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特表2022-533954繊維基材に耐洗浄性仕上げを付与するためのシリコーン共重合体の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-27
(54)【発明の名称】繊維基材に耐洗浄性仕上げを付与するためのシリコーン共重合体の使用
(51)【国際特許分類】
   D06M 15/647 20060101AFI20220720BHJP
   C08G 69/00 20060101ALI20220720BHJP
   C08G 77/452 20060101ALN20220720BHJP
【FI】
D06M15/647
C08G69/00
C08G77/452
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568176
(86)(22)【出願日】2019-05-15
(85)【翻訳文提出日】2022-01-05
(86)【国際出願番号】 EP2019062529
(87)【国際公開番号】W WO2020228952
(87)【国際公開日】2020-11-19
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns-Seidel-Platz 4, D-81737 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(72)【発明者】
【氏名】イェンス-ペーター、モルデンハウアー
(72)【発明者】
【氏名】バルター、アイヒベルガー
(72)【発明者】
【氏名】インゲ、シーガー-ファイヒティンガー
【テーマコード(参考)】
4J001
4J246
4L033
【Fターム(参考)】
4J001DA02
4J001DB05
4J001DC05
4J001DC10
4J001DD06
4J001DD13
4J001EB04
4J001EB76
4J001EC38
4J001EC81
4J001EC83
4J001EE43E
4J001FB03
4J001FC05
4J001GA12
4J001GB12
4J001JA17
4J001JA20
4J001JB01
4J246AA03
4J246AA11
4J246AB02
4J246BA02X
4J246BB021
4J246BB02X
4J246BB331
4J246BB332
4J246BB33X
4J246CA24X
4J246CA63E
4J246CA63U
4J246CA63X
4J246CA74E
4J246CA74X
4J246EA22
4J246HA34
4L033AA02
4L033AA07
4L033AB04
4L033AC09
4L033BA14
4L033CA48
4L033CA60
4L033CA64
(57)【要約】
繊維質基材の洗濯耐久性のある仕上げのための、式(I)
のシリコーン共重合体(A)を含有する組成物の使用を開示する。
[式(I)中、Yは、同一であるか又は異なり、1~20個の炭素原子を有する2価の炭化水素基を示し、Zは、同一であるか又は異なり、ポリオキシアルキレン基を含む2価の有機基、好ましくは式-(R6O)w-R7-の基を示し、R1は、同一であるか又は異なり、式-N(R4)-R5又は-O-R5の基であり、R2は、同一であるか又は異なり、1~18個の炭素原子を有し、1個以上のハロゲン原子又は酸素原子を含んでいてもよい1価の炭化水素基を示し、R3は、同一であるか又は異なり、水素原子、又は1~18個の炭素原子を有する1価の炭化水素基を示し、R4は、水素原子、C1-18アルキル基、又は4~18個の炭素原子を有し、1個以上のO原子又はN原子を含む炭化水素基を示し、R5は、C1-18アルキル基、又は4~18個の炭素原子を有し、1個以上のO原子又はN原子を含む炭化水素基を示し、R6は、同一であるか又は異なり、C1~C10アルキレン基、好ましくはC2~C3アルキレン基を示し、R7は、C1~C10アルキレン基、好ましくはC2~C3アルキレン基を示し、nは、10~2000の整数であり、pは、1~5の整数、好ましくは1~2の整数であり、wは、平均して2.5~80である。]
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維質基材の洗濯耐久性のある仕上げのための、式(I)
【化1】
のシリコーン共重合体(A)を含有する組成物の使用。
[式(I)中、
Yは、同一であるか又は異なり、1~20個の炭素原子を有し、1個以上のヘテロ原子、好ましくは酸素原子又は窒素原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を示し、
Zは、同一であるか又は異なり、ポリオキシアルキレン基を含む2価の有機基、好ましくは式-(R6O)w-R7-の基を示し、
1は、同一であるか又は異なり、式-N(R4)-R5 (IV’)又は-O-R5 (V’)の基であり、
2は、同一であるか又は異なり、1~18個の炭素原子を有し、ハロゲン原子又は酸素原子を含んでいてもよい1価の炭化水素基を示し、
3は、同一であるか又は異なり、水素原子、又は1~20個の炭素原子を有する1価の炭化水素基を示し、
4は、水素原子、C1-18アルキル基、又は4~18個の炭素原子を有し、1個以上の酸素原子若しくは窒素原子を含む炭化水素基を示し、かつR5は、C1-18アルキル基、又は4~18個の炭素原子を有し、1個以上の酸素原子若しくは窒素原子を含む炭化水素基であり、あるいは、式(IV’)中のR4とR5が一緒になって、1個以上の酸素原子又は窒素原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を示し、
6は、同一であるか又は異なり、C1~C10アルキレン基、好ましくはC2~C3アルキレン基、より好ましくはエチレン基又はイソプロピレン基を示し、
7は、C1~C10アルキレン基、好ましくはC2~C3アルキレン基、より好ましくはエチレン基又はイソプロピレン基を示し、
nは、10~2000の整数、好ましくは10~300の整数であり、
pは、1~5の整数、好ましくは1~2の整数、より好ましくは1であり、
wは、平均して2.5~80、好ましくは10~30である。]
