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特表2022-533878合成ペプチドbrap及びその新型コロナウイルスによる肺炎の抗炎症薬の製造のための使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-27
(54)【発明の名称】合成ペプチドbrap及びその新型コロナウイルスによる肺炎の抗炎症薬の製造のための使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 7/06 20060101AFI20220720BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20220720BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220720BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220720BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20220720BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20220720BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20220720BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
C07K7/06
A61K38/08 ZNA
A61P43/00 111
A61P11/00
A61P31/14
A61P37/08
A61P11/02
A61P29/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021552956
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(85)【翻訳文提出日】2021-09-06
(86)【国際出願番号】 CN2020100629
(87)【国際公開番号】W WO2021253523
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】202010546684.0
(32)【優先日】2020-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520177806
【氏名又は名称】泰安市啓航生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】張 万琴
(72)【発明者】
【氏名】李 蔭田
(72)【発明者】
【氏名】吉 学文
(72)【発明者】
【氏名】趙 麗美
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA17
4C084BA23
4C084MA59
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA59
4C084ZB11
4C084ZB13
4C084ZC41
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA15
4H045EA28
4H045FA33
4H045GA15
4H045GA21
4H045HA03
(57)【要約】
本発明は、合成ペプチドbrap及びその新型コロナウイルスによる肺炎の抗炎症薬の製造のための使用を開示し、生物医学の技術分野に属する。合成ペプチドbrapのアミノ酸配列は配列番号1である。brapは、Gタンパク質共役のブラジキニンB1およびB2受容体に対して、いずれも明らかな標的トッキングと抑制作用を有し、brapの鼻腔内投与は、アレルギー性鼻炎に対する局所作用と肺漏出、肺損傷及びLPSにより誘発されるサイトカインストームに対する全身的な薬効作用を有する。brapの静脈内投与は、LPS誘発のマウスの過剰な炎症、酸化ストレス反応及び重症の肺損傷の何れに対しても明らかな抑制作用を有し、LPS誘発の炎症性サイトカインストームにおける炎症誘発性サイトカインであるIL-6、TNF-αの過剰放出、IL-6 mRNAの過剰発現及び活性酸素ラジカル(reactive oxygen species,RSO)の大量な発生に対して明らかな抑制作用を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸配列が配列番号1であることを特徴とする合成ペプチドbrap。
【請求項2】
(1)Gタンパク質共役のブラジキニンB1およびB2受容体を抑制する薬の製造のための使用、(2)抗急性肺損傷薬の製造のための使用、(3)新型コロナウイルスによる肺炎用の抗炎症薬の製造のための使用、(4)抗アレルギー性鼻炎薬の製造のための使用のいずれか1つにおける請求項1に記載の合成ペプチドbrapの使用。
【請求項3】
前記使用(1)~(4)のいずれか1つに記載の薬の投与方法は静脈内投与又は鼻腔内投与であることを特徴とする請求項2に記載の合成ペプチドbrapの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生物医学の技術分野に属し、合成ペプチドbrap(bradykinin receptor antagonism peptides,brap)及びその抗急性肺損傷、特に新型コロナウイルスによる肺炎の抗炎症薬の製造のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、重症の新型コロナウイルスによる肺炎(COVID-19)が人間の生命を脅かしている。新型コロナウイルスが対応する標的がアンジオテンシン変換酵素II(ACE2)であることが研究者らにより発見されており、ウイルスのSタンパク質が細胞上のACE2に特異的に結合すると、ウイルスが細胞に入ることとなり、ACE2は新型コロナウイルスが細胞に感染する標的(すなわち細胞受容体)であるとともに、感染後、肺損傷を発生させる要因である。ウイルスは感染された細細胞内で複製することで、ACE2のレベルを低下させる。ACE2は、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)であり、カリクレイン-キニン系(Kallikrein-Kinin System,KKS)の重要なメンバである。
【0003】
ACE2のレベルの低下により、RAAS系におけるACE2とACE(アンジオテンシン変換酵素)のバランスが不均衡になり、ACEが相対的に増強するため、AngIIのレベルが上昇し、肺AT1a受容体が過剰に活性化され、肺の毛細血管の透過性が増加し、それに伴って肺水腫が発生して、肺の炎症反応が重症化する。KKS系において、Des-ArgブラジキニンはBK1受容体の作動薬である。ACE2はDes-Argブラジキニン-BK1受容体経路中のDes-Argブラジキニンを分解して不活性化するペプチドを有する。ACE2のレベルの低下によりDes-Argブラジキニン-BK1受容体経路が活性化される。BK1受容体の活性化は、炎症促進作用がある。
