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特表2022-533776車両の構造フレームの少なくとも一部を生産するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(54)【発明の名称】車両の構造フレームの少なくとも一部を生産するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B64F 5/10 20170101AFI20220715BHJP
   B64C 1/06 20060101ALI20220715BHJP
【FI】
B64F5/10
B64C1/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569481
(86)(22)【出願日】2020-05-07
(85)【翻訳文提出日】2021-12-06
(86)【国際出願番号】 GB2020051119
(87)【国際公開番号】W WO2020234565
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】1907299.0
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】19275069.3
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390038014
【氏名又は名称】ビ-エイイ- システムズ パブリック リミテッド カンパニ-
【氏名又は名称原語表記】BAE SYSTEMS plc
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン、グレゴリー・ウォーレン
(57)【要約】
車両の構造フレームの少なくとも一部を生産する方法であって、方法は、 支持構造(300)を提供することと、支持構造(300)は、 複数の細長い部材(301)と、 細長い部材(301)を保持するように構成された1つ以上の保持部材(208)と を備える、 各第1の構造構成要素(206)が細長い部材(301)に沿って異なるそれぞれの位置を占有するように、複数の第1の構造構成要素(206)を細長い部材(301)に結合することによって、第1の構造構成要素(206)を支持構造(300)に据え付けることと、 複数の第2の構造構成要素(204)を第1の構造構成要素(206)に取り付け、それによって、車両の構造フレームの少なくとも一部を形成するために第1の構造構成要素(206)を共に結合することと を備える、方法。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の構造フレームの少なくとも一部を生産する方法であって、前記方法は、
支持構造を提供することと、前記支持構造は、
複数の細長い部材と、
前記細長い部材を保持するように構成された1つ以上の保持部材と
を備える、
各第1の構造構成要素が前記細長い部材に沿って異なるそれぞれの位置を占有するように、複数の第1の構造構成要素を前記細長い部材に結合することによって、前記第1の構造構成要素を前記支持構造に据え付けることと、
複数の第2の構造構成要素を前記第1の構造構成要素に取り付け、それによって、車両の前記構造フレームの前記少なくとも一部を形成するために前記第1の構造構成要素を共に結合することと
を備える、方法。
【請求項2】
車両の構造フレームの前記少なくとも一部は、航空機の機体の少なくとも一部である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の構造構成要素は、フレーム又はフォーマである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の構造構成要素は、剪断ウェブ、強力縦通材、ビーム、及びキールから成る構成要素のグループから選択された構成要素である、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の第2の構造構成要素を前記第1の構造構成要素に取り付けることは、隣接する一対の第1の構成要素間に第2の構造構成要素を取り付けることを備える、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の構造構成要素の各々は、複数の貫通孔を備え、
各第1の構造構成要素について、その第1の構造構成要素を前記細長い部材に結合することは、その第1の構造構成要素のそれぞれの貫通孔を通って各細長い部材を位置付けることを備える、
