(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(54)【発明の名称】カプセル充填機を用いて、(メタ)アクリレートコポリマー系のコーティングを有する、充填されたハードシェルカプセルを製造する方法
(51)【国際特許分類】
A61J 3/07 20060101AFI20220715BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20220715BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20220715BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20220715BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20220715BHJP
A61K 47/14 20060101ALI20220715BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20220715BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20220715BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20220715BHJP
A61K 9/52 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
A61J3/07 F
A61K47/32
A61K47/38
A61K47/36
A61K47/26
A61K47/14
A61K47/12
A61K47/02
A61K31/4439
A61K9/52
A61J3/07 E
A61J3/07 H
A61J3/07 J
A61J3/07 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568158
(86)(22)【出願日】2020-04-29
(85)【翻訳文提出日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 EP2020061872
(87)【国際公開番号】W WO2020229178
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】201941019448
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴィナイ ヤイン
(72)【発明者】
【氏名】アシシュ グハ
(72)【発明者】
【氏名】シュラッダ ジョシ
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス ホーフマン
(72)【発明者】
【氏名】ベッティーナ ヘルツァー
(72)【発明者】
【氏名】ハンス ベーア
【テーマコード(参考)】
4C047
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C047LL12
4C076AA54
4C076AA95
4C076BB01
4C076CC16
4C076DD13C
4C076DD27C
4C076DD44A
4C076DD68A
4C076EE09J
4C076EE11J
4C076EE32H
4C076EE38H
4C076FF25
4C076GG12
4C076GG16
4C086AA02
4C086BC39
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA37
4C086MA52
4C086NA13
4C086ZA68
(57)【要約】
本発明は、生物学的に活性な成分を含んでいる充填物で充填された、ポリマーコーティングされたハードシェルカプセルを製造する方法に関し、前記ハードシェルカプセルが、ボディおよびキャップを含んでおり、閉じた状態で前記キャップが、プレロック状態でまたは本ロック状態でのいずれかで前記ボディと重複し、前記ボディおよび前記キャップの材料が、セルロースのエチルエーテル、メチルエーテルまたはプロピルエーテル、デンプンまたはプルランを含み、前記ハードシェルカプセルが、該ハードシェルカプセルを該プレロック状態で覆うコーティング層でコーティングされ、前記コーティング層が、1種以上の(メタ)アクリレートコポリマーを含んでおり、前記コーティング層が、約1~5.8mg/cm2の量で存在し、前記コーティング層の組成に相当している、250μmの厚さを有する乾燥皮膜が、約15~500%の破断伸びを示し、前記のポリマーコーティングされたハードシェルカプセルが、前記プレロック状態でカプセル充填機に供給され、前記ボディおよび前記キャップを分離する工程、前記ボディを前記充填物で充填する工程および前記ボディおよび前記キャップを前記本ロック状態で再結合する工程を実施する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的に活性な成分を含んでいる充填物で充填された、ポリマーコーティングされたハードシェルカプセルを製造する方法であって、前記ハードシェルカプセルが、ボディおよびキャップを含んでおり、閉じた状態で前記キャップが、プレロック状態でまたは本ロック状態でのいずれかで前記ボディと重複し、前記ボディおよび前記キャップの材料が、セルロースのエチルエーテル、メチルエーテルまたはプロピルエーテル、デンプンまたはプルランを含み、前記ハードシェルカプセルが、該ハードシェルカプセルを該プレロック状態で覆うコーティング層でコーティングされ、前記コーティング層が、1種以上の(メタ)アクリレートコポリマーを含んでおり、前記コーティング層が、約1~5.8mg/cm
2の量で存在し、前記コーティング層の組成に相当している、250μmの厚さを有する乾燥皮膜が、約15~500%の破断伸びを示し、前記のポリマーコーティングされたハードシェルカプセルが、前記プレロック状態でカプセル充填機に供給され、前記ボディおよび前記キャップを分離する工程、前記ボディを前記充填物で充填する工程および前記ボディおよび前記キャップを前記本ロック状態で再結合する工程を実施する、前記方法。
【請求項2】
前記の1種以上の(メタ)アクリレートコポリマーが、125℃以下のガラス転移温度T
gmを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ボディおよび前記キャップの材料が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記コーティング層が、メタクリル酸およびエチルアクリレートの重合単位、メタクリル酸およびメチルメタクリレートの重合単位、エチルアクリレートおよびメチルメタクリレートの重合単位またはメタクリル酸、メチルアクリレートおよびメチルメタクリレートの重合単位を含んでいるコポリマーから、メタクリル酸およびエチルアクリレートの重合単位を含んでいるコポリマーと、メチルメタクリレートおよびエチルアクリレートの重合単位を含んでいるコポリマーとの混合物およびメタクリル酸、メチルアクリレートおよびメチルメタクリレートの重合単位を含んでいるコポリマーと、メチルメタクリレートおよびエチルアクリレートの重合単位を含んでいるコポリマーとの混合物から選択される(メタ)アクリレートコポリマーを含む、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記コーティング層が、メタクリル酸40~60質量%およびエチルアクリレート60~40質量%の重合単位を含んでいる(メタ)アクリレートコポリマーを含む、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記コーティング層が、エチルアクリレート60~80質量%およびメチルメタクリレート40~20質量%の重合単位を含んでいる(メタ)アクリレートコポリマーを含む、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記コーティング層が、メタクリル酸5~15質量%、メチルアクリレート60~70質量%およびメチルメタクリレート20~30質量%の重合単位を含んでいる(メタ)アクリレートコポリマーを含む、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記コーティング層が、メタクリル酸40~60質量%およびエチルアクリレート60~40質量%の重合単位を含んでいる(メタ)アクリレートコポリマーおよびエチルアクリレート60~80質量%およびメチルメタクリレート40~20質量%の重合単位を含んでいる(メタ)アクリレートコポリマーの10:1~1:10の質量比での混合物を含む、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記コーティング層が、メタクリル酸5~15質量%、メチルアクリレート60~70質量%およびメチルメタクリレート20~30質量%の重合単位を含んでいる(メタ)アクリレートコポリマーおよびメタクリル酸40~60質量%およびエチルアクリレート60~40質量%の重合単位を含んでいる(メタ)アクリレートコポリマーの1:1~5:1の質量比での混合物を含む、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記コーティング層が、前記の(1種以上の)(メタ)アクリレートコポリマー50~100質量%および薬剤学的なまたはニュートラシューティカルの付形剤50~0質量%を含む、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記の薬剤学的なまたはニュートラシューティカルの付形剤が、1種以上の可塑剤および/または1種以上の粘着防止剤を含んでいる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記の(1種以上の)可塑剤が、アルキルシトレート、グリセロールエステル、アルキルフタレート、アルキルセバケート、スクロースエステル、ソルビタンエステル、グリセロール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールの群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記の(1種以上の)粘着防止剤が、ステアリン酸Caまたはステアリン酸Mg、グリセロールモノステアレートおよびタルクから選択される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
使用されるカプセル充填機が、毎時1000以上の充填され、かつ最終的に閉じたカプセルのアウトプットを有する速さで操作される、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記コーティング層が、乳化剤、好ましくはポリソルベート80を含む、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法により得られた、ハードシェルカプセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル充填機を用いて充填されたポリマーコーティングされたハードシェルカプセルを製造する方法の分野に関する。
