたらす。これらの物質を回路から除去するために、循環ガスの一部を、例えば、その後燃焼させることができるパージガスとして除去する必要がある。
【0006】
本発明に最も近い国際公開第2014/173452A1号は、二酸化炭素流および分離した水素流からメタノールを合成するための、そのようなプロセスおよび対応するプラントを記載している。
【0007】
国際公開第2018/019875A1号も同様に、そのようなプロセスおよび対応するプラントを開示している。
【0008】
この先行技術の短所は、ガスが排出される場合、常に水素も除去されることである。したがって、この排出された水素は、メタノール合成から失われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2014/173452A1号
【特許文献2】国際公開第2018/019875A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、この先行技術から進展して、本発明の目的は、パージガス中の水素の割合を減らし、メタノール合成にとって比較的高価である水素の損失を最小限に抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の前文に記載のメタノールの合成プロセスに関して、この目的は、請求項1の特徴を記述する部分の機能によって達成される。請求項15の前文に記載のメタノール合成のためのプラントに関して、この目的は、請求項15の特徴を記述する部分の機能によって達成される。
【0012】
本発明は、メタノール反応器から除去する前のテールガスから水素を回収することができること、および回収された水素を次いでメタノール合成に戻すことができるという発見に基づいている。このようにして、水素はメタノール合成に利用され得、燃焼されるだけではない。
【0013】
提案されたプロセスは、メタノールの合成に役立ち、主に二酸化炭素からなるCO2流、および主に水素からなるH流が、メタノールへの変換のためにメタノール反応器装置に供給される。主に二酸化炭素からなるCO2流とは、CO2流の二酸化炭素のモル比が少なくとも50%であることを意味する。CO2流中の二酸化炭素のモル比は、好ましくは少なくとも95%、特に少なくとも99%である。主に水素からなるH流とは、対応して、H流中の水素のモル比が少なくとも50%であることを意味する。H流中の水素のモル比は、好ましくは少なくとも95%、特に少なくとも99%である。供給された物質は、通常、メタノールへ完全に変換されない。
【0014】
提案されたプロセスでは、未反応水素を含むテールガス流がメタノール反応器装置から得られ、未反応水素は少なくとも部分的にメタノール反応器装置に戻される。テールガス流は、未反応水素と同様に、未反応二酸化炭素、およびメタノール反応器装置内で、特に逆水性ガスシフト反応によって形成された一酸化炭素も含み得る。メタノール合成のためのテールガス流は、窒素、メタンおよび希ガスなどの不活性成分、ならびにジメチルエーテルなどの副生成物も同様に含み得る。メタノール反応器装置は、メタノールを合成するためのプラントに含まれることが好ましい。
【0015】
提案されたプロセスは、テールガス流を水素回収装置に供給して、未反応水素を含む戻り流を得ることを特徴とする。提案されたプロセスは、戻り流が主に水素からなるという点でさらに特徴づけられる。これは、戻り流内の水素のモル比が少なくとも50%であることを意味する。戻り流中の水素のモル比は、好ましくは少なくとも95%、特に少なくとも99%である。同様に、テールガス流内よりも戻り流内のモル水素含有量が高いことが好ましい。水素回収装置によって、水素が濃縮される。メタノールを合成するためのプラントは、好ましくは、水素回収装置を備える。
【0016】
パージ流はまた、水素回収装置から得られることが好ましく、そのパージ流は、テールガス流よりも水素のモル比が小さいことが好ましい。このように、パージ流を介して除去される水素の割合よりも戻される水素の割合のほうが大きくなる。原理上、パージ流は、任意のさらなる使用のために除去されてもよい。例えば、パージ流は、フレアまたは触媒後燃焼(catalytic postcombustion)に送られてもよい。
