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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(54)【発明の名称】冷熱厚膜集積回路
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/427 20060101AFI20220715BHJP
   F28D 15/02 20060101ALI20220715BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
H01L23/46 B
F28D15/02 L
F28D15/02 101H
F28D15/02 102Z
H05K7/20 Q
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568908
(86)(22)【出願日】2021-01-27
(85)【翻訳文提出日】2021-11-17
(86)【国際出願番号】 CN2021073906
(87)【国際公開番号】W WO2021179823
(87)【国際公開日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】202020303368.6
(32)【優先日】2020-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521504304
【氏名又は名称】タン,シドニー
【氏名又は名称原語表記】TANG,Sidney
【住所又は居所原語表記】Block D1 3/F,43 Stubbs Road,Wanchai,Hong Kong 999077 China
(74)【代理人】
【識別番号】100180781
【弁理士】
【氏名又は名称】安達 友和
(74)【代理人】
【識別番号】100182903
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 武慶
(72)【発明者】
【氏名】タン,シドニー
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA06
5E322AB10
5E322AB11
5E322BB06
5E322FA09
5F136BB05
5F136CC14
5F136HA01
(57)【要約】
本発明は、層状に配列された金属基板、ベイパーチャンバー、及び前記金属基板とベイパーチャンバーの間に設けられた熱電素子を含む冷熱厚膜集積回路を公開しており、前記金属基板の前記ベイパーチャンバー寄りの面には集積回路が設けられ、前記熱電素子は電源と接続されている。冷熱厚膜集積回路は全体的に部品が少なく、簡単で、信頼性があり、冷熱厚膜集積回路全体に一体化及びソリッド設計が採用されているので、占有空間が少なく、信頼性があり、配線も少なく、安全であり、面積が大きい場合、冷却後の冷熱分布が均等で速く、しかも放熱機能に優れ、効率がよく、便利で、開発や使用がしやすい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
層状に配列された金属基板、ベイパーチャンバー、及び前記金属基板とベイパーチャンバーの間に設けられた熱電素子を含み、前記金属基板の前記ベイパーチャンバー寄りの面には集積回路が設けられ、前記熱電素子が電源と接続されていることを特徴とする、冷熱厚膜集積回路。
【請求項2】
前記金属基板とベイパーチャンバーの間の辺縁部分がシール剤によって密封されていることを特徴とする、請求項1に記載の冷熱厚膜集積回路。
【請求項3】
前記金属基板のベイパーチャンバー寄りの面にはさらに前記金属基板のリアルタイム温度を検出するためのセンサが設けられており、前記センサは内部または外部の集積回路と接続され、かつそれらの外部素子と接続する信号ピンが設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の冷熱厚膜集積回路。
【請求項4】
前記冷熱厚膜集積回路は、前記金属基板上に設置された過熱保護ヒューズをさらに含み、前記過熱保護ヒューズが前記金属基板上の回路配線と接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の冷熱厚膜集積回路。
【請求項5】
前記金属基板は高熱伝導性の金属基板であり、及び/または前記熱電素子が熱電冷却器であることを特徴とする、請求項1に記載の冷熱厚膜集積回路。
【請求項6】
