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特表2022-533939線維芽細胞増殖因子受容体キナーゼの阻害剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-27
(54)【発明の名称】線維芽細胞増殖因子受容体キナーゼの阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20220720BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20220720BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
C07D487/04 144
C07D487/04 140
C07D487/04 CSP
A61K31/53
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021567059
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(85)【翻訳文提出日】2022-01-07
(86)【国際出願番号】 US2020032939
(87)【国際公開番号】W WO2020236524
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】62/849,534
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/907,491
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】520496637
【氏名又は名称】キネート バイオファーマ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】カルドー,ステファン,ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ティホナス,ジョン
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB04
4C050CC07
4C050EE03
4C050FF02
4C050GG04
4C050HH04
4C086CB05
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZC42
(57)【要約】
【解決手段】線維芽細胞増殖因子受容体キナーゼの阻害剤、上記化合物を含む医薬組成物、および疾患の処置のために上記化合物を使用するための方法が本明細書で提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の構造を有する、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物であって、
【化1】
式中、
XはC-HまたはNであり、
YはC-HまたはNであり、
Zは以下の構造を有する群から選択され:
【化2】
tは1または2であり、
、R、およびRはそれぞれ独立して、水素、随意に置換されたC1-C4アルキル、または随意に置換されたヘテロシクリルアルキルから選択され、
は随意に置換されたC6アリールであり、
Uは-CH-または単結合であり、
Rは、随意に置換されたC1-C6アルキル、随意に置換されたC3-C7カルボシクリル、随意に置換されたC3-C7カルボシクリルアルキル、随意に置換されたC3-C7ヘテロシクリル、随意に置換されたC3-C7ヘテロシクリルアルキル、随意に置換されたC-C7アルケニル、-CO、-CONHR、または-CON(Rから選択され、および、
はそれぞれ独立して、随意に置換されたC1-C6アルキル、随意に置換されたC3-C7カルボシクリル、随意に置換されたC3-C7カルボシクリルアルキル、随意に置換されたC3-C7ヘテロシクリル、または随意に置換されたC3-C7ヘテロシクリルアルキルから選択される、
化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項2】
XはC-Hであり、およびYはC-Hである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項3】
XはC-Hであり、およびYはNである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項4】
XはNであり、およびYはC-Hである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項5】
XはNであり、およびYはNである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項6】
Zは、
【化3】
である、請求項1-5のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項7】
は水素である、請求項1-6のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項8】
は水素である、請求項1-7のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項9】
およびRは水素である、請求項1-6のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項10】
は水素である、請求項1-9のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項11】
は随意に置換されたC1-C4アルキルである、請求項1-9のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項12】
は随意に置換されたC1-C2アルキルである、請求項1-9のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項13】
は随意に置換されたC1アルキルである、請求項1-9のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項14】
随意に置換されたアルキルは、随意に置換されたアミノ基で置換される、請求項11、12、または13に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項15】
随意に置換されたアミノ基はジメチルアミノである、請求項14に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項16】
Uは単結合である、請求項1-15のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項17】
Uは-CH-である、請求項1-15のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項18】
は非置換のフェニルである、請求項1-17のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項19】
は置換されたフェニルである、請求項1-17のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項20】
は4-位置に水素を有する置換されたフェニルである、請求項1-17のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項21】
置換されたフェニルは1個または2個の置換基を有する、請求項19または20に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項22】
置換されたフェニルは3,5-二置換である、請求項21に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項23】
置換されたフェニルは3個または4個の置換基を有する、請求項19または20に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項24】
置換されたフェニルは2,3,5,6-四置換である、請求項23に記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項25】
置換されたフェニルは、ハロゲン、-CN、随意に置換されたC1-C4アルキル、または随意に置換されたC1-C3アルコキシから選択された少なくとも1つの置換基で置換される、請求項19-24のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項26】
Rは随意に置換されたC1-C6アルキルである、請求項1-25のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項27】
Rは随意に置換されたC3-C7カルボシクリルである、請求項1-25のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項28】
Rは随意に置換されたC3-C7カルボシクリルアルキルである、請求項1-25のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項29】
Rは随意に置換されたC3-C7ヘテロシクリルである、請求項1-25のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項30】
Rは随意に置換されたC3-C7ヘテロシクリルアルキルである、請求項1-25のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項31】
Rは随意に置換されたC2-C7アルケニルである、請求項1-25のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項32】
Rは-COである、請求項1-25のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項33】
Rは-CONHRである、請求項1-25のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項34】
Rは-CON(Rである、請求項1-25のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項35】
請求項1-34のいずれか1つに記載される式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を含む、医薬組成物。
【請求項36】
請求項1-34のいずれか1つに記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物と、薬学的に許容可能な担体とを混合する工程を含む、医薬組成物を調製する方法。
【請求項37】
ヒトまたは動物の身体の処置の方法で使用するための、請求項1-34のいずれか1つに記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項38】
癌または腫瘍性疾患の処置の方法で使用するための、請求項1-34のいずれか1つに記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物。
【請求項39】
癌または腫瘍性疾患の処置のための薬剤の製造における、請求項1-34のいずれか1つに記載される化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物の使用。
【請求項40】
患者の癌を処置する方法であって、請求項1-34のいずれか1つに記載される式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を前記患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項41】
患者の癌を処置する方法であって、請求項1-34のいずれか1つに記載される式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物と、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物を前記患者に投与する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年9月27日に出願された米国仮特許出願第62/907,491号、および2019年5月17日に出願された米国仮特許出願第62/849,534号の利益を主張するものであり、これらは両方とも全体として本出願の開示内で参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)は、タンパク質の線維芽細胞増殖因子ファミリーのメンバーに結合する受容体チロシンキナーゼ(RTK)のサブファミリーである。線維芽細胞増殖因子/FGF受容体ネットワークの制御異常は、腫瘍において頻繁に発生する。したがって、異常なFGFRキナーゼ活性を標的とする治療法が、癌やその他の疾患の治療に使用されることが望まれている。
【発明の概要】
【0003】
線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)キナーゼの阻害剤、上記化合物を含む医薬組成物、および疾患の処置のために上記化合物を使用する方法が本明細書で提供される。
【0004】
1つの実施形態は、式(I)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、
【0005】
【化1】
式中、
XはC-HまたはNであり、
YはC-HまたはNであり、
Zは以下の構造を有する群から選択され:
【0006】
【化2】
tは1または2であり、
、R、およびRはそれぞれ独立して、水素、随意に置換されたC1-C4アルキル、または随意に置換されたヘテロシクリルアルキルから独立して選択され、
は随意に置換されたC6アリールであり、
Uは-CH-または単結合であり、
Rは、随意に置換されたC1-C6アルキル、随意に置換されたC3-C7カルボシクリル、随意に置換されたC3-C7カルボシクリルアルキル、随意に置換されたC3-C7ヘテロシクリル、随意に置換されたC3-C7ヘテロシクリルアルキル、随意に置換されたC2-C7アルケニル、-CO、-CONHR、または-CON(Rから選択され、および、
はそれぞれ独立して、随意に置換されたC1-C6アルキル、随意に置換されたC3-C7カルボシクリル、随意に置換されたC3-C7カルボシクリルアルキル、随意に置換されたC3-C7ヘテロシクリル、または随意に置換されたC3-C7ヘテロシクリルアルキルから選択される。
【0007】
1つの実施形態は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物、および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0008】
1つの実施形態は、患者の疾患または障害を処置する方法であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を患者に投与する工程を含む方法を提供する。別の実施形態は、疾患または障害が癌である、上記方法を提供する。
【0009】
引用による組み込み
本明細書で言及されるすべての公開物、特許、および特許出願は、本明細書で特定される特定の目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書と添付の請求項において使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に別のことを指定していない限り、複数の指示対象を含む。ゆえに、例えば、「薬剤」への言及は複数のこうした薬剤を含み、「細胞」への言及は1以上の細胞(または複数の細胞)、および当業者に知られている同等物などへの言及を含む。分子量などの物理的特性、または式などの化学的特性に関する範囲が本明細書で使用されているとき、範囲と範囲内の具体的な実施形態の組み合わせと下位の組み合わせがすべて包含されるように意図されている。「約(about)」という用語は、数または数の範囲を指すとき、参照される数または数の範囲が、実験のばらつきの範囲内(または統計学的な実験誤差内)の近似値であり、したがって、数または数の範囲が、例によっては、記載される数または数の範囲の1%-15%で変動することを意味する。「含むこと」(および、「含む(comprise)または(comprises)」、あるいは「有すること(having)」または「含むこと(including)」などの関連する用語)という用語は、他のある実施形態では、例えば、本明細書に記載される任意の物質の組成物、組成物、方法、またはプロセスなどの実施形態が、記載される特徴「からなる(consist of)」または「から本質的になる(consist essentially of)」ことを排除することを意図するものではない。
【0011】
定義
本明細書と添付の請求項で使用されるように、反対の意味に指定されない限り、次の用語は以下に指定する意味を有する。
【0012】
「アミノ」は-NHラジカルを指す。
【0013】
「シアノ」は-CNラジカルを指す。
【0014】
「ニトロ」は-NOラジカルを指す。
【0015】
「オキサ」は-O-ラジカルを指す。
【0016】
「オキソ」は=Oラジカルを指す。
【0017】
「チオキソ」は=Sラジカルを指す。
【0018】
「イミノ」は=N-Hラジカルを指す。
【0019】
「オキシモ」は=N-OHラジカルを指す。
【0020】
「ヒドラジノ」は=N-NHラジカルを指す。
【0021】