【0017】
パージ流は、物質を得るための化学プラントの焼成装置に燃料として供給されることが好ましい。得られる物質は、メタノール以外の物質である。この化学プラントは、好ましくは、メタノール合成のためのプラントに対して追加されたプラントである。しかしこの化学プラントは、提案されたメタノール合成用プラントと共通の装置、特に水素回収装置を有することができる。同様にこの化学プラントは、好ましくは、炭化水素出発流から物質を得るためのプラントである。代替的または追加的に、化学プラントは、炭化水素生成物流を回収するように設定されている。化学プラントの焼成装置からのエネルギーは、基本的にあらゆる目的に使用できる。焼成装置からのエネルギーは、プロセス流の加熱および/または蒸気の発生のために、化学プラントで使用されることが好ましい。化学プラントは、特にスチームクラッカー、水素プラント、または脱水素プラントであり得る。
【0018】
提案されたプロセスの好ましい実施形態は、戻り流がH流としてメタノール反応器装置に供給されることを特徴とする。このようにして、戻り流は、主に、さらには完全にメタノール合成のための水素を提供することができる。これは、特に水素回収装置がテールガス流だけでなく、1つまたは複数のさらなる水素含有流も供給される場合に可能である。戻り流は、その場合これらすべての水素含有流からの水素を含み得る。ここでは、水素回収装置が化学プラントに含まれている場合があり得る。したがって、そのような場合、メタノール合成用の化学プラントの水素回収装置から規則的に比較的少量の水素を分岐させることが可能であり、これはもちろん、メタノールの合成とは異なる目的を果たす。
【0019】
特に、水素含有新鮮ガス流を水素回収装置に供給して、戻り流を得る場合があり得る。水素含有新鮮ガス流は、特に水素取得装置、すなわち水素流を得るためのプラントから得ることができる。水素取得装置は、化学プラントに含まれ得る。このように、水素の回収のために二倍の活用も行う。
【0020】
しかし、戻り流からの水素に加えて、水素の新鮮ガス流がメタノール反応器装置に供給される場合もあり得る。提案されたプロセスの対応するさらに好ましい実施形態は、H流が水素取得装置からの新鮮ガス流であること、および戻り流がメタノールへの変換のために、メタノール反応器装置へのH流にさらに戻されることを特徴とする。このアプローチによって、水素回収装置の処理能力に対する要求が軽減される。水素取得装置は、電気分解によって水素を得るためのプラントを含み得る。メタノールを合成するためのプラントは、好ましくは、水素取得装置を備える。あるいは、化学プラントは、水素取得装置を含み得る。
【0021】
原理上、水素回収装置は、任意の技術原理に従って水素回収を実行することができる。提案されたプロセスの好ましい実施形態では、水素回収装置は、圧力スイング吸着(PSA)装置を含む。特に、水素回収装置が、テールガス流から戻り流を得るための圧力スイング吸着装置を含む場合があり得る。圧力スイング吸着装置は、同様に、パージ流を得るように設定することができる。そのような圧力スイング吸着装置は、戻り流の非常に高い純度を達成し、比較的小さな圧力降下に関連するので、戻り流は、メタノール合成のために小さい程度にまで再加圧されなければならない。提案されたプロセスのさらに好ましい実施形態では、水素回収装置は、さらなる圧力スイング吸着(PSA)装置を含み、さらなる圧力スイング吸着装置は、プロセシングの実施において圧力スイング吸着装置の下流に接続される。この場合、さらなる圧力スイング吸着装置の圧力スイング吸着装置からの排出流を、水素を含むさらなる戻り流を排出流から得るように設定することができ、その場合さらなる戻り流は、メタノールへの変換のためにメタノール反応器装置に送られる。
【0022】
提案されたプロセスのさらに好ましい実施形態では、水素回収装置は、膜装置を含む。特に、水素回収装置が、テールガス流から戻り流を得るための膜装置を含む場合があり得る。膜装置は、好ましくは、水素を分離するように設定される。
【0023】
