(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-26
(54)【発明の名称】逆流を生じない球状塞栓物質送達のための塞栓術用カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20220719BHJP
A61B 17/12 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
A61M25/00 530
A61B17/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568815
(86)(22)【出願日】2020-05-27
(85)【翻訳文提出日】2021-11-17
(86)【国際出願番号】 IL2020050594
(87)【国際公開番号】W WO2020234889
(87)【国際公開日】2020-11-26
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517241628
【氏名又は名称】アキュレイト メディカル セラピューティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【氏名又は名称】田端 豊
(72)【発明者】
【氏名】ダガン、 トム
(72)【発明者】
【氏名】ホルツマン、 ニール
(72)【発明者】
【氏名】ジポリー、 ユーバル
(72)【発明者】
【氏名】ハーバター、 オスナット
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、 エラン
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160DD03
4C160DD54
4C160DD63
4C160MM33
4C160NN01
4C267AA08
4C267BB02
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB15
4C267BB16
4C267CC08
4C267HH08
(57)【要約】
塞栓ビーズを標的領域に送達するための塞栓術用マイクロカテーテルであって、マイクロカテーテルは、近位端及び、遠位端であって、塞栓ビーズの懸濁液の送達を可能にするような大きさ及び形状の端開口で終了する遠位端と、それらの間で遠位端開口に近接して位置付けられたフィルタ区間であって、その壁の周囲に円周方向に分散された多数の開口を含み、懸濁流体の流出を可能にし、他方で塞栓ビーズの流出を阻止するように構成されたフィルタ区間と、を含む、塞栓術用マイクロカテーテル。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塞栓ビーズを標的領域に送達するための塞栓術用マイクロカテーテルであって、
近位端と、遠位端であって、端開口を含む遠位端と、
網組み又はコイル状ワイヤで形成されるスケルトンと、
前記スケルトンの中に挿入された、及び/又はその上に重ねられたポリマ層と、
前記遠位端開口の近位側に配置されたフィルタであって、前記フィルタはその壁の周囲に円周方向に分散された少なくとも100の開口を含み、前記フィルタの総開口面積は前記遠位端開口の面積より少なくとも3倍大きい、フィルタと、
を含む、塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項2】
前記近位端は、前記マイクロカテーテルの中を流れる懸濁液の送達を可能にする大きさ及び形状であり、前記懸濁液は、懸濁流体と前記塞栓ビーズを含み、前記フィルタは、前記懸濁流体の流出を可能にし、他方で前記塞栓ビーズの流出を阻止するように構成される、請求項1に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項3】
前記少なくとも100の開口は、少なくとも5の離散環状リングに分散される、請求項1又は2に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項4】
各環状リングは少なくとも30の開口を含む、請求項3に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項5】
前記フィルタの長さは、最も遠位側の環状リングの遠位縁と最も近位側の環状リングの近位縁との間の距離により確定される、請求項1~4の何れか1項に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項6】
前記フィルタの総開口面積はその少なくとも10%を含む、請求項1~5の何れか1項に記載のマイクロカテーテル。
【請求項7】
前記フィルタの前記総開口面積は、前記遠位端開口の面積より少なくとも5倍大きい、請求項6に記載のマイクロカテーテル。
【請求項8】
前記フィルタの前記総開口面積の大きさは少なくとも3.0mm
2である、請求項6又は7に記載のマイクロカテーテル。
【請求項9】
前記少なくとも100の開口は、前記フィルタの下流の前記塞栓ビーズが、前記懸濁液中の基本的に全ての粒子が前記遠位端開口を通って送達される体積流量で流れ、他方でそれらの逆流を防止することができるような大きさと形状である、請求項1~8の何れか1項に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項10】
少なくとも5Nの引張強さを有する、請求項1~9の何れか1項に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項11】
前記少なくとも100の開口は軸方向に分散される、請求項1~10の何れか1項に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項12】
前記少なくとも100の側面開口は、前記ポリマ層を選択的に貫通し、他方で前記スケルトンを無傷のまま残すスリットにより形成される副側面開口である、請求項1~11の何れか1項に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項13】
前記スケルトンの厚さは30~50マイクロメートルである、請求項12に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項14】
前記マイクロカテーテルの外面に重ねられる親水性コーティングをさらに含み、前記少なくとも100の開口は前記外面と前記親水性コーティングを貫通して形成される、請求項1~13の何れか1項に記載のマイクロカテーテル。
【請求項15】
前記マイクロカテーテルの内面を裏打ちする内層をさらに含む、請求項1~14の何れか1項に記載のマイクロカテーテル。
【請求項16】
前記フィルタは内側ライナを含まない、請求項15に記載のマイクロカテーテル。
【請求項17】
前記少なくとも100の開口の各々の幅は約5~20マイクロメートルの範囲である、請求項1~16の何れか1項に記載のマイクロカテーテル。
【請求項18】
前記少なくとも100の開口の各々の長さは約30~60マイクロメートルの範囲である、請求項1~17の何れか1項に記載のマイクロカテーテル。
【請求項19】
前記フィルタは少なくとも200の開口を含む、請求項1~18の何れか1項に記載のマイクロカテーテル。
【請求項20】
前記フィルタは少なくとも1000の開口を含む、請求項1~19の何れか1項に記載のマイクロカテーテル。
【請求項21】
前記フィルタは少なくとも2000の開口を含む、請求項1~20の何れか1項に記載のマイクロカテーテル。
【請求項22】
前記少なくとも100の開口は基本的に骨の形状又は串刺しの球体の形状である、請求項1~21の何れか1項に記載のマイクロカテーテル。
【請求項23】
長さ方向に離間された少なくとも2つのフィルタセクションを含む、請求項1~22の何れか1項に記載のマイクロカテーテル。
【請求項24】
少なくとも500の開口を含む第一の、最も遠位側のフィルタセクションと、少なくとも2000の開口を含む第二の、中央のフィルタセクションと、少なくとも1000の開口を含む第三の、最も近位側のフィルタセクションと、を含む、請求項23に記載のマイクロカテーテル。
【請求項25】
前記第一、第二、及び第三のフィルタセクションは1~5mmだけ離間される、請求項23又は24に記載のマイクロカテーテル。
【請求項26】
前記第二のフィルタセクションは、前記第一及び第三のフィルタセクションより長い、請求項23~25の何れか1項に記載のマイクロカテーテル。
【請求項27】
前記第三のフィルタセクションの前記開口の長さは、前記第一及び第二のフィルタセクションの前記開口の長さより大きい、請求項23~26の何れか1項に記載のマイクロカテーテル。
【請求項28】
前記第一のフィルタセクションの前記開口の形状は、前記第二及び第三のフィルタセクションの前記開口の形状とは異なる、請求項23~27の何れか1項に記載のマイクロカテーテル。
【請求項29】
塞栓ビーズを標的領域に送達するための塞栓術用マイクロカテーテルであって、
近位端と、遠位端であって、前記マイクロカテーテルの中を流れる懸濁液の送達を可能にする大きさ及び形状の端開口を含む遠位端と、
それらの間で前記遠位端開口に近接して配置されたフィルタであって、前記フィルタはその壁の周囲に円周方向に分散された複数の開口を含み、前記複数の開口の各々の幅は約5~20マイクロメートルの範囲であり、前記フィルタの壁は内側ライニングを持たない、フィルタと、
を含む、塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項30】
前記近位端は、前記マイクロカテーテルの中を流れる懸濁液の送達を可能にする大きさ及び形状であり、前記懸濁液は、懸濁流体と前記塞栓ビーズを含み、前記フィルタは、前記懸濁流体の流出を可能にし、他方で前記塞栓ビーズの流出を阻止するように構成される、請求項29に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項31】
前記フィルタの総開口面積はその少なくとも10%を含む、請求項29又は30に記載のマイクロカテーテル。
【請求項32】
前記フィルタの前記総開口面積は、前記遠位端開口の面積より少なくとも5倍大きい、請求項31に記載のマイクロカテーテル。
【請求項33】
前記フィルタの前記総開口面積の大きさは少なくとも3.0mm
2である、請求項31又は32に記載のマイクロカテーテル。
【請求項34】
少なくとも5Nの引張強さを有する、請求項29~33の何れか1項に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項35】
少なくとも100の開口は軸方向に分散される、請求項29~34の何れか1項に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項36】
網組み又はコイル状ワイヤで形成されるスケルトンと、前記スケルトンの中に挿入され、及び/又はその上に重ねられたポリマ層と、を含む、請求項29~35の何れか1項に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項37】
前記スケルトンの厚さは30~50マイクロメートルである、請求項36に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【請求項38】
前記マイクロカテーテルの外面に重ねられる親水性コーティングをさらに含み、前記少なくとも100の開口は前記親水性コーティングを貫通して形成される、請求項29~37の何れか1項に記載のマイクロカテーテル。
【請求項39】
前記マイクロカテーテルの内面を裏打ちする内層をさらに含む、請求項29~38の何れか1項に記載のマイクロカテーテル。
【請求項40】
前記フィルタは少なくとも1000の開口を含む、請求項29~39の何れか1項に記載のマイクロカテーテル。
【請求項41】
前記フィルタは少なくとも2000の開口を含む、請求項29~40の何れか1項に記載のマイクロカテーテル。
【請求項42】
