(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(54)【発明の名称】ガラス基板の切断方法及び導光板の製造方法
(51)【国際特許分類】
F21V 8/00 20060101AFI20220715BHJP
G02B 6/00 20060101ALI20220715BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20220715BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20220715BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220715BHJP
C03B 33/09 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
F21V8/00 100
G02B6/00 301
F21V5/00 530
F21V5/04 600
F21V5/04 300
F21S2/00 444
C03B33/09
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569096
(86)(22)【出願日】2020-05-13
(85)【翻訳文提出日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 US2020032621
(87)【国際公開番号】W WO2020236479
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】10-2019-0060416
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】チョン,テオク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ウンソク
(72)【発明者】
【氏名】パク,ヨン-ソン
【テーマコード(参考)】
2H038
3K244
4G015
【Fターム(参考)】
2H038AA55
2H038BA06
3K244BA31
3K244BA32
3K244EA02
3K244EC02
3K244EC06
3K244EC14
3K244ED02
3K244ED06
3K244ED14
3K244LA01
3K244LA03
4G015FA06
4G015FB01
4G015FC10
(57)【要約】
ガラス基板の切断方法は、ガラス基板の第1の表面にレンチキュラーパターンを含む樹脂パターンを形成する工程;レーザ光を使用することによって樹脂パターンの一部を除去する工程;樹脂パターンの一部を除去する工程によって露出したガラス基板の一部にスクライブラインを形成する工程;及び、スクライブラインに沿ってガラス基板を切断する工程を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板の切断方法であって、
ガラス基板の第1の表面にレンチキュラーパターンを含む樹脂パターンを形成する工程;
レーザ光を使用することによって前記樹脂パターンの一部を除去する工程;
前記樹脂パターンの一部を除去する工程によって露出した前記第1の表面にスクライブラインを形成する工程;及び
前記スクライブラインに沿って前記ガラス基板を切断する工程
を含む、方法。
【請求項2】
前記樹脂パターンを形成する工程が、前記樹脂パターンの形成と同時に前記ガラス基板の隅部に基準マークを形成することを含む、請求項1に記載のガラス基板の切断方法。
【請求項3】
前記ガラス基板を通る前記レーザ光の透過率が、前記樹脂パターンを通る前記レーザ光の透過率よりも高い、請求項1又は2に記載のガラス基板の切断方法。
【請求項4】
前記樹脂パターンの一部を除去する工程が、前記ガラス基板を実質的に除去することなく前記樹脂パターンの一部のみを選択的に除去することを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のガラス基板の切断方法。
【請求項5】
有効光学領域及び該有効光学領域を取り囲む外側領域が前記ガラス基板上に画成され、かつ
前記樹脂パターンが前記有効光学領域に形成された光抽出パターンをさらに含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載のガラス基板の切断方法。
【請求項6】
前記レンチキュラーパターンが前記有効光学領域から前記外側領域まで延在する、請求項5に記載のガラス基板の切断方法。
【請求項7】
前記スクライブラインが、前記ガラス基板のエッジに近接する少なくとも1つの第1のスクライブラインと、前記ガラス基板の中心に近接する少なくとも1つの第2のスクライブラインとを含み、かつ
前記ガラス基板を切断する工程が、
前記第1のスクライブラインに沿って前記ガラス基板をポイントプレスすること;及び
前記第2のスクライブラインに沿って前記ガラス基板をラインプレスすること
を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のガラス基板の切断方法。
【請求項8】
前記第1の表面の法線と前記ガラス基板を切断することによって形成される切断面との間の角度が約1°以下である、請求項1から7のいずれか一項に記載のガラス基板の切断方法。
【請求項9】
導光板の製造方法であって、
ガラス基板の第1の表面に樹脂パターンを形成する工程であって、前記樹脂パターンが、レンチキュラーパターン及び光抽出パターンを含み、前記レンチキュラーパターンが、前記第1の表面に平行な第1の方向に沿って延び、前記第1の表面に平行かつ前記第1の方向に実質的に垂直な第2の方向に列を成して配置され、前記光抽出パターンが、前記レンチキュラーパターンから前記第1の方向及び第2の方向に垂直な第3の方向に陥凹している、工程;
前記樹脂パターンの一部を除去することによって、前記ガラス基板の前記第1の表面を露出させるための第1及び第2のスクライビングターゲット部分を形成する工程;
前記第1及び第2のスクライビングターゲット部分に延びるスクライブラインを前記ガラス基板に形成する工程;並びに
前記スクライブラインに沿って前記ガラス基板を切断する工程
を含む、方法。
【請求項10】
前記第1及び第2のスクライビングターゲット部分を形成する工程が、前記ガラス基板に対して透明波長のレーザ光を使用することによって前記第1及び第2のスクライビングターゲット部分を形成することを含む、請求項9に記載の導光板の製造方法。
【請求項11】
前記ガラス基板を切断する工程で形成される前記ガラス基板の切断面が、前記第1の表面に実質的に垂直である、請求項9又は10に記載の導光板の製造方法。
【請求項12】
前記樹脂パターンを形成する工程が、前記ガラス基板の隅部に基準マークをさらに形成することを含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の導光板の製造方法。
【請求項13】
