(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-27
(54)【発明の名称】複合材料及びその製造のための方法
(51)【国際特許分類】
C12N 11/08 20200101AFI20220720BHJP
D21H 17/21 20060101ALI20220720BHJP
B32B 9/02 20060101ALI20220720BHJP
C12N 1/14 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
C12N11/08
D21H17/21
B32B9/02
C12N1/14 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021569305
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(85)【翻訳文提出日】2021-12-21
(86)【国際出願番号】 US2020034354
(87)【国際公開番号】W WO2020237201
(87)【国際公開日】2020-11-26
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】516079198
【氏名又は名称】ボルト スレッズ インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】5858 Horton Street, Suite 400 Emeryville CA 94608 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】スミス マシュー ジョーダン
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドマン ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ブーレ-オーデット マキシム
(72)【発明者】
【氏名】トム スティーブン ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】リ ホア
(72)【発明者】
【氏名】ハールバート タイラー ジョン
【テーマコード(参考)】
4B033
4B065
4F100
4L055
【Fターム(参考)】
4B033NA13
4B033NB34
4B033NC01
4B033ND20
4B033NG03
4B033NJ05
4B065AA57X
4B065AC20
4B065BC41
4B065BD01
4B065BD39
4B065BD50
4B065CA60
4F100AJ01B
4F100AJ02
4F100AJ02B
4F100AJ06B
4F100AK01B
4F100AK46
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4F100AK51B
4F100AK68B
4F100AL01B
4F100AN01B
4F100AN02B
4F100AR00B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA07
4F100CA02
4F100CA02B
4F100CA04B
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4F100CA19B
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4F100DC11B
4F100DE01B
4F100DG11
4F100DG11B
4F100DG12B
4F100DG13B
4F100DG15B
4F100EC05B
4F100EC09B
4F100EJ17
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4F100JA05B
4F100JC00
4F100JC00B
4F100JK02
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4F100JK02B
4F100JK03A
4F100JK03B
4F100JK07
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4F100JK08
4F100JK17B
4F100YY00A
4F100YY00B
4L055AG42
4L055AG54
4L055AG64
4L055AG84
4L055AG87
4L055AG89
4L055AH03
4L055AH37
4L055EA07
4L055EA08
4L055EA15
4L055EA16
4L055EA20
4L055FA30
(57)【要約】
本明細書には、菌糸体材料、及びその製造のための方法が提供される。いくつかの実施形態では、菌糸体材料は、分岐菌糸の1つ以上の塊を含む培養菌糸体材料を含み、該分岐菌糸の1つ以上の塊は、破壊もしくは圧縮され得、かつ/または結合剤が、該培養菌糸体材料と組み合わされ得る。菌糸体材料の製造方法も提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.分岐菌糸の1つ以上の塊を含む培養菌糸体材料であって、前記分岐菌糸の1つ以上の塊が破壊される、前記培養菌糸体材料と、
b.結合剤と
を含む、複合菌糸体材料。
【請求項2】
前記培養菌糸体材料が固体基材上に生成されている、請求項1に記載の複合菌糸体材料。
【請求項3】
前記培養菌糸体材料が、破壊された分岐菌糸の1つ以上の塊を含む、請求項1または2に記載の複合菌糸体材料。
【請求項4】
前記破壊された分岐菌糸の1つ以上の塊が、0.1mm~5mmの長さを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項5】
前記破壊された分岐菌糸の1つ以上の塊が、2mmの長さを有する、請求項4に記載の複合菌糸体材料。
【請求項6】
前記分岐菌糸の1つ以上の塊が絡合されており、前記菌糸を絡合させることが、ニードルパンチ、フェルティング、またはハイドロエンタングルを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項7】
絡合している前記菌糸がハイドロエンタングルされる(hydroentangled)、請求項6に記載の複合菌糸体材料。
【請求項8】
前記結合剤が、1つ以上の反応基を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項9】
前記1つ以上の反応基が活性水素含有基と反応する、請求項8に記載の複合菌糸体材料。
【請求項10】
前記活性水素含有基が、アミン基、ヒドロキシル基、及びカルボキシル基を含む、請求項9に記載の複合菌糸体材料。
【請求項11】
前記結合剤が、接着剤、樹脂、架橋剤、及び/またはマトリックスを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項12】
前記結合剤が、酢酸ビニル-エチレン(VAE)コポリマー、酢酸ビニル-アクリルコポリマー、ポリアミド-エピクロロヒドリン樹脂(PAE)、コポリマー、トランスグルタミナーゼ、クエン酸、ゲニピン、アルギナート、アラビアゴム、ラテックス、天然接着剤、及び合成接着剤からなる群から選択される、請求項1~11のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項13】
前記結合剤が、1μm以下の粒径、サブゼロガラス転移温度、及び自己架橋機能からなる群から選択される特性を有するコポリマーである、請求項12に記載の複合菌糸体材料。
【請求項14】
前記結合剤が酢酸ビニル-エチレン(VAE)コポリマーである、請求項12に記載の複合菌糸体材料。
【請求項15】
前記結合剤が酢酸ビニル-アクリルコポリマーである、請求項12に記載の複合菌糸体材料。
【請求項16】
前記結合剤がPAEである、請求項12に記載の複合菌糸体材料。
【請求項17】
前記PAEが、菌糸の1つ以上の分岐において、アミン基とヒドロキシル基とカルボキシル基とを含む活性水素含有基と反応するカチオン性アゼチジニウム基を含む、請求項16に記載の複合菌糸体材料。
【請求項18】
前記天然接着剤が天然ラテックス系接着剤を含む、請求項12に記載の複合菌糸体材料。
【請求項19】
前記天然ラテックス系接着剤が皮革接着剤または溶接接着剤(weld)である、請求項18に記載の複合菌糸体材料。
【請求項20】
支持材料をさらに含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項21】
前記支持材料が、1インチの1/16の細孔径を有する、請求項20に記載の複合菌糸体材料。
【請求項22】
前記支持材料が補強材料を含む、請求項20に記載の複合菌糸体材料。
【請求項23】
前記補強材料が前記複合菌糸体材料内で絡合されている、請求項22に記載の複合菌糸体材料。
【請求項24】
前記支持材料がベース材料を含む、請求項20に記載の複合菌糸体材料。
【請求項25】
前記ベース材料が、前記複合菌糸体材料の1つ以上の表面上に位置付けられている、請求項24に記載の複合菌糸体材料。
【請求項26】
前記支持材料が、メッシュ、チーズクロス、布、編布(knit textile)、織布、及び不織布からなる群から選択される、請求項1~25のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項27】
前記分岐菌糸の1つ以上の塊が機械的作用によって破壊される、請求項1~26のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項28】
前記機械的作用が、前記分岐菌糸の1つ以上の塊をブレンドすることを含む、請求項27に記載の複合菌糸体材料。
【請求項29】
前記機械的作用が、前記分岐菌糸の1つ以上の塊を破断することを含む、請求項27に記載の複合菌糸体材料。
【請求項30】
前記分岐菌糸の塊の少なくとも一部が、平行なフォーメーションに整列されるように、前記機械的作用が、前記分岐菌糸の1つ以上の塊に物理的な力を印加することを含む、請求項27に記載の複合菌糸体材料。
【請求項31】
前記物理的な力が引っ張り力である、請求項30に記載の複合菌糸体材料。
【請求項32】
前記分岐菌糸の塊のうちの前記少なくとも一部が1つ以上の方向において平行に整列されるように前記機械的作用が前記物理的な力を1つ以上の方向に印加することを含み、前記物理的な力が繰り返し印加される、請求項30に記載の複合菌糸体材料。
【請求項33】
前記分岐菌糸の1つ以上の塊が化学処理によって破壊される、請求項1~32のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項34】
前記化学処理が、前記分岐菌糸の1つ以上の塊を、破壊を引き起こすのに十分な量の塩基または他の化学薬剤と接触させることを含む、請求項33に記載の複合菌糸体材料。
【請求項35】
前記塩基がアルカリ性過酸化物を含む、請求項34に記載の複合菌糸体材料。
【請求項36】
前記培養菌糸体材料を生成する真菌種以外の種に由来する1つ以上のタンパク質を含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項37】
前記1つ以上のタンパク質が植物源に由来する、請求項36に記載の複合菌糸体材料。
【請求項38】
前記植物源がエンドウ植物である、請求項37に記載の複合菌糸体材料。
【請求項39】
前記植物源がダイズ植物である、請求項37に記載の複合菌糸体材料。
【請求項40】
染料をさらに含む、請求項1~39のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項41】
前記染料が、酸性染料、直接染料、合成染料、天然染料、及び反応染料からなる群から選択される、請求項40に記載の複合菌糸体材料。
【請求項42】
前記染料が反応染料である、請求項41に記載の複合菌糸体材料。
【請求項43】
前記複合菌糸体材料が前記染料で着色され、前記複合菌糸体材料の色が、前記複合菌糸体材料の1つ以上の表面において実質的に均一である、請求項40~42のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項44】
前記染料が前記複合菌糸体材料の内部全体に存在する、請求項40~43のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項45】
可塑剤をさらに含む、請求項1~44のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項46】
前記可塑剤が、油、グリセリン、加脂剤、ソルビトール、ジエチルオキシエステルジメチルアンモニウムクロリド、Tween 20、Tween 80、m-エリスリトール、水、グリコール、クエン酸トリエチル、水、アセチル化モノグリセリド、及びエポキシ化ダイズ油からなる群から選択される、請求項45に記載の複合菌糸体材料。
【請求項47】
前記可塑剤が加脂剤である、請求項46に記載の複合菌糸体材料。
【請求項48】
可撓性である、請求項45に記載の複合菌糸体材料。
【請求項49】
外部要素が前記培養菌糸体材料に適用される、請求項1~48のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項50】
前記外部要素が加熱及び/または圧縮を介して適用される、請求項49に記載の複合菌糸体材料。
【請求項51】
前記外部要素がホットプレスである、請求項49に記載の複合菌糸体材料。
【請求項52】
タンニンをさらに含む、請求項1~50のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項53】
仕上げ剤をさらに含む、請求項1~52のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項54】
前記仕上げ剤が、ウレタン、ワックス、ニトロセルロース、及び可塑剤からなる群から選択される、請求項53に記載の複合菌糸体材料。
【請求項55】
機械的特性を含む、請求項1~54のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項56】
前記機械的特性が、湿潤引張強さ、初期弾性率、破断時伸び率、厚さ、及び/またはスリット引裂強さを含む、請求項1~55のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項57】
0.05MPa~10MPaの湿潤引張強さを有する、請求項1~55のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項58】
5MPa~20MPaの湿潤引張強さを有する、請求項1~55のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項59】
7MPaの湿潤引張強さを有する、請求項1~55のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項60】
1MPa~100MPaの初期弾性率を有する、請求項1~55のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項61】
1%~25%の破断時伸び率を有する、請求項1~55のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項62】
0.5mm~3.5mmの厚さを有する、請求項1~55のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項63】
2mmの厚さを有する、請求項1~55のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項64】
5N~100Nのスリット引裂強さを有する、請求項1~55のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項65】
50Nのスリット引裂強さを有する、請求項1~55のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項66】
従来のペーパーミリング装置を使用して製造される、請求項1~65のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項67】
a.分岐菌糸の1つ以上の塊を含む培養菌糸体材料であって、前記分岐菌糸の1つ以上の塊が破壊される、前記培養菌糸体材料と、
b.酢酸ビニル-エチレンコポリマーを含む結合剤と、
c.反応染料と
を含む、複合菌糸体材料。
【請求項68】
複合菌糸体材料を製造する方法であって、
a.分岐菌糸の1つ以上の塊を含む培養菌糸体材料を生成することと、
b.前記分岐菌糸の1つ以上の塊を含む前記培養菌糸体材料を破壊することと、
c.前記培養菌糸体材料に結合剤を添加し、それにより前記複合菌糸体材料を製造することと
を含む、前記方法。
【請求項69】
前記分岐菌糸の塊が破壊される前、前記分岐菌糸の塊の破壊中、または前記分岐菌糸の塊の前記破壊後に、前記結合剤が添加される、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記生成することが、固体基材上に培養菌糸体材料を生成することを含む、請求項68または69に記載の方法。
【請求項71】
前記培養菌糸体材料が、破壊された分岐菌糸の1つ以上の塊を含む、請求項68~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記破壊された分岐菌糸の1つ以上の塊が、0.1mm~5mmの長さを有する、請求項68~71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記破壊された分岐菌糸の1つ以上の塊が、2mmの長さを有する、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記分岐菌糸の1つ以上の塊を絡合させることをさらに含み、前記菌糸を絡合させることが、ニードルパンチ、フェルティング、またはハイドロエンタングルを含む、請求項68~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記菌糸を絡合させることがハイドロエンタングルを含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記分岐菌糸の1つ以上の塊をハイドロエンタングルすることが、約700psi~約1000psiの圧力で液体をスプレーするように構成された液体ジェットを使用して、ハイドロエンタングルすることを含む、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記ハイドロエンタングルすることが、約100mL/分~300mL/分の流量で液体をスプレーするように構成された液体ジェットを使用することを含む、請求項74または76に記載の方法。
【請求項78】
前記破壊することが、機械的作用によって前記分岐菌糸の1つ以上の塊を破壊することを含む、請求項68~77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記機械的作用が、前記分岐菌糸の1つ以上の塊をブレンドすることを含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記機械的作用が、前記分岐菌糸の1つ以上の塊を破断することを含む、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
前記分岐菌糸の塊の少なくとも一部が、平行なフォーメーションに整列されるように、前記機械的作用が、前記分岐菌糸の1つ以上の塊に物理的な力を印加することを含む、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
前記物理的な力が引っ張り力である、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記分岐菌糸の塊の前記少なくとも一部が1つ以上の方向において平行に整列されるように前記機械的作用が前記物理的な力を1つ以上の方向に印加することを含み、前記物理的な力が繰り返し印加される、請求項81に記載の方法。
【請求項84】
前記分岐菌糸の1つ以上の塊が化学処理によって破壊される、請求項68~83のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
前記化学処理が、前記分岐菌糸の1つ以上の塊を、破壊を引き起こすのに十分な量の塩基または他の化学薬剤と接触させることを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記塩基がアルカリ性過酸化物を含む、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記結合剤が、1つ以上の反応基を含む、請求項68~86のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
前記1つ以上の反応基が活性水素含有基と反応する、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記活性水素含有基が、アミン基、ヒドロキシル基、及びカルボキシル基を含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記結合剤が、接着剤、樹脂、架橋剤、及び/またはマトリックスを含む、請求項68~89のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記結合剤が、酢酸ビニル-エチレンコポリマー、酢酸ビニル-アクリルコポリマー、ポリアミド-エピクロロヒドリン樹脂(PAE)、コポリマー、トランスグルタミナーゼ、クエン酸、ゲニピン、アルギナート、アラビアゴム、ラテックス、天然接着剤、及び合成接着剤からなる群から選択される、請求項68~90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
前記結合剤が、1μm以下の粒径、サブゼロガラス転移温度、及び自己架橋機能からなる群から選択される特性を有するコポリマーである、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記結合剤が酢酸ビニル-エチレンコポリマーである、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記接着剤が酢酸ビニル-アクリルコポリマーである、請求項91に記載の方法。
【請求項95】
前記結合剤がPAEである、請求項91に記載の方法。
【請求項96】
前記PAEが、菌糸の1つ以上の分岐において、アミン基とヒドロキシル基とカルボキシル基とを含む活性水素含有基と反応するカチオン性アゼチジニウム基を含む、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記天然接着剤が天然ラテックス系接着剤を含む、請求項91に記載の方法。
【請求項98】
前記天然ラテックス系接着剤が皮革接着剤または溶接接着剤である、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
支持材料を前記複合菌糸体材料内に組み込むことをさらに含む、請求項68~98のいずれか1項に記載の方法。
【請求項100】
前記支持材料が、1インチの1/16の細孔径を有する、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記支持材料が補強材料を含む、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
前記補強材料が前記複合菌糸体材料内で絡合されている、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記支持材料がベース材料を含む、請求項99に記載の方法。
【請求項104】
前記ベース材料が、前記複合菌糸体材料の1つ以上の表面上に位置付けられている、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
前記支持材料が、メッシュ、チーズクロス、布、編繊維(knit fiber)、織繊維、及び不織繊維からなる群から選択される、請求項68~104のいずれか1項に記載の方法。
【請求項106】
前記培養菌糸体材料を穿孔、超音波処理、及び/または真空処理することをさらに含む、請求項68~98のいずれか1項に記載の方法。
【請求項107】
前記培養菌糸体材料を穿孔及び超音波処理することを含む、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記培養菌糸体材料を生成する真菌種以外の種に由来する1つ以上のタンパク質を添加することをさらに含む、請求項68~98のいずれか1項に記載の方法。
【請求項109】
前記1つ以上のタンパク質が植物源に由来する、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記植物源がエンドウ植物である、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記植物源がダイズ植物である、請求項109に記載の方法。
【請求項112】
前記培養菌糸体材料または前記複合菌糸体材料に染料を添加することをさらに含む、請求項68~111のいずれか1項に記載の方法。
【請求項113】
前記染料が、酸性染料、直接染料、合成染料、天然染料、及び反応染料からなる群から選択される、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記染料が反応染料である、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
前記複合菌糸体材料が前記染料で着色され、前記複合菌糸体材料の色が、前記複合菌糸体材料の1つ以上の表面において実質的に均一である、請求項112~114のいずれか1項に記載の方法。
【請求項116】
前記染料が前記複合菌糸体材料の内部全体に存在する、請求項112~115のいずれか1項に記載の方法。
【請求項117】
前記培養菌糸体材料または前記複合菌糸体材料に可塑剤を添加することをさらに含む、請求項68~116のいずれか1項に記載の方法。
【請求項118】
前記可塑剤が、油、グリセリン、加脂剤、ソルビトール、ジエチルオキシエステルジメチルアンモニウムクロリド、Tween 20、Tween 80、m-エリスリトール、水、グリコール、クエン酸トリエチル、水、アセチル化モノグリセリド、及びエポキシ化ダイズ油からなる群から選択される、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
前記可塑剤が加脂剤である、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記複合菌糸体材料が可撓性である、請求項117に記載の方法。
【請求項121】
前記培養菌糸体材料に外部要素を適用することをさらに含む、請求項68~120のいずれか1項に記載の方法。
【請求項122】
前記外部要素が加熱及び/または圧縮を介して適用される、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
前記外部要素がホットプレスである、請求項121に記載の方法。
【請求項124】
前記培養菌糸体材料または前記複合菌糸体材料にタンニンを添加することをさらに含む、請求項68~122のいずれか1項に記載の方法。
【請求項125】
前記複合菌糸体材料に仕上げ剤を添加することをさらに含む、請求項68~124のいずれか1項に記載の方法。
【請求項126】
前記仕上げ剤が、ウレタン、ワックス、ニトロセルロース、及び可塑剤からなる群から選択される、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
前記複合菌糸体材料の機械的特性を決定することをさらに含む、請求項68~126のいずれか1項に記載の方法。
【請求項128】
前記機械的特性が、湿潤引張強さ、初期弾性率、破断時伸び率、厚さ、及び/またはスリット引裂強さを含む、請求項68~127のいずれか1項に記載の方法。
【請求項129】
前記複合菌糸体材料が、0.05MPa~10MPaの湿潤引張強さを有する、請求項68~127のいずれか1項に記載の方法。
【請求項130】
前記複合菌糸体材料が、5MPa~20MPaの湿潤引張強さを有する、請求項68~127のいずれか1項に記載の方法。
【請求項131】
前記複合菌糸体材料が、7MPaの湿潤引張強さを有する、請求項68~127のいずれか1項に記載の方法。
【請求項132】
前記複合菌糸体材料が、1MPa~100MPaの初期弾性率を有する、請求項68~127のいずれか1項に記載の方法。
【請求項133】
前記複合菌糸体材料が、1%~25%の破断時伸び率を有する、請求項68~127のいずれか1項に記載の方法。
【請求項134】
前記複合菌糸体材料が、0.5mm~3.5mmの厚さを有する、請求項68~127のいずれか1項に記載の方法。
【請求項135】
前記複合菌糸体材料が、2mmの厚さを有する、請求項68~127のいずれか1項に記載の方法。
【請求項136】
前記複合菌糸体材料が、5N~100Nのスリット引裂強さを有する、請求項68~127のいずれか1項に記載の方法。
【請求項137】
前記複合菌糸体材料が、50Nのスリット引裂強さを有する、請求項68~127のいずれか1項に記載の方法。
【請求項138】
前記複合菌糸体材料が、従来のペーパーミリング装置を使用して製造される、請求項68~137のいずれか1項に記載の方法。
【請求項139】
a.培養菌糸体材料を生成することと、
b.前記培養菌糸体材料を圧縮することと、
c.圧縮された前記培養菌糸体材料を、結合剤を含む溶液と接触させることと
を含む、方法。
【請求項140】
前記結合剤が、圧縮工程の前、圧縮工程の間、または圧縮工程の後に添加される、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
前記生成することが、固体基材上に培養菌糸体材料を生成することを含む、請求項139または140に記載の方法。
【請求項142】
支持材料を前記複合菌糸体材料内に組み込むことをさらに含む、請求項139~141のいずれか1項に記載の方法。
【請求項143】
前記支持材料が、1インチの1/16の細孔径を有する、請求項142に記載の方法。
【請求項144】
前記支持材料が補強材料を含む、請求項142に記載の方法。
【請求項145】
前記補強材料が前記複合菌糸体材料内で絡合されている、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
前記支持材料がベース材料を含む、請求項145に記載の方法。
【請求項147】
前記ベース材料が、前記複合菌糸体材料の1つ以上の表面上に位置付けられている、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
前記支持材料が、メッシュ、チーズクロス、布、編繊維、織繊維、及び不織繊維からなる群から選択される、請求項139~147のいずれか1項に記載の方法。
【請求項149】
前記結合剤が、1つ以上の反応基を含む、請求項139~148のいずれか1項に記載の方法。
【請求項150】
前記1つ以上の反応基が活性水素含有基と反応する、請求項149に記載の方法。
【請求項151】
前記活性水素含有基が、アミン基、ヒドロキシル基、及びカルボキシル基を含む、請求項150に記載の方法。
【請求項152】
前記結合剤が、接着剤、樹脂、架橋剤、及び/またはマトリックスを含む、請求項139~151のいずれか1項に記載の方法。
【請求項153】
前記結合剤が、酢酸ビニル-エチレンコポリマー、酢酸ビニル-アクリルコポリマー、ポリアミド-エピクロロヒドリン樹脂(PAE)、コポリマー、トランスグルタミナーゼ、クエン酸、ゲニピン、アルギナート、アラビアゴム、ラテックス、天然接着剤、及び合成接着剤からなる群から選択される、請求項139~152のいずれか1項に記載の方法。
【請求項154】
前記結合剤が、1μm以下の粒径、サブゼロガラス転移温度、及び自己架橋機能からなる群から選択される特性を有するコポリマーである、請求項153に記載の方法。
【請求項155】
前記結合剤が酢酸ビニル-エチレンコポリマーである、請求項153に記載の方法。
【請求項156】
前記結合剤が酢酸ビニル-アクリルコポリマーである、請求項153に記載の方法。
【請求項157】
前記結合剤がPAEである、請求項153に記載の方法。
【請求項158】
前記PAEが、菌糸の1つ以上の分岐において、アミン基とヒドロキシル基とカルボキシル基とを含む活性水素含有基と反応するカチオン性アゼチジニウム基を含む、請求項157に記載の方法。
【請求項159】
前記天然接着剤が天然ラテックス系接着剤を含む、請求項158に記載の方法。
【請求項160】
前記天然ラテックス系接着剤が皮革接着剤または溶接接着剤である、請求項159に記載の方法。
【請求項161】
前記培養菌糸体材料を穿孔、超音波処理、及び/または真空処理することをさらに含む、請求項139~160のいずれか1項に記載の方法。
【請求項162】
前記培養菌糸体材料を穿孔及び超音波処理することを含む、請求項161に記載の方法。
【請求項163】
前記培養菌糸体材料を生成する真菌種以外の種に由来する1つ以上のタンパク質を添加することをさらに含む、請求項139~162のいずれか1項に記載の方法。
【請求項164】
前記1つ以上のタンパク質が植物源に由来する、請求項163に記載の方法。
【請求項165】
前記植物源がエンドウ植物である、請求項164に記載の方法。
【請求項166】
前記植物源がダイズ植物である、請求項164に記載の方法。
【請求項167】
前記培養菌糸体材料または前記複合菌糸体材料に染料を添加することをさらに含む、請求項139~166のいずれか1項に記載の方法。
【請求項168】
前記染料が、酸性染料、直接染料、合成染料、天然染料、及び反応染料からなる群から選択される、請求項167に記載の方法。
【請求項169】
前記染料が反応染料である、請求項168に記載の方法。
【請求項170】
前記複合菌糸体材料が前記染料で着色され、前記複合菌糸体材料の色が、前記複合菌糸体材料の1つ以上の表面において実質的に均一である、請求項167~169のいずれか1項に記載の方法。
【請求項171】
前記染料が前記複合菌糸体材料の内部全体に存在する、請求項167~170のいずれか1項に記載の方法。
【請求項172】
前記培養菌糸体材料または前記複合菌糸体材料に可塑剤を添加することをさらに含む、請求項139~171のいずれか1項に記載の方法。
【請求項173】
前記可塑剤が、油、グリセリン、加脂剤、ソルビトール、ジエチルオキシエステルジメチルアンモニウムクロリド、Tween 20、Tween 80、m-エリスリトール、水、グリコール、クエン酸トリエチル、水、アセチル化モノグリセリド、及びエポキシ化ダイズ油からなる群から選択される、請求項172に記載の方法。
【請求項174】
前記可塑剤が加脂剤である、請求項173に記載の方法。
【請求項175】
前記複合菌糸体材料が可撓性である、請求項175に記載の方法。
【請求項176】
前記培養菌糸体材料に外部要素を適用することをさらに含む、請求項139~176のいずれか1項に記載の方法。
【請求項177】
前記外部要素が加熱及び/または圧縮を介して適用される、請求項176記載の方法。
【請求項178】
前記外部要素がホットプレスである、請求項176に記載の方法。
【請求項179】
前記培養菌糸体材料または前記複合菌糸体材料にタンニンを添加することをさらに含む、請求項139~179のいずれか1項に記載の方法。
【請求項180】
前記複合菌糸体材料に仕上げ剤を添加することをさらに含む、請求項139~179のいずれか1項に記載の方法。
【請求項181】
前記仕上げ剤が、ウレタン、ワックス、ニトロセルロース、及び可塑剤からなる群から選択される、請求項180に記載の方法。
【請求項182】
前記複合菌糸体材料の機械的特性を決定することをさらに含む、請求項139~181のいずれか1項に記載の方法。
【請求項183】
前記機械的特性が、湿潤引張強さ、初期弾性率、破断時伸び率、厚さ、及び/またはスリット引裂強さを含む、請求項139~182のいずれか1項に記載の方法。
【請求項184】
前記複合菌糸体材料が、0.05MPa~10MPaの湿潤引張強さを有する、請求項139~183のいずれか1項に記載の方法。
【請求項185】
前記複合菌糸体材料が、5MPa~20MPaの湿潤引張強さを有する、請求項139~183のいずれか1項に記載の方法。
【請求項186】
前記複合菌糸体材料が、7MPaの湿潤引張強さを有する、請求項139~183のいずれか1項に記載の方法。
【請求項187】
前記複合菌糸体材料が、1MPa~100MPaの初期弾性率を有する、請求項139~183のいずれか1項に記載の方法。
【請求項188】
前記複合菌糸体材料が、1%~25%の破断時伸び率を有する、請求項139~183のいずれか1項に記載の方法。
【請求項189】
前記複合菌糸体材料が、0.5mm~3.5mmの厚さを有する、請求項139~183のいずれか1項に記載の方法。
【請求項190】
前記複合菌糸体材料が、2mmの厚さを有する、請求項139~183のいずれか1項に記載の方法。
【請求項191】
前記複合菌糸体材料が、5N~100Nのスリット引裂強さを有する、請求項139~183のいずれか1項に記載の方法。
【請求項192】
前記複合菌糸体材料が、50Nのスリット引裂強さを有する、請求項139~183のいずれか1項に記載の方法。
【請求項193】
前記複合菌糸体材料が、従来のペーパーミリング装置を使用して製造される、請求項139~192のいずれか1項に記載の方法。
【請求項194】
a.圧縮された培養菌糸体材料と、
b.結合剤と
を含む、複合菌糸体材料。
【請求項195】
前記培養菌糸体材料が固体基材上に生成されている、請求項194に記載の複合菌糸体材料。
【請求項196】
前記結合剤が、1つ以上の反応基を含む、請求項194または195に記載の複合菌糸体材料。
【請求項197】
前記1つ以上の反応基が活性水素含有基と反応する、請求項196に記載の複合菌糸体材料。
【請求項198】
前記活性水素含有基が、アミン基、ヒドロキシル基、及びカルボキシル基を含む、請求項197に記載の複合菌糸体材料。
【請求項199】
前記結合剤が、接着剤、樹脂、架橋剤、及び/またはマトリックスを含む、請求項194~198のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項200】
前記結合剤が、酢酸ビニル-エチレン(VAE)コポリマー、酢酸ビニル-アクリルコポリマー、ポリアミド-エピクロロヒドリン樹脂(PAE)、コポリマー、トランスグルタミナーゼ、クエン酸、ゲニピン、アルギナート、アラビアゴム、ラテックス、天然接着剤、及び合成接着剤からなる群から選択される、請求項194~199のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項201】
前記結合剤が、1μm以下の粒径、サブゼロガラス転移温度、及び自己架橋機能からなる群から選択される特性を有するコポリマーである、請求項200に記載の複合菌糸体材料。
【請求項202】
前記結合剤が酢酸ビニル-エチレン(VAE)コポリマーである、請求項200に記載の複合菌糸体材料。
【請求項203】
前記結合剤が酢酸ビニル-アクリルコポリマーである、請求項200に記載の複合菌糸体材料。
【請求項204】
前記結合剤がPAEである、請求項200に記載の複合菌糸体材料。
【請求項205】
前記PAEが、菌糸の1つ以上の分岐において、アミン基とヒドロキシル基とカルボキシル基とを含む活性水素含有基と反応するカチオン性アゼチジニウム基を含む、請求項204に記載の複合菌糸体材料。
【請求項206】
前記天然接着剤が天然ラテックス系接着剤を含む、請求項200に記載の複合菌糸体材料。
【請求項207】
前記天然ラテックス系接着剤が皮革接着剤または溶接接着剤である、請求項206に記載の複合菌糸体材料。
【請求項208】
支持材料をさらに含む、請求項194~207のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項209】
前記支持材料が、1インチの1/16の細孔径を有する、請求項208に記載の複合菌糸体材料。
【請求項210】
前記支持材料が補強材料を含む、請求項208に記載の複合菌糸体材料。
【請求項211】
前記補強材料が前記複合菌糸体材料内で絡合されている、請求項210に記載の複合菌糸体材料。
【請求項212】
前記支持材料がベース材料を含む、請求項208に記載の複合菌糸体材料。
【請求項213】
前記ベース材料が、前記複合菌糸体材料の1つ以上の表面上に位置付けられている、請求項212に記載の複合菌糸体材料。
【請求項214】
前記支持材料が、メッシュ、チーズクロス、布、編繊維、織繊維、及び不織繊維からなる群から選択される、請求項194~213のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項215】
前記培養菌糸体材料を生成する真菌種以外の種に由来する1つ以上のタンパク質を含む、請求項194~214のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項216】
前記1つ以上のタンパク質が植物源に由来する、請求項215に記載の複合菌糸体材料。
【請求項217】
前記植物源がエンドウ植物である、請求項216に記載の複合菌糸体材料。
【請求項218】
前記植物源がダイズ植物である、請求項216に記載の複合菌糸体材料。
【請求項219】
