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特表2022-533696トリフルオロヨードメタン(CF3I)及びトリフルオロアセチルクロリド(CF3COCl)の共沸性又は共沸様組成物
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  • 特表-トリフルオロヨードメタン(CF3I)及びトリフルオロアセチルクロリド(CF3COCl)の共沸性又は共沸様組成物 図1
  • 特表-トリフルオロヨードメタン(CF3I)及びトリフルオロアセチルクロリド(CF3COCl)の共沸性又は共沸様組成物 図2
  • 特表-トリフルオロヨードメタン(CF3I)及びトリフルオロアセチルクロリド(CF3COCl)の共沸性又は共沸様組成物 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(54)【発明の名称】トリフルオロヨードメタン(CF3I)及びトリフルオロアセチルクロリド(CF3COCl)の共沸性又は共沸様組成物
(51)【国際特許分類】
   C07C 19/16 20060101AFI20220715BHJP
   C07C 53/48 20060101ALI20220715BHJP
   C07C 51/46 20060101ALI20220715BHJP
   C07C 17/383 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
C07C19/16
C07C53/48
C07C51/46
C07C17/383
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568991
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(85)【翻訳文提出日】2021-11-19
(86)【国際出願番号】 US2020033738
(87)【国際公開番号】W WO2020236898
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】62/850,378
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/874,319
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】パン、ハン ティ.
(72)【発明者】
【氏名】フルス、リャン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シン、ラジヴ ラトナ
(72)【発明者】
【氏名】ナイル、ハリダサン ケイ.
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AD12
4H006BD84
4H006BM10
4H006BM71
4H006BM72
4H006BS10
(57)【要約】
【解決手段】 本開示は、トリフルオロヨードメタン(CFI)及びトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を含む共沸性又は共沸様組成物と、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を組み合わせて共沸性又は共沸様組成物を形成する工程を含む、共沸性又は共沸様組成物を形成する方法と、を提供する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる、共沸性又は共沸様組成物を含む、組成物。
【請求項2】
前記共沸性又は共沸様組成物が、約4.9psia~348psiaの圧力で約-46.0℃~90.0℃の沸点を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記共沸性又は共沸様組成物が、約0.5重量%~約99.0重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及び約1.0重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記共沸性又は共沸様組成物が、約14.41psia±0.30psiaの圧力で約-22.50℃±0.30℃の沸点を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記共沸性又は共沸様組成物が、約0.5重量%~約25重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及び約75重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記共沸性又は共沸様組成物が、約2重量%~約21重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及び約79重量%~約98重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記共沸性又は共沸様組成物が、約14重量%~約18重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及び約82重量%~約86重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
共沸性又は共沸様組成物を形成する方法であって、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を組み合わせて、約4.9psia及び348psiaの圧力において、約-46.0℃~90.0℃の沸点を有する、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる共沸性又は共沸様組成物を形成する工程を含む、方法。
【請求項9】
前記組合せ工程が、約0.5重量%~約99.0重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及び約1.0重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を組み合わせることを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)、トリフルオロヨードメタン(CFI)、及び少なくとも1種の不純物を含む一次組成物から、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を分離する方法であって、以下の工程:
前記一次組成物内で、約4.9psia~348psiaの圧力で約-46.0℃~90.0℃の沸点を有する、有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる共沸性又は共沸様組成物である、二次組成物を形成する工程と、
前記一次組成物及び前記少なくとも1種の不純物から前記二次組成物を分離する工程と、を含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、共沸性又は共沸様組成物、特に、トリフルオロヨードメタン(CFI)及びトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を含む共沸性又は共沸様組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フルオロカーボン系流体は、冷媒、エアゾール噴射剤、発泡剤、伝熱媒体、ガス状誘電体、及び火炎抑制剤を含む多くの用途において、産業界において広範な使用が見出されている。
【0003】
しかしながら、クロロフルオロカーボン(chlorofluorocarbons、CFC)及びヒドロクロロフルオロカーボン(hydrochlorofluorocarbons、HCFC)などの特定の化合物は、大気オゾンを枯渇させると考えられており、したがって、環境に有害である。更に、これらの化合物の一部は、地球温暖化の一因になると考えられている。したがって、ヒドロフルオロカーボン(hydrofluorocarbons、HFC)などのオゾン層破壊係数が低い若しくはゼロでさえあるフルオロカーボン流体、又は地表レベルで放出されたときに短い大気寿命を呈する光分解可能な炭素ヨウ素結合を有するものを使用することが望ましい。沸騰及び蒸発時に分留しない単一成分の流体又は共沸混合物の使用もまた望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
残念なことに、共沸物の形成が予測できないという事実から、環境に安全な新たな非分留性の混合物の同定は複雑である。
【0005】
本業界では、代替案を提供し、かつ今日使用されているCFC、HCFC、及びHFCの環境により安全な代替品であると考えられる新たなフルオロカーボン系混合物が絶えず追求されている。オゾン層破壊係数が小さくかつ地球温暖化係数が小さいヨウ化物含有化合物及び他のフッ素化化合物が特に利益がある。そのような混合物が本開示の対象である。
【0006】
ヨウ化物含有化合物は、潜在的に大きな利益があるものの、トリフルオロヨードメタン(CFI)などのヨウ化物含有化合物の精製は困難であり、例えば、トリフルオロメタン(HFC-23)などのトリフルオロヨードメタン(CFI)からの不純物の除去技術には一定の需要がある。したがって、例えば、共沸蒸留などの分離技術が非常に望ましいと考えられる。
【0007】
高純度のトリフルオロヨードメタン(CFI)などのヨウ化物含有化合物を調製するために使用され得る組成物及び技術が必要とされている。
【0008】
本開示は、トリフルオロヨードメタン(CFI)及びトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)の共沸性又は共沸様組成物を提供する。
【0009】
共沸物の形成を予測することが不可能であることは当該技術分野において充分に認識されている。更に本発明者らは、トリフルオロヨードメタン(CFI)及びトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)が、共沸性又は共沸様組成物を形成することを予想外なことに発見した。
【0010】
