(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(54)【発明の名称】ラインを直線化するための直線化装置、直線化装置における少なくとも1つの回転可能なローラを制動するための方法、直線化装置を有するケーブル処理機、およびケーブル処理機のためのアップグレードキット
(51)【国際特許分類】
B21F 1/02 20060101AFI20220715BHJP
【FI】
B21F1/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569384
(86)(22)【出願日】2020-05-19
(85)【翻訳文提出日】2021-11-22
(86)【国際出願番号】 IB2020054722
(87)【国際公開番号】W WO2020234758
(87)【国際公開日】2020-11-26
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599122503
【氏名又は名称】シュロニガー アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザーレ アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】フォークト オットー
【テーマコード(参考)】
4E070
【Fターム(参考)】
4E070AA01
4E070AB14
4E070AC01
4E070BB01
(57)【要約】
本発明は、ライン(11)を搬送経路に沿って直線化するための直線化装置(15)に関するものであり、第1のローラ列(21)と第2のローラ列(31)とを有し、これらは互いに対して移動可能であり、ローラ列(21、31)の間をライン(11)の搬送経路が走行する、直線化機構(20)を備え、2つのローラ列(21、31)のうちの少なくとも1つが、複数の回転可能なローラ(25、35)を備えている。直線化機構(20)の2つのローラ列(21、31)のうちの少なくとも1つのローラ列の、回転可能なローラ(25、35)のうちの少なくとも1つを制動する、制動装置(40)が設けられている。本発明はさらに、直線化装置(15)の2つのローラ列(21、31)のうちの少なくとも1つのローラ列の、少なくとも1つの回転可能なローラ(25、35)を制動する方法と、直線化装置(15)を備えたケーブル処理機と、ケーブル処理機のためのアップグレードキットとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライン(11)、特に電気ラインまたは光学ラインを、搬送経路(16)に沿って直線化するための直線化装置(15;15a)であって、
第1のローラ列(21)と第2のローラ列(31)とを有し、これらは互いに対して移動可能であり、ローラ列(21,31)の間をラインの搬送経路が走行する、直線化機構(20;20a~20d)を備え、
2つの前記ローラ列(21,31)のうちの少なくとも1つは、複数の回転可能なローラ(25,35)を備え、
前記直線化機構(20;20a~20d)の2つのローラ列(21,31)のうちの少なくとも1つのローラ列の、前記回転可能なローラ(25,35)のうちの少なくとも1つを制動するための、特に、前記直線化機構(20;20a~20d)の2つのローラ列(21,31)のうちの少なくとも1つのローラ列の、前記回転可能なローラ(25,35)のうちの複数を制動するための、制動装置(40)が設けられていることを特徴とする、直線化装置(15;15a)。
【請求項2】
作動状態では、前記制動装置(40)は、少なくとも部分的に、前記直線化機構(20;20a~20d)の回転可能なローラ(25,35)の少なくとも1つ、特に、前記直線化機構(20;20a~20d)の複数の回転可能なローラ(25,35)と、非接触の制動作用接続状態にあることを特徴とする、請求項1に記載の直線化装置(15;15a)。
【請求項3】
前記非接触の制動作用接続は、調整可能であり、特に、少なくとも1つの前記回転可能なローラ(25,35)の、回転可能な外側リング(25a)に作用することを特徴とする、請求項2に記載の直線化装置(15;15a)。
【請求項4】
前記制動装置(40)は磁気制動装置であり、前記磁気制動装置は、少なくとも1つの永久磁石(41~44)または少なくとも1つの電磁石を含み、前記磁気制動装置は、特に渦電流ブレーキまたはヒステリシスブレーキであり、さらに、有利には、前記制動装置(40)は、少なくとも1つの永久磁石(41~44)、特に、複数の永久磁石(41~44)を受け入れるための磁石ホルダ(45)を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の直線化装置(15;15a)。
【請求項5】
前記制動装置(40)は、少なくとも1つの前記回転可能なローラ(25,35)から離間していることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の直線化装置(15;15a)。
【請求項6】
前記制動装置(40)は、制動装置(40)が非作動状態にある第1の位置から、少なくとも、制動装置(40)が作動状態にある第2の位置まで、制動装置(40)を少なくとも部分的に移動させるための位置決め装置(50)を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の直線化装置(15;15a)。
【請求項7】
前記位置決め装置(50)は、ハウジング(51)を有し、特に、前記ハウジングは、ガイド部(52)を有することを特徴とする、請求項6に記載の直線化装置(15;15a)。
【請求項8】
前記位置決め装置(50)は、少なくとも1つの前記回転可能なローラ(25,35)に対して、少なくとも磁石ホルダ(45)を空気圧的、油圧的、または電気的に調整する駆動装置(55)を有することを特徴とする、請求項6または7に記載の直線化装置(15;15a)。
【請求項9】