前記第1及び第2のスクライビングターゲット部分を形成する工程が、それらの間に前記樹脂パターンをともなって、前記第1の方向又は前記第2の方向に互いに間隔を置いて配置された前記基準マークを結ぶ直線上に配置された前記樹脂パターンを除去することを含む、請求項12に記載の導光板の製造方法。
【請求項14】
前記第1のスクライビングターゲット部分が前記第1の方向に延び、前記第2のスクライビングターゲット部分が前記第2の方向に延びる、請求項12又は13に記載の導光板の製造方法。
【請求項15】
導光板の製造方法であって、
ガラス基板の第1の表面に樹脂パターン及び基準マークを形成する工程;
レーザ光を使用することによって前記樹脂パターンの一部及び前記基準マークを除去する工程;
前記樹脂パターンの少なくとも一部が除去される領域において前記ガラス基板にスクライブラインを形成する工程;及び
前記スクライブラインに沿って前記ガラス基板を切断する工程
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、その全体がここに参照することによって本願に援用される、2019年5月23日出願の韓国特許出願第10-2019-0060416号の米国法典第35編特許法119条に基づく優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
1つ以上の実施形態は、ガラス基板の切断方法及びそれを使用した導光板の製造方法に関し、より詳細には、その上に樹脂パターンが形成されたガラス基板を切断する方法、並びにガラス基板を切断する方法を使用した導光板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ディスプレイ装置に用いられる導光板は、光源から導光板に入射する光をディスプレイ表面上に均一に散乱及び拡散させる。概して、このような導光板は、バックライトユニット(BLU)などの光デバイスに用いられる。少なくとも1つの光源が導光板の側面に配置されてよく、導光板に入射する光は、全内反射法によって導光板の内側に誘導することができ、導光板の表面に形成された光抽出パターンによって導光板の外側に放出することができる。
【発明の概要】
【0004】
1つ以上の実施形態は、ガラス基板の切断方法及び導光板の製造方法を含み、いずれの方法も生産性及び信頼性が改善されている。
【0005】
追加の態様は、一部には以下の説明に記載され、また一部には、その説明から明らかになるか、又は提示された実施形態の実施によって学習することができる。
【0006】
1つ以上の実施形態によれば、ガラス基板の切断方法は、ガラス基板の第1の表面にレンチキュラーパターンを含む樹脂パターンを形成する工程;レーザ光を使用することによって樹脂パターンの一部を除去する工程;樹脂パターンの一部を除去する工程によって露出した第1の表面にスクライブラインを形成する工程;及び、スクライブラインに沿ってガラス基板を切断する工程を含む。
【0007】
樹脂パターンを形成する工程は、樹脂パターンの形成と同時にガラス基板の隅部に基準マークを形成することを含んでいてもよい。
【0008】
ガラス基板を通るレーザ光の透過率は、樹脂パターンを通るレーザ光の透過率より高くなりうる。
【0009】
樹脂パターンの一部を除去する工程は、ガラス基板を実質的に除去することなく樹脂パターンの一部のみを選択的に除去することを含みうる。
【0010】
有効光学領域及び該有効光学領域を取り囲む外側領域が、ガラス基板上に画成されうる。
【0011】
樹脂パターンはさらに、有効光学領域上に形成された光抽出パターンを含みうる。
【0012】
レンチキュラーパターンは、有効光学領域から外側領域まで延在しうる。
【0013】
スクライブラインは、ガラス基板のエッジに近接する少なくとも1つの第1のスクライブラインと、ガラス基板の中心に近接する少なくとも1つの第2のスクライブラインとを含みうる。
【0014】
ガラス基板を切断する工程は、第1のスクライブラインに沿ってガラス基板をポイントプレスすること;及び、第2のスクライブラインに沿ってガラス基板をラインプレスすることを含みうる。
【0015】
第1の表面の法線とガラス基板を切断することによって形成される切断面との間の角度は、約1°以下でありうる。
【0016】
1つ以上の実施形態によれば、導光板の製造方法は、ガラス基板の第1の表面に樹脂パターンを形成する工程であって、該樹脂パターンがレンチキュラーパターン及び光抽出パターンを含み、レンチキュラーパターンが、第1の表面に平行な第1の方向に沿って延び、第1の表面に平行かつ第1の方向に実質的に垂直な第2の方向に列を成して配置され、光抽出パターンがレンチキュラーパターンから第1の方向及び第2の方向に垂直な第3の方向に陥凹している、工程;樹脂パターンの一部を除去することによってガラス基板の第1の表面を露出させるための第1及び第2のスクライビングターゲット部分を形成する工程;第1及び第2のスクライビングターゲット部分に延びるスクライブラインをガラス基板に形成する工程;並びに、スクライブラインに沿ってガラス基板を切断する工程を含む。
【0017】
第1及び第2のスクライビングターゲット部分を形成する工程は、ガラス基板に対して透明波長のレーザ光を使用することによって第1及び第2のスクライビングターゲット部分を形成することを含みうる。
【0018】
ガラス基板を切断する工程で形成されるガラス基板の切断面は、第1の表面に実質的に垂直でありうる。
【0019】
樹脂パターンの一部を除去する工程は、ガラス基板を損傷することなく樹脂パターンを選択的に除去することを含みうる。
【0020】
樹脂パターンを形成する工程は、ガラス基板の隅部に基準マークをさらに形成することを含みうる。
【0021】
第1及び第2のスクライビングターゲット部分を形成する工程は、その間に樹脂パターンをともなって、第1の方向又は第2の方向に互いに間隔を置いて配置された基準マークを結ぶ直線上に配置された樹脂パターンを除去することを含みうる。
【0022】
第1及び第2のスクライビングターゲット部分を形成する工程はさらに、基準マークを除去することを含みうる。
【0023】
第1のスクライビングターゲット部分は第1の方向に延在してよく、第2のスクライビングターゲット部分は第2の方向に延在しうる。
【0024】
1つ以上の実施形態によれば、導光板の製造方法は、ガラス基板の第1の表面に樹脂パターン及び基準マークを形成する工程;レーザ光を使用することによって樹脂パターンの一部及び基準マークを除去する工程;樹脂パターンの一部が除去される領域のガラス基板にスクライブラインを形成する工程;及び、スクライブラインに沿ってガラス基板を切断する工程を含む。
【0025】
レーザ光の被写界深度は-3mm未満でありうる。
【0026】
樹脂パターンの一部を除去する工程は、レーザ光を100mm/秒以下の速度で樹脂パターンに照射することを含みうる。
【0027】
レーザ光の波長は、約8μm~約12μmでありうる。
【0028】
これら及び/又は他の態様は、添付の図面と併せて、以下の実施形態の説明から明らかになり、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】幾つかの実施形態によるスクライビング装置を示す概略的な斜視図
