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特表2022-534054レシオメトリック光変化検出を有するスマートコンタクトレンズ
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  • 特表-レシオメトリック光変化検出を有するスマートコンタクトレンズ 図1a
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-27
(54)【発明の名称】レシオメトリック光変化検出を有するスマートコンタクトレンズ
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/04 20060101AFI20220720BHJP
   G02C 11/00 20060101ALI20220720BHJP
【FI】
G02C7/04
G02C11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569483
(86)(22)【出願日】2020-05-19
(85)【翻訳文提出日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2020063919
(87)【国際公開番号】W WO2020234278
(87)【国際公開日】2020-11-26
(31)【優先権主張番号】19176095.8
(32)【優先日】2019-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514278603
【氏名又は名称】アイエムイーシー ブイゼットダブリュー
(71)【出願人】
【識別番号】518116466
【氏名又は名称】スティフティング・アイエムイーシー・ネーデルランド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ファン・リーンプト、クリス
(72)【発明者】
【氏名】バスケス・キンテーロ、アンドレス・フェリペ
(72)【発明者】
【氏名】デ・スメット、ヘルベルト
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006BC00
2H006CA00
(57)【要約】
入射光(126)強度のレシオメトリック変化を検出するためのスマートコンタクトレンズ(400)が提供され、液晶ディスプレイ、LCD、タイプの1つ以上の、好ましくは同心のリング(410-1、410-2、...、410-N)と、各リングは、より低い光の減衰を有する状態とより高い光の減衰を有する状態との間で動作可能であり、入射光強度のレシオメトリック変化を検出するための回路(420、100、101)と、入射光の強度に基づいて1つ以上のリングを動作し、少なくともユーザの眼の瞬きの開始が生じたことを示す、より高い強度状態からより低い強度状態への入射光の強度のレシオメトリック変化を検出する回路(420、100、101)に対する応答として、1つ以上のリングの再分極を開始するように構成されたコントローラ(430)とを含む。スマートコンタクトレンズを動作する方法及び回路の様々な使用も提供される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スマートコンタクトレンズ(400)であって、
液晶ディスプレイ、LCDタイプの1つ以上の、好ましくは同心のリング(410-1、410-2、...、410-N)と、各リングは、より低い光の減衰を有する状態とより高い光の減衰を有する状態との間で動作可能であり、
入射光強度のレシオメトリック変化を検出するための回路(420、100、101)と、
入射光の強度に基づいて前記1つ以上のリングを動作し、少なくともユーザの眼の瞬きの開始が生じたことを示す、より高い強度状態からより低い強度状態への前記入射光の強度のレシオメトリック変化を検出する前記回路(420、100、101)に対する応答として、前記1つ以上のリングの再分極を開始するように構成されたコントローラ(430)とを備える、スマートコンタクトレンズ。
【請求項2】
前記回路(420、100、101)は、入射光(126)の強度の関数として、それを通る光電流(IPD)を誘導するように構成された光センサ(120)を備える、請求項1に記載のスマートコンタクトレンズ。
【請求項3】
前記回路(420、100、101)は演算増幅器(110)を備える、請求項1又は2に記載のスマートコンタクトレンズ。
【請求項4】
前記光センサ(120)は、前記演算増幅器の反転入力(112)に接続される、請求項2に従属する請求項3に記載のスマートコンタクトレンズ。
【請求項5】
前記回路(420、100、101)は、前記演算増幅器の出力(116)を前記演算増幅器の反転入力に接続するフィードバックループ(130)を備え、前記フィードバックループは、対数電圧電流依存性を有する少なくとも1つの回路要素(132)を備える、請求項3又は4に記載のスマートコンタクトレンズ。
【請求項6】
前記回路(420、100、101)は、ハイパスフィルタリングされた信号(VHPF)を発生するように、前記演算増幅器から出力された信号(VAMP)をフィルタリングするように構成されたハイパスフィルタ(140)を備える、請求項3から5のいずれか一項に記載のスマートコンタクトレンズ。
【請求項7】
前記回路(420、100、101)は、前記ハイパスフィルタリングされた信号を少なくとも第1のしきい値と比較し、前記少なくとも第1のしきい値を通過する前記ハイパスフィルタリングされた信号の振幅に対する応答として、前記入射光の強度におけるレシオメトリック変化を示すように変化する信号(VOUT)を出力するように構成された比較要素(150)を備える、請求項6に記載のスマートコンタクトレンズ。
【請求項8】
前記光センサは、前記演算増幅器の反転入力と非反転入力(114)との間に接続される、請求項7に記載のスマートコンタクトレンズ。
【請求項9】
少なくとも1つの回路要素が、ダイオード若しくはダイオードのように挙動する少なくとも2端子素子であるか、又はそれを含む、請求項7又は8に記載のスマートコンタクトレンズ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの回路要素は、一方の端子が前記演算増幅器の反転入力に向かい、他方の端子が前記演算増幅器の出力に向かうように前記フィードバックループ内に配置される、請求項9に記載のスマートコンタクトレンズ。
【請求項11】
前記比較要素は比較器である、請求項7から10のいずれか一項に記載のスマートコンタクトレンズ。
【請求項12】
前記比較器はヒステリシス比較器であり、前記比較器から出力された信号は、前記ハイパスフィルタリングされた信号が前記第1のしきい値及び前記第1のしきい値とは異なる第2のしきい値の両方を通過することに応答して変化する、請求項11に記載のスマートコンタクトレンズ。
【請求項13】
前記ハイパスフィルタは、前記回路の必要とされる変化率に依存するコーナー周波数を有する、請求項7から10のいずれか一項に記載のスマートコンタクトレンズ。
【請求項14】
前記ハイパスフィルタはスイッチドキャパシタタイプである、請求項7から10のいずれか一項に記載のスマートコンタクトレンズ。
【請求項15】
液晶ディスプレイ、LCDタイプの1つ以上の、好ましくは同心のリング(410-1、410-2、...、410-N)を含むスマートコンタクトレンズ(400)を動作する方法(500)であって、