本開示は、有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる、又はこれらからなる共沸性又は共沸様組成物を含む、組成物を提供する。共沸性又は共沸様組成物は、約4.9psia~約348psiaの圧力で約-46.0℃~約90.0℃の沸点を有し、約0.5重量%~約99.0重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及び約1.0重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる、又はこれらからなる。
【0011】
共沸性又は共沸様組成物は、約0.5重量%~約25重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)、約2重量%~約21重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)、約14重量%~約18重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)、1つの共沸物では、約14.87重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)、及び約75重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)、約79重量%~約98重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)、約82重量%~約86重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)、1つの共沸物では、約85.13重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になってもよい、又はこれらからなってもよい。共沸性又は共沸様組成物は、約14.41psia±0.30psiaの圧力で約-22.50℃±0.30℃の沸点を有する。
【0012】
換言すれば、共沸性又は共沸様組成物は、約0.5重量%~約25重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)、約75重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)、又は約2重量%~約21重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)、約79重量%~約98重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)、又は約14重量%~約18重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)、及び約82重量%~約86重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)、並びに1つの共沸物では、約14.87重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及び約85.13重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になってもよい、又はこれらからなってもよい。共沸性又は共沸様組成物は、約14.41psia±0.30psiaの圧力で約-22.50℃±0.30℃の沸点を有する。
【0013】
本開示はまた、約14.41psia±0.30psiaの圧力において、約-22.50℃±0.30℃の沸点を有するトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる、共沸性又は共沸様組成物を提供する。
【0014】
本開示はまた、共沸性又は共沸様組成物を形成する方法であって、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を組み合わせて、約4.9psia及び348psiaの圧力において、約-46.0℃~約90.0℃の沸点を有する、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる、又はこれらからなる、共沸性又は共沸様組成物を形成する工程を提供する。組合せ工程は、約0.5重量%~約99.0重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及び約1.0重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を組み合わせることを含んでもよい。
【0015】
本開示はまた、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を組み合わせて、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる、又はこれらからなる共沸性又は共沸様組成物を形成する工程を含む、共沸性又は共沸様組成物を形成する方法を提供する。共沸性又は共沸様組成物は、約14.41psia±0.30psiaの圧力で約-22.50℃±0.30℃の沸点を有してもよい。
【0016】
本開示はまた、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)、トリフルオロヨードメタン(CFI)、及び少なくとも1つの不純物を含む一次組成物から分離する方法を提供し、この方法は、一次組成物内で、有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる共沸性又は共沸様組成物である二次組成物を形成する工程と、二次組成物を一次組成物及び少なくとも1つの不純物から分離する工程と、を含む。形成工程は、一次組成物内で、約4.9psia~348psiaの圧力において、約-46.0℃~約90.0℃の沸点を有する約0.5重量%~約99.0重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及び約1.0重量%~約99.0重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる、共沸性又は共沸様組成物である二次組成物を形成することを含んでもよい。
【0017】
本開示はまた、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)又はトリフルオロヨードメタン(CFI)を少なくとも1種の不純物から分離することを含む方法を提供し、この方法は、トリフルオロヨードメタン(CFI)及びトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)のうち1つを少なくとも1種の不純物と一緒に含む組成物を提供する工程と、充分な量のその他のトリフルオロヨードメタン(CFI)及びトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を加える工程と、組成物を、有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる、又はこれらからなる共沸性又は共沸様組成物である組成物を形成するのに有効な条件に供する工程と、共沸性又は共沸様組成物を、例えば相分離、蒸留、又は分留などの分離技術によって不純物から分離する工程と、を含む。共沸性又は共沸様組成物を形成するのに有効な条件は、約4.9psia~約348psiaの圧力で約-46.0℃~約90.0℃の沸点を有する、約0.5重量%~約99.0重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及び約1.0重量%~約99.0重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を提供することを含んでもよい。
【0018】
本開示はまた、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む一次組成物から分離する方法を含み、この方法は、一次組成物を含む供給流を低圧カラムに運搬する工程と、第1のボトム生成物(bottoms product)がトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)から本質的になる、低圧カラムから第1のボトム生成物を回収する工程と、有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる共沸性又は共沸様組成物を含む、第1の蒸留物を、低圧カラムから高圧カラムへ運搬する工程と、トリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる、第2のボトム生成物を、高圧カラムから回収する工程と、を含む。本方法は、第2の回収工程の後に、高圧カラムからの第2の蒸留物を、一次組成物を含む供給流に戻す、追加の工程を更に含んでもよい。
【0019】
本開示はまた、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む一次組成物から分離する方法を含み、この方法は、一次組成物を含む供給流を高圧カラムに運搬する工程と、トリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる、第1のボトム生成物を、高圧カラムから回収する工程と、有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる共沸性又は共沸様組成物を含む、第1の蒸留物を、高圧カラムから低圧カラムへ運搬する工程と、第2のボトム生成物がトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)から本質的になる、低圧カラムから第2のボトム生成物を回収する工程と、を含む。本方法は、第2の回収工程の後に、低圧カラムからの第2の蒸留物を、一次組成物を含む供給流に戻す、追加の工程を更に含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施例1に従って測定された、トリフルオロヨードメタン(CFI)の温度と重量パーセントとのプロットである。
【0021】
