(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-27
(54)【発明の名称】カーペット二次基布を含むタフトカーペット
(51)【国際特許分類】
A47G 27/02 20060101AFI20220720BHJP
D04H 3/00 20120101ALI20220720BHJP
B32B 5/26 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
A47G27/02 102
D04H3/00
B32B5/26
A47G27/02 101A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568809
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(85)【翻訳文提出日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 IB2020054756
(87)【国際公開番号】W WO2020234783
(87)【国際公開日】2020-11-26
(32)【優先日】2019-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519395259
【氏名又は名称】ロウ アンド ボナー インク.
【氏名又は名称原語表記】Low & Bonar Inc.
【住所又は居所原語表記】1301 Sand Hill Road, Enka, NC 28728, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ロブ タイラー
【テーマコード(参考)】
3B120
4F100
4L047
【Fターム(参考)】
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4L047CA19
4L047CB08
(57)【要約】
タフティングされたカーペット一次基布と、カーペット一次基布の中にタフティングされたパイル糸と、バックステッチが見えるカーペット一次基布の面でカーペット一次基布に隣接しているカーペット二次基布と、任意選択的なプレコートおよび/またはポリマーコートとを含むタフトカーペットであって、カーペット二次基布が少なくとも繊維の補強層を含み、カーペット二次基布がISO 9237:1995に従って測定される少なくとも1000l/m2・sの透気度を有する、タフトカーペット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タフティングされたカーペット一次基布と、前記カーペット一次基布の中にタフティングされたパイル糸と、バックステッチが見える前記カーペット一次基布の面で前記カーペット一次基布に隣接しているカーペット二次基布と、任意選択的なプレコートおよび/またはポリマーコートとを含むタフトカーペットであって、前記カーペット二次基布が少なくとも繊維の補強層を含み、前記カーペット二次基布がISO 9237:1995に従って測定される少なくとも5000l/m
2・sの透気度を有する、タフトカーペット。
【請求項2】
前記カーペット二次基布が、ISO 9237:1995に従って測定される少なくとも7000l/m
2・s、好ましくは9000l/m
2・s、より好ましくは10500l/m
2・s、さらにより好ましくは12000l/m
2・sの透気度を有することを特徴とする、請求項1記載のタフトカーペット。
【請求項3】
前記補強層が、スクリムまたは一方向繊維層であり、前記一方向繊維層の前記繊維が流れ方向に向けて実質的に平行に整列しており、互いから離間されていることを特徴とする、請求項1または2記載のタフトカーペット。
【請求項4】
前記繊維の補強層が、ガラス、炭素、玄武岩、ロックウール、高弾性率低収縮(HMLS)ポリエステル、無機材料、アラミド、例えばパラアラミド(PPTA)およびメタアラミド(MPTA)、ならびに超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含む群から選択される高弾性材料および/または低収縮材料を含むことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のタフトカーペット。
【請求項5】
前記二次基布が繊維の2つの不織布層を含み、前記補強層が前記繊維の2つの不織布層の間に配置されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のタフトカーペット。
【請求項6】
前記二次基布に含まれる前記繊維の不織布層のそれぞれが、最大50g/m
2、好ましくは最大30g/m
2、より好ましくは最大20g/m
2、さらにより好ましくは最大10g/m
2、最も好ましくは最大7g/m
2の平均重量を有することを特徴とする、請求項5記載のタフトカーペット。
【請求項7】
前記二次基布に含まれる前記繊維の不織布層の前記繊維が、少なくとも30μm、好ましくは少なくとも35μm、より好ましくは少なくとも40μm、さらにより好ましくは少なくとも50μm、最も好ましくは少なくとも60μmの平均直径を有することを特徴とする、請求項5または6記載のタフトカーペット。
【請求項8】
前記二次基布に含まれる前記繊維の不織布層が、一成分繊維、2種類の一成分繊維、および/または二成分繊維を含むことを特徴とする、請求項5から7までのいずれか1項記載のタフトカーペット。
【請求項9】
前記二次基布に含まれる前記繊維の不織布層の前記繊維が、ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル;ポリアミド6,6(PA6,6)およびポリアミド6(PA6)などのポリアミド;ならびにこれらのコポリマーまたはブレンドを含む群から選択される熱可塑性ポリマー系材料を含むことを特徴とする、請求項5から8までのいずれか1項記載のタフトカーペット。