長さ方向に離間された少なくとも2つのフィルタセクションを含む、請求項29~40の何れか1項に記載のマイクロカテーテル。
【請求項43】
少なくとも500の開口を含む第一の、最も遠位側のフィルタセクションと、少なくとも2000の開口を含む第二の、中央のフィルタセクションと、少なくとも1000の開口を含む第三の、最も近位側のフィルタセクションと、を含む、請求項42に記載のマイクロカテーテル。
【請求項44】
前記第一、第二、及び第三のフィルタセクションは1~5mmだけ離間される、請求項42又は43に記載のマイクロカテーテル。
【請求項45】
前記第二のフィルタセクションは、前記第一及び第三のフィルタセクションより長い、請求項42~44の何れか1項に記載のマイクロカテーテル。
【請求項46】
前記第三のフィルタセクションの前記開口の長さは、前記第一及び第二のフィルタセクションの前記開口の長さより大きい、請求項42~45の何れか1項に記載のマイクロカテーテル。
【請求項47】
前記第一のフィルタセクションの前記開口の形状は、前記第二及び第三のフィルタセクションの前記開口の形状とは異なる、請求項42~46の何れか1項に記載のマイクロカテーテル。
【請求項48】
前記少なくとも100の側面開口は、前記ポリマ層を選択的に貫通し、他方で前記スケルトンは無傷のまま残すスリットにより形成される副側面開口である、請求項42~47の何れか1項に記載の塞栓術用マイクロカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に塞栓術用、特に標的外の塞栓形成を防止するか又は最小限にしながら、標的組織(例えば、がん性組織)の栄養血管の局所塞栓術を行うためのマイクロカテーテルの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
経動脈的塞栓療法、腫瘍塞栓術、及び経カテーテル的動脈塞栓術(TAE:transcatheter arterial embolization)は、マイクロカテーテルを通じて塞栓物質を標的組織(例えば、腫瘍)に直接投与し、それによってがん細胞への血流を遮断し、又は減少させることを含む。
【0003】
放射線塞栓療法は、塞栓術と放射線療法を組み合わせたもので、これまで特に肝がんの治療に用いられており、手術適応のない腫瘍を有する患者の生存期間を延長させ、そのクオリティ・オブ・ライフを改善することが証明されている。処置においては、イットリウムY-90等の放射性同位元素が打ち込まれた微小なガラス又は樹脂ビーズが腫瘍栄養血管中に充填されて、それによって、正常組織には影響を与えないまま、腫瘍に高い線量の放射線を送達する。
【0004】
塞栓術に伴う主な問題は「標的外塞栓」であり、これは塞栓物質が意図したもの以外の血管へと流れ、それゆえ健康な組織に損傷を与え、不快な、及びさらには危険な結果をもたらすものである。考え得るシナリオとしては、肝塞栓術に起因する胃潰瘍のほか、塞栓物質がマイクロカテーテルに沿って逆流して胃壁に到達し、おそらくは虚血や潰瘍形成を生じさせるケースが含まれる。特に進行段階の肝がんにおいてよく見られるその他の現象は、動脈門脈シャントを通じた非標的塞栓である。
【0005】
さらに、できるだけ腫瘍の近くに到達させるために、塞栓術カテーテルは、大径の、及び/又は硬いカテーテルでアクセスするのは無理ではなくても困難な、だんだん細くなる、時として蛇行する血管の中を進めなければならない。それに加えて、体内の血管には操作されると痙攣をおこす傾向があり、それによって塞栓物質の送達が有効に行われない。したがって、柔軟でマイクロサイズのカテーテルが絶対的に必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、マイクロメートルサイズの塞栓粒子を標的領域に送達するための塞栓術マイクロカテーテルに関し、マイクロカテーテルは、スケルトンと、スケルトンの中及び/又は表面に挿入されたポリマ層と、懸濁液であって、懸濁流体と塞栓粒子を含む懸濁液の送達を可能にする大きさと形状の遠位端開口と、マイクロカテーテルの壁の、遠位端開口の近位側にそこから所定の距離、例えば遠位端開口から0.5mm~10mm、1mm~8mm、1mm~5mm、2mm~8mm、又は2mm~5mmに形成された複数の側面開口を有するフィルタと、を含む。各々の可能性は別々の実施形態である。
【0007】
経カテーテル的塞栓術に伴う大きな課題は、塞栓物質の逆流であり、これは塞栓物質が標的外組織に到達する(そして、それに損傷を与える)という結果をもたらすほか、塞栓物質の標的組織への送達に不利な影響を与え、それゆえ治療の有効性を損ない、その臨床的転帰の不良化につながる。この問題は特に、人間の毛髪の直径の3分の1という、マイクロスフィアとも呼ばれる微小なビーズが使用される放射線塞栓療法において顕著である。
【0008】
本開示の1つの態様は、低粘性液体中でより小型のビーズをより大量に送達するように構成されたマイクロカテーテルを提供する。本願で開示されるマイクロカテーテルのフィルタは微細開口を含み、これは任意選択により軸方向のスリットの形態で、また、流体の十分な流出が粒子の逆流を防止する流体バリアを発生させることができる数(典型的には100より多い)であり、さらに各開口は、塞栓粒子の通過を阻止できるだけ小さい。これによって、最適な治療線量をマイクロカテーテルの端開口を通じて確実に送達し、標的外塞栓が防止され、標準的なマイクロカテーテルを使って実現可能なものよりはるかに高い注入速度で、基本的に「逆流を生じない」塞栓粒子の送達が可能となる。それゆえ、改善された治療成果が提供される。
【0009】
例えば放射性塞栓ビーズであるが、これに限定されない小型ビーズの送達には2つの主な課題がある:1)微細開口を、製造中(例えば、コーティング中)にこれらが閉じてしまわないように製作すること、及び2)懸濁流体の流出が逆流を防止することが確実となる(これは、小型のビーズが大量の低粘性液体で送達されることにより特に困難となる)ような十分の数の開口を、マイクロカテーテルの構造的完全性を損なうことなく形成すること、である。有利な点として、本願で開示されるマイクロカテーテルは、これらの課題の両方を克服し、有用性の要求事項(追従性、トルク性能、押込み性、及び放射線不透過性)のほか、法的規制(キンクレジスタンス及び耐引張力)を満たし、これについて以下にさらに説明する。
【0010】
幾つかの実施形態によれば、フィルタは1つ又は複数のフィルタセクション、例えば2、3、4、又は5以上のフィルタセクションを含んでいてよい。各々の可能性は別々の実施形態である。
【0011】
幾つかの実施形態によれば、フィルタの開口の少なくとも幾つか(例えば、最も遠位側の開口)は、フィルタ開口を増やすことができるようにフィルタ上に戦略的に接地された開口の離散パターンを有していてよい。
【0012】
幾つかの実施形態によれば、フィルタの開口の少なくとも幾つかは、固有の不規則形状を有していてよい。幾つかの実施形態によれば、各開口の形状は少なくとも第一の特徴を有するように構成され、これは隣接する開口の、それと対となる第二の特徴に対応し、それによって特徴が相互に近接し、ただし接触していないときに、特徴の輪郭はほぼ逆に相反する。
【0013】
例えば、第一の開口の外側周囲の一部は、外側に突出し、又は延びる突出特徴部を形成する第一の形状を有していてよく、隣接する開口の外側周囲の一部は、窩洞又は溝等の陥凹特徴部を形成する第二の形状を有していてよく、突出特徴部の輪郭は陥凹特徴部の輪郭と相補的である。第一の開口の突出特徴部は、第二の開口の陥凹特徴部の近辺に位置付けられるが、それと接触しない。
【0014】
1つの例において、開口の形状の外側周囲は凹部と、凸部も含んでいてよい。
【0015】
フィルタの開口の離散パターンは同じ形状の開口を含んでいてよい。任意選択により、このパターンは、各々が2つ又はそれ以上の異なる形状の選択肢のうちの個別の形状を持つ開口を有するように構成されてよい。幾つかの実施形態によれば、開口の複合的形状は不規則形状のものであってよい。
【0016】
1つの態様において、フィルタパターンは開口のための2種類の形状を含む。第一の開口は幾分、「犬用骨」の形状に似ていて、第二の形状は幾分、「串刺しの球体」の形状に似ている。任意選択により、犬用骨の形状は砂時計の形状、ダンベルの形状、又は文字「H」を引き伸ばしたものに幾分似た形状であってもよい。任意選択により、「串刺しの球体」の形状は、その代わりに足し算の記号(「プラス」記号」)又は文字「t」の形状であってもよい。
【0017】
開口の個別の形状は、幾つかの利点を得るように構成される。第一に、それによって開口を緊密に重ねることができる。それに加えて、予想外に、開口の固有の形状によって、マイクロカテーテル内を流れるビーズが開口に「引っかかる」ことも分かった。それが今度はフィルタセクションの内径を縮小させることになり、それゆえ近位側圧力が上昇する。有利な点として、その結果、最も遠位側のフィルタセクションの近位側のフィルタセクションの開口から流出する懸濁流体の体積が増大し、それゆえ、マイクロカテーテルの端開口を通って送達されるビーズがさらに高濃度となる。
【0018】
幾つかの実施形態によれば、フィルタの総開口面積は、遠位端開口の面積の大きさの少なくとも2倍、少なくとも3倍、又は少なくとも4倍、少なくとも5倍、又は少なくとも10倍である。各々の可能性は別々の実施形態である。幾つかの実施形態によれば、これによって、フィルタの開口を懸濁流体が確実に十分に流出して、逆流が防止され、端開口を通る高濃度のビーズの送達が提供され得る。
【0019】
医師がマイクロカテーテルをその標的位置まで押し進めることができるようにするために、マイクロカテーテルの大部分(その近位端から始まる)は比較的硬質でなければならない。それに対して、マイクロカテーテルのフィルタを含む遠位端は、マイクロカテーテルが複雑に入り組んだ脈管系の中を案内されている間に必要なだけねじれ、曲がることができ、キンキングが生じず、及び/又は血管壁を傷つけないように、柔軟でなければならない。
【0020】
さらに、その柔軟性に関わらず、また、フィルタに形成された多くの開口に関わらず、本願で開示されるマイクロカテーテルは有利な点として、キンクの生じない小さい半径と、5N(ニュートン)を超える引張力を有し、それゆえISO 10555の要求事項を満たす。
【0021】
幾つかの態様によれば、塞栓ビーズを標的領域に送達するための塞栓術用マイクロカテーテルが提供され、マイクロカテーテルは、近位端及び、遠位端であって、端開口を含む遠位端と、それらの間で遠位端開口に近接して位置付けられたフィルタであって、その壁の周囲に円周方向に分散された少なくとも100の開口を含むフィルタと、を含む。
【0022】
幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテルの近位端は、懸濁液がマイクロカテーテルを通って流れることができるような大きさと形状である。幾つかの実施形態によれば、懸濁液は懸濁流体と塞栓ビーズを含む。幾つかの実施形態によれば、フィルタは、懸濁流体の流出を可能にしながら、塞栓ビーズの流出を阻止するように構成される。
【0023】
幾つかの実施形態によれば、側面開口は副側面開口である。幾つかの実施形態によれば、副側面開口は、スケルトンを無傷のまま残しながらポリマ層に形成された複数の切込みにより形成されてよい(本明細書では「選択的カット」とも呼ばれる)。幾つかの実施形態によれば、切込みは幅が5~15マイクロメートル又は5~10マイクロメートルであり、長さが5mm~15mm又は5mm~10mmの40~70の長いスリットを含んでいてよい。
【0024】
幾つかの実施形態によれば、少なくとも5つの離散環状パターンに分散された少なくとも100の開口。幾つかの実施形態によれば、各環状パターンは少なくとも10の開口を含む。
【0025】
幾つかの実施形態によれば、フィルタの長さは、最も遠位側の環状リングの遠位縁と最も近位側の環状リングの近位縁との間の距離によって定義される。幾つかの実施形態によれば、フィルタの総面積は、マイクロカテーテルのうち、最も遠位側の環状リングの遠位縁と最も近位側の環状リングの近位縁との間に延びる部分の面積を指す。