【請求項2】
Yが、1,3-プロピレン基であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
1が、前記式-N(R4)-R5 (IV’)の基(式中、R4及びR5は、請求項1においてそれらについて示した定義を有する)であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
使用される組成物が、
請求項1、2又は3に記載のシリコーン共重合体(A)、
乳化剤(B)及び/又は共乳化剤(B’)、並びに
水(C)
を含有する水性エマルションを含有することを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の使用。
【請求項5】
前記繊維質基材が、布地であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物を繊維質基材に適用し、このように処理された前記繊維質基材を好ましくは20~200℃の温度で乾燥させることによる、繊維質基材の洗濯耐久性のある仕上げのための方法。
【請求項7】
前記繊維質基材が、布地であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維質基材(fibrous substrates)の洗濯耐久性のある仕上げ(laundry-durable finishing)のためのシリコーン共重合体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維に撥水性を付与するための最新のシリコーン含有柔軟剤は、例えば独国特許出願公開第19652524A1号明細書により知られているように、例えば親水性基又は第4級アンモニウム基を有する官能性シリコーンオイルを主成分としている。第4級製品は通常、水溶性ではなく、追加の乳化によって水性の適用可能な形態にしなければならないが、親水性変性シロキサンは部分的に水分散性である。しかしながら、後者は、従来のアミノ官能性シロキサンと比較して、より劣った軟化特性を持っている。
【0003】
米国特許第5,001,210A号明細書、米国特許出願公開第2003/0032726A1号明細書及び米国特許出願公開第2008/0075683A1号明細書に記載されているように、アミノ基を親水性基と組み合わせたシロキサン共重合体には、必然的に多段階の合成工程で調製されるという不利な点がある。これらの合成では、場合によっては、イソシアネート及びその誘導体などの有毒な中間体を使用しなければならず、及び/又は、そのような中間体が得られるか、あるいはコストがかかり不便なヒドロシリル化工程が必要となる。さらに、親水性製品は耐洗濯性がなく、経済的な方法でそのような修正を施すこともできない。さらに、場合によっては、それらは干渉する固有の色を示すこともある。
【0004】
米国特許第7,501,184号明細書には、オキサミドエステル基末端直鎖状オルガノポリシロキサンと有機ジアミンとの反応によって得られる共重合体が記載されている。得られた共重合体は、高い粘度を有するか又は固体であり、接着剤において、特にホットメルト接着剤として使用されている。このような高粘度の製品は安定して乳化できないため、布地適用チェーンに組み込むことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
その目的は、繊維質基材、特に布地(textiles)、の処理に使用するための、シリコーン共重合体及びそのエマルションであって、上記不利な点を有さず、イソシアネートなどの有毒物質無しに調製でき、改良された耐洗濯性を有する処理基材を仕上げるための、シリコーン共重合体及びそのエマルションを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、本発明によって達成される。
【0007】
本発明の主題は、繊維質基材の洗濯耐久性のある仕上げのための、式(I)
【0008】
【化1】
【0009】
のシリコーン共重合体(A)を含有する組成物の使用である。
式(I)中、
Yは、同一であるか又は異なり、1~20個の炭素原子を有し、1個以上のヘテロ原子、好ましくは酸素原子又は窒素原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を示し、
Zは、同一であるか又は異なり、ポリオキシアルキレン基を含む2価の有機基、好ましくは式-(R6O)w-R7-の基を示し、
1は、同一であるか又は異なり、式-N(R4)-R5 (IV’)又は-O-R5 (V’)の基であり、好ましくは式-N(R4)-R5 (IV’)の基であり、
2は、同一であるか又は異なり、1~18個の炭素原子を有し、ハロゲン原子又は酸素原子を含んでいてもよい1価の炭化水素基を示し、
3は、同一であるか又は異なり、水素原子、又は1~20個の炭素原子を有する1価の炭化水素基を示し、
4は、水素原子、C1-18アルキル基、又は4~18個の炭素原子を有し、1個以上の酸素原子若しくは窒素原子を含む炭化水素基を示し、かつR5は、C1-18アルキル基、又は4~18個の炭素原子を有し、1個以上の酸素原子若しくは窒素原子を含む炭化水素基であり、あるいは、式(IV’)中のR4とR5が一緒になって、1個以上の酸素原子又は窒素原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を示し、
6は、同一であるか又は異なり、C1~C10アルキレン基、好ましくはC2~C3アルキレン基、より好ましくはエチレン基又はイソプロピレン基を示し、
7は、C1~C10アルキレン基、好ましくはC2~C3アルキレン基、より好ましくはエチレン基又はイソプロピレン基を示し、
nは、10~2000の整数、好ましくは10~300の整数であり、
pは、1~5の整数、好ましくは1~2の整数、より好ましくは1であり、
wは、平均して2.5~80、好ましくは10~30である。
【0010】
繊維質基材の洗濯耐久性のある仕上げのための本発明のシリコーン共重合体は、
(1)式(II)のオキサミドエステル基末端オルガノポリシロキサンを、
(2)式(III)のポリエーテルアミンと、
(3)式(IV)の第1級若しくは第2級アミン、又は式(V)のアルコールと
