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特表2022-533765ディーゼル用途のためのアンモニア酸化触媒
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  • 特表-ディーゼル用途のためのアンモニア酸化触媒 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(54)【発明の名称】ディーゼル用途のためのアンモニア酸化触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/78 20060101AFI20220715BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20220715BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20220715BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20220715BHJP
   B01J 29/76 20060101ALI20220715BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20220715BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20220715BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
B01J29/78 A
B01J37/04 102
B01J37/02 101Z
B01J37/02 301C
B01J37/08
B01J37/02 101D
B01J29/76 A
B01D53/94 228
F01N3/28 Q
F01N3/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569386
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(85)【翻訳文提出日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2020064115
(87)【国際公開番号】W WO2020234375
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】19175634.5
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ヒルゲンドルフ,マルクス
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AA18
3G091AB02
3G091BA20
3G091GB06
3G091GB09
4D148AA06
4D148AA08
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4D148AB08
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4G169AA02
4G169AA03
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4G169BA03A
4G169BA03C
4G169BA04A
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4G169BA04C
4G169BA05A
4G169BA05C
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BB06A
4G169BC18A
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4G169BC58A
4G169BC59A
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4G169BC62A
4G169BC62B
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4G169BC66A
4G169BC67A
4G169BC69A
4G169BC70A
4G169BC71A
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4G169BC75A
4G169BC75B
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4G169CA07
4G169CA11
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4G169EB18Y
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4G169EC08Y
4G169EC28
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4G169FA06
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4G169ZA14A
4G169ZA14B
4G169ZD06
4G169ZF05A
4G169ZF05B
4G169ZF07A
(57)【要約】
本発明は、排気ガス流を処理するためのアンモニア酸化触媒に関するものであり、この触媒は、基材上に配置されたコーティングを含み、このコーティングは、銅及び鉄のうちの1つ以上を含むゼオライト材料である、選択的触媒還元成分と、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上に担持された白金を含み、白金を担持する多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上に担持された第1の酸化物材料をさらに含み、第1の酸化物材料がチタニアを含む、酸化触媒成分とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 銅及び鉄のうちの1つ以上を含むゼオライト材料である、選択的触媒還元成分、及び
(ii) 多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上に担持された白金を含み、白金を担持する前記多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上に担持された第1の酸化物材料をさらに含み、前記第1の酸化物材料がチタニアを含む、酸化触媒成分、
を含むコーティングを、基材上に配置して含んでいる、排気ガス流を処理するためのアンモニア酸化触媒。
【請求項2】
(i)による前記選択的触媒還元成分が、8員環の細孔のゼオライト材料であり、前記8員環の細孔のゼオライト材料が、好ましくは、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFX、これらの2つ以上の混合物及びこれらの2つ以上の混合型からなる群から選択される、より好ましくは、CHA、AEI、RTH、これらの2つ以上の混合物及びこれらの2つ以上の混合型からなる群から選択される、より好ましくはCHA、AEI、それらの2つの混合物、及びそれらの2つの混合型からなる群から選択される、より好ましくはCHA及びAEIからなる群から選択される骨格型、より好ましくはCHAを有し、
前記ゼオライト材料が好ましくは銅を含み、前記ゼオライト材料中の銅の量は、CuOとして計算され、より好ましくは、前記ゼオライト材料の合計質量に基づいて、0.1~10質量%の範囲、より好ましくは2~8質量%の範囲、より好ましくは3~7質量%の範囲、より好ましくは4~6.5質量%の範囲である、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
前記コーティングが酸化物バインダーをさらに含み、前記酸化物バインダーが、
ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、及び
Zr、Al、Ti及びSiのうちの2つ以上を含む混合酸化物
のうちの1つ以上を含み、前記酸化物バインダーが、好ましくは、ジルコニア及びアルミナのうちの1つ以上、より好ましくはジルコニアを含み、
前記コーティングが、好ましくは、前記ゼオライト材料の合計質量に基づいて、1~10質量%の範囲、より好ましくは2~8質量%の範囲、より好ましくは3~6質量%の範囲の量で、前記酸化物バインダーを含む、請求項1又は2に記載の触媒。
【請求項4】
前記酸化触媒成分の65~95質量%、好ましくは70~92質量%、より好ましくは75~90質量%が、前記多孔質の非ゼオライト酸化物支持体からなる、請求項1から3のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項5】
前記多孔質の非ゼオライト酸化物支持体が、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ジルコニア-アルミナ、シリカ-アルミナ、及びこれらの2つ以上の混合物のうちの1つ以上、より好ましくは、アルミナ、ジルコニア-アルミナ、シリカ-アルミナ、及びこれらの2つ以上の混合物のうちの1つ以上を含み、前記多孔質の非ゼオライト酸化物支持体が、より好ましくはアルミナを含み、
前記多孔質の非ゼオライト酸化物支持体のより好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、アルミナからなる、請求項1から4のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項6】
前記コーティングが、前記選択的触媒還元成分(i)を担持量l1、(l1)で、及び前記多孔質の非ゼオライト酸化物支持体を担持量l3、(l3)で含み、前記選択的触媒還元成分(i)の、前記多孔質の非ゼオライト酸化物支持体に対する担持量比が、(l1):(l3)で表して、1:1~25:1の範囲、好ましくは2:1~20:1の範囲、より好ましくは3:1~15:1の範囲、より好ましくは4:1~12:1の範囲、より好ましくは5:1~10:1の範囲である、請求項1から5のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項7】
前記コーティングが、白金を、元素白金として計算して、前記多孔質の非ゼオライト酸化物支持体の質量に基づいて、0.2~1.5質量%の範囲、好ましくは0.5~1.0質量%の範囲の量で含み、
前記コーティングが、好ましくは、前記触媒中の白金担持量を、元素白金として計算して、0.5~25g/ftの範囲、より好ましくは0.75~15g/ftの範囲、より好ましくは1~8g/ftの範囲、より好ましくは1.5~5g/ftの範囲で有する、請求項1から6のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項8】
前記酸化触媒成分が、白金以外の1種以上の白金族金属、好ましくはパラジウム及びロジウムの1種以上、より好ましくはロジウムをさらに含み、
前記コーティングが、好ましくは、前記白金以外の1種以上の白金族金属を、元素白金族金属として計算して、0.5~20g/ftの範囲、より好ましくは0.75~12g/ftの範囲、より好ましくは1~6g/ftの範囲、より好ましくは1.5~4g/ftの範囲の前記触媒中の担持量で含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項9】
前記コーティングが、前記第1の酸化物材料を、前記多孔質の非ゼオライト酸化物支持体の質量に基づいて、1~20質量%の範囲、好ましくは2~10質量%の範囲、より好ましくは2.5~7.5質量%の範囲、より好ましくは3~6質量%の範囲の量で含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項10】
前記酸化触媒成分が、前記多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上に担持された第2の酸化物材料をさらに含み、前記第2の酸化物材料が、マンガン、セリウム、タングステン、モリブデン、プラセオジム、ユーロピウム、クロム、コバルト、テクネチウム、レニウム、ルテニウム、バナジウム及びインジウムのうちの1種以上を含み、好ましくはマンガン、セリウム、タングステン、プラセオジム及びインジウムのうちの1種以上を含み、
前記コーティングが、好ましくは、前記多孔質の非ゼオライト酸化物支持体の質量に基づいて、1~20質量%の範囲、より好ましくは2~10質量%の範囲の量で、前記第2の酸化物を含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項11】
前記アンモニア酸化触媒を調製するための請求項1から10のいずれか1項に記載の方法であって、以下の工程、
(a) 水と、銅及び鉄のうちの1つ以上を含む前記ゼオライト材料である前記選択的触媒還元成分と、好ましくは酸化物バインダーの前駆体、より好ましくは請求項3で定義した前記酸化物バインダーとを含む、第1の混合物を調製する工程、
(b) 水と、白金の源を含む前記酸化触媒成分の源と、前記多孔質の非ゼオライト酸化物支持体と、チタニアを含む前記第1の酸化物材料とを含む、第2の混合物を調製する工程、
(c) 工程(a)で得られた前記第1の混合物と、工程(b)で得られた前記第2の混合物とを混合する工程、
(d) 工程(c)で得られた前記混合物を基材上に配置し、そして任意に、前記混合物が上に配置されている前記基材を乾燥させる工程、
(e) 工程(d)で得られた前記基材をか焼する工程
を含む方法。
【請求項12】
工程(a)が、以下の工程、
(a.1) 水と、酸化物バインダーの前駆体とを含む混合物を調製し、前記前駆体が、好ましくはアルミニウム塩、シリコン塩、ジルコニウム塩、及びチタン塩のうちの1種以上、より好ましくはジルコニウム塩、及びアルミニウム塩のうちの1種以上、より好ましくはジルコニウム塩、より好ましくはジルコニウムアセテートである、調製する工程、
(a.2) 銅及び鉄の1つ以上を含む前記ゼオライト材料、より好ましくは銅を含む8員環の細孔のゼオライト材料である前記選択的触媒還元成分を、工程(a.1)で得られた混合物に添加する工程
