(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(54)【発明の名称】リアルタイムキネマティックとグローバル衛星測位を備えた地下ライン測位システム
(51)【国際特許分類】
G01V 3/12 20060101AFI20220715BHJP
G01S 19/43 20100101ALI20220715BHJP
【FI】
G01V3/12 B
G01S19/43
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568862
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(85)【翻訳文提出日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 US2020034209
(87)【国際公開番号】W WO2020237146
(87)【国際公開日】2020-11-26
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】514275451
【氏名又は名称】メトロテック コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レジニ,アンドレイ ズビグニエフ
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ペテリック,スティーブン ジョン
【テーマコード(参考)】
2G105
5J062
【Fターム(参考)】
2G105AA02
2G105BB11
2G105EE02
2G105KK06
2G105LL02
5J062BB06
5J062CC07
(57)【要約】
正確なライン位置を提供する正確なライン測位器が提示される。測位器は以下を備える:ハウジング;前記ハウジングに取り付けられたワンドであって、前記ワンドに沿って配置された低周波アンテナのアレイを含み、前記低周波アンテナのアレイは前記ライン測位器システムの電磁ロケート軸線を規定する、ワンド;前記ハウジングに取り付けられたリアルタイムキネマティック(RTK)全地球航法衛星(GNSS)アンテナ;前記ハウジング内に配置されたユーザインターフェース;前記低周波アンテナのアレイ、前記RTK GNSSアンテナ、および前記ユーザインターフェースに結合された処理回路。前記地下ライン測位器は前記低周波アンテナのアレイからの信号に基づいて、前記地下ラインの測位データを決定し、前記RTK GNSSアンテナから地下ライン測位器の正確な位置を決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
精密ライン測位器であって、
ハウジング;
前記ハウジングに対して取り付けられたワンドであって、前記ワンドに沿って配置された低周波アンテナのアレイを有し、前記低周波アンテナのアレイは前記ライン測位器システムの電磁測位軸を画定する、ワンド;
前記ハウジングに対して取り付けられたリアルタイムキネマティック(RTK)全地球航法衛星(GNSS)アンテナ;
前記ハウジング内に配置されたユーザインターフェース;
前記低周波アンテナのアレイ、前記RTK GNSSアンテナ、および前記ユーザインターフェースと結合された処理回路;
を備え、
前記地下ライン測位器は、前記低周波アンテナのアレイからの信号に基づいて前記地下ラインの測位データを決定し、前記RTK GNSSアンテナから前記地下ライン測位器の正確な位置を決定する、
精密ライン測定器。
【請求項2】
前記処理回路は、前記測位データと、前記地下ラインの1つ以上の位置ポイントとを記録する、
請求項1記載の精密ライン測位器。
【請求項3】
前記ハウジングは前方測位軸を規定し、
前記前方測位軸は、前記電磁的測位軸に対して垂直であり、前記電磁的測位軸に沿ってユーザハンドグリップが形成され、前記ユーザインターフェースおよび前記RTK GNSSアンテナが取り付けられており、
前記RTK GNSSアンテナは、前記電磁的測位軸から離れている、
請求項1記載の精密ライン測位器。
【請求項4】
前記測位データは、前記精密ライン測位器を用いて第1向きにおいて決定され、
前記正確な位置は、前記精密ライン測位器を用いて第2向きにおいて決定される、
請求項3記載の精密ライン測位器。
【請求項5】
前記第1向きは、垂直線に対して整列するとともに前記地下ライン上方の地表面上に位置する前記ワンドの底部と整列した、前記電磁測位軸によって規定される、
請求項4記載の精密ライン測位器。
【請求項6】
前記第2向きは、前記地下ラインの上方の地表面上に位置する前記ワンドの底部および前記垂直線に沿って位置する前記RTK GNSSアンテナによって規定される、
請求項5記載の精密ライン測位器。
【請求項7】
前記処理回路は、メモリに記憶された命令を実行して、
前記低周波アンテナのアレイを用いて前記地下ラインを測位するステップ;
前記ライン測位器が前記第1向きにあるとき測位データを決定および記録するステップ;
前記測位データを用いて前記正確な位置を決定および記録するステップ;
を実施する、
請求項4記載の精密ライン測位器。
【請求項8】
前記精密ライン測位器はさらに、慣性測定ユニットを有する、請求項4記載の精密ライン測位器。
【請求項9】
前記慣性測定ユニットからのデータは、前記第1向きおよび前記第2向きにおいて前記ライン測位器を配置することを支援するために、前記ユーザインターフェース上に表示される、
請求項8記載の精密ライン測位器。
【請求項10】
前記精密ライン測位器はさらに、前記第1向きおよび/または前記第2向きにおいて前記ライン測位器を配置することを補助する、1つ以上の水準器ディスプレイを備える、
請求項9記載の精密ライン測位器。
【請求項11】
地下ラインの位置を正確に決定する方法であって、
