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特表2022-534038TLR受容体リガンドをベースとするワクチンアジュバント
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-27
(54)【発明の名称】TLR受容体リガンドをベースとするワクチンアジュバント
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/6561 20060101AFI20220720BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20220720BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20220720BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20220720BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20220720BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20220720BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20220720BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220720BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20220720BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220720BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20220720BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
C07F9/6561 CSP
A61K9/16
A61K9/51
A61K9/127
A61K9/107
A61K47/04
A61K39/00 G
A61P37/02
A61P37/04
A61P35/00
A61P37/08
A61P31/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569372
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(85)【翻訳文提出日】2022-01-07
(86)【国際出願番号】 US2020034258
(87)【国際公開番号】W WO2020237164
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】62/851,941
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/975,054
(32)【優先日】2020-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500212295
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティー オブ モンタナ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100188374
【弁理士】
【氏名又は名称】一宮 維幸
(72)【発明者】
【氏名】ベイジン-リー,ヘレン
(72)【発明者】
【氏名】バークハート,デビッド
(72)【発明者】
【氏名】エバンス,ジェイ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H050
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076AA65
4C076DD29
4C085AA03
4C085AA38
4C085BA01
4C085FF02
4C085FF24
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB20
4H050AB28
4H050AB29
(57)【要約】
式(I)
の脂質化オキソアデニンは、免疫応答を調節するために有用なTLR7/8受容体リガンドである。化合物は、癌、感染性疾患、アレルギー又は自己免疫障害の治療において治療上の用途を有し得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
(式中、
は、-CH(CH)(CHCHであり;
は、C(O)R、C~C20アルキル又はC~C20アルケニルであり;
は、C(O)R、C~C20アルキル又はC~C20アルケニルであり;
は、各出現において、C15~Cアルキル、C17~C16アルキル及びC17~Cアルケニルから独立して選択され;
nは、1であり;
mは、2であり;
Zは、(Cアルキレン-O)であり;及び
qは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20である)
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
は、C(O)Rである、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
は、C(O)Rである、請求項2に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
は、各出現において、(CH14CH、(CH10CH、(CH12CH、(CH16CH及び(CHCH=CH(CHCHから独立して選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
は、(CH14CHである、請求項4に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項6】
qは、3、6、9、12又は16である、請求項4に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項7】
qは、3である、請求項6に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項8】
式(Ia):
【化2】
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
【化3】
【化4】
【化5】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【請求項10】
前記薬学的に許容可能な塩は、コリン塩である、請求項4に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含むマイクロ粒子又はナノ粒子を含む製剤。
【請求項12】
前記マイクロ粒子又はナノ粒子は、リポソーム、ミセル、ポリマー粒子、ブロック共重合体、シリカ粒子、エマルション又はその組み合わせを含む、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
抗原と、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩とを含むワクチン組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物。
【請求項15】
TLR4リガンドをさらに含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
アルミニウム塩をさらに含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記化合物又は前記その薬学的に許容可能な塩は、前記アルミニウム塩に吸着されている、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記化合物又は前記その薬学的に許容可能な塩と共に前記アルミニウム塩に吸着された抗原をさらに含む、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
対象における免疫応答を調節する方法であって、治療有効量の、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を前記対象に投与することを含む方法。
【請求項20】
前記対象における前記免疫応答は、増加される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記対象は、癌、自己免疫障害、アレルギー又は感染性疾患に罹患している、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記対象に抗原を投与することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
治療有効量のTLR4リガンドを投与することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
治療有効量のアルミニウム塩アジュバントを投与することをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記化合物又は前記その薬学的に許容可能な塩は、前記アルミニウム塩アジュバント上に吸着されている、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年5月23日に提出された米国仮特許出願第62/851,941号明細書及び2020年2月11日に提出された米国仮特許出願第62/975,054号明細書に対する優先権を主張し、これらの内容の全体は、参照により援用される。
【0002】
政府の利益に関する記載事項
本発明は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)によって授与された契約番号HHSN272200900036Cに基づく連邦政府の支援を受けて行われた。連邦政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0003】
本開示は、脂質化TLR7/8受容体リガンド化合物及び例えばワクチンアジュバントとしてのその使用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
Toll様受容体(TLR)リガンドをベースとする新規なワクチンアジュバント及び免疫療法の開発は、過去10年にわたって急速に拡大している研究分野であり、複数の適応症及びいくつかの承認済みの製品にわたって臨床的成果を上げている。ヒトで同定された10の既知のTLRの5つは、細菌成分の認識と関連し(TLR1、2、4、5、6)、他の4つ(TLR3、7、8、9)は、細胞質内区画に限られているように見え、ウイルスRNA(TLR3、7、8)及び非メチル化DNA(TLR9)の検出に関与する。
【0005】
免疫療法薬の最も有望なクラスの1つは、TLR7/8を標的とする化合物を含む。少数の異なるクラスの小分子は、TLR7/8の天然の(U及び/又はGが豊富な)ウイルスssRNAリガンドによく類似している。これらは、主にTLR7と相互作用するオキソグアノシン並びにTLR7及び/又はTLR8と結合するアデニンの誘導体を含む。TLR活性アデニン誘導体の1つクラスは、オキソアデニンであり、これらは、当初、イミダゾキノリンと関連する特定の副作用を克服するために開発された。オキソアデニンクラスがイミダゾキノリンよりも優れた全体的な毒性/生物活性プロファイルを呈するという事実にも関わらず、依然として投与によって全身炎症反応につながることがあり、ヒトの医療現場におけるそれらの使用を制限している。実際に、現在開発中のほとんどのTLR7/8アゴニストは、毒性を示す傾向があるか、不溶性であるか若しくは不安定であり、且つ/又は免疫刺激効果がきわめて低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのため、ワクチン及び免疫療法薬のための有効で安全なTLR7及び/又はTLR8受容体リガンド化合物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、式(I):
【化1】
(式中、
は、C~Cアルキルであり;
は、H、C~C20アルキル、C~C20アルケニル又はC(O)Rであり;
は、C~C20アルキル、C~C20アルケニル又はC(O)Rであり;
は、各出現において、C~C20アルキル及びC~C20アルケニルから独立して選択され;
nは、1、2、3、4、5又は6であり;
mは、2、3、4、5又は6であり;
Zは、(C~Cアルキレン-O)であり;及び
qは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20である)
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩が開示される。
【0008】
別の態様において、本発明は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0009】
別の態様において、本発明は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、抗原とを含むワクチン組成物を提供する。
【0010】
別の態様において、本発明は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含むマイクロ粒子又はナノ粒子を含む製剤を提供する。
【0011】
別の態様において、本発明は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含むアジュバント組成物を提供する。
【0012】
別の態様において、本発明は、対象における免疫応答を調節する方法であって、治療有効量の、式(I)の化合物若しくは薬学的に許容可能な塩又はその医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0013】
本発明の別の態様は、対象における癌を治療するか、予防するか、又は癌に対する罹患性を低減する方法であって、治療有効量の、式(I)の化合物若しくは薬学的に許容可能な塩又はその医薬組成物を、それを必要としている対象に投与することを含む方法を提供する。
【0014】
本発明の別の態様は、対象における感染性疾患を治療するか、予防するか、又は感染性疾患に対する罹患性を低減する方法であって、治療有効量の、式(I)の化合物若しくは薬学的に許容可能な塩又はその医薬組成物を、それを必要としている対象に投与することを含む方法を提供する。
【0015】
本発明の別の態様は、対象におけるアレルギーを治療するか、予防するか、又はアレルギーに対する罹患性を低減する方法であって、治療有効量の、式(I)の化合物若しくは薬学的に許容可能な塩又はその医薬組成物を、それを必要としている対象に投与することを含む方法を提供する。
【0016】
本発明の別の態様は、対象における自己免疫疾患を治療するか、予防するか、又は自己免疫疾患に対する罹患性を低減する方法であって、治療有効量の、式(I)の化合物若しくは薬学的に許容可能な塩又はその医薬組成物を、それを必要としている対象に投与することを含む方法を提供する。
【0017】
別の態様において、本発明は、免疫応答を調節する方法において使用するための、式(I)の化合物若しくは薬学的に許容可能な塩又はその医薬組成物を提供する。
【0018】
別の態様において、本発明は、癌、感染性疾患、アレルギー又は自己免疫疾患を治療するか、予防するか、又はそれに対する罹患性を低減する方法において使用するための、式(I)の化合物若しくは薬学的に許容可能な塩又はその医薬組成物を提供する。
【0019】
別の態様において、本発明は、免疫応答を調節するための医薬の製造のための、式(I)の化合物若しくは薬学的に許容可能な塩又はその医薬組成物の使用を提供する。
【0020】
別の態様において、本発明は、癌、感染性疾患、アレルギー又は自己免疫疾患を治療するか、予防するか、又はそれに対する罹患性を低減するための医薬の製造のための、式(I)の化合物若しくは薬学的に許容可能な塩又はその医薬組成物の使用を提供する。
【0021】
以下の説明及び図面に照らして本開示の他の態様及び実施形態が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、化合物CRX-601、化合物A、化合物B及び化合物Cの構造式を示す。
図2図2Aおよび図2Bは、様々な濃度の選択されたTLRアゴニスト化合物により刺激されたヒトPBMC由来の上清におけるINFα(図2A)及びIL-12p70(図2B)の応答のグラフである。
図3-1】図3A図3B図3Cおよび図3Dは、CRX-601、UM-1007又は一緒にカプセル化されたCRX-601及びUM-1007の様々な濃度のリポソーム製剤で行われたマウススプリットインフルエンザ(split-flu)試験において観察された、抗原特異的なIgG(図3A~3B)及びIgG2A(図3C~3D)の力価のグラフである。値は、未変性マウスにおける単回筋肉内ワクチン接種(14dp1、図3A、3C)及び2回目のブースターワクチン接種(14dp2、図3B、3D)の投与の14日後に記録された。
図3-2】図3A図3B図3Cおよび図3Dは、CRX-601、UM-1007又は一緒にカプセル化されたCRX-601及びUM-1007の様々な濃度のリポソーム製剤で行われたマウススプリットインフルエンザ(split-flu)試験において観察された、抗原特異的なIgG(図3A~3B)及びIgG2A(図3C~3D)の力価のグラフである。値は、未変性マウスにおける単回筋肉内ワクチン接種(14dp1、図3A、3C)及び2回目のブースターワクチン接種(14dp2、図3B、3D)の投与の14日後に記録された。