「アルキル」は、炭素原子と水素原子のみからなり、不飽和を含まず、1~15の炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖ラジカルを指す(例えば、C-C15アルキル)。ある実施形態では、アルキルは1~13の炭素原子を含む(例えば、C-C13アルキル)。ある実施形態では、アルキルは1~8の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキル)。他の実施形態では、アルキルは1~5の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキル)。他の実施形態では、アルキルは1~4の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキル)。他の実施形態では、アルキルは1~3の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキル)。他の実施形態では、アルキルは1~2の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキル)。他の実施形態では、アルキルは1つの炭素原子を含む(例えば、Cアルキル)。他の実施形態では、アルキルは5~15の炭素原子を含む(例えば、C-C15アルキル)。他の実施形態では、アルキルは5~8の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキル)。他の実施形態では、アルキルは2~5の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキル)。他の実施形態では、アルキルは3~5の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキル)。他の実施形態では、アルキル基は、メチル、エチル、1-プロピル(n-プロピル)、1-メチルエチル(イソ-プロピル)、1-ブチル(n-ブチル)、1-メチルプロピル(sec-ブチル)、2-メチルプロピル(イソ-ブチル)、1,1-ジメチルエチル(tert-ブチル)、1-ペンチル(n-ペンチル)から選択される。アルキルは、単結合によって分子の残りに結合する。本明細書において別段の定めのない限り、アルキル基は、以下の置換基のうち1つ以上によって随意に置換される:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-OC(O)-N(R、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)(tは1または2である)、-S(O)OR(tは1または2である)、-S(O)(tは1または2である)、および、-S(O)N(R(tは1または2である)、ここで、Rはそれぞれ独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、フルオロアルキル、カルボシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、カルボシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、あるいはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)である。
【0022】
「アルコキシ」は、式-O-アルキルの酸素原子を介して結合されるラジカルを指し、ここで、アルキルは上に定義されるようなアルキル鎖である。
【0023】
「アルケニル」は、炭素原子と水素原子のみからなり、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含み、および2~12の炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖ラジカル基を指す。ある実施形態では、アルケニルは2~8の炭素原子を含む。他の実施形態では、アルケニルは2~4の炭素原子を含む。アルケニルは単結合によって分子の残りに結合し、例えば、エテニル(すなわち、ビニル)、プロプ(prop)-1-エニル(すなわち、アリル)、ブト(but)-1-エニル、ペント(pent)-1-エニル、ペンタ(penta)-1,4-ジエニルなどである。本明細書において別段の定めのない限り、アルケニル基は、以下の置換基の1つ以上によって随意に置換される:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-OC(O)-N(R、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)(tは1または2である)、-S(O)OR(tは1または2である)、-S(O)(tは1または2である)、および、-S(O)N(R(tは1または2である)、ここで、Rはそれぞれ独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、フルオロアルキル、カルボシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、カルボシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、あるいはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)である。
【0024】
「アルキニル」は、炭素原子と水素原子のみからなり、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含み、2~12の炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖ラジカル基を指す。ある実施形態では、アルキニルは2~8の炭素原子を含む。他の実施形態では、アルキニルは2~6の炭素原子を含む。他の実施形態では、アルキニルは2~4の炭素原子を含む。アルキニルは単結合によって分子の残りに結合し、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどである。本明細書において別段の定めのない限り、アルキニル基は、以下の置換基の1つ以上によって随意に置換される:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-OC(O)-N(R、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)(tは1または2である)、-S(O)OR(tは1または2である)、-S(O)(tは1または2である)、および-S(O)N(R(tは1または2である)(ここで、Rはそれぞれ独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、フルオロアルキル、カルボシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、カルボシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、あるいはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)である)。
【0025】
「アルキレン」または「アルキレン鎖」は、分子の残りをラジカル基に連結させ、炭素と水素からなり、不飽和を含まず、および、1~12の炭素原子を有する、直鎖または分子鎖のニ価炭化水素鎖を指す(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n-ブチレンなど)。アルキレン鎖は、単結合を介して分子の残りに、および単結合を介してラジカル基に結合する。分子の残りおよびラジカル基に対するアルキレン鎖の結合点は、アルキレン鎖中の1つの炭素、または鎖内の任意の2つの炭素を介する。ある実施形態では、アルキレンは1~8の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキレン)。他の実施形態では、アルキレンは1~5の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキレン)。他の実施形態では、アルキレンは1~4の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキレン)。他の実施形態では、アルキレンは1~3の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキレン)。他の実施形態では、アルキレンは1~2の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキレン)。他の実施形態では、アルキレンは1つの炭素原子を含む(例えば、Cアルキレン)。他の実施形態では、アルキレンは5~8の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキレン)。他の実施形態では、アルキレンは2~5の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキレン)。他の実施形態では、アルキレンは3~5の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキレン)。本明細書において別段の定めのない限り、アルキレン鎖は、以下の置換基の1つ以上によって随意に置換される:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-OC(O)-N(R、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)(tは1または2である)、-S(O)OR(tは1または2である)、-S(O)(tは1または2である)、および-S(O)N(R(tは1または2である)(ここで、Rはそれぞれ独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、フルオロアルキル、カルボシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、カルボシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、あるいはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)である)。
【0026】
「アルケニレン」または「アルケニレン鎖」は、ラジカル基に分子の残りを連結させ、炭素と水素のみからなり、少なくとも1つの炭素炭素二重結合を含み、および、2~12の炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖の二価炭化水素鎖を指す。アルケニレン鎖は、単結合により分子の残りに結合され、単結合によりラジカル基に結合される。ある実施形態では、アルケニレンは2~8の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルケニレン)。他の実施形態では、アルケニレンは2~5の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルケニレン)。他の実施形態では、アルケニレンは2~4の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルケニレン)。他の実施形態では、アルケニレンは2~3の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルケニレン)。他の実施形態では、アルケニレンは2つの炭素原子を含む(例えば、Cアルケニレン)。他の実施形態では、アルケニレンは5~8の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルケニレン)。他の実施形態では、アルケニレンは3~5の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルケニレン)。本明細書において別段の定めのない限り、アルケニレン鎖は、以下の置換基の1以上によって随意に置換される:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-OC(O)-N(R、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)(tは1または2である)、-S(O)OR(tは1または2である)、-S(O)(tは1または2である)、および、-S(O)N(R(tは1または2である)、ここで、Rはそれぞれ独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、フルオロアルキル、カルボシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、カルボシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、あるいはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)である。
【0027】
「アルキニレン」または「アルキニレン鎖」は、ラジカル基に分子の残りを連結させ、炭素と水素のみからなり、少なくとも1つの炭素炭素三重結合を含み、および、2~12の炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖の二価炭化水素鎖を指す。アルキニレン鎖は、単結合により分子の残りに結合し、単結合によりラジカル基に結合する。ある実施形態では、アルキニレンは2~8の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキニレン)。他の実施形態では、アルキニレンは2~5の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキニレン)。他の実施形態では、アルキニレンは2~4の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキニレン)。他の実施形態では、アルキニレンは2~3の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキニレン)。他の実施形態では、アルキニレンは2つの炭素原子を含む(例えば、Cアルキニレン)。他の実施形態では、アルキニレンは5~8の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキニレン)。他の実施形態では、アルキニレンは3~5の炭素原子を含む(例えば、C-Cアルキニレン)。本明細書において別段の定めのない限り、アルキニレン鎖は、以下の置換基の1つ以上によって随意に置換される:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-OC(O)-N(R、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)(tは1または2である)、-S(O)OR(tは1または2である)、-S(O)(tは1または2である)、および、-S(O)N(R(tは1または2である)、ここで、Rはそれぞれ独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、フルオロアルキル、カルボシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、カルボシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、あるいはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)である。
【0028】
「アリール」は、環炭素原子から水素原子を取り除くことにより、芳香族単環式または多環式の炭化水素環系に由来するラジカルを指す。芳香族単環式または多環式の炭化水素環系は、水素と、5-18の炭素原子からの炭素のみを含み、ここで、環系における環の少なくとも1つは完全に不飽和であり、すなわち、ヒュッケルの理論に従った環状の非局在化した(4n+2)π-電子系を含む。アリール基が由来する環系は、限定されないが、ベンゼン、フルオレン、インダン、インデン、テトラリン、およびナフタレンなどの基を含む。本明細書において別段の定めのない限り、「アリール」という用語または(「アラルキル」などの中の)接頭辞「ar」は、以下から独立して選択される1つ以上の置換基によって随意に置換されたアリールラジカルを含むことを意味している:アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、シアノ、ニトロ、随意に置換されたアリール、随意に置換されたアラルキル、随意に置換されたアラルケニル、随意に置換されたアラルキニル、随意に置換されたカルボシクリル、随意に置換されたカルボシクリルアルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、随意に置換されたヘテロシクリルアルキル、随意に置換されたヘテロアリール、随意に置換されたヘテロアリールアルキル、-R-OR、-R-OC(O)-R、-R-OC(O)-OR、-R-OC(O)-N(R、-R-N(R、-R-C(O)R、-R-C(O)OR、-R-C(O)N(R、-R-O-R-C(O)N(R、-R-N(R)C(O)OR、-R-N(R)C(O)R、-R-N(R)S(O)(tは1または2である)、-R-S(O)(tは1または2である)、-R-S(O)OR(tは1または2である)、および-R-S(O)N(R(tは1または2である)(ここで、Rはそれぞれ独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、フルオロアルキル、シクロアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、シクロアルキルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、あるいはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)であり、Rはそれぞれ独立して、直接結合、あるいは直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖またはアルケニレン鎖であり、および、Rは直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖またはアルケニレン鎖であり、別段の定めのない限り、上記の置換基のそれぞれは非置換型である)。
【0029】
「アラルキル」は、式-R-アリールのラジカルを指し、Rは例えば、メチレン、エチレンなど上に定義されるようなアルキレン鎖である。アラルキルラジカルのアルキレン鎖部分は、アルキレン鎖について上に記載されるように随意に置換される。アラルキルラジカルのアリール部分は、アリール基について上に記載されるように随意に置換される。
【0030】
「アラルケニル」は、式-R-アリールのラジカルを指し、Rは上に定義されるようなアルケニレン鎖である。アラルケニルラジカルのアリール基部分は、アリール基について上に記載されるように随意に置換される。アラルケニルラジカルのアルケニレン鎖部分は、アルケニレン基について上に定義されるように随意に置換される。
【0031】