染料をさらに含む、請求項194~218のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項220】
前記染料が、酸性染料、直接染料、合成染料、天然染料、及び反応染料からなる群から選択される、請求項219に記載の複合菌糸体材料。
【請求項221】
前記染料が反応染料である、請求項220に記載の複合菌糸体材料。
【請求項222】
前記複合菌糸体材料が前記染料で着色され、前記複合菌糸体材料の色が、前記複合菌糸体材料の1つ以上の表面において実質的に均一である、請求項219~221のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項223】
前記染料が前記複合菌糸体材料の内部全体に存在する、請求項219~222のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項224】
可塑剤をさらに含む、請求項194~223のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項225】
前記可塑剤が、油、グリセリン、加脂剤、ソルビトール、ジエチルオキシエステルジメチルアンモニウムクロリド、Tween 20、Tween 80、m-エリスリトール、水、グリコール、クエン酸トリエチル、水、アセチル化モノグリセリド、及びエポキシ化ダイズ油からなる群から選択される、請求項224に記載の複合菌糸体材料。
【請求項226】
前記可塑剤が加脂剤である、請求項225に記載の複合菌糸体材料。
【請求項227】
可撓性である、請求項226に記載の複合菌糸体材料。
【請求項228】
外部要素が前記培養菌糸体材料に適用される、請求項194~227のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項229】
前記外部要素が加熱及び/または圧縮を介して適用される、請求項228に記載の複合菌糸体材料。
【請求項230】
前記外部要素がホットプレスである、請求項229に記載の複合菌糸体材料。
【請求項231】
タンニンをさらに含む、請求項194~230のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項232】
仕上げ剤をさらに含む、請求項194~231のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項233】
前記仕上げ剤が、ウレタン、ワックス、ニトロセルロース、及び可塑剤からなる群から選択される、請求項232に記載の複合菌糸体材料。
【請求項234】
機械的特性を含む、請求項194~233のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項235】
前記機械的特性が、湿潤引張強さ、初期弾性率、破断時伸び率、厚さ、及び/またはスリット引裂強さを含む、請求項194~234のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項236】
0.05MPa~10MPaの湿潤引張強さを有する、請求項194~235のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項237】
5MPa~20MPaの湿潤引張強さを有する、請求項194~235のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項238】
7MPaの湿潤引張強さを有する、請求項194~235のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項239】
1MPa~100MPaの初期弾性率を有する、請求項194~235のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項240】
1%~25%の破断時伸び率を有する、請求項194~235のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項241】
0.5mm~3.5mmの厚さを有する、請求項194~235のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項242】
2mmの厚さを有する、請求項194~235のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項243】
5N~100Nのスリット引裂強さを有する、請求項194~235のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項244】
50Nのスリット引裂強さを有する、請求項194~235のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【請求項245】
従来のペーパーミリング装置を使用して製造される、請求項194~244のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる、2019年5月23日に出願された米国特許仮出願第62/851,867号、及び2020年5月13日に出願された米国特許仮出願第63/024,368号の利益を主張するものである。
【0002】
分野
本開示は、全体として、成長菌糸体成分を有する様々な菌糸体材料、及び良好な機械的及び美的品質を提供するためのその製造のための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
菌糸体は、その生物効率、強度、及び低環境フットプリントのため、次世代の持続可能な材料における関心が高まっている。この目的のために、絡み合った菌糸体のネットワークを、単独で、及び(例えば、粒子、繊維、繊維のネットワーク、固体マトリックス結合剤、または不織薄層を絡み合わせた)複合材料としての両方で成長させる方法が、様々な用途で議論されてきた。しかしながら、現在開発中の菌糸体材料は、応力下での層間剥離及び引裂きに対する敏感さなど、機械的品質が悪く、美的品質が均一でない。従って、必要とされるのは、好ましい機械的特性、美的特性、及び他の利点を備えた改良された菌糸体材料、ならびに改良された菌糸体材料を製造するための材料及び方法である。
【発明の概要】
【0004】
概要
いくつかの実施形態によれば、良好な機械的及び美的品質、ならびに関連する利点を備えた菌糸体材料及び複合菌糸体材料を提供するための様々な菌糸体材料及びその製造のための方法が、本明細書に提供される。
【0005】
一態様では、本明細書に提供されるのは、複合菌糸体材料である。一態様では、本明細書に提供されるのは、分岐菌糸の1つ以上の塊を含む培養菌糸体材料であって、分岐菌糸の1つ以上の塊が破壊される、培養菌糸体材料、及び結合剤を含む、複合菌糸体材料である。
【0006】
いくつかの実施形態では、培養菌糸体材料は、固体基材上に生成される。
【0007】
いくつかの実施形態では、培養菌糸体材料は、破壊された分岐菌糸の1つ以上の塊を含む。いくつかの実施形態では、破壊された分岐菌糸の1つ以上の塊は、0.1mm~5mmの長さを有する。いくつかの実施形態では、破壊された分岐菌糸の1つ以上の塊は、2mmの長さを有する。
【0008】
いくつかの実施形態では、分岐菌糸の1つ以上の塊は、絡合されており、菌糸を絡合させることは、ニードルパンチ、フェルティング、またはハイドロエンタングルを含む。いくつかの実施形態では、絡合している菌糸は、ハイドロエンタングルされる(hydroentangled)。
【0009】
いくつかの実施形態では、結合剤は、1つ以上の反応基を含む。いくつかの実施形態では、該1つ以上の反応基は、活性水素含有基と反応する。いくつかの実施形態では、該活性水素含有基は、アミン基、ヒドロキシル基、及びカルボキシル基を含む。いくつかの実施形態では、該結合剤は、接着剤、樹脂、架橋剤、及び/またはマトリックスを含む。いくつかの実施形態では、該結合剤は、酢酸ビニル-エチレン(VAE)コポリマー、酢酸ビニル-アクリルコポリマー、ポリアミド-エピクロロヒドリン樹脂(PAE)、コポリマー、トランスグルタミナーゼ、クエン酸、ゲニピン、アルギナート、アラビアゴム、ラテックス、天然接着剤、及び合成接着剤からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、該結合剤は、1μm以下の粒径、サブゼロガラス転移温度、及び自己架橋機能からなる群から選択される特性を有するコポリマーである。いくつかの実施形態では、該結合剤は、酢酸ビニル-エチレン(VAE)コポリマーである。いくつかの実施形態では、該結合剤は、酢酸ビニル-アクリルコポリマーである。いくつかの実施形態では、該結合剤は、PAEである。いくつかの実施形態では、該PAEは、菌糸の1つ以上の分岐において、アミン基とヒドロキシル基とカルボキシル基とを含む活性水素含有基と反応するカチオン性アゼチジニウム基を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、該天然接着剤は、天然ラテックス系接着剤を含む。いくつかの実施形態では、該天然ラテックス系接着剤は、皮革接着剤または溶接接着剤(weld)である。
【0011】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、支持材料をさらに含む。いくつかの実施形態では、該支持材料は、1インチの1/16の細孔径を有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、該支持材料は、補強材料を含む。いくつかの実施形態では、該補強材料は、複合菌糸体材料内で絡合されている。いくつかの実施形態では、該支持材料は、ベース材料を含む。いくつかの実施形態では、該ベース材料は、複合菌糸体材料の1つ以上の表面上に位置付けられている。いくつかの実施形態では、該支持材料は、メッシュ、チーズクロス、布、編布(knit textile)、織布、及び不織布からなる群から選択される。
【0013】
いくつかの実施形態では、分岐菌糸の1つ以上の塊が、機械的作用によって破壊される。いくつかの実施形態では、該機械的作用は、分岐菌糸の1つ以上の塊をブレンドすることを含む。いくつかの実施形態では、該機械的作用は、分岐菌糸の1つ以上の塊を破断することを含む。いくつかの実施形態では、該機械的作用は、分岐菌糸の塊の少なくとも一部が、平行なフォーメーションに整列されるように、分岐菌糸の1つ以上の塊に物理的な力を印加することを含む。いくつかの実施形態では、該物理的な力は、引っ張り力である。
【0014】
いくつかの実施形態では、該機械的作用は、分岐菌糸の塊の少なくとも一部が1つ以上の方向において平行に整列されるように、物理的な力を1つ以上の方向に印加することを含み、物理的な力は、繰り返し印加される。
【0015】
いくつかの実施形態では、分岐菌糸の1つ以上の塊が、化学処理によって破壊される。いくつかの実施形態では、該化学処理は、分岐菌糸の1つ以上の塊を、破壊を引き起こすのに十分な量の塩基または他の化学薬剤と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、該塩基は、アルカリ性過酸化物を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、培養菌糸体材料を生成する真菌種以外の種に由来する1つ以上のタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、該1つ以上のタンパク質は、植物源に由来する。いくつかの実施形態では、該植物源は、エンドウ植物である。いくつかの実施形態では、該植物源は、ダイズ植物である。
【0017】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、染料をさらに含む。いくつかの実施形態では、該染料は、酸性染料、直接染料、合成染料、天然染料、及び反応染料からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、該染料は、反応染料である。いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、染料で着色され、複合菌糸体材料の色は、複合菌糸体材料の1つ以上の表面において実質的に均一である。いくつかの実施形態では、該染料は、複合菌糸体材料の内部全体に存在する。
【0018】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、可塑剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、該可塑剤は、油、グリセリン、加脂剤、ソルビトール、ジエチルオキシエステルジメチルアンモニウムクロリド、Tween 20、Tween 80、m-エリスリトール、水、グリコール、クエン酸トリエチル、水、アセチル化モノグリセリド、及びエポキシ化ダイズ油からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、該可塑剤は、加脂剤である。
【0019】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、可撓性である。
【0020】
いくつかの実施形態では、外部要素が、培養菌糸体材料に適用される。いくつかの実施形態では、該外部要素は、加熱及び/または圧縮を介して適用される。いくつかの実施形態では、該外部要素は、ホットプレスである。
【0021】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、タンニンをさらに含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、仕上げ剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、該仕上げ剤は、ウレタン、ワックス、ニトロセルロース、及び可塑剤からなる群から選択される。
【0023】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、機械的特性を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、該機械的特性は、湿潤引張強さ、初期弾性率、破断時伸び率、厚さ、及び/またはスリット引裂強さを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、0.05MPa~10MPaの湿潤引張強さを有する。いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、5MPa~20MPaの湿潤引張強さを有する。いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、7MPaの湿潤引張強さを有する。いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、1MPa~100MPaの初期弾性率を有する。いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、1%~25%の破断時伸び率を有する。いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、0.5mm~3.5mmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、2mmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、5N~100Nのスリット引裂強さを有する。いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、50Nのスリット引裂強さを有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、従来のペーパーミリング装置を使用して製造される。
【0027】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、分岐菌糸の1つ以上の塊を含む培養菌糸体材料であって、分岐菌糸の1つ以上の塊が破壊される、培養菌糸体材料と、酢酸ビニル-エチレンコポリマーを含む結合剤と、反応染料と、を含む、複合菌糸体材料である。
【0028】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、複合菌糸体材料を製造する方法であって、分岐菌糸の1つ以上の塊を含む培養菌糸体材料を生成することと、該分岐菌糸の1つ以上の塊を含む該培養菌糸体材料を破壊することと、該培養菌糸体材料に結合剤を添加し、それにより複合菌糸体材料を製造することと、を含む、方法である。
【0029】
いくつかの実施形態では、結合剤は、分岐菌糸の塊が破壊される前、分岐菌糸の塊の破壊中、または分岐菌糸の塊の破壊後に添加される。
【0030】
いくつかの実施形態では、該生成することは、固体基材上に培養菌糸体材料を生成することを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、該培養菌糸体材料は、破壊された分岐菌糸の1つ以上の塊を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、該破壊された分岐菌糸の1つ以上の塊は、0.1mm~5mmの長さを有する。
【0033】
いくつかの実施形態では、該破壊された分岐菌糸の1つ以上の塊は、2mmの長さを有する。
【0034】
いくつかの実施形態では、方法は、分岐菌糸の1つ以上の塊を絡合させることをさらに含み、菌糸を絡合させることは、ニードルパンチ、フェルティング、またはハイドロエンタングルを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、菌糸を絡合させることは、ハイドロエンタングルを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、分岐菌糸の1つ以上の塊をハイドロエンタングルすることは、約700psi~約1000psiの圧力で液体をスプレーするように構成された液体ジェットを使用して、ハイドロエンタングルすることを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、ハイドロエンタングルすることは、約100mL/分~300mL/分の流量で液体をスプレーするように構成された液体ジェットを使用することを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、該破壊することは、機械的作用によって、分岐菌糸の1つ以上の塊を破壊することを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、該機械的作用は、分岐菌糸の1つ以上の塊をブレンドすることを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、該機械的作用は、分岐菌糸の1つ以上の塊を破断することを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、該機械的作用は、分岐菌糸の塊の少なくとも一部が、平行なフォーメーションに整列されるように、分岐菌糸の1つ以上の塊に物理的な力を印加することを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、該物理的な力は、引っ張り力である。
【0043】
いくつかの実施形態では、該機械的作用は、分岐菌糸の塊の少なくとも一部が1つ以上の方向において平行に整列されるように、物理的な力を1つ以上の方向に印加することを含み、物理的な力は、繰り返し印加される。
【0044】
いくつかの実施形態では、分岐菌糸の1つ以上の塊が、化学処理によって破壊される。
【0045】
いくつかの実施形態では、該化学処理は、分岐菌糸の1つ以上の塊を、破壊を引き起こすのに十分な量の塩基または他の化学薬剤と接触させることを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、該塩基は、アルカリ性過酸化物を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、1つ以上の反応基を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、該1つ以上の反応基は、活性水素含有基と反応する。
【0049】
いくつかの実施形態では、該活性水素含有基は、アミン基、ヒドロキシル基、及びカルボキシル基を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、接着剤、樹脂、架橋剤、及び/またはマトリックスを含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、酢酸ビニル-エチレンコポリマー、酢酸ビニル-アクリルコポリマー、ポリアミド-エピクロロヒドリン樹脂(PAE)、コポリマー、トランスグルタミナーゼ、クエン酸、ゲニピン、アルギナート、アラビアゴム、ラテックス、天然接着剤、及び合成接着剤からなる群から選択される。
【0052】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、1μm以下の粒径、サブゼロガラス転移温度、及び自己架橋機能からなる群から選択される特性を有するコポリマーである。
【0053】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、酢酸ビニル-エチレンコポリマーである。
【0054】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、酢酸ビニル-アクリルコポリマーである。
【0055】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、PAEである。
【0056】
いくつかの実施形態では、該PAEは、菌糸の1つ以上の分岐において、アミン基とヒドロキシル基とカルボキシル基とを含む活性水素含有基と反応するカチオン性アゼチジニウム基を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、該天然接着剤は、天然ラテックス系接着剤を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、該天然ラテックス系接着剤は、皮革接着剤または溶接接着剤である。
【0059】
いくつかの実施形態では、方法は、支持材料を複合菌糸体材料内に組み込むことをさらに含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、該支持材料は、1インチの1/16の細孔径を有する。
【0061】
いくつかの実施形態では、該支持材料は、補強材料を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、該補強材料は、複合菌糸体材料内で絡合されている。
【0063】
いくつかの実施形態では、該支持材料は、ベース材料を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、該ベース材料は、複合菌糸体材料の1つ以上の表面上に位置付けられている。
【0065】
いくつかの実施形態では、該支持材料は、メッシュ、チーズクロス、布、編布、織布、及び不織布からなる群から選択される。
【0066】
いくつかの実施形態では、方法は、培養菌糸体材料を穿孔、超音波処理、及び/または真空処理することをさらに含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、方法は、培養菌糸体材料を穿孔及び超音波処理することをさらに含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、方法は、培養菌糸体材料を生成する真菌種以外の種に由来する1つ以上のタンパク質を添加することをさらに含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、該1つ以上のタンパク質は、植物源に由来する。
【0070】
いくつかの実施形態では、該植物源は、エンドウ植物である。
【0071】
いくつかの実施形態では、該植物源は、ダイズ植物である。
【0072】
いくつかの実施形態では、方法は、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料に染料を添加することをさらに含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、該染料は、酸性染料、直接染料、合成染料、天然染料、及び反応染料からなる群から選択される。
【0074】
いくつかの実施形態では、該染料は、反応染料である。
【0075】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、染料で着色され、複合菌糸体材料の色は、複合菌糸体材料の1つ以上の表面において実質的に均一である。
【0076】
いくつかの実施形態では、該染料は、複合菌糸体材料の内部全体に存在する。
【0077】
いくつかの実施形態では、方法は、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料に可塑剤を添加することをさらに含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、該可塑剤は、油、グリセリン、加脂剤、ソルビトール、ジエチルオキシエステルジメチルアンモニウムクロリド、Tween 20、Tween 80、m-エリスリトール、水、グリコール、クエン酸トリエチル、水、アセチル化モノグリセリド、及びエポキシ化ダイズ油からなる群から選択される。
【0079】
いくつかの実施形態では、該可塑剤は、加脂剤である。
【0080】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、可撓性である。
【0081】
いくつかの実施形態では、方法は、さらに、培養菌糸体材料に外部要素を適用することを含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、該外部要素は、加熱及び/または圧縮を介して適用される。
【0083】
いくつかの実施形態では、該外部要素は、ホットプレスである。
【0084】
いくつかの実施形態では、方法は、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料にタンニンを添加することをさらに含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、方法は、複合菌糸体材料に仕上げ剤を添加することをさらに含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、該仕上げ剤は、ウレタン、ワックス、ニトロセルロース、及び可塑剤からなる群から選択される。
【0087】
いくつかの実施形態では、方法は、さらに、複合菌糸体材料の機械的特性を決定することを含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、該機械的特性は、湿潤引張強さ、初期弾性率、破断時伸び率、厚さ、及び/またはスリット引裂強さを含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、0.05MPa~10MPaの湿潤引張強さを有する。
【0090】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、5MPa~20MPaの湿潤引張強さを有する。
【0091】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、7MPaの湿潤引張強さを有する。
【0092】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、1MPa~100MPaの初期弾性率を有する。
【0093】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、1%~25%の破断時伸び率を有する。
【0094】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、0.5mm~3.5mmの厚さを有する。
【0095】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、2mmの厚さを有する。
【0096】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、5N~100Nのスリット引裂強さを有する。
【0097】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、50Nのスリット引裂強さを有する。
【0098】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、従来のペーパーミリング装置を使用して製造される。
【0099】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、培養菌糸体材料を生成することと、該培養菌糸体材料を圧縮することと、該圧縮された培養菌糸体材料を、結合剤を含む溶液と接触させることと、を含む、方法である。
【0100】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、圧縮工程の前、圧縮工程の間、または圧縮工程の後に添加される。
【0101】
いくつかの実施形態では、該生成することは、固体基材上に培養菌糸体材料を生成することを含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、方法は、支持材料を複合菌糸体材料内に組み込むことをさらに含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、該支持材料は、1インチの1/16の細孔径を有する。
【0104】
いくつかの実施形態では、該支持材料は、補強材料を含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、該補強材料は、複合菌糸体材料内で絡合されている。
【0106】
いくつかの実施形態では、該支持材料は、ベース材料を含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、該ベース材料は、複合菌糸体材料の1つ以上の表面上に位置付けられている。
【0108】
いくつかの実施形態では、該支持材料は、メッシュ、チーズクロス、布、編布、織布、及び不織布からなる群から選択される。
【0109】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、1つ以上の反応基を含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、該1つ以上の反応基は、活性水素含有基と反応する。
【0111】
いくつかの実施形態では、該活性水素含有基は、アミン基、ヒドロキシル基、及びカルボキシル基を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、接着剤、樹脂、架橋剤、及び/またはマトリックスを含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、酢酸ビニル-エチレンコポリマー、酢酸ビニル-アクリルコポリマー、ポリアミド-エピクロロヒドリン樹脂(PAE)、コポリマー、トランスグルタミナーゼ、クエン酸、ゲニピン、アルギナート、アラビアゴム、ラテックス、天然接着剤、及び合成接着剤からなる群から選択される。
【0114】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、1μm以下の粒径、サブゼロガラス転移温度、及び自己架橋機能からなる群から選択される特性を有するコポリマーである。
【0115】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、酢酸ビニル-エチレンコポリマーである。
【0116】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、酢酸ビニル-アクリルコポリマーである。
【0117】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、PAEである。
【0118】
いくつかの実施形態では、該PAEは、菌糸の1つ以上の分岐において、アミン基とヒドロキシル基とカルボキシル基とを含む活性水素含有基と反応するカチオン性アゼチジニウム基を含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、該天然接着剤は、天然ラテックス系接着剤を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、該天然ラテックス系接着剤は、皮革接着剤または溶接接着剤である。
【0121】
いくつかの実施形態では、方法は、培養菌糸体材料を穿孔、超音波処理、及び/または真空処理することをさらに含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、方法は、培養菌糸体材料を穿孔及び超音波処理することをさらに含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、方法は、培養菌糸体材料を生成する真菌種以外の種に由来する1つ以上のタンパク質を添加することをさらに含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、該1つ以上のタンパク質は、植物源に由来する。
【0125】
いくつかの実施形態では、該植物源は、エンドウ植物である。
【0126】
いくつかの実施形態では、該植物源は、ダイズ植物である。
【0127】
いくつかの実施形態では、方法は、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料に染料を添加することをさらに含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、該染料は、酸性染料、直接染料、合成染料、天然染料、及び反応染料からなる群から選択される。
【0129】
いくつかの実施形態では、該染料は、反応染料である。
【0130】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、染料で着色され、複合菌糸体材料の色は、複合菌糸体材料の1つ以上の表面において実質的に均一である。
【0131】
いくつかの実施形態では、該染料は、複合菌糸体材料の内部全体に存在する。
【0132】
いくつかの実施形態では、方法は、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料に可塑剤を添加することをさらに含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、該可塑剤は、油、グリセリン、加脂剤、ソルビトール、ジエチルオキシエステルジメチルアンモニウムクロリド、Tween 20、Tween 80、m-エリスリトール、水、グリコール、クエン酸トリエチル、水、アセチル化モノグリセリド、及びエポキシ化ダイズ油からなる群から選択される。
【0134】
いくつかの実施形態では、該可塑剤は、加脂剤である。
【0135】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、可撓性である。
【0136】
いくつかの実施形態では、方法は、さらに、培養菌糸体材料に外部要素を適用することを含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、該外部要素は、加熱及び/または圧縮を介して適用される。
【0138】
いくつかの実施形態では、該外部要素は、ホットプレスである。
【0139】
いくつかの実施形態では、方法は、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料にタンニンを添加することをさらに含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、方法は、複合菌糸体材料に仕上げ剤を添加することをさらに含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、該仕上げ剤は、ウレタン、ワックス、ニトロセルロース、及び可塑剤からなる群から選択される。
【0142】
いくつかの実施形態では、方法は、複合菌糸体材料の機械的特性を決定することをさらに含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、該機械的特性は、湿潤引張強さ、初期弾性率、破断時伸び率、厚さ、及び/またはスリット引裂強さを含む。
【0144】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、0.05MPa~10MPaの湿潤引張強さを有する。
【0145】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、5MPa~20MPaの湿潤引張強さを有する。
【0146】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、7MPaの湿潤引張強さを有する。
【0147】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、1MPa~100MPaの初期弾性率を有する。
【0148】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、1%~25%の破断時伸び率を有する。
【0149】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、0.5mm~3.5mmの厚さを有する。
【0150】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、2mmの厚さを有する。
【0151】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、5N~100Nのスリット引裂強さを有する。
【0152】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、50Nのスリット引裂強さを有する。
【0153】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、従来のペーパーミリング装置を使用して製造される。
【0154】
別の態様では、本明細書に提供されるのは、圧縮された培養菌糸体材料と、結合剤と、を含む、複合菌糸体材料である。
【0155】
いくつかの実施形態では、該培養菌糸体材料は、固体基材上に生成されている。
【0156】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、1つ以上の反応基を含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、該1つ以上の反応基は、活性水素含有基と反応する。
【0158】
いくつかの実施形態では、該活性水素含有基は、アミン基、ヒドロキシル基、及びカルボキシル基を含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、接着剤、樹脂、架橋剤、及び/またはマトリックスを含む。
【0160】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、酢酸ビニル-エチレン(VAE)コポリマー、酢酸ビニル-アクリルコポリマー、ポリアミド-エピクロロヒドリン樹脂(PAE)、コポリマー、トランスグルタミナーゼ、クエン酸、ゲニピン、アルギナート、アラビアゴム、ラテックス、天然接着剤、及び合成接着剤からなる群から選択される。
【0161】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、1μm以下の粒径、サブゼロガラス転移温度、及び自己架橋機能からなる群から選択される特性を有するコポリマーである。
【0162】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、酢酸ビニル-エチレン(VAE)コポリマーである。
【0163】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、酢酸ビニル-アクリルコポリマーである。
【0164】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、PAEである。
【0165】
いくつかの実施形態では、該PAEは、菌糸の1つ以上の分岐において、アミン基とヒドロキシル基とカルボキシル基とを含む活性水素含有基と反応するカチオン性アゼチジニウム基を含む。
【0166】
いくつかの実施形態では、該天然接着剤は、天然ラテックス系接着剤を含む。
【0167】
いくつかの実施形態では、該天然ラテックス系接着剤は、皮革接着剤または溶接接着剤である。
【0168】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、支持材料をさらに含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、該支持材料は、1インチの1/16の細孔径を有する。
【0170】
いくつかの実施形態では、該支持材料は、補強材料を含む。
【0171】
いくつかの実施形態では、該補強材料は、複合菌糸体材料内で絡合されている。
【0172】