【請求項10】
前記カーペット一次基布が、熱可塑性ポリマー系材料から構成され、かつISO 9237:1995に従って測定される最大8000l/m
2・sの透気度を有する繊維の不織布層を含む第1の層を少なくとも含むことを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載のタフトカーペット。
【請求項11】
前記カーペット一次基布が少なくとも3層の非対称構造を含み、第1の層および第3の層が繊維の不織布層を含み、第2の層が繊維の補強層を含み、前記第2の層が前記第1の層と前記第3の層との間に位置し、前記カーペット一次基布の前記第1の層が前記タフティングされたパイル糸の最も近くに位置しており、続いて前記第2の層および前記第3の層が前記第1の層の後ろに配置されており、前記第1の層の前記繊維の不織布層がISO 9237:1995に従って測定される最大8000l/m
2・sの透気度を有し、前記第3の層の前記繊維の不織布層がISO 9237:1995に従って測定される少なくとも3500l/m
2・sの透気度を有し、前記第1の層の前記繊維の不織布層が前記第3の層の前記繊維の不織布層よりも低い透気度を有することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載のタフトカーペット。
【請求項12】
前記カーペット一次基布の前記第1の層の前記繊維の不織布層の前記繊維が、最大50μm、好ましくは最大40μm、より好ましくは最大30μm、さらにより好ましくは最大25μm、最も好ましくは最大20mmの平均直径を有し、前記カーペット一次基布の前記第3の層の前記繊維の不織布層の前記繊維が、少なくとも30mm、好ましくは少なくとも35mm、より好ましくは少なくとも40μm、さらにより好ましくは少なくとも50μm、最も好ましくは少なくとも60mmの平均直径を有することを特徴とする、請求項11記載のタフトカーペット。
【請求項13】
繊維の不織布層または複合材料であってよいカーペット一次基布をパイル糸でタフティングし、バックステッチが見える前記タフティングされた一次基布の面で前記タフティングされた一次基布に隣接してカーペット二次基布を付与し、任意選択的にプレコートコーティングおよび/またはポリマーコーティングを付与することによる、請求項1から12までのいずれか1記載のタフトカーペットの製造方法。
【請求項14】
前記任意選択的なプレコートコーティングおよび/またはポリマーコーティングの付与が、前記プレコートおよび/またはポリマーコートを前記カーペット二次基布を通して前記カーペット一次基布の中に押し込むことによって行われることを特徴とする、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記カーペット一次基布が少なくとも2つの層を含み、前記少なくとも2つの層が、それらの主面で互いに隣接する個々の層としてタフティングされることを特徴とする、請求項13または14記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、カーペット二次基布を含むタフトカーペット、およびカーペット二次基布を含むそのようなタフトカーペットを製造するための方法に関する。
【0002】
伝統的なカーペットタイルの製造においては、目に見えるパイル糸の背後に様々な材料の多くの層が存在する。パイル糸の背後の構造は、パイル糸がタフティングされたカーペット一次基布を含み、カーペット一次基布は、パイル糸を固定するためのプレコートを含む。従来のカーペットタイルは、タフティングされプレコートされた一次基布の下に、ポリマー層と、補強層と、追加のポリマー層と、任意選択的なカーペット二次基布とを含む。
【0003】
この補強層は、例えば、繊維ガラスの不織布またはスクリムとすることができ、カーペットタイルの平面(x次元およびy次元)方向の補強を担う。カーペットタイルのx方向および/またはy方向に加えられた発生した力を補強層に伝えるためには、カーペット一次基布と補強層との間、およびカーペット二次基布と補強層との間にポリマーコーティングの層が必要とされる。
【0004】
ポリマーコーティングのこれらの層は高価であり、カーペットタイルの製造者はこれらの2層のポリマーコーティングの質量を最小限に抑えようと努めているものの、これは補強層とカーペット一次基布との間および/または補強層とカーペット二次基布との間の十分な結合に重要であるため、最低限の量のポリマーが必要とされる。
【0005】
一部のカーペットタイルでは、補強層をポリマーの2つの層の間からカーペット二次基材のすぐ上に移動させたため、高価なポリマーコーティングの2つの層を1つの層のみに減らし、カーペットタイルにおけるポリマーの総質量を減らすことが可能である。
【0006】
英国特許出願公告第1,409,068号明細書には、タフティングされた一次基布に二次基布を付与するための方法が開示されている。それにより、二次基布の補強は、編まれた構造に一体化されている縦方向の糸によって行われ、これは編みプロセスの最中におよび編みプロセスの一部として導入される。
【0007】
国際公開第2006/093861号、米国特許第6,060,145号明細書、および米国特許出願公開第2004/0142142号明細書には、高い透気度を有するカーペット二次基布が開示されているが、平織りでフラットヤーン/リボンが使用されているため、カーペット二次基布に物理的障壁が形成され、ここで充填剤/バインダーの混合物が地面へ通り抜けるブリーディングが防止される。
【0008】
しかしながら、補強層をカーペット二次基布の上に移動させることによってポリマーコーティングの層の数を減らすことは可能であるものの、補強層をカーペット二次基布に接着するために追加の接着剤を使用しなければならないという欠点が生じる。理論に拘束されるものではないが、補強層をカーペット二次基布の上へ移動させると、カーペットタイルの縁反りや丸まりなど、平坦度の安定性(カーペットタイルの平面に垂直、z次元)にマイナスの結果を与えると考えられる。
