(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-27
(54)【発明の名称】電気化学セル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/531 20210101AFI20220720BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20220720BHJP
H01M 4/74 20060101ALI20220720BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20220720BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20220720BHJP
H01M 10/30 20060101ALI20220720BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20220720BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20220720BHJP
H01M 50/534 20210101ALI20220720BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20220720BHJP
H01M 4/02 20060101ALI20220720BHJP
H01M 50/536 20210101ALI20220720BHJP
【FI】
H01M50/531
H01M4/66 A
H01M4/74 A
H01M4/74 C
H01M4/74 Z
H01M4/13
H01M10/052
H01M10/30 Z
H01M50/586
H01M50/591 101
H01M50/534
H01M10/04 W
H01M4/02 Z
H01M50/536
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559942
(86)(22)【出願日】2020-05-19
(85)【翻訳文提出日】2021-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2020063874
(87)【国際公開番号】W WO2020239512
(87)【国際公開日】2020-12-03
(32)【優先日】2019-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】317008263
【氏名又は名称】ヴァルタ マイクロバッテリー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ストック, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ピトリック, エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ハルド, レイナー
(72)【発明者】
【氏名】エンスリング, デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ベック, ベルント
【テーマコード(参考)】
5H017
5H028
5H029
5H043
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA02
5H017AA03
5H017AS02
5H017AS10
5H017BB11
5H017CC01
5H017CC05
5H017CC25
5H017CC28
5H017DD05
5H017EE04
5H017EE05
5H017HH03
5H017HH05
5H028AA05
5H028CC11
5H029AJ02
5H029AJ12
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL03
5H029AM07
5H029BJ14
5H029CJ22
5H029CJ24
5H029DJ04
5H029DJ05
5H029DJ07
5H029DJ08
5H029HJ04
5H029HJ12
5H043AA12
5H043AA19
5H043BA15
5H043BA19
5H043CA03
5H043CA12
5H043EA35
5H043EA39
5H043HA11E
5H043JA13E
5H043KA01E
5H050AA02
5H050AA19
5H050BA14
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA03
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB03
5H050CB16
5H050DA04
5H050DA19
5H050DA20
5H050HA04
(57)【要約】
電気化学セル(100)が電極-セパレーター複合体(101)を含み、それがアノード(115)、少なくとも一つのセパレーター(116,117)及びカソード(118)を有し;アノードがアノード電流コレクター(115a)を含み、それが少なくとも一種の金属からなりかつ陰極活性電極材料の少なくとも一つの層(115b)を積層された表面を有し;カソードがカソード電流コレクター(118a)を含み、それが少なくとも一種の金属からなりかつ陽極活性電極材料の少なくとも一つの層(118b)を積層された表面を有し;アノード電流コレクターの表面及び/又はカソード電流コレクターの表面がそれぞれの活性電極材料を積層されていない少なくとも一つのクリアー領域(115c;118c)を含み;少なくとも一つのクリアー領域においてアノード電流コレクターの表面及び/又はカソード電流コレクターの表面が支持体材料を被覆されており、支持体材料(119)の熱安定性が、それを被覆された表面の熱安定性より大きい。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の特徴を有する電気化学セル(100):
(a)電気化学セル(100)が、電極-セパレーター複合体(101)を含み、電極-セパレーター複合体(101)が、アノード(115)、少なくとも一つのセパレーター(116,117)、及びカソード(118)を有し、
(b)アノード(115)が、アノード電流コレクター(115a)を含み、アノード電流コレクター(115a)が、少なくとも一種の金属からなりかつ陰極活性電極材料の少なくとも一つの層(115b)を積層された表面を有し、
(c)カソード(118)が、カソード電流コレクター(118a)を含み、カソード電流コレクター(118a)が、少なくとも一種の金属からなりかつ陽極活性電極材料の少なくとも一つの層(118b)を積層された表面を有し、
(d)アノード電流コレクター(115a)の表面及び/又はカソード電流コレクター(118a)の表面が、それぞれの活性電極材料を積層されていない少なくとも一つのクリアー領域(115c;118c)を含み、
(e)少なくとも一つのクリアー領域(115c;118c)において、アノード電流コレクター(115a)の表面及び/又はカソード電流コレクター(118a)の表面が、支持体材料(119)を被覆されており、支持体材料(119)の熱安定性が、それを被覆された表面の熱安定性より大きい。
【請求項2】
以下の追加の特徴を有する、請求項1に記載の電気化学セル:
(a)アノード電流コレクター(115a)の表面を構成する少なくとも一種の金属が、銅、銅合金、チタン、チタン合金、ニッケル、ニッケル合金、及びステンレス鋼からなる群から選択される少なくとも一種の金属を含み、
