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特表2022-533767標的患者の胸部を横切るセンサの位置合わせシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(54)【発明の名称】標的患者の胸部を横切るセンサの位置合わせシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20220715BHJP
   A61N 7/00 20060101ALI20220715BHJP
   A61N 1/36 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
A61B10/00 B
A61N7/00
A61N1/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569418
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(85)【翻訳文提出日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 IL2020050551
(87)【国際公開番号】W WO2020234878
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】62/850,572
(32)【優先日】2019-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521509181
【氏名又は名称】センシブル メディカル イノベーションズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サロカ、アミール
(72)【発明者】
【氏名】シャニ、アナット
(72)【発明者】
【氏名】ベルギダ、シュロミ
(72)【発明者】
【氏名】ミシャニ、リラン
(72)【発明者】
【氏名】バーグマン、ナーマ
(72)【発明者】
【氏名】マズリ、アリン
(72)【発明者】
【氏名】ミズラヒ、ナダヴ
(72)【発明者】
【氏名】イェレンスキ、ヴィキ
(72)【発明者】
【氏名】ユルザリー、シェイ
【テーマコード(参考)】
4C053
4C160
【Fターム(参考)】
4C053JJ40
4C160JJ11
(57)【要約】
標的個体の胸郭を横切って前方センサ及び/又は後方センサを位置決めするための装置が提供される。該装置は後方位置位置決め要素を備え、後方位置決め要素には、標的個体の肩のライン及び首背部の基部に適合する寸法と形状のカラーと、該カラーに接続される第1端部領域、及び標的個体の脊柱の解剖学的な標的特徴に対応するように設定された位置マーカを有する第2端部領域を有する細長要素とが含まれる。使用時には、細長要素が標的個体の背中において、脊柱の長軸に平行かつその上に配置される。そして少なくとも1つの前方センサと少なくとも1つの後方センサが、標的領域への送信及び/又は標的領域からの感知のために、患者の胸郭上に後方位置決め要素に対して配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方センサ及び後方センサの少なくとも1つを、標的個体の胸郭を横切って標的領域に位置決めするための装置であって、
前記装置は、
(i)前記標的個体の肩のライン及び首背部の基部に適合する寸法と形状をしたカラーと、
(ii)前記カラーに接続された第1端部領域と、前記標的個体の脊柱の解剖学的標的特徴に対応するように設定された位置マーカを有する第2端部領域とを有する細長要素と、
から成る後方位置決め要素を備え、
使用時には、前記細長要素が前記標的個体の背中において、脊柱の長軸に平行かつその上に配置され、かつ少なくとも1つの前方センサと少なくとも1つの後方センサが、前記標的領域への送信及び/又は前記標的領域からの感知のために、患者の胸郭上に前記後方位置決め要素に対して配置される、装置。
【請求項2】
前記後方位置決め機構に結合するように設計された保持機構を更に備え、
前記保持機構は、
(i)標的患者の肩に適合する、実質的な弧形部と、
(ii)前記標的個体の胸部に接触するための少なくとも1つの前方センサに繋がる細長の前方部と、
(iii)前記標的個体の背中に接触するために少なくとも1つの後方センサに繋がる細長の後方部と、
を備え、
使用時には、前記保持機構の位置は、前記位置決めされた後方位置決め要素に対して設定され、前記標的領域への送信及び/又は前記標的領域からの感知のために前記少なくとも1つの前方センサと前記少なくとも1つの後方センサが、前記保持機構によって前記後方位置決め機構に相対的に前記患者の前記胸郭上に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
コードを格納した非一時的メモリであって、前記コードは計算デバイスの少なくとも1つのハードウェアプロセッサによって実行されると、前記少なくとも1つのハードウェアプロセッサに、前記少なくとも1つの後方センサ及び前記少なくとも1つの前方センサの作動を制御させ、前記少なくとも1つの後方センサ及び前記少なくとも1つの前方センサの出力を受信させ、前記少なくとも1つの後方センサ及び前記少なくとも1つの前方センサの出力に従って、前記標的個体の標的組織内の流体量の推定値を計算させる非一時的メモリを更に備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記後方位置決め要素は近似的にY字形を有し、前記カラーは近似的に前記Y字形の上側の短いアームのような形状を有し、前記後方位置決め要素の前記細長要素は前記Y字形の長いアームのような形状を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記保持機構は第1のアームが第2のアームより短い、U字形のような形を有し、前記保持機構の前方部は前記U字形の前記第1のアームに対応し、前記保持機構の後方部は前記U字形の前記第2のアームに対応し、前記保持機構の前記弧形部は前記U字形の湾曲部に対応する、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記後方位置決め要素は、前記保持機構と前記後方位置決め要素の前記細長要素との間の距離を調節するための調節機構を更に備える、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記調節機構は、2次元パターンに配置された複数の停止位置セレクタを含み、前記後方位置決め要素の前記細長要素に対して前記保持機構を異なる距離に設定するために、各停止位置セレクタは前記保持機構の所定の位置に設定される、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の停止位置セレクタのそれぞれは、少なくとも1つの物理的及び/又は解剖学的な患者パラメータの組み合わせに対応する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記調節機構は、前記保持機構の位置を、前記標的個体の前記背中に実質的に平行な2次元平面内で調節する、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前方部要素には少なくとも1つのタブ要素が含まれ、前記少なくとも1つのタブ要素が標的個体の画定された解剖学的目印に配置され、かつ前記少なくとも1つの前方センサが前記胸部に対して前記標的領域に対応する位置に配置されるときに使用可能となるように設定される、請求項2に記載の装置。
【請求項11】
前記画定された解剖学的目印は、胸骨上窩、鎖骨、胸骨から成る群から選択される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記保持機構及び前記後方位置決め要素は、左肺、右肺、右中葉、右上葉、右下葉、左上葉、右下葉、心臓、気管、及びこれらの組合せから成る群から選択される少なくとも1つの器官内に位置する標的領域を横切って、少なくとも1つの前方センサと少なくとも1つの後方センサを位置決めするような寸法、形状及び設定である、請求項2に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの前方センサに結合されて前記少なくとも1つの前方センサの向きを調節して前記標的領域に対応する前記標的個体の前記胸部に接触させる、少なくとも1つの前方センサ位置決め要素、及び/又は
前記少なくとも1つの後方センサに結合されて前記少なくとも1つの後方センサの向きを調節して前記標的領域に対応する前記標的個体の前記背中に接触させる、少なくとも1つの後方センサ位置決め要素、
を更に備え、
前記少なくとも1つの前方センサ位置決め要素は前記保持機構の前部に結合され、前記少なくとも1つの後方センサ位置決め要素は前記保持機構の後部に結合される、請求項2に記載の装置。
【請求項14】
前記保持機構は、前記少なくとも1つの前方センサと前記少なくとも1つの後方センサとの間の距離を調節し、かつ前記少なくとも1つの前方センサ及び/又は前記少なくとも1つの後方センサを前記標的個体の前記胸郭に押し付けるためのばね力を印加するためのばね式ヒンジにより接続された複数の剛体部分を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項15】