前記磁石ホルダ(45)は、少なくとも2つの永久磁石(41~44)を有し、前記永久磁石のそれぞれの磁性S極は、本質的に同じ方向を向いていることを特徴とする、請求項4~8のいずれか1項に記載の直線化装置(15;15a)。
【請求項10】
前記磁石ホルダ(45)における少なくとも1つの永久磁石(41~44)は、ネオジム磁石であることを特徴とする、請求項4~9のいずれか1項に記載の直線化装置(15;15a)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の直線化装置(15;15a)における少なくとも1つのローラ列(21,31)の少なくとも1つの回転可能なローラ(25,35)を制動する方法であって、
少なくとも1本のライン(11)を直線化するステップであって、前記少なくとも1本のライン(11)が、前記直線化装置(15;15a)を通して引っ張られるステップと、
前記直線化装置(15;15a)における少なくとも1つのローラ列(21,31)の回転可能なローラ(25,35)の少なくとも1つを制動装置(40)で制動するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
前記制動装置(40)は、前記制動装置(40)が非作動状態にある第1の位置から、少なくとも部分的に、前記制動装置(40)が作動状態にある第2の位置まで、移動されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記制動装置(40)は、前記直線化装置(15;15a)のローラ列(21,31)の少なくとも1つの回転可能なローラ(25,35)に対する非接触の制動作用を有することを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~10のいずれか1項に記載の直線化装置(15;15a)を備えるケーブル処理機(70)であって、
前記直線化装置(15;15a)は、特にコンテナ(75)の直後に配置され、有利には、さらに、制動装置(40)を制御するための制御装置(80)が存在し、特に、この制御装置(40)は、直線化機構(20;20a~20d)を制御するように設計されていることを特徴とする、ケーブル処理機(70)。
【請求項15】
直線化機構(20;20a~20d)の少なくとも1つのローラ列(21,31)の回転可能なローラ(25,35)のうちの少なくとも1つを制動するための、特に、直線化機構(20;20a~20d)の少なくとも1つのローラ列(21,31)の複数の回転可能なローラ(25,35)を制動するための、制動装置(40)を備えることを特徴とする、ケーブル処理機のためのアップグレードキット(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載のラインを直線化する直線化装置と、請求項11に記載の直線化装置において少なくとも1つの回転可能なローラを制動する方法と、請求項14に記載の直線化装置を有するケーブル処理機と、請求項15に記載のケーブル処理機のためのアップグレードキットとに関する。
【背景技術】
【0002】
産業における電子アセンブリの数が増加するにつれて、ケーブルセットの品質およびアセンブリ間のケーブル接続に対する要求も増加する。それゆえ、引き込みから切断およびさらなる処理においてケーブル処理機の処理ステーションでラインまたはケーブルを常にチェックして、ラインへの損傷を回避することが、より重要である。
【0003】
また、必要とされるラインの数が増加することは、ケーブル処理機がより高速に動作しなければならないことを意味する。ケーブル処理機の処理量は、大きな経済的要因であり、品質に加えて、顧客の購入決定にとって決定的である。
【0004】
ケーブル加工のための完全に自動の機械は、切断すること、剥離すること、圧着すること、ねじること、および錫めっきすることのような加工プロセスを可能な限り迅速に実行できなければならない。ラインの溶接および処理されたラインの自動巻き付けのようなさらなる処理ステップが、任意に利用可能である。この目的のために、エンドレスラインは、典型的には、ケーブルドラムまたはケーブル容器のようなコンテナからケーブル処理機内に引き込まれ、直線化機構によって直線化される。直線化するプロセスは、ラインを緩め、その固有のねじれを最小限に抑え、軸方向に整列した方法でさらに処理することを可能にする。
【0005】
欧州特許出願公開第2399856号明細書は、上側および下側のローラ列を有するラインを直線化するための直線化機構を開示している。これらの2つのローラ列は、互いに対して移動することができ、ラインの搬送経路は、2つのローラ列の間を走行する。ローラ列は、ラインを直線化するための複数の回転するローラを有する。
【0006】
特開昭62-248528号公報は、ワイヤのねじり張力を最小限に抑え、次いで螺旋ばねを生成するために、圧延、延伸、および焼戻しされた鋼ワイヤを直線化するための装置を開示している。この装置は、各々が2つの直線化ローラ列を有する2つの直線化機構を含み、直線化機構は、2つの平面においてワイヤを機械的に直線化する。
【0007】
公知の装置の欠点は、これらの装置では、最終停止プロセス中に、直線化されるラインが、ローラの摩擦と、ライン内またはワイヤ内の撓み力とによってのみ制動されることである。
【0008】
欧州特許出願公開第3290370号明細書は、ワイヤを供給装置に供給するためのワイヤ走行装置を開示している。ワイヤ装置は、ブレーキローラと、圧力要素としての圧力ローラとを有する制動装置を含む。ブレーキローラおよび加圧ローラは、互いに対向して配置され、互いに対して移動可能である。ブレーキローラと加圧ローラとの間のワイヤに圧力が加えられ、それによって必要に応じてブレーキがかけられる。
【0009】
この公知の装置の欠点は、ワイヤが機械的に制動され、ワイヤ内に高レベルの摩擦に基づく熱が発生し、その結果、制動されたときにワイヤが変形することである。
【0010】
米国特許出願公開第3,881,578号明細書は、鉄道車両の走行車輪の回転運動を制動するためのブレーキブロックを備えた鉄道車両用の磁石支援制動装置を開示している。電圧を受けることができる磁気コイルは、走行車輪間の強磁性接続部品上に配置され、強磁性ブレーキブロックと共に、走行車輪および固定レールを通る閉磁気回路を形成し、磁束の助けを借りて、ブレーキブロックの付加的な引力制動摩擦力が走行車輪に生成される。