いくつかの実施形態では、該支持材料は、ベース材料を含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、該ベース材料は、複合菌糸体材料の1つ以上の表面上に位置付けられている。
【0174】
いくつかの実施形態では、該支持材料は、メッシュ、チーズクロス、布、編布、織布、及び不織布からなる群から選択される。
【0175】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、培養菌糸体材料を生成する真菌種以外の種に由来する1つ以上のタンパク質を含む。
【0176】
いくつかの実施形態では、該1つ以上のタンパク質は、植物源に由来する。
【0177】
いくつかの実施形態では、該植物源は、エンドウ植物である。
【0178】
いくつかの実施形態では、該植物源は、ダイズ植物である。
【0179】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、染料をさらに含む。
【0180】
いくつかの実施形態では、該染料は、酸性染料、直接染料、合成染料、天然染料、及び反応染料からなる群から選択される。
【0181】
いくつかの実施形態では、該染料は、反応染料である。
【0182】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、染料で着色され、複合菌糸体材料の色は、複合菌糸体材料の1つ以上の表面において実質的に均一である。
【0183】
いくつかの実施形態では、該染料は、複合菌糸体材料の内部全体に存在する。
【0184】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、可塑剤をさらに含む。
【0185】
いくつかの実施形態では、該可塑剤は、油、グリセリン、加脂剤、ソルビトール、ジエチルオキシエステルジメチルアンモニウムクロリド、Tween 20、Tween 80、m-エリスリトール、水、グリコール、クエン酸トリエチル、水、アセチル化モノグリセリド、及びエポキシ化ダイズ油からなる群から選択される。
【0186】
いくつかの実施形態では、該可塑剤は、加脂剤である。
【0187】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、可撓性である。
【0188】
いくつかの実施形態では、外部要素が、培養菌糸体材料に適用される。
【0189】
いくつかの実施形態では、該外部要素は、加熱及び/または圧縮を介して適用される。
【0190】
いくつかの実施形態では、該外部要素は、ホットプレスである。
【0191】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、タンニンをさらに含む。
【0192】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、仕上げ剤をさらに含む。
【0193】
いくつかの実施形態では、該仕上げ剤は、ウレタン、ワックス、ニトロセルロース、及び可塑剤からなる群から選択される。
【0194】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、機械的特性を含む。
【0195】
いくつかの実施形態では、該機械的特性は、湿潤引張強さ、初期弾性率、破断時伸び率、厚さ、及び/またはスリット引裂強さを含む。
【0196】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、0.05MPa~10MPaの湿潤引張強さを有する。
【0197】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、5MPa~20MPaの湿潤引張強さを有する。
【0198】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、7MPaの湿潤引張強さを有する。
【0199】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、1MPa~100MPaの初期弾性率を有する。
【0200】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、1%~25%の破断時伸び率を有する。
【0201】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、0.5mm~3.5mmの厚さを有する。
【0202】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、2mmの厚さを有する。
【0203】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、5N~100Nのスリット引裂強さを有する。
【0204】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、50Nのスリット引裂強さを有する。
【0205】
いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、従来のペーパーミリング装置を使用して製造される。
【図面の簡単な説明】
【0206】
【
図1】本明細書に記載のいくつかの実施形態による、複合菌糸体材料を製造する方法の概略図を示す。実線を有するボックスは、必要な工程を示し、破線を有するボックスは、任意選択の工程を示す。
【
図2】ポリアミド-エピクロロヒドリン樹脂(PAE)と足場3とを有する圧縮されたサンプル(破線)、及びPAEと足場4とを有する圧縮されたサンプル(実線)の応力-ひずみ曲線を示す。標準応力(MPa)が、伸び(%)に対してプロットされている。
【
図3】異なる足場材料を示す。左から右へ:足場1、1インチの1/16よりわずかに小さい細孔を有するチーズクロス足場、足場2、1インチの1/32より小さい細孔を有する綿織物足場、足場3、1インチの1/16の大きさの細孔を有する非織物足場、及び足場4、1インチの1/8の大きさの大きな細孔を有する綿織物足場。
【
図4】培養菌糸体材料(矢印で示される)5gと、1.5%PAEを含有する25mMリン酸緩衝液(pH=7.4)125mLと、エンドウタンパク質1gと、足場4と、weldwood接着剤と、を含む、湿潤引張試験後のサンプルを示す。
【
図5】圧縮されたサンプル(HM1-4-3及びHM1-1-11_120p)及び未圧縮サンプル(HM1-1-1、HM1-1-7、及びHM1-1-11)のスリット引裂(N)対厚さ(mm)のプロットを示す。
【
図6】公称ひずみ(%)に対する工学応力(MPa)をプロットした応力-ひずみ曲線を示す。破断に至る最大伸びまでドラフトする前の、10%のインクリメントでの、10%~80%までのひずみサイクル。
【
図7】
図7Aは、ドラフトする前の菌糸体の菌糸のSEM顕微鏡写真を示す。
図7Bは、ドラフトした後の菌糸体の菌糸のSEM顕微鏡写真を示す。
図7Aのスケールバー=50μm、
図7Bのスケールバー=200μm。
【
図8】ドラフトする前(黒い正方形)及びドラフトした後(灰色の円)の菌糸体SEM画像のフーリエ変換グラフを示す。
【
図9】偏光(0度)に沿って、及び偏光に垂直(90度)に沿って整列された菌糸体の菌糸の波数1/cmに対する正規化された吸光度の偏光フーリエ変換赤外分光(FTIR)スペクトルグラフを示す。純粋なキチンのスペクトルが、比較のために示されている。
【
図10】非整列の及び整列した菌糸体の菌糸の波数の関数として、第二ルジャンドル秩序パラメータ(<P2>)の正規化された吸光度対波数1/cmの偏光FTIRスペクトルグラフを示す。
【
図11】
図11Aは、150Xでの、ポリウレタンホットメルト接着剤で結合された2つの整列した菌糸体薄層の走査型電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真を示す。
図11Bは、500Xの倍率での、ポリウレタンホットメルト接着剤で結合された2つの整列した菌糸体薄層の走査型電子顕微鏡(SEM)の顕微鏡写真を示す。
【
図12】
図12Aは、乾燥状態において65%相対湿度(RH)で調節した後に試験された、ポリウレタンホットメルト接着剤で結合された整列した菌糸体の応力-ひずみ曲線を示す。
図12Bは、湿潤状態において65%相対湿度(RH)で調節した後に試験された、ポリウレタンホットメルト接着剤で結合された整列した菌糸体の応力-ひずみ曲線を示す。
【
図13】菌糸体を含む材料を製造するための方法のフローチャートを示す。
【
図14】生菌糸体材料を加工材料に変換する方法のフローチャートを示し図示する。
【
図15】菌糸体の菌糸が、菌糸構造の間に開放孔を含む3Dネットワークを形成することを示す。
【
図16】ほとんどの細孔径が0.36~0.84マイクロメートルの範囲内に入り、0.72~0.78マイクロメートルの間に非常に高い細孔径分布の鋭いピークを有することを示す。
【
図18】5%重量/重量の加脂剤(DXV/LEX=3:1)エマルションの粒径を示す。
【
図19】10重量%のアラビアゴム溶液の粒径分布を示す。
【
図20】アラビアゴム、ミモザタンニン、及び加脂剤を含むクラスト溶液の粒径を示す。
【
図21】10重量%のX-LINK(登録商標)2833エマルション(Celanese)の粒径分布を示す。
【
図22】VAE S-10エマルション(US Adhesive)の粒径分布を示す。
【
図23-1】PAE架橋サンプルの引張強度結果を示す。
【
図23-2】PAE架橋サンプルの引張強度結果を示す。
【
図24】ラテックスと共にアラビアゴムで処理された処理菌糸体パネルの断面SEM画像を示す。
【
図25】アラビアゴム及びAPSまたはラテックスで処理された菌糸体パネルの正規化された曲げ弾性率を示す。
【
図26】アラビアゴム及びAPSまたはラテックスで処理された菌糸体パネルの正規化された最大スリット引裂強さを示す。
【
図27】天然ゴムラテックス及びS-10酢酸ビニル-エチレンを含浸したサンプルの溶液中の結合剤濃度の関数としてのサンプルの菌糸体含有量を示す。
【
図28】Tear mender天然ゴムラテックスを含浸した菌糸体サンプルの最大T剥離力を示す。ポイントは、個々のT剥離試験を示す。
【
図29】ある濃度の範囲にわたる、S-10酢酸ビニル-エチレンを含浸した菌糸体サンプルの最大T剥離力を示す。ポイントは、個々のT剥離試験を示す。
【
図30】未処理の菌糸体サンプル、及び天然ゴムラテックスまたはS-10酢酸ビニル-エチレンのいずれかを含浸した菌糸体サンプルの代表的な走査型電子顕微鏡写真を示す。
【
図31】様々な濃度で様々な結合剤を含浸したサンプルの正規化された最大スリット引裂力を示す。ポイントは、個々のスリット引裂試験を示す。ダイヤモンドは、各群の平均正規化スリット引裂力の95%信頼区間の上限及び下限を示す。
【
図32】同じ結合剤濃度で、X-LINK(登録商標)2833酢酸ビニル-アクリルまたはDur-O-Set Elite 22酢酸ビニル-エチレンのいずれかを含浸した菌糸体サンプルの最大T剥離力を示す。
【
図33】結合剤浸透菌糸体パネルの超音波処理及び浸漬後の重量変化率を示す。
【
図34】超音波処理のみと比較した、ニードル穿孔法で穿孔され、超音波処理されたサンプル内の結合剤浸透菌糸体パネルの重量変化率を示す。
【
図35】超音波処理のみと比較した、水穿孔法で穿孔され、超音波処理されたサンプル内の結合剤浸透菌糸体パネルの重量変化率を示す。
【
図36】真空支援浸透後のサンプル1、2、及び3における結合剤浸透菌糸体パネルの重量変化率を示す。
【
図37】単層菌糸体サンプル、同時に試験された2層の菌糸体、天然ゴムラテックスを使用して積層された2層の菌糸体、天然ゴムラテックスを使用して積層され、間に織物スクリムを有する2層の菌糸体、天然ゴムラテックスでコーティングされた同じ織物スクリム(菌糸体なし)の様々な菌糸体サンプル及び複合体の最大スリット引裂力を示す。
【
図38】示された菌糸体複合サンプルの代表的なスリット引裂力移動曲線を示す。
【
図39】同時に積層及び含浸された菌糸体サンプル(「二重層+ラテックス」)の最大スリット引裂力を、比較のための非積層(「単層+ラテックス」)及び非含浸(「単層」)サンプルと共に示す。ポイントは、個々のスリット引裂試験を示す。ダイヤモンドは、平均最大スリット引裂力の95%信頼区間の上限及び下限を示す。
【
図40】ラテックスで積層された2プレイサンプル(厚さt)、スクリム及びラテックスで積層された2プライサンプル(厚さt+スクリム厚さ)、アラビアゴム及びAPSで処理された1プライサンプル(厚さ2t)、及びスクリムを一側面に接着させた1プライサンプル(厚さ0.5t+スクリム厚さ)の示されたサンプルの初期曲げ弾性率を示す。参考のために、ウシのハンドバッグレザーサンプルが、示されている。ドットは、個々の測定値を表す。ダイヤモンドは、平均の95%信頼区間の上限及び下限を示す。
【
図41】未処理の菌糸体材料、ホットプレスされた菌糸体材料、ならびにホットプレス及び結合された菌糸体材料の最大T剥離力を示す。ホットプレスは、70℃で2分間行われた。ホットプレス及び結合されたサンプルについては、0.5重量%のS-10酢酸ビニル-エチレン結合剤が、クラスト溶液に添加された。十字は、平均値を示し、棒は、標準偏差を表す。
【
図42】未処理の菌糸体材料、ホットプレスされた菌糸体材料、ならびにホットプレス及び結合された菌糸体材料の最大スリット引裂力を示す。ホットプレスは、70℃で2分間行われた。ホットプレス及び結合されたサンプルについては、0.5重量%のS-10酢酸ビニル-エチレン結合剤が、クラスト溶液に添加された。十字は、平均値を示し、棒は、標準偏差を表す。
【
図43】示された可塑剤処理後のサンプルの厚さを示す。
【
図44】示された可塑剤処理後のサンプルの密度を示す。
【
図45】示された可塑剤処理後の各サンプルの最高曲げ弾性率を示す。
【
図46】示された可塑剤処理後の各サンプルの最大スリット引裂力を示す。
【
図47】示された可塑剤処理後の各サンプルの正規化されたスリット引裂力を示す。
【
図48】示された可塑剤処理後のサンプルの厚さを示す。
【
図49】示された可塑剤処理後のサンプルの密度を示す。
【
図50】示された可塑剤処理後の各サンプルの最高曲げ弾性率を示す。
【
図51】示された可塑剤処理後の各サンプルの平均曲げ弾性率を示す。
【
図52】示された可塑剤処理後の各サンプルの最大スリット引裂力を示す。
【
図53】示された可塑剤処理後の各サンプルの正規化されたスリット引裂力を示す。
【
図54】示された可塑剤処理後の各サンプルの平均曲げ弾性率を示す。
【
図55】
図55Aは、1ラウンドの浸漬後の染色された菌糸体パネルの光吸光度を示す。
図55Bは、2ラウンドの浸漬後の染色された菌糸体パネルの光吸光度を示す。
図55Cは、3ラウンドの浸漬後の染色された菌糸体パネルの光吸光度を示す。
図55Dは、4ラウンドの浸漬後の染色された菌糸体パネルの光吸光度を示す。
図55Eは、5ラウンドの浸漬後の光吸光度を示す。
【
図56】パネルの開始厚さ(cm)と比較した、最大スリット引裂力を示す。
【
図57】パネルの最終厚さ(cm)と比較した、最大スリット引裂力を示す。
【
図61】結合剤推定値(%)に対する平均剥離力(N/cm)の二変量適合を示す。
【
図62】様々な濃度のアバカ繊維を有する菌糸体サンプルの標準力値を示す。
【
図63】過ヨウ素酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、またはEDCで架橋された破壊された菌糸体サンプルの引張強さ結果を示す。
【
図64】EDC、APS/リグニン、及びホットプレスの組み合わせで架橋された破壊された菌糸体サンプルの引張強さ度結果を示す。
【
図65】対照例に対する、イオン液体で処理されたサンプルの引張強さ結果を示す。
【
図66】PAE樹脂で架橋された破壊された菌糸体の引張強さ結果を示す。
【
図67】材料の最終厚さに対する圧縮時間、温度及び圧力の影響を説明する線形モデルを示す。実線は、応答の平均を表す。陰影のある領域は、平均の95%信頼区間を表す。R
2=0.96。
【
図68】体積-濃度-真空パラメータ空間内の様々なポイントで生成されたウェブの代表的な走査型電子顕微鏡写真を、それらの対応する面密度と共に示す。スケールバーは、1.5mmである。
【
図69】スラリーにブレンドされた0.05重量%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いて、及び用いないで調製されたウェブの走査型電子顕微鏡写真を示す。
【
図70】乾燥結合ウェブ内の菌糸体の質量%を、ウェブに添加される結合剤溶液の体積及び結合剤溶液の濃度の関数として関連付けるモデルを示す。
【
図71】濃度-体積-Z位置パラメータ空間にわたる結合剤対菌糸体平均ピーク面積比を説明するモデルを示す。
【
図72】低及び高結合剤添加量について、ウェブ内のZ位置の関数として、結合剤対菌糸体の比率を示す。
【
図73】菌糸体ウェブの湿潤引張曲線に対するハイドロエンタングルメントの影響を示す。
【
図74】異なる硬化条件を伴う菌糸体材料サンプルの曲げ弾性率を示す。
【
図75】異なる硬化条件を伴う菌糸体材料サンプルのスリット引裂強さを示す。
【
図76】菌糸体材料サンプルの硬化及び染色の影響を示す。
【
図77】菌糸体材料サンプルの硬化及び染色の影響を示す。
【
図78】菌糸体材料サンプルを硬化させずに染色する影響を示す。
【
図79】超音波処理及び温浸漬法を使用した、菌糸体ウェブ上の経時的な結合剤溶液ピックアップを示す。
【
図80】0g/L、25g/L、及び50g/Lの硫酸ナトリウム、ならびに2g/LのProcion MXミディアムブルーを用いて、固定またはすすぎなしで染色されたサンプルの画像を示す。下部の2行は、サンプルの内部への染料の浸透を示す。
【
図81】水に1時間にわたって漸次浸漬し、0.5g/Lの炭酸ナトリウムで固定した後に、染色された菌糸体サンプルから浸出した染料溶液の画像を示す。
【
図82】水に1時間にわたって漸次浸漬し、1g/Lの炭酸ナトリウムで固定した後に、染色された菌糸体サンプルから浸出した染料溶液の画像を示す。
【
図83】22℃、40℃、及び60℃で2及び6時間の総染色時間で染色されたスパンレースサンプルの画像を示す。各サンプルの底部を剃り落として染料浸透を示した。
【
図84】Konica Minolta CM-5分光光度計を使用したスパンレースサンプルの定量的測定結果を示す。
【
図85】結合剤の適用及び様々な温度及び時間での硬化後に染色されたスパンレースサンプルの画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0207】
詳細な説明
定義
本開示の様々な実施形態の詳細が、以下の説明に記載されている。本開示の他の特徴、目的、及び利点は、この説明から明らかになるであろう。本明細書において別途定義されない限り、本開示に関連して使用される科学用語及び技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈により別に定めがある場合を除き、単数形の用語は、複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。「1つの(a)」及び「1つの(an)」という用語は、文脈上別様であるという指示がない限り、複数の指示対象を含む。一般に、本明細書に記載の生化学、酵素学、分子及び細胞生物学、微生物学、遺伝学、タンパク質及び核酸化学、ならびにハイブリダイゼーションに関して使用される命名法、ならびにそれらの技術は、当技術分野において周知であり、一般的に使用されるものである。
【0208】
以下の用語は、別段の指示がない限り、以下の意味を有すると理解するものとする。
【0209】
「菌糸」という用語は、分岐糸状形状を特徴とする真菌の形態学的構造を指す。
【0210】
「菌糸(hyphal)」という用語は、菌糸で構成される、その物体の構成要素を有する、物体を指す。
【0211】
「菌糸体」という用語は、分岐菌糸の1つ以上の塊によって形成される構造を指す。「質量」は、物質の量を指す。菌糸体は、真菌の子実体(fruiting body)または子実体(sporocarp)とは異なる別の構造である。
【0212】
「培養する」及び「培養された」という用語は、真菌または他の生物を意図的に成長させるための定義された技術の使用を指す。
【0213】
「培養菌糸体材料」という用語は、培養された菌糸体の1つ以上の塊を含む、または培養された菌糸体だけを含む材料を指す。いくつかの実施形態では、培養菌糸体の1つ以上の塊は、本明細書に記載されるように破壊される。ほとんどの場合、培養菌糸体材料は、以下に記載されるように、固体基材上に生成されている。
【0214】
「複合菌糸体材料」という用語は、架橋剤、天然接着剤、または合成接着剤など、本明細書に記載されるような結合剤または支持材料などの別の材料と組み合わされた培養菌糸体材料を含む任意の材料を指す。いくつかの実施形態では、菌糸体は、支持材料を含む。適切な支持材料としては、以下に限定されないが、連続した無秩序繊維の塊(例えば、不織繊維)、有孔材料(例えば、金属メッシュ、有孔プラスチック)、不連続粒子の塊(例えば、木片)、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、支持材料は、メッシュ、チーズクロス、布、編布、織布、及び不織布からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、菌糸体は、補強材料を含む。補強材料は、菌糸体または複合菌糸体材料内に絡合された支持材料である。いくつかの実施形態では、菌糸体は、ベース材料を含む。ベース材料は、菌糸体または複合菌糸体材料の1つ以上の表面上に位置付けられている支持材料である。
【0215】
「組み込む」という用語は、例えば、培養菌糸体材料、複合菌糸体材料、または結合剤など、別の物質と組み合わされるか、または接触させられ得る任意の物質を指す。特定の実施形態では、菌糸体または複合菌糸体材料は、例えば、一緒に織られる、ねじられる、巻かれる、折り畳まれる、巻き付けられる、絡合される、または編まれるなど、支持材料と組み合わされ、接触させられ、または支持材料に組み込まれて、支持材料と合併されている菌糸体材料を生成し得る。別の実施形態では、1つ以上の結合剤は、例えば、噴霧、飽和、浸漬、ニップ圧延、コーティングなどによって材料全体に埋め込まれるか、もしくは薄いコーティング層として追加されるなど、破壊状態または非破壊状態のいずれかで、結合される培養菌糸体材料内に組み込まれて、菌糸体材料を生成し得る。
【0216】
本明細書で使用されるとき、分岐菌糸の1つ以上の塊に関する「破壊された」という用語は、1つ以上の破壊が適用された分岐菌糸の1つ以上の塊を指す。本明細書に記載される「破壊」は、機械的、または化学的、またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、分岐菌糸の1つ以上の塊は、機械的作用によって破壊される。本明細書で使用されるとき、「機械的作用」は、機械またはツールの操作、またはそれらに関連する操作を指す。例示的な機械的作用としては、以下に限定されないが、ブレンディング、チョッピング、インパクト、突固め、バウンディング、細断、研削、圧縮、高圧、せん断、レーザー切断、ハンマーミリング、及びウォータージェット力が挙げられる。いくつかの実施形態では、機械的作用は、物理的な力を、例えば、分岐菌糸の塊の少なくとも一部が1つ以上の方向において平行に整列されるように、1つ以上の方向に印加することを含み得、物理的な力は、繰り返し印加される。いくつかの他の実施形態では、分岐菌糸の1つ以上の塊が、化学処理によって破壊される。本明細書で使用されるとき、「化学処理」は、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料を、破壊を引き起こすのに十分な量の化学薬剤、例えば、塩基または他の化学薬剤と接触させることを指す。様々な実施形態では、機械的作用及び化学処理の組み合わせが、本明細書で使用され得る。適用される機械的作用(例えば、圧力の量)及び/または化学薬剤の量、機械的作用及び/または化学処理が適用される期間、ならびに機械的作用及び/または化学薬剤が適用される温度は、一部は、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料の成分に依存し、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料に最適な破壊をもたらすように選択される。
【0217】
本明細書で使用される、「可塑剤」という用語は、ある構造と相互作用して該構造の流動性を高める任意の分子を指す。
【0218】
本明細書で使用される、「処理された菌糸体材料」という用語は、保存剤、可塑剤、仕上げ剤、染料、及び/またはタンパク質処理による処理の任意の組み合わせによって後処理された菌糸体を指す。
【0219】
本明細書で使用されるとき、「ウェブ」という用語は、破壊され、スラリーに変換され、フォーメーション内に配置された(例えば、ドライレイド、エアレイド、及び/またはウェットレイド)菌糸体材料または複合菌糸体材料を指す。
【0220】
本明細書で使用されるとき、「スパンレース」という用語は、破壊され、ハイドロエンタングルされた菌糸体材料または複合菌糸体材料であって、分岐菌糸の1つ以上の体の塊が、水などのジェットを使用して絡合されている、菌糸体材料または複合菌糸体材料を指す。
【0221】
別段の定義のない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示の主題が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似または同等の任意の方法及び材料を本開示の主題の実施または試験において使用することもできるが、好ましい方法及び材料をここに記載する。本明細書で言及するすべての刊行物は、参照することにより組み込まれ、該刊行物が関連して引用される方法及び/または材料を開示及び記載する。
【0222】
値の範囲が与えられる場合、文脈が別途明確に指示しない限り、その範囲の上限と下限との間の、下限の単位の1/10までの各介在値、ならびにその示された範囲内の任意の他の示された値または介在値が、本開示の態様に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、そのより小さい範囲に独立して含まれてもよく、また本開示の態様に包含され、示された範囲内の任意の具体的に除外された限界の対象である。その示された範囲が一方または両方の限界を含む場合、その含まれる限界のいずれかまたは両方もまた、本開示の態様に含まれる。
【0223】
本明細書では、特定の範囲が、「約」という用語が先行する数値で提示される。本明細書では、「約」という用語は、その用語が先行する正確な数、ならびにその用語が先行する数に近い数か、または近似する数を文字通り支持するために使用される。ある数が具体的に記載された数に近いかまたはほぼ等しいかどうかの判断において、記載されていない数に近いかまたはほぼ等しい数は、それが提示される文脈において、具体的に記載された数と実質的に同等のものを与える数であり得る。
【0224】
例示的な方法及び材料が、以下に記載されるが、本明細書に記載のものと類似または同等の方法及び材料が、本開示の実施で同様に使用され得、それらは、当業者には明らかであろう。本明細書で言及するすべての刊行物及び他の参考文献は、参照することによりその全体が組み込まれる。矛盾する場合、定義を含めて本明細書が優先する。該材料、方法、及び実施例は、例示に過ぎず、限定することを意図しない。
【0225】
菌糸体組成物及び製造方法
本明細書に提供されるのは、培養菌糸体材料及び複合菌糸体材料、ならびに培養菌糸体材料及び複合菌糸体材料を製造するスケーラブルな方法である。いくつかのまたはほとんどの実施形態では、複合菌糸体材料は、分岐菌糸の1つ以上の塊を有する培養菌糸体材料であって、分岐菌糸の1つ以上の塊が破壊されている、培養菌糸体材料と、結合剤と、を含む。培養菌糸体材料及び複合菌糸体材料を製造する方法も、提供される。
【0226】
菌糸体を成長させる方法を論じている例示的な特許及び出願としては、以下に限定されないが、WIPO特許公開第1999/024555号、英国特許第2,148,959号、英国特許第2,165,865号、米国特許第5,854,056号、米国特許第2,850,841号、米国特許第3,616,246号、米国特許第9,485,917号、米国特許第9,879,219号、米国特許第9,469,838号、米国特許第9,914,906号、米国特許第9,555,395号、米国特許公開第2015/0101509号、米国特許公開第2015/0033620号が挙げられ、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。2018年10月4日に出願された米国特許公開第2018/0282529号は、布または皮革代替品に加工するための良好な機械的特性を有する材料を製造するために、菌糸体材料の溶液ベースの後処理の様々なメカニズムについて論じている。
【0227】
図1に示されるように、本明細書に記載のいくつかの実施形態による、菌糸体材料を製造する例示的な方法は、菌糸体材料を培養することと、任意選択で、培養菌糸体材料を破壊することと、任意選択で、結合剤を添加することと、任意選択で、支持材料などの追加の材料を組み込むことと、これらの組み合わせと、を含む。様々な実施形態では、従来のペーパーミリング装置が、本明細書に提示される工程の一部または全てを実行するように適合されるか、または使用され得る。そのような実施形態では、菌糸体材料は、従来のペーパーミリング装置を使用して製造される。
【0228】
互いに連通するいくつかの成分での実施形態の記載は、すべてのかかる成分が必要とされることを意味するものではない。反対に、本開示の1つ以上の態様の多種多様な可能な実施形態を例示するため、及び本開示の1つ以上の態様をより完全に例示するために、様々な任意選択の構成要素が記載されることがある。同様に、工程段階、方法段階、アルゴリズム等は順番に記載され得るが、かかる工程、方法、及びアルゴリズムは、特段の記載のない限り、一般に、別の順序で生じるように構成される場合もある。言い換えれば、本明細書に記載され得る段階の任意の並びまたは順序は、それ自体、該段階がその順序で行われるという要件を示さない。記載の工程段階は、任意の実用的な順序で行われ得る。さらに、いくつかの段階は、同時には生じないと記載されている、または暗示されているにもかかわらず(例えば、1つの段階が他の段階の後に記載されていても)、同時に行われる場合もある。さらに、図面における工程のその描写による説明は、説明された工程が他の変形及び修正を排除することを意味せず、説明された工程またはその段階のいずれかが1つ以上の実施形態に必要であることを意味せず、説明された工程が好ましいことを意味しない。また、段階は、一般に、実施形態に1回記載されるが、これは、工程、方法、またはアルゴリズムが行われるもしくは実行されるごとに、それらが1回行われなければならないことも、1回だけ行われ得ることも意味しない。いくつかの段階は、いくつかの実施形態またはいくつかの発生において省略される場合もあれば、いくつかの段階が、所与の実施形態または発生において2回以上実行される場合もある。
【0229】
培養菌糸体材料
本開示の実施形態は、様々な種類の培養菌糸体材料を含む。特定の実施形態及び求められる材料の要件に応じて、菌糸体を培養する様々な既知の方法が使用され得る。菌糸体として培養することができる任意の真菌が使用され得る。使用に好適な真菌種としては、以下に限定されないが、シロオオハラタケ(Agaricus arvensis)、アグロサイブ・ブラシリエンシス(Agrocybe brasiliensis)、アミロマイセス・ルキシイ(Amylomyces rouxii)、アミロマイセス属(Amylomyces)の種、アルミラリア・メレア(Armillaria mellea)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、クロコウジカビ(Aspergillus niger)、コウジカビ(Aspergillus oryzae)、セリポリア・ラセラタ(Ceriporia lacerata)、ササクレヒトヨタケ(Coprinus comatus)、フィブロポリア・バイランティ(Fibroporia vaillantii)、カンゾウタケ(Fistulina hepatica)、フラムリナ・ベルティペス(Flammulina velutipes)、フォミトプシス・オフィシナリス(Fomitopsis officinalis)、ガノデルマ・セッシル(Ganoderma sessile)、ガノデルマ・ツガエ(Ganoderma tsugae)、ヤマブシタケ(Hericium erinaceus)、ハイフォロマ・カプノイデス(Hypholoma capnoides)、ハイフォロマ・サブラテリウム(Hypholoma sublaterium)、カバノアナタケ(Inonotus obliquus)、キチチタケ(Lactarius chrysorrheus)、カラカサタケ(Macrolepiota procera)、アミガサタケ(Morchella angusticeps)、マイセリオフィソラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、アカパンカビ(Neurospora crassa)、ペニシリウム・カマンベルティ(Penicillium camembertii)、ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)、ペニシリウム・ルベンス(Penicillium rubens)、フィコマイセス・ブラケスリーアヌス(Phycomyces blakesleeanus)、トキイロヒラタケ(Pleurotus djamor)、ヒラタケ(Pleurotus ostreatus)、アミヒラタケ(Polyporus squamosus)、プサイレラ・アクアティカ(Psathyrella aquatica)、リゾプス・ミクロスポラ(Rhizopus microspores)、リゾプス・オリーゼ(Rhizopus oryzae)、スエヒロタケ(Schizophyllum commune)、ストレプトマイセス・ベネスエラ(Streptomyces venezuelae)、サケツバタケ(Stropharia rugosoannulata)、チエラヴィア・テレストリス(Thielavia terrestris)、及びトウモロコシ黒穂菌(Ustilago maydis)が挙げられる。いくつかの実施形態では、使用される真菌は、ガノデルマ・セッシル、アカパンカビ、及び/またはフィコマイセス・ブラケスリーアヌスを含む。
【0230】
いくつかの実施形態では、真菌の株または種は、例えば、菌糸の密なネットワーク、菌糸の高度に分岐したネットワーク、菌糸のネットワーク内の菌糸融合、及び培養菌糸体材料の特性を変化させ得る他の特性など、特定の特性を有する培養菌糸体材料を産生するように育種され得る。いくつかの実施形態では、真菌の株または種は、特定の特性を有する培養菌糸体材料を産生するように、遺伝子操作され得る。
【0231】
ほとんどの実施形態では、培養菌糸体は、最初に、固体または液体基材に、選択された真菌種由来の菌糸体の接種材料を植菌することによって、成長させられ得る。いくつかの実施形態では、植菌の前に該基材を低温殺菌または滅菌し、他の生物によるコンタミネーションまたは競合を防止する。例えば、菌糸体を培養する標準的な方法は、滅菌された固体基材(例えば、穀類)に菌糸体の接種材料を植菌することを含む。菌糸体を培養する他の標準的な方法は、滅菌された液体培地(例えば、液体ポテトデキストロース)に菌糸体の接種材料または純粋培養種菌を植菌することを含む。いくつかの実施形態では、該固体及び/または液体基材は、菌糸体の炭素源としてリグノセルロースを含む。いくつかの実施形態では、該固体及び/または液体基材は、菌糸体の炭素源として単糖または複合糖類を含む。
【0232】
ここで
図13を参照すると、菌糸体材料を製造するための方法100が、示されている。方法100は、固体支持体上に栄養源を接種することと104、106で混合物をインキュベートして、菌糸体のバイオマスを成長させることと、108で菌糸体の培養バイオマスを収集することと、110で菌糸体のバイオマスをウェブ形成して、菌糸ネットワークを形成することと、112で菌糸ネットワーク内で菌糸の分岐を絡合させることと、を含む。
【0233】
工程106では、接種された栄養源をインキュベートして、菌糸体バイオマスの成長を促進する。栄養源及び固体支持体の条件は、下流プロセスでの絡合のために十分な形態学的特性を有する、複数の菌糸の分岐を有する菌糸体バイオマスの成長を促進するように選択され得る。例示的な形態学的特性としては、菌糸分岐の最小長さ、菌糸ネットワークの所望の密度、菌糸の所望の分岐の程度、所望のアスペクト比、及び/または菌糸ネットワークの所望の菌糸融合の程度が挙げられる。本開示の一態様によれば、106でのインキュベート工程における固体支持体の条件は、少なくとも約0.1mmの長さを有する菌糸の複数の分岐を有する菌糸体のバイオマスの成長を促進するように選択される。例えば、菌糸は、約0.1mm~約5mm、約0.1mm~約4mm、約0.1mm~約3mm、約0.1mm~約2mm、約0.1mm~約1mm、約1mm~約5mm、約1mm~約4mm、約1mm~約3mm、約1mm~約2mm、約2mm~約5mm、約2mm~約4mm、または約2mm~約3mmの長さを有し得る。
【0234】
インキュベーション工程106は、酸素の存在下で、有酸素条件下で行われ得る。任意選択で、固体支持体は、インキュベーション工程の全部または一部の間、チャンバ内に密封され得る。いくつかの実施例では、酸素が、チャンバに導入され得る。インキュベーション温度は、特定の真菌種に基づいて選択され得る。いくつかの実施例では、インキュベーション中のチャンバの温度は、約20℃~約40℃、約25℃~約40℃、約30℃~約40℃、約35℃~約40℃、約20℃~約35℃、約25℃~約35℃、約30℃~約35℃、約20℃~約30℃、または約25℃~約30℃である。
【0235】
インキュベーション工程106は、菌糸の複数の分岐を含む菌糸体のバイオマスの成長を促進するように構成される。インキュベーション工程106は、工程108で菌糸体の培養バイオマスが収集されると、終了され得る。インキュベーション工程106は、所定の時間に、または所定の濃度の菌糸体バイオマスに到達したときに、終了され得る。工程108で培養バイオマスが収集された後、菌糸体のいくらかの継続的な成長があってもよい。任意選択で、菌糸体バイオマスを処理して、菌糸体の成長を停止させてもよい。
【0236】
工程108で、培養菌糸体バイオマスが、収集される。収集されたバイオマスは、乾燥菌糸体バイオマスを水溶液に添加することによってスラリーにすることができる。工程108で、そのようなスラリー状の収集された菌糸体のバイオマスの濃度は、工程110での後続のウェブ形成プロセスに基づいて調整され得る。いくつかの実施例では、菌糸体の培養バイオマスは、スラリーの形態である。菌糸体のバイオマスの濃度は、スラリーの体積を増加させることによって、またはスラリーから液体の少なくとも一部を除去することによって菌糸体バイオマスを濃縮することによって、調整され得る。いくつかの実施例では、菌糸体バイオマスの濃度は、約10g/L~約30g/L、約10g/L~約25g/L、または約10g/L~約20g/Lの濃度に調整され得る。他の実施例では、菌糸体の培養バイオマスが、収集及び乾燥され得る。
【0237】
いくつかの態様では、結合剤が、任意選択で、工程110におけるウェブ形成プロセスの前に、ウェブ形成プロセス中に、またはウェブ形成プロセスの後に、菌糸体の培養バイオマスに添加され得る。結合剤は、菌糸体の培養バイオマスを収集する前、収集中、または収集後、及び/または菌糸体の培養バイオマスの濃度を調節する前、調整中、または調整後に、添加され得る。結合剤は、本明細書に記載の任意の接着剤、樹脂、架橋剤、または高分子マトリックス材料、及びそれらの組み合わせを含み得る。
【0238】
いくつかの態様では、菌糸の複数の分岐が、工程110のウェブ形成プロセスの前、ウェブ形成プロセス中、またはウェブ形成プロセスの後に、任意選択で破壊され得る。菌糸の複数の分岐は、菌糸を破壊するための本明細書に記載の機械的及び/または化学的方法のいずれかに従って、破壊され得る。例えば、工程110のウェブ形成プロセスの前に、菌糸が、ブレンディング、チョッピング、インパクト、突固め、バウンディング、細断、研削、圧縮、高圧ウォータージェット、または剪断力などの機械的作用によって、機械的に破壊され得る。菌糸は、菌糸体の培養バイオマスの濃度を調節する前、調節中、または調節後に破壊され得る。
【0239】
いくつかの態様では、収集された菌糸体のバイオマスは、任意選択で、工程110のウェブ形成プロセスの前、ウェブ形成プロセス中、またはウェブ形成プロセスの後に、天然及び/または合成繊維と組み合わされ得る。一態様では、繊維は、菌糸の複数の分岐を破壊する前、破壊中、または破壊後に、菌糸体と組み合わされ得る。繊維は、任意の適切な寸法を有し得る。好適な繊維の非限定的な例としては、セルロース繊維、綿繊維、レーヨン繊維、リヨセル繊維、TENCEL(商標)繊維、ポリプロピレン繊維、及びそれらの組み合わせが挙げられる。一態様では、繊維は、約25mm未満、約20mm未満、約15mm未満、または約10mm未満の長さを有し得る。例えば、繊維は、約1mm~約25mm、約1mm~約20mm、約1mm~約15mm、約1mm~約10mm、約1mm~約5mm、約5mm~約25mm、約5mm~約20mm、約5mm~約15mm、約5mm~約10mm、約10mm~約25mm、約10mm~約20mm、または約10mm~約15mmの長さを有し得る。繊維は、所望の濃度で、菌糸体と組み合わされ得る。一実施例では、繊維は、約1重量%~約25重量%、約1重量%~約20重量%、約1重量%~約15重量%、約1重量%~約10重量%、約1重量%~約5重量%、約5重量%~約25重量%、約5重量%~約20重量%、約5重量%~約15重量%、約5重量%~約10重量%、約10重量%~約25重量%、約10重量%~約20重量%、または約10重量%~約15重量%の量で、菌糸体と組み合わされ得る。