【0002】
技術背景
米国特許第4138013号明細書(US 4138013)には、腸溶性を有するハードシェルカプセルが記載されている。該ハードシェルカプセルは、入れ子状に係合されたボディ部およびキャップ部を含む。該カプセルボディ部およびキャップ部は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、(1)ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびセルロースアセテートフタレートのアンモニウム塩または(2)ゼラチンおよび(メタ)アクリル酸とメタクリル酸アルキルエステルとのコポリマーのアンモニウム塩の混合物から選択されるポリマーを含む、均質な皮膜形成性混合物を用いる浸漬成形により形成される。該カプセル自体は、さらなる腸溶コーティング層を適用することなく、すでに腸溶性を有する。
【0003】
Xujin LuおよびPankaj Shah, “Dissolution of Gelatin Capsules: Evidence and Confirmation of Crosslinking”, Dissolution technologies中, 2017年8月, 6-20。この著者は、架橋がゼラチンカプセルの溶出における共通の問題であることを考察する。
【0004】
A. A. Atama (2007) “Polyelectrolyte Complexes of EUDRAGIT(登録商標) L30 D-55 and Gelatin. Antinociceptive Activity of Entrapped Piroxicam”。この著者は、EUDRAGIT(登録商標) L 30 D-55およびゼラチンの相互作用を考察する。EUDRAGIT(登録商標) L 30 D-55は、メタクリル酸とエチルアクリレートとをベースとするアニオン性コポリマーの30%水性分散液である。A型ゼラチンは、豚皮の酸での前処理により生成される。ゼラチンの等電点(IEP)は7~9の間である。pH 8未満で、A型ゼラチンは正に帯電しており、かつ負に帯電したEUDRAGIT(登録商標) L 30 D-55と相互作用しうる。
【0005】
Huyghebaert et al., European Journal of Pharmaceutical Sciences 21 (2004) 617-623には、すぐ使用できる腸溶カプセル部分が得られる、HPMC製のカプセルの腸溶コーティングのための代替法が記載されている。ゼラチンカプセルとは異なり、HPMCカプセルが、水性製剤から比較的に容易に腸溶コーティングできることが報告される。しかしながら、シールを該カプセル半部分間に、例えば手で適用されうるゼラチン溶液によって、付加的に適用して、該カプセルの漏れおよび胃におけるその内容物の制御されない逃散を回避することが必要である。もう一つの技術は、水/エタノール混合物を該カプセル半部分間に適用し、かつ前記部分を一緒に40~60℃で溶接することである。(メタ)アクリレートコポリマーまたはポリビニルアセテートフタレート、可塑剤、例えばクエン酸トリエチルおよびさらなる助剤、例えば、タルク等をベースとする水性製剤(EUDRAGIT(登録商標) FS 30 D、EUDRAGIT(登録商標) L 30 D-55)を用いて、別個にコーティングされたボディおよびキャップから腸溶皮膜を有するHPMCカプセルを提供することが可能である。別個のシール工程は、この配合方法の場合に防止することができる。特に、(メタ)アクリレートコポリマーでコーティングされているHPMCカプセルは、それらの特性を合算して特に有利であるとして示されている。
【0006】
国際公開第2011/012369号(WO 2011/012369A1)には、水溶性または水膨潤性のポリマー材料製のカプセル半部分の腸溶コーティング用のコーティング組成物が記載されている。
【0007】
特開2003-325642号公報(JP2003-325642A)には、腸溶性皮膜付き硬質空カプセルおよびそのような硬質空カプセルの製造方法が記載されている。該カプセルキャップは、該カプセルボディにセミロック状態で結合され、かつ腸溶性皮膜は、全表面に形成されている。ついで、該カプセルキャップは、該カプセルボディから外され、かつ内容物が充填される。これらの部分はついでロック状態で結合される。このことは、内容物に熱的変性を与える、カプセルを充填した後のコーティングの適用を回避することを可能にする。また、充填した後のカプセルのシール処理を回避することができる、それというのも、ロック状態でコーティングのオーバーラップがあり、これがカプセルキャップとカプセルボディとの隙間をシールするからである。該カプセルは、所望の内容物、例えばプロポリス、生ローヤルゼリー、黒酢エキスで充填できる。記載されたようなカプセルは、ゼラチンから、金型を、ゼラチンおよび水を含む分散液に浸漬することによる、浸漬コーティング法に従って製造される。該金型は、引き上げられ、回転され、冷却乾燥される。それにより、筒状の膜が、均一な厚さで形成され、カプセルキャップとしてまたはカプセルボディとして必要とされるような寸法に切断される。カプセルキャップおよびカプセルボディは、セミロック状態で結合される。腸溶性物質は、スプレーコーティングにより塗布することができる。
【0008】
特開2003-325642号公報(JP2003-325642A)に記載の腸溶性物質は、小麦、大豆、コラーゲン、ゼラチン等に由来する植物性または動物性のタンパク質、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースアセテートマレエート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリビニルアセテートフタレート、ポリビニルブチレートフタレートであってよい。コーティングの量は、従来の腸溶性カプセル製剤により実施される量より多めの、20~80質量%、40~60質量%が望ましい。その皮膜厚さは約0.1~約0.5mmである。これらの皮膜厚さは、該カプセルボディの外径と該カプセルキャップの内径との寸法差より大きい。
【0009】
特開昭61-221117号公報(JP S61-221117A)には、例えば医療の分野で利用される、腸溶性硬カプセル剤が記載されている。該カプセルは、充填する前にプレロック状態でコーティングされて、充填した後に腸溶剤でコーティングされた従来の硬カプセルの欠点、例えば高価な医薬品のロスを回避する。プレロック状態でのコーティングは、該キャップとの該ボディ部分の部分重複を生じて、該キャップおよび該ボディの嵌合部から胃液が該カプセルへ侵入することを防止するのに充分なパッキング効果を有する。この発明は、通常のゼラチンカプセルを使用し、“スナップフィット”のいわゆるロック方式であってよい。腸溶剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートフタレートおよびメタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマーが使用されてよい。実施例において、1号カプセルを、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HP-55、Shin-Etsu Chemical Co., Ltd)14および38mgでコーティングした。約80μmの皮膜厚さを有するカプセル1個あたり18mgが好ましいことが見出された。特開昭61-221117号公報(JP S61-221117A)には、さらに可能なコーティングとしてメタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマーが挙げられている。
【0010】
発明の要約
プレロック状態で腸溶コーティングし、開け、充填物で充填し、ついで本ロック状態に閉じるハードシェルカプセルは、特開2003-325642号公報(JP2003-325642A)および特開昭61-221117号公報(JP S61-221117A)から原則的に公知である。双方の引用文献には、貯蔵中に架橋する傾向があるゼラチンカプセルの使用が記載されている(Xujin LuおよびPankaj Shah, “Dissolution of Gelatin Capsules: Evidence and Confirmation of Crosslinking”, Dissolution technologies中, 2017年8月, 6-20)。該ゼラチンカプセルは、ツェインコーティング液(特開2003-325642号公報(JP2003-325642A))またはヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートフタレート(HP-55、特開2003-325642号公報(JP2003-325642A))でプレコーティングされる。
【0011】
プレロック状態で腸溶コーティングされたカプセルの使用は有利であるように思われる、それというのも、Huyghebaert et al.(European Journal of Pharmaceutical Sciences 21 (2004) 617-623)において考察されたような付加的なシール工程の適用を回避することができるからである。また、該コーティングが充填後に塗布される場合に起こる充填物の熱的変性も、カプセル充填前の該プレロック状態でのコーティングによって回避することができる。
【0012】
工業的規模の生産のためには、高いターンオーバーおよびアウトプットプロセスが望ましい。そのような高いターンオーバーおよびアウトプットは、自動化カプセル充填機の使用により達成することができる。半自動化および全自動化カプセル充填機は、該プレロック状態ですでにコーティングされている用意されたカプセルを加工することができ、かつ該ボディおよび該キャップを分離する工程、該ボディを該充填物で充填する工程および該ボディおよび該キャップを該本ロック状態で再結合する工程を迅速に実施することができる。全自動化機は、毎時1000またはそれどころかよりいっそう大きい数の加工されたカプセルの速さで操作することが可能である。しかしながら、その高い速さは、前記のプレロックされたカプセルおよび殊に該コーティングの機械的耐性に高い機械的応力を引き起こす。したがって、カプセル充填機におけるプレロック状態でコーティングされたカプセルの加工を、酸性媒体における耐性(pH 1.2で120分間以内で10%未満の活性成分放出)およびより高いpH(pH 5.5以上、pH 6.8)での急速溶出などの特性を損なうことなく可能にする方法を提供する必要がある。
【0013】
本発明は、
