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特表2022-533706緻密なグラファイトを作製するための放電プラズマ焼結方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(54)【発明の名称】緻密なグラファイトを作製するための放電プラズマ焼結方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/52 20060101AFI20220715BHJP
   C01B 32/21 20170101ALI20220715BHJP
   C04B 35/645 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
C04B35/52
C01B32/21
C04B35/645
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569043
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(85)【翻訳文提出日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 US2020033781
(87)【国際公開番号】W WO2020236921
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】62/850,344
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MATLAB
(71)【出願人】
【識別番号】501445988
【氏名又は名称】バテル エナジー アライアンス,エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】520349104
【氏名又は名称】トライアド ナショナル セキュリティー、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【弁理士】
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】ハートマン,ハワード・ティー
(72)【発明者】
【氏名】コリエル,ベンジャミン・ディー
(72)【発明者】
【氏名】アギアー,ジェフリー・エイ
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン-デービス,コリーン・ブイ
(72)【発明者】
【氏名】ルーサー,エリック・ピー
【テーマコード(参考)】
4G146
【Fターム(参考)】
4G146AA02
4G146AC22A
4G146AC22B
4G146AD36
4G146BA02
4G146CB03
4G146CB11
4G146CB16
(57)【要約】
本開示の様々な実施形態は、高密度グラファイト材料を作製するために、適度な温度および適度な圧力で放電プラズマ焼結(SPS)を使用する方法を提供する。適度な温度は、約1200℃を超えない温度であってもよい。適度な圧力は、約300MPaを超えない圧力であってもよい。得られた焼結高密度グラファイト材料が示す高密度は、約1.75g/cm超(例えば、約2.0g/cm超)であってもよい。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高密度グラファイト材料を作製する方法であって、グラファイトを含む原料を、電流、約1200℃を超えない温度、および約300MPaを超えない圧力に供して、前記原料を焼結し、1.75g/cm超の密度を示す高密度グラファイト材料にすることを含む方法。
【請求項2】
粉末状の前記グラファイトを含むように前記原料を選択することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
天然フレーク状のグラファイトを含むように前記原料を選択することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
2.0g/cm超の密度を示す前記高密度グラファイト材料を作製することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記高密度グラファイト材料を作製して、最大外径寸法が少なくとも5mmのグラファイト構造体を画定することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記高密度グラファイト材料を作製して、最大外径寸法が少なくとも50mmのグラファイト構造体を画定することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記供することの前に、開口部を画定するダイを提供し、前記ダイの前記開口部に前記原料を挿入することをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ダイを提供することが、炭化タングステンを含むダイを提供することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記供することの前に、前記原料を圧縮することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記供することの前に、
ダイに画定された開口部内に前記原料を配置すること、
前記開口部にインサートを少なくとも部分的に挿入し、前記インサートの対向する表面の間に前記原料を配置すること、および
前記インサートの対向する表面の間で前記原料を軸方向に圧縮すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ダイに画定された前記開口部内に、前記原料に隣接する他の構造体を配置することをさらに含み、
前記開口部にインサートを少なくとも部分的に挿入することが、
前記原料および前記他の構造体の上にある前記インサートの1つを前記開口部に少なくとも部分的に挿入することと、
前記原料および前記他の構造体の下にある前記インサートのうちの他のものを、前記開口部に少なくとも部分的に挿入することと
を含み、
前記原料を軸方向に圧縮することが、前記インサートの対向する表面の間で前記原料および前記他の構造体を軸方向に圧縮することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
原料に隣接する前記他の構造体を配置することの前に、焼結材料を含むように前記他の構造体を提供することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ダイに画定された前記開口部内に、前記原料に隣接する前記他の構造体を配置することが、前記ダイの前記開口部内に全体的に受容されるように、前記他の構造体および前記原料を配置することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記供することの前に、
ダイに画定された開口部内に、2つの構造体の対向する表面の間に前記原料を配置すること、ここで前記対向する表面が前記開口部内に受容される、、および
前記2つの構造体の対向する表面の間で前記原料を軸方向に圧縮すること
をさらに含み、
グラファイトを含む前記原料を、電流、約1200℃を超えない温度、および約300MPaを超えない圧力に供することによって、前記原料を高密度グラファイト材料に焼結して、前記高密度グラファイト材料を介して前記2つの構造体を結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
グラファイトおよび少なくとも1つの金属材料を含むように前記原料を選択することをさらに含む、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ジルコニウム(Zr)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、またはクロム(Cr)のうちの1つまたは複数を含むように前記少なくとも1つの金属材料を選択することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記グラファイトおよび少なくとも1つの酸化物材料を含むように前記原料を提供することをさらに含む、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