【0240】
工程110において、工程108で収集された菌糸体のバイオマスが、ウェブ形成プロセスに従って処理されて、菌糸ネットワークを形成し得る。ウェブ形成プロセスは、本明細書に記載のウェットレイ、ドライアレイ、またはエアレイ技術のいずれかを含み得る。工程110で形成されたウェブの菌糸は、本明細書に記載の結合剤のいずれかを使用して、任意選択で化学的及び/または熱的に結合され得る。
【0241】
任意選択で、工程110のウェブ形成は、支持材料上に菌糸の分岐を敷設することを含み得る。本明細書に記載されるように、いくつかの態様では、支持材料は、補強材料である。好適な支持材料の非限定的な例としては、織繊維、連続した無秩序繊維の塊(例えば、不織繊維)、有孔材料(例えば、金属メッシュまたは有孔プラスチック)、不連続粒子の塊(例えば、木片)、チーズクロス、布、もつれた繊維(knot fiber)、スクリム、及び織物が挙げられる。菌糸は、支持材料と組み合わされ、接触され、及び/または支持材料に組み込まれ得る。例えば、いくつかの態様では、本明細書に記載されるように、菌糸は、支持材料と共に織られ、ねじられ、巻かれ、折り曲げられ、巻き付けられ、絡合され、及び/または編まれて、菌糸体材料を形成し得る。いくつかの態様では、繊維は、化学結合剤の添加前、添加中、及び/または添加後に、支持材料上に敷設され得る。いくつかの態様では、補強材料は、ウェブ形成工程110の前、ウェブ形成工程110中、またはウェブ形成工程110後に、菌糸の分岐と組み合わされ得る。
【0242】
工程112において、工程110で形成された菌糸ネットワークは、菌糸ネットワーク内の菌糸の複数の分岐を絡合させるための絡合プロセスを経ることができる。絡合プロセスは、ニードルパンチ(フェルティングとも呼ばれる)及び/またはハイドロエンタングルを含み得る。支持材料が存在する場合、絡合プロセスは、任意選択で、複数の菌糸分岐の少なくとも一部を支持材料と絡合させることを含む。絡合プロセスは、菌糸間に、及び任意選択で、菌糸と支持材料(存在する場合)との間に機械的相互作用を形成し得る。いくつかの実施形態では、菌糸は、支持材料と絡合されない。
【0243】
いくつかの態様では、工程112の絡合は、1つ以上のニードルが菌糸ネットワーク内に挿入され、及び菌糸ネットワークから挿出される、ニードルパンチまたはニードルフェルティングプロセスを通じて達成される。菌糸ネットワークを出入りするニードルの動作が、菌糸を絡合させること、及び任意選択で、菌糸を配向させることを容易にする。ニードルのアレイを有するニードルパンチを使用して、ニードルアレイの各パスで、菌糸ネットワークを複数の位置で穿孔することができる。ニードルの数、ニードルの間隔、ニードルの形状、及びニードルのサイズ(すなわち、ニードルゲージ)を選択して、菌糸ネットワークの所望の程度の絡合を提供することができる。例えば、ニードルは、有刺であってもよく、任意の好適な形状を有してもよく、その非限定的な例としては、ピンチブレード、スターブレード、及び円錐形ブレードが挙げられる。面積当たりのニードルパンチ数及び穿孔速度もまた、菌糸ネットワークの所望の程度の絡合を提供するように選択され得る。ニードルパンチまたはニードルフェルティングプロセスのパラメータは、真菌種、菌糸ネットワークを形成する菌糸の形態及び寸法、所望の絡合の程度、及び/または菌糸体材料の最終用途に少なくとも部分的に基づいて、選択され得る。
【0244】
いくつかの態様では、工程112における絡合は、ハイドロエンタングルメントプロセスを通じて達成される。ハイドロエンタングルメントプロセスは、高圧液体ジェットを菌糸ネットワーク内に導いて、菌糸を絡合させることを容易にする。液体は、任意の好適な液体であってよく、その例として、水が挙げられる。絡合プロセスは、液体のストリームを菌糸ネットワーク内の特定の位置に導くように構成された穴のアレイを有するスピナレットを含み得る。穴の直径は、所望の直径を有する液体のジェットを菌糸ネットワークに向けて提供するように選択され得る。例えば、アレイ内の穴の数及びアレイ内の穴の間隔などのスピナレットのさらなる態様は、菌糸ネットワークの所望の程度の絡合を提供するように選択され得る。菌糸ネットワーク及びスピナレットは、液体ジェットが、あるパターンで菌糸ネットワークに向けられるように、互いに対して移動し得る。例えば、スピナレットは、一般的に「Z」または「N」形状のパターンで、菌糸ネットワークに対して移動して、スピナレットの複数のパスを菌糸ネットワーク上に提供し得る。パスの数及び適用パターンは、菌糸ネットワークの所望の程度の絡合を提供するように選択され得る。ハイドロエンタングルメントプロセスのパラメータは、真菌種、菌糸ネットワークを形成する菌糸の形態及び寸法、所望の絡合の程度、及び/または菌糸体材料の最終用途に少なくとも部分的に基づいて、選択され得る。いくつかの実施例では、ハイドロエンタングルメントプロセスは、段階的に行われ、菌糸体材料の一部がウェブ形成され(例えば、ウェットレイ)、ハイドロエンタングルメントプロセスが進行し、次いで菌糸体材料の第2の部分が第1の部分の上にウェブ形成され、そしてハイドロエンタングルメントプロセスが繰り返される。菌糸体材料の一部をウェブ形成し、ウェブ形成部分をハイドロエンタングルするこのプロセスは、材料の最終厚さがウェブ形成されるまで、任意の回数繰り返され得る。
【0245】
液体圧力、スピナレット内の開口部の直径、及び/または液体の流量は、菌糸ネットワークの所望の程度の絡合、及び任意選択で、菌糸ネットワーク及び支持材料の絡合を提供するように選択され得る。例えば、ハイドロエンタングルメントプロセス中の液体圧力は、少なくとも100psi、少なくとも200psi、少なくとも300psi、少なくとも400psi、少なくとも500psi、少なくとも600psi、少なくとも700psi、少なくとも800psi、少なくとも900psi、または少なくとも1000psiであり得る。いくつかの実施例では、液体ジェットの圧力は、約700~約900psiである。いくつかの実施例では、スピナレット内の開口部の直径は、少なくとも約10マイクロメートル、少なくとも約30マイクロメートル、少なくとも約50マイクロメートル、少なくとも約70マイクロメートル、少なくとも約90マイクロメートル、少なくとも約110マイクロメートル、少なくとも約130マイクロメートル、または少なくとも約150マイクロメートルである。例えば、スピナレット内の開口部の直径は、約10マイクロメートル~約150マイクロメートル、20マイクロメートル~約70マイクロメートル、約30マイクロメートル~約80マイクロメートル、約40マイクロメートル~約90マイクロメートル、約50マイクロメートル~約100マイクロメートル、約60マイクロメートル~約110マイクロメートル、または約70マイクロメートル~約120マイクロメートルであり得る。いくつかの実施例では、開口部は、約50マイクロメートルの直径を有する。液体の流量は、いくつかの実施例では、約100mL/分~約300mL/分であり得る。いくつかの実施例では、絡合プロセス中のベルト速度は、約1メートル/分である。
【0246】
112の絡合プロセスの完了後、菌糸体材料は、本明細書に記載の後処理方法及び/または処理のいずれかに従って処理され得る。後処理方法及び処理の非限定的な例としては、可塑剤による処理、タンニン及び/または染料による処理、防腐剤による処理、タンパク質源による処理、コーティング及び/または仕上げ剤による処理、乾燥プロセス、圧延もしくは圧縮プロセス、ならびにエンボス加工における処理が挙げられる。
【0247】
様々な実施形態では、該液体または固体基材には、1つ以上の異なる栄養源が補充され得る。該栄養源は、リグノセルロース、単糖(例えば、デキストロース、グルコース)、複合糖類、寒天、麦芽エキス、窒素源(例えば、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、アミノ酸)、及び他のミネラル(例えば、硫酸マグネシウム、リン酸)を含み得る。いくつかの実施形態では、栄養源の1つ以上は、木材廃棄物(例えば、硬木、ブナ材、及びヒッコリー由来のおがくず)及び/または農業廃棄物(例えば、家畜糞、わら、トウモロコシ茎葉)内に存在し得る。基材が、植菌され、任意選択で1つ以上の異なる栄養源を補給されると、培養菌糸体が成長し得る。菌糸体を成長させる方法は、当技術分野で十分に確立されている。菌糸体を成長させる例示的な方法としては、以下に限定されないが、米国特許第5,854,056号、米国特許第4,960,413号、及び米国特許第7,951,388号が挙げられる。
【0248】
いくつかの実施形態では、該菌糸体材料の成長は、子実体の形成を防ぐように制御される。子実体形成を防止する様々な方法が、米国特許公開第2015/0033620号、米国特許第9,867,337号、及び米国特許第7,951,388号で詳細に論じられている。他の実施形態では、培養菌糸体は、培養菌糸体に形態学的または構造的変化がないように成長し得る。求められる実施形態によっては、成長条件、例えば、光(例えば、太陽光または成長用ランプ)への曝露、温度、二酸化炭素が、成長の過程で制御され得る。
【0249】
いくつかの実施形態では、培養菌糸体は、寒天培地上で成長し得る。栄養素を該寒天/水基剤に加えてもよい。菌糸体の培養に通常使用される標準的な寒天培地としては、強化型の麦芽エキス寒天(MEA)、ポテトデキストロース寒天(PDA)、オートミール寒天(OMA)、及びドッグフード寒天(DFA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0250】
ほとんどの実施形態では、培養菌糸体材料は、固体塊として成長し得、後で破壊され得る。破壊される培養菌糸体材料は、以下に記載されるように、生きたマットであり得るか、保存され得るか、そうでなければ菌糸体を殺す(すなわち、菌糸体の成長を停止する)ように処理され得る。
【0251】
いくつかの実施形態では、培養菌糸体材料は、互いに相互接続し、さらに、以下にさらに記載されるように、成長手順で提供される様々な支持材料と相互接続し得る細いフィラメントを画定する細長い菌糸を含むように成長し得る。細いフィラメントは、細いフィラメントの成長した長さが、細いフィラメントと様々な添加剤との間の十分なネットワーク相互接続をサポートするのに十分であるかどうかを判定するために、光学拡大または撮像装置を使用して分析され得る。細いフィラメントは、十分な長さを有するだけでなく、それらの間に適切な相互接続を提供するために柔軟であるべきである。
【0252】
いくつかの実施形態では、培養菌糸体材料は、ドライアレイ、ウェットレイ、またはエアレイ技術を使用して処理され得る。ドライレイまたはドライアレイでは、分岐菌糸の不活性なまたは成長している菌糸体ネットワークが、引き離され、解絡されて、ネットワークの体積を拡大し得る。同様に、ウェットレイ技術では、分岐菌糸の不活性なまたは成長している菌糸体ネットワークが、液体培地中で飽和して解絡し、ネットワークの体積を拡大し得る。さらに、エアレイ技術では、不活性なまたは成長している分岐菌糸の菌糸体ネットワークが、空気中に懸濁して、ネットワークの体積を拡大するウェブを作成し得る。そのような技術の後、拡大したネットワークが圧縮されて、密なまたは圧縮されたネットワークを提供し得る。ウェブは、1立方メートル当たり少なくとも6gmの全体的な密度プロファイルを含むように高密度化され得る。圧縮されたウェブは、レザーの代替材料を提供するために、複製されたレザーパターンでエンボス加工され得る。
【0253】
いくつかの実施形態では、方法は、菌糸体の収集されたバイオマスをウェブ形成する工程を含む。いくつかの実施形態では、菌糸体の収集されたバイオマスをウェブ形成する工程は、菌糸体のバイオマスを支持材料上に堆積することを含む。
【0254】
いくつかの実施形態では、支持材料は、織繊維、不織繊維、メッシュ、有孔プラスチック、木くず、チーズクロス、布、もつれた繊維、スクリム、織物、またはそれらの組み合わせを含む。
【0255】
いくつかの実施形態では、菌糸の複数の分岐を絡合させることは、菌糸の複数の分岐の少なくとも一部を支持材料と絡合させることを含む。
【0256】
いくつかの実施形態では、方法は、ウェブ形成工程の前、ウェブ形成工程中、またはウェブ形成工程の後のうちの1つで、補強材料を、菌糸体のバイオマスと組み合わせることをさらに含む。いくつかの実施形態では、ウェブ形成は、ウェットレイ、エアレイ、またはドライレイを含む。
【0257】
いくつかの実施形態では、方法は、ウェブ形成工程の前、ウェブ形成工程中、またはウェブ形成工程の後のうちの1つで、天然繊維、合成繊維、またはそれらの組み合わせのうちの1つを菌糸体のバイオマスと組み合わせることを含む。
【0258】
いくつかの実施形態では、繊維は、25mm未満の長さを有する。
【0259】
破壊された培養菌糸体材料
分岐菌糸の1つ以上の塊を含む様々な種類の培養菌糸体材料は、製造プロセス中の様々なポイントで破壊され得、それにより、破壊された分岐菌糸の1つ以上の塊を生成する。そのような実施形態では、培養菌糸体材料は、破壊された分岐菌糸の1つ以上の塊を含む。培養菌糸体材料は、結合剤を添加する前または後に、破壊され得る。一態様では、培養菌糸体材料は、結合剤の添加と同時に破壊され得る。破壊の例示的な実施形態としては、以下に限定されないが、機械的作用、化学処理、またはそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、分岐菌糸の1つ以上の塊は、機械的作用及び化学処理の両方、機械的作用のみ、または化学処理のみによって破壊され得る。
【0260】
いくつかの実施形態では、分岐菌糸の1つ以上の塊は、機械的作用によって破壊される。機械的作用としては、ブレンド、チョッピング、インパクト、突固め、バウンディング、細断、研削、圧縮、高圧、ウォータージェット、及び剪断力が含まれ得る。いくつかの実施形態では、機械的作用は、分岐菌糸の1つ以上の塊をブレンドすることを含む。そのような破壊を達成する例示的な方法としては、ブレンダー、ミル、ハンマーミル、ドラムカーダー、熱、圧力、水などの液体、グラインダー、ビーター、及びリファイナの使用が挙げられる。例示的な製造プロセスでは、培養菌糸体材料は、均質化、粉砕、コアセルベーション、ミリング、ジェットミリング、ウォータージェットなどの従来の単位操作によって、機械的に破壊される。
【0261】
さらなる態様によれば、機械的作用は、分岐菌糸の塊の少なくとも一部が、特定のフォーメーションに整列されるように、例えば、平行なフォーメーションに、または応力方向に沿ってもしくはそれとは逆に整列されるように、分岐菌糸の1つ以上の塊に物理的な力を印加することを含む。物理的な力は、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料の1つ以上の層に、印加され得る。このような破壊された菌糸体材料は、典型的には、様々な配向を有する層で構成され得る。例示的な物理的な力としては、以下に限定されないが、引っ張り力及び整列させる力が挙げられる。そのような破壊を達成する例示的な方法としては、ローラ及びドラフト装置の使用が挙げられる。いくつかの実施形態では、物理的な力は、分岐菌糸の塊の少なくとも一部が、1つ以上の方向において平行に整列されるように、1つ以上の方向に印加され、物理的な力は、繰り返し印加される。そのような実施形態では、物理的な力は、少なくとも2回、例えば、少なくとも3回、少なくとも4回、または少なくとも5回印加され得る。
【0262】
いくつかの他の実施形態では、分岐菌糸の1つ以上の塊が、化学処理によって破壊される。そのような実施形態では、化学処理は、分岐菌糸の1つ以上の塊を、以下に限定されないが、アルカリ性過酸化物、ベータ-グルカナーゼ、界面活性剤、酸、及び水酸化ナトリウム及び炭酸ナトリウム(またはソーダ灰)などの塩基を含む、破壊を引き起こすのに十分な塩基または他の化学薬剤と接触させることを含む。溶液中の培養菌糸体材料のpHは、最適なpHを維持するために監視され得る。
【0263】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の破壊は、破壊された分岐菌糸の1つ以上の塊、例えば、サブネットワークを生成する。本明細書で使用されるとき、「サブネットワーク」は、例えば、機械的作用または化学処理などの破壊後に産生される分岐菌糸の別個の塊を指す。サブネットワークは、例えば、球形、正方形、矩形、菱形、及び特殊形状のサブネットワークなど、色々な形状であり得、各サブネットワークは、様々なサイズであり得る。培養菌糸体材料は、例えば、所望の範囲内のサイズを有するサブネットワークなど、破壊された分岐菌糸の1つ以上の塊を生成するように、十分に破壊され得る。多くの場合、破壊は、所望の範囲内のサブネットワークのサイズ及びサイズ分布の両方を取得するように、十分に制御され得る。サブネットワークのより正確なサイズ分布が必要とされる他の実施形態では、破壊された培養菌糸体材料は、例えば、ふるい分け、凝集などによって、所望のサイズ分布を提供するようにさらに処理または選択され得る。例えば、サブネットワークは、例えば、両端値を含む約0.1mm~約5mmの長さ、例えば、約0.1mm~約2mm、約1mm~約3mm、約2mm~約4mm、及び約3mm~約5mmの長さによって表されるサイズを有し得る。いくつかの実施形態では、サブネットワークは、約2mmの長さによって表されるサイズを有し得る。サブネットワークの「長さ」は、サブネットワークの最も拡張された寸法に相当する距離の尺度である。他の測定可能な寸法としては、以下に限定されないが、長さ、幅、高さ、面積、及び体積が挙げられる。
【0264】
様々な実施形態では、物理的な力は、破壊後の分岐菌糸の1つ以上の塊の間に新しい物理的相互作用(すなわち、再絡合)を生成するために使用され得る。繊維間に機械的相互作用を生じさせることによって不織材料を作成する方法を含む、繊維間に絡合を生じさせる様々な既知の方法が、使用され得る。以下に記載されるいくつかの実施形態では、菌糸が破壊された後に、ハイドロエンタングルメントを使用して菌糸間に機械的相互作用を生成し得る。
【0265】
保存培養菌糸体材料
培養菌糸体材料が成長したら、該培養菌糸体材料は、任意選択で、当技術分野で既知の任意の方法で、基材から分離され得、任意選択で、菌糸体を殺すこと、及びさもなければ本明細書で「保存菌糸体材料」と呼ばれる、菌糸体を腐敗しないようにすることによってさらなる成長を防止するために、後処理に供され得る。保存菌糸体材料を生成する適切な方法としては、該培養菌糸体材料を乾燥することまたは脱水すること(例えば、該培養菌糸体材料を圧縮して水分を排出すること)及び/または該培養菌糸体材料を熱処理することを挙げることができる。
【0266】
特定の実施形態では、該培養菌糸体材料は、190,000重量ポンドにて、0.25インチまで30分間圧縮される。培養菌糸体材料は、少なくとも100、1000、10,000、100,000、110,000、120,000、130,000、140,000、150,000、160,000、170,000、180,000、190,000、200,000、もしくは300,00重量ポンドまたはそれ以上の力で、圧縮され得る。培養菌糸体材料は、少なくとも0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.4、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.5、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.6、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、もしくは1インチまたはそれ以上に圧縮され得る。培養菌糸体材料は、少なくとも0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.3、0.31、0.32、0.33、0.34、0.35、0.36、0.37、0.38、0.39、0.4、0.41、0.42、0.43、0.44、0.45、0.46、0.47、0.48、0.49、0.5、0.51、0.52、0.53、0.54、0.55、0.56、0.57、0.58、0.59、0.6、0.61、0.62、0.63、0.64、0.65、0.66、0.67、0.68、0.69、0.7、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79、0.8、0.81、0.82、0.83、0.84、0.85、0.86、0.87、0.88、0.89、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99、もしくは1センチメートルまたはそれ以上に圧縮され得る。培養菌糸体材料は、少なくとも1分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、もしくは60分またはそれ以上圧縮され得る。
【0267】
有機物を乾燥させて、該有機物を腐敗しないようにする好適な方法は、当技術分野で周知である。1つの特定の実施形態では、該培養菌糸体材料は、温度100°F以上のオーブン内で乾燥される。別の特定の実施形態では、該培養菌糸体材料は、熱圧縮される。
【0268】
他の例では、生または乾燥培養菌糸体材料は、該菌糸体から廃棄物及び水を除去するように機能する1つ以上の溶液を使用して処理される。いくつかの実施形態では、該溶液は、エタノール、メタノール、またはイソプロピルアルコールなどの溶媒を含む。いくつかの実施形態では、該溶液は、塩化カルシウムなどの塩を含む。実施形態によっては、培養菌糸体材料は、様々な期間、圧力をかけて、及び圧力をかけないで、該溶液に沈められ得る。いくつかの実施形態では、該培養菌糸体材料は、いくつかの溶液に連続して沈められ得る。特定の実施形態では、該培養菌糸体材料は、最初に、アルコール及び塩を含む1つ以上の第1の溶液に沈められ、その後、アルコールを含む第2の溶液に沈められ得る。別の特定の実施形態では、該培養菌糸体材料は、最初に、アルコール及び塩を含む1つ以上の第1の溶液に沈められ、その後、水を含む第2の溶液に沈められ得る。溶液で処理した後、該培養菌糸体材料は、高温または低温工程を使用して圧縮される場合、及び/または空気乾燥及び/または真空乾燥を含めた様々な方法を使用して乾燥される場合がある。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許公開第2018/0282529号は、これらの実施形態を詳細に記載している。
【0269】
一態様では、該培養菌糸体材料は、ギ酸などの酸を使用してpHを調整することによって、固定され得る。特定の実施形態では、該pHは、少なくとも2、3、4または5である。いくつかの実施形態では、培養菌糸体材料のpHは、該培養菌糸体材料を固定するために、ギ酸などの様々な薬剤を使用して3の酸性pHに調整される。特定の実施形態では、該pHは、培養菌糸体材料を固定するために、pH6、5、4、または3未満に調整される。一実施形態では、該pHは、pH5.5に調整される。
【0270】
結合剤
本開示の様々な態様は、結合剤を含む。本明細書で使用されるとき、「結合剤」は、追加の強度、及び/または追加の柔軟性、強度、耐久性、及び親和性などの他の特性を提供する任意の好適な薬剤を含み得る。結合剤は、培養菌糸体材料の一部と反応する、培養菌糸体材料の処理を増強する、培養菌糸体材料と共処理したか、または別々に処理したが、培養菌糸体材料とのネットワークとして、複合菌糸体材料を生成する薬剤であり得る。いくつかの態様では、結合剤は、破壊の前に添加される。他の態様では、結合剤は、破壊後に添加される。いくつかの他の態様では、結合剤は、サンプルが破壊されている間に添加される。結合剤としては、接着剤、樹脂、架橋剤、及び/またはマトリックスが挙げられる。本明細書に記載の複合菌糸体材料は、培養菌糸体材料と、水系、100%固体、紫外線及び湿気硬化、2成分反応性ブレンド、感圧性、自己架橋型ホットメルトなどであり得る接着剤と、を含む。
【0271】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、天然接着剤または合成接着剤を含む群から選択される。そのような実施形態では、該天然接着剤は、天然ラテックス系接着剤を含み得る。特定の実施形態では、該天然ラテックス系接着剤は、皮革接着剤または溶接接着剤である。該結合剤は、アニオン性、カチオン性、及び/または非イオン性剤を含み得る。一態様では、該結合剤は、架橋剤を含み得る。
【0272】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、1μm以下の粒径、サブゼロガラス転移温度、または自己架橋機能を有する。いくつかの実施形態では、該結合剤は、1μm以下の粒径、サブゼロガラス転移温度、及び自己架橋機能を有する。いくつかの実施形態では、該結合剤は、1μm以下の粒径を有する。いくつかの実施形態では、該結合剤は、サブゼロガラス転移温度を有する。いくつかの実施形態では、該結合剤は、自己架橋機能を有する。いくつかの実施形態では、該結合剤は、500ナノメートル以下の粒径を有する。具体的な例示的な結合剤としては、Dur-O-Set(登録商標)Elite Plus及びDur-O-Set(登録商標)Elite 22などの酢酸ビニルエチレンコポリマーが挙げられる。
【0273】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、-100~-10℃、-100~-90℃、-90~-80℃、-80~-70℃、-70~-60℃、-60~-50℃、-50~-40℃、-40~-30℃、-30~-20℃、-20~-10℃、-10~-10℃、-30~-25℃、-25~-20℃、-20~-15℃、-15~-10℃、-10~-5℃、-5~-0℃、-90℃、-80℃、-70℃、-60℃、-50℃、-40℃、-35℃、-30℃、-25℃、-20℃、-15℃、-10℃、-5℃、または0℃のガラス転移温度を有する。いくつかの実施形態では、該結合剤は、-15℃のガラス転移温度を有する。
【0274】
他の例示的な結合剤としては、以下に限定されないが、トランスグルタミナーゼ、ポリアミド-エピクロロヒドリン樹脂(PAE)、クエン酸、ゲニピン、アルギナート、酢酸ビニル-エチレンコポリマー、及び酢酸ビニル-アクリルコポリマーが挙げられる。いくつかの実施形態では、該結合剤は、ポリアミド-エピクロロヒドリン樹脂(PAE)である。いくつかの実施形態では、該結合剤は、酢酸ビニル-エチレンコポリマーである。いくつかの実施形態では、該結合剤は、酢酸ビニル-アクリルコポリマーである。
【0275】
いくつかの実施形態では、該結合剤は、1つ以上の反応基を含む。例えば、該結合剤は、アミン基、ヒドロキシル基、及びカルボキシル基などの活性水素含有基と反応する。特定の実施形態では、該結合剤は、1つ以上の反応基を介して、分岐菌糸の1つ以上の塊を架橋する。場合によっては、アミンが、キチン上に存在し、ヒドロキシル基及びカルボキシル基が、キチンを取り囲む多糖類及びタンパク質上に存在する。特定の実施形態では、PAEは、カチオン性アゼチジニウム基を含む。そのような実施形態では、PAE上のカチオン性アゼチジニウム基は、ポリアミドアミン骨格内の反応性部位として作用し、菌糸の1つ以上の分岐において、アミン基、ヒドロキシル基、及びカルボキシル基などの活性水素含有基と反応する。
【0276】
結合剤のさらなる例としては、以下に限定されないが、次亜リン酸ナトリウムもしくはリン酸一ナトリウムもしくはジクロロ酢酸ナトリウムと組み合わされたクエン酸、次亜リン酸ナトリウムもしくはリン酸一ナトリウムもしくはジクロロ酢酸ナトリウムと組み合わされたアルギナート、エポキシ化ダイズ油、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(PAE)、及び過硫酸アンモニウムが挙げられる。結合剤のいくつかの例としては、エポキシ、イソシアネート、硫黄化合物、アルデヒド、無水物、シラン、アジリジン、及びアゼチジニウム化合物、ならびにすべてのそのような官能基を有する化合物が挙げられる。考えられるホルムアルデヒド含有結合剤としては、ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、尿素ホルムアルデヒド、メラミン尿素ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、フェノールレゾルシノール、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0277】
好適な結合剤のさらなる例としては、ラテックス材料、例えば、ブタジエンコポリマー、アクリレート、ビニル-アクリル、スチレン-アクリル、スチレン-ブタジエン、ニトリル-ブタジエン、ポリ酢酸ビニル、オレフィン含有ポリマー、例えば、酢酸ビニル-エチレンコポリマー、ビニルエステルコポリマー、ハロゲン化コポリマー、例えば、塩化ビニリデンポリマーが挙げられる。ラテックス系剤は、使用されるとき、機能を含み得る。アクリルを含む任意の種類のラテックスが、使用され得る。代表的なアクリルとしては、エチルアクリレート、ブチルアクリレートメチル(メタ)アクリレート、それらのカルボキシル化バージョン、それらのグリコシル化バージョン、それらの自己架橋バージョン(例えば、N-メチルアクリルアミドを含むもの)、及びアクリロニトリルなどの他のモノマーとのコポリマーを含む、それらのコポリマー及びブレンドから形成されるものが挙げられる。デンプン、天然ゴムラテックス、デキストリン、リグニン、セルロース系ポリマー、サッカライドガムなどの天然ポリマーも、使用され得る。さらに、エポキシ、ウレタン、フェノリクス、ネオプレン、ブチルゴム、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、及びポリエステルアミドなどの他の合成ポリマーも、使用され得る。本明細書で使用される時、「ポリプロピレン」という用語は、プロピレンのポリマー、またはエチレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、5-メチル-1-ヘキセン、及びこれらの混合物などの他の脂肪族ポリオレフィンと重合するプロピレンのポリマーを含む。特定の実施形態では、結合剤としては、以下に限定されないが、天然接着剤(例えば、皮革接着剤または溶接接着剤などの天然ラテックス系接着剤、ラテックス、ダイズタンパク質系接着剤)、合成接着剤(ポリウレタン)、ネオプレン(PCP)、アクリルコポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマー、エチレン-酢酸ビニル-b、ニトロセルロース、ポリ酢酸ビニル(PVA)、及び酢酸ビニルエチレン(VAE)が挙げられる。他の実施形態では、該結合剤は、VAEである。
【0278】
一態様では、1つ以上の結合剤は、例えば、噴霧、浸漬、圧延、コーティングなどによって材料全体に埋め込まれるか、もしくは薄いコーティング層として添加されるなど、破壊状態または非破壊状態のいずれかで、結合される培養菌糸体材料内に組み込まれて、複合菌糸体材料を生成し得る。他の一態様では、1つ以上の結合剤が、破壊が起こると同時に組み込まれ得る。本開示に従って、任意の好適な結合方法が、使用され得る。表面の結合は、乾燥時に起こり得、強力な硬化結合が、発生し得る。1つ以上の結合剤の結合は、ウレタン、オレフィン系ゴム、及びビニルフォーム材料などの連続または独立気泡フォーム材料、ならびに様々な積層配置の織物、金属及び布地の使用を含み得る。
【0279】
結合されたアセンブリ(すなわち、積層体)は、水性接着剤を培養菌糸体材料に均一に適用することによって、調製され得る。いくつかの実施形態では、薄膜は、2つの連続した層を含む。いくつかの実施形態では、薄膜は、3つの連続した層を含む。噴霧、ロールコーティング、飽和などの様々なコーティング方法が、使用され得る。コーティングされた基材は、結合する前に乾燥され得る。
【0280】
複合菌糸体材料は、セルロース繊維を互いに連結することを含む、繊維を互いに連結するために、複合菌糸体材料を化学結合剤で含浸することによって、化学的に結合され得る。好適な結合剤の非限定的な例としては、アラビアゴム、酢酸ビニル-エチレン(VAE)、及び接着剤が挙げられる。好適な接着剤の例としては、米国のUS Adhesivesから入手可能なS-10、及び米国のTear Menderから入手可能なBish’s Original Tear Mender Instant Fabric & Leather Adhesiveが挙げられる。好適なVAE系結合剤の一例が、米国のCelanese Emulsionsから入手可能なDur-O-Set(登録商標)Elite 22である。好適なVAE系結合剤の他の一例が、米国のCelanese Emulsionsから入手可能なDur-O-Set(登録商標)Elite Plusである。別の例示的な結合剤としては、米国のCelanese Emulsionsから入手可能であり、自己架橋型酢酸ビニルアクリルとして記載されているX-LINK(登録商標)2833が挙げられる。相互接続された菌糸のウェブでは、化学結合剤は、ウェブを飽和させてウェブ全体に拡散し、ネットワークのコアに到達しなければならない。したがって、複合菌糸体材料は、材料を完全に含浸させるために、結合剤溶液内に浸漬され得る。化学結合剤の噴霧塗布もまた、複合菌糸体材料に提供され得る。化学結合剤の噴霧塗布は、化学結合剤を材料を通して引き込むために、分散のための毛管作用によって支援され得るか、または真空塗布によって支援され得る。コーターも、複合菌糸体材料をコーティングするために使用され得る。
【0281】
複合菌糸体材料は、添加剤が、複合菌糸体材料と共に提供される熱結合技術を使用して結合されてもよい。この添加剤は、既知の熱レベルで溶融する「溶融可能な」材料であり得る。複合菌糸体材料のセルロース材料は、溶融せず、その結果、複合菌糸体材料が、添加剤と共に、添加剤の融点まで加熱され得る。溶融すると、添加剤が、複合菌糸体材料内に分散し、次いで冷却されて、全体の材料を硬化させ得る。
【0282】
本開示は、上記リストの好適な結合剤に限定されない。他の結合剤は、当技術分野で既知である。結合剤の役割は、種類にかかわらず、分子ごとに、いくつかの反応部位を部分的に提供することである。本開示で使用される結合剤の種類及び量は、所望される特性に依存する。様々な実施形態では、有効量の結合剤が、使用され得る。本明細書で使用されるとき、接着剤に関して「有効量」とは、追加の強度、及び/または追加の柔軟性、強度、耐久性、及び親和性などの他の特性を提供するのに十分な剤の量を指す。
【0283】
結合剤は、圧縮され、菌糸の1つ以上の塊が破壊され、及び/またはハイドロエンタングルされた培養菌糸体材料に添加され得る。結合剤は、分岐菌糸の1つ以上の塊の破壊または圧縮の前に、培養菌糸体材料に添加され得る。結合剤は、分岐菌糸の1つ以上の塊の破壊または圧縮中に、培養菌糸体材料に添加され得る。結合剤は、分岐菌糸の1つ以上の塊の破壊または圧縮の後に、培養菌糸体材料に添加され得る。
【0284】
いくつかの実施形態では、圧縮された培養菌糸体材料が、結合剤と接触させられる。いくつかの実施形態では、破壊された培養菌糸体材料が、結合剤と接触させられる。いくつかの実施形態では、結合剤は、分岐菌糸の塊が破壊される前に添加される。いくつかの実施形態では、結合剤は、分岐菌糸の1つ以上の塊の破壊中に添加される。いくつかの実施形態では、結合剤は、分岐菌糸の塊が破壊された後に添加される。いくつかの実施形態では、結合剤は、培養菌糸体材料が圧縮される前に添加される。いくつかの実施形態では、結合剤は、培養菌糸体材料の圧縮中に添加される。いくつかの実施形態では、結合剤は、培養菌糸体材料が圧縮された後に添加される。
【0285】
支持材料
一態様によれば、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料は、例えば、結合されたアセンブリ、すなわち、積層体を形成するための支持材料をさらに含み得る。本明細書で使用されるとき、「支持材料」という用語は、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料に支持を提供する任意の材料、または1つ以上の材料の組み合わせを指す。いくつかの実施形態では、支持材料は、足場である。いくつかの実施形態では、支持材料は、スクリムである。
【0286】
いくつかの実施形態では、支持材料は、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料、例えば、補強材料内で絡合される。いくつかの他の実施形態では、支持材料は、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料、例えば、ベース材料の表面に位置付けられる。いくつかの実施形態では、支持材料としては、以下に限定されないが、メッシュ、チーズクロス、布、複数の繊維、編布、織布、不織布、編繊維(knit fiber)、織繊維、不織繊維、フィルム、表面スプレーコーティング、及び繊維添加剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、編布は、編繊維である。いくつかの実施形態では、織布は、織繊維である。いくつかの実施形態では、不織布は、不織繊維である。いくつかの実施形態では、支持材料は、全体または一部が、合成繊維、天然繊維(例えば、リグノセルロース繊維)、金属、またはプラスチックの任意の組み合わせで構成され得る。支持材料は、例えば、フェルティングまたはニードルパンチのような既知の絡合方法を使用して、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料内で部分的に絡合され得る。いくつかの態様では、支持材料は、培養菌糸体材料または該複合菌糸体材料内で絡合されない。当技術分野で既知の様々な方法を使用して、本明細書に記載のような積層体を形成することができる。いくつかの他の実施形態では、支持材料は、例えば、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料の上面または底面に適用されるベース材料を含む。支持材料は、例えば、好適なスプレーコーティング材料、特に、好適な接着剤などの、または代替的に、例えば、それらの固有の粘着性に起因する化学的付着を含むがこれらに限定されない、当技術分野で既知の任意の手段を通じて付着され得る。
【0287】
本開示による積層体は、少なくとも1つの支持材料を含み得る。2つ以上の支持材料が使用される場合、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料は、複数の層のサンドイッチの内層を含み得、該内層は、例えば、編物または織物または足場などの支持材料である。この場合、支持材料は、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料内に埋め込まれるであろう。
【0288】
本明細書で使用される支持材料は、足場または織物を含み得る。本明細書で使用されるとき、「足場」は、培養菌糸体材料とは異なっており、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料に支持を提供する、当該技術分野で既知の任意の材料を指す。「足場」は、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料内に埋め込まれ得るか、または培養菌糸体材料もしくは複合菌糸体材料の上、下、または中に積層され得る。本開示では、フィルム、織物、スクリム、及びポリマーを含むがこれらに限定されないあらゆる種類及びタイプの足場が使用され得る。本明細書で使用されるとき、「織物」は、任意の織られた、編まれた、または不織の繊維構造であり得る足場のタイプを指す。
図11A及び11Bに示されるように、複数の層が、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料に含まれる場合、該2つ以上の層は、足場を含み得るか、または他の実施形態では、該2つ以上の層は、チーズクロスを含み得る。有用な足場としては、織及び不織足場、方向性及び無方向性足場、ならびに直交及び非直交足場が挙げられる。有用な足場としては、マシン方向に、または足場の長さに沿って配向された複数の糸と、クロスマシン方向に、または足場の幅にわたって配向された複数の糸と、を含む従来の足場が挙げられ得る。これらの糸は、それぞれ経糸及び緯糸と称され得る。繊維性材料及びポリマーを含むがこれらに限定されない多数の糸が、使用され得る。例えば、糸としては、以下に限定されないが、ファイバーグラス、アルミニウム、または芳香族ポリアミドポリマーが挙げられ得る。一実施形態では、足場は、ファイバーグラス糸を含む。足場は、架橋性アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、または同様の接着剤などの従来の接着剤を使用して、一緒に接着され得るか、または所定の位置に固定され得る。足場はまた、以下に限定されないが、ニードルパンチなどの技術を用いることによって、機械的に絡合され得る。さらに別の実施形態では、足場は、織り込むことによって、所定の位置に固定され得る。本開示に従って、支持材料の組み合わせが、使用されてもよい。
【0289】