を反応させることによって調製される。
【0011】
【化2】
【0012】
式(II)中、R2、Y及びnは、それらについて上記に示した定義を有しており、R*は、1~18個の炭素原子を有する1価の炭化水素基であるか、又は基R5であり、ここでR5は、それについて上記に示した定義を有する。
【0013】
3HN-Z-NHR3 (III)
式(III)中、R3及びZは、それらについて上記に示した定義を有する。
【0014】
H-N(R4)-R5 (IV)
H-O-R5 (V)
式(IV)及び(V)中、R4及びR5は、それらについて上記に示した定義を有する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
繊維質基材の洗濯耐久性のある仕上げのための本発明のシリコーン共重合体は、はるかに低い分子量を有する点で、米国特許第7,501,184号明細書に記載されている高分子共重合体とは異なる。シリコーン共重合体は、好ましくは、4000~30,000g/molの分子量Mn(数平均)を有する。この数平均分子量Mnは、本発明の目的のために、好ましくはサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定される。数平均分子量Mnは、好ましくは、ポリスチレン標準、THF中、60℃、流速1.2ml/分、Styragel HR3-HR4-HR5-HR5カラムセット(Waters社、米国)でのRI(屈折率検出器)による検出、注入量100μlでのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定される。
【0016】
基Yとしては、例えば、メチレン基、1,2-エチレン基、1,3-プロピレン基、1,3-ブチレン基、1,4-ブチレン基、1,5-ペンチレン基及び1,6-ヘキシレン基などの2価の炭化水素基が挙げられる。
基Yとしては、1個以上のヘテロ原子を含むアルキレン基がさらに挙げられ、例えば、-C24-NH-C36-基が挙げられる。
好ましい例は、1,3-プロピレン基である。
【0017】
基Zとしては、例えば、ポリエチレングリコール基若しくはポリプロピレングリコール基、又はポリエチレングリコール基とポリプロピレングリコール基との混合物などの2価のヒドロカルボノキシ(hydrocarbonoxy)基が挙げられる。基Zは、好ましくは120g/mol~4500g/molの分子量を有し、非常に好ましくは500g/mol~1800g/molの分子量を有する。
【0018】
基R2としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、1-n-ブチル基、2-n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基などのヘキシル基、n-ヘプチル基などのヘプチル基、n-オクチル基、及び2,2,4-トリメチルペンチル基などのイソオクチル基などのオクチル基、n-ノニル基などのノニル基、n-デシル基などのデシル基、n-ドデシル基などのドデシル基、及びn-オクタデシル基などのオクタデシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びメチルシクロヘキシル基などのシクロアルキル基;ビニル基、5-ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、1-プロペニル基、アリル基、3-ブテニル基、及び4-ペンテニル基などのアルケニル基;エチニル基、プロパルギル基、及び1-プロピニル基などのアルキニル基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、及びフェナントリル基などのアリール基;o-、m-、p-トリル基、キシリル基、及びエチルフェニル基などのアルカリール基;並びにベンジル基、α-、β-フェニルエチル基などのアラルキル基が挙げられる。
【0019】
基R2の好ましい例は、メチル基である。
【0020】
上述の基R2は、1個以上のハロゲン原子又は酸素原子を含んでいてもよい。
【0021】
炭化水素基R2の例は、炭化水素基R3についても適切である。R3は、好ましくは水素原子又はC1~C6アルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
【0022】
式-N(R4)-R5 (IV’)の基R1は、式H-N(R4)-R5 (IV)の第1級又は第2級アミンから窒素原子に結合したH原子を除いたものに由来する。
【0023】
式-O-R5 (V’)の基R1は、式H-O-R5 (V)のアルコールから酸素原子に結合したH原子を除いたものに由来する。
【0024】
基R1中の基R4及びR5は、同一の又は異なるC1~C18アルキル基であってもよい。C1~C18アルキル基R2の例は、C1~C18アルキル基R4及びR5についても適切である。式(IV’)中のR4及びR5は、同時に環式基の一部であってもよい。
【0025】
また、基R1中の基R4及びR5は、4~18個の炭素原子を有し、少なくとも1個の窒素又は酸素のヘテロ原子を好ましくは含む炭化水素基を示してもよい。式(IV’)中のこの場合のR4及びR5は、同時に複素環式基の一部であってもよい。
このような基R4及びR5としては、例えば、式-(CH23-N(CH32、式-(CH23-OCH2CH3、及び式-(CH22-OCH2CH3の基が挙げられる。
【0026】
式H-N(R4)-R5 (IV)のアミンの好ましい例は、H-NH-(CH23-N(CH32(N1,N1-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン)などの第1級アミン、及びH-N-[(CH23-N(CH322(N1-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-N3,N3-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン)などの第2級アミン、H-NH-(CH23-OCH2CH3、H-NH-(CH22-OCH2CH3などの第1級ポリエーテルアミン、NH-[(CH23-OCH2CH32、NH-[(CH22-OCH2CH32などの第2級ポリエーテルアミンである。