請求項1~5のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
各貫通孔のサイズは、その貫通孔を通って位置付けられた前記細長い部材の断面のサイズよりも大きい、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
各第1の構造構成要素が前記細長い部材に沿って異なるそれぞれの位置を占有するように、前記第1の構造構成要素を前記細長い部材に結合することは、前記細長い部材に沿って前記第1の構造構成要素を摺動させることを備える、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記細長い部材は、チューブである、請求項1~8のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の第1の構造構成要素を提供することを更に備え、前記提供することは、
材料の1つ以上のパネルを提供することと、
前記1つ以上のパネルから前記第1の構造構成要素を切断することと
を備える、請求項1~9のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
第1の構造構成要素について、
その第1の構造構成要素は、その第1の構造構成要素がそれを介して前記細長い部材に据え付けられる1つ以上の特徴を備え、
その第1の構造構成要素がそれを介して前記細長い部材に据え付けられる前記1つ以上の特徴は、その第1の構造構成要素の1つ以上の他の特徴が前記1つ以上のパネル上に画定されるデータムを画定する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
その第1の構造構成要素がそれを介して前記細長い部材に据え付けられる前記1つ以上の特徴は、1つ以上の貫通孔を備え、及び/又は、
その構造構成要素の前記1つ以上の他の特徴は、留め具穴、他の構造構成要素を受け入れるためのランディング、及びその第1の構造構成要素の縁部から成る特徴のグループから選択された1つ以上の特徴を備える、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上のパネルの各々は、対向する層の間に挟まれて、それによってサンドイッチ構造を形成するコア材料を備え、前記サンドイッチ構造は、前記サンドイッチ構造の厚さを通過するステッチによって共に縫合される、請求項10~12のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~13のうちのいずれか一項に記載の方法に従って生産する車両の構造フレームの少なくとも一部。
【請求項15】
車両の構造フレームの少なくとも一部を組み立てる際に使用するための支持構造であって、前記支持構造は、
複数の細長い部材と、各細長い部材は、複数の車両構造構成要素を受け入れるように構成される、
前記細長い部材を保持するように構成された1つ以上の保持部材と
を備える、支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の機体の生産を含む車両フレームの生産に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機機体は、典型的には、複数のフレーム(又はフォーマ)及び強力縦通材(longerons)(又は縦通材/補強材)を備える。フレームは、典型的には、互いから横方向に離間され、航空機の縦軸に対して垂直に配置される。フォーマの主な目的は、胴体の形状を確立し、強力縦通材の柱長を低減することである。強力縦通材は、典型的には、フレームに取り付けられ、航空機の縦軸に対して平行に配置される細長い部材である。強力縦通材は、航空機外板を支持し、使用時に、外板に対して作用する空力負荷をフレーム上に伝達する。
【0003】
航空機機体は、非常に厳しい公差範囲内にあるように生産されることが望ましい。
【0004】
航空機機体の生産は、典型的には、2つ以上の別々の機体部分(例えば前部胴体部分、後部胴体部分、及び尾翼部分)を生産し、その後それらの部分を共に取り付けることを備える。
【0005】
機体の容易な組み立てを可能にするのに十分なレベルの精度で別々の機体部分を生産することは非常に困難である傾向がある。機体部分が共に取り付けられるとき、それらの部分の間の隙間を充填するために、非常に長く高価なシミングプロセスが必要とされ得る。
【0006】
