(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-27
(54)【発明の名称】エネルギーハーベスティング及び充電式エネルギー貯蔵デバイスの充電のための方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20220720BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20220720BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
H02J7/02 G
H02J7/35 B
H02J7/00 303C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569346
(86)(22)【出願日】2020-05-19
(85)【翻訳文提出日】2021-11-19
(86)【国際出願番号】 EP2020063935
(87)【国際公開番号】W WO2020239532
(87)【国際公開日】2020-12-03
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521508634
【氏名又は名称】イー-ピース エセ.ア.
【氏名又は名称原語表記】E-PEAS S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】デ ヴォス,ジュリエン
(72)【発明者】
【氏名】ゴッセ,ジェフロイ
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA04
5G503AA06
5G503AA08
5G503BA04
5G503BB02
5G503BB03
5G503BB05
5G503CA11
5G503DA05
5G503DA07
5G503DA16
5G503EA05
5G503GB03
5G503GD03
(57)【要約】
本発明は、エネルギーハーベスティング及びエネルギー貯蔵デバイスの充電のための方法に関する。この方法は、電圧変換器システムを使用し、且つ第1の充電式蓄電デバイスの充電レベルを表すパラメータV
Batt1を監視するステップと、下限閾値と上限閾値との間にこのパラメータV
Batt1を維持するステップとを含む。この方法は、第2の充電式蓄電デバイスを充電するステップと、第2の充電式蓄電デバイスから第1の充電式蓄電デバイスに電荷を転送するように電圧変換器システムを動作させるステップとをさらに含む。本発明は、エネルギーハーベスティングのための集積回路であって、第2の充電式蓄電デバイスと接続可能な端子は、電圧変換器システムの入力及び出力の両方に切り替え可能に結合される、集積回路にも関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電力を出力電力に変換し、且つ少なくとも第1の充電式蓄電デバイス(50)及び第2の充電式蓄電デバイス(60)を充電するための電圧変換器システム(20)を使用するエネルギーハーベスティングのための方法において、
・エネルギーハーベスタ(70)と前記電圧変換器システム(20)との間において、前記エネルギーハーベスタ(70)から前記電圧変換器システムに入力電力を転送するための第1の電力入力経路(31a)を結合するステップ、
・それぞれ前記第1の充電式蓄電デバイス(50)及び前記第2の充電式蓄電デバイス(60)の充電レベルを表すパラメータV
Batt1及びパラメータV
Batt2を監視するステップ、
・前記第1の充電式蓄電デバイス(50)を印加負荷(90)に結合するステップであって、それにより、前記第1の充電式蓄電デバイスは、充電されると、前記印加負荷(90)に電力を供給することができる、ステップ、
・サブステップ:
1a)前記電圧変換器システム(20)と前記第1の充電式蓄電デバイス(50)との間において、前記電圧変換器システムから前記第1の充電式蓄電デバイス(50)に出力電力を転送するための第1の電力出力経路(32a)を結合するサブステップ、
2a)前記エネルギーハーベスタ(70)から前記第1の充電式蓄電デバイス(50)に電荷を転送して、前記エネルギーハーベスタ(70)からのエネルギーで前記第1の充電式蓄電デバイス(50)を充電するように前記電圧変換器システム(20)を動作させ、且つ前記パラメータV
Batt1が上限閾値V
Batt1-upに達するまで、前記第1の充電式蓄電デバイスを充電するように前記電圧変換器システムを動作させるサブステップ、
3a)V
Batt1が前記上限閾値V
Batt1-upに達しており、及びV
Batt2が上限閾値V
Batt2-max未満である場合、
i)前記第1の電力出力経路(32a)を減結合し、且つ前記電圧変換器システム(20)と前記第2の充電式蓄電デバイス(60)との間において、前記電圧変換器システムから前記第2の充電式蓄電デバイス(60)に出力電力を転送するための第2の電力出力経路(32b)を結合し、及び
ii)前記エネルギーハーベスタ(70)から前記第1の充電式蓄電デバイス(50)に電荷を転送して、前記エネルギーハーベスタ(70)からのエネルギーで前記第2の充電式蓄電デバイス(60)を充電するように前記電圧変換器システム(20)を動作させるサブステップ、
4a)前記第2の充電式蓄電デバイス(60)の前記充電中、前記パラメータV
Batt1が、その後、前記上限閾値V
Batt1-upから下限閾値V
Batt1-lowまで低下した(ここで、V
Batt1-low<V
Batt1-upである)場合、前記第2の電力出力経路(32b)を減結合し、且つステップ1a)で再度開始するサブステップ
を反復して実行することにより、前記第1の充電式蓄電デバイス(50)及び前記第2の充電式蓄電デバイス(60)の充電を協調させるステップ、
・i)前記第1の充電式蓄電デバイス(50)の前記パラメータV
Batt1が臨界閾値V
Batt1-SW未満に低下し(ここで、V
Batt1-SW<V
Batt1-lowである)、及びii)前記パラメータV
Batt2が既定の閾値V
Batt2-low以上である場合、前記第2の充電式蓄電デバイス(60)から前記第1の充電式蓄電デバイス(50)にエネルギーを転送するステップであって、
1b)前記第1の電力入力経路(31a)を減結合するサブステップ、
2b)前記第2の充電式蓄電デバイス(60)と前記電圧変換器システム(20)との間において、前記第2の充電式蓄電デバイス(60)から前記電圧変換器システム(20)に入力電力を転送するための第2の電力入力経路(31b)を結合するサブステップ、及び
3b)前記第1の充電式蓄電デバイス(50)の前記パラメータV
Batt1が前記上限閾値V
Batt1-upに達するまで、前記第2の充電式蓄電デバイス(60)からのエネルギーで前記第1の充電式蓄電デバイス(50)を充電するように前記電圧変換器システム(20)を動作させるサブステップ
を含むステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記第2の充電式蓄電デバイス(60)は、前記第1の充電式蓄電デバイス(50)のエネルギー貯蔵容量の5倍を超える、好ましくは10倍を超えるエネルギー貯蔵容量を有することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、前記第1の充電式蓄電デバイス(50)及び前記第2の充電式蓄電デバイス(60)の充電を協調させる前記ステップは、
3a)iii)V
Batt2が前記上限閾値V
Batt2-maxに達した場合、以下のステップ:
a)前記第2の電力出力経路(32b)を減結合し、且つ/又は前記第1の電力入力経路(31a)を減結合するステップ、
b)前記電圧変換器システム(20)を動作させることを停止するステップ、
c)前記第1の電力入力経路(31a)を結合し、且つ前記第1の電力出力経路(32b)を結合するステップ
の少なくとも1つを実行するサブステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法において、前記第2の充電式蓄電デバイス(60)から前記第1の充電式蓄電デバイス(50)にエネルギーを転送する前記ステップは、さらなるサブステップ:
4b)前記パラメータV
Batt1が前記上限閾値V
Batt1-upに達した場合、以下のステップ:
i)前記第1の電力出力経路(32a)を減結合し、且つ/又は前記第2の電力入力経路(31b)を減結合するステップ、ii)前記第1の電力入力経路(31a)を結合し、且つ前記第2の電力出力経路(32b)を結合するステップ、iii)前記電圧変換器システム(20)を動作させることを停止するステップ
の1つ又は組み合わせを実行するサブステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の方法において、
・前記パラメータV
Batt1が前記臨界閾値V
Batt1-SW未満に低下し、及び前記第2の充電式蓄電デバイス(60)が充電されていない場合、前記第1の電力入力経路(31a)を減結合し、且つ一次電池などの補助エネルギー源と前記電圧変換器システムとの間において、前記補助エネルギー源から前記電圧変換器システム(20)に入力電力を転送するための第3の電力入力経路(31c)を結合し、及び前記第1の蓄電デバイス(50)の前記パラメータV
Batt1が前記上限閾値V
Batt1-upに達するまで、前記補助エネルギー源からのエネルギーで前記第1の充電式蓄電デバイス(50)を充電するように前記電圧変換器システム(20)を動作させるステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の方法において、
・i)前記電圧変換器システム(20)と前記第2の充電式蓄電デバイス(60)との間において、前記電圧変換器システムから前記第2の充電式蓄電デバイス(60)に出力電力を転送するための前記第2の電力出力経路(32b)を結合するステップ、ii)前記パラメータV
Batt2が既定の閾値V
Batt2-PCに達する(ここで、V
Batt2-PC≧V
Batt2-lowである)まで、前記エネルギーハーベスタ(70)からのエネルギーで前記第2の充電式蓄電デバイス(60)を充電するように前記電圧変換器システム(20)を動作させるステップを実行することにより、前記第2の充電式蓄電デバイス(60)を事前充電するステップであって、前記第1の充電式蓄電デバイス(50)及び前記第2の充電式蓄電デバイス(60)の充電を協調させる前記ステップを実行する前に実行されるステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の方法において、前記電圧変換器システム(20)は、前記結合された電力入力経路(31a、31b、31c)を介して受け取られた入力電力を、前記結合された電力出力経路(32a、32b、32c)を介して出力される出力電力に変換するように構成された電圧変換器を含み、前記電圧変換器は、以下:ブースト電圧変換器、バック電圧変換器又はバック-ブースト電圧変換器の1つであることを特徴とする方法。
【請求項8】
エネルギーハーベスティングための集積回路(1)であって、
・入力電力を出力電力に変換するのに適しており、且つ少なくとも2つの充電式蓄電デバイスを充電するのに適している電圧変換器システム(20)、
・エネルギーハーベスタ(70)と接続可能な第1の端子(11)、
・第1の充電式蓄電デバイス(50)と接続可能な第2の端子(12)、
・第2の充電式蓄電デバイス(60)と接続可能な第3の端子(13)、