「アラルキニル」は式-R-アリールのラジカルを指し、Rは上に定義されるアルキニレン鎖である。アラルキニルラジカルのアリール部分は、アリール基について上記に記載されるように、随意に置換される。アラルキニルラジカルのアルキニレン鎖部分は、アルキニレン鎖について上に定義されるように、随意に置換される。
【0032】
「アラルコキシ」は式-O-R-アリールの酸素原子によって結合したラジカルを指し、Rは例えば、メチレン、エチレンなど上に定義されるようなアルキレン鎖である。アラルキルラジカルのアルキレン鎖部分は、アルキレン鎖について上に記載されるように随意に置換される。アラルキルラジカルのアリール部分は、アリール基について上に記載されるように随意に置換される。
【0033】
「カルボシクリル」は、炭素と水素の原子のみからなり、縮合した環系または架橋した環系を含み、3~15の炭素原子を有する、安定した非芳香族の単環式または多環式の炭化水素ラジカルを指す。ある実施形態では、カルボシクリルは3~10の炭素原子を含む。他の実施形態では、カルボシクリルは5~7の炭素原子を含む。カルボシクリルは、単結合により分子の残りに結合する。カルボシクリルは飽和している(つまり、単一のC-C結合のみを含む)か、または不飽和(つまり、1つ以上の二重結合または三重結合を含む)である。完全に飽和したカルボシクリルラジカルは「シクロアルキル」とも呼ばれる。単環式シクロアルキルの例は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルを含む。不飽和カルボシクリルは「シクロアルケニル」とも呼ばれる。単環式のシクロアルケニルの例は、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、およびシクロオクテニルを含む。多環式カルボシクリルラジカルとしては、例えば、アダマンチル、ノルボルニル(つまり、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル)、ノルボルネニル、デカリニル(decalinyl)、7,7-ジメチル-ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどが挙げられる。本明細書で別段の定めのない限り、「カルボシクリル」という用語は、以下から独立して選択される1つ以上の置換基によって随意に置換されるカルボシクリルラジカルを含むことを意味している:アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、オキソ、チオキソ、シアノ、ニトロ、随意に置換されたアリール、随意に置換されたアラルキル、随意に置換されたアラルケニル、随意に置換されたアラルキニル、随意に置換されたカルボシクリル、随意に置換されたカルボシクリルアルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、随意に置換されたヘテロシクリルアルキル、随意に置換されたヘテロアリール、随意に置換されたヘテロアリールアルキル、-R-OR、-R-OC(O)-R、-R-OC(O)-OR、-R-OC(O)-N(R、-R-N(R、-R-C(O)R、-R-C(O)OR、-R-C(O)N(R、-R-O-R-C(O)N(R、-R-N(R)C(O)OR、-R-N(R)C(O)R、-R-N(R)S(O)(tは1または2である)、-R-S(O)(tは1または2である)、-R-S(O)OR(tは1または2である)、および-R-S(O)N(R(tは1または2である)(ここで、Rはそれぞれ独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、フルオロアルキル、シクロアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、シクロアルキルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、あるいはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)であり、Rはそれぞれ独立して、直接結合、あるいは直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖またはアルケニレン鎖であり、および、Rは直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖またはアルケニレン鎖であり、ここで、上記置換基の各々は、別段の定めのない限り非置換型である)。
【0034】
「カルボシクリルアルキル」は、式-R-カルボシクリルのラジカルを指し、Rは上に定義されるようなアルキレン鎖である。アルキレン鎖およびカルボシクリルラジカルは、上に定義されるように随意に置換される。
【0035】
「カルボシクリルアルキニル」は、式-R-カルボシクリルのラジカルを指し、Rは上に定義されるようなアルキニレン鎖である。アルキニレン鎖とカルボシクリルラジカルは上に定義されるように随意に置換される。
【0036】
「カルボシクリルアルコキシ」は、式-O-R-カルボシクリルの酸素原子によって結合したラジカルを指し、Rは以下に定義されるようなアルキレン鎖である。アルキレン鎖およびカルボシクリルラジカルは、上に定義されるように随意に置換される。
【0037】
本明細書で使用されるように、「カルボン酸生物学的等価体」とは、カルボン酸部分として同様の物理的、生物学的、および/または化学的な性質を示す官能基または部分を指す。カルボン酸生物学的等価体の例としては、限定されないが、以下が挙げられる。
【0038】
【化3】
【0039】
「ハロ」または「ハロゲン」は、ブロモ、クロロ、フルオロ、またはヨードの置換基を指す。
【0040】
「フルオロアルキル」は、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1-フルオロメチル-2-フルオロエチルなど、上に定義されるような1つ以上のフルオロラジカルによって置換される、上に定義されるようなアルキルラジカルを指す。いくつかの実施形態では、フルオロアルキルラジカルのアルキル部分は、アルキル基について上に定義されるように随意に置換される。
【0041】
「ヘテロシクリル」は、窒素、酸素、および硫黄から選択される2~12の炭素原子と1~6のヘテロ原子とを含む、安定した3~18員の非芳香環ラジカルを指す。本明細書で別段の定めのない限り、ヘテロシクリルラジカルは、単環式、二環式、三環式、または四環式の環系であり、それは縮合した環系または架橋した環系を随意に含む。ヘテロシクリルラジカル中のヘテロ原子は随意に酸化される。1つ以上の窒素原子は、存在する場合、随意に四級化される。ヘテロシクリルラジカルは、部分的または完全に飽和される。ヘテロシクリルは環の任意の原子によって分子の残りに結合される。こうしたヘテロシクリルラジカルの例としては、限定されないが、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1-オキソ-チオモルホリニル、および1,1-ジオキソ-チオモルホリニルが挙げられる。本明細書において別段の定めのない限り、「ヘテロシクリル」との用語は、以下から選択される1つ以上の置換基によって随意に置換される上で定義されるようなヘテロシクリルラジカルを含むことを意味している:アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、オキソ、チオキソ、シアノ、ニトロ、随意に置換されたアリール、随意に置換されたアラルキル、随意に置換されたアラルケニル、随意に置換されたアラルキニル、随意に置換されたカルボシクリル、随意に置換されたカルボシクリルアルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、随意に置換されたヘテロシクリルアルキル、随意に置換されたヘテロアリール、随意に置換されたヘテロアリールアルキル、-R-OR、-R-OC(O)-R、-R-OC(O)-OR、-R-OC(O)-N(R、-R-N(R、-R-C(O)R、-R-C(O)OR、-R-C(O)N(R、-R-O-R-C(O)N(R、-R-N(R)C(O)OR、-R-N(R)C(O)R、-R-N(R)S(O)(tは1または2である)、-R-S(O)(tは1または2である)、-R-S(O)OR(tは1または2である)、および-R-S(O)N(R(tは1または2である)(ここで、Rはそれぞれ独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、フルオロアルキル、シクロアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、シクロアルキルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、あるいはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)であり、Rはそれぞれ独立して、直接結合、あるいは直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖またはアルケニレン鎖であり、および、Rは直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖またはアルケニレン鎖であり、ここで、上記置換基の各々は、別段の定めのない限り非置換型である)。
【0042】
「N-ヘテロシクリル」または「N結合(N-attached)ヘテロシクリル」は、少なくとも1つの窒素を含む上に定義されるようなヘテロシクリルラジカルを指し、分子の残りに対するヘテロシクリルラジカルの結合点は、ヘテロシクリルラジカル中の窒素原子を介する。N-ヘテロシクリルラジカルは、ヘテロシクリルラジカルについて上に記載されるように、随意に置換される。こうしたN-ヘテロシクリルラジカルの例としては、限定されないが、1-モルホリニル、1-ピペリジニル、1-ピペラジニル、1-ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、およびイミダゾリジニルが挙げられる。
【0043】
「C-ヘテロシクリル」または「C結合ヘテロシクリル」は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む上に定義されるようなヘテロシクリルラジカルを指し、分子の残りに対するヘテロシクリルの結合点は、ヘテロシクリルラジカル中の炭素原子を介する。C-ヘテロシクリルラジカルは、ヘテロシクリルラジカルについて上記に記載されるように、随意に置換される。そのようなC-ヘテロシクリルラジカルの例は、限定されないが、2-モルホリニル、2-ピペリジニルまたは3-ピペリジニルまたは4-ピペリジニル、2-ピペラジニル、2-ピロリジニルまたは3-ピロリジニルなどを含む。
【0044】
「ヘテロシクリルアルキル」は、式-R-ヘテロシクリルのラジカルを指し、Rは上に定義されるようなアルキレン鎖である。ヘテロシクリルが窒素含有ヘテロシクリルである場合、ヘテロシクリルは、窒素原子にてアルキルラジカルに随意に結合する。ヘテロシクリルアルキルラジカルのアルキレン鎖は、アルキレン鎖について上に定義されるように随意に置換される。ヘテロシクリルアルキルラジカルのヘテロシクリル部分は、ヘテロシクリル基について上に定義されるように随意に置換される。
【0045】
「ヘテロシクリルアルコキシ」は、式-O-R-ヘテロシクリルの酸素原子によって結合したラジカルを指し、Rは上に定義されるようなアルキレン鎖である。ヘテロシクリルが窒素含有ヘテロシクリルである場合、ヘテロシクリルは、窒素原子にてアルキルラジカルに随意に結合する。ヘテロシクリルアルコキシラジカルのアルキレン鎖は、アルキレン鎖について上に定義されるように随意に置換される。ヘテロシクリルアルコキシラジカルのヘテロシクリル部分は、ヘテロシクリル基について上に定義されるように随意に置換される。
【0046】
「ヘテロアリール」は、窒素、酸素、および硫黄から選択される2~17の炭素原子と1~6のヘテロ原子とを含む、3~18員の芳香環ラジカルに由来するラジカルを指す。本明細書に使用されるように、ヘテロアリールラジカルは、単環式、二環式、三環式、または四環式の環系であり、ここで、環系における環の少なくとも1つは完全に不飽和であり、すなわち、ヒュッケル理論に従った環式の非局在化(4n+2)π-電子系を含む。ヘテロアリールは、縮合または架橋した環系を含む。ヘテロアリールラジカル中のヘテロ原子は、随意に酸化される。1つ以上の窒素原子は、存在する場合、随意に四級化される。ヘテロアリールは、環の任意の原子を介して分子の残りに結合する。ヘテロアリールの例としては、限定されないが、アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズインドリル、1,3-ベンゾジオキソリル(benzodioxolyl)、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾ[d]チアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル(dioxepinyl)、ベンゾ[b][1,4]オキサジニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル(benzodioxolyl)、ベンゾジオキシニル(benzodioxinyl)、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル(benzopyranonyl)、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾチエノ[3,2-d]ピリミジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、シクロペンタ[d]ピリミジニル、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6-ジヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、5,6-ジヒドロベンゾ[h]シンノリニル、6,7-ジヒドロ-5H-ベンゾ[6,7]シクロヘプタ[1,2-c]ピリダジニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、フロ[3,2-c]ピリジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリミジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリダジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリジニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソキサゾリル、5,8-メタノ-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル、ナフチリジニル(naphthyridinyl)、1,6-ナフチリジノニル(naphthyridinonyl)、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、5,6,6a,7,8,9,10,10a-オクタヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、1-フェニル-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル(phenothiazinyl)、フェノキサジニル(phenoxazinyl)、フタラジニル、プテリジニル(pteridinyl)、プリニル(purinyl)、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾロ(pyrazolo)[3,4-d]ピリミジニル、ピリジニル、ピリド(pyrido)[3,2-d]ピリミジニル、ピリド[3,4-d]ピリミジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル、5,6,7,8-テトラヒドロベンゾ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,5-c]ピリダジニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、チエノ[2,3-d]ピリミジニル、チエノ[3,2-d]ピリミジニル、チエノ[2,3-c]プリジニル(pridinyl)、およびチオフェニル(すなわち、チエニル)が挙げられる。本明細書において別段の定めのない限り、「ヘテロアリール」との用語は、以下から選択された1つ以上の置換基によって随意に置換される、上に定義されるようなヘテロアリールラジカルを含むことを意味する:アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、オキソ、チオキソ、シアノ、ニトロ、随意に置換されたアリール、随意に置換されたアラルキル、随意に置換されたアラルケニル、随意に置換されたアラルキニル、随意に置換されたカルボシクリル、随意に置換されたカルボシクリルアルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、随意に置換されたヘテロシクリルアルキル、随意に置換されたヘテロアリール、随意に置換されたヘテロアリールアルキル、-R-OR、-R-OC(O)-R、-R-OC(O)-OR、-R-OC(O)-N(R、-R-N(R、-R-C(O)R、-R-C(O)OR、-R-C(O)N(R、-R-O-R-C(O)N(R、-R-N(R)C(O)OR、-R-N(R)C(O)R、-R-N(R)S(O)(tは1または2である)、-R-S(O)(tは1または2である)、-R-S(O)OR(tは1または2である)、および-R-S(O)N(R(tは1または2である)(ここで、Rはそれぞれ独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、フルオロアルキル、シクロアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、シクロアルキルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、あるいはヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)であり、Rはそれぞれ独立して、直接結合、あるいは直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖またはアルケニレン鎖であり、および、Rは直鎖または分枝鎖のアルキレン鎖またはアルケニレン鎖であり、別段の定めのない限り、上記の置換基のそれぞれは非置換型である)。