【0011】
公知の解決策の欠点は、この磁石補助制動装置では、走行車輪に高レベルの摩擦熱が発生し、したがって、この制動装置はケーブル処理機には適していないことである。
【0012】
鉄道車両のための上述の解決策のための一般的な制動装置は、中国特許出願公開第102556102号明細書に開示されており、この開示は、鉄道車両の走行車輪の直接の制動を開示しておらず、ケーブル処理機のための制動装置としても適していない。
【0013】
独国特許出願公開第102013002020号明細書は、巻取り材料ドラムおよび可動敷設アームを有するロープ状巻取り材料を巻取るための巻取り装置を開示している。敷設アーム上には巻取り材料ブレーキとして渦電流ブレーキが配置され、巻取り材料ブレーキは、必要であれば、巻取り材料ドラムから離れる方向に向けられた制動力を巻取り材料に伝達する。巻取り材料に制動力が発生すると、巻取り材料は、巻取り材料ブレーキに向かって下方に移動する方向にプレテンションがかけられる。
【0014】
この公知の装置の欠点は、巻取り材料ブレーキの制動力が巻取り材料に直接作用し、引張応力が巻取り材料に加えられ、その結果、巻取り材料が不可避的に変形することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2399856号明細書
【特許文献2】特開昭62-248528号公報
【特許文献3】欧州特許出願公開第3290370号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第3,881,578号明細書
【特許文献5】中国特許出願公開第102556102号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第102013002020号明細書
【発明の概要】
【0016】
本発明の目的は、従来技術の1つ以上の欠点を克服することである。特に、直線化されるラインを制動するときの摩擦効果に基づく、直線化されるラインへの損傷が防止される直線化装置、および、直線化されるラインの穏やかな制動を可能にする、直線化装置の1つのローラ列における少なくとも1つの回転可能なローラの制動のための方法の創作が意図される。さらに、直線化されたラインの品質要件を高く保つことができ、直線化中に損傷したラインに基づく処理プロセスの中断を防止することができる直線化装置を備えたケーブル処理機、および、1つのケーブル処理機を用いてケーブル処理機用のアップグレードキットが創作されてよい。
【0017】
この目的は、独立請求項に規定された装置および方法によって達成される。有利なさらなる展開は、図面、説明、および特に従属請求項に記載されている。
【0018】
搬送経路に沿ってラインを直線化するための本発明による直線化装置は、第1のローラ列と第2のローラ列とを有する直線化機構を含み、ローラ列は互いに対して移動可能であり、その間をラインの搬送経路が通り、2つのローラ列のうちの少なくとも1つは、複数の回転可能なローラを有し、直線化機構の2つのローラ列のうちの少なくとも1つのローラ列の、回転可能なローラのうちの少なくとも1つを制動するための制動装置が設けられる。
【0019】
制動装置は、ラインが直線化されるときに回転する2つのローラ列のうちの少なくとも1つのローラに制動効果を及ぼすように設計され、それによって、このローラの効果的な制動が、直線化されるラインを機械的に過負荷にしたり変形させたりすることなく可能になる。直線化されるラインは、ライン引き込み装置の助けを借りて直線化機構を通って引っ張られる。ラインを直線化するときの直線化機構内のラインの引き込み速度が速く、その結果、ローラ列における回転するローラの回転エネルギーが大きいため、高度に動的なライン引き込み装置を停止させると、通常、ラインは、直線化機構とライン引き込み装置との間でループを形成する。このループ形成は、直線化装置のローラ列における回転するローラの慣性に起因し、コンテナからの後続するライン長によって形成される。ラインにおけるループは、その後、ラインがケーブル処理機内の構成要素上に引っ掛かることにつながる可能性があり、その結果、製造を停止しなければならなくなる。直線化装置を用いて直線化プロセスを再び開始すると、以前に生成されたラインループがライン引き込み装置によって平滑化され、ライン引き込み装置によるラインの急激な加速が不可避的にもたらされ、これは、直線化されたラインに長さ誤差を生じさせる。2つのローラ列の少なくとも一方で回転するローラを制動装置で直接制動することにより、直線化装置とライン引き込み装置との間の前述のループ形成が防止され、前述の欠点が回避される。特に、製造を停止する必要がなく、結果として生じるラインの長さ誤差が防止される。
【0020】
ループの形成と、それに起因するラインの損傷の可能性を防止することは、電気ラインまたは光ラインの場合に特に有利であり、その理由は、これらのラインは、これらの前述の影響を特に受けやすく、直線化されたラインの品質を大幅に低下させるからである。
【0021】
特に、制動装置は、直線化機構の2つのローラ列のうちの少なくとも1つのローラ列の複数の回転可能なローラを制動するように設計され、その結果、制動プロセスにおける効率をさらに高めることができ、それによって、直線化されるラインがさらに保護される。2つのローラ列は、互いに対して移動可能であるように、直線化装置上に配置される。
【0022】
好ましくは、作動状態では、制動装置は、少なくとも部分的に、2つのローラ列のうちの少なくとも1つにおける回転可能なローラのうちの少なくとも1つと非接触の制動作用接続状態にある。作動状態では、制動装置は、2つのローラ列のうちの少なくとも1つにおける少なくとも1つの回転可能なローラに制動作用を及ぼし、その結果、その回転速度が低減される。制動装置は、このローラに接触せず、その結果、この制動されたローラにおいて、機械的摩擦効果に基づく熱の蓄積は生じない。
【0023】