・前記電圧変換器システム(20)を制御するためのコントローラ(40)、
・前記第1の端子(11)から前記電圧変換器システム(20)に入力電力を転送するための少なくとも第1の電力入力経路(31a)を含む複数の電力入力経路、
・前記電圧変換器システム(20)から前記第2の端子(12)に出力電力を転送するための少なくとも第1の電力出力経路(32a)及び前記電圧変換器システムから前記第3の端子(13)に出力電力を転送するための第2の電力出力経路(32b)を含む複数の電力出力経路、
・前記コントローラ(40)と結合された監視ユニット(45)であって、前記第2の端子(12)及び前記第3の端子(13)にそれぞれ接続されるとき、それぞれ前記第1の充電式蓄電デバイス(50)及び前記第2の充電式蓄電デバイス(60)の充電レベルを表すパラメータV
Batt1及びパラメータV
Batt2を監視するように構成された監視ユニット(45)
を含む集積回路(1)において、
前記複数の電力入力経路は、前記第3の端子(13)から前記電圧変換器システム(20)に入力電力を転送するための第2の電力入力経路(31b)を含むことと、
前記電圧変換器システム(20)は、前記複数の電力入力経路から電力入力経路を選択して、前記選択された電力入力経路を介して入力電力を受け取るように構成された入力選択回路(31)及び前記複数の電力出力経路から電力出力経路を選択して、前記選択された電力出力経路を介して出力電力を出力するように構成された出力選択回路(32)を含むことと、
前記コントローラ(40)は、前記パラメータV
Batt1と第1の既定の閾値との比較及び/又は前記パラメータV
Batt2と第2の既定の閾値との比較に基づいて、電力入力経路及び電力出力経路のいくつかの特定の組み合わせを形成し、且つそれらの間で切り替えるように構成され、前記特定の組み合わせは、
i)前記第1の電力入力経路(31a)を選択し、且つ前記第1の電力出力経路(32a)を選択することによって形成される第1の組み合わせ、
ii)前記第1の電力入力経路(31a)を選択し、且つ前記第2の電力出力経路(32b)を選択することによって形成される第2の組み合わせ、
iii)前記第2の電力入力経路(31b)を選択し、且つ前記第1の電力出力経路(32a)を選択することによって形成される第3の組み合わせ
を含むことと
を特徴とする集積回路(1)。
【請求項9】
請求項8に記載の集積回路(1)において、前記コントローラ(40)は、
A.前記第1の電力入力経路(31a)を選択し、及び
A1)前記第1の電力出力経路(32a)を選択するサブステップ、
A2)前記第1の電力入力経路(31a)を介して受け取られた入力電力を、前記第1の電力出力経路(32a)を介して出力される出力電力に変換するように前記電圧変換器システム(20)を動作させるサブステップ、
A3)V
Batt1が上限閾値V
Batt1-up以上になる場合、前記第1の電力出力経路(32a)を選択から外すサブステップ、
A4)V
Batt2が上限閾値V
Batt2-maxよりも低い場合、
i)前記第2の電力出力経路(32b)を選択し、
ii)前記第1の電力入力経路(31a)を介して受け取られた入力電力を、前記第2の電力出力経路(32b)を介して出力される出力電力に変換するように前記電圧変換器システム(20)を動作させ、及び
iii)V
Batt1が、その後、前記上限閾値V
Batt1-upから下限閾値V
Batt1-lowまで低下した(ここで、V
Batt1-low<V
Batt1-upである)場合、前記第2の電力出力経路(32b)を選択から外し、且つサブステップA1)から再度開始するサブステップ
を反復して実行すること
を実行すること、
B.V
Batt1が前記下限閾値V
Batt1-lowから臨界閾値V
Batt1-SWまで低下し(ここで、V
Batt1-SW<V
Batt1-lowである)、及びV
Batt2が下限閾値V
Batt2-lowを上回る(ここで、V
Batt2-low<V
Batt2-maxである)場合、
B1)前記第2の電力入力経路(31b)を選択するサブステップ、
B2)前記第1の電力出力経路(32a)を選択するサブステップ、及び
B3)前記第2の電力入力経路(31b)を介して受け取られた入力電力を、前記第1の電力出力経路(32a)を介して出力される出力電力に変換するように前記電圧変換器システム(20)を動作させるサブステップ
を実行すること
を行うように構成されることを特徴とする集積回路(1)。
【請求項10】
請求項9に記載の集積回路(1)において、前記サブステップA4)は、さらなるステップ
A4)iv)V
Batt2が前記上限閾値V
Batt2-maxに達した場合、以下のステップ:i)前記第2の電力出力経路(32b)を選択から外し、且つ/又は前記第1の電力入力経路(31a)を選択から外すステップ、ii)前記電圧変換器システム(20)を動作させることを停止するステップ、iii)前記第1の入力経路(31a)を選択し、且つ前記第1の出力経路(32a)を選択するステップの少なくとも1つを実行するステップ
を含むことを特徴とする集積回路(1)。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の集積回路(1)において、前記コントローラは、さらなるサブステップ:
B4)前記電圧V
Batt1が前記上限閾値V
Batt1-up以上になる場合、以下:i)前記第1の電力出力経路(32a)を選択から外し、且つ/又は前記第2の電力入力経路(31b)を選択から外すこと、ii)前記第1の電力入力経路(31a)を選択し、且つ前記第2の電力出力経路(32b)を選択すること、iii)前記電圧変換器システム(20)を動作させることを停止することの少なくとも1つを実行するサブステップ
を実行するように構成されることを特徴とする集積回路(1)。
【請求項12】
請求項8に記載の集積回路(1)において、前記コントローラ(40)は、
・前記パラメータV
Batt1が上限閾値V
Batt1-up以上になり、及び前記パラメータV
Batt2が上限閾値V
Batt2-maxよりも低い場合、前記第1の組み合わせから前記第2の組み合わせに切り替えることと、
・前記パラメータV
Batt1が前記上限閾値V
Batt1-upから下限閾値V
Batt1-lowまで低下した(ここで、V
Batt1-low<V
Batt1-upである)場合、前記第2の組み合わせから前記第1の組み合わせに切り替えることと、
・前記パラメータV
Batt1が前記下限閾値V
Batt1-lowから臨界閾値V
Batt1-SWまで低下し(ここで、V
Batt1-SW<V
Batt1-lowである)、及びV
Batt2が下限閾値V
Batt2-lowを上回る(ここで、V
Batt2-low<V
Batt2-maxである)場合、前記第1の組み合わせから前記第3の組み合わせに切り替えることと
を行うようにさらに構成されることを特徴とする集積回路(1)。
【請求項13】
請求項8乃至12の何れか1項に記載の集積回路(1)において、前記入力選択回路(31)は、前記第1の電力入力経路(31a)における電流を有効及び無効にするための第1の入力スイッチ(SW1-IN)と、前記第2の電力入力経路(31b)における電流を有効及び無効にするための第2の入力スイッチ(SW2-IN)と、前記第1の電力出力経路(32a)における電流を有効及び無効にするための第1の出力スイッチ(SW1-OUT)と、前記第2の電力出力経路(32b)における電流を有効及び無効にするための第2の出力スイッチ(SW2-OUT)とを含むことを特徴とする集積回路(1)。
【請求項14】
請求項8乃至13の何れか1項に記載の集積回路(1)において、一次電池などの補助エネルギー源と接続可能な第4の端子を含み、前記複数の電力入力経路は、前記第4の端子から前記電圧変換器システムに入力電力を転送するための第3の入力経路(31c)を含み、前記特定の組み合わせは、
iv)前記第3の電力入力経路(31c)を選択し、且つ前記第1の電力出力経路(32a)を選択することによって形成される第4の組み合わせ
を含むことを特徴とする集積回路(1)。
【請求項15】
請求項8乃至14の何れか1項に記載の集積回路(1)において、前記電圧変換器システム(20)は、前記選択された電力入力経路(31a、31b、31c)を介して受け取られた入力電力を、前記選択された電力出力経路(32a、32b、32c)を介して出力される出力電力に変換するための電圧変換器を含み、前記電圧変換器は、以下:ブースト電圧変換器、バック電圧変換器又はバック-ブースト電圧変換器の1つであることを特徴とする集積回路(1)。
【請求項16】
請求項8乃至14の何れか1項に記載の集積回路(1)において、前記電圧変換器システム(20)は、
・前記第1の電力入力経路(31a)を介して受け取られた入力電力を、前記第1の電力出力経路(32a)を介して又は前記第2の電力出力経路(32b)を介して出力される出力電力に変換するための第1の電圧変換器(21a)、
・前記第2の電力入力経路(31b)を介して受け取られた入力電力を、前記第1の電力出力経路(32a)を介して出力される出力電力に変換するための第2の電圧変換器(21b)
を含むことを特徴とする集積回路(1)。
【請求項17】
請求項8乃至14の何れか1項に記載の集積回路(1)において、前記電圧変換器システム(20)は、
・前記第1の電力入力経路(31a)を介して受け取られた入力電力を、前記第1の電力出力経路(32a)を介して出力される出力電力に変換するための第1の電圧変換器(21a)、
・前記第2の電力入力経路(31b)を介して受け取られた入力電力を、前記第1の電力出力経路(32a)を介して出力される出力電力に変換するための第2の電圧変換器(21b)、
・前記第1の電力入力経路(31a)を介して受け取られた入力電力を、前記第2の電力出力経路(32b)を介して出力される出力電力に変換するための第3の電圧変換器(21c)
を含むことを特徴とする集積回路(1)。
【請求項18】
エネルギーハーベスティングのためのシステムにおいて、
・請求項8乃至17の何れか1項に記載の集積回路(1)、
・前記第1の端子(11)に結合されたエネルギーハーベスタ(70)、
・前記第2の端子(12)に結合された第1の充電式蓄電デバイス(50)であって、好ましくは充電式バッテリ、キャパシタ又はスーパーキャパシタである第1の充電式蓄電デバイス(50)、
・前記第3の端子(13)に結合された第2の充電式蓄電デバイス(60)であって、好ましくは充電式バッテリ、キャパシタ又はスーパーキャパシタである第2の充電式蓄電デバイス(60)
を含み、前記第2の充電式蓄電デバイス(60)は、前記第1の充電式蓄電デバイス(50)のエネルギー貯蔵容量の5倍を超える、好ましくは10倍を超えるエネルギー貯蔵容量を有することを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギーハーベスティングのための方法及びデバイスに関する。より具体的には、本発明は、充電式エネルギー貯蔵デバイスを充電するための方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギーハーベスタからエネルギーを抽出し、エネルギー貯蔵デバイスを充電するために電圧変換器を使用することは、当技術分野でよく知られている。例えば、国際公開第2018234485号パンフレットでは、エネルギーハーベスタから充電式蓄電デバイスにエネルギーを転送するための電圧変換器を含む集積回路が記載されている。充電式蓄電デバイスに蓄えられたエネルギーは、その後、印加負荷のための電力源として使用される。印加負荷は、蓄電デバイスに直接又は間接的に結合させることができる。間接的な結合は、例えば、蓄電デバイスと印加負荷との間に補助電圧変換器を置くことによって確立され、補助電圧変換器は、印加負荷に特定の必要な電圧を調整するように構成される。