前記スマートコンタクトレンズ(400)を構成する請求項1から14のいずれか一項に記載の回路(100、101)を使用して、少なくとも眼の瞬きの開始に対応する入射光の強度のレシオメトリック変化が生じたかどうかを検出すること(S510)と、
そのような少なくとも眼の瞬きの開始が生じたことの検出に応答して、前記1つ以上のリングの再分極を開始すること(S520)とを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、スマートコンタクトレンズの分野に関する。特に、本開示は、入射光強度のレシオメトリック変化を検出するスマートコンタクトレンズ、及びこのようなスマートコンタクトレンズを動作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レシオメトリック光変化を検出するための回路を備えるスマートコンタクトレンズは、例えば、眼の瞬きの検出又は移動物体の検出を含む、種々の利用において用途を見出すことができる。例えば、薄暗い屋内照明条件及び明るい屋外照明条件の両方における光の変化を検出することができるためには、そのような回路が高いダイナミックレンジを有する必要がある。
【発明の概要】
【0003】
上記の必要性を少なくとも部分的に満たすために、本開示は、独立請求項に定義されるように、入射光強度のレシオメトリック変化を検出するための改善されたスマートコンタクトレンズ、ならびにそのようなスマートコンタクトレンズを動作する方法を提供しようとする。好ましい実施の形態は、従属請求項で提供される。
【0004】
本開示の一態様によれば、スマートコンタクトレンズが提供される。スマートコンタクトレンズは、液晶ディスプレイ(LCD)タイプの1つ以上の、好ましくは同心のリングを含み、各リングは、より低い光の減衰を有する状態とより高い光の減衰を有する状態との間で動作可能である。スマートコンタクトレンズはまた、入射光強度のレシオメトリック変化を検出するための回路と、入射光の強度に基づいて1つ以上のリングを動作し、少なくともユーザの眼の瞬きの開始が生じたことを示す、より高い強度状態からより低い強度状態への入射光の強度のレシオメトリック変化を検出する回路に対する応答として、1つ以上のリングの再分極を開始するように構成されたコントローラとを備える。
【0005】
本明細書で説明するスマートコンタクトレンズは、例えば、眼の虹彩機能を人工的に模倣する方法を提供できる。これは、例えば、癌、急性損傷又は他の理由のために、虹彩に関する問題に苦しむ人間に有用であるかもしれない。虹彩領域に配置されたLCDタイプの1つ以上のリングを個々にアクティブ化又は非アクティブ化することによって、眼への入射光は、たとえば周囲光レベルに基づいて制御されてもよい。
【0006】
いったんLCDリングがアクティブ化されると、通常、そのコントラストを失わないように、数秒後に再分極させる必要がある。そのような再分極は、望ましくない光のちらつきの形態でコンタクトレンズの使用者に見えるかもしれない。しかしながら、眼の眼瞼が閉じている間(例えば、眼の瞬き中)にLCDリングが代わりに再分極される場合、再分極は、ユーザに知覚可能な光のちらつきなしに実行されることができる。いくつかのLCDタイプでは、他の理由からもリングの再分極が望ましいかもしれない。例えば、リングが例えばゴーストホストディスプレイタイプのものである場合、反復再分極は、結晶セルの劣化を防止するために望ましいかもしれない。
【0007】
レンズが眼に設置/提供される場合、強度の上記変化は、例えば、眼の瞬きの開始に対応してもよい。眼の瞬きの間(すなわち、眼瞼が閉じている間)に1つ以上のリングを再分極することによって、再分極に起因する視覚的なちらつきは、コンタクトレンズの使用者によってほとんど又は全く経験されないかもしれない。
【0008】
回路は、入射光の強度の関数として、それを通る光電流を誘導するように構成された光センサを含むことができる。光センサは、例えば、フォトダイオード、光検出器若しくは光センサ、又は入射光の強度の関数として、それを通る光電流を提供することができる別の要素(即ち、感光性デバイス)であってもよい。
【0009】
回路は、入射光強度の検出された変化の信号対雑音比を増加させることができる、演算増幅器を含んでもよい。
【0010】
光センサは、演算増幅器の反転入力に接続されてもよく、これは、誘導された光電流の信号対雑音比を増加させることができる。
【0011】
回路は、フィードバックループを含んでもよい。フィードバックループは、演算増幅器の出力を演算増幅器の反転入力に接続することができる。フィードバックループは、少なくとも1つの回路素子を含んでもよい。少なくとも1つの回路素子は、対数電圧電流依存性を有することができる。フィードバックループは、負のフィードバックを可能にし、回路の安定性を高める。対数電圧電流依存性を有する回路素子は、回路が高い動的光範囲内の光変化を検出し、例えば薄暗い室内光から完全な太陽光までの両方で動作することを可能にする。
【0012】
回路は、ハイパスフィルタを含んでもよい。ハイパスフィルタは、ハイパスフィルタリングされた信号を発生するように、演算増幅器から出力された信号をフィルタリングするように構成されてもよい。ハイパスフィルタリングされた信号は、より高い信号対雑音比を有することができる。
【0013】
回路は、比較要素をさらに含むことができる。比較要素は、ハイパスフィルタリングされた信号を受信するように構成されてもよい。比較要素は、ハイパスフィルタリングされた信号を少なくとも第1のしきい値と比較するように構成することができる。比較要素は、少なくとも第1のしきい値を通過するハイパスフィルタリングされた信号の振幅に対する応答として、入射光の強度のレシオメトリック変化を示すように変化する信号を出力するように構成されてもよい。比較要素は、入射光強度の関連するレシオメトリック変化の明確な検出を可能にし、それによってコントローラの要件を低減する。
【0014】
演算増幅器は、一般的な超低電力演算増幅器であってもよく、回路は、供給電流の低消費又は最小消費で動作することができる。これは、例えば小型の薄膜電池によって回路に電力を供給することができる。そのようなバッテリーは、スマートコンタクトレンズ上に設けられてもよい。また、少ない部品数のために、提供される回路はより少ない設置面積を必要とし、例えばスマートコンタクトレンズ中の瞬き検出器としての使用に、より適したものになる。
【0015】
いくつかの実施形態では、光センサは、演算増幅器の反転入力と非反転入力との間に接続されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの回路素子は、ダイオード又はダイオードのように挙動する少なくとも2端子素子であってもよく、又はそれを含んでもよい。特に、ダイオードのような挙動は、素子を意味すると理解され、素子の両端の電圧が素子を通る電流に対して対数依存性を有する。
