(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(54)【発明の名称】栽培システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A01G 9/02 20180101AFI20220715BHJP
【FI】
A01G9/02 B
A01G9/02 101H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569480
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(85)【翻訳文提出日】2021-12-10
(86)【国際出願番号】 EP2020064259
(87)【国際公開番号】W WO2020234444
(87)【国際公開日】2020-11-26
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515134368
【氏名又は名称】オカド・イノベーション・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ウィーラン、マシュー
【テーマコード(参考)】
2B327
【Fターム(参考)】
2B327NA10
2B327NB01
2B327ND03
2B327ND20
2B327NE09
2B327NE20
2B327QA05
2B327TA04
2B327TA09
2B327TA18
2B327TA27
2B327TC15
2B327TC25
2B327UA08
2B327UB03
2B327UB09
2B327UB21
2B327UB24
2B327VA20
(57)【要約】
植物または他の生物を特定の環境レシピに栽培するためのシステムを説明する。生物は、栽培チャンバ内で栽培され、チャンバは、そこに適用される注意深く制御可能な環境サービスを有する。環境サービスは、履歴データに基づいて、コンピュータ制御ユーティリティを介して供給される。このようにして、植物および生物は、例えば、必要とされる植物を既知の品質または味に生産するように、以前に経験した環境条件において栽培されてもよい。
【選択図】
図11-1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物を栽培するための栽培システムであって、一連の栽培チャンバを備え、前記栽培チャンバは、栽培容器を備え、前記容器は栽培培地を備え、前記システムは、前記栽培チャンバ内の一連の環境サービスのうちの少なくとも1つを制御するための環境制御手段をさらに備え、前記栽培システムは、制御ユーティリティをさらに備え、前記制御ユーティリティは、所定の時間期間の栽培条件が少なくとも1つの栽培チャンバ内で再現されることができるように、前記環境サービスのうちの少なくとも1つを備える予め定められたデータセットから栽培条件を再現するように適合される、栽培システム。
【請求項2】
前記環境サービスは、温度、圧力、湿度、放射強度、放射波長、栄養素および/または気流を含む、請求項1に記載の栽培システム。
【請求項3】
前記栽培チャンバはコンテナを含む、請求項1または2に記載の栽培システム。
【請求項4】
前記コンテナは、積み重ねられて位置付けられ、前記コンテナは、適切な積荷取り扱い手段によって上からアクセスされる、請求項3に記載の栽培システム。
【請求項5】
前記積み荷取り扱い手段は、前記コンテナのスタックの上方に位置付けられた一連の垂直なトラック上で動作可能であり、前記トラックは、格子構造を備え、コンテナの各スタックのフットプリントは、単一の格子空間内に位置付けられている、請求項4に記載の栽培システム。
【請求項6】
前記栽培チャンバは、栽培容器を保持するように適合された有界容積を備える、請求項1または2に記載の栽培システム。
【請求項7】
前記制御ユーティリティは、データを検索し、履歴データによって定義された予め定められたパラメータに従って前記栽培チャンバに適用される前記環境サービスを制御する手段を含む、請求項1から6のうちのいずれか一項に記載の栽培システム。
【請求項8】
ワインを製造する方法であって、栽培チャンバ内で適切なブドウを栽培するステップと、必要とされる環境サービスを前記栽培チャンバに適用するステップとを含み、提供されるサービスは、制御ユーティリティによって制御され、前記制御ユーティリティは、生産されるブドウが以前に栽培したブドウと実質的に同じ栽培条件を経験するように、以前に適用された環境サービスに従って必要とされるサービスを適用するように機能する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栽培システムおよび方法のための環境制御システムに関する。排他的ではないが、より具体的には、本発明は、機械化された垂直または屋内農場のための環境制御システムに関する。
【0002】
植物または他の生物を特定の環境レシピに栽培させるためのシステムが説明される。生物は、注意深く制御可能な環境サービスが適用された栽培チャンバ内で栽培される。環境サービスは、履歴データに基づいてコンピュータ制御ユーティリティを介して供給される。このようにして、植物および生物は、例えば、必要とされる植物を既知の品質または味に生産するように、以前に経験した環境条件において栽培されてもよい。
【背景技術】
【0003】
特定の作物を栽培するための従来のシステムおよび方法は周知である。多くは、広いエリアの土地を必要とし、栽培される作物に関して必要とされる条件に対して適切なロケーションに位置付けられる必要がある。
【0004】
より最近では、水耕栽培などの高度な農業技術により、照明、水および肥料を非常に高度に利用して屋内で高品質の作物を栽培する能力につながった。しかし、これらのシステムは、土地の使用、資本および労働の点で効率が低い。本発明は、これらの効率を劇的に改善する方法を説明する。
【0005】
いくつかの商用および工業用のアクティビティは、広大な数の異なる製品の保管および取り出しを可能にするシステムを必要としている。複数の製品ラインにおけるアイテムの保管および取り出しのための、1つの既知のタイプのシステムは、列で配置されているスタックにおいて、保管コンテナまたはコンテナを重ねて配置することを伴っている。列の間の通路に対する必要性を取り除き、より多くのコンテナを所定のスペースにおいて保管することができるように、保管コンテナまたはコンテナは上からアクセスされる。