【0027】
ここで、好ましい基R1は、上記アミンから窒素原子Nに結合したH原子を1個除いたもの、又は上記アルコールから酸素原子Oに結合したO原子を1個除いたものに対応し、
したがって、好ましい基R1は、以下の式
-NH-(CH23-N(CH32及びNH-(CH23-OCH2CH3
-N-[(CH23-N(CH322及び-N-[(CH23-OCH2CH32
の基である。
【0028】
繊維質基材の洗濯耐久性のある仕上げのための本発明の組成物は、本発明のシリコーン共重合体(A)の有機溶媒溶液であってもよい。
【0029】
繊維質基材の洗濯耐久性のある仕上げのための本発明の組成物は、好ましくは、
本発明のシリコーン共重合体(A)、
乳化剤(B)及び/又は共乳化剤(B’)、並びに
水(C)
を含有する水性エマルションが好ましい。
【0030】
使用される乳化剤(B)は、ノニオン性、アニオン性若しくはカチオン性乳化剤、又はそれらの混合物であってもよい。
【0031】
繊維質基材の洗濯耐久性のある仕上げのための本発明の水性エマルションは、それ自体公知の乳化剤、及びそれらの混合物を含有する。
【0032】
特に好適なアニオン性乳化剤は、以下の通りである。
1.アルキルサルフェート(特に炭素数8~18の鎖長を有するもの)、疎水性基において8~18個の炭素原子を有し、1~40個のエチレンオキシド(EO)単位及び/又はプロピレンオキシド(PO)単位を有する、アルキルエーテルサルフェート及びアルカリールエーテルサルフェート。
2.スルフォネート、特に、8~18個の炭素原子を有するアルキルスルフォネート、8~18個の炭素原子を有するアルキルアリールスルフォネート、タウリド(taurides)、4~15個の炭素原子を有する、1価アルコール又はアルキルフェノールとのスルホコハク酸のエステル及びモノエステル;これらのアルコール又はアルキルフェノールは、必要に応じて1~40個のEO単位でエトキシ化されていてもよい。
3.アルキル基、アリール基、アルカリール基又はアラルキル基中に8~20個の炭素原子を有するカルボン酸の、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩。
4.リン酸部分エステル並びにそのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩、特に、有機基中に8~20個の炭素原子を有する、アルキルフォスフェート及びアルカリールフォスフェート、アルキル又はアルカリール基中にそれぞれ8~20個の炭素原子を有し、1~40個のEO単位を有する、アルキルエーテルフォスフェート及びアルカリールエーテルフォスフェート。
【0033】
特に好適なノニオン性乳化剤は、以下の通りである。
5.酢酸ビニル単位5~50%、好ましくは8~20%をさらに有し、重合度が500~3000であるポリビニルアルコール。
6.アルキルポリグリコールエーテル、好ましくは、8~40個のEO単位と炭素数8~20のアルキル基とを有するもの。
7.アルキルアリールポリグリコールエーテル、好ましくは、8~40個のEO単位とアルキル基及びアリール基において8~20個の炭素原子とを有するもの。
8.エチレンオキシド/プロピレンオキシド(EO/PO)ブロック共重合体、好ましくは、8~40個のEO単位及びPO単位を有するもの。
9.炭素数8~22のアルキル基を有するアルキルアミンとエチレンオキシド又はプロピレンオキシドとの付加物。
10.6~24個の炭素原子を有する脂肪酸。
11.一般式R*-O-Zoのアルキルポリグリコシドであって、R*は平均で8~24個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐状の飽和又は不飽和のアルキル基を示し、Zoは平均でo=1~10個のヘキソース単位若しくはペントース単位又はそれらの混合物を有するオリゴグリコシド基を示す。
12.レシチン、ラノリン、サポニン、セルロース;アルキル基がそれぞれ4個以下の炭素原子を有する、セルロースアルキルエーテル及びカルボキシアルキルセルロースなどの、天然物質及びその誘導体。
13.極性基を含む直鎖状オルガノ(ポリ)シロキサン、特に、24個以下の炭素原子を有するアルコキシ基、並びに/又は40個以下のEO基及び/若しくはPO基を有するもの。
【0034】
特に好適なカチオン性乳化剤は、以下の通りである。
14.8~24個の炭素原子を有する第1級、第2級及び第3級脂肪族アミンと、酢酸、硫酸、塩酸及びリン酸との塩。
15.第4級アルキルアンモニウム塩及びアルキルベンゼンアンモニウム塩、より特に、アルキル基が6~24個の炭素原子を有するもの、特に、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩及び酢酸塩。
16.アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリニウム塩及びアルキルオキサゾリニウム塩、より特に、アルキル鎖が18個以下の炭素原子を有するもの、特に、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩及び酢酸塩。
【0035】
特に好適な両性乳化剤は、以下の通りである。
17.N-アルキルジ(アミノエチル)グリシン又はN-アルキル-2-アミノプロピオン酸塩などの、長鎖置換を有するアミノ酸。
18.C8~C18アシル基を有するN-(3-アシルアミドプロピル)-N,N-ジメチルアンモニウム塩、及びアルキルイミダゾリウムベタインなどの、ベタイン。
【0036】
好ましい乳化剤はノニオン性乳化剤であり、特に上記6.で挙げたアルキルポリグリコールエーテル、上記9.で挙げたアルキルアミンとエチレンオキシド又はプロピレンオキシドとの付加物、上記11.で挙げたアルキルポリグリコシド、及び上記5.で挙げたポリビニルアルコールが好ましい。
【0037】
ここで乳化剤は、水性エマルションの総重量を基準にして、1wt%~70wt%の量で使用される。
【0038】
繊維質基材の洗濯耐久性のある仕上げ用の水性エマルションは、水性エマルションの総重量を基準にして、好ましくは0.5wt%~80wt%の量で本発明の共重合体(A)を含有する。
【0039】