(b)アノード電流コレクター(115a)が、少なくとも一種の金属からなり、
(c)アノード電流コレクター(115a)が、金属箔、金属スポンジ、繊維布、又は拡張金属であり、
(d)カソード電流コレクター(118a)の表面を構成する少なくとも一種の金属が、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、及びステンレス鋼からなる群から選択される少なくとも一種の金属を含み、
(e)カソード電流コレクター(118a)が、少なくとも一種の金属からなり、
(f)カソード電流コレクター(118a)が、金属箔、金属スポンジ、繊維布、又は拡張金属である。
【請求項3】
以下の追加の特徴を有する、請求項1又は2に記載の電気化学セル:
(a)アノード電流コレクター(115a)が、少なくとも一つの縁(115f,115g)によって互いに分離された二つの平坦な側(115d,115e)を有し、
(b)アノード電流コレクター(115a)が、二つの平坦な側(115d,115e)の上に陰極活性電極材料の少なくとも一つの層を積層され、
(c)少なくとも一つのクリアー領域が、アノード電流コレクター(115a)の二つの平坦な側(115d,115e)の上に二つの副領域を含み、
(d)アノード電流コレクター(115a)の二つの副領域が、支持体材料(119)で被覆されている。
【請求項4】
以下の追加の特徴を有する、請求項1~3のいずれかに記載の電気化学セル:
(a)カソード電流コレクター(118a)が、少なくとも一つの縁(118f,118g)によって互いに分離された二つの平坦な側(118d,118e)を有し、
(b)カソード電流コレクター(118a)が、二つの平坦な側(118d,118e)の上に陽極活性電極材料の少なくとも一つの層を積層され、
(c)少なくとも一つのクリアー領域(115c,118c)が、カソード電流コレクター(118a)の二つの平坦な側(118d,118e)の上に二つの副領域を含み、
(d)カソード電流コレクター(118a)の二つの副領域が、支持体材料(119)で被覆されている。
【請求項5】
以下の追加の特徴を有する、請求項1~4のいずれかに記載の電気化学セル:
(a)支持体材料(119)が、非金属材料であり、
(b)非金属材料が、セラミック材料、ガラスセラミック材料、又はガラスであり、
(c)セラミック材料が、酸化アルミニウム(Al
2O
3)又は酸化チタン(TiO
2)である。
【請求項6】
以下の追加の特徴を有する、請求項1~5のいずれかに記載の電気化学セル:
(a)電極-セパレーター複合体(101)が、二つの末端面(103,109)を有する巻きの形態であり、
(b)電極-セパレーター複合体(101)及びそこに含まれる少なくとも一つのセパレーター(116,117)、そこに含まれる電極(115,118)及びアノード電流コレクター(115a)及びカソード電流コレクター(118a)が、ストリップの形態であり、各々が、二つの長手方向縁を有し、
(c)電極-セパレーター複合体の二つの末端面(103,109)が、少なくとも一つのセパレーター(116,117)の長手方向縁によって形成され、
(d)アノード電流コレクター(115a)の表面とカソード電流コレクター(118a)の表面の両方が、活性電極材料を積層されていないクリアー領域(115c,118c)を含み、
(e)アノード電流コレクター(115a)の表面上のクリアー領域(115c)が、その二つの長手方向縁(115g)の一つに沿ってストリップ形態の縁領域であり、
(f)カソード電流コレクター(118a)の表面上のクリアー領域(118c)が、その二つの長手方向縁(118f)の一つに沿ってストリップ形態の縁領域であり、
(g)ストリップ形態のアノード(115)、及びストリップ形態のカソード(118)が、電極-セパレーター複合体(100)内で互いにオフセットされて配置され、
アノード電流コレクター(115a)の長手方向縁(115g)が、アノード電流コレクター(115a)のクリアー領域(115c)とともに二つの末端面の一方(109)から突出し、
カソード電流コレクター(118a)の長手方向縁(118f)が、カソード電流コレクター(118a)のクリアー領域(118c)とともに二つの末端面の他方(103)から突出する。
【請求項7】
以下の追加の特徴を有する、請求項1~6のいずれかに記載の電気化学セル:
(a)電極-セパレーター複合体が、少なくとも一つのさらなる同一の電極-セパレーター複合体とともに、少なくとも二つの電極-セパレーター複合体が互いの上に積み重ねられるスタックの部分であり、
(b)少なくとも二つの電極-セパレーター複合体及びそれらのアノード、カソード及びセパレーター、及びそれらのアノード電流コレクター及びカソード電流コレクターが、各々少なくとも一つの長手方向縁を有し、
(c)アノード電流コレクターが、各々それらの長手方向縁又はそれらの長手方向縁の一つに沿ってクリアー領域を有し、
(d)カソード電流コレクターが、各々それらの長手方向縁又はそれらの長手方向縁の一つに沿ってクリアー領域を有し、
(e)少なくとも二つの電極-セパレーター複合体のアノード及びカソードが、スタック内で互いにオフセットされて配置され、
アノード電流コレクターのクリアー領域が、スタックの一つの側上で重なり、
カソード電流コレクターのクリアー領域が、スタックのさらなる側上で重なる。
【請求項8】
以下の追加の特徴を有する、請求項1~7のいずれかに記載の電気化学セル:
(a)支持体材料(119)での少なくとも一つのクリアー領域(115c,118c)の被覆が、0.015~1.0mm、好ましくは0.05~0.2mmの範囲の厚さを有し、
(b)アノード電流コレクター(115a)上の陰極電極材料の少なくとも一つの層(115b)が、0.03~1.0mm、好ましくは0.1~0.2mmの範囲の厚さを有し、
(c)カソード電流コレクター(118a)上の陽極電極材料の少なくとも一つの層(118b)が、0.03~1.0mm、好ましくは0.1~0.2mmの範囲の厚さを有し、
(d)アノード電流コレクター又はカソード電流コレクターの上の支持体材料(119)での被覆の厚さが、その上に存在する電極材料の層の厚さの50%~100%である。
【請求項9】
以下の追加の特徴の少なくとも一つを有する、請求項2~8のいずれかに記載の電気化学セル:
(a)アノード電流コレクター(115a)及びカソード電流コレクター(118a)が、請求項3又は4に記載のように設計され、
(b)電気化学セル(100)が、アノード電流コレクター(115a)の縁(115g)の上に溶接された第一電気伝導体(104)を含み、
(c)電気化学セル(100)が、カソード電流コレクター(118a)の縁(118f)の上に溶接された第二電気伝導体(104)を含む。
【請求項10】
以下の追加の特徴を有する、請求項9に記載の電気化学セル:
(a)電気化学セル(100)が、請求項6に記載のように設計され、
(b)第一電気伝導体(104)が、ストリップ形態でアノード電流コレクター(115a)の長手方向縁(115g)の上に溶接され、それに沿ってアノード電流コレクター(115a)のクリアー領域(115c)が延び、
(c)第二電気伝導体(104)が、ストリップ形態でカソード電流コレクター(118a)の長手方向縁(118f)の上に溶接され、それに沿ってカソード電流コレクター(118a)のクリアー領域(118c)が延びる。
【請求項11】
以下の追加の特徴を有する、請求項10に記載の電気化学セル:
(a)第一電気伝導体(104)が、金属接触板であり、
(b)第二電気伝導体(104)が、金属接触板であり、
