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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(54)【発明の名称】流体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 11/00 20060101AFI20220715BHJP
   A61M 15/08 20060101ALI20220715BHJP
   B05B 11/00 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
A61M11/00 D
A61M15/08
B05B11/00 102D
B05B11/00 102F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568638
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(85)【翻訳文提出日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 FR2020050797
(87)【国際公開番号】W WO2020234527
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】1905215
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502343252
【氏名又は名称】アプター フランス エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】APTAR FRANCE SAS
【住所又は居所原語表記】Lieu-dit Le Prieure,27110 Le Neubourg,France
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】アダン ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】バイエ マチュー
(57)【要約】
【課題】従来技術に係る不利な点に悩まされることのない流体吐出装置を提供する。
【解決手段】流体吐出装置は、本体と、本体に対して横方向から着脱可能な2つのリザーバーを備える。リザーバーは、装着に先立って、1回分の吐出量の流体を充填され、密封された封止ユニットである。本体は、リザーバー毎にロッドおよび作動バネを有する。装置作動時に、作動バネがロッドを軸方向に変位させると、ロッドの作用によって、リザーバーが開封されると、リザーバー内の流体が吐出される。ロッドには、本体外へ延出する軸方向スライドハンドルが固定されており、装置作動後に、軸方向スライドハンドルを軸方向に変位させると、作動バネを圧縮され、次の吐出が可能になる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体吐出装置であって、
吐出オリフィス(15)を有する本体(10)と、
1回分の吐出量の流体をそれぞれ収容する2つの着脱可能なリザーバー(20、20´)と、
前記リザーバー(20、20´)に収容された前記流体を吐出する吐出手段(30、30´;35、35´)と、
前記吐出手段(30、30´;35、35´)を作動させるための作動手段(40)と、を備え、
前記リザーバー(20、20´)は、該流体吐出装置が作動する前は気密に封止されており、
前記本体(10)は、前記リザーバー(20、20´)をそれぞれ開封する開封手段(11)を有し、
前記開封手段(11)は、該流体吐出装置が作動するときに前記リザーバー(20、20´)を開封するように構成されており、
前記リザーバー(20、20´)は、それぞれ前記本体(10)とは別体の封止ユニットを構成し、
前記リザーバー(20、20´)は、本体(10)に装着される前に、それぞれ流体を充填された後、気密に封止され、
前記本体(10)は、前記リザーバー(20、20´)を横方向から前記本体内に装着するための受け容れ手段(13、14)を有し、
前記吐出手段(30、30´;35、35´)は、各リザーバーに対応するロッドを有し、
前記ロッドは、軸方向に変位可能であるとともに、各リザーバー(20、20´)の第2の封止部材(23)と協働し、
各ロッド(30、30´)は、作動中に前記ロッドを軸方向に変位させるように構成された作動バネ(35、35´)と対応し、
前記ロッド(30、30´)は、前記本体(10)から延出する軸方向スライドハンドル(50)に固定され、