いくつかの実施形態では、支持材料は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,939,016号及び米国特許第6,942,711号に記載される方法を含むが、これらに限定されない、当該技術分野で既知の方法に従って、本明細書に記載の培養菌糸体材料または複合菌糸体材料に組み込まれ得る。例えば、支持材料は、ハイドロエンタングルメントを介して、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料に組み込まれ得る。そのような実施形態では、支持材料は、結合剤及び/または架橋剤を添加する前または後に、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料に組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、ハイドロエンタングルメントのための1つ以上の細孔を通って培養菌糸体材料または複合菌糸体材料に向けられた水などの液体が、該培養菌糸体材料または複合菌糸体材料を通過することができる。いくつかの実施形態では、液体は、高圧液体である。いくつかの実施形態では、圧力及び水流が、支持材料の種類及び細孔径に部分的に応じて、変化し得る。様々な実施形態では、水圧は、少なくとも100psi、例えば、少なくとも200psi、少なくとも300psi、少なくとも400psi、少なくとも500psi、少なくとも600psi、少なくとも700psi、少なくとも800psi、少なくとも900psi、及び少なくとも1000psiである。様々な実施形態では、水圧は、両端値を含む約100psi~約5000psi、例えば、約200psi~約1000psi、約300psi~約2000psi、約400psi~約3000psi、約500psi~約4000psi、及び約600psi~約5000psiである。いくつかの実施形態では、水圧は、約750psiである。様々な実施形態では、1つ以上の細孔は、少なくとも10マイクロメートル、例えば、少なくとも30マイクロメートル、少なくとも50マイクロメートル、少なくとも70マイクロメートル、少なくとも90マイクロメートル、少なくとも110マイクロメートル、少なくとも130マイクロメートル、及び少なくとも150マイクロメートルの直径を有する。様々な実施形態では、1つ以上の細孔は、両端値を含む約10マイクロメートル~約150マイクロメートル、例えば、約20マイクロメートル~約70マイクロメートル、約30マイクロメートル~約80マイクロメートル、約40マイクロメートル~約90マイクロメートル、約50マイクロメートル~約100マイクロメートル、約60マイクロメートル~約110マイクロメートル、及び約70マイクロメートル~約120マイクロメートルの直径を有する。いくつかの実施形態では、1つ以上の細孔は、約50マイクロメートルの直径を有する。
【0290】
培養菌糸体材料または複合菌糸体材料はまた、フォーム材料内に使用される補助剤を含み得る。補助剤または添加剤としては、架橋剤、加工助剤(例えば、排水助剤)、分散剤、凝集剤、粘度低減剤、難燃剤、分散剤、可塑剤、抗酸化剤、相溶化剤、充填剤、顔料、紫外線保護剤、アバカ繊維などの繊維などが挙げられる。発泡剤を使用して、化学結合剤を複合菌糸体材料に導入し得ることがさらに企図される。そのような発泡剤は、空気をウェブに導入することによって、複合菌糸体材料のウェブをより多孔質にすることができる。
【0291】
可塑剤
様々な可塑剤を培養菌糸体材料または複合菌糸体材料に適用して、該培養菌糸体材料または複合菌糸体材料の機械的特性を変化させることができる。そのような実施形態では、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料は、可塑剤をさらに含む。米国特許第9,555,395号は、様々な保湿剤及び可塑剤の添加について論じている。具体的には、米国特許第9,555,395号は、グリセロール、ソルビトール、トリグリセリド可塑剤、油、例えば、アマニ油、ヒマシ油、乾性油、イオン性及び/または非イオン性グリコール、及びポリエチレンオキシドの使用について論じている。米国特許公開第2018/0282529号はさらに、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料をグリセロール、ソルビトール、または別の保湿剤などの可塑剤で処理して水分を保持すること、及びさもなければ該培養菌糸体材料または複合菌糸体材料の機械的特性、例えば、該培養菌糸体材料または複合菌糸体材料の弾性及び可撓性を高めることを論じている。そのような実施形態では、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料は、可撓性である。
【0292】
例えば、ポリエチレングリコール、及び、油の微液滴が材料に浸透するように、油と不混和性の液体(例えば、水)で天然油を乳化することによって得られた加脂剤などの他の同様の可塑剤及び保湿剤は、当技術分野で周知である。様々な加脂剤は、乳化した油を水中に含み、イオン性及び非イオン性乳化剤、界面活性剤、石鹸、及びサルフェートなどの他の化合物が添加されている。加脂剤は、鉱物油、動物油、及び植物系油などの様々な種類の油を含み得る。適切な加脂剤としては、以下に限定されないが、Truposol(登録商標)LEX加脂剤(Trumpler、Germany)、Trupon(登録商標)DXV加脂剤(Trumpler、Germany)、ジエチルオキシエステルジメチルアンモニウムクロリド(DEEDMAC)、Downy織物柔軟剤、ソルビトール、m-エリスリトール、Tween 20、及びTween 80が挙げられる。
【0293】
タンニン及び染料
本開示の様々な実施形態では、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料に色を付与することが理想的であり得る。米国特許公開第2018/0282529号に記載のように、タンニンを使用して、培養菌糸体材料、複合菌糸体材料、または保存複合菌糸体材料に色を付与することができる。
【0294】
培養菌糸体材料及び/または複合菌糸体材料は、部分的にキチンを含むため、タンパク質系材料に豊富にある機能部位が不足している。従って、酸性染料及び直接染料のための結合部位を作成するために、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料内のキチンを機能化することが必要であり得る。キチンを機能化する方法は上記で論じられている。
【0295】
酸性染料、直接染料、分散染料、硫化染料、合成染料、反応染料、顔料(例えば、酸化鉄ブラック及びコバルトブルー)、及び天然染料などの様々な染料を使用して、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料に色を付与することができる。いくつかの実施形態では、染料溶液の適用前に、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料が、アルカリ性溶液に沈められて、染料の吸尽及び該材料への浸透を促進する。いくつかの実施形態では、染料溶液の適用前に、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料が、塩化アンモニウム、水酸化アンモニウム、及び/またはギ酸に予浸されて、染料の吸尽及び該材料への浸透を促進する。いくつかの実施形態では、タンニンが該染料溶液に添加され得る。様々な実施形態では、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料は、染料処理または前処理の前に、上記で論じたように保存され得る。
【0296】
実施形態によっては、染料溶液は、異なる塗布技術を使用して、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料に塗布され得る。いくつかの実施形態では、染料溶液は、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料の1つ以上の外面に塗布され得る。他の実施形態では、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料は、染料溶液に沈められ得る。
【0297】
様々な溶液での予浸に加えて、薬剤を該染料溶液に添加し、染料の吸尽及び該材料への浸透を促進してもよい。いくつかの実施形態では、酸性染料または直接染料と共に水酸化アンモニウム及び/またはギ酸が、染料の吸尽及び該材料への浸透を促進する。いくつかの実施形態では、エトキシル化脂肪族アミンを使用して、染料の吸尽及び被処理材料への浸透を促進する。
【0298】
様々な実施形態では、可塑剤が、該染料の添加後または添加中に添加される。様々な実施形態では、該可塑剤は、該染料溶液と共に添加され得る。特定の実施形態では、該可塑剤は、ココナッツオイル、植物性グリセロール、または亜硫酸化または硫酸化加脂剤であり得る。
【0299】
いくつかの実施形態では、該染料溶液は、水酸化アンモニウム等の塩基を使用して塩基性pHに維持され得る。特定の実施形態では、該pHは、少なくとも9、10、11または12である。いくつかの実施形態では、該染料溶液のpHは、該染料を固定するために、ギ酸等の様々な薬剤を使用して酸性pHに調整される。特定の実施形態では、該pHをpH6、5、4または3未満に調整し、該染料を固定する。
【0300】
染料の吸尽及び材料への浸透を促進するために、染料溶液が適用されている間に、培養菌糸体材料、複合菌糸体材料、及び/または保存複合菌糸体材料が、様々な方法で、機械的作用または攪拌に供され得る。いくつかの実施形態では、染料溶液中にある間、培養菌糸体材料、複合菌糸体材料、及び/または保存複合菌糸体材料を圧搾または他の形態の圧力に供することで、染料の吸尽及び浸透が高まった。いくつかの実施形態では、培養菌糸体材料、複合菌糸体材料、及び/または保存複合菌糸体材料は、超音波処理に供される。
【0301】
本明細書に記載の方法を使用して、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料は、処理された培養菌糸体材料または複合菌糸体材料の色が実質的に均一になるように、染色または着色され得る。いくつかの実施形態では、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料は、染料で着色され、該培養菌糸体材料または複合菌糸体材料の色は、該培養菌糸体材料または複合菌糸体材料の1つ以上の表面において実質的に均一である。上記の方法を使用して、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料は、染料及び色が、該培養菌糸体材料または複合菌糸体材料の表面に存在するだけでなく、該材料の表面を通って内核まで浸透するように、染色または着色され得る。そのような実施形態では、染料は、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料の内部全体に存在する。
【0302】
本開示の様々な実施形態では、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料は、該培養菌糸体材料または複合菌糸体材料が色堅牢であるように染色され得る。色堅牢度は、ISO 11640:2012:Tests for Color Fastness-Tests for color fastness-Color fastness to cycles of to-and-fro rubbing、またはISO 11640:2012の更新であるISO 11640:2018などの様々な技術を使用して測定され得る。特定の実施形態では、色堅牢度は、上記に従って、摩擦堅牢度及びサンプルの変化を特定するための測定基準としてグレースケール等級を使用して測定される。いくつかの実施形態では、培養該菌糸体材料または複合菌糸体材料は、少なくとも3、少なくとも4、または少なくとも5のグレースケール等級によって示される高い色堅牢度を示すであろう。
【0303】
タンパク質源
様々な実施形態では、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料内に天然には存在しない1つ以上のタンパク質源(すなわち、外因性タンパク質源)で培養菌糸体材料または複合菌糸体材料を処理することが有益であり得る。いくつかの実施形態では、該1つ以上のタンパク質は、該培養菌糸体材料を生成する真菌種以外の種に由来する。いくつかの実施形態では、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料は、任意選択で、エンドウタンパク質、イネタンパク質、ヘンプタンパク質、及びダイズタンパク質などの植物性タンパク質源で処理され得る。いくつかの実施形態では、該タンパク質源は、動物タンパク質、例えば、昆虫タンパク質または哺乳類タンパク質である。いくつかの実施形態では、該タンパク質は、微生物によって産生される組み換えタンパク質である。いくつかの実施形態では、該タンパク質は、繊維状タンパク質、例えば、絹またはコラーゲンである。いくつかの実施形態では、該タンパク質は、弾性タンパク質、例えば、エラスチンまたはレジリンである。いくつかの実施形態では、該タンパク質は、1つ以上のキチン結合ドメインを有する。キチン結合ドメインを有する例示的なタンパク質としては、レジリン及び様々な細菌のキチン結合タンパク質が挙げられる。いくつかの実施形態では、該タンパク質は、1つ以上のキチン結合ドメインを含む改変タンパク質または融合タンパク質である。実施形態によっては、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料は、処理の前に上記のように保存されてもよい、または事前の保存を施すことなく処理されてもよい。
【0304】
本開示の特定の実施形態では、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料は、タンパク質源を含む溶液に沈められる。特定の実施形態では、該タンパク質源を含む溶液は、水性である。他の実施形態では、該タンパク質源を含む溶液は、リン酸緩衝生理食塩水などの緩衝液を含む。
【0305】
いくつかの実施形態では、該タンパク質源を含む溶液は、該タンパク質源を架橋するように機能する薬剤を含む。実施形態によっては、アミノ酸の官能基と相互作用する様々な既知の薬剤を使用することができる。特定の実施形態では、該タンパク質源を架橋するように機能する薬剤は、トランスグルタミナーゼである。アミノ酸の官能基を架橋する他の適切な薬剤には、チロシナーゼ、ゲニピン、ホウ酸ナトリウム、及びラクターゼが含まれる。他の実施形態では、クロム、植物タンニン、なめし油、エポキシ、アルデヒド及びシンタンを含めた従来のなめし剤を使用して、タンパク質が架橋され得る。上記のように、クロムの毒性及び環境への懸念から、PAE他の無機物、例えば、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、鉄、及びクロムを含む場合ならびに含まない場合でのそれらの組み合わせが、使用され得る。
【0306】
様々な実施形態では、タンパク質源による処理は、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料の保存、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料の可塑化、及び/または培養菌糸体材料または複合菌糸体材料の染色の前に行われる場合も、後に行われる場合も、それらと同時に行われる場合もある。いくつかの実施形態では、タンパク質源による処理は、アルコール及び塩を含む溶液を使用して、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料の保存の前に行われる場合も、その間に行われる場合もある。いくつかの実施形態では、タンパク質源による処理は、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料を染色する前に、またはそれと同時に行われる。これらの実施形態のいくつかでは、該タンパク質源は、該染料溶液に溶解される。特定の実施形態では、該タンパク質源は、染料の吸尽を促進する1つ以上の薬剤を任意選択で含む塩基性染料溶液に溶解される。
【0307】
いくつかの実施形態では、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料を同時に可塑化するために、可塑剤が、溶解されたタンパク質源を含む染料溶液に添加される。特定の実施形態では、該可塑剤は、加脂剤であり得る。特定の実施形態では、該可塑剤は、染料の吸尽を促進する1つ以上の薬剤を含む塩基性染料溶液に溶解されるタンパク質源に添加される。
【0308】
コーティング及び仕上げ剤
培養菌糸体材料または複合菌糸体材料が、上記の方法の任意の組み合わせを使用して処理された後、該培養菌糸体材料または複合菌糸体材料が、仕上げ剤またはコーティングで処理され得る。皮革工業に共通する様々な仕上げ剤、例えば、結合剤溶液中のタンパク質、ニトロセルロース、合成ワックス、天然ワックス、タンパク質分散液を有するワックス、油、ポリウレタン、アクリルポリマー、アクリル樹脂、エマルションポリマー、耐水性ポリマー、及びそれらの様々な組み合わせが、使用され得る。特定の実施形態では、ニトロセルロースを含む仕上げ剤が、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料に適用され得る。別の特定の実施形態では、従来のポリウレタン仕上げ剤を含む仕上げ剤が、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料に適用され得る。様々な実施形態では、1つ以上の仕上げ剤が、順次、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料に適用される。場合によっては、該仕上げ剤は、染料または顔料と混合される。場合によっては、該仕上げ剤は、天然及び合成ワックス、シリコーン、パラフィン、鹸化脂肪性物質、脂肪酸のアミド、アミドエステル、ステアリン酸アミド、それらのエマルション、及び前述の任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む手触り改良剤(すなわち、感触改良剤またはタッチ)と混合される。場合によっては、該仕上げ剤は、消泡剤と混合される。いくつかの実施形態では、外部要素または外力が、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料に適用される。そのような実施形態では、該外部要素または外力は、加熱及び/または圧縮を含む。いくつかの実施形態では、該外部要素または外力は、ホットプレスである。いくつかの実施形態では、外力が、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料に印加される。そのような実施形態では、該外力は、加熱及び/または圧縮を含む。いくつかの実施形態では、該外力は、ホットプレスである。
【0309】
処理された菌糸体材料
本開示の様々な実施形態では、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料は、超音波処理、穿孔、または真空処理される。穿孔としては、ニードルパンチ、エアパンチ、またはウォーターパンチが挙げられ得る。
【0310】
本開示の様々な実施形態では、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料は、溶液(すなわち、染料溶液、タンパク質溶液または可塑剤)中で、及び該培養菌糸体材料または複合菌糸体材料が該溶液から取り出された後での両方で、異なる方法で、機械的に処理、及び/または化学的に処理され得る。そのような実施形態では、方法は、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料を機械的に処理及び/または化学的に処理することを含み、処理された菌糸体材料が生成される。
【0311】
培養菌糸体材料または複合菌糸体材料が溶液または分散液中にある間、該溶液の吸尽を確実にするために、該培養菌糸体材料または複合菌糸体材料が、攪拌、超音波処理、圧搾、または圧縮され得る。機械的処理の程度は、適用される具体的な処理、及び培養菌糸体材料または複合菌糸体材料の処理段階での脆弱性のレベルに依存する。培養菌糸体材料または複合菌糸体材料の圧搾または圧縮は、手絞り、機械絞り、プラテン圧縮、リノローラ、またはカレンダローラによって達成され得る。
【0312】
同様に、上記のように、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料は、溶液から取り出された後の該複合菌糸体材料から溶液を除去するために、圧縮され得るか、または別の方法で加工され得る。該材料の溶液での処理及び圧縮は、数回繰り返してもよい。いくつかの実施形態では、該材料は、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、または少なくとも5回圧縮される。
【0313】
培養菌糸体材料または複合菌糸体材料が(例えば、熱、圧縮、または上記の他の乾燥技術を使用して)十分に乾燥されたら、該培養菌糸体材料または複合菌糸体材料は、さらなる機械的及び/または化学的処理に供され得る。培養菌糸体材料または複合菌糸体材料を処理するために使用される技術、及び結果得られた該培養菌糸体材料または複合菌糸体材料の靭性に応じて、サンディング、ブラッシング、メッキ、ステーキング、タンブリング、振動、及びクロスローリングが挙げられるがこれらに限定されない、異なる種類の機械的処理が適用され得る。
【0314】
いくつかの実施形態では、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料は、任意の熱源を用いて、または化学薬品の適用を通してエンボス加工され得る。いくつかの実施形態では、溶液中の培養菌糸体材料または複合菌糸体材料は、例えば、水酸化アンモニウムなどの塩基を使用して塩基性pHに維持されるなど、追加の化学処理に供され得る。特定の実施形態では、該pHは、少なくとも9、10、11または12である。いくつかの実施形態では、溶液中の培養菌糸体材料または複合菌糸体材料のpHは、該複合菌糸体材料を固定するために、ギ酸などの様々な薬剤を使用して該複合菌糸体材料を固定するために、酸性pHに調整される。特定の実施形態では、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料を固定するために、該pHは、6、5、4、または3未満のpHに調整される。
【0315】
仕上げ、コーティング、及び他の工程は、乾燥した培養菌糸体材料または複合菌糸体材料の機械的処理及び/または化学的処理の後もしくは前に実施され得る。同様に、エンボス加工または彫刻などの装飾工程を含む最終圧縮工程は、乾燥した培養菌糸体材料または複合菌糸体材料の機械的処理及び/または化学的処理の後もしくは前に実施され得る。
【0316】
図14は、生菌糸体材料を、該材料の最終用途に基づいて、所望の仕上げプロセス(例えば、仕上げコーティング、装飾工程、最終圧縮工程)に従って処理され得るクラスト材料に変換するための方法200のフローチャートを示す。生菌糸体材料は、本明細書に記載のプロセスのいずれかに従って作製された乾燥された、冷蔵された、または凍結された材料であり得る。原料は、所望の厚さを有する菌糸体パネルを提供するために、任意選択で、上部及び/または底部で分割され得る。分割はまた、より滑らかな表面を切断部に提供し得る。クラスト材料は、本明細書に記載のように染色、可塑化、乾燥、及び/またはさもなければ後処理され得る。
【0317】
図14をさらに参照すると、工程202で、菌糸体材料の寸法及び質量に基づいて、前仕上げ処理溶液が、調製され得る。一実施例では、該前仕上げ処理溶液は、湿潤菌糸体材料1グラム当たり約6mL、または乾燥菌糸体材料1グラム当たり20mLの体積で、調製され得る。該前仕上げ処理溶液は、水などの好適な溶媒中に、1つ以上の染料、タンニン、及び/または可塑剤(例えば、加脂剤)を含み得る。一実施例では、該前仕上げ処理溶液は、1つ以上の染料及び/またはタンニンと、1つ以上の加脂剤と、を含む。添加される染料の量は、特定の種類の染料及び得られる生成物の所望の色に基づき得る。例示的な前仕上げ処理溶液は、所望の色を生成するための濃度の1つ以上の酸性染料と、約25g/Lの植物性タンニンと、約6.25g/LのTruposol(登録商標)LEX加脂剤(Trumpler、Germany)と、約18g/L~約19g/LのTrupon(登録商標)DXV加脂剤(Trumpler、Germany)と、を含む。
【0318】
工程204で、前仕上げ処理溶液が、浸漬プロセス及び圧縮プロセスの組み合わせを通じて、菌糸体材料に適用され得る。一実施例では、該材料が、前仕上げ処理溶液に所定の期間(例えば、1分間)浸漬され、その後圧縮システムを通って移動される。好適な圧縮システムの一例は、浸漬された材料を、ローラ間の各通過で、材料に所望の程度の圧縮を提供するように間隔を置かれた一対のローラを通して移動させることを含む。材料は、ローラを通して押され、及び/または引かれ得る。材料がローラを通過する速度は、変化し得る。本開示の一態様によれば、工程204の浸漬及び圧縮プロセスは、1回以上(例えば、1、2、3、4、5回、またはそれ以上)繰り返され得る。
【0319】
204での前仕上げ処理の適用後、材料は、固定プロセス206に進むことができる。固定プロセス206は、前仕上げ処理溶液のpHを、染料を固定するのに適したpHに調整することを含む。一実施例では、固定プロセスは、前仕上げ処理溶液のpHを低下させることを含む酸固定プロセスである。酸固定に好適な酸の非限定的な例としては、酢酸及びギ酸が挙げられる。例えば、酢酸を使用して、上述の例示的な前仕上げ処理溶液のpHを3.15±1.0のpHまで低下させることができる。
【0320】
工程210で、菌糸体材料が、pH調整された前仕上げ処理溶液中に浸漬され、工程204に関して上述したのと同様の方法で平坦化され得る。工程210の浸漬及び圧縮プロセスは、1回以上(例えば、1、2、3、4、5回、またはそれ以上)繰り返され得る。
【0321】
工程212は、pH調整された前仕上げ処理溶液中の材料の最終的な、長い浸漬を含む。材料は、長い浸漬期間のほぼ半ばで、反転され得る。該長い浸漬期間は、約30分~1時間以上であり得る。該長い浸漬期間が完了すると、214で、材料が、最終圧縮工程を通して処理され得る。該最終圧縮プロセスは、工程204及び210に関して上述したものと同一であるか、または異なってもよい。
【0322】
固定プロセス206に続いて、工程216で、材料が、加熱を用いて、または用いないで乾燥され得る。材料は、乾燥工程216の間、概して垂直、水平、またはそれらの間の任意の向きに保持され得る。材料は、乾燥工程の間、任意選択で拘束され得る。例えば、1つ以上のクランプを使用して、乾燥中、材料の全てまたは一部が、拘束され得る。いくつかの実施例では、乾燥工程216は、周囲条件で実施される。
【0323】
複合菌糸体材料の機械的特性
本開示の様々な方法を組み合わせて、様々な機械的特性を有する処理された培養菌糸体材料または複合菌糸体材料を提供することができる。そのような実施形態では、菌糸体材料は、例えば、湿潤引張強さ、初期弾性率、破断時伸び率、厚さ、及び/またはスリット引裂強さなどの機械的特性を含む。他の機械的特性としては、以下に限定されないが、弾性、剛性、降伏強度、極限引張強さ、延性、硬さ、靭性、耐クリープ性、及び当技術分野で既知の他の機械的特性が挙げられる。
【0324】
様々な実施形態では、処理された菌糸体材料は、1インチ未満、1/2インチ未満、1/4インチ未満、または1/8インチ未満の厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、複合菌糸体材料は、両端値を含む約0.5mm~約3.5mm、例えば、約0.5mm~約1.5mm、約1mm~約2.5mm、及び約1.5mm~約3.5mmの厚さを有する。所与の材料片内の材料の厚さは、様々な変動係数を有し得る。いくつかの実施形態では、該厚さは実質的に均一であり、最小限の変動係数をもたらす。
【0325】
いくつかの実施形態では、菌糸体材料は、少なくとも20MPa、少なくとも25MPa、少なくとも30MPa、少なくとも40MPa、少なくとも50MPa、少なくとも60MPa、少なくとも70MPa、少なくとも80MPa、少なくとも90MPa、少なくとも100MPa、少なくとも110MPa、少なくとも120MPa、少なくとも150MPa、少なくとも175MPa、少なくとも200MPa、少なくとも225MPa、少なくとも250MPa、少なくとも275MPa、または少なくとも300MPaの初期弾性率を有し得る。いくつかの実施形態では、菌糸体材料は、両端値を含む約0.5MPa~約300MPa、例えば、約0.5MPa~約10MPa、約1MPa~約20MPa、約10MPa~約30MPa、約20MPa~約40MPa、約30MPa~約50MPa、約40MPa~約60MPa、約50MPa~約70MPa、約60MPa~約80MPa、約70MPa~約90MPa、約80MPa~約100MPa、約90MPa~約150MPa、約100MPa~約200MPa、及び約150MPa~約300MPaの初期弾性率を有し得る。特定の実施形態では、菌糸体材料は、0.8MPaの初期弾性率を有する。一態様では、菌糸体材料は、1.6MPaの初期弾性率を有する。別の態様では、菌糸体材料は、97MPaの初期弾性率を有する。
【0326】
いくつかの実施形態では、菌糸体材料は、両端値を含む約0.05MPa~約50MPa、例えば、約1MPa~約5MPa、約5MPa~約20MPa、約10MPa~約30MPa、約15MPa~約40MPa、及び約20MPa~約50MPaの湿潤引張強さを有し得る。特定の実施形態では、菌糸体材料は、約5MPa~約20MPaの湿潤引張強さを有し得る。一態様では、菌糸体材料は、約7MPaの湿潤引張強さを有する。特定の実施形態では、湿潤引張強さは、ASTM D638によって測定される。
【0327】
いくつかの実施形態では、菌糸体材料は、少なくとも1.1MPa、少なくとも6.25MPa、少なくとも10MPa、少なくとも12MPa、少なくとも15MPa、少なくとも20MPa、少なくとも25MPa、少なくとも30MPa、少なくとも35MPa、少なくとも40MPa、少なくとも45MPa、少なくとも50MPaの破壊強度(「極限引張強さ」)を有し得る。
【0328】
いくつかの実施形態では、菌糸体材料は、2%未満、3%未満、5%未満、20%未満、25%未満、50%未満、77.6%未満、または200%未満の破断時伸びを有する。例えば、菌糸体材料は、両端値を含む約1%~約200%、例えば、約1%~約25%、約10%~約50%、約20%~約75%、約30%~約100%、約40%~約125%、約50%~約150%、約60%~約175%、及び約70%~約200%の破断時伸びを有し得る。
【0329】
いくつかの実施形態では、初期弾性率、極限引張強さ、及び破断時伸びは、ASTM D2209またはASTM D638を使用して測定される。特定の実施形態では、初期弾性率、極限引張強さ、及び破断時伸びは、ASTM D2209のひずみ速度でASTM D638と同じサンプル寸法を使用する修正版ASTM D638を使用して測定される。
【0330】
いくつかの実施形態では、菌糸体材料は、少なくとも15N、少なくとも20N、少なくとも25N、少なくとも30N、少なくとも35N、少なくとも40N、少なくとも50N、少なくとも60N、少なくとも70N、少なくとも80N、少なくとも90N、少なくとも100N、少なくとも125N、少なくとも150N、少なくとも175N、または少なくとも200Nのシングルステッチ引裂強さを有し得る。特定の実施形態では、該トング型引裂強さは、ASTM D4786によって測定される。
【0331】
いくつかの実施形態では、菌糸体材料は、少なくとも20N、少なくとも40N、少なくとも60N、少なくとも80N、少なくとも100N、少なくとも120N、少なくとも140N、少なくとも160N、少なくとも180N、または少なくとも200Nのダブルステッチ引裂強さを有し得る。特定の実施形態では、該トング型引裂強さは、ASTM D4705によって測定される。
【0332】
いくつかの実施形態では、菌糸体材料は、ISO-3377によって測定されたときに、少なくとも1.8N、少なくとも15N、少なくとも25N、少なくとも35N、少なくとも50N、少なくとも75N、少なくとも100N、少なくとも150N、または少なくとも200Nのトング型引裂強さ(スリット引裂強さとも称される)を有し得る。特定の実施形態では、該トング型引裂強さは、ASTM D4704によって測定される。いくつかの実施形態では、菌糸体材料は、ISO-3377-2によって測定されたときに、少なくとも1N、少なくとも20N、少なくとも40N、少なくとも60N、少なくとも80N、少なくとも100N、少なくとも120N、少なくとも140N、少なくとも160N、少なくとも180N、または少なくとも200Nのスリット引裂強さを有し得る。一態様では、菌糸体材料は、ISO-3377-2によって測定されたときに、両端値を含む約1N~約200N、例えば、約10N~約30N、約20N~約40N、約30N~約50N、約40N~約60N、約50N~約70N、約60N~約80N、約70N~約90N、約80N~約100N、約90N~約110N、約100N~約120N、約110N~約130N、約120N~約140N、約130N~約150N、約140N~約160N、約150N~約170N、約160N~約180N、約170N~約190N、及び約180N~約200Nのスリット引裂強さを有する。
【0333】
いくつかの実施形態では、菌糸体材料は、少なくとも0.2MPa、少なくとも1MPa、少なくとも5MPa、少なくとも20MPa、少なくとも30MPa、少なくとも50MPa、少なくとも80MPa、少なくとも100MPa、少なくとも120MPa、少なくとも140MPa、少なくとも160MPa、少なくとも200MPa、少なくとも250MPa、少なくとも300MPa、少なくとも350MPa、少なくとも380MPaの曲げ弾性率(たわみ)を有し得る。特定の実施形態では、該圧縮は、ASTM D695によって測定される。いくつかの実施形態では、菌糸体材料は、約5~10MPaの曲げ弾性率を有する。いくつかの実施形態では、菌糸体材料は、約10~20MPaの曲げ弾性率を有する。いくつかの実施形態では、菌糸体材料は、約20~30MPaの曲げ弾性率を有する。いくつかの実施形態では、菌糸体材料は、約30~40MPaの曲げ弾性率を有する。いくつかの実施形態では、菌糸体材料は、約10~11MPaの曲げ弾性率を有する。いくつかの実施形態では、菌糸体材料は、約10MPaの曲げ弾性率を有する。
【0334】
本開示の様々な実施形態では、菌糸体材料は、水に浸漬した後の質量増加のパーセンテージとして測定される、異なる吸収特性を有する。いくつかの実施形態では、水に1時間浸漬した後の質量増加パーセントは、1%未満、5%未満、25%未満、50%未満、74%未満、または92%未満である。特定の実施形態では、1時間後に水に浸漬した後の質量増加パーセントは、ASTM D6015を使用して測定される。
【0335】
菌糸体材料を製造する方法
本明細書に記載の菌糸体材料を製造する方法も、提供される。本開示の一実施形態によれば、菌糸体材料は、分岐菌糸の1つ以上の塊を含む培養菌糸体材料を生成することと、該分岐菌糸の1つ以上の塊を含む該培養菌糸体材料を破壊することと、(例えば、該破壊された培養菌糸体材料を、結合剤を含む溶液と接触させることによって)該培養菌糸体材料に結合剤を添加し、それにより複合菌糸体材料を製造することと、によって製造され得る。いくつかの実施形態では、該培養菌糸体材料は、破壊された分岐菌糸の1つ以上の塊を含む。いくつかの実施形態では、該破壊された分岐菌糸の1つ以上の塊は、長さを有する。そのような実施形態では、該破壊された分岐菌糸の1つ以上の塊は、約0.1mm~約5mmの長さを有する。
【0336】
別の態様では、菌糸体材料は、培養菌糸体材料を生成することと、該培養菌糸体材料を圧縮することと、(例えば、該圧縮された培養菌糸体材料を、結合剤を含む溶液と接触させることによって)該培養菌糸体材料に結合剤を添加し、それにより複合菌糸体材料を製造することと、によって製造され得る。
【0337】
いくつかの実施形態では、該生成することは、固体基材上に培養菌糸体材料を生成することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、該菌糸体材料に支持材料を組み込むことを含む。いくつかの実施形態では、該支持材料は、補強材料である。いくつかの実施形態では、該支持材料は、ベース材料である。いくつかの実施形態では、該破壊することは、機械的作用によって、分岐菌糸の1つ以上の塊を破壊することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、培養菌糸体材料を生成する真菌種以外の種に由来する1つ以上のタンパク質を添加することをさらに含む。いくつかの実施形態では、該方法は、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料に染料を添加することをさらに含む。いくつかの実施形態では、該方法は、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料に可塑剤を添加することをさらに含む。いくつかの実施形態では、該方法は、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料にタンニンを添加することをさらに含む。いくつかの実施形態では、該方法は、菌糸体材料に仕上げ剤を添加することをさらに含む。いくつかの実施形態では、該方法は、さらに、該菌糸体材料の機械的特性を決定することを含み、該機械的特性は、以下に限定するものではないが、湿潤引張強さ、初期弾性率、破断時伸び率、厚さ、スリット引裂強さ、弾性、剛性、降伏強度、極限引張強さ、延性、硬さ、靭性、耐クリープ性などを含む。例えば、該菌糸体材料は、約0.05MPa~約50MPaの湿潤引張強さ、約0.5MPa~約300MPaの初期弾性率、約1%~約200%の破断時伸び率、約0.5mm~約3.5mmの厚さ、及び/または約1N~約200Nのスリット引裂強さを有する。
【0338】
いくつかの実施形態では、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料は、従来のペーパーミリング装置を使用して製造される。
【実施例】
【0339】
以下の実施例は、どのようにして本発明をなし、かつ使用するかに関する完全な開示及び説明を当業者に提供するために公表されるもので、本発明者らが自分たちの発明と見なすものの範囲を限定することを意図するものでも、以下の実験が、実施されたすべてのまたは唯一の実験であることを表すことを意図するものでもない。使用された数字(例えば、量、温度など)に関して正確さを保証するための努力がなされてきたが、ある程度の実験誤差及び偏差が考慮されるべきである。別段の記載がない限り、部(part)は、重量部であり、分子量は、重量平均分子量であり、温度は、摂氏であり、圧力は、大気圧またはその近傍である。標準的な略語、例えば、bp、塩基対、kb、キロ塩基、pl、ピコリットル、sまたはsec、秒、min、分、hまたはhr、時間、aa、アミノ酸、kb、キロ塩基、bp、塩基対、nt、ヌクレオチド、i.m、筋肉内(に)、i.p.、腹腔内(に)、s.c.、皮下(に)などが使用され得る。
【0340】
材料及び方法
以下の材料及び方法が、実施例で使用された。
【0341】
複合菌糸体材料サンプル
以下に記載されるサンプルの各々について、成分が、ブレンダー(VitamixまたはBlendtec)中で一緒にブレンドされた。得られたスラリーが、製紙スクリーンまたは水を通過させる成形布の上に載った型に注ぎ込まれた。約1~15分待った後、スラリーから型が取り出された。次いで、材料が、ハンドプレスを介して約0.25インチまで圧縮された。次いで、得られた材料が、スクリーンから取り出され、ファンの前で乾燥された。サンプルが、乾燥され、次いで、加熱プレス中で圧縮された。足場が、以下に記載されるように、任意選択で複合菌糸体材料内に含まれた。
【0342】
以下のサンプルが使用された。
【0343】
HM1-1-1:乾燥培養菌糸体材料15g、水375mL、及びエンドウタンパク質(Nutribiotic)3gが、一緒にブレンドされた。BDF(BDF TG)からのトランスグルタミナーゼ3.75gが、添加された。ブレンドが、へらで混合され、室温(RT)で30分間インキュベートされ、次いで、6×6インチの型に注ぎ込まれ、1/4インチの厚さに圧縮され、乾燥され、HM1-1-1と標識された。この材料の3分の1が、3gのエポキシ化ダイズ油でこすられ、次いで、サンプルが、120℃で1分間、1メートルトンの圧力で圧縮され、HM1-1-11_120pと標識された。
【0344】
HM1-1-7:乾燥培養菌糸体材料15g、水375mL、エンドウタンパク質(Nutribiotic)3g、及び皮革接着剤3gが、一緒にブレンドされた。BDF TG3.75gが添加された。ブレンドが、へらで混合され、RTで30分間インキュベートされ、次いで、6×6インチの型に注ぎ込まれ、1/4インチの厚さに圧縮され、乾燥されて、HM1-1-7と標識された。
【0345】
HM1-1-9:乾燥培養菌糸体材料2.5g、水75mL、及びエンドウタンパク質(Nutribiotic)0.5gが、一緒にブレンドされ、6×6インチの型に注ぎ込まれ、1/4インチの厚さに圧縮され、乾燥されて、HM1-1-9と標識された。
【0346】
HM1-1-11:乾燥培養菌糸体材料10g、水400mL、エンドウタンパク質(Nutribiotic)4g、及びエポキシ化ダイズ油7.5gが、一緒にブレンドされ、6×6インチの型に注ぎ込まれ、1/4インチの厚さに圧縮され、乾燥されて、HM1-1-11と標識された。次いで、サンプルの半分が、120℃で1分間、1メートルトンの圧力で圧縮された。
【0347】