航空機機体の部分の生産は、典型的には、機体構成要素が作業されている間に機体構成要素を支持し、機体組み立て中に正しい相対位置に異なる構成要素を共に位置決めするように設計された機体組み立て工具の使用を伴う。伝統的には、各異なる組み立てプロセスは、少なくとも1つの専用組み立て工具を必要とし、その組み立て工具は、所与の構成要素のセットのために特に生産され、組み立て作業が工具からの干渉なしに実施されることができるように特定の様式で構成要素を支持するよう設計されている。そのような組み立て工具は、厳しい基準で製造される。
【0007】
従来の組み立て工具は、その枠組みが溶接された箱形断面鋼から構築される剛性金属治具を備える。複数のピックアップデバイスが、組み立てプロセス中に航空機構成要素を運ぶために枠組み上に据え付けられ、これらもまた、従来、溶接された鋼部品から生産されている。
【発明の概要】
【0008】
従来の機体組み立ては、組み立て中の累積公差(tolerance stack-up)を管理するためにパッカー又はシムの使用を用いる傾向がある。従来の機体組み立ては、典型的には、かなりの量の高精度組み立て及び詳細な製造工具、温度制御された環境、並びに高精度組み立て機械加工を必要とする。本発明の態様は、有利には、そのような要件を低減する傾向がある。
【0009】
第1の態様では、本発明は、車両の構造フレームの少なくとも一部を生産する方法を提供する。方法は、 支持構造を提供することと、支持構造は、 複数の細長い部材と、 細長い部材を保持するように構成された1つ以上の保持部材と を備える、 各第1の構造構成要素が細長い部材に沿って異なるそれぞれの位置を占有するように、複数の第1の構造構成要素を細長い部材に結合することによって、第1の構造構成要素を支持構造に据え付けることと、 複数の第2の構造構成要素を第1の構造構成要素に取り付け、それによって、車両の構造フレームの少なくとも一部を形成するために第1の構造構成要素を共に結合することと を備える。第1の構造構成要素の各々は、細長い部材の各々に結合され得る。
【0010】
車両の構造フレームの少なくとも一部は、航空機の機体の少なくとも一部であり得る。第1の構造構成要素は、フレーム又はフォーマであり得る。第2の構造構成要素は、剪断ウェブ(shear webs)、強力縦通材、ビーム、及びキールから成る構成要素のグループから選択された構成要素であり得る。
【0011】
複数の第2の構造構成要素を第1の構造構成要素に取り付けることは、隣接する一対の第1の構成要素間に第2の構造構成要素を取り付けることを備え得る。
【0012】
第1の構造構成要素の各々は、複数の貫通孔を備え得る。各第1の構造構成要素について、その第1の構造構成要素を細長い部材に結合することは、その第1の構造構成要素のそれぞれの貫通孔を通って各細長い部材を位置付けることを備え得る。各貫通孔のサイズは、その貫通孔を通って位置付けられた細長い部材の断面のサイズよりも大きくあり得る。各第1の構造構成要素が細長い部材に沿って異なるそれぞれの位置を占有するように、第1の構造構成要素を細長い部材に結合することは、細長い部材に沿って第1の構造構成要素を摺動させることを備え得る。
【0013】
細長い部材は、チューブであり得る。
【0014】
方法は、複数の第1の構造構成要素を提供することを更に備え得、提供することは、材料の1つ以上のパネルを提供することと、1つ以上のパネルから第1の構造構成要素を切断することとを備え得る。第1の構造構成要素について、その第1の構造構成要素は、その第1の構造構成要素がそれを介して細長い部材に据え付けられる1つ以上の特徴を備え得る。その第1の構造構成要素がそれを介して細長い部材に据え付けられる1つ以上の特徴は、その第1の構造構成要素の1つ以上の他の特徴が1つ以上のパネル上に画定されるデータム(datum)を画定し得る。その第1の構造構成要素がそれを介して細長い部材に据え付けられる1つ以上の特徴は、1つ以上の貫通孔を備え得る。その構造構成要素の1つ以上の他の特徴は、留め具穴、他の構造構成要素を受け入れるためのランディング(landing)、及びその第1の構造構成要素の縁部から成る特徴のグループから選択された1つ以上の特徴を備える。
【0015】
1つ以上のパネルの各々は、対向する層の間に挟まれて(sandwiched)、それによってサンドイッチ構造を形成するコア材料を備え得、サンドイッチ構造は、サンドイッチ構造の厚さを通過するステッチによって共に縫合され得る。
【0016】
更なる態様では、本発明は、任意の先行する態様に記載の方法に従って生産する車両の構造フレームの少なくとも一部を提供する。