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
工程(b)が、以下の工程、
(b.1) 前記白金の源に、前記多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上、アジュバントを含浸させ、前記アジュバントが好ましくは水及びアルコールの1種以上、より好ましくは水である、前記白金の源を含侵させる工程、
(b.2) 好ましくは、白金以外の1種以上の白金族金属の源を、工程(b.1)で得られた含浸させた多孔質の非ゼオライト酸化物支持体に含浸させる工程、
(b.3) チタニアを含む前記第1の酸化物材料の源を含む溶液、好ましくはチタニアヒドロゲルを、工程(b.1)で得られた、好ましくは工程(b.2)で得られた、含浸させた多孔質の非ゼオライト酸化物支持体に含浸させて、混合物を得る工程、
(b.4) 任意に、第2の酸化物材料の源を工程(b.3)で得られた前記混合物に添加する工程、
(b.5) 工程(b.3)で得られた前記混合物、任意に工程(b.4)で得られた前記混合物を乾燥及び/又はか焼して、粉末を得る工程、
(b.6) 水と、工程(b.5)で得られた前記粉末とを含む混合物を調製する工程、
(b.7) 好ましくは、工程(b.6)で得られた前記混合物の粒子を、より好ましくは前記混合物の粒子が3~30マイクロメートルの範囲、より好ましくは5~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは8~18マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで、粉砕する工程
をさらに含む、又は
工程(b)が、以下の工程、
(b.1’) 前記白金の源に、前記多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上、アジュバントを含浸させ、前記アジュバントが好ましくは水及びアルコールの1種以上、より好ましくは水である、前記白金の源を含侵させる工程、
(b.2’) チタニア、好ましくはチタニアヒドロゲルを含む前記第1の酸化物材料の源を含む溶液を、工程(b.1)で得られた、含浸させた多孔質の非ゼオライト酸化物支持体に含浸させて、混合物を得る工程、
(b.3’) 白金以外の1種以上の白金族金属の源を、工程(b.2’)で得られた含浸させた多孔質の非ゼオライト酸化物支持体に含浸させる工程、
(b.4’) 工程(b.3’)で得られた前記混合物を乾燥及び/又はか焼して、粉末を得る工程、
(b.5’) 水と、工程(b.4’)で得られた前記粉末とを含む混合物を調製する工程、
(b.6’) 好ましくは、工程(b.5’)で得られた前記混合物の粒子を、より好ましくは、前記混合物の粒子が3~30マイクロメートルの範囲、より好ましくは5~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは8~18マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで、粉砕する工程
をさらに含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
工程(b)で提供される前記多孔質の非ゼオライト酸化物支持体が、0.6ml/cm~2ml/cmの範囲、好ましくは0.65ml/cm~1.75ml/cmの範囲、より好ましくは0.70ml/cm~1.5ml/cmの範囲の平均細孔容積を有する、請求項11から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
排気ガス流に含まれているアンモニアを酸化するための、以下の工程、
(1) 好ましくはディーゼルエンジンからの前記排気ガス流を提供する工程、
(2) 工程(1)で提供された前記排気ガス流を、請求項1から10のいずれか1項に記載の触媒に通す工程
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス流を処理するためのアンモニア酸化触媒、アンモニア酸化触媒の調製方法、及び本発明の触媒を用いてアンモニアを酸化する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン用の排気ガス浄化システムの多くは、アンモニア(NH)によってNOxを選択的に還元するための活性触媒を備えている、又は備えているであろう。一般に、アンモニア(NH)は、排気ガス処理システムの排気ガス中に注入される尿素溶液から生成されることが多い。ある条件下で、NOxの還元に消費されるよりも多くのアンモニアが注入されると、アンモニアは排気システムから環境中に放出される可能性がある。しかし、アンモニアは有毒ガスである。よってこのようなアンモニアの放出は防止する必要がある。従って、排気ガスシステムの出口に、アンモニア酸化(AMOX)触媒を配置して、アンモニアを酸化させ、好ましくは無害な窒素にすることができる。WO2010/062730A2は、アルミナ上のCu-CHA及び白金を含む層状の又は区域分けされたAMOX触媒を開示している。EP2878360A1は、NOx還元触媒を含む下方触媒層と、下方触媒層上に配置された、NOx還元触媒を含む前部上方層と、下方触媒層上に配置された、酸化触媒を含む後部上方層とを含む、排気ガス浄化触媒を開示している。さらに、アンモニア酸化触媒は、濃度及び流量に応じて400℃を超える温度でアンモニアをNOxに酸化することが知られている。しかし、これは避ける必要がある余分なNOxの排出につながる。よって、高温でのNOx形成が低減された、内燃機関、好ましくはディーゼルエンジン用のアンモニア酸化触媒を提供する必要が、依然として存在していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2010/062730A2
【特許文献2】EP2878360A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、高温でのNOx形成、及び一酸化二窒素(NO)の形成を低減できる、改善されたアンモニア酸化触媒を提供することであった。驚くべきことに、本発明による排気ガス流を処理するためのアンモニア酸化触媒は、高温でのNOx形成、及び一酸化二窒素(NO)の形成を低減できることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、本発明は、排気ガス流を処理するためのアンモニア酸化触媒に関するものであり、この触媒は、基材上に配置されたコーティングを含み、このコーティングは、
(i) 銅及び鉄のうちの1つ以上を含むゼオライト材料である、選択的触媒還元成分、及び
(ii) 多孔質の非ゼオライト酸化物(oxidic)支持体上に担持された白金を含み、白金を担持する多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上に担持された第1の酸化物材料をさらに含み、第1の酸化物材料がチタニアを含む、酸化触媒成分、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、比較例3、実施例1及び実施例2の触媒を用いて得られたアンモニアライトオフ温度、形成されたNOx及びNO(単位:g/l)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明において、排気ガス流が、ディーゼルエンジンを出る排気ガス流であることが好ましい。
【0008】
(i)による選択的触媒還元成分が、8員環の細孔のゼオライト材料であることが好ましい。より好ましくは、8員環の細孔のゼオライト材料が、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFX、これらの2つ以上の混合物及びこれらの2つ以上の混合型からなる群から選択される、より好ましくはCHA、AEI、RTH、これらの2つ以上の混合物及びこれらの2つ以上の混合型からなる群から選択される、より好ましくはCHA、AEI、これらの2つの混合物、及びこれらの2つの混合型からなる群から選択される、より好ましくはCHA及びAEIからなる群から選択される、骨格型を有する。8員環の細孔のゼオライト材料が、骨格型CHAを有することがより好ましい。8員環の細孔のゼオライト材料が、ゼオライトSSZ-13であることがより好ましい。
【0009】
ゼオライト材料が骨格構造を有することが好ましく、ゼオライト材料の骨格構造の95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、及び任意にHからなり、骨格構造において、SiのAlに対するモル比は、モルSiO:Alとして計算され、より好ましくは、2:1~50:1の範囲、より好ましくは5:1~40:1の範囲、より好ましくは8:1~30:1の範囲、より好ましくは9:1~24:1の範囲、より好ましくは10:1~22:1の範囲である。
【0010】
ゼオライト材料が銅を含むことが好ましく、ゼオライト材料中の銅の量は、CuOとして計算され、ゼオライト材料の合計質量に基づいて、0.1~10質量%の範囲、より好ましくは2~8質量%の範囲、より好ましくは3~7質量%の範囲、より好ましくは4~6.5質量%の範囲である。ゼオライト材料中に含まれる鉄の量は、Feとして計算され、ゼオライト材料の合計質量に基づいて、0~0.01質量%の範囲、より好ましくは0~0.001質量%の範囲、より好ましくは0~0.0001質量%の範囲であることがより好ましい。よって本発明において、ゼオライト材料が実質的に鉄を含まない、より好ましくは鉄を含まないのがより好ましいことが、理解されるであろう。あるいは、ゼオライト材料が鉄を含むことが好ましく、ゼオライト材料中に含まれる鉄の量は、Feとして計算され、ゼオライト材料の合計質量に基づいて、より好ましくは、0.1~10質量%の範囲、より好ましくは0.5~7質量%の範囲、より好ましくは1~5.5質量%の範囲、より好ましくは2~5.5質量%の範囲である。
【0011】
コーティングが、選択的触媒成分(i)を、1~5g/inの範囲、好ましくは1.2~4g/inの範囲、より好ましくは1.5~3.5g/inの範囲の担持量で含むことが好ましい。
【0012】
コーティングの60~95質量%、より好ましくは70~92質量%、より好ましくは75~90質量%が、選択的触媒成分(i)からなることが好ましい。
【0013】
従って、本発明は、好ましくは、排気ガス流を処理するためのアンモニア酸化触媒に関するものであり、この触媒は、基材上に配置されたコーティングを含み、このコーティングは、
(i) 銅及び鉄のうちの1つ以上、より好ましくは銅を含む8員環の細孔のゼオライト材料である、選択的触媒還元成分(ゼオライト材料の骨格構造において、SiのAlに対するモル比が、モルSiO:Alとして計算され、より好ましくは、2:1~50:1の範囲、より好ましくは5:1~40:1の範囲、より好ましくは8:1~30:1の範囲、より好ましくは9:1~24:1の範囲、より好ましくは10:1~22:1の範囲である)、及び
(ii) 多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上に担持された白金を含み、白金を担持する多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上に担持された第1の酸化物材料をさらに含み、第1の酸化物材料がチタニアを含む、酸化触媒成分、
を含む。
【0014】
本発明において、コーティングが、酸化物バインダーをさらに含むことが好ましい。酸化物バインダーは、好ましくは、ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、及びZr、Al、Ti及びSiのうちの2つ以上を含む混合酸化物のうちの1つ以上を含む。より好ましくは、酸化物バインダーは、ジルコニア及びアルミナのうちの1つ以上、より好ましくはジルコニアを含む。
【0015】
酸化物バインダーに関して、コーティングが、ゼオライト材料の質量に基づいて、1~10質量%の範囲、より好ましくは2~8質量%の範囲、より好ましくは3~6質量%の範囲の量で、酸化物バインダーを含むことが好ましい。
【0016】
酸化触媒成分の65~95質量%、より好ましくは70~92質量%、より好ましくは75~90質量%が、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体からなることが好ましい。
【0017】
多孔質の非ゼオライト酸化物支持体は、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ジルコニア-アルミナ、シリカ-アルミナ、及びこれらの2つ以上の混合物のうちの1つ以上、より好ましくは、アルミナ、ジルコニア-アルミナ、シリカ-アルミナ、及びこれらの2つ以上の混合物のうちの1つ以上を含むことが好ましい。多孔質の非ゼオライト酸化物支持体が、アルミナを含むことがより好ましい。
【0018】
多孔質の非ゼオライト酸化物支持体の95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、アルミナからなることが好ましい。
【0019】
コーティングが、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体を、0.15~1.0g/inの範囲、より好ましくは0.15~0.75g/inの範囲、より好ましくは0.20~0.50g/inの範囲の担持量で含むことが好ましい。
【0020】
コーティングが、選択的触媒還元成分(i)を、担持量l1、(l1)で、及び多孔質の非ゼオライト酸化物支持体を、担持量l3、(l3)で含むことが好ましく、選択的触媒還元成分(i)の、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体に対する担持量比は、(l1):(l3)で表され、1:1~25:1の範囲、より好ましくは2:1~20:1の範囲、より好ましくは3:1~15:1の範囲、より好ましくは4:1~12:1の範囲、より好ましくは5:1~10:1の範囲である。
【0021】
従って、本発明は、好ましくは、排気ガス流を処理するためのアンモニア酸化触媒に関するものであり、この触媒は、基材上に配置されたコーティングを含み、このコーティングは、