図2図2は、実施例3に対応し、2つの曲線がそれぞれ任意の低圧及び任意の高圧に配置された、温度と組成物(トリフルオロヨードメタン(CFI)の質量分率)とのプロットである。
【0022】
図3図3は、例示的な圧力スイング蒸留構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)は、トリフルオロヨードメタン(CFI)と共に、均一で極小沸点の共沸性及び共沸様組成物を測定又は混合物を形成することが見出され、本開示は、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む均一な共沸性又は共沸様組成物を提供する。共沸性又は共沸様組成物は、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になってもよいか、又は共沸性又は共沸様組成物は、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)からなってもよい。
【0024】
本発明者らは、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)が共沸性又は共沸様組成物を形成することが、実験的に見出された。
【0025】
「共沸性」組成物とは、2つ以上の成分の特有の組み合わせである。共沸性組成物は、様々な技術で特徴付けることができる。例えば、所与の圧力では、共沸性組成物は、沸点が高い方の成分よりも高い一定の特性温度で沸騰する(極大沸点の共沸物)か、又は沸点が低い方の成分よりも低い一定の特性温度で沸騰する(極小沸点の共沸物)。この特性温度では、同じ組成が気相及び液相の両方に存在することになる。共沸性組成物は、沸騰又は蒸発時に分留しない。したがって、共沸性組成物の成分を相変化において分離することはできない。
【0026】
共沸性組成物はまた、特性共沸温度で、液相の気泡点圧力(bubble point pressure)が気相の露点圧力と同一であることも特徴とする。
【0027】
共沸性組成物の挙動は、沸騰又は蒸発中に液体組成物がかなりの程度で変化する非共沸性組成物の挙動とは対照的である。
【0028】
本開示の目的の場合、共沸性組成物は、2つ以上の成分の沸点よりも低い一定の特性温度で沸騰し(極小沸点の共沸物)、それによって気相及び液相の両方において同じ組成を有する組成物として特徴付けられている。
【0029】
しかしながら、当業者であれば、異なる圧力では、共沸性組成物の組成及び沸点の両方がある程度変化すると理解するであろう。したがって、温度及び/又は圧力に応じて、共沸性組成物は、変化し得る組成を有し得る。したがって、当業者であれば、固定された組成ではなく組成範囲を使用して共沸性組成物を定義することができると理解するであろう。更に、共沸物は、特定の圧力での固定された沸点によって特徴付けられる組成物の各成分の正確な重量パーセントの観点から定義することもできる。
【0030】
「共沸様」組成物とは、実質的に共沸性組成物として挙動する2つ以上の成分の組成物である。したがって、本開示の目的の場合、共沸様組成物は、所与の圧力下で液体形態にあるとき実質的に一定の温度で沸騰し、かつ沸騰中の液体組成物と実質的に同一の気体組成を提供する、2つ以上の異なる成分の組み合わせである。
【0031】
本開示の目的のためには、共沸様組成物は、例えば、約14.41psia±0.30psiaの圧力において約-22.50℃±0.30℃の温度範囲で沸騰する組成物又は組成物の範囲を含む、約4.9psia~約348psiaの圧力において約-46.0℃~約90.0℃の温度範囲で沸騰する組成物又は組成物の範囲である。
【0032】
共沸性又は共沸様組成物は、多数の異なる方法を使用して同定することができる。
【0033】
本開示の目的の場合、共沸性又は共沸様組成物は、エブリオメータを使用して実験的に同定される(Walas,Phase Equilibria in Chemical Engineering,Butterworth-Heinemann,1985,533-544)。エブリオメータは、気液平衡温度を測定することによって液体の沸点の極めて正確な測定値を提供するように設計されている。
【0034】
成分のそれぞれの単独の沸点は、一定の圧力で測定される。当業者によって理解されるように、二成分の共沸性又は共沸様組成物については、組成物の成分のうちの1つの沸点が最初に測定される。次いで、組成物の第2の成分が様々な量で添加され、当該の一定の圧力でエブリオメータを使用して、得られた組成物のそれぞれの沸点が測定される。
【0035】
測定された沸点は、試験された組成物の組成に対して、例えば二成分共沸物の場合、組成物に添加された第2の成分の量に対してプロットされる(重量%又はモル%のいずれか一方で表される)。共沸性組成物の存在は、単独のいずれかの成分の沸点よりも高い又は低い極大沸騰温度又は極小沸騰温度を観察することによって特定することができる。
【0036】
当業者によって理解されるように、共沸性又は共沸様組成物の同定は、第2の成分を第1の成分に添加した際の組成物の沸点の変化を第1の成分の沸点と比較することによって行われる。したがって、沸点の変化を測定するために、特定の成分の報告された沸点に系を較正する必要はない。
【0037】
前述のように、極大沸点又は極小沸点では、気相の組成は、液相の組成と同一となる。したがって、共沸様組成物とは、約4.9psia~約348psiaの圧力で約-46.0℃~約90.0℃の沸点、例えば約14.41psia±0.30psiaの圧力で約-22.50℃±0.30℃の沸点などである、実質的に一定の極小沸点又は極大沸点を提供する成分の組成物であり、その実質的に一定の沸点では、気相の組成は、液相の組成と実質的に同一となる。
【0038】
本開示は、有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を含んで、共沸性又は共沸様組成物を形成する、共沸性又は共沸様組成物を提供する。本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、他の成分と組み合わされると、共沸性又は共沸様混合物の形成をもたらす各成分の量である。
【0039】
本共沸性又は共沸様組成物は、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)の組合せから本質的になってもよいか、又はトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)の組合せからなってもよい。
【0040】
本明細書で使用される場合、共沸性又は共沸様組成物又は混合物の成分に関して、「から本質的になる」という用語は、組成物が、示された成分を共沸比又は共沸様比で含有し、更なる成分が新たな共沸性又は共沸様の系を形成しないという条件で、更なる成分を含有し得ることを意味する。例えば、2つの化合物から本質的になる共沸性混合物は、二成分共沸物を形成するものであり、更なる成分が混合物を非共沸性にせず、かつ化合物のいずれか一方又は両方と共沸物を形成しない(例えば、三成分以上の共沸物を形成しない)という条件で、任意選択的に1つ以上の更なる成分を含み得る。
【0041】
本開示はまた、有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を、混合する、組み合わせるか、又はブレンドすることによる、共沸性又は共沸様組成物を形成する方法を提供する。2つ以上の成分を組み合わせて、組成物を形成するための、当該技術分野において既知の幅広い種類の方法のうちのいずれかを、本方法において使用することができる。例えば、バッチ反応の一部として、又は連続反応及び/若しくはプロセスの一部として、又は2つ以上のこのような工程の組合せにより、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を、混合する、ブレンドする、又は他には、手作業により及び/若しくは機械により組み合わせることができる。トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)はどちらも市販されており、いくつかの異なる供給業者から入手することができる。これらの成分は、必要量で、例えば、秤量してからこれらの量を組み合わせることによって提供され得る。
【0042】
共沸性又は共沸様組成物は、約4.9psia~約348psiaの圧力で約-46.0℃~約90.0℃の沸点を有し、約0.5重量%~約99.0重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及び約1.0重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる、又はこれらからなる。
【0043】
約4.9psia~約348psiaの圧力で約-46.0℃~約90.0℃の沸点を有する共沸性又は共沸様組成物はまた、約4.4重量%、10.7重量%、16.9重量%、23.1重量%、29.3重量%、35.5重量%、41.9重量%、48.4重量%、55.1重量%、62.1重量%、69.7重量%、77.9重量%、87.3重量%、若しくは99.0重量%、又は前述の値のいずれか2つの間で定義される任意の範囲内のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)、及び約95.6重量%、89.3重量%、83.1重量%、76.9重量%、70.7重量%、64.5重量%、58.1重量%、51.6重量%、44.9重量%、37.9重量%、30.3重量%、22.1重量%、若しくは12.7重量%、又は上述の値のいずれか2つの間で規定される任意の範囲内のトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になってもよいか、又はこれらからなってもよい。
【0044】