【0017】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの回路素子(例えば、ダイオード又はダイオードのように挙動する素子)は、一方の端子が演算増幅器の反転入力に向かい、他方の端子が演算増幅器の出力に向かうようにフィードバックループ中に配置されてもよい。ここで、「に向かって」は、何かの物理的な位置(すなわち、何かが何かに向かって物理的に指している)を必ずしも示すものではなく、トポロジー的な配置を示すものである。換言すれば、少なくとも1つの回路素子は、例えば、演算増幅器の反転入力から(又は少なくとも演算増幅器の反転入力が接続されるノードから)演算増幅器の出力に向かって進む電気経路(又は電流)は、素子の別の端子に到達する前に素子の一方の端子に最初に到達するように配置されてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの回路素子は、ダイオードであってもよく、フィードバックループ内に配置されており、そのカソードが演算増幅器の反転入力に向かい、そのアノードが演算増幅器の出力に向かう。光センサは、例えばフォトダイオードであってもよく、そのカソードが演算増幅器の反転入力に向かって、そのアノードが例えば接地又は演算増幅器の非反転入力に向かって配置されてもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの回路素子は、ダイオードであってもよく、フィードバックループ内に配置されており、そのアノードが演算増幅器の反転入力に向かい、そのカソードが演算増幅器の出力に向かう。光センサは、例えばフォトダイオードであってもよく、そのアノードが演算増幅器の反転入力に向かって、そのカソードが例えば接地又は演算増幅器の非反転入力に向かって配置されてもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、比較要素は比較器であってもよい。そのような比較器は、例えば、比較器への入力信号がしきい値を上回るか下回るかに応じて、2つの状態(例えば、より高い電圧状態及びより低い電圧状態など)のうちの1つをとる信号を出力することができる。比較器は、例えば、差動増幅器又は同様のものを使用して実現されてもよく、ハイパスフィルタリングされた信号が1つの入力として提供され、第1のしきい値を示す信号が別の入力として提供され、差動増幅器は、一方の入力が他方の入力より大きいか、又はその逆かに応じて、例えば正又は負のレール電圧で飽和する。もちろん、比較器を実現する他の方法も想定される。
【0020】
いくつかの実施形態において、比較器はヒシテリシス比較器であってもよい。次いで、比較器から出力された信号は、ハイパスフィルタリングされた信号が第1のしきい値と第1のしきい値とは異なる第2のしきい値との両方を通過することに対する応答として変化してもよい。言い換えれば、比較器は、ハイパスフィルタリングされた信号が単一の(すなわち、第1の)しきい値にわたるときにその出力信号を直接変化させず、ハイパスフィルタリングされた信号が第2のしきい値にもわたるときにのみ、その出力信号を変化させることができ、したがって、ハイパスフィルタリングされた信号の関数としてプロットされた比較器の出力値が、ハイパスフィルタリングされた信号の値が反対方向に(例えば、より高い値からより低い値に)変化するときとハイパスフィルタリングされた信号の値が一方向に(例えば、より低い値からより高い値に)変化するときと同じ曲線に従わないというヒステリシス挙動を導入する。比較器のヒステリシス挙動は、比較器の固有の特徴であってもよく、又は例えばシュミットトリガ回路若しくは同様のものを用いて実現されてもよいことが想定される。ヒステリシス比較器を使用することは、例えば、ハイパスフィルタリングされた信号を第1のしきい値付近で変動させるノイズに対してより耐性があり、いったん入力(例えば、ハイパスフィルタリングされた信号)が第1のしきい値及び第2のしきい値によって境界付けられる値の領域外に出るとその出力状態を変化させるだけである出力信号を提供することができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、ハイパスフィルタは、入射光の強度の特定のレシオメトリック変化のための回路の必要とされる変化率に依存してもよいコーナー周波数を有してもよい。言い換えれば、ハイパスフィルタのコーナー周波数は、回路の特定の検出速度を可能にするように構成されてもよい。
【0022】
いくつかの実施形態では、ハイパスフィルタは、スイッチドキャパシタタイプのものであってもよい。ハイパスフィルタのそのようなインプリメンテーションは、たとえば、抵抗器及び/又はキャパシタなどの受動素子の必要とされるオンチップ面積を制限するのに役立つかもしれない。
【0023】
本開示の第1のバリエーションによれば、入射光の強度のレシオメトリック変化を検出するための回路が提供される。したがって、入射光の強度のレシオメトリック変化を検出するための回路は、必ずしもスマートコンタクトレンズ内に配置される必要はない。
【0024】
このように、第1のバリエーションによれば、入射光強度のレシオメトリック変化を検出する回路が提供される。回路は、演算増幅器を含んでもよい。回路は、入射光の強度の関数として、それを通る光電流を誘導するように構成された光センサを含むことができる。光センサは、例えば、フォトダイオード、光検出器若しくは光センサ、又は入射光の強度の関数として、それを通る光電流を提供することができる別の要素(即ち、感光性デバイス)であってもよい。光センサは、演算増幅器の反転入力に接続されてもよい。回路は、フィードバックループを含んでもよい。フィードバックループは、演算増幅器の出力を演算増幅器の反転入力に接続することができる。フィードバックループは、少なくとも1つの回路素子を含んでもよい。少なくとも1つの回路素子は、対数電圧電流依存性を有することができる。回路は、ハイパスフィルタを含んでもよい。ハイパスフィルタは、ハイパスフィルタリングされた信号を発生するように、演算増幅器から出力された信号をフィルタリングするように構成されてもよい。回路は、比較要素をさらに含むことができる。比較要素は、ハイパスフィルタリングされた信号を受信するように構成されてもよい。比較要素は、ハイパスフィルタリングされた信号を少なくとも第1のしきい値と比較するように構成することができる。比較要素は、少なくとも第1のしきい値を通過するハイパスフィルタリングされた信号の振幅に対する応答として、入射光の強度のレシオメトリック変化を示すように変化する信号を出力するように構成されてもよい。
【0025】
本開示の第2のバリエーションによれば、入射光の強度のレシオメトリック変化を検出する方法が提供される。本方法は、光センサを提供するステップを含んでもよい。光センサは、入射光の強度の関数として、それを通る光電流を誘導するように構成されてもよい。本方法は、演算増幅器と、対数電圧電流依存性を有する少なくとも1つの回路素子を含むフィードバックループとを使用することによって、光センサの両端の電圧を0に又は少なくともゼロに向けて調整するステップを含むことができる。方法は、ハイパスフィルタリングされた信号を発生するように、演算増幅器から出力された信号をハイパスフィルタリングすることを含んでもよい。方法は、ハイパスフィルタリングされた信号(の振幅)が少なくとも第1のしきい値を通過することを確認することによって、入射光の強度の変化を検出することをさらに含んでもよい。そのような確認は、たとえば、第1の態様の回路を参照して本明細書で説明されるような比較要素(比較器など)を使用して取得されてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、入射光の強度の変化を検出することは、ハイパスフィルタリングされた信号が第1のしきい値と第1のしきい値とは異なる第2のしきい値の両方を通過することを確認することを含んでもよい。これは、例えば、第1の態様の回路を参照して本明細書で説明されるヒステリシス比較器を使用することによって取得されることができる。
【0027】