(c)第一金属接触板(104)が、巻きの末端面(109)に対して平坦に横たわり、その末端面(109)から接触板が溶接される長手方向縁(115g)が突出し、
(d)第二金属接触板(104)が、巻きの末端面(103)に対して平坦に横たわり、その末端面(103)から接触板が溶接される長手方向縁(118f)が突出する。
【請求項12】
以下の追加の特徴を有する、請求項1~11のいずれかに記載の電気化学セル:
(a)電気化学セルが、少なくとも一つのさらなる同一セルとともに電池の一部である。
【請求項13】
請求項1~11のいずれかに記載の電気化学セル(100)を製造する方法であって、前記方法が、
(a)少なくとも一種の金属からなりかつ陰極活性電極材料の少なくとも一つの層(115b)を積層された表面を有するアノード電流コレクター(115a)を含むアノード(115)を準備し、
(b)少なくとも一種の金属からなりかつ陽極活性電極材料の少なくとも一つの層(118b)を積層された表面を有するカソード電流コレクター(118a)を含むカソード(118)を準備し、
(c)準備したアノード(115)及び準備したカソード(118)を使用して、アノード、少なくとも一つのセパレーター、及びカソードを含む電極-セパレーター複合体(101)を製造する
工程を含み、電極-セパレーター複合体の製造が、以下の工程(d)の前又は後に行なわれる、方法:
(d)陰極活性電極材料を積層されなかったアノード電流コレクター(115a)の表面上のクリアー領域(115c)及び/又は陽極活性電極材料を積層されなかったカソード電流コレクター(118a)の表面上のクリアー領域(118c)を支持体材料(119)で被覆し、支持体材料(119)の熱安定性が、それを被覆した表面の熱安定性より大きい。
【請求項14】
以下の追加の特徴を有する、請求項13に記載の方法:
(a)支持体材料(119)が、気相からクリアー領域(115c,118c)の上に蒸着され、
(b)支持体材料(119)が、懸濁液又はペーストの一部としてクリアー領域(115c,118c)に付与される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に記載される発明は、アノード、少なくとも一つのセパレーター、及びカソードを含む電極-セパレーター複合体を有する電気化学セルに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のセルは、例えばDE102009060800A1から原理的に既に知られている。このドイツ特許出願は、円筒形金属ハウジング中に挿入される電極-セパレーター複合体の円筒形巻きを記載する。電極は、活性電極材料を積層された電流コレクターを使用して電気接触される。電流コレクターは、各々別個の電気伝導体として機能しかつ電流コレクターをハウジングに電気接触する金属箔に溶接される。
【0003】
電極の電気接触接続のためのDE102009060800A1に記載された方法は、効率的であり、かつ安価である。しかしながら、それは、特定の用途において欠点を持つ。一つの問題は、例えば金属箔による電極の電気接続である。もし高い電流がこのようにして接続された電極によって短時間に貯蔵又は放出されるなら、金属箔は、極めて有意に加熱される。
【0004】
WO2017/215900A1は、電極-セパレーター複合体及びその電極がストリップ形態でありかつ巻き又はスタックの形態をとる、一般的なタイプの電気化学セルを開示する。電極は、各々電極材料を積層された電流コレクターを有する。反対の極性の電極は、電極-セパレーター複合体内で互いにオフセットして配置され、陽極の電流コレクターの長手方向縁が一つの側で巻き又はスタックから突出し、陰極の電流コレクターの長手方向縁がさらなる側で巻き又はスタックから突出する。電流コレクターは、直線状の接触領域をもたらすような方法で長手方向縁の一つに隣接する少なくとも一つの接触板を有するセルによって電気接触される。接触板は、直線状の接触領域に沿って長手方向縁に溶接することによって結合される。これは、電流コレクターに、従って対応する電極にその全長さにわたって電気接触することを可能にする。これは、前述のセル内の内部抵抗を極めてはっきりと低下させる。結果として、大きい電流の発生は、例えばDE102009060800A1で知られたセルによるよりずっと良好に取り扱われることができる。
【0005】
しかしながら、WO2017/215900A1に記載されたセルでの問題は、長手方向縁及び接触板を互いに溶接することが極めて難しいことである。接触板に関して、電極の電流コレクターは、顕著に薄い厚さを有する。それゆえ、電流コレクターの縁領域は、極めて機械的に敏感であり、溶接操作中に意図せずに圧縮されたり、又は溶融されうる。さらに、接触板が上に溶接されるときに電極-セパレーター複合体のセパレーターの溶融が起こりうる。極端な場合には、これは短絡を生じうる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、改良された耐電流性だけでなく、引用された先行技術と比較して改良された生産性も具備する、一般的なタイプの電気化学セルを提供することにある。
【0007】
この目的を達成するため、本発明は、請求項1の特徴を有する電気化学セル、及び請求項13の特徴を有する方法を提案する。本発明の発展例は、従属請求項の主題である。全ての請求項の用語は、参考として本明細書中に組み入れられる。
本発明の電気化学セルは、すぐ下の(a)~(d)の特徴を有する:
(a)電気化学セルが、電極-セパレーター複合体を含み、電極-セパレーター複合体が、アノード、少なくとも一つのセパレーター、及びカソードを有し、
(b)アノードが、アノード電流コレクターを含み、アノード電流コレクターが、少なくとも一種の金属からなりかつ陰極活性電極材料の少なくとも一つの層を積層された表面を有し、
(c)カソードが、カソード電流コレクターを含み、カソード電流コレクターが、少なくとも一種の金属からなりかつ陽極活性電極材料の少なくとも一つの層を積層された表面を有し、
(d)アノード電流コレクターの表面及び/又はカソード電流コレクターの表面が、それぞれの活性電極材料を積層されていない少なくとも一つのクリアー領域を含む。
【0008】
セルは、特に以下の特徴を有する:
(e)少なくとも一つのクリアー領域において、アノード電流コレクターの表面及び/又はカソード電流コレクターの表面が、支持体材料を被覆されており、支持体材料の熱安定性が、それを被覆された表面の熱安定性より大きい。
【0009】
ここで「より大きい熱安定性」の意図した意味は、支持体材料が表面が溶融する温度で固体状態で残ることである。従って、それは、表面より高い融点を有するか、又は表面が既に溶融した温度まで昇華又は分解しないかのいずれかである。
【0010】
好ましくは、アノード電流コレクターの表面とカソード電流コレクターの表面の両方は、それぞれの活性電極材料を積層されないクリアー領域を有する。一つの発展例では、アノード電流コレクターの表面上のクリアー領域とカソード電流コレクターの表面上のクリアー領域の両方が支持体材料で被覆されることが好ましい。領域のそれぞれに対して同じ支持体材料を使用することが特に好ましい。
【0011】
本発明のセルは、二次セル、即ち再充電可能なセルであることが好ましい。それゆえ、本発明のセルのために有用な活性電極材料は、二次電気化学セルに使用されることができる材料を含むことが好ましい。
【0012】