更なる共沸性組成物としては、温度-46.0℃及び圧力約4.9psiaにおける、約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約0.5重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl);温度-40.0℃及び圧力約6.6psiaにおける、約95.6重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約4.4重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl);温度-30.0℃及び圧力約10.5psiaにおける、約89.3重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約10.7重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl);温度-20.0℃及び圧力約16.0psiaにおける、約83.1重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約16.9重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl);温度-10.0℃及び圧力約23.5psiaにおける、約76.9重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約23.1重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl);温度0.0℃及び圧力約33.7psiaにおける、約70.7重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約29.3重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl);温度10.0℃及び圧力約46.9psiaにおける、約64.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約35.5重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl);温度20.0℃及び圧力約63.9psiaにおける、約58.1重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約41.9重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl);温度30.0℃及び圧力約85.1psiaにおける、約51.6重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約48.4重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl);温度40.0℃及び圧力約111.4psiaにおける、約44.9重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約55.1重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl);温度50.0℃及び圧力約143.5psiaにおける、約37.9重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約62.1重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl);温度60.0℃及び圧力約182.1psiaにおける、約30.3重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約69.7重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl);温度70.0℃及び圧力約228.2psiaにおける、約22.1重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約77.9重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl);温度80.0℃及び圧力約283.1psiaにおける、約12.7重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約87.3重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl);並びに、温度90.0℃及び圧力約348.0psiaにおける、約1.0重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約99.0重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)が挙げられる。
【0045】
共沸性又は共沸様組成物は、約0.5重量%~約25重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)、約2重量%~約21重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)、約14重量%~約18重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)、1つの共沸物では、約14.87重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)、及び約75重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)、約79重量%~約98重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)、約82重量%~約86重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)、1つの共沸物では、約85.13重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になってもよい、又はこれらからなってもよい。共沸性又は共沸様組成物は、約14.41psia±0.30psiaの圧力で約-22.50℃±0.30℃の沸点を有する。
【0046】
換言すれば、共沸性又は共沸様組成物は、約0.5重量%~約25重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)、約75重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)、又は約2重量%~約21重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)、約79重量%~約98重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)、又は約14重量%~約18重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)、及び約82重量%~約86重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)、並びに1つの共沸物では、約14.87重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及び約85.13重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になってもよい、又はこれらからなってもよい。共沸性又は共沸様組成物は、約14.41psia±0.30psiaの圧力で約-22.50℃±0.30℃の沸点を有する。
【0047】
言い換えると、共沸性又は共沸様組成物は、少なければ約0.5重量%、約2重量%、若しくは約14重量%、又は多ければ約18重量%、約21重量%、若しくは約25重量%、又は上述の値のいずれか2つの間で規定される任意の範囲内のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)、及び少なければ約75重量%、約79重量%、若しくは約82重量%、又は多ければ約86重量%、約98重量%、若しくは約99.5重量%、又は上述の値のいずれか2つの間に規定される任意の範囲内のトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる、又はこれからなる。共沸性組成物は、約14.87重量%及びトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及び約85.13重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になるか、又はこれからなる。本開示の共沸性又は共沸様組成物は、約14.41psia±0.30psiaの圧力で約-22.50℃±0.30℃の沸点を有する。
【0048】
本開示はまた、共沸性又は共沸様組成物を含む組成物も提供する。例えば、少なくとも約14重量%の共沸性又は共沸様組成物、又は少なくとも約21重量%の共沸性又は共沸様組成物、又は少なくとも約25重量%の共沸性又は共沸様組成物、又は少なくとも約70重量%の共沸性又は共沸様組成物、又は少なくとも約90重量%の共沸性又は共沸様組成物を含む組成物が提供される。
【0049】
本明細書において開示されている、有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる共沸性又は共沸様組成物は、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及び/又はトリフルオロヨードメタン(CFI)から不純物を分離するために使用されてもよい。トリフルオロヨードメタン(CFI)中に存在し得る1つの不純物は、トリフルオロメタン(HFC-23)である。
【0050】
有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる共沸性又は共沸様組成物の調製により、例えば、トリフルオロヨードメタン(CFI)から不純物を除去して、高純度のトリフルオロヨードメタン(CFI)を得るために使用される、共沸蒸留などの分離技術が可能となる。
【0051】