生物学的に活性な成分を含んでいる充填物で充填された、ポリマーコーティングされたハードシェルカプセルを製造する方法
に関し、該ハードシェルカプセルが、ボディおよびキャップを含んでおり、閉じた状態で該キャップが、プレロック状態でまたは本ロック状態でのいずれかで該ボディと重複し、
該ボディおよび該キャップの材料が、セルロースのエチルエーテル、メチルエーテルまたはプロピルエーテル、デンプンまたはプルランを含み、該ハードシェルカプセルが、該ハードシェルカプセルを該プレロック状態で覆うコーティング層でコーティングされ、該コーティング層が、1種以上の(メタ)アクリレートコポリマーを含んでおり、該コーティング層が、約1~5.8mg/cm2、好ましくは2~5mg/cm2の量で存在し、該コーティング層の組成に相当している、250μmの厚さを有する乾燥皮膜が、約15~500%、好ましくは50~450%の破断伸びを示し、前記のポリマーコーティングされたハードシェルカプセルが、該プレロック状態でカプセル充填機に供給され、該ボディおよび該キャップを分離する工程、該ボディを該充填物で充填する工程および該ボディおよび該キャップを該本ロック状態で再結合する工程を実施する。
【0014】
生物学的に活性な成分
開示される方法は、生物学的に活性な成分を含んでいる充填物で充填された、ポリマーコーティングされたハードシェルカプセルに関する。生物学的に活性な成分は、送達または摂取後に動物体または人体における予防または治療の効果を付与しうる成分として定義されうる。前記の生物学的に活性な成分は、好ましくは薬剤学的に活性な成分および/またはニュートラシューティカルとして活性な成分である。
【0015】
薬剤学的にまたはニュートラシューティカルとして活性な成分
本発明は、薬剤学的にまたはニュートラシューティカルとして活性な成分の充填物を有する、即放性、腸溶性または徐放性に配合された薬剤学的なまたはニュートラシューティカルの剤形に好ましくは有用である。
構成要素が上記のポリマーコーティングされたハードシェルカプセル用の充填物として使用されてよい、適した治療学的および化学的な分類の薬剤学的に活性な成分は、例えば次のものである:鎮痛薬、抗生物質または抗感染薬、抗体、抗てんかん薬、植物由来の抗原、抗リウマチ薬、ベンゾイミダゾール誘導体、ベータブロッカー、心血管薬、化学療法薬、CNS薬、ジギタリス配糖体、胃腸薬、例えばプロトンポンプ阻害薬、酵素、ホルモン、液体または固体の天然抽出物、オリゴヌクレオチド、ペプチドホルモンタンパク質、治療用細菌、モノクローナル微生物、微生物成分、ペプチド、タンパク質およびそれらの(金属)塩、すなわちアスパルテート、塩化物、オルテート、泌尿器薬、ワクチン。
【0016】
上記のポリマーコーティングされたハードシェルカプセル用の充填物として使用されてよい薬のさらなる例は、例えばアカンプロサート、エスシン、アミラーゼ、アセチルサリチル酸、アドレナリン、5-アミノサリチル酸、オーレオマイシン、バシトラシン、バルサラジン、ベータカロテン、ビカルタミド、ビサコジル、ブロメライン、ブデソニド、カルシトニン、カルバマゼピン、カルボプラチン、セファロスポリン、セトロレリクス、クラリスロマイシン、クロロマイセチン、シメチジン、シサプリド、クラドリビン、クロラゼペート、クロモリン、1-デアミノシステイン-8-D-アルギニン-バソプレシン、デラムシクラン、デチレリックス、デクスランソプラゾール、ジクロフェナク、ジダノシン、ジギトキシンおよび他のジギタリス配糖体、ジヒドロストレプトマイシン、ジメチコン、ジバルプロエクス、ドロスピレノン、デュロキセチン、酵素、エリスロマイシン、エメプラゾール、エストロゲン、エトポシド、ファモチジン、フッ化物、ニンニク油、グルカゴン、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、ヘパリン、ヒドロコルチゾン、ヒト成長ホルモン(hGH)、イブプロフェン、イラプラゾール、インスリン、インターフェロン、インターロイキン、イントロンA、ケトプロフェン、ランソプラゾール、ロイプロリドアセテート、リパーゼ、リポ酸、リチウム、キニン、メマンチン、メサラジン、メテナミン、ミラメリン、ミネラル、ミノプラゾール、ナプロキセン、ナタマイシン、ニトロフラントイン、ノボビオシン、オルサラジン、オメプラゾール、オロテート、パンクレアチン、パントプラゾール、副甲状腺ホルモン、パロキセチン、ペニシリン、ペルプラゾール、ピンドロール、ポリミキシン、カリウム、プラバスタチン、プレドニゾン、プレグルメタシン、プロガビド、プロソマトスタチン、プロテアーゼ、キナプリル、ラベプラゾール、ラニチジン、ラノラジン、レボキセチン、ルトシド、ソマトスタチン、ストレプトマイシン、サブチリン、スルファサラジン、スルファニルアミド、タムスロシン、テナトプラゾール、トリプシン、バルプロ酸、バソプレシン、ビタミン、亜鉛であり、それらの塩、誘導体、多形、同形、または任意の種類の混合物またはそれらの組合せを含む。
【0017】
薬剤学的におよびニュートラシューティカルとして活性な成分、付形剤および組成物もしくは薬剤学的なまたはニュートラシューティカルの剤形の用語の間に広く重複があることは当業者に明白である。ニュートラシューティカルとして列挙された多くの物質は、薬剤学的に活性な成分として使用されてもよい。特殊な用途および地方行政の法律および分類に依存して、同じ物質が、薬剤学的にまたはニュートラシューティカルとして活性な成分もしくは薬剤学的なまたはニュートラシューティカルの組成物またはそれどころかその双方として列挙されうる。
【0018】
ニュートラシューティカルは当業者に周知である。ニュートラシューティカルは、ヒトの健康に医療効果を有すると主張される食品の抽出物としてしばしば定義される。したがって、ニュートラシューティカルとして活性な成分は、同様に薬剤学的活性も示しうる:ニュートラシューティカルとして活性な成分の例は、抗酸化剤としてのブドウ加工品からのレスベラトロール、水溶性食物繊維製品、例えば高コレステロール血症を軽減するためのサイリウムハスク、がん予防薬としてのブロッコリー(スルファン)、および動脈の健康状態を改善するための大豆またはクローバー(イソフラボノイド)であってよい。したがって、ニュートラシューティカルとして列挙された多くの物質が、薬剤学的に活性な成分として使用されてもよいことは明らかである。
【0019】
上記のポリマーコーティングされたハードシェルカプセル用の充填物として使用されてよい、典型的なニュートラシューティカルまたはニュートラシューティカルとして活性な成分は、プロバイオティクスおよびプレバイオティクスも含みうる。プロバイオティクスは、摂取する際にヒトまたは動物の健康をサポートすると考えられている、生きている微生物である。プレバイオティクスは、ヒトまたは動物の腸において有益な微生物の成長または活性を誘導または促進する、ニュートラシューティカルまたはニュートラシューティカルとして活性な成分である。
【0020】
ニュートラシューティカルの例は、ブドウ加工品からのレスベラトロール、オメガ-3-脂肪酸または抗酸化剤としての、例えばブルーベリーまたはブラックカラントからの、(プロ)アントシアニン、可溶性食物繊維製品、例えば高コレステロール血症を軽減するためのサイリウムハスク、がん予防薬としてのブロッコリー(スルファン)、および動脈の健康状態を改善するための大豆またはクローバー(イソフラボノイド)である。ニュートラシューティカルの他の例は、フラボノイド、抗酸化剤、亜麻仁からのα-リノール酸、マリーゴールド花弁からのベータカロテンまたはベリーからのアントシアニンである。時には表現neutraceuticalsまたはnutriceuticalsは、ニュートラシューティカル(nutraceuticals)の同義語として使用される。
【0021】
好ましい生物学的に活性な成分は、メトプロロール、メサラミンおよびオメプラゾールである。
【0022】
ポリマーコーティングされたハードシェルカプセル
本発明は、ボディおよびキャップを含んでいる、ポリマーコーティングされたハードシェルカプセルを製造する方法に関する。閉じた状態で該キャップは、プレロック状態でまたは本ロック状態でのいずれかで該ボディと重複する。該ハードシェルカプセルは、通常、該プレロック状態で商業的に入手可能であり、ついで好ましくは、1種以上の(メタ)アクリレートコポリマーを含んでいるコーティング溶液または分散液でスプレーコーティングされて、該ハードシェルカプセルの外部表面を該プレロック状態で覆うコーティング層を作り出す。
【0023】
ハードシェルカプセル
薬剤学的なまたはニュートラシューティカルの目的のためのハードシェルカプセルは当業者に周知である。ハードシェルカプセルは、ボディおよびキャップと呼ばれる2つのカプセル半部分を含んでいるツーピースカプセル封入カプセルである。該カプセルボディおよびキャップ材料は通常、硬く、時には脆い材料製である。該ハードシェルカプセルは、ボディおよびキャップを含む。ボディおよびキャップは、通常、反対端に閉じられた丸みのある半球端を有する、一端が開いた円筒形のものである。該キャップおよびボディの形状およびサイズは、該ボディをその開口端で該キャップの開口端へ入れ子状に押し込むことができるようなものである。
【0024】
該ボディおよび該キャップは、該ボディの外側および該キャップの内側に潜在的な重複して合致する領域(重複領域)を含み、該領域は、該カプセルが該プレロック状態で閉じられる際に部分的に重複し、かつ該本ロック状態で完全に重複する。該キャップが、該ボディの重複して合致する領域上を部分的に滑動する際に、該カプセルは該プレロック状態にある。該キャップが、該ボディの重複して合致する領域上を全体的に滑動する際に、該カプセルは該本ロック状態にある。該プレロック状態または該本ロック状態の維持は通常、該ボディおよび該キャップのスナップインロッキング機構、例えば一周しているノッチまたはディンプル、好ましくは延在したディンプルが合致することにより支持される。
【0025】
通常、該ボディは該キャップよりも長い。該ボディの外側で重複する領域を、該カプセルを閉じるかまたはロックするために、該キャップにより覆うことができる。前記の閉じた状態で該キャップは、該ボディの外側の重複領域をプレロック状態でまたは本ロック状態でのいずれかで覆う。該本ロック状態で該キャップは、該ボディの外側の重複領域を全体として覆い、該プレロック状態で該キャップは、該ボディの外側の重複する領域と部分的にのみ重複する。該キャップは、該ボディ上を滑動して、該カプセルが、プレロック状態でまたは本ロック状態でのいずれかで閉じられる異なる2つの位置のうち通常1つに固定されうる。
【0026】
ハードシェルカプセルは、異なるサイズで商業的に入手可能である。ハードシェルカプセルは、通常、該プレロック状態ですでに位置調整された該ボディおよびキャップを有する空容器としておよび必要に応じて別個のカプセル半部分、ボディおよびキャップとして配送される。前記のプレロックされたハードシェルカプセルは、該カプセルの開放、充填および該本ロック状態への閉鎖を実施するカプセル充填機に供給されうる。通常、ハードシェルカプセルは、乾燥材料で、例えば生物学的に活性な成分を含んでいる粉末または顆粒で充填される。
