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特表2022-533963力率補正回路、制御方法、記憶媒体、電気器具及び家電
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-27
(54)【発明の名称】力率補正回路、制御方法、記憶媒体、電気器具及び家電
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20220720BHJP
【FI】
H02M7/12 Q
H02M7/12 T
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568367
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(85)【翻訳文提出日】2021-11-15
(86)【国際出願番号】 CN2019123355
(87)【国際公開番号】W WO2020233097
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】201910430821.1
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521007481
【氏名又は名称】▲広▼▲東▼美的白色家▲電▼技▲術▼▲創▼新中心有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG MIDEA WHITE HOME APPLIANCE TECHNOLOGY INNOVATION CENTER CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Building #4,Midea Global Innovation Center,Industry Boulevard,Beijiao,Shunde Foshan,Guangdong 528311,CHINA
(71)【出願人】
【識別番号】512237419
【氏名又は名称】美的集団股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MIDEA GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】B26-28F, Midea Headquarter Building, No.6 Midea Avenue, Beijiao, Shunde, Foshan, Guangdong 528311 China
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】蔡 ▲驪▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 毅
(72)【発明者】
【氏名】姜 ▲凱▼
(72)【発明者】
【氏名】▲賓▼ 宏
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006AA02
5H006CA02
5H006CB01
5H006CB08
5H006CC05
5H006CC08
5H006DA02
5H006DA04
5H006DB02
5H006DC02
5H006DC04
5H006DC05
(57)【要約】
本願は力率補正回路、制御方法、記憶媒体、電気器具及び家電を開示する。当該力率補正回路は、第一スイッチユニット、第二スイッチユニット及び分岐回路サンプリング抵抗器がこの順に直列接続されたパワー調節分岐回路と、交流電源とパワー調節分岐回路との間に接続されるインダクタンス分岐回路と、パワー調節分岐回路と並列接続されながら互いに直列接続された第一整流ユニットと第二整流ユニットとを含むとともに、主線サンプリング抵抗器を含み、主線サンプリング抵抗器の第一端が第一整流ユニットと第二整流ユニットとの間に接続され、主線サンプリング抵抗器の第二端が交流電源の第二端に接続される整流分岐回路と、パワー調節分岐回路及び負荷に並列接続されるキャパシタ分岐回路と、各分岐回路サンプリング抵抗器を流れる分岐回路電流及び主線サンプリング抵抗器を流れる主線電流をそれぞれサンプリングしたものに基づいて、各パワー調節分岐回路に対して開閉制御を行う制御回路と、を備える。分岐回路サンプリング抵抗器及び主線サンプリング抵抗器によれば、本願では力率補正回路の全体コストを低減可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一スイッチユニット、第二スイッチユニット及び分岐回路サンプリング抵抗器がこの順に直列接続されたものである、互いに並列接続された少なくとも二つのパワー調節分岐回路と、
第一端が交流電源の第一端に接続され、第二端が該当する前記パワー調節分岐回路の前記第一スイッチユニットと前記第二スイッチユニットとの間に接続される少なくとも二つのインダクタンス分岐回路と、
前記パワー調節分岐回路と並列接続されながら互いに直列接続された第一整流ユニットと第二整流ユニットとを含むとともに、主線サンプリング抵抗器をさらに含み、前記主線サンプリング抵抗器の第一端が前記第一整流ユニットと第二整流ユニットとの間に接続され、前記主線サンプリング抵抗器の第二端が前記交流電源の第二端に接続される整流分岐回路と、
前記パワー調節分岐回路及び負荷に並列接続されるキャパシタ分岐回路と、
各前記分岐回路サンプリング抵抗器を流れる分岐回路電流及び前記主線サンプリング抵抗器を流れる主線電流をそれぞれサンプリングしたものに基づいて、該当する前記パワー調節分岐回路に対して開閉制御を行うための開閉制御信号を出力する制御回路と、を備える力率補正回路。
【請求項2】
前記制御回路は、各前記分岐回路サンプリング抵抗器のサンプリング可能区間及び入力電圧の現在位相角をさらに取得し、前記現在位相角が前記サンプリング可能区間にあるのを確認してから、各前記分岐回路電流に基づいて各前記開閉制御信号を出力し、あるいは、前記現在位相角が前記サンプリング可能区間外にあるのを確認してから、前記主線電流に基づいて前記開閉制御信号を出力し、
そのうち、前記サンプリング可能区間は前記交流電源が提供する前記入力電圧の位相変化周期における区間である、請求項1に記載の力率補正回路。
【請求項3】