【0004】
ウイルスに感染した後、感染された細胞は炎症性サイトカインを発生し、抗ウイルスや自然免疫応答制御の作用を有する。しかし、感染された細細胞内でウイルスが大量に複製されて、免疫系が過剰に活性化されると、IL-6、TNF-α、IFN-γ等の炎症誘発性サイトカインが顕著に上昇し、炎症誘発性サイトカインはほかの免疫細胞を活性化又は招集することができ、免疫細胞からより多くのサイトカインを分泌することに至り、全身の免疫炎症反応が速やかに引き起こされ、多臓器不全を引き起こす。現在、新型コロナウイルス肺炎によるサイトカインストームの発病過程はまだ明らかではない。現在、新型コロナウイルスによる肺炎の重症度は、炎症誘発性サイトカインIL-6の上昇レベルに深く関わっており、IL-6の上昇は予後不良の一つの指標であることが明らかになっている。研究者らは、IL-6阻害剤の作用は、期待できることであると認定している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、アミノ酸配列が配列番号1である合成ペプチドbrapを提供する。
【0006】
本発明は、さらに、以下の(1)から(4)のいずれか1つにおける合成ペプチドbrapの使用を提供する。(1)Gタンパク質共役のブラジキニンB1およびB2受容体を抑制する薬の製造のための使用、(2)抗急性肺損傷薬の製造のための使用、(3)新型コロナウイルスによる肺炎用の抗炎症薬の製造のための使用、(4)抗アレルギー性鼻炎薬の製造のための使用。
【0007】
さらに、上記の発明において、(1)~(4)のいずれか1つの使用に係る薬の投与方法は静脈内投与又は鼻腔内投与である。
【0008】
本発明に係る使用は、毒性が低いとの特徴があり、2000mg/kgBW用量での静脈内投与の限度実験において毒性が見られない。
【0009】
本発明に開示した合成ペプチドbrapはアミノ酸配列が配列番号1である8種のアミノ酸からなる10ペプチド化合物(図1)である。brapは固相化学合成技術により工業的に合成することができ、合成ペプチドbrapの純度は99.5以上である(図2、3)。brapの静脈内投与による2000mg/kgBW用量での限度実験において毒性が見られない(表2)。最近、brapが急性肺損傷(Acute Lung Injury,ALI)、特に新型コロナウイルスによる肺炎(COVID-19)に関係していることが明らかになっている。急性肺損傷は、様々な要因に起因する肺胞上皮細胞と毛細血管内皮細胞の損傷による、漏出と炎症を特徴とする肺間質びまん性呼吸器疾患である。新型コロナウイルスが人体に入って、肺に対する損傷の過程は、ウイルスの細胞に対する病態生理学的反応(漏出と炎症を特徴とする病態生理学的反応)と生体免疫病理学的反応(ウイルスが感染細胞内で複製すると、炎症性サイトカインが放出され、ウイルスが大量に複製すると、生体免疫系が過剰に活性化されて、サイトカインストームが発生する)による損傷を含む。
【0010】
ウイルスの細胞に対する病態生理学的反応による肺損傷は、新型コロナウイルスの対応する標的であるACE2がKKS系とRAAS系に同属しているのが原因となる。ウイルス感染によってACE2のレベルが低下すると、KKS系とRAAS系が同時に活性化される。RAAS系において、ACE2のレベルの低下、ACE2とACEの間のバランスの不均衡、ACEの相対的な増強、AngIIのレベルの上昇、肺部AT1a受容体の過剰活性化で、肺部の毛細血管の透過性の増加、肺微小血管の漏出が引き起こされる。ACE2もKKS系に属し、Des-Argブラジキニンはブラジキニン(Bradykinin,BK)のB1受容体の作動薬である。ACE2はDes-Argブラジキニンを活性作用がないペプチドに分解させる。新型コロナウイルスに感染すると、感染された細胞のACE2レベルが低下し、これにより、Des-Argブラジキニン-B1受容体経路が活性化される。BKは受容体に結合することで生物学的役割を果たす。BK受容体はGタンパク質共役受容体(G protein coupled receptor,GPCR)であり、主にB1およびB2の2種類を含む。BKのB1受容体は誘導的に発現され、組織の損傷及び炎症反応がB1受容体の発現を誘導し得る。B1受容体が活性化されて、炎症性サイトカインの放出を促進し、好中球の浸透を増加し、好中球を活性化して過剰な炎症性メディエータ、活性酸素種(reactive oxygen species,ROS)を生成して、損傷部位の炎症反応に関与し、肺の炎症や損傷を拡大する。B2受容体が活性化されると、微小血管の透過性が顕著に高まり、血漿成分が大量に漏出して肺漏出を起こす。本発明により、合成ペプチドbrapはGタンパク質共役のブラジキニンB2受容体に対して、明らかな標的ドッキングと抑制作用があることが認められた。Brapはその標的ブラジキニンB2受容体にドッキングしてB2受容体タンパク質の膜貫通らせんから形成されたオープンポケットに分布し、その1番目の残基がポケットの外側へ向かい、10番目の残基がポケットの底部に位置する。brapとB2受容体の結合部位の分析によれば、10個の残基は何れもB2受容体にドッキングしており、ペプチドの各残基のエネルギー供給量を計算した(図4)。本発明により、機能としてbrapはB2受容体に対して、明らかな抑制作用があることが認められた(図5)。本発明により、両側鼻腔に合成ペプチドbrap(各側あたり50μL)を滴下することで、ラットのアレルギー性鼻炎だけではなくBKにより誘発されるモルモットの肺微小血管漏出に対しても明らかな抑制作用(P<0.01)があり、用量-反応関係を有することが分かった(図6、7)。また、本発明は、MDockPePを用いてbrap構造のBKのB1Rに対するドッキングを行った。2つの異なる方法を使って、2種のB1受容体構造をモデリングして、それぞれbrapとのドッキングを行い、計2回のドッキング結果を得、B1受容体(B1R)と合成ペプチドbrap(配位子)との相互作用残基をさらに解析した。本発明により、brapはU型で受容体のポケットに結合することが分かった(図8)。細胞内カルシウムイオン蛍光技術でbrapのブラジキニンB1受容体に対する機能活性の影響を検出し、brapはB1受容体に対して明らかな抑制作用があり、B1受容体の過剰活性化を低下させることが証明された(図9)。新型コロナウイルスによる肺炎の潜伏期とは、ウイルスが感染した後、ACE2レベルの低下による肺漏出や肺炎症の病態生理学的過程の発生・進行段階である。潜伏期から診断までの期間は、新型コロナウイルスによる肺炎による肺損傷を治療するためのゴールデンタイムである。brapは、Gタンパク質共役のブラジキニンB1およびB2受容体と拮抗することで、ACE2の低下による新型コロナウイルスによる肺炎の発生過程においての病態的反応を効果的に阻害し、ひいては点鼻投与の簡易な処理であっても、ブラキニンによるモルモットの肺血管透過性の増加と肺漏出を有意に減少させることができる。
【0011】
