(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(54)【発明の名称】長時間作用型注射用製剤およびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 47/14 20060101AFI20220715BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20220715BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220715BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20220715BHJP
A61K 31/137 20060101ALI20220715BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20220715BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20220715BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20220715BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20220715BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20220715BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220715BHJP
A61K 47/28 20060101ALI20220715BHJP
A61K 31/5395 20060101ALI20220715BHJP
A61K 31/16 20060101ALI20220715BHJP
A61K 31/4706 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
A61K47/14
A61K47/44
A61K45/00
A61K47/26
A61K31/137
A61K31/573
A61K47/10
A61K47/24
A61P31/04
A61P25/04
A61P29/00
A61K47/28
A61K31/5395
A61K31/16
A61K31/4706
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569299
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(85)【翻訳文提出日】2021-12-03
(86)【国際出願番号】 US2020033839
(87)【国際公開番号】W WO2020242862
(87)【国際公開日】2020-12-03
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517430299
【氏名又は名称】ピードモント アニマル ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】デンプシー ゲイル エル.
(72)【発明者】
【氏名】ヘプラー ダグラス アイ.
(72)【発明者】
【氏名】エルクスレーベン ドロテア
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル マイケル エス.
(72)【発明者】
【氏名】ポールセン ニール イー.
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076BB11
4C076CC04
4C076CC32
4C076DD37A
4C076DD46
4C076DD59
4C076DD63
4C076DD66
4C076DD70
4C076EE23
4C076EE53
4C076FF31
4C076FF51
4C084AA03
4C084AA17
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4C084NA20
4C084ZA08
4C084ZB11
4C084ZB35
4C084ZC61
4C086AA01
4C086AA10
4C086BC29
4C086CB22
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA66
4C086NA12
4C086ZA08
4C086ZB11
4C086ZB35
4C086ZC61
4C206AA01
4C206AA10
4C206FA07
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA86
4C206NA12
4C206ZA08
4C206ZB11
4C206ZB35
4C206ZC61
(57)【要約】
本明細書では、皮下注射用の活性成分の長時間作用型で非水性の薬学的に許容される組成物が提供される。様々な実施形態では、この薬学的に許容される組成物は、一旦皮下注射されると粘度が増加し、それによって、薬学的活性作用物質の持続放出を提供するインサイチュー形成デポー(ISFD)を形成する、滅菌注射用液体である。ISFDは、皮下注射時に薬学的活性作用物質を沈殿させて捕捉するデポー形成剤によって、形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射用の薬学的に許容される組成物であって、
a)薬学的活性作用物質と、
b)約5.0~40.0w/w%の極性脂質と、
c)約5.0~70.0w/w%のトリグリセリド担体と
を含む、組成物。
【請求項2】
イソ酪酸酢酸スクロースをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記イソ酪酸酢酸スクロースが、最大約25.0~70.0w/w%で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
注射用の薬学的に許容される組成物であって、
a)薬学的活性作用物質と、
b)約5.0~70.0w/w%のイソ酪酸酢酸スクロースと、
c)約30.0~60.0w/w%の水混和性溶媒と
を含む、組成物。
【請求項5】
注射用の薬学的に許容される組成物であって、
a)薬学的活性作用物質と、
b)約5.0~70.0w/w%のイソ酪酸酢酸スクロースと、
c)約5.0~70.0w/w%のトリグリセリド担体と
を含む、組成物。
【請求項6】
前記薬学的活性作用物質が、抗菌剤、抗炎症剤、駆虫剤、鎮痛剤、制吐剤、ステロイド、鎮静剤、刺激剤、抗うつ剤、オピオイド、オピエート、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、カンナビノイド、および麻酔剤からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記抗菌剤が、抗生物質剤、抗ウイルス剤、または抗真菌剤である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記抗生物質剤が、マクロライド系抗生物質である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記マクロライド系抗生物質が、ドキシメクチン、アビメクチン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、ツラスロマイシン、ガミスロマイシン、ジリスロマイシン、フィダキソマイシン、メガロマイシン、エリスロマイシン、アジスロマイシン、またはこれらの組み合わせである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記抗真菌剤が、トリアゾール系抗真菌化合物である、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
前記抗真菌剤が、テルビナフィンである、請求項7に記載の組成物。
【請求項12】
前記抗炎症剤が、コルチコステロイドまたは非ステロイド性抗炎症薬である、請求項6に記載の組成物。
【請求項13】
前記抗生物質剤が、フルオロキノロンである、請求項7に記載の組成物。
【請求項14】