(i) 銅及び鉄のうちの1つ以上、より好ましくは銅を含む8員環の細孔のゼオライト材料である、選択的触媒還元成分、及び
(ii) 多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上に担持された白金を含み、白金を担持する多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上に担持された第1の酸化物材料をさらに含み、第1の酸化物材料がチタニアを含み、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体がアルミナを含む、酸化触媒成分
を含み、
コーティングが、選択的触媒還元成分(i)を担持量l1、(l1)で、及び多孔質の非ゼオライト酸化物支持体を担持量l3、(l3)で含み、選択的触媒還元成分(i)の、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体に対する担持量比が、(l1):(l3)で表して、1:1~25:1の範囲、より好ましくは2:1~20:1の範囲、より好ましくは3:1~15:1の範囲、より好ましくは4:1~12:1の範囲、より好ましくは5:1~10:1の範囲である。
【0022】
本発明において、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上に担持された白金が、5nmより低い、好ましくは0.001~3nmの範囲の平均結晶子径を有することが好ましく、この平均結晶子径は、参照例10に記載のように決定される。
【0023】
触媒の多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上に担持された白金が、前記触媒をガス雰囲気中700~800℃の範囲の温度で10~20時間の範囲の持続時間エージングさせたとき(ガス雰囲気は好ましくは5~15%の蒸気を含む)に、5~100nmの範囲、好ましくは10~30nmの範囲、より好ましくは12~28nmの範囲、より好ましくは14~25nmの範囲の平均結晶子径を有することが好ましく、平均結晶子径は、参照例10に記載のように決定される。エージングは、720~780℃の範囲、より好ましくは740~760℃の範囲、より好ましくは750℃の温度で、14~18時間の範囲、より好ましくは15~17時間の範囲の持続時間、より好ましくは16時間の持続時間で行うことが好ましく、ガス雰囲気は好ましくは8~12%の蒸気、より好ましくは10%の蒸気を含む。
【0024】
コーティングは、白金を、元素白金として計算して、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体の質量に基づいて、0.2~1.5質量%の範囲、より好ましくは0.5~1.0質量%の範囲の量で含むことが好ましい。
【0025】
コーティングは、触媒中の白金担持量を、元素白金として計算して、0.5~25g/ftの範囲、より好ましくは0.75~15g/ftの範囲、より好ましくは1~8g/ftの範囲、より好ましくは1.5~5g/ftの範囲で有することが好ましい。
【0026】
酸化触媒成分が、白金以外の1種以上の白金族金属、好ましくはパラジウム及びロジウムの1種以上、より好ましくはロジウムをさらに含むことが好ましい。よって、酸化成分が白金及びロジウムを含むことが好ましい。
【0027】
コーティングは、白金以外の1種以上の白金族金属を、元素白金族金属として計算して、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体の質量に基づいて、0.1~1.5質量%の範囲、より好ましくは0.2~0.9質量%の範囲、より好ましくは0.3~0.7質量%の範囲の量で含むことが好ましい。
【0028】
コーティングは、白金以外の1種以上の白金族金属を、元素白金族金属として計算して、0.5~20g/ftの範囲、好ましくは0.75~12g/ftの範囲、より好ましくは1~6g/ftの範囲、より好ましくは1.5~4g/ftの範囲の触媒中の担持量で、含むことが好ましい。
【0029】
従って、本発明は、好ましくは、排気ガス流を処理するためのアンモニア酸化触媒に関するものであり、この触媒は、基材上に配置されたコーティングを含み、このコーティングは、
(i) 銅及び鉄のうちの1つ以上、より好ましくは銅を含む8員環の細孔のゼオライト材料である、選択的触媒還元成分、及び
(ii) 多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上に担持された白金を含み、白金を担持する多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上に担持された第1の酸化物材料をさらに含み、第1の酸化物材料がチタニアを含み、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体がアルミナを含む、酸化触媒成分
を含み、
コーティングが、選択的触媒還元成分(i)を担持量l1、(l1)で、及び多孔質の非ゼオライト酸化物支持体を担持量l3、(l3)で含み、選択的触媒還元成分(i)の、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体に対する担持量比が、(l1):(l3)で表して、1:1~25:1の範囲、より好ましくは2:1~20:1の範囲、より好ましくは3:1~15:1の範囲、より好ましくは4:1~12:1の範囲、より好ましくは5:1~10:1の範囲であり、
コーティングが、白金を、元素白金として計算して、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体の質量に基づいて、0.2~1.5質量%の範囲、より好ましくは0.5~1.0質量%の範囲の量で含み、
酸化触媒成分が、白金以外の1種以上の白金族金属、好ましくはパラジウム及びロジウムの1種以上、より好ましくはロジウムをさらに含み、
コーティングが、より好ましくは、白金以外の1種以上の白金族金属を、元素白金族金属として計算して、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体の質量に基づいて、0.1~1.5質量%の範囲、より好ましくは0.2~0.9質量%の範囲、より好ましくは0.3~0.7質量%の範囲の量で含む。
【0030】
本発明において、コーティングは、触媒中の総白金族金属担持量を、元素白金族金属として計算して、1~45g/ftの範囲、より好ましくは1.5~27g/ftの範囲、より好ましくは2~14g/ftの範囲、より好ましくは3~9g/ftの範囲で有することが好ましい。より好ましくは、コーティングは、触媒中の白金+ロジウム担持量を、元素Pt及び元素Rhとして計算して、1~45g/ftの範囲、より好ましくは1.5~27g/ftの範囲、より好ましくは2~14g/ftの範囲、より好ましくは3~9g/ftの範囲で有する。
【0031】
コーティングは、元素白金として計算される白金の担持量l(a)、及び元素白金族金属として計算される白金以外の1種以上の白金族金属の担持量l(b)を有することが好ましく、白金の、白金以外の1種以上の白金族金属に対する担持量比が、l(a):l(b)として表して、1:10~10:1の範囲、より好ましくは1:5~8:1の範囲、より好ましくは1:2~7:1の範囲、より好ましくは1:1~6:1の範囲、より好ましくは1.1:1~5:1の範囲、より好ましくは1.2:1~3:1の範囲である。
【0032】
第1の酸化物材料の95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、チタニアからなることが好ましい。
【0033】
コーティングが、第1の酸化物材料を、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体の質量に基づいて、1~20質量%の範囲、より好ましくは2~10質量%の範囲、より好ましくは2.5~7.5質量%の範囲、より好ましくは3~6質量%の範囲の量で含むことが好ましい。
【0034】
コーティングの0~0.1質量%、好ましくは0~0.01質量%、より好ましくは0~0.001質量%、より好ましくは0.0001質量%からが、セリウムからなることが好ましい。よって本発明において、コーティングが実質的にセリウムを含まない、より好ましくはセリウムを含まないのが好ましいことが、理解されるであろう。より好ましくは、触媒は実質的にセリウムを含まない、より好ましくはセリウムを含まない。
【0035】
本発明の第1の側面によれば、コーティングの95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、白金を含む酸化触媒成分(ii)、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体、及びチタニアを含む第1の酸化物材料からなることが好ましく、酸化触媒成分は、より好ましくは、白金以外の1種以上の白金族金属、選択的触媒還元成分(i)、及びより好ましくは、前記で定義した酸化物バインダーをさらに含む。
【0036】
本発明において、好ましくは、酸化触媒成分が、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上に担持された第2の酸化物材料をさらに含み、第2の酸化物材料が、マンガン、セリウム、タングステン、モリブデン、プラセオジム、ユーロピウム、クロム、コバルト、テクネチウム、レニウム、ルテニウム、バナジウム及びインジウムのうちの1種以上を含み、より好ましくはマンガン、セリウム、タングステン、プラセオジム及びインジウムのうちの1種以上を含み、より好ましくは、マンガン、セリウム及びプラセオジムのうちの1種以上、より好ましくはマンガン及びセリウムのうちの1種以上を含む。より好ましくは、第2の酸化物材料が、マンガン、より好ましくは酸化マンガン、より好ましくはMnO、Mn、Mn及びMnOのうちの1種以上を含む。
【0037】
第2の酸化物材料の95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、マンガン及び酸素からなることが好ましい。
【0038】
コーティングが、第2の酸化物材料を、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体の質量に基づいて、1~20質量%の範囲、より好ましくは2~10質量%の範囲の量で含むことが好ましい。
【0039】
本発明の第2の側面によると、コーティングの95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、白金を含む酸化触媒成分(ii)、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体、チタニアを含む第1の酸化物材料、及び第2の酸化物材料からなることが好ましく、酸化触媒成分は、より好ましくは、白金以外の1種以上の白金族金属、選択的触媒還元成分(i)、及びより好ましくは、前記で定義した酸化物バインダーをさらに含む。
【0040】
本発明において、基材がフロースルー基材又はウォールフローフィルター基材、より好ましくはフロースルー基材であることが好ましい。
【0041】
基材が、コーディエライト、アルミニウムチタネート、ムライト及びシリコンカーバイドのうちの1種以上、より好ましくはコーディエライト、アルミニウムチタネート及びシリコンカーバイドのうちの1種以上、より好ましくはコーディエライトを含む、より好ましくはこれらからなることが好ましい。基材が、コーディエライトのフロースルー基材であることがより好ましい。あるいは、好ましくは、基材は金属物質を含み、より好ましくは金属物質からなり、金属物質は、より好ましくは、酸素と、鉄、クロム及びアルミニウムのうちの1種以上とを含む、より好ましくはこれらからなる。基材が金属のフロースルー基材であることがより好ましい。
【0042】
本発明において、基材が、入口端と、出口端と、入口端から出口端まで延びる基材軸方向長さと、基材を通って延びる基材の内壁によって規定される複数の通路とを有することが好ましく、通路と内壁との間の界面は、内壁の表面によって規定される。コーティングが、基材の内壁の表面上に配置され、基材軸方向長さの95~100%にわたって、より好ましくは98~100%にわたって、より好ましくは99~100%にわたって延びていることがより好ましい。コーティングは、基材の入口端から出口端まで延びていることがより好ましい。
【0043】
触媒は、1~6g/inの範囲、より好ましくは1.5~4.5g/inの範囲、より好ましくは1.75~3.75g/inの範囲の担持量で、コーティングを含むことが好ましい。
【0044】
触媒は、基材及びコーティングからなることが好ましい。
【0045】
本発明はさらに、エージングした触媒に関するものであり、このエージングした触媒は、本発明による触媒を、以下、
(i) 触媒を、ガス雰囲気中で、700~800℃の範囲の温度で10~20時間の範囲の持続時間加熱する(該ガス雰囲気は、好ましくは5~15%の蒸気を含む)工程、
を含む、好ましくはこれからなるエージング処理に供することを含む、好ましくはこれからなる方法によって、得ることができる、又は得られたものであり、
前記エージングした触媒は、5~100nmの範囲、好ましくは10~30nmの範囲、より好ましくは12~28nmの範囲、より好ましくは14~25nmの範囲の平均結晶子径を示す多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上に担持された白金を含み、平均結晶子径は参照例10に記載のように決定される。より好ましくは、エージング処理は、本発明による触媒を、750℃の温度で16時間、10%の蒸気で加熱することからなる。
【0046】
本発明はさらに、本発明によるアンモニア酸化触媒を調製するための方法に関するものであり、該方法は、以下の工程、
(a) 水と、銅及び鉄のうちの1つ以上を含むゼオライト材料である選択的触媒還元成分と、好ましくは酸化物バインダーの前駆体、より好ましくは前記で定義した酸化物バインダーとを含む、第1の混合物を調製する工程、
(b) 水と、白金の源を含む酸化触媒成分の源と、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体と、チタニアを含む第1の酸化物材料とを含む、第2の混合物を調製する工程、
