(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-26
(54)【発明の名称】スパイラル型エレメントのエントランス特徴物
(51)【国際特許分類】
B01D 63/12 20060101AFI20220719BHJP
B01D 63/00 20060101ALI20220719BHJP
C02F 1/44 20060101ALI20220719BHJP
【FI】
B01D63/12
B01D63/00 500
B01D63/00 510
C02F1/44 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569001
(86)(22)【出願日】2020-05-01
(85)【翻訳文提出日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 US2020030915
(87)【国際公開番号】W WO2020236415
(87)【国際公開日】2020-11-26
(32)【優先日】2019-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519350775
【氏名又は名称】アクア メンブレインズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ベックマン,クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】ヘリントン,ロドニー,イー
(72)【発明者】
【氏名】ロデリック,ケヴィン
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006HA62
4D006JA05A
4D006JA06A
4D006JA19A
4D006JA22A
4D006JB04
4D006JB07
4D006JB08
4D006MA06
4D006MC09
4D006MC62
4D006PA01
(57)【要約】
スパイラル型膜エレメントの膜シートの入口又は出口縁辺に加えられる特徴物は、スパイラル型膜エレメントの供給液のためにより開いた、より流体力学的に好ましい入口空間を容易にするために、膜シートの中央の供給水空間パターンと異なる高さ又はパターンを組み込んでもよい。この構成は、膜エレメントの供給端における汚損の可能性を低下させることができ、膜モジュールの入口及び出口端部での圧力低下を少なくする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)作用面と前記作用面の反対側の第2の面とを有する第1の透過膜シート部分と、
(b)作用面と前記作用面の反対側の第2の面とを有する第2の透過膜シート部分と、
(c)前記第1の透過膜シートと前記第2の透過膜シートとの間に配設される透過水キャリアであって、各シートの前記第2の面が前記透過水キャリアに面する、透過水キャリアと
を含み、
前記透過水キャリアが、前記第1の透過膜シートの縁辺の近くの領域に対応する縁辺領域の縁辺厚さと、前記縁辺領域より内側の領域に対応する内側領域の内側厚さとを有し、前記縁辺厚さが前記内側厚さより大きい、
流体濾過に使用される積層組成物。
【請求項2】
供給水スペーサをさらに含み、
前記供給水スペーサが、前記第1の透過膜シートの前記作用面に面して配設され、
前記供給水スペーサが、縁辺領域の縁辺厚さと、前記縁辺に近くない領域の内側厚さとを有し、
前記供給水スペーサエレメントの前記縁辺厚さと前記内側厚さとの差が、前記透過水キャリアの前記内側厚さと前記縁辺厚さとの差と同じである、
請求項1に記載の積層組成物。
【請求項3】
前記供給水スペーサが、前記縁辺領域に配設される追加のメッシュ材料の層を有するメッシュ材料のシートを含む、
請求項2に記載の積層組成物。
【請求項4】
前記追加のメッシュ材料の層の厚さが、前記透過水スペーサエレメントの前記内側厚さと前記縁辺厚さとの差に等しい、
請求項3に記載の積層組成物。
【請求項5】
前記透過水キャリアの前記縁辺厚さがゼロである、
請求項1に記載の積層組成物。
【請求項6】
前記透過水キャリアが、前記第1の透過膜シートの前記第2の面、前記第2の透過膜シートの前記第2の面、又は、その組合せの上に配設される複数の離間用エレメントを含み、
前記縁辺領域に配設される前記離間用エレメントが、前記内側領域の前記離間用エレメントの厚さより小さい厚さを有する、
請求項1に記載の積層組成物。
【請求項7】