あるいは、水素回収装置において水素回収の様々な様式を組み合わせることが可能である。例えば、好ましい変形では、テールガス流を膜装置に供給して膜水素流および膜テール流を得、膜テール流を圧力スイング吸着装置に供給してPSA水素流を得る。そのような場合、膜水素流またはPSA水素流のいずれかが戻り流を、それぞれの他方の流がさらなる戻り流を形成し得、その場合、さらなる戻り流が、メタノールへの変換のためにメタノール反応器装置に供給される。メタノールへの変換のために、両方の戻り流をメタノール反応器装置に供給することも可能である。あるいは、膜水素流とPSA水素流とを組み合わせて戻り流を得ることが可能である。
【0024】
提案されたプロセスのさらに好ましい実施形態では、膜水素流は、膜装置の低圧側から得られ、膜テール流は、膜装置の高圧側から得られる。したがって、膜水素流が膜テール流よりも低い圧力で得られる場合があり得る。
【0025】
戻り流と同様に、さらなる流をメタノール反応器装置に戻すことも可能である。提案されたプロセスの好ましい実施形態は、メタノール反応器装置の未反応テールガスをさらに含む再循環流が、メタノールへの部分的変換のためにメタノール反応器装置に戻されることを特徴とする。これは、テールガス流からの未反応テールガスに追加された未反応テールガスである。ここでは、再循環流は、メタノール反応器装置に戻される前に、再循環コンプレッサー装置によって加圧されることが好ましい。このようにして、メタノール反応器装置で形成された二酸化炭素およびすべての一酸化炭素の再循環も行われる。メタノールを合成するためのプラントは、好ましくは、再循環コンプレッサー装置を包含する。
【0026】
再循環コンプレッサー装置を使用して、戻り流を加圧することもできる。したがって、提案されたプロセスのさらに好ましい実施形態は、戻り流が再循環流に供給されることを特徴とする。より具体的には、戻り流は、再循環コンプレッサー装置による加圧の前に再循環流に供給され得る。
【0027】
提案されたプロセスの好ましい実施形態では、メタノール反応器装置は、テールガス流および粗メタノール流を得るためのメタノール分離装置を備える。同様に、再循環流がメタノール分離装置から得られることが好ましい。テールガス流が再循環流から分岐するので、メタノール分離装置からテールガス流を得ることができる。
【0028】
提案されたプロセスの好ましい実施形態では、粗メタノール流を蒸留に送ってメタノールを得る。メタノールを合成するためのプラントは、好ましくは蒸留を含む。
【0029】
原理上、メタノール反応器装置は、メタノール合成のために単一の反応器ステージのみ、さもなければ単一の反応器のみを備える場合があり得る。単一の反応器ステージ内で、プロセシングの実施においてメタノール合成のために複数の反応器を並列に接続することが可能である。提案されたプロセスのさらに好ましい実施形態では、メタノール反応器装置は、プロセシングの実施において直列に接続されたメタノール合成のための多数の反応器ステージを有する。ここでは、プロセシングの実施において反応器ステージが互いと直接つながる必要はない。
【0030】
多数の反応器ステージに従って、メタノール分離装置がマルチステージ形態であることも可能である。例えば、メタノール分離装置が、多数のメタノール分離器具を備え、そこで多数のメタノール分離器具の各メタノール分離器具が、プロセシングの実施おいて多数の反応器ステージの一つの反応器ステージの下流に接続されることが好ましい。言い換えれば、各メタノール分離器具は、プロセシングの実施において反応器ステージの一つの下流に接続され、その反応器ステージがプロセシングの実施において最後でない場合は、次の反応器ステージの上流に接続される。個々の反応器ステージの後にメタノールおよび水を除去することにより、下流の各反応器ステージの反応平衡を改善することができる。
【0031】