(c) 工程(a)で得られた第1の混合物と、工程(b)で得られた第2の混合物とを混合する工程、
(d) 工程(c)で得られた混合物を基材上に配置し、そして任意に、混合物が上に配置されている基材を乾燥させる工程、
(e) 工程(d)で得られた基材をか焼する工程
を含む。
【0047】
工程(a)に関して、これが以下の工程をさらに含むことが好ましい。
(a.1) 水と、酸化物バインダーの前駆体とを含む混合物を調製し、前駆体が、より好ましくはアルミニウム塩、シリコン塩、ジルコニウム塩、及びチタン塩のうちの1種以上、より好ましくはジルコニウム塩、及びアルミニウム塩のうちの1種以上、より好ましくはジルコニウム塩、より好ましくはジルコニウムアセテートである、調製する工程、
(a.2) 銅及び鉄の1つ以上を含むゼオライト材料、より好ましくは銅を含む8員環の細孔のゼオライト材料である選択的触媒還元成分を、工程(a.1)で得られた混合物に添加する工程。
【0048】
工程(b)に関して、これが以下の工程をさらに含むことが好ましい。
(b.1) 白金の源に、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上、アジュバントを含浸させ、アジュバントが好ましくは水及びアルコールの1種以上、より好ましくは水である、白金の源を含侵させる工程、
(b.2) 好ましくは、白金以外の1種以上の白金族金属の源を、工程(b.1)で得られた含浸させた多孔質の非ゼオライト酸化物支持体に含浸させる工程、
(b.3) チタニアを含む第1の酸化物材料の源を含む溶液、好ましくはチタニアヒドロゲルを、工程(b.1)で得られた、好ましくは工程(b.2)で得られた、含浸させた多孔質の非ゼオライト酸化物支持体に含浸させて、混合物を得る工程、
(b.4) 任意に、第2の酸化物材料の源を工程(b.3)で得られた混合物に添加する工程、
(b.5) 工程(b.3)で得られた混合物、任意に工程(b.4)で得られた混合物を乾燥及び/又はか焼して、粉末を得る工程、
(b.6) 水と、工程(b.5)で得られた粉末とを含む混合物を調製する工程、
(b.7) 好ましくは、工程(b.6)で得られた混合物の粒子を、より好ましくは混合物の粒子が3~30マイクロメートルの範囲、より好ましくは5~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは8~18マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで、粉砕する工程(Dv90は、参照例1に記載されているように決定される)。
【0049】
より好ましくは、工程(b)は、工程(b.1)、(b.2)、(b.3)、(b.5)、(b.6)及びより好ましくは(b.7)からなる。あるいは、より好ましくは、工程(b)は、工程(b.1)、(b.2)、(b.3)、(b.4)、(b.5)、(b.6)及びより好ましくは(b.7)からなる。
【0050】
好ましくは、工程(b.3)による含浸は、第1の酸化物材料の源を含む溶液を、工程(b.1)、より好ましくは工程(b.2)で得られた含浸させた多孔質の非ゼオライト酸化物支持体に撹拌しながら加えることによって行う。
【0051】
好ましくは、工程(b.4)は、第2の酸化物材料の源を、工程(b.3)で得られた混合物に撹拌しながら加えることによって行う。
【0052】
工程(b.4)で提供される第2の酸化物材料の源が、マンガン、セリウム、タングステン、モリブデン、プラセオジム、ユーロピウム、クロム、コバルト、テクネチウム、レニウム、ルテニウム、バナジウム及びインジウムのうちの1種以上を含む、より好ましくは、マンガン、セリウム、タングステン、プラセオジム及びインジウムのうちの1種以上を含む、より好ましくは、マンガン、セリウム及びプラセオジムのうちの1種以上を含む、より好ましくは、マンガン及びセリウムのうちの1種以上を含む源である、より好ましくは、マンガンを含む源であることが好ましい。
【0053】
好ましくは、工程(b.4)で提供される第2の酸化物材料の源は、塩、より好ましくはニトレート、より好ましくはマンガンニトレートである。
【0054】
工程(b)に関して、これがあるいは、以下の工程をさらに含むことが好ましい。
(b.1’) 白金の源を、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体にアジュバントを用いて含浸させ、アジュバントがより好ましくは水及びアルコールの1種以上、より好ましくは水である、含侵させる工程、
(b.2’) チタニア、より好ましくはチタニアヒドロゲルを含む第1の酸化物材料の源を含む溶液を、工程(b.1)で得られた、含浸させた多孔質の非ゼオライト酸化物支持体に含浸させて、混合物を得る工程、
(b.3’) 白金以外の1種以上の白金族金属の源を、工程(b.2’)で得られた含浸させた多孔質の非ゼオライト酸化物支持体に含浸させる工程、
(b.4’) 工程(b.3’)で得られた混合物を乾燥及び/又はか焼して、粉末を得る工程、
(b.5’) 水と、工程(b.4’)で得られた粉末とを含む混合物を調製する工程、
(b.6’) 好ましくは、工程(b.5’)で得られた混合物の粒子を、より好ましくは、混合物の粒子が3~30マイクロメートルの範囲、より好ましくは5~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは8~18マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで、粉砕する工程(Dv90は、参照例1に記載されているように決定される)。
【0055】
より好ましくは、工程(b)は、工程(b.1’)、(b.2’)、(b.3’)、(b.4’)、(b.5’)及びより好ましくは(b.6’)からなる。
【0056】
好ましくは、工程(b.2’)による含浸は、第1の酸化物材料の源を含む溶液を、工程(b.1’)で得られた含浸させた多孔質の非ゼオライト酸化物支持体に撹拌しながら加えることによって行う。
【0057】
好ましくは、工程(b.2)、又は工程(b.3’)で提供される白金以外の1種以上の白金族金属の源は、ロジウムの源及びパラジウムの源のうちの1種以上、より好ましくはロジウムニトレート溶液及びパラジウムニトレート溶液のうちの1種以上、より好ましくはロジウムニトレート溶液である。
【0058】
好ましくは、工程(b.5)又は工程(b.4’)による乾燥は、90~160℃の範囲、より好ましくは110~130℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行い、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素を含む。
【0059】
好ましくは、工程(b.5)又は(b.4’)によるか焼は、300~800℃の範囲、より好ましくは400~700℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行い、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素を含む。
【0060】
工程(b)で提供される多孔質の非ゼオライト酸化物支持体が、8~45nmの範囲、より好ましくは10~40nmの範囲、より好ましくは12~30nmの範囲、より好ましくは15~25nmの範囲の平均細孔径を有する細孔を含むことが好ましく、平均細孔径は参照例2に記載のように決定される。
【0061】
工程(b)で提供される多孔質の非ゼオライト酸化物支持体が、0.6ml/cm~2ml/cmの範囲、より好ましくは0.65ml/cm~1.75ml/cmの範囲、より好ましくは0.70ml/cm~1.5ml/cmの範囲の平均細孔容積を有することがより好ましく、平均細孔容積は参照例2に記載のように決定される。
【0062】
工程(b)で提供される多孔質の非ゼオライト酸化物支持体が、40~300m/gの範囲、より好ましくは50~200m/gの範囲、より好ましくは70~160m/gの範囲のBET比表面積を有することが好ましく、BET比表面積は参照例3に記載のように決定される。
【0063】
多孔質の非ゼオライト酸化物支持体の95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、アルミナからなることが好ましい。
【0064】
工程(c)で得られた混合物を工程(d)により配置することは、混合物を基材に噴霧することによって、又は基材を混合物に浸すことによって、好ましくは基材を混合物に浸すことによって、行われることが好ましい。
【0065】
工程(d)で提供される基材が、入口端と、出口端と、入口端から出口端まで延びる基材軸方向長さと、基材を通って延びる基材の内壁によって規定される複数の通路とを有することが好ましく、通路と内壁との間の界面は、内壁の表面を規定する。
【0066】
工程(c)で得られた混合物が、工程(d)により、基材軸方向長さの95~100%、より好ましくは98~100%、より好ましくは99~100%にわたって、入口端から出口端まで配置されていることが好ましい。
【0067】
好ましくは、工程(d)で提供される基材は、フロースルー基材又はウォールフローフィルター基材、より好ましくはフロースルー基材である。工程(d)で提供される基材がセラミック基材であることが好ましく、基材は、より好ましくは、コーディエライト、アルミニウムチタネート、ムライト及びシリコンカーバイドのうちの1つ以上、より好ましくはコーディエライト、アルミニウムチタネート及びシリコンカーバイドのうちの1つ以上、より好ましくはコーディエライトを含む、より好ましくはこれらからなる。基材がコーディエライトのフロースルー基材であることが好ましい。あるいは、好ましくは、工程(d)で提供される基材は金属物質を含み、より好ましくは金属物質からなり、金属物質は、より好ましくは、酸素と、鉄、クロム及びアルミニウムのうちの1種以上とを含む、より好ましくはこれらからなる。基材が金属のフロースルー基材であることがより好ましい。
【0068】
好ましくは、工程(d)による乾燥は、90~180℃の範囲、より好ましくは110~130℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行い、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素を含む。
【0069】
工程(d)による乾燥は、ガス雰囲気中で10~300分の範囲、より好ましくは60~120分の範囲の持続時間行うことが好ましく、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素を含む。
【0070】
工程(e)によるか焼は、300~800℃の範囲、より好ましくは450~650℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行うことが好ましく、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素を含む。
【0071】
工程(e)によるか焼は、ガス雰囲気中で10~300分の範囲、より好ましくは60~120分の範囲の持続時間行うことが好ましく、ガス雰囲気は、より好ましくは酸素を含む。
【0072】
本方法は、好ましくは、以下の工程をさらに含む。
(f) 工程(e)で得られた生成物をガス雰囲気中で、より好ましくは600~900℃の範囲、より好ましくは700~800℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でエージングし、ガス雰囲気がより好ましくは酸素を含む、エージングする工程。
【0073】
工程(f)によるエージングは、3~40時間の範囲、より好ましくは5~25時間の範囲、より好ましくは10~20時間の範囲の持続時間で行うことが好ましい。
【0074】
工程(f)で得られたアンモニア酸化触媒において、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体に担持された白金が、5~100nmの範囲、好ましくは10~30nmの範囲、より好ましくは12~28nmの範囲、より好ましくは14~25nmの範囲の平均結晶子径を有することが好ましく、平均結晶子径は参照例10に記載のように決定される。
【0075】
本方法は、工程(a)、(b)、(c)、(d)、(e)及び任意に(f)からなることが好ましい。
【0076】
本発明はさらに、本発明による方法によって得られた又は得ることができるアンモニア酸化触媒に関するものである。
【0077】
本発明はさらに、アンモニアの酸化のための、本発明によるアンモニア酸化触媒の使用方法に関するものであり、アンモニアは、好ましくは、ディーゼルエンジンからの排気ガス流に含まれている。
【0078】
本発明はさらに、アンモニアを酸化するための方法に関するものであり、アンモニアは排気ガス流に含まれ、この方法は以下を含む。
(1) 好ましくはディーゼルエンジンからの排気ガス流を提供する工程、
(2) 工程(1)で提供された排気ガス流を、本発明による触媒に通す工程。
【0079】
本発明を、以下の一連の実施態様と、示される従属関係及び後方参照から生じる実施態様の組み合わせによってさらに説明する。特に、例えば「実施態様1から3のいずれか1項に記載のアンモニア酸化触媒」などの用語の文脈で、実施態様の範囲が言及される各例では、この範囲内のすべての実施態様が当業者に明示的に開示されることを意味し、すなわち、この用語の文言は「実施態様1、2及び3のいずれか1項に記載のアンモニア酸化触媒」と同義であると当業者に理解されることに留意されたい。さらに、以下の実施態様のセットは、保護の範囲を決定する特許請求の範囲のセットではなく、本発明の一般的かつ好ましい態様に向けられた説明の好適に構成された部分を示すものであることを明示的に指摘する。
【0080】
1. (i) 銅及び鉄のうちの1つ以上を含むゼオライト材料である、選択的触媒還元成分、及び
(ii) 多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上に担持された白金を含み、白金を担持する多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上に担持された第1の酸化物材料をさらに含み、第1の酸化物材料がチタニアを含む、酸化触媒成分、