【0026】
幾つかの実施形態によれば、フィルタは少なくとも10%の開口面積を含み、すなわち壁に形成された開口はフィルタの総面積の少なくとも10%を占める。幾つかの実施形態によれば、フィルタの総開口面積は、遠位端開口の面積より少なくとも5倍大きい。幾つかの実施形態によれば、フィルタの総開口面積の大きさは少なくとも3.0mm2である。
【0027】
幾つかの実施形態によれば、少なくとも100の開口は、フィルタの下流の塞栓ビーズが、懸濁液中の基本的に全ての粒子が遠位端開口を通って送達される体積流量で流れ、それと同時にそれらの逆流を防止することができるような大きさと形状である。
【0028】
幾つかの実施形態によれば、塞栓術用マイクロカテーテルの引張強さは少なくとも5Nである。
【0029】
幾つかの実施形態によれば、少なくとも100の開口は軸方向に分散される。
【0030】
幾つかの実施形態によれば、塞栓術用マイクロカテーテルは、網組みワイヤ又はコイル状ワイヤで形成されたスケルトンと、スケルトンの中に挿入される、及び/又はその上に重ねられたポリマ層と、を含む。幾つかの実施形態によれば、スケルトンの厚さは20~60マイクロメートル又は30~50マイクロメートルである。非限定的な例として、スケルトンの厚さは約37マイクロメートルである。幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテルは、マイクロカテーテルの外面に重ねられた親水性コーティングをさらに含む。幾つかの実施形態によれば、少なくとも100の開口は外面と親水性コーティングを貫通して形成される。幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテルはマイクロカテーテルの内面に裏打ちされた内層をさらに含む。幾つかの実施形態によれば、内側コーティングはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含むか、又はそれから製作される。幾つかの実施形態によれば、フィルタは内層を含まない。
【0031】
幾つかの実施形態によれば、開口は円錐状であってよい。幾つかの実施形態によれば、開口は、マイクロカテーテルの内面における断面積がマイクロカテーテルの外面における断面積より小さくてよい。幾つかの実施形態によれば、少なくとも100の開口の各々の幅は、マイクロカテーテルの内面で測定して、約5~20マイクロメートル、5~15マイクロメートル、又は5~10マイクロメートルの範囲である。各々の可能性は別々の実施形態である。幾つかの実施形態によれば、少なくとも100の開口の各々の長さは、マイクロカテーテルの内面で測定して、約30~60マイクロメートルの範囲である。幾つかの実施形態によれば、複数の開口/切込みの各々の長さは、マイクロカテーテルの内面で測定して、約5mm~15mm又は5mm~10mmの範囲である。各々の可能性は別々の実施形態である。
【0032】
幾つかの実施形態によれば、少なくとも100の開口は、スケルトンを無傷のまま残してポリマ層に複数の切込み(本明細書では側面開口とも呼ばれる)を形成することによって形成されてよく、それによって、結果として得られる側面開口(本明細書では「副側面開口とも呼ばれる)の数は、ポリマ層に形成された切込みの数より多い。幾つかの実施形態によれば、結果として得られる(副)側面開口の数は、ポリマ層に形成された側面開口の数の少なくとも2倍である。幾つかの実施形態によれば、結果として得られる(副)側面開口の数はポリマ層に形成された側面開口の数の少なくとも4倍である。幾つかの実施形態によれば、結果として得られる(副)側面開口の数はポリマ層に形成された側面開口の数の少なくとも10倍である。幾つかの実施形態によれば、結果として得られる(副)側面開口の数はポリマ層に形成された側面開口の数の少なくとも50倍である。幾つかの実施形態によれば、結果として得られる(副)側面開口の数はポリマ層に形成された側面開口の数の少なくとも100倍である。
【0033】
幾つかの実施形態によれば、フィルタは少なくとも200の開口を含む。幾つかの実施形態によれば、フィルタは少なくとも500の開口を含む。幾つかの実施形態によれば、フィルタは少なくとも1,000の開口を含む。幾つかの実施形態によれば、フィルタは少なくとも2,000の開口を含む。幾つかの実施形態によれば、フィルタは少なくとも4,000の開口を含む。幾つかの実施形態によれば、フィルタは少なくとも5,000の開口を含む。
【0034】
幾つかの実施形態によれば、少なくとも100の開口は基本的に骨の形状又は串刺しの球体の形状である。
【0035】
幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテルは、長さ方向に離間された少なくとも2つのフィルタセクションを含む。幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテルは、少なくとも500の開口を含む最も遠位側の第一のフィルタセクションと、少なくとも2000の開口を含む中央の第二のフィルタセクションと、少なくとも1000の開口を含む最も近位側の第三のフィルタセクションと、を含む。幾つかの実施形態によれば、第一、第二、及び第三のフィルタセクションは1~5mmだけ離間される。幾つかの実施形態によれば、第二のフィルタセクションは、第一及び第三のフィルタセクションより長い。幾つかの実施形態によれば、第三のフィルタセクションの開口の長さは第一及び第二のフィルタセクションの開口の長さより長い。幾つかの実施形態によれば、第一のフィルタセクションの開口の形状は、第二及び第三のフィルタセクションの開口の形状と異なる。
【0036】
幾つかの態様によれば、塞栓ビーズを標的領域に送達するための塞栓術用マイクロカテーテルが提供され、マイクロカテーテルは、近位端及び、遠位端であって、端開口を含む遠位端と、それらの間に近位端開口に近接して位置付けられたフィルタであって、その壁の周囲に円周方向に/環状に分散された複数の開口を含み、複数の開口の各々が基本的に骨の形状又は串刺しの球体の形状であるフィルタと、を含む。
【0037】
幾つかの実施形態によれば、近位端は、マイクロカテーテルを通って流れる懸濁液の送達を可能にする大きさと形状である。幾つかの実施形態によれば、懸濁液は懸濁流体と塞栓ビーズを含む。幾つかの実施形態によれば、フィルタは、懸濁流体の流出を可能にしながら、塞栓ビーズの流出は阻止するように構成される。
【0038】
幾つかの実施形態によれば、フィルタは少なくとも10%の開口面積を含み、すなわち、壁に形成される開口はフィルタの総面積の少なくとも10%を占める。幾つかの実施形態によれば、フィルタの総開口面積は遠位端開口の面積の少なくとも5倍大きい。幾つかの実施形態によれば、フィルタの総開口面積の大きさは少なくとも3.0mm2である。
【0039】
幾つかの実施形態によれば、塞栓術用マイクロカテーテルは少なくとも5Nの引張強さを有する。
【0040】
幾つかの実施形態によれば、複数の開口は軸方向に分散される。
【0041】
幾つかの実施形態によれば、塞栓術用マイクロカテーテルは、網組み又はコイル状ワイヤで形成されたスケルトンと、スケルトンの中に挿入された、及び/又はその上に重ねられたポリマ層と、を含む。幾つかの実施形態によれば、スケルトンの厚さは20~60マイクロメートル又は30~50マイクロメートルである。非限定的な例として、スケルトンの厚さは約37マイクロメートルである。幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテルは、マイクロカテーテルの外面の上に重ねられた親水性コーティングをさらに含む。幾つかの実施形態によれば、少なくとも100の開口は表面と親水性コーティングを貫通して形成される。
【0042】
幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテルは、マイクロカテーテルの内面を裏打ちする内側ライナをさらに含む。幾つかの実施形態によれば、内側コーティングはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含むか、又はそれで製作される。幾つかの実施形態によれば、フィルタは内側ライナを含まない。幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテルのうち、フィルタの近位端と遠位端開口との間に延びる部分は内側ライナを含まない。
【0043】
幾つかの実施形態によれば、開口は円錐形であってよい。幾つかの実施形態によれば、開口は、マイクロカテーテルの内面における断面積がマイクロカテーテルの外面における断面積より小さくてよい。幾つかの実施形態によれば、複数の開口の各々の幅は、マイクロカテーテルの内面で測定して、約5~20マイクロメートル、5~15マイクロメートル、又は5~10マイクロメートルの範囲である。各々の可能性は別々の実施形態である。幾つかの実施形態によれば、複数の開口の各々の長さは、マイクロカテーテルの内面で測定して、約30~60マイクロメートルの範囲である。幾つかの実施形態によれば、複数の開口/切込みの各々の長さは、マイクロカテーテルの内面で測定して、約5mm~15mm又は5mm~10mmの範囲である。各々の可能性は別々の実施形態である。
【0044】
幾つかの実施形態によれば、フィルタは少なくとも200の開口を含む。幾つかの実施形態によれば、フィルタは少なくとも500の開口を含む。幾つかの実施形態によれば、フィルタは少なくとも1,000の開口を含む。
【0045】
幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテルは、長さ方向に離間された少なくとも2つのフィルタセクションを含む。幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテルは、少なくとも500の開口を含む最も遠位側の第一のフィルタセクションと、少なくとも2000の開口を含む中央の第二のフィルタセクションと、少なくとも1000の開口を含む最も近位側の第三のフィルタセクションと、を含む。
【0046】
幾つかの実施形態によれば、第一、第二、及び第三のフィルタセクションは1~5mmだけ離間される。幾つかの実施形態によれば、第二のフィルタセクションは、第一及び第三のフィルタセクションより長い。幾つかの実施形態によれば、第三のフィルタセクションの開口の長さは第一及び第二のフィルタセクションの開口の長さより長い。幾つかの実施形態によれば、第一のフィルタセクションの開口の形状は、第二及び第三のフィルタセクションの開口の形状と異なる。
【0047】
幾つかの態様によれば、塞栓ビーズを標的領域に送達するための塞栓術用マイクロカテーテルが提供され、マイクロカテーテルは、近位端及び、遠位端であって、マイクロカテーテルを通って流れる懸濁液の送達を可能にする大きさ及び形状の端開口を含む遠位端と、それらの間に遠位端開口に近接して位置付けられたフィルタであって、その壁の周囲に円周方向に分散された複数の開口を含み、複数の開口の各々の幅は、マイクロカテーテルの内面で測定して約5~20マイクロメートルの範囲であるフィルタと、を含む。
【0048】
幾つかの実施形態によれば、近位端は、マイクロカテーテルを通って流れる懸濁液の送達を可能にする大きさ及び形状である。幾つかの実施形態によれば、懸濁液は懸濁流体と塞栓ビーズを含む。幾つかの実施形態によれば、フィルタは、懸濁流体の流出を可能にしながら、塞栓ビーズの流出を阻止するように構成される。
【0049】
幾つかの実施形態によれば、フィルタは少なくとも10%の開口面積を有し、すなわち、壁に形成された開口はフィルタの総面積の少なくとも10%を占める。幾つかの実施形態によれば、フィルタの総開口面積は、遠位端開口の面積の少なくとも5倍大きい。幾つかの実施形態によれば、フィルタの総開口面積の大きさは少なくとも3.0mm2である。
【0050】
幾つかの実施形態によれば、塞栓術用マイクロカテーテルの引張強さは少なくとも5Nである。
【0051】
幾つかの実施形態によれば、複数の開口は軸方向に分散される。