本開示の第3のバリエーションによれば、眼の瞬きを検出するための、本明細書に開示及び説明されるような(例えば、第1のバリエーションによる)回路及び/又は(例えば、第2のバリエーションによる)方法の使用が提供される。
【0028】
本開示の第4の変形形態によれば、照らされた物体の動きを検出するための、本明細書で開示及び説明される回路及び/又は方法の使用が提供される。
【0029】
本開示の第5のバリエーションによれば、スマートコンタクトレンズが提供される。レンズは、液晶ディスプレイ(LCD)タイプの1つ以上のリングを含んでもよい。各リングは、より低い光の減衰を有する状態とより高い光の減衰を有する状態との間で動作可能であってもよい。1つ以上のリングは、好ましくは同心円状又はほぼ同心円状に配置される。このリングはまた、好ましくは異なる内径/外径を有し、内径/外径の順に配置される。レンズは、本明細書で開示され説明される回路、例えば第1の態様による回路を含むことができる。レンズは、コントローラをさらに含むことができる。コントローラは、入射光の強度に基づいて1つ以上のリングを動作させるように構成されてもよい。コントローラは、比較器から出力された信号を受信し、より高い強度状態からより低い強度状態への入射光の強度のレシオメトリック変化を示す(比較器から受信される)信号への応答として、1つ以上のリングの再分極を開始するように構成されてもよい。
【0030】
本開示の第2の態様によれば、液晶ディスプレイ(LCD)タイプの1つ以上の、好ましくは同心円状のリングを含むスマートコンタクトレンズを操作する方法が提供される。方法は、例えば第1の態様に含まれるような及び/若しくは第1のバリエーションによる回路、並びに/又は例えば第2のバリエーションによる方法を使用して、(スマートコンタクトレンズが提供される)少なくとも眼の瞬きの開始に対応する(光センサに当たる)入射光の強度のレシオメトリック変化が生じたかどうかを検出することを含んでもよい。方法は、そのような少なくとも眼の瞬きの開始が生じたことを検出することに対する応答として、1つ以上のリングの再分極を開始することをさらに含んでもよい。
【0031】
本開示は、特許請求の範囲に記載された特徴の全ての可能な組み合わせに関する。さらに、第1のバリエーションによる回路を参照して説明される任意の実施形態は、第2のバリエーションによる方法、第3及び第4のバリエーションによる種々の使用、第5のバリエーションによるスマートコンタクトレンズ、並びに第2の側面による方法を参照して説明される実施形態のいずれかと組み合わせ可能であってもよく、逆もまた同様である。
【0032】
本開示の様々な実施形態のさらなる目的及び利点は、例示的な実施形態によって以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
添付の図面を参照して、例示的な実施形態が、詳細に説明される。
図1a図1aは、本開示による回路の様々な実施形態を概略的に図示する。
図1b図1bは、本開示による回路の様々な実施形態を概略的に図示する。
図2図2は、本開示による回路の実施形態において提供される信号の様々な例のプロットを概略的に図示する。
図3図3は、本発明による方法の実施形態のフローチャートを概略的に図示する。
図4図4は、本開示によるスマートコンタクトレンズの一実施形態を概略的に図示する。
図5図5は、本発明による方法の実施形態のフローチャートを概略的に図示する。
【0034】
図面では、特に明記しない限り、同様の参照番号が同様の要素に使用される。そうでないことが明示的に述べられていない限り、図面は、例示的な実施形態を図示するために必要なそのような要素のみを示し、一方で他の要素は、明確にするために、省略されるか、又は単に示唆されてもよい。図面に図示されるように、要素及び領域のサイズは、必ずしもスケーリングされて描かれていなくてもよく、例えば、例示目的のために誇張されてもよく、したがって、実施形態の一般的な構造を図示するために提供される。
【発明を実施するための形態】
【0035】
添付の図面を参照して、例示的な実施形態を以下により十分に説明する。図面は好ましい実施形態を示しているが、本発明は、しかしながら、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、徹底性及び完全性のために提供され、本開示の範囲を当業者に十分に伝える。
【0036】
図1a及び1bを参照して、入射光強度のレシオメトリック変化を検出するための回路の種々の実施形態が、ここでより詳細に説明される。
【0037】
図1aは、回路100を概略的に図示する。回路100は、演算増幅器110の反転入力112に接続された1つの端子122を有する光センサ120を含む。光センサ120の他方の端子124は、例えば接地に接続されてもよく、又は例えば演算増幅器110の非反転入力114に直接接続されてもよい。入射光126が当たるとき、光センサ120は、それを通る光電流IPDを誘導する。光電流IPDのサイズは、入射光126の強度に依存する。
【0038】
回路100は、さらに、フィードバックループ130を含む。フィードバックループ130は、演算増幅器110の出力116を演算増幅器110の反転入力112に接続する。フィードバックループ130は回路素子132を含む。回路素子132は、対数電圧電流依存性を有するようなものである。言い換えると、回路素子132の両端間の電圧は、回路素子132を通る電流に対して対数的に変化する。(例えば、演算増幅器110が理想的又は少なくともほぼ理想的であると仮定することによって)電流が演算増幅器110の反転入力112に入らない又はほとんど入らない場合、回路素子132を通る電流は、誘導された光電流IPDに等しくなってもよい。回路素子の両端間の電圧は、ln(IPD+α)に少なくとも比例することができ、ここでαは0又は有限のいずれかであってもよい項である。図1aには図示されていないが、フィードバックループは、回路素子132に加えて他の要素も含んでもよいことが想定される。回路100は、さらに、ハイパスフィルタ140を含む。
【0039】
ハイパスフィルタ140は、演算増幅器の出力116に接続され、演算増幅器110から出力される信号VAMPをフィルタリングして、ハイパスフィルタリングされた信号VHPFを生成する。
【0040】
回路100は、ハイパスフィルタ140からハイパスフィルタリングされた信号VHPFを受信するように接続された比較要素150を含む。比較要素150は、ハイパスフィルタリングされた信号VHPFを少なくとも第1のしきい値VT1と比較し、それに基づいて信号VOUTを出力するように構成される。比較要素150は、ハイパスフィルタリングされた信号VHPFの振幅が少なくとも第1のしきい値VT1を通過することにへの応答として、信号VOUTが変化して入射光126の強度のレシオメトリック変化を示すように構成される。
【0041】
信号VOUTは、例えば入射光126の入射光の高い又はより高い強度を示す第1の値(又は状態)VS1と、例えば入射光126の低い又はより低い強度を示す第2の値(又は状態)VS2との間で2進的に変化することが想定される。いくつかの実施形態では、第1の値VS1は第2の値VS2よりも高いが、他の実施形態では、その逆が当てはまる。また、他の実施形態では、信号VOUTが2つより多くの異なる値をとるように、信号VOUTがデジタル的に変化するのではなくアナログ的に変化することも想定される。例えば、VOUTのより高い値は、入射光126のより高い強度を示し、一方、VOUTのより低い値は、入射光126のより低い強度を示すか、又はその逆であり、値の変化は、入射光126の強度のレシオメトリック変化を示すことが想定されてもよい。信号VOUTは、代わりに、入射光126の強度及び入射光126の強度の変化の一方又は両方についての情報を、例えばデータフォーマットで含むことができることも想定される。信号VOUTは、例えば、入射光126についてのそのような情報を符号化するビットストリームであってもよい。いずれの状況においても、信号VOUTは、例えば入射光126に関する情報に基づいて1つ以上の物体を制御するために、例えばコントローラ(図示せず)にさらに提供され、コントローラによって使用されてもよい。本明細書で後述するように、そのような物体は、例えば、スマートコンタクトレンズ又は同様のものであってもよい。他の実施形態では、入射光126の強度の変化についての情報は、例えば、照らされた物体の移動を検出するために使用されてもよい。