【
図2A】本開示の例示的な実施形態による効果を示す図
【
図2B】本開示の例示的な実施形態による効果を示す図
【
図2C】本開示の例示的な実施形態による効果を示す図
【
図2D】本開示の例示的な実施形態による効果を示す図
【
図3A】比較例によるガラス基板の切断の結果を示す図
【
図3B】実験例によるガラス基板の切断の結果を示す図
【
図4】本開示の幾つかの実施形態によるガラス基板の切断方法のフローチャート
【
図5A】幾つかの実施形態によるガラス基板の切断方法を示す平面図
【
図5B】幾つかの実施形態による
図5Aの5E部分の拡大斜視図
【
図5C】幾つかの実施形態による、
図5Aの線5I-5I’、5II-5II’、及び5III-5III’に沿った部分断面図
【
図6A】幾つかの実施形態によるガラス基板の切断方法を示す平面図
【
図6B】幾つかの実施形態による、
図6Aの線6I-6I’、6II-6II’、及び6III-6III’に沿った部分断面図
【
図7A】幾つかの実施形態によるガラス基板の切断方法を示す平面図
【
図7B】
図7Aの線7I-7I’、7II-7II’、及び7III-7III’に沿った部分断面図
【
図7C】
図7Aの線7I-7I’、7II-7II’、及び7III-7III’に沿った部分断面図
【
図7D】
図7Aの線7I-7I’、7II-7II’、及び7III-7III’に沿った部分断面図
【
図8】幾つかの実施形態によるガラスの製造方法を示すフローチャート
【
図9】幾つかの実施形態によるガラスの製造方法を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
これより、実施形態を詳細に参照するが、その例は添付の図面に示されており、同様の参照番号は全体を通して同様の要素を指す。これに関して、本実施形態は、異なる形態を有していてもよく、本明細書に記載される説明に限定されるものと解釈されるべきではない。したがって、この実施形態は、本説明の態様を説明するために、図を参照することによって、以下に単に説明される。本明細書で用いられる場合、「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目の1つ以上のありとあらゆる組合せを含む。
【0031】
以下に、本開示の実施形態が添付の図面を参照して詳細に説明される。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。本開示の実施形態は、当業者に本開示をより完全に説明するために提供されるものと解釈することができる。同様の参照番号は、本開示全体を通して同様の要素を示す。また、図面中のさまざまな要素及び領域が概略的に示されている。したがって、本開示は、添付の図面に示されている相対的なサイズ又は距離によって制限されない。
【0032】
「第1」及び「第2」などの用語は、本明細書ではさまざまな要素又は構成要素を説明するために用いられうるが、要素又は構成要素は、これらの用語によって制限されるべきではない。これらの用語は、ある要素又は構成要素を別の要素又は構成要素と区別するためにのみ用いられる。例えば、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、第1の要素は第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素は第1の要素と呼ぶことができる。
【0033】
本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本開示を限定することは意図されていない。本明細書で用いられる場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に別のことを示さない限り、複数形も含むことが意図されている。本明細書で用いられる場合、例えば、「含む」、「含有する」、及び「有する」などの用語は、述べられた特徴、整数、工程、動作、要素、成分、又はそれらの組合せの存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、成分、又はそれらの組合せの存在又は追加を排除するものではないことが理解されよう。
【0034】
特に定義されない限り、本明細書で用いられるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本開示が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。また、一般的に用いられる辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書に明示的に定義されていない限り、理想化された又は過度に形式的な意味で解釈されないことが理解されよう。
【0035】
ある特定の実施形態を異なる方法で実施することができる場合、特定のプロセス順序は、記載された順序とは異なる順序で実行してもよい。例えば、2つの連続して記載されたプロセスは、実質的に同時に実行してもよく、あるいは、記載された順序とは逆の順序で実行してもよい。
【0036】
ガラスを含む導光板は、プラスチックよりもはるかに優れた強度及び熱膨張係数(CTE)特性を有することができ、これを使用して、より薄型の液晶ディスプレイ(LCD)テレビ(TV)セットを製造することができる。導光板は、レンチキュラーパターン及び光抽出パターンを含みうる。関連技術の導光板は、対向する表面にレンチキュラーパターンと光抽出パターンとを含む。対照的に、本開示の幾つかの実施形態によれば、導光板は、ガラス基板の同じ表面に形成することができ、レンチキュラーパターンと光抽出パターンとの集積パターンを含むことができる。本開示の幾つかの実施形態による導光板に含まれる集積パターンは、樹脂を含むことができ、対向する表面に形成されたレンチキュラーパターンと光抽出パターンとを含む導光板よりも良好な光学性能を有しうる。また、レンチキュラーパターン及び光抽出パターンは1つのインプリントプロセスによって同時に形成されるため、本開示の幾つかの実施形態による導光板の生産性を大幅に改善することができる。
【0037】
図1は、幾つかの実施形態によるスクライビング装置SAを示す概略的な斜視図である。
【0038】
図1を参照すると、スクライビング装置SAは、樹脂パターン120及びガラス基板110を処理するための装置でありうる。幾つかの実施形態によれば、スクライビング装置SAは、樹脂パターン120を部分的かつ選択的に除去するための装置でありうる。幾つかの実施形態によれば、スクライビング装置SAは、ガラス基板110にスクライブラインSL(
図7B及び7C参照)を形成するための装置でありうる。スクライビング装置SAによって処理された樹脂パターン120及びガラス基板110の構造は、
図5A~5Dを参照して以下に詳細に説明される。
【0039】
