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特表2022-533609カバーを動かすためのアセンブリおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(54)【発明の名称】カバーを動かすためのアセンブリおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B60J 7/02 20060101AFI20220715BHJP
【FI】
B60J7/02 B
B60J7/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568148
(86)(22)【出願日】2020-05-05
(85)【翻訳文提出日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 EP2020062439
(87)【国際公開番号】W WO2020233980
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】102019113142.1
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506027147
【氏名又は名称】ヴェバスト ソシエタス エウロペア
【氏名又は名称原語表記】Webasto Societas Europaea
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】特許業務法人安田岡本特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロルウェス ヤン
(57)【要約】
【課題】 信頼性の高い操作を可能にする。
【解決手段】 自動車ルーフ101用カバー103を動かすためのアセンブリは、カバーに結合されている機械的部品110と、ガイドレール107にガイドされるキャリッジ111と、長手方向軸112に沿って細長く延在している展開要素113とを備え、機械的部品までの区間における長手方向Xに沿ったキャリッジの動作を伝えるために、機械的部品が、展開要素の第1の端部114において展開要素に結合されており、ロックピン116は、展開要素の第2の端部115に配置され、ロックピンは、第1の状態と第2の状態の間で動かすために、展開要素の長手方向軸周りに回転させることができ、この場合、展開要素は、キャリッジに対して長手方向に沿った動作を防ぐ第1の状態でロックされ、およびガイドレールに対して長手方向Xに沿った動作を防ぐ第2の状態でロックされる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車ルーフ(101)用カバー(103)を動かすためのアセンブリであって、
前記カバー(103)に結合されている機械的部品(110)と、
ガイドレール(107)にガイドされるキャリッジ(111)と、
長手方向軸(112)に沿って細長く延在している展開要素(113)と、
を備え、
前記機械的部品(110)までの区間における長手方向(X)に沿った前記キャリッジ(111)の動作を伝えるために、機械的部品(110)が、前記展開要素(113)の第1の端部(114)において展開要素(113)に結合され、
ロックピン(116)が前記展開要素(113)の第2の端部(115)に配置され、
前記ロックピン(116)は、第1の状態と第2の状態の間で動かすために、展開要素(113)の前記長手方向軸(112)周りに回転させることができ、この場合、展開要素(113)は、前記キャリッジ(111)に対して前記長手方向(X)に沿った動作を防ぐ前記第1の状態でロックされ、かつ前記ガイドレール(107)に対して長手方向(X)に沿った動作を防ぐ前記第2の状態でロックされることを特徴とするカバーを動かすためのアセンブリ。
【請求項2】
前記展開要素(113)は、圧縮強度および引張強度を有するケーブル(117)を備えることを特徴とする請求項1に記載のカバーを動かすためのアセンブリ。
【請求項3】
前記キャリッジ(111)は、前記第1の状態と前記第2の状態の間で前記ロックピン(116)を動かすために、ロックピン(116)と相互に作用するキャリッジスロット(120)を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカバーを動かすためのアセンブリ。
【請求項4】
前記キャリッジスロット(120)は、螺旋形状(121)を有することを特徴とする請求項3に記載のカバーを動かすためのアセンブリ。
【請求項5】
前記キャリッジスロット(120)は、垂直方向(Z)に沿って延在している第1の領域(122)と、前記長手方向軸(X)に沿って延在している第2の領域(123)とを有し、第1の領域(122)と第2の領域(123)は、横方向(Y)に沿って互いから離間して配置されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のカバーを動かすためのアセンブリ。
【請求項6】
前記キャリッジスロット(120)のスロットコース(127)は、前記長手方向(X)の1つの構成要素と、前記垂直方向(Z)の1つの構成要素と、前記横方向(Y)の1つの構成要素とを備えることを特徴とする請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載のカバーを動かすためのアセンブリ。
【請求項7】
前記ガイドレール(107)は、前記ロックピン(116)を前記第1の状態と前記第2の状態の間で動かすために、ロックピン(116)と相互に作用するロックスロット(131)を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のカバーを動かすためのアセンブリ。
【請求項8】
前記ロックスロット(131)は、螺旋形状(132)を有することを特徴とする請求項7に記載のカバーを動かすためのアセンブリ。
【請求項9】
前記ロックスロット(131)は、横方向(Y)に沿って延在している第1の領域(133)と、前記長手方向軸(X)に沿って延在している第2の領域(134)とを有し、第1の領域(133)と第2の領域(134)は、前記垂直方向(Z)に沿って互いから離間して配置されることを特徴とする請求項7または請求項8に記載のカバーを動かすためのアセンブリ。
【請求項10】
前記ロックスロット(131)のスロットコース(140)は、前記長手方向(X)の1つの構成要素と、前記垂直方向(Z)の1つの構成要素と、前記横方向(Y)の1つの構成要素とを有することを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれか1項に記載のカバーを動かすためのアセンブリ。
【請求項11】