【0003】
様々なエネルギーハーベスタを、例えば光起電力電池(PV)、熱電発電機(TEG)、圧電エネルギー発生機及び電磁エネルギー発生機などのエネルギー源として使用することができる。充電式蓄電デバイスは、例えば、リチウムイオンバッテリ、スーパーキャパシタ又は従来のキャパシタなどの充電式バッテリである。
【0004】
既知のエネルギーハーベスティングシステムに関する問題の1つは、最初に、使い尽くして空になった充電式蓄電デバイスから始めたとき、エネルギーハーベスタからのエネルギーで充電式蓄電デバイスを最初に充電するのに長い時間がかかることである。結果として、印加負荷が、充電式蓄電デバイスからの電力を受け取り可能になり、動作を開始するまでにかかる時間も長くなる。特に、充電式蓄電デバイスが、完全に放電されたときにゼロボルトであるスーパーキャパシタである場合、スーパーキャパシタの充電時間は、非常に長くなる可能性がある。それだけでなく、十分に長い期間中、印加負荷に電力を供給する準備ができているようにするために必要な充電レベルまで充電式バッテリを充電することは、相当長い充電時間がかかる可能性がある。
【0005】
第2の問題は、個々のエネルギーハーベスティングシステムによって条件が変わることにより、エネルギーハーベスタが長期間、例えば数日の期間にわたってエネルギーを継続的に供給しない状況が生じることに関する。エネルギーハーベスタのタイプによっては、エネルギーハーベスティングは、かなり長い時間間隔、例えば数時間の時間間隔にわたって中断する可能性があり、印加負荷の信頼性及び長期機能性が下がる。印加負荷の電力消費量によっては、これにより、印加負荷の動作が停止される可能性がある。
【0006】
第2の問題に対して、例えばエネルギーハーベスタがエネルギーを供給していない時間間隔中、一次電池が印加負荷に接続されているバックアップシステムが提案されている。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、エネルギーハーベスティング及び効率的な方法での充電式蓄電デバイスの充電のための方法及びデバイスを提供し、それにより、充電式蓄電デバイスが最初に完全に空になっている状況でも、電力を受け取るための充電式蓄電デバイスと結合された印加負荷がより迅速に、すなわち数分以内に動作を開始することができるようにすることを目的とする。さらなる目的は、エネルギーハーベスタが長期間にわたって中断される条件下、例えば数時間、さらに数日に及ぶ中断でも、印加負荷が動作を継続できるようにすることである。目的は、エネルギーハーベスタからのエネルギーの抽出及び使用を最大限にすることでもある。
【0008】
本発明は、添付の独立請求項において定義される。従属請求項は、有利な実施形態を定義するものである。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、エネルギーハーベスティング及び印加負荷への電力の供給のための方法が提供される。採取されたエネルギーを用いて電力供給される印加負荷は、例えば、携帯機器、センサ、外部回路又はワイヤレス送信機などの任意のタイプの用途であり得る。
【0010】
本発明によるエネルギーハーベスティングのための方法は、入力電力を出力電力に変換し、且つ少なくとも第1の充電式蓄電デバイス及び第2の充電式蓄電デバイスを充電するための電圧変換器システムを使用する。典型的には、電圧変換器システムは、1つ又は複数の電圧変換器を含む。
【0011】
本発明による方法は、エネルギーハーベスタと電圧変換器システムとの間において、エネルギーハーベスタから電圧変換器システムに入力電力を転送するための第1の電力入力経路を結合するステップと、それぞれ第1の充電式蓄電デバイス及び第2の充電式蓄電デバイスの充電レベルを表すパラメータVBatt1及びパラメータVBatt2を監視するステップと、第1の充電式蓄電デバイスを印加負荷に結合するステップであって、それにより、第1の充電式蓄電デバイスは、充電されると、印加負荷に電力を供給することができる、ステップとを含む。
【0012】
実施形態では、パラメータVBatt1及びVBatt2は、第1の充電式蓄電デバイス及び第2の充電式蓄電デバイスの電圧にそれぞれ対応する。他の実施形態では、パラメータVBatt1及びVBatt2は、例えば、第1の充電式蓄電デバイス及び第2の充電式蓄電デバイスの充電プロセス中に蓄積された電荷をカウントする電荷カウンタによって得られた第1の蓄積電荷及び第2の蓄積電荷にそれぞれ対応する。
【0013】
方法は、サブステップ:
1a)電圧変換器システムと第1の充電式蓄電デバイスとの間において、電圧変換器システムから第1の充電式蓄電デバイスに出力電力を転送するための第1の電力出力経路を結合するサブステップ、
2a)パラメータVBatt1が上限閾値VBatt1-upに達するまで、エネルギーハーベスタからのエネルギーで第1の充電式蓄電デバイスを充電するように電圧変換器システムを動作させるサブステップであって、ハーベスタからのエネルギーで第1の充電式蓄電デバイスを充電することは、エネルギーハーベスタから第1の充電式蓄電デバイスに電荷を転送することを含む、サブステップ、
3a)VBatt1が上限閾値VBatt1-upに達しており、及びVBatt2が上限閾値VBatt2-max未満である場合、
i)第1の電力出力経路を減結合し、且つ電圧変換器システムと第2の充電式蓄電デバイスとの間において、電圧変換器システムから第2の充電式蓄電デバイスに出力電力を転送するための第2の電力出力経路を結合し、及び
ii)エネルギーハーベスタからのエネルギーで第2の充電式蓄電デバイスを充電するように電圧変換器システムを動作させるサブステップであって、ハーベスタからのエネルギーで第2の充電式蓄電デバイスを充電することは、エネルギーハーベスタから第2の充電式蓄電デバイスに電荷を転送することを含む、サブステップ、
4a)第2の充電式蓄電デバイスの充電中、パラメータVBatt1が、その後、上限閾値VBatt1-upから下限閾値VBatt1-lowまで低下した(ここで、VBatt1-low<VBatt1-upである)場合、第2の電力出力経路を減結合し、且つステップ1a)で再度開始するサブステップ
を反復して実行することにより、第1の充電式蓄電デバイス及び第2の充電式蓄電デバイスの充電を協調させるステップをさらに含む。
【0014】
本発明による方法は、i)第1の充電式蓄電デバイスのパラメータVBatt1が臨界閾値VBatt1-SW未満に低下し(ここで、VBatt1-SW<VBatt1-lowである)、及びii)パラメータVBatt2が既定の閾値VBatt2-low以上である場合、第2の充電式蓄電デバイスから第1の充電式蓄電デバイスにエネルギーを転送するステップをさらに含む。エネルギーを転送するステップは、1b)第1の電力入力経路を減結合するサブステップ、2b)第2の充電式蓄電デバイスと電圧変換器システムとの間において、第2の充電式蓄電デバイスから電圧変換器システムに入力電力を転送するための第2の電力入力経路を結合するサブステップ、及び3b)第1の充電式蓄電デバイスのパラメータVBatt1が上限閾値VBatt1-upに達するまで、第2の充電式蓄電デバイスからのエネルギーで第1の充電式蓄電デバイスを充電するように電圧変換器システムを動作させるサブステップを含む。
【0015】
有利には、第1の充電式蓄電デバイスの放電段階中、すなわちVBatt1が上限閾値VBatt1-upから下限閾値VBatt1-lowまで低下する間、第2の充電式蓄電デバイスを充電することにより、第2の充電式蓄電デバイスの全充電プロセス中及び第1の充電式蓄電デバイスを反復して再充電する全プロセス中の何れでも、印加負荷は、動作を継続することができる。このように、印加負荷を使用しても、エネルギーハーベスティング及び第2の充電式蓄電デバイスでのエネルギーの貯蔵は、妨害又は中断されない。
【0016】
有利には、第2の充電式蓄電デバイスを使用して、エネルギーハーベスタが動作していないときに第1の蓄電デバイスを再充電することができる。
【0017】
有利には、エネルギーハーベスタが動作していないとき、第2の充電式蓄電デバイスと電圧変換器システムとの間に第2の電力入力経路を結合することにより、電圧変換器システムは、第2の充電式蓄電デバイスから第1の充電式蓄電デバイスに電荷を転送するために使用されている。したがって、第2の充電式蓄電デバイスは、例えば、第1の充電式蓄電デバイスと異なる最大電圧で動作し、且つエネルギー貯蔵容量が大きい専用の蓄電デバイスであり得る。2つの蓄電デバイスを異なる技術で作ることもでき、第1の充電式蓄電デバイスは、例えば、リチウムイオン電池などの充電式バッテリであり得、第2の充電式蓄電デバイスは、例えば、スーパーキャパシタであり得る。このように、エネルギーハーベスタが長時間にわたって中断される場合、第2の充電式蓄電デバイスに貯蔵されたエネルギーを第1の充電式蓄電デバイスに転送し、印加負荷に電力供給を継続するために使用することができる。
【0018】
好ましくは、第2の充電式蓄電デバイスは、第1の充電式蓄電デバイスのエネルギー貯蔵容量の5倍を超える、より好ましくは10倍を超えるエネルギー貯蔵容量を有する。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、エネルギーハーベスティングのための集積回路が提供される。エネルギーハーベスティングのための集積回路は、少なくとも2つの充電式蓄電デバイスを充電するために、入力電力を出力電力に変換するのに適している電圧変換器システム、エネルギーハーベスタと接続可能な第1の端子、第1の充電式蓄電デバイスと接続可能な第2の端子、第2の充電式蓄電デバイスと接続可能な第3の端子、電圧変換器システムを制御するためのコントローラ、第1の端子から電圧変換器システムに入力電力を転送するための少なくとも第1の電力入力経路を含む複数の電力入力経路、電圧変換器システムから第2の端子に出力電力を転送するための少なくとも第1の電力出力経路及び電圧変換器システムから第3の端子に出力電力を転送するための第2の電力出力経路を含む複数の電力出力経路、コントローラと結合された監視ユニットであって、第2の端子及び第3の端子にそれぞれ接続されるとき、それぞれ第1の充電式蓄電デバイス及び第2の充電式蓄電デバイスの充電レベルを表すパラメータVBatt1及びパラメータVBatt2を監視するように構成された監視ユニットを含む。
【0020】
実施形態では、パラメータVBatt1及びパラメータVBatt2は、例えば、第2の端子及び第3の端子でそれぞれ感知された電圧に対応する。
【0021】
本発明によるエネルギーハーベスティングのための集積回路は、複数の電力入力経路が、第3の端子から電圧変換器システムに入力電力を転送するための第2の電力入力経路を含むことと、電圧変換器システムが、複数の電力入力経路から電力入力経路を選択して、選択された電力入力経路を介して入力電力を受け取るための入力選択回路及び複数の電力出力経路から電力出力経路を選択して、選択された電力出力経路を介して出力電力を出力するための出力選択回路とを含むことと、コントローラが、パラメータVBatt1と第1の既定の閾値との比較及び/又はパラメータVBatt2と第2の既定の閾値との比較に基づいて、電力入力経路及び電力出力経路のいくつかの特定の組み合わせを形成し、且つそれらの間で切り替えるように構成されることとを特徴とする。コントローラが形成し、且つ切り替えることができる特定の組み合わせは、i)第1の電力入力経路を選択し、且つ第1の電力出力経路を選択することによって形成される第1の組み合わせ、ii)第1の電力入力経路を選択し、且つ第2の電力出力経路を選択することによって形成される第2の組み合わせ、iii)第2の電力入力経路を選択し、且つ第1の電力出力経路を選択することによって形成される第3の組み合わせを含む。