【0027】
該キャップおよびボディには、該カプセルのプレロック(一時的)および/または本ロックに有利であるクロージャー手段が設けられる。
したがって、高められた箇所は、該キャップの内壁上に設けられていてよく、かつ幾分より大きなくぼんだ箇所は、該ボディの外壁上に設けられ、該カプセルが閉じられる際に、該高みが該くぼみに嵌着するように配列される。あるいは、該高みが該ボディの外壁上に、かつ該くぼみが該キャップの内壁上に、形成されてよい。該高みまたはくぼみが、該壁の周りに環またはらせんで配列される配列も可能である。該高みおよびくぼみの点状配置の代わりに、これらの高みおよびくぼみは、該キャップまたはボディの壁を環状配置で一周していてよいけれども、有利には、該カプセル内部へのおよび該カプセル内部からのガスの交換を可能にするへこみおよび開口部が設けられる。
【0028】
1つ以上の高みは、該キャップの内壁および該ボディの外壁の周りに、該カプセルの本ロックされた位置で、該キャップ上の高みが該ボディ上の高みに隣接して位置しているように、環状配列で設けられていてよい。時には高みは、該ボディの外側上でその開口端の近くに形成され、かつくぼみは、該キャップ中でその開口端の近くに形成されて、該ボディ上の高みが、該キャップにおけるくぼみへ該カプセルの本ロックされた位置で掛止する。該高みは、該プレロック状態でいつでも該カプセルを損傷させることなく該キャップを開けることができるかまたは、選択的に、いったん閉じれば該カプセルを破壊せずに再び開けることができないようになっていてよい。
1つ以上のそのようなラッチング機構(ラッチ、例えば2つの一周している溝)を有するカプセルが好ましい。より好ましいのは、前記の2つのカプセル部分を異なる程度に固着する少なくとも2つのそのようなラッチング手段を有するカプセルである。この種類の一部において、第1のラッチング(ディンプルまたは一周しているノッチ)手段は、該カプセルキャップおよび該カプセルボディにおける開口部の近くに形成されてよく、かつ第2のラッチング(一周しているノッチ)は、該カプセル部分の閉端の方へさらに幾分移動することができる。第1のラッチング手段は、第2のラッチング手段よりも弱い強さで、前記の2つのカプセル部分を固着する。この変法は、該空カプセルの製造後に、該カプセルキャップおよびカプセルボディが、最初に、第1のラッチング機構を用いて継合してプレロックすることができるという利点を有する。該カプセルを充填するために、前記の2つのカプセル部分はついで再び分離される。充填後に、前記の2つのカプセル部分は、第2の組のラッチが該カプセル部分を本ロック状態で堅固に固着するまで、押し合わされる。
【0029】
好ましくは、該ハードシェルカプセルの該ボディおよび該キャップは、それぞれ一周しているノッチおよび/またはディンプルを、該キャップが該ボディ上を滑動することができる領域において含んでいる。該ボディの一周しているノッチおよび該キャップのディンプルは互いに合致して、スナップインまたはスナップイントゥプレース機構を提供する。該ディンプルは、円形または長手方向で延在している(楕円形)であってよい。
該ボディの一周しているノッチおよび該キャップの一周しているノッチ(密接に合致した環)も互いに合致して、スナップインまたはスナップイントゥプレース機構を提供する。このことは、該カプセルがプレロック状態でまたは本ロック状態でのいずれかでのスナップイントゥプレース機構により閉じることを可能にする。
【0030】
好ましくは、合致している、該ボディの一周しているノッチおよび該キャップの延在したディンプルは、該ボディおよび該キャップを互いに該プレロック状態で嵌合するのに使用される。合致している、該ボディの一周しているノッチおよび該キャップは、好ましくは、該ボディおよび該キャップを互いに該本ロック状態で嵌合またはロックするのに使用される。
【0031】
該キャップが該ボディ上を滑動することができる領域は、該ボディおよび該キャップの重複する領域または簡潔に該重複領域と呼ばれうる。該キャップが該ボディと部分的にのみ重複する場合には、該重複領域の20~90%または60~85%であってよく、該ハードシェルカプセルは、部分的にのみ閉じられる(プレロックされる)。好ましくは、ロッキング機構の存在下で、ボディおよびキャップにおける一周しているノッチおよび/またはディンプルが合致しているように、前記の部分的に閉じられたカプセルは、プレロックされたと呼ばれうる。該カプセルがポリマーコーティングされる際に、該プレロック状態で該コーティングは、該ボディおよびキャップの重複領域の、該キャップによりこのプレロック状態で重複されない部分を含めて、前記の完全に外部の表面を覆うことになる。該カプセルが該プレロック状態でポリマーコーティングされ、ついで該本ロック状態に閉じられる際に、該ボディおよびキャップの重複領域の、該キャップにより該プレロック状態で重複されなかった部分のコーティングは、ついで、該キャップにより覆われることになる。該コーティングの、ついで該本ロック状態で該ボディと該キャップとの間で囲まれる部分の存在は、該ハードシェルカプセルが密封されるのに十分である。このことは全く予測されうるものではなかった。
【0032】
該キャップが該ボディの全体の重複する領域と重複する場合には、該ハードシェルカプセルは、最終的に閉じられるかまたは該本ロック状態にある。好ましくは、ロッキング機構の存在下で、ボディおよびキャップにおける一周しているノッチおよび/またはディンプルが合致しているように、前記の最終的に閉じられたカプセルは、本ロックされたと呼ばれうる。
【0033】
通常、ディンプルは、該ボディおよび該キャップを該プレロック状態で嵌合するのに好ましい。拘束されない規則として、ディンプルの合致する領域は、一周しているノッチの合致する領域よりも小さい。こうしてスナップインしたディンプルは、一周しているノッチが合致していることによるスナップイン固着をスナップアウトするのに必要であるよりも少ない力を適用することにより、再びスナップアウトされうる。
【0034】
該ボディおよびキャップのディンプルは、該キャップが該ボディ上を滑動することができる領域において、互いに該プレロック状態でスナップインまたはスナップイントゥプレース機構により合致して位置している。そこで、例えば2、4、または好ましくは6つのノッチまたはディンプルが、該キャップの周りに円形に分布して位置していてよい。
【0035】
通常、該キャップのディンプルおよび該ボディの一周しているノッチは、該キャップが該ボディ上を滑動することができる領域において、互いに合致しているので、それらは、該カプセルがスナップイントゥプレース機構により該プレロック状態で閉じることを可能にする。該プレロック状態で、該ハードシェルカプセルは、手でまたは機械により損傷することなく再び開けることができる、それというのも、開けるのに必要とされる力が比較的低いからである。それで、該“プレロック状態”は、時には、“ゆるくキャップされた”とも呼ばれている。
【0036】
通常、該ボディおよび該キャップの一周しているノッチまたは合致しているロッキングリングは、該キャップが該ボディ上を滑動することができる領域において、互いに合致しているので、それらは、該カプセルがスナップイントゥプレース機構により該本ロック状態で閉じることを可能にする。該本ロック状態で、該ハードシェルカプセルは、手でまたは機械により損傷することなく再び開けることができないかまたはほとんどできない、それというのも、開けるのに必要とされる力が比較的高いからである。
【0037】
通常、該ディンプルおよび前記の一周しているノッチは、該カプセルボディまたはカプセルキャップにおいて形成される。これらの高みおよびくぼみが設けられた該カプセル部分が互いに嵌着される場合に、10ミクロン~150ミクロン、より具体的には20ミクロン~100ミクロンの理想的に定義された均質な隙間が、該カプセルボディと該カプセルキャップとの間でその上にある接触表面に沿って形成される。
【0038】
好ましくは、該ハードシェルカプセルの該ボディは、テーパーリムを含む。該テーパーリムは、該ボディおよび該キャップのリムが、該カプセルが手でまたは機械により閉じられる際にぶつかり、かつ損傷しそうになるのを防止する。
【0039】
ハードシェルカプセルとは異なり、ソフトシェルカプセルは、溶接されたワンピースカプセル封入カプセルである。ソフトゲルカプセルは、しばしばブロー成形されたソフトなゲル化物質製であり、かつ通常、注入により生物学的に活性な成分を含んでいる液体で充填される。本発明は、溶接されたソフトシェルワンピースカプセル封入カプセルに関するものではない。
【0040】
ハードシェルカプセルのサイズ
前記のポリマーコーティングされたハードシェルカプセルは、標準サイズ000、00、0、1、2、3、4、5または9の未コーティングのハードシェルカプセルに由来していてよい。
【0041】
閉じた、本ロックされたハードシェルカプセルは、約5~40mmの範囲内の全長を有していてよい。該キャップの直径は約4~12mmの範囲内であってよい。該ボディの直径は約2~11mmの範囲内であってよい。該キャップの長さは約4~20mmの範囲内であってよく、かつ該ボディの長さは8~30mmの範囲内であってよい。その充填体積は約0.1~2mlの間であってよい。前記のプレロック時の長さと前記の本ロック時の長さとの差は約1~5mmであってよい。
【0042】
カプセルは、例えばサイズ000~5の、標準化されたサイズに分類することができる。サイズ000の閉じたカプセルは、例えば、約28mmの全長を有し、約9.9mmの該キャップの外径および約9.5mmの該ボディの外径を有する。該キャップの長さは約14mmであり、該ボディの長さは約22mmである。その充填体積は約1.4mlである。
【0043】
サイズ5の閉じたカプセルは、例えば、約10mmの全長および約4.8mmの該キャップの外径および約4.6mmの該ボディの外径を有する。該キャップの長さは約5.6mmであり、該ボディの長さは約9.4mmである。その充填体積は約0.13mlである。
【0044】
サイズ0のカプセルは、該プレロック状態で約23~24mmの長さおよび該本ロック状態で約20.5~21.5mmを示しうる。したがって、前記のプレロック時の長さと前記の本ロック時の長さとの差は約2~3mmであってよい。
【0045】
ボディおよびキャップの材料
該ボディおよび該キャップの材料は、セルロースのエチルエーテル、メチルエーテルまたはプロピルエーテル、デンプンまたはプルランを含む。セルロースエーテルは、そのヒドロキシル基の水素原子が、アルキル基、例えばエチル基、メチル基またはプロピル基により部分的にまたは完全に置換されているセルロースの誘導体である。セルロースのこれらの誘導体は、薬学および生薬学における当業者に周知である。適した材料は、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)および/またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。好ましいのはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。