前記ロックピン(116)は、前記第1の状態において、前記ロックスロット(131)を通って突出して、前記キャリッジスロット(120)に係合されることを特徴とする請求項2乃至請求項10のいずれか1項に記載のカバーを動かすためのアセンブリ。
【請求項12】
前記ロックピン(116)は、前記展開要素(113)に堅固に固着されることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載のカバーを動かすためのアセンブリ。
【請求項13】
前記ロックピン(116)は、前記第2の状態において、前記ガイドレール(107)の溝(137)に係合する柔軟な突出部(118)を有することを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載のカバーを動かすためのアセンブリ。
【請求項14】
前記機械的部品(110)は、前記カバー(103)を上げ下げするためのレバーであることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載のカバーを動かすためのアセンブリ。
【請求項15】
自動車ルーフ用カバー(103)を動かすための方法であって、
ロックピン(116)を有する、長手方向(X)に沿って長手方向軸(112)に沿って細長く延在している展開要素(113)の移動と、
その結果として生じる、前記カバー(103)を動かすための機械的部品(110)の動作と、
前記展開要素(113)の前記長手方向軸(112)周りの前記ロックピン(116)の回転と、
その結果としての、第1の状態と第2の状態の間での前記ロックピン(116)の動作であって、前記展開要素(113)は、キャリッジ(111)に対して前記長手方向(X)に沿った動きを防ぐ前記第1の状態において、およびガイドレール(107)に対して前記長手方向(X)に沿った動きを防ぐ前記第2の状態においてロックされる、前記ロックピンの動作とを含むことを特徴とするカバーを動かすための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
自動車ルーフ用カバーを動かすためのアセンブリが詳細に記述されている。また、自動車ルーフ用カバーを動かすための方法が詳細に記述されている。
【背景技術】
【0002】
自動車ルーフ用カバーを有するこの種のアセンブリは、例えば、まず、ルーフ開口部を閉じるための閉位置から始まる展開機構により、開口するためにカバーの後方部位を上昇させるために、そして次に、カバーを開位置まで動かすために使用される。このことに関連して、独国特許第102006045632(B3)号明細書は、例えば、スポイラールーフについて記載している。スポイラールーフの場合、まず、カバーの後縁部を上昇させるために、開口方向に対する後縁部において展開レバーが回される。カバーは、ルーフ開口部を少なくとも部分的に解放するために、展開レバーに対して開口方向に移動される。この場合、展開レバーは、自動車ルーフの残部(レスト)に対して定位置に保持され、およびカバーとともに開口方向には移動されない。このことは、例えば、カバーの後縁部における展開レバーが、自動車ルーフの残部に対して、カバーとともに開口方向に移動される、いわゆる外部でガイドされるスライドルーフの場合においては異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許第102006045632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
信頼性の高い操作を可能にする、自動車ルーフ用カバーを動かすためのアセンブリが詳細に記述されることが望ましい。さらに、高い信頼性で実施することができる、自動車ルーフ用カバーを動かすための方法が詳細に記述されることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
自動車ルーフ用カバーを動かすためのアセンブリは、機械的部品を有している。機械的部品は、カバーに結合されている。例として、機械的部品は、展開レバー、具体的には、移動の主方向におけるカバーの後縁部を担当する展開レバーである。
アセンブリは、キャリッジを有する。キャリッジは、ガイドレールにガイドされる。アセンブリは、展開要素を有する。展開要素は、長手方向軸に沿って細長く延在している。機械的部品は、前記展開要素の第1の端部において、展開要素に結合されている。長手方向に沿ったキャリッジの動作は、機械的部品までの区間において伝えることができる。ロックピンが、展開要素の第2の端部に配置されている。ロックピンは、展開要素の長手方向軸周りに回転させることができる。その結果、ロックピンは、第1の状態と第2の状態の間で動かすことができる。展開要素は、キャリッジに対して長手方向に沿った動きを防ぐ第1の状態にロックされる。展開要素は、ガイドレールに対して長手方向に沿った動きを防ぐ第2の状態にロックされる。
【0006】
したがって、展開要素は、回転可能なロックピンを用いて固定することができる。同様に、機械的部品は、ロックピンを回転させることにより、および展開要素を用いても固定することができる。固定目的のための回転は、三次元ロックを利用する。したがって、信頼性の高いロックおよび解除が実現される。このことは、例えば、スイッチングノイズおよび/または摩擦損失の低減も可能にする。動作中に発生する力ベクトルは、構成条件が別な方法で同じ状態のままである場合、より柔軟に設定することができる。具体的には、長手方向軸に直角な固定が可能である。
【0007】
少なくとも1つの実施形態によれば、展開要素は、圧縮強度および引張強度を有するケーブルを備えている。例えば、展開要素は、圧縮強度および引張強度を有するケーブルである。ロックピンは、例えば、ケーブルに取付けられている。さらなる要素をケーブルに取り付けることもできる。ケーブルは、展開要素として柔軟にかつ高い信頼性で用いることができる。さらに、ケーブルは、比較的安価であり、および幅広いアセンブリのために製造するのが容易である。さらに、ケーブルは、トーションばね作用を有する。このことは、ロックピンの回転動作に関連するロックおよび解除にとって有益である。ケーブルは、駆動エネルギーを電動モータから駆動機構に伝達するために、例えば、ルーフアセンブリの分野で用いられる駆動ケーブルの方法で構成される。
【0008】
少なくとも1つの実施形態によれば、キャリッジは、キャリッジスロットを有する。キャリッジスロットは、ロックピンと相互に作用する。ロックピンは、キャリッジスロットを用いて、第1の状態と第2の状態の間で動かすことができる。キャリッジスロットは、キャリッジスロットの長手方向の動作中に、ロックピンを長手方向軸周りに回転させるように形成されている。キャリッジは、例えば、駆動ケーブルに接続されている駆動キャリッジである。
【0009】