より好ましくは、電気化学セルは、リチウムイオンセルである。この場合において有用な活性電極材料は、リチウムイオンを吸収してそれらを再び放出できる全ての材料である。陰極活性電極材料は、例えばグラファイトカーボンのようなカーボンベース材料、又はリチウムイオンのインターカレーションの可能な別の材料であることができる。また、リチウムと金属間相を形成することができる金属及び半金属、例えばシリコンを、陰極電極材料として、特にリチウムイオンのインターカレーションの可能なカーボンベース材料との混合物において使用することが可能である。有用な陽極活性電極材料の例は、リチウム金属酸化物化合物及びリチウム金属ホスフェート化合物、例えばLiCoO2及びLiFePO4を含む。さらに好適な材料は、NMC(リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物)、LTO(リチウムチタネート)に基づくもの、及びNCA(リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物)に基づくものを含む。
【0013】
さらに好ましい実施形態では、本発明のセルは、陰極側に活性電極材料として水素貯蔵合金を持ち、陽極側にニッケルヒドロキシド/ニッケルオキシヒドロキシドを有するニッケル金属ヒドリドセルであることができる。
【0014】
さらに、本発明のセルにおける電極は、WO2016/005529A1及びWO2016/005528A2に記載されたシステムの電極のように設計されることができる。これらの文献は、陽極がニッケルオキシヒドロキシド/ニッケルヒドロキシドに基づく活性電極材料を含み、陰極が活性電極材料として活性炭素と水素貯蔵合金の混合物又は活性炭素と金属及び/又は酸化形態の鉄の混合物を含む系を記載する。
【0015】
前述の全ての場合において、陽極側及び陰極側の両方の活性電極材料は、粒子形態であることが好ましい。
【0016】
活性電極材料及び電流コレクターと同様に、本発明のセルの電極はまた、さらなる構成要素を持ってもよい。特に、これらは、一般的に電極結合剤及び伝導体である。電極結合剤は、電極の機械的安定性を保証し、活性電極材料粒子の互いの及び電流コレクターとの電気的及び機械的接触を保証する。カーボンブラックのような伝導体は、電極の電気伝導性を高める役割を有する。
【0017】
一般に、電極-セパレーター複合体は、電解質を含み、それに電極が含浸され、電解質が、セルの充電又は放電のときに起こるセルの電極間のイオン流を確実にする。リチウムイオン電池の場合において、使用される電解質は、通常、電気伝導性のリチウム塩を含む有機炭酸塩の混合物である。ニッケル金属ヒドリドセル、及びWO2016/005529A1及びWO2016/005528A2に記載されたセルの場合には、使用される電解質は、水性アルカリ性溶液であることが好ましい。
【0018】
少なくとも一つのセパレーターは、反対の極性の電極間の直接接触を防止する役割を有する。同時に、それは、充電及び放電操作中に電極間を行ったり来たりして移動するイオンに対して透過性でなければならない。本発明のセルの電極-セパレーター複合体のために有用なセパレーターは、特に多孔質ポリマーフィルム、例えばポリオレフィン又はポリエーテルケトンから作られたセパレーターを含む。それはまた、これらの材料から作られた不織布又は織布を使用することが可能である。
【0019】
一般に、電極-セパレーター複合体は、陽極/セパレーター/陰極の順序で電極及び少なくとも一つのセパレーターを含む。好ましい実施形態では、複合体は、二つのセパレーターを有する形態であり、例えば陰極/第一セパレーター/陽極/第二セパレーター又は陽極/第一セパレーター/陰極/第二セパレーターの順序が可能である。
【0020】
一部の実施形態では、電極-セパレーター複合体はまた、二つ以上の陽極又は二つ以上の陰極を有してもよい。例えば、複合体は、陰極/第一セパレーター/陽極/第二セパレーター/陰極の順序、又は陽極/第一セパレーター/陰極/第二セパレーター/陽極の順序を有することができる。
【0021】
複合体の中では、電極及びセパレーターは、積層及び/又は接着剤結合によって接続されることが好ましい。
【0022】
電極中の電流コレクターは、活性電極材料と最大面積にわたって電気接触するのに役立つ。
【0023】
より好ましくは、本発明のセルの電流コレクター、従って本発明のセル自体は、すぐ下の追加の特徴(a)~(f)の少なくとも一つを有する:
(a)アノード電流コレクターの表面を構成する少なくとも一種の金属が、銅、銅合金、チタン、チタン合金、ニッケル、ニッケル合金、及びステンレス鋼からなる群から選択される少なくとも一種の金属を含み、
(b)アノード電流コレクターが、少なくとも一種の金属からなり、
(c)アノード電流コレクターが、金属箔、金属スポンジ、繊維布、又は拡張金属であり、
(d)カソード電流コレクターの表面を構成する少なくとも一種の金属が、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、及びステンレス鋼からなる群から選択される少なくとも一種の金属を含み、
(e)カソード電流コレクターが、少なくとも一種の金属からなり、
(f)カソード電流コレクターが、金属箔、金属スポンジ、繊維布、又は拡張金属である。
【0024】
好ましい実施形態では、すぐ上の特徴(a)~(c)は全て、互いに組み合わせて同時に実施される。さらに好ましい実施形態では、すぐ上の特徴(d)~(f)は全て、互いに組み合わせて同時に実施される。特に好ましい実施形態では、すぐ上の特徴(a)~(f)は全て、互いに組み合わせて同時に実施される。
【0025】
より好ましくは、アノード電流コレクターは、銅又は銅合金からなり、カソード電流コレクターは、同時にアルミニウム又はアルミニウム合金からなる。
【0026】
しかしながら、少なくとも一種の金属から全体がなる電流コレクターと同様に、少なくとも一種の金属からなる表面が非金属構造、例えばガラス又はプラスチックのフィラメントからなる繊維布を包囲する電流コレクターを使用することは全く可能である。用語「繊維布(textile fabric)」は、ここでは特に不織布、織布、メッシュ、及び編物を含む。
【0027】
特に好ましい実施形態では、カソード電流コレクターは、好ましくは5μm~30μmの範囲の厚さを有するアルミニウム箔からなる。より好ましくは、アノード電流コレクターは、好ましくは5μm~15μmの範囲の厚さを有する銅箔、又は好ましくは3μm~10μmの範囲の厚さを有するニッケル箔からなる。
【0028】
特に好ましい実施形態では、本発明のセルの電流コレクター、従って本発明のセル自体は、すぐ下の追加の特徴(a)~(d)の少なくとも一つを有する:
(a)アノード電流コレクターが、少なくとも一つの縁によって互いに分離された二つの平坦な側を有し、
(b)アノード電流コレクターが、二つの平坦な側の上に陰極活性電極材料の少なくとも一つの層を積層され、
(c)アノード電流コレクターの表面が、支持体材料を被覆されかつその二つの平坦な側の上で二つの副領域に分割されたクリアー領域を含み、
(d)アノード電流コレクターの二つの副領域が、支持体材料で被覆されている。
【0029】
より好ましくは、すぐ上の特徴(a)~(d)は全て、互いに組み合わせて同時に実施される。
【0030】
特に好ましい実施形態では、本発明のセルの電流コレクター、従って本発明のセル自体は、すぐ下の追加の特徴(a)~(d)の少なくとも一つを有する:
(a)カソード電流コレクターが、少なくとも一つの縁によって互いに分離された二つの平坦な側を有し、
(b)カソード電流コレクターが、二つの平坦な側の上に陽極活性電極材料の少なくとも一つの層を積層され、
(c)カソード電流コレクターの表面が、支持体材料を被覆されかつその二つの平坦な側の上で二つの副領域に分割されたクリアー領域を含み、