【0022】
複数の電力入力経路から「ある」電力入力経路を選択して、選択された電力入力経路を介して入力電力を受け取ることは、複数の電力入力経路から「1つの」電力入力経路を選択して、選択された電力入力経路を介してのみ入力電力を受け取ることとして解釈されなければならない。同様に、複数の電力出力経路から「ある」電力出力経路を選択して、選択された電力出力経路を介して出力電力を出力することは、複数の電力出力経路から「1つの」電力出力経路を選択して、選択された電力出力経路を介してのみ出力電力を出力することとして解釈されなければならない。
【0023】
有利には、第3の端子から電圧変換器システムに入力電力を転送するための第2の電力入力経路を提供することにより、エネルギー貯蔵部を形成するために、この第3の端子に結合された第2の充電式蓄電デバイスにエネルギーハーベスタからのエネルギーで充電することができるだけでなく、エネルギーハーベスタが動作していないとき、第1の充電式蓄電デバイスを充電するための代替エネルギー源として使用することもできる。実際、第3の端子も、入力電力を供給するために電圧変換器システムに結合されているため、電圧変換器システムを使用して、第3の端子に結合されている第2の充電式蓄電デバイスからの電荷を、第2の端子に結合されている第1の充電式蓄電デバイスに転送することができる。このように、エネルギーハーベスタが動作していない場合でも、第1の蓄電デバイスに充電を継続することができ、それにより、第1の蓄電デバイスに結合された印加負荷が動作を継続することができる。
【0024】
実施形態では、集積回路のコントローラは、パラメータVBatt1が上限閾値VBatt1-up以上になり、及びパラメータVBatt2が上限閾値VBatt2-maxよりも低い場合、第1の組み合わせから第2の組み合わせに切り替えることと、パラメータVBatt1が上限閾値VBatt1-upから下限閾値VBatt1-lowまで低下した(ここで、VBatt1-low<VBatt1-upである)場合、第2の組み合わせから第1の組み合わせに切り替えることと、パラメータVBatt1が下限閾値VBatt1-lowから臨界閾値VBatt1-SWまで低下し(ここで、VBatt1-SW<VBatt1-lowである)、及びVBatt2が下限閾値VBatt2-lowを上回る(ここで、VBatt2-low<VBatt2-maxである)場合、第1の組み合わせから第3の組み合わせに切り替えることとを行うようにさらに構成される。
【0025】
実施形態では、集積回路は、一次電池などの補助エネルギー源と接続可能な第4の端子を含み、複数の電力入力経路は、第4の端子から電圧変換器システムに入力電力を転送するための第3の入力経路を含み、入力経路/出力経路の特定の組み合わせは、第3の電力入力経路を選択し、且つ第1の電力出力経路を選択することによって形成される第4の組み合わせを含む。
【0026】
さらなる実施形態では、電圧変換器システムは、選択された電力入力経路を介して受け取られた入力電力を、選択された電力出力経路を介して出力される出力電力に変換するための電圧変換器を含み、電圧変換器は、以下:ブースト電圧変換器、バック電圧変換器又はバック-ブースト電圧変換器の1つである。換言すれば、これらの実施形態では、単一の電圧変換器が入力選択回路及び出力選択回路と組み合わせて使用される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明のこれらの態様及びさらなる態様について、例として且つ添付の図面を参照しながらより詳細に説明する。
【0028】
【
図1a】
図1aは、本開示によるエネルギーハーベスティングシステムの一例を概略的に表す。
【
図1b】
図1bは、本開示によるエネルギーハーベスティングシステムのさらなる一例を概略的に表す。
【
図2】
図2は、本発明による方法を使用する、第1の充電式蓄電デバイス及び第2の充電式蓄電デバイスの充電プロセスを図示する。
【
図3】
図3は、本発明による集積回路を含むエネルギーハーベスティングシステムを概略的に示す。
【
図4a】
図4aは、バック/ブースト電圧変換器を含む、本発明による電圧変換器システムの一例を示す。
【
図4b】
図4bは、2つのバック/ブースト電圧変換器を含む、本発明による電圧変換器システムの一例を示す。
【
図5】
図5は、3つの電力入力経路間で選択するための入力選択回路と、3つの電力出力経路間で選択するための出力選択回路とを含む、本発明による電圧変換器システムの一例を示す。
【
図6a】
図6aは、2つの電圧変換器を含む電圧変換器システムの一実施形態を示す。
【
図6b】
図6bは、2つの電圧変換器を含む電圧変換器システムの代替的な一実施形態を示す。
【
図7】
図7は、3つの電圧変換器を含む電圧変換器システムの一実施形態を示す。
【
図8】
図8は、3つの電圧変換器を含み、且つ3つの電力入力経路間で選択するための入力選択回路と、2つの電力出力経路間で選択するための出力選択回路とを含む電圧変換器システムの一実施形態を示す。
【0029】
図の図面は、縮尺通り又は比率通りに描かれていない。概して、同一の構成要素は、図において同じ参照数字で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示は、特定の実施形態に関して記載されるが、それらは、本開示の例示であり、限定であるとして解釈されないものとする。当業者は、本開示が、特段に示され且つ/又は説明されるものに限定されず、本開示の全体的な教示に照らし合わせて、代替実施形態又は修正実施形態を発展させ得ることがわかるであろう。記載されている図面は、概略にすぎず、限定するものではない。
【0031】
「含む」という動詞及びそれぞれの語形変化の使用は、言及されているもの以外の要素の存在を除外しない。
【0032】
さらに、本明細書及び特許請求の範囲における第1、第2等の用語は、同様の要素間を区別するために使用され、必ずしも時間的、空間的、順位付け又は他の方法で順序を説明するために使用されるわけではない。そのように使用された用語は、適切な状況下で互換性があり、本明細書に記載される本開示の実施形態は、本明細書に記載又は図示された順序以外の順序で動作が可能であることを理解されたい。
【0033】
本明細書全体にわたって「1つの実施形態」又は「一実施形態」と言う場合、実施形態に関して説明された特定の特徴、構造又は特性が本開示の1つ又は複数の実施形態に含まれることを意味する。このため、本明細書全体にわたって様々な箇所に現れる「1つの実施形態では」又は「一実施形態では」という語句は、すべてが必ずしも同じ実施形態を指すわけではないが、同じ実施形態を指す場合もある。さらに、本開示から当業者に明らかであるように、特定の特徴、構造又は特性は、1つ又は複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わされ得る。
【0034】
本発明の第1の態様によれば、エネルギーハーベスティング及び印加負荷への電力の供給のための方法が提供される。エネルギーハーベスティングのための方法は、電圧変換器システムを含むエネルギーハーベスティングのためのシステムを利用する。
【0035】
電圧変換器システムは、エネルギー源から受け取られた入力電力を、蓄電デバイスを充電するための出力電力に変換するためのシステムとして解釈されなければならない。エネルギー源、例えばエネルギーハーベスタは、入力電圧Vinで入力電力を供給し、電圧変換器システムは、蓄電デバイスの電圧に対応する出力電圧Voutで出力電力を出力している。入力電圧Vinは、出力電圧Voutよりも高い場合もあれば、低い場合もある。典型的には、電圧変換器システムは、1つ又は複数の電圧変換器を含み、様々な電圧変換器システムの詳細な実施形態について下記でさらに説明する。電圧変換器の一例は、DC-DCブースト変換器、DC-DCバック変換器又はDC-DCバック/ブースト変換器である。概して、電圧変換器システムは、概して電力管理集積回路(PMIC)と呼ばれる集積回路の一部である。
【0036】
図1aでは、エネルギーハーベスティングのためのシステム100の一例が概略的に示されている。システムは、電圧変換器システム20と、電圧変換器システムを制御するためのコントローラ40とを含む電力管理集積回路(PMIC)1を含む。エネルギーハーベスタ70が第1の端子11に結合されており、この端子は、入力電圧V
inでエネルギーハーベスタから電力を受け取るための入力端子である。PMIC1は、第1の充電式蓄電デバイス50に結合された出力端子である第2の端子12を含む。この例では、印加負荷90は、直接接続によって第1の蓄電デバイス50に結合されている。他の実施形態では、電圧調整器を例えば第1の蓄電デバイスと印加負荷との間に配置して、第1の蓄電デバイスの電圧と異なる、印加負荷に必要な電圧を発生させることができる。
図1aに示されているPMICは、第2の充電式蓄電デバイス60と接続されている第3の端子13を含む。
【0037】
第1の充電式蓄電デバイスは、例えば、充電式バッテリ、キャパシタ又はスーパーキャパシタであり、同様に第2の充電式蓄電デバイスも充電式バッテリ、キャパシタ又はスーパーキャパシタの何れかであり得る。
【0038】
図1bでは、エネルギーハーベスティングのためのシステムのさらなる一例が概略的に示されており、第1の印加負荷90aが第1の蓄電デバイス50に結合され、第2の印加負荷90bが第2の蓄電デバイス60に結合されている。第1の印加負荷は、例えば、低電力負荷であり、例えば監視目的用であり、第2の印加負荷は、例えば、高電力負荷であり、例えば通信手段又は作動手段用である。
【0039】
本発明によるエネルギーハーベスティングのための方法は、エネルギーハーベスタと電圧変換器システムとの間において、エネルギーハーベスタから電圧変換器システム20に入力電力を転送するための第1の電力入力経路を結合するステップと、それぞれ第1の充電式蓄電デバイス50及び第2の充電式蓄電デバイス60の充電レベルを表すパラメータVBatt1及びパラメータVBatt2を監視するステップと、第1の充電式蓄電デバイスを印加負荷90に結合するステップであって、それにより、第1の充電式蓄電デバイスは、充電されると、印加負荷に電力を供給することができる、ステップとを含む。
【0040】
実施形態では、パラメータVBatt1及びVBatt2は、電圧測定によって得られた第1の充電式蓄電デバイス及び第2の充電式蓄電デバイスの電圧にそれぞれ対応する。他の実施形態では、パラメータVBatt1及びVBatt2は、電荷カウンタで得られた電荷の量に対応する。
【0041】
上限閾値電圧VBatt1-upに達していることによって示されるように、第1の蓄電デバイスが十分に充電されると、第1の充電式蓄電デバイス50は、印加負荷90のための電力源として使用することができる。電圧閾値VBatt1-upは、必ずしも完全に充電された蓄電デバイスに対応するわけではなく、第1の蓄電デバイスが印加負荷への電力供給を開始するのに十分に充電されていることを示す値であり得る。
【0042】
本発明による方法は、本明細書において下記で概説するサブステップ1a)~4a)を反復して実行することにより、第1の充電式蓄電デバイス及び第2の充電式蓄電デバイスの充電を協調させるステップをさらに含む。