前記フルオロキノロンが、ベノフロキサシン、ビンフロキサシン、シノキサシン、シプロフロキサシン、ダノフロキサシン、ジフロキサシン、エノキサシン、エンロフロキサシン、フレロキサシン、イバフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、マルボフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オルビフロキサシン、ペフロキサシン、ピペミド酸、テマフロキサシン、トスフロキサシン、サラフロキサシン、スパルフロキサシン、またはこれらの組み合わせである、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
賦形剤をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記賦形剤が、ベンジルアルコール、エタノール、またはこれらの組み合わせである、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
ポリオキシルヒマシ油をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
大豆レシチン由来の水素添加ホスファチジルコリンをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
抗酸化剤をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記薬学的活性作用物質が、1.0~25.0w/w%の量で存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
コレステロールをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記極性脂質が、グリセロールモノオレエート、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノリノレエート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノラウレート、グリセロールモノミリスチン酸、グリセロールモノパルミチン酸、グリセロールモノミリストレイン酸、グリセロールモノパルミトレイン酸、グリセロールモノサピエン酸、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項23】
前記極性脂質が、グリセロールモノオレエート、グリセロールモノステアレート、またはこれらの組み合わせである、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記極性脂質が、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、グリセロホスホコリン、ホスファチジン酸、卵、大豆、菜種、キャノーラ、またはヒマワリ油由来のリン脂質、合成または天然に存在するリン脂質、水素添加または不飽和リン脂質、PEG化リン脂質、およびこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項25】
前記水混和性溶媒が、トリグリセリド、トリエチル、またはトリエステルである、請求項4に記載の組成物。
【請求項26】
前記トリグリセリドが、トリアセチンである、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記トリエチルが、クエン酸トリエチルである、請求項25に記載の組成物。
【請求項28】
少なくとも約100、500、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、10,000、15,000、または20,000ng/mlの前記薬学的活性作用物質が、哺乳動物に投与されると、少なくとも約48、60、72、84、96、108、120、132、144、156、168時間以上の間、対象の血流中に存在する、請求項1~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
対象における疾患または障害を治療する方法であって、有効量の請求項1~28のいずれか一項に記載の組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項30】
前記対象が、哺乳動物である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記対象が、イヌである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記対象が、ネコである、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記疾患または障害が、感染症である、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記疾患または障害が、疼痛または炎症である、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記疾患または障害が、炎症性疾患である、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
少なくとも約100、500、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、10,000、15,000、または20,000ng/mlの前記薬学的活性作用物質が、哺乳動物に投与されると、少なくとも約48、60、72、84、96、108、120、132、144、156、168時間以上の間、前記対象の血流中に存在する、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年5月24日に出願された米国仮特許出願第62/852,527号に対する優先権の恩典を主張する。前述の全内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は概して、長時間作用型で非水性の皮下注射用製剤に関し、より具体的には、特に哺乳動物で使用するための長時間作用型製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
背景情報
従来の長時間作用型注射は、懸濁液としての水性溶媒中の親油性薬物、または植物油に溶解した親油性薬物のいずれかからなる。難水溶性の塩製剤を使用して、薬物粒子の溶解速度を制御して吸収を延長することができる。しかしながら、注射部位、注射量、注射部位におけるデポーの拡散の程度、および油ビヒクルの吸収ならびに分散自体などのいくつかの他の因子は、薬物の全体的な薬物動態プロファイルに影響を与える可能性がある。
【0004】
生分解性ミクロスフィアシステムもまた、適切な生分解性ポリマーで作製された徐放性製剤で使用することができる。生分解性ミクロスフィアからの薬物分子の放出は、ポリマーマトリックスおよびポリマー分解を介した拡散によって制御される。制御された薬物送達のための様々な生分解性ポリマーは、過去数十年間にわたって集中的に研究された。Pandya et al.,International Journal of Biopharmaceutics 5(3):208-213(2014)(非特許文献1)を参照されたく、またMatschke et al.,Journal of Controlled Release 85(1-3):1-15(2002)(非特許文献2)も参照されたい。
【0005】
かかる従来の徐放性製剤の製造は、指摘されるように、追加の熱、蒸発工程、追加の圧力の印加(例えば、圧縮または押出を介して)、および/または完全に除去されない場合には潜在的な毒性を導入する可能性があるかなりの量の有機溶媒の使用を必要として、複雑で費用がかかる。また、標的種において治療効果の所望の開始および持続時間を達成するために、注射用剤形である薬物の放出を適切に制御することは困難である。したがって、哺乳動物に与えられなければならない投与回数/用量を最小限に抑えながら、哺乳動物に長期間の治療的緩和を提供する組成物およびより複雑でない方法を有することが望ましいであろう。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Pandya et al.,International Journal of Biopharmaceutics 5(3):208-213(2014)
【非特許文献2】Matschke et al.,Journal of Controlled Release 85(1-3):1-15(2002)
【発明の概要】
【0007】
本明細書では、長時間作用型で非水性の、注射用の薬学的に許容される組成物が提供される。
【0008】
一実施形態では、注射用の薬学的に許容される組成物は、
a)薬学的活性作用物質と、