【0047】
「N-ヘテロアリール」は、少なくとも1つの窒素を含む上に定義されるようなヘテロアリールラジカルを指し、分子の残りに対するヘテロアリールラジカルの結合点は、ヘテロアリールラジカル中の窒素原子を介する。N-ヘテロアリールラジカルは、ヘテロアリールラジカルについて上に記載されるように随意に置換される。
【0048】
「C-ヘテロアリール」は、上に定義されるようなヘテロアリールラジカルを指し、分子の残りに対するヘテロアリールラジカルの結合点は、ヘテロアリールラジカル中の炭素原子を介する。C-ヘテロアリールラジカルは、ヘテロアリールラジカルについて上に記載されるように随意に置換される。
【0049】
「ヘテロアリールアルキル」は式-R-ヘテロアリールのラジカルを指し、Rは上に定義されるようなアルキレン鎖である。ヘテロアリールが窒素含有ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、窒素原子にてアルキルラジカルに随意に結合する。ヘテロアリールアルキルラジカルのアルキレン鎖は、アルキレン鎖について上に定義されるように随意に置換される。ヘテロアリールアルキルラジカルのヘテロアリール部分は、ヘテロアリール基について上に定義されるように随意に置換される。
【0050】
「ヘテロアリールアルコキシ」は、式-O-R-ヘテロアリールの酸素原子によって結合したラジカルを指し、Rは上に定義されるようなアルキレン鎖である。ヘテロアリールが窒素含有ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、窒素原子にてアルキルラジカルに随意に結合する。ヘテロアリールアルコキシラジカルのアルキレン鎖は、アルキレン鎖について上に定義されるように随意に置換される。ヘテロアリールアルコキシラジカルのヘテロアリール部分は、ヘテロアリール基について上に定義されるように随意に置換される。
【0051】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される化合物は1つ以上の不斉中心を含み、したがって、絶対的な立体化学の観点から(R)または(S)として定義されるエナンチオマー、ジアステレオマー、および他の立体異性形態を生じさせる。別段の定めのない限り、本明細書に開示される化合物のすべての立体異性形態が本開示によって企図されている。本明細書に記載される化合物がアルケン二重結合を含む場合、および特段の明記のない限り、本開示はEとZ両方の幾何異性体(例えば、シスまたはトランス)を含むことが意図されている。同様に、すべての起こり得る異性体、そのラセミ体や光学的に純粋な形態、およびすべての互変異性体も含まれるよう意図されている。「幾何異性体」という用語は、アルケン二重結合のEまたはZの幾何異性体(例えば、シスまたはトランス)を指す。「位置異性体」という用語は、ベンゼン環のまわりのオルト異性体、メタ異性体、およびパラ異性体などの、中心環のまわりの構造異性体を指す。
【0052】
「互変異性体」とは、ある分子の1つの原子から同じ分子の別の原子までのプロトン移動が可能である分子を指す。本明細書で提示される化合物は、ある実施形態では互変異性体として存在する。互変異性化が可能な状況では、互変異性体の化学平衡が存在する。互変異性体の正確な割合は、物理的状態、温度、溶媒、およびpHを含む複数の因子に依存する。互変異性平衡のいくつかの例は、以下を含む:
【0053】
【化4】
【0054】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される化合物は、様々な濃縮された同位体の形態で、例えば、H、H、11C、13C、および/または14Cの内容物に濃縮されて、使用される。1つの特定の実施形態では、化合物は少なくとも1つの位置で重水素化される。こうした重水素化形態は、米国特許第5,846,514号と第6,334,997号に記載される手順によって作ることが可能である。米国特許第5,846,514号と第6,334,997号に記載されるように、重水素化は代謝性安定性または有効性を改善することができ、ゆえに医薬品の作用持続期間を増加させる。
【0055】
別段の定めのない限り、本明細書で描かれる構造は、1つ以上の同位体濃縮された原子の存在下でのみ異なる化合物を含むことを意図している。例えば、重水素またはトリチウムによる水素の交換、または13Cまたは14C濃縮された炭素による炭素の交換を除いて、本構造を有する化合物は、本開示の範囲内である。
【0056】
本開示の化合物は、こうした化合物を構成する1つ以上の原子において不自然な割合の原子同位体を随意に含む。例えば、化合物は、例えば、重水素(H)、トリチウム(H)、ヨウ素-125(125I)、または炭素14(14C)など、同位体で標識され得る。H、11C、13C、14C、15C、12N、13N、15N、16N、16O、17O、14F、15F、16F、17F、18F、33S、34S、35S、36S、35Cl、37Cl、79Br、81Br、125Iによる同位体置換がすべて企図されている。いくつかの実施形態では、18Fによる同位体の置換が企図される。本発明の化合物の同位体のバリエーションはすべて、放射性であってもなくても、本発明の範囲内に包含される。
【0057】
ある実施形態では、本明細書に開示された化合物は、H原子の一部またはすべてがHの原子と取り替えられている。重水素を含有する化合物の合成の方法は、当該技術分野で知られており、非限定的なほんの一例として、以下の合成方法を含む。
【0058】
重水素置換化合物は以下に記載されるような様々な方法を使用して合成される:Dean, Dennis C.; Editor. Recent Advances in the Synthesis and Applications of Radiolabeled Compounds for Drug Discovery and Development. [Curr., Pharm. Des., 2000; 6(10)]2000, 110 pp; George W.; Varma, Rajender S. The Synthesis of Radiolabeled Compounds via Organometallic Intermediates, Tetrahedron, 1989, 45(21), 6601-21; and Evans, E. Anthony. Synthesis of radiolabeled compounds, J. Radioanal. Chem., 1981, 64(1-2), 9-32。
【0059】
重水素化出発物質は容易に入手可能であり、重水素を含む化合物の合成を行うために提供される本明細書に記載された合成方法に従う。多くの重水素を含有する試薬と構成要素は、Aldrich Chemical Co.などの化学商品会社から市販されている。
【0060】
ヨードメタン-d(CDI)などの求核置換反応での使用に適した重水素移動試薬は、容易に入手可能であり、求核置換反応条件下で重水素置換された炭素原子を反応基質に移動させるために用いられることもある。CDIの使用は、ほんの一例として、以下の反応スキームで例証されている。
【0061】
【化5】
【0062】
重水素化リチウムアルミニウム(LiAlD)などの重水素移動試薬は、上記還元条件下で重水素を反応基質に移動させるために使用される。LiAlDの使用は、ほんの一例として、以下の反応スキームで例証される。
【0063】
【化6】
【0064】
重水素ガスとパラジウム触媒は、不飽和の炭素-炭素結合を還元するために、および、ほんの一例として、以下の反応スキームで例証されるようなアリール炭素-ハロゲン結合の還元的置換を行うために使用される。
【0065】
【化7】
【0066】
1つの実施形態では、本明細書で開示される化合物は1つの重水素原子を含む。別の実施形態では、本明細書に開示される化合物は2つの重水素原子を含む。別の実施形態では、本明細書に開示される化合物は3つの重水素原子を含む。別の実施形態では、本明細書に開示される化合物は4つの重水素原子を含む。別の実施形態では、本明細書に開示される化合物は5つの重水素原子を含む。別の実施形態では、本明細書に開示される化合物は6つの重水素原子を含む。別の実施形態では、本明細書に開示される化合物は6つを超える重水素原子を含む。別の実施形態では、本明細書に開示される化合物は重水素原子で完全に置換され、交換不可能なH水素原子を含まない。1つの実施形態では、重水素取り込みのレベルは、重水素化された合成の構成要素が出発物質として使用される合成方法により決定される。
【0067】
「薬学的に許容可能な塩」は、酸と塩基付加塩の両方を含む。本明細書に記載される線維芽細胞増殖因子受容体(FGFRs)の阻害剤のいずれか1つの薬学的に許容可能な塩は、あらゆる薬学的に適切な塩の形態を包含することを意図している。本明細書に記載される化合物の好ましい薬学的に許容可能な塩は、薬学的に許容可能な酸付加塩および薬学的に許容可能な塩基付加塩である。
【0068】
「薬学的に許容可能な酸付加塩」とは、遊離塩基の生物学的な効果と特性を保持するそうした塩を指し、これは生物学的にもそれ以外の点でも望ましくないものではなく、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、亜リン酸などの無機酸により形成される。同様に、脂肪族のモノカルボン酸およびジカルボン酸、フェニル置換のアルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカン二酸(alkanedioic acids)、芳香族酸、脂肪族酸、および芳香族スルホン酸などの有機酸により形成される塩も含まれ、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などを含む。したがって、典型的な塩としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、一水素リン酸塩(monohydrogenphosphates)、二水素リン酸塩(dihydrogenphosphates)、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、琥珀酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩(dinitrobenzoates)、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩などが挙げられる。同様に、アルギン酸塩、グルコン酸塩、およびガラクトウロン酸塩などのアミノ酸の塩も企図されている(例えば、Berge S.M.et al.,“Pharmaceutical Salts,” Journal of Pharmaceutical Science,66:1-19(1997))。塩基性化合物の酸付加塩は、実施形態によっては、当業者が熟知している方法と技術に従って塩を生成するために、十分な量の所望の酸に遊離塩基形態を接触させることにより調製される。
【0069】
「薬学的に許容可能な塩基付加塩」とは、遊離酸の生物学的な効果と特性を保持する塩を指し、これは生物学的にも他の方法でも望ましくないものではない。これらの塩は、無機塩基または有機塩基を遊離酸に加えることによって調製される。薬学的に許容可能な塩基付加塩は、実施形態によっては、アルカリ、アルカリ土類金属、または有機アミンなどの金属またはアミンで作られる。無機塩基に由来する塩としては、限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムの塩などが挙げられる。有機塩基由来の塩としては、限定されないが、一級、二級、および三級のアミン、自然発生する置換されたアミンを含む置換されたアミン、環状アミン、および塩基イオン交換樹脂、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、N,N-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、エチレンジアニリン、N-メチルグルカミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などの塩が挙げられる。上述のBergeらを参照されたい。
【0070】
「薬学的に許容可能な溶媒和物」とは、溶媒付加形態である物質の組成物を指す。いくつかの実施形態では、溶媒和物は溶媒の化学量論または非化学量論のいずれかを含み、水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒を用いて製造プロセスの間に形成される。水和物は溶媒が水である場合に形成され、アルコラートは溶媒がアルコールの際に形成される。本明細書に記載される化合物の溶媒和物は、本明細書に記載されるプロセスの間に都合よく調製されるか、または形成される。本明細書で提供される化合物は随意に、溶媒和形態または非溶媒和の形態で存在する。
【0071】
「被験体」または「患者」という用語は、哺乳動物を包含する。哺乳動物の例は、限定されないが、以下の哺乳動物のクラスのメンバー:ヒト、チンパンジーなどのヒト以外の霊長類、および他の類人猿ならびにサル種、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜、ウサギ、イヌ、およびネコなどの飼育動物、ラット、マウス、およびモルモットなどのげっ歯類を含む実験動物を含む。1つの態様では、哺乳動物はヒトである。
【0072】
本明細書で使用されるように、「処置」または「処置すること」または「緩和すること」または「寛解させること」は交換可能に使用される。こうした用語は、限定されないが、治療上の利点および/または予防上の利点を含む、有益な結果または望ましい結果を得るための手法を指す。「治療上の利点」は、処置されている基礎疾患の根絶または寛解を意味する。同様に、治療上の利点は、患者がまだ基礎疾患に罹っているにもかかわらず、改善が患者で観察されるように、基礎疾患に関連する生理的な症状の1つ以上の根絶または寛解により達成される。予防的な効果については、たとえ特定の疾患の診断がなされていなくても、組成物は、実施形態によっては、この疾患にかかる危険に瀕している患者、または疾患の生理的な症状の1つ以上を報告している患者に投与される。
【0073】
線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)
線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)は、タンパク質の線維芽細胞増殖因子ファミリーのメンバーに結合する受容体チロシンキナーゼ(RTK)のサブファミリーである。FGFR遺伝子は一般に18個のエクソンを含み、類似したエクソン-イントロン構成を有し、ゲノム全体にランダムに分散し、FGF遺伝子の位置との明らかな関連はない。FGFRは、発生から成体まで組織特異的に発現し、細胞外リガンド結合ドメイン、単一膜貫通ドメイン、分割細胞内キナーゼドメインを含む。細胞外領域は、FGFの結合に関与している2~3個の免疫グロブリン(Ig)様ドメインを含有している。これらのIg様ドメインは、リガンド親和性とリガンド特異性の両方を調節している。細胞内領域は、FGFRチロシンキナーゼ活性を担う機能ドメインと、タンパク質結合および受容体分子のリン酸化または自己リン酸化で一定の役割を果たすさらなる部位を有している。線維芽細胞増殖因子受容体の薬理学は、Portaら(Criticial Reviews in Oncology/Hematology 113 (2017) 256-67) and Babina and Turner (Nature Review-Cancer 2017 doi: 10.1038/nrc.2017.8)によって科学文献で審査されている。
【0074】
FGFRファミリーは、FGFR1、FGFR2、FGFR3、およびFGFR4の4つのファミリーメンバーで構成されているが、4つのメンバーは一次転写産物の代替スプライシングにより複数の受容体アイソフォームを産生することができる。最近、FGFシグナル伝達チロシンキナーゼドメインを欠く密接に関連する受容体、FGFR5(FGFRL1としても知られている)が、線維芽細胞増殖因子(FGFs)として知られているFGFR結合リガンドとの相互作用に基づいて発見された(Trueb B. Biology of FGFRL1, the fifth fibroblast growth factor receptor. Cell Mol Life Sci. 2011;68(6):951-964)。まとめると、FGFRシグナル伝達は、細胞の成長、増殖、分化、および生存などの複数の細胞カスケードおよび反応の活性化に関連している(Thisse B et al. Functions and regulations of fibroblast growth factor signaling during embryonic development. Dev Biol. 2005; 287(2):390-402; Wesche J et al. Fibroblast growth factors and their receptors in cancer. Biochem J. 2011; 437(2):199-213; Haugsten EM et al. Roles of fibroblast growth factor receptors in carcinogenesis. Mol Cancer Res. 2010;8(11):1439-1452)。
【0075】
多くのヒトの病態は、FGFRシグナル伝達の制御異常と関連している。異常なFGFRシグナル伝達は、遺伝子増幅、機能獲得型コード化変異、遺伝子融合、一塩基多型(SNP)、リガンドの利用可能性、およびFGF媒介性シグナル伝達の終結プログラムの障害などを含むいくつかの基礎的なメカニズムに大きく起因している(Tiong KH et al. Functional roles of fibroblast growth factor receptors (FGFRs) signaling in human cancers. Apoptosis. 2013;18(12):1447-68)。加えて、FGFRは代替スプライシングを受けるため、異なる環境下で腫瘍形成を促進または抑制する複数のアイソフォームを生み出すという事実によって、複雑さがさらに増す。
【0076】
FGFR融合