(d)カソード電流コレクターの二つの副領域が、支持体材料で被覆されている。
【0031】
より好ましくは、すぐ上の特徴(a)~(d)は全て、互いに組み合わせて同時に実施される。
【0032】
クリアー領域又は副領域は、支持体材料で全体的に又は部分的に被覆されることができる。平坦な側を分離し、従って二つの副領域を互いに分離する少なくとも一つの縁は、対照的に支持体材料で被覆されないことが好ましい。
【0033】
一つの発展例では、カソード電流コレクターとアノード電流コレクターの両方は、前述の平坦な側、及び二つの副領域に分割される、支持体材料で被覆されたクリアー領域を有する。これは、特に使用されるカソード電流コレクターとアノード電流コレクターが、各々箔又は前述の基体の別のもの、例えば前述の繊維布であるときに当てはまる。かかる基体の場合には、本質的に電流コレクターの表面積は、二つの平坦な側の面積に相当する。少なくとも一つの縁は、表面の量的計算では無視されることができる。前述の基体の薄い厚さのため、それは、一般に電流コレクターの表面の相対割合に含められない。
【0034】
より好ましくは、カソード電流コレクター上の二つの副領域、及びアノード電流コレクター上の二つの副領域は、支持体材料で被覆される。
【0035】
より好ましくは、支持体材料で被覆されるのは、アノード電流コレクターの表面及び/又はカソード電流コレクターの表面上の少なくとも一つのクリアー領域だけではなく、陽極及び陰極材料の層も同時に支持体材料で被覆されることが好ましい。加工上の理由のため、支持体材料を少なくとも一つのクリアー領域だけに付与するよりも、支持体材料を少なくとも一つのクリアー領域と電極材料の層の両方に付与する方がより簡単である。なぜなら後者の場合、電極材料の層のマスキングが不要になるからである。
【0036】
本発明の文脈において使用可能な支持体材料は、原則として金属又は金属合金であることができる。但し、それは、支持体材料で被覆された表面を構成する金属より高い融点を持つことが条件である。しかしながら、多くの実施形態では、本発明のセルは、すぐ下の追加の特徴(a)~(c)の少なくとも一つを有することが好ましい。
(a)支持体材料が、非金属材料であり、
(b)非金属材料が、セラミック材料、ガラスセラミック材料、又はガラスであり、
(c)セラミック材料が、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタン(TiO2)、窒化チタン(TiN)、窒化アルミニウムチタン(TiAlN)、又は炭窒化チタン(TiCN)である。
【0037】
本文脈における用語「セラミック材料」は、広く解釈されるべきである。これは、特に炭化物、窒化物、酸化物、ケイ化物、又はこれらの化合物の混合物及び誘導体を意味すると理解される。本発明によれば、支持体材料は、すぐ上の特徴(c)による形態をとることがより好ましい。
【0038】
用語「ガラスセラミック材料」は、特に非晶質ガラス相中に埋め込まれた結晶粒子を含む材料を意味する。
【0039】
用語「ガラス」は、原則として上で規定した熱安定性の基準を満足し、セルに存在する電解質に対して化学的に安定である無機ガラスを意味する。
【0040】
より好ましくは、アノード電流コレクターは、銅又は銅合金からなり、カソード電流コレクターは、同時にアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、支持体材料は、酸化アルミニウム又は酸化チタンである。
本発明のセルの第一の特に好ましい変形例では、それは、すぐ下の追加の特徴(a)~(g)の少なくとも一つを有する:
(a)電極-セパレーター複合体が、二つの末端面を有する巻きの形態であり、
(b)電極-セパレーター複合体及びそこに含まれる少なくとも一つのセパレーター、そこに含まれる電極及びアノード電流コレクター及びカソード電流コレクターが、ストリップの形態であり、各々が、二つの長手方向縁を有し、
(c)電極-セパレーター複合体の二つの末端面が、少なくとも一つのセパレーターの長手方向縁によって形成され、
(d)アノード電流コレクターの表面とカソード電流コレクターの表面の両方が、活性電極材料を積層されていないクリアー領域を含み、
(e)アノード電流コレクターの表面上のクリアー領域が、その二つの長手方向縁の一つに沿ってストリップ形態の縁領域であり、
(f)カソード電流コレクターの表面上のクリアー領域が、その二つの長手方向縁の一つに沿ってストリップ形態の縁領域であり、
(g)ストリップ形態のアノード、及びストリップ形態のカソードが、電極-セパレーター複合体内で互いにオフセットされて配置され、
アノード電流コレクターの長手方向縁が、アノード電流コレクターのクリアー領域とともに二つの末端面の一方から突出し、
カソード電流コレクターの長手方向縁が、カソード電流コレクターのクリアー領域とともに二つの末端面の他方から突出する。
【0041】
好ましくは、すぐ上の特徴(a)~(g)は全て、互いに組み合わせて同時に実施される。
【0042】
電極-セパレーター複合体のこの巻かれた構成の場合においても、電流コレクターは、二つの平坦な側を有することが好ましく、それぞれの電極材料の層で各側を積層されていることが好ましい。より好ましくは、アノード電流コレクターの表面上の縁領域とカソード電流コレクターの表面上の縁領域の両方は、それぞれの長手方向縁によって分割され、長手方向縁に沿ってこれらの縁領域は、各々ストリップ形態の二つの副領域中に延び、これらの縁領域の全ては、支持体材料で被覆される。より好ましくは、副領域は、各々支持体材料のストリップで被覆される。この場合の電流コレクターは、両側にそれぞれの電極材料を積層されていないが、両側を支持体材料を被覆されている。長手方向縁は、支持体材料を被覆されないことが好ましい。
【0043】
電極-セパレーター複合体の製造では通常、電極及び電流コレクターは、反対の極性の電流コレクターの一つの側に突出部を全く持たないように互いに組み合わされることが確実にされる。なぜならこれは、短絡の危険を高めうるからである。しかしながら、前述のオフセット配置の場合には、短絡の危険は、最小化される。なぜなら反対の極性の電流コレクターは、巻きの相互に向かい合う末端面から突出するからである。
【0044】
巻きは、30mm~100mmの範囲の最大高さ、及び10mm~45mmの範囲の最大直径を有することが好ましい。
【0045】
ストリップ形態のアノード及びカソード電流コレクターは、50mm~300cmの範囲の長さ、30mm~100mmの範囲の幅、及び30μm~200μmの範囲の厚さを有することが好ましい。
【0046】
ストリップ形態の縁領域及びストリップ形態の副領域は、0.5mm~5mmの範囲の幅を有することが好ましい。
【0047】
好ましい実施形態では、巻きは、円筒形の巻きである。さらなる実施形態では、巻きは、代替的に角柱状の平坦な巻きであってもよい。良く知られているように、角柱状の平坦な巻きの構造は、円筒形の巻きの構造と同様である。しかしながら、平坦な巻きの製造のための電極-セパレーター複合体は、軸のまわりに螺旋状ではなく、平坦な態様で巻かれ、平坦な巻きを与えるように加工された複合体は、平坦な巻きにおいてスタックの態様で互いの上に載る、平坦で湾曲していない部分を含む。
【0048】
本発明のセルの第二の特に好ましいい変形例では、これは、すぐ下の追加の特徴(a)~(e)の少なくとも一つを有する:
(a)電極-セパレーター複合体が、少なくとも一つのさらなる同一の電極-セパレーター複合体とともに、少なくとも二つの電極-セパレーター複合体が互いの上に積み重ねられるスタックの部分であり、