しかしながら、生体がウイルスを確実に除去するのは、人体の免疫系によるウイルスの死滅に依存するわけである。感染の初期に、新型コロナウイルスのSタンパク質と細胞上のACEとの特異的結合が顕著であり、ウイルスが細胞内での複製を開始すると、人体の免疫系が刺激され、感染された細胞は抗ウイルス作用や免疫調節作用を有する炎症性サイトカインを産生する。感染の後期に、感染された細胞内でウイルスが大量に複製されると、過剰な免疫反応を誘発してサイトカインストームを発生する。即ち、肺の免疫細胞を過剰に活性化させ、サイトカインを大量に生成する。
【0012】
LPSはグラム陰性菌の細胞壁成分であり、細菌内毒素の主要な成分でもあり、単核食細胞系を活性化させることができ、例えば腫瘍壊死因子(TNF-α)、インターロイキン6(IL-6)などの炎症性サイトカインを放出させ、好中球を活性化させ、炎症性メディエータと活性酸素種(reactive oxygen species,ROS)の生成を増加させる。さらに、本発明は、リポ多糖(lipopolysaccharide,LPS)を用いてマウスの過剰な炎症反応、酸化ストレス反応および深刻なサイトカインストームの誘発過程を観察したところ、マウスにLPS(5mg/kg i.p.)を腹腔内注射してから6時間後、LPSモデル群とモデル投与群のマウスはいずれも死亡直前の状態になることが認められ、症状としては、精神不振、頻呼吸、毛の立ち、下痢便、目の周辺に分泌物の出現及び涕涙などの全身多臓器障害症状があった。血清における細菌内毒素、IL-6、TNF-αの含有量及び肺組織におけるIL-6 mRNAの発現が顕著に上昇し、肺部ROSの含有量も顕著に上昇し(図10~15)、且つ肺胞隔壁(pulmonary septum)の肥厚、炎症細胞の浸潤、肺胞隔壁の局所的相互融合などの肺損傷の病理学的所見が見られた(図16)。
【0013】
本発明による、Brapの静脈内投与は、血液における内毒素のレベルを明らかに低下させ(図10)、肺組織におけるIL-6 mRNAの過剰発現を明らかに低下させ(図11)、血液における炎症性のサイトカインIL-6とTNF-αのレベルを明らかに低下させ(図12、13)、肺組織において過剰に増加したROSの含有量を明らかに低下させ(図14~15)、肺損傷の病理学的所見を明らかに軽減させる(図16)ことが分った。更に、本発明により、brapの鼻腔内投与は、肺組織におけるIL-6 mRNAの過剰発現を明らかに低下させ(図11)、血液における炎症性サイトカインIL-6とTNF-αのレベルを低下させ(図12、13)、肺組織においての過剰に増加したROSの含有量を低下させ(図14、15)、および肺損傷による肺の間質性炎症、肺胞隔壁の肥厚及び大量の炎症細胞の浸潤などの病理学的変化を軽減させる(図16)薬効もあることが分った。
【0014】
報告によれば、新型コロナウイルスによる肺炎の重症患者ではサイトカインストーム(即ち炎症ストーム)が発生しやすい。科学者らによって、IL-6は重要な炎症性サイトカインであり、炎症ストームを誘発する重要な経路であることがすでに発見されている。本発明により、静脈及び鼻腔にてbrapを投与することで、LPSにより誘発されたBalbcマウスの肺組織における過剰上昇のIL-6mRNAの発現を顕著に低下させることが認められた。更に、本発明により、ラットのアレルギー性鼻炎だけではなく、BKにより誘発されるモルモットの肺微小血管の漏出に対しても明らかな抑制作用があり(P<0.01)、用量-反応関係を(図6、7)示し、鼻腔内に投与すると、速やかに血液循環に入り、速やかに肺漏出(図7)、肺損傷(図15)を軽減させることができ、炎症性サイトカインIL-6mRNAの肺組織における発現(図11)を明らかに抑制することが証明された。本発明は、さらに、brapの鼻腔内投与が急性肺損傷の予防や治療に用いられるとの実験的根拠を提供した。Brapはポリペプチド固相合成技術を採用して合成した小ペプチドであり、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて純化し、質量分析にて同定し、brapの薬物の製造、構造の確認、品質研究などの面で定量的な資料を提供した。brapは、Gタンパク質共役のBKのB1およびB2受容体を阻害する作用があるため、新型コロナウイルスによる肺炎の発生段階において、brapは肺漏出に対して明らかな抑制作用があり、炎症の進行段階において、brapは過剰な炎症と酸化ストレス反応に対する明らかな抑制作用と肺組織損傷に対する顕著な保護作用がある。病状が重症の炎症ストーム段階に進行した場合、合成ペプチドbrapは明らかに過剰活性化の免疫炎症反応を抑制し、生体の免疫系の過剰活性化を低下させることができ、且つ症状の進行に応じて鼻腔や静脈の異なる経路で投与することができる。現在、臨床的に抗炎症の治療に用いられている主の薬物はグルココルチコイドであるが、グルココルチコイドは明らかな副作用がある。従来技術では、類似化合物が新型コロナウイルスによる肺炎の抗炎症薬物として使用されている報告はいまだに見られていない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】合成ペプチドbrapのアミノ酸組成の分析を示す図である。A:アミノ酸分析装置にて得た合成ペプチドbrapのアミノ酸組成の曲線図、B:合成ペプチドbrapアミノ酸の検出際に使用する基準品のアミノ酸成分の図。
図2】合成ペプチドbrapの高速液体クロマトグラフィー結果を示す図である。
図3】合成ペプチドbrapの質量分析結果を示す図である。
図4】合成ペプチドbrapのGタンパク質共役のブラジキニンB2受容体標的に対するドッキング実験を示す図である。
図5A】合成ペプチドbrapのブラジキニンB2受容体に対する抑制作用を示す図である。A:合成ペプチドbrapの陽性対照のブラジキニンB2受容体阻害剤HOE140の用量-反応曲線。
図5B】B:合成ペプチドbrapのブラジキニンB2受容体に対する抑制作用の用量-反応曲線。
図6A】鼻腔内投与の合成ペプチドbrapのラットアレルギー性鼻炎に対する薬効作用を示す図である。A:アレルギー性鼻炎のスコア。
図6B】B:治療前後スコアの変化。
図7A】鼻腔内投与の合成ペプチドbrapの、ブラジキニンにより誘導されたモルモットの肺微小血管漏出に対する明らかな抑制作用を示す図である。A:OD値-EB濃度基準曲線。
図7B】B:肺組織におけるEBの含有量。
図8】合成ペプチドbrapのGタンパク質共役のブラジキニンB1受容体標的に対するドッキングを示す図である。
図9A】合成ペプチドbrapのブラジキニンB1受容体に対する抑制作用を示す図である。A:ブラジキニンB1受容体の拮抗薬R892の用量-反応曲線。
図9B】B:合成ペプチドbrapのブラジキニンB1受容体に対する抑制作用の用量-反応曲線。
図10】brapのLPSにより誘発された血液における内毒素レベルの顕著な上昇に対する明らかな低下作用を示す図である。
図11】brapのLPSにより誘発された肺組織におけるIL-6mRNAの過剰発現に対する明らかな低下作用を示す図である。
図12A】brapのLPSにより誘発される血液におけるIL-6レベルの上昇に対する明らかな低下作用を示す図である。A:リボ多糖LPSの炎症性サイトカインIL-6の放出に対する促進作用。
図12B】B:合成ペプチドbrapのLPS(5mg/kg i.p.)により6時間誘発された際の炎症性サイトカインIL-6の放出に対する影響。