キャリッジは、カバーの上昇および降下、さらには長手方向の移動も引き起こすように構成されている。
少なくとも1つの実施形態によれば、キャリッジスロットは、螺旋形状を有している。キャリッジスロットは、螺旋状に延びている。キャリッジスロットは、ねじ状に延びている。具体的には、キャリッジスロットのピッチまたは半径は、その進路に沿って変化する。この程度まで、キャリッジスロットの進路が理想の螺旋形の進路から外れることが可能である。
【0010】
少なくとも1つの実施形態によれば、キャリッジスロットは、垂直方向に沿って延在している第1の領域を有している。キャリッジスロットは、長手方向軸に沿って延在している第2の領域を有している。第1の領域と第2の領域は、横方向に沿って互いから離間して配置されている。具体的には、第1の領域と第2の領域は、長手方向に沿って、および垂直方向に沿っても互いから離間して配置されている。したがって、第1の領域と第2の領域は、3つすべての空間的方向において、互いから離間して配置されている。このことは、ロックピンがキャリッジスロットに沿って動かされたときに、ロックピンが回転することを可能にする。
【0011】
少なくとも1つの実施形態によれば、キャリッジスロットのスロットコースは、長手方向の1つの構成要素と、垂直方向の1つの構成要素と、横方向の1つの構成要素とを備える。そのため、キャリッジスロットのスロットコースは、少なくともいずれの場合の区間においても、3つすべての空間的方向に沿って延在している。
少なくとも1つの実施形態によれば、ガイドレールは、ロックスロットを有している。ロックスロットは、ロックピンと相互に作用する。このことは、第1の状態と第2の状態の間でのロックピンの動きを可能にする。ロックスロットは、キャリッジがその中にガイドされるガイドレールの部分に接続されている、例えば、プラスチックで形成されたスロットハウジング内に形成されている。ロックスロットは、前記ロックピンが、長手方向に沿って、ロックスロット内で動いた場合に、ロックピンを長手方向軸周りに回転させるように設計されている。
【0012】
少なくとも1つの実施形態によれば、ロックスロットは、螺旋形状を有している。ロックスロットの螺旋形状およびキャリッジスロットの螺旋形状は、特に、互いに反対方向に延びているように構成されている。ロックスロットは、キャリッジスロットと比較すると、螺旋形状および/またはねじ形状を有している。スロットのピッチおよび/または半径は、特にロックスロットに沿って変化する。この程度まで、ロックスロットの進路が理想の螺旋形から外れることが可能である。
【0013】
少なくとも1つの実施形態によれば、ロックスロットは、横方向に沿って延在している第1の領域を有している。1つの実施形態によれば、ロックスロットは、長手方向軸に沿って延在している第2の領域を有している。第1の領域と第2の領域は、垂直方向に沿って互いから離間して配置されている。具体的には、ロックスロットの第1の領域と第2の領域は、長手方向に沿って、および横方向に沿って互いから離間して配置されている。したがって、ロックスロットの第1の領域と第2の領域は、3つすべての空間的方向において、互いから離間して配置されている。このことは、ロックピンがロックスロットに沿って動かされたときの、ロックピンの信頼性の高い回転を可能にする。具体的には、第1の領域は、長手方向に対して垂直方向に向けられている。このことは、ロックピンが、長手方向に沿って高い信頼性でロックされることを可能にしている。
【0014】
少なくとも1つの実施形態によれば、ロックスロットは、スロットコースを有している。ロックスロットのスロットコースは、長手方向の1つの構成要素と、垂直方向の1つの構成要素と、横方向の1つの構成要素とを備えている。そのため、スロットコースは、少なくともいずれの場合の区間においても、3つすべての空間的方向に沿って延在している。
【0015】
少なくとも1つの実施形態によれば、ロックピンは、第1の状態において、ロックスロットを通って突出している。第1の状態において、ロックピンは、キャリッジスロットに係合されている。その結果、キャリッジスロットとロックスロットの間に相対運動が存在する場合、ロックピンを長手方向軸周りに回転させることが可能である。
少なくとも1つの実施形態によれば、ロックピンは、展開要素に堅固に取付けられている。例えば、ロックピンは、プラスチックから形成され、およびダイレクトモールドされ、射出成型され、および/または展開要素上に発泡状に成形される。例えば、ロックピンが展開要素に取付けられる分野においては、ロックピンは、前記展開要素に対して回転させることができない。ロックピンは、展開要素を回転させることによって回転される。例えば、展開要素は、本質的に回転可能であり、かつ捩じることが可能である。さらなる実施形態によれば、ロックピンは、展開要素に対して回転させることができ、その結果、回転運動を実行することができる。例として、ロックピンは、回り継手によって展開要素に取付けられている。
【0016】
少なくとも1つの実施形態によれば、ロックピンは、柔軟な突出部を有している。第2の状態において、柔軟な突出部は、ガイドレール内の溝に係合している。そのため、ロックピンは、第2の状態におけるロック位置に確実かつ高い信頼性で保持される。それにより、第2の状態における位置からの望ましくない逸脱が回避される。
さらなる態様に従って、自動車ルーフ用カバーを動かすための方法が詳細に記述されている。方法は、例えば、少なくとも1つの実施形態による、本願明細書に記載されているアセンブリを用いて実施される。アセンブリの形状構成、展開および利点は、方法にも当てはまり、逆もまた同様である。
【0017】
長手方向軸に沿って細長く延在している展開要素は、長手方向に沿って移動される。展開要素は、ロックピンを備えている。そのため、ロックピンは、特に、展開要素とともに長手方向に沿って移動される。
カバーを動かすための機械的部品は、展開要素を移動させることによって動かされる。ロックピンは、展開要素の長手方向軸周りに回転される。このようにして、ロックピンは、第1の状態と第2の状態の間で動かされる。展開要素は、キャリッジに対する長手方向に沿った動きを防ぐ第1の状態でロックされる。ロック要素は、ガイドレールに対する長手方向に沿った動きを防ぐ第2の状態でロックされる。
【発明の効果】
【0018】
そのため、ガイドレールに対する展開要素のロックおよび解除は、ロックピンを回転させることによって行われる。このことは、信頼性の高いロックを可能にする。
さらなる利点、形状構成および展開は、図面に関連して説明されている以下の実施例によってもたらされる。同一の、同じ種類のおよび同じ効果を生む要素には、すべての図にわたって同じ参照符号を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】例示的な実施形態による自動車の概略図を示す。
図2】例示的な実施形態によるアセンブリの概略図を示す。