【0006】
列状態に積み重ねられたコンテナを取り扱う方法は、長年にわたり周知のものである。いくつかのこのようなシステムにおいて、例えば、米国特許第2、701、065号、Bertelにおいて説明されているように、必要とされる場合に特定のコンテナへのアクセスを依然として提供しながらも、このようなコンテナを保管することに関係付けられている保管量を低減させるために、列で配置されているコンテナの自立型のスタックを備えている。所定のコンテナへのアクセスは、所定のコンテナを積み重ね、スタックから所定のコンテナを取り出すために使用できる比較的複雑な巻上げ機構を提供することによって可能となる。しかしながら、多くの状況において、このようなシステムのコストは非実用的であり、これらは、主に大きな出荷コンテナの保管および取り扱い用に商用化されている。
【0007】
自立型のコンテナのスタックを使用して、特定のコンテナを取り出して保管するための機構を提供することの概念はさらに、例えば、EP0767113B、Cimcorpにおいて説明されているように発展してきた。‘113は、コンテナスタックの周囲において下げられ、スタックの任意のレベルにおいてコンテナを把持できるように構成された矩形チューブの形態のロボット積み荷ハンドラを使用して、複数の積み重ねられたコンテナを取り出すための機構を開示している。このようにすることで、いくつかのコンテナは、スタックから一度に持ち上げられることができる。移動可能なチューブを使用して、1つのスタックの一番上から別のスタックの一番上まで、いくつかのスタックを移動させるか、または、スタックから外部ロケーションへ、および、逆もまた同じように、コンテナを移動させることができる。単一のスタック中のコンテナのすべてが同一の製品を含んでいる(単一の製品スタックとして知られている)場合、このようなシステムは、特に有用であることがある。
【0008】
’113において説明されているシステムにおいて、最も高いコンテナのスタックを単一の動作で抜き取ることができるように、チューブの高さは、最大のコンテナのスタックの高さと少なくとも同じくらい高くなければならない。したがって、倉庫のような閉じられたスペースにおいて使用するとき、スタックの最大の高さは、積み荷ハンドラのチューブに対応する必要性によって制限される。
【0009】
EP1037828B1(Autostore)は、その内容が参照によってここに組み込まれており、コンテナのスタックがフレーム構造内で配置されているシステムを説明している。このタイプのシステムは、付随する図面の
図1ないし
図4において概略的に図示されている。ロボット積み荷取り扱いデバイスは、スタックの最上表面上のトラックのシステムで、スタックのあちこちを制御可能に移動することができる。
【0010】
ロボット積み荷取り扱いデバイスの他の形態が、例えばノルウェー特許第317366号においてさらに記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
図3(a)および
図3(b)は、それぞれ、後方および正面からの積み荷取り扱いデバイスの概略的な斜視図であり、
図3(c)は、コンテナを持ち上げる積み荷取り扱いデバイスの概略的な正面斜視図である。
【0011】
積み荷取り扱いデバイスのさらなる展開が、英国特許出願番号第1314313.6号(Ocado)に説明されており、ここでは、各ロボット積み荷ハンドラが1つの格子空間のみをカバーし、したがって、積み荷ハンドラのより高い密度が、およびしたがって所定サイズのシステムのより高いスループットが可能となる。
【0012】
このような既知の保管システムでは、多数のコンテナが密に積み重ねられている。コンテナは、従来、ロボットによってピッキングされたオンライン食料品注文を供給するために、品物を保管するために使用される。
【発明の概要】
【0013】
本発明によれば、一連の栽培チャンバを含む生物を栽培するための栽培システムが提供され、栽培チャンバは栽培容器を備え、容器は栽培培地を備え、システムは、栽培チャンバ内の一連の環境サービスのうちの少なくとも1つを制御するための環境制御手段をさらに備え、栽培システムは制御ユーティリティをさらに備え、制御ユーティリティは、所定の時間期間の栽培条件が少なくとも1つの栽培チャンバ内で再現されることができるように、環境サービスのうちの少なくとも1つを備える予め定められたデータセットから栽培条件を再現するように適合される。
【0014】
本発明の一態様において、環境サービスは、例えば、温度、圧力、湿度、放射強度、放射波長、栄養素および/または栽培チャンバ内の気流を含むが、これらに限定されない。
【0015】
本発明の一態様において、栽培チャンバは、コンテナを含み、コンテナはセンサ手段およびデータロギング手段を含む。
【0016】
本発明のさらなる態様において、栽培チャンバはコンテナを含み、コンテナは、ログ記録されたデータを中央データロギングデバイスに伝えるための通信手段を含む。
【0017】
本発明のさらなる態様において、コンテナは、コンテナ内に収容された植物の栽培に適した水または肥料を収容するリザーバを含む。
【0018】
本発明のさらなる態様において、コンテナは照明手段を含む。
【0019】
本発明によれば、栽培システム内で生物を栽培する方法がさらに提供され、栽培チャンバ内に栽培手段を設けるステップと、保管システム内にコンテナを位置付けるステップと、既存の環境条件に基づく予め定められたデータセットに従って環境サービスを提供するステップとを含む。
【0020】
このようにして、屋内または都市部の農場内で前記栽培する生物の所定の型、品種または品質を再現するために、特定の以前に経験した栽培条件を高い精度で複製することが可能である。
【0021】
さらに、保管システムの以前に知られていた形態は、個々のコンテナで植物のような生物を栽培するために使用されてもよく、非常に多くのコンテナは、従来の栽培技術を使用して必要とされる土地よりもより狭い土地のエリアで、このような作物を大量生産することを可能にする。有利なことに、この形態の栽培システムは、例えば、ブドウを環境レシピまで栽培させて、所定の栽培条件を経験したことが以前に知られていたワインの既知の良好な又は優れたビンテージと密接に比較される特定の品質又は味のワインを作り出すことを可能にすることが明らかだろう。
【0022】