【0009】
加えて、ポリマーコーティングの層がカーペット一次基布に対して高い親和性を有する場合、ポリマーコーティングがカーペットの表面で見える可能性があり、これはラテックスのブリーディングとして知られている。
【0010】
本出願の目的は、カーペット二次基布を含むタフトカーペット、およびカーペット二次基布を含むそのようなタフトカーペットを製造する方法を提供することであり、これにより、前述した欠点が防止され、あるいは少なくとも軽減される。
【0011】
この目的は、タフティングされたカーペット一次基布と、カーペット一次基布の中にタフティングされたパイル糸と、バックステッチが見えるカーペット一次基布の面でカーペット一次基布に隣接しているカーペット二次基布と、任意選択的なプレコートおよび/またはポリマーコートとを含むタフトカーペットであって、カーペット二次基布が少なくとも繊維の補強層を含み、カーペット二次基布がISO 9237:1995に従って測定される少なくとも1000l/m2・sの透気度を有する、タフトカーペットによって達成される。
【0012】
明確にするために明記しておくと、ISO 9237:1995に従う透気度の測定は、200Paの圧力差で、かつ20cm2のサンプルサイズを有するサンプルで行われる。
【0013】
カーペット二次基布が繊維の補強層を含むという事実は、カーペットタイルの縁反りや丸まりなどの、カーペットタイルの平面に垂直な(z次元)平坦度の安定性を改善する。カーペット二次基布が最低限の透気度を有するという事実は、タフティングされたカーペットに塗布されたプレコートおよび/またはポリマーコートの浸透性を改善し、その結果プレコートがカーペット二次基布に浸透できるようにもする。
【0014】
理論に拘束されるものではないが、カーペット一次基布およびカーペット二次基布を含むタフトカーペットにプレコートおよび/またはポリマーコートを付加することにより、加えられる可能性のある力をプレコートおよび/またはポリマーコートを介してカーペット二次基布の補強層に伝達することができると考えられる。
【0015】
さらに、カーペット一次基布にカーペット二次基布を直接配置することにより、追加のプレコートおよび/またはポリマーコーティングを節約できると考えられる。
【0016】
明確にするために、本出願で使用されるいくつかの用語および語句の説明を以下に示す。
【0017】
「複合材料」という用語は、物理的または化学的特性が大きく異なる2種以上の構成材料から製造された材料として理解すべきであり、これらを組み合わせると、個々の構成要素とは異なる特徴を有する材料が製造される。
【0018】
「実質的に平行」という語句は、例えば一方向層の繊維が互いに離れて配置されているため、繊維が一方向繊維層の繊維の隣接する繊維と接触しないことを意味する。
【0019】
「スパンボンド」および「スパンレイド」という用語は、繊維が紡糸口金から押し出され、続いてフィラメントのウェブとしてコンベヤベルト上に敷かれ、その後ウェブが結合されることで繊維の不織布層が形成される繊維の不織布層の製造を意味し、あるいはフィラメントが紡糸され、例えば延伸ゴデットまたはエアジェットを使用して延伸され、好ましくはマルチフィラメント糸の形態でボビンに巻き取られ、続いてマルチフィラメント糸が巻き戻され、フィラメントのウェブとしてコンベヤベルト上にフィラメントが敷かれ、ウェブが結合されることで繊維の不織布層が形成される工程が行われる二段階プロセスによる繊維の不織布層の製造を意味する。
【0020】
本出願の範囲内で、「繊維」という用語は、ステープル繊維とフィラメントとの両方を指すと理解される。ステープル繊維は、2~200mmの範囲の、規定の比較的短い長さを有する繊維である。フィラメントは、200mmを超える長さの繊維である。一実施形態では、フィラメントは500mmを超える長さを有する。一実施形態では、フィラメントは、1000mmを超える長さを有する。フィラメントは、例えば紡糸口金の紡糸穴を通してのフィラメントの連続押出および紡糸によって形成される場合には、事実上無限であってもよい。
【0021】
「カーペット面」という用語は、カーペットを地面に敷いた時に見えるカーペットの面として理解する必要がある。カーペットを地面に敷いた場合に見えない面がタフティングのバックステッチが見える面である。
【0022】
タフトカーペットは、タフティングされたカーペット一次基布と、カーペット二次基布と、任意選択的なプレコートおよび/またはポリマーコーティングとを含む。カーペット二次基布は、バックステッチが見えるカーペット一次基布の面でカーペット一次基布に隣接して配置され、カーペット二次基布および/またはカーペット一次基布にプレコートまたはポリマーコートを付加することができる。
【0023】
カーペット二次基布は、ISO 9237:1995に従って測定される少なくとも1000l/m2・sの透気度を有する。理論に拘束されるものではないが、この透気度のため、任意選択的なプレコートおよび/またはポリマーコートが、カーペット二次基布の裏面からカーペット二次基布を通り抜けてカーペット一次基布に移動できると考えられる。
【0024】
一実施形態では、カーペット二次基布の透気度は、少なくとも3000l/m2・sである。一実施形態では、カーペット二次基布の透気度は、少なくとも5000l/m2・sである。一実施形態では、カーペット二次基布の透気度は、少なくとも7000l/m2・sである。一実施形態では、カーペット二次基布の透気度は、少なくとも9000l/m2・sである。一実施形態では、カーペット二次基布の透気度は、少なくとも10500l/m2・sである。一実施形態では、カーペット二次基布の透気度は、少なくとも12000l/m2・sである。全ての場合において、ISO 9237:1995に従って測定される。