【0046】
コーティング層
該ハードシェルカプセルは、該プレロック状態で用意され、かつコーティング溶液、懸濁液または分散液でスプレーコーティングされて、該ハードシェルカプセルの外部表面を該プレロック状態で覆う、対応するコーティング層を作り出す。
【0047】
該コーティング層は、単層であってよく、または2つ以上の個々の層を含んでいてよいかまたは2つ以上の個々の層からなっていてよい。
【0048】
該ハードシェルカプセルは、該ハードシェルカプセルを該プレロック状態で覆うコーティング層でコーティングされる。該コーティング層は、1種以上の(メタ)アクリレートコポリマーを含んでおり、好ましくは125℃以下のガラス転移温度Tgm(ISO 11357-2:2013-05に従って示差走査熱量測定(DSC)により測定)を有し、該コーティング層が、約1~5.8mg/cm2、好ましくは2~5mg/cm2の量で存在し、該コーティング層の組成に相当している乾燥皮膜が、約15~500%の破断伸びを示す。該破断伸びは、DIN EN ISO 527-3:2018、2019年2月に従って試験試料(試料タイプ1B、20mm/min)を用いて測定される。
単層であってよく、または2つ以上の個々の層を含んでいてよいかまたは2つ以上の個々の層からなっていてよいコーティング層は、1種以上の(メタ)アクリレートコポリマーを全部で10~100質量%、20~95質量%、30~90質量%含んでいてよい。
単層であってよく、または2つ以上の個々の層を含んでいてよいかまたは2つ以上の個々の層からなっていてよいコーティング層は、薬剤学的なまたはニュートラシューティカルの付形剤を全部で90~0質量%、80~5質量%、70~10質量%含んでいてよい。
【0049】
前記の1種以上の(メタ)アクリレートコポリマーおよび前記の薬剤学的なまたはニュートラシューティカルの付形剤は合計100%になりうる。
【0050】
“デュオコート”
該コーティング層は、単一コーティング層であってよいかまたは1または2つ以上の個々の層を含んでいてよい。
【0051】
2つの個々のコーティングを含んでいるコーティング層を含んでいる有利な系は、部分的に中和されたアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーまたは水溶性の中性ポリマーを含む内側コーティングを、該内側コーティングの材料よりも中和されないかまたは全く中和されないアニオン性(メタ)アクリレートコポリマーを含んでいる外側コーティングとの組合せで含んでいてよい(国際公開第2008/135090号(WO 2008/135090A1)参照)。
【0052】
ガラス転移温度Tgm
メタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマー、例えばEUDRAGIT(登録商標) L 100またはEUDRAGIT(登録商標) S 100は、該EUDRAGIT(登録商標) L 100ポリマーについては約150℃または150℃を幾分上回るガラス転移温度Tgmまたは該EUDRAGIT(登録商標) S 100ポリマーについては比較的高い約160℃または160℃を幾分上回るガラス転移温度Tgmを示す。EUDRAGIT(登録商標) L 100またはEUDRAGIT(登録商標) S 100のTgmが、150℃でそれらの官能基の分解が始まるために正確に測定できないことに注意すべきである。該コーティング層の必要とされる弾性(破断伸び)は、可塑剤および/または乳化剤および/または粘着防止剤の比較的高い量の添加により実現されうる。
【0053】
本発明者は、好ましい実施態様において、コーティング層が、125℃以下、好ましくはマイナス10℃~プラス115℃のガラス転移温度Tgmを有する1種以上の(メタ)アクリレートコポリマーを含んでいてよいことが見出された。これらのポリマーは、あまり脆くなく、かつより柔軟性であり、該コーティング層を支持して、カプセル充填機における加工中に生じる高い機械力に対して耐える。これらのポリマーとの組合せで、該コーティング層の必要とされる弾性(破断伸び)は、より少ない量の可塑剤および/または乳化剤および/または粘着防止剤の添加で実現されうる。この実施態様において、メタクリル酸-メチルメタクリレートコポリマーは一般に除外されうる。
【0054】
したがって、該コーティング層は、125℃以下、好ましくは-10~115℃のガラス転移温度Tgmを有する1種以上の(メタ)アクリレートコポリマーを含みうる。
【0055】
したがって、該コーティング層は、125℃以下、好ましくは-10~115°のガラス転移温度Tgmを有する1種以上の(メタ)アクリレートコポリマーを含んでいてよく、ここで、メタクリル酸およびメチルメタクリレートの重合単位からなるコポリマーは除外される。
【0056】
該ガラス転移温度Tgmは、ISO 11357-2:2013-05に従って示差走査熱量測定(DSC)により測定される。該測定は、20K/minの昇温速度で実施される。該ガラス転移温度Tgmを、DIN EN ISO 11357-2の節10.1.2に記載されたようにハーフステップ高法により測定した。
【0057】
コーティング層の厚さ
該コーティング層は、約1~5.8mg/cm
2、好ましくは2~5mg/cm
2の量で存在する。
該コーティング層の厚さは、前記の空のプレロックカプセルに、例えばスプレーコーティング法において、適用されるコーティング材料の量を前記の空のプレロックカプセルの表面積に対して計算することにより決定されうる(例8および9、
図1/1も参照)。該コーティング層は、単層であってよく、または2つ以上の個々の層を含んでいてよいか、または2つ以上の個々の層からなっていてよい。2つ以上の個々の層の場合に、前記の個々の層の厚さは、該コーティング層全体の厚さに累加する。
【0058】
破断伸び
本発明者は、カプセル充填機における加工が、該コーティング層の特定の弾性を必要とすることを見出した。該コーティング層の弾性は、該コーティング層の組成に相当している乾燥皮膜が、約15~500%、好ましくは20~250%の破断伸びを示すことにより特徴付けられうる。
【0059】
破断伸びは、DIN EN ISO 527-1:2012-06(一般原則、殊に章8)および527-3:2018、2019年2月、1000μm未満の厚さを有するフィルムおよびシートについての引張特性の測定に従って測定されうる。該破断伸びは、材料が破壊する前に達する長さの百分率増加である。この数字は百分率として示される。該コーティング層用の組成物の懸濁液をガラスプレート上に広げ、かつ250μm厚さの皮膜に乾燥させる。該破断伸びは、DIN EN ISO 527-3:2018、2019年2月に従って試験試料(試料タイプ1B、20mm/min)を用いて測定される。
【0060】
ポリマー皮膜の製造および試験の例:
配合物:
ポリマー分散液30g=固形分9g、乾燥後250μm皮膜に使用される。
【0061】
装置:
高さ0.5~0.7cmの1cmガラスストリップが取り囲む20cm×20cmのガラスプレート、結果として361cm2の自由調製面積が生じる。このガラスプレートを、さらに、粘着性ポリテトラフルオロエチレンフィルム(すなわちTygaflor(登録商標))で覆う。
【0062】
加工:
該ポリマーおよび希釈剤を、マグネチックスターラーで低速で10分間混合する。該ポリマー溶液または懸濁液は、該ポリマーフィルム中のボイドを回避するために空気不含である必要がある。前記のポリテトラフルオロエチレンで覆われたガラスプレートを乾燥器中でレベリングし、該ポリマー溶液または分散液を注ぎ入れる。この混合物を40℃で約4日間乾燥させる。乾燥後に、そのフィルムまたはシートを、23℃および50%相対湿度で16時間状態調節する。
【0063】
生じる皮膜厚さは約250μmである。
同じ方法は、コーティング懸濁液の皮膜を製造するのに使用することができる。この場合に該コーティング懸濁液は、通常どおり製造される(例えばUltra Turraxを用いる)。全固形分9g(配合付形剤を含む)についてのアリコート量が、100gの全量まで脱塩水で希釈される。
【0064】
(メタ)アクリレートコポリマー
該コーティング層は、メタクリル酸およびエチルアクリレートの重合単位、メタクリル酸およびメチルメタクリレートの重合単位、エチルアクリレートおよびメチルメタクリレートの重合単位またはメタクリル酸、メチルアクリレートおよびメチルメタクリレートの重合単位を含んでいるコポリマーから、メタクリル酸およびエチルアクリレートの重合単位を含んでいるコポリマーとメチルメタクリレートおよびエチルアクリレートの重合単位を含んでいるコポリマーとの混合物およびメタクリル酸、メチルアクリレートおよびメチルメタクリレートの重合単位を含んでいるコポリマーとメチルメタクリレートおよびエチルアクリレートの重合単位を含んでいるコポリマーとの混合物から選択される(メタ)アクリレートコポリマーを含んでいてよい。
【0065】
該コーティング層は、メタクリル酸40~60質量%およびエチルアクリレート60~40質量%の重合単位を含んでいる(メタ)アクリレートコポリマー(タイプEUDRAGIT(登録商標) L 100-55)を含んでいてよい。適した第2のポリマーは、メタクリル酸50質量%およびエチルアクリレート50質量%の重合単位を含んでいるコポリマーであるEUDRAGIT(登録商標) L 100-55(Evonik Nutrition & Care GmbH、ダルムシュタット、ドイツ)である。EUDRAGIT(登録商標) L 30 D-55は、EUDRAGIT(登録商標) L 100-55の30質量%水性分散液である。EUDRAGIT(登録商標) L 100-55のガラス転移温度Tgmは約110℃である。
【0066】
該コーティング層は、メタクリル酸5~15質量%、メチルアクリレート60~70質量%およびメチルメタクリレート20~30質量%の重合単位を含んでいる(メタ)アクリレートコポリマー(タイプEUDRAGIT(登録商標) FS)を含んでいてよい。適したコポリマーは、メチルメタクリレート25質量%、メチルアクリレート65質量%およびメタクリル酸10質量%から重合されるコポリマーであるEUDRAGIT(登録商標) FSである。EUDRAGIT(登録商標) FS 30 Dは、EUDRAGIT(登録商標) FS 30質量%を含んでいる分散液である。EUDRAGIT(登録商標) FSのガラス転移温度Tgmは約45℃である。
【0067】
該コーティング層は、エチルアクリレート60~80質量%およびメチルメタクリレート40~20質量%の重合単位を含んでいる(メタ)アクリレートコポリマー(タイプEUDRAGIT(登録商標) NEまたはタイプEUDRAGIT(登録商標) NM)を含んでいてよい。EUDRAGIT(登録商標) NEおよびEUDRAGIT(登録商標) NMは、メチルメタクリレート28~32質量%およびエチルアクリレート68~72質量%のフリーラジカル重合単位を含んでいるコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標) NEのガラス転移温度Tgmは約マイナス8℃である。