ウランまたはプルトニウムの少なくとも1つを含むように前記少なくとも1つの酸化物材料を選択することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2019年5月20日に出願された「Spark Plasma Sintering Methods for Fabricating Dense Graphite」についての米国仮特許出願第62/850,344号の出願日の利益を主張する。
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、米国エネルギー省が授与する契約番号DE-AC07-05-ID14517に基づく政府の支援を受けてなされたものである。政府は本発明の一定の権利を有する。
【0002】
本開示は、様々な実施形態において、一般に、高密度(約1.75g/cm超(例えば、約2.0g/cm超))のグラファイトの作製に関する。より詳細には、本開示は、放電プラズマ焼結を用いて高密度のグラファイト(例えば、グラファイト構造体、グラファイト接合材料)を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
炭素(C)の結晶性同素形であるグラファイトは、多くのエネルギーおよびエンジニアリング用途で一般的に使用されている。しかし、そのような用途の多くは、グラファイト材料を高純度かつ高密度にする必要がある。例えば、エネルギー生成材料、エネルギー貯蔵材料、アーク放電材料の開発では、グラファイト化した材料を製造し、電極、電池の陽極、高密度のグラファイトベースの核燃料や反射板に成形することは困難な課題である。
【0004】
グラファイトモノリスまたはインターカレーションされた不均一なグラファイト成分の形でグラファイト材料を作製する取り組みが行われてきた。既存の取り組みには、プレス成形(例えば、ホットプレス、温間プレス、アイソスタティックプレス)、押出成形、または他の焼結の使用が含まれる。しかし、これらの技術は、固有の課題のため、製造のしやすさおよびコストの点で制約される傾向がある。例えば、従来の技術を工業規模に拡大するには、最終的な材料を硬化させるために、高温、高圧、長いアニール時間(例えば、数日間)などの一連の時間のかかるステップが必要であり、そのプロセス中に故障することもあれば、しないこともある。従来の技術では、このような課題があるため、コストの超過や時間のロスが生じる可能性もある。また、従来の技術では、製造した高密度の純粋なグラファイト材料または成分を意図した用途で用いるために、作製された材料の追加処理(例えば、追加の脱ガス処理など)が必要になる場合がある。さらに、従来の技術では、作製後に密度が低下する問題のあるグラファイト材料を形成することがある。また、高密度のグラファイト材料を形成するための従来の圧力支援技術に関しては、その技術で使用される機械は、温度や作製の設定の違いに対応するために多額の投資や段取り替えをしなければ、他の材料(例えば、グラファイト以外の材料)で使用するために容易に調整できないことが多い。少なくともこれらの理由により、高密度グラファイト構造体の形成には課題が残されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の様々な実施形態は、高密度グラファイト構造体を作製するために、適度な温度および適度な圧力で放電プラズマ焼結(SPS)を使用する方法を提供する。
いくつかの実施形態では、高密度グラファイト構造体を作製する方法が開示される。本方法は、グラファイトを含む原料を、電流、約1200℃を超えない温度、および約300MPaを超えない圧力に供して、原料を焼結し、約1.75g/cm超(例えば、約2.0g/cm超)の密度を示す高密度グラファイト構造体を作製することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1Aは本開示の方法の実施形態で使用するためのダイおよび対応するインサートの正面および上面斜視図である。図1Bは本開示の実施形態による、方法の一段階中の図1Aのダイおよび対応するインサートの正面および上面斜視図であり、原料はグラファイトフレークを含み、ダイは説明を容易にするために破線で図示されている。図1Cは、図1Bに図示された構成要素および材料の断面立面図である。図1Dは本開示の実施形態による、方法の一段階中の図1Aのダイおよび対応するインサートの断面立面図であり、グラファイトフレークを含む原料は焼結されて、他の構造体に接合されたグラファイト構造体を形成している。図1Eは本開示の実施形態による、方法の一段階中の図1Aのダイの断面立面図であり、グラファイトフレークを含む原料は、焼結されて、グラファイト接合材料を介して2つの他の構造体を接合している。
図2】本開示の方法の実施形態で使用することができる、図1A図1Eのダイなどのダイのコンピュータ支援設計を示す図である。
図3図3Aは本開示の方法の実施形態に従って作製された、高密度化された焼結グラファイト構造体の立面斜視図を示す写真である。図3Bは本開示の方法の実施形態に従って作製された、高密度化された焼結グラファイト構造体の立面斜視図を示す写真であり、構造体内の構造的欠陥がないことを明らかにするために研磨されている。
図4図4Aはそれぞれが本開示の方法の実施形態に従って作製された、様々なサイズの高密度化された焼結グラファイト構造サンプルの上面および前面の斜視図を示す写真であり、全体像のために近くに従来の米国ニッケルコインおよび米国クォーターコインを示している。図4Bは高密度化された焼結グラファイト構造サンプルの微細構造を示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。図4Cは本開示の方法の実施形態によって作製可能な、高密度化された焼結グラファイト構造体についての未処理の断層再構成の立面図であり、直径40mmおよび総高さ30mm超を有する。図4D図4Cの再構成の断面、立面、正面図である。図4E図4Cおよび図4Dの再構成の断面、立面、角度図である。
図5】本開示の方法の実施形態に従って作製された高密度化された焼結グラファイト構造体において達成された結晶化度を、ダイヤモンドの標準の結晶化度と比較したX線トモグラフィー中性子回折の報告書である。
図6図6Aは本開示の方法の実施形態に従って作製された高密度化された焼結グラファイト構造体の断面のSTEM高解像度画像であり、画像はプレス方向に垂直な視点から撮影された。図6Bは本開示の実施形態に従って作製された高密度化された焼結グラファイト構造体の断面のSTEM高解像度画像であり、画像はプレス方向に平行な視点から撮影された。図6C図6Aの高密度化された焼結グラファイト構造体の断面のSTEM高解像度画像であり、図6Aと同じ視点からであるが、図6Aのものより高解像度である。図6D図6Bの高密度化された焼結グラファイト構造体の断面のSTEM高解像度画像であり、図6Bと同じ視点からであるが、図6Bのものより高解像度である。図6E図6Aおよび図6Cの高密度化された焼結グラファイト構造体の断面のSTEM高解像度画像であり、好ましい[002]方向に向けられており、図6Cのものよりも高解像度である。図6F図6Bおよび6Dの高密度化された焼結グラファイト構造体の断面のSTEM高解像度画像であり、図6Bと同じ視点からのものであるが、図6Bおよび図6Dのものよりも高解像度である。図6G図6Eで枠で囲まれた領域の拡大図である。図6H図6Fで枠で囲まれた領域の拡大図である。図6I図6Aと同じ視点から見た、図6Aの高密度化された焼結グラファイト構造体の制限視野電子回折を示す。図6J図6Bと同じ視点から見た、図6Bの高密度化された焼結グラファイト構造体の制限視野電子回折を示す。
図7図7Aは本開示の方法に従って作製された、高密度化された焼結グラファイト構造体から採取した試験片のSTEM高解像度画像である。図7B図7Aの試験片の炭素の原子元素分布をプロットしたものである。図7C図7Aの試験片の炭素の原子組成の、図7Bのプロットに対応する組成ヒストグラムである。図7D図7Aの試験片の残留酸素の原子元素分布をプロットしたものである。図7E図7Aの試験片の残留酸素の原子組成の、図7Dのプロットに対応する組成ヒストグラムである。