図4図4Aおよび図4Bは、CRX-601、UM-1007又は一緒にカプセル化されたCRX-601及びUM-1007の様々な濃度のリポソーム製剤でユカタンミニブタにおいて行われたスプリットインフルエンザ試験において観察された、IgG1(図4A)及びIgG2(図4B)の力価のグラフである。値は、ブースターワクチン接種(14dp2)投与の14日後に記録された。
図5-1】図5A図5Bおよび図5Cは、様々な濃度のTLRアゴニストCRX-601、化合物A及び化合物Cにより刺激されたヒトPBMC由来の上清におけるTNFα(図5A)、INFα(図5B)及びIL-12p70(図5C)の応答のグラフである。
図5-2】図5A図5Bおよび図5Cは、様々な濃度のTLRアゴニストCRX-601、化合物A及び化合物Cにより刺激されたヒトPBMC由来の上清におけるTNFα(図5A)、INFα(図5B)及びIL-12p70(図5C)の応答のグラフである。
図6図6Aおよび図6Bは、10μg又は50μgのUM-1007による治療後の若い雌のBalb/cマウスにおける平均腫瘍容積及び腫瘍容積中央値に対する効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
TLR7/8リガンドとして作用し得、新規なワクチンアジュバント及び免疫療法に有用であり得る化合物のクラスが本明細書に記載される。TLR7/8リガンドは、新規なペグ化及び脂質化オキソアデニン化合物である。本発明の化合物は、インターフェロン-α及び他の免疫刺激性サイトカインの誘発因子であることが示されており、他の既知のオキソアデニンベースのTLR7/8リガンドと比較して向上した活性-毒性プロファイルを有し得る。
【0024】
1.定義
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての科学技術用語は、当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。矛盾が生じる場合、定義を含めて本明細書が優先するものとする。好ましい方法及び材料を以下に記載するが、実施又は試験において、本明細書に記載されるものと同様の又は均等な方法及び材料が用いられ得る。本明細書において言及される全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、全体として参照により援用される。本明細書に開示される材料、方法及び例は、例示に過ぎず、限定することを意図するものではない。
【0025】
用語「含む」、「包含する」、「有している」、「有する」、「することができる」、「含有する」及びこれらの変化形は、本明細書で使用されるとき、追加的な動作又は構造の可能性を除外しないオープンエンド形式の移行句、用語又は語句であることが意図される。単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、文脈上特に明確に指示されない限り、複数形への言及を含む。本開示は、明示的に示されるか否かに関わらず、本明細書に提供される実施形態又は要素「含む」、それ「からなる」及びそれ「から本質的になる」他の実施形態も企図する。
【0026】
量に関連して使用される修飾語句「約」は、記載されている値を含むものであり、文脈によって決まる意味を有する(例えば、これは、特定の量の測定に伴う誤差の度合いを少なくとも含む)。修飾語句「約」は、2つの端点の絶対値によって定義される範囲も開示すると考えられなければならない。例えば、表現「約2~約4」は、範囲「2~4」も開示する。用語「約」は、指示される数の±10%を指し得る。例えば、「約10%」は、9%~11%の範囲を指示し得、「約1」は、0.9~1.1を意味し得る。「約」の他の意味は、丸めなど、文脈から明らかであり得、そのため、例えば、「約1」は、0.5~1.4も意味し得る。
【0027】
用語「免疫応答」には、限定はされないが、サイトカイン発現、産生又は分泌(例えば、IL-1、IL-6、IL-17、TNFα発現、産生又は分泌)、細胞傷害性、免疫細胞遊走、抗体産生及び/又は免疫細胞応答の増加又は減少を含む、先天性及び適応性免疫に関連する任意の応答が含まれる。
【0028】
語句「免疫応答を調節している」又は「免疫応答の調節」又は「免疫応答を調節する」は、本明細書に定義するとおりの免疫応答を上方制御するか、増強するか、刺激するか、亢進させるか又は増加させることを含む。
【0029】
具体的な官能基及び化学用語の定義について以下にさらに詳細に記載する。本開示の目的上、化学元素は、CAS方式元素周期表(Periodic Table of the Elements,CAS version),Handbook of Chemistry and Physics,75th Ed.内表紙に従って特定され、及び具体的な官能基は、概して、そこに記載されるとおり定義される。加えて、有機化学の一般的原理並びに具体的な官能部分及び反応性について、Organic Chemistry,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito,1999;Smith and March March’s Advanced Organic Chemistry,5th Edition,John Wiley&Sons,Inc.,New York,2001;Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers,Inc.,New York,1989;Carruthers,Some Modern Methods of Organic Synthesis,3rd Edition,Cambridge University Press,Cambridge,1987に記載され;これらの各々の内容全体は、参照により本明細書に援用される。
【0030】
用語「アルキル」は、本明細書で使用されるとき、1~10個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝鎖状飽和炭化水素鎖を意味する。用語「低級アルキル」又は「C~C-アルキル」は、1~6個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖炭化水素を意味する。用語「C~C-アルキル」は、1~3個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖炭化水素を意味する。アルキルの代表的な例としては、限定はされないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、4,4-ジメチルペンタン-2-イル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル及びn-デシルが挙げられる。
【0031】
用語「アルケニル」は、本明細書で使用されるとき、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合及び1~10個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝鎖状炭化水素鎖を意味する。
【0032】
用語「アルキレン」は、本明細書で使用されるとき、1~10個の炭素原子、例えば2~5個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖炭化水素から誘導された二価の基を指す。アルキレンの代表的な例としては、限定はされないが、-CHCH-、-CHCHCH-、-CHCH(CH)CH-、-CHCHCHCH-、-CHCH(CH)CHCH-及び-CHCHCHCHCH-が挙げられる。
【0033】
一部の例では、ヒドロカルビル置換基(例えば、アルキル又はシクロアルキル)中の炭素原子の数は、接頭語「C~C-」によって指示され、ここで、xは、置換基中の炭素原子の最小数であり、yは、最大数である。従って、例えば、「C~C-アルキル」は、1~3個の炭素原子を含有するアルキル置換基を指す。
【0034】
用語「置換基」は、アリール、ヘテロアリール、フェニル又はピリジニル基上のその基の任意の原子において「置換されている」基を指す。任意の原子が置換され得る。
【0035】
用語「置換されている」は、1つ以上の非水素置換基でさらに置換され得る基を指す。置換基としては、限定はされないが、ハロゲン、=O(オキソ)、=S(チオキソ)、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキレン、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、-COOH、ケトン、アミド、カルバメート及びアシルが挙げられる。例えば、ある基が「任意選択で置換されている」と記載される場合(アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロ環又はR基などの他の基など)、それは、ハロゲン、=O(オキソ)、=S(チオキソ)、シアノ、ニトロ、フルオロアルキル、アルコキシフルオロアルキル、フルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキレン、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、-COOH、ケトン、アミド、カルバメート及びアシルから独立に選択される0、1、2、3、4又は5個の置換基を有し得る。
【0036】
用語
【化2】
は、単結合(-)又は二重結合(=)を意味する。
【0037】
本明細書に記載される化合物について、基及びその置換基は、選択及び置換が安定な化合物を生じさせるような、例えば転位、環化、脱離等によるなどの転換を自発的に起こさない原子及び置換基の許容される原子価に従って選択され得る。
【0038】
置換基が、左から右に記述されるその従来の化学式によって特定されるとき、かかる式は、構造を右から左に記述することによって生じ得る同じ置換基も包含する。例えば、-CHNH-は、-NHCH-も包含することが意図される。
【0039】
本明細書における数値範囲の記載について、同じ精度でのそれらの間にある各介在する数が明示的に企図される。例えば、6~9の範囲について、6及び9に加えて数7及び8が企図され、且つ6.0~7.0の範囲について、数6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9及び7.0が明示的に企図される。
【0040】
2.化合物
一態様において、式(I):
【化3】
(式中、
は、C~Cアルキルであり;
は、H、C~C20アルキル、C~C20アルケニル又はC(O)Rであり;
は、C~C20アルキル、C~C20アルケニル又はC(O)Rであり;
は、各出現において、C~C20アルキル及びC~C20アルケニルから独立して選択され;
nは、1、2、3、4、5又は6であり;
mは、2、3、4、5又は6であり;
Zは、(C~Cアルキレン-O)であり;及び
qは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20である)
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩が開示される。
【0041】
一部の実施形態において、Rは、水素又はC(O)Rであり、ここで、Rは、存在する場合、各出現において、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、(CH16CH及び(CHCH=CH(CHCHから独立して選択される。
【0042】
一部の実施形態において、Rは、C(O)Rであり、ここで、Rは、各出現において、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、(CH16CH及び(CHCH=CH(CHCHから独立して選択される。
【0043】
一部の実施形態において、Rは、各出現において、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、(CH16CH及び(CHCH=CH(CHCHから独立して選択される。一部の実施形態において、Rは、(CH14CHである。
【0044】
一部の実施形態において、R及びRは、それぞれC(O)Rであり、ここで、Rは、各出現において、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、(CH16CH及び(CHCH=CH(CHCHから独立して選択される。一部の実施形態において、R及びRは、それぞれC(O)Rであり、ここで、Rは、各出現において、(CH14CHである。
【0045】
一部の実施形態において、Rは、水素であり、及びRは、C(O)Rであり、ここで、Rは、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、(CH16CH及び(CHCH=CH(CHCHから選択される。
【0046】
一部の実施形態において、nは、1である。一部の実施形態において、mは、2である。例示的実施形態において、nは、1であり、及びmは、2である。
【0047】
一部の実施形態において、Zは、(Cアルキレン-O)であり、ここで、qは、3、6、9、12又は16である。例示的実施形態において、qは、3である。qは、本明細書における任意の実施形態において、3、6、9、12又は16であり得る。
【0048】
Zのアルキレンは、直鎖アルキレン、即ちn-アルキレンであり得る。例えば、Zは、(C~Cn-アルキレン-O)であり得る。Zは、(CHCH-O)であり得る。Zは、(CHCH-O)であり得る。Zは、(CHCH-O)であり得るか、Zは、(CHCH-O)であり得るか、Zは、(CHCH-O)12であり得るか、又はZは、(CHCH-O)16であり得る。
【0049】
本明細書において開示される化合物において、Zは、式(II)において示されるように、リン酸部分に結合したZの端末炭素及びグリセロール部分の一部であるZの酸素によって方向付けられる。
【化4】
【0050】
別の態様において、式(Ia):
【化5】
(式中、
は、C~Cアルキルであり;
は、H、C~C20アルキル、C~C20アルケニル又はC(O)Rであり;
は、C~C20アルキル、C~C20アルケニル又はC(O)Rであり;
は、各出現において、C~C20アルキル及びC~C20アルケニルから独立して選択され;
nは、1、2、3、4、5又は6であり;
mは、2、3、4、5又は6であり;
Zは、(C~Cアルキレン-O)であり;及び
qは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20である)
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩が開示される。
【0051】
一部の実施形態において、Rは、水素又はC(O)Rであり、ここで、Rは、存在する場合、各出現において、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、(CH16CH及び(CHCH=CH(CHCHから独立して選択される。
【0052】
一部の実施形態において、Rは、C(O)Rであり、ここで、Rは、各出現において、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、(CH16CH及び(CHCH=CH(CHCHから独立して選択される。
【0053】
一部の実施形態において、Rは、各出現において、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、(CH16CH及び(CHCH=CH(CHCHから独立して選択される。一部の実施形態において、Rは、(CH14CHである。
【0054】
一部の実施形態において、R及びRは、それぞれC(O)Rであり、ここで、Rは、各出現において、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、(CH16CH及び(CHCH=CH(CHCHから独立して選択される。一部の実施形態において、R及びRは、それぞれC(O)Rであり、ここで、Rは、各出現において、(CH14CHである。
【0055】
一部の実施形態において、Rは、水素であり、及びRは、C(O)Rであり、ここで、Rは、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、(CH16CH及び(CHCH=CH(CHCHから選択される。
【0056】
一部の実施形態において、nは、1である。一部の実施形態において、mは、2である。例示的実施形態において、nは、1であり、及びmは、2である。
【0057】
一部の実施形態において、Zは、(Cアルキレン-O)であり、ここで、qは、3、6、9、12又は16である。例示的実施形態において、qは、3である。
【0058】
化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、
【化6】
【化7】
【化8】
からなる群から選択される。
【0059】