ヒトの癌におけるFGFR融合は、血液悪性腫瘍中における染色体転座によって引き起こされる1型融合と、固形癌における染色体再配列によって引き起こされる2型融合に分類される(FGFR inhibitors: Effects on cancer cells, tumor microenvironment and whole-body homeostasis (Review). Int J Mol Med. 2016;38(1):3-15)。両方のタイプのFGFR融合タンパク質も、リガンドに依存しない二量体化および/または異常な基質の動員を目的とした融合パートナーからのタンパク質間相互作用モジュールの獲得によって、発癌性の可能性を付与される。ヒトFGFR融合タンパク質は一般に2つの主要なセグメントから構成され、前部はパートナー遺伝子からの二量体化ドメインであり、後部にはチロシンキナーゼドメインがある(Garcia-Closas M et al. Heterogeneity of breast cancer associations with five susceptibility loci by clinical and pathological characteristics. PLoS Genet. 2008;4(4):e1000054)。変異型FGFRは、野生型受容体と異なり、細胞内で発現して細胞質に保持されているため、典型的な受容体分解プロセスを逃れ、活性化シグナルをさらに長引かせる。
【0077】
線維芽細胞増殖因子(FGF)/FGF受容体(FGFR)ネットワークの制御異常は、腫瘍において頻繁に起こり、その結果、いくつかの基礎研究、前臨床研究、および臨床研究を中心としたFGF/FGFR標的治療法の開発が行われるようになった。
【0078】
ヘテロ芳香族FGFR阻害化合物
1つの態様では、ヘテロ芳香族FGFRの阻害化合物が本明細書で提供される。
【0079】
1つの実施形態は、式(I)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し:
【0080】
【化8】
式中、
XはC-HまたはNであり、
YはC-HまたはNであり、
Zは以下の構造を有する群から選択され:
【0081】
【化9】
tは1または2であり、
、R、およびRはそれぞれ独立して、水素、随意に置換されたC1-C4アルキル、または随意に置換されたヘテロシクリルアルキルから選択され、
は随意に置換されたC6アリールであり、
Uは-CH-または単結合であり、
Rは、随意に置換されたC1-C6アルキル、随意に置換されたC3-C7カルボシクリル、随意に置換されたC3-C7カルボシクリルアルキル、随意に置換されたC3-C7ヘテロシクリル、随意に置換されたC3-C7ヘテロシクリルアルキル、随意に置換されたC2-C7アルケニル、-CO、-CONHR、または-CON(Rから選択され、および、
はそれぞれ独立して、随意に置換されたC1-C6アルキル、随意に置換されたC3-C7カルボシクリル、随意に置換されたC3-C7カルボシクリルアルキル、随意に置換されたC3-C7ヘテロシクリル、または随意に置換されたC3-C7ヘテロシクリルアルキルから選択される。
【0082】
別の実施形態は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、XはC-Hであり、およびYはC-Hである。
【0083】
別の実施形態は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、XはC-Hであり、およびYはNである。
【0084】
別の実施形態は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、XはNであり、およびYはC-Hである。
【0085】
別の実施形態は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、XはNであり、およびYはNである。
【0086】
別の実施形態は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、Zは、
【0087】
【化10】
である。別の実施形態は、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、Rは水素である。別の実施形態は、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、Rは水素である。別の実施形態は、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、RおよびRは水素である。別の実施形態は、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、Rは水素である。別の実施形態は、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、Rは随意に置換されたC1-C4アルキルである。別の実施形態は、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、Rは随意に置換されたC1-C2アルキルである。別の実施形態は、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、Rは随意に置換されたC1アルキルである。別の実施形態は、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、随意に置換されたアルキルは、随意に置換されたアミノ基で置換される。別の実施形態は、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、随意に置換されたアミノ基はジメチルアミノである。
【0088】
別の実施形態は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、Uは単結合である。
【0089】
別の実施形態は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、Uは-CH-である。
【0090】
別の実施形態は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、Rは非置換のフェニルである。別の実施形態は、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、Rは置換されたフェニルである。別の実施形態は、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、Rは4-位置に水素を有する置換されたフェニルである。別の実施形態は、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、置換されたフェニルは1個または2個の置換基を有する。別の実施形態は、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、置換されたフェニルは3,5-二置換(disubstituted)である。別の実施形態は、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、置換されたフェニルは3個または4個の置換基を有する。別の実施形態は、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、置換されたフェニルは2,3,5,6-四置換(tetrasubstituted)である。別の実施形態は、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、置換されたフェニルは、ハロゲン、-CN、随意に置換されたC1-C4アルキル、または随意に置換されたC1-C3アルコキシから選択された少なくとも1つの置換基で置換される。
【0091】
別の実施形態は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、Rは随意に置換されたC1-C6アルキルである。別の実施形態は、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、Rは随意に置換されたC3-C7カルボシクリルである。別の実施形態は、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、Rは随意に置換されたC3-C7カルボシクリルアルキルである。別の実施形態は、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、Rは随意に置換されたC3-C7ヘテロシクリルである。別の実施形態は、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、Rは随意に置換されたC3-C7ヘテロシクリルアルキルである。別の実施形態は、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、Rは随意に置換されたC2-C7アルケニルである。別の実施形態は、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、Rは-COである。別の実施形態は、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、Rは-CONHRである。別の実施形態は、化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供し、式中、Rは-CON(Rである。
【0092】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるヘテロ芳香族FGFRキナーゼ阻害化合物は、表1で提供される構造を有する。
【0093】
【表1-1】
【0094】
【表1-2】
【0095】
【表1-3】
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるヘテロ芳香族FGFRキナーゼ阻害化合物は、表2Aで提供される構造を有し、ここで、Zは表2Bで例示される置換基から選択される。
【0097】
【表2】
【0098】
【表3-1】
【0099】
【表3-2】
【0100】
【表3-3】
【0101】
化合物の調製
本明細書で記載される反応で使用される化合物は、市販の化学物質および/または化学的な文献に記載される化合物から始まる、当業者に知られている有機合成技術によって作られる。「市販の化学物質」は、Acros Organics(Pittsburgh,PA)、Aldrich Chemical(Milwaukee,WI,including Sigma Chemical and Fluka)、Apin Chemicals Ltd.(Milton Park,UK)、Avocado Research(Lancashire,U.K.)、BDH Inc.(Toronto,Canada)、Bionet(Cornwall,U.K.)、Chemservice Inc.(West Chester,PA)、Crescent Chemical Co.(Hauppauge,NY)、Eastman Organic Chemicals,Eastman Kodak Company(Rochester,NY)、Fisher Scientific Co.(Pittsburgh,PA)、Fisons Chemicals(Leicestershire,UK)、Frontier Scientific(Logan,UT)、ICN Biomedicals,Inc.(Costa Mesa,CA)、Key Organics(Cornwall,U.K.)、Lancaster Synthesis(Windham,NH)、Maybridge Chemical Co.Ltd.(Cornwall,U.K.)、Parish Chemical Co.(Orem,UT)、Pfaltz & Bauer,Inc.(Waterbury,CN)、Polyorganix(Houston,TX)、Pierce Chemical Co.(Rockford,IL)、Riedel de Haen AG(Hanover,Germany)、Spectrum Quality Product,Inc.(New Brunswick,NJ)、TCI America(Portland,OR)、Trans World Chemicals,Inc.(Rockville,MD)、およびWako Chemicals USA,Inc.(Richmond,VA)を含む、標準的な商用源から得られる。
【0102】
本明細書に記載の化合物の調製に有用な反応物の合成を詳述するか、または調製について記載した記事を参照する適切な参考文献および論文としては、例えば、“Synthetic Organic Chemistry”,John Wiley&Sons,Inc.,New York;S.R.Sandler et al.,“Organic Functional Group Preparations,”2nd Ed.,Academic Press,New York,1983;H.O.House,“Modern Synthetic Reactions”,2nd Ed.,W.A.Benjamin,Inc. Menlo Park,Calif.1972;T.L.Gilchrist,“Heterocyclic Chemistry”,2nd Ed.,John Wiley&Sons,New York,1992;J.March,“Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms and Structure”,4th Ed.,Wiley Interscience,New York,1992が挙げられる。本明細書に記載される化合物の調製に有用な反応物の合成を詳述するか、または調製について記載した記事を参照する、追加の適切な参考文献および論文としては、例えば、Fuhrhop,J.and Penzlin G.“Organic Synthesis:Concepts,Methods,Starting Materials”,Second,Revised and Enlarged Edition(1994)John Wiley&Sons ISBN:3 527-29074-5;Hoffman,R.V.“Organic Chemistry,An Intermediate Text”(1996)Oxford University Press,ISBN 0-19-509618-5;Larock,R.C.“Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations”2nd Edition(1999)Wiley-VCH,ISBN:0-471-19031-4;March,J.“Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure”4th Edition(1992)John Wiley&Sons,ISBN:0-471-60180-2;Otera,J.(editor)“Modern Carbonyl Chemistry”(2000)Wiley-VCH,ISBN:3-527-29871-1;Patai,S.“Patai’s 1992 Guide to the Chemistry of Functional Groups”(1992)Interscience ISBN:0-471-93022-9;Solomons,T.W.G.“Organic Chemistry”7th Edition(2000)John Wiley & Sons,ISBN:0-471-19095-0;Stowell,J.C.,“Intermediate Organic Chemistry”2nd Edition(1993)Wiley-Interscience,ISBN:0-471-57456-2;“Industrial Organic Chemicals:Starting Materials and Intermediates:An Ullmann’s Encyclopedia”(1999)John Wiley&Sons,ISBN:3-527-29645-X,in 8 volumes;“Organic Reactions”(1942-2000)John Wiley&Sons,in over 55 volumes;および“Chemistry of Functional Groups”John Wiley&Sons,in 73 volumesが挙げられる。
【0103】
特定の類似する反応物は、ほとんどの公立図書館や大学図書館で利用可能であり、ならびにオンラインデータサービスを介して入手可能である米国化学学会のChemical Abstract Serviceによって調製される既知の化学製品の指標によって随意に識別される(詳細については、American Chemical Society,Washington,D.C.に問い合わせされたい)。知られてはいるがカタログで販売されていない化学製品は、特注の化学合成会社(custom chemical synthesis houses)によって随意に調製され、標準的な薬品供給会社(例えば、上に列挙した会社)の多くは特注合成サービスを提供している。本明細書に記載される化合物の薬学的な塩の調製および選択に有用な参考文献は、P.H.Stahl&C.G.Wermuth“Handbook of Pharmaceutical Salts”,Verlag Helvetica Chimica Acta,Zurich,2002である。
【0104】
医薬組成物
特定の実施形態では、本明細書に記載されるヘテロ芳香族FGFRキナーゼ阻害化合物は、純粋な化学薬品として投与される。他の実施形態では、本明細書に記載されるヘテロ芳香族FGFRキナーゼ阻害化合物は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(Gennaro,21st Ed.Mack Pub.Co.,Easton,PA(2005))に記載されるような、選択された投与経路および標準の薬務に基づいて選択される、薬学的に適切または許容可能な担体(本明細書では、薬学的に適切な(または、許容可能な)賦形剤、生理学的に適切な(または、許容可能な)賦形剤、あるいは生理学的に適切な(または、許容可能な)担体とも呼ばれる)と組み合わされる。
【0105】
本明細書では、1つ以上の薬学的に許容可能な担体とともに、本明細書に記載される少なくとも1つのヘテロ芳香族FGFRキナーゼ阻害化合物、またはその立体異性体、薬学的に許容可能な塩、水和物、あるいは溶媒和物を含む、医薬組成物が提供される。担体(または、賦形剤)は、組成物の他の成分と適合性があり、かつ、組成物のレシピエント(すなわち、被験体または患者)に対して有害でない場合に、許容可能であるか、または適切である。