図8図8Aは実施形態の方法に従って作製された高密度化された焼結グラファイト構造体からの試験片のC-Kエッジ内に含まれる特徴を、エネルギースケール(eV)対強度(カウント)でプロットした図である。図8B図8AのC-KエッジのSTEMベースのEELスキャンであり、図8Aの試験片内のsp型結合の含有量を示す。図8C図8AのC-KエッジのSTEMベースのEELスキャンであり、図8Aの試験片内のsp型結合の含有量を示す。図8D図8AのC-KエッジのSTEMベースのEELスキャンであり、図8Aの試験片内のsp型結合の含有量に対するsp型結合の含有量の相対比を示す。図8E図8Aの試験片のsp型結合およびsp型結合の分布を示すヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
グラファイト塊(例えば、グラファイトモノリス、グラファイト結合材料)が、高純度、高密度、および低構造欠陥を示すように形成され得る方法が開示される。本方法は、低コストで、高い再現性およびスケーリングを可能にすることができる。本方法の実施形態は、放電プラズマ焼結(SPS)を用いてグラファイトを高密度化することを含む。本方法は、適度な温度(例えば、約1200℃未満)および適度な圧力(例えば、約300MPa未満)を使用することができる。
【0008】
本明細書では、グラファイトに言及する場合、「高密度」という用語は、約1.75g/cm超(例えば、約2.0g/cm超)の密度を示すグラファイトを意味し、これを含む。
【0009】
本明細書では、「焼結グラファイト」、「高密度化グラファイト」、および「焼結高密度化グラファイト」という用語は、同等かつ交換可能な用語であり、本開示の実施形態によるSPSプロセスから得られるグラファイト材料を指す。
【0010】
本明細書では、「放電プラズマ焼結(SPS)」、「SPS技術」、「SPS法」、および「電界支援焼結(EFAS)」という用語は、等価な用語であり、交換可能に使用されてもよい。前述の用語と同等で交換可能な他の用語は、「放電焼結」、「通電誘導焼結」、「電界支援焼結法(FAST)」、および「パルス通電焼結(PECS)」である。(なお、「放電プラズマ焼結」は「プラズマ」という単語を含むが、SPSプロセスではプラズマ材料は必ずしも使用または生成されないことに留意されたい。)
SPSは、高密度、高純度、低欠陥のグラファイト材料または構造体を形成するための、問題のある従来の技術に代わる実行可能な技術である。本開示の実施形態によれば、SPS技術を使用すると、従来の技術と比較して、かなり少ないステップと低コストで済む可能性がある。例えば、従来のプレス技術と比較して、本開示の実施形態のSPS法は、より高速である場合があり(例えば、より大きな時間当たりのスループットを可能にする)、より少ない後続工程を必要とするか、または全く必要としない場合があり(例えば、脱バインダー(例えば、バインダー添加剤の除去)を必要としない場合がある)、所望の高密度グラファイト構造体を実現するために、より少ない添加剤を必要とするか、または全く必要としない場合がある。さらに、従来の技術とは異なり、本開示のSPS法によってグラファイトを高密度化するために使用されるツールは、ツーリングの大規模な再構成なしに、グラファイト以外の材料の焼結に資するツーリングであってもよい。
【0011】
本開示によるSPS技術は、制御された環境(例えば、圧力および温度が制御可能な環境)において、圧力および電流(例えば、パルスまたは非パルス直流(DC)または交流(AC))の組み合わせを「原料」(例えば、「供給材料」)に印加することを含む。電流の印加により、材料の内部で熱が発生する。いくつかの実施形態では、制御された環境内で原料に外部熱を加えることもできる。
【0012】
開示された方法の実施形態によるSPSプロセスで印加される電流は、500アンペア(500A)から10,000アンペア(10,000A)の範囲であってもよい。電流は、SPSプロセス中に原料を保持するダイに印加(例えば、直接印加)されてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、電流は、原料およびダイを印加電界にさらすことによって印加されてもよい。印加電界は、約4V/cm以上(例えば、約4V/cm~約20V/cm)であってもよい。
【0014】
本明細書では、「原料」および「供給材料」という用語は、所望の高密度化された状態になっていない固体材料を意味し、それを含む。「原料」(または、同等に「供給材料」)は、緩い(例えば、流動性のある)固体粉末、固体粒子、固体フレーク、または他の固体小塊の集合体を含んでもよい。いくつかの実施形態では、「原料」(または、同等の「供給材料」)は、所望の密度を示すモノリス構造体をまだ形成していない状態で、以前に焼結に供されていてもよい。
【0015】
本開示の実施形態で使用される原料は、未処理の炭素ベースの粉末、または以前に焼結された炭素ベース(例えば、グラファイトベース)の成分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、原料は、グラファイトフレーク材を含む、から本質的になる、またはからなるものでもよい。グラファイトフレーク材料は、一般的に、非常に豊富で自然に形成された材料であると考えられている。したがって、原料コストは、方法が比較的低コストであることに寄与する。
【0016】
原料が固体材料の粒子を含む実施形態では、原料は、粒子(例えば、フレーク)のサイズ(例えば、最大の外径寸法)の混合物を含んでもよい。あるいは、原料は、実質的に一貫したサイズの粒子の群を含む、から本質的になる、またはからなるものであってもよい。いくつかの実施形態では、原料は粒子サイズの混合物として提供されてもよく、これにより、作製された構造体における孔の形成を最小化することができる。複数の粒子サイズがあると、より小さい粒子(例えば、より小さいフレーク)が、より大きい粒子(例えば、より大きいフレーク)の間の間隙空間にあるボイドを埋めるように機能する場合がある。
【0017】
いくつかの実施形態では、本方法は、SPS技術の開始前、例えば、電流の印加前に、ダイ内で原料(例えば、原料の粒子(例えば、フレーク))を圧縮することを含んでもよい。SPSの前に原料を圧縮することは、孔のない、または最小限の孔を有するグラファイト構造体の形成を促進する可能性がある。原料が粒子(例えば、フレーク)サイズの混合物を含む実施形態では、SPSの前に原料を圧縮することは、より小さいサイズの粒子がより大きいサイズの粒子間の間隙空間に位置することを促す可能性がある。他の実施形態では、本方法は、SPSプロセスの前に原料を圧縮することを含まなくてもよい。それにもかかわらず、結果として得られるグラファイト構造体の密度を調整するために、例えば、加熱速度および圧力スケジュールを選択して制御することにより、環境を制御してもよい。いくつかの実施形態では、真空雰囲気を使用してもよい。
【0018】
本開示のSPS法で使用される焼結条件(例えば、温度、圧力)は、「適度な条件」、すなわち、「適度な温度」(例えば、約1200℃を超えない温度)および「適度な圧力」(例えば、約300MPaを超えない圧力)であってもよい。これらの適度な条件は、従来のグラファイト高密度化技術と比較して、本技術の低コスト化に貢献している。すなわち、対照的に、従来の技術によるグラファイトの高密度化は、「高条件」(例えば、高温(例えば、2000℃を超える温度)および/または高圧(例えば、約300MPaを超える圧力))を使用する場合がある。例えば、ホットプレス技術は、少なくとも約2800℃(例えば、約2800℃~約3000℃)の温度を使用する場合がある。他の例として、熱間静水圧処理(HIP)技術は、嵩密度が2.10g/cmのグラファイトを製造するために、2200℃の温度、206.8MPaの圧力(例えば、アルゴン圧力)、および2時間の長い処理時間を使用する。
【0019】
本開示のSPS法の実施形態(これらの方法は、高温および高圧の使用を避けることができる)は、また、バインダー、樹脂添加剤、および/またはポスト熱処理の使用を避けることができる。対照的に、温間プレスなどの従来技術によるグラファイトの高密度化は、グラファイトのような特性を有する高密度化ブロックを製造するために、添加剤、樹脂、および/またはタールピッチの添加を含むことが多い。したがって、従来の「温間」プレスは、従来の「熱間」プレス(例えば、熱間静水圧処理(HIP))よりも緩やかな条件で行われることがあるが、温間プレス技術には課題がないわけではない。例えば、温間プレスは、有機含有添加剤を使用することと併せてグラファイトを高密度化するために使用される場合があり、この添加剤はグラファイト構造体から除去されなければならないが、除去中に、添加剤は、材料に亀裂を入れ、材料に孔を形成するなど、グラファイト構造体の完全性を損なう傾向がある。