精密ライン測位器を用いて地下ラインを測位するステップであって、前記精密ライン測位器は、ワンドに沿って配置された低周波アンテナのアレイを備え、前記低周波アンテナのアレイは電磁測位軸を規定する、ステップ;
前記精密ライン測位器を第1向きに配置するステップ;
ライン測位データを決定および記録するステップ;
リアルタイムキネマティック(RTK)全地球航法衛星(GNSS)アンテナが正確な位置を提供するように配置される第2向きにおいて前記精密ライン測位器を配置するステップ;
前記ライン測位データを用いて前記正確な位置を決定および記録するステップ;
を有する方法。
【請求項12】
前記方法はさらに、複数の位置において前記ラインの正確な位置を記録することによって、前記地下ラインのマップを生成するステップを有する、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記ワンドは、前方測位軸を規定するハウジングに対して取り付けられており、
前記前方測位軸は、前記電磁的測位軸に対して垂直であり、前記電磁的測位軸に沿ってユーザハンドグリップが形成され、ユーザインターフェースおよび前記RTK GNSSアンテナが取り付けられ、
前記RTK GNSSアンテナは、前記電磁的測位軸から離れている、
請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記第1向きは、垂直線に対して整列するとともに前記地下ライン上方の地表面上に位置する前記ワンドの底部と整列した、前記電磁的測位軸によって規定される、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2向きは、前記地下ラインの上方の地表面上に位置する前記ワンドの底部および前記垂直線に沿って位置する前記RTK GNSSアンテナによって規定される、
請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記精密ライン測位器を前記第1向きに配置するステップは、慣性測定ユニットから受信したデータに基づいて前記ユーザインターフェース上に前記第1向きを示すステップを有する、
請求項13記載の方法。
【請求項17】
前記精密ライン測位器を前記第2向きに配置するステップは、慣性測定ユニットから受信したデータに基づいて前記ユーザインターフェース上に前記第2向きを示すステップを有する、
請求項13記載の方法。
【請求項18】
前記精密ライン測位器を前記第1向きに配置するステップは、水準器から受信したデータに基づいて前記ユーザインターフェース上で前記第1向きを示すステップを有する、
請求項13記載の方法。
【請求項19】
前記精密ライン測位器を前記第2向きに配置するステップは、水準器から受信されたデータに基づいて前記ユーザインターフェース上で前記第2向きを示すステップを有する、
請求項13記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願>
本出願は、2019年5月22日に出願された米国仮特許出願第62/851,498号、および2020年5月21日に出願された米国非仮特許出願第16/880,595号の優先権を主張し、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明の実施形態は地下ライン位置に関し、特に、リアルタイムキネマティック的およびグローバル衛星測位を備えた地下測位システムに関する。
【0003】
<関連技術の説明>
低周波信号を用いて埋設設備(パイプおよびケーブル)を測位するプロセスはよく知られており、実際の作業として広く採用されている。ライン測位器は、通常、地下設備自身によって生成された時変磁場信号を受信する、離間したアンテナのアレイを含む。このような信号は、別の送信機によって地下設備に対して結合された電流の結果であるか、または例えば、電力線からの地下設備固有のものである場合がある。離間したアンテナのアレイは、例えば特定周波数の磁場を受信する。ライン測位装置内の処理電子部品は、ライン測位システムからの相対的な設備位置を決定する。これは、深度、信号電流、および他の情報を含む。次いで、例えば、地下設備の水平位置および深さをユーザに表示し、いくつかのシステムにおいて、ライン測位器の位置に対する相対位置を記録することができる。
【0004】
マッピング設備においては、ライン測位システム用のアプリケーションがますます使用されている。地下設備のこれらのマッピングは、可能な限り地理的に正確であることが望ましい。したがって、高精度の位置決め機能を有するライン測位システムを開発する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの実施態様によれば、地下ラインの正確な位置を特定するための正確なライン測位器が提示される。いくつかの実施形態による精密ライン測位器は以下を備える:ハウジング;前記ハウジングに取り付けられたワンドであって、前記ワンドは前記ワンドに沿って配置された低周波アンテナのアレイを有し、前記低周波アンテナのアレイは前記ライン測位システムの電磁測位軸を規定する、前記ワンド;前記ハウジングに取り付けられたリアルタイムキネマティック(RTK)全地球航法衛星(GNSS)アンテナ;前記ハウジング内に配置されたユーザインターフェース;
前記低周波アンテナのアレイ、前記RTK GNSSアンテナ、および前記ユーザインターフェースに結合された処理回路。前記地下ライン測位器は、前記低周波アンテナのアレイからの信号に基づいて、前記地下ラインの位置データを決定し、前記RTK GNSSアンテナからの前記地下ライン測位器の正確な位置を決定する。
【0006】