b)約5.0~40.0w/w%の極性脂質、例えば、グリセロールモノオレエートおよび/またはグリセロールモノステアレートと、
c)約5.0~70.0w/w%のトリグリセリド担体と、を含む。
【0009】
任意に、組成物は、10.0、11.0、12.0、13.0、14.0、15.0、16.0、17.0、18.0、19.0または20.0w/w%を含む、最大約10.0~20.0w/w%で存在し得るアルコール(例えば、エタノールおよび/またはベンジルアルコール)などの賦形剤をさらに含む。
【0010】
任意に、組成物は、最大約5.0~50.0または70.0w/w%で存在し得るイソ酪酸酢酸スクロース(SAIB)をさらに含む。
【0011】
別の実施形態では、注射用の薬学的に許容される組成物は、
a)薬学的活性作用物質と、
b)約5.0~70.0w/w%のSAIBと、
c)約30.0~70.0w/w%の、トリアセチンなどの水混和性溶媒と、を含む。
【0012】
任意に、組成物は、10.0、11.0、12.0、13.0、14.0、15.0、16.0、17.0、18.0、19.0または20.0w/w%を含む、最大約10.0~20.0w/w%で存在し得るアルコール(例えば、エタノールおよび/またはベンジルアルコール)などの賦形剤をさらに含む。
【0013】
別の実施形態では、注射用の薬学的に許容される組成物は、
a)薬学的活性作用物質と、
b)約5.0~70.0w/w%のイソ酪酸酢酸スクロースと、
c)約5.0~70.0w/w%のトリグリセリド担体と、を含む。
【0014】
任意に、組成物は、約30.0~70.0w/w%の、トリアセチンなどの水混和性溶媒をさらに含む。
【0015】
任意に、組成物は、10.0、11.0、12.0、13.0、14.0、15.0、16.0、17.0、18.0、19.0または20.0w/w%を含む、最大約10.0~20.0w/w%で存在し得るアルコール(例えば、エタノールおよび/またはベンジルアルコール)などの賦形剤をさらに含む。
【0016】
様々な実施形態では、本発明の薬学的に許容される組成物において使用するためのアルコールとしては、1つ以上のアルコールおよび/またはグリコールが挙げられる。かかるアルコールは、薬学的に許容され、一般に、約20℃の室温で液体である。実例として、本発明の組成物で使用するためのアルコールまたはグリコールとしては、プロピレングリコール、エタノール、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール(Transcutol(登録商標))、ベンジルアルコール、グリセロール、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400などのうちの1つ以上を挙げることができる。
【0017】
様々な実施形態では、薬学的に許容される組成物は、一旦皮下注射されると粘度が増加し、それによって、薬学的活性作用物質の持続放出を提供するインサイチュー形成デポー(ISFD)を形成する、滅菌注射用液体である。ISFDは、皮下注射時に薬学的活性作用物質を沈殿させて捕捉するデポー形成剤によって、形成される。この沈殿物は、長期間にわたって薬学的活性作用物質を生分解および/または拡散させる半固体の水不溶性デポーを生じさせる。注目すべきことに、本発明の組成物は、哺乳動物に、皮下または筋肉内注射などの注射によって投与されるとき、薬学的活性作用物質の活性物質放出を少なくとも最大約48、60、72、84、96、108、120、132、144、156、168時間以上提供する。
【0018】
ある特定の態様では、例示的な製剤は、以下の表Iに記載されているとおりであり、ここではマルボフロキサシンは、任意の薬学的活性作用物質で置換され得る。
【0019】
【0020】
ある特定の態様では、例示的な製剤は、以下の表IIに記載されているとおりであり、ここではマルボフロキサシンは、任意の薬学的活性作用物質で置換され得る。
【0021】
【0022】
ある特定の態様では、例示的な製剤は、以下の表IIIに記載されているとおりであり、ここではマルボフロキサシンは、任意の薬学的活性作用物質で置換され得る。
【0023】
【0024】
ある特定の関連する態様では、例示的な製剤は、以下の表IVに記載されているとおりであり、ここではマルボフロキサシンは、任意の薬学的活性作用物質で置換され得る。
【0025】
【0026】
ある特定の関連する態様では、例示的な製剤は、以下の表Vに記載されているとおりであり、ここではテルビナフィンは、任意の薬学的活性作用物質で置換され得る。
【0027】
【0028】
ある特定の関連する態様では、例示的な製剤は、以下の表VIに記載されているとおりであり、ここではフロルフェニコールは、任意の薬学的活性作用物質で置換され得る。
【0029】
【0030】
ある特定の関連する態様では、例示的な製剤は、以下の表VIIに記載されているとおりであり、ここではフロルフェニコールは、任意の薬学的活性作用物質で置換され得る。
【0031】
【0032】
ある特定の態様では、薬学的活性作用物質は、約0.25~25.0w/w%の量で存在する。他の態様では、トリグリセリドは、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドであるか、またはカプリル酸トリグリセリドである。他の実施形態では、トリグリセリドは、最大約70.0w/w%±10.0w/w%の量で存在する。いくつかの態様では、組成物は、ベンジルアルコールおよび/またはエタノール、ならびに任意に粉砕されたコレステロールなどのコレステロールをさらに含み、それぞれ、製剤の約1.0~20.0w/w%、約1.0~20.0w/w%、および約1.0~2.0または3.0w/w%の量で存在する。他の態様では、組成物は、滅菌されており、注射による投与のために製剤化される。
【0033】
本発明の製剤を投与することにより、対象における疾患または障害(例えば、感染症、炎症性障害または疼痛)を治療する方法もまた、本明細書に提供される。驚くことに、本発明の製剤中に提供されたときの臨床的に有効な量の薬学的活性作用物質は、投与後約48、60、72、84、96、108、120、132、144、156、168時間以上の間、対象の血流中に存在する。様々な実施形態では、単一の、または複数の薬学的活性作用物質は、単一の製剤で投与される。実施形態では、いずれもブプレノルフィンまたはモルヒネと任意に組み合わされた、マルボフロキサシン、テルビナフィン、ツラスロマイシンを含む本発明の製剤は、ネコまたはイヌなどの伴侶動物に送達される。
【0034】
ある特定の態様では、マルボフロキサシンおよび/またはツラスロマイシンを含む製剤は、尿路感染症または他の微生物感染症などの感染症のためのイヌの治療に特に好適である。
【0035】
ある特定の態様では、テルビナフィンを含む製剤は、白癬または他の微生物感染症などの感染症のためのネコの治療に特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の一実施形態におけるデータを描写するグラフィック表現である。
【
図2】本発明の一実施形態におけるデータを描写するグラフィック表現である。
【
図3】本発明の一実施形態におけるデータを描写するグラフィック表現である。
【
図4】本発明の一実施形態におけるデータを描写するグラフィック表現である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
発明の詳細な説明
以下の用語、定義、および略語が適用される。本明細書で使用される略語は、化学および生物分野においてそれらの慣習的な意味を有する。
【0038】
「対象」という用語は、本開示の方法によって治療される哺乳類生物を指す。かかる生物としては、飼いイヌおよびネコなどの伴侶動物が挙げられるが、これに限定されない。本開示の文脈において、「対象」という用語は、一般に、以下に記載される治療(例えば、本開示の組成物の投与)を受ける予定か、または受けたことがある個体を指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、「患者」または「対象」は、ヒトまたは非ヒト哺乳類動物のいずれかを指す。非ヒト動物には、あらゆる非ヒト哺乳類動物も含まれる。かかる非ヒト動物には、齧歯類、非ヒト霊長類(例えば、サルおよび類人猿)、有蹄類、ヒツジ、ウシ、反芻動物、ウサギ類、ブタ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、マウスなどが含まれ得るが、これらに限定されない。本発明のある特定の実施形態において、動物は、哺乳動物である。いくつかの実施形態では、動物としては、飼いイヌおよびネコなどの伴侶動物が挙げられるが、これに限定されない。本開示の文脈において、「対象」という用語は、一般に、以下に記載される治療(例えば、本開示の組成物の投与)を受ける予定か、または受けたことがある個人を指す。