HM0は、乾燥培養菌糸体材料15g、エンドウタンパク質3g、及び水400mL中の5%グリセロールで作成されたブレンドサンプルを指した。
【0348】
HM25:乾燥培養菌糸体材料5g、水125mL、pH=7の40mMリン酸緩衝液中の1.5%ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂(PAE樹脂、SolenisからのPolycup 9200)125mL、及びエンドウタンパク質1gが、一緒にブレンドされした。2×2インチの正方形が2つ、作製された。一つは、105℃で5分間加熱され(標識:HM25_5分)、今一つは、105℃で10分間加熱された(標識:HM25_10)。
【0349】
HM1-3-1:培養菌糸体材料5g、50mMリン酸緩衝液(pH=7.4)中の1.5%PAE125mL、及びエンドウタンパク質1gが、一緒にブレンドされた。2×2インチのマットが2つ、作製された。マットが、105℃で5分間加熱されたが、マットを入れた後、オーブンが105℃に達するのに5分かかった。次に、一方のマットは、5%グリセロールに10分間浸漬され、ヒュームフード内で乾燥され、もう一方のマットは、そのまま湿潤引張試験された。
【0350】
HM1-3-2:培養菌糸体材料5g、50mMリン酸緩衝液(pH=7.4)中の1.5%のPAE125mL、Eco-Flo(登録商標)からの皮革接着剤2.5g、及びエンドウタンパク質1gが、一緒にブレンドされた。2×2インチマットが2つ、作製され、105℃で5分間加熱されたが、マットを入れた後、オーブンが105℃に達するのに5分かかった。次に、一方のマットは、5%グリセロールに10分間浸漬され、ヒュームフード内で乾燥され、もう一方のマットは、そのまま湿潤引張試験された。
【0351】
HM1-3-3:培養菌糸体材料15g、50mMリン酸緩衝液(pH=7.4)中の1.5%PAE400mL、及びエンドウタンパク質3gが、一緒にブレンドされた。乾燥後、均質化した菌糸体パネルの外側に形成された塩結晶。1個の6×6インチマットが作製され、105℃で5分間加熱されたが、マットを入れた後、オーブンが105℃に達するのに5分かかった。次に、マットが、5%グリセロールに10分間浸漬され、ヒュームフード内で乾燥された。
【0352】
HM1-3-4:培養菌糸体材料5g、25mMリン酸緩衝液(pH=7.4)中の1.5%PAE125mL、及びエンドウタンパク質1gが、一緒にブレンドされた。2×2インチのマットが2つ、作製され、これらのマットが、2×2インチの型に注ぎ込まれ、次いで、2つの製紙スクリーンの間で一方向にベーキングピンで圧延された。ピンとの向きは、長方形パネルの長辺に平行であった。
【0353】
HM1-3-5:培養菌糸体材料5g、25mMリン酸緩衝液(pH=7.4)中の3.0%PAE125mL、及びエンドウタンパク質1gが、一緒にブレンドされた。2×2インチのマットが2つ、作製された。これらのマットが、105℃で5分間加熱されたが、マットを入れた後、オーブンが105℃に達するのに5分かかった。
【0354】
HM1-3-6:培養菌糸体材料5g、25mMリン酸緩衝液(pH=7.4)中の1.5%PAE125mL、Eco-Flo(登録商標)からの皮革接着剤2.5g、及びエンドウタンパク質1gが、一緒にブレンドされた。綿織物足場(足場2)が、2つの2×2インチマットの中心に組み込まれた。一方のパネルは、105℃で2分間、1メートルトンまで圧縮され、もう一方のパネルは、105℃で5分間加熱され、オーブンが105℃に達するまで5分間待った後、1.54mmスペーサを使用して、パネルが圧縮される程度を制限した。
【0355】
HM1-3-7:培養菌糸体材料5g、25mMリン酸緩衝液(pH=7.4)中の1.5%のPAE125mL、Eco-Flo(登録商標)からの皮革接着剤5g、及びエンドウタンパク質1gが、一緒にブレンドされた。綿織物足場(足場2)が、2つの2×2インチマットの中心に組み込まれた。一方のパネルは、105℃で2分間、1メートルトンまで圧縮され、もう一方のパネルは、105℃で5分間加熱され、オーブンが105℃に達するまで5分間待った後、1.54mmスペーサを使用して、パネルが圧縮される程度を制限した。
【0356】
HM1-3-8:培養菌糸体材料5g、及び25mMリン酸緩衝液(pH=7.4)中の1.5%PAE125mLが、一緒にブレンドされた。2×2インチのマットが2つ、作製された。これらのマットが、105℃で5分間加熱されたが、マットを入れた後、オーブンが105℃に達するのに5分かかった。
【0357】
HM1-3-9:培養菌糸体材料5g、25mMリン酸緩衝液(pH=7.4)中の1.5%PAE125mL、及びエンドウタンパク質1gが、一緒にブレンドされた。2×2インチのマットが2つ、作製された。これらのマットが、105℃で2分間、1メートルトンで高さ1.45mmまで圧縮された。
【0358】
HM1-3-10:培養菌糸体材料5g、25mMリン酸緩衝液(pH=7.4)中の1.5%PAE125mL、及びエンドウタンパク質1gが、一緒にブレンドされた。織物足場(足場2)が、一方の2×2インチマットに組み込まれた。足場は、前日に希釈スラリー中で該足場の上に注がれ、乾燥された乾燥培養菌糸体材料でコーティングされていた。その後、パネルが、105℃で2分間、1メートルトンの圧力で1.5mmまで圧縮された。
【0359】
HM1-3-11:培養菌糸体材料5g、25mMリン酸緩衝液(pH=7.4)中の1.5%PAE125mL、及びエンドウタンパク質1gが、一緒にブレンドされた。2×2インチのマットが2つ、作製された。マット、及び1/8インチの細孔を有する綿織物足場(足場)が、Weldwoodコンタクトセメントでコーティングされ、ビーカー中の2Lの水で2.5時間室温で圧縮された。次いで、材料が、2.54mmまで、105℃で4分間、1メートルトンの圧力まで圧縮された。
【0360】
HM1-3-12:培養菌糸体材料2.5g、25mMリン酸緩衝液(pH=7.4)中の1.5%PAE62.5mL、及びエンドウタンパク質0.5gが、一緒にブレンドされた。製紙足場(papermaking scaffold)(足場3、黒色、非織物、プラスチック)が、一方の2×2インチマットに組み込まれた。次いで、パネルが、105℃で2分間、1メートルトンの圧力で1.5mmまで圧縮された。
【0361】
HM1-3-13:培養菌糸体材料2.5g、25mMリン酸緩衝液(pH=7.4)中の1.5%PAE62.5mL、及びエンドウタンパク質0.5gが、一緒にブレンドされた。1つの2x2インチマットが、前夜に菌糸体スラリーが注がれた、内部に組み込まれた足場4を用いて作製された。次いで、パネルが、105℃で2分間、1メートルトンの圧力で1.5mmまで圧縮された。
【0362】
HM1-3-14:培養菌糸体材料2.5g、25mMリン酸緩衝液(pH=7.4)中の1.5%PAE62.5mL、及びエンドウタンパク質0.5gが、一緒にブレンドされた。清潔な足場4を備えた1つの2×2インチのマットが、内部に組み込まれた。次いで、パネルが、105℃で2分間、1メートルトンの圧力で1.5mmまで圧縮された。
【0363】
HM1-3-15:培養菌糸体材料5g、25mMリン酸緩衝液(pH=7.4)中の1.5%PAE125mL、及びエンドウタンパク質1gが、一緒にブレンドされた。2×2インチのマットが、2つ作製された。マット、及び1/8インチの細孔を有する綿織物足場(足場4)が、Springfield Leater Companyからの皮革タック接着剤でコーティングされ、ビーカー中の2Lの水で2.5時間室温で圧縮された。次いで、材料が、2.54mmまで、105℃で4分間、1メートルトンの圧力まで圧縮された。
【0364】
HM1-4-1:培養菌糸体材料5g、25mMリン酸緩衝液(pH=7.4)中の1.5%PAE125mL、エンドウタンパク質1g、黒色酸化鉄(III)(iron(III)oxide black)1gまたはコバルトブルー1g、及び5%グリセロールが、一緒にブレンドされた。綿織物足場(足場4)が、内部に組み込まれた。2×2インチのマットが2つ、作製された。これらのマットが、圧縮され、105℃で2分間、1メートルトンの圧力で加熱された。
【0365】
HM1-4-2:培養菌糸体材料5g、25mMリン酸緩衝液(pH=7.4)中の1.5%PAE125mL、エンドウタンパク質1g、褐色酸性染料0.125g、及び5%グリセロールが、一緒にブレンドされた。綿織物足場(足場4)が、内部に組み込まれた。2×2インチのマットが2つ、作製された。これらのマットが、圧縮され、105℃で2分間、1メートルトンの圧力で加熱された。
【0366】
HM1-4-3:培養菌糸体材料15g、25mMリン酸緩衝液(pH=7.4)中の1.5%PAE400mL、エンドウタンパク質3g、黒色酸化鉄(III)5g、及び5%グリセロールが、一緒にブレンドされた。6×6インチのマットが2つ、作製された。これらのマットが、圧縮され、105℃で2分間、1メートルトンの圧力で加熱された。
【0367】
HM1-4-4:HM1-4-3と同じ。
【0368】
HM1-4-5:Eco-Flo(登録商標)からの皮革接着剤8gも一緒にブレンドされたことを除いて、HM1-4-3及びHM1-4-4と同様。
【0369】
HM3:乾燥培養菌糸体材料15g、水500~600mL、及びエンドウタンパク質(Nutribiotic)3gが、一緒にブレンドされた。BDF TG3.75gが添加され、へらで混合され、6×6インチの型に、型の半分注ぎ込まれ、予め湿潤させた足場1が材料内に圧入され、残りの半分の材料が、型に注ぎ込まれた。混合物が、30分間インキュベートされ、次いで、1/4インチ厚まで圧縮され、乾燥された。このサンプルが、半分に切断され、エポキシ化ダイズ油3gが、サンプルの半分に擦り込まれた。次いで、サンプルが、120℃で2分間、1メートルトンの圧力で熱圧縮された。
【0370】
HM22:乾燥培養菌糸体材料15g、水550mL、及びエンドウタンパク質3gが、一緒にブレンドされた。1つのチーズクロス(足場1)が、かぎ針編みにより内部に組み込まれた。足場1は、材料の中央に均等に配置されなかった。
【0371】
湿潤引張試験
複合菌糸体材料の引張試験の標準試験方法は、ASTM D638プロトコールに従って実施された。サンプルが、65±2%RHで24時間調整された。いくつかの実施形態では、サンプルが、試験前に、室温で1時間水に浸漬された。ASTM D638タイプIVドッグボーンなどのASTM標準ダイを使用して、サンプルを打ち抜いた。各サンプルの厚さ、幅、及び質量が、測定された。次いで、適切な引張試験方法が、Zwick製万能試験機(zwikiLine Materials Testing Machine Z5.0 TH)で実施された。
【0372】
スリット引裂試験
複合菌糸体材料のスリット引裂試験の標準試験方法が、Zwick製万能試験システムを使用して、ISO 3377-2プロトコールに従って実施された。サンプルが、65±2%RHで24時間調整された。いくつかの実施形態では、サンプルが、試験前に、室温で16時間、65%相対湿度で平衡化された。ISO 3377-2ダイを使用して、中央スリットを有する1インチx2インチの試料が、切り出された。各試料の厚さ及び質量が、測定された。次いで、適切なスリット引裂試験方法が、Zwick製万能試験機で実施された。
【0373】
菌糸体材料のドラフト
菌糸体が、材料の薄いシートを方向に沿って手動でドラフトすることによって、整列された。材料に印加されたドラフト力は、破断荷重を超えなかった。
【0374】
走査型電子顕微鏡(SEM)イメージング及びフーリエ変換(FT)分析
走査型電子顕微鏡(SEM)は、二次電子を介して材料の形態を評価するために、焦点電子ビームを使用した。電子ビームがラスタパターンで走査されて、1mm~10nmまたは10X~100,000Xの倍率のスケールで、顕微鏡写真を収集した。SEM法は、低真空(1~10torr)を使用し、生体サンプルを脱水またはスパッタコーティングする必要を回避した。
【0375】
次いで、SEM顕微鏡写真が、正方形のサイズに切り抜かれ、フーリエ変換(FT)を使用して分析された。画像のFTは、様々な大きさ(すなわち、強度)、周波数、及び位相角の複素指数の合計を表した。得られた周波数領域は、角度の関数として、画像内の周期性を明らかにした。整列された繊維が、繊維軸に直交する周期性をもたらしたため、数量優先繊維配列に対して周波数領域が使用された。次いで、方位角分布のプロファイルを抽出するために、極座標周波数領域画像が、直交座標に変換された。次いで、方位角分布にガウス型ピークを当てはめて、半値全幅及び最大角位置を計算した。
【0376】
偏光フーリエ変換赤外(FTIR)分光法
フーリエ変換赤外線(FTIR)スペクトルを使用して、複合菌糸体材料の二次ならびに三次構造が、評価された。実施形態によっては、菌糸体の菌糸のキチン内に存在する異なる化学的機能を評価するために、異なる波数(cm-1)のFTIRスペクトルが使用され得る。N-アセチル基のメチル変形モードに対応する波数は約1410cm-1であることが見出される一方、エーテル振動モードは約950cm-1であることが見出された。
【0377】
減衰全反射モードでは、赤外光ビームは、内部反射素子の内部で反射された。吸光度は、界面におけるエバネッセント波の減衰から生じた。
【0378】
偏光FTIRでは、光は、(反射面に垂直な)sに沿って偏光された。サンプルは、偏光sベクトル(0度)または垂線(90度)に沿って、角度的に位置付けられた。0度及び90度における吸光度の比は、2次ルジャンドルオーダーパラメータが計算され得る二色比(R)を定義した<P2>=(R-1)/(R-2)。
【0379】
実施例1:複合菌糸体材料の引張特性
以下の結果に示されるように、架橋剤ポリアミド-エピクロロヒドリン(PAE)などの結合剤、及び任意選択で織物足場を組み込むことにより、材料の湿潤引張強さ及び引裂強さが、飛躍的に向上した。PAEは、伝統的に製紙業界で使用される架橋剤であるが、ソーセージの皮内にも見出される。より剛性の高い織物足場は、より剛性の低い、より伸縮性の高い足場よりも、複合菌糸体材料で良い性能を示した。任意の特定の理論に拘束されることを意図するものではないが、材料内に組み込まれたときに、より剛性の低い足場は、いずれの負荷にも耐えなかったことが、提案される。また、より剛性の低い足場は、より剛性の高い足場よりも、破断時に層間剥離する可能性が高かった。水性ラテックス接着剤は、強度及び塑性変形の両方の点で、材料にさらなる利点をもたらした。
【0380】
PAEを含むいくつかのサンプルでは、複合菌糸体材料は、そのままの培養菌糸体材料よりも、高い湿潤引張強さ及び高いスリット引裂を有した。PAEを有するいくつかのサンプルでは、複合菌糸体材料は、そのままの培養菌糸体材料よりも、低い破断時伸び(塑性変形)を有した。
【0381】
結合剤の添加
表1は、様々な複合菌糸体材料の湿潤引張強さ(MPa)、初期弾性率(MPa)、及び破断時伸び(%)を示す。
【0382】
【0383】
PAEまたはポリウレタンなどの結合剤を添加すること、及びいくつかのサンプルでは、織物足場を追加することにより、複合菌糸体材料の引張特性が、劇的に向上した。湿潤引張強さは、0.11MPaから少なくとも0.86MPaに、及び最大7.38MPaに向上した。初期弾性率は、1.97MPaから少なくとも3.48MPaに、及び最大96.98MPaに向上した。破断時伸びは、8.20%から少なくとも10.39%に、及び最大278.5%に向上した。複合菌糸体材料の厚さは、0.5mm~3.5mmの範囲であった。破壊された菌糸体材料のサブネットワークサイズ、例えば、長さは、0.5mm~2mmの範囲であった。
【0384】
PAE架橋
エンドウタンパク質の存在は、PAE架橋に影響を与えなかった。サンプルHM1-3-8は、1.5%PAEを使用し、エンドウタンパク質なしで架橋された(表2)。PAEの濃度を1.5%から3%に上昇させても、湿潤引張強さは、有意に向上しなかった(表2)。
図2は、熱圧縮された、PAE及び足場3を含む菌糸体パネル(HM1-3-12)(破線)、及び熱圧縮された、PAE及び足場4を含む菌糸体パネル(HM1-3-13)(実線)の応力-ひずみ曲線を示す。
【0385】
表2は、様々な複合菌糸体材料の湿潤引張強さ(MPa)、初期弾性率(MPa)、及び破断時伸び(%)を示す。パネル中の1.5%乾燥重量%でのPAE架橋サンプルを、3%乾燥重量%でのPAE架橋サンプルと比較する、及びPAE+エンドウタンパク質架橋サンプルを、エンドウタンパク質なしでの架橋サンプルと比較するサンプルが、作製された。
【0386】
【0387】
添加剤強化
ラテックス接着剤(皮革接着剤)は、湿潤引張強さ及び破断時伸びを改善し、PAEが菌糸体を架橋する能力に影響を及ぼさなかった(表3)。
【0388】
表3は、様々な複合菌糸体材料の湿潤引張強さ(MPa)、初期弾性率(MPa)、及び破断時伸び(%)を、接着剤なしのPAE架橋菌糸体サンプルを、接着剤を用いたPAE架橋菌糸体サンプルと比較して示す。
【0389】
【0390】
HM1-4-1~HM1-4-5までのサンプルは、染料、可塑剤、及び足場を含み、全て、約1.4mmまで圧縮された。
【0391】
熱圧縮
105℃のオーブン内でサンプルを架橋する代わりに、105℃でサンプルを熱圧縮することにより、湿潤引張強さの倍増がもたらされた(表4)。
【0392】
表4は、様々な複合菌糸体材料の湿潤引張強さ(MPa)、初期弾性率(MPa)、及び破断時伸び(%)を示す。105℃で熱圧縮されたサンプル(HM1-3-9p)を、オーブン内で105℃で架橋されたサンプルを比較するサンプルが、作製された。
【0393】
【0394】
支持材料の組み込み
組み込まれた支持材料は、複合菌糸体材料の湿潤引張強さを向上させ、足場などのより剛性の高い支持材料は、より剛性の低い支持材料よりも、高い初期弾性率をもたらす。いくつかのサンプルでは、組み込まれた支持材料は、過熱圧縮されたPAEサンプルの湿潤引張強さを、約2~5倍の上昇で向上させた。
図3は、本明細書で使用される複合菌糸体材料の内部に組み込まれる異なる支持材料を示す。
図3は、左から右に、1インチの1/16よりもわずかに小さい細孔を有するチーズクロス足場(足場1)、1インチの1/32よりも小さい細孔を有する綿織物足場(足場2)、サイズが1インチの1/16の細孔を有する非織物足場(足場3)、及びサイズが1インチの1/8の大きい細孔を有する綿織物足場(足場4)を示す。
図4は、湿潤引張試験後のWeldwood接着剤を有する足場4を示す。
【0395】
表5は、本明細書で使用される4つの足場の例示的な機械的特性を示す。機械的特性は、Zwickシステムで試験された。
【0396】
【0397】
組み込まれた支持材料は、1つ以上の複合菌糸体材料サンプルの湿潤引張強さを向上させ、足場などのより剛性の高い支持材料は、より剛性の低い足場((例えば、綿織物の足場2と比較して、非織物の足場3)よりも、破壊された菌糸体が破断する前に、より多くの荷重を受け取る。1つ以上の複合菌糸体材料は、かなり低い破断時伸びを伴って、相対的に剛性が高かったので、相対的に剛性が高い足場は、ウシ皮革に匹敵する引張特性値をもたらすのにより効果的であることが判明した。足場が、初期に任意の引張力からのひずみを受け取り、次いで、複合菌糸体材料が破断する前に破断するように、支持材料が、該複合菌糸体材料よりも高い初期弾性率、及び任意選択でより低い破断時伸びを有することが所望される。
【0398】
足場3(非繊維足場)は、これらの所望の要件を満たした。足場2は、低い初期弾性率及び高い破断時伸びを有した。足場4は、天然材料(綿)でできており、かなりの引張強さ及び初期弾性率を有した。足場1と比較して、足場4は、より引裂き難かった。
【0399】
表6は、足場などの組み込まれた支持材料を有する、及び有しない、圧縮され架橋された複合菌糸体材料の機械的特性を示す。家具用革の機械的特性が、比較として使用されている。
【0400】
【0401】
実施例2:複合菌糸体材料のスリット引裂強さ
複合菌糸体材料のスリット引裂強さが、そのままの培養菌糸体材料のものと比較された。
【0402】
表7は、様々な複合菌糸体材料のスリット引裂強さ(N)及び厚さ(mm)を示す。
【0403】
【0404】
様々な複合菌糸体材料のスリット引裂強さは、約7N~約50Nの範囲であった。
図5は、圧縮されたサンプル(HM1-4-3及びHM1-1-11_120p)ならびに圧縮されていないサンプルを含む、様々な複合菌糸体材料のスリット引裂対厚さのプロットを示す。圧縮されたサンプルのスリット引裂強さは、圧縮されていないサンプルよりも、はるかに強かった。HM1-4-3は、1.5%PAEの存在下で圧縮され、HM1-1-11_120pは、エポキシ化ダイズ油の存在下で圧縮された。PAEなしの圧縮されていないサンプルは、厚さに対して線形的に挙動するスリット引裂強さを有した。
【0405】
実施例3:ガノデルマ・セッシル由来の菌糸体の菌糸の整列
次いで、培養菌糸体材料または複合菌糸体材料が、分岐菌糸を1つ以上の方向において物理的に整列させることによって、破壊された。
図6は、整列された菌糸体のひずみの関数としての厚さ方向ドラフト応力(through-thickness drafting stress)をプロットした応力-ひずみ曲線を示す。最大伸びまでドラフトする前に、ひずみサイクルが、10%~80%まで、10%のインクリメントで実施された。分岐菌糸の塊が整列されている間に、力が測定された。これらの曲線は、比例限界に続いて、ネッキングが起こる曲線の最大値を示した。
【0406】
表8は、
図6に示された厚さ方向ドラフトのドラフト最大アライメント応力及び伸びの範囲を示す。
【0407】
【0408】
図7A及び7Bは、ドラフト前(
図7A)及びドラフト後(
図7B)の菌糸体の菌糸のSEM顕微鏡写真を示す。この実施形態では、繊維は、応力方向に沿って整列された。薄膜は、3つの連続する層を含んだ。
【0409】
図8は、ドラフト前(黒い正方形)及びドラフト後(灰色の円)の菌糸体SEM画像のフーリエ変換グラフである。グラフは、繊維整列角の関数として、正規化されたグレースケール(%)を示した。
図9は、偏光(0度)及び偏光に垂直(90度)に沿って整列された菌糸体の菌糸の偏光FTIRスペクトルを示す。純粋なキチンのスペクトルが、比較として示されている。
図10は、整列されていない、及び整列された菌糸体の菌糸の波数の関数としての2次ルジャンドルオーダーパラメータ(<P2>)を示す。グラフは、特定の周波数において、菌糸の整列があることを示した。
図11A及び11Bは、ポリウレタンホットメルト接着剤で結合された、整列した菌糸体の2つの薄層の、150X(
図11A)及び500X(
図11B)の倍率でのSEM顕微鏡写真を示す。層の表面が、測定された。
図12A及び12Bは、乾燥状態(
図12A)及び湿潤状態(
図12B)において65%RHで調整した後に試験された、整列した菌糸体、及びポリウレタンホットメルト接着剤で結合された整列した菌糸体の応力-ひずみ曲線を示す。
【0410】
表9は、65%相対湿度(RH)での調整後、及び1時間の水浸漬後に試験された、整列した菌糸体、及びポリウレタン(PU)ホットメルト接着剤で結合された、整列した菌糸体の引張特性を示す。
【0411】
【0412】
複合菌糸体材料の乾燥引張強さが、湿潤引張強さに対して測定されした。例えば、ドラフトされた菌糸体PU積層体は、5.750MPa~8.804MPaの乾燥引張強さ、及び3.298MPa~4.549MPaの湿潤引張強さをもたらした。湿潤により初期弾性率が低下することが、観察された。同様に、結合されていない積層体では、結合された積層体と比較して、より大きな値の減少が生じた。ドラフトされた、PUを有しない菌糸体薄層サンプルでは、結合剤が存在しないことによる引張強度の変化はなかった。さらに、ポリウレタンを使用することで、湿潤時に4倍強い材料が得られた。任意の特定の理論に拘束されることを意図するものではないが、引張強度特性は、菌糸の特定の種類の操作に依存し得る。
【0413】
実施例4:複合菌糸体材料のハイドロエンタングルメント
材料の成分が、ブレンダーで破壊され、得られたスラリーは、少なくとも培養菌糸体材料と、水とを含んだ。水が、約50マイクロメートルの直径を有する細孔を通して、約750~1000psiで菌糸体スラリーに向けられた。菌糸体アスラリーが、1つ以上の結合剤を含む溶液内に浸漬された。任意の特定の理論に束縛されることを意図するものではないが、複合菌糸体材料の分岐菌糸の1つ以上の塊が、ハイドロエンタングルメントを介して効果的に絡合し、例えば、湿潤引張強さ、初期弾性率、破断時伸び率、厚さ、及び/またはスリット引裂強さなどの性能における特定の機械的特性の改善をもたらしたことが提案される。結果が、例えば、実施例15など、本明細書に含まれている。
【0414】
実施例5:処理液での菌糸体材料の含浸
菌糸体パネルは、絡合された菌糸から成る多孔質材料である。
図15に示されるように、菌糸は、絡合して、菌糸構造の間に開放気孔を含む3Dネットワークを形成する。これらの菌糸の細孔の直径は、数百ナノメートル~数マイクロメートルであり得る。菌糸体材料を作製する場合、菌糸体の菌糸を一緒に結合し得る化学化合物を使用することが有益であり得、それにより、菌糸体材料の構造的完全性及び積層の改善に役立つ。しかしながら、そのような化合物はまた、材料結合剤として効率的に作用するために、菌糸体材料に浸透することができなければならない。
【0415】
菌糸体材料内の細孔径分布が、キャピラリーフローポロメータ(Porous Materions Inc.,Ithaca NY)を使用して、ASTM規格F316-03に従って特徴付けられた。
図16は、ほとんどの細孔径が0.36~0.84マイクロメートルの範囲内に収まり、0.72~0.78マイクロメートルの間に非常に高い細孔径分布の鋭いピークがあることを示す。最大細孔径は、第1の連続気泡が検出される圧力である泡立ち点によって決定される約2.2マイクロメートルであった。したがって、この範囲を超える粒径を有する溶液は、菌糸体材料表面によって保持またはブロックされ得、菌糸体材料の中心まで浸透しないであろう。
【0416】
ミモザタンニン、加脂剤、及び染料溶液の粒径
次に、様々な処理溶液の粒径が、決定された。Malvern Zetasizer Nano-Sを使用して、選択された溶液及びエマルション中の粒径が、測定された。この装置は、0.1ナノメートル~5マイクロメートルの粒子を測定し得る。例示的な溶液としては、ミモザタンニン、加脂剤、及び染料が挙げられる。ミモザタンニン5%水溶液の粒径が、
図17に示されており、加脂剤5重量%水溶液(Trupon DVX:Truposol LEX=3:1)の粒径が、
図18に示されている。
【0417】
ほとんどの粒子は、ミモザタンニン溶液中では100nm~1μmである一方、ほとんどの粒子は、加脂剤溶液中では50~500nmであった。したがって、ミモザタンニン及び加脂剤粒子は、菌糸体材料を通過することが予想される。
【0418】
アラビアゴム、タンニン、及び加脂剤溶液の粒径
アラビアゴムは、硬化した樹液からなる天然ゴムであり、結合剤材料として使用され得、菌糸体処理の候補と見なされ得る。しかしながら、材料でのアラビアゴムの処理では、表面的な含浸しか生じなかった。アラビアゴム溶液中の粒径分布の測定は、水溶液中のアラビアゴムの粒径が比較的大きく、粒子が菌糸体によって濾過されて菌糸体表面に沈着し、皮殻質の表層を生じる可能性が高いことを示した。10%(wt/wt)の水溶液中のアラビアゴム(
図19)、及びタンニン及び加脂剤をクラスト溶液中に有するアラビアゴム(10%(wt/wt))(
図20)の粒径が、示されている。
【0419】
アラビアゴム水溶液の粒子は、1μm~5μm超の範囲であった(
図19)。Malvern装置は、5μm未満の粒子を測定するため、チャート右端のピークが、切り取られている。アラビアゴム/タンニン/加脂剤の組み合わせ溶液が、ミモザタンニン及び加脂剤の粒子から予想されるような50nm~1000nmの粒子を有しないことは、予想外であった。代わりに、アラビアゴムの信号ピークの隣に、2μm前後のピークが観察された。加脂剤は、軟化油、界面活性剤、消泡剤、及び他の成分の混合物であるため、いずれも大量のヒドロキシル基を含有するミモザタンニン及びアラビアゴムを添加することは、表面エネルギーに影響を及ぼし得る。このことが、そのような溶液中の粒径、特にミセル粒径を変化させる可能性がある。
【0420】
ポリマー溶液の粒径
様々な自己架橋性コポリマーの粒径も、評価された。酢酸ビニル-アクリル及び酢酸ビニル-エチレンは、菌糸体材料及びそれら自体に結合し得る自己架橋性ポリマーであり、したがって、結合剤及び架橋剤の両方として機能する。追加の粒度試験の結果は、異なる製造業者からの酢酸ビニル-エチレン(VAE)が、エマルション中で10倍異なるミセル粒度(0.23μm対2.2μm)を有することを示した。
図21は、10重量%のX-LINK(登録商標)2833エマルション(Celanese)の粒径分布を示す。
図22は、VAE S-10エマルション(US Adhesive)の粒径分布を示す。したがって、同様のポリマー溶液であっても、製造業者ソースに応じて、ある範囲の粒径を示す。
【0421】
実施例6:架橋剤及びアラビアゴム結合剤による菌糸体の処理
PAE及びAPS架橋剤
菌糸体材料の機械的強度を向上させるために、ポリマー架橋剤PAE及びAPSが、調査された。これらの架橋剤は、菌糸体も菌糸を架橋するように作用し、アラビアゴムまたはラテックスなどの追加のポリマー結合剤と共に使用され得る。使用された架橋剤は、ポリアミドエピクロロヒドリン(PAE)及び過硫酸アンモニウム(APS)であった。ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂は、多糖類をセルロースなどのカルボキシル基と架橋するために使用され得る、アゼチジニウム基を有する水溶性のカチオン性樹脂である。
【0422】
APS分解から生成されるアニオンラジカルは、ヒドロキシル基を含有するポリマー鎖を架橋し得る。菌糸体は主に、側鎖上に多数のヒドロキシル基を有する多糖類で構成されている。
【0423】
PAE架橋剤
PAEサンプルについては、4つの水中10%(w/w)菌糸体スラリーの2セットが、調製された。各セットにおいて、2つのサンプルが、最終的な1.5%(w/w)のPAE濃度までPAEと混合され、1つのサンプルが、最終的な3%(w/w)のPAE濃度までPAEと混合され、1つのサンプルは、対照例として、PAEと混合されなかった。得られた混合物は、10分間静置され、濾過され、0.25インチのマットに圧縮され、次いで、室温で乾燥された。対照サンプル、1つの1.5%PAEサンプル、及び3%PAEサンプルが、105℃で10分間加熱された。もう1つの1.5%PAEサンプルは、熱処理なしで放置された。サンプルの一方セットは、乾燥試験され、もう一方のセットは、湿潤試験された。次いで、ISO 3377-2ダブルエッジ引裂試験、ASTM D2209引張試験、及びASTM D4704トング引裂試験が、ZwickiLine Materials Testing Machine Z5.0で実施されて、熱のみの対照サンプルと比較した、各PAE処理サンプルの相対的強度を決定した。
【0424】
PAE架橋サンプルの引張強度の結果が、
図23に示されている。湿潤条件及び乾燥条件の両方において、3%PAE及び熱処理サンプルは、最も高い応力強度を有し、1.5%PAE及び熱処理サンプルは、2番目に高い応力強度を有した。湿潤条件では、1.5%PAEの熱処理なしサンプルは、3番目に高い強度を有する一方、乾燥条件では、1.5%PAEの熱処理なしサンプル及び熱処理のみサンプルは、同様の強度を有した。したがって、PAEを添加すること、及びサンプルを加熱することが、濃度依存的に菌糸体材料の強度を向上させ、PAE架橋の完全な有効性のためには、熱の適用が必要であった。PAEの添加、及び菌糸体材料を架橋するために熱を加えることが、菌糸体パネルの機械的品質を向上させた。
【0425】
APS架橋剤
APSサンプルについて、乾燥した菌糸体マットを、脱イオン水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の過硫酸アンモニウムの1%(w/w)溶液に浸漬し、軽く攪拌しながら、3.5時間かけて80℃にした。得られたマットを、脱イオン水ですすぎ、40℃で3時間乾燥した。次いで、ISO 3377-2ダブルエッジ引裂試験、ASTM D2209引張試験、及びASTM D4704トング引裂試験が、ZwickiLine Materials Testing Machine Z5.0で実施されて、対照サンプルに対する相対的な強度を決定した。
【0426】
引裂試験及び引張強度試験の結果が、表13及び表14に示されている。
【0427】
(表13)湿潤引張強さ、初期弾性率、及び破断時伸び
【0428】
【0429】
APS処理サンプルは、対照サンプルと比較して、有意に向上した湿潤引張強さ、初期弾性率、伸び、及びスリット引裂強さを有した。したがって、菌糸体材料を架橋するためのAPSの添加が、菌糸体パネルの機械的品質を向上させた。
【0430】
アラビアゴム及びラテックスまたはAPS
菌糸体の機械的強度を向上させるアラビアゴムの能力も、調査された。さらに、アラビアゴム及び菌糸体を架橋させるために、過硫酸アンモニウム(APS)が、添加された。
【0431】
菌糸体及びアラビアゴムの3つのサンプルが、試験された。最初の2つでは、3%(wt/wt)及び5%(wt/wt)のAPSを使用して、アラビアゴム(AEP Colloids Division、Sarcom Inc)が架橋されて、アラビアゴムの塊にされた。第3のサンプルでは、ラテックスが、アラビアゴムと30:70の比率で混合された。ラテックスは、不飽和C=C結合を有するモノマーを含有し、自己重合及び/または架橋し得る。サンプルはまた、ミモザタンニン及び加脂剤で処理された。
【0432】
表15は、サンプル及び処理条件の詳細を提供する。
【0433】
【0434】
3つのサンプルすべてが、溶液に1分間浸漬することによって、続いてローリング工程によって、処理された。浸漬及びロールサイクルが、4回実行された。処理された菌糸体パネルが、対流式オーブン内で、90℃で2時間乾燥された。これらのパネルが、オーブンから取り出され、ヒュームフード内で一晩、室温で乾燥された。パネルが、切断され、Hitachi(商標)-3030 Plus環境走査型電子顕微鏡を使用して、15kVの加速電圧で断面が撮像された。
【0435】
ラテックスを有するアラビアゴムの断面SEM画像では、処理された菌糸体パネルの両面に、2つの密な層が観察され得る(
図24)。アラビアゴム結合剤は、表面から約100~150μm内部まで浸透した。
【0436】
図25は、アラビアゴム及びラテックスで処理されたサンプルが、アラビアゴム及びAPSで処理されたサンプルと同様の剛性を有し、これらは両方とも、より高い曲げ弾性率によって示されるように、加脂剤(水溶液中で2.5%w/w)のみで処理された菌糸体パネルよりも、わずかに剛性が高かったことを示す。より高い曲げ弾性率は、材料の向上した剛性及び低下した可撓性を示す。この剛性の向上は、SEM画像で観察された、アラビアゴム/ラテックス処理サンプル上のより密な表層によってもたらされ得る。データは、力を厚さで除算することによって計算され、N/mmの単位を有する、未処理サンプルの単位サンプル厚さに対して正規化された。
【0437】
アラビアゴム及びAPSで処理された菌糸体パネルの正規化された最大スリット引裂強さは、未処理パネルよりもわずかに高かった(
図26)。アラビアゴム及びラテックスで処理されたパネルは、アラビアゴム及びAPSで処理されたサンプルよりも、有意に高いスリット引裂強さを示した。ラテックス処理菌糸体サンプルは、高いスリット引裂強さを示し、結合剤混合物中の30%のラテックスが、スリット引裂強さの改善に寄与したことを示した。しかしながら、アラビアゴム及びラテックスは、溶液粒子の浸透が低く、材料の曲げ弾性率を増加させた。
【0438】
実施例7:自己架橋性ポリマー結合剤による菌糸体の機械的特性の向上
ポリマー結合剤エマルションによる菌糸体材料の含浸
機械的特性への影響を評価するために、菌糸体マットが、様々な濃度のポリマーエマルション結合剤を含有する溶液でインキュベートされた。酢酸ビニル-エチレン及び酢酸ビニル-アクリルは、自己架橋性コポリマーである。そのようなコポリマーは、結合剤ポリマーとして作用し、菌糸体材料及び/またはコポリマー自体の両方に結合し、単一分子が結合剤及び架橋剤の両方として作用することを可能にし得る。
【0439】
まず、植物性タンニン、加脂剤、及び染料を含有する水溶液が、表17に記載の組成に従って調製された。溶液を調製するために使用された水の量は、入力菌糸体サンプル質量に基づいて、20倍であった。
【0440】
【0441】
次いで、結合剤が、特定の結合剤固形分含有量に到達するまで、溶液に添加された。結合剤及び各結合剤に使用された濃度範囲が、表18に記載されている。Tear menderラテックスが、対照例として使用された。
【0442】
(表18)
1天然ゴムラテックスのガラス転移温度は、-70℃である。
2おおよそのガラス転移温度。
【0443】
乾燥菌糸体サンプルを、溶液の各々に1分間浸漬し、次いでローラを通過させて、溶液を、強制的に材料を通過させる。サンプルが溶液で均等に飽和したように見えるまで、浸漬及び圧延プロセスが、繰り返された。サンプルが、周囲条件で乾燥され、次いで、1.3~1.7mmの最終厚さまでカレンダー圧延された。処理の前及び後にサンプルの質量が記録され、開始時の質量に対する質量の変化、及び最終的な菌糸体含有量が決定された。
【0444】
いくつかの実験では、最終サンプルの吸尽量に対する結合剤濃度単独の影響を理解するために、タンニン、加脂剤、及び染料が、省略された。
図27は、サンプルの菌糸体含有量を、天然ゴムラテックス(Tear Mender)及びS-10酢酸ビニル-エチレンを含浸したサンプルの溶液中の結合剤濃度の関数として示す。
【0445】
図27に示されるように、最終サンプルの結合剤吸尽は、溶液中の結合剤濃度に比例し、サンプル中の最終菌糸体含有量に反比例する。したがって、
図27における最終サンプル中の菌糸体含有量の減少は、増加する結合剤溶液濃度と共に、最終サンプル総質量のより多くが、結合剤で構成されることを示唆する。したがって、所望の最終菌糸体含有量を達成するために、溶液中の結合剤濃度は、示されている関係に従って調整され得る。
【0446】
含浸の程度を定性的に評価するために、含浸された菌糸体サンプルの表面及び内部が、走査型電子顕微鏡(SEM)で検査された。SEMは、Hitachi TM-3030 Plus環境走査型電子顕微鏡を使用して、15kVの加速電圧で実施された。
図30は、未処理の菌糸体サンプル、及び天然ゴムラテックスまたはS-10酢酸ビニル-エチレンのいずれかを含浸した菌糸体サンプルの代表的な走査型電子顕微鏡写真を示す。
図30に示されるように、未処理サンプル中の菌糸間の空きスペース(パネルa及びe)と比較して、断面及び引裂面内の充填された空隙(パネルb、c、d、f)から明らかなように、結合剤S-10酢酸ビニル-エチレン及び天然ゴムラテックスの菌糸ネットワーク内への効果的な含浸があった。
【0447】
機械的特性の評価
結合剤含浸菌糸体サンプルの剥離耐性を評価するために、T剥離試験が、500Nロードセルを有するZwick Proline万能試験システムを使用して、ASTM D1876に従って実施された。試験の前に、サンプルの質量が、0.25重量%以内に安定するまで、サンプルが、1時間、65%の相対湿度で調整された。
【0448】
図28は、Tear mender天然ゴムラテックスを含浸した菌糸体サンプルの最大T剥離力を示す。
図29は、S-10酢酸ビニル-エチレンを含浸した菌糸体サンプルの、ある濃度範囲にわたる最大T剥離力を示す。ポイントは、個々のT剥離試験を示す。これらのサンプルについては、加脂剤、染料、及びタンニンは、省略された。
【0449】
結合剤含浸菌糸体サンプルのスリット引裂耐性を評価するために、スリット引裂試験が、Zwickiline万能試験システムを使用して、ISO 3377-2に従って実施された。試験の前に、サンプルの質量が、0.25重量%以内に安定するまで、サンプルが、1時間、65%の相対湿度で調整された。
図31は、様々な濃度で様々な結合剤を含浸したサンプルのサンプル厚さに対して正規化された最大スリット引裂力を示す。具体的には、最大力は、N/mm単位にするために、サンプルの厚さで除算された。
【0450】
図32は、X-LINK(登録商標)2833酢酸ビニル-アクリルまたはDur-O-Set Elite 22酢酸ビニル-エチレンのいずれかを、同じ結合剤濃度で含浸した菌糸体サンプルの最大T剥離力を示す。X-LINK(登録商標)2833酢酸ビニル-アクリルまたはDur-O-Set Elite 22酢酸ビニル-エチレンのいずれかを、同じ結合剤濃度で含浸した菌糸体サンプルの最大T剥離力である。ポイントは、個々のT剥離試験を示す。ダイヤモンドは、平均最大T剥離力の95%信頼区間の上限及び下限を示す。
【0451】
図31及び32に示されるように、菌糸体の剥離耐性は、含浸に使用される結合剤の選択、及びその濃度によって影響され得る。一般に、含浸サンプルの平均最大T剥離力は、調査された両方の結合剤について、未含浸サンプルよりも大きかった。
【0452】
したがって、菌糸体のスリット引裂耐性は、含浸に使用される結合剤の選択、及びその濃度によって影響され得る。
【0453】
実施例8:菌糸体浸透効率を向上させるための処理方法
任意選択の加熱を伴う超音波処理支援溶液浸透プロセス
超音波処理は、溶液浸潤を助ける機械的方法であり、したがって、含浸プロセスをより効率的にし得る。菌糸体パネル(湿潤または乾燥)が、処理溶液(「クラスト」溶液、例えば、染料、加脂剤、及び/またはタンニン溶液、ならびに任意選択で結合剤)を有する袋内で浸漬され、溶液が菌糸体材料を通過するのを助けるために、ローラで圧延された。次に、袋に入った菌糸体材料及び処理溶液が、バスソニケータ内で、またはプローブソニケータで超音波処理された。菌糸体材料が、処理溶液中で再度圧延され、溶液から取り出され、乾燥された。材料を滑らかにし、軟化させるために、菌糸体が、追加の圧延で最終的に機械的に軟化された。