個々のコンテナ内で提供されるサービスに応じて、コンテナの内容物に関するデータが中央処理システムに中継されるように内容物を監視することができる。送信されたデータは、コンテナの状態、コンテナの内容に関する情報を提供することができ、または保管システム全体を状態監視するために隣接するコンテナに関する情報を提供することができる。さらに、このようにして、コンテナは、コンテナの特定の内容物によって必要とされるように加熱または冷却されることができる。
【0023】
有利には、本発明の一形態によれば、保管システム内の個々のコンテナに、品物に加えてサービスを提供することができる。さらに、保管システム内の個々のコンテナは、品物を含まないかもしれないが、他のコンテナに提供するための、またはシステムの状態を監視するためのサービスを含むかもしれない。
【0024】
このようにすることで、本発明は、先行技術の問題を克服し、信頼性を増加させ、大型コンテナ取り扱い保管システムの全体コストを低減する、システムおよび方法を提供する。
【0025】
添付の図を参照して、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、保管システム内に複数のコンテナのスタックを収容するためのフレーム構造の概略斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のフレーム構造の一部の概略的な平面図である。
【
図3a】
図3(a)は、
図1および
図2のフレーム構造による使用のためのロボットの積み荷取り扱いデバイスの1つの形態の、後方からの概略斜視図である。
【
図3b】
図3(b)は、
図1および
図2のフレーム構造による使用のためのロボットの積み荷取り扱いデバイスの1つの形態の、正面からの概略斜視図である。
【
図3c】
図3(c)は、コンテナを持ち上げる使用の際の、既知の積み荷ハンドラデバイスの概略斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の一つの形態にしたがうロボットサービスデバイスと共に、
図1および
図2のフレーム構造上に取り付けられた
図3(a)、
図3(b)、および
図3(c)に示すタイプの複数の積み荷取り扱いデバイスを備える既知の保管システムの概略斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の1つの形態による保管コンテナの概略斜視図であり、コンテナは、マットまたは土などの栽培手段を含む。
【
図6a】
図6aは、本発明のいくつかの形態による個々の保管コンテナの概略斜視図であり、コンテナは少なくとも照明手段を含む。
【
図6b】
図6bは、本発明のいくつかの形態による個々の保管コンテナの概略斜視図であり、コンテナは少なくとも照明手段を含む。
【
図6c】
図6cは、本発明のいくつかの形態による個々の保管コンテナの概略斜視図であり、コンテナは少なくとも照明手段を含む。
【
図6d】
図6dは、本発明のいくつかの形態による個々の保管コンテナの概略斜視図であり、コンテナは少なくとも照明手段を含む。
【
図7a】
図7aは、本発明のさらなる形態による保管コンテナの概略斜視図であり、コンテナは流体供給手段を備える。
【
図7b】
図7bは、本発明のさらなる形態による保管コンテナの概略斜視図であり、コンテナは流体供給手段を備える。
【
図7c】
図7cは、本発明のさらなる形態による保管コンテナの概略斜視図であり、コンテナは流体供給手段を備える。
【
図7d】
図7dは、本発明のさらなる形態による保管コンテナの概略斜視図であり、コンテナは流体供給手段を備える。
【
図8a】
図8aは、本発明の少なくとも1つの形態による栽培システムの概略斜視図であり、システムは、栽培システム中に保管されたコンテナ内で栽培される植物を間引くするためのロボットピッキング手段を備える。
【
図8b】
図8bは、本発明の少なくとも1つの形態による栽培システムの概略斜視図であり、システムは、栽培システム中に保管されたコンテナ内で栽培される植物を間引くするためのロボットピッキング手段を備える。
【
図9a】
図9aは、栽培システム内で使用するためのコンテナのさらなる形態の概略斜視図であり、コンテナのさらなる形態は、苗から高い成熟植物までの大きさの植物に栽培システムを使用することを可能にする。
【
図9b】
図9bは、栽培システム内で使用するためのコンテナのさらなる形態の概略斜視図であり、コンテナのさらなる形態は、苗から高い成熟植物までの大きさの植物に栽培システムを使用することを可能にする。
【
図10】
図10は、保管システムの格子の直立材の概略斜視図であり、直立材16は、コンテナへの継続する伝達のためのサービス17を通し、システムは、
図5、
図9a、及び
図9bのコンテナを含む。
【
図11-1】
図11-1は、特定の栽培季節にわたる特定の品種のブドウの栽培に関して知られている過去の環境データを示す図であり、そのようなデータは、本発明の一態様に従って、類似の品質および既知の特性のブドウを生産するように栽培条件を再現するために使用される。
【
図11-2】
図11-2は、特定の栽培季節にわたる特定の品種のブドウの栽培に関して知られている過去の環境データを示す図であり、そのようなデータは、本発明の一態様に従って、類似の品質および既知の特性のブドウを生産するように栽培条件を再現するために使用される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1および
図2において示しているように、コンテナ10として知られている積み重ね可能なコンテナは、スタック12を形成するように、重ねて積み重ねられている。スタック12は、倉庫環境または製造環境内のフレームワーク構造14内に構成される。
図1は、フレーム構造14の概略的な斜視図であり、
図2は、フレーム構造14内で配置されているコンテナ10の単一のスタック12を示しているトップダウン図である。各コンテナ10は、典型的に、(示されていない)複数の製品アイテムを保持しており、コンテナ10内の製品アイテムは、完全に同じであるかもしれず、または、アプリケーションに依存する異なる製品タイプのものであるかもしれない。
【0028】
フレームワーク構造14は、水平の部材18、20を支持する複数の直立材16を備えている。直立材16によって支持されている複数の水平格子構造を形成するために、平行な水平部材の第1のセット18は、平行な水平部材の第2のセット20に垂直に構成されている。部材16、18、20は、典型的に、金属から製造されている。コンテナ10は、フレーム構造14の部材16、18、20の間で積み重ねられているので、フレーム構造14は、コンテナ10のスタック12の水平移動に対してガードし、コンテナ10の垂直の移動を誘導する。