【0052】
幾つかの実施形態によれば、塞栓術用マイクロカテーテルは、網組み又はコイル状ワイヤで形成されるスケルトンと、スケルトンの中に挿入され、及び/又はその上に重ねられるポリマ層と、を含む。幾つかの実施形態によれば、スケルトンの厚さは20~60マイクロメートル又は30~50マイクロメートルである。非限定的な例として、スケルトンの厚さは約37マイクロメートルであり得る。幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテルは、マイクロカテーテルの外面に重ねられた親水性コーティングをさらに含み、少なくとも100の開口が親水性コーティングを貫通して形成される。
【0053】
幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテルは、マイクロカテーテルの内面に裏打ちされる内側ライナをさらに含む。幾つかの実施形態によれば、内側ライナはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含むか、又はそれから製作される。幾つかの実施形態によれば、フィルタは内側ライナを含まない。
【0054】
幾つかの実施形態によれば、フィルタは少なくとも200の開口をさらに含む。幾つかの実施形態によれば、フィルタは少なくとも500の開口を含む。幾つかの実施形態によれば、フィルタは少なくとも1,000の開口を含む。
【0055】
幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテルは、長さ方向に離間された少なくとも2つのフィルタセクションを含む。幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテルは、少なくとも500の開口を含む最も遠位側の第一のフィルタセクションと、少なくとも2000の開口を含む中央の第二のフィルタセクションと、少なくとも1000の開口を含む最も近位側の第三のフィルタセクションと、を含む。幾つかの実施形態によれば、第一、第二、及び第三のフィルタセクションは1~5mmだけ離間される。幾つかの実施形態によれば、第二のフィルタセクションは、第一及び第三のフィルタセクションより長い。幾つかの実施形態によれば、第三のセクションの開口の長さは第一及び第二のフィルタセクションの開口の長さより長い。幾つかの実施形態によれば、第一のフィルタセクションの開口の形状は、第二及び第三のフィルタセクションの開口の形状と異なる。
【0056】
幾つかの態様によれば、塞栓ビーズを標的領域に送達するための塞栓術用マイクロカテーテルが提供され、マイクロカテーテルは、近位端及び、遠位端であって、マイクロカテーテルを通って流れる懸濁液の送達を可能にする大きさ及び形状の端開口を含む遠位端と、それらの間に遠位端開口に近接して位置付けられたフィルタであって、その壁の周囲に円周方向に分散された複数の開口を含み、フィルタの総開口面積は遠位端開口の面積より少なくとも5倍大きいフィルタと、を含む。
【0057】
幾つかの実施形態によれば、近位端は、マイクロカテーテルを流れる懸濁液の送達を可能にする大きさ及び形状である。幾つかの実施形態によれば、懸濁液は懸濁流体と塞栓ビーズを含む。幾つかの実施形態によれば、フィルタは、懸濁流体の流出を可能にしながら、塞栓ビーズの流出を阻止するように構成される。
【0058】
幾つかの実施形態によれば、フィルタの総開口面積は、遠位端開口の面積の少なくとも10倍大きい。幾つかの実施形態によれば、フィルタの総開口面積の大きさは少なくとも3.0mm2である。
【0059】
幾つかの実施形態によれば、塞栓術用マイクロカテーテルの引張強さは少なくとも5Nである。
【0060】
幾つかの実施形態によれば、複数の開口は軸方向の開口である。
【0061】
幾つかの実施形態によれば、塞栓術用マイクロカテーテルは、網組み又はコイル状ワイヤで形成されるスケルトンと、スケルトンの中に挿入され、及び/又はその上に重ねられるポリマ層と、を含む。幾つかの実施形態によれば、スケルトンの厚さは20~60マイクロメートル又は30~50マイクロメートルである。非限定的な例として、スケルトンの厚さは約37マイクロメートルであり得る。幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテルは、マイクロカテーテルの外面に重ねられた親水性コーティングをさらに含み、少なくとも100の開口は外面及び親水性コーティングを貫通して形成される。
【0062】
幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテルは、マイクロカテーテルの内面に裏打ちされる内側ライナをさらに含む。幾つかの実施形態によれば、内側ライナは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含むか、又はそれから製作される。幾つかの実施形態によれば、フィルタは内側ライナを含まない。
【0063】
幾つかの実施形態によれば、フィルタは少なくとも200の開口を含む。幾つかの実施形態によれば、フィルタは少なくとも500の開口を含む。幾つかの実施形態によれば、フィルタは少なくとも1,000の開口を含む。
【0064】
幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテルは長さ方向に離間された少なくとも2つのフィルタセクションを含む。
【0065】
幾つかの態様によれば、塞栓ビーズを標的領域に送達するための塞栓術用マイクロカテーテルが提供され、マイクロカテーテルは、近位端及び、遠位端であって、マイクロカテーテルを通って流れる懸濁液の送達を可能にする大きさ及び形状の端開口を含む遠位端と、遠位端開口に近接して位置付けられたフィルタであって、不規則に分散された、その壁の周囲に円周方向に形成された複数の開口を含むフィルタと、を含む。
【0066】
幾つかの実施形態によれば、近位端は、マイクロカテーテルを通って流れる懸濁液の送達を可能にする大きさ及び形状である。幾つかの実施形態によれば、懸濁液は懸濁流体と塞栓ビーズを含む。幾つかの実施形態によれば、懸濁流体の流出を可能にしながら、塞栓ビーズの流出を阻止するように構成される。
【0067】
幾つかの実施形態によれば、フィルタの総開口面積は、遠位端開口の面積の少なくとも3倍大きい。幾つかの実施形態によれば、フィルタの総開口面積は、遠位端開口の面積の少なくとも5倍大きい。幾つかの実施形態によれば、フィルタの総開口面積は、遠位端開口の面積の少なくとも10倍大きい。幾つかの実施形態によれば、フィルタの総開口面積の大きさは少なくとも3.0mm2である。
【0068】
幾つかの実施形態によれば、塞栓術用マイクロカテーテルの引張強さは少なくとも5Nである。
【0069】
幾つかの実施形態によれば、複数の開口は軸方向の開口である。
【0070】
幾つかの実施形態によれば、塞栓術用マイクロカテーテルは、網組み又はコイル状ワイヤで形成されるスケルトンと、スケルトンの中に挿入され、及び/又はその上に重ねられるポリマ層と、を含む。幾つかの実施形態によれば、スケルトンの厚さは20~60マイクロメートル又は30~50マイクロメートルである。非限定的な例として、スケルトンの厚さは約37マイクロメートルであり得る。幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテルは、マイクロカテーテルの外面に重ねられた親水性コーティングをさらに含み、少なくとも100の開口は外面及び親水性コーティングを貫通して形成される。
【0071】
幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテルは、マイクロカテーテルの内面に裏打ちされる内側ライナをさらに含む。幾つかの実施形態によれば、内側ライナは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含むか、又はそれから製作される。幾つかの実施形態によれば、フィルタは内側ライナを含まない。
【0072】
幾つかの実施形態によれば、フィルタは少なくとも200の開口を含む。幾つかの実施形態によれば、フィルタは少なくとも500の開口を含む。幾つかの実施形態によれば、フィルタは少なくとも1,000の開口を含む。
【0073】
幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテルは長さ方向に離間された少なくとも2つのフィルタセクションを含む。
【0074】
本開示の特定の実施形態は、上述の特徴の幾つか、全部を含んでいてよく、又は1つも含まなくてよい。1つ又は複数の技術的利点は、当業者にとっては本明細書に含められた図面、説明、及び特許請求の範囲から容易に明らかとなるであろう。さらに、特定の特徴を上で列挙したが、各種の実施形態は列挙された特徴の全部、一部を含んでいてよく、又は1つも含まなくてよい。
【0075】
上述の例示的な態様及び実施形態に加えて、図面及び以下の詳細な説明において、また別の態様及び実施形態がさらに広げられるであろう。
【0076】
以下に、実施形態を例示する例を、本願に添付された図面を参照しながら説明する。複数の図面にある同じ構造、要素、又は部品は概して、それらがある図面の全てにおいて同じ番号で表示される。代替的に、複数の図面にある要素又は部品は、それらがある異なる図面中、異なる番号で表示され得る。図中のコンポーネント及び特徴部の寸法は、提示の便宜上、及び明瞭さのために選択されており、必ずしも正確な縮尺によっているとはかぎらない。図面を以下に挙げる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1A】幾つかの実施形態による、フィルタを含むマイクロカテーテルの斜視図を概略的に示す。
【
図1B】幾つかの実施形態による、
図1Aのマイクロカテーテルの遠位端の斜視図を概略的に示す。
【
図2】幾つかの実施形態による、マイクロカテーテルの遠位端の切欠き斜視図を概略的に示す。
【
図3A】幾つかの実施形態による、その壁の周囲に円周方向に分散された開口を含む3つのフィルタセクションを備えるフィルタを持つ2.7フレンチマイクロカテーテルの展開図を概略的に示す。
【
図3B】
図3Aのマイクロカテーテルの最も遠位側のフィルタセクションの拡大図を示す。
【
図3C】
図3Aのマイクロカテーテルの中央のフィルタセクションの拡大図を示す。
【
図3D】
図3Aのマイクロカテーテルの最も近位側のフィルタセクションの拡大図を示す。
【
図4A】
図3Aのマイクロカテーテルの最も近位側のフィルタセクションとその開口の別の拡大図を示す。
【
図4B】
図3Aのマイクロカテーテルの中央のフィルタセクションとその開口の別の拡大図を示す。
【
図4C】
図3Aのマイクロカテーテルの最も遠位側のフィルタセクションとその開口の別の拡大図を示す。
【
図5A】幾つかの実施形態による、フィルタの開口の少なくとも幾つかの任意選択的形状を示す。
【
図5B】幾つかの実施形態による、フィルタの開口の少なくとも幾つかの任意選択的分散を示す。
【
図5C】少なくとも異なる形状を利用する任意選択的フィルタパターンを示す。
【
図6】幾つかの実施形態による
図2の塞栓術用マイクロカテーテル等の塞栓術用マイクロカテーテルのための任意選択的スリットパターンを概略的に示す。
【
図7】幾つかの実施形態による
図2の塞栓術用マイクロカテーテル等の塞栓術用マイクロカテーテルのための他の任意選択的スリットパターンを概略的に示す。
【
図8A】幾つかの実施形態による、塞栓術用マイクロカテーテルのフィルタの詳細部の正面図を概略的に示す。
【
図8B】幾つかの実施形態による、塞栓術用マイクロカテーテルのフィルタの詳細部の側面図を概略的に示す。
【
図9】幾つかの実施形態による、
図2の塞栓術用マイクロカテーテル等の塞栓術用マイクロカテーテルのための他の任意選択的スリットパターンを概略的に示す。
【