【0040】
「治療有効量」という用語は、研究者、獣医、医師、または他の臨床医が得ようとしている患者または組織の生物的または医学的応答を誘発するであろう化合物または薬学的組成物の量を意味する。
【0041】
「薬学的に許容される」という意味において、担体、希釈剤、または賦形剤は、製剤の他の成分と適合しなければならず、かつそれらの受容者に対して有害であってはならない。
【0042】
化合物「の投与」およびまたは化合物「を投与する」という用語は、治療を必要とする対象に本開示の化合物または薬学的組成物を提供することを意味すると理解されたい。
【0043】
数値についての「約」という用語は、特に明記しない限り、数値が数値の上および下にわずかな変動の範囲を含むことを意味し、例えば、1という値は、最大0.5~1.5、およびその間のすべての数値を含むと理解されるであろう。
【0044】
実施形態では、本発明の薬学的組成物は、(i)極性脂質、(ii)カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドなどの中鎖トリグリセリド担体、および(iii)任意にSAIBを含む担体中での、マルボフロキサシン、フロルフェニコール、テルビナフィン、ツラスロマイシンおよび/またはブプレノルフィンなどの活性物質、または以下に開示されるものなどの他の薬学的活性作用物質の滅菌注射用液体の形態である。
【0045】
実施形態では、本発明の薬学的組成物は、(i)SAIB、(ii)カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドなどの中鎖トリグリセリド担体、および(iii)任意に極性脂質を含む担体中での、マルボフロキサシン、フロルフェニコール、テルビナフィン、ツラスロマイシンおよび/またはブプレノルフィンなどの活性物質、または以下に開示されるものなどの他の薬学的活性作用物質の滅菌注射用液体の形態である。
【0046】
一実施形態では、極性脂質は、グリセロールモノオレエート、グリセロールモノステアレート、またはこれらの組み合わせである。
【0047】
ある特定の態様では、極性脂質は、グリセロールモノオレエート、グリセロールモノステアレート、グリセロールモノリノレエート、グリセロールモノカプリレート、グリセロールモノカプレート、グリセロールモノラウレート、グリセロールモノミリスチン酸、グリセロールモノパルミチン酸、グリセロールモノミリストレイン酸、グリセロールモノパルミトレイン酸、グリセロールモノサピエン酸、またはこれらの任意の組み合わせである。
【0048】
ある特定の態様では、極性脂質は、グリセロールモノオレエート、グリセロールモノステアレート、またはこれらの組み合わせである。
【0049】
ある特定の態様では、極性脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、グリセロホスホコリン、ホスファチジン酸、卵、大豆、菜種、キャノーラ、もしくはヒマワリ油由来のリン脂質、合成もしくは天然に存在するリン脂質、水素添加もしくは不飽和リン脂質、PEG化リン脂質、またはこれらの任意の組み合わせである。
【0050】
別の実施形態では、本発明の薬学的組成物は、(i)SAIB、および(ii)水混和性溶媒を含む担体中での、マルボフロキサシン、フロルフェニコール、テルビナフィン、ツラスロマイシンおよび/またはブプレノルフィンなどの活性物質、または以下に開示されるものなどの他の薬学的活性作用物質の滅菌注射用液体の形態である。一実施形態では、水混和性溶媒は、トリアセチンである。
【0051】
ある特定の態様では、水混和性溶媒は、トリグリセリド、トリエチル、トリエステル、またはこれらの組み合わせである。実施形態では、水混和性溶媒は、トリアセチン、クエン酸トリエチル、またはこれらの組み合わせである。
【0052】
存在する場合、トリグリセリドは、約5.0~70.0w/w%、または10.0~60.0w/w%、または30.0~55.0w/w%の量で存在する。いくつかの実施形態では、トリグリセリドは、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、またはこれらの任意の組み合わせである。例えば、トリグリセリドは、カプリル酸/カプリン酸(C8および/もしくはC10)トリグリセリドまたはカプリル(C8)トリグリセリドなどの中鎖トリグリセリドである。実施形態では、トリグリセリドは、カプリル酸とカプリン酸との混合物であり、混合物は、約40.0~85.0%のカプリル酸および約15.0~60.0%のカプリル酸を含むか、または混合物は、約50.0~80.0%のカプリル酸および約20.0~50.0%のカプリル酸を含むか、または混合物は、約65.0~80.0%のカプリル酸および約20.0~35.0%のカプリル酸を含むか、または混合物は、約50.0~65.0%のカプリル酸および約30.0~45.0%のカプリル酸を含む。一実施形態では、トリグリセリドは、商品名MIGLYOL(商標)で販売されている、固体形態のグリセリンを含む飽和ココナッツおよびパーム核油由来カプリル酸/カプリン酸脂肪酸混合物などの脂肪酸エステル皮膚軟化剤であってもよい。別の実施形態では、トリグリセリドは、CAPTEX(商標)8000などの商品名CAPTEX(商標)で販売されている、飽和ココナッツ油およびパーム核油由来カプリル酸/カプリン酸脂肪酸混合物などの脂肪酸エステル皮膚軟化剤であってもよい。
【0053】
組成物中で使用されるトリグリセリドは、モノグリセリドまたはジグリセリドで完全に置換もしくは補充され得、その脂肪酸部分は飽和または不飽和であり、好ましくは飽和であり、6~30個の炭素原子を含有することが理解されよう。いくつかの実施形態では、グリセリドの脂肪酸部分は、18~24個の炭素原子、より好ましくは20~22個の炭素原子を含有する。
【0054】
本明細書で使用される「飽和」という用語は、炭素-炭素単結合のみを含有する脂肪酸部分、例えば、アルキル基を指す。本明細書で使用される場合、「不飽和」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合または三重結合(例えば、アルケニル基、-CH2=CH2-、またはアルキニル基、-CH≡CH-)を含有する脂肪酸部分を指す。存在し得る任意のアルケニル基は、シス形状またはトランス形状のいずれかで存在し得る。いくつかの実施形態では、脂肪の脂肪酸部分は、1つ以上のアルケニル基を有する飽和または不飽和のいずれかである。
【0055】
組成物はまた、組成物の約5.0~40.0w/w%、または10.0~40.0w/w%、または15.0~30.0w/w%、または17.0~25.0w/w%、または19.0~21.0w/w%、例えば約20.0w/w%の量で、グリセロールモノオレエートおよび/またはグリセロールモノステアレートなどの極性脂質を含有してもよい。
【0056】
組成物はまた、組成物の約5.0~70.0w/w%、または5.0~65.0w/w%、または10.0~55.0w/w%、または10.0~45.0w/w%、または15.0~40.0w/w%、例えば約35.0~40.0w/w%の量でSAIBを含有してもよい。
【0057】
組成物はまた、組成物の約30.0~60.0w/w%、または30.0~55.0w/w%、または35.0~50.0w/w%、または35.0~45.0w/w%、または37.0~45.0w/w%、例えば約40.0~45.0w/w%の量で、トリグリセリド(例えば、トリアセチン)、トリエチルおよび/またはトリエステルなどの水混和性溶媒を含有してもよい。
【0058】
組成物はまた、組成物の約1.0~10.0w/w%、または1.0~7.0w/w%、または1.0~5.0w/w%、または1.0~4.0w/w%、または2.0~4.0w/w%、例えば約3.0w/w%の量で、粉砕されたコレステロールなどのコレステロール粒子を含有してもよい。
【0059】