【0017】
更なる態様では、本発明は、車両の構造フレームの少なくとも一部を組み立てる際に使用するための支持構造を提供する。支持構造は、複数の細長い部材と、各細長い部材は、複数の車両構造構成要素を受け入れるように構成される、 細長い部材を保持するように構成された1つ以上の保持部材とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】機体を生産するプロセスのある特定のステップを示すプロセスフローチャートである。
図2】機体構成要素がその上に画定された材料のパネルを示す概略図(正確な縮尺ではない)である。
図3】支持構造を示す概略図(正確な縮尺ではない)である。
図4】支持構造に据え付けられた複数のフレームを示す概略図(正確な縮尺ではない)である。
図5】支持構造に据え付けられた組み立てられた機体を示す概略図(正確な縮尺ではない)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、航空機の機体を生産するプロセス100の実施形態のある特定のステップを示すプロセスフローチャートである。
【0020】
ステップs2において、1つ以上のパネルが提供される。パネルは、機体構造部品がそれから生産されることになる材料のパネルである。
【0021】
この実施形態では、1つ以上のパネルは、Acrosoma(RTM)3次元縫合パネル又はサンドイッチパネルである。Acrosoma(RTM)パネルは、繊維マット(例えばEガラス繊維マット)の対向する層の間に挟まれた発泡コア(例えば独立気泡ポリウレタン又はポリ塩化ビニル(PVC)発泡プレート)を備え得る。繊維マットは、上側及び下側パネル表皮を形成する。組み立て体全体は、パネル厚さ全体を通して、即ち上側表皮、発泡コア、及び下側表皮を通して縫合されるアラミド繊維縫合材料を使用して共に縫合される。(ビニルエステル樹脂などの)樹脂が、縫合された組み立て体中に注入され、硬化される。樹脂は、上側及び下側表皮を実質的に飽和させ得、また、組み立て体を共に結び合わせるアラミド繊維縫合材料を「ポット(pot)」し得る。
【0022】
任意の適切なタイプの発泡コアが、1つ以上のパネルに使用され得る。ガラス、アラミド、及び/又は炭素繊維で強化された材料などの任意の適切なタイプの表皮材料が、1つ以上のパネルに使用され得る。任意の適切なタイプの縫合材料が、1つ以上のパネルで使用され得る。任意の1つ以上のパネルは、ビニルエステル及びエポキシ樹脂などの任意の適切なタイプの樹脂を使用して生産され得る。
【0023】
有利には、Acrosoma(RTM)パネルは、材料の非常に長い連続シートとして生産され得る。パネルは、高い曲げ剛性を有する傾向がある。パネルは、損傷及び座屈に抵抗する傾向がある。更に、層間剥離の危険性は、例えばコアと表皮とが共に縫合されることにより低くなる傾向がある。
【0024】
ステップs4において、複数の機体構成要素が、1つ以上のパネル上に画定される。
【0025】
図2は、2つのパネル、即ち、複数の機体構成要素が画定される第1のパネル200及び第2のパネル202を示す概略図(縮尺通りではない)である。図1のプロセスの残りのステップは、図2の説明の後に以下で後により詳細に説明する。
【0026】
本実施形態では、第1のパネル200上に、複数の剪断ウェブ204が画定される。図2には11個の剪断ウェブ204を図示しているが、実際には、任意の数の剪断ウェブ204が使用され得ることが当業者によって理解されるであろう。
【0027】
また、第2のパネル202上に、複数のフレーム又は「フォーマ」206が画定される。5つのフレーム206を図2に図示しているが、実際には、任意の数のフレーム206が使用され得ることが当業者によって理解されるであろう。
【0028】
また、第2のパネル202上に、以下では「端部」208と呼ばれる支持構造の2つの端部が画定される。
【0029】
いくつかの実施形態では、機体構成要素204、206、208の画定はデジタル的に実行され得る。例えば、1つ以上のパネル200、202のデジタルモデルが作成され、機体構成要素204、206、208のデジタルモデルを画定するために使用され得る。いくつかの実施形態では、機体構成要素204、206、208は、例えば、構成要素204、206、208の輪郭を物理的パネル200、202上に描画又はエッチングすることによって、パネル200、202上にマークされ得る。
【0030】