特に、作動状態では、制動装置は、2つのローラ列のうちの少なくとも1つにおけるこれらの複数の回転可能なローラに摩擦熱を生じさせることなく、複数の回転可能なローラと非接触の制動作用接続状態にある。本明細書に記載された制動装置は、直線化されるラインに、当該制動装置を用いなければ伝達される摩擦熱を防止し、この摩擦熱は、例えば、電力絶縁体の変形を引き起こし、したがって、そのライン絶縁層を損傷する。
【0024】
非接触の制動作用接続は、好ましくは調整可能である。したがって、少なくとも1つの回転可能なローラに作用する制動速度、したがって減速は、ラインの直径、ラインの種類、またはライン絶縁層の厚さなど、直線化されるラインの異なる特性に適合させることができる。さらに、所望の制動効果を、直線化装置内のラインの引き込み速度に適合させることができ、その結果、ラインは、制動中にさらに保護される。
【0025】
特に、少なくとも1つの回転可能なローラは、内側リングおよび外側リングを含み、内側リングと外側リングとの間に、ボール列などの転動体ユニットが配置されている。内側リングは、ボールベアリングと、その上に回転可能に配置された外側リングとを、直線化機構の第1または第2のローラ列の固定シャフト上に固定するために使用され、内側リングは、この固定シャフト上に強固に配置される。回転可能な外側リングは、転動体ユニットの助けを借りてこのシャフト上に回転可能に配置され、ライン引き込み速度に従って回転することができる。
【0026】
あるいは、少なくとも1つの回転可能なローラは、直線化機構上の回転可能に取り付けられたシャフト上に配置され、この回転可能なシャフトに強固に接続される。回転可能なシャフトは、その回転可能なシャフトに配置されたローラと共に、回転軸の周りに回転し、この回転軸は、回転可能なシャフトの長手方向範囲に沿って延在する。このようにして、少なくとも1つの回転可能なローラは、第1のローラ列または第2のローラ列に容易に回転可能に取り付けることができる。
【0027】
特に、非接触の制動作用接続は、少なくとも1つの回転可能なローラの、回転可能な外側リングに作用する。したがって、制動中の減速は、より大きな半径を有する回転可能なローラの領域に作用し、したがって、高いトルクを有する領域に作用し、その結果、非接触の制動作用接続の有効性がさらに増大する。
【0028】
有利には、少なくとも1つの回転可能なローラの回転可能な外側リングは、直線化されるラインを案内するための溝を有する。このようにして、直線化されるべきラインが直線化機構から離れるという所望されない事象を、防止することができる。
【0029】
特に、非接触の制動作用接続は、ローラ列の複数の回転可能なローラのうちの少なくとも1つのさらなるローラ、特にそれぞれのローラの、回転可能な外側リングに作用し、それによって制動作用がさらに改善される。
【0030】
好ましくは、制動装置は磁気制動装置であり、磁気制動装置は、少なくとも1つの永久磁石または少なくとも1つの電磁石を含む。永久磁石または電磁石のような磁石を用いて、少なくとも1つの回転するローラに対する制動作用の簡単かつ効率的な制御または調整が可能である。
【0031】
有利には、永久磁石は、円筒形または円盤形であり、その結果、それらは、簡単かつ、使用に特有のやり方で制動装置内に配置され得る。制動装置における永久磁石の形状のさらなる代替実施形態の例は、正方形、環形状、円形、または弓形である。
【0032】
特に、磁気制動装置は渦電流ブレーキである。少なくとも1つの回転するローラにおける渦電流ブレーキによって誘導される渦電流は、磁力線によって生成され、このローラの1つの回転するローラまたは回転する外側リングを制動する力の系が生成される。回転するローラまたはこのローラの回転する外側リングにおける結果として生じる加熱、およびそれから直線化されるラインに伝達される熱は、直線化されるラインが機械的に制動されるときの直線化されるラインの熱と比較して無視できる。
【0033】
あるいは、磁気制動装置は、少なくとも2つの永久磁石と、少なくとも2つの永久磁石を移動させるための位置決め装置とを備えるヒステリシスブレーキである。ここに記載される少なくとも1つの回転可能なローラは、ヒステリシスブレーキの、磁性材料、例えば強磁性材料からなるヒステリシスディスクまたはヒステリシスリングとして設計される。少なくとも2つの永久磁石は、少なくとも1つの回転可能なローラに力線の流れを生じさせる。対向する磁極は最低のトルクをもたらすという動作原理がここで適用される。しかしながら、磁石のS極とN極がヒステリシスディスクの円周に沿って交互になっている場合、最も強い再磁化が起こり、トルクが最大になる。磁極重ね合わせの角度を変えることによって、トルクを連続的に調整可能であり、接触面がないので、調整は無期限に保持される。少なくとも1つの回転可能なローラに加えられるトルクは、このローラの回転数とは無関係であり、したがって、静止から最大回転数まで均等に分配される。
【0034】
有利には、ローラの回転可能な外側リングは、導電性材料、例えば、鋼、銅、アルミニウムなどで作られる。回転可能な外側リングが回転している限り、少なくとも1つの回転可能ローラの回転する外側リングにおける永久磁石の磁力線を介して渦電流の形で制動作用を発生させることが可能である。少なくとも1つの回転可能ローラの回転する外側リングに発生する渦電流は、高い回転速度で最も強く、回転速度が低下すると恒常的に減少する。少なくとも1つの回転可能なローラの回転可能な外側リングにおける渦電流は、非接触で、かつ非常に効果的に外側リングの回転を制動する。外側リングが回転していないとき、渦電流は発生しない。
【0035】
有利には、制動装置は、少なくとも1つの永久磁石を受け入れるための磁石ホルダも有する。磁石ホルダは、永久磁石を制動装置上に容易に配置することを可能にする。少なくとも1つの永久磁石は、磁石ホルダ上に取り外し可能に配置することができ、その結果、磁石ホルダから分離することができ、永久磁石は、工具なしで交換することができる。
【0036】