前記カラーは、前記標的個体の首の背部の約40~60度のアーチを覆う寸法及び/又は形状である、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記前方センサ及び後方センサは、電磁(EM)送信器及び/又は受信器、超音波送信器及び/又は受信器、高周波(RF)送信器及び/又は受信器、治療素子、薬液注入器、及び撮像要素から成る群から選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記保持機構は、前記胸郭を収納するために少なくとも1つの前方センサと少なくとも1つの後方センサとの間の距離を増加させ、かつ前記少なくとも1つの前方センサと前記少なくとも1つの後方センサを相互に押し付けるように設定された弾性材料で構成され、使用時には前記保持機構が前記少なくとも1つの前方センサと前記少なくとも1つの後方センサを前記胸郭の、前記標的領域に対応する位置に向けて力を印加する、請求項2に記載の装置。
【請求項18】
前記装置は、前記少なくとも1つの後方センサを標的患者の脊柱の長軸に対して約2~9センチメートルの間の中央に、かつ第7頸椎の上端の約8~30センチメートル下に位置決めするように設定される、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記前方センサ及び後方センサはEMトランスデューサであって、前記EMトランスデューサの実効的なEM捕捉及び/又は透過面積の約30%が前記設定された位置にある、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記装置の使用時に、前記前方センサと後方センサの間の距離を計算するための追加のセンサを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
標的個体の胸部を横切って標的領域に少なくとも1つの前方センサと少なくとも1つの後方センサを位置決めするための方法であって、
請求項2に記載の前記装置を提供することと、
前記後方位置決め要素の前記カラーを前記標的個体の肩のライン及び/又は首の基部に位置決めすることと、
前記後方位置決め要素の前記細長要素の前記位置マーカを、前記標的個体の脊柱の所定の解剖学的目印に位置決めすることと、
前記保持機構の前記弧形部を前記標的個体の肩の上に位置決めして、前記保持機構に結合された前記少なくとも1つの前方センサと前記少なくとも1つの後方センサが前記胸郭を横切って配置されるようにすることと、
前記保持機構の細長の前方部に結合されたタブ要素の位置を前記胸部の所定の解剖学的部位に調節することと、
を含む方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの前方センサと前記少なくとも1つの後方センサの間で、前記標的個体の胸部を横切りかつ標的領域を貫通してEMエネルギを送信することと、前記標的領域を貫通して送信されたEMエネルギを測定することと、前記標的領域の流体量を計算することとを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記標的個体の前記胸郭の少なくとも1つの解剖学的寸法及び/又は物理的寸法の組合せに対応する複数の停止位置のうちの1つに従って、前記後方位置決め要素の前記細長要素に対する前記保持機構の複数の停止位置のうちの1つを選択することを更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記保持機構は、前記複数の停止位置のうちの1つに挿入されるコネクタによって前記後方位置決め要素に接続される、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年5月21日出願の米国仮特許出願第62/850,572号の優先権の利益を主張し、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、そのいくつかの実施形態において、センサの位置合わせに関し、より具体的には、それに限定するものではないが、標的患者の胸部を横切ってセンサの位置合わせをするためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
センサの位置合わせは、例えば、標的組織を介して身体の異なる部位に位置する2つのセンサ間のエネルギ送信に基づく測定システム、あるいは(例えば信号受信用、信号送信用、及び/又は自身の信号の反射を受信するトランシーバなどの)単一のセンサを用いる測定システムにおいて、標的個体の体内の標的組織の精密測定に影響を及ぼし得るものである。精密測定用センサの位置合わせは、そのセンサ配置において誤差を生じ易い場合がある。
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によれば、前方センサ及び後方センサの少なくとも1つを、標的個体の胸郭を横切って標的領域に位置決めするための装置が提供される。この装置は、(i)標的個体の肩のライン及び首背部の基部に適合する寸法と形状となったカラーと、(ii)そのカラーに接続された第1端部領域と、標的個体の脊柱の解剖学的標的特徴に対応するように設定された位置マーカを有する第2端部領域とを有する細長要素(elongated element)とから成る後方位置決め要素とを備え、使用時には、細長要素が標的個体の背中において、脊柱の長軸に平行かつその上に配置され、かつ少なくとも1つの前方センサと少なくとも1つの後方センサが、標的領域への送信及び/又は標的領域からの感知のために、患者の胸郭上に後方位置決め要素に対して配置される。
【0005】
第2の態様によれば、標的個体の胸部を横切って標的領域に少なくとも1つの前方センサと少なくとも1つの後方センサを位置決めするための方法が提供される。この方法は、第1の態様の実装形態による装置を提供することと、後方位置決め要素のカラーを標的個体の肩のライン及び/又は首の基部に位置決めすることと、後方位置決め要素の細長要素の位置マーカを標的個体の脊柱の所定の解剖学的目印に位置決めすることと、保持機構の弧形部を標的個体の肩の上に位置決めして、保持機構に結合された少なくとも1つの前方センサと少なくとも1つの後方センサが胸郭を横切って配置されるようにすることと、保持機構の細長前方部に結合されたタブ要素の位置を胸部の所定の解剖学的部位に調節することとを含む。
【0006】
第1と第2の態様の更なる実装形態において、後方位置決め機構に結合するように設計された保持機構を更に備え、その保持機構は、(i)標的患者の肩に適合する、実質的に弧形をした部分と、(ii)標的個体の胸部に接触するための少なくとも1つの前方センサに繋がる細長の前方部と、(iii)標的個体の背中に接触するために少なくとも1つの後方センサに繋がる細長の後方部とを備える。使用時には、保持機構の位置は、位置決めされた後方位置決め要素に対して設定され、標的領域への送信及び/又は標的領域からの感知のために少なくとも1つの前方センサと少なくとも1つの後方センサが、保持機構によって前記後方位置決め機構に相対的に患者の胸郭上に配置される。
【0007】
第1と第2の態様の更なる実装形態において、コードを格納した非一時的メモリが更に備えられる。コードは計算デバイスの少なくとも1つのハードウェアプロセッサによって実行されると、少なくとも1つのハードウェアプロセッサに、少なくとも1つの後方センサ及び少なくとも1つの前方センサの作動を制御させ、少なくとも1つの後方センサ及び少なくとも1つの前方センサの出力を受信させ、少なくとも1つの後方センサ及び少なくとも1つの前方センサの出力に従って、標的個体の標的組織内の流体量の推定値を計算させる。
【0008】
第1と第2の態様の更なる実装形態において、後方位置決め要素は近似的にY字形を有し、カラーは近似的にY字形の上側の短いアームのような形状を有し、後方位置決め要素の細長要素はY字形の長いアームのような形状を有する。
【0009】
第1と第2の態様の更なる実装形態において、保持機構は第1のアームが第2のアームより短い、U字形のような形を有し、保持機構の前方部はU字形の第1のアームに対応し、保持機構の後方部はU字形の第2のアームに対応し、保持機構の弧形部はU字形の湾曲部に対応する。
【0010】
第1と第2の態様の更なる実装形態において、後方位置決め要素は、保持機構と後方位置決め要素の細長要素との間の距離を調節するための調節機構を更に備える。
【0011】
第1と第2の態様の更なる実装形態において、調節機構は、2次元パターンに配置された複数の停止位置セレクタを含み、後方位置決め要素の細長要素に対して保持機構を異なる距離に設定するために、各停止位置セレクタは保持機構の所定の位置に設定される。
【0012】
第1と第2の態様の更なる実装形態において、複数の停止位置セレクタのそれぞれは、少なくとも1つの物理的及び/又は解剖学的な患者パラメータの組み合わせに対応する。
【0013】
第1と第2の態様の更なる実装形態において、調節機構は、保持機構の位置を、標的個体の背中に実質的に平行な2次元平面内で調節する。
【0014】
第1と第2の態様の更なる実装形態において、前方部要素には少なくとも1つのタブ要素が含まれ、少なくとも1つのタブ要素が標的個体の画定された解剖学的目印に配置され、かつ少なくとも1つの前方センサが胸部に対して標的領域に対応する位置に配置されるときに使用可能となるように設定される。
【0015】
第1と第2の態様の更なる実装形態において、規定の解剖学的目印は、胸骨上窩、鎖骨、胸骨から成る群から選択される。
【0016】