【0042】
図1bは、回路101を概略的に図示する。回路101は、反転入力112、非反転入力114及び出力116を有する演算増幅器110を含む。回路101には、光センサ120がフォトダイオードの形態で設けられている。フォトダイオード120は、そのカソード122が反転入力112に接続され、そのアノード124が演算増幅器110の非反転入力114に接続されるように、演算増幅器110の入力112と114の両端に接続される。
【0043】
フィードバックループ130は、演算増幅器110の出力116を演算増幅器110の反転入力112に接続する。回路101において、フィードバックループ130は、ダイオードの形態の回路素子132を含む。ダイオード130は、そのカソード134が演算増幅器110の反転入力112に接続され、そのアノード136が演算増幅器110の出力116に接続されるように配置される。回路101の他の実施形態では、2つのダイオード120及び132の方向を逆にして、例えば、ダイオード132のカソード122が非反転入力114に向かい、アノード124が反転入力112に向かうようにし、ダイオード120のカソード134が出力116に向かい、アノード136が反転入力112に向かうようにすることが想定される。
【0044】
回路101は、さらに、ハイパスフィルタ140を含む。図1bにおいて、ハイパスフィルタ140は、可変抵抗器142及びキャパシタ144を含む分圧器によって形成されるように図示されている。キャパシタ144のインピーダンスは周波数に反比例するので、信号VAMPの様々な周波数成分は、キャパシタ144及び可変抵抗器142にわたって異なって分布する。より低い周波数を有する成分は、例えば、可変抵抗器142の両端よりもキャパシタ144の両端により多く分布するが、より高い周波数を有する成分については反対のことが当てはまる。これは、可変抵抗器142及びキャパシタ144はともに、信号VAMPのハイパスフィルタリングされたバージョンである信号VHPFを出力するハイパスフィルタとして機能することを可能にする。フィルタ140のコーナー(又はカットオフ)周波数は、可変抵抗器142によって提供される可変抵抗の関数として調節されてもよい。しかしながら、ハイパスフィルタ140は、他の方法で、例えばスイッチドキャパシタハイパスフィルタとして形成されてもよいことも想定される。
【0045】
回路101は、比較器の形態の比較要素150を含む。比較器150は、可変抵抗器142の両端の電圧(例えば、VHPF)が比較器150の入力端子152及び154の両端に提供されるように接続される。比較器150は、その入力端子152及び154の両端の差動電圧の符号に応じて出力信号VOUTを供給する。差動電圧の符号に依存して、出力信号VOUTは、例えば正電圧及び負電圧、又は0電圧及び正電圧若しくは負電圧のような2つの値のうちの1つを得る。回路101において、比較器150の正入力154は接地されている。その結果、比較器150は、例えば、出力VOUTが、ハイパスフィルタリングされた信号VHPF(の振幅)が正であるときに1つの値をとり、ハイパスフィルタリングされた信号VHPF(の振幅)が負であるときに別の値をとるようなものであってもよい。これは、比較器150の第1のしきい値が0に等しいことに対応してもよい。
【0046】
例えば、信号VAMPが第1のしきい値付近で変動するときに出力VOUTの変動を回避するために、比較器150は、ヒステリシス挙動を得るように修正されてもよい。例えば、比較器150は、いったんVHPFが第1のしきい値及び第1のしきい値とは異なる第2のしきい値の両方を(同じ方向に)通過すると、その出力VOUTのみが変化するようなものであってもよい。例えば、第1のしきい値VT1及び第2のしきい値VT2>VT1について、いったんVHPFがVT2を超えると出力VOUTは1つの値をとり、いったんVHPFがVT1を下回ると別の異なる値をとるように比較器150は構成されてもよい。別の実施形態では、第1のしきい値VT1及び第2のしきい値VT2<VT1について、いったんVHPFがVT2を下回ると出力VOUTが1つの値をとり、いったんVHPFがVT1を超えると別の異なる値をとるように比較器150は構成されてもよい。同じ機能性を提供する他の変形も想定される。より一般的に言えば、ヒステリシス比較器は、信号VHPFが第1及び第2のしきい値によって境界付けられた値の領域内にある間に1つの状態/値をとり、信号VHPFがこの領域外にあるときに別の状態/値をとる出力信号VOUTを提供してもよい。
【0047】
図1a及び図1bには図示されていないが、例えば演算増幅器110及び比較要素/比較器150に電力を供給するために、例えば電源レールが設けられることが想定される。
【0048】
ここで、本開示による回路(それぞれ図1a及び図1bを参照して説明される回路100及び101など)の機能性について、図1a及び/又は図1b、ならびに図2を参照してさらに詳細に説明する。
【0049】
例えば、フォトダイオード120の形態の光センサについて、フォトダイオード120を通る誘導された光電流IPDは、入射光126の強度に依存してもよい。例えば、光電流IPDは、入射光126の低い強度に対する低値IPDLと、入射光126の高い強度に対する高値IPDH>IPDLとの間で変化することが想定されてもよい。光電流IPDのそれぞれ高低値の変化率は、CR=IPDH/IPDL>1と定義することができる。図2は、t=0とt=teとの間の時間間隔の下での光電流IPDの変化を含む、時間の関数としての光電流IPDの例のプロット200を概略的に図示する。より高い値からより低い値への入射光126の強度の低減は、t=0とt=tfとの間のサブ間隔の間に、光電流をより高い値IPDHからより低い値IPDLに変化させ、より高い値への強度の後の戻りは、t=tbとt=teとの間の後のサブ間隔の間に、光電流をより高い値IPDHに戻させる。
【0050】
誘導された光電流IPDは、フォトダイオード120のカソードからアノードに流れることができる。演算増幅器110及びフィードバックループ130は、フォトダイオード120の両端の電圧VPDを0に(又は少なくともそれに向かって)制御/調整し、回路素子(すなわち、ダイオード132)を通して光電流IPDを導くことができる。フォトダイオード120のアノード124及び演算増幅器110の非反転入力114が電位VCM1(例えば、接地)に接続される場合、演算増幅器110の反転出力112における(及びフォトダイオード120及びダイオード130のそれぞれのカソード122及び134における)電位は、したがって、VCM1に制御/調整される。
【0051】