【0068】
該コーティング層は、メタクリル酸40~60質量%およびメチルメタクリレート60~40質量%の重合単位を含んでいる(メタ)アクリレートコポリマー(タイプEUDRAGIT(登録商標) L 100)を含んでいてよい。EUDRAGIT(登録商標) L 100は、メチルメタクリレート50質量%およびメタクリル酸50質量%から重合されたコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標) L 100のガラス転移温度Tgmは約150℃であるかまたは150℃を幾分上回る。
【0069】
該コーティング層は、メタクリル酸20~40質量%およびメチルメタクリレート60~80質量%の重合単位を含んでいる(メタ)アクリレートコポリマー(タイプEUDRAGIT(登録商標) S 100)を含んでいてよい。EUDRAGIT(登録商標) S 100は、メチルメタクリレート70質量%およびメタクリル酸30質量%から重合されたコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標) S 100のガラス転移温度Tgmは約160℃であるかまたは160℃を幾分上回る。
【0070】
(メタ)アクリレートコポリマーの混合物
該コーティング層は、上記のタイプEUDRAGIT(登録商標) L 100-55およびタイプEUDRAGIT(登録商標) NEまたはタイプEUDRAGIT(登録商標) NMの(メタ)アクリレートコポリマーの混合物を含んでいてよい。EUDRAGIT(登録商標) NEおよびEUDRAGIT(登録商標) NMのガラス転移温度Tgmは 約-8℃である。
【0071】
タイプEUDRAGIT(登録商標) NEまたはタイプEUDRAGIT(登録商標) NM(メタ)アクリレートコポリマーは、エチルアクリレート60~80質量%およびメチルメタクリレート40~20質量%の重合単位を含んでいる(メタ)アクリレートコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標) NEおよびEUDRAGIT(登録商標) NMは、メチルメタクリレート28~32質量%およびエチルアクリレート68~72質量%のフリーラジカル重合単位を含んでいるコポリマーである。該コーティング層は、エチルアクリレート60~80質量%およびメチルメタクリレート40~20質量%の重合単位を含んでいる(メタ)アクリレートコポリマーを含んでいてよい。
【0072】
好ましいのは、国際公開第01/68767号(WO 01/68767)に従い、分散液として15.2~17.3のHLB値を有するノニオン乳化剤1~10質量%を用いて製造された(メタ)アクリレートコポリマーである。後者は、該乳化剤による結晶構造の形成を伴う相分離がない利点を提供する(EUDRAGIT(登録商標) NMタイプ)。
【0073】
好ましくは、該コーティング層は、メタクリル酸40~60質量%およびエチルアクリレート60~40質量%の重合単位を含んでいる(メタ)アクリレートコポリマーおよびエチルアクリレート60~80質量%およびメチルメタクリレート40~20質量%の重合単位を含んでいる(メタ)アクリレートコポリマーの10:1~1:10質量比での混合物を含んでいてよい。
【0074】
該コーティング層は、上記のタイプEUDRAGIT(登録商標) FSおよびタイプEUDRAGIT(登録商標) L 100-55の(メタ)アクリレートコポリマーの混合物を含んでいてよい。
【0075】
好ましくは、該コーティング層は、メタクリル酸5~15質量%、メチルアクリレート60~70質量%およびメチルメタクリレート20~30質量%の重合単位を含んでいる(メタ)アクリレートコポリマーおよびメタクリル酸40~60質量%およびエチルアクリレート60~40質量%の重合単位を含んでいる(メタ)アクリレートコポリマーの1:1~5:1の質量比での混合物を含んでいてよい。
【0076】
該コーティング層は、2種の(メタ)アクリレートコポリマーからのコア-シェルポリマーの形の(1種以上の)(メタ)アクリレートコポリマーの混合物を含んでいてもよい。該コーティング層は、エチルアクリレート60~80質量%、好ましくは65~75質量%およびメチルメタクリレート40~20質量%、好ましくは35~25質量%の重合単位を含んでいるコア50~90質量%、好ましくは70~80質量%、およびエチルアクリレート40~60質量%、好ましくは45~55質量%およびメタクリル酸60~40質量%、好ましくは55~45質量%の重合単位を含んでいるシェル50~10質量%、好ましくは30~20質量%を含んでいるコア-シェルポリマーである(メタ)アクリレートコポリマーを含んでいてよい。
【0077】
適したコア-シェルポリマーは、EUDRAGIT(登録商標) FL 30 D-55(Evonik Nutrition & Care GmbH、ダルムシュタット、ドイツ)であり、2段乳化重合法からの、エチルアクリレート約70質量%およびメチルメタクリレート30質量%の重合単位を含んでいる約75質量%のコア、およびエチルアクリレート50質量%およびメタクリル酸50質量%の重合単位を含んでいる約25質量%のシェルを有するコポリマーの商業的に入手可能な30質量%水性分散液である。EUDRAGIT(登録商標) FL 30D-55のポリマーのガラス転移温度Tgmは約8℃である。
【0078】
薬剤学的なまたはニュートラシューティカルの付形剤
薬剤学的なまたはニュートラシューティカルの付形剤は、当業者に周知であり、かつ前記のコーティングされたハードシェルカプセルに含まれる前記の生物学的に活性な成分および/または本明細書に開示され、かつ請求の範囲に記載されるようなハードシェルカプセルのポリマーコーティングと一緒にしばしば配合される。使用される全ての薬剤学的なまたはニュートラシューティカルの付形剤は、患者または消費者にリスクなく医薬品またはニュートラシューティカルにおいて使用されるように毒物学的に安全でなければならない。
【0079】
薬剤学的にまたはニュートラシューティカルとして許容される付形剤は、抗酸化剤、増白剤、結合剤、香味剤、流動助剤、香料、流動促進剤、浸透促進剤、顔料、可塑剤、多糖ポリマー、乳化剤、細孔形成剤または安定剤またはそれらの組合せの群から選択されてよい。薬剤学的にまたはニュートラシューティカルとして許容される付形剤は、薬剤学またはニュートラシューティカル分野における用途に使用されることが許容される付形剤である。
【0080】
前記の薬剤学的なまたはニュートラシューティカルの付形剤は、好ましくは、1種以上の可塑剤および/または1種以上の粘着防止剤を含んでいてよい。
【0081】
前記の(1種以上の)(メタ)アクリレートコポリマーへの(1種以上の)可塑剤の添加は、該混合物のガラス転移温度を通常低下させており、破断伸びは、通常増加される。その効果は、添加される可塑剤の種類および量に依存しうる。(1種以上の)可塑剤は、アルキルシトレート、グリセロールエステル、アルキルフタレート、アルキルセバケート、スクロースエステル、ソルビタンエステル、グリセロール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールの群から選択されていてよい。好ましい可塑剤は、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール20000およびプロピレングリコールである。添加される可塑剤の量は、前記の(1種以上の)(メタ)アクリレートコポリマーの質量基準で計算して、2~50質量%、好ましくは5~30質量%の範囲内であってよい。
【0082】
前記の(1種以上の)(メタ)アクリレートコポリマーへの粘着防止剤の添加は、該混合物もしくは前記のコーティングされた皮膜の粘着性を通常低下させている。(1種以上の)粘着防止剤は、ステアリン酸Caまたはステアリン酸Mg、グリセロールモノステアレートおよびタルクから選択されていてよい。添加される粘着防止剤の量は、前記の(1種以上の)(メタ)アクリレートコポリマーの質量基準で計算して、2~60質量%、好ましくは5~55質量%の範囲内であってよい。
【0083】
該コーティング層は、さらに、乳化剤、好ましくはポリソルベート80を含んでいてよい。添加される乳化剤の量は、前記の(1種以上の)(メタ)アクリレートコポリマーの質量基準で計算して、1~30質量%、好ましくは3~25質量%の範囲内であってよい。
【0084】
トップコート
該コーティング層は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび任意に顔料または着色剤を含んでいる、0.2~0.8mg/cm2の量の付加的なトップコートを含んでいてよいかまたは包含していてよい。該トップコートは、さらに付形剤ポリマー、例えばポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)またはOpadry(登録商標)を含んでいてもよい。好ましくは該トップコートは、(1種以上の)(メタ)アクリレートコポリマーを本質な量で含んでいないかまたは全く含んでいない。
【0085】
大腸送達組合せ
殊に大腸送達のために、好ましいのは、デンプン、アミロース、アミロペクチン、キトサン、コンドロイチン硫酸、シクロデキストリン、デキストラン、プルラン、カラギーナン、スクレログルカン、キチン、カードランおよびレバンからなる群から選択される多糖ポリマーである付形剤ポリマーを、pH 5以上でのpHしきい値を有する1種以上の(メタ)アクリレートコポリマーを含んでいるコーティング層中に添加することである(欧州特許第2018159号明細書(EP 2018159B1)参照)。該多糖ポリマーの、前記の1種以上の(メタ)アクリレートコポリマーに対する比は、≦50:50、好ましくは≦35:65であってよい。pH 5でのpHしきい値を有する(メタ)アクリレートコポリマーは、好ましくはタイプEUDRAGIT(登録商標) L100またはEUDRAGIT(登録商標) Sのものであり、好ましくはアミロースを少なくとも35質量%含んでいるデンプンとの組合せで使用される。該pHしきい値は、前記の1種以上の(メタ)アクリレートコポリマーが緩衝液、腸液または擬似腸液に不溶であるpHを下回るpHであり、かつそのpHでまたは上回ると可溶である。
【0086】
カプセル充填機
前記のポリマーコーティングされたハードシェルカプセルは、該プレロック状態でカプセル充填機に供給され、該ボディおよび該キャップを分離する工程、該ボディを該充填物で充填する工程および該ボディおよび該キャップを該本ロック状態で再結合する工程を実施する。
【0087】
使用されるカプセル充填機は、毎時1000以上の充填され、かつ最終的に閉じたカプセルのアウトプットを有する速さで、充填され、かつ閉じたカプセルを製造することができるカプセル充填機、好ましくは全自動化カプセル充填機であってよい。カプセル充填機、好ましくは全自動化カプセル充填機は、当該技術分野において周知であり、かつ複数の会社から商業的に入手可能である。実施例において使用されるような適したカプセル充填機は、例えばACG、型式AFT Labであってよい。