図10】本願で開示されるマイクロカテーテル(本願で開示のもの、下のパネル)と比較した、本願で開示されるようなフィルタセクションを持たない標準的マイクロカテーテル(標準MC、上のパネル)を使用した場合のSirtex Y90(25マイクロメートル)ビーズ(Sir-Sphere(登録商標))の送達中のビーズ逆流の比較用時間スナップショット写真を示す。
【
図11】本願で開示されるマイクロカテーテル(本願で開示のもの、下のパネル)と比較した、標準的マイクロカテーテル(標準MC、上のパネル)を使用した場合のEmbozene(登録商標)40マイクロメートルビーズの送達中のビーズ逆流の比較用時間スナップショット写真を示す。
【
図12】標準的マイクロカテーテルと比較した、本願で開示されるマイクロカテーテルを用いた各種ビーズの逆流を引き起こす流速を示す比較用グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0078】
以下の説明の中で、本開示の様々な態様を説明する。解説を目的として、具体的な構成及び詳細を示すことによって、本開示の各種の態様を十分に理解できるようにする。しかしながら、当業者にとっては、本開示は本明細書で提示される具体的な詳細事項を用いずに実施されてもよいことが明らかであろう。さらに、よく知られている特徴は、本開示をあいまいにしないために省略又は簡略化されているかもしれない。
【0079】
ここで、
図1A及び
図1Bを参照すると、本開示の幾つかの態様による塞栓術用マイクロカテーテル100及びその遠位端112の拡大図を概略的に示している。塞栓術用マイクロカテーテルは、その外径が1mm以下の長尺本体110を含む。長尺本体110は、案内区間120と、フィルタ130と、送達区間140と、を含み、その終端に端開口180がある。幾つかの実施形態によれば、フィルタ130及び/又は送達区間140の壁を形成するポリマ層は案内区間120の壁を形成するポリマ層より柔軟であってよい。
【0080】
案内区間120は、マイクロカテーテルを案内するように構成される。本明細書で使用されるかぎり、「案内区間」という用語は、マイクロカテーテルのうち、マイクロカテーテルを脈管構造の中で標的領域まで押し込み、及び/又は操縦するために必要な部分を指してよい。案内区間120は、長尺本体110の長さの大部分にわたって延びる。案内区間120は、マイクロカテーテルの比較的柔軟なフィルタ130及び送達区間140と比べて比較的硬質であってよい。幾つかの実施形態によれば、案内区間120により、例えばハンドルのプッシャ機構(図示せず)を使用することによって、マイクロカテーテル100を標的領域(図示せず)まで効率的に送達できる。マイクロカテーテル100は、案内区間120の近位端に成型され、又はそれ以外に取り付けられたハブ102をさらに含む。ハブは、マイクロカテーテル300のルーメンに、様々な機能のため、例えば流体若しくは薬剤の注入又はガイドワイヤの導入のためにアクセスできるように構成される。ハブ102は、歪除去体104を含み、これは好ましくはハブ102に機械的に連結される。歪除去体104は、ポリマ材料で製作されてよく、図のように、その遠位端がテーパとなっていてよい。歪除去体104は、案内区間120を、そのキンキングを防止するために構造的支持を提供するように構成されてよい。
【0081】
本明細書で使用されるかぎり、「フィルタ」という用語は、マイクロカテーテルのうち、懸濁流体の横方向への流出を可能にしながら、その中を流れるビーズ/粒子(すなわち、塞栓粒子)の通過をブロックするように構成された部分を指す。フィルタは、遠位出口(本明細書では、「遠位端開口」とも呼ばれる)から所定の距離に、例えば遠位出口から0.5mm~10mm、1mm~8mm、1mm~5mm、2mm~8mm、又は2mm~5mmに形成される。各々の可能性は別々の実施形態である。幾つかの実施形態によれば、カテーテルに注入された流体の20~75%がフィルタを通って出る。フィルタ130はここでは、2つのフィルタ領域/セクションを含むように描かれているが、フィルタセクションのその他の構成もまた可能であり、例えば
図3A~
図3D(3つのフィルタセクションを含む)及び
図6、
図7、及び
図9(1つのフィルタセクションを含む)に示されているとおりである。
【0082】
幾つかの実施形態によれば、フィルタの総面積は、マイクロカテーテルのうち、最も遠位側の環状リングの遠位縁と最も近位側の環状リングの近位縁との間に延びる部分の面積を指す。
【0083】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ130は、送達区間140及び案内区間120と一体に形成されてよい。幾つかの実施形態によれば、フィルタの、複数の開口を含む部分は0.3mm~20mmの長さ、例えば1mm~10mm、1mm~5mm、1.5mm~5mm、2mm~5mm、又はその他のその間の何れの適当な長さにわたって延びていてよい。各々の可能性は別々の実施形態である。
【0084】
本明細書で使用されるかぎり、「送達区間」という用語は、マイクロカテーテルの、フィルタ130の遠位端と遠位端開口180との間に延びる遠位端を指す。送達区間140は、懸濁液の流れを制限及び/若しくは妨害し、並びに/又は流れを変化させて、マイクロカテーテルの長さ方向軸に沿った粒子の水平速度を低下させるように構成されてよい。
【0085】
幾つかの実施形態によれば、送達区間140はテーパの付いた内面を有していてよい。幾つかの実施形態によれば、送達区間はテーパの付いた内面及び外面を有していてよい。幾つかの実施形態によれば、送達区間は、基本的にテーパの付いていない内面を有していてよい。各々の可能性は別々の実施形態である。幾つかの実施形態によれば、送達区間の長さは、2~15mm、3~12m、5~10mm、5~8mmの範囲内、又は2~20mmの範囲内の他の何れの適当な長さであってもよい。各々の可能性は別々の実施形態である。幾つかの実施形態によれば、送達区間の長さはほぼ7mmであってよい。本明細書で使用されるかぎり、送達区間の長さに関する「ほぼ」という用語は+/-10%、又は+/-5%、又は+/-2%を指してよい。各々の可能性は別々の実施形態である。
【0086】
本明細書で使用されるかぎり、「遠位端開口」という用語は、マイクロカテーテルの、そのルーメンにつながる端開口を指す。幾つかの実施形態によれば、遠位端開口は、マイクロカテーテルの、その遠位端における終端を画定する。幾つかの実施形態によれば、遠位端開口の内径はマイクロカテーテルのルーメンの内径と基本的に等しくてよい。幾つかの実施形態によれば、遠位端開口の内径は、マイクロカテーテルのルーメンの内径より小さくてよく、それによってルーメンはその端に向かって細くなる。
【0087】
幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテルのフィルタ130は3つのセクションを含み、これらは1つの部品として一体に形成されてよい。このような構成では、有利な点として、マイクロカテーテルが製造しやすくなり、典型的に脆弱な連結部を構成し、そのため、マイクロカテーテルの分解/外れの原因となり得る取付及び/又は組立が不要となることが確実となり得る。しかしながら、これらのセクションはまた、相互に組み立てられてマイクロカテーテルを形成する別々の要素として形成することもできる。
【0088】
幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテルの案内区間120は、熱可塑性エラストマで製作されるか、又はそれを含んでいてよく、これは例えば、熱可塑性ポリウレタン(例えば、The Lubrizol Corporation,OH,USAのPellethan(商標)TPU)又はポリエーテルブロックアミド(例えば、Arkema Group,Colombes,FranceのPebax(商標)TPE)、ナイロン、ポリイミド、シリコーン、又はそれらのあらゆる組合せであるが、これらに限定されない。各々の可能性は別々の実施形態である。
【0089】
幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテルのフィルタ及び/又は送達区間の壁は熱可塑性エラストマで製作されてよく、これは例えば、熱可塑性ポリウレタン(例えば、The Lubrizol Corporation,OH,USAのPellethan(商標)TPU)又はポリエーテルブロックアミド(例えば、Arkema Group,Colombes,FranceのPebax(商標)TPE)、ナイロン、ポリイミド、シリコーン、又はそれらのあらゆる組合せであるが、これらに限定されない。各々の可能性は別々の実施形態である。
【0090】
次に、
図2を参照すると、これは幾つかの実施形態によるマイクロカテーテル200の遠位端の切欠き斜視図を概略的に示している。マイクロカテーテル200は、外側ポリマ層222を含み、その中にスケルトン220が埋め込まれている。幾つかの実施形態によれば、スケルトン220は編み組まれていてよい。マイクロカテーテル200は内側ライナ230をさらに含む。幾つかの実施形態によれば、内側ライナ230はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含むか、又はそれから製作されてよい。
【0091】
幾つかの実施形態によれば、
図2に示されるように、内側ライナ230はマイクロカテーテル200の一部のみ、例えばマイクロカテーテル200のそのフィルタの近位側の部分のみに沿って延びる(ここでは、ポリマ層に形成されているがスケルトン220には形成されない長尺の切込み225と共に示されている。有利な点として、ライン230を設けなければ、フィルタの切込み225を形成する際に内側ライナ230を貫通する必要がなくなり、又はその形成後に堆積される場合、切込み225から内側ライナ材料を除去する必要がなくなり得る。
【0092】
幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテル200は、フィルタの近位端の第一のマーカ240と、フィルタの遠位端の第二のマーカ250をと含んでいてよい。幾つかの実施形態によれば、第一のマーカ240はポリママーカであってよい。幾つかの実施形態によれば、第二のマーカ250は金属マーカであってよい。幾つかの実施形態によれば、マーカをこのように分散させることにより、一方で、マイクロカテーテル200が少なくとも5Nの力に耐えられることが確実となり、他方で、網組みが解けるのが防止される。有利な点として、放射線不透過度の違いにより、マーカは、湾曲した脈管構造を通って移動する際のフィルタの近位/遠位端を指示する役割を果たしてよい。
【0093】
次に、
図3A~
図3D及び
図4A~
図4Cを参照すると、幾つかの実施形態による、フィルタが3つのフィルタセクション310a~310cを含むマイクロカテーテル300の展開図及び拡大図(
図3B~
図3D)が概略的に示されており、フィルタセクション310a~310cの各々は、それぞれが環状リング322、324、及び326に配置された複数の側面開口312、314、及び316を含む。マイクロカテーテル300はここで、フレンチサイズ2.7mmのマイクロカテーテルであるものとして示されているが、当業者であれば、マイクロカテーテルは他の適当な大きさ、例えばフレンチサイズ2.4mm又はフレンチサイズ2.8mmであってよく、また、これらに限定されないことがわかるであろう。マイクロカテーテル300は、小さい(15~60マイクロメートルの)塞栓ビーズ(「マイクロスフィア」とも呼ばれる)の制御された送達に適している。1つの例において、小さい塞栓ビーズは15~60マイクロメートルの範囲の大きさであってよい。マイクロカテーテル300は放射性塞栓ビーズに限定されず、より大型のビーズの送達に利用されてもよい。幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテル300は、動静脈奇形及び、子宮筋腫(UFE:uterine fibroids)や肝細胞癌等であるがこれらに限定されない血管分布過多の腫瘍、前立腺動脈(PAE:postatic arteries)の塞栓、及び症候性前立腺肥大症(BPH:benign prostatic hyperplasia)のための治療における使用に適している。