地下ラインの位置を正確に決定する方法は以下を有する:正確なライン測位器によって地下ラインの位置を測位するステップであって、前記正確なライン測位器はワンドに沿って配置された低周波アンテナのアレイを有し、前記低周波アンテナのアレイは電磁測位軸を規定する、ステップ;前記正確なライン測位器を第1の向きに配置するステップ;ライン位置データを決定およびログ保存するステップ;リアルタイムキネマティック(RTK)全地球航法衛星(GNSS)アンテナが正確な位置を提供するように配置される第2の向きに、前記正確なライン測位器を配置するステップ;前記ライン位置データを用いて、前記正確な位置を決定およびログ保存するステップ。
【0007】
これらおよび他の実施形態は、以下の図面に関して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に基づく正確な地下ライン測位器を示す図である。
【0009】
【
図2】
図1に示す正確なライン測位器を用いた正確な地下ライン測位システムの動作を示す
【0010】
【
図3】
図1に示されるようなライン測位器のいくつかの実施形態の回路を示すブロック図を示す。
【0011】
【
図4】
図1に示す精密ライン測位器の動作のための正確なロケート位置の補正を例示する幾何学的形状を図示する。
【0012】
【0013】
【
図6】本発明のいくつかの実施形態による精密ライン測位器システムの動作のフローチャートを示す。
【0014】
【
図7A】
図1に示す正確なライン測位器の動作方向を示す。
【
図7B】
図1に示す正確なライン測位器の動作方向を示す。
【0015】
【
図8】
図1に示すライン測位器のいくつかの実施形態に含まれる慣性測定ユニットの動作を図示する。
【0016】
【
図9】慣性測定ユニットを含む、
図1に示す精密ライン測位器のいくつかの実施形態において測定されたロール、傾斜、およびヨーの測定結果を示す、ユーザインターフェースを図示する。
【0017】
これらの図は他の実施形態とともに、以下でさらに説明される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明では、本発明のいくつかの実施形態を説明する具体的な詳細内容が記載される。しかし、当業者にとって、いくつかの実施形態は、これらの特定の詳細部分のいくつかまたはすべてがなくとも実施できることは明らかであろう。本明細書に開示される特定の実施形態は例示的であることを意図しており、限定的なものではない。当業者は、本明細書においては具体的に説明されていないが、本開示および趣旨の範囲内にある他の要素を理解することができるであろう。
【0019】
この実施形態は発明の態様を例示し、実施形態は、限定的なものとして解釈されるべきではない。特許請求範囲が保護される発明を定義する。本明細書および特許請求範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。いくつかの例においては、本発明を曖昧にしないために、周知の構造および技法は詳細に示しておらず、または説明していない。
【0020】
衛星測位システムまたは全地球航法衛星システム(GNSS)における最近の発展は、わずか数cmの位置精度で真のグリッド基準に正確なピンポインティングをすることを可能にする。さらに、リアルタイムキネマティック(RTK)は地理空間情報と併用でき、10cm RMSまたはそれ以下の水平精度でリアルタイム-真の「オンザフライ」測位における位置精度を高めることができる(実際の精度は地球の表面にわたって変化し、10cmは典型的な精度である)。
【0021】
ケーブル測位システムをGNSSと組み合わせて測量地図を作成することは、広く採用されている。しかしながら、これらのシステムは、不正確になる傾向がある。本開示による実施形態は、ケーブル測位機器上へGNSSアンテナを配置することから生じる特定の問題を解決する。特に、RTKを追加することによって、GNSS対応測位器を使用して位置特定された地下ラインの位置を特定することにともなう不正確さを軽減することができる。
【0022】
図1は、いくつかの実施形態による、精密ライン測位器100、またはケーブル測位器具を示す。
図1に示す実施形態は、ライン測位アンテナを収容するワンド構造102を含むことができる。ライン測位アンテナは、ワンド構造102の長さに沿って配置される。ワンド構造102は、任意数のライン測位アンテナを収容することができる。ライン測位アンテナは、複数の直交次元において地中から発せられる磁界を測定するように方向付けられ、地下ラインの深さを測定するためにワンド構造102に沿って方向付けることができる。いくつかの実施形態において、ワンド構造102は6つのアンテナを収容することができる。3つの直交する方向の磁場を測定するために、3つのアンテナの第1セットが、ワンド構造102に沿った第1位置に設定される。3つのアンテナの第2セットは、3つの直交方向の磁場を測定するように配置され、ワンド構造102に沿った第2位置に設定される。したがって、ワンド構造102は、ワンド構造102内に収容されるアンテナの第1および第2セットの中心軸に沿って延在する測位軸114を画定する。このように構成されたアンテナセットにより、時変磁場を3次元で特徴付けることができ、ワンド構造102の測位軸114に沿った2つの別個の位置における磁場の差異は、検出された地下ラインの深さおよび向きを決定するための情報を提供する。典型的には、ワンド構造102内に収容されるアンテナは、周知の技術である低周波ケーブル検出のために設計される。
【0023】
精密ライン測位器100はさらに、衛星復号用のRTK GNSS高周波アンテナ108を有する。RTK GNSSアンテナ108は、高忠実度アンテナである。RTKシステムと併せて使用するための位相感度測定を実行して、アンテナ108の正確な地理的精度測定を決定する要求があるからである。
【0024】