図3】例示的な実施形態によるキャリッジスロットの概略図を示す。
図4】例示的な実施形態によるキャリッジスロットの概略図を示す。
図5】例示的な実施形態によるキャリッジスロットの概略図を示す。
図6】例示的な実施形態によるキャリッジスロットの概略図を示す。
図7】例示的な実施形態によるロックスロットの概略図を示す。
図8】例示的な実施形態によるロックスロットの概略図を示す。
図9】例示的な実施形態によるロックスロットの概略図を示す。
図10】例示的な実施形態によるロックスロットの概略図を示す。
図11】例示的な実施形態によるロックスロットの概略図を示す。
図12】例示的な実施形態による展開要素の概略図を示す。
図13】例示的な実施形態による展開要素の概略図を示す。
図14】例示的な実施形態による展開要素の概略図を示す。
図15】例示的な実施形態による展開要素の概略図を示す。
図16】例示的な実施形態による展開要素の概略図を示す。
図17】例示的な実施形態によるアセンブリの概略図を示す。
図18】動作シーケンスにおいて異なる時間におけるロックピンの概略図を示す。
図19】動作シーケンスにおいて異なる時間におけるロックピンの概略図を示す。
図20A】動作シーケンスにおいて異なる時間における、例示的な実施形態によるアセンブリの概略図を示す。
図20B】動作シーケンスにおいて異なる時間における、例示的な実施形態によるアセンブリの概略図を示す。
図21A】動作シーケンスにおいて異なる時間における、例示的な実施形態によるアセンブリの概略図を示す。
図21B】動作シーケンスにおいて異なる時間における、例示的な実施形態によるアセンブリの概略図を示す。
図22A】動作シーケンスにおいて異なる時間における、例示的な実施形態によるアセンブリの概略図を示す。
図22B】動作シーケンスにおいて異なる時間における、例示的な実施形態によるアセンブリの概略図を示す。
図23A】動作シーケンスにおいて異なる時間における、例示的な実施形態によるアセンブリの概略図を示す。
図23B】動作シーケンスにおいて異なる時間における、例示的な実施形態によるアセンブリの概略図を示す。
図24A】動作シーケンスにおいて異なる時間における、例示的な実施形態によるアセンブリの概略図を示す。
図24B】動作シーケンスにおいて異なる時間における、例示的な実施形態によるアセンブリの概略図を示す。
図25A】動作シーケンスにおいて異なる時間における、例示的な実施形態によるアセンブリの概略図を示す。
図25B】動作シーケンスにおいて異なる時間における、例示的な実施形態によるアセンブリの概略図を示す。
図26A】動作シーケンスにおいて異なる時間における、例示的な実施形態によるアセンブリの概略図を示す。
図26B】動作シーケンスにおいて異なる時間における、例示的な実施形態によるアセンブリの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、例示的な実施形態による自動車100を示す。自動車100は、自動車ルーフ101を有している。カバー103が、自動車ルーフ101の上に配置されている。カバー103は、例えば、自動車ルーフ101の残部に対して移動可能である。したがって、ルーフ開口部102は、カバー103によって閉じることができ、または、部分的に開いておくことができる。
【0021】
該自動車は、フロントガラス104を有している。カバー103は、作動状態のときに、フロントガラスに対向している前縁部105を有している。カバー103の後縁部106は、長手方向Xに沿って、フロントガラス104から離れて対向している。
カバー103の動作は、展開機構によって実現される。展開機構は、例えば、自動車ルーフ101に接続されているガイドレール107を有している。駆動ケーブル108が、例えば、ガイドレール内にガイドされている。駆動ケーブルは、電動モータと接触しており、および例えば、展開機構のさらなる部品と接触している。展開機構は、以下で詳述するアセンブリ200を有している。
【0022】
後ろにまたは前部に、上または下に、左または右に等の位置または方向を示すのに用いられている用語は、自動車の長手方向軸、および使える状態にある自動車100の通常の駆動方向に関するものである。自動車の長手方向軸は、水平方向軸、または、関連するX方向におけるX軸と呼ぶこともできる。自動車の横軸は、水平方向軸、または、関連するY方向におけるY軸とよぶこともできる。また、自動車の垂直方向軸は、垂直軸、または、関連するZ方向におけるZ軸と呼ぶこともできる。垂直方向、横方向および長手方向は、具体的には、各々が互いに直角方向に向いている。
【0023】
図2は、例示的な実施形態によるアセンブリ100を示す。アセンブリ200は、キャリッジ111を有している。キャリッジ111は、図2において単に細部として描かれている。キャリッジ111は、ガイドレール107にガイドされている。
アセンブリ100は、展開要素113を有している。展開要素113は、長手方向軸112に沿って細長く延在している。展開要素113は、長手方向軸112に対して横方向よりも、長手方向軸112に沿って、実質的により大きな範囲を有している。
【0024】
アセンブリ200は、スロットハウジング130を有している。スロットハウジングは、例えばプラスチックから形成されており、およびガイドレール107に堅固に結合されている。
展開要素113は、第1の端部114によって、機械的部品110に結合されている。機械的部品110は、例えば、垂直方向Zに沿ってカバー103を動かすための展開レバーである。さらなる例示的な実施形態によれば、機械的部品110は、別の要素、例えば、カバー103を動かすための前方展開レバーである。
【0025】
例えば、カバー103は、スポイラールーフのように構成されている。後縁部106を担当する後方展開レバーは、閉位置から始まって、一旦、後縁部106がZ方向において上昇されると、ガイドレール107に対して動かないようにロックされる。閉位置において、ルーフ開口部102は、カバー103によって閉じられる。長手方向Zにおいて前後逆のカバー103の後の移動がある場合、後方展開レバー110は、カバー103とともに動かされない。後方展開レバーのロックは、例えば、アセンブリ200によって実現される。
【0026】
ロックピン116は、展開要素113の第2の前端部115に配置されている。ロックピン116は、例えば、プラスチックで形成されている。ロックピン116は、特に展開要素113に堅固に接続されている。ロックピン116は、展開要素113を越えて径方向に突出している。ロックピン116の主延在方向は、展開要素113の長手方向軸112に対して横方向に延びている。ロックピン116は、具体的には、展開要素113を越えて直角方向に突出している。
【0027】