【0029】
フレーム構造14の一番上のレベルは、スタック12の一番上に渡る格子パターンで配置されているレール22を含んでいる。さらに、
図3および
図4を参照すると、レール22は、複数のロボットの積み荷取り扱いデバイス30をサポートしている。平行なレール22の第1のセット22aは、フレーム構造14の一番上に渡って、第1の方向(X)における積み荷取り扱いデバイス30の移動を誘導し、平行なレール22の第2のセット22bは、第1のセット22aに対して垂直に配置され、第1の方向に対して垂直な第2の方向(Y)において、積み荷取り扱いデバイス30の移動を誘導する。この方法において、レール22は、X-Y平面における、2次元での積み荷取り扱いデバイス30の移動を可能にするので、積み荷取り扱いデバイス30は、スタック12のうちのいずれか上のポジションに移動できる。
【0030】
各積み荷取り扱いデバイス30は、スタック12の上で、フレーム構造14のレール22上で、X方向およびY方向に移動するように配置されている車両32を備えている。車両32の正面のホイール34の対と、車両32の背面のホイール34の対とからなる、ホイール34の第1のセットは、レール22の第1のセット22aの2つの隣接レールに係合するように配置されている。同様に、車両32の各側面のホイール36の対からなる、ホイール36の第2のセットは、レール22の第2のセット22bの2つの隣接するレールに係合するように配置されている。ホイール34、36の各セットを、上げ、下げすることができるので、ホイール34の第1のセット、または、ホイール36の第2のセットのいずれかは、常に、レール22a、22bのそれぞれのセットに係合される。
【0031】
ホイール34の第1のセットがレールの第1のセット22aに係合され、ホイール36の第2のセットがレール22から完全に持ち上げられているとき、車両32中に収納されている駆動機構(示されていない)を介して、積み荷取り扱いデバイス30をX方向に移動させるために、ホイール34を駆動することができる。Y方向に積み荷取り扱いデバイス30を移動させるために、ホイール34の第1のセットは、レール22から完全に持ち上げられて、ホイール36の第2のセットは、レール22aの第2のセットとの係合の中に下げられる。その後、駆動機構を使用して、ホイール36の第2のセットを駆動して、Y方向における移動を達成することができる。
【0032】
この方法で、1つ以上のロボット積み荷取り扱いデバイス30は、中央ピッキングシステム(示されていない)の制御のもと、フレーム構造14上で、スタック12の一番上の表面をあちこち移動することができる。各ロボットの積み荷取り扱いデバイス30は、必要とされる製品にアクセスするために、スタックから1つ以上のコンテナを持ち上げる手段とともに提供される。この方法で、常に、格子とスタックにおける複数のロケーションから、複数の製品にアクセスすることができる。
【0033】
図4は、上記で説明している典型的な保管システムを示しており、システムは、スタック12上でアクティブな複数の積み荷取り扱いデバイス30を有している。
【0034】
図1および
図4は、保管システム内のスタック12内のコンテナ10を示す。任意の所定の保管システム内に多数のコンテナが存在してもよく、多くの異なる植物または作物品種がスタック12内のコンテナ内で栽培されてもよいことが理解されるだろう。
【0035】
図5は、植物を栽培するための個々のコンテナ10を示す。植物は、コンテナ10中に位置付けられたマットまたは土壌などの栽培手段13上で栽培される。マット13の下に、コンテナはリザーバ54(図示せず)を備えることができ、リザーバは、コンテナ内で栽培される植物に適した水及び/又は肥料を含んでいる。
【0036】
コンテナ10は、隣接するコンテナ10上の協働する表面によって積み重ねて保持される。
図5のコンテナ10は、コンテナ10の意図された協働面に位置付けられた接続手段40をさらに備える。接続手段40は、コンテナ10の協働面上に置かれた導電層を備えてもよく、又は2つ以上のコンテナ10間で電力を通すことができる接点若しくは他の何らかの接続手段として、ばね荷重接点若しくはばねを備えてもよい。さらに、接続手段40は、スタック中の2つ以上の協働するコンテナ10間で信号を伝えることができる炭素充填ゴム接点を含むことができる。
【0037】
図5に示している接続手段40は、電力、(水および肥料のような)流体、および、植物栽培システムにおいて必要とされる他のサービスまたはユーティリティを通すことができる解放可能なラッチコネクタを備えている。
【0038】
個々のコンテナ10は、例えば、加熱手段、冷却手段、データロギング手段、通信手段および/または照明手段60に電力を供給するための電力供給手段を備えてもよい。電力がスタック12中の隣接するコンテナ10に送信される場合、各個々のコンテナ10は、そのサービスまたは各サービスへの電力を制御し、スタック12中の他のコンテナ10への電力を制御するための電力制御手段をさらに備えてもよい。電力制御および制御手段を備えるコンテナ10は、加熱器、冷却器または照明に電力を供給することに限定されないことが理解されるだろう。電力を必要とする任意のものが電力供給手段を利用することができる。電力供給手段は、電池を備えてもよく、または外部電源からの電力をコンテナ10上の接続手段40を通して、もしくはフレームワーク構造の直立部16を介して送信するための手段を備えてもよい。電力送信の非接触方法は、例えば磁気誘導またはRF誘導および光学的方法を使用することもできる。
【0039】
図5は、植物栽培する手段に適したコンテナ10を詳細に示す。コンテナは、所望の作物を栽培するのに適した予め定められた波長の光を放射することができる照明手段60を備える。さらに、コンテナ10は流体供給手段52を備え、この流体供給手段52は、作動されるとき、コンテナ10中で栽培する作物に予め定められた量の水を散布することができる。照明手段60への電力及び散布手段52への流体供給は、コンテナ10の一方の側に沿って進むルーティング手段17を介してコンテナ10を通ってルーティングされる。コンテナには、コンテナ10が栽培システム中に位置付けられたときに、サービスをコンテナ10のスタック12の上方にルーティングされることができるようにする接続手段40が更に設けられている。
【0040】