【0088】
使用されるカプセル充填機は、毎時1000以上、好ましくは10000以上、100000以上、10000~500000までの充填され、かつ最終的に閉じたカプセルのアウトプットを有する速さで好ましくは操作することができる。
【0089】
カプセル充填機の一般操作
該カプセル充填プロセスの前に、該カプセル充填機に、該プレロック状態でプレコーティングされた十分な数または量のハードシェルカプセルが供給される。該カプセル充填機に、操作中に充填されうる十分な量の充填物も供給される。
該プレロック状態の該ハードシェルカプセルは、重力により供給管またはシュート中へ落下しうる。該カプセルは、該キャップと該ボディとの直径差を機械的にゲージングすることにより均一に調節することができる。該ハードシェルカプセルはついで通常、適正な配向で、2部分のハウジングまたはブッシングへ供給される。
前記の上方のブッシングまたはハウジングの直径は、通常、該カプセルボディブッシングの直径よりも大きく;したがって、該カプセルキャップは、上方のブッシング内に保持されうるのに対し、該ボディは、真空により下方のブッシング中へ引き入れられる。該カプセルが開けられると、該ボディおよび該キャップは分離され、前記の上方および下方のハウジングまたはブッシングは分離されて、該カプセルボディを充填のために位置調整する。
前記の開いたカプセルボディはついで該充填物で充填される。多様なタイプの充填機構が、異なる充填物、例えば顆粒、粉末、ペレットまたはミニタブレットに関して、適用されうる。カプセル充填機は一般に、多様な投薬成分を取り扱う様々な機構ならびに多数の充填ステーションを使用する。その配量システムは通常、該カプセルサイズおよび該カプセルボディの容量により支配される充填物の体積または量に基づいている。該空カプセル製造者は通常、それらのカプセルボディの体積容量および該充填物材料の密度に基づいた異なるカプセルサイズ用の最大充填質量を示す参照表を提供する。該充填後に、該ボディおよび該キャップは、該機械により該本ロック状態または位置で再結合される。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【
図1】mmでの関連した寸法を伴うVcaps
(登録商標) Plusサイズ1ハードシェルカプセルのボディ(左)およびキャップ(右)の模式図。
【実施例】
【0091】
例1~7のコーティング層の組成に相当している乾燥皮膜の破断伸び値。
【0092】
破断伸びは、DIN EN ISO 527-3:2019-02、1000μm未満の厚さを有するプラスチックフィルムおよびシートについての引張特性の測定に従って測定することができる。該破断伸びは、材料が破壊する前に達する長さの百分率増加である。この数字は百分率として示される。該コーティング層用の組成物の懸濁液を、ガラスプレート上に広げ、かつ250μm厚さの皮膜に乾燥させる。該破断伸びは、DIN EN ISO 527-3:2019-02に従ってこれらの試料を用いて測定される。
【0093】
ポリマー皮膜の製造および試験の例:
配合物:
ポリマー分散液30g=固形分9g、乾燥後250μm皮膜に使用される。
【0094】
装置:
高さ0.5~0.7cmの1cmガラスストリップが取り囲む20cm×20cmのガラスプレート、結果として361cm2の自由調製面積が生じる。このガラスプレートを、さらに、粘着性ポリテトラフルオロエチレンフィルム(すなわちTygaflor(登録商標))で覆う。
【0095】
加工:
該ポリマーおよび希釈剤を、マグネチックスターラーで低速で10分間混合する。該ポリマー溶液または懸濁液は、該ポリマーフィルム中のボイドを回避するために空気不含である必要がある。前記のポリテトラフルオロエチレンで覆われたガラスプレートを乾燥器中でレベリングし、該ポリマー溶液または分散液を注ぎ入れる。この混合物を40℃で約4日間乾燥させる。乾燥後に、そのフィルムまたはシートを、23℃および相対湿度50%で16時間状態調節する。
【0096】
生じる皮膜厚さは約250μmである。
同じ方法は、コーティング懸濁液の皮膜を製造するのに使用することができる。この場合に該コーティング懸濁液は、通常どおり製造される(例えばUltra Turraxを用いる)。全固形分9g(配合付形剤を含む)についてのアリコート量が、100gの全量まで脱塩水で希釈される。
【0097】
【0098】
例1(本発明による) - ドラムコーターにおけるプレロックカプセル上のEUDRAGIT(登録商標) L 30D-55およびEUDRAGIT(登録商標) NM 30D組合せの腸溶コーティングおよび自動カプセル充填
前記の(1種以上の)EUDRAGIT(登録商標)ポリマーを、適したサイズの容器中で混合した。前記の付加的な付形剤を、静かに撹拌しながら該水中へ添加した。適した後撹拌時間後に、該付形剤懸濁液を、該ポリマー分散液に添加した。該スプレー懸濁液を、該コーティングプロセス中に静かに撹拌した。該カプセルを、ドラムコーターを用いて該プレロック状態でコーティングした。
【0099】
第1表:配合例1 - Kcaps
(登録商標) HPMCサイズ0カプセル上のコーティング(バッチサイズ90g、すなわちカプセル833個)
【表2】
【0100】
【0101】
カプセル封入パラメーター
オメプラゾールペレット(オメプラゾール5%)557mgを、前記のポリマーコーティングされたプレロックカプセル中へ、カプセルの開放、輸送、充填および閉鎖用の標準形式サイズ0工具を用いるペレット充填セットアップを有する自動カプセル充填装置AFTLAB、ACGを用いて充填した。該機械アウトプットを5000~5400cps/時に設定した。
【0102】
カプセルを、自動カプセル充填機、自動的に加工するのに適したポリマー3.0mg/cm2または全固形分質量増加3.6mg/cm2において試験した。カプセル充填操作はスムーズであり、カプセルボディおよびキャップは、容易に開けられ、かつ該機械部品中へ嵌合された。98%の収率を自動カプセル充填機で達成することができた(カプセル2%のみが、機械により不合格にされた)。
【0103】
溶出試験
方法:
装置:シンカーを用いるLabindia DS 8000パドル装置(USP II)
検出方法:HPLC分析
温度:37.5℃
媒体I:0.1N HCL 500ml、2時間
媒体II:KH2PO4 pH6.8緩衝液900ml、1時間
パドル速度:100rpm。
【0104】
【0105】
例2(比較)- ドラムコーターにおける、充填され、かつロックされたカプセル(オメプラゾールペレット)上のEUDRAGIT(登録商標) L 30D-55およびEUDRAGIT(登録商標) NM 30D組合せの腸溶コーティング
カプセル封入パラメーター
オメプラゾールペレット(オメプラゾール5%)590mgを、該Kcaps HPMCサイズ0カプセル中へ、カプセル開放、輸送、充填および閉鎖用の標準形式サイズ0工具を用いるペレット充填セットアップを有する自動カプセル充填装置AFTLAB、ACGを用いて充填した。該機械アウトプットを5000~5400cps/時に設定した。
カプセル充填操作はスムーズであり、カプセルボディおよびキャップは、容易に開けられ、かつ該機械部品中へ嵌合された。99.7%の収率を自動カプセル充填機で達成することができた(カプセル0.3%のみが、機械により不合格にされた)。
【0106】
オメプラゾール充填カプセル上の腸溶コーティング:
前記の(1種以上の)EUDRAGIT(登録商標)ポリマーを、適したサイズの容器中で混合した。前記の付加的な付形剤を、静かに撹拌しながら該水中へ添加した。適した後撹拌時間後に、該付形剤懸濁液を、該ポリマー分散液に添加した。該スプレー懸濁液を、該コーティングプロセス中に静かに撹拌した。該オメプラゾール充填カプセルを、ついでドラムコーターを用いて該ロック状態でコーティングした。
【0107】
第4表:配合例2- オメプラゾール充填Kcaps
(登録商標) HPMCサイズ0カプセル上のコーティング(バッチサイズ550g、すなわちカプセル833個)
【表5】
【0108】
【0109】
溶出試験
方法:
装置:シンカーを用いるLabindia DS 8000パドル装置(USP II)
検出方法:HPLC分析
温度:37.5℃
媒体I:0.1N HCL 500ml
パドル速度:100rpm
第6表:例1の溶出結果(n=12)
【表7】
【0110】
例2の溶出試験は、0.1N HCl中で2時間のみ実施した、それというのも、酸放出/オメプラゾールの分解が0.1N HClへの2時間の暴露後に観察されたからである。同時のコーティングビルドアップで、充填され、かつロックされたカプセル上の腸溶ポリマーコーティングは、プレロックカプセル上のコーティング、引き続き充填(例1)に比べると、耐酸性を与えることができなかった。
【0111】
例3(比較)- ドラムコーターにおけるプレロックカプセル上の EUDRAGIT(登録商標) L 30D-55およびEUDRAGIT(登録商標) NM 30D組合せの腸溶コーティングおよび自動カプセル充填
前記の(1種以上の)EUDRAGIT(登録商標)ポリマーを、適したサイズの容器中で混合した。前記の付加的な付形剤を、静かに撹拌しながら該水中へ添加した。適した後撹拌時間後に、該付形剤懸濁液を、該ポリマー分散液に添加した。該スプレー懸濁液を、該コーティングプロセス中に静かに撹拌した。該カプセルを、ドラムコーターを用いて該プレロック状態でコーティングした。
【0112】
第7表:配合例3- Kcaps
(登録商標) HPMCサイズ0カプセル上のコーティング(バッチサイズ90g、すなわちカプセル833個)
【表8】
【0113】
【0114】
カプセル封入パラメーター
オメプラゾールペレット(オメプラゾール5%)595mgを、前記のポリマーコーティングされたプレロックカプセル中へ、カプセル開放、輸送、充填および閉鎖用の標準形式サイズ0工具を用いるペレット充填セットアップを有する自動カプセル充填装置AFTLAB、ACGを用いて充填した。該機械アウトプットを1000~1200cps/時に設定した。
【0115】
カプセルは、自動カプセル充填機において試験した。ポリマー5.0mg/cm2または全固形分質量増加6.0mg/cm2で、その制限は、増加した層厚のために該プレロックカプセルを用いて操作することができない標準工具であった。カプセル充填操作はスムーズではなく、カプセルボディおよびキャップは、容易に開けられたが、しかし該コーティング厚さの増加のために該機械部品中へ嵌合できなかった。単に67%の収率を達成することができ、かつカプセル33%が、該機械により不合格にされた。高い不良率のために、充填されたカプセルを溶出試験で分析しなかった。
【0116】
例4(本発明による)- ドラムコーターにおけるプレロックカプセル上のEUDRAGIT(登録商標) FS 30DおよびEUDRAGIT(登録商標) L 30D-55組合せの腸溶コーティングおよび自動カプセル充填