本化合物は、不斉中心又はキラル中心が存在する立体異性体として存在し得る。立体異性体は、キラル炭素原子の周りの置換基の立体配置に応じて「R」又は「S」である。本明細書において使用される用語「R」及び「S」は、IUPAC 1974 Recommendations for Section E,Fundamental Stereochemistry,in Pure Appl.Chem.,1976,45:13-30に定義されるとおりの立体配置である。本開示は様々な立体異性体及びそれらの混合物を企図し、それらは、本開示の範囲内に具体的に包含される。立体異性体には、エナンチオマー及びジアステレオマー及びエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物が含まれる。本化合物の個々の立体異性体は、不斉中心又はキラル中心を含む市販の出発物質から合成して調製され得るか、又はラセミ混合物の調製と、続く当業者に周知の分割法によって調製され得る。そうした分割法は、(1)Furniss,Hannaford,Smith,and Tatchell,“Vogel’s Textbook of Practical Organic Chemistry,”5th edition(1989),Longman Scientific&Technical,Essex CM20 2JE,England(又はその最新版)に記載されるとおりの、エナンチオマー混合物とキラル補助基との結合、得られたジアステレオマー混合物の再結晶又はクロマトグラフィーによる分離及び任意選択の補助基からの光学的に純粋な生成物の遊離、又は(2)キラルクロマトグラフィーカラムでの光学的エナンチオマー混合物の直接的な分離、又は(3)分別再結晶法によって例示される。
【0060】
本化合物は、互変異性型及び幾何異性体を有し得、及びそれらも本開示の実施形態を構成することが理解されなければならない。
【0061】
本開示は、同位体で標識された化合物も含み、これは、通常、天然に見られる原子質量又は質量数と異なる原子質量又は質量数を有する原子によって1個以上の原子が置き換えられている点を別にすれば、式(I)に記載されるものと同一である。本開示の化合物に含めるのに好適な同位体の例は、限定はされないが、それぞれH、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F及び36Clなどの水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素及び塩素である。重水素、即ちHなど、より重い同位体による置換は、より高い代謝安定性から得られる特定の治療上の利点、例えば生体内半減期の増加又は必要な投薬量の減少をもたらし得るため、従って状況によって好ましいこともある。本化合物は、受容体の分布を決定するため、医用イメージング及び陽電子放出断層撮影法(PET)試験のための陽電子放出同位体を取り込み得る。式(I)の化合物に取り込み得る好適な陽電子放出同位体は、11C、13N、15O及び18Fである。同位体で標識された式(I)の化合物は、概して、同位体で標識されていない試薬の代わりに適切な同位体で標識された試薬を使用して、当業者に公知の従来技法又は添付の実施例に記載されるものと同様の方法によって調製することができる。
【0062】
a.薬学的に許容可能な塩
開示される化合物は、薬学的に許容可能な塩として存在し得る。用語「薬学的に許容可能な塩」は、水又は油に可溶性又は分散性であり、障害の治療に好適であり、過度の毒性、刺激作用及びアレルギー反応がなく、妥当なリスク対効果比に見合っており、且つその使用目的に有効な化合物の塩又は双性イオンを指す。塩は、化合物の最終的な分離及び精製中に調製され得るか、又は別途、化合物のアミノ基を好適な酸と反応させることにより調製され得る。例えば、限定はされないが、メタノール及び水などの好適な溶媒中に化合物を溶解させて、少なくとも1当量の酸、例えば塩酸などで処理し得る。得られる塩を析出させて、ろ過によって分離し、減圧下で乾燥させ得る。代わりに、溶媒及び過剰量の酸を減圧下で除去して塩を提供し得る。代表的な塩には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ギ酸塩、イセチオン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、グルタミン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩などが含まれる。化合物のアミノ基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ラウリル、ミリスチル、ステアリルなど、塩化アルキル、臭化物及びヨウ化物でも四級化され得る。
【0063】
塩基性付加塩は、開示される化合物の最終的な分離及び精製中、カルボキシル基又はリン酸基と好適な塩基、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム若しくはアルミニウムなどの金属カチオンの水酸化物、炭酸塩若しくは重炭酸塩又は有機第一級、第二級若しくは第三級アミンなどとの反応によって調製され得る。メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N-ジベンジルフェネチルアミン、1-エフェナミン及びN,N’-ジベンジルエチレンジアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジンなどから誘導されるものなど、第四級アミン塩を調製することができる。一部の実施形態において、薬学的に許容可能な塩は、コリン塩である。
【0064】
化合物及び中間体は、有機合成の当業者に周知の方法により分離及び精製され得る。化合物を分離及び精製するための従来の方法の例としては、例えば、“Vogel’s Textbook of Practical Organic Chemistry,”5th edition(1989),by Furniss,Hannaford,Smith,and Tatchell,pub.Longman Scientific&Technical,Essex CM20 2JE,Englandに記載されるとおり、限定はされないが、シリカゲル、アルミナ又はアルキルシラン基で誘導体化されたシリカなどの固体支持体でのクロマトグラフィー、任意選択で活性炭による前処理を伴う高温又は低温での再結晶によるもの、薄層クロマトグラフィー、様々な圧力での蒸留、真空下での昇華及び研和を挙げることができる。
【0065】
本明細書において記載される化合物又はその薬学的に許容可能な塩は、製剤に含まれ得る。製剤は、リポソーム、ミセル、ポリマー、ブロック共重合体、シリカ、エマルション又はその組み合わせを含むが、これらに限定されないマイクロ粒子又はナノ粒子を含み得る。製剤は、有機、無機及び/又は脂質構成成分を含み得、化合物の免疫調節効果に寄与し得、且つ/又は化合物の体内分布、バイオアベイラビリティ及び/若しくは毒性といった特性に影響を与え得る。
【0066】
b.生物学的活性
式(I)の化合物を含む、本明細書において開示される化合物は、それらを免疫学的アジュバント又は免疫調節薬として有用にする生物学的活性を有し得る。例えば、化合物は、共投与された抗原に対する免疫系の応答を刺激し得る。一部の実施形態において、式(I)の化合物は、TLR7アンタゴニストである。一部の実施形態において、式(I)の化合物は、TLR8アンタゴニストである。一部の実施形態において、化合物は、Th1刺激性アジュバントとしての活性を有する。
【0067】
一部の実施形態において、本化合物は、試料中で又は対象への投与時にサイトカインの産生を刺激し得る。本化合物はTh17型サイトカインの産生を刺激し得る。例示的サイトカインとしては、IFN-γ、IL-2及びIL-12が挙げられる。かかる活性は、確立された方法により試験され得る。例えば、かかるサイトカインのレベルは、化合物への曝露後に末梢血単核球(PBMC)の試料中で測定され得る。
【0068】
TLR7及び/又はTLR8の活性によって媒介され得る状態は、喘息、アレルギー性鼻炎、過敏性肺疾患、レフレル症候群、遅延型過敏症、アテローム性動脈硬化症、膵炎、胃炎、変形性関節症、乾癬、サルコイドーシス、肺線維症、呼吸窮迫症候群、細気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、副鼻腔炎、嚢胞性線維症及び皮膚炎などの炎症性又はアレルギー性疾患を含むが、これらに限定されない炎症;関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強直性脊椎炎、強皮症、糖尿病、移植片対宿主病を含む移植片拒絶、クローン病及び潰瘍性大腸炎を含むが、これらに限定されない炎症性腸疾患を含むが、これらに限定されない自己免疫疾患;肝炎ウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス)、ヒト免疫不全ウイルス、パピローマウイルス、ヘルペスウイルス、呼吸器ウイルス(例えば、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ライノウイルス、メタニューモウイルス、パラインフルエンザウイルス、SARS)及び西ナイルウイルスによって引き起こされるものを含むが、これらに限定されない感染性疾患;例えば結核、細菌性肺炎、アスペルギルス症、ヒストプラスマ症、カンジダ症、ニューモシスチス症、ハンセン病、クラミジア、クリプトコックス症、クリプトスポリジウム症、トキソプラズマ症、リーシュマニア、マラリア及びトリパノソーマ症を含むが、これらに限定されない、細菌、菌類又は原生動物によって引き起こされる微生物感染症;種々の癌、特に腎細胞癌、肺癌、乳癌、結腸直腸癌、膀胱癌、黒色腫、白血病、リンパ腫及び卵巣癌を含むが、これらに限定されない、免疫療法に応答することが知られている癌の治療;基底細胞癌;光線性角化症;性器パピローマウイルス感染症;並びに肝再生.種々の癌、特に腎細胞癌、肺癌、乳癌、結腸直腸癌、膀胱癌、黒色腫、白血病、リンパ腫及び卵巣癌を含むが、これらに限定されない、免疫療法に応答することが知られている癌の治療;基底細胞癌;光線性角化症;性器パピローマウイルス感染症;並びに肝再生を含むが、これらに限定されない。
【0069】
3.組成物
開示される化合物は、対象(患者など、これは、ヒト又は非ヒトであり得る)への投与に好適であり得る医薬組成物、アジュバント組成物及びワクチン組成物に取り込まれ得る。
【0070】
a.医薬組成物
開示される化合物は、医薬組成物に取り込まれ得る。医薬組成物は、「治療有効量」又は「予防有効量」の薬剤を含み得る。「治療有効量」は、必要な投薬量及び期間で所望の治療結果を達成するのに有効な量を指す。組成物の治療有効量は、当業者によって決定され得、個体の疾患状態、年齢、性別及び体重並びに組成物が個体において所望の応答を引き出す能力などの要因に応じて異なり得る。治療有効量は、本発明の化合物(例えば、式(I)の化合物)の任意の毒性効果又は有害効果を治療上有益な効果が上回るものでもある。「予防有効量」は、必要な投薬量及び期間で所望の予防結果を達成するのに有効な量を指す。典型的には、予防用量は、対象において疾患に先立って又は疾患の初期段階で使用されるため、予防有効量は、治療有効量より少ないものとなる。
【0071】
医薬組成物及び製剤は、さらなる治療剤を含み得る。一部の実施形態において、さらなる治療剤は、アジュバント、免疫賦活薬、化学療法剤、免疫調節剤又はその組み合わせである。
【0072】
医薬組成物及び製剤は、アジュバントを含み得る。アジュバントは、ワクチン抗原に対する体液性及び/又は細胞媒介性免疫応答を亢進する添加剤である。任意のアジュバントは、本明細書において記載される医薬組成物及び製剤において有用であり得る。アジュバントは、TLRファミリーのメンバーの1つのメンバーと相互作用し得る。一部の実施形態において、アジュバントは、TLR4リガンドである。
【0073】
TLR4リガンドは、CRX-601(図1)、モノホスホリルリピドA(MPLA)、グルコピラノシルリピドA(GLA)、CRX-547、
【化9】
アミノアルキルグルコサミド4-リン酸(AGP)クラスリピドAミメティック並びに参照により本明細書に援用されるKhalaf et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.(2015)25(3),547-553並びに米国特許第7,960,522号明細書及び米国特許第7,063,967号明細書において記載される他のTLR4リガンドを含む。他のTLR4リガンドは、参照により本明細書に援用される国際公開第2019/157509号パンフレットにおいて記載される化合物を含む。例えば、TLR4リガンドは、
【化10】
【化11】
【化12】
又はその薬学的に許容可能な塩であり得る。
【0074】
一部の実施形態において、アジュバントは、アルミニウム塩である。アルミニウム塩は、リン酸、硫酸、水酸化物又はその組み合わせを含み得る。一部の実施形態において、アルミニウム塩は、硫酸アルミニウムカリウムであり、これは、水化物の形態であり得る。アルミニウム塩は、水酸化アルミニウムゲルであり得る。アルミニウム塩は、リン酸アルミニウム湿潤ゲルであり得る。アルミニウム塩アジュバントは、ミョウバンと称され得る。一部の実施形態において、本明細書において開示される化合物は、アルミニウム塩に吸着されている。
【0075】
医薬組成物は、抗原をさらに含み得る。一部の実施形態において、抗原は、本明細書において開示される化合物と共にアルミニウム塩に吸着されている。好適な抗原は、微生物病原体、細菌、ウイルス、タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、ペプチド、グリコペプチド、リポペプチド、トキソイド、炭水化物及び腫瘍特異抗原を含む。2つ以上の抗原の混合物が用いられ得る。一部の実施形態において、抗原は、細菌、ウイルス、バクテリオファージ、菌類、プリオン、新生物、自己抗原、動物、植物、組換え体又は合成物質に由来する。一実施形態において、ワクチン組成物中の抗原は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質又はその免疫原性部分の形態である。一部の実施形態において、抗原は、ハプテン、担体タンパク質にコンジュゲートされたハプテン、ポリペプチド若しくは他のポリマー又はその誘導体である。一部の実施形態において、抗原は、アレルゲンである。
【0076】
医薬組成物及び製剤は、免疫賦活薬を含み得る。免疫賦活薬は、免疫系の任意の成分の活性化を誘発するか又は活性を増加させることによって免疫系を刺激する。免疫賦活薬としての活性を有する多くの知られている任意の分子又は化合物を、開示される医薬組成物及び製剤において使用することができる。
【0077】
医薬組成物及び製剤は、化学療法剤を含み得る。化学療法薬は、癌治療において使用される任意の薬物又は任意の放射線増感剤を含み得る。化学療法薬は、アルキル化剤(シクロホスファミド、メクロレタミン、クロランブシル、メルファラン、ダカルバジン、ニトロソ尿素及びテモゾロマイドを含むが、これらに限定されない)、アントラサイクリン(ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン及びバルルビシンを含むが、これらに限定されない)、細胞骨格破壊剤若しくはタキサン(パクリタキセル、ドセタキセル、アブラキサン及びタキソテールを含むが、これらに限定されない)、エポチロン、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(ボリノスタット及びロミデプシンを含むが、これらに限定されない)、トポイソメラーゼ阻害剤(イリノテカン、トポテカン、エトポシド、テニポシド及びタフルポシドを含むが、これらに限定されない)、キナーゼ阻害剤(ボルテゾミブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、イマチニブ、ベムラフェニブ及びビスモデギブを含むが、これらに限定されない)、ヌクレオチド類似体及び前駆体類似体(アザシチジン、アザチオプリン、カペシタビン、シタラビン、ドキシフルリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メルカプトプリン、メトトレキサート及びチオグアニンを含むが、これらに限定されない)、ペプチド抗生物質(ブレオマイシン及びアクチノマイシンを含むが、これらに限定されない)、白金系作用物質(カルボプラチン、シスプラチン及びオキサリプラチンを含むが、これらに限定されない)、レチノイド(トレチノイン、アリトレチノイン及びベキサロテンを含むが、これらに限定されない)、ビンカアルカロイド及び誘導体(ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン及びビノレルビンを含むが、これらに限定されない)又はその組み合わせを含み得る。
【0078】
医薬組成物及び製剤は、免疫調節剤を含み得る。免疫調節剤は、インターフェロン、抗原、腫瘍食作用誘発剤及び他の免疫亢進剤(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)を含む。免疫調節剤は、免疫チェックポイント阻害剤、腫瘍食作用誘発剤又はその組み合わせであり得る。
【0079】
インターフェロンは、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ-la、ACTIMMUNE(登録商標)(インターフェロンガンマ-lb)又はインターフェロンガンマ-nl、その組み合わせ及び同種のものを含む。
【0080】
一部の実施形態において、免疫調節剤は、免疫チェックポイント阻害剤である。免疫チェックポイントは、免疫系におけるT細胞の機能を調整する。T細胞は、細胞媒介性免疫において中心的役割を果たす。チェックポイントタンパク質は、T細胞にシグナルを送って、本質的に、T細胞の機能のスイッチを切るか又はそれを阻害する特定のリガンドと相互作用する。チェックポイント阻害剤による療法は、既存の免疫応答の「妨げとなっているものを取り除く」又は免疫応答の開始の妨げとなっているものを取り除く。免疫チェックポイントの多くは、特定の受容体とリガンドのペアの間の相互作用によって調整されるため、モノクローナル抗体又は他の作用物質は、この相互作用をブロックし、免疫抑制作用を阻止するために使用することができる。チェックポイント阻害剤は、生物学的治療薬、小分子、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、融合タンパク質又はその組み合わせであり得る。チェックポイント阻害剤は、例えば、CTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN-15049、CHK1、CHK2、A2aR及びB-7ファミリーリガンドを含むチェックポイントタンパク質を阻害し得る。チェックポイント阻害剤は、例えば、CTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN-15049、CHK1、CHK2、A2aR及びB-7ファミリーリガンドを含む、チェックポイントタンパク質のリガンドと相互作用し得る。