(b)少なくとも二つの電極-セパレーター複合体及びそれらのアノード、カソード及びセパレーター、及びそれらのアノード電流コレクター及びカソード電流コレクターが、各々少なくとも一つの長手方向縁を有し、
(c)アノード電流コレクターが、各々それらの長手方向縁又はそれらの長手方向縁の一つに沿って、特にストリップの形の縁領域の形でクリアー領域を有し、
(d)カソード電流コレクターが、各々それらの長手方向縁又はそれらの長手方向縁の一つに沿って、特にストリップの形の縁領域の形でクリアー領域を有し、
(e)少なくとも二つの電極-セパレーター複合体のアノード及びカソードが、スタック内で互いにオフセットされて配置され、複合体内で
アノード電流コレクターのクリアー領域が、スタックの一つの側上で重なり、
カソード電流コレクターのクリアー領域が、スタックのさらなる側上で重なる。
【0049】
好ましくは、すぐ上の特徴(a)~(e)は全て、互いに組み合わせて同時に実施される。
【0050】
スタックの形態のこの構成においても、電流コレクターは、二つの平坦な側を有することが好ましく、それぞれの電極材料の層で各側を積層されていることが好ましい。より好ましくは、アノード電流コレクターの表面上の縁領域とカソード電流コレクターの表面上の縁領域の両方は、それぞれの長手方向縁によって分割され、長手方向縁に沿ってこれらの縁領域は、各々ストリップ形態の二つの副領域中に延び、これらの縁領域の全ては、支持体材料で被覆される。より好ましくは、副領域は、各々支持体材料のストリップで被覆される。この場合の電流コレクターは、両側にそれぞれの電極材料を積層されていないが、両側を支持体材料を被覆されている。長手方向縁は、支持体材料を被覆されないことが好ましい。
【0051】
スタックは、5mm~20mmの範囲の最大高さを有することが好ましい。
【0052】
アノード及びカソード電流コレクターは、電極のように、矩形形態であることが好ましい。それらは、100mm~300mmの範囲の長さ、50mm~150mmの範囲の幅、及び50μm~250μmの範囲の厚さを有することがより好ましい。
【0053】
ストリップ形態の縁領域及びストリップ形態の副領域は、0.5mm~5mmの範囲の幅を有することが好ましい。
【0054】
本発明のセルは、すぐ下の追加の特徴(a)~(d)の少なくとも一つを有する:
(a)支持体材料での少なくとも一つのクリアー領域の被覆が、0.015~1.0mm、好ましくは0.05~0.2mmの範囲の厚さを有し、
(b)アノード電流コレクター上の陰極電極材料の少なくとも一つの層が、0.03~1.0mm、好ましくは0.1~0.2mmの範囲の厚さを有し、
(c)カソード電流コレクター上の陽極電極材料の少なくとも一つの層が、0.03~1.0mm、好ましくは0.1~0.2mmの範囲の厚さを有し、
(d)アノード電流コレクター又はカソード電流コレクターの上の支持体材料での被覆の厚さが、その上に存在する電極材料の層の厚さの1%~100%である。
【0055】
好ましくは、すぐ上の特徴(a)~(d)は全て、互いに組み合わせて同時に実施される。
【0056】
一つの発展例では、アノード電流コレクター又はカソード電流コレクターの上の支持体材料による被覆の厚さは、その上に存在する電極材料の層の厚さの5%~50%であり、より好ましくは2%~25%である。
【0057】
本発明のセルは、より好ましくは、すぐ下の追加の特徴(a)~(c)の少なくとも一つを有する:
(a)アノード電流コレクター及びカソード電流コレクターが、請求項3及び4に記載のように設計され、即ち前記二つの平坦な側、及び支持体材料で被覆されかつ二つの副領域に分割されたクリアー領域を有し、
(b)セルが、アノード電流コレクターの縁の上に溶接された第一電気伝導体を含み、
(c)セルが、カソード電流コレクターの縁の上に溶接された第二電気伝導体を含む。
【0058】
好ましくは、すぐ上の特徴(a)~(d)は全て、互いに組み合わせて同時に実施される。
【0059】
電気伝導体は、特にレーザー溶接によって又はTIG溶接(タングステン-不活性ガス溶接)によって溶接されることができる。
【0060】
好ましい実施形態では、本発明のセルは、すぐ下の特徴(a)~(c)の少なくとも一つをさらに有する:
(a)セルが、請求項6に記載のように設計され、即ち二つの末端面を有する巻きの形態の電極-セパレーター複合体及びストリップ形態のアノード電流コレクター及びストリップ形態のカソード電流コレクターを有し、各々が二つの長手方向縁を有し、
(b)第一電気伝導体が、ストリップ形態でアノード電流コレクターの長手方向縁の上に溶接され、それに沿ってアノード電流コレクターのクリアー領域が延び、
(c)第二電気伝導体が、ストリップ形態でカソード電流コレクターの長手方向縁の上に溶接され、それに沿ってカソード電流コレクターのクリアー領域が延びる。
【0061】
好ましくは、すぐ上の特徴(a)~(c)は全て、互いに組み合わせて同時に実施される。
【0062】
すぐ上の特徴(a)~(c)による好ましい実施形態の発展例では、本発明のセルは、すぐ下の特徴(a)~(d)の少なくとも一つをさらに有する:
(a)第一電気伝導体が、金属接触板であり、
(b)第二電気伝導体が、金属接触板であり、
(c)第一金属接触板が、巻きの末端面に対して平坦に横たわり、その末端面から接触板が溶接される長手方向縁が突出し、
(d)第二金属接触板が、巻きの末端面に対して平坦に横たわり、その末端面から接触板が溶接される長手方向縁が突出する。
【0063】
好ましくは、すぐ上の特徴(a)~(d)は全て、互いに組み合わせて同時に実施される。
【0064】
本発明のセルのこの発展例では、オフセット配置からもたらされる電流コレクターの超過部は、接触板によってそれらを大きな面積にわたって接触することによって利用される。接触板によって、電流コレクター、及び従って対応する電極をそれらの全長さにわたって電気接触することが可能である。これは、巻きの末端面にある平坦部が直線状の接触領域をもたらすからである。もし電極-セパレーター複合体が発展例において螺旋巻きの形態であるなら、例えば巻きの末端面から突出するアノード電流コレクター及びカソード電流コレクターの長手方向縁は、同様に螺旋幾何学形状を有する。この場合の状況は、接触板が長手方向縁に溶接される直線状の接触領域に対して類似する。
【0065】
好ましくは、接触板は、直線状の接触領域に沿った長手方向縁による溶接によって結合される。WO2017/215900A1に記載されるように、かかる構成は、大電流の発生を扱うのに優れている。
【0066】
接触板は、次に本発明のセルの極、例えばハウジングの陽極及び陰極に接続されることができる。
【0067】
接触板は、少なくとも一つの溶接継ぎ目によって又は多数の溶接点によって直線状の接触領域に沿って長手方向縁に接続されることができる。より好ましくは、長手方向縁は、各々が溶接継ぎ目によってそれらの全長さにわたって連続的に接触板に接続された一つ以上の区域を含む。長手方向縁は、任意選択的に、それらの全長さにわたって連続的に接触板に溶接される。
【0068】
長手方向縁への接触板の溶接は、最初に述べた問題、即ち電流コレクターの縁領域の意図しない圧縮又は溶融を起こしうる。これらの問題は、支持体材料によって解決される。支持体材料は、電流コレクターの縁を機械的に支持し、特に電流コレクターが両側を支持体材料で被覆されるとき、縁の溶融を防止する。さらに、支持体材料はまた、電極-セパレーター複合体の最初に述べたセパレーターの溶融からもたらされる短絡を防止する。支持体材料は、それで覆われたクリアー領域を電気的に絶縁する。従って、それは、好ましい実施形態では電気的に絶縁している。