第1と第2の態様の更なる実装形態において、保持機構及び後方位置決め要素は、左肺、右肺、右中葉、右上葉、右下葉、左上葉、右下葉、心臓、気管、及びこれらの組合せから成る群から選択される少なくとも1つの器官内に位置する標的領域を横切って、少なくとも1つの前方センサと少なくとも1つの後方センサを位置決めするような寸法、形状及び設定である。
【0017】
第1と第2の態様の更なる実装形態において、この装置は、少なくとも1つの前方センサに結合されて、少なくとも1つの前方センサの向きを調節して標的領域に対応する標的個体の胸部に接触させる少なくとも1つの前方センサ位置決め要素、及び/又は少なくとも1つの後方センサに結合されて、少なくとも1つの後方センサの向きを調節して標的領域に対応する標的個体の背中に接触させる少なくとも1つの後方センサ位置決め要素、を更に備え、少なくとも1つのセンサ位置決め要素は保持機構の前部に結合され、少なくとも1つの後方センサ位置決め要素は保持機構の後部に結合される。
【0018】
第1と第2の態様の更なる実装形態において、保持機構は少なくとも1つの前方センサと少なくとも1つの後方センサとの間の距離を調節し、かつ少なくとも1つの前方センサ及び/又は少なくとも1つの後方センサを標的個体の胸郭に押し付けるためのばね力を印加するばね式ヒンジにより接続された複数の剛体部分を含む。
【0019】
第1と第2の態様の更なる実装形態において、カラーは標的個体の首の背部の約40~60度のアーチを覆う寸法及び/又は形状である。
【0020】
第1と第2の態様の更なる実装形態において、センサは電磁(EM)送信器及び/又は受信器、超音波送信器及び/又は受信器、高周波(RF)送信器及び/又は受信器、治療素子、薬液注入器、及び撮像要素から成る群から選択される。
【0021】
第1と第2の態様の更なる実装形態において、保持機構は胸郭を収納するために少なくとも1つの前方センサと少なくとも1つの後方センサとの間の距離を増加させ、かつ少なくとも1つの前方センサと少なくとも1つの後方センサを相互に押し付けるように設定された弾性材料で構成され、使用時には保持機構が少なくとも1つの前方センサと少なくとも1つの後方センサを胸郭の標的領域に対応する位置に向けて力を印加する。
【0022】
第1と第2の態様の更なる実装形態において、この装置は少なくとも1つの後方センサを標的患者の脊柱の長軸に対して約2~9センチメートルの間の中央で、かつ第7頸椎の上端の約8~30センチメートル下に位置決めするように設定される。
【0023】
第1と第2の態様の更なる実装形態において、センサはEMトランスデューサであって、EMトランスデューサの実効的なEM捕捉及び/又は透過面積の約30%が設置位置にある。
【0024】
第1と第2の態様の更なる実装形態において、装置は使用時に前方センサと後方センサの間の距離を計算するための追加のセンサを更に備える。
【0025】
第1と第2の態様の更なる実装形態において、少なくとも1つの前方センサと少なくとも1つの後方センサの間で、標的個体の胸部を横切りかつ標的領域を貫通してEMエネルギを送信することと、標的領域を貫通して送信されたEMエネルギを測定することと、標的領域の流体量を計算することとが更に含まれる。
【0026】
第1と第2の態様の更なる実装形態において、標的個体の胸郭の少なくとも1つの解剖学的寸法及び/又は物理的寸法の組合せに対応する複数の停止位置のうちの1つに従って、後方位置決め要素の細長要素に対する保持機構の複数の停止位置のうちの1つを選択することが更に含まれる。
【0027】
第1と第2の態様の更なる実装形態において、保持機構は、複数の停止位置のうちの1つに挿入されるコネクタによって後方位置決め要素に接続される。
【0028】
別段の定義がない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似又は同等の方法及び材料が、本発明の実施形態の実行又は試行に使用可能であるが、例示的な方法及び/又は材料を以下に記述する。矛盾する場合には、定義を含む本発明の明細書が優先される。さらに、材料、方法、及び実施例は例示にすぎず、必ずしも制限的であることを意図するものではない。
【0029】
本発明の実施形態の方法及び/又はシステムの実施は、選択されたタスクを手動、自動又はそれらの組み合わせで実行又は完了させることを含み得る。さらに、本発明の方法及び/又はシステムの実施形態の実際の計装機器及び設備によれば、いくつかの選択されたタスクは、ハードウェア、あるいはオペレーティングシステムを用いたソフトウェア若しくはファームウェア、及び/又はそれらの組合せによって実施可能である。
【0030】
例えば、本発明の実施形態による、選択されたタスクを実行するためのハードウェアは、チップ又は回路として実装可能である。ソフトウェアとしては、本発明の実施形態による選択されたタスクが、任意の適切なオペレーティングシステムを用いたコンピュータによって実行される複数のソフトウェア命令として実装可能である。本発明の例示的実施形態では、本明細書に記載の方法及び/又はシステムの例示的実施形態による1以上のタスクは、複数の命令を実行するコンピューティングプラットフォームなどのデータプロセッサにより実行される。任意選択により、データプロセッサには、命令及び/又はデータを格納する揮発メモリ、及び/又は命令及び/又はデータを格納する不揮発性記憶装置、例えば磁気ハードディスク及び/又はリムーバブル媒体が含まれる。任意選択により、ネットワーク接続も提供される。ディスプレイ及び/又はキーボードやマウスなどのユーザ入力装置もまた、任意選択で提供される。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態を、ここに添付図面を参照して例示としてのみ説明する。ここで、図面を詳細に具体的に参照すると、示される詳細は一例であって、本発明の実施形態の例示的議論を目的とするものであることが強調される。これに関し、図面と共に行われる説明により、本発明の実施形態がどのように実行され得るかが当業者に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明のいくつかの実施形態による、標的個体の標的領域へのエネルギ送信、及び/又は標的領域からのエネルギ受信のために、前方センサ及び/又は後方センサを標的個体の胸郭を横切って位置決めする装置のブロック図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態による、前方センサ及び/又は後方センサを標的患者の胸郭を横切って位置決めする装置の例示的実装図である。
図3】本発明のいくつかの実施形態による、後方位置決め要素に接続されていない、保持機構のみの概略図である。
図4】本発明のいくつかの実施形態による、非使用時の装置の側面概略図である。
図5】本発明のいくつかの実施形態による、保持機構が前方センサと後方センサの間の最大距離及び/又は使用時の状態で示されている装置概略図である。
図6】本発明のいくつかの実施形態による、後方位置決め要素の概略図である。
図7】本発明のいくつかの実施形態による、保持機構がコネクタを介して後方位置決め要素に取り付けられた装置概略図である。
図8】本発明のいくつかの実施形態による、装置の保持機構を後方位置決め要素とは独立して示した概略図である。
図9A】本発明のいくつかの実施形態による、標的個体に取り付けられた位置決め装置の例を示す概略図及び/又は写真である。
図9B】本発明のいくつかの実施形態による、標的個体に取り付けられた位置決め装置の例を示す概略図及び/又は写真である。
図9C】本発明のいくつかの実施形態による、標的個体に取り付けられた位置決め装置の例を示す概略図及び/又は写真である。
図10】本発明のいくつかの実施形態による、前方センサ及び/又は後方センサを標的個体の胸郭を横切って標的領域に位置決めする方法のフロー図である。
図11】本発明のいくつかの実施形態による、後方位置決め機構における高さ位置決め用カラーの例示的実装概略図である。
図12】本発明のいくつかの実施形態による、後方位置決め機構における高さ位置決め用カラーの拡大概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、そのいくつかの実施形態においてセンサの位置合わせに関し、より具体的にはそれに限定するものではないが標的患者の胸部を横切ってセンサの位置合わせをするためのシステムおよび方法に関する。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態の態様は、前方センサ及び/又は後方センサ、例えば患者の肺内の流体を感知するための電磁(EM)トランシーバ(あるいは本明細書に記載のその他の例)、を標的個体の胸郭の標的領域を横切って位置決めする装置に関する。この装置には、対応する解剖学的目印に位置決めされるように設計された要素が含まれる。この装置は、要素が解剖学的目印にある時、前方センサ及び/又は後方センサが胸郭の標的領域の感知のために正しく位置決めされるようになっている。装置は後方位置決め要素を含み、これには、肩のライン/首背部の基部の解剖学的部位に装着されるように設計されたカラーと、下部領域に位置マーカ(例えばノッチ)を有する細長要素とが含まれ、標的個体の脊柱に(背中、例えば特定の椎骨の位置に)、例えば脊柱の長軸に平行及び/又はその上に、及び/又は特定の椎骨などの脊柱の選択された解剖学的特徴の上に、位置決めするように設計される。任意選択により、後方センサに最も近い脊柱の解剖学的特徴からの後方センサの距離が設定される。後方位置決め要素が配置されると、後方位置決め要素に結合された任意選択の保持機構が所定位置におかれ、そこでは保持機構に取り付けられた後方センサ及び/又は前方センサが患者の胸郭を横切って、標的領域に対応して配置される。保持機構はほぼU字形であってよく、任意選択により患者の肩に嵌まるように設計された、実質的な弧形要素と、前方センサに接続するための細長の前方部と、後方センサに接続するための細長の後方部とを含む。センサは作動されて、標的領域にエネルギを送信し、及び/又は標的領域からのエネルギを感知し、例えば、肺へEMエネルギを送信して肺内の流体量を計算することが可能である。代替として、保持機構を使用せずに、センサと後方位置決め要素との間の相対位置に従って、操作者が手動でセンサを適正な位置に保持してもよい。別の実装形態では、センサと後方位置決め要素との間の相対位置に従って、操作者が患者の胸郭に標識(例えばマーカを用いて作られたステッカ)を配置してから、その標識の上に別の保持機構を用いて、及び/又は手動により、センサを配置する。