したがって、ダイオード132の両端の電圧VDは、対数的に光電流IPDに依存する。ダイオード132が理想的であると仮定すると、ダイオード132の両端の電圧は、VD=VT*ln(IPD/IS+1)に近く、ここで、VTは熱電圧であり、ISはダイオード132の飽和電流である。したがって、演算増幅器110から出力される信号VAMPは、VAMP=VD+VCM1となる。
【0052】
入射光126の強度が高値から低値に変化する場合、光電流はIPDHからIPDH/CRに変化する。これは、結果として、VT*ln(IPDH/IS+1)+VCM1からVT*ln(IPDH/(CI*S)+1)+VCM1への信号VAMPの対応する変化をもたらす。IPDH/(CR*IS)>>1(すなわち、exp(VD/VT)>>1)である場合、信号VAMPの変化は、ΔVAMP=VT*ln(CR)として表すことができる。そのような仮定は、例えばダイオード132をそれに応じてサイズ設定することによって有効にされてもよい。室温では、熱電圧は約26mVであると仮定することができる。係数e(すなわち、約2.72)による光強度の減少に対して、演算増幅器110によって出力される電圧VAMPの差は約26mVである。これは、本開示の回路に高いダイナミックレンジを提供し、例えば、暗い屋内照明条件から明るい屋外照明条件へのレシオメトリック変化を検出することを可能にする。図2は、t=0からt=teまでの上記時間間隔の間のVAMPの変化を含む、時間の関数としての信号VAMPの例のプロット210を概略的に図示し、これは、同じ時間間隔の間の光電流IPDの変化に起因する。
【0053】
ハイパスフィルタ140は、信号VAMPのDC成分(すなわち、一定成分)を除去し、信号VHPFを生成する。図2は、時間の関数としての信号VHPFのプロット220を概略的に図示する。信号VAMPをハイパスフィルタリングすることによって、ハイパスフィルタリングされた信号VHPFは、入射光126の強度の変化の開始をマークする負の遷移222を含む。
【0054】
信号VHPFにおける負の遷移222は、比較要素(例えば、比較器)150によって検出される。一実施形態では、これは、信号VHPFの振幅を第1のしきい値VT1と比較することによって得られる。信号VHPFの振幅がしきい値VT1を下回るとき、比較要素150は、出力信号VOUTを第1の状態(又は電圧値)VS1から第2の状態(又は電圧値)VS2に変化させる。いったん信号VHPFの振幅が再びしきい値VT1を上回ると、出力信号VOUTは第1の状態VS1に戻る。これは、時間の関数としての信号VOUTの例のプロット230を概略的に図示する図2に図示されており、入射光126の強度の変化は、信号VOUTにおけるパルス232によって示されている。
【0055】
別の実施形態では、比較要素(例えば、ヒステリシス比較器)は、信号VHPFを第2のしきい値VT2とも比較し、VHPFが第1のしきい値VT1及び第2のしきい値VT2>VT1の両方を通過する(又は同じ方向に通過した)ときのみ、出力信号VOUTの状態を変化させる。時間の関数としての別の信号VOUTの例のプロット240において図2に概略的に図示されるように、信号VOUTは、いったんVHPFの振幅が第1のしきい値VT1を下回ると、第1の状態VS1から第2の状態VS2に変化するが、VHPFの振幅が第2のしきい値VT2を超えるまで第1の状態VS1に戻らない。この構成はまた、入射光126の強度の低減の開始を示すパルス242を提供するが、これは例えばノイズに対してあまり敏感ではないかもしれない。例えば、信号VHPFの振幅が第1のしきい値VT1付近で変動した場合、ヒステリシス比較器を使用する実施形態は、VHPFが第1のしきい値VT1にわたって変動するたびに複数のパルスを(誤って)出力せず、したがって、例えばプロット230に示すような単一しきい値比較器の使用と比較して、入射光126の強度の変化を示すより安定した方法を提供することができる。
【0056】
図2において、すべてのプロット200、210、220、230及び240は、同じ時間座標(t)に対してプロットされているが、提示の明確さを高めるために、互いに対して垂直にシフトされた別個の垂直軸上にあることに留意されたい。各プロットにおいて、それぞれの垂直軸の0値は、小さな黒丸によって示される。
【0057】
図3を参照して、本開示による入射光の強度のレシオメトリック変化を検出する対応する方法の様々な実施形態を、ここでより詳細に説明する。
【0058】
図3は、方法300のフローチャートを概略的に図示する。第1のステップS310において、(既に存在しない場合)光センサが提供される。光センサは、(光センサに当たる)入射光の強度の関数として、それを通る光電流を誘導するように構成される。次のステップS320において、演算増幅器、及び対数電圧電流依存性を有する少なくとも1つの回路素子を含むフィードバックループは、光センサの両端の電圧を0に調整するために使用される。これは、光センサを通して誘導される光電流がフィードバックループ中の少なくとも1つの回路素子を通過することを提供する。次のステップS330では、演算増幅器から出力された信号をハイパスフィルタリングして、ハイパスフィルタリングされた信号を発生する。次のステップS340において、入射光の強度の変化は、ハイパスフィルタリングされた信号が少なくとも第1のしきい値を通過することを確認することによって検出される。本明細書ですでに説明したように、これは、たとえば、少なくとも1つのしきい値を超える(又はそれを下回る)ハイパスフィルタリングされた信号の振幅に対応してもよい。図3には示されていないが、方法300は、周期的に動作してもよく、入射光の強度のさらなる変化を検出するために再びステップS310に戻ってもよい。
【0059】
方法300のいくつかの実施形態では、ステップS340は、代替的に、ハイパスを第1のしきい値及び第1のしきい値とは異なる第2のしきい値の両方と比較することと、ハイパスフィルタリングされた信号が第1のしきい値及び第2のしきい値の両方を(同じ方向に)通過することを確認することによって(すなわち、ハイパスフィルタリングされた信号が第1及び第2のしきい値によって境界付けられた値の領域外にあることを確認することによって)入射光の強度の変化を検出することとを含んでもよい。入射光の強度の変化を検出するそのような方法のさらなる詳細及び/又は利点については、比較要素としてヒステリシス比較器を使用することに関する上記の説明を参照されたい。
【0060】
図4を参照して、本開示によるスマートコンタクトレンズの1つ以上の実施形態が、より詳細に説明される。
【0061】
図4は、スマートコンタクトレンズ400を概略的に図示する。レンズ400は、1つ以上のリング410-1から410-N(NはN≧1の整数)を含む。1つ以上のリング410-1から410-Nは同心円状に配置されているが、1つ以上のリング410-1から410-Nの他の適切な配置、例えばほぼ同心円状の配置又は類似の配置を設けることも考えられる。リング410-1から410-Nは、異なる内径/外径を有してもよく、例えば、最も小さいリング(例えば、リング410-1)が中心にあり、他のリング(例えば、410-2から410-N)が、直径が増加する順にリング410-1の外側に配置されるように配置されてもよい。各リング410-1から410-Nは、より低い光の減衰を有する状態(例えば、「開状態」)と、より高い光の減衰を有する状態(例えば、閉/遮断状態)との間で動作可能であってもよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、1つ以上のリング410-1から410-Nは、例えば、ねじれネマチック(TN)又は超ねじれネマチック(STN)タイプのものであってもよい。他の実施形態では、1つ以上のリング410-1から410-Nは、例えば、カラー二色性色素、キラルドーパント及び液晶の混合物を含むゲスト-ホスト液晶タイプのものであってもよい。そのようなタイプは、光をフィルタリングするための偏光子を必要としなくてもよいという点で有益であるかもしれない。このようなタイプは、交流(AC)方式の代わりに直流(DC)方式で駆動することもできる。1つ以上のリング410―1から410-NをDC方式で駆動することは、エネルギー消費を更に低減することができ、それにより、例えば、スマートコンタクトレンズ400を駆動するのに必要なバッテリー容量を更に低減するのに役立つ。同じ又は同様の機能性が得られる限り、LCD以外の1つ以上の他のタイプのリングを使用してもよいことも想定される。