【0043】
サブステップ1a)は、電圧変換器システムと第1の充電式蓄電デバイスとの間において、電圧変換器システムから第1の充電式蓄電デバイスに出力電力を転送するための第1の電力出力経路を結合することに対応する。
【0044】
サブステップ2a)は、パラメータVBatt1が上限閾値VBatt1-upに達するまで、エネルギーハーベスタからのエネルギーで第1の充電式蓄電デバイスを充電するように電圧変換器システムを動作させることに対応する。したがって、第1の充電式蓄電デバイスの充電中、エネルギーハーベスタから第1の充電式蓄電デバイスに電荷が転送されている。
【0045】
VBatt1が上限閾値VBatt1-upに達しており、及びVBatt2が上限閾値VBatt2-max未満であるという条件が満たされている場合、サブステップ3a)が実行される。サブステップ3a)は、i)第1の電力出力経路を減結合し、且つ電圧変換器システム20と第2の充電式蓄電デバイス60との間において、電圧変換器システムから第2の充電式蓄電デバイスに出力電力を転送するための第2の電力出力経路を結合し、及びii)エネルギーハーベスタからのエネルギーで第2の充電式蓄電デバイスを充電するように電圧変換器システムを動作させることに対応する。したがって、第2の充電式蓄電デバイスの充電中、エネルギーハーベスタから第2の充電式蓄電デバイスに電荷が転送されている。
【0046】
サブステップ4a)は、第2の充電式蓄電デバイスの充電中、パラメータVBatt1が、その後、上限閾値VBatt1-upから下限閾値VBatt1-lowまで低下した(ここで、VBatt1-low<VBatt1-upである)場合、第2の電力出力経路を減結合し、且つステップ1a)で再度開始することに対応する。
【0047】
したがって、サブステップ1a)~4a)を反復して実行することにより、第1の充電式蓄電デバイス50を充電レベルVBatt1-low~VBatt1-upで充電し続けながら、第2の充電式蓄電デバイス60が充電されている。
【0048】
図2では、本開示の方法による第1の充電式蓄電デバイス及び第2の充電式蓄電デバイスを充電するためのプロセスが図示されている。パラメータV
Batt1及びV
Batt2の変動が時間の関数として示されており、第1の充電式蓄電デバイス及び第2の充電式蓄電デバイスの充電及び放電をそれぞれ図示している。
図2に図示されるように、上述したサブステップ1a)~4a)を実行することにより、第1の蓄電デバイス50は、第1の蓄電デバイス50のパラメータV
Batt1を下限閾値V
Batt1-lowと上限閾値V
Batt1-upとの間に保つことによって充電され続け、並行して、第2の蓄電デバイス60は、第1の蓄電デバイス50が印加負荷に電力を供給している間、エネルギーハーベスタからのエネルギーで充電されている。
【0049】
第2の蓄電デバイス60を充電しながら印加負荷を引き続き動作させ、それにより、印加負荷の動作が中断しない。これは、
図2に示されている例で概略的に図示されており、図では、印加負荷がオン及びオフである期間は、「APPL.オン」及び「APPL.オフ」によってそれぞれ示されている。印加負荷がオンであり、及び第2の充電式蓄電デバイスが充電されているとき、上限閾値V
Batt1-upから下限閾値V
Batt1-lowまで低下している第1の蓄電デバイスのパラメータV
Batt1によって示されるように、第1の蓄電デバイスは、放電している。下限閾値V
Batt1-lowは、通常、第1の蓄電デバイスが印加負荷に電力を供給するために依然として十分に充電されるように選択される値である。第1の蓄電デバイスの下限閾値及び上限閾値に選択される値は、使用される蓄電デバイスのタイプにより、例えば充電式バッテリであるか又はキャパシタ若しくはスーパーキャパシタであるかによって決まる。上限閾値V
Batt1-upは、必ずしも第1の充電式蓄電デバイスの最大許容電圧値V
Batt1-maxと等しいわけではなく、V
Batt1-upは、例えば、V
Batt1-maxよりも小さい値であり得る。
【0050】
本開示による方法は、この方法が、i)第1の充電式蓄電デバイスのパラメータVBatt1が臨界閾値VBatt1-SW未満に低下し(ここで、VBatt1-SW<VBatt1-lowである)、及びii)パラメータVBatt2が既定の閾値VBatt2-low以上である場合、第2の充電式蓄電デバイスから第1の充電式蓄電デバイスにエネルギーを転送するさらなるステップを含むことを特徴とする。既定の閾値VBatt2-lowは、第2の充電式蓄電デバイスが、第2の充電式蓄電デバイスから第1の充電式蓄電デバイスに電荷を転送できるようにする最低限の充電レベルに充電されることを示す値である。
【0051】
第2の充電式蓄電デバイスから第1の充電式蓄電デバイスにエネルギーを転送するステップは、1b)第1の電力入力経路を減結合するサブステップ、2b)第2の充電式蓄電デバイスと電圧変換器システムとの間において、第2の充電式蓄電デバイスから電圧変換器システムに入力電力を転送するための第2の電力入力経路を結合するサブステップ、及び3b)第1の充電式蓄電デバイスのパラメータVBatt1が上限閾値VBatt1-upに達するまで、第2の充電式蓄電デバイスからのエネルギーで第1の充電式蓄電デバイスを充電するように電圧変換器システムを動作させるサブステップを含む。
【0052】
実施形態では、第2の充電式蓄電デバイス60から第1の充電式蓄電デバイス50にエネルギーを転送するステップは、パラメータVBatt1が上限閾値VBatt1-upに達した場合、さらなるサブステップ4b)を含む。サブステップ4b)は、以下のステップ:i)第1の電力出力経路32aを減結合し、且つ/又は第2の電力入力経路31bを減結合するステップ、ii)第1の電力入力経路31aを結合し、且つ第2の電力出力経路32bを結合するステップ、iii)電圧変換器システム20を動作させることを停止するステップの少なくとも1つ又は組み合わせを実行することに対応する。
【0053】
サブステップ4b)において、第1の電力入力経路31aを結合し、且つ第2の電力出力経路32bを結合するステップii)が適用される場合、エネルギーハーベスタが電力を供給している場合、第2の充電式蓄電デバイスは、エネルギーハーベスタからのエネルギーで充電され続ける。
【0054】
第1の蓄電デバイス50のパラメータV
Batt1が臨界閾値レベルV
Batt1-SW未満に低下したとき、第2の蓄電デバイスから第1の蓄電デバイスにエネルギーを転送するステップも
図2に図示されている。パラメータV
Batt1のこのような低下は、通常、エネルギーハーベスタがオフであるとき、又は印加負荷が、エネルギーハーベスタが供給している電力よりも多くの電力を消費しているときに生じる。例えば、
図2に図示されるように、エネルギーハーベスタが、「E.H.オン」で示されるオン状態から、「E.H.オフ」で示されるオフ状態に切り替わっているとき、第1の蓄電デバイスにも、第2の蓄電デバイスにも、エネルギーハーベスタからのエネルギーで充電することができない。結果として、印加負荷がオンであるとき、したがって電力を消費しているとき、電圧V
Batt1は、V
Batt1-lowまで低下すると、V
Batt1-SWに達するまでさらに低下し続ける。
図2に図示されるように、V
Batt1がV
Batt1-SW未満に低下すると、第1の蓄電デバイスは、第2の蓄電デバイスからのエネルギーを使用することによって再充電され、エネルギーハーベスタが再び動作可能になり、電力を供給するとき、エネルギーハーベスタのエネルギーが再び使用されて、上記で論じたように第1の蓄電デバイスの充電を維持し、第2の蓄電デバイスを充電し続ける。
【0055】
第2の蓄電デバイスから第1の蓄電デバイスにエネルギーを転送するために電圧変換器システムを動作させることにより、第1の蓄電デバイス及び第2の蓄電デバイスの電圧は、互いに独立したものであり得、第1の蓄電デバイス及び第2の蓄電デバイスを異なる技術で作ることも可能である。例えば、第1の充電式蓄電デバイスは、3.6V~4.0Vで動作するリチウムイオンバッテリであり得る一方、第2の充電式蓄電デバイスは、最大電圧2.7Vまで充電可能なスーパーキャパシタであり得る。
【0056】
好ましくは、第2の充電式蓄電デバイス60は、第1の充電式蓄電デバイス50のエネルギー容量の5倍を超える、好ましくは10倍を超えるエネルギー貯蔵容量を有する。このように、第2の蓄電デバイスは、エネルギーハーベスタがより長いタイマー期間にわたって停止している条件下において、印加負荷を動作可能な状態に維持するのに適した大きいエネルギー貯蔵部を形成している。エネルギー貯蔵容量が小さい第1の蓄電デバイスを利用することにより、第1の蓄電デバイスを充電し、印加負荷の動作を開始するのにかかる時間も短くなる。
【0057】
第2のパラメータVBatt2は、第2の蓄電デバイスが出力電力を供給するのに十分に充電されているかどうかを決定することができ、これは、例えば、VBatt2を既定の閾値VBatt2-lowと比較することによって決定することができ、VBatt2≧VBatt2-lowである場合、第2の蓄電デバイスは、充電されていると見なされる。
【0058】
VBatt2<VBatt2-lowである場合、第2の蓄電デバイスは、出力電力を供給するのに十分に充電されていないと見なされる。
【0059】
実施形態では、第1の充電式蓄電デバイス50及び第2の充電式蓄電デバイス60を充電するステップは、VBatt2が上限閾値VBatt2-maxに達している状況が生じた場合、さらなるサブステップ3a)iii)を含む。サブステップ3a)iii)は、以下:a)第2の電力出力経路32bを減結合し、且つ/又は第1の電力入力経路31aを減結合すること、b)電圧変換器システム20を動作させることを停止すること、c)第1の電力入力経路31aを結合し、且つ第1の電力出力経路32bを結合することの少なくとも1つを実行することに対応する。
【0060】
いくつかの実施形態では、サブステップ1a)~4a)を反復して実行することにより、上記で論じた第1の充電式蓄電デバイス及び第2の充電式蓄電デバイスの充電を協調させるステップを実行する前に、第2の充電式蓄電デバイス60を既定の充電レベルまで事前充電する最初のステップが実行される。第2の充電式蓄電デバイスを事前充電するステップは、i)電圧変換器システム20と第2の充電式蓄電デバイス60との間において、電圧変換器システムから第2の充電式蓄電デバイス60に出力電力を転送するための第2の電力出力経路32bを結合するステップと、ii)パラメータVBatt2が既定の閾値VBatt2-PCに達する(ここで、VBatt2-PC≧VBatt2-lowである)まで、エネルギーハーベスタ70からのエネルギーで第2の充電式蓄電デバイス60を充電するように電圧変換器システム20を動作させるステップとを含む。このように、第1の充電式蓄電デバイス50が充電され、負荷が有効になっているとき、印加負荷に対して所与の自律性を保証するために、少なくとも最小限の量のエネルギーが必ず第2の充電式蓄電デバイス60に既に貯蔵されているようにする。例えば、印加負荷が動作を開始した直後にエネルギーハーベスタがエネルギー供給を停止する場合、VBatt1が臨界閾値レベルVBatt1-SW未満に低下した場合、第2の充電式蓄電デバイスでは、第1の充電式蓄電デバイスに転送可能な少なくとも十分なエネルギーが利用可能である。
【0061】