幾つかの実施形態によれば、スクライビング装置SAは、第1から第3のスクライビングツールST1、ST2、及びST3を含みうる。幾つかの実施形態によれば、第2及び第3のスクライビングツールST2及びST3のうちのいずれか1つは省略されてもよい。幾つかの実施形態によれば、スクライビング装置SAは、ガラス基板110の第1の表面に隣接して配置された第1及び第2のスクライビングツールST1及びST2のみを含むことができ、すなわち、第3のスクライビングツールST3はスクライビング装置SAから省略することができる。第1の表面は、樹脂パターン120に接触するガラス基板110の表面を指すことができ、第2の表面はその反対側の表面を指すことができる。他の幾つかの実施形態によれば、スクライビング装置SAが第2のツールST2を含まない場合、スクライビング装置SAは、ガラス基板110の第1の表面に隣接して配置された第1のツールST1及び第2の表面に配置された第3のスクライビングツールST3のみを含むことができる。
【0040】
幾つかの実施形態によれば、第1のスクライビングツールST1はレーザ源を含みうる。幾つかの実施形態によれば、第1のスクライビングツールST1は、樹脂パターン120を部分的に除去することができる(
図2A参照)。幾つかの実施形態によれば、第2及び第3のスクライビングツールST2及びST3は、ダイヤモンドホイールなどの機械的ホイールでありうる。幾つかの実施形態によれば、第2及び第3のスクライビングツールST2及びST3は、以下に説明されるスクライブラインSL(
図7A参照)を形成することができる。
【0041】
幾つかの実施形態によれば、第1から第3のスクライビングツールST1、ST2、及びST3は、同じ駆動装置に接続されてもよく、あるいは実質的に同時に動作するように同期された異なる駆動装置にそれぞれ接続されてもよい。この場合、第1のスクライビングツールST1が樹脂パターン120を部分的に除去しつつ移動すると、第2のスクライビングツールST2及び/又は第3のスクライビングツールST3は、それと同期して移動しつつ、スクライブラインSL(
図7A参照)を形成することができる。したがって、スクライブラインSL(
図7A及び7B参照)は、樹脂パターン120を除去することによって露出したガラス基板110の第1の表面、又はそれに対応する第2の表面に形成することができる。
【0042】
他の幾つかの実施形態によれば、第1から第3のスクライビングツールST1、ST2、及びST3は、異なる時間に動作するように別個の駆動ユニットに接続することができる。この場合、第1のスクライビングツールST1による樹脂パターン120の部分的な除去が完了した後に、スクライビングを行うことができる。他の幾つかの実施形態によれば、第1及び第3のスクライビングツールST1及びST3のみが提供される場合、スクライビングは、最初に基準マーク123(
図5A参照)を使用することによって実行することができ、次に、樹脂パターン120を選択的に除去することができる。
【0043】
図2A~2Dは、1つ以上の例示的な実施形態による効果を示す図である。より具体的には、
図2Aから2Dは、
図1に示されるスクライビング装置SAによる樹脂パターン120の処理を示す図であり、それぞれ下記表1に示される実験例1~4の結果を示している。
【0044】
樹脂パターン120は、紫外線(UV)硬化性ポリカーボネート(PC)を含む材料層をスクリーン印刷方式でインプリントすることによって形成した。実験例1~4では、樹脂パターン120は約31μmの厚さを有していた。この場合、樹脂パターン120は、
図5Aを参照して説明したレンチキュラーパターンLTを含んでよく、樹脂パターン120の厚さは、レンチキュラーパターンLTのピーク点(すなわち、ガラス基板110から最も離間して配置された点)と樹脂パターン120の底面との間の距離でありうる。
【0045】
樹脂パターン120の処理に用いられるレーザはCO2レーザであり、約10μmの波長を有する光を生成した。実験に用いたレーザの出力は約48.4Wであった。
【0046】
【0047】
図2A及び表1を参照すると、実験例1において、約5.4mmの被写界深度及び約1,500mm/秒の移動速度のレーザ光を使用することによって樹脂パターン120を除去した場合、除去された部分の深さは約32μmであり、約31μmの厚さの樹脂パターン120の除去に加えて、ガラス基板100の上部が部分的に除去された(すなわち、損傷を受けた)ことが分かる。ガラス基板100の損傷とは、ガラス基板100の上部が、樹脂パターン120の除去によって、又はガラス基板の上部を部分的に除去することなく樹脂パターン120を除去する間に許容値を超える過度の応力がガラス基板100に印加されたことによって部分的に除去されたことを意味しうる。
【0048】
図2B及び表1を参照すると、実験例2において、約-3mmの被写界深度及び約500mm/秒の移動速度のレーザ光を使用することによって樹脂パターン120を除去した場合、除去された部分の深さは約22μmであり、樹脂パターン120はガラス基板100の上部から完全には除去されなかったことが分かる。したがって、樹脂パターン120の下に配置されたガラス基板110の第1の表面は露出しなかった。
【0049】
図2C及び表1を参照すると、実験例3において、約-3mmの被写界深度及び約200mm/秒の移動速度のレーザ光を使用することによって樹脂パターン120を除去した場合、除去された部分の深さは約31μmであり、ガラス基板110は損傷を受けなかったことが分かる。
図2Cには示されていないが、レーザ光はガラス基板110の第1の表面に照射したが、樹脂パターン120の一部が除去されていない領域があった。樹脂パターン120が除去された部分の水平方向の幅は、約400μm~約800μmであった。
【0050】
図2D及び表1を参照すると、実験例4において、約-8mmの被写界深度及び約100mm/秒の移動速度のレーザ光を使用することによって樹脂パターン120を除去した場合、除去された部分の深さは約31μmであり、樹脂パターン120はきれいに除去されており、ガラス基板110は損傷を受けなかったことが分かる。したがって、ガラス基板110の第1の表面が露出した。樹脂パターン120が除去された部分の幅は、約670μm~約1170μmであった。
【0051】
図3Aは、比較例によるガラス基板の切断の結果を示す図であり、
図3Bは、実験例によるガラス基板の切断の結果を示す図である。
【0052】
図3Aは、樹脂パターン120を除去せず、第3のスクライビングツールST3を使用することによって第2の表面(すなわち、樹脂パターン120が形成されている表面とは反対の表面)にスクライブラインSL(
図7A参照)を形成し、次にガラス基板110を切断し、分離した結果を示している。ガラス基板110は、スクライブラインSLをポイントプレスする方法によって切断した。
図3Aを参照すると、ガラス基板110を分離するプロセスにおいて、樹脂パターン120がガラス基板110から剥離したことが分かる。
【0053】
図3Bは、樹脂パターン120を除去し、第2の表面にスクライブラインSL(
図7B参照)を形成し、次にスクライブラインSL(
図7B参照)に沿ってガラス基板110を切断した結果を示している。