【0094】
フィルタセクション310aは、フィルタセクション310a~310cのうちの最も近位側のものであり、遠位端開口380のほぼL1mm(L1は10mm~30mmの範囲である)だけ近位側に位置付けられる。1つの例において、フィルタセクション310aは遠位端開口380の約17mm近位側に位置付けられる。フィルタセクション310aに含められる開口(まとめて312と呼ばれる、は、本明細書においてスリットとも呼ばれ、その数は少なくとも200、又は少なくとも500、又は少なくとも1,000、又は少なくとも2,000、又はそれより大きくてよい。例えば、
図3Dは、フィルタセクション310aを、約2,592の開口(36行×72列)を有するものとして示している。当業者であれば、開口の数はこの値に限定されないことがわかるであろう。幾つかの実施形態によれば、フィルタセクション310aの全長L2は3mm~8mmであってよい。例えば、フィルタセクション310aの長さは約5mmであってよい。
【0095】
図4Aにおいて最もよくわかるように、開口312は比較的長く(フィルタセクション310b及び310cのそれぞれ開口314及び316より長い)、その長さは、マイクロカテーテルの内面で測定して、例えば60マイクロメートル~100マイクロメートルであってよい。例えば、
図3Aは、その長さがマイクロカテーテルの内面で測定して85マイクロメートルの開口312を示す。開口312は狭く、その幅は5マイクロメートル~15マイクロメートルであってよい。例えば、
図4Bに示されるように、開口312の幅は8マイクロメートルであってよい。開口の各環状リングは開口のその隣接するリングからほぼ40マイクロメートル~80マイクロメートルだけ離間されている。例えば、
図3Dにおいて、各環状リング322はその隣接する環状リングから約54マイクロメートル離間されている。開口312の大きさと形状は、最も小さい塞栓ビーズであっても、たとえマイクロカテーテル300が曲がっても開口312から流出することが防止され、他方で、塞栓ビーズが懸濁している懸濁流体の流出は比較的妨害されないようにする役割を果たす。幾つかの実施形態によれば、スリット312は、同じ環状リンク内のその隣接するスリットからほぼ4~10度離間されていてよい。1つの実施形態によれば、スリット312は同じリング内のその隣接するスリットからほぼ6度離間されていてよい。
【0096】
フィルタセクション310bは、フィルタセクション310a及び310cとの間に位置付けられた中央のフィルタセクションであり、遠位端開口380のL3(ほぼ3mm~10mm)だけ近位側に位置付けられる。1つの実施形態によれば、フィルタセクション310bは、遠位端開口380から約6mm近位側に位置付けられる。フィルタセクション310bに含められる開口の数は、少なくとも200、又は少なくとも500、又は少なくとも1,000、又は少なくとも2,000、又は少なくとも5,000、又はそれより多くてもよい。例えば、
図3Cは、中央のフィルタセクション310bを約5,472の開口(76行×72列-まとめて314と呼ばれる)を有するものとして示している。当業者であれば、開口314の数はこの値に限定されないことがわかるであろう。
図4Bにおいて最もよくわかるように、開口314は比較的短い(フィルタセクション310a及び310cのそれぞれ開口312及び316より短い)。開口314の概数の長さは、マイクロカテーテルの内面で測定して、30マイクロメートル~50マイクロメートルの範囲である。例えば、
図4Bに示される開口314の長さは、マイクロカテーテルの内面で測定して、約45マイクロメートルであってよい。開口314は狭くてよく、例えばその幅は、マイクロカテーテルの内面で測定して、5マイクロメートル~15マイクロメートルである。例えば、
図3Cに示される開口314の幅は8マイクロメートルであってよい。開口の各環状リングは、開口のその隣接するリングから40マイクロメートル~80マイクロメートルだけ離間される。例えば、
図3Cに示されるように、環状リング324の各々はほぼ60マイクロメートルだけ離間されていてよい。開口314の大きさと形状は、最も小さい塞栓ビーズであっても、マイクロカテーテル300が曲げられたとしても開口314を通って流出することが防止され、他方で、塞栓ビーズが懸濁している懸濁流体は、開口312を通る流体の流出より流れ制限の度合いは高いものの、可能であることを確実にする役割を果たす。開口314が開口312より小さいサイズであることは、開口312を通る流体の流出による、フィルタセクション310aの下流の流量がより少ないことに対応する。
【0097】
幾つかの実施形態によれば、フィルタセクション310bの全長L4は5mm~15mm又は5mm~12mmであってよい。例えば、フィルタセクション310bの長さは約8mmであってよい。
【0098】
幾つかの実施形態によれば、スリット314は同じ環状リング内のその隣接するスリットからほぼ4~10度だけ離間されていてよい。1つの実施形態によれば、スリット314は同じ環状リング内のその隣接するスリットからほぼ6度だけ離間されていてよい。
【0099】
フィルタセクション310cは、フィルタセクション310a~310cのうちの最も遠位側のものであり、マイクロカテーテル300の遠位端開口380からL5(約1~3mm)に位置付けられる。1つの実施形態によれば、フィルタセクション310cは、遠位端開口380から約2mm近位側に位置付けられている。フィルタセクション310cに含められる開口の数は、少なくとも100、又は少なくとも200、又は少なくとも500、又は少なくとも1,000の開口、又はそれより多くてよい。例えば、
図3Bは、マイクロカテーテル300の壁の周囲に円周方向に分散された、まとめて316と呼ばれる約1,200の開口(20行×60)を有するフィルタセクション310cを示している。当業者であれば、開口316の数はこの値に限定されないことがわかるであろう。開口316は、塞栓ビーズの流出を防止し、他方で塞栓ビーズが懸濁している懸濁流体の流出を可能にするように構成される。
【0100】
幾つかの実施形態によれば、フィルタセクション310cの全長L6は1mm~5mm又は1.5mm~2.5mmであってよい。例えば、フィルタセクション310bの長さは約2mmであってよい。
【0101】
開口の各環状リングは開口のその隣接するリングから40マイクロメートル~80マイクロメートルだけ離間される。例えば、
図3Bに示されるように、環状リング326の各々はほぼ50マイクロメートルだけ離間されていてよい。
【0102】
幾つかの実施形態によれば、スリット316は同じ列の中のその隣接するスリットからほぼ3~10度だけ分離されていてよい。1つの実施形態によれば、スリット316は同じ列の中のその隣接するスリットからほぼ5度だけ分離されていてよい。
【0103】
幾つかの実施形態によれば、開口316は不規則な形状であってよい。例えば、
図4Cに示されるように、開口116は「犬用骨の形状」316a又は「串刺しの球体の形状」316の何れであってもよく、これは
図4Cにおいて最もよくわかる。開口316の不規則な形状により、マイクロカテーテル300の中を流れるビーズは開口316に引っ掛かり、それが今度はフィルタセクション310cの内径を縮小させ、それゆえ、近位圧力が上昇する。有利な点として、その結果、フィルタセクション310aの近位側でフィルタセクション310a及び310bの開口312及び314を通じて注入される懸濁流体の体積が増大し、端開口380を通じて送達されるビーズの濃度がより高くなる。
図3Bに示されるように、開口316は好ましくは、各開口に、異なるが相補的な形状を有する開口が隣接するように配置される。この配置により、開口の最適な積み重ねが確実となり、その不規則な形状に関わらず、各円周方向の列の中に多くの開口を形成することができる。
【0104】
図5Aに示される開口505のような、その他の「不規則な形状の開口も想定されてよいと理解されたい。幾つかの実施形態によれば、開口は外側に突出又は延長する突出特徴部を含み、隣接する開口の外側周囲の一部は、陥凹特徴部、例えば窩洞又は溝を含む第二の形状を有していてよく、突出特徴部の輪郭は陥凹特徴部の輪郭と相補的である。例えば、第一の開口505aの突出特徴部は、第二の開口505bの陥凹特徴部と近接して位置付けられるが、それと接触しない。
【0105】
また、開口の分布が不規則であってよいことも理解されたく、これは例えば
図5Bの開口510の分布により示されている。
【0106】
他の態様において、フィルタ上の開口のパターンは、
図5Cに示されるように、開口の少なくとも2種類の形状を含む。この例では、形状512は2つの凹状特徴部を含み、これらは形状514の凸状特徴部と相補的である。当業者であれば、不規則な形状を含むその他の形状も開口の形状に利用されてよいことがわかるであろう。
【0107】
幾つかの実施形態によれば、開口505、510、512、及び512のマイクロカテーテルの内面における断面積は、マイクロカテーテルの外面における断面積より小さくてよい。
【0108】
幾つかの実施形態によれば、フィルタセクションの各々の少なくとも5%が開口面積である。任意選択により、開口面積はフィルタセクション310a~310cの各々の少なくとも10%、又は少なくとも15%、又は少なくとも20%であってよい。各々の可能性は別々の実施形態である。幾つかの実施形態によれば、フィルタセクション310a~310cの各々の総開口面積は、遠位端開口380の面積の少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、又は少なくとも10倍大きい。これによって、開口312、314、及び316から懸濁流体が、端開口380からの逆流を防止し、そこからの高濃度のビーズの送達を提供するのに十分に流出することが確実となる。各々の可能性は別々の実施形態である。幾つかの実施形態によれば、フィルタセクション310a~310cの総開口面積の大きさは、少なくとも1.5mm2、少なくとも2.0mm2、少なくとも3.0mm2、少なくとも4.0mm2、又は少なくとも5.0mm2である。各々の可能性は別々の実施形態である。
【0109】
幾つかの実施形態によれば、フィルタセクション310aの各開口の開口面積は約0.0004~0.001mm
2又は約0.0006~0.0007mm
2であってよい。例えば、フィルタセクション310aの各開口の開口面積(
図4Aにおいて最もよくわかる)は8μm
*85μmであり、これは0.00068mm
2である。当業者であれば、フィルタセクション310aの各開口の開口面積はこの具体的な値に限定されないことがわかるであろう。
【0110】
幾つかの実施形態によれば、フィルタセクション310aの総開口面積は約0.7~2.5mm2、約1.0~2.0mm2、又は約1.5~1.8mm2であってよい。例えば、フィルタセクション310aの総開口面積は2592(フィルタセクション310aの開口の数)×0.00068mm2(フィルタセクション310aの各開口の開口面積)であり、これは1.76mm2である。当業者であれば、フィルタセクション310aの総開口面積はこの具体的な値に限定されないことがわかるであろう。
【0111】
幾つかの実施形態によれば、フィルタセクション310bの各開口の開口面積は、約0.0001~0.0005mm
2又は約0.0002~0.0004mm
2であってよい。例えば、フィルタセクション310bの各開口の開口面積(
図4Bにおいて最もよくわかる)は8μm×45μmであり、これは0.00036mm
2である。当業者であれば、フィルタセクション310bの各開口の総開口面積はこの具体的な値に限定されないことがわかるであろう。
【0112】
幾つかの実施形態によれば、フィルタセクション310bの総開口面積は約1.5~3.0mm2、約1.5~2.5mm2、又は約1.7~2.0mm2であってよい。例えば、フィルタセクション310bの総開口面積は5472(フィルタセクション310bの開口の数)×0.00036mm2(フィルタセクション310bの各開口の開口面積)であり、これは1.97mm2である。当業者であれば、フィルタセクション310bの総開口面積はこの具体的な値に限定されないことがわかるであろう。