【0081】
免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1阻害剤(例えば、ニボルマブ、ピジリズマブ、シンチリマブ)、PD-L1阻害剤(例えば、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、BMS-936559)、CTLA4阻害剤(例えば、イピリムマブ、トレメリムマブ)又はIDO阻害剤(例えば、インドキシモド、エパカドスタット)を含む。
【0082】
一部の実施形態において、免疫調節剤は、腫瘍食作用誘発剤である。免疫刺激性細胞表面ポリペプチド及びそれらの受容体は、哺乳類細胞又は細菌を含む外来物質の排除及び破壊にとって重要である。免疫刺激性細胞表面ポリペプチド及びそれらの受容体は、食作用を活性化する。食作用誘発剤は、細胞表面ポリペプチド及びそれらの受容体を、食作用を活性化するように誘発し得る。腫瘍食作用誘発剤は、抗CD47モノクローナル抗体(例えば、Hu5F9-G4、CC-90002、ZF1、AMMS4-G4、IBI188、SRF231)、抗SIRPα融合タンパク質(例えば、TTI-621、TTI-622)、抗SIRPαモノクローナル抗体(例えば、OSE-172)、抗CD47/抗腫瘍関連抗原二重特異性抗体及び主要組織適合遺伝子複合体クラス1β2-ミクログロブリン(MHCクラス1β2M)に結合する白血球免疫グロブリン様受容体B1(LILRB1)の阻害剤を含む。抗CD47/抗腫瘍関連抗原二重特異性抗体は、抗CD47/CD19二重特異性抗体(例えば、TG-1801)、抗CD47/メソテリン二重特異性抗体(例えば、NI-1801)、抗CD47/4-1BB二重特異性抗体(例えば、DSP107)、抗CD47/CD20二重特異性抗体、抗CD47/CD33二重特異性抗体(例えば、HMBD004)を含む。
【0083】
他の免疫を調節する作用物質は、ALFAFERONE(登録商標)、BAM-002、BEROMUN(登録商標)(タソネルミン)、BEXXAR(登録商標)(トシツモマブ)、CamPath(登録商標)(アレムツズマブ)、CTLA4(細胞傷害性リンパ球抗原4)、ダカルバジン、デニロイキン、エピラツズマブ、GRANOCYTE(登録商標)(レノグラスチム)、レンチナン、白血球アルファインターフェロン、イミキモド、MDX-010、メラノーマワクチン、ミツモマブ、モルグラモスチム、MYLOTARGTM(登録商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン).NEUPOGEN(登録商標)(フィルグラスチム)、OncoVAC-CL、OvaRex(登録商標)(オレゴボマブ)、ペムツモマブ(pemtumomab)(Y-muHMFGl)、PROVENGE(登録商標)、サルガラモスチム(sargaramostim)、シゾフィラン、テセロイキン、TheraCys(登録商標)、ウベニメクス、VIRULIZIN(登録商標)、Z-lOO、WF-lO、PROLEUKIN(登録商標)(アルデスロイキン)、ZADAXIN(登録商標)(チマルファシン)、ZENAPAX(登録商標)(ダクリズマブ)、ZEVALIN(登録商標)(90Y-イブリツモマブチウキセタン)並びにSTING(インターフェロン遺伝子の刺激因子)及びNOD(ヌクレオチド結合オリゴマー化ドメイン様受容体)アゴニストを含むが、これらに限定されない同種のものを含む。
【0084】
本明細書において記載される方法及び使用において、式(I)の化合物若しくは薬学的に許容可能な塩又はその組成物と;アジュバント及び/又は免疫調節剤との医薬の組み合わせは、同時に、別々に又は順次、任意の順序で投与/使用され得、成分は、別々に又は固定の組み合わせとして投与され得る。例えば、本発明による治療処置は、合わせて治療有効量又は有効量の、例えば本明細書において記載される量に対応する1日投与量での、同時に又は順次、任意の順序での、遊離形態又は薬学的に許容可能な塩の形態の第1の活性成分の投与及び遊離形態又は薬学的に許容可能な塩の形態の第2の活性成分の投与を含み得る。組み合わせの個々の活性成分は、分割された又は単一の投薬形態において、療法の期間中に異なる時間に別々に又は並行して投与することができる。本発明は、そのため、同時の又は交互の治療といった全てのそのような治療プログラムを含むものとして理解されるべきであり、用語「投与すること」は、それに応じて解釈されるべきである。従って、医薬の組み合わせは、本明細書において使用されるように、組み合わされた投与のための、1つ投薬単位形態又は別々の投薬形態における固定の組み合わせを定め、組み合わされた投与は、独立して、同時に又は異なる時間に行われ得る。さらなる例として、アジュバント若しくは免疫調節剤は、同時に(例えば、同時注入によって)、別々に若しくは順次投与/使用され得、続いて式(I)の化合物が投与され得るか又は逆も同様である。
【0085】
医薬組成物及び製剤は、薬学的に許容可能な担体を含み得る。用語「薬学的に許容可能な担体」は、本明細書で使用されるとき、任意の種類の非毒性の不活性な固体、半固体又は液体の充填剤、希釈剤、封入材料又は配合補助剤を意味する。薬学的に許容可能な担体としての役割を果たし得る材料の一部の例は、限定はされないが、ラクトース、グルコース及びスクロースなどの糖類;限定はされないが、コーンスターチ及びジャガイモデンプンなどのデンプン;限定はされないが、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体;トラガント末;麦芽;ゼラチン;タルク;限定はされないが、カカオ脂及び坐薬ワックスなどの賦形剤;限定はされないが、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油などの油;グリコール類;プロピレングリコールなど;限定はされないが、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルなどのエステル類;寒天;限定はされないが、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張生理食塩水;リンゲル溶液;エチルアルコール及びリン酸緩衝溶液であり、且つ限定はされないが、ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムなどの他の非毒性の適合性のある滑沢剤並びに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤及び芳香剤、保存剤及び抗酸化剤も配合者の判断次第で組成物中に存在し得る。
【0086】
従って、化合物及びその生理学的に許容可能な塩は、例えば、固形物投与、点眼薬、局所油性製剤中、注射、吸入(口又は鼻のいずれかからの)、インプラント又は経口、頬側、舌下、非経口若しくは直腸投与による投与のために製剤化され得る。技法及び製剤については、概して、“Remington’s Pharmaceutical Sciences,”(Meade Publishing Co.,Easton,Pa.)を参照し得る。治療組成物は、典型的には、製造及び保管条件下において無菌で安定していなければならない。
【0087】
開示される化合物の投与経路及び組成物の形態により、使用する担体の種類が決まることになる。本組成物は、例えば、全身投与(例えば、経口、直腸、鼻腔、舌下、頬側、インプラント若しくは非経口)又は局所投与(例えば、経皮、経肺、鼻腔、経耳、経眼、リポソーム送達系若しくはイオントフォレシス)に好適な種々の形態であり得る。
【0088】
全身投与のための担体は、典型的には、希釈剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、着色料、香味料、甘味料、抗酸化剤、保存剤、滑剤、溶媒、懸濁剤、湿潤剤、界面活性剤、これらの組み合わせなどの少なくとも1つを含む。全ての担体は、組成物中において任意選択である。
【0089】
好適な希釈剤としては、グルコース、ラクトース、デキストロース及びスクロースなどの糖類;プロピレングリコールなどのジオール類;炭酸カルシウム;炭酸ナトリウム;グリセリンなどの糖アルコール類;マンニトール;及びソルビトールが挙げられる。全身又は局所組成物中の1つ又は複数の希釈剤の量は、典型的には、約50~約90%である。
【0090】
好適な滑沢剤としては、シリカ、タルク、ステアリン酸並びにそのマグネシウム塩及びカルシウム塩、硫酸カルシウム;及びポリエチレングリコール及び植物油、例えばピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びカカオ脂などの液体滑沢剤が挙げられる。全身又は局所組成物中の1つ又は複数の滑沢剤の量は、典型的には、約5~約10%である。
【0091】
好適な結合剤としては、ポリビニルピロリドン;ケイ酸アルミウニムマグネシウム;コーンスターチ及びジャガイモデンプンなどのデンプン類;ゼラチン;トラガカント;及びセルロース及びその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、メチルセルロース、微結晶性セルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムなどが挙げられる。全身組成物中の1つ又は複数の結合剤の量は、典型的には、約5~約50%である。
【0092】
好適な崩壊剤としては、寒天、アルギン酸及びそのナトリウム塩、発泡性混合物、クロスカルメロース、クロスポビドン、ナトリウムカルボキシメチルデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、粘土及びイオン交換樹脂が挙げられる。全身又は局所組成物中の1つ又は複数の崩壊剤の量は、典型的には、約0.1~約10%である。
【0093】
好適な着色料としては、FD&C色素などの着色料が挙げられる。使用される場合、全身又は局所組成物中の着色料の量は、典型的には、約0.005~約0.1%である。
【0094】
好適な香味料としては、メントール、ペパーミント及び果実香味料が挙げられる。全身又は局所組成物中の1つ又は複数の香味料の量は、使用される場合、典型的には約0.1~約1.0%である。
【0095】
好適な甘味料としては、アスパルテーム及びサッカリンが挙げられる。全身又は局所組成物中の1つ又は複数の甘味料の量は、典型的には、約0.001~約1%である。
【0096】
好適な抗酸化剤としては、ブチル化ヒドロキシアニソール(「BHA」)、ブチル化ヒドロキシトルエン(「BHT」)及びビタミンEが挙げられる。全身又は局所組成物中の1つ又は複数の抗酸化剤の量は、典型的には、約0.1~約5%である。
【0097】
好適な保存剤としては、塩化ベンザルコニウム、メチルパラベン及び安息香酸ナトリウムが挙げられる。全身又は局所組成物中の1つ又は複数の保存剤の量は、典型的には、約0.01~約5%である。
【0098】
好適な滑剤としては、二酸化ケイ素が挙げられる。全身又は局所組成物中の1つ又は複数の滑剤の量は、典型的には、約1~約5%である。
【0099】
適した溶媒は、水、等張生理食塩水、オレイン酸エチル、グリセリン、水酸化ヒマシ油、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール及び同種のものなどの)などのアルコール並びにリン酸緩衝溶液を含む。全身又は局所組成物中の1つ又は複数の溶媒の量は、典型的には、約0~約100%である。一実施形態において、本発明の化合物は、滅菌水中2%のグリセロール中で製剤化される。さらなる実施形態において、化合物UM-1007は、滅菌水中2%のグリセロール中で製剤化される。滅菌水中2%のグリセロールの製剤は、非経口投与用であり得る。
【0100】
好適な懸濁剤としては、AVICEL RC-591(供給元FMC Corporation、Philadelphia,PA)及びアルギン酸ナトリウムが挙げられる。全身又は局所組成物中の1つ又は複数の懸濁剤の量は、典型的には、約1~約8%である。
【0101】
好適な界面活性剤としては、レシチン、ポリソルベート80及びラウリル硫酸ナトリウム並びにAtlas Powder Company、Wilmington,DelawareのTWEENSが挙げられる。好適な界面活性剤としては、C.T.F.A.Cosmetic Ingredient Handbook,1992,pp.587-592;Remington’s Pharmaceutical Sciences,15th Ed.1975,pp.335-337;及びMcCutcheon’s Volume 1,Emulsifiers&Detergents,1994,North American Edition,pp.236-239に開示されるものが挙げられる。全身又は局所組成物中の1つ又は複数の界面活性剤の量は、典型的には、約0.1%~約5%である。
【0102】
全身組成物中の各成分の量は、調製される全身組成物の種類に応じて異なり得、一般に、全身組成物は、0.01%~50%の活性化合物(例えば、式(I)の化合物)と、50%~99.99%の1つ以上の担体とを含む。非経口投与のための組成物は、典型的には、0.1%~10%の活性分と、90%~99.9%の希釈剤及び溶媒を含む担体とを含む。
【0103】
経口投与のための組成物は、様々な投薬形態を有し得る。例えば、固体形態には、錠剤、カプセル、顆粒及びバルク粉末が含まれる。これらの経口投薬形態は、安全且つ有効な量、通常、少なくとも約5%及びより詳細には約25%~約50%の活性分を含む。経口投薬組成物は、約50%~約95%の担体及びより詳細には約50%~約75%を含む。
【0104】
錠剤は、圧縮錠、擦り込み錠剤、腸溶錠、糖衣錠、フィルムコート錠又は多層錠であり得る。錠剤は、典型的には、活性成分と、希釈剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、着色料、香味料、甘味料、滑剤及びこれらの組み合わせから選択される成分を含む担体とを含む。具体的な希釈剤としては、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、ラクトース及びセルロースが挙げられる。具体的な結合剤としては、デンプン、ゼラチン及びスクロースが挙げられる。具体的な崩壊剤としては、アルギン酸及びクロスカルメロースが挙げられる。具体的な滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸及びタルクが挙げられる。具体的な着色料は、FD&C色素であり、これは、外観のために添加され得る。咀嚼錠は、好ましくは、アスパルテーム及びサッカリンなどの甘味料若しくはメントール、ペパーミント、果実香味料などの香味料又はこれらの組み合わせを含有する。
【0105】
カプセル(インプラント、時限放出及び持続放出製剤を含む)は、典型的には、ゼラチンを含有するカプセル中に活性化合物(例えば、式(I)の化合物)と、上記に開示される1つ以上の希釈剤を含む担体とを含む。顆粒は、典型的には、開示される化合物と、好ましくは流動特性を改善する二酸化ケイ素などの滑剤とを含む。インプラントは、生分解性タイプ又は非生分解性タイプであり得る。
【0106】
経口組成物のための担体中の成分の選択は、味、コスト及び貯蔵安定性など、本発明の目的上決定的に重要なものではない二次的考慮事項に依存する。
【0107】
固体組成物は、従来の方法により、典型的にはpH又は時間依存的コーティングでコーティングされ得、開示される化合物は、所望の適用の周辺にある胃腸管において又は様々な箇所及び時点で放出されて、所望の作用を延長させることになる。コーティングは、典型的には、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、エチルセルロース、EUDRAGIT(登録商標)コーティング(Evonik Industrie、Essen,Germanyから入手可能)、ワックス及びシェラックからなる群から選択される1つ以上の成分を含む。
【0108】
経口投与のための組成物は、液体形態を有し得る。例えば、好適な液体形態としては、水溶液、エマルション、懸濁液、非発泡顆粒剤から再構成される溶液、非発泡顆粒剤から再構成される懸濁液、発泡顆粒剤から再構成される発泡性調製物、エリキシル剤、チンキ剤、シロップ剤などが挙げられる。液体の経口投与組成物は、典型的には、開示される化合物と、担体、即ち希釈剤、着色料、香味料、甘味料、保存剤、溶媒、懸濁剤及び界面活性剤から選択される担体とを含む。経口液体組成物は、好ましくは、着色料、香味料及び甘味料から選択される1つ以上の成分を含む。
【0109】
対象化合物の全身送達の達成に有用な他の組成物としては、舌下、頬側及び鼻腔投薬形態が挙げられる。かかる組成物は、典型的には、スクロース、ソルビトール及びマンニトールを含む希釈剤;及びアカシア、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの結合剤など、可溶性充填剤物質の1つ以上を含む。かかる組成物は、滑沢剤、着色料、香味料、甘味料、抗酸化剤及び滑剤をさらに含み得る。
【0110】