【0106】
一実施形態は、薬学的に許容可能な担体と、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を含む、医薬組成物を提供する。
【0107】
一実施形態は、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物と、薬学的に許容可能な担体とを混合する工程を含む、医薬組成物を調製する方法を提供する。
【0108】
ある実施形態では、式(I)によって記載されるヘテロ芳香族FGFRキナーゼ阻害化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物は、例えば、合成方法の工程の1つ以上において作られる未反応の中間物または合成の副産物などの、約5%未満、または約1%未満、または約0.1%未満の他の有機小分子を含んでいるという点で、実質的に純粋である。
【0109】
適切な経口剤形としては、例えば、錠剤、丸剤、小袋、または、ハードあるいはソフトなゼラチン、メチルセルロース、または消化管で溶けやすい別の適切な材料のカプセルが挙げられる。いくつかの実施形態では、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどを含む、適切な無毒な固体担体が使用される(例えば、The Science and Practice of Pharmacy(Gennaro,21st Ed.Mack Pub.Co.,Easton,PA(2005))を参照されたい)。
【0110】
いくつかの実施形態では、式(I)によって記載されるヘテロ芳香族FGFRキナーゼ阻害化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物は、注射による投与のために製剤化される。いくつかの例では、注射製剤は水性製剤である。いくつかの例では、注射製剤は非水性製剤である。いくつかの例では、注射製剤はゴマ油などの油ベースの製剤である。
【0111】
本明細書に記載される少なくとも1つのヘテロ芳香族FGFRキナーゼ阻害化合物を含む組成物の用量は、被験体または患者(例えば、ヒト)の状態によって異なる。いくつかの実施形態では、そのような要因は、健康状態、年齢、および他の要因を含む。
【0112】
医薬組成物は、処置される(または、予防される)べき疾患に適切な方法で投与される。適切な用量および投与の適切な持続時間と頻度は、患者の状態、患者の疾患のタイプと重症度、有効成分の特定の形態、および投与方法などの要因によって決定される。一般に、適切な用量および処置レジメンは、より頻繁な完全寛解または部分寛解、あるいはより長い無病生存期間および/または全生存期間、あるいは症状の重症度の低下などの、治療効果および/または予防効果(例えば、臨床結果の改善)をもたらすのに十分な量の組成物を提供する。最適用量は一般に、実験モデルおよび/または臨床試験を使用して決定される。最適用量は、患者の体型、体重、または血液量に依存する。
【0113】
経口投与量は典型的には、1日当たり1~4回またはそれ以上、約1.0mg~約1000mgの範囲である。
【0114】
処置方法
一実施形態は、ヒトまたは動物の身体の処置方法で使用するための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供する。
【0115】
一実施形態は、癌または腫瘍性疾患の処置方法で使用するための、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を提供する。
【0116】
一実施形態は、癌または腫瘍性疾患の処置のための薬物の製造における、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物の使用を提供する。
【0117】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物を患者に投与する工程を含む、患者の癌を処置する方法が本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物と、薬学的に許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物を患者に投与する工程を含む、患者の癌を処置する方法が本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、癌は、乳癌、大腸癌、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、または肺癌である。
【0118】
医薬組成物を経口投与する方法が本明細書で提供される。医薬組成物を注射によって投与する方法が本明細書で提供される。
【0119】
他の実施形態および使用は、本開示に照らして当業者に明白となる。以下の実施例は、様々な実施形態の例証としてのみ提供され、いかなる方法でも本発明を限定するようには解釈されないものとする。
【実施例
【0120】
1.化学合成
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるヘテロ芳香族FGFRキナーゼ阻害化合物は、以下の例に従って合成される。以下で使用されるように、および、本発明の記載全体にわたって、以下の略語は、特段の定めのない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする:
℃ 摂氏度
δ テトラメチルシランから低磁場の100万分の1の化学シフト
DCM ジクロロメタン(CHCl
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EA 酢酸エチル
ESI エレクトロスプレーイオン化
Et エチル
g グラム
h 時間
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
Hz ヘルツ
J 結合定数(NMR分光測定での)
LCMS 液体クロマトグラフィー質量分析
μ マイクロ
m 多重線(スペクトル);メートル;ミリ
M モル濃度
親分子イオン
Me メチル
MHz メガヘルツ
min 分
mol モル;分子(分子量におけるように)
mL ミリリットル
MS 質量分析
nm ナノメートル
NMR 核磁気共鳴
pH 水素イオン指数;水溶液の酸性度または塩基度の尺度
PE 石油エーテル
RT 室温
s 一重線(スペクトル)
t 三重線(スペクトル)
T 温度
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
【0121】
実施例1および2:1-((2R,4S)-4-(4-アミノ-5-((3,5-ジメトキシフェニル)エチニル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン、および1-((2R、4R)-4-(4-アミノ-5-((3,5-ジメトキシフェニル)エチニル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン
【0122】
調製1:1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,4R)-4-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート
【0123】
【化11】
【0124】
DMF(80mL)中の1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,4R)-4-ヒドロキシピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(8.00g、32.62mmol)およびイミダゾール(4.44g、65.23mmol)の撹拌溶液に、tert-ブチル(クロロ)ジフェニルシラン(13.45g、48.93mmol)を、0℃で0.5時間添加した。反応混合物を室温で16時間攪拌した。結果として生じる混合物を水(400mL)で希釈し、EA(3×300ml)で抽出した。組みあわせた有機層をブライン(5×500mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、PE/EtOAc(6:1)で溶出した。所望の生成物を含む画分を組み合わせて濃縮することで、無色の粗製油として1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,4R)-4-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(14.2g、90%)を得た。MS ESI calculated for C2737NOSi[M+H],484.24,found 484.25.
【0125】
調製2:tert-ブチル(2R,4R)-4-[(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ]-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート
【0126】
【化12】
【0127】
THF(300mL)中の1-(tert-ブチル)2-メチル(2R,4R)-4-((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)ピロリジン-1,2-ジカルボキシレート(30.00g、62.02mmol)の撹拌溶液に、LiBH(6.08g、279.10mmol)を、窒素雰囲気下において0℃で少しずつ添加した。反応混合物を窒素雰囲気下において室温で16時間攪拌した。結果として生じる混合物を0℃のHCl(1M)で酸性化してpH5にし、その後、飽和NaHCO(aq.)で塩基性化してpH8にした。結果として生じる混合物をEtOAc(4×500mL)で抽出した。組み合わせた有機層を無水NaSOで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、PE/EtOAc(5:1)で溶出した。所望の生成物を含む画分を組み合わせて濃縮することで、淡黄色油としてtert-ブチル(2R,4R)-4-[(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ]-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(24g、85%)を得た。MS ESI calculated for C2637NOSi[M+H],456.25,found 456.30.
【0128】
調製3:tert-ブチル(2R,4R)-4-[(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート
【0129】
【化13】
【0130】
THF(18ml)中のNaH(0.20g、8.33mmol)の懸濁液に、THF(64ml)中のtert-ブチル(2R,4R)-4-[(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ]-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(2.50g、5.49mmol)の溶液を、窒素雰囲気下において0℃でゆっくり添加した。0℃で1時間撹拌した後、上記混合物にCHI(1.17g、8.23mmol)を0℃で滴下した。反応混合物を室温でさらに3時間攪拌した。結果として生じる混合物を水(60mL)で希釈し、その後、EA(30ml×3)で抽出した。組み合わせた有機層を無水NaSOで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮することで、淡黄色固形物としてtert-ブチル(2R,4R)-4-[(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(2.3g、89%)を得た。MS ESI calculated for C2739NOSi[M+H],470.26,found 470.30.
【0131】
調製4:tert-ブチル(2R,4R)-4-ヒドロキシ-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート
【0132】
【化14】
【0133】
THF(375mL)中のtert-ブチル(2R,4R)-4-[(tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(46.30g、98.57mmol)の撹拌溶液に、フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(THF中1M)(147.86mL、147.86mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。結果として生じる混合物を水(1L)で希釈し、EtOAc(3×500mL)で抽出した。組み合わせた有機層を無水NaSOで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、PE/EtOAc(3:1)で溶出した。所望の生成物を含む画分を組み合わせて濃縮することで、淡黄色油としてtert-ブチル(2R,4R)-4-ヒドロキシ-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(16.6g、73%)を得た。MS ESI calculated for C1121NO[M+H],232.15,found 232.20.
【0134】
調製5:tert-ブチル(2R,4S)-4-ブロモ-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート
【0135】
【化15】
【0136】
CHCl(8.00mL)中のtert-ブチル(2R,4R)-4-ヒドロキシ-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(0.80g、3.46mmol)、CBr(1.72g、5.19mmol)の溶液に、PPh(1.36g、5.18mmol)を、0~5℃で30分かけて少しずつ添加した。反応混合物を窒素雰囲気下において室温で4時間攪拌した。上記混合物にEtOH(8.00mL)を添加した。室温でさらに2時間撹拌した後、沈澱物が形成されるまでEtO(20.00mL)を添加した。結果として生じる混合物を一晩撹拌した。結果として生じる混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、ヘキサン中の5%の酢酸エチルで溶出した。所望の生成物を含む画分を組み合わせて濃縮することで、淡黄色液体としてtert-ブチル(2R,4S)-4-ブロモ-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(0.49g、48%)を得た。MS ESI calculated for C1120BrNO[M+H-tBu],238.00,240.00; found 237.85,239.85.
【0137】
調製6:tert-ブチル(2R)-4-[4-[ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート
【0138】
【化16】
【0139】
DME(6.00mL)中のtert-ブチルN-[7-ブロモピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-4-イル]-N-(tert-ブトキシカルボニル)カルバメート(0.29g、0.70mmol)、tert-ブチル(2R,4S)-4-ブロモ-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(0.41g、1.40mmol)、2,6-ジメチルピリジン(0.15g、1.40mmol)、トリス(トリメチルシリル)シラン(0.35g、1.40mmol)、およびIr[dF(CF)ppy](dtbbpy)PF(15.75mg、0.014mmol)の撹拌溶液に、1,2-ジメトキシエタンジヒドロクロリドニッケル(1.54mg、0.007mmol)、および4-tert-ブチル-2-(4-tert-ブチルピリジン-2-イル)ピリジン(1.88mg、0.007mmol)を室温で添加した。反応混合物をアルゴンで3回脱気して、青色LED光下において周囲温度で16時間撹拌した。結果として生じる混合物を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、PE中の25%のEAで溶出した。所望の生成物を含む画分を組み合わせて濃縮することで、黄色油としてtert-ブチル(2R)-4-[4-[ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(0.18g、47%)を得た。MS ESI calculated for C2741[M+H],548.30,found 548.29.
【0140】
調製7:tert-ブチル(2R)-4-[4-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-5-ヨードピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート
【0141】
【化17】
【0142】
DMF(2.00mL)中のtert-ブチル(2R)-4-[4-[ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(0.10g、0.183mmol)の溶液に、NIS(0.12g、0.548mmol)を室温で16時間撹拌した。結果として生じる混合物を水(20mL)で希釈し、EA(3×10mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブライン(4×15mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、PE/EA(20/1~3/1)で溶出した。所望の生成物を含む画分を組み合わせて濃縮することで、黄色油としてtert-ブチル(2R)-4-[4-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-5-ヨードピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(0.1g、95%)を得た。MS ESI calculated for C2740IN[M+H],674.20,found 674.20.