この実施形態では、各フレーム206は、以下で後により詳細に説明するように、そのフレーム206を支持構造上に据え付けるために使用されるであろう2つの特徴を備える。この実施形態では、これらの特徴は、以下では「第1の貫通孔」と呼ばれる貫通孔であり、参照番号210によって図に示す。第1の貫通孔210は、互いに実質的に同一である。この実施形態では、各フレーム206について、そのフレーム206の2つの第1の貫通孔210間の距離は、各他のフレーム206の距離と実質的に等しい。
【0031】
フレーム206は、複数の他の特徴を更に備える。実例的な特徴は、留め具穴212(即ち、フレーム206を他の機体構成要素に留めるための留め具を受け入れるための穴)、他の機体構成要素(剪断ウェブ204など)を受け入れるためのランディング、航空機の内側モールドライン(IML:inner mould line)の少なくとも一部を画定し得るフレーム縁部、及び同様のものを含むが、それらに限定されない。
【0032】
この実施形態では、各フレーム206について、そのフレーム206の第1の貫通孔210は、そのフレームの他の特徴(例えば、留め具穴212、ランディング、フレーム縁部、等)が画定されるデータムを画定する。
【0033】
いくつかの実施形態では、フレーム206は、以下のように第2のパネル202上に画定され得る。まず、そのフレーム206の第1の貫通孔210のパネル202上の位置が画定される。第1の貫通孔210の輪郭は、パネル202上にマークされ得、及び/又は第1の貫通孔210は、パネル202を通って穿孔若しくは切削され得る。第1の貫通孔210のこのマーキング又は穿孔/切削は、全体的、即ち大局的なデータムに対して実行され得る。次に、そのフレーム206の他の特徴の位置は、そのフレーム206の第1の貫通孔210に対して画定される。他のフレーム特徴の位置は、そのフレーム206の第1の貫通孔210によって画定されたデータムに対して測定され得る。このことから、フレーム206のフレーム特徴は、そのフレーム206の第1の貫通孔210によって画定されたそれぞれの局所的なデータムに対して画定される。
【0034】
この実施形態では、端部208は、フレーム206及び剪断ウェブ204が据え付けられるであろう支持構造の一部を形成するであろう構造部材である。各端部208は、以下で後により詳細に説明するように、支持構造の細長い支持部材を保持するために使用されるであろう2つの特徴を備える。この実施形態では、これらの特徴は、以下では「第2の貫通孔」と呼ばれる貫通孔であり、参照番号214によって図に示す。第2の貫通孔214は、互いに実質的に同一である。この実施形態では、一方の端部208の2つの第2の貫通孔214間の距離は、他方の端部208の2つの第2の貫通孔214間の距離と実質的に等しい。いくつかの実施形態では、各端部208の第2の貫通孔214間の距離は、各フレーム206の第1の貫通孔210間の距離と実質的に等しくあり得る。
【0035】
端部208は、複数の他の特徴を更に備える。実例的な特徴は、端部208の縁部を含むが、それに限定されない。
【0036】
この実施形態では、各端部208について、その端部208の第2の貫通孔214は、その端部208の他の特徴が画定されるデータムを画定する。
【0037】
いくつかの実施形態では、端部208は、以下のように第2のパネル202上に画定され得る。まず、その端部208の第2の貫通孔214のパネル上202の位置が画定される。第2の貫通孔214の輪郭は、パネル202上にマークされ得、及び/又は第2の貫通孔214は、パネル202を通って穿孔若しくは切削され得る。第2の貫通孔214のこのマーキング又は穿孔/切削は、大局的なデータムに対して実行され得る。次に、その端部208の他の特徴の位置は、その端部208の第2の貫通孔214に対して画定される。端部208の他の特徴の位置は、その端部208の第2の貫通孔214によって画定されたデータムに対して測定され得る。このことから、端部208の特徴は、その端部208の第2の貫通孔214によって画定されたそれぞれの局所的なデータムに対して画定される。
【0038】
ここで図1の説明に戻ると、ステップs6において、複数の機体構成要素204、206、208がパネル200、202から切り取られる。
【0039】
好ましくは、パネル200、202からの機体構成要素204、206、208の切断は、レーザ切断機などのコンピュータ数値制御(CNC)ルータ又は切断機を使用して実行される。
【0040】
ステップs8において、支持構造が組み立てられる。
【0041】
図3は、組み立てられた支持構造を示す概略図(正確な縮尺ではない)である。図1のプロセスの残りのステップは、図3の説明の後に以下で後により詳細に説明する。