【0025】
一実施形態では、カーペット二次基布は、プレコートおよび/またはポリマーコートによって含浸させることができる。これに関し、「含浸」という用語は、二次基布にプレコートおよび/またはポリマーコートを染み込ませることができ、その結果、含浸後の二次基布に空隙が存在しないか、または無視できるほどの空隙しか存在しないことであると理解する必要がある。一実施形態では、無視できるほどの空隙は、含浸された二次基布の体積の5体積%未満を構成する。一実施形態では、無視できるほどの空隙は、含浸された二次基布の体積の4体積%未満を構成する。一実施形態では、無視できるほどの空隙は、含浸された二次基布の体積の3体積%未満を構成する。一実施形態では、無視できるほどの空隙は、含浸された二次基布の体積の1体積%未満を構成する。
【0026】
本出願によるプラスチゾルは、ポリマー粒子の懸濁液、例えば液体可塑剤中のPVCである。加熱すると、粒子は可塑剤中に溶解し、高粘度のゲルを形成する。プラスチゾルは、繊維の中に含浸するのではなく、布地の上に位置する傾向があることが当業者に知られている。したがって、プラスチゾルによる適切な含浸のための織物系材料は注意深く選択する必要がある。
【0027】
一実施形態では、可塑剤は、DEHP、DINP、およびDIDPなどのフタル酸エステルを含む。一実施形態では、可塑剤は、グルタレート、アジペート、アゼレート、またはセバケートなどの脂肪族二塩基酸エステルを含む。一実施形態では、可塑剤は安息香酸エステルを含む。一実施形態では、可塑剤は、DEHP、DINP、およびDIDPなどのフタル酸エステルを含む。一実施形態では、可塑剤は、8個、9個、または10個の炭素原子を有するアルコールのトリメリテートエステルを含む。一実施形態では、可塑剤はポリエステルを含む。一実施形態では、可塑剤はクエン酸エステルを含む。一実施形態では、可塑剤はバイオベースであり、エポキシ化大豆油(ESBO)、エポキシ化亜麻仁油(ELO)、ヒマシ油、パーム油、他の植物油、デンプンまたは糖を含む。一実施形態では、可塑剤は塩素化パラフィンを含む。一実施形態では、可塑剤は、アルキルスルホン酸エステルを含む。可塑剤は、言及された化合物の任意の混合物を含み得る。
【0028】
一実施形態では、プラスチゾルは、ステアリン酸カルシウムなどの金属塩に基づく熱安定剤を含む。
【0029】
プラスチゾルとは別に、他の有機物含有バインダーまたは接着剤も使用することができる。考えられる有機バインダーは、ラテックスまたはホットメルト接着剤である。
【0030】
カーペット一次基布の開口性は、従来技術と比較して増加した固形分を有する接着剤の使用を可能にする。一実施形態では、5重量%の固形分を使用することができる。一実施形態では、30重量%の固形分を使用することができる。一実施形態では、40重量%の固形分を使用することができる。一実施形態では、50重量%の固形分を使用することができる。一実施形態では、60重量%の固形分を使用することができる。一実施形態では、70重量%の固形分を使用することができる。一実施形態では、80重量%の固形分を使用することができる。一実施形態では、90重量%の固形分を使用することができる。一実施形態では、90重量%を超える固形分を使用することができる。
【0031】
一実施形態では、カーペット二次基布に含まれる補強層は、不織布、織布、スクリム織布、レイドスクリム、または一方向繊維層であってよい。
【0032】
一実施形態では、幅および高さの観点から巨大な長さを有する一方向繊維層の繊維(例えばフィラメント)は、一方向繊維層の長さ全体わたって一定の距離で互いから離間されている。
【0033】
当業者によく知られているように、スクリムは、敷かれているか織られているかにかかわらず、少なくとも2組の平行な糸から構成される開口格子構造であり、平行な糸の第1のグループは、ある角度、通常は90°の角度で、平行な糸の第2のグループに対して配向している。平行な糸の第1のグループは、ケミカルボンディングによって平行な糸の第2のグループに結合することができる、および/または平行な糸の第1のグループは、平行な糸の第2のグループと織り合わされて、スクリム織布を形成することができる。一実施形態では、スクリムの開口部は、担持材料の面内に少なくとも1mmである少なくとも1つの寸法を有する。一実施形態では、スクリムの開口部は、担持材料の面内に少なくとも2mmである少なくとも1つの寸法を有する。一実施形態では、スクリムの開口部は、担持材料の面内に少なくとも5mmである少なくとも1つの寸法を有する。一実施形態では、スクリムの開口部は、担持材料の面内に少なくとも1mmである2つの寸法を有する。一実施形態では、スクリムの開口部は、担持材料の面内に少なくとも2mmである2つの寸法を有する。一実施形態では、スクリムの開口部は、担持材料の面内に少なくとも5mmである2つの寸法を有する。
【0034】
カーペット二次基布の補強層の繊維は、補強することができる任意の適切な材料から構成することができる。
【0035】
利用可能な材料には複数の分類が存在し、例えば高弾性材料、低収縮材料、および圧縮に耐性を有する材料である。
【0036】
全ての分類の材料は、カーペット二次基布の安定性に有利な独自の特性を有している。高弾性材料は、カーペット二次基布が伸びに対する増加した安定性を有するという有利な特性を付与する。低収縮材料は、例えば周囲温度を超える温度がカーペット一次基布に影響を与える場合に、カーペット二次基布が収縮に対する増加した安定性を有するという有利な特性を付与する。さらに、圧縮に耐性を有する材料は、例えば圧縮力がカーペット二次基布に衝撃を与える場合に、例えば剛性など圧縮に対するカーペット二次基布の安定性を増加させる。
【0037】