図12C】C:合成ペプチドbrapのLPSにより12時間誘発された際の炎症性サイトカインIL-6の放出に対する影響。
図13A】brapのLPSにより誘発される血液におけるTNF-αの上昇に対する明らかな低下作用を示す図である。A:リボ多糖LPSの炎症促進性サイトカインTNF-αの含有量の顕著な増加に対する促進作用。
図13B】B:合成ペプチドbrapのLPSにより6時間誘発された際の炎症性サイトカインTNF-αの放出に対する影響。
図13C】C:合成ペプチドbrapのLPSにより12時間誘発された際の炎症性サイトカインTNF-αの放出に対する影響。
図14A】brapのLPSにより誘発される肺組織におけるROSの含有量の上昇に対するbrapの明らかな低下作用の定性的分析を示す図である。
図14B】brapのLPSにより誘発される肺組織におけるROSの含有量の上昇に対するbrapの明らかな低下作用の定性的分析を示す図である。
図14C】brapのLPSにより誘発される肺組織におけるROSの含有量の上昇に対するbrapの明らかな低下作用の定性的分析を示す図である。
図14D】brapのLPSにより誘発される肺組織におけるROSの含有量の上昇に対するbrapの明らかな低下作用の定性的分析を示す図である。
図14E】brapのLPSにより誘発される肺組織におけるROSの含有量の上昇に対するbrapの明らかな低下作用の定性的分析を示す図である。
図14F】brapのLPSにより誘発される肺組織におけるROSの含有量の上昇に対するbrapの明らかな低下作用の定性的分析を示す図である。
図14G】brapのLPSにより誘発される肺組織におけるROSの含有量の上昇に対するbrapの明らかな低下作用の定性的分析を示す図である。
図15】brapのLPSにより誘発される肺組織におけるROSの含有量の上昇に対する明らかな低下作用の定量的分析を示す図である。
図16】brapのLPSによる肺損傷に対する明らかな保護作用を示す図である。A:正常対照群、B:LPSモデル群、C:sp2群、D:静脈内投与のbrap高用量群、E:静脈内投与のbrap中用量群、F:静脈内投与のbrap低用量群、G:鼻腔内投与のbrap群、H:デキサメタゾン投与のモデル群(陽性対照群)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
下記の非制限性の実施例は、当業者が本発明を全面的に理解するように説明するためのものであり、いかなる形態で本発明を制限するものではない。
【0017】
(実施例1)
合成ペプチドbrapのアミノ酸組成の試験:
10mgのサンプルを計量して水分解管に入れ、6mol/Lの塩酸20mLを加え、真空処理で脱気し、窒素ガスを注入し、管を封止する。110℃で22-24時間加水分解し、冷却した後、脱イオン水で50mLに定容して、よく混ぜる。1mLの加水分解液を精確に取り、真空乾燥し、1mLの脱イオン水を加えて蒸発乾燥し、さらに1mLの脱イオン水を加えて蒸発乾燥し、0.02mol/Lの塩酸1mLを精確に加えて再溶解する。0.22μmのフィルターで濾過し、装置(日立L-8900アミノ酸分析装置)に注入して測定する。測定結果は表1と図1に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
表1と図1から分かるように、合成ペプチドbrapは8種のアミノ酸からなる。
【0020】
(実施例2)
合成ペプチドbrapの合成手順、HPLC純化及び質量分析同定:
本技術は蘇州強耀生物科技有限会社より提供される。
【0021】
合成手順:アミノ酸配列のC末端からN末端の手順で行い、プロセスは以下の通りである。
【0022】
a.n当量の樹脂(固相合成担体)を計量して反応容器に入れ、DCM(ジクロロメタン)を加えて30分間膨潤させた後、DCMを取り除き、アミノ酸配列における一番目のアミノ酸を2n当量加え、2n当量のDIEA、適量のDMF、DCM(適量とは樹脂を十分に鼓動することができるようにすることが望ましい)を加え、DIEA(ジイソプロピルエチルアミン)、DMF(ジメチルホルムアミド)、DCMを、窒素ガスを吹き込みながら60分間反応させる。その後、約5n当量のメチルアルコールを加え、30分ぐらい反応させた後、反応液を取り除き、DMF、MEOHで洗浄する。
【0023】
b.反応容器の中にアミノ酸配列における二番目のアミノ酸(2n当量)、2n当量のHBTU(N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)ウロニウムヘキサフルオロホスファート)及びDIEAを加え、Nを吹き込みながら30分反応させ、液体を洗浄して除去し、ニンヒドリンで検出した後、ピリジンと無水酢酸で末端ブロッキングを行う。最後に洗浄し、適量の脱キャッピング剤を加え、Fmoc(9-フルオレニルメチルオキシカルボニル)保護基を除去し、洗浄し、ニンヒドリンで検出を行う。
【0024】
c.プロセスbに従って、順次にアミノ酸配列における異なるアミノ酸を加える。
【0025】
d.樹脂を窒素ガスで吹き付けて乾燥させてから、反応カラムから取り外し、フラスコに入れてから、フラスコの中に適当量(切削液と樹脂は約10mL/gの割合)の切削液(95%のTFA、2%のエタンジチオール、2%のトリイソプロピルシリル、1%の水からなる)を加え、振蕩し、濾過にて樹脂を除去する。
【0026】
e.ろ液を得、次いでろ液に多量のエーテルを加えて粗生成物を析出し、遠心分離して洗浄し、配列番号1であるアミノ酸配列に示す粗生成物を得る。
【0027】
得られた粗生成物を高速液体クロマトグラフィーにて純化し、ペプチドを凍結乾燥し、ペプチドの検出を行い、次いて質量分析により生成物を同定する。高速液体クロマトグラフィー結果は図2に示し、得られた合成ペプチドbrapの純度が99.72%であった。質量分析結果は図3に示し、合成ペプチドbrapの理論分子量が1023.17であった。質量分析同定による分子量は正確である。
【0028】
(実施例3)
ブラジキニンB2受容体(B2R)標的とbrapとのドッキング及び結合パターン:
本技術は南京欧際医薬科技サービス有限会社より提供される。
【0029】
NCBI Blastを採用してブラジキニン(BK)のB2受容体(B2R)に対してPDBベースに基づく配列の比較を行い、配列の類似性とカバレッジ比率がよい5UNFをテンプレートとして選択する。SchrodingerソフトウェアパッケージにおけるホモロジーモデリングモジュールPrimeを採用してB2Rの3次元構造のモデリングを行う。異なるモデリングのパラメータ設定によって2種類のB2Rの構造ファイルを得、後続でドッキングの合理性と再現性を確保するために、それぞれは、知識に基づく受容体構造とエネルギーに基づく受容体構造とする。さらにMDockPePを採用して、合成ペプチドbrapを2種類の受容体構造にドッキングさせ、該ドッキング実験は2回行う。ドッキング実験において、合成ペプチドbrapの結合位置は受容体タンパク質の膜貫通らせんにより形成された、オープンポケットの中に分布している(図4)。
【0030】
(実施例4)
細胞内カルシウムイオン蛍光法を用いたbrapのブラジキニンB2受容体に対する抑制作用の測定:
本技術は武漢合研生物医薬科技有限会社より提供される。
【0031】
HEK293/G15/Bradykinin2(B2R)の実験方法:細胞内カルシウムイオン蛍光方法で合成ペプチドbrapのブラジキニンB2受容体に対する抑制作用を測定する。
【0032】
1.成長集密度が80%に達するHEK293/G15/ブラジキニン2細胞をトリプシンで消化した後でカウントし、ウェルあたり2x10個/mLの密度でmatrigelを予めコーティングして置いた黒縁の透明な384ウェル培養プレートの中に巻込む。
2.細胞巻込み済の384ウェル培養プレートを5%CO、37℃のインキュベーターに置いて一晩培養する。
3.実験当日に、HBSSを用いて化合物である合成ペプチドbrapを30mMの貯蔵液になるように溶かす。
4.各ウェルに10μL、4xの無洗Fluo8色素を加えて、室温で1時間インキュベートする。
5.細胞をインキュベートする過程において、0.1%のBSAを含むHBSSで測定対象化合物である合成ペプチドbrapを五倍の希釈になるように希釈する。陽性阻害剤HOE140の初期濃度は3μMである。
6.EC10、EC20及びEC80は、B2受容体に対する異なる刺激強度を表す。
7.調製済の測定対象の化合物を細胞培養プレートに加え、FLIPRにて、データの記録を行う。
【0033】
図5の結果から分かるように、測定曲線は平滑で、はっきりしたS型曲線となり、IC50は1mM程である。
【0034】
(実施例5)
鼻腔内投与による合成ペプチドbrapのラットアレルギー性鼻炎に対する薬効実験:
本技術は上海美軒生物科技有限会社より提供される。
【0035】
一.動物モデルの準備
1.モデリング方法:
SDラットのモデリング:腹腔内注射による感作と点鼻による刺激の2段階を含む。オボアルブミンの腹腔内注射:1mgのオボアルブミン(Vレベル Sigma,アメリカ)を1mLの生理食塩水に溶かし、30mgの水酸化アルミニウムを加えて免疫補助剤とする。腹腔内注射によりラット1匹当たりに上記の調製済のオボアルブミン懸濁液を1回あたり1mL、一日おきに1回注射して、計7回実施した後、15日目にオボアルブミンの鼻腔刺激を実施する。20mgのオボアルブミン(Vレベル Signa,アメリカ)を1mLの生理食塩水に溶かして2%の溶液に調製し、その2%のオボアルブミン溶液を点鼻して刺激し、各ラットの両側鼻腔それぞれへ50μLずつを滴下し、7日間連続して実施する。
【0036】
空白対照群に対しては、30mgの水酸化アルミニウムと1mLの生理食塩水をよく混ぜてから腹腔内注射を実施し、その実施方法は上記と同じである。15日目に生理食塩水で点鼻する。
【0037】
2.症状評価
最後の点鼻処理を行った後、観察し、スコア基準表に基づいて、くしゃみ、鼻の抓め、喘ぎ、鼻の分泌物などの各ラットの症状に対して評価を行う。
【0038】
二.動物モデルの治療及び評価
1.投与方法:マイクロピペットでラットの両側鼻腔それぞれに薬を投与し、一側あたり50μLを投与し、投与してから20分後に、ラットの両側の鼻腔に2%のオボアルブミン溶液を一側あたり50μLで滴下して刺激し、この処理を4週間連続して実施した後、薬効を観察する。
【0039】
2.薬物の調製
合成ペプチドbrapの高用量:合成ペプチドbrapの凍結乾燥粉末(5mg/ボトル)を取り、1.63mLの無菌生理食塩水に加えて溶かす。
【0040】
合成ペプチドbrapの中用量:合成ペプチドbrapの凍結乾燥粉末(5mg/ボトル)を取り、4.89mLの無菌生理食塩水に加えて溶かす。
【0041】
合成ペプチドbrapの低用量:合成ペプチドbrapの凍結乾燥粉末(5mg/ボトル)を取り、14.67mLの無菌生理食塩水に加えて溶かす。
【0042】
同時に、合成ペプチドsp2高用量群と合成ペプチドsp2中用量群を対照群とし、合成ペプチドsp2高用量群の濃度は合成ペプチドbrap高用量群と同じであり、合成ペプチドsp2中用量群の濃度は合成ペプチドbrap中用量群と同じである。合成ペプチドsp2のアミノ酸配列は配列番号2に示す。
【0043】
3.症状評価
最終回のOVA刺激後、ラットに対してスコアリングを行う。実験結果は図6に示し、図6Aは合成ペプチドbrapのアレルギー性鼻炎のラットに対する薬効スコアを示す図であり、実験結果から分かるように、モデル群と比べて、合成ペプチドbrapの高用量群、中用量群及び低用量群は、いずれもOVAによるアレルギー性鼻炎の症状を改善することができ、且つスコアには有意差があり、これは合成ペプチドbrapはアレルギー性鼻炎の治療に良好な効果があることを示す。
【0044】
図6Bはラットの治療前後のスコアの変化を示す図であり、OVA刺激を継続して実施した後、モデル群のスコアが大幅に上昇し、ラットの死亡率も継続して上昇した(モデル時期の死亡率が2/54=3.7%、後期の投薬治療時期の死亡率が2/8=25%となる)。合成ペプチドsp2の中用量群と高用量群も治療実施後、スコアが上昇しており、これはsp2はOVA刺激による悪作用を完全に相殺することができないことを示唆する。合成ペプチドのbrap高用量群、中用量群及び低用量群は、治療後でスコアが低下し、これは合成ペプチドbrapが治療期間におけるOVA刺激による悪作用を完全に相殺させることができ、かつラットの正常への回復に一定の効果があることを示す。
【0045】
(実施例6)
鼻腔内投与による合成ペプチドbrapのブラジキニンにより誘発されるモルモットの肺微小血管漏出に対する影響:
本技術は上海美軒生物科技有限会社より提供される。
【0046】
一.動物の群分け及び処理
体重400g±5%のオスのモルモットを、各群に6匹ずつなるようにランダムで6つの群に分ける。
1.正常対照群:足の外側に等体積の生理食塩水を3日間連続して静脈内投与する。
2.モデル対照群:足の外側に等体積の生理食塩水を3日間連続して静脈内投与する。
3.陽性対照群:足の外側にデキサメタゾンを1.25mg/3mL/kg BWで3日間連続して静脈内投与する。
4.合成ペプチドbrapの高用量群:マイクロピペットでモルモットの両側鼻腔に濃度が3.0mM/Lの合成ペプチドbrapを一側あたり50μLずつ毎日注入し、3日間連続して実施する。
5.合成ペプチドbrapの中用量群:マイクロピペットでモルモットの両側鼻腔に濃度が1.0mM/Lの合成ペプチドbrapを一側あたり50μLずつ毎日注入し、3日間連続して実施する。
6.合成ペプチドbrapの低用量群:マイクロピペットでモルモットの両側鼻腔に濃度が0.33mM/Lの合成ペプチドbrap一側あたり50μLずつ毎日注入し、3日間連続して実施する。
【0047】
二、モルモットの肺漏出測定
1.3日間連続して投与し、最終回の投与から20分後、足の外側に1%EB(20mg/kg)とブラジキニン15nmoL/kg(生理食塩水で10nmoL/mLに希釈して、1.5mL/kg体重、つまり15nmoL/kg)を順次に静脈内投与する。正常群はEBとブラジキニンを注射しない。
【0048】