【0020】
いくつかの実施形態では、焼結される予定の原料は、グラファイト原料に加えて不活性材料を含んでいてもよい。このような追加の不活性材料(複数可)には、グラファイトと化学反応しない1つまたは複数の金属または金属合金(例えば、ジルコニウム(Zr)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、クロム(Cr)(例えば、グラファイトと金属(複数可)との固体混合物を形成する))、および/またはグラファイトと化学反応しない1つまたは複数の酸化物材料(例えば、1つまたは複数の核燃料酸化物材料(例えば、酸化ウラン(UOおよび/またはUO)および/または酸化プルトニウム(PuO)))を含んでいてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、焼結される予定の原料は、いわゆる「反応性」材料、すなわち、焼結中にグラファイトと一緒に炭化物材料を形成するように選択された、またはそうでなければ配合された材料を含んでもよい。
【0022】
また、本開示のSPS法の実施形態は、高密度を有するグラファイト構造体を作製するための比較的少ないステップを含んでいてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、高密度グラファイト構造体は、SPSプロセス(例えば、電流および圧力、および任意に外部熱を、原料、またはむしろ原料を含むダイに印加する1回のセッション)による原料の1回の「ラン」のみによって形成されてもよい。他の実施形態では、SPSプロセスの2回以上のランが行われてもよい(例えば、所望の密度が達成されるまで、原料がSPSプロセスによって焼結されて第1の高密度化構造体を形成し、第1の高密度化構造体が再びSPSプロセスによって焼結されて第2の高密度化構造体などを形成してもよい)。対照的に、温間プレスやホットプレスなどの従来のプレス技術では、高密度構造体を実現するために、粉末の粉砕、段階的な造粒、プレス成形、最後に熱処理などの、さらにいくつかのステップが一般に必要である。
【0023】
本開示の方法によって形成され、得られた作製したグラファイト構造体または材料は、例えば完全な高密度化に近い高密度を示すことがある。例えば、作製されたグラファイト構造体または材料は、約1.75g/cm超(例えば、約2.0g/cm超(例えば、約2.095g/cm、約2.1g/cm超、例えば、約2.2g/cm))のグラファイト密度を示すことがある。
【0024】
いくつかの実施形態では、高密度化されたグラファイト構造体(例えば、固体構造体)または材料は、著しい寸法(例えば、少なくとも約50mmの直径および同等またはそれ以上の高さを有するグラファイトシリンダー構造体など)に形成されてもよい。
【0025】
開示された方法の実施形態により、原料は、材料の微細構造(例えば、結晶性)の欠陥を最小限に抑えて完全に焼結され、比較的大きな最大外径寸法(例えば、50mm以上)を有する高密度化されたグラファイト構造体を形成し、また、高密度および高純度を達成することがある。対照的に、そのような大きな寸法で高密度化されたグラファイト構造体を形成する従来の技術(例えば、プレス成形)では、本発明のSPS技術によって達成可能なような高密度を達成できない可能性がある。
【0026】
図1Aを参照すると、SPSプロセス中に原料を受容し、保持することができる開口部104を画定する円筒形の壁102を含むダイ100が図示されている。図1B~1Eに例示されているようないくつかの実施形態では、原料110(例えば、グラファイトを含む)は、SPSプロセスの前に行われる圧縮段階の間にも受容され、保持される場合がある。開口部104は、ダイ100の底面側(図1では見えない)までダイ100全体にわたりずっと続いていてもよい。
【0027】
図1Aに例示されているようないくつかの実施形態では、ダイ100の開口部104は、得られる高密度化されたグラファイト構造体が適合する形状である円筒形状を画定する。ダイ100の外径ODは、4インチ(10.16cm)であってもよく、ダイ100の内径IDは、2インチ(5.08cm)であってもよい。したがって、いくつかの実施形態では、ダイ100の外径ODは、ダイ100の内径IDの2倍であってもよい。
【0028】
他の実施形態では、ダイの開口部は、所望の形状を有する高密度化されたグラファイト構造体を形成するために、非従来型の形状を含む異なる形状であってもよい。
少なくともいくつかの実施形態では、ダイ100は、開口部104の各端部用の対応するインサート106と対になっていてもよい。各インサート106は、同様の形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。一緒に、ダイ100およびインサート106は、本明細書では、「ダイセット」と呼ばれてもよい。
【0029】
各インサート106は、ダイ100の開口部104内にぴったりと受容され得る形状を画定する表面(例えば、面108)を有してもよい。例えば、ダイ100の内径IDが2インチ(5.08cm)である場合(すなわち、開口部104の幅が2インチ(5.08cm)である場合)、インサート106の少なくとも面108の外径、および、いくつかの実施形態では、インサート106の高さ全体に沿った外径は、各インサート106が、開口部104のそれぞれの端部内にぴったりと受容可能であり、開口部104内で原料110を開口部104の反対側の端部から圧縮するように構成されるように、ほぼ2インチ(5.08cm)(例えば、約0.005インチ(0.127mm)以内)であってもよい。このようなダイ(例えば、ダイ100)は、ピーク応力が9.861ksi(67.99MPa)を有する設計を生じるように構成されてもよい。SPSプロセスの間、インサート106は、開口部104のそれぞれの端部内に保持され、ダイ100の開口部104内に原料110を封入する。
【0030】
例えば、図1Bおよび図1Cを参照すると、原料110(例えば、グラファイトフレーク)は、インサート106の1つが下にあり、インサート106の他のものが上にある状態で、ダイ100の円筒壁102内の開口部104(図1A)内に受容されてもよい。インサート106は、ダイ100内で互いに近づけられて、SPSプロセス中に原料110を圧縮し、原料110を包含してもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、インサート106のそれぞれ、またはいずれかの面108、すなわち、インサート106が開口部104に受容されたときに原料110に向けられるインサート106の面は、その上面(例えば、インサート106の上側の1つの面108が平面である実施形態では)、その下面(例えば、インサート106の下側の1つの面108が平面である実施形態では)、またはその上面および下面の両方(例えば、インサート106の両方の面108が平面である実施形態では)として平面を有する高密度化されたグラファイト構造体を形成するために使用されるように、平面であってもよい。他の実施形態では、インサート106のそれぞれ、またはいずれかの面108は、インサート106のそれぞれの面108に対応する形状の上部および/または下部の非平面的な面を有する高密度化されたグラファイト構造体を形成するために使用されるように、非平面的(例えば、凸状、凹状、または他のタイプのトポグラフィーを画定する)であってもよい。
【0032】
ダイ100および、いくつかの実施形態では、インサート106の一方または両方は、SPSプロセス中に原料110に強力な保護を提供するように選択および配合された導電性材料で形成されてもよく、ダイ100は、そのように設計および形成されている。例えば、いくつかの実施形態では、ダイ100および、そのようないくつかの実施形態では、インサート106は、炭化タングステン(WC)を含む、から本質的になる、または、からなるものでもよい。
【0033】