実施形態では、本発明の方法は、パラメータVBatt1が臨界閾値VBatt1-SW未満に低下し、第2の充電式蓄電デバイス60が充電されず、したがって第2の充電式蓄電デバイスから第1の充電式蓄電デバイスに電荷を転送することができない状況に対する追加のステップを含む。この状況では、パラメータVBatt1が臨界閾値VBatt1-SW未満に低下し、及び第2の充電式蓄電デバイス60が充電されていない場合、方法は、第1の電力入力経路を減結合し、且つ例えば一次電池などの補助エネルギー源と電圧変換器システムとの間において、この補助エネルギー源から電圧変換器システム20に入力電力を転送するための第3の電力入力経路を結合し、及び第1の蓄電デバイス50のパラメータVBatt1が上限閾値VBatt1-upに達するまで、一次電池又は代替電力源からのエネルギーで第1の充電式蓄電デバイス50を充電するように電圧変換器システム20を動作させるステップを含む。
【0062】
一次電池の例としては、アルカリ電池又は亜鉛炭素電池がある。有利には、電圧変換器を使用して一次電池から第1の充電式蓄電デバイスに電荷を転送するため、一次電池の電圧は、第1の蓄電デバイスの最大電圧と同じである必要がない。一次電池は、例えば、典型的な電圧レベル1.5Vを有する単四(AAA)電池であり得る一方、第1の充電式蓄電デバイスは、典型的な電圧3.7Vまで充電可能な充電式リチウムイオンバッテリであり得る。
【0063】
実施形態では、電圧変換器システム20は、1つ又は複数の電圧変換器を含む。電圧変換器は、例えば、Vin及びVoutがそれぞれ電圧変換器の入力電圧及び出力電圧である場合、Vin>Voutであればバックモードで動作し、またVin<Voutであればブーストモードで動作するように構成されたDC-DCバック/ブースト電圧変換器である。
【0064】
実施形態では、電圧変換器システム20は、結合された電力入力経路31a、31b、31cを介して受け取られた入力電力を、結合された電力出力経路32a、32b、32cを介して出力される出力電力に変換するように構成された電圧変換器を含み、前記電圧変換器は、以下:ブースト電圧変換器、バック電圧変換器又はバック-ブースト電圧変換器の1つである。換言すれば、これらの実施形態では、単一の電圧変換器が第1の蓄電デバイス及び第2の蓄電デバイスを充電し、且つまた上記で論じたような条件下で第2の蓄電デバイスから第1の蓄電デバイスにエネルギーを転送している。
【0065】
本発明の第2の態様によれば、エネルギーハーベスティングのための集積回路が提供され、このような集積回路1を含むエネルギーハーベスティング100のためのシステムの一例が
図3に示されている。本発明による集積回路を含むエネルギーハーベスティングのためのこのようなシステムの場合、上記で論じた、第1の充電式蓄電デバイス及び第2の充電式蓄電デバイスを充電するステップと、第2の充電式蓄電デバイスから第1の充電式蓄電デバイスに電荷を転送するステップとを含むエネルギーハーベスティングの方法は、自動化及び制御された方法で適用することができる。
【0066】
本発明によるエネルギーハーベスティングのための集積回路は、集積回路と、端子とも呼ばれるいくつかの入力ピン及び出力ピンとを含むマイクロチップとして解釈されなければならない。マイクロチップは、例えば、16~32個の端子を有することができる。概して、マイクロチップがコンパクトなパッケージングを有することにより、長さ1~5mmの辺を有する正方形又は長方形のフットプリントになる。
【0067】
図3に図示されるように、エネルギーハーベスティングのための集積回路1は、エネルギーハーベスタ70と接続可能な第1の端子11と、第1の充電式蓄電デバイス50と接続可能な第2の端子12と、第2の充電式蓄電デバイス60と接続可能な第3の端子13とを含む。集積回路は、少なくとも2つの蓄電デバイスを充電するために、入力電力を出力電力に変換するのに適した電圧変換器システム20と、電圧変換器システム20を制御するためのコントローラ40と、コントローラ40と結合され、且つパラメータV
Batt1及びパラメータV
Batt2を監視するように構成された監視ユニット45とをさらに含む。パラメータV
Batt1及びV
Batt2は、第2の端子12及び第3の端子13にそれぞれ接続されるとき、それぞれ第1の充電式蓄電デバイス及び第2の充電式蓄電デバイスの充電レベルを表す。
【0068】
実施形態では、パラメータVBatt1及びパラメータVBatt2は、第2の端子12及び第3の端子13で感知された電圧にそれぞれ対応する。他の実施形態では、パラメータVBatt1及びVBatt2は、第1の充電式蓄電デバイス及び第2の充電式蓄電デバイスの充電プロセス中、電荷カウンタによってそれぞれカウントされた電荷の量に対応する。
【0069】
図3に示されるように、集積回路1は、エネルギー源から電圧変換器システムに入力電力を転送するための複数の電力入力経路31a、31bと、電圧変換器システムから集積回路の出力端子に出力電力を転送するための複数の電力出力経路32a、32bとを含む。これらの入力電力経路及び出力電力経路は、導電体として解釈されなければならない。しかしながら、電圧変換器システムは、動作時、1つの電力経路のみを使用して入力電力を受け取り、1つの出力経路のみを使用して電力を出力する。したがって、電圧変換器システム20は、複数の電力入力経路から1つの電力入力経路を選択して、選択された電力入力経路を介して入力電力を受け取るための入力選択回路31を含む。電圧変換器は、複数の電力出力経路から1つの電力出力経路を選択して、選択された出力経路を介して出力電力を出力するための出力選択回路32をさらに含む。
【0070】
集積回路1は、少なくとも、第1の端子11から電圧変換器システム20に入力電力を転送するように構成された第1の電力入力経路31aと、第3の端子13から電圧変換器システム20に入力電力を転送するための第2の電力入力経路31bとを含む。集積回路は、少なくとも、電圧変換器システム20から第2の端子12に出力電力を転送するための第1の電力出力経路32aと、電圧変換器システムから第3の端子13に出力電力を転送するための第2の電力出力経路32bとをさらに含む。このように、第2の蓄電デバイスが第3の端子に接続され、及び例えばエネルギーハーベスタが動作していないとき、電圧変換器システムは、第2の充電式蓄電デバイスから第1の充電式蓄電デバイスに電荷を転送することができる。
【0071】
コントローラ40は、パラメータVBatt1と第1の既定の閾値との比較及び/又はパラメータVBatt2と第2の既定の閾値との比較に基づいて、電力入力経路及び電力出力経路のいくつかの特定の組み合わせを形成し、且つそれらの間で切り替えるように構成される。コントローラが形成することができる特定の組み合わせは、i)第1の電力入力経路31aを選択し、且つ第1の電力出力経路32aを選択することによって形成される第1の組み合わせ、ii)第1の電力入力経路31aを選択し、且つ第2の電力出力経路32bを選択することによって形成される第2の組み合わせ、及びiii)第2の電力入力経路31bを選択し、且つ第1の電力出力経路32aを選択することによって形成される第3の組み合わせである。下記でより詳細にさらに論じるように、コントローラは、これらの3つの特定の入力/出力の組み合わせの1つを形成することができるだけでなく、パラメータVBatt1及び/又はパラメータVBatt2と既定の閾値との比較に基づいて、ある特定の組み合わせから別の特定の組み合わせに切り替えることも可能である。第1の既定の閾値は、例えば、閾値VBatt1-SWと、VBatt1-lowと、VBatt1-upとを含み、第2の既定の閾値は、例えば、上記で論じた閾値VBatt2-max及びVBatt2-lowを含む。
【0072】
上記で定義されたような選択される電力入力経路/出力経路の第1の組み合わせ及び第2の組み合わせは、電圧変換器システムがエネルギーハーベスタから第1の蓄電デバイス及び第2の蓄電デバイスにそれぞれ電力を転送している組み合わせに対応する。第3の組み合わせは、第2の蓄電デバイスから第1の蓄電デバイスに電力を転送している電圧変換器システムに対応する。VBatt1に対する上限閾値レベル及び下限閾値レベルを構成することにより、本発明によるエネルギーハーベスティングの方法は、パラメータVBatt1及び/又はVBatt2に応じて定義される入力経路/出力経路の組み合わせ間で切り替えることによって実装することができる。実際、上記で論じたエネルギーハーベスティングの方法は、これらの電力入力経路/出力経路の第1の組み合わせ及び第2の組み合わせ間で切り替えて、閾値VBatt1-low及びVBatt1-up間にVBatt1を保つと同時に、第2の蓄電デバイスを充電するステップを含む。上記で論じた本発明による方法は、VBatt1が臨界閾値VBatt1-SW未満に低下した場合、エネルギーが第2の蓄電デバイスから第1の蓄電デバイスに転送される電力入力経路/出力経路の第3の組み合わせに切り替えるステップも含む。電力入力経路/出力経路の第3の組み合わせに切り替える条件は、第2の蓄電デバイスが充電されている場合にのみ実行され、これは、上記で論じたように、VBatt2を閾値と比較することによって決定される。
【0073】
コントローラは、上記で論じたようなパラメータVBatt1及びVBatt2の条件及び閾値に基づいて、選択される電力/入力経路の組み合わせ間の切り替えを実行している。換言すれば、コントローラは、パラメータVBatt1が上限閾値VBatt1-up以上になり、及びパラメータVBatt2が上限閾値VBatt2-maxよりも低い場合、第1の組み合わせから第2の組み合わせに切り替え、パラメータVBatt1が上限閾値VBatt1-upから下限閾値VBatt1-lowまで低下した(ここで、VBatt1-low<VBatt1-upである)場合、第2の組み合わせから第1の組み合わせに切り替え、パラメータVBatt1が下限閾値VBatt1-lowから臨界閾値VBatt1-SWまで低下し(ここで、VBatt1-SW<VBatt1-lowである)、及びVBatt2が下限閾値VBatt2-lowを上回る(ここで、VBatt2-low<VBatt2-maxである)場合、第1の組み合わせから第3の組み合わせに切り替えるように構成される。
【0074】
実施形態では、監視ユニット45は、パラメータVBatt1及びVBatt2を既定の閾値と比較するための信号比較器を含む。上述したように、パラメータVBatt1及びVBatt2は、例えば、電圧測定から得られる電圧、電荷カウンタから得られる電荷の量又は充電式エネルギー貯蔵デバイスの充電状態について代表的な任意の他の量の検出に対応する。信号比較器は、当技術分野において既知のアナログ信号比較器又はデジタル信号比較器の何れかであり得る。デジタル信号比較器を使用する実施形態の場合、概してアナログ信号であるVBatt1及びVBatt2は、ADC(アナログ-デジタル変換器)を使用して最初にデジタル化される。既定の閾値は、コントローラによってローカルに記憶された値であり得るか、若しくは既定の閾値は、基準電圧発生装置によって生成され得るか、又はPMICの外部にある電圧コンフィギュレータが使用され得、またコンフィギュレーション端子又はコネクタを通して閾値を送信することができる。
【0075】
電圧変換器システム20は、1つ又は複数の電圧変換器を含み、電圧変換器は、例えば、ブースト電圧変換器、バック電圧変換器又はバック-ブースト電圧変換器である。
図4a及び
図5では、選択された電力入力経路を介して受け取られた入力電力を、選択された電力出力経路を介して出力される出力電力に変換するための単一の電圧変換器を含む電圧変換器システム20の実施形態の例が示されている。
図4b、
図6a及び
図6bでは、2つの電圧変換器を含む電圧変換器システム20の例が示されており、
図7及び