前記現在位相角が前記サンプリング可能区間にあるのを確認したことに対して、前記制御回路は各前記分岐回路電流と基準電流とを比較した結果に基づいて各前記開閉制御信号を出力し、前記現在位相角が前記サンプリング可能区間外にあるのを確認したことに対して、前記制御回路は前記主線電流を前記パワー調節分岐回路の数で割ってから基準電流と比較した結果に基づいて前記開閉制御信号を出力する、請求項2に記載の力率補正回路。
【請求項4】
前記サンプリング可能区間は、前記第二スイッチユニットのオン時間が前記分岐回路電流をサンプリングするのに必要な最小サンプリング時間より大きい区間である、請求項2に記載の力率補正回路。
【請求項5】
前記制御回路はさらに前記入力電圧及び前記キャパシタ分岐回路の出力電圧をサンプリングし、それによる前記入力電圧のピーク電圧、前記出力電圧、予め得られた前記最小サンプリング時間及び前記第二スイッチユニットのスイッチング周波数に基づいて前記サンプリング可能区間を計算する、請求項4に記載の力率補正回路。
【請求項6】
前記第一整流ユニット及び前記第二整流ユニットはいずれも同期整流スイッチ管又はダイオードである、請求項1に記載の力率補正回路。
【請求項7】
各パワー調節分岐回路の分岐回路サンプリング抵抗器を流れる分岐回路電流及び各整流分岐回路の主線サンプリング抵抗器を流れる主線電流を取得することと、
前記分岐回路電流及び前記主線電流に基づいて、該当する前記パワー調節分岐回路に対して開閉制御を行うための開閉制御信号を出力することと、を含む力率補正回路の制御方法。
【請求項8】
前記した前記分岐回路電流及び前記主線電流に基づいて開閉制御信号を出力することは、
各前記分岐回路サンプリング抵抗器のサンプリング可能区間及び入力電圧の現在位相角を取得することと、
前記現在位相角が前記サンプリング可能区間にあるのを確認してから、各前記分岐回路電流に基づいて各前記開閉制御信号を出力することと、あるいは、
前記現在位相角が前記サンプリング可能区間外にあるのを確認してから、前記主線電流に基づいて前記開閉制御信号を出力することと、を含み、
そのうち、前記サンプリング可能区間は交流電源が提供する前記入力電圧の位相変化周期における区間である、請求項7に記載の制御方法。
【請求項9】
前記した前記現在位相角が前記サンプリング可能区間にあるのを確認してから、各前記分岐回路電流に基づいて各前記開閉制御信号を出力することは、具体的には、
前記現在位相角が前記サンプリング可能区間にあるのを確認してから、各前記分岐回路電流と基準電流とを比較した結果に基づいて各前記開閉制御信号を出力することを含む、請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
前記した前記現在位相角が前記サンプリング可能区間外にあるのを確認してから、前記主線電流に基づいて前記開閉制御信号を出力することは、具体的には、
前記現在位相角が前記サンプリング可能区間外にあるのを確認してから、前記主線電流を前記パワー調節分岐回路の数で割ってから基準電流と比較した結果に基づいて前記開閉制御信号を出力することを含む、請求項8に記載の制御方法。
【請求項11】
前記サンプリング可能区間は、前記第二スイッチユニットのオン時間が前記分岐回路電流をサンプリングするのに必要な最小サンプリング時間より大きい区間である、請求項8に記載の制御方法。
【請求項12】
前記した各前記分岐回路サンプリング抵抗器のサンプリング可能区間を取得することは、具体的には、
前記交流電源の前記入力電圧及びキャパシタ分岐回路の出力電圧を取得することと、
前記入力電圧のピーク電圧、前記出力電圧、予め得られた前記最小サンプリング時間及び前記パワー調節分岐回路における前記第二スイッチユニットのスイッチング周波数に基づいて前記サンプリング可能区間を計算することと、を含む、請求項11に記載の制御方法。
【請求項13】
プログラムデータが記憶されている記憶媒体であって、プロセッサにより前記プログラムデータが実行されると、請求項7から請求項12のいずれかに記載の方法の工程が実現される記憶媒体。
【請求項14】
接続されているプロセッサとメモリとを備え、前記メモリにコンピュータプログラムが記憶されており、前記プロセッサにより前記コンピュータプログラムが実行されると、請求項7から請求項12のいずれかに記載の方法の工程が実現される電気器具。
【請求項15】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の力率補正回路を備える家電。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は電気回路の技術分野に関し、特に力率補正回路、制御方法、記憶媒体、電気器具及び家電に関する。
【0002】
本願は2019年5月22日に提出された出願番号が第2019104308211号で、発明の名称が「力率補正回路、制御方法、記憶媒体、電気器具及び家電」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容のすべてを引用としてここに組み込んだものである。
【背景技術】
【0003】
電力網からの調波汚染を取り除いて力率を高めるために、電子機器の入力端に力率補正(Power Factor Correction;PFC)変換器を増設する必要が生じている。産業においては、整流ブリッジを備えるboost型昇圧回路を採用することが多い。近年、ブリッジレストーテムポールPFCは、新規なWBG(Wide Bandgap Semiconductor;ワイドバンドギャップ)デバイスの出現に従って応用価値が見出されている高効率トポロジとなり、整流ブリッジを除去したものであるので、電流導通経路においてダイオードが一個減少し、ダイオードの導通損失が低減するとともに、システムの改善は図られている。
【0004】