図5中において、ルーティング手段は、コンテナ10上に据え付けられるように示されているが、コンテナがルーティング手段17として機能するのに適した成形物を備えるように、コンテナ10を形成することが可能であることが理解されるだろう。
【0041】
図6aから
図6dは、スタック12からのコンテナ10のさらなる形態を示し、コンテナ10は、照明手段60の様々な構成を備える。
図6aおよび
図6bに示されるように、照明手段60は、適切な電球、LEDまたは他の何らかの適切な形態の照明60を含む蓋を備えてもよい。蓋は、コンテナ10に取り外し可能に取り付けられ、スタック12からのコンテナ10の取り外しの間に折り畳まれてもよい。
【0042】
代替的に、
図6c中に示すように、照明手段60は、スタック12中のコンテナ10の下を照らすように、コンテナ10のベースに提供されてもよい。
【0043】
さらに、
図6dに示されるように、コンテナ10は、コンテナ10の外部の点から、例えば、格子の直立材16、または保管システムを含む倉庫の天井から照らされてもよい。
図6dに見られるように、照明手段60をフレームワークの直立材16上に位置付けることは、コンテナ10の側面を取り外す必要がある。本質的に、この形態のコンテナは、コンテナ10を他のコンテナ10の上に積み重ねることができ、コンテナ10を上方で支持することができるように、角部にのみ支持体を有する植物栽培トレイである。
【0044】
個々のコンテナ10は、データロギング手段と、記録されたデータを遠隔中央データロギングデバイスに送信するための通信手段とをさらに備えてもよい。データロギング手段は、コンテナ10中の状態、例えば温度、例えば果実の腐敗の結果としての任意のガス放出、及び湿度を監視するのに適したセンサを備えている。データロギング手段および通信手段は、個々のコンテナ10の内容物および状態を監視することを可能にする。さらに、システム中のスタック12中の特定のコンテナ10に関する情報を知ることにより、保管システム全体の状態を監視することができる。通信のタイプおよび方法は、WiFiであってもよいが、それに限定される必要はないことが理解されるだろう。任意の適切な形態の通信プロトコルまたは方法を使用することができる。
【0045】
スタック12中の個々のコンテナ10は、加熱および/または冷却手段と、コンテナ10中の温度を監視するための温度監視手段とをさらに備えることができる。加熱手段は、直接的手段、例えば高温空気を介した温流体の流れ、もしくは間接的手段、例えばラジエータ手段を含むことができ、または電気加熱器もしく電磁誘導加熱器を更に含むことができる。
【0046】
冷却手段は、ペルチェ冷却器を備えていてもよく、または、例えば、冷気のような直接的な手段を介して、もしくは、例えば、氷スラリーコンプレッサ駆動を含むラジエータ手段のような間接的な手段を介して、冷流体の流れを備えていてもよい。
【0047】
このようにして、個々のコンテナ10の温度は、個々のコンテナ10の内容物に応じて制御および変更することができる。コンテナの内容物を冷却する必要がある場合、個々のコンテナは、保管システム中のスタック12の一部が空間加熱器および冷却器によって予め定められた温度に維持されることを必要とするよりもむしろ、5℃の温度を有することができる。これらは単なる例にすぎず、所望の効果を達成するために任意の適切な形態の加熱器又は冷却器を使用してもよいことが理解されるだろう。
【0048】
植物栽培システムのスタック12内のコンテナ10にわたって空気を吹き付けることが好ましいかもしれない。これは、ファン又は他の空気流手段を利用してシステム全体に空気流を発生させることによって達成することができる。
【0049】
図7aから7dは、スタック12からのコンテナ10のさらなる形態を示し、コンテナ10は、流体供給手段52を備え、流体リザーバ(図示せず)をさらに備える。コンテナ10の内容物には、水を供給する必要がある。したがって、コンテナ10には、液体または気体で充填されることができるリザーバが設けられる。リザーバ54を充填するために、コンテナ10は、ロボット積み荷取り扱いデバイスによってスタック12から取り外され、必要に応じてリザーバを補充することができるシステム中のロケーションに運ばれてもよい。
図7aおよび
図7bに示されるように、水および栄養素は、コンテナ10の蓋部分中のスプリンクラーシステム52を介して供給されてもよい。代替的に、
図7c中に示すように、スプリンクラー52は、スタック12のコンテナ10の下方の植物に水及び/又は栄養素を提供するように、コンテナ10のベースに位置付けられてもよい。さらなる例では、
図7bに示されるように、流体供給手段を備えるコンテナ蓋72が、コンテナ10に取り外し可能に取り付けられ、スタック12からのコンテナ10の取り外し中に折り畳まれる。
【0050】
図7dは、流体供給手段がフレームワークの直立材16を介してルーティングされるコンテナ10の代替形態を示す。この場合も、コンテナ10の側部を取り外す必要がある。本質的に、この形態のコンテナは、コンテナ10を他のコンテナ10の上に積み重ねることができ、コンテナ10を上方で支持することができるように、角にのみ支持体を有する植物栽培トレイである。
【0051】
栽培システムの格子の垂直材16は、ここで言及するサービスのいずれか、または、ワイヤ、ケーブル、もしくは、パイプ、もしくは、他の何らかの適切な手段によるコンテナ10への継続する伝達のための代替的なサービスを通すことができることが理解されるだろう。
【0052】
本願が優先権を主張する英国特許出願番号第GB1518091.2号、第GB1518115.9号、コンテナ10とフレームワーク構造14を通したルーティングサービスの詳細なシステムおよび方法は、参照によってここに組み込まれる。
【0053】
図8aおよび8bは、上述の栽培システムのサービス部分を示す。明確にするために、フレームワーク構造の一部のみが示されており、代表的な数のコンテナ10がフレームワーク内のスタック12に示されている。システム内に位置付けられたコンテナ110の一部は、使用に備えて栽培手段のみを備える。システム中のコンテナ10の一部は、元々植えられていた間隔管理体制に対して大きすぎる植物を含む。したがって、システムのサービスエリアの1つの機能は、過密なコンテナ10からある割合の植物をピッキングして栽培手段のみを備えるコンテナ110内に植え直すことによって、過密な植物を備えるコンテナ10をまばらにすることができる。
【0054】