【0069】
接触板は、200μm~1000μm、好ましくは400μm~500μmの範囲の厚さを有する金属板であることが好ましい。それらは、アルミニウム、アルミニウム合金、チタン、チタン合金、ニッケル、ニッケル合金、ステンレス鋼又はニッケルめっき鋼からなることが好ましい。それらは、それらが溶接される電流コレクターと同じ材料からなることが好ましい。
【0070】
接触板は、各々少なくとも一つの溝及び/又は少なくとも一つのせん孔を有することが好ましい。溝及び/又はせん孔は、接触板が溶接操作の場合にそらないことを確実にする。さらに、接触板が、巻かれた又は積み重ねられた電極-セパレーター複合体中への電解質の侵入を妨げないことを確実にする。
【0071】
好ましい実施形態では、接触板は、円板の形態、特に円形又は少なくともほぼ円形の円板の形である。その場合において、それらは、外側が円形又は少なくともほぼ円形の円板縁を有する。ほぼ円形の円板は、ここでは特に少なくとも一つの円形部分が除去された、好ましくは二つ又は四つの円形部分が除去された円の形状を有する円板を意味することと理解される。
【0072】
さらに好ましい実施形態では、接触板はまた、多角形、好ましくは正多角形、特に4~10個の頂点及び辺を有する正多角形の形状を有してもよい。
【0073】
特にリチウムイオンセルのような実施形態では、本発明のセルは、円筒形の丸いセルとして構成されることが好ましい。その場合において、それは、セルによって含まれる巻きの電極-セパレーター複合体を含む円筒形ハウジングを含む。円筒形の丸いセルは、その直径より大きい高さを有する。それらは、自動車分野の用途、電動バイク、又は高エネルギー需要を有する他の用途のために特に好適である。
【0074】
クリアー領域又は副領域は、支持体材料で全体的に又は部分的に被覆されることができる。平坦な側を分離し、従って二つの副領域も互いに分離する少なくとも一つの縁は、対照的に支持体材料で被覆されないことが好ましい。
【0075】
好ましくは、丸いセルの形のリチウムイオンセルの高さは、15mm~150mmの範囲である。円筒形の丸いセルの直径は、10mm~50mmの範囲であることが好ましい。これらの範囲内では、例えば18×65(直径×高さ(mm))又は21×70(直径×高さ(mm))の形態範囲であることが特に好ましい。これらの形態範囲を有する円筒形の丸いセルは、自動車の電気駆動の電力供給のために特に好適である。
【0076】
円筒形の丸いセルの形態の本発明のリチウムイオンセルの公称容量は、6000mAhまでであることが好ましい。21×70の形態範囲であれば、セルは、リチウムイオンセルのような一実施形態では、好ましくは2000mAh~5000mAh、より好ましくは3000~4500mAhの範囲の公称容量を持つ。
【0077】
一部の実施形態では、本発明のセルは、例えばDE102009060800A1の
図1に示すように、電気絶縁シールによって互いに絶縁された二つのハウジング部分から構成される金属ハウジングを有するボタンセル、特にリチウムイオンボタンセルであることができる。この場合において、接触板は、例えばハウジングの陽極化された半分に接続されることができる。ボタンセルは、円筒形の形態であり、その直径より小さい高さを有する。高さは、4mm~15mmの範囲であることが好ましい。さらに、ボタンセルは、5mm~25mmの範囲の直径を有することが好ましい。ボタンセルは、腕時計、補聴器、及び無線ヘッドホンのような小さい電子デバイスへの電気エネルギーの供給のために好適である。
【0078】
ボタンセルの形態の本発明のリチウムイオンセルの公称容量は、一般に1500mAhまでである。公称容量は、好ましくは100mAh~1000mAhの範囲であり、より好ましくは100~800mAhの範囲である。
【0079】
欧州連合では、二次電池の公称容量に関する数字についての製造データは、厳しく制限されている。例えば、二次ニッケルカドミウム電池の公称容量についての数字は、標準規格IEC/EN61951-1及びIEC/EN60622に従った測定、標準規格IEC/EN61951-2に従った測定での二次ニッケル金属水酸化物電池の公称容量についての数字、標準規格IEC/EN61960に従った測定での二次リチウム電池の公称容量についての数字、及び標準規格IEC/EN61056-1に従った測定での二次鉛蓄電池の公称容量についての数字に基づかなければならない。本願における公称容量についてのいかなる数字も同様にこれらの標準規格に基づくことが好ましい。
【0080】
本発明のセルは、代替的に、少なくとも一つのさらなる同一のセルとともに、電池の一部であることができ、その場合にはそれは、少なくとも一つのさらなる同一のセルに並列又は直列に接続されることが好ましく、さらに二つのセルは、共通のハウジング及び任意選択的に共通の電解質を有することが好ましい。
【0081】
前述の電気化学セルの製造のための本発明の方法は、以下の工程を常に含む:
(a)少なくとも一種の金属からなりかつ陰極活性電極材料の少なくとも一つの層を積層された表面を有するアノード電流コレクターを含むアノードを準備し、
(b)少なくとも一種の金属からなりかつ陽極活性電極材料の少なくとも一つの層を積層された表面を有するカソード電流コレクターを含むカソードを準備し、
(c)準備したアノード及び準備したカソードを使用して、アノード、少なくとも一つのセパレーター、及びカソードを含む電極-セパレーター複合体を製造する。
【0082】
本発明によれば、電極-セパレーター複合体の製造は、以下の工程(d)の前又は後に行なわれる:
(d)陰極活性電極材料を積層されなかったアノード電流コレクターの表面上のクリアー領域及び/又は陽極活性電極材料を積層されなかったカソード電流コレクターの表面上のクリアー領域を支持体材料で被覆し、支持体材料の熱安定性が、それを被覆した表面の熱安定性より大きい。
【0083】
前記方法に使用される材料及びセル構成要素は、本発明のセルの説明で既に記載された。これらについては、それらを参照されたい。
好ましい実施形態では、前記方法は、以下の追加の特徴の一つを有する:
(a)支持体材料は、気相からクリアー領域の上に蒸着され、
(b)支持体材料は、懸濁液又はペーストの一部としてクリアー領域に付与され、
(c)支持体材料は、ゾルゲルプロセスから得られる。
【0084】
支持体材料を有する電流コレクターの被覆のための最適手順は、支持体材料の種類に依存する。気相からの蒸着は、例えばCVDもしくはPVD法(CVD=化学蒸着、PVD=物理蒸着)又はこれらの方法の変形(例えば原子層堆積、ALD法)によって実施されることができる。PVD法で蒸着される材料は、蒸気の形態で気相に既にあることが多いが(それは、物理的方法によって気相に変換される)、(プリカーサと称される)蒸着される要素の化学化合物は、CVD法では蒸発させられる。これらは、希望の箔材料を与えるために基体の表面で分解される。PVD法では、被覆は、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、及びこれらの方法の変形によって形成されることができる。
【0085】
酸化アルミニウム被覆は、例えばプリカーサとしてトリメチルアルミニウムのような有機金属アルミニウム化合物から出発して製造されることができる。特にCVD法によって前述したような炭窒化チタン(TCN)の被覆を製造することも可能である。TiN被覆及びTi-AlN被覆は、PVD法によって製造されることができる。該方法は、文献から知られている。
【0086】
懸濁液又はペーストは、スプレー法、ディップコーティング、印刷及び押出しのような一般的な被覆法によって付与されることができる。