現在の力率補正回路では、各並列接続される分岐回路の電流を制御し電流等化を図るために、各インダクタンス分岐回路の電流をサンプリングする必要があり、一般にホール回路により各インダクタンス分岐回路の電流を収集するようにし、コストは高くなった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、力率補正回路においてインダクタンス分岐回路の電流をサンプリングするコストが高いという問題を解決するために、主に力率補正回路、制御方法、記憶媒体、電気器具及び家電を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題点を解決するために、本願による一つの技術的解決手段は以下のとおりであり、つまり、力率補正回路、制御方法、記憶媒体、電気器具及び家電を提供する。当該力率補正回路は、第一スイッチユニット、第二スイッチユニット及び分岐回路サンプリング抵抗器がこの順に直列接続されたものである、互いに並列接続された少なくとも二つのパワー調節分岐回路と、第一端が交流電源の第一端に接続され、第二端が該当するパワー調節分岐回路の第一スイッチユニットと第二スイッチユニットとの間に接続される少なくとも二つのインダクタンス分岐回路と、パワー調節分岐回路と並列接続されながら互いに直列接続された第一整流ユニットと第二整流ユニットとを含むとともに、主線サンプリング抵抗器をさらに含み、主線サンプリング抵抗器の第一端が第一整流ユニットと第二整流ユニットとの間に接続され、主線サンプリング抵抗器の第二端が交流電源の第二端に接続される整流分岐回路と、パワー調節分岐回路及び負荷に並列接続されるキャパシタ分岐回路と、各分岐回路サンプリング抵抗器を流れる分岐回路電流及び主線サンプリング抵抗器を流れる主線電流をそれぞれサンプリングしたものに基づいて、各パワー調節分岐回路に対して開閉制御を行う制御回路と、を備える。
【0007】
上記の問題点を解決するために、本願によるもう一つの技術的解決手段は以下のとおりであり、つまり、力率補正回路の制御方法を提供する。当該制御方法は、各パワー調節分岐回路の分岐回路サンプリング抵抗器を流れる分岐回路電流及び各整流分岐回路の主線サンプリング抵抗器を流れる主線電流を取得することと、分岐回路電流及び主線電流に基づいて各パワー調節分岐回路に対して開閉制御を行うことと、を含む。
【0008】
上記の問題点を解決するために、本願によるもう一つの技術的解決手段は以下のとおりであり、つまり、記憶媒体を提供する。当該記憶媒体はプログラムデータを記憶しており、プロセッサによりプログラムデータが実行されると、上記方法の工程が実現される。
【0009】
上記の問題点を解決するために、本願によるもう一つの技術的解決手段は以下のとおりであり、つまり、電気器具を提供する。当該電気器具は、接続されているプロセッサとメモリとを備え、メモリにコンピュータプログラムが記憶されており、プロセッサによりコンピュータプログラムが実行されると、上記方法の工程が実現される。
【0010】
上記の問題点を解決するために、本願によるもう一つの技術的解決手段は以下のとおりであり、つまり、家電を提供する。当該家電は、上記のような力率補正回路を備える。
【発明の効果】
【0011】
本願の有益な効果としては、従来技術の場合とは異なり、本願は力率補正回路、制御方法、記憶媒体、電気器具及び家電を開示する。互いに並列接続された各パワー調節分岐回路に分岐回路サンプリング抵抗器を直列接続し、主線サンプリング抵抗器を設けるとともに、主線サンプリング抵抗器の第一端を第一整流ユニットと第二整流ユニットとの間に接続させ、主線サンプリング抵抗器の第二端を交流電源の第二端に接続させて、さらには、各分岐回路サンプリング抵抗器を流れる分岐回路電流及び主線サンプリング抵抗器を流れる主線電流をサンプリングすることによって、インダクタンス分岐回路を流れる電流は間接的に得られ、電流サンプリング素子に対する要求が低減し、比較的省コストの電流サンプリング方式を採用可能になり、力率補正回路の全体コストは効果的に低減している。
【0012】
本願の実施例又は従来技術による解決手段をより明瞭に説明するために、実施例又は従来技術に対する説明に必要な図面について以下で簡単に紹介するが、下記の図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労力を注がずにこれらの図面に基づいて他の図面を得ることもできるのは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本願による力率補正回路の一実施例の構造模式図である。
図2】力率補正回路の別の実施例の構造模式図である。
図3図1の力率補正回路における電流流通経路の第一状態の模式図である。
図4図1の力率補正回路における電流流通経路の第二状態の模式図である。
図5図1の力率補正回路における電流流通経路の第三状態の模式図である。
図6図1の力率補正回路における電流流通経路の第四状態の模式図である。
図7図1の力率補正回路において分岐回路電流のサンプリング可能区間の模式図である。
図8図1の力率補正回路において各パワー調節分岐回路の開閉制御信号、各分岐回路電流及び等価分岐回路電流の波形模式図である。
図9】本願による力率補正回路の別の実施例の構造模式図である。
図10】本願による力率補正回路の制御方法の一実施例のフロー模式図である。
図11】本願による力率補正回路の制御方法の別の実施例のフロー模式図である。
図12】本願による記憶媒体の一実施例の構造模式図である。
図13】本願による電気器具の一実施例の構造模式図である。
図14】本願による家電の一実施例の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本願実施例の図面に合わせて本願実施例の技術的解決手段を明瞭かつ完全に述べるが、述べられる実施例は本願実施例の一部に過ぎず、そのすべてではないことは明らかである。本願実施例に基づいて当業者が創造的な労力を注がずに得た他の実施例はすべて本願の保護範囲に属する。
【0015】
本願実施例において、「第一」、「第二」、「第三」などの用語は説明のためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示したり暗示したりするか、指示される技術的特徴の数を暗示するものとして理解されるべきではない。以上により、「第一」、「第二」、「第三」という限定がされている特徴は少なくとも一つの当該特徴を含むことを明示するか暗示することができる。本願の説明において、別途明確且つ具体的に規定していない限り、「複数」は少なくとも二つ、例えば二つや三つ等を意味する。また、「含む」と「有する」という用語及びそれらのいかなる変形も、非排他的な包含をカバーすることを意図している。例えば、一連のステップやユニットを含む過程や方法、システム、製品又は設備は記載されたステップやユニットに限定されず、記載されていないステップやユニットを任意にさらに含んでもよく、あるいは、これらの過程や方法、製品又は設備に固有のその他のステップやユニットを任意にさらに含んでもよい。