前記供給水スペーサが、前記第1の透過膜シートの前記作用面、前記第2の透過膜シートの前記作用面、又は、その組合せの上に配設される複数の離間用エレメントを含み、
前記縁辺領域に配設される前記離間用エレメントが、前記内側領域の前記離間用エレメントの厚さより大きい厚さを有する、
請求項2に記載の積層組成物。
【請求項8】
前記透過水キャリア厚さが、前記第1の厚さから前記第2の厚さまで滑らかにテーパが付いている、
請求項1に記載の積層組成物。
【請求項9】
前記縁辺領域であり、且つ、前記内側領域ではない、前記第1の透過膜シートと前記第2の透過膜シートとの間に配設される接着剤
をさらに含む、
請求項1に記載の積層組成物。
【請求項10】
(a)請求項1~8のいずれか一項に記載の積層組成物を提供することと、
(b)前記縁辺領域の前記第1の透過膜シートと前記第2の透過膜シートとの間に接着剤を配設することと、
(c)前記積層スパイラル型組成物をスパイラル型エレメントに巻き上げることと、
(d)前記縁辺領域の一部に対応する前記スパイラル型エレメントの一部を取り除くことと
を含む、
スパイラル型水処理エレメントを作る方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、流体成分の分離に利用される膜システム、特に、スパイラル型膜エレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
スパイラル型膜濾過エレメントは、当該技術分野で知られており、通常は、多孔質の透過水キャリアに、又はその周囲に密着された膜シートから構成される積層構造で構成され、これは、膜を通過した流体を中心管へ、中心管の軸に対して長手方向に移動させるための経路を作り、その一方で、この積層構造は中心管の周囲に渦巻状に巻かれ、それ自体が多孔質の供給水スペーサによって離間され、流体がエレメントを通って軸方向に流れるようになっている。伝統的に、供給水スペーサは、一部が膜を通過する供給水がスパイラル型エレメントに流れることを可能とするために使用され、中心管に平行な向きで且つエレメントの構成に対して軸方向に、リジェクト水がエレメントを出ることを可能とする。
【0003】
スパイラル型エレメントの設計に対する改良形態が、Bargerらに対する米国特許第6,632,357号、Bradfordらに対する米国特許第7,311,831号、並びに、Herringtonらに対する「Improved Spiral Wound Element Construction」と題されるオーストラリア国特許(第2014223490号)及び日本国特許(第6499089号)において開示されており、それによれば、従来の供給水スペーサの代わりに、膜の内面又は外面上に直接堆積されるか又はエンボス加工される、アイランド又は突起が使用される。通常、流体供給流れは、スパイラル型エレメントの中心管に垂直である。製造時、エレメントをスパイラル構成で巻き取った後、膜シートエンベロープは接着後に切断され、膜エンベロープの供給縁辺は、供給液の流れに対して平坦面を示す。Herringtonらに対する「Flow Directing Devices for Spiral Sound Elements」と題される米国特許出願第PCT/US17/62425号は、供給流中の粒子による閉塞が膜エンベロープの端部に影響を与えることの回避を支援するために、スパイラル型エレメントの供給端を流体流れに押し流させるターニングベーンを組み込むテレスコーピング防止装置を記載している。これらの特許はいずれも、エレメントの供給端への流路又はエレメントのリジェクト端からの流路を改善する、スパイラル型エレメントのエンベロープの入口(供給又はエントランスとも呼ばれる)及び出口(リジェクト又はアウトレットとも呼ばれる)端上で膜シートエンベロープに適用できる特徴物を記載していない。
【0004】
発明の開示