【0035】
任意選択により、タブ要素及び/又はカラー及び/又は後方位置決め要素の細長要素上の位置マーカが、それぞれの(本明細書に記載のような)標的とする解剖学的部位に配置されると、前方センサ及び/又は後方センサは、約2、3、4、6、8個、又は引用値や他の値を用いたそれ以外の個数若しくは範囲の、感知及び/又は治療のための標的領域に対応したそれぞれの標的位置内となる。
【0036】
任意選択により装置には保持機構の前方部に結合されたタブ要素が含まれる。使用時及びタブ要素が患者の胸骨上窩に配置されると、標的領域との間での信号の送信、受信に対して適切な、患者の解剖学的部位に前方センサが配置されるようにタブ要素は設定される。
【0037】
代替又は追加として、装置には保持機構の前方部及び/又は前方センサに結合された、2つのタブ要素(あるいはそのほかの測定距離の指標又はポインタ要素)が含まれる。タブ要素は、胸骨と鎖骨に同時に配置された場合、前方センサが標的領域との間での信号の送信及び/又は受信のために、患者の正しい解剖学的部位に位置するように設定される。任意選択により、装置は、例えばばねで接続された剛性要素システムにより、患者の胸郭に向けて押し付ける力を加えるように設定される。
【0038】
任意選択により、後方位置決め要素に対する保持機構の位置は、選択により標的個体の背中に実質的に平行な2D平面内で調整可能であって、異なる大きさの胸郭を収容できる。
【0039】
任意選択により、後方位置決め要素は、首に沿って、及び/又は首及び/又は肩の片側又は両側に配置されるように設計されたカラーを含む。カラーは標的とする解剖学的部位に適合する形状となっている。任意選択により、後方位置決め要素には、肩のライン及び/又は首背部の基部の標的となる解剖学的目印に適合する形状をしたカラーが含まれる。カラーの構成要素は首の両側に適合する大きさ及び/又は形状となっていて、カラーを確実に首の周りに対称的にはめ込むことができるようになっていてもよい。カラーは任意選択により後方位置決め要素(これは保持要素を介してセンサの垂直位置合わせを設定する)の一部であって、肩のライン/首背部の基部に対する後方位置決め要素の高さを設定する。
【0040】
細長要素の下部のタブ要素及び/又は位置マーカ、及び/又はカラー(本明細書では集合的に位置決め要素と称することもある)は、それぞれの解剖学的位置決め要素を解剖学的目印に対して視覚的及び/又は機械的に一致させることにより、標的個体の胸郭上の事前定義された解剖学的部位に(例えば任意選択により、本明細書に記載のようにそれぞれ胸骨上窩、脊柱、首背部の基部に沿って)適用されるように設計される。位置決め要素及び機械要素(すなわちセンサに取り付けられた保持機構及び後方位置決め要素)は機械的に連結され、位置決め要素が適切な解剖学的部位にあるとき、保持機構に取り付けられたセンサは標的領域に関して胸郭の適切な所望位置となるようになっている。位置決め要素(すなわち、タブ要素及び/又は細長要素下部の位置マーカ、及び/又はカラー、の内の1以上)が適切に配置されると、前方センサ及び/又は後方センサは正しい位置となって、保持機構が1以上の僅かに異なる向きとなる。保持機構と後方位置決めセンサの機械的連結は(例えば距離及び/又は向きを)調節可能であり、センサ位置が位置決め要素に対して調節される。
【0041】
保持要素は、本明細書に記載のように、センサ間の距離及び/又は相対位置を変更可能なように適合され得る。保持要素は本明細書に記載のように、センサを胸郭によりよく取り付けるために力を印加し得る。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、標的個体の胸を横切って標的領域に前方センサ及び/又は後方センサを位置決めする方法に関する。本明細書に記載の装置が提供され得る。後方位置決め要素は、肩のライン及び/又は首の基部に配置されたカラー、及び脊柱の標的解剖学的部位に配置された細長要素の下部の位置マーカに従って、患者の背中に配置される。それと同時に、装置の構成要素同士が接続されているので、装置の後方位置決め機構の細長要素が標的個体の脊柱の長軸上に平行に配置される。保持機構の弧形部は標的個体の肩の上に配置される。前方センサ及び/又は後方センサは胸郭を横切って配置される。保持機構の細長の前方部に結合されたタブ要素は、胸骨上窩に配置され、細長の前方部に結合された前方センサが標的個体の胸部を横切ってさらに調節されて患者の胸部上の標的位置に到達するようにされる。センサ及び/又は治療素子は作動されて標的領域との間でエネルギの送信及び/又は受信を可能とする。例えば、肺へのEMエネルギ、及び/又は切除のための集束超音波、及び/又は本明細書に記載のようなその他の選択肢などである。受信した信号は処理されて、例えば肺の中の流体量の計算などを可能とする。別の実施例では、信号を計算して治療素子の調節、例えば集束超音波の調節をすることが可能である。処理された信号に従って、(例えばセンサから放出されるエネルギによる診断及び/又は治療に基づいて)患者の診断及び/又は治療がなされ得る。例えば、肺水腫の治療、及び/又はセンサによるエネルギ印加などである。
【0043】
本明細書において使用するセンサという用語は、場合によっては治療用素子という用語と置き換え可能であり、及び/又は場合によって治療用素子を含み得る。
【0044】
本明細書に記載の装置及び/又は方法の少なくともいくつかの実装により、患者の胸郭を横切ってセンサを位置決めする技術課題が対処され、任意選択によりセンサ及び/又は治療用素子(例えば、直接治療のためのエネルギ、集束超音波、RFエネルギのアプリケータ、放射線治療アプリケータ、及び/又は例えばシリンジ又は経皮適用による物質の塗布または投与又は抽出のためのアプリケータ、及び/又は撮像プローブ用のアプリケータなど)を正しく位置決めする精度が改善される。任意選択により、胸郭に接触するときに圧力をかけてセンサを押し付ける。この装置は、センサの正確な位置決めのために、異なる(任意選択で寸法の異なる)患者に繰り返し適用され得る。この装置は、センサを毎回(許容範囲内で)同一位置に繰り返し正確に位置決めするために、同一患者の異なる診療に繰り返し適用可能である。技術的課題は、患者の治療のため(及び/又は診断及び診断に基づく治療計画のため、及び/又は治療をモニタするため)の測定、例えば患者の片方又は両方の肺内の流体量を推定を行うために胸郭を横切ってセンサを迅速及び/又は容易及び/又は正確に位置決めすることに係わる。
【0045】
本明細書に記載の装置及び/又は方法の少なくともいくつかの実装形態により、患者の治療に関する医学的問題が対処される。例えば、標的領域の直接治療のためのエネルギ適用(集束超音波、RFエネルギ、放射線アプリケータなど)により、及び/又は患者の胸郭から取得されるセンサデータに基づいて、任意選択により胸郭内の組織例えば肺又は他の組織内の流体に送信されるEM放射(あるいは超音波や電流などの他のエネルギ)に基づいて選択及び/又は案内される治療によって、患者の治療における医学的問題が対処される。医学的問題は、患者治療のための感知されたデータ精度の向上に関係し得る。別の医学的問題は、感知データの取得プロセスの改善に関係し得る。医学的問題は、患者の治療に使用される医学データ収集のために胸郭への正確な配置が容易な装置によって対処される。
【0046】
本明細書に記載の装置及び/又は方法の少なくともいくつかの実装形態により、患者の1以上の解剖学的目印に正確及び/又は反復可能に設定されるように設計された保持機構と後方位置決め要素によって技術的問題が対処される。少なくともいくつかの実装形態においては、背中での装置の高さは、首背部の基部に対して設定され、また背中の横方向には患者の脊柱に対して、また前方では患者の胸骨上窩に対して設定される。装置の事前定義された要素が本明細書に記載のように配置されると、前方センサ及び/又は後方センサ(例えばEMトランシーバ)が、患者の体内の標的領域、例えば肺、を感知するために解剖学的目印に対してその正しい位置に設定可能である。
【0047】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は必ずしも以下の説明及び/又は図面及び/又は実施例に示される構成要素の構造と配置及び/又は方法の詳細に、その適用が限定されるものではないことを理解されたい。本発明では、他の実施形態が可能であり、又は様々な方法での実行、実施が可能である。
【0048】