【0016】
本願において「実施例」に言及する場合は、実施例に合わせて述べられる特定の特徴や構造又は特性が本願の少なくとも一つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書の各箇所に現れるこの用語は必ずしもすべてが同一の実施例を指すものではなく、他の実施例とは排他的に独立した又は代替となる実施例でもない。本願に述べられる実施例は他の実施例と組み合わせてもよいことを、当業者は明らかに又は暗示的に理解可能であろう。
【0017】
図1を参照し、図1は本願による力率補正回路の一実施例の構造模式図である。
【0018】
制御回路50と各パワー調節分岐回路10との接続は同様であり、図1では一つのパワー調節分岐回路10のみと制御回路50との接続が示されており、残りのパワー調節分岐回路10は制御回路50との接続がいずれも省略されるが、制御回路50と接続されていないことを意味するものではない。図1には他の三つのパワー調節分岐回路10も示されており、説明を容易にするために、各パワー調節分岐回路10の第一スイッチユニットと第二スイッチユニットとに異なる符号を付けたが、後述では主に一つ目のパワー調節分岐回路10を例とする。
【0019】
当該力率補正回路100は、互いに並列接続された少なくとも二つのパワー調節分岐回路10と、少なくとも二つのインダクタンス分岐回路20と、整流分岐回路30と、キャパシタ分岐回路40と、制御回路50と、を備え、パワー調節分岐回路10は駆動信号を受信してその分岐回路電流iL1を調整し制御することで、力率補正回路100の分岐回路電流iL1及び出力電圧Vに対する制御を実現するためのものであり、即ち、この互いに並列接続された少なくとも二つのパワー調節分岐回路10により、力率補正回路100の入力電流を交流電源と同一周波数且つ同相の正弦波に校正して、その出力電圧Vを安定させている。
【0020】
この少なくとも二つのパワー調節分岐回路10は互いに並列接続され、各パワー調節分岐回路10は順に直列接続された第一スイッチユニットQ、第二スイッチユニットQ及び分岐回路サンプリング抵抗器Rを含む。
【0021】
任意的には、第一スイッチユニットQ及び第二スイッチユニットQはMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor;酸化金属半導体電界効果トランジスタ)例えばGaN MOSFET、スーパージャンクションMOSFET又はSiC-MOSFETであってもよい。
【0022】
パワー調節分岐回路10毎に対する制御は同様であり、この互いに並列接続された少なくとも二つのパワー調節分岐回路10の開閉制御信号は一周期において一定の位相角ずつ位相がずらされ、この一定の位相角が360度とパワー調節分岐回路10の数との比であり、この開閉制御信号はPWM(Pulse Width Modulation;パルス幅変調)駆動信号であることに注意されたい。例えば、当該力率補正回路100は二つのパワー調節分岐回路10を含み、該当する開閉制御信号は一周期において180度ずつ位相がずらされ、例えば図1及び図8に示されるように、当該力率補正回路100は三つのパワー調節分岐回路10を含み、該当する開閉制御信号は一周期において120度ずつ位相がずらされている。
【0023】
その分、少なくとも二つのインダクタンス分岐回路20の数は少なくとも二つのパワー調節分岐回路10の数と同様で一対一に対応している。具体的には、インダクタンス分岐回路20の第一端が交流電源60の第一端に接続され、インダクタンス分岐回路20の第二端が該当するパワー調節分岐回路10の第一スイッチユニットQと第二スイッチユニットQとの間に接続される。
【0024】
例えば、互いに並列接続された3つのパワー調節分岐回路10に対応して3つのインダクタンス分岐回路20があり、インダクタンス分岐回路20毎は該当するパワー調節分岐回路10と交流電源60との間に接続される。パワー調節分岐回路10は2つ、4つ、5つ等として並列接続され、その分、インダクタンス分岐回路20は2つ、4つ、5つ等とされてもよい。
【0025】
具体的には、インダクタンス分岐回路20はインダクタLを含み、インダクタLの第一端が交流電源60の第一端に接続され、インダクタLの第二端が該当するパワー調節分岐回路10の第一スイッチユニットQと第二スイッチユニットQとの間に接続される。
【0026】
整流分岐回路30はパワー調節分岐回路10と並列接続されながら互いに直列接続された第一整流ユニットQと第二整流ユニットQとを含み、即ち、互いに直列接続された第一整流ユニットQと第二整流ユニットQとは一つの全体としてパワー調節分岐回路10と並列接続される。整流分岐回路30は主線サンプリング抵抗器Rをさらに含み、主線サンプリング抵抗器Rの第一端が第一整流ユニットQと第二整流ユニットQとの間に接続され、主線サンプリング抵抗器Rの第二端が交流電源60の第二端に接続される。
【0027】
任意的には、第一整流ユニットQ及び第二整流ユニットQはいずれも同期整流スイッチ管又はダイオードである。例えば図2に示されるように、第一整流ユニットQ及び第二整流ユニットQにダイオードを採用する場合、第一整流ユニットQ及び第二整流ユニットQを制御する駆動回路を設ける必要がなくなり、力率補正回路100のコストは一層低下している。例えば図1に示されるように、第一整流ユニットQ及び第二整流ユニットQに同期整流スイッチ管、即ち、第一スイッチユニットQと同様なGaN MOSFETやスーパージャンクションMOSFET又はSiC-MOSFET管を採用する場合、整流分岐回路30の導通損失が低減し、力率補正回路100の効率が一層向上している。
【0028】
キャパシタ分岐回路40はパワー調節分岐回路10及び負荷Rに並列接続される。即ち、キャパシタ分岐回路40の第一端が第一共通ノードで第一スイッチユニットQの第一端、第一整流ユニットQの第一端及び負荷Rの第一端に接続され、キャパシタ分岐回路40の第二端が第二共通ノードで第二スイッチユニットQの第二端、第二整流ユニットQの第二端及び負荷Rの第二端に接続され、この第二共通ノードは基準接地にも接続される。
【0029】