図1によれば、精密ライン測位器100は、ユーザが精密ライン測位器100を測位すべき地下ラインの上で通過させるときユーザがシステム100を保持するために使用することができるハンドグリップ110を有する。さらに、精度ライン測位器は、使用中にユーザから入力を受け取り、ユーザに対してデータを提供するユーザインターフェース104を有する。ユーザインターフェース104は、ユーザが使用しやすいように、精密ライン測位器100内に配置される。さらに、ライン測位器100の動作を実行するために、回路106を精密ライン測位器100内に配置することができる。
【0025】
図1に示す特定の例に示されるように、ハウジング112は、便宜性および機能性のために提供され、成形される。回路106およびユーザインタフェース104は、ハウジング112内に取り付けることができる。ハンドグリップ110は、ハウジング112の形状に形成してもよい。RTK GNSSアンテナ108およびワンド構造102は、ハウジング112に対して取り付けられる。ハウジング112は、ユーザが精密測位器100を取り扱いながら、測位器100を地下ライン上で通過させることができるように成形されている。ハウジング112は、測位器軸114とRTK GNSSアンテナ108との間のハウジング112に沿った測位器前方軸116を画定する。
【0026】
図2は、実施形態に基く精密ライン測位器100を含む精密ライン測位システム200の機能的動作を示している。
図2に示されるように、精密ライン測位器100は、地表208からある距離だけ下に埋設された埋設ライン206の上に配置される。埋設ライン206は、通常、ライン206に対してAC信号を伝達する送信機204と結合される。いくつかの用途、例えば、電力線においては、ライン206は別のソースからの信号を搬送することができる。多くの場合、送信機204によってライン206に対して伝達されたAC信号は、精密ライン測位器100によって検出される特定の周波数のものである。ワンド構造102内に収容される受信機アンテナ202は、地下ライン206上のAC信号によって生成される磁界を検出する。精密ライン測位器100は、ライン206によって生成された磁界から生じるアンテナ202からの信号を使用して、測位器100に対するライン206の位置を決定することができる。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、精密ライン測位器100に接続されるRTK GNSSアンテナ108の正確な位置は、RTK GNSSアンテナ108によって決定される。その結果、地下ライン206の位置が精密ライン測位器100によって測位されると、精密ライン測位器100の正確な位置は、RTK GNSSアンテナ108によって決定される。その結果、ライン206の正確な地理的位置を決定し、記録することができる。ライン206のマッピングは、ライン206上の多数の位置にわたるライン206の正確な地理的位置を決定することによって実行することができる。
【0028】
リアルタイムキネマティック(RTK)測位は、RTK GNSSアンテナ108における精密測位データを強化するために提唱された衛星航法技術のことである。RTK測位は、RTK GNSSアンテナ108と組み合わせた固定受信機212を採用する。固定受信機212およびRTK GNSS受信機108の各々は複数の全地球測位衛星210と通信しており、そのうちの衛星210-1~210-Nが図示されている。
【0029】
周知のように、固定受信機212または受信機108などの受信機間の距離は、信号が衛星から受信機に到達するのにかかる時間を計算することによって決定することができる。この遅延は、衛星信号において送信される情報に基づいて計算できる。受信機と多数の衛星との間の距離の計算、および衛星の既知の位置により、受信機の正確な位置を決定することができる。しかしながら、達成され得る精度は例えば、大気条件または信号との他の干渉に基づく移動時間などを含む条件に応じて、1メートル以上に制限される。
【0030】
RTK測位は同じ一般概念に従うが、1cm以下の位置精度を提供するために、固定受信機212とともに衛星210-1~210-Nの各々からの搬送波信号を使用する。特に、RTKは、衛星210-1から210-Nの各々からの衛星信号の搬送波を使用して、基地局212の位置を精緻化する。基地局212は従来方法の測位によって、および搬送波の位相シフトに基づく決定によって、位置に対する補正を決定し、RTK GNSS受信機108に対してその位置補正を送信する。特に、RTK GNSS 108および基地局212の各々は位相差を測定し、RTK GNSS 108は基地局212によって測定された位相差を受信して、その測定によって決定された位相差と比較して補正を決定する。
【0031】
その結果、RTK GNSSアンテナ108は、標準的な全地球測位のコードベースの測位ではなく、リアルタイムキネマティック的手法を使用するシステムとともに使用される。RTKはキャリアベースの測距を使用し、コードベースの測位によって利用可能なものよりも桁違いに正確な距離(したがって位置)を提供する技法である。
【0032】
実際には、RTKシステムは、移動局とともに既知の位置に配置された単一基地局受信機212を使用する。このアプリケーションにおいては精密測位システム100のRTKアンテナ108である。基地局212は自身が観測する搬送波の位相を再ブロードキャストし、RTKアンテナ108は自身の位相測定値を基地局から受信したものと比較する。これにより、精密測位システム100のRTKアンテナ108は場合によってはミリメートル以内の高精度で、基地局212に対するその相対位置を計算することができる。この場合、実際の位置は、基地局212の位置の精度内であり、水平方向に1センチメートル±1ppm以内、垂直方向に2センチメートル±1ppm以内まで正確である。これは、1キロメートルに対して±1cmの精度に換算される。いくつかの実施形態において、基地局212は、公衆RTK NTRIP(Networked Transport of Radio Technical Commission for Maritime Services(RTCM)via Internet Protocol)基地局のうちの1つとすることができる。このような精度は、地下設備の位置をマッピングするために精密ライン位置特定システム100に組み込まれる場合において、非常に価値が高い。