組成物はまた、賦形剤を含有してもよい。ある特定の態様では、賦形剤は、エタノールまたはベンジルアルコールである。ある特定のかかる実施形態では、賦形剤は、約1~20%、5~20%、または10~20w/w%、例えば、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20w/w%の量で存在する。他の好適な賦形剤としては、エタノール、2-エトキシ(2-エトキシ)エタノール、オレイン酸エチル、酢酸エチル、安息香酸エチル、ベンジルアルコール、グリセロール、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、安息香酸ベンジル、ミリスチン酸イソプロピル、イソプロピルアルコール、2-ピロリドン、DMSO、ポリビニルピロリドン(例えば、PVP K17)、炭酸プロピレン、グリコフロール、N-メチルピロリドン、プロピレングリコール、アセトン、酢酸メチル、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、カプロラクタム、デシルメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、カプロラクタム、デシルメチルスルホキシド、およびオレイン酸、1-ドデシルアザシクロロヘプタノン-2-オンが挙げられる。ある特定の実施形態では、ベンジルアルコールおよび/またはエタノールは、約1~25%、1~20%、5~20%、5~15%、例えば、約5~15w/w%の量で存在する。実施形態では、ベンジルアルコールは、約5~20%、10~20%、10~15%、または15~20w/w%の量で存在し、エタノールは、約1~10%、2~10%、3~8%、4~7%、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10w/w%の量で存在する。
【0060】
さらに、薬学的活性作用物質は、その水和された形態であり得るが、混合中または混合後に本組成物に水は添加されない。したがって、本明細書に記載される組成物は、実質的に非水性であり、例えば、組成物は、約3.0、2.5、2.0、1.5、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.1、0.5、または0.1w/w%未満の水性物質、例えば、水を有する。
【0061】
組成物の成分のいずれかまたはすべては、それらの脱水形態またはそれらの無水形態で含まれ得る。
【0062】
例示的な製剤は、以下の表VIIIに記載されているとおりであり、ここではマルボフロキサシンは、任意の薬学的活性作用物質で置換され得る。
【0063】
【0064】
例示的な製剤は、以下の表IXに記載されているとおりであり、ここではマルボフロキサシンは、任意の薬学的活性作用物質で置換され得る。
【0065】
【0066】
例示的な製剤は、以下の表Xに記載されているとおりであり、ここではマルボフロキサシンは、任意の薬学的活性作用物質で置換され得る。
【0067】
【0068】
例示的な製剤は、以下の表XIに記載されており、ここで、マルボフロキサシンは、任意の薬学的活性作用物質で置換され得る。
【0069】
【0070】
例示的な製剤は、以下の表XIIに記載されており、ここで、テルビナフィンは、任意の薬学的活性作用物質で置換され得る。
【0071】
【0072】
本発明の実施形態による他の例示的な製剤は、表XIIIに記載されており、ここでは、薬学的活性作用物質は、任意の活性物質で置換され得る。
【0073】
【0074】
本発明の実施形態による他の例示的な製剤は、表XIVに記載されており、ここでは、薬学的活性作用物質は、任意の活性物質で置換され得る。
【0075】
【0076】
本発明の実施形態による他の例示的な製剤は、表XVに記載されており、ここでは、薬学的活性作用物質は、任意の活性物質で置換され得る。
【0077】
【0078】
別の例示的な製剤は、以下の表XVIに記載されており、ここでは、フロルフェニコールは、任意の薬学的活性作用物質で置換され得る。
【0079】
【0080】
別の例示的な製剤は、以下の表XVIIに記載されており、ここでは、フロルフェニコールは、任意の薬学的活性作用物質で置換され得る。
【0081】
【0082】
例示的な製剤は、以下の表XVIIIに記載されており、ここでは、テルビナフィンは、任意の薬学的活性作用物質で置換され得る。
【0083】
【0084】
本発明の実施形態による他の例示的な製剤は、表XIXに記載されており、ここでは、薬学的活性作用物質は、任意の活性物質で置換され得る。
【0085】
【0086】
ある特定の関連する態様では、例示的な製剤は、以下の表XXに記載されているとおりであり、ここではテルビナフィンは、任意の薬学的活性作用物質で置換され得る。
【0087】
【0088】
本発明の実施形態による他の例示的な製剤は、表XXIに記載されており、ここでは、薬学的活性作用物質は、任意の活性物質で置換され得る。
【0089】
【0090】
いくつかの実施形態では、組成物は、界面活性剤、例えば、ヒマシ油、水素添加ヒマシ油、またはポリオキシルヒマシ油、例えば、KOLLIPHOR(登録商標)ELP、KOLIPHOR(登録商標)HS15、KOLIPHOR(登録商標)RH40、またはトコフェロールポリエチレングリコールコハク酸塩(TPGS)、ポリソルベート(例えば、20および80)、またはレシチンを含む。実施形態では、界面活性剤は、約0.01~10%、0.05~10%、0.5~5.0%、または1.5~4.5%の量で存在する。例えば、実施形態では、組成物は、最大または約0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、または4.0w/w%の量のポリオキシルヒマシ油を含む。
【0091】
製剤はまた、抗酸化剤または防腐剤などの他の不活性成分を含み得る。本製剤には、没食子酸プロピル、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、MTG(モノチオグリセロール)、クエン酸トリエチル、クエン酸、TBHQ(tert-ブチルヒドロキノン)などの抗酸化剤を添加してもよい。抗酸化剤は、一般に、約0.01~約2.0%(w/w)の量で製剤に添加される。ある特定の実施形態では、抗酸化剤は、約0.01~2.0%、0.05~2.0%、0.5~2.0%、または0.5~1.5%の量で存在する。例えば、実施形態では、組成物は、最大、または約.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、または2.0w/w%の量のMTGおよび/またはクエン酸を含む。例えば、実施形態では、組成物は、最大、または約0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、または2.0w/w%の量のBHTおよび/または没食子酸プロピルを含む。
【0092】
パラベン(メチルパラベンおよび/またはプロピルパラベン)などの防腐剤は、約0.01~約2.0w/wの範囲の量で製剤に好適に使用される。
【0093】
本発明の製剤は、プロセスの任意の工程中に混合物に水を添加することなく調製され得る。
【0094】
本開示は、疾患または障害を治療するのに有効な量の少なくとも1つの薬学的活性作用物質、および薬学的に許容されるビヒクルを含む、薬学的組成物を提供する。本明細書の製剤のいずれかに記載される薬学的活性作用物質は、抗菌剤、抗炎症剤、および鎮痛剤が挙げられるが、これらに限定されない、多様な薬学的活性作用物質で置換または増強され得ることに留意されたい。薬学的活性作用物質は、水和されていてもよく、例えば、分子の一水和物または二水和物形態であってもよい。
【0095】
本明細書に記載の製剤に使用するための好適な薬学的活性作用物質は、活性薬学的成分または複数の活性成分の組み合わせである。かかる活性薬剤としては、例示にすぎないが、駆虫剤、鎮痛剤、制吐剤、抗炎症剤、ステロイド、鎮静剤、抗菌剤、刺激剤、抗うつ剤、オピオイド、オピエート、NSAID、カンナビノイド、および麻酔剤が挙げられる。
【0096】
実施形態では、活性薬剤は、抗ウイルス剤、抗生物質、または抗真菌剤などの抗菌剤である。
【0097】
したがって、本開示は、微生物感染などの疾患または障害を治療するのに有効な量の少なくとも1つの抗ウイルス剤、抗菌剤、または抗真菌剤、および薬学的に許容されるビヒクルを含む、組成物を提供する。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の製剤に使用するための抗ウイルス剤は、インテグラーゼ阻害剤である。インテグラーゼ阻害剤の例としては、カボテグラビル、エルビテグラビル、クルクミン、クルクミンの誘導体、チコリン酸、チコリン酸の誘導体、3,5-ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸の誘導体、アウリントリカルボン酸、アウリントリカルボン酸の誘導体、カフェイン酸フェネチルエステル、カフェイン酸フェネチルエステルの誘導体、チルホスチン、チルホスチンの誘導体、ケルセチン、ケルセチンの誘導体、ラルテグラビル、ドルテグラビル、JTK-351、ビクテグラビル、AVX-15567、ジケトキノリン-4-1誘導体、インテグラーゼ-LEDGF阻害剤、ledgins、M-522、M-532、NSC-310217、NSC-371056、NSC-48240、NSC-642710、NSC-699171、NSC-699172、NSC-699173、NSC-699174、およびスチルベン二スルホン酸、T-169が挙げられる。