図8では、3つの電圧変換器を含む電圧変換器システムの例が示されている。ここで、電圧変換器システム20のこれらの様々な実施形態について下記でより詳細にさらに論じる。
【0076】
「コントローラ」という用語の使用は、概して、組み合わせ論理を含む電子デジタル回路であるとして最も広い意味で解釈されなければならない。電圧変換器システムを制御するコントローラは、例えば、1つ又は複数の電圧変換器のスイッチを制御し、且つ入力選択回路及び出力選択回路のスイッチを制御するように構成される。
【0077】
選択された電力入力経路を介して受け取られた入力電力を、選択された電力出力経路を介して出力される出力電力に変換するための単一の電圧変換器を含む電圧変換器システムの一実施形態が
図4a及び
図5に概略的に図示されている。示されている単一の電圧変換器は、概して、集積回路の外部に位置するインダクタ25であって、例えば2つの専用の端子14、15を用いて又は任意の他の適切な結合手段により、集積回路に結合することが可能なインダクタ25を利用する。電圧変換器の動作及び入力経路及び出力経路の選択についてさらに論じる。
【0078】
図4aに示されている実施形態では、入力選択回路31は、第1の電力入力経路31aの電流を有効及び無効にするための第1の入力スイッチSW1-INと、第2の電力入力経路31bの電流を有効及び無効にするための第2の入力スイッチSW2-INと、第1の電力出力経路32aの電流を有効及び無効にするための第1の出力スイッチSW1-OUTと、第2の電力出力経路32bの電流を有効及び無効にするための第2の出力スイッチSW2-OUTとを含む。
【0079】
特定の入力電力経路が選択されているとき、定義上、他の残りの入力経路が選択から外されていることを示唆することに注目されたい。したがって、複数の電力入力経路から「ある」電力入力経路を選択して、選択された電力入力経路を介して入力電力を受け取ることは、複数の電力入力経路から「1つの」電力入力経路を選択することとして解釈されなければならない。これは、電圧変換器システムが入力チャネルとして1つの電力源のみを受け取ることができるため、一度に1つの電力入力経路のみを選択できるという事実の結果である。特定の出力経路が選択されている場合、電力出力経路についても同じことが当てはまり、一度に1つの出力経路のみを選択できるため、定義上、他の残りの出力経路が選択から外されていることを示唆する。したがって、複数の電力出力経路から「ある」電力出力経路を選択して、選択された電力出力経路を介して出力電力を出力することは、複数の電力出力経路から「1つの」電力出力経路を選択することとして解釈されなければならない。一方、例えば、電力の転送を停止するために、すべての電力入力経路を選択から外すこと及び/又はすべての電力出力経路を選択から外すことが可能である。
【0080】
エネルギーハーベスタ70からのエネルギーで第1の充電式蓄電デバイス50を充電するために、第1の入力経路31a及び第1の出力経路32aが選択され、そのため、もう一方の入力経路及び出力経路は、選択から外され、第1の蓄電デバイス50の充電中、選択から外されたままである。第2の入力経路31b及び第2の出力経路32bは、例えば、スイッチSW2-IN及びSW2-OUTをそれぞれ開くことによって選択から外される。これらのスイッチが
図4aに示されている。
【0081】
エネルギーハーベスタからのエネルギーで第2の充電式蓄電デバイス60を充電するために、第1の入力経路31a及び第2の出力経路32bが選択され、もう一方の入力経路及び出力経路は、選択から外され、第2の充電式蓄電デバイスの充電中、選択から外されたままである。第2の入力経路31b及び第1の出力経路32aは、例えば、スイッチSW2-IN及びSW1-OUTをそれぞれ開くことによって選択から外される。
【0082】
第2の充電式蓄電デバイス60からのエネルギーで第1の充電式蓄電デバイス50を充電するために、第2の入力経路31b及び第1の出力経路32aが選択され、もう一方の入力経路及び出力経路は、選択から外され、第2の充電式蓄電デバイスから第1の充電式蓄電デバイスへの電荷転送中、選択から外されたままに維持される。第1の入力経路31a及び第2の出力経路32bは、例えば、スイッチSW1-IN及びSW2-OUTをそれぞれ開くことによって選択から外される。
【0083】
好適な一実施形態では、電圧変換器20は、
図4aに図示されるような、ブーストモード又はバックモードの何れかで動作させることが可能なDC-DCバック/ブースト電圧変換器である。電圧変換器の入力電圧が電圧変換器の出力電圧よりも低いとき、バック/ブースト電圧変換器は、ブーストモードで動作する。一方、入力電圧が出力電圧よりも高ければ、バック/ブースト電圧変換器は、バックモードで動作する。例えば、第1の入力経路31a及び第1の出力経路32aが選択されているとき、動作モードを決定するための入力電圧及び出力電圧は、第1の端子11における電圧及び第2の端子12における電圧にそれぞれ対応する。
【0084】
図4aに示されているバック/ブースト電圧変換器を、エネルギーハーベスタからのエネルギーで第1の蓄電デバイスを充電するためにブーストモードで動作させるために、スイッチSW1-INは、閉じたままに維持され、第1の蓄電デバイスの充電中、スイッチ27aは、開いたままである。ブーストモードは、スイッチ27bが閉じられ、スイッチSW1-OUTが開いているインダクタ25の磁気エネルギー充電段階から始まり、その後、スイッチ27bが開かれ、スイッチSW1-OUTが閉じている磁気エネルギー放電段階が続く。当技術分野において知られているように、スイッチ27b及びSW1-OUTを反復して制御することにより、第1の端子11、すなわちエネルギーハーベスタが接続されている場所から、第1の充電式蓄電デバイスが接続されている第2の端子12に電力がブーストモードで転送される。
【0085】
図4aに示されているバック/ブースト電圧変換器を、第1の蓄電デバイスを充電するためにバックモードで動作させるために、スイッチSW1-OUTは、閉じたままに維持され、第1の蓄電デバイスの充電中、スイッチ27bは、開いたままである。バックモードは、スイッチ27aが開かれ、スイッチSW1-INが閉じているインダクタ25の磁気エネルギー充電段階から始まり、その後、スイッチ27aが閉じられ、スイッチSW1-INが開いている磁気エネルギー放電段階が続く。当技術分野において知られているように、スイッチ27a及びSW1-INを反復して制御することにより、第1の端子11、すなわちエネルギーハーベスタが接続されている場所から、第1の充電式蓄電デバイスが接続されている第2の端子12に電力がバックモードで転送される。
【0086】
第1の蓄電デバイス50が充電されると、すなわちパラメータ値VBatt1-upに達すると、集積回路の第3の端子13に接続された第2の蓄電デバイス60にエネルギーハーベスタからのエネルギーで充電を開始することができる。したがって、第1の出力経路32aは、スイッチSW1-OUTを開き、且つ第2の充電式蓄電デバイスの充電中、このスイッチを開いたままに維持することによって選択から外される。
【0087】
エネルギーハーベスタからのエネルギーで第2の充電式蓄電デバイスを充電するために、電圧変換器の入力電圧及び出力電圧に応じて、電圧変換器は、バックモード又はブーストモードでも動作する。ブーストモードで動作させるために、スイッチSW1-INは、閉じたままに維持され、スイッチ27aは、開いたままである。上記で論じたのと同様に、ブーストモードは、スイッチ27bが閉じられ、スイッチSW2-OUTが開いているインダクタの磁気エネルギー充電段階から始まり、その後、スイッチ27bが開かれ、スイッチSW2-OUTが閉じている磁気エネルギー放電段階が続く。インダクタを磁気的に充電及び放電するこのサイクルは、周期的に繰り返される。
【0088】
エネルギーハーベスタからのエネルギーで第2の充電式蓄電デバイスをバックモードにおいて充電するために、スイッチSW2-OUTは、閉じたままに維持され、スイッチ27bは、開いたままである。バックモードは、スイッチ27aが開かれ、スイッチSW1-INが閉じているインダクタ25の充電段階から始まり、その後、スイッチ27aが閉じられ、スイッチSW1-INが開いている放電段階が続く。インダクタを磁気的に充電及び放電するこのサイクルは、周期的に繰り返される。
【0089】
図4aに示されている様々なスイッチ、すなわち参照番号27a、27b、SW1-IN、SW2-IN、SW1-OUT及びSW2-OUTが付されたスイッチは、導電性の経路又は導体を開閉するように構成された電子スイッチとして解釈されなければならない。これらのスイッチは、例えば、当技術分野において既知のアナログ電子スイッチである。これらのスイッチは、例えば、MOS型トランジスタを利用する。
図4aに示されている例示的な実施形態の場合、集積回路の電子スイッチの一部は、DC/DC電圧変換器を動作させるのに必要な標準的なスイッチとして使用されるだけでなく、入力経路及び出力経路選択回路のためのスイッチも形成しているため、これらのスイッチの数は、制限される。
【0090】
上記で論じたように、エネルギー変換器システム20は、特定の数の電圧変換器に限定されない。
図4bでは、2つのバック/ブースト電圧変換器を含む電圧変換器システム20の一例が示されており、電圧変換器システムは、参照符号27a、27b、28a、28b、SW1-IN、SW2-IN、SW1-OUT及びSW2-OUTが付された複数のスイッチを含む。スイッチ27a、27b、SW1-IN、SW1-OUT及びSW2-OUTは、エネルギーハーベスタから、電圧V
Batt1で第1の充電式蓄電デバイス又は電圧V
Batt2で第2の充電式蓄電デバイスの何れかに電力を転送するように第1のバック/ブースト電圧変換器を動作させるために使用される。スイッチ28a、28b、SW2-IN、SW1-OUTは、電圧V
Batt2で第2の充電式蓄電デバイスから、電圧V
Batt1で第1の充電式蓄電デバイスに電力を転送するように第2のバック/ブースト電圧変換器を動作させるために使用される。スイッチSW1-IN、SW2-IN、SW1-OUT及びSW2-OUTは、バック/ブースト電圧変換器の公称動作に使用されるだけでなく、これらのスイッチは、
図4bに概略的に図示されるような入力電力経路及び出力電力経路を選択するための入力選択回路31及び出力選択回路32の一部も形成していることに注目されたい。この例では、バック/ブースト電圧変換器は、それぞれ専用のインダクタ25、26を利用する。
【0091】
いくつかの実施形態では、電圧変換器システム20の1つ又は複数の電圧変換器を動作させるための公称電力スイッチに加えて、追加の専用のスイッチが、入力及び/又は出力選択回路を形成するために使用される。
図6a~
図8に示されるようないくつかの実施形態についてさらに論じる。
【0092】
図6aでは、入力選択回路31、出力選択回路32に加えて、2つの電圧変換器21a及び21bを含む電圧変換器システム20の一実施形態の一例が示されている。
図6aにさらに図示されるように、この例では、2つの電力入力経路31a及び31bと、2つの電力出力経路32a及び32bとがある。第1の電圧変換器21aは、第1の電力入力経路31aを介して受け取られた入力電力を、出力選択回路32によって何れの電力出力経路が選択されているかに応じて、第1の電力出力経路32aを介して又は第2の電力出力経路32bを介して出力される出力電力に変換するために使用される。第2の電圧変換器21bは、第2の電力入力経路31bを介して受け取られた入力電力を、第1の電力出力経路32aを介して出力される出力電力に変換するために使用される。2つの電圧変換器は、1つ又は2つのインダクタ(