Bargerらに対する米国特許第6,632,357号、Bradfordらに対する米国特許第7,311,831号、並びに、Herringtonらに対する「Improved Spiral Wound Element Construction」と題されるオーストラリア国特許(第2014223490号)及び日本国特許(第6499089号)の文脈によって、本発明を理解しやすくすることができ、そのそれぞれが参照によって本願に援用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、スパイラル型膜エレメントの供給水空間へのより空気力学的又は流体力学的なエントランス経路、並びに、エレメントのリジェクト端上へのエレメントからのより平滑な移行を作るために、膜エンベロープ上にテーパ付端部を提供する。改良された端部は、例として、(a)膜エンベロープの縁辺の互いへの直接結合による狭い透過水キャリアを、(b)略均一な層の厚さを提供するこれらの領域の改良された供給水スペーサと組み合わせることによって実現することができる。この構成は、均一で平坦な構成を有する従来の供給水スペーサメッシュに組み込むのが困難である可能性がある。しかしながら、膜表面に直接印刷される供給水スペーサを採用することによって、より流体力学的なエントランス及び出口流路を容易にするために、テーパ付特徴物を、膜シートの供給端及びリジェクト端上の供給水スペーサ印刷パターンと一体化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図面の簡単な説明
【
図1】巻き上げ前の従来のスパイラル型膜エレメントの略図である。
【
図3】従来のメッシュ型膜エレメントの断面図である。
【
図4】膜エンベロープの端部を終わりまで先細りさせた供給水スペーサを有するスパイラル型膜エレメントの入口端を示す例示的実施形態の断面図である。
【
図5】膜エンベロープの端部が切り取られた後の、スパイラル型膜エレメントの入口端を示す例示的実施形態の断面図である。
【
図6】入口及び出口端部におけるより高いスペーサが所定の位置に維持されるように膜エンベロープの端部が切り取られた後の、スパイラル型膜エレメントの入口端を示す例示的実施形態の断面図である。
【
図7】スパイラル型膜エレメントのエントランス端を有する例示的実施形態の断面図であり、接着剤は膜シートにのみ加えられている。
【
図8】スパイラル型膜エレメントのエントランス端を有する例示的実施形態の断面図であり、透過水キャリアは縁辺でテーパが付けられている。
【
図9】従来の供給水スペーサメッシュを組み込む膜エレメントを含む、例示的実施形態の縁辺の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
発明を実施するための形態及び産業上の利用分野
図1は、巻き上げ前の従来のスパイラル型膜エレメントの略図であり、従来のスパイラル型膜エレメント100の重要なエレメントを示す。透過水収集管12は、透過流体が透過水キャリア22から収集される収集管12の穴14を有する。製造時、膜シート36は、一方の面28上の非活性多孔質支持層、たとえば、ポリスルホンと、支持層に結合又は鋳造される他方の面24上の活性ポリマ膜層とから構成される、中心線30で折り畳まれる単一の連続シートである。組み立てられたエレメントにおいて、活性ポリマ膜表面24は、供給水スペーサメッシュ26に隣接し、非活性支持層28は、透過水キャリア22に隣接している。供給液16は、活性ポリマ膜表面24の間に入り、供給水スペーサメッシュ26の開放空間を通って流れる。供給液16が供給水スペーサメッシュ26を通って流れると、膜によって除外される粒子、イオン、又は化学種は、活性ポリマ膜表面24でリジェクトされ、透過流体の分子、たとえば、水分子は、活性ポリマ膜表面24を通過して、多孔質透過水キャリア22に入る。供給液16が活性ポリマ膜表面24に沿って通ると、大量の供給液16中の透過流体の損失のために、膜によって除外された材料の濃度は増加し、この濃縮流体は、リジェクト液18として、活性ポリマ膜シート24のリジェクト端を出る。透過水キャリア22の透過流体は、透過水キャリア22の遠位端34から、透過流体が中心管エントランス穴14を通って中心管12に入る中心管12の方向に流れ、透過液20として中心管12を出る。供給液16による透過流体の汚染を避けるため、非活性ポリマ膜層28は、透過水キャリア22を通して接着線32に沿って接着剤で密着され、それによって、透過液20のための唯一の出口経路が中心管12を通る、密着された膜エンベロープを作る。通常、巻き上げプロセスの間に接着剤が圧縮された後、接着線32の幅は1~3インチである。
【0008】
組み立てられたスパイラル型膜エレメント200が
図2に示される。膜エンベロープ102は、