を含むコーティングを、基材上に配置して含んでいる、排気ガス流を処理するためのアンモニア酸化触媒。
【0081】
2. (i)による選択的触媒還元成分が8員環の細孔のゼオライト材料であり、8員環の細孔のゼオライト材料が、好ましくは、CHA、AEI、RTH、LEV、DDR、KFI、ERI、AFX、これらの2つ以上の混合物及びこれらの2つ以上の混合型からなる群から選択される、より好ましくは、CHA、AEI、RTH、これらの2つ以上の混合物及びこれらの2つ以上の混合型からなる群から選択される、より好ましくはCHA、AEI、それらの2つの混合物、及びそれらの2つの混合型からなる群から選択される、より好ましくはCHA及びAEIからなる群から選択される骨格型、より好ましくはCHAを有し、
8員環の細孔のゼオライト材料が、より好ましくはゼオライトSSZ-13である、実施態様1に記載の触媒。
【0082】
3. ゼオライト材料が骨格構造を有し、ゼオライト材料の骨格構造の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%が、Si、Al、O、及び任意にHからなり、骨格構造において、SiのAlに対するモル比が、モルSiO:Alとして計算され、好ましくは2:1~50:1の範囲、より好ましくは5:1~40:1の範囲、より好ましくは8:1~30:1の範囲、より好ましくは9:1~24:1の範囲、より好ましくは10:1~22:1の範囲である、実施態様1又は2に記載の触媒。
【0083】
4. ゼオライト材料が銅を含み、ゼオライト材料中の銅の量が、CuOとして計算され、ゼオライト材料の合計質量に基づいて、0.1~10質量%の範囲、好ましくは2~8質量%の範囲、より好ましくは3~7質量%の範囲、より好ましくは4~6.5質量%の範囲である、実施態様1から3のいずれか1項に記載の触媒。
【0084】
5. ゼオライト材料中に含まれる鉄の量が、Feとして計算され、ゼオライト材料の合計質量に基づいて、0~0.01質量%の範囲、好ましくは0~0.001質量%の範囲、より好ましくは0~0.0001質量%の範囲である、実施態様4に記載の触媒。
【0085】
6. ゼオライト材料が鉄を含み、ゼオライト材料中に含まれる鉄の量が、Feとして計算され、好ましくは、ゼオライト材料の合計質量に基づいて、0.1~10質量%の範囲、より好ましくは0.5~7質量%の範囲、より好ましくは1~5.5質量%の範囲、より好ましくは2~5.5質量%の範囲である、実施態様1から4のいずれか1項に記載の触媒。
【0086】
7. コーティングが、選択的触媒成分(i)を、1~5g/inの範囲、好ましくは1.2~4g/inの範囲、より好ましくは1.5~3.5g/inの範囲の担持量で含み、
コーティングの好ましくは60~95質量%、より好ましくは70~92質量%、より好ましくは75~90質量%が、選択的触媒成分(i)からなる、実施態様1から6のいずれか1項に記載の触媒。
【0087】
8. コーティングが、酸化物バインダーをさらに含み、酸化物バインダーが、好ましくは、
ジルコニア、アルミナ、チタニア、シリカ、及び
Zr、Al、Ti及びSiのうちの2つ以上を含む混合酸化物
のうちの1つ以上を含み、酸化物バインダーが、より好ましくは、ジルコニア及びアルミナのうちの1つ以上、より好ましくはジルコニアを含む、実施態様1から7のいずれか1項に記載の触媒。
【0088】
9. コーティングが、酸化物バインダーを、ゼオライト材料の質量に基づいて、1~10質量%の範囲、好ましくは2~8質量%の範囲、より好ましくは3~6質量%の範囲の量で含む、実施態様8に記載の触媒。
【0089】
10. 酸化触媒成分の65~95質量%、好ましくは70~92質量%、より好ましくは75~90質量%が、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体からなる、実施態様1から9のいずれか1項に記載の触媒。
【0090】
11. 多孔質の非ゼオライト酸化物支持体が、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ジルコニア-アルミナ、シリカ-アルミナ、及びこれらの2つ以上の混合物のうちの1つ以上、より好ましくは、アルミナ、ジルコニア-アルミナ、シリカ-アルミナ、及びこれらの2つ以上の混合物のうちの1つ以上を含み、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体が、より好ましくはアルミナを含み、
多孔質の非ゼオライト酸化物支持体のより好ましくは95~100質量%、より好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%がアルミナからなる、実施態様1から10のいずれか1項に記載の触媒。
【0091】
12. コーティングが、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体を、0.15~1.0g/inの範囲、好ましくは0.15~0.75g/inの範囲、より好ましくは0.20~0.50g/inの範囲の担持量で含む、実施態様1から11のいずれか1項に記載の触媒。
【0092】
13. コーティングが、選択的触媒還元成分(i)を担持量l1、(l1)で、及び多孔質の非ゼオライト酸化物支持体を担持量l3、(l3)で含み、選択的触媒還元成分(i)の、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体に対する担持量比が、(l1):(l3)で表して、1:1~25:1の範囲、好ましくは2:1~20:1の範囲、より好ましくは3:1~15:1の範囲、より好ましくは4:1~12:1の範囲、より好ましくは5:1~10:1の範囲である、実施態様1から12のいずれか1項に記載の触媒。
【0093】
14. 前記触媒をガス雰囲気中700~800℃の範囲の温度で10~20時間の範囲の持続時間エージングさせたとき(ガス雰囲気は好ましくは5~15%の蒸気を含む)に、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上に担持された白金が、5~100nmの範囲、好ましくは10~30nmの範囲、より好ましくは12~28nmの範囲、より好ましくは14~25nmの範囲の平均結晶子径を有し、平均結晶子径は、参照例10に記載のように決定される、実施態様1から13のいずれか1項に記載の触媒。
【0094】
15. コーティングが、白金を、元素白金として計算して、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体の質量に基づいて、0.2~1.5質量%の範囲、好ましくは0.5~1.0質量%の範囲の量で含み、
コーティングが、触媒中の白金担持量を、元素白金として計算して、0.5~25g/ftの範囲、好ましくは0.75~15g/ftの範囲、より好ましくは1~8g/ftの範囲、より好ましくは1.5~5g/ftの範囲で有する、実施態様1から14のいずれか1項に記載の触媒。
【0095】
16. 酸化触媒成分が、白金以外の1種以上の白金族金属、好ましくはパラジウム及びロジウムの1種以上、より好ましくはロジウムをさらに含み、
コーティングが、好ましくは、白金以外の1種以上の白金族金属を、元素白金族金属として計算して、0.5~20g/ftの範囲、好ましくは0.75~12g/ftの範囲、より好ましくは1~6g/ftの範囲、より好ましくは1.5~4g/ftの範囲の触媒中の担持量で含む、実施態様1から15のいずれか1項に記載の触媒。
【0096】
17. コーティングが、触媒中の総白金族金属担持量を、元素白金族金属として計算して、1~45g/ftの範囲、好ましくは1.5~27g/ftの範囲、より好ましくは2~14g/ftの範囲、より好ましくは3~9g/ftの範囲で有する、実施態様15又は16に記載の触媒。
【0097】
18.コーティングが、元素白金として計算される白金の担持量l(a)、及び元素白金族金属として計算される白金以外の1種以上の白金族金属の担持量l(b)を有し、白金の、白金以外の1種以上の白金族金属に対する担持量比が、l(a):l(b)として表して、1:10~10:1の範囲、好ましくは1:5~8:1の範囲、より好ましくは1:2~7:1の範囲、より好ましくは1:1~6:1の範囲、より好ましくは1.1~5:1の範囲、より好ましくは1.2:1~3:1の範囲である、実施態様15から17のいずれか1項に記載の触媒。
【0098】
19. 第1の酸化物材料の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%がチタニアからなる、実施態様1から18のいずれか1項に記載の触媒。
【0099】
20. コーティングが、第1の酸化物材料を、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体の質量に基づいて、1~20質量%の範囲、好ましくは2~10質量%の範囲、より好ましくは2.5~7.5質量%の範囲、より好ましくは3~6質量%の範囲の量で含む、実施態様1から19のいずれか1項に記載の触媒。
【0100】
21. コーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、白金を含む酸化触媒成分(ii)、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体、及びチタニアを含む第1の酸化物材料からなり、酸化触媒成分が、好ましくは、白金以外の1種以上の白金族金属、選択的触媒還元成分(i)、及び好ましくは、実施態様8又は9で定義した酸化物バインダーをさらに含む、実施態様1から20のいずれか1項に記載の触媒。
【0101】
22. 酸化触媒成分が、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上に担持された第2の酸化物材料をさらに含み、第2の酸化物材料が、マンガン、セリウム、タングステン、モリブデン、プラセオジム、ユーロピウム、クロム、コバルト、テクネチウム、レニウム、ルテニウム、バナジウム及びインジウムのうちの1種以上を含み、好ましくはマンガン、セリウム、タングステン、プラセオジム及びインジウムのうちの1種以上、より好ましくはマンガン、セリウム及びプラセオジムのうちの1種以上、より好ましくはマンガン、セリウムのうちの1種以上を含み、第2の酸化物材料が、より好ましくは、マンガン、より好ましくは酸化マンガン、より好ましくはMnO、Mn、Mn及びMnOのうちの1種以上を含む、実施態様1から20のいずれか1項に記載の触媒。
【0102】
23. 第2の酸化物材料の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、マンガン及び酸素からなる、実施態様22に記載の触媒。
【0103】
24. コーティングが、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体の質量に基づいて、1~20質量%の範囲、好ましくは2~10質量%の範囲の量で第2の酸化物材料を含む、実施態様22又は23に記載の触媒。
【0104】
25. コーティングの95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%が、白金を含む酸化触媒成分(ii)、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体、チタニアを含む第1の酸化物材料、及び第2の酸化物材料からなり、酸化触媒成分が、好ましくは、白金以外の1種以上の白金族金属、選択的触媒還元成分(i)、及び好ましくは、実施態様8又は9で定義した酸化物バインダーをさらに含む、実施態様22から24のいずれか1項に記載の触媒。
【0105】
26. 基材が、フロースルー基材又はウォールフローフィルター基材、好ましくはフロースルー基材であり、
基材が、好ましくは、コーディエライト、アルミニウムチタネート、ムライト及びシリコンカーバイドのうちの1種以上、より好ましくはコーディエライト、アルミニウムチタネート及びシリコンカーバイドのうちの1種以上、より好ましくはコーディエライトを含み、より好ましくはこれらからなり、基材が、より好ましくは、コーディエライトのフロースルー基材であり、又は基材が好ましくは、金属物質を含み、より好ましくは金属物質からなり、金属物質が、好ましくは、酸素と、鉄、クロム及びアルミニウムのうちの1種以上とを好ましくは含み、より好ましくはこれらからなり、基材がより好ましくは金属のフロースルー基材である、実施態様1から25のいずれか1項に記載の触媒。
【0106】
27. 基材が、入口端と、出口端と、入口端から出口端まで延びる基材軸方向長さと、基材を通って延びる基材の内壁によって規定される複数の通路とを有し、通路と内壁との間の界面が内壁の表面によって規定される、実施態様1から26のいずれか1項に記載の触媒。
【0107】
28. コーティングが、基材の内壁の表面上に配置され、基材の軸方向の長さの95~100%にわたって、好ましくは98~100%にわたって、より好ましくは99~100%にわたって延びており、コーティングが、好ましくは、基材の入口端から出口端まで延びている、実施態様27に記載の触媒。
【0108】
29. コーティングを、1~6g/inの範囲、好ましくは1.5~4.5g/inの範囲、より好ましくは1.75~3.75g/inの範囲の担持量で含む、実施態様1から28のいずれか1項に記載の触媒。
【0109】
30. 基材及びコーティングからなる、実施態様1から29のいずれか1項に記載の触媒。
【0110】
31. コーティングの0~0.1質量%、好ましくは0~0.01質量%、より好ましくは0~0.001質量%がセリウムからなる、実施態様1から30のいずれか1項に記載の触媒。
【0111】
32. 実施態様1から31のいずれか1項に記載のアンモニア酸化触媒を調製するための方法であって、以下の工程、
(a) 水と、銅及び鉄のうちの1つ以上を含むゼオライト材料である選択的触媒還元成分と、好ましくは酸化物バインダーの前駆体、より好ましくは実施態様8又は9で定義した酸化物バインダーとを含む、第1の混合物を調製する工程、
(b) 水と、白金の源を含む酸化触媒成分の源と、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体と、チタニアを含む第1の酸化物材料とを含む、第2の混合物を調製する工程、