このタスクを完全に自動化するために、ロボットピッキングデバイス100を設けることができる。しかしながら、タスクは、栽培システムのサービスエリアにおいて、作業員によって手動で実行されてもよいことが理解されるだろう。
【0055】
図9aおよび9bは、栽培システムで使用するためのコンテナ10のさらなる形態を示す。システムで栽培される作物のライフサイクルの間、関係する作物はある高さに達し、それによってコンテナ10の上部から突出するかもしれない。
図9aおよび
図9bに示されるコンテナは、そのような高さに達しても植物150をシステム中で栽培し続けることを可能にするように機能するスペーサコンテナ10’である。スペーサコンテナ10’は、植物の上に配置され、コンテナ10のスタック12の上方に配置された任意のコンテナ10の支持体として機能することができる。スペーサコンテナ10’は、光が通過することを可能にするプラスチック材料を含むことができる。さらに、スペーサコンテナ10’は、通常のコンテナ10について上述したようにルーティングされたサービスを含むことができる。
【0056】
図10は、コンテナ10の高さと比較されたとき、かなりの高さの植物150を通すコンテナ10の上方に積み重ねて位置付けられた上述のスペーサコンテナ10’のうちの2つを示す。
図10は、照明手段60及び散水手段52を通す栽培システムの直立材16を更に示す。さらに、
図10は、栽培システムのベースからルーティング手段17を介して供給されるユーティリティ供給手段40を備えるコンテナ10を示す。
【0057】
スペーサコンテナ10’は、スペーサコンテナ10’が下のコンテナ10に取り付けられることを可能にする解放可能なラッチ機構を備えてもよいことが理解されるだろう。これは、スペーサコンテナ10’が据え付けられたコンテナ10をピックアップするために積み荷取り扱いデバイス30が必要とされる場合に必要とされる。しかしながら、高さの高い植物150を標準サイズのコンテナ10内で取り扱うことを可能にするために、積み荷取り扱いデバイスの代替形態を使用してもよいことがさらに理解されるだろう。
【0058】
使用する際、種子または苗を各コンテナ10内の栽培手段に植える。コンテナ10には、その中に収容された植物が栽培するために必要とされる水又は肥料が提供される。コンテナ10は、積み荷取り扱い手段30によって保管システム内のスタック12中に配置される。植物の繁殖は、システム内に位置付けられた感知手段によって遠隔的に、または作物を検査するためにシステムからコンテナ10を定期的に取り出すことによって監視される。コンテナ10は、フレームワークに据え付けられた実質的に水平な格子構造上で動作する積み荷取り扱いデバイスによってシステムから取り出される。ターゲットコンテナ10は、システムからピッキングされ、積み荷取り扱いデバイスによってサービスエリアに輸送される。積み荷取り扱いデバイスは、コンベヤループ120の周囲にターゲットコンテナを移動させることができる被駆動ローラ手段または他の適切な移動機構を備えるコンベヤループ上にターゲットコンテナ10を配置する。
【0059】
コンテナ10がコンベヤループ上にある間に、タスクが行われてもよく、例えば、作物が摘み取られてもよく、苗が間引きされてもよく、肥料が追加されてもよく、タスクは、作業員によって手動で、または集中化されたコンピュータ化されたユーティリティの制御下でロボットによって行われる。
【0060】
いったん必要とされるタスクが完了すると、コンテナ10は、積み荷取り扱いデバイスによって収集され、栽培システム内のスタック12に戻されてもよい。
【0061】
このようにして、通常は労働集約的で時間のかかる多数の動作を自動的に行うことができることが理解されるだろう。加えて、適切な感知手段の使用は、システム内の植物の各品種がその品種に最適な栽培条件を受けることができることを保証することができる。このようにして、効率的に生産を向上させることができる。
【0062】
システムの高度に自動化され制御された性質を考慮すると、多数の用途が想定される。これらのうちのいくつかを以下に記載するが、限定的であると考えるべきではない。
【0063】
システムは、例えば、植物の新しい変種の開発のために使用されてもよく、または所定の変種について最適な成長条件が確立されている場合、システムの使用は、連続的なモニタリングを必要とし、そして各コンテナ内の全ての条件は、別個のパラメータがチェックされることを必要とし、そして内容物が定期的に検査される。水、栄養素および光の量は、厳密に監視し、それに応じて変化させる必要がある。これは、間隔を置いて多数のコンテナを取り出し、検査し、交換することを必要とする。有利なことに、これは、システムからのコンテナ10の感知、監視および取り出しのプロセスが高度に自動化されるので、本システムにおいて達成することができる。
【0064】
システムが所定の植物または作物の大量生産に使用される場合、生産コストを最小限に抑える必要があり、したがって、最適な栽培に必要とされるパラメータは予め確立されている。したがって、各植物または作物品種に必要な照明、水、栄養素および温度は、栽培サイクルの開始時に固定される。コンテナは、苗を再配置するために3から10日毎に保管システムから取り出されるだけであり、その後最終的に収穫し、コンテナ10に再播種する。
【0065】
有利には、両方のタイプの使用が単一の保管システムに対応することが可能である。コンテナ10の一部分は、大量生産のための作物を含んでいてもよく、コンテナの一部分は、開発中の生産物または監視している新しい変種を含んでいてもよく、最適な栽培プロトコルが確立されている。
【0066】
システムの一部分は、適切な分割手段によって分割されてもよいことが理解されるだろう。
【0067】
ここで説明される例では、全てのコンテナ10が記載される全てのサービスを含むわけではないことが理解されるだろう。さらに、いくつかのコンテナは、特に大量生産のために使用される場合、適切なレベルの光、水および栄養素以外のいかなるサービスも必要としないかもしれない。逆に、研究開発または試験に利用されるコンテナ10については、より多くの感知および監視手段が各コンテナに必要とされてもよい。
【0068】
研究開発用コンテナのケースでは、規則的な間隔で、1つ以上のコンテナ10が、積み荷取り扱いデバイス30によってスタック12から取り出され、システム内の検査ポートに運ばれる。植物の状態をチェックし、必要に応じて栄養素または水をコンテナに加える。コンテナ内の植物が成熟するのに依然として時間を必要する場合、コンテナ10はスタック12に戻される。植物が十分に栽培され、作物が成熟している場合、植物または作物は取り出され、コンテナ10は洗浄され、植え直され、次いでスタック12に戻される。