前記軸方向スライドハンドルは、前記作動バネ(35、35´)が圧縮された負荷位置と、作動後の非負荷位置と、の間において前記本体(10)に対して軸方向に変位することができ、
各作動後に、ユーザーに、手動で、前記軸方向スライドハンドルを負荷位置へスライドさせて、前記作動バネ(35、35´)を圧縮させる
ことを特徴とする流体吐出装置。
【請求項2】
前記受け容れ手段は、前記本体(10)の側壁内に各リザーバー(20、20´)を受け容れるための窓部(13、14)を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の流体吐出装置。
【請求項3】
各リザーバー(20、20´)は、第1の軸方向近位開口部(21a)と第2の軸方向遠位開口部(21b)とを有する中空管(21)を備え、
前記第1の軸方向開口部(21a)は、第1の封止部材(22)によって塞がれ、
前記第2の軸方向開口部(21b)は、第2の封止部材(23)によって塞がれる
ことを特徴とする請求項1または2に記載の流体吐出装置。
【請求項4】
前記第1の封止部材(22)が膜体である
ことを特徴とする請求項3に記載の流体吐出装置。
【請求項5】
前記第2の封止部材(23)が特にエラストマーからなる栓体である
ことを特徴とする請求項3または4に記載の流体吐出装置。
【請求項6】
前記リザーバー(20、20´)は互いに異なる流体を含み、2つの異なる流体は作動時に混合され、一緒に吐出される
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の流体吐出装置。
【請求項7】
各リザーバーは、洗浄用および/または汚染除去用の流体を収容した洗浄用リザーバーを構成する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の流体吐出装置。
【請求項8】
前記作動手段(40)は、前記吐出手段(30、30´)の変位方向とは異なる方向に変位させることができる横方向作動部品を有する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の流体吐出装置。
【請求項9】
前記開封手段(11)は、各リザーバー(20、20´)の前記第1の封止部材(22)を穿孔するための針を有する
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の流体吐出装置。
【請求項10】
前記針(11)毎に針バネ(12)を備え、
前記針バネ(12)は、前記本体(10)内に装着されている各リザーバー(20、20´)を付勢して、前記針(11)から離隔させる
ことを特徴とする請求項9に記載の流体吐出装置。
【請求項11】
前記本体(10)、前記吐出手段(30、30´;35、35´)、前記作動手段(40)および前記開封手段(11)が組み立てられて、ユニットを形成し、
前記リザーバー(20、20´)は、充填および封止後に、前記ユニット内に装着される
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の流体吐出装置。
【請求項12】
前記受け容れ手段(13、14)が着脱可能なカバー(9)を有する
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の流体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体吐出装置、より具体的には、「コンビドーズ」型の装置、すなわち、作動の瞬間に2種類の流体を混合して、同時に吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビドーズ型の流体吐出装置は、特に医薬品分野においてさまざまな用途向けに開発されてきた。このような装置は、経鼻投与に特に適している。そのような装置は、一般に、2つの独立したリザーバーを有し、それぞれが異なる流体を収容し、流体は一緒に吐出されるために投与前または投与中に混合される。リザーバーには、装置の種類に応じて、それぞれ1回分または複数回分の流体が含まれる場合がある。複数回用リザーバーを備えた装置の短所は、作動するたびに各流体の投与量を測定する計量手段が必要になる点である。これらの計量手段は、装置の製造と組み立てを複雑にする。さらに、特に2回の作動の間で、各リザーバーに含まれる流体が汚染される恐れがある。単回用リザーバーを備えた装置の短所は、一度しか使用できないため、使用後に装置全体を廃棄する必要がある点である。
【0003】