【0063】
レンズ400はまた、回路420を含む。回路420は、例えば、図1aを参照して説明した回路100のような回路、又は例えば図1bを参照して説明した回路101、又はそれについての他の実施形態であってもよい。回路420は、レンズ400がユーザ(図示せず)の眼に挿入された場合に、リング410-1から410-Nが眼の人工虹彩の機能を得るように、また、例えば、眼瞼が部分的に又は完全に閉じられたときに回路420の光センサが眼の眼瞼によって少なくとも部分的に覆われるように、レンズ400内に配置されることが好ましい。また、レンズ400は、ユーザの眼に挿入されたときに、必要以上にユーザの視界を妨げないように、リング410-1から410-Nを除くレンズ400の大部分が眼の視界の外側に配置されるようにさらに構成されることが好ましい。
【0064】
回路420は、入射光強度のレシオメトリック変化を検出するように構成される。レシオメトリック変化は、1つ以上のリング410-1から410-Nを制御するために、又はユーザの眼の瞬きの開始を示すために、コントローラ430によって使用されてもよい。
【0065】
レシオメトリック変化は、入射光強度の絶対値を測定し、例えばユーザの眼の瞬きの開始に対応するしきい値及び/又は差を確立することによって検出されてもよい。
【0066】
レシオメトリック変化はまた、入射光強度の相対値を測定し、例えばしきい値を超える関連変化を検出することによって検出されてもよい。
【0067】
レシオメトリック変化は、例えば、フォトダイオード、フォトレジスタ及び/又は光検出器を使用して測定されてもよい。
【0068】
レンズ400は、コントローラ430を含む。コントローラ430は、回路420の光センサに当たる入射光(図示せず)の強度に基づいて、1つ以上のリング410-1から410-Nを動作させ(すなわち、必要に応じて各リングをその開状態と閉状態との間で動作させ)、それにより、1つ以上のリング410-1から410-Nとともに虹彩の機能をエミュレートするように構成される。コントローラ430は、回路420から(例えば、比較要素又は光センサから)出力される信号VOUTを受信し、より高い状態からより低い状態への入射光の強度のレシオメトリック変化(例えば、眼の瞬きの開始)を示す信号VOUTに対する応答として、1つ以上のリング410-1から410-Nの再分極を開始するように更に構成される。その結果、リング410-1から410-Nは、ユーザの眼が閉じられている瞬間の間に再分極されてもよく、再分極に起因して視覚的なちらつきがほとんど又は全く生じない。これは、例えば、まぶたが閉じていないか又は部分的に閉じている時間の間にリングが再分極される場合にちらつきをもたらすかもしれない、ユーザが瞬きしているか否かを考慮せずに、例えば1つ以上のリングが再分極されるレンズに対して改善を提供する。1つ以上のリングを再分極することは、本明細書で先に説明したように、リングがそれらのコントラストを失わないようにすることができ、又は、たとえばゴーストホストディスプレイタイプのリングが使用される場合、結晶セルの劣化も回避することができる。
【0069】
図5を参照すると、本開示によるスマートコンタクトレンズ(図4を参照して説明されるコンタクトレンズ400等)を動作する対応する方法の種々の実施形態が、ここでより詳細に説明される。
【0070】
図5は、方法500のフローチャートを概略的に図示する。第1のステップS510では、入射光の強度のレシオメトリック変化が、本明細書で前述した回路及び/又は本明細書で前述した方法、例えば、図1a及び図1bを参照して説明した回路100及び101、並びに/又は図3を参照して説明した方法300を使用して生じたかどうかが検出される。このようなレシオメトリック変化は、(コンタクトレンズが挿入される)少なくとも眼の瞬きの開始に対応する。そのような少なくとも眼の瞬きの開始が生じたことが検出される場合、方法500は次のステップS520に進む501。ステップS520において、ステップにおける眼の瞬きの開始が生じたことの検出に対する応答として、1つ以上のリングの再分極が開始される。ステップS510において少なくとも眼の瞬きの開始が検出されない場合、方法は、そのような少なくとも眼の瞬きの開始が検出されるまで、ステップS510を停止するか反復してもよい502。
【0071】
本開示は、例えば照らされた物体の動きの検出のための、本明細書に記載される回路及び/又は方法の使用を更に想定する。例えば、眼の瞬きを検出するように構成された回路のマトリクスは、物体及び/又は例えば人が移動しているときに可変的に照らされる表面上に設けられてもよい。回路のうちの1つ以上が入射光の強度のレシオメトリック変化を検出する場合、そのような変化は、物体又は例えば人の動きに関連してもよい。例えば、画像処理に基づいて動きを検出するための他の技法とは対照的に、本開示は、単一の回路の使用を説明するときに本明細書で既に列挙した利益及び利点を含む、動きを検出する改善された方法を提供することができる。
【0072】
一般に、本開示は、入射光の強度のレシオメトリック変化を検出する方法を提供する。そのような検出は、高いダイナミックレンジで提供されてもよく、例えば、暗い屋内照明条件ならびに明るい屋外照明条件、及びそれらの間の条件で機能してもよい。本明細書に記載される回路は、電力をほとんど消費せず、物理的な設置面積が小さく、例えば、瞬きを周囲光条件とは無関係に確実に検出することができるスマートコンタクトレンズ内の瞬き検出器として使用するのに適している。回路及び方法はまた、例えば、照らされたターゲットの移動を検出する方法を提供する。
【0073】
当業者は、本開示が、上記で説明された実施形態に決して限定されないことを理解する。それどころか、添付の特許請求の範囲内において多くの修正及びバリエーションが可能である。
【0074】
特徴及び要素は特定の組合せで上述されているが、各特徴又は要素は、他の特徴及び要素なしで単独で使用されてもよく、又は他の特徴及び要素の有無にかかわらず様々な組合せで使用されてもよい。
【0075】
加えて、開示された実施形態に対するバリエーションは、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、請求項に記載された発明を実施する際、当業者によって理解され、達成されることができる。特許請求の範囲では、「備える」という単語は、他の要素を除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。ある特定の特徴が相互に異なる従属の請求項に記載されているという単なる事実は、これらの特徴の組合せを役立つために使用できないことを示すものではない。
【0076】
本開示の様々な態様は、以下に列挙される例示的な実施形態、EEEから理解できる。
EEE1.