一実施形態では、カーペット二次基布の補強層は、好ましくはガラス、炭素、玄武岩、ロックウール、高弾性率低収縮(HMLS)ポリエステル、無機材料、アラミド、例えばパラアラミド(PPTA)およびメタアラミド(MPTA)、ならびに超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含む群から選択される材料から構成される高弾性繊維を含む。
【0038】
一実施形態では、繊維の補強層の繊維は、少なくとも25GPaの引張弾性率を有する。一実施形態では、繊維の補強層の繊維は、少なくとも40GPaの引張弾性率を有する。一実施形態では、繊維の補強層の繊維は、少なくとも50GPaの引張弾性率を有する。一実施形態では、繊維の補強層の繊維は、少なくとも75GPaの引張弾性率を有する。
【0039】
一実施形態では、補強層の繊維は、最大50texの線密度を有する。一実施形態では、補強層の繊維は、最大40texの線密度を有する。一実施形態では、補強層の繊維は、最大30texの線密度を有する。一実施形態では、補強層の繊維は、最大28texの線密度を有する。一実施形態では、補強層の繊維は、最大20texの線密度を有する。一実施形態では、補強層の繊維は、最大15texの線密度を有する。
【0040】
理論に拘束されるものではないが、補強層の繊維の線密度が高いほど、補強層の曲げ剛性が高くなると考えられる。したがって、補強層の繊維の線密度の上限は事実上無限であるが、製造機械の技術的制約によって制限される。
【0041】
タフトカーペットのカーペット二次基布は、スクリム以外に織布を含まなくてよい。
【0042】
タフトカーペットのカーペット二次基布は、少なくとも1つの不織布層を含み得る。
【0043】
タフトカーペットのカーペット二次基布は、繊維の2つの不織布層も含むことができ、補強層は、繊維の2つの不織布層の間に配置することができる。
【0044】
一実施形態では、タフトカーペットのカーペット二次基布の繊維の不織布層のうちの少なくとも1つ、複数、または全ては、最大50g/m2の平均重量を有する。一実施形態では、タフトカーペットのカーペット二次基布の繊維の不織布層のうちの少なくとも1つ、複数、または全ては、最大30g/m2の平均重量を有する。一実施形態では、タフトカーペットのカーペット二次基布の繊維の不織布層のうちの少なくとも1つ、複数、または全ては、最大25g/m2の平均重量を有する。一実施形態では、タフトカーペットのカーペット二次基布の繊維の不織布層のうちの少なくとも1つ、複数、または全ては、最大20g/m2の平均重量を有する。一実施形態では、タフトカーペットのカーペット二次基布の繊維の不織布層のうちの少なくとも1つ、複数、または全ては、最大15g/m2の平均重量を有する。一実施形態では、タフトカーペットのカーペット二次基布の繊維の不織布層のうちの少なくとも1つ、複数、または全ては、最大10g/m2の平均重量を有する。一実施形態では、タフトカーペットのカーペット二次基布の繊維の不織布層のうちの少なくとも1つ、複数、または全ては、最大7g/m2の平均重量を有する。全ての場合において、平均重量はDIN/ISO EN29073-1に従って測定されたものである。
【0045】
一実施形態では、タフトカーペットのカーペット二次基布の繊維の不織布層のうちの少なくとも1つ、複数、または全ての繊維は、少なくとも30μmの平均直径を有する。一実施形態では、タフトカーペットのカーペット二次基布の繊維の不織布層のうちの少なくとも1つ、複数、または全ての繊維は、少なくとも35μmの平均直径を有する。一実施形態では、タフトカーペットのカーペット二次基布の繊維の不織布層のうちの少なくとも1つ、複数、または全ての繊維は、少なくとも40μmの平均直径を有する。一実施形態では、タフトカーペットのカーペット二次基布の繊維の不織布層のうちの少なくとも1つ、複数、または全ての繊維は、少なくとも50μmの平均直径を有する。一実施形態では、タフトカーペットのカーペット二次基布の繊維の不織布層のうちの少なくとも1つ、複数、または全ての繊維は、少なくとも60μmの平均直径を有する。
【0046】
繊維の不織布層のうちの少なくとも1つ、複数、または全ての繊維の比較的大きい平均直径のため、繊維の不織布層のそれぞれの表面被覆率の低下を生じさせることができ、より高い透気度を得ることができる。
【0047】
一実施形態では、タフトカーペットのカーペット二次基布の繊維の不織布層のうちの少なくとも1つ、複数、または全ての繊維は、最大30g/m2、好ましくは最大25g/m2、より好ましくは最大20g/m2、さらに好ましくは最大15g/m2、最も好ましくは最大10g/m2の平均重量を有し、またタフトカーペットのカーペット二次基布の繊維の不織布層のそれぞれの繊維は、少なくとも30μm、好ましくは少なくとも35μm、より好ましくは少なくとも40μm、さらに好ましくは少なくとも50μm、最も好ましくは少なくとも60μmの平均直径を有する。
【0048】
理論に拘束されるものではないが、カーペット二次基布の繊維の不織布層のうちの少なくとも1つ、複数、または全ての比較的低い平均重量と、カーペット二次基布の繊維の不織布層のうちの少なくとも1つ、複数、または全ての繊維の比較的大きい平均直径との組み合わせが、カーペット二次基布の繊維の不織布層のうちの少なくとも1つ、複数、または全ての表面被覆率の低下をもたらし、より高い透気度を付与できると考えられる。
【0049】
一実施形態では、カーペット二次基布の繊維の不織布層のうちの少なくとも1つ、複数、または全ての繊維は、少なくとも1種の熱可塑性ポリマー系材料を含む。一実施形態では、熱可塑性ポリマー系材料は、ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン-1,2-フランジカボキシレート(PEF)、およびポリ乳酸(PLA)などのポリエステル;ポリアミド6(PA6)およびポリアミド6,6(PA6,6)などのポリアミド;ならびにこれらのコポリマーおよびブレンドからなる群から選択される。