【0099】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の製剤に使用するための抗ウイルス剤は、レムデシビル、アバカビル、アシクロビル、アデフォビル、ブリブジン、シドフォビル、クレブジン、ジダノシン、エドクスジン、エムトリシタビン、エンテカビル、ファムシクロビル、フロクスウリジン、ガンシクロビル、イドクスウリジン、イノシンプラノベックス、ラミブジン、ペンシクロビル、ソリブジン、スタブジン、リバビリン、テルビビブジン、テノフォビル、トリフルリジン、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ビダラビン、ザルシタビン、およびジドブジンなどのヌクレオシド類似体であるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、抗ウイルス剤は、エボラウイルス、ジカウイルス、インフルエンザまたはコロナウイルス、例えば、コロナウイルス疾患2019(COVID-19)、SARS関連コロナウイルス(SARS-CoV)、または中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)によって引き起こされる感染性疾患の治療または予防に有効なものである。
【0100】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の製剤に使用するための抗菌剤は、フルオロキノロン系抗生物質である。フルオロキノロンは、とりわけ以下の文書:米国特許第4,670,444号(Bayer AG)、米国特許第4,472,405号(Riker Labs)、米国特許第4,730,000号(Abbott)、米国特許第4,861,779号(Pfizer)、米国特許第4,382,892号(Daiichi)、米国特許第4,704,459号(Toyama)に開示されている化合物であり、利用され得る具体例は、ベノフロキサシン、ビンフロキサシン、シノキサシン、シプロフロキサシン、ダノフロキサシン、ジフロキサシン、エノキサシン、エンロフロキサシン、フレロキサシン、イバフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、マルボフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、オルビフロキサシン、ペフロキサシン、ピペミド酸、テマフロキサシン、トスフロキサシン、サラフロキサシン、スパルフロキサシンである。
【0101】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の製剤に使用するための抗菌剤は、アンフェニコール系抗生物質である。アンフェニコール系抗生物質としては、クロラムフェニコール、チアンフェニコール、アジダンフェニコール、およびフロルフェニコールを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0102】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の製剤に使用するための抗菌剤は、テトラサイクリン、クリンダマイシンまたはリンコマイシンである。
【0103】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の製剤に使用するための抗菌剤は、マクロライド系抗生物質である。マクロライド系抗生物質としては、メクチン(ドキシメクチンおよびアビメクチンが挙げられるが、これらに限定されない)、マイシン(ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、ツラスロマイシン、ガミスロマイシン、ジリスロマイシン、フィダキソマイシン、メガロマイシン、エリスロマイシンなどが挙げられるが、これらに限定されない)、およびアジスロマイシンなどのアジリドを挙げることができるが、これらに限定されない。活性作用物質は、典型的には、水和されており、例えば、分子の一水和物または脱水形態である。
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される製剤で使用するための抗真菌剤は、トリアゾール系抗真菌剤である。トリアゾール系抗真菌剤としては、クロトリマゾール、ケトコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、エコナゾール、ブトコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、テルコナゾール、ポサコナゾール、およびボリコナゾールを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0105】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される製剤で使用するための抗真菌剤は、チオカルバメート系抗真菌剤である。チオカルバメート系抗真菌剤としては、トルナフテートを挙げることができるが、これに限定されない。
【0106】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される製剤で使用するための抗真菌剤は、ポリエン系抗真菌剤である。ポリエン系抗真菌剤としては、ナイスタチンを挙げることができるが、これに限定されない。
【0107】
一実施形態では、本明細書に記載の製剤に使用するための抗真菌剤は、テルビナフィンである。
【0108】
本開示は、疼痛または炎症などの疾患または障害を治療するのに有効な量の少なくとも1つの抗炎症剤、および薬学的に許容されるビヒクルを含む、組成物を提供する。
【0109】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の製剤に使用するための抗炎症剤は、H1またはH2遮断薬である。H1遮断薬の例としては、クレマスチンおよびテルフェナジンが挙げられるが、これらに限定されない。H2遮断薬の例としては、シメチジン、ファモチジン、ニザチジン、およびラニチジンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の製剤に使用するための抗炎症剤は、NSAIDである。本明細書で使用される場合、「NSAID」という用語は、鎮痛、抗炎症、および解熱特性を有する治療用化合物の分類を指す。NSAIDは、シクロオキシゲナーゼを遮断することにより炎症を低減する。NSAIDは、それらの化学構造または作用機序に基づいて分類され得る。NSAIDの非限定的な例には、サリチラート誘導体NSAID、p-アミノフェノール誘導体NSAID、プロピオン酸誘導体NSAID、酢酸誘導体NSAID、エノール酸誘導体NSAID、フェナム酸誘導体NSAID、非選択的シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、選択的シクロオキシゲナーゼ1(COX-1)阻害剤、および選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)阻害剤が含まれる。NSAIDは、プロフェンであり得る。好適なサリチラート誘導体NSAIDの例としては、アセチルサリチル酸(アスピリン)、ジフルニサル、ヒドロキシルエチル サリチラート、およびサルサラートが挙げられるが、これらに限定されない。好適なp-アミノフェノール誘導体NSAIDの例には、パラセタモールおよびフェナセチンが挙げられるが、これらに限定されない。好適なプロピオン酸誘導体NSAIDの例には、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、デクスケトプロフェン、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、プラノプロフェン、およびスプロフェンが挙げられるが、これらに限定されない。