特に、制動装置は、複数の永久磁石を受け入れるための磁石ホルダを有し、その結果、複数の永久磁石が制動作用接続に同時に寄与することができ、それによって、制動作用は、2つのローラ列のうちの少なくとも1つにおける少なくとも1つの回転可能なローラ上の複数の永久磁石によって改善される。
【0037】
好ましくは、制動装置は、少なくとも1つの回転可能なローラから、離間している。制動装置は、少なくとも1つの回転可能なローラから水平方向に離間して配置され、かつ/または垂直方向に離間して配置され、その結果、非接触の制動装置は、単純で省スペースの構造を有する。少なくとも1つの回転可能なローラからの制動装置の離間は、制動装置の構成要素がユーザにとって容易にアクセス可能であるので、制動装置の簡単な修理を可能にする。
【0038】
好ましくは、制動装置は、制動装置が非作動状態にある第1の位置から、少なくとも、制動装置が作動状態にある第2の位置まで、制動装置を少なくとも部分的に移動させるための位置決め装置を備える。非作動状態では、ローラ列における少なくとも1つの回転可能なローラに制動作用は全くなく、その結果、ラインの直線化は、主として抵抗なしに実施することができる。制動装置から少なくとも1つの回転可能なローラまでの距離が短縮されるので、制動装置は、位置決め装置の助けを借りて直接作動させることができ、その結果、制動作用が、ローラ列におけるこの少なくとも1つの回転可能なローラに生じる。
【0039】
特に、位置決め装置は、回転可能なローラの回転軸に対して本質的に垂直に、少なくとも1つの回転可能なローラに垂直方向に接近する、持ち上げ装置として設計される。これにより、簡単な位置決め装置を実現することができる。
【0040】
代替的に、位置決め装置は、本質的に回転可能なローラの回転軸に沿って、制動装置を水平にオフセットするように設計され、その結果、位置決め装置は、直線化するローラ列のうちの1つのローラ列の領域において、場所を取らずに配置され得る。
【0041】
有利には、磁石ホルダは、磁石ホルダまたは磁石が非作動状態にある第1の位置から、磁石ホルダまたは磁石が作動状態にある少なくとも第2の位置まで、移動させることができる。このようにして、制動装置の少なくとも1つの構成要素、すなわち磁石ホルダが、制動装置上に移動可能に配置される。したがって、移動可能な構成要素の数を減らすことができ、その結果、制動装置は、構造的により単純で、より費用効果の高い方法で構成される。
【0042】
位置決め装置は、有利には、電気クランク駆動装置として構成されている。電気クランク駆動装置の助けを借りて、制動装置または磁石ホルダは、第1の位置からさらなる位置へ迅速かつ連続的にまたは恒常的に移動させることができる。
【0043】
好ましくは、位置決め装置は、ハウジングを有し、その結果、位置決め装置の移動可能な構成要素が覆われ、高レベルのセキュリティが提供される。さらに、このようにして、位置決め装置上にラインループが形成されること、または、直線化装置の直線化機構内にラインループが形成されることを防止することができる。
【0044】
特に、ハウジングは、制動装置を直線化機構上に正確かつ再現可能に配置することができるように、ガイド部を有する。
【0045】
好ましくは、位置決め装置は、少なくとも1つの回転可能なローラに対して、少なくとも磁石ホルダを空気圧的、油圧的、または電気的に調整する駆動装置を有する。この駆動装置は、回転可能なローラに対する磁石ホルダの制御可能な調整を可能にし、これは、有利には、磁石ホルダと少なくとも1つの回転可能なローラとの間の距離を連続的に調整する。
【0046】
有利には、位置決め装置は、プレテンションばねなどの少なくとも1つの弾性要素を有するエンドプレートを備える。弾性要素の助けを借りて、少なくとも磁石ホルダは、プレテンション可能な様式で制動装置上に配置され、その結果、制動装置または磁石ホルダが磁石の非作動状態から磁石の作動状態に移動されるときの磁石ホルダの傾斜を防止することができる。
【0047】
好ましくは、磁石ホルダは、少なくとも2つの永久磁石を有し、それぞれの磁性S極は、本質的に同じ方向を向いている。したがって、永久磁石の既存の磁界は、同じ磁力線を有し、その結果、少なくとも1つの回転可能なローラと制動装置との間の制動作用接続が強化される。
【0048】
好ましくは、磁石ホルダにおける少なくとも1つの永久磁石は、ネオジム磁石である。ネオジム磁石は、特に高い磁界強度を有し、堅牢であるので、制動装置は、メンテナンスサービスをほとんど必要としない。
【0049】
本発明による、直線化装置における少なくとも1つのローラ列における少なくとも1つの回転可能なローラを制動する方法は、本明細書に記載されるように、少なくとも、
少なくとも1本のラインを直線化するステップであって、少なくとも1本のラインが、直線化装置を通して引っ張られるステップと、
直線化装置における少なくとも1つのローラ列における回転可能なローラのうちの少なくとも1つを制動装置で制動するステップと、
を含む。
【0050】
この方法は、直線化されるラインに機械的に負荷をかけたり変形させたりすることなく、ローラ列の1つにおいてこの回転可能なローラが効果的に制動されることを可能にする。したがって、既に上述したように、これは、ラインがループするのを防止する。
【0051】
有利には、直線化されるラインは、コンテナから巻き戻され、直線化装置内に引き込まれる。ここで、コンテナとしては、本明細書に記載されるように、ケーブルドラム、巻取り材料、ケーブル容器等であり、例えば、エンドレスラインを配置することにより、短時間で多くのエンドレスラインのライン長を直線化することができる。
【0052】
好ましくは、直線化装置の少なくとも1つのローラ列における少なくとも1つの回転可能なローラの前述の制動の前に、制動装置は、少なくとも部分的に、制動装置が非作動状態にある第1の位置から、少なくとも、制動装置が作動状態にある第2の位置まで、移動される。制動装置の非作動状態では、ローラ列の少なくとも1つの回転可能なローラには、制動作用接続がなされない。このようにして、少なくとも1つの回転可能なローラは、永久的に制動されず、その結果、ローラ列の少なくとも1つの回転可能なローラにおける永久的な熱形成が防止される。