ここで図1を参照する。これは本発明のいくつかの実施形態による、標的個体の標的領域との間でエネルギを授受する前方センサ及び/又は後方センサを標的個体の胸郭を横切って位置決めするための装置100(及び/又はシステム100)のブロック図である。
【0049】
装置100は、本明細書で更に詳細に説明するように、後方位置決め要素108、カラー114、及び後方位置決め装置108の細長要素150の下部領域にある位置マーカを含む。
【0050】
任意選択により、後方位置決め素子108は近似的にY字形であり、カラーは近似的にYの字の上側の短いアームのような形であり、後方位置決め素子108の細長要素150は近似的にYの字の長いアームのような形である。
【0051】
任意選択により、装置100は、本明細書に記載のように、後方位置決め機構108に(例えば、機械的クリップ、磁石使用、一体化構造などで)繋がる保持機構102を含む。
【0052】
保持機構102はほぼU字形をしており、(標的患者の肩の上に嵌まるための)実質的な弧形部102A、標的個体の胸部に接触する少なくとも1つの前方センサ104Aに接続するための細長の前方部102B、及び標的個体の背中に接触する少なくとも1つの後方センサ104Bに接続するための細長の後方部102Cを含む。任意選択により、前方センサ104Aと後方センサ104Bの両者の位置及び/又は向きはいずれも調節可能である。あるいは、1つのセンサの位置及び/又は向きが固定され、もう一方のセンサの位置及び/又は向きが調節可能である。例えば、前方センサが固定され、後方センサが調節可能であるか、あるいは前方センサが調節可能であって、後方センサが固定される。
【0053】
前方センサ位置決め要素106Aは、前方センサ104Aを前方部102Bに結合可能である。前方センサ位置決め要素106Aは、1以上(例えば6)の自由度で、例えば延長可能部品及び/又はジンバルとして実装されて、前方センサ104Aの距離及び/又は向きを調節するように設計可能である。後方センサ位置決め要素106Bは、後方センサ104Bを後方部102Cに結合可能である。後方センサ位置決め要素106Bは、1以上(例えば6)の自由度で、例えばジンバルとして実装されて、後方センサ104Bの距離及び/又は向きを調節するように設計可能である。前方及び/又は後方のセンサ位置決め要素106A-bは、前方センサ及び/又は後方センサ104-Bのそれぞれの距離と向きを調節して、接触する胸郭の表面形状に一致させるようにできる。
【0054】
例示的なセンサ104A及び/又は104BはEMトランシーバと超音波送信器を含む。追加又は代替として、センサ104A及び/又は104Bは治療素子と入れ替え及び/又は組み合わされる。例示的センサ及び/又は治療素子104A-Bには、治療用アプリケーション素子、直接治療用のエネルギアプリケータ、超音波送信器による集束超音波、RF送信器によるRFエネルギ、放射素子による放射治療アプリケータ、及び/又は例えばシリンジ又は経皮適用による物質の適用または投与又は抽出のための素子、及び/又は撮像プローブ用素子が含まれる。
【0055】
センサ104A及び/又は104Bは、手動又は自動の延長アーム(例えば前方及び後方センサ位置決め要素106A-B)を用いて保持機構102に接続されて、患者の胸郭により合致及び/又は適合させることが可能である。延長アームは任意選択により、測定要素(例えば定規、センサ)を含み、延長幅を定量化してセンサの位置決めへの効果を評価可能とする。
【0056】
センサ104A及び/又は104Bは、それぞれのハウジングから患者の身体に向かって延伸されて、例えばばねによって付勢される取り付け力を増加させる効果を生成し得る。
【0057】
前方部102B(又は前方センサ位置決め要素106A)にはタブ要素112が含まれ得る。タブ要素112は、使用時にタブ要素が標的個体の胸骨上窩に接触すると、前方センサ104A(あるいはセンサ位置決め要素106A)が胸部に対して、標的領域に対応する位置にさらに調節されるように設定される。タブ要素112は、前方センサ104Aの位置の更なる正確な調節を促進する。
【0058】
後方センサ位置決め要素108には、その後部に、肩のライン及び/又は首背部の基部の解剖学的目印に装着されるように設計されたカラー114、及び/又は規定の解剖学的目印である標的個体の背中の脊柱の長軸上の平行位置に位置決めするための位置マーカ150Aを有する細長要素150が含まれる。使用時には、後方位置決め要素108が保持機構102Cの後方部を標的個体に対して規定位置に配置するように設定され、前方センサ104A及び/又は後方センサ104Bが、標的領域へのエネルギの送信及び/又は標的領域からのエネルギの感知を行うために正しく配置される。使用時には、カラー114が後方位置決め要素108の高さを設定し、かつ保持機構102の背部の高さ及び後方センサ104Bを代理で設定する。
【0059】
位置マーカ150Aは後方位置決め要素108の細長要素150の目視可能及び/又は物理的に特有の特徴として、例えばノッチ、穴、マーキング及び/又はその他で実装され得る。
【0060】
後方位置決め要素108には調節機構110が含まれ、これは保持機構102の位置を後方位置決め要素108に対して、任意選択で標的個体の背中に対して実質的に平行な2次元平面内で(例えば連続的及び/又は段階的に)調節する。調節は大きさの異なる胸郭に適合するように遂行され、胸郭の大きさが違っても前方センサ及び/又は後方センサを正しい標的領域に配置可能である。調節機構110は、本明細書に記載のように、細長要素150内に組み込まれてもよい。
【0061】
保持機構102と後方位置決め要素108は、例えば左肺、右肺、右中葉、右上葉、右下葉、左上葉、右下葉、心臓、気管、及びこれらの組合せ内にある標的領域を横切って前方センサ104A及び/又は後方センサ104を位置決めするような寸法、形状、設定となっている。
【0062】
装置100は、アプリケータ、プローブ、センサなどを、例えば患者の胸郭の左側を含む患者の胸郭の任意の場所に正しく位置決めするために使用可能である。
【0063】
装置100を胸郭に位置決めすることで、外部要素を患者の体内の器官に対して位置決め可能となる。例えば右肺、左肺、心臓、気管などに対してである。位置決めは特定の器官、例えば横隔膜、脊柱、鎖骨などを回避するように設計できる。
【0064】
装置100の変形例では、例えば、アプリケータ、治療素子、プローブの少なくともいずれかを所定位置に置換及び/又は包含するか、あるいは前方センサ及び/又は後方センサに加えて、前方及び/又は後方に1つのセンサ、前方及び/又は後方に複数のセンサとすることが含まれる。
【0065】
装置100に接続され得る追加的なオプションの構成要素を次に説明する。
【0066】
任意選択により、装置100は、例えばサーバ、コンピューティングクラウド、モバイル装置、デスクトップコンピュータ、仮想マシン、仮想サーバ、コンピューティングクラウド、シンクライアント、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、眼鏡コンピュータ、時計コンピュータ、の内の1以上の計算デバイス116を含むか、それらと通信可能である。計算デバイス116は装置100に(完全に、又はその内のいくつかの構成要素及び/又は機能を)統合可能である。計算デバイス116は、例えばセンサデータの処理から生成されるGUIを提示するために、既存のワークステーション及び/又は他のデバイスにアドオンとして実装されてもよい。
【0067】
計算デバイス116はセンサ104A及び/又は104Bからの出力(例えばRAW信号及び/又はセンサによるアナログ測定値から変換されたデジタル信号などの処理信号)を任選択的に1以上のセンサインタフェース130、例えば、有線接続(例えば物理ポート、センサをポートに接続するケーブル)、無線接続(例えばアンテナ)、ローカルバス、データ記憶装置を接続するためのポート、ネットワークインターフェイスカード、他の物理インターフェイスの実装、及び/又は仮想インターフェイス(たとえば、ソフトウェアインターフェイス、仮想プライベートネットワーク(VPN)接続、アプリケーションプログラミングインターフェイス(API)、ソフトウェア開発キット(SDK))を介して受信可能せある。
【0068】
装置100は、剛性、重量、耐久性などの機械的性質の考慮により、例えばプラスチック、金属、ゴム部品、ナイロン、シリコーン、PUポリウレタン、ポリカーボネート、ABS、ABS(PCとは別)、PC-ABS及びこれらの組合せを含む材料で構成され得る。
【0069】
計算デバイス116はセンサ104A及び/又は104Bによるエネルギ伝達を、例えばセンサインタフェース130を介する信号送信によって制御可能である。センサインタフェースは、任意選択によりアナログ又はデジタルのセンサ信号を生成、受信、及び/又は処理するための電子モジュールを含み得る。
【0070】
計算デバイス116はローカルに格納されたソフトウェア(例えばメモリ132に格納されたコード132A)を含み得る。これはハードウェアプロセッサ120によって実行されると、本明細書に記載の計算機能の1以上を実行し、及び/又は1以上のサーバ(例えばネットワークサーバ、ウェブサーバ、コンピューティングクラウド、仮想サーバの内の1以上)として作用して1以上のクライアント端末140及び/又は1以上のサーバ138に、例えば遠隔収集されたセンサデータの中央処理などの業務(例えば図1を参照して説明した1以上の行為)を提供し得る。そのような業務はネットワーク136上で提供されて、例えばクライアント端末140にサービスとしてのソフトウェア(SaaS)を提供し、クライアント端末140にローカルダウンロード用のアプリケーションを、Webブラウザのアドオン及び/又は他のセンサ処理アプリケーションとして提供し、及び/又はwebブラウザ、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)、及び/又はソフトウェア開発キット(SDK)を介するなどして、リモートアクセスセッションを使用してクライアント端末208に機能を提供可能である。