繊維質基材の洗濯耐久性のある仕上げ用の本発明の水性エマルションは、また、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリエチレン-ポリプロピレングリコール、並びにそれらの混合物、さらには酸などのさらなる物質を含有してもよい。酸としては、例えば、酢酸、ギ酸、クエン酸、リンゴ酸及び乳酸などのカルボン酸が挙げられる。
【0040】
繊維質基材の洗濯耐久性のある仕上げ用の本発明の水性エマルション中に存在してもよいさらなる物質としては、溶媒又は共乳化剤(B’)が挙げられる。
【0041】
非水性溶媒又は共乳化剤としては、例えば、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、1-オクタノール、プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、2-エチルヘキサン-1,3-ジオール、1,2-オクタンジオール、グリセロール、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルが挙げられる。
【0042】
繊維質基材の洗濯耐久性のある仕上げ用のシリコーン共重合体の調製に使用される式(II)のオキサミドエステル基末端オルガノポリシロキサン(1)は、米国特許第7,501,184B2号明細書(参照により組み込まれる)、特に13欄、14行目から48行目に記載されている方法によって調製することができる。当業者は、他の方法も認識している。
【0043】
繊維質基材の洗濯耐久性のある仕上げ用のシリコーン共重合体の調製に使用されるポリエーテルアミン(2)の例は、Huntsman社から市販されているシリーズD及びEDのJeffamine(登録商標)ジアミン、例えば、Jeffamine(登録商標)D-230、Jeffamine(登録商標)D-400、Jeffamine(登録商標)D-2000、Jeffamine(登録商標)HK 511、Jeffamine(登録商標)ED-600、Jeffamine(登録商標)ED-900及びJeffamine(登録商標)ED-2003である。
【0044】
繊維質基材の洗濯耐久性のある仕上げ用のシリコーン共重合体の調製では、オルガノポリシロキサン(1)中のオキサミドエステル基1モル当たり、好ましくは0.3~0.8モル、好ましくは0.4~0.6、より好ましくは0.5モルの、(2)中のアミノ基の量で、ポリエーテルアミン(2)を使用する。
【0045】
成分(3)として、式(IV)の第1級又は第2級アミンが好ましく使用される。
【0046】
繊維質基材の洗濯耐久性のある仕上げ用のシリコーン共重合体の調製では、オルガノポリシロキサン(1)中のオキサミドエステル基1モルに対して、好ましくは0.2~0.7モル、より好ましくは0.4~0.6モル、非常に好ましくは0.5モルの、(3)中のアミノ基の量で、第1級又は第2級アミン(3)を使用する。
【0047】
オルガノポリシロキサン(1)中に存在するオキサミドエステル基を、(2)及び(3)に含まれるアミノ基と、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、非常に好ましくは少なくとも95%の範囲で反応させる。
【0048】
繊維質基材の洗濯耐久性のある仕上げ用のシリコーン共重合体の調製において、オキサミドエステル基末端オルガノポリシロキサン(1)は、好ましくは最初に導入され、ポリエーテルアミン(2)及びアミン(3)は、一緒に添加でき、あるいは、アミン(3)を最初に添加し、次にポリエーテルアミン(2)を添加でき、あるいは、ポリエーテルアミン(2)を最初に添加し、次にアミン(3)を添加できる。アミン(3)を最初に添加し、次にポリエーテルアミン(2)を添加することが好ましい。
【0049】
反応で形成されたアルコールは、除去することが好ましく、蒸留によって除去することがより好ましい。
【0050】
繊維性基材の洗濯耐久性のある仕上げ用のシリコーン共重合体(A)の調製は、好ましくは0℃~100℃、より好ましくは15℃~60℃の温度で行われる。本発明の方法は、好ましくは周囲大気の圧力下、例えば約1020hPaで実施されるが、より高い圧力又はより低い圧力で実施することもできる。
【0051】
繊維質基材の洗濯耐久性のある仕上げ用のシリコーン共重合体(A)の調製は、バッチ式で、セミバッチ式で、又は連続的に行うことができる。
【0052】
本発明のシリコーン共重合体(A)を含有する組成物で処理される繊維質基材としては、例えば、天然繊維又は合成的に製造された繊維、糸、かせ、ケーブル、不織布、マット、織布、結び目のある布地又は編まれた布地などのシート状布地構造物、レザー及びレザーレット、さらに毛が挙げられる。好ましい繊維質基材は、布地である。本発明の組成物を適用するために、布地は、個々の繊維、繊維束、ファイバーフィル繊維、糸、カーペット、生地のウェブ、又は衣服若しくは衣服の一部の形態を取ってもよい。
【0053】
布地は、綿、羊毛、酢酸ビニルの共重合体、レーヨン、麻、天然シルク、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、アラミド、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリラクチド、ポリ塩化ビニル、ガラス繊維、セラミック繊維、セルロース、又はそれらの混合物からなっていても(consist of)よい。
【0054】
処理される繊維質基材、好ましくは布地への適用は、布地などの繊維質基材の処理に適した広く知られている任意の所望の方法で行うことができる-例えば、浸漬、散布、キャスティング、噴霧、圧延、パディング、印刷、又は発泡塗布などによる。
【0055】
上記適用において、本発明の組成物は、通常の布地用助剤、例えば、メラミン樹脂又はメチロール樹脂、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテートを含有するバインダー、蛍光増白剤、艶消し剤、電解質、湿潤助剤、プラスチック樹脂、漂白剤、帯電防止剤、金属酸化物の分散体、シリケート、香油、染料及び防腐剤、消泡剤、あるいはさらに疎水化助剤及び疎油化助剤、例えばパーフルオロ化炭化水素、などと組み合わせることができる。
【0056】