開示される化合物は、局所投与することができる。皮膚に局所的に適用することのできる局所組成物は、固体、溶液、油、クリーム、軟膏、ゲル、ローション、シャンプー、洗い流さない及びすすぎ落とすヘアコンディショナー、乳液、クレンジング液、保湿剤、スプレー、皮膚パッチなどを含む任意の形態であり得る。局所組成物は、開示される化合物(例えば、式(I)の化合物)と、担体とを含む。局所組成物の担体は、好ましくは、皮膚への化合物の浸透を促進する。担体は、1つ以上の任意選択の成分をさらに含み得る。
【0111】
開示される化合物と併せて用いられる担体の量は、化合物の単位用量毎の投与に実際的な分量の組成物を提供するのに十分である。本発明の方法において有用な投薬形態を作り出すための技法及び組成については、以下の参考文献に記載されている:Modern Pharmaceutics,Chapters 9 and 10,Banker&Rhodes,eds.(1979);Lieberman et al.,Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets(1981);及びAnsel,Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms,2nd Ed.,(1976)。
【0112】
担体は、単一の成分又は2つ以上の成分の組み合わせを含み得る。局所組成物では、担体は、局所担体を含む。好適な局所担体としては、リン酸緩衝生理食塩水、等張水、脱イオン水、単官能アルコール類、対称アルコール類、アロエベラゲル、アラントイン、グリセリン、ビタミンA及びE油、鉱油、プロピレングリコール、プロピオン酸PPG-2ミリスチル、ジメチルイソソルビド、ヒマシ油、これらの組み合わせなどから選択される1つ以上の成分が挙げられる。より詳細には、皮膚適用向けの担体としては、プロピレングリコール、ジメチルイソソルビド及び水並びにさらにより詳細にはリン酸緩衝生理食塩水、等張水、脱イオン水、単官能アルコール類及び対称アルコール類が挙げられる。
【0113】
局所組成物の担体としては、皮膚軟化剤、噴射剤、溶媒、保湿剤、増粘剤、粉末、芳香剤、色素及び保存剤から選択される1つ以上の成分をさらに挙げることができ、これらは、全て任意選択である。
【0114】
好適な皮膚軟化剤としては、ステアリルアルコール、グリセリルモノリシノラート、モノステアリン酸グリセリル、プロパン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ミンク油、セチルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、オレイルアルコール、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オクタデカン-2-オール、イソセチルアルコール、パルミチン酸セチル、セバシン酸ジ-n-ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ラノリン、ゴマ油、ヤシ油、ラッカセイ油、ヒマシ油、アセチル化ラノリンアルコール類、石油、鉱油、ミリスチン酸ブチル、イソステアリン酸、パルミチン酸、リノール酸イソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル及びこれらの組み合わせが挙げられる。皮膚のための具体的な皮膚軟化剤としては、ステアリルアルコール及びポリジメチルシロキサンが挙げられる。皮膚用基剤の局所組成物中の1つ又は複数の皮膚軟化剤の量は、典型的には、約5%~約95%である。
【0115】
好適な噴射剤としては、プロパン、ブタン、イソブタン、ジメチルエーテル、二酸化炭素、亜酸化窒素及びこれらの組み合わせが挙げられる。局所組成物中の1つ又は複数の噴射剤の量は、典型的には、約0%~約95%である。
【0116】
好適な溶媒としては、水、エチルアルコール、塩化メチレン、イソプロパノール、ヒマシ油、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン及びこれらの組み合わせが挙げられる。具体的な溶媒としては、エチルアルコール及びホモトピックアルコール類(homotopic alcohols)が挙げられる。局所組成物中の1つ又は複数の溶媒の量は、典型的には、約0%~約95%である。
【0117】
好適な保湿剤としては、グリセリン、ソルビトール、ナトリウム2-ピロリドン-5-カルボキシレート、可溶性コラーゲン、フタル酸ジブチル、ゼラチン及びこれらの組み合わせが挙げられる。具体的な保湿剤としては、グリセリンが挙げられる。局所組成物中の1つ又は複数の保湿剤の量は、典型的には、0%~95%である。
【0118】
局所組成物中の1つ又は複数の増粘剤の量は、典型的には、約0%~約95%である。
【0119】
好適な粉末としては、β-シクロデキストリン類、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン類、チョーク、タルク、フラー土、カオリン、デンプン、ガム、コロイド状二酸化ケイ素、ポリアクリル酸ナトリウム、テトラアルキルアンモニウムスメクタイト類、トリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト類、化学修飾ケイ酸アルミウニムマグネシウム、有機修飾モンモリロナイト粘土、水和ケイ酸アルミニウム、ヒュームドシリカ、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、モノステアリン酸エチレングリコール及びこれらの組み合わせが挙げられる。局所組成物中の1つ又は複数の粉末の量は、典型的には、0%~95%である。
【0120】
局所組成物中の芳香剤の量は、典型的には、約0%~約0.5%、特に約0.001%~約0.1%である。
【0121】
好適なpH調整添加剤としては、局所医薬組成物のpHを調整するのに十分な量のHCl又はNaOHが挙げられる。
【0122】
b.アジュバント及びワクチン組成物
化合物は、アジュバント組成物及びワクチン組成物中に組み込まれ得る。アジュバント組成物は、免疫応答を誘発し得る。一部の実施形態において、アジュバント組成物は、Th1型免疫応答を誘発する。
【0123】
ワクチン組成物は、抗原をさらに含み得る。好適な抗原は、微生物病原体、細菌、ウイルス、タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、ペプチド、グリコペプチド、リポペプチド、トキソイド、炭水化物及び腫瘍特異抗原を含む。2つ以上の抗原の混合物が用いられ得る。一部の実施形態において、抗原は、細菌、ウイルス、バクテリオファージ、菌類、プリオン、新生物、自己抗原、動物、植物、組換え体又は合成物質に由来する。抗原は、国際公開第2019/157509号パンフレットにおいて記載される細菌、ウイルス、菌類、植物及び癌/腫瘍抗原を含み、これは、参照により本明細書に援用される。
【0124】
アジュバント及びワクチン組成物は、「有効量」の開示される化合物を含み得る。アジュバント又はワクチン組成物との関連において、「有効量」は、必要な投薬量及び期間で、所望の結果(例えば、1つ以上の抗原に対する免疫応答を増強すること)を達成するのに有効な量を指す。免疫応答は、例えば、抗原に対する抗体力価を測定すること、化合物を含有するワクチンが疾患又は抗原チャレンジに応答して宿主を免疫する能力を評価すること等により測定され得る。例えば、「有効量」の化合物又は組成物を対象に投与すると、1つ以上の抗体力価が非免疫対照と比べて10%以上、非免疫対照と比べて20%以上、非免疫対照と比べて30%以上、非免疫対照と比べて40%以上、非免疫対照と比べて50%以上、非免疫対照と比べて50%以上、非免疫対照と比べて70%以上、非免疫対照と比べて80%以上、非免疫対照と比べて90%以上又は非免疫対照と比べて100%以上増加する。
【0125】
ワクチン調製は、十分に開発されている技術であり、ワクチンの調製及び製剤化についての一般的な指針は、種々の情報源の任意のものから容易に利用可能である。1つのかかる例は、New Trends and Developments in Vaccines,edited by Voller et al.,University Park Press,Baltimore,Md.,U.S.A.1978である。
【0126】
本開示のワクチン組成物は、生物学的に活性又は不活性であり得る他の化合物も含有し得る。例えば、他の腫瘍抗原の1つ以上の免疫原性部分は、融合ポリペプチドに取り込まれて又は別個の化合物としてのいずれかでワクチン組成物内に存在し得る。ポリペプチドは、必須ではないが、例えば米国特許第4,372,945号明細書及び同第4,474,757号明細書に記載されるとおり、他の巨大分子にコンジュゲートされ得る。ワクチン組成物は、概して予防目的及び治療目的で使用され得る。
【0127】
一実施形態において、ワクチン組成物中の抗原は、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質又はその免疫原性部分の形態である。「免疫原性部分」は、本明細書で使用されるとき、B細胞及び/又はT細胞表面抗原受容体によって認識される(即ちそれが特異的に結合する)タンパク質の一部分である。かかる免疫原性部分は、概して、抗原タンパク質又はその変異体の少なくとも5アミノ酸残基、より好ましくは少なくとも10及びさらにより好ましくは少なくとも20アミノ酸残基を含む。
【0128】
抗原ポリペプチドの免疫原性部分は、概して、Paul,Fundamental Immunology,3rd ed.,243-247(Raven Press,1993)及びそこに引用される文献に要約されるものなど、周知の技法を用いて同定され得る。かかる技法は、抗原特異的抗体、抗血清及び/又はT細胞株又はクローンと反応する能力に関してポリペプチドをスクリーニングすることを含む。本明細書で使用されるとき、抗血清及び抗体は、それが抗原に特異的に結合する(即ちそれがELISA又は他のイムノアッセイでそのタンパク質と反応し、且つ無関係のタンパク質と検出可能な反応を示さない)ならば、「抗原特異的」である。かかる抗血清及び抗体は、本明細書に記載されるとおり且つ周知の技法を用いて調製され得る。タンパク質の免疫原性部分は、(例えば、ELISA及び/又はT細胞反応性アッセイにおいて)完全長ポリペプチドの反応性を実質的に下回らないレベルでかかる抗血清及び/又はT細胞と反応する一部分である。かかる免疫原性部分は、かかるアッセイ内において完全長ポリペプチドの反応性と同程度であるか又はそれより高いレベルで反応し得る。かかるスクリーニングは、概して、Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988に記載されるものなど、当業者に周知の方法を用いて実施され得る。例えば、ポリペプチドを固体支持体上に固定化し、患者血清と接触させることにより、血清中の抗体を固定化されたポリペプチドに結合させ得る。次に未結合の血清を除去し、結合した抗体を例えば125I標識プロテインAを使用して検出し得る。
【0129】
一部の実施形態において、抗原は、ハプテン、担体タンパク質にコンジュゲートされたハプテン、ポリペプチド若しくは他のポリマー又はその誘導体である。ハプテンは、主に、タンパク質などの大きい担体に結合した場合にのみ免疫応答を引き出すことができる小分子を含む。ハプテンは、担体タンパク質及びさらなる部分に連結され得る。例示的なハプテンは、アニリン、o-、m-及びp-アミノ安息香酸、キノン、ヒスタミン-スクシニル-グリシン(HSG)、ヒドララジン、ハロセン、インジウム-DTPA、フルオレセイン、ビオチン、ジゴキシゲニン、テオフィリン及びジニトロフェノールである。
【0130】
一般的な担体タンパク質は、血清グロブリン、アルブミン、オバルブミン及び他の多くのもの並びにポリL-グルタミン酸などの合成ポリペプチドを含む。多糖及びリポソームも使用することができる。
【0131】
一部の実施形態において、抗原は、アレルゲンである。アレルゲンは、個人へのそれらの曝露の繰り返しに対するアレルギー、即ちIgE媒介性の反応を誘発することが報告された、天然に存在するタンパク質及び他の小分子を含む。天然に存在するアレルゲンの例は、花粉アレルゲン(木、雑草、ハーブ及び牧草花粉アレルゲン)、ダニアレルゲン(例えば、イエダニ及び貯蔵庫ダニ由来の)、昆虫アレルゲン(吸入抗原、唾液及び毒液が原因のアレルゲン)、例えばイヌ、ネコ、ウマ、ラット、マウス等に由来する例えば唾液、毛及びふけに由来する動物アレルゲン、菌類アレルゲン並びに食物アレルゲンを含む。アレルゲンは、薬物、ラテックスも含む。
【0132】
別の実施形態において、本明細書に記載される化合物又はアジュバント組成物は、DNAベースのワクチン組成物の調製に使用され得る。この種の例示的なワクチンは、抗原がインサイチューで生成されるように、1つ以上のポリペプチド抗原をコードするDNAを含有する。DNAは、核酸発現系、細菌及びウイルス発現系を含め、当業者に公知の種々の送達系のいずれかに存在し得る。多くの遺伝子送達技法は、Rolland,Crit.Rev.Therap.Drug Carrier Systems 15:143-198,1998及びそこに引用される文献によって記載されるものなど、当技術分野において周知である。適切な核酸発現系は、患者において発現するのに必要なDNA配列(好適なプロモーター及び終結シグナルなど)を含有する。細菌送達系は、その細胞表面上にポリペプチドの免疫原性部分を発現するか又はかかるエピトープを分泌する細菌(カルメット・ゲラン桿菌(Bacillus-Calmette-Guerin)など)の投与を伴う。好ましい一実施形態において、DNAは、ウイルス発現系(例えば、ワクシニア又は他のポックスウイルス、レトロウイルス又はアデノウイルス)を使用して導入され、これは、典型的には、非病原性(欠損)複製コンピテントウイルスの使用を伴う。例示的な系については、例えば、Fisher-Hoch et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:317-321,1989;Flexner et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.569:86-103,1989;Flexner et al.,Vaccine 8:17-21,1990;米国特許第4,603,112号明細書、同第4,769,330号明細書及び同第5,017,487号明細書;国際公開第89/01973号パンフレット;米国特許第4,777,127号明細書;英国特許第2,200,651号明細書;欧州特許第0,345,242号明細書;国際公開第91/02805号パンフレット;Berkner,Biotechniques 6:616-627,1988;Rosenfeld et al.,Science 252:431-434,1991;Kolls et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:215-219,1994;Kass-Eisler et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:11498-11502,1993;Guzman et al.,Circulation 88:2838-2848,1993;及びGuzman et al.,Cir.Res.73:1202-1207,1993に開示されている。かかる発現系にDNAを取り込む技法は、当業者に周知である。
【0133】
代わりに、DNAは、例えば、Ulmer et al.,Science 259:1745-1749,1993に記載され、且つCohen,Science 259:1691-1692,1993によってレビューされるとおり、「ネイキッド」であり得る。ネイキッドDNAの取り込みは、細胞内に効率的に輸送される生分解性ビーズにDNAをコーティングすることにより増加し得る。
【0134】
さらに、ワクチンは、所望の抗原の薬学的に許容可能な塩を含有し得ることが明らかであろう。例えば、かかる塩は、有機塩基(例えば、第一級、第二級及び第三級アミン並びに塩基性アミノ酸の塩)並びに無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム及びマグネシウム塩)を含む薬学的に許容可能な非毒性塩基から調製され得る。
【0135】
アジュバント系は、幅広い投薬量及び幅広い比率にわたって投与されるとき、強力なアジュバント効果を呈し得る。
【0136】
各ワクチン用量中の抗原の量は、概して、典型的なワクチンにある著しい有害副作用なく免疫防御反応を誘導する量として選択される。かかる量は、具体的にいずれの免疫原が用いられるか及びそれがどのような体裁であるかに応じて異なる。当然のことながら、投与される投薬量は、年齢、体重、存在する場合には併用治療の種類及び投与される抗原の性質に依存し得る。
【0137】
所与の量のワクチン組成物の免疫原活性は、例えば、ワクチン組成物中に使用される抗原に対する抗体の力価の増加をモニタすることにより容易に決定し得る(Dalsgaard,K.Acta Veterinia Scandinavica 69:1-40(1978))。別の一般的な方法は、CD-1マウスに様々な量のワクチン組成物を皮内注射し、後にマウスから血清を採取して、抗免疫原抗体に関して例えばELISAによって試験することを伴う。これらの及び他の同様の手法は、当業者に明らかであろう。
【0138】
抗原は、所与のワクチン組成物で治療しようとする感染性疾患、自己免疫疾患、病態、癌、病原体又は疾患に応じた本質的に任意の所望の供給源に由来し、且つ/又はそれから単離することができる。例示として、抗原は、インフルエンザウイルス、ネコ白血病ウイルス、ネコ免疫不全ウイルス、ヒトHIV-1、HIV-2、単純ヘルペスウイルス2型、ヒトサイトメガロウイルス、A型、B型、C型又はE型肝炎、呼吸器合胞体ウイルス、ヒトパピローマウイルス、狂犬病、麻疹又は口蹄疫ウイルスなどのウイルス供給源に由来することができる。例示的な抗原は、炭疽、ジフテリア、ライム病、マラリア、結核、リーシュマニア症、クルーズトリパノソーマ(T.cruzi)、エーリキア属(Ehrlichia)、カンジダ属(Candida)等の細菌供給源に由来するか、又はバベシア・ボビス(Babesis bovis)又はプラスモジウム属(Plasmodium)などの原虫類に由来することもできる。1つ又は複数の抗原は、典型的には、例えばペプチド、ポリペプチド又はタンパク質の形態で天然又は合成アミノ酸を含むことになり、多糖類を含み得るか、又はこれらの混合物であり得る。例示的な抗原は、天然の供給源から単離されるか若しくは固相合成を用いて合成され得るか、又は組換えDNA技法によって入手され得る。