【0050】
一実施形態では、繊維の不織布層のうちの1つ、複数、または全ては、2つ以上のタイプの繊維を含み、各タイプは、異なる熱可塑性ポリマー系材料を含む。一実施形態では、繊維の不織布層のうちの1つ、複数、または全てが、単一繊維の異なるドメインが異なる熱可塑性ポリマー系材料を含む繊維を含む。一実施形態では、繊維は、第1のポリマー系材料製のコアと、第2のポリマー系材料製のシースとを含む。
【0051】
一実施形態では、カーペット二次基布の繊維の少なくとも1つ、複数、または全ての不織布層の繊維は、少なくとも50重量%の熱可塑性材料を含む。一実施形態では、カーペット二次基布の繊維の不織布層の繊維は、少なくとも75重量%の熱可塑性材料を含む。一実施形態では、カーペット二次基布の繊維の不織布層の繊維は、少なくとも85重量%の熱可塑性材料を含む。一実施形態では、カーペット二次基布の繊維の不織布層の繊維は、少なくとも95重量%の熱可塑性材料を含む。一実施形態では、カーペット二次基布の繊維の不織布層の繊維は、少なくとも97重量%の熱可塑性材料を含む。
【0052】
これに関し、熱可塑性ポリマー系材料は、難燃剤、着色剤、充填剤、殺菌剤、および/または抗菌剤などの添加剤を含むことができる。
【0053】
一実施形態では、二次基布に含まれる繊維の不織布層のうちの少なくとも1つ、複数、または全ては、一成分繊維、2種類の一成分繊維、および/または二成分繊維を含む。
【0054】
一実施形態では、カーペット二次基布の繊維の不織布層のうちの少なくとも1つ、複数、または全ては、スパンレイドプロセス、エアレイドプロセス、ウェットレイドプロセス、メルトブロープロセス、またはカーディングプロセスなどの任意の適切なプロセスによって製造することができる。
【0055】
一実施形態では、カーペット二次基布の繊維の不織布層のうちの少なくとも1つ、複数、または全ては、スパンレイドプロセスによって製造され、この繊維は、熱可塑性ポリマー系材料から製造される。スパンレイドプロセスでは、繊維の不織布層の繊維それぞれの結合は、ケミカルボンディング、水流交絡、ニードリング、超音波ボンディング、カレンダー加工、および例えば熱風ボンディングなどのその他の熱結合方法を含む任意の適切なプロセスによって行うことができる。
【0056】
一実施形態では、カーペット二次基布の繊維の不織布層のうちの少なくとも1つ、複数、または全ては、2つの化学的に異なる熱可塑性ポリマー系材料を含む2種類の一成分繊維を含み、この2種類の一成分繊維は、溶融温度が少なくとも10℃異なる。一実施形態では、この2種類の化学的に異なる熱可塑性ポリマー系材料は、溶融温度が少なくとも20℃異なる。一実施形態では、この2種類の化学的に異なる熱可塑性ポリマー系材料は、溶融温度が少なくとも30℃異なる。一実施形態では、この2種類の化学的に異なる熱可塑性ポリマー系材料は、溶融温度が少なくとも50℃異なる。熱可塑性ポリマー系材料の溶融温度は、ISO 11357-3に従う示差走査熱量測定(DSC)によって決定される。
【0057】
一実施形態では、カーペット二次基布の繊維の不織布層のうちの少なくとも1つ、複数、または全ての繊維は、同心、偏心のコア/シースモデル、サイドバイサイドモデル、セグメント化されたパイモデル、または海島構造モデルの二成分繊維である。
【0058】
一実施形態では、カーペット二次基布の繊維の不織布層のそれぞれの繊維は、同心コア/シースモデルの二成分繊維であり、その繊維は同じ分類の熱可塑性ポリマー系材料製または化学的に異なる熱可塑性ポリマー系材料製である。
【0059】
本出願の範囲内で、同じ分類の熱可塑性材料とは、ポリマーの同じモノマー単位を使用できることを意味するが、熱可塑性ポリマー系材料は、異なるポリマー鎖長、熱可塑性ポリマー系材料の異なる密度、またはモノマー単位の異なる配向によって異なる場合があり、この配向は、イソタクチック、シンジオタクチック、またはアタクチックであってよい。
【0060】
二成分繊維のコアは、シースの熱可塑性ポリマー系材料よりも高い溶融温度を有する熱可塑性ポリマー系材料を含むことができる。一実施形態では、コアの熱可塑性ポリマー系材料およびシースの熱可塑性ポリマー系材料の溶融温度は、少なくとも10℃異なる。一実施形態では、コアの熱可塑性ポリマー系材料およびシースの熱可塑性ポリマー系材料の溶融温度は、少なくとも20℃異なる。一実施形態では、コアの熱可塑性ポリマー系材料およびシースの熱可塑性ポリマー系材料の溶融温度は、少なくとも30℃異なる。一実施形態では、コアの熱可塑性ポリマー系材料およびシースの熱可塑性ポリマー系材料の溶融温度は、少なくとも50℃異なる。熱可塑性ポリマー系材料の溶融温度は、ISO 11357-3に従う示差走査熱量測定(DSC)によって決定される。
【0061】
一実施形態では、カーペット一次基布は、少なくとも3層の構造を含み、第1の層および第3の層が繊維の不織布層を含み、第2の層が繊維の補強層を含み、第2の層が第1の層と第3の層との間に位置し、第1の層の繊維の不織布層がISO 9237:1995に従って測定される最大8000l/m2・sの透気度を有し、第3の層の繊維の不織布層がISO 9237:1995に従って測定される少なくとも3500l/m2・sの透気度を有し、第1の層の繊維の不織布層が第3の層の繊維の不織布層よりも低い透気度を有する。さらに、第1の層の繊維の不織布層が第3の層の繊維の不織布層よりも低い透気度を有するという特徴は、読みやすさおよび簡潔さのため、「カーペット一次基布の透気度の非対称性」とも呼ばれる。
【0062】
第1の層の繊維の不織布層の繊維および/または第3の層の繊維の不織布層の繊維の熱可塑性ポリマー系材料は、ポリエチレン(PE)およびポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン-1,2-フランジカボキシレート(PEF)、およびポリ乳酸(PLA)などのポリエステル;ポリアミド6,6(PA6,6)およびポリアミド6(PA6)などのポリアミド;ならびにこれらのコポリマーまたはブレンドを含む群から選択することができる。