具体的には、インダクタンス分岐回路20は出力キャパシタCbusを含む。第一スイッチユニットQの第一端及び第一整流ユニットQの第一端がいずれも出力キャパシタCbusの正極に接続され、第二スイッチユニットQの第二端と第二整流ユニットQの第二端とがいずれも出力キャパシタCbusの負極に接続される。
【0030】
制御回路50は、各分岐回路サンプリング抵抗器Rを流れる分岐回路電流iL1及び主線サンプリング抵抗器Rを流れる主線電流Iinをそれぞれサンプリングしたものに基づいて、該当するパワー調節分岐回路10に対して開閉制御を行うための開閉制御信号を出力し、即ち、第一スイッチユニットQ及び第二スイッチユニットQのそれぞれの開閉制御信号のデューティ比を調節することで、パワー調節分岐回路10を流れる分岐回路電流iL1及びキャパシタ分岐回路40の出力電圧Vを調整し制御する。
【0031】
以下、一つのパワー調節分岐回路10を例として、力率補正回路100中の分岐回路電流の流れ経路について説明する。
【0032】
交流電源60の入力電圧V>0の場合、整流分岐回路30の第二整流ユニットQが常時導通になり、制御回路50は開閉制御信号を出力して第一スイッチユニットQ及び第二スイッチユニットQに対して開閉制御を行う。例えば図3に示されるように、第二スイッチユニットQがオン、第一スイッチユニットQがオフになる場合、交流電源60からインダクタLにエネルギが蓄積され、そしてインダクタンス電流は上昇し、分岐回路サンプリング抵抗器R及び主線サンプリング抵抗器Rを順に流れる。例えば図4に示されるように、第二スイッチユニットQがオフ、第一スイッチユニットQがオンになる場合、インダクタLに蓄積されているエネルギにより出力キャパシタCbusを充電し、この時、インダクタンス電流は主線サンプリング抵抗器Rを流れる。
【0033】
交流電源60の入力電圧V<0の場合、整流分岐回路30の第一整流ユニットQが常時導通になり、制御回路50は開閉制御信号を出力して第一スイッチユニットQ及び第二スイッチユニットQに対して開閉制御を行う。例えば図5に示されるように、第一スイッチユニットQがオン、第二スイッチユニットQがオフになる場合、交流電源60からインダクタLにエネルギが蓄積され、そしてインダクタンス電流は上昇し、主線サンプリング抵抗器Rを流れる。例えば図6に示されるように、第一スイッチユニットQがオフ、第二スイッチユニットQがオンになる場合、インダクタLに蓄積されているエネルギにより出力キャパシタCbusを充電し、この時、インダクタンス電流は分岐回路サンプリング抵抗器R及び主線サンプリング抵抗器Rを順に流れる。
【0034】
分岐回路サンプリング抵抗器Rでの電圧降下は第二スイッチユニットQのオン電流に分岐回路サンプリング抵抗器Rの抵抗値を掛けたものに等しく、開閉制御信号のパルス中点のタイミングで分岐回路サンプリング抵抗器Rでの電圧降下を収集すれば、第二スイッチユニットQのオン電流を得ることができ、このオン電流を分岐回路電流iL1と記載する。
【0035】
例えば図8に示されるように、入力電圧V>0の場合、開閉制御信号のパルス中点のタイミングで第二スイッチユニットQを流れるオン電流はインダクタLの立ち上り部の中点電流に等しく、即ち、インダクタLを流れる平均電流に等しく、これを分岐回路電流iL1と記載し、また、入力電圧V<0の場合、開閉制御信号のパルス中点のタイミングで第二スイッチユニットQを流れるオン電流はインダクタLの立ち下り部の中点電流に等しく、即ち、インダクタLを流れる平均電流に等しく、これを分岐回路電流iL1と記載する。
【0036】
また、交流電源60の作動周波数がパワー調節分岐回路10における第一スイッチユニットQ1と第二スイッチユニットQのスイッチング周波数fswよりもはるかに小さく、例えば、交流電源60の作動周波数が50H、スイッチング周波数fswが50kHであり、即ち、交流電源60から電圧Vを出力する一つの正弦波周期において複数の分岐回路電流iL1が収集され、即ち、収集された分岐回路電流iL1の波形は交流電源60と同一周波数且つ同相の正弦波である。しかし、交流電源60の一つの正弦波周期の一部の区間では直接分岐回路電流iL1を収集できないため、分岐回路電流iL1の等価替代となる主線電流Iinを収集する必要がある。
【0037】
したがって、本願による力率補正回路100では、各分岐回路サンプリング抵抗器Rを流れる分岐回路電流iL1及び主線サンプリング抵抗器Rを流れる主線電流Iinをサンプリングすることで、インダクタンス分岐回路20を流れる電流は間接的に得られ、電流サンプリング素子に対する要求が低減し、比較的省コストの電流サンプリング方式を採用可能になり、力率補正回路100の全体コストは効果的に低減している。
【0038】
また、本願による力率補正回路100は並行インターリーブのものであり、出力を高めながら入力電流の調波を低減することができる。
【0039】
図9を参照し、制御回路50は、交流電源60が提供する入力電圧Vの位相変化周期における各分岐回路サンプリング抵抗器Rのサンプリング可能区間及び入力電圧Vの現在位相角θをさらに取得し、現在位相角θがサンプリング可能区間にあるのを確認してから、各分岐回路電流iL1に基づいて各開閉制御信号を出力し、並びに、現在位相角θがサンプリング可能区間外にあるのを確認してから、主線電流Iinに基づいて開閉制御信号を出力する。
【0040】
具体的には、現在位相角θがサンプリング可能区間にあるのを確認したことに対して、制御回路50は各分岐回路電流iL1と基準電流Irefとを比較した結果に基づいて各開閉制御信号を出力し、現在位相角θがサンプリング可能区間外にあるのを確認したことに対して、制御回路50は主線電流Iinをパワー調節分岐回路10の数で割ってから基準電流Irefと比較した結果に基づいて各開閉制御信号を出力する。
【0041】
現在位相角θが交流電源60の現在位相角であり、制御回路50は交流電源60の入力電圧Vの現在振幅値をさらに収集し、そして入力電圧Vの現在振幅値を位相ロックループPLLに入力することで、現在位相角θを得る。位相ロックループPLLは現在位相角θをサンプル電流処理モジュールに入力し、サンプル電流処理モジュールにより現在位相角θがサンプリング可能区間にあるのを確認した場合、分岐回路電流iL1を入力信号Iとして出力しながら基準電流Irefと比較し、あるいは、サンプル電流処理モジュールにより現在位相角θがサンプリング可能区間外にあるのを確認した場合、主線電流Iinを等価変換した入力信号Iを出力し、この入力信号Iを基準電流Irefと比較する。