【0053】
有利には、直線化装置のローラ列の少なくとも1つの回転可能なローラの前述の制動の前に、制動装置の磁石ホルダは、制動装置の磁石ホルダが非作動状態にある第1の位置から、少なくとも、制動装置の磁石ホルダが作動状態にある第2の位置まで、移動される。
【0054】
好ましくは、制動装置は、直線化装置の少なくとも1つのローラ列の少なくとも1つの回転可能なローラに対する非接触の制動作用を有する。これは、機械的摩擦による熱の蓄積を防止し、その結果、少なくとも1つの回転可能なローラは、長い耐用年数を有し、したがって、長いメンテナンスサービス間隔を有する。
【0055】
本発明によるケーブル処理機は、上述のような直線化装置を備える。本明細書に記載されるように、ケーブル処理機は、切断すること、剥離すること、圧着すること、ねじること、および錫めっきすることなど、様々な加工プロセスを含む。これらの処理プロセスを中断することなく実行することができるように、本明細書に記載の直線化装置は、直線化機構とライン引き込み装置との間のループの形成を防止する。
【0056】
特に、上述の直線化装置は、コンテナの直後に配置される。典型的には、エンドレスラインは、ケーブル処理機に引き込まれ、それらのライン長は、前述の処理プロセスで直線化され、さらに処理され、特に、所望の長さに切断される。
【0057】
好ましくは、制動装置を制御するための制御装置が存在する。制御装置は、少なくとも部分的に、制動装置が非作動状態にある第1の位置から、少なくとも、制動装置が作動状態にある第2の位置まで、制動装置を移動させるように設計されている。
【0058】
特に、制動装置を制御するための制御装置は、選択スイッチとして設計され、これにより、制動装置は、作動状態に永久的に維持されることができるか、または、これにより、制動装置は、非作動状態または作動状態に交互に維持されることができ、ここで、制動装置は、直線化装置またはケーブル処理機の機械サイクルにおいて、第1の位置から第2の位置まで移動される。
【0059】
代替的にまたは追加的に、制動装置の磁石ホルダを制御するための制御装置が設けられている。この制御装置は、制動装置の磁石ホルダを、制動装置の磁石ホルダが非作動状態にある第1の位置から、少なくとも、制動装置の磁石ホルダが作動状態にある第2の位置まで、移動させるように設計されている。
【0060】
代替的にまたは追加的に、制動装置の電磁石を制御するための制御装置が存在する。この制御装置は、電磁石内の電流を制御し、したがって電磁石の磁界を調整するように設計されている。このようにして、少なくとも1つのローラ列の回転可能なローラ上の磁気制動作用接続を連続的に調整することができる。
【0061】
代替的にまたは追加的に、制御装置は、直線化機構を制御するように設計される。直線化機構における第1のローラ列および/または第2のローラ列の移動は、典型的には、制御装置の助けを借りて制御され、その結果、ラインの直線化は、制御された再現可能な様式で実行され得る。本明細書に記載の制動装置および直線化機構を制御装置で制御することにより、直線化機構における少なくとも1つの回転可能なローラの制動を、ラインを直線化する際の直線化機構における第1および/または第2のローラ列の移動と調整することが可能になる。
【0062】
特に、ケーブル処理機は、上述のような少なくとも1つのさらなる直線化機構を有し、少なくとも1つのさらなる直線化機構は、第1の直線化機構に対して90°に配置され、2つの直線化機構は、互いに距離を置いて互いに隣接して配置される。
【0063】
本明細書に記載されるように、互いに対して90°の配置は、さらなる直線化機構のローラの回転軸に対して90°回転された第1直線化機構のローラの回転軸の配置を意味する。したがって、第1の空間方向およびさらなる空間方向におけるラインの改善された直線化が可能であり、2つの空間方向は、互いに対して本質的に90°回転されて配置される。
【0064】
有利には、ケーブル処理機は、搬送方向において上述したような直線化装置の下位に配置されたライン引き込み装置を有する。このようにして、直線化されるラインは、ここに記載された直線化装置を通って簡単に自動的に引っ張られることができる。
【0065】
ケーブル処理機のための本発明によるアップグレードキットは、直線化機構の少なくとも1つのローラ列における回転可能なローラのうちの少なくとも1つを制動するための、特に、直線化機構の少なくとも1つのローラ列における複数の回転可能なローラを制動するための、本明細書に記載される制動装置を備える。このようにして、ケーブル処理機の直線化機構は、本明細書に記載されるような制動装置を容易に改装することができる。
【0066】
アップグレードキットは、好ましくは、上述のように、制動装置を制御するために、本明細書に記載の制動装置に接続された制御装置を備える。
【0067】
本発明のさらなる利点、特徴、および詳細は、本発明の例示的な実施形態が図面を参照して説明される以下の説明から明らかになる。第1、第2、第3、またはそれ以上のリストは、構成要素を識別するためにのみ使用される。
【0068】
特許請求の範囲および図面の技術的内容と同様に、参照記号のリストは、本開示の一部である。これらの図は、一貫して包括的に記載されている。同一の参照符号は同一の構成要素を示し、異なる添え字を有する参照符号は、機能的に同一または類似の構成要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図1】本発明による直線化装置の第1の実施形態を斜視図で示す。
【
図2】
図1による直線化装置を斜視図で示しており、直線化機構は制動装置から離れて示されている。
【
図3】
図1による直線化装置を側面図で示しており、制動装置は非作動状態に配置されている。
【
図4】
図1による直線化装置を側面図で示しており、制動装置は作動状態に配置されている。
【
図5】
図1による直線化装置における直線化機構のローラ列の1つのローラを断面図で示す。
【
図6】
図1による本発明による直線化装置を備えたケーブル処理機を斜視図で示す。
【
図7】
図1による本発明による直線化装置と、