好適な酢酸誘導体NSAIDの例には、アセクロフェナク、アセメタシン、アクタリット、アクロフェナク(Alcofenac)、アロキシピリン(Aloxipirin)、アンフェナク、アミノフェナゾン、アントラフェニン(Antraphenine)、アザプロパゾン、ベノリラート、ベンジダミン、ブチブフェン、クロルテノキサジン(Chlorthenoxacine)、コリンサリチラート、クロメタシン(Clometacin)、ジクロフェナク、エモルファゾン、エピリゾール、エトドラク、フェクロブゾン、フェルビナク、フェンブフェン、フェンクロフェナク、グラフェニン、インドメタシン、ケトプロフェン、ラクチルフェネチジン、メタミゾール、メチアジン酸、モフェブタゾン、モフェゾラク、ナブメトン、ニフェナゾン、ニフルミン酸、オキサメタシン、ピペブゾン、プロピフェナゾン、プロクアゾン、プロトジン酸(Protozininc Acid)、サリチルアミド、スリンダク、チアラミド、チノリジン、およびゾメピラクが挙げられるが、これらに限定されない。好適なエノール酸(オキシカム)誘導体NSAIDの例には、ドロキシカム、イソキシカム、ロルノキシカム、メロキシカム、ピロキシカム、およびテノキシカムが挙げられるが、これらに限定されない。好適なフェナム酸誘導体NSAIDの例には、フルフェナム酸、メフェナム酸、メクロフェナム酸、およびトルフェナム酸が挙げられるが、これらに限定されない。好適な選択的COX-2阻害剤の例には、セレコキシブ、エトリコキシブ、フィロコキシブ、ルミラコキシブ、メロキシカム、パレコキシブ、ロフェコキシブ、およびバルデコキシブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
本明細書に記載の製剤中で使用するための特定のNSAIDは、コキシブである。本明細書で使用される場合、「コキシブ」という用語は、選択的シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害剤または「COX-2阻害剤」を指す。
【0112】
実施形態では、コキシブは、当技術分野で既知の任意のコキシブ、例えば、決して限定するものではないが、マバコキシブ、ロフェコキシブ、セレコキシブ、シミコキシブ、デラコキシブ、フィロコキシブ、ロベナコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、エトリコキシブ、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0113】
いくつかの実施形態において、コキシブは、コキシブ分類の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)である、マバコキシブである(ATCvetコードQM01AH92)。マバコキシブ-4-[5-(4-フルオロフェニル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-1-イル]ベンゼンスルホンアミドが、イヌにおける骨関節炎と関連する慢性疼痛および炎症の治療において使用される。
【0114】
いくつかの実施形態において、コキシブは、「クロメンコキシブ」であり、式(I)のCOX-2選択的阻害剤の構造的分類のメンバー:
またはその異性体もしくは薬学的に許容される塩であるか、あるいは式(II)の化合物:
またはそれらの異性体もしくは薬学的に許容される塩である。
【0115】
本発明の組成物の使用のための式(I)および(II)の化合物の特定の異性体または薬学的に許容される塩としては、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(±)-6-(トリフルオロメトキシ)-2-(トリフルオロメチル)-2H-クロメン-3-カルボキシレート、(±)-6-(トリフルオロメトキシ)-2-(トリフルオロメチル)-2H-クロメン-3-カルボン酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(R)-6-(トリフルオロメトキシ)-2-(トリフルオロメチル)-2H-クロメン-3-カルボキシレート、(R)-6-(トリフルオロメトキシ)-2-(トリフルオロメチル)-2H-クロメン-3-カルボン酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(S)-6-(トリフルオロメトキシ)-2-(トリフルオロメチル)-2H-クロメン-3-カルボキシレート、および(S)-6-(トリフルオロメトキシ)-2-(トリフルオロメチル)-2H-クロメン-3-カルボン酸が挙げられる。
【0116】
本発明の組成物は、抗炎症剤以外の鎮痛剤、例えば、ブプレノルフィン、モルヒネを含むアヘン剤、または局所麻酔薬、例えば、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、プロカイン、ペンタゾシン、ベンゾカイン、シントカイン、テトラカイン、ジンジカイン、アルチカイン、ブピバカイン、ブタニリカイン、クロロプロカイン、または例えば、ポリドカノールを含み得る。
【0117】
さらに、本組成物は、コルチコステロイドまたはホルモン、特にコルチゾンおよびコルチコイド、例えば、グルココルチコイド(例えば、コルチゾン、クロプレドノール、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デフラザコート、フルオコルトロン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン)およびミネラルコルチコイド(例えば、アルドステロン、デスオキシコルチコステロン、フルドロコルチゾン)などの、抗炎症効果を部分的に有し得る、上記に列挙される鎮痛剤以外の鎮痛剤としての二次効果を有し得る抗炎症剤も含み得る。
【0118】
一実施形態では、組成物は、アムシノニド、安息香酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、バレラ酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、クロコルトロンピバレート、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾンリン酸ナトリウム、酢酸ジフロラゾン、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、フランドレノリド、プロピオン酸フルチカソン、ハルシノニド、プロピオン酸ハロベタゾール、ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロチゾン、フロ酸モメタゾン、酢酸プレドニソロン、トリアムシノロンアセトニド、およびこれらの組み合わせから選択されるコルチコステロイドを含む。
【0119】
本開示の薬学的に活性な化合物は、天然形態または塩形態として組成物に製剤化されてもよい。薬学的に許容される非毒性塩としては、例えばナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または水酸化第二鉄などの無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、2-エチルアミノ-エタノール、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基に由来し得る塩基付加塩(遊離カルボキシルまたは他の陰イオン基で形成される)が挙げられる。かかる塩はまた、任意の遊離カチオン基を有する酸付加塩として形成されてもよく、一般に、例えば、塩酸、硫酸、もしくはリン酸などの無機酸、または酢酸、クエン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸を用いて形成される。本開示の塩は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸などの無機酸を用いたアミノ基のプロトン化によって形成されるアミン塩を含む。本開示の塩はまた、p-トルエンスルホン酸、酢酸などの好適な有機酸を用いたアミノ基のプロトン化によって形成されるアミン塩を含んでもよい。
【0120】
本開示の実施において使用されることが企図される追加の賦形剤は、当業者にとって利用可能なものであり、例えば、米国薬局方第XXII巻および国民医薬品集(National Formulary)第XVII巻、U.S.Pharmacopeia Convention,Inc.,Rockville,Md.(1989)で見られるものであり、これらの関連する内容は、参照により本明細書に組み込まれる。加えて、化合物の多形体、水和物、および溶媒和物が本開示に含まれる。水和物の分子により薬学的組成物に水分が与えられるが、他の水供給源が含まれないことが予想されることに留意されたい。