【0071】
任意選択により、計算デバイス116は前方センサ104A及び/又は後方センサ104Bの作動を制御し、及び/又は前方センサ104A及び/又は後方センサ104Bの出力を受信し、その出力に従って標的個体の標的組織(例えば肺)の中の流体量の推定値を計算する。
【0072】
ハードウェアのプロセッサ120は、例えば中央処理ユニット(CPU)、グラフィック処理ユニット(GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、及び特定用途向け集積回路(ASIC)として実装され得る。プロセッサ120は1以上の(同種又は異種の)プロセッサを含むことができ、これはクラスタとして、及び/又は1以上のマルチコア処理ユニットとして、並列処理用に構成可能である。
【0073】
メモリ132(本明細書では、プログラム記憶及び/又はデータ記憶装置とも呼ばれる)は、例えばランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)などのハードウェアプロセッサ120、及び/又は、例えば不揮発性メモリ、磁気媒体、半導体メモリデバイス、ハードドライブ、リムーバブルストレージ、および光媒体(たとえば、DVD、CD-ROM)などの記憶装置によって実装されるコード命令を格納する。例えば、メモリ132は、本明細書に記載の1以上の計算機能を実施するコード132Aを格納し得る。
【0074】
計算デバイス116は、例えばセンサから受信した信号などのデータを格納するためのデータ記憶デバイス122を含み得る。データ記憶デバイス122は、例えば、メモリ、ローカルハードドライブ、リムーバブルストレージデバイス、光ディスク、ストレージデバイスとして、及び/又はリモートサーバ及び/又はコンピューティングクラウド(例えばネットワーク136上でアクセスされる)として、実装され得る。
【0075】
計算デバイス116は、ネットワーク136に接続するためのデータインタフェース134、任意選択でネットワークインタフェース136、例えば、ネットワークインターフェースカード、無線ネットワークに接続するための無線インターフェース、ネットワーク接続のためのケーブルに接続するための物理インターフェース、ソフトウェアに実装された仮想インターフェイス、ネットワーク接続の上位層を提供するネットワーク通信ソフトウェア、及び/又は他の実装形態、の内の1以上を含み得る。計算デバイス116はネットワーク136を使用して例えばコード132Aの更新を取得するため、及び/又は他のデータ(患者のEMRからの患者医療データなど)を取得するために、1以上のリモートサーバにアクセス可能である。
【0076】
センサインタフェース130とデータインタフェース134は、単一インタフェース(例えばネットワークインタフェース、単一ソフトウェアインタフェース)として、及び/又はソフトウェアインタフェース(例えばAPI、ネットワークポートなど)及び/又はハードウェアインタフェース(例えば2つのネットワークインタフェース)などの2つの独立インタフェースとして、及び/又はその組み合わせ(単一ネットワークインタフェースと、2つのソフトウェアインタフェース、共通の物理インタフェース上の2つの仮想インタフェース、共通のネットワークポート上の仮想ネットワークなど)として実装可能であることに留意されたい。センサインタフェース130という用語/構成要素は、場合によってはデータインタフェース134と互換可能である。
【0077】
計算デバイス116は、ネットワーク134(又は他の通信チャネル、例えば直接リンク(ケーブル、無線など)、及び/又は(サーバなどの中間計算デバイスを介する、及び/又は記憶装置を介する)間接リンクなど)を使用して、例えばサーバ138、クライアント端末140、及び/又はセンサ、及び/又は他のデバイスの1以上と、本明細書に記載の異なるアーキテクチャ実装に従って、通信可能である。
【0078】
計算デバイス116はユーザインタフェース118を含むかユーザインタフェース118と通信可能である。これは、ユーザがデータ(例えば患者の識別情報)を入力し、及び/又はユーザがデータ(例えばセンサにより収集された信号の解析)を閲覧するように設計された機構を含む。例示的なユーザインタフェース116には、例えば、タッチスクリーン、ディスプレイ、キーボード、マウス、拡張現実眼鏡、仮想現実眼鏡、及びスピーカーとマイクロフォンを使用する音声起動ソフトウェア、のうちの1以上が含まれる。ユーザインタフェース116には、ユーザのデータ入力及び/又は閲覧のための、ディスプレイ上に提示されるグラフィカルユーザインタフェースが含まれ得る。
【0079】
次に図2を参照する。これは本発明のいくつかの実施形態による、前方センサ204A及び/又は後方センサ204Bを標的患者の胸郭を横切って位置決めするための装置200の例示的実装形態である。装置200の構成要素は、図1を参照して説明した装置100の構成要素に基づくか、組み合わされるか、及び/又は置き替えることが可能である。
【0080】
装置200は保持機構202を含み、そこには本明細書で記述したように弧形部202A、細長い前方部202B、細長い後方部202Cが含まれる。保持機構202はU字形であり、第2のアームより短い第1のアームを有する。保持機構202の前方部202BはUの第1アームに対応する。後方部202Cは第2アームに対応する。弧形部202AはUの湾曲部分に対応する。
【0081】
任意選択の前方センサ位置決め要素206Aは、前方センサ204Aを前方部202Bに結合する。前方センサ位置決め要素206Aは、標的領域に対応して標的個体の胸部に接触するように前方センサ204Aの向きを調節するように設定され、例えば、ジンバルを含んでいる。任意選択の後方センサ位置決め要素206Bは、後方センサ204Bを後方部202Cに結合する。後方センサ位置決め要素206Bは、標的領域に対応して標的個体の背中に接触するように後方センサ204Bの向きを調節するように設定され、例えば、ジンバルを含んでいる。
【0082】
任意選択により、前方センサ位置決め要素206Aは、本明細書に記載のようにタブ要素212を含む。
【0083】
装置200には後方位置決め要素208が含まれ、そこには本明細書に記載のように、細長の要素250、任意選択の調節機構210及び任意選択のカラー214が含まれる。
【0084】
装置200には、本明細書に記載のように患者の胸郭に対してより合致させ、及び/又はより適合させるための任意選択の延長可能アームが含まれ得る。
【0085】
次に図3を参照する。これは本発明のいくつかの実施形態による、後方位置決め要素に接続されていない、保持機構202のみの概略図である。
【0086】
次に図4を参照する。これは本発明のいくつかの実施形態による、非使用時の装置200の側面概略図である。保持機構202には、ばね式ヒンジで接続され、前方センサ204Aと後方センサ204Bの間の距離254を調節し、かつ任意選択によって後方センサ204B及び/又は前方センサ204Aを標的個体の胸郭に向かって押し付けるためのばね力をかけるように設計された、複数の剛体部(例えば、弧形部202A及び/又は細長の前方部202B及び/又は細長の後方部202C)が含まれる。代替又は追加として、保持機構202は、前方センサ204A及び/又は前方位置決め要素206A、及び後方センサ204B及び/又は後方位置決め要素206Bを互いの方向に押し付けるために付勢されるように設定される。例えば保持機構202は、例えば弾性を有する金属、ばねと組み合わせたプラスチック、及び/又はゴムなどの弾性を有する材料で作製され、保持機構202が離隔されて距離254を増大させて個体の胸郭を収容可能とする。使用時には、距離254を増大させて胸郭を収容するとき、前方センサ204A及び/又は前方センサ位置決め要素206A、及び後方センサ204B及び/又は後方センサ位置決め要素206Bを互いの方向に押し付ける力を保持機構202が印加する。こうして前方センサ204Aが胸部に対して、かつ後方センサ204Bが背中に対して押し付けられる。
【0087】
代替又は追加として、前方センサ位置決め要素206A及び/又は後方センサ位置決め要素206Bは、それぞれのセンサ204A-Bをハウジングから外へ胸郭に向かって延伸させて接触力を増加させる効果を生成するための機構(ばね、膨張可能部材など)を含むことができる。
【0088】
任意選択により細長い前方部202B及び/又は細長い後方部202Cは、ヒンジ、任意選択によりばねで付勢されたヒンジ、で接続された複数の剛体部分を含む。そのような設計は、胸郭の形状及び/又は寸法の収容により適合させることが可能である。
【0089】
構造設計上のその他の変形形態には、例えば、数を増減した剛体部分、距離254及び/又は力の変化を可能とするその他の機械的構造、例えばセンサ間に直接及び/又は保持機構を介して力を加える締め付けストラップの使用、及び/又はクランプ状の設計での親ねじの使用、が含まれ得る。
【0090】