本開示の方法の実施形態では、原料110は、(例えば、図1Bおよび図1Cに示されるように)ダイ100の開口部104内に受容され、保持されてもよく、インサート106は、開口部104内で原料110を圧縮するために使用されてもよく、次いで、ダイ100およびその中の原料は、(上述のように)電流、(上述のように)適度な圧力、および、いくつかの実施形態では、(上述のように)適度な温度にさらされてもよい。電流を印加する際、電流は、ダイ100の導電性材料を介して、その中の原材料110に通されてもよい。その後、高密度化されたグラファイト構造体が、開口部104から取り出されてもよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、ダイ100およびインサート106は、グラファイト以外の材料を、またはグラファイトに加えて材料を高密度化するために(例えば、その後または以前に)使用されてもよい。例えば、図1Bおよび図1Cの原料110は、グラファイトフレーク以外のもの、またはグラファイトフレーク単独以外のものであってもよい。
【0035】
いくつかの実施形態では、ダイ100およびインサート106は、焼結グラファイトを他の材料または構造体に接合した構造体を形成するために使用してもよい。例えば、図1Dを参照すると、他の構造体112(例えば、既に焼結されたグラファイト構造体、グラファイト以外のまたはグラファイトに加えて材料を含む既に焼結された構造体、まだ完全に高密度化されていないグラファイト構造体、まだ完全に高密度化されておらずグラファイト以外のまたはグラファイトに加えて材料を含む構造体、および/または追加の特定化された材料)が、原料110と共に開口部104内に受容されてもよい。いくつかのそのような実施形態では、他の構造体112は、1つまたは複数の金属(例えば、鉄(Fe)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、またはそれらのいずれかの組み合わせ)を単独または組み合わせて含んでもよい。原料110は、図1Dに示されるように、他の構造体112の下に配置されてもよい。他の実施形態では、原料110は、他の構造体112の上方、周囲、内部、または全体に分散して配置されてもよい。インサート106は、ダイセットおよびその中の材料(例えば、原材料110および他の構造体112)をSPSプロセスに供する前および/またはその間に、開口部104内に受容されたもの、すなわち他の構造体112および原材料110に軸方向の圧縮を加える(例えば、軸方向に圧縮する)ために使用されてもよい。したがって、最終的な焼結構造体は、他の構造体112に接合された高密度化されたグラファイト材料を形成している原料110を有する、一体化された緻密な構造体を含むことができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、SPSプロセスが、ダイ100を用いて使用されて、ダイ100内で焼結された接合材料(例えば、グラファイト)を介して2つの他の構造体を接合してもよい。例えば、図1Eを参照すると、原料110は、第1の構造体114と第2の構造体116との間で、ダイ100の開口部104(図1A)内に配置されてもよく、第1の構造体114および第2の構造体116の対向する端部は、ダイ100の開口部104(図1A)内に受容される。第1の構造体114および第2の構造体116は、開口部104(図1A)から出て、それぞれダイ100の上および下に延びていてもよい。次に、SPSプロセスを実施して、原料110を焼結して、第1構造体114と第2構造体116とをその間で結合する焼結材料(例えば、焼結グラファイト材料)を形成してもよい。SPSプロセスの完了後、ダイ100は、例えば、ダイ100を第1の構造体114または第2の構造体116の一方または他方の遠位端に沿ってスライドさせて外すことにより、結合の領域(例えば、原料110から形成された焼結材料)から除去してもよい。他の実施形態では、ダイ100の一部は、物理的に分離(例えば、切断、開放)されて、ダイ100を結合領域(例えば、原材料110から形成された焼結材料)から取り除いてもよい。
【0037】
したがって、本方法、ダイセット、および/またはその構成要素は、グラファイトまたはグラファイト含有材料の単数モノリス焼結構造体、グラファイトまたはグラファイト含有材料の高密度化構造体、他の構造体に接合された焼結材料を含む構造体、および/または焼結材料を介して他の構造体または材料に接合された2つ以上の構造体または材料を含む構造体(例えば、2つの他の、以前は別々の構造体の間の接合材料としての焼結グラファイト材料)などの焼結材料または構造体を形成するために使用することができる。焼結材料(例えば、焼結グラファイト材料、焼結グラファイト含有材料、または他の焼結材料)は、実質的に緻密であり、無孔質(例えば、約1vol%以下の空隙)であってもよい。原料110がグラファイトフレークを含む、から本質的になる、またはからなる実施形態では、得られる焼結グラファイト構造体は、微細構造において実質的に異方的であってもよい。そのような実施形態では、グラファイト粒子は、SPSプロセス中に使用される軸方向の圧縮の方向に対して、実質的に垂直に配置されてもよい。
【0038】
本明細書に示される例示は、ある特定の装置の実際の表示であることを意味するものではなく、本開示の実施形態を説明するために用いられる単なる理想化された表現である。
【実施例
【0039】
SPS(電界支援焼結)による焼結グラファイト構造体の形成
California Nanotechnologies, Inc.のFuji MK-IV焼結機を用いて電界支援焼結を行った。この焼結装置には、カスタマイズしたダイ構造を装備した。最終的な形状が決まるまでは、加熱および加圧時に生じる機械的および熱的なフープ応力を考慮して、安全率を2以上に設定したカスタムメイドの炭化タングステン製の外側ダイを使用した。また、外側ダイセットの有用性を最大化するために、インサートは、正味の形状制御を行い、異方性グラファイト粉末(例えば、原料)の熱膨張に合わせるように設計した。このカスタマイズされたダイセットの作製は簡単ではなく、応力集中を最小化し、製造における不均一性に起因する信頼性に関わる著しいリスクを軽減するために、数回の機械加工とテストランが必要であり、保留された応力はAbaqusエンジニアリングソフトウェアパッケージ内で計算し、可視化した。
【0040】
図2を参照すると、ダイ(例えば、図1のダイ100)のコンピュータ支援設計および有限要素モデリングが示されている。図示のダイは、グラファイトの圧縮およびグラファイト化を支援するように構成されている。図示の設計は、内径ID(図1)が2インチ(5.08cm)、外径OD(図1)が4インチ(10.16cm)のダイの設計の一例であり、これにより、安全率が約2.35で、ピーク応力が9.861ksi(67.99MPa)のダイ100(図1)が得られる。
【0041】
このダイセットを使用して、負荷および焼結条件の違いを適用した。炭化タングステン製のダイ100(図1)を使用した場合、まず圧力をかけ、続いて700℃までの温度を保持した。
【0042】
供給原料(すなわち、「原料」)には、Asbury Carbons社製の天然グラファイト粉末フレークのグレード3482を使用した。炭素フレークは、炭素含有率が99.818%±0.182%であり、圧縮密度が6,500psi(44.82MPa)で2.12g/cm、32,500psi(224.08MPa)で2.30g/cmであった。粒度分布は、200メッシュで62.77%を中心に、100メッシュ(149ミクロン)で16.15%、80メッシュ(177ミクロン)で9.06%、325メッシュ(44ミクロン)で8.68%、100メッシュ(149ミクロン)より低いメッシュで残りの量となった。このフレーク状の粉末は、事前に処理や加工を行わなかった。すなわち、粉末は、焼結の前に粉砕、コーティングや造粒の処理を行わなかった。供給原料の最大灰分は3%未満、ホウ素換算値は3ppmで、不純物の含有量を考慮して各元素をホウ素換算断面で加重した。これらの値を考えると、供給原料は、特にホウ素を考慮して、不純物の含有量が少ない高品位のグラファイト材料と考えられる。
【0043】
前述の供給原料、ダイ、および200MPa、600℃のSPSプロセスを用いて、図3Aの写真に示すような、外径2インチ(5.08cm)、高さ1.5インチ(3.81cm)の高密度化された焼結グラファイト構造体を形成した。
【0044】
図3Bは、研磨した後の、図3Aのような高密度化された焼結グラファイト構造体の写真で、構造体内にクラックなどの構造的欠陥がないことを示している。目視検査に加えて、X線トモグラフィーを用いて焼結構造体を検査し、構造体が欠陥なく形成されていることを検証した。
【0045】