図6によるケーブル処理機のさらなる直線化装置とを斜視図で示す。
【
図8】ケーブル処理機のための本発明によるアップグレードキットを斜視図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0070】
図1~
図5は、搬送経路16に沿って直線化機構20内の電気ライン(電気伝送線、電線)または光学ライン(光学伝送線、光ファイバ)11を直線化する直線化装置15を示す。直線化機構20は直線化機構ハウジング22を備え、この直線化機構ハウジングには、複数の回転可能に取り付けられたローラ25を備えた第1のローラ列21が配置され、また、複数の回転可能に取り付けられたローラ35を備えた第2のローラ列31が配置されている。これらの図および以下の図において、複数のローラ25を代表する1つのローラ25に、および複数のローラ35を代表する1つのローラ35に、それぞれ参照番号が付されている。図示の直線化機構20は、2つのローラ列21、31が互いに接近し、ライン11がローラ25とローラ35との間を通過して搬送方向17に沿ってローラ25上に載置された、閉鎖状態にある。ローラ25は、搬送方向17に沿ってローラ35に対してオフセットして配置されている。第1のローラ列21は第1のキャリア23上に配置され、第2のローラ列31は第2のキャリア33上に配置されている。2つのキャリア23および33は、直線化機構ハウジング22に接続されている。直線化機構20は、送り駆動部27と旋回駆動部28とを備えている。送り駆動部27は、ここでは、空気圧制御駆動装置を含み、第1のローラ列21を第2のローラ列31に向けて送り、その結果、第1のローラ列21と第2のローラ列31との間の距離は、第2のローラ列31のローラ35がライン11に接触してライン11を保持するまで、または、ライン11がローラ25とローラ35との間にクランプされるまで、減少させることができる。旋回駆動部28は、第1のローラ列21を、第2のローラ列31に対して、調整可能な角度で旋回させる調整スピンドル29を備え、それにより、直線化されるライン11は、部分的に、直線化機構20で、クランプされるかまたは保持される。
【0071】
直線化装置15は、直線化機構20の第1のローラ列21の回転可能なローラ25を制動するための磁気制動装置40を有する。制動装置40は、複数の永久磁石41~44を有する磁石ホルダ45を有し、ここに示される永久磁石は、円筒構造を有し、ネオジム磁石である。磁石ホルダ45は、回転可能なローラ25から離間されており、作動状態では、直線化機構20の第1のローラ列21の回転可能なローラ25と非接触の制動作用接続状態にある。制動装置40は渦電流ブレーキとして設計されており、この渦電流ブレーキは、ライン11が直線化されたときに、回転可能なローラ25に制動作用を及ぼす。制動装置40は、特に、回転可能なローラ25の外側リング25aに作用する。
【0072】
制動装置40は、磁石ホルダ45を移動させるための位置決め装置50を有し、ハウジング51と、ハウジング51上に配置されたガイド部52とを備えている。位置決め装置50は、ここでは、少なくとも1つの回転可能なローラ25または複数の回転可能なローラ25に対して磁石ホルダ45を空圧的に調整する駆動装置55を有する。位置決め装置50は、磁石ホルダ45を、磁石ホルダ45が非作動状態にある第1の位置(
図3参照)から、磁石ホルダ45が作動状態にある第2の位置(
図4参照)まで、移動させる。位置決め装置50は、磁石ホルダ45を水平方向に移動させるように設計されており、このことは、ここでは、回転するローラ25の回転軸線26に対して本質的に垂直であることを意味する。
【0073】
位置決め装置50は、シリンダロッド59を用いてハウジング51上に配置されたエンドプレート57を有する。磁石ホルダ45は、シリンダロッド59を個別に受け入れる孔を有する。磁石ホルダ45は、シリンダピン59に、エンドプレート57に向かって移動可能に取り付けられている。シリンダピン59には、ハウジング51に対して磁石ホルダ45にプレテンション(予荷重)を与えるプレテンションばね58が配置されており、磁石ホルダ45が第1の位置から第2の位置まで移動したときに磁石ホルダ45が傾斜することを防止することができる。
【0074】
制動装置40は、制動装置40を制御するための制御装置80に接続されている。制御装置80は、制御ライン81を用いて位置決め装置50に接続され、制動装置40または磁石ホルダ45が非作動状態にある第1の位置から、少なくとも、磁石ホルダ45が作動状態にある第2の位置まで、磁石ホルダ45を移動させるように設計される。このようにして、ライン11が直線化されるときに、永久磁石41~44から、回転可能なローラ25への非接触の制動作用接続が調整可能である。非接触の制動作用接続は、主として回転可能なローラ25の外側リング25aに作用する。
【0075】
図5は、直線化機構20のローラ列21上に配置された回転可能なローラ25を示す。回転可能なローラ25は、内側リング25bと外側リング25aとを有している。内側リング25bと外側リング25aとの間には、転動体ユニット25cとしてボール列が配置されている。内側リング25bは、直線化機構20のローラ列21のシャフト30上にボール列を固定するために使用され、内側リング25bは、このシャフト30上に強固に配置される。回転可能な外側リング25aは、転動体ユニット25cの助けを借りて、このシャフト30上で回転軸線26の周りに回転可能に配置され、ライン引き込み速度に従って回転する。回転可能な外側リング25aは、直線化されるライン11の中央案内のための溝32を有する。ローラ35は、シャフトによってローラ列31に配置されており、ローラ25と同様に構成されている。
【0076】
代替の実施形態では、ローラはそれぞれ、ローラ列上の回転可能なシャフト上に固定して配置される。シャフトは、ローラと共に回転軸の周りを回転し、その結果、直線化機構においてラインを直線化することができる(図示せず)。
【0077】
本発明の磁気制動装置の別の実施形態(ここでは図示せず)は、上述の永久磁石の代わりに電磁石を有する。磁界強度は、磁気制動作用接続を調整するための制御装置の助けを借りて変更することができる。