【0042】
具体的には、互いに並列接続された少なくとも二つのパワー調節分岐回路10は複数インターリービングしているので、主線電流Iinのスイッチング低調波は相殺され、残った小さい高調波のみが主線サンプリング抵抗器Rを流れるようになり、主線電流Iinをパワー調節分岐回路10の数で割った値がパワー調節分岐回路10毎のインダクタンス電流の平均値に非常に近く、そして、分岐回路サンプリング抵抗器Rがサンプリングできない区間の替代となる分岐回路電流とすることができる。
【0043】
制御回路50は基準出力電圧Vref及び出力電圧Vをさらに取得し、加算器により基準出力電圧Vrefと出力電圧Vとの差を得て、その差を電圧ループコントローラにて処理して基準電流Irefの電流ピーク値Iが得られ、そして、電流ピーク値I及び現在位相角θについて正弦変換を行ってから乗算器に入力すれば、現在の基準電流Irefを得ることができる。
【0044】
現在位相角θがサンプリング可能区間にあるのを確認した場合、サンプル電流処理モジュールは取得された各分岐回路電流iL1を入力信号Iとして該当する加算器に入力し、加算器により分岐回路電流iL1と基準電流Irefとの比較結果である誤差信号が得られ、それに基づいて開閉制御信号を出力することで、該当するパワー調節分岐回路10に対して開閉制御を行う。
【0045】
現在位相角θがサンプリング可能区間外にあるのを確認した場合、サンプル電流処理モジュールは主線電流Iinをパワー調節分岐回路10の数で割った等価分岐回路電流を入力信号Iとして該当する加算器に入力し、加算器により等価分岐回路電流と基準電流Irefとの比較結果である誤差信号が得られ、それに基づいて開閉制御信号を出力することで、該当するパワー調節分岐回路10に対して開閉制御を行う。
【0046】
例えば、この分岐回路電流iL1と基準電流Irefとの誤差信号を電流ループコントローラにて調節処理することで、変調波が得られ、得られた変調波と所定の搬送波とを比較器により比較することで、第一パルス幅変調信号が生成され、第一PWM変調器によりこの第一パルス幅変調信号を取得して該当するパルス幅の開閉制御信号を第二スイッチユニットQに出力することで、第二スイッチユニットQに対して開閉制御を行い、さらには、第一パルス幅変調信号はインバータにより反転されることで、第一パルス幅変調信号と相補的な第二パルス幅変調信号が生成され、第二PWM変調器によりこの第二パルス幅変調信号を取得して該当するパルス幅の別の開閉制御信号を第一スイッチユニットQに出力することで、第一スイッチユニットQに対して開閉制御を行う。
【0047】
具体的には、各パワー調節分岐回路10の第二スイッチユニットQがオンになる場合、各分岐回路サンプリング抵抗器Rを流れる分岐回路電流iL1が存在し、そのうち、サンプリング可能区間は、第二スイッチユニットQのオン時間が分岐回路電流iL1をサンプリングするのに必要な最小サンプリング時間Tminより大きい区間である。
【0048】
最小サンプリング時間Tminは制御回路50のサンプリングチップ、サンプリング周辺回路、コントローラの処理能力等の要因により決まり、約2~5usである。
【0049】
制御回路50はさらに入力電圧V及びキャパシタ分岐回路40の出力電圧Vをサンプリングし、それによる入力電圧Vのピーク電圧V、出力電圧V、予め得られた最小サンプリング時間Tmin及び第二スイッチユニットのスイッチング周波数fswに基づいてこのサンプリング可能区間を計算する。
【0050】
具体的には、入力電圧V>0の場合、サンプリング可能区間は入力電圧Vの位相区間中の0°からθ及び180°-θから180°に対応する。V<0の場合、サンプリング可能区間は入力電圧Vの位相区間中の180°+θから360°-θに対応する。
【0051】
ただし、
【数1】
【数2】
である。
【0052】
例えば、図6に示されるように、交流電源60は220V/50Hで、そのピーク電圧Vが311Vであり、当該力率補正回路100は最小サンプリング時間Tminが3us、スイッチング周波数fswが50kHz、出力電圧Vが380Vであり、そして、θ=90°,θ=10.5°が得られ、入力電圧Vの一つの位相変化周期におけるサンプリング可能区間は0°から180°及び190.5°から349.5°となり、残りの区間180°から190.5°及び349.5°から360°は非サンプリング区間となる。
【0053】
さらには、システム誤差による影響を回避するために、サンプリング可能区間に適宜の余裕を保ち、即ち、非サンプリング区間を百分率に従って拡大してもよく、例えば非サンプリング区間を10%や20%拡大する等ようにする。例えば、非サンプリング区間180°から190.5°及び349.5°から360°のいずれをも20%拡大すれば、新しい非サンプリング区間は178.95°から191.55°及び348.45°から1.05°となり、残りの区間はサンプリング可能区間となる。
【0054】
さらに、本願による力率補正回路では、各分岐回路サンプリング抵抗器Rを流れる分岐回路電流iL1及び主線サンプリング抵抗器Rを流れる主線電流Iinをサンプリングすることで、インダクタンス分岐回路20を流れる電流は間接的に得られ、電流サンプリング素子に対する要求が低減し、比較的省コストの電流サンプリング方式を採用可能になり、力率補正回路100の全体コストは効果的に低減し、また、制御回路50はサンプリングされた分岐回路電流iL1及び主線電流Iinに基づいて各パワー調節分岐回路10に対して開閉制御を行い、即ち、第一スイッチユニットQ及び第二スイッチユニットQのそれぞれの開閉制御信号のデューティ比を調節することで、パワー調節分岐回路10を流れる分岐回路電流iL1及びキャパシタ分岐回路40の出力電圧Vを調整し制御する。
【0055】
図10を参照し、図10は本願による力率補正回路の制御方法の一実施例のフロー模式図である。
【0056】
ステップ11では、各パワー調節分岐回路の分岐回路サンプリング抵抗器を流れる分岐回路電流及び各整流分岐回路の主線サンプリング抵抗器を流れる主線電流を取得する。
【0057】