図3Bを参照すると、ガラス基板110を分離するプロセスにおいて、樹脂パターン120がガラス基板110から剥離しなかったことが分かる。
【0054】
図1~
図3Bを参照すると、樹脂パターン120を部分的に除去し、スクライブラインSL(
図7A参照)を形成し、次にガラス基板110を切断する場合、樹脂パターン120はガラス基板110から分離しないことが分かる。したがって、ガラス基板110の切断及び製造の信頼性を改善することができる。
【0055】
図4は、本開示の幾つかの実施形態によるガラス基板の切断方法のフローチャートである。
【0056】
図5Aは、幾つかの実施形態によるガラス基板の切断方法を示す平面図であり、
図5Bは、幾つかの実施形態による
図5Aの5E部分の拡大斜視図であり、
図5Cは、幾つかの実施形態による
図5Aの線5I-5I’、5II-5II’、及び5III-5III’に沿った部分断面図である。
【0057】
図4~
図5Cを参照すると、統合パターンIPを含む樹脂パターン120及び基準マーク123が、動作P10においてガラス基板110に形成されうる。
【0058】
幾つかの実施形態によれば、ガラス基板110は平板形状を有しうる。以後、説明の便宜上、ガラス基板110は、実質的に長方形の板状であると見なされるが、しかしながら、本明細書に開示される実施形態は、それに限定されない。例えば、ガラス基板110は、円、楕円、三角形、及び5つ以上の角を有する多角形など、さまざまな平板形状のいずれかを有しうる。
【0059】
ガラス基板110に樹脂パターン120及び基準マーク123を形成する工程は、基板に樹脂層(図示せず)をコーティングすること、及びインプリントなどの方法によって樹脂層をパターン化することを含みうる。幾つかの実施形態によれば、樹脂パターン120は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、MMA-スチレン共重合体(MS)、ポリスチレン(PS)、PC、又はポリエチレンテレフタレート(PET)などの材料を含みうるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態によれば、樹脂パターン120はUV硬化性材料を含みうる。幾つかの実施形態によれば、UV及び/又は赤外線(IR)硬化を樹脂パターン120に対してさらに行うことができる。樹脂パターン120の強度及びガラス基板110への接着は、UV及び/又はIR硬化によって強化することができる。
【0060】
以後、
図1に関する定義と同じく、樹脂パターン120と接触する表面を第1の表面と呼び、その反対側の表面を第2の表面と呼ぶ。また、ガラス基板110の第1の表面に実質的に平行な方向及び該第1の表面に実質的に平行な方向に実質的に垂直な方向は、それぞれ、第1の方向(X方向)及び第2の方向(Y方向)として定義され、第1の表面に実質的に垂直な方向は第3の方向(Z方向)として定義される。
【0061】
幾つかの実施形態によれば、有効光学領域110E及び外側領域110Rが、ガラス基板110上に画成されうる。幾つかの実施形態によれば、外側領域110Rは有効光学領域110Eを取り囲むことができる。幾つかの実施形態によれば、有効光学領域110Eは、本明細書に記載される方法によって製造されたガラス製品が任意の光学製品(例えば、ディスプレイ)に適用される場合に、実質的に光学機能(例えば、均一性の高い光抽出)を有する領域でありうる。
【0062】
幾つかの実施形態によれば、樹脂パターン120は統合パターンIPを含みうる。幾つかの実施形態によれば、統合パターン(IP)は、レンチキュラーパターンLT及び光抽出パターンEPを含みうる。幾つかの実施形態によれば、統合パターンIPは、有効光学領域110Eに形成されうる。幾つかの実施形態によれば、統合パターンIPは、外側領域110Rには形成されない可能性がある。幾つかの実施形態によれば、外側領域110Rでは、レンチキュラーパターンLTのみが形成されてよく、光抽出パターンEPは形成されなくてもよい。幾つかの実施形態によれば、レンチキュラーパターンLTは、有効光学領域110Eから外側領域110Rまで延在してよい。
【0063】
樹脂パターン120の厚さ(すなわち、第3の方向(Z方向)の長さ)は、約30μm以上でありうる。この場合、樹脂パターン120はレンチキュラーパターンLTを含むため、樹脂パターン120の厚さは、第3の方向(Z方向)の最大厚さを指しうる。あるいは、樹脂パターン120の厚さは、レンチキュラーパターンLTのピーク点からガラス基板110に接触する樹脂パターン120の底面までの距離でありうる。
【0064】
図5Aは、4つの実質的に同一の有効光学領域110Eが1つのガラス基板110上に画成されることを示しているが、本開示はそれに限定されない。より具体的には、製造されるガラス製品(例えば、導光板)の仕様に従い、さまざまなサイズ及び数の有効光学領域110Eが画成されうる。すなわち、1つのガラス基板110上に、2つ、3つ、又は5つ以上の有効光学領域が画成されてよく、あるいは、異なるサイズ及び形状を有する有効光学領域が画成されてもよい。
【0065】
幾つかの実施形態によれば、レンチキュラーパターンLTの断面形状は、例えば、楔形、凸状に突き出た弧形、多角形の弧形、及びドーム形のいずれか1つでありうる。幾つかの実施形態によれば、レンチキュラーパターンLTは、第2の方向(Y方向)に沿って延在しうる。レンチキュラーパターンLTは、第1の方向(X方向)に位置合わせされた複数の列で形成することができる。
【0066】
幾つかの実施形態によれば、光抽出パターンEPは、レンチキュラーパターンLTの部分的に陥凹した形状を有しうる。幾つかの実施形態によれば、光抽出パターンEPは、レンチキュラーパターンLTに形成された凹み又は凹部でありうる。幾つかの実施形態によれば、光抽出パターンEPは、周期的又は非周期的なピッチを有するように形成されうる。幾つかの実施形態によれば、光抽出パターンEPは、規則的な又は不規則な形状及び/又はサイズを有しうる。
図2Cは、光抽出パターンEPの上面輪郭が長方形の形状を有することを示しているが、本開示はそれに限定されない。光抽出パターンEPの上面輪郭は、多角形、円形、及び楕円形などのさまざまな形状のいずれかを有することができる。
【0067】
幾つかの実施形態によれば、レンチキュラーパターンLTは、有効光学領域110Eの平均傾斜角を増加させることができる。したがって、有効光学領域110Eを進行する光は、全反射臨界角未満の多くの成分を有することができ、よって、出力光の量が増加しうる。
【0068】
幾つかの実施形態によれば、基準マーク123は、樹脂層がパターン化されるときに形成されうる。基準マーク123は、実質的に十字形を有しうる。しかしながら、本開示はそれに限定されず、基準マーク123は、多角形、円形、星形、楕円形、又は不規則な形状など、光学的に容易に識別可能な任意の形状を有することができる。第1の方向及び第2の方向(X方向及びY方向)における基準マーク123の長さは、それぞれ約数百マイクロメートルの範囲であってよく、それらの幅は約100マイクロメートルでありうる。しかしながら、これは単なる一例であり、本開示はそれに限定されない。幾つかの実施形態によれば、基準マーク123は、以下に説明される樹脂パターン120の選択的除去プロセスの精度を改善するための基準マークでありうる。