【0063】
一実施形態では、タフトカーペットに含まれる一次基布は、熱可塑性ポリマー系材料から構成され、かつISO 9237:1995に従って測定される最大8000l/m2・sの透気度を有する繊維の不織布層を含む第1の層を少なくとも含む。
【0064】
カーペット一次基布が繊維の補強層を含むという事実は、カーペットタイルの縁反りや丸まりなどの、カーペットタイルの平面に垂直な(z次元)平坦度の安定性を改善する。カーペット一次基布が最低限の透気度を有する繊維の不織布層を含む第3の層を含むという事実は、タフティングされたカーペット一次基布に塗布されたプレコートの浸透性を改善する一方で、透気度が低い繊維の不織布層を含む第1の層がカーペットタイル表面へのプレコートのラテックスのブリーディングを防止する。
【0065】
一実施形態では、カーペット一次基布の透気度の非対称性は、第1の層の繊維の不織布層と第3の層の繊維の不織布層との重量比によって導入され、第1の層の繊維の不織布層は、第3の層の繊維の不織布層よりも大きい重量を有することが望ましい。
【0066】
好ましくは、カーペット一次基布の第1の層は、タフトカーペットのカーペット面に配置され、続いて第2の層および第3の層が第1の層の後ろに配置される。
【0067】
第1の層と第3の層との重量比は、少なくとも70:30、より好ましくは少なくとも80:20、さらに好ましくは少なくとも90:10であってよい。
【0068】
カーペット一次基布の第1の層の繊維の不織布層の重量がより大きいことにより、一次基布の第1の層の繊維の不織布層の表面被覆率を高めることができる。
【0069】
一実施形態では、繊維の不織布層を含む第1の層は、1%~40%の表面被覆率を有する。一実施形態では、繊維の不織布層を含む第1の層は、2%~30%の表面被覆率を有する。一実施形態では、繊維の不織布層を含む第1の層は、3%~25%の表面被覆率を有する。一実施形態では、繊維の不織布層を含む第1の層は、5%~20%の表面被覆率を有する。表面被覆率Aは、以下の方法で計算される:
A=χ*d;
式中、χはフィラメント層あたりのフィラメント数であり、dはフィラメントの直径である。層あたりのフィラメントの数χは、以下の方法で計算される:
χ=N/L;
式中、Nはフィラメントの層の数であり、Lは面積単位あたりのフィラメントの全長である。量NおよびLは、以下の方法で計算される:
N=T/d;
式中、dはモノフィラメントが使用される場合のフィラメントの厚さであり、dは二成分フィラメントが使用される場合のフィラメントコアの厚さである。
L=M*t;
式中、Tは繊維の第1の層の厚さであり、Mは繊維の第1の層の目付であり、tはフィラメントの線密度である。厚さTは、25cm2の押さえ金および0.05kPaの圧力を用いて、DIN ISO 9073-2に従って決定される。
【0070】
第3の層の重量がより小さいことにより、カーペット一次基布の第3の層の繊維の不織布層の表面被覆率を低下させることができる。
【0071】
一実施形態では、繊維の不織布層を含む第3の層は、1%~40%の表面被覆率を有する。一実施形態では、繊維の不織布層を含む第3の層は、2%~30%の表面被覆率を有する。一実施形態では、繊維の不織布層を含む第3の層は、3%~25%の表面被覆率を有する。一実施形態では、繊維の不織布層を含む第3の層は、5%~20%の表面被覆率を有する。
【0072】
理論に拘束されるものではないが、第1の層の繊維の不織布層における表面被覆率の増加は、より低い透気度をもたらすことができ、例えばポリマーコーティングおよび/またはプレコーティングなどの流体の透過性をより低下させることができる。カーペット一次基布の第1の層の透気度がより低いことにより、任意選択的なプレコートおよび/またはポリマーコートは、カーペット一次基布の第1の層を通り抜けることができず、その結果、ラテックスのブリーディングが不可能にされる。
【0073】
カーペット一次基布の第3の層の繊維の不織布層の繊維の表面被覆率の低下は、より高い透気度をもたらすことができ、また例えばポリマーコーティングおよび/またはプレコーティングなどの流体の透過性をより増加させることができる。透気度がより高いことにより、任意選択的なプレコートおよび/またはポリマーコートは、カーペット一次基布の第3の層を通り抜けて第2の層の上および/または中に入ることが可能にされ、その結果、x方向および/またはy方向の力を、カーペット一次基布の第2の層の補強層に伝達することができる。
【0074】
好ましい実施形態では、カーペット一次基布の第1の層は、カーペット一次基布の第3の層よりも低い透気度を有する。
【0075】
理論に拘束されるものではないが、第3の層よりも低い透気度を有する第1の層の組み合わせは、ラテックスのブリーディングを不可能にすることができ、またカーペット一次基布の第2の層の補強層にx方向および/またはy方向の力を伝達することを可能にすると考えられる。
【0076】
カーペット一次基布の透気度の非対称性は、カーペット一次基布の第1の層の繊維の不織布層および第3の層に含まれる繊維の異なる平均直径によっても導入することができる。
【0077】
カーペット一次基布の第1の層の繊維の不織布層および/または第3の層の繊維の不織布層は、一成分繊維、2種類の一成分繊維、および/または二成分繊維を含むことができる。
【0078】
これに関し、カーペット一次基布の第1の層の繊維の不織布層および/または第3の層の繊維の不織布層は、スパンレイドプロセス、エアレイドプロセス、ウェットレイドプロセス、メルトブロープロセス、またはカーディングプロセスなどの任意の適切なプロセスによって製造することができる。
【0079】