図1に関して記載されたように、一端で折り畳まれた膜シート36を含み、透過水キャリア22は、その間に膜シートが配設され、好適な接着剤で縁辺に沿って密着される。膜エレメントの従来の設計では、供給水スペーサメッシュ26は、供給流体16の流れが膜エンベロープ102の間を流れることを可能にし、膜シートの活性ポリマ表面のすべてを供給流体にさらすために、エンベロープ102に隣接して配置される。透過水又は生成物流体は、膜エンベロープ102の内部の透過水キャリアに収集され、生成物又は透過流体が収集される中心管12まで渦巻状に進む。単一のスパイラル型エレメントは、単一の膜エンベロープ及び供給水スペーサ層を含んでもよく、又は、エレメントを形成するために積み重ねられて一緒に巻き上げられた複数の膜エンベロープ及び供給水スペーサ層を含んでもよい。
【0009】
図3を参照すると、膜エンベロープは、第1の膜シート24、透過水キャリア22の層、及び、第2の膜シート28の縁辺を接着剤104で密着させることによって作られる。スパイラル型エレメントの製造のプロセスにおいて、個々の膜リーフ24及び28は半分に折り畳まれ、透過水キャリア22はそれぞれの折り畳まれたシートの間に配置され、接着剤は透過水キャリアの頂部に加えられ、エレメントは層状スパイラル構成を生成するために巻き上げられる。巻き上げプロセスの間、
図2のように膜エンベロープ102を作るために膜シート24及び28を適切に密着させるために、接着剤104は、透過水キャリア22を通って浸透しなければならない。膜エレメントの最終的な構成を完成させるために、端部は、切断線44に沿って、接着材料104を通って切り取られる。切り取られた後、エレメントの縁辺の接着線32は通常、膜エンベロープ102の面134から透過水キャリアに1~2インチ内向きに延在する。多くの流体供給の用途において、流体16は、エンベロープ102の平坦な端面134に影響を与えることがある粒子又は不純物を含むことがあり、それによって、粒子が端面134に集まることが可能となり、それによって、エンベロープ102のリーフの間の供給水空間への流体流れを制限される。さらに、供給水スペーサメッシュ23は通常、プラスチックウェビング型メッシュを含むことができ、それによって、メッシュの切断端も、エンベロープ102の間の供給水空間のエントランス領域に粒子を蓄積するように働く。供給水スペーサメッシュ23は、接触点140で結合される上ストランド136及び下ストランド138を含む。既存のメッシュ型スペーサ膜エレメントの別の好ましくない特性は、供給流体がメッシュスペーサにおいて圧力損失をもたらすストランド136及び138の上下を流れなければならないということである。これらの圧力損失は、膜システムの作動のエネルギーコストを増加させる。圧力損失を減少させることができれば、システムの全体的なエネルギー所要量を減少させることができる。従来の膜エレメント200の典型的な構成では、膜シート24及び28は、透過水の中心収集管12への流れを可能にする膜シートの縁辺まで延在する透過水キャリア22を囲む(
図2)。
【0010】
流体力学的観点から、膜エンベロープ102の平坦な端面134に影響を与える供給流体16は、最適ではなく、流体が大きな流れから供給水流路に移行するとき、流体流れにさらなる抵抗をもたらす。
【0011】
図4に示される本発明の例示的な実施形態において、膜モジュール400の端部の一部の断面が示されている。供給水スペーサメッシュ23(
図3)は、膜リーフ24の1つの活性ポリマ表面に直接加えられる、第1の厚さを有する離間用特徴物70に置き換えられている。離間用特徴物70は、システムの望ましい性能と適合する任意のパターン又は高さとすることができる。膜リーフ28の対向する側は、任意選択的に、表面に加えられる離間用特徴物を有することができる。示される例示的な実施形態において、透過水キャリア22は、膜シート24及び28の端部まで完全には延在せず、透過水キャリア22の縁辺74で終端する。本実施形態において、透過水キャリアの縁辺74は、接着線72の幅の範囲内で、さらに延在する。エレメント製造中、膜シート間の透過水キャリアの存在なしに、膜シート24及び28の密着を容易にするために、第1の厚さより大きい第2の厚さの離間用特徴物76が、膜シート24の終端縁に加えられ、およそ透過水キャリアの縁辺74まで延在する。膜エレメントが製造中に一緒に巻き上げられると、より厚い離間用特徴物76は、膜シート24及び28を端部で一緒に圧縮し、それによって、終端縁で膜シート24及び28を接触させる。接着剤72は、膜シート24及び28の端部、さらに透過水キャリア22を密着させて、膜エンベロープを密着して、それを供給及びリジェクト流体流れから切り離す。接着剤が硬化した後、膜エレメントの端部は、たとえば、切断線78の1つで切り取ることができ、
図5及び