【0069】
幾つかの実施形態によれば、2つ以上の基準マーク123が樹脂パターン120の各隅部に隣接して配置されてもよい。幾つかの実施形態によれば、基準マーク123は、樹脂パターン120の4つの辺の中心に隣接して配置されてもよい。しかしながら、
図5Aに示される基準マーク123の配置は単なる一例であり、本開示はそれに限定されない。すなわち、基準マーク123の配置は、切断プロセスによって形成されるガラス製品のサイズ及び形状に応じてさまざまに変更することができる。
【0070】
ガラス基板110が切断され、分離される場合、コーティング、インプリント、切断、及び研削を含む一連のプロセスにおける誤差が蓄積される可能性がある。蓄積された誤差に起因して、ガラス基板110の切断面と、統合パターンIPに含まれるレンチキュラーパターンLTの延伸方向(すなわち、第2の方向(Y方向))とがずれる可能性がある。
【0071】
1つ以上の例示的な実施形態では、第1及び第2のスクライビングターゲット部分SPP1及びSPP2(
図6A参照)は、インプリントプロセスにおいて、統合パターンIPと正確に位置合わせされた基準マーク123を使用することによって形成することができ、第1及び第2のスクライビングターゲット部分SPP1及びSPP2(
図6A参照)に基づいて、スクライブラインSL(
図7A参照)が形成されうる。したがって、ガラス基板110の切断面とレンチキュラーパターンLTの延伸方向(すなわち、第2の方向)とを正確に位置合わせすることができる。特に、ガラス基板110を導光板として使用する場合、レンチキュラーパターンLTと、以下に説明される切断プロセスで形成されるガラス基板110の切断面のうちの光抽出面に対応する切断面とが、互いに実質的に平行になるように位置合わせすることができる。したがって、最終製品としての導光板の光学性能を向上させることができる。
【0072】
図6Aは、幾つかの実施形態によるガラス基板の切断方法を示す平面図であり、
図6Bは、幾つかの実施形態による
図6Aの線6I-6I’、6II-6II’、及び6III-6III’に沿った部分断面図である。
【0073】
図1、
図4、
図6A、及び
図6Bを参照すると、樹脂パターン120の一部は、動作P20において選択的に除去されうる。
【0074】
幾つかの実施形態によれば、第1及び第2のスクライビングターゲット部分SPP1及びSPP2は、樹脂パターン120の選択的除去によって形成することができる。幾つかの実施形態によれば、ガラス基板100の上面は、第1及び第2のスクライビングターゲット部分SPP1及びSPP2において露出されうる。幾つかの実施形態によれば、第1のスクライビングターゲット部分SPP1は、第1の方向(X方向)に実質的に平行に延在しうる。第2のスクライビングターゲット部分SPP2は、第2の方向(Y方向)に実質的に平行に延在しうる。幾つかの実施形態によれば、第1のスクライビングターゲット部分SPP1の各々は、第2のスクライビングターゲット部分SPP2の各々と十字形に交差しうる。
【0075】
幾つかの実施形態によれば、樹脂パターン120は、第1のスクライビングツールST1によって選択的に除去することができる。幾つかの実施形態によれば、第1のスクライビングツールST1はレーザ源を含んでよく、第1のスクライビングツールST1によって生成されるレーザ光は、ガラス基板110に対して透明な波長を有しうる。幾つかの実施形態によれば、ガラス基板110を通る第1のスクライビングツールST1によって生成されたレーザ光の透過率は、樹脂パターン120を通るその透過率より高くなりうる。幾つかの実施形態によれば、第1のスクライビングツールST1によって生成されるレーザ光の波長は、約8μm~約12μmでありうる。したがって、第1のスクライビングツールST1によって生成されるレーザ光は、ガラス基板110を実質的に損傷することなく、樹脂パターン120のみを選択的に除去することができる。すなわち、樹脂パターン120の選択的除去とは、ガラス基板110を損傷することなく、樹脂パターン120のみを部分的に除去することを意味しうる。
【0076】
幾つかの実施形態によれば、第1のスクライビングツールST1によって生成されるレーザ光の被写界深度は、-3mm以下でありうる。幾つかの実施形態によれば、第1のスクライビングツールST1の移動速度及びそれに応じたレーザ光の移動速度は、約200mm/秒以下でありうる。
【0077】
幾つかの実施形態によれば、樹脂パターン120の選択的除去は、基準マーク123(
図5A参照)を位置合わせマークとして使用することによって実行されうる。幾つかの実施形態によれば、それらの間に樹脂パターン120をともなって、第1の方向(X方向)に互いに間隔を置いて配置された基準マーク123(
図5A参照)は互いに結ぶことができ、第1の方向(X方向)に実質的に平行な第1の直線上に配置された樹脂パターン120を除去して、第1のスクライビングターゲット部分SPP1を形成することができる。同様に、幾つかの実施形態によれば、それらの間に樹脂パターン120をともなって、第2の方向(Y方向)に互いに間隔を置いて配置された基準マーク123(
図5A参照)は互いに結ぶことができ、第2の方向(Y方向)に実質的に平行な第2の直線上に配置された樹脂パターン120を除去して、第2のスクライビングターゲット部分SPP2を形成することができる。
【0078】
幾つかの実施形態によれば、基準マーク123(
図5A参照)は、樹脂パターン120の選択的除去中に、第1のスクライビングツールST1によって除去することができる。
図6Aを参照すると、基準マーク123(
図5A参照)は完全に除去されるものとして示されているが、本開示はそれらに限定されず、基準マーク123(
図5A参照)の一部がガラス基板110上に残っていてもよい。
【0079】
図7Aは、幾つかの実施形態によるガラス基板の切断方法を示す平面図であり、
図7Bは、幾つかの実施形態による
図7Aの線7I-7I’、7II-7II’、及び7III-7III’に沿った部分断面図である。
【0080】
【0081】
幾つかの実施形態によれば、スクライブラインSLは、以下に記載される切断プロセスにおける切断面の品質を改善するための亀裂、マイクロトンネル、及び/又はミシン目でありうる。
図7Bは、第3のスクライビングツールST3が省かれている(又は、第3のスクライビングツールST3は省略されないが、スクライビングプロセスは実行されない)場合の図である。
図7Bに示されるスクライブラインSLは、第2のスクライビングツールST2によって形成されうる。幾つかの実施形態によれば、スクライブラインSLの深さは、ガラス基板110の厚さ(すなわち、第3の方向(Z方向)の長さ)の約1/20から約1/2でありうるが、本開示はそれに限定されない。
【0082】