走査型透過電子顕微鏡
分析用透過電子顕微鏡観察は、収差補正済みのFEI Titanを用いて300kVで行った。FEI TitanをTEM、STEM、回折の各モードで操作して、焼結グラファイトの下地微細構造および化学的性質を捉えた。電子散乱像は、グラファイトの格子構造を解明するSTEMとTEMの両方での環状暗視野および明視野撮影で捉えた。非弾性散乱電子を電子透過性試料に通過させて、原子量に比例した高角度環状暗視野(HAADF)画像を形成した。局所的な化学的性質および結合を解明するために、FEI Titanには、高立体角のウィンドウレスSi X線検出器とGatan GIF EELS分光器が搭載されて、0.3eV/pixelの分散を有するサンプル通りの真空ゼロロスピークに基づいて、0.83eVの半値全幅エネルギー分解能を有した。原子画像取込を行い、グラファイトの結晶粒と下地原子格子構造を示す環状の暗視野および明視野画像を得た。同時に行われたEELSスペクトルイメージング、低損失領域の補足および532eVの酸素-Kと285eVの炭素-Kのイオン化は、捉えられ、詳細に定量化された。C-Kのエッジ近傍の微細構造の定量化は、フーリエ対数デコンボリューションを用いて厚さの影響を最小化し、複数の線形最小二乗法によるピークフィッティングとその後の積分を行うことにより実施し、焼結材料のsp2(π*)様結合とsp3(σ*)様結合の比率を算出した。π*とσ*の結合比率の計算は、文献で事前に確立されている積分窓を用いたsp2およびsp3様結合の量の定量化の確立した方法に従う(A.J.L. Garvie, Surface electronic states of meteoritic nanodiamonds, Meteoritics & Planetary Science. 41 (2006) 667-672. Doi:10.1111/j.1945-5100.2006.tb00982.x; L.A.J. Garvie, P.R. Buseck, Carbonaceous materials in the acid residue from the Orgueil carbonaceous chondrite meteorite, Meteoritics & Planetary Science. 41 (2006) 633-642, doi:10.1111/j.1945-5100.2006.tb00486.x; S.D.Berger, D.R.McKenzie, P.J.Martin, EELS analysis of vacuum arc-deposited diamond-like films, Philosophical Magazine Letters. 57 (1988) 285-290, doi:10.1080/09500838808214715; L.Ponsonnet, C.Donnet, K.Varlot, J.M.Martin, A.Grill, V.Patel, EELS analysis of hydrogenated diamond-like carbon films, Thin Solid Films. 319 (1998) 97-100, doi:10.1016/S0040-6090(97)01094-8.を参照)。π*ピークにはガウスプロファイルを当てはめ、σ*ピークには積分窓を当てはめた。これらの各特徴の積分面積に基づいて、ビーム位置の関数としての炭素結合の相対的な変化を定量化することができる。
【0046】
電子線回折は、制限視野の条件で行い、上述の平行および垂直なプレス方向の両方から隣接する原子格子構造を解明した。電子線回折はコヒーレントな方向に沿って詳細に行われ、試料はFEI Titan内で好ましい結晶学的方向に向けられた。
【0047】
定量化されたマップは、直接原子パーセントで報告されており、相対的な厚さと特定の原子断面は、原子マッピングを算出するために使用した。(R.F. Egerton, Electron Energy-Loss Spectroscopy, in: In the Electron Microscope, 2nd Ed, Plenum Press, 1996を参照)。重み付けされたスペクトル画像は、GatanのDigital Micrographソフトウェア内で計算され、Matlabを使用して可視化された。濃度の違いやサンプルの相対的な形態を容易に視覚化することができる、複数の層からなるHAADF画像に対して、マップをさらに比較した。
【0048】
中性子回折
焼結したシリンダーの中性子回折は、平均的なスキャンを収集した3つの半径軸すべてで行った。収集した回折パターンを基準にするため、ダイヤモンド標準試料をスキャンし、収集したプロファイルと比較した。このパターンは、最新のGSAS-IIソフトウェアパッケージ内のリートベルト法を用いてインデックス化され、精密化され、空間群P63mcの初期格子パラメータa=b 2.456Å、c=6.696Åのグラファイト結晶構造に基づいて実装されたもので、炭素原子の中心は角の頂点(0,0,0)と分数ワイコフ座標位置(1/3,2/3,0)にある。
【0049】
非破壊X線写真撮影
アイダホ国立研究所に設置されているμXCTシステムを用いて、非破壊X線写真およびX線トモグラフィー再構成画像を取得した。線源は150kVのマイクロフォーカスX線管で、公称スポットサイズは7μmであった。検出器はDexela 2923 NDTヨウ化セシウムフラットパネルで、ピクセルピッチは75μm、有効面積は291mm x 230mmであった。線源と検出器との間の回転ステージにより、精密な回転が行われ、X線トモグラフィーが可能になる。線源は150kV、66μAで作動し、0.635mm厚の銅フィルターを使用して、本研究で得られたすべての投影画像を取得した。本研究におけるイメージングシステムのジオメトリは、較正用試料(5mm間隔のボールベアリングのアレイ)とNorth Star Imaging社が提供する独自のソフトウェアを用いたμXCT較正によって決定した。線源から検出器までの距離(695.94mm)、線源から回転軸までの距離(302.353mm)、および回転軸から検出器までの距離(393.587mm)は、較正により決定した。その結果、倍率は2.3倍、有効画素ピッチは32.6μmであった。投影は0.5°ごとに行い、合計720枚の投影画像を得た。各投影は2回の露光の平均である。トモグラフィーの再構成には、North Star Imaging社とMIPAR社の独自の再構成ソフトウェアを使用した。主な非破壊評価(NDE)技術として、焼結グラファイトシリンダーを360度回転させながら、3D(3次元)画像の2D(2次元)X線写真のセットを取得し、3次元画像データセット(X線写真からの2次元と回転からの3次元)を生成した。これらの3Dデータセットを焼結グラファイトシリンダーの体積表現に組み立て、各ソフトウェアパッケージ内で可視化し、内部クラックおよび気孔の有無を確認してから、STEM分析やEELS分析などの追加的な破壊的特性評価を行った。
【0050】
実験結果
プレス成形したグラファイト材料の物理的バルク測定
分析用走査型透過電子顕微鏡で行われる局所的な測定とは対照的に、X線回折、トモグラフィー、および走査型電子顕微鏡で得られるデータは比較的バルクな性質を持っているため、このセクションでは前述の技術をまとめている。
【0051】
制御された環境下で、純粋な天然グラファイトフレーク原料を、本開示の実施形態によるSPS法に供し、700℃で300MPaのピーク圧力を最大10分間隔で印加して、図4Aの写真に示すような、外径寸法が5mmから40mmを超える完全に高密度化されたグラファイト構造体を形成した。
【0052】
図4Aのようなサンプルの微細構造を、図4Bに示すポリッシュ断面に沿って検査した(これは、例えば、図4Aの最大の構造体の包囲された部分を拡大したものであってもよい)。図4Bは、40μmの総面積の断面を示す。
【0053】
SPS法で形成された構造体(図4A)は、検査の結果、密度が2.1g/cmの高密度の材料構造(例えば、シリンダー)を示すことが分かった。
構造の完全性および均質性は、X線によるトモグラフィーにより決定した。図4Cは、総高さが30mmを超える直径40mmのシリンダーの、未処理の断層再構成図である。図4Cに示された再構成内では、この20倍相当の倍率で、グラファイト化を阻害するようなボイドやクラックの兆候は見られず、焼結構造に著しいボイド、クラック、または多孔性が見られなかった。クラックやボイドの痕跡がないにもかかわらず、再構成の直交ビューを生の再構成データセットから取り、そのビューを図4Dおよび4Eにそれぞれ示した。直交する2つの方向には、内部クラックやボイドは存在しなかった。