2.肺組織のEB測定:ブラジキニンを注射してから30分後、動物を麻酔した後、頸動脈から血を取って屠殺して、血液一般検査を行い、胸腔を開き、右心室と左心房を切り肺動脈に挿管し、流出液が澄清になるまで30mLの生理食塩水で肺循環を洗浄することを繰り返し、右肺下葉を取り出し、生理食塩水で表面の血液を洗浄し、フィルター紙で水分を吸い尽くし、100mgを取って細かく切り、2mLのホルムアミド溶液中に置き、45℃の水浴槽で24時間インキュベートする。1500rpm/minで5分間遠心分離し、上清液を吸い取り、620nmの波長で吸光度を測定する。図7Bに示すように、EB基準曲線(EB基準曲線は図7Aに示す)に基づいて肺組織のEBの含有量を求める。
【0049】
3.EB基準曲線の作成:0.1%のEB溶液を0.1mL精密に取り、生理食塩水0.9mLを加えて0.0l%のEB基準液1mLを調製し得、EB基準液を0.1mL取り2mLになるまでホルムアミドを加えて、最終濃度が5mg/Lの溶液を得、ホルムアミドでそれぞれ4、2、1、0.5mg/Lになるように希釈する。620nmの波長において吸光度のOD値を測定し、OD値を縦軸としEB濃度を横軸にして、OD値-EB濃度の基準曲線を作成し、基準曲線は図7Aに示すとおりである。
【0050】
三.実験分析
1.エバンスブルー(EB)はアルブミンと結合することができ、EBの漏出はタンパク質の漏出情況を反映し、肺組織に漏出したEBの含有量を測定することで、肺微小血管の透過性と肺微小血管の漏出程度を反映することができる。正常対照群と比べて、モデル群の肺組織EBの含有量は顕著に増加する(**はP<0.01を表す)が、合成ペプチドbrapの低、中、高用量群はいずれもモデル群より著しく低く(P<0.01)、用量-反応関係を有する。陽性対照群と比べて、低用量群のほか、有意差がない(^^はP>0.05表す)。
【0051】
2.正常対照群と比べて、モデル群の肺組織のEBの含有量が著しく増加し(**はP<0.001を表す)、合成ペプチドbrap低、中、高用量群はいずれもモデル群より著しく低く(P<0.01)、用量-反応関係を有する。陽性対照群と比べて、有意差がない(^^はP>0.05を表す)。
【0052】
(実施例7)
ブラジキニンB1受容体標的とbrapとのドッキング及び結合パターン:
本技術は南京欧際医薬科技サービス有限会社より提供される。
【0053】
1.NCBI Blastを採用してBradykinin(BK)のB1 receptor(B1R)テンプレートを選択し、PDBベースにおける配列の比較に基づいて配列の類似性とカバレッジ比率がよい5UNFをテンプレートとして選択する。
【0054】
2.SchrodingerソフトウェアパッケージにおけるホモロジーモデリングモジュールPrimeを採用して、B1に対して3次元構造のモデリングを行う。
異なるモデリングのパラメータ設定によって2種類のB1の構造ファイルを得、それぞれは、知識に基づく受容体構造とエネルギーに基づく受容体構造とする。
【0055】
3.MDockPePを採用して、合成ペプチドbrapを2種類の受容体構造にドッキングし、ドッキング実験は2回行う。
【0056】
4.ドッキング実験での最適な結合パターンに対してbrap-受容体結合相互作用のエネルギー分解を行い、合成ペプチドbrapにおけるアミノ酸残基のエネルギー寄与及びB1受容体との結合パターンが開示された。
【0057】
(1)Bradykinin(BK)B1受容体構造のホモロジーモデリング
B1受容体の配列をuniprotデータベースからダウンロードして、配列番号7に示すような、ホモロジーモデリングで採用されたB1受容体の配列を得る。
【0058】
(2)受容体Bradykinin(BK)B1 receptorと合成ペプチドbrapの分子とのドッキング
MDockPePを採用してB1受容体タンパク質とbrap構造とのドッキングを行う。
brapは8種のアミノ酸からなる10ペプチド化合物である。
図中、緑色は受容体タンパク質分子を表し、水色は合成ペプチドbrap分子を表す。
【0059】
(3)Modelにおける合成ペプチドbrapの残基ごとのエネルギー寄与を計算する。
B1(受容体)とbrap(配位子)との相互作用残基をさらに研究して、brapにおいての残基ごとに、距離が4A未満の範囲内での受容体残基を接触残基として定義し、これを基に、brapにおいての残基ごとのエネルギー寄与を計算する。
図中、緑色は受容体タンパク質分子を表し、水色はbrap分子を表す。
合成ペプチドbrapはU字型で受容体ポケットに結合する。
【0060】
(実施例8)
合成ペプチドbrapのブラジキニンB1受容体に対する抑制作用:
本技術は武漢合研生物医薬科技有限会社より提供される。
【0061】
1.HEK293/G15/ブラジキニン1実験方法:
細胞の回復:
回復が必要なHEK293/Gα15/B1細胞を液体窒素容器から速やかに取り出し、37℃のウォーターバスで融かす。細胞懸濁液を予備加熱しておいたDMEM+10%FBS培地に速やかに加え、遠心分離機にて1000rpm/minで5分間遠心分離する。遠心分離チューブを取り出し、上清液を除去し、遠心分離チューブに新鮮な予備加熱した培地を加え、細胞を再懸濁し、細胞懸濁液を培養皿に加え、37°C、5%COの条件下で培養する。
【0062】
細胞の継代培養:
B1受容体を安定的に発現するHEK293/Gα15/B1細胞をDMEM+10%FBSで培養する。細胞培養条件:HEK293/Gα15/B1細胞系の通常培養を行い、10%のウシ胎児血清とDMEMを含む培地で継代培養を行う。
【0063】
細胞が培養皿の80~90%を占めるまで増殖すると、0.25%のトリプシンで細胞を消化して、新しい培地を用いて細胞を再懸濁し、細胞は適当な割合で継代培養し、約2~3日に1回継代培養する。
【0064】
実験過程:
1.成長集密度が80%に達したHEK293/G15/ブラジキニン1細胞をトリプシンで消化した後でカウントし、ウェルあたり2x10個/mLの密度でmatrigelによりコーティングされた黒縁の透明な384ウェル培養プレートに巻込む。
2.細胞巻込み済の384ウェル培養プレートを5%CO、37℃のインキュベーターに置いて一晩培養する。
3.実験当日に、HBSSを用いて化合物である合成ペプチドbrapを30mMの貯蔵液になるように溶かす。
4.384ウェルプレートの各ウェルに10μL、4x無洗Fluo8色素を加え、室温で1時間インキュベートする。
5.細胞をインキュベートする過程において、0.1%のBSAを含むHBSSで測定対象の化合物である合成ペプチドbrapを五倍に希釈する。陽性阻害剤の初期濃度は10μMである。
6.EC10刺激剤の最終濃度が0.3nMであり、EC20刺激剤の最終濃度が0.6nMであり、EC80刺激剤の最終濃度が18nMである。
7.調製済の化合物を細胞培養プレートに加え、FLIPRにて、データの記録を行う。
【0065】
実験結果は図9に示す。brapとVehicle及びEC10とEC20のBradykinin混合溶液を細胞系に加えてから、15分間継続して培養した後、EC80刺激剤を加えて化合物の抑制活性を測定する。
【0066】
実験結果から分かるように、brapとEC80が共同作用する場合、S型曲線が明らかであり、これは、B1受容体の過度活化性に対して明らかな抑制作用があることを示す。一方、EC10とEC20が共同作用する場合の化合物の効果が明らかではなく、これは、前のステップでの反応でカルシウムイオンがかなり多く放出されて、短期間で二次信号を起こすことができないことになっていたのが原因であると推測される。