(c) 工程(a)で得られた第1の混合物と、工程(b)で得られた第2の混合物とを混合する工程、
(d) 工程(c)で得られた混合物を基材上に配置し、そして任意に、混合物が上に配置されている基材を乾燥させる工程、
(e) 工程(d)で得られた基材をか焼する工程
を含む方法。
【0112】
33. 工程(a)が、以下の工程、
(a.1) 水と、酸化物バインダーの前駆体とを含む混合物を調製し、前駆体が、好ましくはアルミニウム塩、シリコン塩、ジルコニウム塩、及びチタン塩のうちの1種以上、より好ましくはジルコニウム塩、及びアルミニウム塩のうちの1種以上、より好ましくはジルコニウム塩、より好ましくはジルコニウムアセテートである、調製する工程、
(a.2) 銅及び鉄の1つ以上を含むゼオライト材料、より好ましくは銅を含む8員環の細孔のゼオライト材料である選択的触媒還元成分を、工程(a.1)で得られた混合物に添加する工程。
をさらに含む、実施態様32に記載の方法。
【0113】
34. 工程(b)が、以下の工程、
(b.1) 白金の源に、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上、アジュバントを含浸させ、アジュバントが好ましくは水及びアルコールの1種以上、より好ましくは水である、白金の源を含侵させる工程、
(b.2) 好ましくは、白金以外の1種以上の白金族金属の源を、工程(b.1)で得られた含浸させた多孔質の非ゼオライト酸化物支持体に含浸させる工程、
(b.3) チタニアを含む第1の酸化物材料の源を含む溶液、好ましくはチタニアヒドロゲルを、工程(b.1)で得られた、好ましくは工程(b.2)で得られた、含浸させた多孔質の非ゼオライト酸化物支持体に含浸させて、混合物を得る工程、
(b.4) 任意に、第2の酸化物材料の源を工程(b.3)で得られた混合物に添加する工程、
(b.5) 工程(b.3)で得られた混合物、任意に工程(b.4)で得られた混合物を乾燥及び/又はか焼して、粉末を得る工程、
(b.6) 水と、工程(b.5)で得られた粉末とを含む混合物を調製する工程、
(b.7) 好ましくは、工程(b.6)で得られた混合物の粒子を、より好ましくは混合物の粒子が3~30マイクロメートルの範囲、より好ましくは5~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは8~18マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで、粉砕する工程(Dv90は、参照例1に記載されているように決定される)
をさらに含み、
工程(b)が、好ましくは、工程(b.1)、(b.2)、(b.3)、(b.5)、(b.6)及びより好ましくは(b.7)からなり、又は工程(b)が、好ましくは工程(b.1)、(b.2)、(b.3)、(b.4)、(b.5)、(b.6)及びより好ましくは(b.7)からなる、実施態様32又は33に記載の方法。
【0114】
35. 工程(b.3)による含浸が、第1の酸化物材料の源を含む溶液を、工程(b.1)、好ましくは工程(b.2)で得られた含浸させた多孔質の非ゼオライト酸化物支持体に撹拌しながら加えることによって行われる、実施態様34に記載の方法。
【0115】
36. 工程(b.4)が、第2の酸化物材料の源を、工程(b.3)で得られた混合物に撹拌しながら加えることによって行われる、実施態様34又は35に記載の方法。
【0116】
37. 工程(b.4)で提供される第2の酸化物材料の源が、マンガン、セリウム、タングステン、モリブデン、プラセオジム、ユーロピウム、クロム、コバルト、テクネチウム、レニウム、ルテニウム、バナジウム及びインジウムのうちの1種以上を含む、好ましくは、マンガン、セリウム、タングステン、プラセオジム及びインジウムのうちの1種以上、より好ましくはマンガン、セリウム及びプラセオジムのうちの1種以上、より好ましくはマンガン及びセリウムのうちの1種以上を含む源、より好ましくはマンガンを含む源である、実施態様34から36のいずれか1項に記載の方法。
【0117】
38. 工程(b.4)で提供される第2の酸化物材料の源が、塩、好ましくはニトレート、より好ましくはマンガンニトレートである、実施態様37に記載の方法。
【0118】
39. 工程(b)が、以下の工程、
(b.1’) 白金の源に、多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上、アジュバントを含浸させ、アジュバントが好ましくは水及びアルコールの1種以上、より好ましくは水である、白金の源を含侵させる工程、
(b.2’) チタニア、好ましくはチタニアヒドロゲルを含む第1の酸化物材料の源を含む溶液を、工程(b.1)で得られた、含浸させた多孔質の非ゼオライト酸化物支持体に含浸させて、混合物を得る工程、
(b.3’) 白金以外の1種以上の白金族金属の源を、工程(b.2’)で得られた含浸させた多孔質の非ゼオライト酸化物支持体に含浸させる工程、
(b.4’) 工程(b.3’)で得られた混合物を乾燥及び/又はか焼して、粉末を得る工程、
(b.5’) 水と、工程(b.4’)で得られた粉末とを含む混合物を調製する工程、
(b.6’) 好ましくは、工程(b.5’)で得られた混合物の粒子を、より好ましくは、混合物の粒子が3~30マイクロメートルの範囲、より好ましくは5~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは8~18マイクロメートルの範囲のDv90を有するまで、粉砕する工程(Dv90は、参照例1に記載されているように決定される)
をさらに含み、
工程(b)が、好ましくは工程(b.1’)、(b.2’)、(b.3’)、(b.4’)、(b.5’)及びより好ましくは(b.6’)からなる、
実施態様32又は33に記載の方法。
【0119】
40. 工程(b.2’)による含浸が、第1の酸化物材料の源を含む溶液を、工程(b.1’)で得られた含浸させた多孔質の非ゼオライト酸化物支持体を撹拌しながら加えることによって行われる、実施態様39に記載の方法。
【0120】
41. 工程(b.2)、又は工程(b.3’)で提供される白金以外の1種以上の白金族金属の源が、ロジウムの源及びパラジウムの源のうちの1種以上、好ましくはロジウムニトレート溶液及びパラジウムニトレート溶液のうちの1種以上、より好ましくはロジウムニトレート溶液である、実施態様34から40のいずれか1項に記載の方法。
【0121】
42. 工程(b.5)又は工程(b.4’)による乾燥が、90~160℃の範囲、好ましくは110~130℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行われ、ガス雰囲気が好ましくは酸素を含む、実施態様34から41のいずれか1項に記載の方法。
【0122】
43. 工程(b.5)又は(b.4’)によるか焼が、300~800℃の範囲、好ましくは400~700℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行われ、ガス雰囲気が好ましくは酸素を含む、実施態様34から42のいずれか1項に記載の方法。
【0123】
44. 工程(b)で提供される多孔質の非ゼオライト酸化物支持体が、8~45nmの範囲、好ましくは10~40nmの範囲、より好ましくは12~30nmの範囲、より好ましくは15~25nmの範囲の平均細孔径を有する細孔を含み、平均細孔径は参照例2に記載のように決定される、実施態様34から43のいずれか1項に記載の方法。
【0124】
45. 工程(b)で提供される多孔質の非ゼオライト酸化物支持体が、0.6ml/cm~2ml/cmの範囲、好ましくは0.65ml/cm~1.75ml/cmの範囲、より好ましくは0.70ml/cm~1.5ml/cmの範囲の平均細孔容積を有し、平均細孔容積は参照例2に記載のように決定される、実施態様32から44のいずれか1項に記載の方法。
【0125】
46. 工程(b)で提供される多孔質の非ゼオライト酸化物支持体が、40~300m/gの範囲、好ましくは50~200m/gの範囲、より好ましくは70~160m/gの範囲のBET比表面積を有し、BET比表面積は参照例3に記載のように決定される、実施態様32から45のいずれか1項に記載の方法。
【0126】
47. 多孔質の非ゼオライト酸化物支持体の95~100質量%、好ましくは98~100質量%、より好ましくは99~100質量%、より好ましくは99.5~100質量%がアルミナからなる、実施態様32から46のいずれか1項に記載の方法。
【0127】
48. 工程(c)で得られた混合物を工程(d)により配置することが、混合物を基材に噴霧することによって、又は基材を混合物に浸すことによって、好ましくは基材を混合物に浸すことによって行われる、実施態様32から47のいずれか1項に記載の方法。
【0128】
49. 工程(d)で提供される基材が、入口端と、出口端と、入口端から出口端まで延びる基材軸方向長さと、基材を通って延びる基材の内壁によって規定される複数の通路とを有し、通路と内壁の間の界面が内壁の表面を規定する、実施態様32から48のいずれか1項に記載の方法。
【0129】
50. 工程(c)で得られた混合物が、工程(d)により、基材軸方向長さの95~100%にわたって、好ましくは98~100%にわたって、より好ましくは99~100%にわたって入口端から出口端まで配置されている、実施態様49に記載の方法。
【0130】
51. 工程(d)で提供される基材が、フロースルー基材又はウォールフローフィルター基材、好ましくはフロースルー基材であり、
工程(d)で提供される基材が好ましくはセラミック基材であり、基材が、より好ましくは、コーディエライト、アルミニウムチタネート、ムライト及びシリコンカーバイドのうちの1つ以上、より好ましくは、コーディエライト、アルミニウムチタネート及びシリコンカーバイドのうちの1つ以上、より好ましくは、コーディエライトを含み、より好ましくはこれらからなり、基材が、より好ましくはコーディエライトのフロースルー基材であり、又は
工程(d)で提供される基材が、好ましくは、金属物質を含み、より好ましくは金属物質からなり、金属物質が、好ましくは、酸素と、鉄、クロム及びアルミニウムのうちの1つ以上とを含み、より好ましくはこれらからなり、基材が、より好ましくは金属のフロースルー基材である、実施態様32から50のいずれか1項に記載の方法。
【0131】
52. 工程(d)による乾燥が、90~180℃の範囲、好ましくは110~130℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行われ、ガス雰囲気が、好ましくは酸素を含む、実施態様32から51のいずれか1項に記載の方法。
【0132】
53. 工程(d)による乾燥を、ガス雰囲気中で10~300分の範囲、好ましくは60~120分の範囲の持続時間行い、ガス雰囲気が好ましくは酸素を含む、実施態様32から52のいずれか1項に記載の方法。
【0133】
54. 工程(e)によるか焼を、300~800℃の範囲、好ましくは450~650℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中で行い、ガス雰囲気が好ましくは酸素を含む、実施態様32から53のいずれか1項に記載の方法。
【0134】
55. 工程(e)によるか焼を、ガス雰囲気中で10~300分の範囲、好ましくは60~120分の範囲の持続時間行い、ガス雰囲気が好ましくは酸素を含む、実施態様32から54のいずれか1項に記載の方法。
【0135】
56. さらに以下の工程、
(f) 工程(e)で得られた生成物をガス雰囲気中で、より好ましくは600~900℃の範囲、より好ましくは700~800℃の範囲の温度を有するガス雰囲気中でエージングし、ガス雰囲気がより好ましくは酸素を含む、エージングする工程
を含む、実施態様32から54のいずれか1項に記載の方法。
【0136】
57. 工程(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)からなる、又は工程(a)、(b)、(c)、(d)、(e)及び(f)からなる、実施態様32から56のいずれか1項に記載の方法。
【0137】
58. 実施態様32から57のいずれか1項、好ましくは57に記載の方法によって得られた又は得ることができる、アンモニア酸化触媒。
【0138】
59. アンモニアの酸化のための、実施態様1から31及び58のいずれか1項に記載のアンモニア酸化触媒の使用方法であって、アンモニアが好ましくは、ディーゼルエンジンからの排気ガス流に含まれる、使用方法。
【0139】
60. 排気ガス流に含まれているアンモニアを酸化するための、以下の工程、
(1) 好ましくはディーゼルエンジンからの前記排気ガス流を提供する工程、
(2) 工程(1)で提供された排気ガス流を、実施態様1から31及び58のいずれか1項に記載の触媒に通す工程
を含む、方法。
【0140】
61. 実施態様1から31及び58のいずれか1項に記載の触媒を、以下の工程、
(i) 触媒を、ガス雰囲気中で、700~800℃の範囲の温度で10~20時間の範囲の持続時間加熱する(該ガス雰囲気は、好ましくは5~15%の蒸気を含む)工程、
を含む、好ましくはこれからなるエージング処理に供することを含む、好ましくはこれからなる方法によって、得ることができる、又は得られたエージングした触媒であって、
前記エージングした触媒が、5~100nm、好ましくは10~30nm、より好ましくは12~28nm、より好ましくは14~25nmの範囲の平均結晶子径を示す多孔質の非ゼオライト酸化物支持体上に担持された白金を含み、前記平均結晶子径は参照例10に記載のように決定される、エージングした触媒。
【0141】
本発明において、「内壁の表面」という用語は、壁の「裸の」又は「むき出しの」又は「ブランク」の表面、すなわち、表面が汚染される可能性のある不可避の不純物を除いた、壁の材料からなる未処理状態の壁の表面として理解されるものとする。
【0142】