図6に示される構成を生成する。
【0012】
より厚い離間用特徴物76は、厚さを均一とすることができる、又は、外縁から透過水キャリアの領域まで厚さの遷移を作るように、透過水キャリアから離れる縁辺の方でのより厚い厚さから、透過水キャリアの方でのより薄い厚さへと厚さを変えることができる。より薄いスペーサ70及びより厚いスペーサ76の厚さは、より厚いスペーサが、その最大厚さにおいて、シートの内側部分の間に存在するが縁辺の近くに存在しない透過水キャリア22の厚さと等しい又は略等しいように選択される。これは、膜シート24及び28、透過水キャリア22、より薄いスペーサ70及びより厚いスペーサ76、並びに接着剤72を含むエレメントのそれぞれの完全な層の全厚を事実上一定であるようにすることができ、エレメントは一貫して略均一な直径に巻かれる。
【0013】
例示的実施形態の
図5のようなエレメント端部500の断面部分は、余分な縁辺及び供給水スペーサが切り取られた後、供給流体16が膜シート24と28との間の供給水空間67に入るための平滑でテーパ付きの入口流路を提供する。たとえば、透過水スペーサ22は、高さ0.010インチとすることができる。膜シート24及び28は、たとえば、高さ0.005インチとすることができる。
図5に示される例示的な実施形態において、膜エンベロープの端面82は、たとえば、
図3に示されるより厚い端面134とは対照的に、高さ0.010インチとすることができる。より薄い端面82は、供給流体16の流れを制限する可能性がある、粒子を収集する正面の表面積がより小さくなるので、有利である可能性がある。より薄い端面82は、供給水流路の入口における圧力損失を減少させるという点で有利である可能性がある、流体供給水空間67へのテーパ付き入口流路も可能とし、それによって、エレメントを通して流体を圧送するのに必要なエネルギーは減少する。
【0014】
より厚い端部供給水スペーサ76(
図4)を取り除くようにエレメントを切り取ることにより、流れのための開構成を提供することができる。しかしながら、
図5に記載されているように、その設計を確実にするようにスパイラル型エレメントを巻き上げて、正確に切り取ることは難しい。
図6に示される構成は、透過水キャリア22からより遠くで端部を切り取ることによって、より厚い端部供給水スペーサ76を保持する、膜エレメント600の縁辺の断面の別の実施形態を示す。この例では、より厚い端部供給水スペーサのいくつかは切り取られ、一方、いくつかの端部供給水スペーサ76は供給水流路に残っている。これらの特徴は、
図5に示される構成よりも供給水流路により多くの障害物を提供するが、供給水スペーサ70がエレメントの一端から他端まで高さが均一である場合に実現される可能性があるものよりもさらに開いた領域を流れに提供する。
【0015】
図7を参照すると、膜エレメント700の縁辺の断面は、より少ない接着剤が膜エンベロープを密着するために使用されている例示的な実施形態を示している。膜リーフを密着させるために必要とされる接着剤の量は、切取り後、膜エンベロープの縁辺のテーパ付凹部84(
図5)のみ接着剤を含むように接着剤72を加えることによって、かなり減少させることができ、接着剤は、透過水キャリア22の外縁74まで内側に伸ばす必要はない。これは、エレメントの縁辺の方まで伸びない、より細い透過水キャリア22を採用することによって、接着線32を作るために使用される接着剤72の量を減少させることによって、又は、その2つを組み合わせることによって、実現することができる。従来の膜エレメントの製造では、接着剤(glue)は透過水キャリア22に浸透し、膜シート24及び28の裏面と接触しなければならない。この製造アプローチは、接着剤72の特性のため、多くの場合、難易度が高い。従来の製造アプローチの接着剤72は、透過水キャリア22に浸透して、膜シートの裏面に密着するために、非常に特別な粘性、揺変性、及び湿潤性を有しなければならない。
図7の例示的な実施形態のように、接着剤72が膜リーフ24及び28の2つの裏面を密着させるためにのみ必要とされるとき、接着剤72の特性は、それほど特別ではないものとすることができ、それにより、接着剤の量を少なくできるだけでなく、より低コストの材料とすることができる。膜シート24及び28を密着させるのに十分な接着剤のみ利用することにより、必要な接着剤の量は最小化される。本発明は、透過水キャリア74の外縁まで伸びる接着剤層がある場合及びない場合の両方で機能する。
【0016】