【0067】
(実施例9)
合成ペプチドbrapのLPSにより誘発されるマウスの急性肺損傷における保護作用:
本技術は上海美軒生物科技有限会社より提供される。
【0068】
一、動物の群分け及び処理
1.SPFレベルのBalb/Cマウス、オス、体重:20±2g、n=48
2.飼育条件:SPF無菌環境、25℃の定温環境、12時間おきの光交代照明、十分の水及び餌供給下で飼育する。
3.群分け及び処理:各群に6匹ずつなるようにランダムで8つの群(A-H)に分ける。
【0069】
3-1.モデリング前、それぞれ3日間連続して異なる処理を行う。
A.正常対照群:尾静脈内投与により生理食塩水を毎日1回投与する。
B.LPSモデル群:尾静脈内投与により生理食塩水を毎日1回投与する。
C.モデル投与のsp2群:尾静脈内投与によりsp2(16mg/kgBW)を毎日1回投与する。
D.モデル投与のbrap高用量群:尾静脈内投与によりbrap(16mg/kgBW)を毎日1回投与する。
E.モデル投与のbrap中用量群:尾静脈内投与によりbrap(8mg/kgBW)を毎日1回投与する。
F.モデル投与のbrap低用量群:静脈内投与によりbrap(4mg/kgBW)を毎日1回投与する。
G.モデル投与のbrap鼻腔内投与群:鼻腔内投与によりbrap(3mM)を両側鼻腔それぞれに15μLずつ、毎日1回投与する。
H.モデル投与のデキサメタゾン群(陽性対照群):腹腔内注射によりデキサメタゾンdexamethasome,DEX,5mg/kgを毎日1回投与する。
【0070】
3-2.実験当日、つまりモデリング当日:
A-H群の動物に対して上記処理を30分間継続して実施した後、A群に同体積の生理食塩水を腹腔内注射し、30分間の後で他の群にLPS 5mg/kgBWを腹腔内注射する。
【0071】
二、肺組織HE染色による病理学的検出
実験手順:
1.組織切片、プレーティング
2.組織脱ろう水和化
3.ヘマトキシリン染色液で5~20分間染色し(組織と実験要求に応じて調整する)、水道水で洗浄する。
4.分化液で30秒間分化する。
5.水道水で15分間、又は温水(約50度)で5分間浸漬する。
6.エオシン染色液に2分間置いて(組織と実験要求に応じて調整する)、水道水で洗浄する。
7.水道水で5分間浸漬する。
8.アルコール勾配により脱水:95%、100%I、100%IIの勾配で、それぞれの濃度で1分間ずつ実施する。
9.キシレンで透明化:キシレンI、IIで、それぞれ10分間ずつ実施する。
10.中性樹脂でシールする。
11.60度の乾燥機に置いて乾燥させ、顕微鏡下で観察する。
【0072】
実験結果は図16に示す。
【0073】
結果分析:
モデル群:肺胞隔壁(pulmonary septum)の肥厚、炎症細胞の浸潤、肺胞隔壁の局所的融合が見られる。静脈内投与によるbrapの高用量群(D)と鼻腔内投与によるbrap群(G)はいずれにも異常がない。
【0074】
図16BはLPSモデル群が正常対照群の図16Aとの比較であり、肺胞隔壁の肥厚、炎症細胞の浸潤、肺胞隔壁の局所的融合が見られる。図16CはLPS+合成ペプチドsp2群であり、炎症細胞の浸潤が明らかに見える。図16DはLPS+brap高用量群であり、肺胞隔壁の肥厚が見られず、明らかな炎症細胞の浸潤が見られない。E群とF群はそれぞれLPS+brapの中、低用量群であり、brap用量の低下に伴い、炎症細胞の浸潤が現れるようになる。G群は鼻腔内投与の群であり、D群と類似して、顕著な異常が見られない。H群はデキサメタゾン陽性対照群であり、炎症細胞の浸潤が顕著であり、肺胞隔壁の局所的融合が見られない。
【0075】
(実施例10)
血液サンプルにおける内毒素の含有量の検出:
血液サンプルにおける内毒素の含有量の検出
1 機器
【表2】
【0076】
2 試薬
【表3】
【0077】
実験手順:
内毒素検出リムルス試薬キットの説明書に従い操作する。
(1)実施例9でモデリングした各群マウスの抗凝血サンプルを取り、3000rpm/minで2分間遠心分離し、100μLの上清液を取り、0.9mLのサンプル処理液を加える。
(2)上記サンプルを乾熱器に置いて70℃で、10分間加熱した後、流水で冷却する。
(3)内毒素基準品濃度の勾配はそれぞれ1.0、0.5、0.25、0.1EU/mLである。
(4)内毒素の汚染がないテストチューブを取り、100μLの細菌内毒素検出用水、内毒素基準品、被験品をそれぞれ加える。
(6)100μLのリムルス試薬溶液を加え、よく混ぜ、アルミ箔を覆い、37℃で10分間インキュベートする。
(7)100μLの発色基質溶液を加え、よく混ぜ、37℃で6分間インキュベートする。
(8)500μLのアゾ試薬1溶液を加え、よく混ぜる。
(9)500μLのアゾ試薬2溶液を加え、よく混ぜる。
(10)500μLのアゾ試薬3溶液を加え、よく混ぜ、5分間静置する。
(11)545nmにおいて吸光度値を測定する。
【0078】
実験結果は図10に示す。正常群と比べて、LPS 5mg/kgBWを腹腔内注射してから6時間後、マウスの血液における内毒素のレベルが著しく上昇し、有意差がある。モデル群と比べて、合成ペプチドbrapの低、中、高用量群の血液における内毒素のレベルはいずれもモデル群より低く、用量-反応関係を有する。
【0079】
(実施例11)
qPCRによる肺組織IL6 mRNA発現の検出:
実験手順
試薬
【表4】
【0080】
1.サンプルの準備
1.1肺組織サンプル:実施例9でモデリングした各群マウスの新鮮な肺組織サンプルを取り、液体窒素で速やかに冷凍し、-80℃で保存する。
【0081】
2.総RNAの抽出(磁気ビーズ法で総RNA抽出試薬キット)
2.1組織サンプルを小片に切った後、液体窒素を加えて粉末(50mg)状になるまで研磨し、RNA酵素を含まない1.5mLのチューブに移す(細胞サンプル及び他の液体のサンプルを研磨せず、直接に次の手順に入る)。
2.2総RNAの抽出
【0082】
3.qPCR反応
Applied Biosystems 7300/7500/7500 Fast Real-Time PCR Systemと StepOnePlusTMReal-Time PCR Systemを使用する操作方法で行う。
【0083】
1.PCR反応液の調製
試薬 用量
SYBRRPremix Ex Taq 10.0μL
酵素混合物 2.5μL
PCR Forward Primer(10μM) 1μL
PCR Reverse Primer(10μM) 1μL
PCR逆転写 Primer(10μM) 0.5μL
RNAテンプレート 2.0μL
dH2O(滅菌蒸溜水) 3.0μL
Total 20.0μL
【0084】
2.Real Time PCR反応を行う。
【0085】
3.実験結果の分析。
反応が完了した後、Real Time PCRの増幅曲線と融解曲線を確認し、2-△△ct値等を計算する。
【0086】
4.プライマー配列
【表5】
【0087】
実験結果は図11に示す。図11からわかるように、合成ペプチドbrapの静脈内投与又は鼻腔内投与は、LPSにより誘発されるマウスの肺組織におけるIL-6 mRNAの過剰発現を顕著に低下させる。