【0042】
支持構造300は、2つの端部208と、2つのチューブ301と、基部302とを備える。
【0043】
チューブ301は、実質的に円形の断面を有する細長い実質的に真っ直ぐなチューブ又はパイプである。言い換えれば、チューブ301は、長い中空円筒である。チューブ301は、炭素繊維複合(CFC)材料から作られる。
【0044】
基部302は、実質的に矩形の上面を有する実質的に平坦なパネルである。基部302は、細長くあり得る。基部302は、任意の適切な材料から作られ得、例えば、基部は、Acrosoma(RTM)3次元縫合パネルであり得る。
【0045】
端部208は、端部208が基部302の上面に対して実質的に垂直に延在するように、基部302の両端において基部302に取り付けられる。
【0046】
各チューブ301は、対向する一対の第2の貫通孔214を通って位置付けられる。各チューブ301は、そのチューブ301の第1の端部が端部208のうちの一方の第2の貫通孔214を通って位置付けられ、そのチューブ301の第2の端部(そのチューブ301の第1の端部とは反対側である)が端部208のうちの他方の第2の貫通孔214を通って位置付けられるように配置される。この実施形態では、チューブ301は、互いに実質的に平行である。このことから、チューブ301は、端部208によって保持され、即ち、端部208は、チューブ301を保持するための保持部材である。チューブ301は、実質的に固定された相対位置において保持され得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、第2の貫通孔214の直径は、チューブ301の外径と実質的に等しくあり得、それによって、端部208とチューブ301との間のぴったりとした嵌合を確実にする。これは、チューブ301の端部が端部208によってしっかりと保持されることを提供する傾向がある。それにもかかわらず、いくつかの実施形態では、第2の貫通孔214の直径は、チューブ301の外径よりも大きくあり得、それによって、チューブ301と端部208との間の相対移動を許容する。
【0048】
ここで図1の説明に戻ると、ステップs10において、複数のフレーム206が支持構造300に据え付けられる。
【0049】
図4は、支持構造300に据え付けられたフレーム206を示す概略図(縮尺通りではない)である。図1のプロセスの残りのステップは、図4の説明の後に以下で後により詳細に説明する。
【0050】
この実施形態では、各フレーム206は、そのフレーム206のそれぞれの第1の貫通孔210を通ってチューブ301の各々を挿入することによって支持構造300に据え付けられる。これは、チューブ301の端部を端部208から取り外し、フレーム206をチューブ301の自由端上に据え付けることによって実行され得る。フレーム206は、チューブ301の長さに沿って摺動され、フレーム206の各々がチューブ301の長さに沿った所望のそれぞれの場所を占有するように配置される。このことから、フレーム206は、チューブ301の長さに沿って離間された配置で配置される。好ましくは、フレーム206の相対位置は、最終的に組み立てられた機体においてほぼ必要とされる位置である。
【0051】
この実施形態では、第1の貫通孔210の直径は、チューブ301の外径よりも大きい。これは、有利には、フレーム206がチューブの長さに沿って摺動されることを可能にする傾向がある。また、これは、剪断ウェブ204の後の取り付け中に、フレーム206間のある程度の相対移動を許容する傾向がある。
【0052】
ここで図1の説明に戻ると、ステップs12において、複数の剪断ウェブ204が、フレーム206に取り付けられる。
【0053】
図5は、フレーム206間に取り付けられた剪断ウェブ204を示す概略図(正確な縮尺ではない)であり、それによって組み立てられた機体500を形成する。図1のプロセスの残りのステップは、図5の説明の後に以下で後により詳細に説明する。
【0054】
この実施形態では、各剪断ウェブ204は、隣接する一対のフレーム206間に取り付けられる。剪断ウェブ204及びそれに取り付けられた一対のフレーム206は、Iビームを形成する。この実施形態では、剪断ウェブ204は、図5に示すように、複数の異なる非平行(好ましくは実質的に垂直)平面中に配置される。
【0055】
剪断ウェブ204は、任意の適切な方法で、例えば、留め具穴212を通って位置付けられ得る留め具を使用して、フレーム206に留められ得る。