本発明の製品はさらに、ポリシロキサン系柔軟剤や、アニオン性、カチオン性及びノニオン性柔軟剤などの有機柔軟剤、並びにそれらの混合物と一緒に使用することができる。
【0057】
これらとしては、例えば、官能性及び非官能性シリコーン、金属石鹸の塩、アルキルポリスルフォネート、スルフォサクシネート及びそれらの誘導体、エステルクアット(ester quats)、スルフォアルキレン脂肪酸アミド、アルキルアンモニウムサルフェート、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、脂肪族アミンポリアルキレン付加物、脂肪酸アミドポリアルキレン付加物、並びにパラフィン、ワックス、ポリエチレン及びポリエステルの分散体が挙げられる。
【0058】
処理された繊維質基材、好ましくは布地は、好ましくは20℃~200℃、より好ましくは100℃~180℃の温度で乾燥させる。
【0059】
繊維の洗濯耐久性のある仕上げとは、処理された繊維、例えば布地、が備えている特性が洗濯後も保持されることを意味する。具体的なそのような特性は、親水性及び柔らかな手触りのほか、色の深み、弾性、耐擦り性、耐摩耗性、耐収縮性、シワ回復性、及び復元性である。
【0060】
本発明のシリコーン共重合体(A)、及び本発明のシリコーン共重合体(A)を含有する組成物それぞれは、それらが容易に乳化可能であり、それらで処理された繊維質基材、例えば布地、が親水性であり、先行技術とは対照的に、繰返しの洗濯後に保持される柔らかな手触りを有するという利点を有する;したがって、本発明のシリコーン共重合体(A)は、処理された繊維質基材に洗濯耐久性のある仕上がりを与える。
【実施例
【0061】
以下に記載される例において、別段の指示がない限り、部及びパーセントへのすべての言及は、重量による。さらに、すべての粘度の言及は、25℃の温度に基づいている。別段の指示がない限り、以下の例は、周囲大気の圧力、換言すれば約1010hPaで、室温、換言すれば約20℃で、又は追加の加熱若しくは冷却なしに室温で反応物を混合したときに生じる温度で行われる。
【0062】
以下では:
Meはメチル基を表し、
Etはエチル基を表す。
【0063】
TA 187=N1-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-N3,N3-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン(SIGMA-ALDRICH、MERCK(ダルムシュタット、ドイツ)から市販されている)
DA 102=N1,N1-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン(SIGMA-ALDRICH、MERCK(ダルムシュタット、ドイツ)から市販されている)
【0064】
例1(共重合体P1の調製)
熱電対、KPG撹拌器及び還流冷却器を備える1000mlの三つ口フラスコに、474g(60mmol)のオキサミドエステル基末端ジメチルポリシロキサン(7923g/mol)(以下、オキサミドエステル末端シリコーンオイルと呼ぶ)を装入した。22℃で、撹拌しながら10分間かけて、11.22g(60mmol)のTA 187、続いて19.8g(30mmol)のJEFFAMINE(登録商標)ED-600(Huntsman Performance Products(Everslaan 45、B-3078 Everberg、ベルギー)から入手可能)を加えた。その後、さらに30分間撹拌した。その後、反応生成物から、40℃、20hPaの圧力で、生じたアルコールを除去した。これにより、SECで測定した分子量が20,050g/molの不透明なオリゴマー生成物P1が502g得られた。
【0065】
例2(共重合体P2の調製)
熱電対、KPG撹拌器及び還流冷却器を備える200mlの三つ口フラスコに、109g(10mmol)のオキサミドエステル末端シリコーンオイル(10,900g/mol)を装入した。22℃で、撹拌しながら10分間かけて、1.87g(10mmol)のTA 187、続いて3.3g(5mmol)のJEFFAMINE(登録商標)ED-600(Huntsman Performance Products(Everslaan 45、B-3078 Everberg、ベルギー)から入手可能)を加えた。その後、さらに30分間撹拌した。その後、反応生成物から、40℃、20hPaの圧力で、生じたアルコールを除去した。これにより、SECで測定した分子量が23,378g/molの不透明なオリゴマー生成物P2が113g得られた。
【0066】
例3(共重合体P3の調製)
熱電対、KPG撹拌器及び還流冷却器を備える200mlの三つ口フラスコに、109g(10mmol)のオキサミドエステル末端シリコーンオイル(10,900g/mol)を装入した。22℃で、撹拌しながら10分間かけて、1.02g(10mmol)のDA 102、続いて3.3g(5mmol)のJEFFAMINE(登録商標)ED-600(Huntsman Performance Products、Everslaan 45、B-3078 Everberg、ベルギー)から入手可能)を加えた。その後、さらに30分間撹拌した。その後、反応生成物から、40℃、20hPaの圧力で、生じたアルコールを除去した。これにより、SECで測定した分子量が24,111g/molの不透明なオリゴマー生成物P3が112g得られた。
【0067】
例4(共重合体P4の調製)
熱電対、KPG撹拌器及び還流冷却器を備える200mlの三つ口フラスコに、109g(10mmol)のオキサミドエステル末端シリコーンオイル(10,900g/mol)を装入した。22℃で、撹拌しながら10分間かけて、1.87g(10mmol)のTA 187、続いて4.8g(5mmol)のJEFFAMINE(登録商標)ED-900(Huntsman Performance Products(Everslaan 45、B-3078 Everberg、ベルギー)から入手可能)を加えた。その後、さらに30分間攪拌した。その後、反応生成物から、40℃、20hPaの圧力で、生じたアルコールを除去した。これにより、SECで測定した分子量が19,366g/molの不透明なオリゴマー生成物P4が115g得られた。
【0068】