展開要素113は、例えば、圧縮強度および引張強度を有するケーブル117として構成されている。ケーブル117は、例えば、駆動ケーブル108のように構成されている。駆動ケーブル108とケーブル117は、互いに独立して構成されている。
スロットハウジング113は、ロックスロット131を有している。ロックピン116は、ロックスロット131にガイドされている。ロックピン116は、スロットハウジング130に対してロックスロット131内に移動させることができる。具体的には、ロックピン116は、作動中に、ロックスロット131内に常に配置される。
図3から図6は、例示的な実施形態によるキャリッジ111の詳細を異なる視点で示す。
【0028】
キャリッジ111は、キャリッジスロット120を有している。キャリッジスロット120は、ロックピン116をガイドするために用いられる。作動中、ロックピン116は、少なくとも一時的にキャリッジスロット120内にある。ロックピン116は、少なくとも一時的にキャリッジスロット120を離れる。ロックピン116がキャリッジスロット120内に配置されていない場合、キャリッジ111をロックピン116とは無関係に動かすことが可能である。
キャリッジスロット120は、螺旋形状121を有している。キャリッジスロットは、第1の領域122を有している。第1の領域122は、実質的にZ方向に延在している。キャリッジスロット120は、第2の領域123を備えている。第2の領域123は、実質的にX方向に延在している。
【0029】
第1の領域122と第2の領域123は、X方向、Y方向およびZ方向において、互いに離間している。第1の領域122と第2の領域123は、横方向Yに沿って、それらの間に間隔125を有している(図4)。第1の領域122と第2の領域123は、垂直方向Zに沿って、それらの間に間隔129を有している(図4)。特に湾曲したコースを有する中間領域124が、第1の領域122と第2の領域123との間に設けられている。そのため、キャリッジ壁部126は、前記キャリッジスロットが、3次元状のスロットコース127を有するように、キャリッジスロット120の境界を定めている(図17)。特に中間領域124において、スロットコース127は、長手方向Xに沿った構成要素と、横方Yに沿った構成要素と、垂直方向Zに沿った構成要素とを有している。ベース領域を閉塞しているキャリッジ壁部126の部分は、第1の領域122と第2の領域123との間で、90°の向きの変更を受ける。
【0030】
キャリッジスロット120は、第2の領域123内に開口端部128を有している。ロックピン116が、開口端部128において、キャリッジスロット120から外されることと、キャリッジスロット120内に結合されることが可能である。
カバー103が閉位置に有る状態から始まって、ロックピン116は、先ず例えばキャリッジスロット120に沿って移動し、その後、キャリッジスロット120から外れる。その結果、キャリッジ111は、ロックピン116をガイドすることなく移動し続ける。
【0031】
閉位置から始まって、ロックピン116は、最初は、例えば第1の領域122内に配置されている。キャリッジスロット120の実質的にZ方向の方向性により、ロックピン116は、前記キャリッジ111が長手方向Xに沿って移動される場合に、キャリッジ111により一緒に長手方向Xに沿って移動される。ロックピン116は、最初は、X方向に沿ってキャリッジ111に対して動かないようにロックされている。
【0032】
螺旋形状121により、ロックピン116は、ロックスロット131と相互に作用することによって、長手方向軸112周りに100回、または、長手方向に100回、回転される。回転は、具体的には、ロックピン116がキャリッジスロット120の第2の領域123に到達するまで、約90°行われる。
ロックピン116がキャリッジ111に対してロックされている状態と、長手方向に沿ったロックピン116とキャリッジ111との間の相対運動が互いに無関係に100回、解除される状態との位間で、ロックピン116は、約90°±5°の回転を実行する。例えば、ロックピン116は、最初は、実質的に横方向Yに沿った方向に向けられている。回転により、ロックピン116は、キャリッジスロット120を離れたときに、実質的にZ方向に沿った方向に向けられている。
【0033】
図7から図11は、例示的な実施形態によるスロットハウジング130の異なる視点を示す。
スロットハウジング130は、ハウジング壁部139を有している。ハウジング壁部139は、ロックスロット131を包囲している。ロックスロット131は、螺旋形状132を有している。ロックスロット131は、実質的に横方向Yに沿って延在している第1の領域133を備えている。第1の領域133は、長手方向Xにおいて後方に配置されている。
【0034】
ロックスロット131は、第2の領域134を有している。第2の領域134は、実質的に長手方向Xに沿って延在している。中間領域135が、第1の領域133と第2の領域134との間に形成されている。中間領域135は、湾曲形状で延在している。第1の領域133は、垂直方向Zに沿って第2の領域134から間隔136に設けられている(図11)。第1の領域133は、横方向Yに沿って第2の領域134から間隔141に設けられている(図11)。
【0035】
ロックスロット131のスロットコース140(図17)は、先ず長手方向Xに沿って延在し、次いで、長手方向X、横方向Yおよび垂直方向Zに沿った構成要素によって螺旋状に延在し、その後、横方向Yに沿って延在している。
したがって、ハウジング壁部139は、前記ロックスロット131が3次元状のスロットコース140(図17)を有するように、ロックスロット131の範囲を定めている。具体的には、中間領域135において、スロットコース140は、長手方向Xに沿った1つの構成要素と、横方向Yに沿った1つの構成要素と、垂直方向Zに沿った1つの構成要素とを有している。側面領域を閉塞しているハウジング壁部139の部分は、第1の領域133と第2の領域134との間で、90°の向きの変更を受ける。
【0036】
作動中、ロックピン116は、カバー103が閉位置にある状態で始まって、最初は第1の領域133内に配置されている。ロックピン116は、最初は、ロックピン116とスロットハウジング113との間の長手方向Xに沿った相対運動が解除されるように、ロックスロット131内にガイドされている。
長手方向Xにおけるロックスロット131の後縁部において、前記ロックスロット131、具体的には、中間領域135は、ロックピン116を、長手方向軸112周りに強制的に回転させる。このことは、特にキャリッジスロット120との相互作用を介して行われる。ロックピン116は特に、長手方向軸周りに約90°だけ回転され、その結果、前記ロックピンは、第2の領域134内に配置される。
【0037】