さらに、流体の性質によっては、特に医薬品の場合、流体の充填および保管の条件が幾らか制限される場合がある。このため、医薬品分野では多くの流体が、滅菌ゾーンで充填するか、冷蔵室で保管する必要がある。既存の流体吐出装置は、通常、装置を完全に組み立てた後で、流体が充填される。このため、流体吐出装置ごとに専用の充填装置を使用しなければならない。もちろん、これらの装置は滅菌ゾーンに置く必要がある。充填後は、装置全体を冷蔵室に保管する必要がある。滅菌ゾーンや冷蔵室のある工業用地はコストが非常に高いことを考えると、専用の充填設備を用いることは経済的観点から欠点であり、冷蔵室での保管に関しても同様である。
【0004】
特許文献1-3には、従来技術に係る流体吐出装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/240712号明細書
【特許文献2】国際公開第03/082702号公報
【特許文献3】国際公開第2004/026379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記の不利な点に悩まされることのない流体吐出装置を提供することである。
【0007】
したがって、本発明の目的は、再利用可能なコンビドーズ型の流体吐出装置を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、充填用の滅菌ゾーンおよび貯蔵用の冷蔵室の場所および空間が最小限であるこの種の流体吐出装置を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、製造および組み立てが簡単で安価であり、その使用において信頼できるこの種の流体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このため、本発明に係る流体吐出装置は、吐出オリフィスを有する本体と、1回分の吐出量の流体をそれぞれ収容する2つの着脱可能なリザーバーと、リザーバーに収容された流体を吐出する吐出手段と、吐出手段を作動させるための作動手段と、を備え、前記リザーバーは、該流体吐出装置が作動する前は気密に封止されており、本体は、各リザーバーを開封する開封手段を有し、開封手段は、流体吐出装置が作動するときにリザーバーを開封するように構成されており、リザーバーはそれぞれ本体とは別体の封止ユニットを構成し、各リザーバーは、本体に装着される前に、それぞれ流体を充填され、気密に封止され、本体は、リザーバーを横方向から本体に装着するための受け容れ手段を有し、吐出手段は、各リザーバーに対応するロッドを有し、ロッドは軸方向に変位可能であるとともに、各リザーバーの第2の封止部材と協働し、各ロッドは、作動中に前記ロッドを軸方向に変位させるように構成された作動バネと対応し、前記ロッドは、本体から延出する軸方向スライドハンドルに固定され、軸方向スライドハンドルは、作動バネが圧縮された負荷位置と、作動後の非負荷位置と、の間において本体に対して軸方向に変位することができ、各作動後に、ユーザーに、手動で、前記軸方向スライドハンドルを負荷位置へスライドさせて、前記作動バネを圧縮させる。
【0011】
有利には、前記受け容れ手段は、前記本体の側壁内に各リザーバーを受け容れるための窓部を備えている。
【0012】
有利には、各リザーバーは、第1の軸方向近位開口部と第2の軸方向遠位開口部とを有する中空管を備え、前記第1の軸方向開口部は第1の封止部材によって塞がれ、前記第2の軸方向開口部は第2の封止部材によって塞がれる。
【0013】
有利なことに、前記第1の封止部材は膜体である。
【0014】
有利なことに、前記第2の封止部材は、特にエラストマーからなる栓体である。
【0015】
有利なことに、前記リザーバーは互いに異なる流体を含み、2つの異なる流体は、作動中に混合され、一緒に吐出される 。
【0016】
変形例として、各リザーバーは、洗浄用および/または汚染除去用の流体を収容した洗浄用リザーバーを構成する。
【0017】
有利には、前記作動手段は、前記吐出手段の変位方向とは異なる方向に変位させることができる横方向作動部品を有する。
【0018】
有利には、前記開封手段は、各リザーバーの前記第1の封止部材を穿孔するための針を有する。
【0019】
有利には、前記針毎に針バネを備え、前記針バネは、前記本体内に装着されている各リザーバーを付勢して、前記針から離隔させる。
【0020】
有利には、前記本体、前記吐出手段、前記作動手段および前記開封手段を組み立てられて、ユニットを形成し、前記リザーバーは、充填および封止後に前記ユニット内に装着される。
【0021】