例5(共重合体P5の調製)
熱電対、KPG撹拌器及び還流冷却器を備える200mlの三つ口フラスコに、109g(10mmol)のオキサミドエステル末端シリコーンオイル(10,900g/mol)を装入した。22℃で、撹拌しながら10分間かけて、1.02g(10mmol)のDA 102、続いて4.8g(5mmol)のJEFFAMINE(登録商標)ED-900(Huntsman Performance Products(Everslaan 45、B-3078 Everberg、ベルギー)から入手可能)を加えた。その後、さらに30分間攪拌した。その後、反応生成物から、40℃、20hPaの圧力で、生じたアルコールを除去した。これにより、SECで測定した分子量が21,042g/molの不透明なオリゴマー生成物P5が114g得られた。
【0069】
例6(比較実験のための、米国特許出願公開第2008/0075683A1号明細書の例4に類似した共重合体P6の調製)
Si結合水素を0.052wt%有するα,ω-ジハイドロジェンポリジメチルシロキサン635gを、式H2C=CH-CH2-(OCH2CH29.5-OHのポリエーテル205gと混合する。この混合物を100℃に加熱し、25℃で1000mPa・sの粘度を有するα,ω-ジビニルジメチルポリシロキサンにおける白金-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体の2.7wt%(白金元素基準)溶液0.28g、Karstedt触媒として知られている触媒の溶液(米国特許第3,775,452号明細書に記載されているように調製されたもの)、と混合すると、反応混合物の温度が19℃上昇し、透明な生成物が形成される。100~110℃で1時間経過すると、Si結合水素の完全な変換が達成される。ポリエーテル-ポリシロキサン中間体は、0.512meq/gのOH濃度を有し、177ppmの水を含んでいる。
【0070】
200gのこの中間体を10.3gのビス(ジメチルアミノプロピル)アミンと混合し、混合物を84℃に加熱し;13.2gのヘキサメチレンジイソシアネートを計量注入する。
NCO基の、それと反応する有機官能基の合計に対する比は0.998であり、あるいは、水を含める場合は0.97である。
【0071】
さらなる触媒を使用しなくても、若干の発熱反応において約90℃、1時間で、イソシアネート基の完全な変換が達成される。このポリマー混合物は、1gあたり0.49meqの塩基性窒素を含んでいる。
【0072】
32gのこのポリマーを、1.04gの酢酸を8gのジエチレングリコールモノブチルエーテルに溶解させた溶液で中和する。
【0073】
本発明のシリコーン共重合体を調製する際に使用した反応物のモル比、また得られたシリコーン共重合体P1~P5の分子量Mn、及びそれらの外観を、例1~5について表1にまとめた。
【0074】
【表1】
【0075】
例7(比較実験)
25.0gの比較共重合体P6を、5.0gの10EOトリデシルアルコールエトキシレート(80%水溶液、LUTENSOL(登録商標)TO 108(BASF SE、Ludwigshafen)として入手可能)と混合し、次いでこの混合物を70.0gの水でゆっくりと希釈し、80%酢酸を用いてpH4.5に調整した。
【0076】
水で希釈して表3に示す使用量を準備し、詳細は表2に従って、編まれた綿生地及び織られた綿/ポリエステル混合生地にパッドマングル(pad mangle)を用いて塗布した。
【0077】
例8
20.5gの共重合体P1を、4.5gのジエチレングリコールモノブチルエーテル(Sigma-Aldrich Chemie GmbH(Taufkirchen、ドイツ)から入手可能)及び4.0gの5EOトリデシルアルコールエトキシレート(LUTENSOL(登録商標)TO 5(BASF SE、Ludwigshafen)として入手可能)に混合し、次いでこの混合物を71.0gの水でゆっくりと希釈し、80%酢酸を用いてpH4.5に調整した。
【0078】
水で希釈して表3に示す使用量を準備し、詳細は表2に従って、編まれた綿生地及び織られた綿/ポリエステル混合生地にパッドマングルを用いて塗布した。
【0079】
例9
20.5gの共重合体P2を、4.5gのジエチレングリコールモノブチルエーテル及び4.0gの5EOトリデシルアルコールエトキシレートに混合し、次いでこの混合物を71.0gの水でゆっくりと希釈し、80%酢酸を用いてpH4.5に調整した。
【0080】
水で希釈して表3に示す使用量を準備し、詳細は表2に従って、編まれた綿生地及び織られた綿/ポリエステル混合生地にパッドマングルを用いて塗布した。
【0081】
例10
20.5gの共重合体P3を、4.5gのジエチレングリコールモノブチルエーテル及び4.0gの5EOトリデシルアルコールエトキシレートに混合し、次いでこの混合物を71.0gの水でゆっくりと希釈し、80%酢酸を用いてpH4.5に調整した。
【0082】
水で希釈して表3に示す使用量を準備し、詳細は表2に従って、編まれた綿生地及び織られた綿/ポリエステル混合生地にパッドマングルを用いて塗布した。
【0083】
例11
20.5gのP4を、4.5gのジエチレングリコールモノブチルエーテル及び4.0gの5EOトリデシルアルコールエトキシレートに混合し、次いでこの混合物を71.0gの水でゆっくりと希釈し、80%酢酸を用いてpH4.5に調整した。
【0084】
水で希釈して表3に示す使用量を準備し、詳細は表2に従って、編まれた綿生地及び織られた綿/ポリエステル混合生地にパッドマングルを用いて塗布した。
【0085】
例12
20.5gの共重合体P5を、4.5gのジエチレングリコールモノブチルエーテル及び4.0gの5EOトリデシルアルコールエトキシレートに混合し、次いでこの混合物を71.0gの水でゆっくりと希釈し、80%酢酸を用いてpH4.5に調整した。
【0086】
水で希釈して表3に示す使用量を準備し、詳細は表2に従って、編まれた綿生地及び織られた綿/ポリエステル混合生地にパッドマングルを用いて塗布した。
【0087】
性能試験:
布地仕上げには、漂白された未仕上げの織られたPES/CO 65/35 綾織り生地(坪量215g/m2)、未仕上げの100% CO テリー織タオル生地(坪量460g/m2)、及び未仕上げの100% CO インターロック編みの生地(坪量190g/m2)を使用した。