【0056】
有利には、チューブ301の直径と比較して過大である第1の貫通孔210によって許容されるフレーム206とチューブ301との相対移動は、剪断ウェブ204の正しい正確な取り付けを容易にする傾向がある。例えば、フレーム206及び剪断ウェブ204は、フレーム206及び剪断ウェブ204が正確に位置付けられ、適切に係合され、次いでその後共に留められることを確実にするために移動されることができる。
【0057】
このことから、航空機機体500が組み立てられる。
【0058】
フレーム206と剪断ウェブ204との間及び/又はフレーム206とチューブ301との間などの機体構成要素間の任意の隙間は、適用後に硬化され得る液体シムなどの任意の適切な材料で充填され得る。
【0059】
ここで図1の説明に戻ると、ステップs14において、この実施形態では、基部302及び端部208が取り除かれる。
【0060】
このことから、機体500が提供される。機体500は、共に留められたフレーム206と、剪断ウェブ204と、チューブ301とを備える。
【0061】
この実施形態では、複合航空機外板が機体500に留められて、それによって、航空機胴体の少なくとも一部(例えば実質的に全て)を形成し得る。胴体の外形は、胴体の外側モールドライン(OML:Outer Mould Line)と呼ばれる。胴体のOMLが予め指定された公差範囲内にあることが望ましい傾向がある。必要な公差を有する胴体のOMLは、予め指定された公差内にある胴体の内側モールドライン(IML)によって容易にされる。胴体のIMLは、機体500と航空機外板とが当接する表面、即ち機体500の外面である。有利には、上記で説明した方法及び装置は、機体500のIMLの精度を改善する傾向がある。その結果として、胴体のOMLの精度が改善される傾向がある。
【0062】
上記で説明した方法及び装置によって提供される利点は、機体が、従来の生産技法を使用して可能ではない傾向がある非常に厳しい公差範囲内で生産されることである。このことから、航空機の組み立てが容易にされる傾向がある。
【0063】
有利には、上記で説明した支持構造は、機体構成要素を保持するためのピックアップの使用を回避する。支持構造の重量及びコストは、従来の組み立て治具と比較して低減される傾向がある。更に、ピックアップによって機体構成要素が保持されていないので、ピックアップによって保持されている構成要素から生じる損傷/応力が低減される傾向がある。代わりに、機体構成要素は、組み立てられた機体の一部を形成する複数のチューブによって保持される。有利には、中空チューブは、機体を通して材料及び構造を収容、経路指定、又は搬送するために使用され得る。例えば、チューブ301は、航空機を通して燃料を輸送するための燃料パイプとして、航空機を通して加熱若しくは冷却空気を輸送するための空気パイプとして、又は電線及び/若しくは光ファイバを経路指定するために使用され得る。
【0064】
有利には、ランディング及び機体構成要素の他の特徴は、その機体構成要素を支持構造上に位置決めするために使用される特徴によって画定される局所的なデータムに対して高い精度で機械加工される。このことから、組み立てられた機体では、ランディング及び機体構成要素の他の特徴は、互いに対して正確に位置決めされる傾向がある。これは、パイプ、電子デバイス、電気配線/ケーブル、他の航空機構造構成要素(強力縦通材など)、及び航空機外板などの他の航空機構造の機体への取り付けを容易にする傾向がある。更に、機体構成要素間の間隙又は空間は、有利に最小化される傾向がある。そのような間隙又は空間を充填するためのシムの使用は、低減又は排除される傾向がある。
【0065】
上記で説明した方法及び装置によって提供される更なる利点は、非破壊検査及び他のプロセスが、個々の機体構成要素に対して別々に実行され得ることである。これは、上記で説明した方法とは対照的に、複数の機体構成要素が組み立て治具中でセットとして機械加工される場合に困難になる傾向がある。
【0066】
上記で説明した方法及び装置は、機体組み立て時間及びコストを低減する傾向がある。高価な工具の使用が低減又は排除され得る。
【0067】
上記で説明した組み立て方法は、例えば胴体サイズ及び形状の変化に対して有利に柔軟である傾向がある。
【0068】
上記で説明した組み立てられた機体は、チタン、アルミニウム、又はそれらの合金などの金属から作られた機体よりも軽量である傾向がある。
【0069】