前記金属基板上の素子と接続されたマイクロコントローラをさらに含んでよいことを特徴とする、請求項1に記載の冷熱厚膜集積回路。
【請求項7】
前記電源は前記金属基板を負極とする回路配線であってよく、前記金属基板上に超音波振動子を集積してよいことを特徴とする、請求項1に記載の冷熱厚膜集積回路。
【請求項8】
前記金属基板上に、熱膨張係数の異なる2枚から成る金属サーモスタットを集積してよいことを特徴とする、請求項1に記載の冷熱厚膜集積回路。
【請求項9】
前記金属基板及び/またはベイパーチャンバーの外側表面には防護コーティングまたは防水凝結コーティングが設けられており、及び/または前記金属基板上にアンテナを設けてよいことを特徴とする、請求項1に記載の冷熱厚膜集積回路。
【請求項10】
前記熱電素子はシート状であり、または、前記熱電素子は、前記金属基板上に直接埋め込まれて1枚の厚膜を形成する結晶粒であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の冷熱厚膜集積回路。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子設備技術分野、特に冷却加熱機能を有する厚膜集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の冷却加熱装置には分離した部品が多く、構造が複雑で、全体的に大きくて重く、一体化及びソリッド設計が採用されていないため、占有空間が大きく、信頼性が低い。面積がやや大きくなると、冷却後の冷熱分布が不均一で、放熱効果が低く、効率が悪くなる。また、開発や製造が不便で難しく、特にファクトリーオートメーション化技術による製造が難しいので、製造コストが高くなってしまう。
【発明の概要】
【0003】
本発明の主な目的は、従来の大きくて重い複雑な冷却加熱装置の欠点を解決する冷熱厚膜集積回路を提供することにある。
【0004】
本発明では、上記の技術的課題を解決する技術手法として、層状に配列された金属基板、ベイパーチャンバー、及び前記金属基板とベイパーチャンバーの間に設けられた熱電素子を含む冷熱厚膜集積回路を提供しており、前記金属基板の前記ベイパーチャンバー寄りの面には集積回路が設けられ、前記熱電素子は電源と接続されている。
【0005】
そのうち、前記金属基板とベイパーチャンバーの間の辺縁部分は、シール剤によって密封されている。
【0006】
そのうち、前記金属基板のベイパーチャンバー寄りの面には、さらに前記金属基板のリアルタイム温度を検出するためのセンサが設けられており、前記センサは前記内部または外部の集積回路と接続され、かつそれらの外部素子と接続する信号ピンが設けられている。
【0007】
そのうち、前記冷熱厚膜集積回路は、前記金属基板上に設置された過熱保護ヒューズをさらに含み、前記過熱保護ヒューズは前記金属基板上の回路配線と接続されている。
【0008】
そのうち、前記金属基板は高熱伝導性の金属基板であり、及び/または前記熱電素子は熱電冷却器である。
【0009】
そのうち、前記冷熱厚膜集積回路はさらに、前記内部または外部の集積回路と接続されたマイクロコントローラを含んでよく、例えば、マイクロコントローラは前記金属基板上の素子と接続される。
【0010】
そのうち、前記電源は前記金属基板を負極とする回路配線であってよく、前記金属基板上には超音波振動子を集積してよい。
【0011】
そのうち、前記冷熱厚膜集積回路は、前記金属基板上に、熱膨張係数の異なる2枚から成る金属サーモスタットを集積してよい。
【0012】
そのうち、前記金属基板及び/またはベイパーチャンバーの外側表面には防護コーティングまたは防水凝結コーティングが設けられており、及び/または前記金属基板上にアンテナを設けてよい。
【0013】
そのうち、前記熱電素子はシート状であり、または、前記熱電素子は、前記金属基板上に直接埋め込まれて1枚の厚膜を形成する結晶粒である。
【0014】
本発明で提供する冷熱厚膜集積回路は、層状に配列された金属基板、ベイパーチャンバー、及び前記金属基板とベイパーチャンバーの間に設けられた熱電素子を含み、前記金属基板の前記ベイパーチャンバー寄りの面には集積回路が設けられ、前記熱電素子は電源と接続されている。既存の技術と比較すると、以下のような長所がある。
1.冷熱厚膜集積回路は全体的に部品が少なく、簡単で、信頼性がある。
2.冷熱厚膜集積回路全体に一体化及びソリッド設計が採用されているので、占有空間が少なく、信頼性があり、配線も少なく、安全である。
3.面積が大きい場合、冷却後の冷熱分布が均等で速い。
4.放熱機能に優れ、効率がよい。