【0087】
酸化アルミニウムの被覆のような酸化物被覆は、文献から知られたゾルゲル法によって製造されることもできる。酸化アルミニウムは、例えばアルミニウムトリセクブトキシド又はアルミニウムトリイソプロポキシドのようなアルミニウムアルキルから出発して製造されることができる。
【0088】
原則として電流コレクターが電極材料を積層される前に電流コレクターに支持体材料を付与することも可能である。この場合において、続く工程において活性電極材料を積層されることになる電流コレクターの領域をマスクすることが適切である。しかしながら、好ましくは、支持体材料は、活性電極材料を既に積層された電流コレクターに付与される。この場合において、適切なマスキングを与えると、前述のクリアー領域のみを被覆することが可能である。しかしながら、加工上の理由のため、クリアー領域だけでなく、活性電極材料の層を含む電極全体を支持体材料で被覆することが好ましい。この場合には、マスキングの必要性はない。
【0089】
一部の好ましい実施形態では、支持体材料は、それぞれの電極材料の第一の広いストリップとともにクリアー領域に付与されるが、クリアー領域を完全にカバーしない。代わりに、それは、アノード電流コレクター及び/又はカソード電流コレクターの長手方向縁に沿って第二ストリップ又は第二線の形態で付与され、この長手方向縁に沿ってそれに平行な各クリアー領域の第三ストリップ又は第三線は、カバーされないままである。より好ましくは、第二ストリップ又は第二線は、電極材料の第一ストリップと第二ストリップ又は第二線を分離する。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【
図1】
図1は、電極-セパレーター複合体の実施形態を上から斜めで概略的に示す。
【
図3】
図3は、末端面の上への接触板の配置を示す。
【
図5】
図5は、電極-セパレーター複合体の実施形態を断面で概略的に示す。
【
図8】
図8は、
図6の断面で示されたアノードの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0091】
本発明のさらなる特徴、及び本発明からもたらされる利点は、図面から及び以下の図面の説明から明らかである。以下に記載される実施形態は、本発明の良好な理解及び説明のためにだけ役立ち、いかなる方法でも限定して解釈されるべきでない。
図1及び5は、本発明のセル100を与えるように加工されることができる螺旋巻きの形の電極-セパレーター複合体101の一実施形態を上から斜めの上面図で、及び断面図で概略的に示す。巻きは、二つの末端面103及び109を有し、それらの一つだけ、即ち末端面103だけが
図1で見ることができる。電極-セパレーター複合体101は、ストリップ形態のアノード115、及びストリップ形態のカソード118を含み、それらは、ストリップ形態のセパレーター116及び117によって互いに分離されている。
【0092】
二つの末端面103及び109は、ストリップ形態のセパレーター116及び117の長手方向縁によって形成される。電極-セパレーター複合体101内に、電極115及び118が、互いにオフセットして配置され、アノード115の長手方向縁は、末端面の一方から突出して超過部110を形成し、カソード118の長手方向縁は、反対の末端面から突出して超過部102を形成する。
【0093】
図6は、
図1及び5に示された巻きの構成の説明のために役立つ。ここで示されているものは、アノード115及びカノード118、及び二つの電極115及び118の各々のプリカーサの断面である。プリカーサは、電極115及び118とは、後者の各々が支持体材料119の被覆を持つ点でのみ異なる。電極115及び118と同様に、それらは、アノード電流コレクター115a及びカソード電流コレクター118aを含む。アノード電流コレクター115aは、銅箔である。カソード電流コレクター118aは、アルミニウム箔である。箔は、各々二つの平坦な側115d,115e及び118d,118eを有し、それらは、長手方向縁115f,115g及び118f,118gによって互いに分離され、各々活性電極材料の層115b,118bをいずれかの側に積層される。
【0094】
アノード電流コレクター115aの表面とカソード電流コレクター118aの表面の各々は、それぞれの活性電極材料を積層されていない、ストリップ形態のクリアー領域115c,118cを含む。これらのクリアー領域の各々は、アノード電流コレクター115aの二つの平坦な側115d,115e及びカソード電流コレクター118aの二つの平坦な側118d,118eの上にストリップ形態の二つの副領域を含む。これらの副領域は、巻き101の電極において、各々支持体材料119として酸化アルミニウムの層で被覆される。長手方向縁118f及び115gは、それ自体支持体材料119を有さない。
【0095】
クリアー領域115c及び118cは、両側に付与された支持体材料119によって機械的及び熱的応力に対してより安定している。さらに、支持体材料119は、領域115c及び118cを電気的に絶縁する。
【0096】
図6に断面で示されたアノード115の上面図が
図8に示される。
【0097】
図1及び5に示された巻きの形態の電極-セパレーター複合体101では、アノード電流コレクター115aの長手方向縁115gは、支持体材料119で被覆されたクリアー領域115cとともに末端面109から突出する。カソード電流コレクター118aの長手方向縁118fは、クリアー領域118cとともに末端面103から突出する。突出する長手方向縁115g及び118fは、電極-セパレーター複合体101の螺旋巻きの結果として、同様に螺旋幾何学形状を有する。
【0098】
本発明のセル100の製造のため、二つの接触板104が、巻きの末端面103及び109の上に平坦に置かれる。
図3は、末端面103の上への接触板104の配置を示す。これは、末端面103及び109から突出する長手方向縁115g及び118fと接触板の間の直線状の接触領域をもたらす。接触板は、直線状の接触領域に沿って長手方向縁115g及び118fに溶接することによって接合される。これは、電流コレクター115a及び118aをそれらの全長さにわたって電気接触させることを可能にする。
【0099】
接触板104は、
図2に示されている。それらは、略円形板の形をとる。それらは、円板縁113が四つの場所113a~113dで完全な円形の幾何学形状から逸脱し、それらの各々で平坦な円形領域が取り除かれているので、略円形にすぎない。接触板104は、溝105a,105b,105c及び105dを有する。四つの溝は、外側円板縁113から接触板の中心の方向に半径方向に延びて配置される。その中心では、接触板104は、円形穴の形の通路114を有する。中心開口114の右及び左には、二つのさらなる通路120及び121がある。これらは、接触板104の装着において位置決めの助けとして役立つことができる。
【0100】
溶接の結果物は、
図4(上から斜めの上面図)及び
図7(断面図)で示されている。接触板104及び長手方向縁118fは、溶接継目122によって接続される。後者は、ここでは長手方向縁118fと同じ螺旋プロファイルを有する。溶接継目122は、長手方向縁118fの螺旋プロファイルに正確に従う。しかしながら、溝105a~105dのため、長手方向縁118fが接触板104に連続的にその全長さにわたって溶接されることはできない。代わりに、溝105a~105dによって中断された長手方向縁118fは、各々が溶接継目122によって接触領域に沿って接触板104にそれらの全長さにわたって連続的に接続された複数の区域を有する。
【国際調査報告】