【0454】
超音波処理の有効性を検討するために、異なる粘度レベルを表す3つの溶液、すなわち、低粘度クラスト溶液、7重量%のラテックスを有する中粘度クラスト溶液、及び10重量%のアラビアゴムを有する高粘度クラスト溶液が、使用された。水が単独で、ベースライン対照として使用された。対照サンプルが、試験溶液に24時間浸漬された。超音波処理が、バスソニケータ内で行われた。乾燥したそのままの菌糸体パネルから乾燥後の浸潤パネルまでのサンプルの重量変化が、
図33に示されている。低粘度、中粘度、及び高粘度のクラスト溶液を用いた菌糸体パネルの超音波処理は、浸漬のみと比較して、菌糸体パネル重量の有意な増加をもたらした。7重量%のラテックスを有する中粘度クラスト溶液は、重量の最大の増加をもたらした。したがって、超音波処理が、試験され各溶液条件において、処理溶液の浸透性を改善した。
【0455】
(1)加熱された溶液は、粒子がブラウン運動によりより速く移動するのを助ける、(2)加熱された溶液は、同時に菌糸体材料を強化する、及び(3)処理溶液中の菌糸体を超音波処理浴内で直接超音波処理することにより、袋入れ工程がスキップされ得るので、加熱機能を有する修正された超音波処理浴を使用することもできる。
【0456】
穿孔浸透を伴う超音波処理
例えば、厚さ方向のマイクロチャネルを作成することによる、機械的穿孔が溶液浸透を改善するかどうかを判定するために、菌糸体材料の機械的穿孔が、調査された。ニードル及び水の2つのパンチング媒体が、評価された。エアパンチが、使用されてもよい。ニードルパンチ法では、3mmのニードル長(穿孔深さ)を有するローラが、使用された。水穿孔法では、高圧水が、直径50μmのスピナレットと共に使用された。機械的穿孔工程に加えて、超音波処理が、使用された。5%アラビアゴム濃度を有する表17に記載のクラスト溶液の重量変化率が、超音波処理のみを伴うクラスト溶液単独と比較された。菌糸体パネルが、浸漬前及び浸漬後に秤量され、最終パネルの重量の増加が、開始パネル重量のパーセント重量変化として示されている。
【0457】
図34は、ニードル穿孔法で穿孔され、超音波処理されたサンプル中の結合剤浸透菌糸体パネルの重量変化率を、超音波処理のみと比較して示す。
図35は、水穿孔法で穿孔され、超音波処理されたサンプル中の結合剤浸透菌糸体パネルの重量変化率を、超音波処理のみと比較して示す。菌糸体パネル表面に機械的に穿孔された穴は、アラビアゴムを含有する溶液の溶液浸潤を改善することが見出された。
【0458】
真空支援溶液浸透
菌糸体パネルの高い気孔率(最大95体積%)のため、溶液浸潤前に、真空を使用して空気が除去された。これにより、空気量を最小限に抑え、真空力に溶液移送を増加させるために、多孔質菌糸体パネルを締め固めるための真空の能力を決定することができた。真空機械のセットアップは、溶液タンク、片面金型、真空袋、溶液トラップ、及び真空ポンプから構築された。パネルが、様々な溶液と共に真空下でインキュベートされ、真空から取り出されて乾燥され、次いで、機械的に軟化された。
【0459】
異なる粘度レベルを表す3つの溶液、すなわち、表17に記載のクラスト溶液(低粘度)、7重量%のラテックスを含むクラスト溶液(中粘度)、及び10重量%の冷溶性デンプンAを有するクラスト溶液(高粘度)(Cargill、USA)が、使用された。菌糸体パネルが、クラスト溶液への浸漬前及び浸漬後に秤量され、最終パネルの重量の増加が、開始パネル重量のパーセント重量変化として示されている。
【0460】
乾燥したそのままの菌糸体パネルから乾燥後の浸潤パネルまでのサンプルの重量変化が、
図36に示されている。真空支援浸潤プロセスの有効性は、7重量%のラテックスサンプルで、より高い真空レベルが、クラスト溶液内のより高いサンプル重量増加をもたらすことが示されているように、真空条件に依存する。
【0461】
実施例9:結合剤及び接着剤を用いた菌糸体材料の積層
菌糸体材料の内部結合強度を向上させることに加えて、結合剤を接着剤として使用して、菌糸体ベースの複合体を構築することもできる。結合剤及び接着剤を使用する積層を使用して、改良された機械的特性を有する菌糸体材料を製造することができる。
【0462】
また、菌糸体材料のスリット引裂及び引張特性が、材料の可撓性を損なうことなく、織物スクリムを追加することによって改善され得る。例えば、布スクリムまたはプラスチックスクリムなど、使用される織物スクリムの種類に応じて、スリット引裂及び引張特性が、所与の仕様に合うように、意のままに調整され得る。スクリムは、ラテックスなどの接着剤または結合剤を使用することによって、菌糸体材料の裏側に追加されるか、または2つの層の間に積層され得る。
【0463】
積層及びスクリム
菌糸体サンプルが、まず、実施例7に記載のように調製された。簡単に述べると、植物タンニン、加脂剤、及び染料を含有する水溶液が、表17に記載の組成に従って調製され、菌糸体材料が、前述のように、浸漬され、圧延された。乾燥後、サンプルが、2つの菌糸体サンプルの表面にTear Menderの天然ゴムラテックスの薄層を広げることによって積層され、一緒に圧縮され、ローラを通過させられて、結合を向上させ、余分な溶液を除去した。これにより、積層二重層菌糸体材料が、もたらされた。いくつかのサンプルでは、2つの層の間に織物スクリムが、積層された。積層体がローラを通過させられる前に、クラストサンプルと同じサイズに切断された織物スクリム材料のピースが、2つのサンプルの間に配置された。試験前に、サンプルが、周囲条件で96時間乾燥された。
【0464】
前述のように、スリット引裂力が、試験された。
図37は、スクリムあり、及びなしで積層された菌糸体サンプルの最大スリット引裂力を示す。菌糸体のみの積層二重層、及びラテックスを有す菌糸体の二重層も、試験された。ラテックスでコーティングされたスクリムが、対照例として試験された。ポイントは、個々のスリット引裂試験を示す。ダイヤモンドは、平均最大スリット引裂力の95%信頼区間の上限及び下限を示す。
【0465】
図37に示されように、積層を使用して、菌糸体複合体の最大スリット引裂力が、実質的に増大され得る。各追加の積層工程(二重及び圧縮する、ラテックス層を添加する、スクリムを追加する)が、材料を引裂くのに必要なスリット引裂力を増加させた。
【0466】
図38は、様々な菌糸体サンプル及び複合体、すなわち、単層菌糸体サンプル、同時に試験された2層の菌糸体、天然ゴムラテックスを使用して積層された2層の菌糸体、間に織物スクリムを有する、天然ゴムラテックスを使用して積層された2層の菌糸体の代表的なスリット引裂力移動曲線を示す。
【0467】
図37及び38は、積層単独が、より強い材料を作成するための有用なアプローチである一方で、積層中に織物スクリムを組み込むことが、積層単独よりも優れた2つの利点を提供することを示す。第1に、最大力が、菌糸体及び接着剤の強度のみに依存するのではなく、スクリムの最大力まで増大され得る。第2に、スクリム糸の連続する負荷及び破断から生じる降伏点後の力の連続するピークから分かるように、スクリムが、材料を貫通する引裂き伝播を阻止する。逆に、スクリムなしで積層されたサンプルでは、菌糸体が完全に引裂かれるまで、引裂き伝播が、抑制されずに進行した。
【0468】
別のタイプの菌糸体ベースの複合体を構築するために、積層は、2つの菌糸体サンプルを、第1の浸漬サイクル後にラテックスの層と共に圧縮し、サンプルが一緒に接着された状態でプロセスの残りを完了させることによって、実施例7に記載の溶液浸透プロセスと同時に実施された。積層されていないサンプル(単層+ラテックス)が、実施例7に記載の通りに作製され、菌糸体材料の単一片が、結合剤としてラテックスティアメンダー(latex tear mender)を含有するクラスト溶液に浸漬され、パスタローラを通して、合計4回の浸漬及び圧延サイクルで圧延された。
【0469】
図39は、同時に積層及び含浸された菌糸体サンプルの最大スリット引裂力を、比較のための積層されていないサンプル(単層+ラテックス)及び含浸されていないサンプル(単層)と共に示す。二重層及びラテックス積層サンプルは、積層されていないサンプル及び含浸されていないサンプルと比較して、より高いスリット引裂力を有した。ポイントは、個々のスリット引裂試験を示す。ダイヤモンドは、平均最大スリット引裂力の95%信頼区間の上限及び下限を示す。したがって、向上したスリット引裂き耐性は、別個のプロセスとして積層を行うのではなく、含浸プロセスと同時に実行される積層プロセスにより、達成され得る。
【0470】
引裂き耐性を向上させることに加えて、材料の可撓性を調整するために、複合体の設計及び処理も選択され得る。「スクリム+ラテックス結合」サンプル及び「スクリム+ラテックス接着」サンプルが、上記の実施例7及び実施例8で前述したように調製された。「スクリム+ラテックス結合」とは、積層/クラスト形成プロセス中にスクリムを追加するプロセスを指す。「スクリム+ラテックス接着」とは、クラスト形成プロセスが終了し、サンプルが乾燥した後に、スクリムを追加するプロセスを指す。アラビアゴム及びAPSサンプルが、10%アラビアゴム及び3%APSを用いて、実施例6で前述したように調製された。スクリムを有する半クラストサンプル(Half crust with scrim sample)を調製するために、乾燥菌糸体サンプルが、まず約0.5インチの厚さに切断され、次いで、実施例7に記載のものと同じ浸漬及び圧延プロセスを使用するが、結合剤の添加なしで、表17に記載のクラスト溶液で含浸された。
【0471】
曲げ初期弾性率を測定するために、サンプルが、ASTM D790に従うが、ひずみ速度を毎分1%から毎分10%に増加させて、3点曲げ試験に供された。
図40は、ラテックスを有する二重層、スクリム及びラテックスを有する二重層、アラビアゴム及びAPSで処理された二重層、及びスクリムが片側に接着された単一層の曲げ弾性率を示す。アラビアゴム及びAPSサンプルで処理された二重層サンプルは、単一の菌糸体層を取り出し、それを半分に分割し、半片を一緒に積層して、作製された。
図40に示されるように、異なる材料設計及び処理アプローチを選択して、曲げ初期弾性率を1桁にわたって調整することができ、これを使用して、様々な手ざわり及び美観を有する製品を設計することができる。この場合、材料の可撓性は、材料が、ラテックスエマルションまたはアラビアゴム溶液で含浸されているかどうか、ラテックス結合剤が、材料の厚さ全体にわたって含浸されているか、それとも接着剤としてのみ使用されているか、及び入力菌糸体材料の厚さを制御することに基づいて、制御される。比較として、A1及びA2ウシハンドバッグレザーサンプルが、使用された。ラテックスを有する二重層が、約110MPaで最も剛性が高かった一方で、接着されたスクリムを有する単層は、約15MPaのA1ハンドバッグレザーベンチマークのものと同様の曲げ弾性率を有した。したがって、積層、結合剤、及びスクリムの選択は、得られる材料のより高い引裂き耐性、またはより高いもしくはより低い可撓性を提供するように行われ得る。
【0472】
菌糸体材料のホットプレス
引裂き及び層間剥離に対する耐性などの、菌糸体材料の機械的特性は、結合剤を添加することによって、及びホットプレスすることによっても、改善され得る。ホットプレスは、面密度を増加させ、菌糸体の菌糸を一緒に融合して、改良された機械的特性をもたらす。
【0473】
20mm厚の菌糸体パネルが、表17に記載のクラスト溶液で処理され、70℃で2分間ホットプレスされて、1.5mmのパネル厚を達成した。試験の前に、サンプルが、65%相対湿度で24時間調整された。並列サンプルも、ホットプレスの前に、0.5%S-10酢酸ビニル-エチレンでインキュベートされた。T剥離試験は、ASTM D1876に従って実施され、スリット引裂特性は、万能引張試験機を使用して、ISO 3377-2に従って試験された。
【0474】
図41に示されるように、層間剥離に対する耐性(最大T剥離力)は、ホットプレスによって増大する。最大T剥離力のさらなる改善が、ホットプレスとS-10酢酸ビニル-エチレン結合剤の添加とを組み合わせることによって達成された。
【0475】
図42は、ホットプレスが、処理された菌糸体パネルの最大スリット引裂力を有意に増大させることを示す。ホットプレスと、S-10酢酸ビニル-エチレン結合剤との組み合わせが、引裂き耐性をさらに向上させた。
【0476】
実施例10:可塑剤による菌糸体材料の処理
加脂剤、織物柔軟剤、またはソルビトール
材料及び方法
加脂剤、結合剤、及び/または架橋剤での処理の後に、処理されたパネルの柔軟性を改善するために、いくつかの異なるタイプの薬剤が、試験された。機械的強度の低下は好ましくないので、柔軟剤もまた、パネルの機械的強度の変化に関して評価された。
【0477】
菌糸体パネルが、Trupon DXVのTruposol LEX(Trumpler Gmbh)に対する3:1の比率の合計2.5重量%の加脂剤を含有するクラスト溶液で処理され、乾燥された。次に、乾燥したパネルが、脱イオン水に1分間浸漬され、次いで、ギャップ設定1で浸漬ローラを通過させられた。菌糸体パネルが、完全に湿潤していること、及び可溶性のデブリまたは化学物質がすべて除去されることを確実にするために、浸漬及び圧延工程が、8回繰り返された。次に、表19に示される様々な可塑剤が、水に希釈された。
【0478】
(表19)水溶液中の可塑剤の種類及び濃度
*ジエチルオキシエステルジメチルアンモニウムクロリド(DEEDMAC)は、Downy織物柔軟剤の有効成分である。
【0479】
サンプルが、水の体積に応じて、表19に示される可塑剤溶液200mLで、約10分~1時間処理された。対照サンプルが、水のみでインキュベートされた。処理後、サンプルが、周囲条件で24時間乾燥され、次いで、所与の温度における水の平衡蒸気圧に対して水蒸気の分圧を除算することによって計算された65%相対湿度で、機械的試験の前に一晩調整された。
【0480】
結果
材料の厚さは、すべての処理サンプルにわたって一定であった(
図43)。処理されたサンプルの最終密度も、質量を体積で割ることによって、評価された。密度の変化は、可塑剤の吸尽を示す。ソルビトール2Xサンプルは、他のサンプルと比較して、より高い最終密度を有し、これは、溶液中のソルビトールの濃度が高いことに起因する可能性がある(
図44)。
【0481】
各サンプルの曲げ弾性率が、決定された(
図45)。試験されたすべての可塑剤が、同様の範囲の菌糸体パネルの曲げ弾性率と、水のみで処理された菌糸体と比較して、曲げ弾性率の有意な減少と、をもたらした。Downy織物柔軟剤及びソルビトールで処理されたサンプルは、加脂剤及びソルビトール2xで処理されたサンプルと比較して、わずかに硬い手触りを有した。ソルビトール2X及び加脂剤で処理されたサンプルは、同じ手触りを有した。
【0482】
処理されたパネルのスリット引裂も、前述のように決定された。各パネルの最大スリット処理強さが、
図46に示されている。加脂剤が、すべての条件で、最も低いスリット引裂強さを生じた。ソルビトール2Xサンプルは、パネルが加脂剤サンプルと同様に可撓性であったにもかかわらず、未処理の菌糸体パネルに匹敵するスリット引裂強さを有した。最大スリット引裂力も、各パネルの厚さに対して正規化された(
図47)。(力をサンプルの厚みで除算することにより、N/mmの単位で)正規化された最大スリット引裂強さは、生の最大強度力と比較して、サンプルの引裂強さに同じ傾向を示し、ソルビトール2Xサンプルで観察された引裂強さの改善が、単に材料の厚さまたは密度の増加に起因するものではないことを示した。
【0483】
Tween 20及びTween 80
ソルビトールは、スリット引裂強さを維持しながら曲げ弾性率を低減するために、可塑剤または柔軟剤として菌糸体パネルで使用され得る糖アルコールである。ポリソルベート(Tween 20、Tween 80)は、脂肪酸でエステル化されたエトキシル化ソルビタン(ソルビトールの誘導体)に由来する油性液体である。ポリソルベートは、様々なよく理解された分子構造を有する非イオン性界面活性剤である。可塑剤として機能するポリソルベートの能力が、評価された。
【0484】
未処理の菌糸体パネルが、事前に計量され、各パネルが3.2gの同じ乾燥重量を有するように、切断された。Tween 20及びTween 80溶液が、0.5gまたは1.5g重量のTween 20またはTween 80を20mLのDI水に溶解させることによって、調製された。Tween溶液の量及び濃度が、表20に示されている。溶液の浸透を識別するのに役立つように、3滴の食品着色剤が、溶液に添加された。
【0485】
【0486】
各パネルが、脱イオン水に浸漬され、ギャップ設定1で浸漬ローラを通過させることによって圧縮された。菌糸体パネルが、完全に湿潤していること、ならびに可溶性のデブリまたは化学物質がすべて除去されることを確実にするために、浸漬及び圧延工程が、9回繰り返された。次いで、菌糸体パネルが、ヒュームフード内で、周囲条件で一晩乾燥された。
【0487】
可塑剤溶液処理のために、圧縮及び乾燥された菌糸体パネルが、Tween溶液中で手もみされた。溶液浸透が、菌糸体パネル内の食品着色剤レベルを観察すること、及び切断された断面を通して色が浸透するまでパネルをもむことによって、測定された。サンプルが、ヒュームフード内で一晩乾燥された。すべてのサンプルが、試験の前に、65%RHで一晩調整された。
【0488】
結果
図48は、可塑剤処理後のサンプルの厚さを示す。
図49は、可塑剤処理後のサンプルの密度を示す。前述の加脂剤Downy及びソルビトールで処理されたサンプルの厚さ及び密度の比較も、示されている。Tween可塑剤は、対照サンプルと比較して、菌糸体材料の厚さを変化させなかった(
図48)。しかしながら、Tween 20及びTween 80は、対照サンプルと比較して、用量依存的にサンプルの密度を増加させた(
図49)。Tween 20またはTween 80のいずれかの濃度を増加させることは、0.5g処理サンプルと比較して、1.5g処理サンプル中のより高い密度から分かるように、サンプル密度の同程度の増加をもたらした。
【0489】
図50は、各サンプルの最高曲げ弾性率を示す。
図51は、各サンプルの平均曲げ弾性率を示す。前述の加脂剤、Downy、及びソルビトール処理サンプルの曲げ弾性率の比較も、示されている。Tween界面活性剤は、全及び平均曲げ弾性率の低下から分かるように、可塑化効果を有した(
図50及び
図51)。Tweenの曲げ弾性率の絶対値は、加脂剤及びソルビトールと同様の範囲内にあった。しかしながら、可塑剤濃度は、曲げ弾性率に影響しなかった。Tween 20及びTween 80の両方の濃度は、同様の曲げ弾性率をもたらしたが、25mg/ml(0.5g)のTween 20サンプルは、測定された曲げ弾性率においてより大きな標準偏差を有した。
【0490】
図52は、各サンプルの最高スリット引裂強さを示す。
図53は、各サンプルの正規化されたスリット引裂強さを示す。前述の加脂剤、Downy、及びソルビトール処理サンプルの曲げ弾性率の比較も、示されている。水の対照サンプルも、前述の対照サンプルよりも低いスリット引裂強さを示すが、これは、異なる適用方法に起因するか、または開始パネルの不均質性に起因する可能性がある。スリット引裂強さは、ポリソルベート溶液処理を通じて、またはTweenの種類もしくはTweenの濃度の影響を受けて、著しく低下したようには見えない。3.2gの菌糸体パネルに0.5gのTween(約15.1重量%のピックアップ)で十分であり得る。
【0491】
Tween処理サンプルの表面色均一性も、評価された(データは示されていない)。色は、Tween溶液に含まれる食品用染料によるものであった。Tweenで処理されたサンプルは、乾燥及び調整後でも、より均一な着色を有した。したがって、界面活性剤としてのTweenの使用は、菌糸体材料における液体浸透及び染料の均一性を改善するために行われ得る。
【0492】
m-エリスリトール及び加脂剤含有量
菌糸体パネルが、3インチ×5インチのサイズに切断された。各パネルが、水に浸漬され、ギャップ設定1で浸漬ローラを通過させることにより圧縮された。浸漬及び圧延工程が、合計5回繰り返された。次いで、菌糸体パネルが、対流式オーブン内で、40℃で一晩乾燥された。
【0493】
2つの異なる可塑剤適用方法が、使用された。可塑剤溶液が、表21に記載されている。加脂剤対照例(100mLの2.5%w/w加脂剤水溶液で処理)、及びm-エリスリトールサンプルが、通常の浸漬及び圧延方法を使用して処理された。使用された加脂剤の量は、前述の実施例に基づいた。加脂剤を有する並列サンプルでは、加脂剤が、菌糸体パネル重量の15%または30%に事前に計量され、少量の水(パネル重量の4倍)で希釈され、軽い手もみを使用して、菌糸体パネルに適用された。可塑剤の適用後、菌糸体パネルが、ヒュームフード内で、周囲条件で一晩乾燥された。可塑剤の浸透によるパネル重量のパーセント増加を判定できるように、可塑剤適用の前及び後に、すべての菌糸体サンプルが、計量された。表21は、パネルの開始重量及び終了重量、ならびに可塑剤の吸尽による、計算された、重量のパーセント増加を提供する。
【0494】
【0495】
(表22)可塑剤の種類及びパネルのパーセント重量増加
【0496】
2.5%の加脂剤濃度は、菌糸体パネルにおいて7.75%のパネル重量増加をもたらした。5%m-エリスリトールで処理された菌糸体パネルは、13%の重量増加を有した。手もみで適用された15%及び30%の加脂剤サンプルでは、両方のパネルが、ほぼ等しい割合(敬意を表して13%及び26%)で質量を増加させ、加脂剤基材のほとんどが、菌糸体パネルに吸収され、処理中にわずかな損失しか有さなかったことを示唆した。
【0497】
菌糸体パネルの曲げ弾性率が、試験され、
図54に示されている。菌糸体パネルにおける8%から13%への加脂剤含有量の増加が、曲げ弾性率を著しく低下させた(表22に示される、15%の加脂剤サンプルと比較した、2.5%の加脂剤サンプルのパネル重量増加%を参照)。また、加脂剤15%サンプルは、加脂剤対照例サンプルよりも柔らかく感じられた。加脂剤30%サンプルは、加脂剤15%サンプルよりもわずかに柔らかい手触りであった。しかしながら、両方のサンプルの曲げ弾性率は、ほぼ同じであり、15%加脂剤サンプルにおける13%の加脂剤吸尽が十分であることを示した。したがって、追加の加脂剤充填は、材料の柔軟性を改善しない可能性がある。
【0498】
m-エリスリトール溶液(5%)処理もまた、曲げ弾性率を低下させるが、加脂剤ほど有効ではなかった(
図54)。5%エリスリトールによる浸漬及び圧延処理は、2.5%加脂剤溶液処理と同様の曲げ弾性率を示した。
【0499】
実施例11:酸性染料及び反応染料
引裂き耐性及び柔軟性のための処理後、菌糸体パネルを着色するために、菌糸体パネルが、染色される。以前の染料開発では、菌糸体パネルを着色するために、酸性染料が使用された。酸性染料は、菌糸体パネルによく浸透する。しかしながら、菌糸体パネルにおける酸性染料の色堅牢度は満足できるものでなかったため、代替色素が、検討された。反応染料は、ヒドロキシル基を含有するセルロース及び多糖類と反応して、共有結合を形成し、より良い色堅牢度をもたらすことが知られている。Jacquard Procion MX褐色反応染料が、試験され、菌糸体材料の色堅牢度について、Acid Brown 14染料と比較された。
【0500】
酸性染料の染色プロセスのために、酸性染料の水溶液(Acid Brown M (TCI America(登録商標)、C.I.Acid Brown 14)またはLanasyn Black (C.I.Acid Black 194)など、植物性タンニン、及び加脂剤が作製され、前述のように、4ラウンドの浸漬及び圧延を介して、菌糸体材料に適用された。ギ酸または酢酸のいずれかを用いて、pH3.15溶液が、作成された。パネルが、1分間にわたって酸性溶液に浸漬及び溶液内で3回圧延され、次いで、新鮮なpH3.15固定溶液に1時間浸漬された。パネルは、水ですすがれて、ヒュームフード内で乾燥された。
【0501】
反応染料の染色プロセスのために、10g/L未満の反応染料(Jacqard Procion MX)及び5~100g/LのNaClの水溶液が作成され、前述のように、4ラウンドの30分間の浸漬及び圧延を介して、菌糸体材料に適用された。炭酸ナトリウムが、20g/Lの最終濃度で溶液に添加され、パネルが、6ラウンドの10分間の浸漬/圧延サイクルに合計1時間供された。パネルが、水ですすがれ、4回圧延され、ヒュームフード内で乾燥された。2つの菌糸体サンプルが、酸性染料で処理され、3つの菌糸体サンプルが、反応染料で処理された。5つのサンプルの各々が、小さなセクションに切断され、水に約1時間に浸漬された。浸漬工程が、どの染料も浸漬溶液にほとんど浸出していないことが目視で観察されるまで、繰り返された。これには、酸性染料サンプルでは5回の浸漬工程、反応染料サンプルでは3回の浸漬工程が必要であった。各浸漬工程後に水が回収され、可視スペクトル全体(360~740nm)を使用して、溶液の紫外/可視吸光度が測定され、サンプルの色が、評価された。
図55A~55Eは、水に5ラウンド漸進的に浸漬した後に、染色された菌糸体サンプルから浸出する含水染料の最大吸光度を示す。左の2つのサンプルは、酸性染料で染色された菌糸体であり、右の3つのサンプルは、反応染料で染色された菌糸体である。
図55Aは、1ラウンドの浸漬後の吸光度を示す。
図55Bは、2ラウンドの浸漬後の吸光度を示す。
図55Cは、3ラウンドの浸漬後の吸光度を示す。
図55Dは、4ラウンドの浸漬後の吸光度を示す。
図55Eは、5ラウンドの浸漬後の吸光度を示す。
【0502】
次に、洗浄された菌糸体の小さなセクションが、どの程度色が残っているかを確認するために、風乾された。酸性染料サンプルは、色の大部分を失った一方で、反応染料サンプルは、複数ラウンドの洗浄に対して色を良好に保持した(データは示されていない)。酸性染料と比較して、反応染料処理された菌糸体パネルは、はるかに良好な色堅牢度を有した。
【0503】
実施例12:菌糸体材料のクラスト溶液最適化
処理溶液(「クラスト溶液」)も、下流の仕上げ手順のために許容可能な品質の材料を生成するように最適化された。
【0504】
表23は、変数、試験された範囲、及び変数に関するリストを示す。
【0505】
【0506】
5つの異なるロットの菌糸体材料パネルが、試験で使用された。各生の開始サンプルの長さ、幅、厚さ、及び質量が、収集された。したがって、湿潤密度及び開始厚さが、最終的な分析のための追加の入力変数として使用され得る。各サンプルが、水中の染料、植物性タンニン、加脂剤、エンドウタンパク質、及びTGの水溶液を作成することによって、処理された。溶液のpHが、ギ酸または酢酸のいずれかを使用して、3.5、5.5、または7に調整された。菌糸体材料が、クラスト溶液に1分間浸漬され、次いで、パスタローラを4回または10回通された。次いで、浸漬及び圧延されたパネルが、40℃で0、4、または18時間インキュベートされ、乾燥された。
【0507】
完成したパネルが、以下の特性、すなわち、スリット引裂強さ(機械的試験-最大引裂力、正規化された引裂強さ)、視覚的な格付け1~5による染料浸透、電子クロックメーター(SDLAtlas Company、USA)を使用した、1~5に格付けられる色堅牢度、ライトボックス及びImageJグレースケール評価を使用した表面色分析について評価された。
【0508】
結果
パネルの開始厚さまたは密度が、スリット引裂強さに最も大きな影響を与えた。
図56は、パネルの開始厚さ(cm)と比較した最大スリット引裂力を示す。
図57は、パネルの最終厚さ(cm)と比較した最大スリット引裂力を示す。より厚い開始パネルまたは最終パネルは、より高い最大スリット引裂力を有した。
【0509】
浸漬溶液のpHも、サンプルの最終着色及び染料浸透に影響を及ぼしたように、最も観察可能な影響の1つを有した。
図58は、浸漬pHと比較した着色平均を示し、より低い着色値は、より暗い色を示す。
図59は、浸漬pHと比較した染料浸透を示す。
図60は、浸漬pHと比較した色堅牢度を示す。
【0510】
観察された主な傾向は、より高い開始密度が、より高い最終密度をもたらし、より高い開始厚さが、より高い最終厚さをもたらし、広いローリングスペーサがより厚い最終材料をもたらしたので、ローラ設定が、最終厚さに影響を及ぼし、より高い開始厚さが、より高い最大引裂力をもたらし、低いpHが、より悪い染料浸透をもたらし、より多くのエンドウタンパク質が、より軽い着色をもたらしたことであった。
【0511】
観察された追加のわずかな傾向は、TGが、最終的な密度を増加させ、より薄いローラ間隔で処理された材料が、より低い引裂力をもたらしたため、ローラ設定が、最大及び正規化された引裂力に影響を及ぼし、より長いインキュベーションが、より高い正規化された引裂強さをもたらし、より多いエンドウタンパク質またはTGが、より悪い染料浸透をもたらし、より高い溶液温度が、より高い染料浸透をもたらし、より高いpHが、より多くの色堅牢度をもたらしたことであった。
【0512】
したがって、開始材料のより高い厚さ及び/または密度が、より高いスリット引裂強さをもたらした。例えば、20Nの製品仕様を達成するために、例示的な開始パネルは、少なくとも3.4cm厚であるべきである。しかしながら、パネルの厚さを大きくするだけでは、製品仕様の力が大きい場合、優れたスリット引裂特性をもたらさない可能性がある。したがって、複合体(例えば、足場、スクリム、接着剤などの追加)またはハイドロエンタングルメントなどの改善された成長構造などのさらなる技術が、探求されるべきである。
【0513】
さらに、低pH溶液は、エンドウタンパク質及びTGを有するパネルに悪影響を及ぼした。したがって、低pH固定工程が用いられる場合は、別工程であるべきである。
【0514】
実施例13:Elite-plus結合剤及び他の添加剤による菌糸体材料の処理
Elite-plus結合剤を有する菌糸体材料の機械的特性
材料及び方法
27~35gの乾燥菌糸体が、機械的に立方体に分割された。1.5~1.75Lの水が添加され、低剪断ロータリブレンダーを使用して、スラリーが破壊された。次いで、スラリーが、脱水された後、別の1.5~1.75Lの水中に再分散された。スラリーが、再度脱水された後、別の1.5-1.75Lの水中に再分散された。指定量のDur-o-Set Elite Plus(Celanese Emulsions、U.S.A)が、スラリー分散液に添加され、均質に混合された。次いで、得られたスラリーが、形成布上に湿潤敷設され、脱水されて、パネルを形成した。このパネルが、対流式オーブン内で、45℃で乾燥された。得られたパネルが、7.5~15%加脂剤溶液中に入れられ、30分間浸漬された。パネルが、再び対流式オーブ内で45℃で乾燥され、試験に供された。
【0515】
結果
様々な異なる皮革製品が、試験され、平均剥離力は、2.5N/cmから23N/cm超まで変化した。
【0516】
表24は、異なる皮革サンプルの平均剥離力のリストを提供する。
【0517】
【0518】
表25は、Elite-Plus結合剤を有するサンプルの機械的データを提供する。
【0519】
【0520】
図61は、結合剤推定値(%)に対する平均剥離力(N/cm)の二変量適合を示す。結合剤の濃度が増加するにつれて、平均最大剥離力も増加する。パネルは、テーバーテストにも供された。例えば、パネルP1015は、1000gの重り及びCS-10摩耗ディスクを用いるテーバー摩耗で、7000サイクルに供された。サンプルは、約6%の質量損失で、均一な摩耗を示した。結合剤サンプルも、最小限のひび割れまたは損傷の兆候で、30,000サイクルのバリー曲げを乗り切った。
【0521】
表26は、Elite-Plus結合剤を有するサンプルの乾燥引張強さのデータを提供する。
【0522】
【0523】
Elite-22結合剤及びアバカ繊維を有する菌糸体材料の機械的特性
材料及び方法
乾燥及び破壊された菌糸体が、20~30秒間浸漬することによって、7.5%(1:3のLEX:DXV)加脂剤を有する10%Elite 22内でクラスト形成され、アバカ繊維が添加された後に、パスタローラを通過させられた。浸漬及びパスタローラが4回実施され、菌糸体が、オーブン内で、113°Fで4~5時間乾燥され、表面を滑らかにするために、80℃で1分間ホットプレスされた。菌糸体が、試験の前に、湿度チャンバ内で50%の水分含有量で一晩調整された。
【0524】
結果
上記の手順により、サンプルが、クラスト形成された。サンプル中のアバカ繊維の割合が増加するにつれて、サンプルのスリット引裂が、増加した。
図62は、様々な濃度のアバカ繊維を有するサンプルの標準的な力値を示す。
【0525】
表27は、アバカ繊維を有する様々なサンプルの厚さ及びスリット引裂データを提供する。
【0526】
【0527】
実施例14:他の添加剤を有する菌糸体材料の処理
APS、EDC、過ヨウ素酸ナトリウム、イオン性液体、及びPAE樹脂
菌糸体材料の機械的強度を向上させるために、過硫酸アンモニウム(APS)、エチル-3(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、過ヨウ素酸ナトリウム、イオン性液体、及びPAE樹脂が、調査された。これらの架橋剤は、菌糸体の菌糸を架橋するように作用し、追加のポリマー結合剤と共に使用され得る。実験の一部では、ホットプレスも使用された。菌糸体マットが、実施例6に記載の方法に従って、APS架橋剤で処理された。
【0528】
材料及び方法
APS架橋剤
APSサンプルについて、乾燥した菌糸体マットを、脱イオン水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の過硫酸アンモニウムの1%(w/w)溶液に浸漬し、軽く攪拌しながら、3.5時間かけて80℃にした。特定のサンプルにおいて、脱イオン水中のリグニンの1%(w/w)溶液も、添加された。得られたマットを、脱イオン水ですすぎ、40℃で3時間乾燥した。次いで、ISO 3377-2ダブルエッジ引裂試験、ASTM D2209引張試験、及びASTM D4704トング引裂試験が、ZwickiLine Materials Testing Machine Z5.0で実施されて、対照サンプルに対する相対的な強度を決定した。
【0529】
APS架橋剤+ホットプレス
APSサンプルについて、結合剤を有する、または有しない乾燥菌糸体マットを、脱イオン水中の過硫酸アンモニウムの1%(w/w)溶液に浸漬し、軽く攪拌しながら、1時間かけて80℃にした。次に、これらのマットが、80℃のホットプレスに移送され、1.4~2.0mmまで、2.5時間圧縮された。得られたマットを、脱イオン水ですすぎ、40℃で3時間乾燥した。次いで、ISO 3377-2ダブルエッジ引裂試験、ASTM D2209引張試験、及びASTM D4704トング引裂試験が、ZwickiLine Materials Testing Machine Z5.0で実施されて、対照サンプルに対する相対的な強度を決定した。
【0530】
EDC架橋剤
結合剤を有するまたは有しない乾燥菌糸マットが、脱イオン水中の1-エチル-3(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドの1%(w/w)溶液に、5.5、7.4、8.3、または9.5のいずれかの緩衝pHで、室温で6時間浸漬された。特定のサンプルにおいて、脱イオン水中のリグニンの1%(w/w)溶液も、添加された。得られたマットを、脱イオン水ですすぎ、40℃で3時間乾燥した。次いで、ISO 3377-2ダブルエッジ引裂試験、ASTM D2209引張試験、及びASTM D4704トング引裂試験が、ZwickiLine Materials Testing Machine Z5.0で実施されて、対照サンプルに対する相対的な強度を決定した。
【0531】
過ヨウ素酸ナトリウム
乾燥菌糸体マットが、脱イオン水中の過ヨウ素酸ナトリウムの1%(w/w)溶液に浸漬された。40℃で3時間すすぎ及び乾燥する前に、溶液を、2時間かけて80℃にした。次いで、ASTM D2209引張試験が、ZwickiLine Materials Testing Machine Z5.0で実施され、対照サンプルに対する相対的な強度が決定された。
【0532】
イオン性液体
乾燥菌糸体マットが、イオン性液体溶液に、室温で5分~16時間浸漬された。次に、これらのサンプルが、80℃で5分間圧縮された。次いで、湿潤引張試験が、ASTM D2209によって実施された。
【0533】
PAE樹脂
これらのサンプルが、105℃で5分間または10分間のいずれかで、加熱された。これらのサンプルは、pH=5(HM24)またはpH=7(HM25)のいずれかであった。
【0534】
【0535】
(表28)初期弾性率、湿潤引張強さ、及び破断時伸び
【0536】
処理されたサンプルは、対照サンプルと比較して、湿潤引張強さ、初期弾性率が、有意に増加した。したがって、菌糸体材料を架橋するためのAPSの添加が、菌糸体パネルの機械的品質を改善した。
【0537】
【0538】
過ヨウ素酸ナトリウム及びEDC処理されたサンプルは、対照サンプルと比較して、著しく増加した湿潤引張強さを有した。したがって、菌糸体材料を架橋するための過ヨウ素酸ナトリウム及び/またはEDCの添加は、菌糸体パネルの少なくとも1つの機械的パラメータを改善した。
【0539】
図65は、対照サンプルと比較した、イオン性液体処理サンプルの引張強度結果を示す。IL-P0.75mm-16hは、サンプルが、イオン性液体に室温で16時間浸漬され、次いで、80℃で5分間0.75mmまで圧縮されたことを示す。破断時伸びは、架橋サンプルでは約50%であった。
【0540】
図66は、対照サンプルと比較した、PAE樹脂処理サンプルの引張強度結果を示す。HM18_105は、PAE樹脂を含まなかったが、エポキシ化ダイズ油を有し、105℃で4時間加熱され、熱処理だけでは湿潤引張強さの向上には至らないことを示した。
【0541】
実施例15:菌糸体材料の積層、スクリム追加、熱圧縮、及びハイドロエンタングルメント
材料及び方法
スラリーの調製
Blendtec Pro 800ブレンダーを使用して、乾燥菌糸体を水道水中にブレンドすることによって、菌糸体スラリーが、調製された。スラリーの濃度は、実験に応じて、0.5~2.5w/v%の範囲であった。典型的には設定5で90秒間、菌糸体をブレンドして、均一なスラリーが生成された。ブレンド後、スラリーを、500マイクロメートルのふるいでふるいにかけて、微粒子及び可溶成分を除去した。次いで、ふるい分けられた菌糸体が、1w/v%に再懸濁され、手動で攪拌して分散され、さらに2回以上ふるい分け/再懸濁された。最終的な再懸濁後、DI水中のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)溶液が添加され、スラリーが、設定5で10秒間ブレンドされて、フォームが作成された。スラリー中のドデシル硫酸ナトリウムの最終濃度は、典型的には、0.002w/v%であった。フォームは、スラリー内に閉じ込められたままであり、ウェットレイ後にウェブに多孔性を生じさせるのに役立った。
【0542】
ウェットレイ
スラリーからウェブを生成するために、ベンチスケールのウェットレイ装置が、構築された。この装置は、4L真空フラスコに取り付けられた成形布で裏打ちされた、直径150mmのBuchner漏斗で構成された。真空フラスコが、真空ポンプ(Vacuubrand VARIO PC 3001 Select)に取り付けられ、それにより、真空設定値を1トルの精度で制御することが可能になった。真空ポンプとフラスコとの間の3方弁が、フラスコが真空下にあるか、それとも大気中に排気されているかを制御した。ウェットレイは、スラリーをBuchner漏斗に注ぎ込むこと、及びその後の、漏斗から水が滴り出るのが観察されなくなる(典型的には90秒)まで規定の真空レベル(典型的には600トル)で真空濾過することによって達成された。得られたウェブは、75~80重量%の水分含有量を有した。次いで、ウェブが、形成布から手動で剥離され、その質量が定常状態に達するまで(典型的には数時間)、対流を用いて45℃で乾燥された。
【0543】
クラスト形成
遊星遠心ミキサー(THINKY ARE-400 TWIN)を使用して、表30に列挙される典型的な組成を有する、結合剤エマルション及び加脂剤を含有するクラスト溶液が、調製された。上記のように直径150mmのBuchner漏斗上に形成された単一のウェブの含浸を行うのに、100mLの溶液で十分であった。
【0544】
【0545】
含浸を実施するために、乾燥したウェブを、クラスト溶液に少なくとも1分間浸漬して湿潤させ、次いで、約2mmの間隔で2つのローラの間を通して、空気を除去し、溶液を、強制的に材料通過させた。浸漬及び圧延プロセスが、ウェブがクラスト溶液で均等に飽和されるまで、典型的には4回、繰り返された。その後、クラストが、その質量が定常状態に達するまで(典型的には数時間)、対流を用いて45℃で乾燥させた。
【0546】
積層
積層、スクリム組み込み、及び材料を圧縮して表面を滑らかにするための熱圧縮は、同時に行うことができた。2つのクラスト形成されたウェブを一緒に積層するために、DUR-O-SET Elite 22 VAEの薄層が、ブラシまたはローラを用いて、各ウェブの片側に最初に塗布された。典型的な塗布は、湿潤ベースで約9mg/cm2であった。塗布後、結合剤が、約30秒間周囲条件に曝露され、その間に結合剤が、粘着性になった。次いで、手動加熱プレス(Carver 4120)を使用して、80℃で1分間、1~3mmの範囲の最終厚さ(プレスプラテンの間にシムを配置することによって制御される)まで、ウェブが、一緒に(結合剤側を内側に)圧縮された。スクリムは、圧縮する前に2つのウェブの間に配置することによって、材料(典型的には95gsmの織綿)内に組み込まれ得る。圧縮後、積層体が、その質量が定常状態に達するまで(典型的には数時間)、対流を用いて45℃で乾燥されて、硬化前に結合剤から残留水を除去した。
【0547】
硬化