【0139】
別の実施形態において、癌の予防及び/又は治療のため、ワクチン組成物中に腫瘍抗原が使用され得る。腫瘍抗原は、非腫瘍組織と比べて腫瘍細胞において差次的に発現する表面分子である。腫瘍抗原は、腫瘍細胞を正常細胞と免疫学的に区別可能にするものであり、ヒト癌の診断及び治療標的を提供する。腫瘍抗原は、膜タンパク質として特徴付けられているか、又は細胞表面上の糖タンパク質若しくは糖脂質の変化した炭水化物分子として特徴付けられているかのいずれかである。癌細胞は、多くの場合、トランケート型上皮成長因子、葉酸結合タンパク質、上皮ムチン、メラノフェリン(melanoferrin)、癌胎児性抗原、前立腺特異的膜抗原、HER-neuなど(これらは治療用癌ワクチンにおける使用の候補である)、その表面上に特有の腫瘍抗原を有する。腫瘍抗原は、正常であるか又は体の正常な成分に関連するため、免疫系は、多くの場合、そうした抗原に対する有効な免疫応答を生じて腫瘍細胞を破壊することができない。かかる応答を実現するため、本明細書に記載されるアジュバント系を利用することができる。結果として、外因性タンパク質は、内因性抗原の処理経路に入ることができ、細胞溶解性又は細胞傷害性T細胞(CTL)の産生につながる。このアジュバント効果は、抗原特異的CTLの産生を促進し、それが、免疫化に使用される1つ又は複数の腫瘍抗原をその表面に担持する腫瘍細胞を捜し出して破壊する。この手法を用い得る例示的な癌の種類としては、前立腺癌、結腸癌、乳癌、卵巣癌、膵癌、脳癌、頭頸部癌、黒色腫、白血病、リンパ腫等が挙げられる。
【0140】
一実施形態において、ワクチン組成物中に存在する抗原は、外来抗原でなく、自己抗原であり、即ち、このワクチン組成物は、自己免疫疾患に向けられる。自己免疫疾患の例としては、1型糖尿病、通常型臓器特異的自己免疫、神経学的疾患、リウマチ性疾患/結合組織病、自己免疫性血球減少症及び関連する自己免疫疾患が挙げられる。かかる通常型臓器特異的自己免疫には、甲状腺炎(グレーブス病+橋本病)、胃炎、副腎炎(アジソン病)、卵巣炎、原発性胆汁性肝硬変、重症筋無力症、性腺機能不全、副甲状腺機能低下症、脱毛症、吸収不良症候群、悪性貧血、肝炎、抗受容体抗体疾患及び白斑が含まれ得る。かかる神経学的疾患には、統合失調症、アルツハイマー病、抑欝、下垂体機能低下症、尿崩症、乾燥症候群及び多発性硬化症が含まれ得る。かかるリウマチ性疾患/結合組織病には、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)又はループス、強皮症、多発筋炎、炎症性腸疾患、皮膚筋炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、脈管炎、乾癬性関節炎、剥脱性乾癬性皮膚炎、尋常性天疱瘡、シェーグレン症候群が含まれ得る。他の自己免疫関連疾患には、自己免疫性網膜ぶどう膜炎、糸球体腎炎、心筋梗塞心術後症候群、肺ヘモジデローシス、アミロイドーシス、サルコイドーシス、アフタ性口内炎及び本明細書に提示され及び関連技術分野において公知のとおりの他の免疫関連疾患が含まれ得る。
【0141】
一実施形態において、抗原を式Iの化合物などのアジュバントに共有結合的に結合して、抗原に対するアジュバント効果の亢進を呈し得る別個の分子を作り出し得、このアジュバント効果は、成分の混合物(即ち抗原と式(I)の化合物との混合物)にあるような、かかる共有結合がない場合に達成可能なアジュバント効果よりも高いものであり得る。共有結合は、官能基を介した反応;例えば式Iの化合物の場合、カルボン酸基、ヒドロキシル基又はアルデヒド官能基を介した反応によって実現し得る。かかる共有結合的に結合した抗原について、かかる化合物と共に無機塩アジュバントを取り込むことにより、さらなるアジュバント効果の亢進を達成し得る。無機塩アジュバントは、好ましくは、水酸化アルミニウム又はリン酸アルミニウムを含むが、リン酸カルシウム、水酸化亜鉛又は水酸化カルシウムなど、他の公知の無機塩アジュバントが使用され得る。
【0142】
ワクチン組成物は、例えば、局所、経口、鼻腔、静脈内、腟内、皮膚上、舌下、頭蓋内、皮内、腹腔内、皮下、筋肉内投与又は吸入によるものを含め、任意の適切な投与方法向けに製剤化され得、且つそのように投与される。皮下注射など、非経口投与について、担体は、好ましくは、水、生理食塩水、アルコール、脂肪、ワックス又は緩衝液を含む。経口投与については、上記の担体のいずれか又は固体担体、例えばマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、セルロース、グルコース、スクロース及び炭酸マグネシウムなどが用いられ得る。
【0143】
一例示的実施形態において、ワクチン製剤は、免疫応答を引き出すため、粘膜、詳細には口腔及び好ましくは舌下部位に投与される。多くの場合、口腔投与は、非侵襲的投与技法によってもたらされる容易さ及び便利さのため、従来の非経口送達と比べて好ましいこともある。さらに、この手法は、従来の非経口送達では実現が困難であり得ることが多く、且つ空中病原体及び/又はアレルゲンからの保護を付与し得る粘膜免疫を引き出す手段をさらに提供する。口腔投与のさらなる利点は、特に小児適用について又はアレルギー脱感作療法によるなどの従来長期にわたって多数の注射を必要とする適用について、舌下ワクチン送達で患者コンプライアンスが向上し得ることである。
【0144】
ワクチン組成物は、緩衝液(例えば、中性緩衝生理食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水)、炭水化物(例えば、グルコース、マンノース、スクロース又はデキストラン)、マンニトール、タンパク質、ポリペプチド又はグリシンなどのアミノ酸、抗酸化剤、静菌剤、EDTA又はグルタチオンなどのキレート剤、アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)、製剤を被投与者の血液と等張、低張又は弱低張にする溶質、懸濁剤、増粘剤及び/又は保存剤も含み得る。代わりに、ワクチン組成物は、凍結乾燥物として製剤化され得る。化合物は、周知の技術を用いてリポソーム内にも封入され得る。
【0145】
ワクチン組成物は、他のアジュバント又はイムノエフェクターも含み得る。好適なアジュバントは、例えば、フロイント不完全アジュバント及び完全アジュバント(Difco Laboratories、Detroit,Mich.);Merck Adjuvant 65(Merck and Company,Inc.,Rahway,N.J.);AS-2(SmithKline Beecham);無機塩類(例えば、アルミニウム、シリカ、カオリン及び炭素);水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)、AlK(SO、AlNa(SO、AlNH(SO)及びAl(OH)などのアルミニウム塩;カルシウム塩(例えば、Ca(PO)、鉄又は亜鉛;アシル化チロシンの不溶性懸濁液;アシル化糖類;カチオン誘導体化又はアニオン誘導体化多糖類;ポリヌクレオチド(例えば、ポリIC及びポリAU酸);ポリホスファゼン類;シアノアクリレート類;ポリメラーゼ-(DL-ラクチド-co-グリコシド);生分解性マイクロスフェア;リポソーム;リピドA及びその誘導体;モノホスホリルリピドA;結核菌(Mycobacterium tuberculosis)由来のワックスD並びにコリネバクテリウム・パルブム(Corynebacterium parvum)、百日咳菌(Bordetella pertussis)及びブルセラ属(Brucella)のメンバーに見られる物質);ウシ血清アルブミン;ジフテリアトキソイド;破傷風トキソイド;エデスチン;キーホールリンペットヘモシアニン;緑膿菌毒素A;コレラゲノイド;コレラ毒素;百日咳毒素;ウイルスタンパク質;及びQuil Aとして市販されている。アミノアルキルグルコサミンリン酸化合物も使用することができる(例えば、国際公開第98/50399号パンフレット、米国特許第6,113,918号明細書(米国特許出願第08/853,826号明細書から付与される)及び米国特許出願第09/074,720号明細書を参照されたい)。加えて、サイトカインなどのアジュバント(例えば、GM-CSF又はインターロイキン-2、-7又は-12)、インターフェロン又は腫瘍壊死因子もアジュバントとして使用され得る。タンパク質及びポリペプチドアジュバントは、当業者に周知の方法により天然又は組換え供給源から入手され得る。組換え供給源から入手されるとき、アジュバントは、分子の少なくとも免疫刺激性部分を含むタンパク質断片を含み得る。使用することのできる他の公知の免疫刺激性巨大分子としては、限定はされないが、多糖類、tRNA、非代謝性合成高分子、例えばポリビニルアミン、ポリメタクリル酸、ポリビニルピロリドン、4’,4-ジアミノジフェニルメタン-3,3’-ジカルボン酸と4-ニトロ-2-アミノ安息香酸との混合重縮合物(比較的高分子量を有する)(Sela,M.,Science 166:1365-1374(1969)を参照されたい)又は糖脂質、脂質又は炭水化物が挙げられる。
【0146】
本明細書において提供されるワクチン中において、アジュバント組成物は、好ましくは、主にTh1型の免疫応答を誘発するように設計される。高レベルのTh1型サイトカイン(例えば、IFN-γ、IL-2及びIL-12)は、投与された抗原に対する細胞媒介性免疫応答の誘発に好都合である傾向がある。対照的に、高レベルのTh2型サイトカイン(例えば、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10及びTNF-β)は、体液性免疫応答の誘発に好都合である傾向がある。本明細書に提供されるとおりのワクチンの適用後、患者は、Th1及びTh2型応答を含む免疫応答を支持する。応答が主にTh1型である好ましい実施形態内では、Th1型サイトカインのレベルは、Th2型のサイトカインのレベルよりも高く増加し得る。これらのサイトカインのレベルは、標準アッセイを用いて容易に評価され得る。サイトカインファミリーのレビューについては、Mosmann and Coffman,1989,Ann.Rev.Immunol.7:145-173を参照されたい。
【0147】
本明細書に記載される組成物は、持続放出製剤(即ち投与後に化合物の徐放を生じさせるカプセル、スポンジ又はゲルなどの(例えば、多糖類でできている)製剤)の一部として投与され得る。かかる製剤は、概して、周知の技術を用いて調製され(例えば、Coombes et al.,Vaccine 14:1429-1438,1996を参照されたい)、例えば経口、直腸若しくは皮下植え込み又は所望の標的部位への植え込みによって投与され得る。持続放出製剤は、担体マトリックス中に分散し、且つ/又は律速膜に囲まれたリザーバ内に入れられたポリペプチド、ポリヌクレオチド又は抗体を含有し得る。かかる製剤中に用いられる担体は、生体適合性であり、また生分解性であり得;好ましくは、製剤は、比較的一定したレベルの活性成分放出を提供する。かかる担体には、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリアクリレート、ラテックス、デンプン、セルロース、デキストランなどのマイクロ粒子が含まれる。他の遅延放出担体には、超分子バイオベクターが含まれ、これは、非液体親水性コア(例えば、架橋多糖又はオリゴ糖)と、任意選択で、リン脂質などの両親媒性化合物を含む外層とを含むものである(例えば、米国特許第5,151,254号明細書及び国際公開第94/20078号パンフレット、同第94/23701号パンフレット及び同第96/06638号パンフレットを参照されたい)。持続放出製剤中に含まれる活性化合物の量は、植え込み部位、放出の速度及び予想される持続期間並びに治療又は予防しようとする病態の性質に応じて異なることになる。
【0148】
医薬組成物及びワクチン中には、細胞を標的とする抗原特異的免疫応答の発生を促進するため、種々の公知の送達媒体のいずれも用いられ得る。送達媒体としては、抗原提示細胞(APC)、例えば樹状細胞、マクロファージ、B細胞、単球及び効率的なAPCとなるように操作され得る他の細胞などが挙げられる。かかる細胞は、必須ではないが、抗原提示能が増加し、T細胞応答の活性化及び/又は維持が向上し、抗標的効果自体を有し、且つ/又は被投与者と免疫学的に適合性がある(即ち一致したHLAハプロタイプ)ように遺伝子修飾され得る。APCは、概して、腫瘍及び腫瘍周辺組織を含め、種々の生体液及び臓器の任意のものから単離され得、自己細胞、同種異系細胞、同系細胞又は異種細胞であり得る。
【0149】
組成物は、式Iの化合物を含むリポソーム小胞を含み得る。リポソームは、概してリン脂質又は他の脂質物質で作製される。リポソームの調製手順は、当業者に周知である。式Iの化合物を含む小胞を形成する能力のある任意の脂質を用いることができる。臨床応用には、脂質は非毒性であり、生理学的に許容可能であり、且つ代謝可能であることが望ましい。臨床的可能性のある、よく使用される二重層形成脂質は、リン脂質、脂肪酸、スフィンゴ脂質、スフィンゴ糖脂質及びステロイドである。グリセロール含有リン脂質は、臨床的有用性のあるリポソーム製剤の成分で最も多く使用されているものである。よく使用される1つの例は、ホスファチジルコリン又はレシチンである。ステロイドコレステロール及びその誘導体は、リポソーム膜の成分として含まれることが多い。リポソームの凝集及び融合傾向は、製剤中に少量の酸性又は塩基性脂質を含めることによって制御し得る。リン脂質を含有するリポソームの特性は、リン脂質のケミストリーによって決まる。考慮すべき重要なことは、炭化水素鎖長、炭化水素鎖の不飽和度、炭化水素鎖の分岐度及び系の温度である。
【0150】
多重膜リポソームは、減圧下での蒸発により脂質の混合物を薄膜として堆積させた後、続いて有機溶媒あり又はなしで抗原を含有する過剰量の水性緩衝液に分散させることにより作成され得る。別の方法は、抗原を含有する水相を小型単層リポソームと混合した後、続いて凍結乾燥することである。凍結乾燥生成物を、通常、少量の蒸留水で再水和させると、多重膜リポソームが形成される。この方法で使用される小型単層リポソームは、水性媒体中への脂質の分散と、それに続く音波処理などの機械的分散手段、高圧装置の使用又は溶媒射出法によって作製される。大型及び中間サイズの単層リポソームも、デタージェント透析、小さい細孔径の膜を通した高圧下での押出し、凍結融解と、それに続く緩徐な膨潤、脱水と、それに続く再水和及び希釈又はカオトロピックイオンの存在下での脂質の透析を含む従来技法によって作製することができる。リポソームのサイズは、遠心又はサイズ排除クロマトグラフィー、ホモジナイゼーション又はキャピラリー細孔膜押出しなどの分別手順によって一層均一にすることができる。
【0151】
4.使用方法
開示される化合物及び組成物は、対象における免疫応答を調節する方法、対象における抗原の免疫原性を誘発又は亢進する方法及びアレルギー、自己免疫疾患、癌又は細菌、ウイルス若しくはプリオン感染症を治療するか、予防するか、又はそれに対する罹患性を低減する方法を含む種々の方法において使用され得る。
【0152】
a.免疫応答の調節
開示される化合物及び組成物は、対象における免疫応答を調節する方法であって、有効量の、本明細書において記載される化合物、本明細書において記載されるアジュバント組成物、本明細書において記載されるワクチン組成物又は本明細書において記載される医薬組成物を対象に投与することを含む方法において使用され得る。
【0153】
一部の実施形態において、対象における免疫応答は、増加される。一部の実施形態において、対象は、癌、自己免疫障害、アレルギー又は感染性疾患に罹患している。感染症疾患は、ウイルス、細菌又はプリオン若しくはプリオン様のタンパク質によって引き起こされ得る。
【0154】
開示される化合物及び組成物は、対象における免疫応答の亢進を誘導する方法において使用され得る。
【0155】
免疫応答の亢進は、化合物又は組成物を抗原と共投与することにより誘導され得る。好適な抗原としては、微生物病原体、細菌、ウイルス、タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、ペプチド、グリコペプチド、リポペプチド、トキソイド、炭水化物及び腫瘍特異抗原が挙げられる。2つ以上の抗原の混合物が用いられ得る。
【0156】
b.抗原の免疫原性の誘導又は亢進
開示される化合物及び組成物は、対象の抗原の免疫原性を誘導するか又は亢進させる方法において使用され得、この方法は、抗原と、有効量の、本明細書に記載される化合物又は組成物を含むアジュバント組成物とを含むワクチン組成物を対象に投与することを含む。
【0157】
好適な抗原としては、微生物病原体、細菌、ウイルス、タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、ペプチド、グリコペプチド、リポペプチド、トキソイド、炭水化物及び腫瘍特異抗原が挙げられる。2つ以上の抗原の混合物が用いられ得る。一部の実施形態において、抗原は、細菌、ウイルス、バクテリオファージ、菌類、プリオン、新生物、自己抗原、動物、植物、組換え体又は合成物質に由来する。
【0158】
c.疾患及び障害を治療するか、予防するか、又はそれに対する罹患性を低減する方法