【0143】
調製8:tert-ブチル(2R)-4-[4-アミノ-5-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)エチニル]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート
【0144】
【化18】
【0145】
DMF(2.00mL)中のtert-ブチル(2R)-4-[4-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-5-ヨードピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(0.10g、0.174mmol)、1-エチニル-3,5-ジメトキシベンゼン(42.43mg、0.262mmol)、CuI(6.64mg、0.035mmol)、およびPd(dppf)Cl.CHCl(14.24mg、0.017mmol)の溶液に、大気下において室温でTEA(52.94mg、0.523mmol)を添加した。反応混合物を窒素で3回脱気し、90℃で4時間撹拌した。結果として生じる混合物を水(20mL)で希釈し、EtOAc(3×10mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブライン(3×10mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、PE/EtOAc(0%~50%)で溶出した。所望の生成物を含む画分を組み合わせて濃縮することで、淡黄色油としてtert-ブチル(2R)-4-[4-アミノ-5-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)エチニル]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(46mg、49%)を得た。MS ESI calculated for C3749[M+H-2Boc],508.35,found 508.40.
【0146】
調製9:5-((3,5-ジメトキシフェニル)エチニル)-7-((5R)-5-(メトキシメチル)ピロリジン-3-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン
【0147】
【化19】
【0148】
DCM(4.00mL)中のtert-ブチル(2R)-4-[4-アミノ-5-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)エチニル]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(46.00mg、0.091mmol、1.00当量)の溶液に、トリフルオロ酢酸(1mL)を室温で添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。結果として生じる混合物を減圧下で濃縮した。残渣を飽和NaHCO(aq.)で塩基性化してpH8にした。結果として生じる混合物を、EtOAc(3×10mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブライン(2×15mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮することで、5-((3,5-ジメトキシフェニル)エチニル)-7-((5R)-5-(メトキシメチル)ピロリジン-3-イル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン(30mg)を得た。粗製生成物をさらに精製することなく、次の工程で直接使用した。MS ESI calculated for C2225[M+H],408.20,found 408.20.
【0149】
調製10:1-(4-[4-アミノ-5-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)エチニル]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン
【0150】
【化20】
【0151】
DCM(0.90mL)中の5-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)エチニル]-7-[5-(メトキシメチル)ピロリジン-3-イル]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン(30.00mg、0.074mmol)、DIEA(38.06mg、0.29mmol)の撹拌溶液に、塩化アクリロイル(0.27mL、0.068mmol)を0℃で添加した。反応混合物を0℃で5分間撹拌した。結果として生じる混合物を室温のMeOHでクエンチし、減圧下で濃縮した。残渣を、以下の条件(カラム:XBridge C18 OBD Prep Column、100Å、10μm、19mm×250mm;移動相A:水(10mmoL/LのNHHCO)、移動相B:ACN;流量:20mL/分;勾配:4.8分で20B~70B)で、分取HPLCによって精製した。所望の生成物を含む画分を組み合わせて濃縮することで、白色固形物として1-(4-[4-アミノ-5-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)エチニル]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン(8.6mg、25%)を得た。MS ESI calculated for C2527[M+H],462.21,found 462.25.H-NMR(400MHz,d-DMSO) δ 7.99(s,1H),6.85-6.56(m,7H),6.18-6.14(m,1H),5.71-5.68(m,1H),4.42-3.97(m,3H),3.78-3.34(m,12H),2.32-2.20(m,2H).
【0152】
調製11:1-((2R,4S)-4-(4-アミノ-5-((3,5-ジメトキシフェニル)エチニル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オンおよび1-((2R、4R)-4-(4-アミノ-5-((3,5-ジメトキシフェニル)エチニル)ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル)-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン
【0153】
【化21】
【0154】
1-(4-[4-アミノ-5-[2-(3,5-ジメトキシフェニル)エチニル]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル)プロプ-2-エン-1-オン(0.12g、0.2mmol)を、以下の条件(カラム:CHIRALPAK IA、2×25cm、5um;移動相A:MTBE(10mMのNH-MeOH)--HPLC、移動相B:EtOH--HPLC;流量:13mL/分;勾配:22分で50B~50B;220/254nm)で、分取キラル-HPLCによって精製した。所望の生成物を含む画分を濃縮して、2つのエナンチオマーを得た:第1の溶出した異性体(8mg(6%))(実施例1(RT=10.24分、ee>98%、オフホワイト固形物))と、第2の溶出した異性体(78mg(64%))(実施例2(RT=15.60分、ee>98%、オフホワイト固形物))。
【0155】
第1の溶出した異性体(実施例1)のH-NMR(400MHz、d-DMSO):δ 7.99(s,1H),6.86-6.55(m,7H),6.18-6.14(m,1H),5.72-5.68(m,1H),4.42-3.97(m,3H),3.78-3.34(m,12H),2.32-2.20(m,2H).MS ESI calculated for C2527[M+H],462.21,found 462.25。第2の溶出した異性体(実施例2)のH-NMR(400MHz、d-DMSO):δ 8.0(s,1H),6.88-6.55(m,7H),6.19-6.14(m,1H),5.71-5.67(m,1H),4.42-3.98(m,3H),3.78-3.33(m,12H),2.32-2.21(m,2H).MS ESI calculated for C2527[M+H],462.21,found 462.25。
【0156】
実施例3および4:1-[(2R,4R)-4-[4-アミノ-5-[2-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)エチニル]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル]プロプ-2-エン-1-オン、および1-[(2R,4S)-4-[4-アミノ-5-[2-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)エチニル]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル]プロプ-2-エン-1-オン
【0157】
調製1:3-エチニル-2,4-ジフルオロ-1,5-ジメトキシベンゼンおよび1-エチニル-2-フルオロ-3,5-ジメトキシベンゼン
【0158】
【化22】
【0159】
ACN(11.00L)中の1-エチニル-3,5-ジメトキシベンゼン(275.0g、1.70mol)の撹拌溶液に、Selectfluor(1.20kg、3.39mol)を、窒素雰囲気下において0℃で少しずつ添加した。反応混合物を窒素雰囲気において室温で一晩撹拌した。結果として生じる混合物を減圧下で濃縮した。結果として生じる混合物を水(3L)で希釈し、EtOAc(3×4L)で抽出した。組み合わせた有機層をブライン(2×2L)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させた。濾過後、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、PE/EtOAc(100:1)で溶出した。所望の生成物を含む画分を組み合わせて濃縮することで、白色固形物として3-エチニル-2,4-ジフルオロ-1,5-ジメトキシベンゼン(51.46g、17%)と、黄色固形物として1-エチニル-2-フルオロ-3,5-ジメトキシベンゼン(8.88g、3.2%)とを得た。3-エチニル-2,4-ジフルオロ-1,5-ジメトキシベンゼン:H-NMR(400MHz,d-DMSO) δ 6.66(t,J=8.0 Hz,1H),3.88(s,6H),3.52(s,1H).1-エチニル-2-フルオロ-3,5-ジメトキシベンゼン::H-NMR(400MHz,d-DMSO)δ 6.55-6.48(m,2H),3.86(s,3H),3.77(s,3H),3.29(s,1H).
【0160】
調製2:5-ヨード-7-[(5R)-5-(メトキシメチル)ピロリジン-3-イル]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン
【0161】
【化23】
【0162】
DCM(32.00mL)中のtert-ブチル(2R)-4-[4-[ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-5-ヨードピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-カルボキシレート(4.27g、6.34mmol)の撹拌溶液に、TFA(8.00mL、0.07mmol)を室温で滴下した。反応混合物を室温で2時間攪拌した。結果として生じる混合物を減圧下で濃縮した。残渣を以下の条件(カラム、C18シリカゲル;移動相A:水中のNHHCOと移動相B:ACN、30分で0%~40%Aの勾配;検出器、UV254nm)で、逆フラッシュクロマトグラフィーによって精製した。所望の生成物を含む画分を組み合わせて濃縮することで、白色固形物として5-ヨード-7-[(5R)-5-(メトキシメチル)ピロリジン-3-イル]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン(2.7g、97%)を得た。MS ESI calculated for C1216INO[M+H],374.04,found 373.95.
【0163】
調製3:1-[(2R)-4-[4-アミノ-5-ヨードピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル]プロプ-2-エン-1-オン
【0164】
【化24】
【0165】
DCM(29.4mL)中の5-ヨード-7-[(5R)-5-(メトキシメチル)ピロリジン-3-イル]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-4-アミン(1.1g、2.95mmol)およびDIEA(1.52g、11.79mmol)の撹拌溶液に、DCM(10.9mL)中の塩化アクリロイル(0.24g、2.65mmol)を0℃でゆっくりと添加した。反応混合物を0℃で5分間撹拌した。結果として生じる混合物を室温の水(50mL)でクエンチした。結果として生じる混合物をDCM(3×40mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブライン(80mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、DCM/MeOH(10:1)で溶出した。所望の生成物を含む画分を組み合わせて濃縮することで、オフホワイト固形物として1-[(2R)-4-[4-アミノ-5-ヨードピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル]プロプ-2-エン-1-オン(1.19g、93%)を得た。MS ESI calculated for C1518IN[M+H],428.05,found 428.00.
【0166】
調製4:1-[(2R)-4-[4-アミノ-5-ヨードピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル]プロプ-2-エン-1-オン
【0167】
【化25】
【0168】
DMF(5.00mL)中の1-[(2R)-4-[4-アミノ-5-ヨードピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル]プロプ-2-エン-1-オン(0.22g、0.503mmol)、3-エチニル-2,4-ジフルオロ-1,5-ジメトキシベンゼン(0.20g、1.01mmol)、およびCuI(19.17mg、0.10mmol)の撹拌混合物に、TEA(0.15g、1.51mmol)およびPd(PPhCl(35.32mg、0.05mmol)をアルゴン大気下で添加した。結果として生じる混合物をアルゴンで3回脱気して、90℃で2時間撹拌した。結果として生じる混合物を水(20mL)で希釈し、EtOAc(3×20mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブライン(150mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、CHCl/MeOH(10:1)で溶出した。粗製生成物を、以下の条件(カラム:XBridge BEH C18 OBD Prep Column、5μm、19mm×250mm;移動相A:水(10mmol/LのNHHCO)、移動相B:ACN;流速:20mL/分;勾配:5分で30B~70B)で、分取HPLCによってさらに精製した。所望の生成物を含む画分を組み合わせて濃縮することで、オフホワイト固形物として1-[(2R)-4-[4-アミノ-5-[2-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)エチニル]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル]プロプ-2-エン-1-オン(85mg、33%)を得た。MS ESI calculated for C2525[M+H],498.19,found 498.15.