【0033】
測位器システム100上のRTK GNSSアンテナ108の位置は、精密ライン測位器システム100の動作にとって非常に重要である。RTK GNSSアンテナ108は精密ライン測位器システム100のハウジング112上の任意の場所に取り付けることができるが、良好な動作のために、RTK GNSSアンテナ108は上空を障害物なしで見ることができるように配置することができる。RTK GNSSアンテナ108 が妨害されていると、正確な位置固定ができない場合がある。したがって、多くの実施形態において、RTK GNSSアンテナ108は測位軸114から距離Rだけ離れて取り付けられる。
【0034】
GNSS受信機のいくつかの既存の用途は、オペレータの頭部の上方に受信機を配置するように高延長マスト上に受信機を取り付けることを含む。しかしながら、このような配置は、取り扱いが非常に不便であるので、ライン測位システムにおいてはうまく機能しない。以前はライン測位システムに組み込まれていなかったが、RTK GNSS受信機は測量装置のようなシステムにおいて使用されてきた。これらのシステムは、高延長マストを使用して、RTK GNSSアンテナが任意のユーザの頭部の高さを確実に超えるようにする。このようなシステムは良好に機能するが、ケーブル測位器システムにおいて使用するには不便であり、実用的ではない。
【0035】
ワンド102の測位軸114(
図1に示された位置B)と直接整合するハウジング112上の位置にRTK GNSSアンテナ108を配置するが、これはアンテナ202と整列しており、その位置は理想的ではない場合がある。
図1「B」とマークされた位置にRTK GNSSアンテナ108を配置すると、ユーザの相対的な位置のために上空が著しく不明瞭になる可能性があり、これは、共通の用語で「人間のシャドウイング」と呼ばれる効果である。実用的ではないが、位置BはRTK GNSSアンテナ108が測位軸114として示された測位器の固有電磁軸(低周波アンテナ202のアレイによって定義される)と同じ垂直軸上に位置合わせされることを確実にし、この位置はRTK GNSSアンテナ108を不明瞭にする結果となり、測位器100の正確な測位機能に対してマイナスの影響を与えるか、またはライン測位器100が正確なライン測位器として動作することを不能にする可能性もある。
【0036】
その結果、本開示による実施形態において、オペレータがグリップ110によってライン測位器100を取り扱っている間に上空を明瞭に見ることができ、ライン測位器100のオペレータによって陰になる可能性が低いハウジング112上の位置に、RTK GNSSアンテナ108が配置される。
図1に示すように、RTK GNSSアンテナ108の位置を特定すると、例えば、精密ライン測位器100上のハウジング112の位置Aに接続することができる。上記の点を考慮すると、位置「A」は実行可能な選択肢であり、精密ライン測位器100を操作するための人間工学的デザイン全体に対してわずかな影響しか及ぼさないという結論につながる。ただし、RTK GNSSアンテナ108を位置「A」に配置すると、別の固有エラーが発生する。これについては後述する。すなわち、RTK GNSSアンテナ108は、ワンド102内に取り付けられたアンテナ202によって定義される精密ライン測位器100の電磁測位器軸114から外れている。
【0037】
図3は、
図1に示す精密ライン測位システム100の回路106を示す例示的なブロック
図300を示す。
図2に示されるように、回路106は、処理回路302を含む。処理回路302は、電子機器、メモリ、プロセッサ、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、または後述するようにデータを受信し、処理する他のデバイスの任意の組み合わせとすることができる。具体的には、処理回路302は、メモリに記憶された命令を実行する少なくとも1つのプロセッサを含むことができる。メモリは以下でさらに説明するように、1つまたは複数の地下ライン206の位置を正確に測位しマッピングするために実行される命令およびデータを記憶する、揮発性メモリと不揮発性メモリとの組み合わせを含む。マッピングの間に指示されると、処理回路302は、地下ライン206に沿った1つまたは複数の位置にわたって、測位器からの位置情報(深度、電流、磁場強度、横方向オフセットなど)をログ保存し、RTK GNSSアンテナ108からの正確な位置情報をログ保存し、これにより、地下ライン206の位置の正確なマッピングを格納する。このマッピングは、地理的エリアにわたって設備を完全にマッピングするために、2つ以上の地下ラインにわたって実行されてもよい。
【0038】