さらに、本発明において、「Xは、A、B及びCのうちの1つ以上である」という用語は、Xが所定の特徴であり、且つA、B及びCのそれぞれが前記特徴の具体的な実現を表す場合、Xが、A、又はB、又はCであるか、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA及びB及びCであることのいずれかを開示するものとして理解される。これに関連して、当業者は、上記の抽象的な用語を具体的な例に移すことができることに留意されたい。例えば、Xが化学元素であり、そしてA、B及びCがLi、Na及びKなどの具体的な元素である場合、又はXが温度であり、そしてA、B及びCが10℃、20℃、及び30℃などの具体的な温度である場合などである。これに関連して、当業者は、上記の用語を、前記特徴のより具体的でない実現、例えば、XがA、又はBであるか、又はA及びBであることのいずれかを開示する「XはA及びBのうちの1つ以上である」を、前記特徴のより具体的な実現、例えば、XがA、又はB、又はC、又はDであるか、又はA及びB、又はA及びC、又はA及びD、又はB及びC、又はB及びD、又はC及びD、又はA及びB及びC、又はA及びB及びD、又はB及びC及びD、又はA及びB及びC及びDであることのいずれかを開示する、「XはA、B、C及びDのうちの1つ以上である」に拡張することができることに、さらに留意されたい。
【0143】
さらに、本発明において、1つ以上の成分の質量%に関する「からなる」という用語は、対象の全体の100質量%に基づいた前記成分(単数又は複数)の質量%量を示す。例えば、「コーティングの0~0.01質量%がセリウムからなる」という文言は、前記コーティングを構成する成分100質量%のうち、0~0.01質量%がセリウムであることを示す。
【0144】
本発明を、以下の実施例、参照例及び比較例によってさらに説明する。
【実施例
【0145】
参照例1: 容積細孔径分布(Dv90)の決定
粒子径分布はSympatec HELOS(3200)&QUIXEL装置を用いた静的光散乱法により決定し、試料の光学濃度は6~10%の範囲であった。
【0146】
参照例2: 多孔質酸化物支持体の平均細孔容積及び平均細孔径の決定
これは、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)分析によって決定した。メソ多孔質材料について77Kで測定される窒素脱着データに典型的に適用される細孔径分布決定法である。これは、相対圧力(P/P)が高い値から低い値に低下する際に、材料の細孔から除去された吸着物の量を細孔の大きさに関連付けるために、変形されたケルビン式を使用する。
【0147】
参照例3: BET比表面積の測定
BET比表面積は、液体窒素を用いて、DIN66131又はDIN-ISO9277に準拠して決定した。
【0148】
参照例4: 一般的なコーティング方法
フロースルー基材を1つ以上のコーティングで被覆するために、フロースルー基材を所定のスラリーの一部に基材の特定の長さ分だけ垂直に浸した。このようにして、ウォッシュコートが基材の壁に接触した。試料をスラリー中に一定時間(通常1~10秒)放置した。真空を適用してスラリーを基材に引き込んだ。次いで、基材をスラリーから取り出して反転させ、余分なスラリーを基材から排出させた後、圧縮空気を(スラリーの浸透方向に逆らって)吹き付けて、基材から除去した。
【0149】
参照例5: 酸化触媒の調製
Pt/Rh-アルミナ懸濁液
容器内で、10gの白金アミン塩の溶液(17質量%のPtを含む)を、100mlの脱イオン水と混合した。この混合物を、716gのアルミナ粉末(ZrOとして計算して20質量%のZrでドープしたAl、BET比表面積200m/g、細孔容積0.4ml/cm、平均細孔径5ナノメートル)上に滴下して加えた。続いて、33mlのロジウム-ニトレート溶液(溶液の質量に基づいて10質量%のRhを含む)を、得られた白金-アルミナ混合物に滴下して加えた。次いで、得られた混合物を、箱型オーブンで空気中600℃で2時間か焼した。か焼した粉末を4.5kgの脱イオン水に加え、懸濁液を得た。その後、この懸濁液をボールミルで粉砕して、懸濁液の粒子のDv90が15マイクロメートルになるようにした。コーティングされていないハニカムフロースルーセラミックモノリス基材(コーディエライト-直径:2.54cm(1インチ)×長さ:10.16cm(4インチ)の円筒形の基材で、1平方センチメートルあたり400/(2.54)個のセルを有し、壁厚は0.1ミリメートル(4ミル))を、参照例4に記載の方法に従って、基材の長さの100%にわたって得られた懸濁液で浸漬コーティングした。コーティングされた基材を120℃で2時間乾燥させ、空気中600℃で2時間か焼した。か焼後の触媒におけるコーティングの最終的な担持量は、約0.25g/inであり、これには、0.25g/inのアルミナ-Zr、3g/ftのPt、及び2g/ftのRh(Pt:Rhの原子比は1.5:1)が含まれていた。
【0150】
参照例6: 酸化触媒の調製
Pt/Rh-アルミナ懸濁液
容器内で、10gの白金アミン塩の溶液(17質量%のPtを含む)を、100mlの脱イオン水と混合した。この混合物を、716gのアルミナ粉末(BET比表面積100m/g、平均細孔容積約1ml/cm、平均細孔径20ナノメートル)上に滴下して加えた。続いて、33mlのロジウム-ニトレート溶液(10質量%のRhを含む)を、得られた白金-アルミナ混合物に滴下して加えた。次いで、得られた混合物を、箱型オーブンで空気中600℃で2時間か焼した。か焼した粉末を脱イオン水に加え、懸濁液を得た。その後、この懸濁液をボールミルで粉砕して、懸濁液の粒子のDv90が15マイクロメートルになるようにした。コーティングされていないハニカムフロースルーセラミックモノリス基材(コーディエライト-直径:2.54cm(1インチ)×長さ:10.16cm(4インチ)の円筒形の基材で、1平方センチメートルあたり400/(2.54)個のセルを有し、壁厚は0.1ミリメートル(4ミル))を、参照例4に記載の方法に従って、基材の長さの100%にわたって得られた懸濁液で浸漬コーティングした。コーティングされた基材を120℃で2時間乾燥させ、空気中600℃で2時間か焼した。か焼後の触媒におけるコーティングの最終的な担持量は、約0.25g/inであり、これには、0.25g/inのアルミナ、3g/ftのPt、及び2g/ftのRh(Pt:Rhの原子比は1.5:1)が含まれていた。
【0151】
参照例7 酸化触媒の調製
Pt/Rh-アルミナ懸濁液
容器内で、10gの白金アミン塩の溶液(17質量%のPtを含む)を、100mlの脱イオン水と混合した。この混合物を、716gのアルミナ粉末(BET比表面積100m/g、平均細孔容積約1ml/cm、平均細孔径20ナノメートル)上に滴下して加えた。続いて、33mlのロジウム-ニトレート溶液(10質量%のRhを含む)を、Pt-アルミナ混合物に滴下して加えた。続いて、200gのTiOヒドロゲル(ヒドロゲルの質量に基づいて18質量%のTiOを含む)を、アイリッヒミキサーを用いて激しく混合しながら、Pt/Rh-アルミナ混合物に滴下して加えた。その後、60gのマンガンニトレート溶液(溶液の質量に基づいて、MnOとして計算して50質量%のMn含有量を有する)を、激しく混合しながら滴下して加えた。得られた混合物を120℃で2時間乾燥させ、それから箱型オーブンで空気中600℃で2時間か焼し、粉末を得た。か焼した粉末を4.5kgの脱イオン水に加えた。その後、得られた懸濁液をボールミルで粉砕して、懸濁液の粒子のDv90が15マイクロメートルになるようにした。コーティングされていないハニカムフロースルーセラミックモノリス基材(コーディエライト-直径:2.54cm(1インチ)×長さ:10.16cm(4インチ)の円筒形の基材で、1平方センチメートルあたり400/(2.54)個のセルを有し、壁厚は0.1ミリメートル(4ミル))を、参照例4に記載の方法に従って、基材の長さの100%にわたって得られた懸濁液で浸漬コーティングした。コーティングされた基材を120℃で2時間乾燥させ、空気中600℃で2時間か焼した。か焼後の触媒におけるコーティングの最終的な担持量は、約0.27g/inであり、これには、0.25g/inのアルミナ、0.0125g/inのチタニア、0.01g/inのMnO、3g/ftのPt、及び2g/ftのRh(Pt:Rhの原子比は1.5:1)が含まれていた。
【0152】
参照例8 酸化触媒の調製
Pt/Rh-アルミナ懸濁液
別の容器内で、10gの白金アミン塩の溶液(17質量%のPtを含む)を、100mlの脱イオン水と混合した。この混合物を、716gのアルミナ粉末(BET比表面積100m/g、平均細孔容積約1ml/cm、平均細孔径20ナノメートル)上に滴下して加えた。続いて、200gのTiOヒドロゲル(ヒドロゲルの質量に基づいて18質量%のTiOを含む)を、激しく混合しながらPt-アルミナ混合物に滴下して加えた。その後、33mlのロジウム-ニトレート溶液(溶液の質量に基づいて10質量%のRhを含む)を、得られた混合物に滴下して加えた。前記混合物を120℃で2時間乾燥させ、それから箱型オーブンで空気中600℃で2時間か焼し、粉末を得た。か焼した粉末を4.5kgの脱イオン水に加えた。その後、得られた懸濁液をボールミルで粉砕して、懸濁液の粒子のDv90が15マイクロメートルになるようにした。コーティングされていないハニカムフロースルーセラミックモノリス基材(コーディエライト-直径:2.54cm(1インチ)×長さ:10.16cm(4インチ)の円筒形の基材で、1平方センチメートルあたり400/(2.54)個のセルを有し、壁厚は0.1ミリメートル(4ミル))を、参照例4に記載の方法に従って、基材の長さの100%にわたって得られた懸濁液で浸漬コーティングした。コーティングされた基材を120℃で2時間乾燥させ、空気中600℃で2時間か焼した。か焼後の触媒におけるコーティングの最終的な担持量は、約0.26g/inであり、これには、0.25g/inのアルミナ、0.0125g/inのチタニア、3g/ftのPt、及び2g/ftのRh(Pt:Rhの原子比は1.5:1)が含まれていた。
【0153】
参照例9 酸化触媒の調製
Pt/Rh-アルミナ懸濁液
別の容器内で、10gの白金アミン塩の溶液(17質量%のPtを含む)を、100mlの脱イオン水と混合した。この混合物を、716gのアルミナ粉末(BET比表面積100m/g、平均細孔容積約1ml/cm、平均細孔径20ナノメートル)上に滴下して加えた。続いて、33mlのロジウム-ニトレート溶液(溶液の質量に基づいて10質量%のRhを含む)を、Pt-アルミナ混合物に滴下して加えた。その後、200gのTiOヒドロゲル(ヒドロゲルの質量に基づいて18質量%のTiOを含む)を、激しく混合しながらPt/Rh-アルミナ混合物に滴下して加えた。得られた混合物を120℃で2時間乾燥させ、それから箱型オーブンで空気中600℃で2時間か焼した。か焼した粉末を4.5kgの脱イオン水に加えた。その後、得られた懸濁液をボールミルで粉砕して、懸濁液の粒子のDv90が15マイクロメートルになるようにした。コーティングされていないハニカムフロースルーセラミックモノリス基材(コーディエライト-直径:2.54cm(1インチ)×長さ:10.16cm(4インチ)の円筒形の基材で、1平方センチメートルあたり400/(2.54)個のセルを有し、壁厚は0.1ミリメートル(4ミル))を、参照例4に記載の方法に従って、基材の長さの100%にわたって得られた懸濁液で浸漬コーティングした。コーティングされた基材を120℃で2時間乾燥させ、空気中600℃で2時間か焼した。か焼後の触媒におけるコーティングの最終的な担持量は、約0.26g/inであり、これには、0.25g/inのアルミナ、0.0125g/inのチタニア、3g/ftのPt、及び2g/ftのRh(Pt:Rhの原子比は1.5:1)が含まれていた。
【0154】
比較例1: 本発明によらないAMOX触媒の調製
a) ゼオライト懸濁液
0.7kgのジルコニウムアセテートの溶液を、5.2kgの脱イオン水と容器内で混合した。この混合物に、5.0kgのCu-SSZ-13ゼオライト材料(Cu含有量がCuOとして計算してゼオライト材料の質量に基づいて3.3質量%、SiO:Alモル比が25、BET比表面積が約500~600m/g、及びDv90が5マイクロメートル)を加えた。
b) Pt/Rh-アルミナ懸濁液
前記懸濁液は、参照例5で調製したPt/Rh-アルミナ懸濁液として調製した。
c) 最終懸濁液
さらに、a)で得られたゼオライト懸濁液に、b)で得られたPt/Rh-アルミナ懸濁液を加え、十分に混合した。
【0155】
コーティングされていないハニカムフロースルーセラミックモノリス基材(コーディエライト-直径:2.54cm(1インチ)×長さ:10.16cm(4インチ)の円筒形の基材で、1平方センチメートルあたり400/(2.54)個のセルを有し、壁厚は0.1ミリメートル(4ミル))を、参照例4に記載の方法に従って、基材の長さの100%にわたって最終懸濁液で浸漬コーティングした。コーティングされた基材を120℃で2時間乾燥させ、空気中590℃で2時間か焼した。か焼後の触媒におけるコーティングの最終的な担持量は、約2g/inであり、これには、1.65g/inのCu-SSZ-13、0.25g/inのアルミナ-Zr、0.1g/inのジルコニア、3g/ftのPt及び2g/ftのRh(Pt:Rhの原子比は1.5:1)が含まれていた。
【0156】
比較例2: 本発明によらないAMOX触媒の調製
Cu-SSZ-13ゼオライト材料(Cu含有量がCuOとして計算してゼオライト材料の質量に基づいて4.5質量%、SiO:Alモル比が25、BET比表面積が約500~600m/g、及びDv90が5マイクロメートル)を使用したこと以外は、比較例1の触媒と同様にして比較例2の触媒を調製した。
【0157】
比較例3: 本発明によらないAMOX触媒の調製
Cu-SSZ-13ゼオライト材料(Cu含有量がCuOとして計算してゼオライト材料の質量に基づいて5.5質量%、SiO:Alモル比が18、BET比表面積が約500~600m/g、及びDv90が5マイクロメートル)を使用したこと以外は、比較例1の触媒と同様にして比較例3の触媒を調製した。
【0158】
比較例4: 本発明によらないAMOX触媒の調製
a) ゼオライト懸濁液
0.7kgのジルコニウムアセテートの溶液を、5.2kgの脱イオン水と容器内で混合した。この混合物に、5.0kgのCu-SSZ-13ゼオライト材料(Cu含有量がCuOとして計算してゼオライト材料の質量に基づいて5.5質量%、SiO:Alモル比が18、BET比表面積が約500~600m/g、及びDv90が5マイクロメートル)を加えた。
b) Pt/Rh-アルミナ懸濁液
前記懸濁液は、参照例6で調製したPt/Rh-アルミナ懸濁液として調製した。