【0169】
調製5:1-[(2R,4R)-4-[4-アミノ-5-[2-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)エチニル]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル]プロプ-2-エン-1-オンおよび1-[(2R,4S)-4-[4-アミノ-5-[2-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)エチニル]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル]プロプ-2-エン-1-オン
【0170】
【化26】
【0171】
1-[(2R)-4-[4-アミノ-5-[2-(2,6-ジフルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)エチニル]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル]プロプ-2-エン-1-オン(0.10g、0.16mmol)を、以下の条件(カラム:CHIRALPAK IA、2×25cm、5um;移動相A:MTBE(10mMのNH-MeOH)--HPLC、移動相B:EtOH--HPLC;流量:13mL/分;勾配:22分で50B~50B;220/254nm)で、分取キラル-HPLCによって精製した。所望の生成物を含む画分を濃縮して、2つのエナンチオマーを得た:第1の溶出した異性体(7.8mg(8%))(実施例3(RT=12.7分、ee>98%、オフホワイト固形物))と、第2の溶出した異性体(65.2mg(65%))(実施例4(RT=18.3分、ee>98%、オフホワイト固形物))。
【0172】
第1の溶出した異性体(実施例3)のH-NMR(400MHz、d-DMSO):δ 7.99(s,1H),7.29-7.19(m,2H),7.07(t,J =11.2 Hz,1H),6.90(s,1H),6.63-6.60(m,1H),6.18-6.12(m,1H),5.69-5.65(m,1H),4.33-4.31(m,2H),3.92(s,6H),3.88 -3.41(m,4H),3.29(s,3H),2.73-2.50(m,1H),2.13-2.08(m,1H).MS ESI calculated for C2525[M+H],498.19,found 498.10。第2の溶出した異性体(実施例4)のH-NMR(400MHz、d-DMSO):δ 8.00(s,1H),7.28-7.15(m,2H),7.07(t,J =11.2 Hz,1H),6.85(s,1H),6.63-6.60(m,1H),6.18-6.12(m,1H),5.67-5.63(m,1H),4.38-4.34(m,1H),4.06-3.88(m,8H),3.70-3.41(m,3H),3.34(s,3H),2.50-2.28(m,2H).MS ESI calculated for C2525[M+H],498.19,found 498.10。
【0173】
実施例5および6:1-[(2R,4R)-4-[4-アミノ-5-[2-(2-フルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)エチニル]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル]プロプ-2-エン-1-オン、および1-[(2R,4S)-4-[4-アミノ-5-[2-(2-フルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)エチニル]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル]プロプ-2-エン-1-オン
【0174】
調製1:1-[(2R)-4-[4-アミノ-5-[2-(2-フルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)エチニル]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル]プロプ-2-エン-1-オン
【0175】
【化27】
【0176】
DMF(5.00mL)中の1-[(2R)-4-[4-アミノ-5-ヨードピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル]プロプ-2-エン-1-オン(0.22g、0.503mmol)、1-エチニル-2-フルオロ-3,5-ジメトキシベンゼン(0.18g、1.01mmol)、およびCuI(19.17mg、0.10mmol)の撹拌混合物に、TEA(0.15g、1.51mmol)およびPd(PPhCl(35.32mg、0.05mmol)をアルゴン大気下で添加した。結果として生じる混合物をアルゴンで3回脱気して、90℃で2時間撹拌した。結果として生じる混合物を水(20mL)で希釈し、EtOAc(3×20mL)で抽出した。組み合わせた有機層をブライン(150mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、CHCl/MeOH(10:1)で溶出した。粗製生成物を、以下の条件(カラム:XBridge BEH C18 OBD Prep Column、5μm、19mm×250mm;移動相A:水(10mmol/LのNHHCO)、移動相B:ACN;流速:20mL/分;勾配:5分で35B~75B)で、分取HPLCによってさらに精製した。所望の生成物を含む画分を組み合わせて濃縮することで、オフホワイト固形物として1-[(2R)-4-[4-アミノ-5-[2-(2-フルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)エチニル]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル]プロプ-2-エン-1-オン(0.11g、44%)を得た。MS ESI calculated for C2526FN[M+H],480.20,found 480.20.
【0177】
調製2:1-[(2R,4R)-4-[4-アミノ-5-[2-(2-フルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)エチニル]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル]プロプ-2-エン-1-オンおよび1-[(2R,4S)-4-[4-アミノ-5-[2-(2-フルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)エチニル]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル]プロプ-2-エン-1-オン
【0178】
【化28】
【0179】
1-[(2R)-4-[4-アミノ-5-[2-(2-フルオロ-3,5-ジメトキシフェニル)エチニル]ピロロ[2,1-f][1,2,4]トリアジン-7-イル]-2-(メトキシメチル)ピロリジン-1-イル]プロプ-2-エン-1-オン(0.11g、0.23mmol)を、以下の条件(カラム:CHIRALPAK IA、2x25cm、5um;移動相A:MTBE(2mMのNH-MeOH)--HPLC、移動相B:EtOH--HPLC;流速:16mL/分;勾配:21分で50B~50B;254/220nm)で、分取キラル-HPLCによって精製した。所望の生成物を含む画分を濃縮して、2つのエナンチオマーを得た:第1の溶出した異性体(9.7mg(8.8%))(実施例5(RT=11.2分、ee>98%、オフホワイト固形物))と、第2の溶出した異性体(83.1mg(76%))(実施例6(RT=17.8分、ee>98%、オフホワイト固形物))。
第1の溶出した異性体(実施例5)のH-NMR(400MHz、d-DMSO):δ 7.97(s,1H),7.24(s,1H),6.85(s,1H),6.81-6.80(m,1H),6.78-6.67(m,2H),6.18-6.12(m,1H),5.72-5.68(m,1H),4.33-4.31(m,2H),3.89(s,3H),3.81(s,3H),3.74-3.45(m,4H),3.29(s,3H),2.65-2.50(m,2H),2.22-2.05(m,1H).MS ESI calculated for C2526FN[M+H],480.20,found 480.15.
【0180】
第2の溶出した異性体(実施例6)のH-NMR(400MHz、d-DMSO):δ 7.98(s,1H),7.23(s,1H),6.85(s,1H),6.80-6.77(m,2H),6.69-6.58(m,2H),6.18-6.12(m,1H),5.67-5.62(m,1H),4.38-4.37(m,1H),4.05-4.01(m,2H),3.89(s,3H),3.85(s,3H),3.70-3.34(m,3H),3.34(s,3H),2.52-2.37(m,2H).MS ESI calculated for C2526FN[M+H],480.20,found 480.15.
【0181】
II.生物学的評価
実施例1:FGFR WTおよびFGFR2 V565Fの突然変異キナーゼのプロトコル
【0182】
生化学的アッセイは、Reaction Biology(Reaction Biology Corporation,1 Great Valley Parkway,Suite 2,Malvern,PA 19355,USA)で実施した。以前に説明されるキナーゼ/阻害剤相互作用を測定するために、Reaction Biology(http://www.reactionbiology.com)HotSpotアッセイプラットフォームを使用した。簡潔に言うと、各反応について、キナーゼと基質を、20mMのHEPES(pH7.5)、10mMのMgCl、1mMのEGTA、0.02%のBrij35、0.02mg/mLのBSA、0.1mMのNaVO、2mMのDTT、および1%のDMSOを含有する緩衝液中で混合した。すべての化合物は粉末形態であり、アッセイのためにDMSO中で新たに可溶化した。その後、ECHO 550ナノリットルディスペンサーを用いたアコースティック分注を介して、化合物を各反応混合物に添加した。ヒトFGFR2野生型試験の場合、ペプチド基質、ポリ[Glu:チロシン](4:1)を使用して0.2mg/mlの濃度で反応を促進させ、最終ATP濃度はReaction Biologyによって決定される通りであった。ヒトFGFR2(V565F)試験の場合、ペプチド基質、ポリ[Glu:チロシン](4:1)を使用して0.2mg/mlの濃度で反応を促進させ、最終ATP濃度はReaction Biologyによって決定される通りであった。3倍段階希釈を用いた10用量(dose)のIC50モードで、化合物を試験した。20分間のインキュベーション後、PerkinElmer(Boston、MA、02118 Cat#BLU 003H250UC)で購入したATP(Sigma-Aldrich,St.Louis,MO 63178)および[g33P]ATP(比活性 10microCi/マイクロリットル)を、10mMの最終全濃度で添加した。反応を室温で2時間行い、P81イオン交換セルロースクロマトグラフィーペーパー(P81 ion exchange cellulose chromatography paper)(Reaction Biology)上にスポットした。濾紙を0.75%のリン酸で洗浄して、取り込まれなかったATPを取り除いた。ビヒクル含有(DMSO)キナーゼ反応に対する残りのキナーゼ活性のパーセントを、各キナーゼ/阻害剤ペアについて計算した。Prism5(GraphPad)を使用してIC50値を計算した。
【0183】
【表4】
【0184】
SNU-16細胞ベースの生存率アッセイ
【0185】
化合物の共有結合の性質を決定するために、単純細胞ベースのアッセイを使用した。このアッセイのために、ATCC(Cat# CRL-5974;American Type Culture Collection;Manassas,VA 20110)からSNU-16細胞を得た。SNU-16は、1987年にJ.Parkらによって胃の低分化型胃癌患者の腹水から得られた培養系であり、化学療法前に患者から細胞を採取した。細胞は、表面糖タンパク質癌胎児性抗原(CEA)およびTAG-72を発現する。c-myc癌原遺伝子は増幅するが、N-myc、L-myc、myb、およびEGF受容体遺伝子において増幅または再構成の証拠は認められていない。N-myc、L-myc、c-cis、IGF-2、またはガストリン放出ペプチドの遺伝子の発現はなかった。これらの細胞にはFGFR2増幅があることが知られており、したがって、目下の化合物試験に適切である(1)。このアッセイでは、細胞をポリ-D-リジン上にプレーティングして、付着を維持した。結合後に標的上にとどまる化合物の能力を試験するために、細胞を2時間または72時間にわたって化合物に曝露した。簡潔に言えば、5000のSNU-16細胞を含む80μLの細胞溶液を、96ウェルのポリ-D-リジンCellwareプレート中にウェルごとにプレーティングし、37℃のインキュベーター中で一晩インキュベートして付着を促進した。化合物をジメチルスルホキシドストック(DMSO)として粉末から新たに可溶化し、DMSO中にhalf log、9点希釈としてプレーティングし、その後、細胞を壊さずに移しやすくするために、RPMI1640+10%のFBSを含む細胞培地にプレーティングした。細胞の総体積は100uLであった。2時間にわたって化合物に曝露させた細胞の場合、細胞を37℃のインキュベーター中で2時間インキュベートし、その後、プレートを取り出し、細胞を1500rpmで5分間遠心分離し、その後、すべての上清を取り除き、1ウェルあたりRPMI1640+10%のFBS100μLを再分注した。これを2回繰り返した。プレートを72時間インキュベーターに戻した。72時間にわたって化合物に曝露させた細胞の場合、プレートを、壊すことなく洗浄の時間にわたってインキュベーターから取り出し、その後、洗浄せずにインキュベーターに戻した。72時間のインキュベーションの終わりに、1ウェルあたり100μLのCTG(細胞TiterGlo:Cat# G9241Promega Corporation、Madison、WI、53711)を添加し、その後、プレートシェーカーで含有物を2分間穏やかに撹拌し、暗所においてプレートを室温で10分間インキュベートすることによって、発光CTGシグナルによりアッセイプレートを総ATPについて読み取った。メーカーの示唆に従って、Envisionプレートリーダーで発光シグナルを読み取った。阻害活性は、Xlfit(v5.3.1.3)(式201)を使用して計算した:Y=Bottom+(Top-Bottom)/(1+10^(LogIC50-X)HillSlope))。
1)Zhao WM,Wang L,Park H,Chim S,Tanphanich M,Yashiro M,et al.Monoclonal antibodies to broblast growth factor receptor 2 effectively inhibit growth of gastric tumor xenografts.Clin Cancer Res 2010;16:5750-8。
【0186】
例示的な化合物を表4に示す。
【0187】
【表5】
【0188】
III.製薬剤形の調製
実施例1:経口カプセル
有効成分は、表1の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩あるいは溶媒和物である。1~1000mgの有効成分をデンプンまたは他の適切な粉末ブレンド(powder blend)と混合することによって、経口投与用のカプセルを調製する。混合物を、経口投与に適したハードゼラチンカプセルなどの経口投与単位(oral dosage unit)に組み込む。
【0189】
実施例2:注射用溶液
有効成分は、表1の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩であり、50mg-eq/mLの濃度でゴマ油中の溶液として製剤化される。
【0190】
本明細書に記載される実施例および実施形態は、例示目的のみのためのものであり、当業者に示唆される様々な修正または変更は、本出願の精神および範囲、ならびに添付された請求項の範囲内に含まれるべきものである。
【国際調査報告】