提案されたプロセスの好ましい実施形態は、粗メタノールサブストリーム、および未反応水素を含むステージテールガス流が多数のメタノール分離器具の各メタノール分離器具から得られることを特徴とする。ステージテールガス流はまた、一酸化炭素、窒素、メタン、希ガスおよび/またはさらなる成分を含み得る。ステージテールガス流はまた、未反応の二酸化炭素を同様に含み得る。特に、多数の反応器ステージの列の最後の反応器ステージまで、メタノール分離器具の1つからの各ステージテールガス流が、プロセシングの実施において下流の反応器ステージに供給される場合があり得る。言い換えると、各反応ステージの後に初めてメタノールが除去され、残りのテールガスは、それぞれの次の反応器ステージに、そのような次の反応器ステージがあれば供給される。さらに、粗メタノールサブストリームを組み合わせて粗メタノール流を得ることが好ましい。
【0032】
原理上、反応器ステージは、任意のタイプの反応器を有することができる。提案されたプロセスのさらに好ましい実施形態は、メタノール合成のための反応器ステージの少なくとも1つが等温反応器を含むか、または等温反応器からなることを特徴とする。特に、メタノール合成のためのすべての反応器ステージが各々等温反応器を有するか、または各々が等温反応器からなる場合があり得る。
【0033】
提案されたプロセスのさらに好ましい実施形態では、CO2流およびH流、好ましくは戻り流もまた、多数の反応器ステージの第1の反応器ステージに供給される。加圧された再循環流が第1の反応器ステージに供給されることが、同様に好ましい。
【0034】
提案されたプロセスの好ましい実施形態は、テールガス流が、プロセシングの実施においてテールガス回収反応器ステージの下流に接続されるメタノール分離器具から得られ、テールガス回収反応器ステージが、プロセシングの実施において第1の反応器ステージの下流に接続されることを特徴とする。言い換えれば、ここでは、テールガス流が、ここでテールガス回収反応器ステージと呼ばれる特定の反応器ステージの後に得られるということである。このテールガス回収反応器ステージは、第1の反応器ステージの下流に接続されている、すなわち、第1の反応器ステージとは別のステージである。具体的には、テールガス流は、プロセシングの実施において特にこのテールガス回収反応器ステージに続くメタノール分離器具から得られる。テールガス回収反応器ステージは、好ましくは、プロセシングの実施における多数の反応器ステージの列の最後である。言い換えれば、最後の反応器ステージがテールガス回収反応器ステージである。
【0035】
提案されたプロセスのさらに好ましい実施形態は、CO2流およびH流が、好ましくは戻り流も、メタノール反応器装置に供給される前に、供給ガスコンプレッサー装置によって加圧されることを特徴とする。原則として、供給ガスコンプレッサー装置はワンステージ形態であり得るので、供給ガスコンプレッサー装置は単一のコンプレッサーステージのみを有する。好ましくは、CO2流およびH流は、好ましくは戻り流もまた、供給ガスコンプレッサー装置によって50バール~80バールの合成圧力まで加圧される。
【0036】
供給ガスコンプレッサー装置は、プロセシングの実施において直列に接続された加圧用の多数のコンプレッサーステージを有することが好ましい。供給ガスコンプレッサー装置は、好ましくは4つのコンプレッサーステージを有する。そのようなマルチステージ構成手段によって、より高い圧力で提供され得る特定の流れが、すべてのコンプレッサーステージを通過する必要がなくなることが可能となる。多数のコンプレッサーステージは、単一のコンプレッサーの多数のコンプレッサーステージであり得るので、多数のコンプレッサーステージは、共通のシャフトを有する。あるいは、多数のコンプレッサーステージが多数の単一のコンプレッサーによって形成されることも、同様に可能である。
【0037】
したがって、H流は、多数のコンプレッサーステージの、CO2流とは異なるコンプレッサーステージ間での加圧のために、供給ガスコンプレッサー装置に供給されることが特に好ましい。これは、H流がCO2流とは異なる圧力で提供される場合の選択肢である。あるいは、加圧用の多数のコンプレッサーステージの、CO2流も供給されるそれらのコンプレッサーステージの間にH流が供給されることも可能である。これは、H流がCO2流と同じ圧力で提供される場合に有利である。戻り流が、加圧用の供給ガスコンプレッサー装置の多数のコンプレッサーステージの、さらなる戻り流とは異なるコンプレッサーステージ間に供給される場合も同様にあり得る。メタノールを合成するためのプラントは、好ましくは、供給ガスコンプレッサー装置を包含する。