5.便利で、開発や使用がしやすい。
6.マイクロコントローラ(シングルチップコンピュータ)(micro-controller)を集積して、プログラム可能な厚膜集積冷熱回路としての冷熱厚膜集積回路にすることができる。
7.製造しやすく、OA化技術による製造が容易で、製造コストが低減される。
8.アンテナ及びセンサを集積し、遠端通信によりモノのインターネットシステムとして用いることができる。
9.バッテリを集積することができ、反応が速く、熱慣性が少ない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の冷熱厚膜集積回路の第1実施例における構造概略図である。
図2図1に示す冷熱厚膜集積回路の、熱電素子、集積回路及びセンサが配置された金属基板の上面図である。
図3図1に示す冷熱厚膜集積回路の熱電素子の配置概略図である。
図4図1に示す冷熱厚膜集積回路のベイパーチャンバーの構造概略図である。
図5】本発明の冷熱厚膜集積回路の第2実施例における構造概略図である。
図6図5に示す冷熱厚膜集積回路の、熱電素子、集積回路及びセンサが配置されたアルミニウム基板の上面図である。
図7図5に示す冷熱厚膜集積回路のヒートシンクの配置概略図である。
図8図5に示す冷熱厚膜集積回路のベイパーチャンバーの構造概略図である。
図9】本発明の冷熱厚膜集積回路の第3実施例における構造概略図である。
図10図9に示す冷熱厚膜集積回路の、熱電素子結晶粒、集積回路及びセンサが配置された金属基板の上面図である。
図11図9に示す冷熱厚膜集積回路の熱電素子の結晶粒の配置概略図である。
図12図9に示す冷熱厚膜集積回路のベイパーチャンバーの構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の目的、技術手法及び長所をより明確にするために、以下では図面と実施例を結び付けて、本発明についてさらに詳細な説明を行う。ここに記載する具体的実施例は、本発明の解釈にのみ用いられるもので、本発明の限定に用いられるものではないことを理解しておかなければならない。
【0017】
図1図4を参照すると、図1は本発明の冷熱厚膜集積回路の第1実施例における構造概略図であり、図2図1に示す冷熱厚膜集積回路の、熱電素子、集積回路及びセンサが配置された金属基板の上面図であり、図3図1に示す冷熱厚膜集積回路の熱電素子の配置概略図であり、図4図1に示す冷熱厚膜集積回路のベイパーチャンバーの構造概略図である。
【0018】
本発明で提供する冷熱厚膜集積回路は、層状に配列された金属基板、ベイパーチャンバー、及び前記金属基板とベイパーチャンバーの間に設けられた熱電素子を含み、前記金属基板の前記ベイパーチャンバー寄りの面には集積回路が設けられ、前記熱電素子は電源と接続されている。
【0019】
そのうち、低層は金属基板がメイン構造であり、中間に集積回路が実装されている。電源は金属基板上の平面回路配線を経由して熱電素子と接続され、需要に応じて冷却または加熱を行う。
【0020】
中層は主に熱電素子から成り、整然と、効率よく配置されている。
【0021】
高層はベイパーチャンバーと接続され、熱電素子に放熱の用途を提供している。
【0022】
冷却時には、金属基板は熱電素子の冷凍用途により非常に冷たい凍結面を形成し、ベイパーチャンバーは熱電素子の発する熱エネルギーを吸収し、放熱効果を強化する。
【0023】
反対に、発熱時には、金属基板が発熱し、熱電素子の他方の面が冷却される。この時、ベイパーチャンバーが冷却され、それと同時に周辺環境から熱を吸収する。
【0024】
本実施例では、上記の構造により、冷熱厚膜集積回路は全体的に部品が少なく、簡単で、信頼性があり、冷熱厚膜集積回路全体には一体化及びソリッド設計が採用されているので、占有空間が少なく、信頼性があり、配線も少なく、安全であり、面積が大きい場合、冷却後の冷熱分布が均等で速く、しかも放熱機能に優れ、効率がよく、便利で、開発や使用がしやすい。
【0025】
1つの実施形態として、上記の電源はバッテリまたは外接電源であってよく、バッテリは内部に集積してもよいし、外部に設けてもよい。
【0026】
前記金属基板とベイパーチャンバーの間の辺縁部分は、シール剤によって密封されている。封止の際に真空にすることで、内部に空気があることで使用時に水が凝集して溜まることを防止することができる。
【0027】