有利には、前記受け容れ手段は、着脱可能なカバーを備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的な例として与えられ、添付の図面を参照してなされる以下の詳細な説明からより明確になるであろう:
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、有利な実施の形態に係る流体吐出装置の概略斜視図である。
図2図2は、有利な実施の形態に係る流体吐出装置のリザーバー装着前の状態を表す概略断面図である。
図3図3は、一方のリザーバーが装置内に装着され、他方のリザーバーが挿入途中の状態を表す図2と同様の図である。
図4図4は、作動開始時における装置状態を示す図3と同様の図である。
図5図5は、作動終了時における装置状態を示す図4と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書において、「上部」、「底部」、「上方」、および「下方」は、図1~5に示すように装置を直立させた場合に関するものである。「軸方向」および「半径方向」の語は、図2に示すポンプの中心垂直軸Aを基準とする。「近位」および「遠位」は、吐出オリフィスからみた表現である。
【0025】
図は、コンビドーズ型の流体吐出装置を示す。この流体吐出装置は、吐出オリフィス15を有する本体10を備えている。図示の例では、吐出オリフィス15が、経鼻吐出ヘッドの軸方向端部に形成されており、本発明の好ましい実施の形態になっている。しかしながら、口腔、耳介または局所への吐出もまた想定され得ることに留意されたい。図1に示すように、非作動時に、着脱可能な保護キャップ1を用いて、吐出オリフィス15を保護してもよい。本体10は2つのリザーバー20、20´が装着され、2つのリザーバーはそれぞれ1回分の流体を収容する。通常、これら2つは別種の流体であるが、同一または類似の流体であってもよく、例えば、各作動後に洗浄用リザーバーを用いる場合など、下記の通りである。
【0026】
2つのリザーバー20、20´は同一であるのが有利である。このため、個々のリザーバーについて、以下でより詳細に説明する。各リザーバーは、装置の他の部分とは別個の封止ユニットを形成し、有利には、第1の軸方向開口部21aおよび第2の軸方向開口部21bを有する中空管21によって構成される。第1の軸方向開口21aは、前記中空管21のネック部分に形成してもよい。リザーバーが本体10内に装着されると、第1の開口部21aが近位開口部を形成し、第2の軸方向開口部21bが遠位開口部を形成する。第1の軸方向開口部21aは第1の封止部材22により塞がれ、第2の軸方向開口部21bは第2の封止部材23により塞がれる。中空管21は、ガラスまたは任意の他の適切な材料から製造され得る。第1の封止部材22は膜体であってもよい。また、第2の封止部材23は栓体23であってもよく、有利にはエラストマー材料から製造される。変形例として、第1の封止部材23は、有利にはエラストマー材料から製造された栓体23であってもよい。
【0027】
この種のリザーバーは、1回分の用量の流体だけを収容する、非常に小さな寸法のものであり、流体を充填するための滅菌ゾーンの広さや、流体を充填したリザーバーを貯蔵するための冷蔵室の大きさを抑えることができる。
【0028】
本体10は、各リザーバーに対応する開封手段11を備え、開封手段11は、例えば針などの穿孔手段であってもよい。針11は、装置の作動中に、それぞれリザーバー20、20´の第1の封止部材22を穿孔するようになっている。好ましくは、針11は、どちらも本体10に固定され、それぞれ排出経路16、17を経由して吐出オリフィス15に連通される。好ましくは、図に示すように、2つの針11の排出経路16、17は、吐出オリフィス15の上流で合流して、前記吐出オリフィス15に通じる単一の排出経路18を形成する。有利には、周知の方法で、前記吐出オリフィス15の直ぐ上流に、噴霧プロフィール19が設けられる。
【0029】
流体吐出装置は、吐出手段30、30´と、前記吐出手段を作動させるための作動手段40と、を更に備える。吐出手段は、それぞれリザーバー20、20´に対応するロッド30、30´を備えている。前記ロッドは軸方向に移動することによって、作動中に、それぞれリザーバーの栓体23と協働して、当該栓体23をリザーバー内で軸方向に移動させる。これによって、前記栓体23がピストンとして中空管21内を摺動すると、各流体が吐出量だけ、針11を経由して吐出オリフィス15に向かって押し出される。ロッド30、30´は、それぞれ作動バネ35、35´から軸方向の力を受けることによって、リザーバー20、20´内から流体を排出する。変形例として、近位端に向かって2つの平行なピストンに分岐する単一のロッド30を単一の作動バネ35によってリザーバー20、20´内を摺動させてもよい。