【0088】
(実施例12)
血清サイトカイン含有量の検出:
試薬
【表6】
【0089】
実験手順
1.試薬キット中の試薬を取り出し、常温で30分間平衡化する。
2.基準品ウェルとサンプルウェルを設定し、基準品の各ウェルにそれぞれ濃度が異なる基準品を50μLずつ加える。
3.測定対象サンプルウェルにまず50μLの測定対象サンプル(実施例9でモデリングした各群マウスのモデルの血液サンプル)を加える。
4.基準ウェルと測定対象ウェルの各ウェルに100μLのHRP標記検出抗体を加える。
5.封止膜で反応ウェルを封止し、37℃で60分間インキュベートする。
6.液体を除去し、吸水紙に置いてたたいて乾燥させ、各ウェルいっぱいに洗浄液を加え、1分間静置する。
7.培養液を除去し、吸水紙に置いてたたいて乾燥させ、手順2~6を5回繰り返し実施する。
8.各ウェルにそれぞれ50μLのA\B基質を加え、37℃で15分間インキュベートする。
9.各ウェルに50μLの停止液を加え、15分間内でマイクロプレートリーダーにて450nmにおいてOD値を測定する。
【0090】
実験結果は図12図13に示す。
【0091】
1.正常群と比べて、LPS(5mg/kgBWの腹腔内注射)は、マウスの血清におけるTNF-aとIL-6のレベルの著しく上昇を誘発し、有意差がある(**はp値<0.01を表す)。
【0092】
2.モデル群と比べて、静脈内投与のbrap低、中、高用量群は、血清におけるTNF-aとIL-6のレベルが低下し、用量-反応関係があり(^^はp値<0.01を表す)、brapの点鼻群は、LPS処理12hでの血液におけるTNF-aとIL-6のレベルを低下させることができ、P<0.05である。
【0093】
(実施例13)
フローサイトメトリーを用いた各群肺組織におけるROSの蛍光強度の検出:
実験手順
1.実施例9でモデリングした各群マウスモデルの新鮮な左肺組織約100mgを取り、PBSで3回洗浄して血液を除去する。
2.組織をナイロンネットに置いて、研磨棒で研磨しながら、PBSで洗浄する。
3.細胞懸濁液を集めて、200メッシュのスクリーンでろ過し、組織塊を除去する。
4.細胞懸濁液を集めて、1000rpm/minで5分間遠心分離する。
5.細胞の上清を除去し、PBSを加えて再懸濁する。
6.無血清培養液で10μmol/LのDCFH-DAを調製する。
7.細胞を遠心分離してPBSを除去し、上記プローブ希釈剤を加えて、細胞濃度が10個/mLになるように調製する。
8.37℃で30分間インキュベートし、3分間おきに揺動する。
9.1000rpm/minで5分間遠心分離し、無血清培地で細胞を再懸濁して沈殿させる。
10.手順9を2回繰り返す。
11.500μLのPBSを加えて細胞を再懸濁し、フローサイトメトリーにて平均蛍光強度値を検出する。
【0094】
実験結果は図14に示す。図14Aは正常対照群であり、図14BはLPSモデル群(5mg/kgBWの腹腔内注射)であり、図14CはLPS+16mg/kgBWの合成ペプチドbrapであり、図14DはLPS+8mg/kgBWの合成ペプチドbrapであり、図14EはLPS+4mg/kgBWの合成ペプチドbrapであり、図14FはLPS+合成ペプチドbrap(両側鼻腔それぞれに、15μLずつ毎日一回注射する)であり、図14Gは陽性対照群(LPS+デキサメタゾン5mg/kgの腹腔内注射)である。
【0095】
図15はフローサイトメトリーにて検出された各群マウス肺組織におけるROSの平均蛍光強度を示す。
【0096】
(実施例14)
brapの静脈内投与2000mg/kgBW用量での限度実験:
実験条件:Good Laboratory Practice,GLP
一.被験動物:昆明種マウス、健康、成体、オス、体重≦20g、n=5匹
【0097】
二.被験サンプル:合成ペプチドbrap
1.Lot No.:04010039572、蘇州強耀生物科技有限会社より合成された。
2.含有量:サンプルは精密に分注されているので、再秤量する必要なく、5mg/ボトル×8本(1匹目のマウス用)、8mg/ボトル×20本(他の4匹のマウス用)
3.保存条件:-20℃で保存
4.サンプル純度:HPLC検出による純度>99.49%
5.調製方法:-20℃の環境から合成ペプチドbrapの凍結乾燥粉末を取り出し、室温に15分間放置した後、1.5mLの生理食塩水を加え、振って、完全に溶解させる。
【0098】
三.投与経路及び用量:尾静脈内投与2000mg/kgBW
【0099】
四.投与方式:
投与容量:マウスの尾静脈内投与の最大容量は1回あたり0.5mLであり、ゆっくり注射する。
投与用量及び方式:40mg/1.5mLの作業液を、9時間以内に3回に分けて投与する。
【0100】
五.実験手順:
1)尾静脈内投与により2000mg/kg用量の被験薬物(合成ペプチドbrap)を1匹目の昆明種マウスに投与する。
2)毒性反応が現れるか否か観察して記録する(開始症状、開始時間、すなわち投与後時間、重症度及び持続時間)
3)動物が死亡した場合、死亡直前の反応、死亡時間を記録する。
【0101】
【表7】
【0102】
結果判断:生存動物数≧3匹の場合、LD50は2000mg/kg以上である。
結論:静脈内投与2000mg/kgBW用量の限度実験により毒性が見られない。
【0103】
(付記)
(付記1)
アミノ酸配列が配列番号1であることを特徴とする合成ペプチドbrap。
【0104】
(付記2)
(1)Gタンパク質共役のブラジキニンB1およびB2受容体を抑制する薬の製造のための使用、(2)抗急性肺損傷薬の製造のための使用、(3)新型コロナウイルスによる肺炎用の抗炎症薬の製造のための使用、(4)抗アレルギー性鼻炎薬の製造のための使用のいずれか1つにおける付記1に記載の合成ペプチドbrapの使用。
【0105】
(付記3)
前記使用(1)~(4)のいずれか1つに記載の薬の投与方法は静脈内投与又は鼻腔内投与であることを特徴とする付記2に記載の合成ペプチドbrapの使用。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F
図14G
図15
図16
【配列表】
2022533878000001.app
【手続補正書】
【提出日】2021-09-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0003
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0003】
ACE2のレベルの低下により、RAAS系におけるACE2とACE(アンジオテンシン変換酵素)のバランスが不均衡になり、ACEが相対的に増強するため、AngIIのレベルが上昇し、肺AT1a受容体が過剰に活性化され、肺の毛細血管の透過性が増加し、それに伴って肺水腫が発生して、肺の炎症反応が重症化する。KKS系において、Des-ArgブラジキニンはB1受容体の作動薬である。ACE2はDes-Argブラジキニン-B1受容体経路中のDes-Argブラジキニンを分解して不活性化するペプチドを有する。ACE2のレベルの低下によりDes-Argブラジキニン-B1受容体経路が活性化される。B1受容体の活性化は、炎症促進作用がある。
【国際調査報告】