特に、有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる共沸性又は共沸様組成物は、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)のうちの一方又は両方を、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)以外の1つ以上の他の化学化合物、例えば、不純物と一緒に含む、組成物から形成されてもよい。このような不純物の1つは、例えば、トリフルオロメタン(HFC-23)である。共沸性又は共沸様組成物の形成後に、共沸性又は共沸様組成物は、蒸留、相分離、又は分留などの好適な方法によって他の化学化合物から分離され得る。
【0052】
一例では、本開示は、少なくとも1種の追加の不純物と共に不純物としてトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を含むトリフルオロヨードメタン(CFI)の粗製一次組成物から、不純物としてのトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を分離する方法であって、不純物として粗製トリフルオロヨードメタン(CFI)、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)、及び少なくとも1種の追加の不純物の一次組成物を用意する工程、並びに有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)をから本質的になる、又はこれらからなる共沸性又は共沸様組成物である二次組成物を形成するのに有効な条件に一次組成物を供する工程、並びに例えば、相分離、蒸留又は分留などの分離技術によって、一次組成物から二次組成物を分離する工程を含む、方法を提供する。その後、二次組成物を更なる分離又は精製工程に供して、精製されたトリフルオロヨードメタン(CFI)を得てもよい。
【0053】
別の例では、トリフルオロヨードメタン(CFI)及びトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)のうちの1つを、少なくとも1種の不純物と共に含む組成物が提供されてもよい。この組成物には、他のトリフルオロヨードメタン(CFI)及びトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を、充分な量で添加し、この組成物を、有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる、又はこれらからなる共沸性又は共沸様組成物である組成物を形成するのに有用な条件に供し、続いて例えば、相分離、蒸留、又は分留などの分離技術により、不純物から共沸性又は共沸様組成物を分離する。その後、トリフルオロヨードメタン(CFI)及びトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)の共沸性又は共沸様組成物を更なる分離又は精製工程に供して、精製トリフルオロヨードメタン(CFI)を得てもよい。
【0054】
以下の実施例3で詳細に論じられる別の例では、本共沸組成物の圧力感受性は、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む組成物を分離して、「圧力スイング」蒸留によってトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)の各々の本質的に純粋な組成物を形成することができる。
【0055】
トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む一次組成物から分離する1つの方法は、一次組成物含む供給流を低圧カラムに運搬する初工程を含む。ボトム生成物は、純粋なトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)から本質的になる低圧カラムから回収してもよい。次いで、第1の蒸留物は低圧カラムから高圧カラムへ運搬され、ここで、第1の蒸留物は、有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる共沸性又は共沸様組成物である。第2のボトム生成物は、純粋なトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる高圧カラムから回収してもよい。本方法は、第2の回収工程の後に、高圧カラムからの第2の蒸留物を、一次組成物を含む供給流に戻す、追加の工程を更に含んでもよい。
【0056】
同様に、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む一次組成物から分離する別の方法は、一次組成物含む供給流を高圧カラムに運搬する初工程を含む。ボトム生成物は、純粋なトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる高圧カラムから回収してもよい。次いで、第1の蒸留物は高圧カラムから低圧カラムへ運搬され、ここで、第1の蒸留物は、有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる共沸性又は共沸様組成物である。第2のボトム生成物は、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)から本質的になる低圧カラムから回収してもよい。本方法は、第2の回収工程の後に、低圧カラムからの第2の蒸留物を、一次組成物を含む供給流に戻す、追加の工程を更に含んでもよい。
【0057】
以下の非限定的な実施例は、本開示を例示するのに役立つ。
【実施例
【0058】
実施例1-エブリオメータでの調査
トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)の共沸性及び共沸様組成物を測定するために、エブリオメータを使用した。エブリオメータは、底部で密封かつ上部で空気に開放された真空ジャケット付きガラス容器を含んでいた。エブリオメータの上部又はコンデンサジャケットにドライアイス及びエタノールの混合物を充填して、14.4psiaの圧力では、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)の場合-20.2℃、及びトリフルオロヨードメタン(CFI)の場合-22.4℃となる飽和温度よりもかなり低い、約-72℃の温度を得た。このようにして、系中の全ての蒸気が凝縮し、エブリオメータに還流し、液相及び気相が平衡状態になることを確実にした。±0.002℃の精度を有する石英白金温度計をガラス容器内に挿入し、石英白金温度計を使用して、混合物の平衡沸点に相応する凝縮蒸気の温度を決定した。沸騰石を使用して、エブリオメータ内での混合物のスムーズな沸騰の維持を補助した。
【0059】
以下の手順を使用した。
【0060】
1.石英温度計を、氷/水スラリーを含有する長いデュワー内に浸し、温度計が0℃を読み取ったことを確認した。デュワーは、温度計のシャフトの長さの少なくとも3/4が氷/水に浸されるほど充分に深かった。温度計の抵抗をオーム単位で記録した。
【0061】
2.凝縮器のジャケットをエタノールで全体の1/4充填した。ゆっくりとドライアイスを導入することによって凝縮器のジャケットを冷却して、エタノールが沸騰して吹き出すこと及び/又は飛散することを回避した。
【0062】
3.既知量のトリフルオロヨードメタン(CFI)又はトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)をエブリオメータに加え、激しい還流条件にした。温度インジケータ付きの気圧計を使用して温度及び大気圧を記録した。
【0063】
測定は、2つの工程で実施した。第1の工程では、ガスクロマトグラフィー(GC)によって決定したときに99.88面積%の純度を有するトリフルオロヨードメタン(CFI)の約24.15gを、最初に±0.01gの精度を有する秤を用いて添加の前後に容器を秤量することによってエブリオメータに導入した。液体を沸騰させ、記録された気圧でトリフルオロヨードメタン(CFI)の平衡温度を記録した。次いで、ガスクロマトグラフィー(GC)によって決定して98面積%の純度を有するトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を微増させながらエブリオメータに導入し、凝縮した液体混合物の平衡温度を記録した。
【0064】
第2の工程では、ガスクロマトグラフィー(GC)によって決定して98面積%の純度を有する約15.66gのトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を、±0.01gの精度を有する秤を使用して添加前後に容器を秤量することによってエブリオメータに導入した。液体を沸騰させ、記録された気圧でトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)の平衡温度を記録した。次いで、ガスクロマトグラフィー(GC)によって測定して99.88面積%の純度を有するトリフルオロヨードメタン(CFI)を微増させながらエブリオメータに導入し、凝縮した液体混合物の平衡温度を記録した。
【0065】
上記の第1の工程及び第2の工程からのデータを組み合わせて、共沸物が形成されたことを示す温度の最小値を示す、以下の表1に提示されているトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)の各々が0~100重量%となる組成の範囲データを完成させ、このデータもまた図1のグラフ形式に表す。混合物の気泡点温度(bubble point temperature)は一定のままであり、このことは、混合物が大きな組成範囲にわたって共沸様であることを示した。
【表1】
実施例2-共沸軌跡
【0066】
E.W.Lemmonら、「A Generalized Model for the Thermodynamic Properties of Mixtures」、International Journal of Thermophysics、第20巻第825~835頁(1999年)では、著者は、混合物の熱力学特性を正確に特徴付けるための方法を記載している。提示されるヘルムホルツエネルギー状態方程式(Helmholtz Energy Equation of State:HEOS)は、混合物構成物の純粋な成分及び相互作用パラメータを考慮して、共沸物の存在及び組成を同定するために使用される混合蒸気及び液体平衡組成物を含む任意の熱力学的量を決定する。実施例1のエブリオメータ測定値を、上述の刊行物の第828頁に記載されているHEOS相互作用パラメータまで低減した後、トリフルオロヨードメタン(CFI)及びトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)の両方の純粋な成分熱力学的特性を組み込むことと、並びに上述の刊行物の第830~831頁に記載されている熱力学的関係を用いて気液平衡組成物を評価することは、共沸組成物がシステム温度及び圧力に、通常、感受性であることが発見された。