【0030】
図示の例では、作動バネ35、35´は、前記本体10と前記ロッド30、30´の遠位軸方向端部との間に配置されている。
【0031】
前記ロッドには、図1に示すように、前記本体10の外側に延出する軸方向スライドハンドル50が取着されている。軸方向スライドハンドル50は、前記ロッド30、30´と共に、前記本体10に対して、無負荷位置と負荷位置との間で軸方向に移動することができる。このため、ユーザーが前記軸方向スライドハンドル50を負荷位置に向かって下方に移動させると、前記作動バネ35、35′が圧縮される。作動中、ロッド30、30´が、軸方向スライドハンドル50とともに、前記作動バネ35、35´によって軸方向上方に移動すると、軸方向スライドハンドル50が無負荷位置に戻る。
【0032】
有利には、前記ロッド30、30´および/または前記軸方向スライドハンドル50には、負荷位置にロックするためのロック手段が設けられており、前記ロック手段は、装置の作動中に作動手段40によってロック解除される。これらのロック手段は、例えば、ロッド30、30′を負荷位置に係止し、作動手段40が作動されるとロック解除されるスナップ嵌合手段を備えてもよい。
【0033】
作動手段40は、横方向作動部品、すなわち、吐出手段の変位方向とは異なる方向に変位される部品を備えるのが好ましい。図示の例では、横方向作動部品は、有利には、変位可能な横方向レバー40であり、具体的には、図1および図2に示す休止位置と、図3および図4に示す作動位置との間で、前記本体10に対して枢動可能である。戻しバネ45は、前記横方向レバー40をその休止位置に向かって付勢するのが好ましい。
【0034】
針11にはそれぞれ針バネ12が設けられており、針バネ12は、それぞれリザーバーの第1の開口21aと協働して、リザーバーを付勢し、針11から離隔させる。このようにすれば、装置の作動中にだけ、第1の封止部材22を穿孔し、リザーバーを開封することが保証できる。言うまでもなく、前記針バネ12の力は、前記作動バネ35、35´の力よりも小さい。
【0035】
本体10は、リザーバーを受け容れるための受け容れ手段13、14を備え、これは横方向アクセス手段を形成する。これらの受け容れ手段によって、リザーバー20、20´を横方向から本体10の内部に装着できるようになる。リザーバー20、20´は、流体吐出装置を使用する直前に本体10内に装着してもよい。有利には、受け容れ手段13、14はそれぞれ本体10の側壁に形成された窓部を備える。図に示すように、本体10には直径方向に対向する2つの側方窓部が設けられている。受け容れ手段は、固定手段、例えばスナップ嵌合手段や他の適切な手段によって、リザーバー20、20´を本体10内に保持してもよい。図に示す例では、各リザーバーの遠位開口部21bは、ロッド30、30´の軸方向近位端部31、31´に配置され、針バネ12によって、リザーバーを軸方向下方に押す位置に保持される。この実施の形態においては、栓体23が、リザーバーの遠位開口部21bを塞いだ状態で、中空管21内でわずかにオフセットされることによって、ロッド30、30´の前記軸方向近位端31、31´が前記中空管内にわずかに貫入している。言うまでもなく、他の相補的な固定手段または当接手段を設けて、リザーバー20、20´を本体10内に更に確実に固定してもよい。必要に応じて、着脱可能なカバー9を受け容れ手段13、14の領域に取着してもよい。カバー9は任意の所望の様式で作製することができる。図1に示す実施の形態においては、2つのカバー9が本体10上で揺動可能になっている。
【0036】
このため、リザーバーを本体10内に横方向から装着する構成をとれば、リザーバーを個別に製造し、流体を充填して封止した後、流体吐出装置の他の部分とは別けて保管することができる。一方、流体吐出装置の他の部分は、非滅菌ゾーンで組み立てたり、冷蔵室ではない場所で保管したりすることができる。流体吐出装置を使用するまさしく直前に、リザーバーを本体10に装着してもよく、流体吐出装置が作動するまで、リザーバーの中身が封止部材22、23で保護され続ける。リザーバーを横方向から装着する構成をとれば、軸方向に移動する吐出手段を用いた横方向作動を行うことができるという利点と、リザーバーとは別個に装置全体を組み立てることができるという利点とがある。装置の組み立て作業を簡素化できるとともに、装置そのものも簡素化できる。これは、特に、一般的にはリザーバーを本体内に軸方向に取り付ける場合に必要になる空間が、リザーバーを事前に組み立てれば不要になるからである。このように、本発明によれば、より安価で、動作の信頼性が高く、流体の充填および保管に要するコストを大幅に節約することができる流体吐出装置を製造することができる。