さらに、金属基板のベイパーチャンバー寄りの面には前記金属基板のリアルタイム温度を検出するためのセンサが設けられており、前記センサは前記内部または外部の集積回路と接続され、かつ内部と外部の間を接続しやすくするための信号ピンが設けられている。センサを設置することにより、温度の過熱や過冷を防止し、冷熱厚膜集積回路及びユーザに損傷を与えることを防止することができる。また、検出された温度は、他の集積回路に伝送して、恒温機能を果たさせることもできる。
【0028】
さらに、前記冷熱厚膜集積回路は、前記金属基板上に設置された過熱保護ヒューズを含み、前記過熱保護ヒューズは前記金属基板上の回路配線と接続されている。
【0029】
過熱保護ヒューズを設置して電流を通すことにより、過熱停電機能を実現しており、停電機能は、電圧が高すぎる場合に電源を遮断することで、過負荷やショート、感電の可能性を防止することができる。そのうち、過熱保護ヒューズは過電圧保護のダイオードと接続することができる。
【0030】
さらに、金属基板を電源の負極配線とすることで、配線全体を簡潔にすることができるので、前記電源の負極を前記金属基板に接続してもよい。
【0031】
また、前記金属基板上には、他の治療に用いるための超音波振動子を集積することもできる。
【0032】
また、前記冷熱厚膜集積回路上には、異なる金属から成る2枚の低コストのサーモスタットを集積することもできる。
【0033】
さらに、金属基板は、他の治療に用いるために、電極として使うこともできる。
【0034】
さらに、前記金属基板及び/またはベイパーチャンバーの外側表面には防護コーティングが設けられており、防湿防水及び引っ掻き防止のコーティングを追加することもできる。
【0035】
また、前記金属基板上には、モノのインターネットシステムを形成するためのアンテナを設置することもできる。
【0036】
また、前記冷熱厚膜集積回路はさらに、前記内部または外部の集積回路と電気接続されたマイクロコントローラを含むことができる。マイクロコントローラを加えることで、プログラム可能な冷熱厚膜集積回路にすることができる。
【0037】
本実施例では、前記熱電素子はシート状であり、金属基板上に整然と配列されている。
【0038】
他の実施例では、図5図8に示すように、前記金属基板がアルミニウム基板であったり、前記熱電素子が熱電冷却器であってよい。
【0039】
他の実施例では、図9図12に示すように、前記熱電素子は結晶粒であり、前記金属基板上に直接埋め込まれて1枚の厚膜を形成している。つまり、熱電素子の結晶粒を金属基板に直接埋め込んで1枚の冷熱厚膜集積回路を作ることができるのである。
【0040】
本発明の冷熱厚膜集積回路は、従来の大きくて重い複雑な冷却加熱装置の欠点を解決している。冷熱厚膜集積回路はポータブルであってよく、空調、身の回り品、電子部品及びその装置、医学及び美容、科学技術、機械及びロボット、サーモスタット、ペット及びその治療医学研究、バイオ研究、薬品、水族館、国防及び武器、航空及び宇宙、水上及び水底に応用されているが、この限りではない。
【0041】
本発明で提供する冷熱厚膜集積回路は、層状に配列された金属基板、ベイパーチャンバー、及び前記金属基板とベイパーチャンバーの間に設けられた熱電素子を含み、前記金属基板の前記ベイパーチャンバー寄りの面には集積回路が設けられ、前記熱電素子は電源と接続されている。既存の技術と比較すると、具体的に以下のような長所がある。
1.冷熱厚膜集積回路は全体的に部品が少なく、簡単で、信頼性がある。
2.冷熱厚膜集積回路全体に一体化及びソリッド設計が採用されているので、占有空間が少なく、信頼性があり、配線も少なく、安全である。
3.面積が大きい場合、冷却後の冷熱分布が均等で速い。
4.放熱機能に優れ、効率がよい。
5.便利で、開発や使用がしやすい。
6.マイクロコントローラ(シングルチップコンピュータ)(micro-controller)を集積して、プログラム可能な厚膜集積冷熱回路としての冷熱厚膜集積回路にすることができる。
7.製造しやすく、ファクトリーオートメーション化技術による製造が容易で、製造コストが低減される。
8.アンテナ及びセンサを集積し、遠端通信によりモノのインターネットシステムとして用いることができる。
9.バッテリを集積することができ、反応が速く、熱慣性が少ない。
【0042】
以上で述べたことは、本発明の好適な具体的実施形態にすぎず、本発明の保護範囲はこれに限定されるわけではない。当業者が、本発明で開示した技術範囲内で容易に想到可能な変更や置換は、すべて本発明の保護範囲にカバーされるものとする。よって、本発明の保護範囲は、請求の範囲の保護範囲を基準としなければならない。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】