DUR-O-SET Elite 22 VAEは、一度架橋されると、ポリマーの初期弾性率、極限引張強さ、及び耐水性(特に、水性染色プロセス中に遭遇する可能性のある高温下での)を増加させる自己架橋性N-メチルオールアクリルアミド側鎖を含有した。クラストまたは積層体を硬化させる前に、膨張する蒸気が材料を層間剥離させるのを防止するために、サンプルが乾燥されて、残留水を除去した。硬化は、サンプルを90~135℃のオーブン中に0.5~1時間置くことによって、達成された。
【0548】
ハイドロエンタングルメント
菌糸体ウェブのハイドロエンタングルメントは、実施例4に記載の方法に従って、実施された。サンプルが、1000psiの50マイクロメートルのウォータージェットを用いて、ハイドロエンタングルされた。各サンプルは、垂直方向及び水平方向の両方において、複数のパスでハイドロエンタングルされた。
【0549】
結果
菌糸体材料中のスクリムの効果
典型的なサンプルの機械的特性が、表31に示されている。なお、これらのサンプルは、スクリムを用いて構成された。サンプルの質量をサンプルの面積で除算することによって、面密度が計算された。見かけの体積密度は、ASTM D1813に従って測定されたサンプルの厚さとサンプルの面積との積で、サンプルの質量を除算することによって、計算された。
【0550】
(表31)典型的なサンプルの機械的性能及び寸法特性
【0551】
菌糸体材料に対する熱圧縮の影響
菌糸体材料を周囲温度以上で圧縮して最終厚さ及び表面粗さを制御し、最終厚さ及び表面粗さは、仕上げ及びエンボス加工などの下流の操作、ならびに最終製品の可撓性及び感触に影響を及ぼした。
【0552】
圧縮時間、温度、及び圧力が材料の最終厚さに及ぼす影響を調査するために、上記のプロセスに従うが硬化工程なしで、サンプルが調製され、次いで、サンプルが、表32に示されるように、時間-温度-圧力パラメータ空間内の様々なポイントで圧縮された。圧縮前の材料の厚さは、2.2±0.1mmであった。材料の厚さは、ASTM D1813に従って、圧縮の前及び後に測定された。
【0553】
(表32)熱圧縮実験のために調査された時間-温度-圧力パラメータ空間
【0554】
図67は、圧縮温度が、最終厚さに対して最大の影響を有し、圧縮時間及び圧力が、同等の大きさのより小さな影響サイズを有したことを示す。表面粗さは、最終厚さに定性的に正比例した。このモデルの結果は、下流の操作に必要な、材料の最終厚さを調整するために使用され得る。
【0555】
ウェブの多孔性に対するウェットレイプロセスパラメータの影響
ウェブの多孔性は、面積及び体積密度、圧縮性、可撓性、厚さ方向の強度、及び溶液を含浸する能力などのいくつかの下流の特性に影響を与えた。したがって、どの要因がウェブの多孔性に影響を及ぼすかを理解すること、及びそれらを制御することが、中間材料の挙動及び最終製品の特性を調整することに寄与した。
【0556】
スラリーの体積、濃度、及び真空処理がウェブの多孔性に及ぼす影響を検討するために、本実施例に記載のようにスラリーが調製されたが、ふるい分け工程、再懸濁工程、及びドデシル硫酸ナトリウムの添加は省略された。次いで、スラリーが、表33に記載のパラメータ空間内の様々なポイントで、ベンチスケールのウェブ形成装置を使用してウェットレイされた。前述のように乾燥させた後、走査型電子顕微鏡法によりウェブ断面が観察され得るように、ウェブのサンプルが、メスを使用して切断された。Hitachi(商標)3030 Plus走査型電子顕微鏡を使用して、15kVの加速電圧で走査型電子顕微鏡検査が、実施された。
【0557】
(表33)ウェットレイパラメータがウェブの多孔性に及ぼす影響を判断するために調査されたパラメータ空間
【0558】
図68は、表33に記載されるパラメータ空間内の様々なポイントで生成された、ウェブの代表的な走査型電子顕微鏡写真を、それらの対応する面密度と共に示す。検討された因子と、ウェブの厚さ、定性的多孔性、及び定性的圧縮性との間の関係が、表34に要約されている。
【0559】
(表34)検討されたウェットレイパラメータと、得られたウェブの厚さ、多孔性、及び圧縮性との間の関係
【0560】
この実験の結果は、材料の厚さ、多孔性、及び圧縮性を調整するために一般的に適用可能であり、これらの調整は、ひいては、下流の処理及び最終的な特性に影響を及ぼす。
【0561】
スラリーへの発泡剤の添加を用いて、ウェブの多孔性を調整することもできる。発泡剤の効果を調べるために、本実施例に記載のように、スラリーにブレンドされた0.05重量%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いて、または用いないで、スラリーが、同じ濃度(0.75w/v%)で調製された。次いで、スラリーが、本実施例に記載のように、ベンチスケールのウェットレイ装置を使用するが、450トルの真空設定値で、ウェットレイされた。
図69は、2つのウェブの走査型電子顕微鏡写真、及びそれらの対応する寸法データを示す。
【0562】
スラリーにSDSなどの発泡剤を添加することにより、多孔性が著しく増加し、ウェブの見かけの体積密度が低下した。スラリーにSDSを添加し、続いてブレンドすることにより、生成されたフォームが、スラリー内に閉じ込められ、脱水及び乾燥後にさらなる多孔性を生じた。
【0563】
インサイチュ結合剤添加
表35。この表は、ウェットエンドのElite-Plusクラストデータを示す。この表は、ウェットレイ中の真空の有無、及び化学消泡剤の有無に基づいて、ウェブの体積密度がどのように変化するかを示す。このウェブ体積密度の変化は、T剥離強度に影響を与える。
【0564】
【0565】
ウェブ形成中のインサイチュ結合剤添加は、スラリーに結合剤溶液を添加する、または結合剤溶液で乾燥ウェブを含浸させることに加えて、結合剤組み込みのための別の方法である。他の方法と比較したこのアプローチの1つの考えられる利点が、必要とされる結合剤の量が、より少なくあり得ることである。乾燥含浸に優る、考えられる利点としては、含浸の前にまずウェブを乾燥させる必要がないこと、及び材料内への結合剤の充填が、より良好に制御され得、結合剤が乾燥ウェブに浸透する能力によって制限されないことが挙げられる。最終材料中の結合剤含有量を調整することは、材料の機械的性能、ならびに材料の手触り及び他の審美的特性に影響を与えた。
【0566】
インサイチュ結合剤添加プロセスパラメータの効果を調べるために、まず、スラリーが、本実施例に記載されるように調製された。次いで、スラリーから排出される液体の体積が制御され得るように、ベンチスケールのウェットレイ装置が、Buchner漏斗ステムと真空フラスコとの間にバルブを追加することによって、修正された。2.5または5重量%のいずれかの最終固形分含有量を得るように、DUR-O-SET Elite 22 VAEを水と混合することによって、結合剤溶液が、調製された。次に、結合剤溶液の添加前にスラリーから除去される水の量、添加される結合剤溶液の量、及び添加される結合剤溶液の濃度を変化させながら、スラリーが、修正された装置内でウェットレイされた。結合剤添加及び真空濾過が完了した後、ウェブが、乾燥され、入力菌糸体質量に対する質量吸尽が、記録された。さらに、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)を使用して、体積-濃度パラメータ空間内の各ポイントについて、結合剤対菌糸体比を、材料のZ位置(厚さ方向)の関数として半定量的に評価した。FTIRは、ダイヤモンドATR要素を備えたBruker Alpha II減衰全反射(ATR)FTIRを使用して、実施された。ウェブサンプルが、メスで切断され、それらの上面、底面、及びコア表面が、計器の内部反射要素(IRE)上に配置された。スペクトルが、30℃において4cm-1の解像度で、4000~600cm-1を平均32回のスキャンによって、記録された。次いで、スペクトルが、波数領域全体にわたってベースライン補正され、直線ベースラインが、1760~1700cm-1(DUR-O-SET Elite 22 VAEにおけるアセテート基のC=O結合に対応)及び1180~880cm-1(糖類中のC-O結合に対応、菌糸体含有量を表すとみなされる)に描かれた。次いで、領域が統合され、ピーク面積の比率が、報告された。
【0567】
表36は、この実験で検討されたパラメータ空間をまとめたものである。
【0568】
【0569】
図70は、ウェブに添加される結合剤溶液の体積及び結合剤溶液の濃度の関数として、乾燥した結合ウェブ中の菌糸の質量%を説明するモデルを示す。ポイントは、個々の測定値を示す。曲線は、平均を示し、陰影のある領域は、平均の95%信頼区間を示す。R
2=0.97。質量%の計算は、ふるい分け操作中の微粒子及び可溶物損失による、入力菌糸質量に対する質量損失を、25重量%と仮定する。
【0570】
図71に示されるモデルは、ウェブに添加される結合剤溶液の量及びその溶液の濃度を制御することによって、結合されたウェブの結合剤含有量を所望の値に調整することができる方法を説明する。この実験では、結合剤溶液の添加前にスラリーから除去された水の量は、最終的な結合剤含有量に有意な影響を与えなかった。
【0571】
図71は、濃度-体積-Z位置パラメータ空間にわたる平均結合剤対菌糸体ピーク面積比を説明するモデルを示す。線及び曲線は、各応答の平均を示す。陰影の付いた領域及びエラーバーは、平均の95%信頼区間を示す。R
2=0.77。
【0572】
図72は、低い及び高い結合剤添加体積についての、ウェブ内のZ位置の関数としての結合剤対菌糸体ピーク比を示す。エラーバーは、平均の95%信頼区間を表す。結合剤対菌糸体比は、添加された結合剤溶液の体積及び濃度の両方に伴って増加した。モデルはまた、添加体積の増加に伴ってリターンが減少することを予測した。さらに、モデルは、概して、結合されたウェブの(結合剤が添加された)上部が、コアまたは底部よりも高い結合剤含有量を有することを示した。最後に、モデルは、低い結合剤添加体積の場合、ウェブの上部とコア/底部との間の結合剤含有量の差が悪化することを示した。材料の厚さ全体にわたる結合剤の均一な分布を確保したことが、内部の層間剥離の緩和に貢献した。
【0573】
菌糸体材料に対するハイドロエンタングルメントの影響
図73は、菌糸体ウェブの湿潤引張曲線に対するハイドロエンタングルメントの影響を示す。湿潤引張結果は、結合剤、加脂剤、またはホットプレスなしの菌糸体ウェブから決定された。ハイドロエンタングルメントは、初期弾性率を低下させ、菌糸体ウェブの破断時伸びを増加させた。
【0574】
実施例16:処理薬剤及びそれらが菌糸体材料の機械的特性に及ぼす影響
結合剤Dur-O-set Elite 22の硬化条件
材料及び方法
実験は、ハイドロエンタングルされた菌糸体ウェブ、すなわち「スパンレース」で実施された。スパンレースが、結合剤ベースライン溶液、10%Elite 22溶液で処理され、15分間浸漬され、ハンドローラで2回圧延されてスパンレース内の気泡を除去し、次いで、再び15分間浸漬された。結合剤の適用後、スパンレースが、45℃下で一晩乾燥された。スパンレースが乾燥された後、加脂剤が、7.5wt%DXV/LEX溶液(DXV対LEX比3:1)を使用して塗布され、15分間の浸漬、1回のハンドロール、及び15分間のもう一回の浸漬に供された。加脂剤塗布後、スパンレースが、45℃で再び一晩乾燥された。次いで、スパンレースが、様々な温度及び時間条件下で後硬化された。
【0575】
結果
硬化試験の結果が、
図74、
図75、及び表37に示されている。
【0576】
【0577】
図74に示されるように、曲げ弾性率は、硬化温度の増加に伴って増加し、スパンレースが、硬化中により硬くなったことを示した。温度が30分間で110℃に、または15分間で135℃に達すると、平均曲げ弾性率が安定した。
【0578】
しかしながら、
図75に示されるように、スリット引裂強さは、温度の上昇に伴って増加し、135℃で30分間硬化されると、最大に達した。その後、余分な硬化温度が、スリット引裂強さの低下をもたらした。Elite 22結合剤は、130℃超で硬化(架橋)し、それにより、結果として機械的強度が増加した。機械的結果は、架橋が110℃前後に始まったことを示唆している。30を超える混合物について135℃で硬化されると、スリット引裂強さが低下し、これは、菌糸体材料自体の何らかの損傷に起因する可能性がある。
【0579】
異なる温度で硬化された菌糸体材料の機械的強度
材料及び方法
サンプルC116、C133、及びC134は、本明細書に記載の方法を使用して生成されたスパンレースであった。各スパンレースは、バイオマス中に30%のテンセル繊維(長さ8mm)を含有し、ウェットレイ及びハイドロエンタングルされた。ベースライン(浸漬-圧延-浸漬)方法を使用して、10%Elite 22結合剤溶液が使用され、次いで、各スパンレースが、45℃で一晩乾燥された。次いで、サンプルC116が、135℃で2時間硬化された。硬化後、サンプルC116が、染色され、加脂剤が、添加され、サンレースが、乾燥された。サンプルC133及びC134が、まず染色され、次いで乾燥された。次いで、サンプルC133が、135℃で2時間硬化された後、加脂剤が、添加され、スパンレースが、乾燥された。加脂剤が、サンプルC134に、135℃で硬化させずに添加され、加脂剤が添加された後に、スパンレースが、乾燥された。
【0580】
結果
(表38)異なる温度で硬化された菌糸体材料のスリット引裂強さ
【0581】
135℃で硬化されたサンプルC116(
図76)及びC133(
図77)は、未硬化サンプルC134(
図78)よりも有意に高いスリット引裂強さを示した。しかしながら、サンプルC116は、染色中に問題を生じ、135℃で硬化していた結合剤が、反応染料で染色されて、クラスト表面に不均一な染色パターンを残した可能性があるように思われた。サンプルC133及びC134は、不均一な染色問題を有さなかった。サンプルC133は、サンプルC134と比較して、わずかに多くの色変化を示したが、均一に染色された。結合剤を有する菌糸体材料は、135℃で完全に硬化する前に、まず染色される必要があることが示唆される。
【0582】
超音波処理及び温溶液浸漬による結合剤塗布
定常状態の結合剤装填を識別するために、異なる結合剤塗布方法が、ウェットレイされた菌糸体ウェブ上で試験された。
【0583】
材料及び方法
温溶液浸漬法では、ウェブが、60℃の水浴を用いて浸漬-圧延-浸漬法に供され、次いで、ウェブが、60℃で超音波処理された。具体的には、各ウェブが、10%Elite 22結合剤溶液を有するZiplocバッグ内に密封され、次いで、Ziplocバッグが、sous videクッカーによって加熱された60℃の水浴中に浸漬された。ウェブ、結合剤溶液、及びZiplocバッグが、1時間加熱され、その間、ウェブの湿潤重量が、15分ごとに測定されて、結合剤溶液のピックアップを監視した。1時間の温浸漬後、ウェブが、ハンドローラを使用して圧縮または圧延され、気泡が、ウェブから押し出された。次いで、ウェブが、水浴中のZiplocバッグ内の温かい結合剤溶液中に、さらに数分間浸漬されて、定常状態に達した。
【0584】
超音波処理方法では、結合剤溶液が、超音波洗浄器に直接入れられ、60℃に加熱された。その後、ウェブが、超音波処理しながら、60℃の結合剤溶液に浸漬された。ウェブの湿潤重量が、15分毎に測定され、1時間の浸漬後、ウェブが、圧延された。
【0585】
結果
図79は、超音波処理及び温浸漬法を使用したウェブ上の経時的な結合剤溶液ピックアップを示す。
【0586】
超音波処理法は、1.5時間の処理後に定常状態に達し、圧延は、ウェブの湿潤重量を変化させず、ウェブ内に気泡がほとんどないことを示した。温浸漬に供されたウェブは、圧延後に湿潤重量が増加し、より多くの気泡が絞り出されたことを示した。しかしながら、さらに30分間圧延及び浸漬した後、2つの方法は、同様の結合剤装填に到達した。
【0587】
(表39)超音波処理及び温浸漬法を使用した菌糸体ウェブの結合剤ピックアップ
【0588】
実施例17:塩分濃度及び染料浸透
製造業者によって提供される反応染料プロトコールは、典型的には、染色の吸尽フェーズ中に高濃度の硫酸ナトリウム(30~100g/L、より暗い色合いではより高い濃度)の添加を必要とする。この塩の添加は、菌糸体ウェットレイまたはスパンレースへの染料の浸透を大きく妨げた。さらに、pHを上昇させ、固定を促進するために、炭酸ナトリウムが、染料浴に添加された。製造業者は、8~20g/Lの範囲の濃度を推奨することが多かった。この炭酸ナトリウム添加も、染料浸透に影響を及ぼし得る。1g/L前後の濃度は、pHを約10に上昇させ、染料浸透を妨げることなく、適切な固定を可能にした。
【0589】
硫酸ナトリウム濃度
3つのスパンレースサンプルが、2g/LのProcion MX中間青色染料及び様々な量の硫酸ナトリウム(0、25、50g/L)を用いて、60℃で2時間染色された。これらのサンプルは、サンプル中に浸透した染料の量に焦点を合わせるために、固定またはすすぎを行わなかった。
図80に示されるように、塩濃度の増加は、より暗い表面色をもたらしたが、ほぼ完全にいずれの染料浸透をも防止した。0g/Lの硫酸ナトリウムを用いたスパンレースサンプルは、良好な浸透をもたらしたが、50g/Lの硫酸ナトリウムを用いたサンプルは、悪い浸透をもたらした。より高濃度の硫酸ナトリウムは、不十分に染色されたスパンレースをもたらした。
【0590】
炭酸ナトリウム濃度
硫酸ナトリウムの濃度が、染料の浸透を減少させたため、固定時の炭酸ナトリウム濃度の低下が、固定及び浸透に影響を及ぼすかどうかが、調べられた。1g/Lの炭酸ナトリウム溶液は、繊維に染料を固定するための適切な範囲内であるべき10のpHを有することが見出された。次に、2つのスパンレースサンプルが、2g/LのDrimaren(登録商標)Navy HF染料を用いて、60℃で90分間染色され、次いで、0.5及び1g/Lの炭酸ナトリウムを用いて、60℃で60分間固定された。
図81(炭酸ナトリウム0.5g/L)及び
図82(炭酸ナトリウム1g/L)に示されるように、これらのサンプルは、良好な浸透を有し、染料は、依然として基材に固定された。
【0591】
染色温度及び時間の影響
6つのスパンレースサンプルが、2g/LのDrimaren(登録商標)Navy HF染料を用いて、22、40、または60℃で1時間または3時間染色され、次いで、1g/Lの炭酸ナトリウムを添加することによって、固定された。固定は、染料吸尽と同じ温度、同じ時間で起こった。
図83に示されるように、より長い時間及びより高い温度は、表面のより暗い色をもたらし、より長い時間は、より良好な染料の浸透をもたらしたことが、定性的に分かる。
【0592】
さらに、Konica Minolta CM-5を使用した定量的測定。
図84に示されるように、反射モードの分光光度計は、同じ傾向を示した。これらの測定では、より低いL
*値は、より暗い色に対応する。
【0593】
結合剤硬化温度及び時間の影響
10重量%のElite 22結合剤溶液が、スパンレースサンプルに塗布され、次いで、異なる温度(70、90、110、130℃)及び時間(15~45分)で硬化された後、染色された。サンプルが、2g/LのDrimaren(登録商標)Navy HF染料を用いて、60℃で2時間染色された。
図85に示されるように、90℃以上での硬化は、スパンレースの劣悪な染色をもたらした。これは、任意の染色手順は、最終的な硬化操作の前に実施されるべきことを示唆する。
【0594】
本開示のさらなる態様は、以下を含む。
【0595】
本開示の第1の態様によれば、複合菌糸体材料は、分岐菌糸の1つ以上の塊を含む培養菌糸体材料であって、前記分岐菌糸の1つ以上の塊が破壊される、前記培養菌糸体材料と、結合剤と、を含む。
【0596】
本開示の第2の態様によれば、前記培養菌糸体材料が固体基材上に生成されている、態様1の複合菌糸体材料。
【0597】
本開示の第3の態様によれば、前記培養菌糸体材料が、破壊された分岐菌糸の1つ以上の塊を含む、態様1または2に記載の複合菌糸体材料。
【0598】
本開示の第4の態様によれば、前記破壊された分岐菌糸の1つ以上の塊が、0.1mm~5mmの長さを有する、態様1~3のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0599】
本開示の第5の態様によれば、前記破壊された分岐菌糸の1つ以上の塊が、2mmの長さを有する、態様4に記載の複合菌糸体材料。
【0600】
本開示の第6の態様によれば、支持材料をさらに含む、態様1~5のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0601】
本開示の第7の態様によれば、前記支持材料が、1インチの1/16の細孔径を有する、態様6に記載の複合菌糸体材料。
【0602】
本開示の第8の態様によれば、前記支持材料が補強材料を含む、態様6に記載の複合菌糸体材料。
【0603】
本開示の第9の態様によれば、前記補強材料が前記複合菌糸体材料内で絡合されている、態様8に記載の複合菌糸体材料。
【0604】
本開示の第10の態様によれば、前記支持材料がベース材料を含む、態様6に記載の複合菌糸体材料。
【0605】
本開示の第11の態様によれば、前記ベース材料が、前記複合菌糸体材料の1つ以上の表面上に位置付けられている、態様10に記載の複合菌糸体材料。
【0606】
本開示の第12の態様によれば、前記支持材料が、メッシュ、チーズクロス、布、編繊維、織繊維、不織繊維、編布、織布、及び不織布からなる群から選択される、態様1~11のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0607】
本開示の第13の態様によれば、前記分岐菌糸の1つ以上の塊が、機械的作用によって破壊される、態様1~12のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0608】
本開示の第14の態様によれば、前記機械的作用が、前記分岐菌糸の1つ以上の塊をブレンドすることを含む、態様13に記載の複合菌糸体材料。
【0609】
本開示の第15の態様によれば、前記分岐菌糸の塊の少なくとも一部が、平行なフォーメーションに整列されるように、前記機械的作用が、前記分岐菌糸の1つ以上の塊に物理的な力を印加することを含む、態様13に記載の複合菌糸体材料。
【0610】
本開示の第16の態様によれば、前記物理的な力が引っ張り力である、態様15に記載の複合菌糸体材料。
【0611】
本開示の第17の態様によれば、前記分岐菌糸の塊のうちの前記少なくとも一部が1つ以上の方向において平行に整列されるように前記機械的作用が前記物理的な力を1つ以上の方向に印加することを含み、前記物理的な力が繰り返し印加される、態様15に記載の複合菌糸体材料。
【0612】
本開示の第18の態様によれば、前記分岐菌糸の1つ以上の塊が、化学処理によって破壊される、態様1~17のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0613】
本開示の第19の態様によれば、前記化学処理が、前記分岐菌糸の1つ以上の塊を、破壊を引き起こすのに十分な量の塩基または他の化学薬剤と接触させることを含む、態様18に記載の複合菌糸体材料。
【0614】
本開示の第20の態様によれば、前記塩基がアルカリ性過酸化物を含む、態様19に記載の複合菌糸体材料。
【0615】
本開示の第21の態様によれば、前記結合剤が、1つ以上の反応基を含む、態様1~20のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0616】
本開示の第22の態様によれば、前記1つ以上の反応基が活性水素含有基と反応する、態様21に記載の複合菌糸体材料。
【0617】
本開示の第23の態様によれば、前記活性水素含有基が、アミン基、ヒドロキシル基、及びカルボキシル基を含む、態様22に記載の複合菌糸体材料。
【0618】
本開示の第24の態様によれば、前記結合剤が、接着剤、樹脂、架橋剤、及び/またはマトリックスを含む、態様1~23のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0619】
本開示の第25の態様によれば、前記結合剤が、トランスグルタミナーゼ、ポリアミド-エピクロロヒドリン樹脂(PAE)、クエン酸、ゲニピン、アルギナート、天然接着剤、及び合成接着剤からなる群から選択される、態様1~23のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0620】
本開示の第26の態様によれば、前記結合剤がPAEである、態様1~23のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0621】
本開示の第27の態様によれば、前記PAEが、菌糸の1つ以上の分岐において、アミン基とヒドロキシル基とカルボキシル基とを含む活性水素含有基と反応するカチオン性アゼチジニウム基を含む、態様26に記載の複合菌糸体材料。
【0622】
本開示の第28の態様によれば、前記天然接着剤が天然ラテックス系接着剤を含む、態様25に記載の複合菌糸体材料。
【0623】
本開示の第29の態様によれば、前記天然ラテックス系接着剤が皮革接着剤または溶接接着剤である、態様28に記載の複合菌糸体材料。
【0624】
本開示の第30の態様によれば、前記培養菌糸体材料を生成する真菌種以外の種に由来する1つ以上のタンパク質を含む、態様1~29のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0625】
本開示の第31の態様によれば、前記1つ以上のタンパク質が植物源に由来する、態様30に記載の複合菌糸体材料。
【0626】
本開示の第32の態様によれば、前記植物源がエンドウ植物である、態様31に記載の複合菌糸体材料。
【0627】
本開示の第33の態様によれば、前記植物源がダイズ植物である、態様31に記載の複合菌糸体材料。
【0628】
本開示の第34の態様によれば、染料をさらに含む、態様1~33のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0629】
本開示の第35の態様によれば、前記染料が、酸性染料、直接染料、合成染料、天然染料、及び反応染料からなる群から選択される、態様34に記載の複合菌糸体材料。
【0630】
本開示の第36の態様によれば、前記複合菌糸体材料が前記染料で着色され、前記複合菌糸体材料の色が、前記複合菌糸体材料の1つ以上の表面において実質的に均一である、態様34に記載の複合菌糸体材料。
【0631】
本開示の第37の態様によれば、前記染料が前記複合菌糸体材料の内部全体に存在する、態様34に記載の複合菌糸体材料。
【0632】
本開示の第38の態様によれば、可塑剤をさらに含む、態様1~37のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0633】
本開示の第39の態様によれば、前記可塑剤が、油、グリセリン、加脂剤、水、グリコール、クエン酸トリエチル、水、アセチル化モノグリセリド、及びエポキシ化ダイズ油を含む群から選択される、態様38に記載の複合菌糸体材料。
【0634】
本開示の第40の態様によれば、可撓性である、態様38に記載の複合菌糸体材料。
【0635】
本開示の第41の態様によれば、外部要素が前記培養菌糸体材料に適用される、態様1~40のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0636】
本開示の第42の態様によれば、前記外部要素が加熱及び/または圧縮を介して適用される、態様41に記載の複合菌糸体材料。
【0637】
本開示の第43の態様によれば、タンニンをさらに含む、態様1~42のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0638】
本開示の第44の態様によれば、仕上げ剤をさらに含む、態様1~43のいずれか1項に記載の複合菌糸体材料。
【0639】
本開示の第45の態様によれば、前記仕上げ剤が、ウレタン、ワックス、ニトロセルロース、及び可塑剤からなる群から選択される、態様44に記載の複合菌糸体材料。
【0640】
本開示の第46の態様によれば、機械的特性を含む、態様1~45のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0641】
本開示の第47の態様によれば、前記機械的特性が、湿潤引張強さ、初期弾性率、破断時伸び率、厚さ、及び/またはスリット引裂強さを含む、態様1~46のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0642】
本開示の第48の態様によれば、0.05MPa~10MPaの湿潤引張強さを有する、態様1~46のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0643】
本開示の第49の態様によれば、5MPa~20MPaの湿潤引張強さを有する、態様1~46のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0644】
本開示の第50の態様によれば、7MPaの湿潤引張強さを有する、態様1~46のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0645】
本開示の第51の態様によれば、1MPa~100MPaの初期弾性率を有する、態様1~46のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0646】
本開示の第52の態様によれば、1%~25%の破断時伸び率を有する、態様1~46のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0647】
本開示の第53の態様によれば、0.5mm~3.5mmの厚さを有する、態様1~46のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0648】
本開示の第54の態様によれば、2mmの厚さを有する、態様1~46のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0649】
本開示の第55の態様によれば、5N~100Nのスリット引裂強さを有する、態様1~46のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0650】
本開示の第56の態様によれば、50Nのスリット引裂強さを有する、態様1~46のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0651】
本開示の第57の態様によれば、従来のペーパーミリング装置を使用して製造される、態様1~56のいずれか1つに記載の複合菌糸体材料。
【0652】
本開示の第58の態様によれば、複合菌糸体材料を製造する方法であって、分岐菌糸の1つ以上の塊を含む培養菌糸体材料を生成することと、前記分岐菌糸の1つ以上の塊を含む前記培養菌糸体材料を破壊することと、前記培養菌糸体材料に結合剤を添加し、それにより前記複合菌糸体材料を製造することと、を含む、前記方法。
【0653】
本開示の第59の態様によれば、前記生成することが、固体基材上に培養菌糸体材料を生成することを含む、態様58に記載の方法。
【0654】
本開示の第60の態様によれば、前記培養菌糸体材料が、破壊された分岐菌糸の1つ以上の塊を含む、態様58または59に記載の方法。
【0655】
本開示の第61の態様によれば、前記破壊された分岐菌糸の1つ以上の塊が、0.1mm~5mmの長さを有する、態様58~60のいずれか1つに記載の方法。
【0656】
本開示の第62の態様によれば、前記破壊された分岐菌糸の1つ以上の塊が、2mmの長さを有する、態様61に記載の方法。
【0657】
本開示の第63の態様によれば、支持材料を前記複合菌糸体材料内に組み込むことをさらに含む、態様58~62のいずれか1つに記載の方法。
【0658】
本開示の第64の態様によれば、前記支持材料が、1インチの1/16の細孔径を有する、態様63に記載の方法。
【0659】
本開示の第65の態様によれば、前記支持材料が補強材料を含む、態様63に記載の方法。
【0660】
本開示の第66の態様によれば、前記補強材料が前記複合菌糸体材料内で絡合されている、態様65に記載の方法。
【0661】
本開示の第67の態様によれば、前記支持材料がベース材料を含む、態様63に記載の方法。
【0662】
本開示の第68の態様によれば、前記ベース材料が、前記複合菌糸体材料の1つ以上の表面上に位置付けられている、態様67に記載の方法。
【0663】
本開示の第69の態様によれば、前記支持材料が、メッシュ、チーズクロス、布、編繊維、織繊維、不織繊維、編布、織布、及び不織布からなる群から選択される、態様58~68のいずれか1つに記載の方法。
【0664】
本開示の第70の態様によれば、前記破壊することが、機械的作用によって前記分岐菌糸の1つ以上の塊を破壊することを含む、態様58~69のいずれか1つに記載の方法。
【0665】
本開示の第71の態様によれば、前記機械的作用が、前記分岐菌糸の1つ以上の塊をブレンドすることを含む、態様70に記載の方法。
【0666】
本開示の第72の態様によれば、前記分岐菌糸の塊の少なくとも一部が、平行なフォーメーションに整列されるように、前記機械的作用が、前記分岐菌糸の1つ以上の塊に物理的な力を印加することを含む、態様70に記載の方法。
【0667】
本開示の第73の態様によれば、前記物理的な力が引っ張り力である、態様72に記載の方法。
【0668】
本開示の第74の態様によれば、前記分岐菌糸の塊の前記少なくとも一部が1つ以上の方向において平行に整列されるように前記機械的作用が前記物理的な力を1つ以上の方向に印加することを含み、前記物理的な力が繰り返し印加される、態様72に記載の方法。
【0669】
本開示の第75の態様によれば、前記分岐菌糸の1つ以上の塊が化学処理によって破壊される、態様58~74のいずれか1つに記載の方法。
【0670】
本開示の第76の態様によれば、前記化学処理が、前記分岐菌糸の1つ以上の塊を、破壊を引き起こすのに十分な量の塩基または他の化学薬剤と接触させることを含む、態様75に記載の方法。
【0671】
本開示の第77の態様によれば、前記塩基がアルカリ性過酸化物を含む、態様76に記載の方法。
【0672】
本開示の第78の態様によれば、前記結合剤が、1つ以上の反応基を含む、態様58~77のいずれか1つに記載の方法。
【0673】
本開示の第79の態様によれば、前記1つ以上の反応基が活性水素含有基と反応する、態様78に記載の方法。
【0674】
本開示の第80の態様によれば、前記活性水素含有基が、アミン基、ヒドロキシル基、及びカルボキシル基を含む、態様79に記載の方法。
【0675】
本開示の第81の態様によれば、前記結合剤が、接着剤、樹脂、架橋剤、及び/またはマトリックスを含む、態様58~80のいずれか1つに記載の方法。
【0676】
本開示の第82の態様によれば、前記結合剤が、トランスグルタミナーゼ、ポリアミド-エピクロロヒドリン樹脂(PAE)、クエン酸、ゲニピン、アルギナート、天然接着剤、及び合成接着剤からなる群から選択される、態様58~80のいずれか1つに記載の方法。
【0677】
本開示の第83の態様によれば、前記結合剤がPAEである、態様58~80のいずれか1つに記載の方法。
【0678】
本開示の第84の態様によれば、前記PAEが、菌糸の1つ以上の分岐において、アミン基とヒドロキシル基とカルボキシル基とを含む活性水素含有基と反応するカチオン性アゼチジニウム基を含む、態様83に記載の方法。
【0679】
本開示の第85の態様によれば、前記天然接着剤が天然ラテックス系接着剤を含む、態様82に記載の方法。
【0680】
本開示の第86の態様によれば、前記天然ラテックス系接着剤が皮革接着剤または溶接接着剤である、態様85に記載の方法。
【0681】
本開示の第87の態様によれば、前記培養菌糸体材料を生成する真菌種以外の種に由来する1つ以上のタンパク質を添加することをさらに含む、態様58~86のいずれか1つに記載の方法。
【0682】
本開示の第88の態様によれば、前記1つ以上のタンパク質が植物源に由来する、態様87に記載の方法。
【0683】
本開示の第89の態様によれば、前記植物源がエンドウ植物である、態様88に記載の方法。
【0684】
本開示の第90の態様によれば、前記植物源がダイズ植物である、態様88に記載の方法。
【0685】
本開示の第91の態様によれば、前記培養菌糸体材料または前記複合菌糸体材料に染料を添加することをさらに含む、態様58~90のいずれか1つに記載の方法。
【0686】
本開示の第92の態様によれば、前記染料が、酸性染料、直接染料、合成染料、天然染料、及び反応染料を含む群から選択される、態様91に記載の方法。
【0687】
本開示の第93の態様によれば、前記複合菌糸体材料が前記染料で着色され、前記複合菌糸体材料の色が、前記複合菌糸体材料の1つ以上の表面において実質的に均一である、態様91に記載の方法。
【0688】
本開示の第94の態様によれば、前記染料が前記複合菌糸体材料の内部全体に存在する、態様91に記載の方法。
【0689】
本開示の第95の態様によれば、前記培養菌糸体材料または前記複合菌糸体材料に可塑剤を添加することをさらに含む、態様58~94のいずれか1つに記載の方法。
【0690】
本開示の第96の態様によれば、前記可塑剤が、油、グリセリン、加脂剤、水、グリコール、クエン酸トリエチル、水、アセチル化モノグリセリド、及びエポキシ化ダイズ油を含む群から選択される、態様95に記載の方法。
【0691】
本開示の第97の態様によれば、可撓性である、態様95に記載の方法。
【0692】
本開示の第98の態様によれば、外部要素を前記培養菌糸体材料に適用することをさらに含む、態様58~97のいずれか1つに記載の方法。
【0693】
本開示の第99の態様によれば、前記外部要素が加熱及び/または圧縮を介して適用される、態様98に記載の方法。
【0694】
本開示の第100の態様によれば、前記培養菌糸体材料または前記複合菌糸体材料にタンニンを添加することをさらに含む、態様58~99のいずれか1つに記載の方法。
【0695】
本開示の第101の態様によれば、前記複合菌糸体材料に仕上げ剤を添加することをさらに含む、態様58~100のいずれか1つに記載の方法。
【0696】
本開示の第102の態様によれば、前記仕上げ剤が、ウレタン、ワックス、ニトロセルロース、及び可塑剤からなる群から選択される、態様101に記載の方法。
【0697】
本開示の第103の態様によれば、前記複合菌糸体材料の機械的特性を決定することをさらに含む、態様58~102のいずれか1つに記載の方法。
【0698】
本開示の第104の態様によれば、前記機械的特性が、湿潤引張強さ、初期弾性率、破断時伸び率、厚さ、及び/またはスリット引裂強さを含む、態様58~103のいずれか1つに記載の方法。
【0699】
本開示の第105の態様によれば、前記複合菌糸体材料が、0.05MPa~10MPaの湿潤引張強さを有する、態様58~103のいずれか1つに記載の方法。
【0700】
本開示の第106の態様によれば、前記複合菌糸体材料が、5MPa~20MPaの湿潤引張強さを有する、態様58~103のいずれか1つに記載の方法。
【0701】
本開示の第107の態様によれば、前記複合菌糸体材料が、7MPaの湿潤引張強さを有する、態様58~103のいずれか1つに記載の方法。
【0702】
本開示の第108の態様によれば、前記複合菌糸体材料が、1MPa~100MPaの初期弾性率を有する、態様58~103のいずれか1つに記載の方法。
【0703】
本開示の第109の態様によれば、前記複合菌糸体材料が、1%~25%の破断時伸び率を有する、態様58~103のいずれか1つに記載の方法。
【0704】
本開示の第110の態様によれば、前記複合菌糸体材料が、0.5mm~3.5mmの厚さを有する、態様58~103のいずれか1つに記載の方法。
【0705】
本開示の第111の態様によれば、前記複合菌糸体材料が、2mmの厚さを有する、態様58~103のいずれか1つに記載の方法。
【0706】
本開示の第112の態様によれば、前記複合菌糸体材料が、5N~100Nのスリット引裂強さを有する、態様58~103のいずれか1つに記載の方法。
【0707】
本開示の第113の態様によれば、前記複合菌糸体材料が、50Nのスリット引裂強さを有する、態様58~103のいずれか1つに記載の方法。
【0708】
本開示の第114の態様によれば、前記複合菌糸体材料が、従来のペーパーミリング装置を使用して製造される、態様58~113のいずれか1つに記載の方法。
【0709】
当業者には、説明された本開示及び他の構成要素の構成が、任意の特定の材料に限定されないことが理解されよう。本明細書に開示される本開示の他の例示的な実施形態は、本明細書に別段の記載がない限り、多種多様な材料から形成され得る。
【0710】
例示的な実施形態に示されている本開示の要素の構成及び配置は、例示に過ぎないことに留意することも重要である。本開示では、本革新のほんの数実施形態のみを詳細に記載してきたが、本開示を検討する当業者には、記載された主題の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなく、多くの変更が可能であること(例えば、サイズ、寸法、構造、形状ならびに様々な要素の割合、パラメータ値、取り付け方法、材料の使用、色、向き等)が容易に理解されよう。従って、すべてのかかる変更は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。他の置換、修正、変更、及び省略が、本開示の主旨から逸脱することなく、所望の及び他の例示的な実施形態のデザイン、操作条件、及び配置においてなされ得る。
【0711】
本明細書に記載の工程内の任意の記載の工程または段階を他の開示された工程または段階と組み合わせて、本開示の範囲内の構造を形成し得ることが理解されよう。本明細書に開示する例示的な構造及び工程は、例示を目的とするものであり、限定的なものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】