保持機構202の要素202B-Cを介して印加される力により、(例えば、胸郭に出入りする電磁エネルギ、電流、超音波などのエネルギの効果的な結合のために)胸郭との適切な接触が達成され、及び/又は装置200が胸郭の所定位置に安定的に留まるような適用が達成され得る。
【0091】
次に図5を参照する。これは本発明のいくつかの実施形態による装置200の概略図であって、保持機構202が前方センサ204Aと後方センサ204Bの間の最大距離254、及び/又は使用時の距離254で示されている。最大距離は、多くの場合使用時に必ずしも達成されるものではないことに留意されたい。
【0092】
任意選択により装置202は、装置が使用されているときの前方センサ204Aと後方センサ204Bとの間の距離254を計算するための1以上の要素を含む。距離254を計算するための例示的要素には、保持機構内のセンサに基づく自動計算要素、角度センサ又は線形測定センサから得られる情報に基づく円周距離の直接測定要素(例えば本明細書に記載の複数のヒンジ付き設計部分のヒンジ内又は延伸可能なアーム内に配置された、ポテンショメータベースのエンコーダ又は光学的エンコーダを使用する)がある。保持機構は、測定が可能となるように保持機構に対するセンサの位置及び/又は向きを調節できる調節可能部分(例えば延伸要素を含む)を含むことが可能である。
【0093】
次に図6を参照する。これは本発明のいくつかの実施形態による、後方位置決め要素208の概略図である。
【0094】
後方位置決め要素208は、保持機構の後方部(図6には示さず)と後方位置決め要素208との間の相対位置を調節するための調節機構210を含む。保持機構202はコネクタ258を介して調節機構210に接続可能である。
【0095】
調節機構210は保持機構202Cの後方部の位置を標的個体の背中に実質的に平行な寸法内に、及び/又は標的個体の背中に実質的に平行な2次元平面内に調節するように設計され得る。任意選択により、調節機構210は標的個体の背中に平行な2次元パターン内に配置された、例えば「A」210A、「B」210B、「C」210C、「D」210Dとして示される複数の停止位置セレクタ210A-Dとして実装される。コネクタ258は、5番目の停止位置セレクタに接続されているように示されていることに留意されたい。各停止位置セレクタ210A-D(及び示されていない1つ)は、保持機構202Cの後方部を背面位置決め要素208に対して異なる相対位置に設定するために、後方位置決め要素208の細長部分250上の所定位置に設定される。停止セレクタの位置は、例えば(前後に測って)より厚い、及び/又は(頭-足方向に沿って測って)より長い胸郭を有する異なる集団の患者に適合するように選択され得る。
【0096】
後方位置決め208の後部領域(すなわち頭に向かう側)は、本明細書に記載のように、標的個体の首の基部の後方、及び/又は肩のラインに適合するように設定されたカラー214に接続される。カラー214は、首基部の後方及び/又は肩のラインの標的とする解剖学的部位に適合する大きさ及び/又は形状である。任意選択により、カラー214は実質的に剛性材料、例えば図11を参照してさらに詳細に記述するように、プラスチック及び/又は金属から作られる。
【0097】
使用中は、後方位置決め要素208が、細長要素250の位置マーカを脊柱上の標的解剖学的部位に一致させることにより、及び/又はカラー214を首背部の標的解剖学的部位に一致させることにより標的個体の背中に位置決めされる。垂直に配置するために、後方位置決め要素208が患者の背中に適用され、カラー形状の剛性及び/又は半剛性要素214が患者の首の片側又は両側、及び/又は肩の上に配置されてそこで支えられる。カラー214は後方位置決め要素208を首の基部/肩のラインに対して位置決めするように設定されている。横方向に正しく位置決めするために、任意選択でノッチライン脊柱位置合わせ要素を使用して細長要素250が脊柱に位置合わせされ、後方位置決め要素208の接触と位置合わせによる脊柱の共点位置を可能とする。脊柱との位置合わせは、ノッチに替わって後方位置決め要素208内の穴で行うことができる。そこに指を嵌めて脊柱の椎骨、及び/又は指示マーカを感じることができる。
【0098】
別の実施形態では、後方位置決め要素の横方向位置決めが対称的なカラー要素だけを使用して(例えば1104などの上部要素を使用して)達成される。これは解剖学的目印に配置されると後方位置決め要素を中央に配置する。
【0099】
保持機構202に接続される別の調節可能コネクタ256が設計されて、保持機構202を後方位置決め要素208に対して更に安定化させる。
【0100】
ここで図7を参照する。これは本発明のいくつかの実施形態に従って、保持機構202がコネクタ256及び258を介して後方位置決め要素208に取り付けられている装置200の概略図である。コネクタ256及び258は、本明細書に記載のように調節可能であって、後方位置決め要素208に対して保持機構202の位置及び向きを調節し得る。コネクタ256及び258は、恒久的な接続を形成してもよいし、あるいは例えばクリックイン機構を使用して取り外し可能であってもよい。
【0101】
任意選択により、後方位置決め要素208は保持機構202から取り外されるか取り外し可能であってよく、本明細書に記載の解剖学的マーカに従って、標的個体の胸郭上に位置決め機構208を(例えば首背部の基部に対してカラーを)個別に装着して、かつ、本明細書に記載のように保持機構202を後方位置決め要素208へ機械的結合することにより保持機構202を後方位置決め要素208に対して位置決めするか、保持機構202上のマーカを後方位置決め要素208上のマーカに目視で位置合わせするかの少なくともいずれかにより、センサ204A-Bの正しい位置決めを達成可能である。
【0102】
本明細書で使用の機械的結合という用語は、本明細書に記載の要素(例えば、コネクタ)を使用することを指す場合がある。それにより、後方位置決め要素が使用されて胸郭上の位置が設定され、例えば機械的接続及び/又は要素の位置合わせを行って保持機構が後方位置決め要素に対する位置に配置される。ここで保持機構と後方位置決め要素は必ずしも物理的に接触しない。
【0103】
後方位置決め要素を、センサを含む保持機構に結合させることは、解剖学的目印に対する後方センサの前以って決められた特定位置を達成するために、任意選択により後方センサを後方位置決め要素に対して配置する。
【0104】
機械的結合は、調節機構210を使用して、解剖学的目印に対する、異なる、定義された、及び/又は定量化可能な位置を達成するように調節され得る。
【0105】
次に図8を参照する。これは本発明のいくつかの実施形態による、後方位置決め要素とは独立して示された装置200の保持機構202の概略図である。図に示すように、タブ要素212が、前方センサ204Aに接続された前方センサ位置決め要素206Aに機械的に結合(例えば前方側に接続)されている。本明細書に記載のように、タブ要素212の位置は、使用時にタブ要素212が標的個体の胸骨上窩に配置されると、前方センサ204Aが患者の標的領域との間でエネルギを送受信できる正しい位置となるように設定される。
【0106】
次に図11を参照する。これは本発明のいくつかの実施形態による、後方位置決め要素において高さ位置決めに使用されるカラー1114の例示的実装形態の概略図である。カラー1114は、本明細書に記載のように、後方位置決め要素の一部、任意選択ではその上部(すなわち後部方向)領域に接続される。概略図1100Aは、カラー1114を装着した患者1102の側面図である。概略図1100Bは、カラー1114を装着した患者1102の背面図である。カラー1114には、比較的剛性の高い材料で作られた下部分1106に比べて、相対的により可撓性のある材料で作られた上部分1104が含まれる。上部分1104は首背部の上部に適合するように設計され、下部分1106は首の基部/肩に適合するように設計されている。
【0107】
カラー1114は、解剖学的マーカに対して高さを規定するために、肩ライン及び/又は首の基部の解剖学的マーカに基づく、高さ位置決め器として設計される。カラー1114には、患者の肩の上に載るようなサイズ及び形状の下部分1106が含まれる。任意選択により、取り付けられた後方位置決め要素の高さは、約2、4、6、8センチメートル以内、又は他の値に規定される。上部分1104は任意選択により取り付けられた後方位置決め要素を首の中心に合わせるように設計されている。任意選択により、脊柱が中心合わせ用の解剖学的マーカとして作用する。任意選択により、上部分1104は、後方位置決め要素を十分に中心合わせできる程度に首を両側から少なくとも部分的に取り囲むように設計されている。これは例えば約40-60度、約80-100度、又は約150-210度、又は約215-300度、又は約245-270度、又は約245-315度の範囲であるか、首の背部の中央に中心があって首の周囲に広がる40度超、又は50度超、又は90度超、又は120度超、又は他の値の円弧である。あるいはその他の範囲の値である。上部分1104は、異なるサイズの首、例えば直径が約6-18センチメートルの首に適合するように設計されている。任意選択により、上部分1104は、カラーに沿って少なくとも1つの領域が、約100又は400又は1000kNxmm、あるいは他の値未満の剛性を有する半円形の設計を有する。
【0108】