図3に示すように、処理回路302は、ユーザインタフェース104からデータを受信する。ユーザインターフェース104は、ハウジング112内に取り付けられた任意のユーザインターフェースとすることができる。ユーザインターフェース104は例えば、ディスプレイスクリーンを含むことができる。ディスプレイスクリーンは例えば、タッチスクリーン、配置された物理的ボタン、スピーカ、マイクロフォン、および/または、処理回路302が精密ライン測位器100のオペレータに対して情報を提供することを可能にし、オペレータがパラメータを入力することを可能にするその他のデバイスとすることができる。このようなパラメータは例えば、精密ライン測位器100の動作パラメータを構成するために、またはディスプレイ構成動作を制御するために使用することができる。さらに、ユーザインターフェース104は、ユーザがRTK GNSSアンテナ108によって測定される地下ラインのマーキングおよび精密位置の記録を指示することを可能にすることができる。さらに、ユーザインターフェース104は、記憶されたデータの送信、処理回路302のメモリに記憶された命令の更新、または他の機能の実行のための別のデバイスへのインターフェースを含むことができる。実施形態において、ユーザインターフェース104は、精密ライン測位器100のアップロードおよびダウンロード機能を実行するために、Bluetoothまたはその他の通信規格などの無線通信インターフェースを含んでもよい。いくつかの実施形態において、例えば、USBインターフェースなどの物理インターフェースを利用して、精密ライン測位器100からデータをダウンロードするか、または精度ライン測位器100に対してデータをアップロードすることができる。いくつかの実施形態において、ユーザインターフェース104はローカルエリアネットワークへの無線接続のためのインターフェースを含むことができ、および/または、例えば地下設備をマッピングするための、クラウドベースのサービスとの通信のためのセルサービスを含むことができる。
【0039】
処理回路302はまた、受信機アンテナ202を含む低周波アンテナ回路308に対して結合される。低周波アンテナ回路308は、受信機アンテナ202としてコイルアンテナを含むことができる。コイルアンテナは、送信機204による地下ライン206上への信号送信の結果として、または地下ライン206内でもとより搬送される信号(例えば電力線信号)によって、地下ライン206内で生成される時間変動磁界を測定することができる。処理回路302は、場合によっては、アンテナ308の構成を制御するためにデジタル信号を提供してもよい。低周波アンテナ回路308は、受信機アンテナ202から信号を受信し、デジタル化された受信機信号を処理回路302に供給するための、回路を含む。例えば、アンテナ回路308は、アナログフィルタリングおよびデジタル信号を供給するように構成されたアナログ-デジタル変換器を含む。次に、アンテナ回路308は、受信機アンテナ202の各々からの磁界強度を示すデジタル化された信号を処理回路302に対して供給する。
【0040】
サポート回路304は、測位器100とともにさらに使用される任意の回路、例えば、電力制御回路または任意のアナログ-デジタルまたはデジタル-アナログ回路、アナログ信号のフィルタリング、その他の動作を含んでもよい。
【0041】
いくつかの実施形態において、処理回路302は慣性測定ユニット306に対して結合される。IMU306は、精密ライン測位器100の加速度および向きの測定を可能にする加速度計、ジャイロスコープ、および/または磁力計の組み合わせを含むことができる。一般にIMU306は、精密ライン測位器100における軸セットに関する加速度を測定するために、任意の数の加速度計、ジャイロスコープ、および/または磁力計を含むことができる。例えば、IMU306は、3つの直交軸に沿った加速度を測定するように配置された3つの加速度計と、3つの直交軸のそれぞれの周りの角加速度を測定するように配置された3つのジャイロスコープとを含むことができる。いくつかの実施形態において、IMU306は、3つの直交軸に沿った磁界を測定する磁力計を含んでもよい。IMU306からの加速度データは、精密位置センサ100の現在の向きを決定することができる処理回路302に対してデジタル的に提供される。いくつかの実施形態において、向きは測位軸114および測位軸116に対して決定されてもよい。
【0042】
処理回路302はまた、RTK GNSSアンテナ108に対して結合される。RTK GNSSアンテナ108は、衛星210から衛星信号を受信するためのアンテナおよび受信回路、ならびに、基地局212から位相データを受信するためのアンテナおよび受信回路を含む。いくつかの実施形態において、基地局212およびRTK GNSSアンテナ108は、UHF信号通信を使用して通信することができる。しかしながら、基地局212からRTK GNSSアンテナ108に対してデータを提供するために、任意の通信技術を使用することができる。
【0043】
RTK技術は、衛星210からの受信信号および基地局212からの位相データに基づいて複雑な計算を要する場合がある。いくつかの実施形態において、上述したように、RTK GNSSアンテナ108は衛星信号にしたがってRTK GNSSアンテナ108の正確な位置を決定する検出および処理回路を含む。その場合、RTK GNSSアンテナ108は、正確な位置データを処理回路302に対して提供する。いくつかの実施形態において、RTK GNSSアンテナは、衛星210からの受信信号および基地局212からの位相データを処理回路302に対して提供することができ、処理回路302はRTK GNSSアンテナ108の正確な位置を計算する。
【0044】
図4は、
図1に示す精密ライン測位器システム100の具体例を用いて、精密位置測定の幾何学的形状を図示している。
図4は真北Nに対する精密ライン測位器100の方向を図示し、磁気軸を規定するワンド102が垂直に配置されている。
図4に図示される例において、精密ライン測位器100は、測位器軸114が垂直に保持されるように保持され、通常、そのラインの正確な位置がRTK GNSSアンテナ108を用いて得られるように配置された地下ライン上にある。
【0045】
図1および
図4に示すように、値Rは、測位器軸114(磁気軸とも呼ばれる)とRTK GNSSアンテナ108の位置との間隔を表す。角度θは、測位器前方軸116と真北との間の角度である。この例において、θは360°-ベアリング(例えば、測位器前方軸116に沿った前方方向)である。上述のように、測位軸114は、低周波数アンテナ形状によって規定される。