【0113】
幾つかの実施形態によれば、フィルタセクション310cの「犬用骨」の形状の開口316aの各々の開口面積は、約0.0003~0.0008mm
2又は約0.0005~0.0007mm
2であってよい。例えば、フィルタセクション310cの「犬用骨」の形状の開口の各々の開口面積(
図4Cにおいて最もよくわかる)は0.00059mm
2である。当業者であれば、フィルタセクション310cの「犬用骨」の形状の開口の各々の開口面積はこの具体的な値に限定されないことがわかるであろう。
【0114】
幾つかの実施形態によれば、フィルタセクション310cの「串刺しの球体」の形状の開口316bの各々の開口面積は、約0.0003~0.0008mm
2又は約0.0005~0.0007mm
2であってよい。例えば、フィルタセクション310cの「串刺しの球体」の形状の開口の各々の開口面積(
図4Cにおいて最もよくわかる)は0.00050mm
2である。当業者であれば、フィルタセクション310cの「犬用骨」の形状の開口の各々の開口面積はこの具体的な値に限定されないことがわかるであろう。
【0115】
幾つかの実施形態によれば、フィルタセクション310cの「犬用骨」の形状の開口316aの総開口面積は、約0.1~1.0mm2、約0.2~0.7mm2、又は約0.3~0.5mm2であってよい。例えば、フィルタセクションの「犬用骨」の形状の開口316aの総開口面積は600(フィルタセクション310cの「犬用骨」の形状の開口の数)×0.00059mm2(フィルタセクション310cの各開口の開口面積)であり、これは0.35mm2である。当業者であれば、フィルタセクション310cの「犬用骨」の形状の開口316aの総開口面積はこの具体的な値に限定されないことがわかるであろう。
【0116】
幾つかの実施形態によれば、フィルタセクション310cの「串刺しの球体」の形状の開口316bの総開口面積は、約0.1~1.0mm2、約0.2~0.7mm2、又は約0.3~0.5mm2であってよい。例えば、フィルタセクションの「犬用骨」の形状の開口316bの総開口面積は、600(フィルタセクション310cの「串刺しの球体」の形状の開口の数)×0.00050mm2(フィルタセクション310cの各開口の開口面積)であり、これは0.30mm2である。当業者であれば、フィルタセクション310cの「串刺しの球体」の形状の開口316bの総開口面積はこの具体的な値に限定されないことがわかるであろう。
【0117】
幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテル300の引張強さは少なくとも少なくとも3N、少なくとも4N、又は少なくとも5Nである。各々の可能性は別々の実施形態である。
【0118】
幾つかの実施形態によれば、開口312、314、及び/又は316は軸方向に分散される。
【0119】
幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテル300の壁は、網組み又はコイル状ワイヤで形成されるスケルトン(図示せず)と、スケルトンの中に挿入され、及び/又はその上に重ねられるポリマ層(図示せず)と、を含む/それらから製作される。幾つかの実施形態によれば、開口312、314、及び/又は316は網組み/コイルが無傷の(切断されない)ままとなるように形成される。これによって、有利な点として、マイクロカテーテル300の構造的完全性(少なくとも5Nの引張り力、キンクレジスタンス、柔軟性、及びトルク性能)が確保される。
【0120】
幾つかの実施形態によれば、ポリマ層は熱可塑性エラストマを含むか、又はそれから製作されてよく、これは例えば、熱可塑性ポリウレタン(例えば、The Lubrizol Corporation,OH,USAのPellethane(商標)TPU)又はポリエーテルブロックアミド(例えば、Arkema Group,Colombes,FranceのPebax(商標)TPE)、ナイロン、ポリイミド、シリコーン、又はそれらのあらゆる組合せであるが、これらに限定されない。各々の可能性は別々の実施形態である。
【0121】
幾つかの実施形態によれば、スケルトンの厚さは20~60マイクロメートル又は30~50マイクロメートルである。非限定的な例として、スケルトンの厚さは約37マイクロメートルであってよい。幾つかの実施形態によれば、スケルトンはタングステンの網組みであってよい。幾つかの実施形態によれば、網組み/コイルはニッケルチタン(ニチノール)で製作されてよい。幾つかの実施形態によれば、網組み/コイルは、ステンレススチール、コバルトクロム、プラチナイリジウム、ナイロン、又はこれらのあらゆる組合せで製作されるか、又はそれを含んでいてよい。各々の可能性は別々の実施形態である。有利な点として、このように比較的太いワイヤによって、マイクロカテーテルの壁のポリマを(例えば、ガルボスキャンヘッド及び補足的な光学系を備えるフェムト秒レーザを使用して、選択的にカットし、それと同時に網組みへの影響/損傷を最小限にすることができる。
【0122】
幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテル300の壁は、マイクロカテーテル300のポリマ層に重ねられる親水性ライナ(図示せず)をさらに含む。幾つかの実施形態によれば、フィルタセクション310a、310b、及び/又は310cはライナを含まなくてよい。これは、有利な点として、レーザカット中に網組みの完全性を保ち、マイクロカテーテルのキンクレジスタンスを増大させるのに役立ち得る。代替的に、開口312、314、及び/又は316は、ポリマ層と親水性ライナを貫通して形成される。
【0123】
幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテル300のポリマ層はその長さに沿って異なるポリマ材料で製作されてよい。幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテル300のうち、フィルタセクション310aの近位側の部分のポリマ層のショア硬さは、マイクロカテーテル300の、フィルタセクション310aの近位側の部分より高い。幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテル300の、フィルタセクション310cの近位側の部分のポリマ層のショア硬さは、マイクロカテーテル300の、フィルタセクション310cの遠位側の部分より高い。
【0124】
幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテル300は、マイクロカテーテル300の壁の内面を裏打ちする内層(本明細書では内側ライナとも呼ばれる)をさらに含む。幾つかの実施形態によれば、層はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含むか、又はそれから製作されてよい。幾つかの実施形態によれば、開口312、314、及び/又は316は内層を貫通して形成される。幾つかの実施形態によれば、内層は、マイクロカテーテル300の、フィルタセクション310aの近位側の部分のみに沿って延び、それによって開口を形成する際に内層を貫通する必要又は、堆積された場合に、開口312、314、及び/又は316が形成された後に、内層の材料を開口から除去する必要がなくなる。
【0125】
マイクロカテーテル300はここで、3つのフィルタセクションを有するように示されているが、何れの数の(例えば、1、2、4、5、又はそれより多い)フィルタセクションが想定されてよく、それゆえ、本開示の範囲に含まれる。各々の可能性は別々の実施形態である。幾つかの実施形態によれば、フィルタセクションは2~5mmだけ離間されてよく、ここで、フィルタセクション310aはフィルタセクション310bから約3mm離間され、フィルタセクション310bはフィルタセクション310cから約2mm離間されている。
【0126】
幾つかの実施形態によれば、フィルタセクションの長さは4~10mmであってよい。幾つかの実施形態によれば、フィルタセクションは同じ長さでも又は異なる長さでもよい。ここで、フィルタセクション310aの長さは約5mmであり、フィルタセクション310bの長さは約8mmであり、フィルタセクション310cの長さは約2mmである。
【0127】
幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテル300は、1つ又は複数の放射線不透過性マーカ(図示せず)をさらに含んでいてよい。幾つかの実施形態によれば、マイクロカテーテル300は、少なくともフィルタセクション310cの近位側に位置付けられた近位側マーカと、フィルタセクション310cの遠位側のフィルタセクション310cの付近に位置付けられた遠位側マーカを含んでいてよい。幾つかの実施形態によれば、近位側マーカは、マイクロカテーテル300の引張強さを保持するように構成されたポリマ材料から製作されてよい。幾つかの実施形態によれば、遠位側マーカは金属マーカであってよく、これはスケルトンの網組み/コイルが解けるのを防止する。有利な点として、放射線不透過度の差により、マーカは、湾曲した脈管構造を通って移動する際にフィルタセクションの近位/遠位端の表示としての役割を果たしてよい。
【0128】
マイクロカテーテル300は、マイクロカテーテル300の近位端に成型され、又はそれ以外にそこに取り付けられたハブ(図示せず)をさらに含む。ハブは、様々な機能、例えば流体又は薬剤の注入又はガイドワイヤの導入のために、マイクロカテーテル300のルーメンへのアクセスを可能にするように構成される。
【0129】
次に
図6を参照すると、これは
図2のマイクロカテーテル200のような塞栓術用マイクロカテーテルのフィルタ600の別の任意選択による構造を概略的に示している。幾つかの実施形態によれば、フィルタ600は1つのフィルタセクション620を含んでいてよく、これは複数の円周方向/環状リング(まとめて616と呼ばれる)、例えば50~200又は75~125のリング(例えば116のリング)を含み、各リングは複数の側面開口を含み、まとめて625と呼ばれ、例えば40~100、又は40~80、又は50~70のスリット(例えばここに示されているように60の側面開口)である。幾つかの実施形態によれば、フィルタ620の長さL7を有し得、L7は15mm~25mmの範囲、例えば約19mmである。
【0130】
幾つかの実施形態によれば、側面開口625はスリットの形態であってよい。幾つかの実施形態によれば、側面開口625の各々の幅は、マイクロカテーテルの内面で測定して、5マイクロメートル~15マイクロメートル又は5マイクロメートル~10マイクロメートル(例えば、8マイクロメートル)であってよい。幾つかの実施形態によれば、側面開口625の長さは、マイクロカテーテルの内面で測定して、70~150マイクロメートル又は80~100マイクロメートル(例えば、95マイクロメートル)であってよい。幾つかの実施形態によれば、フィルタのリングの最も遠位側のものは、遠位端開口からL8mmに位置付けられてよく、L8は約1~10mm又は2~8mmの範囲であり、例えば約3mmであるが、これに限定されない。いくつかの実施形態によれば、各リングは隣接するリングから長さL9だけ離間されてよく、L9は50~100マイクロメートル又は60~80マイクロメートルの範囲、例えば70マイクロメートルである。
【0131】
幾つかの実施形態によれば、側面開口625は、選択的カット(例えば、選択的レーザカット)により、すなわち、スケルトン220を形成するワイヤを切断せずに形成されてよい。幾つかの実施形態によれば、網組みスケルトン220のワイヤ間に位置付けられたポリマ層はスリット形成時に貫通される。有利な点として、ポリマ層の選択的カットによって(網組みスケルトン220を基本的に無傷のまま残す)、側面開口の少なくとも幾つかが、網組みにより分離され、ポリマ外側層によっては分離されない2つ又はそれ以上の副側面開口に細分されてよい。