【0078】
直線化装置15の回転可能なローラ25を制動する方法を、
図1、
図3および
図4を参照して以下に説明する。
【0079】
最初に、直線化されるライン11は、コンテナから繰り出され、直線化装置15の中に手動で引き込まれ、第1のローラ列21の直線化するローラ25の上に置かれる。直線化機構20は、最初は開いた状態にあり、その結果、2つのローラ列21および31は、互いに十分に離間している。さらなるステップでは、送り駆動部27を用いて直線化機構20が前進させられ、その結果、第2のローラ列31のローラ35が次にライン11上に載る。さらに、第2のローラ列31は、旋回駆動部28の助けを借りて旋回され、ライン11に押し付けられる。次に、ライン11を直線化し、直線化装置15を通してライン11を引っ張る。ラインは、直線化装置15から搬送方向に離間して配置された動力駆動ライン引き込み装置によって引き込まれる(
図7参照)。第1のローラ列21のローラ25および第2のローラ列31のローラ35は、位置をずらして回転する。制動のために、制動装置40の磁石ホルダ45は、制動装置40の磁石ホルダ45が非作動状態にある第1の位置(
図3参照)から、制動装置40の磁石ホルダ45が作動状態にある第2の位置(
図4参照)まで移動される。非作動状態では、磁石ホルダ45はエンドプレート57のすぐ近くにあり、プレテンションばね58は圧縮状態にある。作動状態では、磁石ホルダ45は回転するローラ25の真下に位置し、プレテンションばね58は弛緩状態にある。さらなるステップでは、第1のローラ列21のローラ25の、回転する外側リング25aが、磁石ホルダ45上に配置された永久磁石で効果的に制動され、制動装置は、渦電流制動の原理に従って、ローラ25の、回転する外側リング25aに、接触することなく制動作用を及ぼす。したがって、制動装置40は、ローラ25の、回転する外側リング25aと制動作用接続される。
【0080】
代替の実施形態では、回転可能なローラは、それぞれ、直線化機構上のローラ列上の回転シャフト上に配置され、この回転可能なシャフトに強固に接続される。回転可能なシャフトは、その回転可能なシャフトに配置されたローラと共に、回転軸の周りに回転し、この回転軸は、回転可能なシャフトの長手方向範囲に沿って延在する。非接触の制動作用は、それぞれのローラ列(図示せず)の回転するローラに作用する。
【0081】
図6は、直線化ユニット73と上述したような直線化装置15とを有する本発明によるケーブル処理機70を示す。本明細書に記載されるように、ケーブル処理機70は、直線化すること、切断すること、剥離すること、圧着すること、ねじること、および錫めっきすることなどの様々な処理プロセスを有することができる。直線化装置15の前方には、エンドレスラインの形態のライン11を有するコンテナ75が配置されている。ライン11は、ケーブル処理機70内に引き込まれ、直線化装置15内で直線化される。直線化装置15を通してライン11を引き込むために、以下に説明するように、搬送方向において直線化装置15の下位に配置されたライン引き込み装置90が使用される。
【0082】
図7は、互いに隣接して配置され、それぞれが2つの直線化機構20a~20dを有する2つの直線化装置15および15aを有する直線化ユニット73を示す。これらの直線化装置15、15aの1つは、直線化機構20aのローラ列の1つにおける回転可能なローラを制動するための、本明細書に記載されるような制動装置40を有する。ケーブル処理機70は、直線化装置15の制動装置40を制御するための、本明細書に記載されるような制御装置80を有する。さらに、制御装置80は、制御ライン81によって、送り駆動部と、直線化機構20aおよび20cの旋回駆動部と、ライン引き込み装置90とに電気的に接続されている。ケーブル処理機70のライン引き込み装置90は、直線化機構20a、20cを通してライン11を搬送方向17に引っ張る。制御装置80は、制御コマンドを処理し、それらを、駆動装置27、28、55、ライン引き込み装置90、制動装置40、および/または、直線化機構20a、20cに送信するプロセッサ85を有する。制御コマンドは、所定の一連のステップに従って、駆動装置55と、ライン引き込み装置90と、制動装置40と、直線化機構20aおよび20cの駆動装置27、28とに送信される。2つの直線化機構20aおよび20cは、互いに90°ずれて配置されている。直線化ユニットの図示しない一実施形態では、
図7に示す直線化機構20a~20dの各々は、本明細書で説明するような制動装置を有することができる。
【0083】
図8は、ケーブル処理機用の本発明のアップグレードキット100を示し、これは、直線化機構のローラ列における回転可能なローラのうちの少なくとも1つを制動するための、特に、直線化機構のローラ列における複数の回転可能なローラを制動するための、本明細書に記載されるような制動装置40を備える。アップグレードキット100は、制動装置40を制御するために位置決め装置50の駆動装置55に接続されたプロセッサ85を有する制御装置80を有する。
【符号の説明】
【0084】
11 ライン
15 直線化装置
15a 直線化装置
16 搬送経路
17 搬送方向
20 直線化機構
20a~20d 直線化機構
21 第1のローラ列
22 直線化機構ハウジング
23 第1のキャリア
25 21のローラ
25a 25の外側リング
25b 25の内側リング
25c 25の転動体ユニット
26 25の回転軸
27 送り駆動部
28 旋回駆動部
29 調整スピンドル
30 25のシャフト
31 第2のローラ列
33 第2のキャリア
32 25aの溝
35 31のローラ
40 制動装置
41~44 永久磁石
45 磁石ホルダ
50 位置決め装置
51 50のハウジング
52 ガイド部
55 駆動装置
57 エンドプレート
58 プレテンションばね
59 シリンダロッド
70 ケーブル処理機
73 直線化ユニット
80 制御装置
81 制御ライン
85 プロセッサ
90 ライン引き込み装置
100 アップグレードキット
【国際調査報告】