【0054】
X線トモグラフィーで得られた大規模なバルクの均質性に注目して、原理的な(002)反射および(110)反射を含む形成された層間のコヒーレンスをそれぞれ測定するために、中性子回折を報告した(図5参照)。中性子回折を使用した図5では、緑で示した平均的な回折プロファイルは焼結グラファイトのもので、ダイヤモンドの標準はオレンジで示した。注目すべきは、高度な結晶性があったことであり、各ピーク位置は、比較のために提供された結晶標準と正確に同一である。
【0055】
本明細書で示す回折結果および回折パラメータは、中性子ビーム内のすべての付加的なブロードニング因子に対して補正されていないが、本明細書ではグラファイト化の程度を示すものとして示している。しかし、測定された挙動はグラファイト化した炭素に典型的なものであり、最終的に計算された(002)面の間隔は3.358Åであったが、これは結晶性グラファイトの理論値である3.354Åよりもわずかに大きく、評価された構造が用いた条件で完全にグラファイト化したことを示す。構造の大部分は完全な結晶であったと考えられるが、より大きなターボ静電間隔(3.44Å)からなる小さな乱れた領域が存在していたため、バルク平均値が大きくなった可能性があるが、これは後述する顕微鏡観察結果とよく一致する。
【0056】
高解像度電子顕微鏡による微細構造および化学的性質
図6A-6Jに、直交する方向からのSTEMおよび高解像度画像の一部を示す。かなりのサンプリングを行った結果、これらの画像は、焼結して高密度化したグラファイト構造体の試験片全体で観察された微細構造を代表すると考えられる。
【0057】
施設固有の集束イオンビーム(FIB)を用いて、プレス方向(図6A)およびプレスに垂直な方向(図6B)の2つの電子線透過断面図を作成した。これらの各方向からの下地微細構造は、図6C図6Aの方向から)および図6D図6Bの方向から)に示すSTEM画像に示されている。プレス方向(図6A)に沿って、下地原子秩序を解明するために、図6Eでは試験片を好ましい[002]方向に向けた。プレス方向に垂直な方向(図6B)では、図6Fは、焼結において好ましい方向性がある、下地層を解明する。これらの2つの方向に基づいて、下地原子微細構造が解明された。プレス方向(図6A)に沿って配向した好ましい秩序およびグラファイト化があった。プレス方向(図6A)に沿って、炭素原子がこの方向に配向していることは、図6Gから観察可能である。対照的に、図6Hでは、炭素のずれが重なっている層をはっきりと解明している。これらの条件のそれぞれについて、図6Iおよび図6Jに示される制限視野電子回折は、それぞれプレス方向(図6A)およびプレス方向に垂直な方向(図6B)に沿った好ましいテクスチャおよび焼結をさらに裏付ける。
【0058】
図7Aから図7Eを参照すると、EELSから得られた試験片の回折パターンおよび炭素と残留酸素の化学マップの一部が示されている。これらは、かなりのサンプリングを行った結果、3μm×5μmの断面の、焼結して高密度化したグラファイト構造体の試験片を代表すると考えられる。
【0059】
前述の結果と同様に、炭素と残留酸素の化学的性質を解明するために、試料をプレス方向に沿って観察した。図7Aに示した領域では、STEMベースのEELS測定で、炭素と酸素のKエッジに焦点を当て、空間的に分解された組成と結合を全体的に捉えた。
【0060】
EELSから得られた全体的な組成は、図7B~7Eの化学マップおよび関連する組成ヒストグラムに反映されている。図7Bは、炭素の原子元素分布を解明しており、図7Cは、原子パーセントによる炭素含有量の組成ヒストグラムを示している。示されるように、図7Bおよび7Cは、約95原子パーセントの有意な炭素組成を示している。図7Dは、20原子パーセント未満で測定した残留酸素の含有量を示しており、図7Eは、図7Dの化学マップに基づく付随する組成ヒストグラムである。より詳細には、暴露されているサンプルの残留酸素は5原子パーセント未満であり、1原子パーセント未満を中心とする強いピークが見られた。
【0061】
焼結グラファイトの局所的な炭素質結合の評価
図8A~8Eは、焼結グラファイトの炭素結合状態を報告する。STEMベースのEELSを用いて、炭素結合の状態を調査し、C-Kエッジに基づいて報告した。C-K EELスペクトルには、入射電子と炭素質結合環境との相互作用に起因すると考えられる特徴がいくつか見られる。図8Aに示すC-Kエッジに含まれる特徴は、原子の1s電子をフェルミ準位のすぐ上にある非占有の反結合的な状態に励起する際に、入射ビームが被るエネルギー損失によるものである。これらの非占有状態の密度は、実際の結合軌道の密度と本質的に関連しており、場合によってはそれを反映していると考えるのが妥当であろう。試験片を個々に空間的に分解して得られたC-Kエッジスペクトルを定性的に比較することで、焼結グラファイト試験片のsp2およびsp3様の性質を評価するための直接的な手段が得られる。一般に、2次元のSTEMベースEELSスキャンを適用することで、C-Kエッジのエッジ近傍の構造がナノメートルごとに捉えられ、焼結グラファイト試験片に関連する結合状態を追跡することができる。
【0062】
この技術を応用して、炭素種の混成と結合の性質の変化(例えば、sp2結合炭素の含有量)を追跡し、EELSと非線形最小二乗ピークフィッティングの知識を適用して、炭素含有量と、空間的に分解されたsp2およびsp3様結合の程度を定量化した。図8Bは、約283eVの主エッジを中心とする積分ガウスの関数として、sp2-全含有量の性質を捉えており、ガウスは95%超の信頼区間に適合している。同様に、297eVから304eVまでの積分窓では、EELSマルチモーダルデータセット内の各ポイントのsp3様の性質の相対的な測定値が図8Cに示されている。これらの2つのマップに基づいて、図8Dはsp2様結合とsp3様結合の相対的な比率であり、図8Eの全体的なヒストグラムにはsp2様結合の1つの分布とsp3様結合の3つのクラスが明確に表されている。比や全体の分布に大きな変化がなく、そのため、1nmの分解能でサンプリングした3μm×5μmの領域のEELS二次元スキャンでは、層内および層間でグラファイト化したサンプルに高度な結晶性が見られた。
【0063】
以上の例から、放電プラズマ焼結(SPS)は、グラファイトの焼結に代わる有効な手段であることが確認された。SPSを使用すると、密度、結合、全体的な微細構造などの特性が同じまたは向上したグラファイトモノリスを作製するための複数のステップを必要としない。SPS(または、電界支援焼結とも呼ばれる)は、現在のグラファイト作製プロセスよりもはるかに少ない作製ステップで済み、プレス成形、焼結、アニールを1つのステップにまとめ、サイクル時間を効果的に短縮する。電界支援焼結を用いると、従来の粉体加工に比べて、コストや消耗品が大幅に低減される。SPSは同じ製品を複数製造することができ、自動化や1台のプレス機の制御によって容易に標準化でき、プロセスの再現性も高い。このように、本開示のSPS法は、高密度・高純度のグラファイト部品を製造するための革新的で改良された方法を提供し、今後のいくつかのエネルギー・技術産業にプラスの影響を与えることができる。
【0064】
開示された方法および装置は、その実施において様々な修正および代替形態の影響を受けやすいが、具体的な実施形態が図面に例として示されており、本明細書で詳細に説明されている。しかし、本開示は、開示された特定の形態に限定されるものではないことを理解すべきである。むしろ、本開示は、以下の添付の請求項およびその法的等価物によって定義される本開示の範囲内に入るすべての修正、組み合わせ、等価物、変形、および代替物を包含する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-01-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高密度グラファイト材料を作製する方法であって、グラファイトを含む原料を、電流、約1200℃を超えない温度、および約300MPaを超えない圧力に供して、前記原料を焼結し、1.75g/cm超の密度を示す高密度グラファイト材料にすることを含む方法。
【請求項2】