開示される化合物及び組成物は、疾患又は障害を治療するか、予防するか、又はそれに対する罹患性を低減する方法であって、治療有効量の、本明細書において記載される化合物又は組成物を、それを必要としている対象に投与することを含む方法において使用され得る。
【0159】
i.アレルギー
一部の実施形態において、疾患又は障害は、アレルギー又はアレルギー性疾患/状態である。アレルギーは、物質(アレルゲン)に対する後天性の過敏症を指す。アレルギー性状態は、例えば、湿疹、アレルギー性鼻炎又は鼻感冒、花粉症、気管支喘息、蕁麻疹(じんま疹)及び食物アレルギー並びに他のアトピー性状態を含む。
【0160】
方法は、アレルギー性反応又は炎症反応を低減、阻害又は停止/予防し得る(例えば、特定の抗原に対する抗体の抗体産生又は量を低下させるか又はそれに歯止めをかける)。
【0161】
ii.自己免疫疾患
一部の実施形態において、疾患又は障害は、自己免疫疾患である。自己免疫疾患は、個人の免疫系が自らの臓器又は組織を攻撃して、その組織の破壊と関連する臨床状態をもたらす場合に起こる。自己免疫疾患は、例えば、関節リウマチ、インスリン依存性糖尿病、後天性免疫不全症候群(「AIDS」)、溶血性貧血、リウマチ熱、クローン病、ギラン-バレー症候群、乾癬、甲状腺炎、グレーブス病、重症筋無力症、糸球体腎炎、自己免疫性肝炎、多発性硬化症及び全身性エリテマトーデスを含む。方法は、自己免疫反応を低減、阻害又は停止し得る。
【0162】
iii.感染症又は感染性疾患
一部の実施形態において、疾患又は障害は、感染症又は感染性疾患である。感染性疾患は、ウイルス、細菌、菌類、原生動物、寄生虫及びプリオン又はプリオン様のタンパク質を含むが、これらに限定されない感染因子によって引き起こされる。一部の実施形態において、感染性疾患又は感染症は、細菌、ウイルス又はプリオン若しくはプリオン様のタンパク質によって引き起こされ得る。
【0163】
本発明の方法によって治療することができるウイルス性疾患は、肝炎A型、肝炎B型、肝炎C型、インフルエンザ、水痘、アデノウイルス、単純ヘルペスI型(HSV-I)、単純ヘルペスII型(HSV-II)、デング熱、エボラ、ジカ、牛疫、ライノウイルス、エコーウイルス、ロタウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、パピローマウイルス、パポバウイルス、サイトメガロウイルス、エキノウイルス(echinovirus)、アルボウイルス、ハンタウイルス(huntavirus)、コクサッキー(coxsachie)ウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ポリオウイルス、ヒト免疫不全ウイルスI型(HIV-I)及びヒト免疫不全ウイルスII型(HIV-II)によって引き起こされるものを含むが、これらに限定されない。
【0164】
本発明の方法によって治療することができる細菌性疾患は、マイコバクテリア・リケッチア(mycobacteria rickettsia)、マイコプラズマ、ナイセリア、コレラ、淋病、ライム病、百日咳、疫病、梅毒、結核、ロッキー山紅斑熱及びレジオネラを含むが、これらに限定されない。
【0165】
iv.癌
一部の実施形態において、疾患又は障害は、癌である。方法は、癌細胞の増殖を低減又は阻害し得る。本方法は、任意の癌細胞で、又は任意の種類の癌、例えば国立癌研究所(National Cancer Institute)によって記載されるものを有する対象において使用することができる。例示的癌としては、以下を挙げることができる。
【0166】
消化器癌/胃腸癌、例えば肛門癌;胆管癌;肝外胆管癌;虫垂癌;カルチノイド腫瘍、胃腸癌;結腸癌;小児結腸直腸癌を含む結腸直腸癌;小児食道癌を含む食道癌;胆嚢癌;小児胃癌(gastric cancer)(胃癌(stomach cancer))を含む胃癌(gastric cancer)(胃癌(stomach cancer));成人(原発性)肝細胞癌(肝癌)及び小児(原発性)肝細胞癌(肝癌)を含む肝細胞癌(肝癌);小児膵癌を含む膵癌;肉腫、横紋筋肉腫;膵島細胞膵癌;直腸癌;及び小腸癌など。
【0167】
内分泌癌、例えば膵島細胞癌(膵内分泌部);小児副腎皮質癌を含む副腎皮質癌;消化管カルチノイド腫瘍;副甲状腺癌;褐色細胞腫;下垂体腫瘍;小児甲状腺癌を含む甲状腺癌;小児多発性内分泌腺腫症候群;及び小児カルチノイド腫瘍など。
【0168】
眼癌、例えば眼球内黒色腫;及び網膜芽細胞腫など。
【0169】
筋骨格癌、例えばユーイングファミリー腫瘍;骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫;小児横紋筋肉腫;成人及び小児軟部組織肉腫を含む軟部組織肉腫;腱鞘の明細胞肉腫;及び子宮肉腫など。
【0170】
乳癌、例えば小児及び男性乳癌を含む乳癌及び妊娠中の乳癌など。
【0171】
神経性癌、例えば小児脳幹神経膠腫;脳腫瘍;小児小脳星細胞腫;小児大脳星細胞腫/悪性神経膠腫;小児上衣腫;小児髄芽腫;小児松果体及びテント上未分化神経外胚葉性腫瘍;小児視覚伝導路及び視床下部神経膠腫;他の小児脳癌;副腎皮質癌;中枢神経系リンパ腫、原発性;小児小脳星細胞腫;神経芽細胞腫;頭蓋咽頭腫;脊髄腫瘍;中枢神経系非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍;中枢神経系胎児性腫瘍;及び小児テント上未分化神経外胚葉性腫瘍及び下垂体腫瘍など。
【0172】
泌尿生殖器癌、例えば小児膀胱癌を含む膀胱癌;腎細胞癌(腎癌);小児卵巣癌を含む卵巣癌;卵巣上皮癌;卵巣低悪性度腫瘍;陰茎癌;前立腺癌;小児腎細胞癌を含む腎細胞癌;腎盂及び尿管、移行上皮癌;精巣癌;尿道癌;腟癌;外陰癌;子宮頸癌;ウィルムス腫瘍及び他の小児腎腫瘍;子宮内膜癌;及び妊娠性絨毛性腫瘍など;生殖細胞癌、例えば小児頭蓋外胚細胞腫瘍;性腺外胚細胞腫瘍;卵巣胚細胞腫瘍など。
【0173】
頭頸部癌、例えば口唇・口腔癌;小児口腔癌を含む口腔癌;下咽頭癌;小児喉頭癌を含む喉頭癌;原発不明の頸部転移性扁平上皮癌;口腔癌;鼻腔・副鼻腔癌;小児鼻咽腔癌を含む鼻咽腔癌;中咽頭癌;副甲状腺癌;咽頭癌;小児唾液腺癌を含む唾液腺癌;咽喉癌;及び甲状腺癌など。
【0174】
血液癌/血液細胞癌、例えば白血病(例えば、成人及び小児急性リンパ芽球性白血病を含む急性リンパ芽球性白血病;成人及び小児急性骨髄性白血病を含む急性骨髄性白血病;慢性リンパ球性白血病;慢性骨髄球性白血病;及びヘアリー細胞白血病);リンパ腫(例えば、AIDS関連リンパ腫;皮膚T細胞リンパ腫;成人及び小児ホジキンリンパ腫及び妊娠中のホジキンリンパ腫を含むホジキンリンパ腫;成人及び小児非ホジキンリンパ腫及び妊娠中の非ホジキンリンパ腫を含む非ホジキンリンパ腫;菌状息肉症;セザリー症候群;ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;及び原発性中枢神経系リンパ腫);及び他の血液癌(例えば、慢性骨髄増殖性疾患;多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍;骨髄異形成症候群;及び骨髄異形成/骨髄増殖性疾患)など。
【0175】
肺癌、例えば非小細胞肺癌;及び小細胞肺癌など。
【0176】
呼吸器癌、例えば成人悪性中皮腫;小児悪性中皮腫;悪性胸腺腫;小児胸腺腫;胸腺癌;小児気管支腺腫/カルチノイドを含む気管支腺腫/カルチノイド;胸膜肺芽腫;非小細胞肺癌;及び小細胞肺癌など。
【0177】
皮膚癌、例えばカポジ肉腫;メルケル細胞癌;黒色腫;及び小児皮膚癌など。
【0178】
AIDS関連悪性腫瘍。
【0179】
他の小児癌、まれな小児癌及び原発部位不明の癌。
【0180】
前述の癌の転移。
【0181】
5.キット
一態様において、本開示は、少なくとも1つの開示される化合物若しくはその薬学的に許容可能な塩又は化合物若しくはその薬学的に許容可能な塩を含む組成物と、
(a)少なくとも1つの抗原;
(b)少なくとも1つのさらなる治療剤;及び
(c)化合物又は組成物の投与に関する説明書
の1つ以上とを含むキットを提供する。
【0182】
一部の実施形態において、少なくとも1つの開示される化合物及び少なくとも1つの抗原又は少なくとも1つのさらなる治療剤は、共に製剤化される。一部の実施形態において、少なくとも1つの開示される化合物及び少なくとも1つの抗原又は少なくとも1つのさらなる治療剤は、共に包装される。本キットは、他の成分と共に包装され、共に製剤化され、且つ/又は共に送達される化合物及び/又は生成物も含み得る。例えば、薬物製造者、薬物販売業者、医師、調剤店又は薬剤師は、開示される化合物及び/又は生成物と、患者に送達するための別の成分とを含むキットを提供することができる。
【0183】
開示されるキットは、開示される使用方法に関連して用いることができる。
【0184】
本キットは、キットの使用が哺乳類(特にヒト)において特定の病原体に対する免疫の増加をもたらすであろうという情報、説明書又は両方をさらに含み得る。情報及び説明書は、言葉、絵又は両方などの形式であり得る。加えて又は代わりに、本キットは、化合物、組成物又は両方;及び好ましくは哺乳類(例えば、ヒト)の医学的状態を治療又は予防する利益と共に、化合物又は組成物の投与方法に関する情報、説明書又は両方を含み得る。
【0185】
本開示の化合物及び方法は、以下の実施例を参照することによってさらによく理解され得、これらの実施例は、本開示の範囲の例示であり、それに対する限定ではないものと意図される。
【実施例
【0186】
本明細書において記載される本開示の他の好適な修飾形態及び改変形態は、容易に適用可能であり、容易に判断でき、本開示の範囲又は本明細書において開示される態様及び実施形態から逸脱することなく、好適な均等物を使用してなされ得ることが当業者に直ちに明らかになるであろう。本開示について既に詳細に記載したが、本開示は、以下の実施例を参照することによってより明確に理解され、実施例は、単に本開示の一部の態様及び実施形態を例証することのみを目的とするものであり、本開示の範囲を限定するものとして見なされるべきではない。本明細書において参照される全ての学術誌、米国特許及び刊行物の開示は、それらの全体が参照により援用される。
【0187】
以下のスキーム及び説明に使用される略語には、以下が含まれる:DCCは、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミドであり;DMAPは、N,N-ジメチルピリジン-4-アミンであり;DMFは、ジメチルホルムアミドであり;eqは、当量であり;IFNαは、インターフェロンアルファであり;IgGは、免疫グロブリンGであり;IL-12p70は、インターロイキン12p70であり;Im-OTfは、イミダゾリウムトリフルオロメタンスルホナートであり;Palは、C(O)(CH14CHであり;PBMCは、末梢血単核細胞であり;PEGは、ポリエチレングリコールであり;PMBは、パラ-メトキシベンジルであり;rtは、室温であり;TBAIは、テトラブチルアンモニウムヨージドであり;TEAは、トリメチルアミンであり;THFは、テトラヒドロフランであり;TLRは、toll様受容体であり;TNFαは、腫瘍壊死因子αであり;14Dp1は、最初の免疫の14日後であり;14Dp2は、2回目の免疫の14日後である。
【0188】
実施例1.化合物UM-1007についての例示的な合成
A.ペグ化グリセロールの合成
必要とされるジパルミトイルペグ化グリセロール5を、市販で入手可能なトリエチレングリコール一塩化物(1)から5つのステップで調製した。
【化13】
【0189】
p-メトキシベンジルクロリド(3eq)及びテトラ-n-ブチルアンモニウムヨージド(0.02eq)を無水DMF(2.0M)中の1の溶液に追加し、溶液を0℃まで冷却した。水素化ナトリウム(1.25eq)を冷たい溶液にゆっくり追加した。30分間0℃で撹拌した後、反応混合物をrtまで温めた。4時間後、反応混合物を炭酸水素ナトリウムの飽和溶液によりゆっくりクエンチし、クロロホルムにより抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、真空下で濃縮した。粗製物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し(ヘプタン中10~40%の酢酸エチル)、90%の収率で無色の油として2を得た。水素化ナトリウム(1.5eq)を無水THF(0.69M)中の2(1.5eq)、1,2-sn-イソプロピリデングリセロール(1.0eq)及びテトラ-n-ブチルアンモニウムヨージド(0.05eq)の溶液にゆっくり追加した。75℃で15時間後、さらなる2(0.5eq)及び水素化ナトリウム(1.5eq)を追加し、反応混合物を75℃で撹拌した。6時間後、反応混合物をrtまで冷却し、ブラインの追加によってクエンチし、酢酸エチルにより3回抽出した。組み合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、真空下で濃縮した。粗製物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し(ヘプタン中20~80%の酢酸エチル)、74%の収率で無色の油として3を得た。0.4N HClをメタノール中の3の溶液に追加し(0.32M;CHOH:HCl 29/1v/v)、反応混合物をrtで撹拌した。1時間後、反応混合物を炭酸水素ナトリウムの飽和溶液によりクエンチし、クロロホルムにより抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、真空下で濃縮した。粗製物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し(クロロホルム中0~12%のメタノール)、79%の収率で無色の油として4を得た。DCC(2.1eq)及びDMAP(0.05eq)をCHCl(0.29M)中の4及びパルミチン酸(2.1eq)の冷たい(0℃)溶液に追加し、反応混合物を0℃で撹拌した。30分後、反応混合物をrtまで温めた。rtで15時間後、さらなるパルミチン酸(0.5eq)及びDCC(0.5eq)を追加し、撹拌を24時間継続した。反応混合物をろ過し、粗製物をシリカゲルクロマトグラフィーによって部分的に精製した(ヘプタン中0~50%の酢酸エチル)。窒素下で調製した無水CHCl(0.17M)中の部分的に精製した粗製物及びトリメトキシベンゼン(0.5eq)の溶液を窒素下で無水CHCl(0.09M)中ヘキサフルオロアンチモン酸銀(V)(0.05eq)の溶液にカニューレ処置した。rtで2日後、さらなるヘキサフルオロアンチモン酸銀(V)(0.05eq)及びトリメトキシベンゼン(0.5eq)を追加し、反応混合物を50℃で撹拌した。24時間後、反応混合物を真空下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し(ヘプタン中10~70%の酢酸エチル)、89%の収率で白色の固体として5を得た。
H NMR(CDCl,400MHz),δ 5.23(m,1H),4.34(dd,1H),4.16(dd,1H),3.50-3.74(m,14H),2.49(t,1H),2.30(dd,4H),1.60(m,4H),1.25(m,48H),0.88(t,6H).
【0190】
B.化合物UM-1007の合成
オキソアデニンUM-1007を、以前に開発された直列型の方法(Tetrahedron Lett.,2016,57,2063-2066)を使用して、以下に示すように、5からインサイチューで生成したホスホラミダイト7の溶液とのコアオキソアデニン8のリン脂質化によって調製した。
【化14】
【0191】
市販で入手可能なホスホロジアミダイト6(1.3eq)を窒素下で無水塩化メチレン(0.12M)中ジパルミトイルペグ化グリセロール5(1.3eq)の溶液に追加し、続いてテトラゾール(1.5eq)をゆっくりと追加した。1時間rtで撹拌した後、反応混合物を0℃まで冷却し、オキソアデニン8(1.0eq)及びイミダゾリウムトリフレート(2.0eq)を追加した。反応混合物を10分間0℃で撹拌し、次にrtまで温めた。1時間後、反応混合物を炭酸水素ナトリウムの飽和溶液の追加によってクエンチした。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、粗製ホスフィットがもたらされた。t-ブチルヒドロペルオキシド(ノナン中5.5M、2.0eq)を無水塩化メチレン中粗製ホスフィットの溶液(0.12M)に追加した。rtで30分後、反応混合物を真空下で濃縮し、アセトニトリル/トリエチルアミン(2.8:1v/v、0.05M)中に溶解し、反応混合物を一晩rtで撹拌した。真空下で濃縮した後、反応混合物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し(クロロホルム中20~100%のメタノール/アセトニトリル(50/50))、36%の全収率でUM-1007を得た。H NMR(400MHz,CDCl/CDOD)δ 5.20(m,1H),5.12(m,1H),4.35(dd,1H),4.12-4.17(m,3H),4.05(q,2H),3.79(br s,2H),3.59-3.70(m,12H),3.26(br s,2H),2.80(br s,1H),2.32(q,4H),1.95(m,2H),1.77(m,2H),1.58(m,4H),1.42(m,2H),1.26(m,51H),0.88(m,9H).13C NMR(100MHz,CDCl/CDOD)δ 174.2,173.9,160.7,153.9,149.9,148.5,106.4,98.8,77.8,73.2,71.1,70.9,70.8,70.7,70.5,70.3,69.7,65.4,65.3,63.1,58.8,53.3,47.0,38.6,34.6,34.4,32.2,29.9,29.8,29.6,29.4,29.3,27.4,25.2,25.1,22.9,20.0,19.0,18.9,14.2,14.1,8.8.HRMS[M+H] 計算値1141.7868,実測値1141.7906.