【0046】
図4に図示されるように、RTK GNSSアンテナ軸と測位軸114との間の距離Rは、真のグリッド基準に対する誤差を生成し、これは、精密ライン測位器100の向きに関して任意の角度であり得る。
図4に示すように、緯度の誤差および経度の誤差は、真北Nの方向およびRTK GNSS 108の位置に対して定義される。正確な位置が決定されるスポット上に垂直に測位軸114が配置されると、測位器前方軸116に沿ったRTK GNSS 108から測位軸114までの距離R、および真北Nと測位器軸との間の角度θ(真の緯度および経度における誤差)は、以下のように計算することができる:
緯度誤差=Rcosine(360-θ);
経度誤差=Rsine(360 - θ)。
【0047】
上記の誤差を補正するための1つの解決策は、角度θを測定し、処理回路302で実行されるソフトウェアを使用して補正を適用することである。このような解決策は、真の格子角度基準を確立する正確かつ信頼できる方法を想定している。いくつかの実施形態において、IMU306は、一般に真北(角度基準)の数度以内である地球の磁場を測定するために使用可能なフラックスゲート磁力計を含むことができる。この方法は良好に機能することができるが、信頼性があると見なすことはできない。
【0048】
1つの問題は、磁気偏角の変化である。磁気偏角は真の北Nと磁北との間の角度のことであり、これは、地球の磁場の局所的な方向である。
図5に示すように、磁気偏角は地球の表面にわたって著しく変化する。
図5は、National Geophysical Data Center(NGDC)およびCooperative Institute for Research in Environmental Sciences(CIRES)とともに、National Oceanic and Atmospheric Administration(NOAA)によって開発された、磁気偏角等方線を示すメルカトル地図を示す。輪郭線間隔は2度であり、「Red」とマークされた線は正の偏角(東方向)を表し、「Blue」は負の偏角(西方向)を表し、「Green」はゼロ偏角線である。
【0049】
さらに、駐車車両や他の鉄構造物によって生じる局所的変動は、最大180°の角度測定誤差を引き起こす可能性がある。本発明の実施形態は、ライン測位器システム100がRTKとRTK GNSSアンテナ108を用いて、正確な設備位置をcm精度の地理空間データと組み合わせることを可能にする、上記の問題を解決するためのシンプルな方法を提供する。
【0050】
図6は、精密ライン測位器100の実施形態を動作させて、地理的エリア上の地下ライン206の位置に関するデータをログ記録して地図を形成する方法600を示す。本明細書に記載のいくつかの実施形態は、上述の固有誤差を補正する単純であるが正確な方法を提示する。上述のように、測位位置は、精密ライン測位器100のワンド102内のアンテナ202によって規定される、電磁測位軸114に対して規定される。
図7Aおよび
図7Bは、精密ライン測位器100に対する地下ライン206に関する位置データをまず測位および記録し、次いで精密ライン測位器100を再配向してRTK GNSSアンテナ108とともにライン測位器100の正確な位置を取得し記録するために、精密ライン測位器100が方法600の種々のステップの間にどのように動作されるかを示す。
【0051】
図6に示すように、ステップ602において、精密ライン測位器100をライン測位器として動作させ、アンテナ202を使用して地下ライン206の位置を特定する。ライン測位器100は、精密ライン測位器100に対して地下ライン206の位置を正確に測位することができる。地下ライン206が精密ライン測位器100によって測位されると、ライン測位器100は、ステップ604において地下ライン206にわたって第1方向704に配置される。
【0052】
図7Aはステップ604の配向704を示す。ここで、底部702は地表面208上に配置され、測位軸114は垂直となるように測位される。方向704は、ワンド102内のアンテナ202を使用して、精密ライン測位器100によって地下ライン206の正確な位置を提供するために使用される。動作中、ユーザはワンド102の底部702を地面レベル208に配置し、測位器軸114を垂直に整列させて、精密ライン測位器100に関する地下ライン206の位置決定におけるオフセット誤差を排除する。
【0053】
測位位置が方向704において定義されると、ステップ606において、測位情報が記録される。典型的には、この段階でのロギングは、処理回路302のメモリに電磁測定値のアレイを記録させる。これらの測定値は例えば、ライン206の深さ、測位器100によって測定されるライン206を通る電流、測位軸114が地下ライン206の真上にないことを示す横方向のオフセット、およびライン測位システム100に対する設備の故障測定値を含んでもよい。ステップ606におけるロギングは、精密ライン測位器100自身方向704にあると判断したとき、またはユーザによってユーザインターフェース104上でプロンプトされたときに実施できる。
【0054】
ステップ606において測位情報が記録されると、ステップ608において、精密ライン測位器100は、正確な位置データの記録のために測位器100を配置するようにユーザに対して促す。
図7Bは、RTK GNSSアンテナ108を使用して地下ライン206の位置の正確な測定を可能にする向き706を図示する。方向706において、ユーザは、
図7Bに示すようにRTK GNSSアンテナ108が垂直軸708と位置合わせされるまで精密ライン測位器100を後方に傾斜させるように促される。垂直軸708は、底部702を通って垂直に延びる。RTK GNSSアンテナ108が測位位置の真上にある点において、RTK地理空間位置を測定し、ステップ610において先に議論した測位測定データとともに測定ログに付加することができる。