【0088】
基準となるのは、水を含ませて乾燥させた生地(=ブランク値)とした。
【0089】
生地にそれぞれの液体を含浸させ、2ロールのパッドマングルで絞り、引き伸ばし、MATHIS laboratoryのテンターフレームで150℃でテリー織タオル生地については5分間、編み物生地及び綾織り生地については3分間乾燥させた(表2参照)。その後、生地を23℃、大気湿度62%の調整室内で少なくとも12時間調整した。
【0090】
【表2】
【0091】
使用例の結果の判定方法:
【0092】
柔軟性の判定(手触り評価):
布地の柔軟性は試験者の主観的知覚に大きく依存するため、評価ではなく境界条件のみが標準化できる。それでもなお再現性を確保するために、仕上げ済みの試験片を柔軟性の観点から評価し、ランク付けを行った。この目的のために、4人の試験者が試験された試験片の数に応じてポイントを与え、そのポイント数のレベルが柔軟性に相関するようにした。最も柔軟な試験片には最大のポイント数が与えられ、最も柔軟ではない試験片には0ポイントが与えられる。したがって、試験片の手触り評価は、その試験片が獲得したポイントの平均値として算出される。
【0093】
液滴の吸収時間の測定:
シリコーン生成物を塗布した後、仕上げ済みの試験片を順応のために温度23℃、大気湿度62%の調整室内に8時間保管した後、脱イオン水の液滴をピンと張られた生地の表面に1cmの高さから置き、生地が水滴を吸収するまでの時間を、3分(180秒)以内で測定した。
測定を5回行い、その結果を平均した。
【0094】
洗濯品位の測定:
洗濯堅牢度を調べるために、すべての仕上げ済み布地を約3kgのバラスト生地とともに、シーメンス社のSIWAMAT 6143家庭用洗濯機を用いて、60℃において着色洗浄プログラムで洗濯し、1400rpmで回転させた。この洗浄では、ヘンケル社の「Spee Feincolor」ブランドの液体洗濯用洗剤36gとして洗濯用界面活性剤を計量注入した。全体として、90分間の洗浄サイクルを2回行い、その間は乾燥させなかった。
続いて、生地に対して、23℃、大気湿度62%の調整室内で12時間の乾燥と調整を行った。その後、生地の試験片を再び柔軟性の比較に供した。
【0095】
幾つかの使用例について、パディング(padding)法で仕上げた生地の結果を表3にまとめた。オキサミドエステル系シリコーン共重合体を用いた本発明に従って仕上げられた布地は、驚くべきことに、洗濯後の柔軟性が依然として非常に良好であることによって実証されているように、比較製品(ヒドロシリル化及びイソシアネート架橋によって調製されたシリコーン共重合体)と比較して著しく向上した洗濯耐久性を示し;それらの親水性は同等であり、洗濯前であっても柔らかな手触りは同等である。
【表3】
【手続補正書】
【提出日】2022-01-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐洗濯性の柔らかな手触りを有する繊維質基材を仕上げための、式(I)
【化1】
のシリコーン共重合体(A)を含有する組成物の使用。
[式(I)中、
Yは、同一であるか又は異なり、1~20個の炭素原子を有し、1個以上のヘテロ原子、好ましくは酸素原子又は窒素原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を示し、
Zは、同一であるか又は異なり、ポリオキシアルキレン基を含む2価の有機基、好ましくは式-(R6O)w-R7-の基を示し、
1は、同一であるか又は異なり、式-N(R4)-R5 (IV’)又は-O-R5 (V’)の基であり、
2は、同一であるか又は異なり、1~18個の炭素原子を有し、ハロゲン原子又は酸素原子を含んでいてもよい1価の炭化水素基を示し、
3は、同一であるか又は異なり、水素原子、又は1~20個の炭素原子を有する1価の炭化水素基を示し、
4は、水素原子、C1-18アルキル基、又は4~18個の炭素原子を有し、1個以上の酸素原子若しくは窒素原子を含む炭化水素基を示し、かつR5は、C1-18アルキル基、又は4~18個の炭素原子を有し、1個以上の酸素原子若しくは窒素原子を含む炭化水素基であり、あるいは、式(IV’)中のR4とR5が一緒になって、1個以上の酸素原子又は窒素原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基を示し、
6は、同一であるか又は異なり、C1~C10アルキレン基、好ましくはC2~C3アルキレン基、より好ましくはエチレン基又はイソプロピレン基を示し、
7は、C1~C10アルキレン基、好ましくはC2~C3アルキレン基、より好ましくはエチレン基又はイソプロピレン基を示し、
nは、10~2000の整数、好ましくは10~300の整数であり、
pは、1~5の整数、好ましくは1~2の整数、より好ましくは1であり、
wは、平均して2.5~80、好ましくは10~30である。]
【請求項2】
Yが、1,3-プロピレン基であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
1が、前記式-N(R4)-R5 (IV’)の基(式中、R4及びR5は、請求項1においてそれらについて示した定義を有する)であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
使用される組成物が、
請求項1、2又は3に記載のシリコーン共重合体(A)、
乳化剤(B)及び/又は共乳化剤(B’)、並びに
水(C)
を含有する水性エマルションを含有することを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の使用。
【請求項5】
前記繊維質基材が、布地であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物を繊維質基材に適用し、このように処理された前記繊維質基材を好ましくは20~200℃の温度で乾燥させることによる、耐洗濯性の柔らかな手触りを有する繊維質基材を仕上げための方法。
【請求項7】
前記繊維質基材が、布地であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【国際調査報告】