第2の領域134において、スロットハウジング130に対する長手方向Xに沿ったロックピン116の動きが阻止される。スロットハウジング130のハウジング壁部139は、長手方向Xに沿ったロックピン116の動きを阻止する。その結果、展開要素113も、長手方向Xに沿ってロックされる。
第1の領域133において、ロックピン116は、例えば、実質的に横方向Yに沿った方向に向けられている。第2の領域134においては、例えば、実質的に垂直方向Zに沿った方向に向けられている。
【0038】
スロットハウジング130は、凹部138を有している。作動時に、展開要素113は、第2の領域134に隣接するスロットハウジング130の端部に設けられている凹部138を貫通して延在している。その結果、ロックピン116とロックスロット131の結合が可能であり、展開要素113の大部分は、スロットハウジング130の外部に配置される。
【0039】
長手方向軸112と、第2の領域134におけるスロットコース140との間の角度142(図9)は、具体的には、90°±10°、特に90°±1°である。スロットコース140は、特に長手方向軸112に直角に、第2の領域134内に延在している。そのため、スロットハウジング130のハウジング壁部139は、ロックピン116の動きを長手方向軸112に直角に制限する。作動中に、ロックピン116および展開要素113に作用する主な力は、ロックピン116が第2の領域134内に配置されているときに、長手方向軸112に沿って生じる。スロットハウジング130の第2の領域134におけるハウジング壁部139の直角の方向性により、垂直方向Zに沿った、または、横方向Yに沿ったロックピン16に作用する力成分は実質的にない。その結果、ロックピン116の高い信頼性のロックが可能である。
【0040】
スロットハウジング130は、第2の領域134に2つの溝137を有している。2つ以上または以下の溝137を設けることもできる。ロックピン116は、対応する柔軟な突出部118(図16)を有している。ロック状態において、柔軟な突出部118は溝137に係合しており、その際、ロックスロット131の第2の領域134において、ロックピン116をさらにロックしている。このロックのシンプルな形態では、不必要な方式で第2の領域134の外部にロックピン116を移動させる可能性がある実質的な力は、作動中に生じないため、十分なものである。
【0041】
図12から図16は、例示的な実施形態による展開要素113をロックピン116とともに異なる視点で示す。ロックピン116は、キャリッジスロット120およびロックスロット131の両方と係合できるように、径方向に突出している。ロックピン116は、ロッキング領域144を有している。ロッキング領域144は、ロックスロット131内にガイドされるように設計されている。ロックピン116は、キャリッジ領域143を有している。キャリッジ領域143は、キャリッジスロット120内にガイドされるように設計されている。キャリッジ領域143は、展開要素113から離れて対向して、ロックピン116の端部に構成されている。ロッキング領域144は、展開要素113とキャリッジ領域143との間に構成されている。柔軟な突出部118は、ロッキング領域144上に構成されている。ロッキング領域144とキャリッジ領域143は、特に単1のロックピン116に一緒に構成されている。
【0042】
作動中、ロックピン116は、ロックスロット131を通って、キャリッジスロット120内まで少なくとも部分的に延在している。作動中、ロックピン116は、少なくとも部分的に、キャリッジスロット120およびロックスロット131の両方にガイドされる。具体的には、ロックピン116が、ロックスロット131の第2の領域134内に配置されている場合、ロックピン116は、ロックスロット131のみにガイドされ、キャリッジスロット120にはガイドされない。
【0043】
図17は、アセンブリ200の一部の斜視図を示す。ロックピン116は、長手方向軸112に対し径方向に突出する。ロックピン116は、スロットハウジング130を通って延在し、およびスロットハウジング130を越えて突出している。具体的には、ロックピンのキャリッジ領域143が、スロットハウジング130を越えて突出している。ロックピン116のキャリッジ領域143は、キャリッジスロット120内に設けられている。
【0044】
したがって、キャリッジスロット120とロックスロット131は一緒に、長手方向Xに沿った動き、およびロックピン116の長手方向軸112周りの回転を規定する。スロットコース127および140は、互いに逆に延びており、具体的には、互いにオフセットされている。キャリッジ111とスロットハウジング130は、長手方向Xに沿って、互いに対して移動させることができる。横方向Yに沿った回転または動き、または、キャリッジ111とスロットハウジング130との間の垂直方向Zに沿った動きは不可能である。キャリッジスロット120の第1の領域122は、主に、ロックスロット131の第2の領域134および中間領域135と相互に作用する。
【0045】
キャリッジスロット120のスロットコース127により、ロックピン116は、長手方向Xに沿って、キャリッジ111によって移動され、その後、中間領域135において回転される。キャリッジスロット120も湾曲した中間領域124を有しているため、この回転が可能である。ロックピンは、特に約90°回転される。ロックおよび解除のためのロックピンの回転は、特に単一平面内で作動しない。ロックおよび解除のためのロックピンの回転は、具体的には、3つすべての空間的方向において生じる。
【0046】
ロックスロット131の第1の領域133は、キャリッジスロット120の第2の領域123と相互に作用する。開口端部128を有する第2の領域123は、ロックピン116を、ロックスロット131の第1の領域133内において長手方向Xに沿ってロックできるようになっている。
長手方向軸112周りのロックピン116の回転は、図18および図19においても再度、見ることができる。
【0047】
図18は、ロックスロット131の中間領域135内のロックピン116を示す。ロックピン116は、それが、完全に横方向Yに沿った方向に向けられておらず、完全に垂直方向Zに沿った方向にも向けられていない中間位置で図示されている。
スロットハウジング130に対するキャリッジ111の相対運動が存在しない場合、キャリッジスロット120とロックスロット131は、ロックピン116を強制的に回転させる。
【0048】
その結果、ロックピン116は、図19に示されている位置に変えられる。柔軟な突出部118は、溝137に係合する。ロックピン116は、YZ面内に延在している、スロットハウジング130のハウジング壁部139によって保持されている。展開要素113によって、ロックピン116に伝達される力は、主に長手方向軸112に沿って、そうでなければ長手方向Xに沿って作用する。ロックスロット131の第1の領域133内のハウジング壁部139の垂直方向の方向性により、これらの力は、ロックピン116を第1の領域133の外部で回転させない。この回転は、キャリッジ111およびキャリッジスロット120によってのみ引き起こされる。