【0038】
提案されたプロセスの好ましい実施形態では、CO2流は、本質的に二酸化炭素からなる。代替的または追加的に、H流が本質的に水素からなる場合があり得る。
【0039】
提案されたプラントは、メタノールの合成に役立ち、主に二酸化炭素からなるCO2流、および主に水素からなるH流がメタノールへの部分的変換のために供給されるメタノール反応器装置を有する。
【0040】
提案されたプラントでは、未反応水素を含むテールガス流がメタノール反応器装置から得られ、テールガス流中の未反応水素は、少なくとも部分的にメタノール反応器装置に戻される。
【0041】
提案されたプラントは、プラントが、未反応水素を含む戻り流を得るためにテールガス流が供給される水素回収装置を有すること、および戻り流中のモル水素含有量がテールガス流中よりも高いことを特徴とする。
【0042】
提案されたプラントの特徴、利点および特性は、提案されたプロセスの特徴、利点および特性に対応し、逆もまた同様である。
【0043】
本発明のさらなる詳細、特徴、目的および利点は、実施例のみを示す図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】第1の実施例で提案されたプロセスを実行するためのプラントのフロー図の概略図。
【
図2】第2の実施例で提案されたプロセスを実行するためのプラントのフロー図の概略図。
【
図3】第3の実施例で提案されたプロセスを実行するためのプラントのフロー図の概略図。
【
図4】第4の実施例で提案されたプロセスを実行するためのプラントのフロー図の概略図。
【
図5】第5の実施例で提案されたプロセスを実行するためのプラントのフロー図の概略図。
【
図6】第6の実施例で提案されたプロセスを実行するためのプラントのフロー図の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1に示されるように提案されたプラントの第1の実施例によるプラントは、メタノール1の合成に役立ち、提案されたプロセスによって実施され得る。
【0046】
本質的に二酸化炭素からなるCO2流2、本質的に水素からなるH流3、および同様に本質的に水素からなる戻り流4は、供給ガスコンプレッサー装置5によって加圧され、次いでメタノール反応器装置7の第1の反応器ステージ6aに供給される。
【0047】
この供給ガスコンプレッサー装置5は、マルチステージ形態である。簡略化するために、ここでの供給ガスコンプレッサー装置5は、プロセシングの実施において直列接続された単一コンプレッサーの3つのコンプレッサーステージ21a~cによって表され、この場合、供給ガスコンプレッサー装置5は、通常4つのコンプレッサーステージを有し得る。CO2流2、H流3および戻り流4が、それぞれ異なるコンプレッサーステージ21a~cの上流に供給されることは明らかである。CO2流2は周囲圧力で供給されるので、メタノール合成用の目標圧力を獲得するために、供給ガスコンプレッサー装置5のすべてのコンプレッサーステージ21a~cによって加圧され、結果的に、第1のコンプレッサーステージ21aに直接供給される。H流3が、いくらか上昇した圧力で供給され、したがって、プロセシングの実施において、第1のコンプレッサーステージ21aの下流および第2のコンプレッサーステージ21bの上流に供給される。最後に、戻り流4が最高圧力で供給され、したがって、プロセシングの実施において、第2のコンプレッサーステージ21bと第3のコンプレッサーステージ21cとの間に供給される。
【0048】
同様に再循環流13が、第1の反応器ステージ6aに供給される。単一の等温反応器からなるこの第1の反応器ステージ6aでは、二酸化炭素および水素のメタノールへの部分的変換が行われる。
【0049】
CO2流2は、発電所(ここでは表示せず)からの煙道ガスから得られる。H流3は、水素を得るための電気分解プラント(同じく、ここでは表示せず)から得られ、この実施例のH流3は、周囲圧力で得ることもできる。あるいは、H流3がCO2流2よりも低い圧力で提供されることが考えられ、その場合、コンプレッサーステージ21a~cへの供給が切り替えられるであろう。戻り流4は、プラントの水素回収装置8から得られ、この目的のためにメタノール反応器装置7からの、メタノール合成からの未反応反応物、したがって特に未反応水素を含むテールガス流9がそこに供給される。