【0069】
大量生産のケースでは、関連するコンテナ10は、検査のために取り出されなくてもよいが、作物が成熟に達したと予想されるときのみに取り出されてもよい。
【0070】
コンテナ10内に設けられたセンサ手段は、その中で栽培する植物の状態を監視する。コンテナ10中の植物のメンテナンスのスケジュールが使用されてもよいが、センサは、メンテナンススケジュール外でコンテナ10がスタック12から取り出されることをトリガしてもよいことが理解されるだろう。例えば、コンテナ10が栽培中のキノコを含むが、キノコが熟し過ぎている場合、センサは、食物熟成に関係付けられたガスを検出するかもしれず、コンテナ10は、検査のためにメンテナンススケジュール外に取り出されてもよい。
【0071】
ある温室は、CO2の上昇したレベルを有する空気で動作する。これらの状況では、適切なガス感知手段は、適切にCO2のレベルを監視し、制御することができることが理解されるだろう。
【0072】
多くの作物が、このような機械化された温室で栽培できることが理解されるだろう。これらには、キノコ、唐辛子、ハーブ、およびレタスが含まれるが、これらに限定されない。エネルギーは豊富であるが水が不足しているいくつかの場所において、この種のシステムは、穀物および他の生物を栽培するためにも使用できる。ここで説明する実施形態は、主に、大量生産または研究開発目的のいずれかのための植物栽培を指すが、任意の生物、植物、動物、またはキノコ類が、そのような保管システム中で栽培できることが理解されるだろう。例えば、保管システムは、魚、鶏、カキ、およびロブスターを育てることに使用することができる。さらに、システムは、GM試験、薬学試験、特定の熟成条件を必要とするワインの保管、または慎重な温度および湿度制御を必要とするチーズのために使用できる。
【0073】
異なるコンテナ10が異なる作物を含んでいてもよいように、単一のロケーションで複数の作物が栽培されてもよいことは、作物を栽培するこのシステムの利点である。さらに、病気、虫害、カビまたは他の植物関連の問題が個々のコンテナ10に留められるので、コンテナ10中で植物を栽培させることは、大きな作物を通して病気が広がることを防止する。システム倉庫内中フィルタを通して外部環境からの侵入 を制限することが可能であるべきであるが、これのいかなる侵害も個々のコンテナで阻止することができ、「植物関連問題」を最小限に抑えることができる。
【0074】
保管システムは、スタック12に配置された多数のコンテナ10を備えることが理解されるだろう。本発明の一実施形態では、保管システムは、システム内に分散された異なるカテゴリのコンテナ10を備える。例えば、空のコンテナ10、植物を栽培するコンテナ10、保管される品物を含むコンテナ10、電源又は通信手段などのサービスを含むコンテナ、加熱手段を含むコンテナ10、冷却手段を含むコンテナ10、液体及び/又は光を必要とする品物を含むコンテナ10が存在してもよい。
【0075】
いくつかのコンテナ10は、上記で言及されたサービスまたはデバイスのうちの1つ以上を含んでいてもよいことが理解されるだろう。例えば、リザーバ54を備えたコンテナ10に照明手段60を設けることもできる。
【0076】
照明手段60は、LEDライトもしくは蛍光灯の形状または他の何らかの照明の適切な形態をとってもよい。
【0077】
スタック12内のコンテナ10におけるデータロギングおよび状態監視手段の提供は、特定のコンテナ10を取り出し、検査しない限り、別の方法では可能ではない、システムの状態およびトポグラフィーのマップを生成することを可能にする。
【0078】
さらに、垂直材16を介してまたはコンテナからコンテナへの接触を介してのいずれかで、特定の個々のコンテナ10にサービスを提供することは、システムを分割するために再分配し、異なる要件を有する品物を格子の別のセクションに分けることなく、異なる要件を有する品物を同じ保管システム内に保管することを可能にする。
【0079】
さらに、コンテナ10間の接続と、コンテナ10とスタック12との間の通信は、可能性ある災害復旧において支援するであろう、例えば、停電の場合に支援するであろう、リアルタイムの保管システムの知識ベースを生成するだろう。代替策は、非効率的でコストがかかるであろう、すべてのコンテナを空にし、スタックを再構築することであるだろう。
【0080】
全てのコンテナ10は、積み荷取り扱いデバイス30によってスタック12から取り出されてもよいことが理解されるだろう。コンテナ10は所定のポジションに固定されておらず、全ての接点はコンテナ10間で開閉可能である。さらに、垂直材16を通過するサービスを必要とするコンテナ10は、いかなる方法でも垂直材16に固定されない。任意の適切な開閉接続を使用することができる。
【0081】
個々のコンテナには、1つのサービス、選択されたサービスまたは説明した全てのサービスが提供されてもよいことがさらに理解される。さらに、リストに記載されたサービスは限定的なものとみなされるべきではない。コンテナ10に通すまたは送られることが可能な任意の形態のサービスが想定されてもよい。
【0082】
本発明の一実施形態では、単なる例として、コンテナ10は、植物が栽培されるトレイを備える。トレイは約1000×1400mmである。トレイは、植物がその自然収穫高さまで栽培することを可能にするのに十分な高さのフレームを備える。特定の実施形態では、トレイは20m以上の高さまで積み重ねられる。各トレイは、トレイの上部フレームに取り付けられた照明から、上方のトレイのベースから、または上方の
図6aから
図6dにのみ例示的な形態で示されるような格子中の照明からのいずれかで照らされる。全ての処理(植え付け、収穫、剪定、噴霧、および潜在的に散水)は、良好な人間工学および潜在的にロボットまたは他の自動化を有する専門のワークステーションで行われる。
【0083】
複数の異なる照明アレイが使用されてもよいことが理解されるだろう。例えば、異なるアレイを、植物栽培の終わりまでよりも植物栽培の初期部分の間に使用してもよい。初期段階では、全ての光を植物に集束させ、周囲の土壌への照明の無駄を低減することが好ましい。別個のアレイを利用してもよく、または光の一部をオフにしてもよい。したがって、照明手段60は、コンテナ10中で栽培する作物に関して移動可能であってもよい。例えば、作物を高く栽培する場合、照明手段60の高さは、コンテナ10中の作物の高さに対して上昇可能および下降可能であってもよい。