【0121】
本組成物は、投薬単位形態において好都合に存在され得、医薬品分野で周知の方法のいずれかにより調製され得る。すべての方法は、1つ以上の副成分を構成する担体と活性成分とを会合させる工程を含む。概して、薬学的組成物は、意図する経路、具体的には注射を介する投与に好適な担体と活性成分とを均等にかつ本質的に会合させることにより調製される。薬学的組成物中、活性化合物は、疾患のプロセスまたは状態において所望の効果を生み出すのに十分な量で含まれる。
【0122】
本発明の組成物に関して、薬学的活性作用物質は、単回の皮下注射(より高い用量の使用を可能にする)によって投与される必要があるのみであり、これは、疾患または障害を臨床的に解消するための治療の全工程の間で1回である。しかしながら、薬学的活性作用物質は、疾患または障害を臨床的に解消するために必要な期間にわたって、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ超の一連の皮下注射によって投与されてもよい。これに関して、「臨床的に解消する」は、必要な時間、例えば、少なくとも約48、60、72、84、96、108、120、132、144、156、168時間以上の間、動物の血流中(少なくとも約1.0ng/ml)の臨床的に有意な測定可能な活性の存在を参照することにより測定され得る。しかしながら、任意の特定の患者に対する特定の投薬量レベルおよび投薬の頻度は変動してもよく、これは、用いられる特定の化合物の活性、代謝安定性および化合物の作用の長さ、年齢、体重、全般的な健康、性別、日常の食事、投与の様式および回数、排泄率、薬物の組み合わせ、特定の状態の重篤度を含む様々な要因に左右されることが理解されるであろう。
【0123】
同様に、本開示の製剤は、単回注射時に疾患または障害の少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%の治癒率を達成することが予想される。製剤を投与された患者は、投与から1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21日以内に、少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%の治癒を示すことが予想される。
【0124】
本明細書で使用されるとき、「治癒率」は、感染症、疼痛、もしくは炎症などの疾患または障害を解消する際の臨床的有効性を指す。実施形態では、疾患または障害は、単回投与後、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21日未満の期間内に、約75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99超、または最大100%の有効性で解消される。
【0125】
実施形態では、適切な活性物質濃度レベルは、概して、すべて単回注射形態で、約0.01~約500.0mg/ml、または約0.1~約250.0mg/ml、例えば、約0.25~500.0mg/ml、1.0~400.0mg/ml、5.0~250.0mg/ml、1.0~100.0mg/ml、5.0~150.0mg/ml、10.0~250.0mg/ml、10.0~200.0mg/ml、15.0~250.0mg/ml、または15.0~200.0mg/ml(すべての中間投与量を含む)などである。
【0126】
実施形態では、適切な活性物質濃度レベルは、概して、すべての単回注射形態で、約0.1~約30.0mg/mlまたは約0.1~約25.0mg/ml、例えば、約0.25~30.0mg/ml、1.0~25.0mg/ml、1.0~10.0mg/ml、5.0~15.0mg/ml、10.0~25.0mg/ml、10.0~20.0mg/ml、15.0~25.0mg/ml、または15.0~20.0mg/ml(すべての中間投与量を含む)などである。
【0127】
実施形態では、本発明の組成物を対象に投与すると、少なくとも約10、50、100、500、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、10,000、15,000、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、45,000、または50,000ng/mlの薬学的活性作用物質が、哺乳動物への投与の際、少なくとも約48、60、72、84、96、108、120、132、144、156、168時間以上、対象の血流中に存在する。様々な実施形態では、本発明の組成物を対象に投与すると、少なくとも約10、50、100、500、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、10,000、15,000、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、45,000、または50,000ng/mlの薬学的活性作用物質が、哺乳動物の対象への単回投与の際、少なくとも約48、60、72、84、96、108、120、132、144、156、168時間以上、対象の血流中に存在する。
【0128】
本発明の製剤は、哺乳動物、特に伴侶動物、ならびにとりわけネコおよびイヌにおいて特に有用である。
【0129】
以下の実施例は、本発明の実施形態をさらに例示するために提供されるが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。それらは典型的に使用され得るであろう実施例であるが、当業者に既知である他の手順、方法論、または技法も代替的に使用され得る。
【実施例】
【0130】
実施例I
製剤
尿路感染症(UTI)を治療するためにイヌに皮下注射するために以下のマルボフロキサシン含有製剤を調製した。
【0131】
【0132】
実施例II
本発明の製剤の薬物動態
表XXIIの製剤(製剤22)を、約20mg/kgの投薬濃度で、イヌに皮下注射によって投薬した。
図1(点線)に示されるように、本組成物の投与後にマルボフロキサシンの血中濃度は、160時間超の間、臨床的に有意なレベル(約1ng/ml超)を示した。
【0133】
実施例III
本発明の製剤の薬物動態
表XXIIの製剤(製剤23)を、約20mg/kgの投薬濃度で、イヌに、皮下注射によって投薬した。
図1(実線)に示されるように、本組成物の投与後にマルボフロキサシンの血中濃度は、160時間超の間、臨床的に有意なレベル(約1ng/ml超)を示した。
【0134】
実施例IV
製剤
以下のフロルフェニコール含有製剤を調製した。
【0135】
【0136】
実施例V
本発明の製剤のインビトロ動態
表XXIIIの製剤についてインビトロ放出速度を分析した。
【0137】
製剤を配合した。容器に600mLのリン酸緩衝液を入れ、平衡化させた。6インチのステンレス鋼針を備えた1mLのシリンジを使用して、各容器に1.0mLの製剤を導入し、デポーを形成した。各容器から約2mLの培地を時間間隔(T0(3時間)、T1(24時間)、T2(48時間)、T3(72時間)、T5(120時間)、および無限大)で回収し、分光光度計でUV吸光度を測定して、デポーから放出される活性物質のパーセントを決定した。
【0138】
結果を
図2に示す。製剤59および60の両方について、100%の放出は150時間を超えることが証明された。
【0139】
実施例VI
本発明の製剤の薬物動態
UTIを治療するためのイヌへの皮下注射用に、マルボフロキサシンを含有する表VIIIからの製剤37を調製した。約15mg/kgおよび約20mg/kgの投薬濃度で、製剤37による皮下注射によって、イヌに投薬した。
図3は、Zeniquin(登録商標)と比較したPK曲線を示す。約20mg/kgの投薬濃度で投与された製剤37について、マルボフロキサシンの潜在的な膀胱濃度を決定し、Zeniquin(登録商標)と比較して、より高い量のマルボフロキサシンがより長い期間にわたって膀胱に放出されていることを示す。
【0140】
実施例VII
本発明の製剤の薬物動態
イヌへの皮下注射用にテルビナフィンを含有する表XXの製剤を調製した。製剤を、約30mg/kgの投薬濃度で皮下注射することによって、イヌに投薬した。
図4は、投与時の血漿および組織中のテルビナフィンの濃度(皮膚パンチ分析による)を示す。
【0141】
本開示の目的は上記の実施例に関連して記載されているが、修正および変形形態が本開示の趣旨および範囲内に包含されることが理解されるであろう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。
【国際調査報告】