幾つかの実施形態によれば、スクライブラインSLは、第1及び第2のスクライビングターゲット部分SPP1及びSPP2を基準にして形成することができる。幾つかの実施形態によれば、スクライブラインSLは、第1及び第2のスクライビングターゲット部分SPP1及びSPP2の中心線に沿って延在しうる。幾つかの実施形態によれば、スクライブラインSLは、ガラス基板110の上面を完全に横切って延在しうる。幾つかの実施形態によれば、ガラス基板110は、それぞれのスクライブラインSLによって2つの部分に分割されうる。したがって、ガラス基板110は、切断プロセスにおいて、スクライブラインSLの周りで異なるガラス製品へと分離することができる。
【0083】
幾つかの実施形態によれば、各有効光学領域110Eは、スクライブラインSLによって取り囲むことができる。幾つかの実施形態によれば、それぞれの有効光学領域110Eは、それらの間にスクライブラインSLをともなって、互いに離間して配置することができる。
【0084】
図7C及び7Dは、幾つかの実施形態による
図7Aの線7I-7I’、7II-7II’、及び7III-7III’に沿った部分断面図であり、より具体的には、幾つかの実施形態による、異なる方法で形成されたスクライブラインSLを示す部分断面図である。
【0085】
図7Cは、第2のスクライビングツールST2が省略され、第3のスクライビングツールST3によってスクライブラインSLが形成される場合の図である。あるいは、
図7Cは、第2及び第3のスクライビングツールST2及びST3の両方が提供されるが、第3のスクライビングツールST3によるスクライビングプロセスは実施されない場合の図である。
【0086】
図1及び
図7Cを参照すると、スクライブラインSLは、第2の表面に形成されうる。第2の表面に形成されるスクライブラインSLは、ガラス基板110の上面を完全に横切って延びてよく、幾つかの実施形態によれば、ガラス基板110は、それぞれのスクライブラインSLによって2つの部分に分割することができる。
【0087】
図7Dは、第1から第3のスクライビングツールST1、ST2、及びST3のすべてを使用する場合の図である。
図7Dを参照すると、スクライブラインSLは、第1及び第2の表面の各々の上に形成されうる。
【0088】
図4及び
図7Aを参照すると、ガラス基板110は動作P40において切断することができる。
【0089】
ガラス基板110は、スクライブラインSLに沿って切断することができる。ガラス基板110の分離は、ボール破壊、バー破壊、又は傾斜破壊などの方法によって実行することができる。ボール破壊は、ガラス基板110に形成されたスクライブラインSLがポイントプレスされる切断方法でありうる。バー破壊は、ガラス基板110に形成されたスクライブラインSLがラインプレスされる切断方法でありうる。幾つかの実施形態によれば、ガラス基板110が該ガラス基板110の縁部に隣接して配置されたスクライブラインSLに沿って切断される場合は、ボール破壊法が用いられうる。幾つかの実施形態によれば、ガラス基板110が該ガラス基板110の中心に隣接して配置されたスクライブラインSLに沿って切断される場合は、バー破壊法が用いられうる。
【0090】
関連技術の導光板製造プロセスでは、ガラス基板は、所望の目的に従って切断され、次に、レンチキュラーパターンを形成するための別個のプロセス及び光抽出パターンが、切断されたガラス基板の各部分に対して実行される。例示的な実施形態によれば、ガラス基板110を切断する前にガラス基板110上に樹脂パターン120が一貫して形成され、次にガラス基板110が切断されることから、ガラス製品(又は、導光板)を形成する方法の生産性を大幅に改善することができる。
【0091】
一般的な導光板には、その側面切断面から光が入射するため、ガラス製品の光学性能にとって、インプリントされたガラスの高品質の(すなわち、欠陥のない)切断面を形成することは非常に重要でありうる。樹脂パターン120がその上に形成されている表面を機械的に切断する場合には、高圧切断ホイールを使用しても、樹脂パターン120に起因して、ホイールをガラス基板110の表面に接触させて配置することは技術的に困難である可能性がある。
【0092】
1つ以上の例示的な実施形態では、第1のスクライビングツールST1を使用して、ガラス基板110を損傷することなく樹脂パターン120のみを選択的に除去することができ、第2及び/又は第3のスクライビングツールST2及び/又はST3を使用して、第1の表面の樹脂パターン120が除去される部分及び/又は第2の表面のそれに対応する部分にスクライブラインSLを形成することができる。したがって、スクライブラインSLを形成する前に樹脂パターン120を選択的に除去することにより、該方法の生産性が改善され、上記のように信頼性を確保することができる。
【0093】
図8は、幾つかの実施形態によるガラスの製造方法のフローチャートである。
図9は、幾つかの実施形態によるガラスの製造方法を示す断面図である。より具体的には、
図9は、ガラス基板110の切断面部分の部分拡大断面図である。
【0094】
図8の動作P10~P40は、
図4を参照して説明した動作P10~P40とそれぞれ実質的に同じでありうる。したがって、説明の便宜上、
図4を参照して説明したものとの冗長な説明は省略し、それらの違いについて主に説明する。
【0095】
図8及び9を参照すると、切断面は動作P50において面取りされうる。
【0096】
切断面を面取りする工程は、基板を延伸方向に回転する面取りホイールCHWに接近させることを含みうる。面取りされたガラス基板110の品質は、厚さt、面取り幅Wc、面取り高さHc、及び切断面角度θによって特徴づけることができる。切断面角度θは、切断面と第1の表面の法線とによって形成される角度によって画成されうる。
【0097】
特に、最終的に製造されるガラス製品が導光板である場合には、切断面が第1の表面に実質的に垂直であることは、導光板の光学性能にとって非常に重要でありうる。1つ以上の例示的な実施形態による実施形態では、ガラス基板110の切断面角度θは約1°以下とすることができ、これにより、光学特性の向上を可能にすることができる。
【0098】
これより、
図9を参照すると、切断されたガラス基板110は、動作P60において洗浄することができる。ガラス基板110の洗浄は、洗浄装置によって実行することができる。幾つかの実施形態によれば、洗浄装置は、インラインタイプ又はバッチタイプでありうる。インラインタイプの洗浄装置は、洗浄液、スポンジなどを使用することによって、コンベヤに沿って移動するガラス基板を洗浄することができる。バッチタイプの洗浄装置は、ガラス基板を洗浄液に浸漬することによってガラス基板を洗浄することができる。
【0099】
1つ以上の例示的な実施形態では、樹脂パターンがガラス基板に形成され、該樹脂パターンが部分的に除去されて、スクライブターゲット部分を形成する。その後、ガラス基板は、スクライブターゲット部分に形成されたスクライブラインに沿って切断され、それによって、該方法の生産性及び信頼性が改善される。
【0100】