【0067】
例えば、実施例1のエブリオメータのシステム圧力(14.4psia)では、共沸組成物は、約85重量%のCFIで同定された。しかしながら、約47psiaの増加したシステム圧力では、共沸組成物は、65重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)まで近づく。理論に束縛されるものではないが、共沸物のシステム条件に対する感受性は、トリフルオロヨードメタン(CFI)とトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)との間の比揮発度の結果であると思われる。異なるシステム条件の関数としてこれらの成分のVLEを調べると、表2に示される共沸物の軌跡が得られる。
【表2】
実施例3-圧力スイング分離
【0068】
共沸混合物の周知の結果とは、単一の蒸留操作においてその構成物を完全に分離することができないことである。例えば、実施例1に記載の共沸挙動を呈する、14.4psiaに保持された蒸留カラムによるトリフルオロヨードメタン(CFI)とトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)との50/50重量%の混合物の分離は、純粋なトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)(すなわち、0重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI))終点と、極小沸点共沸組成物(約85重量%トリフルオロヨードメタン(CFI))との間の組成物によって境界を定められる。換言すれば、これらの条件での混合物の蒸留は、85重量%を超える純度でトリフルオロヨードメタン(CFI)を生成することができない。共沸物のこの基本的な障壁に対処し、より純粋なトリフルオロヨードメタン(CFI)及びトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)の両方を達成するためには、異なる分離戦略を実現しなければならない。
【0069】
実施例2に記載のように、トリフルオロヨードメタン(CFI)とトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)との二成分混合物の共沸組成物は、システム条件に対して以上に感受性であることが発見された。この感受性は、圧力スイング蒸留によるより良好な分離を支持するために利用することができる。このシステムでは、感圧性共沸物は、1つは任意の比較的低い圧力であり、1つは任意の比較的高い圧力である、2つの蒸留カラムを順に用いて分離される。カラムは、低圧カラムが順番の最初であるように配置されてもよい。あるいは、高圧カラムが順番の最初であってもよい。この例の目的のため、図2及び図3を参照すれば、カラムは低圧カラムが順番の最初に配置される。
【0070】
トリフルオロヨードメタン(CFI)とトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)との混合物を、最初に低圧での蒸留に供する。混合物の特定の組成物は、必要に応じて調整されてもよい。この代表例の目的のため、50重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び50重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を含む混合物が使用される。ここで図2を参照すると、この混合物は、組成物A(『組成物「A」』))と呼ばれる。ここで図3を参照すると、混合物の流れ10は、任意の低圧(本実施例の目的のためには、20psia)で蒸留カラム12に供給される。
【0071】
図2に示すように、組成物A(図3の流れ10)は、共沸点にまだ到達していない。したがって、混合物は、混合物の1つの成分、及び共沸性又は共沸様組成物中に濃縮された画分に分離してもよい。ここで、高沸点成分であるトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)で濃縮された画分は、ボトム生成物として回収され、図2及び図3では組成物C(『組成物「C」』)と呼ばれ、図3では流れ16と呼ばれる。共沸性又は共沸様組成物は、組図2及び図3では成物B(『組成物「B」』」)と呼ばれ、図3に示す低圧カラム12からの蒸留物である。次いで、この混合物を、図3の流れ14に続く、任意の高圧(この実施例の目的のためには、100psia)でカラム14へ通過させる。
【0072】
ここで図2を参照すると、高圧曲線における組成物Bを表す点は、低圧曲線と比較して、共沸組成物の他方の側にある。これにより、混合物の他の成分が濃縮された画分を回収することができる。この実施例では、トリフルオロヨードメタン(CFI)が濃縮された画分は、ボトム生成物として回収され、図2及び図3では組成物D(『組成物「D」』)と呼ばれ、図3では流れ20と呼ばれる。低圧カラムと同様に、蒸留物は、共沸混合物又は共沸様混合物を含む。この混合物を戻して、図3の流れ22に続く組成物Aと混合してもよい。
【0073】
このようにして、共沸混合物の障壁は、その組成物のカラム条件に対する感受性を用いて対処され、両方の成分が濃縮された2つの流れを生成する。この実施例の詳細は例示を意図することに留意することが重要である。混合物の文脈に応じて、カラム条件及び構成は、トリフルオロヨードメタン(CFI)及び/又はトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)のほぼ任意の所望の純度を支持するように設計することができる。
実施例4-不純物の分離
【0074】
この実施例では、トリフルオロメタン(HFC-23)などの1つ以上の他の不純物と一緒に、不純物としてトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を含む、トリフルオロヨードメタン(CFI)の粗製組成物が提供される。トリフルオロヨードメタン(CFI)及びトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)の相対量は、充分な相対量を形成するために必要であれば変更され、この組成物は、組成物の残部からトリフルオロヨードメタン(CFI)及びトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)の共沸性又は共沸様組成物を形成し、分離するのに有用な条件で蒸留に供される。トリフルオロヨードメタン(CFI)及びトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)からなる分離した共沸性又は共沸様組成物を、軽質成分としてのトリフルオロヨードメタン(CFI)の残留粗製組成物から除去する。次いで、トリフルオロヨードメタン(CFI)の残りの粗組成物を異なる温度及び圧力条件にかけて、トリフルオロメタン(HFC-23)などの他の不純物を更なる蒸留によって分離して、精製されたトリフルオロヨードメタン(CFI)を得ることができる。
実施例5-不純物の分離
【0075】
本実施例では、トリフルオロヨードメタン(CFI)、及び例えば、トリフルオロメタン(HFC-23)などの少なくとも1つの不純物を含む組成物が提供される。この組成物には、及びトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を、充分な量で添加し、この組成物を、有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる、又はこれらからなる共沸性又は共沸様組成物である組成物を形成するのに有用な条件に供し、続いて例えば、相分離、蒸留、又は分留などの分離技術により、不純物から共沸性又は共沸様組成物を分離する。その後、トリフルオロヨードメタン(CFI)及びトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)の共沸性又は共沸様組成物を更なる分離又は精製工程に供して、精製トリフルオロヨードメタン(CFI)を得てもよい。
実施例6-不純物の分離
【0076】
本実施例では、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)、及び例えば、トリフルオロメタン(HFC-23)などの少なくとも1つの不純物を含む組成物が提供される。この組成物には、トリフルオロヨードメタン(CFI)を、充分な量で添加し、この組成物を、有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる、又はこれらからなる共沸性又は共沸様組成物である組成物を形成するのに有用な条件に供し、続いて例えば、相分離、蒸留、又は分留などの分離技術により、不純物から共沸性又は共沸様組成物を分離する。その後、トリフルオロヨードメタン(CFI)及びトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)の共沸性又は共沸様組成物を更なる分離又は精製工程に供して、精製トリフルオロヨードメタン(CFI)を得てもよい。
態様
【0077】
態様1は、有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる共沸性又は共沸様組成物である。
【0078】
態様2は、共沸性又は共沸様組成物が、約4.9psia~348psiaの圧力で約-46.0℃~90.0℃の沸点を有する、態様1に記載の共沸性又は共沸様組成物である。
【0079】