図6aに示されていない)を利用することができる。2つの電圧変換器21a、21bは、必ずしも同じタイプである必要がなく、例えば、第1の電圧変換器21aは、バック-ブースト電圧変換器であり得、第2の電圧変換器21bは、バック電圧変換器又はブースト電圧変換器であり得る。
【0093】
図6bでは、
図6aに示されている実施形態と同じ機能性を実行することが可能である代替的な一実施形態が示されているが、この図では、出力選択回路32は、2つの出力スイッチの代わりに、3つのスイッチSW1-OUT、SW2-OUT及びSW3-OUTを利用している。
【0094】
図7では、3つの電圧変換器21a、21b、21cを含む電圧変換器システム20の一実施形態の一例が示されている。第1の電圧変換器21aは、第1の電力入力経路31aを介して受け取られた入力電力を、第1の電力出力経路32aを介して出力される出力電力に変換している。第2の電圧変換器21bは、第2の電力入力経路31bを介して受け取られた入力電力を、第1の電力出力経路32aを介して出力される出力電力に変換している。最後に、第3の電圧変換器21cは、第1の電力入力経路31aを介して受け取られた入力電力を、第2の電力出力経路32bに出力される出力電力に変換している。3つの電圧変換器は、1つ、2つ又は3つのインダクタ(
図7に示されていない)を利用することができる。
【0095】
図8では、入力選択回路31が3つの電力入力経路31a、31b及び31cから選択することできる一例が示されている。示されている電圧変換器システム20は、3つの電圧変換器21a、21b及び21dを含む。この例における第1の電圧変換器21a及び第2の電圧変換器21bの機能性は、
図6aに示され、上記で論じた例と同じである。第3の電圧変換器21dは、第3の電力入力経路31cを介して受け取られた入力電力を、第1の電力出力経路32aを介して出力される出力電力に変換するために使用される。
【0096】
本発明によるエネルギーハーベスティングのための集積回路の場合、当業者は、上述され、
図4a~
図8に示されているもの以外の電圧変換器システム20の他の実施形態を明示することができる。本発明による電圧変換器システムの実施形態に共通しているのは、それらが、複数の電力入力経路から電力入力経路を選択して、選択された電力入力経路を介して入力電力を受け取るための入力選択回路31と、複数の電力出力経路から電力出力経路を選択して、選択された電力出力経路を介して出力電力を出力するための出力選択回路32とを含むことである。上記で論じたように、いくつかの実施形態では、電力入力経路を選択するか又は電力出力経路を選択するために使用されるスイッチは、DC/DC電圧変換器の公称動作に使用されるDC/DC電圧変換器の電力スイッチに対応することに注目されたい。このように、電圧変換器システムに必要とされるスイッチの総数を制限することができる。
【0097】
本発明による一実施形態では、コントローラ40は、第1の入力経路31aを選択し、且つ以下のサブステップA1)~A4):A1)第1の出力経路32aを選択するサブステップ、A2)第1の電力入力経路31aを介して受け取られた入力電力を、第1の電力出力経路を介して出力される出力電力に変換するように電圧変換器20を動作させるサブステップ、A3)VBatt1が上限閾値VBatt1-up以上になる場合、第1の出力経路32aを選択から外すサブステップ、及びA4)VBatt2が上限閾値VBatt2-maxよりも低い場合、
i)第2の出力経路32bを選択し、
ii)第1の電力入力経路31aを介して受け取られた入力電力を、第2の電力出力経路32bを介して出力される出力電力に変換するように電圧変換器システム20を動作させ、及び
iii)VBatt1が、その後、上限閾値VBatt1-upから下限閾値VBatt1-lowまで低下した(ここで、VBatt1-low<VBatt1-upである)場合、第2の出力経路32bを選択から外し、且つサブステップA1)から再度開始するサブステップを反復して実行するステップA)を実行するように構成される。
【0098】
このように、上記で概説したステップA)及びそのサブステップA1)~A4)を実行することにより、コントローラ40は、パラメータVBatt1を閾値VBatt1-low及びVBatt1-up間に維持する。
【0099】
実施形態では、VBatt1が下限閾値VBatt1-lowから臨界閾値VBatt1-SWまで低下し(ここで、VBatt1-SW<VBatt1-lowである)、及びVBatt2が下限閾値VBatt2-lowを上回る(ここで、VBatt2-low<VBatt2-maxである)場合、コントローラ40は、ステップB)を実行するようにさらに構成される。ステップB)は、以下のサブステップ:B1)第2の入力経路31bを選択するサブステップ、B2)第1の出力経路32aを選択するサブステップ、及びB3)第2の電力入力経路31bを介して受け取られた入力電力を、第1の電力出力経路32aを介して出力される出力電力に変換するように電圧変換器20を動作させるサブステップで構成される。
【0100】
このように、第2の充電式蓄電デバイスから第1の充電式蓄電デバイスに電荷を転送することにより、コントローラは、エネルギーハーベスタが動作していないとき、第1の充電式蓄電デバイスが完全に放電されることを回避する。同時に、エネルギーハーベスタが動作を停止した場合でも、第1の充電式蓄電デバイスに結合された印加負荷は、動作を継続することが可能である。
【0101】
本発明による一実施形態では、コントローラは、上記で論じたサブステップA4)を実行するとき、VBatt2が上限閾値VBatt2-maxに達した場合、ステップiv)を追加で実行するように構成される。追加のステップであるステップiv)は、以下のステップ:i)第2の電力出力経路32bを選択から外し、且つ/又は第1の電力入力経路31aを選択から外すステップ、ii)電圧変換器システム20を動作させることを停止するステップ、iii)第1の入力経路31aを選択し、且つ第1の出力経路32aを選択するステップの1つを実行することを含む。
【0102】
このように、この追加のステップA4)iv)を実行することにより、集積回路の第3の端子に接続された第2の充電式蓄電デバイスに電荷が転送されなくなる。これにより、第2の充電式蓄電デバイスが過充電されることを回避する。
【0103】
実施形態では、ステップA4)iv)において、第1の入力経路31aを選択し、且つ第1の出力経路32aを選択するという選択肢iii)が適用されるとき、エネルギーハーベスタは、エネルギーハーベスタからのエネルギーで第1の充電式蓄電デバイスの充電を再び継続する。閾値VBatt1-upが第1の充電式蓄電デバイスの最大充電レベルではなく、及び最大充電レベルVBatt1-maxが存在する(ここで、VBatt1-max>VBatt1-upである)場合、第2の充電式蓄電デバイスが完全に充電されているこの状況では、最大充電レベルVBatt1-maxまで第1の充電式蓄電デバイスの充電を継続することができる。
【0104】
一実施形態では、上述したステップBを実行するとき、コントローラは、サブステップB4)を追加で実行するように、すなわち電圧VBatt1が上限閾値VBatt1-up以上になる場合、以下のステップ:i)第1の電力出力経路32aを選択から外し、且つ/又は第2の電力入力経路31bを選択から外すステップ、ii)第1の入力経路31aを選択し、且つ第2の出力経路32bを選択するステップ、iii)電圧変換器20を動作させることを停止するステップの少なくとも1つを実行するように構成される。実施形態では、ステップii)が適用されるとき、エネルギーハーベスタは、動作可能である場合、第2の充電式蓄電デバイスの充電を継続する。
【0105】
このように、追加のサブステップB4を実行することにより、第3の端子に接続された第2の充電式蓄電デバイスから、第2の端子に接続された第1の充電式蓄電デバイスに電荷が転送されなくなる。これにより、第1の充電式蓄電デバイスが過充電されることを回避する。第2の充電式蓄電デバイスからの電荷で第1の充電式蓄電デバイスを上限閾値VBatt1-upまで充電した後に続いて、印加負荷が電力を消費している場合、VBatt1の値は、再び低下し始める。エネルギーハーベスタが依然として動作していないか又は依然として電力を十分に供給していない場合、第1の電力入力経路及び第1の電力出力経路を選択した後でも、パラメータVBatt1は、低下し続け、再びVBatt1-SW未満に低下する。VBatt1がVBatt1-SW未満に低下すると、電力は、第2の充電式蓄電デバイスから第1の充電式蓄電デバイスに再び転送される。一方、エネルギーハーベスタが動作可能になり、印加負荷によって消費される電力よりも多くの電力を供給する場合、VBatt1がVBatt1-lowまで低下すると、電力は、エネルギーハーベスタから第1の充電式蓄電デバイスに転送され、VBatt1が上限閾値VBatt1-upに達するまでVBatt1が再び増加している。
【0106】
実施形態では、監視ユニット45は、第1の端子に接続されたエネルギーハーベスタが動作可能であるか否かを示すパラメータVHを監視するように構成される。実施形態では、このパラメータは、第1の入力端子で測定された電圧であり得る。このパラメータVHに基づいて、コントローラは、エネルギーハーベスタから電力を受け取り、第2の充電式蓄電デバイスからの電荷で第1の充電式蓄電デバイスを充電する代わりに、エネルギーハーベスタからの電荷で第1の充電式蓄電デバイスを充電するための第1の電力入力経路をいつ再選択するべきかを決定することができる。
【0107】
本発明によるエネルギーハーベスティングのための集積回路1は、電力入力経路の数及び電力出力経路の数に限定されない。
図5では、電圧変換器を有する集積回路1が示されており、この集積回路は、3つの電力入力経路31a、31b及び31c間で選択するように構成された入力選択回路31を有し、且つ3つの電力出力経路32a、32b及び32c間で選択するように構成された出力選択回路32を有する。この例では、入力選択回路31及び出力選択回路32は、追加のスイッチSW3-IN及びSW3-OUTをそれぞれ有する。
【0108】
さらなる実施形態では、第3の電力入力経路31cは、第4の端子から電圧変換器システム20に入力電力を転送するために使用される。第4の端子は、例えば、一次電池などの補助エネルギー源と接続可能である。これらの実施形態では、パラメータVBatt1が下限閾値VBatt1-lowから臨界閾値VBatt1-SWまで低下し、及びVBatt2が下限閾値VBatt2-low未満である場合、コントローラ40は、C1)第3の電力入力経路31cを選択するステップと、C2)第1の電力出力経路32aを選択するステップと、C3)第3の電力入力経路31cを介して受け取られた入力電力を、第1の電力出力経路32aを介して出力される出力電力に変換するように電圧変換器20を動作させるステップとを実行するように構成される。
【0109】
このように、例えばエネルギーハーベスタが動作しておらず、及び第2の充電式蓄電デバイスが充電されていない場合、第4の端子に結合された補助電力源を使用して第1の充電式蓄電デバイスを充電することができる。
【0110】
特定の一実施形態では、第3の電力出力経路32cは、電圧変換器システムを、例えば電圧VAUXにある補助充電式蓄電デバイスと接続可能な第5の端子と結合している。このように、第1の充電式蓄電デバイス及び第2の充電式蓄電デバイスが完全に充電されているとき、第3の充電式蓄電デバイスを充電することができる。
【国際調査報告】