入射光強度におけるレシオメトリック変化を検出するための回路(100、101)であって、
演算増幅器(110)と、
入射光(126)の強度の関数として、それを通る光電流(IPD)を誘導するように構成され、演算増幅器の反転入力(112)に接続された光センサ(120)と、
演算増幅器の出力(116)を演算増幅器の反転入力に接続するフィードバックループ(130)と、前記フィードバックループは対数電圧電流依存性を有する少なくとも1つの回路素子(132)を備え、
ハイパスフィルタリングされた信号(VHPF)を発生するように、演算増幅器から出力される信号(VAMP)をフィルタリングするように構成されるハイパスフィルタ(140)と、
ハイパスフィルタリングされた信号を少なくとも第1のしきい値と比較し、少なくとも第1のしきい値を通過するハイパスフィルタリングされた信号の振幅に対する応答として、入射光の強度のレシオメトリック変化を示すように変化する信号(VOUT)を出力するように構成された比較要素(150)とを備える、回路。
EEE2.
光センサは、演算増幅器の反転入力と非反転入力(114)との間に接続される、EEE1に記載の回路。
EEE3.
少なくとも1つの回路素子が、ダイオード若しくはダイオードのように挙動する少なくとも2端子素子であるか、又はそれを含む、EEE1又は2に記載の回路。
EEE4.
少なくとも1つの回路素子は、一方の端子が演算増幅器の反転入力に向かい、他方の端子が演算増幅器の出力に向かうようにフィードバックループ中に配置される、EEE3に記載の回路。
EEE5.
比較要素は比較器である、先行するEEEのいずれか1つに記載の回路。
EEE6.
比較器はヒステリシス比較器であり、比較器から出力された信号は、ハイパスフィルタリングされた信号が第1のしきい値及び第1のしきい値とは異なる第2のしきい値の両方を通過することに応答して変化する、EEE5に記載の回路。
EEE7.
ハイパスフィルタは、回路の必要とされる変化率に依存するコーナー周波数を有する、先行するEEEのいずれか1つに記載の回路。
EEE8.
ハイパスフィルタはスイッチドキャパシタタイプのものである、先行するEEEのいずれか1つに記載の回路。
EEE9.
入射光の強度のレシオメトリック変化を検出する方法(300)であって、
入射光の強度の関数として、それを通る光電流を誘導するように構成された光センサを提供すること(S310)と、
演算増幅器と、対数電圧電流依存性を有する少なくとも1つの回路素子を含むフィードバックループとを使用することにより、光センサの両端の電圧を0に調整すること(S320)と、
演算増幅器から出力された信号をフィルタリングして、ハイパスフィルタリングされた信号を発生すること(S330)と、
ハイパスフィルタリングされた信号が少なくとも第1のしきい値を通過することを確認することによって、入射光の強度の変化を検出すること(S340)とを含む、方法。
EEE10.
前記入射光の強度の変化を検出することは、ハイパスフィルタリングされた信号が、第1のしきい値及び第1のしきい値とは異なる第2のしきい値の両方を通過することを確認することを含む、EEE9に記載の方法。
EEE11.
眼の瞬きを検出するための、EEE 1から8のいずれか1つに記載の回路(100、101)、及び/又はEEE9若しくは10に記載の方法(300)の使用。
EEE12.
照らされた物体の動きを検出するための、EEE 1から8のいずれか1つに記載の回路(100、101)、及び/又はEEE9若しくは10に記載の方法(300)の使用。
EEE13.
スマートコンタクトレンズ(400)であって、
液晶ディスプレイ、LCD、タイプの1つ以上の、好ましくは同心のリング(410-1、410-2、...、410-N)と、各リングは、より低い光の減衰を有する状態とより高い光の減衰を有する状態との間で動作可能であり、
EEE1から8のうちのいずれか1つに記載の回路(420、100、101)と、
入射光の強度に基づいて1つ以上のリングを動作させ、比較要素から出力された信号(VOUT)を受信し、より高い強度状態からより低い強度状態への入射光の強度のレシオメトリック変化を示す前記信号に対する応答として、1つ以上のリングの再分極を開始するように構成されたコントローラ(430)とを備える、スマートコンタクトレンズ。
EEE14.
液晶ディスプレイ、LCD、タイプの1つ以上の、好ましくは同心のリング(410-1、410-2、...、410-N)を含むスマートコンタクトレンズ(400)を動作する方法(500)であって、
EEE1から8のいずれか1つに記載の回路(100、101)及び/又はEEE9から11のいずれか1つに記載の方法(300)を使用して、少なくとも眼の瞬きの開始に対応する入射光の強度のレシオメトリック変化が生じたかどうかを検出すること(S510)と、
少なくとも眼の瞬きのそのような開始が生じたことの検出に応答して、1つ以上のリングの再分極を開始すること(S520)とを含む、方法。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】