力率補正回路100では、交流電源60の作動周波数がパワー調節分岐回路10における第一スイッチユニットQ1及び第二スイッチユニットQのスイッチング周波数fswよりもはるかに小さい。例えば、交流電源60の作動周波数が50H、スイッチング周波数fswが50kHであり、即ち、交流電源60から電圧Vを出力する一つの正弦波周期において複数の分岐回路電流iL1が収集され、即ち、収集された分岐回路電流iL1の波形は交流電源60と同一周波数且つ同相の正弦波である。しかし、交流電源60の一つの正弦波周期の一部の区間では直接分岐回路電流iL1を収集できないため、主線電流Iinを収集し等価変換を行って、分岐回路電流iL1の替代とする必要がある。
【0058】
ステップ12では、分岐回路電流及び主線電流に基づいて開閉制御信号を出力する。
【0059】
分岐回路電流iL1及び主線電流Iinに基づいて、該当するパワー調節分岐回路10に対して開閉制御を行うための開閉制御信号を出力する。交流電源60の一つの正弦波周期において、分岐回路電流iL1を取得可能である場合、分岐回路電流iL1を入力信号として開閉制御信号を出力し、該当するパワー調節分岐回路10に対して開閉制御を行うことであるが、分岐回路電流iL1を取得できない場合、主線電流Iinを取得して等価変換を行い、分岐回路電流iL1の代替とするようになるため、主線電流Iinを入力信号として開閉制御信号を出力することは理解可能であろう。
【0060】
各パワー調節分岐回路10に対して開閉制御を行い、即ち、第一スイッチユニットQ及び第二スイッチユニットQのそれぞれの開閉制御信号のデューティ比を制御することで、パワー調節分岐回路10を流れる電流及びキャパシタ分岐回路40の出力電圧Vを調整し制御する。
【0061】
図11を参照し、図11は本願による力率補正回路の制御方法の一実施例のフロー模式図である。
【0062】
ステップ21では、各パワー調節分岐回路の分岐回路サンプリング抵抗器を流れる分岐回路電流及び各整流分岐回路の主線サンプリング抵抗器を流れる主線電流を取得する。
【0063】
ステップ22では、各分岐回路サンプリング抵抗器のサンプリング可能区間及び入力電圧の現在位相角を取得する。
【0064】
このサンプリング可能区間は交流電源が提供する入力電圧の位相変化周期における区間であり、また、このサンプリング可能区間は、第二スイッチユニットQのオン時間が分岐回路電流iL1をサンプリングするのに必要な最小サンプリング時間Tminより大きい区間である。そのうち、最小サンプリング時間Tminは制御回路50のサンプリングチップ、サンプリング周辺回路、コントローラの処理能力等の要因により決まり、約2~5usである。
【0065】
具体的には、交流電源60の入力電圧V及びキャパシタ分岐回路40の出力電圧Vをサンプリングし、それによる入力電圧Vのピーク電圧V、出力電圧V、予め得られた最小サンプリング時間Tmin及び第二スイッチユニットのスイッチング周波数fswに基づいてサンプリング可能区間を計算する。
【0066】
本実施例では、入力電圧V>0の場合、サンプリング可能区間は入力電圧Vの位相区間中の0°からθ及び180°-θから180°に対応し、V<0の場合、サンプリング可能区間は入力電圧Vの位相区間中の180°+θから360°-θに対応する。
【0067】
ただし、
【数3】
【数4】
である。
【0068】
例えば、交流電源60は220V/50Hで、そのピーク電圧Vが311Vであり、当該力率補正回路100は最小サンプリング時間Tminが3us、スイッチング周波数fswが50kHz、出力電圧Vが380Vであり、そして、θ=90°,θ=10.5°が得られ、入力電圧Vの一つの位相変化周期におけるサンプリング可能区間は0°から180°及び190.5°から349.5°となり、残りの区間180°から190.5°及び349.5°から360°は非サンプリング区間となる。
【0069】
さらには、システム誤差による影響を回避するために、サンプリング可能区間に適宜の余裕を保ち、即ち、非サンプリング区間を百分率に従って拡大してもよく、例えば非サンプリング区間を10%や20%拡大する等ようにする。例えば、非サンプリング区間180°から190.5°及び349.5°から360°のいずれをも20%拡大すれば、新しい非サンプリング区間は178.95°から191.55°及び348.45°から1.05°となる。
【0070】
現在位相角θは交流電源60の現在位相角であり、例えば、交流電源60の入力電圧Vの現在振幅値を収集することで現在位相角θを抽出する。例えば、入力電圧Vの現在振幅値を位相ロックループPLLに入力することで、現在位相角θが得られる。
【0071】
ステップ23では、現在位相角がサンプリング可能区間にあるのを確認してから、各分岐回路電流に基づいて各開閉制御信号を出力する。
【0072】
現在位相角θがサンプリング可能区間にあるのを確認したことに対して、制御回路50は各分岐回路電流iL1と基準電流Irefとを比較した結果に基づいて各開閉制御信号を出力し、該当するパワー調節分岐回路10に対して開閉制御を行う。
【0073】
例えば、力率補正回路100の基準出力電圧Vrefと出力電圧Vを取得し、加算器により基準出力電圧Vrefと出力電圧Vとの差を得て、その差を電圧ループコントローラにて処理して基準電流Irefの電流ピーク値Iが得られ、そして、電流ピーク値I及び現在位相角θについて正弦変換を行ってから乗算器に入力すれば、現在の基準電流Irefを得ることができる。
【0074】
さらに、分岐回路電流iL1と基準電流Irefとを比較して誤差信号が得られ、それに基づいて各パワー調節分岐回路10に対して開閉制御を行う。
【0075】
具体的には、この誤差信号を処理することで、変調波が得られる。得られた変調波と所定の搬送波とを比較することで、第一パルス幅変調信号が得られ、第一PWM変調器によりこの第一パルス幅変調信号を取得して該当するパルス幅の開閉制御信号を第二スイッチユニットQに出力することで、第二スイッチユニットQに対して開閉制御を行い、さらには、第一パルス幅変調信号はインバータにより反転されることで、第一パルス幅変調信号と相補的な第二パルス幅変調信号が得られ、第二PWM変調器によりこの第二パルス幅変調信号を取得して該当するパルス幅の別の開閉制御信号を第一スイッチユニットQに出力することで、第一スイッチユニットQに対して開閉制御を行う。
【0076】
ステップ24では、現在位相角がサンプリング可能区間外にあるのを確認してから、主線電流に基づいて前記開閉制御信号を出力する。
【0077】