【0049】
アセンブリ200は、従来、ロック中に生じる可能性があり、および90°のロックを可能にしない、ロック中のスイッチングノイズ、摩擦損失および急激な動きの低減を可能にする。3次元状に交差するキャリッジスロット120とロックスロット131は、互いに90°になっている。その結果、展開要素113の動作方向における長手方向の力も避けることができる。したがって、セルフロック効果を実現することができる。ロックピン116をロック位置に固定するための追加的な独立した部品を避けることができる。互いに異なって係合する多数の部品による複雑なトレランスチェーンを回避することができる。アセンブリ200は、比較的費用効率的に実現することができる。機械的な力制御を、単純にかつ電子部品を要することなく実現することができる。アセンブリ200は、互いに反対方向に延びるように構成されている2つの螺旋状スロット120および131の形態における3つすべての空間的方向を利用する。キャリッジスロット120とロックスロット131は、長手方向軸112周りに回転させることができるロックピン116と相互に作用する。作動中、ロックピン116は、長手方向軸112周りの90°の回転を実行する。
【0050】
ロックピン116をロック位置に固定するために、ロックスロット131には、溝137が設けられている。ラグと呼ぶこともできる柔軟な突出部118は、溝137内に差し込むことができる。ケーブル117のトーションばね作用は、ロックピン116のロック位置での固定のための追加的な支持をもたらす。
アセンブリ200は、90°のクロスロッキングを可能にする。このことは、力が働いているときの偶発的な解除に関連する低減されたスイッチングノイズおよびセルフロッキング効果が実現されることを意味する。
【0051】
代替的に、または追加的に、アセンブリ200は、力制御を介した耐性観察に関して、低減された複雑性およびより大きなロバスト性を可能にする。例えば、ロックピン116のためのコレクションファネル(collection funnel)が開口端部128に形成されている。これは、例えば、ロックスロット131に関してオーバーラップを有するばね構造を有し、従って、スロットハウジング130および/またはキャリッジ111および/またはロックピン116のトレランスレイヤーを受け入れることができる。また、アセンブリ200の要素の製造は、MRPに準拠しており、換言すると、システマチックな資材所要量計画、必要に応じたキャパシティのインクルージョンに準拠している。
【0052】
アセンブリ200の個々の要素は、モジュール方式で互いに組合せることができる。ロックするのに用いられる部品は、曲率に無関係に挿入および採用することができる。この場合の曲率は、例えば、カバー103の曲率および/またはガイドレール107の曲率に関連している。ケーブル117の長さは、自動車ルーフ101により、金型内で異ならせてセットすることができる。そのため、特にオーバーモールド用の製造、およびロックピン116の製造のための金型は、自動車ルーフ101の異なる実施形態に用いることができる。従来、堅固なロックレバーまたは制御ロッドによって生じていた雑音を回避することができる。さらに、製造は費用効率的である。制御ロッドのために供給されるプロジェクト固有のプレス加工ツールは必要ない。代替的に、または追加的に、制御ロッドのために供給されるプロジェクト固有の樹脂封止金型は必要ない。従来よく使われていた、固定ばねを備えた、オーバーモールドされた制御ロッドを無しで済ませることができる。この代わりに、異なるプロジェクトのために、モジュール方式で用いることができる、オーバーモールドされたケーブル117が用いられる。ロックスロット131およびキャリッジスロット120は、既存の要素に一体化することができる。開発コストおよび/または開発リスクは、ロックピンが異なるプロジェクトに採用される可能性により低減することができる。
【0053】
トーションばねをおよびクリップキャッチ機構を用いた、ロックピン116のロックの冗長的な固定が可能である。このことは、溝137とラッチする柔軟な突出部118を包含する。この目的のために、ロックスロット131は、例えば弾性域内で変形されて、ばねとして作用する。ケーブル117の長手方向Xに沿った負荷がある場合、突出部118と溝117の係合は、回転に関するセルフロッキング効果を有する。
2つの螺旋状スロット120、130を用いたロック機構は、2つのスライド要素が互いに結合されおよび離される無数の機械的システムに用いることができる。ロックスロット131にはラッチングの実現性がある。
【0054】
したがって、単純で費用効率的で信頼性の高いロックおよび解除が全般的に実現される。
図20A図20Bから図26A図26Bは、それぞれ、アセンブリ200の動作シーケンスにおける異なる時点での例示的な実施形態によるアセンブリ200を示す。この場合、図20Aから図26Aは、それぞれ、下からの斜視図を示す。図20Bから図26Bは、それぞれ、上からの斜視図を示す。
図20A図20Bは、カバー103がルーフ開口部102を塞いでいる位置におけるアセンブリ200を示す。カバー103は、カバーキャリア150に接続されている。カバーキャリア150は、カバー103を展開機構またはアセンブリ200に結合するのに用いられる。
【0055】
図示されている例示的な実施形態において、アセンブリ200は、スポイラールーフのように構成されている。機械的部品110は、後方展開レバー151として構成されている。後方展開レバー151は、カバー103の後縁部106を上昇させるのに用いられる。カバー103が、自動車ルーフの残部に対してX方向に沿って移動されると、後方展開レバー151は、ガイドレール107によってロックされる。カバー103は、開位置に移動されるために、展開レバー151に対してX方向に沿って移動される。図20A図20Bから図26A図26Bにおける例示的な実施形態は、図1に図示されている例示的な実施形態と、この点で異なっている。
【0056】
後方展開レバー151は、以下で説明するように、ロックスロット131とともに、ケーブル117およびロックピン116によってロックされる。
後方展開レバー151を旋回させるために、キャリッジ111がX方向に移動される。ロックピン116は、キャリッジスロット120の第1の領域122内に配置されている。そのため、キャリッジ111は、ロックピン116をX方向に沿って搬送する。X方向におけるキャリッジ111の動作は、ロックピン116に伝達される。ロックスロット131内における、X方向におけるロックピン116の動作は、ロックピン116がロックスロット131の第2の領域134内に配置されているため解放される。また、ロック溝131の第2の領域134もX方向に延在しているため、ロックピン116の動作を阻止しない。