【0084】
さらなる実施形態では、植物を逆さまに栽培させ、下から照らすことができる。有利なことに、これは、重力に逆らって水および栄養素を移動させるために植物によって消費されるエネルギーを減少させ、いくつかの種をより速く栽培させることができる。
【0085】
植物を保管システムから取り出してそれらを再び植えるまたは再び一定の間隔で植える主な理由は、提供された照明を最大限に利用するためである。重要な利点は、完全に利用することができる24時間年中無休(24x7)の自動化手段を使用してそのような取り扱いを行うことができ、したがって、非常に資本および労働効率をよくすることである。検査はまた、高価であることがある自動化された手段によって行われることができる。
【0086】
さらなる実施形態では、各コンテナ内で連続的に監視するよりもむしろ、24時間年中無休で使用される検査ステーションに植物を移動させることが有利であるかもしれない。
【0087】
さらなる実施形態において、保管システムのセクションは、栽培システムの残りの部分から分割されてもよい。例えば、システムの一部がシステムの残りの部分とは異なる特性を必要とする場合、いくつかのスタック12を分割することが可能である。仕切りは、恒久的に固定された性質のものであってもよく、または、仕切りは、より柔軟な分割システムを可能にする開閉可能なシャッターシステムを備えてもよいことが理解されるだろう。
【0088】
分割は、追加の利点を有することができ、例えば、分割は、保管システムのセクションを他のセクションから分離することを可能にし、例えば、システムの異なる部分を異なる温度に維持することができることも理解されるだろう。さらに、システムがそのような植物栽培用途に使用されるケースでは、システムの異なる部分に異なる気体雰囲気を有することに利点があるかもしれない。例えば、ある作物の栽培サイクルにおける異なる点で、作物が空気中の異なるレベルのCO2にさらされることが有利であるかもしれない。これは、システムを分割することによって達成できる。
【0089】
さらに、本発明の実施形態は、コンテナ10がすべて実質的に同一のサイズおよび形状である詳細なシステムについて上述され、図面に示されているが、これは、必ずしもそうである必要はないことが理解されるだろう。参照により本明細書に組み込まれる、2015年4月15日に出願された英国特許出願第GB1506364.7号で説明されているように、そのようなシステムは、複数のサイズのコンテナ10を持ち上げて移動させることができる異なるサイズの積み荷取り扱いデバイス30を使用することによって、複数のサイズのコンテナ10を取り扱うように構成されてもよいことが理解されるだろう。
【0090】
上述の例の全てにおいて、システムには制御可能な環境サービスが提供される。サービスは、予め定められた環境レシピに従って環境サービスを監視し、測定し、供給することができるように適合された制御ユーティリティによって制御される。
【0091】
例えば、
図11-1、11-2に示されるように、1982グラン・ヴァン・ド・シャトーラトゥール、ポイヤック、プルミエクリュクラッセ(Grand Vin de Chateau Latour, Paulliac, 1er Cru Classe)を栽培させるための正確な環境条件が知られている。したがって、制御された都市または垂直農場では、必ずしも上述の例に限定されないが、必要とされるブドウをほぼ同一の条件で栽培して、実質的に同じ品質および味のブドウ品種を再現し、より少ないプロセスで高価なワインを再現することが可能である。
【0092】
いったん環境基準のセットが知られると、制御ユーティリティは、これらの基準を栽培チャンバ中の生物に適用して、以前に栽培した生物に対する生物の品種および品質を再現することができる。
【0093】
このようにして再現されたそれらの品種または品質を有するかもしれない生物の他の例としては、あるタイプの木材が含まれてもよい。例えば、高品質の楽器が作られる木材は、木材が栽培される時間にわたって環境条件によって大きく影響され、樹木における年輪構造の特定の構成につながることが知られている。必要とされるまたは所望の特性の木材を生産するために、温度、圧力、湿度、空気圧、およびそのようなパラメータが適用される時間の長さを含むがこれらに限定されない同じ環境雰囲気を、栽培チャンバ中の制御可能な空気内の適切な樹木または植物に適用することによって、これは再現されてもよい。
【0094】
必要とされる品質および種類の生物を生産するために、一連の環境サービスを制御するように適合された制御ユーティリティを使用して、栽培チャンバ中の空気を制御および変化させることができる多くの他の例があることが理解されるだろう。
【0095】
栽培チャンバは、コンテナ内に一連の栽培トレイを含む実質的に密閉されたコンテナユニットを含んでいてもよいことが理解されるだろう。コンテナは、いくつかの栽培トレイを備えてもよい。環境サービスは、多くの既知の手段を介してコンテナに供給されることができる。例えば、英国特許公開第2541766A1号(Ocado Innovation Limited)は、そのようなコンテナに環境サービスを供給する方法を説明している。しかしながら、当業者に知られているコンテナ化されたシステムにそのようなサービスを供給する多くの方法があることが理解されるだろう。
【0096】
栽培チャンバは、上述のコンテナより大きい容積を備えてもよく、例えば、コンテナは、出荷コンテナとしての大きさのコンテナを備えてもよいことがさらに理解されるだろう。さらに、栽培チャンバは、上述のように環境制御が可能な部屋またはより大きな容積を備えてもよい。
【0097】
上述した環境サービスは限定的なものではない。本発明による制御ユーティリティによって適切に制御されてもよい多くのものがあることが理解されるだろう。
【0098】
上記の保管システムは、都市環境における植物のような生物を生産するために使用されてもよいシステムの単なる一例として説明されている。他の何らかの適切な形態の垂直または都市農場が使用されてもよい。
【0099】
本発明の範囲から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲において規定したような、上記で明示的に説明していない多くのバリエーションおよび修正も可能である。
【国際調査報告】