一実施形態では、第1の層の繊維の不織布層および/または第3の層の繊維の不織布層は、スパンレイドプロセスによって製造され、繊維は、熱可塑性ポリマー系材料から製造される。スパンレイドプロセスでは、第1の層の繊維の不織布層の繊維および/または第3の層の繊維の不織布層の繊維の結合は、カレンダー加工、水流交絡、ニードリング、超音波ボンディング、ケミカルボンディング、および例えば熱風ボンディングなどのその他の熱結合方法によって行うことができる。
【0080】
一実施形態では、カーペット一次基布の第1の層の繊維の不織布層および/または第3の層の繊維の不織布層は、2つの化学的に異なる熱可塑性ポリマー系材料を含む2種類の一成分繊維を含み、この2種類の一成分繊維は、溶融温度が少なくとも10℃異なる。一実施形態では、この2種類の一成分繊維は、少なくとも20℃異なる。一実施形態では、この2種類の一成分繊維は、少なくとも30℃異なる。一実施形態では、この2種類の一成分繊維は、少なくとも50℃異なる。熱可塑性ポリマー系材料の溶融温度は、ISO 11357-3に従う示差走査熱量測定(DSC)によって決定される。
【0081】
一実施形態では、カーペット一次基布の第1の層の繊維の不織布層の繊維および/または第3の層の繊維の不織布層の繊維は、同心もしくは偏心のコア/シースモデル、サイドバイサイドモデル、セグメント化されたパイモデル、または海島構造モデルの二成分繊維である。
【0082】
一実施形態では、カーペット一次基布の第1の層の繊維の不織布層の繊維および/または第3の層の繊維の不織布層の繊維は、同心コア/シースモデルの二成分繊維であり、その繊維は同じ分類の熱可塑性ポリマー系材料製または化学的に異なる熱可塑性ポリマー系材料製である。
【0083】
一実施形態では、カーペット一次基布の第1の層の繊維の不織布層の繊維は、最大50μmの平均直径を有する。一実施形態では、カーペット一次基布の第1の層の繊維の不織布層の繊維は、最大40μmの平均直径を有する。一実施形態では、カーペット一次基布の第1の層の繊維の不織布層の繊維は、最大30μmの平均直径を有する。一実施形態では、カーペット一次基布の第1の層の繊維の不織布層の繊維は、最大25μmの平均直径を有する。一実施形態では、カーペット一次基布の第1の層の繊維の不織布層の繊維は、最大20μmの平均直径を有する。繊維の平均直径は、10個のサンプルの平均として顕微鏡によって測定される。
【0084】
一実施形態では、カーペット一次基布の第3の層の繊維の不織布層の繊維は、少なくとも30μmの平均直径を有する。一実施形態では、カーペット一次基布の第3の層の繊維の不織布層の繊維は、少なくとも35μmの平均直径を有する。一実施形態では、カーペット一次基布の第3の層の繊維の不織布層の繊維は、少なくとも40μmの平均直径を有する。一実施形態では、カーペット一次基布の第3の層の繊維の不織布層の繊維は、少なくとも50μmの平均直径を有する。一実施形態では、カーペット一次基布の第3の層の繊維の不織布層の繊維は、少なくとも60μmの平均直径を有する。繊維の平均直径は、10個のサンプルの平均として顕微鏡によって測定される。
【0085】
理論に拘束されるものではないが、カーペット一次基布の第1の層の繊維の不織布層の繊維の平均直径がより小さく、カーペット一次基布の第3の層の繊維の不織布層の繊維の平均直径がより大きいことにより、繊維の不織布層の表面被覆率の差を得ることができると考えられる。
【0086】
例えばカーペット一次基布の第1の層の繊維の不織布層において、層が一定の重量で、カーペット一次基布の第1の層の繊維の不織布層の繊維の平均直径を小さくすると、第1の層の繊維の不織布層1平方メートルあたりの繊維の長さの値(m/m2)が増加し、これは第1の層の繊維の不織布層の表面被覆率の増加をもたらすことができる。
【0087】
反対の場合、例えばカーペット一次基布の第3の層の繊維の不織布層において、同様に層が一定の重量で、第3の層の繊維の不織布層の繊維の平均直径を大きくすると、第3の層の繊維の不織布層1平方メートルあたりの繊維の長さの値(m/m2)が減少し、これは第3の層の繊維の不織布層の表面被覆率の低下をもたらすことができる。
【0088】
したがって、理論に拘束されるものではないが、特にカーペット一次基布の第1の層の繊維の不織布層において、繊維の層のより大きい重量と層の繊維のより小さい平均直径とを組み合わせると、より小さい透気度ならびに例えばポリマーコーティングおよび/またはプレコーティングなどの流体についての本質的により低い透過性の効果を相乗的に支援できると考えられる。
【0089】
特にカーペット一次基布の第3の層の繊維の不織布層の、繊維の層のより小さい重量と層の繊維のより大きい平均直径とを組み合わせると、より大きい透気度ならびに例えばポリマーコーティングおよび/またはプレコーティングなどの流体についての高い透過性の効果を相乗的に支援することができる。
【0090】
本出願によるタフトカーペットは、繊維の不織布層または複合材料であってよいカーペット一次基布をパイル糸でタフティングし、バックステッチが見えるカーペット一次基布の面でタフティングされた一次基布に隣接してカーペット二次基布を付与し、任意選択的にプレコートコーティングおよび/またはポリマーコーティングを付与することによって製造することができる。
【0091】
一実施形態では、任意選択的なプレコートコーティングおよび/またはポリマーコーティングの付与は、プレコートおよび/またはポリマーコートをカーペット二次基布を通してカーペット一次基布の中に押し込むことによって行われる。
【0092】
一実施形態では、カーペット一次基布は少なくとも2つの層を含み、この少なくとも2つの層は、それらの主面で互いに隣接する個々の層としてタフティングされ、あるいはこの少なくとも2つの層は、複合材料としてタフティングされる。
【0093】
一実施形態では、カーペット一次基布の少なくとも2つの層は、複合材料としてタフティングされる。
【国際調査報告】