【0055】
向き706において、RTK GNSSアンテナ108および定義された測位位置は、この時点で同じ垂直線内にあり、オフセット変位Rによって生じる誤差は排除される。したがって、上述の補正式における値Rは、上述の補正式において0にセットすることができる。言い換えれば、RTK GNSS108は測位器軸114が測位動作中であった場所と整列され、その結果、Rの値は補正計算において0に低減される。
【0056】
ステップ612において、方法600は、データがそれ以上の位置についてログされるべきか否かを決定する。ログ取得しないのであれば、精密ライン測位器600はステップ614において停止される。ログ取得する場合、ステップ616において、精密ライン測位器600が次の位置に移動され、方法600はステップ602に戻る。このようにして、いくつかの(1つ以上の)位置に対する位置データおよび正確な位置データのマッピングが、処理回路302のメモリに記憶される。精密ライン測位器100自体の幾何学的形状が明確に定義されているので、各記録されたデータを使用して、これらの位置の各々における地下ライン206の正確な位置を決定することができる。各位置における地下ライン206の正確な位置の計算は後にログデータから行実施することができ、あるいは実施形態によっては、処理回路302によって実施できる。
【0057】
いくつかの実施形態において、慣性測定ユニット(IMU)306を含めることができる。IMU306は、
図7Aの位置704または
図7Bの706において精密ライン測位器100を配置する際におけるガイダンスを提供するための有用な機能となり得る。いくつかの例において、IMU306は、MEMジャイロおよび加速度計の組み合わせを有する。IMU306は処理回路302の制御下において、
図8に示すように、ロール、ピッチ、ヨーのリアルタイム測定値を生成する。いくつかの実施形態において、更新レートは典型的には26Hz(最大100Hz)であり、測定精度は典型的には±1°以内である。
【0058】
図8に示すように、IMU306は、測位軸114(Z方向)、前方測位軸116(X方向)、およびZ方向とX方向に対して垂直なY方向に沿った加速度を慣性的に測定する。IMU306はX、Y、およびZの各軸の周りの角度回転加速度をさらに測定する。IMU306は、X軸の周り(ロールΦ)の回転加速度、Y軸の周り(ピッチθ)の回転加速度、およびZ軸の周り(ヨーψ)の回転加速度を測定するジャイロをさらに含む。処理回路302はIMU306から加速度データを受け取り、正確なライン測位器100の方向を計算することができる。
【0059】
いくつかの実施形態において、測定された角度は、
図1に示されるように測位器の上部のハンドルに取り付けられた測位器ユーザインターフェース104ディスプレイから参照することができる。したがって、測位位置およびRTK-GNSSアンテナが垂直に同一直線上にある正確な点を感知することが可能である。実際のオフセット(主にピッチ角)は、精密測位器100の物理的形状サイズによって定義され、固定かつ既知である。
【0060】
いくつかの実施形態において、整列プロセスにおけるガイダンスは、
図9に示すように、ユーザインターフェース104上に提供することができる。
図9に示すように、ユーザインターフェース104は、ユーザ設定(オフ、動的、固定)にしたがって角度補償を示すことができるディスプレイ902を含む。ディスプレイ902は、現在、動的ユーザ設定を示している。角度補正が「Dynamic」ロールの場合、IMU306からの動的測定にしたがってピッチが更新される。
図9は、インジケータ904において、3D加速度計(XL)から計算されるピッチおよびロールを示し、インジケータ906において、3Dジャイロスコープ(G)を示し、インジケータ908において、XL&Gピッチおよびロールの組み合わせの値を示している。さらに、水準器910は、重力に対する測位器軸114の位置合わせを示す。さらに、ユーザインタフェース104は、正確な測位器100の動作を制御するためのユーザ入力ボタン912を含むことができる。いくつかの実施形態において、水準器910はコンピュータ生成または機械的水準器であってもよい。水準器910は、
図7Aの向き704における測位、および
図7Bに図示される向き706における測位を示すように配置されてもよい。
【0061】
ユーザインターフェース104は
図9に示されるように配置または配分することができるが、いくつかの実施形態において、正確なRTK位置のアラインメントに到達したことをユーザに警告するために、「水準器」ウィジェット910を含んでもよい。この警報は、正確な位置が測定されるようにし、このデータが上述のように標準的な調査地図データに添付されることを可能にする。いくつかの実施形態において、水準器ウィジェット910は
図7Aに図示されるように、向き704における整列のための第1レベルを表示し、
図7Bに図示されるように、向き706における整列のための第2レベルを表示してもよい。
【0062】
いくつかの実施形態において、測位器を正確な共線点に移動させる必要がないことがわかる。ロール、ピッチ、ヨーの3つの慣性測定値が連続的に更新されており、測位器の電磁軸とRTKアンテナの間には既知の三角関係があることを考えると、より小さな変位で十分であると推測することができる。理想的な測位からの変位は、IMU306からのデータに基づいて、処理回路302内の計算によって補正することができる。
【0063】
上記の詳細な説明は本発明の特定の実施形態を例示するために提供されるものであり、限定することを意図するものではない。本発明の範囲内で多数の変形および修正が可能である。本発明は、以下の特許請求の範囲に記載されている。
【国際調査報告】