【0037】
図面に示す装置の動作は次の通りである:ユーザーは、軸方向スライドハンドル50を負荷位置にロックした状態で、第1の流体を1回分の投与量だけ収容した第1のリザーバー20を、本体の窓部13を経由して本体10内に挿入することができる。次に、第2の流体を1回分の投与量だけ収容した第2のリザーバー20´を、本体の窓部14を経由して本体10内に挿入することができる。針バネが、前記リザーバー20、20´を軸方向下方に付勢して、針11から離隔させることによって、前記リザーバーの中身の完全性を保証する。このようにして、装置を作動させる準備が整う。
【0038】
次に、ユーザーは、横方向レバー40を押して、その作動位置へ移動させる。横方向レバー40を作動位置へ移動させると、ロック手段がロック解除されるので、圧縮された作動バネ35、35′の作用によって、ロッド30、30′が軸方向上方に変位する。リザーバー20、20´の中空管21内で栓体23を変位させるのに必要な力は、針バネ12がリザーバー20、20´に及ぼす力よりも大きいので、ロッド30、30´が軸方向に変位すると、先ず、リザーバー20、20´が軸方向上方へ変位して、針11が膜22を穿孔する。次に、栓体23がリザーバー20、20´内で移動して、2つのリザーバー内に収容されている流体を排出する。これによって、2つの流体がそれぞれ針11を経由して同時に排出され、単一の排出経路18内で混合された後、当該混合流体が吐出オリフィス15を経由して噴霧される。
【0039】
2つの流体の混合物を吐出した後、ユーザーは軸方向スライドハンドル50を負荷位置に戻して、作動バネ35、35´を圧縮し、ロッド30、30´および軸方向スライドハンドル50をロック手段のロック位置にロックする。その後、2つのカバー9を開けば、空になった2つのリザーバー20、20´を引き抜くことができる。例えば、手動操作により、針バネ12の力に抗って、リザーバーを軸方向上方に向かって押圧することによって、各リザーバーの遠位開口部21bをロッド30、30´の上端31、31´から係合解除してもよい。2つのリザーバー20、20´を本体10から取り出した後、ユーザーは、流体吐出装置、特に針11および吐出オリフィスを洗浄または清掃し、流体吐出装置を次に使用するときのために、2つの新品のリザーバーであって、流体が充填されているリザーバーとともに保管することができる。
【0040】
有利には、洗浄は、リザーバー20、20´のどちらについても同じだが、洗浄用および/または汚染除去用の流体を収容した洗浄用リザーバーを用いて実施する。これによって、針11、排出経路16、17、18、噴霧プロフィール19および吐出オリフィス15を洗浄することができる。したがって、先の使用によって汚染されることなく、次の実使用を行えるので、特に、先に使用した流体とは異なる流体が次に使用するリザーバーに収容されていても、過剰投与や不適合によって生じ得るいかなるリスクも回避できることが保障される。このような種類の洗浄を行うための作動サイクルは、当然ながら、ユーザーの鼻や口、耳、皮膚に向かって洗浄液を吐出しないことを除けば、上記の作動サイクルと同一である。
【0041】
特に、しかし排他的にではなく、本発明は、パーキンソン病やハンチントン病、片頭痛、経鼻ワクチン接種、過剰投与または心臓発作を処置するために使用することができる。
【0042】
以上、本発明の特定の実施の形態を例にとって説明したが、添付の特許請求の範囲において規定した本発明の範囲から逸脱することなく、当業者が任意の変更を加え得ることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本開示に係る流体吐出装置は、作動の瞬間に2種類の流体が混合され、同時に吐出される「コンビドーズ」型の装置として有用である。
【符号の説明】
【0044】
1……………………着脱可能な保護キャップ
9……………………カバー
10…………………本体
11…………………針(開封手段)
12…………………針バネ
13、14…………受け容れ手段
15…………………吐出オリフィス
16、17、18…排出経路
19…………………噴霧プロフィール
20、20´………リザーバー
21…………………中空管
22…………………プラグ(封止部材)
23…………………栓体(第2の封止部材)
30、30´………吐出手段
40…………………作動手段
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】