次に図12を参照する。これは本発明のいくつかの実施形態による、後方位置決め要素において高さ位置決めに使用されるカラー1214の概略拡大図である。カラー1214は、本明細書に記載のように後方位置決め要素に接続されている。カラー1214は、図11のカラー1114、図1のカラー114、図2の(及び他の図に示されるような)カラー214、本明細書に記載の他の実装、及び/又は前述したものの組合せとして実装され得る。
【0109】
次に図9A図9B図9Cを参照する。これらは、本発明のいくつかの実施形態による、標的個体970に取り付けられた位置決め装置200の例を示す概略図及び/又は写真である。装置200は、例えば図1図8を参照して説明したような本明細書に記載のものである。装置200は、本明細書において例えば図10を参照して説明したように、個体970に配置可能である。ケーブル972が、本明細書に記載のように装置を計算デバイスに接続することに留意されたい。図9Aは装置200を装着した患者970の斜視図である。図9Bは正面図、図9Cは背面図である。
【0110】
次に図10を参照する。これは本発明のいくつかの実施形態による、前方及び/又は後方センサを標的個体の胸郭を横切って標的領域に配置するための方法のフロー図である。図10の方法は、本明細書に記載の装置、例えば図1図9A-Cを参照して説明したような装置で使用され得る。
【0111】
1002において、例えば、センサによる治療及び/又はセンサによるデータ収集のために患者が選択される。
【0112】
1004において、後方位置決め要素に対する保持機構の予め設定された可能な相対位置の1つが、任意選択で調節機構を使用して選択される。選択は、胸部のサイズに従って行われ得る。
【0113】
保持機構の設定の選択は、標的個体の特徴に関する異なるデータに基づいてもよい。例えば、解剖学的寸法、体重、身長、胸郭寸法、物理状態、年齢、病状、及び/又は健康状態、例えば患者の解剖学的構造に影響する状態、などである。例えば、背の高い患者、例えば155cmを超える患者に関しては、選択される停止位置は例えば、図6で説明したより低い位置210C又は210Dである。別の例において胸囲が閾値より大きい患者に関しては、例えばセンサ間の円周距離は別の閾値よりも大きく、選択される停止位置は一番右のもの、すなわち210B又は210Dであってよい。停止位置は、標的個体の特徴の(例えば保持機構のヒンジにある角度センサからの)自動入力又は手動入力に基づいて、コードにより自動的に選択可能である。
【0114】
別の実装形態では、保持機構は異なるサイズの保持要素が利用可能な固定サイズ(例えば使い捨て)であってよい。そして標的個体の特徴に関するデータ、例えば、解剖学的寸法、体重、身長、胸郭寸法、物理状態、年齢、病状、及び/又は健康状態、例えば患者の解剖学的構造に影響する状態、などに基づいて、各標的個体向けに選択され得る。
【0115】
1006において、後方位置決め要素が患者の背中に配置される。
【0116】
任意選択により、後方位置決め要素の細長要素の下部領域にある位置マーカが、脊柱上の標的位置に配置される。位置マーカが所定位置にあるとき、細長要素は標的個体の脊柱の長軸に平行に、かつその上に配置される。追加又は代替として、後方位置決め要素のカラーは、標的個体の首背部の基部及び/又は肩のラインに配置される。
【0117】
1008において、保持機構が患者の胸郭上に配置される。保持機構は患者の左側又は右側に配置され得る。
【0118】
保持機構の弧形部は、前方センサと後方センサが胸郭を跨いで配置されるように、標的個体の左肩又は右肩の上に配置される。
【0119】
一実施例において、例えば、センサがEMトランスデューサであって、EMトランスデューサの実効的なEM捕捉領域及び/又は透過領域の約30%が設定された標的領域にある場合、装置は後方センサを標的患者の脊柱の長軸に対して約2-9センチメートルの間の内側で、かつ第7頸椎の上端から約8-30センチメートルの間の下方に配置するように設定される。
【0120】
1006と1008は実質的に同時に、及び/又は繰り返して、及び/又は逐次的に実行可能であることに留意されたい。例えば、1006がまず実行されて、次いで保持機構を後方位置決め要素のコネクタに接続することにより1008が実行される。
【0121】
1010において、保持機構のタブ要素の位置が胸骨上窩に調節されて、前方センサを正しい解剖学的部位に配置する。
【0122】
1012において、エネルギ(例えば、RF、EM、超音波)が前方センサ及び/又は後方センサから、標的個体の標的領域、例えば肺、肺葉、肺の解剖学的領域、心臓、気管、及び/又はその他の位置へ送信可能である。エネルギは、診断及び/又は治療(例えば切除)のために送信可能である。
【0123】
1014において、前方センサ及び/又は後方センサが、標的領域を透過、及び/又は標的領域から反射したエネルギを測定する。
【0124】
1016において、センサの出力に基づいて、1以上の値、例えば標的領域(肺、肺底など)内の流体量、適用される治療エネルギの調節のための指示が計算される。
【0125】
1018において、標的個体(すなわち患者)に対して、計算された値に基づいた診断及び/又は治療が行われ得る。例えば過剰の流体を除去する治療、及び/又は切除エネルギによる治療である。
【0126】
本出願から成熟する特許の存続期間の間に、多くの関連するセンサが開発されることが予想されるが、センサという用語の範囲は、そのような新技術を先験的に含むことを意図している。
【0127】
本明細書で使用の用語「約」は、±10%を指す。
【0128】
用語「備える」、「備えた」、「含む」、「含んだ」、「有する」、及びそれらの活用形は、「含むがそれに限らない」ことを意味する。
【0129】
「から成る」という用語は、「を含み、かつ限定される」ということを意味する。
【0130】
「本質的に~から成る」という用語は、組成、方法又は構造が追加的な成分、ステップ及び/又は部品を含み得るが、その追加的な成分、ステップ及び/又は部品が特許請求の組成、方法又は構造の基本的かつ新規の特性を実質的に変更しない場合に限ることを意味する。
【0131】
本明細書で使用の、単数形の「1つの(a、an)」、「この(the)」は文脈が明確にそうでないことを規定しない限り、複数の言及も含む。例えば「1つの化合物」又は「少なくとも1つの化合物」という用語は、複数の化合物をそれらの混合物も含めて含み得る。
【0132】
本出願を通じて、本発明の様々な実施形態が範囲形式で提示され得る。範囲形式の記述は、単に便宜的かつ簡単のためのものであって、本発明の範囲の一定不動の限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。従って範囲の記述は、その範囲内の個別の数値と共にすべての可能な部分範囲を具体的に開示しているものと見なされるべきである。例えば、1から6というような範囲の記述は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの具体的に開示された部分範囲、並びにその範囲内の個別の数字、例えば1、2、3、4、5、6、を有すると見なされるべきである。このことは、範囲の広さに拘わらず適用される。
【0133】
本明細書で数値範囲が示されるときはいつでも、示された範囲内の任意の引用された数値(分数又は整数)を含むことが意味される。第1の指定数と第2の指定数「の間の範囲の/範囲にある」という句、及び、第1の指定数「から」第2の指定数「まで」の「範囲の/範囲にある」という句は、本明細書では、第1の指定数と第2の指定数、並びにその間のすべての分数及び整数を含む、と互換的に使用されてそのことを意味する。
【0134】
本明細書で使用の「方法」という用語は、与えられたタスクを達成するための、やり方、手段、手法及び手順を指し、これに限らないが、化学、薬理学、生物学、生化学および医学の専門家に既知であるか、又はそれらの専門家が、既知のやり方、手段、手法及び手順から容易に開発できるようなやり方、手段、手法及び手順を含む。
【0135】
本明細書で使用の「治療する」という用語は、状態の進行を無効にする、実質的に抑制する、遅延させる又は逆行させること、状態の臨床的又は審美的な症状を実質的に改善すること、あるいは、状態の臨床的又は審美的症状の出現を実質的に防止することを含む。
【0136】
本発明の特定の特徴は、わかりやすくするために別々の実施形態の文脈に記述されていても、組み合わせて1つの実施形態で提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈中に記述される本発明の様々な特徴は、別々または任意の適切な部分的組合せで提供されることも、又は本発明の任意の他の説明された実施形態に適切なように提供されることも可能である。様々な実施形態の文脈で記述される特定の特徴は、これらの要素なしではその実施形態が機能不能でない限りは、これらの実施形態の必須の特徴とは見なされるべきではない。
【0137】
本明細書で言及したすべての刊行物、特許、及び特許出願は、各個別の刊行物、特許、及び特許出願が具体的かつ個別的に参照により本明細書に組み込まれるように表示された場合と同じ程度に、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、本出願中のいかなる参照の引用又は特定も、そのような参照が本発明に対する先行技術として利用可能であることを認めるものと解釈されるべきではない。セクション見出しに使用される限りでは、それらは必ずしも制限的であると解釈されるべきではない。さらに、本出願の任意の優先権文書は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
【国際調査報告】