図8に示される例示的な実施形態において、膜エレメント800の縁辺の断面は、改良された透過水キャリア縁辺を含む。多孔質透過水キャリアの外側縁辺92は、より薄い供給水スペーサ70とより厚い供給水スペーサ76との間の移行領域をより容易にするために、そのような縁辺から遠位の部分に対してより薄い。透過水キャリア22が織られた又は押し出されたサーモポリマー材料を含む実施形態において、薄くすることは、たとえば、ヒートシーラを使用して、圧力下で縁辺を加熱することによって行うことができる。透過水キャリア22の縁辺をテーパ付けする又は減少させることにより、巻き上げ時に圧縮されるとき、膜シート24及び28によって要求される曲げ又は変形の厳しさは減少する。透過水キャリアのより薄い外縁92を作る他の例示的な方法は、カスタムメイドの圧縮、押し出し、カスタムメイドの製織、透過水キャリアの既存のシート上のテーパ付縁辺の共成形、及び、これらの組合せを含む。
【0017】
前の例はすべて、膜表面上に直接印刷された供給水スペーサを組み込み、それは、エレメントを通しての圧力損失の減少及び端部の汚損の減少という範囲の利益を提供することができるが、同様の階段状又はテーパ付端部構成も、従来の供給水スペーサメッシュ、及び、膜エレメントの全長にわたって延在しない透過水キャリア層を使用して製造することができる。
図9に示される例示的な実施形態は、従来の供給水スペーサメッシュを組み込む膜エレメント900の縁辺の断面を示す。1つの厚さの単一の連続的な供給水スペーサ23は、膜シート24と28との間に供給間隔を提供し、一方、透過水キャリアと同じ厚さの追加のメッシュストリップ94は、エレメント巻き上げ中に均一な厚さを作るために、供給水スペーサの各縁辺に配設される。そのような例示的な実施形態は、印刷された実施形態の利点のすべてを提供しないことがあるが、単一の厚さの供給水スペーサとともに巻き上げられる従来のエレメントと比較して、階段状メッシュスペーサは、圧力損失に関する改善をさらに提供することができる。
【0018】
同様に、メッシュ及び印刷されたエレメントの組合せは、それらが、縁辺の組み合わされたスペーサが、流れをリジェクトするように供給流れの開口を作り、同時に、透過水キャリアが存在しない縁辺で領域を補う厚さを追加するように構成される場合に、階段状又は段階的なエントランス/出口特徴物を提供するために採用することができる。
【0019】
濾過膜、特に、薄膜複合逆浸透膜は通常、非常に脆弱であり、供給水スペーサメッシュとの接触によって、又は、フィルム表面上に特徴物を印刷する若しくは堆積させるプロセスによって、損傷を受ける可能性がある。したがって、膜シートの作用面に接触する印刷された又はメッシュの供給水スペーサがないエレメントの組立てを可能にすることは有利である可能性がある。オーストラリア国特許第2014223490号は、透過水キャリア上への特徴物の印刷を記載しており、それは、供給間隔を提供するために、順に、膜シートを変形又はエンボス加工するが、そのような構成において接着剤に隣接する縁辺で供給間隔の離隔を提供することは難しい。透過水キャリア上に配設されるより薄い供給水スペーサを、膜表面上に配設される縁辺のより厚いスペーサと組み合わせることによって、エレメントは、膜の作用面と接触する、任意の印刷された又はメッシュの離間用特徴物なしで作ることができ、同時に、エレメントの端部で追加の間隔を提供する。より厚いスペーサと接触する膜シートの領域は、接着剤で互いに密着され、これらの領域において膜を通した浸透を防ぐ。したがって、より厚い縁辺スペーサに起因する膜シートの表面への任意の損傷は、膜シートの浸透又は脱塩特性に影響を与えない。
【0020】
この技術が膜エンベロープの縁辺シールに適用されるとき、主要な流体力学的改善及び汚損改善がもたらされるが、記載された技術は、接着剤及び透過水キャリアの使用の減少から利益を得る膜エンベロープの遠位端34における接着シールにも適用することができることが分かる。端部シールの場合、より厚い供給水スペーサの追加を使用することができるが、それは、リーフの端部にわたってスペーサ特徴物を有しないことによっても実現することができる端部シールにわたって一定の厚さを維持することほど必要ではない。
【0021】
各種の例示的な実施形態に関連して本発明を説明した。当然のことながら、上記の説明は本発明の原理の応用を説明したに過ぎず、本発明の範囲は、明細書に照らして特許請求の範囲を読むことにより判断されるものとする。本発明のその他の変更形態及び改良形態は、当業者にとって明らかであろう。
【国際調査報告】