態様3は、共沸性又は共沸様組成物が、約0.5重量%~約99.0重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及び約1.0重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる、態様1又は2に記載の共沸性又は共沸様組成物である。
【0080】
態様4は、温度-46.0℃及び圧力約4.9psiaにおける、約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約0.5重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を含む、共沸性組成物である。
【0081】
態様5は、温度-40.0℃及び圧力約6.6psiaにおける、約95.6重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約4.4重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を含む、共沸性組成物である。
【0082】
態様6は、温度-30.0℃及び圧力約10.5psiaにおける、約89.3重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約10.7重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を含む、共沸性組成物である。
【0083】
態様7は、温度-20.0℃及び圧力約16.0psiaにおける、約83.1重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約16.9重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を含む、共沸性組成物である。
【0084】
態様8は、温度-10.0℃及び圧力約23.5psiaにおける、約76.9重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約23.1重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を含む、共沸性組成物である。
【0085】
態様9は、温度0.0℃及び圧力約33.7psiaにおける、約70.7重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約29.3重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を含む、共沸性組成物である。
【0086】
態様10は、温度10.0℃及び圧力約46.9psiaにおける、約64.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約35.5重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を含む、共沸性組成物である。
【0087】
態様11は、温度20.0℃及び圧力約63.9psiaにおける、約58.1重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約41.9重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を含む、共沸性組成物である。
【0088】
態様12は、温度30.0℃及び圧力約85.1psiaにおける、約51.6重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約48.4重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を含む、共沸性組成物である。
【0089】
態様13は、温度40.0℃及び圧力約111.4psiaにおける、約44.9重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約55.1重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を含む、共沸性組成物である。
【0090】
態様14は、温度50.0℃及び圧力約143.5psiaにおける、約37.9重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約62.1重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を含む、共沸性組成物である。
【0091】
態様15は、温度60.0℃及び圧力約182.1psiaにおける、約30.3重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約69.7重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を含む、共沸性組成物である。
【0092】
態様16は、温度70.0℃及び圧力約228.2psiaにおける、約22.1重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約77.9重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を含む、共沸性組成物である。
【0093】
態様17は、温度80.0℃及び圧力約283.1psiaにおける、約12.7重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約87.3重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を含む、共沸性組成物である。
【0094】
態様18は、温度90.0℃及び圧力約348.0psiaにおける、約1.0重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)及び約99.0重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)を含む、共沸性組成物である。
【0095】
態様19は、約0.5重量%~約25重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及び約75重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる、請求項1に記載の共沸性又は共沸様組成物である。
【0096】
態様20は、約2重量%~約21重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及び約79重量%~約98重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる、請求項19に記載の共沸性又は共沸様組成物である。
【0097】
態様21は、約14重量%~約18重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及び約82重量%~約86重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる、請求項20に記載の共沸性又は共沸様組成物である。
【0098】
態様22は、約14.87重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及び約85.13重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる、請求項21に記載の共沸性又は共沸様組成物である。
【0099】
態様23は、約14.41psia±0.30psiaの圧力で約-22.50℃±0.30℃の沸点を有する、態様19~22いずれか1つに記載の共沸性又は共沸様組成物である。
【0100】
態様24は、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる、態様1~18のいずれか1つに記載の共沸性又は共沸様組成物である。
【0101】
態様25は、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)からなる、態様1~18のいずれか1つに記載の共沸性又は共沸様組成物である。
【0102】
態様26は、態様1~18のいずれか1つに記載の共沸性又は共沸様組成物を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる組成物である。
【0103】
態様27は、共沸性又は共沸様組成物を少なくとも約5重量%を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる、態様26に記載の組成物である。
【0104】
態様28は、共沸性又は共沸様組成物を少なくとも約15重量%を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる、態様27に記載の組成物である。
【0105】
態様29は、共沸性又は共沸様組成物を少なくとも約50重量%を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる、態様28に記載の組成物である。
【0106】
態様30は、共沸性又は共沸様組成物を少なくとも約70重量%を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる、態様29に記載の組成物である。
【0107】
態様31は、共沸性又は共沸様組成物を少なくとも約90重量%を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる、態様30に記載の組成物である。
【0108】
態様32は、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を組み合わせて、約4.9psia及び348psiaの圧力において、約-46.0℃~約90.0℃の沸点を有する、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる、共沸性又は共沸様組成物を形成する工程を含む、共沸性又は共沸様組成物を形成する方法である。
【0109】
態様33は、組合せ工程が、約0.5重量%~約99.0重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及び約1.0重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を組み合わせることを含む、態様32に記載の方法である。