粉末状またはフレーク状の前記グラファイトを含むように前記原料を選択することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
2.0g/cm超の密度を示す前記高密度グラファイト材料を作製することをさらに含む、請求項1および2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記高密度グラファイト材料を作製して、少なくとも50mmの最大外径寸法を有するグラファイト構造体を画定することをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記供することの前に、
ダイに画定された開口部内に前記原料を配置すること、
前記開口部にインサートを少なくとも部分的に挿入し、前記インサートの対向する表面の間に前記原料を配置すること、および
前記インサートの対向する表面の間で前記原料を軸方向に圧縮すること
をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ダイに画定された前記開口部内に、前記原料に隣接する他の構造体を配置することをさらに含み、
前記開口部にインサートを少なくとも部分的に挿入することが、
前記原料および前記他の構造体の上にある前記インサートの1つを前記開口部に少なくとも部分的に挿入することと、
前記原料および前記他の構造体の下にある前記インサートのうちの他のものを、前記開口部に少なくとも部分的に挿入することと
を含み、
前記原料を軸方向に圧縮することが、前記インサートの対向する表面の間で前記原料および前記他の構造体を軸方向に圧縮することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
原料に隣接する前記他の構造体を配置することの前に、焼結材料を含むように前記他の構造体を提供することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ダイに画定された前記開口部内に、前記原料に隣接する前記他の構造体を配置することが、前記ダイの前記開口部内に全体的に受容されるように、前記他の構造体および前記原料を配置することを含む、請求項6および7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記供することの前に、
ダイに画定された開口部内に、2つの構造体の対向する表面の間に前記原料を配置すること、ここで前記対向する表面が前記開口部内に受容される、、および
前記2つの構造体の対向する表面の間で前記原料を軸方向に圧縮すること
をさらに含み、
グラファイトを含む前記原料を、電流、約1200℃を超えない温度、および約300MPaを超えない圧力に供することによって、前記原料を前記高密度グラファイト材料に焼結して、前記高密度グラファイト材料を介して前記2つの構造体を結合する、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ダイを提供することであって、前記ダイが炭化タングステンを含むことをさらに含む、請求項5~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記グラファイト;および
少なくとも1つの金属材料と少なくとも1つの酸化物材料とのうちの少なくとも1つ
を含むように前記原料を選択することをさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記グラファイトと、
ジルコニウム(Zr)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、ウラン(U)、またはプルトニウム(Pu)の1つまたは複数と
を含むように前記原料を選択することをさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
開示された方法および装置は、その実施において様々な修正および代替形態の影響を受けやすいが、具体的な実施形態が図面に例として示されており、本明細書で詳細に説明されている。しかし、本開示は、開示された特定の形態に限定されるものではないことを理解すべきである。むしろ、本開示は、以下の添付の請求項およびその法的等価物によって定義される本開示の範囲内に入るすべての修正、組み合わせ、等価物、変形、および代替物を包含する。
[発明の態様]
[1]
高密度グラファイト材料を作製する方法であって、グラファイトを含む原料を、電流、約1200℃を超えない温度、および約300MPaを超えない圧力に供して、前記原料を焼結し、1.75g/cm超の密度を示す高密度グラファイト材料にすることを含む方法。
[2]
粉末状の前記グラファイトを含むように前記原料を選択することをさらに含む、1に記載の方法。
[3]
天然フレーク状のグラファイトを含むように前記原料を選択することをさらに含む、1に記載の方法。
[4]
2.0g/cm超の密度を示す前記高密度グラファイト材料を作製することをさらに含む、1に記載の方法。
[5]
前記高密度グラファイト材料を作製して、最大外径寸法が少なくとも5mmのグラファイト構造体を画定することをさらに含む、4に記載の方法。
[6]
前記高密度グラファイト材料を作製して、最大外径寸法が少なくとも50mmのグラファイト構造体を画定することをさらに含む、4に記載の方法。
[7]
前記供することの前に、開口部を画定するダイを提供し、前記ダイの前記開口部に前記原料を挿入することをさらに含む、1~6のいずれか一項に記載の方法。
[8]
前記ダイを提供することが、炭化タングステンを含むダイを提供することを含む、7に記載の方法。
[9]
前記供することの前に、前記原料を圧縮することをさらに含む、1に記載の方法。
[10]
前記供することの前に、
ダイに画定された開口部内に前記原料を配置すること、
前記開口部にインサートを少なくとも部分的に挿入し、前記インサートの対向する表面の間に前記原料を配置すること、および
前記インサートの対向する表面の間で前記原料を軸方向に圧縮すること
をさらに含む、1に記載の方法。
[11]
前記ダイに画定された前記開口部内に、前記原料に隣接する他の構造体を配置することをさらに含み、
前記開口部にインサートを少なくとも部分的に挿入することが、
前記原料および前記他の構造体の上にある前記インサートの1つを前記開口部に少なくとも部分的に挿入することと、
前記原料および前記他の構造体の下にある前記インサートのうちの他のものを、前記開口部に少なくとも部分的に挿入することと
を含み、
前記原料を軸方向に圧縮することが、前記インサートの対向する表面の間で前記原料および前記他の構造体を軸方向に圧縮することを含む、10に記載の方法。
[12]
原料に隣接する前記他の構造体を配置することの前に、焼結材料を含むように前記他の構造体を提供することをさらに含む、11に記載の方法。
[13]
前記ダイに画定された前記開口部内に、前記原料に隣接する前記他の構造体を配置することが、前記ダイの前記開口部内に全体的に受容されるように、前記他の構造体および前記原料を配置することを含む、11に記載の方法。
[14]
前記供することの前に、
ダイに画定された開口部内に、2つの構造体の対向する表面の間に前記原料を配置すること、ここで前記対向する表面が前記開口部内に受容される、、および
前記2つの構造体の対向する表面の間で前記原料を軸方向に圧縮すること
をさらに含み、
グラファイトを含む前記原料を、電流、約1200℃を超えない温度、および約300MPaを超えない圧力に供することによって、前記原料を高密度グラファイト材料に焼結して、前記高密度グラファイト材料を介して前記2つの構造体を結合する、1に記載の方法。
[15]
グラファイトおよび少なくとも1つの金属材料を含むように前記原料を選択することをさらに含む、10~14のいずれか一項に記載の方法。
[16]
ジルコニウム(Zr)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、またはクロム(Cr)のうちの1つまたは複数を含むように前記少なくとも1つの金属材料を選択することをさらに含む、15に記載の方法。
[17]
前記グラファイトおよび少なくとも1つの酸化物材料を含むように前記原料を提供することをさらに含む、10~14のいずれか一項に記載の方法。
[18]
ウランまたはプルトニウムの少なくとも1つを含むように前記少なくとも1つの酸化物材料を選択することをさらに含む、17に記載の方法。
【国際調査報告】