現在位相角θがサンプリング可能区間外にあるのを確認したことに対して、制御回路50は主線電流Iinをパワー調節分岐回路10の数で割ってから基準電流Irefと比較した結果に基づいて開閉制御信号を出力し、各パワー調節分岐回路10に対して開閉制御を行う。
【0078】
具体的には、主線電流Iinをパワー調節分岐回路10の数で割ることで、等価分岐回路電流が得られ、この等価分岐回路電流を基準電流Irefと比較することで、誤差信号が得られ、それに基づいて各パワー調節分岐回路10に対して開閉制御を行う。
【0079】
この誤差信号からパワー調節分岐回路10に対して開閉制御を行うことはステップ23にて詳細に説明したので、ここでは贅言しない。
【0080】
図12を参照し、本願による記憶媒体の一実施例の構造模式図である。
【0081】
当該コンピュータ可読記憶媒体70にプログラムデータ71が記憶されており、プロセッサによりプログラムデータ71が実行されると、例えば図9から図10に示される力率補正回路の制御方法が実現される。
【0082】
このプログラムデータ71は一つのコンピュータ可読記憶媒体70に記憶されて若干の指令を含み、一つのコンピュータ機器(ルータやパソコン、サーバ又はネットワーク機器等であってもよい)又はプロセッサに本願の各実施例に記載の方法のすべて又は一部の工程を実行させるために用いられる。任意的には、コンピュータ可読記憶媒体70はUSBメモリ、ポータブルハードディスク、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク又は光ディスク等のプログラムデータを記憶可能な様々な媒体であってもよい。
【0083】
図13を参照し、本願による電気器具の一実施例の構造模式図である。
【0084】
当該電気器具80は、接続されているプロセッサ82とメモリ81とを備え、メモリ81にコンピュータプログラムが記憶されており、プロセッサ82によりこのコンピュータプログラムが実行されると、例えば図9から図10に示される力率補正回路の制御方法が実現される。
【0085】
当該電気器具は空調機、冷蔵庫、テレビ、高速ブレンダ、食器洗い機等の様々な電気器具製品であってもよいし、旋盤等の機械設備又は携帯電話、コンピュータ等の電子機器であってもよく、本願は当該電気器具の具体的な種類を制限していない。
【0086】
図14を参照し、本願による家電の一実施例の構造模式図である。
【0087】
当該家電は上記のような力率補正回路100を備える。当該家電は空調機、冷蔵庫、テレビ、高速ブレンダ、食器洗い機等の様々な電気器具製品であってもよいし、旋盤等の機械設備又は携帯電話、コンピュータ等の電子機器であってもよく、本願は当該電気器具の具体的な種類を制限していない。
【0088】
従来技術の場合とは異なり、本願は力率補正回路、制御方法、記憶媒体、電気器具及び家電を開示する。互いに並列接続された各パワー調節分岐回路に分岐回路サンプリング抵抗器を直列接続し、主線サンプリング抵抗器を設けるとともに、主線サンプリング抵抗器の第一端を第一整流ユニットと第二整流ユニットとの間に接続させ、主線サンプリング抵抗器の第二端を交流電源の第二端に接続させて、さらには、各分岐回路サンプリング抵抗器を流れる分岐回路電流及び主線サンプリング抵抗器を流れる主線電流をサンプリングすることによって、インダクタンス分岐回路を流れる電流は間接的に得られ、電流サンプリング素子に対する要求が低減し、比較的省コストの電流サンプリング方式を採用可能になり、力率補正回路の全体コストは効果的に低減している。
【0089】
本明細書中の各実施例はいずれも漸進して説明されたものであり、各実施例間の同一又は類似する部分は互いの参照とすればよく、各実施例のいずれでも他の実施例との相違について重点的に説明されている。特に、記憶媒体の実施例及び家電や電気器具の実施例は基本的に方法の実施例と同様であるため、説明が比較的簡単になり、関連箇所の説明について方法の実施例の一部の説明を参照すればよい。
【0090】
本願によるいくつかの実施形態では、開示する方法及び設備は他の態様で実現されてもよいことは理解されるべきである。例えば、上記した設備の実施形態は例示的なものに過ぎず、例えば、前記モジュール又はユニットの区分は単に論理機能の区分であり、実際に実施する場合では他の区分形式とされてもよく、例えば、複数のユニット又はコンポーネントは組み合わせるか別のシステムに統合されてもよく、あるいは、一部の特徴は無視するか実行しなくてもよい。
【0091】
前記の別体部品として説明されたユニットは物理的に独立したものであってもよいし、そうでなくてもよく、また、ユニットとしての部品は物理的ものであってもよいし、そうでなくてもよく、即ち、一つの場所に位置してもよいし、複数のネットワークユニットに分布されてもよい。実際の需要に応じてそのユニットの一部や全部を選択して、本実施形態の解決手段を実現するようにすることができる。
【0092】
また、本願では、各実施形態中の各機能ユニットは一つの処理ユニットに統合されてもよいし、独立した物理的ものとされてもよく、また、二つ又はそれ以上のユニットを一つのユニットに統合してもよい。上記統合されているユニットはハードウェアとして実現されてもよいし、ソフトウェアによる機能ユニットとして実現されてもよい。
【0093】
上記は本願の実施例に過ぎず、それによって本願の特許範囲を制限するわけではなく、本願の明細書及び図面に基づいてなされた等価構造又はフローの等価変換、あるいは、直接又は間接的に他の関連技術分野に適用したものは、いずれも本願の保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
10 パワー調節分岐回路
20 インダクタンス分岐回路
30 整流分岐回路
40 キャパシタ分岐回路
50 制御回路
60 交流電源
70 記憶媒体
71 プログラムデータ
80 電気器具
81 メモリ
82 プロセッサ
100 力率補正回路
sw スイッチング周波数
in 主線電流
L1 分岐回路電流
ref 基準電流
第一スイッチユニット
第二スイッチユニット
第一整流ユニット
第二整流ユニット
分岐回路サンプリング抵抗器
負荷
主線サンプリング抵抗器
min 最小サンプリング時間
入力電圧
出力電圧
ピーク電圧
θ 現在位相角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】