【0050】
プロセシングの実施において第1の反応器ステージ6aの下流に、直接ではないが接続されているのは、メタノール反応器装置7の第2の反応器ステージ6bであり、ここでの第2の反応器ステージ6bは、同様に単一の等温反応器からなる。メタノール反応器装置7は、テールガス流9および粗メタノール流12を得るように設定される、粗メタノールの凝縮によるメタノール分離装置10を有する。次に、メタノール分離装置10は、ここでは、プロセシングの実施において第1の反応器ステージ6aと第2の反応器ステージ6bとの間に接続された第1のメタノール分離器具11a、およびプロセシングの実施において第2の反応器ステージ6bの下流に接続された第2のメタノール分離器具11bからなる。
【0051】
第1の反応器ステージ6aからのメタノールおよび未反応テールガスを含むガス混合物は、第1のメタノール分離器具11aに供給され、本質的に粗メタノールからなる第1の粗メタノールサブストリーム14a、および第1の反応器ステージ6aからの未反応テールガスを含む第1のステージテールガス流15aは、このメタノール分離器具11aから得られる。第1のステージテールガス流15aは、メタノール合成のために第2の反応器ステージ6bに供給される。対応して、第2の反応器ステージ6bからのガス混合物は、第2のメタノール分離器具11bに供給され、第2の粗メタノールサブストリーム14bおよび第2のステージテールガス流15bがそこから得られる。第1の粗メタノールサブストリーム14aおよび第2の粗メタノールサブストリーム14bが組み合わされて、粗メタノール流12が得られ、これは次に蒸留16に供給されてメタノール1が得られる。
【0052】
第2のステージテールガス流15bは、当然、水素回収装置8に供給されるテールガス流9と、再循環流13とに分けられる。このようにして、テールガス流9および再循環流13の両方が、メタノール分離装置10から得られる。再循環流13は、圧力を増加させるために再循環コンプレッサー装置17に供給され、次に第1の反応器ステージ6aに供給される。したがって第2の反応器ステージ6bからのテールガス流9は、ここの下流で直接得られるので、第2の反応器ステージ6bは、テールガス取得反応器ステージ20と呼ぶことができる。
【0053】
図1の実施例では、水素回収装置8は、テールガス流9からの戻り流4を提供する圧力スイング吸着装置18である。同様にパージ流19が得られ、それは別の化学プラントの焼成装置(ここでは表示せず)に供給され、そこで焼却される。パージ流19の組成は、本質的に、テールガス流9から戻り流4を引いた組成に対応する。戻り流4を介してメタノール反応器装置7にフィードバックされた水素は、パージ流19と一緒に燃焼されないが、メタノール合成に利用可能である。
【0054】
図2に示されるように提案されたプラントの第2の実施例によるプラントは、提案されたプロセスによって作動され得る。この実施例は、水素回収装置8からの戻り流4が、第1の反応器ステージ6aに供給される前に供給ガスコンプレッサー装置5によって加圧されないことを除いて、原則として
図1の第1の実施例に対応する。代わりに、戻り流4は、再循環流13に供給される。この供給は、プロセシングの実施において再循環コンプレッサー装置17の上流で実行され、その結果、戻り流4は、再循環流13と共に再循環コンプレッサー装置17によって加圧される。
図1の実施例と比較すると、これは第一に、供給ガスコンプレッサー装置5への負担を軽減する。同様に、戻り流4の圧力が再循環流13の圧力と近似する場合があり得、その結果、後者をわずかに拡大させなければならず、したがって、戻り流4と再循環流13との組合せは、戻り流の供給ガスコンプレッサー装置5への供給よりも有利である。
【0055】
図3に示されるように提案されたプラントの第3の実施例によるプラントは、提案されたプロセスによって作動され得る。この実施例は、ここでの水素回収装置8が、戻り流4およびパージ流19を得るための膜装置22からなることを除いて、原則として