【0192】
実施例2.生物学的活性
A.化合物UM-1007のインビトロ活性
IFNα及びIL-12p70反応を種々の濃度のオキソアデニン化合物への曝露後に初代ヒト末梢血単核細胞(PBMC)において測定した。
【0193】
リポソームは、薄膜法を使用して調製した:リン脂質(それぞれ40及び10mg/mLのDOPC及びコレステロール)並びにアゴニスト(2mg/mLで固定したTLR7/8アゴニスト)を丸底フラスコにおいて所望の濃度でクロロホルム中に溶解した。溶媒を45℃で回転蒸発によって真空下で除去し、結果として生じる乾燥させた薄膜を一晩真空チャンバーに置き、いかなる残留溶媒も除去した。再水和緩衝液を、乾燥させた薄膜に追加し、懸濁液を超音波処理し、リン脂質を再懸濁して、単層の小胞を形成させた。超音波処理は、粒度が<200nmになるまで継続し、<200nmになったら、製剤を0.22μm PVDFフィルターで滅菌ろ過した。製剤中のアゴニストの濃度は、5点検量線を使用してRP-HPLCによって決定した。ヒト全血は、施設内審査委員会承認のプロトコールを使用して、モンタナ大学(Missoula、MT)で正常な健康ドナーから収集した。末梢血単核細胞(PBMC)は、Ficoll Hypaque1.077勾配分離を介して単離し、RPMI-1640培地(HyCone(商標)、Logan、UT)、Pen/Strep/グルタミン(HyCone(商標)、Logan、UT)及び10%熱不活性化FBS(Corning、Manassas、VA)を有する96ウェル組織培養プレートにおいて0.5×10細胞/ウェルで培養した。ヒトPBMCを、増加的な濃度の示す化合物により、24時間刺激した。培養上清は、ヒトIL-12p70 DuoSet(登録商標)ELISAキット(R&D Systems、Minneapolis、MN)及びヒトIFNα VeriKine ELISAキット(Pestka Biomedical Laboratories,Inc.、Piscataway、NJ)を使用して、IL-12p70及びIFNαのレベルについて分析した。
【0194】
ペグ化オキソアデニンUM-1007は、単独で又はTLR4アゴニストCRX-601と組み合わせて試験した場合、対応する非ペグ化オキソアデニン(化合物B)(構造については、図1を参照されたい)よりも、ヒトPBMCにおいて効力の高いIFNα誘発因子となり、ペグ化リンカーの導入がIFNα誘発を増加させたことを示した(図2A)。
【0195】
非ペグ化オキソアデニン(化合物B)は、それ自体で高用量(>10μm)においてIL-12p70を誘発したが、ペグ化オキソアデニンUM-1007は、TLR4アゴニストCRX-601と組み合わせた場合、対応する非ペグ化オキソアデニン(化合物B)よりも、ヒトPBMCにおいてかなり強力なIL-12p70誘発因子(125倍)となり、ペグ化リンカーの導入がIL-12p70誘発についてTLR4アゴニストとの相乗作用を増加させたことを示した(図2B)。
【0196】
B.化合物UM-1007のインビボ活性
マウスによる試験を実験動物の管理及び使用についてのモンタナ大学のIACUCガイドラインに従ってOLAW及びAAALAC公認の動物施設で実行した。Balb/cマウス(10匹/群)に、0日目及び14日目に増加的な用量のアジュバント(3つの異なる用量)及び一価(A/Victoria、H3N2)スプリットインフルエンザ抗原(0.15μg)による筋肉内免疫を2回受けさせた。血清は、ELISAによる抗体分析のために、最初の免疫の14日後(14Dp1)及び2回目の免疫の14日後(14Dp2)に採取した。ELISAプレートを1μg/mLの100μL界面活性剤-スプリットA/Victoriaインフルエンザワクチンによりコーティングした。洗浄(PBS plus tween 20)及びブロッキング(SuperBlock、Scytek Laboratories)後、プレートを1時間にわたり、希釈した血清と共にインキューベートし、続いて抗マウスIgG、IgG1又はIgG2a-HRP二次抗体(Bethyl Laboratories)及びTMB基質(BD)と共にインキューベートした。プレートを450nmで読み取った。抗体価は、OD0.3でのそれぞれの試料の力価を算出することによって決定した。
【0197】
ブタによる試験を、受託サービスの研究所であるPAIRimmune(Laval、Canada)によって実行した。ユカタンミニブタの血清(5匹/群)を、既にある抗インフルエンザ血清抗体価の評価のために-21日目及び-1日目に採取した。これらの豚は、いくらかの低レベルの既にある抗インフルエンザ血清抗体価を呈した。豚に、0日目及び21日目にアジュバント(2つの異なる用量)及びスプリットインフルエンザ抗原(ヒトの用量の1/10)による筋肉内免疫(500μL/用量)を2回受けさせた。血清を抗体分析のために最初の免疫の14日後(14Dp1)及び2回目の免疫の14日後(14Dp2)に採取した。ELISAプレートを1μg/mLの100μL界面活性剤-スプリットA/Victoriaインフルエンザワクチンによりコーティングした。洗浄(PBS plus tween 20)及びブロッキング(SuperBlock、Scytek Laboratories)後、プレートを1時間にわたり、希釈した血清と共にインキューベートし、続いて抗豚IgX-HRPコンジュゲート二次抗体及びTMB基質と共にインキューベートした。プレートを450nmで読み取った。抗体価は、OD0.3でのそれぞれの試料の力価を算出することによって決定した。
【0198】
マウスのスプリット-インフルエンザ試験において、UM-1007は、リポソーム中に単独で製剤化したか又は10:1の固定TLR7/8:TLR4比でTLR4アゴニストCRX-601と一緒にカプセル化した。強力な抗インフルエンザIgG力価は、未変性マウスにおいて単回の筋肉内ワクチン接種の14日後に検出された(14dp1、図3A)。力価は、2回目のブースターワクチン接種の投与によってさらに亢進した(14dp2、図3B)。UM-1007は、10μgで用量依存的に力価を亢進し、抗原のみのワクチン接種動物に対して17倍高い力価を示した。CRX-601と一緒にカプセル化した場合、この反応は、抗原のみの群に対して>25倍さらにブーストした。
【0199】
UM-1007は、ユカタンミニブタでもインフルエンザワクチンアジュバントとして評価した。UM-1007は、リポソーム中に単独で製剤化したか又はTLR4アゴニストCRX-601と一緒にカプセル化した。UM-1007リポソーム及びCRX-601リポソームを混ぜ合わせたものも評価した。この実験において使用した豚は、いくらかの既にある抗インフルエンザ血清抗体価を呈した。それとは関係なく、全てのTLR7/8-TLR4アゴニストアジュバント群は、単回(示さず)又はブースターワクチン接種後、抗原のみの群よりも高い平均抗体価を実証した(14dp2、図4)。インフルエンザ特異的IgG1(図4A)及びIgG2(図4B)における増加は、CRX-601又はUM-1007単独と比較して、一緒にカプセル化されたUM-1007及びCRX-601について明確に実証された。
【0200】
C.選択したTLRアゴニストのインビトロ活性に対するアシル側鎖の効果
化合物Bは、オレオイルアシル鎖を有するが、UM-1007は、パルミトイルアシル鎖を有する(図1)。UM-1007対化合物Bについて上記に観察されたインビトロ活性の増加は、パルミトイルオキソアデニン化合物C対オレオイルオキソアデニン化合物Aの活性を比較した場合に示されたように、異なるアシル鎖によるものではなかった(図5)。両方のオキソアデニンは、同様のレベルのTNFα(図5A)、IFNα(図5B)(わずかな活性の増加がパルミトイルオキソアデニンについて観察された)及びIL-12p70(図5C)を誘発した。
【0201】
実施例3.生物学的活性
A.化合物UM-1007のインビボ活性
若い雌のBalb/cマウス(およそ8週齢)に1×10CT26細胞(マウス結腸癌細胞株、Balb/cマウスにおいて同系)を右脇腹に皮下移植した。腫瘍が75mmの平均サイズに達したとき(CT26細胞を移植した11日後)、マウスを無作為に治療群に入れた。12日目から開始して、水性製剤(滅菌水中2%のグリセロール)中10μg又は50μgのUM-1007を2週間、週1回IV注射した。図6A及び図6Bにおいて示されるように、これは、未治療コントロールと比較してゆっくりとした腫瘍成長をもたらした。
【0202】
実施例4.ミョウバンへのUM1007の吸着
材料:
Alhydrogel(登録商標)(10mg/mLのアルミニウム)は、InvivoGenから入手可能な水酸化アルミニウム湿潤ゲル懸濁液である。Alhydrogel(登録商標)粒子は、pH5~7で及び負に荷電した抗原(例えば、製剤のpH未満の等電点を有する抗原)の吸着に適した正味の正電荷を有する
【0203】
Adju-Phos(登録商標)(0.5%のアルミニウム)は、InvivoGenから入手可能なリン酸アルミニウム湿潤ゲル懸濁液である。Adju-Phos(登録商標)粒子は、pH5~7で及び正に荷電した抗原(例えば、製剤のpHを超える等電点を有する抗原)の吸着に適した負電荷を有する。
【0204】
方法:
UM 1007の水性製剤の調製:
UM 1007は、コリン重炭酸塩を使用し、プラットフォーム乾燥塩処理手順によって塩処理した。簡潔に言えば、UM 1007をガラス製バイアルに入れ、適量のテトラヒドロフラン及び0.8当量のコリン重炭酸塩を追加し、透明な溶液を得た。混合物を十分にボルテックスし、溶媒を、ロータリーエバポレーターを使用して減圧下で蒸発させた。ガラス製のバイアルの壁に形成された薄膜を2%のグリセロールにより再水和し、<35℃で210分間、超音波処理器を使用して超音波処理し、粒度を低減した。UM 1007の濃度は、RP-HPLC法を使用して推定した。
【0205】
Alhydrogel及びAdju-PhosへのUM 1007の吸着:
UM 1007のAlhydrogel及びAdju-Phosへの吸着実験をUM 1007対アルミニウムの2つの異なる重量比(1:1及び1:2w/w)並びに3つの異なる溶液(2%のグリセロール、洗浄のための水(WIFI)及びTRIS緩衝液(8.1のpH)で実行した。一連のUM 1007-ミョウバン製剤を、異なる量のUM1007水性製剤、それぞれの保存緩衝液(2%のグリセロール、洗浄のための水及びpH8.1 TRIS緩衝液)並びにアルミニウム原料(1mg/mLのAlhydrogel又はAdju-Phos)を混合することによって室温で調製した。Alhydrogel及びAdju-Phosは、実験前に1mg/mLまで希釈した。異なる容量のUM 1007(0.7215mg/mL)及びミョウバン(1mg/mL)を約1時間、室温で転倒型回転によって静かに混合した。試料を4,000rpmで5分間遠心分離し、上清を、RP-HPLC法を使用して分析し、吸着されなかったUM 1007の量を決定した。ミョウバンに吸着したUM 1007のパーセンテージは、コントロールUM 1007におけるUM 1007の量と比較して推定した。試験の結果を表1に示す。
【0206】
【表1】
【0207】
完全性の理由から、本発明の様々な態様について、以下の番号を付した条項に説明する。
【0208】
条項1.式(I)
【化15】
(式中、
は、C~Cアルキルであり;
は、H、C~C20アルキル、C~C20アルケニル又はC(O)Rであり;
は、C~C20アルキル、C~C20アルケニル又はC(O)Rであり;
は、各出現において、C~C20アルキル及びC~C20アルケニルから独立して選択され;
nは、1、2、3、4、5又は6であり;
mは、2、3、4、5又は6であり;
Zは、(C~Cアルキレン-O)であり;及び
qは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20である)
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0209】
条項2.Rは、水素又はC(O)Rである、条項1の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0210】
条項3.Rは、C(O)Rである、条項1若しくは条項2の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0211】
条項4.Rは、各出現において、(CH10CH、(CH12CH、(CH14CH、(CH16CH及び(CHCH=CH(CHCHから独立して選択される、条項1~3のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0212】
条項5.Rは、(CH14CHである、条項1~4のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0213】
条項6.nは、1である、条項1~5のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0214】
条項7.mは、2である、条項1~6の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0215】
条項8.Zは、(Cアルキレン-O)である、条項1~7のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0216】
条項9.qは、3、6、9、12又は16である、条項1~8のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0217】
条項10.qは、3である、条項1~9のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0218】
条項11.式(Ia):
【化16】
の化合物又はその薬学的に許容可能な塩である、条項1の化合物。
【0219】
条項12.
【化17】
【化18】
【化19】
からなる群から選択される、条項1の化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0220】
条項13.薬学的に許容可能な塩は、コリン塩である、条項1~12のいずれか1つの化合物。
【0221】
条項14.化合物は、TLR7アンタゴニストである、条項1~13のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0222】
条項15.化合物は、TLR8アンタゴニストである、条項1~13のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩。
【0223】
条項16.条項1~15のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含むマイクロ粒子又はナノ粒子を含む製剤。
【0224】
条項17.マイクロ粒子又はナノ粒子は、リポソーム、ミセル、ポリマー粒子、ブロック共重合体、シリカ粒子、エマルション又はその組み合わせを含む、条項16の製剤。
【0225】
条項18.有効量の、条項1~15のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含むアジュバント組成物。
【0226】
条項19.アジュバント組成物は、Th1型免疫応答を誘発する、条項18のアジュバント組成物。
【0227】
条項20.対象における免疫応答の亢進を誘発する方法であって、条項1~15のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容可能な塩又は条項18若しくは条項19のアジュバント組成物を含む免疫原性組成物を前記対象に投与することを含む方法。
【0228】
条項21.抗原と、条項1~15のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容可能な塩又は条項18若しくは条項19のアジュバント組成物とを含むワクチン組成物。
【0229】
条項22.抗原は、細菌、ウイルス、バクテリオファージ、菌類、プリオン、新生物、自己抗原、動物、植物、組換え体又は合成物質に由来する、条項21のワクチン組成物。
【0230】
条項23.抗原は、ペプチド又はポリペプチドの形態である、条項21又は22のワクチン組成物。
【0231】
条項24.抗原は、ハプテン又は担体タンパク質にコンジュゲートされたハプテンの形態である、条項21又は22のワクチン組成物。
【0232】
条項25.抗原は、アレルゲンである、条項21又は22のワクチン組成物。
【0233】
条項26.対象における抗原の免疫原性を誘発又は亢進する方法であって、条項21~25のいずれか1つのワクチン組成物若しくはその薬学的に許容可能な塩又は条項18~19のアジュバント組成物を対象に投与することを含む方法。
【0234】
条項27.有効量の、条項1~15のいずれか1つの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物。
【0235】
条項28.さらなる治療剤をさらに含む、条項27の医薬組成物。
【0236】
条項29.さらなる治療剤は、アジュバント、免疫賦活薬、化学療法剤、免疫調節剤又はその組み合わせである、条項28の医薬組成物。
【0237】
条項30.アジュバントは、TLR4リガンドである、条項29の医薬組成物。
【0238】
条項31.アジュバントは、アルミニウム塩である、条項29の医薬組成物。
【0239】
条項32.請求項1~15のいずれか1つの化合物は、アルミニウム塩に吸着されている、条項31の医薬組成物。
【0240】
条項33.化合物と共にアルミニウム塩に吸着された抗原をさらに含む、条項32の医薬組成物。
【0241】
条項34.免疫調節剤は、免疫チェックポイント阻害剤、腫瘍食作用誘発剤又はその組み合わせである、条項29の医薬組成物。
【0242】
条項35.対象における免疫応答を調節する方法であって、条項27~34のいずれか1つの医薬組成物を対象に投与することを含む方法。
【0243】
条項36.対象の免疫応答は、増加される、条項35の方法。
【0244】
条項37.対象は、癌、自己免疫障害、アレルギー又は感染性疾患に罹患している、条項35又は36の方法。
【0245】
条項38.感染性疾患は、ウイルス、細菌又はプリオン感染症である、条項37の方法。
【0246】
条項39.対象における疾患又は障害を治療するか、予防するか、又はそれに対する罹患性を低減する方法であって、治療有効量の、条項1~15のいずれか1つの化合物、その薬学的に許容可能な塩又は条項27~34のいずれか1つの医薬組成物を、それを必要としている対象に投与することを含む方法。
【0247】
条項40.疾患又は障害は、アレルギー、自己免疫疾患若しくは障害、感染症若しくは感染性疾患又は癌である、条項39の方法。
【0248】
条項41.感染症又は感染性疾患は、ウイルス、細菌又はプリオン感染症によって引き起こされる、条項40の方法。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4
図5-1】
図5-2】
図6
【国際調査報告】