前記の(1種以上の)EUDRAGIT(登録商標)ポリマーを、適したサイズの容器中で混合した。前記の付加的な付形剤を、静かに撹拌しながら該水中へ添加した。適した後撹拌時間後に、該付形剤懸濁液を、該ポリマー分散液に添加した。該スプレー懸濁液を、該コーティングプロセス中に静かに撹拌した。該カプセルを、ドラムコーターを用いて該プレロック状態でコーティングした。
【0117】
第9表:配合例4 - Kcaps
(登録商標) HPMCサイズ0カプセル上のコーティング(バッチサイズ90g、すなわちカプセル833個)
【表10】
【0118】
【0119】
カプセル封入パラメーター
メトプロロールペレット(メトプロロール40%)525mgを、前記のポリマーコーティングされたプレロックカプセル中へ、カプセル開放、輸送、充填および閉鎖用の標準形式サイズ0工具を用いるペレット充填セットアップを有する自動カプセル充填装置AFTLAB、ACGを用いて充填した。該機械アウトプットを5000~5400cps/時に設定した。
【0120】
カプセルを、自動カプセル充填機、自動的に加工するのに適したポリマー3.0mg/cm2または全固形分質量増加3.3mg/cm2において試験した。カプセル充填操作はスムーズであり、カプセルボディおよびキャップは、容易に開けられ、かつ該機械部品中へ嵌合された。97%の収率を、自動カプセル充填機で達成することができた(カプセル3%のみが機械により不合格にされた)。
【0121】
溶出試験
方法:
装置:シンカーを用いるLabindia DS 8000パドル装置(USP II)
検出方法:HPLC分析
温度:37.5℃
媒体I:0.1N HCL 500ml、2時間
媒体II:KH2PO4 pH6.8緩衝液900ml、1時間
媒体III:KH2PO4 pH7.4緩衝液900ml、2時間
パドル速度:100(媒体1)/100(媒体2)/50(媒体3)
第11表:例4の溶出結果(n=12)
【表12】
【0122】
例5(比較)- ドラムコーターにおける、充填され、かつロックされたカプセル(メトプロロールペレット)上のEUDRAGIT(登録商標) FS 30DおよびEUDRAGIT(登録商標) L 30D-55組合せの腸溶コーティング
カプセル封入パラメーター
メトプロロールペレット(メトプロロール40%)517mgを、該Kcaps HPMCサイズ0カプセル中へ、カプセル開放、輸送、充填および閉鎖用の標準形式サイズ0工具を用いるペレット充填セットアップを有する自動カプセル充填装置AFTLAB、ACGを用いて充填した。該機械アウトプットを5000~5400cps/時に設定した。
カプセル充填操作はスムーズであり、カプセルボディおよびキャップは、容易に開けられ、かつ該機械部品中へ嵌合された。100%の収率を自動カプセル充填機で達成することができた。
【0123】
メトプロロール充填カプセル上の腸溶コーティング:
前記の(1種以上の)EUDRAGIT(登録商標)ポリマーを、適したサイズの容器中で混合した。前記の付加的な付形剤を、静かに撹拌しながら該水中へ添加した。適した後撹拌時間後に、該付形剤懸濁液を、該ポリマー分散液に添加した。該スプレー懸濁液を、該コーティングプロセス中に静かに撹拌した。該メトプロロール充填カプセルを、ついでドラムコーターを用いて該ロック状態でコーティングした。
【0124】
第12表:配合例5- メトプロロール充填Kcaps
(登録商標) HPMCサイズ0カプセル上のコーティング(バッチサイズ550g、すなわちカプセル833個)
【表13】
【0125】
【0126】
溶出試験
方法:
装置:シンカーを用いるLabindia DS 8000パドル装置(USP II)
検出方法:HPLC分析
温度:37.5℃
媒体I:0.1N HCL 500ml、2時間
媒体II:KH2PO4 pH6.8緩衝液900ml、1時間
媒体III:KH2PO4 pH7.4緩衝液900ml、2時間
パドル速度:100(媒体1)/100(媒体2)/50(媒体3)
第14表:例5の溶出結果(n=12)
【表15】
【0127】
例5の溶出試験を、0.1N HCl、2時間およびpH6.8緩衝液、1時間においてのみ実施した、それというのも、メトプロロールの完全な放出はpH6.8緩衝液において観察されたからである。同時のコーティングビルドアップで、充填され、かつロックされたカプセル上の腸溶ポリマーコーティングは、プレロックカプセル上のコーティング、引き続き充填(例4)と比べると、耐酸性を与えることができなかった。
【0128】
例6(本発明による) - ドラムコーターにおける、プレロックカプセル上のEUDRAGIT(登録商標) L 30D-55およびEUDRAGIT(登録商標) NM 30D組合せの腸溶コーティング、引き続き、HPMCのトップコートおよび自動カプセル充填
前記の(1種以上の)EUDRAGIT(登録商標)ポリマーを、適したサイズの容器中で混合した。前記の付加的な付形剤を、静かに撹拌しながら該水中へ添加した。適した後撹拌時間後に、該付形剤懸濁液を、該ポリマー分散液に添加した。該スプレー懸濁液を、該コーティングプロセス中に静かに撹拌した。該カプセルを、ドラムコーターを用いて該プレロック状態でコーティングした。トップコート:HPMCを、撹拌しながら水中に溶解させ、前記のコーティングされたカプセル上にドラムコーターを用いてスプレーした。
【0129】
第15表:配合例6- Kcaps
(登録商標) HPMCサイズ0カプセル上のコーティング(バッチサイズ500g、すなわちカプセル4595個)
【表16】
【0130】
【0131】
カプセル封入パラメーター
オメプラゾールペレット(オメプラゾール5%)590mgを、前記のポリマーコーティングされたプレロックカプセル中へ、カプセル開放、輸送、充填および閉鎖用の標準形式サイズ0工具を用いるペレット充填セットアップ絵を有する自動カプセル充填装置AFTLAB、ACGを用いて充填した。該機械アウトプットを5000~5400cps/時に設定した。
【0132】
カプセルを、自動カプセル充填機、自動的に加工するのに適したポリマー2.5(2.0 EUDRAGIT+0.5 HPMC)mg/cm2または固形分質量増加2.9(2.4 EUDRAGIT+0.5 HPMC)mg/cm2において試験した。カプセル充填操作はスムーズであり、カプセルボディおよびキャップは、容易に開けられ、かつ該機械部品中へ嵌合された。95%の収率を、自動カプセル充填機で達成することができた (カプセル5%のみが機械により不合格にされた)。
【0133】
溶出試験
方法:
装置:シンカーを用いるLabindia DS 8000パドル装置(USP II)
検出方法:HPLC分析
温度:37.5℃
媒体I:0.1N HCL 500ml、2時間
媒体II:KH2PO4 pH6.8緩衝液900ml、1時間
パドル速度:100rpm
第17表:例1の溶出結果(n=6)
【表18】
【0134】
比較例7- ドラムコーターにおける、プレロックカプセル上のグリセロールモノステアレート(GMS)を有する標準EUDRAGIT(登録商標) L 30D-55コーティングの腸溶コーティング、引き続き、HPMCのトップコートおよび自動カプセル充填
GMSエマルションを、ポリソルベート80(33%溶液)、クエン酸トリエチルおよびGMSを熱水(70~80℃)中に10分間、高せん断ホモジナイザー下で添加することにより製造した。製造されたGMSエマルションを室温に冷却させ、ついでEUDRAGIT(登録商標)ポリマー分散液に、オーバーヘッド撹拌しながら添加した。該スプレー懸濁液を、該コーティングプロセス中に静かに撹拌した。該カプセルを、ドラムコーターを用いて該プレロック状態でコーティングした。トップコート:HPMCを、撹拌しながら水中に溶解させ、かつ前記のコーティングされたカプセル上へドラムコーターを用いてスプレーした。
【0135】
第18表:配合例7- Kcaps
(登録商標) HPMCサイズ0カプセル上のコーティング(バッチサイズ90g、すなわちカプセル833個)
【表19】
【0136】
【0137】
カプセル封入パラメーター
オメプラゾールペレット(オメプラゾール5%)590mgを、前記のポリマーコーティングされたプレロックカプセル中へ、カプセル開放、輸送、充填および閉鎖用の標準形式サイズ0工具を用いるペレット充填セットアップを有する自動カプセル充填装置AFTLAB、ACGを用いて充填した。該機械アウトプットを5000~5400cps/時に設定した。
【0138】
カプセルを、自動カプセル充填機、自動的に加工するのに適したポリマー2.5(2.0 EUDRAGIT+0.5 HPMC)mg/cm2または固形分質量増加2.85(2.35 EUDRAGIT+0.5 HPMC)mg/cm2において試験した。カプセル充填操作はスムーズであり、カプセルボディおよびキャップは、容易に開けられ、かつ該機械部品中へ嵌合された。98.36%の収率を自動カプセル充填機で達成することができた(カプセル1.6%のみが、機械により不合格にされた)。
【0139】
溶出試験
方法:
装置:シンカーを用いるLabindia DS 8000パドル装置(USP II)
検出方法:HPLC分析
温度:37.5℃
媒体I:0.1N HCL 500ml、2時間
媒体II:KH2PO4 pH6.8緩衝液900ml、1時間
パドル速度:100rpm
第20表:例1の溶出結果(n=6)
【表21】
【0140】
例8 - カプセル重複の測定
商業的に入手可能な異なるカプセルの、プレロック時とロック時との長さの平均差に関する寸法および許容差。
【0141】
第21表:ハードシェルカプセル寸法(1/2)
【表22】
【0142】
第22表:ハードシェルカプセル寸法(2/2)
【表23】
【0143】
例9 - 表面積計算およびドラムコーターにおけるプレロックカプセルの大腸標的コーティング
特定のコーティング層厚さが、所望の皮膜機能を達成するのに必要とされるので、コーティング材料の必要とされる量は、その基材の表面積に依存する。この理由のために、コーティング量は、基材表面積cm
2あたりの全乾燥物質mgとして表現される。プレロックカプセル表面積の式を下回るものは、該プレロック状態と別個のカプセル半部分、ボディおよびキャップの累積長さとの平均差を考慮して記載される。
【数1】
A=表面積
h=長さ
d=直径。
【0144】
該プレロック状態でのカプセル外部表面積の計算のための計算例9。
【0145】
第23表:Vcaps
(登録商標) Plusカプセル仕様:
【表24】
【0146】
図1/1は、mmでの関連した寸法を伴うVcaps
(登録商標) Plusサイズ1ハードシェルカプセルのボディ(左)およびキャップ(右)の模式図を示す。該寸法は、該プレロック状態でのカプセル外部表面積の計算のための計算例9において使用される。それらの寸法は次のとおりである:
ボディ:長さ=16.61mm、円筒(円筒部の長さ)=13.29mm、外径=6.63mm
キャップ:長さ=9.78mm、円筒(円筒部の長さ)=6.32mm、外径=6.91mm
【数2】
【0147】
【国際調査報告】