【0110】
態様34は、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を組み合わせて、有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む共沸性又は共沸様組成物を形成する工程を含む、共沸性又は共沸様組成物を形成する方法である。
【0111】
態様35はトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を組み合わせて、態様1~18のいずれかの共沸性又は共沸様組成物を形成する工程を含む、態様34に記載の方法である。
【0112】
態様35は、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)、トリフルオロヨードメタン(CFI)、及び少なくとも1つの不純物を含む一次組成物からトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を分離する方法であって、一次組成物内に、約4.9psia~348psiaの圧力において約-46.0℃~90.0℃の沸点を有する、有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる共沸性又は共沸様組成物である二次組成物を形成し、二次組成物を一次組成物及び少なくとも1つの不純物から分離する工程を含む、方法である。
【0113】
態様36は、形成工程が、一次組成物内に、約0.5重量%~約99.0重量%のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)から約1.0重量%~約99.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる共沸性又は共沸様組成物である二次組成物を形成することを含む、態様35に記載の方法である。
【0114】
態様37は、共沸性又は共沸様組成物が態様1~18のいずれか1つに定義される通りである、態様35又は36に記載の方法である。
【0115】
態様38は、相分離、蒸留、及び分留のうちの少なくとも1つによって分離を実施する、態様35又は36に記載の方法である。
【0116】
態様39は、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)、トリフルオロヨードメタン(CFI)、及び少なくとも1つの不純物を含む一次組成物から分離する方法であって、この方法は、一次組成物内で、有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる共沸性又は共沸様組成物である二次組成物を形成する工程と、二次共沸性又は共沸様組成物を一次組成物及び少なくとも1つの不純物から分離する工程と、を含む、方法である。
【0117】
態様40は、共沸性又は共沸様組成物が態様1~18のいずれか1つに定義される通りである、態様39に記載の方法である。
【0118】
態様41は、相分離、蒸留、及び分留のうちの少なくとも1つによって分離を実施する、態様39又は40に記載の方法である。
【0119】
態様42は、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)又はトリフルオロヨードメタン(CFI)を少なくとも1種の不純物から分離することを含む方法であって、この方法は、トリフルオロヨードメタン(CFI)及びトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)のうち1つを少なくとも1種の不純物と一緒に含む組成物を提供する工程と、他のトリフルオロヨードメタン(CFI)及びトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)の充分な量を加える工程と、組成物を、有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる、又はこれらからなる共沸性又は共沸様組成物である組成物を形成するのに有用な条件に供する工程と、不純物から共沸性又は共沸様組成物を分離する工程と、を含む、方法である。
【0120】
態様43は、共沸性又は共沸様組成物が態様1~18のいずれか1つに定義される通りである、態様42に記載の方法である。
【0121】
態様44は、相分離、蒸留、及び分留のうちの少なくとも1つによって分離を実施する、態様42又は43に記載の方法である。
【0122】
態様45は、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む一次組成物から分離する方法を含み、この方法は、一次組成物を含む供給流を低圧カラムに運搬する工程と、第1のボトム生成物がトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)から本質的になる、低圧カラムから第1のボトム生成物を回収する工程と、有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる共沸性又は共沸様組成物を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる第1の蒸留物を、低圧カラムから高圧カラムへ運搬する工程と、トリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる、第2のボトム生成物を、高圧カラムから回収する工程と、を含む、方法である。
【0123】
態様46は、第2の回収工程の後に、高圧カラムからの第2の蒸留物を、一次組成物を含む供給流に戻す追加の工程を更に含む、態様45に記載の方法である。
【0124】
態様47は、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を含む一次組成物から分離する方法を含み、この方法は、一次組成物を含む供給流を高圧カラムに運搬する工程と、トリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる、第1のボトム生成物を、高圧カラムから回収する工程と、有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる共沸性又は共沸様組成物を含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる第1の蒸留物を、高圧カラムから低圧カラムへ運搬する工程と、第2のボトム生成物がトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)から本質的になる、低圧カラムから第2のボトム生成物を回収する工程と、を含む、方法である。
【0125】
態様48は、第2の回収工程の後に、低圧カラムからの第2の蒸留物を、一次組成物を含む供給流に戻す追加の工程を更に含む、態様47に記載の方法である。
【0126】
本明細書で使用するとき、「前述の値のうちのいずれか2つの間で定義される任意の範囲内」という句は、それらの値が列挙のより低い部分にあるか又は列挙のより高い部分にあるかにかかわらず、任意の範囲がそのような句の前に列挙された値のうちのいずれか2つから選択され得ることを意味する。例えば、1対の値は、2つのより低い値、2つのより高い値、又はより低い値及びより高い値から選択されてもよい。
【0127】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでない旨を明確に指示しない限り、複数形を含む。更に、量、濃度、又は他の値若しくはパラメータが、範囲、好ましい範囲、又は上方の好ましい値と下方の好ましい値との列挙のいずれかとして与えられるとき、これは、範囲が別々に開示されているかどうかにかかわらず、任意の上限範囲又は上方の好ましい値と任意の下限範囲又は下方の好ましい値との任意の対から形成される全ての範囲を具体的に開示しているものとして理解されるべきである。数値の範囲が本明細書に列挙されている場合、特に明記しない限り、範囲は、その端点、並びに範囲内の全ての整数及び端数を含むことが意図される。本開示の範囲は、範囲を定義するときに列挙される特定の値に限定されることを意図するものではない。
【0128】
前述の説明は、本開示の単なる例示に過ぎないことが理解されるべきである。本開示から逸脱することなく、当業者によって様々な代替形態及び修正形態を考案することができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲内に含まれる全てのかかる代替形態、修正形態、及び変動を包含することを意図する。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる、共沸性又は共沸様組成物を含む、組成物。
【請求項2】
共沸性又は共沸様組成物を形成する方法であって、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を組み合わせて、約4.9psia及び348psiaの圧力において、約-46.0℃~90.0℃の沸点を有する、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる共沸性又は共沸様組成物を形成する工程を含む、方法。
【請求項3】
トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)、トリフルオロヨードメタン(CFI)、及び少なくとも1種の不純物を含む一次組成物から、トリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)を分離する方法であって、以下の工程:
前記一次組成物内で、約4.9psia±348psiaの圧力で約-46.0℃~90.0℃の沸点を有する、有効量のトリフルオロアセチルクロリド(CFCOCl)及びトリフルオロヨードメタン(CFI)から本質的になる共沸性又は共沸様組成物である、二次組成物を形成する工程と、
前記一次組成物及び前記少なくとも1種の不純物から前記二次組成物を分離する工程と、を含む、方法。

【国際調査報告】