有利には、上記で説明した方法及び装置は、航空機外板のモノコック構造の使用を容易にする傾向がある。例えば、上記のシステム及び方法を使用すると、単一シェル外板を機体上に嵌合する又は機体上で摺動させることがより容易になる傾向がある。
【0070】
上記で説明した方法及び装置は、建造調整(build conditioning)を容易にする傾向がある。例えば、第1の機体構成要素は、パネルから切断され得る。この第1の機体構成要素が、(例えば、座標測定機(CMM)を使用して)測定されて、構成要素の画定及び切断プロセスに関与する誤差が決定され得る。その後パネルから切断される一部又は全ての機体構成要素(好ましくは、第1の機体構成要素に嵌合されることになる少なくともそれらの機体構成要素)は、決定された誤差を考慮するように修正され得る。
【0071】
上記で説明した方法及び装置は、機体が同様の材料から形成されることを提供する傾向があり、即ち、異種材料の使用が低減又は回避される。これは、有利には、異種材料間のガルバニック腐食の発生を低減又は排除する傾向がある。また、これは、そのような腐食を軽減する処理の必要性を低減又は排除する傾向がある。
【0072】
図1のフローチャート中に図示し、上記で説明したプロセスステップのうちのいくつかは省略され得るか、又はそのようなプロセスステップは、上記で提示し、図1に示したものとは異なる順序で実行され得ることに留意されたい。更に、全てのプロセスステップは、便宜上及び理解を容易にするために、別個の時間的に連続するステップとして図示しているが、それにもかかわらず、プロセスステップのうちのいくつかは、実際には、同時に又は少なくともある程度時間的に重複して実行され得る。
【0073】
上記の実施形態では、機体構成要素は、Acrosoma(RTM)3次元縫合パネルから形成される。しかしながら、他の実施形態では、機体構成要素のうちの1つ以上は、異なる構造を有する複合材料から、又は金属(例えばアルミニウム若しくはチタン)若しくは合金からなど、異なる材料から形成される。
【0074】
上記の実施形態では、機体構成要素は、材料のパネルから切断される。しかしながら、他の実施形態では、機体構成要素のうちの1つ以上が異なる方法で生産される。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上の機体構成要素は、鍛造物(例えば金属又は合金ブランク)から機械加工され得る。
【0075】
上記の実施形態では、ステップs14において、基部及び端部は、組み立てられた機体から取り除かれる。しかしながら、いくつかの実施形態では、端部及び/又は基部のうちの一方又は両方は、組み立てられた機体の一部を形成し、そのため、ステップs14において取り除かれない。
【0076】
上記の実施形態では、機体は、共に留められたフレーム、剪断ウェブ、及びチューブを備える。しかしながら、他の実施形態では、機体は、1つ以上のフレーム又は剪断ウェブの代わりに、又はそれに加えて、1つ以上の更なる構成要素を含み得る。機体中に含まれ得る他の機体構成要素の例は、強力縦通材、キール、及びビームを含むが、それらに限定されない。他の機体構成要素は、フレーム及び剪断ウェブと同様の方法で生産され得る。他の機体構成要素は、機体が支持構造に据え付けられている間に機体に取り付けられ得る。
【0077】
上記の実施形態では、支持構造は、2つのチューブを備える。しかしながら、他の実施形態では、支持構造は、異なる数のチューブ、例えば2つよりも多くのチューブ(例えば、2、3、4、5、又は5つよりも多くのチューブ)を備える。
【0078】
上記の実施形態では、支持構造は、チューブを備える。しかしながら、他の実施形態では、チューブのうちの1つ以上は、ロッド、即ち中実で非中空の細長い部材などの異なるタイプの細長い部材によって置き換えられる。
【0079】
上記の実施形態では、支持構造は、円形断面を有するチューブを備える。しかしながら、他の実施形態では、チューブのうちの1つ以上は、非円形断面を有する。
【0080】
上記の実施形態では、支持構造は、チューブを保持する2つの端部を備える。しかしながら、他の実施形態では、支持構造は、1つ以上の更なるチューブ保持部分、例えば、2つの端部間に位置付けられ得る中間チューブ保持部分を備える。1つ以上のチューブ保持部分は、チューブが位置付けられる貫通孔を備え得る。
【0081】
上記の実施形態では、航空機の機体が組み立てられる。しかしながら、他の実施形態では、異なるタイプの車両、例えば、陸上又は水上ベースの車両のフレーム又はシャーシが組み立てられる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】