図面を参照して、本開示の例となる実施形態を上で説明してきた。本明細書では実施形態を説明するために特定の用語が用いられているが、それらは、単に、本開示の例示的な実施形態を説明するために用いられ、以下の特許請求の範囲に記載される本開示の範囲を限定することを意図するものではない。したがって、当業者は、さまざまな修正及び他の同等の実施形態がそこから導き出されうることを理解するであろう。したがって、本開示の精神及び範囲は、添付の特許請求の範囲によって規定される。
【0101】
本明細書に記載される実施形態は、説明的な意味でのみ考慮されるべきであり、限定の目的ではないと理解されるべきである。各実施形態内の特徴又は態様の説明は、通常、他の実施形態における他の同様の特徴又は態様に利用可能であると見なされるべきである。
【0102】
1つ以上の実施形態について図を参照して説明してきたが、以下の特許請求の範囲によって定義される本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、その中で形態及び詳細のさまざまな変更を行うことができることが当業者によって理解されるであろう。
【0103】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0104】
実施形態1
ガラス基板の切断方法であって、
ガラス基板の第1の表面にレンチキュラーパターンを含む樹脂パターンを形成する工程;
レーザ光を使用することによって前記樹脂パターンの一部を除去する工程;
前記樹脂パターンの一部を除去する工程によって露出した前記第1の表面にスクライブラインを形成する工程;及び
前記スクライブラインに沿って前記ガラス基板を切断する工程
を含む、方法。
【0105】
実施形態2
前記樹脂パターンを形成する工程が、前記樹脂パターンの形成と同時に前記ガラス基板の隅部に基準マークを形成することを含む、実施形態1に記載のガラス基板の切断方法。
【0106】
実施形態3
前記ガラス基板を通る前記レーザ光の透過率が、前記樹脂パターンを通る前記レーザ光の透過率よりも高い、実施形態1に記載のガラス基板の切断方法。
【0107】
実施形態4
前記樹脂パターンの一部を除去する工程が、前記ガラス基板を実質的に除去することなく前記樹脂パターンの一部のみを選択的に除去することを含む、実施形態1に記載のガラス基板の切断方法。
【0108】
実施形態5
有効光学領域及び該有効光学領域を取り囲む外側領域が前記ガラス基板上に画成され、かつ
前記樹脂パターンが、前記有効光学領域に形成された光抽出パターンをさらに含む、
実施形態1に記載のガラス基板の切断方法。
【0109】
実施形態6
前記レンチキュラーパターンが前記有効光学領域から前記外側領域まで延在する、実施形態5に記載のガラス基板の切断方法。
【0110】
実施形態7
前記スクライブラインが、前記ガラス基板のエッジに近接する少なくとも1つの第1のスクライブラインと、前記ガラス基板の中心に近接する少なくとも1つの第2のスクライブラインとを含み、かつ
前記ガラス基板を切断する工程が、
前記第1のスクライブラインに沿って前記ガラス基板をポイントプレスすること;及び
前記第2のスクライブラインに沿って前記ガラス基板をラインプレスすること
を含む、実施形態1に記載のガラス基板の切断方法。
【0111】
実施形態8
前記第1の表面の法線と前記ガラス基板を切断することによって形成される切断面との間の角度が約1°以下である、実施形態1に記載のガラス基板の切断方法。
【0112】
実施形態9
導光板の製造方法において、
ガラス基板の第1の表面に樹脂パターンを形成する工程であって、前記樹脂パターンが、レンチキュラーパターン及び光抽出パターンを含み、前記レンチキュラーパターンが、前記第1の表面に平行な第1の方向に沿って延び、前記第1の表面に平行かつ前記第1の方向に実質的に垂直な第2の方向に列を成して配置され、前記光抽出パターンが、前記レンチキュラーパターンから前記第1の方向及び第2の方向に垂直な第3の方向に陥凹している、工程;
前記樹脂パターンの一部を除去することによって、前記ガラス基板の前記第1の表面を露出させるための第1及び第2のスクライビングターゲット部分を形成する工程;
前記第1及び第2のスクライビングターゲット部分に延びるスクライブラインを前記ガラス基板に形成する工程;及び
前記スクライブラインに沿って前記ガラス基板を切断する工程
を含む、方法。
【0113】
実施形態10
前記第1及び第2のスクライビングターゲット部分を形成する工程が、前記ガラス基板に対して透明波長のレーザ光を使用することによって前記第1及び第2のスクライビングターゲット部分を形成することを含む、実施形態9に記載の導光板の製造方法。
【0114】
実施形態11
前記ガラス基板を切断する工程で形成される前記ガラス基板の切断面が、前記第1の表面に実質的に垂直である、実施形態9に記載の導光板の製造方法。
【0115】
実施形態12
前記樹脂パターンの一部を除去する工程が、前記ガラス基板を損傷することなく前記樹脂パターンを選択的に除去することを含む、実施形態9に記載の導光板の製造方法。
【0116】
実施形態13
前記樹脂パターンを形成する工程が、前記ガラス基板の隅部に基準マークをさらに形成することを含む、実施形態9に記載の導光板の製造方法。
【0117】
実施形態14
前記第1及び第2のスクライビングターゲット部分を形成する工程が、それらの間に前記樹脂パターンをともなって、前記第1の方向又は前記第2の方向に互いに間隔を置いて配置された前記基準マークを結ぶ直線上に配置された前記樹脂パターンを除去することを含む、実施形態13に記載の導光板の製造方法。
【0118】
実施形態15
前記第1及び第2のスクライビングターゲット部分を形成する工程が、前記基準マークを除去することをさらに含む、実施形態13に記載の導光板の製造方法。
【0119】
実施形態16
前記第1のスクライビングターゲット部分が前記第1の方向に延び、前記第2のスクライビングターゲット部分が前記第2の方向に延びる、実施形態13に記載の導光板の製造方法。
【0120】
実施形態17
導光板の製造方法であって、
ガラス基板の第1の表面に樹脂パターン及び基準マークを形成する工程;
レーザ光を使用することによって前記樹脂パターンの一部及び前記基準マークを除去する工程;
前記樹脂パターンの少なくとも一部が除去される領域において前記ガラス基板にスクライブラインを形成する工程;及び
前記スクライブラインに沿って前記ガラス基板を切断する工程
を含む、方法。
【0121】
実施形態18
前記レーザ光の被写界深度が-3mm未満である、実施形態17に記載の導光板の製造方法。
【0122】
実施形態19
前記樹脂パターンの前記少なくとも一部を除去する工程が、前記レーザ光を100mm/秒以下の速度で前記樹脂パターンに照射することを含む、実施形態17に記載の導光板の製造方法。
【0123】
実施形態20
前記レーザ光の波長が約8μm~約12μmである、実施形態17に記載の導光板の製造方法。
【符号の説明】
【0124】
110 ガラス基板
120 樹脂パターン
110E 有効光学領域
110R 外側領域
123 基準マーク
【国際調査報告】