【0132】
次に
図7を参照すると、これは
図2のマイクロカテーテル200等の塞栓術用マイクロカテーテルのフィルタ700のまた別の任意選択による構造を概略的に示している。幾つかの実施形態によれば、フィルタ700は1つのフィルタセクション720を含んでいてよく、これは複数の側面開口を含み、まとめて側面開口725と呼ばれる。幾つかの実施形態によれば、開口は軸方向のスリットの形態であってよい。幾つかの実施形態によれば、スリットは環状に分散されてよい(すなわち、マイクロカテーテルの壁の周囲に円周方向に分散される)。幾つかの実施形態によれば、フィルタセクション720は40~100又は40~80又は50~70のスリット(例えば、60の側面開口)を含む。幾つかの実施形態によれば、側面開口725の各々の幅は、マイクロカテーテルの内面で測定して、5マイクロメートル~15マイクロメートル又は5マイクロメートル~10マイクロメートル(例えば、8マイクロメートル)であってよい。幾つかの実施形態によれば、側面開口725の各々の長さは、マイクロカテーテルの内面で測定して6mm~15mm(例えば、7mm)であってよい。
【0133】
幾つかの実施形態によれば、側面開口725はスリットの形態であってよい。幾つかの実施形態によれば、側面開口725の各々の幅は、マイクロカテーテルの内面で測定して、5マイクロメートル~15マイクロメートル又は5マイクロメートル~10マイクロメートル(例えば、8マイクロメートル)であってよい。幾つかの実施形態によれば、側面開口725の各々の長さは、マイクロカテーテルの内面で測定して、0.75mm~25mm、1~20mm、又は0.75~10mm(例えば、19mm)であってよい。幾つかの実施形態によれば、フィルタ700は、遠位端開口から約1~10mm又は2~8mm、例えば、約3mmであるがこれに限定されない位置に位置付けられてよい。
【0134】
幾つかの実施形態によれば、側面開口725は、選択的カット(例えば、選択的レーザカット)により、すなわちスケルトン220を形成するワイヤを切断せずに形成されてよい。幾つかの実施形態によれば、網組みスケルトン220のワイヤ間に位置付けられるポリマ層はスリット形成時に貫通される。有利な点として、ポリマ層の選択的カット(網組み200は基本的に無傷のまま残す)によって、側面開口の少なくとも幾つかを、スケルトン220によって分離されるがポリマ外層によっては分離されない複数の副側面開口727に細分してよい。例えば、
図7Bに示されるように、ポリマ層に形成されるほぼ60の側面開口725により、2500より多い、さらには3000より多い副側面開口が得られてよい。
【0135】
幾つかの実施形態によれば、結果として得られる副側面開口の数は、ポリマ層に形成された側面開口の数より多い。幾つかの実施形態によれば、結果として得られる副側面開口の数は、ポリマ層に形成された側面開口の数の少なくとも2倍である。幾つかの実施形態によれば、結果として得られる副側面開口の数は、ポリマ層に形成された側面開口の数の少なくとも4倍である。
【0136】
本願で開示されるフィルタ(例えば、フィルタ600、700、及び900)の何れかと基本的に同様であってよいフィルタ800の正面及び側面詳細図を示す
図8A及び
図8Bに示されるように。
図8Aに示されるように、側面開口825は基本的に空中ブランコの形状であってよく、それによってフィルタの内面における各側面開口の断面は、フィルタの外面の開口の断面より小さい。幾つかの実施形態によれば、側面開口は、
図8Bに示されるように、選択的カット(例えば、選択的レーザカット)により、すなわち網組み890を形成するワイヤを切断せずに、形成されてよい。幾つかの実施形態によれば、ライナのうち、ワイヤの下にある部分は無傷のままである。幾つかの実施形態によれば、ポリマ層と、網組み890のワイヤ間に位置付けられた内側ライナとはどちらも、スリット形成時に貫通される。幾つかの実施形態によれば、結果として得られる副開口の数は、ポリマ層に形成された側面開口の数より多い。幾つかの実施形態によれば、結果として得られる副側面開口の数は、ポリマ層に形成された側面開口の数の少なくとも2倍である。幾つかの実施形態によれば、結果として得られる副側面開口の数は、ポリマ層に形成された側面開口の数の少なくとも4倍である。
【0137】
次に、
図9を参照すると、これは
図2のマイクロカテーテル200等の塞栓術用マイクロカテーテルのフィルタ900のまた別の任意選択による構造を概略的に示している。幾つかの実施形態によれば、フィルタ900は1つのフィルタセクション920を含んでいてよく、これは複数の側面開口を含み、まとめて側面開口925と呼ばれる。幾つかの実施形態によれば、フィルタセクション920は20~80又は25~65又は40~50の側面開口(例えば、45の側面開口)を含む。幾つかの実施形態によれば、スリットは軸方向のスリットである。幾つかの実施形態によれば、スリットは環状リングに分散される。幾つかの実施形態によれば、側面開口925の各々の幅は、マイクロカテーテルの内面で測定して、5マイクロメートル~15マイクロメートル又は5マイクロメートル~10マイクロメートル(例えば、8マイクロメートル)であってよく、その長さL10は、マイクロカテーテルの内面で測定して、1~15mm、1~10mm、又は5~10mm(例えば、9mm)であってよい。
【0138】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ900は、遠位端開口からL9mm、すなわち約1~10mm又は2~8mm、例えば約3mmであるがこれに限定されない位置に位置付けられてよい。
【0139】
幾つかの実施形態によれば、側面開口925は、選択的カット(例えば、選択的レーザカット)により、すなわちスケルトン220を形成するワイヤを切断せずに、形成されてよい。幾つかの実施形態によれば、スケルトン220のワイヤ間に位置付けられるポリマ層はスリット形成時に貫通される。有利な点として、ポリマ層の選択的カット(網組み200を基本的に無傷に残す)により、側面開口の少なくとも幾つかが、網組みによって分離されるが、ポリマ外層によっては分離されない2つ又はそれ以上の副側面開口に細分されてよく、それによって、事実上、100を超える側面開口、500を超える側面開口、又は1000を超える側面開口が提供される。
【0140】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することを目的としているにすぎず、限定的であることは意図されない。本明細書で使用されるかぎり、単数形の冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈上、明らかにそうでない場合を除き、複数形も含むことが意図されている。さらに、「~を含む(comprises)」又は「~を含む(comprising)」という用語は、本明細書で使用されるかぎり、明記された特徴、整数、ステップ、動作、要素、又はコンポーネントの存在を明示するが、1つ又は複数のその他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント、又はその集合の存在又は追加が排除又は除外されることはないと理解されたい。幾つかの実施形態によれば、「~を含む(comprising)」という用語は、「基本的に~から成る(consisting essentially of)」、又は「~からなる(consisting of)」に置き換えられてよい。
【0141】
「約」という用語は、明記された量からの、その明記された量と実質的に同程度に1つ又は複数の機能的効果を実現する能力を保つ合理的なばらつきを指す。この用語はまた、本明細書において、明記された値のプラス若しくはマイナス10%、又はプラス若しくはマイナス5%、又はプラス若しくはマイナス1%、又はプラス若しくはマイナス0.5%、又はプラス若しくはマイナス0.1%、又はそれらの間の何れのパーセンテージの値を指してもよい。
【0142】
以上、多数の例示的な態様と実施形態を議論したが、当業者であればその特定の改良、追加、及び部分的組合せを想定するであろう。したがって、以下の付属の特許請求項及び今後導入される特許請求項は、かかる改良、追加、及び部分的組合せの全ても、その実際の主旨と範囲内にあるものとして含めることが意図される。
【実施例】
【0143】
実施例1-Sirtex Y90放射性塞栓ビーズ(Sir-Sphere(登録商標))の送達
図3A~
図3Dにおいて開示されるマイクロカテーテルを使用したビーズの逆流を標準的マイクロカテーテルを使用した逆流と同じ試験条件下で比較した。
【0144】
各マイクロカテーテルを、注入されたビーズを回収するための粗いメッシュで構成されるフィルタにその遠位端において接続され、また管内の一定流量5cc/分を保つ流量調整器に接続された管に挿入した。Sirtex Y90(25マイクロメートル)ビーズ(Sir-Sphere(登録商標))をシリンジポンプを使って5~10cc/分の一定の流量で注入し、注入を記録して、ビーズの逆流をモニタした。
【0145】
標準的マイクロカテーテルを使用した場合、逆流は5cc/分を超えてすぐの注入流量で始まったのに対し、本願で開示されるマイクロカテーテルを使用した場合、9cc/分と高い注入流量でも逆流は観察されなかった。
【0146】
図10は、本願で開示される塞栓術用マイクロカテーテル(本願で開示のMC-下のパネル)と標準的なマイクロカテーテル(標準MC-上のパネル)を使ったSirtex Y90ビーズの逆流のモニタ時に様々な時点で撮影した代表的画像を示す。逆流は、本願で開示されるマイクロカテーテルを使用した場合、標準的マイクロカテーテルと比較してかなり防止されていることがはっきりとわかり得る(逆流したビーズは矢印1000で示されている)。さらに
図11からわかるように、本願で開示されるマイクロカテーテルを使用した場合、Sirtex Y90ビーズ(Sir-Sphere(登録商標))の逆流は、標準的なマイクロカテーテルの場合の×1.8倍高い注入量で初めて発生する(約5ml/分に対して約9ml/分)。
【0147】
実施例2-Celonova Embozene(登録商標)40マイクロメートルブランドの塞栓ビーズの送達
図3A~
図3Dにおいて開示されたマイクロカテーテルを使用したビーズの逆流を標準的マイクロカテーテルを使用した逆流と同じ試験条件下で比較した。
【0148】
各マイクロカテーテルを、注入されたビーズを回収するための粗いメッシュで構成されるフィルタにその遠位端において接続され、また管内の一定流量5cc/分を保つ流量調整器に接続された管に挿入した。Embozene(登録商標)40マイクロメートルビーズを、シリンジポンプを使って5~10cc/分の一定流量で注入し、注入を記録して、ビーズの逆流をモニタした。
【0149】
標準的マイクロカテーテルを使用した場合、逆流は5cc/分を超えてすぐの注入流量で始まったのに対し、本願で開示されるマイクロカテーテルを使用した場合、9cc/分の注入流量まで逆流は観察されなかった。
【0150】
図11は、本願で開示される塞栓術用マイクロカテーテル(下のパネル)と標準的なマイクロカテーテル(上のパネル)を使ったEmbozene(登録商標)40マイクロメートルビーズの逆流のモニタ時に様々な時点で撮影した代表的画像を示す。逆流は、本願で開示されるマイクロカテーテルを使用した場合、標準的マイクロカテーテルと比較してかなり防止されていることがはっきりとわかり得る(逆流したビーズは矢印1100で示されている)。さらに
図12からわかるように、
図3Aの、本願で開示されるマイクロカテーテルを使用した場合(白い棒)、Sir-Sphere(登録商標)(
図12ではビーズタイプ1として示される)、TheraSphere(登録商標)ビーズ(
図12ではビーズタイプ2として示される)、及びEmbozene(登録商標)ビーズ(
図12ではビーズタイプ3として示される)の逆流は、標準的なマイクロカテーテルを使用した場合(黒い棒)の×1.8倍高い注入量で初めて発生する(約5ml/分に対して約9ml/分)。
【国際調査報告】