c) 最終懸濁液
さらに、a)で得られたゼオライト懸濁液に、b)で得られたPt/Rh-アルミナ懸濁液を加え、十分に混合した。
【0159】
コーティングされていないハニカムフロースルーセラミックモノリス基材(コーディエライト-直径:2.54cm(1インチ)×長さ:10.16cm(4インチ)の円筒形の基材で、1平方センチメートルあたり400/(2.54)個のセルを有し、壁厚は0.1ミリメートル(4ミル))を、参照例4に記載の方法に従って、基材の長さの100%にわたって最終懸濁液で浸漬コーティングした。コーティングされた基材を120℃で2時間乾燥させ、空気中600℃で2時間か焼した。か焼後の触媒におけるコーティングの最終的な担持量は、約2g/inであり、これには、1.65g/inのCu-SSZ-13、0.25g/inのアルミナ、0.1g/inのジルコニア、3g/ftのPt及び2g/ftのRh(Pt:Rhの原子比は1.5:1)が含まれていた。
【0160】
実施例1: AMOX触媒の調製
a) ゼオライト懸濁液
0.7kgのジルコニウムアセテートの溶液を、5.2kgの脱イオン水と容器内で混合した。この混合物に、5.0kgのCu-SSZ-13ゼオライト材料(Cu含有量がCuOとして計算してゼオライト材料の質量に基づいて5.5質量%、SiO:Alモル比が18、BET比表面積が約500~600m/g、及びDv90が5マイクロメートル)を加えた。
b) Pt/Rh-アルミナ懸濁液
前記懸濁液は、参照例7で調製したPt/Rh-アルミナ懸濁液として調製した。
c) 最終懸濁液
さらに、a)で得られたゼオライト懸濁液に、b)で得られたPt/Rh-アルミナ懸濁液を加え、十分に混合した。
【0161】
コーティングされていないハニカムフロースルーセラミックモノリス基材(コーディエライト-直径:2.54cm(1インチ)×長さ:10.16cm(4インチ)の円筒形の基材で、1平方センチメートルあたり400/(2.54)個のセルを有し、壁厚は0.1ミリメートル(4ミル))を、参照例4に記載の方法に従って、基材の長さの100%にわたって最終懸濁液で浸漬コーティングした。コーティングされた基材を120℃で2時間乾燥させ、空気中600℃で2時間か焼した。か焼後の触媒におけるコーティングの最終的な担持量は、約2g/inであり、これには、1.65g/inのCu-SSZ-13、0.25g/inのアルミナ、0.0125g/inのチタニア、0.01g/inのMnO、0.1g/inのジルコニア、3g/ftのPt及び2g/ftのRh(Pt:Rhの原子比は1.5:1)が含まれていた。
【0162】
実施例2: AMOX触媒の調製
a) ゼオライト懸濁液
前記懸濁液は、実施例1のa)で調製したゼオライト懸濁液として調製した。
b) Pt/Rh-アルミナ懸濁液
前記懸濁液は、参照例8で調製したPt/Rh-アルミナ懸濁液として調製した。
c) 最終懸濁液
さらに、Pt/Rh/アルミナ懸濁液をゼオライト懸濁液に加え、十分に混合した。
【0163】
コーティングされていないハニカムフロースルーセラミックモノリス基材(コーディエライト-直径:2.54cm(1インチ)×長さ:10.16cm(4インチ)の円筒形の基材で、1平方センチメートルあたり400/(2.54)個のセルを有し、壁厚は0.1ミリメートル(4ミル))を、参照例4に記載の方法に従って、基材の長さの100%にわたって最終懸濁液で浸漬コーティングした。コーティングされた基材を120℃で2時間乾燥させ、空気中600℃で2時間か焼した。か焼後の触媒におけるコーティングの最終的な担持量は、約2g/inであり、これには、1.65g/inのCu-SSZ-13、0.25g/inのアルミナ、0.0125g/inのチタニア、0.1g/inのジルコニア、3g/ftのPt及び2g/ftのRh(Pt:Rhの原子比は1.5:1)が含まれていた。
【0164】
実施例3: AMOX触媒の調製
a) ゼオライト懸濁液
前記懸濁液は、実施例1のa)で調製したゼオライト懸濁液として調製した。
b) Pt/Rh-アルミナ懸濁液
前記懸濁液は、参照例9で調製したPt/Rh-アルミナ懸濁液として調製した。
c) 最終懸濁液
さらに、a)で得られたゼオライト懸濁液に、Pt/Rh-アルミナ懸濁液を加え、十分に混合した。
【0165】
コーティングされていないハニカムフロースルーセラミックモノリス基材(コーディエライト-直径:2.54cm(1インチ)×長さ:10.16cm(4インチ)の円筒形の基材で、1平方センチメートルあたり400/(2.54)個のセルを有し、壁厚は0.1ミリメートル(4ミル))を、参照例4に記載の方法に従って、基材の長さの100%にわたって最終懸濁液で浸漬コーティングした。コーティングされた基材を120℃で2時間乾燥させ、空気中600℃で2時間か焼した。か焼後の触媒におけるコーティングの最終的な担持量は、約2g/inであり、これには、1.65g/inのCu-SSZ-13、0.25g/inのアルミナ、0.0125g/inのチタニア、0.1g/inのジルコニア、3g/ftのPt及び2g/ftのRh(Pt:Rhの原子比は1.5:1)が含まれていた。
【0166】
参照例10: 平均白金族金属(PGM)結晶子径の測定
平均白金族金属(PGM)結晶子径の測定は、出願WO2015/143191A1に開示された方法に従って行った。具体的には、同出願の[0064]~[0075]を参照されたい。
【0167】
参照例4: 性能試験
参照例4~8の触媒、比較例1~4の触媒、及び実施例1~3の触媒を試験した。触媒は、10%の蒸気を用いて750℃で16時間エージングさせた。試験は、直径1インチ、長さ4インチの大きさの試験試料を含有する加熱管からなる実験室用反応器を用いて行った。供給ガスの濃度は、N中のNHが220ppm、COが5%、及びOが15%に、空間速度は90k h-1、そしてガス及び試料の温度は150℃に設定した。この条件で試験を10分間行った(150~550℃への昇温-SV=80k h-1、225ppmのNH、12%のO、4%のHO、4%のCO)。この後及び150℃で30分後、さらに150ppmのNOをガスに供給し、そして温度を550℃に達するまで30℃/分ずつ上昇するよう設定した(SV=80k h-1、225ppmのNH、150ppmのNO、12%のO、4%のHO、4%のCO)。この試験の間、FTIRを用いて入口及び出口の濃度を測定した。NOx転化率は、次のように計算した:
NOx転化率(%)=((NOx出口(ppm)/(NOx入口(ppm))-1)*100。
【0168】
結果を以下の表1及び図1に示す。
【0169】
【表1】
【0170】
PGM平均結晶子径は、参照例10に記載のように決定された
**T50[NH](ゼオライトあり)-T50[NH](ゼオライトなし)
Cu-SSZ-13:CuOとして計算して3.3質量%のCu-SiO:Alモル比25
Cu-SSZ-13:CuOとして計算して4.5質量%のCu-SiO:Alモル比18
Cu-SSZ-13:CuOとして計算して5.5質量%のCu-SiO:Alモル比18
【0171】
表1から分かるように、最も低いアンモニアのライトオフ温度の上昇は、多孔質アルミナに担持されたチタニアを含む実施例1~3の触媒で達成された。この効果は、チタニアに加えてMnOを含む実施例1の触媒で、より顕著である。さらに、多孔質アルミナに担持されたチタニアを含む実施例1~3の触媒では、チタニア又はMnOを含まない比較例1~4の触媒に比べて、より低いNOxが形成されることが観察された。最後に、多孔質支持体へのPt、Rh及びTiOの含浸の順序が、アンモニアのライト温度に影響を与えるとも考えられる。特に、最初にアルミナにPtを含浸させ、それからTiOを含浸させ、そして最後にRhを含浸させた実施例2の触媒は37℃のライトオフ温度の差を示し、それに対して、最初にPtを含浸させ、それからRhを含浸させ、そして最後にTiOを含浸させた実施例3の触媒では、低減された27℃のライトオフ温度の差が得られた。その結果、本発明による実施例1~3の触媒は、比較例1~4の触媒に比べて高い選択性を示す。本発明の触媒は、NOxの形成及び一酸化二窒素の形成を低減することができる。
【0172】
最後に、表1から、いかなる理論にも拘束されることなく、白金(及び任意にロジウム)を既に担持している多孔質の非ゼオライト酸化物支持体にチタニアを含浸させると、チタニアが本発明の触媒のコーティングにおいて白金及び銅の相互作用を低減することができると考えられる。実際にこのことは、本発明による触媒で得られるNOx転化率の向上によって裏付けられている。
【0173】
参照例11: 酸化触媒の調製
多孔質アルミナ粉末(BET比表面積100m/g、平均細孔容積約1ml/cm、平均細孔径20ナノメートルを有する)を多孔質アルミナ粉末(BET比表面積150m/g、平均細孔容積約0.9ml/cm及び平均細孔径18nm-固形分96%)に置き換えたこと以外は、参照例9の触媒と同様にして参照例11の触媒を調製した。
【0174】
参照例12: 酸化触媒の調製
Pt/Rh-アルミナ懸濁液
固形分30質量%のZrOの溶液101gを、多孔質ガンマアルミナ粉末395g(BET比表面積150m/g、平均細孔容積0.9ml/cm、及び平均細孔径18nm-固形分96%を有する)に激しく撹拌しながら滴下して加えた。その後、粉末をオーブンで空気下650℃で4時間か焼した。
【0175】
12.8gの白金モノエタノール溶液(16質量%のPtを含む)を、100mgの脱イオン水と混合した。この混合物を、激しく撹拌しながら、得られたZrドープアルミナ粉末に滴下して加えた。続いて、15.2gのロジウムニトレート溶液(Rhを9.6質量%含む)を100gの脱イオン水で希釈し、得られた白金/Zrドープアルミナ混合物に、撹拌しながら滴下して加えた。
【0176】
得られた混合物を120℃で2時間乾燥させ、それから箱型オーブンで空気中600℃で2時間か焼した。か焼した粉末を脱イオン水(1kg)に加え、懸濁液を得た。その後、懸濁液をボールミルで粉砕して、懸濁液の粒子のDv90が10マイクロメートルになるようにした。
【0177】
コーティングされていないハニカムフロースルーセラミックモノリス基材(コーディエライト-直径:2.54cm(1インチ)×長さ:10.16cm(4インチ)の円筒形の基材で、1平方センチメートルあたり400/(2.54)個のセルを有し、壁厚は0.1ミリメートル(4ミル))を、参照例4に記載の方法に従って、基材の長さの100%にわたって得られた懸濁液で浸漬コーティングした。コーティングされた基材を120℃で2時間乾燥させ、空気中600℃で2時間か焼した。か焼後の触媒におけるコーティングの最終的な担持量は、約0.25g/inであり、これには、0.25g/inのZr-アルミナ(ZrOとして計算して、アルミナの質量に基づいて8質量%のZr)、3g/ftのPt及び2g/ftのRh(Pt:Rhの原子比は1.5:1)が含まれていた。
【0178】
参照例13: 酸化触媒の調製
Pt/Rh-アルミナ懸濁液
固形分18.5質量%のTiOゾルゲル162gを、多孔質ガンマアルミナ粉末395g(BET比表面積150m/g、平均細孔容積0.9ml/cm、及び平均細孔径18nm-固形分96%)に激しく撹拌しながら滴下して加えた。その後、粉末をオーブンで空気下650℃で4時間か焼した。
【0179】
12.8gの白金モノエタノール溶液(16質量%のPtを含む)を100mgの脱イオン水と混合した。この混合物を、激しく撹拌しながら、得られたTiドープアルミナ粉末に滴下して加えた。続いて、15.2gのロジウムニトレート溶液(Rhを9.6質量%含む)を100gの脱イオン水で希釈し、得られた白金/Tiドープアルミナ混合物に、撹拌しながら滴下して加えた。
【0180】
得られた混合物を120℃で2時間乾燥させ、それから箱型オーブンで空気中600℃で2時間か焼した。か焼した粉末を脱イオン水(1kg)に加え、懸濁液を得た。その後、この懸濁液をボールミルで粉砕して、懸濁液の粒子のDv90が10マイクロメートルになるようにした。
【0181】
コーティングされていないハニカムフロースルーセラミックモノリス基材(コーディエライト-直径:2.54cm(1インチ)×長さ:10.16cm(4インチ)の円筒形の基材で、1平方センチメートルあたり400/(2.54)個のセルを有し、壁厚は0.1ミリメートル(4ミル))を、参照例4に記載された方法に従って、基材の長さの100%にわたって得られた懸濁液で浸漬コーティングした。コーティングされた基材を120℃で2時間乾燥させ、空気中600℃で2時間か焼した。か焼後の触媒におけるコーティングの最終的な担持量は、約0.25g/inであり、これには、0.25g/inのTi-アルミナ(TiOとして計算してアルミナの質量に基づいて8質量%のTi)、3g/ftのPt、及び2g/ftのRh(Pt:Rhの原子比は1.5:1)が含まれていた。
【0182】
参照例14: 性能試験
参照例5及び11~13の触媒を試験した。触媒は、750℃で16時間、空気中10%の蒸気でエージングさせ、NHライトオフテストで評価された。この試験では、750ppmのNH、12%のCO、4%のO及び4%のHOを、空間速度(SV)100k h-1で150℃の反応器入口に供給した。触媒がNHで完全に飽和した後、温度を5℃/分の速度で550℃まで上昇させた。NHが50%転化される温度を記録し、表2に異なる触媒及びNOピークエミッションをプロットした。
【0183】
【表2】
【0184】
表2から分かるように、既にPt及びRhを担持している多孔質アルミナ上に担持されたチタニアを含む参照例11の触媒では、チタニアを含まない参照例5及び12の触媒と比較して、最も低い一酸化二窒素排出が得られた。さらに、既にPt及びRhを担持している多孔質アルミナ上に担持されたチタニアを含む参照例11の触媒では、Tiでドープしたアルミナ上に担持されたPt及びRhを含む参照例13の触媒と比較して、アンモニアのライトオフ温度は維持されたまま、最も低い一酸化二窒素排出も得られた。実際、参照例11の触媒を使用した場合、参照例13の触媒に比べて一酸化二窒素の排出は約64%減少し、一方でアンモニアのライトオフは20%の増加を示した。このように、触媒中のチタニアの存在だけでなく、触媒の他の成分から見て、多孔質アルミナ上のチタニアの位置も、触媒の性能に影響を与えると考えられる。
【0185】
引用した文献
- WO2010/062730A2
- EP2878360A1
- WO2015/143191A1
図1
【国際調査報告】