【0057】
X方向に沿ったロックピン116の移動は、X方向におけるケーブル117の移動をもたらす。ケーブル117の移動は、後方展開レバー151の展開をもたらす。このことも同様に、Z方向におけるカバー103の後縁部106の持ち上げをもたらす。
図21A図21Bにおいて、キャリッジ111は、X方向にさらに移動される。ロックにより、ロックピンは、前記ロックピンがさらに、ロックスロット131の第2の領域134内に配置されているため、X方向において、キャリッジスロット120内に沿って運ばれる。このことは、展開レバー151のさらなる展開を生じさせる。この場合、キャリッジ111は、カバーキャリア150に対してX方向に動く。X方向におけるカバーキャリア150の動きは阻止され、および後の時点でのみ解放される。
【0058】
図22A図22Bは、X方向に沿って、ロックスロット131の第2の領域134の当端部まで移動されたときのロックピン116を示す。展開レバー151は、完全に展開されている。その後、ケーブル117は、キャリッジ111の動作から外されて、ケーブル117がガイドレール107にロックされる。そして、展開レバー151もケーブル117によってロックされる。
【0059】
図23A図23Bは、ロック溝131の中間領域135における、およびキャリッジ溝120の中間領域124におけるロックピン116を示す。2つのスロット120、131の螺旋形状121、132は、ケーブル117の長手方向軸112周りの、ロックピン116の回転をもたらす。2つのスロット120、131の螺旋形状121、132が逆方向に延びているということは、X方向におけるキャリッジ111の移動が、ロックピン116を回転させるということを意味している。キャリッジスロット120は、X方向におけるキャリッジ111の移動中に、X方向の中間領域124内において、ロックピン116を押圧している。キャリッジスロット120の螺旋形状121と、ロックスロット131の螺旋形状132は、X方向におけるこの力を、負のZ方向における力に変換し、およびY方向においては、ロックピン116を回転させる力に変換する。
【0060】
図24A図24Bは、約90°の完全な回転の後のロックピン116を示す。ロックピン116は、ロックスロット131の第1の領域133内に配置されている。その結果、ロックピン116は、スロットハウジング130に対してX方向に沿って阻止されている。ロックピン116のこの阻止は、ケーブル117の阻止ももたらす。このことも同様に、旋回を防ぐための展開レバー151の阻止をもたらす。そのため、展開レバー151は、ケーブル117およびロックピン116によって、スロットハウジング130に対してロックされる。カバーキャリア150とカバー103は、後縁部106が、前縁部105の実質的に上でZ方向に上昇されている換気位置に位置している。
【0061】
X方向におけるキャリッジ111のさらなる動作は、ロックピン116に対して解放される。ロックピン116は、キャリッジスロット120の第2の領域123内に配置されている。前記キャリッジスロットは、実質的にX方向に沿って延在し、それにより、X方向に沿った、キャリッジスロット120とロックピン116との間の相対運動を阻止しない。キャリッジ111は、ロックピン116に対して、X方向において、さらに移動させることができ、その結果、ケーブル117および展開レバー151に対してさらに移動させることができる。
【0062】
キャリッジ111のさらなる展開は、ルーフ開口部102を開放するための、例えば、カバー103の前縁部105の上昇をもたらし、およびその後に、自動車ルーフ101の残部に対するX方向におけるカバー103の移動をもたらす。この目的のために、カバーキャリア150が、X方向におけるキャリッジ111の動きに追従するように、キャリッジ111は、例えば、この状態においておよび/または解除状態において、カバーキャリア150に結合される。
【0063】
図25A図25Bは、キャリッジ111がX方向にさらに移動されているため、ロックピン116は、開口端部128において、キャリッジスロット120を離れている状態を示す。ロックピン116は、ロックスロット131の第1の領域133の方向性により、スロットハウジング130に対してX方向にロックされているため、ロックピン116とケーブル117は、もはやキャリッジのこの動きに追従しない。ロックスロット131の第1の領域133からのロックピン116の不必要な回転は、例えば、ケーブル117のねじり力によって回避される。代替的に、または追加的に、不必要な追い出しは、特に図19を見て分かるように、柔軟な突出部118が溝137に係合されていることにより回避される。
【0064】
カバー103を移動させるために、X方向におけるキャリッジ111のさらなる移動があった場合でも、その結果として、ケーブル117は、図26Aに示されるように、ロックピン116によってスロットハウジング130内に確実にロックされたままの状態である。そのため、展開レバー151の同時移動を伴わない、カバーキャリア150のさらなる上昇および移動が、高い信頼性をもって可能である。キャリッジ111は、その後、カバーキャリア150を展開レバー151に対してX方向に移動させ、カバーキャリアは、ケーブル117およびロックピン116によって確実に保持されている。
【0065】
カバーの閉鎖動作は、記載されている開口動作と逆の順序の対応する方法で行われる。
【符号の説明】
【0066】
100 自動車
101 自動車ルーフ
102 ルーフ開口部
103 カバー
104 フロントガラス
105 前縁部
106 後縁部
107 ガイドレール
108 駆動ケーブル
110 機械的部品
111 キャリッジ
112 長手方向軸
113 展開要素
114 第1の端部
115 第2の端部
116 ロックピン
117 ケーブル
118 柔軟な突出部
120 キャリッジスロット
121 螺旋形状
122 第1の領域
123 第2の領域
124 中間領域
125 間隔
126 キャリッジ壁部
127 スロットコース
128 開口端部
129 間隔
130 スロットハウジング
131 ロックスロット
132 螺旋形状
133 第1の領域
134 第2の領域
135 中間領域
136 間隔
137 溝
138 凹部
139 ハウジング壁部
140 スロットコース
141 間隔
142 角度
143 キャリッジ領域
144 ロッキング領域
150 カバーキャリア
151 展開レバー
200 アセンブリ
X 長手方向
Y 横方向
Z 垂直方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図21A
図21B
図22A
図22B
図23A
図23B
図24A
図24B
図25A
図25B
図26A
図26B
【国際調査報告】