図1の第1の実施例に対応する。特に、戻り流4の、テールガス流9と比較した相対的に大きな圧力降下が受け入れられる場合(これは原則として、供給ガスコンプレッサー装置5での圧力の増加によって補うことができる)、戻り流4を介したテールガス流9中の特に高い割合の水素を回収することが可能である。対応して、パージ流19における水素の損失は低い。
【0056】
図4に示されるように提案されたプラントの第4の実施例によるプラントは、
図3の第3の実施例から進展し、同様に提案されたプロセスによって作動され得る。ここで、水素回収装置8は、膜装置22および圧力スイング吸着装置18の両方を備えている。具体的には、テールガス流9は、膜装置22に供給される。水素富化膜水素流23および対応する低水素膜テール流24は、膜装置22から得られる。膜テール流24が圧力スイング吸着装置18に供給されるので、本質的に水素からなるPSA水素流25およびパージ流19が、そこから順番に得られる。PSA水素流25は、ここで膜水素流23と組み合わされて、戻り流4をもたらす。しかし、膜水素流23のみを戻り流4として、およびPSA水素流25をさらなる戻り流として別々に供給ガスコンプレッサー装置5へ誘導することも可能であろう。この場合、膜水素流23およびPSA水素流25を異なるコンプレッサーステージ21a~cの上流に、それらの異なる圧力によって供給することが可能であろう。膜装置22は、第4の実施例で説明した方法で圧力スイング吸着装置18の上流に接続されているので、圧力スイング吸着装置18への負担は、より小さく設計できる程度に低減される。したがって、テールガス流9全体において非常に高い割合の水素を戻すことが可能である。
【0057】
図5に示されるように提案されたプラントの第5の実施例によるプラントは、提案された方法によって作動され得、詳細に記載されるように、H流3が電気分解から得られないことを除いて、原理的には
図1の第1の実施例から進展する。しかしながら、圧力スイング吸着装置18として設計された水素回収装置8は、ここでは水素含有新鮮ガス流26にも使用され、この新鮮ガス流26は、水素取得装置27から得られる。水素取得装置27は水蒸気改質器28からなり、そこに天然ガス流31が供給され、そこから炭素酸化物および水素を含む合成ガス流32が得られる。この合成ガス流32は、その水素含有量を増加させるために、水性ガスシフト反応のための水素取得装置27の反応器29に供給され、次いでその反応器29から新鮮ガス流26が得られる。水蒸気改質器28の作動のために、次いで圧力スイング吸着装置18からのパージガス19を燃料ガス30と共に使用することができる。
図1~
図4の実施例とは異なり、圧力スイング吸着装置18およびこの実施例に追加された水素取得装置27も化学プラント33の一部であり、圧力スイング吸着装置18はこの化学プラント33の一部であり、メタノールの合成用に提案されたプラントの一部である。
【0058】
圧力スイング吸着装置18の一般的な使用により、水素回収装置8からの戻り流4はH流3を形成するので、戻り流4は、H流3としてメタノール反応器装置7に供給される。
図5に示されるように、水素回収装置8から得られた水素の一部のみが戻り流4を形成し、さらなる水素は、化学プラント33での使用に供給することができる。
【0059】
最後に、
図6に示されるように提案されたプラントの第6の実施例によるプラントは、提案されたプロセスによって同様に作動され得、第5の実施例から進展する。しかしながら、ここでの水素回収装置8は、第4の実施例と同様に、膜装置22および圧力スイング吸着装置18を有する。第4の実施例に従って、ここでも膜テール流24が、具体的には新鮮ガス流26と共に、圧力スイング吸着装置18に供給される。次に、PSA水素流25が戻り流4を形成し、それは、その圧力が供給ガスコンプレッサー装置5によって増加された後、H流3としてメタノール反応器装置7に供給される。膜水素流23がさらなる戻り流34を形成し、それは、その圧力が供給ガスコンプレッサー装置5によって増加された後、メタノール反応器装置7に供給される。
【国際調査報告】